なんとでもなるさ最終更新 2024/05/17 12:461.名無しさんuFCdUきついなあ2023/11/27 22:14:47143コメント欄へ移動すべて|最新の50件2.名無しさんXRU2a太田純氏死去、銀行の殻破った剛腕 デジタル化で成長主導、若手への視線は温かく(評伝)2023/11/28 日本経済新聞 朝刊 「銀行の経営者」と聞いて浮かぶ一般的なイメージがあるとすれば、およそかけ離れた特異なバンカーだった。25日に亡くなった三井住友フィナンシャルグループの太田純社長は「カラを、破ろう」と行内を鼓舞し、因習が残る銀行の改革をけん引してきた。 霞が関や永田町との折衝を担う企画畑がエリートとされる銀行にあり、ビジネスのにおいがするまれな経営者だった。 原点にあるのが、キャリアの前半期に身を置いたプロジェクトファイナンスの経験だろう。不動産などの担保に基づく融資が主流を占めるなか、大規模な発電所など事業が生み出す収益を裏付けに融資を実行する当時新しい融資の形態だ。 膨大な英文の契約書と格闘し、海外を飛び回るなかで黎明(れいめい)期のビジネスをゼロから立ち上げた。学者と論文を著し、この道では第一人者のバンカーだ。相当な収益もあげたことだろう。本人に「投資銀行からのオファーはすごかったでしょうね」と水を向けると、「ビックリするような報酬も提示されましたよ」と笑いながら振り返っていた姿が印象に残る。 ビジネスで磨いた決断力はうるさ型ともされる経営者を引き寄せた。2022年7月に資本参加したSBIホールディングスの北尾吉孝会長兼社長とは随行者を伴わずに会談を重ね、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)の増田宗昭会長とは自宅を訪ねる仲でもある。 こうした関係が実を結んだのが、今年3月に始めた金融サービス「Olive(オリーブ)」だ。銀行口座やクレジットカードといった金融取引をスマートフォンに一体化したサービスで、登録者は半年で100万人を超えた。太田氏のリーダーシップで連結純利益は今期、過去最高を更新する見通しで、1兆円の大台も視野に入ってきた。 ライバル行の幹部はオリーブを実現させた太田氏を「実行力と先見性に秀でていた」としのぶ。北尾氏は訃報に接し「戦略的思考のもとに決めたことをパパッと実行に移すなど個人的にウマが合った。金融界の巨星落つという感じで非常に悲しい」と述べた。 さらにケンカの強さをのぞかせたのが、00年当時、東京都の石原慎太郎知事が銀行を狙い撃ちにした外形標準課税を導入してからの行動力だ。外形標準課税は、不良債権処理の影響で課税対象となる所得が大幅に減っていた銀行から税金を取り立てるために都が繰り出した異例の策だっ。 条例の効力凍結を求める行政訴訟の中心にいたのが、住友銀行(当時)から全国銀行協会の幹部に加わっていた太田氏だ。本人に思い出深かった仕事を尋ねると、初公判で銀行の主張を訴える原稿を自ら書き上げたことを少し誇らしげに語っていた。最終的に最高裁で和解に至ったが、東京地裁と続く控訴審の東京高裁では条例を無効とする判決を引き出した。 その剛腕は銀行の利益だけに向けられていたのではない。 中期経営計画で掲げたのは「Fulfilled Growth」(幸せな成長)。脱炭素社会の実現や格差の解消、イノベーションの創出に具体的な数値を交えて取り組むと宣言した。 それは「社会的な課題が顕在化するなか、かつてのような成長の時代に戻すだけでは不十分だ」との思いがあったからだ。脚本家の倉本聰氏と交流を深め、持続可能な地球のあり方について考えを深めるなかで導き出したひとつの解だった。 今年秋以降は体調が優れなかったが、最後まで前線に立ち続けた。10月3日には日本経済新聞社が主催するシンポジウム「金融ニッポン」で金融の未来を語り、10月28日には三井住友銀行が協賛するプロ野球・日本シリーズに合わせて開かれた植樹式にも顔を出した。 「退屈な社内会議なんて寝ているよ」。形式にこだわる銀行の文化に厳しさをみせる半面、将来を担う若手や中堅に注ぐまなざしは優しかった。かつてプロジェクトファイナンスで損失が出かねない失敗をしても、再挑戦を許してくれた銀行の懐の深さに感謝の念を口にしていた。だから若手が伸び伸び働ける環境を整えることが自らの使命と自覚していたのだろう。 「これからは金融だけでは生き残れない」と公言し、社内のアイデアをもとに新会社を作っては「社長製造業」として若手や中堅の発案者にかじ取りを任せてきた。才能の開花を見届けられなかったことが心残りだったのではないか。2023/11/28 06:55:343.名無しさんtJyz9異次元緩和近づく出口(上)脱マイナス金利、日銀が地ならし 過去25年の「特別調査」 成長軌道へ衝撃回避探る2023/11/29 日本経済新聞 朝刊 日銀のマイナス金利政策の解除が近づきつつある。日銀は春季労使交渉や個人消費などの動向を見極め、早ければ2024年前半にも解除を判断する。解除すれば17年ぶりの利上げとなり、脱デフレに向けて緩和一辺倒だった金融政策は転換点を迎える。日銀だけでなく政府も企業も、超低金利のぬるま湯から抜け出し、成長を取り戻す覚悟が問われる。 「いよいよマイナス金利解除への地ならしが始まった」。10月下旬、日銀が水面下で金融機関に依頼したある調査が波紋を呼んだ。 過去25年間の債券市場の機能度を調べる債券・市場サーベイの特別調査だ。マイナス金利や長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)導入後の局面も調査対象とし、影響や副作用を聞いた。結果は12月にも公表される見通しで、市場関係者は「日銀は調査結果を根拠に解除に踏み切るのではないか」と身構える。 日銀は16年1月にマイナス金利政策の導入を決め、金融機関が日銀に預ける当座預金の一部にマイナス0.1%の金利を適用している。解除は「0.1%の利上げ」(内田真一副総裁)で、これまで日銀は「(解除までには)まだ距離がある」と否定し続けてきた。 だが、日銀内のムードは着実に変わりつつある。植田和男総裁は6日、名古屋での金融経済懇談会でマイナス金利解除の前提となる物価2%目標の達成について「確度が少しずつ高まってきている」と踏み込んだ。 ある日銀関係者は「日本も物価高が長期化している。欧米と同じようにインフレ対応でビハインド・ザ・カーブ(後手に回る)のリスクが出てきた」と警戒する。別の関係者は「(解除を)永遠に先延ばしはできない。解除後の金融政策の進め方も内部では当然検討はしている」と話す。 判断のカギを握るのが、もうデフレには逆戻りしないという確信を抱けるかどうかだ。日銀が注目するのが24年の春季労使交渉。連合は賃上げ目標を昨年を上回る「5%以上」とする方針を発表。植田総裁も「来年の賃上げがそこそこのものになる可能性は、少し前に比べると高まっている」と手応えを感じている。 そんな日銀の変化を感じ取り、金融市場は早期解除を織り込み始めた。QUICKの月次調査(11月、外国為替市場)で解除時期は「24年4月」との回答が32%と最多で、「24年1月」も20%に上った。合計で7割の回答者が24年前半での解除を予想する。 17年ぶりの利上げは、超低金利で債務を膨らませた企業には試練となる。国内銀行が融資する際の約定平均金利(新規)は異次元緩和開始前(13年3月)の0.962%から、マイナス金利導入後の16年3月には0.69%まで下がった。足元では金利に上昇圧力がかかり、23年9月時点で15年12月以来となる0.878%まで上昇した。 東京商工リサーチによると、10月の企業倒産(負債額1000万円以上)は前年同月比33%増の793件だった。新型コロナウイルス禍で実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)を利用した企業倒産が増えており、融資金利の上昇が加速させる可能性もある。 読み切れないのが政治の動きだ。円安による物価上昇をどう抑えるかが政治テーマとなっており、岸田文雄政権がマイナス金利解除に強く異を唱える展開には今のところなっていない。ただ、ひとたび為替相場が円高に振れたり、中小企業の倒産が増え始めたりした場合、政治を取り巻く空気は一変しかねない。 財務省関係者は「政治の調整には時間がかかる。もし日銀が解除を決めたとしても、緩和的な環境は当面続ける必要がある」と話す。日銀関係者は「解除後はゼロ金利に戻して様子を見た上で、その後の金利引き上げの余地を検討することになる」と話す。ショックを避けながらどのように利上げの道筋を描いていくかが焦点となる。 四半世紀にわたって続く超低金利政策の最大の弊害は、金利が果たしていた事業の選別などの機能が緩み、日本経済全体に非効率がはびこったことだ。政府や企業の改革を停滞させた側面は否めない。現状維持や縮小均衡に傾きがちだったデフレ時代の思考から抜け出せるのか。金利のある世界への回帰は日本経済が成長を探る上で避けて通れない道となる。2023/11/29 06:22:304.名無しさんKZSZn異次元緩和近づく出口(中)市場予測の先へ、動き出した日銀 焦点は短期金利、正常化へ対話 政策後手のリスク警戒2023/11/30 日本経済新聞 朝刊 11月20日、日銀本店に金融機関の短期金融市場の担当者らが集まった。毎年1回、定期的に開いている実務者会合で、通常であれば大きな脚光を浴びることはないが、今回は違った。関係者によると、この日の会合でマイナス金利解除に向けた各社の準備状況などについて意見交換があったという。 「日銀は解除後の市場動向に目を向け始めている。解除はそう遠くないだろう」。ある関係者はこう話す。日銀が政策金利を動かしたときに真っ先に影響を受けるのが、金融機関が日々の資金をやりとりする短期金融市場だ。金利正常化を見据え、日銀が市場との対話に動き始めた可能性がある。 日銀はすでに、7月と10月に長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)を柔軟化し、長期金利のある程度の上昇を容認した。ある大手銀行の幹部は「日銀はYCCから事実上、抜け出すことに成功した。大きな混乱もなく、今の日銀には安心感がある」と評価する。 日銀は市場の予想よりも早く動くことで、2021年にオーストラリア準備銀行(中央銀行)が金利操作を撤廃した際に金利が急騰したような混乱を未然に防いできた。11月には定期的に行っている5年超10年以下の国債の購入量を2回にわたって減額。市場参加者からは、宣言なく緩和を縮小する「ステルステーパリング」が進んでいるとの声も聞かれる。 日銀関係者も「出口が近いというのは否定しない」と認める。次の焦点は、本丸のマイナス金利政策の解除となる。 日銀で、政策運営の中心にいるのが副総裁の内田真一氏だ。金融政策の企画・立案を担う企画畑が長いエースで、植田和男総裁の右腕といえる。 内田氏は7月の政策修正の直前、日本経済新聞とのインタビューで「(YCCが)市場機能に影響を与えていることは強く認識している」と語り、政策修正を市場に織り込ませた。サプライズを避け、出口に向けて慎重に歩を進めるのが内田流といえる。 そんな内田氏にとってマイナス金利政策の解除は特別な意味を持つ。16年のマイナス金利導入時、銀行からの激しい批判の矢面に立たされたのが、企画局長として準備を進めた内田氏だった。 日銀は当時、国債の大量購入を進めていたが、これ以上買い入れ量を増やすことは難しいとする緩和の限界論が広がっていた。円高・株安のリスクが意識されるなか、追加緩和のカードを増やすための起死回生策がマイナス金利政策だった。 「今後、必要な場合、さらに金利を引き下げる」。16年1月の日銀の決定文からは、限界を取り払い、新たな緩和余地を生み出したことへの高揚感がにじむ。 だが、日銀がマイナス金利の領域に足を踏み入れたことで、金利に一斉に低下圧力がかかり、銀行収益の悪化などの副作用が高まった。当時、三菱UFJフィナンシャル・グループ社長だった平野信行氏は「銀行界にとっての短期的な影響は明らかにネガティブ」と異例の日銀批判を行った。 日銀は結局、マイナス金利をそれ以上深掘りできなくなった。異次元緩和は短期決戦から持久戦へと装いを改め、16年9月のYCC導入につながった。当時の日銀審議委員で野村総合研究所の木内登英氏はマイナス金利導入で「(利下げの副作用が効果を上回る)リバーサルレートが意識されるようになった」と振り返る。2023/11/30 07:14:515.名無しさんKZSZn マイナス金利政策で先行していた欧州では、住宅バブルと通貨安に直面したスウェーデン中銀が2019年に初めて同政策を解除。欧州中央銀行(ECB)、スイス中銀なども政策金利を次々にプラス圏に引き上げた。現在も維持しているのは日銀だけだ。 QUICK・ファクトセットによると、世界のマイナス利回りの債券はピーク時の20年ごろに一時18兆ドル程度(約2700兆円)に膨らんでいたが、いまでは急減。マイナス金利は世界から消えようとしている。 マイナス金利解除には警戒もある。日本の投資家が米欧から金利のつき始めた国内へと資金を動かせば「為替や債券など複数の市場でボラティリティー(変動)が高まる可能性がある」(米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスのマダビ・ボキル氏)。 日銀関係者も「(利上げという)長年動かしていなかった機械のスイッチを入れる怖さ」を感じているという。金融市場の混乱を避けるためには、利上げのペースをできるだけ緩やかにすることが欠かせない。 政策決定が後手に回る「ビハインド・ザ・カーブ」に陥れば、日銀は物価上昇を抑えるために急ピッチの利上げを強いられ、経済にも混乱が広がりかねない。拙速は避けるべきだが必要と判断すればためらわずに動く大胆さも求められている。2023/11/30 07:15:096.名無しさんsx830異次元緩和近づく出口(下)メガ銀、交渉粘り強く 貸出金利引き上げに軸 取引先への助言重要に2023/12/01 日本経済新聞 朝刊 「預金金利も上がってきますから」。ある都内のメガバンクの支店では、担当者が取引先を訪れ貸出金利引き上げの交渉に挑んでいた。交渉は新規融資と既存の融資枠の更新が軸で、担当者にとっては絶対に落とせない案件だ。 これまでであれば、金利を下げてでも契約を取り付けることを優先していたはず。だが、いまのメガバンクはそんなデフレ時代の常識を何とか変えようとしている。支店長は「(融資の金利を)下げるくらいなら(契約を)落としてもいい」と担当者を鼓舞した。 日銀の相次ぐ政策修正で市場金利が上昇したことを受け、9月の銀行の新規融資の金利(貸出約定平均金利、新規)はマイナス金利政策導入前の2015年12月以来の高水準に達した。30日公表の10月分も含め6カ月移動平均でみると2年10カ月ぶりの高さで、長く続いた低落傾向にようやく歯止めがかかってきた。 「政策金利が変わるかが(収益には)一番大きい」(みずほFGの木原正裕社長)。各行は貸出金利上昇につながる日銀のマイナス金利解除に期待を強める。みずほは解除後、粗利益で350億円の押し上げ効果を見込む。三井住友FGは短期金利が0.1%上昇すると純利益を約200億円押し上げると試算する。 ただ、貸出金利を引き上げていくにはハードルもある。 日銀の資金循環統計によれば、民間企業部門(金融除く)の現預金残高は6月末時点で343兆円と前年同期比で3.7%増えた。マイナス金利導入前の15年12月末と比べると1.5倍の規模で、金利復活後もカネ余りの状況は変わらない。 「無借金経営で現預金は十分ある。銀行の担当者は営業に来るが、融資を受ける予定はない」(都内のインフラ企業の経営企画担当役員)。複数の銀行が一部の優良企業の限られた資金需要を奪い合う構図が変わらなければ、貸出金利の引き上げは絵に描いた餅となりかねない。 長らく続いた低金利環境で「貸す側も、借りる側も金利交渉に慣れていない」(精密機械メーカーの財務責任者)という問題もある。コーポレートガバナンス(企業統治)や温暖化ガス排出ゼロに向けた環境対応の助言などと組み合わせながら適切な金利水準を探っていく。そんな知恵が銀行に求められている。 一方で、ゼロ近傍に張り付いていた預金金利の一部が、貸出金利に先行して上がり始めている。引き上げ競争の口火を切ったのがSBI新生銀行だ。22年6月に6カ月物などの定期預金金利をそれまでの10倍に引き上げ、23年9月末の預金残高を引き上げ前より6割も多い10兆5000億円に増やした。 「10年定期に移したい」。三菱UFJ銀行も11月6日、5年以上の定期預金の金利を引き上げた。10年では0.2%と従来の100倍の水準。都内の支店には、毎日複数の顧客が問い合わせに訪れているという。 金利復活の恩恵が家計に届くためには、長期の定期預金だけでなく、普通預金などの金利が幅広く上昇していく必要がある。銀行が企業の成長分野への投資を支え、貸出金利を引き上げていけるかが、金利のある世界が定着する条件となる。2023/12/01 06:11:247.名無しさんd6Ls3企業の変身、海外勢が買い――一段高見据え仕込み着々(スクランブル)2023/12/02 日本経済新聞 朝刊 1日の日経平均株価は前日比55円安の3万3431円と小反落で終えた。円高傾向に押され今週の高値更新はお預けとなったが、日本株高をけん引してきた海外投資家の目線はなお高い。政策保有株の削減やMBO(経営陣が参加する買収)といった日本企業の変身を映すニュースも関心の的で、一段高を見据えた仕込みが続く。 割安株投資を手がける米ハリス・アソシエイツが今、日本株で最も多く持っているのが富士通だ。独立社外役員が取締役会議長を務める企業統治体制や、新光電気工業の売却をめざすなど非中核事業の整理を進めている点を高く評価している。デジタルトランスフォーメーション(DX)分野での成長も期待し、2023年に大きく買い増したという。株価は7~9月期業績の回復を材料に10月下旬の年初来安値から約3割上げた。 「経営者がマインドセットを本当の意味で改め、変化を受け入れる会社を探している」。ハリスで米国外株式の運用を担うエリック・リュー氏は今週、企業調査で訪れた日本滞在中にトヨタグループによる株式持ち合い縮小の報に接した。「これほどの大企業が政策保有株の削減に乗り出したことで中堅以下の企業も始めるかもしれない。一朝一夕に変わらなくても重大な変化が起き始めたと信じている」と話す。 アクティビスト投資家の鼻息も荒い。企業価値向上を期待する追随買いも誘っている。「資産は現在の株価の2倍の価値がある」として米バリューアクト・キャピタルが1%の株取得を公表したリクルートホールディングス株は、11月29日に年初来高値をつけた。 サッポロホールディングスは社外有識者も加えた「グループ戦略検討委員会」を9月に設けた。同社にはシンガポールの3Dインベストメント・パートナーズが「不動産賃貸収入による経営の甘え」を指摘し、酒類など中核事業の低収益性の是正を求めている。3Dは10月19日にサッポロ株5・09%の大量保有報告書を提出し、11月下旬にかけて保有比率を10・56%まで急激に引き上げた。サッポロHD株は約32年ぶりの高値水準まで上昇している。 食品株では日清食品ホールディングスや東洋水産などが、11月に上場来高値を塗り替えた。大和証券の守田誠シニアアナリストは「難しいとみられていたコスト高の価格転嫁を実現してM&A(合併・買収)など構造改革も進め、日本の食品メーカーは駄目との見方が変わり始めている」と話す。 海外勢の日本株買いは24年も続くのか。JPモルガン証券のクオンツチームは景気循環などの定量分析をもとに動向を展望。海外マネー流入は続き、2024年の買越額は4兆円規模とはじく。高田将成クオンツストラテジストは「益回り」からみた、日本株の世界株に対するリスクプレミアムの上乗せ幅と海外勢動向の関係にも注目する。出遅れ是正の途上にあり「自己資本利益率(ROE)を引き上げていけるかが課題」と語る。 スイス運用大手ピクテのシャニール・ラムジー氏は担当するマルチアセットファンドで23年、日本株への配分比率を5%から20%程度まで高めた。「企業と対話して経営陣の意思を十分理解し、日本経済の活性化を感じた」という。まだ兆しの段階にある変化の着実な進展が24年の日本株一段高のカギを握る。2023/12/02 08:15:248.名無しさんly9vY三井住友FG - 三井住友FG「急転直下のトップ交代劇」異例の経緯(上)詳細 「痛恨の極み」「言葉もない」「耐えがたい思い」――。およそ経営トップの交代会見とは思えない、重苦しい言葉が並んだ。 11月30日、三井住友フィナンシャルグループ(FG)は中島達(なかしまとおる)副社長が社長に昇格する人事を発表した。12月1日付という異例の人事の背景にあるのが、太田純前社長の急逝だ。「剛腕」と称されたトップの喪失で、三井住友FGは新たな局面を迎える。■「脱銀行」を掲げ矢継ぎ早に改革を推進 「脱銀行」。太田氏は2019年4月に社長就任後、伝統的な銀行業務からの脱却を掲げて、矢継ぎ早に改革を進めた。 「社長製造業」と銘打ち、若手・中堅社員を社内ベンチャー事業の社長に抜擢したほか、2023年3月には銀行や証券、カード、保険など個人向け金融サービスを一元化したアプリ「オリーブ」を投入した。 SBIホールディングスの北尾吉孝会長兼社長やCCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)の増田宗昭会長兼CEO(最高経営責任者)など、個性派の経営者とも交友を深めた。海外では、アメリカ証券大手ジェフリーズや東南アジアの現地金融機関への出資を進めた。 三井住友FGは2023年3月期決算で過去最高純利益を更新するなど、順風満帆かと思われた。だが、その中で発覚したのが太田氏の膵臓がんだ。 太田氏は4月に経営陣に罹患を打ち明けた後も精力的に活動を続けたが、抗がん剤の副作用からか持ち前のがっしりとした体躯はみるみる痩せていった。 周囲には、がんに苦しむそぶりを見せなかった。今秋、ある会合で同席した別のメガバンク首脳から「体調はいかがですか」と痩身ぶりを案じられた際、太田氏は「ダイエットですよ」と涼しい顔で答えたという。2023/12/05 05:01:349.名無しさんly9vY■水面下で進んでいた後継社長の選定 一方、三井住友FGの指名委員会では、健康問題が顕在化する前の2022年頃から、太田氏の後継者選定が水面下で進んでいた。 FG社長の任期は6年が慣例で、通常なら太田氏の任期は2025年まで。だが、2023年4月に中核子会社の三井住友銀行頭取が交代するのに合わせて、「FGの社長人事も並行して審議した」(三井住友FGの國部毅会長)。そこで浮上したのが、太田氏とともに企画部門で仕事をしていた中島氏だった。 中島氏は1986年に旧住友銀行入行後、支店勤務などを経て企画畑を歩んだ。2001年の住友銀行・さくら銀行の合併に際しては住銀側の事務局を務めたほか、消費者金融大手のプロミス(現SMBCコンシューマーファイナンス)の買収も手がけた。 中島氏が2012年に投資銀行統括部へ異動になった際、直属の上司となったのが太田氏だ。その後も企画部長やグループCFO(最高財務責任者)など、太田氏の下で要職を歴任。こうした経緯もあり、次期社長ポストの「最右翼」として指名委員会の合意を得た。 おりしも、三井住友FGは2023年度から「コンティンジェンシープラン」を導入していた。経営トップに不測の事態が発生した際の対応計画で、太田氏が経営の指揮を執れなくなった際には、中島氏が社長業務を代行することが決められた。 皮肉にも、コンティンジェンシープランは導入後に、早速発動されることとなる。太田氏は11月初旬に体調を崩し都内の病院で治療を行っていたが、容体が急変。同14日に予定されていた決算説明会を急遽欠席した。業務継続が困難と判断した太田氏は同21日、指名委員会に辞意を表明した。 「1週間ほど前、國部会長から『近いうちに社長として推挙される可能性がある』という話をいただいた」(中島氏) 本来であれば、社長交代の時期はもう少し後に予定されていたようで、太田氏は治療を継続しつつ、特別顧問として経営の後ろ盾となるはずだった。だが太田氏は11月25日早朝に65歳で息を引き取り、急転直下のトップ交代となった。2023/12/05 05:02:4010.名無しさんly9vY■動揺が続く中での舵取り 動揺が続く中で、舵取りを任された中島氏。「太田社長が推し進められたことをしっかりやる」と意気込むが、目先の課題は2023年度から始まった中期経営計画の見直しだろう。 三井住友FGは11月、2024年3月期決算の純利益見通しを従来の8200億円から9200億円へと上方修正した。株売却益などの特殊要因があるとはいえ、中期経営計画の「2026年3月期に9000億円」という最終目標をあっさり超過してしまった。 身内からも、「最終年度の目標をわずか半年で達成してしまったことは、(中計の目標設定が正しかったのか)きちんと分析しないといけない」(三井住友銀行の福留朗裕頭取)という声が上がる。 中・長期的には、他メガバンクに見劣りする領域の挽回がカギになりそうだ。三井住友FGは個人や中堅・中小企業取引、デジタル化などで先行する一方、「大企業取引は3メガの中でも十分なものになっていない」(中島氏)。直近では大企業部門の責任者を務めていた中島氏の手腕が、早々に試される。 海外展開でも、アメリカの証券業務はモルガン・スタンレーを抱える三菱UFJフィナンシャル・グループや、現地の投資銀行買収で拡大するみずほフィナンシャルグループに後れを取る。 太田氏は2023年6月に実施した東洋経済のインタビューで、「アメリカの投資銀行部門の強化は長年の目標だ。ボンド(債券)の引き受けではSMBC日興証券もそこそこの競争力があるが、エクイティ(株式)やM&Aの強化は、今からではとても間に合わない」と話していた。 太田氏の置き土産であるジェフリーズとの資本提携の効果を発現できるかが、今後重要になりそうだ。 「2028年度に純利益1兆円が目標。でも、金利環境が変わったら(達成時期も)変わりますよ」。国内金利の上昇機運が高まる中、太田氏は東洋経済のインタビューでこう期待をにじませていた。「1兆円の大台」の遺志を継ぐ中島氏に、重責がのしかかる。2023/12/05 05:03:5011.名無しさんly9vY消費者金融3社、貸し倒れリスク膨らむ 4~9月、関連費用3割増 「低金利経営」転機に2023/12/05 日本経済新聞 朝刊 消費者金融に貸し倒れ拡大のリスクが浮上している。新規顧客が急増したことで、アコムなど大手3社の2023年4~9月期の貸倒関連費用が1200億円程度と前年同期比で3割増えた。市場金利の上昇に伴い、同期間の資金調達費は日銀が異次元緩和に踏み込む前の12年以降で上半期として5年ぶりに増加。低金利の恩恵を受けてきたノンバンクの経営は転機を迎えている。 23年4~9月期の貸し倒れ関連の費用はアイフルが前年同期比48%増の271億円、「プロミス」を手掛けるSMBCコンシューマーファイナンスが30%増の461億円となった。アコムは前年同期に比べて3割近く増えた。 貸し倒れが増えたのは、新型コロナウイルス後のリベンジ消費に動く個人顧客への貸し付けが膨らんでいるためだ。3社合計の新規顧客は60万人強と4年前比で6割近く増えた。大手の一角では貸し出しから2年以内の債権の件数が全体の半分近くを占める。 この増加ペースを支えるのがスマートフォンだ。店舗にある無人契約機ではなく、スマホ経由で借り入れることが一般的となり、心理的なハードルが下がった。かつては顧客の大半が男性だったが、足元では「女性や若年層がけん引している」(アコム)という。 返済の延滞は取引歴の浅い貸出先で多い。これに「コロナ禍の前半で貸した顧客の貸し倒れが積み重なり」(アコム幹部)、貸し倒れ関連の費用増につながった。 各社とも1人当たり貸付残高は減少傾向にある。アコムの場合は49万円と3年前比で6%減っており、消費者金融各社からは「リスク管理できている」との声もあがる。 だが俯瞰(ふかん)してみると、リスクの芽が浮かびあがる。個人の債務情報を管理する日本信用情報機構(JICC)によると5件以上借り入れている債務者の数は10月時点で14万5000人と前年同月比で26%増えた。前月比での増加が継続しており、多重債務者の数が増加している。経済環境の変化で、新規顧客が返済に苦しめば損失が増加する可能性は増す。 消費者金融業界にとって、前門の虎が貸し倒れリスクの拡大なら、後門の狼(おおかみ)となるのが市場だ。 アコム、アイフル、SMBCコンシューマーファイナンスの資金調達にかかる「金融費用」を集計した。プロミスが三井住友フィナンシャルグループに完全子会社化された12年4~9月期に200億円弱だった費用は平均で年1割弱のペースで低下を続けていたが、23年4~9月期に約70億円と前年同期比で0.1%増と、増加に転じた。 背景には日銀の金融政策の修正観測がある。消費者金融各社は銀行借り入れや社債の発行で調達した資金を顧客への貸し出しに充てており、収益面で金利低下の恩恵を受けてきた。日銀の政策修正により昨年末に0.4%程度だった長期金利は一時1%近くにまで上昇。足元の借り入れや社債発行の金利が上昇圧力を受けている。 銀行と異なり預金を抱えておらず金利上昇が資金調達費用の増加に直結する。年15~20%の利息制限法上の上限に近い利率の貸し出しが多数を占めるため、貸出金利への転嫁も難しい。長期金利が高止まりすれば、調達費用の増加が利幅を圧縮することになる。 各社は対応に乗り出し始めた。アコムは財務体質を強化して格付けの引き上げにつなげる方針を示す。固定金利でも借り入れているため短期的には収益減に直結しないが、中長期でみると収益の下押し要因になる。木下政孝社長は金利上昇の影響について「1%の上昇で(残高からみて年間純利益の1割に相当する)55億円のインパクトになる」として対応を急ぐ。 アイフルも格付けが「BBB」から「BBBプラス」に上がり、調達費の増加を抑えたという。SMBCコンシューマーファイナンスは一部資金の借り入れで期間を短期から長期に振り替えた。 米国ではクレジットカードの支払いができずに延滞した割合が7~9月に11年以来12年ぶりの高水準となった。金利ある世界は借り入れのハードルを高める側面がある。ノンバンク各社はリスク管理能力を試されそうだ。2023/12/05 06:44:2712.名無しさんly9vY焦点:「金利ある世界」へ、手ぐすね引く金融機関 顧客変化に対応[東京 5日 ロイター] - 「金利のある世界」が近付く中、収益の押し上げ機会を逃すまいと金融機関が態勢を整え始めた。超金融緩和が続き、金利なき世界に浸ってきた各社にとって金利を稼ぐ原資となる預金は宝の山に転じる。顧客ニーズの変化への対応に加え、金利を知る行員が現場にいないなどの問題を解消すべく、各行が試行錯誤で動き始めている。<新組織立ち上げ、勉強会>大和証券グループ本社 (8601.T)で秘書室長を務めていた山本聡氏は、今年4月から新たな部署を立ち上げることを命じられた。新部署グローバル・マーケッツ戦略企画部は、これまで以上に法人客向けのホールセールと個人客向けのリテールが連携するための役割を果たす。山本部長は「30年に1度の転換期にある今、そこでちゃんと稼ぐため。環境の激変に応じて、先手を打つ」と立ち上げの意図を明かす。現在の陣容は兼務15人を含む38人。金利上昇で機関投資家がポートフォリオを組み替え、売却も増加する中、富裕層を中心としたリテールが受け皿になり得るという。リテール側のニーズを同じ部署で把握していれば、在庫を持つことなくつなぐことができ、利益率も高まるとみる。ゼロ金利やマイナス金利という超金融緩和が長く続いた日本は、金融機関と顧客との会話で円債は影が薄かった。みずほ信託銀行の菊地睦・総合戦略運用部次長によると、足元で金利が動き出し、先々、マイナス金利解除など金融政策の正常化も期待される中で、ヘッジ付き外債が厳しくなり円債にシフトする動きが出ている。「これまで光が当たってこなかったが、円債回帰の動きは出始めている」という。ただ、短期金利が0.5%を上回るような本当の「金利のある世界」を知るのは、バブル期入行の社員が最後になる。今後、金利の上昇が本格化した場合、銀行の収益のみならず、顧客のニーズなどにも変化が予想されるが、肌感覚でわかる社員は限られる。りそなホールディングス (8308.T)の南昌宏社長は「金利の上昇局面で顧客と対峙するのが初めての経験の人が多い」とし、チャネルの変化やテクノロジーの進化などを背景に「金利上昇局面で、顧客がどのようなスピードで行動を変えるかをしっかりと見定める必要があり、変化に適応する準備が必要になる」と話す。同社では、先月まで基礎編と応用編に分けて2回の勉強会をオンラインで実施、支店長を中心に数百人が参加した。インフレとはどういう世界かというところから始まり、日銀の政策が金融機関にもたらす影響、銀行や顧客のバランスシートの変化まで内容は多岐に渡った。三菱UFJ銀行でも今年度に入り、国内営業店のデリバティブなどの市場取引を推進するチームを作り、金利上昇時に出てくる顧客ニーズに対応する態勢を作った。また、今年1月からは営業店で計70回超にわたり金利変動時に顧客にどのような提案を行うかという勉強会を開催。さらに6月からは円金利上昇に関連したセールス・マーケット情報の配信も始めた。来年4月に入行する新人研修にも金利ビジネス講座を新設する予定だ。日銀ウオッチャーとして著名な加藤出・東短リサーチ社長のところには、10月以降、金融機関からの勉強会などの依頼が数倍に増えている。加藤氏によると「マイナス金利解除でどういう短期市場になるかの意見交換」をしており、3階層になっている当座預金の扱いや先行きの利回り曲線(イールドカーブ)などがポイントになっている。通常は資金の出し手となっている金融機関でも、一度、取り手になってみるという動きはみられるという。ただ、2006年の量的緩和解除やゼロ金利解除時に比べると「今局面は、当座預金に付利が付いて、かつ3層になっていることから、金融機関が資金繰りを行う体制は維持されており、事務的な面での混乱は起きにくい」とみている。2023/12/05 14:42:2013.名無しさんly9vY<収益寄与は政策金利変更後>日銀はすでに長短金利を操作するイールドカーブ・コントロール(YCC)の柔軟化に動き、金利も動き始めているが、金融機関収益に対しては「YCCはあまり関係ない。政策金利が変わることが一番大きい」(みずほフィナンシャルグループ (8411.T)・木原正裕社長)という。三菱UFJフィナンシャル・グループ (8306.T)の亀澤宏規社長は「資金収益が落ちる中で、収益の多様化、経費構造見直し、リスク・リターンの改善をしてきた。それが成果を出し、マイナス金利前と同じ業務純益に戻った。ここから金利が上がるとプラスになる」と、今後に期待感を示す。三井住友フィナンシャルグループ (8316.T)の伊藤文彦最高財務責任者(CFO)は「コストをかけずに預金獲得に対応していきたい」と語り、スマートフォンのアプリで口座管理やクレジットカードなどの金融取引を一体化したサービス「オリーブ」を国内戦略の中核に据える。各社とも国内での預金獲得に力を入れる。三井住友銀は、マイナス金利が解除されると資金利益で約300億円のプラスになると試算。三菱UFJ銀は、マイナス金利の解除・10年利回り1.0%などを前提として資金収益を500億円押し上げるという。みずほ銀は、マイナス金利が解除されれば資金収支で350億円のプラス、短期金利をはじめ一律で0.1%金利が上がると平均500億円のプラスになるとしている。マイナス金利解除、そしてプラスの政策金利という世界に向けて、大和証券の山本氏は「人員は増やしたい。商品開発部隊を作りたいと思っている。金利系も為替系も、プライベートアセットもいくらでもニーズは出てくると思う」と話す。みずほ銀行の30代行員は「金利のない世界で入行したので、できることが増えるのではないかとワクワクしている」と話す一方で「これまでなかったリスクが膨らむ可能性がある」と、未知の世界に向けて気を引き締めていた。2023/12/05 14:43:1214.名無しさん6615T2024年市場の行方は(上) 米景気減速でも株高予想――日本株は1~2割高 脱デフレ・新NISA追い風2023/12/05 日本経済新聞 朝刊 2024年末の日経平均株価は3万5000~3万9000円程度と、4日終値(3万3231円)から1~2割の上昇を見込む予想が出ている。日本経済の脱デフレやコーポレートガバナンス(企業統治)の改善など23年の株高要因が引き続き追い風になるうえ、1月から始まる新たな少額投資非課税制度(NISA)も援軍になるとみる。 市場関係者の多くが日本の脱デフレは継続すると指摘する。野村証券は24年の春季労使交渉(春闘)の時期にデフレ脱却への期待が再度高まるとみる。 企業は「値上げカルチャーの浸透による利益率改善効果で増益トレンドを維持」するとして24年末の日経平均は3万8000円への上昇を見込む。 日経平均が史上最高値の3万8915円を更新できるかが焦点だ。SMBC日興証券は「24年も健全なインフレサイクルが続く」とみて最高値更新を予想する。 大和証券は米連邦準備理事会(FRB)が24年前半にも利下げを始め、年度末までに米長期金利が3%台後半まで低下すると予測する。 「金利低下は半導体や情報技術(IT)関連株だけでなく日本株全体のバリュエーションを引き上げる」とし、24年度末に日経平均が3万9600円と、4万円に迫るとみる。2023/12/06 06:12:2115.名無しさん6615T2024年市場の行方は(上) 米景気減速でも株高予想 経済見通し割れる、消費に懸念2023/12/05 日本経済新聞 朝刊大統領選の影響焦点 2024年の日米株式相場をどうみるか、金融大手の予想が出そろった。米国景気の先行きを巡っては予想が分かれるなかで、堅調な企業業績を支えに株価が1割程度上昇するとして「景気減速下の株高」を予想する声が出ている。一方、個人消費の弱さへの懸念から株価下落を予想する声もある。景気の行方が市場に与える影響をどう見るかも一様ではない。(大道鏡花、吉井花依) 24年末のS&P500種株価指数の目標について各社の予想を集計した。ドイツ銀行やバンク・オブ・アメリカ(BofA)は足元の水準(1日終値は4594)から1割程度上昇し、史上最高値(4796)を更新すると見込む。ドイツ銀は米景気の減速が短く緩やかなものになるため、株価の下落は小幅で一時的にとどまり、年末にかけて5100まで上昇すると予想する。 景気が前提通りであれば企業の1株利益(EPS)は10%増加するとみる。仮に国内総生産(GDP)が2%成長するとEPSの伸びは19%に達するという。ドイツ銀は「労働市場の逼迫は企業の生産性改善の前兆で、潜在的な株価上昇余地がある」とし、景気減速下でも株高になるとみる。 BofAは(景気の過熱も冷え込みもない)ゴルディロックスを予想し、24年末にS&Pが5000に達するとみる。GDPが減速してもS&PのEPSは6%増を見込む。「設備更新需要の増加や人工知能(AI)による企業の効率化が進み、コスト削減で利益率も改善する」という。 ゴールドマン・サックスも軟着陸を予想し、緩やかなペースで米景気が拡大するとみる。ただ、S&Pの目標株価は4700と小幅な上昇にとどまるとの見立てだ。堅調な経済成長が市場の米連邦準備理事会(FRB)による利下げ開始期待を年後半まで遅らせるため、本格的な株価上昇は下半期にずれ込むとする。 株価下落を予想する弱気派の代表格はJPモルガン・チェースだ。24年末のS&P予想は4200と足元の水準から9%低い。米国の家計が新型コロナウイルス禍でため込んだ現金などの資産は「24年4~6月期までにほぼ枯渇する」と予測しており、消費の軟化を警戒する。 モルガン・スタンレーは「中期的な業績見通しは明るいものの、短期的には依然として厳しい」と指摘。24年末のS&Pは4500を予想している。現在約19倍のS&Pの予想PER(株価収益率)は過去20年平均(15倍台)と比べて高く、24年末には17倍まで落ち着くとみる。 24年は米大統領選挙などが予定される「政治の年」でもあり、影響を指摘する見方も多い。ゴールドマンは「大統領選の不透明感がリスク選好を抑制する」と指摘。選挙後は結果にかかわらず不透明感が薄れるとし「年後半になれば不安解消が米株相場を押し上げる」との見方を示す。 株式相場のけん引役に変化が見られるかも焦点だ。UBSは24年末のS&Pを4600とほぼ横ばい圏で予想。「(米国の巨大テック7銘柄の)マグニフィセント・セブンよりアジアのハイテク銘柄に強気」としている。2023/12/06 06:14:2116.名無しさん6615T2024年市場の行方は(中)緩やかな円高、上値120円台 日米金利差が縮小、緩和修正も注目2023/12/06 日本経済新聞 朝刊 2024年の対ドルの円相場は日米金利差縮小を背景に緩やかな円高を見込む声が多い。米連邦準備理事会(FRB)が利下げを始めればドル高に転機が訪れるとの観測が背景にある。21年以降の円安局面が転換し「強い円」が戻るのか。日銀がマイナス金利政策を解除しても日米金利差は大きく、円の上値は重いとの見方もある。 国内外の金融機関による2024年の為替相場の見通しをみると、野村証券は6月末が1ドル=140円、12月末が135円。三菱UFJモルガン・スタンレー証券は6月末が142円、12月末が138円と予想する。4日の円相場は一時146円台前半と約3カ月ぶりの円高水準をつけたが、24年末に向けてはさらに円高圧力が強まるとの見方だ。 米国では11月以降、利上げの打ち止め観測が高まった。景気の減速を示す経済指標の発表が相次いだうえ、FRB高官も利下げの可能性に言及。米金利先物市場は24年3月の利下げを織り込み出した。みずほ証券も24年3月の利下げ開始を予想。金利先物市場の値動きから政策金利の先行きを予想する「フェドウオッチ」では、5月までの利下げ確率は約9割を占める。 日本の金融政策も円高要因となりそうだ。日銀は10月31日に長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)を再修正し、長期金利の1%超えを容認した。市場では日銀が24年にマイナス金利政策を解除し、17年ぶりの利上げに踏み切るとの思惑が広がる。 もっとも、日米金利差が縮小しても日米の絶対的な金利差は大きく、22年3月の米利上げ開始直前の水準である110円台よりは円安方向の予想が目立つ。米経済が急減速を回避しつつインフレが鎮まる軟着陸期待が背景にある。軟着陸の成功でFRBの利下げ幅はインフレ率の鈍化分に限られ、米金利は高止まりするとの考えだ。米ゴールドマン・サックスは24年に「米国が景気後退に陥る可能性はせいぜい15%」とみる。 日銀の利上げ幅も小幅にとどまるとの見方が多い。米国の実質金利のプラス幅はおおむね一定に保たれる一方、インフレ率を差し引いた日本の実質の政策金利はマイナス圏を維持することが「極端な円高の進行を妨げる防波堤になる」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作チーフ為替ストラテジスト)との指摘もある。 低金利の円を借りて高金利通貨で運用する「円キャリー取引」も「下火になる可能性は低い」(英バークレイズ証券)との見方もある。日銀の緩やかな利上げペースを前提に、24年も引き続きキャリー取引がドルを下支えし、円の上昇余地は限られそうだ。2023/12/06 06:16:0917.名無しさんYGR1y持ち合い解消、企業に試練――売り圧力、成長戦略で対抗(スクランブル)2023/12/07 日本経済新聞 朝刊 事業会社の間で株式の持ち合い解消が広がっている。日本型グループ経営の象徴であるトヨタ自動車がグループ会社株の売却に動き出した。安定株主という「よろい」を捨て市場と向き合い評価を高められるか。持ち合い解消を機に投資家の選別が進む可能性がある。 6日の日経平均株価は前日比670円高と反発し、前日の下げを取り戻した。3万3000円台の高値圏での攻防が続く中、上値が重いのがデンソー株だ。11月にトヨタ、豊田自動織機、アイシンの3社が同社株を売り出すと発表。需給悪化を懸念した売りが重荷だ。 企業や金融機関などで株式を持ち合い、経営を安定させる――。政策保有株は日本株市場の特殊性を示す象徴だった。トヨタグループが重い腰を上げたことは日本企業全体の変化につながる可能性がある。保有株を売った企業は資本効率を改善できる。問題は、株式を多く持たれている側だ。 「『スタブトレード』が広がる可能性がある」。SMBC日興証券の伊藤桂一チーフクオンツアナリストは親子上場の解消を狙う同戦略が持ち合い解消でも使われるとみる。 スタブ(stub)は「切り株」の意味で、企業の時価総額から保有株の価値を引いた自社単独の価値を指す。このスタブ価値が低い銘柄は保有株売却を迫られやすい。保有企業を買って被保有企業を空売りして利ざやをとるペアトレードの対象になり得る。 KDDI、味の素、アサヒグループホールディングスなど、直近で大株主の売り出しを発表した銘柄は直後に株価が下落した。自社株買いを組み合わせれば売り出しによる需給悪化を軽減できるが「現金が少なく業績不振の企業は対抗手段が限られる」(伊藤氏)。 例えば関西フードマーケット。2023年3月期末時点で上新電機や雪印メグミルクなどに持たれており、11月の被保有時価に対する現預金のカバー率は21%にとどまる。すべての持ち合いが一気に解消されるわけではないが、財務的に緩衝材の役割は期待できない。 注目すべきは需給要因で短期的に売られても市場の評価を取り戻した企業だ。リクルートホールディングスは20年11月に電通グループやTOPPANホールディングスなど8社による持ち合い解消を発表。海外向けに株式を売り出した。株価は直後に3%下げたが、21年1月には持ち直した。 その後、米求人検索サイト「インディード」が業績をけん引し、株価をさらに押し上げた。足元では急成長の反動に苦しむが、11月にはアクティビスト(物言う株主)の米バリューアクト・キャピタルの保有が判明。リクルートHDも対話に前向きな姿勢を示しており、市場では企業価値向上への期待が高まる。 デンソーも潜在的な買い手は多い。これまで持ち合い解消は散発的には出ていたが、今回のような大規模な売り出しは「初めて」(同社)。売り出しの一部は自社株買いで吸収するが、残りは引受主幹事の証券会社などが販売する。 日本取引所グループによると、先行した金融機関や保険会社などによる持ち合い解消で、日本企業の株主構成は22年度時点で外国人や個人投資家などの「アウトサイダー」が58%を占める。成長戦略を示して地道に収益改善を進め、アウトサイダーを新たな「安定株主」にできるか。企業の市場との向き合い方が試される。2023/12/07 06:11:1318.名無しさんbnvWb物価対策を再検討、本当は何が必要か-人生100年こわくない・マネー賢者を目指そう(熊野英生)2023/12/08 04:00 日経速報ニュース 岸田首相の経済対策は評判が悪く、内閣支持率を急低下させた。一体何が悪かったのか。各種世論調査では、所得減税は選挙対策だという評価が目立つ。物価対策として1人当たり4万円の減税をしても、物価上昇それ自体が止まる訳ではない。2024年6月のボーナスに合わせて、減税するとしても、それはまだ半年近く先のことだ。物価対策として遅すぎる。ほかに、減税で選挙民の歓心を買うよりも、もっと優先すべき政策があるだろうという指摘もある。民意を読み誤った岸田首相が挽回する手段は乏しい。 本稿では「じゃあ、物価対策として岸田首相は何をすればよかったのか?」という問いを考えたい。岸田首相は必ずしも経済問題について強くない。むしろ苦手科目かもしれない。だからこそエコノミストや経済学者は、正しい提言を訴えて、経済政策を間違うことがないようにする必要がある。筆者には、専門家が世の中全体に正しいオピニオンを訴える力が弱いようにも感じられる。 不十分な対応策 世の中でよく耳にするのは①中小企業が価格転嫁を進めて利益を圧迫されないようにすること②賃上げをして物価上昇に苦しむ勤労者をサポートすること③実質賃金を上げて消費拡大を目指すこと、などがある。筆者もそれは確かに正しいと思うが、それだけでは十分ではないと考える。①?③だけでは処方箋として完全なものではない。 ロジックとして弱いところは、すべての企業が100%の価格転嫁をすると消費が冷え込んで逆に企業収益を減らすことである。企業収益が増えないと賃上げもできない。物価上昇を上回るくらいに賃金を上昇させることを考えながら、価格転嫁をすることを考える必要がある。 読者は、このパズルをどう解けばよいとお考えだろうか。筆者は、輸出拡大を通じて企業収益を増やすことが正解だと考える。すでに円安は十分すぎるほど進んでいる。海外では国内以上に物価上昇が起きている。為替レートの下落と物価格差によって、実質為替レートは極端なくらいまで低下している。例えばコロナ前(19年10?12月の平均水準)に比べて、足元のドル円は38%も割安で、それに物価変動を加味して実質化すると47%も割安になる(図表)。訪日外国人の購買力は日本人を100として147まで上昇しているのが実情だ。輸出数量の増加は現状よりももっと大幅に伸ばせるはずだ。輸出増→企業収益増→賃上げで、実質賃金をなるべくプラスにする努力をする。国内総生産(GDP)統計では、23年7?9月の実質輸出はコロナ前に比べて8.5%増である。実質47%も円安が進んでいるのだから、もっと輸出数量を伸ばすことができるはずだ。そのポテンシャルを引き出すことが岸田政権がやるべき政策になる。2023/12/08 06:06:1419.名無しさんbnvWb 伸ばせない輸出 なぜ日本の輸出は伸びにくいのだろうか。ひとつは競争力の低下がある。半導体など電気機械分野では価格だけが競争力の源泉ではなくなっている。自動車も伸びているように見えて欧米・中国では急速にEV化が進んでいる。 国別の実質輸出の伸び率を23年10月とコロナ前で比較してみると、米国向けが21.5%、EU向けが20.2%、中国向けがマイナス2.3%となっている。中国経済の悪化は中国以外のアジア向けの輸出にも波及している。アジア新興工業経済群(NIES)・東南アジア諸国連合(ASEAN)向けは5.2%の伸びにとどまっている。 22年の輸出相手国で中国は首位である。その中国が伸びにくいことも円安メリットが乏しく感じさせる。また、対中国貿易では経済安保も微妙に影を落としている。岸田外交は米国の対中政策にならうことが多い。バイデン政権は、安全保障担当の大統領補佐官が経済政策にまで強い指導力を行使していると言われている。米国の外交にそのままならってしまうと、日本は経済的悪影響を大きく受けてしまう。本来、日本から中国向けの約8割は経済安保と関係ない品目だから、そちらを伸ばすことはできる。中国側にも問題はある。処理水放出の問題で日本からの水産品輸入を止めている。岸田政権は、そうした外交面での摩擦を我慢強く改善しながら、輸出など経済分野での中国との交流を活発化していくことが望まれる。 日本の対中輸出は19兆円、日本の中国現地企業の売上高は60兆円もある。オーストラリアは、経済と安全保障を分離する方針を採り、一時期は最悪だった中国との関係を見直し始めた。中国側も経済的威圧がたたって、国内への直接投資が急減して困っている。振り上げたこぶしを下ろしたくても下ろせないという事情がある。 成長のためのチャネル作り ここまでの説明で、コロナ後の日本がなぜインフレに悩まされているかがわかったと思う。内外物価格差が1.47倍もあるのだから、輸入価格が国内価格を押し上げる。これを是正するには日銀のマイナス金利を見直して、緩和の行き過ぎを修正するのが望ましい。是正と言っても強烈な利上げでなくてもよい。もしも1.47倍の格差を為替レートだけで行うとすれば、1ドルを150円から102円にしなくてはいけない。それは暴論だろう。日銀短観の23年9月調査では、23年度の想定為替レートは1ドル=135円である。その水準まで円安が修正されるだけで、輸入物価の価格差は約10%改善する。24年春に日銀がマイナス金利解除をすれば、ドル円は135円近くまで円高になり、食料品やエネルギーに対する上昇圧力は随分と解消するはずだ。 日銀の超緩和の是正を行ってもまだ十分に内外価格差があるのだから、輸出拡大を促進することはできる。すでに海外展開をしている日本企業は、現地生産・現地販売に重点を置き、輸出拡大を目指すことはしにくい。だから、日本の地方にある中堅・中小企業が、新たに海外向けの販路を開拓することが有望だ。地方には海外展開をサポートできそうな金融機関がある。過去、海外支店を持った先も少なくない。そうした金融機関が、海外業務を経験した人材を使って、もっと積極的に中堅・中小企業の海外展開を後押しできる。現在は、従来よりも越境電子商取引(EC)を通じて製品・サービスを海外と取引できるようになった。訪日外国人の消費が急増していることで、多くの地場企業が海外市場でもっと自社製品を売れるのではないかと気付き始めている。インバウンド消費をきっかけにして、自らのビジネスチャンスに気付き、EC取引を手掛けることができれば、地方経済にも多大な恩恵が及ぶ。 筆者はここ数年の内外物価格差がインフレ要因になっていると考えるので、その物価格差を利用して国内の経済のパイを拡大することで賃金をもっと増やせるとみている。単に実質賃金がマイナスであることを問題視しても何の解決にもならないので、もっと戦略的に物価を押し下げつつ、賃金をどう上げていくのかを考えていく必要がある。決して選挙のアピールにはなりそうにないが、岸田政権は円安メリットを追求する作戦を立てることが大切だ。2023/12/08 06:08:1720.名無しさんoytb9安倍派ガタガタで植田日銀「脱アベノミクス」へ舵? 金融政策めぐり相次ぐ“意味深発言”https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/3331202023/12/09 03:07:1621.名無しさんoytb9 学者出身の総裁は政治的嗅覚が鋭いのか──。異次元金融緩和の「出口」を巡り、日銀幹部から“意味深発言”が相次いでいる。日銀の植田総裁は7日の参院財政金融委員会で、今後の金融政策運営への抱負を問われ、こう答弁した。「年末から来年にかけて一段とチャレンジング(挑戦的)な状況になると思っている」「挑戦的」とは、マイナス金利や長短金利操作といった金融緩和策の「出口」に向かうことを意味しているとみられる。「『来年』ではなく『年末から来年にかけて』との発言から、市場では早期に緩和を修正するのでは、との観測が広がっています。12月18~19日か来年1月22~23日の金融政策決定会合で修正が行われるとの見方が出ています」(市場関係者) 植田発言を受け、長期金利は上昇。日米金利差が縮小し、円相場は約4カ月ぶりに1ドル=141円台を付けた。 6日の大分市の講演では、氷見野良三副総裁が「出口を良い結果につなげることは十分可能だ」と発言。緩和修正による経済への悪影響は比較的少ないとの見方を示した。出口への地ならしに聞こえる。 なぜ、ここへ来て日銀は突然、出口に前向きな姿勢を示し始めたのか。「植田総裁が緩和の出口に向かうにあたり、最大の障壁はアベノミクス推進の安倍派でした。しかし、いま安倍派は、検察やメディアから、パーティー券の裏金疑惑のターゲットにされ、ガタガタです。日銀を牽制する余裕はありません。植田総裁はその間隙を縫って、出口に向けカジを切り始めたとの見方があります」(金融関係者) 裏金疑惑が日銀の金融政策に影響を与えているとすれば衝撃だ。金融ジャーナリストの森岡英樹氏が言う。「中央銀行は政治の影響を強く受けます。政権内の勢力の変化で金融政策がやりやすくなったり、やりにくくなることはあることです。安倍派との関係で日銀が動きやすくなった面は少なからずあると思います。いずれにせよ、金融政策が正常化されれば、円安にブレーキがかかり、輸入物価の上昇は落ち着くはず。国民生活にとってはプラス面が多いでしょう」 植田は7日、岸田首相と面談。出口の話題は出なかったとした。裏金捜査が大詰めの「年末から来年にかけて」が、脱アベノミクスの好機だ。2023/12/09 11:39:4722.名無しさんp4RzOビッグモーターつなぎ融資300億円 銀行団、破綻回避を優先https://www.sankei.com/article/20231212-TVES25C7DFJPLJT4VHF3462BWY/ 自動車保険の保険金不正請求問題に端を発した経営危機が続く中古車販売大手ビッグモーター(BM、東京)に対し、取引銀行団が計300億円のつなぎ融資を行う方針であることが12日、分かった。社会的な信用が低下したBMへの融資はリスクを伴うが、伊藤忠商事など3社が再建支援を検討中で、破綻回避を優先し資金繰りを支える必要があると判断した。 主力行の三井住友銀行が実行する方針を固め、みずほ銀行などが参加を検討中。伊藤忠などが検討中の再建支援は、可否の判断が来春になる見通しだ。支援交渉が不調に終われば、融資の回収が困難になる恐れがあるため、銀行団はBMの不動産や売掛金など十分な担保を取る方針だ。2023/12/12 13:26:5823.名無しさん4LTVo「三井住友FGと米国以外でも協力拡大」 ジェフリーズ社長2023/12/13 日本経済新聞 朝刊 米独立系証券のジェフリーズ・ファイナンシャル・グループは資本提携する三井住友フィナンシャルグループ(FG)との協業を米国以外にも広げる。ブライアン・フリードマン社長が日本経済新聞の取材に「協力関係を北米に次いで欧州や中東、アジア・太平洋地域に拡大する」と話した。 三井住友FGは2021年にジェフリーズと資本業務提携を結び、5%弱を出資した。23年4月には25年までに議決権を持たない優先株を追加取得し、持ち分を最大15%まで引き上げることも発表。米国で共同の営業体制を構築した。 ジェフリーズは23年までの4年間にアジア太平洋地域の管理職を3倍に増やした。インドではM&A(合併・買収)のチームを立ち上げた。フリードマン氏は「今後2~3年で活動のレベルをさらに高める」と話した。 フリードマン氏は注目する市場に日本株市場を挙げた。日本企業が自己資本利益率(ROE)を高めるための再編に動くとの見方を示し「日本の株式市場がパフォーマンスを上げることは間違いない」と指摘した。2023/12/13 06:40:3624.名無しさん4LTVo三井住友、つなぎ融資検討 ビッグモーターに300億円2023/12/13 日本経済新聞 朝刊 中古車販売大手ビッグモーター(東京都多摩市)の経営再建をめぐり、主力行の三井住友銀行は300億円のつなぎ融資を実行する方向で調整している。12月中旬にも実行する方針だ。ビッグモーターの買収を検討している伊藤忠商事などが支援を決めるまでの資金繰りを支え、経営破綻を回避する狙いがある。 伊藤忠と子会社で燃料商社の伊藤忠エネクス、投資ファンドのジェイ・ウィル・パートナーズ(JWP)は2024年春までに買収の可否について検討を進めている。 融資は三井住友銀行が単独で300億円を実行する方向だ。返済の期限は24年4月末とする。三井住友銀行はビッグモーターの保有不動産などを担保として確保する方針で、三菱UFJ銀行やみずほ銀行の同意を得るための調整を続けている。 自動車保険金の水増し請求が横行していたビッグモーターは顧客離れから資金繰りが逼迫している。年内にも手元資金が枯渇するとの見方もあり、運転資金の確保が課題になっていた。2023/12/13 06:41:4725.名無しさん4LTVo米ジェフリーズ「アジアや欧州も三井住友と提携拡大」2023/12/12 18:30 日経速報ニュース 米独立系証券のジェフリーズ・ファイナンシャル・グループは資本提携する三井住友フィナンシャルグループ(FG)との協業を米国以外にも広げる。ブライアン・フリードマン社長が日本経済新聞の取材に「協力関係を北米に次いで欧州や中東、アジア・太平洋地域に拡大する」と話した。 三井住友FGは2021年にジェフリーズと資本業務提携を結び、5%弱を出資した。23年4月には25年までに議決権を持たない優先株を追加取得し、持ち分を最大15%まで引き上げることも発表。米国で共同の営業体制を構築した。 ジェフリーズは23年までの4年間にアジア太平洋地域の管理職を3倍に増やした。インドではM&A(合併・買収)のチームを立ち上げた。フリードマン氏は「今後2?3年で活動のレベルをさらに高める」と話した。 フリードマン氏は注目する市場に日本株市場を挙げた。日本企業が自己資本利益率(ROE)を高めるための再編に動くとの見方を示し「日本の株式市場がパフォーマンスを上げることは間違いない」と指摘した。 欧州経済はロシアによるウクライナ侵攻など課題を抱えるが、フリードマン氏は「欧州経済と市場は回復力を維持している。欧州のグローバル企業が今後も成長し続けると信じている」と語った。 三井住友FGによる出資比率を将来さらに高める考えはあるかとの問いには「ジェフリーズとしてはビジネスの機会獲得のためだけにさらなる資本を必要としている状況ではない」と述べるにとどめた。 ジェフリーズとの資本提携を決めた太田純前社長は11月25日に死去した。フリードマン氏は「太田氏はSMBCが世界のリーディングバンクのひとつになるという明確なビジョンを持っており、そのために組織全体を引き上げ、拡大していく使命を担っていた」と故人を悼んだ。「中島達新社長を支援し、SMBCとジェフリーズに最大の成長と成功をもたらす」と話した。2023/12/13 06:43:4326.名無しさんIZZwnJPモルガン「邦銀崩し」動く 外貨決済、日本企業が乗り換え 残高照会・資金融通 迅速に2023/12/15 日本経済新聞 朝刊 米銀がドル決済を中心とする資金管理サービスで日本市場で攻勢をかける。日本の金融機関との取引が多かったJPモルガン・チェースは海外口座の残高照会や資金融通を迅速にできるシステムで大手の事業会社も本格的に開拓する。邦銀に外貨決済を委託していた日本の企業が外銀に乗り換える動きもあり、3メガバンクはサービスの拡充に動く。 トランザクションバンキングと呼ばれる資金管理・決済ビジネスは企業活動のグローバル化で成長が見込める。調査会社のグランドビューリサーチは、企業の資金を一元的に管理するキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)の市場規模が2020~27年に年平均12.6%伸び、27年に253億ドル(約3兆6000億円)超になると試算する。 JPモルガンで決済事業部門のトップを務めるタキス・ゲオルガコプロス氏は日本経済新聞の取材で「(日本の)大手の多国籍企業と取引を拡大し、世界進出を支援したい」と語った。JPモルガンは日本でのドル決済の2~3割程度を担うとされる。これまで地方銀行など金融機関向けの国際送金仲介事業が中心だったが、CMSで商社やメーカーなど事業会社との取引拡大をめざす。 CMSを使う企業はお金が余っている子会社から足りない子会社に送金したり、余った資金を運用に回したりする。基軸通貨ドルの取り扱いが多く、幅広い外貨をそろえる米シティグループやJPモルガンなどが伝統的に強い。米ドルの国際送金なら同じ米銀内での資金移動で済むため、即日決済が可能な場合が多い。 邦銀は決済スピードで劣る。企業が子会社間の送金で豪ドルを動かす場合、邦銀のシステムを使う企業は前日までに銀行へ通知しておく必要がある。邦銀はドルなど外貨調達に制約があり、リアルタイムで外貨で調達したい企業に応じるのは難しい。ある邦銀の営業担当者は「企業向けにドル建てで融資できる金額には厳しい上限が課されている」と明かす。 現状では送金の受付時間やリアルタイムの残高把握で米銀のサービスに軍配が上がる。邦銀に外貨決済を委託していた財閥系企業が外銀に乗り換えた例もある。米銀を利用する商社の担当者は「子会社への資金融通などお金の管理には米銀のCMSが必須だ」と話す。 米銀は欧州や南米でも攻勢を強めている。JPモルガンのトランザクションバンキング事業の世界シェアは足元で9%と5年前の2倍に増えた。金利上昇で投資銀行部門が落ち込んでいるのとは対照的に、安定して収益を伸ばしている。 米銀は国内外の金利が上がる局面を日本企業との取引を増やす好機とみている。4月には米ゴールドマン・サックスがトランザクションバンキングで日本市場に参入した。メガバンクの幹部は「米銀があまり目をかけてこなかった企業にもアプローチしている」と警戒する。 邦銀はサービスの拡充を急ぐ。みずほフィナンシャルグループ(FG)はアジア向けサービスに力をいれる。22年に英スタンダードチャータード出身者をアジア・太平洋地域のトランザクションバンキング事業の責任者にした。アジアでは同分野の人員を数年で2割増やした。 邦銀で外貨決済に強い三菱UFJ銀行はCMSを中期経営計画の重点領域としている。グローバル送金システムで画面などの操作性を改善する投資を続ける。 三井住友銀行は25年度から順次稼働する次期勘定系システムで国際送金の対応時間を延長する方針だ。従来は前営業日午後6時までだった。幹部は「時差があるため海外送金は夜間対応してほしいという要望があった」と話す。23年には請求から決済、入金確認まで一貫でできるサービスを始め、中堅・中小企業の決済需要を開拓している。 資金決済に詳しい麗沢大学の中島真志教授は「外銀は高品質なCMSで高い料金をもらい、それを原資にさらにシステム投資をしている。邦銀は外銀に比べてトランザクションバンキング部門の行内での位置づけが低く、ニーズがあるのに対応できていなかった」と分析する。邦銀が劣勢なのはドル確保の問題だけでなく、システム投資を怠ってきた側面もある。2023/12/15 06:09:1927.名無しさんFiFXi日銀、マイナス金利解除見送り 大規模緩和を継続2023/12/19 12:28 日経速報ニュース 日銀は19日に開いた金融政策決定会合で大規模な金融緩和策の維持を決めた。マイナス金利政策の解除は見送り、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)や上場投資信託(ETF)買い入れといった措置も現状のまま維持した。物価、賃上げの動向をさらに見極める必要があると判断した。 植田和男総裁は19日午後に記者会見し、決定内容を説明する。 日銀は公表文で、金融機関が日銀に預ける当座預金の一部にマイナス0.1%の金利を適用するほか、長期金利の上限のめどを1%とする現行の大規模緩和策を維持する方針を示した。 国内景気の現状については「企業収益や業況感は改善している。設備投資は緩やかな増加傾向にある」との見方を示した。雇用・所得環境も緩やかに改善し、個人消費も物価高の影響はあるものの緩やかに増加しているとした。 足元の物価状況は「プラス幅を縮小しているものの、輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の影響から足元は3%程度となっている」とし、予想インフレ率も緩やかに上昇しているとした。 ただ今後のリスク要因について「海外の経済・物価動向、資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動など、我が国経済を巡る不確実性はきわめて高い」と指摘した。マイナス金利解除の前提となる賃金・物価の好循環の見極めにはなお時間が必要と判断したとみられる。 今後の政策修正のカギを握るのが賃上げだ。24年の春季労使交渉を前に複数の企業が賃上げを表明した。 今会合での解除は見送ったが、市場では24年前半にも金融政策を正常化するとの観測が広がる。氷見野良三副総裁は6日の講演で、金融緩和からの出口が家計や企業へ与える影響を前向きに評価した。7日には植田総裁が国会で「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる」と発言したことも正常化への思惑に拍車をかけた。 午後の記者会見では植田総裁が金融政策の先行きにどう言及するかも焦点となる。マイナス金利解除をサプライズで実施すれば、経済全体に混乱を招く可能性がある。米欧の主要中銀も利上げ局面の開始前には、事前に予告している。【関連記事】・日銀、物価・賃上げの持続力見極め 19日に植田総裁会見・大規模金融緩和「できるだけ早く正常化を」 経団連会長2023/12/19 12:39:2528.名無しさんBVjE9日銀は大規模金融緩和を維持 植田総裁に突っぱねられる岸田首相「デフレ脱却宣言」構想https://news.yahoo.co.jp/articles/5e3c05062a0f5b918cc5b17dd33f5a94d4c3a2d6 日銀は19日の金融政策決定会合で大規模金融緩和を維持することを全員一致で決めた。植田総裁は7日の国会で「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる」と答弁。年末の今回、緩和を修正するとの観測も一部あったが、大方の見方通り、現状維持となった。維新の会にも裏金疑惑…売り上げ「8200万円」が消えた? 刑事告発の過去に注目集まる■日銀内では早期修正に慎重論 会合は来年1、3、4、6月と続く。市場ではマイナス金利の解除時期が焦点となっている。QUICKと日経ヴェリタスが市場関係者74人に実施した12月調査(11~13日実施)によると、解除時期は1~3月が36%、4~6月が43%で約8割が6月までに解除に踏み切るとみている。しかし、解除は遠くないとの観測は、市場の過剰反応である可能性がある。日銀内ではマイナス金利の解除について、慎重な見方が強まっているという。「国民がマイナス金利などの金融緩和を批判するのは、円安・物価高を招いているからです。ところが、FRB(米連邦準備制度理事会)は今月13日の会合で来年の利下げ回数の想定を従来の2回から3回に拡大しました。来年は円高トレンドが見込まれ、日銀が緩和を修正しなくても、過度な円安は収まり、少しは物価高も落ち着く見通しが出てきた。内田副総裁は緩和による副作用の懸念は大したことがないとの立場。わざわざ、金融を引き締めて、賃上げムードに水を差す必要性は乏しいとの見方は日銀内で少なくないようです」(金融関係者) 植田総裁も19日の会見で「焦って政策変更するような考え方は不適切だ」と早期修正論にクギを刺した。 こうした日銀内の変化に頭を抱えているのが岸田首相だ。岸田首相はマイナス金利解除のタイミングで、政府・日銀共同の「デフレ脱却宣言」を打ち出す構想を描いているとされる。すべてがうまくいかない政権が“デフレ脱却”を反転攻勢のきっかけにしようということだが、金融政策の早期修正が遠のけば、そうはいかなくなる。「安倍政権ベッタリの黒田前総裁と違い、植田総裁は政治的配慮をするような人ではありません。岸田首相が困っているからと、金融政策を歪めることは考えにくい」(日銀関係者) 植田総裁は「チャレンジング」発言について、「一段と気を引き締めて、というつもりだった」と説明。学者出身の総裁が気を引き締めれば、岸田首相への配慮など、ますます期待できない。岸田首相の「デフレ脱却宣言」構想もうまくいかなそうだ。2023/12/20 15:41:0729.名無しさんBVjE9マイナス金利解除は「正常化の始まり」 24年以降の利上げペースに早くも思惑2023/12/20 14:00 日経速報ニュース 2023年最後の日銀の金融政策決定会合から一夜明けた20日。東京外国為替市場で円相場は1ドル=143円台後半を中心に、前日17時時点よりも円高・ドル安の水準で推移している。日銀がマイナス金利政策を早期に解除するとの観測は後退したが、もともと市場で多かった来春(3月か4月)解除の「本命予想」に戻っただけともいえる。きたる24年に向けては、マイナス金利を解除した後の利上げの開始時期とそのペースに市場の関心が移りそうだ。 日銀は19日の会合で大規模金融緩和の維持を決めた。市場で警戒されていた金融政策の先行き指針(フォワードガイダンス)の修正やマイナス金利の解除に向けた予告めいた発信はなく、会合前までに高まっていた来年1月など早期のマイナス金利の解除観測は下火になった。記者会見した植田和男総裁は、賃金動向を注視する姿勢を強調し、賃金と物価の好循環が強まっていくかを「なお見極める必要がある」として、政策修正を急ぐ様子は見せなかった。 19日の一連の動き自体は「サプライズ」であり、円が会合結果の公表前の142円台前半から144円台後半まで急落する引き金になった。だが冷静に考えれば、市場ではかねて来年の春季労使交渉(春闘)の結果を大方見極めた後の3月か4月にマイナス金利を解除するとの予想が支配的だった。日銀会合を終え、当初の予想に再び落ち着いたにすぎない。 こうした空気を映し、円は徐々に底堅くなっている。20日の東京市場で円は144円09銭近辺まで伸び悩んだものの、下落に転じることはなかった。「米連邦準備理事会(FRB)の来年の利下げ観測から主要通貨に対するドル売り圧力が強いほか、日銀のマイナス金利解除観測が健在」(ソニーフィナンシャルグループの森本淳太郎シニアアナリスト)という。 マイナス金利解除までの距離感は徐々に固まってきた。その後はどうなるだろうか。市場では日銀が利上げを開始した後のペースを予測しようとする動きも出始めている。 伊藤忠総研の武田淳チーフエコノミストは、来年の円相場の最大の注目点は日銀の金融政策に尽きると断言する。そのうえで「マイナス金利の解除は正常化の終わりではなく始まりだ」とその道のりの長さを推し量った。 武田氏の見方はこうだ。2%のインフレが実現しているのであれば、中立的な短期政策金利は2%で、これを下回る状態では金融緩和が続いていることを意味する。2%のインフレが本当に継続するなら、景気の過熱を抑えるためにもマイナス金利の解除だけで終わりではないはずだ。当然金利を一気に引き上げていくことは予想していないが、市場情勢を確認しつつ、日銀が金利をどういうペースで引き上げていくかは来年重要なポイントになってくる――。正常化の着地点はまだだいぶ先にあるというわけだ。 「前のめり気味に市場の期待値が変化する可能性は否定できない」。こう話すのはSMBC日興証券の奥村任シニア金利ストラテジストだ。奥村氏は、日本で2%インフレの定着が強く見込めることが前提だとしたうえで、「来年の米国の利下げが1?2回で終了し、なお米経済の底堅さが続けば、日銀が想定以上のペースで利上げするとの織り込みを市場が先回りして進めることはありうる」と語った。その場合、現在市場で織り込まれているような今後2?3年で0.50?0.75%の利上げというシナリオは上方修正を迫られるだろうと指摘する。 前提条件は一筋縄ではいかないが、誰も予想できないような事態が起きない限りは来年が日銀の金融政策にとって大きな転換点になりそうだ。伊藤忠総研の武田氏は「マイナス金利の解除で金融政策のステージは変わる。同時に長期金利の目標も撤廃し、上場投資信託(ETF)など質的な資産買い入れについても抜本的に一新する」とも予測している。現実となれば、市場参加者が「屋上屋を架す」と皮肉ってきた日銀の複雑な政策運営は転機を迎える。 日銀の前回の利上げは08年のリーマン・ショックよりも前の出来事だ。「低金利政策が長くなりすぎていて、金利のある世界を知らない人が増えた。利上げをまだなかなか想像できていない雰囲気がある」(岡三証券の嶋野徹シニアエコノミスト)なかで、来年の金融政策を見通すのは容易ではない。だが、市場参加者は何とかして金利ある世界を視界に入れようとしている。2023/12/20 15:45:4830.名無しさんcBmlc攻防交通フィンテック(上)鉄道、金融事業に乗り入れ 京王やJR東が住宅ローン 顧客と接点確保、ネット銀と協業2023/12/21 日本経済新聞 「鉄道銀行」の誕生で金融業界に地殻変動が起きている。京王電鉄グループが9月に国内の鉄道会社として初めて銀行サービスを始めたほかJR東日本も参入する。いずれもネット銀行と組む。交通フィンテックとしての顔を持つ鉄道事業者と金融機関は共存しつつも、顧客の獲得競争は熱を帯びる。 「人流に依存せず、長期的な顧客接点をつくるにはどうしたらよいか」。京王電鉄にとって転機は2020年以降の新型コロナウイルス流行だった。テレワークの普及など生活スタイルの変化は行動制限解除後も残り、23年4~9月の輸送人員は19年同期を16%下回った。 22年に水面下で接触したのがネット銀行大手の住信SBIネット銀行だった。同行が強みとするのは、銀行機能を外部に提供するバンキング・アズ・ア・サービス(BaaS)だ。預金や決済は日常的に顧客接点を持てるため、人流が減った穴を埋められると踏んだ。 両社が最初に接点を持ってからわずか1年半で「京王NEOBANK(ネオバンク)」を開始した。「京王ポイント」を手掛ける子会社が銀行代理業を取得した。スマホアプリで預金や決済などを提供し、利用で京王ポイントがたまる。特に住宅ローンは最大12万ポイントで、京王不動産などを通じて買うとさらに1万ポイント付与する。 融資の資金は住信SBIが出すが、住宅ローンは「人流依存でないビジネス」として京王が力を入れる不動産業と相性が良い。住居からローンまで一貫して提供し、沿線住民を獲得する。銀行サービスとの連携などで、24年度の不動産販売売上高を21年度比5割増やす計画だ。預金や決済のデータを小売業などに活用する案もある。 JR東日本も24年春、預金や住宅ローンを提供する「JRE BANK」を始める。定期や「JREポイント」と銀行口座を組み合わせ、JR東の商業施設などの利用頻度を高める。 子会社のビューカードが銀行代理業を取得し、楽天銀行がBaaSで銀行機能を提供する。最大の特徴はビューカードが駅構内に展開するATMで引き出し手数料が無制限無料となる点だ。鉄道利用者を金融サービスに送客して差別化する。 ネット銀行は鉄道事業者の強い顧客基盤を通じて預金や融資を獲得できる。住信SBIの担当者は「個別の銀行のファンはなかなかいないが、鉄道のファンはいる。地元密着のため(京王経由の預金は)粘着率が高い」と話す。 楽天銀行の永井啓之社長は「BaaSは数を追わず、銀行では持ち得ないユニークで強力な資産やノウハウを持つ企業と連携する」と話す。 住信SBIは日本航空にも銀行機能を提供するなど交通事業者の顧客基盤を取り込んでいる。BaaS事業の口座数を25年3月期に23年3月期比4.3倍の350万超にする計画だ。将来は全体の利益の半分程度を稼ぐ事業にする青写真を描く。 銀行の支店を訪れる顧客が減る中、ATM網を持つJR東などの銀行サービス参入は既存銀行から顧客を奪う可能性があり、メガバンクも鉄道会社を開拓する。三井住友フィナンシャルグループ傘下の三井住友カードは、ANAホールディングスが5月に刷新した「ANAペイ」に決済基盤を提供した。マイルをポイントのように決済で使い、経済圏構築を進める。 事業会社がBaaSで銀行サービスに参入する事例は米ゴールドマン・サックスと組んだ米アップルなどがあるが、鉄道会社は世界でも珍しい。民間鉄道網が発達した日本ならではといえる。自前で銀行免許を取得するのは規制対応などのコストが大きく、資産も膨張する。BaaSを活用した銀行代理業であれば身軽に参入できる。 国内市場は人口減少で、交通事業者も銀行も若年層を中心とする顧客獲得が課題だ。収益を多角化したい交通事業者と顧客基盤を得たい銀行の利害が一致した形だが、住宅ローンを中心に個人向け金融は競争が激化する。サービスが乱立すれば消費者も混乱しやすく、思うような成果が出るかは見通せない。2023/12/22 06:07:1131.名無しさんcBmlc攻防交通フィンテック(下)クレカ、改札でタッチ決済 三井住友カード、東急・メトロで 交通系ICの牙城攻める2023/12/22 日本経済新聞 朝刊 クレジットカードのタッチ決済で改札を通過できる鉄道やバスが増えている。首都圏では東急電鉄が実験的に導入し、大阪・関西万博に合わせ阪急電鉄なども対応を予定する。鉄道事業者がSuicaなど交通系ICカードで長年築いてきたキャッシュレスの牙城を崩す可能性が出てきた。 「外国人観光客の増加でタクシー不足や渋滞が顕在化しており、利便性を高めて地下鉄の利用を促していきたい」。全線でクレカ決済を導入した福岡市地下鉄を運営する福岡市交通局の担当者は力を込める。利用率はまだ数%に過ぎないが、足元では訪日客だけでなく福岡県民の利用も増加している。後払いというクレカの性質を生かして一日の運賃に640円の上限を設けたことなどが奏功した。 旗振り役の三井住友カードは米ビザやJCBなどと組み、2023年度末までに120の事業者でタッチ決済の導入をめざす。東急電鉄は8月に実証実験を始め、東京地下鉄(東京メトロ)は24年度に実験を予定する。 裏側を支えるのは三井住友カードの公共交通向け決済プラットフォーム「stera transit(ステラ トランジット)」だ。クレカを改札にかざすだけで入場できる。 交通事業者はカード利用の手数料を負担してでも、訪日客の混雑緩和や人件費削減に効果があるとみている。交通系ICは発行すればするほどコストが発生するからだ。福岡市交通局によれば外国人観光客には3日程度の滞在中のみ交通系ICを使い、返却する人も多いという。そのたびに1枚500円超の発行コストがかかるICカードが破棄されている。 各国の大都市では導入済みで、750の公共交通機関まで拡大している。14年にクレカのタッチ決済を導入したロンドンの地下鉄では、係員の案内業務などのコストを約3割削減した。 ビザ・ワールドワイド・ジャパンのシータン・キトニー社長は「(交通系ICによる)既存の非接触決済が普及する日本では難しいかと思われていたが、グローバルに標準化された決済手段の利便性が認識されている」と指摘する。 鉄道各社は新しいサービスを模索する。たとえば定期券の代替だ。先払いの定期券の代わりに、クレカで乗車してもらう。最初は正規運賃で精算し、一定の回数から定期料金に切り替える方法が考えられる。移動データが正確に把握できるため、利用に応じた割引きも可能だ。 首都圏ではJR東日本と私鉄が複雑に乗り入れ、どこでも対応できるシステム構築にも時間を要する。クレカのタッチ決済を広げるには超えるべき課題が多い。2023/12/22 06:12:0632.名無しさんSMwaS新NISA「1人1口座」で消耗戦、メガバンクが草刈り場-新NISA 始動前夜㊤2023/12/26 05:00 日経速報ニュース 2024年1月の新しい少額投資非課税制度(NISA)開始が目前に迫る。生涯で利用できる非課税の投資枠が最大1800万円と現行の一般NISAの3倍に拡大し、期間も無期限になる。幅広い世代の利用が期待される半面、金融機関側はむしろ顧客1人あたりの収益機会が減る可能性がある。各社は消耗戦が一段と激しくなると警戒を強めている。 NISA口座の変更手続きが始まった10月、純増を保っていたある3メガバンクの口座開設が純減に転じた。すでに口座を持つ個人投資家が10月を待ち構えていたかのようにネット証券2強のSBI証券や楽天証券へ流れ始めたためだ。この銀行では12月に純増へ転じそうだというが、関係者は「(顧客基盤の厚い銀行が)草刈り場になっている」と嘆く。 NISA口座は1人につき、1つの金融機関でしか口座を開設できない。受け皿となっているのがネット証券だ。長期投資を想定した「つみたてNISA」では200本前後の投資信託をそろえる。数本から数十本にとどまるメガバンクとは対照的だ。 日本証券業協会によると、つみたてNISAの口座数は23年9月末時点で623万と1年間で34%増えた。口座開設者のうち投資未経験者が占める割合は上昇し続け、23年9月末では91%にのぼる。SBI証券に口座を開いた大学生(20)は「周りも始めているし、そろそろ始めないとまずいと思った」と話す。 非課税の優遇措置がない一般の証券口座の開設も急増している。SBI証券では23年3月に1999年のサービス開始以降、初めて1000万口座を突破したが、そこから半年間でさらに100万口座が積み上がった。年換算では直近3年間の開設ペースを約2割上回る。SBI証券の担当者は「想定を上回るスピードで口座数が増えている」と話す。 金融機関にとって追い風ばかりではない。むしろ新NISAで各社は体力を削られ、淘汰が進むとの見方が強い。ネット証券の大手各社は初心者の心理的ハードルを下げるため、NISA口座の売買手数料を無料にしており、新NISAでも無料を維持する。手数料を徴収すればサービスの改悪とみなされ、顧客が他社に流れてしまうためだ。ネット証券首脳は「いつまでたっても『稼げる顧客』にはならない」とこぼす。 新NISAに伴い、システム更新の費用は少なくとも数億円規模で発生する。口座数の増加に合わせてコールセンターなどの人員も増やす必要があるため「豊作貧乏になりかねない」(別のネット証券幹部)。信用取引や外国為替証拠金(FX)取引など、株や投資信託以外のサービスでどれだけ補えるかの勝負になっている。 こうした状況を踏まえ、大手をはじめ対面証券はNISAをきっかけとする初心者の囲い込み競争とは距離を置く。大手証券の首脳は「初心者は『株って何?』『何を買えばいいの?』と聞いてくる。そんな人には正直なところ、来店してほしくない」とこぼす。 野村ホールディングスでは23年度に富裕層顧客への人員配置を大幅に拡充した。24年4月には個人向け部門の名称を「営業部門」から、主に富裕層が持つ資産の総合管理サービスを指す「ウェルス・マネジメント部門」に変更する。 新NISAは政府が掲げる資産運用立国に向けた政策の柱だ。投資の裾野は広がり始めたが、およそ2000兆円にのぼる家計の金融資産のうち1000兆円はほぼゼロ金利の預貯金だ。国内で長期投資を根付かせるには、個人の資産形成を支える金融機関が持続的に稼げる収益構造の構築も求められる。2023/12/26 06:51:5533.名無しさんhU3gbメガバンクに預金回帰の動き、金融庁が異例のけん制-新NISA 始動前夜㊥2023/12/27 05:00 日経速報ニュース 「資産運用ビジネス強化策について検討頂きたい」。今から2カ月前の2023年10月、金融庁が大手銀行に出した1通の要請文は、監督当局が出す行政文書としてはかなり趣が違っていた。【新NISA 始動前夜】新NISA「1人1口座」で消耗戦 メガバンクが草刈り場 通常は金融庁への報告で済むが、今回は「可能な限り来年(24年)1月末までにグループとして対外発信」するよう求めた。しかも「グループにおける経営戦略上の位置づけ」「人材育成を含む運用力向上の方針」「ガバナンス改善・体制強化」の3点を条件に付けた。 ビジネスモデルや人事に口を挟む細かい内容に、受け取ったメガバンク関係者は「こんな要請文は初めて」と戸惑った。 政府は23年12月に「資産運用立国実現プラン」をまとめた。24年1月からは非課税措置を拡大した新しい少額投資非課税制度(NISA)が始まる。「貯蓄から投資へ」を実現するには貯蓄大国の看板返上は欠かせない。金融庁が異例の行政文書を出したのは大手銀行の意識を改革する必要があったためだ。 政府が初めて「貯蓄から投資へ」を政策に掲げたのは2001年。三井住友信託銀行の調べによると、当時7.7%(評価損益除き)だった個人の投資率は23年9月末には13.7%までほぼ倍増した。 貯蓄率は同じ期間、53.9%から52.5%へ1.4ポイント程度しか低下せず、ほぼ横ばいだ。金融庁のある幹部は「50%を超えるのは異常。30?40%になるのが日本の姿ではないか」とした上で「銀行が動かなければ実現できない水準だ」と語る。 デフレが長く続き、預金に置いていても価値は目減りしなかった。日本の不良債権問題やリーマン・ショックのような金融危機が発生しても、銀行も預金者も公的資金で守られてきた。ゼロ金利時代の預金は収益化が難しかった。その結果、銀行への預金集中が進んだ面は否めない。 インフレ時代が到来し、日銀が金融政策を正常化しても預金離れが起きるかは見通せない。金利のある世界に戻れば、預金量が収益に比例するため、大手銀行は預金調達強化へ走り始めたからだ。23年に入って、3メガバンクは預金集めを強化していることを金融庁に伝えていた。金融庁が異例の要請文を出したのは、預金回帰へのメガバンクの動きと無縁ではない。 ただ、注目すべき動きを始めた大手銀行がある。三井住友信託銀行だ。24年春にも発売する予定の「元本補?付き信託商品」は地殻変動を促す可能性を秘める。 大山一也社長は「厳密に言えば法令上異なる存在だが、令和版の貸付信託を復活させる意味合いがある」と解説する。貸付信託とは高度成長期に人気を博した信託商品で、預金の競合商品だった。 最大のポイントは集めた資金を特定の産業に供給する産業金融を意識している点だ。今回はサステナブルファイナンスに資金を振り向けることを想定し、経済成長を促すリスクマネーとして活用しようという思惑がある。 商品名が示すように、万が一、金融機関が破綻しても元本が保証される点で預金と同じだ。貸付信託の復活は「貯蓄から投資へ」の政策が金融構造改革と結びつく意味で興味深い。 01年に出した「証券市場の構造改革プログラム」の狙いは間接金融から直接金融への転換を促し、当時、問題になっていた不良債権問題の再発防止だった。間接金融中心の金融構造が多額の不良債権を生み出した遠因と考え、解決策として直接金融拡大を狙った。 現実は逆コースを歩んでしまう。強固な信用力を誇るメガバンクが誕生し、貯蓄大国の土台を強固にしてしまう。金融庁が銀行に証券業務を段階的に解禁し、窓口で投資商品を販売できるよう手当てしたものの、仕組み債など高リスク商品の販売に走る銀行もあり、逆に投資へのアレルギーを醸成してしまった面は否定できない。 今年4月、岸田文雄首相が金融庁に資産運用立国プランの策定を求めた指示書に幻の一節がある。「メガバンクの改革」。銀行ビジネスにメスを入れなければ、真の「貯蓄から投資へ」は実現しない。木原誠二元官房副長官が集めた私的勉強会「金融問題研究会」も5月に「本邦金融機関経営に関する5つの提言」をまとめており、お蔵入りになったメガバンク改革が再び脚光を浴びないとも限らない。【関連記事】・個人の金融資産、増加額8割が「投資」 新NISAで加速も・日経平均、新NISA見据え試す上値 「上がれば売り」の個人に変革も・大手銀、上場直前の新興に投融資 三井住友信託500億円2023/12/27 06:11:5134.名無しさんfnjgJ成績上位に外資 国内金融大手、とがった運用はできるか-新NISA 始動前夜㊦2023/12/28 05:00 日経速報ニュース 「我々の運用力は世界でも十分に戦える。今後はさらに磨いていこう」。2024年1月から新しい少額投資非課税制度(NISA)が始まるのを前に、三井住友DSアセットマネジメントの荻原亘運用部門長は社員を鼓舞する。政府が掲げる資産運用立国の担い手として、運用力向上を目指す決意を共有する。【新NISA 始動前夜】・新NISA「1人1口座」で消耗戦 メガバンクが草刈り場・メガバンクに預金回帰の動き、金融庁が異例のけん制 政府は13日、資産運用立国実現プランをまとめた。真っ先に課題として指摘したのが、運用力の向上やガバナンス体制の強化だ。 メガバンク、証券、保険会社系の運用大手は成績低迷に危機感を強めている。三菱アセット・ブレインズが算出する運用会社別の運用リターンランキングでは、外資や独立系が上位を独占。日系大手では最上位のニッセイアセットマネジメントが25位で、野村アセットマネジメントや大和アセットマネジメントなどは業界平均を下回る。 23年1?11月までのインデックス型の株式・債券ファンドの純資金流入額では、三菱UFJアセットマネジメントに次いでSBIアセットマネジメントと楽天投信投資顧問がランクイン。運用成績でもそれぞれ9位と7位で大手運用会社を上回った。 両社の強みは圧倒的な価格競争力だ。SBIアセットは手数料を低コスト投信並みに抑えたアクティブファンドを12月に設定し、残高は設定から10営業日ほどで100億円を突破した。楽天投信は10月末に世界株と米国株に投資する2つのファンドを設定。信託報酬はどちらも業界最低水準とした。 大手が700?1000人程度の従業員を抱える一方で、SBIアセットや楽天投信の従業員数は数十人程度。1000万口座を有するグループ内のネット証券が強力な販売網を抱え、営業費用も大手と比較して少ない。SBIグローバルアセットマネジメントの朝倉智也社長は「損益分岐点は大手運用会社よりはるかに低い」と話す。 優勝劣敗が鮮明になっており、運用大手は巻き返しに動き始めた。三井住友DSアセットマネジメントは成長性のある銘柄に選別投資するアクティブ運用で勝負する考えだ。自己資金を投入する試験ファンドの運用を通して運用技術の開発に取り組む。外部の金融機関に委託することが多い高利回り債券などの運用手法を研究し、その知見を活用する。自己資金の投入額は22年3月末の約140億円から24年4月末には約270億円まで拡大する見通しだ。 金融機関系の運用会社に所属するサラリーマン・ファンドマネジャーは、とがった運用ができないと指摘されて久しい。運用各社は採用や人事評価体制の改革を進めている。ニッセイアセットマネジメントは24年度から新卒採用に運用専門コースを設ける。大手運用会社に内定が決まった理系学生は「企業選びの際には専門採用の有無も考慮した」と話す。 政府が掲げる資産運用立国の実現には、預貯金に眠る家計の金融資産を投資に回す必要がある。日本の個人からも世界からも投資される国になるためには、成長企業を発掘し資金を供給する運用会社の目利き力向上が欠かせない。2023/12/28 06:04:0535.名無しさんfnjgJ<東証>三菱UFJが小反落 米長期金利が5カ月ぶり低水準2023/12/28 09:47 日経速報ニュース (9時20分、プライム、コード8306)三菱UFJが小幅に反落している。前日比10円(0.82%)安の1199円50銭を付けた。前日のニューヨーク市場で米長期金利が一時3.78%と7月以来ほぼ5カ月ぶりの低水準を付けた。金利低下による利ざやや運用収益の縮小を懸念した売りが優勢となった。 第一生命経済研究所の藤代宏一主席エコノミストは「世界的な金利上昇局面が一服したことで銀行株への追い風が弱まっている」との見方を示す。一方、日銀の政策修正期待や低PBR(株価純資産倍率)の是正期待は一定の支援材料になっているとみられ、下値では買いも入っている。 きょうの取引終了後にかけては東証株価指数(TOPIX)のリバランスに伴う売りが出るもようだ。2023/12/28 10:18:0136.名無しさんib8Poヘッジファンドの英マンが邦銀株敬遠、日銀修正後の見方で市場は二分https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-12-27/S61O7IT1UM0W00銀行以外の金融株を選好、欧米証券ストラテジストと対照的見方不動産や鉄道、中型バリュー株も狙い目-マンGLGのバッジャー氏日本銀行の超金融緩和政策の終了が近づいている兆しが見える中、一部のヘッジファンドマネジャーとストラテジストの間で日本の銀行株の運命を巡り意見が割れている。relates to ヘッジファンドの英マンが邦銀株敬遠、日銀修正後の見方で市場は二分 ヘッジファンド運用会社の英マン・グループ傘下のファンド、マンGLGは日銀が今後金融引き締めに動くメリットを日本の銀行株は既に織り込んだと判断し、投資を減らす一方、インフレの恩恵が及びそうな銀行を除く金融株や不動産株、鉄道株に関心を移している。 英国に拠点を置くマンGLGのポートフォリオマネジャー、エミリー・バッジャー氏はブルームバーグのインタビューで岸田文雄首相による資産運用強化の取り組みは銀行以外の金融企業を助けることになるだろうと語った。また、日本でのインフレの進行は土地や建物などの固定資産を大量に保有する不動産株や鉄道株などにも利益をもたらすとの見方も示した。 バッジャー氏の見解は野村証券と一致し、日本の銀行株に強気な米ゴールドマン・サックス・グループやモルガン・スタンレーとは対照的だ。後者は東証銀行業指数の年初来上昇率が最近の下落で30%以下に縮小した後、再び上昇に転じると予想している。 JPモルガン・チェースもデフレからの脱却や今後予想される金融政策の正常化、賃金上昇などを理由に日本の金融株をオーバーウエート推奨しており、UBSグループも最近の株価調整後、銀行株は特に魅力的とみている。一方、野村証のチーフストラテジストは銀行株は既にピークアウトしたとし、世界経済のさらなる減速と債券利回りの低下が銀行の収益の重荷になるとの見方を示す。 バッジャー氏によると、今年日本株市場に回帰した海外投資家は以前からなじみがあり、流動性の高い銘柄を買ったため、大型バリュー(割安)株のパフォーマンスを押し上げたという。そのため、中型バリュー株は魅力的な水準にとどまっている上、大型株よりもコーポレートガバナンス(企業統治)改革の恩恵を受けやすいとみて、同氏のチームでは投資に向けた「機会を狙っている」と語った。 バッジャー氏は「マンGLGジャパン・コアアルファ・エクイティー・ファンド」の共同運用者であり、ブルームバーグのデータによると、過去3年間のリターンは約2倍で、同種ファンドの98%に対しアウトパフォームしている。保有上位銘柄は三菱地所、三菱UFJフィナンシャル・グループ、パナソニックホールディングス。2023/12/29 06:01:4937.名無しさん8p5UN日本株、上昇気流へ奮い立つ 24年予想2割が最高値-市場アンケート(上)2023/12/31 04:00 日経速報ニュース 「秋以降も中南米の年金基金などから新規の問い合わせが入ってきた」。BofA証券の圷正嗣チーフ日本株ストラテジストのもとには2023年春以降、海外投資家からの面談の要請がひっきりなしに届く。 大納会を迎えた12月29日の東京株式市場で日経平均株価の終値は3万3464円だった。年間では28%の上昇となり、57%高だった13年の「アベノミクス相場」以来の上昇率となった。 33年ぶりの高値に沸いた日本株市場を目にし「年金や政府系など中長期視点で投資先を探すファンドが本格的に『勉強』を始めている」(圷氏)。こうした動きが24年の株価の一段の押し上げ要因となると予想する。 日経平均株価、4万円超え予想も 日経ヴェリタスが市場関係者を対象にしたアンケート(回答者は68人)で、24年の日経平均株価予想の高値平均は3万6971円、安値平均は3万0599円だった。1989年12月29日につけた史上最高値(3万8915円)を更新するとの予想も2割あった。 原動力は企業の業績拡大を背景にした日本経済の「デフレ脱却」による成長期待だ。「値上げカルチャーの浸透による日本企業の利益率改善がカギだ」と野村証券の池田雄之輔チーフ・エクイティ・ストラテジストはみる。定着すれば、日経平均は「11月に4万円の節目にのせる」と予想する。 「『じゃがりこ』は値上げ後もほぼ数量を落とさず、強いニーズを実感している」。カルビーの江原信社長は23年4?9月期を振り返った。6%の値上げにもかかわらず、主力商品の「じゃがりこ」の販売は13%増加。全体でみても原材料・動力費高騰の46億円の減収要因に対して、価格改定効果が91億円と大きく上回った。 24年3月期通期も増収増益を見込む。原材料費の圧迫は続くうえ、ポテトチップスのパッケージにRSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)の認証マークを表示するなど付加価値を向上させ「的確に価格に転嫁していく」(江原氏)方針だ。 値上げが受け入れられ始めたこともあり、東証プライム市場上場の24年3月期決算企業(親子上場の子会社などを除く)約1020社の純利益は3年連続で過去最高となる見通しだ。 賃上げもデフレ脱却の確度を高め、相場を押し上げる。23年の春季労使交渉(春闘)で3.58%と30年ぶりの伸びとなった賃上げ率は、24年予想が平均で3.94%に達した。「賃金上昇を伴う適度なインフレ経済への転換」(アイザワ証券の三井郁男ファンドマネージャー)で、政府による「デフレ脱却宣言」も視野に入る。 日銀・為替が焦点に 米国の利下げ観測も含め好材料がそろう中、「24年の日本株にとって最大の懸案は、日銀の政策変更とそれに伴う円高進行だ」(大和証券の壁谷洋和エクイティ調査部長)。 値上げと賃上げの定着は大規模な金融緩和を堅持してきた日銀が引き締めに向かう条件を整えることになる。「賃金と物価の好循環が強まり、2%の物価安定目標が持続的・安定的に実現する確度が十分高まれば、金融政策の変更を検討していく」。日銀の植田和男総裁は12月25日、経団連の会合で明言した。 日銀が24年に長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)を撤廃し、現在マイナス0.1%の短期金利をゼロ%以上に上げるとの予想は55%にのぼる。うち8割が年前半の実施を見込む。 日銀が短期金利を24年中に0.1%以上にし、「金利ある世界」が戻るとの予想も4割を超える。「24年10月頃に0.3%程度まで引き上げられるのではないか」(三菱UFJ銀行の井野鉄兵チーフアナリスト)。トランプ政権復活に市場が身構える11月の米大統領選とともに、株価の重荷になる可能性がある。 日経平均は23年、卯(う)年の相場格言「跳ねる」の通り高値をつけた。戦後6回あった辰(たつ)年の日経平均の年間騰落率は28%上昇と十二支のなかで断トツだ。24年は「昇り竜」がごとく上昇気流相場を実現できるのか展望する。2024/01/01 06:19:0338.名無しさん8p5UN 好業績・脱デフレで株高へ 2024年の株式相場はどうなるか。日経ヴェリタスが実施した市場関係者へのアンケートでは、力強い上昇相場が続くとの見方が大勢を占めた。企業業績の改善や日本経済の「デフレ脱却」による成長期待、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ予想が背景にある。生成AI(人工知能)といった技術の普及も、日経平均株価が史上最高値をうかがう原動力になる可能性がある。 市場関係者66人の24年の日経平均株価の予想によると、高値平均は3万6971円、安値平均は3万0599円だった。高値をつける時期は12月との予想が7割と最多だった。回答者の2割にあたる13人が1989年12月につけた史上最高値(3万8915円)を超えると予想した。 日経平均の上昇要因として企業業績の改善をあげる回答が最多だった。デフレからの脱却による、日本の景気拡大をあげる声も多かった。カギを握るのが春季労使交渉(春闘)における賃上げ率だ。 予想の平均は3.94%となった。23年の賃上げ率(3.58%)を超えるとの見方が大勢で、「4%以上」と回答した割合も5割近くにのぼった。SMBC信託銀行の山口真弘投資調査部長は「春闘での賃上げに伴い、実質賃金の伸びがプラスに転じる。インフレが企業業績の改善につながる」とみる。 米利下げ観測も株高を後押し さらに株高の要因になるのがFRBの利下げへのシフトだ。「米国の利上げ終結・利下げ開始は、グローバルなリスクオン要因になる」(東海東京調査センターの長田清英チーフストラテジスト)。年前半にも利下げが始まるとの見方から、足元で米長期金利は4%を下回る水準まで低下している。 いちよしアセットマネジメントの秋野充成取締役は「金利が低下する中で米国の景況感が底堅く、ゴルディロックス(適温)環境が持続する」として、日経平均は12月に3万9800円まで上昇するとみる。 注目の投資テーマはAI・防衛・DX… 物色面では利益成長期待が高いことから「グロース株優位」と予想した割合は62%と、23年調査に比べ約10ポイント増えた。23年は銀行などのバリュー(割安)株の上昇が目立った。 「生成AIがもう一段盛り上がる」(りそなアセットマネジメントの黒瀬浩一チーフ・ストラテジスト)との予想も見逃せない。注目の投資テーマでは8割が「AI」と回答した。2位の「防衛」、3位の「デジタルトランスフォーメーション(DX)」を50ポイント以上引き離した。 23年はAI向け半導体をてがける米エヌビディアの株価が大幅に上昇したほか、東京市場でもアドバンテストやレーザーテックが大商いを見せた。生成AI利用率は米国でも3割程度との調査もあり、市場拡大の余地は大きい。AI関連は24年でも引き続き「本命」テーマとなりそうだ。 米市場についても堅調な見通しが多い。ダウ工業株30種平均の高値予想の平均は3万9223ドル、安値は同3万3368ドル。ファイブスター投信投資顧問の大木将充取締役運用部長は「米利下げがあれば、黙っていても米国株は上がる。米中摩擦の緩和が実現すれば、(さらに)株価上昇が加速する」とみる。 「11月の大統領選の通過による不透明感の払拭などから、年末に向けて過去最高値の更新が期待される」(岡三証券の松本史雄チーフストラテジスト)との声もあった。2024/01/01 06:20:2939.名無しさん8p5UN「マイナス金利解除は24年前半」予想5割 為替円高へ-市場アンケート(下)2024/01/01 04:00 日経速報ニュース 2024年の日銀の金融政策や対ドルで円相場の行方はどうなるか。日経ヴェリタスが実施した市場関係者へのアンケートでは、日銀が年前半にもマイナス金利解除に踏み切るとの回答が最も多かった。米国は利下げ、日本は金融正常化により金利差が縮小することで、対ドルで円には上昇圧力がかかりやすいとの見方が多かった。 「低インフレ環境を脱し、物価安定目標が実現していく確度は少しずつ高まってきている」。日銀の植田和男総裁は12月25日、経団連で講演した。近い将来の金融政策の修正を示唆する内容だが、金融市場で材料視する動きは限られた。 市場ではすでに、2024年中の短期金利の引き上げが確実視されている。日銀の政策修正の「次の一手」の予想は「長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)を撤廃しマイナス金利を解除」が55%でトップで、4?6月の実施が57%、1?3月が23%だった。 オフィスFUKAYAコンサルティングの深谷幸司代表は1月の金融政策決定会合での変更を予想する。「賃上げの状況もおおむね見えてきており、デフレでないなら『普通の緩和』に移行すべきだ」。 「YCCを維持してマイナス金利を解除」も次点の36%。みずほ銀行の唐鎌大輔チーフマーケット・エコノミストは「長期金利の急上昇を抑えるために一定の制限を残す可能性はある」とみる。ただし「YCCを形式上撤廃しても、日銀が保有する国債は5割を超えており国債市場を事実上コントロールしている状況は変わらない」。 日銀が24年中に短期金利を0%からさらに引き上げるとの見方も4割にのぼる。ケイ・アセットの平野憲一代表は「物価と賃金の好循環が実現し、年央には政府が『デフレ脱却宣言』を出す」との見方。「それに伴い金融政策も正常化され、年末にかけて短期金利を0.5%程度まで引き上げるのではないか」と予想する。 ただし日銀が引き締め方向の金融政策正常化を進められるかどうかは米連邦準備理事会(FRB)の金融政策を含む世界経済の動向にも左右される。クレディ・アグリコル証券の会田卓司チーフエコノミストはYCC撤廃や金融引き締めは25年にずれ込むとの見方だ。「グローバルに景気が減速し市場がFRBの利下げを織り込むなか、円高による輸出の鈍化と内需を抑制しかねない金融引き締めに踏み切るのは常識的には考えにくい」と分析する。 23年4月に就任した植田氏の評価も聞いた。「大いに評価する」(21%)、「やや評価する」(61%)を合計すると8割超が植田氏の仕事ぶりを前向きにとらえた。「どちらともいえない」は13%、「あまり評価しない」は5%。「まったく評価しない」はゼロだった。市場とのコミュニケーションを評価する声が目立った。 伊藤忠総研の武田淳社長兼チーフエコノミストは「会見で質問に丁寧に回答し、政策運営の透明性が高まった」とする。丸紅経済研究所の今村卓所長も「金融市場はもちろん、国会、経済界、社会に分かりやすく説明を尽くしている」と評価した。 為替、年後半にかけ円高へ 2024年の為替相場見通しでは、ゆるやかな円高・ドル安が進むとの予想が目立った。米国の利下げ転換のほか、米大統領選をめぐる不透明感がドル売り要因になるとの見方がある。 高値予想では、市場関係者の4割が「1ドル=130?135円未満」と答え、最多だった。高値の平均は1ドル=131.6円、安値の平均が149.4円だった。円相場は11月に1ドル=151円台後半をつけた後、やや円高に持ち直した。高値が「130円未満」との回答も28%あり、円高方向の予想が比較的目立つ結果になった。 「日米の金融政策の方向感の違いが出始める」(富国生命保険の野崎誠一有価証券部長)ことをあげる声が多い。アセットマネジメントOneの清水毅調査グループ長は「米国は利下げ、日本は金融政策正常化を進めるため、年を通じて円高圧力がかかりやすい」と指摘する。 安値の時期の予想は1月が49%、高値をつける時期は12月(57%)が最多だった。「年後半に向けて円高進行」が市場のコンセンサスと言えそうだ。2024/01/01 06:23:5340.名無しさん8p5UN 米大統領選も為替の変動要因になりそうだ。みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは「米大統領選でトランプ氏が返り咲きとなった後のリスクオフ」を理由として、12月に1ドル=130円までの円高を予想する。 「円相場は年後半(7?12月)に24年の安値をつける」との予想も2割あった。BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは「日銀は金融引き締めを進めるがインフレ期待の上昇に利上げが追いつかず、実質金利の低下が円安要因になる」と予想。12月に再び1ドル=150円まで円安が進むとみる。「米国の利下げは市場が織り込むほどハイペースで進まない」(外為どっとコム総合研究所の神田卓也調査部長)との見方もあった。 岸田首相「秋に退陣」予想が48% 日本の政治の先行きに注目が集まっている。2023年12月に政治資金問題をきっかけに主要閣僚が次々に辞職し、政権運営への不信感が高まった。アンケートの回答者の半分近くが24年中にも岸田文雄首相が退陣するとみており、相場への影響を注視する必要がありそうだ。 予想される国内政局について聞いたところ、「岸田首相が秋の自民党総裁選で敗北し、退陣する」との回答が48%にものぼった。日本経済新聞社とテレビ東京が23年12月中旬に実施した調査で岸田内閣の支持率は26%と、「危険水域」とされる水準まで落ち込んでいる。 背景にあるのは「政治とカネ」をめぐる不信感だ。自民党内の最大派閥である安倍派(清和政策研究会)で政治資金問題が明らかになった。12月には経済産業相を担っていた西村康稔氏ら主要な閣僚が相次いで辞職する事態となり、岸田内閣は厳しい批判にさらされている。 少数ながら市場関係者からは「『政治とカネ』問題の顕在化により24年初に岸田首相が退陣し、新総裁下で衆院解散を先延ばしにする」(インベストメントLabの宇根尚秀代表)との予想もあった。 もっとも、内閣の退陣があったとしても株式市場へのマイナス影響は限定的との見方が多い。「岸田首相が秋の党総裁選で敗北し、退陣する」と予想した回答者(30人)に株価への影響を聞いたところ、半数にあたる15人が「株価は上昇する」、43%にあたる13人が「株価に影響なし」と答えた。 経験則では選挙があった場合に日本株は上昇しやすい。1979年以降の衆議院選挙において、投票日の20営業日前から投票日までの東証株価指数(TOPIX)は15回中14回で上昇した(三菱UFJモルガン・スタンレー証券調べ)。大統領選を控える米国市場とあわせ、選挙のタイミングでの相場変動には注目が必要となりそうだ。 期待する現政権の掲げる政策を聞いたところ、5割近くが「賃上げ促進・半導体投資などへの税制優遇」と回答した。米中関係や台湾をめぐる情勢に緊張感が増すなか、「経済安全保障面から半導体産業の強化が焦眉の急」(三菱UFJアセットマネジメントの石金淳チーフファンドマネジャー)との指摘がある。政策の後押しを受けて、市場で半導体関連株への注目が増す可能性もある。2024/01/01 06:25:3041.名無しさんLITr5「諭吉」100億枚はどこへ 現金大国に変化の兆し-通貨流転㊤2024/01/02 05:00 日経速報ニュース 万物は流転する。古代の哲学者が喝破したように、あらゆる存在が時の流れとともにその姿を変えていく。通貨も例外ではなく、米や布のような現物からコイン、紙幣、さらにはデジタルへと変化してきた。変わりゆく通貨を飼いならすことができなければ、インフレなどの災禍を招きかねない。新しいお札の発行を2024年7月に控え、通貨の現在地と未来を探る。 新札は日銀本支店でスタンバイ 「7月3日の発行日、どの支店に何時にどのくらい新しい紙幣を用意できるだろうか」。大手銀行の担当者は半年先の大イベントを控え、頭を抱える。 新紙幣は全国4カ所の工場で着々と製造され、日銀本店や地方支店に順次運ばれて発行日を待っている。金融機関は発行日以降に新紙幣を受け取り、窓口やATMに運ぶ流れだ。紙幣の刷新は20年ぶりで、1万円札の「顔」が変わるのは40年ぶり。初日にどれだけの愛好家が店舗に並ぶのか、他行より準備が遅れれば評判を落としかねないだけに検討課題は山積みだ。 日銀によると、新紙幣は3月末までに渋沢栄一が描かれた1万円札、津田梅子の5千円札、北里柴三郎の千円札の合計で45.3億枚を準備する計画だ。04年に現行の紙幣を発行した際には50億枚程度を用意した。今回も発行日までにさらに備蓄が進む予定で、日銀の金沢敏郎発券局長は「前回と遜色ない水準」になると強調する。 デジタル技術の進展と矛盾するように紙幣の流通量は増えてきた。20年前は65兆円(65億枚)程度だった1万円札の流通量は23年11月に7割増の112兆円分(112億枚)まで膨らんだ。経済規模の拡大に伴い流通量が一定程度増えるのは自然だが、この間名目GDP(国内総生産)は7%しか伸びていない。ここまで拡大する背景には日本特有の事情がある。 超低金利で現金好きに拍車 日本は現金大国だ。国際決済銀行(BIS)によると、21年のGDP比の通貨流通量は日本が23.1%と突出する。ユーロ圏は12.8%、米国は9.2%と差が開いている。日本のキャッシュレス決済比率は経済産業省の試算で22年時点で36%程度。10年前(15%)の倍以上と増えたが、5割前後の海外主要国と比べると遅れが目立つ。2024/01/03 06:12:3942.名無しさんLITr5 日銀がアンケート調査で現金を利用する理由を聞いたところ、最も多いのが「その場で支払いが完了する」だった。クレジットカードなどは後払いのため借金の意識を抱く人がいるといわれる。「使いすぎる心配が少ない」も上位だった。現金であれば財布からどのくらいお金が減ったかわかりやすい。 日本はATMの台数が多く現金の利便性が保たれていることや、ニセ札が少なく通貨への信頼度が高いことなども挙げられる。治安がよいため、現金を持ち歩くリスクも意識されにくい。その結果、政府が目指す将来のキャッシュレス決済比率(8割)は遠いというのが現状だ。 だが、これだけでは1万円札が100億枚も出回っていることを説明しきれない。専門家が指摘するのは、現金を自宅の金庫などで保管する「タンス預金」の存在だ。第一生命経済研究所の熊野英生氏は「流通している現金のおよそ半分がタンス預金に回っている」と語る。日銀がマイナス金利政策を続けていることで預金の金利がほとんど付かず、銀行に預けるメリットが薄いことが一因だ。 タンス預金は動くのか 変わる兆しは出てきた。23年11月の1万円札の流通量は前年比ではほぼ横ばい。ニッセイ基礎研究所の上野剛志氏は「物価高で現金を保有すれば価値が目減りしていくため、タンス預金を増やす動きは減るのではないか。株や投資信託、また金利が上がってくれば一部は預金に流れるだろう」と分析する。 遅れているとはいえ、キャッシュレスの進展は今後、流通量の伸びを抑制していくはずだ。日銀のアンケート調査では、半年前に比べて現金の利用頻度が「減った」と答えた人が23年9月調査で4割になった。「まだ現金の流通量が減るほどではない」(日銀関係者)が、ようやく現金離れが進み始めたのは確かだ。 市場では日銀が24年早期にもマイナス金利を解除するとの観測が広がっている。物価が持続的に上がり、預金や融資で金利が付く「金利のある世界」が復活すれば、現金大国にとって転機となる可能性がある。 日本各地の13世紀後半から16世紀ごろの遺跡からは現在でも、つぼなどに入れられた大量の銭の出土が相次いでいる。銭不足のなか、銭の価値が上がることを見越して蓄えられていたともされる中世のタンス預金のなれの果てだ。 天下の回り物であるはずのお金を眠らせていても何の価値も生まれない。死蔵されている現金を動かし、いかに経済を活性化させるか。「日本資本主義の父」と呼ばれる渋沢栄一もそれを願っているはずだ。【関連記事】・1万円札の顔、40年ぶり交代 通貨が映す波乱の経済史・新札発行の2024年 「お金を巡る冒険」が始まる2024/01/03 06:13:2443.名無しさんLITr5通貨が増えれば物価は上がる? 異次元緩和不発の必然-通貨流転㊥2024/01/03 05:00 日経速報ニュース 「すこぶる戦慄の至り」。1877年に西郷隆盛率いる鹿児島士族が起こした西南戦争の直後、のちに千円札の肖像画にもなる伊藤博文は盟友の井上馨への手紙にこう書きつづった。次なる士族の反乱を心配したわけではない。当時の年間歳出の9割近くにも達した「征討費」が、発足まもない明治政府の財政と経済の重荷となることを恐れたためだ。 インフレが日銀を生み出す その懸念の通り、金や銀と交換できない不換紙幣である政府紙幣の増発は深刻なインフレをもたらした。明治政府は増税や公債発行、歳出削減で紙幣の流通量を抑えることを強いられる。価値が安定した兌換(だかん)紙幣の導入が急務となり、1882年に設立されたのが中央銀行である日銀だ。 通貨は経済を活性化させて豊かさをもたらす一方、過剰に出回れば人々の生活を苦しめるインフレを引き起こす。政策金利などを通じて通貨の供給量をコントロールし、物価を安定させる中央銀行が必要なのはそのためだ。好景気を望む政府の思惑に振り回されないように、現在では独立性も認められている。 問題は、過剰な通貨がインフレを生み出した例があるとして、デフレに陥った際に通貨の供給を増やせば、インフレに転じるのかどうか。2013年4月に日銀が始めた異次元緩和はそんな実験だった。当時総裁だった黒田東彦氏は2%の物価目標を「2 年程度」で実現すると約束。マネタリーベース(資金供給量)を2年で2倍に増やす方針を打ち出した。 資金供給量と物価は連動せず 結果はすでに明らかなように、はかばかしいものではなかった。2年後、マネタリーベースは確かに2倍になったが、消費者物価指数(CPI)上昇率はゼロ近辺に張り付いたまま。物価が明確に上昇に転じるのは、新型コロナウイルス禍などによる供給制約が強まった22年以降になってからだ。 お金の量が増えれば単純に物価も上がっていくというのが貨幣数量説だとすれば、日銀の実験は明らかな反証になったといえる。ある日銀OBは「貨幣数量とインフレ率に比例的な関係は見当たらない」と冷ややかだ。 日銀が金融機関の国債を大量に買い取るだけでは、お金は銀行が日銀に開設している当座預金に積み上がるだけ。資金需要がなければ、銀行による貸し出しは増えず、市中にお金は流れない。国債購入で長期金利が下がれば需要は押し上げられるが、短期金利の引き下げと比べれば効果は限定的だ。 なお続く国債の大量購入 もちろん日銀はそんなことは百も承知のうえで、大胆な金融緩和によって将来の物価は上がるという人々の「期待」を一気に高めることに賭けた。誰もが物価が上がると思い始めれば消費が促され、緩やかなインフレにつながる。当時の幹部によれば、日銀はデフレに対して無策との批判が強まるなか、できることはすべてやっていることを示す必要もあったという。 元日銀理事でみずほリサーチ&テクノロジーズの門間一夫氏は「資金供給量でインフレ期待が変わるという考え方自体がもともと正しくなかった」と指摘する。一方で、緩和に積極的なリフレ派の元日銀審議委員、原田泰氏は「異次元緩和がデフレ脱却の足がかりになったことは間違いない」と話す。 日銀は16年9月に長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)の導入を決め、政策の軸足を量から金利へと戻した。だが、いまでも物価が2%を安定的に超えるまでマネタリーベースの拡大方針を続ける「オーバーシュート型コミットメント」を堅持しており、長期金利が低下傾向にあるにもかかわらず大量の国債を買い続けている。 「日本人は、マネーサプライ(通貨供給量)と物価が直接関係しているとする、過度に単純化され欠陥のあるマネタリストの教義を信頼していた」。市場参加者の間では最近、日本に金融緩和を促してきた元FRB議長のベン・バーナンキ氏が著書「21世紀の金融政策」で、2000年代初めの日銀の量的緩和をこう評したことが話題になった。 日銀のバランスシートには500兆円を超える国債が残された。日銀の国債購入に支えられ、政府の債務残高は国内総生産(GDP)比で200%を超える水準に膨らんだ。超低金利の常態化によって、拡大する財政赤字に対して「戦慄」する感覚が失われてしまったのだとすれば、日銀の実験の代償は大きい。【ビジュアルで振り返る通貨の歴史】1万円札の顔、40年ぶり交代 通貨が映す波乱の経済史【通貨流転】㊤「諭吉」100億枚はどこへ 現金大国に変化の兆し2024/01/03 06:16:0244.名無しさんz53jP動き出すデジタル円、日銀は準備着々 未来の通貨視野に-通貨流転㊦2024/01/04 05:00 日経速報ニュース 「中央銀行であるがゆえにベータ版(試用版)で提供するわけにはいかない。走りながら試行錯誤し、アップデートしていけたらいいのだが」。デジタル円の準備を担う日銀の関係者はそう胸の内を明かす。 PayPay、NTTドコモも参加 中央銀行が発行するデジタル通貨を「中銀デジタル通貨(CBDC)」と呼ぶ。デジタル通貨を民間任せにせず、誰でもどこでも使える通貨を中銀の責任で用意するという考え方から生まれた。デジタル円は日銀が準備するCBDCで、2023年4月から実用化を見据えた「パイロット実験」を開始し、実験用のシステム構築に取り組んでいる。 成功に向けたカギは、一般の利用者と接点を持つ民間企業をいかに巻き込んでいけるか。日銀は23年7月から「CBDCフォーラム」を開き、民間の技術や知見の取り込みを進める。メガバンクをはじめとする金融機関だけではなく、QRコード決済大手のPayPayやソニー、NTTドコモ、JR東日本など約60社が参加する。 「最終的なゴールは何か」。11月下旬、日銀の会議室で開かれた会合では、将来のデジタル円のシステムと既存の決済インフラとの接続について意見が交わされ、参加者が鋭く質問した。日銀はこのフォーラムを「何かを決める場ではない」とし、あくまでヒアリングや意見交換の場と位置づけているが、情報を引き出そうと意欲的な参加者もいる。 ある参加企業の関係者は「将来実用化された際に他社に後れを取りたくない。今からビジネス環境を考えておきたい」とデジタル円に商機を探る。その一方で、中央銀行がデジタル決済サービスを手掛ければ「手数料次第では民業圧迫にもなりかねない」(別の関係者)との警戒も根強い。 通貨主権は誰のものか CBDCは中国などの新興国で導入の動きが先行している。中国では一般の人々を巻き込んだ実証実験が広範囲に進んでおり、一部では公務員の給与振り込みにもCBDCであるデジタル元が使われ始めた。先進国でも、欧州中央銀行(ECB)が23年11月から発行に向けた2年間の「準備段階」に入った。 デジタル円が突きつけるのは、通貨というインフラは誰が提供すべきかという問いだ。今でこそ通貨は政府・日銀が発行するのが当たり前だが、19世紀後半までは幕府が発行する貨幣のほか、各藩が発行する藩札や、日本最古の紙幣といわれる山田羽書のような民間紙幣も流通していた。中世の時代には、政府が発行した貨幣ではなく、中国から輸入した宋銭などが通貨の役割を果たしていた。 ビットコインのような暗号資産が誕生し、民間のデジタル通貨が普及しようとしているなか、政府と中央銀行が独占的に通貨を発行することが当然とは言い切れなくなってきた。中国はアリペイなどの民間デジタル通貨の普及に、ECBは米国の巨大IT企業にデジタル決済を握られることに強い危機感を抱き、CBDCの準備を進める。 デジタル円は最後発に? 日銀の黒田東彦前総裁は在任中の22年1月、デジタル円の導入について「26年までに判断する」と述べた。政府・日銀の関係者は「(導入の是非は)国民的な議論のなかで決まる」と話す。デジタル円の発行を決めても使われなければ意味がないため、日銀は実験参加者の範囲を段階的に広げていくという。 ただ、ある日銀幹部は「ある程度導入できるめどが立たないと市民を巻き込んだ実験はできない。(そうした実証実験は)何年か先になるのではないか」と話す。日本は主要国でも突出して現金選好が強い。日銀の初代のフィンテックセンター長を務めた京大大学院の岩下直行教授は「国民全体の合意形成が必要になるため、日本のデジタル通貨導入は世界で最後になる可能性もある」と語る。 米や布のような現物から銅銭など金属の貨幣、そして紙幣へ。進化を続けてきた通貨がこれからデジタルの時代に入る。多くの人に受け入れられ、使われるようになれば、ますます広がっていくという通貨の性質は、勝者総取りとされるSNSとも似通う。デジタル円は未来の通貨になれるのか。その答えは決して自明ではない。【ビジュアルで振り返る通貨の歴史】1万円札の顔、40年ぶり交代 通貨が映す波乱の経済史【通貨流転】㊤「諭吉」100億枚はどこへ 現金大国に変化の兆し㊥通貨が増えれば物価は上がる? 異次元緩和不発の必然2024/01/04 07:25:5845.名無しさんvrI4224年展望記者座談会(中)共通ポイント 新生Vポイント発足、競争激化 PayPay、金融連携で成長2024/01/09 日経産業新聞 2024年の共通ポイント業界は一段と競争が激しくなりそうだ。スマートフォン決済のPayPayが共通ポイント事業に本格参入し、競争は一段と激しくなる。共通ポイントの草分けのTポイントは三井住友フィナンシャルグループ(FG)のVポイントと24年春に統合する。動きの激しいポイントの動向について、業界を担当する記者が展望した。 デスク「ポイント業界は様々な動きがあったね」 記者A「そのひとつがPayPayだ。23年8月末、サイバーエージェントなど2社と提携し、PayPayは共通ポイントに本格参入した。2社にPayPayポイントを販促手段として活用してもらう狙いがあるよ」 デスク「PayPayといえばキャッシュレス決済に強い。共通ポイントとして使えれば便利になりそうだ」 記者A「PayPayは18年10月のサービス開始から5年でアプリ登録者数が6000万人を超えた。キャッシュレス決済の市場シェアは約7割と圧倒的な強さを誇ってきた。ただポイント発行額と新規利用者数の引き上げに大きく寄与してきた政府のマイナンバーカードの普及促進策『マイナポイント』が23年9月で終了したのは逆風となったはずだ」 デスク「カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)のTポイントの名前がなくなるのは感慨深いね」 記者B「Tポイントと、三井住友FGのVポイントが24年春に統合し、名称も『Vポイント』に統一される。Tポイントの知名度と三井住友FGが持つ決済サービスを掛け合わせ、ポイント経済圏を広げてきた楽天グループやPayPayなどに対抗する考えだよ」 デスク「楽天も様々な施策を打っている」 記者C「23年12月からサービス利用に応じてポイントを付与する『スーパーポイントアッププログラム(SPU)』の還元率を変更した。楽天モバイルの利用者が電子商取引(EC)サービス『楽天市場』で買い物する際の還元率は一律で5倍となった。一方で、ポイントの付与上限は下がった。楽天はモバイル事業における契約者増が喫緊の課題で、ポイントをフックに経済圏のユーザー獲得を狙う」 デスク「ユーザーからは『改悪』と批判される変更もあったけど」 記者C「たとえば年会費が有料のクレジットカードはポイント還元率が無料会員と同じになった。さらに無料で使える海外空港のラウンジにも回数制限ができた。楽天側も批判は覚悟のようで、年会費の返金も受け付け始めたよ」 デスク「共通ポイント事業で成長するには経済圏という言葉も24年以降のテーマになりそうだ」 記者D「NTTドコモは23年10月にマネックス証券の子会社化を決めた。マネックスの取引でのドコモのポイントサービスや決済手段の導入、ドコモのスマホ決済サービス内での投資サービスの提供などを検討していくようだ。ドコモの井伊基之社長も『手軽で簡単な資産形成サービスを提供していく』としており、金融と通信、決済の融合をテコに傘下のdポイントの利用拡大を目指すとみられる」2024/01/09 08:17:3446.名無しさんvrI42 記者A「PayPayも、PayPay証券やPayPay銀行との連携を引き続き強化していくようだ。さらに親会社のソフトバンクは23年10月から携帯の新料金プラン『ペイトク』の提供を開始した。契約すれば通常のポイント還元に加え、1~5%(上限あり)多いPayPayポイントが付与される。追加分の原資はソフトバンクが払うこととなり、グループでPayPay経済圏の拡大を援護する戦略だよ」 記者C「ポイントと金融事業の連携は楽天も早くから傘下の銀行・証券と進めてきた。23年8月には子会社の楽天カードの傘下に、同じく子会社でスマホ決済などを手がける楽天ペイメントを置く組織再編を公表し、金融や通信、ネットサービスなど一体で経済圏の拡大に動いている。さらに楽天ポイントの導入拡大に向け、中小店舗での導入数を24年内にも23年比で2倍に増やす目標だ。ただ中小店舗の開拓はPayPayも力を入れる。ポイントカード機能を備えたキャッシュレス専用端末を展開しているけど、どこまで広がるかは未知数だ」 記者B「CCCが狙うのは決済サービスの強化だ。これまで電子マネー『Tマネー』やクレジット機能付きTカードを展開してきたものの、認知度は高くなかったようだ。三井住友FGは三井住友カードや対応するVisaタッチなど有力な決済サービスを持っている。世界に1億店以上あるVisa加盟店でもポイントが使えるようにして巻き返しを狙うと思われるよ」 記者A「識者からは今後の共通ポイント業界はこれまでのような会員規模やポイント流通規模といった量から質へと争点が変わっていくと指摘する声もある。スマホ決済のように毎日使われるアプリで顧客との接点を増やしたり、加盟店の利益につながる販促を提案したりと、総合力が問われそうだ」2024/01/09 08:18:2747.名無しさん0OTPq株、「売り手不在」で独歩高――逆張り個人が買い転換(スクランブル)2024/01/11 日本経済新聞 朝刊 日経平均株価が高値の更新を続けている。日本企業の成長を期待した買いが続いているのはもちろんだが、上値で売る投資家が減っていることも見逃せない。2023年に「踏み上げ(売り方の損失覚悟の買い戻し)」で傷を負った個人投資家が空売りをためらっていることが、米株相場が弱含むなかでの意外高に一役買っている。 10日の東京株式市場で日経平均は3日続伸し、前日比678円高の3万4441円まで上昇。バブル崩壊後の高値を連日で更新した。外資証券のトレーダーは「3万4000円を上抜けたことでグローバルマクロ系のヘッジファンドが株価指数先物を買っているようだが、値幅の大きさもタイミングもかなり意外だ」と話す。 前日9日の米株市場ではダウ工業株30種平均が下落していた。10日は主要なアジア市場も軟調で、日本株の強さが突出している。急な株価上昇を受けた追随買いが日本株を押し上げているうえ、普段なら上値を抑える「逆張り勢」の動きが鈍い。 「古参の投資家もショート(空売り)はもうからないと気づき始めた」。ベテラン個人投資家の村上直樹さん(44)は投資家仲間の心情を代弁する。 投資歴の長い層ほど日本株のレンジ相場の経験が染みつき、高値では相場反転を狙った空売りを出しがちだ。ただ昨年以降、相場の下落局面でも外為市場での円安・ドル高などが支えになり下値が限られた。株の売り手は思ったように下がらず、苦境に立たされる局面が多かった。 例えば昨年、低PBR(株価純資産倍率)対策で話題になった大日本印刷(DNP)でも、空売り勢は撤退を余儀なくされた。1月に米エリオット・マネジメントによる投資が判明し大幅高になった局面では空売りが急増し、信用売り残は10倍の約40万株まで膨らんだ。 ところがその後もDNPは自己資本利益率(ROE)目標や大規模な自社株買い計画を相次ぎ発表し、株価はそのたびに急騰。売り手は損失限定の買い戻しを迫られた。足元で同社株は昨年来高値圏にあるが、再び売り向かう動きは見られない。 空売りが増えていないことは、「逆日歩」が発生している銘柄の数をみれば分かる。逆日歩は空売りにかかる追加コストで、信用取引の売りが買いを大きく上回った際に発生する。株高局面で空売りが増える傾向にあり、逆日歩銘柄数と日経平均のグラフを重ねるとほぼ似た動きになってきた。 この相関が、昨年11月以降崩れている。日経平均は10月末比で3000円あまり上がったが、東証上場で逆日歩が付いている銘柄数は今年1月9日時点で263と、小幅な伸びにとどまる。 松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは「足元の株高でも買い手の利益確定売りばかり。新規に売りを積み上げる動きは乏しい」と話す。 日経平均と逆方向に2倍動く野村アセットマネジメントの上場投資信託(ETF)の口数は日経平均が前回高値をつけた23年7月をピークに足元でも減少傾向にある。株高でも新たな売り手が現れず、むしろ弱気ETFへの売りが上昇に拍車をかけている。 日本株が長期低迷する局面では、上昇時に売りを出すことは合理的だった。相場の長期上昇を前提にするなら、この行動は変化する。逆張り個人が順張りに転じつつあるのは、この兆候かもしれない。2024/01/17 08:37:1248.名無しさんUylLD日本株、NISA効果みえず 個人逆張り鮮明 海外株選好2024/01/18 18:40 日経速報ニュース 東京証券取引所が18日に発表した1月第2週(9?12日)の投資部門別株式売買動向(東証と名証の合算)からは1月に始まった新たな少額投資非課税制度(NISA)による日本株への資金流入が確認できなかった。相場急伸を受け、逆張り志向が強い個人投資家の売りにかき消されたためだ。財務省が同日朝に発表した対外及び対内証券売買契約からは、外国株がNISAマネーの受け皿になっているのが浮き彫りとなった。 この週の日経平均株価は2199円69銭(6.59%)の大幅高を演じた。国内企業の資本効率改善への期待から日経平均は15日まで6連騰し33年11カ月ぶりの高値を更新した。市場では新たなNISAの開始による個人投資家の新規資金の流入が日本株を押し上げたとの指摘が多かった。 新NISAによる2024年の日本株への資金流入額を年間2兆円と試算するSMBC日興証券の安田光チーフ株式ストラテジストは、今年に日本株が堅調なスタートを切った理由の一つに新NISAによる個人投資家の買いフローが株価を押し上げた可能性が高いと指摘。年初からの動向をみるとNISAでの保有する銘柄として個人の人気が高い大型株や高配当銘柄の買いが目立った。 東証が毎週第4営業日の15時に開示する株式売買動向は、取引参加者である証券会社が執行した注文を東証に報告する際にどの属性の投資家かを申告し、東証が集計して公表している。個人投資家が新NISAの成長投資枠で現物株を買った場合、売買動向では個人の現金売買として反映される。 今回の投資部門別株式売買動向では個人投資家の売買動向がいつも以上に注目されたがフタを開けると、NISA口座を通じた個人の買いは明確に確認できなかった。1月第2週の個人の現金取引の数値をみると、8163億円の売り越しだった。14年11月第1週(9564億円)以来の大きさだった。過去に日経平均が6%上昇した22年3月第3週(2258億円の売り越し)、16年の4月第2週(2595億円の売り越し)と比べても大きい。NISAを通じた資金流入によって売越額が小さくなる可能性があったが「個人投資家の逆張りは鮮明だ」(東海東京調査センターの鈴木誠一チーフエクイティマーケットアナリスト)。株数ベースでみても同様の傾向だ。 一方、18日午前に財務省が発表した対外及び対内証券売買契約などの状況(7?13日)では一足早く新NISAの影響が見て取れた。国内投資家による海外株式への投資は7833億円の買い越しで、23年1月1?7日(8294億円)以来の大きさだった。市場でも新NISAの開始をきっかけに買いが増えたとの見方が出ている。 新NISAはまだ始まったばかりとあって定量的にNISA効果をデータで推し量ることは難しいが、来週以降の東証の投資部門別売買動向や財務省の対外及び対内証券売買契約などを通じて継続的に個人の動向を確認することが重要になりそうだ。2024/01/19 00:48:0849.名無しさんxkavV三井住友FGがグループ一体で運用業務を強化-専門人材の外部採用もhttps://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-01-24/S7QTHLDWRGG000?srnd=cojp-v2 三井住友フィナンシャルグループ(FG)は24日、資産運用業務の強化策を発表した。傘下の投資信託関連サービス会社で資産運用会社の評価や調査、投資助言などの機能を拡充した上で、運用会社と販売会社をつなぐ司令塔の役割を持たせて、グループ一体で質の高いサービスの提供を目指す。 発表資料によると、機能や体制拡充の中核となるのはFG子会社の「日興グローバルラップ」。専門人材の外部採用やグループ内からの人材活用を通じてサービスの提供体制を強化する計画。社名変更も検討するとしている。 政府は「資産運用立国の実現」を掲げ、家計金融資産を貯蓄から企業の成長投資に振り向ける流れの加速や、金融機関の資産運用力の強化を促している。既に大手銀行や証券会社は個別に具体的な方針を示しており、三井住友FGの発表もその一環と位置付けられる。 運用力強化の観点では、三井住友DSアセットマネジメントで運用チームやファンドマネジャーを外部採用する。グループ内で運用に強みを持つ人材の配置転換も行う。国内外の資産運用会社への新たな出資や提携も模索する。関連記事:野村HD、運用力向上へ1000億円超に投資拡大-新興や外資も対象MUFGが運用資産残高200兆円へ、29年度までに倍増目指す-亀澤社長みずほ、資産運用強化へ出資や買収積極化-残高10年で1兆ドル目指す2024/01/24 15:05:3250.名無しさんxkavV三井住友FG、資産運用力強化へ出資や提携機会を模索https://jp.reuters.com/markets/global-markets/DFGV7CKJYROPREBW2FHPUH67HQ-2024-01-24/[東京 24日 ロイター] - 三井住友フィナンシャルグループ (8316.T), opens new tabは24日に発表した資産運用に関するグループ戦略で資産運用力強化に向け、特色ある資産運用会社への出資や買収、提携機会を模索する方針を示した。グループの資産運用の中核を担う三井住友DSアセットマネジメントで、アクティブ運用の強化やオルタナティブ分野の新たな運用に取り組み国内資産運用に次ぐ柱の構築を目指す。 また、SMBCグループ版EMP(新興運用業者促進プログラム)を導入し、新興の運用チームやマネジャーの採用、実績がない新興マネジャーに対する資金拠出等を通じて、運用戦略の拡充を図る。 同グループは、運用会社と販売会社の間に立って、ファンドのデューデリジェンス(価値やリスクなどの調査)やモニタリング(監視)、投資見解(ハウスビュー)などを行う「ソリューションプロバイダー」態勢を整備する。昨年9月にSMFGの直接子会社へ再編した「日興グローバルラップ」をソリューションプロバイダーの中核として位置付け、新しい役割も含めた業容拡大や人材の異動を行い、社名変更も検討する。 面川秀之執行役員は「規模も大事だが、業者目線になるのではなく、顧客にどういうバリューを提供できるかという顧客目線を大事にしたい」と述べた。2024/01/24 15:09:3551.名無しさんA8EXa三井住友のOlive、クレカ複数登録可能に 中高年開拓へ2024/01/29 05:00 日経速報ニュース 三井住友フィナンシャルグループ(FG)は2024年春から個人向け金融サービス「Olive(オリーブ)」の機能を拡充する。従来のクレジットカード機能は加入時の新規発行分のみだったが、発行済みの同社と提携するクレカも登録して使えるようにする。米ビザと三井住友カードが開発した「世界初」(同社)の仕組みで、会員数の3割にとどまる中高年層の開拓を進める狙いだ。 オリーブは23年3月に始めた個人向けサービスだ。銀行とクレカなどの決済、証券、保険の取引を1つのアカウントで管理し、スマホ上で一体的に提供する。キャッシュカードを兼ねるプラスチックの専用カードを1枚発行し、クレカ、デビットカード、ポイント払いの3種の支払い手段をスマホで切り替えて使う。 スマホ上でネット証券などとも連携できる点がデジタル世代に評価され、特に初めてクレカを持つ新入社員など若者の間で裾野を広げている。足元で会員数は約170万人。23年秋時点で30代以下が7割を占め、40代以上は3割にとどまる。 中高年世代など既存の使い慣れたクレカを複数枚持つ顧客からは、オリーブを使いたくても既存のカードと連携できない点で不満の声もあった。オリーブで使えたのは加入時に新規発行したカードのみで、過去に作ったクレカはオリーブでは使えず、財布に入れて持ち歩く必要があったためだ。 24年春からはオリーブとは別に使っていた既存のクレカも登録できるようにする。利用者が持ち歩くのはオリーブの専用カード1枚で、決済前にスマホで番号を切り替えれば、登録した複数のクレカで決済できるようにする。提携企業のブランドで発行するクレジットカードや、企業の経営者が使う法人用クレカを5種類まで登録できる。追加できるカードは大きく分けて2つある。一つは三井住友カードが提携企業のブランドで発行する提携カードだ。同社のホームページによれば現在「ANAカード」や「JR東海エクスプレス・カード」をはじめ、交通機関や小売店など向けに約300種の提携カードがある。どの提携カードをオリーブ上で使えるようにするかは未定という。 提携カードは、提携先の商品購入やサービス利用でポイントがたまるなど優遇を受けられる場合が多い。三井住友FGの「Vポイント」がたまる提携カードもある。 もう一つは、三井住友カードが発行している法人代表者や個人事業主向けの法人カード「ビジネスオーナーズ」だ。日本クレジット協会によると、国内の法人カードの発行枚数は23年3月時点で1201万枚と5年前に比べて2割増えた。商取引の仲介や経費精算で需要が増えている。オリーブと連携すれば利便性の面で競合と差別化できる。 オリーブは、プラスチックのカード1枚でスマホ上で決済手段を切り替えられる「フレキシブルペイ」と呼ばれるシステムを採用している。ビザと三井住友カードが開発した世界初の機能という。 ビザのネットワーク上でクレカの番号などを切り替える仕組みで、ビザ・ワールドワイド・ジャパンのシータン・キトニー社長は「(フレキシブルペイを)日本で導入してから他国でも非常に関心が高くなっている。他の市場でも拡大していきたい」と話す。三井住友カードには欧州の金融機関などがオリーブの視察に訪れているという。 リテール分野は楽天銀行の口座数が1500万をうかがう水準まで増えるなどフィンテックとの競争が激しさを増している。三井住友FGは昨年2月、オリーブの目標を「5年で1200万アカウント」としていた。目標を達成するには単純計算で年平均240万人を獲得する必要がある。 三井住友カードの大西幸彦社長は日本経済新聞の取材に「オリーブは毎年バージョンアップをしていきたい。(経験則として)過去の新型カードも2年目以降で獲得ペースが上がっており、オリーブも今後加速するだろう」と話す。2024/01/29 06:18:4152.名無しさんA8EXa三井住友系、カナダ年金大手と新ファンド 航空機投資で2024/01/29 18:52 日経速報ニュース 三井住友フィナンシャルグループ(FG)が出資する航空機リースのSMBCアビエーションキャピタル(AC)は29日、カナダの年金基金大手のケベック州貯蓄投資公庫(CDPQ)と共同で航空機向けに投資するファンドを立ち上げたと発表した。自己資金による投資を抑え、外部の資金で航空機の管理・運用台数を増やす。 SMBCACは三井住友ファイナンス&リース(FL)と三井住友銀行が出資する世界2位の航空機リース会社だ。投資額の目標は3年間で15億ドル(約2200億円)で、30機弱の購入額に相当する。 CDPQが新ファンドの資金の大半を出し、SMBCACが機体の発注や管理などを担う。環境性能が高い中型機を中心に投資するという。 航空機は1機あたり数十億?数百億円と高額で、自己資金での投資には限界がある。年金基金など投資家から資金を集めて機体を購入すれば、資産を膨らませずに航空機リース事業を拡大できる側面がある。三井住友FG・三井住友銀行・三井住友FL、傘下の航空機リース会社がカナダCDPQと航空機投資合弁会社を設立2024/01/29 17:40 日経速報ニュース 1212文字【プレスリリース】発表日:2024年01月29日SMBC Aviation CapitalによるCDPQとの航空機投資合弁会社の設立について 株式会社三井住友フィナンシャルグループ(執行役社長グループ CEO : 中島 達、以下、当社グループを総称して「SMBCグループ」)、株式会社三井住友銀行(頭取 CEO : 福留 朗裕)、および三井住友ファイナンス&リース株式会社(代表取締役社長 : 橘 正喜)は、傘下の航空機リース会社SMBC Aviation Capital Limited(CEO : Peter Barrett、以下「SMBC Aviation Capital」)が、カナダの年金基金のケベック州貯蓄投資公庫(以下「CDPQ」)と、航空機投資に係る合弁会社を設立したことをお知らせいたします。 SMBC Aviation CapitalとCDPQはMaple Aircraft Company Holdings Limited(以下「Maple社」)を設立し、Maple社およびその傘下の子会社において、燃費効率の高い次世代型の航空機に特化して投資およびファイナンスを行います。投資金額は、3年間にわたり年間5億米ドル、合計15億米ドルを目標とし、SMBC Aviation Capitalが航空機の調達および管理などを実施いたします。 SMBCグループでは、機材数ベースで世界第2位の航空機リース会社であるSMBC Aviation Capitalによる上述の取り組みを通じて、引き続き、世界の航空会社に対して主に航空機のセールアンドリースバックによる資金調達ソリューションを提供していきます。さらに、今後は、グループが有するオルタナティブ資産を活用し、お客さまの投資ポートフォリオの多様化にも貢献する方針です。 今後とも、航空機を含むオルタナティブ資産への投資に係る施策を強化し、海外で培った経験を活かして、日本の投資家に魅力を感じていただける投資機会を提供していきます。【SMBC Aviation Capitalの概要】 ・社名 : SMBC Aviation Capital Limited ・本社 : アイルランド・ダブリン ・設立年 : 2001年 ・事業内容 : 航空機オペレーティング・リース ・総資産 : 236億米ドル(2023年9月現在)【CDPQの概要】 ・社名 : CDPQ ・本社 : カナダ・ケベック州 ・設立年 : 1965年 ・事業内容 : 公的年金制度、保険基金の投資・管理 金融、プライベートエクイティ、インフラ、不動産、プライベートファンド等の分野へ投資 ・純資産 : 4,242億カナダドル(2023年6月現在) ※SMBCグループの資産運用ビジネスに関する対応方針はこちら https://www.smfg.co.jp/news/pdf/amsp.pdf2024/01/29 23:44:4753.名無しさんMxIcq自社株買い最高9.6兆円 昨年、東証改革追い風 余剰資金を積極還元2024/01/31 日本経済新聞 朝刊 上場企業が自社株買い(総合2面きょうのことば)を拡大している。2023年の取得枠は約9兆6000億円と2年連続で過去最高となった。余剰資金を株主に積極的に還元している。東京証券取引所が企業に資本効率の改善を要請したことも背景にあり、足元の株高の要因になっている。 自社株買いは企業の株式数を減らし、自己資本利益率(ROE)やPBR(株価純資産倍率)など財務指標の改善につながる。配当よりも機動的に実施でき余剰資金を株主還元に回しやすい。以前は株高局面で一服することが多かったが、足元でも活発な動きが続く。 日本経済新聞が上場企業の自社株取得枠を取締役会決議日ベースで集計したところ、23年は9兆6020億円と前年から1350億円増えた。増加は3年連続。取得枠を設定した企業数は延べ1033社と2年連続で1000社を超えた。 目立つのはPBRが相対的に低い企業だ。三菱商事は計4000億円の自社株を取得した。25年3月期までの3年間で配当と合わせ1兆5000億円以上を株主に還元する方針を掲げる。PBRは22年末の0.78倍から1.1倍台に上昇した。伊藤忠商事も計1250億円を取得した。 ホンダは前年比2.7倍の2700億円の自社株買いを実施した。自動車生産の回復で手元資金が急増している。2000億円規模の自社株買いについて「短中期的な観点からは今後もあり得る」(青山真二副社長)と話す。PBRは22年末の0.4倍台から0.6倍台に上昇した。 大株主の放出する政策保有株の吸収を狙った自社株買いも多い。リクルートホールディングスは大日本印刷とTOPPANホールディングスの株式売り出しに合わせ、約1100億円の自社株買いを実施した。KDDIはトヨタ自動車から約2500億円で自社株を取得した。 企業が自社株買いを積極化するのは、余剰資金が膨らんでいるためだ。上場企業(金融などを除く3月期決算)の23年9月末の手元資金は101兆円、自己資本比率は43%といずれも過去最高水準となった。株主還元を厚くしており、23年の自社株買いと配当の合計は約28兆円、純利益に対する割合は5割強に上る。 東証のPBR改革も後押ししている。1月からは資本コストや株価を意識した経営に取り組んだ企業の開示が始まった。大和総研の鈴木裕主席研究員は「企業は対応を迫られており、自社株買いの動きは今後も強まるだろう」と指摘する。 市場への自社株の再放出懸念を払拭しようと、取得した自社株を消却する動きも広がる。23年は過去最多の324社が消却した。日産自動車は23年12月に自社株買いした2億1100万株(発行済み株式総数の5%)を消却した。 半面、株主還元以外にも資金を振り向けるべきだとの指摘は多い。企業の投資行動には慎重姿勢が見られ、政府は1月の月例経済報告で国内の設備投資の判断を「持ち直しに足踏みがみられる」と据え置いた。人材の確保を含め、持続的な成長につながるような資金の活用も課題となる。2024/01/31 06:28:2754.名無しさんPzF89米 経営破綻の銀行買収の銀行持ち株会社 3か月間決算 最終赤字2024年2月1日 11時22分去年3月の金融不安で経営破綻したアメリカの銀行の預金の一部などを引き継いだ、銀行の持ち株会社、ニューヨーク・コミュニティー・バンコープの去年12月までの3か月間の決算が最終赤字に陥りました。企業の貸し倒れに備える費用が増えていることが主な要因で、株価が急落するなど経営に懸念が出ています。ニューヨーク・コミュニティー・バンコープは、去年3月の金融不安で経営破綻したアメリカの銀行、シグネチャーバンクの預金と資産の一部を買収したフラッグスターバンクを傘下におく銀行持ち株会社です。31日、去年10月から12月までの3か月間の決算を発表し、最終的な損益は2億5200万ドルの赤字、日本円でおよそ370億円の赤字と最終赤字に陥りました。今回の決算では企業の貸し倒れに備える費用が前の年の同じ時期の4.4倍に急増したことが最終赤字につながりました。決算を受けて31日のニューヨーク株式市場ではこの銀行持ち株会社の株価が終値で37%の急落となり、経営に懸念が出ています。2024/02/01 13:03:0555.名無しさんjNzx5インフラ老朽化問題 大手6社が共同で自治体支援の新事業開始へhttps://www3.nhk.or.jp/news/html/20240205/k10014347271000.html橋や水道などのインフラの老朽化が全国各地で課題となる中、JR西日本やNTTグループ、メガバンクなど大手6社が共同で自治体を支援する新たな事業を始めることになりました。複数の自治体の連携を促し、資金調達なども支援します。高度成長期に作られた橋やトンネル、水道などのインフラの老朽化が全国各地で課題となり、国土交通省は2048年度までの30年間で全国のインフラの維持管理や更新に最大で284兆円のコストがかかると試算しています。こうした中、関係者によりますと、JR西日本、NTTコミュニケーションズ、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行、それに日本政策投資銀行の6社は、近く業務提携を結び、自治体を支援する新たな事業を共同で始めることになりました。デジタル技術を活用した効率的な施設の点検や、大規模な修繕や更新に必要となる資金調達を支援します。さらに、人口の減少が進む地域で、インフラの集約に向けて複数の自治体が連携する提案や調整などを行うということです。6社は、インフラの更新や管理などを総合的に支援する“プラットフォーマー”と事業を位置づけ、今月中に事業を開始する見通しです。2024/02/05 08:53:2156.名無しさんo8UXy三井住友カードとGMO系、後払いで新サービス きょう開始2024/02/07 日本経済新聞 朝刊 三井住友カードとGMO系2社は6日、クレジットカードを使わない後払い決済「バイ・ナウ・ペイ・レイター(BNPL)」サービスを7日から始めると発表した。BNPLはネット通販での利用が一般的だが、QRコードを使って店頭でも使えるのが特徴だ。 会員登録すると6回まで手数料無料で分割払いもできる。将来は三井住友カードのポイントとの連携も視野に入れる。 新サービスの名称は「アトカラ」で、2種類のBNPLを提供する。1つ目は会員登録不要の決済だ。電話番号とメールアドレスの入力のみで使える代わりにネット通販での利用限定で、分割払いもできない。上限は5万5000円とする。 2つ目は事前に会員登録と審査をしたうえで利用するBNPLだ。三井住友カードの決済端末を置く店頭でQRコードによる後払い決済ができるほか、最大36回まで分割ができる。分割手数料は6回まで無料となる。2024/02/07 06:30:3557.名無しさんN3opi三井住友銀、マイナカードで口座開設 大手行で初2024/02/08 日本経済新聞 朝刊 三井住友銀行は7日、マイナンバーカードの読み取りでオンライン口座開設時の本人確認ができるようにしたと発表した。従来は運転免許証や顔写真の撮影が必要だったが、スマートフォンでマイナカードのICチップを読み取って本人確認を完了する。まずスマホ上の総合金融サービス「Olive(オリーブ)」で導入した。 マイナカード読み取りによる口座開設は大手銀行で初。ICチップの読み取りとパスワードの入力で本人確認を済ませられる。氏名や住所、生年月日などの情報もマイナカードから自動で読み取るため、手作業による個人情報の入力も一部省略できる。 従来、口座開設などをオンラインでする場合、顔写真や本人確認書類をスマホなどで撮影するのが一般的だった。撮影の手間がかかるほか、本人確認書類の偽装の懸念があった。政府は銀行口座の開設に関する本人確認をマイナカードに集約し、運転免許証などの手法は廃止する方針を示していた。 三井住友フィナンシャルグループ(FG)子会社で電子本人確認システムを手掛けるポラリファイの公的個人認証サービスを使う。今後、オリーブ以外のグループの金融サービスでもマイナカードを利用した本人確認システムの導入を検討する。2024/02/08 06:15:2558.名無しさんHEfLuKDDIとローソン、楽天経済圏追う ポンタは「絶対強化」2024/02/12 05:00 日経速報ニュース KDDIがローソンをグループに引き入れる。両社が運営面で協力してきた共通ポイント「Ponta(ポンタ)ポイント」は楽天グループなどに押され気味で、4月には新生「Vポイント」も誕生する。KDDIは出遅れた経済圏の巻き返しに向け、カギとなるポンタをどうテコ入れするのか。推測する上で参考になりそうのは、ある競合の動きだ。 KDDIはTOB(株式公開買い付け)によりローソン株を追加取得し、同社への出資比率を三菱商事と同率の50%に高める。約5000億円の投資額はKDDIのM&A(合併・買収)として最大規模だ。 50%出資の狙いとは その理由を同社首脳は「意思決定を早くしたかった。だから数パーセントではなく50%出資することにした」と説明する。どういうことか。 KDDIはローソンの店舗を「未来のコンビニの実験場」と位置づけ、通信サービスと結びつけたオンライン接客や在庫管理で店舗運営の効率化を目指す。今回のTOBの狙いは店舗の収益力改善にとどまらない。 視線の先にあるのが、通信サービスを軸に金融や決済、電子商取引(EC)などで構成する「au経済圏」の拡大だ。経済圏にコンビニを組み込み、先行する「楽天経済圏」を追撃する。 通信大手で全国展開する小売りチェーンをグループ内に置くのはKDDIだけ。50%を出資して店舗運営への発言力を高められれば、au経済圏の活性化に向けた施策を試しやすくなる。岩井コスモ証券の川崎朝映氏も「強いリアルの売り場であるコンビニを持てば他のキャリア系経済圏との違いを打ち出せる」とみる。 ポンタ、今は4位 「絶対に強化する。核になるからね」。KDDI首脳が重視するのがポンタだ。決済のたびにたまる共通ポイントは経済圏への集客に欠かせず、その強さが経済圏の規模を左右する。 ポンタは共通ポイントの中では古株ではあるが、PayPayや楽天が加わった5陣営時代での存在感はそれほどではない。急成長したのがソフトバンク子会社のPayPayだ。22年度のポイント発行額は6000億円相当と楽天ポイントの6400億円相当に迫り、「2強時代」となった。 MMD研究所(東京・港)が7日公表した調査によると、「最も活用しているポイント」として楽天ポイントを上げたのは回答者の34%と最多だった。2位はNTTドコモの「dポイント」(14%)、3位は「PayPayポイント」(12%)で、ポンタは8%と4位に沈む。 同調査では「最も意識しているポイント経済圏」も聞いた。こちらはau経済圏との回答は8%にとどまり、携帯4社のうち最下位だった。首位の楽天経済圏(46%)、PayPay経済圏(18%)、ドコモ経済圏(16%)の背中は遠い。 4月22日には新たな競合も誕生する。「Tポイント」と三井住友フィナンシャルグループのポイントを統一した新生「Vポイント」だ。金融や決済との連携が弱点だったTポイントがクレジットカード「三井住友カード」などと連動するようになり、競争は一層激化する。 PayPayは100億円キャンペーンで顧客拡大 ポンタはどう勝算を描くのか。推測する上で参考になるのが後発ながら強力な還元策で利用者を増やしたPayPayだ。 サービス開始とともに還元総額100億円のキャンペーンなど展開し、ブランドの認知度を高めてきた。19年5月にはソフトバンクグループがPayPayへの460億円の出資を発表し、ソフトバンクも携帯販売で高い実績を持つ営業部隊も投入して全国でPayPay加盟店を開拓してきた。 グループ一丸で支援したからこそ、5年で決済の利用者数は6000万人超にまで増えた。 KDDIやローソンもポンタの利用を伸ばすには、人・モノ・カネ全てで投資が必要となる。KDDIの投資余力は十分だ。安定した通信収入を支えに営業キャッシュフローは17年3月以降、毎年1兆円を超える。現金及び現金同等物も23年12月末で6235億円あり、還元キャンペーンなどをしかけられる体力はある。 株式市場の見方は厳しく、今回のTOBについて「戦略的な合理性は理解しにくい」(証券アナリスト)との声もある。KDDI株はTOB発表翌日の7日終値で4599円と6日比で2%下がった。日経平均株価が34年ぶりの高水準をつけた9日終値も4467円とさえない。 au経済圏でローソン店舗をどう使い、ポンタを活用するのか。ドコモがマネックス証券子会社化を発表するなど消費者の囲い込みを急ぐ中、KDDIも早急に具体策を示す必要がある。【関連記事】・NTT社長、ローソンでのdポイント・d払い「今後も継続」・ローソン、歴史を繰り返すな 既視感のあるKDDI会見・KDDIがローソンにTOB、5000億円 三菱商事と共同経営2024/02/12 07:15:5359.名無しさん7RJ3K新NISA口座、開設ペース2倍に 9割超がネット証券で2024/02/13 05:00 日経速報ニュース 1月に始まった新しい少額投資非課税制度(NISA)の口座開設が加速している。主要証券会社19社の1月末時点のNISA口座数は合計で約1530万口座と新NISA開始後の1カ月間で4%増えた。開設ペースは直近3カ月間の平均の2倍に達し、増加分の9割をネット証券が占めた。 2月13日は語呂合わせで「NISAの日」で、日本証券業協会や日本取引所グループ(JPX)などが東京都内で記念イベントを予定している。 日本経済新聞社が集計したところ、証券19社のNISA口座数は2024年1月の1カ月間で差し引き約64万口座増えた。23年10?12月の3カ月間の増加数が約87万で、この間の1カ月平均の2倍のペースで伸びたことになる。 口座開設は新NISA開始前から増えており、23年10?12月の増加数も前四半期より2割多かった。旧制度で開設すれば24年1月から同じ金融機関で自動的に新NISA口座となるため駆け込みでの開設が増えた。 1月の増加数のうちネット証券5社(楽天、SBI、マネックス、auカブコム、松井)で約60万と全体の9割強を占めた。大手証券5社(野村、SMBC日興、大和、みずほ、三菱UFJモルガン・スタンレー)は約3万4000、東海東京証券など準大手・中堅9社は合計でも約7000で、ネット証券の優位が鮮明だ。 1月末時点のNISA口座数全体のうち、ネット5社は1100万と全体の7割強にのぼる。最も多いのが楽天証券で524万口座だった。 大手証券でも新NISAの利用は広がる。野村証券ではNISA口座を通じた株式や投資信託の買い付け額が1月26日までの1カ月弱で、23年通年の買い付け額の3分の1以上に達したという。 野村ホールディングスの北村巧財務統括責任者(CFO)は「新NISAをきっかけに、個人の『貯蓄から資産形成』の流れが本格的に始まった」と話す。 口座開設の急増で主にネット証券ではコールセンターに問い合わせが殺到している。松井証券では着信に対する応答率が平常時は9割を超えるが、足元では6?7割に下がっている。他のネット証券大手でも年明け以降、コールセンターがつながりにくい状態が続く。税務署審査を含めて開設までに3週間程度かかる場合もあるという。 ネット証券各社はNISA口座での売買手数料を無料にしている。投資初心者の心理的ハードルを下げるため旧NISA当時から無料化し、移行後も顧客をつなぎとめるため無料を維持した。このため口座数の増加が証券会社の収益に結びつきにくくなっている。 国内で長期投資を根付かせるには、個人の資産形成を支える金融機関が持続的に稼げる収益構造の構築も求められる。【関連記事】・株暴落時に真価、新NISAで始まる家計革命・新NISA1カ月、オルカン3400億円流入 海外熱は為替材料2024/02/13 08:38:4960.名無しさん7RJ3K新NISAで1.8兆円流入、旧制度の3倍ペース 過半は投信2024/02/13 11:30 日経速報ニュース 新しい少額投資非課税制度(NISA)開始から1カ月が経過し、対面・ネット証券10社の口座を経由した購入額が合計で1兆8000億円を超えた。単純比較はできないが、旧NISAの3倍ペースの資金流入を記録した形だ。購入総額の過半は投資信託で、米国など世界の株式に投資する商品に人気が集中している。若い世代や投資初心者を中心に投信の積み立てが広がりつつある。 ネット証券5社(SBI、楽天、マネックス、松井、auカブコム)と、対面中心の大手証券5社(野村、SMBC日興、大和、みずほ、三菱UFJモルガン・スタンレー)に、NISA口座を使った1月の投資状況を聞き取りした。 24年1月に始まった新NISAは個別株と投信を購入できる「成長投資枠」と、投信を毎月積み立てる「つみたて投資枠」の二本柱からなる。購入可能額は2つの枠を合計した年間360万円に拡大した。非課税で運用できる期間も恒久化され、個人投資家は長期の資産形成がしやすくなっている。 新NISA口座を通じた購入額は証券10社合計で1兆8413億円に膨らんだ。単純比較はできないが、日本証券業協会が集計した会員証券会社経由の23年1?3月期の購入額は1兆8625億円(旧NISAの「つみたて」と「一般」の合算)だった。新制度開始からわずか1カ月で旧制度3カ月分の購入額にほぼ並んだ。 証券各社には投信と個別銘柄(上場投資信託=ETF、不動産投資信託=REIT=を含む)の内訳も聞いた。投信の購入額は合計で9788億円で全体の53%を占め、個別銘柄の購入額(8643億円)を上回った。若い世代の利用が多いネット証券のみで集計すると、投信の購入比率は6割近くに高まった。一方、中・高齢者層の顧客が多い対面証券では7割が個別株だった。 新NISA開始で投信を毎月一定額積み立てる層が広がっている。524万のNISA口座を抱える楽天証券では1月末時点の投信積み立て設定額が1773億円となり、前年同月に比べて75%増えた。1人当たりの平均積み立て設定額も同44%増の5万757円に拡大したという。 若い世代や投資初心者ほど投信を選ぶ傾向が強い。これから投資を始める30代の女性は「最初から個別株をうまく選べるとは思えず、とりあえず全世界株式型の投資信託から始める予定」と話す。楽天証券によると新NISA口座開設者のうち半数は30代以下が占める。女性の比率も5割を超える。2024/02/13 12:44:3661.名無しさん7RJ3K NISA経由の投信購入には偏りがある。購入金額ランキング1位は三菱UFJアセットマネジメントが運用する「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の3142億円、2位は同じシリーズの「米国株式(S&P500)」の2465億円だった。上位10本の購入総額7858億円で、投信購入額全体の8割を占める。 投信購入ランキング上位10本のうち9本が全世界株や米国株で運用する指数連動型の商品だった。つみたて投資枠で買える投信は約270本、成長投資枠で買える投信は約2000本あるが、個人マネーの流入は一握りの低コスト投信に限られている。日本株ファンドや高い収益を狙うアクティブ投信は人気薄だ。 個別株でも新NISA経由で買われた銘柄は一部に集中している。個別銘柄を買い付け額順に並べると上位10銘柄の買い付け額は計2114億円で、個別株の買い付け額の25%を占める。上位はJTやメガバンクなどの高配当銘柄が占め、新NISAを見据えて1株を25分割したNTTは4位だった。 NISA経由の購入では業績や株価の安定成長が見込める高配当銘柄が好まれる。NISA口座内で損失が発生しても、他の証券口座と損益通算や繰越控除ができないからだ。東海東京調査センターの鈴木誠一チーフエクイティマーケットアナリストは「旧NISAで人気だった銘柄に引き続き買いが集まっている」と指摘する。 個人投資家全体でみると日本株売りが優勢だ。東京証券取引所が発表した1月の投資部門別株式売買動向によると、個人は9370億円の売り越しとなった。旧NISAで個別株投資を始めた30代の女性は「年初から株高だったので保有株を一部売却した」と明かす。新NISAになってから新規投資は控えているものの、相場下落局面では「保有銘柄数を増やしたい」という。 市場関係者が注目するのは2月以降の個人マネー流入ペースだ。例年1月はNISA経由の投資額が膨らみやすい。個人は冬のボーナスで投資に使える余裕資金が多いほか、年初に限度額いっぱいまで投資する層が存在するからだ。 一方で年明け以降もNISA口座の新規開設ペースは衰えていない。業界内では「NISAを使って初めて投資をする人が入ってくるのはこれから」(松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリスト)との見方もある。【関連記事】・新NISA口座、開設ペース2倍に 9割超がネット証券で・新NISA始動 投資戦略に役立つ注目記事7本2024/02/13 12:46:2562.名無しさん1rTlD日本株投信に資金流入、高配当株ファンドが人気-投信ランキング2024/02/19 12:00 日経速報ニュース 新しい少額投資非課税制度(NISA)を追い風に、年明けから投資信託への資金流入が急増している。国内公募の追加型株式投信(上場投資信託=ETF=を除く)の2024年1月の資金流入額(推計値、以下同)は1兆2794億円と、16年5カ月ぶりの高水準だった。 資金流入額の多さでみるとタイプ別では海外株式型に人気が集中しているが、堅調な日本株相場を背景に1月は国内株式型にも約1300億円の資金が集まった。そこで、国内株式型ファンドを対象に資金流入額が多い順にランキングしてみた(図表参照)。 資金流入額のトップは、SBI岡三アセットマネジメントの「日本好配当リバランスオープン」で286億円だった。同ファンドは日経500種平均株価採用銘柄の予想配当利回り上位70銘柄程度に等金額で投資し、組み入れ銘柄や比率を毎月調整しながら運用する。運用実績が18年を超える長寿ファンドだが、足元で相対的な好成績が目立ち、昨年初めごろから資金流入額が増加傾向にある。運用規模を適正に維持するため、24年2月7日を最後に新規購入申し込みの受け付けを一時停止した。 このほか、3位にSBIアセットマネジメントが運用する「SBI日本高配当株式(分配)ファンド(年4回決算型)<愛称:SBI日本シリーズ-日本高配当株式(分配)」、4位に野村アセットマネジメントの「日本好配当株投信」、5位に三菱UFJアセットマネジメントの「日経平均高配当利回り株ファンド」など、ファンド名に「高配当」や「好配当」とつくファンドが並んだ。 明治安田アセットマネジメントが1月31日に運用を始めた7位の「岐阜・愛知地域応援ファンド<愛称:ノブナガファンド>」も、岐阜県と愛知県に関連する企業の株式に高配当株を組み合わせて投資する。 上位10本のうち3本は1月に新規設定されたファンドだった。10本中の8本はアクティブ型(積極運用型)で、残り2本がインデックス型(指数連動型)。新しいNISAの投資枠で区分すると、上位10本はいずれも成長投資枠の対象となっており、このうち3本はつみたて投資枠でも購入できる。2024/02/19 12:06:4463.名無しさんkPL4j銀行資金運用、見直し着手か マイナス金利解除にらみ 当座預金への適用膨らむ2024/02/20 日本経済新聞 朝刊 日銀による早期のマイナス金利解除を見越し、大手銀行が水面下で資金運用の見直しの検討を始めた。これまで「ゼロ」が続いてきた大手銀行の当座預金残高に連続してマイナス金利が適用されたためだ。市場では銀行の意図を探る動きが活発になっている。 日銀は2016年2月にマイナス金利政策を導入した。金融機関が日銀に預けている当座預金を(1)0.1%の金利が付く基礎残高(2)ゼロ金利のマクロ加算残高(3)マイナス0.1%の金利が付く政策金利残高――の3階層に分け、(1)(2)を上回る(3)の部分にマイナス金利を課す仕組みだ。 顧客から巨額の運用資金を預かる信託銀行や外国銀行などがマイナス金利の適用を受けてきた。一方、大手銀は余剰資金を海外での投融資に振り向けるなど工夫を凝らして日銀にあずける当座預金へのマイナス金利適用を免れてきた。 日銀関係者は「大手銀は少しくらい損失が出ても無理してマイナス金利の適用を避ける資金運用をしてきた」と話す。実際、21年12月に三菱UFJ銀行、22年7月にみずほ銀行がマイナス金利の適用を受けたほかは、導入当初を除き適用残高はほぼゼロが続いてきた。 潮目が変わったのは23年10月だ。1年3カ月ぶりに大手銀全体で2000億円強の預金にマイナス0.1%が適用された。さらに11月に約5700億円、12月には過去最大の約3兆1600億円まで適用額が膨らんだ。 直近1月には再び大手銀のマイナス金利適用額はゼロに戻ったが、これまでなかった事態に市場関係者の間で複数の見立てがささやかれている。 一つは市場環境の変化だ。余剰資金の運用先である短期国債金利は海外投資家の取引が活発化した23年12月にマイナス0.2%程度まで沈む場面があった。市場で運用するより日銀に預けてマイナス0.1%を課された方が合理的と判断したとの見立てだ。 もう一つがマイナス金利政策の解除をにらんだ動きとの見方だ。日銀の内田真一副総裁は8日の講演でマイナス金利政策導入前の当座預金に言及した。当時は法定枠を超えた超過準備分に0.1%の金利をつけていた。 当時の枠組みに戻すとすれば、銀行は当座預金に預けるほど日銀から金利収入を得られることになる。ある証券会社のトレーダーは「当座預金にあらかじめ多めに資金を積み、マイナス金利解除後の運用を有利にしたかったのでは」とよむ。 足元で金利は上昇傾向にある。BNPパリバ証券の河野龍太郎氏は「政策修正も意識され、金利変動リスクを避ける意図もあったのでは」と指摘する。あるメガバンク関係者は「マイナス金利がなくなれば銀行の運用の姿は大きく変わる」と話す。大手銀の資金運用で起きている異変は、8年間続いた異例な政策が終わりに近づいていることと無縁ではなさそうだ。2024/02/20 06:55:5564.名無しさん1POvO日経平均のけん引役、ゴールドマンが選んだ「七人の侍」2024/02/20 12:56 日経速報ニュース 20日午前の東京株式市場で日経平均株価は小幅に続落した。半導体関連株の過熱感を意識した売りは重荷だが、バリュー(割安)株への買いが続き下値は限られた。ゴールドマン・サックス証券はこのほど、米国の「マグニフィセント7(壮大な7銘柄、M7)」と呼ばれる大型テック株に相当する日本の7銘柄「セブン・サムライ(七人の侍)」を選定した。日本企業の資本効率改善への期待が相場を支え、日経平均の最高値更新への素地が整いつつある。 前日の米市場がプレジデントデーの祝日で休場とあって手掛かり難のなか、午前は年初からの日本株の上昇をけん引してきた一部の半導体株の売りが日経平均を下押しした。前引けは前日比31円74銭(0.08%)安の3万8438円64銭だった。 日本株の先高観は引き続き支えとなり、上げ幅を200円超に広げる場面もあった。トヨタ自動車が上場来高値を更新し、三菱UFJフィナンシャル・グループは17年ぶりの高値となる1500円台に上昇した。市場では「21日の米半導体大手エヌビディアの決算発表を控えてハイテク株は手掛けづらく、当面バリュー株物色が続きそうだ」(国内証券)との声が出ている。 ゴールドマンは18日付で、SCREENホールディングス、アドバンテスト、ディスコ、東京エレクトロン、トヨタ、SUBARU、三菱商事の7銘柄を黒沢明監督の世界的に有名な映画になぞらえて「七人の侍」として暫定的に選んだ。流動性の高い銘柄を対象に、年初来と過去12カ月の株価のパフォーマンスが良好で、2020年以降営業赤字や最終赤字に陥っていない企業が条件だ。この銘柄の中では、スクリンが午前に一時4%高まで上昇した。 日本企業の資本効率の改善に対する投資家の期待は高い。東京証券取引所は1日に、「資本コストや株価を意識した経営」について、国内外の投資家から支持を得た取り組みの事例集を公表。「七人の侍」に含まれる三菱商や三菱UFJなど29社が取り上げられた。東証が上場企業に取り組みを要請した23年3月から昨日までの株価の騰落率を調べると、事例集の29社は単純平均で49%の上昇だ。同期間の日経平均(約37%)や東証株価指数(TOPIX)(約32%)を大幅に上回る。 政策保有株の縮減も進みつつある。総合物流のセンコーグループホールディングスは19日、MS&ADインシュアランスグループホールディングス傘下のあいおいニッセイ同和損害保険や、三菱UFJ傘下の三菱UFJ銀行、三井住友フィナンシャルグループ傘下の三井住友銀行などが保有株を売り出すと発表した。 金融庁は株式の持ち合いを通じた企業とのもたれ合いが不正の温床になったとして損保各社に売却の加速を求めた。野村証券の池田雄之輔チーフ・エクイティ・ストラテジストらは16日付のリポートで「金融庁からの働きかけの有無にかかわらず、銀行は今回の件を理由に政策保有株の売却を加速させる可能性が考えられる」と指摘していた。 ゴールドマンのブルース・カーク氏らはリポートで、2020年3月以降の株価の変動要因を分析し、米国の「M7」が売上高の拡大であるのに対し、日本の「七人の侍」は「ほとんどが利益率とPER(株価収益率)の拡大によるもの」と指摘した。あらゆるコストを削って利益を確保するのは日本企業の「お家芸」ではあるが、ここまでの上昇は長年割安に放置された日本株の見直し買いにすぎないとも言える。 日経平均の史上最高値(3万8915円)の更新は間近に迫りつつある。4万円超えの市場予想も増えている。上値追いには効率を追うだけでなく、米国のように売上高や利益の「規模」の拡大も必要になってくるだろう。2024/02/21 06:13:5465.名無しさんeiSzo三井住友FL、リース用ヘリ21機取得へ 災害・救助需要見込む2024/02/22 日本経済新聞 朝刊 リース大手の三井住友ファイナンス&リース(FL)は出資先を通じてリース用ヘリコプター21機を取得する。購入総額は500億円強とみられる。主に医療現場での救急搬送や災害救助用としてリースする。安定した需要拡大が見込める分野とみて、世界で事業を拡大する。世界のリース業界でも最大規模の発注になるとみられる。 三井住友FLが35%出資するLCIインベストメンツと、三井住友FLとLCIが共同出資するSMFLLCIヘリコプターズ(SMFLH)が取得する。28年までに順次引き渡しとなる。 取得する機体の大半は中型機だ。地方自治体や医療現場での利用を想定する。欧州やアジアを中心に医療現場や災害救助でヘリの活用が増えているが、1機あたり十数億円と高額なため、自前で購入するのが難しい自治体も多い。初期投資を抑えられるリースの需要が増えるとみている。脱炭素に向けて新設が進む洋上風力発電所の保守管理用に、準大型機も数機購入する。 購入の原資は銀行借り入れでまかなう。社会課題の解決に資するソーシャルローン(社会的融資)の枠組みを使った資金調達を想定する。通常の借り入れと比べて低い金利で調達することができる。2024/02/22 06:06:3966.名無しさんAgVVV消費者物価は22カ月連続で日銀目標2%水準を維持、正常化後押しhttps://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-02-26/S7FV4WT0AFB4002024/02/27 10:54:4667.名無しさんU4umQ大手銀、日銀からの利息収入に照準 マイナス金利解除で2024/03/03 05:00 日経速報ニュース 日銀が金融機関からお金を預かる当座預金の構造をマイナス金利前に戻す案を検討している。マイナス金利の解除後に当座預金の大半に金利がつく公算が大きい。大手銀行は資金運用の見直しに着手しており、日銀当座預金の積み増しに動く方向だ。金融機関が日銀にお金を預けるほど「ペナルティー」として利払いを課されてきた現在の構造は転換することになる。 「2%の物価目標の実現が視野に入ってきている状況だ」。日銀の高田創審議委員が2月29日の金融経済懇談会でこう述べたことで、3月か4月のマイナス金利解除の観測が大きく強まった。 銀行はマイナス金利解除後をにらんだ資金運用の見直しに水面下で動き始めている。「当座預金に多く預けるというインセンティブは働きやすくなる」(大手銀幹部)。大手短資会社幹部は「銀行が資金調達に積極的になり、国債購入で余った資金を当座預金に積む構図が加速する」と指摘する。 金融機関は資金決済を行うため日本銀行に当座預金口座を開設し、資金を預けている。日銀はいわば銀行の銀行といった位置づけだ。 日銀は2016年、その当座預金の一部にマイナス金利を課す仕組みを導入した。当座預金を①マイナス0.1%の金利(ペナルティー)が付く政策金利残高②金利0%のマクロ加算残高③金利0.1%の基礎残高の3階層に分けている。 金融機関は多額のお金を預けて政策金利残高の層まで積むと、日銀にお金を支払う必要があるのが今の構造だ。しかし、市場には日銀が大半の当座預金に金利をつけた昔の構造に戻すとの見方が広がる。内田真一副総裁が2月上旬の金融経済懇談会で「仮にこの状態に戻すとすれば」とし、16年2月のマイナス金利導入前の当座預金構造を紹介したためだ。 マイナス金利導入前の当座預金は、日銀に預けることを法律で定められた最低限額の「法定準備」、それを上回った分の「超過準備」の2つに分け、法定準備の利息はゼロ、超過準備のほうに0.1%の金利を付けていた。 この構造の場合、金融機関は超過準備額が多くなれば多くなるほど、より利息を受け取ることができる。今は当座預金全体の8割超を超過準備が占めている。 野村総合研究所の木内登英氏は、現在の当座預金の規模でマイナス金利導入前の構造に戻すと、銀行などの利息収入は年間で2500億円増えると試算する。 日銀内では、元の構造に戻すのは「金融機関への補助金との批判が出る可能性はある」との懸念があった。「激変を避けるために、解除時には現在の3層構造は維持し、その後従来の当座預金に戻していく」(木内氏)との見方もある。それでも「3層構造よりシンプルな構造にすべき」「(金利支払いは)政策運営には必要なコスト」と支持する声が広がる。 日銀の当座預金は1月時点(平均残高)で536兆円だった。日銀が大量の国債買い入れを進めて市場に資金を供給したことで、マイナス金利を導入した16年2月時点と比べて2.1倍に増えた。金融機関が金利を求めて資金を預けようとすれば、当座預金残高がさらに大きく膨らむ可能性がある。 金融機関の運用にとっては追い風となる当座預金構造の変化だが、日銀にとっては課題もある。当座預金が膨張したなかでの利上げは「不確実性が大きく、オペ(公開市場操作)も手探りとなる」(日銀関係者)。 「逆ざや」のリスクもある。マイナス金利解除後の利上げ局面で、日銀が当座預金に対して支払う利息が国債などの利息収入を上回れば逆ざやとなり、日銀の財務にとってはマイナスだ。中央銀行は赤字や債務超過になっても基本的に政策運営に支障はないが、財務が悪化する過程で信認が揺らげば、思わぬ円安や金利急騰につながる懸念も捨てきれない。 早ければ3月にも、日銀がマイナス金利を解除するとの見方が市場で広がるなか、日銀内外で政策変更を円滑に進めるための備えが着々と進む。【関連記事】・マイナス金利解除、勢い増す3月論 市場予測で4月と拮抗・安全運転の植田総裁 ブラジルG20の「収穫」とは2024/03/03 07:45:0768.名無しさんgFFoLSMFG、インドのノンバンクを完全子会社化 約1040億円[東京 7日 ロイター] - 三井住友フィナンシャルグループ(8316.T), opens new tabは7日、2021年に連結子会社化したインドのノンバンクSMFGインディア・クレジット・カンパニー(SMICC)の持ち分25.1%を取得し、完全子会社化したと発表した。取得額は7億ドル(約1040億円)相当。SMFGは2021年11月、フラートン・フィナンシャル・ホールディングスから中小企業や個人向けノンバンク事業を手掛けるフラートン・インディア(現SMICC)の株式74.9%を取得。将来的に完全子会社化を目指す方針を明らかにしていた。2024/03/07 12:22:2969.名無しさんP3XgN三井住友、インドのノンバンク完全子会社化 1000億円で2024/03/07 19:10 日経速報ニュース 三井住友フィナンシャルグループ(FG)は7日、インドのノンバンクで子会社のSMFGインディア・クレジット(旧フラトン・インディア)に6日付で7億ドル(約1000億円)を追加出資したと発表した。出資比率は74.9%から100%に高まり、完全子会社となった。人口増と成長が見込めるインドで個人向けのローンなどを拡大する。 シンガポールの投資会社、フラトン・フィナンシャルホールディングスの子会社から持ち分を取得した。三井住友FGは21年に2200億円で旧フラトン・インディアの株式の74.9%を取得し、将来は完全子会社化する方針を示していた。今後は農村部などの支店網を拡充し、22年度に6000億円だった貸出金を25年度以降に1兆2000億円とすることを目指す。2024/03/08 06:07:1770.名無しさんP3XgN中小融資の不良債権分類、コロナ緊急措置終了へ 事業再生支援に軸足2024/03/08 日本経済新聞 夕刊 金融庁は新型コロナウイルス禍で導入した中小企業向け資金繰り支援の緊急措置を終える。苦境に陥った中小企業を支えるため、事業の先行きが不透明でも融資を受けられるよう不良債権の分類ルールを事実上緩和していたが、2024年度から正常化するよう全金融機関に通達した。緊急の資金繰りから事業再生支援に軸足を移すよう促す。 8日、経済産業省、財務省と共同で「再生支援の総合対策」をまとめて業界団体に通達を出し、全金融機関に要請した。すでに実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の新規受け付けは終えているが、既存融資の緊急支援も今年度内に打ち切る。 平時のルールでは返済猶予など融資条件を緩和した貸出先は抜本的な経営再建計画をつくらなければ銀行は不良債権に分類する。不良債権になれば多額の貸倒引当金を積むため新規融資のハードルが高まる。再建の見込みが低ければ融資の回収に走る懸念もある。 このため、金融庁は21年10月、コロナ禍で苦境に陥った中小企業に貸し渋りや貸しはがしが起きないよう、この不良債権の分類ルールを事実上緩和した。 8日に業界団体に出した通達文では「事業者の経営改善・事業再生を先送りしないため、早期に経営再建計画等の策定支援を行う」よう会員金融機関に周知徹底するよう求めた。緊急措置を解除する「コロナの影響収束の見通しが立つまで」という前提条件を満たし、正常化に向けた環境が整ったと判断した。 緊急措置の終了に伴い貸し渋りや貸しはがしが起きないよう監視体制も強める。具体的には金融庁が4月以降、全金融機関にアンケートを実施し、中小企業の経営再建計画づくりを支援しているかチェックする。計数を把握し、取引姿勢に問題があれば、「必要に応じて追加的ヒアリングを実施する」としている。 貸し渋りや貸しはがしが起きる予兆を見つければ、安易に不良債権として処理し、取引を打ち切っていないか個別に確認する。 金融庁は4月1日付で監督指針も改正し、中小企業のサポート体制について、資金繰り支援中心から経営改善・企業再生支援へ軸足を移すよう明記する。2024/03/08 15:45:2071.名無しさんjVySM【市況】【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─いま優先すべきは金融株への投資!近づくマイナス金利解除の足音https://kabutan.jp/news/marketnews/?b=n202403100028「いま優先すべきは金融株への投資!近づくマイナス金利解除の足音」●市場が困惑するマイナス金利解除と円高のトレードオフ マイナス金利の解除はOKだけれど、それに伴う円高が怖い。東京市場はこんなトレードオフに困惑中だ。両方同時にわれわれの願望を満たしてくれないものか。こんな期待をするのだが、「あちらが立てばこちらが立たない」状況は基本的には解消しない。 しかし、片方が上がるともう一方は下がるシーソーと異なり、人間の心情が関わるトレードオフでは、片方をわれわれが受け入れてしまえば、両立することもあり得る。 金利と為替なら、利上げによって円高になったとしても、市場心理が円高でも構わないと許容するか、マイナス金利解除による金利の上昇がマイルドなものになれば、双方がほどほどの痛みで共存し、株式市場は騰勢を取り戻すことになる。 それに、このところ日銀の政策委員がマイナス金利の解除を匂わせる発言をしているのも、実際に解除した場合のショックを抑制しようとしていると見るべきだ。先月29日、高田創審議委員が、経済の不確実性はあるものの「2%物価目標実現がようやく見通せる状況になってきた」と言明し、微妙な言い回しながら、マイナス金利の解除が近いことを仄めかした。 今月に入ると7日、中川順子審議委員が島根県金融経済懇談会で挨拶し、企業の賃金引き上げ姿勢など、より明確な変化の兆しが見られ、経済・物価情勢は2%物価目標の実現に向けて「着実に歩を進めている」と述べた。 同日午後には植田総裁が参議院予算委員会に出席し、金融政策の転換の前提となる2%の物価安定目標について「実現する確度が少しずつ高まっている」との認識を改めて示している。 これらの発言を、今月18~19日に開催予定の日銀金融政策決定会合の日程に重ね合わせると、今月中のマイナス金利解除の方針表明、これがあると見るのが自然だ。そのため、前述したように市場は困惑し、7日~8日と方向感を失った格好となったのだが、上昇トレンドが壊れたわけでない。それは日経平均株価のチャート(日足、週足、月足のいずれも)を見れば明らかであり、しかも出来高も増加を続けている。●地銀株の好パフォーマンス再演に期待 では、このような状況を踏まえた場合、どんな投資戦略が適切か。金融関連株への投資――いまはこれを優先したい。中核銘柄は三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> [東証P]になるが、同社株はこれまで幾度も取り上げているので今回は別の銘柄を紹介したい。 まずは山梨中央銀行 <8360> [東証P]になる。同行は山梨唯一の地銀であり、県内シェアは4割を超す。地方銀行株が浮上に転じると、株価はこれまで素晴らしい上昇をみせてきたが、今回もそれが見込める。私の地元の銀行、横浜銀行を傘下に持つコンコルディア・フィナンシャルグループ <7186> [東証P]も、すでに高値圏ながらなお上昇余地ありと見てよい。 熊本が半導体メーカーの集積地となるため、九州フィナンシャルグループ <7180> [東証P]の有望度は変わらないが、北海道にはラピダスが拠点を置くことを考えると、札幌に拠点がある北洋銀行 <8524> [東証P]を忘れてはなるまい。株価は3月に入り騰勢を強めているものの、私にはまだまだ評価は低いように見える。 銀行ばかりでは面白くないだろうから、リース企業にも目を向けると、NECキャピタルソリューション <8793> [東証P]がある。また、投資関連では「ひふみ投信」で知られるレオス・キャピタルワークス <7330> [東証G]に注目したい。2024/03/11 07:09:2272.名無しさんjVySM日経平均株価、終値868円安 楽観相場に円高の冷や水-佐藤日菜子、犬嶋瑛2024/03/11 15:14 日経速報ニュース 11日の東京株式市場で日経平均株価は急落し、終値は868円45銭(2.2%)安い3万8820円49銭となった。下げ幅は2021年6月21日(953円安)以来の大きさ。取引時間中の下げ幅は一時1190円を超えた。外国為替市場での円高進行で、企業業績期待がやや後退した。年初から続いてきた円安と株高の流れが途絶え、日経平均は2月22日に34年前のバブル期につけた最高値(3万8915円)を更新したが、そうした楽観相場に冷や水を浴びせた格好だ。 11日の外国為替市場で円相場が一時1ドル=146円台半ばをつけた。8日に発表された2月の米雇用統計で平均時給の伸びが市場予想を下回り、米連邦準備理事会(FRB)による利下げを見込んだドル売り・円買いが広がっている。来週に開かれる日銀の金融政策決定会合を控え、マイナス金利解除を意識した円買いも優勢だ。 2月末に円相場は150円程度で推移しており、10日程度で3円以上円高が進んでいる。2月は米国のインフレ減速ペースが鈍化していることから利下げが遠のくとの見方が強まり、日米金利差の高止まりを意識したドル高が進んでいた。ドル高の長期化を見込み、ヘッジファンドなどの投資家による円売り・ドル買いが大きく積み上がっていただけに、持ち高の解消が急激な円高圧力につながっている。 日銀の金融政策をめぐる観測も円買いを加速させている。日銀は来週18?19日に金融政策決定会合を開く。物価と賃金の上昇がみられ、市場では「マイナス金利解除に必要な材料はそろっている」との見方が多い。米国の金融引き締め姿勢、日銀の金融緩和姿勢がそれぞれ転換すれば円高圧力は大きく、先回りの円買い・ドル売りが広がっている。 円高進行は輸出関連銘柄の下げにつながりやすい。輸出株の代表格であるトヨタ自動車は一時5%下落した。7日に上場来高値を更新しており、高値圏で利益確定売りが出やすかった。マツダ、日産自動車ともに一時5%安などほかの自動車株も下げ、業種別日経平均の「自動車」の終値は2.6%安だった。 自動車以外でもクボタやキヤノンといった輸出株が幅広く売られた。岡三証券の松本史雄チーフストラテジストは「来期(25年3月期)の業績を考える上で前提となる為替が円高に動き、アナリストや企業の業績予想が切り下がるとの警戒感が広がっている」と指摘する。 半導体関連の利益確定売りも日経平均の重荷となった。前週末の米株式市場では主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が4%下落。ここまで日米の株式相場をけん引してきたエヌビディア株は利益確定売りに押され6%近く下落した。 米半導体株安を受け、東京市場でも半導体関連の売りが広がった。東京エレクトロンは一時6%安、アドバンテストは一時7%安まで下げた。ソフトバンクグループ株も一時7%安まで売られた。 とはいえ市場参加者は冷静さを保っている。T&Dマネジメントの酒井祐輔シニア・トレーダーは「SOXは年初から異常なほど上げており、このような下げはその反動としてやむを得ないこと」と指摘する。 東エレクは寄り付き直後に取引時間中の安値をつけたが、下値では買いが入り下げを縮める場面もみられた。T&Dアセットの酒井氏は「パニック的な売りならもっと大きく下げるはずで、海外投資家の買い意欲が途切れたわけではないだろう」という。 日本株の上昇を支えてきた円安加速による業績拡大期待と半導体株高が同時に見直され、日経平均は大きく下げたものの、日本企業の経営改革への期待は途切れていない。前週末に500億円を上限とする自社株買いを発表した大日本印刷は一時6%高と逆行高を演じている。 日銀の決定会合を通過するまでは積極的な買いを入れにくいとの声も上がる。資本効率の向上期待のような材料を手掛かりに、調整局面の下値を早期に固められるかが焦点となる。【関連記事】・日経平均急落「一時的な調整、日銀の政策見解を注視」・円146円台に上昇、米利下げ期待で 株価一時900円超安・日銀、マイナス金利解除なら何が変わる? 家計にも余波2024/03/11 15:25:4473.名無しさん846TQシンガポールの不動産投資事業を400億円で買収 三井住友リース2024/03/12 日本経済新聞 朝刊 リース大手の三井住友ファイナンス&リースは11日、子会社を通じてシンガポールの不動産投資ファンドARAアセットマネジメントの私募ファンド事業を買収すると発表した。買収額は約400億円。経済成長が見込まれるアジアやオーストラリアで不動産などへの投資を加速する。 アジア有数の不動産運用会社であるARAが私募ファンド事業をカーブアウト(事業切り出し)し、売却する。カーブアウト後の新会社名はARAvestで、運用資産残高は1兆1000億円。完全子会社のSMFLみらいパートナーズのシンガポール現地法人が7割、連結子会社のケネディクスが3割を出資する。2024/03/12 07:06:2974.名無しさんdZEDJ政策株の「岩盤」崩れるか――損保保有ゼロに次は銀行(スクランブル)2024/03/14 日本経済新聞 朝刊 日本企業の政策保有株を巡る「岩盤」が崩れつつある。損保大手が政策保有株をゼロにする方針を示し、次の候補に銀行が注目される。ガバナンスを問われる株主総会シーズンに向け企業と投資家双方の動きが活発化する中、政策保有株の処遇は大きな株価材料だ。 13日の東京株式市場で日経平均株価は3日続落した。東証プライム市場では約7割の銘柄が下落する相場で気を吐いたのが保険株だ。東証業種別株価指数「保険業」は0・6%の逆行高となり、業種別で値上がり率は3位となった。 「事業の成長につながらない政策保有株は許容されない時代になる」。クエストハブ最高経営責任者(CEO)の大熊将八氏は指摘する。2月末にかけ損保大手4社は政策保有株をゼロにする方針を打ち出した。 政策保有株の売却を通じて市場から期待されるのは「得意分野へと経営資源を大胆に投入し、中長期での業績拡大の確実性を高めること」(シティグループ証券の丹羽孝一アナリスト)だ。 次に注目されるのが銀行だ。PBR(株価純資産倍率)が1倍を割れる銀行株にとって政策保有株の削減による保険株の急騰は他人事ではない。野村資本市場研究所の集計では損保が保有する上場株(時価)が市場全体の時価総額に占める比率は22年度末時点で1・0%。対して銀行は2・6%と相対的に大きい。 さらに国際的な資本規制「バーゼル3」の最終化では株式のリスクウェート引き上げが予定され、政策保有株がこれまで以上に「リスク資産」とみなされる。「各行は政策保有株を減らさない限り(財務の健全性を示す)中核的自己資本(CET1)比率の重荷になり得る」(ゴールドマン・サックス証券の黒田真琴アナリスト) ゴールドマンは大手邦銀について「政策保有株を23年12月末の時価で10%売却した場合」に利益や資本効率性指標に与える影響を試算した。3大メガバンク以外で影響が大きいとみられるのがりそなホールディングス(HD)株だ。 りそなHDは23年末時点で9410億円分の政策保有株を持ち、含み益は6740億円。10%を売った税控除後の利益は24年3月期の純利益の会社予想(1500億円)の3割に相当する。自己資本利益率(ROE)は7・9%に改善する計算だ。りそなHD株は13日、一時3%高まで上昇する場面があった。 投資家が政策保有株に向ける目線は厳しい。アセットマネジメントOneは4月以降の株主総会で、政策保有株が純資産の40%以上の金融会社の代表取締役選任に原則反対する。これまでは数値を明記していなかった。 13日は春季労使交渉(春闘)の集中回答日で、製造業各社で労組側の要求に応える賃上げ回答が相次いだ。賃金と物価の「好循環」によって日銀の金融政策の修正が近いとの認識が市場のコンセンサスとなっている。 「銀行株は日銀の政策修正後に材料出尽くしとなる展開が予想されるものの、融資の伸びといった利益の成長余地を考えれば拾い場になる」(ファイブスター投信投資顧問取締役運用部長の大木将充氏)。政策保有株の売却も加われば、新たな銀行株相場が訪れるかもしれない。2024/03/14 06:27:0375.名無しさん8tCOH日銀の引き締め転換、銀行株上昇の終焉示唆-17年前も材料出尽くしにhttps://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-03-14/SAB6S0T0G1KW0022年12月のYCC修正後に銀行指数は68%上昇、TOPIX上回る前回の利上げ局面、06年3月の量的緩和解除時が銀行株のピークに 日本銀行が金融引き締めに転じた最初の局面は、銀行株の上昇が終わりを告げると過去の歴史は語っている。ウォール街の相場格言「うわさで買って事実で売れ」にも当てはまりそうだ。 日銀が2022年12月に市場予想に反してイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)政策を微修正して以降、東証株価指数(TOPIX)の銀行業指数は68%上昇し、TOPIXの39%を大きくアウトパフォームしている。10年国債利回りは一時1%近くまで上昇した。2024/03/15 08:40:2976.名無しさん8tCOH GPIFは世界最大の年金運用機関であり約220兆円ものお金を運用している。国民が支払う国民年金と厚生年金の保険料を一括して運用し将来の給付に備えて「国内株式、海外株式、国内債券、海外債券」を25%ずつ保有する方針で運用している。いずれかのプロダクトの保有比率が上がったり下がったりすれば、「リバランス」と言って投資比率を均等にする手法を取る。リバランスは1つのプロダクトのウェートが大きくなりすぎたり、小さくなりすぎたりする弊害をなくし、比率が上がれば売却して利益を確保し、比率が下がれば購入して将来の利益機会を仕れるという意味合いがある。リバランスはグローバル投資の基本スタイルであり、GPIFに限らず幅広くおこなわれている。2024/03/15 11:58:0477.名無しさんlLqHt銀行株買い増しに慎重論、日銀政策修正織り込み-金利との相関下がるhttps://news.yahoo.co.jp/articles/d8e01f12b771e93f27a6c632993eefcd450102982024/03/17 00:49:3178.名無しさんlLqHt(ブルームバーグ): 日本銀行のマイナス金利政策が早ければ今月にも解除される可能性がある中、本来なら事業環境の好転期待が高まるはずの銀行株をさらに買い上げることに投資家が慎重になっている。政策修正を織り込んだ買いで、金利上昇による業績改善が既に株価に反映されてきたためだ。野村アセットマネジメントの宮崎義弘チーフ・ポートフォリオマネジャーは、三菱UFJフィナンシャル・グループや三井住友フィナンシャルグループなどの持ち高を利益確定売りで減らしてきた。銀行株の「オーバーウエート」は維持しているが、日銀が2022年12月に政策修正に踏み出す前から銀行株に投資してきた同氏は「今の水準からウエートを増やすことはしない」と考えている。JPモルガン・アセット・マネジメントの坂井美智子ポートフォリオ・マネジャーは、ゼロ金利までの利上げは市場である程度織り込まれてきたと話す。銀行株は収益性などの観点から「持ちたい企業群ではある」とした上で、金融セクターではコーポレートガバナンス(企業統治)の改善期待などが高い保険会社をより多く保有していると明かした。日銀が22年12月にイールドカーブコントロール(YCC、長短金利操作)を修正して以来、金利上昇の追い風を受けた銀行株は日本株上昇を主導するセクターの一つになってきた。修正翌日以降のTOPIX銀行業指数の上昇率は68%と、東証株価指数(TOPIX)の39%高や日経平均株価の46%高を上回る。だが、足元で銀行株の長期金利への感応度は低下。1に近づくほど似た値動きであることを示す相関係数(20日間)はマイナス0.25と、負の相関であるマイナスに下がった。金利上昇が銀行株買いにつながっていないことを意味する。物価の高止まりや企業の力強い賃上げ機運を受けて3月のマイナス金利解除の見方が急速に増える中、日経平均は史上最高値からの調整を強いられている。金利上昇局面では相対的な割高感が高まる株式に売り圧力がかかりやすい。支えとなってきた銀行株に勢いが戻らなければ、日本株相場は金利上昇により脆弱(ぜいじゃく)になり得る銀行株の先行きを占う上で市場参加者が注視するのは、マイナス金利解除後の利上げ動向だ。シュローダー・インベストメント・マネジメントの豊田一弘日本株式運用総責任者は、昨年から円高や金利上昇がポートフォリオにややプラスに働くよう、銀行や保険株などをオーバーウエートにしてきたと話す。「さらにウエートを取っていく運用はしない」としつつ、市場に追加利上げへの期待がある間は銀行株にはポジティブだとみている。金利スワップ市場は日銀がマイナス金利政策を終えた後、10月末までに1回の追加利上げを100%織り込んでいる。JPモルガン・アセットの坂井氏は、日本経済の好循環が生まれ日銀がどんどん利上げをしていく場合には、銀行株には「かなりポジティブに動くのではないか」との見解を示した。2024/03/17 06:53:5779.名無しさんJvKaV株800円高 銀行株は「付利」を意識・第一生命経済研の藤代氏2024/03/18 10:42 日経速報ニュース 藤代宏一・第一生命経済研究所の主席エコノミスト 18日の東京株式市場で日経平均株価の上げ幅が800円を超えたのは、日銀の政策修正を巡る悪材料の出尽くしが意識されていることが大きい。3月の金融政策決定会合での政策修正の可能性が最初に報じられてから株式相場は調整局面が続いたため、先週末のマイナス金利政策の解除を巡る報道で見直し買いが入りやすくなっている。政策修正をしても当面は緩和的な金融環境が維持される見通しであることが支援材料だ。日経平均は再び節目の4万円を目指す展開になると想定している。 報道などによると、日銀当座預金の超過準備に付く金利(付利)を0.1%に戻す観測が浮上している。これまでマイナス金利政策の対象になっていた金融機関にとっては収益環境の改善につながる。銀行株には追い風となりやすい。2024/03/18 10:46:5680.名無しさんJvKaVマイナス金利解除へ 海外も注目「利上げ1回ではない」2024/03/18 10:00 日経速報ニュース 日銀はきょうから2日間、金融政策決定会合を開く。日本経済新聞は16日、今回の決定会合で「マイナス金利政策を解除する見通しになった」と報じた。同時に長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)を撤廃し、上場投資信託(ETF)の新規買い入れを終える見込みだ。日銀の動向には海外の関心も高まっており、海外市場の専門家からもリポートが相次いでいる。 ■「解除後、1年から1年半後までに0.5?0.75%利上げ」 エバコアISIの中央銀行戦略責任者、クリシュナ・グーハ氏 4月よりも3月に政策正常化に踏み出すとなれば、市場に対しては(引き締めに積極的な)タカ派的な印象を与える可能性がある。マイナス金利の解除とともに(長期金利の上限のめどを1%としている)YCCの撤廃ともなればなおさらだ。 日銀は今後、政策運営上では国債買い入れに重点を移すだろう。YCCは完全に撤廃せず、日銀は長期金利のめどに対するソフトな基準をなんらかの形で維持するのではないか。必要に応じて国債買い入れを増額するなど政策の柔軟性を持たせると考えている。 植田和男総裁は(会合後の記者会見で)さらなる利上げには慎重と強調するとみられる。一方、日銀の執行部はイールドカーブの上昇に対し(物価動向次第など)柔軟かつ条件付きで受け入れるだろう。マイナス金利解除は一回きりの利上げではなく、慎重かつ限定的な正常化プロセスの開始に当たる。日銀はマイナス金利解除後、1年から1年半をかけて計0.5?0.75%の利上げを実施すると予想する。 ■「ドル下落すれば買い」 バンク・オブ・アメリカの外為・金利戦略責任者、クラウディオ・ピロン氏 今週は複数の中央銀行が政策決定の会合を開く。日銀だけが政策変更を実施すると予想している。マイナス金利解除とYCC撤廃を予想するが、すでに市場は織り込んでいるため、相場の反応は限定的だろう。日銀は過剰とも思える国債購入を継続する可能性が高いとみており、債券利回りの上昇は抑えられるはずだ。フォワードガイダンス(先行き指針)がタカ派的になる可能性も低く、仮に結果発表後に円高・ドル安となれば、ドルを買い向かう流れとなる。 ■「円キャリー取引は引き続き魅力」 ゴールドマン・サックスの通貨・金利・新興市場戦略責任者、カマクシャ・トリベディ氏 3月会合で日銀がマイナス金利を解除したとしても、円相場のトレンドを大きく変えることはないだろう。円高になるためには日本の企業や機関投資家が本国に資金を還流する「リパトリエーション(リパトリ)」が発生する必要があるが、日銀はマイナス金利解除後も国債利回りをそれほど上昇させるつもりはないようだ。YCCが撤廃されても、国債購入を通じて市場に大きく介入し続けるとみられている。 さらに重要なのは、海外(米国)資産のリターンが優位なことで、リパトリが本格化するとは考えにくい。マイナス金利の解除は日米金利差の縮小にはほとんど寄与せず、日本を拠点とする投資家にとって米国株のリターンは国内リターンをはるかに上回っている。マクロ環境が引き続き円相場の主要な原動力であり、日銀の政策修正がそこに割って入る余地はないというのが我々の見方だ。低金利の円を借りて高金利通貨の資産で運用する「円キャリー取引」は引き続き魅力的だ。2024/03/18 11:05:2581.名無しさんJvKaV ■「日米金利に影響をもたらす可能性は低い」 バンク・オブ・アメリカの米金利ストラテジスト、ラルフ・プレカーサー氏 日本企業の設備投資意欲の高さや春季労使交渉での大幅な賃上げ率、これまで相次いだ観測報道など、すべてが3月の政策正常化の開始を示唆している。マイナス金利解除とYCCの撤廃を予想するが、発表後も日本国債はそれほど売られることはないだろう。すべては、新たな政策枠組みの詳細と、将来の利上げに関するガイダンスにかかっている。 日銀の動きが米国債に与える影響は限られるだろう。日銀は国債買い入れを続ける可能性が高い。バンク・オブ・アメリカの日本の金利ストラテジストは日銀が最近のメディア報道に沿った金融引き締めに踏み切った場合、長期金利は0.75?0.80%の間で取引されると予想している。米長期金利に与える影響はせいぜい2?3ベーシスポイント(0.02?0.03%)とみている。日銀の動きは市場参加者の心理にマイナスの影響は与える可能性はあるものの、日米金利に大きな影響をもたらす可能性は低い。 ■「長期債購入に関するコミュニケーションが重要」 ゴールドマン・サックスのグローバル戦略担当者、プラビーン・コラパティ氏 日銀が3月にマイナス金利を解除しても、大幅な国債買い入れの縮小が伴わなければ、利回り曲線(イールドカーブ)はより平たん(フラット)になると予想する。(債券相場が動くうえでは)政策金利に関するフォワードガイダンスだけでなく、長期債購入に関する日銀のコミュニケーションが重要になるだろう。 現在と同水準である月間6兆円の国債買い入れが継続されれば、長期ゾーンのボラティリティー(変動率)の上昇は抑えられる。買い入れ政策をどこまで長期化するかのメッセージが焦点になる。我々の想定よりも日銀が国債市場での存在感を積極的に低下させる姿勢を示した場合、イールドカーブがスティープ(急勾配)化することはリスクになる。2024/03/18 11:06:0582.名無しさんjvmVM三井住友FG、社内起業家に株購入権 上場前提で後押し2024/03/19 日本経済新聞 朝刊 三井住友フィナンシャルグループ(FG)は、上場を目指す社内発スタートアップの役員に対し、ストックオプション(株式購入権)を付与する制度を設けた。2023年に設立した働きがいを測定する新会社のストックオプションを同社の社長らに付与する。上場すれば個人が大きな利益を得られる可能性を示し、社員のアイデアによる新会社設立を後押しする。 上場を前提に新会社のストックオプションを発行する取り組みは銀行では珍しい。発行対象のSMBC Wevox(東京・港)は、顧客企業の従業員の働きがいや帰属意識を数値化した「エンゲージメントスコア」を算出するサービスを手がける。アトラエとの共同出資で設立した。 SMBC Wevoxの杉本秀和社長ら2人に対し、上場後に1株を10万円でそれぞれ最大20株(200万円分)まで買い取れる権利を付与する。条件は現在の株式価値から算出した。同社の発行済み株式は現在1000株のため、それぞれ2%に相当する。 三井住友FGは中堅や若手の社員をIT新会社の社長に就ける「社長製造業」を進めている。これまでに10社以上を設立した。ストックオプションを動機づけとし、新事業の創出と成長を促す。2024/03/19 06:42:3583.名無しさんjvmVM三井住友FG・三井住友銀行・三井住友カード、個人向けの総合金融サービス「Olive」に新機能を追加2024/03/18 11:20 日経速報ニュース【プレスリリース】発表日:2024年03月18日個人のお客さま向け総合金融サービス「Olive」新機能「定額自動入金サービス」「Olive アカウントランク切替機能」「家族カード発行」開始について 株式会社三井住友フィナンシャルグループ(執行役社長グループ CEO : 中島 達、以下、当社グループを総称して「SMBC グループ」)傘下の株式会社三井住友銀行(頭取 CEO : 福留 朗裕、以下「三井住友銀行」)および三井住友カード株式会社(代表取締役社長 : 大西 幸彦、以下「三井住友カード」)は、2023年3月より提供している個人のお客さま向け総合金融サービス「Olive(オリーブ)」に、新機能を追加することをお知らせいたします。 2023年3月からスタートした「Olive」は、銀行口座、カード決済、ファイナンス、オンライン証券、オンライン保険などの機能を、アプリ上でシームレスに組み合わせた新しい金融サービスです。今般、大手行初の定額自動入金サービスを含む3つの新機能を2024年3月18日以降、順次提供することを決定いたしました。各機能の詳細につきましてはサービス開始以降、三井住友銀行ホームページおよび三井住友カードホームページよりご確認ください。■新機能の概要[1]定額自動入金サービス : 2024年3月18日より、順次提供開始(※1) 毎月、お客さまご本人名義の他行口座からご指定の金額を引落し、Oliveアカウント申込代表口座へ自動で入金するサービスです。手数料無料でお使いいただけます。本サービスをご利用いただくことで、都度入金や振込のお手続きを行うことなく、本人名義口座間の資金移動が可能となります。2024/03/19 06:45:3984.名無しさんi84hH【緊急特集】日銀マイナス金利解除、政策大転換は日本株に吉と出るか <株探トップ特集>―「緩和環境継続」で安心感、想定超えの賃上げでカギを握る企業の価格決定力― 日銀の金融政策がマイナス金利政策の解除という大きな転換期を迎えた。本来は悪材料である政策金利の引き上げとETF(上場投資信託)購入策の終了が宣告されたにもかかわらず、日経平均株価は頑強な動きをみせ、4万円台を回復した。「超」緩和環境が終了しても、緩和環境自体には変わりがない――。市場ではそんな声も聞かれるが、想定を超える伸びとなった賃上げそのものは、来期以降の企業のEPS(1株利益)を圧迫する要因となる。個人消費の先行きに不透明感がくすぶる現状では、コスト上昇分を製品・サービス価格に転嫁するための価格決定力を持つ企業への関心が、これまで以上に高まることとなりそうだ。●政策公表後に不動産株が上昇 今回の政策変更と市場の反応を改めて整理してみる。日銀の発表内容はほぼ事前報道に沿ったものとなったが、まずマイナス金利の解除である。これまで日銀は金融機関が資金を預ける日銀当座預金を3階層に分け、「基礎残高」にプラス0.1%、「マクロ加算残高」に0%、「政策金利残高」にマイナス0.1%の金利を適用していた。マイナス金利が適用される政策金利残高の存在ゆえ、「マイナス金利政策」と表現されてきたのだが、今回、日銀は無担保コールレート(オーバーナイト物)の誘導目標を「0~0.1%程度」とする形に見直した。 オーバーナイト物の金利はイールドカーブ(利回り曲線)の起点となり、その上下動は教科書的には、期間が1年以内の短期から5年以内の中期、10年以内の長期、10年超の超長期のそれぞれの金利の変動要因になる。今後は日銀当座預金でのマイナス金利適用を回避する目的で銀行がコール市場などで資金を貸し出すことがなくなるため、需給要因で短期金利には上昇圧力が掛かることとなる。更に、日銀当座預金の超過準備にはプラス0.1%の付利金利が適用されることも決まった。金融機関の収益にはプラスの要因となるが、政策公表後の 銀行株は方向感を欠く展開となった。 対照的に気を吐いたのが三井不動産 <8801> [東証P]や住友不動産 <8830> [東証P]、三菱地所 <8802> [東証P]といった、金利上昇デメリットセクターである 不動産株だ。今回、マイナス金利政策の解除とともに、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の撤廃も公表されたが、長期国債の買い入れについては「これまでと概ね同程度の金額」で継続する方針が示された。需給面では長期金利の上昇を抑える要因となるため、政策公表後の新発10年債利回り(長期金利)には低下圧力が掛かった。そもそも短期金利が上昇したとしても0~0.1%と歴史的にみれば低水準である。国内要因での金利の上昇余地は乏しいとの見方が銀行株を圧迫し、不動産株には刺激材料となったようだ。2024/03/20 03:29:5485.名無しさんi84hH●ETFは当面塩漬けの公算 加えて、日銀からはETFとREIT(不動産投資信託)の購入を停止する方針が示された。コロナ禍初期に金融市場が大きく混乱し、日経平均が一時1万6300円台まで調整した4年前の2020年春、日銀は立て続けに1日あたり1000億~2000億円規模の巨額のETFの買い入れを行った。だが、東証1部だった当時と比べ、足もとの東証プライム市場の売買代金は大きく、リスクオフ局面において日銀がETFの買い入れを行ったとしても、その下支え効果はかつてほどのものではないとの指摘も出ていた。 日銀がETFを市場に放出すれば、需給要因で日本株にはマイナスとなる。しかし投資家のセンチメントの悪化をあえて招く愚を犯す必然性などないだろう。市場の一部には政府が永久債と引き換えに日銀からETFを買い取り、国民に無償配布するとの思惑もある。いずれにせよ、時期はともあれ、しばらくは日銀内で塩漬けになる公算が大きい。 これらの金融政策正常化への流れを後押ししたのが、今年の春闘での賃上げ状況だ。連合がまとめた今年の春闘の回答集計(第1回)によると、賃上げ率は大企業で5.3%、中小企業で4.4%に上った。ベースアップ率は明確にわかる654組合で3.7%となっている。企業にとっては新たな人件費負担分を製品やサービス価格に転嫁できなければ、利益を圧迫する要因となる。 今年の賃上げ結果を受けて、2%の物価安定目標を大きく上回る水準へインフレ圧力が強まる形となれば、日銀は追加の利上げに迫られることとなる。銀行株にとっては、政策保有株式の縮減効果への期待もあることから、上値余地を広げる格好となりそうだ。半面、「今年の春闘は瞬間風速のようなもの」(国内証券ストラテジスト)との声もある。そもそも現役世代には老後などの将来不安が強い。今以上に物価が上昇した場合には、個人消費が腰折れするリスクも横たわっている。来年も今年と同じような賃上げが実現され、物価上昇との好循環が継続できるのかどうかを考察すると、かなりのナローパスと言える。●為替は1ドル=150円台へ突入 為替相場の動向もポイントになる。日銀の政策公表後にドル円相場は1ドル=150円台へと円安が進行し、トヨタ自動車 <7203> [東証P]など自動車株のサポート要因となった。 日本国内での低金利環境の継続を市場は織り込む一方で、米国ではインフレ環境が長期化するとの見方から、米連邦準備制度理事会(FRB)による0.25%幅の利下げが年内に3回行われるとの観測が、2回に修正されようとしている。これまで有力視されてきた6月の利下げが見送られるとすれば、その後米連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれるのは7月と9月、11月と12月の4回である。米大統領選が迫る9月と、大統領選直後の11月のFOMCで、FRBが利下げに踏み切るハードルは決して低いものではない。経済データ次第では、年内の利下げ幅が一段と狭まる可能性も出てくる。その際は、米国金利の上昇を伴って、ドル高・円安圧力が強まりかねない。 そして、米国の期待インフレ率が2.1~2.5%の範囲内で推移を続けていることを踏まえると、名目金利から期待インフレ率を差し引いた実質金利が一段と上昇した場合には、金融相場を見込んだ投資資金の巻き戻しを引き起こすリスクが高まることとなり、高PER(株価収益率)銘柄に逆風が吹きつけることも予想される。2024/03/20 03:31:2686.名無しさんi84hH●「価格決定力」と「生産性向上」に注目 ひとまず市場は3月のFOMCでのドット・チャートや、パウエル議長の記者会見での発言を注目することとなるが、米金利の緩やかな上昇による円安シナリオと、東証による低PBR(株価純資産倍率)是正運動を考慮すれば、中期的な観点で外需系バリュー銘柄は無視できない存在と言えそうだ。 ニッチな分野で高いシェアを持つ「ニッチトップ企業」も、価格決定力の高さゆえ、賃上げ後の利益創出力という観点で投資対象の候補に加わる可能性が高い。こうした観点で「ファクトセット・グローバル・ニッチトップ・ジャパンエンタープライズ指数」の構成銘柄(2月末時点)をみると、メラミン化粧板国内首位のアイカ工業 <4206> [東証P]や通信計測器のアンリツ <6754> [東証P]、食品トレーのエフピコ <7947> [東証P]は全体相場との比較で出遅れ感が意識される。ゲーム機向けコネクターのホシデン <6804> [東証P]や、段ボール大手のレンゴー <3941> [東証P]のPBRは1倍を下回っている。 人件費の増加への対応策として有効なDX(デジタルトランスフォーメーション)も、注目を集め続けることとなると見込まれる。大手ではNTTデータグループ <9613> [東証P]や野村総合研究所 <4307> [東証P]が候補に挙がるが、営業DXツールのアイドマ・ホールディングス <7373>[東証G]や店舗DX事業のピアズ <7066> [東証G]、製造業・建設業向けDX支援のコアコンセプト・テクノロジー <4371> [東証G]など、着実に利益を積み上げている企業は多い。DXにとどまらず、日本企業にとって生産性の向上は息の長いテーマとなっている。賃上げ環境下で、関連企業の成長期待は一段と強まる形となりそうだ。2024/03/20 03:32:3587.名無しさんi84hH日銀、国債購入を月6兆円維持――3メガ銀首脳、成長期待2024/03/20 日本経済新聞 朝刊 日銀が19日の金融政策決定会合でマイナス金利政策の解除を決めたことを受け、3メガバンク首脳がコメントを出した。三菱UFJ銀行の半沢淳一頭取は「日本経済が持続的な成長軌道に回帰する大きな好機だ」とコメントした。「『金利ある世界』における変化を先取りし、顧客の課題に寄り添いともに解決をはかる」と強調した。 三井住友銀行の福留朗裕頭取は日本経済について「新たな成長の軌道に入っていく大きな転換点」と分析したうえで、「金融政策の修正が市場に与える影響を注視し、経済環境の変化に対応する」とコメントした。 みずほフィナンシャルグループの木原正裕社長も「金利がある世界への大きな変化の節目でゲームチェンジになる」とのコメントを出した。融資などの原資となる預金を持つ重要性が一層増すとし、普通預金や定期預金の金利を今後引き上げる考えを明らかにした。 今後、銀行にとっては調達した預金と運用の利ざやが改善するため、収益を押し上げる要因となる。3メガバンクはマイナス金利の解除を見据え政策金利が0%になった場合の資金利益などへの影響を試算しており、単純比較はできないが年350億円から450億円以上の押し上げ効果があるとみる。 地域経済への影響も大きい。城南信用金庫(東京・品川)の川本恭治理事長は「大きな変化の時だ。顧客の資金繰りを支えるのは当然だが、本業支援をしっかり進めたい」と話す。預金金利については「引き上げも視野に検討を進めたい」と述べた。2024/03/20 06:16:1288.名無しさんCZ84O個人投資家、4942億円買い越し 新NISA開始以降で最大2024/03/22 19:54 日経速報ニュース 日本取引所グループが22日に発表した投資部門別売買動向(東京・名古屋2市場)によると、個人投資家は3月第2週(11?15日)に現物株を4942億円買い越した。個人の買い越しは2週連続で、買越額は2023年9月第4週(5734億円)以来の大きさだった。2024年に新NISA(少額投資非課税制度)が始まって以降では最大規模となる。 この週の日経平均株価は週間で981円(2.5%)下落した。上昇基調が続いていた半導体関連株を中心に利益確定の売りが優勢だったほか、日米の金融政策決定を前に海外投資家の様子見姿勢も広がった。相場の流れに逆らう「逆張り」戦略をとる傾向の強い個人投資家が下落局面で押し目買いを入れたとみられる。 海外投資家は現物株を3週ぶりに売り越した。売越額は875億円だった。現物と株価指数先物の合計では6675億円の売り越しで、売越額はおよそ5カ月ぶりの大きさだった。 年金基金などの売買を反映するとされる信託銀行は現物株を10週連続で売り越した。売越額は6851億円だった。期末を控えたリバランス(調整)の売りが優勢だった。2024/03/23 03:10:3189.名無しさんCZ84O2024年03月22日17時27分来週の株式相場に向けて=バリュー株物色でTOPIXは最高値を視野に 22日の東京株式市場は日経平均株価が一時4万1000円台に乗せるなど堅調に推移し、連日での史上最高値を更新した。半導体関連株が上昇し、東京エレクトロン<8035>は初の4万円に乗せる場面もあった。ただ、朝高後は半導体関連の主力株は値を消す展開にとなり、後場に入り日経平均株価は一時マイナス圏に転じた。しかし、その後再び買い直され上昇に転じるのが、いまの相場の強さだろう。 三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>や三井住友フィナンシャルグループ<8316>は後場に高値圏に買われたほか、トヨタ自動車<7203>など自動車株や三井物産<8031>など商社株、三菱地所<8802>など不動産株が一日を通して底堅い値動きとなった。全体相場は「半導体株と銀行株などバリュー株の循環物色の流れが強まっている」(市場関係者)。そんななか、さすがに買い疲れ感もみえる半導体株に対し、バリュー株が優勢な展開となりつつあるようだ。 3月に入ってからの日経平均株価の上昇率は4.4%に対して、TOPIXは5.1%。とりわけ、TOPIXは1989年12月につけた最高値(2884.80)に迫っている。日経平均株価の最高値更新には一歩遅れているが、内需株のウエートが高いTOPIXの最高値更新が持つ意味は小さくない。 来週は3月の年度末を迎え、27日が権利付き最終日、翌28日が権利落ち日となる。配当の権利取り後も銀行などバリュー株が底堅い値動きを続けるかがポイントとなりそうだ。また、その後の配当再投資の動きも注目される。来週は29日引けにかけ、日経平均株価の春の入れ替えに伴うリバランスが予想されている。新規採用のディスコ<6146>やソシオネクスト<6526>、ZOZO<3092>などの動向が注目される。 上記以外のイベントでは、海外では26日に米3月消費者信頼感指数、28日に米10~12月GDP確定値、29日に米2月個人消費支出(PCEデフレーター)が発表される。29日は聖金曜日(グッドフライデー)で休場となる。 国内では25日に1月開催分の日銀金融政策決定会合の議事要旨、28日に3月開催分の同決定会合の「主な意見」が公表される。29日に3月東京都区部消費者物価指数(CPI)が発表される。2024/03/23 12:09:4890.名無しさんXZZjs金利ある世界日本再起動(1)異論なき利上げ 日銀依存と決別の時2024/03/25 日本経済新聞 朝刊 日銀がマイナス金利政策を含む大規模緩和の解除を決め、金融政策の正常化に一歩踏み出す。長期緩和は負の遺産も残した。企業も家計も政府も「金利ある世界」に戻れるのか。17年ぶりの利上げは日本を再起動する転換点となる。財務改革も着手 「一部資産の売却を含め、不動産事業に外部資本をいれるべきだ」。サッポロホールディングス(HD)の外部有識者も含むグループ戦略検討委員会は1月末、目指す方向性を取締役会に答申した。マイナス金利解除の観測が高まった時期で、今後の金利上昇を見込んで議論が進んでいた。 尾賀真城社長などサッポロHDの取締役会は答申を受けて、2月に酒類、不動産、食品飲料の3事業の集合体から酒類を中心とした事業構造に見直すことを決めた。不採算事業を見直し、オフィスビルなどの売却を検討する。その資金を海外でのM&A(合併・買収)などに充て「ビールを中心にもっと稼げる体質にし、資本効率を上げていく」(松風里栄子取締役)方針だ。 サッポロHDは恵比寿ガーデンプレイスや銀座に複合ビルを持ち、業績を支えてきた。だが、不動産事業は借り入れが多い。財務健全化を進めるなかで祖業であるビールに十分な投資ができない状況も招いてきた。 2016年から続くマイナス金利下では負債の大きさを気にしなくてもよかった。金利が復活すれば、資金調達コストの上昇も想定され資本効率の悪さは放置できなくなる。短期借入金の利率は21年12月期の0.46%から22年12月期には2.29%に上昇していた。 ソニーグループは7日に償還期限が3~10年の普通社債1500億円を発行した。5年前に10年債を発行した時の利率は0.3%だったが、1.001%まで上昇した。 金利が低いうちに成長分野に回す長期資金を確保する。半導体やエンターテインメント分野での投資や事業拡大に備える。 企業が利上げを受け入れる背景のひとつには経済情勢の回復がある。日経平均株価が4万円台に乗せるなど17年前より力強い指標が目立つ。 悪化したものもある。国際経営開発研究所(IMD)によると、世界1位だった日本の競争力は23年に世界35位まで下がり、過去最低を更新した。超低金利という「ぬるま湯」(経団連の十倉雅和会長)につかっている間に停滞が続いた。 19日の日銀の決定を受けて、中外製薬の奥田修社長は「市場を正常化し、健全な成長を促進するという点でも日本企業を支援する」と評価した。AGCの平井良典社長は「(マイナス金利で)日本企業から成長や変革への意欲が奪われた。資金調達コストを超える付加価値を創造したい」と強調する。新陳代謝促す 日銀内部からは「こんなに反対論が出ない利上げは初めてだ」と驚きの声が上がる。1985年のプラザ合意後は「円高恐怖症」と言える状況で、日銀の金融政策も円高との戦いでもあった。円高につながりかねない利上げは輸出企業を中心に抵抗が強かった。 1ドル=105円前後まで円高が進んだ19年夏、日銀はマイナス金利の深掘りを真剣に検討していた。今は「円安による資材やエネルギー価格の高騰でコスト上昇の影響を受けてきた」(大成建設)と過度な円安への懸念が強い。 ここから先の利上げで金利による規律が働くようになれば、企業は低採算事業の見直しを迫られる。産業の新陳代謝が進みやすくなる。政府による財政の大盤振る舞いも期待しにくい。次の日本は日銀依存を脱して自律的な成長を取り戻せるかにかかっている。2024/03/25 06:10:0491.名無しさんXZZjs日本株は反落か、利益確定や四半期末のリバランスで-金融株に売りもhttps://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-03-24/SAVFJYT0AFB40025日の東京株式相場は反落か。先週の大幅上昇を受けていったん調整が入りやすいほか、四半期末に向けてリバランスの売りに押されやすい。また、米国金利が大幅に低下したことから金融株には下押し圧力がかかりやすい一方、ハイテク株などにはバリュエーション面でサポートになる。米シカゴ先物市場(CME)の日経平均先物(円建て)の清算値は4万0555円と、大阪取引所の通常取引終値(4万0710円)に比べ155円安米国株はまちまち-米10年債利回りは4.20%程度と約7ベーシスポイント低下市場関係者の見方東海東京インテリジェンス・ラボの平川昇二チーフグローバルストラテジスト急激に相場が上昇した後での利益確定売りが米国市場でも出ており、きょうの日本市場でも同じような展開となるだろう金利が下がったことでハイテク株のバリュエーションは上昇するが、金融株は売られやすい。全体としては調整気味になり、ハイテク以外ではディフェンシブ銘柄が上位となるだろう先週のFOMCを受けて米国での利下げ期待が高まっており、それが継続できるが、今週末のPCE価格指数などのマクロ指標で検証されることになるだろう背景パウエルFRB議長、雇用市場を支援する用意-インフレ高止まりでもアトランタ連銀総裁、年内利下げは1回のみと現時点で予想ヘッジファンド、円の弱気ポジション積み増し-日銀利上げはハト派的ゴールドマン、S&P500種は6000にも-大型ハイテク株の上昇続けばグッチの衝撃、中国での販売急減-高級品業界で消費減速の影響顕在化【要人発言】ラファの大規模軍事作戦は大きな間違いになる-ハリス氏けさのドル・円相場は1ドル=151円前半で推移、前営業日の日本株終値時点は151円49銭付近2024/03/25 07:41:0092.名無しさんc6ewv買収資金融資、リスク分散 機関投資家など担い手に 「大手行に与信8割」解消 全銀協、市場健全化へデータ整備2024/03/26 日本経済新聞 朝刊 全国銀行協会は企業買収の際、相手先のキャッシュフローなどを頼りに銀行が買収資金を融資するLBOファイナンス市場の健全化に乗り出す。過去に実行した案件の融資額や金利など貸し付け条件をデータとして整備し、融資を検討する金融機関の参考にしてもらう。大手銀行に融資の約8割が偏る構図を改め、国内外の機関投資家など担い手を広げる。 25日に報告書を公表した。全銀協が事務局の勉強会には3メガバンクに第一生命保険や農林中央金庫、金融庁、日本銀行が参加。ゆうちょ銀行もゲストとして招き、昨年8月から今年2月にかけて議論を重ねてきた。 LBOファイナンスは買収先となる企業のキャッシュフローに着目して融資する手法で、買収側には少ない自己資金でM&A(合併・買収)を実行できる利点がある。日本では2000年代に定着した。投資ファンドが組成し、銀行に融資を求めることが多い。金融庁によると、大手行の貸出残高は5兆円規模と5年間で2.5倍に増えた。 最近では株式の非公開化をめざす東芝の案件に対し、大手行が1兆2000億円の融資を実行した。上場企業が資本コストや株価を意識した経営を迫られるなか、成長や採算性を見込めない事業を売却する流れが加速している。後継者がいない中堅・中小企業を買収し、事業の継続を図る動きも活発になってきた。 こうしたM&AではLBOファイナンスが活用されることが多い。3月上旬にMBO(経営陣が参加する買収)の成立を公表したベネッセホールディングスの案件では、大手行を中心に2000億円を超える融資を実行した。 今後の市場拡大が見込まれるなか、課題も浮き彫りになっている。 現状では3メガバンクと三井住友信託銀行に与信リスクの約8割が集中する。担い手が限られる現状について大手行の首脳も「我々だけではリスクを抱えきれず、もっと多様なプレーヤーに参加してもらう必要がある」と訴える。 重い教訓となったのが22年6月に経営破綻したマレリホールディングス(旧カルソニックカンセイ)の案件だ。約3400億円の債権放棄を含め、みずほ銀行や三井住友銀行が多額の金融支援を余儀なくされるなど銀行界に深い傷痕を残した。 LBOファイナンスのデフォルト率は限定的とはいえ、景気の悪化などでひとたび変調を来せば与信リスクの多くを引き受ける大手行の経営にも影響を及ぼしかねない。 全銀協は担い手の多様化には、市場の透明性を高めるデータの整備が欠かせないとみる。米国では業界誌を含めて統計がそろう一方、日本では融資の判断に生かせる情報が足りないという。LBOファイナンスは一般的な企業向け融資に比べると信用リスクが高いだけに、審査や与信の管理には細心の注意が必要だ。 LBOファイナンスのスプレッド(上乗せ金利)は3%程度とされる。一般的な融資に比べれば高い水準だが、米国の5%前後に比べるとなお見劣りする。中堅・中小企業の事業承継に絡むLBOファイナンスが増えるなか、案件の小型化による地銀の積極化で「金利のダンピングが目立ってきた」(関係者)との指摘もある。 健全な市場の成長にはリスクに見合ったリターンの確保が欠かせない。かつて日本のLBOファイナンス市場では外資系の金融機関が存在感を示していたが、リターンの低さなどを理由に手を引いてきた経緯がある。 勉強会には企業買収を主導する複数の投資ファンドも加わった。買収側は借入金利を低く抑えたいのが本音で、入札を通じて複数の銀行に条件を競わせる現行の方式が理にかなう。様々な関係者の利害を調整する必要が今後出てくる。2024/03/26 06:04:2593.名無しさんc6ewv三井住友カード、持ち運び決済端末を開発 レジ省人化も2024/03/26 日本経済新聞 朝刊 クレジットカード大手の三井住友カードは25日、持ち運びができる決済端末を開発したと発表した。クレジットカードやQRコードなど様々な決済手段に対応でき、主に飲食店や宅配事業での利用を想定する。 三井住友カードの大西幸彦社長は25日の発表会で「新しい決済シーンに対応すべく開発した」と話した。たとえば持ち運び可能な端末を飲食店で導入すればテーブル会計の待ち時間を短縮でき、レジの省人化も可能だ。 中小事業者向けには、自身のスマートフォンを決済端末に代替できるアプリを提供する。専用アプリを入れたスマホにクレカをかざすと決済が完了する。加盟店の手数料は2.7%と業界最安水準に設定し、追加の手数料引き下げも検討中だ。2024/03/26 06:05:3394.名無しさんc6ewvブラックロック、日本株オーバーウエート拡大、日本国債はウエート下げ[25日 ロイター] - 米資産運用大手ブラックロックは25日、日本株のオーバーウエートを高めたと明らかにした。緩やかなインフレ、好調な業績株主に有利な改革がプラスに働くとの見方を示した。一方、日本国債についてはアンダーウエートを拡大したという。市場に関する週次のコメントで「株式により魅力的なリターンを見い出している。日本国債には最も魅力的でない部類のリターンが見られるため資金調達源として利用している」とした。2024/03/26 09:32:0295.名無しさんvgx0dジェフリーズの12-2月期は増益、資本市場の好調とディール回復で債券と株の引き受け回復、資本市場部門は過去3番目に好調な四半期投資銀行部門の収入は31%増の7億3970万ドル 米ジェフリーズ・ファイナンシャル・グループの2023年12月-24年2月(第1四半期)決算は、資本市場の好調と投資銀行業務の回復に支えられ増益となった。 27日の発表資料によれば、12-2月期の総収入は35%増の17億4000万ドル(約2600億円)。インフレと金利を巡る懸念が落ち着き始めたことから、債券と株式の引き受けが持ち直した。資本市場部門は過去3番目に好調な四半期となり、増益に寄与した。投資銀行部門の収入は31%増の7億3970万ドルとなり、ディールメーキングが回復する可能性を示唆した。 リチャード・ハンドラー最高経営責任者(CEO)はインタビューで「市場活動は全体的に回復しており、年内の見通しにかなり良い兆しとなっている」と述べた。 発表資料によると、セールス・トレーディング・チームの収入は前年同期比8.8%増の7億1160万ドル。売買高の増加などで株式のパフォーマンスが堅調さを増したことが業績を後押しした。 12-2月の純利益は前年同期比12%増の1億4960万ドル(1株当たり66セント)。 ジェフリーズの決算は、高金利と根強い地政学的懸念でディールが鈍る中でウォール街の大手銀行が今年最初の3カ月間をどう乗り越えたかを前触れするものだ。昨年は、ディールメーキングと証券の新規発行の低調が続いたのが痛手となり、多くの投資銀行が多数の人員削減を余儀なくされた。ウォール街の大手銀行は来月、1-3月(第1四半期)決算を発表する予定。2024/03/28 07:11:3196.名無しさんvgx0d日経平均株価500円安 為替介入より怖い年金勢の売り-吉井花依2024/03/28 12:30 日経速報ニュース 28日午前の東京株式市場で日経平均株価は反落した。前日比の下げは一時500円を超え、3月期決算企業の配当落ち分(約260円)を考慮しても300円近く下げた計算だ。政府・日銀による為替介入への警戒に加え、年度末に向け年金基金が膨らみすぎた株式の持ち高を減らすとの観測が日本株を下押ししている。 午前の終値は前日比479円29銭(1.2%)安の4万0283円だった。 日銀による為替介入への警戒感が相場全体の上値を抑えている。日本時間の27日夜に、財務省・金融庁・日銀が国際金融資本市場に関する緊急の情報交換会合(3者会合)を実施した。前日の東京外国為替市場で円相場は1ドル=151円97銭まで下落し、1990年7月以来、約34年ぶりの円安水準をつけていた。 28日午前11時時点の円相場は1ドル=151円30銭前後の水準にある。実際に為替介入に踏み切れば急速に円高に振れるとの警戒感から、輸出関連銘柄は基準値を下回っている銘柄が目立つ。 トヨタ自動車は前日比で58円(2%)安の3795円まで下落した。配当分を考慮した基準値(3818円)に比べても安い。日野自動車やスズキも基準値を下回る水準まで下落している。年始以降円安と並行して株高が進んできただけに、円高に振れれば支えを失うとの警戒は強い。 為替の影響を受けやすい双日や住友商事、三菱商事などの商社株や精密機器株なども基準値を下回り、上値が重くなっている。市場では「円高に振れるリスクを警戒し、買いが手控えられている」(フィリップ証券の増沢丈彦株式部トレーディング・ヘッド)との声が聞かれる。 加えて「年度末の年金の売りが相場を押し下げている」(アイザワ証券の三井郁男ファンドマネージャー)との見方もある。 国内年金基金は四半期末や年度末に向け株式など保有資産の比率を調整するとされる。例えば公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は運用資産に占める国内株の比率を25%としている。株高によって比率を上回った分を四半期末にかけて調整する必要がある。年度の最終売買日(29日)にかけて持ち高を減らすための株売りを出すとの警戒が強い。 年金の売り需要は巨額に上るとの試算もある。大和証券の阿部健児チーフストラテジストは22日付けのリポートで、GPIFなど主要な年金基金をあわせて「売却必要額は信託銀行の12月末以降の売越額と約2.2兆円の乖離がある」と指摘している。23年末以降の必要な売却額を5.8兆円と見積もったうえで、年金の売買を反映する「信託銀行」の売越額の合計(約3.6兆円)が2.2兆円下回っているとの計算だ。 売り圧力が強まっている一方で、目立った買い手は乏しい。決算期末の週は上場企業が自社株買いを手控えるとされる。一方で持ち合い解消の売りは淡々と続けるため、差し引きでは売り越しになりやすい。東京証券取引所の投資部門別売買動向をみると直近は4四半期連続で信託銀行と事業法人がともに最終週に株を売り越している。 年金基金の売りは一時的な需給要因だが、日米金利差を背景とした円安基調は当面は続くとの見方が根強い。この日から実質的に新年度入りした日本株相場。市場の目線は25年3月期の企業収益に向かう。T&Dアセットマネジメントの浪岡宏チーフ・ストラテジストは「企業の来期予想が保守的でも、あとから上方修正するとの期待感は高い」と話す。2024/03/28 12:53:2297.名無しさんvgx0d日経平均株価500円安 為替介入より怖い年金勢の売り-吉井花依2024/03/28 12:30 日経速報ニュース 28日午前の東京株式市場で日経平均株価は反落した。前日比の下げは一時500円を超え、3月期決算企業の配当落ち分(約260円)を考慮しても300円近く下げた計算だ。政府・日銀による為替介入への警戒に加え、年度末に向け年金基金が膨らみすぎた株式の持ち高を減らすとの観測が日本株を下押ししている。 午前の終値は前日比479円29銭(1.2%)安の4万0283円だった。 日銀による為替介入への警戒感が相場全体の上値を抑えている。日本時間の27日夜に、財務省・金融庁・日銀が国際金融資本市場に関する緊急の情報交換会合(3者会合)を実施した。前日の東京外国為替市場で円相場は1ドル=151円97銭まで下落し、1990年7月以来、約34年ぶりの円安水準をつけていた。 28日午前11時時点の円相場は1ドル=151円30銭前後の水準にある。実際に為替介入に踏み切れば急速に円高に振れるとの警戒感から、輸出関連銘柄は基準値を下回っている銘柄が目立つ。 トヨタ自動車は前日比で58円(2%)安の3795円まで下落した。配当分を考慮した基準値(3818円)に比べても安い。日野自動車やスズキも基準値を下回る水準まで下落している。年始以降円安と並行して株高が進んできただけに、円高に振れれば支えを失うとの警戒は強い。 為替の影響を受けやすい双日や住友商事、三菱商事などの商社株や精密機器株なども基準値を下回り、上値が重くなっている。市場では「円高に振れるリスクを警戒し、買いが手控えられている」(フィリップ証券の増沢丈彦株式部トレーディング・ヘッド)との声が聞かれる。 加えて「年度末の年金の売りが相場を押し下げている」(アイザワ証券の三井郁男ファンドマネージャー)との見方もある。 国内年金基金は四半期末や年度末に向け株式など保有資産の比率を調整するとされる。例えば公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は運用資産に占める国内株の比率を25%としている。株高によって比率を上回った分を四半期末にかけて調整する必要がある。年度の最終売買日(29日)にかけて持ち高を減らすための株売りを出すとの警戒が強い。 年金の売り需要は巨額に上るとの試算もある。大和証券の阿部健児チーフストラテジストは22日付けのリポートで、GPIFなど主要な年金基金をあわせて「売却必要額は信託銀行の12月末以降の売越額と約2.2兆円の乖離がある」と指摘している。23年末以降の必要な売却額を5.8兆円と見積もったうえで、年金の売買を反映する「信託銀行」の売越額の合計(約3.6兆円)が2.2兆円下回っているとの計算だ。 売り圧力が強まっている一方で、目立った買い手は乏しい。決算期末の週は上場企業が自社株買いを手控えるとされる。一方で持ち合い解消の売りは淡々と続けるため、差し引きでは売り越しになりやすい。東京証券取引所の投資部門別売買動向をみると直近は4四半期連続で信託銀行と事業法人がともに最終週に株を売り越している。 年金基金の売りは一時的な需給要因だが、日米金利差を背景とした円安基調は当面は続くとの見方が根強い。この日から実質的に新年度入りした日本株相場。市場の目線は25年3月期の企業収益に向かう。T&Dアセットマネジメントの浪岡宏チーフ・ストラテジストは「企業の来期予想が保守的でも、あとから上方修正するとの期待感は高い」と話す。2024/03/28 12:59:1598.名無しさんrwJO1三井住友銀行、貧困支援向けの米ドル預金 金利年4.5%2024/03/28 22:00 日経速報ニュース 三井住友銀行は4月1日、資金使途を社会課題解決につながる融資に限定したドル建ての定期預金「ソーシャル預金」の提供を始める。低所得者向け住宅の建設や公共インフラの整備、医療技術開発などへの融資に使う。通常のドル定期預金と同じ金利水準で個人や企業からお金を集め、サステナブル(持続可能性)関連融資の残高拡大を目指す。 個人向けは期間1年の定期預金を用意する。金利は通常のドル定期預金と同じ年4.5%とする。最低預入金額は50万ドル(約7600万円)で、資金に余裕のある富裕層向けに始めるが、将来は最低預入金額を引き下げて顧客層を広げることも検討する。金融機関や一般企業など法人向けも用意する。 金融包摂や教育、食糧などに関連する融資にも利用するが、持続可能な開発目標(SDGs)に沿った融資に使い道を絞る。使途を限定した預金商品には環境対策向けの「グリーン預金」があるが、貧困支援などに使途を限定した外貨預金は珍しい。ソーシャル預金の枠組みは第三者機関の認証を得る。 三井住友フィナンシャルグループ(FG)は2030年までの10年でサステナブルファイナンスの実行額を累計50兆円にする目標を掲げる。ソーシャル預金の導入で原資となる預金を集める。2024/03/29 06:14:1699.名無しさん030oShttps://i.imgur.com/gHQ4Fhg.jpghttps://i.imgur.com/it3uAw6.jpg2024/03/30 10:45:43100.名無しさん030oShttps://i.imgur.com/ngHAruA.jpghttps://i.imgur.com/kkxJn9W.jpg2024/03/30 10:46:43101.名無しさんhUrZ6日経平均、一時4万円台回復 「期初の益出し」ピークは過ぎたか2024/04/02 13:13 日経速報ニュース 2日午前の東京株式市場で日経平均株価は反発し、前引けは前日比50円(0.13%)高の3万9853円だった。日経平均は上げ幅を300円以上に広げ、4万円台に乗せる場面もあった。例年、4月第1週は前年度の株高で国内機関投資家が含み益のある保有株を売却する「期初の益出し」が出やすいとされる。想定外の大幅下落となった前日で期初の益出しはピークアウトしたとの見方が、押し目買いを誘った面がある。 期初の益出しは銀行など国内の機関投資家の特有の動きとされ、例年4月や下半期入りに当たる10月第1週の恒例イベントとなっている。含み益のある株式を売却して新年度入り早々に実現益を計上することで、運用者の達成ノルマへの安心感を高める。あるいは、持ち高の現金化でその後の運用をしやすくするといった狙いがある。 益出しを行う日本の機関投資家は、自身と同様の投資行動を他の機関投資家も取るであろうと想定し、我先にと益出しの売りを行う傾向があるとされる。誰かが売る前に自身の益出しを少しでも株価水準が高い場面で行いたいためだ。そうした横並びの動きが一斉に強まると、前日のような急落につながる。 恒例行事ながら1日の下げが大きかった一因に2023年度に日経平均が1万2327円(44%)も上昇し、史上最高値を更新するなど、歴史的な株高だったことが影響しているようだ。前年度の株高の程度が大きかったほど、新年度入り早々に評価益が出ている持ち高を実現益にする動きが大きく出やすい。それだけに2日も取引開始前は「益出しで前日のような下げに見舞われるのでは」との警戒感もあったが、午前の相場動向を見るかぎり、投資家の懸念は杞憂(きゆう)に終わった。 株価指数に連動するパッシブ投資家は数日に分けて期初の益出しに伴う売りを出す傾向がある。そのため、今週いっぱいは売り継続が警戒されるが、「前日で売りはピークアウトしたと市場ではみられている」(フィリップ証券の増沢丈彦株式部トレーディング・ヘッド)。個別銘柄の値動きからもその様子がうかがえる。1日は特段の売り材料がなくとも4%強下げた三菱重工業は2日午前は1.84%高と反発。1日に6%安だった川崎重工業は0.50%高、5%安だった野村ホールディングスは0.77%高となった。 期初の益出しのピークが過ぎたとの見立てに立てば、押し目買いを入れやすい。さらに、4月は海外投資家の資金流入で株価が上昇しやすいアノマリー(経験則)があることも株買いを後押しする。 04?23年までの直近20年間の4月の日経平均の月間騰落率を調べたところ、上昇した年が12回となった。フィリップの増沢氏の集計によると、海外投資家は直近20年間で現物と先物の合計では4月に17回買い越しており、他の月と比べて買い越しの回数が最も多かった。欧米は12月期決算が主流のため、この時期に企業からの配当金が投資家の手元に届き、その資金の一部を再投資として日本株にまわす動きと分析する。 野村証券の藤直也エクイティ・ストラテジストは1日付リポートで「海外投資家の先物買いの持ち高はニュートラル(中立)に近く、今後は買いが入りやすい」としたうえで、「短期的な需給の見通しは株価の押し上げ方向に傾斜している」と指摘した。藤氏は外資系証券が日経平均先物を21年4月以降のピーク水準まで積み増せば、日経平均は4万3500円程度まで上昇する可能性があるとも想定する。需給面では期初の益出しを通過すれば、春の外国人買いが後ろ盾になるといったところか。2024/04/02 13:31:55102.名無しさん8UCc8三井住友FG、「プロミス」をカード傘下に ノンバンク再編 スマホ活用、異業種に対抗2024/04/03 日本経済新聞 朝刊 三井住友フィナンシャルグループ(FG)は2024年度にグループ内のノンバンクのリテール事業を再編する。持ち株会社傘下の消費者金融「プロミス」のSMBCコンシューマーファイナンス(CF)を、三井住友カードの完全子会社にする。ノンバンク市場で存在感を高める異業種を見据え、スマートフォン(スマホ)を通じた金融サービスの拡充に布石を打つ。 近く発表する。旧プロミス(現SMBCCF)は12年、三井住友カードは19年に三井住友FGが完全子会社化した。大手銀では出資先のノンバンクは消費者金融、カード、信販など業態別に独立して運営しているのが一般的だ。再編は今年度の下半期を予定している。グループのカードと消費者金融の一体運営は3メガバンクで初めてとなる。 三井住友FGはクレジットカード大手の三井住友カードを中心にリテール事業の再編を進めている。23年に消費者金融のSMBCモビット、24年4月にカードや信販を手掛けるSMBCファイナンスサービスを合併した。再編後は三井住友カードが個人向けノンバンク戦略を一手に担う形となる。 SMBCCFの社長には4月1日、三井住友カードの専務執行役員を兼務する高橋照正氏が就いた。消費者金融とカードを一体運営することでデジタル化を進める。三井住友カードが持つアプリなどのノウハウをSMBCCFに共有し、プロミスのアプリを使いやすくする。与信判断もカードのノウハウを取り入れて高速化する。三井住友FGのポイント事業「Vポイント」でも連携を深める。 背景にあるのは消費者金融を中心とした貸し付けの増加だ。日本貸金業協会によると、24年1月のノンバンク3業態の消費者向け無担保貸し付け(住宅向けを除く)は前年同月比6.5%増の4兆2051億円だった。新型コロナウイルス禍後の「リベンジ消費」を取り込んだ。米国でも消費者信用残高は市場予想を上回る伸びを確保する。 消費者金融大手のアコムでは新規顧客数が23年4~12月期に前年同期比で5割増えた。若年層の需要を取り込む。ある大手では貸し出しから2年以内の債権の件数が全体の半分近くを占める。消費者金融会社の幹部は「将来の自分と『割り勘』して支出をする習慣が根付いてきた」と強調する。 もう一つの背景にあるのが、新型コロナウイルス禍に伴いノンバンク市場で急速に存在感を高めてきた通信会社やIT(情報技術)など異業種の参入組だ。LINEクレジットの「LINEポケットマネー」は23年に累計貸付金額が1000億円を超えたと公表。小口資金などの需要を取り込み、業界大手に迫る規模の申込件数を確保した。 通信会社ではKDDI系の「au PAY スマートローン」が存在感を高めるほか、NTTドコモが22年に申し込みや返済、借り入れをスマホで完結できる「dスマホローン」を始めた。累計貸付実行額は24年2月時点で370億円を超える。同社は事業の拡大をにらみ3月、中堅信販のオリックス・クレジット(東京・港)を傘下に収めた。 異業種勢に共通するのはスマホでの手続きや顧客獲得に特化していることだ。既存の消費者金融各社もスマホでの借り入れ、返済ともに対応するが、新規顧客の獲得にはテレビやインターネットでのCMに依存する傾向が強い。対話アプリや通信会社などから気軽に借り入れできることから異業種勢が顧客獲得で優位に立ち始めている。 楽天グループが相乗効果をにらみ銀行やカードなど金融子会社の再編について協議を始めるなど、組織形態を見直す動きも相次ぐ。消費者保護と両立させながらどう個人の資金需要を開拓するかが問われている。2024/04/03 06:08:49103.名無しさんlNC1z日経平均、新NISAの「うれしい誤算」で4万円台に2024/04/04 12:33 日経速報ニュース 4日午前の東京株式市場で日経平均株価は反発し、4万円を上回った。前日は終値で下値支持線となっていた25日移動平均を下回ったが、すかさず押し目買いが入った。海外勢の見直し買いに加え、新しい少額投資非課税制度(NISA)を使った個人の買いが想定以上に国内株に向いていることが背景にある。国内外の投資家の日本株への強い買い意欲により、深い押し目のない上昇が続くかもしれない。 前日の米長期金利の上昇一服を受けた米ハイテク株高の流れを引き継いで、朝方から半導体関連を中心に買いが先行した。東京エレクトロンが株式分割を考慮した実質的な上場来高値を更新。日経平均の上げ幅は一時700円を超えた。前引けは前日比649円(1.65%)高の4万0101円だった。 3日午後に発表した今期の株主還元方針を好感して、伊藤忠商事がきょうも買われて上場来高値をつけた。香港のヘッジファンド、オアシス・マネジメントがマーケティングの改善を要求した花王にも物色が向かった。日本企業の資本効率改善に期待した海外勢の買いが日本株の上昇をけん引している。 上昇基調が続くもう1つの背景には新NISAによる日本株買いがある。日本証券業協会が3月に公表した証券会社10社(大手5社・ネット5社)の2月末時点のNISA口座の開設・利用状況によると、1?2月の買付額(1カ月平均)は、成長投資枠とつみたて投資枠がともに前年1?3月の月平均の3倍に達し、合わせて1兆7700億円となった。 海外株を投資対象とする投資信託の人気が圧倒的に高いとみられていたなかで、このうち46%が国内株(上場投資信託=ETFや不動産投資信託=REITを含む)に振り向けられたことが市場関係者の間では驚きを持って受け止められている。 モルガン・スタンレーMUFG証券はこれまで、新NISAによる2024年の国内株の買付規模を2兆4000億円程度と見込んでいた。日証協調べの月平均を12カ月換算して国内株の割合を乗じると、9兆7000億円程度となる。同証券の中沢翔株式ストラテジストらは3日付リポートで「我々の想定の4倍で日本株に投資していることになる」と分析。「日本株に対する強気姿勢を維持する当証券としてはうれしい誤算だ」と指摘した。 UBS証券は3日付で24年末の日経平均の見通しを4万5000円に設定した。担当の守屋のぞみストラテジストは「24年後半以降は、円高による外需株を中心とした収益の悪影響を織り込むが、企業の為替前提との乖離(かいり)は限られるため、大幅な株価調整は想定しない」と指摘する。日本株は年初からの急ピッチの上昇を経て、今後の上昇ペースが鈍る可能性が高いが、じりじりと水準を切り上げる展開となりそうだ。2024/04/04 12:50:23104.名無しさんtQtgh証券株に売り広がる 株高一服、収益拡大期待が後退2024/04/05 20:49 日経速報ニュース 証券株に売りが広がっている。5日の東京株式市場では業種別日経平均株価の「証券」が前日比2.4%安の3147.07となり、2月下旬以来およそ1カ月ぶりの安値水準となった。大幅反落となった日経平均の下落率(2.0%)を上回った。株高が一服し、売買手数料収入が伸びるとの期待が後退。利益確定の売りが優勢となった。 指数構成銘柄では、大和証券グループ本社が3.2%安、東海東京フィナンシャル・ホールディングスが2.8%安、野村ホールディングスが2.6%安、マネックスグループが2.0%安だった。 証券株は年初から3月下旬にかけて上昇基調が続いていた。業種別日経平均の「証券」は3月22日に直近高値の3395.59をつけ、23年末から29%上昇していた。株高で売買が活況となり、手数料収入が伸びると期待された。 足元では米国の利下げ観測の後退や中東情勢の悪化を受けたリスクオフの流れから株高が一服。収益拡大期待がしぼみ、利益を確定させる売りが広がった。 もっとも、「市場全体の商いはしっかりしており、証券会社にとってアゲンスト(向かい風)の状況ではない。一時的な売りにとどまる」(りそなアセットマネジメントの下出衛チーフ・ストラテジスト)との見方がある。東証プライム市場の売買代金は1月末から足元にかけて4兆?6兆円台で推移する。前年同期は2兆?4兆円台だった。 ピクテ・ジャパンの糸島孝俊ストラテジストは「昨年からの株高や新NISA(少額投資非課税制度)がどれだけ収益貢献しているか、今後の決算で見極めたい投資家もいる。しばらく様子見の姿勢が広がりそうだ」と話す。2024/04/06 04:01:11105.名無しさんtQtghVポイントとTポイント統合――合算にはID連携必要(ポイント賢者)2024/04/06 日経プラスワン 4月22日にカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)の共通ポイントの「Tポイント」が三井住友フィナンシャルグループの「Vポイント」と統合し名称を「Vポイント」に統一します。今持っているTカードやTポイントは統合後も新Vポイントの仕組みに乗って使えます。 Vポイントは三井住友銀行や三井住友カードなどの利用でたまります。年会費無料のクレジットカード(クレカ)の三井住友カード(NL)などを対象店舗で使うと、スマートフォンのタッチ決済は利用額の最大7%、プラスチックカードのタッチ決済は同5%のVポイントをもらえます。スマホアプリの「Vポイント」に1ポイント=1円で入金しVisa加盟店で使えます。統合後は「VポイントPayアプリ」になります。 今のTポイントとVポイントをID連携すると22日以降、両ポイントを合算できます。例えばTポイント加盟店でTカードを提示し三井住友カードのクレカでタッチ決済すると、今はTポイントとVポイントが付きます。統合後はVポイントがダブルでたまります。連携しないとポイント合算や一部のサービス利用ができないので要注意です。 新Vポイントの有効期限は今のTポイント方式で最終利用日から1年です。現在のVポイント利用者はクレカの種類によって異なる有効期限が利用ごとの自動更新に変わり、失効の恐れが少なくなりそうです。 21日まで「カウントダウン祭」を開催中です。エントリーすると、モバイルTカード提示でポイント付与が2倍(新規登録会員は10倍)、対象のコンビニと飲食店で三井住友カードの対象カードでスマホのタッチ決済をすると通常最大7%の還元率が同10%になります。他のポイントも新Vポイントを意識しキャンペーンを行うかもしれません。2024/04/06 06:32:04106.名無しさんJLPrl三井住友DS、日本株ETFを米で上場 アクティブ型、国内勢初2024/04/10 日本経済新聞 朝刊 三井住友DSアセットマネジメントは米ニューヨーク証券取引所で日本株の「アクティブ上場投資信託(ETF)」をこのほど上場させた。アクティブETFは指数連動ではなく独自に選んだ銘柄で運用する。ニューヨークでの上場は日本株対象で2例目とみられ、国内運用会社では初めて。海外投資家は日本株への関心を高めており、需要を取り込む。 「レイリアントSMDAMジャパン・エクイティETF」を上場させた。ファンド設定などを香港の運用会社、レイリアント・グローバル・アドバイザーズ(RGA)が担い、三井住友DSアセットが銘柄選びなどの実質的な運用を請け負う。 約30銘柄に集中投資し、東証株価指数(TOPIX)を超える成果を目指す。投資対象は電気機器や機械、IT(情報技術)など幅広く想定する。中長期で成長するとみる銘柄に投資する。 日本ではアクティブETFが2023年9月に解禁されたばかりだが、米国では手数料や税金などのコストの低さなどから急速に普及している。残高の規模は日本の100倍超とみられる。 三井住友DSアセットとしても実質的に運用するアクティブETFを米国で上場させるのは初めてだ。市場が広がる米国で個人の資金などを取り込みつつ、本格的な市場でノウハウを得る狙いもある。 海外で日本株への関心が高まっていることもニューヨークで上場した理由の一つだ。日経平均株価は2月に34年ぶりに最高値を更新し、足元でも最高値圏にある。アクティブETFの上場が続けば、米国の個人マネーを日本株へ呼び込む流れが加速する可能性がある。2024/04/10 06:21:25107.名無しさんwmYQK銀行・信金貸出残高3月、3.2%増619兆円 資金需要の拡大続く2024/04/11 日本経済新聞 朝刊 日銀が10日発表した3月の貸出・預金動向(速報)によると、全国の銀行と信用金庫の貸出平均残高は前年同月比3.2%増の619兆5660億円になった。不動産やM&A(合併・買収)向けの資金需要が引き続き強く、新型コロナウイルス禍後の経済活動の改善に伴って残高の拡大が続いている。 銀行・信金の貸出残高の増加率は、2月(3.0%増)より拡大した。特に都市銀行などの伸びが4.2%増と高く、2021年3月以来の増加幅だった。信金は増加幅が縮小傾向にあり、3月は前年同月比0.4%増にとどまった。 預金残高も増加した。3月の平均残高は前年同月比2.0%増加し1039兆8999億円だった。2月(1.9%増)からわずかに伸び率は拡大した。 日銀が3月にマイナス金利政策を解除し、金融機関では預金金利を引き上げる動きが活発になっているが、全体の残高に目立った影響はないとみられる。2024/04/11 06:24:58108.名無しさんCCf6v預金60兆円 大都市が吸引 相続で移動、大手銀争奪 試練の地域金融(チャートは語る)2024/04/14 日本経済新聞 朝刊 超低金利下で敬遠されてきた預金の位置づけが変わってきた。「金利ある世界」では金融機関の稼ぎの源泉として預金の重みが増すためだ。各行とも金利を上げて獲得に動いているが、相続に伴う資金移動が預金の東京集中を加速させる要素として浮上してきた。60兆円規模の資金移動は地方金融機関にとって試練となる。 「メガバンクに流れないよう、相続分を定期預金してくれたら金利を上乗せしている」。奈良県の信用金庫幹部は打ち明ける。この信金の預金は前年比プラスだが、縮小傾向にある。預金者も高齢層が多く、相続に伴う預金流出への危機感は強い。 三井住友信託銀行は相続に伴い、今後30年間で58兆円の家計の金融資産が全国から東京圏(東京、神奈川、千葉、埼玉)に流入すると試算する。東京圏から他地域への流出分を引いても東京圏の純増額は38兆円にのぼる。奈良や秋田、愛媛など17県では家計の金融資産の3割以上が県外に流出する可能性があるという。 三井住友信託の青木美香主任調査役は「東京圏の吸収力はブラックホール並みで、家計の金融資産の集中は一段と進む」とみる。地方在住の親が亡くなり、都市部に住む子供が預金を相続する際、営業地域が限られる地域金融機関は「流出超過」になりやすい。 信金の中央機関である信金中央金庫によると2024年2月時点の全国の信金の預金残高は162兆円。前年同月比1600億円増えたが伸び率は0.1%に縮んだ。20~21年は新型コロナウイルス禍の支援金で8%を超えるときもあったが、足元では実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の返済に伴う預金流出も起きている。 直近23年11月時点で全国11地区のうち東北や北陸、中国、南九州など6地区の預金残高がすでにマイナスになった。信金の預金が全体でも減少すれば21年ぶりとなる。 すでにマイナスに転じたのがJAバンクだ。23年5月に前年割れとなり、24年2月までの10カ月間のうち9カ月は前年実績を下回った。信金とJAバンクに共通するのは高齢化が進む地方が地盤という点だ。 相続マネーの受け皿になっているのが大手行だ。日銀によると大手行の預金残高は24年2月までの1年間で15兆円増えた。信金より営業地域が広い地銀の預金は全体では伸びを維持しているが、個別にみると残高が前年を下回る地銀もでてきた。 「これからは預金をとりにいく」。日銀が3月にマイナス金利政策を解除した後、みずほフィナンシャルグループの木原正裕社長は行員に意識変革を訴えている。資金の振り向け先が乏しかった超低金利下では預金はコストのかかる重荷で、余剰資金を抱えて日銀にあずければマイナス0.1%を課されてきた。 マイナス金利解除で前提が変わった。3メガバンクは0.001%だった普通預金の金利を0.02%に引き上げ、長めの資金を確保しようと定期預金の金利も引き上げた。 ポイント経済圏の利便性や比較的高い金利を武器に預金を伸ばすネット銀行の存在も大きい。楽天銀行の預金残高は23年12月に10兆3100億円と、1年間で1兆4700億円増えた。口座数も1400万を超え急成長が続く。ネット銀のサービスで満足すれば地域金融機関で口座開設する動機は薄れる。 銀行や信金にとって預金は運用の元手でビジネスの基盤だ。預金が減れば運用リスクを取って収益をあげにくくなり、不良債権処理や融資先への経営支援の余力は落ちる。 預金が増えた時代の終わりは地域金融の地殻変動の導火線になる可能性がある。(湯浅兼輔、北島空)2024/04/15 06:09:49109.名無しさんCCf6v住友重機械、秘めた実力1兆円 逆転の切り札は半導体-茂野新太2024/04/15 04:00 日経速報ニュース 住友グループの源流である別子銅山(愛媛県新居浜市)で使う機械の工場として、1888年に産声を上げた住友重機械工業。長い歴史の中で事業の裾野を広げてきたが、強みが見えにくくなり現在の企業価値は理論値の7割にとどまっている。実はある半導体製造装置の分野では世界最大手の牙城を崩せるほどの実力もある。半導体銘柄への転身を図れば、企業価値の毀損を脱する可能性も秘める。 「一般商船の建造の新たな受注は2024年度以降止める」。下村真司社長は2月の決算説明会でこう語った。別子銅山での機械工場と並んで祖業の一つとして続けてきた造船事業から撤退することを決めた。事業規模が小さく、撤退による業績への影響は限られる。それでも大きく打ち出したのは「株式市場に事業再構築への本気の姿勢を示す」(同社)狙いがあったからだ。 国の防衛費拡大などを背景に重工各社が株価を上げるなか、住友重機械の上昇率は相対的に小さい。同社は機械の動力伝達に使う変速機・減速機、建設機械など幅広い事業を手掛ける。業界では複合経営ゆえに企業価値が割り引かれる「コングロマリット・ディスカウント」のきらいが少なからずあるが、同社での影響は深刻だ。 複合企業の企業価値分析に使う「サム・オブ・ザ・パーツ(SOTP)法」で理論価値を出すと、その影響が浮かび上がる。日経バリューサーチのデータを活用し、各事業の営業利益と、それぞれの事業が属する業界内で事業価値(EV)が利益の何年分に当たるかを示すEV/営業利益倍率を掛け合わせて事業ごとの理論価値を導き出した。 試算した事業価値の合計は1兆円に迫る。足元での株式の時価総額(5831億円)に、純有利子負債を加えた企業価値は6497億円となり、3割下回る。企業価値は各事業の相乗効果を生み出すどころか事業価値の合計にも満たない。 企業価値を損なっている証左は他にもある。PBR(株価純資産倍率)は三菱重工業(2.4倍)や川崎重工業(1.4倍)などで1倍を超えるのに対し、0.9倍にとどまる。 コングロマリット・ディスカウントを解消する手掛かりはあるか。 造船業の後を継ぐ子会社と大型の鉄鋼構造物を手掛ける子会社が組み、洋上風力発電用の設備ビジネスに乗り出すなど、複合経営を生かそうとはしている。だが、こうした事業間シナジー(相乗効果)を創り出す取り組みは限られる。2024/04/15 09:43:15110.名無しさんCCf6v カギを握るのが、同社が手掛ける「イオン注入装置」と呼ばれる半導体製造装置だ。電気を帯びさせてイオン化した原子や分子を半導体の基板となるシリコンウエハーに注入し、ウエハーに半導体としての電気的な特性を与える工程を担う。半導体の製造に欠かせず、市場調査会社グローバルインフォメーションによると同装置の世界市場は30年に113億5000万ドル(1兆7000億円程度)と22年の2.3倍となる。 1980年代、オイルショックのあおりでエネルギーを多く使う重厚長大産業が不況に陥った。そんななかメカトロニクスの技術などを生かして進出したのがイオン注入装置をはじめとする半導体製造装置だった。 実は住友重機械はイオン注入装置の世界シェアで半導体装置の巨人、米アプライドマテリアルズ(AMAT)などに次ぐ3位にある。同装置のシェアは6?7割のAMATに対して1割だが、スマートフォンや車載用カメラなどに使うイメージセンサー用では過半のシェアを占める分野がある。生成AI(人工知能)向け半導体の需要もある。 稼ぐ力は高い。2023年12月期の連結営業利益率は7%で、そのうち傘下で事業を手掛ける住友重機械イオンテクノロジー(SMIT、東京・品川)の利益率は20%に達する。試算によると事業価値は約2600億円に及ぶ。岩井コスモ証券の斎藤和嘉氏は「用途によってはAMATのシェアを奪える。実現すれば評価もあがる」とみる。 2月、26年12月期まで3年間の中期経営計画をまとめた。連結営業利益で1000億円(前期743億円)、事業活動に投じた資金を使い効率よく利益を上げているかを示す「投下資本利益率(ROIC)」で8%(前期7%)をめざす。株式市場では「まずPBR1倍へのシナリオは示された」(大和証券の田井宏介氏)と評価する声もある。 だが資本コスト経営の徹底は欠かせない。住友重機械は資金の出し手である株主や債権者が期待する最低限のリターン「加重平均資本コスト(WACC)」を6?8%と見込む。30年12月期までに全事業のROICでWACCを上回る目標を掲げるが、プラントなど一部で目標を下回る状況が当面続き、及第点にとどまる。資本効率を改善する具体策も乏しい。 「我が社を活性化させる切り札だ」。半導体装置への参入当初、当時の同社首脳は期待を込めてそう語っていた。ただ今では「事業を切り出し上場すれば注目される。他の事業と同じ会社で抱えるのは残念」(半導体セクターの証券アナリスト)と皮肉る声もある。「重機械」の名を捨て半導体銘柄になるくらいの覚悟で資本を傾斜配分することが、真の企業価値への近道かもしれない。【関連記事】・住友重機械、造船事業から撤退 洋上風力や建機に注力・機械株の株価上昇率、「脱造船」企業が上位 23年末比・住友重機械子会社、愛媛新工場で半導体製造装置生産2倍2024/04/15 09:43:52111.名無しさんG5H2a日銀の当座預金、大手銀23兆円増 3月、マイナス金利解除で2024/04/17 日本経済新聞 朝刊 日銀が16日公表した3月の当座預金残高によると、3メガバンクを含む都市銀行の残高が前月から約23兆円増加し、208兆3940億円になった。3月16日から4月15日までの平均残高で、当座預金の一部にマイナス金利を適用する政策が廃止されたことで残高が増えた可能性がある。 金融機関は資金決済を行うため日銀の当座預金口座にお金を預けている。日銀は2016年からこの当座預金の一部にマイナス0.1%の金利を適用していたが、3月19日にマイナス金利の終了を決めた。 マイナス金利の解除以降は、法定準備を除く超過準備額に0.1%の金利をつけている。法定準備分を除く約202兆円の残高が維持されると考えると、日銀は年換算で2000億円規模の利息を大手銀に支払うことになる。 これまでは日銀にお金を預けすぎると、金融機関側に利払い負担が生じる構図だったため、銀行はマイナス金利の適用を回避するため余剰資金の運用先を模索してきた。短期の資金をやりとりする市場に資金を放出するなどしてマイナス金利の適用を免れていた。 マイナス金利解除後は「当座預金に積めば0.1%の金利がつくため、短期市場では大手銀が資金の取り手に転じている」(短期市場関係者)とみられる。りそな銀行の担当者は「無担保コール翌日物や5年以下の国債などで柔軟な運用ができるようになってきた」と話す。2024/04/17 06:06:47112.名無しさんx3kzh住信SBI、短プラ上げ 変動型住宅ローン、金利に上昇圧力2024/04/18 日本経済新聞 朝刊 住信SBIネット銀行は17日、短期融資の基準となる短期プライムレート(短プラ)を0.1%引き上げて年1.775%にすると発表した。5月1日から適用する。短プラは変動型住宅ローン金利の基準で、同行で借りたローン金利は上がる可能性が高い。 日銀が3月にマイナス金利政策を解除してから短プラの引き上げが表面化するのは初めて。預金金利の引き上げに伴う調達コストの上昇を反映したとしている。日銀が2016年2月にマイナス金利政策を導入した際、住信SBIは短プラを据え置いていた。 住信SBIの4月時点の変動型住宅ローンの基準金利は2.775%で最優遇金利は0.298%。銀行は一般的に住宅ローンの基準金利を毎年4月1日と10月1日に見直している。 10月までに再び短プラを下げなければ、10月から変動型の基準金利は上昇。25年1月の返済分から影響する。 住信SBIは23年3月期の住宅ローン実行額が1兆4000億円超で、メガバンクを上回る。残高ベースでは23年12月末時点で6兆円を超えこのうち変動金利型は93%を占める。 短プラは1年未満の短期融資の基準となる金利。住信SBIが短プラを上げるのは07年に営業開始してから初めて。日銀によると最も多くの銀行が設定している水準(最頻値)は09年1月以来、1.475%で据え置かれてきた。変動型の住宅ローンの基準金利は多くの大手行が短プラに連動して決めている。2024/04/18 06:19:24113.名無しさんx69HY新生Vポイント始動 8600万会員、金融軸に携帯4社追う2024/04/22 05:00 日経速報ニュース カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)と三井住友フィナンシャルグループ(FG)のポイント事業統合で「新生Vポイント」が22日にスタートする。会員数は8600万人程度と国内有数の規模となる。世界1億店以上のVisaカード加盟店で使えるなど金融面の強みを生かし、共通ポイントで先行する携帯大手に挑む。 「2つのポイントの良さを合わせ、みんなが自由にどこでも使えるポイントになる」。2023年6月、三井住友FGの太田純社長(当時)はポイント事業統合の記者会見で力を込めた。 CCCのTポイントと三井住友FGのVポイントを統合し、新生Vポイントに統一する。共通ポイントの草分け的な存在で約20年の歴史を持つTポイントの名称は消えることになる。会員数は単純合算で1億5000万人規模で、重複を省くと8600万人規模になるとみられる。運営会社にはCCC側が6割、三井住友FG側が4割を出資する。 最大の強みは世界200カ国以上に1億店以上あるVisa加盟店でポイントをためて使えることだ。CCCの高橋誉則社長は「世界で使える場所が急速に広がる」と話す。実際にVポイントは会員1人あたりの年間ポイント獲得額がTポイントの8倍だ。1000円以下の決済が多いTポイントに対し数千円、数万円単位のVポイントはたまりやすかった。 さらに三井住友FGはスマートフォンを起点とした金融サービスへの転換を進めている。核になるのが、総合金融サービス「Olive(オリーブ)」だ。銀行、カード、証券、保険などのグループの金融サービスの利用状況に応じてポイント還元率を高める。 Tポイントは知名度が高い一方、決済面の機能が弱い。CCCの本業であるDVDレンタル市場の縮小などもあり、ここ数年は苦戦していた。一方Vポイントはクレジットカードのタッチ決済など利便性は高いが、知名度に劣る。 両社の思惑が一致し、ポイントの統合交渉はわずか1カ月でのスピード合意だったという。CCC創業者の増田宗昭会長は「太田さんに会った時一発で『おもろいオッチャンやな』と思った。一緒にやりたいと思った」と話す。その太田氏は膵臓がんにより23年11月に65歳で急逝した。 国内のポイント市場は成長が続いている。矢野経済研究所(東京・中野)によると、27年度の年間ポイント発行額は22年度比37%増の3兆3999億円に膨らむ見通し。 共通ポイントでは携帯大手の4社の存在感が強い。楽天グループの「楽天ポイント」、NTTドコモの「dポイント」、KDDI系の「Pontaポイント」、ソフトバンク系の「PayPay」は通信や金融サービスを融合させて顧客を囲い込もうとしている。 NTTドコモはアマゾンジャパン(東京・目黒)と連携し、弱点だった電子商取引(EC)を補強している。楽天グループは18日、決済やポイントなどのアプリを統合すると発表した。 MMD研究所の24年1月の調査では「最も活用しているポイント」は、TポイントとVポイントの合計で約8%にとどまる。ある共通ポイントの関係者は「脅威だとは思っていない」と話す。 複数のポイントを活用する30代会社員の女性は「その時々にお得なポイントを集めている。早速Vポイントへの移行キャンペーンも利用している」と話す。MMD研究所の伊藤南美研究員は「Visaの加盟店で利用できることは大きいが、VポイントがVisaだと消費者に分かりやすくアピールできるかが鍵だ」と話す。【関連記事】・楽天、決済アプリ統合 ポイントと一本化でPayPay対抗・ドコモ、Amazonと決済・ポイント連携 経済圏拡大へ・JR東日本、「Suica経済圏」再構築 金融サービスに参入2024/04/22 06:12:26114.名無しさんvM3a9脱炭素ファンド、メガ銀が参画 ブラックロックなど設立2024/04/26 日本経済新聞 朝刊 【シンガポール=佐藤史佳】米ブラックロックとシンガポールの政府系投資会社テマセク・ホールディングスが設立した資産運用会社、デカーボニゼーション(脱炭素化)パートナーズは、1号ファンドで14億ドル(約2200億円)の調達を完了した。みずほ銀行と三菱UFJ銀行も参画する。 1号ファンドには18カ国から30の機関投資家が参画する。みずほと三菱UFJのほか、米保険大手のオールステート、スペインの大手銀行BBVA、デンマークの投資会社KIRKBIなどが機関投資家として出資する。年金基金や政府系ファンド、富裕層の資産を管理するファミリーオフィスからも資金を集めた。 新ファンドは脱炭素関連の事業に取り組む企業やレイターステージ(成長後期)のスタートアップに投資する。2024/04/26 06:02:34115.名無しさんvM3a9日銀、26年度物価上昇2%程度を提示へ きょう決定会合2024/04/26 05:00 日経速報ニュース 日銀は26日に金融政策決定会合を開く。会合後に初めて示す2026年度の消費者物価指数(CPI、生鮮食品除く)の前年度比上昇率は2%程度となる見通しだ。低金利が円安進行の一因になっているとの指摘もあるが、日銀は3月会合でマイナス金利政策を解除したばかりで、市場関係者の多くも金融政策の「現状維持」を見込む。 植田和男総裁が26日午後に記者会見し決定内容を説明する。 日銀は3月会合でマイナス金利を解除し、17年ぶりの利上げに踏み切った。市場は追加利上げの時期に注目しているが、今回の会合での政策変更を見込む声は少ない。 QUICKが15日発表した4月の外為月次調査によると、日銀が追加利上げに動くタイミングは年内では10月(22%)が最多で、4月の利上げを見込む声は2%だった。 日銀は一時的な要因を除いた基調的な物価上昇率が2%に達する可能性が高まっているか見極めた上で追加利上げを判断する意向だ。植田総裁は23日の国会で基調的な物価上昇率が「現状は2%をやや下回っている。緩和的な金融環境を維持するのが適切だ」と答弁した。 3カ月ごとに示す「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」も焦点となる。26日の会合後は24?26年度の3年間の物価見通しを盛り込んだ最新のリポートを公表する。 日銀は3月会合でマイナス金利を含む大規模な金融緩和策を解除した際に、政府と掲げる物価2%目標の実現が「見通せる状況に至った」と説明していた。今回のリポートで初めて示す26年度の物価上昇率見通しは2%程度とするとみられ、2%目標に近い水準が5年連続で続くことになる。 1月会合時点で2.4%の上昇とした24年度見通しも引き上げる可能性がある。足元で円安が進んでいることに加え、中東情勢の緊迫化で原油など資源価格が上昇するリスクがある。5月検針分の電気料金から再生可能エネルギーの普及のために上乗せする賦課金が引き上げられることも上振れの要素になりそうだ。 市場は政策変更の有無だけでなく、植田総裁の円安に絡む発言に注目している。外国為替市場で円は1ドル=155円台とおよそ34年ぶりの水準まで円安が進んだ。植田総裁は18日のワシントンでの会見で円安で基調的な物価が上がって「無視できない大きさの影響になれば、金融政策の変更もありうる」と将来の利上げに含みを持たせている。 長期国債の買い入れを巡る対応も焦点だ。3月会合でこれまでと同程度の買い入れを続ける方針を決めた。「将来的には買い入れを減額」(植田総裁)する考えだが、具体的な時期は示していない。日銀の国債保有割合(国庫短期証券を除く時価ベース)は発行残高の過半に達しており、市場は日銀がいつ量的引き締め(QT)に踏み切るかも注視している。2024/04/26 06:05:14116.名無しさんvM3a9くすぶる日銀タカ派姿勢への思惑、銀行・バリュー株買いを後押しかhttps://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-04-26/SCHAWVT1UM0W00?srnd=cojp-v2銀行株は過去数十年放置、インフレ本格化なら新フェーズ入りの声バリュー株、足元で対グロース株のアウトパフォーム度合い強める マイナス金利政策の終了とともに、いったん勢いが衰えるかに見えた銀行株を含むバリュー(割安)株。だが、外国為替市場で円安が止まらず市場では日本銀行が再度の金融引き締めに向けたタカ派的な姿勢を強めるのでないかとの見方がくすぶり、再びバリュー株への追い風が吹く可能性が出てきた。 円相場が対ドルで34年ぶりの安値を更新し、円安による国内経済への悪影響を懸念する声が経済界でも日増しに高まっており、植田和男総裁が早ければ今回の会合で再利上げに向けた布石を打つのではないかとの観測が浮上している。市場参加者の金融政策見通しを映すオーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)は10月までの0.25%への利上げ実施を織り込み、7月までの可能性も5割程度織り込まれてきた。 住友生命バランスファンド運用部の村田正行部長は「植田総裁は円安が物価に与える影響を考慮するだろう」と予想。今回の会合で利上げは考えられないが、「利上げをにおわせるスタンスを打ち出す可能性がある」と述べ、こうした思惑が最近の銀行株の堅調につながっていると指摘した。日銀の年内利上げ予想が8割占める、最多10月は4割に増加-サーベイ 3月のマイナス金利解除に際し、日銀は当面緩和的な金融環境が継続すると強調。市場も追加利上げは当分ないとみて、銀行株を含むバリュー株相場は終わるのではないかとの見方も出ていた。 UBS SuMi TRUSTウェルス・マネジメントの小林千紗日本株ストラテジストは、多くの投資家はマイナス金利の終了で日銀の政策変更はひとまず終わりと考えてきたが、日銀がいずれ利上げに動く大きな方向性は変わらないと指摘。こうした点が市場で見過ごされており、「銀行は過去数十年にわたり放置されてきたセクターだけに、日本が本当にインフレになるのなら新たなフェーズだろう」と語る。2024/04/26 12:32:46117.名無しさんyQbvc「植田会見は難解」 揺れる海外勢の日本株買いと円売り2024/04/30 11:37 日経速報ニュース 「日本は他の先進諸国に比し、与党政権が安定している」 これが、外国人から見た日本株のメリットの一つであった。 国賓待遇で訪米。議会英語演説でスタンディング・オベーションを受けた岸田首相の姿が全米に放映されたことで、つい最近まで米国内での印象度は悪くなかった。 それが今や、補欠選挙の与党全敗で、日本株を取り巻く政治環境の不透明性がにわかに海外でも醸成されつつある。週末にも外国勢から、日本の政治に関する質問が相次いだ。筆者は、日本発ニュースへの注目度が高まり、補選結果まで彼らが把握していることに、日本株への本気度を感じている。 そこに、円も迷走していることで、日本株保有見直しの動きが、徐々に出始めた。 確かに、1ドル=160円ともなれば、日本株市場は、外国人投資家から見れば「バーゲン会場」とも映る。 とはいえ、春闘で大幅賃上げの事例が多く見られたことで醸成された、実質賃金増加による物価と賃金の「良い循環」実現の期待感に、超円安は冷や水を浴びせる展開になっている。期待感で日本株を購入、あるいは、検討を始めた外国人投資家の心理が、今や揺れていることが、彼らとの対話から伝わってくる。 特に、円安に関しては日銀と米連邦準備理事会(FRB)の情報発信の違いが話題になっている。 筆者が最も印象的と感じた質問は「日銀会合で参加者たちはドット・チャート(政策金利見通し)のような個人的金利予測を行わないのか」。 「日銀総裁の記者会見での発言が断片的に英訳されて伝わってくるが、よく理解できない」という素朴な疑問も目立つ。 「確か、今回の日銀会合では、利上げ見送りが事前予測であったと聞いている。緩和継続も想定内であろう。それが、結局、総裁の円安に関する直接的発言が不十分、あるいは分かりにくいとの理由で、円相場はレッドラインを突破した感がある」「市場は円安について、日銀総裁から不安感を除去するような発言を事前にそれほどに期待していたのか。我々遠く観客席から見ていた視点では、なにやら試合中にゴールポストが移ったような印象だ。これでは、まさしく投機筋の思うつぼではないのか」。これは、日本株を買ったものの、円迷走に不安感を覚えるというヘッジファンドの本音の感想だ。 筆者も、日銀会合と米連邦公開市場委員会(FOMC)の際の中央銀行トップ記者会見を見続けてきたが、たしかに、日銀のほうが日本人でも解釈が難しい。行間を読まねばならず、禅問答のごとく難解だ。しかも、同じような質問が繰り返される。対して、FRBのほうは、若手の女性記者らが、「ハロー!ミスターチェアマン」と明るく切り出すシーンなど、フランクな印象で、質問の内容も多岐にわたる。FRB高官らが、常日頃、利下げ回数など具体的に意見を述べているので、日銀に比し、かなり突っ込んだ議論が交わされる。 いっぽう、円売り投機に走っているヘッジファンドは「高笑い」かと思いきや、介入当局との我慢比べの様相で、緊張感がひしひしと伝わってくる。140円台後半から150円程度で円を売った人たちは、声高に、「介入があっても150円に戻すのは難しい」と強調する。しかし、円という通貨を持っていないのに、円を売った人たちの心理は、早々に円を買い戻さねばという焦りに揺れるものだ。そもそも損切りより利益確定のほうが「欲との戦い」で難しい。まして、相手が介入当局となれば、これは我慢比べとなる。先週金曜日に発表された米シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の通貨先物取引(IMMポジション)の円ショート件数はネットで17万9919枚と記録的な高水準まで膨張したが、この数字は先週火曜日時点のもので、日銀会合後の円売り枚数はまだカウントされていない。いずれにせよ、市場の底流には、円買い戻しマグマがふつふつと蓄積している。当面、円売り優勢論が圧倒的だが、投機筋の本音は、いつ臨界点に達するのか、戦々恐々なのだ。彼らの悪夢は、米インフレが今後意外に順調に収束して、FRBも安心して利下げできる市場環境になることだ。FRBの制御不能な地政学的リスクやら、財政赤字膨張によるインフレ再燃は米金利高止まり要因としてひそかに「期待」しているところとなる。 現時点では、ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)が明確に円安方向を示唆している。とはいえ、市場の大多数が同じ方向を向くことは不気味なものだ。2024/04/30 13:32:56118.名無しさんS4uGO3メガ、今年度の中途採用5割迫る 三菱UFJ銀は新卒超え デジタル人材手厚く2024/05/02 日本経済新聞 朝刊 3メガバンクの2024年度の採用計画が出そろった。三菱UFJ銀行は中途で23年度比7割増の600人を採用し、新卒を初めて上回る見通しだ。3メガ銀全体で中途比率は45%と5割に迫る。デジタル化や富裕層向けビジネスの重みが増すなか、新卒一括採用で様々な部署を経験させて人材を育成してきた従来の手法が転機を迎えている。 三菱UFJ銀行は24年度に中途600人、新卒400人を採用する計画で、中途の数がはじめて新卒を上回る見通しだ。23年度は中途347人新卒354人だった。システムやデジタル関連などに重点を置き採用する。25年3月期から新しい中期経営計画が始まったのを見据えて人材を手厚くする。面接回数の削減などで採用の裾野拡大を急ぐ。 三井住友銀行の中途採用は過去最高だった23年度と同水準の200人となる見通し。持ち株会社や銀行などのグループ各社で従業員を一括採用するみずほフィナンシャルグループ(FG)は、23年度実績比では減少するが22年度比では2割以上多い400人を採用する。 24年度の3メガ銀の中途採用は1200人に達する見通し。中途、新卒を合算した3メガ銀の採用数は2650人となり、中途比率は45%と5割に迫る勢いだ。 これまでは3メガ銀の中途採用の割合は18年度で5%にとどまるなど、新卒一括採用を優先する色が濃かった。日本経済新聞社の採用計画調査では同じ時期に主要企業は20~30%程度で推移しており、24年度は4割に達した。3メガ銀の中途採用の割合は新型コロナウイルス禍を経て主要企業とほぼ同水準に追いついたことになる。 17年度以前も各行中途は数十人規模といい、全体の割合からみてわずかだった。24年度の中途比率45%は過去最高とみられる。 3メガ銀が中途採用を強化するのはデジタル技術の活用やウェルスマネジメント(富裕層向け資産運用)、プロジェクトファイナンスなど広い分野で即戦力の人材を採用する必要が高まっているためだ。外部で知見を得た人材を採用しなければ事業強化で異業種も含めた競争におくれをとりかねない危機感がある。 みずほFGは専門職に絞った中途採用に限らず、異業種を経験して間もない人材を対象にした第二新卒の採用を始めた。リテール(個人向け営業)や大企業、IT(情報技術)をはじめ必要な人材を採用するための事業部門が主導した形での採用も始めている。従来は人事部門が採用を主導していた。 新卒でも専門性への志向が強い人材を採ろうとする動きが目立つ。三井住友銀はデジタルやIT分野で採用する人材を3倍程度に増やす。「IT・デジタルコース」と位置づけ、採用数はこれまで15人程度だった。採用の割合がIT・デジタル分野で1割程度まで高まることになる。 3メガ銀の新卒採用はマイナス金利環境のもとで効率化を進め、減少傾向が続いてきた。直近のピークだった15年度は3メガ銀合計で新卒を5000人超採用していたが、一時1000人強にまで減少。近年は「金利ある世界」も見据えて採用を強化したものの、24年度計画で5%減の1450人と頭打ちの色が強くなっている。 雇用市場の流動化で転職が活発になっていることもあり、異業種や同じ大手行の中で転職する動きも珍しくなくなっている。各行にとって即戦力人材の確保は喫緊の課題となりつつある。JPモルガン・チェースが年1兆円規模をデジタルに投資するなど、特にデジタル人材の確保で投資を進める国外の大手行に劣後できない事情もある。 メガ銀では採用戦略の巧拙が競争力に影響するという危機感が強まる。採用市場ではコンサルタントや大手商社が高給を武器に新卒や中途の人材をひきつけ、人材会社経由の採用では年収の3割程度とされる紹介料の負担も重くなる。3メガ銀は従業員の紹介やアルムナイ(卒業生)の採用を強化して人材の確保を進める方針だ。2024/05/02 06:06:22119.名無しさんS4uGO日経平均、揺らぐ上値追いの根拠 転機を迎えた「半導体」と「円安」2024/05/02 12:51 日経速報ニュース 2日午前の日経平均株価は小幅に反発し、前引けは前日比25円66銭(0.07%)高の3万8299円71銭だった。米利上げ懸念の後退などが押し目買いを誘ったとみられるが、朝方は節目の3万8000円を割り込む場面があるなど地合いの弱さも目立った。これまで日経平均を歴史的な高値圏に押し上げてきた材料のうち、半導体関連の業績期待と外国為替市場での円安進行という「二本柱」が揺らぎつつあるなか、上値追いの機運もしぼみ始めてきたようだ。 日経平均は朝安後急速に下げ渋ったが、市場では「米連邦公開市場委員会(FOMC)声明文やパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の発言というより、日本の4連休を前にCTA(商品投資顧問)などによる売りポジションの縮小など需給的な動きだったようだ」(明治安田アセットマネジメントの竹田太樹トレーダー)との見方が多い。 1日の米株式市場でフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が3.5%安と急落した。半導体大手アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)が発表した4?6月期の売上高見通しが慎重との見方が広がった。生成人工知能(AI)関連の需要が市場の期待ほど盛り上がっていないうえ、スマートフォンやパソコンなどの回復も遅れている。 国内ではイビデンが1日、25年3月期(今期)の連結純利益が前期比17%減の260億円になる見通しだと発表した。パソコンや汎用サーバー向けの需要回復が遅れるためで、市場予想平均のQUICKコンセンサス417億円(12社、4月23日時点)を下回った。前週に今期見通しを発表したアドバンテストも市場予想を大きく下回るなど、今回の日米の主なハイテク企業決算は、市場の高い期待に届かず失望売りを浴びる例が続出している。 FOMCの直後、ニューヨーク外国為替市場で円相場が1ドル=153円台まで急速に円高が進行する場面があった。日本政府・日銀が円買い介入に再び踏み切ったという思惑も出ている。市場では「介入したかどうかは分からないが、当局がこれ以上の円安は許容しないと考える投資家が増えてきた」(運用会社のファンドマネージャー)。今期も円安による輸出企業の利益上積みを期待していた投資家は、むしろ円高に振れるリスクを意識する必要が出てきた。 SMBC日興証券によると、東証株価指数(TOPIX)構成銘柄で1日までに業績見通しを発表した224社の会社側の営業利益計画は前期比0.1%増にとどまる。期初は保守的な見通しを立てることが多いうえ、開示率も現時点で15.8%と低いため参考数値ではあるが、少なくとも企業側は今期の世界経済の現状などを楽観的にみていないことは間違いないだろう。 もちろん日本株は半導体の業績や円安進行への期待だけでなく、デフレ脱却やコーポレートガバナンス(企業統治)の改革といった他の買い材料もある。りそなアセットマネジメントの戸田浩司シニア・ファンド・マネージャーは「期待感が完全に消えたわけではないので持ち高を減らす理由はない」と話す一方、「米国の金融政策や景気が読めないので無理に上値を追いたいと考える投資家も少ない」とみていた。日経平均は当面、金融政策や為替、企業業績をにらみつつ停滞感の強い展開が続く可能性がありそうだ。2024/05/02 12:59:04120.名無しさんUWy3O地銀の不動産融資、10年で6割増 低金利下の収益源 利上げ・市況、日銀が警戒2024/05/03 日本経済新聞 朝刊 日銀がマイナス金利解除後の地域金融機関の不動産融資動向を警戒している。低金利下で利ざやを厚めにとれる不動産向けは重要な収益源となってきた。日銀の集計では地域金融機関の不動産向け融資残高はこの10年で約6割増加したが、金利上昇や市況変化によって地銀の収益を下押しするリスクが重荷になっている。 地域金融機関の不動産融資の残高は、36兆円となった2009年に大手行の伸びを追い越し、その後も拡大を続けてきた。直近(23年9月)は大手行より3割多い67兆円にまで膨らんだ。異次元緩和下の低金利で不動産融資は過熱し、特に人口減少で経営環境が厳しい地方銀行・信用金庫が収益源として頼ってきた構図が浮かび上がる。 宮城県地盤の仙台銀行は、直近23年9月末の不動産向け融資残高が約2150億円と16年3月末比で2倍に膨らんだ。同行の担当者は「震災からの復興需要や再開発など不動産事業者の資金ニーズは強く融資が増えた」と話す。足元で地価上昇による過熱感が指摘されているが、「適正な審査のもとで融資を続ける」としている。 静岡銀行を傘下に持つしずおかフィナンシャルグループも23年度からの中期経営計画で、静岡県外でも不動産向けの貸し出しを強化することを盛り込んでいる。 地方都市の大規模な再開発も今後数年間続くと見込まれている。引き続き不動産向け融資に力を入れる地銀は多い。電子商取引(EC)サイトの発展で倉庫などの需要が高まり、オフィスビルや倉庫など物流施設向けの物件も増えている。 日銀は今後の金利上昇に伴う収益へのリスクを警戒している。日銀が居住用賃貸業向け融資(アパートローン)の金利を調べたところ、地銀では金利の変動リスクをとらない固定金利での貸し出しが6割程度を占め、融資期間も平均24年と長期間に及ぶ。 一方、融資の「原資」となる預金の調達コストは足元で上昇傾向にある。日銀が3月にマイナス金利を解除し、地銀を含む多くの銀行が普通預金金利を従来の0.001%から0.02%に見直した。大半の金融機関にとって、普通預金の金利を引き上げるのは日銀が最後に利上げした07年以来17年ぶりだ。 「固定貸しの金利収入が変わらない一方で、預金金利が上がれば利ざやが縮小し、収益に下押し圧力が生じることに留意する必要がある」。日銀の担当者はこう解説する。変動金利の場合でも、金融機関の競争環境が厳しいなかで十分に貸出金利を引き上げられるかも分からないといった事情がある。 不動産市場悪化の影響が広く連鎖する懸念もある。日銀は4月にまとめた金融システムリポートで、米欧での金利上昇による不動産不況のあおりが日本にも波及すると想定してストレステストを実施した。国内の三大都市圏のオフィス物件でバブル崩壊時に相当する価格下落が起こるなどの条件をおいた。実際、米国などでは金利の高止まりでファンドが借り換えに苦しみ、ローンの延滞や債務不履行が増えている。 ストレステストの結果、国内金融機関全体でみた経済損失は限定的だと評価したが、細かくみると不動産融資を増やしている地銀や信金への影響も考えられる。不動産関連企業やファンド向け融資などを通じて一定の損失が生じる金融機関の割合が、06年は全体の4割程度だったが、直近では8割まで拡大したという。 大手行だけでなく一部地銀でも不動産ファンド向けの貸し出しが増えていることが背景にある。地銀の不動産融資のうちファンド向けは17年6月末に残高全体の3%だったが足元で7%まで増えた。「収益性が高い案件が多い首都圏に集まるのは自然」(地銀関係者)だが、それは都市圏の不動産価格下落の影響が広がりやすいことを意味する。 一方、不動産投資信託(REIT)を通じた損失は、有価証券運用の一環で投資を増やしてきた信金で目立つという。その結果、日銀のストレステストでは地銀・信金への波及が大きくなったと考えられる。 「局所的に高額帯の取引が増えており、一部に割高感がうかがわれる」。日銀はリポートで不動産市場のリスクに注意を促した。ショックの引き金はどこで発生するかわからない。マイナス金利政策を解除したばかりの日本では、金利の本格的な上昇局面までには少し時間がありそうだが、今のうちから丁寧なリスクの点検が求められる。2024/05/03 06:28:40121.名無しさんUTfVj新NISA、国内株に追い風=資金の5割流入―日証協調べ2024年05月05日 21時00分時事通信新NISA始まり国内株に追い風2024年05月04日 15時34分時事通信 今年1月に始まった新たな少額投資非課税制度(NISA)を通じ、5割近くの資金が国内株式へ流入していたことが日本証券業協会の調べで分かった。海外投資家主導で日経平均株価が初の4万円を突破した勢いを、個人投資家もうまく捉えたようだ。 日証協が野村証券やSBI証券など対面・インターネットの大手10社を対象に実施した調査によると、1~3月のNISA経由の買い付け額のうち、国内株が47%を占め、投資信託の50%に肩を並べた。株価が上昇基調を強めたことに加え、非課税投資枠が大幅に拡大されたことが後押ししたとみられる。 大和証券の吉田光太郎常務執行役員は「NISA経由の買い付け額は前年同期比3倍強。8割が株式、2割が投信で、株式のほとんどが日本株だ」と説明する。 特に人気なのは、安定して高配当収入が得られる銘柄だ。SBI証券によると、今年度の1株当たりの年間配当予想が194円の日本たばこ産業(JT)が首位で、NTT、三菱UFJフィナンシャル・グループと続く。東証が昨年3月、上場企業に「資本効率や株価を意識した経営」を要請し、配当を含む株主還元を重視する企業が増えている。国内株投資は為替変動リスクも低い。 一方、ハイテク企業が主導する米国などと異なり、日本では人口減少で市場縮小が見込まれ、国内企業の成長性を悲観する向きもある。新NISAでは海外株を中心に構成する投信の人気も高く、「家計資金の海外流出」(市場関係者)を嘆く声も多い。 初心者向けに投資ノウハウを発信する人気ユーチューバーの小林亮平氏は、海外株中心の投資スタイルを提言。日本への投資を前向きに考えるには「移民の積極的な受け入れや、人工知能(AI)の活用を通じて不足する労働力を確保することが条件になる」と指摘している。【時事通信社】2024/05/06 03:19:04122.名無しさんUTfVj銀行・生保マネー、国内債に回帰 長期金利1%超え想定2024/05/06 04:00 日経速報ニュース 世界の流れと逆行する日本では日銀の追加利上げの時期が焦点になっている。4月の金融政策決定会合後の記者会見で、植田和男総裁からは早期利上げにつながる発言はなかった。それでも市場では、これまで0.5%程度とされてきた利上げの終着点がより高まる可能性も意識されている。長期金利は1%台前半まで上昇(債券価格は下落)するとの声が増えている。 「目先の円安を止めるために金融政策を変更するとの市場の思惑からは距離を取った」。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美チーフ債券ストラテジストは4月26日の日銀の政策決定会合の内容を見てこう話した。日銀は同日、政策金利の据え置きを決めた。 25年秋まで2回利上げか 市場の一部で高まっていた、円安リスク対応での7月利上げ観測はやや後退した。翌日物金利スワップ(OIS)市場は10月に1回目の追加利上げ、2025年秋までに2回目の追加利上げの実施を織り込んでいる。 では、長期金利への影響はどうか。PGIMジャパンの国沢太作社長は「仮に2回の追加利上げがあっても、長期金利の上昇は1%台前半まで」という。金利が上昇するにつれ銀行や保険など国内投資家による国債買いの需要が強まるためだ。 長期金利の指標になる10年物国債利回りが1%となれば、30年物国債利回りは2%の節目を超えると予想される。多くの生保は「30年債が2%程度になれば積極的に買う」方針を示す。 「長く続いてきた低金利で国債離れしてきた銀行も、資金を戻すタイミングをうかがっている」(オールニッポン・アセットマネジメントの森田長太郎チーフストラテジスト)。国内投資家の買いに支えられることで、長期金利が1%を大きく超えるとの見方は少ない。 日銀の国債買い入れ減額はいつか 需給面では日銀が国債買い入れ額をいつ減額するかも論点の1つになる。4月会合で日銀は政策内容の声明文を大幅に簡素化した。3月は月6兆円程度としていた国債の買い入れ額に関して、4月は「2024年3月の金融政策決定会合において決定された方針に沿って実施する」とした。減額を表明してはいないものの、「政策の自由度を確保した」との解釈が広がる。 野村証券の松沢中チーフ・ストラテジストは「6月にも正式に買い入れ額の減額を表明する」と予想する。日銀は5月下旬に「金融政策の多角的レビュー」の第2回ワークショップを予定する。国債買い入れの副作用や弊害への理解が深まり、買い入れ減額の正当性が強まるとの見立てだ。 ただ、日銀の分析を基にした試算では国債の買い入れ額を年10兆円減らしても、長期金利の押し上げ効果は年0.04%程度と限定的な水準にとどまる。2024/05/06 06:07:07123.名無しさんUTfVj 日銀はどこまで利上げするか 政策金利が想定よりも高い水準まで引き上げられるリスクへの目配りは必要だ。過去20年の政策金利の上限である0.5%までの引き上げを想定する国内投資家は多い。だがインフレ圧力が続く中、「世界的な景気後退などが生じなければ2?3年内に1.5%程度までの利上げがあり得る」(野村証券の松沢氏)との声も出始めている。 4月会合で日銀が公表した「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)も、より高い水準まで利上げが続く可能性を示唆する。展望リポートでは26年度の生鮮食品とエネルギーを除く消費者物価指数(CPI)を2.1%とした。「見通し期間後半には『物価安定の目標』とおおむね整合的な水準で推移すると考えられる」と記した。 景気をふかしも冷やしもしない「中立金利」に関する植田総裁の発言も注目を集めた。植田総裁は4月26日の記者会見で見通し期間の後半に物価が日銀の想定通りに推移するなら、「政策金利は中立金利の近辺にあることになる」と発言した。 中立金利の具体的な水準には言及しなかったものの、日銀は景気に対して中立な実質金利である「自然利子率」をマイナス1.0%からプラス0.5%と推計していると見られる。インフレ率が安定的に2%になるとすれば、自然利子率に期待インフレ率を足して出す中立金利は1.0%?2.5%になる。26年度に向け0.5%を超える利上げの現実味が増す。 政策金利の終着点が0.5%よりも高くなるのであれば、長期金利はより高い水準まで上昇する可能性がある。追加利上げの時期だけでなく利上げペースや回数など読み切れない部分は大きい。日銀の金融政策の先行きを巡り、債券市場では神経質な展開が続きそうだ。個人投資家も投資先は多彩債券の利回りが高まる中、個人投資家にとってもうまみが増しそうだ。新たな少額投資非課税制度(NISA)でも一部の債券ファンドに投資できる。個人が買える債券の代表にあがるのは国が発行する「個人向け国債」だ。固定金利の3年物、5年物のほか、変動金利の10年物の3種類がある。1万円から購入可能で、国が保証するため元本割れのリスクはない。発行後1年経過すれば原則いつでも中途換金できる。満期までクーポン(利息収入)が一定の固定型に対して、変動型は実勢金利に応じ半年ごとに適用利率が変わる。変動10年は新発10年国債の入札利回りに0.66をかけて決まる。5月発行分の税引き前の利回りは0.5%。100万円分購入した場合の利息収入は年間5000円と低い今後の金利に応じて上下する。保有するリスク資産の一部を低リスクの債券に回しつつ、クーポンを得たいと考える人は多いだろう。ファイナンシャルプランナー(FP)の高橋忠寛氏は「資産の多い人であれば、安全資産の置き場として活用するのも一案だ」と話す。株式と異なり、元本割れすることはないため、リスク分散につながる。ただ満期前に換金すると、額面金額に経過利子を加えた金額から直前の2回分の利子相当額が差し引かれる点は注意が必要だ。2024/05/06 06:09:08124.名無しさんUTfVj新NISAで投資できるのは債券ファンド 新NISAでは債券自体に投資できないが、債券に投資する上場投資信託(ETF)や投信を買うことができる。債券型ファンドは成長投資枠(年240万円、生涯1200万円まで)で購入できる。利回りの高い投信もある。三菱UFJアセットマネジメントの「eMAXIS Slim 先進国債券インデックス」や大和アセットマネジメントの「iFree新興国債券インデックス」は直近3年間の1年あたりの平均利回りはそれぞれ5.12%、9.30%だ。ファンドが管理するため、償還期日などを気にする必要がなく、個別に債券投資するよりも手軽に運用できる点が魅力だ。外国債や公募社債なども候補にあがる。米10年物国債の利回りは足元で年4%超に及び、満期まで保有すれば単純計算で元本の4割を利息収入として受け取れる。ただ、「円からドルに替えて投資する際、為替リスクに注意が必要だ」(FPの竹川美奈子氏)。今後、日銀が追加利上げに踏み切り、円高が進めば、外債は円ベースで損失が発生する恐れもある。債券投資のリスクを押さえよう元本保証型の債券を除き、金利上昇リスクにも気を払いたい。金利が上昇すれば、債券価格は下落する関係にある。金利の上昇局面では債券の評価額は元本割れすることもある。FPの深野康彦氏は「債券投資は満期保有を基本としてほしい。直近で使う予定のある資産を振り向けるべきではない」と指摘する。信用リスクもある。例えば楽天グループが4月に発行したドル建て債は年限5年で利率が年9.75%に上り、話題を呼んだ。ただ、米S&Pグローバルの格付けは投機的水準とされる。FPの高橋氏は「社債の発行体の信用リスクは個人では判断が難しく、利回りの高さにつられて安易に手出ししない方が良い」とも話す。社債は流動性が低い点にも注意が必要だ。満期前に売却して現金に換えたくても買い手がいない場合、売却できない。流動性が高い国債に比べ、業績が低迷した企業が発行する社債などは買い手が現れないこともある。2024/05/06 06:10:21125.名無しさんDypCN為替動向次第で金融政策対応が必要、円安けん制強める-日銀総裁https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-05-08/SD5293DWX2PS00?srnd=cojp-v2為替変動の物価への影響大きくなっている、基調上昇なら緩和調整為替は経済・物価に重大な影響、金融政策のコントロール対象でない 日本銀行の植田和男総裁は8日、為替動向次第では金融政策による対応が必要になるとの見解を示し、円安に対するけん制姿勢を強めた。衆院財務金融委員会で答弁した。 植田総裁は円安の影響に関して、「為替相場は経済・物価に重大な影響を与え得る」と指摘。「従来の局面と比べ、為替変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている」とも述べ、「政策運営にあたって最近の円安の動きを十分に注視している。動向次第で金融政策運営上の対応が必要になると考えている」と語った。 具体的には、物価変動から短期的な変動を取り除き、需給ギャップや予想物価上昇率などを反映した基調的な物価上昇率への影響を重視していると説明。円安が基調的な物価上昇率に与える影響については「これまでのところはそれほど大きな影響ではない」としつつ、「今後は影響してくる、あるいは影響するリスクがあるとみている」と述べた。 植田総裁は4月の金融政策決定会合後の記者会見で、円安が現時点で基調的な物価上昇率に大きな影響を与えていないとの見解を示した。今回の発言は、為替変動の影響を踏まえた政策対応について、これまでよりも踏み込んだ形だ。7日の岸田文雄首相との会談でも為替が経済・物価に与える影響について議論しており、日本経済の回復力が弱い中、日銀は難しいかじ取りを迫られそうだ。植田日銀総裁が首相と為替を議論、基調物価への影響を注視-連携確認 8日の東京外為市場で、円相場は1ドル=155円台前半に下落している。植田総裁が円安のこれまでの影響について慎重な見解を示したことをきっかけに、円が一段安となっている。円は155円台前半に下落、植田日銀総裁の慎重発言で一段安の展開に 日銀は3月の金融政策決定会合で17年ぶりの利上げを決めたが、その後も日米金利差などを背景に円安が進行し、政府・日銀は日本の大型連休中に2回の為替市場介入に踏み切ったとみられている。 同委員会に出席した鈴木俊一財務相は、円安にはプラスとマイナスの両面があるとしながらも、「輸入物価を押し上げるというマイナス面について私も強い懸念を持っている」と発言。政策課題として物価高騰への対応が極めて重要とした上で、為替市場の動きを注視して「取るべきときには適切な対応を取っていきたい」と語った。緩和度合い 総裁は基調的な物価上昇率が上がって行けば、「それに応じて金融緩和の度合いを調整していくことが適切だ」と表明。目標である2%前後で先行きの物価が推移する見通しを示した4月の経済・物価情勢の展望(展望リポート)に言及し、「1年半後とか2年後を待って利上げをするということではなく、パス通りに基調的な物価が上がっていけば、それに応じて金融緩和の度合いを適切に調整していくつもりだ」との認識を示した。 金融政策運営は「為替市場を直接のコントロール対象とはみていない」と改めて指摘。金融政策運営はあくまで物価の安定を目標にしているとし、「政策運営が、私どもの財務への配慮から必要な遂行を妨げられることはない」と語った。他の発言消費者物価、賃金と物価の好循環に起因する部分の割合は強まってきている2%の物価上昇を支える需要サイドの伸びが伴う必要がある2024/05/08 14:27:07126.名無しさんLjEKc日銀総裁、円安巡る発言軌道修正 「物価に影響及ぼしやすく」 上振れなら早めに利上げ2024/05/09 日本経済新聞 朝刊 日銀の植田和男総裁が円安に関する発言を軌道修正している。4月の記者会見では「基調的な物価上昇率に大きな影響を与えていない」と繰り返し円安が進行した。5月に入り「政策運営上、十分注視していく」と表現を改め、8日には「過去と比べ物価に影響を及ぼしやすくなっている面があることは意識しておく必要がある」と述べた。 8日の読売国際経済懇話会(YIES)の講演で語った。仮に物価見通しが上振れしたり、上振れするリスクが大きくなったりした場合には「金利をより早めに調整していくことが適当になる」と発言した。 物価を巡るリスクの一つとして「今後の為替相場の変動や国際商品市況の動向、その輸入物価や国内価格への波及」を挙げた。「原油高や円安は輸入物価上昇を起点とするコストプッシュ圧力が落ち着いていくという見通しの前提を弱める可能性がある」と指摘した。 講演後の質疑では「為替は経済・物価に影響を及ぼす重要な要因であることは言うまでもない。金融政策の対応が必要になる可能性がある」と言及した。「急速かつ一方的な円安は、例えば企業の事業計画の策定を困難にさせるなど不確実性を高めて経済にマイナスだ」との懸念も表明した。 日銀が円安を容認しているとの市場の見方を払拭し、円安の進行に歯止めをかけようとしている可能性がある。 4月26日の金融政策決定会合で市場には日銀が円安の食い止めにつながる対策や発言を打ち出すとの見方があったが、金融政策は維持された。 その後の記者会見で植田総裁はこれまでの円安が基調的な物価上昇に与える影響について現時点で無視できる範囲か問われて「はい」と答えた。 こうしたやりとりを市場は円安容認と受け止め、会見中から円相場は下落した。29日には1ドル=160円台と34年ぶりの水準まで円安が進んだ。政府・日銀は認めていないが、29日、5月2日の2日間で財務省による円買いの為替介入があったとみられている。 日銀は円安を通じた輸入コストの上昇による物価上昇は一時的と捉え、賃上げを伴う「基調的な物価上昇率」を重視している。そのため植田総裁は「引き続き為替市場の動向や経済・物価への影響を十分注視していきたい」と4月に強調した。 これを5月からはより直接的な表現に改めた。 7日に首相官邸で岸田文雄首相と面会後、記者団に「円安については日銀の政策運営上、十分注視をしていくことを確認した」と話した。「基調的な物価上昇率にどういう影響が出てくるかについて注意深くみていく姿勢だ」と触れた。 8日の衆院財務金融委員会では「最近の円安の動きを十分注視している」と改めて主張した。「過去と比べ為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている」との見解も示し、円安が物価上昇につながりやすくなっていることを示唆した。 日銀は4月会合で公表した経済・物価情勢の展望(展望リポート)で「基調的な物価上昇率が上昇していけば金融緩和度合いを調整する」と追加利上げの姿勢を示した。 ただ時系列だけみれば会見をきっかけに為替介入にまで発展した可能性があり、市場からは日銀が発言を修正しているとの見方が出ている。 野村総合研究所の木内登英氏は「4月の会見で植田総裁が円安容認と受け止められかねない説明に終始したことを問題と捉え、日銀が修正する機会をうかがっていた可能性がある」とみている。2024/05/09 06:04:31127.名無しさんNsD9j日銀、国債購入減額へ検討本格化 円安にらみ正常化加速もhttps://www.jiji.com/jc/article?k=2024050900859&g=eco&utm_source=top&utm_medium=topics&utm_campaign=edit 日銀が国債買い入れの減額に向け検討を本格化させていることが、9日公表した4月25、26日の金融政策決定会合の主な意見で明らかになった。ある政策委員が「(減額は)機を捉えて進めていくことが大切だ」と主張するなど、同会合では国債購入縮小に関する意見が相次いだ。歯止めがかからない円安をにらみ、日銀が追加利上げを含めて金融正常化を加速させる可能性もある。 日銀は3月の会合で、マイナス金利政策の解除に踏み切ったが、国債買い入れについては月間6兆円規模で継続することを決めた。 これに対し、4月会合では「市場機能回復を志向し、減額することは選択肢だ」「どこかで削減の方向性を示すのが良い」など、国債買い入れの減額を巡り議論が本格化。日銀の国債保有量の圧縮など、量的引き締め(QT)も視野に入れるべきだとする意見もあった。 同会合では、声明文から「6兆円」という購入額の表記を削除し、実際の買い入れをある程度柔軟に行えるよう布石も打った。 日銀の植田和男総裁は会合後の記者会見で、円安の影響は限定的との考えを示し、市場では一段の金融正常化に慎重だと受け止められた。このため円安が加速し、円相場は一時1ドル=160円台まで下落。政府・日銀はその後、円買いの為替介入で対抗したとみられている。 4月会合では、ある委員が「円安を背景に基調的な物価上昇率の上振れが続く場合には、正常化のペースが速まる可能性は十分にある」と指摘するなど急速な円安を警戒する声も目立った。為替の動向次第で、追加利上げや国債買い入れ減額などの正常化に向けたタイミングが前倒しされることもありそうだ。2024/05/10 09:00:06128.名無しさん4JUwbコラム:NISA国内枠やリパトリ減税、円安抑止へ対応策総動員すべき=唐鎌大輔氏https://jp.reuters.com/opinion/forex-forum/Q33IKTYFMJNT7BQBLYCXUVOPVU-2024-05-10/[東京 10日] - 2年以上にわたって続く円安局面を前に「何か対応策はないのか」という照会が確実に増えている。円安抑止策は、為替介入や利上げといった裁量的なマクロ経済政策を脇に置けば、対内直接投資促進とインバウンド奨励が注目されやすく、いずれも正しい対応と言える。しかし、策はほかにもある。例えば「日本企業が保有する外貨を国内へ送金する際の法人税を減免する」といういわゆる「リパトリ減税」は為替市場で耳目を引いており、ロイターなどの報道では政府・与党が6月にまとめる経済・財政政策の基本方針「骨太の方針」に盛り込まれるという観測もある。リパトリ減税に関しては、2022年9月の寄稿「進む円安、抑止に『リパトリ減税』という処方箋」で詳しく議論した。直感的に、すでに海外子会社から受けとる配当益金の95%相当額が非課税所得とされている以上、残り5%部分を非課税にしても大きな効果は期待できないという印象は強く、実際そういった声は多い。一方、日本に残されたカードはさほど多くないことを思えば、実質的に大きな効果を期待できなくても残る「5%の摩擦」にこだわるべきという考え方もある。確かに、政府が主導して円買いフローを創出しようという姿勢は投機的な円売りに対抗するメッセージになり得る。米国や英国、シンガポールといった国際金融センターと呼ばれる国では100%非課税だ。対応策を問われた時に、まだやれることはあるという意味で言及はしておきたい。<NISA国内投資枠という円安抑止策>しかし、リパトリ減税は文字通り対症療法であり、効果もワンショットで終わる可能性が高い。もちろん「ワンショットでも、時間稼ぎは必要」という考え方も尊重すべき現状ではあるが、対策がこれだけというのも心もとない。より持続的な円安抑止策として、筆者はNISA(少額投資非課税制度)国内投資枠の新設という考え方に注目している。周知の通り、年初来の円安相場には新NISAに伴う海外株式の購入、いわゆる「家計の円売り」が寄与している側面も大きいと言われる。財務省データによると、投資信託経由の対外証券投資は今年1─3月期だけで約3.5兆円に達しており、これは例年で言えば1年分に匹敵する。それが主因かどうかはさておき、円安地合いに寄与しているのはほぼ間違いないだろう。過去の本コラムでも「家計の円売りこそ本当の円安リスク」として危惧してきた経緯があるが、その懸念は半ば実現しつつあるように思える。このペースで投資信託経由の対外証券投資が出続けると仮定した場合、年間で優に10兆円を超える円売りが家計から出てくることになる。まだ資産運用に着手していない層も多そうであるから、潜在的な拡大余地も大きいだろう。看過できる論点ではない。<国内投資枠で海外投資は減る可能性>では、現行の「つみたて投資枠」と「成長投資枠」に加えて、「国内投資枠」を設けた場合、どのような効果が期待されるのか。内外の成長率格差を踏まえれば、今後も海外株への投資意欲が相応に強い状況は続く可能性はある。とはいえ、ここまで進んだ円安相場を踏まえ、ここからの為替リスクを取ることに及び腰になる層も増えてくる可能性はある。国内投資枠はそうした層の受け皿になり得る。2024/05/13 08:16:51129.名無しさん4JUwbもちろん、国内投資枠が新設された分、新規投資資金が増えるというのであれば「家計の円売り」の勢いは変わらないが、恐らくそうはならないだろう。というのも、現行の年間360万円(つみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円)の枠を使い切る個人投資家は多数派ではないからだ。金融庁の「NISA口座の利用状況調査」によれば、2023年9月末時点のNISA口座数は2034万7312口座、その買い付け額は34兆0281億4597万円だ。単純計算で1口座当たり167万円だ。年間360万円の枠が拡大されても、元々使い切っていないのだから大勢に影響はない。国内投資枠が新設された場合、海外投資に流れていた資金の一部は国内投資へと代替される展開が予見される。つまり国内投資枠が増えた部分は選択可能性の拡大でしかない。国内投資に配分された分、海外資産への投資(円売り)が減ることになるのであれば、それは立派な円安抑止策になる。主要7カ国(G7)の一角である日本では資本規制が難しいものの、インセンティブ設計として流出を減らす工夫は可能だ。<英国で先行する国内投資枠>この動きはすでに英国が検討し始めている。今年4月、英政府は春に発表された予算編成方針においてNISAの原形とされるISA(個人貯蓄口座)に関し、英国株投資の非課税枠を現在の年間2万ポンドから2万5000ポンドに引き上げる意向を表明した。ただ、同国では今秋に総選挙を控えており、政権交代の可能性なども踏まえれば、同案自体がどう転ぶかはまだ分からない。しかし、この方針が固まった際には日本でも同じ方針を求める機運が高まる可能性はあるように思う。家計部門の運用資金が海外ではなく国内に配分されるようになれば、日本株は上昇し、円売りも抑制されて一石二鳥となる。新NISAは稼働の初年度であり、新しい選択可能性を提示するには良い時期であることも助けになるだろう。少なくとも、円安の一因として注目されている「家計の円売り」に対抗する手段として、NISA国内枠の新設は利上げや為替介入は元より、冒頭で紹介したリパトリ減税案と比較しても持続力を持ち得るように思えるし、政府の掲げる資産運用立国の方針とも合致する。裏を返せば「家計の円売り」を早い段階でけん制しておかねば、そのまま一部が「帰ってこない外貨」となってしまう恐れがあるため、早めに手を打った方が良いようにも思える。<抜本的な政策は別>もっとも、リパトリ減税は元より、NISA国内投資枠の新設も円安相場を反転させるような抜本的な政策とまでは言えない。そもそも市場に存在する全ての円売りを吸収する政策など存在しない。身もふたもない話をしてしまえば、変動為替相場において為替市場の流れを根本的に変えられるのは米国だけだ。そう割り切った上で当面の日本に求められているのは「持続的な時間稼ぎの手段」であり、リパトリ減税やNISA国内投資枠もその一環だと筆者は考える。少しの時間であっても、為替市場の平準化(スムージング)も図ることができれば、事業法人などにとって良好な市場環境を確保することができる。そこにも意義はある。様々な対症療法を組み合わせて時間稼ぎをしている間に、対内直接投資の積み上げであったり、電源構成の修正であったり、労働力の確保(および移民政策の是非)であったりを議論することで中長期的な円相場の需給改善を図るという姿勢が王道であると考えておきたい。2024/05/13 08:18:32130.名無しさん4JUwb東証前引け 日経平均、続伸 日銀の国債買い入れ減額に反応も2024/05/13 11:55 日経速報ニュース 13日午前の東京株式市場で日経平均株価は小幅に続伸し、午前終値は前週末比14円48銭(0.04%)高の3万8243円59銭だった。下げ幅は200円を超え、取引時間中としては2日以来およそ1週間ぶりに節目の3万8000円を下回る場面もあったが、下値では好業績銘柄を中心に買いが入った。ただ、日銀の政策正常化の観測が投資家心理の重荷となり、積極的な買いは見送られた。 13日午前の国内債券市場で長期金利は一時、0.935%まで上昇(価格は下落)した。日銀は同日通知した定例の国債買い入れオペ(公開市場操作)で、長期債の購入予定額を減らした。国内債券市場での金利の上昇に歩調を合わせて日経平均も下げ幅を260円近くまで拡大する場面があった。日銀が政策正常化を早めるとの思惑が強まり、金利上昇が業績拡大につながりやすい三菱UFJや三井住友FGなど銀行株が上昇した。半面、金利上昇が債務の返済負担増につながりやすいとみられる三井不や菱地所など不動産株は下落した。 日経平均はマイナス圏で推移する時間帯が長かったが、前引けにかけては上げに転じた。前週末の米株式市場で半導体関連銘柄で構成する米フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は上昇しており、東京市場ではアドテストなど一部の半導体関連株に買いが入った。大引け後に決算発表を控えるソフトバンクグループ(SBG)も上昇し、指数を下支えした。 東証株価指数(TOPIX)は反落した。前引けは0.18ポイント(0.01%)安の2728.03だった。JPXプライム150指数は続伸し、0.73ポイント(0.06%)高の1189.21で前場を終えた。 前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で2兆3774億円、売買高は10億1361万株だった。東証プライムの値上がり銘柄数は755。値下がりは844、横ばいは47だった。 10日に2024年3月期決算を発表した東エレクは前週末終値を挟んで一進一退となった。KDDIやオリンパス、資生堂は上げた。一方、セコムやトヨタ、クボタが下げた。2024/05/13 12:23:07131.名無しさんgbeNo三井住友FG、今期純利益1兆円 4年前倒し達成計画 前期も10年ぶり最高益 顧客増、金利上昇追い風2024/05/14 日本経済新聞 朝刊 三井住友フィナンシャルグループ(FG)は2025年3月期に、1兆円超の連結純利益の見通しを示す方針だ。これまで29年3月期に1兆円以上を見込み、4年ほどの前倒しになる。投資銀行業務が拡大するほか、国内の個人顧客の拡大が収益に貢献して24年3月期も最高益となる見通し。国内外の金利上昇で邦銀の収益拡大が軌道に乗り始めた。 三井住友FGは15日午後に24年3月期の決算と25年3月期の業績予想を公表する。現在の中期経営計画の最終年度にあたる26年3月期でこれまで9000億円以上としてきた純利益の計画を1兆1000億円規模に引き上げる新たな見通しを示す。24年3月期も9000億円台後半と前の期比で2割程度の増益を確保し、10年ぶりの最高益を更新するもようだ。 メガバンクで三菱UFJFGに続く2社目の純利益1兆円超えとなる。純利益で1兆円以上を確保する企業はトヨタ自動車や大手総合商社などにとどまり、産業界全体で見ても有数の水準だ。 9月末を基準日に株主総会での承認を前提に1株を3株に分割する株式分割の実施も調整する。三井住友FGの足元の株価は9000円前後で推移しており、投資には90万円ほどが必要になる。東京証券取引所の個人投資家が投資しやすい環境を整備するため、投資に必要な額を50万円未満に引き下げるよう要請しているのに対応する。 25年3月期の純利益は24年3月期に比べて1割程度の増益になる見通しだ。国内でも企業のM&A(合併・買収)をはじめとする旺盛な資金需要が続き貸出金が引き続き拡大する。 三井住友FGが1兆円超の純利益を確保する見通しとなった背景には国内外の収益力の向上がある。足元で顧客が200万人を超えた総合金融サービス「オリーブ」による顧客基盤拡大が収益に貢献。日銀のマイナス金利政策の解除などによる「金利ある世界」への回帰が利ざやの拡大につながる。足元でも大企業向けの利ざやは拡大傾向だ。 海外では資本提携する米証券大手のジェフリーズ・ファイナンシャル・グループと米国や各地域で共同の営業体制を構築。大型M&Aのアドバイザリー業務などの連携で23年4~9月期に海外投資銀行業務の粗利益が前年同期比100億円規模で増えた。23年には米貨車リース事業を売却するなど事業構成の入れ替えも進める。 アジアでも23年にベトナムの民間銀行2位のVPバンクに日本円換算で約2000億円を出資して持ち分法適用会社化。インドでは3月にノンバンク子会社のSMFGインディア・クレジット(旧フラトン・インディア)を完全子会社にした。アジアへの出資による純利益への貢献は26年3月期で500億円規模に達する計画となる。 3メガバンクでは三菱UFJFGが15年3月期に純利益で1兆円を超えたが、マイナス金利政策の導入以降は低金利で各社業績が低迷していた。24年3月期は3メガバンク合算で発足以降の最高益となる前の期比2割増の3兆円程度の純利益を確保する見通しだ。三菱UFJFGが1兆3000億円、みずほFGが6400億円の通期の純利益予想を示している。 ただ、三井住友FGのPBR(株価純資産倍率)は足元で0.86倍程度と、解散価値にあたる1倍を下回る。米大手銀ではPBRは1倍を上回る例が多い。PBRを高めるためには低採算事業の売却による成長資本の捻出が欠かせない。PBRを向上するためには一段の事業構成の入れ替えや政策株の売却が必要になる。2024/05/14 06:41:23132.名無しさんgbeNoりそな、政策保有株を3分の1に 6年間で1800億円削減2024/05/14 21:21 日経速報ニュース りそなホールディングスは14日、2030年3月末までに政策保有株式を簿価ベースで約3分の1まで削減する計画を示した。24年3月末時点で簿価で約2600億円あるが、6年間で1800億円程度を売却する。これまでは22年度からの4年間で800億円減らす目標だった。 同日の記者会見で南昌宏社長は売却で得た資金を「次の成長への投資に充てたい」と話した。 03年3月末時点で約1兆4000億円の政策株を抱えていたりそなは、03年5月に公的資金の注入が決まってからメガバンクを上回るペースで政策株を減らしてきた。 三井住友フィナンシャルグループ(FG)は26年3月末までの3年間で少なくても2000億円、みずほFGも同期間に3000億円減らす計画を打ち出している。 りそなは同日、25年3月期の連結純利益が前期比4%増の1650億円になるとの予想を発表した。 現行の中期経営計画で、最終年度の26年3月期に掲げる純利益の目標は1700億円だ。傘下のみなと銀行で発生するシステム統合の費用を除くと、実質的に1年前倒しで目標の達成をめざすことになる。 24年3月期の連結決算は、純利益が前の期比1%減の1589億円だった。融資先の焦げ付きに備える与信費用が約2倍の356億円となったことが響いた。 本業のもうけを示す実質業務純益は8%増の2113億円だった。国内企業の資金需要が旺盛で、今年3月末時点の貸出金残高は約43兆100億円と前年同月比で4%増えた。2024/05/14 21:47:51133.名無しさんmfxWC3メガ銀、大幅増配へ 2025年3月期 好調な業績受け2024/05/15 17:15 日経速報ニュース 3メガバンクは15日、2025年3月期に大幅な増配に踏み切る方針を発表した。三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)は24年3月期の41円から50円に、三井住友FGは270円から330円に、みずほFGは105円から115円にそれぞれ引き上げる。三菱UFJと三井住友はそれぞれ1000億円を上限に自社株買いも実施する。 米地銀シリコンバレーバンクの破綻などが起きたことから、昨年春は資本に余裕を持たせようと株主還元の強化を控えていたが、好調な業績を受けて積極的な株主還元にかじを切る。 14日に2024年3月期決算を公表したりそなホールディングス(HD)は200億円を上限とする自社株買いを公表した。1回あたりの金額としては過去最多という。三井住友トラストHDは創業100周年の記念配を含め、年配当を前期から35円増やす方針を明らかにした。 23年春は米国発で金融システムに懸念が浮上したことを受け、自己資本の充実を優先しようと自社株買いを抑えていた。金融環境の正常化で23年11月には三菱UFJが4000億円、三井住友は1500億円を上限に自社株買いの実施を公表するなど株主還元の強化に動き出した。今期の業績も堅調に推移する見通しで、各社は株主還元の強化を進める。 日銀によるマイナス金利政策の解除で国内でも金利の先高観が強まり、利ざやの拡大と収益増への期待感から銀行株は上昇している。三菱UFJの株価は3月上旬に17年半ぶりの高値を付け、PBR(株価純資産倍率)も11年ぶりに1倍台へ戻した。三井住友やみずほのPBRは0.7?0.8倍台にとどまるものの、株価は高値圏を保つ。 三井住友は15日、1株を3株とする株式分割の実施も公表した。1月に始まった新しい少額投資非課税制度(NISA)では個人投資家の資金が業界トップの銘柄に向かいやすいとされる。実際に買い付け額の上位にはJTやNTTなどが並ぶ。「(個人投資家への浸透で)三菱UFJに出遅れている」(関係者)ことから投資単位の引き下げを決めた。 大手行は自己資本の充実、収益力の強化に向けた成長投資、そして株主還元の強化に目を配ってきた。自己資本が安定的に積み上がるなか、3メガバンクは今期にそろって最高益を更新する見込みだ。株主還元の充実を打ち出した各社がM&A(合併・買収)などでどんな成長戦略を打ち出すかも次の焦点となる。2024/05/15 18:04:12134.名無しさんmfxWC3メガ銀、大幅増配へ 2025年3月期 好調な業績受け2024/05/15 17:15 日経速報ニュース 3メガバンクは15日、2025年3月期に大幅な増配に踏み切る方針を発表した。三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)は24年3月期の41円から50円に、三井住友FGは270円から330円に、みずほFGは105円から115円にそれぞれ引き上げる。三菱UFJと三井住友はそれぞれ1000億円を上限に自社株買いも実施する。 米地銀シリコンバレーバンクの破綻などが起きたことから、昨年春は資本に余裕を持たせようと株主還元の強化を控えていたが、好調な業績を受けて積極的な株主還元にかじを切る。 14日に2024年3月期決算を公表したりそなホールディングス(HD)は200億円を上限とする自社株買いを公表した。1回あたりの金額としては過去最多という。三井住友トラストHDは創業100周年の記念配を含め、年配当を前期から35円増やす方針を明らかにした。 23年春は米国発で金融システムに懸念が浮上したことを受け、自己資本の充実を優先しようと自社株買いを抑えていた。金融環境の正常化で23年11月には三菱UFJが4000億円、三井住友は1500億円を上限に自社株買いの実施を公表するなど株主還元の強化に動き出した。今期の業績も堅調に推移する見通しで、各社は株主還元の強化を進める。 日銀によるマイナス金利政策の解除で国内でも金利の先高観が強まり、利ざやの拡大と収益増への期待感から銀行株は上昇している。三菱UFJの株価は3月上旬に17年半ぶりの高値を付け、PBR(株価純資産倍率)も11年ぶりに1倍台へ戻した。三井住友やみずほのPBRは0.7?0.8倍台にとどまるものの、株価は高値圏を保つ。 三井住友は15日、1株を3株とする株式分割の実施も公表した。1月に始まった新しい少額投資非課税制度(NISA)では個人投資家の資金が業界トップの銘柄に向かいやすいとされる。実際に買い付け額の上位にはJTやNTTなどが並ぶ。「(個人投資家への浸透で)三菱UFJに出遅れている」(関係者)ことから投資単位の引き下げを決めた。 大手行は自己資本の充実、収益力の強化に向けた成長投資、そして株主還元の強化に目を配ってきた。自己資本が安定的に積み上がるなか、3メガバンクは今期にそろって最高益を更新する見込みだ。株主還元の充実を打ち出した各社がM&A(合併・買収)などでどんな成長戦略を打ち出すかも次の焦点となる。2024/05/15 21:17:00135.名無しさんmfxWC5大銀、利ざや改善で今期も最高益へ 収益改革下支え2024/05/15 19:39 日経速報ニュース 5大銀行グループの2024年3月期決算が15日、出そろった。合計の連結純利益は前の期比19%増の3兆3708億円と05年度に現在の3メガバンク体制となってから最高益を更新した。25年3月期も10%増の3兆7150億円と2期連続の最高益となる見通しだ。利ざやの改善と低金利下で続けてきた構造改革が収益拡大に結びつきつつある。 25年3月期の連結純利益予想は、三井住友フィナンシャルグループ(FG)が前期比10%増の1兆600億円と同社として初の1兆円台を目標に掲げる。三菱UFJFG、みずほFG、三井住友トラスト・ホールディングス(HD)も最高益を見込み、りそなHDも4%の増益を予想する。三井住友など中期経営計画で設定した利益目標の前倒し達成も相次ぐ。 金利の先高観で国内の貸出金利も上がり始めた。3メガの大企業向け貸出金利ざやは24年3月期に前の期比で0.05%拡大して0.59%となった。三井住友FGの中島達社長は15日の記者会見で「国内の大企業、中堅企業の活動は非常に活発だ」と話した。米連邦準備理事会(FRB)は高水準の政策金利を続け、外貨建ての貸出資産は高い収益性を保つ。 これまで銀行は預かった資金の運用で苦戦を強いられてきた。マイナス金利政策の解除で日銀の当座預金には0.1%の付利がつき、各行は収益源となる預金の獲得に方針を転換した。マイナス金利の解除は3メガだけで25年3月期に収益を1000億円規模で押し上げる。 利上げに伴う収益の改善は、貸出金利の引き上げが円滑に進むかどうかが前提だ。りそなの南昌宏社長は「市場金利の上昇分に連動する(貸出金)利回りの上昇が確認できている」と話す。融資のほかにも「金利上昇は資産運用や資産管理の残高拡大による報酬の増加につながる」(三井住友トラストの高倉透社長)。 各社は日銀が政策金利を現行のまま据え置く前提で今期の収益計画を策定した。日銀が追加利上げに踏み切れば業績は上振れする可能性がある。りそなは政策金利が0.5%まで上昇すると、自己資本利益率(ROE)が9?10%に高まるとの試算を示した。 国内の企業業績は底堅く、焦げ付きに備えて計上する与信費用も大手行の合算で7%減の9256億円と低位にとどまる見通しだ。 合計の純利益はこれまで14年3月期の2兆8669億円が最高だった。日銀が16年にマイナス金利政策を導入してから国内の預貸業務を中心に利益が落ち込み、20年3月期には2兆円を割り込んだ。 2期連続で最高益を更新する見通しなのは、長引く低金利下で大手行が経営の効率化を進めてきたことも要因だ。本業のもうけを示す実質業務純益(傘下行の合算)は24年3月期に19%増の3兆927億円。採算性が低いリスク資産を減らしたり、店舗網を効率化したりした成果が表れた。三菱UFJの亀澤宏規社長は「3~4年とり組んできた構造改革が実を結んだ」と強調する。 規制緩和の追い風も生かし、証券業務など業容の拡大を進めてきた面も大きい。旧三菱銀行の1990年3月期決算では一般企業の売上高にあたる業務粗利益のうち、貸出金利息を中心とする資金利益が約8割を占めていた。現在の大手行では多い場合で5割程度まで下がり、収益の多様化が進んでいる。 懸念材料は米国の利下げだ。インフレを背景に遅れているFRBの政策金利引き下げが本格化すれば、利益を押し上げてきた海外向け貸し出しの利ざやに縮小圧力がかかる。一方で、みずほの木原正裕社長は「米国の金利高止まりが続くと経済へのショックが大きい」と指摘する。 大手行の業績は、政策株の売却益や円安で外貨建て資産が円換算で押し上げられている面もある。15日の会見で三井住友FGの中島氏が「ゲタを履いている面がある」と評した。好業績を続けているうちに成長戦略を着実に進め、逆風への備えを手厚くできるかが重要になる。2024/05/15 21:19:49136.名無しさんmfxWC大手3銀の今期純利益3.3兆円、最高益更新へ 資金需要や海外改善で[東京 15日 ロイター] - 三菱UFJフィナンシャル・グループ (8306.T), opens new tab(MUFG)など大手銀行3グループが15日に発表した2025年3月期の連結純利益予想は、3社合計で前期比5.7%増の3兆3100億円となった。05年度にMUFGが発足し3メガバンク体制になってから過去最高を更新した前期を上回る見通し。3社とも、企業の旺盛な資金需要や海外の利ざや改善を織り込んだ。三井住友フィナンシャルグループ(FG)(8316.T), opens new tabは15日、2025年3月期の連結純利益が前期比10.1%増の1兆0600億円になる見通しと発表した。グループとして初めて1兆円を超える もっと見る 。MUFGは同0.7%増の1兆5000億円 もっと見る 、みずほフィナンシャルグループ(8411.T), opens new tabは同10.4%増の7500億円 もっと見る をそれぞれ予想する。いずれも、市場予測を上回った。三井住友FGの中島達社長は決算会見で「相場環境、顧客の行動など全てが銀行業績にプラスに働く環境がそろった」と指摘し、「経営者のマインドは非常に前向きになっており、日本経済についてはポジティブにみている」と述べた。みずほFGの木原正裕社長は、今期目標設定について「収益力が上がったので高みを目指す」との意気込みを語った。みずほFGは、現中期経営計画の最終年度である25年度目標を前倒しで達成する見込み。MUFGの亀澤宏規社長は「24年度は、国内が金利がある世界に入り(業績に)プラスになる。成長はアジアが大きい」との考えを示した。MUFGは23年度に持ち分法適用会社である米モルガン・スタンレーの損益計上の期ずれ影響を除くと900億円超の増益となる計画だ。日銀の金融政策変更による金利上昇も収益拡大の追い風で、銀行が持つ日銀当座預金への付利も収益増につながる。三井住友FGは、マイナス金利解除は24年度業績に税前粗利益で400億円の効果があるとみる。みずほFGとMUFGも同様に、業績にプラスの効果を織り込んでいる。MUFGは25年3月期からの新中期経営計画も公表し、最終年度にあたる27年3月期の連結営業純益を23年度の1兆6000億円から2兆1000億円にする方針を示した。アジアの成長を取り込むため、プラットフォームの強靭化や国内の富裕層ビジネスの強化を図る。政策保有株式の削減についても新たな見通しを示し、MUFGは5000億円としていた前期末までの削減目標を達成し、新中計期間中に3500億円を売却する方針。亀澤社長は「前倒しで実行していきたい」と述べた。三井住友FGは26年3月末までの3年間で政策保有株を2000億円削減するとしているが、すでに1340億円を売却済みでさらなる削減計画の検討を開始する。みずほFGは22―25年度に3000億円削減する計画を維持している。24年3月期の連結決算では、3社合計の純利益は前期比約26%増の3兆1300億円だった。2024/05/15 21:24:44137.名無しさんZPnpv3メガ銀の今期純利益は3.3兆円へ-利上げ効果でそろって最高益更新https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-05-15/SDI11JT0AFB400「利ざや改善などでポジティブ」、金利は「見極めにくい」のと声も前期はMUFGと三井住友FGが最高益、みずほも今期に達成へ 3メガバンクグループの今期(2025年3月期)純利益は合計で前期比5.7%増の3兆3100億円と前期(24年3月期)に続き2期連続で最高益を更新する見込みだ。日本銀行による利上げ効果が本業の貸し出し業務などに浸透し、収益を押し上げる。 15日に出そろった今期計画は、三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)が前期比0.6%増の1兆5000億円、三井住友FGが10%増の1兆600億円、みずほFGが10%増の7500億円。前期の純利益合計は3兆1327億円だった。 前期は貸し出し業務では利ざやが大きい海外事業が円安・ドル高もあり収益を押し上げたほか、国内も法人向け融資が堅調に推移。国債取引などの市場部門も好調で、合計の純利益は10年ぶりの最高となった。個別ではMUFGと三井住友FGが最高益を更新した。 日銀が3月に17年ぶりの利上げに動いたのを受け、市場金利は上昇傾向にある。今期は追加利上げも予想され、国内貸し出し業務での利ざや拡大など収益環境のさらなる好転が期待されている。 前期決算について、MUFGの亀澤宏規社長は、「顧客部門中心に稼ぐ力が拡大し、過去最高益につながった」と評価。三井住友FGの中島達社長も「非常に好調な結果。業務環境が非常に良かったことが要因」と振り返った。金利上昇へ 日銀は3月の金融政策決定会合でイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)やマイナス金利を解除した。4月の決定会合では大きな政策変更はなかったが、今後は日銀の追加利上げの時期やペースに関心が集まっている。 MUFGの亀澤社長は利上げ効果について、「前期決算にはそれほど入っていないが、今期はプラスになっていく。利ざや改善などでポジティブだ」と言及した。三井住友FGの中島社長は金利の「正常化に向けた動きが継続していくことを期待する」と語った。 みずほFGの木原正裕社長は、「政策金利の引き上げがあるかは見通しが難しい。ある程度見極めてからではないと動けない。難しい局面だ」と述べた。 その一方で、三井住友FGの中島社長は今後のリスク要因として、与信関係費用の増加懸念を挙げた。「海外の金利高止まりやインフレによる将来の信用不安に備えフォワードルッキングな引き当て計上」により、与信費用は増加していると説明した。 みずほFGの木原社長は、直近で1ドル=156円台の円安水準で推移している為替相場について、「中小中堅にとっては円安はきついと思う。円高方向にいってもらいたいという思いは強い」と述べた。2024/05/16 05:28:50138.名無しさんZPnpv5大銀、今期も最高益へ 2期連続3兆円超え 前期は19%増、利ざや改善・収益改革支え2024/05/16 日本経済新聞 朝刊 5大銀行グループの2024年3月期決算が15日、出そろった。合計の連結純利益は前の期比19%増の3兆3708億円と05年度に現在の3メガバンク体制となってから最高益を更新した。25年3月期も10%増の3兆7150億円と2期連続の最高益となる見通しだ。利ざやの改善と低金利下で続けてきた構造改革が収益拡大に結びつきつつある。 25年3月期の連結純利益予想は、三井住友フィナンシャルグループ(FG)が前期比10%増の1兆600億円と同社として初の1兆円台を目標に掲げる。三菱UFJFG、みずほFG、三井住友トラスト・ホールディングス(HD)も最高益を見込み、りそなHDも4%の増益を予想する。 金利の先高観で国内の貸出金利も上がり始めた。3メガの大企業向け貸出金利ざやは24年3月期に前の期比で0.05%拡大して0.59%となった。三井住友FGの中島達社長は15日の記者会見で「国内の大企業、中堅企業の活動は非常に活発だ」と話した。米連邦準備理事会(FRB)は高水準の政策金利を続け、外貨建ての貸出資産は高い収益性を保つ。 これまで銀行は預かった資金の運用で苦戦を強いられてきた。マイナス金利政策の解除で日銀の当座預金に0.1%の金利がつき、各行は収益源となる預金獲得に方針を転換した。マイナス金利解除は3メガだけで25年3月期に収益を1000億円規模で押し上げる。 国内の企業業績は底堅く、焦げ付きに備えて計上する与信費用も大手行の合算で7%減の9256億円と低位にとどまる見通しだ。 合計の純利益はこれまで14年3月期の2兆8669億円が最高だった。日銀が16年にマイナス金利を導入してから国内の預貸業務を中心に利益が落ち込み、20年3月期には2兆円を割り込んだ。 2期連続で最高益を更新する見通しなのは、長引く低金利下で大手行が経営の効率化を進めてきたことも要因だ。本業のもうけを示す実質業務純益(傘下行の合算)は24年3月期に19%増の3兆927億円。採算性が低いリスク資産を減らしたり、店舗網を効率化したりした成果が表れた。三菱UFJの亀澤宏規社長は「3~4年とり組んできた構造改革が実を結んだ」と強調する。 規制緩和の追い風も生かし、証券業務など業容の拡大を進めてきた面も大きい。旧三菱銀行の1990年3月期決算では一般企業の売上高にあたる業務粗利益のうち、貸出金利息を中心とする資金利益が約8割を占めていた。現在のメガバンクでは多い場合で5割程度まで下がり、収益の多様化が進んでいる。 懸念材料は米国の利下げだ。インフレを背景に遅れているFRBの政策金利引き下げが本格化すれば、利益を押し上げてきた海外向け貸し出しの利ざやに縮小圧力がかかる。一方で、みずほの木原正裕社長は「米国の金利高止まりが続くと経済へのショックが大きい」と指摘する。 大手行の業績は、政策株の売却益や円安で外貨建て資産が円換算で押し上げられている面もある。15日の会見で三井住友FGの中島氏が「ゲタを履いている面がある」と評した。好業績を続けているうちに成長戦略を着実に進め、逆風への備えを手厚くできるかが重要になる。2024/05/16 06:11:54139.名無しさんZPnpv5大銀、今期も最高益へ 2期連続3兆円超え――3メガ、大幅増配の方針2024/05/16 日本経済新聞 朝刊 3メガバンクは15日、2025年3月期に大幅な増配に踏み切る方針を発表した。三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)は24年3月期の41円から50円に、三井住友FGは270円から330円に、みずほFGは105円から115円にそれぞれ引き上げる。三菱UFJと三井住友はそれぞれ1000億円を上限に自社株買いも実施する。 米地銀シリコンバレーバンクの破綻などが起きたことから、昨年春は資本に余裕を持たせようと株主還元の強化を控えていたが、好調な業績を受けて積極的な株主還元にかじを切る。 りそなホールディングス(HD)は200億円を上限とする自社株買いを公表した。三井住友トラストHDは記念配を含め、年配当を前期から35円増やす方針だ。2024/05/16 06:13:21140.名無しさんZPnpvメガバンク、株主還元で株価明暗 再評価は日銀「次の一手」次第2024/05/16 12:47 日経速報ニュース 16日の東京株式市場でメガバンク株の明暗が分かれている。前日に発表した2024年3月期決算で1000億円を上限とする自社株買いを発表した三井住友フィナンシャルグループは年初来高値を更新した一方、還元策が市場の期待に届かなかったとして三菱UFJフィナンシャル・グループとみずほフィナンシャルグループは軟調に推移した。足元の金利上昇によって銀行の収益環境は改善しているものの、銀行株全体を再評価する状況には至っていないようだ。 三井住友FGは一時2.61%高の9444円まで上昇し、2008年6月以来およそ16年ぶりの高値を付けた。一方、三菱UFJは一時5.56%安、みずほFGも2.48%安まで下げる場面があった。明暗を分けたのは、自社株買いの規模感に対する市場の受け止めだ。 三井住友FGの自社株買いの金額である1000億円について「好印象」(野村証券の担当アナリスト、高宮健氏)との受け止めが多い。一方、三菱UFJの自社株買いも1000億円だが、前期(年4000億円)に比べるとペースは鈍化しており、市場では「ネガティブサプライズ」(SMBC日興証券の担当アナリストである佐藤雅彦氏)との声が聞かれる。みずほFGは自社株買いの発表がなかった。 3メガバンクの収益環境はそろって改善している。3メガの24年3月期の大企業向け貸出金利ざやは前の期に比べて0.05%拡大し、0.59%となった。今期(25年3月期)の連結純利益予想は、3行とも市場予想であるQUICKコンセンサスを上回った。 ただ、株式市場は金利の先高観による利ざや改善をすでに織り込んできた経緯があり、改めて材料視する動きにはつながっていない。三井住友FGは年初来高値を更新したものの、3銘柄ともPBR(株価純資産倍率)は節目の1倍を下回る水準にとどまる。 前日の米株式市場では4月の米消費者物価指数(CPI)などを受けて米連邦準備理事会(FRB)による年内の利下げ観測が強まり、米長期金利は4.34%とおよそ1カ月ぶりの低水準で終えた。海外の金利上昇という追い風は弱まりつつある。 3メガは今期の増配を決め、ともに3%台と高い配当利回りに着目した買いは支えとなりそうだ。もっとも、再び銀行株が物色の主役となるためには「日銀が金融政策の正常化に向けて次の一手を打つことが必要」(国内証券のトレーダー)との見方が多い。しかし、16日発表の2024年1?3月期の実質国内総生産(GDP)速報値は2四半期ぶりにマイナス成長となった。「日銀の正常化はいったん後退した」との見方は、きょうだけでなく当面、銀行株の重荷となる可能性が高い。2024/05/16 15:45:38141.名無しさんZPnpvメガバンク、上昇した円金利に食指 スワップで持ち高復元か2024/05/16 16:33 日経速報ニュース 国内金利に上昇圧力がかかるなか、メガバンクが円金利に食指を動かし始めているようだ。15日に出そろった三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)などの2024年3月期決算では、一部でデリバティブ(金融派生商品)を使って金利リスクを取る様子が明らかになった。市場参加者からは「銀行勢が円金利のポジションを部分的に復元している」との声が出ている。 メガバンクの決算のなかで債券市場参加者が注目したのが、固定金利と変動金利を交換する金利スワップ取引の残高だ。「固定金利受け・変動金利払い」の残高(ヘッジ会計適用分、想定元本ベース)をみると、三菱UFJは24年3月末時点(連結ベース)が41兆964億円だった。23年9月末時点(31兆4935億円)から約9.6兆円増えた。 このスワップ取引は固定金利を受け取る代わりに変動金利を支払うもので、国債を買うのと同じ経済効果を持つ。三菱UFJは年限別で「1年超5年以下」の取引を半年前から11.8兆円も増やし、全体の残高を押し上げた。みずほフィナンシャルグループ(8411)も傘下2行合算で、固定金利を受け取る取引の残高が昨年9月末から3.4兆円増えた。 SMBC日興証券の奥村任シニア金利ストラテジストは「預金者への支払利息や経費などを考慮した銀行の資金調達コストを中期ゾーンのスワップ金利が上回り、日銀の大規模緩和下で削減してきた円金利のポジションを復元する動きが一部出始めたとみられる」と推察する。 一方、日本国債の現物については残高を減らしていた。例えば三菱UFJ(傘下の2行合算ベース)の国債保有残高は24年3月末時点で35.9兆円(23年9月末は36.4兆円)、平均残存年限(デュレーション)は1.0年(同1.3年)だ。みずほFGも3月末の国債保有残高が10.9兆円(同19.9兆円)、ヘッジ考慮後のデュレーションは0.3年(同0.7年)と円債のリスクを落とした形だ。 銀行勢が国債残高を減らす一方、金利スワップのポジションを積み上げたのはなぜか。SMBC日興証券の奥村氏は「国債利回りよりスワップのほうが絶対的な金利水準が高かったことや、日銀が長く続けたイールドカーブ・コントロール(長短金利操作)を撤廃し中長期ゾーンの国債利回りの先高観が強かったためではないか」と指摘する。 日銀が年内に追加利上げへと動くとみられるなか、市場では6月にも国債購入の減額方針を決めるとの思惑がくすぶる。債券需給が緩めば金利の先高観が強まりかねず、「銀行勢による円金利のポジションの復元が本格化するのはまだ先」(国内証券のストラテジスト)との声も漏れる。 しかし、15日に中期経営計画の見直しを発表したゆうちょ銀行(7182)の笠間貴之社長は記者会見で「国内金利が上昇基調に転じたことから、預金から日本国債へのシフトを積極的に進めていく」と語った。金利上昇に伴い、負債のコストと比べて投資を検討できる水準まで国債利回りが上昇すれば徐々に投資家の買いが入り始める。メガバンクの決算はそうした市場環境にいずれ戻るとの見方を強めたといえそうだ。2024/05/16 17:48:03142.名無しさん8HyV9〔マーケットアイ〕株式:日経平均は下げ幅縮小、日銀国債買い入れオペ据え置きで安心感[東京 17日 ロイター] - <10:45> 日経平均は下げ幅縮小、日銀国債買い入れオペ据え置きで安心感日経平均は下げ幅を縮小し、前営業日比約170円安の3万8700円半ばで推移している。日銀の国債買い入れオペのオファー額が据え置きとなり、市場では「減額されるかもしれないとの懸念もあったので、ひとまず安心感が出ているようだ」(国内証券・ストラテジスト)との指摘が聞かれる。外為市場ではドルは155円台後半と、やや円安に振れて推移している。個別では、東京エレクトロン(8035.T)b、ファーストリテイリング(9983.T)b、ソフトバンクグループ(9984.Tが引き続き軟調。アドバンテスト(6857.T)は小幅高。一方、銀行株がしっかりで、三井住友フィナンシャルグループ(8316.Tが2%超高、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306.T)が約3%高、みずほフィナンシャルグループ(8411.T)が約1%高で推移している。2024/05/17 11:07:04143.名無しさん8HyV9<東証>三井住友FGが7日続伸 業績見通しや株主還元評価の買い続く2024/05/17 11:29 日経速報ニュース (11時10分、プライム、コード8316)三井住友FGが7日続伸している。一時、前日比261円(2.77%)高の9661円まで上げ、連日で年初来高値を更新した。好調な業績見通しや株式還元の姿勢を評価した買いが続いている。 三菱UFJ(8306)やみずほFG(8411)も高い。3メガバンクは15日に2024年3月期(前期)の連結決算を発表し、25年3月期(今期)の連結純利益が市場予想(QUICKコンセンサス)を上回る見通しを示した。 三菱UFJは決算と同時発表の自社株買いの規模感が物足りないとの受け止めなどから前日に下落。みずほFGは自社株買いの発表がなく、下げた。 市場では「先行き日銀の金融政策の正常化が進めば、メガバンクの収益が一段と伸びるとみられるため、あらためて見直し買いが入っている」(アイザワ証券の三井郁男投資顧問部ファンドマネージャー)との見方があった。2024/05/17 12:46:47
2023/11/28 日本経済新聞 朝刊
「銀行の経営者」と聞いて浮かぶ一般的なイメージがあるとすれば、およそかけ離れた特異なバンカーだった。25日に亡くなった三井住友フィナン
シャルグループの太田純社長は「カラを、破ろう」と行内を鼓舞し、因習が残る銀行の改革をけん引してきた。
霞が関や永田町との折衝を担う企画畑がエリートとされる銀行にあり、ビジネスのにおいがするまれな経営者だった。
原点にあるのが、キャリアの前半期に身を置いたプロジェクトファイナンスの経験だろう。不動産などの担保に基づく融資が主流を占めるなか、大
規模な発電所など事業が生み出す収益を裏付けに融資を実行する当時新しい融資の形態だ。
膨大な英文の契約書と格闘し、海外を飛び回るなかで黎明(れいめい)期のビジネスをゼロから立ち上げた。学者と論文を著し、この道では第一
人者のバンカーだ。相当な収益もあげたことだろう。本人に「投資銀行からのオファーはすごかったでしょうね」と水を向けると、「ビックリするような
報酬も提示されましたよ」と笑いながら振り返っていた姿が印象に残る。
ビジネスで磨いた決断力はうるさ型ともされる経営者を引き寄せた。2022年7月に資本参加したSBIホールディングスの北尾吉孝会長兼社長と
は随行者を伴わずに会談を重ね、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)の増田宗昭会長とは自宅を訪ねる仲でもある。
こうした関係が実を結んだのが、今年3月に始めた金融サービス「Olive(オリーブ)」だ。銀行口座やクレジットカードといった金融取引をスマートフ
ォンに一体化したサービスで、登録者は半年で100万人を超えた。太田氏のリーダーシップで連結純利益は今期、過去最高を更新する見通しで
、1兆円の大台も視野に入ってきた。
ライバル行の幹部はオリーブを実現させた太田氏を「実行力と先見性に秀でていた」としのぶ。北尾氏は訃報に接し「戦略的思考のもとに決めた
ことをパパッと実行に移すなど個人的にウマが合った。金融界の巨星落つという感じで非常に悲しい」と述べた。
さらにケンカの強さをのぞかせたのが、00年当時、東京都の石原慎太郎知事が銀行を狙い撃ちにした外形標準課税を導入してからの行動力だ。
外形標準課税は、不良債権処理の影響で課税対象となる所得が大幅に減っていた銀行から税金を取り立てるために都が繰り出した異例の策だっ。
条例の効力凍結を求める行政訴訟の中心にいたのが、住友銀行(当時)から全国銀行協会の幹部に加わっていた太田氏だ。本人に思い出深か
った仕事を尋ねると、初公判で銀行の主張を訴える原稿を自ら書き上げたことを少し誇らしげに語っていた。最終的に最高裁で和解に至ったが、東
京地裁と続く控訴審の東京高裁では条例を無効とする判決を引き出した。
その剛腕は銀行の利益だけに向けられていたのではない。
中期経営計画で掲げたのは「Fulfilled Growth」(幸せな成長)。脱炭素社会の実現や格差の解消、イノベーションの創出に具体的な数値を交
えて取り組むと宣言した。
それは「社会的な課題が顕在化するなか、かつてのような成長の時代に戻すだけでは不十分だ」との思いがあったからだ。脚本家の倉本聰氏と
交流を深め、持続可能な地球のあり方について考えを深めるなかで導き出したひとつの解だった。
今年秋以降は体調が優れなかったが、最後まで前線に立ち続けた。10月3日には日本経済新聞社が主催するシンポジウム「金融ニッポン」で
金融の未来を語り、10月28日には三井住友銀行が協賛するプロ野球・日本シリーズに合わせて開かれた植樹式にも顔を出した。
「退屈な社内会議なんて寝ているよ」。形式にこだわる銀行の文化に厳しさをみせる半面、将来を担う若手や中堅に注ぐまなざしは優しかった。
かつてプロジェクトファイナンスで損失が出かねない失敗をしても、再挑戦を許してくれた銀行の懐の深さに感謝の念を口にしていた。だから若手
が伸び伸び働ける環境を整えることが自らの使命と自覚していたのだろう。
「これからは金融だけでは生き残れない」と公言し、社内のアイデアをもとに新会社を作っては「社長製造業」として若手や中堅の発案者にかじ取
りを任せてきた。才能の開花を見届けられなかったことが心残りだったのではないか。
2023/11/29 日本経済新聞 朝刊
日銀のマイナス金利政策の解除が近づきつつある。日銀は春季労使交渉や個人消費などの動向を見極め、早ければ2024年前半にも解除を
判断する。解除すれば17年ぶりの利上げとなり、脱デフレに向けて緩和一辺倒だった金融政策は転換点を迎える。日銀だけでなく政府も企業も
、超低金利のぬるま湯から抜け出し、成長を取り戻す覚悟が問われる。
「いよいよマイナス金利解除への地ならしが始まった」。10月下旬、日銀が水面下で金融機関に依頼したある調査が波紋を呼んだ。
過去25年間の債券市場の機能度を調べる債券・市場サーベイの特別調査だ。マイナス金利や長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YC
C)導入後の局面も調査対象とし、影響や副作用を聞いた。結果は12月にも公表される見通しで、市場関係者は「日銀は調査結果を根拠に解除
に踏み切るのではないか」と身構える。
日銀は16年1月にマイナス金利政策の導入を決め、金融機関が日銀に預ける当座預金の一部にマイナス0.1%の金利を適用している。解除
は「0.1%の利上げ」(内田真一副総裁)で、これまで日銀は「(解除までには)まだ距離がある」と否定し続けてきた。
だが、日銀内のムードは着実に変わりつつある。植田和男総裁は6日、名古屋での金融経済懇談会でマイナス金利解除の前提となる物価2%
目標の達成について「確度が少しずつ高まってきている」と踏み込んだ。
ある日銀関係者は「日本も物価高が長期化している。欧米と同じようにインフレ対応でビハインド・ザ・カーブ(後手に回る)のリスクが出てきた」
と警戒する。別の関係者は「(解除を)永遠に先延ばしはできない。解除後の金融政策の進め方も内部では当然検討はしている」と話す。
判断のカギを握るのが、もうデフレには逆戻りしないという確信を抱けるかどうかだ。日銀が注目するのが24年の春季労使交渉。連合は賃上げ
目標を昨年を上回る「5%以上」とする方針を発表。植田総裁も「来年の賃上げがそこそこのものになる可能性は、少し前に比べると高まっている」
と手応えを感じている。
そんな日銀の変化を感じ取り、金融市場は早期解除を織り込み始めた。QUICKの月次調査(11月、外国為替市場)で解除時期は「24年4月」
との回答が32%と最多で、「24年1月」も20%に上った。合計で7割の回答者が24年前半での解除を予想する。
17年ぶりの利上げは、超低金利で債務を膨らませた企業には試練となる。国内銀行が融資する際の約定平均金利(新規)は異次元緩和開始
前(13年3月)の0.962%から、マイナス金利導入後の16年3月には0.69%まで下がった。足元では金利に上昇圧力がかかり、23年9月時
点で15年12月以来となる0.878%まで上昇した。
東京商工リサーチによると、10月の企業倒産(負債額1000万円以上)は前年同月比33%増の793件だった。新型コロナウイルス禍で実質無
利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)を利用した企業倒産が増えており、融資金利の上昇が加速させる可能性もある。
読み切れないのが政治の動きだ。円安による物価上昇をどう抑えるかが政治テーマとなっており、岸田文雄政権がマイナス金利解除に強く異を
唱える展開には今のところなっていない。ただ、ひとたび為替相場が円高に振れたり、中小企業の倒産が増え始めたりした場合、政治を取り巻く
空気は一変しかねない。
財務省関係者は「政治の調整には時間がかかる。もし日銀が解除を決めたとしても、緩和的な環境は当面続ける必要がある」と話す。日銀関係
者は「解除後はゼロ金利に戻して様子を見た上で、その後の金利引き上げの余地を検討することになる」と話す。ショックを避けながらどのように
利上げの道筋を描いていくかが焦点となる。
四半世紀にわたって続く超低金利政策の最大の弊害は、金利が果たしていた事業の選別などの機能が緩み、日本経済全体に非効率がはびこ
ったことだ。政府や企業の改革を停滞させた側面は否めない。現状維持や縮小均衡に傾きがちだったデフレ時代の思考から抜け出せるのか。金
利のある世界への回帰は日本経済が成長を探る上で避けて通れない道となる。
2023/11/30 日本経済新聞 朝刊
11月20日、日銀本店に金融機関の短期金融市場の担当者らが集まった。毎年1回、定期的に開いている実務者会合で、通常であれば大き
な脚光を浴びることはないが、今回は違った。関係者によると、この日の会合でマイナス金利解除に向けた各社の準備状況などについて意見交
換があったという。
「日銀は解除後の市場動向に目を向け始めている。解除はそう遠くないだろう」。ある関係者はこう話す。日銀が政策金利を動かしたときに真っ
先に影響を受けるのが、金融機関が日々の資金をやりとりする短期金融市場だ。金利正常化を見据え、日銀が市場との対話に動き始めた可能
性がある。
日銀はすでに、7月と10月に長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)を柔軟化し、長期金利のある程度の上昇を容認した。ある大
手銀行の幹部は「日銀はYCCから事実上、抜け出すことに成功した。大きな混乱もなく、今の日銀には安心感がある」と評価する。
日銀は市場の予想よりも早く動くことで、2021年にオーストラリア準備銀行(中央銀行)が金利操作を撤廃した際に金利が急騰したような混乱
を未然に防いできた。11月には定期的に行っている5年超10年以下の国債の購入量を2回にわたって減額。市場参加者からは、宣言なく緩和
を縮小する「ステルステーパリング」が進んでいるとの声も聞かれる。
日銀関係者も「出口が近いというのは否定しない」と認める。次の焦点は、本丸のマイナス金利政策の解除となる。
日銀で、政策運営の中心にいるのが副総裁の内田真一氏だ。金融政策の企画・立案を担う企画畑が長いエースで、植田和男総裁の右腕とい
える。
内田氏は7月の政策修正の直前、日本経済新聞とのインタビューで「(YCCが)市場機能に影響を与えていることは強く認識している」と語り、
政策修正を市場に織り込ませた。サプライズを避け、出口に向けて慎重に歩を進めるのが内田流といえる。
そんな内田氏にとってマイナス金利政策の解除は特別な意味を持つ。16年のマイナス金利導入時、銀行からの激しい批判の矢面に立たされ
たのが、企画局長として準備を進めた内田氏だった。
日銀は当時、国債の大量購入を進めていたが、これ以上買い入れ量を増やすことは難しいとする緩和の限界論が広がっていた。円高・株安の
リスクが意識されるなか、追加緩和のカードを増やすための起死回生策がマイナス金利政策だった。
「今後、必要な場合、さらに金利を引き下げる」。16年1月の日銀の決定文からは、限界を取り払い、新たな緩和余地を生み出したことへの高
揚感がにじむ。
だが、日銀がマイナス金利の領域に足を踏み入れたことで、金利に一斉に低下圧力がかかり、銀行収益の悪化などの副作用が高まった。当時
、三菱UFJフィナンシャル・グループ社長だった平野信行氏は「銀行界にとっての短期的な影響は明らかにネガティブ」と異例の日銀批判を行った。
日銀は結局、マイナス金利をそれ以上深掘りできなくなった。異次元緩和は短期決戦から持久戦へと装いを改め、16年9月のYCC導入につな
がった。当時の日銀審議委員で野村総合研究所の木内登英氏はマイナス金利導入で「(利下げの副作用が効果を上回る)リバーサルレートが意
識されるようになった」と振り返る。
行(ECB)、スイス中銀なども政策金利を次々にプラス圏に引き上げた。現在も維持しているのは日銀だけだ。
QUICK・ファクトセットによると、世界のマイナス利回りの債券はピーク時の20年ごろに一時18兆ドル程度(約2700兆円)に膨らんでいたが、
いまでは急減。マイナス金利は世界から消えようとしている。
マイナス金利解除には警戒もある。日本の投資家が米欧から金利のつき始めた国内へと資金を動かせば「為替や債券など複数の市場でボラ
ティリティー(変動)が高まる可能性がある」(米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスのマダビ・ボキル氏)。
日銀関係者も「(利上げという)長年動かしていなかった機械のスイッチを入れる怖さ」を感じているという。金融市場の混乱を避けるためには、
利上げのペースをできるだけ緩やかにすることが欠かせない。
政策決定が後手に回る「ビハインド・ザ・カーブ」に陥れば、日銀は物価上昇を抑えるために急ピッチの利上げを強いられ、経済にも混乱が広が
りかねない。拙速は避けるべきだが必要と判断すればためらわずに動く大胆さも求められている。
2023/12/01 日本経済新聞 朝刊
「預金金利も上がってきますから」。ある都内のメガバンクの支店では、担当者が取引先を訪れ貸出金利引き上げの交渉に挑んでいた。交渉は
新規融資と既存の融資枠の更新が軸で、担当者にとっては絶対に落とせない案件だ。
これまでであれば、金利を下げてでも契約を取り付けることを優先していたはず。だが、いまのメガバンクはそんなデフレ時代の常識を何とか変え
ようとしている。支店長は「(融資の金利を)下げるくらいなら(契約を)落としてもいい」と担当者を鼓舞した。
日銀の相次ぐ政策修正で市場金利が上昇したことを受け、9月の銀行の新規融資の金利(貸出約定平均金利、新規)はマイナス金利政策導入
前の2015年12月以来の高水準に達した。30日公表の10月分も含め6カ月移動平均でみると2年10カ月ぶりの高さで、長く続いた低落傾向に
ようやく歯止めがかかってきた。
「政策金利が変わるかが(収益には)一番大きい」(みずほFGの木原正裕社長)。各行は貸出金利上昇につながる日銀のマイナス金利解除に
期待を強める。みずほは解除後、粗利益で350億円の押し上げ効果を見込む。三井住友FGは短期金利が0.1%上昇すると純利益を約200
億円押し上げると試算する。
ただ、貸出金利を引き上げていくにはハードルもある。
日銀の資金循環統計によれば、民間企業部門(金融除く)の現預金残高は6月末時点で343兆円と前年同期比で3.7%増えた。マイナス金利
導入前の15年12月末と比べると1.5倍の規模で、金利復活後もカネ余りの状況は変わらない。
「無借金経営で現預金は十分ある。銀行の担当者は営業に来るが、融資を受ける予定はない」(都内のインフラ企業の経営企画担当役員)。複
数の銀行が一部の優良企業の限られた資金需要を奪い合う構図が変わらなければ、貸出金利の引き上げは絵に描いた餅となりかねない。
長らく続いた低金利環境で「貸す側も、借りる側も金利交渉に慣れていない」(精密機械メーカーの財務責任者)という問題もある。コーポレートガ
バナンス(企業統治)や温暖化ガス排出ゼロに向けた環境対応の助言などと組み合わせながら適切な金利水準を探っていく。そんな知恵が銀行
に求められている。
一方で、ゼロ近傍に張り付いていた預金金利の一部が、貸出金利に先行して上がり始めている。引き上げ競争の口火を切ったのがSBI新生銀
行だ。22年6月に6カ月物などの定期預金金利をそれまでの10倍に引き上げ、23年9月末の預金残高を引き上げ前より6割も多い10兆5000
億円に増やした。
「10年定期に移したい」。三菱UFJ銀行も11月6日、5年以上の定期預金の金利を引き上げた。10年では0.2%と従来の100倍の水準。都
内の支店には、毎日複数の顧客が問い合わせに訪れているという。
金利復活の恩恵が家計に届くためには、長期の定期預金だけでなく、普通預金などの金利が幅広く上昇していく必要がある。銀行が企業の成
長分野への投資を支え、貸出金利を引き上げていけるかが、金利のある世界が定着する条件となる。
2023/12/02 日本経済新聞 朝刊
1日の日経平均株価は前日比55円安の3万3431円と小反落で終えた。円高傾向に押され今週の高値更新はお預けとなったが、日本株高を
けん引してきた海外投資家の目線はなお高い。政策保有株の削減やMBO(経営陣が参加する買収)といった日本企業の変身を映すニュースも
関心の的で、一段高を見据えた仕込みが続く。
割安株投資を手がける米ハリス・アソシエイツが今、日本株で最も多く持っているのが富士通だ。独立社外役員が取締役会議長を務める企業
統治体制や、新光電気工業の売却をめざすなど非中核事業の整理を進めている点を高く評価している。デジタルトランスフォーメーション(DX)分
野での成長も期待し、2023年に大きく買い増したという。株価は7~9月期業績の回復を材料に10月下旬の年初来安値から約3割上げた。
「経営者がマインドセットを本当の意味で改め、変化を受け入れる会社を探している」。ハリスで米国外株式の運用を担うエリック・リュー氏は今
週、企業調査で訪れた日本滞在中にトヨタグループによる株式持ち合い縮小の報に接した。「これほどの大企業が政策保有株の削減に乗り出し
たことで中堅以下の企業も始めるかもしれない。一朝一夕に変わらなくても重大な変化が起き始めたと信じている」と話す。
アクティビスト投資家の鼻息も荒い。企業価値向上を期待する追随買いも誘っている。「資産は現在の株価の2倍の価値がある」として米バリュ
ーアクト・キャピタルが1%の株取得を公表したリクルートホールディングス株は、11月29日に年初来高値をつけた。
サッポロホールディングスは社外有識者も加えた「グループ戦略検討委員会」を9月に設けた。同社にはシンガポールの3Dインベストメント・パ
ートナーズが「不動産賃貸収入による経営の甘え」を指摘し、酒類など中核事業の低収益性の是正を求めている。3Dは10月19日にサッポロ株
5・09%の大量保有報告書を提出し、11月下旬にかけて保有比率を10・56%まで急激に引き上げた。サッポロHD株は約32年ぶりの高値水
準まで上昇している。
食品株では日清食品ホールディングスや東洋水産などが、11月に上場来高値を塗り替えた。大和証券の守田誠シニアアナリストは「難しいと
みられていたコスト高の価格転嫁を実現してM&A(合併・買収)など構造改革も進め、日本の食品メーカーは駄目との見方が変わり始めている」
と話す。
海外勢の日本株買いは24年も続くのか。JPモルガン証券のクオンツチームは景気循環などの定量分析をもとに動向を展望。海外マネー流入
は続き、2024年の買越額は4兆円規模とはじく。高田将成クオンツストラテジストは「益回り」からみた、日本株の世界株に対するリスクプレミ
アムの上乗せ幅と海外勢動向の関係にも注目する。出遅れ是正の途上にあり「自己資本利益率(ROE)を引き上げていけるかが課題」と語る。
スイス運用大手ピクテのシャニール・ラムジー氏は担当するマルチアセットファンドで23年、日本株への配分比率を5%から20%程度まで高
めた。「企業と対話して経営陣の意思を十分理解し、日本経済の活性化を感じた」という。まだ兆しの段階にある変化の着実な進展が24年の
日本株一段高のカギを握る。
詳細
「痛恨の極み」「言葉もない」「耐えがたい思い」――。およそ経営トップの交代会見とは思えない、重苦しい言葉が並んだ。
11月30日、三井住友フィナンシャルグループ(FG)は中島達(なかしまとおる)副社長が社長に昇格する人事を発表した。12月1日付という異
例の人事の背景にあるのが、太田純前社長の急逝だ。「剛腕」と称されたトップの喪失で、三井住友FGは新たな局面を迎える。
■「脱銀行」を掲げ矢継ぎ早に改革を推進
「脱銀行」。太田氏は2019年4月に社長就任後、伝統的な銀行業務からの脱却を掲げて、矢継ぎ早に改革を進めた。
「社長製造業」と銘打ち、若手・中堅社員を社内ベンチャー事業の社長に抜擢したほか、2023年3月には銀行や証券、カード、保険など個人向
け金融サービスを一元化したアプリ「オリーブ」を投入した。
SBIホールディングスの北尾吉孝会長兼社長やCCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)の増田宗昭会長兼CEO(最高経営責任者)など、個
性派の経営者とも交友を深めた。海外では、アメリカ証券大手ジェフリーズや東南アジアの現地金融機関への出資を進めた。
三井住友FGは2023年3月期決算で過去最高純利益を更新するなど、順風満帆かと思われた。だが、その中で発覚したのが太田氏の膵臓が
んだ。
太田氏は4月に経営陣に罹患を打ち明けた後も精力的に活動を続けたが、抗がん剤の副作用からか持ち前のがっしりとした体躯はみるみる痩
せていった。
周囲には、がんに苦しむそぶりを見せなかった。今秋、ある会合で同席した別のメガバンク首脳から「体調はいかがですか」と痩身ぶりを案じられ
た際、太田氏は「ダイエットですよ」と涼しい顔で答えたという。
一方、三井住友FGの指名委員会では、健康問題が顕在化する前の2022年頃から、太田氏の後継者選定が水面下で進んでいた。
FG社長の任期は6年が慣例で、通常なら太田氏の任期は2025年まで。だが、2023年4月に中核子会社の三井住友銀行頭取が交代するの
に合わせて、「FGの社長人事も並行して審議した」(三井住友FGの國部毅会長)。そこで浮上したのが、太田氏とともに企画部門で仕事をしてい
た中島氏だった。
中島氏は1986年に旧住友銀行入行後、支店勤務などを経て企画畑を歩んだ。2001年の住友銀行・さくら銀行の合併に際しては住銀側の事
務局を務めたほか、消費者金融大手のプロミス(現SMBCコンシューマーファイナンス)の買収も手がけた。
中島氏が2012年に投資銀行統括部へ異動になった際、直属の上司となったのが太田氏だ。その後も企画部長やグループCFO(最高財務責
任者)など、太田氏の下で要職を歴任。こうした経緯もあり、次期社長ポストの「最右翼」として指名委員会の合意を得た。
おりしも、三井住友FGは2023年度から「コンティンジェンシープラン」を導入していた。経営トップに不測の事態が発生した際の対応計画で、太
田氏が経営の指揮を執れなくなった際には、中島氏が社長業務を代行することが決められた。
皮肉にも、コンティンジェンシープランは導入後に、早速発動されることとなる。太田氏は11月初旬に体調を崩し都内の病院で治療を行っていた
が、容体が急変。同14日に予定されていた決算説明会を急遽欠席した。業務継続が困難と判断した太田氏は同21日、指名委員会に辞意を表
明した。
「1週間ほど前、國部会長から『近いうちに社長として推挙される可能性がある』という話をいただいた」(中島氏)
本来であれば、社長交代の時期はもう少し後に予定されていたようで、太田氏は治療を継続しつつ、特別顧問として経営の後ろ盾となるはずだ
った。だが太田氏は11月25日早朝に65歳で息を引き取り、急転直下のトップ交代となった。
動揺が続く中で、舵取りを任された中島氏。「太田社長が推し進められたことをしっかりやる」と意気込むが、目先の課題は2023年度から始まっ
た中期経営計画の見直しだろう。
三井住友FGは11月、2024年3月期決算の純利益見通しを従来の8200億円から9200億円へと上方修正した。株売却益などの特殊要因が
あるとはいえ、中期経営計画の「2026年3月期に9000億円」という最終目標をあっさり超過してしまった。
身内からも、「最終年度の目標をわずか半年で達成してしまったことは、(中計の目標設定が正しかったのか)きちんと分析しないといけない」(三
井住友銀行の福留朗裕頭取)という声が上がる。
中・長期的には、他メガバンクに見劣りする領域の挽回がカギになりそうだ。三井住友FGは個人や中堅・中小企業取引、デジタル化などで先行
する一方、「大企業取引は3メガの中でも十分なものになっていない」(中島氏)。直近では大企業部門の責任者を務めていた中島氏の手腕が、早
々に試される。
海外展開でも、アメリカの証券業務はモルガン・スタンレーを抱える三菱UFJフィナンシャル・グループや、現地の投資銀行買収で拡大するみずほ
フィナンシャルグループに後れを取る。
太田氏は2023年6月に実施した東洋経済のインタビューで、「アメリカの投資銀行部門の強化は長年の目標だ。ボンド(債券)の引き受けではS
MBC日興証券もそこそこの競争力があるが、エクイティ(株式)やM&Aの強化は、今からではとても間に合わない」と話していた。
太田氏の置き土産であるジェフリーズとの資本提携の効果を発現できるかが、今後重要になりそうだ。
「2028年度に純利益1兆円が目標。でも、金利環境が変わったら(達成時期も)変わりますよ」。国内金利の上昇機運が高まる中、太田氏は東
洋経済のインタビューでこう期待をにじませていた。「1兆円の大台」の遺志を継ぐ中島氏に、重責がのしかかる。
2023/12/05 日本経済新聞 朝刊
消費者金融に貸し倒れ拡大のリスクが浮上している。新規顧客が急増したことで、アコムなど大手3社の2023年4~9月期の貸倒関連費用
が1200億円程度と前年同期比で3割増えた。市場金利の上昇に伴い、同期間の資金調達費は日銀が異次元緩和に踏み込む前の12年以降
で上半期として5年ぶりに増加。低金利の恩恵を受けてきたノンバンクの経営は転機を迎えている。
23年4~9月期の貸し倒れ関連の費用はアイフルが前年同期比48%増の271億円、「プロミス」を手掛けるSMBCコンシューマーファイナン
スが30%増の461億円となった。アコムは前年同期に比べて3割近く増えた。
貸し倒れが増えたのは、新型コロナウイルス後のリベンジ消費に動く個人顧客への貸し付けが膨らんでいるためだ。3社合計の新規顧客は
60万人強と4年前比で6割近く増えた。大手の一角では貸し出しから2年以内の債権の件数が全体の半分近くを占める。
この増加ペースを支えるのがスマートフォンだ。店舗にある無人契約機ではなく、スマホ経由で借り入れることが一般的となり、心理的なハード
ルが下がった。かつては顧客の大半が男性だったが、足元では「女性や若年層がけん引している」(アコム)という。
返済の延滞は取引歴の浅い貸出先で多い。これに「コロナ禍の前半で貸した顧客の貸し倒れが積み重なり」(アコム幹部)、貸し倒れ関連の
費用増につながった。
各社とも1人当たり貸付残高は減少傾向にある。アコムの場合は49万円と3年前比で6%減っており、消費者金融各社からは「リスク管理で
きている」との声もあがる。
だが俯瞰(ふかん)してみると、リスクの芽が浮かびあがる。個人の債務情報を管理する日本信用情報機構(JICC)によると5件以上借り入れ
ている債務者の数は10月時点で14万5000人と前年同月比で26%増えた。前月比での増加が継続しており、多重債務者の数が増加してい
る。経済環境の変化で、新規顧客が返済に苦しめば損失が増加する可能性は増す。
消費者金融業界にとって、前門の虎が貸し倒れリスクの拡大なら、後門の狼(おおかみ)となるのが市場だ。
アコム、アイフル、SMBCコンシューマーファイナンスの資金調達にかかる「金融費用」を集計した。プロミスが三井住友フィナンシャルグループ
に完全子会社化された12年4~9月期に200億円弱だった費用は平均で年1割弱のペースで低下を続けていたが、23年4~9月期に約70億
円と前年同期比で0.1%増と、増加に転じた。
背景には日銀の金融政策の修正観測がある。消費者金融各社は銀行借り入れや社債の発行で調達した資金を顧客への貸し出しに充ててお
り、収益面で金利低下の恩恵を受けてきた。日銀の政策修正により昨年末に0.4%程度だった長期金利は一時1%近くにまで上昇。足元の借
り入れや社債発行の金利が上昇圧力を受けている。
銀行と異なり預金を抱えておらず金利上昇が資金調達費用の増加に直結する。年15~20%の利息制限法上の上限に近い利率の貸し出しが
多数を占めるため、貸出金利への転嫁も難しい。長期金利が高止まりすれば、調達費用の増加が利幅を圧縮することになる。
各社は対応に乗り出し始めた。アコムは財務体質を強化して格付けの引き上げにつなげる方針を示す。固定金利でも借り入れているため短期
的には収益減に直結しないが、中長期でみると収益の下押し要因になる。木下政孝社長は金利上昇の影響について「1%の上昇で(残高から
みて年間純利益の1割に相当する)55億円のインパクトになる」として対応を急ぐ。
アイフルも格付けが「BBB」から「BBBプラス」に上がり、調達費の増加を抑えたという。SMBCコンシューマーファイナンスは一部資金の借り
入れで期間を短期から長期に振り替えた。
米国ではクレジットカードの支払いができずに延滞した割合が7~9月に11年以来12年ぶりの高水準となった。金利ある世界は借り入れのハ
ードルを高める側面がある。ノンバンク各社はリスク管理能力を試されそうだ。
[東京 5日 ロイター] - 「金利のある世界」が近付く中、収益の押し上げ機会を逃すまいと金融機関が態勢を整え始めた。超金融緩和が続き、
金利なき世界に浸ってきた各社にとって金利を稼ぐ原資となる預金は宝の山に転じる。顧客ニーズの変化への対応に加え、金利を知る行員が
現場にいないなどの問題を解消すべく、各行が試行錯誤で動き始めている。
<新組織立ち上げ、勉強会>
大和証券グループ本社 (8601.T)で秘書室長を務めていた山本聡氏は、今年4月から新たな部署を立ち上げることを命じられた。
新部署グローバル・マーケッツ戦略企画部は、これまで以上に法人客向けのホールセールと個人客向けのリテールが連携するための役割を果
たす。山本部長は「30年に1度の転換期にある今、そこでちゃんと稼ぐため。環境の激変に応じて、先手を打つ」と立ち上げの意図を明かす。
現在の陣容は兼務15人を含む38人。
金利上昇で機関投資家がポートフォリオを組み替え、売却も増加する中、富裕層を中心としたリテールが受け皿になり得るという。リテール側
のニーズを同じ部署で把握していれば、在庫を持つことなくつなぐことができ、利益率も高まるとみる。
ゼロ金利やマイナス金利という超金融緩和が長く続いた日本は、金融機関と顧客との会話で円債は影が薄かった。みずほ信託銀行の菊地睦・
総合戦略運用部次長によると、足元で金利が動き出し、先々、マイナス金利解除など金融政策の正常化も期待される中で、ヘッジ付き外債が
厳しくなり円債にシフトする動きが出ている。「これまで光が当たってこなかったが、円債回帰の動きは出始めている」という。
ただ、短期金利が0.5%を上回るような本当の「金利のある世界」を知るのは、バブル期入行の社員が最後になる。今後、金利の上昇が本格
化した場合、銀行の収益のみならず、顧客のニーズなどにも変化が予想されるが、肌感覚でわかる社員は限られる。
りそなホールディングス (8308.T)の南昌宏社長は「金利の上昇局面で顧客と対峙するのが初めての経験の人が多い」とし、チャネルの変化や
テクノロジーの進化などを背景に「金利上昇局面で、顧客がどのようなスピードで行動を変えるかをしっかりと見定める必要があり、変化に適応
する準備が必要になる」と話す。
同社では、先月まで基礎編と応用編に分けて2回の勉強会をオンラインで実施、支店長を中心に数百人が参加した。インフレとはどういう世界
かというところから始まり、日銀の政策が金融機関にもたらす影響、銀行や顧客のバランスシートの変化まで内容は多岐に渡った。
三菱UFJ銀行でも今年度に入り、国内営業店のデリバティブなどの市場取引を推進するチームを作り、金利上昇時に出てくる顧客ニーズに対
応する態勢を作った。また、今年1月からは営業店で計70回超にわたり金利変動時に顧客にどのような提案を行うかという勉強会を開催。さら
に6月からは円金利上昇に関連したセールス・マーケット情報の配信も始めた。来年4月に入行する新人研修にも金利ビジネス講座を新設す
る予定だ。
日銀ウオッチャーとして著名な加藤出・東短リサーチ社長のところには、10月以降、金融機関からの勉強会などの依頼が数倍に増えている。
加藤氏によると「マイナス金利解除でどういう短期市場になるかの意見交換」をしており、3階層になっている当座預金の扱いや先行きの利回り
曲線(イールドカーブ)などがポイントになっている。
通常は資金の出し手となっている金融機関でも、一度、取り手になってみるという動きはみられるという。ただ、2006年の量的緩和解除やゼロ
金利解除時に比べると「今局面は、当座預金に付利が付いて、かつ3層になっていることから、金融機関が資金繰りを行う体制は維持されてお
り、事務的な面での混乱は起きにくい」とみている。
日銀はすでに長短金利を操作するイールドカーブ・コントロール(YCC)の柔軟化に動き、金利も動き始めているが、金融機関収益に対しては「Y
CCはあまり関係ない。政策金利が変わることが一番大きい」(みずほフィナンシャルグループ (8411.T)・木原正裕社長)という。
三菱UFJフィナンシャル・グループ (8306.T)の亀澤宏規社長は「資金収益が落ちる中で、収益の多様化、経費構造見直し、リスク・リターンの改
善をしてきた。それが成果を出し、マイナス金利前と同じ業務純益に戻った。ここから金利が上がるとプラスになる」と、今後に期待感を示す。
三井住友フィナンシャルグループ (8316.T)の伊藤文彦最高財務責任者(CFO)は「コストをかけずに預金獲得に対応していきたい」と語り、スマ
ートフォンのアプリで口座管理やクレジットカードなどの金融取引を一体化したサービス「オリーブ」を国内戦略の中核に据える。各社とも国内で
の預金獲得に力を入れる。
三井住友銀は、マイナス金利が解除されると資金利益で約300億円のプラスになると試算。三菱UFJ銀は、マイナス金利の解除・10年利回
り1.0%などを前提として資金収益を500億円押し上げるという。みずほ銀は、マイナス金利が解除されれば資金収支で350億円のプラス、
短期金利をはじめ一律で0.1%金利が上がると平均500億円のプラスになるとしている。
マイナス金利解除、そしてプラスの政策金利という世界に向けて、大和証券の山本氏は「人員は増やしたい。商品開発部隊を作りたいと思って
いる。金利系も為替系も、プライベートアセットもいくらでもニーズは出てくると思う」と話す。
みずほ銀行の30代行員は「金利のない世界で入行したので、できることが増えるのではないかとワクワクしている」と話す一方で「これまでな
かったリスクが膨らむ可能性がある」と、未知の世界に向けて気を引き締めていた。
2023/12/05 日本経済新聞 朝刊
2024年末の日経平均株価は3万5000~3万9000円程度と、4日終値(3万3231円)から1~2割の上昇を見込む予想が出ている。日本
経済の脱デフレやコーポレートガバナンス(企業統治)の改善など23年の株高要因が引き続き追い風になるうえ、1月から始まる新たな少額投
資非課税制度(NISA)も援軍になるとみる。
市場関係者の多くが日本の脱デフレは継続すると指摘する。野村証券は24年の春季労使交渉(春闘)の時期にデフレ脱却への期待が再度高
まるとみる。
企業は「値上げカルチャーの浸透による利益率改善効果で増益トレンドを維持」するとして24年末の日経平均は3万8000円への上昇を見込む。
日経平均が史上最高値の3万8915円を更新できるかが焦点だ。SMBC日興証券は「24年も健全なインフレサイクルが続く」とみて最高値更
新を予想する。
大和証券は米連邦準備理事会(FRB)が24年前半にも利下げを始め、年度末までに米長期金利が3%台後半まで低下すると予測する。
「金利低下は半導体や情報技術(IT)関連株だけでなく日本株全体のバリュエーションを引き上げる」とし、24年度末に日経平均が3万9600
円と、4万円に迫るとみる。
2023/12/05 日本経済新聞 朝刊
大統領選の影響焦点
2024年の日米株式相場をどうみるか、金融大手の予想が出そろった。米国景気の先行きを巡っては予想が分かれるなかで、堅調な企業業
績を支えに株価が1割程度上昇するとして「景気減速下の株高」を予想する声が出ている。一方、個人消費の弱さへの懸念から株価下落を予想
する声もある。景気の行方が市場に与える影響をどう見るかも一様ではない。
(大道鏡花、吉井花依)
24年末のS&P500種株価指数の目標について各社の予想を集計した。ドイツ銀行やバンク・オブ・アメリカ(BofA)は足元の水準(1日終値
は4594)から1割程度上昇し、史上最高値(4796)を更新すると見込む。ドイツ銀は米景気の減速が短く緩やかなものになるため、株価の下
落は小幅で一時的にとどまり、年末にかけて5100まで上昇すると予想する。
景気が前提通りであれば企業の1株利益(EPS)は10%増加するとみる。仮に国内総生産(GDP)が2%成長するとEPSの伸びは19%に達
するという。ドイツ銀は「労働市場の逼迫は企業の生産性改善の前兆で、潜在的な株価上昇余地がある」とし、景気減速下でも株高になるとみる。
BofAは(景気の過熱も冷え込みもない)ゴルディロックスを予想し、24年末にS&Pが5000に達するとみる。GDPが減速してもS&PのEPS
は6%増を見込む。「設備更新需要の増加や人工知能(AI)による企業の効率化が進み、コスト削減で利益率も改善する」という。
ゴールドマン・サックスも軟着陸を予想し、緩やかなペースで米景気が拡大するとみる。ただ、S&Pの目標株価は4700と小幅な上昇にとどま
るとの見立てだ。堅調な経済成長が市場の米連邦準備理事会(FRB)による利下げ開始期待を年後半まで遅らせるため、本格的な株価上昇は
下半期にずれ込むとする。
株価下落を予想する弱気派の代表格はJPモルガン・チェースだ。24年末のS&P予想は4200と足元の水準から9%低い。米国の家計が新
型コロナウイルス禍でため込んだ現金などの資産は「24年4~6月期までにほぼ枯渇する」と予測しており、消費の軟化を警戒する。
モルガン・スタンレーは「中期的な業績見通しは明るいものの、短期的には依然として厳しい」と指摘。24年末のS&Pは4500を予想している。
現在約19倍のS&Pの予想PER(株価収益率)は過去20年平均(15倍台)と比べて高く、24年末には17倍まで落ち着くとみる。
24年は米大統領選挙などが予定される「政治の年」でもあり、影響を指摘する見方も多い。ゴールドマンは「大統領選の不透明感がリスク選
好を抑制する」と指摘。選挙後は結果にかかわらず不透明感が薄れるとし「年後半になれば不安解消が米株相場を押し上げる」との見方を示す。
株式相場のけん引役に変化が見られるかも焦点だ。UBSは24年末のS&Pを4600とほぼ横ばい圏で予想。「(米国の巨大テック7銘柄の)
マグニフィセント・セブンよりアジアのハイテク銘柄に強気」としている。
2023/12/06 日本経済新聞 朝刊
2024年の対ドルの円相場は日米金利差縮小を背景に緩やかな円高を見込む声が多い。米連邦準備理事会(FRB)が利下げを始めればドル
高に転機が訪れるとの観測が背景にある。21年以降の円安局面が転換し「強い円」が戻るのか。日銀がマイナス金利政策を解除しても日米金
利差は大きく、円の上値は重いとの見方もある。
国内外の金融機関による2024年の為替相場の見通しをみると、野村証券は6月末が1ドル=140円、12月末が135円。三菱UFJモルガン
・スタンレー証券は6月末が142円、12月末が138円と予想する。4日の円相場は一時146円台前半と約3カ月ぶりの円高水準をつけたが、
24年末に向けてはさらに円高圧力が強まるとの見方だ。
米国では11月以降、利上げの打ち止め観測が高まった。景気の減速を示す経済指標の発表が相次いだうえ、FRB高官も利下げの可能性に
言及。米金利先物市場は24年3月の利下げを織り込み出した。みずほ証券も24年3月の利下げ開始を予想。金利先物市場の値動きから政策
金利の先行きを予想する「フェドウオッチ」では、5月までの利下げ確率は約9割を占める。
日本の金融政策も円高要因となりそうだ。日銀は10月31日に長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)を再修正し、長期金利の1%
超えを容認した。市場では日銀が24年にマイナス金利政策を解除し、17年ぶりの利上げに踏み切るとの思惑が広がる。
もっとも、日米金利差が縮小しても日米の絶対的な金利差は大きく、22年3月の米利上げ開始直前の水準である110円台よりは円安方向の
予想が目立つ。米経済が急減速を回避しつつインフレが鎮まる軟着陸期待が背景にある。軟着陸の成功でFRBの利下げ幅はインフレ率の鈍化
分に限られ、米金利は高止まりするとの考えだ。米ゴールドマン・サックスは24年に「米国が景気後退に陥る可能性はせいぜい15%」とみる。
日銀の利上げ幅も小幅にとどまるとの見方が多い。米国の実質金利のプラス幅はおおむね一定に保たれる一方、インフレ率を差し引いた日本
の実質の政策金利はマイナス圏を維持することが「極端な円高の進行を妨げる防波堤になる」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作チ
ーフ為替ストラテジスト)との指摘もある。
低金利の円を借りて高金利通貨で運用する「円キャリー取引」も「下火になる可能性は低い」(英バークレイズ証券)との見方もある。日銀の緩
やかな利上げペースを前提に、24年も引き続きキャリー取引がドルを下支えし、円の上昇余地は限られそうだ。
2023/12/07 日本経済新聞 朝刊
事業会社の間で株式の持ち合い解消が広がっている。日本型グループ経営の象徴であるトヨタ自動車がグループ会社株の売却に動き出した。
安定株主という「よろい」を捨て市場と向き合い評価を高められるか。持ち合い解消を機に投資家の選別が進む可能性がある。
6日の日経平均株価は前日比670円高と反発し、前日の下げを取り戻した。3万3000円台の高値圏での攻防が続く中、上値が重いのがデン
ソー株だ。11月にトヨタ、豊田自動織機、アイシンの3社が同社株を売り出すと発表。需給悪化を懸念した売りが重荷だ。
企業や金融機関などで株式を持ち合い、経営を安定させる――。政策保有株は日本株市場の特殊性を示す象徴だった。トヨタグループが重い
腰を上げたことは日本企業全体の変化につながる可能性がある。保有株を売った企業は資本効率を改善できる。問題は、株式を多く持たれてい
る側だ。
「『スタブトレード』が広がる可能性がある」。SMBC日興証券の伊藤桂一チーフクオンツアナリストは親子上場の解消を狙う同戦略が持ち合い
解消でも使われるとみる。
スタブ(stub)は「切り株」の意味で、企業の時価総額から保有株の価値を引いた自社単独の価値を指す。このスタブ価値が低い銘柄は保有株
売却を迫られやすい。保有企業を買って被保有企業を空売りして利ざやをとるペアトレードの対象になり得る。
KDDI、味の素、アサヒグループホールディングスなど、直近で大株主の売り出しを発表した銘柄は直後に株価が下落した。自社株買いを組み
合わせれば売り出しによる需給悪化を軽減できるが「現金が少なく業績不振の企業は対抗手段が限られる」(伊藤氏)。
例えば関西フードマーケット。2023年3月期末時点で上新電機や雪印メグミルクなどに持たれており、11月の被保有時価に対する現預金のカ
バー率は21%にとどまる。すべての持ち合いが一気に解消されるわけではないが、財務的に緩衝材の役割は期待できない。
注目すべきは需給要因で短期的に売られても市場の評価を取り戻した企業だ。リクルートホールディングスは20年11月に電通グループやTOP
PANホールディングスなど8社による持ち合い解消を発表。海外向けに株式を売り出した。株価は直後に3%下げたが、21年1月には持ち直した。
その後、米求人検索サイト「インディード」が業績をけん引し、株価をさらに押し上げた。足元では急成長の反動に苦しむが、11月にはアクティビ
スト(物言う株主)の米バリューアクト・キャピタルの保有が判明。リクルートHDも対話に前向きな姿勢を示しており、市場では企業価値向上への
期待が高まる。
デンソーも潜在的な買い手は多い。これまで持ち合い解消は散発的には出ていたが、今回のような大規模な売り出しは「初めて」(同社)。売り
出しの一部は自社株買いで吸収するが、残りは引受主幹事の証券会社などが販売する。
日本取引所グループによると、先行した金融機関や保険会社などによる持ち合い解消で、日本企業の株主構成は22年度時点で外国人や個
人投資家などの「アウトサイダー」が58%を占める。成長戦略を示して地道に収益改善を進め、アウトサイダーを新たな「安定株主」にできるか。
企業の市場との向き合い方が試される。
2023/12/08 04:00 日経速報ニュース
岸田首相の経済対策は評判が悪く、内閣支持率を急低下させた。一体何が悪かったのか。各種世論調査では、所得減税は選挙対策だという
評価が目立つ。物価対策として1人当たり4万円の減税をしても、物価上昇それ自体が止まる訳ではない。2024年6月のボーナスに合わせて、
減税するとしても、それはまだ半年近く先のことだ。物価対策として遅すぎる。ほかに、減税で選挙民の歓心を買うよりも、もっと優先すべき政策
があるだろうという指摘もある。民意を読み誤った岸田首相が挽回する手段は乏しい。
本稿では「じゃあ、物価対策として岸田首相は何をすればよかったのか?」という問いを考えたい。岸田首相は必ずしも経済問題について強く
ない。むしろ苦手科目かもしれない。だからこそエコノミストや経済学者は、正しい提言を訴えて、経済政策を間違うことがないようにする必要が
ある。筆者には、専門家が世の中全体に正しいオピニオンを訴える力が弱いようにも感じられる。
不十分な対応策
世の中でよく耳にするのは①中小企業が価格転嫁を進めて利益を圧迫されないようにすること②賃上げをして物価上昇に苦しむ勤労者をサポ
ートすること③実質賃金を上げて消費拡大を目指すこと、などがある。筆者もそれは確かに正しいと思うが、それだけでは十分ではないと考える。
①?③だけでは処方箋として完全なものではない。
ロジックとして弱いところは、すべての企業が100%の価格転嫁をすると消費が冷え込んで逆に企業収益を減らすことである。企業収益が増え
ないと賃上げもできない。物価上昇を上回るくらいに賃金を上昇させることを考えながら、価格転嫁をすることを考える必要がある。
読者は、このパズルをどう解けばよいとお考えだろうか。筆者は、輸出拡大を通じて企業収益を増やすことが正解だと考える。すでに円安は十
分すぎるほど進んでいる。海外では国内以上に物価上昇が起きている。為替レートの下落と物価格差によって、実質為替レートは極端なくらい
まで低下している。例えばコロナ前(19年10?12月の平均水準)に比べて、足元のドル円は38%も割安で、それに物価変動を加味して実質化す
ると47%も割安になる(図表)。訪日外国人の購買力は日本人を100として147まで上昇しているのが実情だ。輸出数量の増加は現状よりももっと
大幅に伸ばせるはずだ。輸出増→企業収益増→賃上げで、実質賃金をなるべくプラスにする努力をする。国内総生産(GDP)統計では、23年7?
9月の実質輸出はコロナ前に比べて8.5%増である。実質47%も円安が進んでいるのだから、もっと輸出数量を伸ばすことができるはずだ。そのポ
テンシャルを引き出すことが岸田政権がやるべき政策になる。
なぜ日本の輸出は伸びにくいのだろうか。ひとつは競争力の低下がある。半導体など電気機械分野では価格だけが競争力の源泉ではなくな
っている。自動車も伸びているように見えて欧米・中国では急速にEV化が進んでいる。
国別の実質輸出の伸び率を23年10月とコロナ前で比較してみると、米国向けが21.5%、EU向けが20.2%、中国向けがマイナス2.3%となっている。
中国経済の悪化は中国以外のアジア向けの輸出にも波及している。アジア新興工業経済群(NIES)・東南アジア諸国連合(ASEAN)向けは5.2
%の伸びにとどまっている。
22年の輸出相手国で中国は首位である。その中国が伸びにくいことも円安メリットが乏しく感じさせる。また、対中国貿易では経済安保も微妙
に影を落としている。岸田外交は米国の対中政策にならうことが多い。バイデン政権は、安全保障担当の大統領補佐官が経済政策にまで強い
指導力を行使していると言われている。米国の外交にそのままならってしまうと、日本は経済的悪影響を大きく受けてしまう。本来、日本から中
国向けの約8割は経済安保と関係ない品目だから、そちらを伸ばすことはできる。中国側にも問題はある。処理水放出の問題で日本からの水産
品輸入を止めている。岸田政権は、そうした外交面での摩擦を我慢強く改善しながら、輸出など経済分野での中国との交流を活発化していくこと
が望まれる。
日本の対中輸出は19兆円、日本の中国現地企業の売上高は60兆円もある。オーストラリアは、経済と安全保障を分離する方針を採り、一時
期は最悪だった中国との関係を見直し始めた。中国側も経済的威圧がたたって、国内への直接投資が急減して困っている。振り上げたこぶしを
下ろしたくても下ろせないという事情がある。
成長のためのチャネル作り
ここまでの説明で、コロナ後の日本がなぜインフレに悩まされているかがわかったと思う。内外物価格差が1.47倍もあるのだから、輸入価格が
国内価格を押し上げる。これを是正するには日銀のマイナス金利を見直して、緩和の行き過ぎを修正するのが望ましい。是正と言っても強烈な
利上げでなくてもよい。もしも1.47倍の格差を為替レートだけで行うとすれば、1ドルを150円から102円にしなくてはいけない。それは暴論だろう。
日銀短観の23年9月調査では、23年度の想定為替レートは1ドル=135円である。その水準まで円安が修正されるだけで、輸入物価の価格差は
約10%改善する。24年春に日銀がマイナス金利解除をすれば、ドル円は135円近くまで円高になり、食料品やエネルギーに対する上昇圧力は随
分と解消するはずだ。
日銀の超緩和の是正を行ってもまだ十分に内外価格差があるのだから、輸出拡大を促進することはできる。すでに海外展開をしている日本企
業は、現地生産・現地販売に重点を置き、輸出拡大を目指すことはしにくい。だから、日本の地方にある中堅・中小企業が、新たに海外向けの販
路を開拓することが有望だ。地方には海外展開をサポートできそうな金融機関がある。過去、海外支店を持った先も少なくない。そうした金融機
関が、海外業務を経験した人材を使って、もっと積極的に中堅・中小企業の海外展開を後押しできる。現在は、従来よりも越境電子商取引(EC)
を通じて製品・サービスを海外と取引できるようになった。訪日外国人の消費が急増していることで、多くの地場企業が海外市場でもっと自社製
品を売れるのではないかと気付き始めている。インバウンド消費をきっかけにして、自らのビジネスチャンスに気付き、EC取引を手掛けることがで
きれば、地方経済にも多大な恩恵が及ぶ。
筆者はここ数年の内外物価格差がインフレ要因になっていると考えるので、その物価格差を利用して国内の経済のパイを拡大することで賃金
をもっと増やせるとみている。単に実質賃金がマイナスであることを問題視しても何の解決にもならないので、もっと戦略的に物価を押し下げつつ
、賃金をどう上げていくのかを考えていく必要がある。決して選挙のアピールにはなりそうにないが、岸田政権は円安メリットを追求する作戦を立
てることが大切だ。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/333120
総裁は7日の参院財政金融委員会で、今後の金融政策運営への抱負を問われ、こう答弁した。
「年末から来年にかけて一段とチャレンジング(挑戦的)な状況になると思っている」
「挑戦的」とは、マイナス金利や長短金利操作といった金融緩和策の「出口」に向かうことを意味しているとみられる。
「『来年』ではなく『年末から来年にかけて』との発言から、市場では早期に緩和を修正するのでは、との観測が広がっています。12月18~19日か
来年1月22~23日の金融政策決定会合で修正が行われるとの見方が出ています」(市場関係者)
植田発言を受け、長期金利は上昇。日米金利差が縮小し、円相場は約4カ月ぶりに1ドル=141円台を付けた。
6日の大分市の講演では、氷見野良三副総裁が「出口を良い結果につなげることは十分可能だ」と発言。緩和修正による経済への悪影響は比
較的少ないとの見方を示した。出口への地ならしに聞こえる。
なぜ、ここへ来て日銀は突然、出口に前向きな姿勢を示し始めたのか。
「植田総裁が緩和の出口に向かうにあたり、最大の障壁はアベノミクス推進の安倍派でした。しかし、いま安倍派は、検察やメディアから、パーテ
ィー券の裏金疑惑のターゲットにされ、ガタガタです。日銀を牽制する余裕はありません。植田総裁はその間隙を縫って、出口に向けカジを切り始
めたとの見方があります」(金融関係者)
裏金疑惑が日銀の金融政策に影響を与えているとすれば衝撃だ。金融ジャーナリストの森岡英樹氏が言う。
「中央銀行は政治の影響を強く受けます。政権内の勢力の変化で金融政策がやりやすくなったり、やりにくくなることはあることです。安倍派との
関係で日銀が動きやすくなった面は少なからずあると思います。いずれにせよ、金融政策が正常化されれば、円安にブレーキがかかり、輸入物
価の上昇は落ち着くはず。国民生活にとってはプラス面が多いでしょう」
植田は7日、岸田首相と面談。出口の話題は出なかったとした。裏金捜査が大詰めの「年末から来年にかけて」が、脱アベノミクスの好機だ。
https://www.sankei.com/article/20231212-TVES25C7DFJPLJT4VHF3462BWY/
自動車保険の保険金不正請求問題に端を発した経営危機が続く中古車販売大手ビッグモーター(BM、東京)に対し、取引銀行団が計300億
円のつなぎ融資を行う方針であることが12日、分かった。社会的な信用が低下したBMへの融資はリスクを伴うが、伊藤忠商事など3社が再建
支援を検討中で、破綻回避を優先し資金繰りを支える必要があると判断した。
主力行の三井住友銀行が実行する方針を固め、みずほ銀行などが参加を検討中。伊藤忠などが検討中の再建支援は、可否の判断が来春に
なる見通しだ。支援交渉が不調に終われば、融資の回収が困難になる恐れがあるため、銀行団はBMの不動産や売掛金など十分な担保を取る
方針だ。
2023/12/13 日本経済新聞 朝刊
米独立系証券のジェフリーズ・ファイナンシャル・グループは資本提携する三井住友フィナンシャルグループ(FG)との協業を米国以外にも広げる。
ブライアン・フリードマン社長が日本経済新聞の取材に「協力関係を北米に次いで欧州や中東、アジア・太平洋地域に拡大する」と話した。
三井住友FGは2021年にジェフリーズと資本業務提携を結び、5%弱を出資した。23年4月には25年までに議決権を持たない優先株を追加取
得し、持ち分を最大15%まで引き上げることも発表。米国で共同の営業体制を構築した。
ジェフリーズは23年までの4年間にアジア太平洋地域の管理職を3倍に増やした。インドではM&A(合併・買収)のチームを立ち上げた。フリード
マン氏は「今後2~3年で活動のレベルをさらに高める」と話した。
フリードマン氏は注目する市場に日本株市場を挙げた。日本企業が自己資本利益率(ROE)を高めるための再編に動くとの見方を示し「日本の株
式市場がパフォーマンスを上げることは間違いない」と指摘した。
2023/12/13 日本経済新聞 朝刊
中古車販売大手ビッグモーター(東京都多摩市)の経営再建をめぐり、主力行の三井住友銀行は300億円のつなぎ融資を実行する方向で調整
している。12月中旬にも実行する方針だ。ビッグモーターの買収を検討している伊藤忠商事などが支援を決めるまでの資金繰りを支え、経営破綻
を回避する狙いがある。
伊藤忠と子会社で燃料商社の伊藤忠エネクス、投資ファンドのジェイ・ウィル・パートナーズ(JWP)は2024年春までに買収の可否について検討
を進めている。
融資は三井住友銀行が単独で300億円を実行する方向だ。返済の期限は24年4月末とする。三井住友銀行はビッグモーターの保有不動産な
どを担保として確保する方針で、三菱UFJ銀行やみずほ銀行の同意を得るための調整を続けている。
自動車保険金の水増し請求が横行していたビッグモーターは顧客離れから資金繰りが逼迫している。年内にも手元資金が枯渇するとの見方もあ
り、運転資金の確保が課題になっていた。
2023/12/12 18:30 日経速報ニュース
米独立系証券のジェフリーズ・ファイナンシャル・グループは資本提携する三井住友フィナンシャルグループ(FG)との協業を米国以外にも広げる。
ブライアン・フリードマン社長が日本経済新聞の取材に「協力関係を北米に次いで欧州や中東、アジア・太平洋地域に拡大する」と話した。
三井住友FGは2021年にジェフリーズと資本業務提携を結び、5%弱を出資した。23年4月には25年までに議決権を持たない優先株を追加取得し
、持ち分を最大15%まで引き上げることも発表。米国で共同の営業体制を構築した。
ジェフリーズは23年までの4年間にアジア太平洋地域の管理職を3倍に増やした。インドではM&A(合併・買収)のチームを立ち上げた。フリード
マン氏は「今後2?3年で活動のレベルをさらに高める」と話した。
フリードマン氏は注目する市場に日本株市場を挙げた。日本企業が自己資本利益率(ROE)を高めるための再編に動くとの見方を示し「日本の株
式市場がパフォーマンスを上げることは間違いない」と指摘した。
欧州経済はロシアによるウクライナ侵攻など課題を抱えるが、フリードマン氏は「欧州経済と市場は回復力を維持している。欧州のグローバル企
業が今後も成長し続けると信じている」と語った。
三井住友FGによる出資比率を将来さらに高める考えはあるかとの問いには「ジェフリーズとしてはビジネスの機会獲得のためだけにさらなる資本
を必要としている状況ではない」と述べるにとどめた。
ジェフリーズとの資本提携を決めた太田純前社長は11月25日に死去した。フリードマン氏は「太田氏はSMBCが世界のリーディングバンクのひと
つになるという明確なビジョンを持っており、そのために組織全体を引き上げ、拡大していく使命を担っていた」と故人を悼んだ。「中島達新社長を支
援し、SMBCとジェフリーズに最大の成長と成功をもたらす」と話した。
2023/12/15 日本経済新聞 朝刊
米銀がドル決済を中心とする資金管理サービスで日本市場で攻勢をかける。日本の金融機関との取引が多かったJPモルガン・チェースは
海外口座の残高照会や資金融通を迅速にできるシステムで大手の事業会社も本格的に開拓する。邦銀に外貨決済を委託していた日本の
企業が外銀に乗り換える動きもあり、3メガバンクはサービスの拡充に動く。
トランザクションバンキングと呼ばれる資金管理・決済ビジネスは企業活動のグローバル化で成長が見込める。調査会社のグランドビューリ
サーチは、企業の資金を一元的に管理するキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)の市場規模が2020~27年に年平均12.6%伸び、
27年に253億ドル(約3兆6000億円)超になると試算する。
JPモルガンで決済事業部門のトップを務めるタキス・ゲオルガコプロス氏は日本経済新聞の取材で「(日本の)大手の多国籍企業と取引を
拡大し、世界進出を支援したい」と語った。JPモルガンは日本でのドル決済の2~3割程度を担うとされる。これまで地方銀行など金融機関向
けの国際送金仲介事業が中心だったが、CMSで商社やメーカーなど事業会社との取引拡大をめざす。
CMSを使う企業はお金が余っている子会社から足りない子会社に送金したり、余った資金を運用に回したりする。基軸通貨ドルの取り扱い
が多く、幅広い外貨をそろえる米シティグループやJPモルガンなどが伝統的に強い。米ドルの国際送金なら同じ米銀内での資金移動で済む
ため、即日決済が可能な場合が多い。
邦銀は決済スピードで劣る。企業が子会社間の送金で豪ドルを動かす場合、邦銀のシステムを使う企業は前日までに銀行へ通知しておく
必要がある。邦銀はドルなど外貨調達に制約があり、リアルタイムで外貨で調達したい企業に応じるのは難しい。ある邦銀の営業担当者は
「企業向けにドル建てで融資できる金額には厳しい上限が課されている」と明かす。
現状では送金の受付時間やリアルタイムの残高把握で米銀のサービスに軍配が上がる。邦銀に外貨決済を委託していた財閥系企業が外
銀に乗り換えた例もある。米銀を利用する商社の担当者は「子会社への資金融通などお金の管理には米銀のCMSが必須だ」と話す。
米銀は欧州や南米でも攻勢を強めている。JPモルガンのトランザクションバンキング事業の世界シェアは足元で9%と5年前の2倍に増え
た。金利上昇で投資銀行部門が落ち込んでいるのとは対照的に、安定して収益を伸ばしている。
米銀は国内外の金利が上がる局面を日本企業との取引を増やす好機とみている。4月には米ゴールドマン・サックスがトランザクションバン
キングで日本市場に参入した。メガバンクの幹部は「米銀があまり目をかけてこなかった企業にもアプローチしている」と警戒する。
邦銀はサービスの拡充を急ぐ。みずほフィナンシャルグループ(FG)はアジア向けサービスに力をいれる。22年に英スタンダードチャーター
ド出身者をアジア・太平洋地域のトランザクションバンキング事業の責任者にした。アジアでは同分野の人員を数年で2割増やした。
邦銀で外貨決済に強い三菱UFJ銀行はCMSを中期経営計画の重点領域としている。グローバル送金システムで画面などの操作性を改
善する投資を続ける。
三井住友銀行は25年度から順次稼働する次期勘定系システムで国際送金の対応時間を延長する方針だ。従来は前営業日午後6時まで
だった。幹部は「時差があるため海外送金は夜間対応してほしいという要望があった」と話す。23年には請求から決済、入金確認まで一貫で
できるサービスを始め、中堅・中小企業の決済需要を開拓している。
資金決済に詳しい麗沢大学の中島真志教授は「外銀は高品質なCMSで高い料金をもらい、それを原資にさらにシステム投資をしている。
邦銀は外銀に比べてトランザクションバンキング部門の行内での位置づけが低く、ニーズがあるのに対応できていなかった」と分析する。邦銀
が劣勢なのはドル確保の問題だけでなく、システム投資を怠ってきた側面もある。
2023/12/19 12:28 日経速報ニュース
日銀は19日に開いた金融政策決定会合で大規模な金融緩和策の維持を決めた。マイナス金利政策の解除は見送り、長短金利操作(イールド
カーブ・コントロール、YCC)や上場投資信託(ETF)買い入れといった措置も現状のまま維持した。物価、賃上げの動向をさらに見極める必要が
あると判断した。
植田和男総裁は19日午後に記者会見し、決定内容を説明する。
日銀は公表文で、金融機関が日銀に預ける当座預金の一部にマイナス0.1%の金利を適用するほか、長期金利の上限のめどを1%とする現行
の大規模緩和策を維持する方針を示した。
国内景気の現状については「企業収益や業況感は改善している。設備投資は緩やかな増加傾向にある」との見方を示した。雇用・所得環境も
緩やかに改善し、個人消費も物価高の影響はあるものの緩やかに増加しているとした。
足元の物価状況は「プラス幅を縮小しているものの、輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の影響から足元は3%程度となっている」とし、予
想インフレ率も緩やかに上昇しているとした。
ただ今後のリスク要因について「海外の経済・物価動向、資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動など、我が国経済を巡る不確実性はき
わめて高い」と指摘した。マイナス金利解除の前提となる賃金・物価の好循環の見極めにはなお時間が必要と判断したとみられる。
今後の政策修正のカギを握るのが賃上げだ。24年の春季労使交渉を前に複数の企業が賃上げを表明した。
今会合での解除は見送ったが、市場では24年前半にも金融政策を正常化するとの観測が広がる。氷見野良三副総裁は6日の講演で、金融
緩和からの出口が家計や企業へ与える影響を前向きに評価した。7日には植田総裁が国会で「年末から来年にかけて一段とチャレンジングに
なる」と発言したことも正常化への思惑に拍車をかけた。
午後の記者会見では植田総裁が金融政策の先行きにどう言及するかも焦点となる。マイナス金利解除をサプライズで実施すれば、経済全体
に混乱を招く可能性がある。米欧の主要中銀も利上げ局面の開始前には、事前に予告している。
【関連記事】
・日銀、物価・賃上げの持続力見極め 19日に植田総裁会見
・大規模金融緩和「できるだけ早く正常化を」 経団連会長
https://news.yahoo.co.jp/articles/5e3c05062a0f5b918cc5b17dd33f5a94d4c3a2d6
日銀は19日の金融政策決定会合で大規模金融緩和を維持することを全員一致で決めた。植田総裁は7日の国会で「年末から来年にかけて
一段とチャレンジングになる」と答弁。年末の今回、緩和を修正するとの観測も一部あったが、大方の見方通り、現状維持となった。
維新の会にも裏金疑惑…売り上げ「8200万円」が消えた? 刑事告発の過去に注目集まる
■日銀内では早期修正に慎重論
会合は来年1、3、4、6月と続く。市場ではマイナス金利の解除時期が焦点となっている。QUICKと日経ヴェリタスが市場関係者74人に実施した
12月調査(11~13日実施)によると、解除時期は1~3月が36%、4~6月が43%で約8割が6月までに解除に踏み切るとみている。しかし、解除
は遠くないとの観測は、市場の過剰反応である可能性がある。日銀内ではマイナス金利の解除について、慎重な見方が強まっているという。
「国民がマイナス金利などの金融緩和を批判するのは、円安・物価高を招いているからです。ところが、FRB(米連邦準備制度理事会)は今月13
日の会合で来年の利下げ回数の想定を従来の2回から3回に拡大しました。来年は円高トレンドが見込まれ、日銀が緩和を修正しなくても、過度
な円安は収まり、少しは物価高も落ち着く見通しが出てきた。内田副総裁は緩和による副作用の懸念は大したことがないとの立場。わざわざ、
金融を引き締めて、賃上げムードに水を差す必要性は乏しいとの見方は日銀内で少なくないようです」(金融関係者)
植田総裁も19日の会見で「焦って政策変更するような考え方は不適切だ」と早期修正論にクギを刺した。
こうした日銀内の変化に頭を抱えているのが岸田首相だ。岸田首相はマイナス金利解除のタイミングで、政府・日銀共同の「デフレ脱却宣言」
を打ち出す構想を描いているとされる。すべてがうまくいかない政権が“デフレ脱却”を反転攻勢のきっかけにしようということだが、金融政策の
早期修正が遠のけば、そうはいかなくなる。
「安倍政権ベッタリの黒田前総裁と違い、植田総裁は政治的配慮をするような人ではありません。岸田首相が困っているからと、金融政策を歪
めることは考えにくい」(日銀関係者)
植田総裁は「チャレンジング」発言について、「一段と気を引き締めて、というつもりだった」と説明。学者出身の総裁が気を引き締めれば、岸田
首相への配慮など、ますます期待できない。岸田首相の「デフレ脱却宣言」構想もうまくいかなそうだ。
2023/12/20 14:00 日経速報ニュース
2023年最後の日銀の金融政策決定会合から一夜明けた20日。東京外国為替市場で円相場は1ドル=143円台後半を中心に、前日17時時点
よりも円高・ドル安の水準で推移している。日銀がマイナス金利政策を早期に解除するとの観測は後退したが、もともと市場で多かった来春(3月
か4月)解除の「本命予想」に戻っただけともいえる。きたる24年に向けては、マイナス金利を解除した後の利上げの開始時期とそのペースに市場
の関心が移りそうだ。
日銀は19日の会合で大規模金融緩和の維持を決めた。市場で警戒されていた金融政策の先行き指針(フォワードガイダンス)の修正やマイナス
金利の解除に向けた予告めいた発信はなく、会合前までに高まっていた来年1月など早期のマイナス金利の解除観測は下火になった。記者会見
した植田和男総裁は、賃金動向を注視する姿勢を強調し、賃金と物価の好循環が強まっていくかを「なお見極める必要がある」として、政策修正を
急ぐ様子は見せなかった。
19日の一連の動き自体は「サプライズ」であり、円が会合結果の公表前の142円台前半から144円台後半まで急落する引き金になった。だが冷
静に考えれば、市場ではかねて来年の春季労使交渉(春闘)の結果を大方見極めた後の3月か4月にマイナス金利を解除するとの予想が支配的
だった。日銀会合を終え、当初の予想に再び落ち着いたにすぎない。
こうした空気を映し、円は徐々に底堅くなっている。20日の東京市場で円は144円09銭近辺まで伸び悩んだものの、下落に転じることはなかった。
「米連邦準備理事会(FRB)の来年の利下げ観測から主要通貨に対するドル売り圧力が強いほか、日銀のマイナス金利解除観測が健在」(ソニー
フィナンシャルグループの森本淳太郎シニアアナリスト)という。
マイナス金利解除までの距離感は徐々に固まってきた。その後はどうなるだろうか。市場では日銀が利上げを開始した後のペースを予測しようと
する動きも出始めている。
伊藤忠総研の武田淳チーフエコノミストは、来年の円相場の最大の注目点は日銀の金融政策に尽きると断言する。そのうえで「マイナス金利の
解除は正常化の終わりではなく始まりだ」とその道のりの長さを推し量った。
武田氏の見方はこうだ。2%のインフレが実現しているのであれば、中立的な短期政策金利は2%で、これを下回る状態では金融緩和が続いて
いることを意味する。2%のインフレが本当に継続するなら、景気の過熱を抑えるためにもマイナス金利の解除だけで終わりではないはずだ。当然
金利を一気に引き上げていくことは予想していないが、市場情勢を確認しつつ、日銀が金利をどういうペースで引き上げていくかは来年重要なポイ
ントになってくる――。正常化の着地点はまだだいぶ先にあるというわけだ。
「前のめり気味に市場の期待値が変化する可能性は否定できない」。こう話すのはSMBC日興証券の奥村任シニア金利ストラテジストだ。奥村
氏は、日本で2%インフレの定着が強く見込めることが前提だとしたうえで、「来年の米国の利下げが1?2回で終了し、なお米経済の底堅さが続
けば、日銀が想定以上のペースで利上げするとの織り込みを市場が先回りして進めることはありうる」と語った。その場合、現在市場で織り込まれ
ているような今後2?3年で0.50?0.75%の利上げというシナリオは上方修正を迫られるだろうと指摘する。
前提条件は一筋縄ではいかないが、誰も予想できないような事態が起きない限りは来年が日銀の金融政策にとって大きな転換点になりそうだ。
伊藤忠総研の武田氏は「マイナス金利の解除で金融政策のステージは変わる。同時に長期金利の目標も撤廃し、上場投資信託(ETF)など質的
な資産買い入れについても抜本的に一新する」とも予測している。現実となれば、市場参加者が「屋上屋を架す」と皮肉ってきた日銀の複雑な政
策運営は転機を迎える。
日銀の前回の利上げは08年のリーマン・ショックよりも前の出来事だ。「低金利政策が長くなりすぎていて、金利のある世界を知らない人が増え
た。利上げをまだなかなか想像できていない雰囲気がある」(岡三証券の嶋野徹シニアエコノミスト)なかで、来年の金融政策を見通すのは容易で
はない。だが、市場参加者は何とかして金利ある世界を視界に入れようとしている。
2023/12/21 日本経済新聞
「鉄道銀行」の誕生で金融業界に地殻変動が起きている。京王電鉄グループが9月に国内の鉄道会社として初めて銀行サービスを始めたほか
JR東日本も参入する。いずれもネット銀行と組む。交通フィンテックとしての顔を持つ鉄道事業者と金融機関は共存しつつも、顧客の獲得競争は
熱を帯びる。
「人流に依存せず、長期的な顧客接点をつくるにはどうしたらよいか」。京王電鉄にとって転機は2020年以降の新型コロナウイルス流行だった。
テレワークの普及など生活スタイルの変化は行動制限解除後も残り、23年4~9月の輸送人員は19年同期を16%下回った。
22年に水面下で接触したのがネット銀行大手の住信SBIネット銀行だった。同行が強みとするのは、銀行機能を外部に提供するバンキング・ア
ズ・ア・サービス(BaaS)だ。預金や決済は日常的に顧客接点を持てるため、人流が減った穴を埋められると踏んだ。
両社が最初に接点を持ってからわずか1年半で「京王NEOBANK(ネオバンク)」を開始した。「京王ポイント」を手掛ける子会社が銀行代理業を
取得した。スマホアプリで預金や決済などを提供し、利用で京王ポイントがたまる。特に住宅ローンは最大12万ポイントで、京王不動産などを通じ
て買うとさらに1万ポイント付与する。
融資の資金は住信SBIが出すが、住宅ローンは「人流依存でないビジネス」として京王が力を入れる不動産業と相性が良い。住居からローンま
で一貫して提供し、沿線住民を獲得する。銀行サービスとの連携などで、24年度の不動産販売売上高を21年度比5割増やす計画だ。預金や決
済のデータを小売業などに活用する案もある。
JR東日本も24年春、預金や住宅ローンを提供する「JRE BANK」を始める。定期や「JREポイント」と銀行口座を組み合わせ、JR東の商業施
設などの利用頻度を高める。
子会社のビューカードが銀行代理業を取得し、楽天銀行がBaaSで銀行機能を提供する。最大の特徴はビューカードが駅構内に展開するATMで
引き出し手数料が無制限無料となる点だ。鉄道利用者を金融サービスに送客して差別化する。
ネット銀行は鉄道事業者の強い顧客基盤を通じて預金や融資を獲得できる。住信SBIの担当者は「個別の銀行のファンはなかなかいないが、鉄
道のファンはいる。地元密着のため(京王経由の預金は)粘着率が高い」と話す。
楽天銀行の永井啓之社長は「BaaSは数を追わず、銀行では持ち得ないユニークで強力な資産やノウハウを持つ企業と連携する」と話す。
住信SBIは日本航空にも銀行機能を提供するなど交通事業者の顧客基盤を取り込んでいる。BaaS事業の口座数を25年3月期に23年3月期
比4.3倍の350万超にする計画だ。将来は全体の利益の半分程度を稼ぐ事業にする青写真を描く。
銀行の支店を訪れる顧客が減る中、ATM網を持つJR東などの銀行サービス参入は既存銀行から顧客を奪う可能性があり、メガバンクも鉄道会
社を開拓する。三井住友フィナンシャルグループ傘下の三井住友カードは、ANAホールディングスが5月に刷新した「ANAペイ」に決済基盤を提供
した。マイルをポイントのように決済で使い、経済圏構築を進める。
事業会社がBaaSで銀行サービスに参入する事例は米ゴールドマン・サックスと組んだ米アップルなどがあるが、鉄道会社は世界でも珍しい。民
間鉄道網が発達した日本ならではといえる。自前で銀行免許を取得するのは規制対応などのコストが大きく、資産も膨張する。BaaSを活用した銀
行代理業であれば身軽に参入できる。
国内市場は人口減少で、交通事業者も銀行も若年層を中心とする顧客獲得が課題だ。収益を多角化したい交通事業者と顧客基盤を得たい銀行
の利害が一致した形だが、住宅ローンを中心に個人向け金融は競争が激化する。サービスが乱立すれば消費者も混乱しやすく、思うような成果が
出るかは見通せない。
2023/12/22 日本経済新聞 朝刊
クレジットカードのタッチ決済で改札を通過できる鉄道やバスが増えている。首都圏では東急電鉄が実験的に導入し、大阪・関西万博に合わせ
阪急電鉄なども対応を予定する。鉄道事業者がSuicaなど交通系ICカードで長年築いてきたキャッシュレスの牙城を崩す可能性が出てきた。
「外国人観光客の増加でタクシー不足や渋滞が顕在化しており、利便性を高めて地下鉄の利用を促していきたい」。全線でクレカ決済を導入し
た福岡市地下鉄を運営する福岡市交通局の担当者は力を込める。利用率はまだ数%に過ぎないが、足元では訪日客だけでなく福岡県民の利
用も増加している。後払いというクレカの性質を生かして一日の運賃に640円の上限を設けたことなどが奏功した。
旗振り役の三井住友カードは米ビザやJCBなどと組み、2023年度末までに120の事業者でタッチ決済の導入をめざす。東急電鉄は8月に実
証実験を始め、東京地下鉄(東京メトロ)は24年度に実験を予定する。
裏側を支えるのは三井住友カードの公共交通向け決済プラットフォーム「stera transit(ステラ トランジット)」だ。クレカを改札にかざすだけで入
場できる。
交通事業者はカード利用の手数料を負担してでも、訪日客の混雑緩和や人件費削減に効果があるとみている。交通系ICは発行すればするほど
コストが発生するからだ。福岡市交通局によれば外国人観光客には3日程度の滞在中のみ交通系ICを使い、返却する人も多いという。そのたびに
1枚500円超の発行コストがかかるICカードが破棄されている。
各国の大都市では導入済みで、750の公共交通機関まで拡大している。14年にクレカのタッチ決済を導入したロンドンの地下鉄では、係員の
案内業務などのコストを約3割削減した。
ビザ・ワールドワイド・ジャパンのシータン・キトニー社長は「(交通系ICによる)既存の非接触決済が普及する日本では難しいかと思われていた
が、グローバルに標準化された決済手段の利便性が認識されている」と指摘する。
鉄道各社は新しいサービスを模索する。たとえば定期券の代替だ。先払いの定期券の代わりに、クレカで乗車してもらう。最初は正規運賃で精
算し、一定の回数から定期料金に切り替える方法が考えられる。移動データが正確に把握できるため、利用に応じた割引きも可能だ。
首都圏ではJR東日本と私鉄が複雑に乗り入れ、どこでも対応できるシステム構築にも時間を要する。クレカのタッチ決済を広げるには超えるべ
き課題が多い。
2023/12/26 05:00 日経速報ニュース
2024年1月の新しい少額投資非課税制度(NISA)開始が目前に迫る。生涯で利用できる非課税の投資枠が最大1800万円と現行の一般NISA
の3倍に拡大し、期間も無期限になる。幅広い世代の利用が期待される半面、金融機関側はむしろ顧客1人あたりの収益機会が減る可能性が
ある。各社は消耗戦が一段と激しくなると警戒を強めている。
NISA口座の変更手続きが始まった10月、純増を保っていたある3メガバンクの口座開設が純減に転じた。すでに口座を持つ個人投資家が10月
を待ち構えていたかのようにネット証券2強のSBI証券や楽天証券へ流れ始めたためだ。この銀行では12月に純増へ転じそうだというが、関係者
は「(顧客基盤の厚い銀行が)草刈り場になっている」と嘆く。
NISA口座は1人につき、1つの金融機関でしか口座を開設できない。受け皿となっているのがネット証券だ。長期投資を想定した「つみたてNIS
A」では200本前後の投資信託をそろえる。数本から数十本にとどまるメガバンクとは対照的だ。
日本証券業協会によると、つみたてNISAの口座数は23年9月末時点で623万と1年間で34%増えた。口座開設者のうち投資未経験者が占め
る割合は上昇し続け、23年9月末では91%にのぼる。SBI証券に口座を開いた大学生(20)は「周りも始めているし、そろそろ始めないとまずいと
思った」と話す。
非課税の優遇措置がない一般の証券口座の開設も急増している。SBI証券では23年3月に1999年のサービス開始以降、初めて1000万口座を
突破したが、そこから半年間でさらに100万口座が積み上がった。年換算では直近3年間の開設ペースを約2割上回る。SBI証券の担当者は「想
定を上回るスピードで口座数が増えている」と話す。
金融機関にとって追い風ばかりではない。むしろ新NISAで各社は体力を削られ、淘汰が進むとの見方が強い。ネット証券の大手各社は初心
者の心理的ハードルを下げるため、NISA口座の売買手数料を無料にしており、新NISAでも無料を維持する。手数料を徴収すればサービスの改
悪とみなされ、顧客が他社に流れてしまうためだ。ネット証券首脳は「いつまでたっても『稼げる顧客』にはならない」とこぼす。
新NISAに伴い、システム更新の費用は少なくとも数億円規模で発生する。口座数の増加に合わせてコールセンターなどの人員も増やす必要
があるため「豊作貧乏になりかねない」(別のネット証券幹部)。信用取引や外国為替証拠金(FX)取引など、株や投資信託以外のサービスでど
れだけ補えるかの勝負になっている。
こうした状況を踏まえ、大手をはじめ対面証券はNISAをきっかけとする初心者の囲い込み競争とは距離を置く。大手証券の首脳は「初心者は
『株って何?』『何を買えばいいの?』と聞いてくる。そんな人には正直なところ、来店してほしくない」とこぼす。
野村ホールディングスでは23年度に富裕層顧客への人員配置を大幅に拡充した。24年4月には個人向け部門の名称を「営業部門」から、主
に富裕層が持つ資産の総合管理サービスを指す「ウェルス・マネジメント部門」に変更する。
新NISAは政府が掲げる資産運用立国に向けた政策の柱だ。投資の裾野は広がり始めたが、およそ2000兆円にのぼる家計の金融資産のうち
1000兆円はほぼゼロ金利の預貯金だ。国内で長期投資を根付かせるには、個人の資産形成を支える金融機関が持続的に稼げる収益構造の
構築も求められる。
2023/12/27 05:00 日経速報ニュース
「資産運用ビジネス強化策について検討頂きたい」。今から2カ月前の2023年10月、金融庁が大手銀行に出した1通の要請文は、監督当局が
出す行政文書としてはかなり趣が違っていた。
【新NISA 始動前夜】新NISA「1人1口座」で消耗戦 メガバンクが草刈り場
通常は金融庁への報告で済むが、今回は「可能な限り来年(24年)1月末までにグループとして対外発信」するよう求めた。しかも「グループに
おける経営戦略上の位置づけ」「人材育成を含む運用力向上の方針」「ガバナンス改善・体制強化」の3点を条件に付けた。
ビジネスモデルや人事に口を挟む細かい内容に、受け取ったメガバンク関係者は「こんな要請文は初めて」と戸惑った。
政府は23年12月に「資産運用立国実現プラン」をまとめた。24年1月からは非課税措置を拡大した新しい少額投資非課税制度(NISA)が始ま
る。「貯蓄から投資へ」を実現するには貯蓄大国の看板返上は欠かせない。金融庁が異例の行政文書を出したのは大手銀行の意識を改革する
必要があったためだ。
政府が初めて「貯蓄から投資へ」を政策に掲げたのは2001年。三井住友信託銀行の調べによると、当時7.7%(評価損益除き)だった個人の投
資率は23年9月末には13.7%までほぼ倍増した。
貯蓄率は同じ期間、53.9%から52.5%へ1.4ポイント程度しか低下せず、ほぼ横ばいだ。金融庁のある幹部は「50%を超えるのは異常。30?40
%になるのが日本の姿ではないか」とした上で「銀行が動かなければ実現できない水準だ」と語る。
デフレが長く続き、預金に置いていても価値は目減りしなかった。日本の不良債権問題やリーマン・ショックのような金融危機が発生しても、銀
行も預金者も公的資金で守られてきた。ゼロ金利時代の預金は収益化が難しかった。その結果、銀行への預金集中が進んだ面は否めない。
インフレ時代が到来し、日銀が金融政策を正常化しても預金離れが起きるかは見通せない。金利のある世界に戻れば、預金量が収益に比例
するため、大手銀行は預金調達強化へ走り始めたからだ。23年に入って、3メガバンクは預金集めを強化していることを金融庁に伝えていた。金
融庁が異例の要請文を出したのは、預金回帰へのメガバンクの動きと無縁ではない。
ただ、注目すべき動きを始めた大手銀行がある。三井住友信託銀行だ。24年春にも発売する予定の「元本補?付き信託商品」は地殻変動を促
す可能性を秘める。
大山一也社長は「厳密に言えば法令上異なる存在だが、令和版の貸付信託を復活させる意味合いがある」と解説する。貸付信託とは高度成長
期に人気を博した信託商品で、預金の競合商品だった。
最大のポイントは集めた資金を特定の産業に供給する産業金融を意識している点だ。今回はサステナブルファイナンスに資金を振り向けること
を想定し、経済成長を促すリスクマネーとして活用しようという思惑がある。
商品名が示すように、万が一、金融機関が破綻しても元本が保証される点で預金と同じだ。貸付信託の復活は「貯蓄から投資へ」の政策が金
融構造改革と結びつく意味で興味深い。
01年に出した「証券市場の構造改革プログラム」の狙いは間接金融から直接金融への転換を促し、当時、問題になっていた不良債権問題の
再発防止だった。間接金融中心の金融構造が多額の不良債権を生み出した遠因と考え、解決策として直接金融拡大を狙った。
現実は逆コースを歩んでしまう。強固な信用力を誇るメガバンクが誕生し、貯蓄大国の土台を強固にしてしまう。金融庁が銀行に証券業務を段
階的に解禁し、窓口で投資商品を販売できるよう手当てしたものの、仕組み債など高リスク商品の販売に走る銀行もあり、逆に投資へのアレル
ギーを醸成してしまった面は否定できない。
今年4月、岸田文雄首相が金融庁に資産運用立国プランの策定を求めた指示書に幻の一節がある。「メガバンクの改革」。銀行ビジネスにメス
を入れなければ、真の「貯蓄から投資へ」は実現しない。木原誠二元官房副長官が集めた私的勉強会「金融問題研究会」も5月に「本邦金融機関経営に関する5つの提言」をまとめており、お蔵入りになったメガバンク改革が再び脚光を浴びないとも限らない。
【関連記事】
・個人の金融資産、増加額8割が「投資」 新NISAで加速も
・日経平均、新NISA見据え試す上値 「上がれば売り」の個人に変革も
・大手銀、上場直前の新興に投融資 三井住友信託500億円
2023/12/28 05:00 日経速報ニュース
「我々の運用力は世界でも十分に戦える。今後はさらに磨いていこう」。2024年1月から新しい少額投資非課税制度(NISA)が始まるのを前に、
三井住友DSアセットマネジメントの荻原亘運用部門長は社員を鼓舞する。政府が掲げる資産運用立国の担い手として、運用力向上を目指す決意
を共有する。
【新NISA 始動前夜】
・新NISA「1人1口座」で消耗戦 メガバンクが草刈り場
・メガバンクに預金回帰の動き、金融庁が異例のけん制
政府は13日、資産運用立国実現プランをまとめた。真っ先に課題として指摘したのが、運用力の向上やガバナンス体制の強化だ。
メガバンク、証券、保険会社系の運用大手は成績低迷に危機感を強めている。三菱アセット・ブレインズが算出する運用会社別の運用リターン
ランキングでは、外資や独立系が上位を独占。日系大手では最上位のニッセイアセットマネジメントが25位で、野村アセットマネジメントや大和ア
セットマネジメントなどは業界平均を下回る。
23年1?11月までのインデックス型の株式・債券ファンドの純資金流入額では、三菱UFJアセットマネジメントに次いでSBIアセットマネジメントと
楽天投信投資顧問がランクイン。運用成績でもそれぞれ9位と7位で大手運用会社を上回った。
両社の強みは圧倒的な価格競争力だ。SBIアセットは手数料を低コスト投信並みに抑えたアクティブファンドを12月に設定し、残高は設定から
10営業日ほどで100億円を突破した。楽天投信は10月末に世界株と米国株に投資する2つのファンドを設定。信託報酬はどちらも業界最低水準
とした。
大手が700?1000人程度の従業員を抱える一方で、SBIアセットや楽天投信の従業員数は数十人程度。1000万口座を有するグループ内の
ネット証券が強力な販売網を抱え、営業費用も大手と比較して少ない。SBIグローバルアセットマネジメントの朝倉智也社長は「損益分岐点は
大手運用会社よりはるかに低い」と話す。
優勝劣敗が鮮明になっており、運用大手は巻き返しに動き始めた。三井住友DSアセットマネジメントは成長性のある銘柄に選別投資するアク
ティブ運用で勝負する考えだ。自己資金を投入する試験ファンドの運用を通して運用技術の開発に取り組む。外部の金融機関に委託することが
多い高利回り債券などの運用手法を研究し、その知見を活用する。自己資金の投入額は22年3月末の約140億円から24年4月末には約270億
円まで拡大する見通しだ。
金融機関系の運用会社に所属するサラリーマン・ファンドマネジャーは、とがった運用ができないと指摘されて久しい。運用各社は採用や人事
評価体制の改革を進めている。ニッセイアセットマネジメントは24年度から新卒採用に運用専門コースを設ける。大手運用会社に内定が決まった
理系学生は「企業選びの際には専門採用の有無も考慮した」と話す。
政府が掲げる資産運用立国の実現には、預貯金に眠る家計の金融資産を投資に回す必要がある。日本の個人からも世界からも投資される国
になるためには、成長企業を発掘し資金を供給する運用会社の目利き力向上が欠かせない。
2023/12/28 09:47 日経速報ニュース
(9時20分、プライム、コード8306)三菱UFJが小幅に反落している。前日比10円(0.82%)安の1199円50銭を付けた。前日のニューヨーク市場で
米長期金利が一時3.78%と7月以来ほぼ5カ月ぶりの低水準を付けた。金利低下による利ざやや運用収益の縮小を懸念した売りが優勢となった。
第一生命経済研究所の藤代宏一主席エコノミストは「世界的な金利上昇局面が一服したことで銀行株への追い風が弱まっている」との見方を示
す。一方、日銀の政策修正期待や低PBR(株価純資産倍率)の是正期待は一定の支援材料になっているとみられ、下値では買いも入っている。
きょうの取引終了後にかけては東証株価指数(TOPIX)のリバランスに伴う売りが出るもようだ。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-12-27/S61O7IT1UM0W00
銀行以外の金融株を選好、欧米証券ストラテジストと対照的見方
不動産や鉄道、中型バリュー株も狙い目-マンGLGのバッジャー氏
日本銀行の超金融緩和政策の終了が近づいている兆しが見える中、一部のヘッジファンドマネジャーとストラテジストの間で日本の銀行株の
運命を巡り意見が割れている。
relates to ヘッジファンドの英マンが邦銀株敬遠、日銀修正後の見方で市場は二分
ヘッジファンド運用会社の英マン・グループ傘下のファンド、マンGLGは日銀が今後金融引き締めに動くメリットを日本の銀行株は既に織り
込んだと判断し、投資を減らす一方、インフレの恩恵が及びそうな銀行を除く金融株や不動産株、鉄道株に関心を移している。
英国に拠点を置くマンGLGのポートフォリオマネジャー、エミリー・バッジャー氏はブルームバーグのインタビューで岸田文雄首相による資
産運用強化の取り組みは銀行以外の金融企業を助けることになるだろうと語った。また、日本でのインフレの進行は土地や建物などの固定
資産を大量に保有する不動産株や鉄道株などにも利益をもたらすとの見方も示した。
バッジャー氏の見解は野村証券と一致し、日本の銀行株に強気な米ゴールドマン・サックス・グループやモルガン・スタンレーとは対照的
だ。後者は東証銀行業指数の年初来上昇率が最近の下落で30%以下に縮小した後、再び上昇に転じると予想している。
JPモルガン・チェースもデフレからの脱却や今後予想される金融政策の正常化、賃金上昇などを理由に日本の金融株をオーバーウエート
推奨しており、UBSグループも最近の株価調整後、銀行株は特に魅力的とみている。一方、野村証のチーフストラテジストは銀行株は既に
ピークアウトしたとし、世界経済のさらなる減速と債券利回りの低下が銀行の収益の重荷になるとの見方を示す。
バッジャー氏によると、今年日本株市場に回帰した海外投資家は以前からなじみがあり、流動性の高い銘柄を買ったため、大型バリュー
(割安)株のパフォーマンスを押し上げたという。そのため、中型バリュー株は魅力的な水準にとどまっている上、大型株よりもコーポレートガ
バナンス(企業統治)改革の恩恵を受けやすいとみて、同氏のチームでは投資に向けた「機会を狙っている」と語った。
バッジャー氏は「マンGLGジャパン・コアアルファ・エクイティー・ファンド」の共同運用者であり、ブルームバーグのデータによると、過去3年
間のリターンは約2倍で、同種ファンドの98%に対しアウトパフォームしている。保有上位銘柄は三菱地所、三菱UFJフィナンシャル・グループ
、パナソニックホールディングス。
2023/12/31 04:00 日経速報ニュース
「秋以降も中南米の年金基金などから新規の問い合わせが入ってきた」。BofA証券の圷正嗣チーフ日本株ストラテジストのもとには2023年春
以降、海外投資家からの面談の要請がひっきりなしに届く。
大納会を迎えた12月29日の東京株式市場で日経平均株価の終値は3万3464円だった。年間では28%の上昇となり、57%高だった13年の「
アベノミクス相場」以来の上昇率となった。
33年ぶりの高値に沸いた日本株市場を目にし「年金や政府系など中長期視点で投資先を探すファンドが本格的に『勉強』を始めている」(圷氏)。
こうした動きが24年の株価の一段の押し上げ要因となると予想する。
日経平均株価、4万円超え予想も
日経ヴェリタスが市場関係者を対象にしたアンケート(回答者は68人)で、24年の日経平均株価予想の高値平均は3万6971円、安値平均は3
万0599円だった。1989年12月29日につけた史上最高値(3万8915円)を更新するとの予想も2割あった。
原動力は企業の業績拡大を背景にした日本経済の「デフレ脱却」による成長期待だ。「値上げカルチャーの浸透による日本企業の利益率改善
がカギだ」と野村証券の池田雄之輔チーフ・エクイティ・ストラテジストはみる。定着すれば、日経平均は「11月に4万円の節目にのせる」と予想す
る。
「『じゃがりこ』は値上げ後もほぼ数量を落とさず、強いニーズを実感している」。カルビーの江原信社長は23年4?9月期を振り返った。6%の値上
げにもかかわらず、主力商品の「じゃがりこ」の販売は13%増加。全体でみても原材料・動力費高騰の46億円の減収要因に対して、価格改定効
果が91億円と大きく上回った。
24年3月期通期も増収増益を見込む。原材料費の圧迫は続くうえ、ポテトチップスのパッケージにRSPO(持続可能なパーム油のための円卓会
議)の認証マークを表示するなど付加価値を向上させ「的確に価格に転嫁していく」(江原氏)方針だ。
値上げが受け入れられ始めたこともあり、東証プライム市場上場の24年3月期決算企業(親子上場の子会社などを除く)約1020社の純利益は
3年連続で過去最高となる見通しだ。
賃上げもデフレ脱却の確度を高め、相場を押し上げる。23年の春季労使交渉(春闘)で3.58%と30年ぶりの伸びとなった賃上げ率は、24年予想
が平均で3.94%に達した。「賃金上昇を伴う適度なインフレ経済への転換」(アイザワ証券の三井郁男ファンドマネージャー)で、政府による「デフ
レ脱却宣言」も視野に入る。
日銀・為替が焦点に
米国の利下げ観測も含め好材料がそろう中、「24年の日本株にとって最大の懸案は、日銀の政策変更とそれに伴う円高進行だ」(大和証券の
壁谷洋和エクイティ調査部長)。
値上げと賃上げの定着は大規模な金融緩和を堅持してきた日銀が引き締めに向かう条件を整えることになる。「賃金と物価の好循環が強まり
、2%の物価安定目標が持続的・安定的に実現する確度が十分高まれば、金融政策の変更を検討していく」。日銀の植田和男総裁は12月25日、
経団連の会合で明言した。
日銀が24年に長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)を撤廃し、現在マイナス0.1%の短期金利をゼロ%以上に上げるとの予想は55%
にのぼる。うち8割が年前半の実施を見込む。
日銀が短期金利を24年中に0.1%以上にし、「金利ある世界」が戻るとの予想も4割を超える。「24年10月頃に0.3%程度まで引き上げられるので
はないか」(三菱UFJ銀行の井野鉄兵チーフアナリスト)。トランプ政権復活に市場が身構える11月の米大統領選とともに、株価の重荷になる可
能性がある。
日経平均は23年、卯(う)年の相場格言「跳ねる」の通り高値をつけた。戦後6回あった辰(たつ)年の日経平均の年間騰落率は28%上昇と十二
支のなかで断トツだ。24年は「昇り竜」がごとく上昇気流相場を実現できるのか展望する。
2024年の株式相場はどうなるか。日経ヴェリタスが実施した市場関係者へのアンケートでは、力強い上昇相場が続くとの見方が大勢を占めた。
企業業績の改善や日本経済の「デフレ脱却」による成長期待、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ予想が背景にある。生成AI(人工知能)といっ
た技術の普及も、日経平均株価が史上最高値をうかがう原動力になる可能性がある。
市場関係者66人の24年の日経平均株価の予想によると、高値平均は3万6971円、安値平均は3万0599円だった。高値をつける時期は12月と
の予想が7割と最多だった。回答者の2割にあたる13人が1989年12月につけた史上最高値(3万8915円)を超えると予想した。
日経平均の上昇要因として企業業績の改善をあげる回答が最多だった。デフレからの脱却による、日本の景気拡大をあげる声も多かった。カギ
を握るのが春季労使交渉(春闘)における賃上げ率だ。
予想の平均は3.94%となった。23年の賃上げ率(3.58%)を超えるとの見方が大勢で、「4%以上」と回答した割合も5割近くにのぼった。SMBC信託
銀行の山口真弘投資調査部長は「春闘での賃上げに伴い、実質賃金の伸びがプラスに転じる。インフレが企業業績の改善につながる」とみる。
米利下げ観測も株高を後押し
さらに株高の要因になるのがFRBの利下げへのシフトだ。「米国の利上げ終結・利下げ開始は、グローバルなリスクオン要因になる」(東海東京
調査センターの長田清英チーフストラテジスト)。年前半にも利下げが始まるとの見方から、足元で米長期金利は4%を下回る水準まで低下してい
る。
いちよしアセットマネジメントの秋野充成取締役は「金利が低下する中で米国の景況感が底堅く、ゴルディロックス(適温)環境が持続する」とし
て、日経平均は12月に3万9800円まで上昇するとみる。
注目の投資テーマはAI・防衛・DX…
物色面では利益成長期待が高いことから「グロース株優位」と予想した割合は62%と、23年調査に比べ約10ポイント増えた。23年は銀行などの
バリュー(割安)株の上昇が目立った。
「生成AIがもう一段盛り上がる」(りそなアセットマネジメントの黒瀬浩一チーフ・ストラテジスト)との予想も見逃せない。注目の投資テーマでは8
割が「AI」と回答した。2位の「防衛」、3位の「デジタルトランスフォーメーション(DX)」を50ポイント以上引き離した。
23年はAI向け半導体をてがける米エヌビディアの株価が大幅に上昇したほか、東京市場でもアドバンテストやレーザーテックが大商いを見せた。
生成AI利用率は米国でも3割程度との調査もあり、市場拡大の余地は大きい。AI関連は24年でも引き続き「本命」テーマとなりそうだ。
米市場についても堅調な見通しが多い。ダウ工業株30種平均の高値予想の平均は3万9223ドル、安値は同3万3368ドル。ファイブスター投信
投資顧問の大木将充取締役運用部長は「米利下げがあれば、黙っていても米国株は上がる。米中摩擦の緩和が実現すれば、(さらに)株価上
昇が加速する」とみる。
「11月の大統領選の通過による不透明感の払拭などから、年末に向けて過去最高値の更新が期待される」(岡三証券の松本史雄チーフストラ
テジスト)との声もあった。
2024/01/01 04:00 日経速報ニュース
2024年の日銀の金融政策や対ドルで円相場の行方はどうなるか。日経ヴェリタスが実施した市場関係者へのアンケートでは、日銀が年前半
にもマイナス金利解除に踏み切るとの回答が最も多かった。米国は利下げ、日本は金融正常化により金利差が縮小することで、対ドルで円には
上昇圧力がかかりやすいとの見方が多かった。
「低インフレ環境を脱し、物価安定目標が実現していく確度は少しずつ高まってきている」。日銀の植田和男総裁は12月25日、経団連で講演し
た。近い将来の金融政策の修正を示唆する内容だが、金融市場で材料視する動きは限られた。
市場ではすでに、2024年中の短期金利の引き上げが確実視されている。日銀の政策修正の「次の一手」の予想は「長短金利操作(イールドカ
ーブ・コントロール、YCC)を撤廃しマイナス金利を解除」が55%でトップで、4?6月の実施が57%、1?3月が23%だった。
オフィスFUKAYAコンサルティングの深谷幸司代表は1月の金融政策決定会合での変更を予想する。「賃上げの状況もおおむね見えてきており
、デフレでないなら『普通の緩和』に移行すべきだ」。
「YCCを維持してマイナス金利を解除」も次点の36%。みずほ銀行の唐鎌大輔チーフマーケット・エコノミストは「長期金利の急上昇を抑えるため
に一定の制限を残す可能性はある」とみる。ただし「YCCを形式上撤廃しても、日銀が保有する国債は5割を超えており国債市場を事実上コントロ
ールしている状況は変わらない」。
日銀が24年中に短期金利を0%からさらに引き上げるとの見方も4割にのぼる。ケイ・アセットの平野憲一代表は「物価と賃金の好循環が実現し、
年央には政府が『デフレ脱却宣言』を出す」との見方。「それに伴い金融政策も正常化され、年末にかけて短期金利を0.5%程度まで引き上げるの
ではないか」と予想する。
ただし日銀が引き締め方向の金融政策正常化を進められるかどうかは米連邦準備理事会(FRB)の金融政策を含む世界経済の動向にも左右さ
れる。クレディ・アグリコル証券の会田卓司チーフエコノミストはYCC撤廃や金融引き締めは25年にずれ込むとの見方だ。「グローバルに景気が
減速し市場がFRBの利下げを織り込むなか、円高による輸出の鈍化と内需を抑制しかねない金融引き締めに踏み切るのは常識的には考えにく
い」と分析する。
23年4月に就任した植田氏の評価も聞いた。「大いに評価する」(21%)、「やや評価する」(61%)を合計すると8割超が植田氏の仕事ぶりを前向
きにとらえた。「どちらともいえない」は13%、「あまり評価しない」は5%。「まったく評価しない」はゼロだった。市場とのコミュニケーションを評価す
る声が目立った。
伊藤忠総研の武田淳社長兼チーフエコノミストは「会見で質問に丁寧に回答し、政策運営の透明性が高まった」とする。丸紅経済研究所の今村
卓所長も「金融市場はもちろん、国会、経済界、社会に分かりやすく説明を尽くしている」と評価した。
為替、年後半にかけ円高へ
2024年の為替相場見通しでは、ゆるやかな円高・ドル安が進むとの予想が目立った。米国の利下げ転換のほか、米大統領選をめぐる不透明
感がドル売り要因になるとの見方がある。
高値予想では、市場関係者の4割が「1ドル=130?135円未満」と答え、最多だった。高値の平均は1ドル=131.6円、安値の平均が149.4円だ
った。円相場は11月に1ドル=151円台後半をつけた後、やや円高に持ち直した。高値が「130円未満」との回答も28%あり、円高方向の予想が比
較的目立つ結果になった。
「日米の金融政策の方向感の違いが出始める」(富国生命保険の野崎誠一有価証券部長)ことをあげる声が多い。アセットマネジメントOneの
清水毅調査グループ長は「米国は利下げ、日本は金融政策正常化を進めるため、年を通じて円高圧力がかかりやすい」と指摘する。
安値の時期の予想は1月が49%、高値をつける時期は12月(57%)が最多だった。「年後半に向けて円高進行」が市場のコンセンサスと言えそう
だ。
た後のリスクオフ」を理由として、12月に1ドル=130円までの円高を予想する。
「円相場は年後半(7?12月)に24年の安値をつける」との予想も2割あった。BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは「日銀は金融引
き締めを進めるがインフレ期待の上昇に利上げが追いつかず、実質金利の低下が円安要因になる」と予想。12月に再び1ドル=150円まで円安が
進むとみる。「米国の利下げは市場が織り込むほどハイペースで進まない」(外為どっとコム総合研究所の神田卓也調査部長)との見方もあった。
岸田首相「秋に退陣」予想が48%
日本の政治の先行きに注目が集まっている。2023年12月に政治資金問題をきっかけに主要閣僚が次々に辞職し、政権運営への不信感が高
まった。アンケートの回答者の半分近くが24年中にも岸田文雄首相が退陣するとみており、相場への影響を注視する必要がありそうだ。
予想される国内政局について聞いたところ、「岸田首相が秋の自民党総裁選で敗北し、退陣する」との回答が48%にものぼった。日本経済新聞
社とテレビ東京が23年12月中旬に実施した調査で岸田内閣の支持率は26%と、「危険水域」とされる水準まで落ち込んでいる。
背景にあるのは「政治とカネ」をめぐる不信感だ。自民党内の最大派閥である安倍派(清和政策研究会)で政治資金問題が明らかになった。12
月には経済産業相を担っていた西村康稔氏ら主要な閣僚が相次いで辞職する事態となり、岸田内閣は厳しい批判にさらされている。
少数ながら市場関係者からは「『政治とカネ』問題の顕在化により24年初に岸田首相が退陣し、新総裁下で衆院解散を先延ばしにする」(インベ
ストメントLabの宇根尚秀代表)との予想もあった。
もっとも、内閣の退陣があったとしても株式市場へのマイナス影響は限定的との見方が多い。「岸田首相が秋の党総裁選で敗北し、退陣する
」と予想した回答者(30人)に株価への影響を聞いたところ、半数にあたる15人が「株価は上昇する」、43%にあたる13人が「株価に影響なし」と答
えた。
経験則では選挙があった場合に日本株は上昇しやすい。1979年以降の衆議院選挙において、投票日の20営業日前から投票日までの東証株
価指数(TOPIX)は15回中14回で上昇した(三菱UFJモルガン・スタンレー証券調べ)。大統領選を控える米国市場とあわせ、選挙のタイミングで
の相場変動には注目が必要となりそうだ。
期待する現政権の掲げる政策を聞いたところ、5割近くが「賃上げ促進・半導体投資などへの税制優遇」と回答した。米中関係や台湾をめぐる情
勢に緊張感が増すなか、「経済安全保障面から半導体産業の強化が焦眉の急」(三菱UFJアセットマネジメントの石金淳チーフファンドマネジャー)
との指摘がある。政策の後押しを受けて、市場で半導体関連株への注目が増す可能性もある。
2024/01/02 05:00 日経速報ニュース
万物は流転する。古代の哲学者が喝破したように、あらゆる存在が時の流れとともにその姿を変えていく。通貨も例外ではなく、米や布のような
現物からコイン、紙幣、さらにはデジタルへと変化してきた。変わりゆく通貨を飼いならすことができなければ、インフレなどの災禍を招きかねない。
新しいお札の発行を2024年7月に控え、通貨の現在地と未来を探る。
新札は日銀本支店でスタンバイ
「7月3日の発行日、どの支店に何時にどのくらい新しい紙幣を用意できるだろうか」。大手銀行の担当者は半年先の大イベントを控え、頭を抱え
る。
新紙幣は全国4カ所の工場で着々と製造され、日銀本店や地方支店に順次運ばれて発行日を待っている。金融機関は発行日以降に新紙幣を
受け取り、窓口やATMに運ぶ流れだ。紙幣の刷新は20年ぶりで、1万円札の「顔」が変わるのは40年ぶり。初日にどれだけの愛好家が店舗に並
ぶのか、他行より準備が遅れれば評判を落としかねないだけに検討課題は山積みだ。
日銀によると、新紙幣は3月末までに渋沢栄一が描かれた1万円札、津田梅子の5千円札、北里柴三郎の千円札の合計で45.3億枚を準備す
る計画だ。04年に現行の紙幣を発行した際には50億枚程度を用意した。今回も発行日までにさらに備蓄が進む予定で、日銀の金沢敏郎発券局
長は「前回と遜色ない水準」になると強調する。
デジタル技術の進展と矛盾するように紙幣の流通量は増えてきた。20年前は65兆円(65億枚)程度だった1万円札の流通量は23年11月に7割
増の112兆円分(112億枚)まで膨らんだ。経済規模の拡大に伴い流通量が一定程度増えるのは自然だが、この間名目GDP(国内総生産)は7%
しか伸びていない。ここまで拡大する背景には日本特有の事情がある。
超低金利で現金好きに拍車
日本は現金大国だ。国際決済銀行(BIS)によると、21年のGDP比の通貨流通量は日本が23.1%と突出する。ユーロ圏は12.8%、米国は9.2%と差
が開いている。日本のキャッシュレス決済比率は経済産業省の試算で22年時点で36%程度。10年前(15%)の倍以上と増えたが、5割前後の海外
主要国と比べると遅れが目立つ。
のため借金の意識を抱く人がいるといわれる。「使いすぎる心配が少ない」も上位だった。現金であれば財布からどのくらいお金が減ったかわかり
やすい。
日本はATMの台数が多く現金の利便性が保たれていることや、ニセ札が少なく通貨への信頼度が高いことなども挙げられる。治安がよいため、
現金を持ち歩くリスクも意識されにくい。その結果、政府が目指す将来のキャッシュレス決済比率(8割)は遠いというのが現状だ。
だが、これだけでは1万円札が100億枚も出回っていることを説明しきれない。専門家が指摘するのは、現金を自宅の金庫などで保管する「タン
ス預金」の存在だ。第一生命経済研究所の熊野英生氏は「流通している現金のおよそ半分がタンス預金に回っている」と語る。日銀がマイナス金利政策を続けていることで預金の金利がほとんど付かず、銀行に預けるメリットが薄いことが一因だ。
タンス預金は動くのか
変わる兆しは出てきた。23年11月の1万円札の流通量は前年比ではほぼ横ばい。ニッセイ基礎研究所の上野剛志氏は「物価高で現金を保有
すれば価値が目減りしていくため、タンス預金を増やす動きは減るのではないか。株や投資信託、また金利が上がってくれば一部は預金に流れ
るだろう」と分析する。
遅れているとはいえ、キャッシュレスの進展は今後、流通量の伸びを抑制していくはずだ。日銀のアンケート調査では、半年前に比べて現金の
利用頻度が「減った」と答えた人が23年9月調査で4割になった。「まだ現金の流通量が減るほどではない」(日銀関係者)が、ようやく現金離れが
進み始めたのは確かだ。
市場では日銀が24年早期にもマイナス金利を解除するとの観測が広がっている。物価が持続的に上がり、預金や融資で金利が付く「金利のあ
る世界」が復活すれば、現金大国にとって転機となる可能性がある。
日本各地の13世紀後半から16世紀ごろの遺跡からは現在でも、つぼなどに入れられた大量の銭の出土が相次いでいる。銭不足のなか、銭の
価値が上がることを見越して蓄えられていたともされる中世のタンス預金のなれの果てだ。
天下の回り物であるはずのお金を眠らせていても何の価値も生まれない。死蔵されている現金を動かし、いかに経済を活性化させるか。「日本
資本主義の父」と呼ばれる渋沢栄一もそれを願っているはずだ。
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2024/01/03 05:00 日経速報ニュース
「すこぶる戦慄の至り」。1877年に西郷隆盛率いる鹿児島士族が起こした西南戦争の直後、のちに千円札の肖像画にもなる伊藤博文は盟友の
井上馨への手紙にこう書きつづった。次なる士族の反乱を心配したわけではない。当時の年間歳出の9割近くにも達した「征討費」が、発足まもな
い明治政府の財政と経済の重荷となることを恐れたためだ。
インフレが日銀を生み出す
その懸念の通り、金や銀と交換できない不換紙幣である政府紙幣の増発は深刻なインフレをもたらした。明治政府は増税や公債発行、歳出削
減で紙幣の流通量を抑えることを強いられる。価値が安定した兌換(だかん)紙幣の導入が急務となり、1882年に設立されたのが中央銀行であ
る日銀だ。
通貨は経済を活性化させて豊かさをもたらす一方、過剰に出回れば人々の生活を苦しめるインフレを引き起こす。政策金利などを通じて通貨
の供給量をコントロールし、物価を安定させる中央銀行が必要なのはそのためだ。好景気を望む政府の思惑に振り回されないように、現在では
独立性も認められている。
問題は、過剰な通貨がインフレを生み出した例があるとして、デフレに陥った際に通貨の供給を増やせば、インフレに転じるのかどうか。2013年
4月に日銀が始めた異次元緩和はそんな実験だった。当時総裁だった黒田東彦氏は2%の物価目標を「2 年程度」で実現すると約束。マネタリー
ベース(資金供給量)を2年で2倍に増やす方針を打ち出した。
資金供給量と物価は連動せず
結果はすでに明らかなように、はかばかしいものではなかった。2年後、マネタリーベースは確かに2倍になったが、消費者物価指数(CPI)上昇
率はゼロ近辺に張り付いたまま。物価が明確に上昇に転じるのは、新型コロナウイルス禍などによる供給制約が強まった22年以降になってからだ。
お金の量が増えれば単純に物価も上がっていくというのが貨幣数量説だとすれば、日銀の実験は明らかな反証になったといえる。ある日銀OB
は「貨幣数量とインフレ率に比例的な関係は見当たらない」と冷ややかだ。
日銀が金融機関の国債を大量に買い取るだけでは、お金は銀行が日銀に開設している当座預金に積み上がるだけ。資金需要がなければ、銀
行による貸し出しは増えず、市中にお金は流れない。国債購入で長期金利が下がれば需要は押し上げられるが、短期金利の引き下げと比べれ
ば効果は限定的だ。
なお続く国債の大量購入
もちろん日銀はそんなことは百も承知のうえで、大胆な金融緩和によって将来の物価は上がるという人々の「期待」を一気に高めることに賭けた。
誰もが物価が上がると思い始めれば消費が促され、緩やかなインフレにつながる。当時の幹部によれば、日銀はデフレに対して無策との批判が
強まるなか、できることはすべてやっていることを示す必要もあったという。
元日銀理事でみずほリサーチ&テクノロジーズの門間一夫氏は「資金供給量でインフレ期待が変わるという考え方自体がもともと正しくなかった
」と指摘する。一方で、緩和に積極的なリフレ派の元日銀審議委員、原田泰氏は「異次元緩和がデフレ脱却の足がかりになったことは間違いない」
と話す。
日銀は16年9月に長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)の導入を決め、政策の軸足を量から金利へと戻した。だが、いまでも物価が2%
を安定的に超えるまでマネタリーベースの拡大方針を続ける「オーバーシュート型コミットメント」を堅持しており、長期金利が低下傾向にあるにもか
かわらず大量の国債を買い続けている。
「日本人は、マネーサプライ(通貨供給量)と物価が直接関係しているとする、過度に単純化され欠陥のあるマネタリストの教義を信頼していた」。
市場参加者の間では最近、日本に金融緩和を促してきた元FRB議長のベン・バーナンキ氏が著書「21世紀の金融政策」で、2000年代初めの日銀
の量的緩和をこう評したことが話題になった。
日銀のバランスシートには500兆円を超える国債が残された。日銀の国債購入に支えられ、政府の債務残高は国内総生産(GDP)比で200%を
超える水準に膨らんだ。超低金利の常態化によって、拡大する財政赤字に対して「戦慄」する感覚が失われてしまったのだとすれば、日銀の実験
の代償は大きい。
【ビジュアルで振り返る通貨の歴史】
1万円札の顔、40年ぶり交代 通貨が映す波乱の経済史
【通貨流転】
㊤「諭吉」100億枚はどこへ 現金大国に変化の兆し
2024/01/04 05:00 日経速報ニュース
「中央銀行であるがゆえにベータ版(試用版)で提供するわけにはいかない。走りながら試行錯誤し、アップデートしていけたらいいのだが」。デジ
タル円の準備を担う日銀の関係者はそう胸の内を明かす。
PayPay、NTTドコモも参加
中央銀行が発行するデジタル通貨を「中銀デジタル通貨(CBDC)」と呼ぶ。デジタル通貨を民間任せにせず、誰でもどこでも使える通貨を中銀の
責任で用意するという考え方から生まれた。デジタル円は日銀が準備するCBDCで、2023年4月から実用化を見据えた「パイロット実験」を開始し、
実験用のシステム構築に取り組んでいる。
成功に向けたカギは、一般の利用者と接点を持つ民間企業をいかに巻き込んでいけるか。日銀は23年7月から「CBDCフォーラム」を開き、民間の
技術や知見の取り込みを進める。メガバンクをはじめとする金融機関だけではなく、QRコード決済大手のPayPayやソニー、NTTドコモ、JR東日本な
ど約60社が参加する。
「最終的なゴールは何か」。11月下旬、日銀の会議室で開かれた会合では、将来のデジタル円のシステムと既存の決済インフラとの接続につい
て意見が交わされ、参加者が鋭く質問した。日銀はこのフォーラムを「何かを決める場ではない」とし、あくまでヒアリングや意見交換の場と位置づ
けているが、情報を引き出そうと意欲的な参加者もいる。
ある参加企業の関係者は「将来実用化された際に他社に後れを取りたくない。今からビジネス環境を考えておきたい」とデジタル円に商機を探る。
その一方で、中央銀行がデジタル決済サービスを手掛ければ「手数料次第では民業圧迫にもなりかねない」(別の関係者)との警戒も根強い。
通貨主権は誰のものか
CBDCは中国などの新興国で導入の動きが先行している。中国では一般の人々を巻き込んだ実証実験が広範囲に進んでおり、一部では公務員
の給与振り込みにもCBDCであるデジタル元が使われ始めた。先進国でも、欧州中央銀行(ECB)が23年11月から発行に向けた2年間の「準備段
階」に入った。
デジタル円が突きつけるのは、通貨というインフラは誰が提供すべきかという問いだ。今でこそ通貨は政府・日銀が発行するのが当たり前だが、
19世紀後半までは幕府が発行する貨幣のほか、各藩が発行する藩札や、日本最古の紙幣といわれる山田羽書のような民間紙幣も流通していた。中世の時代には、政府が発行した貨幣ではなく、中国から輸入した宋銭などが通貨の役割を果たしていた。
ビットコインのような暗号資産が誕生し、民間のデジタル通貨が普及しようとしているなか、政府と中央銀行が独占的に通貨を発行することが当
然とは言い切れなくなってきた。中国はアリペイなどの民間デジタル通貨の普及に、ECBは米国の巨大IT企業にデジタル決済を握られることに強
い危機感を抱き、CBDCの準備を進める。
デジタル円は最後発に?
日銀の黒田東彦前総裁は在任中の22年1月、デジタル円の導入について「26年までに判断する」と述べた。政府・日銀の関係者は「(導入の是
非は)国民的な議論のなかで決まる」と話す。デジタル円の発行を決めても使われなければ意味がないため、日銀は実験参加者の範囲を段階的
に広げていくという。
ただ、ある日銀幹部は「ある程度導入できるめどが立たないと市民を巻き込んだ実験はできない。(そうした実証実験は)何年か先になるのでは
ないか」と話す。日本は主要国でも突出して現金選好が強い。日銀の初代のフィンテックセンター長を務めた京大大学院の岩下直行教授は「国民
全体の合意形成が必要になるため、日本のデジタル通貨導入は世界で最後になる可能性もある」と語る。
米や布のような現物から銅銭など金属の貨幣、そして紙幣へ。進化を続けてきた通貨がこれからデジタルの時代に入る。多くの人に受け入れら
れ、使われるようになれば、ますます広がっていくという通貨の性質は、勝者総取りとされるSNSとも似通う。デジタル円は未来の通貨になれるの
か。その答えは決して自明ではない。
【ビジュアルで振り返る通貨の歴史】
1万円札の顔、40年ぶり交代 通貨が映す波乱の経済史
【通貨流転】
㊤「諭吉」100億枚はどこへ 現金大国に変化の兆し
㊥通貨が増えれば物価は上がる? 異次元緩和不発の必然
2024/01/09 日経産業新聞
2024年の共通ポイント業界は一段と競争が激しくなりそうだ。スマートフォン決済のPayPayが共通ポイント事業に本格参入し、競争は一段と
激しくなる。共通ポイントの草分けのTポイントは三井住友フィナンシャルグループ(FG)のVポイントと24年春に統合する。動きの激しいポイント
の動向について、業界を担当する記者が展望した。
デスク「ポイント業界は様々な動きがあったね」
記者A「そのひとつがPayPayだ。23年8月末、サイバーエージェントなど2社と提携し、PayPayは共通ポイントに本格参入した。2社にPayPay
ポイントを販促手段として活用してもらう狙いがあるよ」
デスク「PayPayといえばキャッシュレス決済に強い。共通ポイントとして使えれば便利になりそうだ」
記者A「PayPayは18年10月のサービス開始から5年でアプリ登録者数が6000万人を超えた。キャッシュレス決済の市場シェアは約7割と
圧倒的な強さを誇ってきた。ただポイント発行額と新規利用者数の引き上げに大きく寄与してきた政府のマイナンバーカードの普及促進策『マイ
ナポイント』が23年9月で終了したのは逆風となったはずだ」
デスク「カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)のTポイントの名前がなくなるのは感慨深いね」
記者B「Tポイントと、三井住友FGのVポイントが24年春に統合し、名称も『Vポイント』に統一される。Tポイントの知名度と三井住友FGが持つ
決済サービスを掛け合わせ、ポイント経済圏を広げてきた楽天グループやPayPayなどに対抗する考えだよ」
デスク「楽天も様々な施策を打っている」
記者C「23年12月からサービス利用に応じてポイントを付与する『スーパーポイントアッププログラム(SPU)』の還元率を変更した。楽天モバ
イルの利用者が電子商取引(EC)サービス『楽天市場』で買い物する際の還元率は一律で5倍となった。一方で、ポイントの付与上限は下がっ
た。楽天はモバイル事業における契約者増が喫緊の課題で、ポイントをフックに経済圏のユーザー獲得を狙う」
デスク「ユーザーからは『改悪』と批判される変更もあったけど」
記者C「たとえば年会費が有料のクレジットカードはポイント還元率が無料会員と同じになった。さらに無料で使える海外空港のラウンジにも回
数制限ができた。楽天側も批判は覚悟のようで、年会費の返金も受け付け始めたよ」
デスク「共通ポイント事業で成長するには経済圏という言葉も24年以降のテーマになりそうだ」
記者D「NTTドコモは23年10月にマネックス証券の子会社化を決めた。マネックスの取引でのドコモのポイントサービスや決済手段の導入、
ドコモのスマホ決済サービス内での投資サービスの提供などを検討していくようだ。ドコモの井伊基之社長も『手軽で簡単な資産形成サービス
を提供していく』としており、金融と通信、決済の融合をテコに傘下のdポイントの利用拡大を目指すとみられる」
新料金プラン『ペイトク』の提供を開始した。契約すれば通常のポイント還元に加え、1~5%(上限あり)多いPayPayポイントが付与される。追加
分の原資はソフトバンクが払うこととなり、グループでPayPay経済圏の拡大を援護する戦略だよ」
記者C「ポイントと金融事業の連携は楽天も早くから傘下の銀行・証券と進めてきた。23年8月には子会社の楽天カードの傘下に、同じく子会
社でスマホ決済などを手がける楽天ペイメントを置く組織再編を公表し、金融や通信、ネットサービスなど一体で経済圏の拡大に動いている。さ
らに楽天ポイントの導入拡大に向け、中小店舗での導入数を24年内にも23年比で2倍に増やす目標だ。ただ中小店舗の開拓はPayPayも力を
入れる。ポイントカード機能を備えたキャッシュレス専用端末を展開しているけど、どこまで広がるかは未知数だ」
記者B「CCCが狙うのは決済サービスの強化だ。これまで電子マネー『Tマネー』やクレジット機能付きTカードを展開してきたものの、認知度は
高くなかったようだ。三井住友FGは三井住友カードや対応するVisaタッチなど有力な決済サービスを持っている。世界に1億店以上あるVisa加
盟店でもポイントが使えるようにして巻き返しを狙うと思われるよ」
記者A「識者からは今後の共通ポイント業界はこれまでのような会員規模やポイント流通規模といった量から質へと争点が変わっていくと指摘す
る声もある。スマホ決済のように毎日使われるアプリで顧客との接点を増やしたり、加盟店の利益につながる販促を提案したりと、総合力が問わ
れそうだ」
2024/01/11 日本経済新聞 朝刊
日経平均株価が高値の更新を続けている。日本企業の成長を期待した買いが続いているのはもちろんだが、上値で売る投資家が減っている
ことも見逃せない。2023年に「踏み上げ(売り方の損失覚悟の買い戻し)」で傷を負った個人投資家が空売りをためらっていることが、米株相場
が弱含むなかでの意外高に一役買っている。
10日の東京株式市場で日経平均は3日続伸し、前日比678円高の3万4441円まで上昇。バブル崩壊後の高値を連日で更新した。外資証
券のトレーダーは「3万4000円を上抜けたことでグローバルマクロ系のヘッジファンドが株価指数先物を買っているようだが、値幅の大きさもタイ
ミングもかなり意外だ」と話す。
前日9日の米株市場ではダウ工業株30種平均が下落していた。10日は主要なアジア市場も軟調で、日本株の強さが突出している。急な株
価上昇を受けた追随買いが日本株を押し上げているうえ、普段なら上値を抑える「逆張り勢」の動きが鈍い。
「古参の投資家もショート(空売り)はもうからないと気づき始めた」。ベテラン個人投資家の村上直樹さん(44)は投資家仲間の心情を代弁する。
投資歴の長い層ほど日本株のレンジ相場の経験が染みつき、高値では相場反転を狙った空売りを出しがちだ。ただ昨年以降、相場の下落局
面でも外為市場での円安・ドル高などが支えになり下値が限られた。株の売り手は思ったように下がらず、苦境に立たされる局面が多かった。
例えば昨年、低PBR(株価純資産倍率)対策で話題になった大日本印刷(DNP)でも、空売り勢は撤退を余儀なくされた。1月に米エリオット
・マネジメントによる投資が判明し大幅高になった局面では空売りが急増し、信用売り残は10倍の約40万株まで膨らんだ。
ところがその後もDNPは自己資本利益率(ROE)目標や大規模な自社株買い計画を相次ぎ発表し、株価はそのたびに急騰。売り手は損失限
定の買い戻しを迫られた。足元で同社株は昨年来高値圏にあるが、再び売り向かう動きは見られない。
空売りが増えていないことは、「逆日歩」が発生している銘柄の数をみれば分かる。逆日歩は空売りにかかる追加コストで、信用取引の売りが
買いを大きく上回った際に発生する。株高局面で空売りが増える傾向にあり、逆日歩銘柄数と日経平均のグラフを重ねるとほぼ似た動きになっ
てきた。
この相関が、昨年11月以降崩れている。日経平均は10月末比で3000円あまり上がったが、東証上場で逆日歩が付いている銘柄数は今年
1月9日時点で263と、小幅な伸びにとどまる。
松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは「足元の株高でも買い手の利益確定売りばかり。新規に売りを積み上げる動きは乏しい」
と話す。
日経平均と逆方向に2倍動く野村アセットマネジメントの上場投資信託(ETF)の口数は日経平均が前回高値をつけた23年7月をピークに足元
でも減少傾向にある。株高でも新たな売り手が現れず、むしろ弱気ETFへの売りが上昇に拍車をかけている。
日本株が長期低迷する局面では、上昇時に売りを出すことは合理的だった。相場の長期上昇を前提にするなら、この行動は変化する。逆張り
個人が順張りに転じつつあるのは、この兆候かもしれない。
2024/01/18 18:40 日経速報ニュース
東京証券取引所が18日に発表した1月第2週(9?12日)の投資部門別株式売買動向(東証と名証の合算)からは1月に始まった新たな
少額投資非課税制度(NISA)による日本株への資金流入が確認できなかった。相場急伸を受け、逆張り志向が強い個人投資家の売りに
かき消されたためだ。財務省が同日朝に発表した対外及び対内証券売買契約からは、外国株がNISAマネーの受け皿になっているのが
浮き彫りとなった。
この週の日経平均株価は2199円69銭(6.59%)の大幅高を演じた。国内企業の資本効率改善への期待から日経平均は15日まで6連騰し
33年11カ月ぶりの高値を更新した。市場では新たなNISAの開始による個人投資家の新規資金の流入が日本株を押し上げたとの指摘が
多かった。
新NISAによる2024年の日本株への資金流入額を年間2兆円と試算するSMBC日興証券の安田光チーフ株式ストラテジストは、今年に
日本株が堅調なスタートを切った理由の一つに新NISAによる個人投資家の買いフローが株価を押し上げた可能性が高いと指摘。年初から
の動向をみるとNISAでの保有する銘柄として個人の人気が高い大型株や高配当銘柄の買いが目立った。
東証が毎週第4営業日の15時に開示する株式売買動向は、取引参加者である証券会社が執行した注文を東証に報告する際にどの属性
の投資家かを申告し、東証が集計して公表している。個人投資家が新NISAの成長投資枠で現物株を買った場合、売買動向では個人の現
金売買として反映される。
今回の投資部門別株式売買動向では個人投資家の売買動向がいつも以上に注目されたがフタを開けると、NISA口座を通じた個人の買
いは明確に確認できなかった。1月第2週の個人の現金取引の数値をみると、8163億円の売り越しだった。14年11月第1週(9564億円)以
来の大きさだった。過去に日経平均が6%上昇した22年3月第3週(2258億円の売り越し)、16年の4月第2週(2595億円の売り越し)と比
べても大きい。NISAを通じた資金流入によって売越額が小さくなる可能性があったが「個人投資家の逆張りは鮮明だ」(東海東京調査セン
ターの鈴木誠一チーフエクイティマーケットアナリスト)。株数ベースでみても同様の傾向だ。
一方、18日午前に財務省が発表した対外及び対内証券売買契約などの状況(7?13日)では一足早く新NISAの影響が見て取れた。国
内投資家による海外株式への投資は7833億円の買い越しで、23年1月1?7日(8294億円)以来の大きさだった。市場でも新NISAの開始
をきっかけに買いが増えたとの見方が出ている。
新NISAはまだ始まったばかりとあって定量的にNISA効果をデータで推し量ることは難しいが、来週以降の東証の投資部門別売買動向や
財務省の対外及び対内証券売買契約などを通じて継続的に個人の動向を確認することが重要になりそうだ。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-01-24/S7QTHLDWRGG000?srnd=cojp-v2
三井住友フィナンシャルグループ(FG)は24日、資産運用業務の強化策を発表した。傘下の投資信託関連サービス会社で資産運用会社の
評価や調査、投資助言などの機能を拡充した上で、運用会社と販売会社をつなぐ司令塔の役割を持たせて、グループ一体で質の高いサービ
スの提供を目指す。
発表資料によると、機能や体制拡充の中核となるのはFG子会社の「日興グローバルラップ」。専門人材の外部採用やグループ内からの人材
活用を通じてサービスの提供体制を強化する計画。社名変更も検討するとしている。
政府は「資産運用立国の実現」を掲げ、家計金融資産を貯蓄から企業の成長投資に振り向ける流れの加速や、金融機関の資産運用力の強
化を促している。既に大手銀行や証券会社は個別に具体的な方針を示しており、三井住友FGの発表もその一環と位置付けられる。
運用力強化の観点では、三井住友DSアセットマネジメントで運用チームやファンドマネジャーを外部採用する。グループ内で運用に強みを持
つ人材の配置転換も行う。国内外の資産運用会社への新たな出資や提携も模索する。
関連記事:
野村HD、運用力向上へ1000億円超に投資拡大-新興や外資も対象
MUFGが運用資産残高200兆円へ、29年度までに倍増目指す-亀澤社長
みずほ、資産運用強化へ出資や買収積極化-残高10年で1兆ドル目指す
https://jp.reuters.com/markets/global-markets/DFGV7CKJYROPREBW2FHPUH67HQ-2024-01-24/
[東京 24日 ロイター] - 三井住友フィナンシャルグループ (8316.T), opens new tabは24日に発表した資産運用に関するグループ戦略で
資産運用力強化に向け、特色ある資産運用会社への出資や買収、提携機会を模索する方針を示した。
グループの資産運用の中核を担う三井住友DSアセットマネジメントで、アクティブ運用の強化やオルタナティブ分野の新たな運用に取り組み
国内資産運用に次ぐ柱の構築を目指す。
また、SMBCグループ版EMP(新興運用業者促進プログラム)を導入し、新興の運用チームやマネジャーの採用、実績がない新興マネジャ
ーに対する資金拠出等を通じて、運用戦略の拡充を図る。
同グループは、運用会社と販売会社の間に立って、ファンドのデューデリジェンス(価値やリスクなどの調査)やモニタリング(監視)、投資
見解(ハウスビュー)などを行う「ソリューションプロバイダー」態勢を整備する。昨年9月にSMFGの直接子会社へ再編した「日興グローバル
ラップ」をソリューションプロバイダーの中核として位置付け、新しい役割も含めた業容拡大や人材の異動を行い、社名変更も検討する。
面川秀之執行役員は「規模も大事だが、業者目線になるのではなく、顧客にどういうバリューを提供できるかという顧客目線を大事にしたい」
と述べた。
2024/01/29 05:00 日経速報ニュース
三井住友フィナンシャルグループ(FG)は2024年春から個人向け金融サービス「Olive(オリーブ)」の機能を拡充する。従来のクレジットカード
機能は加入時の新規発行分のみだったが、発行済みの同社と提携するクレカも登録して使えるようにする。米ビザと三井住友カードが開発し
た「世界初」(同社)の仕組みで、会員数の3割にとどまる中高年層の開拓を進める狙いだ。
オリーブは23年3月に始めた個人向けサービスだ。銀行とクレカなどの決済、証券、保険の取引を1つのアカウントで管理し、スマホ上で一体
的に提供する。キャッシュカードを兼ねるプラスチックの専用カードを1枚発行し、クレカ、デビットカード、ポイント払いの3種の支払い手段をスマ
ホで切り替えて使う。
スマホ上でネット証券などとも連携できる点がデジタル世代に評価され、特に初めてクレカを持つ新入社員など若者の間で裾野を広げている。
足元で会員数は約170万人。23年秋時点で30代以下が7割を占め、40代以上は3割にとどまる。
中高年世代など既存の使い慣れたクレカを複数枚持つ顧客からは、オリーブを使いたくても既存のカードと連携できない点で不満の声もあっ
た。オリーブで使えたのは加入時に新規発行したカードのみで、過去に作ったクレカはオリーブでは使えず、財布に入れて持ち歩く必要があっ
たためだ。
24年春からはオリーブとは別に使っていた既存のクレカも登録できるようにする。利用者が持ち歩くのはオリーブの専用カード1枚で、決済前
にスマホで番号を切り替えれば、登録した複数のクレカで決済できるようにする。提携企業のブランドで発行するクレジットカードや、企業の経
営者が使う法人用クレカを5種類まで登録できる。
追加できるカードは大きく分けて2つある。一つは三井住友カードが提携企業のブランドで発行する提携カードだ。同社のホームページによれ
ば現在「ANAカード」や「JR東海エクスプレス・カード」をはじめ、交通機関や小売店など向けに約300種の提携カードがある。どの提携カードを
オリーブ上で使えるようにするかは未定という。
提携カードは、提携先の商品購入やサービス利用でポイントがたまるなど優遇を受けられる場合が多い。三井住友FGの「Vポイント」がたま
る提携カードもある。
もう一つは、三井住友カードが発行している法人代表者や個人事業主向けの法人カード「ビジネスオーナーズ」だ。日本クレジット協会による
と、国内の法人カードの発行枚数は23年3月時点で1201万枚と5年前に比べて2割増えた。商取引の仲介や経費精算で需要が増えている。
オリーブと連携すれば利便性の面で競合と差別化できる。
オリーブは、プラスチックのカード1枚でスマホ上で決済手段を切り替えられる「フレキシブルペイ」と呼ばれるシステムを採用している。ビザ
と三井住友カードが開発した世界初の機能という。
ビザのネットワーク上でクレカの番号などを切り替える仕組みで、ビザ・ワールドワイド・ジャパンのシータン・キトニー社長は「(フレキシブル
ペイを)日本で導入してから他国でも非常に関心が高くなっている。他の市場でも拡大していきたい」と話す。三井住友カードには欧州の金融
機関などがオリーブの視察に訪れているという。
リテール分野は楽天銀行の口座数が1500万をうかがう水準まで増えるなどフィンテックとの競争が激しさを増している。三井住友FGは昨
年2月、オリーブの目標を「5年で1200万アカウント」としていた。目標を達成するには単純計算で年平均240万人を獲得する必要がある。
三井住友カードの大西幸彦社長は日本経済新聞の取材に「オリーブは毎年バージョンアップをしていきたい。(経験則として)過去の新型
カードも2年目以降で獲得ペースが上がっており、オリーブも今後加速するだろう」と話す。
2024/01/29 18:52 日経速報ニュース
三井住友フィナンシャルグループ(FG)が出資する航空機リースのSMBCアビエーションキャピタル(AC)は29日、カナダの年金基金大手の
ケベック州貯蓄投資公庫(CDPQ)と共同で航空機向けに投資するファンドを立ち上げたと発表した。自己資金による投資を抑え、外部の資金で
航空機の管理・運用台数を増やす。
SMBCACは三井住友ファイナンス&リース(FL)と三井住友銀行が出資する世界2位の航空機リース会社だ。投資額の目標は3年間で15
億ドル(約2200億円)で、30機弱の購入額に相当する。
CDPQが新ファンドの資金の大半を出し、SMBCACが機体の発注や管理などを担う。環境性能が高い中型機を中心に投資するという。
航空機は1機あたり数十億?数百億円と高額で、自己資金での投資には限界がある。年金基金など投資家から資金を集めて機体を購入すれ
ば、資産を膨らませずに航空機リース事業を拡大できる側面がある。
三井住友FG・三井住友銀行・三井住友FL、傘下の航空機リース会社がカナダCDPQと航空機投資合弁会社を設立
2024/01/29 17:40 日経速報ニュース 1212文字
【プレスリリース】発表日:2024年01月29日
SMBC Aviation CapitalによるCDPQとの航空機投資合弁会社の設立について
株式会社三井住友フィナンシャルグループ(執行役社長グループ CEO : 中島 達、以下、当社グループを総称して「SMBCグループ」)、株式会
社三井住友銀行(頭取 CEO : 福留 朗裕)、および三井住友ファイナンス&リース株式会社(代表取締役社長 : 橘 正喜)は、傘下の航空機リ
ース会社SMBC Aviation Capital Limited(CEO : Peter Barrett、以下「SMBC Aviation Capital」)が、カナダの年金基金のケベック州貯蓄投資
公庫(以下「CDPQ」)と、航空機投資に係る合弁会社を設立したことをお知らせいたします。
SMBC Aviation CapitalとCDPQはMaple Aircraft Company Holdings Limited(以下「Maple社」)を設立し、Maple社およびその傘下の子会社に
おいて、燃費効率の高い次世代型の航空機に特化して投資およびファイナンスを行います。投資金額は、3年間にわたり年間5億米ドル、合計
15億米ドルを目標とし、SMBC Aviation Capitalが航空機の調達および管理などを実施いたします。
SMBCグループでは、機材数ベースで世界第2位の航空機リース会社であるSMBC Aviation Capitalによる上述の取り組みを通じて、引き続き
、世界の航空会社に対して主に航空機のセールアンドリースバックによる資金調達ソリューションを提供していきます。さらに、今後は、グループ
が有するオルタナティブ資産を活用し、お客さまの投資ポートフォリオの多様化にも貢献する方針です。
今後とも、航空機を含むオルタナティブ資産への投資に係る施策を強化し、海外で培った経験を活かして、日本の投資家に魅力を感じていただ
ける投資機会を提供していきます。
【SMBC Aviation Capitalの概要】
・社名 : SMBC Aviation Capital Limited
・本社 : アイルランド・ダブリン
・設立年 : 2001年
・事業内容 : 航空機オペレーティング・リース
・総資産 : 236億米ドル(2023年9月現在)
【CDPQの概要】
・社名 : CDPQ
・本社 : カナダ・ケベック州
・設立年 : 1965年
・事業内容 : 公的年金制度、保険基金の投資・管理
金融、プライベートエクイティ、インフラ、不動産、プライベートファンド等の分野へ投資
・純資産 : 4,242億カナダドル(2023年6月現在)
※SMBCグループの資産運用ビジネスに関する対応方針はこちら
https://www.smfg.co.jp/news/pdf/amsp.pdf
2024/01/31 日本経済新聞 朝刊
上場企業が自社株買い(総合2面きょうのことば)を拡大している。2023年の取得枠は約9兆6000億円と2年連続で過去最高となった。余剰
資金を株主に積極的に還元している。東京証券取引所が企業に資本効率の改善を要請したことも背景にあり、足元の株高の要因になっている。
自社株買いは企業の株式数を減らし、自己資本利益率(ROE)やPBR(株価純資産倍率)など財務指標の改善につながる。配当よりも機動的
に実施でき余剰資金を株主還元に回しやすい。以前は株高局面で一服することが多かったが、足元でも活発な動きが続く。
日本経済新聞が上場企業の自社株取得枠を取締役会決議日ベースで集計したところ、23年は9兆6020億円と前年から1350億円増えた。
増加は3年連続。取得枠を設定した企業数は延べ1033社と2年連続で1000社を超えた。
目立つのはPBRが相対的に低い企業だ。三菱商事は計4000億円の自社株を取得した。25年3月期までの3年間で配当と合わせ1兆5000
億円以上を株主に還元する方針を掲げる。PBRは22年末の0.78倍から1.1倍台に上昇した。伊藤忠商事も計1250億円を取得した。
ホンダは前年比2.7倍の2700億円の自社株買いを実施した。自動車生産の回復で手元資金が急増している。2000億円規模の自社株買い
について「短中期的な観点からは今後もあり得る」(青山真二副社長)と話す。PBRは22年末の0.4倍台から0.6倍台に上昇した。
大株主の放出する政策保有株の吸収を狙った自社株買いも多い。リクルートホールディングスは大日本印刷とTOPPANホールディングスの株式
売り出しに合わせ、約1100億円の自社株買いを実施した。KDDIはトヨタ自動車から約2500億円で自社株を取得した。
企業が自社株買いを積極化するのは、余剰資金が膨らんでいるためだ。上場企業(金融などを除く3月期決算)の23年9月末の手元資金は10
1兆円、自己資本比率は43%といずれも過去最高水準となった。株主還元を厚くしており、23年の自社株買いと配当の合計は約28兆円、純利
益に対する割合は5割強に上る。
東証のPBR改革も後押ししている。1月からは資本コストや株価を意識した経営に取り組んだ企業の開示が始まった。大和総研の鈴木裕主席
研究員は「企業は対応を迫られており、自社株買いの動きは今後も強まるだろう」と指摘する。
市場への自社株の再放出懸念を払拭しようと、取得した自社株を消却する動きも広がる。23年は過去最多の324社が消却した。日産自動車
は23年12月に自社株買いした2億1100万株(発行済み株式総数の5%)を消却した。
半面、株主還元以外にも資金を振り向けるべきだとの指摘は多い。企業の投資行動には慎重姿勢が見られ、政府は1月の月例経済報告で国
内の設備投資の判断を「持ち直しに足踏みがみられる」と据え置いた。人材の確保を含め、持続的な成長につながるような資金の活用も課題とな
る。
2024年2月1日 11時22分
去年3月の金融不安で経営破綻したアメリカの銀行の預金の一部などを引き継いだ、銀行の持ち株会社、ニューヨーク・コミュニティー・バンコープ
の去年12月までの3か月間の決算が最終赤字に陥りました。企業の貸し倒れに備える費用が増えていることが主な要因で、株価が急落するなど
経営に懸念が出ています。
ニューヨーク・コミュニティー・バンコープは、去年3月の金融不安で経営破綻したアメリカの銀行、シグネチャーバンクの預金と資産の一部を買収し
たフラッグスターバンクを傘下におく銀行持ち株会社です。
31日、去年10月から12月までの3か月間の決算を発表し、最終的な損益は2億5200万ドルの赤字、日本円でおよそ370億円の赤字と最終赤字に
陥りました。
今回の決算では企業の貸し倒れに備える費用が前の年の同じ時期の4.4倍に急増したことが最終赤字につながりました。
決算を受けて31日のニューヨーク株式市場ではこの銀行持ち株会社の株価が終値で37%の急落となり、経営に懸念が出ています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240205/k10014347271000.html
橋や水道などのインフラの老朽化が全国各地で課題となる中、JR西日本やNTTグループ、メガバンクなど大手6社が共同で自治体を支援する
新たな事業を始めることになりました。複数の自治体の連携を促し、資金調達なども支援します。
高度成長期に作られた橋やトンネル、水道などのインフラの老朽化が全国各地で課題となり、国土交通省は2048年度までの30年間で全国の
インフラの維持管理や更新に最大で284兆円のコストがかかると試算しています。
こうした中、関係者によりますと、JR西日本、NTTコミュニケーションズ、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行、それに日本政策投資銀
行の6社は、近く業務提携を結び、自治体を支援する新たな事業を共同で始めることになりました。
デジタル技術を活用した効率的な施設の点検や、大規模な修繕や更新に必要となる資金調達を支援します。
さらに、人口の減少が進む地域で、インフラの集約に向けて複数の自治体が連携する提案や調整などを行うということです。
6社は、インフラの更新や管理などを総合的に支援する“プラットフォーマー”と事業を位置づけ、今月中に事業を開始する見通しです。
2024/02/07 日本経済新聞 朝刊
三井住友カードとGMO系2社は6日、クレジットカードを使わない後払い決済「バイ・ナウ・ペイ・レイター(BNPL)」サービスを7日から始めると
発表した。BNPLはネット通販での利用が一般的だが、QRコードを使って店頭でも使えるのが特徴だ。
会員登録すると6回まで手数料無料で分割払いもできる。将来は三井住友カードのポイントとの連携も視野に入れる。
新サービスの名称は「アトカラ」で、2種類のBNPLを提供する。1つ目は会員登録不要の決済だ。電話番号とメールアドレスの入力のみで使
える代わりにネット通販での利用限定で、分割払いもできない。上限は5万5000円とする。
2つ目は事前に会員登録と審査をしたうえで利用するBNPLだ。三井住友カードの決済端末を置く店頭でQRコードによる後払い決済ができる
ほか、最大36回まで分割ができる。分割手数料は6回まで無料となる。
2024/02/08 日本経済新聞 朝刊
三井住友銀行は7日、マイナンバーカードの読み取りでオンライン口座開設時の本人確認ができるようにしたと発表した。従来は運転免許証
や顔写真の撮影が必要だったが、スマートフォンでマイナカードのICチップを読み取って本人確認を完了する。まずスマホ上の総合金融サービ
ス「Olive(オリーブ)」で導入した。
マイナカード読み取りによる口座開設は大手銀行で初。ICチップの読み取りとパスワードの入力で本人確認を済ませられる。氏名や住所、
生年月日などの情報もマイナカードから自動で読み取るため、手作業による個人情報の入力も一部省略できる。
従来、口座開設などをオンラインでする場合、顔写真や本人確認書類をスマホなどで撮影するのが一般的だった。撮影の手間がかかるほか
、本人確認書類の偽装の懸念があった。政府は銀行口座の開設に関する本人確認をマイナカードに集約し、運転免許証などの手法は廃止す
る方針を示していた。
三井住友フィナンシャルグループ(FG)子会社で電子本人確認システムを手掛けるポラリファイの公的個人認証サービスを使う。今後、オリ
ーブ以外のグループの金融サービスでもマイナカードを利用した本人確認システムの導入を検討する。
2024/02/12 05:00 日経速報ニュース
KDDIがローソンをグループに引き入れる。両社が運営面で協力してきた共通ポイント「Ponta(ポンタ)ポイント」は楽天グループなどに押され
気味で、4月には新生「Vポイント」も誕生する。KDDIは出遅れた経済圏の巻き返しに向け、カギとなるポンタをどうテコ入れするのか。推測する
上で参考になりそうのは、ある競合の動きだ。
KDDIはTOB(株式公開買い付け)によりローソン株を追加取得し、同社への出資比率を三菱商事と同率の50%に高める。約5000億円の投資
額はKDDIのM&A(合併・買収)として最大規模だ。
50%出資の狙いとは
その理由を同社首脳は「意思決定を早くしたかった。だから数パーセントではなく50%出資することにした」と説明する。どういうことか。
KDDIはローソンの店舗を「未来のコンビニの実験場」と位置づけ、通信サービスと結びつけたオンライン接客や在庫管理で店舗運営の効率化
を目指す。今回のTOBの狙いは店舗の収益力改善にとどまらない。
視線の先にあるのが、通信サービスを軸に金融や決済、電子商取引(EC)などで構成する「au経済圏」の拡大だ。経済圏にコンビニを組み込
み、先行する「楽天経済圏」を追撃する。
通信大手で全国展開する小売りチェーンをグループ内に置くのはKDDIだけ。50%を出資して店舗運営への発言力を高められれば、au経済圏
の活性化に向けた施策を試しやすくなる。岩井コスモ証券の川崎朝映氏も「強いリアルの売り場であるコンビニを持てば他のキャリア系経済圏
との違いを打ち出せる」とみる。
ポンタ、今は4位
「絶対に強化する。核になるからね」。KDDI首脳が重視するのがポンタだ。決済のたびにたまる共通ポイントは経済圏への集客に欠かせず、
その強さが経済圏の規模を左右する。
ポンタは共通ポイントの中では古株ではあるが、PayPayや楽天が加わった5陣営時代での存在感はそれほどではない。急成長したのがソフ
トバンク子会社のPayPayだ。22年度のポイント発行額は6000億円相当と楽天ポイントの6400億円相当に迫り、「2強時代」となった。
MMD研究所(東京・港)が7日公表した調査によると、「最も活用しているポイント」として楽天ポイントを上げたのは回答者の34%と最多だった。
2位はNTTドコモの「dポイント」(14%)、3位は「PayPayポイント」(12%)で、ポンタは8%と4位に沈む。
同調査では「最も意識しているポイント経済圏」も聞いた。こちらはau経済圏との回答は8%にとどまり、携帯4社のうち最下位だった。首位の
楽天経済圏(46%)、PayPay経済圏(18%)、ドコモ経済圏(16%)の背中は遠い。
4月22日には新たな競合も誕生する。「Tポイント」と三井住友フィナンシャルグループのポイントを統一した新生「Vポイント」だ。金融や決済と
の連携が弱点だったTポイントがクレジットカード「三井住友カード」などと連動するようになり、競争は一層激化する。
PayPayは100億円キャンペーンで顧客拡大
ポンタはどう勝算を描くのか。推測する上で参考になるのが後発ながら強力な還元策で利用者を増やしたPayPayだ。
サービス開始とともに還元総額100億円のキャンペーンなど展開し、ブランドの認知度を高めてきた。19年5月にはソフトバンクグループがPay
Payへの460億円の出資を発表し、ソフトバンクも携帯販売で高い実績を持つ営業部隊も投入して全国でPayPay加盟店を開拓してきた。
グループ一丸で支援したからこそ、5年で決済の利用者数は6000万人超にまで増えた。
KDDIやローソンもポンタの利用を伸ばすには、人・モノ・カネ全てで投資が必要となる。KDDIの投資余力は十分だ。安定した通信収入を支え
に営業キャッシュフローは17年3月以降、毎年1兆円を超える。現金及び現金同等物も23年12月末で6235億円あり、還元キャンペーンなどを
しかけられる体力はある。
株式市場の見方は厳しく、今回のTOBについて「戦略的な合理性は理解しにくい」(証券アナリスト)との声もある。KDDI株はTOB発表翌日の
7日終値で4599円と6日比で2%下がった。日経平均株価が34年ぶりの高水準をつけた9日終値も4467円とさえない。
au経済圏でローソン店舗をどう使い、ポンタを活用するのか。ドコモがマネックス証券子会社化を発表するなど消費者の囲い込みを急ぐ中、
KDDIも早急に具体策を示す必要がある。
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・KDDIがローソンにTOB、5000億円 三菱商事と共同経営
2024/02/13 05:00 日経速報ニュース
1月に始まった新しい少額投資非課税制度(NISA)の口座開設が加速している。主要証券会社19社の1月末時点のNISA口座数は合計で
約1530万口座と新NISA開始後の1カ月間で4%増えた。開設ペースは直近3カ月間の平均の2倍に達し、増加分の9割をネット証券が占めた。
2月13日は語呂合わせで「NISAの日」で、日本証券業協会や日本取引所グループ(JPX)などが東京都内で記念イベントを予定している。
日本経済新聞社が集計したところ、証券19社のNISA口座数は2024年1月の1カ月間で差し引き約64万口座増えた。23年10?12月の
3カ月間の増加数が約87万で、この間の1カ月平均の2倍のペースで伸びたことになる。
口座開設は新NISA開始前から増えており、23年10?12月の増加数も前四半期より2割多かった。旧制度で開設すれば24年1月から同じ
金融機関で自動的に新NISA口座となるため駆け込みでの開設が増えた。
1月の増加数のうちネット証券5社(楽天、SBI、マネックス、auカブコム、松井)で約60万と全体の9割強を占めた。大手証券5社(野村、SM
BC日興、大和、みずほ、三菱UFJモルガン・スタンレー)は約3万4000、東海東京証券など準大手・中堅9社は合計でも約7000で、ネット証
券の優位が鮮明だ。
1月末時点のNISA口座数全体のうち、ネット5社は1100万と全体の7割強にのぼる。最も多いのが楽天証券で524万口座だった。
大手証券でも新NISAの利用は広がる。野村証券ではNISA口座を通じた株式や投資信託の買い付け額が1月26日までの1カ月弱で、23年
通年の買い付け額の3分の1以上に達したという。
野村ホールディングスの北村巧財務統括責任者(CFO)は「新NISAをきっかけに、個人の『貯蓄から資産形成』の流れが本格的に始まった」
と話す。
口座開設の急増で主にネット証券ではコールセンターに問い合わせが殺到している。松井証券では着信に対する応答率が平常時は9割を超
えるが、足元では6?7割に下がっている。他のネット証券大手でも年明け以降、コールセンターがつながりにくい状態が続く。税務署審査を含
めて開設までに3週間程度かかる場合もあるという。
ネット証券各社はNISA口座での売買手数料を無料にしている。投資初心者の心理的ハードルを下げるため旧NISA当時から無料化し、移行
後も顧客をつなぎとめるため無料を維持した。このため口座数の増加が証券会社の収益に結びつきにくくなっている。
国内で長期投資を根付かせるには、個人の資産形成を支える金融機関が持続的に稼げる収益構造の構築も求められる。
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2024/02/13 11:30 日経速報ニュース
新しい少額投資非課税制度(NISA)開始から1カ月が経過し、対面・ネット証券10社の口座を経由した購入額が合計で1兆8000億円を超えた。
単純比較はできないが、旧NISAの3倍ペースの資金流入を記録した形だ。購入総額の過半は投資信託で、米国など世界の株式に投資する商
品に人気が集中している。若い世代や投資初心者を中心に投信の積み立てが広がりつつある。
ネット証券5社(SBI、楽天、マネックス、松井、auカブコム)と、対面中心の大手証券5社(野村、SMBC日興、大和、みずほ、三菱UFJモル
ガン・スタンレー)に、NISA口座を使った1月の投資状況を聞き取りした。
24年1月に始まった新NISAは個別株と投信を購入できる「成長投資枠」と、投信を毎月積み立てる「つみたて投資枠」の二本柱からなる。購入
可能額は2つの枠を合計した年間360万円に拡大した。非課税で運用できる期間も恒久化され、個人投資家は長期の資産形成がしやすくなって
いる。
新NISA口座を通じた購入額は証券10社合計で1兆8413億円に膨らんだ。単純比較はできないが、日本証券業協会が集計した会員証券会
社経由の23年1?3月期の購入額は1兆8625億円(旧NISAの「つみたて」と「一般」の合算)だった。新制度開始からわずか1カ月で旧制度3
カ月分の購入額にほぼ並んだ。
証券各社には投信と個別銘柄(上場投資信託=ETF、不動産投資信託=REIT=を含む)の内訳も聞いた。投信の購入額は合計で9788億円で全
体の53%を占め、個別銘柄の購入額(8643億円)を上回った。若い世代の利用が多いネット証券のみで集計すると、投信の購入比率は6割近く
に高まった。一方、中・高齢者層の顧客が多い対面証券では7割が個別株だった。
新NISA開始で投信を毎月一定額積み立てる層が広がっている。524万のNISA口座を抱える楽天証券では1月末時点の投信積み立て設
定額が1773億円となり、前年同月に比べて75%増えた。1人当たりの平均積み立て設定額も同44%増の5万757円に拡大したという。
若い世代や投資初心者ほど投信を選ぶ傾向が強い。これから投資を始める30代の女性は「最初から個別株をうまく選べるとは思えず、とりあ
えず全世界株式型の投資信託から始める予定」と話す。楽天証券によると新NISA口座開設者のうち半数は30代以下が占める。女性の比率も
5割を超える。
ル・カントリー)」の3142億円、2位は同じシリーズの「米国株式(S&P500)」の2465億円だった。上位10本の購入総額7858億円で、投信購入額
全体の8割を占める。
投信購入ランキング上位10本のうち9本が全世界株や米国株で運用する指数連動型の商品だった。つみたて投資枠で買える投信は約270本
、成長投資枠で買える投信は約2000本あるが、個人マネーの流入は一握りの低コスト投信に限られている。日本株ファンドや高い収益を狙うア
クティブ投信は人気薄だ。
個別株でも新NISA経由で買われた銘柄は一部に集中している。個別銘柄を買い付け額順に並べると上位10銘柄の買い付け額は計2114億
円で、個別株の買い付け額の25%を占める。上位はJTやメガバンクなどの高配当銘柄が占め、新NISAを見据えて1株を25分割したNTTは4
位だった。
NISA経由の購入では業績や株価の安定成長が見込める高配当銘柄が好まれる。NISA口座内で損失が発生しても、他の証券口座と損益通
算や繰越控除ができないからだ。東海東京調査センターの鈴木誠一チーフエクイティマーケットアナリストは「旧NISAで人気だった銘柄に引き
続き買いが集まっている」と指摘する。
個人投資家全体でみると日本株売りが優勢だ。東京証券取引所が発表した1月の投資部門別株式売買動向によると、個人は9370億円の売り
越しとなった。旧NISAで個別株投資を始めた30代の女性は「年初から株高だったので保有株を一部売却した」と明かす。新NISAになってから新
規投資は控えているものの、相場下落局面では「保有銘柄数を増やしたい」という。
市場関係者が注目するのは2月以降の個人マネー流入ペースだ。例年1月はNISA経由の投資額が膨らみやすい。個人は冬のボーナスで投資
に使える余裕資金が多いほか、年初に限度額いっぱいまで投資する層が存在するからだ。
一方で年明け以降もNISA口座の新規開設ペースは衰えていない。業界内では「NISAを使って初めて投資をする人が入ってくるのはこれから」
(松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリスト)との見方もある。
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・新NISA始動 投資戦略に役立つ注目記事7本
2024/02/19 12:00 日経速報ニュース
新しい少額投資非課税制度(NISA)を追い風に、年明けから投資信託への資金流入が急増している。国内公募の追加型株式投信(上場投
資信託=ETF=を除く)の2024年1月の資金流入額(推計値、以下同)は1兆2794億円と、16年5カ月ぶりの高水準だった。
資金流入額の多さでみるとタイプ別では海外株式型に人気が集中しているが、堅調な日本株相場を背景に1月は国内株式型にも約1300億
円の資金が集まった。そこで、国内株式型ファンドを対象に資金流入額が多い順にランキングしてみた(図表参照)。
資金流入額のトップは、SBI岡三アセットマネジメントの「日本好配当リバランスオープン」で286億円だった。同ファンドは日経500種平均株価
採用銘柄の予想配当利回り上位70銘柄程度に等金額で投資し、組み入れ銘柄や比率を毎月調整しながら運用する。運用実績が18年を超え
る長寿ファンドだが、足元で相対的な好成績が目立ち、昨年初めごろから資金流入額が増加傾向にある。運用規模を適正に維持するため、24
年2月7日を最後に新規購入申し込みの受け付けを一時停止した。
このほか、3位にSBIアセットマネジメントが運用する「SBI日本高配当株式(分配)ファンド(年4回決算型)<愛称:SBI日本シリーズ-日本
高配当株式(分配)」、4位に野村アセットマネジメントの「日本好配当株投信」、5位に三菱UFJアセットマネジメントの「日経平均高配当利回り
株ファンド」など、ファンド名に「高配当」や「好配当」とつくファンドが並んだ。
明治安田アセットマネジメントが1月31日に運用を始めた7位の「岐阜・愛知地域応援ファンド<愛称:ノブナガファンド>」も、岐阜県と愛知県
に関連する企業の株式に高配当株を組み合わせて投資する。
上位10本のうち3本は1月に新規設定されたファンドだった。10本中の8本はアクティブ型(積極運用型)で、残り2本がインデックス型(指数
連動型)。新しいNISAの投資枠で区分すると、上位10本はいずれも成長投資枠の対象となっており、このうち3本はつみたて投資枠でも購入
できる。
2024/02/20 日本経済新聞 朝刊
日銀による早期のマイナス金利解除を見越し、大手銀行が水面下で資金運用の見直しの検討を始めた。これまで「ゼロ」が続いてきた大手
銀行の当座預金残高に連続してマイナス金利が適用されたためだ。市場では銀行の意図を探る動きが活発になっている。
日銀は2016年2月にマイナス金利政策を導入した。金融機関が日銀に預けている当座預金を(1)0.1%の金利が付く基礎残高(2)ゼロ
金利のマクロ加算残高(3)マイナス0.1%の金利が付く政策金利残高――の3階層に分け、(1)(2)を上回る(3)の部分にマイナス金利を
課す仕組みだ。
顧客から巨額の運用資金を預かる信託銀行や外国銀行などがマイナス金利の適用を受けてきた。一方、大手銀は余剰資金を海外での投
融資に振り向けるなど工夫を凝らして日銀にあずける当座預金へのマイナス金利適用を免れてきた。
日銀関係者は「大手銀は少しくらい損失が出ても無理してマイナス金利の適用を避ける資金運用をしてきた」と話す。実際、21年12月に三
菱UFJ銀行、22年7月にみずほ銀行がマイナス金利の適用を受けたほかは、導入当初を除き適用残高はほぼゼロが続いてきた。
潮目が変わったのは23年10月だ。1年3カ月ぶりに大手銀全体で2000億円強の預金にマイナス0.1%が適用された。さらに11月に約
5700億円、12月には過去最大の約3兆1600億円まで適用額が膨らんだ。
直近1月には再び大手銀のマイナス金利適用額はゼロに戻ったが、これまでなかった事態に市場関係者の間で複数の見立てがささやかれ
ている。
一つは市場環境の変化だ。余剰資金の運用先である短期国債金利は海外投資家の取引が活発化した23年12月にマイナス0.2%程度
まで沈む場面があった。市場で運用するより日銀に預けてマイナス0.1%を課された方が合理的と判断したとの見立てだ。
もう一つがマイナス金利政策の解除をにらんだ動きとの見方だ。日銀の内田真一副総裁は8日の講演でマイナス金利政策導入前の当座
預金に言及した。当時は法定枠を超えた超過準備分に0.1%の金利をつけていた。
当時の枠組みに戻すとすれば、銀行は当座預金に預けるほど日銀から金利収入を得られることになる。ある証券会社のトレーダーは「当座
預金にあらかじめ多めに資金を積み、マイナス金利解除後の運用を有利にしたかったのでは」とよむ。
足元で金利は上昇傾向にある。BNPパリバ証券の河野龍太郎氏は「政策修正も意識され、金利変動リスクを避ける意図もあったのでは」と
指摘する。あるメガバンク関係者は「マイナス金利がなくなれば銀行の運用の姿は大きく変わる」と話す。大手銀の資金運用で起きている異変
は、8年間続いた異例な政策が終わりに近づいていることと無縁ではなさそうだ。
2024/02/20 12:56 日経速報ニュース
20日午前の東京株式市場で日経平均株価は小幅に続落した。半導体関連株の過熱感を意識した売りは重荷だが、バリュー(割安)株への
買いが続き下値は限られた。ゴールドマン・サックス証券はこのほど、米国の「マグニフィセント7(壮大な7銘柄、M7)」と呼ばれる大型テック株
に相当する日本の7銘柄「セブン・サムライ(七人の侍)」を選定した。日本企業の資本効率改善への期待が相場を支え、日経平均の最高値更
新への素地が整いつつある。
前日の米市場がプレジデントデーの祝日で休場とあって手掛かり難のなか、午前は年初からの日本株の上昇をけん引してきた一部の半導体
株の売りが日経平均を下押しした。前引けは前日比31円74銭(0.08%)安の3万8438円64銭だった。
日本株の先高観は引き続き支えとなり、上げ幅を200円超に広げる場面もあった。トヨタ自動車が上場来高値を更新し、三菱UFJフィナンシャ
ル・グループは17年ぶりの高値となる1500円台に上昇した。市場では「21日の米半導体大手エヌビディアの決算発表を控えてハイテク株は手
掛けづらく、当面バリュー株物色が続きそうだ」(国内証券)との声が出ている。
ゴールドマンは18日付で、SCREENホールディングス、アドバンテスト、ディスコ、東京エレクトロン、トヨタ、SUBARU、三菱商事の7銘柄を
黒沢明監督の世界的に有名な映画になぞらえて「七人の侍」として暫定的に選んだ。流動性の高い銘柄を対象に、年初来と過去12カ月の株価
のパフォーマンスが良好で、2020年以降営業赤字や最終赤字に陥っていない企業が条件だ。この銘柄の中では、スクリンが午前に一時4%
高まで上昇した。
日本企業の資本効率の改善に対する投資家の期待は高い。東京証券取引所は1日に、「資本コストや株価を意識した経営」について、国内
外の投資家から支持を得た取り組みの事例集を公表。「七人の侍」に含まれる三菱商や三菱UFJなど29社が取り上げられた。東証が上場企
業に取り組みを要請した23年3月から昨日までの株価の騰落率を調べると、事例集の29社は単純平均で49%の上昇だ。同期間の日経平均
(約37%)や東証株価指数(TOPIX)(約32%)を大幅に上回る。
政策保有株の縮減も進みつつある。総合物流のセンコーグループホールディングスは19日、MS&ADインシュアランスグループホールディン
グス傘下のあいおいニッセイ同和損害保険や、三菱UFJ傘下の三菱UFJ銀行、三井住友フィナンシャルグループ傘下の三井住友銀行などが
保有株を売り出すと発表した。
金融庁は株式の持ち合いを通じた企業とのもたれ合いが不正の温床になったとして損保各社に売却の加速を求めた。野村証券の池田雄之
輔チーフ・エクイティ・ストラテジストらは16日付のリポートで「金融庁からの働きかけの有無にかかわらず、銀行は今回の件を理由に政策保有
株の売却を加速させる可能性が考えられる」と指摘していた。
ゴールドマンのブルース・カーク氏らはリポートで、2020年3月以降の株価の変動要因を分析し、米国の「M7」が売上高の拡大であるのに対
し、日本の「七人の侍」は「ほとんどが利益率とPER(株価収益率)の拡大によるもの」と指摘した。あらゆるコストを削って利益を確保するのは
日本企業の「お家芸」ではあるが、ここまでの上昇は長年割安に放置された日本株の見直し買いにすぎないとも言える。
日経平均の史上最高値(3万8915円)の更新は間近に迫りつつある。4万円超えの市場予想も増えている。上値追いには効率を追うだけで
なく、米国のように売上高や利益の「規模」の拡大も必要になってくるだろう。
2024/02/22 日本経済新聞 朝刊
リース大手の三井住友ファイナンス&リース(FL)は出資先を通じてリース用ヘリコプター21機を取得する。購入総額は500億円強とみられ
る。主に医療現場での救急搬送や災害救助用としてリースする。安定した需要拡大が見込める分野とみて、世界で事業を拡大する。世界の
リース業界でも最大規模の発注になるとみられる。
三井住友FLが35%出資するLCIインベストメンツと、三井住友FLとLCIが共同出資するSMFLLCIヘリコプターズ(SMFLH)が取得する。
28年までに順次引き渡しとなる。
取得する機体の大半は中型機だ。地方自治体や医療現場での利用を想定する。欧州やアジアを中心に医療現場や災害救助でヘリの活用
が増えているが、1機あたり十数億円と高額なため、自前で購入するのが難しい自治体も多い。初期投資を抑えられるリースの需要が増える
とみている。脱炭素に向けて新設が進む洋上風力発電所の保守管理用に、準大型機も数機購入する。
購入の原資は銀行借り入れでまかなう。社会課題の解決に資するソーシャルローン(社会的融資)の枠組みを使った資金調達を想定する。
通常の借り入れと比べて低い金利で調達することができる。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-02-26/S7FV4WT0AFB400
2024/03/03 05:00 日経速報ニュース
日銀が金融機関からお金を預かる当座預金の構造をマイナス金利前に戻す案を検討している。マイナス金利の解除後に当座預金の大半に
金利がつく公算が大きい。大手銀行は資金運用の見直しに着手しており、日銀当座預金の積み増しに動く方向だ。金融機関が日銀にお金を預
けるほど「ペナルティー」として利払いを課されてきた現在の構造は転換することになる。
「2%の物価目標の実現が視野に入ってきている状況だ」。日銀の高田創審議委員が2月29日の金融経済懇談会でこう述べたことで、3月か
4月のマイナス金利解除の観測が大きく強まった。
銀行はマイナス金利解除後をにらんだ資金運用の見直しに水面下で動き始めている。「当座預金に多く預けるというインセンティブは働きやす
くなる」(大手銀幹部)。大手短資会社幹部は「銀行が資金調達に積極的になり、国債購入で余った資金を当座預金に積む構図が加速する」と
指摘する。
金融機関は資金決済を行うため日本銀行に当座預金口座を開設し、資金を預けている。日銀はいわば銀行の銀行といった位置づけだ。
日銀は2016年、その当座預金の一部にマイナス金利を課す仕組みを導入した。当座預金を①マイナス0.1%の金利(ペナルティー)が付く政策
金利残高②金利0%のマクロ加算残高③金利0.1%の基礎残高の3階層に分けている。
金融機関は多額のお金を預けて政策金利残高の層まで積むと、日銀にお金を支払う必要があるのが今の構造だ。しかし、市場には日銀が大
半の当座預金に金利をつけた昔の構造に戻すとの見方が広がる。内田真一副総裁が2月上旬の金融経済懇談会で「仮にこの状態に戻すとす
れば」とし、16年2月のマイナス金利導入前の当座預金構造を紹介したためだ。
マイナス金利導入前の当座預金は、日銀に預けることを法律で定められた最低限額の「法定準備」、それを上回った分の「超過準備」の2つに
分け、法定準備の利息はゼロ、超過準備のほうに0.1%の金利を付けていた。
この構造の場合、金融機関は超過準備額が多くなれば多くなるほど、より利息を受け取ることができる。今は当座預金全体の8割超を超過準
備が占めている。
野村総合研究所の木内登英氏は、現在の当座預金の規模でマイナス金利導入前の構造に戻すと、銀行などの利息収入は年間で2500億
円増えると試算する。
日銀内では、元の構造に戻すのは「金融機関への補助金との批判が出る可能性はある」との懸念があった。「激変を避けるために、解除時に
は現在の3層構造は維持し、その後従来の当座預金に戻していく」(木内氏)との見方もある。それでも「3層構造よりシンプルな構造にすべき」
「(金利支払いは)政策運営には必要なコスト」と支持する声が広がる。
日銀の当座預金は1月時点(平均残高)で536兆円だった。日銀が大量の国債買い入れを進めて市場に資金を供給したことで、マイナス金利
を導入した16年2月時点と比べて2.1倍に増えた。金融機関が金利を求めて資金を預けようとすれば、当座預金残高がさらに大きく膨らむ可能
性がある。
金融機関の運用にとっては追い風となる当座預金構造の変化だが、日銀にとっては課題もある。当座預金が膨張したなかでの利上げは「不
確実性が大きく、オペ(公開市場操作)も手探りとなる」(日銀関係者)。
「逆ざや」のリスクもある。マイナス金利解除後の利上げ局面で、日銀が当座預金に対して支払う利息が国債などの利息収入を上回れば逆
ざやとなり、日銀の財務にとってはマイナスだ。中央銀行は赤字や債務超過になっても基本的に政策運営に支障はないが、財務が悪化する
過程で信認が揺らげば、思わぬ円安や金利急騰につながる懸念も捨てきれない。
早ければ3月にも、日銀がマイナス金利を解除するとの見方が市場で広がるなか、日銀内外で政策変更を円滑に進めるための備えが着々と
進む。
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[東京 7日 ロイター] - 三井住友フィナンシャルグループ(8316.T), opens new tabは7日、2021年に連結子会社化したインドのノンバンク
SMFGインディア・クレジット・カンパニー(SMICC)の持ち分25.1%を取得し、完全子会社化したと発表した。取得額は7億ドル(約1040
億円)相当。
SMFGは2021年11月、フラートン・フィナンシャル・ホールディングスから中小企業や個人向けノンバンク事業を手掛けるフラートン・インディ
ア(現SMICC)の株式74.9%を取得。将来的に完全子会社化を目指す方針を明らかにしていた。
2024/03/07 19:10 日経速報ニュース
三井住友フィナンシャルグループ(FG)は7日、インドのノンバンクで子会社のSMFGインディア・クレジット(旧フラトン・インディア)に6日付で
7億ドル(約1000億円)を追加出資したと発表した。出資比率は74.9%から100%に高まり、完全子会社となった。人口増と成長が見込める
インドで個人向けのローンなどを拡大する。
シンガポールの投資会社、フラトン・フィナンシャルホールディングスの子会社から持ち分を取得した。三井住友FGは21年に2200億円で
旧フラトン・インディアの株式の74.9%を取得し、将来は完全子会社化する方針を示していた。今後は農村部などの支店網を拡充し、22年度
に6000億円だった貸出金を25年度以降に1兆2000億円とすることを目指す。
2024/03/08 日本経済新聞 夕刊
金融庁は新型コロナウイルス禍で導入した中小企業向け資金繰り支援の緊急措置を終える。苦境に陥った中小企業を支えるため、事業の先行
きが不透明でも融資を受けられるよう不良債権の分類ルールを事実上緩和していたが、2024年度から正常化するよう全金融機関に通達した。
緊急の資金繰りから事業再生支援に軸足を移すよう促す。
8日、経済産業省、財務省と共同で「再生支援の総合対策」をまとめて業界団体に通達を出し、全金融機関に要請した。すでに実質無利子・無
担保融資(ゼロゼロ融資)の新規受け付けは終えているが、既存融資の緊急支援も今年度内に打ち切る。
平時のルールでは返済猶予など融資条件を緩和した貸出先は抜本的な経営再建計画をつくらなければ銀行は不良債権に分類する。不良債権
になれば多額の貸倒引当金を積むため新規融資のハードルが高まる。再建の見込みが低ければ融資の回収に走る懸念もある。
このため、金融庁は21年10月、コロナ禍で苦境に陥った中小企業に貸し渋りや貸しはがしが起きないよう、この不良債権の分類ルールを事実
上緩和した。
8日に業界団体に出した通達文では「事業者の経営改善・事業再生を先送りしないため、早期に経営再建計画等の策定支援を行う」よう会員金
融機関に周知徹底するよう求めた。緊急措置を解除する「コロナの影響収束の見通しが立つまで」という前提条件を満たし、正常化に向けた環境
が整ったと判断した。
緊急措置の終了に伴い貸し渋りや貸しはがしが起きないよう監視体制も強める。具体的には金融庁が4月以降、全金融機関にアンケートを実施
し、中小企業の経営再建計画づくりを支援しているかチェックする。計数を把握し、取引姿勢に問題があれば、「必要に応じて追加的ヒアリングを実
施する」としている。
貸し渋りや貸しはがしが起きる予兆を見つければ、安易に不良債権として処理し、取引を打ち切っていないか個別に確認する。
金融庁は4月1日付で監督指針も改正し、中小企業のサポート体制について、資金繰り支援中心から経営改善・企業再生支援へ軸足を移すよう
明記する。
https://kabutan.jp/news/marketnews/?b=n202403100028
「いま優先すべきは金融株への投資!近づくマイナス金利解除の足音」
●市場が困惑するマイナス金利解除と円高のトレードオフ
マイナス金利の解除はOKだけれど、それに伴う円高が怖い。東京市場はこんなトレードオフに困惑中だ。両方同時にわれわれの願望を満たし
てくれないものか。こんな期待をするのだが、「あちらが立てばこちらが立たない」状況は基本的には解消しない。
しかし、片方が上がるともう一方は下がるシーソーと異なり、人間の心情が関わるトレードオフでは、片方をわれわれが受け入れてしまえば、両
立することもあり得る。
金利と為替なら、利上げによって円高になったとしても、市場心理が円高でも構わないと許容するか、マイナス金利解除による金利の上昇がマ
イルドなものになれば、双方がほどほどの痛みで共存し、株式市場は騰勢を取り戻すことになる。
それに、このところ日銀の政策委員がマイナス金利の解除を匂わせる発言をしているのも、実際に解除した場合のショックを抑制しようとしている
と見るべきだ。先月29日、高田創審議委員が、経済の不確実性はあるものの「2%物価目標実現がようやく見通せる状況になってきた」と言明し、
微妙な言い回しながら、マイナス金利の解除が近いことを仄めかした。
今月に入ると7日、中川順子審議委員が島根県金融経済懇談会で挨拶し、企業の賃金引き上げ姿勢など、より明確な変化の兆しが見られ、経
済・物価情勢は2%物価目標の実現に向けて「着実に歩を進めている」と述べた。
同日午後には植田総裁が参議院予算委員会に出席し、金融政策の転換の前提となる2%の物価安定目標について「実現する確度が少しずつ
高まっている」との認識を改めて示している。
これらの発言を、今月18~19日に開催予定の日銀金融政策決定会合の日程に重ね合わせると、今月中のマイナス金利解除の方針表明、これ
があると見るのが自然だ。そのため、前述したように市場は困惑し、7日~8日と方向感を失った格好となったのだが、上昇トレンドが壊れたわけで
ない。それは日経平均株価のチャート(日足、週足、月足のいずれも)を見れば明らかであり、しかも出来高も増加を続けている。
●地銀株の好パフォーマンス再演に期待
では、このような状況を踏まえた場合、どんな投資戦略が適切か。金融関連株への投資――いまはこれを優先したい。中核銘柄は三菱UFJフ
ィナンシャル・グループ <8306> [東証P]になるが、同社株はこれまで幾度も取り上げているので今回は別の銘柄を紹介したい。
まずは山梨中央銀行 <8360> [東証P]になる。同行は山梨唯一の地銀であり、県内シェアは4割を超す。地方銀行株が浮上に転じると、株価は
これまで素晴らしい上昇をみせてきたが、今回もそれが見込める。私の地元の銀行、横浜銀行を傘下に持つコンコルディア・フィナンシャルグルー
プ <7186> [東証P]も、すでに高値圏ながらなお上昇余地ありと見てよい。
熊本が半導体メーカーの集積地となるため、九州フィナンシャルグループ <7180> [東証P]の有望度は変わらないが、北海道にはラピダスが拠点
を置くことを考えると、札幌に拠点がある北洋銀行 <8524> [東証P]を忘れてはなるまい。株価は3月に入り騰勢を強めているものの、私にはまだま
だ評価は低いように見える。
銀行ばかりでは面白くないだろうから、リース企業にも目を向けると、NECキャピタルソリューション <8793> [東証P]がある。また、投資関連では
「ひふみ投信」で知られるレオス・キャピタルワークス <7330> [東証G]に注目したい。
2024/03/11 15:14 日経速報ニュース
11日の東京株式市場で日経平均株価は急落し、終値は868円45銭(2.2%)安い3万8820円49銭となった。下げ幅は2021年6月21日(953円
安)以来の大きさ。取引時間中の下げ幅は一時1190円を超えた。外国為替市場での円高進行で、企業業績期待がやや後退した。年初から続
いてきた円安と株高の流れが途絶え、日経平均は2月22日に34年前のバブル期につけた最高値(3万8915円)を更新したが、そうした楽観相場
に冷や水を浴びせた格好だ。
11日の外国為替市場で円相場が一時1ドル=146円台半ばをつけた。8日に発表された2月の米雇用統計で平均時給の伸びが市場予想を下
回り、米連邦準備理事会(FRB)による利下げを見込んだドル売り・円買いが広がっている。来週に開かれる日銀の金融政策決定会合を控え、
マイナス金利解除を意識した円買いも優勢だ。
2月末に円相場は150円程度で推移しており、10日程度で3円以上円高が進んでいる。2月は米国のインフレ減速ペースが鈍化していること
から利下げが遠のくとの見方が強まり、日米金利差の高止まりを意識したドル高が進んでいた。ドル高の長期化を見込み、ヘッジファンドなどの
投資家による円売り・ドル買いが大きく積み上がっていただけに、持ち高の解消が急激な円高圧力につながっている。
日銀の金融政策をめぐる観測も円買いを加速させている。日銀は来週18?19日に金融政策決定会合を開く。物価と賃金の上昇がみられ、市
場では「マイナス金利解除に必要な材料はそろっている」との見方が多い。米国の金融引き締め姿勢、日銀の金融緩和姿勢がそれぞれ転換す
れば円高圧力は大きく、先回りの円買い・ドル売りが広がっている。
円高進行は輸出関連銘柄の下げにつながりやすい。輸出株の代表格であるトヨタ自動車は一時5%下落した。7日に上場来高値を更新しており
、高値圏で利益確定売りが出やすかった。マツダ、日産自動車ともに一時5%安などほかの自動車株も下げ、業種別日経平均の「自動車」の終
値は2.6%安だった。
自動車以外でもクボタやキヤノンといった輸出株が幅広く売られた。岡三証券の松本史雄チーフストラテジストは「来期(25年3月期)の業績を考
える上で前提となる為替が円高に動き、アナリストや企業の業績予想が切り下がるとの警戒感が広がっている」と指摘する。
半導体関連の利益確定売りも日経平均の重荷となった。前週末の米株式市場では主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体
株指数(SOX)が4%下落。ここまで日米の株式相場をけん引してきたエヌビディア株は利益確定売りに押され6%近く下落した。
米半導体株安を受け、東京市場でも半導体関連の売りが広がった。東京エレクトロンは一時6%安、アドバンテストは一時7%安まで下げた。
ソフトバンクグループ株も一時7%安まで売られた。
とはいえ市場参加者は冷静さを保っている。T&Dマネジメントの酒井祐輔シニア・トレーダーは「SOXは年初から異常なほど上げており、このよ
うな下げはその反動としてやむを得ないこと」と指摘する。
東エレクは寄り付き直後に取引時間中の安値をつけたが、下値では買いが入り下げを縮める場面もみられた。T&Dアセットの酒井氏は「パニッ
ク的な売りならもっと大きく下げるはずで、海外投資家の買い意欲が途切れたわけではないだろう」という。
日本株の上昇を支えてきた円安加速による業績拡大期待と半導体株高が同時に見直され、日経平均は大きく下げたものの、日本企業の経営
改革への期待は途切れていない。前週末に500億円を上限とする自社株買いを発表した大日本印刷は一時6%高と逆行高を演じている。
日銀の決定会合を通過するまでは積極的な買いを入れにくいとの声も上がる。資本効率の向上期待のような材料を手掛かりに、調整局面の
下値を早期に固められるかが焦点となる。
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2024/03/12 日本経済新聞 朝刊
リース大手の三井住友ファイナンス&リースは11日、子会社を通じてシンガポールの不動産投資ファンドARAアセットマネジメントの私募ファンド
事業を買収すると発表した。買収額は約400億円。経済成長が見込まれるアジアやオーストラリアで不動産などへの投資を加速する。
アジア有数の不動産運用会社であるARAが私募ファンド事業をカーブアウト(事業切り出し)し、売却する。カーブアウト後の新会社名はARAvest
で、運用資産残高は1兆1000億円。完全子会社のSMFLみらいパートナーズのシンガポール現地法人が7割、連結子会社のケネディクスが3割
を出資する。
2024/03/14 日本経済新聞 朝刊
日本企業の政策保有株を巡る「岩盤」が崩れつつある。損保大手が政策保有株をゼロにする方針を示し、次の候補に銀行が注目される。
ガバナンスを問われる株主総会シーズンに向け企業と投資家双方の動きが活発化する中、政策保有株の処遇は大きな株価材料だ。
13日の東京株式市場で日経平均株価は3日続落した。東証プライム市場では約7割の銘柄が下落する相場で気を吐いたのが保険株だ。
東証業種別株価指数「保険業」は0・6%の逆行高となり、業種別で値上がり率は3位となった。
「事業の成長につながらない政策保有株は許容されない時代になる」。クエストハブ最高経営責任者(CEO)の大熊将八氏は指摘する。
2月末にかけ損保大手4社は政策保有株をゼロにする方針を打ち出した。
政策保有株の売却を通じて市場から期待されるのは「得意分野へと経営資源を大胆に投入し、中長期での業績拡大の確実性を高める
こと」(シティグループ証券の丹羽孝一アナリスト)だ。
次に注目されるのが銀行だ。PBR(株価純資産倍率)が1倍を割れる銀行株にとって政策保有株の削減による保険株の急騰は他人事で
はない。野村資本市場研究所の集計では損保が保有する上場株(時価)が市場全体の時価総額に占める比率は22年度末時点で1・0%。
対して銀行は2・6%と相対的に大きい。
さらに国際的な資本規制「バーゼル3」の最終化では株式のリスクウェート引き上げが予定され、政策保有株がこれまで以上に「リスク資
産」とみなされる。「各行は政策保有株を減らさない限り(財務の健全性を示す)中核的自己資本(CET1)比率の重荷になり得る」(ゴールド
マン・サックス証券の黒田真琴アナリスト)
ゴールドマンは大手邦銀について「政策保有株を23年12月末の時価で10%売却した場合」に利益や資本効率性指標に与える影響を試
算した。3大メガバンク以外で影響が大きいとみられるのがりそなホールディングス(HD)株だ。
りそなHDは23年末時点で9410億円分の政策保有株を持ち、含み益は6740億円。10%を売った税控除後の利益は24年3月期の純
利益の会社予想(1500億円)の3割に相当する。自己資本利益率(ROE)は7・9%に改善する計算だ。りそなHD株は13日、一時3%高
まで上昇する場面があった。
投資家が政策保有株に向ける目線は厳しい。アセットマネジメントOneは4月以降の株主総会で、政策保有株が純資産の40%以上の金融
会社の代表取締役選任に原則反対する。これまでは数値を明記していなかった。
13日は春季労使交渉(春闘)の集中回答日で、製造業各社で労組側の要求に応える賃上げ回答が相次いだ。賃金と物価の「好循環」に
よって日銀の金融政策の修正が近いとの認識が市場のコンセンサスとなっている。
「銀行株は日銀の政策修正後に材料出尽くしとなる展開が予想されるものの、融資の伸びといった利益の成長余地を考えれば拾い場にな
る」(ファイブスター投信投資顧問取締役運用部長の大木将充氏)。政策保有株の売却も加われば、新たな銀行株相場が訪れるかもしれない。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-03-14/SAB6S0T0G1KW00
22年12月のYCC修正後に銀行指数は68%上昇、TOPIX上回る
前回の利上げ局面、06年3月の量的緩和解除時が銀行株のピークに
日本銀行が金融引き締めに転じた最初の局面は、銀行株の上昇が終わりを告げると過去の歴史は語っている。ウォール街の相場格言
「うわさで買って事実で売れ」にも当てはまりそうだ。
日銀が2022年12月に市場予想に反してイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)政策を微修正して以降、東証株価指数(TOP
IX)の銀行業指数は68%上昇し、TOPIXの39%を大きくアウトパフォームしている。10年国債利回りは一時1%近くまで上昇した。
将来の給付に備えて「国内株式、海外株式、国内債券、海外債券」を25%ずつ保有する方針で運用している。いずれかのプロダクトの保有比
率が上がったり下がったりすれば、「リバランス」と言って投資比率を均等にする手法を取る。リバランスは1つのプロダクトのウェートが大きく
なりすぎたり、小さくなりすぎたりする弊害をなくし、比率が上がれば売却して利益を確保し、比率が下がれば購入して将来の利益機会を仕
れるという意味合いがある。リバランスはグローバル投資の基本スタイルであり、GPIFに限らず幅広くおこなわれている。
https://news.yahoo.co.jp/articles/d8e01f12b771e93f27a6c632993eefcd45010298
はずの銀行株をさらに買い上げることに投資家が慎重になっている。政策修正を織り込んだ買いで、金利上昇による業績改善が既に株価に
反映されてきたためだ。
野村アセットマネジメントの宮崎義弘チーフ・ポートフォリオマネジャーは、三菱UFJフィナンシャル・グループや三井住友フィナンシャルグループ
などの持ち高を利益確定売りで減らしてきた。銀行株の「オーバーウエート」は維持しているが、日銀が2022年12月に政策修正に踏み出す前
から銀行株に投資してきた同氏は「今の水準からウエートを増やすことはしない」と考えている。
JPモルガン・アセット・マネジメントの坂井美智子ポートフォリオ・マネジャーは、ゼロ金利までの利上げは市場である程度織り込まれてきたと話
す。銀行株は収益性などの観点から「持ちたい企業群ではある」とした上で、金融セクターではコーポレートガバナンス(企業統治)の改善期待
などが高い保険会社をより多く保有していると明かした。
日銀が22年12月にイールドカーブコントロール(YCC、長短金利操作)を修正して以来、金利上昇の追い風を受けた銀行株は日本株上昇を主導
するセクターの一つになってきた。修正翌日以降のTOPIX銀行業指数の上昇率は68%と、東証株価指数(TOPIX)の39%高や日経平均株価
の46%高を上回る。
だが、足元で銀行株の長期金利への感応度は低下。1に近づくほど似た値動きであることを示す相関係数(20日間)はマイナス0.25と、負の相
関であるマイナスに下がった。金利上昇が銀行株買いにつながっていないことを意味する。
物価の高止まりや企業の力強い賃上げ機運を受けて3月のマイナス金利解除の見方が急速に増える中、日経平均は史上最高値からの調整
を強いられている。金利上昇局面では相対的な割高感が高まる株式に売り圧力がかかりやすい。支えとなってきた銀行株に勢いが戻らなけれ
ば、日本株相場は金利上昇により脆弱(ぜいじゃく)になり得る
銀行株の先行きを占う上で市場参加者が注視するのは、マイナス金利解除後の利上げ動向だ。シュローダー・インベストメント・マネジメントの豊
田一弘日本株式運用総責任者は、昨年から円高や金利上昇がポートフォリオにややプラスに働くよう、銀行や保険株などをオーバーウエートに
してきたと話す。「さらにウエートを取っていく運用はしない」としつつ、市場に追加利上げへの期待がある間は銀行株にはポジティブだとみている。
金利スワップ市場は日銀がマイナス金利政策を終えた後、10月末までに1回の追加利上げを100%織り込んでいる。
JPモルガン・アセットの坂井氏は、日本経済の好循環が生まれ日銀がどんどん利上げをしていく場合には、銀行株には「かなりポジティブに動くのではないか」との見解を示した。
2024/03/18 10:42 日経速報ニュース
藤代宏一・第一生命経済研究所の主席エコノミスト 18日の東京株式市場で日経平均株価の上げ幅が800円を超えたのは、日銀の政策修正
を巡る悪材料の出尽くしが意識されていることが大きい。3月の金融政策決定会合での政策修正の可能性が最初に報じられてから株式相場は
調整局面が続いたため、先週末のマイナス金利政策の解除を巡る報道で見直し買いが入りやすくなっている。政策修正をしても当面は緩和的な
金融環境が維持される見通しであることが支援材料だ。日経平均は再び節目の4万円を目指す展開になると想定している。
報道などによると、日銀当座預金の超過準備に付く金利(付利)を0.1%に戻す観測が浮上している。これまでマイナス金利政策の対象になって
いた金融機関にとっては収益環境の改善につながる。銀行株には追い風となりやすい。
2024/03/18 10:00 日経速報ニュース
日銀はきょうから2日間、金融政策決定会合を開く。日本経済新聞は16日、今回の決定会合で「マイナス金利政策を解除する見通しになった」
と報じた。同時に長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)を撤廃し、上場投資信託(ETF)の新規買い入れを終える見込みだ。日銀の
動向には海外の関心も高まっており、海外市場の専門家からもリポートが相次いでいる。
■「解除後、1年から1年半後までに0.5?0.75%利上げ」
エバコアISIの中央銀行戦略責任者、クリシュナ・グーハ氏
4月よりも3月に政策正常化に踏み出すとなれば、市場に対しては(引き締めに積極的な)タカ派的な印象を与える可能性がある。マイナス金利
の解除とともに(長期金利の上限のめどを1%としている)YCCの撤廃ともなればなおさらだ。
日銀は今後、政策運営上では国債買い入れに重点を移すだろう。YCCは完全に撤廃せず、日銀は長期金利のめどに対するソフトな基準をなん
らかの形で維持するのではないか。必要に応じて国債買い入れを増額するなど政策の柔軟性を持たせると考えている。
植田和男総裁は(会合後の記者会見で)さらなる利上げには慎重と強調するとみられる。一方、日銀の執行部はイールドカーブの上昇に対し(物
価動向次第など)柔軟かつ条件付きで受け入れるだろう。マイナス金利解除は一回きりの利上げではなく、慎重かつ限定的な正常化プロセスの
開始に当たる。日銀はマイナス金利解除後、1年から1年半をかけて計0.5?0.75%の利上げを実施すると予想する。
■「ドル下落すれば買い」
バンク・オブ・アメリカの外為・金利戦略責任者、クラウディオ・ピロン氏
今週は複数の中央銀行が政策決定の会合を開く。日銀だけが政策変更を実施すると予想している。マイナス金利解除とYCC撤廃を予想する
が、すでに市場は織り込んでいるため、相場の反応は限定的だろう。日銀は過剰とも思える国債購入を継続する可能性が高いとみており、債券
利回りの上昇は抑えられるはずだ。フォワードガイダンス(先行き指針)がタカ派的になる可能性も低く、仮に結果発表後に円高・ドル安となれば
、ドルを買い向かう流れとなる。
■「円キャリー取引は引き続き魅力」
ゴールドマン・サックスの通貨・金利・新興市場戦略責任者、カマクシャ・トリベディ氏
3月会合で日銀がマイナス金利を解除したとしても、円相場のトレンドを大きく変えることはないだろう。円高になるためには日本の企業や機関
投資家が本国に資金を還流する「リパトリエーション(リパトリ)」が発生する必要があるが、日銀はマイナス金利解除後も国債利回りをそれほど
上昇させるつもりはないようだ。YCCが撤廃されても、国債購入を通じて市場に大きく介入し続けるとみられている。
さらに重要なのは、海外(米国)資産のリターンが優位なことで、リパトリが本格化するとは考えにくい。マイナス金利の解除は日米金利差の
縮小にはほとんど寄与せず、日本を拠点とする投資家にとって米国株のリターンは国内リターンをはるかに上回っている。マクロ環境が引き続き
円相場の主要な原動力であり、日銀の政策修正がそこに割って入る余地はないというのが我々の見方だ。低金利の円を借りて高金利通貨の
資産で運用する「円キャリー取引」は引き続き魅力的だ。
バンク・オブ・アメリカの米金利ストラテジスト、ラルフ・プレカーサー氏
日本企業の設備投資意欲の高さや春季労使交渉での大幅な賃上げ率、これまで相次いだ観測報道など、すべてが3月の政策正常化の開始
を示唆している。マイナス金利解除とYCCの撤廃を予想するが、発表後も日本国債はそれほど売られることはないだろう。すべては、新たな政策
枠組みの詳細と、将来の利上げに関するガイダンスにかかっている。
日銀の動きが米国債に与える影響は限られるだろう。日銀は国債買い入れを続ける可能性が高い。バンク・オブ・アメリカの日本の金利ストラ
テジストは日銀が最近のメディア報道に沿った金融引き締めに踏み切った場合、長期金利は0.75?0.80%の間で取引されると予想している。
米長期金利に与える影響はせいぜい2?3ベーシスポイント(0.02?0.03%)とみている。日銀の動きは市場参加者の心理にマイナスの影響は
与える可能性はあるものの、日米金利に大きな影響をもたらす可能性は低い。
■「長期債購入に関するコミュニケーションが重要」
ゴールドマン・サックスのグローバル戦略担当者、プラビーン・コラパティ氏
日銀が3月にマイナス金利を解除しても、大幅な国債買い入れの縮小が伴わなければ、利回り曲線(イールドカーブ)はより平たん(フラット)に
なると予想する。(債券相場が動くうえでは)政策金利に関するフォワードガイダンスだけでなく、長期債購入に関する日銀のコミュニケーションが
重要になるだろう。
現在と同水準である月間6兆円の国債買い入れが継続されれば、長期ゾーンのボラティリティー(変動率)の上昇は抑えられる。買い入れ政策
をどこまで長期化するかのメッセージが焦点になる。我々の想定よりも日銀が国債市場での存在感を積極的に低下させる姿勢を示した場合、
イールドカーブがスティープ(急勾配)化することはリスクになる。
2024/03/19 日本経済新聞 朝刊
三井住友フィナンシャルグループ(FG)は、上場を目指す社内発スタートアップの役員に対し、ストックオプション(株式購入権)を付与する制度
を設けた。2023年に設立した働きがいを測定する新会社のストックオプションを同社の社長らに付与する。上場すれば個人が大きな利益を得ら
れる可能性を示し、社員のアイデアによる新会社設立を後押しする。
上場を前提に新会社のストックオプションを発行する取り組みは銀行では珍しい。発行対象のSMBC Wevox(東京・港)は、顧客企業の従
業員の働きがいや帰属意識を数値化した「エンゲージメントスコア」を算出するサービスを手がける。アトラエとの共同出資で設立した。
SMBC Wevoxの杉本秀和社長ら2人に対し、上場後に1株を10万円でそれぞれ最大20株(200万円分)まで買い取れる権利を付与する。
条件は現在の株式価値から算出した。同社の発行済み株式は現在1000株のため、それぞれ2%に相当する。
三井住友FGは中堅や若手の社員をIT新会社の社長に就ける「社長製造業」を進めている。これまでに10社以上を設立した。ストックオプショ
ンを動機づけとし、新事業の創出と成長を促す。
2024/03/18 11:20 日経速報ニュース
【プレスリリース】発表日:2024年03月18日
個人のお客さま向け総合金融サービス「Olive」新機能
「定額自動入金サービス」「Olive アカウントランク切替機能」「家族カード発行」開始について
株式会社三井住友フィナンシャルグループ(執行役社長グループ CEO : 中島 達、以下、当社グループを総称して「SMBC グループ」)傘下の
株式会社三井住友銀行(頭取 CEO : 福留 朗裕、以下「三井住友銀行」)および三井住友カード株式会社(代表取締役社長 : 大西 幸彦、以
下「三井住友カード」)は、2023年3月より提供している個人のお客さま向け総合金融サービス「Olive(オリーブ)」に、新機能を追加することを
お知らせいたします。
2023年3月からスタートした「Olive」は、銀行口座、カード決済、ファイナンス、オンライン証券、オンライン保険などの機能を、アプリ上でシー
ムレスに組み合わせた新しい金融サービスです。今般、大手行初の定額自動入金サービスを含む3つの新機能を2024年3月18日以降、順次
提供することを決定いたしました。各機能の詳細につきましてはサービス開始以降、三井住友銀行ホームページおよび三井住友カードホーム
ページよりご確認ください。
■新機能の概要
[1]定額自動入金サービス : 2024年3月18日より、順次提供開始(※1)
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―「緩和環境継続」で安心感、想定超えの賃上げでカギを握る企業の価格決定力―
日銀の金融政策がマイナス金利政策の解除という大きな転換期を迎えた。本来は悪材料である政策金利の引き上げとETF(上場投資信託)
購入策の終了が宣告されたにもかかわらず、日経平均株価は頑強な動きをみせ、4万円台を回復した。「超」緩和環境が終了しても、緩和環
境自体には変わりがない――。市場ではそんな声も聞かれるが、想定を超える伸びとなった賃上げそのものは、来期以降の企業のEPS(1株
利益)を圧迫する要因となる。個人消費の先行きに不透明感がくすぶる現状では、コスト上昇分を製品・サービス価格に転嫁するための価格
決定力を持つ企業への関心が、これまで以上に高まることとなりそうだ。
●政策公表後に不動産株が上昇
今回の政策変更と市場の反応を改めて整理してみる。日銀の発表内容はほぼ事前報道に沿ったものとなったが、まずマイナス金利の解除
である。これまで日銀は金融機関が資金を預ける日銀当座預金を3階層に分け、「基礎残高」にプラス0.1%、「マクロ加算残高」に0%、「政策
金利残高」にマイナス0.1%の金利を適用していた。マイナス金利が適用される政策金利残高の存在ゆえ、「マイナス金利政策」と表現されて
きたのだが、今回、日銀は無担保コールレート(オーバーナイト物)の誘導目標を「0~0.1%程度」とする形に見直した。
オーバーナイト物の金利はイールドカーブ(利回り曲線)の起点となり、その上下動は教科書的には、期間が1年以内の短期から5年以内の
中期、10年以内の長期、10年超の超長期のそれぞれの金利の変動要因になる。今後は日銀当座預金でのマイナス金利適用を回避する目
的で銀行がコール市場などで資金を貸し出すことがなくなるため、需給要因で短期金利には上昇圧力が掛かることとなる。更に、日銀当座
預金の超過準備にはプラス0.1%の付利金利が適用されることも決まった。金融機関の収益にはプラスの要因となるが、政策公表後の 銀行
株は方向感を欠く展開となった。
対照的に気を吐いたのが三井不動産 <8801> [東証P]や住友不動産 <8830> [東証P]、三菱地所 <8802> [東証P]といった、金利上昇デメ
リットセクターである 不動産株だ。今回、マイナス金利政策の解除とともに、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の撤廃も公表
されたが、長期国債の買い入れについては「これまでと概ね同程度の金額」で継続する方針が示された。需給面では長期金利の上昇を抑え
る要因となるため、政策公表後の新発10年債利回り(長期金利)には低下圧力が掛かった。そもそも短期金利が上昇したとしても0~0.1%と
歴史的にみれば低水準である。国内要因での金利の上昇余地は乏しいとの見方が銀行株を圧迫し、不動産株には刺激材料となったようだ。
加えて、日銀からはETFとREIT(不動産投資信託)の購入を停止する方針が示された。コロナ禍初期に金融市場が大きく混乱し、日経平均が
一時1万6300円台まで調整した4年前の2020年春、日銀は立て続けに1日あたり1000億~2000億円規模の巨額のETFの買い入れを行った。
だが、東証1部だった当時と比べ、足もとの東証プライム市場の売買代金は大きく、リスクオフ局面において日銀がETFの買い入れを行ったとし
ても、その下支え効果はかつてほどのものではないとの指摘も出ていた。
日銀がETFを市場に放出すれば、需給要因で日本株にはマイナスとなる。しかし投資家のセンチメントの悪化をあえて招く愚を犯す必然性など
ないだろう。市場の一部には政府が永久債と引き換えに日銀からETFを買い取り、国民に無償配布するとの思惑もある。いずれにせよ、時期は
ともあれ、しばらくは日銀内で塩漬けになる公算が大きい。
これらの金融政策正常化への流れを後押ししたのが、今年の春闘での賃上げ状況だ。連合がまとめた今年の春闘の回答集計(第1回)によ
ると、賃上げ率は大企業で5.3%、中小企業で4.4%に上った。ベースアップ率は明確にわかる654組合で3.7%となっている。企業にとっては
新たな人件費負担分を製品やサービス価格に転嫁できなければ、利益を圧迫する要因となる。
今年の賃上げ結果を受けて、2%の物価安定目標を大きく上回る水準へインフレ圧力が強まる形となれば、日銀は追加の利上げに迫られる
こととなる。銀行株にとっては、政策保有株式の縮減効果への期待もあることから、上値余地を広げる格好となりそうだ。半面、「今年の春闘は
瞬間風速のようなもの」(国内証券ストラテジスト)との声もある。そもそも現役世代には老後などの将来不安が強い。今以上に物価が上昇した
場合には、個人消費が腰折れするリスクも横たわっている。来年も今年と同じような賃上げが実現され、物価上昇との好循環が継続できるの
かどうかを考察すると、かなりのナローパスと言える。
●為替は1ドル=150円台へ突入
為替相場の動向もポイントになる。日銀の政策公表後にドル円相場は1ドル=150円台へと円安が進行し、トヨタ自動車 <7203> [東証P]など自
動車株のサポート要因となった。
日本国内での低金利環境の継続を市場は織り込む一方で、米国ではインフレ環境が長期化するとの見方から、米連邦準備制度理事会(FR
B)による0.25%幅の利下げが年内に3回行われるとの観測が、2回に修正されようとしている。これまで有力視されてきた6月の利下げが見送
られるとすれば、その後米連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれるのは7月と9月、11月と12月の4回である。米大統領選が迫る9月と、大統
領選直後の11月のFOMCで、FRBが利下げに踏み切るハードルは決して低いものではない。経済データ次第では、年内の利下げ幅が一段と
狭まる可能性も出てくる。その際は、米国金利の上昇を伴って、ドル高・円安圧力が強まりかねない。
そして、米国の期待インフレ率が2.1~2.5%の範囲内で推移を続けていることを踏まえると、名目金利から期待インフレ率を差し引いた実質
金利が一段と上昇した場合には、金融相場を見込んだ投資資金の巻き戻しを引き起こすリスクが高まることとなり、高PER(株価収益率)銘柄
に逆風が吹きつけることも予想される。
ひとまず市場は3月のFOMCでのドット・チャートや、パウエル議長の記者会見での発言を注目することとなるが、米金利の緩やかな上昇によ
る円安シナリオと、東証による低PBR(株価純資産倍率)是正運動を考慮すれば、中期的な観点で外需系バリュー銘柄は無視できない存在と
言えそうだ。
ニッチな分野で高いシェアを持つ「ニッチトップ企業」も、価格決定力の高さゆえ、賃上げ後の利益創出力という観点で投資対象の候補に加わ
る可能性が高い。こうした観点で「ファクトセット・グローバル・ニッチトップ・ジャパンエンタープライズ指数」の構成銘柄(2月末時点)をみると、
メラミン化粧板国内首位のアイカ工業 <4206> [東証P]や通信計測器のアンリツ <6754> [東証P]、食品トレーのエフピコ <7947> [東証P]は全
体相場との比較で出遅れ感が意識される。ゲーム機向けコネクターのホシデン <6804> [東証P]や、段ボール大手のレンゴー <3941> [東証P]
のPBRは1倍を下回っている。
人件費の増加への対応策として有効なDX(デジタルトランスフォーメーション)も、注目を集め続けることとなると見込まれる。大手ではNTTデ
ータグループ <9613> [東証P]や野村総合研究所 <4307> [東証P]が候補に挙がるが、営業DXツールのアイドマ・ホールディングス <7373>
[東証G]や店舗DX事業のピアズ <7066> [東証G]、製造業・建設業向けDX支援のコアコンセプト・テクノロジー <4371> [東証G]など、着実に
利益を積み上げている企業は多い。DXにとどまらず、日本企業にとって生産性の向上は息の長いテーマとなっている。賃上げ環境下で、関連
企業の成長期待は一段と強まる形となりそうだ。
2024/03/20 日本経済新聞 朝刊
日銀が19日の金融政策決定会合でマイナス金利政策の解除を決めたことを受け、3メガバンク首脳がコメントを出した。三菱UFJ銀行の半沢
淳一頭取は「日本経済が持続的な成長軌道に回帰する大きな好機だ」とコメントした。「『金利ある世界』における変化を先取りし、顧客の課題に
寄り添いともに解決をはかる」と強調した。
三井住友銀行の福留朗裕頭取は日本経済について「新たな成長の軌道に入っていく大きな転換点」と分析したうえで、「金融政策の修正が
市場に与える影響を注視し、経済環境の変化に対応する」とコメントした。
みずほフィナンシャルグループの木原正裕社長も「金利がある世界への大きな変化の節目でゲームチェンジになる」とのコメントを出した。融資
などの原資となる預金を持つ重要性が一層増すとし、普通預金や定期預金の金利を今後引き上げる考えを明らかにした。
今後、銀行にとっては調達した預金と運用の利ざやが改善するため、収益を押し上げる要因となる。3メガバンクはマイナス金利の解除を見据
え政策金利が0%になった場合の資金利益などへの影響を試算しており、単純比較はできないが年350億円から450億円以上の押し上げ効
果があるとみる。
地域経済への影響も大きい。城南信用金庫(東京・品川)の川本恭治理事長は「大きな変化の時だ。顧客の資金繰りを支えるのは当然だが、
本業支援をしっかり進めたい」と話す。預金金利については「引き上げも視野に検討を進めたい」と述べた。
2024/03/22 19:54 日経速報ニュース
日本取引所グループが22日に発表した投資部門別売買動向(東京・名古屋2市場)によると、個人投資家は3月第2週(11?15日)に現物株を
4942億円買い越した。個人の買い越しは2週連続で、買越額は2023年9月第4週(5734億円)以来の大きさだった。2024年に新NISA(少額投資
非課税制度)が始まって以降では最大規模となる。
この週の日経平均株価は週間で981円(2.5%)下落した。上昇基調が続いていた半導体関連株を中心に利益確定の売りが優勢だったほか、日
米の金融政策決定を前に海外投資家の様子見姿勢も広がった。相場の流れに逆らう「逆張り」戦略をとる傾向の強い個人投資家が下落局面で
押し目買いを入れたとみられる。
海外投資家は現物株を3週ぶりに売り越した。売越額は875億円だった。現物と株価指数先物の合計では6675億円の売り越しで、売越額はお
よそ5カ月ぶりの大きさだった。
年金基金などの売買を反映するとされる信託銀行は現物株を10週連続で売り越した。売越額は6851億円だった。期末を控えたリバランス(調
整)の売りが優勢だった。
来週の株式相場に向けて=バリュー株物色でTOPIXは最高値を視野に
22日の東京株式市場は日経平均株価が一時4万1000円台に乗せるなど堅調に推移し、連日での史上最高値を更新した。半導体関連株
が上昇し、東京エレクトロン<8035>は初の4万円に乗せる場面もあった。ただ、朝高後は半導体関連の主力株は値を消す展開にとなり、後場
に入り日経平均株価は一時マイナス圏に転じた。しかし、その後再び買い直され上昇に転じるのが、いまの相場の強さだろう。
三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>や三井住友フィナンシャルグループ<8316>は後場に高値圏に買われたほか、トヨタ自動車<7203
>など自動車株や三井物産<8031>など商社株、三菱地所<8802>など不動産株が一日を通して底堅い値動きとなった。全体相場は「半導体
株と銀行株などバリュー株の循環物色の流れが強まっている」(市場関係者)。そんななか、さすがに買い疲れ感もみえる半導体株に対し、
バリュー株が優勢な展開となりつつあるようだ。
3月に入ってからの日経平均株価の上昇率は4.4%に対して、TOPIXは5.1%。とりわけ、TOPIXは1989年12月につけた最高値(28
84.80)に迫っている。日経平均株価の最高値更新には一歩遅れているが、内需株のウエートが高いTOPIXの最高値更新が持つ意味は
小さくない。
来週は3月の年度末を迎え、27日が権利付き最終日、翌28日が権利落ち日となる。配当の権利取り後も銀行などバリュー株が底堅い
値動きを続けるかがポイントとなりそうだ。また、その後の配当再投資の動きも注目される。来週は29日引けにかけ、日経平均株価の春の
入れ替えに伴うリバランスが予想されている。新規採用のディスコ<6146>やソシオネクスト<6526>、ZOZO<3092>などの動向が注目される。
上記以外のイベントでは、海外では26日に米3月消費者信頼感指数、28日に米10~12月GDP確定値、29日に米2月個人消費支出
(PCEデフレーター)が発表される。29日は聖金曜日(グッドフライデー)で休場となる。
国内では25日に1月開催分の日銀金融政策決定会合の議事要旨、28日に3月開催分の同決定会合の「主な意見」が公表される。29
日に3月東京都区部消費者物価指数(CPI)が発表される。
2024/03/25 日本経済新聞 朝刊
日銀がマイナス金利政策を含む大規模緩和の解除を決め、金融政策の正常化に一歩踏み出す。長期緩和は負の遺産も残した。企業も家計
も政府も「金利ある世界」に戻れるのか。17年ぶりの利上げは日本を再起動する転換点となる。
財務改革も着手
「一部資産の売却を含め、不動産事業に外部資本をいれるべきだ」。サッポロホールディングス(HD)の外部有識者も含むグループ戦略検討
委員会は1月末、目指す方向性を取締役会に答申した。マイナス金利解除の観測が高まった時期で、今後の金利上昇を見込んで議論が進ん
でいた。
尾賀真城社長などサッポロHDの取締役会は答申を受けて、2月に酒類、不動産、食品飲料の3事業の集合体から酒類を中心とした事業構
造に見直すことを決めた。不採算事業を見直し、オフィスビルなどの売却を検討する。その資金を海外でのM&A(合併・買収)などに充て「ビー
ルを中心にもっと稼げる体質にし、資本効率を上げていく」(松風里栄子取締役)方針だ。
サッポロHDは恵比寿ガーデンプレイスや銀座に複合ビルを持ち、業績を支えてきた。だが、不動産事業は借り入れが多い。財務健全化を進
めるなかで祖業であるビールに十分な投資ができない状況も招いてきた。
2016年から続くマイナス金利下では負債の大きさを気にしなくてもよかった。金利が復活すれば、資金調達コストの上昇も想定され資本効
率の悪さは放置できなくなる。短期借入金の利率は21年12月期の0.46%から22年12月期には2.29%に上昇していた。
ソニーグループは7日に償還期限が3~10年の普通社債1500億円を発行した。5年前に10年債を発行した時の利率は0.3%だったが、
1.001%まで上昇した。
金利が低いうちに成長分野に回す長期資金を確保する。半導体やエンターテインメント分野での投資や事業拡大に備える。
企業が利上げを受け入れる背景のひとつには経済情勢の回復がある。日経平均株価が4万円台に乗せるなど17年前より力強い指標が目
立つ。
悪化したものもある。国際経営開発研究所(IMD)によると、世界1位だった日本の競争力は23年に世界35位まで下がり、過去最低を更新
した。超低金利という「ぬるま湯」(経団連の十倉雅和会長)につかっている間に停滞が続いた。
19日の日銀の決定を受けて、中外製薬の奥田修社長は「市場を正常化し、健全な成長を促進するという点でも日本企業を支援する」と評価
した。AGCの平井良典社長は「(マイナス金利で)日本企業から成長や変革への意欲が奪われた。資金調達コストを超える付加価値を創造し
たい」と強調する。
新陳代謝促す
日銀内部からは「こんなに反対論が出ない利上げは初めてだ」と驚きの声が上がる。1985年のプラザ合意後は「円高恐怖症」と言える状況
で、日銀の金融政策も円高との戦いでもあった。円高につながりかねない利上げは輸出企業を中心に抵抗が強かった。
1ドル=105円前後まで円高が進んだ19年夏、日銀はマイナス金利の深掘りを真剣に検討していた。今は「円安による資材やエネルギー
価格の高騰でコスト上昇の影響を受けてきた」(大成建設)と過度な円安への懸念が強い。
ここから先の利上げで金利による規律が働くようになれば、企業は低採算事業の見直しを迫られる。産業の新陳代謝が進みやすくなる。政府
による財政の大盤振る舞いも期待しにくい。次の日本は日銀依存を脱して自律的な成長を取り戻せるかにかかっている。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-03-24/SAVFJYT0AFB400
25日の東京株式相場は反落か。先週の大幅上昇を受けていったん調整が入りやすいほか、四半期末に向けてリバランスの売りに押されやすい。
また、米国金利が大幅に低下したことから金融株には下押し圧力がかかりやすい一方、ハイテク株などにはバリュエーション面でサポートになる。
米シカゴ先物市場(CME)の日経平均先物(円建て)の清算値は4万0555円と、大阪取引所の通常取引終値(4万0710円)に比べ155円安
米国株はまちまち-米10年債利回りは4.20%程度と約7ベーシスポイント低下
市場関係者の見方
東海東京インテリジェンス・ラボの平川昇二チーフグローバルストラテジスト
急激に相場が上昇した後での利益確定売りが米国市場でも出ており、きょうの日本市場でも同じような展開となるだろう
金利が下がったことでハイテク株のバリュエーションは上昇するが、金融株は売られやすい。全体としては調整気味になり、ハイテク以外ではディ
フェンシブ銘柄が上位となるだろう
先週のFOMCを受けて米国での利下げ期待が高まっており、それが継続できるが、今週末のPCE価格指数などのマクロ指標で検証されることに
なるだろう
背景
パウエルFRB議長、雇用市場を支援する用意-インフレ高止まりでも
アトランタ連銀総裁、年内利下げは1回のみと現時点で予想
ヘッジファンド、円の弱気ポジション積み増し-日銀利上げはハト派的
ゴールドマン、S&P500種は6000にも-大型ハイテク株の上昇続けば
グッチの衝撃、中国での販売急減-高級品業界で消費減速の影響顕在化
【要人発言】ラファの大規模軍事作戦は大きな間違いになる-ハリス氏
けさのドル・円相場は1ドル=151円前半で推移、前営業日の日本株終値時点は151円49銭付近
2024/03/26 日本経済新聞 朝刊
全国銀行協会は企業買収の際、相手先のキャッシュフローなどを頼りに銀行が買収資金を融資するLBOファイナンス市場の健全化に乗り出
す。過去に実行した案件の融資額や金利など貸し付け条件をデータとして整備し、融資を検討する金融機関の参考にしてもらう。大手銀行に融
資の約8割が偏る構図を改め、国内外の機関投資家など担い手を広げる。
25日に報告書を公表した。全銀協が事務局の勉強会には3メガバンクに第一生命保険や農林中央金庫、金融庁、日本銀行が参加。ゆうちょ
銀行もゲストとして招き、昨年8月から今年2月にかけて議論を重ねてきた。
LBOファイナンスは買収先となる企業のキャッシュフローに着目して融資する手法で、買収側には少ない自己資金でM&A(合併・買収)を実
行できる利点がある。日本では2000年代に定着した。投資ファンドが組成し、銀行に融資を求めることが多い。金融庁によると、大手行の貸出
残高は5兆円規模と5年間で2.5倍に増えた。
最近では株式の非公開化をめざす東芝の案件に対し、大手行が1兆2000億円の融資を実行した。上場企業が資本コストや株価を意識した
経営を迫られるなか、成長や採算性を見込めない事業を売却する流れが加速している。後継者がいない中堅・中小企業を買収し、事業の継続
を図る動きも活発になってきた。
こうしたM&AではLBOファイナンスが活用されることが多い。3月上旬にMBO(経営陣が参加する買収)の成立を公表したベネッセホールデ
ィングスの案件では、大手行を中心に2000億円を超える融資を実行した。
今後の市場拡大が見込まれるなか、課題も浮き彫りになっている。
現状では3メガバンクと三井住友信託銀行に与信リスクの約8割が集中する。担い手が限られる現状について大手行の首脳も「我々だけでは
リスクを抱えきれず、もっと多様なプレーヤーに参加してもらう必要がある」と訴える。
重い教訓となったのが22年6月に経営破綻したマレリホールディングス(旧カルソニックカンセイ)の案件だ。約3400億円の債権放棄を含め
、みずほ銀行や三井住友銀行が多額の金融支援を余儀なくされるなど銀行界に深い傷痕を残した。
LBOファイナンスのデフォルト率は限定的とはいえ、景気の悪化などでひとたび変調を来せば与信リスクの多くを引き受ける大手行の経営に
も影響を及ぼしかねない。
全銀協は担い手の多様化には、市場の透明性を高めるデータの整備が欠かせないとみる。米国では業界誌を含めて統計がそろう一方、日本
では融資の判断に生かせる情報が足りないという。LBOファイナンスは一般的な企業向け融資に比べると信用リスクが高いだけに、審査や与
信の管理には細心の注意が必要だ。
LBOファイナンスのスプレッド(上乗せ金利)は3%程度とされる。一般的な融資に比べれば高い水準だが、米国の5%前後に比べるとなお見
劣りする。中堅・中小企業の事業承継に絡むLBOファイナンスが増えるなか、案件の小型化による地銀の積極化で「金利のダンピングが目立
ってきた」(関係者)との指摘もある。
健全な市場の成長にはリスクに見合ったリターンの確保が欠かせない。かつて日本のLBOファイナンス市場では外資系の金融機関が存在
感を示していたが、リターンの低さなどを理由に手を引いてきた経緯がある。
勉強会には企業買収を主導する複数の投資ファンドも加わった。買収側は借入金利を低く抑えたいのが本音で、入札を通じて複数の銀行に
条件を競わせる現行の方式が理にかなう。様々な関係者の利害を調整する必要が今後出てくる。
2024/03/26 日本経済新聞 朝刊
クレジットカード大手の三井住友カードは25日、持ち運びができる決済端末を開発したと発表した。クレジットカードやQRコードなど様々な決済
手段に対応でき、主に飲食店や宅配事業での利用を想定する。
三井住友カードの大西幸彦社長は25日の発表会で「新しい決済シーンに対応すべく開発した」と話した。たとえば持ち運び可能な端末を飲食
店で導入すればテーブル会計の待ち時間を短縮でき、レジの省人化も可能だ。
中小事業者向けには、自身のスマートフォンを決済端末に代替できるアプリを提供する。専用アプリを入れたスマホにクレカをかざすと決済が
完了する。加盟店の手数料は2.7%と業界最安水準に設定し、追加の手数料引き下げも検討中だ。
[25日 ロイター] - 米資産運用大手ブラックロックは25日、日本株のオーバーウエートを高めたと明らかにした。緩やかなインフレ、好調な業績
株主に有利な改革がプラスに働くとの見方を示した。一方、日本国債についてはアンダーウエートを拡大したという。
市場に関する週次のコメントで「株式により魅力的なリターンを見い出している。日本国債には最も魅力的でない部類のリターンが見られるため
資金調達源として利用している」とした。
債券と株の引き受け回復、資本市場部門は過去3番目に好調な四半期
投資銀行部門の収入は31%増の7億3970万ドル
米ジェフリーズ・ファイナンシャル・グループの2023年12月-24年2月(第1四半期)決算は、資本市場の好調と投資銀行業務の回復に
支えられ増益となった。
27日の発表資料によれば、12-2月期の総収入は35%増の17億4000万ドル(約2600億円)。インフレと金利を巡る懸念が落ち着き始め
たことから、債券と株式の引き受けが持ち直した。資本市場部門は過去3番目に好調な四半期となり、増益に寄与した。投資銀行部門の
収入は31%増の7億3970万ドルとなり、ディールメーキングが回復する可能性を示唆した。
リチャード・ハンドラー最高経営責任者(CEO)はインタビューで「市場活動は全体的に回復しており、年内の見通しにかなり良い兆しと
なっている」と述べた。
発表資料によると、セールス・トレーディング・チームの収入は前年同期比8.8%増の7億1160万ドル。売買高の増加などで株式のパフォ
ーマンスが堅調さを増したことが業績を後押しした。
12-2月の純利益は前年同期比12%増の1億4960万ドル(1株当たり66セント)。
ジェフリーズの決算は、高金利と根強い地政学的懸念でディールが鈍る中でウォール街の大手銀行が今年最初の3カ月間をどう乗り
越えたかを前触れするものだ。昨年は、ディールメーキングと証券の新規発行の低調が続いたのが痛手となり、多くの投資銀行が多数の
人員削減を余儀なくされた。ウォール街の大手銀行は来月、1-3月(第1四半期)決算を発表する予定。
2024/03/28 12:30 日経速報ニュース
28日午前の東京株式市場で日経平均株価は反落した。前日比の下げは一時500円を超え、3月期決算企業の配当落ち分(約260円)を考慮
しても300円近く下げた計算だ。政府・日銀による為替介入への警戒に加え、年度末に向け年金基金が膨らみすぎた株式の持ち高を減らすと
の観測が日本株を下押ししている。
午前の終値は前日比479円29銭(1.2%)安の4万0283円だった。
日銀による為替介入への警戒感が相場全体の上値を抑えている。日本時間の27日夜に、財務省・金融庁・日銀が国際金融資本市場に関
する緊急の情報交換会合(3者会合)を実施した。前日の東京外国為替市場で円相場は1ドル=151円97銭まで下落し、1990年7月以来、
約34年ぶりの円安水準をつけていた。
28日午前11時時点の円相場は1ドル=151円30銭前後の水準にある。実際に為替介入に踏み切れば急速に円高に振れるとの警戒感
から、輸出関連銘柄は基準値を下回っている銘柄が目立つ。
トヨタ自動車は前日比で58円(2%)安の3795円まで下落した。配当分を考慮した基準値(3818円)に比べても安い。日野自動車やスズ
キも基準値を下回る水準まで下落している。年始以降円安と並行して株高が進んできただけに、円高に振れれば支えを失うとの警戒は強い。
為替の影響を受けやすい双日や住友商事、三菱商事などの商社株や精密機器株なども基準値を下回り、上値が重くなっている。市場では
「円高に振れるリスクを警戒し、買いが手控えられている」(フィリップ証券の増沢丈彦株式部トレーディング・ヘッド)との声が聞かれる。
加えて「年度末の年金の売りが相場を押し下げている」(アイザワ証券の三井郁男ファンドマネージャー)との見方もある。
国内年金基金は四半期末や年度末に向け株式など保有資産の比率を調整するとされる。例えば公的年金を運用する年金積立金管理運用
独立行政法人(GPIF)は運用資産に占める国内株の比率を25%としている。株高によって比率を上回った分を四半期末にかけて調整する必
要がある。年度の最終売買日(29日)にかけて持ち高を減らすための株売りを出すとの警戒が強い。
年金の売り需要は巨額に上るとの試算もある。大和証券の阿部健児チーフストラテジストは22日付けのリポートで、GPIFなど主要な年金基
金をあわせて「売却必要額は信託銀行の12月末以降の売越額と約2.2兆円の乖離がある」と指摘している。23年末以降の必要な売却額を5.
8兆円と見積もったうえで、年金の売買を反映する「信託銀行」の売越額の合計(約3.6兆円)が2.2兆円下回っているとの計算だ。
売り圧力が強まっている一方で、目立った買い手は乏しい。決算期末の週は上場企業が自社株買いを手控えるとされる。一方で持ち合い
解消の売りは淡々と続けるため、差し引きでは売り越しになりやすい。東京証券取引所の投資部門別売買動向をみると直近は4四半期連続
で信託銀行と事業法人がともに最終週に株を売り越している。
年金基金の売りは一時的な需給要因だが、日米金利差を背景とした円安基調は当面は続くとの見方が根強い。この日から実質的に新年度
入りした日本株相場。市場の目線は25年3月期の企業収益に向かう。T&Dアセットマネジメントの浪岡宏チーフ・ストラテジストは「企業の来期予想が保守的でも、あとから上方修正するとの期待感は高い」と話す。
2024/03/28 12:30 日経速報ニュース
28日午前の東京株式市場で日経平均株価は反落した。前日比の下げは一時500円を超え、3月期決算企業の配当落ち分(約260円)を考慮
しても300円近く下げた計算だ。政府・日銀による為替介入への警戒に加え、年度末に向け年金基金が膨らみすぎた株式の持ち高を減らすと
の観測が日本株を下押ししている。
午前の終値は前日比479円29銭(1.2%)安の4万0283円だった。
日銀による為替介入への警戒感が相場全体の上値を抑えている。日本時間の27日夜に、財務省・金融庁・日銀が国際金融資本市場に関
する緊急の情報交換会合(3者会合)を実施した。前日の東京外国為替市場で円相場は1ドル=151円97銭まで下落し、1990年7月以来、
約34年ぶりの円安水準をつけていた。
28日午前11時時点の円相場は1ドル=151円30銭前後の水準にある。実際に為替介入に踏み切れば急速に円高に振れるとの警戒感
から、輸出関連銘柄は基準値を下回っている銘柄が目立つ。
トヨタ自動車は前日比で58円(2%)安の3795円まで下落した。配当分を考慮した基準値(3818円)に比べても安い。日野自動車やスズ
キも基準値を下回る水準まで下落している。年始以降円安と並行して株高が進んできただけに、円高に振れれば支えを失うとの警戒は強い。
為替の影響を受けやすい双日や住友商事、三菱商事などの商社株や精密機器株なども基準値を下回り、上値が重くなっている。市場では
「円高に振れるリスクを警戒し、買いが手控えられている」(フィリップ証券の増沢丈彦株式部トレーディング・ヘッド)との声が聞かれる。
加えて「年度末の年金の売りが相場を押し下げている」(アイザワ証券の三井郁男ファンドマネージャー)との見方もある。
国内年金基金は四半期末や年度末に向け株式など保有資産の比率を調整するとされる。例えば公的年金を運用する年金積立金管理運用
独立行政法人(GPIF)は運用資産に占める国内株の比率を25%としている。株高によって比率を上回った分を四半期末にかけて調整する必
要がある。年度の最終売買日(29日)にかけて持ち高を減らすための株売りを出すとの警戒が強い。
年金の売り需要は巨額に上るとの試算もある。大和証券の阿部健児チーフストラテジストは22日付けのリポートで、GPIFなど主要な年金基
金をあわせて「売却必要額は信託銀行の12月末以降の売越額と約2.2兆円の乖離がある」と指摘している。23年末以降の必要な売却額を5.
8兆円と見積もったうえで、年金の売買を反映する「信託銀行」の売越額の合計(約3.6兆円)が2.2兆円下回っているとの計算だ。
売り圧力が強まっている一方で、目立った買い手は乏しい。決算期末の週は上場企業が自社株買いを手控えるとされる。一方で持ち合い
解消の売りは淡々と続けるため、差し引きでは売り越しになりやすい。東京証券取引所の投資部門別売買動向をみると直近は4四半期連続
で信託銀行と事業法人がともに最終週に株を売り越している。
年金基金の売りは一時的な需給要因だが、日米金利差を背景とした円安基調は当面は続くとの見方が根強い。この日から実質的に新年度
入りした日本株相場。市場の目線は25年3月期の企業収益に向かう。T&Dアセットマネジメントの浪岡宏チーフ・ストラテジストは「企業の来期
予想が保守的でも、あとから上方修正するとの期待感は高い」と話す。
2024/03/28 22:00 日経速報ニュース
三井住友銀行は4月1日、資金使途を社会課題解決につながる融資に限定したドル建ての定期預金「ソーシャル預金」の提供を始める。
低所得者向け住宅の建設や公共インフラの整備、医療技術開発などへの融資に使う。通常のドル定期預金と同じ金利水準で個人や企
業からお金を集め、サステナブル(持続可能性)関連融資の残高拡大を目指す。
個人向けは期間1年の定期預金を用意する。金利は通常のドル定期預金と同じ年4.5%とする。最低預入金額は50万ドル(約7600万円)
で、資金に余裕のある富裕層向けに始めるが、将来は最低預入金額を引き下げて顧客層を広げることも検討する。金融機関や一般企業
など法人向けも用意する。
金融包摂や教育、食糧などに関連する融資にも利用するが、持続可能な開発目標(SDGs)に沿った融資に使い道を絞る。使途を限定
した預金商品には環境対策向けの「グリーン預金」があるが、貧困支援などに使途を限定した外貨預金は珍しい。ソーシャル預金の枠組
みは第三者機関の認証を得る。
三井住友フィナンシャルグループ(FG)は2030年までの10年でサステナブルファイナンスの実行額を累計50兆円にする目標を掲げる。
ソーシャル預金の導入で原資となる預金を集める。
https://i.imgur.com/it3uAw6.jpg
https://i.imgur.com/kkxJn9W.jpg
2024/04/02 13:13 日経速報ニュース
2日午前の東京株式市場で日経平均株価は反発し、前引けは前日比50円(0.13%)高の3万9853円だった。日経平均は上げ幅を300円以上
に広げ、4万円台に乗せる場面もあった。例年、4月第1週は前年度の株高で国内機関投資家が含み益のある保有株を売却する「期初の益出
し」が出やすいとされる。想定外の大幅下落となった前日で期初の益出しはピークアウトしたとの見方が、押し目買いを誘った面がある。
期初の益出しは銀行など国内の機関投資家の特有の動きとされ、例年4月や下半期入りに当たる10月第1週の恒例イベントとなっている。含
み益のある株式を売却して新年度入り早々に実現益を計上することで、運用者の達成ノルマへの安心感を高める。あるいは、持ち高の現金化
でその後の運用をしやすくするといった狙いがある。
益出しを行う日本の機関投資家は、自身と同様の投資行動を他の機関投資家も取るであろうと想定し、我先にと益出しの売りを行う傾向があ
るとされる。誰かが売る前に自身の益出しを少しでも株価水準が高い場面で行いたいためだ。そうした横並びの動きが一斉に強まると、前日の
ような急落につながる。
恒例行事ながら1日の下げが大きかった一因に2023年度に日経平均が1万2327円(44%)も上昇し、史上最高値を更新するなど、歴史的な
株高だったことが影響しているようだ。前年度の株高の程度が大きかったほど、新年度入り早々に評価益が出ている持ち高を実現益にする動
きが大きく出やすい。それだけに2日も取引開始前は「益出しで前日のような下げに見舞われるのでは」との警戒感もあったが、午前の相場動
向を見るかぎり、投資家の懸念は杞憂(きゆう)に終わった。
株価指数に連動するパッシブ投資家は数日に分けて期初の益出しに伴う売りを出す傾向がある。そのため、今週いっぱいは売り継続が警戒
されるが、「前日で売りはピークアウトしたと市場ではみられている」(フィリップ証券の増沢丈彦株式部トレーディング・ヘッド)。個別銘柄の値動
きからもその様子がうかがえる。1日は特段の売り材料がなくとも4%強下げた三菱重工業は2日午前は1.84%高と反発。1日に6%安だった
川崎重工業は0.50%高、5%安だった野村ホールディングスは0.77%高となった。
期初の益出しのピークが過ぎたとの見立てに立てば、押し目買いを入れやすい。さらに、4月は海外投資家の資金流入で株価が上昇しやすい
アノマリー(経験則)があることも株買いを後押しする。
04?23年までの直近20年間の4月の日経平均の月間騰落率を調べたところ、上昇した年が12回となった。フィリップの増沢氏の集計によると
、海外投資家は直近20年間で現物と先物の合計では4月に17回買い越しており、他の月と比べて買い越しの回数が最も多かった。欧米は12月
期決算が主流のため、この時期に企業からの配当金が投資家の手元に届き、その資金の一部を再投資として日本株にまわす動きと分析する。
野村証券の藤直也エクイティ・ストラテジストは1日付リポートで「海外投資家の先物買いの持ち高はニュートラル(中立)に近く、今後は買いが
入りやすい」としたうえで、「短期的な需給の見通しは株価の押し上げ方向に傾斜している」と指摘した。藤氏は外資系証券が日経平均先物を
21年4月以降のピーク水準まで積み増せば、日経平均は4万3500円程度まで上昇する可能性があるとも想定する。需給面では期初の益出しを
通過すれば、春の外国人買いが後ろ盾になるといったところか。
2024/04/03 日本経済新聞 朝刊
三井住友フィナンシャルグループ(FG)は2024年度にグループ内のノンバンクのリテール事業を再編する。持ち株会社傘下の消費者金融
「プロミス」のSMBCコンシューマーファイナンス(CF)を、三井住友カードの完全子会社にする。ノンバンク市場で存在感を高める異業種を見
据え、スマートフォン(スマホ)を通じた金融サービスの拡充に布石を打つ。
近く発表する。旧プロミス(現SMBCCF)は12年、三井住友カードは19年に三井住友FGが完全子会社化した。大手銀では出資先のノン
バンクは消費者金融、カード、信販など業態別に独立して運営しているのが一般的だ。再編は今年度の下半期を予定している。グループの
カードと消費者金融の一体運営は3メガバンクで初めてとなる。
三井住友FGはクレジットカード大手の三井住友カードを中心にリテール事業の再編を進めている。23年に消費者金融のSMBCモビット、
24年4月にカードや信販を手掛けるSMBCファイナンスサービスを合併した。再編後は三井住友カードが個人向けノンバンク戦略を一手に
担う形となる。
SMBCCFの社長には4月1日、三井住友カードの専務執行役員を兼務する高橋照正氏が就いた。消費者金融とカードを一体運営すること
でデジタル化を進める。三井住友カードが持つアプリなどのノウハウをSMBCCFに共有し、プロミスのアプリを使いやすくする。与信判断
もカードのノウハウを取り入れて高速化する。三井住友FGのポイント事業「Vポイント」でも連携を深める。
背景にあるのは消費者金融を中心とした貸し付けの増加だ。日本貸金業協会によると、24年1月のノンバンク3業態の消費者向け無担保
貸し付け(住宅向けを除く)は前年同月比6.5%増の4兆2051億円だった。新型コロナウイルス禍後の「リベンジ消費」を取り込んだ。米国
でも消費者信用残高は市場予想を上回る伸びを確保する。
消費者金融大手のアコムでは新規顧客数が23年4~12月期に前年同期比で5割増えた。若年層の需要を取り込む。ある大手では貸し出
しから2年以内の債権の件数が全体の半分近くを占める。消費者金融会社の幹部は「将来の自分と『割り勘』して支出をする習慣が根付いて
きた」と強調する。
もう一つの背景にあるのが、新型コロナウイルス禍に伴いノンバンク市場で急速に存在感を高めてきた通信会社やIT(情報技術)など異業種
の参入組だ。LINEクレジットの「LINEポケットマネー」は23年に累計貸付金額が1000億円を超えたと公表。小口資金などの需要を取り込み
、業界大手に迫る規模の申込件数を確保した。
通信会社ではKDDI系の「au PAY スマートローン」が存在感を高めるほか、NTTドコモが22年に申し込みや返済、借り入れをスマホで
完結できる「dスマホローン」を始めた。累計貸付実行額は24年2月時点で370億円を超える。同社は事業の拡大をにらみ3月、中堅信販の
オリックス・クレジット(東京・港)を傘下に収めた。
異業種勢に共通するのはスマホでの手続きや顧客獲得に特化していることだ。既存の消費者金融各社もスマホでの借り入れ、返済ともに
対応するが、新規顧客の獲得にはテレビやインターネットでのCMに依存する傾向が強い。対話アプリや通信会社などから気軽に借り入れで
きることから異業種勢が顧客獲得で優位に立ち始めている。
楽天グループが相乗効果をにらみ銀行やカードなど金融子会社の再編について協議を始めるなど、組織形態を見直す動きも相次ぐ。消費者
保護と両立させながらどう個人の資金需要を開拓するかが問われている。
2024/04/04 12:33 日経速報ニュース
4日午前の東京株式市場で日経平均株価は反発し、4万円を上回った。前日は終値で下値支持線となっていた25日移動平均を下回ったが、
すかさず押し目買いが入った。海外勢の見直し買いに加え、新しい少額投資非課税制度(NISA)を使った個人の買いが想定以上に国内株に
向いていることが背景にある。国内外の投資家の日本株への強い買い意欲により、深い押し目のない上昇が続くかもしれない。
前日の米長期金利の上昇一服を受けた米ハイテク株高の流れを引き継いで、朝方から半導体関連を中心に買いが先行した。東京エレクトロ
ンが株式分割を考慮した実質的な上場来高値を更新。日経平均の上げ幅は一時700円を超えた。前引けは前日比649円(1.65%)高の4万
0101円だった。
3日午後に発表した今期の株主還元方針を好感して、伊藤忠商事がきょうも買われて上場来高値をつけた。香港のヘッジファンド、オアシス
・マネジメントがマーケティングの改善を要求した花王にも物色が向かった。日本企業の資本効率改善に期待した海外勢の買いが日本株の
上昇をけん引している。
上昇基調が続くもう1つの背景には新NISAによる日本株買いがある。日本証券業協会が3月に公表した証券会社10社(大手5社・ネット5社)
の2月末時点のNISA口座の開設・利用状況によると、1?2月の買付額(1カ月平均)は、成長投資枠とつみたて投資枠がともに前年1?3月の
月平均の3倍に達し、合わせて1兆7700億円となった。
海外株を投資対象とする投資信託の人気が圧倒的に高いとみられていたなかで、このうち46%が国内株(上場投資信託=ETFや不動産
投資信託=REITを含む)に振り向けられたことが市場関係者の間では驚きを持って受け止められている。
モルガン・スタンレーMUFG証券はこれまで、新NISAによる2024年の国内株の買付規模を2兆4000億円程度と見込んでいた。日証協調
べの月平均を12カ月換算して国内株の割合を乗じると、9兆7000億円程度となる。同証券の中沢翔株式ストラテジストらは3日付リポートで
「我々の想定の4倍で日本株に投資していることになる」と分析。「日本株に対する強気姿勢を維持する当証券としてはうれしい誤算だ」と指
摘した。
UBS証券は3日付で24年末の日経平均の見通しを4万5000円に設定した。担当の守屋のぞみストラテジストは「24年後半以降は、円高に
よる外需株を中心とした収益の悪影響を織り込むが、企業の為替前提との乖離(かいり)は限られるため、大幅な株価調整は想定しない」と
指摘する。日本株は年初からの急ピッチの上昇を経て、今後の上昇ペースが鈍る可能性が高いが、じりじりと水準を切り上げる展開となりそ
うだ。
2024/04/05 20:49 日経速報ニュース
証券株に売りが広がっている。5日の東京株式市場では業種別日経平均株価の「証券」が前日比2.4%安の3147.07となり、2月下旬以来
およそ1カ月ぶりの安値水準となった。大幅反落となった日経平均の下落率(2.0%)を上回った。株高が一服し、売買手数料収入が伸びると
の期待が後退。利益確定の売りが優勢となった。
指数構成銘柄では、大和証券グループ本社が3.2%安、東海東京フィナンシャル・ホールディングスが2.8%安、野村ホールディングスが2.6%
安、マネックスグループが2.0%安だった。
証券株は年初から3月下旬にかけて上昇基調が続いていた。業種別日経平均の「証券」は3月22日に直近高値の3395.59をつけ、23年末
から29%上昇していた。株高で売買が活況となり、手数料収入が伸びると期待された。
足元では米国の利下げ観測の後退や中東情勢の悪化を受けたリスクオフの流れから株高が一服。収益拡大期待がしぼみ、利益を確定さ
せる売りが広がった。
もっとも、「市場全体の商いはしっかりしており、証券会社にとってアゲンスト(向かい風)の状況ではない。一時的な売りにとどまる」(りそ
なアセットマネジメントの下出衛チーフ・ストラテジスト)との見方がある。東証プライム市場の売買代金は1月末から足元にかけて4兆?6兆
円台で推移する。前年同期は2兆?4兆円台だった。
ピクテ・ジャパンの糸島孝俊ストラテジストは「昨年からの株高や新NISA(少額投資非課税制度)がどれだけ収益貢献しているか、今後の
決算で見極めたい投資家もいる。しばらく様子見の姿勢が広がりそうだ」と話す。
2024/04/06 日経プラスワン
4月22日にカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)の共通ポイントの「Tポイント」が三井住友フィナンシャルグループの「Vポイント」と統合し
名称を「Vポイント」に統一します。今持っているTカードやTポイントは統合後も新Vポイントの仕組みに乗って使えます。
Vポイントは三井住友銀行や三井住友カードなどの利用でたまります。年会費無料のクレジットカード(クレカ)の三井住友カード(NL)などを
対象店舗で使うと、スマートフォンのタッチ決済は利用額の最大7%、プラスチックカードのタッチ決済は同5%のVポイントをもらえます。スマホ
アプリの「Vポイント」に1ポイント=1円で入金しVisa加盟店で使えます。統合後は「VポイントPayアプリ」になります。
今のTポイントとVポイントをID連携すると22日以降、両ポイントを合算できます。例えばTポイント加盟店でTカードを提示し三井住友カードの
クレカでタッチ決済すると、今はTポイントとVポイントが付きます。統合後はVポイントがダブルでたまります。連携しないとポイント合算や一部の
サービス利用ができないので要注意です。
新Vポイントの有効期限は今のTポイント方式で最終利用日から1年です。現在のVポイント利用者はクレカの種類によって異なる有効期限が
利用ごとの自動更新に変わり、失効の恐れが少なくなりそうです。
21日まで「カウントダウン祭」を開催中です。エントリーすると、モバイルTカード提示でポイント付与が2倍(新規登録会員は10倍)、対象の
コンビニと飲食店で三井住友カードの対象カードでスマホのタッチ決済をすると通常最大7%の還元率が同10%になります。他のポイントも
新Vポイントを意識しキャンペーンを行うかもしれません。
2024/04/10 日本経済新聞 朝刊
三井住友DSアセットマネジメントは米ニューヨーク証券取引所で日本株の「アクティブ上場投資信託(ETF)」をこのほど上場させた。アクティブ
ETFは指数連動ではなく独自に選んだ銘柄で運用する。ニューヨークでの上場は日本株対象で2例目とみられ、国内運用会社では初めて。海
外投資家は日本株への関心を高めており、需要を取り込む。
「レイリアントSMDAMジャパン・エクイティETF」を上場させた。ファンド設定などを香港の運用会社、レイリアント・グローバル・アドバイザーズ
(RGA)が担い、三井住友DSアセットが銘柄選びなどの実質的な運用を請け負う。
約30銘柄に集中投資し、東証株価指数(TOPIX)を超える成果を目指す。投資対象は電気機器や機械、IT(情報技術)など幅広く想定する。
中長期で成長するとみる銘柄に投資する。
日本ではアクティブETFが2023年9月に解禁されたばかりだが、米国では手数料や税金などのコストの低さなどから急速に普及している。
残高の規模は日本の100倍超とみられる。
三井住友DSアセットとしても実質的に運用するアクティブETFを米国で上場させるのは初めてだ。市場が広がる米国で個人の資金などを取
り込みつつ、本格的な市場でノウハウを得る狙いもある。
海外で日本株への関心が高まっていることもニューヨークで上場した理由の一つだ。日経平均株価は2月に34年ぶりに最高値を更新し、足
元でも最高値圏にある。アクティブETFの上場が続けば、米国の個人マネーを日本株へ呼び込む流れが加速する可能性がある。
2024/04/11 日本経済新聞 朝刊
日銀が10日発表した3月の貸出・預金動向(速報)によると、全国の銀行と信用金庫の貸出平均残高は前年同月比3.2%増の619兆
5660億円になった。不動産やM&A(合併・買収)向けの資金需要が引き続き強く、新型コロナウイルス禍後の経済活動の改善に伴って
残高の拡大が続いている。
銀行・信金の貸出残高の増加率は、2月(3.0%増)より拡大した。特に都市銀行などの伸びが4.2%増と高く、2021年3月以来の増
加幅だった。信金は増加幅が縮小傾向にあり、3月は前年同月比0.4%増にとどまった。
預金残高も増加した。3月の平均残高は前年同月比2.0%増加し1039兆8999億円だった。2月(1.9%増)からわずかに伸び率は
拡大した。
日銀が3月にマイナス金利政策を解除し、金融機関では預金金利を引き上げる動きが活発になっているが、全体の残高に目立った影響
はないとみられる。
2024/04/14 日本経済新聞 朝刊
超低金利下で敬遠されてきた預金の位置づけが変わってきた。「金利ある世界」では金融機関の稼ぎの源泉として預金の重みが増すためだ。
各行とも金利を上げて獲得に動いているが、相続に伴う資金移動が預金の東京集中を加速させる要素として浮上してきた。60兆円規模の資金
移動は地方金融機関にとって試練となる。
「メガバンクに流れないよう、相続分を定期預金してくれたら金利を上乗せしている」。奈良県の信用金庫幹部は打ち明ける。この信金の預金
は前年比プラスだが、縮小傾向にある。預金者も高齢層が多く、相続に伴う預金流出への危機感は強い。
三井住友信託銀行は相続に伴い、今後30年間で58兆円の家計の金融資産が全国から東京圏(東京、神奈川、千葉、埼玉)に流入すると
試算する。東京圏から他地域への流出分を引いても東京圏の純増額は38兆円にのぼる。奈良や秋田、愛媛など17県では家計の金融資産の
3割以上が県外に流出する可能性があるという。
三井住友信託の青木美香主任調査役は「東京圏の吸収力はブラックホール並みで、家計の金融資産の集中は一段と進む」とみる。地方在
住の親が亡くなり、都市部に住む子供が預金を相続する際、営業地域が限られる地域金融機関は「流出超過」になりやすい。
信金の中央機関である信金中央金庫によると2024年2月時点の全国の信金の預金残高は162兆円。前年同月比1600億円増えたが伸
び率は0.1%に縮んだ。20~21年は新型コロナウイルス禍の支援金で8%を超えるときもあったが、足元では実質無利子・無担保融資(ゼロ
ゼロ融資)の返済に伴う預金流出も起きている。
直近23年11月時点で全国11地区のうち東北や北陸、中国、南九州など6地区の預金残高がすでにマイナスになった。信金の預金が全体
でも減少すれば21年ぶりとなる。
すでにマイナスに転じたのがJAバンクだ。23年5月に前年割れとなり、24年2月までの10カ月間のうち9カ月は前年実績を下回った。信金
とJAバンクに共通するのは高齢化が進む地方が地盤という点だ。
相続マネーの受け皿になっているのが大手行だ。日銀によると大手行の預金残高は24年2月までの1年間で15兆円増えた。信金より営業
地域が広い地銀の預金は全体では伸びを維持しているが、個別にみると残高が前年を下回る地銀もでてきた。
「これからは預金をとりにいく」。日銀が3月にマイナス金利政策を解除した後、みずほフィナンシャルグループの木原正裕社長は行員に意識
変革を訴えている。資金の振り向け先が乏しかった超低金利下では預金はコストのかかる重荷で、余剰資金を抱えて日銀にあずければマイナ
ス0.1%を課されてきた。
マイナス金利解除で前提が変わった。3メガバンクは0.001%だった普通預金の金利を0.02%に引き上げ、長めの資金を確保しようと定
期預金の金利も引き上げた。
ポイント経済圏の利便性や比較的高い金利を武器に預金を伸ばすネット銀行の存在も大きい。楽天銀行の預金残高は23年12月に10兆3
100億円と、1年間で1兆4700億円増えた。口座数も1400万を超え急成長が続く。ネット銀のサービスで満足すれば地域金融機関で口座
開設する動機は薄れる。
銀行や信金にとって預金は運用の元手でビジネスの基盤だ。預金が減れば運用リスクを取って収益をあげにくくなり、不良債権処理や融資
先への経営支援の余力は落ちる。
預金が増えた時代の終わりは地域金融の地殻変動の導火線になる可能性がある。
(湯浅兼輔、北島空)
2024/04/15 04:00 日経速報ニュース
住友グループの源流である別子銅山(愛媛県新居浜市)で使う機械の工場として、1888年に産声を上げた住友重機械工業。長い歴史の中で
事業の裾野を広げてきたが、強みが見えにくくなり現在の企業価値は理論値の7割にとどまっている。実はある半導体製造装置の分野では世
界最大手の牙城を崩せるほどの実力もある。半導体銘柄への転身を図れば、企業価値の毀損を脱する可能性も秘める。
「一般商船の建造の新たな受注は2024年度以降止める」。下村真司社長は2月の決算説明会でこう語った。別子銅山での機械工場と並んで
祖業の一つとして続けてきた造船事業から撤退することを決めた。事業規模が小さく、撤退による業績への影響は限られる。それでも大きく打ち
出したのは「株式市場に事業再構築への本気の姿勢を示す」(同社)狙いがあったからだ。
国の防衛費拡大などを背景に重工各社が株価を上げるなか、住友重機械の上昇率は相対的に小さい。同社は機械の動力伝達に使う変速機
・減速機、建設機械など幅広い事業を手掛ける。業界では複合経営ゆえに企業価値が割り引かれる「コングロマリット・ディスカウント」のきらいが
少なからずあるが、同社での影響は深刻だ。
複合企業の企業価値分析に使う「サム・オブ・ザ・パーツ(SOTP)法」で理論価値を出すと、その影響が浮かび上がる。日経バリューサーチの
データを活用し、各事業の営業利益と、それぞれの事業が属する業界内で事業価値(EV)が利益の何年分に当たるかを示すEV/営業利益倍率
を掛け合わせて事業ごとの理論価値を導き出した。
試算した事業価値の合計は1兆円に迫る。足元での株式の時価総額(5831億円)に、純有利子負債を加えた企業価値は6497億円となり、3割
下回る。企業価値は各事業の相乗効果を生み出すどころか事業価値の合計にも満たない。
企業価値を損なっている証左は他にもある。PBR(株価純資産倍率)は三菱重工業(2.4倍)や川崎重工業(1.4倍)などで1倍を超えるのに対し
、0.9倍にとどまる。
コングロマリット・ディスカウントを解消する手掛かりはあるか。
造船業の後を継ぐ子会社と大型の鉄鋼構造物を手掛ける子会社が組み、洋上風力発電用の設備ビジネスに乗り出すなど、複合経営を生か
そうとはしている。だが、こうした事業間シナジー(相乗効果)を創り出す取り組みは限られる。
板となるシリコンウエハーに注入し、ウエハーに半導体としての電気的な特性を与える工程を担う。半導体の製造に欠かせず、市場調査会社
グローバルインフォメーションによると同装置の世界市場は30年に113億5000万ドル(1兆7000億円程度)と22年の2.3倍となる。
1980年代、オイルショックのあおりでエネルギーを多く使う重厚長大産業が不況に陥った。そんななかメカトロニクスの技術などを生かして進
出したのがイオン注入装置をはじめとする半導体製造装置だった。
実は住友重機械はイオン注入装置の世界シェアで半導体装置の巨人、米アプライドマテリアルズ(AMAT)などに次ぐ3位にある。同装置の
シェアは6?7割のAMATに対して1割だが、スマートフォンや車載用カメラなどに使うイメージセンサー用では過半のシェアを占める分野がある。
生成AI(人工知能)向け半導体の需要もある。
稼ぐ力は高い。2023年12月期の連結営業利益率は7%で、そのうち傘下で事業を手掛ける住友重機械イオンテクノロジー(SMIT、東京・品川)
の利益率は20%に達する。試算によると事業価値は約2600億円に及ぶ。岩井コスモ証券の斎藤和嘉氏は「用途によってはAMATのシェアを
奪える。実現すれば評価もあがる」とみる。
2月、26年12月期まで3年間の中期経営計画をまとめた。連結営業利益で1000億円(前期743億円)、事業活動に投じた資金を使い効率よく
利益を上げているかを示す「投下資本利益率(ROIC)」で8%(前期7%)をめざす。株式市場では「まずPBR1倍へのシナリオは示された」(大和
証券の田井宏介氏)と評価する声もある。
だが資本コスト経営の徹底は欠かせない。住友重機械は資金の出し手である株主や債権者が期待する最低限のリターン「加重平均資本コ
スト(WACC)」を6?8%と見込む。30年12月期までに全事業のROICでWACCを上回る目標を掲げるが、プラントなど一部で目標を下回る状況
が当面続き、及第点にとどまる。資本効率を改善する具体策も乏しい。
「我が社を活性化させる切り札だ」。半導体装置への参入当初、当時の同社首脳は期待を込めてそう語っていた。ただ今では「事業を切り出し
上場すれば注目される。他の事業と同じ会社で抱えるのは残念」(半導体セクターの証券アナリスト)と皮肉る声もある。「重機械」の名を捨
て半導体銘柄になるくらいの覚悟で資本を傾斜配分することが、真の企業価値への近道かもしれない。
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2024/04/17 日本経済新聞 朝刊
日銀が16日公表した3月の当座預金残高によると、3メガバンクを含む都市銀行の残高が前月から約23兆円増加し、208兆3940億円に
なった。3月16日から4月15日までの平均残高で、当座預金の一部にマイナス金利を適用する政策が廃止されたことで残高が増えた可能性
がある。
金融機関は資金決済を行うため日銀の当座預金口座にお金を預けている。日銀は2016年からこの当座預金の一部にマイナス0.1%の
金利を適用していたが、3月19日にマイナス金利の終了を決めた。
マイナス金利の解除以降は、法定準備を除く超過準備額に0.1%の金利をつけている。法定準備分を除く約202兆円の残高が維持される
と考えると、日銀は年換算で2000億円規模の利息を大手銀に支払うことになる。
これまでは日銀にお金を預けすぎると、金融機関側に利払い負担が生じる構図だったため、銀行はマイナス金利の適用を回避するため余剰
資金の運用先を模索してきた。短期の資金をやりとりする市場に資金を放出するなどしてマイナス金利の適用を免れていた。
マイナス金利解除後は「当座預金に積めば0.1%の金利がつくため、短期市場では大手銀が資金の取り手に転じている」(短期市場関係
者)とみられる。りそな銀行の担当者は「無担保コール翌日物や5年以下の国債などで柔軟な運用ができるようになってきた」と話す。
2024/04/18 日本経済新聞 朝刊
住信SBIネット銀行は17日、短期融資の基準となる短期プライムレート(短プラ)を0.1%引き上げて年1.775%にすると発表した。5月1日
から適用する。短プラは変動型住宅ローン金利の基準で、同行で借りたローン金利は上がる可能性が高い。
日銀が3月にマイナス金利政策を解除してから短プラの引き上げが表面化するのは初めて。預金金利の引き上げに伴う調達コストの上昇を反
映したとしている。日銀が2016年2月にマイナス金利政策を導入した際、住信SBIは短プラを据え置いていた。
住信SBIの4月時点の変動型住宅ローンの基準金利は2.775%で最優遇金利は0.298%。銀行は一般的に住宅ローンの基準金利を毎年
4月1日と10月1日に見直している。
10月までに再び短プラを下げなければ、10月から変動型の基準金利は上昇。25年1月の返済分から影響する。
住信SBIは23年3月期の住宅ローン実行額が1兆4000億円超で、メガバンクを上回る。残高ベースでは23年12月末時点で6兆円を超え
このうち変動金利型は93%を占める。
短プラは1年未満の短期融資の基準となる金利。住信SBIが短プラを上げるのは07年に営業開始してから初めて。日銀によると最も多くの
銀行が設定している水準(最頻値)は09年1月以来、1.475%で据え置かれてきた。変動型の住宅ローンの基準金利は多くの大手行が短
プラに連動して決めている。
2024/04/22 05:00 日経速報ニュース
カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)と三井住友フィナンシャルグループ(FG)のポイント事業統合で「新生Vポイント」が22日にスタートす
る。会員数は8600万人程度と国内有数の規模となる。世界1億店以上のVisaカード加盟店で使えるなど金融面の強みを生かし、共通ポイント
で先行する携帯大手に挑む。
「2つのポイントの良さを合わせ、みんなが自由にどこでも使えるポイントになる」。2023年6月、三井住友FGの太田純社長(当時)はポイント事
業統合の記者会見で力を込めた。
CCCのTポイントと三井住友FGのVポイントを統合し、新生Vポイントに統一する。共通ポイントの草分け的な存在で約20年の歴史を持つTポイ
ントの名称は消えることになる。会員数は単純合算で1億5000万人規模で、重複を省くと8600万人規模になるとみられる。運営会社にはCCC
側が6割、三井住友FG側が4割を出資する。
最大の強みは世界200カ国以上に1億店以上あるVisa加盟店でポイントをためて使えることだ。CCCの高橋誉則社長は「世界で使える場所が
急速に広がる」と話す。実際にVポイントは会員1人あたりの年間ポイント獲得額がTポイントの8倍だ。1000円以下の決済が多いTポイントに対し
数千円、数万円単位のVポイントはたまりやすかった。
さらに三井住友FGはスマートフォンを起点とした金融サービスへの転換を進めている。核になるのが、総合金融サービス「Olive(オリーブ)」だ。
銀行、カード、証券、保険などのグループの金融サービスの利用状況に応じてポイント還元率を高める。
Tポイントは知名度が高い一方、決済面の機能が弱い。CCCの本業であるDVDレンタル市場の縮小などもあり、ここ数年は苦戦していた。一方
Vポイントはクレジットカードのタッチ決済など利便性は高いが、知名度に劣る。
両社の思惑が一致し、ポイントの統合交渉はわずか1カ月でのスピード合意だったという。CCC創業者の増田宗昭会長は「太田さんに会った時
一発で『おもろいオッチャンやな』と思った。一緒にやりたいと思った」と話す。その太田氏は膵臓がんにより23年11月に65歳で急逝した。
国内のポイント市場は成長が続いている。矢野経済研究所(東京・中野)によると、27年度の年間ポイント発行額は22年度比37%増の3兆39
99億円に膨らむ見通し。
共通ポイントでは携帯大手の4社の存在感が強い。楽天グループの「楽天ポイント」、NTTドコモの「dポイント」、KDDI系の「Pontaポイント」、ソフ
トバンク系の「PayPay」は通信や金融サービスを融合させて顧客を囲い込もうとしている。
NTTドコモはアマゾンジャパン(東京・目黒)と連携し、弱点だった電子商取引(EC)を補強している。楽天グループは18日、決済やポイントなど
のアプリを統合すると発表した。
MMD研究所の24年1月の調査では「最も活用しているポイント」は、TポイントとVポイントの合計で約8%にとどまる。ある共通ポイントの関係者
は「脅威だとは思っていない」と話す。
複数のポイントを活用する30代会社員の女性は「その時々にお得なポイントを集めている。早速Vポイントへの移行キャンペーンも利用している」
と話す。MMD研究所の伊藤南美研究員は「Visaの加盟店で利用できることは大きいが、VポイントがVisaだと消費者に分かりやすくアピールでき
るかが鍵だ」と話す。
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2024/04/26 日本経済新聞 朝刊
【シンガポール=佐藤史佳】米ブラックロックとシンガポールの政府系投資会社テマセク・ホールディングスが設立した資産運用会社、デカー
ボニゼーション(脱炭素化)パートナーズは、1号ファンドで14億ドル(約2200億円)の調達を完了した。みずほ銀行と三菱UFJ銀行も参画する。
1号ファンドには18カ国から30の機関投資家が参画する。みずほと三菱UFJのほか、米保険大手のオールステート、スペインの大手銀行BB
VA、デンマークの投資会社KIRKBIなどが機関投資家として出資する。年金基金や政府系ファンド、富裕層の資産を管理するファミリーオフィス
からも資金を集めた。
新ファンドは脱炭素関連の事業に取り組む企業やレイターステージ(成長後期)のスタートアップに投資する。
2024/04/26 05:00 日経速報ニュース
日銀は26日に金融政策決定会合を開く。会合後に初めて示す2026年度の消費者物価指数(CPI、生鮮食品除く)の前年度比上昇率は2%程度
となる見通しだ。低金利が円安進行の一因になっているとの指摘もあるが、日銀は3月会合でマイナス金利政策を解除したばかりで、市場関係
者の多くも金融政策の「現状維持」を見込む。
植田和男総裁が26日午後に記者会見し決定内容を説明する。
日銀は3月会合でマイナス金利を解除し、17年ぶりの利上げに踏み切った。市場は追加利上げの時期に注目しているが、今回の会合での政策
変更を見込む声は少ない。
QUICKが15日発表した4月の外為月次調査によると、日銀が追加利上げに動くタイミングは年内では10月(22%)が最多で、4月の利上げを見込
む声は2%だった。
日銀は一時的な要因を除いた基調的な物価上昇率が2%に達する可能性が高まっているか見極めた上で追加利上げを判断する意向だ。植田
総裁は23日の国会で基調的な物価上昇率が「現状は2%をやや下回っている。緩和的な金融環境を維持するのが適切だ」と答弁した。
3カ月ごとに示す「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」も焦点となる。26日の会合後は24?26年度の3年間の物価見通しを盛り込んだ最新
のリポートを公表する。
日銀は3月会合でマイナス金利を含む大規模な金融緩和策を解除した際に、政府と掲げる物価2%目標の実現が「見通せる状況に至った」と
説明していた。今回のリポートで初めて示す26年度の物価上昇率見通しは2%程度とするとみられ、2%目標に近い水準が5年連続で続くことに
なる。
1月会合時点で2.4%の上昇とした24年度見通しも引き上げる可能性がある。足元で円安が進んでいることに加え、中東情勢の緊迫化で原油
など資源価格が上昇するリスクがある。5月検針分の電気料金から再生可能エネルギーの普及のために上乗せする賦課金が引き上げられるこ
とも上振れの要素になりそうだ。
市場は政策変更の有無だけでなく、植田総裁の円安に絡む発言に注目している。外国為替市場で円は1ドル=155円台とおよそ34年ぶりの
水準まで円安が進んだ。植田総裁は18日のワシントンでの会見で円安で基調的な物価が上がって「無視できない大きさの影響になれば、金融
政策の変更もありうる」と将来の利上げに含みを持たせている。
長期国債の買い入れを巡る対応も焦点だ。3月会合でこれまでと同程度の買い入れを続ける方針を決めた。「将来的には買い入れを減額」(
植田総裁)する考えだが、具体的な時期は示していない。日銀の国債保有割合(国庫短期証券を除く時価ベース)は発行残高の過半に達して
おり、市場は日銀がいつ量的引き締め(QT)に踏み切るかも注視している。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-04-26/SCHAWVT1UM0W00?srnd=cojp-v2
銀行株は過去数十年放置、インフレ本格化なら新フェーズ入りの声
バリュー株、足元で対グロース株のアウトパフォーム度合い強める
マイナス金利政策の終了とともに、いったん勢いが衰えるかに見えた銀行株を含むバリュー(割安)株。だが、外国為替市場で円安が止まらず
市場では日本銀行が再度の金融引き締めに向けたタカ派的な姿勢を強めるのでないかとの見方がくすぶり、再びバリュー株への追い風が吹く
可能性が出てきた。
円相場が対ドルで34年ぶりの安値を更新し、円安による国内経済への悪影響を懸念する声が経済界でも日増しに高まっており、植田和男総
裁が早ければ今回の会合で再利上げに向けた布石を打つのではないかとの観測が浮上している。市場参加者の金融政策見通しを映すオーバ
ーナイト・インデックス・スワップ(OIS)は10月までの0.25%への利上げ実施を織り込み、7月までの可能性も5割程度織り込まれてきた。
住友生命バランスファンド運用部の村田正行部長は「植田総裁は円安が物価に与える影響を考慮するだろう」と予想。今回の会合で利上げは
考えられないが、「利上げをにおわせるスタンスを打ち出す可能性がある」と述べ、こうした思惑が最近の銀行株の堅調につながっていると指摘
した。
日銀の年内利上げ予想が8割占める、最多10月は4割に増加-サーベイ
3月のマイナス金利解除に際し、日銀は当面緩和的な金融環境が継続すると強調。市場も追加利上げは当分ないとみて、銀行株を含むバリュ
ー株相場は終わるのではないかとの見方も出ていた。
UBS SuMi TRUSTウェルス・マネジメントの小林千紗日本株ストラテジストは、多くの投資家はマイナス金利の終了で日銀の政策変更はひ
とまず終わりと考えてきたが、日銀がいずれ利上げに動く大きな方向性は変わらないと指摘。こうした点が市場で見過ごされており、「銀行は
過去数十年にわたり放置されてきたセクターだけに、日本が本当にインフレになるのなら新たなフェーズだろう」と語る。
2024/04/30 11:37 日経速報ニュース
「日本は他の先進諸国に比し、与党政権が安定している」
これが、外国人から見た日本株のメリットの一つであった。
国賓待遇で訪米。議会英語演説でスタンディング・オベーションを受けた岸田首相の姿が全米に放映されたことで、つい最近まで米国内での
印象度は悪くなかった。
それが今や、補欠選挙の与党全敗で、日本株を取り巻く政治環境の不透明性がにわかに海外でも醸成されつつある。週末にも外国勢から、
日本の政治に関する質問が相次いだ。筆者は、日本発ニュースへの注目度が高まり、補選結果まで彼らが把握していることに、日本株への
本気度を感じている。
そこに、円も迷走していることで、日本株保有見直しの動きが、徐々に出始めた。
確かに、1ドル=160円ともなれば、日本株市場は、外国人投資家から見れば「バーゲン会場」とも映る。
とはいえ、春闘で大幅賃上げの事例が多く見られたことで醸成された、実質賃金増加による物価と賃金の「良い循環」実現の期待感に、超
円安は冷や水を浴びせる展開になっている。期待感で日本株を購入、あるいは、検討を始めた外国人投資家の心理が、今や揺れていること
が、彼らとの対話から伝わってくる。
特に、円安に関しては日銀と米連邦準備理事会(FRB)の情報発信の違いが話題になっている。
筆者が最も印象的と感じた質問は「日銀会合で参加者たちはドット・チャート(政策金利見通し)のような個人的金利予測を行わないのか」。
「日銀総裁の記者会見での発言が断片的に英訳されて伝わってくるが、よく理解できない」という素朴な疑問も目立つ。
「確か、今回の日銀会合では、利上げ見送りが事前予測であったと聞いている。緩和継続も想定内であろう。それが、結局、総裁の円安に
関する直接的発言が不十分、あるいは分かりにくいとの理由で、円相場はレッドラインを突破した感がある」「市場は円安について、日銀総裁
から不安感を除去するような発言を事前にそれほどに期待していたのか。我々遠く観客席から見ていた視点では、なにやら試合中にゴール
ポストが移ったような印象だ。これでは、まさしく投機筋の思うつぼではないのか」。これは、日本株を買ったものの、円迷走に不安感を覚える
というヘッジファンドの本音の感想だ。
筆者も、日銀会合と米連邦公開市場委員会(FOMC)の際の中央銀行トップ記者会見を見続けてきたが、たしかに、日銀のほうが日本人で
も解釈が難しい。行間を読まねばならず、禅問答のごとく難解だ。しかも、同じような質問が繰り返される。対して、FRBのほうは、若手の女性
記者らが、「ハロー!ミスターチェアマン」と明るく切り出すシーンなど、フランクな印象で、質問の内容も多岐にわたる。FRB高官らが、常日頃
、利下げ回数など具体的に意見を述べているので、日銀に比し、かなり突っ込んだ議論が交わされる。
いっぽう、円売り投機に走っているヘッジファンドは「高笑い」かと思いきや、介入当局との我慢比べの様相で、緊張感がひしひしと伝わって
くる。140円台後半から150円程度で円を売った人たちは、声高に、「介入があっても150円に戻すのは難しい」と強調する。しかし、円という
通貨を持っていないのに、円を売った人たちの心理は、早々に円を買い戻さねばという焦りに揺れるものだ。そもそも損切りより利益確定のほ
うが「欲との戦い」で難しい。まして、相手が介入当局となれば、これは我慢比べとなる。先週金曜日に発表された米シカゴ・マーカンタイル取
引所(CME)の通貨先物取引(IMMポジション)の円ショート件数はネットで17万9919枚と記録的な高水準まで膨張したが、この数字は先週
火曜日時点のもので、日銀会合後の円売り枚数はまだカウントされていない。いずれにせよ、市場の底流には、円買い戻しマグマがふつふつ
と蓄積している。当面、円売り優勢論が圧倒的だが、投機筋の本音は、いつ臨界点に達するのか、戦々恐々なのだ。彼らの悪夢は、米インフレ
が今後意外に順調に収束して、FRBも安心して利下げできる市場環境になることだ。FRBの制御不能な地政学的リスクやら、財政赤字膨張に
よるインフレ再燃は米金利高止まり要因としてひそかに「期待」しているところとなる。
現時点では、ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)が明確に円安方向を示唆している。とはいえ、市場の大多数が同じ方向を向くことは
不気味なものだ。
2024/05/02 日本経済新聞 朝刊
3メガバンクの2024年度の採用計画が出そろった。三菱UFJ銀行は中途で23年度比7割増の600人を採用し、新卒を初めて上回る見通し
だ。3メガ銀全体で中途比率は45%と5割に迫る。デジタル化や富裕層向けビジネスの重みが増すなか、新卒一括採用で様々な部署を経験
させて人材を育成してきた従来の手法が転機を迎えている。
三菱UFJ銀行は24年度に中途600人、新卒400人を採用する計画で、中途の数がはじめて新卒を上回る見通しだ。23年度は中途347人
新卒354人だった。システムやデジタル関連などに重点を置き採用する。25年3月期から新しい中期経営計画が始まったのを見据えて人材を
手厚くする。面接回数の削減などで採用の裾野拡大を急ぐ。
三井住友銀行の中途採用は過去最高だった23年度と同水準の200人となる見通し。持ち株会社や銀行などのグループ各社で従業員を一
括採用するみずほフィナンシャルグループ(FG)は、23年度実績比では減少するが22年度比では2割以上多い400人を採用する。
24年度の3メガ銀の中途採用は1200人に達する見通し。中途、新卒を合算した3メガ銀の採用数は2650人となり、中途比率は45%と
5割に迫る勢いだ。
これまでは3メガ銀の中途採用の割合は18年度で5%にとどまるなど、新卒一括採用を優先する色が濃かった。日本経済新聞社の採用計画
調査では同じ時期に主要企業は20~30%程度で推移しており、24年度は4割に達した。3メガ銀の中途採用の割合は新型コロナウイルス禍
を経て主要企業とほぼ同水準に追いついたことになる。
17年度以前も各行中途は数十人規模といい、全体の割合からみてわずかだった。24年度の中途比率45%は過去最高とみられる。
3メガ銀が中途採用を強化するのはデジタル技術の活用やウェルスマネジメント(富裕層向け資産運用)、プロジェクトファイナンスなど広い分
野で即戦力の人材を採用する必要が高まっているためだ。外部で知見を得た人材を採用しなければ事業強化で異業種も含めた競争におくれ
をとりかねない危機感がある。
みずほFGは専門職に絞った中途採用に限らず、異業種を経験して間もない人材を対象にした第二新卒の採用を始めた。リテール(個人向け
営業)や大企業、IT(情報技術)をはじめ必要な人材を採用するための事業部門が主導した形での採用も始めている。従来は人事部門が採用
を主導していた。
新卒でも専門性への志向が強い人材を採ろうとする動きが目立つ。三井住友銀はデジタルやIT分野で採用する人材を3倍程度に増やす。
「IT・デジタルコース」と位置づけ、採用数はこれまで15人程度だった。採用の割合がIT・デジタル分野で1割程度まで高まることになる。
3メガ銀の新卒採用はマイナス金利環境のもとで効率化を進め、減少傾向が続いてきた。直近のピークだった15年度は3メガ銀合計で新卒
を5000人超採用していたが、一時1000人強にまで減少。近年は「金利ある世界」も見据えて採用を強化したものの、24年度計画で5%減
の1450人と頭打ちの色が強くなっている。
雇用市場の流動化で転職が活発になっていることもあり、異業種や同じ大手行の中で転職する動きも珍しくなくなっている。各行にとって即
戦力人材の確保は喫緊の課題となりつつある。JPモルガン・チェースが年1兆円規模をデジタルに投資するなど、特にデジタル人材の確保で
投資を進める国外の大手行に劣後できない事情もある。
メガ銀では採用戦略の巧拙が競争力に影響するという危機感が強まる。採用市場ではコンサルタントや大手商社が高給を武器に新卒や
中途の人材をひきつけ、人材会社経由の採用では年収の3割程度とされる紹介料の負担も重くなる。3メガ銀は従業員の紹介やアルムナイ
(卒業生)の採用を強化して人材の確保を進める方針だ。
2024/05/02 12:51 日経速報ニュース
2日午前の日経平均株価は小幅に反発し、前引けは前日比25円66銭(0.07%)高の3万8299円71銭だった。米利上げ懸念の後退などが
押し目買いを誘ったとみられるが、朝方は節目の3万8000円を割り込む場面があるなど地合いの弱さも目立った。これまで日経平均を歴史
的な高値圏に押し上げてきた材料のうち、半導体関連の業績期待と外国為替市場での円安進行という「二本柱」が揺らぎつつあるなか、上
値追いの機運もしぼみ始めてきたようだ。
日経平均は朝安後急速に下げ渋ったが、市場では「米連邦公開市場委員会(FOMC)声明文やパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長
の発言というより、日本の4連休を前にCTA(商品投資顧問)などによる売りポジションの縮小など需給的な動きだったようだ」(明治安田アセ
ットマネジメントの竹田太樹トレーダー)との見方が多い。
1日の米株式市場でフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が3.5%安と急落した。半導体大手アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)が発
表した4?6月期の売上高見通しが慎重との見方が広がった。生成人工知能(AI)関連の需要が市場の期待ほど盛り上がっていないうえ、
スマートフォンやパソコンなどの回復も遅れている。
国内ではイビデンが1日、25年3月期(今期)の連結純利益が前期比17%減の260億円になる見通しだと発表した。パソコンや汎用サーバ
ー向けの需要回復が遅れるためで、市場予想平均のQUICKコンセンサス417億円(12社、4月23日時点)を下回った。前週に今期見通しを
発表したアドバンテストも市場予想を大きく下回るなど、今回の日米の主なハイテク企業決算は、市場の高い期待に届かず失望売りを浴び
る例が続出している。
FOMCの直後、ニューヨーク外国為替市場で円相場が1ドル=153円台まで急速に円高が進行する場面があった。日本政府・日銀が円買
い介入に再び踏み切ったという思惑も出ている。市場では「介入したかどうかは分からないが、当局がこれ以上の円安は許容しないと考え
る投資家が増えてきた」(運用会社のファンドマネージャー)。今期も円安による輸出企業の利益上積みを期待していた投資家は、むしろ円
高に振れるリスクを意識する必要が出てきた。
SMBC日興証券によると、東証株価指数(TOPIX)構成銘柄で1日までに業績見通しを発表した224社の会社側の営業利益計画は前期
比0.1%増にとどまる。期初は保守的な見通しを立てることが多いうえ、開示率も現時点で15.8%と低いため参考数値ではあるが、少なくとも
企業側は今期の世界経済の現状などを楽観的にみていないことは間違いないだろう。
もちろん日本株は半導体の業績や円安進行への期待だけでなく、デフレ脱却やコーポレートガバナンス(企業統治)の改革といった他の
買い材料もある。りそなアセットマネジメントの戸田浩司シニア・ファンド・マネージャーは「期待感が完全に消えたわけではないので持ち高を
減らす理由はない」と話す一方、「米国の金融政策や景気が読めないので無理に上値を追いたいと考える投資家も少ない」とみていた。
日経平均は当面、金融政策や為替、企業業績をにらみつつ停滞感の強い展開が続く可能性がありそうだ。
2024/05/03 日本経済新聞 朝刊
日銀がマイナス金利解除後の地域金融機関の不動産融資動向を警戒している。低金利下で利ざやを厚めにとれる不動産向けは重要な
収益源となってきた。日銀の集計では地域金融機関の不動産向け融資残高はこの10年で約6割増加したが、金利上昇や市況変化によっ
て地銀の収益を下押しするリスクが重荷になっている。
地域金融機関の不動産融資の残高は、36兆円となった2009年に大手行の伸びを追い越し、その後も拡大を続けてきた。直近(23年
9月)は大手行より3割多い67兆円にまで膨らんだ。異次元緩和下の低金利で不動産融資は過熱し、特に人口減少で経営環境が厳しい
地方銀行・信用金庫が収益源として頼ってきた構図が浮かび上がる。
宮城県地盤の仙台銀行は、直近23年9月末の不動産向け融資残高が約2150億円と16年3月末比で2倍に膨らんだ。同行の担当者
は「震災からの復興需要や再開発など不動産事業者の資金ニーズは強く融資が増えた」と話す。足元で地価上昇による過熱感が指摘され
ているが、「適正な審査のもとで融資を続ける」としている。
静岡銀行を傘下に持つしずおかフィナンシャルグループも23年度からの中期経営計画で、静岡県外でも不動産向けの貸し出しを強化す
ることを盛り込んでいる。
地方都市の大規模な再開発も今後数年間続くと見込まれている。引き続き不動産向け融資に力を入れる地銀は多い。電子商取引(EC)
サイトの発展で倉庫などの需要が高まり、オフィスビルや倉庫など物流施設向けの物件も増えている。
日銀は今後の金利上昇に伴う収益へのリスクを警戒している。日銀が居住用賃貸業向け融資(アパートローン)の金利を調べたところ、
地銀では金利の変動リスクをとらない固定金利での貸し出しが6割程度を占め、融資期間も平均24年と長期間に及ぶ。
一方、融資の「原資」となる預金の調達コストは足元で上昇傾向にある。日銀が3月にマイナス金利を解除し、地銀を含む多くの銀行が
普通預金金利を従来の0.001%から0.02%に見直した。大半の金融機関にとって、普通預金の金利を引き上げるのは日銀が最後に
利上げした07年以来17年ぶりだ。
「固定貸しの金利収入が変わらない一方で、預金金利が上がれば利ざやが縮小し、収益に下押し圧力が生じることに留意する必要がある」。
日銀の担当者はこう解説する。変動金利の場合でも、金融機関の競争環境が厳しいなかで十分に貸出金利を引き上げられるかも分からない
といった事情がある。
不動産市場悪化の影響が広く連鎖する懸念もある。日銀は4月にまとめた金融システムリポートで、米欧での金利上昇による不動産不況の
あおりが日本にも波及すると想定してストレステストを実施した。国内の三大都市圏のオフィス物件でバブル崩壊時に相当する価格下落が起
こるなどの条件をおいた。実際、米国などでは金利の高止まりでファンドが借り換えに苦しみ、ローンの延滞や債務不履行が増えている。
ストレステストの結果、国内金融機関全体でみた経済損失は限定的だと評価したが、細かくみると不動産融資を増やしている地銀や信金
への影響も考えられる。不動産関連企業やファンド向け融資などを通じて一定の損失が生じる金融機関の割合が、06年は全体の4割程度
だったが、直近では8割まで拡大したという。
大手行だけでなく一部地銀でも不動産ファンド向けの貸し出しが増えていることが背景にある。地銀の不動産融資のうちファンド向けは17年
6月末に残高全体の3%だったが足元で7%まで増えた。「収益性が高い案件が多い首都圏に集まるのは自然」(地銀関係者)だが、それは
都市圏の不動産価格下落の影響が広がりやすいことを意味する。
一方、不動産投資信託(REIT)を通じた損失は、有価証券運用の一環で投資を増やしてきた信金で目立つという。その結果、日銀のスト
レステストでは地銀・信金への波及が大きくなったと考えられる。
「局所的に高額帯の取引が増えており、一部に割高感がうかがわれる」。日銀はリポートで不動産市場のリスクに注意を促した。ショックの
引き金はどこで発生するかわからない。マイナス金利政策を解除したばかりの日本では、金利の本格的な上昇局面までには少し時間があり
そうだが、今のうちから丁寧なリスクの点検が求められる。
2024年05月05日 21時00分時事通信
新NISA始まり国内株に追い風
2024年05月04日 15時34分時事通信
今年1月に始まった新たな少額投資非課税制度(NISA)を通じ、5割近くの資金が国内株式へ流入していたことが日本証券業協会の調べ
で分かった。海外投資家主導で日経平均株価が初の4万円を突破した勢いを、個人投資家もうまく捉えたようだ。
日証協が野村証券やSBI証券など対面・インターネットの大手10社を対象に実施した調査によると、1~3月のNISA経由の買い付け額の
うち、国内株が47%を占め、投資信託の50%に肩を並べた。株価が上昇基調を強めたことに加え、非課税投資枠が大幅に拡大されたこと
が後押ししたとみられる。
大和証券の吉田光太郎常務執行役員は「NISA経由の買い付け額は前年同期比3倍強。8割が株式、2割が投信で、株式のほとんどが
日本株だ」と説明する。
特に人気なのは、安定して高配当収入が得られる銘柄だ。SBI証券によると、今年度の1株当たりの年間配当予想が194円の日本たば
こ産業(JT)が首位で、NTT、三菱UFJフィナンシャル・グループと続く。東証が昨年3月、上場企業に「資本効率や株価を意識した経営」を
要請し、配当を含む株主還元を重視する企業が増えている。国内株投資は為替変動リスクも低い。
一方、ハイテク企業が主導する米国などと異なり、日本では人口減少で市場縮小が見込まれ、国内企業の成長性を悲観する向きもある。
新NISAでは海外株を中心に構成する投信の人気も高く、「家計資金の海外流出」(市場関係者)を嘆く声も多い。
初心者向けに投資ノウハウを発信する人気ユーチューバーの小林亮平氏は、海外株中心の投資スタイルを提言。日本への投資を前向き
に考えるには「移民の積極的な受け入れや、人工知能(AI)の活用を通じて不足する労働力を確保することが条件になる」と指摘している。
【時事通信社】
2024/05/06 04:00 日経速報ニュース
世界の流れと逆行する日本では日銀の追加利上げの時期が焦点になっている。4月の金融政策決定会合後の記者会見で、植田和男総裁
からは早期利上げにつながる発言はなかった。それでも市場では、これまで0.5%程度とされてきた利上げの終着点がより高まる可能性も意識
されている。長期金利は1%台前半まで上昇(債券価格は下落)するとの声が増えている。
「目先の円安を止めるために金融政策を変更するとの市場の思惑からは距離を取った」。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美チー
フ債券ストラテジストは4月26日の日銀の政策決定会合の内容を見てこう話した。日銀は同日、政策金利の据え置きを決めた。
25年秋まで2回利上げか
市場の一部で高まっていた、円安リスク対応での7月利上げ観測はやや後退した。翌日物金利スワップ(OIS)市場は10月に1回目の追加利
上げ、2025年秋までに2回目の追加利上げの実施を織り込んでいる。
では、長期金利への影響はどうか。PGIMジャパンの国沢太作社長は「仮に2回の追加利上げがあっても、長期金利の上昇は1%台前半まで」
という。金利が上昇するにつれ銀行や保険など国内投資家による国債買いの需要が強まるためだ。
長期金利の指標になる10年物国債利回りが1%となれば、30年物国債利回りは2%の節目を超えると予想される。多くの生保は「30年債が2%
程度になれば積極的に買う」方針を示す。
「長く続いてきた低金利で国債離れしてきた銀行も、資金を戻すタイミングをうかがっている」(オールニッポン・アセットマネジメントの森田長太
郎チーフストラテジスト)。国内投資家の買いに支えられることで、長期金利が1%を大きく超えるとの見方は少ない。
日銀の国債買い入れ減額はいつか
需給面では日銀が国債買い入れ額をいつ減額するかも論点の1つになる。4月会合で日銀は政策内容の声明文を大幅に簡素化した。3月は
月6兆円程度としていた国債の買い入れ額に関して、4月は「2024年3月の金融政策決定会合において決定された方針に沿って実施する」とし
た。減額を表明してはいないものの、「政策の自由度を確保した」との解釈が広がる。
野村証券の松沢中チーフ・ストラテジストは「6月にも正式に買い入れ額の減額を表明する」と予想する。日銀は5月下旬に「金融政策の多角
的レビュー」の第2回ワークショップを予定する。国債買い入れの副作用や弊害への理解が深まり、買い入れ減額の正当性が強まるとの見立
てだ。
ただ、日銀の分析を基にした試算では国債の買い入れ額を年10兆円減らしても、長期金利の押し上げ効果は年0.04%程度と限定的な水準に
とどまる。
政策金利が想定よりも高い水準まで引き上げられるリスクへの目配りは必要だ。過去20年の政策金利の上限である0.5%までの引き上げを想
定する国内投資家は多い。だがインフレ圧力が続く中、「世界的な景気後退などが生じなければ2?3年内に1.5%程度までの利上げがあり得る」
(野村証券の松沢氏)との声も出始めている。
4月会合で日銀が公表した「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)も、より高い水準まで利上げが続く可能性を示唆する。展望リポートでは26
年度の生鮮食品とエネルギーを除く消費者物価指数(CPI)を2.1%とした。「見通し期間後半には『物価安定の目標』とおおむね整合的な水準で
推移すると考えられる」と記した。
景気をふかしも冷やしもしない「中立金利」に関する植田総裁の発言も注目を集めた。植田総裁は4月26日の記者会見で見通し期間の後半に
物価が日銀の想定通りに推移するなら、「政策金利は中立金利の近辺にあることになる」と発言した。
中立金利の具体的な水準には言及しなかったものの、日銀は景気に対して中立な実質金利である「自然利子率」をマイナス1.0%からプラス0.
5%と推計していると見られる。インフレ率が安定的に2%になるとすれば、自然利子率に期待インフレ率を足して出す中立金利は1.0%?2.5%にな
る。26年度に向け0.5%を超える利上げの現実味が増す。
政策金利の終着点が0.5%よりも高くなるのであれば、長期金利はより高い水準まで上昇する可能性がある。追加利上げの時期だけでなく利上
げペースや回数など読み切れない部分は大きい。日銀の金融政策の先行きを巡り、債券市場では神経質な展開が続きそうだ。
個人投資家も投資先は多彩
債券の利回りが高まる中、個人投資家にとってもうまみが増しそうだ。新たな少額投資非課税制度(NISA)でも一部の債券ファンドに投資できる。
個人が買える債券の代表にあがるのは国が発行する「個人向け国債」だ。固定金利の3年物、5年物のほか、変動金利の10年物の3種類があ
る。1万円から購入可能で、国が保証するため元本割れのリスクはない。発行後1年経過すれば原則いつでも中途換金できる。
満期までクーポン(利息収入)が一定の固定型に対して、変動型は実勢金利に応じ半年ごとに適用利率が変わる。変動10年は新発10年国債
の入札利回りに0.66をかけて決まる。5月発行分の税引き前の利回りは0.5%。100万円分購入した場合の利息収入は年間5000円と低い
今後の金利に応じて上下する。
保有するリスク資産の一部を低リスクの債券に回しつつ、クーポンを得たいと考える人は多いだろう。ファイナンシャルプランナー(FP)の高橋忠
寛氏は「資産の多い人であれば、安全資産の置き場として活用するのも一案だ」と話す。
株式と異なり、元本割れすることはないため、リスク分散につながる。ただ満期前に換金すると、額面金額に経過利子を加えた金額から直前の
2回分の利子相当額が差し引かれる点は注意が必要だ。
新NISAでは債券自体に投資できないが、債券に投資する上場投資信託(ETF)や投信を買うことができる。債券型ファンドは成長投資枠(年
240万円、生涯1200万円まで)で購入できる。
利回りの高い投信もある。三菱UFJアセットマネジメントの「eMAXIS Slim 先進国債券インデックス」や大和アセットマネジメントの「iFree新興国
債券インデックス」は直近3年間の1年あたりの平均利回りはそれぞれ5.12%、9.30%だ。ファンドが管理するため、償還期日などを気にする必要
がなく、個別に債券投資するよりも手軽に運用できる点が魅力だ。
外国債や公募社債なども候補にあがる。米10年物国債の利回りは足元で年4%超に及び、満期まで保有すれば単純計算で元本の4割を利息収
入として受け取れる。ただ、「円からドルに替えて投資する際、為替リスクに注意が必要だ」(FPの竹川美奈子氏)。今後、日銀が追加利上げに
踏み切り、円高が進めば、外債は円ベースで損失が発生する恐れもある。
債券投資のリスクを押さえよう
元本保証型の債券を除き、金利上昇リスクにも気を払いたい。金利が上昇すれば、債券価格は下落する関係にある。金利の上昇局面では債券
の評価額は元本割れすることもある。FPの深野康彦氏は「債券投資は満期保有を基本としてほしい。直近で使う予定のある資産を振り向けるべ
きではない」と指摘する。
信用リスクもある。例えば楽天グループが4月に発行したドル建て債は年限5年で利率が年9.75%に上り、話題を呼んだ。ただ、米S&Pグローバル
の格付けは投機的水準とされる。FPの高橋氏は「社債の発行体の信用リスクは個人では判断が難しく、利回りの高さにつられて安易に手出し
しない方が良い」とも話す。
社債は流動性が低い点にも注意が必要だ。満期前に売却して現金に換えたくても買い手がいない場合、売却できない。流動性が高い国債に比
べ、業績が低迷した企業が発行する社債などは買い手が現れないこともある。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-05-08/SD5293DWX2PS00?srnd=cojp-v2
為替変動の物価への影響大きくなっている、基調上昇なら緩和調整
為替は経済・物価に重大な影響、金融政策のコントロール対象でない
日本銀行の植田和男総裁は8日、為替動向次第では金融政策による対応が必要になるとの見解を示し、円安に対するけん制姿勢を強めた。
衆院財務金融委員会で答弁した。
植田総裁は円安の影響に関して、「為替相場は経済・物価に重大な影響を与え得る」と指摘。「従来の局面と比べ、為替変動が物価に影響
を及ぼしやすくなっている」とも述べ、「政策運営にあたって最近の円安の動きを十分に注視している。動向次第で金融政策運営上の対応が必
要になると考えている」と語った。
具体的には、物価変動から短期的な変動を取り除き、需給ギャップや予想物価上昇率などを反映した基調的な物価上昇率への影響を重視
していると説明。円安が基調的な物価上昇率に与える影響については「これまでのところはそれほど大きな影響ではない」としつつ、「今後は
影響してくる、あるいは影響するリスクがあるとみている」と述べた。
植田総裁は4月の金融政策決定会合後の記者会見で、円安が現時点で基調的な物価上昇率に大きな影響を与えていないとの見解を示し
た。今回の発言は、為替変動の影響を踏まえた政策対応について、これまでよりも踏み込んだ形だ。7日の岸田文雄首相との会談でも為替
が経済・物価に与える影響について議論しており、日本経済の回復力が弱い中、日銀は難しいかじ取りを迫られそうだ。
植田日銀総裁が首相と為替を議論、基調物価への影響を注視-連携確認
8日の東京外為市場で、円相場は1ドル=155円台前半に下落している。植田総裁が円安のこれまでの影響について慎重な見解を示した
ことをきっかけに、円が一段安となっている。
円は155円台前半に下落、植田日銀総裁の慎重発言で一段安の展開に
日銀は3月の金融政策決定会合で17年ぶりの利上げを決めたが、その後も日米金利差などを背景に円安が進行し、政府・日銀は日本の大
型連休中に2回の為替市場介入に踏み切ったとみられている。
同委員会に出席した鈴木俊一財務相は、円安にはプラスとマイナスの両面があるとしながらも、「輸入物価を押し上げるというマイナス面に
ついて私も強い懸念を持っている」と発言。政策課題として物価高騰への対応が極めて重要とした上で、為替市場の動きを注視して「取るべき
ときには適切な対応を取っていきたい」と語った。
緩和度合い
総裁は基調的な物価上昇率が上がって行けば、「それに応じて金融緩和の度合いを調整していくことが適切だ」と表明。目標である2%前後
で先行きの物価が推移する見通しを示した4月の経済・物価情勢の展望(展望リポート)に言及し、「1年半後とか2年後を待って利上げをすると
いうことではなく、パス通りに基調的な物価が上がっていけば、それに応じて金融緩和の度合いを適切に調整していくつもりだ」との認識を示した。
金融政策運営は「為替市場を直接のコントロール対象とはみていない」と改めて指摘。金融政策運営はあくまで物価の安定を目標にしている
とし、「政策運営が、私どもの財務への配慮から必要な遂行を妨げられることはない」と語った。
他の発言
消費者物価、賃金と物価の好循環に起因する部分の割合は強まってきている
2%の物価上昇を支える需要サイドの伸びが伴う必要がある
2024/05/09 日本経済新聞 朝刊
日銀の植田和男総裁が円安に関する発言を軌道修正している。4月の記者会見では「基調的な物価上昇率に大きな影響を与えていない」と
繰り返し円安が進行した。5月に入り「政策運営上、十分注視していく」と表現を改め、8日には「過去と比べ物価に影響を及ぼしやすくなってい
る面があることは意識しておく必要がある」と述べた。
8日の読売国際経済懇話会(YIES)の講演で語った。仮に物価見通しが上振れしたり、上振れするリスクが大きくなったりした場合には「金利
をより早めに調整していくことが適当になる」と発言した。
物価を巡るリスクの一つとして「今後の為替相場の変動や国際商品市況の動向、その輸入物価や国内価格への波及」を挙げた。「原油高や
円安は輸入物価上昇を起点とするコストプッシュ圧力が落ち着いていくという見通しの前提を弱める可能性がある」と指摘した。
講演後の質疑では「為替は経済・物価に影響を及ぼす重要な要因であることは言うまでもない。金融政策の対応が必要になる可能性がある」
と言及した。「急速かつ一方的な円安は、例えば企業の事業計画の策定を困難にさせるなど不確実性を高めて経済にマイナスだ」との懸念も表
明した。
日銀が円安を容認しているとの市場の見方を払拭し、円安の進行に歯止めをかけようとしている可能性がある。
4月26日の金融政策決定会合で市場には日銀が円安の食い止めにつながる対策や発言を打ち出すとの見方があったが、金融政策は維持さ
れた。
その後の記者会見で植田総裁はこれまでの円安が基調的な物価上昇に与える影響について現時点で無視できる範囲か問われて「はい」と
答えた。
こうしたやりとりを市場は円安容認と受け止め、会見中から円相場は下落した。29日には1ドル=160円台と34年ぶりの水準まで円安が進
んだ。政府・日銀は認めていないが、29日、5月2日の2日間で財務省による円買いの為替介入があったとみられている。
日銀は円安を通じた輸入コストの上昇による物価上昇は一時的と捉え、賃上げを伴う「基調的な物価上昇率」を重視している。そのため植田
総裁は「引き続き為替市場の動向や経済・物価への影響を十分注視していきたい」と4月に強調した。
これを5月からはより直接的な表現に改めた。
7日に首相官邸で岸田文雄首相と面会後、記者団に「円安については日銀の政策運営上、十分注視をしていくことを確認した」と話した。「基
調的な物価上昇率にどういう影響が出てくるかについて注意深くみていく姿勢だ」と触れた。
8日の衆院財務金融委員会では「最近の円安の動きを十分注視している」と改めて主張した。「過去と比べ為替の変動が物価に影響を及ぼし
やすくなっている」との見解も示し、円安が物価上昇につながりやすくなっていることを示唆した。
日銀は4月会合で公表した経済・物価情勢の展望(展望リポート)で「基調的な物価上昇率が上昇していけば金融緩和度合いを調整する」と
追加利上げの姿勢を示した。
ただ時系列だけみれば会見をきっかけに為替介入にまで発展した可能性があり、市場からは日銀が発言を修正しているとの見方が出ている。
野村総合研究所の木内登英氏は「4月の会見で植田総裁が円安容認と受け止められかねない説明に終始したことを問題と捉え、日銀が修正
する機会をうかがっていた可能性がある」とみている。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024050900859&g=eco&utm_source=top&utm_medium=topics&utm_campaign=edit
日銀が国債買い入れの減額に向け検討を本格化させていることが、9日公表した4月25、26日の金融政策決定会合の主な意見で明らかに
なった。ある政策委員が「(減額は)機を捉えて進めていくことが大切だ」と主張するなど、同会合では国債購入縮小に関する意見が相次いだ。
歯止めがかからない円安をにらみ、日銀が追加利上げを含めて金融正常化を加速させる可能性もある。
日銀は3月の会合で、マイナス金利政策の解除に踏み切ったが、国債買い入れについては月間6兆円規模で継続することを決めた。
これに対し、4月会合では「市場機能回復を志向し、減額することは選択肢だ」「どこかで削減の方向性を示すのが良い」など、国債買い入れ
の減額を巡り議論が本格化。日銀の国債保有量の圧縮など、量的引き締め(QT)も視野に入れるべきだとする意見もあった。
同会合では、声明文から「6兆円」という購入額の表記を削除し、実際の買い入れをある程度柔軟に行えるよう布石も打った。
日銀の植田和男総裁は会合後の記者会見で、円安の影響は限定的との考えを示し、市場では一段の金融正常化に慎重だと受け止められ
た。このため円安が加速し、円相場は一時1ドル=160円台まで下落。政府・日銀はその後、円買いの為替介入で対抗したとみられている。
4月会合では、ある委員が「円安を背景に基調的な物価上昇率の上振れが続く場合には、正常化のペースが速まる可能性は十分にある」
と指摘するなど急速な円安を警戒する声も目立った。為替の動向次第で、追加利上げや国債買い入れ減額などの正常化に向けたタイミング
が前倒しされることもありそうだ。
https://jp.reuters.com/opinion/forex-forum/Q33IKTYFMJNT7BQBLYCXUVOPVU-2024-05-10/
[東京 10日] - 2年以上にわたって続く円安局面を前に「何か対応策はないのか」という照会が確実に増えている。円安抑止策は、為替介入
や利上げといった裁量的なマクロ経済政策を脇に置けば、対内直接投資促進とインバウンド奨励が注目されやすく、いずれも正しい対応と言え
る。
しかし、策はほかにもある。例えば「日本企業が保有する外貨を国内へ送金する際の法人税を減免する」といういわゆる「リパトリ減税」は為替
市場で耳目を引いており、ロイターなどの報道では政府・与党が6月にまとめる経済・財政政策の基本方針「骨太の方針」に盛り込まれるという
観測もある。
リパトリ減税に関しては、2022年9月の寄稿「進む円安、抑止に『リパトリ減税』という処方箋」で詳しく議論した。
直感的に、すでに海外子会社から受けとる配当益金の95%相当額が非課税所得とされている以上、残り5%部分を非課税にしても大きな効
果は期待できないという印象は強く、実際そういった声は多い。
一方、日本に残されたカードはさほど多くないことを思えば、実質的に大きな効果を期待できなくても残る「5%の摩擦」にこだわるべきという考
え方もある。確かに、政府が主導して円買いフローを創出しようという姿勢は投機的な円売りに対抗するメッセージになり得る。米国や英国、シ
ンガポールといった国際金融センターと呼ばれる国では100%非課税だ。対応策を問われた時に、まだやれることはあるという意味で言及はし
ておきたい。
<NISA国内投資枠という円安抑止策>
しかし、リパトリ減税は文字通り対症療法であり、効果もワンショットで終わる可能性が高い。もちろん「ワンショットでも、時間稼ぎは必要」という
考え方も尊重すべき現状ではあるが、対策がこれだけというのも心もとない。
より持続的な円安抑止策として、筆者はNISA(少額投資非課税制度)国内投資枠の新設という考え方に注目している。
周知の通り、年初来の円安相場には新NISAに伴う海外株式の購入、いわゆる「家計の円売り」が寄与している側面も大きいと言われる。財
務省データによると、投資信託経由の対外証券投資は今年1─3月期だけで約3.5兆円に達しており、これは例年で言えば1年分に匹敵する。
それが主因かどうかはさておき、円安地合いに寄与しているのはほぼ間違いないだろう。過去の本コラムでも「家計の円売りこそ本当の円安
リスク」として危惧してきた経緯があるが、その懸念は半ば実現しつつあるように思える。
このペースで投資信託経由の対外証券投資が出続けると仮定した場合、年間で優に10兆円を超える円売りが家計から出てくることになる。
まだ資産運用に着手していない層も多そうであるから、潜在的な拡大余地も大きいだろう。看過できる論点ではない。
<国内投資枠で海外投資は減る可能性>
では、現行の「つみたて投資枠」と「成長投資枠」に加えて、「国内投資枠」を設けた場合、どのような効果が期待されるのか。内外の成長率
格差を踏まえれば、今後も海外株への投資意欲が相応に強い状況は続く可能性はある。とはいえ、ここまで進んだ円安相場を踏まえ、ここ
からの為替リスクを取ることに及び腰になる層も増えてくる可能性はある。国内投資枠はそうした層の受け皿になり得る。
いだろう。
というのも、現行の年間360万円(つみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円)の枠を使い切る個人投資家は多数派ではないからだ。
金融庁の「NISA口座の利用状況調査」によれば、2023年9月末時点のNISA口座数は2034万7312口座、その買い付け額は34兆02
81億4597万円だ。単純計算で1口座当たり167万円だ。年間360万円の枠が拡大されても、元々使い切っていないのだから大勢に影響
はない。
国内投資枠が新設された場合、海外投資に流れていた資金の一部は国内投資へと代替される展開が予見される。つまり国内投資枠が増え
た部分は選択可能性の拡大でしかない。
国内投資に配分された分、海外資産への投資(円売り)が減ることになるのであれば、それは立派な円安抑止策になる。主要7カ国(G7)の
一角である日本では資本規制が難しいものの、インセンティブ設計として流出を減らす工夫は可能だ。
<英国で先行する国内投資枠>
この動きはすでに英国が検討し始めている。今年4月、英政府は春に発表された予算編成方針においてNISAの原形とされるISA(個人貯蓄
口座)に関し、英国株投資の非課税枠を現在の年間2万ポンドから2万5000ポンドに引き上げる意向を表明した。
ただ、同国では今秋に総選挙を控えており、政権交代の可能性なども踏まえれば、同案自体がどう転ぶかはまだ分からない。しかし、この方
針が固まった際には日本でも同じ方針を求める機運が高まる可能性はあるように思う。
家計部門の運用資金が海外ではなく国内に配分されるようになれば、日本株は上昇し、円売りも抑制されて一石二鳥となる。新NISAは稼働
の初年度であり、新しい選択可能性を提示するには良い時期であることも助けになるだろう。
少なくとも、円安の一因として注目されている「家計の円売り」に対抗する手段として、NISA国内枠の新設は利上げや為替介入は元より、冒
頭で紹介したリパトリ減税案と比較しても持続力を持ち得るように思えるし、政府の掲げる資産運用立国の方針とも合致する。
裏を返せば「家計の円売り」を早い段階でけん制しておかねば、そのまま一部が「帰ってこない外貨」となってしまう恐れがあるため、早めに手
を打った方が良いようにも思える。
<抜本的な政策は別>
もっとも、リパトリ減税は元より、NISA国内投資枠の新設も円安相場を反転させるような抜本的な政策とまでは言えない。そもそも市場に存在
する全ての円売りを吸収する政策など存在しない。身もふたもない話をしてしまえば、変動為替相場において為替市場の流れを根本的に変え
られるのは米国だけだ。
そう割り切った上で当面の日本に求められているのは「持続的な時間稼ぎの手段」であり、リパトリ減税やNISA国内投資枠もその一環だと筆
者は考える。少しの時間であっても、為替市場の平準化(スムージング)も図ることができれば、事業法人などにとって良好な市場環境を確保
することができる。そこにも意義はある。
様々な対症療法を組み合わせて時間稼ぎをしている間に、対内直接投資の積み上げであったり、電源構成の修正であったり、労働力の確保(
および移民政策の是非)であったりを議論することで中長期的な円相場の需給改善を図るという姿勢が王道であると考えておきたい。
2024/05/13 11:55 日経速報ニュース
13日午前の東京株式市場で日経平均株価は小幅に続伸し、午前終値は前週末比14円48銭(0.04%)高の3万8243円59銭だった。下げ幅は
200円を超え、取引時間中としては2日以来およそ1週間ぶりに節目の3万8000円を下回る場面もあったが、下値では好業績銘柄を中心に買い
が入った。ただ、日銀の政策正常化の観測が投資家心理の重荷となり、積極的な買いは見送られた。
13日午前の国内債券市場で長期金利は一時、0.935%まで上昇(価格は下落)した。日銀は同日通知した定例の国債買い入れオペ(公開市
場操作)で、長期債の購入予定額を減らした。国内債券市場での金利の上昇に歩調を合わせて日経平均も下げ幅を260円近くまで拡大する場
面があった。日銀が政策正常化を早めるとの思惑が強まり、金利上昇が業績拡大につながりやすい三菱UFJや三井住友FGなど銀行株が上昇
した。半面、金利上昇が債務の返済負担増につながりやすいとみられる三井不や菱地所など不動産株は下落した。
日経平均はマイナス圏で推移する時間帯が長かったが、前引けにかけては上げに転じた。前週末の米株式市場で半導体関連銘柄で構成す
る米フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は上昇しており、東京市場ではアドテストなど一部の半導体関連株に買いが入った。大引け後に決算
発表を控えるソフトバンクグループ(SBG)も上昇し、指数を下支えした。
東証株価指数(TOPIX)は反落した。前引けは0.18ポイント(0.01%)安の2728.03だった。JPXプライム150指数は続伸し、0.73ポイント(0.06
%)高の1189.21で前場を終えた。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で2兆3774億円、売買高は10億1361万株だった。東証プライムの値上がり銘柄数は755。値
下がりは844、横ばいは47だった。
10日に2024年3月期決算を発表した東エレクは前週末終値を挟んで一進一退となった。KDDIやオリンパス、資生堂は上げた。一方、セコム
やトヨタ、クボタが下げた。
2024/05/14 日本経済新聞 朝刊
三井住友フィナンシャルグループ(FG)は2025年3月期に、1兆円超の連結純利益の見通しを示す方針だ。これまで29年3月期に1兆円以上
を見込み、4年ほどの前倒しになる。投資銀行業務が拡大するほか、国内の個人顧客の拡大が収益に貢献して24年3月期も最高益となる見通
し。国内外の金利上昇で邦銀の収益拡大が軌道に乗り始めた。
三井住友FGは15日午後に24年3月期の決算と25年3月期の業績予想を公表する。現在の中期経営計画の最終年度にあたる26年3月期
でこれまで9000億円以上としてきた純利益の計画を1兆1000億円規模に引き上げる新たな見通しを示す。24年3月期も9000億円台後半
と前の期比で2割程度の増益を確保し、10年ぶりの最高益を更新するもようだ。
メガバンクで三菱UFJFGに続く2社目の純利益1兆円超えとなる。純利益で1兆円以上を確保する企業はトヨタ自動車や大手総合商社などに
とどまり、産業界全体で見ても有数の水準だ。
9月末を基準日に株主総会での承認を前提に1株を3株に分割する株式分割の実施も調整する。三井住友FGの足元の株価は9000円前後
で推移しており、投資には90万円ほどが必要になる。東京証券取引所の個人投資家が投資しやすい環境を整備するため、投資に必要な額を
50万円未満に引き下げるよう要請しているのに対応する。
25年3月期の純利益は24年3月期に比べて1割程度の増益になる見通しだ。国内でも企業のM&A(合併・買収)をはじめとする旺盛な資金
需要が続き貸出金が引き続き拡大する。
三井住友FGが1兆円超の純利益を確保する見通しとなった背景には国内外の収益力の向上がある。足元で顧客が200万人を超えた総合金
融サービス「オリーブ」による顧客基盤拡大が収益に貢献。日銀のマイナス金利政策の解除などによる「金利ある世界」への回帰が利ざやの拡
大につながる。足元でも大企業向けの利ざやは拡大傾向だ。
海外では資本提携する米証券大手のジェフリーズ・ファイナンシャル・グループと米国や各地域で共同の営業体制を構築。大型M&Aのアドバ
イザリー業務などの連携で23年4~9月期に海外投資銀行業務の粗利益が前年同期比100億円規模で増えた。23年には米貨車リース事業
を売却するなど事業構成の入れ替えも進める。
アジアでも23年にベトナムの民間銀行2位のVPバンクに日本円換算で約2000億円を出資して持ち分法適用会社化。インドでは3月にノンバ
ンク子会社のSMFGインディア・クレジット(旧フラトン・インディア)を完全子会社にした。アジアへの出資による純利益への貢献は26年3月期で
500億円規模に達する計画となる。
3メガバンクでは三菱UFJFGが15年3月期に純利益で1兆円を超えたが、マイナス金利政策の導入以降は低金利で各社業績が低迷してい
た。24年3月期は3メガバンク合算で発足以降の最高益となる前の期比2割増の3兆円程度の純利益を確保する見通しだ。三菱UFJFGが1兆
3000億円、みずほFGが6400億円の通期の純利益予想を示している。
ただ、三井住友FGのPBR(株価純資産倍率)は足元で0.86倍程度と、解散価値にあたる1倍を下回る。米大手銀ではPBRは1倍を上回る
例が多い。PBRを高めるためには低採算事業の売却による成長資本の捻出が欠かせない。PBRを向上するためには一段の事業構成の入れ
替えや政策株の売却が必要になる。
2024/05/14 21:21 日経速報ニュース
りそなホールディングスは14日、2030年3月末までに政策保有株式を簿価ベースで約3分の1まで削減する計画を示した。24年3月末時点で
簿価で約2600億円あるが、6年間で1800億円程度を売却する。これまでは22年度からの4年間で800億円減らす目標だった。
同日の記者会見で南昌宏社長は売却で得た資金を「次の成長への投資に充てたい」と話した。
03年3月末時点で約1兆4000億円の政策株を抱えていたりそなは、03年5月に公的資金の注入が決まってからメガバンクを上回るペースで
政策株を減らしてきた。
三井住友フィナンシャルグループ(FG)は26年3月末までの3年間で少なくても2000億円、みずほFGも同期間に3000億円減らす計画を打ち出
している。
りそなは同日、25年3月期の連結純利益が前期比4%増の1650億円になるとの予想を発表した。
現行の中期経営計画で、最終年度の26年3月期に掲げる純利益の目標は1700億円だ。傘下のみなと銀行で発生するシステム統合の費用
を除くと、実質的に1年前倒しで目標の達成をめざすことになる。
24年3月期の連結決算は、純利益が前の期比1%減の1589億円だった。融資先の焦げ付きに備える与信費用が約2倍の356億円となったこ
とが響いた。
本業のもうけを示す実質業務純益は8%増の2113億円だった。国内企業の資金需要が旺盛で、今年3月末時点の貸出金残高は約43兆100
億円と前年同月比で4%増えた。
2024/05/15 17:15 日経速報ニュース
3メガバンクは15日、2025年3月期に大幅な増配に踏み切る方針を発表した。三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)は24年3月期の41円か
ら50円に、三井住友FGは270円から330円に、みずほFGは105円から115円にそれぞれ引き上げる。三菱UFJと三井住友はそれぞれ1000億
円を上限に自社株買いも実施する。
米地銀シリコンバレーバンクの破綻などが起きたことから、昨年春は資本に余裕を持たせようと株主還元の強化を控えていたが、好調な業績
を受けて積極的な株主還元にかじを切る。
14日に2024年3月期決算を公表したりそなホールディングス(HD)は200億円を上限とする自社株買いを公表した。1回あたりの金額としては
過去最多という。三井住友トラストHDは創業100周年の記念配を含め、年配当を前期から35円増やす方針を明らかにした。
23年春は米国発で金融システムに懸念が浮上したことを受け、自己資本の充実を優先しようと自社株買いを抑えていた。金融環境の正常化
で23年11月には三菱UFJが4000億円、三井住友は1500億円を上限に自社株買いの実施を公表するなど株主還元の強化に動き出した。今期
の業績も堅調に推移する見通しで、各社は株主還元の強化を進める。
日銀によるマイナス金利政策の解除で国内でも金利の先高観が強まり、利ざやの拡大と収益増への期待感から銀行株は上昇している。三菱
UFJの株価は3月上旬に17年半ぶりの高値を付け、PBR(株価純資産倍率)も11年ぶりに1倍台へ戻した。三井住友やみずほのPBRは0.7?0.8
倍台にとどまるものの、株価は高値圏を保つ。
三井住友は15日、1株を3株とする株式分割の実施も公表した。1月に始まった新しい少額投資非課税制度(NISA)では個人投資家の資金が
業界トップの銘柄に向かいやすいとされる。実際に買い付け額の上位にはJTやNTTなどが並ぶ。「(個人投資家への浸透で)三菱UFJに出遅れ
ている」(関係者)ことから投資単位の引き下げを決めた。
大手行は自己資本の充実、収益力の強化に向けた成長投資、そして株主還元の強化に目を配ってきた。自己資本が安定的に積み上がるな
か、3メガバンクは今期にそろって最高益を更新する見込みだ。株主還元の充実を打ち出した各社がM&A(合併・買収)などでどんな成長戦略を
打ち出すかも次の焦点となる。
2024/05/15 17:15 日経速報ニュース
3メガバンクは15日、2025年3月期に大幅な増配に踏み切る方針を発表した。三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)は24年3月期の41円
から50円に、三井住友FGは270円から330円に、みずほFGは105円から115円にそれぞれ引き上げる。三菱UFJと三井住友はそれぞれ1000
億円を上限に自社株買いも実施する。
米地銀シリコンバレーバンクの破綻などが起きたことから、昨年春は資本に余裕を持たせようと株主還元の強化を控えていたが、好調な業
績を受けて積極的な株主還元にかじを切る。
14日に2024年3月期決算を公表したりそなホールディングス(HD)は200億円を上限とする自社株買いを公表した。1回あたりの金額としては
過去最多という。三井住友トラストHDは創業100周年の記念配を含め、年配当を前期から35円増やす方針を明らかにした。
23年春は米国発で金融システムに懸念が浮上したことを受け、自己資本の充実を優先しようと自社株買いを抑えていた。金融環境の正常
化で23年11月には三菱UFJが4000億円、三井住友は1500億円を上限に自社株買いの実施を公表するなど株主還元の強化に動き出した。
今期の業績も堅調に推移する見通しで、各社は株主還元の強化を進める。
日銀によるマイナス金利政策の解除で国内でも金利の先高観が強まり、利ざやの拡大と収益増への期待感から銀行株は上昇している。
三菱UFJの株価は3月上旬に17年半ぶりの高値を付け、PBR(株価純資産倍率)も11年ぶりに1倍台へ戻した。三井住友やみずほのPBRは
0.7?0.8倍台にとどまるものの、株価は高値圏を保つ。
三井住友は15日、1株を3株とする株式分割の実施も公表した。1月に始まった新しい少額投資非課税制度(NISA)では個人投資家の資金
が業界トップの銘柄に向かいやすいとされる。実際に買い付け額の上位にはJTやNTTなどが並ぶ。「(個人投資家への浸透で)三菱UFJに
出遅れている」(関係者)ことから投資単位の引き下げを決めた。
大手行は自己資本の充実、収益力の強化に向けた成長投資、そして株主還元の強化に目を配ってきた。自己資本が安定的に積み上がる
なか、3メガバンクは今期にそろって最高益を更新する見込みだ。株主還元の充実を打ち出した各社がM&A(合併・買収)などでどんな成長戦
略を打ち出すかも次の焦点となる。
2024/05/15 19:39 日経速報ニュース
5大銀行グループの2024年3月期決算が15日、出そろった。合計の連結純利益は前の期比19%増の3兆3708億円と05年度に現在の3メガ
バンク体制となってから最高益を更新した。25年3月期も10%増の3兆7150億円と2期連続の最高益となる見通しだ。利ざやの改善と低金利
下で続けてきた構造改革が収益拡大に結びつきつつある。
25年3月期の連結純利益予想は、三井住友フィナンシャルグループ(FG)が前期比10%増の1兆600億円と同社として初の1兆円台を目標に
掲げる。三菱UFJFG、みずほFG、三井住友トラスト・ホールディングス(HD)も最高益を見込み、りそなHDも4%の増益を予想する。三井住友な
ど中期経営計画で設定した利益目標の前倒し達成も相次ぐ。
金利の先高観で国内の貸出金利も上がり始めた。3メガの大企業向け貸出金利ざやは24年3月期に前の期比で0.05%拡大して0.59%とな
った。三井住友FGの中島達社長は15日の記者会見で「国内の大企業、中堅企業の活動は非常に活発だ」と話した。米連邦準備理事会(FRB)
は高水準の政策金利を続け、外貨建ての貸出資産は高い収益性を保つ。
これまで銀行は預かった資金の運用で苦戦を強いられてきた。マイナス金利政策の解除で日銀の当座預金には0.1%の付利がつき、各行は
収益源となる預金の獲得に方針を転換した。マイナス金利の解除は3メガだけで25年3月期に収益を1000億円規模で押し上げる。
利上げに伴う収益の改善は、貸出金利の引き上げが円滑に進むかどうかが前提だ。りそなの南昌宏社長は「市場金利の上昇分に連動する
(貸出金)利回りの上昇が確認できている」と話す。融資のほかにも「金利上昇は資産運用や資産管理の残高拡大による報酬の増加につなが
る」(三井住友トラストの高倉透社長)。
各社は日銀が政策金利を現行のまま据え置く前提で今期の収益計画を策定した。日銀が追加利上げに踏み切れば業績は上振れする可能
性がある。りそなは政策金利が0.5%まで上昇すると、自己資本利益率(ROE)が9?10%に高まるとの試算を示した。
国内の企業業績は底堅く、焦げ付きに備えて計上する与信費用も大手行の合算で7%減の9256億円と低位にとどまる見通しだ。
合計の純利益はこれまで14年3月期の2兆8669億円が最高だった。日銀が16年にマイナス金利政策を導入してから国内の預貸業務を中心
に利益が落ち込み、20年3月期には2兆円を割り込んだ。
2期連続で最高益を更新する見通しなのは、長引く低金利下で大手行が経営の効率化を進めてきたことも要因だ。本業のもうけを示す実質
業務純益(傘下行の合算)は24年3月期に19%増の3兆927億円。採算性が低いリスク資産を減らしたり、店舗網を効率化したりした成果が表
れた。三菱UFJの亀澤宏規社長は「3~4年とり組んできた構造改革が実を結んだ」と強調する。
規制緩和の追い風も生かし、証券業務など業容の拡大を進めてきた面も大きい。旧三菱銀行の1990年3月期決算では一般企業の売上高
にあたる業務粗利益のうち、貸出金利息を中心とする資金利益が約8割を占めていた。現在の大手行では多い場合で5割程度まで下がり、
収益の多様化が進んでいる。
懸念材料は米国の利下げだ。インフレを背景に遅れているFRBの政策金利引き下げが本格化すれば、利益を押し上げてきた海外向け貸し
出しの利ざやに縮小圧力がかかる。一方で、みずほの木原正裕社長は「米国の金利高止まりが続くと経済へのショックが大きい」と指摘する。
大手行の業績は、政策株の売却益や円安で外貨建て資産が円換算で押し上げられている面もある。15日の会見で三井住友FGの中島氏が
「ゲタを履いている面がある」と評した。好業績を続けているうちに成長戦略を着実に進め、逆風への備えを手厚くできるかが重要になる。
[東京 15日 ロイター] - 三菱UFJフィナンシャル・グループ (8306.T), opens new tab(MUFG)など大手銀行3グループが15日に発表した
2025年3月期の連結純利益予想は、3社合計で前期比5.7%増の3兆3100億円となった。05年度にMUFGが発足し3メガバンク体制に
なってから過去最高を更新した前期を上回る見通し。3社とも、企業の旺盛な資金需要や海外の利ざや改善を織り込んだ。
三井住友フィナンシャルグループ(FG)(8316.T), opens new tabは15日、2025年3月期の連結純利益が前期比10.1%増の1兆0600億
円になる見通しと発表した。グループとして初めて1兆円を超える もっと見る 。MUFGは同0.7%増の1兆5000億円 もっと見る 、みずほフ
ィナンシャルグループ(8411.T), opens new tabは同10.4%増の7500億円 もっと見る をそれぞれ予想する。いずれも、市場予測を上回った。
三井住友FGの中島達社長は決算会見で「相場環境、顧客の行動など全てが銀行業績にプラスに働く環境がそろった」と指摘し、「経営者の
マインドは非常に前向きになっており、日本経済についてはポジティブにみている」と述べた。
みずほFGの木原正裕社長は、今期目標設定について「収益力が上がったので高みを目指す」との意気込みを語った。みずほFGは、現中期
経営計画の最終年度である25年度目標を前倒しで達成する見込み。
MUFGの亀澤宏規社長は「24年度は、国内が金利がある世界に入り(業績に)プラスになる。成長はアジアが大きい」との考えを示した。MU
FGは23年度に持ち分法適用会社である米モルガン・スタンレーの損益計上の期ずれ影響を除くと900億円超の増益となる計画だ。
日銀の金融政策変更による金利上昇も収益拡大の追い風で、銀行が持つ日銀当座預金への付利も収益増につながる。
三井住友FGは、マイナス金利解除は24年度業績に税前粗利益で400億円の効果があるとみる。みずほFGとMUFGも同様に、業績にプラ
スの効果を織り込んでいる。
MUFGは25年3月期からの新中期経営計画も公表し、最終年度にあたる27年3月期の連結営業純益を23年度の1兆6000億円から2兆
1000億円にする方針を示した。アジアの成長を取り込むため、プラットフォームの強靭化や国内の富裕層ビジネスの強化を図る。
政策保有株式の削減についても新たな見通しを示し、MUFGは5000億円としていた前期末までの削減目標を達成し、新中計期間中に350
0億円を売却する方針。亀澤社長は「前倒しで実行していきたい」と述べた。
三井住友FGは26年3月末までの3年間で政策保有株を2000億円削減するとしているが、すでに1340億円を売却済みでさらなる削減計
画の検討を開始する。みずほFGは22―25年度に3000億円削減する計画を維持している。
24年3月期の連結決算では、3社合計の純利益は前期比約26%増の3兆1300億円だった。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-05-15/SDI11JT0AFB400
「利ざや改善などでポジティブ」、金利は「見極めにくい」のと声も
前期はMUFGと三井住友FGが最高益、みずほも今期に達成へ
3メガバンクグループの今期(2025年3月期)純利益は合計で前期比5.7%増の3兆3100億円と前期(24年3月期)に続き2期連続で最高益
を更新する見込みだ。日本銀行による利上げ効果が本業の貸し出し業務などに浸透し、収益を押し上げる。
15日に出そろった今期計画は、三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)が前期比0.6%増の1兆5000億円、三井住友FGが10%増の1兆6
00億円、みずほFGが10%増の7500億円。前期の純利益合計は3兆1327億円だった。
前期は貸し出し業務では利ざやが大きい海外事業が円安・ドル高もあり収益を押し上げたほか、国内も法人向け融資が堅調に推移。国債
取引などの市場部門も好調で、合計の純利益は10年ぶりの最高となった。個別ではMUFGと三井住友FGが最高益を更新した。
日銀が3月に17年ぶりの利上げに動いたのを受け、市場金利は上昇傾向にある。今期は追加利上げも予想され、国内貸し出し業務での
利ざや拡大など収益環境のさらなる好転が期待されている。
前期決算について、MUFGの亀澤宏規社長は、「顧客部門中心に稼ぐ力が拡大し、過去最高益につながった」と評価。三井住友FGの中島
達社長も「非常に好調な結果。業務環境が非常に良かったことが要因」と振り返った。
金利上昇へ
日銀は3月の金融政策決定会合でイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)やマイナス金利を解除した。4月の決定会合では大き
な政策変更はなかったが、今後は日銀の追加利上げの時期やペースに関心が集まっている。
MUFGの亀澤社長は利上げ効果について、「前期決算にはそれほど入っていないが、今期はプラスになっていく。利ざや改善などでポジテ
ィブだ」と言及した。三井住友FGの中島社長は金利の「正常化に向けた動きが継続していくことを期待する」と語った。
みずほFGの木原正裕社長は、「政策金利の引き上げがあるかは見通しが難しい。ある程度見極めてからではないと動けない。難しい局面
だ」と述べた。
その一方で、三井住友FGの中島社長は今後のリスク要因として、与信関係費用の増加懸念を挙げた。「海外の金利高止まりやインフレに
よる将来の信用不安に備えフォワードルッキングな引き当て計上」により、与信費用は増加していると説明した。
みずほFGの木原社長は、直近で1ドル=156円台の円安水準で推移している為替相場について、「中小中堅にとっては円安はきついと思う。
円高方向にいってもらいたいという思いは強い」と述べた。
2024/05/16 日本経済新聞 朝刊
5大銀行グループの2024年3月期決算が15日、出そろった。合計の連結純利益は前の期比19%増の3兆3708億円と05年度に現在の
3メガバンク体制となってから最高益を更新した。25年3月期も10%増の3兆7150億円と2期連続の最高益となる見通しだ。利ざやの改善と
低金利下で続けてきた構造改革が収益拡大に結びつきつつある。
25年3月期の連結純利益予想は、三井住友フィナンシャルグループ(FG)が前期比10%増の1兆600億円と同社として初の1兆円台を目
標に掲げる。三菱UFJFG、みずほFG、三井住友トラスト・ホールディングス(HD)も最高益を見込み、りそなHDも4%の増益を予想する。
金利の先高観で国内の貸出金利も上がり始めた。3メガの大企業向け貸出金利ざやは24年3月期に前の期比で0.05%拡大して0.59
%となった。三井住友FGの中島達社長は15日の記者会見で「国内の大企業、中堅企業の活動は非常に活発だ」と話した。米連邦準備理
事会(FRB)は高水準の政策金利を続け、外貨建ての貸出資産は高い収益性を保つ。
これまで銀行は預かった資金の運用で苦戦を強いられてきた。マイナス金利政策の解除で日銀の当座預金に0.1%の金利がつき、各行
は収益源となる預金獲得に方針を転換した。マイナス金利解除は3メガだけで25年3月期に収益を1000億円規模で押し上げる。
国内の企業業績は底堅く、焦げ付きに備えて計上する与信費用も大手行の合算で7%減の9256億円と低位にとどまる見通しだ。
合計の純利益はこれまで14年3月期の2兆8669億円が最高だった。日銀が16年にマイナス金利を導入してから国内の預貸業務を中心
に利益が落ち込み、20年3月期には2兆円を割り込んだ。
2期連続で最高益を更新する見通しなのは、長引く低金利下で大手行が経営の効率化を進めてきたことも要因だ。本業のもうけを示す実質
業務純益(傘下行の合算)は24年3月期に19%増の3兆927億円。採算性が低いリスク資産を減らしたり、店舗網を効率化したりした成果
が表れた。三菱UFJの亀澤宏規社長は「3~4年とり組んできた構造改革が実を結んだ」と強調する。
規制緩和の追い風も生かし、証券業務など業容の拡大を進めてきた面も大きい。旧三菱銀行の1990年3月期決算では一般企業の売上高
にあたる業務粗利益のうち、貸出金利息を中心とする資金利益が約8割を占めていた。現在のメガバンクでは多い場合で5割程度まで下がり
、収益の多様化が進んでいる。
懸念材料は米国の利下げだ。インフレを背景に遅れているFRBの政策金利引き下げが本格化すれば、利益を押し上げてきた海外向け貸し
出しの利ざやに縮小圧力がかかる。一方で、みずほの木原正裕社長は「米国の金利高止まりが続くと経済へのショックが大きい」と指摘する。
大手行の業績は、政策株の売却益や円安で外貨建て資産が円換算で押し上げられている面もある。15日の会見で三井住友FGの中島氏
が「ゲタを履いている面がある」と評した。好業績を続けているうちに成長戦略を着実に進め、逆風への備えを手厚くできるかが重要になる。
2024/05/16 日本経済新聞 朝刊
3メガバンクは15日、2025年3月期に大幅な増配に踏み切る方針を発表した。三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)は24年3月期の
41円から50円に、三井住友FGは270円から330円に、みずほFGは105円から115円にそれぞれ引き上げる。三菱UFJと三井住友は
それぞれ1000億円を上限に自社株買いも実施する。
米地銀シリコンバレーバンクの破綻などが起きたことから、昨年春は資本に余裕を持たせようと株主還元の強化を控えていたが、好調な
業績を受けて積極的な株主還元にかじを切る。
りそなホールディングス(HD)は200億円を上限とする自社株買いを公表した。三井住友トラストHDは記念配を含め、年配当を前期から
35円増やす方針だ。
2024/05/16 12:47 日経速報ニュース
16日の東京株式市場でメガバンク株の明暗が分かれている。前日に発表した2024年3月期決算で1000億円を上限とする自社株買いを発表
した三井住友フィナンシャルグループは年初来高値を更新した一方、還元策が市場の期待に届かなかったとして三菱UFJフィナンシャル・グル
ープとみずほフィナンシャルグループは軟調に推移した。足元の金利上昇によって銀行の収益環境は改善しているものの、銀行株全体を再評
価する状況には至っていないようだ。
三井住友FGは一時2.61%高の9444円まで上昇し、2008年6月以来およそ16年ぶりの高値を付けた。一方、三菱UFJは一時5.56%安、みず
ほFGも2.48%安まで下げる場面があった。明暗を分けたのは、自社株買いの規模感に対する市場の受け止めだ。
三井住友FGの自社株買いの金額である1000億円について「好印象」(野村証券の担当アナリスト、高宮健氏)との受け止めが多い。一方、
三菱UFJの自社株買いも1000億円だが、前期(年4000億円)に比べるとペースは鈍化しており、市場では「ネガティブサプライズ」(SMBC
日興証券の担当アナリストである佐藤雅彦氏)との声が聞かれる。みずほFGは自社株買いの発表がなかった。
3メガバンクの収益環境はそろって改善している。3メガの24年3月期の大企業向け貸出金利ざやは前の期に比べて0.05%拡大し、0.59%と
なった。今期(25年3月期)の連結純利益予想は、3行とも市場予想であるQUICKコンセンサスを上回った。
ただ、株式市場は金利の先高観による利ざや改善をすでに織り込んできた経緯があり、改めて材料視する動きにはつながっていない。三井
住友FGは年初来高値を更新したものの、3銘柄ともPBR(株価純資産倍率)は節目の1倍を下回る水準にとどまる。
前日の米株式市場では4月の米消費者物価指数(CPI)などを受けて米連邦準備理事会(FRB)による年内の利下げ観測が強まり、米長期
金利は4.34%とおよそ1カ月ぶりの低水準で終えた。海外の金利上昇という追い風は弱まりつつある。
3メガは今期の増配を決め、ともに3%台と高い配当利回りに着目した買いは支えとなりそうだ。もっとも、再び銀行株が物色の主役となるため
には「日銀が金融政策の正常化に向けて次の一手を打つことが必要」(国内証券のトレーダー)との見方が多い。しかし、16日発表の2024年
1?3月期の実質国内総生産(GDP)速報値は2四半期ぶりにマイナス成長となった。「日銀の正常化はいったん後退した」との見方は、きょうだ
けでなく当面、銀行株の重荷となる可能性が高い。
2024/05/16 16:33 日経速報ニュース
国内金利に上昇圧力がかかるなか、メガバンクが円金利に食指を動かし始めているようだ。15日に出そろった三菱UFJフィナンシャル・グル
ープ(8306)などの2024年3月期決算では、一部でデリバティブ(金融派生商品)を使って金利リスクを取る様子が明らかになった。市場参加
者からは「銀行勢が円金利のポジションを部分的に復元している」との声が出ている。
メガバンクの決算のなかで債券市場参加者が注目したのが、固定金利と変動金利を交換する金利スワップ取引の残高だ。「固定金利受け
・変動金利払い」の残高(ヘッジ会計適用分、想定元本ベース)をみると、三菱UFJは24年3月末時点(連結ベース)が41兆964億円だった。
23年9月末時点(31兆4935億円)から約9.6兆円増えた。
このスワップ取引は固定金利を受け取る代わりに変動金利を支払うもので、国債を買うのと同じ経済効果を持つ。三菱UFJは年限別で「
1年超5年以下」の取引を半年前から11.8兆円も増やし、全体の残高を押し上げた。みずほフィナンシャルグループ(8411)も傘下2行合算
で、固定金利を受け取る取引の残高が昨年9月末から3.4兆円増えた。
SMBC日興証券の奥村任シニア金利ストラテジストは「預金者への支払利息や経費などを考慮した銀行の資金調達コストを中期ゾーン
のスワップ金利が上回り、日銀の大規模緩和下で削減してきた円金利のポジションを復元する動きが一部出始めたとみられる」と推察する。
一方、日本国債の現物については残高を減らしていた。例えば三菱UFJ(傘下の2行合算ベース)の国債保有残高は24年3月末時点で
35.9兆円(23年9月末は36.4兆円)、平均残存年限(デュレーション)は1.0年(同1.3年)だ。みずほFGも3月末の国債保有残高が10.9兆円
(同19.9兆円)、ヘッジ考慮後のデュレーションは0.3年(同0.7年)と円債のリスクを落とした形だ。
銀行勢が国債残高を減らす一方、金利スワップのポジションを積み上げたのはなぜか。SMBC日興証券の奥村氏は「国債利回りよりスワ
ップのほうが絶対的な金利水準が高かったことや、日銀が長く続けたイールドカーブ・コントロール(長短金利操作)を撤廃し中長期ゾーンの
国債利回りの先高観が強かったためではないか」と指摘する。
日銀が年内に追加利上げへと動くとみられるなか、市場では6月にも国債購入の減額方針を決めるとの思惑がくすぶる。債券需給が緩め
ば金利の先高観が強まりかねず、「銀行勢による円金利のポジションの復元が本格化するのはまだ先」(国内証券のストラテジスト)との声
も漏れる。
しかし、15日に中期経営計画の見直しを発表したゆうちょ銀行(7182)の笠間貴之社長は記者会見で「国内金利が上昇基調に転じたこと
から、預金から日本国債へのシフトを積極的に進めていく」と語った。金利上昇に伴い、負債のコストと比べて投資を検討できる水準まで国債
利回りが上昇すれば徐々に投資家の買いが入り始める。メガバンクの決算はそうした市場環境にいずれ戻るとの見方を強めたといえそうだ。
[東京 17日 ロイター] - <10:45> 日経平均は下げ幅縮小、日銀国債買い入れオペ据え置きで安心感
日経平均は下げ幅を縮小し、前営業日比約170円安の3万8700円半ばで推移している。日銀の国債買い入れオペのオファー額が据え置き
となり、市場では「減額されるかもしれないとの懸念もあったので、ひとまず安心感が出ているようだ」(国内証券・ストラテジスト)との指摘が聞
かれる。外為市場ではドルは155円台後半と、やや円安に振れて推移している。
個別では、東京エレクトロン(8035.T)b、ファーストリテイリング(9983.T)b、ソフトバンクグループ(9984.Tが引き続き軟調。アドバンテスト(6857.T)
は小幅高。
一方、銀行株がしっかりで、三井住友フィナンシャルグループ(8316.Tが2%超高、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306.T)が約3%高、みず
ほフィナンシャルグループ(8411.T)が約1%高で推移している。
2024/05/17 11:29 日経速報ニュース
(11時10分、プライム、コード8316)三井住友FGが7日続伸している。一時、前日比261円(2.77%)高の9661円まで上げ、連日で年初来高値
を更新した。好調な業績見通しや株式還元の姿勢を評価した買いが続いている。
三菱UFJ(8306)やみずほFG(8411)も高い。3メガバンクは15日に2024年3月期(前期)の連結決算を発表し、25年3月期(今期)の連結純利
益が市場予想(QUICKコンセンサス)を上回る見通しを示した。
三菱UFJは決算と同時発表の自社株買いの規模感が物足りないとの受け止めなどから前日に下落。
みずほFGは自社株買いの発表がなく、下げた。
市場では「先行き日銀の金融政策の正常化が進めば、メガバンクの収益が一段と伸びるとみられるため、あらためて見直し買いが入っている
」(アイザワ証券の三井郁男投資顧問部ファンドマネージャー)との見方があった。