本日のロンドン為替市場では、ドイツの与野党が財政拡張で合意した影響が続くかを見極めることになる。ユーロドルは昨日の欧米市場の流れを引き継ぎ、東京午前に昨年11月以来の1.08ドル台乗せを達成した。確かに「Trend is Friend」という相場格言に則った動きではあるものの、独政治の状況次第では、急ピッチで上昇してきた反動も念頭に入れておくべきかもしれない。
HSBCグローバル・プライベート・バンキング・アンド・ウェルス・マネジメントのアジア地区チーフ投資責任者、範卓雲(Cheuk Wan Fan)氏はこのほど、全人代(全国人民代表大会)閉幕会議で承認された政府活動報告が、科学技術革新、消費刺激、民営企業の発展支援に経済政策の重点を移したことを示しており、中国株式市場の再評価に積極的な推進力をもたらすと述べた。『AAストックス』が12日伝えた。
1.ドラギ第3代ECB総裁「何でもやる(do whatever it takes)」 2012年7月26日、ドラギECB総裁は、ユーロ圏債務危機の際、ユーロ崩壊も警戒されていた中で、「欧州中央銀行(ECB)は、その責務の範囲内で、ユーロ存続のために、必要な『いかなる措置をも取る』用意がある。信じてくれ。それだけだ(Within our mandate, the ECB is willing to do whatever it takes to preserve the euro and, believe me, it will be enough)」と表明した。 すなわち、「伝統的金融政策」としての金利引き下げによる「金融緩和」から、「非伝統的金融政策」としての国債購入による「信用緩和」に踏み出す決意を表明したことで、ユーロ金融危機への警戒感は後退した。ドラギECB総裁は、「ソブリン債のリスクプレミアム(上乗せ利回り)が金融政策の伝達経路を邪魔している」と、市場での介入警告用語を使うことで、国債購入の本気度を示した。
2.パウエル第16代FRB議長「何でもやる(do whatever it takes)」 2018年8月24日、パウエルFRB議長はカンザスシティー連銀がワイオミング州ジャクソンホールで開いた年次シンポジウムで、「米連邦公開市場委員会(FOMC)は、インフレ期待が大きく上昇あるいは低下したり、金融危機が再び脅威になった場合は、『何でもやる』、と私は確信している(I am confident that the FOMC would resolutely ‘do whatever it takes’ should inflation expectations drift materially up or down or should crisis again threaten,)」と宣言した。 パウエルFRB議長は、FOMCが2つのリスク、1つは対応が速過ぎて景気拡大の期間を短縮させるリスク、もう1つは対応が遅過ぎて景気を過熱させるリスクを抱えており、「漸進的な利上げ」が2つのリスクへの適切な対応策である、と述べた。 リスクシナリオが実現して、資産価格バブルの崩壊に直面したとしても、その準備は出来ている、自信たっぷりにジャクソンホール会議でのデビュー戦を締めくくった。
3.メルツ第10代独首相「何でもやる(do whatever it takes)」 ドイツの次期首相就任が確実視されるメルツ氏は、債務ブレーキを撤廃して、財政拡張路線に乗り出し、欧州で最も強力な経済力を誇るドイツを、ロシアに対する橋頭保にすることを打ち出した。そして、ドイツを守るために『あらゆる手段』を講じる、と述べた。 メルツ氏は2月23日の選挙の前には、社会保障費の削減による「債務上限の維持」と国防費の確保を訴えていた。 しかし、当選した後、大規模な財政改革の一環として5000億ユーロの特別基金を設立すると発表し、防衛費として国内総生産(GDP)の1%以上を支出する場合には、憲法上の借り入れ制限(債務ブレーキ)の対象外とすることも提案した。
1.「Commander in Chief」(最高司令官) オバマ第44代米大統領は、2期8年の任期中、計333ラウンドのゴルフに興じた。 トランプ氏は大統領選の当選前の2016年、オバマ前大統領のゴルフの時間が多すぎるとして冷笑し、「私はみなさんのために働く。ゴルフをプレーしに行く時間もなくなるだろう」と述べていた。 しかし、第1次トランプ米政権(2017~20年)には、295回ラウンドして、その費用は1億5150万ドル(@120円=182億円)だった。 第2次トランプ米政権(2025~28年)では、13回プレーしており、納税者が負担したゴルフ費用はすでに1800万ドル(@150円=27億円)を超えている。 トランプ米大統領がフロリダへ行く時は、本人と側近は大統領専用機で移動し、車列に必要な車両は軍が大型輸送機C-17で運ぶ。マー・ア・ラゴでプレーする時は、陸との間の沿岸内水路に警察、大西洋側には沿岸警備隊の船を配備し、警察官や爆発物探知犬も動員してトランプ氏の警護にあたる。 実業家イーロン・マスク氏が率いる「政府効率化省(DOGE)」は、政府縮小と支出削減に取り組んでいるが、大統領のゴルフ費用は例外なのだろうか。
2. 『Commander in Cheat』(イカサマ司令官) 米国のベテラン・スポーツ記者リック・レイリー氏が、トランプ米大統領の周辺の100名程度の人物への取材を基に著した『Commander in Cheat』(イカサマ司令官)は、米国大統領を「Commander in Chief」(最高司令官)と定義する米国憲法第2条に由来している。 レイリー氏は、「トランプ米大統領のやるインチキは、最高レベルだ」と批判している。 「トランプは他の人間が見ているときにも見ていないときにも、インチキをする。トランプは人にどう思われるかなど御構いなしでインチキをする。トランプがインチキをするのは、それが彼のゴルフのやり方だからで。トランプと一緒にゴルフをやるなら、彼は必ずインチキをすることを覚悟しなければならない」 しかし、トランプ米大統領は、「私はゴルフでスコアを誤魔化している。なぜなら、他の連中も誤魔化しているからだ」と公言しており、インチキゴルフは周知の事実であり、トランプ米大統領からのクレームはないらしい。 大統領のキャディー達は、大統領をサッカーの「ペレ」と呼んでいるらしい。 すなわち、ボールが池に入ったり、林の中に入ったり、バンカーの中に入った場合、先回りして足でフェアウェイの真ん中に蹴り出しているらしい。
また、米国の要因だけではなく、日本国内の要因でもドル売り圧力がある。相互関税でこれまでもトランプ政権が「ダーティ15」と名指しされた、日本、台湾、韓国はそれぞれ24%、32%、26%と高関税賦課となった。これらの3カ国は防衛面で米国依存となっていることで、対抗措置を取ることができないでいる。その3カ国のうち、日本の場合は7月に参議院選挙、韓国は尹大統領が罷免されたことで60日以内の大統領選挙などを控えている。両国とも無策でいることも難しく、アジア各国との間で兼ねてからトランプ米大統領が懸念を表明していたドル高の修正を合意(第2プラザ合意)が行われる可能性も捨てきれない。トランプ大統領は、昨年4月、SNSで34年ぶりのドル高・円安に市場が動いたことについて「アメリカにとって大惨事だ(The yen's recent fall against the dollar is a "total disaster for the United States")」と投稿している。更に、ラトニック米商務長官は3日に「ドルが安くなれば、その分輸出は容易になる」とも発言している。6日夜に石破首相と加藤財務相が会談をしたことも憶測を生んでいる。対抗策が取れず、交渉の切り札がない国がドル売り・自国通貨買いを認め、貿易不均衡を解消することで高関税賦課から逃れようとする可能性もあるだろう。
市場の注目は関税政策及びその経済的な影響に集まっている。市場関係者の一部では、トランプ政権が関税政策の一時停止や緩和措置を行うことを期待していたが、週末から週明けに伝わった政府関係者(トランプ米大統領、ベッセント米財務長官、ラトニック米商務長官)の発言は、関税に関して延期などをすることを全面的に否定し、強気な対応を継続することを発表している。昨日もハセット米国家経済会議(NEC)委員長の発言として「90日間の関税一時停止」という報道が伝わったが、これもホワイトハウスはフェイクニュースと否定している。更にトランプ大統領は「貿易赤字が解決されない限り中国と取引しない」と述べ、貿易戦争が長期化することも示唆している。また、株式市場については下落を望んでいないとはしたものの「時には薬を飲まなくてはならないときもある(sometimes you have to take medicine)」と発言し、株式市場の大幅安についても許容している。昨日のCME225先物は32225円と7日の大阪取引所比で1265円高で引けたことで、本日の日経平均株価の上昇も期待され、為替市場も揺り戻しが入り、ドル円も買い戻される場面もあるだろう。しかし、リスク回避の動きが終了したとはいえず、基本的なドル円の売りトレンドは継続しそうだ。
9日の米国市場は、NYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が大幅に上昇。米中貿易戦争の激化を懸念したリスク回避ムードのなか売り先行で始まったが、トランプ大統領が自身のSNSに「 BE COOL! EVERYTHING GOING TO WORK OUT WELL(落ち着いて!すべてうまくいく)」と投稿したことを受け、徐々に買い戻しに向かわせた。午後に入りトランプ大統領は、この日発動した「相互関税」について「報復しない国・地域に90日間の関税一時停止を承認」と発表すると買いが膨らみ、NYダウは一時3100ドル超上昇する場面があった。
ただ、このくだり、実は、市場では「No, with explanation」ではなく、「No, with exclamation」と勘違いした向きが多かったようで、「全くない」というビックリマーク(!)付きの返答だったと認識。一気に株価の急落につながっていきました。SNS上でも本当はどちらが正しかったのかといった議論で盛り上がっていたようで、いずれにしても、市場の不安心理が大きいなかでの動きだったといえます。
<国内>
○10:30 ◎ 内田眞一日銀副総裁、あいさつ
<海外>
○09:30 ☆ 10-12月期豪国内総生産(GDP、予想:前期比0.5%/前年比1.2%)
○10:45 ◎ 2月Caixin中国サービス部門購買担当者景気指数(PMI、予想:50.7)
○11:00 ☆ トランプ米大統領、米上下両院合同会議で施政方針演説
○16:30 ◎ 2月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.5%)
○16:45 ◇ 1月仏鉱工業生産(予想:前月比0.3%)
○17:50 ◎ 2月仏サービス部門PMI改定値(予想:44.5)
○17:55 ◎ 2月独サービス部門PMI改定値(予想:52.2)
○18:00 ◎ 2月ユーロ圏サービス部門PMI改定値(予想:50.7)
○18:30 ◎ 2月英サービス部門PMI改定値(予想:51.1)
○19:00 ◎ 1月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.5%/前年比1.4%)
○19:00 ◇ 1-3月期南アフリカ経済研究所(BER)企業信頼感指数
○21:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○22:15 ☆ 2月ADP全米雇用報告(予想:14.0万人)
○22:30 ◇ 10-12月期カナダ労働生産性指数(予想:前期比0.7%)
○23:30 ◎ ベイリー英中銀(BOE)総裁、ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員兼チーフエコノミスト、グリーン英中銀MPC委員、講演
○23:45 ◎ 2月米サービス部門PMI改定値(予想:49.7)
○23:45 ◎ 2月米総?⑰MI改定値
○24:00 ☆ 2月米ISM非製造業指数(予想:52.6)
○24:00 ◎ 1月米製造業新規受注(予想:前月比1.6%)
○6日00:30 ◇ EIA週間在庫統計
○6日01:00 ◎ 1月ロシア失業率(予想:2.3%)
○6日04:00 ◎ 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
○中国全国人民代表大会(全人代)開幕(北京)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
日経225先物オプション実況スレ
https://talk.jp/boards/market/1737031833
(4日終値)
ドル・円相場:1ドル=149.79円(前営業日比△0.29円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=159.17円(△2.38円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0626ドル(△0.0139ドル)
ダウ工業株30種平均:42520.99ドル(▲670.25ドル)
ナスダック総合株価指数:18285.16(▲65.03)
10年物米国債利回り:4.24%(△0.09%)
WTI原油先物4月限:1バレル=68.26ドル(▲0.11ドル)
金先物4月限:1トロイオンス=2920.6ドル(△19.5ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
特になし
(各市場の動き)
・ユーロドルは続伸。フォンデアライエン欧州委員長が提案した8000億ユーロ規模の欧州再軍備などが好感されてユーロ買い・ドル売りが先行。米長期金利の指標となる米10年債利回りが一時4.1040%前後と昨年10月21日以来の低水準を付けたこともユーロ買い・ドル売りを促し、一時1.0559ドルまで値を上げた。
トランプ米政権の関税政策が経済に与える悪影響が懸念されて、欧州株相場が大幅に下落すると一時1.0497ドル付近まで伸び悩む場面もあったが下押しは限定的だった。一部通信社がメルツ次期独首相の話として「国防費に対する債務ブレーキを改革し、1%を超える支出を免除する」「ドイツは5000億ユーロの特別防衛基金を設立する」と伝わると、全般ユーロ買いが活発化。6時30分前に一時1.0627ドルと昨年12月6日以来約3カ月ぶりの高値を付けた。
・ドル円は反発。米政権による関税強化をきっかけに貿易摩擦が激化するとの懸念が高まると、世界的に株価が下落。投資家がリスク回避姿勢を強め円買い・ドル売りが先行した。2月25日の安値148.57円を下抜けて一時148.10円と昨年10月9日以来約5カ月ぶりの安値を更新した。
ただ、米10年債利回りが上昇に転じると買い戻しが優勢に。「米国とウクライナは鉱物資源のディールで署名の準備」「トランプ米大統領はディールについて議会演説で発表の意向」との一部報道を材料に円売り・ドル買いを進める向きもあり、取引終了間際に149.88円と日通し高値を付けた。ラトニック米商務長官が「トランプ米大統領はカナダとメキシコの関税縮小を明日発表する可能性」「カナダとメキシコについて4月2日に関税の変更があるだろう」と発言したことも相場の支援材料。
・ユーロ円は大幅に3日続伸。世界的な株価の下落を受けてリスク回避の円買いが強まると、0時30分過ぎに155.60円と本日安値を付けた。ただ、そのあとはユーロドルやドル円の上昇につれた買いが優勢となり、159.21円の本日高値まで一転上昇した。ラトニック米商務長官の発言を受けて、過度の通商摩擦懸念が和らいだことも相場の押し上げ要因。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は大幅に続落。米政権がカナダとメキシコの輸入品に対し関税を発動し、中国には追加関税を引き上げた。関税強化による貿易戦争や世界経済への悪影響を懸念した売りが広がった。指数は一時840ドル超下落する場面があった。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は続落。中国での電気自動車(EV)販売が落ち込んだと伝わったテスラが4%超下げた。
・米国債券相場で長期ゾーンは3日ぶりに反落。米政権の関税政策への懸念で買いが先行すると、利回りは一時4.1040%前後と昨年10月21日以来の低水準を付けた。ただ、引けにかけては一転売りが優勢に。ラトニック米商務長官が「トランプ米大統領はカナダ・メキシコ関税の軽減を明日発表する可能性」と述べたことで、過度の通商摩擦懸念が和らいだ。
・原油先物相場は3日続落。昨日石油輸出国機構(OPEC)プラスのうち8カ国が4月から増産することが確認されたこともあり3日続落して引けた。米国がカナダとメキシコへの関税賦課を発令し、加墨も報復関税を行うことにより、北米経済への悪影響が原油をはじめとしたエネルギー需要減退につながるとの懸念も重しになった。もっとも、引けにかけてはユーロを中心にドル売りが進んだことで、ドルで取引される原油先物にとっては割安になったことから下げ幅を縮小した。
・金先物相場は続伸。ユーロを中心にドル安が進んだことで、ドルで取引される金先物は割安感から続伸。また、米国がカナダ、メキシコへの関税賦課を発動し、カナダは即時報復関税を実行、メキシコも9日に関税措置を発表することを決定した。国際情勢の混迷を嫌気し、安全資産とされる金先物には買いが集まりやすかった。
大阪3月限ナイトセッション
日経225先物 36950 -410 (-1.09%)
TOPIX先物 2686.5 -24.5 (-0.90%)
シカゴ日経平均先物 36955 -405
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
4日の米国市場はNYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が下落。トランプ米大統領がカナダとメキシコの輸入品に関税を発動し、中国に対しては2月に発動した10%の追加関税を20%に引き上げた。報復措置として中国が米国産農産物に最大15%の関税を課したほか、カナダも米国産品に段階的課税を実施すると発表。世界的な貿易戦争へと発展するリスクが高まり、世界経済への悪影響を懸念した売りが広がった。NYダウの下落幅は800ドルを超える場面もあった。
ただし、トランプ米大統領がウクライナとの鉱物資源協議に前向きな考えを示したと伝わったことが材料視されて、為替市場では1ドル=149円台前半と円高に振れたほか、NYダウも下げ幅を縮めた。トランプ大統領は日本時間の5日午前に行われる米上下両院合同会議での施政方針演説で鉱物資源協議について説明するようである。また、S&P500指数は5700台前半まで下落し、同水準に位置する200日移動平均線まで下げたことで、押し目買いも入りやすかった。
NYダウ構成銘柄では、ボーイング<BA>、スリーエム<MMM>、アメリカン・エキスプレス<AXP>、ゴールドマン・サックス・グループ<GS>、JPモルガン・チェース<JPM>、ウォルトディズニー<DIS>が下落。半面、エヌビディア<NVDA>、ユナイテッドヘルス・グループ<UNH>、IBM<IBM>、マクドナルド<MCD>、マイクロソフト<MSFT>が買われた。
シカゴ日経平均先物(3月限)清算値は、大阪比405円安の3万6955円だった。日経225先物(3月限)のナイトセッションは、日中比50円安の3万7310円で始まり、その後はショート優勢の中で下落幅を広げ、米国市場の取引開始後には3万6260円まで売られた。売り一巡後はショートカバーとみられる動きが強まり、終盤にかけて3万7550円とプラス圏を回復する場面もあったが、終了間際に再びショートが強まり、3万6950円でナイトセッションの取引を終えた。
シカゴ先物にサヤ寄せする形から、売り先行で始まりそうだ。ボリンジャーバンドの-3σ(3万6540円)を割り込み、終盤にかけての切り返しにより-2σ(3万7260円)を上回る場面もみられたが、-2σ水準はキープできなかった。下向きで推移する-2σと-3σによるレンジが続くなかで、押し目狙いのロングは入りにくいだろう。米政権の関税強化を受けて貿易戦争や経済への悪影響に対する懸念が重荷となり、戻り待ち狙いのショート優勢の需給状況が続きそうだ。
まずはトランプ大統領の施政方針演説の内容やこれを受けた市場の反応を見極めたいところであり、売り一巡後は比較的底堅さが意識されそうだ。ただし、午後の取引は荒れる可能性も考えられるため、スキャルピング中心での短期的な売買に限られそうである。
バンドは下向きで推移しているためボトムは見極めにくいが、-2σが位置するオプション権利行使価格の3万7250円処での攻防を想定し、権利行使価格の3万6500円から3万7500円辺りでの推移になりそうだ。
4日の米VIX指数は23.51(3日は22.78)に上昇した。一時26.35まで切り上がり、昨年12月半ば以来の水準に上昇してきた。12月18日の高値28.32が射程に入ってきており、リスク回避姿勢が強まりそうである。12月高値を上抜けてくるようだと、8月5日の38.57が意識されてくるだろう。
なお、昨日のNT倍率は先物中心限月で13.78倍に低下した。一時13.70倍で下げる場面もみられており、昨年8月6日につけた13.65倍に接近。同水準を割り込んでくると、2023年9月下旬につけた13.55倍が射程に入ることで、一段とNTショートに振れやすくなりそうだ。ただし、-3σまで下げてきたほか、エヌビディアが買われた流れもあり、短期的にはNTショートを巻き戻す動きも入りやすいところである。
昨日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反発。前日のトランプ米大統領の円安けん制発言や株安に伴ったリスクオフの円買いで一時148.10円と昨年10月9日以来の安値をつけたが、米長期金利が上昇に転じたことや「米国とウクライナは鉱物資源のディールで署名の準備」「トランプ米大統領はディールについて議会演説で発表の意向」との一部報道をきっかけに買い戻しが強まると一転149.88円まで反発した。また、ラトニック米商務長官がカナダとメキシコへの関税を4月2日に変更する可能性に言及したことも支援材料となった。ユーロドルはフォンデアライエン欧州委員長が提案した8000億ユーロ規模の欧州再軍備などが好感されてユーロ買い・ドル売りが先行し、一時1.0627ドルまで昨年12月6日以来の高値を更新した。また、ユーロ円は乱高下するも、ドル円の買い戻しとユーロドルの上昇を支えに159.21円まで高値を更新した。
東京市場では午前11時ごろに予定されている「トランプ米大統領の議会で行う施政方針を示す演説」に注目が集まっている。トランプ米大統領が経済や外交など幅広い分野で自身の政策や考え方を国民に訴える場となるが、どんな発言が飛び出すか見当がつかない。同氏の発言に振り回される相場展開が続いており、内容次第ではドル円が値幅を伴った神経質な動きになる可能性がある。関税に絡んだ発言や、再び中国や日本を名指しして金融政策への批判が出るかどうかなどにも注目したい。
金融市場全般がトランプ関税の不確実性に振り回されており、ドル円も神経質な動きが続いている。カナダとメキシコの関税は4日から発動したが、ラトニック米商務長官は4月2日に関税の変更がある可能性を示唆した。二転三転する関税方針に市場もうんざりしている。足もとでドル円も方向感が出にくいが、上値の重い動きが続くと見込まれる。日銀の早期利上げ観測の高まりが依然として上値圧迫要因となっているなか、ウクライナ情勢を背景とした地政学リスク、トランプ米政権と中国・カナダなどの関税合戦の勃発などで世界経済の先行きに対する不安がリスクオフの円買いにつながりやすい。今のところ、トランプ関税は市場のセンチメントを悪化させるだけである。
また、トランプ米大統領が円安を批判し、通貨安政策を取るなら関税を課すと脅かしていることも引き続きドル円の上値を重くする要因として意識されそうだ。トランプ氏の円安けん制発言は、円安のメリットよりデメリットを懸念している日本の当局者らにとっては都合のいい話かもしれない。また、日銀は「トランプ氏の発言などは日本の金融政策に関係ない」との姿勢を示すだろうが、金融政策の正常化を進めている日銀にとってトランプ氏の金融政策批判は追加利上げに動きやすい一つのポイントになるかも知れない。よって、円高圧力は当面続きそうだ。
東京市場は軟調か。米国株は下落。ダウ平均は670ドル安の42520ドルで取引を終えた。トランプ関税が米国経済に悪影響を与えることへの懸念が高まった。800ドル超下げたところからいったん持ち直したものの、終盤には売り直されている。エヌビディアなどグロース株の一角に見直し買いが入ったことからナスダックは終盤にプラス圏に浮上する場面があったが、こちらも買いは続かず下落した。ドル円は足元149円70銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが大証日中終値と比べて405円安の36955円、ドル建てが395円安の36965円で取引を終えた。
米3指数がそろって下落して引け味も悪かっただけに、日本株も売りに押されると予想する。CME225先物は37000円近辺からのスタートを示唆している。日本時間11時からトランプ大統領の施政方針演説が予定されており、ニュースのヘッドラインが相場をかく乱する可能性がある点には注意を要する。深押しするようなら下値は拾われるとみるが、このところの日経平均は値幅が出やすくなっているだけに、場中は荒い値動きが続くだろう。日経平均の予想レンジは36500円-37500円。
本日から中国では全国人民代表大会(全人代)が開幕した。全人代で今年のGDP成長目標を5%前後に設定した。市場予想通りの結果となった。
日経225先物は11時30分時点、前日比20円安の3万7340円(-0.05%)前後で推移。寄り付きは3万7210円と、売りが先行したものの、シカゴ日経平均先物清算値(3万6955円)を上回って始まった。現物の寄り付き後ほどなくして3万7530円まで買われる場面もみられたが、中盤にかけては3万7170円まで売られた。売り一巡後は再び3万7400円を上回りプラス圏を回復したが、終盤にかけてトランプ米大統領の施政方針演説が始まると、持ち高調整に向かわせた。
トランプ大統領の施政方針演説を控えるなか、朝方はウクライナとの鉱物資源協議再開への思惑からショートカバーとみられる動きが入り、ボリンジャーバンドの-2σ(3万7340円)を上回る場面もみられた。ただし、ロングの動きは強まらず、その後は-2σ水準での攻防をみせている。トランプ大統領の施政方針演説は現在も行われており、失望的な見方に向かうようだと、-2σに上値を抑えられる形からショートが入りやすく、-3σ(3万6650円)に接近する可能性はありそうだ。
NT倍率は先物中心限月で13.77倍に低下した。一時13.80倍に上昇する場面もみられたが、その後は13.72倍まで下げた。方向性としてはNTショートに振れやすいトレンドではあるが、アドバンテスト<6857.T>[東証P]など指数インパクトの大きい値がさハイテク株の一角が買われており、ややNTショートを巻き戻す動きを意識しておきたいタイミングである。
昨日のドル円は、トランプ関税に絡む様々な憶測や報道に振り回されることになりました。カナダ、メキシコの関税が正式に発動したことを受けて、株価が急落。欧州時間から日経平均先物が4桁の急落となるなか米長期金利の低下につれて下値を試す動きに。アジア時間の安値148.60円や2月25日の安値148.57円を下抜けると目先のSLを巻き込むかたちで下げ足を速め、一時148.10円まで売り込まれました。
ただ、その後は一転して買戻しの展開に。株価が急回復したほか、米国がウクライナとの鉱物資源ディールに署名する意向が報じられると149.51円まで買戻し。株価が再び弱含みとなると149.01円まで下押ししたものの、引けにかけてはラトニック米商務長官が「カナダとメキシコの関税変更があるだろう」との見解を表明したことから一気に149.88円まで高値を更新してNY市場を終えました。
そして本日のアジア市場。月初のゴトー日とあって、仲値に向けては昨日高値の149.88円を上抜けて150.18円まで値を上げる場面もみられましたが、その後は内田日銀副総裁の金融経済懇談会での挨拶や、現在も続いているトランプ米大統領の議会演説を見極めながら、「疲労困憊」の市場にとっては、敢えて相場を静観する姿勢をとっているといったところです。
いずれにしても、ドル円は1円50銭近い極めて長い下ひげを残して行って来いとなっているわけで、明らかにセリングクライマックスを終えた状況。市場のショートポジションが恐らくまだまだ過去最高水準にあるなか、ようやく一目転換線をしっかりと上抜けて、極めて足の速いポジションのショートカバーが本格化するのかもしれません。
本日のロンドン為替市場では、欧州のウクライナ支援に関する続報やトランプ米大統領が施政方針演説で述べた内容への反応を見定めながらの値動きか。経済指標は、改定値だが2月仏独ユーロ圏のサービス部門購買担当者景気指数(PMI)や、1月ユーロ圏卸売物価指数(PPI)などが発表予定。
昨日は欧州株が大幅安で終えたにもかかわらず、ユーロは対ドルや対円で大きく上昇した。フォンデアライエン欧州委員長が8000億ユーロ規模の欧州再軍備を提案し、メルツ次期独首相も防衛費増額について言及。ロシアに対する強硬姿勢が継続され、ウクライナを守る方針も鮮明となったことが結果的にユーロ買いの安心感に繋がったようだ。
本日は欧州委員長が述べた大規模な再軍備計画について、より具体的な内容が出てくるかに注目か。昨日のメルツ氏の発言などからも、欧州の主要国は今回の軍事支出に積極的だろう。懸念されるのは、ハンガリー(EUやNATO加盟国)のようなウクライナ支援に反対している国の反応。もし、フォンデアライエン氏の提案に消極姿勢が複数の国から出た場合、再軍備で欧州に綻びが見えたとされてユーロの上値が追いづらくなるかもしれない。
経済指標については、2月サービス部門PMIは改定値だが通常より気にしておきたい。先月発表された速報値は予想に届かず弱い結果だった。しかしながら、3日の製造業PMI改定値に上方修正が目立ったことから、サービス部門も上振れを期待する声が出てきたからだ。ほか、1月ユーロ圏PPIは前年比1.4%と前回±0.0%だったところから加速予想。こちらの上昇幅も確認する必要があるだろう。
想定レンジ上限
・ユーロドル、200日移動平均線1.0722ドル
想定レンジ下限
・ユーロドル、ピボット・サポート1の1.0522ドル
ドル円:1ドル=149.70円(前営業日NY終値比▲0.09円)
ユーロ円:1ユーロ=159.15円(▲0.02円)
ユーロドル:1ユーロ=1.0631ドル(△0.0005ドル)
日経平均株価:37418.24円(前営業日比△87.06円)
東証株価指数(TOPIX):2718.21(△8.03)
債券先物3月物:139.20円(▲0.13円)
新発10年物国債利回り:1.440%(△0.020%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
特になし
(各市場の動き)
・ドル円はもみ合い。東京仲値にかけて買いが観測されると一時150.18円まで値を上げたが、買いは続かなかった。その後は149円台後半から150円台前半を行ったり来たりする方向感のない動きが続いた。
なお、内田日銀副総裁は今後の利上げ経路について、日銀の経済・物価見通しが実現していけば引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく方針を改めて表明した。また、トランプ米大統領は上下両院合同会議で施政方針演説を行い、ゼレンスキー・ウクライナ大統領から手紙をもらったと説明。手紙の中には「できるだけ早く交渉のテーブルに着く用意がある」、鉱物資源の共同開発を巡る合意については「いつでも署名する用意がある」と記されていたと述べた。
・ユーロドルは下値が堅い。欧州各国のウクライナ支援に対する積極的な姿勢が好感され、昨日の海外市場で大きく上昇した反動から1.0602ドルまで利食い売りに押された。ただ、1.06ドル台を死守すると欧州入り際には再び1.0639ドルまで値を上げ、昨年11月13日以来の高値を付けた。
・ユーロ円はもみ合い。一時159.54円まで値を上げたが上値は限られた。その後は高値圏での推移が続いている。
・日経平均株価は反発。トランプ米大統領が演説で日本を批判しなかったことで買い安心感が広がった。ただ、関税を巡る警戒感が根強く残る中で戻りを売る動きも目立った。
・債券先物相場は3日続落。昨日の米国債券相場が下落した流れを引き継いで売りが先行。内田日銀副総裁が利上げ継続姿勢を示したことも債券相場の重しとなった。
2月5日にベッセント米財務長官と植田日銀総裁が会談を行って以来、日銀の追加利上げ観測が高まりつつある。
これまでの日銀のターミナルレート(利上げの最終到達点)は、中立金利の下限である1.00%辺りだったが、1.25-50%までの利上げと新発10年物国債の利回り2.0%程度が射程に入りつつある。
一部の市場筋は、3月18-19日の日銀金融政策決定会合での早期利上げ観測の背景として、農林中央金庫の赤字や資本増強策、そして令和の米騒動などを挙げている。
2024年3月の日銀金融政策決定会合では、マイナス金利の解除とイールドカーブコントロール(YCC)の撤廃が決定されていた。
■2月6日:田村日銀審議委員
「2025年度後半には、少なくとも1%程度まで短期金利を引き上げておくことが、物価上振れリスクを抑え、物価目標達成のうえで必要」
「政策金利を現状の0.5%から0.75%へ引き上げたとしても、引き続き物価上昇を考慮した実質金利は大幅にマイナスであり、経済を引き締める水準にはまだ距離がある」
■2月19日:高田日銀審議委員
「物価の上振れや金融が過熱するリスクを踏まえ、ギアシフトを段階的に行っていく視点も重要だ」
■2月21日:植田日銀総裁
「最近の長期金利の上昇は景気回復や物価上昇を反映したものだが、例外的に急上昇する場合には機動的に国債買い入れを増額する」
「総合指数は4%に乗せたが、基調的な物価上昇率はまだ2%を少し下回っている。基調的な物価の上昇が続くことになれば、引き続き金融緩和度合いの調整を続けていきたい」
■2月26日:三村財務官
「日銀の政策に対する市場の見方と齟齬はない」
■2月28日:内田日銀副総裁
「基調的物価、2%目標に向け徐々に高まっている」
「付利行わない場合、政策金利誘導できない」
3月5日:
「ターミナルレートは今の段階で分からない。利上げしていく中で結果として分かる」
赤沢経済再生相
「物価上昇続いており、現在はインフレとの日銀の認識と違いはない」
■1月の物価指数
・総合消費者物価指数(CPI):+4.0%
・コアCPI(生鮮食品を除く):+3.2%
・企業向けサービス価格指数:+3.1%
・企業物価指数:+4.2%
・輸入物価指数:+2.3%
※基調的なインフレ率を捕捉するための指標
・刈り込み平均値:+2.2%
・加重中央値:+1.4%
・最頻値:+1.3%
大阪3月限
日経225先物 37420 +60 (+0.16%)
TOPIX先物 2721.5 +10.5 (+0.38%)
日経225先物(3月限)は前日比60円高の3万7420円で取引を終了。寄り付きは3万7210円と売りが先行したものの、シカゴ日経平均先物清算値(3万6955円)を上回って始まった。現物の寄り付き後ほどなくして3万7530円まで買われる場面もみられたが、前場中盤にかけては3万7170円まで売られた。売り一巡後は再び3万7400円を上回りプラス圏を回復したが、前場終盤は3万7300円~3万7400円辺りで保ち合いを継続。
ランチタイム以降はトランプ米大統領の施政方針演説を確認しながらのトレードとなった。為替市場ではリスクオフの動きが一服し、一時1ドル=150円台と円安に振れた。過度な警戒感が次第に和らぐ形となり、日経225先物は後場中盤には3万7620円まで買われる場面もみられた。ただし、スキャルピング中心の売買であり、終盤にかけて3万7360円~3万7500円処での推移が続いた。
トランプ大統領の施政方針演説を控えて、朝方はウクライナとの鉱物資源協議再開を巡る思惑からショートカバーとみられる動きが入り、ボリンジャーバンドの-2σ(3万7360円)を上回る場面もみられた。施政方針演説が始まる前場終盤にかけては、いったんポジションをニュートラルにする動きとなり、午後はアク抜けからややロング優勢となった。前場中盤に-2σを割り込んだものの概ね-2σを挟んでの推移だった。
明確なシグナルは出ておらず、バンドは下向きではあるものの、まずは-2σを上回って推移したいところだろう。-2σを上回る推移から3万7500円処で底堅さがみられてくると、-1σが位置する3万8000円辺りを狙ったロングが意識されてこよう。トレンド転換は期待しづらいが、足もとの-2σを中心とした-3σと-1σによるレンジの上限を試す展開も想定しておきたい。
NT倍率は先物中心限月で13.74倍に低下した。一時13.80倍に上昇する場面もみられたが、その後は13.72倍まで下げた。方向性としては昨年8月6日につけた安値13.65倍が射程に入っており、NTショートに振れやすいトレンドではある。ただし、-3σを割り込んだ水準であり、ややNTショートを巻き戻す動きを意識しておきたいタイミングである。
手口面(3月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が2万5093枚、ソシエテジェネラル証券が2万0404枚、サスケハナ・ホンコンが7460枚、SBI証券が2630枚、日産証券が2569枚、モルガンMUFG証券が2418枚、JPモルガン証券が1983枚、ゴールドマン証券が1425枚、みずほ証券が1244枚だった。
TOPIX先物は、ABNクリアリン証券2万7769枚、ソシエテジェネラル証券が2万0829枚、JPモルガン証券が8686枚、バークレイズ証券が8000枚、モルガンMUFG証券が4328枚、ビーオブエー証券が2713枚、ゴールドマン証券が2602枚、みずほ証券が1300枚、シティグループ証券が936枚、UBS証券が868枚だった。
本日のNY為替市場のドル円は、今週末発表される米2月雇用統計の前哨戦として、2月ADP全米雇用報告や米ISM非製造業「雇用」指数などを注目する展開が予想される。
2月ADP全米雇用報告は前月比+14.0万人と予想されており、1月の同比+18.3万人からの増加幅の減少が見込まれている。予想以下ならば、2月雇用統計にとってのマイナス材料となる。
2月米ISM非製造業指数は52.6と予想されており、1月の52.8からの悪化が見込まれている。雇用指数が1月の52.3から改善しているのか否か、価格指数が1月の60.4から上昇しているのか否かにも注目しておきたい。
2月米ISM製造業指数では、雇用指数は50.3から47.6へ低下し、価格指数は54.9から62.4へ上昇していた。
昨日発動されたメキシコとカナダへの25%の関税は、4月2日の相互関税発動に向けて変更される可能性が示唆されたことで、本日も、トランプ米政権からの関連ヘッドラインには警戒しておきたい。
本日、石破首相が「日本の自動車や自動車部品に米国が追加関税を課すことはないとした2019年の日米合意が今も当然生きている。首脳間の協定とはそういうもの」と述べたが、トランプ米政権サイドの見解に注目しておきたい。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」が示している今年の0.25%の利下げ開始時期は、6月FOMC(-0.25%=4.00-25%)と見込まれ、7月に追加利下げ(-0.25%=3.75-4.00%)、そして10月にも追加利下げ(-0.25%=3.50-75%)が見込まれている。
・想定レンジ上限
ドル円の上値目処(めど)は、151.30円(3/3高値)
・想定レンジ下限
ドル円の下値目処(めど)は、148.10円(3/4安値)
今晩は一旦反発か。昨日はトランプ政権がメキシコとカナダからの輸入品に対して25%、中国に対して10%の追加関税を4日深夜に発動し、相手国も報復関税で応じるとしたことで主要3指数がそろって続落した。ダウ平均は670.25ドル安(-1.55%)と大幅に続落し、2日間で1300ドル以上の下落となった。S&P500も1.22%安と大幅に2日続落したが、ハイテク株主体のナスダック総合は2.14%安まで下落後、0.35%安と下落幅を大きく縮小して終了した。足もとで売られたエヌビディアやアドバンスト・マイクロ・デバイセズが反発し、フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)は0.64%高と反発した。引け後の動きではラトニック米商務長官が「カナダとメキシコについて4月2日に関税の変更があるだろう」と述べ、米国がカナダとメキシコと関税問題で協議する可能性を示した。また、トランプ米大統領が施政方針演説で関税導入による貿易不均衡問題を解決すると強調した。
今晩は前日までに2日続落したことや、米商務長官が関税問題でカナダとメキシコと協議する可能性を示したこと、米大統領施政方針演説で新たなネガティブ材料がなかったことなどで一旦反発が期待できそうだ。経済指標では金曜日に発表される米2月雇用統計(非農業部門雇用者数・失業率・平均賃金など)に注目が集まるが、今晩も2月ADP民間部門雇用者数、2月ISM非製造業PMIなどが発表予定で、足もとの雇用や景気動向に要注目となる。
今晩の米経済指標は2月ADP民間部門雇用者数、2月S&Pサービス業PMI確定値、2月ISM非製造業PMIなど。決算発表は寄り前にブラウン・フォーマン、キャンベル・スープなどが発表予定。
米国はウクライナとの情報共有を打ち切ったとフィナンシャルタイムズ紙が伝えた。
一部通信社が報じたところによると、ドイツは防衛費増額のため欧州連合(EU)に財政規則緩和を要請したという。
日経平均株価は反発。5日移動平均線(37589円 3/5)の下方で小さな動きとなり、陽線を形成して終えた。
RSI(9日)は前日の23.2%→25.7%(3/5)に上昇。37000円台で落ち着いた動きとなったが、1/24高値(40279円)からの二段下げ目は続いている。前日からの見方に大きな変化なく、あすも下向きの5日移動平均線や10日移動平均線(38094円 同)下で値固め続く公算が大きい。
上値メドは、5日移動平均線や10日移動平均線、200日移動平均線(38658円 同)、心理的節目の39000円や39500円、1/31高値(39681円)などがある。下値メドは、心理的節目の37000円、3/4安値(36816円)、9/18高値(36675円)、心理的節目の36500円や36000円、9/17安値(35828円)などがある。
(5日終値:6日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=148.86円(5日15時時点比▲0.84円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=160.55円(△1.40円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0785ドル(△0.0154ドル)
FTSE100種総合株価指数:8755.84(前営業日比▲3.16)
ドイツ株式指数(DAX):23081.03(△754.22)
10年物英国債利回り:4.682%(△0.148%)
10年物独国債利回り:2.793%(△0.298%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
2月スイス消費者物価指数(CPI)
前月比 0.6% ▲0.1%
1月仏鉱工業生産
(前月比) ▲0.6% ▲0.5%・改
2月仏サービス部門購買担当者景気指数(PMI)改定値
45.3 44.5
2月独サービス部門PMI改定値
51.1 52.2
2月ユーロ圏サービス部門PMI改定値
50.6 50.7
2月英サービス部門PMI改定値
51.0 51.1
1月ユーロ圏卸売物価指数(PPI)
(前月比) 0.8% 0.5%・改
(前年比) 1.8% 0.1%・改
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ユーロドルは堅調。独与野党が財政赤字を一定の規模に抑える「債務ブレーキ」の緩和で合意したことを受けて、拡張的な財政政策が投資や経済を支えるとの見方が高まると独長期金利の大幅上昇とともにユーロ買いが優勢となった。NYの取引時間帯に入ると、2月ADP全米雇用報告で政府部門を除く非農業部門雇用者数が7.7万人増と予想の14.0万人増を下回り、米長期金利が低下。全般ドル売りが活発化し、一時1.0788ドルと昨年11月8日以来の高値を付けた。
なお、独10年債利回りは大幅に上昇し、一時2.800%前後と2023年11月以来の高水準を記録した。
・ユーロはドル以外の通貨に対しても上昇した。ユーロ豪ドルは一時1.7094豪ドル、ユーロNZドルは1.8898NZドル、ユーロポンドは0.8381ポンド、ユーロカナダドルは1.5539カナダドル、ユーロスイスフランは0.9612スイスフランまで値を上げた。
・ドル円は頭が重かった。ラトニック米商務長官が「トランプ米大統領はおそらく、カナダとメキシコへの関税の軽減を検討している」と発言すると149.74円付近まで上昇したものの、その後失速した。低調な米雇用指標をきっかけに全般ドル売りが優勢になると、一時148.40円と本日安値を更新した。
ただ、24時発表の2月米ISM非製造業景況指数が53.5と予想の52.6を上回ったことが分かると149円台前半まで下げ渋る場面があった。前日の安値148.10円もサポートとして意識された。
・ユーロ円は底堅い動き。ドイツの拡張的な財政政策が投資や経済を支えるとの見方からユーロ全面高となった流れに沿った。独DAXが3%超急伸するなど、欧州株相場が堅調に推移したことも円売り・ユーロ買いを促し、一時160.67円と2月13日以来の高値を付けた。
・ロンドン株式相場は小幅ながら続落。ドイツ株中心に欧州株相場が大幅に上昇すると英株にも買いが波及し反発して始まったものの、トランプ米政権の関税政策による経済への影響が不安視される中、終盤失速した。電力・ガス供給のナショナル・グリッドや電力のSSEなど公益企業株が売られた。
・フランクフルト株式相場は大幅に反発。独与野党が財政赤字を一定の規模に抑える「債務ブレーキ」の緩和で合意したことを受けて、拡張的な財政政策が投資や経済を支えるとの見方が高まり株買いが膨らんだ。個別ではハイデルベルク・マテリアルズ(17.52%高)やドイツ銀行(12.36%高)などの上昇が目立ち、ボノビア(7.66%安)などを除く36銘柄が上昇した。
・欧州債券相場は独国債が大幅下落。国防費の増強に向けた厳格な債務抑制策の緩和に独与野党が合意したことで、保守的な財政政策が転換して債務負担が大幅に増えるとの懸念が高まった。
5日の日経平均は反発。終値は87円高の37418円。米国株の下落はネガティブ視されず、寄り付きは小幅高。前場では上げ幅を3桁に広げれば戻り売りに押された一方、下げ幅を3桁に広げると押し目買いが入り、プラス圏とマイナス圏を行き来した。日銀植田総裁および内田副総裁のイベントでのあいさつやトランプ大統領の施政方針演説など消化する材料がいくつかあり、方向感が定まらなかった。小幅高で前場を終えると、後場は前引けから水準を切り上げ、しばらくじり高基調が続いた。200円超上昇して37600円台に乗せたところで上値が重くなったが、失速してもプラス圏はキープ。2桁の上昇で取引を終えた。
東証プライムの売買代金は概算で4兆8600億円。業種別では非鉄金属、輸送用機器、繊維などが上昇した一方、保険、空運、サービスなどが下落した。西友を買収するとの観測が報じられたトライアルホールディングス<141A.T>が一時売買停止となって後場急騰。14時に会社からも西友完全子会社化に関するリリースが出てきた。半面、半導体株に濃淡がついており、ディスコ<6146.T>が6.9%安と大きく値を崩した。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1090/値下がり489。防衛大手のIHIや川崎重工が大幅上昇。三菱重工は小幅に下落したが、この3社で全市場の売買代金トップ3を独占した。レーザーテックやソシオネクストが急伸。フジクラや古河電工など電線株が買いを集めた。トランプ大統領が施政方針演説で造船業回復について言及したことを手がかりに、船舶用エンジンなどを手がける三井E&Sが急騰。株式売り出しの中止を発表した高圧ガス工業がプライムの値上がり率トップとなった。
一方、大幅安となったディスコのほか、東京エレクトロンやアドバンテストなど半導体株の一角が下落。DeNA、ソニーG、カプコン、コナミGなどゲーム株が総じて軟調となった。本決算が失望を誘ったダイドーGHDが大幅安。直近で騰勢を強めていたジェネレーションパス、アディッシュ、フォーシーズHDが一転ストップ安まで売り込まれた。
日経平均は反発。米国株安を跳ね返してプラスで終えた。つかみどころのない1日であったが、プライムでは値上がり銘柄が値下がりの倍以上あり、安値(37178円)でも37000円は割り込まなかった。このところはトランプ大統領の言動に振り回されているが、きょうの東京市場では施政方針演説を大きな波乱なく消化しただけに、ネガティブな材料がいったん出尽くしとなる展開に期待したいところ。きょうは売買代金上位銘柄で大幅高となるものが結構あり、投資家の物色意欲が回復しつつあるようにも見える。大型株主導で戻りを強めることができるかに注目したい。
一部通信社がカナダ政府当局者の話として報じたところによると、「カナダは米国の関税がすべて撤廃されない限り関税を撤廃しない」ようだ。
一部通信社が報じたところによると、「米国はカナダとメキシコに対する関税について、自動車に関して1カ月の先送りを検討している」ようだ。
ホワイトハウスは、USMCA経由の自動車は関税を1カ月適用除外すると発表した。
5日06:19 ラトニック米商務長官
「カナダとメキシコについて4月2日に関税の変更があるだろう」
5日22:11
「トランプ米大統領はおそらく、カナダとメキシコへの関税の軽減を検討している」
「今日の午後にカナダとメキシコについて発表があると予想」
「4月2日以降の関税は非常に堅固で、非常に思慮深いものになるだろう」
「予算を均衡させれば金利は下がるだろう」
「均衡予算により金利が下がると、住宅市場と株式市場が爆発的に上昇するだろう」
「2026年に米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)を再交渉する」
「自動車を含むUSMCAへの対応に注目している」
5日10:33 内田・日銀副総裁
「今後も物価と賃金の動向に応じて政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整」
「長期金利は市場で自由に形成されるが、急激な上昇時には日銀が機動的に介入する方針」
「想定される程度のペースの利上げなら、経済の反応確認しながら進めていける」
「短期政策金利の運営、および国債買い入れの考え方に変化はない」
「大規模緩和からの移行において、安定的に金利が形成されるような適切なコミュニケーションとオペレーションを行う」
「日銀が答えだけを伝えると、市場の基調な情報想像機能を消してしまう恐れ」
「基調的な物価上昇率はまだ2%に至っていない」
「2%の物価目標は達成できると予想」
5日14:14
「物価の基調を考える上で最も重要なのは賃金」
「想定利上げペース、特定のペースを念頭に置いてない」
「基調物価は幅があり、上昇しているが2%に達してない」
「ターミナルレートは今の段階で分からない」
「(ターミナルレート)利上げしていく中で結果として分かる」
「金融政策、特に為替について誘導を意図したものではない」
「利上げペース、先行きの経済・物価・金融情勢次第」
「賃上げ率、高ければ高いほど基調的物価上昇率を引き上げる」
5日11:45 トランプ米大統領
「インフレ抑制のためには、エネルギーコストを急速に削減することが必要」
「米国内での原油増産をあらためて求めた」
「CHIPS法で半導体メーカーに資金供給するつもりはない」
「アラスカの天然ガスパイプラインに日本、韓国などが巨額の投資を望んでいる」
「メキシコやカナダに補助金を支払うつもりはない」
「ウクライナ大統領は交渉のテーブルに着く用意」
「ウクライナはいつでも鉱物資源合意に署名する用意」
「トルドー・カナダ首相と話した」
「トルドー首相との電話はやや友好的な雰囲気で終わった」
「トルドー首相は私に関税について何ができるか尋ねた」
5日13:27 加藤財務相
「為替は市場で決定されると米側と認識共有している」
5日21:22 ウクライナ当局者
「米国との情報共有は依然続いている」
5日21:42 ウォルツ米大統領補佐官
「トランプ大統領は交渉が確定すればウクライナ支援の一時停止を解除」
「ウクライナとの天然資源取引、今は良い方向に」
5日23:50 グリーン英中銀金融政策委員会(MPC)委員
「金融政策が引き続き制限的になる可能性の方が高い」
「金融刺激策の解除には慎重かつ段階的なアプローチを維持するのが適切」
「持続的なインフレが自然に低下する可能性は低い」
6日00:02 ベイリー英中銀(BOE)総裁イングランド
「インフレ率の上昇は予想されるが、それは数年前のようなものではないだろう」
「経済が弱体化しているため、第2ラウンドのインフレの影響を受ける可能性は低いと思う」
6日00:09 ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員兼チーフエコノミスト
「基調的なインフレを抑えるためにやるべきことはまだある」
「より大規模で急速な引き下げは懸念している」
※時間は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
<海外>
○09:30 ◎ 1月豪住宅建設許可件数(予想:前月比0.5%)
○09:30 ◇ 1月豪貿易収支(予想:55.00億豪ドルの黒字)
○15:45 ◇ 2月スイス失業率(季節調整前、予想:2.9%)
○16:00 ◎ 2月スウェーデン消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.4%/前年比1.1%)
コア指数(予想:前月比0.7%/前年比2.7%)
○18:00 ◎ 10-12月期南アフリカ経常収支(予想:700億ランドの赤字)
○18:30 ◎ 2月英建設業購買担当者景気指数(PMI、予想:49.5)
○19:00 ◎ 1月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比0.1%/前年比1.9%)
○20:00 ◎ トルコ中銀、政策金利発表(予想:42.50%に引き下げ)
○21:30 ◇ 2月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○22:15 ☆ 欧州中央銀行(ECB)定例理事会、終了後政策金利発表(予想:2.65%に引き下げ)
○22:30 ◇ 1月カナダ貿易収支(予想:12.8億カナダドルの黒字)
○22:30 ◎ 1月米貿易収支(予想:1274億ドルの赤字)
○22:30 ◇ 10-12月期米非農業部門労働生産性・改定値(予想:前期比1.2%)
○22:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:23.5万件/188.0万人)
○22:45 ☆ ラガルドECB総裁、定例記者会見
○22:45 ◎ ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演
○24:00 ◇ 2月カナダIvey購買部協会景気指数
○24:00 ◇ 1月米卸売売上高(予想:前月比0.5%)
○7日05:30 ◎ ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○欧州連合(EU)特別首脳会議(ブリュッセル)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
(5日終値)
ドル・円相場:1ドル=148.88円(前営業日比▲0.91円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=160.63円(△1.46円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0789ドル(△0.0163ドル)
ダウ工業株30種平均:43006.59ドル(△485.60ドル)
ナスダック総合株価指数:18552.73(△267.57)
10年物米国債利回り:4.28%(△0.04%)
WTI原油先物4月限:1バレル=66.31ドル(▲1.95ドル)
金先物4月限:1トロイオンス=2926.0ドル(△5.4ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
2月ADP全米雇用報告
7.7万人 18.6万人・改
2月米サービス部門PMI改定値
51.0 49.7
2月米総?⑰MI改定値
51.6 50.4
2月米ISM非製造業指数
53.5 52.8
1月米製造業新規受注
(前月比) 1.7% ▲0.6%・改
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ユーロドルは3日続伸。独与野党が財政赤字を一定の規模に抑える「債務ブレーキ」の緩和で合意したことを受けて、拡張的な財政政策が投資や経済を支えるとの見方が高まると、独長期金利の大幅上昇とともにユーロ買いが優勢となった。
NY市場に入ってもユーロ買いの流れが継続し、5時30分過ぎに一時1.0797ドルと昨年11月8日以来の高値を付けた。2月ADP全米雇用報告で政府部門を除く非農業部門雇用者数が7.7万人増と予想の14.0万人増を下回ったこともユーロ買い・ドル売りを誘った。
なお、24時発表の2月米ISM非製造業景況指数は53.5と予想の52.6を上回り、米長期金利は上昇に転じたものの、ユーロドルの下押しは限定的となり、高値圏での推移が続いた。
・ドル円は反落。ラトニック米商務長官が「トランプ米大統領は自動車などの分野に対する関税を和らげる考えだ」と発言すると149.74円付近まで上昇したものの、その後失速した。低調な米雇用指標をきっかけに全般ドル売りが優勢になると、一時148.40円と本日安値を更新した。
ただ、24時発表の2月米ISM非製造業景況指数が予想を上回ったことが分かると下げ渋った。前日の安値148.10円もサポートとして意識された面があった。
NY午後に入ると、米ホワイトハウスのレビット報道官が4日に発動したカナダとメキシコに対する25%の関税について「自動車への適用は1カ月免除する」と発表。事前に観測報道が流れていたこともあり市場の反応は限られたが、レビット報道官が「トランプ米大統領は関税の適用除外の要請にオープン」との見解を示すと、ダウ平均が一時610ドル超上昇。米長期金利も上昇し、ドル円は149.14円付近まで値を戻す場面があった。
・ユーロ円は4日続伸。ドイツの拡張的な財政政策が投資や経済を支えるとの見方からユーロが全面高に。欧米株価の上昇に伴う円売り・ユーロ買いも出て、5時30分前に一時160.73円と2月13日以来の高値を付けた。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は3日ぶりに反発。米政府が対カナダ・メキシコ関税を巡り自動車への適用を1カ月免除すると発表したことを受けて、貿易摩擦の激化への懸念がやや後退。主力株に買い戻しが集まった。指数は一時610ドル超上げた。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も3日ぶりに反発。前日に大幅下落した電気自動車(EV)のテスラが買われた。
・米国債券相場で長期ゾーンは続落。低調な2月ADP全米雇用報告を受けて買いが先行したものの、2月米ISM非製造業景況指数が予想を上回ると一転売りが優勢に。米国株相場の上昇も相場の重しとなった。
・原油先物相場は4日続落。4月からの石油輸出国機構(OPEC)プラスの実質増産を嫌気した売りの流れが継続し、引け値水準としては昨年9月10日以来となる水準まで押し下げた。米国によるカナダ・メキシコ・中国への関税賦課で景気減速懸念が高まり、エネルギー需要の減退予想も引き続き重しになった。なお、米エネルギー省(EIA)週間石油在庫は、原油在庫は増加したが、ガソリン在庫と中間留分は減少するまちまちな結果だった。
・金先物相場は3日続伸。ユーロを中心にドル安が進んだことで、ドルで取引される金先物は割安感から3日続伸。また、米国の関税賦課による国際情勢の不透明感を嫌気し、引き続き安全資産とされる金先物には買いが集まりやすかった。
大阪3月限ナイトセッション
日経225先物 37700 +280 (+0.74%)
TOPIX先物 2739.5 +18.0 (+0.66%)
シカゴ日経平均先物 37695 +275
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
5日の米国市場はNYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が上昇。トランプ政権が、前日に発動したカナダとメキシコへの関税を巡り、自動車への適用を1カ月免除すると発表。また、自動車以外の業種でも猶予措置を検討する可能性があると報じられ、貿易摩擦激化への懸念がやや後退し、主力株を中心に買い戻す動きが強まった。
経済指標では2月の米ISM非製造業景況指数が53.5と2021年12月以来の高水準となったことで、米国経済の下振れリスクに対する懸念が和らいだ。ただし、2月のADP雇用統計は民間雇用者数が7万7000人増となり、市場予想を大幅に下回ったことで、7日発表の2月の米雇用統計の結果を見極めたいとする慎重姿勢もみられた。
NYダウ構成銘柄では、マイクロソフト<MSFT>、キャタピラー<CAT>、エヌビディア<NVDA>、アマゾン・ドット・コム<AMGN>、シスコシステムズ<CSCO>、ボーイング<BA>、ゴールドマン・サックス・グループ<GS>、シャーウィン・ウィリアムズ<SHW>が買われた。半面、シェブロン<CVX>、IBM<IBM>、ジョンソン・エンド・ジョンソン<JNJ>、アップル<AAPL>が下落。
シカゴ日経平均先物(3月限)清算値は、大阪比275円高の3万7695円だった。日経225先物(3月限)のナイトセッションは、日中比10円安の3万7410円で始まり、その後はショート優勢の中で下落幅を広げ、米国市場の取引開始後には3万7100円まで売られた。ただし、中盤以降はショートカバーとみられる動きが強まり、終盤にかけてプラス圏を回復し、3万7830円まで上げ幅を広げた。引けにかけては3万7700円~3万7800円辺りで保ち合い、3万7700円でナイトセッションの取引を終えた。
シカゴ先物にサヤ寄せする形から、買い先行で始まりそうだ。ボリンジャーバンドの-2σ(3万7260円)を一時割り込んだが、中盤以降は同バンドを上回って推移し、-1σ(3万7960円)に接近する場面もみられた。ただし、トランプ政権の関税政策を巡る動向に振られる展開が続くなかでは、積極的なロングは限られるだろう。下向きで推移する-2σを中心とした-1σと-3σ(3万6560円)によるレンジ内での推移にとどまりそうだ。
米国株の上昇を受けて-1σを捉えてくる可能性はあるが、節目の3万8000円接近では戻り待ち狙いのショートが入りやすいとみておきたい。もっとも、自動車への関税が1カ月免除されたことでショートカバーを誘うとみられ、下値の堅さは意識されそうだ。そのため、オプション権利行使価格の3万7250円から3万8000円処のレンジを想定する。なお、米国の時間外取引でマーベルテクノロジー<MRVL>が大幅に下落しており、下落率は16%を超えている。指数インパクトの大きい値がさハイテク株の重荷になろう。
5日の米VIX指数は21.93(4日は23.51)に低下した。一時24.84まで上昇する場面もみられたが、その後は下落に転じている。ただし、終値で20.00を上回っている状況であり、リスク選好には傾きにくいところである。
なお、昨日のNT倍率は先物中心限月で13.74倍に低下した。一時13.80倍に上昇する場面もみられたが、その後は13.72倍まで下げた。-3σを割り込んだ水準であり、ややNTショートを巻き戻す動きを意識しておきたいタイミングだが、方向性としては昨年8月6日につけた安値13.65倍が射程に入っている状況である。戻りの鈍さがみられる局面では、NTショートによるスプレッド狙いに向かわせよう。
5日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反落。低調な米雇用指標をきっかけに全般ドル売りが優勢になると、148.40円まで下落。ただ、2月米ISM非製造業景況指数が予想を上回ったほか、貿易摩擦の緩和期待を背景に米株高・米長期金利上昇となると149.14円付近まで値を戻す場面があった。ユーロドルは、ドイツの拡張的な財政政策が投資や経済を支えるとの見方から、独長期金利の大幅上昇とともに1.0797ドルまで上昇して昨年11月8日以来の高値を付けた。ユーロ円は欧米株価の上昇もあり、160.73円と2月13日以来の高値を付けた。
本日の東京市場では、米国の景気後退懸念や日銀の追加利上げ観測が漂う中、ドル円は上値の重い展開が続く可能性がある。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」を見ると、現時点では年末時点で2-4回程度の利下げを織り込んでいる状況である。1カ月前は年末時点で1-3回程度の織り込み度合いであったことを踏まえると、米景気後退懸念が根強いことをうかがわせる。東京市場でも引き続き、時間外の米10年債利回りの動きに注意したい。
また、本邦要因として、新発10年債利回りの動きも気になるところである。昨日の内田日銀副総裁の発言により日銀の利上げ継続が意識されたことから、同利回りは先月21日以来となる1.450%まで上昇する場面が見られた。金利が一段と上昇するようならば円買い圧力が強まる展開もあり得る。
テクニカル面でも、昨日は21日移動平均線の傾きが下向きとなる中で5日線を明確に割り込んだことで、下値が意識されやすい状況である。昨日安値を割り込むと、4日安値148.10円そして148円の大台割れを試す機運が高まりやすいと見る。21日線の傾きを考慮すると、仮に値を戻しても日足・一目均衡表の転換線149.70円や、前日高値150.18円が抵抗として意識されやすいだろう。
なお、本日の東京市場で予定されている主な経済イベントは、前週分の対外対内証券売買契約等の状況くらいと少なめ。明日に2月米雇用統計を控えていることもあり、手掛かり材料難のなかで株価や日米の長期金利に様子見ムードが漂うようだと、ドル円は動きづらい展開となることも考えられる。
東京市場は堅調か。米国株は上昇。ダウ平均は485ドル高の43006ドルで取引を終えた。序盤は方向感に乏しく下げる場面もあった。しかし、ホワイトハウスがメキシコとカナダに対する関税について、米国・メキシコ・カナダ協定(UCMCA)経由の自動車は1カ月適用を猶予すると発表し、レビット報道官が「トランプ大統領は関税の適用除外の要請にオープン」との見解を示したことで、地合いが改善。中盤以降は強含み、高値圏で終了した。ドル円は足元148円80銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが大証日中終値と比べて275円高の37695円、ドル建てが280円高の37700円で取引を終えた。
米国株高を好感した買いが入ると予想する。トランプ流の政治は本当に先が読めないが、直近で日本を含めてグローバルマーケットが米国の関税リスクを嫌気して下げただけに、そのリスクが後退すればセンチメントは改善する。恒久的な適用除外ではないことから楽観一辺倒にはなりづらいものの、自動車株を中心に外需銘柄にはプラスの影響が期待できる。CME225先物に寄せて水準を切り上げて始まり、場中はプラス圏で落ち着いた動きが続くと予想する。日経平均の予想レンジは37500円-37900円。
昨日の海外市場では、ブンズの利回りが何と30bpを超える暴騰。ユーロドルが一気に1.0797ドルまで急伸するなか、ユーロクロスも全面高。ユーロ一色の相場となりました。ドル円は完全にサイドラインに置かれたものの、トランプ関税に関する憶測や報道に振らされて方向感のない動きとなったといったところ。アジア時間に入ってからは、株価の大幅な上昇などを受けてリスクオン的な買いから149.33円まで値を上げる場面もみられましたが、その後はユーロドルが1.08ドル台に乗せる上昇となったこともあり、つれるかたちで148.95円まで下押し。ただ、再び149円台を回復するなど、依然として神経質な動きが続いています。
米10年債利回りも、昨日は4.1832%まで低下した後に急騰。アジアでは4.3245%まで14bp上昇しているほか、JGB利回りについても1.5%台に乗せるなど、大台越えとなっているわけですが、ブンズの暴騰に比べれば何とも大人しいもの。本来であれば大騒ぎする事象がまるで何事もなかったかのような不思議な雰囲気に包まれています。
いずれにしても、EUとしては、終戦後のウクライナの安全保障を巡って、米国に代わって資金を捻出する必要性に迫られているわけで、フォンデアライエン欧州委員長が言及している再軍備のコストが7000億ユーロ。財政規律の厳しいドイツが、ついに財政拡大路線に政策転換するといった大きな政治的動きを見極めていくことになりそうです。ドル円は、目先、リスクオンの動きが続いていますが、一目転換線が位置する149.70円がポイントとなっています。
日経225先物は11時30分時点、前日比330円高の3万7750円(+0.88%)前後で推移。寄り付きは3万7620円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万7695円)にサヤ寄せする形から、買いが先行して始まった。3万7880円まで買われた後は中盤にかけて軟化し、3万7580円まで上げ幅を縮める場面もみられた。ただし、終盤にかけては再びロング優勢の流れとなり、3万7700円~3万7800円辺りでの推移をみせている。
日経225先物は一時3万7880円まで買われたが、ボリンジャーバンドの-1σ(3万7960円)に接近する局面では利益確定に伴うロング解消の動きも入りやすいところであろう。一方で、下値は-2σ(3万7270円)を上回っての推移が続くなか、3万7500円辺りでの底堅さが意識される。下値が切り上がってくる可能性があり、ショートも仕掛けづらくさせそうだ。
NT倍率は先物中心限月で13.72倍に低下した。一時13.78倍まで上昇する場面もみられたが買い先行で始まったアドバンテスト<6857.T>[東証P]が下落に転じており、日経平均型の重荷になっている。方向性としては昨年8月6日につけた安値13.65倍が射程に入っている状況であり、戻りの鈍さがみられる局面では、NTショートによるスプレッド狙いに向かわせやすい。
本日のロンドン為替市場では、ドイツの与野党が財政拡張で合意した影響が続くかを見極めることになる。ユーロドルは昨日の欧米市場の流れを引き継ぎ、東京午前に昨年11月以来の1.08ドル台乗せを達成した。確かに「Trend is Friend」という相場格言に則った動きではあるものの、独政治の状況次第では、急ピッチで上昇してきた反動も念頭に入れておくべきかもしれない。
ドイツでは、次期政権の立ち上げに向けて動いている中道右派キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と中道左派の社会民主党(SPD)が昨日、国防費を増額するための財政規律緩和を目指す方針で合意した。また与野党は、5000億ユーロ規模のインフレ基金の創設も同意している。これまでの厳しく保守的とされた「ドイツの財政規律」が緩和に動き始めたことに対し、金融市場は敏感に反応。独長期金利は急騰し、独株が大幅高、為替はユーロ買い一色となった。
ただし一部報道によれば、ドイツ国内において一定の支持基盤(先の連邦議会選挙では4番目の得票率)を持つ「緑の党」が、規律の見直しに不賛成の意向を示している。また、最大野党である極右・ドイツのための選択肢(AfD)も反対の立場だ。財政拡張の法案は来週にも独下院に提出され、早ければ17日にも採決が実施される見込み。独政局が乱れるようだと、ユーロも一本調子で上昇という訳にはいかない。いずれにせよ、暫くは関連報道にユーロ相場は振らされることになるだろう。
なおユーロ圏のイベントでは欧州午後、欧州中央銀行(ECB)が政策金利を発表予定。市場予想は0.25%利下げであり、こちらサプライズなしと見る。ただ、昨日に独長期金利が急騰したこともあり、今後の金利動向について、定例会見でラガルドECB総裁がどのような見解を示すか注目される。
ほか、欧州序盤には2月スウェーデン消費者物価指数(CPI)が発表予定。市場予想は総合・コアともに前回から加速が見込まれている。スウェーデン中銀の次回会合(3月20日)への思惑は「追加利下げ」と「据え置き」で分かれており、本日の結果次第でどちらかに傾くようだと、スウェーデン・クローナ(SEK)の動意にも繋がるだろう。
想定レンジ上限
・ユーロドル、1.0937ドル(2024年11月5・6日高値)
・スウェーデン・クローナ(SEK)円、2024年7月19日高値15.04円
想定レンジ下限
・ユーロドル、200日移動平均線平均線1.0722ドル
・スウェーデン・クローナ(SEK)円、200日移動平均線平均線14.29円
ドル円:1ドル=148.93円(前営業日NY終値比△0.05円)
ユーロ円:1ユーロ=161.00円(△0.37円)
ユーロドル:1ユーロ=1.0810ドル(△0.0021ドル)
日経平均株価:37704.93円(前営業日比△286.69円)
東証株価指数(TOPIX):2751.41(△33.20)
債券先物3月物:138.48円(▲0.72円)
新発10年物国債利回り:1.515%(△0.075%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
対外対内証券売買契約等の状況(前週)
対外中長期債
7083億円の処分超 1兆380億円の処分超・改
対内株式
1兆5142億円の取得超 1970億円の処分超・改
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は頭が重い。日経平均株価が大きく上昇して始まったことを受けて買いが先行。東京仲値にかけて本邦実需勢の買いも観測されて一時149.33円まで値を上げた。ただ、午後に入り、対ユーロでドル売りが強まると次第に上値が重くなり148.70円台まで押し戻された。
・ユーロドルは底堅い。朝方はユーロ円の上昇につれて1.0820ドルまで値を上げ、昨年11月7日以来の高値を付けたが、時間外で米長期金利が上昇したこともあり一巡後は1.0784ドルまで売りに押された。一方で、独財政拡張期待が高まるなかで押し目買い意欲も強く再び高値圏まで持ち直している。
・ユーロ円は強含み。日本株高で買いが先行すると161.28円まで値を上げた。その後はドル円は伸び悩んだが、ユーロドルが上昇したため下値も限定的だった。
・日経平均株価は続伸。関税政策を巡る過度な警戒感が後退したことで幅広い銘柄に買いが広がった。上げ幅は一時400円を超える場面も見られた。
・債券先物相場は4日続落。昨日の欧米長期金利が大きく売られた影響を受け、売りが膨らんだ。なお、新発10年物国債利回りは1.50%台に乗せると、1.515%まで上昇して2009年6月以来の高水準となった。
時事通信社が伝えたところによると、連合の傘下労組が要求した今年の春闘での平均賃上げ率は6.09%(去年は5.97%)となった。6%を超えるのは32年ぶりとなる。
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・西?M 徹氏
2025年全人代開幕、次期5カ年計画への基盤強化を目指す方針
目標はほぼ維持しつつリスク要因は山積する一方、AIを重点分野に据えるなど野心的な内容も
中国では5日に全人代(第14期全国人民代表大会第3回全体会議)が開幕した。足下の中国経済は内・外需双方で不透明要因が山積するなか、全人代でどのような方針が示されるかが注目された。昨年を巡っては、建国75周年という節目の年に国内外で問題が山積するなかでも並外れた発展を遂げるとともに、様々な問題がクリアになったと自画自賛している。その上で、今年は第14次5カ年計画の最終年であり、来年からの第15次5カ年計画に向けたスタートダッシュを切る上で重要な年であるとして、その基盤強化を図る必要があるとの認識を示している。
今年の経済成長率目標は昨年と同じ「5%前後」とした上で、都市部で昨年と同じ「1200万人」の新規雇用を創出して失業率を「5.5%前後」とする目標を掲げている。また、具体的な政策運営では「より積極的な財政政策」と「適度に緩和的な金融政策」に動く方針をあらためて示した上で、財政出動を通じて内需の掘り起こしを図るとともに、外需面でもグローバルサウスを中心に影響力向上を図る考えを示した。さらに、投資の効率化を図るべくAI分野を重点化しており、テック企業への関与をこれまで以上に強めていくと見込まれる。
他方、ここ数年問題化している不動産市況の食い止めを目指すとしているが、需給双方に不透明感がくすぶる。さらに、その表裏にある地方債務問題も事実上棚上げ状態にあるほか、金融リスクを巡る問題もここ数年同様の展開が続く可能性に留意する必要がある。また、対内直接投資の推奨を謳うがここ数年の政策や世界的な分断の動きを勘案すれば見通しは立ちにくい。そして、台湾問題を含めて対外関係は強硬姿勢を維持する見通しであり、地域情勢を巡る不透明要因となり続けることにも留意する必要がある。
日本としては、中国の高まる「異質性」に留意しつつ、如何に対峙していくかを冷静に考える必要性は高い。
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・西?M 徹氏
RBNZオア総裁が任期途中で辞任、奇妙な辞任劇が意味するものは
理由は不明な一方、後任総裁人事も不明であるなど突然の辞任劇であった様子がうかがえる
ニュージーランド準備銀行(RBNZ)は5日にオア総裁が退任し、今月末に辞任することを発表した。オア氏は労働党政権下の2017年に総裁に就任し、一昨年に再任されており任期満了まで3年を残しての突然の辞任となる。オア氏の下でRBNZはコロナ禍対応で異例の金融緩和に動いて早期の景気回復を実現する一方、その後のインフレ高進を招く一因になった。よって、国民党は政権交代前に同氏の政策運営を批判してきたほか、政権交代後は留任させる一方で圧力を強めてきた経緯がある。昨年の同国経済は景気後退局面入りする一方、インフレ鈍化を受けて大幅利下げに動くなかで足下では景気回復の兆しもみられる。しかし、同氏は突然の辞任を公表するとともに、その理由も明かされていない。さらに、総裁代行を置くとともに、次期総裁人事も不透明であるなど突然の交代劇である様子がうかがえる。今回の辞任劇によるNZドル相場への影響は限定的とみられるが、次期総裁人事如何では大きく動揺する可能性に要注意と言えよう。
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・西?M 徹氏
南アフリカ24年成長率は+0.6%止まり、脆弱な景気動向が続くか
足下の景気は底打ちもその内容に脆弱さ、今年も経済成長率も+1%程度に留まると予想
ここ数年の南アフリカ経済は慢性的な電力不足が足かせとなる展開が続いてきたが、昨年半ば以降は最悪期を過ぎつつある様子がうかがえる。さらに、商品高やランド安などを理由とするインフレも頭打ちの動きを強めるとともに、SARB(中銀)も断続利下げに動いており、景気の足かせとなってきた物価高と金利高の共存状態は緩やかに解消しつつある。ただし、実質金利は依然歴史的高水準にあるなど金融政策は引き締まった状態が続いているが、これはSARBが米トランプ政権の通商政策を警戒していることに加え、米トランプ政権が資金援助を停止するなど同国を「標的」にした動きをみせていることも影響していると捉えられる。
同国経済には好悪双方の材料が混在するなか、昨年10-12月の実質GDP成長率は前期比年率+2.32%と2四半期ぶりのプラス成長に転じている。外需に駆け込みの動きが出るとともに、インフレ鈍化や利下げを追い風に個人消費が活発化する動きがみられる。他方、企業部門の設備投資意欲は弱いほか、脆弱な財政が重石となる形で政府消費は低迷している。こうした状況は分野ごとの生産動向にも現れており、大半の分野で生産が低迷する動きが確認されるなど、足下の景気底打ちの動きは極めて脆弱と捉えられる。
昨年の経済成長率は+0.6%と主要新興国のなかでも極めて力強さの乏しい推移をみせる。インフレ鈍化や利下げが個人消費を押し上げる期待はある一方、外需を取り巻く環境の不透明感や気象条件に左右される厳しい展開が続くと見込まれるなか、当研究所は今年の成長率も+1%程度に留まると予想する。ランド相場を巡っても引き続き外部環境に左右される展開が続くものと予想される。
「他国が自国通貨を弱くすることは望まない。多くの国が対米貿易黒字を抱えるなか、金利抑制による通貨安がその一因となっている可能性がある」(ベッセント米財務長官)
1.相互関税
2月13日、トランプ米大統領は、外国が米国製品にかけている関税と同水準まで米国の税率を引き上げる「相互関税」の導入を指示する大統領令に署名した。今後、米通商代表部(USTR)や米商務省が国ごとに調査したうえで個別の対応を取ることになり、調査は4月1日までに終える見込みとなっている。
米政府高官は「戦略的な競争相手である中国であろうが、日本や欧州連合(EU)などの同盟国であろうが関係ない」と述べており、特に、日本に関して「構造的な障壁が高い」と批判しているらしい。
2.2024年4月23日
トランプ前米大統領は、外国為替市場の円相場で1ドル=154円台を付けて、1990年6月以来となる約34年ぶりの円安・ドル高水準を更新したことを受け、「米国の製造業にとって大惨事だ」とSNSに投稿した。
トランプ氏は「ドル高は愚かな人々には心地よく響くが、米製造業は競争ができず、仕事を失うか、『賢い』国々に工場を建設するかのいずれかを余儀なくされるだろう」と指摘した。
そして、自身が大統領に在任中の第1次トランプ米政権(2017-20年)には、ドル高を阻止するために「日本と中国、その他の国に制限を設けていた」とも主張した。
3.2025年2月8日
トランプ米大統領は、石破首相との日米首脳会談後の会見で、「慢性的な貿易赤字は、米国経済を弱体化させる。日本との貿易赤字を解消するつもりだ」と述べた。
4.2025年3月3日
トランプ米大統領は、「日本と中国が通貨安政策を取るなら、米国は不当に不利な立場に置かれる」と述べるとともに、そのような場合は、関税措置を講じる可能性を示唆した。
また、習中国国家主席や日本の指導者に何度も電話をかけて、自国通貨を押し下げている点を何度も指摘してきたと主張した。石破首相は、電話を受けていない、と述べており、麻生前副総裁に電話していたのかもしれない。
そして、「これを非常に簡単に解決する方法は関税だ。彼らがそうするなら、われわれは関税で埋め合わせる」と述べた。
UBSは最新リポートで、米国が中国からの輸入品に対する追加関税を20%に引き上げた場合、中国の約400に上る上場企業が影響を受けると試算した。トランプ米大統領が3日、対中追加関税を10%から20%に引き上げる大統領令に署名したことを受け、中国は4日、鶏肉や小麦など農産物に10-15%の追加関税を課すと発表している。『香港01』が5日伝えた。
UBSで中国株式の戦略研究責任者を務める王宗豪氏は、上場企業の売上高のうち、米国市場が占める割合は3%前後とみられ、20%の追加関税で利益は0.3%押し下げられるに過ぎないと指摘。セクター別では、機械、白物家電、スポーツウエアのOEM、バイオ技術、ITハードウエアなどで影響が大きいとの見方を示した。
大阪3月限
日経225先物 37750 +330 (+0.88%)
TOPIX先物 2755.0 +33.5 (+1.23%)
日経225先物(3月限)は前日比330円高の3万7750円で取引を終了。寄り付きは3万7620円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万7695円)にサヤ寄せする形から買いが先行した。3万7880円まで買われた後は前場中盤にかけて軟化し、3万7580円まで上げ幅を縮める場面もみられた。ただし、前場終盤にかけて再びロング優勢となり、ランチタイム以降は3万7670円~3万7830円処での推移となった。
日経225先物は一時3万7880円まで買われたが、ボリンジャーバンドの-1σ(3万7960円)に接近する局面では利益確定に伴うロングの解消も入りやすいところだった。一方で、下値は-2σ(3万7260円)を上回って推移し、3万7500円辺りでの底堅さが意識されていた。底固めの動きがみられてくることで、オプション権利行使価格の3万7500円から3万8000円での推移が意識されてきそうである。
また、ボリンジャーバンドは下向きで推移しているが、ナイトセッションで-1σは3万7860円辺りまで低下してきた。-1σが抵抗になりつつも、オプション権利行使価格の3万7500円から3万7875円での推移から煮詰まり感が意識されてくることで、短期的ながらリバウンド狙いのロングが入る展開を想定しておきたいところである。
ただし、トランプ政権の関税政策が警戒されるほか、為替市場では1ドル=148円台前半と円高に振れて推移しており、ショートに転換する可能性を警戒する必要がある。3万7500円処を割り込んでくるようだと、-2σ辺りを狙ったショートを警戒しておきたい。
もっとも、週末に米雇用統計の発表、来週には3月限の先物・オプション特別清算指数算出(メジャーSQ)を控えて、ポジションを大きく傾けてくる動きは限られ、スキャルピング中心の売買になる。オーバーシュート気味の動きに対しては、その後のリバランス狙いとなるだろう。
NT倍率は先物中心限月で13.70倍に低下した。一時13.78倍まで上昇する場面もみられたがアドバンテスト<6857.T>[東証P]などハイテク株の弱い値動きに対して、防衛関連株が買われ、相対的にTOPIX型優位の流れとなった。一時13.69倍まで下げており、昨年8月6日につけた安値(13.65倍)以来となる13.70倍を割り込んだ。NTショートによるスプレッド狙いに向かわせやすい。
手口面(3月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万8516枚、ソシエテジェネラル証券が1万4859枚、サスケハナ・ホンコンが4164枚、JPモルガン証券が2660枚、バークレイズ証券が2332枚、モルガンMUFG証券が2104枚、日産証券が1557枚、楽天証券が1398枚、野村証券が1392枚、ゴールドマン証券が1303枚だった。
TOPIX先物は、ABNクリアリン証券2万2638枚、ソシエテジェネラル証券が1万8630枚、JPモルガン証券が8661枚、バークレイズ証券が7756枚、モルガンMUFG証券が3766枚、みずほ証券が2802枚、ゴールドマン証券が2630枚、野村証券が2134枚、ビーオブエー証券が2030枚、ドイツ証券が1266枚だった。
本日のNY為替市場のドル円は、明日発表される米2月雇用統計に向けて、新規失業保険申請件数などで米国の雇用情勢を見極める展開が予想される。
また、「連合の傘下労組が要求した今年の春闘での平均賃上げ率が32年ぶりの6%超え」との報道に対するNY勢の反応にも要注目か。
米国の2月の雇用関連指標は以下の通り、まちまちとなっている。
・ADP全米雇用報告:前月比+7.7万人(1月+18.6万人)
・ISM非製造業雇用指数:53.9(1月52.3)
・ISM製造業雇用指数:47.6(1月50.3)
・消費者信頼感指数(労働市場格差):17.1(1月19.4)
昨日、トランプ政権はメキシコとカナダに発動した関税のうち、自動車について1カ月間適用を除外すると明らかにしており、本日も、トランプ米政権からの関連ヘッドラインには警戒しておきたい。
トランプ関税は、物価上昇圧力による「トランプフレーション(trumpflation)」ではなく、景気後退「トランプセッション(trumpcession)」を引き起こす可能性が高いのではないか、との警戒感が高まっている。
米国債市場では、景気後退の予兆とされ、長期金利が短期金利を下回る「逆イールド」が再発しており、スタグフレーション、リセッションへの警戒感を高めている。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」が示している今年の0.25%の利下げ開始時期は、6月FOMC(-0.25%=4.00-25%)と見込まれ、9月に追加利下げ(-0.25%=3.75-4.00%)、そして12月にも追加利下げ(-0.25%=3.50-75%)が見込まれている。
・想定レンジ上限
ドル円の上値目処(めど)は、149.70円(日足一目均衡表・転換線)
・想定レンジ下限
ドル円の下値目処(めど)は、145.92円(2024/10/4安値)
今晩はもみ合いか。昨日はトランプ政権がメキシコとカナダからの輸入する自動車への関税適用を1カ月猶予すると発表したことや、ホワイトハウスのレビット報道官が「トランプ米大統領は関税の適用除外の要請にオープン」との見解を示したことでトランプ関税への過度な警戒感が和らいだ。主要3指数は、ダウ平均が485.6ドル高(+1.14%)、S&P500が1.12%高、ナスダック総合が1.46%高とそろって3日ぶりに反発した。ただ、週初来ではダウ平均が834.32ドル安(-1.90%)、S&P500が1.88%安、ナスダック総合が1.56%安とそろって1%超の下落となった。
今晩の取引では関税問題や経済指標、決算発表などをにらんでもみ合う展開か。今週の経済指標では金曜日に発表される米2月雇用統計(非農業部門雇用者数・失業率・平均賃金など)が最大の焦点となるが、今晩も新規失業保険申請件数などが発表予定で、足もとの雇用動向が注目される。足もとで弱い経済指標の発表が続いたことで、市場では年内2回(0.50%)の利下げ期待が再び高まっており、今晩の新規失業保険申請件数などが適度に弱い結果となれば、利下げ期待の高まりが相場の支援となりそうだ。
今晩の米経済指標は新規失業保険申請件数のほか、2月チャレンジャー企業人員削減数、1月貿易収支、1月卸売在庫など。決算発表は寄り前にクローガー、引け後にコストコ・ホールセール、ブロードコム、ヒューレット・パッカード・エンタープライズなどが発表予定。
日経平均株価は続伸。5日移動平均線(37479円 3/6)を上回る陽線を形成し、一目均衡表の転換線(37812円 同)まで戻す展開となった。
RSI(9日)は前日の25.7%→35.7%(3/6)に上昇。久しぶりに5日移動平均線を上回り、あすは同線の上向き転換が株価の押し上げにつながるかが注目ポイントとなる。一方、下向きの10日移動平均線(37948円 同)が上値抵抗になりやすい。1/24高値(40279円)からの二段下げ目の動きは依然として続いている。
上値メドは、10日移動平均線、200日移動平均線(38655円 同)、心理的節目の39000円や39500円、1/31高値(39681円)などがある。下値メドは、5日移動平均線、心理的節目の37000円、3/4安値(36816円)、9/18高値(36675円)、心理的節目の36500円や36000円、9/17安値(35828円)などがある。
(6日終値:7日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=147.91円(6日15時時点比▲1.02円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=159.69円(▲1.31円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0797ドル(▲0.0013ドル)
FTSE100種総合株価指数:8682.84(前営業日比▲73.00)
ドイツ株式指数(DAX):23419.48(△338.45)
10年物英国債利回り:4.660%(▲0.022%)
10年物独国債利回り:2.833%(△0.040%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
欧州中央銀行(ECB)、政策金利
2.65%に引き下げ 2.90%
(各市場の動き)
・ドル円は下落。日本の連合が6日公表した2025年春闘の賃上げ要求は32年ぶりに6%を上回った。高水準の賃上げ要求を受けて、市場では「日銀が早期に追加利上げに動く」との観測が高まり、円買いが広がった。2月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)が前年同月比103.2%上昇だったことが分かると、明日7日の2月米雇用統計への警戒が高まりドル売りも活発化。23時過ぎには一時147.32円と昨年10月4日以来約5カ月ぶりの安値を付けた。
ただ、売り一巡後は下げ渋る展開に。アジア時間に付けた日通し高値149.33円から2円超下落した反動で短期勢のショートカバーが先行。ラトニック米商務長官が「トランプ米大統領は米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の全製品に対する関税を延期する可能性」と発言すると、米関税政策を巡る過度な警戒が後退し、米国株相場の下げ渋りとともにドル円にも買い戻しが入った。米長期金利の上昇も相場を下支えし、1時30分前には148.39円付近まで値を戻した。
もっとも、米国株相場が再び軟調に推移するとドル円の上値も重くなった。3時前には147.65円付近まで押し戻された。
・ユーロドルは伸び悩み。円絡みの取引が中心となったため、しばらくは狭いレンジでの値動きが続いたものの、欧州中央銀行(ECB)定例理事会の結果が伝わるとユーロ買い・ドル売りが優勢に。24時過ぎに一時1.0853ドルと昨年11月6日以来4カ月ぶりの高値を付けた。ただ、買い一巡後は利食い売りなどが出たため、1.0792ドル付近まで上値を切り下げた。
ECBはこの日、市場予想通り政策金利を0.25%引き下げることを決めたと発表。声明では「ディスインフレのプロセスは順調に進んでいる」「利下げにより企業や家計の借入コストが低下し融資の伸びが加速するなか、金融政策は実質的に制約的ではなくなりつつある」「理事会は特定の金利経路を事前にコミットしない」と表明した。
また、ラガルドECB総裁は理事会後の会見で「貿易政策の不確実性の高さが成長の足かせ」「成長リスクは下振れ方向」と述べたほか、「ECBは漸進的な政策アプローチに移行」「インフレの2%目標は2026年の極めて早い段階に達成へ」などと話した。
・カナダドルとメキシコペソは上昇。ラトニック米商務長官の発言が伝わると、カナダドルとメキシコペソの買いが進んだ。カナダドルは対米ドルで一時1.4242カナダドル、メキシコペソは20.2150ペソまで値を上げた。
なお、トランプ米大統領はSNSに「メキシコのUSMCA準拠品、4月2日まで関税免除」と投稿したものの、ラトニック氏の発言が事前に伝わっていたこともあり反応は鈍かった。
・ユーロ円は日銀の追加利上げ観測を背景に円買い・ユーロ売りが先行すると一時159.19円と日通し安値を付けた。ただ、前日の安値158.74円が目先サポートとして意識されると下げ渋った。ドル円の下げ渋りやユーロドルの上昇につれた買いも入り、160.71円付近まで下値を切り上げた。
・ロンドン株式相場は3日続落。英長期金利が大幅上昇して始まったことが投資家心理の重しとなり、売りが先行。2月英建設業PMIが予想を下回ったことも嫌気された。コンパス・グループやピアソンなど一般消費財サービスが売られたほか、ハルマやセイジ・グループなど情報技術セクターが値下がりした。
・フランクフルト株式相場は続伸し、史上最高値を更新した。この日も財政拡張方針を好感した買いが続いた。トランプ米政権が5日にカナダとメキシコに対する自動車関税の発動を1カ月延期すると発表したことも相場の支援材料。個別ではDHLグループ(14.19%高)やコンチネンタル(6.74%高)、ダイムラー・トラック・ホールディング(6.20%高)などの上昇が目立った。
・欧州債券相場は英国債が上昇した一方、独国債が下落した。
6日の日経平均は続伸。終値は286円高の37704円。5日の米国ではトランプ関税に対する過度な警戒が和らぎ、3指数がそろって強めの上昇。これを好感して寄り付きから3桁の上昇となり、その後もしっかりとした動きが続いた。序盤で一気に上げ幅を400円超に拡大。37800円台に乗せたところで買いは一巡したが、萎んでも3桁高の状態はキープした。後場に入ると動意が乏しくなり、200~300円程度高い37700円近辺でもみ合う時間が長かった。
東証プライムの売買代金は概算で4兆9100億円。業種別では機械、パルプ・紙、電気機器などが上昇した一方、医薬品、電気・ガス、不動産などが下落した。北米子会社のIPOや大規模自社株買いに関する観測が報じられたセブン&アイ・ホールディングス<3382.T>が後場急伸。半面、1Qが最終減益となった泉州電業<9824.T>が後場に入って急落した。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1291/値下がり319。三菱重工や川崎重工が急伸。IHIと併せて防衛大手3社が連日で全市場の売買代金トップ3を独占した。日立、三菱電機、ソニーG、富士通など電機株に非常に強い動きが見られた。プライムの値上がり率上位にはDMG森精機、マキタ、オークマなど機械株が多くランクイン。受注獲得のリリースなどを材料にウインテストがストップ高となった。
一方、ディスコ、東京エレクトロン、アドバンテストなど半導体株の多くが下落。古河電工やフジクラなど電線株も弱かった。米国の長期金利上昇が嫌気されて三井不動産や三菱地所など不動産株が軟調。日経平均の銘柄入れ替えで除外となった三菱倉庫や、採用候補とみられていたが採用されなかったSHIFTが大幅に下落した。
日経平均は続伸。ここ数日は上昇と下落を繰り返していただけに、上昇が2日続いたことは下値不安を和らげる。値上がり銘柄も多く、高く始まって終日5日線(37479円、6日時点、以下同じ)より上で推移した。東京時間ではドル円が14時辺りから円高に振れたが、これに対するネガティブな反応は限られた。
本日欧州ではECB理事会が開催される。利下げが実施されるとみられており、欧州株の支援材料となるかが注目される。あすの日本株は米2月雇用統計の発表を前に様子見姿勢が強まりそうだが、欧州株の動きが良く、本日の米国株にも好影響が見られるようなら、自然体でもう一段水準を切り上げる展開も期待できる。強い上昇で5日線を上回っただけに、間を置かず節目の38000円を上回ることができるかに注目したい。
トランプ米大統領はこの日、対カナダ・メキシコ関税について「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に適合した輸入品の関税は4月2日まで免除する」と発表した。
一部通信社が報じたところによると、「欧州連合(EU)は防衛費増額に向けて長期的な財政ルールの改革を検討する」ようだ。
米NBCは、トランプ米大統領が北大西洋条約機構(NATO)の大幅な転換を検討していると報じた。トランプ米大統領は、NATO加盟国が防衛費の基準を満たさない場合、米国は攻撃を受けたその国を防衛しない可能性があるとの考えを示しているようだ。
東海東京インテリジェンス・ラボでは為替に関するリポートの中で、投機筋(IMM通貨先物市場)の円買いポジションが2月18日から25日の1週間でさらに拡大し、過去に類を見ない水準まで円買いが積み上がってきたことを指摘している。円売りと相殺したネット円買いポジションも2月25日時点で95980枚と過去最大を記録しているとのこと。東海東京ではこれに関して、トランプ発言で投機的な円買いポジションが一段と上乗せされた公算が大きいとみている。投機筋が10万枚におよぶネット円買いポジションの解消に動けば、ドル円を5円程度押し上げる原動力にもなり得るとコメントしている。
モルガン・スタンレーは最新リポートで、5日に開幕した全国人民代表大会(全人代)で示されたマクロ関連の目標は、2025年の国内総生産(GDP)成長率が5%前後、インフレ率が2%、財政赤字率が4%などとなっており、いずれもモルスタの予想と一致したと指摘した。『AAストックス』が6日伝えた。
一方、米国が4日付で対中追加関税を10%から20%に引き上げており、市場の下押し圧力となっているものの、構造的な要素の改善に変化はないとし、オフショアの中国株式に対してポジティブな見方を示した。また、1期目のトランプ政権時と比べ、中国は貿易戦争への備えが出来ていると指摘。主導的にサプライチェーンの構築や米国以外の貿易パートナーとの関係確立などに動いているとした。
6日20:05 トルコ中銀声明
「引き締め的な金融スタンスは維持」
「インフレの著しい持続的な悪化が予見される場合、金融政策手段が効果的に使用」
「すべての金融政策手段が断固として使用される」
「ディスインフレ水準を維持」
「インフレ見通しに焦点を当てて、会合ごとに慎重に政策金利を調整」
6日20:26 ショルツ独首相
「欧州連合(EU)は、財政規則を変える必要がある」
「ドイツは、防衛支出のため法律を変える準備をしている」
6日20:31 カラスEU外相
「国防費をまかなうためのあらゆる選択肢がある」
「欧州連合(EU)の財政規則を変更するのも選択肢のひとつ」
6日22:18 欧州中央銀行(ECB)声明
「ディスインフレのプロセスは順調に進んでいる」
「インフレはスタッフ予想通り概ね推移し続けており、最新の予測は以前のインフレ見通しとほぼ一致」
「スタッフ予測では総合インフレ率が2025年に平均2.3%、2026年に1.9%、2027年に2.0%」
「2025年の総合インフレ率の上方修正は、エネルギー価格の動向が強まっていることを反映」
「スタッフはエネルギーと食品を除いたインフレ率について、2025年に平均2.2%、2026年に2.0%、2027年に1.9%になると予測」
「基調インフレ率の大半の指標は、インフレ率がECBの中期目標である2%前後で持続的に落ち着くことを示唆」
「金融政策は大幅に緩和されつつあり、利下げによって企業や家計の新規借り入れコストが下がり、融資の伸びが加速」
「経済は引き続き課題に直面しており、スタッフは成長予測を再び下方修正し、2025年は0.9%、2026年は1.2%、2027年は1.3%とした」
「実質所得の上昇と過去の利上げの影響の徐々に薄れつつあることが、時間の経過とともに予想される需要の回復を支える主要な要因であり続けている」
「理事会はインフレが中期目標の2%で持続的に安定することを確実にする決意」
「特に不確実性が高まっている現在の状況では、理事会はデータに依存し、会合ごとに適切な金融政策スタンスを決定するアプローチをとる」
「理事会の金利決定は入手する経済・金融データ、基調的なインフレの動向、金融政策の波及の強さを考慮したインフレ見通しの評価に基づいて行われる」
「理事会は、特定の金利経路を事前にコミットしない」
※時間は日本時間
6日22:55 ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁
「賃金の伸びは予想通り鈍化」
「貿易政策の不確実性の高さが成長の足かせ」
「高い不確実性が投資や輸出を抑制」
「サービス業は回復力がある」
「1月、2月の雇用の伸びは鈍化」
「労働需要は緩和」
「最近の賃金交渉は圧力緩和を示唆」
「関税の引き上げはユーロ圏の成長を弱める」
「関税がなければ輸出は世界的需要の恩恵を受ける」
「不確実性が高まり、経済に悪影響」
「地政学的緊張が不確実性の大きな原因」
「地政学的な緊張は両方向のインフレリスクつくり出す」
「インフレ期待の大半の指標は2%回帰を裏付けている」
「成長リスクは下振れ方向」
「ECBは漸進的な政策アプローチに移行」
「EU首脳会議の結果に大きな注意を払う」
「リスクと不確実性はあらゆる部分にある」
「データが示唆するならECBは休止する」
「ECBは事前にコミットしない、データを基に決定する」
「決定は全会一致、誰も反対はしなかった」
「防衛支出の影響はいかなる結論も時期尚早」
「インフレの2%目標は2026年の極めて早い段階に達成へ」
6日23:07 ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁
「経済は概ね順調に見えるが、脅威もある」
「ドルの準備資産としての地位を脅かす要因についてますます懸念」
「企業と消費者の信頼感は低下。これは良くない」
「インフレ圧力の低下がリスクにさらされていることを懸念」
7日00:08 トルドー加首相
「協議は継続、関税の撤回を目指す」
7日00:10 ラトニック米商務長官
「トランプ米大統領はUSMCAの全製品に対する関税を延期する可能性が高い」
7日01:31 トランプ米大統領
「メキシコに対する関税、USMCA準拠品は適用外」
「メキシコのUSMCA準拠品、4月2日まで関税免除」
7日04:42
「船舶建造計画にはインセンティブが含まれる」
「関税のほとんどは4月2日に発動予定」
「短期的にちょっとした混乱があるだろう」
「カナダから木材や車やエネルギーを必要としていない」
「カナダとインドは高関税国だ」
「大きな関税は4月に行われる」
「鉄鋼とアルミニウムへの関税は来週発効する」
7日03:06 シェインバウム・メキシコ大統領
「中国との関税を見直さなければならない」
「中国製品の一部を自国での調達に切り替える」
※時間は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 2月外貨準備高
<海外>
○09:00 ◎ ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○未定 ◎ 2月中国貿易収支(予想:1423.5億ドルの黒字)
○16:00 ◎ 1月独製造業新規受注(予想:前月比▲2.5%/前年同月比2.6%)
○16:45 ◇ 1月仏貿易収支
○16:45 ◇ 1月仏経常収支
○18:30 ◎ ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、ナーゲル独連銀総裁、クノット・オランダ中銀総裁、パネッタ伊中銀総裁、イベントに参加
○19:00 ☆ 10-12月期ユーロ圏域内総生産(GDP)確定値(予想:前期比0.1%/前年比0.9%)
○21:00 ☆ 10-12月期ブラジルGDP(予想:前年同期比4.1%)
○21:00 ◎ 2月メキシコ消費者物価指数(CPI、予想:前年比3.77%)
○22:30 ☆ 2月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化2.00万人/失業率6.7%)
○22:30 ◇ 10-12月期カナダ設備稼働率(予想:79.3%)
○22:30 ☆ 2月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化16.0万人/失業率4.0%/平均時給、前月比0.3%/前年比4.1%)
○8日00:15 ◎ ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○8日00:45 ◎ センテノ・ポルトガル中銀総裁、カザークス・ラトビア中銀総裁、講演
○8日00:45 ◎ ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演
○8日02:20 ◎ クーグラーFRB理事、講演
○8日02:30 ☆ パウエルFRB議長、講演
○8日03:00 ◎ 2月ブラジル貿易収支(予想:19.40億ドルの黒字)
○8日05:00 ◇ 1月米消費者信用残高(予想:145.0億ドル)
○9日 米国が夏時間に移行
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
(6日終値)
ドル・円相場:1ドル=147.98円(前営業日比▲0.90円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=159.60円(▲1.03円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0785ドル(▲0.0004ドル)
ダウ工業株30種平均:42579.08ドル(▲427.51ドル)
ナスダック総合株価指数:18069.26(▲483.47)
10年物米国債利回り:4.28%(横ばい)
WTI原油先物4月限:1バレル=66.36ドル(△0.05ドル)
金先物4月限:1トロイオンス=2926.6ドル(△0.6ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は続落。NY市場に入っても日銀の追加利上げ観測を背景に円買いが入りやすかった。2月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)が前年同月比103.2%上昇だったことが分かると、明日7日の2月米雇用統計への警戒が高まりドル売りも優勢に。23時過ぎに一時147.32円と昨年10月4日以来約5カ月ぶりの安値を付けた。
ただ、売り一巡後は下げ渋る展開に。急ピッチで下落した反動でショートカバーが入ったほか、ラトニック米商務長官が「トランプ米大統領は米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の全製品に対する関税を延期する可能性」と話したことが相場を下支えし、1時30分前には148.39円付近まで値を戻した。
もっとも、米国株相場が軟調に推移したことからドル円の上値は重かった。ダウ平均が一時620ドル超下落した場面では147.57円付近まで押し戻された。
・ユーロドルは4日ぶりに小反落。ドイツで国防費増強に向けた債務抑制策の緩和が示されたことをきっかけに独金利上昇が進む中、この日もユーロ買いが入りやすい地合いとなった。「欧州中央銀行(ECB)の利下げ局面が終わりに近づいている」との見方が強まったこともユーロ買いを促し、24時過ぎに一時1.0853ドルと昨年11月6日以来4カ月ぶりの高値を付けた。
ECBはこの日、市場予想通り政策金利を0.25%引き下げることを決めたと発表。声明文は従来の「金融政策は引き締め的」との表現が「利下げにより企業や家計の借入コストが低下し融資の伸びが加速するなか、金融政策は実質的に制約的ではなくなりつつある」に変更された。
ただ、NY午後に入ると上値が重くなった。足もとで相場上昇が続いたあとだけに利益確定目的の売りなどが優勢となり一時1.0766ドルと日通し安値を更新した。
・ユーロ円は5日ぶりに反落。東京市場では「連合の傘下労組が要求した今年の春闘での平均賃上げ率が32年ぶりの6%超え」との報道をきっかけに、日銀の早期利上げ観測が高まり円高が進んだ。NY市場でもこの流れが継続し、22時過ぎに一時159.19円まで値を下げた。
前日の安値158.74円が目先サポートとして意識されると、いったんは160.71円付近まで値を戻したが、ユーロドルの下落につれた売りが強まると再び下落。4時前に159.13円と日通し安値を更新した。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は反落。トランプ米大統領はこの日、対カナダ・メキシコ関税について、USMCAに適合した輸入品の関税は4月2日まで免除することを決定。ただ、市場では「関税を巡る状況が二転三転しており、予測不能性が大きな懸念につながっている」との声が聞かれ、軟調な動きが続いた。半導体株が軒並み下落したことも相場の重しとなり、指数は一時620ドル超下げた。
なお、トランプ氏は「米国株の急落の背後にはグローバリストがいる」「米国は長期的には強いため、市場など見ていない」などと述べた。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は大幅に反落。
・米国債券相場で長期ゾーンは横ばい。独国債相場の下落を受けて米国債にも売りが波及した。ただ、米景気減速への懸念も強く、引けにかけては買いが優勢となり持ち直した。
・原油先物相場は5日ぶりに反発。昨日まで4営業日続落し、引け値としても昨年9月以来の水準まで下落したこともあり利食いが入りやすく5日ぶりに反発した。もっとも、来月からのOPEC+の増産と、関税賦課による景気減速懸念もあり上値も重く上げ幅はわずかだった。
・金先物相場は4日続伸。利食い売りに押される場面もあったが、一時下げ幅を縮小していた米株市場が再び軟調な動きを見せると安全資産とされる金先物は買われ、わずかながら続伸して引けた。ドル安も金先物の支えになった。
大阪3月限ナイトセッション
日経225先物 36900 -850 (-2.25%)
TOPIX先物 2700.5 -54.5 (-1.97%)
シカゴ日経平均先物 36895 -855
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
6日の米国市場はNYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が下落。トランプ米大統領は6日、メキシコとカナダに発動した25%の追加関税について、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に適合していれば、1カ月間延期する大統領令に署名した。NYダウは下げ幅を縮める場面もみられたが、関税政策を巡る不透明感は根強く、買いは続かなかった。関税による米景気減速への懸念も強く、リスク回避に向かわせている。
また、半導体のマーベル・テクノロジー<MRVL>が20%近く下落したことで、エヌビディア<NVDA>やブロードコム<AVGO>など他の半導体株に売りが広がったこともセンチメントを冷ます形になった。そのほか、米新規失業保険申請件数は前週から減少したことで一定の安心感はあったが、トランプ政権が連邦政府の人員削減を進めていることもあり、7日に発表される2月の米雇用統計の結果を見極めたいとする様子見姿勢も強かった。
NYダウ構成銘柄では、エヌビディアのほかアマゾン・ドット・コム<AMGN>、ゴールドマン・サックス・グループ<GS>、ウォルト・ディズニー<DIS>、アメリカン・エキスプレス<AXP>が下落。半面、ベライゾン・コミュニケーションズ<VZ>、ユナイテッドヘルス・グループ<UNH>、シェブロン<CVX>が買われた。
シカゴ日経平均先物(3月限)清算値は、大阪比855円安の3万6895円だった。日経225先物(3月限)のナイトセッションは、日中比140円安の3万7610円で始まり、直後につけた3万7640円を高値にショート優勢の流れとなり、米国市場の取引開始時には節目の3万7000円を割り込んだ。中盤にかけて3万7460円まで下落幅を縮める場面もみられたが、終盤にかけて再びショートの動きが強まり3万6840円まで売られ、3万6900円でナイトセッションの取引を終えた。
シカゴ先物にサヤ寄せする形から、売り先行で始まることになりそうだ。マーベル・テクノロジーについては時間外取引で急落していたため織り込まれているが、他の半導体株に売りが波及するなか、指数インパクトの大きい値がさハイテク株の重荷になるだろう。
日経225先物はナイトセッションでボリンジャーバンドの-2σ(3万7050円)を下回って終えた。ただし、バンドは下向きで推移している-2σを挟んだ-1σ(3万7800円)と-3σ(3万6300円)でのレンジ内の動きが続いている。トランプ政権の関税政策を巡る動向に振らされる展開が続くなかではポジションを組成する動きは限られ、レンジ内でのスキャルピング中心の売買になりそうだ。
-2σ水準での攻防が続くとみられ、-3σに接近する局面では押し目狙いのスタンスに向かわせよう。もっとも、米雇用統計の発表を控えているほか、来週末には3月限の先物オプション特別清算指数算出(メジャーSQ)となる。今後ヘッジ対応の動きが強まる可能性もあるため、戻り待ち狙いのショートスタンスが有効になりそうである。
そのため、オプション権利行使価格の3万7000円を中心とした上下の権利行使価格の3万6500円から3万7500円でのレンジを想定する。
6日の米VIX指数は24.87(5日は21.93)に上昇した。昨年12月18日につけた28.32が射程に入ってきており、同水準を上回ってくるようだと、昨年8月5日の高値である65.73が意識されてくる可能性もあるだろう。リスク回避姿勢が高まりやすい状況である。
なお、昨日のNT倍率は先物中心限月で13.70倍に低下した。一時13.78倍まで上昇する場面もみられたがハイテク株の弱い値動きに対して、防衛関連株が買われるなか、相対的にTOPIX型優位の流れとなった。一時13.69倍まで下げており、昨年8月6日につけた安値(13.65倍)以来の13.70倍を割り込んだ。本日もハイテク株の下げの影響からTOPIX型優位となる展開が想定されるなか、NTショートによるスプレッド狙いに向かわせやすい。
6日のニューヨーク外国為替市場でドル円は147.32円と約5カ月ぶり安値を付けた。日銀の追加利上げ観測を背景とした円買いや、弱い米雇用指標を受けたドル売りがでた。ユーロドルは独金利上昇が進む中、「欧州中央銀行(ECB)の利下げ局面が終わりに近づいている」との見方が強まったこともあり1.0853ドルと約4カ月ぶりの高値を付けたが、その後は利益確定目的の売りが優勢となり1.0766ドルと日通し安値を更新した。ユーロ円は159円前半まで下落後に160.71円付近まで値を戻したが、ユーロドルの下落につれた売りが強まると159.13円まで日通し安値を更新した。
本日の東京市場では、ドル円は日銀の早期利上げ期待が高まる中、昨日約16年ぶりに1.5%台に乗せた新発10年物国債利回りをながめながら、下値が意識されやすいと見る。
昨日円高が進んだきっかけは、連合が「2025年春闘の賃上げ要求は32年ぶりに6%を上回った」と公表としたことである。高水準の賃上げ要求を受けて市場では「日銀が早期に追加利上げに動く」との観測が高まり、円買いが進んだ。一部では3月18-19日の日銀金融政策決定会合での追加利上げを予想する声も聞かれる中、利上げ期待を高めるような発言があれば敏感に反応することが予想される。本邦10年債利回りは昨日1.515%まで上昇しており、一段と金利が上昇する場面では円買いが進みやすいと見る。関連報道には注意したい。
また、トランプ政権の関税を始めとした政策に対する不透明感が強い中、昨日は米株主要3指数がそろって下落。CME225先物は大阪取引所比で855円下落して引けており、本日の本邦株価に与える影響も気になるところ。日経平均の下げ幅拡大でリスク回避ムードが強まるようならば、ドル円を始めクロス円に下落圧力が掛かる展開もあり得る。引き続き関税を始めとする関連報道には気を配っておきたいところである。
ただ、足元の相場は昨年10月以来の安値水準であるほか、年初の高値から11円超下落していることもあり、実需の買いが出ても不思議ではない。仲値公示に向けた動きには一応気を付けたい。
本日の東京市場で予定されている主な経済イベントは、2月外貨準備高くらいと少なめ。NY時間に予定されている2月米雇用統計を前に市場に手控えムードが広がるようだと、ドル円は動きづらい展開となることも考えられる。
東京市場は軟調か。米国株は下落。ダウ平均は427ドル安の42579ドルで取引を終えた。エヌビディア、ネットフリックス、テスラなど主力のグロース株が大きく下げており、センチメントが悪化する中で終日軟調に推移した。エヌビディアは5%を超える下落となった。ドル円が円高に傾斜しており、足元147円90銭近辺で推移している。春季の労使交渉で賃上げ加速の傾向が見られたことで、日銀の早期利上げが意識されている。CME225先物は円建てが大証日中終値と比べて855円安の36895円、ドル建てが840円安の36910円で取引を終えた。
米国株が印象の悪い下げとなっている上に円高が進んでおり、日本株は大きく水準を切り下げることになるだろう。CME225先物は37000円割れからのスタートを示唆している。本日米国では、為替や米長期金利を刺激しやすい雇用統計が発表される。これを前に円高が進んだことは日本株には強い逆風。場中のドル円動向にも神経質となりやすく、下押し圧力の強い地合いが続くと予想する。日経平均の予想レンジは36600円-37400円。
昨日のドル円は、欧州時間に「連合傘下の労組が要求した春闘平均賃上げ率が32年振りの6%超」との報道をきっかけに売りが加速。4日の安値148.10円を下抜けると目先のSLを巻き込むかたちで下げ足を速め一時147.32円まで値を下げました。その後はラトニック米商務長官が「トランプ米大統領はUSMCAの全製品に対する関税を延期する可能性」に言及すると米長期金利の上昇につれて148.39円まで買い戻される場面もみられましたが、ダウ平均などが再び戻り売りに押されたことから147.57円まで下押ししました。ただ、引けにかけては148円台を回復しています。
アジア市場に入ってからは、ショートカバーが先行すると一時148.16円まで上昇したものの、日経平均が寄付きから850円近い急落となるなか147.66円まで下押し。その後は仲値にかけて本邦実需の買いが観測されたほか、加藤財務相がまさかの円高牽制発言を行ったこともあり148.12円まで買い戻されているといったところです。
いずれにしても、市場では米短期勢を中心に日銀の早期利上げを囃した売り仕掛けとなっているわけですが、ユーロドルが昨日から長い上ひげを伸ばして十字線で引けているように、週末にかけてはポジション調整を誘いやすい状況。
そんな中にあって、ドル円は昨日の下落の起点となった4日の安値148.10円を意識しているところですが、これまで、特に昨年までの神田財務官率いる当局が、急激な円高局面に対して極めて無関心で無反応だったにもかかわらず、本日、いきなり財務相の「12月以降の為替相場は一方的で急激。憂慮している」との発言。
更には、植田日銀総裁も「急激な円金利上昇には国債買入れ増額で対応する」との見解を示しているように、極めて政治的圧力に迎合してきている状況を鑑みるに、昨日からの日銀の早期利上げ観測は、日経平均の急落なども相まって、一転して「日銀の利上げ観測の後退」にもつながりかねない状況であるともいえます。今夜の米雇用統計後の、あくまでも足の速いポジションに対する調整の動きに注意が必要となってきています。
日経225先物は11時30分時点、前日比730円安の3万7020円(-1.93%)前後で推移。寄り付きは3万7060円と売りが先行して始まり、シカゴ日経平均先物清算値(3万6895円)にサヤ寄せする形から、直後に3万6850円まで下落幅を広げた。ただし、売り一巡後は下げ幅を縮めており、中盤以降は3万7000円~3万7100円辺りでの保ち合いで推移している。
日経225先物は、ボリンジャーバンドの-2σ(3万7070円)水準で始まり、同バンドを下回る局面では下げ渋る動きとなった。ただし、その後は-2σを挟んでの推移であり、強弱感が対立している。為替市場では円相場が1ドル=147円台後半と円高に振れて推移するなか、リバウンド狙いのロングは限られそうである。-2σ割れから短期的にはショートが入りやすくなりそうだが、米雇用統計の発表を控えているなかでは、終盤にかけてカバーに向かわせそうだ。
NT倍率は先物中心限月で13.62倍に低下した。一時13.60倍まで下げる場面もみられ、昨年8月6日につけた安値13.65倍下回ってきた。次のターゲットは2023年9月下旬につけた13.55倍が射程に入ってきており、NTショートによるスプレッド狙いに向かわせやすい。
ロンドン為替市場では、欧州金融当局者の発言に注目しながら、本日のメインイベントである2月米雇用統計を待つ展開か。また、欧州内で広がる財政規律緩和の動きには引き続き目を向けておきたい。経済指標は1月独製造業新規受注や10-12月期ユーロ圏域内総生産(GDP)確定値など。
ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、ナーゲル独連銀総裁、クノット・オランダ中銀総裁、パネッタ伊中銀総裁は本日、IWD(International Women‘s Day、国際女性デー)のイベントでパネルディスカッションに参加する。イベントの性格上、金融政策について突っ込んだ話はでないかもしれないが、昨日にECBが実施した利下げについて、また今後の物価見通しについてなども話題となりそうだ。
ラガルドECB総裁は昨日、理事会後の定例記者会見で「ECBは漸進的な政策アプローチに移行」との考えを示した。インフレについても「2%目標は来年の極めて早い段階で達成される」との自信をのぞかせている。本日はタカ派のナーゲル、クノット総裁とハト派のパネッタ総裁が参加することもあり、極端とは言えないまでも、それぞれの立場から違った意見を聞くことができるかもしれない。
なお欧州連合(EU)は今後、債務抑制の緩和に向けた議論をしていくもよう。トランプ米政権が欧州離れを鮮明にするなか、EU加盟国は防衛費を増額するために長期的な財政ルール改革が必要となっている。昨日のEU首脳会議では、軍事支出の拡大ペースを速めるため、加盟国に低金利で融資する基金創設案も支持されていた。結局トランプ大統領の思惑通りに事が進んでいるように見える。
経済指標は、1月独製造業新規受注(予想:前月比-2.5%/前年同月比2.6%)や10-12月期ユーロ圏GDP・確定値(予想:前期比0.1%/前年比0.9%)。独株がここ数日大きく買われた後なだけに、製造業新規受注に一応は気にかけておきたい。GDPは確定値のため波乱なしか。
想定レンジ上限
・ユーロドル、昨日高値1.0853ドル
想定レンジ下限
・ユーロドル、200日移動平均線1.0722ドル
ドル円:1ドル=147.45円(前営業日NY終値比▲0.53円)
ユーロ円:1ユーロ=159.45円(▲0.15円)
ユーロドル:1ユーロ=1.0813ドル(△0.0028ドル)
日経平均株価:36887.17円(前営業日比▲817.76円)
東証株価指数(TOPIX):2708.59(▲42.82)
債券先物3月物:138.62円(△0.14円)
新発10年物国債利回り:1.520%(△0.005%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
2月外貨準備高
1兆2533億ドル 1兆2406億ドル
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は上値が重い。朝方はショートカバーが先行し148.16円まで値を上げたものの、日銀の早期利上げ観測が高まるなかで一巡後は戻り売りが優勢に。日経平均株価が大きく下落したことが嫌気されたほか、時間外の米10年債利回りが低下したことも重しとなり、一時147.41円まで値を下げた。
・ユーロドルは強含み。米長期金利の低下を背景に買いが強まった。独財政拡張期待も引き続きユーロの後押し材料となり、一時1.0825ドルまで上昇した。
・ユーロ円はもみ合い。ドル円が下落した一方、ユーロドルが買われた影響を受けたためユーロ円自体は156円台前半から後半で上下した。
・日経平均株価は3営業日ぶりに反落。昨日の米ハイテク株が下落した流れを引き継いで半導体関連株を中心に売りが広がった。外国為替市場での円高・ドル安で輸出関連株にも売りが強まり、指数は一時900円近く下げ幅を広げた。
・債券先物相場は5営業日ぶりに反発。足元で相場下落が続いていた反動から短期的な戻りを期待した買いが散見された。
■各社予想 2月米非農業部門雇用者数
JPモルガン +17.5万人
第一生命経済研究所 +18.6万人
ドイツ証券 +16.0万人
バークレイズ・キャピタル +15.0万人
BNPパリバ +17.0万人
HSBC +11.5万人
モルガン・スタンレー +20.0万人
市場コンセンサス +16.0万人
前回 +14.3万人
■各社予想 2月米失業率
JPモルガン 4.0%
第一生命経済研究所 4.1%
ドイツ証券 4.1%
バークレイズ・キャピタル 4.0%
BNPパリバ 4.0%
HSBC 4.0%
モルガン・スタンレー 4.0%
市場コンセンサス 4.0%
前回 4.0%
■各社予想 2月米平均時給(前月比)
JPモルガン +0.3%
第一生命経済研究所 +0.3%
ドイツ証券 +0.4%
バークレイズ・キャピタル +0.3%
BNPパリバ +0.3%
HSBC +0.2%
モルガン・スタンレー +0.3%
市場コンセンサス +0.3%
前回 +0.5%
■各社予想 2月米平均時給(前年比)
JPモルガン +4.2%
第一生命経済研究所 +4.1%
バークレイズ・キャピタル +4.2%
BNPパリバ +4.1%
HSBC +4.1%
モルガン・スタンレー +4.1%
市場コンセンサス +4.1%
前回 +4.1%
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・田中 理氏
ECBは利下げ打ち止めが近づく
関税引き上げの押し下げ < 財政政策転換の押し上げ
ECBは3月の理事会で25bpの追加利下げを決定。利下げ後の政策金利は2.5%と、あと1回の利下げで、ECBの中立金利の推計値の上限に達する。「金融政策は制限的でなくなってきた」と声明文の文言を変更したが、「データに基づいて理事会毎に判断する」政策方針を維持した。
米国のEUに対する関税引き上げと、ドイツやEUの財政政策の転換の行方が、今後の景気・物価動向を大きく左右する。従来、関税引き上げによる景気の下振れから、中立金利をやや下回る水準まで利下げを続けると予想していたが、国防費を中心に財政拡張の確度が高まったため、2%での利下げ打ち止めに予想を変更する。
「国を守るために『あらゆる手段』を講じる」(メルツ氏)
メルケル第8代独首相は、2009年の世界金融危機に際して、憲法上の借り入れ制限「債務ブレーキ」を導入して財政緊縮路線を打ち出していた。
しかし、ドイツの次期首相就任が確実視されるメルツ氏は、債務ブレーキを撤廃して、財政拡張路線に乗り出し、欧州で最も強力な経済力を誇るドイツを、ロシアに対する橋頭保にすることを打ち出した。
かつて、ドラギ第3代ECB総裁は、欧州債務危機に際して、ユーロを守るためには、『あらゆる手段』を講じる、と述べたが、メルツ氏もドイツを守るために『あらゆる手段』を講じる、と述べた。
1. 債務ブレーキ
1960年代半ばに、ドイツではケインズ経済政策の必要性が認識され、不景気の時には赤字国債を発行して公共投資を行うべきであると考えられた。しかし、赤字国債を発行すると国家の債務残高が増加し、国家債務の累積は、債務超過をもたらし、国家財政の破綻のリスクを高める。そのため、債務の累積に対して「速度制限」を課すことになった。
この速度制限=「債務ブレーキ」とは、赤字国債等の借入による収入を基本的にゼロにする制度であり、「歳入=歳出」となる均衡財政(プライマリー・バランス)を義務づける制度である。
2.メルケル第8代独首相:財政規律派
ドイツの立法府は、2009年の憲法改正により憲法上の「債務ブレーキ制度」を実現した。
メルケル第8代独首相は、債務危機に陥った南欧諸国に救済と引き換えに厳しい財政支出削減を迫るなど財政規律派として知られていた。
しかし、2024年秋、財政赤字比率に上限を設ける「債務ブレーキ」について、世界が深刻な時節にある今、緩和する必要があるとの考えを示していた。
3.メルツ第10代独首相:財政拡張派
メルツ氏は2月23日の選挙の前には、社会保障費の削減による「債務上限の維持」と国防費の確保を訴えていた。
しかし、当選した後、大規模な財政改革の一環として5000億ユーロの特別基金を設立すると発表し、防衛費として国内総生産(GDP)の1%以上を支出する場合には、憲法上の借り入れ制限(債務ブレーキ)の対象外とすることも提案した。
メルツ氏にとっての試練は、憲法改正には議員3分の2(420議席)の支持が必要であり、そのためには、難色を示している緑の党(85議席)の協力が必要となることである。
■ドイツ議会(630議席)※賛成328 対 反対 306
・キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU):208議席・・・賛成
・ドイツのための選択肢(AfD):152議席・・・・・・・反対
・社会民主党;120議席・・・・・・・・・・・・・・・・賛成
・緑の党:85議席・・・・・・・・・・・・・・・・・・・反対
・左翼党:64議席・・・・・・・・・・・・・・・・・・・反対
日経225先物(3月限)は前日比980円安の3万6770円で取引を終了。寄り付きは3万7060円と売りが先行し、シカゴ日経平均先物清算値(3万6895円)にサヤ寄せする形から、直後に3万6850円まで下落幅を広げた。売り一巡後は下げ幅を縮め、前場中盤以降は3万7000円~3万7100円辺りで保ち合いを継続。ただし、ランチタイムで3万7000円を下回っての推移となり、後場はじりじりと下げ幅を広げ、本日の安値で取引を終えた。
日経225先物は、ボリンジャーバンドの-2σ(3万7020円)を挟んでの値動きが目立ったが、後場は同バンドが抵抗線となる形での調整となった。米国市場の流れを受けてファーストリテイリング<9983.T>[東証P]や東京エレクトロン<8035.T>[東証P]、アドバンテスト<6857.T>[東証P]、ソフトバンクグループ<9984.T>[東証P]など、指数インパクトの大きい値がさ株が売られ、日経平均型の重荷となっていた。
トランプ政権の関税政策に対する警戒感が強く、為替市場では円相場が1ドル=147円台半ばと円高に振れて推移していたほか、米国雇用統計の発表を控えて、押し目狙いのロングは限られた。
日経225先物は下向きで推移するバンドに沿った調整が続くが、ナイトセッションで-2σは3万6810円まで下がってきた。-1σは3万7620円、-3σが3万6000円に位置している。米国では雇用統計のほか、来週12日に2月の消費者物価指数(CPI)、13日には卸売物価指数(PPI)の発表を控えていることもあり、トレンド反転は期待しづらく、戻り待ち狙いのショートスタンスに向かわせよう。
また、来週末には3月限の先物・オプション特別清算指数算出(メジャーSQ)を控え、限月交代に伴うロールオーバーが中心になるだろう。ただし、不安定な相場展開が続くなか、節目の3万6500円や-3σの3万6000円を捉えてくる場面では、ヘッジ対応の動きにより下へのバイアスが強まる展開には警戒しておきたい。
NT倍率は先物中心限月で13.59倍に低下した。昨年8月6日につけた13.65倍を下回ったことで、次のターゲットは2023年9月下旬につけた13.55倍が射程に入るなか、引き続きNTショートによるスプレッド狙いに向かわせやすいだろう。
手口面(3月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が2万4570枚、ソシエテジェネラル証券が1万8988枚、サスケハナ・ホンコンが6156枚、JPモルガン証券が3893枚、野村証券が3243枚、モルガンMUFG証券が2991枚、バークレイズ証券が2606枚、日産証券が2041枚、SBI証券が1750枚、ビーオブエー証券が1157枚だった。
TOPIX先物は、ABNクリアリン証券2万8106枚、ソシエテジェネラル証券が2万6950枚、JPモルガン証券が7309枚、モルガンMUFG証券が7276枚、バークレイズ証券が6842枚、みずほ証券が5727枚、ゴールドマン証券が5273枚、BNPパリバ証券が3007枚、ビーオブエー証券が2388枚、大和証券が1526枚だった。
本日のNY為替市場のドル円は、米2月雇用統計での連邦政府職員の大量解雇を受けたネガティブサプライズの可能性に警戒する展開が予想される。
米国の2月の雇用関連指標は以下の通りにまちまちとなっている。
・ADP全米雇用報告:前月比+7.7万人(1月+18.6万人)
・ISM非製造業雇用指数:53.9(1月52.3)
・ISM製造業雇用指数:47.6(1月50.3)
・消費者信頼感指数(労働市場格差):17.1(1月19.4)
・チャレンジャー人員削減予定数:+103.2%(1月-39.5%)
(※2月は連邦政府の17機関が6万2242人の人員削減を発表した。)
2月米雇用統計の予想は非農業部門雇用者数が前月比+16.0万人で1月の同比+14.3万人から増加幅の拡大、失業率は1月と変わらずの4.0%と見込まれている。
2月の雇用統計は、2月12日の週が調査対象週となっており、連邦政府機関で解雇が相次いで始まる前に実施されたことで、前月比+16.0万人、4.0%の予想となっている。
しかし、一部の市場筋は、トランプ大統領就任初日に実施された採用凍結が2月の政府職員雇用に影響を与えた可能性を警戒しており、予断を許さない状況が続くことになる。
トランプ米政権による連邦政府職員の大量解雇が影響しているのか否かに警戒しておきたい。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」が示している今年の0.25%の利下げ開始時期は、6月FOMC(-0.25%=4.00-25%)と見込まれ、7月に追加利下げ(-0.25%=3.75-4.00%)、そして10月にも追加利下げ(-0.25%=3.50-75%)が見込まれている。
本日のパウエルFRB議長の講演では、市場の今年3回の利下げ見通しに対する見解にも注目しておきたい。
・想定レンジ上限
ドル円の上値目処(めど)は、149.31円(日足一目均衡表・転換線)
・想定レンジ下限
ドル円の下値目処(めど)は、145.92円(2024/10/4安値)
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・西?M 徹氏
トルコ中銀、3回連続の利下げも漸進姿勢、リラ相場の行方は?
米ドル相場の動向に揺さぶられる展開は変わらず、日本円に対しては当面下値を探りやすい展開も
トルコ中銀は6日の定例会合で3会合連続の利下げを実施して42.5%とする決定を行った。ここ数年のトルコでは、インフレにも拘らず中銀は低金利を迫られてリラ安とインフレを招く状況が続いた。しかし、一昨年以降の中銀は大幅利上げに動くとともに、政府も緊縮財政に舵を切り、インフレは昨年後半以降頭打ちの動きを強めた。さらに、インフレ鈍化を受けて実質金利がプラスに転じたため、中銀は昨年12月に利下げに動くとともに、その後もインフレ鈍化が確認されたことを受けて1月も追加利下げに動いた。
中銀は1月会合で先行きの利下げ幅を実質金利が「やや引き締まっている」状況にすべく決定する考えを示したが、その後は米ドル高再燃を受けてリラ安が進むなど中銀は難しい対応を迫られた。しかし、インフレ鈍化が確認されたことが今回の利下げを後押ししたとみられる。中銀は今後も実質金利の動向をみつつ利下げ幅を決定する対応を続けることが予想される。他方、実体経済は一進一退の展開が見込まれるなか、リラは米ドル相場の動向に揺さぶられ、当面は円に対して下値を探りやすい展開に留意する必要がある。
今晩は2月雇用統計とパウエルFRB議長発言に注目。昨日はトランプ関税に景気減速懸念や半導体株の下落が重しとなり主要3指数が大幅安。ダウ平均が427.51ドル安(-0.99%)、S&P500が1.78%安、ナスダック総合が2.61%安とそろって大幅に反落した。ナスダック総合は終値で高値から10%超下落し、「調整相場」入りとなった。週初来では、ダウ平均が2.88%安、S&P500が3.63%安、ナスダック総合が4.13%安となり、3指数ともに昨年9月以来の大幅安ペースとなった。引け後の動きでは予想を上回る決算や強い見通しを発表したブロードコムが時間外で一時16%超上昇し、12.82%高で終了した。
今晩の取引では昨日の大幅安の反動や、ブロードコムの上昇が見込まれることで反発が期待されるが、利下げ見通しを巡り寄り前に発表される米2月雇用統計や、取引時間午後に予定されるパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演に注目が集まる。昨日発表された2月チャレンジャー企業人員削減数が前月分の4万9795人から17万2000人以上に急増したことで、今晩の2月雇用統計の下振れが警戒された。雇用統計は非農業部門雇用者数(NFP)が16.0万人増(前月:14.3万人増)、失業率が4.0%(同:4.0%)、平均賃金が前月比で+0.3%(同:+0.5%)、前年比で+4.1%(同:+4.1%)と予想されている。NFPなどが弱い結果となれば、利下げ期待の高まりが相場の支援となることが期待される一方、過度に弱い結果となれば景気後退懸念が相場の重しとなりそうだ。パウエルFRB議長講演では、利下げを急ぐ必要がないとした従来の発言の修正の有無に注目が集まる。
今晩の米経済指標・イベントは2月雇用統計(非農業部門雇用者数・失業率・平均賃金)、パウエルFRB議長講演のほか、1月消費者信用残高など。主要な企業の決算発表はなし。
シティグループは最新リポートで、2025-26年の実質国内総生産(GDP)成長率予想をそれぞれ4.2%から4.7%に、4.1%から4.8%に引き上げた。『信報』が外電を引用して7日伝えた。
シティは、中国にとって25年がターニングポイントになる可能性があると指摘。不動産市場の低迷は最終局面に入っているとした。一方、生産者物価指数(PPI)は25年下期に下落幅がゼロ近くまで縮小し、26年にプラスに転じると予想した。
このほか、中国人民銀行(中央銀行)による25年の利下げ幅について、これまで0.5%になると予想していたものの、0.2%にとどまると予想。「AI+」による経済効果は5000億元に上り、GDPの0.4%に相当する水準になると試算した。
大和証券では、春闘の賃上げ率は前年を若干上回る可能性があるとみているものの、日銀はゆっくりと利上げを進める方針を変えないと予想している。その理由として、
(1)日銀は1月の支店長会議で2025年の賃上げ率が2024年並みになる可能性が高いとみて、1月に既に利上げを行ったこと、
(2)内田日銀副総裁が3月5日の講演において、日銀はゆっくりと利上げを進めて経済・物価の反応をみながら中立金利の水準を推定し、利上げの最終到達地点を決定する方針を示したこと、
(3)トランプ政権の政策や米経済の先行き不確実性が高いこと
―という3点を挙げている。
中国の税関総署が7日発表した2025年1-2月の米ドル建て貿易統計は、輸出が前年同期比2.3%増となった。市場予想の5.0%増から下振れした。24年12月は10.7%増だった。輸入は8.4%減となり、市場予想(1.0%増)に反して減少した。24年12月は1.0%増と3カ月ぶりに前年同月を上回っていた。貿易黒字は1705億2000万米ドルと市場予想の1423億5000万米ドルを上回った。
人民元建てでは、輸出が3.4%増、輸入が7.3%減。24年12月の実績はそれぞれ10.9%増、1.3%増。貿易黒字は1兆2260億6000万元だった。
日経平均株価は大幅反落。5日移動平均線(37425円 3/7)を下回る寄り付きから下値模索の展開となり、37000円を割り込む陰線を形成して終えた。
RSI(9日)は前日の35.7%→27.0%(3/7)に低下。直近で形成したような下ヒゲは見られず、ややネガティブな印象で終えた。1/24高値(40279円)からの二段下げ目の動きは依然として続いている。昨年9月に形成したダブルボトムのネックラインである36900円付近のフシや、月足の一目均衡表の転換線(36791円)付近は維持している格好ではあるが、自律反発局面では5日移動平均線や10日移動平均線(37769円 同)が上値抵抗になりやすく、目先は値固め続く公算が大きい。
上値メドは、5日移動平均線や10日移動平均線、心理的節目の38000円、25日移動平均線(38537円 同)、200日移動平均線(38648円 同)、心理的節目の39000円などがある。下値メドは、9/18高値(36675円)、心理的節目の36500円や36000円、9/17安値(35828円)、心理的節目の35500円、9/9安値(35247円)、心理的節目の35000円などがある。
(7日終値:8日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=147.49円(7日15時時点比△0.04円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=159.92円(△0.47円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0843ドル(△0.0030ドル)
FTSE100種総合株価指数:8679.88(前営業日比▲2.96)
ドイツ株式指数(DAX):23008.94(▲410.54)
10年物英国債利回り:4.638%(▲0.022%)
10年物独国債利回り:2.836%(△0.003%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は売買が交錯し荒い値動きとなった。欧州勢参入後に円買い・ドル売りが強まると18時前に一時147.21円まで値を下げたものの、「日銀は今月開催する金融政策決定会合で政策の現状維持を決める公算が大きい」との観測報道が伝わると買い戻しが入り、じりじりと下値を切り上げた。
NYの取引時間帯に入り、2月米雇用統計の結果が伝わると一時147.96円付近まで上げたものの、すぐに失速。23時30分過ぎには一時146.95円と昨年10月4日以来約5カ月ぶりの安値を付けた。米労働省が発表した2月米雇用統計で非農業部門雇用者数が前月比15.1万人増と予想の16.0万人増を下回り、失業率が4.1%と予想の4.0%より弱い結果となったことが円買い・ドル売りを誘った。
ただ、売り一巡後は急速に買い戻しが進んだ。安く始まった米国株相場が上昇に転じたタイミングで147.73円付近まで持ち直した。市場では「147円を割り込んだあとは達成感もありショートカバーが強まったようだ」との声が聞かれた。
もっとも、トランプ米政権の関税政策を巡る不透明感などから、米国株が再び下落するとドル円も上値が重くなった。2時過ぎには146.96円付近まで下押しした。トランプ米大統領は「カナダに対して早ければ今日、もしくは月曜日に相互関税を発動する」と発言。市場では「関税を巡る状況が二転三転しており、予測不能性が大きな懸念につながっている」との指摘があった。
しかしながら、NY午後に入ると米国株が再び上昇。ドル円にも買い戻しが入り147.81円付近まで値を上げた。
・トランプ米大統領が「対カナダ関税、早ければ今日発動」と発言したことを受けて、カナダドルは対米ドルでは一時1.4426カナダドル、対円では101.92円まで下落した。
・ユーロドルは買い先行後、もみ合い。独財政拡張方針を好感したユーロ買いが入ったほか、「欧州中央銀行(ECB)の利下げ局面が終わりに近づいている」との見方が相場の支援材料となり、じり高の展開が続いた。NY市場に入り、米雇用統計の結果が伝わると一時1.0889ドルと昨年11月6日以来の高値を付けた。
ただ、節目の1.0900ドルに接近した場面では利食い売りや戻り売りなどが出たため伸び悩んだ。週末を控えたポジション調整目的の売りも出たようだ。
なお、クーグラー米連邦準備理事会(FRB)理事は「インフレには重要な上振れリスクがある」「政策金利は当面、据え置くことが適切」と述べたほか、パウエルFRB議長は「FRBは急ぐ必要はなく、より明確になるまで待てる」「インフレ率2%への道のりは起伏が続くだろう」などと話した。
・ユーロ円は欧州市場ではユーロドルの上昇につれた買いが入り、じり高の展開となったが、NY市場に入るとドル円につれた荒い値動きに。1時前には160.75円と日通し高値を付けたものの、2時30分前には159.44円付近まで押し戻された。もっとも、NY午後に入り米国株が持ち直すと再び160円台に乗せた。
・ロンドン株式相場は小幅ながら4日続落。トランプ米政権の関税政策への懸念が引き続き根強く、売りがやや優勢となった。ただ、足もとで相場下落が続いたあとだけに、週末を控えたポジション調整目的の買いが入ると、指数は上げに転じる場面もあった。アングロ・アメリカンやグレンコアなど素材株が売られた半面、セグロやランド・セキュリティーズ・グループなど不動産株が買われた。
・フランクフルト株式相場は3日ぶりに反落。米政権の関税政策に不透明感が強い中、世界景気の先行き懸念が高まり売りが優勢となった。前日に史上最高値を更新したあとだけに利益確定目的の売りも出やすかった。個別ではラインメタル(7.01%安)やバイエル(6.46%安)、MTUエアロ・エンジンズ(5.68%安)などの下げが目立った。
・欧州債券相場は英国債が上昇した一方、独国債が下落した。
(7日終値)
ドル・円相場:1ドル=148.04円(前営業日比△0.06円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=160.36円(△0.76円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0833ドル(△0.0048ドル)
ダウ工業株30種平均:42801.72ドル(△222.64ドル)
ナスダック総合株価指数:18196.22(△126.96)
10年物米国債利回り:4.30%(△0.02%)
WTI原油先物4月限:1バレル=67.04ドル(△0.68ドル)
金先物4月限:1トロイオンス=2914.1ドル(▲12.5ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は3日ぶりに小反発。2月米雇用統計発表直後に147.96円付近まで上げたものの、すぐに失速。23時30分過ぎには一時146.95円と昨年10月4日以来約5カ月ぶりの安値を付けた。米労働省が発表した2月米雇用統計で非農業部門雇用者数が前月比15.1万人増と予想の16.0万人増を下回り、失業率が4.1%と予想の4.0%より弱い結果となったことが円買い・ドル売りを促した。
ただ、売り一巡後は急速に買い戻しが進んだ。安く始まった米国株が上昇に転じたタイミングで147.73円付近まで下げ渋った。市場では「147円を割り込んだあとは達成感もありショートカバーが強まった」との声が聞かれた。
もっとも、トランプ米政権の関税政策を巡る不透明感などから、米国株が再び下落するとドル円も上値が重くなった。2時過ぎには146.96円付近まで下押しした。なお、トランプ米大統領は「カナダに対して早ければ今日、もしくは月曜日に相互関税を発動する」と表明。市場では「関税を巡る状況が二転三転しており、予測不能性が大きな懸念につながっている」との指摘があった。
しかしながら、NY午後に入ると米国株が再び上昇。ドル円にも再び買い戻しが集まった。米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.32%台まで上昇したことも相場の支援材料となり、アジア時間に付けた148.16円を上抜けて一時148.20と日通し高値を更新した。
パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長はこの日、シカゴ大学ブース経営大学院の経済フォーラムで「金利調整を急ぐ必要はない」「トランプ政権の政策とその経済的影響に関する不確実性は依然として高い」「不確実性の高まりにもかかわらず、米経済は好調」などと述べた。
・ユーロドルは反発。独財政拡張方針を好感したユーロ買いが先行したほか、「欧州中央銀行(ECB)の利下げ局面が終わりに近づいている」との見方が相場の支援材料となった。米雇用統計の結果が伝わると一時1.0889ドルと昨年11月6日以来の高値を付けた。
ただ、節目の1.0900ドルに接近した場面では利食い売りや戻り売りなどが出たため伸び悩んだ。週末を控えたポジション調整目的の売りも出て1.0826ドル付近まで下押しした。
・ユーロ円も反発。1時前に一時160.75円と日通し高値を付けたものの、ドル円や米国株の下落につれた売りが出ると159.44円付近まで下押しした。ただ、NY午後に入り米国株が持ち直すと再び強含む展開に。ドル円の下げ渋りに伴う円売り・ユーロ買いも出て160.66円付近まで持ち直した。
・南アフリカランドは下落。米政府が同国に対する連邦資金拠出を全面停止したことを受けて、ランド売りが広がった。対ドルで一時18.3358ランド、対円で8.03円まで値を下げる場面があった。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は反発。2月米雇用統計が予想を下回ると労働市場の減速が米経済の重しになるとの見方から売りが先行。トランプ米政権の関税政策への懸念も根強く、指数は一時400ドル超下げた。ただ、NY午後に入ると買い戻しが優勢に。足もとで相場下落が続いたあとだけに、週末を控えたポジション調整目的の買いが入った。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も反発した。
・米国債券相場で長期ゾーンは下落。低調な2月米雇用統計を受けて買いが先行したものの、NY午後に入ると週末を控えたポジション調整目的の売りが出て下げに転じた。
・原油先物相場は続伸。ロシアのノバク副首相がこの日、OPEC+が4月から原油増産を始めることで合意したと述べたが、市場の不均衡があれば決定を覆す可能性があるとも発言した。この発言を受けると原油先物は一時68ドル台まで上昇した。ただ、引けにかけてはドルがやや強含んだこともあり上げ幅を縮小して引けた。
・金先物相場は5日ぶりに反落。今週に入り上げ幅を広げていたこともあり、週末を前に利食いや持ち高調整の売りが優勢になった。米金利が上昇したこともあり、金利のつかない金先物の重しにもなった。
一部通信社が報じたところによると、「ロシアは最終的な和平合意に向けて進展があれば、ウクライナでの一時停戦について協議する用意がある」ようだ。
一部報道で、メキシコのラミレス財務相が辞任したと報じている。
7日05:37 ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事
「3月FOMCで利下げを考えない」
「我々は景気抑制的な領域にいると思う」
「年内2回の利下げ見通しに問題はない」
「市場は深刻な長期インフレを織り込んでいない」
7日09:25 加藤財務相
「金融政策は日銀の判断によるもの」
「為替は12月以降、一方的で急激な動きも見られる」
「為替市場の動向を憂慮。行き過ぎた動きには適切に対応」
7日09:34 ボスティック米アトランタ連銀総裁
「関税がインフレを加速させるかは分からない」
「経済の方向性は非常に不透明」
「FRBは金利について忍耐強く対応することが賢明」
7日16:26 ビルロワドガロー仏中銀総裁
「我々はインフレとの戦いに勝利しつつある」
「ECBは行動し、反応する準備ができていなければならない」
「我々は将来に向けて選択肢をオープン」
7日22:41 ラトニック米商務長官
「インドの関税は世界で最も高い水準にある」
「高関税が米国とインドの関係について再考することになる」
7日22:50 カザークス・ラトビア中銀総裁
「サービスインフレは依然としてさらなる緩和が必要」
「課題は2%のインフレであり、中立金利に到達することではない」
「不確実性の中で4月に向けてオープンな姿勢を保つ必要」
「不確実性は以前よりもずっと高い」
7日23:24 トランプ米大統領
「南アフリカへの米連邦資金拠出を全面停止」
「ロシアへの銀行制裁を強く検討している」
「停戦までロシアに制裁や関税を設ける可能性ある」
「カナダに対しては更なる関税を、今日か月曜か火曜に発効する」
「早ければ今日か月曜に相互関税を発効」
「インドは大幅に関税を引き下げることを約束した」
「プーチン露大統領を信じている」
「ロシアよりもウクライナとの取引の方が難しい」
「EUは関税をひどく乱用している」
「(関税について)常に変更がある」
「(関税について)修正はあるが、ごくわずか」
8日00:27 ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事
「労働市場と経済活動が今後、FRBの議論の大きな要素になる」
8日01:14 ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁
(経済や金融政策について言及せず)
「インフレ期待はパンデミック前の水準に戻る」
「インフレ期待が停滞する兆候はない」
8日01:15 センテノ・ポルトガル中銀総裁
「ECBの利下げはインフレが目標に収束するまで継続される」
8日02:23 クーグラー米連邦準備理事会(FRB)理事
「インフレには重要な上振れリスクがある」
「労働市場は大幅に再均衡し、安定している」
「政策金利を当面、据え置くことが適切」
「新たな政策のインフレ効果に関する不確実性が高まっている」
8日02:35 パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長
「FRBは急ぐ必要はなく、より明確になるまで待てる」
「インフレ率2%への道のりは起伏が続くだろう 」
※時間は日本時間
10日
○08:30 ◇ 1月毎月勤労統計(現金給与総額)
○08:50 ◎ 1月国際収支速報
○14:00 ◇ 1月景気動向指数速報値
○15:00 ◇ 2月景気ウオッチャー調査
11日
○08:30 ◇ 1月家計調査(消費支出)
○08:50 ☆ 10-12月期実質国内総生産(GDP)改定値
○08:50 ◇ 2月マネーストックM2
12日
○08:50 ◇ 1-3月期法人企業景気予測調査
○08:50 ◇ 2月企業物価指数
○春闘、集中回答日
13日
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
14日
○春闘、第1回回答集計結果(連合)
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
9日
○米国が夏時間に移行
10日
○16:00 ◎ 1月独鉱工業生産
○16:00 ◇ 1月独貿易収支
○16:00 ◎ 2月ノルウェー消費者物価指数(CPI)
○16:00 ◇ 1月トルコ鉱工業生産
○17:00 ◇ 2月スイスSECO消費者信頼感指数
11日
○06:45 ◇ 10-12月期ニュージーランド(NZ)製造業売上高
○08:30 ◇ 3月豪ウエストパック消費者信頼感指数
○09:01 ◇ 2月英小売連合(BRC)小売売上高調査
○09:30 ◇ 2月豪NAB企業景況感指数
○23:00 ◎ 1月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数
○12日02:00 ◎ 米財務省、3年債入札
12日
○16:00 ◇ 1月トルコ経常収支
○17:45 ◎ ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○18:15 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○19:30 ◎ 1月インド鉱工業生産
○19:30 ◎ 2月インドCPI
○20:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○21:00 ◎ エスクリバ・スペイン中銀総裁、講演
○21:00 ◎ 2月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA)
○未定 ◎ ポーランド中銀、政策金利発表
○21:30 ☆ 2月米CPI
☆ エネルギーと食品を除くコア指数
○22:45 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演
○22:45 ☆ カナダ銀行(BOC、中央銀行)、政策金利発表
○23:30 ◇ EIA週間在庫統計
○13日01:00 ◎ 2月ロシアCPI
○13日02:00 ◎ 米財務省、10年債入札
○13日03:00 ◎ 2月米月次財政収支
○09:01 ◇ 2月英王立公認不動産鑑定士協会(RICS)住宅価格
○16:30 ◇ 2月スイス生産者輸入価格
○18:15 ◎ デギンドスECB副総裁、講演
○19:00 ◎ 1月ユーロ圏鉱工業生産
○21:00 ◇ 1月メキシコ鉱工業生産
○21:30 ◇ 1月カナダ住宅建設許可件数
○21:30 ◎ 2月米卸売物価指数(PPI)
◎ 食品とエネルギーを除くコア指数
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数
○14日02:00 ◎ 米財務省、30年債入札
14日
○16:00 ◎ 2月独CPI改定値
○16:00 ☆ 1月英国内総生産(GDP)
○16:00 ◎ 1月英鉱工業生産/製造業生産高
○16:00 ◇ 1月英商品貿易収支/英貿易収支
○16:45 ◇ 2月仏CPI改定値
○21:00 ◎ 2月ブラジル小売売上高
○21:30 ◇ 1月カナダ製造業出荷
○21:30 ◇ 1月カナダ卸売売上高
○22:15 ◎ チポローネECB専務理事、講演
○23:00 ◎ 3月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値)
○インド(水掛け祭)、休場
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
◆豪ドル、米物価指標に注目
◆NZドル、中銀総裁人事などに注意
◆ZAR、予算案を巡る交渉の行方に注目
予想レンジ
豪ドル円 92.00-97.00円
南ア・ランド円 7.80-8.40円
3月10日週の展望
豪ドルは米物価統計や米関税報道などをにらみながらの動きが予想される。来週は豪州から11日に3月ウエストパック消費者信頼感指数や2月NAB企業景況感指数などの発表が予定されているが、豪ドル相場への影響は限られるだろう。一方で、米国では市場の注目を集める2月消費者物価指数(CPI)が12日に公表予定となっており、米ドル主導の動きに豪ドルも振らされることになりそうだ。
米国では景気減速懸念を背景にした金利先安観が高まるなか、来週は12日に2月CPI、13日に卸売物価指数(PPI)と物価統計の発表が相次ぐ。対して豪州では今週公表された豪準備銀行(RBA)の議事要旨(2月17-18日開催分)において、「政策をあまりに早く緩和するとインフレ圧力が高まるリスクを考慮」「今回の決定は理事会が政策をさらに緩和することを約束するものではない」などの見解が示されるなど、あくまで追加緩和については慎重な姿勢を維持。豪米間の緩和ペースの違いに焦点が当たると対ドルでの豪ドル買いを促す可能性もあるだろう。
また、隣国のニュージーランド(NZ)では今週、NZ準備銀行(RBNZ、中央銀行)のオア総裁が任期満了まで3年を残して突然辞任を発表。今月末まではホークスビー副総裁が総裁代行を務め、4月以降は臨時総裁が任命され、その後に次期総裁が決定されるとの方針のようだ。次回の金融政策決定会合(4月9日)は早速、臨時総裁の下で開催されることになっており、先行きの金融政策に対する不透明感が高まったことは間違いない。今後の臨時総裁・次期総裁人事と新たな金融政策方針を慎重に見極める必要がありそうだ。
南アフリカ・ランド(ZAR)は波乱含みの展開となるだろう。注目は12日に公表予定の2025年予算案。当初は2月19日発表となっていたが、国民統一政府(GNU)で連立を組む民主同盟(DA)などが付加価値税(VAT)の引き上げ(15%から17%へ)に反対したことで延期されるという異例の経緯を辿り、ここまでZARの重しとなってきた。
その後に政府はVATの引き上げ幅を0.75%に縮小する案を提示したが、DAはこれも拒否。業を煮やしたラマポーザ大統領が率いるアフリカ民族会議(ANC)は野党の経済的解放の闘士(EFF)を新たな交渉相手として検討しているとの報道もあり、GNUからのDA離脱など最悪のケースとなればZAR売り圧力が加速することも考えられる。ただ、GNU内の交渉が成立して予算案が日程通りに公表された場合はこれまでのZAR売りが反転する可能性もあり、いずれにしても目先のZAR相場を左右する大きな転機となりそうだ。
3月3日週の回顧
豪ドルは対円で売り先行となったものの、4日以降は下げ渋る展開に。ドイツの拡張的な財政政策によって経済が支えられるとの思惑から欧州主導で株高が進むと、為替市場でもリスクオンの円売りが強まった。もっとも、週末にかけては日銀の早期利上げ観測が再び円買いを促す場面も見られた。ZARも同様に売り先行の流れから反転し、対円では買い戻しが進んだ。
◆ポンド、英重要指標までは円やドル、ユーロ相場の動き次第
◆加ドル、トランプ関税を巡り不安定な動き続く
◆加ドル、追加利下げ予想も、先行き見通しの変化に注意
予想レンジ
ポンド円 187.50-193.50円
加ドル円 101.50-105.50円
3月10日週の展望
ポンドは、週末14日に発表される重要な英経済指標の結果を確かめるまでは、円相場やドル相場またはユーロ相場に影響を受けた値動きとなりそうだ。円絡みは金融市場全般のリスクセンチメントや日銀早期利上げに対する思惑が意識されるほか、対ドルでは米国のインフレ基調や景気動向、ユーロについてはウクライナ情勢や独財政規律の緩和方針などが材料視されるだろう。
リスクオン・オフを左右するのはやはりトランプ関税。本邦金利見通しは春闘の大幅賃上げ要求の行方次第。米国からは2月消費者・卸売物価指数が発表される。トランプ米大統領の就任後の政策が浸透したとは言えないが、まずは出発点を確認。英国も関わり合うウクライナ和平については、欧州の団結が試されている。独は財政タカ派転換を巡る政局がポイントとなる。
英指標は、14日に1月のGDPや鉱工業生産が予定されている。GDPは前月比で3カ月連続のプラス維持となるか、また、前年比マイナスが続く鉱工業生産は回復度合いが注目。
加ドルはトランプ関税を巡り不安定な動きが続くだろう。トランプ米政権は4日、カナダとメキシコからの輸入品に25%の関税を発動。その報復としてトルドー加首相は、1550億加ドル相当の米国製品に同じ関税を課す方針を発表した。ただ、米ホワイハウスはその後、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に準拠した製品については関税の適用を1カ月間免除すると発表。関税に絡んだ報道で、加ドルは売り込まれた後に反発するなど完全に振り回された。
また、カナダでは9日、トルドー首相の後継者選びとなる与党・自由党の党首選が行われる。有力候補のカーニー・元カナダ中銀総裁やフリーランド前副首相兼財務相はともに「トランプ米大統領に対し、断固とした態度を取る」と表明。どちらが首相に就任したとしても、今年秋までの総選挙を控えて反トランプ色が一層強まるとみられ、米加の溝は埋まり難いかもしれない。
なお、12日にはカナダ中銀(BOC)が政策金利を公表する。市場予想は「現行3.00%から2.75%に引き下げ」であり、7会合連続となる利下げはサプライズなしだろう。注目は声明やマックレムBOC総裁の会見。米国との貿易摩擦の影響がどの程度までインフレ見通しに織り込まれるかに注目したい。短期金融市場では夏頃に追加の0.25%利下げ、年末にかけて更なる利下げを織り込みつつある。緩和ペースへの思惑に変化があれば、加ドルの神経質な動きが一層強まりそうだ。
3月3日週の回顧
ポンドは対円ではリスクセンチメントの強弱を受け荒い値動きだった。188円前半まで売られたところから192円半ばまで切り返すも、本邦金利先高観の広がりで190円割れまで緩んだ。対ドルでは1.25ドル後半から1.29ドル前半まで上昇。米金利低下や、独金利の急騰につれた英長期金利の上昇に後押しされた。
加ドルは売り先行も対円では102円前半で下げ止まり、104円前半まで持ち直した。ただその後は再び102円半ばまで緩んだ。対ドルでは1.45加ドル半ばの加ドル安から1.42加ドル半ばまで加ドルが買い戻された。
◆ドル円、日銀の3月利上げ期待から上値は重い
◆米インフレ指標次第では、米5月利下げ観測に影響
◆ユーロドル、独財政拡張期待から底堅い
予想レンジ
ドル円 145.00-150.00円
ユーロドル 1.0600-1.1000ドル
3月10日週の展望
ドル円は、上値の重い展開が想定される。連合が6日公表した2025年春闘の賃上げ要求額が32年ぶりに6%を超えたことを受けて、「日銀が想定よりも早く利上げに動くのでは」との思惑が急速に広がっている。直近では植田日銀総裁や内田日銀副総裁が今後の利上げについて「会合ごとに経済や物価の情勢を丁寧に点検しながら判断していく」考えを強調していたが、18-19日に金融政策決定会合を控えるなかで、早期利上げを囃した仕掛け的な円買いが持ち込まれるリスクはあるだろう。14日には春闘の第一回目回答集計結果が公表されるため、結果を受けた市場の反応を見極めたいところだ。
また、米連邦準備理事会(FRB)の5月利下げ観測が高まっている点にも注意が必要だろう。背景となっているのは、トランプ米政権による関税政策であり、世界経済に悪影響を与えるとの懸念が一段と高まっている。メキシコ・カナダ・中国に対する関税を今月4日に予定通り発動したが、6日にはUSMCA準拠品を4月2日まで免除するなど、米大統領の発言に金融市場は振り回されている。なお、5月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ確率は先月末時点では2割程度だったが、7日時点では5割弱まで上がってきている。
来週は12日に2月消費者物価指数(CPI)、13日に2月卸売物価指数(PPI)、14日に3月ミシガン大学消費者態度指数・速報値の発表が予定されており、結果次第では利下げを一段と織り込みに行く可能性はあるだろう。
ユーロドルは底堅く推移しそうだ。ドイツの財政赤字を一定の規模に抑える債務ブレーキの緩和で独政権が4日に合意。国債発行が大幅に増加し国防や投資に充てられ、独経済にとって大きな下支え要因になるとの見方が広がっており、来週も景気の先行きに期待したユーロ買いの流れは続きそうだ。ラガルド欧州中央銀行(ECB)が6日の定例理事会後の記者会見で今後の金利見通しについて「データ次第である」ことを強調し、利下げに言及しなかったこともユーロの支えとなるだろう。
3月3日週の回顧
ドル円は、上値が重かった。週明けこそ151.30円まで値を上げたが、2月米ISM製造業景況指数が予想を下回ったほか、米関税政策への警戒感から失速。週半ばには148.10円まで下げた後、しばらくは149円挟みで推移していたが、週後半にかけては日銀の早期利上げ観測から一時147.32円まで売り込まれ、昨年10月4日以来の安値を付けた。
ユーロドルは堅調。独財政拡張への期待感からユーロは大きく買われる展開となった。目立った下押しも見られないまま、週末にかけては一時1.0853ドルと昨年11月6日以来4カ月ぶりの高値を付けている。
7日の日経平均は3日ぶり大幅反落。終値は817円安の36887円。米国株安や円高進行を嫌気して500円超下げて始まった。すぐに節目の37000円を下回ると、下げ幅を800円超に拡大。36800円台でいったん売りが一巡し、37000円近辺まで値を戻した。前引けでは37000円を上回ったが、後場は売り直されて37000円より下が定着。前場では買われる場面もあった大手防衛株も軒並み安となるなど、買い手不在の様相が強まった。指数は前場同様に36800円台に入ると下げ渋ったものの、安値圏で取引を終えた。
東証プライムの売買代金は概算で4兆9200億円。業種別ではゴム製品、鉄鋼、鉱業などが上昇した一方、その他製品、電気機器、精密機器などが下落した。幅広い銘柄が売られる中、キオクシアホールディングス<285A.T>が商いを伴って急騰。半面、防衛株が手じまい売りに押される中、IHIが5%を超える下落となった。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり459/値下がり1133。レーザーテックが逆行高。ブリヂストンや横浜ゴムなどタイヤ株には買われるものが多かった。日本製鉄、JFEHD、神戸鋼の鉄鋼大手3社がそろって上昇。好決算を発表したカナモトが大幅高となった。
一方、ファーストリテイリングが3.6%安。ソニーG、コナミG、DeNAなどゲーム株の下げが大きく、証券会社が目標株価を引き下げた任天堂は9%を超える下落となった。フジクラや古河電工など電線株が大幅安。半導体株は濃淡あったが、指数寄与度の大きい東京エレクトロンやアドバンテストが弱かった。リスクオフの様相が強まる中、メタプラネットやリミックスポイントなど暗号資産関連が大きめの下げとなった。
日経平均は大幅安。売買代金上位銘柄に崩れたものが多く、週末値で37000円を下回った。一方、後場の動きが悪かった割には36800円は割り込んでおらず、直近の安値近辺で下げ渋った。きょうの下げで日経平均は週間でも下落。一方で、TOPIXは週間ではプラスとなっている。また、業種別でみると週間では全33業種中、上昇27業種、下落6業種となっており、上昇業種が圧倒的に多い。週末の大幅安は印象が悪いが、日本株全体を俯瞰で見ると、今週は大崩れしたわけではない。上げに浮かれず、下げに怯えずのスタンスで臨む局面だ。
【来週の見通し】
方向感に欠ける展開か。米国で12日に消費者物価指数(CPI)、13日に生産者物価指数(PPI)と物価指標が相次いで発表される。足元でドル円の値動きが大きくなっており、米国の指標を受けた米長期金利や為替の動向に神経質となるだろう。注目度が高いのはCPIで、弱い結果となって米国の長期金利が低下すれば、米国株の支援材料になると見込まれる。ただ、このケースではドル円が円高(ドル安)に振れるリスクもある点には注意が必要。今週はトランプ大統領からのメッセージに振り回されたが、この状況はもうしばらく続くと思われる。各種材料に一喜一憂して強弱感が定まらず、不安定な動きが続くと予想する。
今週の日経225先物は反発して始まりそうだが、トランプ米大統領の関税を巡る発言が警戒されるほか、週末に先物・オプション特別清算指数算出(メジャーSQ)を控えて、ボラティリティの高い不安定な相場展開が見込まれる。
7日の米国市場では主要な株価指数が反発した。注目された2月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数が15万1000人増と市場予想を下回った。失業率は4.1%と予想をわずかに上回った。トランプ政権が連邦政府職員の削減を進めていることで、職種別では連邦政府などの就業者が1万人減少しており、今後も減少幅が拡大するとみられている。雇用統計の結果を受けて米経済の減速懸念が高まり、NYダウの下げ幅は一時400ドルを超えた。
ただし、機関投資家がベンチマークとするS&P500指数がおよそ4カ月ぶりに5700を一時割り込み、下値メドとされる200日移動平均線を下回ったことで、売られ過ぎとの見方から買い戻しが入った。また、前日にはマーベル・テクノロジー<MRVL>が20%下落したことでエヌビディア<NVDA>など他の半導体株に売りが広がったが、この日はブロードコム<AVGO>が決算評価により9%近く上昇したことで半導体株の買い戻しにつながった。
また、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長はシカゴ大主催のイベントで講演し、米経済は良好な状態が続いているとの認識を示した。米経済は不確実性が高まっているが、政策調整を急ぐ必要はないと述べている。
日経225先物のナイトセッションは米国市場に連動する形で、一時3万6470円まで売られる場面もみられたが、終盤にかけてロングが強まり、日中比490円高の3万7260円で終えた。週明けはこの流れを引き継ぐ形により買いが先行することになりそうだ。
しかし、日経225先物は2月下旬以降、下向きで推移するボリンジャーバンドの-2σを挟んだ-1σと-3σによるレンジで調整を継続している。ナイトセッションでは-3σに接近した後の切り返しにより、-2σを上回って終えた。-2σが3万6900円、-1σは3万7670円、-3σが3万6120円辺りに位置しているため、-2σを上回って推移することができるかが注目される。
まずはオプション権利行使価格の3万7000円を固めたいところであり、上下の権利行使価格である3万6250円から3万7750円処のレンジが意識される。3万7000円処で底堅さがみられるようだと、-1σ突破を試す展開もありそうだ。メジャーSQ週であるため、限月交代に伴うロールオーバーが中心で仕掛け的なトレードは限られるとみられるが、ボラティリティの高い状況での下げが続いていたことで、-1σを捉えてくるとヘッジ対応のロングが強まりそうだ。一方で、-2σを割り込むと、-3σに接近する形でショートが加速しそうである。
なお、週足ベースの日経225先物も-2σ(3万6610円)を上回っているが、-1σ(3万7690円)を捉えることができないと、-3σ(3万5530円)とのレンジが継続することになる。明確な底入れを見極めにくいなかで、-2σを割り込んでくると、昨年9月前半以来の3万6000円割れが警戒されてくるだろう。
7日の米VIX指数は23.37(6日は24.87)に低下した。週間(2月28日:19.63)では上昇となった。一時26.56まで切り上がり、昨年12月18日の高値(28.32)が射程に入っている。7日の米国市場が売り一巡後に急速に切り返したことで、VIX指数は低下する形だったが、下値を切り上げる形状で上昇しており、慎重姿勢は崩せないと考えられる。
先週末のNT倍率は先物中心限月で13.59倍(6日は13.70倍)に低下した。昨年8月6日につけた13.65倍を下回っていることで、次のターゲットは2023年9月下旬につけた13.55倍が射程に入る。7日の半導体SOX指数が3%超上昇したことで、週初は指数インパクトの大きい値がさハイテク株の反発により、NTショートを巻き戻す動きが入りそうだ。ただし、下へのトレンドが強まるなか、戻りの場面ではNTショートによるスプレッド狙いのスタンスに向かわせやすいだろう。
2月第4週(2月25日-28日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物と先物の合算では2週連続の売り越しであり、売り越し額は1兆1672億円(2月第3週は6248億円の売り越し)だった。なお、現物は6071億円の売り越し(同1632億円の売り越し)と2週連続の売り越しであり、先物は5601億円の売り越し(同4616億円の売り越し)と2週連続の売り越し。個人は現物と先物の合算で7039億円の買い越しと2週連続の買い越し。信託銀行は現物と先物の合算で2762億円の買い越しとなり、2週連続の買い越し。
主要スケジュールでは、10日に1月景気動向指数、2月景気ウォッチャー調査、11日に1月全世帯家計調査、10-12月期GDP改定値、12日に1-3月期法人企業景気予測調査、米国2月消費者物価指数、13日に米国2月生産者物価指数、14日にメジャーSQ、米国3月ミシガン大学消費者信頼感指数などが予定されている。
<国内>
○08:30 ◇ 1月毎月勤労統計(現金給与総額、予想:前年比3.0%)
○08:50 ◎ 1月国際収支速報
◇ 経常収支(予想:季節調整前2305億円の赤字/季節調整済1兆9871億円の黒字)
◎ 貿易収支(予想:2兆4961億円の赤字)
○14:00 ◇ 1月景気動向指数速報値(予想:先行108.2/一致116.3)
○15:00 ◇ 2月景気ウオッチャー調査(予想:現状判断指数48.5/先行き判断指数47.5)
<海外>
○16:00 ◎ 1月独鉱工業生産(予想:前月比1.5%/前年同月比▲2.8%)
○16:00 ◇ 1月独貿易収支(予想:206億ユーロの黒字)
○16:00 ◎ 2月ノルウェー消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.5%/前年比2.6%)
○16:00 ◇ 1月トルコ鉱工業生産
○17:00 ◇ 2月スイスSECO消費者信頼感指数(予想:▲28.0)
○22:00 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演
○米国は9日から夏時間に移行済み
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
9日に行われたカナダ与党・自由党の党首選で元カナダ中銀総裁のカーニー氏が勝利し、次期首相に就任することになったと地元メディアが伝えた。
先週末の海外市場でドル円は2月米雇用統計発表直後に147.96円付近まで上げたものの、すぐに失速。一時146.95円と昨年10月4日以来約5カ月ぶりの安値を付けた。その後は方向感がなく147円後半に戻した後に、146.96円付近まで再び下押しするものの、引けにかけては米株が上昇し、米10年債利回りが4.32%台まで上昇したことも相場の支援材料となり、アジア時間に付けた148.16円を上抜けて一時148.20円と日通し高値を更新した。ユーロドルは米雇用統計の結果が伝わると一時1.0889ドルと昨年11月6日以来の高値を付けた。ただ、週末を控えたポジション調整目的の売りも出て1.0826ドル付近まで下押しした。
本日の東京時間では、ドル円の上値は限られるか。先週末の本邦債券市場は5営業日ぶりに反発(利回りは低下)し、米債利回りは上昇して引けたことで、ドル円に買い戻しが多少入る可能性はあるだろう。ただ、連合が2025年の春闘の賃上げ要求を32年ぶりの高水準(6%)としていることなどで、本邦10年債利回りは6日には1.515%まで上昇し、日銀がこれまで主張していた賃金と物価の好循環の強まりが確認でき、利上げには動きやすい状況なことで円買い意欲は強い。
更に、先週3日にはトランプ米大統領が「通貨安の国に関税を課す」と発言し、中国だけでなく日本も名指ししている。これまでは通貨操作に対して厳しかった米民主党政権とは違い、仮に円安が進んだ場合は、本邦からの円買い介入はトランプ政権の了承を得やすいことも、ドル円の重しになるだろう。
賃金上昇が期待されている中で、本日注目されるのが1月の毎月勤労統計。中でもその中で発表される実質賃金に注目が集まる。11月の実質賃金は確報値で前年比+0.5%まで上がり、12月は確報値では下方修正されたものの+0.3%と2カ月連続でプラスとなった。1月は再びマイナスに転じるとの予想になっているが、市場予想の-1.6%程度よりも下げ幅が少ない場合には円が買われやすくなりそうだ。逆に実質賃金の下げ幅が大きかった場合には、今月の利上げ期待が萎む可能性もあり円売り要因になる。
また、1月国際収支速報も発表され、その中で発表される貿易収支の結果にも目を通したい。12月は623億円の黒字だったものが、1月は2兆4961億円の赤字に転じるとの予想になっている。全体の貿易収支も重要だが、特に対米の貿易収支の結果には要注目。対米貿易の状況次第ではトランプ政権の圧力が増すことになるだろう。
本日はアジア時間には、本邦以外からは主だった経済指標の発表予定はないが、昨日9日に中国からは2月の消費者物価指数(CPI)が発表されている。前年比では13カ月ぶりにマイナスに転じた。5日から始まり11日まで行われる全国人民代表大会(全人代)では、CPIの目標が+2%に引き下げられたが、さらに厳しい結果が出たことで、中国政府の動向にも注目したい。
他にもトランプ政権の関税政策が引き続き市場を振幅させるだろう。先週はほぼ毎日トランプ米大統領が関税についての発表を行ってきたが、今週も様々な発言が予定されている。先週7日には鉄鋼とアルミニウムへの関税について、今週中に発表すると述べ、カナダに対して更なる関税を10日か11日に発表する予定と発言した。また、先週はインドの関税についても言及するなど、カナダとメキシコ、中国と先行して発表していた国々がトランプ氏の脅し(ディール)に屈しない姿勢を見せていることで関税対象国を広げ、どこかの国との成果を上げることに必死になっている。対象国が拡大になった場合には日本に対しても厳しい要求などが発表される可能性もあることで、内容によりその都度大きな値動きになりそうだ。
大阪3月限ナイトセッション
日経225先物 37260 +490 (+1.33%)
TOPIX先物 2730.0 +24.5 (+0.90%)
シカゴ日経平均先物 37270 +500
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
7日の米国市場はNYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が上昇。2月の米雇用統計は非農業部門雇用者数が15万1000人増と市場予想(16万人増程度)を下回った。失業率は4.1%と市場予想(4.0%程度)をわずかに上回った。雇用統計の結果を受けて米経済の減速懸念が高まり、NYダウの下げ幅は一時400ドルを超えた。
ただし、機関投資家がベンチマークとするS&P500指数がおよそ4カ月ぶりに5700を一時割り込み、下値メドとされる200日移動平均線を下回ったことで、売られ過ぎとの見方から買い戻しが入った。前日にはマーベル・テクノロジー<MRVL>が20%下落したことでエヌビディア<NVDA>など他の半導体株に売りが広がったが、この日はブロードコム<AVGO>が決算評価により9%近く上昇したことで半導体株の買い戻しにつながった
NYダウ構成銘柄では、エヌビディアやIBM<IBM>、ベライゾン・コミュニケーションズ<VZ>、マクドナルド<MCD>、キャタピラー<CAT>、シェブロン<CVX>、アムジェン<AMGN>が買われた。半面、ウォルマート<WMT>、ボーイング<BA>、JPモルガン・チェース<JPM>、ゴールドマン・サックス・グループ<GS>が軟調。S&P500業種別指数では、半導体・同製造装置、電気通信サービス、公益事業が上昇した一方で、食品・生活必需品小売、銀行、小売が下落した。
シカゴ日経平均先物(3月限)清算値は、大阪比500円高の3万7270円だった。日経225先物(3月限)のナイトセッションは、日中比100円高の3万6870円で始まり、米国市場の取引開始直後には3万7000円台を回復。買い一巡後は軟化し、中盤にかけて3万6470円と下落に転じる場面もみられた。ただし、終盤にかけてショートカバーを交えて切り返し、3万7270円まで買われ、3万7260円とナイトセッションの高値圏で取引を終えた。
シカゴ先物にサヤ寄せする形から、買い先行で始まりそうだ。ブロードコムの上昇が他の半導体株へ波及する形となり、東京市場でも指数インパクトの大きい値がさハイテク株の支援材料となりそうだ。日経225先物はナイトセッションでボリンジャーバンドの-2σ(3万6900円)近辺で始まり、3万6470円まで売られる場面もみられたが、中盤以降の切り返しにより同バンドを上回って終えた。3万7000円処での底堅さを見極めつつ、-1σ(3万7670円)を試す展開が意識されてくるため、-2σ近辺では押し目狙いのスタンスに向かわせよう。
しかし、日経225先物は2月下旬以降、下向きで推移するボリンジャーバンドの-2σを挟んだ-1σと-3σ(3万6120円)によるレンジで調整を継続している。-1σに接近する場面をみせてきたとしても、同バンド接近では戻り待ち狙いのショートが入りやすい。半面、-2σを早い段階で割り込んでくるようだと、ショート優勢の流れになりそうだ。
週末に先物・オプション特別清算指数算出(メジャーSQ)を控え、限月交代に伴うロールオーバーが中心で仕掛け的なトレードは限られるとみられるが、ボラティリティの高い状況のため、-1σを明確に上抜けてくるとヘッジ対応のロングが強まるだろう。一方で、-2σを割り込むと、-3σに接近する形でショートが加速しそうである。
そのため、オプション特別清算指数算出3万7000円を中心とした上下の権利行使価格である3万6375円から3万7625円と、やや広めのレンジを想定しておきたい。
7日の米VIX指数は23.37(6日は24.87)に低下した。ただし、一時26.56まで切り上がり、昨年12月18日の高値(28.32)が射程に入っている。7日の米国市場が売り一巡後に急速に切り返したことで、VIX指数は低下する形だったが、トレンドとしては下値を切り上げる形状で上昇しているため、慎重姿勢は崩せないだろう。
先週末のNT倍率は先物中心限月で13.59倍(6日は13.70倍)に低下した。昨年8月6日につけた13.65倍を下回っていることで、次のターゲットは2023年9月下旬につけた13.55倍が射程に入る。7日の半導体SOX指数が3%超上昇したことで、本日はNTショートを巻き戻す動きが入りそうだが、方向性は下向きであるため、戻りの鈍さが意識されてくるとNTショートによるスプレッド狙いのスタンスに向かわせそうだ。
東京市場は堅調か。先週末の米国株は上昇。ダウ平均は222ドル高の42801ドルで取引を終えた。2月の雇用統計が市場予想を下回る結果となったことで売りが先行。しかし、400ドル超下げたところで切り返し、プラス圏に浮上して上げ幅を広げた。パウエルFRB議長が講演で米国経済が堅調との見方を示したことが買い戻しを誘った。ドル円は足元147円50銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが大証日中終値と比べて500円高の37270円、ドル建てが510円高の37280円で取引を終えた。
米国株がプラスで終えたことを受けて、先週金曜に大きく下げた日本株にも押し目買いが入ると予想する。エヌビディアやアプライドマテリアルズなどの動きが良く、半導体株に好影響が見込まれる。ただ、円高基調が続いているだけに、金曜の下げ(817円安)の全戻しまでは期待しづらい。高く始まった後は押し目買いと戻り売りがせめぎ合い、方向感に欠ける動きが続くだろう。日経平均の予想レンジは37000円-37400円。
先週末のドル円は、米雇用統計後に荒い値動きとなりました。公表前の欧州時間に147.21円まで値を下げた後、147.84円まで買戻されて目先のポジション調整が続いたわけですが、2月米雇用統計が予想を下回る弱い数字となると、発表直後こそ147.96円まで値を上げたものの、その後は戻り売りに押される展開に。米10年債利回りが4.2075%まで低下するにつれて146.95円まで売り込まれました。低下していたダウ平均がプラス圏を回復すると147.73円まで買戻されたものの、トランプ米大統領が「カナダへの相互関税を月曜日にも発動する」と発言したことから再び146.96円まで下落。ただ、引けにかけては週末とあって米10年債利回りが一気に4.3261%までポジション調整から急上昇となるにつれて148.20円の高値を付けてNY市場を終えています。
週明けのアジア市場では、米系短期勢中心に戻りが先行。日経平均先物やダウ先物が下落して始まったほか、米10年債利回りが低下するにつれて147.09円まで下押す場面もみられましたが、日経平均が一転して買戻しとなると147.59円まで買戻されているといったところです。
いずれにしても、ドル円は、先週末からトリプルボトムを形成しているほか、先週末公表されたCMEの投機筋によるネットの円ロングポジション(4日現在)が133651枚まで更に過去最高水準を更新しているなか、下値が狙えないとなるや否や、買い戻しも急となるのは言わずもがな。
連日、二転三転のトランプ関税についても、市場では「かなり食傷気味となっている」わけで、反応自体も方向性を見い出せないような状況になりつつあります。日経平均などにも下値に対する下方硬直性が出てくるのならば、リスクオフといった単純な売り仕掛けにも限界が出て来ているのかもしれません。
日経225先物は11時30分時点、前日比320円高の3万7090円(+0.87%)前後で推移。寄り付きは3万7000円と買いが先行して始まったが、シカゴ日経平均先物清算値(3万7270円)には届かなかった。戻りの鈍さが意識されるなかでショートを誘う形となり、中盤にかけて一時3万6690円と下落に転じる場面もみられた。ただし、売り一巡後はショートカバーから切り返しており、終盤にかけて3万7110円まで上昇する場面もみられた。
日経225先物は、3万7000円で始まった後に、ボリンジャーバンドの-2σ(3万6870円)を割り込む場面もあったが、終盤にかけては-2σを上回っての推移だった。グローベックスのナスダック100先物がマイナス圏で推移しており、短期的にショートを仕掛ける動きが入ったとみられる。ただし、下へのバイアスは強まらず、終盤にかけて切り返す形だった。カバー一巡後は再び3万7000円処での底堅さを見極めての、押し目狙いのスタンスになろう。
NT倍率は先物中心限月で13.65倍に上昇した。足もとの低下で2023年9月以来の13.60倍を割り込んだほか、週末に米ハイテク株が買われた流れもあって、NTショートを巻き戻す動きが入っているようだ。ただし、戻りの鈍さが意識されてくるようだと、戻り待ち狙いのNTショートによるスプレッド狙いに向かわせやすい。
ユーロドルは、先週月曜日につけた1.0370ドル台から1週間で500Pips超上昇していることで、若干スピードや上げ幅の調整が入りやすいだろう。テクニカル的にも、すでに先週時点で相対力指数(RSI)は70%を超え、ボリンジャーバンドも2σ上限を上回っている。
ただ、ドイツを中心とした5000億ユーロの財政改革は、市場筋の中では「ゲームチェンジャー」と呼ばれるなど重要な転換点とされていることで、ユーロ買いの大きなトレンドを変えるのは非常に難しい状況だ。ユーロは売りの調整が入っても耐えられるようなポジションでの取引が必要になりそうだ。
先週末の欧州中央銀行(ECB)理事会では、市場予想通りだったとはいえ政策金利を引き下げた。しかし、その後のラガルドECB総裁会見を含め、市場の反応は極めて限定的だった。欧州の金融政策を市場が決して軽視しているわけではないが、それよりも財政規律に厳しかったドイツの動きは前例がなく、時代の大きな転換点ということで金融政策以上に財政転換が注目を浴びている。本日もドイツから鉱工業生産や貿易収支などが発表されるが、財政改革前後でドイツ経済の動向も変わる可能性もあり、当面の間欧州の経済指標への市場の反応は薄くなりそうだ。
経済指標以外ではナーゲル独連銀総裁がベルリンで講演を行うが、トピックが「ドイツの経済成長」についてとなっている。財政改革の影響が、ドイツ経済にどのように変化を与えるか、連銀総裁の見通しには注目が集まりそうだ。
なお、9日から米国は夏時間に移行したことで、米国からの経済指標の発表が日本時間では1時間前倒しにされるほか、トランプ米大統領の発言が通常よりも早めに伝わってくることになる。今週にトランプ米大統領は鉄鋼とアルミニウムについての関税について発表する予定になっていることで、トランプ政権の動向次第がユーロ相場にも大きく影響を及ぼすことになるだろう。
・想定レンジ上限
ユーロドル:先週末の高値1.0889ドルや節目の1.0900ドルを超えた場合は、昨年11月6日高値1.0937ドル。
・想定レンジ下限
ユーロドル:先週末7日のNY時間の下押し水準1.0826ドル。その下は6日安値1.0766ドル。
ドル円:1ドル=147.52円(前営業日NY終値比▲0.52円)
ユーロ円:1ユーロ=159.85円(▲0.51円)
ユーロドル:1ユーロ=1.0835ドル(△0.0002ドル)
日経平均株価:37028.27円(前営業日比△141.10円)
東証株価指数(TOPIX):2700.76(▲7.83)
債券先物3月物:138.22円(▲0.40円)
新発10年物国債利回り:1.575%(△0.055%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
1月毎月勤労統計(現金給与総額)
前年比 2.8% 4.4%・改
1月国際収支速報
経常収支(季節調整前)
2576億円の赤字 1兆773億円の黒字
経常収支(季節調整済)
1兆9375億円の黒字 2兆7316億円の黒字
貿易収支
2兆9379億円の赤字 623億円の黒字
1月景気動向指数速報値
先行指数 108.0 107.9・改
一致指数 116.2 116.1・改
2月景気ウオッチャー調査
現状判断指数 45.6 48.6
先行き判断指数 46.6 48.0
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は弱含み。本邦長期金利の上昇や時間外のダウ先物の下落を手掛かりにした売りが先行し、一時147.09円まで値を下げた。もっとも、前週末安値の146.95円が目先のサポートとして意識されると売りも一服。米長期金利の低下幅縮小などを背景に下値を切り上げる展開となり、147.80円前後まで切り返した。
・ユーロドルは上値が重い。10時過ぎに1.0871ドルまで上昇する場面があったが、前週末高値の1.0889ドルには届かず、その後は1.0828ドルまで押し戻された。米金利の低下幅縮小に伴うドル買い戻しの影響を受けた。
・ユーロ円はさえない。ドル円の下落につれて早朝取引から上値を切り下げる展開となり、一時159.78円まで値を下げた。その後も安値圏で戻りの鈍い動きが続いた。
・日経平均株価は反発。小高く始まったものの、時間外の米株先物が下落するとつれて下げに転じた。ただ、その後は押し目買いが入ってプラス圏に浮上。総じてやや方向感を欠いた動きとなった。
・債券先物相場は反落。日銀の早期利上げ期待が売りを促す展開が続いた。5年物国債入札が低調な結果となったことも相場の重しとなった。なお、新発10年物国債利回りは2008年10月以来の水準となる1.575%まで上昇した。
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・西?M 徹氏
中国・コアインフレもマイナスに、ディスインフレ懸念は一段と深刻化
内需喚起策も一過性のものに留まる可能性、中国発ディスインフレが新たな軋轢を生む懸念も
このところの中国経済は、不動産不況と若年層を中心とする雇用回復の遅れが個人消費の足かせとなり、米トランプ政権の通商政策が外需の重石となる懸念がある。こうしたなか、当局は昨年後半以降に内需喚起に動いたほか、米トランプ政権の発足を前にした輸出駆け込みの動きも景気底入れを促した。5日に開幕した全人代(第14期全国人民代表大会第2回全体会議)でも内需喚起を一段と拡充する方針を示す一方、不動産市場や地方政府債務に取り組む考えを示したものの、実態として事実上「棚上げ」状態となる可能性に引き続き注意を払う必要がある。
不動産価格の低迷による資産デフレをきっかけにディスインフレ圧力が強まる展開が続くなか、2月のインフレ率は前年比▲0.7%と13ヶ月ぶりのマイナスとなり、春節連休一巡による生活必需品の価格下落も重なり下振れしている。しかし、2月はコアインフレ率も前年比▲0.1%と4年強ぶりのマイナスとなるなど幅広くインフレ圧力が後退している様子がうかがえる。さらに、川上の企業部門から川下の消費者段階にかけてディスインフレの動きが伝播する動きもみられ、物価上昇圧力が高まりにくい状況が続く可能性は高い。
全人代では、内需喚起に加えて子育て支援や高齢者介護の拡充などセーフティーネットの整備に動く方針も示すなど個人消費の拡大が重視されている。他方、科学技術の重点化に向けて民間資本の拡充に動く方針も示したが、当局が目指す「自立自強」に民間企業が巻き込まれる可能性がある。また、人口減少が進む一方で省人化投資に伴い製造業を中心に雇用が生まれにくくなっており、内需喚起策は一過性のものに留まる一方、過剰供給能力を巡って新興国との間で新たな軋轢が生まれる可能性にも要注意である。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券では、トランプ大統領の強硬姿勢に対する不安が高まる中、第1次トランプ政権時の関税政策と株価の動きについて振り返っている。18年から19年にかけて、鉄鋼・アルミや対中関税が連続的に発動され、製造業を中心に景況感が悪化した。これを受けた当時のFRBは19年7月に利下げを決定。この時の利下げは関税などがもたらす不確実性に対する「予防的利下げ」であった。足元のFF金利誘導目標は4.25~4.50%。今後の経済状況次第で、利下げの余地は十分にあると考えることもできると三菱UFJMSではコメントしている。
みずほ証券では、多くの日本企業は1ドル=150円を前提に業績予想を作ってきたが、足元148円台の円高が進展していることから、2025年度の業績予想は例年以上に慎重なものになると考えている。3月下旬にはGPIFの基本ポートフォリオと理事長・CIO人事が発表される予定。みずほでは日銀が国債購入を減らしていることから、GPIFが国内債券比重を引き上げ、海外債券比重を引き下げると予想しているが、外債比重を引き下げれば、さらなる円高を引き起こす可能性があると指摘している。
大和証券ではドル円に関して、米国の政策不確実性や日米双方のキーマンから円高を望む発言が出てきたことなどから、中期的に対円で見たドルの上値は重くなったと判断している。ただし、短期的には円安になると考えている。2月最終週にIMM投機筋の円買いが過去最高まで積みあがったことに着目。投機筋は比較的短期で過去のトレードを巻き戻す傾向もあるとのこと。同主体による円買いがどこまでも続くことは考え難く、目先は円の売り戻しが想定されると大和ではコメントしている。
2025年2月の米国の失業率は4.1%となり、1月の4.0%から上昇し、就業者数は前月比58.8万人減少した。
非農業部門雇用者数は、前月比+15.1万人の増加となり、1月は速報値の+14.3万人から+12.5万人へ下方修正(▲1.8万人)され、12月は改定値の+30.7万人から+32.3万人へ上方修正(+1.6万人)されたことから、合計で2000人の下方修正となった。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」によると、追加利下げ(▲0.25%=4.00-25%)の時期は6月米連邦公開市場委員会(FOMC)、9月も追加利下げ(▲0.25%=3.75-4.00%)、10月も追加利下げ(▲0.25%=3050-75%)が示唆されている。
2021年の非農業部門雇用者数は723.3万人の増加となり、年間ベースで過去最大の伸びを記録し、月平均は60.3万人の増加だった。2022年の月平均は+38.0万人、2023年平均は+21.6万人、2024年平均は+16.8万人、2025年平均は+13.8万人となった。
1. 政府効率化省(DOGE)による連邦政府職員削減計画
実業家イーロン・マスク氏が率いる「政府効率化省(DOGE)」が政府縮小と支出削減の取り組みの一環として、連邦政府職員の削減計画6万2242人を打ち出している。
米調査会社チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスが公表した2月の米企業や政府機関の人員削減計画は17万2017人と1月の4万9795人から大きく増加した。
労働省の雇用統計の調査対象週の2月12日週は、政府職員の解雇が実施される前だったことで、連邦政府職員は300.7万人で1月の301.7万人から1万人の減少だった。
2月16?22日の失業保険の総受給者数は前週の改定値から4万2000人増加し、189万7000人となった。元連邦政府職員向けの失業保険の申請件数(季節調整前)は1634件と、前の週から1020件増えた。
2.家計調査(Household survey):失業率を算出(※6万世帯)
2月の失業率は4.1%となり、1月の4.0%から上昇した。労働参加率(就業者および求職者の合計である労働力人口の生産年齢人口に占める割合)は62.4%だった。労働参加率が低下する中失業率は上昇し、就業率は59.9%へ低下した。
失業者数は705.2万人となり、1月の684.9万人から20.3万人増加し、2020年2月の570万人を依然として上回ったままとなっている。労働力人口(1億7035万人)は、パンデミック(世界的大流行)前の水準(1億6458万人)を約577万人上回っている。
不完全雇用率は、12月と1月の2カ月連続での7.5%から8.0%へ急伸し、2021年10月以来の高水準となった。
・不完全雇用率(U6):8.0%(1月7.5%、12月7.5%、11月7.7%:2020年5月21.1%)
(フルタイム雇用を望みながらパートタイム職に就いている労働者を含む広義の失業率)
・労働参加率:62.4%(1月62.6%、12月62.5%、11月62.5%:2020年2月:63.4%)
・長期失業者(27週以上):145.5万人(1月144.3万人:2020年2月112.1万人)
・黒人の失業率:6.0%(1月6.2%、12月6.1%、11月6.4%:2020年2月6.0%)
(※黒人の失業率は景気後退(リセッション)が近づく前に先行して上昇する傾向)
3.事業所調査(Establishment survey):非農業部門雇用者数(Non-Farm Payroll)(※12.2万の会社・政府機関)
2月の非農業部門雇用者数は、前月比+15.1万人の増加となり、50カ月連続での雇用拡大となった。平均時給は前月比+0.3%で、1月の+0.4%(0.5%から下方修正)を下回り、前年同月比は+4.0%となり、1月の+3.9%(4.1%から下方修正)を上回った。
民間部門の総賃金(雇用者数×週平均労働時間×時給)は前月比+0.4%で、12月の+0.2%を上回ったものの、前年比は+4.6%となり、2021年3月以来の低水準となった。
大阪3月限
日経225先物 37080 +310 (+0.84%)
TOPIX先物 2705.0 -0.5 (-0.01%)
日経225先物(3月限)は前日比310円高の3万7080円で取引を終了。寄り付きは3万7000円と買いが先行したが、シカゴ日経平均先物清算値(3万7270円)には届かなかった。戻りの鈍さが意識されてショートを誘う形となり、前場中盤にかけて3万6690円と下落に転じる場面もみられた。ただし、売り一巡後はショートカバーから切り返し、前場終盤にかけてプラス圏を回復。ランチタイムでは3万7150円まで上昇する場面もみられた。後場中盤に3万6930円をつけた後は、3万7000円~3万7100円処のレンジでの推移が続いた。
日経225先物は、3万7000円で始まった後に、ボリンジャーバンドの-2σ(3万6870円)を割り込む場面もあったが、前場中盤以降は-2σを上回っての推移だった。トランプ米大統領はメディアのインタビューで、関税政策の影響による景気後退を否定しなかったと報じられた。これがショートを誘う格好となったほか、グローベックスのナスダック100先物がマイナス圏で推移していたこともショートを仕掛けやすくさせた。
ただし、下へのバイアスは強まらず、前場終盤にかけて切り返す形だった。後場中盤に再び3万7000円を下回ったものの-2σは割り込まず、その後は3万7000円処での底堅さがみられた。下向きで推移するバンドに沿った調整を継続しているが、ナイトセッションで-2σは3万6720円、-1σが3万7530円、-3σは3万5920円辺りに位置している。3万7000円辺りでの底固めが続くようだと、結果的には-2σから上放れる形となり、-1σ水準を意識させよう。
もっとも、再び-2σを明確に割り込んでくると、-3σへのバイアスが強まる可能性がある。週末に3月限の先物・オプション特別清算指数算出(メジャーSQ)を控えて、底固めから限月交代に伴うロールオーバーを進めておきたいところである。底打ちがみられず不安定な状況のままSQを迎えると、ヘッジ対応の動きが強まりやすく、波乱の展開が警戒されてきそうだ。
NT倍率は先物中心限月で13.70倍に上昇した。足もとの低下により2023年9月以来の13.60倍を割り込んだほか、週末に米ハイテク株が買われた流れもあって、NTショートを巻き戻す動きが入ったようだ。13.60倍割れで目先的なボトムが意識されてくると、引き続きNTショートの巻き戻しが継続する可能性があろう。
手口面(3月限:立会内)では、日経225先物はソシエテジェネラル証券が2万4957枚、ABNクリアリン証券が2万1401枚、みずほ証券が8219枚、野村証券が6806枚、JPモルガン証券が6410枚、サスケハナ・ホンコンが5015枚、モルガンMUFG証券が4034枚、バークレイズ証券が3185枚、HSBC証券が3054枚、SBI証券が2807枚だった。
TOPIX先物は、みずほ証券が7万5345枚、ソシエテジェネラル証券が5万7311枚、ABNクリアリン証券2万4047枚、ゴールドマン証券が1万9847枚、JPモルガン証券が1万7850枚、モルガンMUFG証券が1万4924枚、BNPパリバ証券が1万2320枚、バークレイズ証券が1万1871枚、野村証券が9813枚、ビーオブエー証券が6334枚だった。
本日のNY為替市場のドル円は、重要な経済指標や要人発言の予定がないことで、米国債や株式市場の動向を注視しながら、引き続きトランプ米大統領の突発的な発言に警戒する展開となる。
米国債券市場では、昨年までのトランプ・トレード、すなわち、物価上昇圧力による「トランプフレーション(trumpflation)」ではなく、景気後退「トランプセッション(trumpcession)」を引き起こす可能性が高いのではないか、との警戒感が高まりつつある。
パウエルFRB議長は先日、「不確実性の高まりにもかかわらず、米経済は良好な状態が続いている」と述べて、金融緩和策の再開を急ぐ必要はないとの見解を示した。
しかし、アトランタ連銀の予測モデル「GDPナウ」は、米国の国内総生産(GDP)が1-3月(第1四半期)に▲2.4%へ縮小する見通しを示している。
今週前半の注目すべき予定は以下の通りとなっている。
・10日:中国の対米報復関税(第2弾)発動
・10-11日:カナダに対するトランプ関税の発表
・11日:ウクライナとアメリカの高官がサウジアラビアで会談
・12日:米2月消費者物価指数(CPI)
・12日:春闘、集中回答日
・13日:ドイツ議会で債務ブレーキ破棄などを審議
・14日:米国のつなぎ予算の期限
トランプ米大統領に関しては、先日の円安や日米安保条約への不満の繰り返し、4月2日に発動予定の相互関税での対日自動車関税への言及、などに警戒しておきたい。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」が示している今年の利下げ回数は3回、年末のFF金利誘導目標は3.50-75%となっている。(▲=マイナス)
・6月FOMC:▲0.25%=4.00-25%
・7月FOMC:▲0.25%=3.75-4.00%
・10月FOMC:▲0.25%=3.50-75%
・想定レンジ上限
ドル円の上値目処(めど)は、148.20円(3/7高値)
・想定レンジ下限
ドル円の下値目処(めど)は、145.92円(2024/10/4安値)
今週のNY市場は関税問題と経済指標に注目。先週はトランプ米大統領がメキシコとカナダからの輸入品に予定通り4日から25%の関税を発動し、中国に対しても10%の追加関税を発動したことで貿易摩擦懸念が強まったほか、経済指標が悪化し景気減速懸念が強まったことも投資家心理を悪化させた。ダウ平均は週間で1039.19ドル安(-2.37%)と大幅に反落し、2023年3月以来最大の週間下落を記録し、S&P500も3.10%安と3週続落し、昨年9月以来の大幅安を記録。ナスダック総合も3.45%安と大幅に3週続落。終値で高値から10%超下落し、「調整相場」入りとなった。注目された2月雇用統計は、非農業部門雇用者数が市場予想を下回り、失業率は前月の4.0%から4.1%に悪化した。投資家の不安心理を示すVIX指数は前週末の19.63ポイントから金曜日に一時26.56ポイントまで上昇し、23.37ポイントで終了した。
今週は貿易問題と経済指標に引き続き注目する展開となりそうだ。トランプ関税を巡っては、相手国も復関税の発動を決定しており、貿易摩擦激化が懸念される。経済指標では雇用を巡り火曜日に発表される1月JOLTS求人件数が注目されるほか、水曜日に2月消費者物価指数(CPI)、木曜日に2月生産者物価指数(PPI)、金曜日に3月ミシガン大1年先・5年先期待インフレ率速報値が発表される。来週18-19日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では政策金利の据え置きが確実視されているが、CMEのフェドウォッチ・ツールでは6月FOMCで82%の確率で利下げが見込まれており、先行きの利下げ見通しを巡り指標結果に要注目となる。決算発表はオラクル、アドビ、 ダラー・ゼネラル、アルタ・ビューティーなどが発表予定。
今晩の米経済指標・イベントは2月雇用傾向指数など。決算発表は引け後にオラクルなど。
日経平均株価は反発。下値を探る場面があり一時は先週末の安値(36813円)を下回る場面もあったが、37000円台をかろうじて回復する引けとなった。ローソク足も前日陰線に並ぶ陽線を形成した。
RSI(9日)は前日の27.0%→33.7%(3/10)に上昇。1/24高値(40279円)からの二段下げ目の動きは依然として続いている。昨年9月に形成したダブルボトムのネックラインである36900円付近のフシや、月足の一目均衡表の転換線(36791円)付近は維持している格好ではあるが、自律反発局面では5日移動平均線(37273円 3/10)や10日移動平均線(37594円 同)が上値抵抗になりやすく、短期的には値固めのイメージか。一方、先週末はネガティブな陰線で終えたが、きょうは直近でみられたような下ヒゲを形成した。目先は3/7の下落で形成したマドの上限(37580円)を埋め戻すような動きがみられるかが焦点となる。
上値メドは、5日移動平均線や10日移動平均線、心理的節目の38000円、25日移動平均線(38438円 同)、200日移動平均線(38641円 同)、心理的節目の39000円などがある。下値メドは、9/18高値(36675円)、心理的節目の36500円や36000円、9/17安値(35828円)、心理的節目の35500円、9/9安値(35247円)、心理的節目の35000円などがある。
(10日終値:11日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=147.18円(10日15時時点比▲0.34円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=159.39円(▲0.46円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0829ドル(▲0.0006ドル)
FTSE100種総合株価指数:8600.22(前営業日比▲79.66)
ドイツ株式指数(DAX):22620.95(▲387.99)
10年物英国債利回り:4.644%(△0.006%)
10年物独国債利回り:2.833%(▲0.003%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
1月独鉱工業生産
(前月比) 2.0% ▲1.5%・改
(前年比) ▲1.6% ▲2.2%・改
1月独貿易収支
160億ユーロの黒字 207億ユーロの黒字
2月スイスSECO消費者信頼感指数
▲33.6 ▲29.3
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は弱含み。ドイツの環境政党「緑の党」がメルツ氏の債務拡大計画を支持しない意向を示したことなどを受けて独DAXが一時2%超下げたほか、米政権による関税政策などを背景に米景気懸念が一段と高まるとダウ平均が860ドル超下落。投資家がリスク回避姿勢を強め円買い・ドル売りが優勢となった。米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.19%台まで低下したことも相場の重しとなり一時146.64円と昨年10月4日以来の安値を更新した。
ただ、売り一巡後は下げ渋る展開に。投機筋の円ロング(ドル円のショート)ポジションの偏りを警戒する向きが増える中、ショートカバーが進み一時147.32円付近まで下げ幅を縮める場面があった。米長期金利が低下幅を縮めたことも相場を下支えした。
・ユーロドルは上値が重かった。欧州勢参入後はユーロ売り・ドル買いが優勢となり、18時前に一時1.0805ドルと日通し安値を付けた。ただ、節目の1.0800ドル手前で下値の堅さを確認すると、一転して買い戻しが優勢に。市場では「ユーロ圏の3月投資家信頼感指数が前月から改善していたこともユーロ買いを誘った」との声が聞かれ、19時30分前に1.0875ドルと日通し高値を更新した。
もっとも、ドイツの「緑の党」がキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)などが提示した債務抑制策の緩和やインフラ投資へ向けた基金創設などの案について、「現状のままでは支持しない」との方針を示すとユーロ売りで反応。一時1.0813ドル付近まで押し戻された。
・代表的な暗号資産であるビットコイン(BTC)は軟調。対ドルでは節目の8万ドルを割り込み、一時7万8180ドル前後と昨年11月10日以来4カ月ぶりの安値を付けた。BTC円も1151万円前後まで大幅に下落し、昨年11月7日以来の安値を更新した。米ホワイトハウスで前週末開かれた暗号資産サミット後の失望売りが続いたほか、金融市場全般のリスク回避の動きが相場の重しとなった。
・ユーロ円はさえない。欧米株価の下落を背景にリスク回避の円買い・ユーロ売りが入ると、20時過ぎに一時158.90円と日通し安値を付けた。ただ、売り一巡後はドル円と同様に下げ渋った。
・ロンドン株式相場は5日続落。値ごろ感から買いが先行し反発して始まったものの、買い一巡後は次第に弱含み下げに転じた。ドイツや米国の株価指数が軟調に推移した影響を受けた。HSBCやロイズ・バンキング・グループなど金融株が売られたほか、ロールス・ロイス・ホールディングスやアシュテッド・グループなど資本財サービス株が値下がりした。
・フランクフルト株式相場は続落。米国の関税政策や経済の先行き不透明感を背景に米国株が下落すると、独株にも売りが波及した。緑の党がメルツ氏の債務拡大計画を支持しない意向を示したことも投資家心理の悪化につながった。個別ではシーメンス・エナジー(9.16%安)やMTUエアロ・エンジンズ(6.29%安)、SAP(4.78%安)などの下げが目立った。
・欧州債券相場は英国債が下落した一方、独国債が上昇した。
10日の日経平均は反発。終値は141円高の37028円。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり656/値下がり928。アドバンテストや東京エレクトロンなど半導体株の動きが良く、レーザーテックが10%近い上昇。売買代金上位ではOLCや古河電工などの強さが目立った。東邦チタニウム、大阪チタニウムのチタン2社が急伸。新作ゲームに対する期待が高まったカバーが買いを集めた。上方修正、増配、子会社の株式上場準備開始などを発表した日本駐車場開発が13.4%高と急騰した。
一方、三菱重工、IHI、川崎重工の防衛大手3社が大幅安。ゲーム大手の任天堂やソニーGが連日で大きく水準を切り下げた。地銀株や保険株など金融関連が全般軟調。良品計画、アシックス、サンリオなど、市場からの評価が高いタイプの銘柄に大きく値を崩すものが散見された。
日経平均は反発。ただ、プライムでは値下がり銘柄の方が多かった。前引け時点では値上がり銘柄の方が多かっただけに、後場に指数の上値が伸びなかったことで買い手が委縮したようにも見える。前引けではプラスであったTOPIXも下落で終えた。円高への警戒が強い局面では買いが入っても全面高にはなりづらく、スカッとした上昇が見られないと底打ち感が出てこない。きょうはプラスで終えたものの、安値は36705円まであり、先週の週の安値36813円を下回った。今は底割れに対する警戒が払しょくできるかどうかが重要となる。あすは一度も37000円を割り込まないことが理想的だが、下げたとしてもきょうの安値を下回ることなく推移できるかに注目しておきたい。
(10日終値)
ドル・円相場:1ドル=147.27円(前営業日比▲0.77円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=159.54円(▲0.82円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0834ドル(△0.0001ドル)
ダウ工業株30種平均:41911.71ドル(▲890.01ドル)
ナスダック総合株価指数:17468.32(▲727.90)
10年物米国債利回り:4.21%(▲0.09%)
WTI原油先物4月限:1バレル=66.03ドル(▲1.01ドル)
金先物4月限:1トロイオンス=2899.4ドル(▲14.7ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
特になし
(各市場の動き)
・ドル円は反落。トランプ米政権による関税政策などを背景に米景気懸念が一段と高まると米国株相場が大幅に下落。投資家がリスク回避姿勢を強め円買い・ドル売りが優勢となった。米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.19%台まで低下したことも相場の重しとなり、24時前に一時146.64円と昨年10月4日以来の安値を更新した。
ただ、売り一巡後は下げ渋る展開に。投機筋の円ロング(ドル円のショート)ポジションの偏りを警戒する向きが増える中、ショートカバーが進み一時147.47円付近まで下値を切り上げた。対資源国通貨中心にドル買いが進んだ影響も受けた。
・米株式市場でダウ平均が一時1100ドル超急落したことやWTI原油先物相場の下落を背景にドルは対資源国通貨で強含んだ。豪ドル米ドルは一時0.6265米ドル、NZドル米ドルは0.5691米ドルまで下落したほか、米ドルカナダドルは1.4473カナダドル、ドルメキシコペソは20.3961ペソまで値を上げた。
・ユーロドルはほぼ横ばい。欧州市場では一時1.0875ドルと日通し高値を付けたものの、NY市場では上値の重さが目立った。ドイツの「緑の党」がキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)などが提示した債務抑制策の緩和やインフラ投資へ向けた基金創設などの案について、「現状のままでは支持しない」との方針を示すと独DAXが一時2%超下落。ユーロ相場の重しとなった。
・ユーロ円は反落。ドイツの環境政党「緑の党」がメルツ氏の債務拡大計画を支持しない意向を示したことなどを受けて、20時過ぎに一時158.90円と日通し安値を付けたものの、NY市場では下げ渋る展開に。ドル円につれた動きとなった。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は大幅に反落。米関税政策を巡る不透明感を背景に米景気の先行き懸念が一段と高まると株売りが膨らんだ。トランプ米大統領が各種施策に伴って景気後退に陥る時期がありうることを示唆したことも投資家心理の悪化につながり、一時1100ドル超下げる場面があった。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も大幅反落。電気自動車(EV)のテスラが15%超急落した。
・米国債券相場で長期ゾーンは反発。米政権による関税政策への不透明感が強い中、「トランプ米大統領は景気後退を明確に否定しなかった」と伝わり、米景気の先行き懸念が一段と高まった。相対的に安全資産とされる米国債には買いが集まった。
・原油先物相場は反落。トランプ関税の悪影響が警戒されて米株が大きく売られ、リスク回避ムードが一気に強まった。エネルギー需要低迷に繋がる景気減速への懸念が広まるなか、原油への売り圧力も強まった。
・金先物相場は続落。先週末に見られた持ち高調整の売りが週明けも引き継がれた。米長期金利は低下したものの、金相場の支えとはならず。米株が急落したことで、投資家による換金売りが出ていたもよう。
ニューヨーク連銀の最新調査によると、1年後のインフレ期待は2月に3.1%と前回の3.0%から上昇した。また、3年後のインフレ期待は3.0%と前回から変わらず。5年後のインフレ期待も3.0%と前回と同じとなった。
10日08:23 トランプ米大統領
「サウジアラビアとのウクライナに関する協議から良い結果が得られると考えている」
「ロシアへの関税に関して多くの事項を検討」
「米国政府の資金不足は恐らく起こらないだろう」
10日08:25 カーニー次期加首相
「カナダは決して米国の一部にはならない」
「トランプ大統領が関税を撤回するまで報復関税を維持する」
「新たな貿易パートナーを見出し、国境を確保することを誓約」
10日16:13 石破首相
「日銀が目標を達成しつつあるという認識をもっている」
「日銀は安定的な物価実現のために各種政策を講じている」
「食料品やエネルギー価格高騰は物価目標を超えている」
「コメ高騰対策やエネルギー安定供給に政府として努力する」
10日19:40 カジミール・スロバキア中銀総裁
「ディスインフレの長期化を確認したい」
「関税は歴史的に成長を阻害し、インフレ要因」
「欧州中央銀行(ECB)、利下げ継続、停止で予断は禁物」
10日22:58 ナーゲル独連銀総裁
「次回会合の結果について推測すべきではない」
※時間は日本時間
<国内>
○08:30 ◇ 1月家計調査(消費支出、予想:前年比3.6%)
○08:50 ☆ 10-12月期実質国内総生産(GDP)改定値(予想:前期比0.7%/前期比年率2.8%)
○08:50 ◇ 2月マネーストックM2
<海外>
○06:45 ◇ 10-12月期ニュージーランド(NZ)製造業売上高
○08:30 ◇ 3月豪ウエストパック消費者信頼感指数
○09:01 ◇ 2月英小売連合(BRC)小売売上高調査(予想:前年同月比2.0%)
○09:30 ◇ 2月豪NAB企業景況感指数
○18:00 ◎ レーン・フィンランド中銀総裁、講演
○23:00 ◎ 1月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数(予想:763.0万件)
○12日02:00 ◎ 米財務省、3年債入札
○中国全国人民代表大会(全人代)閉幕
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
大阪3月限ナイトセッション
日経225先物 36400 -680 (-1.83%)
TOPIX先物 2661.0 -44.0 (-1.62%)
シカゴ日経平均先物 36475 -605
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
10日の米国市場はNYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が下落。トランプ米大統領はメディアのインタビューで、関税政策の影響による景気後退入りの可能性を否定しなかったと報じられた。米景気や米政権による関税政策の不透明感から売りが広がるなか、NYダウの下落幅は1100ドルを超える場面もみられた。機関投資家がベンチマークとするS&P500指数は2.69%の下落となり、下値メドとされていた200日移動平均線を明確に下抜け、昨年9月半ば以来の水準まで下げた。
NYダウ構成銘柄では、エヌビディア<NVDA>、アップル<AAPL>、ゴールドマン・サックス・グループ<GS>、アメリカン・エキスプレス<AXP>、ウォルマート<WMT>、JPモルガン・チェース<JPM>、セールスフォース<CRM>、マイクロソフト<MSFT>の下げが目立った。半面、ベライゾン・コミュニケーションズ<VZ>、スリーエム<MMM>、シェブロン<CVX>、アムジェン<AMGN>、メルク<MRK>が買われた。
シカゴ日経平均先物(3月限)清算値は、大阪比605円安の3万6475円だった。日経225先物(3月限)のナイトセッションは、日中比60円安の3万7020円で始まり、直後につけた3万7040円を高値にショート優勢の流れのなか、ボリンジャーバンドの-2σ(3万6620円)水準での攻防が続いた。ただし、終盤にかけて同バンドを割り込み、一時3万6170円まで下げ幅を広げる場面もみられた。終了間際にショートカバーが入り3万6550円まで下げ幅を縮める動きもあったが-2σを捉えられず、3万6400円でナイトセッションの取引を終えた。
シカゴ先物にサヤ寄せする形から、売り先行で始まることになりそうだ。トランプ米大統領のインタビュー発言については前日の朝方の時点で織り込まれていたが、米国市場でのネガティブ反応は予想以上だった。S&P500指数は200日線を明確に下抜けたほか、NYダウも同線を割り込む場面もあり、かろうじて200日線水準で終えた。さらにナスダック指数においては52週線を下抜ける形で明確に調整入りとなる。
日経225先物は、下向きで推移するボリンジャーバンドの-2σを挟んだ-1σ(3万7470円)と-3σ(3万5770円)によるレンジで調整を継続している。昨日は-2σを上回って終えたことで-1σが意識されてくることが期待されたが、再び-2σを割り込んだことで-3σとのレンジになりそうだ。そのため、オプション権利行使価格の3万5750円から3万6750円での推移が意識されよう。早い段階で-2σを回復し底堅さがみられるようだと、3万7000円が意識されてくるが、戻り待ち狙いのショートが入りやすい。
また、週末に先物・オプション特別清算指数算出(メジャーSQ)を控えているが、ボラティリティの高い状況のなかで限月交代に伴うロールオーバーは進みづらく、ヘッジ対応の動きから大きく振らされやすい。ロール以外ではスキャルピング中心の売買になりそうだ。
10日の米VIX指数は27.86(7日は23.37)に上昇した。一時29.56まで切り上がり、昨年12月18日の高値(28.32)を上回る場面もみられた。昨年8月5日につけた38.57(高値65.73)が次のターゲットとして意識される可能性もあるため、ロング解消の動きが強まりやすいだろう。
昨日のNT倍率は先物中心限月で13.70倍(7日は13.59倍)に上昇した。足もとの低下で2023年9月以来の13.60倍を割り込んだほか、7日の米国市場でハイテク株が買われた流れもあって、NTショートを巻き戻す動きが入った形である。13.60倍割れで目先的なボトムが意識されてくる可能性はあるものの、10日の米国市場ではエヌビディアが5%安となるなか、NTショートに振れやすいと考えられる。
昨日の海外市場でドル円は、米国株式相場が大幅に下落し、米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.19%台まで低下したことが相場の重しとなり、一時146.64円と昨年10月4日以来の安値を更新した。ただ、売り一巡後は下げ渋る展開になり一時147.47円付近まで下値を切り上げた。ユーロドルは欧州市場では一時1.0875ドルと日通し高値を付けたものの、独DAXが一時2%超下落したことで上値も抑えられた。
本日の東京時間でドル円は、引き続き上値は限られそうだ。ただ、昨日は米金利が低下し、本邦新発10年物国債利回りは2008年10月以来の水準となる1.575%まで上昇したにも関わらず、147円台まで戻したことを考えるといったんは下値トライも小休止にはなりそうだ。
ドル円の上値を抑えているのは、上述のように本邦長期金利が上昇過程を辿っていることがあげられる。本日の日経新聞にも指摘されているが、日銀のターミナルレートの水準が見えてこないことで、債券市場では長期金利が連日じり高になっている。植田日銀総裁着任後、市場との対話が全く取れていないことで、債券市場の混乱が続いている。次回日銀の金融政策決定会合は来週18-19日だが、ブラックアウト期間は各金融政策決定会合の2営業日前(会合が2営業日以上にわたる場合には会合開始日の2営業日前)ということもあり、本来ならばブラックアウト期間前に市場へメッセージを送れる状態ではあるが、全くそのような兆候がない。日銀自体が政府の意向に左右されているせいか、ターミナルレートが定かではないことで、本邦長期金利の上昇が円買い意欲を高める要因として残りそうだ。
本日の東京時間では1月家計調査、10-12月期実質国内総生産(GDP)改定値などが発表される。両指標とも重要指標だが、ここ最近の市場の反応は鈍く、本日も反応は限られそうだ。経済指標よりも警戒が必要になりそうなのが、トランプ政権による関税政策になる。日本時間の11日未明に武藤経済産業相がラトニック米商務長官やグリア米通商代表部(USTR)代表と会談した。鉄鋼製品とアルミニウムへの関税措置に対して日本の除外を求めたとの報道もあるが、トランプ米大統領の匙加減一つで決定が下されることもあり、12日発動が迫る追加関税についての発表が注目される。
なお、市場では先週発表されたIMMポジションがこれまでにない13万3651の円ロングだったことを警戒する声もあるが、昨年7月は16万1469の円ショートだったことを考えると、過去最高ということについて拘りを持つ必要はないか。
円以外の通貨ではオセアニア通貨の動向に要注目。昨日は欧州時間にはじり高になったが、米株が急落をしていることで、NY午後にかけてリスク回避に敏感なオセアニア通貨は大幅安となった。本日のアジア・オセアニア市場も株安が先行することが予想され、オセアニア通貨は株価の動きで値幅を伴った動きになりそうだ。
東京市場は軟調か。米国株は下落。ダウ平均は890ドル安の41911ドルで取引を終えた。景気後退に対する警戒が高まり、寄り付きから300ドル近い下落。42000ドルを割り込み、一時下げ幅を1100ドル超に広げた。終盤にはやや持ち直したものの、戻りは限られた。主力グロース株が軒並み崩れており、ナスダックが4%安と大きな下落率となっている。株安を受けて米10年債利回りは大きく低下。ドル円は足元147円00銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが大証日中終値と比べて605円安の36475円、ドル建てが600円安の36480円で取引を終えた。
弱い米国株を受けて、大きく水準を切り下げると予想する。CME225先物も大幅安スタートを示唆している。ハイテクグロース株に厳しい展開が想定され、値持ちの良かった銘柄にも手じまい売りが出てくると思われる。米長期金利が大きく低下しておりディフェンシブ株には資金が向かう要素があるが、地合いが一段と悪化する中、全体では買い手控えムードが強まるだろう。安く始まり、場中も下押し圧力の強い地合いが続くと予想する。日経平均の予想レンジは36200円-36700円。
日経225先物は11時30分時点、前日比650円安の3万6430円(-1.75%)前後で推移。寄り付きは3万6270円と売りが先行し、シカゴ日経平均先物清算値(3万6475円)を割り込む形で始まった。その後は3万6200円~3万6300円辺りでの保ち合いがみられたが、ショート優勢の流れのなか、中盤にかけて3万5980円まで下落幅を広げた。節目の3万6000円を割り込んだことで、いったんは底入れが意識され、終盤にかけてはショートカバーを誘う形で下落幅を縮めている。
日経225先物は、3万5980円まで売られた後は下げ幅を縮めてきたが、ボリンジャーバンドの-2σ(3万6630円)水準を超えられないと、戻り待ち狙いのショートが警戒されてくる可能性はありそうだ。3万6000円割れでいったんは底入れが意識されるものの、-2σ接近で上値を抑えられるようだと、3万6000円~3万6500円辺りでのレンジが意識されてくるだろう。
NT倍率は先物中心限月で13.75倍に上昇した。一時13.64倍に低下する場面もみられたが、前場中盤以降は、NTショートを巻き戻す動きが入っているようだ。日経225先物の3万6000円割れで、リバランスに向かわせやすいタイミングになりそうだ。
昨日は米国株が急落。ダウ平均は一時1100ドルを超える下落となったほか、ナスダックにいたっては何と4%の大幅な下落。米10年債利回りも大幅な低下となるなか、リスクオフの動きが強まることになりました。トランプ米大統領が「過渡期」と表現したり、ベッセント米財務長官が「デトックス」など発言しているように、トランプ政権が市場の多少の調整はやむを得ないと考えていることが嫌気され売りを誘った模様。
ドル円は7日の安値146.95円を下抜けると一時146.64円まで売り込まれたものの、引けにかけては米長期金利が低下幅を縮めたこともあり147.47円まで買戻されています。アジア時間に入ってからは、日経平均が一時36000円の大台割れ。4桁の下落となるなか一時146.54円まで値を下げたものの、株価が下げ幅を縮めるにつれて147.19円まで買戻されているといったところです。
昨日もお伝えした通り、ドル円は単純にリスクオフだからと言って売り込んだとしても、下サイドに走らない相場。いずれにしても、市場のショートポジションが溜まっている状況では、売れば売るほど、その一方でショートカバーがより早まる市場環境となっているわけで、株価の下げ止まりといった僅かなきっかけにおいても、戻りを試す動きに繋がっています。また、本邦実需勢は淡々と下値を拾っている状況に変わりはなく、ドル円のリスクとしては、次第に上方向へと向かいつつあるといえます。
本日の欧州時間でユーロドルは、まずはドイツの債務抑制見直し案をめぐる政治状況が左右することになりそうだ。
そもそもの債務見直し案は、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)、社会民主党(SPD)、そして緑の党の3党が、3分の2の議席を保有している状態で可決する必要がある。2月23日に行われた選挙では、極右・ドイツのための選択肢(AfD)が第二党に躍進したことで、今月25日に発足する新議会ではCDU・CSU、SPD、緑の党では可決する議席数が足りず、新議会前に見直し案を通過させなければならない。下院の臨時議会が13日から18日とまだ時間はあるものの、昨日「現状のままでは支持しない」と反対に回った緑の党の動向が注目される。緑の党が賛成に回った場合はユーロは素直に買われるだろうが、難色を示した場合には上値を抑える要因にはなりそうだ。
ドイツの政治状況以外には、引き続きトランプ政権の動向に目が集まる。明日12日に鉄鋼とアルミニウムへの追加関税が発動される予定になっているが、朝令暮改を繰り返すトランプ米大統領はどのような対応を取るかが注目される。本日も米株指数先物が大幅に下げ幅を広げているが、一部では米株の投資判断を中立に引き下げる一方で、欧州は引き上げているように、トランプ米大統領が関税に過激な発言を繰り返した場合には株安によりユーロ買い・ドル売りに動く場面もありそうだ。
なお、本日は欧州からは主だった経済指標の発表は予定されていない。また、レーン・フィンランド中銀総裁の講演は予定されているものの、ここ最近の市場は欧州の金融政策への反応がやや鈍いことで市場を動意づけるのは難しそうだ。
・想定レンジ上限
ユーロドル:先週末の高値1.0889ドルや節目の1.0900ドルを超えた場合は、昨年11月6日高値1.0937ドル。
・想定レンジ下限
ユーロドル:10日安値1.0805ドル。その下は6日安値1.0766ドル。
ドル円:1ドル=147.21円(前営業日NY終値比▲0.06円)
ユーロ円:1ユーロ=159.56円(△0.02円)
ユーロドル:1ユーロ=1.0839ドル(△0.0005ドル)
日経平均株価:36793.11円(前営業日比▲235.16円)
東証株価指数(TOPIX):2670.72(▲30.04)
債券先物3月物:138.82円(△0.60円)
新発10年物国債利回り:1.510%(▲0.065%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
1月家計調査(消費支出)
前年同月比 0.8% 2.7%
10-12月期実質国内総生産(GDP)改定値
前期比 0.6% 0.7%
前期比年率 2.2% 2.8%
2月マネーストックM2
前年同月比 1.2% 1.3%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は下値が堅い。日経平均株価の大幅下落や米長期金利の低下を手掛かりにした売りが先行し、昨年10月以来の安値となる146.54円まで値を下げた。ただ、一巡後は日本株が急ピッチで下げ幅を縮小したほか、米金利の低下一服などを支えに買い戻しが入り、147.40円まで反発した。
・ユーロドルは強含み。米金利低下を背景にした買いが先行した。昨日高値の1.0875ドル手前では伸び悩む場面もあったが、ドイツの「緑の党」の共同代表が「防衛費を巡る週内の合意を期待」との見解を示すと独財政拡大策を巡る交渉への期待感が高まり、昨日高値に面合わせした。
・ユーロ円は下値が堅い。株安を手掛かりにした売りに押されて一時158.98円まで下落したが、その後はドル円と同様に買い戻しが進んだ。15時過ぎにはユーロドルの上昇につれた買いも入り、160.18円まで上値を伸ばした。
・日経平均株価は反落。米景気の先行き不透明感から昨日の米国株式市場でハイテク株の下げが目立ち、本日の国内株にも売りの流れが波及した。半導体関連株など幅広い銘柄に売りが広がり、指数は一時1000円超の下押しとなり、約半年ぶりに節目の3万6000円を下回る場面も見られた。ただ、その後は自律反発狙いの買いが相場を下支えし、次第に下げ幅を縮小した。
・債券先物相場は反発。日経平均株価が一時1000円を超える大幅安となったことを受け、リスク回避目的の債券需要が意識された。新発10年物国債利回りは3営業日ぶりに節目の1.5%を割り込む場面も見られた。
UBS証券では、3月6日に日本の10年国債利回りが1.5%に達し、2009年6月以来の高水準となったことに注目している。日銀のターミナルレート見通しの上昇、債券投資家のインフレ期待高まり、日本の防衛費に対する財政需要の高まり期待を考えると、1.5%でも低すぎると思われるとUBSではコメント。今後の利回り上昇は、特に4月からの新年度以降は緩やかになると予想しているものの、より速いペースで、現在のUBS見通しである年末時点で1.7%よりも高い水準になるリスクがあると考えている。
中国と米国は最近、両国最高指導者の会談の調整を行っているようだ。香港英字紙『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』によると、トランプ米大統領は早ければ4月に中国を訪れる可能性があり、米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』(WSJ)』は、両国が中国の習近平国家主席の6月の訪米を調整し、トランプ氏と「誕生日サミット」を開催する案を議論していると伝えている。『信報』が11日伝えた。
『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』は、外交筋の話として、習近平氏とトランプ氏が互いに訪問を呼びかけており、これを外交上の勝利と捉えていると報じた。トランプ氏はフロリダ州のマール・ア・ラゴでの会談を希望しているが、中国側は米国または中国でより正式な会議を開催したいと考えているという。報道によると、トランプ氏の訪中計画は初期段階にあり、早ければ来月の訪問が見込まれている。
また、『ウォール・ストリート・ジャーナル』は、中米両国が習近平氏の6月の訪米を調整していると伝えており、トランプ氏の誕生日の6月14日、習近平氏の誕生日の6月15日にあわせた「誕生日サミット」の可能性があると報じている。しかし、これらの議論は依然として初期段階にあり、詳細は未定。
「誕生日サミット」の議論は、両国が関税問題などで生じた緊張関係を緩和し、善意を示す意向を示している。しかし、交渉に参加した中国側の関係者は、習近平氏の訪米がウクライナのゼレンスキー大統領がホワイトハウスで経験したような状況を招く可能性を懸念している。これが、中国側がトランプ氏の訪中をより望む理由の一つとされている。
東海東京インテリジェンス・ラボでは、6日に開催されたECB理事会についてリポートしている。ECBは市場予想通り0.25%ポイントの利下げを決定し、中銀預金金利は2.50%となった。昨年6月の利下げ開始以降、これで6回目の利下げとなる。その一方でECBは、利下げの効果が家計や企業にプラスの影響を与えつつあることなどから、緩和局面が終わりに近づいていることを示唆した。投資家にとって、これまではECBの利下げ継続が前提であったが、今後の利下げに関してはより慎重なアプローチがとられることになりそうと東海東京ではコメントしている。
「年内のリセッション入りを予想するのは嫌いだ。われわれが行っていることは非常に大きいので、過渡期がある」(トランプ米大統領)
米国債市場では、2024年にリセッション(景気後退)入りを警告していた「逆イールド(長短金利差逆転)」が解消していたが、2025年3月に復活した。
背景には、トランプ関税は、物価上昇圧力による「トランプフレーション(trumpflation)」ではなく、景気後退「トランプセッション(trumpcession)」を引き起こす可能性が高いのではないか、との警戒感がある。
トランプ米大統領は、米国経済が今年縮小してリセッション(景気後退)入りするか問われた際に、その可能性を排除しなかった。
1.トランプ関税
・メキシコ&カナダへの25%関税(3月4日):自動車関税は1カ月猶予
・中国への追加関税:10%から20%に引上げ
・EUからの輸入品:25%関税を検討
・相互関税:4月2日から発動予定
2. スタグフレーションのリスク
トランプ関税は、輸入品価格の高騰により、物価上昇圧力を高めることになる。
トランプ減税の延長は、購買力の高まりにより、物価上昇圧力を高めることになる。
米国のピーターソン国際経済研究所によれば、トランプ関税のコストは米国内総生産(GDP)の1.8%となり、第1次トランプ米政権での米中貿易戦争でのコスト0.4%を大幅に上回るとのことで、貿易戦争での勝者はいない。
米国の2024年10-12月期の国内総生産(GDP)は29.7兆ドルだったので、コストは5300億ドル程度となる。
中国政府は、米国の関税への報復措置として、米国産の農産物や食品など210億ドル相当に対し10-15%の追加関税を課すと発表し、米中が全面的な貿易戦争へと一歩近づいた形となった。
3.サーム・ルール(Sahm Rule)
米連邦準備理事会(FRB)の元エコノミストであるクローディア・サーム博士が提唱したもので、失業率の「3ヵ月移動平均」と「過去1年間の最低水準」の差が0.5%以上上昇した場合、1年以内にリセッション入りするとの説である。
1949年以来の12回のリセッションを的確に予告してきた。
2024年7月は0.53%へ上昇しており、景気後退入りの「炭鉱のカナリア」が鳴き止んだ。
サーム氏は7月雇用統計発表後に、「米国はリセッションに陥っていないが、良い方向には向かっていない」と述べた。しかし、2024年8月以降、0.50%を下回っている。
2024年7月から1年以内とは、2025年6月までのリセッション入りを警告していたことになる。
SMBC日興証券では、1月の賃金動向についてリポートしている。1月の名目賃金(現金給与総額)は前年同月比+2.8%と、前月の同+4.4%から伸びが大きく鈍化した。12月は冬のボーナスが全体の賃金を押し上げていたが、1月はその影響がはく落した。実質賃金は前年同月比で-1.8%となり、3カ月ぶりにマイナス。ボーナスによる押し上げがなくなったことに加えて、生鮮食品を含めた食品価格の上昇が実質賃金を抑制した。所定内給与は前年同期比+3.1%と、約32年ぶりに3%台まで伸びが拡大。ただ、労働生産性はそれほど伸びていないため、賃金上昇の持続性には懸念があるとSMBC日興では指摘している。
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・西?M 徹氏
メキシコ、「トランプ2.0」に対峙中の財務公債相交代が意味するもの
政策の方向性は不変も困難な財政運営は変わらず、ペソ相場は今後も「トランプ2.0」に揺さぶられよう
メキシコ経済を巡っては米国経済への依存度が極めて高いなか、米トランプ政権の通商政策に揺さぶられる展開が続いている。トランプ氏は先月4日にメキシコからの輸入品に25%の追加関税を課す大統領令の発令に動いたが、直後に両首脳の電話会談を経て30日延期された。さらに、今月4日に一旦発令されるも直後にUSMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)に準拠した財への課税は30日免除されており、最悪の事態は回避された格好である。
両国が貿易戦争に発展すればメキシコ経済に深刻な悪影響が懸念されるなか、その最中の7日にラミレス財務公債相が辞任を公表する予想外の動きが表面化した。ただし、後任には副大臣であったアマドール氏が昇格し、ラミレス氏も国際経済問題担当の顧問に就任しており、財政運営を巡る大幅な変更はない模様である。ただし、シェインバウム政権が様々なバラ撒きや国家資本主義的な財政運営を志向するなかで難しい財政運営を迫られる状況は変わらない。足下のインフレは落ち着いた動きをみせるなかで中銀は緩和ペースを加速させるなど景気下支えに向けた姿勢を強めている。他方、ペソ相場は落ち着きを取り戻すなど金融市場はトランプ氏による関税政策の延期を期待していると見込まれるものの、今後も期日に向かってペソ相場は動揺を繰り返す展開が続く可能性には引き続き注意する必要がある。
米中間の貿易やその他の問題に関する交渉が、低レベルの段階で停滞しているようだ。双方の主張が食い違い、進展に向けた合意に至っていないという。『信報』が外電を引用して11日伝えた。
関係者によると、米中両国の代表は接触を続けているものの、中国側当局者は、米国が対中関税を撤廃するために中国に求める具体的な措置、特にフェンタニル問題に関して、明確な要求を示していないと述べた。第2弾の関税措置は、米中両国の実務レベルの担当者にとって予想外だったという。
別の関係者によると、トランプ米大統領のチームは、具体的な要求を示していないとの見方を否定し、ホワイトハウスがワシントンの外交官を通じて、中国の謝鋒駐米大使を含む中国側にメッセージを伝えた。
米国側が提示した要求には、中国がメキシコへのフェンタニル製造用化学物質の輸出を停止すること、密輸業者に死刑を科すこと、『人民日報』の1面でフェンタニル取引を非難する記事を掲載することなどが含まれている。
関係者は、明確な要求を出すかどうかといった点を含む双方の意見の相違は、トランプ米大統領と習近平中国国家主席の外交スタイルの根本的な違いを示していると指摘した。例えば、トランプ氏はカナダやメキシコの首脳との貿易交渉に自ら参加するが、中国は習氏とトランプ氏が電話会談する前に、ほとんどの詳細を詰めることを求めるのが通例だ。
トランプ氏の正式就任前には両首脳が電話会談し、戦略的コミュニケーションチャンネルを維持することで合意したが、その後は電話会談が行われていないもよう。トランプ氏は2月に両首脳が間もなく再び会談すると述べていたが、ホワイトハウスの考えを知る関係者によると、現時点で両首脳の対面会談の予定はないという。
大阪3月限
日経225先物 36760 -320 (-0.86%)
TOPIX先物 2671.5 -33.5 (-1.23%)
日経225先物(3月限)は前日比320円安の3万6760円で取引を終了。寄り付きは3万6270円と売りが先行し、シカゴ日経平均先物清算値(3万6475円)を割り込む形で始まった。ショート優勢の流れのなか、前場中盤にかけて3万5980円まで下落幅を広げた。
節目の3万6000円を割り込んだことで、いったんは底入れが意識され、前場終盤にかけてショートカバーを誘って下落幅を縮め、シカゴ先物の終値水準を回復。その後は3万6350円~3万6500円辺りで保ち合い、後場中盤以降にショートカバーとみられる動きが強まり、終了間際には3万6810円まで下げ幅を縮めた。
日経225先物は、3万5980円まで売られた後はカバーの動きが優勢となり、ボリンジャーバンドの-2σ(3万6690円)を上回って終えた。バンドは下向きで推移しており、これに沿った形での調整が警戒されるものの、支持線として意識されてくるようだと、ショートを仕掛けづらくさせくるだろう。
また、週末に3月限の先物・オプション特別清算指数算出(メジャーSQ)を控えて、限月交代に伴うロールオーバーが中心になる。仕掛け的なトレードは限られており、3万6000円割れで一段と下へのバイアスが強まる動きにはならず、リバランスに向かわせていた。短期的には仕掛け的なトレードが入りやすいとみられるが、ロール中心のなかで追随する動きは限られそうだ。
日経225先物は、いったん底入れが意識されたことで、3万6520円まで下がってきた-2σと-1σ(3万7390円)によるレンジでの推移となりそうだ。そのため、まずはオプション権利行使価格の3万6500円から3万7000円のレンジを想定しておきたい。3万7000円回復から、-1σ狙いの動きをみせてくるようだと、短期筋のカバーを誘う動きになりそうである。
NT倍率は先物中心限月で13.76倍に上昇した。一時13.64倍に低下する場面もみられたが、前場中盤以降はNTショートを巻き戻す動きが入ったようだ。日経225先物は3万6000円割れ後に下げ幅を縮め、指数インパクトの大きいアドバンテスト<6857.T>[東証P]が上昇に転じるなか、リバランスに向かわせやすいタイミングとなった。
手口面(3月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が3万2902枚、ソシエテジェネラル証券が3万2553枚、みずほ証券が2万1269枚、野村証券が1万1776枚、バークレイズ証券が1万0124枚、モルガンMUFG証券が7688枚、JPモルガン証券が6600枚、サスケハナ・ホンコンが6578枚、ゴールドマン証券が6314枚、HSBC証券が4803枚だった。
TOPIX先物は、みずほ証券が5万3573枚、ソシエテジェネラル証券が4万5163枚、バークレイズ証券が3万6761枚、ABNクリアリン証券2万9434枚、ゴールドマン証券が2万2042枚、野村証券が2万1490枚、JPモルガン証券が1万9271枚、モルガンMUFG証券が1万9161枚、大和証券が1万4003枚、BNPパリバ証券が1万0896枚だった。
本日のNY為替市場のドル円は、1月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数を見極めつつ、米国債や株式市場の動向を注視しながら、引き続きトランプ米大統領の突発的な発言に警戒する展開となる。
トランプ米大統領の今回の「リセッション(景気後退)」への言及は、パウエルFRB議長に早期の利下げを促すディールかもしれないものの、ブラックアウト期間のため米連邦準備理事会(FRB)高官の見解は聞かれない。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」が示している今年の利下げ回数は3回、年末のFF金利誘導目標は3.50-75%となっている。
・5月FOMC:-0.25%=4.00-25%
・7月FOMC:-0.25%=3.75-4.00%
・9月FOMC:-0.25%=3.50-75%
1月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数は763.0万件と予想されており、12月の760.0万件からの増加が見込まれている。
トランプ米政権による連邦政府職員の大量解雇は、2月中旬以降に影響しており、1月の求人件数への影響はないと思われるものの、ネガティブサプライズには警戒しておきたい。
米国1月の雇用関連指標は以下の通り、まちまちとなっている。
・失業率:4.0%(2月:4.1%)
・非農業部門雇用者数:+12.5万人(2月:+15.1万人)
・ADP全米雇用報告:+18.6万人(2月+7.7万人)
・ISM非製造業雇用指数:52.3(2月53.9)
・ISM製造業雇用指数:50.3(2月47.6)
・消費者信頼感指数(労働市場格差):19.4(2月17.1)
・チャレンジャー人員削減予定数:4万9795人(2月17万2017人)
・想定レンジ上限
ドル円の上値目処(めど)は、148.20円(3/7高値)
・想定レンジ下限
ドル円の下値目処(めど)は、145.92円(2024/10/4安値)
今晩は1月JOLTS求人件数などの経済指標に注目。昨日はベッセント米財務長官やトランプ米大統領の発言を受けて景気減速懸念が高まり主要3指数がそろって大幅に下落した。ダウ平均が890.01ドル安(-2.08%)、S&P500が2.70%安、ナスダック総合が4.00%安とそろって大幅反落した。ナスダック総合は2022年9月以来の大幅安を記録し、ダウ平均とS&P500も昨年12月以来の大幅安となった。年初来ではダウ平均が1.49%安とマイナス圏に突入し、S&P500が4.54%安、ナスダック総合が9.54%安とともに下落幅を拡大した。引け後の動きでは業績見通しを引き下げたデルタ航空が時間外で11%超下落した。
今晩の取引では昨日の大幅安で押し目買いによる反発が期待されるが、米景気の先行き見通しを巡り経済指標に注目する展開となりそうだ。今晩は、寄り前に2月NFIB中小企業楽観度指数、寄り後に1月JOLTS求人件数が発表予定で、中小企業の景況感や雇用動向が注目される。このほか、水曜日の2月消費者物価指数(CPI)、木曜日の2月生産者物価指数(PPI)、金曜日の3月ミシガン大1年先・5年先期待インフレ率速報値などにも要注目となる。
今晩の米経済指標・イベントは2月NFIB中小企業楽観度指数、1月JOLTS 求人件数など。主要な企業の決算発表はなし。
日経平均株価は反落。前日終値から安く寄り付いた後は下値模索となり、一時は36000円を割り込む場面があった。一方、売りが一巡した前場中盤あたりからはほぼ一本調子で戻りを試す展開となり、結局は高値引けとなる陽線を形成した。
RSI(9日)は前日の33.7%→32.5%(3/11)に低下。長い下ヒゲのある陽線で底入れ期待も強いが、基本的には1/24高値(40279円)からの二段下げ目の動きは依然として続いている。
昨年9月に形成したダブルボトムのネックラインである36900円付近のフシや、月足の一目均衡表の転換線(36791円)付近を意識して戻した点は評価できるとし、目先は3/7の下落で形成したマドの上限(37580円)を埋め戻すような動きがみられるかが焦点となる。ただ、初動の自律反発局面では5日移動平均線(37166円 3/11)や10日移動平均線(37450円 同)が上値抵抗になりやすく、短期的には値固めのイメージとなる。
上値メドは、5日移動平均線や10日移動平均線、心理的節目の38000円、25日移動平均線(38327円 同)、200日移動平均線(38631円 同)、心理的節目の39000円などがある。下値メドは、心理的節目の36500円や36000円、9/17安値(35828円)、心理的節目の35500円、9/9安値(35247円)、心理的節目の35000円などがある。
米財務省によると、3年債入札(ダッチ方式)の落札結果は最高落札利回りが3.908%、応札倍率(カバー)が2.70倍となった。
(11日終値:12日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=147.17円(11日15時時点比▲0.04円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=160.92円(△1.36円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0934ドル(△0.0095ドル)
FTSE100種総合株価指数:8495.99(前営業日比▲104.23)
ドイツ株式指数(DAX):22328.77(▲292.18)
10年物英国債利回り:4.674%(△0.030%)
10年物独国債利回り:2.897%(△0.064%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
特になし
(各市場の動き)
・ユーロドルはしっかり。ドイツの環境政党「緑の党」のブラントナー共同党首が「キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と防衛費を巡って交渉の用意がある。週内にも合意の可能性」との見解を示すと、独財政拡大策を巡る交渉成立への期待感が高まりユーロ買いが先行。前日の高値1.0875ドルや7日の高値1.0889ドルを上抜けて一時1.0931ドルまで値を上げた。
その後発表の1月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数が774.0万件と予想の763.0万件を上回ったことが分かると全般ドル買いが入り、1.0895ドル付近まで伸び悩む場面もあったが、下押しは限定的だった。
NY午後に入ると、「ウクライナは米国が提案した30日間の一時停戦を受け入れる用意がある」との報道が伝わった。ウクライナ情勢を巡る懸念が和らぐと全般ユーロ買いが活発化し、一時1.0947ドルと昨年10月11日以来5カ月ぶりの高値を更新した。
なお、ウクライナは「米国と天然資源取引で近く合意へ」「米国は情報共有と安全保障の支援再開に合意」との声明を発表した。
・ドル円は上値が重かった。ナイト・セッションの日経平均先物や欧州株相場が上昇して始まると、投資家の過度なリスク回避姿勢が和らぎ円売り・ドル買いが先行した。投機筋の円ロング(ドル円のショート)ポジションの偏りを警戒する向きが増える中、ショートカバーも進み、22時過ぎに一時148.11円と日通し高値を付けた。
ただ、そのあとは上値の重さが目立った。23時発表の米雇用指標は予想より強い内容となったものの、トランプ米大統領がカナダ産鉄鋼・アルミニウムの輸入関税を25%から50%に引き上げるよう商務長官に指示したと明らかにすると、米国株相場が下落。リスク回避の円買い・ドル売りが入り、147.03円付近まで下押しした。
・ユーロ円は底堅い動き。ドイツで財政出動が早期に実現するとの期待が投資家心理を支え、23時前に一時161.73円まで値を上げた。ただ、トランプ米政権による関税政策などを背景に米景気懸念が一段と高まると米国株相場が軟調に推移。投資家がリスク回避姿勢を強め円買い・ユーロ売りが入り、160.63円付近まで伸び悩む場面があった。
もっとも、ウクライナが米国提案の停戦案に前向きとの報道が伝わると再び強含んだ。3時30分前には一時161.79円と日通し高値を更新した。
・カナダドルはトランプ米大統領がカナダへの関税強化を表明したことを受けて全面安の展開となった。対米ドルでは一時1.4521カナダドル、対ユーロでは1.5857カナダドル、対円では101.38円まで下落した。
・ロンドン株式相場は6日続落。米国の関税政策や経済の先行き不透明感を背景に前日の米国株相場が下落すると、英株にも売りが波及した。ハルマやセイジ・グループなど情報技術セクターが売られたほか、アストラゼネカやグラクソスミスクラインなど医薬品株が値下がりした。
・フランクフルト株式相場は3日続落。財政出動が早期に実現するとの期待から買いが入り、序盤はプラス圏で推移する場面もあったが、米関税政策への警戒は根強く終盤失速した。個別ではヘンケル(10.36%安)やダイムラー・トラック・ホールディング(5.34%安)、BASF(4.01%安)などの下げが目立った。
・欧州債券相場は下落。国防費増強に向けた財政拡大観測で独国債が売られた。
11日の日経平均は反落。終値は235円安の36793円。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり418/値下がり1176。ナスダックの大幅安を受けて序盤では半導体株が大きく売られていたが、アドバンテストやSCREENが切り返してプラス転換。TOWAは4%を超える上昇となった。売出価格が決まったゆうちょ銀が商いを伴って上昇。月次が好感されたMonotaROが急伸した。通期の見通しを上方修正したMTGは、買いが殺到してストップ高となった。
一方、米長期金利の低下を嫌って金融株が軟調。T&D、みずほFG、SOMPOなどの下げが大きかった。株安進行を受けて野村HDが4%を超える下落。ナスダックの大幅安を受けてソフトバンクGやリクルートなどグロース株の一角が大幅安となった。1Qが最終赤字となった学情が13.2%安と急落した。
日経平均の安値は35987円まであり、36000円を割り込んだ。一方、ローソク足では下に長いヒゲをつけており、終値(36793円)は寄り付き(36584円)を上回って高値引け。下に値幅は出たものの、終わってみれば常識的な下げにとどまり、引け味も良かった。下値での買い意欲が確認できただけに、悪い流れを断ち切ることができるか、あす以降の動きが大きく注目される。
目先は日米長期金利やドル円の動きが大きくなる可能性がある。国内ではあすの寄り前に、2月国内企業物価指数や1-3月期法人企業景気予測調査の発表がある。春闘の集中回答日でもあり、日銀の早期追加利上げが意識される可能性がある。米国ではあす2月の消費者物価指数(CPI)が発表される。日本株を見る上では為替が大きく円高に振れてしまうと、押し目買い意欲が削がれてしまう。円高一服で大幅高の展開に期待したいところではあるが、逆の展開も想定されるだけに為替動向には注意を払っておきたい。
(11日終値)
ドル・円相場:1ドル=147.78円(前営業日比△0.51円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=161.36円(△1.82円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0919ドル(△0.0085ドル)
ダウ工業株30種平均:41433.48ドル(▲478.23ドル)
ナスダック総合株価指数:17436.10(▲32.22)
10年物米国債利回り:4.28%(△0.07%)
WTI原油先物4月限:1バレル=66.25ドル(△0.22ドル)
金先物4月限:1トロイオンス=2920.9ドル(△21.5ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
1月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数
774.0万件 750.8万件・改
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ユーロドルは上昇。ドイツの環境政党「緑の党」のブラントナー共同党首が「キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と防衛費を巡って交渉の用意がある。週内にも合意の可能性」との見解を示すと、独財政拡大策を巡る交渉成立への期待感が高まりユーロ買いが進んだ。
NY午後に入ると、ウクライナが「米国提案のロシアとの30日間の停戦を受け入れる用意がある」と発表。ウクライナは停戦案を受け入れる一方、米国は情報共有と安全保障の支援を即時再開。双方は天然資源取引を可及的速やかに締結することでも合意した。ウクライナ情勢を巡る懸念が和らぐと全般ユーロ買いが活発化し、3時30分前に一時1.0947ドルと昨年10月11日以来5カ月ぶりの高値を更新した。
・ドル円は反発。1月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数が774.0万件と予想の763.0万件を上回ったことが分かると全般ドル買いが先行し一時148.11円まで値を上げた。
ただ、トランプ米大統領がカナダ産鉄鋼・アルミニウムの輸入関税を25%から50%に引き上げるよう商務長官に指示したと明らかにすると、米国株相場が下落。リスク回避の円買い・ドル売りが入り、147.03円付近まで下押しした。
もっとも、「カナダで最大の人口を抱えるオンタリオ州のフォード首相は米国向け電力価格の25%上乗せを一時停止することに同意」と伝わり、トランプ米大統領が「カナダへの50%関税、取り下げる可能性を検討」と発言すると株価の下げ渋りとともにドル円にも買い戻しが入った。4時前には147.92円付近まで持ち直した。
・ユーロ円も反発。ドイツで財政出動が早期に実現するとの期待が投資家心理を支え、23時前に一時161.73円まで値を上げたものの、トランプ米政権による関税政策などを背景に米景気懸念が一段と高まるとダウ平均が一時730ドル超下落。リスク・オフの円買い・ユーロ売りが入り、160.63円付近まで下押しした。
ただ、ウクライナが米国提案の停戦案に前向きとの報道が伝わると再び強含んだ。3時30分前には一時161.79円と日通し高値を更新した。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は続落。米関税政策を巡る不透明感を背景に米景気の先行き懸念が一段と高まると幅広い銘柄に売りが先行。指数は一時730ドル超下落した。ただ、ウクライナとロシアの停戦交渉が進むとの期待から買い戻しが入ると下げ幅を縮めた。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も続落。プラス圏で推移する場面もあったが、終盤失速した。
・米国債券相場で長期ゾーンは反落。「ロシアによる侵略を受けるウクライナが米国の提示した30日間の停戦案を受け入れることで合意した」と伝わると、地政学リスクに対する警戒が後退し、債券売りが広がった。1月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数が予想を上回ったことも相場の重し。
・原油先物相場は小幅に反発。前日引け後にも65ドル台で下げ幅を広げたが、NY序盤には67ドル前半まで切り返した。もっとも一巡後は上げ幅を縮小する展開に。トランプ関税の強化で景気が減速し、エネルギー需要の減少に繋がるという根強い懸念が重しとなった。
・金先物相場は3日ぶりに反発。為替でドル安ユーロ高が進行し、割安感が生じたドル建て金は買い戻しが優勢に。時間外で2880ドル台の底堅さを確認し、NY勢の参入後に2920ドル台まで持ち直すとその後も底堅く推移した。
一部通信社が報じたところによると、「カナダで最大の人口を抱えるオンタリオ州のフォード首相は電力価格25%上乗せの一時停止に同意した」ようだ。
ウクライナは11日、「米国と天然資源取引で近く合意へ」「米国は情報共有と安全保障の支援再開に合意」との声明を発表した。
一部通信社が報じたところによると、「米国は対ウクライナ軍事支援の一時停止の解除に合意した」ようだ。
一部通信社が報じたところによると、「ウクライナは30日間の一時停戦という米国の提案を受け入れる用意がある」ようだ。
中国の乗用車メーカー団体である乗用車市場信息聯席会(CPCA)は10日、2025年2月の狭義での乗用車(セダン、多目的車=MPV、スポーツ多目的車=SUV)の小売台数が前年同月比26.0%増の138万6000台で、同月の過去最多だったと発表した。前月比では22.8%減った。1-2月累計の小売台数は前年同期比1.2%増の317万9000台となった。
好調だった背景についてCPCAは、2025年の新車買い替え助成策が段階的に始まり、消費者の消費マインドが比較的安定していたこと、メーカー各社が春節(旧正月)連休中にマーケティングに注力したこと、基準となる昨年2月の数値が低かったことなどを挙げた。
2月の中国ブランド車の小売台数は前年同月比51.0%増の91万台となり、市場シェアは65.6%で前年同月から10.6ポイント拡大した。一方、主要合弁ブランド車の販売台数は2.0%減の33万台だった。
2月の新エネルギー乗用車の小売台数は前年同月比79.7%増の68万6000台、1-2月累計では前年同期比35.5%増の143万台だった。新エネルギー乗用車の2月の卸売台数上位10位は、
11日08:32 ゼレンスキー・ウクライナ大統領
「11日の米国当局者との会談におけるウクライナの立場は完全に建設的」
「10日のサウジアラビアでの会談の大部分がウクライナの安全保障に関する保証に充てられた」
11日08:48 武藤経済産業相
「関税措置、日本が対象になるべきではないと米側に伝えた」
「米国からは日米経済関係の発展に向けて緊密に協議を重ねていきたい意向を示された」
「鉄鋼関税措置、日本を除外するという話にはなっていない」
11日09:49 加藤財務相
「長期金利の上昇、国債の安定消化を図ることが重要」
11日23:04 トランプ米大統領
「カナダ産の鉄鋼とアルミニウムに50%の関税を課す」
「カナダ産の鉄鋼とアルミニウムに対する関税は12日に発動」
12日04:10
「ロシアとは今日遅くか明日にでも会う予定」
「プーチン大統領がこの計画に同意してくれることを期待」
「オンタリオ州の電気料金の上乗せ一時停止というフォード氏の決定を尊重」
「マーケットは上下するもの」
「ゼレンスキー氏を再度ホワイトハウスに招きたい」
「対カナダ関税の引き下げについて検討している」
「カナダへの50%関税、取り下げる可能性を検討」
※時間は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 1-3月期法人企業景気予測調査
○08:50 ◇ 2月企業物価指数(予想:前月比▲0.1%/前年比4.0%)
○春闘、集中回答日
<海外>
○16:00 ◇ 1月トルコ経常収支(予想:32.0億ドルの赤字)
○17:45 ◎ ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○18:15 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、パネルディスカッションに参加
○19:30 ◎ 2月インド消費者物価指数(CPI、予想:前年比3.98%)
○19:30 ◎ 1月インド鉱工業生産(予想:前年同月比3.5%)
○20:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○21:00 ◎ 2月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前年同月比5.05%)
○21:00 ◎ エスクリバ・スペイン中銀総裁、パネルディスカッションに参加
○21:30 ☆ 2月米消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.3%/前年比2.9%)
☆ エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比0.3%/前年比3.2%)
○21:45 ◎ センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演
○未定 ◎ ポーランド中銀、政策金利発表(予想:5.75%で据え置き)
○22:45 ☆ カナダ銀行(BOC、中央銀行)、政策金利発表(予想:2.75%に引き下げ)
○22:45 ◎ ナーゲル独連銀総裁、パネルディスカッションに参加
○23:30 ◇ EIA週間在庫統計
○13日00:15 ◎ レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼主任エコノミスト、あいさつ
○13日01:00 ◎ 2月ロシア消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.8%)
○13日01:30 ◎ パネッタ伊中銀総裁、講演
○13日02:00 ◎ 米財務省、10年債入札
○13日03:00 ◎ 2月米月次財政収支(予想:3032億ドルの赤字)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
昨日の海外市場でドル円は、カナダへの関税をめぐる米政権の動向で147.03円付近まで下押し後、147.92円前後まで持ち直した。ユーロドルは独・緑の党が「防衛費を巡って交渉の用意がある」との見解を示すと、独財政拡大策を巡る交渉成立への期待感が高まりユーロ買いが進み、一時1.0947ドルと昨年10月11日以来5カ月ぶりの高値を更新した。
本日の東京時間でドル円は、トランプ政権の関税をめぐる方針次第で乱高下することになりそうだ。もっとも、日銀に対する利上げ期待の高まりや、トランプ米大統領が円安を懸念していることでドル円の上値は限られるだろう。
トランプ政権の鉄鋼製品とアルミニウムへの関税は、12日の米東部時間0時(日本時間の13時)すぎに発動する予定になっている。ただし、あまりにも朝令暮改を繰り返していることで、対象国を含め直前に変わる可能性もありそうだ。昨日は日本への課税ではなく、カナダ産の鉄鋼・アルミニウムの輸入関税を25%から50%に引き上げとの報道でドル円は1円超下落、一方で「50%の関税を取り下げる可能性を検討」とのトランプ米大統領の発言が伝わると1円弱上昇するなど、乱高下を繰り返した。本日も同様に、トランプ米大統領の発言が市場を動意づけることになるだろう。
関税の対象国となった多くの国は、報復関税をすぐに発動することが濃厚だが、国防面なども絡んでくることを考えると、日本は報復関税には動きにくいかもしれない。その場合、関税回避のために日米で円安是正などの話し合いがもたれるようなことになった場合は、円相場が大きな転換点を迎えることになる。
関税をめぐる動向がメイントピックであることには変わらないが、本日発表される2月の国内企業物価指数にも注目しておきたい。昨日は、本邦の1月消費支出が弱く、10-12月期実質国内総生産(GDP)の改定値が下方修正されると、小幅に円売りで反応した。しかし、その後は株安や時間外の米長期金利の低下に連れて、ドル円は146.54円まで下がり年初来安値を更新した。
本邦の弱い経済指標の結果に対しての円売りの反応が限られているのは、債券市場では日銀のターミナルレートの水準が見えてこないことで、金利先高観が根強いままであることがあげられる。来週18-19日に迫る日銀金融政策決定会合を控えて、日銀関係者が一向に市場との対話を取ろうとしないことは、植田日銀総裁が着任後はほぼ政権の意向に従い、日銀に金融政策を決定する権限がないのではないかとの声も一部では出ている。日銀が金利先高観を否定しないことで、本邦の経済指標では弱い結果への反応は鈍く、強い結果となったものに市場は過敏に反応することになりそうだ。
なお、国内企業物価指数の市場予想は、前年比で前回の+4.2%よりは低下するものの、+4.0%とインフレ目標の2%を超えている。よほど予想より低下しない限りは、本邦金利上昇を招き円買いに傾きやすそうだ。
東京市場は軟調か。米国株は下落。ダウ平均は478ドル安の41433ドルで取引を終えた。トランプ大統領が自身のSNSでカナダの鉄鋼とアルミニウムの関税を25%から50%に引き上げると表明。関税に対する不透明感から幅広い業種が売りに押された。エヌビディアなど半導体株の一角には買いが入っており、ナスダックは小幅な下げにとどまった。ドル円は足元147円90銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが大証日中終値と比べて235円安の36525円、ドル建てが230円安の36530円で取引を終えた。
米国株の弱い動きが続いており、日本株も警戒売りに押されると予想する。きのうの日経平均は一時4桁安となったところから引けでは235円安まで戻しているだけに、下値では買いが入るとみる。ただ、本日の米国では2月の消費者物価指数(CPI)が発表される。結果次第では米国でインフレに対する警戒が再燃するリスクもあるだけに、注目指標を前に売買自体が手控えられやすい。水準を切り下げて始まった後は、マイナス圏で様子見姿勢の強い地合いが続くだろう。日経平均の予想レンジは36400円-36850円。
大阪3月限ナイトセッション
日経225先物 36520 -240 (-0.65%)
TOPIX先物 2657.5 -14.0 (-0.52%)
シカゴ日経平均先物 36525 -235
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
11日の米国市場はNYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が下落。トランプ米大統領は自身のSNSで、カナダのオンタリオ州政府が米国に供給する電力に25%の追加料金を課すと発表したことに対抗し、カナダから輸入する鉄鋼とアルミニウムに対する関税を引き上げると投稿した。トランプ大統領が相次いで打ち出す政策への不透明感を背景に主力株を中心に売られ、NYダウの下落幅は一時700ドルを超えた。その後、オンタリオ州政府が25%の追加料金を停止すると伝わったことで下落幅を縮めたが、関税政策が二転三転するなか、不安定な相場展開となった。
NYダウ構成銘柄では、ベライゾン・コミュニケーションズ<VZ>、ウォルト・ディズニー・カンパニー<DIS>、マクドナルド<MCD>、IBM<IBM>、アップル<AAPL>が下落。半面、ボーイング<BA>、エヌビディア<NVDA>、セールスフォース<CRM>、ユナイテッドヘルス・グループ<UNH>、アマゾン・ドット・コム<AMGN>が買われた。
シカゴ日経平均先物(3月限)清算値は、大阪比235円安の3万6525円だった。日経225先物(3月限)のナイトセッションは、日中比30円安の3万6730円で始まり、その後はロング優勢となり、3万6920円まで買われる場面もみられた。買い一巡後は3万6720円~3万6870円辺りで保ち合ったが、米国市場の取引開始後にレンジを下抜けると、中盤にかけて3万6110円まで下げ幅を広げた。その後、3万6820円までリバウンドを強めたものの、終盤にかけて軟化し、3万6520円でナイトセッションの取引を終えた。
シカゴ先物にサヤ寄せする形から、売り先行で始まりそうだ。トランプ大統領のSNS投稿に過剰な反応を示すなか、日経225先物は3万6110円まで売られ、ボリンジャーバンドの-2σ(3万6470円)を下回る場面もみられたが、3万6000円を割り込まなかったほか、終値では-2σを上回っている。楽観視はできないものの、前日の3万5980円までの下落でいったんは底入れが意識されそうだ。
下向きで推移する-2σを挟んだ-1σ(3万7360円)と-3σ(3万5580円)によるレンジ推移が継続しているが、-2σで底堅さがみられてくることで、ショートカバーの動きが入りやすいだろう。また、ウクライナ政府は米国が提示した30日間の停戦案を受け入れたと報じられている。ロシアの出方次第ではあるが、ひとまず地政学リスクが和らぐとの見方につながり、短期筋のショートを手控えさせそうだ。
そのため、オプション権利行使価格の3万6500円を中心とした上下の権利行使価格3万6250円から3万6750円のレンジを想定。-2σ水準で底堅さがみられる局面では3万6500円から3万7000円にレンジが切り上がるとみておきたい。また、-2σを下回って推移し、3万6000円に接近する局面では、押し目狙いのロング対応となろう。
11日の米VIX指数は26.92(10日は27.86)に低下した。一時29.57まで切り上がる場面もみられ、昨年8月5日につけた38.57(高値65.73)が次のターゲットとして意識される可能性はあるものの、その後の低下によって、いったんショートカバーに向かわせやすい。
昨日のNT倍率は先物中心限月で13.76倍(11日は13.70倍)に上昇した。一時13.64倍に低下する場面もみられたが、前場中盤以降は、NTショートを巻き戻す動きが入ったようだ。日経225先物は3万6000円割れ後に下げ幅を縮め、指数インパクトの大きいアドバンテスト<6857.T>[東証P]が上昇に転じるなか、リバランスに向かわせやすいタイミングになった。11日の米国市場ではエヌビディアが買われたこともあり、NTショートを巻き戻す動きがみられそうだ。
日経225先物は11時30分時点、前日比110円高の3万6870円(+0.29%)前後で推移。寄り付きは3万6550円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万6525円)にサヤ寄せする形から、売りが先行して始まった。ただし、開始直後につけた3万6540円を安値にショートカバーを交えたロング優勢の流れとなり、一気に3万6960円まで上げ幅を広げた。買い一巡後に下落に転じる場面もみられたが下へのバイアスは強まらず、中盤以降は3万6800円~3万6900円辺りでの推移を続けた。
日経225先物は、ボリンジャーバンドの-2σ(3万6530円)水準で始まると、同バンドをサポートとする形でのリバウンドによって、オプション権利行使価格の3万6500円から3万7000円での推移となった。ただし、アドバンテスト<6857.T>[東証P]が2%を超える下落で日経平均株価の重荷となり、節目の3万7000円は仕掛けづらいところである。半導体株の一角が弱いなかでも3万7000円を捉えてくるようだと、短期筋のカバーを誘う形になろう。
NT倍率は先物中心限月で13.67倍に低下した。一時13.78倍に上昇する場面もみられたが、その後はアドバンテストなど半導体株の下げにより、相対的にTOPIX型優位となった。前日の上昇部分を帳消しにしており、改めてNTショートに振れやすくなったようだ。
昨日のドル円は、欧州時間にユーロドルの上昇につれて146.76円まで下押す場面もみられましたが、その後は株価が堅調に推移するなか、アジア時間に低下していた米10年債利回りが上昇に転じるとリスクオン。1月米JOLTS求人件数が予想を上回ったことも買戻しを後押しすると一時148.11円まで値を上げました。
その後は、トランプ米大統領がカナダ産鉄鋼・アルミニウムの輸入関税を25%から50%に引き上げるよう米商務長官に指示したことが判明すると一転してリスクオフの動きから147.03円まで下押ししたものの、50%関税の引き金となっていたカナダオンタリオ州による米国向け電力価格の25%上乗せが一時停止されることが報じられると再び買戻しの展開に。トランプ米大統領も50%関税の取り下げを検討。更には、ウクライナが米国の停戦案に合意。引けにかけては147.92円まで買戻されて、慌ただしかったNY市場を終えています。
結局、トランプ米大統領の脅しの材料に市場は振り回されることになったわけですが、アジア市場に入ってからは、実際の鉄鋼・アルミニウムへの関税発動を目前に控えているなか、「少々疲労感も漂う」値動き。ドル円は仲値にかけては昨日高値の148.11円を上抜けて一時148.15円まで値を上げたものの、その後は147.85円まで下押し。株価や米長期金利の動向などを睨みながら148.00円を挟んだもみ合いとなっています。
いずれにしても、ドル円は連日お伝えしているように、米系短期勢を中心とするショートポジションが大量に滞留した状況に変わりはなく、リスクオフに対する感応度の低下が顕著となっているわけで、だからこそ、コストを払ってまでポジションを持ち越すことへのインセンティブは明らかになくなりつつあるといったところ。
日銀の利上げ期待も一部海外勢の中では根強く残っているようですが、市場がこれだけ不安定な状況では、内田日銀副総裁が言明しているように、追加利上げが出来る環境ではなく、実際のところ、3月利上げへの期待感も減退しつつあるなか、ドル円は踏み上げのきっかけ待ちとなっているのかもしれません。
本日の欧州時間でユーロドルは、ドイツの債務見直し案の更なる進展、ウクライナの停戦案の動向などを確かめていくことになる。
昨日は、ドイツの債務見直し案に難色を示していた緑の党が「キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と防衛費を巡って交渉の用意がある。週内にも合意の可能性」との見解を示した。明日から始まるドイツの下院は18日まで会期が続くが、緑の党からしても新議会開催後には第二党まで躍進する極右・ドイツのための選択肢(AfD)に対しての抵抗感が根強いことで、25日に発足する新議会の前に見直し案を通過させる可能性が高い。見直し案が可決すれば、一部で米株の投資判断を中立に引き下げる一方で、欧州株は引き上げられていることもあり、中長期的に見てもユーロ買いも集まりやすいだろう。
ウクライナの和平をめぐる交渉は流動的。昨日はウクライナが「米国提案のロシアとの30日間の停戦を受け入れる用意がある」と発表すると、和平への進展期待が高まった。ルビオ米国務長官は「ボールは今、ロシアのコートにある」と述べたように、ロシアサイドの出方次第となっている。ただ、プーチン露大統領はウクライナ東部のドネツィク、ルハンシク、ヘルソン、ザポリージャの各地域全体を掌握することを望んでいることを明らかにしているが、今回の米国の提案にはこれらのウクライナ領土についてはどのような扱いになるのかが全く発表されていない。よって、仮にロシアが停戦に合意した場合でも終戦に行きつくまではかなりの時間を要しそうだ。ただ、ユーロ相場はロシアが停戦を合意した場合は素直に買われ、拒否した場合は売られることになるだろう。
トランプ関税については、昨日は円やオセアニア通貨はリスク選好・回避の動きで翻弄されたが、ユーロ相場への影響は限られた。市場は上述のドイツの債務見直し案とウクライナ情勢を重視していることで、本日もトランプ米大統領が直接欧州に対しての大規模関税強化を発表しない限りは、関税の発言などではユーロの反応は鈍いままか。
なお、本日は欧州からは主だった経済指標の発表は予定されていない。仏・西・独・葡の各国中銀総裁が講演やパネルディスカッションに登壇はするが、ここ最近は中銀総裁発言で市場が動意づくことは少ないことで、余程サプライズとなる発言が出ない限りは無風に終わりそうだ。
・想定レンジ上限
ユーロドル:昨日高値1.0947ドルが目先のめどだが、その上は昨年10月7-9日の3営業日上抜けることができなかった1.1000ドル。
・想定レンジ下限
ユーロドル:近場では昨日1.09ドル台乗せ後の下押し水準1.0882ドル近辺。その下は昨日安値1.0830ドル。
ドル円:1ドル=148.05円(前営業日NY終値比△0.27円)
ユーロ円:1ユーロ=161.42円(△0.06円)
ユーロドル:1ユーロ=1.0903ドル(▲0.0016ドル)
日経平均株価:36819.09円(前営業日比△25.98円)
東証株価指数(TOPIX):2694.91(△24.19)
債券先物3月物:138.40円(▲0.42円)
新発10年物国債利回り:1.520%(△0.015%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
1-3月期法人企業景気予測調査
大企業業況判断指数(BSI、全産業)
2.0 5.7
大企業業況判断指数(BSI、製造業)
▲2.4 6.3
2月企業物価指数
前月比 横ばい 0.3%
前年同月比 4.0% 4.2%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は小高い。昨日からの流れを引き継いで買いが先行した。148.00円を挟んだ水準でもみ合う場面もあったが、午後に入って一時148.29円まで上昇。もっとも、一巡後は148円割れ水準まで押し戻されるなど、積極的に上値を試す動きとはならなかった。
なお、米政府は現地時間で12日を迎えた日本時間13時、鉄鋼・アルミ関税を例外なく予定通りに発動。欧州連合(EU)は対抗措置として「米国からの輸出品に最大260億ユーロ相当の関税をかける」などの報道が伝わっている。
・ユーロドルは小安い。対円などでややドル買いが進んだ流れに沿って、1.0895ドルまで値を下げた。時間外の米10年債利回りは4.25%台まで小幅に低下しているが、相場への影響は限られた。
・ユーロ円はもみ合い。ドル円とユーロドルの影響を同時に受けたため、161円台半ばを挟んだ水準で方向感なく推移した。
・日経平均株価は反発。外国為替市場で円安・ドル高が進んだことを手掛かりに、海外勢からの買いが観測された株価指数先物主導で底堅く推移した。ウクライナ情勢を巡る地政学リスクの後退も相場を下支えしたが、景気の先行き不安などが上値を抑えたことで買いの勢いも強まることはなかった。
・債券先物相場は反落。前日の米国債券相場が下落した流れを引き継いで売りが先行した。20年物国債入札への警戒感も相場の重しとなり、一時138円34銭まで下押し。なお、20年債入札は「弱めの結果」だったが、事前に警戒感が高まっていたため、相場への影響は限られた。
HSBCグローバル・プライベート・バンキング・アンド・ウェルス・マネジメントのアジア地区チーフ投資責任者、範卓雲(Cheuk Wan Fan)氏はこのほど、全人代(全国人民代表大会)閉幕会議で承認された政府活動報告が、科学技術革新、消費刺激、民営企業の発展支援に経済政策の重点を移したことを示しており、中国株式市場の再評価に積極的な推進力をもたらすと述べた。『AAストックス』が12日伝えた。
範氏は、人民元相場の安定を維持する政策を継続していることから、中国人民銀行の利下げ余地は比較的小さいと指摘。2025年末までに政策金利が0.3ポイント、預金準備率が0.5ポイントそれぞれ小幅に引き下げられると予想した。
同氏は、両会(全人代と全国政治協商会議)で示された積極的な政策シグナルは、中国株式と中国の米ドル建て投資適格社債をオーバーウエートとするHSBCの見方を支持するものであり、中国株式市場には依然として上昇余地があるとみている。ネット・IT株が上昇を主導すると予想。これには、中国市場が人工知能(AI)技術のブレークスルーを背景に再評価される可能性、利益見通しの改善、外国投資家の保守的なポジション、大幅なバリュエーションディスカウントといった要因が影響すると指摘した。
過去1カ月の市場の力強い反発を経ても、ハンセン指数とMSCI中国指数の12カ月先の予想株価収益率(PER)はそれぞれ11倍と11.9倍にとどまっており、米S&P500種指数の20.9倍をそれぞれ47%、43%下回る水準。中国ネット株の12カ月先の予想PERは16.2倍で、米国の主要ハイテク株7銘柄(マグニフィセント・セブン=アップル、マイクロソフト、アルファベット、アマゾン・ドット・コム、エヌビディア、テスラ、メタ)の26.6倍を39%下回るとした。
HSBCは、インターネット、電子商取引(EC)、ソフトウエア、スマートフォン、半導体、自動運転、ロボット分野のAI推進企業とAI応用企業に強気の見方をしている。ハイテク株に加え、中国の消費、金融、工業セクターの大手企業や、高配当の優良国有企業株も選好している。
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・西?M 徹氏
ブラジル24年成長率は+3.4%に加速も、足下の景気にブレーキ
先行きは「トランプ2.0」の脅威に内需にも不透明要因山積、今年の成長率は+1.9%に留まると予想
こ数年のブラジル経済を巡っては、物価高と金利高の共存が内需の重石になり、中国の景気減速が外需の足かせとなるなかで景気は力強さを欠く推移が続いた。しかし、一昨年以降は高止まりしたインフレが鈍化するとともに、中銀も利下げに動くなど内需を巡る環境改善が期待された。結果、個人消費は底入れするとともに、企業部門の設備投資も拡大するなど内需をけん引役に景気は底入れの動きを強める様子が確認された。他方、ルラ政権下で財政状況は悪化し、経常赤字も拡大するなど経済のファンダメンタルズの脆弱さが増すなか、レアル相場は調整に転じ、インフレも加速するなか、中銀は再び利上げに舵を切っている。
昨年前半はインフレ鈍化や利下げが内需の追い風となる動きがみられたが、年後半にかけてこうした環境は一変し、10-12月の実質GDP成長率は前期比年率+0.69%と内・外需双方で鈍化が確認されている。さらに、生産動向もすべての分野で力強さを欠くなど厳しい状況に直面している。昨年の経済成長率は+3.4%と3年ぶりの高水準に加速したが、年末にかけての景気にブレーキが掛かっている。また、米トランプ政権の通商政策を巡る不透明感がレアル相場の重石となるなど、先行きの外需は一層困難に直面する可能性もある。インフレと中銀のタカ派姿勢も内需の足かせとなる展開が続くと見込まれることから、当研究所は今年の経済成長率が+1.9%に鈍化すると予想する。
モルガン・スタンレーMUFG証券では、一般的に円高は企業の収益性を損ない低インフレを再燃させるとみられがちだが、適度な円高は日本の国内需要主導の景気回復やインフレの持続を阻害しないと考えている。日銀の引き締め姿勢から円は対ドルで円高になると予想している。しかし、ドル円が短期間で130円程度まで円高が進まない限り、日本経済の耐性は維持されるとMSMUFGでは考えている。
「利下げと据え置きの双方の可能性がある」(ラガルドECB総裁)
2025年3月6日に開催された欧州中央銀行(ECB)理事会では、予想通りに中銀預金金利の0.25%の利下げが決定された。オーストリア中銀のホルツマン総裁が棄権した。
声明文では、米国との貿易戦争の脅威や欧州諸国の防衛費増額計画などに起因する不確実性の高まりを警告し、4月の次回会合で利下げを一時停止する可能性が示唆された。
1.欧州中央銀行(ECB)の金融政策正常化(※中銀預金金利)
■2025年3月6日: 2.50%(第6次利下げ)▲0.25%
・限界貸出金利 :2.90%(3.15%)▲0.25%
・リファイナンス金利:2.65%(2.90%)▲0.25%
・中銀預金金利 :2.50%(2.75%)▲0.25%
■2025年1月30日: 2.75%(第5次利下げ)▲0.25%
■2024年12月12日: 3.00%(第4次利下げ)▲0.25%
■2024年10月17日: 3.25%(第3次利下げ)▲0.25%
■2024年9月12日: 3.50%(第2次利下げ)▲0.25%
■2024年7月18日: 3.75%(据え置き)
■2024年6月6日:▲0.25%=3.75%(第1次利下げ)
■2024年4月11日~2023年10月26日:4.00%(据え置き)
■2023年9月14日:+0.25%=4.00%(第10次追加利上げ)
■2023年7月27日:+0.25%=3.75%(第9次追加利上げ)
■2023年6月15日:+0.25%=3.50%(第8次追加利上げ)
■2023年5月4日:+0.25%=3.25%(第7次追加利上げ)
■2023年3月16日:+0.50%=3.00%(第6次追加利上げ)
■2023年2月2日:+0.50%=2.50%(第5次追加利上げ)
■2022年12月15日:+0.50%=2.00%(第4次追加利上げ)
■2022年10月27日:+0.75%=1.50%(第3次追加利上げ)
■2022年9月8日:+0.75%=0.75%(第2次追加利上げ)
■2022年7月21日:+0.50%=ゼロ(第1次利上げ)
2.声明文
「ディスインフレのプロセスは順調に進んでいる」
「利下げにより企業や家計の借入コストが低下し融資の伸びが加速する中、金融政策は実質的に引き締め的(restrictive)でなくなりつつある」
※従来「政策は引き続き引き締め的(restrictive)」
3.ラガルドECB総裁
「利下げと据え置きの双方の可能性がある」
「金融政策は実質的に引き締め的でなくなってきている」
「これは単なる些細な変更ではなく、特定の意味を持つ変更だ」
「今後の動きについて事前に確約しない」
「目標達成に向け利下げが適切と指標が示唆すれば、それに従う」
「指標が利下げの必要性を示さなければ、利下げは行わず、一時停止するだろう」
「ドイツや欧州委員会が今週発表した防衛費やインフラ支出の拡大に向けた財政ルールの変更による影響を注視している」
大阪3月限
日経225先物 36790 +30 (+0.08%)
TOPIX先物 2693.0 +21.5 (+0.80%)
日経225先物(3月限)は前日比30円高の3万6790円で取引を終了。寄り付きは3万6550円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万6525円)にサヤ寄せする形から、売りが先行した。ただし、開始直後につけた3万6540円を安値にショートカバーを交えたロングが優勢となり、一気に3万6960円まで上げ幅を広げた。買い一巡後に下落に転じる場面もみられたが、下へのバイアスは強まらず、前場中盤以降は3万6750円~3万6900円辺りでの推移を続けた。後場終盤にかけて3万6930円と朝方につけた高値に迫る場面もみられたが、終了間際に失速し、結局は小幅な上昇にとどまった。
日経225先物は、ボリンジャーバンドの-2σ(3万6520円)水準で始まると、同バンドをサポートとするリバウンドによって、オプション権利行使価格の3万6500円から3万7000円での推移となった。アドバンテスト<6857.T>[東証P]が終日軟調だったことが日経平均株価の重荷となり、節目の3万7000円を捉える動きにはならなかったが、レンジ上限水準での底堅さがみられた。
バンドが下向きで推移するなかで、-2σはナイトセッションで3万6360円辺りまで下がってきた。結果的には同バンドから上に放れてきており、-1σ(3万7270円)に接近する場面もみられそうだ。現在の調整トレンドを脱する動きは期待しづらいものの、3万7000円近辺での底堅さが続くことで限月交代に伴うロールオーバーが進むだろう。SQ値が3万7000円辺りで落ち着くようだと、11日につけた3万5980円での底入れ感が強まりそうである。
12日の米国では、2月の消費者物価指数(CPI)が発表されるが、中国からの輸入品に対する追加関税による影響が表れるとみられている。CPIの結果を受けた米国市場の波乱を警戒しつつも、トランプ米大統領が相次いで打ち出す政策を巡る不透明感を背景に、ポジションはショートに傾いていると考えられる。下値の堅さが意識される局面では、持ち高調整に伴うカバーの動きに向かいやすいだろう。
NT倍率は先物中心限月で13.66倍に低下した。一時13.78倍に上昇する場面もみられたが、その後はアドバンテストなど半導体株の下げにより、相対的にTOPIX型が優位となった。前日の上昇分を帳消しにしており、改めてNTショートに振れやすくなったようだ。為替市場では円相場が1ドル=148円台半ばと、円安に振れて推移している。また、トランプ政権の政策により不安定な状況が続くなかで、来週の日銀の金融政策決定会合では追加利上げは見送られるとの見方がコンセンサスであり、リバランスの動きが入りやすいだろう。
手口面(3月限:立会内)では、日経225先物はソシエテジェネラル証券が2万1096枚、ABNクリアリン証券が1万6870枚、野村証券が1万0118枚、JPモルガン証券が5852枚、みずほ証券が5650枚、HSBC証券が5541枚、シティグループ証券が5497枚、ゴールドマン証券が5279枚、BNPパリバ証券が3689枚、バークレイズ証券が3247枚だった。
TOPIX先物は、ソシエテジェネラル証券が1万8732枚、ビーオブエー証券が1万4333枚、ABNクリアリン証券1万3566枚、ゴールドマン証券が1万0685枚、JPモルガン証券が1万0642枚、みずほ証券が9197枚、野村証券が8963枚、バークレイズ証券が8716枚、BNPパリバ証券が6512枚、HSBC証券が5751枚だった。
一部通信社が報じたところによると、欧州連合(EU)は米国の関税への対抗措置として、米国からの輸出品に最大260億ユーロ相当の関税をかけると報じている。
本日のNY為替市場のドル円は、2月米消費者物価指数(CPI)を見極めつつ、米国債や株式市場の動向やトランプ米大統領の突発的な発言に警戒する展開となる。
2月米CPIは前月比+0.3%、前年比+2.9%と予想されており、1月の前月比+0.5%、前年比+3.0%からの伸び率鈍化が見込まれている。エネルギーと食品を除くコア指数は前月比+0.3%、前年比+3.2%と予想されており、1月の前月比+0.4%、前年比+3.3%からの伸び率鈍化が見込まれている。
2月4日に発動された対中関税10%の影響を見極めることになるが、予想通りにインフレ率の鈍化が確認された場合、5月米連邦公開市場委員会(FOMC)での追加利下げ観測が高まることになる。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」が示している今年の利下げ回数は3回、年末のFF金利誘導目標は3.50-75%となっている。
・6月FOMC:-0.25%=4.00-25%
・9月FOMC:-0.25%=3.75-4.00%
・10月FOMC:-0.25%=3.50-75%
トランプ米大統領に関しては、先日の円安や日米安保条約への不満の繰り返し、4月2日に発動予定の相互関税での対日自動車関税への言及、などに警戒しておきたい。
トランプ米政権は、東部時間12日未明(日本時間12日午後)、鉄鋼とアルミニウムの輸入に対する25%の関税を、適用除外はなく全ての貿易相手国・地域に発動している。
欧州連合(EU)は米国の関税への対抗措置として、280億ドル相当の米国製品に関税をかける、と報じられており、4月2日に発動予定の相互関税に向けて、貿易摩擦の激化に要警戒となる。
・想定レンジ上限
ドル円の上値目処(めど)は、148.92円(日足一目均衡表・転換線)
・想定レンジ下限
ドル円の下値目処(めど)は、146.54円(3/11安値)
今晩は物価指標に注目。昨日はトランプ米大統領がカナダの鉄鋼とアルミニウム関税を25%から50%に倍増するとし、その後、倍増が撤回されるなど、貿易政策を巡る不透明感が重しとなり主要3指数がそろって続落した。ダウ平均は一時736ドル安まで下落し、478.23ドル安(-1.14%)で終了。S&P500も一時1.53%安と史上最高値から10%以上下落し、0.76%安で終了した。前日に4%下落したナスダック総合も0.18%安と小幅に続落した。引け後の動きではトランプ政権が全ての国を対象に鉄鋼とアルミニウムに25%の輸入関税を発動した。
今晩の取引では昨日までの2日続落で押し目買いによる反発が期待されるものの、米政権が全ての国を対象に鉄鋼とアルミニウムに25%の輸入関税を発動したことが引き続き相場の重しとなりそうだ。また、利下げ見通しを巡っては寄り前に発表される米2月消費者物価指数(CPI)が焦点となりそうだ。2月CPIの市場予想は前月比+0.3%、前年比+2.9%と、それぞれ1月分の+0.5%、+3.0%から鈍化が見込まれており、変動の大きい食品、エネルギーを除くコアCPIも前月比+0.3%、前年比+3.2%とともに1月から鈍化が予想されている。CPIが予想通りの鈍化を示せば利下げ見通しの高まりが相場の支援となることが期待される。
今晩の米経済指標・イベントは米2月CPIのほか、MBA住宅ローン申請指数、EIA週間原油在庫、10年債入札、2月財政収支など。企業決算は引け後にアドビ、クラウン・キャッスルが発表予定。
日経平均株価は小幅反発。前日終値を意識して小動きの展開となった。前日場中に戻した反動安もなく、上値も一目均衡表の転換線(36956円 3/12)に抑えられる格好となった。
RSI(9日)は前日の32.5%→30.9%(3/12)に低下。前日の長い下ヒゲのある陽線で底入れ期待も強いが、基本的には1/24高値(40279円)からの二段下げ目の動きは依然として続いている。
昨年9月に形成したダブルボトムのネックラインである36900円付近のフシや、月足の一目均衡表の転換線(36791円)付近を意識している。目先は3/7の下落で形成したマドの上限(37580円)を埋め戻すような動きがみられるかが焦点。ただ、初動の自律反発局面では5日移動平均線(37046円 同)や10日移動平均線(37317円 同)が上値抵抗になりやすく、短期的には値固めのイメージとなる。
上値メドは、5日移動平均線や10日移動平均線、心理的節目の38000円、25日移動平均線(38259円 同)、200日移動平均線(38621円 同)、心理的節目の39000円などがある。下値メドは、心理的節目の36500円や36000円、9/17安値(35828円)、心理的節目の35500円、9/9安値(35247円)、心理的節目の35000円などがある。
米財務省によると、10年債入札(ダッチ方式)の落札結果は最高落札利回りが4.310%、応札倍率(カバー)が2.59倍となった。
(12日終値:13日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=148.12円(12日15時時点比△0.07円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=161.55円(△0.13円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0906ドル(△0.0003ドル)
FTSE100種総合株価指数:8540.97(前営業日比△44.98)
ドイツ株式指数(DAX):22676.41(△347.64)
10年物英国債利回り:4.722%(△0.048%)
10年物独国債利回り:2.877%(▲0.020%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
特になし
(各市場の動き)
・ユーロドルは底堅い動き。米国が提案した30日間の停戦案をウクライナが受け入れると、ウクライナ情勢を巡る懸念が緩和。欧州株相場の上昇とともにユーロ買い・ドル売りが先行した。NY市場に入り、2月米消費者物価指数(CPI)が予想を下回ったことが分かると全般ドル売りで反応し、一時1.0930ドルと日通し高値を付けた。
ただ、前日に付けた5カ月ぶりの高値1.0947ドルが目先レジスタンスとして意識されると伸び悩んだ。米長期金利の上昇に伴うユーロ売り・ドル買いも出て、23時前に一時1.0876ドルと日通し安値を付けた。
もっとも、売り一巡後は再び強含む展開に。1時30分前には1.0928ドル付近まで値を戻している。
・ドル円は上値が重かった。欧州株相場や日経平均先物の上昇などを手掛かりに円売り・ドル買いが先行。米CPIの下振れをきっかけに一時148.18円付近まで売られたものの、148円台は維持した。22時前には149.19円と日通し高値を付けた。
ただ、買い一巡後は再び上値が重くなった。トランプ米政権による関税政策などを背景に米景気懸念が一段と高まる中、一時280ドル超上昇したダウ平均が失速し、420ドル超下落するとドル円にも売りが出た。3時過ぎには一時148.11円付近まで下押しした。
なお、欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は本日、すべての国からの鉄鋼・アルミニウム製品に25%の追加関税を課した米国に対抗措置を取ると表明。これを受けて、トランプ米大統領は「EUの対抗関税に対抗する」と発言した。
また、カナダ政府は米国産の鉄鋼とアルミニウムに関税を課すと発表。トランプ関税への報復措置であり、米加貿易摩擦激化への懸念は依然として強い。
・ユーロ円も上値が重かった。欧州株高を背景に円売り・ユーロ買いが先行すると一時162.36円と日通し高値を付けたものの、買い一巡後は徐々に上値が重くなった。3時過ぎには161.55円付近まで下押しした。
・ロンドン株式相場は7日ぶりに反発。ウクライナが米国の示した停戦案を受け入れたことをきっかけに、地政学リスクへの懸念が後退し買いが入った。足もとで相場下落が続いたあとだけに、自律反発狙いの買いも入りやすかった。ロールス・ロイス・ホールディングスやレレックスなど資本財サービス株が買われたほか、バークレイズなど金融株が値上がりした。
・フランクフルト株式相場は4日ぶりに反発。米国が提案した30日間の停戦案をウクライナが受け入れると、ウクライナ情勢を巡る懸念が和らいだ。前日までに3日続落した反動で短期的な戻りを期待した買いも入った。個別ではラインメタル(9.62%高)やシーメンス・エナジー(8.97%高)、ザルトリウス(5.08%高)などの上昇が目立った。
・欧州債券相場は英国債が下落した一方、独国債が上昇した。
12日の日経平均は反発。終値は25円高の36819円。
一方、アドバンテストやレーザーテックなど半導体株の一角が大幅安。商船三井など海運大手3社がそろって下落した。決算が失望材料となった三井ハイテックが急落。トライアルが一時15%近く上昇したところから引けでは5.8%安と乱高下した。株主優待の廃止や社長辞任を発表したREVOLUTIONがストップ安比例配分となった。
日経平均は小幅高。概ね堅調に推移しただけに25円高というのは物足りなさもあるが、米国株安を跳ね返してプラスで終えたことは評価できる。本日の米国では、2月の消費者物価指数(CPI)が発表される。CPIが弱めでインフレに対する過度な警戒が和らぐようなら、米国株にはポジティブな影響が見込まれる。強い結果となればその逆で、ただでさえ政治絡みのニュースで動きが悪くなっている米国株に、インフレの警戒再燃という悪材料が加わる。
日本株を見る上ではこれに為替が絡んでくる。CPIが弱い場合に米国の長期金利が大きく低下するようだと円高(ドル安)が進むリスクがある一方、CPIが強くても米金利が上昇すれば円安(ドル高)が期待できる。いい塩梅になって米国株が大幅高となり、リスクオンの円安が進むというのが理想的だが、今の米国株がネガティブな材料に敏感になっているのは気になるところだ。現状では円高にいったんブレーキがかかってほしい局面。日経平均はきのうの戻りときょうの上昇で下振れ懸念が後退しつつあるだけに、米CPIを消化してスカッと37000円の節目を突破する展開に期待したい。
(12日終値)
ドル・円相場:1ドル=148.25円(前営業日比△0.47円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=161.40円(△0.04円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0888ドル(▲0.0031ドル)
ダウ工業株30種平均:41350.93ドル(▲82.55ドル)
ナスダック総合株価指数:17648.45(△212.35)
10年物米国債利回り:4.31%(△0.03%)
WTI原油先物4月限:1バレル=67.68ドル(△1.43ドル)
金先物4月限:1トロイオンス=2946.8ドル(△25.9ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
MBA住宅ローン申請指数
(前週比) 11.2% 20.4%
2月米消費者物価指数(CPI)
(前月比) 0.2% 0.5%
(前年同月比) 2.8% 3.0%
エネルギーと食品を除くコア指数
(前月比) 0.2% 0.4%
(前年同月比) 3.1% 3.3%
2月米財政収支
3070億ドルの赤字 1286億ドルの赤字
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ユーロドルは反落。米国が提案した30日間の停戦案をウクライナが受け入れると、ウクライナ情勢を巡る懸念が緩和。欧州株相場の上昇とともにユーロ買い・ドル売りが先行した。NY市場に入り、2月米消費者物価指数(CPI)が予想を下回ったことが分かると全般ドル売りで反応し、一時1.0930ドルと日通し高値を付けた。
ただ、前日に付けた5カ月ぶりの高値1.0947ドルが目先レジスタンスとして意識されると上値が重くなった。米長期金利の上昇に伴うユーロ売り・ドル買いも出て、23時前に一時1.0876ドルと日通し安値を付けた。1時30分前には1.0928ドル付近まで値を戻す場面もあったが、引けにかけては再び弱含んだ。欧米の貿易摩擦を懸念し上値が重かったところに、ポジション調整目的の売りが出て1.0880ドル付近まで押し戻された。
なお、欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は本日、すべての国からの鉄鋼・アルミニウム製品に25%の追加関税を課した米国に対抗措置を取ると表明。これを受けて、トランプ米大統領はEUに対して報復するかとの記者団の質問に「もちろん対応する」と答えた。
・ドル円は続伸。欧州株相場や日経平均先物の上昇などを手掛かりに円売り・ドル買いが先行。米CPIの下振れをきっかけに一時148.18円付近まで売られたものの、148円台は維持した。22時前には149.19円と日通し高値を付けた。
ただ、買い一巡後は徐々に上値が重くなった。トランプ米政権による関税政策などを背景に米景気懸念が一段と高まる中、一時280ドル超上昇したダウ平均が失速し、420ドル超下落するとドル円にも売りが出た。3時過ぎには一時148.11円付近まで下押しした。もっとも、米長期金利の上昇に伴う円売り・ドル買いも出たため、下値は限られた。
・ユーロ円は小幅ながら続伸。欧州時間に一時162.36円と日通し高値を付けたあとは徐々に上値が重くなった。欧米の貿易戦争が一段と激化するとの懸念が高まる中、全般ユーロ売りが出ると4時過ぎに161.40円付近まで下押しした。
ユーロ豪ドルは一時1.7220豪ドル、ユーロNZドルは1.8997NZドル、ユーロポンドは0.8392ポンド、ユーロカナダドルは1.5622カナダドル、ユーロスイスフランは0.9600スイスフランと日通し安値を付けた。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は3日続落。2月米CPIが予想を下回ったことが好感されて買いが先行すると、一時280ドル超上昇した。
ただ、買いの勢いは長続きせず、すぐに失速した。鉄鋼・アルミニウム関連の輸入品に課す25%の追加関税を発動したトランプ米政権に対抗し、EUとカナダは対米報復関税を発表。世界的な貿易戦争が一段と激化するとの懸念から売りが広がった。指数は一時420ドル超下げる場面があった。
一方、ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は3日ぶりに反発。短期的に売られすぎとの見方から、足もとで下げが目立った銘柄中心に買いが入った。
・米国債券相場で長期ゾーンは続落。2月米CPIが予想を下回ると買いが先行したものの、すぐに失速した。米政権による関税政策がインフレ圧力を高めるとの懸念から売りが優勢となった。市場では「関税引き上げの影響はこれからで、安心する声は少ない」との指摘があった。
・原油先物相場は大幅に続伸。リスクセンチメントの改善を支えに時間外から買いが優勢に。この日発表された米エネルギー省(EIA)の週間在庫統計では、原油の積み増し幅が一部予想を下回った。一方でガソリンは大幅取り崩しとなり、需給緩和への懸念後退から67ドル後半まで上値を伸ばした。
・金先物相場は続伸。米長期金利の上昇を受けた下落も限られ、底堅いまま一時2948ドル台まで上昇。米国とカナダやEUは報復関税合戦の様相を呈し、世界経済の先行き不安が高まるなかで安全資産とされる金の需要が高まった。
一部通信社が報じたところによると、「カナダ政府は300億カナダドル相当の米製品に報復関税を課す準備をしている」ようだ。
カナダ政府は12日、米国産の鉄鋼とアルミニウムに関税を課すと発表。13日に25%の追加関税を発動する。
12日09:05 植田日銀総裁
「長期金利は市場に自由に形成されることが基本」
「(長期金利の上昇について)市場と我々(日銀)の見方に齟齬はない」
「基本的な物価上昇率は現時点でまだ2%を下回っている」
「海外の経済・物価動向を巡る不確実性を非常に心配している」
12日15:46
「長期金利が例外的に急上昇した場合、機動的なオペを臨時に実施する」
12日16:10 フォンデアライエン欧州委員長
「(米関税への)対抗措置は4月13日までに全面実施する」
12日17:49 シムカス・リトアニア中銀総裁
「将来的な金利決定についてコミットするのは非合理的」
12日17:52 ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁
「インフレが常に2%の水準にあるとは保証できない」
「インフレ目標に収束するように政策を設定する必要がある」
「中央銀行の当局者は機敏さを示さなければならない」
12日22:30 ラトニック米商務長官
「4月2日に予定されている自動車関税について再度表明」
「カナダとの緊張を緩和する」
12日22:48 カナダ銀行(BOC、カナダ中央銀行)声明
「カナダ経済は、インフレ率が2%の目標に近づき、GDPが底堅く拡大し、2025年を堅調な状態で迎えた」
「しかし、貿易摩擦の激化と米国による関税の導入により、経済活動のペースが鈍化し、カナダのインフレ圧力が高まる可能性がある」
「政策環境が急速に変化しているため、経済見通しは引き続き通常よりも不確実性にさらされている」
「米国のインフレ率は目標をわずかに上回っている」
「ユーロ圏の経済成長は2024年後半に緩やかだった」
「カナダドルは米ドルに対してはほぼ変わらず、他の通貨に対しては弱くなっている」
「インフレ率は2%の目標に近い水準を維持」
「コアインフレ率は、住宅価格インフレが持続していることが主な理由で2%を上回っている」
「関税が価格に与える影響に対する懸念から、短期的なインフレ期待は上昇している」
「経済成長は予想よりも力強いが、絶えず変化する米国の関税脅威によって生じる不確実性が蔓延し、消費者の支出意欲や企業の雇用・投資計画を抑制している」
「こうした背景と、インフレ率が2%目標に近いことから、理事会は政策金利をさらに25ベーシスポイント引き下げることを決定した」
「金融政策では貿易戦争の影響を相殺することはできない」
「金融政策ができること、またしなければならないことは、価格上昇が継続的なインフレにつながらないようにすることである」
「理事会は、経済の弱体化によるインフレの下押し圧力とコストの上昇によるインフレの押し上げ圧力のタイミングと強さを慎重に評価する」
「理事会はインフレ期待を注意深く監視する」
「国民の物価安定を維持することに尽力する」
12日23:56 マックレム・カナダ銀行(中央銀行、BOC)総裁
「成長率の鈍化とインフレ率の上昇を同時に抑えることはできない」
「関税はカナダ経済を弱体化させる」
「関税への対応をできる限り支援する」
「第1四半期の内需は非常に弱いと予想」
「50bpの利下げは真剣に検討しなかった」
「景気後退は米国の貿易政策に大きく左右されるだろう」
13日01:19 トランプ米大統領
「EUの対抗関税に対抗する」
「関税には柔軟性があるが、いったん開始すれば柔軟性はほとんどなくなる」
「4月2日は非常に重要な日になるだろう」
※時間は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
<海外>
○09:01 ◇ 2月英王立公認不動産鑑定士協会(RICS)住宅価格(予想:20)
○16:30 ◇ 2月スイス生産者輸入価格
○18:00 ◎ レーン・フィンランド中銀総裁、講演
○18:15 ◎ デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○19:00 ◎ 1月ユーロ圏鉱工業生産(予想:前月比0.6%/前年比▲0.9%)
○19:00 ◎ ブイチッチ・クロアチア中銀総裁、マクルーフ・アイルランド中銀総裁、講演
○21:00 ◇ 1月メキシコ鉱工業生産(季調済、予想:前月比0.1%)
○21:30 ◇ 1月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比▲5.0%)
○21:30 ◎ 2月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.3%/前年比3.3%)
◎ 食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.3%/前年比3.5%)
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:22.5万件/190.0万人)
○14日01:00 ◎ ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○14日02:00 ◎ 米財務省、30年債入札
○14日02:30 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、ナーゲル独連銀総裁、講演
○トランプ米大統領と北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長が会談(ワシントン)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
昨日の海外市場でドル円は、米CPIの下振れをきっかけに一時148.18円付近まで売られたものの、すぐに149.19円まで上がり日通し高値を付けた。ただ、一時280ドル超上昇したダウ平均が失速し、420ドル超下落するとドル円も売られ一時148.11円付近まで下押しした。ユーロドルは米CPI発表後1.0930ドルまで上昇したが、欧米の貿易摩擦を懸念し上値が重く1.0876ドルまで弱含んだ。
本日の東京時間でドル円は、本邦から週次の対外対内証券売買契約等の状況が発表される以外はイベントがなく、引き続き方向感なく上下することが予想される。
今週11日に昨年10月以来の安値となる146.54円まで下落後、昨日は149.19円まで買い戻しが入った。今月3日にトランプ米大統領が日本を名指しし「通貨安の国に関税を課す」と発言した日の高値151.30円から、11日安値146.54円の半値148.92円をやや上回って戻した。ここから全戻しになるほど、ドルを買い円を売る要因も少ないことで、このレンジ内での上下を繰り返すことが予想される。ただ、流れ的にはドル円の上値は抑えられると思われる。
昨日、衆参の予算委員会に出席した植田日銀総裁だが、長期金利の上昇については、市場と日銀の見方に齟齬はないと応え、現行の長期金利の上昇については容認していると捉えられる認識を示した。来週18-19日に開かれる日銀金融政策決定会合について、市場では現状維持予想が大多数にはなっている。しかし、市場では金利引き上げがどの程度まで進むか、いわゆるターミナルレートがどこで収まるのかがいまだに明確になっていないことで、昨日は30年債利回りが2006年以来の水準まで上昇するなど、長期金利が上昇しやすい地合いにある。本邦金利が底堅い動きを示していることが、円高圧力として継続されそうだ。
トランプ政権の関税政策だが、為替市場はやや食傷気味にはなってきている。ただ、依然として株式市場や実態経済へ与える影響は計り知れないことで、引き続き相場をかき乱すことは変わらないだろう。昨日はカナダに続き欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会が対抗措置となる報復関税で対応することを発表。関税発動を4月1日に復活させ、同月13日には全面実施の予定。トランプ米大統領が兼ねてから述べている、相手国の水準まで関税をすべて引き上げる相互関税実施が4月2日に控えていることもあり、4月上旬の天王山まで関税に関しては予断が許さない。
カナダやEU以外でも、日本に対しても厳しい姿勢で臨むことは確実視されているが、日本は防衛面での米国依存もあり対抗措置が限られている。このため、切り札がない日本が、米国の製造業を守るためにドル高是正となる「第2プラザ合意」などを提案するリスクも頭に入れておかなければならないか。
大阪3月限ナイトセッション
日経225先物 37000 +210 (+0.57%)
TOPIX先物 2706.5 +13.5 (+0.50%)
シカゴ日経平均先物 37105 +315
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
12日の米国市場はNYダウが下落した一方で、 S&P500、ナスダックは上昇。2月の米消費者物価指数(CPI)が前月比0.2%上昇と、市場予想(0.3%上昇)を下回ったことで買いが先行し、NYダウの上げ幅は一時280ドルを超えた。しかし、トランプ米政権の関税政策や貿易摩擦への警戒から買いは続かずに失速。鉄鋼とアルミニウムに対する25%の関税を発動したトランプ政権に対抗し、欧州連合(EU)とカナダは報復措置を発表した。世界的な貿易戦争が一段と激化するとの懸念から、NYダウは400ドル超下げる場面もあった。
足もとで下げが目立っていたハイテク株の一角が値頃感から買われており、ナスダックは3日ぶりに反発。半導体SOX指数も3日ぶりに切り返し、上昇率は2%を超えた。NYダウ構成銘柄では、エヌビディア<NVDA>、ボーイング<BA>、セールスフォース<CRM>、アメリカン・エキスプレス<AXP>、スリーエム<MMM>、アマゾン・ドット・コム<AMGN>が買われた。半面、プロクター・アンド・ギャンブル<PG>、ウォルマート<WMT>、マクドナルド<MCD>、アムジェン<AMGN>が下落。
シカゴ日経平均先物(3月限)清算値は、大阪比315円高の3万7105円だった。日経225先物(3月限)のナイトセッションは、日中比60円高の3万6850円で始まり、ロング優勢のなか、米国市場の取引開始直後には3万7220円まで買われた。買い一巡後に3万6780円まで下押す場面もあったがプラスをキープ、中盤以降は再びロング優勢となり、3万7000円~3万7200円辺りで保ち合い、3万7000円でナイトセッションの取引を終えた。
シカゴ先物にサヤ寄せする形から、買い先行で始まりそうだ。トランプ大統領はEUに対して報復する考えであり、貿易戦争の激化が世界経済に与える影響が警戒されて積極的なロングの動きは限られるだろう。ただし、米CPIを無難に通過したことで、ショートカバーを誘う可能性はある。
日経225先物はナイトセッションで3万7220円まで買われた後に3万6780円まで売られたが、その後は3万7000円処での底堅さが意識された。ボリンジャーバンドの-2σ(3万6390円)から上放れる形状となり、-1σ(3万7290円)に接近してきた。バンドは下向きで推移しており、-1σ突破からのトレンド転換は期待しにくいところだが、3万7000円固めからの押し目狙いのロング対応に向かわせそうだ。
また、弱い値動きが続いていたエヌビディアは6%を超える上昇となった。ブロードコム<AVGO>やアドバンスト・マイクロ・デバイセズ<AMD>など半導体株の上昇が目立っており、指数インパクトの大きいアドバンテスト<6857.T>[東証P]や東京エレクトロン<8035.T>[東証P]への波及が意識されやすく、日経平均型優位の展開が期待されるだろう。
そのため、オプション権利行使価格の3万7000円を中心とした上下の権利行使価格3万6750円から3万7250円のレンジを想定する。-1σを捉えてくる局面ではショートカバーが強まる可能性もあり、3万7500円辺りを短期的なターゲットとしておきたい。
12日の米VIX指数は24.23(11日は26.92)に低下した。小幅に下落して始まり、26.91を高値に、一時23.89まで下げる場面もみられた。20.00を上回っているほか、依然として上向きのトレンドを継続しているが、ショート筋においてはカバーを進めておきたいところであろう。
昨日のNT倍率は先物中心限月で13.66倍に低下した。一時13.78倍に上昇する場面もみられたが、その後はアドバンテストなど半導体株の下げにより、相対的にTOPIX型優位となった。前日の上昇分を帳消しにしており、改めてNTショートに振れやすくなったようだ。本日は米半導体株の上昇を受けてリバランスが入りやすく、前日の低下分を埋めてくる可能性がありそうだ。
東京市場は堅調か。米国株はまちまち。ダウ平均が下落した一方、S&P500とナスダックが上昇した。ダウ平均は82ドル安の41350ドルで取引を終えた。2月の消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回り、インフレに対する過度な警戒が後退。ハイテクグロース株に見直し買いが入った。一方、トランプ政権が鉄鋼・アルミ関連の輸入品に25%の追加関税を発動し、EUやカナダが対抗する姿勢を示したことから、ダウ平均はプラス圏とマイナス圏を行き来して下落で終えた。関税強化が先のインフレにつながるとの見方から米国の長期金利は上昇。ドル円は足元148円10銭近辺で推移している。CME225先物は円建て・ドル建てともに大証日中終値と比べて315円高の37105円で取引を終えた。
CPIが弱めで米グロース株に買いが入り、それでいて為替が円高(ドル安)に振れなかったことは日本株には悪くない流れ。エヌビディアは6%を超える上昇となっており、ナスダックやS&P500の上昇を好感した買いが入ると予想する。米3指数がそろって上昇したわけではないだけに値幅を伴った上昇は期待しづらいものの、売りが手控えられることで場中はしっかりとした動きが続くだろう。日経平均の予想レンジは36800円-37200円。
昨日のドル円は2月米CPI後に乱高下。荒い値動きとなった米債券市場に付き合わされることになりました。米CPIを控えて欧州時間はショートカバーが先行。一時148.87円まで値を上げたわけですが、2月米CPIが予想を下回る弱い数字となると、米10年債利回りが4.2453%まで低下。ドル円も一時148.18円まで売り込まれることになりましたが、米長期金利が一転して4.3297%まで急上昇となると149.19円まで買い上げられるといった米債券主導の値動きとなりました。
その後は買われていたダウ平均が480ドルを超える下落となるなか、トランプ関税に対して欧州委員会やカナダが対抗措置を取ることがわかると148.11円まで下落。引けにかけてはユーロドルの下落などにつれて148.42円まで買戻されてNY市場を終えています。本日のアジア市場では「少々お疲れモード」といったところですが、148.08‐38円の極めて狭いレンジ内での取引が続いています。
いずれにしても、市場は今夜の2月米PPI待ち。先月の1月米PPIでは、極めて強い数字となったにもかかわらず、PCEに反映されるPPIの構成要因である、金融とヘルスケアサービスの部門が「非常に弱い結果」だったことから、大手米金融機関が月末公表予定のPCEコアの予想を一斉に下方修正したことをきっかけにドル円が急落したという記憶が残っているわけで、昨日の米CPI後の乱高下同様に、今夜への警戒感が高まっているからこそ、東京での凪相場には納得がいくというものです。目先は一目転換線の位置する148.92円付近がポイントとして意識されています。
日経225先物は11時30分時点、前日比360円高の3万7150円(+0.97%)前後で推移。寄り付きは3万7120円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万7105円)にサヤ寄せする形から、買いが先行して始まった。指数インパクトの大きい値がさハイテク株の一角が買い気配から始まるなか、中盤にかけて3万7330円まで買われた。買い一巡後はロング解消の動きが優勢となり、3万7070円まで上げ幅を縮めたものの、3万7000円接近では底堅さがみられ、終盤にかけては3万7150円辺りでの推移を続けている。
日経225先物は、ボリンジャーバンドの-1σ(3万7300円)水準まで上昇する場面もみられた。ナイトセッションで-2σを上回っての推移のなか、3万7000円固めから-1σ水準を捉えてくる展開は想定されていただろう。短期的な戻りとしては達成感もでてきそうであり、3万7000円~3万7300円辺りでのレンジ推移になりそうだ。再び-1σを捉えてくるようだとショートカバーを誘う可能性はありそうだが、まずは突破を見極めたいところである。
NT倍率は先物中心限月で13.79倍に上昇した。一時13.85倍まで上昇する場面もみられたが、アドバンテスト<6857.T>[東証P]が日経平均株価を1社で110円超押し上げており、日経平均型優位のなかでNTショートを巻き戻す動きが強まったようだ。
本日の欧州時間でユーロドルは、引き続きメイントピックはロシア・ウクライナの停戦交渉や欧州連合(EU)と米国間の関税報復合戦の行方を見守ることになるだろう。
11日にウクライナが「米国提案のロシアとの30日間の停戦を受け入れる用意がある」と応えたことで、ロシアとウクライナの停戦案はロシアサイドにボールが移っている。しかし、ロシアのペスコフ報道官は毎日のメディア電話会議で、この問題についてコメントを拒否するなど、ロシアがどのような動きをみせるかは不透明なままだ。
ロシアはこれまで、紛争を終わらせるための交渉には前向きであると主張してきたが、併合したウクライナ全土の支配を確保するといった目的を達成しなければならないと常に主張してきた。よって、可能性として高いのは、プーチン露大統領がウクライナ東部のドネツィク、ルハンシク、ヘルソン、ザポリージャの各地域全体を掌握することを条件に停戦に応じるとの回答をした場合。この場合は、ウクライナはじめ欧州がこの条件を認めることはできず、停戦案が消滅する。その場合のトランプ米大統領の対応が注目されるだろう。これまでのようにプーチン露大統領に迎合し、トランプ氏がウクライナは妥協するべきと応えると再びウクライナ情勢は振出しに戻るだろう。よって、欧州リスクが再燃しユーロの売りに動きやすい。
EUと米国の関税合戦だが、4月上旬までは様々な応酬が繰り返されると思われる。日程的にEUは追加措置を4月1日から2段階で実施する予定。その翌日2日には米国が相手国の水準まで関税をすべて引き上げる相互関税実施が予定されている。トランプ米大統領が始めたチキンゲームにEUが付き合わなくてはならず、妥協点を見出すことができるかが注目される。
欧州からの経済指標では1月ユーロ圏鉱工業生産が発表され、講演はデギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、レーン・フィンランド中銀総裁、ブイチッチ・クロアチア中銀総裁、マクルーフ・アイルランド中銀総裁が予定されている。ただ、昨日はECB・仏・西・独・葡の各国中銀総裁が講演やパネルディスカッションに登壇したが、ユーロドルはほぼ無反応だったこともあり、市場の中心は政治相場ということは変わらないだろう。
・想定レンジ上限
ユーロドル11日高値1.0947ドルが目先のめどだが、その上は昨年10月7-9日の3営業日上抜けることができなかった1.1000ドル。
・想定レンジ下限
ユーロドル:近場では前日安値1.0876ドルを割り込んだ場合は11日安値1.0830ドル。
ドル円:1ドル=147.72円(前営業日NY終値比▲0.53円)
ユーロ円:1ユーロ=160.79円(▲0.61円)
ユーロドル:1ユーロ=1.0885ドル(▲0.0003ドル)
日経平均株価:36790.03円(前営業日比▲29.06円)
東証株価指数(TOPIX):2698.36(△3.45)
債券先物6月物:137.75円(▲0.24円)
新発10年物国債利回り:1.540%(△0.020%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
対外対内証券売買契約等の状況(前週)
対外中長期債
3559億円の処分超 1兆5142億円の所得超
対内株式
2205億円の処分超 7083億円の処分超
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は弱含み。しばらくは148円台前半でのもみ合いとなっていたが、植田日銀総裁が「今後実質賃金や消費について良い姿が見込まれる」などの見解を示すと、日銀の追加利上げ観測が意識され、本邦長期金利の上昇とともに円買いが進んだ。一時147.58円まで下押しした。
・ユーロ円も弱含み。161円台前半でのもみ合いから次第に売りが強まった。日銀総裁発言を受けた円買いの流れに沿って160.54円まで値を下げた。
・ユーロドルは小安い。1.08ドル台後半での狭いレンジ内推移となっていたが、ユーロ円などの下落につれて1.0870ドルまで弱含んだ。
・日経平均株価は反落。昨日の米国株式市場でハイテク株高が進んだことが手掛かりとなり、本日の東京市場でも半導体関連株を中心に買いが入った。指数は一時500円超高まで上昇する場面もあったが、買い一巡後は伸び悩む展開に。植田日銀総裁の発言で利上げ継続が意識されると、外国為替市場で円高が進んだことに歩調を合わせて売りに押され、指数も下げに転じた。
・債券先物相場は下落。昨日実施の20年債入札を波乱なく通過したことで買い先行となったが、植田日銀総裁の発言を受けて日銀の利上げ継続が意識されると売りに転じた。
東海東京インテリジェンス・ラボでは、米国の長期金利が足元で低下基調を強めていることを受けてリポートしている。米国経済の先行き懸念の高まりが大きく影響していることに加えて、ベッセント財務長官が長期金利の上昇をけん制したことも、金利低下を後押ししたとみている。ただし、米労働市場は概ね底堅さを維持しており、インフレもFRBの物価目標2%にはいまだ到達していないと東海東京では指摘。よほどハードデータが悪化しない限りFRBの利下げに対する慎重姿勢は続くと予想しており、仮に米10年債利回りが節目の4%を下回っても、昨年9月につけた3.5%台まで一段と金利低下が進む可能性は低いと考えている。
SMBC日興証券では米国の2月消費者物価指数(CPI)に関して、十分な鈍化により、インフレ率が沈静化軌道にある旨を示す内容であったと捉えている。インフレ沈静化の一定の進展、労働市場の弱含みリスクの存在などを踏まえ、2025年にFedは政策金利を中立水準にさらに接近させることを望むとSMBC日興では予想。2025年に関しては25bp刻みで3回の利下げを想定しており、次回の利下げタイミングは6月17~18日の会合をメーンシナリオとしているが、5月6~7日の会合における追加利下げの可能性は排除されないとコメントしている。
1.ドラギ第3代ECB総裁「何でもやる(do whatever it takes)」
2012年7月26日、ドラギECB総裁は、ユーロ圏債務危機の際、ユーロ崩壊も警戒されていた中で、「欧州中央銀行(ECB)は、その責務の範囲内で、ユーロ存続のために、必要な『いかなる措置をも取る』用意がある。信じてくれ。それだけだ(Within our mandate, the ECB is willing to do whatever it takes to preserve the euro and, believe me, it will be enough)」と表明した。
すなわち、「伝統的金融政策」としての金利引き下げによる「金融緩和」から、「非伝統的金融政策」としての国債購入による「信用緩和」に踏み出す決意を表明したことで、ユーロ金融危機への警戒感は後退した。ドラギECB総裁は、「ソブリン債のリスクプレミアム(上乗せ利回り)が金融政策の伝達経路を邪魔している」と、市場での介入警告用語を使うことで、国債購入の本気度を示した。
2.パウエル第16代FRB議長「何でもやる(do whatever it takes)」
2018年8月24日、パウエルFRB議長はカンザスシティー連銀がワイオミング州ジャクソンホールで開いた年次シンポジウムで、「米連邦公開市場委員会(FOMC)は、インフレ期待が大きく上昇あるいは低下したり、金融危機が再び脅威になった場合は、『何でもやる』、と私は確信している(I am confident that the FOMC would resolutely ‘do whatever it takes’ should inflation expectations drift materially up or down or should crisis again threaten,)」と宣言した。
パウエルFRB議長は、FOMCが2つのリスク、1つは対応が速過ぎて景気拡大の期間を短縮させるリスク、もう1つは対応が遅過ぎて景気を過熱させるリスクを抱えており、「漸進的な利上げ」が2つのリスクへの適切な対応策である、と述べた。
リスクシナリオが実現して、資産価格バブルの崩壊に直面したとしても、その準備は出来ている、自信たっぷりにジャクソンホール会議でのデビュー戦を締めくくった。
3.メルツ第10代独首相「何でもやる(do whatever it takes)」
ドイツの次期首相就任が確実視されるメルツ氏は、債務ブレーキを撤廃して、財政拡張路線に乗り出し、欧州で最も強力な経済力を誇るドイツを、ロシアに対する橋頭保にすることを打ち出した。そして、ドイツを守るために『あらゆる手段』を講じる、と述べた。
メルツ氏は2月23日の選挙の前には、社会保障費の削減による「債務上限の維持」と国防費の確保を訴えていた。
しかし、当選した後、大規模な財政改革の一環として5000億ユーロの特別基金を設立すると発表し、防衛費として国内総生産(GDP)の1%以上を支出する場合には、憲法上の借り入れ制限(債務ブレーキ)の対象外とすることも提案した。
大阪3月限
日経225先物 36750 -40 (-0.10%)
TOPIX先物 2697.5 +4.5 (+0.16%)
大阪6月限
日経225先物 36510 -40 (-0.10%)
TOPIX先物 2670.5 +4.5 (+0.16%)
日経225先物(3月限)は前日比40円安の3万6750円で取引を終了。寄り付きは3万7120円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万7105円)にサヤ寄せする形から、買いが先行した。指数インパクトの大きい値がさハイテク株の一角が買い気配から始まるなか、前場中盤にかけて3万7330円まで買われた。買い一巡後はロングの解消が優勢となり、3万7070円まで上げ幅を縮めたものの、3万7000円接近では底堅さがみられ、前場終盤にかけては3万7150円辺りでの推移となった。
しかし、参院財政金融委員会に出席している日銀の植田和男総裁の発言が伝わると、利上げ観測が意識された。為替市場では1ドル=147円台半ばと、円高・ドル安が進んだ。これが重荷となる形でロング解消の動きが強まり、後場終盤にかけて下落に転じた。日経225先物(6月限)については、配当落ち分が考慮されているため、3万6510円で終えており、限月間スプレッドは-240円となった。
また、グローベックスの主要な米株先物がマイナス圏で推移していたことも、後場の弱い値動きにつながった。米連邦政府のつなぎ予算の失効が迫り、政府機関が一部閉鎖になるリスクが高まっていることが背景にあるとみられる。また、鉄鋼とアルミニウムに対する25%の関税を発動したトランプ米政権に対抗し、欧州連合(EU)とカナダは対米報復関税を発表。トランプ米大統領はEUに対して報復する考えであり、貿易戦争の激化による世界経済への影響が警戒されている。
日経225先物は、ボリンジャーバンドの-1σ水準まで上昇した後は下げに転じる形となったが、朝方の-1σ回復でいったんは達成感も意識されただろう。下向きで推移する-1σと-3σに沿った調整を続けるなかでは、積極的なロングは限られていた。ただ、3万7000円辺りでの底固めの動きが期待されたが、円高が重荷となる形で下落に転じた展開はやや想定外だろう。
日経225先物の6月限の-2σはナイトセッションで3万6800円、-2σは3万5760円辺りに位置している。3月限の先物・オプション特別清算指数算出(メジャーSQ)通過で需給面は軽くなることで、短期的には押し目狙いのロングが入りやすくなりそうだが、来週の日銀金融政策決定会合、米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えて、スキャルピング中心のトレードになりそうだ。
NT倍率は先物3月限で13.62倍に低下した。6月限では13.67倍となる。朝方はアドバンテスト<6857.T>[東証P]など指数インパクトの大きい値がさハイテク株が日経平均株価を牽引する形で上昇して始まったが、後場に入り再びNTショートに向かわせる形となった。
手口面(3月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が8489枚、ソシエテジェネラル証券が5014枚、シティグループ証券が3433枚、ゴールドマン証券が1825枚、JPモルガン証券が1437枚、モルガンMUFG証券が1424枚、野村証券が1409枚、バークレイズ証券が1342枚、ビーオブエー証券が1266枚、みずほ証券が1200枚だった。
TOPIX先物は、野村証券が6085枚、ABNクリアリン証券が4127枚、ソシエテジェネラル証券が3798枚、BNPパリバ証券が3432枚、みずほ証券が3094枚、ゴールドマン証券が2234枚、JPモルガン証券が2198枚、ビーオブエー証券が1650枚、シティグループ証券が1587枚、バークレイズ証券が1277枚だった。
本日のNYタイムでは2月米卸売物価指数(PPI)や新規失業保険申請件数などの発表が予定されている。同指標結果に注目も、関税をめぐる不確実性でドル円は神経質な動きが続きそうだ。
昨日に発表された2月米消費者信頼感指数(CPI)は前月から予想以上に伸びが鈍化し、発表直後は素直にドル売りで反応するも、ドル売りは続かなかった。トランプ政権の二転三転する関税政策が引き続き市場の焦点になっており、金融市場全体で神経質な動きが続いている。トランプ関税をめぐり、ドルも売買が交錯。関税絡みでの米景気鈍化警戒感がドル売りを誘っている一方で、関税による先々のインフレ再燃懸念も根強いことがドル買いを後押している。
トランプ米政権は昨日に全ての国・地域からの鉄鋼・アルミニウム製品に対し25%の追加関税を発動した。これに対しカナダや欧州連合(EU)、中国などは対抗措置を講じると表明し、トランプ米大統領は米製品に対し報復関税を課せばさらなる関税で対応する考えを示した。関税の影響で米国の輸入品の価格上昇が物価高につながるとの見方が広がるとともに、貿易戦争の激化が警戒されている。
ドル円は昨日に149円前半まで上昇するも、本日は147円半ばまで戻され、150円が遠いことが示された。ドル円は神経質な動きが継続するも、日銀の早期利上げ観測を背景とした日米金利差縮小の見方が上値を圧迫し、下方向への動きが警戒される。
・想定レンジ上限
ドル円、日足一目均衡表・転換線148.92円が上値めど。
・想定レンジ下限
ドル円、11日安値146.54円が下値めど。
今晩も引き続き物価指標に注目。昨日は米2月消費者物価指数(CPI)が予想を下回る伸びにとどまったことで先行きの利下げ期待が支援となり、ナスダック総合が1.22%高と3日ぶりに大幅反発した。S&P500も0.49%高と3日ぶりに反発した一方、ダウ平均は82.55ドル安(-0.20%)と小幅ながら3日続落となった。業種別ではIT、コミュニケーション、一般消費財など週初から大きく下落したハイテク・セクターが上昇率上位に並んだ一方、生活必需品、ヘルスケアなどディフェンシブ・セクターが下落率上位となった。週初来ではダウ平均が3.39%高、S&P500が2.96%安、ナスダック総合が3.01%安とそろって大幅安となり、トランプ関税による貿易摩擦懸念や景気悪化懸念が重しとなっている。
今晩の取引では貿易摩擦激化懸念が引き続き上値の圧迫要因となることが予想される中、足もとの物価動向や利下げ見通しを巡り、2月生産者物価指数(PPI)や新規失業保険申請件数などの経済指標に注目する展開か。昨日の2月消費者物価指数(CPI)が予想を下回る伸びにとどまったことで米連邦準備理事会(FRB)による利下げ期待が高まっており、今晩のPPIでもインフレ鈍化を示す結果となれば利下げ見通しの高まりが相場の支援となることが期待される。
今晩の米経済指標・イベントは2月PPI、新規失業保険申請件数のほか、米30年債入札など。企業決算は寄り前にダラー・ゼネラル、引け後にアルタ・ビューティーが発表予定。
日経平均株価は反落。一時は10日移動平均線(37171円 3/13)を上回る場面もあったが、上げ幅を縮小して5日移動平均線(36863円 同)下まで押し戻される展開となった。
RSI(9日)は前日の30.9%→43.2%(3/13)に上昇。前々日の長い下ヒゲのある陽線で底入れ期待も強いが、基本的には1/24高値(40279円)からの二段下げ目の動きは依然として続いている。
きょうも終値ベースで、昨年9月に形成したダブルボトムのネックラインである36900円付近のフシや、月足の一目均衡表の転換線(36791円)付近を意識した。目先は3/7の下落で形成したマドの上限(37580円)を埋め戻すような動きがみられるかが焦点となる。ただ、きょうのように自律反発局面では5日移動平均線や10日移動平均線が上値抵抗になりやすく、短期的には値固めのイメージとなる。
上値メドは、5日移動平均線や10日移動平均線、心理的節目の38000円、25日移動平均線(38178円 同)、200日移動平均線(38609円 同)、心理的節目の39000円などがある。下値メドは、心理的節目の36500円や36000円、9/17安値(35828円)、心理的節目の35500円、9/9安値(35247円)、心理的節目の35000円などがある。
米財務省によると、30年債入札(ダッチ方式)の落札結果は最高落札利回りが4.623%、応札倍率(カバー)が2.37倍となった。
(13日終値:14日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=147.62円(13日15時時点比▲0.10円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=160.24円(▲0.55円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0854ドル(▲0.0031ドル)
FTSE100種総合株価指数:8542.56(前営業日比△1.59)
ドイツ株式指数(DAX):22567.14(▲109.27)
10年物英国債利回り:4.677%(▲0.045%)
10年物独国債利回り:2.855%(▲0.022%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
2月スイス生産者輸入価格
(前月比) 0.3% 0.1%
1月ユーロ圏鉱工業生産
(前月比) 0.8% ▲0.4%・改
(前年比) 0.0% ▲1.5%・改
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は頭が重かった。欧州勢が参入すると円売り・ドル買いが先行。NY市場に入り、2月米卸売物価指数(PPI)が予想を下回ったことが伝わると円買い・ドル売りで反応する場面もあったが、反応は一時的だった。前日の2月米消費者物価指数(CPI)の下振れと同様に、「関税引き上げの影響はこれから」との見方から米長期金利が上昇。ドル円にも買い戻しが入り、22時過ぎには148.35円付近まで値を上げた。
ただ、アジア時間に付けた日通し高値148.38円が目先レジスタンスとして意識されると失速した。米関税政策による世界景気への懸念や米政府機関の閉鎖回避を巡る不透明感からダウ平均が一時660ドル超下落するとリスク回避の円買いが活発化。ベッセント米財務長官が「最近の市場でドルが下落しているのは自然な調整」と述べ、「懸念していない」との考えを明らかにしたこともドルの重しとなった。アジア時間の安値147.58円を下抜けると一時147.42円まで値を下げた。米長期金利が低下に転じたこともドル売りを誘った。
・ユーロドルは下げ渋り。トランプ米大統領が欧州連合(EU)から輸入するワインなどの酒類に200%の関税を課す考えを表明したことや、「ロシアの交渉担当者は米国の一時停戦案を拒否」との報道をきっかけにユーロ売り・ドル買いが先行。22時30分前に一時1.0823ドルと日通し安値を付けた。
ただ、売り一巡後は買い戻しが優勢となり、1.0878ドル付近まで持ち直した。ベッセント米財務長官の発言や米長期金利が低下に転じたことが相場を下支えした。
なお、プーチン露大統領は米国が提案したウクライナでの停戦案について「一時停戦には同意するが、長期的な平和につながるべき。停戦について多くの疑問がある」と話し、即時の停戦受け入れには難色を示した。
・ユーロ円はさえない。欧州序盤に一時161.27円付近まで値を上げたものの、アジア時間に付けた日通し高値161.52円が目先レジスタンスとして意識されると次第に弱含んだ。米政権の関税政策が欧州景気に及ぼす悪影響が懸念され、ユーロ売りが進んだ。
NY市場では米国株相場の下落を背景にリスク回避の円買いが優勢となり、2時30分前に一時160.06円と日通し安値を付けた。
・ロンドン株式相場は小幅ながら続伸。米関税政策による世界景気への懸念が根強く、英株にも売りが出た。半面、足もとで相場下落が続いたあとだけに、自律反発狙いの買いも入りやすく、相場は前日終値を挟んだもみ合いに終始した。アストラゼネカやグラクソスミスクラインなど医薬品株に買いが入ったほか、BPやシェルなどエネルギー株が値上がりした。半面、ロールス・ロイス・ホールディングスやアシュテッド・グループなど資本財サービス株が売られた。
・フランクフルト株式相場は反落。欧米の貿易摩擦が激化するとの懸念から売りが優勢となった。個別ではダイムラー・トラック・ホールディング(4.44%安)やフレゼニウス・メディカル・ケア(4.04%安)、ブレンターク(3.31%安)などの下げが目立った。
・欧州債券相場は上昇。欧米の貿易摩擦激化への懸念から買いが入った。
13日の日経平均は反落。終値は29円安の36790円。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり816/値下がり747。アドバンテストやディスコなど半導体株の一角が大幅上昇。きのう乱高下して大幅安で終えたトライアルがきょうは7%高と大きく上昇した。原油価格の上昇を手がかりにINPEX、出光興産、ENEOSなどに資金が向かった。弱めの米2月CPIを受けても米長期金利が上昇したことから、東京海上や第一生命など保険株が全般堅調。上方修正を発表したANYCOLORがストップ高となった。
一方、トヨタやホンダなど自動車株が軒並み安。日産自動車や三菱自動車の下げが大きかった。太陽誘電や村田製作所などハイテク株の一角が大幅安。GENDAは決算や1:2の分割が好感されず、7%を超える下落となった。ハウテレビジョンやKudanなど、前日業績関連のリリースで下げた銘柄が改めての売りに押された。
日経平均は前場は大幅高であったが、後場に入って下げに転じた。マイナス寄与度が大きかった銘柄はダイキン<6367.T>、ファーストリテイリング<9983.T>、コナミG<9766.T>、ファナック<6954.T>、京セラ<6971.T>などだが、後場に入って崩れているものが多く、指数主導で売られた印象。こういった動きが出てきてしまうと、今は日本株は買えないとの見方が強まってくる。
7日の終値は36887円、きょうの終値は36790円で、現時点では先週末比でマイナス。急失速したことで5日線(36863円、13日時点)も下回っており、流れは悪い。世界で一番影響力がある国のトップが何を言い出すか分からない状況にあるため、週をまたぐリスクは高まっている。先週金曜の7日は817円安と大幅安となった。あす14日はメジャーSQ日で、荒れる要素は多い。直近3月11日につけた安値が35987.13円。これを下回ることなく週を終えることができるかに注目したい。
(13日終値)
ドル・円相場:1ドル=147.81円(前営業日比▲0.44円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=160.42円(▲0.98円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0852ドル(▲0.0036ドル)
ダウ工業株30種平均:40813.57ドル(▲537.36ドル)
ナスダック総合株価指数:17303.01(▲345.44)
10年物米国債利回り:4.27%(▲0.04%)
WTI原油先物4月限:1バレル=66.55ドル(▲1.13ドル)
金先物4月限:1トロイオンス=2991.3ドル(△44.5ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
2月米卸売物価指数(PPI)
(前月比) 0.0% 0.6%・改
(前年比) 3.2% 3.7%・改
食品とエネルギーを除くコア指数
(前月比) ▲0.1% 0.5%・改
(前年比) 3.4% 3.8%・改
前週分の米新規失業保険申請件数
22.0万件 22.2万件・改
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は3日ぶりに反落。米労働省が発表した2月米卸売物価指数(PPI)が予想を下回ったことが伝わると円買い・ドル売りで反応する場面もあったが、反応は一時的。前日の2月米消費者物価指数(CPI)の下振れと同様に、「関税引き上げの影響はこれから」との見方から米長期金利が上昇。ドル円にも買い戻しが入り、22時過ぎには148.35円付近まで値を上げた。
ただ、アジア時間に付けた日通し高値148.38円が目先レジスタンスとして意識されると失速した。米関税政策による世界景気への懸念や米政府機関の閉鎖回避を巡る不透明感からダウ平均が一時680ドル超下落するとリスク回避の円買いが活発化。米長期金利が低下に転じたこともドル売りを促し、2時30分過ぎに一時147.42円と日通し安値を更新した。ベッセント米財務長官が「最近の市場でドルが下落しているのは自然な調整」と述べ、「懸念していない」との考えを明らかにしたこともドルの重しとなった。
・ユーロドルは続落。トランプ米大統領が欧州連合(EU)から輸入するワインなどの酒類に200%の関税を課す考えを表明したことや、「ロシアの交渉担当者は米国の一時停戦案を拒否」との報道をきっかけにユーロ売り・ドル買いが先行。22時30分前に一時1.0823ドルと日通し安値を付けた。
ただ、売り一巡後は買い戻しが優勢となり、1.0878ドル付近まで持ち直した。ベッセント米財務長官の発言や米長期金利が低下に転じたことが相場を下支えした。もっとも、米関税政策への警戒感やウクライナ情勢の不透明感は根強く、戻りは限定的だった。
なお、プーチン露大統領は米国が提案したウクライナでの停戦案について「一時停戦には同意するが、長期的な平和につながるべき。停戦について多くの疑問がある」と話し、即時の停戦受け入れには難色を示した。
・ユーロ円は3日ぶりに反落。米国の関税政策が欧州景気に及ぼす悪影響が懸念される中、全般ユーロ売りが先行。米国株相場の下落を背景にリスク回避の円買いが強まると、2時30分前に一時160.06円と日通し安値を付けた。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は4日続落し昨年9月10日以来約半年ぶりの安値となった。トランプ米政権の関税政策を背景に激化する通商摩擦が景気の悪化を招くとの懸念からリスク回避の売りが優勢となった。ウクライナ情勢の不透明感も投資家心理を圧迫し、ダウ平均は一時680ドル超下落した。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は大幅反落し、昨年9月10日以来約半年ぶりの安値で取引を終えた。
・米国債券相場で長期ゾーンは3日ぶりに反発。2月米PPIが予想を下回ると買いが先行したものの、すぐに失速した。市場では「米関税政策で物価上昇圧力が高まる可能性があり、材料視しにくい」との声が聞かれた。
ただ、NY午後に入ると米国株相場の下落に伴う買いが優勢となり上げに転じた。トランプ米政権の関税政策を背景に激化する通商摩擦が景気の悪化を招くとの懸念から、相対的に安全資産とされる米国債に買いが入った。
・原油先物相場は反落。時間外で上昇したものの、NY勢の本格参入後から上値の重い展開が続いた。米とEUが貿易戦争の様相を呈し始め、経済への悪影響を懸念した売りが強まった。国際エネルギー機関(IEA)の月報で示された「今年の国際石油市場では供給が需要を上回る」との見通しも、相場の重しとなった。
・金先物相場は大幅に3日続伸し、中心限月の清算値ベースで史上最高値を更新。EUが、ウィスキーを含む米国製品に来月から追加関税を課すと発表。これを受けてトランプ米大統領は、EUから輸入するワインなどの酒類に200%の関税を課す考えを示した。これにくわえて、ウクライナ停戦案に対する後ろ向きの考えがロシアから伝わった。貿易摩擦の激化と地政学リスクへの懸念から、安全資産とされる金に資金が向かった。一時3000ドルに迫る場面もあった。
13日11:35 加藤財務相
「現時点で日銀との共同声明を見直すことは考えてない」
「マクロの状況、需要でなく供給不足の局面に入りつつある」
「物価上昇は、海外発のコストプッシュ型と、人件費上昇による基調的上昇の2つある」
「現時点でデフレにもどる見込みがない状況には至っていない」
「海外市況が落ち着けばコストプッシュ型の物価上昇が沈静化、その点を見極めながら日銀・政府で対応が必要」
13日12:31 植田日銀総裁
「食品価格がインフレを押し上げている」
「マネタリーベース・バランスシート・日銀当座預金の規模、現状はやや大きすぎる」
「バランスシート縮小の望ましい着地点、海外の知見も参考にしながら時間をかけて議論したい」
「基調的な物価上昇率、現在は2%を下回っているが景気が緩やかに回復するもとで徐々に2%に向かって高まってゆく」
「人手不足の強まりで、賃金・物価が上がりにくい慣行に変化」
「こうした変化が続くことは2%物価目標の実現に重要」
13日16:51 カザークス・ラトビア中銀総裁
「インフレに関して全てが終わったとは言えない」
「金利は不確実性の中で会合ごとに決定される」
13日17:04 ナーゲル独連銀総裁
「(インフレ率は)年末には2%の目標に戻る見込み」
「物価安定は今年実現されるだろう」
13日23:17 ベッセント米財務長官
「(ドルについて)調整されるのは自然なこと」
「(ドルについて)他の通貨が好調になるのは自然」
「デトックスはリセッションの言い換えではない」
「多少のボラティリティーは懸念していない」
14日00:46 プーチン露大統領
「一部外国企業のロシア復帰を協議中」
「ウクライナ問題への関心を示したトランプ大統領に感謝」
「停戦は長期的平和につながる」
「我々はウクライナでの一時停戦には同意するが、長期的な平和につながるべき」
「停戦は紛争の根本原因を排除する必要」
「クルスク地域の状況は完全にロシアの支配下」
「ウクライナ軍はクルスクで完全に孤立」
「クルスクのウクライナ人には2つの選択肢がある。死ぬか捕らえられるかだ」
「停戦になったとしても、クルスクや他の場所で状況がどう展開するかは不明」
「停戦については多くの疑問がある。停戦を誰がコントロールするのか」
「停戦自体は正しいし、我々はそれを支持するが、議論すべき問題がある」
「おそらく私とトランプ氏は電話会談をしなければならないだろう」
「米国とロシアがエネルギー協力で合意すれば、欧州向けのガスパイプラインが提供される可能性」
「ロシアの安いガスはヨーロッパに利益をもたらすだろう」
14日01:15 欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会のフォンデアライエン欧州委員長
「EUは関税に関して利益を守る」
「関税について米国と交渉する用意ある」
14日01:56 トランプ米大統領
「ロシアが正しいことをしてくれると願っている」
「ロシアからの停戦を望む」
「プーチン大統領と話し合う用意がある」
「4月2日の関税について考えを変えるつもりはない」
「米国はカナダの自動車、エネルギー、木材を必要としていない」
「多少の混乱はあるだろうが、それほど長くは続かないだろう」
※時間は日本時間
<国内>
○春闘、第1回回答集計結果(連合)
<海外>
○16:00 ◎ 2月独消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比0.4%/前年比2.3%)
○16:00 ◇ 2月独卸売物価指数(WPI)
○16:00 ☆ 1月英国内総生産(GDP、予想:前月比0.1%)
○16:00 ◎ 1月英鉱工業生産(予想:前月比▲0.1%/前年比▲0.7%)
○16:00 ◎ 1月英製造業生産高(予想:前月比横ばい)
○16:45 ◇ 2月仏消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比横ばい/前年比0.8%)
○18:00 ◎ エスクリバ・スペイン中銀総裁、講演
○21:00 ◎ 1月ブラジル小売売上高(予想:前年同月比1.9%)
○21:30 ◇ 1月カナダ製造業出荷(予想:前月比2.0%)
○21:30 ◇ 1月カナダ卸売売上高(予想:前月比1.8%)
○22:15 ◎ チポローネ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○23:00 ◎ 3月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値、予想:63.1)
○マーク・カーニー氏、カナダ首相に就任
○インド(水掛け祭)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
昨日の海外市場でドル円は、米PPIの下振れをきっかけにドル売りで反応する場面もあったが、「関税引き上げの影響はこれから」との見方から米長期金利が上昇し、148.35円付近まで値を上げた。ただ、ダウ平均が一時680ドル超下落するとリスク回避の円買いが活発化し、一時147.42円と日通し安値を更新した。ユーロドルは「ロシアの交渉担当者は米国の一時停戦案を拒否」との報道をきっかけに、一時1.0823ドルまで弱含んだ。
本日の東京時間でドル円は、主だった経済指標の発表などは予定されていないが、来週18-19日に開かれる日銀の金融政策決定会合に関しての観測報道が流れる可能性があることで、相場の急変には備えておきたい。また、市場のリスクとしてはドル安・円高リスクの方が優勢であるので上値の重さは変わらないか。
来週の日銀政策決定会合では、市場は現状維持予想が大多数で、注目は次回利上げがいつ行われるかになる。現時点では5月、6月ともに利上げ予想は少数派で、多くは7月の利上げ予想になっている。ただ、昨日の参院財政金融委員会に出席した植田日銀総裁が、「人手不足の強まりで、賃金・物価が上がりにくい慣行に変化」「今後実質賃金や消費について良い姿が見込まれる」などと発言したこともあり、本邦長期金利が上昇するなど早期の利上げ期待感もある。
上述のように昨日植田日銀総裁は「消費について良い姿が見込まれる」と述べたが、11日に発表された1月の家計調査で消費支出は前年比で予想の+3.6%を下回り僅か+0.8%になるなど、物価高で家計の消費は停滞したままになっている。植田日銀総裁の着任以来、経済指標の結果では政策方針を読み取ることが非常に難しくなっていることで、市場との対話は日銀関係者情報として報じられる、会合の前週やその週末での記事などが主になっている。よって、12日の春闘の集中回答の結果を好感したとの理由付けで、市場予想の7月よりも前倒しの利上げを示唆する記事が流れ、円高に動くリスクには警戒しておきたい。
また、欧米の政治的動向はリスク回避に動きやすいことも、円買い要因になる。ウクライナの停戦について、プーチン露大統領は昨日「原則的に同意するが、いかなる合意にも署名せず、さらなる交渉が必要」と平和を願うふりをしながら、ロシアの利権獲得が得られるまでは署名しないということを示唆した。プーチン露大統領は、ウクライナ東部のドネツク、ルハンシク、ヘルソン、ザポリージャの各地域全体を掌握することを条件に停戦に応じると兼ねてから述べている。この和平案はウクライナや他の欧州各国が承服できないことは明らか。その場合のトランプ米大統領の対応が注目されるだろう。これまでのようにプーチン露大統領に迎合し、トランプ氏がウクライナは妥協するべきと応えると再びウクライナ情勢は振出しに戻りそうだ。
また、トランプ関税については、日本についても徐々に厳しい発言が目立ってきている。日本は防衛面などでも米国依存体質があることで、交渉の切り札が少ない。昨日はベッセント米財務長官が「最近の市場でドルが下落しているのは自然な調整」と述べ、トランプ米大統領が3日に記者会見の場で「通貨安の国に関税を課す」と発言したことを追認したかたちだ。日本にとっては円安の修正が入ることは、渡りに船という面もあり、円高容認を交渉材料に使うようなことが起こるリスク(第2プラザ合意)にも備えておきたい。
大阪6月限ナイトセッション
日経225先物 36470 -40 (-0.10%)
TOPIX先物 2668.5 -2.0 (-0.07%)
シカゴ日経平均先物 36450 -60
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
13日の米国市場はNYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が下落。2月の米卸売物価指数(PPI)は前月比横ばい、変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアPPIは前月比0.1%低下し、昨年7月以来のマイナスだった。インフレ再燃への過度な懸念を和らげる内容だった。
一方で、トランプ政権による関税発動に対し、欧州連合(EU)やカナダが対抗措置を発表。さらにトランプ米大統領は報復措置として欧州産のワインなどアルコール類に200%の関税を課すと自身のSNSに投稿するなど、関税の応酬による景気減速懸念から、主力株を中心に売り優勢の相場展開になった。また、米連邦政府のつなぎ予算の失効が迫っており、政府機関が一部閉鎖するリスクが警戒されたほか、ウクライナ情勢を巡る不透明感も重荷になったとみられる。
NYダウ構成銘柄では、セールスフォース<CRM>、ホーム・デポ<HD>、アップル<AAPL>、スリーエム<MMM>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>が売られた。半面、ベライゾン・コミュニケーションズ<VZ>、トラベラーズ<TRV>、メルク<MRK>、シェブロン<CVX>が上昇。
シカゴ日経平均先物(6月限)清算値は、大阪比60円安の3万6450円だった。日経225先物(6月限)のナイトセッションは、日中比10円高の3万6520円で始まり、その後はロング優勢の流れのなか、3万6780円まで買われた。買い一巡後は3万6500円~3万6700円辺りでの保ち合いを継続。米国市場の取引開始後はショート優勢のなかで3万6300円まで下げ幅を広げる場面もあった。終盤にかけてショートカバーが入り、3万6470円でナイトセッションの取引を終えた。
シカゴ先物にサヤ寄せする形から、やや売り先行で始まることになりそうだ。貿易戦争激化による世界経済に与える影響への警戒から積極的なロングの動きは限られるだろう。前日にはボリンジャーバンドの-1σを捉える場面もみられたが、その後の失速によって下向きで推移する-1σと-3σでのレンジ内での推移が続きそうだ。6月限の-1σは3万6910円辺りに位置しており、同水準が抵抗になろう。一方で、直近で-2σからは上放れてきているため、同バンドが位置する3万5960円が支持線として意識されそうだ。
そのため、オプション権利行使価格の3万6000円から3万7000円のレンジを想定する。本日は3月限の先物・オプション特別清算指数算出(メジャーSQ)となるが、米国市場の下落の影響もあってSQに絡んだ商いは売り越しになりそうである。SQ値が支持線もしくは抵抗線となることでセンチメントに影響するため、SQ値の水準を意識しながらのスキャルピング中心のトレードになるだろう。調整トレンドが継続しているなか、-1σ接近では戻り待ち狙いのショートが入りやすい。
13日の米VIX指数は24.66(12日は24.23)に上昇した。小幅に上昇して始まり、26.13を高値に、23.46まで下げる場面もみられた。20.00を上回っているほか、依然として上向きのトレンドを継続しているが、貿易摩擦への警戒から主要な株価指数が下落するなかにおいては、比較的落ち着いた値動きだった。
昨日のNT倍率は3月限で13.62倍に低下した。6月限では13.67倍となる。朝方はアドバンテスト<6857.T>[東証P]など指数インパクトの大きい値がさハイテク株が日経平均株価を牽引する形で上昇して始まったが、後場に入り再びNTショートに向かわせる形となった。2023年9月下旬につけた13.55倍が射程に入るなか、NTショートが入りやすい。
東京市場は軟調か。米国株は下落。ダウ平均は537ドル安の40813ドルで取引を終えた。EUが米国からのウィスキーに50%の関税を課したことへの報復としてトランプ大統領がEUのアルコール類に200%の関税を課すと表明。貿易摩擦激化懸念から場中に下げ幅を広げる弱い動きとなった。2月の生産者物価指数(PPI)は市場予想を下回り、10年債利回りは低下したものの、相場の下支えにはならなかった。ドル円は足元147円90銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが大証日中終値と比べて60円安の36450円、ドル建てが50円高の36560円で取引を終えた。
米国株安を受けて売りに押されると予想する。関税に関するネガティブなニュースが相次いでおり、週をまたぐリスクも高まっている。きのうの日経平均は一時500円超上昇したところから下落で終えた。米国株は3指数がそろって1%を超える下落となっており、ナスダックの下落率は2%近い。本日はメジャーSQ日で指数の動きは不安定となる可能性がある。買いを急ぐ理由に乏しい中、場中はリスク回避ムードの強い地合いが続くだろう。日経平均の予想レンジは36200円-36900円。
日経225先物は11時30分時点、前日比150円高の3万6660円(+0.41%)前後で推移。寄り付きは3万6510円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万6450円)にサヤ寄せする動きにはならず、前日比変わらずから始まった。現物の寄り付きにかけてショートの動きが強まり、3万6270円まで売られる場面もみられた。ただし、その後は急速に切り返す流れとなってプラス圏を回復し、中盤にかけて3万6700円まで上げ幅を広げた。買い一巡後は3万6500円~3万6700円辺りでの保ち合いを継続している。
日経225先物は、開始直後に下押す動きとなったが、3月限の先物・オプション特別清算指数算出(メジャーSQ)に絡んだ商いが影響したようだ。SQに絡んだ売買では日経平均型が600億円の売り越し、TOPIX型は170億円の買い越しと推計されている。SQ値概算は3万6483.79円だった。日経平均株価はSQ値を下回らなかったことで、ショートカバーが入りやすかったほか、指数インパクトの大きいアドバンテスト<6857.T>[東証P]が強い値動きだったこともセンチメント改善につながったのだろう。
もっとも、下向きで推移するボリンジャーバンドの-1σと-2σでのレンジであるため、-1σ接近では戻り待ち狙いのショートが入りやすいとみておきたい。
NT倍率は先物中心限月で13.65倍と前日と同程度の水準で推移している。足もとで低下傾向を続けているが、一時13.70倍まで上昇する場面もみられており、NTショートを巻き戻す動きも意識されてきそうだ。
昨日の海外市場では、先月の数字が米金利急低下とドル急落を招くきっかけとなったという曰く付きの米PPIに注目が集まったわけですが、予想を下回る弱い数字に、米金利低下とともにドル円も一時147.82円まで下押ししたものの、米10年債利回りが一転上昇に転じると148.35円まで値を上げることになりました。今回の結果は、先月の1月米PPIの内容とは全くの逆で、ヘッドラインは弱かったものの、月末のPCEコア算出に関係するパラメーターはしっかりとしていたわけで、米長期金利が低下直後に上昇に転じることになりました。
ただ、その後はダウ平均が一時680ドルを超える下落となると再び米金利が低下。リスクオフ的な動きから戻り売りが強まると147.42円の安値まで値を下げました。ベッセント米財務長官が「最近のドル下落は自然な調整で懸念していない」との見解を示したことも戻り売りを後押ししました。ただ、引けにかけては147.83円まで買戻されてNY市場を終えています。
週末のアジア市場では、ダウ先物が堅調に始まったほか、安く寄付いた日経平均がプラス圏まで買戻されると次第に下値を切り上げる展開に。週末の実質ゴトー日でもあり、仲値に向けては本邦実需の買いが断続的に観測されると昨日高値の148.38円を上抜けて一時148.43円まで値を上げました。その後の下押しも148.16円までと限定的となっています。
いずれにしても、ドル円は二転三転しているトランプ関税や、米国株の大幅な調整売りといったリスクオフをこなしながら、下値を固めつつあるわけで、一目転換線の位置する148.36円が意識されている状況。終値ベースでの転換線上抜けといったチャート上でのサインを確認出来るのであれば、コストのかかるショートポジションを敢えてキープする意味合いも薄れてくるというものです。既に東京時間から始まっている、週末の調整色強い相場展開に注意したいところです。
本日のユーロドルは引き続き、ドイツ債務見直し案の行方やウクライナ情勢、トランプ関税の行方など、政治に注目する展開が予想される。
昨日、独債務見直し案について緑の党が拒否したことで、タイムリミットとされる独下院の会期末である18日を前に可決への不透明が漂う。足もとのユーロドル相場は、独財政拡張への期待感が上昇の要因であった。期限までまだ多少の猶予はあるとはいえ、ユーロドル相場の波乱要因となる可能性がある点に留意したい。
また、トランプ米政権の関税政策を巡る不透明感が強い中、欧米の関税合戦の行方もまた、ユーロの重荷になる可能性がある。昨日は欧州連合(EU)が「来月1日よりバーボン・ウイスキーなど米国から輸入する製品に関税を課す措置を講じる」と発表すると、トランプ米大統領は「EU加盟国のワインやフランスのシャンパンなどのアルコール製品に200%の関税を課す」と表明している。トランプ関税による悪影響(物価上昇や景気停滞)への懸念から米株が下落しており、勝者なき貿易戦争の様相を呈してきている。引き続き、関連報道には注意が必要だろう。
ウクライナ情勢については、ボールはロシア側にあることを踏まえると、ロシアの対応次第でリスクセンチメントに大きな影響が出ることが予想される。昨日、ロシアは米停戦案に対して「原則支持する」としたが「いかなる停戦も紛争の根本的な要因を排除した上で恒久的な平和につなげる必要がある」ともしており、停戦への道筋は依然として不透明なままだ。一部で可能性が取り沙汰されている米露電話会談が行われた場合は、停戦実現が見通せるかロシア側の対応を注視することになる。
経済イベントでは、独・仏で2月消費者物価指数(CPI)改定値や、英では1月月次国内総生産(GDP)や鉱工業生産などが発表予定。ただ、市場の関心が政治情勢に集まっていることを考えると、市場予想や前回地からよほどかい離しない限り材料視されにくいだろう。そのほか、エスクリバ・スペイン中銀総裁や、チポローネ欧州中央銀行(ECB)専務理事の発言機会が予定されている。
想定レンジ上限
・ユーロドル:11日高値1.0947ドル。
想定レンジ下限
・ユーロドル:6日安値1.0766ドル。
ドル円:1ドル=148.47円(前営業日NY終値比△0.66円)
ユーロ円:1ユーロ=161.10円(△0.68円)
ユーロドル:1ユーロ=1.0850ドル(▲0.0002ドル)
日経平均株価:37053.10円(前営業日比△263.07円)
東証株価指数(TOPIX):2715.85(△17.49)
債券先物6月物:138.14円(△0.39円)
新発10年物国債利回り:1.520%(▲0.025)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
特になし
(各市場の動き)
・ドル円は堅調。米上院民主党トップのシューマー院内総務が共和党の予算案に賛成票を投じる意向を示すと、時間外で米株価指数先物が上昇してドル円はつれ高となった。その後も実質ゴトー(5・10)日の仲値に向けてドル買いが優勢となったほか、安く始まった日経平均が上昇に転じた後も堅調に推移したことも合わさり、148.65円まで上値を広げた。
・ユーロ円も堅調。日経平均や中国株の上昇を受けてリスク選考の流れとなる中、全般的に円安が進行すると161.19円まで上昇した。
・ユーロドルは様子見。手掛かり材料に乏しい中、1.08ドル台半ばで方向感を模索する動きが続いた。
・日経平均株価は反発。前日の米株安を受けて安く始まった後は一転して買い優勢の展開に。その流れが後場に入っても続くと、3万7000円の大台を回復して引けた。
・債券先物相場は反発。前日の米債券市場で上昇した流れを引き継いで買いが先行するも、日経平均が堅調した推移ほか、財務省が実施した流動性入札が弱めの結果となると137円63銭まで売られた。ただ、トランプ米政権による関税戦争への懸念を背景に世界的な景気減速が懸念されると、日銀の早期利上げに慎重になるとの見方が浮上して債券が買い戻された。
みずほ証券では金市場についてリポートしている。NY金先物価格は2月24日に1トロイオンス=2963ドルと過去最高値をつけた。足元では米国と各国との貿易摩擦激化への懸念から、安全資産としての金が買われているとのこと。みずほでは、長期的には中央銀行による金需要が相場を支えると考えている。一方で、2008年の金融危機以降、金価格は52週線+20%~+30%水準で上昇一服となる傾向があると指摘。これらを踏まえて2025年内の金価格の予想を1トロイオンス=2800~3200ドルとしている。
「借り入れコスト引き下げでトランプ政権が重点を置いているのは、米連邦準備理事会(FRB)の政策金利ではなく、米10年債利回りだ」(ベッセント米財務長官)
1. 2025会計年度(24年10月-25年9月)財政赤字:1兆1466.02億ドル
米財務省は、2025会計年度(24年10月~25年9月)の2月の財政収支が、3070.17億ドルの赤字だったと発表した。2024年2月は2962.75億ドルの赤字だったことで、赤字幅は107.42億ドル(4%)増加した。歳入が増加したものの、公的債務の利払い費や給付金の支払いなどが増加したことが響いた。
歳出は6%増の6034.41億ドルで2月としては過去最大、歳入は9%増の2964.24億ドルと2月としては過去最大を記録した。
2025会計年度(24年10月-25年9月)累計の財政赤字は、前年同期比38%増(3180億ドル)の1兆1466.02億ドル去最大を記録した。
歳入は2%増(370億ドル)の1兆8926.57億ドル、歳出は13%増(3550億ドル)の3兆392.59億ドルで、いずれも過去最大となった。
発行されている国債の50%が今後3年で満期になるため、現状の米中長期債利回りの高止まりが続いた場合、利払い額が2兆ドルに達することが警戒されている。
【財政赤字と対GDP比】
・2020会計年度:3兆1319億ドル(対GDP比15.0%)※過去最大
・2021会計年度:2兆7721.79億ドル(対GDP比12.4%)※過去2番目
・2022会計年度:1兆3754.81億ドル
・2023会計年度:1兆6952.40億ドル(対GDP比6.2%)
・2024会計年度:1兆8328.16億ドル(対GDP比6.4%)
2.2025年2月末債務残高:36兆2186億ドル(※米国債:28兆ドル)
米国の2025年2月末時点での債務残高は36.2186兆ドルで、2024年第4四半期国内総生産(GDP)29.70兆ドルの約123%となっている。
トランプ米政権は、2月4日に中国からの輸入品に10%の追加関税を課したが、この関税引き上げは2月の関税収入に実質的な影響はなく、3月からデータに反映されるとのことである。2月の純関税収入は72.5億ドルで、1月の73.4億ドルから減少したが、前年同月の62.1億ドルからは増加した。
実業家イーロン・マスク氏率いる政府効率化省(DOGE)による連邦政府の人員削減や支出削減への取り組みによる目立った影響も、2月には表れなかった。
格付け会社ムーディーズは「どちらの候補が当選しても米国の財政状況は弱体化する可能性が高い」と指摘して、大統領選後に米国の信用格付けを引き下げることを示唆していた。
格付け会社フィッチは「トランプ次期米大統領の就任で共和党が政権と議会多数派を握る構図となっても、連邦債務上限を巡る議論が早期に解決する可能性は低い」との見方を示した。
第1次トランプ米政権の財政赤字は、約8兆ドル拡大していた。
超党派の米シンクタンク「責任ある連邦予算委員会」は、第2次トランプ米政権では、2026~35年度の10年間で財政赤字が7兆5千億ドル拡大するとのことである。25年末に期限を迎える減税策の恒久化が5兆3500億ドル、残業代への課税撤廃は2兆ドルの財政悪化が見込まれている。全ての輸入品に10%、中国に60%の関税を課す方針では、2兆7千億ドルの税収増となる。
大阪6月限
日経225先物 36860 +350 (+0.95%)
TOPIX先物 2691.5 +21.0 (+0.78%)
日経225先物(6月限)は前日比350円高の3万6860円で取引を終了。寄り付きは3万6510円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万6450円)にサヤ寄せする動きにはならず、前日比変わらずから始まった。現物の寄り付きにかけてショートが強まり、3万6270円まで売られる場面もみられた。
だが、その後は急速に切り返す流れとなってプラス圏を回復し、前場中盤にかけて3万6700円まで上げ幅を広げた。買い一巡後は3万6550円~3万6700円辺りでの保ち合いを継続。ランチタイムでレンジを上抜け、後場中盤には3万6900円まで買われた。終盤にかけては3万6800円~3万6900円辺りでの推移が続いた。
日経225先物は、開始直後に下押す動きとなったが、3月限の先物・オプション特別清算指数算出(メジャーSQ)に絡んだ商いが影響したようだ。SQに絡んだ売買では日経平均型が600億円の売り越し、TOPIX型は170億円の買い越しと推計されている。SQ値は3万6483.79円であり、日経平均株価がこれを下回らなかったことで、ショートカバーが入りやすかった。
さらに、指数インパクトの大きいアドバンテスト<6857.T>[東証P]が強い値動きだったことも、センチメントの改善につながったのだろう。為替市場では円相場が1ドル=148円台半ばと円安に振れて推移していたほか、グローベックスの主要な米株先物がプラス圏で推移していたことも押し目狙いのロングに向かわせる形だった。
もっとも、下向きで推移するボリンジャーバンドの-1σと-2σによるレンジであるため、-1σ接近では戻り待ち狙いのショートに上値を抑えられる形だった。
なお、ナイトセッションでは3万6950円まで買われており、-1σ(3万6870円)を上回ってきた。節目の3万7000円接近で強弱感が対立する可能性はあるものの、-1σ突破となれば、その後のトレンド転換が意識されることでショートを仕掛けづらくさせ、ロングが入りやすくなりそうだ。来週は日米の金融会合が予定されていることでスキャルピング中心の展開となりそうだが、リバウンド機運が徐々に高まりそうだ。
NT倍率は先物中心限月で13.69倍に上昇した。足もとで低下傾向を続けているが、2023年9月下旬以来の安値水準に接近するなか、ボトム形成からのリバランスの動きも意識されてくる可能性があろう。
手口面(6月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万8547枚、ソシエテジェネラル証券が1万4216枚、サスケハナ・ホンコンが3676枚、JPモルガン証券が3255枚、バークレイズ証券が3136枚、SBI証券が2188枚、モルガンMUFG証券が2113枚、ゴールドマン証券が1939枚、楽天証券が1868枚、みずほ証券が1297枚だった。
TOPIX先物は、ABNクリアリン証券が2万1299枚、ソシエテジェネラル証券が1万8035枚、バークレイズ証券が7256枚、JPモルガン証券が6782枚、ゴールドマン証券が5639枚、モルガンMUFG証券が4204枚、サスケハナ・ホンコンが2028枚、ビーオブエー証券が1512枚、BNPパリバ証券が1507枚、野村証券が1226枚だった。
本日のNY為替市場のドル円は、米国債や株式市場の動向を注視しながら、3月米消費者態度指数(ミシガン大調べ)、そしてトランプ米大統領の突発的な発言に警戒する展開となる。
来週の18-19日に米連邦公開市場委員会(FOMC)と日銀金融政策決定会合が開催されるが、どちらも現状の金融政策の維持が予想されている。
連合の第1回集計で25年春闘の平均賃上げ率は5.46%と発表され、賃上げ要求の6.09%を下回ったことで、日銀の据え置きの可能性が高まっている。
3月米消費者態度指数(ミシガン大調べ)の速報値は63.1と予想されている。注目ポイントは、トランプ関税による期待インフレ率となる。
【1月確報値(改定)】 【2月確報値】
・1年先期待インフレ率: 3.3% 4.3%
・5年先期待インフレ率: 3.2% 3.5%
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」が示している今年の利下げ回数は3回、年末のFF金利誘導目標は3.50-75%となっている。
・6月FOMC:-0.25%=4.00-25%
・9月FOMC:-0.25%=3.75-4.00%
・12月FOMC:-0.25%=3.50-75%
トランプ米大統領の発言以外に警戒すべきヘッドラインとしては、ウクライナ情勢やドイツ連邦議会での債務上限を巡る協議、などが挙げられる。
・想定レンジ上限
ドル円の上値目処(めど)は、149.19円(3/12高値)
・想定レンジ下限
ドル円の下値目処(めど)は、147.42円(3/13安値)
今晩は反発か。昨日は米2月生産者物価指数(PPI)が予想を下回ったことで米10年債利回りの低下や利下げ期待が高まったものの、トランプ米大統領がEUから輸入されるアルコール類に200%の関税を課すと警告したことで貿易摩擦懸念が一段と強まり主要3指数がそろって大幅に下落した。ダウ平均は537.36ドル安(-1.30%)と4日続落し、S&P500とナスダック総合もそれぞれ1.39%安、1.96%安と大幅に反落した。S&P500は2月に付けた終値の過去最高値から10.13%安となり「調整相場」入りとなった。すでに「調整相場」入りしたナスダック総合は高値からの下落率を14.23%に拡大した。週初来ではダウ平均が4.65%安と2022年6月以来の大幅安ペースとなり、S&P500とナスダック総合もそれぞれ4.31%安、4.91%安と大幅2週続落ペースとなった。
今晩もトランプ関税問題やそれによる物価上昇、景気悪化、貿易摩擦激化懸念が引き続き相場の重しとなることが懸念されるものの、週初から主要3指数が大幅安となったことで週末を控えた持ち高調整の買いも期待できそうだ。経済指標では3月ミシガン大消費者信頼感指数速報値や併せて発表される1年先・5年先期待インフレ率速報値が注目される。2月のミシガン大消費者信頼感指数は64.7と2023月11月以来の水準に悪化したが、3月分も63.1へと更なる悪化が見込まれており、景気悪化懸念の一段の強まりに要警戒となる。
今晩の米経済指標・イベントは3月ミシガン大消費者信頼感指数速報値、同1年先・5年先期待インフレ率速報値など。主要な企業の決算発表はなし。
連合の第1回集計では、25年春闘の平均賃上げ率は5.46%だった。
日経平均株価は反発。前日終値から下方での寄り付きとなったが、早々に売りが一巡して戻りを試す展開となった。下向きが一巡した5日移動平均線(36896円 3/14)を上回り、10日移動平均線(37161円 同)付近まで伸びる陽線を形成した。
RSI(9日)は前日の43.2%→34.3%(3/14)に低下。今週の長い下ヒゲのある陽線で底入れ期待も強いが、基本的には1/24高値(40279円)からの二段下げ目の動きは依然として続いている。
一方、5日移動平均線を上回る引けとなり、上目線では次は10日移動平均線を勢いよく上回れるかどうか。短期的には3/7の下落で形成したマドの上限(37580円)を埋め戻すような動きがみられるかが焦点となる。
上値メドは、10日移動平均線、3/6安値(37580円)、心理的節目の38000円、25日移動平均線(38107円 同)、200日移動平均線(38600円 同)、心理的節目の39000円などがある。下値メドは、心理的節目の36500円や36000円、9/17安値(35828円)、心理的節目の35500円、9/9安値(35247円)、心理的節目の35000円などがある。
(14日終値:15日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=148.44円(14日15時時点比▲0.03円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=161.53円(△0.43円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0882ドル(△0.0032ドル)
FTSE100種総合株価指数:8632.33(前営業日比△89.77)
ドイツ株式指数(DAX):22986.82(△419.68)
10年物英国債利回り:4.666%(▲0.011%)
10年物独国債利回り:2.876%(△0.021%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
2月独消費者物価指数(CPI)改定値
(前月比) 0.4% 0.4%
(前年同月比) 2.3% 2.3%
2月独卸売物価指数(WPI)
(前月比) 0.6% 0.9%
1月英国内総生産(GDP)
(前月比) ▲0.1% 0.4%
1月英鉱工業生産
(前月比) ▲0.9% 0.5%
(前年同月比) ▲1.5% ▲1.9%
1月英製造業生産指数
(前月比) ▲1.1% 0.7%
2月仏消費者物価指数(CPI)改定値
(前月比) 0.0% 0.0%
(前年同月比) 0.8% 0.8%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は頭が重かった。労働組合の全国中央組織「連合」が公表した2025年春闘の第1回回答集計によると、平均賃上げ率は5.46%と前年の5.28%を上回り、1991年の最終集計(5.66%)以来の高水準となった。ただ、賃上げ要求の6.09%を下回ったうえ、来週18-19日の日銀金融政策決定会合では現状維持が見込まれているため、円売り・ドル買いで反応した。16時30分前には一時149.02円と日通し高値を更新した。
ただ、買い一巡後は徐々に上値を切り下げた。米長期金利が上昇幅を縮めたことや3月米ミシガン大学消費者態度指数速報値が57.9と予想の63.1を下回ったことが相場の重し。1時30分過ぎには148.26円付近まで下押しした。
・ユーロドルは伸び悩み。独主要与野党と「緑の党」は財政拡大へ向けた案について合意したとの報道が伝わると、拡張的な財政政策が早期に実現するとの見方からユーロ買い・ドル売りが先行。欧州株相場の上昇に伴うユーロ買い・ドル売りも入り、20時前に一時1.0912ドルと日通し高値を更新した。
ただ、11日に付けた5カ月ぶりの高値1.0947ドルがレジスタンスとして意識されるとやや上値が重くなった。ユーロ円の失速につれた売りも出ると一時1.0866ドル付近まで下押しした。
なお、トランプ米大統領はこの日、「プーチン露大統領と13日に有意義で生産的な協議を行った」と明らかにし、ロシアとウクライナの紛争が終結する「可能性が非常に高い」と述べた。一方、プーチン露大統領は「クルスク州のウクライナ軍に関するトランプ大統領の要請を検討」「米国との関係について進展が見られる」「トランプ大統領はロシアとの関係修復に全力を尽くしている」などと語った。
・ユーロ円も伸び悩み。ドル円の上昇につれた買いが入ったあとは、ドイツで財政拡大策が実現に向かうことへの期待が高まりユーロ買いが進んだ。20時前には162.33円と日通し高値を更新した。ただ、12日の高値162.36円がレジスタンスとして意識されるとやや上値が重くなった。1時前には161.28円付近まで下押しした。
・ロンドン株式相場は3日続伸。日本株や中国株の上昇を受けて買いが先行。本日の米国株が大幅に反発したことも相場の支援材料となった。BAEシステムズやロールス・ロイス・ホールディングスなど資本財サービス株が買われたほか、リオ・ティントやアングロ・アメリカンなど素材株が値上がりした。
・フランクフルト株式相場は大幅に反発。本日のアジア株相場が上昇した流れを引き継いで独株にも買いが波及した。財政拡大策が早期に実現するとの期待から買いが入った面もあった。個別ではラインメタル(6.29%高)やエアバス(4.21%高)、ハイデルベルク・マテリアルズ(3.75%高)などの上昇が目立った。
・欧州債券相場で独国債は下落。ドイツで拡張的な財政政策が実現するとの見方が強まると、独国債に売りが出た。
(14日終値)
ドル・円相場:1ドル=148.64円(前営業日比△0.83円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=161.69円(△1.27円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0879ドル(△0.0027ドル)
ダウ工業株30種平均:41488.19ドル(△674.62ドル)
ナスダック総合株価指数:17754.09(△451.08)
10年物米国債利回り:4.31%(△0.04%)
WTI原油先物4月限:1バレル=67.18ドル(△0.63ドル)
金先物4月限:1トロイオンス=3001.1ドル(△9.8ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
3月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値)
57.9 64.7
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は反発。日本時間夕刻に一時149.02円まで上昇した影響が残った。
NY市場序盤は3月米ミシガン大学消費者態度指数速報値が予想を下回った一方、同時に発表された1年先・5年先の期待インフレ率が予想を上回ったため、売買が交錯。指標発表直後には148.89円付近まで上げたものの、1時30分過ぎには148.26円付近まで押し戻された。
ただ、NY午後に入るとじりじりと下値を切り上げる展開に。米政府機関の一部閉鎖が回避される可能性が高まったことなどが好感されて、ダウ平均が一時700ドル超上昇。米国株の大幅反発に伴う円売り・ドル買いが出て148.67円付近まで持ち直した。市場では「一目均衡表転換線が位置する148.36円が意識されている状況」との声も聞かれた。
・ユーロドルは3日ぶりに反発。欧州時間に「独主要与野党は、国防費支出の増加などを含めた財政パッケージを巡り『緑の党』と合意した」と伝わった。ドイツで拡張的な財政政策が早期に実現するとの見方が強まると、ユーロ買い・ドル売りが優勢となり一時1.0912ドルと日通し高値を更新した。
ただ、11日に付けた5カ月ぶりの高値1.0947ドルがレジスタンスとして意識されると伸び悩んだ。ユーロ円の失速や米長期金利の上昇も相場の重しとなり、23時30分過ぎに一時1.0866ドル付近まで下押しした。
もっとも、NY午後に入ると1.0880ドルを挟んだ狭いレンジ取引に終始した。来週18-19日の米連邦公開市場委員会(FOMC)やウクライナ停戦合意の行方などを見極めたいとの思惑から様子見ムードが広がった。
・ユーロ円は反発。ドイツで財政拡大策が実現に向かうことへの期待が高まる中、欧州時間には162.33円と日通し高値を付ける場面があった。ただ、NY市場では12日の高値162.36円がレジスタンスとして意識され、じり安の展開に。1時前には161.28円付近まで下押しした。
もっとも、引けにかけては米国株高やドル円の買い戻しにつれた動きとなり、161.80円付近まで持ち直した。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は5日ぶりに大幅反発。トランプ米政権の関税政策を背景に激化する通商摩擦が景気の悪化を招くとの懸念から、足もとで相場下落が続いたあとだけに、自律反発狙いの買いが入った。米政府機関の一部閉鎖が回避される可能性が高まったことも投資家心理の改善につながり、指数は一時700ドル超上昇した。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も大幅に反発。テスラやマイクロン・テクノロジーなどが上昇した。
・米国債券相場で長期ゾーンは反落。米国株相場の大幅反発を受けて債券売りが広がった。米ミシガン大学が公表した3月米消費者調査で期待インフレ率が予想を上回ったことも売りを誘った。
・原油先物相場は反発。3月米ミシガン大学消費者態度指数・速報値が低調な結果となり、エネルギー需要の減少を懸念した売りで時間外の上昇分を吐き出す場面があった。もっとも、株式市場が大幅に反発し、リスク回避の巻き戻しが原油市場にも波及。週引けにかけて、67ドル前半で底堅く推移した。
・金先物相場は4日続伸し、中心限月の清算値ベースで史上初の3000ドル超えを記録。時間外から買い優勢となり、節目の3000ドルを超えると3017ドル付近まで上げ足を速めた。もともと地合いが強かったところに、為替のドル安進行がドル建て金を押し上げた。NY勢の本格参入後からは利益確定売りで伸び悩むも、貿易摩擦による景気減速への懸念が残るなか、安全資産とされる金への買い意欲は強いままだった。
14日08:00 ルブラン加財務相
「(米国と)対話を継続することで合意」
「北米の競争力を高めることについて話し合った」
「関税は国境の両側に有害である」
14日08:27 バンス米副大統領
「(景気後退の可能性を否定できるかと問われ)将来を予測することは決してできない」
「米経済のファンダメンタルズはかなり強い」
14日09:37 ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁
「貿易紛争は世界経済に悪影響を与える」
「トランプ米大統領の決定は懸念を引き起こしている」
14日16:29 ビルロワドガロー仏中銀総裁
「今年の欧州のインフレ率は2%程度まで低下する見込み」
14日20:16 ドイツのメルツ次期首相候補
「緑の党と財政パッケージで暫定合意した」
14日20:51 ラトニック米商務長官
「あらゆる国からの自動車への関税が公平」
14日21:51 ホルツマン・オーストリア中銀総裁
「関税引き上げと政府歳出増が新たなインフレ上昇リスクにつながるため、4月の金利据え置きを支持する」
「関税引き上げ、国防費増、ドイツの債務ブレーキ緩和がインフレ上昇を招いた場合、利上げが必要になる可能性もある」
14日23:04 エスクリバ・スペイン中銀総裁
「サービスインフレのさらなる緩和が必要」
「関税がインフレに及ぼす影響を評価するのは難しい」
「4月の決定は不明確、選択肢を残しておく必要がある」
「ベースラインシナリオに対するリスクは非常に大きい」
「関税は需要と信頼を損なう可能性」
15日01:41 プーチン露大統領
「クルスク州のウクライナ軍は武器を捨て、降伏する必要」
「クルスク州のウクライナ軍に関するトランプ大統領の要請を検討」
「米国との関係について進展が見られる。様子を見よう」
「トランプ大統領はロシアとの関係修復に全力を尽くしている」
15日03:57 カーニー・カナダ新首相
「今は我が国にとって重大な時期」
「政府はカナダ経済を改善し、より安全な国にする」
「フランスと英国を訪問する予定」
「いかなる形でも米国の一部になることはない」
「トランプ米大統領と進展ある。解決策は見つかるだろう」
※時間は日本時間
18日
○日銀金融政策決定会合(1日目)
○13:30 ◇ 1月第三次産業活動指数
19日
○08:50 ◎ 1月機械受注
○08:50 ◎ 2月貿易統計(通関ベース)
○未定 ☆ 日銀金融政策決定会合(終了後、決定内容発表)
○13:30 ◇ 1月鉱工業生産確報
○13:30 ◇ 1月設備稼働率
○15:30 ☆ 植田和男日銀総裁、定例記者会見
20日
○春分の日の祝日で休場
21日
○08:30 ☆ 2月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食品を除く総合)
○08:30 ☆ 2月全国CPI(生鮮食料品・エネルギー除く)
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
17日
○11:00 ◎ 2月中国鉱工業生産
○11:00 ◎ 2月中国小売売上高
○21:15 ◇ 2月カナダ住宅着工件数
○21:30 ◇ 1月対カナダ証券投資
○21:30 ◎ 3月米ニューヨーク連銀製造業景気指数
○21:30 ☆ 2月米小売売上高
○23:00 ◇ 1月米企業在庫
○23:00 ◎ 3月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数
○メキシコ(ベニート・フアレス生誕日)、休場
18日
○18:00 ◎ レーン・フィンランド中銀総裁、講演
○19:00 ◎ 3月独ZEW景況感指数
○19:00 ◎ 3月ユーロ圏ZEW景況感指数
○19:00 ◇ 1月ユーロ圏貿易収支
○21:30 ◎ 2月カナダ消費者物価指数(CPI)
○21:30 ◎ 2月米住宅着工件数
◎ 建設許可件数
○21:30 ◇ 2月米輸入物価指数
○22:15 ◎ 2月米鉱工業生産
◇ 設備稼働率
○米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目
19日
○06:45 ◇ 10-12月期ニュージーランド(NZ)経常収支
○17:00 ◎ 2月南アフリカCPI
○19:00 ☆ 2月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値
○19:00 ☆ 2月ユーロ圏HICPコア改定値
○19:45 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○20:00 ◇ 1月南アフリカ小売売上高
○20:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○20:30 ◎ センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演
○23:30 ◇ EIA週間在庫統計
○20日03:00 ☆ 米連邦公開市場委員会(FOMC)、終了後政策金利発表
○20日03:00 ☆ FOMC、経済・金利見通し発表
○20日03:30 ☆ パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見
○20日05:00 ◎ 1月対米証券投資動向
○20日06:30 ☆ ブラジル中銀、政策金利発表
○06:45 ☆ 10-12月期NZ国内総生産(GDP)
○09:30 ◎ 2月豪雇用統計(失業率/新規雇用者数)
○16:00 ◎ 2月英雇用統計(失業率/失業保険申請件数推移)
○16:00 ◎ 11-1月英失業率(ILO方式)
○16:00 ◇ 2月独生産者物価指数(PPI)
○17:30 ◎ スウェーデン中銀、政策金利発表
○17:30 ☆ スイス国立銀行(中央銀行、SNB)、政策金利発表
○17:30 ◎ 2月香港CPI
○19:00 ◇ 1月ユーロ圏建設支出
○21:00 ◎ レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼主任エコノミスト、講演
○21:00 ☆ 英中銀(BOE)、政策金利発表
○21:00 ☆ 英中銀MPC議事要旨
○21:30 ◇ 2月カナダ鉱工業製品価格
○21:30 ◇ 2月カナダ原料価格指数
○21:30 ◎ 10-12月期米経常収支
○21:30 ◎ 3月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数
○22:00 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○23:00 ◎ 2月米景気先行指標総合指数
○23:00 ◎ 2月米中古住宅販売件数
○未定 ☆ 南アフリカ準備銀行(SARB)、政策金利発表
21日
○06:45 ◎ 2月NZ貿易収支
○09:01 ◇ 3月英消費者信頼感指数(Gfk調査)
○16:45 ◇ 3月仏企業景況感指数
○17:45 ◎ ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○18:00 ◇ 1月ユーロ圏経常収支(季節調整済)
○19:30 ◎ ロシア中銀、政策金利発表
○21:30 ◎ 1月カナダ小売売上高
○22:05 ◎ ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演
○24:00 ◎ 3月ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値)
○南アフリカ(人権の日)、休場
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
◆NZドル、中銀総裁の交代で利下げ余地縮小の可能性
◆ZAR、SARBの金融政策に注目
◆ZAR、予算案を巡る交渉次第で下落リスク
予想レンジ
豪ドル円 91.00-95.00円
南ア・ランド円 7.80-8.30円
3月17日週の展望
豪ドルは神経質な動きが予想される。トランプ政権の二転三転する関税政策を巡って市場全般の方向性が定まらなくなっているが、来週も関税によってインフレ懸念と景気減速懸念のどちらが意識されるか、株価や米金利の基調に変化が見られるかなどを慎重に見極めながらの取引が必要となりそうだ。
豪州からは20日に2月雇用統計の発表が予定されている。2月17-18日の会合でついに金融緩和へと舵を切った豪準備銀行(RBA)だが、声明文などからは追加緩和への慎重な姿勢がうかがえた。今回の雇用統計が追加緩和観測を後押しする結果となるか確認しておきたい。なお、RBAは前回の会合で労働市場については「依然として逼迫している」と言及。「賃金の伸びは鈍化した」としたものの、「雇用増加が世帯収入を押し上げている」との見解も示していた。
隣国のニュージーランド(NZ)では前週にオアNZ準備銀行(RBNZ)総裁の突然の辞任が発表されたが、一部市場では「総裁の交代によってRBNZの今後の利下げ余地が小さくなる可能性がある」といった声も聞かれた。オア総裁は前回の金融政策決定会合時に「4月と5月に25bpの引き下げを想定」「(現在の)3.75%は中立金利のレンジ上限」「年末までに政策金利は3%程度になると予想」などと追加緩和姿勢を明確にしていたが、4月からの臨時総裁とその後の次期総裁の下で金融政策の方向性に変化が生じるか確認していきたい。なお、次期総裁候補としてはホークスビー副総裁やシルク副総裁、NZ財務省の首席経済顧問であるスティーブンス氏などが有力視されているようだ。
南アフリカ・ランド(ZAR)は荒い値動きに注意が必要となるだろう。来週は19日に2月消費者物価指数(CPI)、20日に南アフリカ準備銀行(SARB)の金融政策決定委員会(MPC)が控えている。市場では現在の7.50%から7.25%への金利引き下げが予想されているが、一部で金利据え置きを見込む向きもあり、前日発表のCPIとともに注目が集まる。
また、南アフリカ国内の政治情勢にも注意。今週発表された予算案で、付加価値税(VAT)の引き上げ幅は2025年5月から0.5%、26年4月からはさらに0.5%とされたが、国民統一政府(GNU)で連立を組む民主同盟(DA)は依然としてVATの引き上げに反対しており、予算案を支持しないと表明。アフリカ民族会議(ANC)とDAの交渉決裂、GNUからのDA離脱などのリスクが高まるとZARには下押し圧力が強まりそうだ。
3月10日週の回顧
豪ドルは対ドル・対円ともに方向感が定まらなかった。豪ドル円はドル円が昨年10月以来の安値をつけたタイミングで、昨年8月以来の安値となる91.82円まで下落したものの、その後はドル円の買い戻しが入ったことで下げ止まった。ZARも同様に方向感の乏しい動き。ZAR円は8.05円を挟んだ水準で神経質に上下した。
◆ポンド、英中銀は金利据え置き見込みも、MPC議事要旨に注目
◆加ドル、足もとのインフレ動向を確認
◆トランプ関税による不安定さは継続、日米金融政策に振らされる展開も
予想レンジ
ポンド円 188.50-194.50円
加ドル円 100.50-104.50円
3月17日週の展望
来週のポンドは、20日の英中銀金融政策委員会(MPC)に注目。政策金利については現行4.50%で据え置きが予想されており、こちらはサプライズなしと見る。ポイントは今後の経済・金利見通しについてMPC内でどのような議論が交わされたか。政策金利と同時に明らかとなる議事要旨を精査し、今後の利下げペースを改めて推測することになる。なお、金利市場では、夏前と秋口の会合で0.25%ずつの利下げを織り込み、年内3回目は判断が定まっていない。
このところ、各国中銀からはインフレの先行きに不確実性が高まっているとの声が相次いでいる。トランプ関税と報復関税により貿易戦争の様相を呈し始めたことがその要因だ。ただ、英政府は米政権による鉄鋼・アルミニウム輸入への一律25%関税発動に対して、報復措置を取らない方針を示している。英輸出にとって米国向けは14%弱を占め、国別では最大。政府はその国をこれ以上刺激せず、2国間の経済協定締結を目指しているようだ。英米首脳が先月末の共同会見で発表した「貿易協定に着手」に具体的な進展があれば、ポンドにとっても追い風となるだろう。
加ドルは、トランプ関税を巡る両国との関係を見据えた取引が続く。ただ、週前半18日に発表されるカナダの2月消費者物価指数(CPI)は確認する必要があるだろう。前年比では、前回まで3カ月連続でカナダ中銀(BOC)の目標値2%を下回っているが、米政権による関税強化の影響で、今後のインフレ上昇圧力が警戒されている。BOCは、12日の会合で予想通り政策金利を3.00%から2.75%に引き下げたが、「昨年の加経済は堅調に推移した」としつつも、米関税により「新たな危機に直面している」との認識だ。貿易摩擦による物価上昇と内需低迷を危惧する見方が広がるなか、マックレムBOC総裁の今後の判断は難しいものとなるだろう。
カナダでは与党・自由党の新党首にマーク・カーニー元BOC総裁が選ばれ、14日に加首相に就任する。政治経験のない新首相が、トランプ米大統領とどのように渡り合うかを注目したい。交渉の行方次第ではあるが、支持率が上向けば早期の解散総選挙に踏み切るとの見方もある。
来週は19日に日米の金融政策も公表予定だが、どちらも政策金利は据え置き見込み。市場参加者は、中銀声明や当局トップの会見を通じて次の一手(日本は追加利上げ、米国が利下げ)の時期を探ることになる。ポンドや加ドルは、金融イベントに反応した円相場やドル相場の動向に左右され、レンジを伴った動きが見られるかもしれない。
3月10日週の回顧
ポンドや加ドルは対円で荒い値動き。トランプ関税で貿易戦争への懸念が一層高まると、リスク回避の動きからポンド円は188円後半、加ドル円は一時101.30円台まで下落。過度な警戒感が緩むとそれぞれ193円前半、103.60円台まで切り返すも、一巡後は再び上値を切り下げた。
対ドルでは、ポンドは1.29ドル台を中心に上下した。加ドルは、1.45加ドル前半まで加ドル安が進むも、週後半には一時1.43加ドル半ばまで持ち直した。
◆ドル円、米関税政策に伴う株価動向に左右
◆日銀総裁、FRB議長の記者会見の内容に注目
◆ユーロドル、独財政拡張期待が支えもウクライナ情勢が重し
予想レンジ
ドル円 145.00-150.00円
ユーロドル 1.0650-1.1000ドル
3月17日週の展望
ドル円は、引き続き米関税政策を発端とした米景気後退懸念が高まる中で、株価や米金利動向を睨みながらの荒い値動きが想定される。3月に入ってから世界的な貿易戦争への警戒感からダウ平均は7%超、ナスダック指数は9%近く下落するなどリスクオフムードが広がっている。来週もトランプ米大統領の発言を巡って一喜一憂する相場展開となるだろう。
なお、来週は18-19日に日銀金融政策決定会合と米連邦公開市場委員会(FOMC)が予定されているが、米関税政策の行方を見極めたいとの見方から両会合とも政策金利の据え置きが予想されている。注目は植田日銀総裁とパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の会見内容となるだろう。
まず、日銀に関しては、連合が発表した春闘の賃上げ要求が32年ぶりに6%を超えたことで早期利上げ観測が高まっている。また、本邦長期金利は2008年10月以来の水準まで上昇しており、その背景としては日銀総裁が市場との対話に失敗していることで政策金利の最終到達地点(ターミナルレート)が不確かになっていることも挙げられる。賃上げ要求、ターミナルレートについて総裁からどのような見解が示されるか注目したい。なお、今のところ、市場では日銀の利上げ時期は6月と予想する向きが多くなってきた。
また、FOMCについては四半期に一度の「経済・金利見通し」を確認する必要があるが、現時点では6月会合での利下げ、そして年内計3回の利下げというのが大方の予想となっている。FRB議長は、基本的には米関税政策の影響を見極めながら「今後のデータ次第」という慎重な姿勢を強調するとみられているが、足元で米株安が目立つ中で発言に変化がないか注意したい。
ユーロドルは神経質な展開が想定される。ドイツ環境政党「緑の党」との交渉次第ではあるものの、ドイツの財政拡張期待は根強く、引き続き下値は堅そうだ。ただ、米国が提案したウクライナでの停戦案についてプーチン露大統領が疑問を呈し、即時停戦受け入れに難色を示したことで再び地政学リスクが高まっており、上値も限られそうだ。来週は18日に3月独ZEW景況感指数、19日に2月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値が予定されている。
3月10日週の回顧
ドル円は、上値が重かった。世界的な貿易戦争を懸念して株安が進むと、11日には一時146.54円と昨年10月以来の安値を付けた。その後は株価とともに短期的な戻りを期待した買い戻しが入り149.19円まで切り返したが、米国株が再び下落すると147円台半ばまで押し戻された。
ユーロドルは上値が重かった。独財政拡張への期待感やウクライナを巡る警戒感後退で一時1.0947ドルと5カ月ぶりの高値を付けた。ただ、週末にかけては米関税およびウクライナ情勢への懸念が再燃すると1.08ドル台前半まで押し戻された。
14日の日経平均は大幅反発。終値は263円高の37053円。
日経平均は大幅高。きのう13日は後場に急失速し、きょうは後場に急伸した。きょうの高値37154円はきのうの高値37326円を上回っておらず、きのうの失速がメジャーSQを意識した何らかの動きで、きょうはその反動が出たと捉えるべきなのだろう。それでも、米国株安を受けて大崩れしなかったことは安心材料。3桁の上昇となったことで、週間でもプラスを達成した。今週は一時36000円を割り込んだが、週末値では37000円を上回った。5日線(36896円、14日時点)も上回っているだけに、来週はこの5日線がサポートとして機能するかどうかに注目したい。
【来週の見通し】
不安定な展開か。18日~19日に日銀金融政策決定会合とFOMCが開催される。今回はどちらも政策変更はないとの見方が多く、結果発表前には手がけづらさが意識されそう。大型案件のJX金属を含めてIPOが多い週となるだけに、値幅を求めた資金はIPO市場に向かうと思われる。トランプ政権の関税政策がインフレを招くリスクがあるだけに、FOMC後のパウエル議長の会見ではリップサービスは期待しづらい。日本は企業が賃上げに積極的であることから、仮に日銀が今回利上げを見送ったとしても、早期の利上げに対する警戒はくすぶり続ける。東京市場は20日が休場で、FOMCの結果を現物市場で消化するのは金曜21日となる。日銀会合後の植田総裁会見で為替が大きく動く可能性もあり、21日の値動きが週の方向を大きく左右することになるだろう。
【今週を振り返る】 方向感は定まらなかったが週間では上昇した。週明け10日の日経平均は米国株高を好感して上昇したが、11日は場中に4桁安となって一時36000円を割り込むなど底割れに対する警戒が高まった。この日にある程度戻して終えたことから、12日は米国株安を受けても小幅高。一方、13日は一時500円超上昇したにもかかわらず、後場に崩れて小幅な下落と強弱感が入り交じった。メジャーSQ日の14日は売りが先行したものの、早々にプラス転換して200円を超える上昇。節目の37000円を上回り、週間でもプラスを達成した。日経平均は週間では約165円の上昇。週足では4週ぶりに陽線を形成した。
【来週の予定】
国内では、日銀金融政策決定会合(~3/19)、1月第3次産業活動指数、2月首都圏新規マンション発売(3/18)、植田日銀総裁会見、1月機械受注、2月貿易収支、2月訪日外国人客数(3/19)、2月消費者物価指数(CPI)(3/21)などがある。
海外の経済指標の発表やイベントでは、中国2月鉱工業生産、中国2月小売売上高、米2月小売売上高、米3月ニューヨーク連銀製造業景気指数、米3月NAHB住宅市場指数(3/17)、独3月ZEW景況感指数、米FOMC、米2月住宅着工件数、米2月建設許可件数、米20年国債入札(3/18)、パウエルFRB議長会見、米1月対米証券投資(3/19)、 米10-12月期四半期経常収支、米3月フィラデルフィア連銀製造業景況感指数、米2月中古住宅販売件数(3/20)などがある。
今週の日経225先物は、日米の金融政策を警戒しつつも、テクニカル面からはリバウンドを意識したスタンスになりそうだ。2月下旬以降、下向きで推移するボリンジャーバンドの-2σを中心に、-1σと-3σによるレンジ内での調整を続けてきたが、先週11日につけた3万5730円(6月限)を安値に-3σ水準から反発。週半ば以降は-2σと-1σによるレンジに切り上がり、週後半には-1σを捉える局面がみられた。
14日の取引終了後のナイトセッションでは-1σ(3万6900円)を突破し、一時3万7360円まで買われる場面もあった。3万7270円と-1σを上回って終えており、中心値(25日)である3万7810円とのレンジへ移行することになりそうだ。
14日の米国市場では、主要な株価指数が上昇した。足もとの下落でNYダウは昨年9月以来の安値をつけたほか、機関投資家がベンチマークとするS&P500指数は52週移動平均線を明確に割り込み、2月高値からの下落率が10%を超えたことで、調整局面入りのシグナルを発していた。米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えて、持ち高調整に伴う買い戻しが入ったようである。
また、失効が迫っていた米連邦政府のつなぎ予算については、9月までの新たなつなぎ予算案を議会上院で可決し、政府機関の一部閉鎖は回避された。ロシア・ウクライナ情勢においては、トランプ米大統領が「紛争が終結する可能性が非常に高い」と自身のSNSに投稿したと報じられている。
こうした流れを受けて、週明けの日経225先物は買い先行で始まりそうだ。今週は18~19日に日銀の金融政策決定会合、米国でFOMCが開催される。日銀会合では、米国の関税政策による世界経済の下振れリスクが警戒されるなか、政策金利は据え置かれるとみられている。FOMCについても、同様の観点から金利据え置きが見込まれる。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は利上げを急がない姿勢を維持する可能性が高いと考えられ、円相場もドル高・円安に振れやすくなりそうだ。
東京市場は20日が休場になることで、ポジションを傾けにくい状況であるが、日米の金融イベント通過を睨んだ先回り的なカバーが入りやすく、祝日明け後はイベント通過によって押し目狙いのロングが強まる展開が期待される。トランプ大統領の新たな関税政策が警戒されるなかでは積極的な売買は手控えられようが、ショートカバーは入りやすくなるだろう。また、14日の日経平均株価は下落して始まったが、3月限のSQ値(3万6483.79円)を割り込まずに切り返したことによって、センチメントは改善傾向にある。
-1σと中心値によるレンジへの移行で、オプション権利行使価格の3万6875円から3万7875円のレンジを想定。そのなかで3万7000円から3万7500円処での推移が意識されやすいだろう。まずは、-1σを支持線とした底堅さがみられるかを見極めつつ、押し目狙いのロングでの対応とみておきたい。節目の3万7500円を捉える局面では、25日線水準へのリバウンド狙いとなりそうだ。
先週末のNT倍率は先物中心限月で13.69倍(13日は13.62倍)に上昇した。3月7日に13.59倍まで低下し、2023年9月下旬以来の安値水準に接近するなか、11日には13.78倍に上昇する場面もあった。2月下旬以降は指数インパクトの大きい値がさハイテク株が軟調な値動きとなるなか、NTショートによるスプレッド狙いの動きとなった。下向きのトレンドは継続しているが、13.60~13.80倍辺りのボトム圏での底堅さがみられるなか、NTショートを巻き戻す動きが入る可能性はありそうだ。
3月第1週(3月3日-7日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物と先物の合算では3週連続の売り越しであり、売り越し額は4141億円(2月第4週は1兆1672億円の売り越し)だった。なお、現物は1015億円の売り越し(同6071億円の売り越し)と3週連続の売り越しであり、先物は3126億円の売り越し(同5601億円の売り越し)と3週連続の売り越し。個人は現物と先物の合算で4187億円の売り越しと3週ぶりの売り越し。信託銀行は現物と先物の合算で5247億円の買い越しとなり、3週連続の買い越し。
主要スケジュールでは、17日に中国2月鉱工業生産、中国2月小売売上高、米国2月小売売上高、エヌビディア<NVDA>のAIカンファレンス「GTC」(~21日)、18日に米国2月住宅着工件数、米国2月鉱工業生産、19日に日銀金融政策決定会合政策金利、植田日銀総裁記者会見、1月機械受注、FOMC政策金利、パウエルFRB議長記者会見、20日にイングランド銀行(BOE)政策金利、米国2月コンファレンス・ボード景気先行指数、21日に2月全国消費者物価指数などが予定されている。
14日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、3月米ミシガン大学消費者態度指数速報値が予想を下回り、1年先・5年先の期待インフレ率が予想を上回ったことを受けて、148.89円付近まで上昇した後、148.26円付近まで押し戻された。ユーロドルは、欧州序盤の高値1.0912ドルから1.0866ドル付近まで下押しした。
本日の東京外国為替市場のドル円は、18-19日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)と日銀金融政策決定会合を控えて動きづらい展開が予想される中、引き続きトランプ米大統領による突発的な発言には警戒しておきたい。
また、過去最大を更新中のIMM通貨先物の非商業(投機)部門取組の円のネットの買い持ちポジションの手仕舞いのタイミングにも警戒しておきたい。
3月11日時点では133902枚まで拡大し、昨年までの記録である71870枚(2012年6月4日時点)を大幅に更新している。ネット円ロングポジションは、ネガティブ・キャリー取引であることでコストを支払い続けなければならないため、経験則的に6万枚を超えると過熱感が警戒され始める。
FOMCでは、2月の米消費者物価指数や卸売物価指数がインフレの鈍化を示したものの、パウエルFRB議長が「不確実性の高まりにもかかわらず、米経済は良好な状態が続いている。われわれは急ぐ必要はなく、状況がより明確になるのを待てる良い状況にある」と述べているように、1月会合に続いて金融政策の現状維持が見込まれている。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」が示している今年の利下げ回数は3回、年末のFF金利誘導目標は3.50-75%となっている。
・6月FOMC:-0.25%=4.00-25%
・9月FOMC:-0.25%=3.75-4.00%
・12月FOMC:-0.25%=3.50-75%
日銀金融政策決定会合でも、植田日銀総裁が「こういうご時世なので、海外の経済・物価動向を巡る不確実性については非常に心配している」と述べているように、金融政策の現状維持が見込まれている。
オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)市場での追加利上げ時期は、6月会合と予想されている。
金融政策の現状維持が予想される日米金融政策決定会合では、パウエルFRB議長と植田日銀総裁による金融政策変更時期への言及が注目ポイントとなる。
11時に発表される2月中国小売売上高は前年比+3.8%と予想されており、1月の同比 +3.7%からの改善が見込まれている。2月中国鉱工業生産は前年比+5.3%と予想されており、1月の同比+6.2%からの悪化が見込まれている。
今年の中国の景況感は、米国との貿易戦争により悪化が懸念されており、ネガティブサプライズによるリスク回避要因に警戒しておきたい。
大阪6月限ナイトセッション
日経225先物 37270 +410 (+1.11%)
TOPIX先物 2719.5 +28.0 (+1.04%)
シカゴ日経平均先物 37360 +500
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
14日の米国市場はNYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が上昇。14日夜に失効する米連邦政府のつなぎ予算を巡り、政府機関の一部閉鎖が回避される可能性が高まったことが投資家心理の改善につながった。また、足もとの下落でNYダウは昨年9月以来の安値をつけたほか、機関投資家がベンチマークとするS&P500指数は52週移動平均線を明確に割り込み、2月高値からの下落率が10%を超えたことで、調整局面入りのシグナルを発していた。米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えて、持ち高調整に伴う買い戻しが入ったようである。
NYダウ構成銘柄では、エヌビディア<NVDA>の上昇率が5%を超えたほか、アメリカン・エキスプレス<AXP>、JPモルガン・チェース<JPM>、ゴールドマン・サックス・グループ<GS>、スリーエム<MMM>、セールスフォース<CRM>、マイクロソフト<MSFT>が堅調。半面、ナイキ<NKE>、コカ・コーラ<KO>、プロクター・アンド・ギャンブル<PG>、ベライゾン・コミュニケーションズ<VZ>が下落した。S&P500業種別指数は、半導体・同製造装置、自動車・同部品、銀行、エネルギー、ソフトウエア・サービスが上昇。一方で家庭用品・パーソナル用品のみが下げている。
シカゴ日経平均先物(6月限)清算値は、大阪比500円高の3万7360円だった。日経225先物(6月限)のナイトセッションは、日中比30円安の3万6830円で始まり、直後につけた3万6790円を安値にロング優勢の流れからプラス圏を回復。米国市場の取引開始時に3万7000円に乗せると、終盤にかけて3万7360円まで買われる場面もみられ、3万7270円でナイトセッションの取引を終えた。
シカゴ先物にサヤ寄せする形から、買い先行で始まりそうだ。トランプ政権の関税政策が世界経済に与える影響が警戒されて積極的なロングは限られるだろうが、これまで上値を抑えられていたボリンジャーバンドの-1σ(3万6900円)をナイトセッションで明確に上抜いており、ショートカバーを誘う形になろう。2月下旬以降は下向きで推移するバンドに沿った調整が続いていたこともあり、トレンド転換が期待されてきそうである。
また、米連邦政府のつなぎ予算については、9月までの新たなつなぎ予算案を議会上院で可決し、政府機関の一部閉鎖は回避された。ロシア・ウクライナ情勢では、ウィトコフ中東担当特使が、トランプ大統領とロシアのプーチン大統領が今週対話をするという見通しを示したと伝えられていることも、ショートカバーを強める形に向かわせよう。
今週は18~19日に日銀の金融政策決定会合、米国でFOMCが開催される。いずれも金利据え置きが見込まれ、円相場はドル高・円安に振れやすくなりそうだ。日米の金融イベント通過を睨んだ先回り的なカバーが入りやすいとみておきたい。そのため、オプション権利行使価格の3万7000円から3万7500円のレンジを想定する。3万7500円をクリアする局面では、25日線辺りを試す可能性があるため、権利行使価格の3万7875円がターゲットになりそうだ。
14日の米VIX指数は21.77(13日は24.66)に低下した。心理的な分かれ目となる20.00を上回っている状況であり慎重姿勢は崩せないが、同水準に位置する25日線まで低下する局面があれば、カバーが強まる可能性はあるだろう。
先週末のNT倍率は先物中心限月で13.69倍(13日は13.62倍)に上昇した。下向きのトレンドは継続しているが、13.60~13.80倍辺りのボトム圏での底堅さがみられてきた。エヌビディアなど米半導体株が強い動きをみせるなか、NTショートを巻き戻す動きが入る可能性はありそうだ。
東京市場は堅調か。先週末の米国株は上昇。ダウ平均は674ドル高の41488ドルで取引を終えた。前日までの4営業日で2000ドル近く下げていたことから、自律反発の買いが入った。エヌビディアが5%超上昇するなどグロース株が戻りを先導し、ナスダックが2.6%高と強い動きを見せた。ドル円は足元148円70銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが大証日中終値と比べて500円高の37360円、ドル建てが605円高の37465円で取引を終えた。
米国株の大幅高を受けて、日本株も大きく水準を切り上げると予想する。本日の日本経済新聞では、日銀が18日~19日の金融政策決定会合で政策金利を据え置くとの観測を報じている。そのこと自体のサプライズは乏しいものの、先の波乱の可能性が低下したことは、リスク選好ムードを高める。ハイテクグロース株を中心に主力株が強く買われることで、高く始まった後も強い基調が続くだろう。日経平均の予想レンジは37300円-37800円。
<国内>
特になし
<海外>
○11:00 ◎ 2月中国鉱工業生産(予想:前年比5.3%)
○11:00 ◎ 2月中国小売売上高(予想:前年比3.8%)
○21:15 ◇ 2月カナダ住宅着工件数(予想:24.76万件)
○21:30 ◇ 1月対カナダ証券投資
○21:30 ◎ 3月米ニューヨーク連銀製造業景気指数(予想:▲2.0)
○21:30 ☆ 2月米小売売上高(予想:前月比0.6%/自動車を除く前月比0.3%)
○23:00 ◇ 1月米企業在庫(予想:前月比0.3%)
○23:00 ◎ 3月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(予想:42)
○メキシコ(ベニート・フアレス生誕日)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
日経225先物は11時30分時点、前日比360円高の3万7220円(+0.97%)前後で推移。寄り付きは3万7270円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万7360円)にサヤ寄せする形から、買い先行で始まった。現物の寄り付きに直後につけた3万7320円を高値に、3万7110円まで上げ幅を縮めたが、中盤にかけて再び3万7300円を回復。終盤にかけては3万7200円辺りでの膠着が続いた。
日経225先物は、ボリンジャーバンドの-1σ(3万6900円)を上回って推移している。ただし、週間形状では-1σが3万7270円辺りに位置しており、同水準では強弱感が対立している形である。3万7000円接近では押し目狙いのロングが入りやすいだろうが、週足の-1σ水準ではロングを解消する動きになっているようだ。押し目でのロングを意識しつつ、週足の-1σを明確に上抜けてくるかを見極めたいところであろう。
NT倍率は先物中心限月で13.67倍に低下した。朝方は13.73倍まで上昇したが、その後は13.65倍まで低下する場面もみられている。東京エレクトロン<8035.T>[東証P]やアドバンテスト<6857.T>[東証P]、ソフトバンクグループ<9984.T>[東証P]など指数インパクトの大きい値がさハイテク株が日経平均型を牽引しているが、三菱重工業<7011.T>[東証P]、川崎重工業<7012.T>[東証P]、IHI<7013.T>[東証P]など防衛関連株への物色が強まっており、相対的にTOPIX型優位になっている。
先週末のドル円は、欧州時間に入って春闘の第1回目回答額が昨年の5.28%を超えて5.46%まで上昇したものの、平均要求賃金上昇率であった6.09%を下回ったことから買戻しが先行。一時149.02円まで値を上げる場面もみられましたが、その後は米長期金利が上昇幅を縮めたこともあり148.26円まで下押し。3月米ミシガン大消費者態度指数速報値が予想を下回った一方、消費者の期待インフレ率が予想を大幅に上回ったことから148.79円まで値を戻したものの、戻りも限定的となりました。ただ、引けにかけては再び148.67円まで買戻されて週末の取引を終えています。週明けのアジア市場では、明日から日銀金融政策決定会合やFOMCを控えているとあって、早朝から狭いレンジ取引が続いているといったところです。
いずれにしても、市場のショートポジションは、週末に公表されたCMEの投機筋ポジションでも明らかなように、更に過去最高水準を更新中であるなか、日銀の利上げやFRBによる利下げは見送られるというのがコンセンサス。更には、週末の終値ベースで、ついに一目転換線の位置する148.36円を完全に維持してきているといったチャート上での事情を鑑みるに、リスクはかなり上方向へと移ってきていることは明らか。
また、市場では10日に犬猿の仲であるはずの、「岸田、麻生、茂木会合」が持たれたことをきっかけに、俄かに石破首相辞任などによる政局の思惑もかなり台頭してきている模様。政局については、これまでも、海外勢が触手を伸ばしやすいネタであるわけで、日米金融政策といった分かり切ったネタではない、思いがけないところからの市場センチメントの急変には注意したいところです。
IMM通貨先物の非商業(投機)部門取組の円のネットの買い持ちポジション(ロング)は、2025年3月11日時点では133902枚まで拡大し、昨年までの記録である71870枚(2012年6月4日時点)を大幅に更新している。
ネット円ロングポジションは、経験則的に6万枚を超えると過熱感が警戒され始める。
円売り持ちポジション(ショート)の記録は、2007年6月19日時点の188,077枚が最大だったが、2024年7月2日には184223枚まで迫っていた。(※1枚=1250万円)
ネット円ショートポジションは、経験則的に16万枚を超えると過熱感が警戒され始める。
ヘッジファンドなどの投機筋が円高に賭けている背景には、日銀が政策金利の0.5%の壁を突破して、今世紀初の0.75%を経て1.00%台に到達する可能性、そして、トランプ米大統領やベッセント米財務長官がドル安・円高を志向していることなどが挙げられる。
1.国際通貨先物市場(IMM=International Monetary Market)
CFTC(Commodity Futures Trading Commission:米商品先物取引委員会)は、毎週金曜日の取引後に火曜日までの「建玉明細(Commitments of Traders)」を発表している。
国際通貨先物市場(IMM)とは、米イリノイ州シカゴにある金融・商品先物取引所、「シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)」の一部門である。
IMM通貨先物ポジションは、実需筋の「商業部門(Commercial)」と投機筋の「非商業部門(Non Commercial)」に分けて表示されている。
この投機筋の「非商業部門(Non Commercial)」のポジションで、ヘッジファンドなどの投機筋のポジションを、氷山の一角ではあるものの窺い知ることができることになる。
2.円・キャリートレード
■ポジティブ・キャリー取引(positive carry trade)・・・円・キャリートレード
1)資金市場で低金利の通貨(※円)を調達
2)為替市場で低金利通貨を高金利通貨に交換(※米ドル買い・円売り)
3)高金利通貨(※米ドル)建ての短期債券などで運用
■ネガティブ・キャリー取引(negative carry trade)
1)資金市場で高金利の通貨(※米ドル)を調達
2)為替市場で高金利通貨を低金利通貨に交換(※米ドル売り・円買い)
3)低金利通貨(※円)建ての短期債券などで運用
IMM通貨先物ポジションの円のネット買い持ちが、これまで7万枚程度が限界だった背景には、低金利通貨である「円」を保有した場合、コストを支払い続けなければならないことが挙げられる。
本日のロンドン為替市場のユーロドルは、主要な経済指標や要人発言の予定がないことで、ウクライナ停戦交渉や欧米貿易摩擦の行方、そして明日のドイツ連邦議会で採決が予定されている独財政パッケージに関するヘッドラインに警戒していく展開が予想される。
ウクライナ情勢に関しては、ゼレンスキー・ウクライナ大統領が30日間の停戦案受け入れを表明したものの、ロシア側は「危機の根本原因を取り除くものでなければならない」「ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟排除」などと注文をつけ、事実上受け入れを拒否している。
欧米の通商摩擦に関しては、欧州委員会が、EUの輸出額に相当する総額260億ユーロの2段階から成る対抗措置を発表した。第1段階では、4月1日に第1次トランプ政権当時に導入した報復関税を復活させ、第2段階として4月13日から、対象を拡大した報復関税を発動する予定となっている。
トランプ米政権も更なる関税賦課を示唆しており、今後も関連ヘッドラインに警戒しておきたい。
メルツ独CDU党首が提案している防衛・インフラ投資支出パッケージの採決が明日18日にドイツ連邦議会で採決されるが、キャスティング・ボートを握る「緑の党」が支持を表明していることで、可決される見込みとなっている。
ドイツの旧議会での憲法改正の所要議席数は490議席だが、社会民主党(SPD)とキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)で447議席、緑の党の118議席を加えると565議席となり、憲法改正により債務ブレーキを破棄することができる。
ユーロドルは、財政拡大というゲーム・チェンジャーにより1.09ドル台まで上昇してきたが、「思惑で仕掛けて事実で手仕舞う」ことになるのか、それとも1.10ドル台に向けて上昇していくのか要注目となる。
想定レンジ上限
・ユーロドル:1.0947ドル(3/11高値)
・ユーロ円:162.36円(3/12高値)
想定レンジ下限
・ユーロドル:1.0775ドル(日足一目均衡表・転換線)
・ユーロ円:160.55円(日足一目均衡表・転換線)
ドル円:1ドル=148.97円(前営業日NY終値比△0.33円)
ユーロ円:1ユーロ=162.05円(△0.36円)
ユーロドル:1ユーロ=1.0877ドル(▲0.0002ドル)
日経平均株価:37396.52円(前営業日比△343.42円)
東証株価指数(TOPIX):2748.12(△32.27)
債券先物6月物:138.30円(△0.16円)
新発10年物国債利回り:1.505%(▲0.010)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
特になし
(各市場の動き)
・ドル円は堅調。時間外の米10年債利回りが4.28%台まで低下したことなどから148.40円台まで下押すも、一時的だった。前週に複数の報道機関から日銀が18-19日の金融政策決定会合で利上げを見送ると報じられたほか、石破総理の支持率低下で高市氏が総理になった場合は日銀の利上げに制約ができるのではとの思惑を背景に本邦長期金利が低下して始まったこともあり、切り返した。その後は仲値にかけてドルが買われたほか、日経平均の堅調推移もあり、15時過ぎに149.10円まで上昇した。
・ユーロ円も堅調。ドル円が上昇したほか、日経平均や香港株の堅調推移も合わさると、162.26円までじりじりと上昇して14日高値162.33円に迫った。
・ユーロドルは上昇するも一時的。トランプ米大統領が「18日にプーチン露大統領と協議。ディールの見込み極めて高い」と発言し、会談への期待感から1.0894ドルまでわずかに上値を伸ばしたものの、米10年債利回りが一時4.31%台まで低下幅を縮めたこともあり、上値は限定的。1.08ドル台後半でのもみ合いが続いた。
・日経平均株価は続伸。前週末の米株高を受けて寄り付きから400円超上昇すると、後場に入り上げ幅は一時500円超に達した。ドル円がやや円安で推移したことも上昇を後押しした。
・債券先物相場は続伸。前週に日銀据え置き報道が相次ぎ、続伸してスタート。その後は下押すも一時的となり、日銀の据え置き予想の高まりもあり再び上昇した。日銀が実施した定例の国債買い入れオペが債券需給の引き締まりを示す結果となったことも債券相場を下支えした。政局不安への懸念を背景に超長期債は上昇しており、40年債利回りは一時3.000%と新発債としては2007年の発行開始以来の高水準となる場面が見られた。
大阪6月限
日経225先物 37200 +340 (+0.92%)
TOPIX先物 2729.0 +37.5 (+1.39%)
日経225先物(6月限)は前日比340円高の3万7200円で取引を終了。シカゴ日経平均先物清算値(3万7360円)にサヤ寄せする形から、買い先行で始まった。現物の寄り付き直後につけた3万7320円を高値に、3万7110円まで上げ幅を縮めたが、前場中盤にかけて再び3万7300円を回復。その後は3万7150円~3万7300円辺りのレンジでの推移が後場に入っても続いた。
日経225先物は、ボリンジャーバンドの-1σ(3万6890円)を上回って推移した。3万7100円接近では押し目狙いのロングが入りやすく、-1σ水準を狙ったショートの動きはみられなかった。一方で、週足の-1σ(3万7270円)水準ではロングを解消する動きになっており、押し目でのロングを意識しつつ、週足の-1σ近辺ではクローズといった短期的な売買が中心だったようである。
ただし、18~19日に日銀の金融政策決定会合、米国で連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。いずれも金利据え置きが見込まれ、為替市場ではリバランスとみられる動きから1ドル=148円台後半と、ドル高・円安に振れて推移していた。株式市場でもヘッジファンドは足もとでロングポジションを圧縮していたと考えられ、日米の金融イベントを控え、ニュートラルに近づける形でリバランスの買いが入りやすいと考えられる。
また、トランプ米大統領は18日に、ロシアのプーチン大統領とウクライナ情勢を巡り停戦に向けて対話する予定と報じられた。地政学リスクが後退する可能性から、ショートカバーが入りやすいだろう。東京市場は20日が祝日で休場になることもあり、先回り的な動きからもカバーが意識されやすい。基本的には膠着感が強まるだろうが、節目の3万7500円のほか、25日移動平均線が位置する3万7760円辺りを目先のターゲットとしたトレンド形成をみせてくる展開をある程度は想定しておきたい。
NT倍率は先物中心限月で13.63倍に低下した。朝方は13.73倍まで上昇したが、その後は低下傾向が続いた。東京エレクトロン<8035.T>[東証P]やアドバンテスト<6857.T>[東証P]、ソフトバンクグループ<9984.T>[東証P]など指数インパクトの大きい値がさハイテク株が日経平均型を牽引したが、一方で、三菱重工業<7011.T>[東証P]、川崎重工業<7012.T>[東証P]、IHI<7013.T>[東証P]など防衛関連株への物色が強まったことで、相対的にTOPIX型が優位になっている。トランプ大統領とプーチン大統領の対話が良好なムードのなかで進むようだと、地政学リスクが和らぐ可能性があり、NTショートを巻き戻す動きも意識されそうである。
手口面(6月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万1248枚、ソシエテジェネラル証券が9367枚、サスケハナ・ホンコンが3337枚、野村証券が2176枚、JPモルガン証券が1830枚、モルガンMUFG証券が1251枚、バークレイズ証券が1146枚、SBI証券が1004枚、松井証券が870枚、ゴールドマン証券が836枚だった。
TOPIX先物は、ABNクリアリン証券が1万6601枚、ソシエテジェネラル証券が1万5479枚、JPモルガン証券が6600枚、バークレイズ証券が5029枚、モルガンMUFG証券が3232枚、ゴールドマン証券が2053枚、ビーオブエー証券が1468枚、サスケハナ・ホンコンが1454枚、野村証券が1188枚、シティグループ証券が812枚だった。
週明けのニューヨーク為替市場では、まずは序盤に発表される米経済指標で足もとの景気動向を確認したい。また、トランプ米大統領の関税やウクライナに関する発言には依然として注意が必要だろう。
先週末に発表された3月米ミシガン大学消費者態度指数・速報値は57.9と予想を大きく下回り、2022年11月以来の低水準を記録。同時に明らかにされた同1年先と5年先期待インフレ率も前回から0.4~0.6ポイント上昇した。トランプ関税が及ぼす経済への影響を懸念した内容と言える。
日本時間21時30分の2月米小売売上高(前月比)は総合・自動車除く共に前回マイナスからプラス回復が予想されている。ただこちらは、トランプ大統領による関税強化策で「物価が上がる前の駆け込み需要」という面も大きいだろう。伸びが鈍いようだと、先行き景気を悲観した見方が強まりそうだ。
一方、小売売上高と同時に発表される3月米ニューヨーク連銀製造業景気指数は、前回プラスに浮上したところからマイナスに沈む見込み。予想から上下に振れやすい指標ではあるものの、やはり景気減速を想定させる結果に市場は敏感に反応するだろう。
関税政策については、トランプ大統領は相変わらず強硬な姿勢を崩していない。同大統領は昨日、相互関税だけでなく追加のセクター別関税を来月2日課す方針を明らかにしている。おそらくこれを嫌気して、経済減速懸念から週明け時間外の米株先物は売り戻しが優勢となった。トランプ氏の言動で本日も相場は右往左往させられそうだ。
ウクライナ停戦を巡り、18日に米露首脳が電話会談を行うことが明らかになった。今回の交渉で、トランプ米大統領はかなり前向きな結果を期待しているようだ。しかしながら、話し合うとされる領土問題についてロシアが簡単に譲歩するとは思えず、協議はそれほど進展しない可能性もあるのではないか。過度な期待感には注意しておきたい。
想定レンジ上限
・ドル円、5日高値150.18円
想定レンジ下限
・ドル円、14日安値147.75円
今週のNY市場は経済指標、米連邦公開市場委員会(FOMC)、エヌビディアの開発者会議などに注目。
先週はダウ平均が1313.53ドル安(-3.07%)と2週続落し、S&P500が2.27%安、ナスダック総合も2.43%安とともに4週続落した。週末金曜日は買い戻し優勢となったがものの、トランプ関税による景気悪化、物価上昇、貿易摩擦激化などへの懸念が強まり、週間ではダウ平均が2023年3月以来の大幅安を記録。S&P500は木曜日に高値から10%超下落し、「調整相場」入りとなった。前週に「調整相場」入りしたナスダック総合も一時高値からの下落率を14%超に拡大した。
今週は景気悪化懸念が強まるなか、月曜日に発表される2月小売売上高や木曜日発表の2月中古住宅販売件数などの経済指標に注目が集まる。利下げ見通しを巡っては水曜日に結果が公表される米連邦公開市場委員会(FOMC)や、その後のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長記者会見に要注目となる。今会合では政策金利の据え置きが確実視されているものの、市場では年内の利下げ見通しが従来の2回(0.50%)から3回(0.75%)に高まっており、これまで利下げを急ぐ必要がないとの発言を繰り返してきたパウエルFRB議長の発言が注目される。
また、AIラリーの行方を巡っては、17-21日に開催されるエヌビディアの年次開発者会議「GTC」が焦点となる。エヌビディアの株価は高値から20%超下落し「弱気相場」入りとなったが、GTCでは次世代のAIチップの発表が予定され、GTCを受けた株価動向に注目が集まる。
今晩の米経済指標・イベントは3月NY連銀製造業業況指数、2月小売売上高など。主要な企業の決算発表はなし。
SMBC日興証券では、トランプ米大統領の追加関税発動やその延期を受けた米株市場の影響について考察している。1カ月後に関税が再開された場合、S&P500企業への純利益への影響は1710億ドル程度とSMBC日興では試算。8.7%の減益要因になるとのこと。S&P500は関税発表の直前1月31日の水準から3月13日にかけて、8.6%下落した。フェアバリューは-8.7%であるから、ほぼ一致している。SMBC日興では、市場は13日の時点で最悪の事態を織り込んだ可能性があるとみており、今後良いニュースが出てくればS&P500は自律反発していく可能性もあると考えている。
中国国家統計局は17日、2025年1-2月の国民経済に関するデータを公表した。工業とサービス業の生産がともに速いペースで成長し、消費や投資も改善したことから、経済は安定的に始動し、回復基調が続いた。
1-2月の鉱工業生産は前年同期比5.9%増となり、昨年通年を0.1ポイント上回った。装備製造業は10.6%増、ハイテク製造業は9.1%増とそれぞれ加速した。新エネルギー車(NEV)や3Dプリンター、工業用ロボットの生産が47.7%増、30.2%増、27.0%増と大幅に伸びた。
サービス業の生産指数は5.6%増で、情報通信やビジネスサービスなどの現代サービス業がけん引した。消費も底堅く、1-2月の小売売上高(社会消費品小売総額)は4.0%増の8兆3700億元、うち都市部は3.8%増の7兆2500億元、農村部は4.6%増の1兆1300億元だった。家電や家具など「以旧換新(古いものから新しいものへの買い替え)」関連商品の販売が引き続き好調だった。
固定資産投資は4.1%増の52619億元と、昨年通年の伸び率を0.9ポイント上回った。製造業と高技術産業の投資がそれぞれ9.0%増、9.7%増と高い伸びを示した。
一方、1-2月の貨物貿易は小幅減となり、輸出は3.4%増の3兆8900億元、輸入は7.3%減の2兆6600億元だった。民間企業の輸出入は2.0%増となり、全体の56.4%を占めた。
雇用面では、全国都市部の調査失業率は平均5.3%と安定。2月は5.4%にやや上昇したが、依然として一定の安定水準を維持した。
物価は下落傾向が続き、1-2月の消費者物価指数(CPI)は0.1%低下。生産者物価指数(PPI)も2.2%下落した。
国家統計局は、1-2月は総じてマクロ政策の効果が出て、国民経済は引き続き改善傾向にあるとする一方、外部環境の不透明さや内需の不足、企業の経営困難などの課題があると指摘。今後は、内需拡大や改革開放の深化を通じて、経済の持続的な回復を図るとしている。
日経平均株価は続伸。前日終値から大幅高スタートとなり、堅調な推移が続いた。3/7の下落で形成したマドの上限(37580円)を完全に埋め戻すことはできなかったが、買い一巡後の下値も底堅く小陰線で取引を終えた。
RSI(9日)は前日の34.3%→51.4%(3/17)に上昇。上述のマドの上限(37580円)を完全に埋め戻すことはできなかったが、10日移動平均線(37122円 3/17)を上回る強さをみせた。目先は、10日移動平均線などまで揺り戻しの押しが入る可能性もあるが、底入れ期待が強まる動きとなった。
上値メドは、3/6安値(37580円)、25日移動平均線(38041円 同)、200日移動平均線(38594円 同)、心理的節目の39000円などがある。下値メドは、10日移動平均線、5日移動平均線(36970円 同)、3/14安値(36594円)、心理的節目の36000円、9/17安値(35828円)、心理的節目の35500円、9/9安値(35247円)などがある。
(17日終値:18日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=148.98円(17日15時時点比△0.01円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=162.59円(△0.54円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0913ドル(△0.0036ドル)
FTSE100種総合株価指数:8680.29(前営業日比△47.96)
ドイツ株式指数(DAX):23154.57(△167.75)
10年物英国債利回り:4.638%(▲0.028%)
10年物独国債利回り:2.818%(▲0.058%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
特になし
(各市場の動き)
・ユーロドルは堅調。独財政拡大やウクライナの停戦協議進展への期待からユーロ買い・ドル売りが先行。2月米小売売上高や3月米ニューヨーク連銀製造業景気指数、3月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数など、NY時間発表の米経済指標が低調な内容となったことが分かると、米長期金利の低下とともに全般ドル売りが活発化した。前週末の高値1.0912ドルを上抜けて一時1.0930ドルまで値を上げた。
・オセアニア通貨はしっかり。安く始まったダウ平均が上昇に転じ、一時420ドル超上昇するとリスクセンチメントに敏感なオセアニア通貨に買いが集まった。豪ドル米ドルは0.6388米ドル、NZドル米ドルは0.5822米ドルまで上げたほか、豪ドル円は95.17円、NZドル円は86.74円と日通し高値を更新した。
・ドル円は一進一退。対ユーロなどでドル売りが先行すると、円に対してもドル売りが出た。2月米小売売上高や3月米ニューヨーク連銀製造業景気指数が予想を下回ったことが分かると一時148.31円と日通し安値を付けた。
ただ、売り一巡後は買い戻しが優勢に。2月米小売売上高については「国内総生産(GDP)算出に用いられる自動車や外食などを除いた指標(コントロールグループ)が1.0%増と比較的強い結果となった」との声も聞かれ、米長期金利の上昇とともにドル買いが進んだ。23時前には一時149.10円とアジア時間に付けた日通し高値に面合わせした。
NY午後に入ると、対欧州・オセアニア通貨などでドル売りが強まりドル円にも売りが波及。米長期金利が低下に転じたことも相場の重しとなり、0時30分過ぎには148.45円付近まで押し戻された。もっとも、そのあとは米国株相場の上昇に伴う円売り・ドル買いが優勢となり149.03円付近まで持ち直した。
・ユーロ円は底堅い動き。しばらくは162.00円を挟んだもみ合いの展開が続いていたが、NY市場に入ると強含んだ。安く始まった米国株相場が上昇に転じると円売り・ユーロ買いがじわりと強まり、3時過ぎに一時162.66円と日通し高値を付けた。
・ロンドン株式相場は4日続伸。本日のアジア株相場が上昇したことを受けて英株にも買いが波及した。「トランプ米大統領は18日にプーチン露大統領と協議する」と伝わり、ウクライナを巡る地政学リスクの後退が意識されたことも相場の支援材料。BPやシェルなどエネルギー株が買われたほか、セグロやランド・セキュリティーズ・グループなど不動産株が値上がりした。
・フランクフルト株式相場は続伸。独財政拡大やウクライナの停戦協議進展への期待が投資家心理を支えた。ただ、米景気の先行き懸念は根強く、上昇のスピードは緩やかだった。個別ではザルトリウス(3.34%高)やシーメンス・エナジー(2.70%高)、バイエル(2.17%高)などの上昇が目立った。
・欧州債券相場は上昇。
17日の日経平均は大幅続伸。終値は343円高の37396円。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1224/値下がり364。三菱重工、川崎重工、IHIの防衛大手がそろって急伸。直近のリリースで防衛関連との見方が強まった三菱電機のほか、東京計器、細谷火工、豊和工業など、中小型の防衛株にも資金が向かった。東京エレクトロン、アドバンテスト、キオクシアなど半導体株の一角が大幅上昇。観測報道を材料に第四北越FGが値を飛ばした。美容関連の商品を扱うアクシージアやヤーマンは下方修正発表を発表したものの、株価は強い買い反応となった。
一方、リクルートHDが5.5%安と弱さが目立った。値がさのディスコ、ファーストリテイリング、キーエンスなどが軟調。決算を受けてポールトゥウィンやMacbeeが大幅安となった。前期が大幅増益着地となり、創立45周年記念配の実施も発表した丸千代山岡家は、今期の見通しが保守的と受け止められて2桁の下落率となった。
日経平均は大幅高。高く始まったにもかかわらず、そこから一段と上を試す動きが見られなかったことには物足りなさもある。それでも14日の263円高に続いての3桁上昇は、下値不安を和らげる。14日に終値で37000円を上回り、きょうは場中に37500円を上回る場面があった。米国株は14日の上昇でコツンと底を打ったようにも見えるだけに、動きが良くなってくるようなら日本株にもプラスの影響が期待できる。
あす18日から19日の日程で日銀金融政策決定会合とFOMCが開催される。どちらも政策変更はないとみられているが、中銀トップがどういったメッセージを市場に届けるかは注目される。あすの日本株はこれらのイベントを前に様子見姿勢が強まるだろう。きょうの終値は37396円。再び37000円を割り込んでしまうとセンチメントが急速に悪化する可能性があるだけに、あすは下げたとしても大崩れを回避できるかが重要となる。
(17日終値)
ドル・円相場:1ドル=149.21円(前営業日比△0.57円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=162.98円(△1.29円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0922ドル(△0.0043ドル)
ダウ工業株30種平均:41841.63ドル(△353.44ドル)
ナスダック総合株価指数:17808.66(△54.57)
10年物米国債利回り:4.30%(▲0.01%)
WTI原油先物4月限:1バレル=67.58ドル(△0.40ドル)
金先物4月限:1トロイオンス=3006.1ドル(△5.0ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
3月米ニューヨーク連銀製造業景気指数
▲20.0 5.7
2月米小売売上高
(前月比) 0.2% ▲1.2%・改
(除く自動車) 0.3% ▲0.6%・改
3月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数
39 42
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は続伸。2月米小売売上高や3月米ニューヨーク連銀製造業景気指数が予想を下回ったことが分かると全般ドル売りが先行。21時30分過ぎに一時148.31円と日通し安値を付けた。
ただ、売り一巡後は買い戻しが優勢に。2月米小売売上高については「国内総生産(GDP)算出に用いられる自動車や外食などを除いた指標(コントロールグループ)が比較的強い結果となった」との声が聞かれ、米長期金利の上昇とともに一転買い戻しが進んだ。23時前には一時149.10円とアジア時間の高値に面合わせした。
NY午後に入ると、対欧州・オセアニア通貨などでドル売りが強まりドル円にも売りが波及。3月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数が予想を下回ったことや米長期金利が低下に転じたことも相場の重しとなり、0時30分過ぎには148.45円付近まで下押しした。
もっとも、そのあとは米国株相場の上昇に伴う円売り・ドル買いが優勢に。アジア時間の高値149.10円や12日の高値149.19円を上抜けて一時149.28円まで上値を伸ばした。米長期金利が低下幅を縮めたことも相場を下支えした。
・ユーロドルも続伸。独財政拡大やウクライナの停戦協議進展への期待からユーロ買い・ドル売りが先行。この日発表の米経済指標が低調な内容となったこともドル売りを促し、前週末の高値1.0912ドルを上抜けて一時1.0929ドルまで値を上げた。
ただ、11日の高値1.0947ドルが目先レジスタンスとして意識されると伸び悩んだ。NY中盤以降は1.09ドル台前半でのもみ合いに終始した。
・ユーロ円も続伸した。安く始まったダウ平均が上昇に転じ、一時520ドル超上昇すると円売り・ユーロ買いがじわりと強まった。5時30分過ぎには163.05円と日通し高値を更新した。
ユーロ円以外のクロス円も堅調だった。ポンド円は一時193.97円、豪ドル円は95.35円、NZドル円は86.90円、カナダドル円は104.52円、スイスフラン円は169.50円、南アフリカランド円は8.25円まで値を上げた。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は続伸。2月米小売売上高は予想を下回ったものの、自動車を除く数値は市場予想に一致。また、GDP算出に用いられるコントロールグループが比較的強い結果となった。個人消費を巡る過度な懸念が和らぐと景気敏感株中心に買いが集まり、指数は一時520ドル超上昇した。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も続伸した。
・米国債券相場で長期ゾーンは反発。この日発表の米経済指標が低調な内容となったことを受けて買いが入った半面、米国株相場の上昇に伴う売りが出たため相場は大きな方向感が出なかった。18-19日の米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に積極的な売買が手控えられた面もあったようだ。
・原油先物相場は続伸。中東地域の石油供給網の混乱懸念や中国の景気刺激策導入への期待を背景に買いが先行した。トランプ米大統領は15日にイエメンの親イラン武装組織フーシ派に対する大規模な攻撃を開始するよう米軍に命じ、中東の地政学リスクが警戒されている。
・金先物相場は5日続伸。先週末に清算値ベースで初の3000ドル台乗せを達成し、利益確定や持ち高調整の売りも見られたが、トランプ関税や地政学リスクの不確実性などへの警戒感が根強いことを支援材料に堅調地合いを維持。この日発表の2月米小売売上高や3月米ニューヨーク連銀製造業景気指数などの米指標が低調な結果になったことも買いを後押した。
トランプ米大統領は17日、米連邦準備理事会(FRB)の銀行監督担当の次期副議長にボウマン理事を起用すると発表した。
一部通信社が報じたところによると、「トランプ米政権はクリミアをロシア領土と認めることを検討している」ようだ。
17日11:06 石破首相
「為替の操作は一切行っていない」
17日11:14 中国国家統計局報道官
「内需は不十分、景気回復の基盤は不確か」
「中国経済は1-2月に改善傾向を維持、マクロ政策が効果を発揮」
17日13:05 トランプ米大統領
「18日にプーチン露大統領と話す」
「相互関税とセクター別関税を4月2日に実施」
18日04:21
「明日18日の朝にプーチン露大統領と話す予定」
17日18:55 デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁
「サービスインフレが低水準に向かうと予測」
「インフレ率はより低い水準へと推移してゆくだろう」
「エネルギーインフレは、地政学的観点からの大きな不確実性を除けば、比較的順調に推移」
「食料価格は一定の上昇を見せている」
17日19:28 OECD(経済協力開発機構)
「貿易摩擦で世界経済成長見通しを引き下げ、インフレ圧力が強まると予測」
「2025年の世界経済成長率予測を3.3%から3.1%に、2026年は3.3%から3%に下方修正」
「米国の2025年の成長率予測を2.4%から2.2%に、2026年は2.1%から1.6%に下方修正」
「カナダの2025年と2026年の成長率予測を2%から0.7%に下方修正」
「中国の2025年の成長率予測を4.7%から4.8%に引き上げ、2026年は4.4%で据え置く」
「メキシコの2025年の成長予測を1.2%から-1.3%に、2026年も1.6%から-0.6%に下方修正」
「予想を上回るインフレは金融政策の引き締めを促し、金融市場を混乱させる可能性」
17日21:47 加藤財務相
(G7財務相会合で)「為替を含め、金融市場の安定を推進」
「鉄鋼・アルミの関税は『遺憾』」
※時間は日本時間
<国内>
○日銀金融政策決定会合(1日目)
○13:30 ◇ 1月第三次産業活動指数(予想:前月比▲0.1%)
<海外>
○18:00 ◎ レーン・フィンランド中銀総裁、講演
○18:00 ◎ エスクリバ・スペイン中銀総裁、講演
○19:00 ◎ 3月独ZEW景況感指数(予想:50.3)
○19:00 ◎ 3月ユーロ圏ZEW景況感指数
○19:00 ◇ 1月ユーロ圏貿易収支(予想:季節調整前なし/季節調整済138億ユーロの黒字)
○21:30 ◎ 2月カナダ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.6%/前年比2.2%)
○21:30 ◎ 2月米住宅着工件数(予想:138.5万件、前月比1.4%)
◎ 建設許可件数(予想:145.0万件、前月比▲1.6%)
○21:30 ◇ 2月米輸入物価指数(予想:前月比▲0.1%)
○22:15 ◎ 2月米鉱工業生産(予想:前月比0.2%)
◇ 設備稼働率(予想:77.8%)
○19日01:40 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイ社が日本の5大商社への投資をさらに拡大したことが明らかになったとFT紙が伝えている。2020年8月に約5%から始まった投資は2023年4月に7%を超え、2023年11月には約9%に到達。最新の報告では、平均して約9.3%まで持ち株比率が上昇しているという。対象となる5社は三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅。
大阪6月限ナイトセッション
日経225先物 37660 +460 (+1.23%)
TOPIX先物 2759.5 +30.5 (+1.11%)
シカゴ日経平均先物 37690 +490
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
17日の米国市場はNYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が上昇。朝方発表された2月の米小売売上高は前月比0.2%増と市場予想(0.6%増程度)を下回った。ただし、自動車を除いたベースでは0.3%増加した。個人消費の底堅さを映しているとして、景気敏感株を中心に買いが広がった。また、前日にベッセント財務長官が「調整は健全であり、正常である」と述べたほか、欧州系の資産運用会社の「強気相場で起きる調整は買いの好機となる傾向がある」との見方が伝わったことも買いに向かわせた。
NYダウ構成銘柄では、ナイキ<NKE>、ウォルマート<WMT>、ユナイテッド・ヘルス・グループ<UNH>、スリーエム<MMM>、IBM<IBM>、ゴールドマン・サックス・グループ<GS>が上昇。一方で、エヌビディア<NVDA>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>、アメリカン・エキスプレス<AXP>が売られた。
シカゴ日経平均先物(6月限)清算値は、大阪比490円高の3万7690円だった。日経225先物(6月限)のナイトセッションは、日中比50円高の3万7250円で始まり、直後につけた3万7180円を安値にロング優勢となり、米国市場の取引開始時には3万7500円に乗せた。買い一巡後は3万7400円から3万7500円辺りで保ち合いを継続。中盤以降にレンジを上抜けると、終盤にかけて3万7770円まで上げ幅を広げる場面もみられ、3万7660円でナイトセッションの取引を終えた。
シカゴ先物にサヤ寄せする形から、買い先行で始まりそうだ。前日の取引でボリンジャーバンドの-1σ(3万6870円)を明確に上抜け、ナイトセッションで25日移動平均線(3万7770円)を捉えてきた。同線が心理的な抵抗線となることで強弱感が対立しやすい水準ではある。ただし、日銀の金融政策決定会合、米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果判明を前にショートカバーが入りやすいだろう。まずは、買い一巡後に3万7500円辺りでの底堅さを見極めつつ、押し目狙いのロング対応になりそうだ。
リバランスが中心とみられるが、25日線を捉えてくる局面ではカバーを強めてくることで、節目の3万8000円や200日線が位置する3万8200円辺りへのバイアスが加速する展開も意識しておきたい。そのため、オプション権利行使価格の3万7500円から3万8000円のレンジを想定する。
もっとも、経済協力開発機構(OECD)は、トランプ米大統領の関税政策の影響により、最新の世界経済見通しで、今年の成長率予想を3.1%(前回予想3.3%)、来年を3.0%(同3.3%)にそれぞれ引き下げた。国別の今年の成長率予想では、米国は2.2%(同2.4%)、日本を1.1%(同1.5%)に引き下げており、投資家心理を神経質にさせそうである。
17日の米VIX指数は20.51(14日は21.77)に低下した。一時20.32まで下げ、心理的な分かれ目となる20.00に接近してきた。同水準に位置する25日線が支持線として機能する可能性はあるものの、同線を下抜けてくるようだと、リスク選好からカバーの動きが一段と強まる可能性はあるだろう。
昨日のNT倍率は先物中心限月で13.63倍に低下した。朝方は13.73倍まで上昇したが、その後は低下傾向が続いた。指数インパクトの大きい値がさハイテク株が日経平均型を牽引したが、一方で、三菱重工業<7011.T>[東証P]、川崎重工業<7012.T>[東証P]、IHI<7013.T>[東証P]など防衛関連株への物色が強まったことで、相対的にTOPIX型が優位になっていた。米国ではエヌビディアが下落したこともあり、NTショートに振れやすい状況が続きそうである。
17日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、2月米小売売上高や3月米ニューヨーク連銀製造業景気指数が予想を下回ったことで148.31円まで下落後、米国株相場の上昇に伴う円売り・ドル買いで149.28円まで上値を伸ばした。ユーロドルは、独財政拡大やウクライナの停戦協議進展への期待感や低調な米経済指標を受けて1.0929ドルまで値を上げた。ユーロ円は、ダウ平均が一時520ドル超上昇したことで、163.05円まで上昇した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、本日から明日にかけて開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)と日銀金融政策決定会合を控えて動きづらい展開が予想される中、石破降ろしリスクで底堅い展開が予想される。
また、本日、トランプ米大統領とプーチン露大統領がウクライナ停戦に関して電話会談を行う予定となっているが、トランプ米大統領は「ディールの見込みが極めて高い」と述べており、関連ヘッドラインにも警戒しておきたい。
本日からの日銀金融政策決定会合では、植田日銀総裁が「こういうご時世なので、海外の経済・物価動向を巡る不確実性については非常に心配している」と述べているように、金融政策の現状維持が見込まれている。
議論される内容としては、春闘回答一次集計への評価、4月2日に発動予定の相互関税、自動車関税、上昇基調にあるコメ価格などの食料品価格への対策、そして、7月に予定されている参議院議員選挙前に行われるかもしれない自民党総裁選への対応策、などが想定される。
先週12日、自民党旧安倍派の西田参院議員が、石破首相の交代要求に関連して、新たな党総裁には高市前経済安全保障担当相が有力候補になるとの認識を示した。前回総裁選の党員投票で一番多かった高市氏は、昨年9月に、日銀の金融政策運営を巡り「金利を今、上げるのはあほやと思う」と利上げ気運を牽制し、個人消費や企業の設備投資に悪影響との認識を示して「長いデフレに戻る不安がある」と強調していた。
石破降ろしリスクが顕在化して、ドル円が150円を超える局面となった場合、過去最大規模に膨れ上がったIMM通貨先物の投機部門の円のネットの買い持ちポジション(※3/11時点:133902枚)の手仕舞いを誘発する可能性が高まることで警戒しておきたい。
オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)市場では、日銀の追加利上げは6月16-17日の日銀金融政策決定会合と予想されている。また、参議院選挙の投開票日は7月20日か27日と予想されている。
東京市場は堅調か。米国株は上昇。ダウ平均は353ドル高の41841ドルで取引を終えた。2月小売売上高は市場予想を下回ったが、その内容から消費停滞に対する過度な警戒は後退した。小安く始まったもののすぐにプラス圏に浮上すると、14日に続いて押し目を拾う動きが活発となった。ドル円は足元149円20銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが大証日中終値と比べて490円高の37690円、ドル建てが600円高の37800円で取引を終えた。
米国株高を好感した買いが入ると予想する。米国株の動きが良くなる中で、ドル円も円安(ドル高)に振れている。また、ウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハザウェイの買い増しが判明した商社株がADRで大きく上昇しており、日本株には買いが入りやすい環境。良好な外部環境を受けて、高く始まった後も上を試しやすい地合いが続くだろう。日経平均の予想レンジは37600円-38000円。
昨日のドル円は、非常に底堅い動きとなりました。2月米小売売上高が予想を下回る弱い数字となると米長期金利の低下とともに一時148.31円まで値を下げる場面もみられましたが、一目転換線の位置する148.36円付近が意識されたほか、直ぐにもヘッドラインとは逆の動きとなることが、このところの流行なのか、GDP算出に使用するパラメーターがしっかりとした数字だったという理由から、低下した米10年債利回りが一転して4.3293%まで上昇に転じると、ドル円もすぐに149.10円とアジア時間の高値に面合わせ。その後は再び米金利が低下したことから148.45円まで下押ししたものの、引けにかけては株価が大幅な上昇となるにつれてリスクオン的な動きから149.28円まで買い上げられることになりました。
アジア時間に入ってからも株価の上昇につれて上値を試す展開となると6日の高値149.33円を上抜けて一時149.55円まで値を上げているといったところです。
いずれにしても、ドル円は週末の終値ベースで一目転換線をしっかりと上抜けてきたわけで、市場に滞留するショートポジションのカバーが先行せざるを得ず、その動きを後押しするには十分なシグナル。また、昨日もお伝えしているように、今月は日米金融政策の変更がないコンセンサスが確立されるなかにあって、日本国内では政局の2文字が飛び交っている状況。ショートカバーの必要性は益々増加するばかりと言えます。
日経225先物は11時30分時点、前日比480円高の3万7680円(+1.29%)前後で推移。寄り付きは3万7730円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万7690円)にサヤ寄せする形から、買い先行で始まった。開始直後につけた3万7750円を高値に、利食いに伴うロング解消とみられる動きから3万7570円まで上げ幅を縮める場面もみられた。ただし、3万7500円接近ではロングが入り、中盤にかけては再び3万7750円まで買われ、3万7700円を挟んでの推移が続いた。
日経225先物は、25日移動平均線に上値を抑えられる形となったが、3万7500円接近では下値の堅さが意識されており、押し目待ち狙いの買い意欲は強そうだ。為替市場では円相場が1ドル=149円半ばと円安に振れて推移するなか、ショートは仕掛けにくいだろう。25日線水準では短期的なショートが入っているとみられ、同線を明確に上抜けてくるようだと、カバーの動きを強めそうである。オプション権利行使価格の3万7500円から3万7750円でのレンジ推移のなか、権利行使価格の3万7625円を上回っての推移が続くようだと、煮詰まり感からカバー狙いのロングを誘う展開が意識されよう。
NT倍率は先物中心限月で13.64倍に上昇した。ただし、13.63倍~13.66倍と狭いレンジでの推移であり、スプレッド狙いのトレードは難しい。指数インパクトの大きい値がさハイテク株が買われているが、東証プライムの値上がり数が9割に迫るなか、日経平均型、TOPIX型ともに買い戻しとみられるリバランスの動きが強まっている。
『あれからぼくたちは日銀を信じてこれたかなぁ
「壁」のむこうには「楽しい日本」がもう待っているのかなぁ』
日銀の政策金利には、1995年以来、約30年間に及ぶ「0.5%」という壁がある。
日本の10年債金利にも、2000年以来、約25年間に及ぶ「2.0%」という壁がある。
2025年1月、日銀が政策金利を0.5%に引き上げて「壁」に到達したが、夏頃には0.75%、年末には1.00%への引き上げが見込まれており、ターミナルレート(利上げの最終到達点)は1.25%程度付近と見なされている。
新発10年物国債利回りも1.50%台に乗せており、最終的には「壁」である2.0%を超えるのではないか、と見込まれている。
2024年3月の日銀金融政策決定会合では、マイナス金利とイールドカーブコントロール(YCC)が解除された。
長短金利操作が導入された時、短期金利はマイナス0.1%、長期金利をゼロ%程度に誘導することが目論まれていた。
1.政策金利
日本銀行の政策金利は、1995年8月に1.0%から0.5%に引き下げられて以来、0.5%を超えたことはない。
日本銀行は、ゼロ金利を導入した以降の25年間で3回利上げしたが、2回は世界景気が後退し、時期尚早の利上げとの批判を浴びた。
2000年8月の利上げ(ゼロ⇒0.25%)の後は、米国発のITバブルが崩壊した。
2006年7月の利上げ(ゼロ⇒0.25%⇒0.50%)の後は、米国発の住宅バブルが崩壊した。
2024年3月に開始された3回目の利上げ(ゼロ⇒0.25%⇒0.50%)の後は、トランプ関税によるリセッション(景気後退)への警戒感が高まりつつある。
2. 長期金利
日本の長期金利は、1999年2月に2.440%をつけて以来、2%が壁となっている。
・1999年2月:2.44%・・・資金運用部ショック
・2000年9月:1.99%・・・8月の日銀によるゼロ金利政策解除
・2004年6月:1.94%・・・景気の回復
・2006年4月:2.00%・・・3月の日銀による量的緩和政策解除
・2006年5月:2.00%・・・日銀によるゼロ金利解除観測(※7月解除)
・2007年6月:1.985%・・・米10年債利回りが5%台に乗せた
本日のロンドン為替市場のユーロドルは、3月独・ユーロ圏のZEW景況感指数を見極めながら、トランプ米大統領とプーチン露大統領とのウクライナ停戦協議やドイツ連邦議会での独財政パッケージの採決などの結果を待つ展開となる。
3月独ZEW景況感指数は50.3と予想されており、2月の26.0からの大幅改善が見込まれている。予想通りならば、現状のユーロ高基調を支持することになる。
ウクライナ情勢に関しては、ゼレンスキー・ウクライナ大統領が30日間の停戦案受け入れを表明したものの、ロシア側は「危機の根本原因を取り除くものでなければならない」と注文をつけ、事実上受け入れを拒否していた。
本日予定されている、トランプ米大統領とプーチン露大統領の電話協議では、トランプ米大統領が「ディールの見込みが極めて高い。ウクライナ停戦に向けた最終合意の多くの要素について合意している」と述べており、関連ヘッドラインに注目しておきたい。
本日のドイツ連邦議会では、メルツ独CDU党首が提案している防衛・インフラ投資支出パッケージの採決が行われるが、キャスティング・ボートを握る「緑の党」が支持を表明していることで、可決される見込みとなっている。
ユーロドルはドイツの財政拡大への転換というゲームチェンジャーで1.09ドル台まで上昇してきており、独議会での承認を受けて、「思惑で仕掛けて事実で手仕舞う」ことになるのか、それとも1.10ドル台乗せとなるのか注目しておきたい。
中期的なリスクシナリオとしては、欧州の再軍備計画やドイツの財政拡張の財源としての国債増発により、欧州債務危機の再来懸念などが挙げられている。
想定レンジ上限
・ユーロドル:1.1040ドル(2024/10/4高値)
・ユーロ円:164.08円(1/24高値)
想定レンジ下限
・ユーロドル:1.0857ドル(日足一目均衡表・転換線)
・ユーロ円:161.50円(3/17安値)
ドル円:1ドル=149.74円(前営業日NY終値比△0.53円)
ユーロ円:1ユーロ=163.34円(△0.36円)
ユーロドル:1ユーロ=1.0908ドル(▲0.0014ドル)
日経平均株価:37845.42円(前営業日比△448.90円)
東証株価指数(TOPIX):2783.56(△35.44)
債券先物6月物:138.34円(△0.04円)
新発10年物国債利回り:1.500%(▲0.005%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
1月第三次産業活動指数
前月比 ▲0.3% 0.4%・改
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は強含み。日経平均株価の上昇などを手掛かりに、投資家のリスク志向改善を意識した買いが入った。仲値に向けた買いなども観測されて上値を試す展開が続き、一時149.88円まで値を上げた。
・ユーロ円も強含み。ドル円や日本株の上昇を背景にした円売り・ユーロ買いが進み、163.45円まで上昇した。
・ユーロドルは小安い。1.09ドル台前半の限られたレンジ内推移となったが、対円などでドル買いが進んだ影響から1.0904ドルまで弱含んだ。
・日経平均株価は3日続伸。昨日の米国株高を背景に海外投資家からの買いが株価指数先物に入った。指数は一時600円超上昇して節目の3万8000円台を回復。ただ、同水準付近では個人投資家からの利益確定売りが観測されて、上値を抑制した。
・債券先物相場は小幅に3日続伸。昨日の米国債券相場が上昇した流れを引き継いで小高く始まった。その後は日本株の堅調推移を受けて、安全資産とされる債券需要が後退したことから下げに転じたが、売りの勢いも長続きはしなかった。今週に日銀金融政策決定会合を控えて全般に様子見ムードが強かった。
大阪6月限
日経225先物 37620 +420 (+1.12%)
TOPIX先物 2761.5 +32.5 (+1.19%)
日経225先物(6月限)は前日比420円高の3万7620円で取引を終了。寄り付きは3万7730円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万7690円)にサヤ寄せする形から、買い先行で始まった。開始直後につけた3万7750円を高値に、利食いに伴うロング解消とみられる動きから3万7570円まで上げ幅を縮める場面もみられた。ただし、3万7500円への接近ではロングが入る形で底堅さがみられた。一方で、25日移動平均線に上値を抑えられる形となり、前場中盤以降は3万7500円~3万7750円のレンジ推移が続き、後場も同レンジでの値動きだった。
日経225先物は、25日線に上値を抑えられたが、日米の金融会合の結果を受けてトレンドが出やすくなりそうだ。また、トランプ米大統領とロシアのプーチン大統領による対話が予定されており、ロシア・ウクライナ戦争の停戦に向けた協議が進展するようだと、ショートカバーを交えての上昇が期待されてくる。
もっとも、東京市場は20日が祝日で休場に入ることで商いは膨らみにくいため、スキャルピング中心のトレードになろう。また、明日の午後には日銀の金融政策決定会合の結果が判明するが、政策金利の据え置きがコンセンサスであり、1ドル=150円に迫る動きをみせている為替を睨んでの展開になりそうだ。米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を受けた市場の反応については週末になるが、日銀会合を無難に通過するようだと、FOMC通過後のアク抜けを想定したショートカバーを強めてきそうだ。
日経225先物は3月11日につけた3万5730円(6月限)で底入れした形で、ボリンジャーバンドの-1σを突破し、25日線を捉えてきた。目先的には達成感が意識される半面、同線突破からの一段高といった形での転換ポイントとなる。
また、米VIX指数も3月11日に29.57まで急伸した後は調整を続けており、17日には一時20.32まで下げてきた。判断の別れ目となる20.00に接近しており、同水準には25日線が位置する。25日線までの下げで調整一巡感が高まりやすい一方で、20.00割れとなればリスク選好に向かわせるだろう。18日のVIX指数が20.00を割り込んでくるようだと、日経225先物は25日線突破から、節目の3万8000円回復が期待されてきそうだ。
NT倍率は先物中心限月で13.62倍に低下した。ただし、13.62~13.65倍と狭いレンジでの推移であり、スプレッド狙いのトレードは難しい状況だった。指数インパクトの大きい値がさハイテク株が買われていたものの、東証プライムの値上がり数が8割に迫るなか、日経平均型、TOPIX型ともに買い戻しとみられるリバランスの動きが強まったようだ。
手口面(6月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万3750枚、ソシエテジェネラル証券が1万2876枚、サスケハナ・ホンコンが3837枚、バークレイズ証券が2396枚、JPモルガン証券が2309枚、ゴールドマン証券が1337枚、日産証券が1135枚、SBI証券が1032枚、モルガンMUFG証券が1002枚、松井証券が743枚だった。
TOPIX先物は、ABNクリアリン証券が2万1889枚、ソシエテジェネラル証券が2万1294枚、JPモルガン証券が7193枚、バークレイズ証券が6307枚、モルガンMUFG証券が3820枚、ゴールドマン証券が3219枚、BNPパリバ証券が2177枚、ビーオブエー証券が1908枚、サスケハナ・ホンコンが1896枚、シティグループ証券が1726枚だった。
本日のNY市場でのドル円は、明日の日米の金融政策発表を前に、買い戻しの動きが続くか見極めることになるか。
昨日のNY市場では、弱い米経済指標の発表が相次いだがドル円の下値は限定的となり、米長期金利が上昇する中で切り返すと、米株高も追い風となり、約2週間ぶりに終値で149円台を回復した。市場では、明日の日米金融政策発表を前に、ドル売り・円買いポジションの調整が出たとの声も聞かれる。日足チャート上でも、一目均衡表の転換線や12日につけた直近高値149.19円を上抜いていることから、上値を試しやすい流れにある。
本日、米国では住宅関連のほか、2月鉱工業生産や設備稼働率が発表予定。昨日の例を踏まえると、直後の反応を見た後は、指標を受けた米長期金利の動きのほか、株価の動向に警戒したい。もっとも、明日に日米の金融イベントを控えていることもあり、動きが一巡すると手控えムードが広がる事も考えられる。
そのほか、本日は米露首脳が電話会談を行い、ウクライナでの停戦実現に向けた話し合いがなされる見通し。協議が前進して停戦実現の可能性が高まればユーロにとって追い風となることが予想されると共に、リスク回避ムードが和らいで株高となればクロス円を押し上げることも想定される。ただし、領土問題でロシアが簡単には譲歩するとは思えず、協議が進展しないことも想定される。その場合、市場に漂っていた楽観的ムードが後退する恐れがある点には留意したい。
想定レンジ上限
・ドル円は、日足・一目均衡表の基準線150.67円。超えると3日高値151.30円
・ユーロドルは、昨年10月3日高値1.1049ドル
想定レンジ下限
・ドル円は12日高値149.19円。割り込むと17日安値148.31円
・ユーロドルは、日足・一目均衡表の転換線1.0857ドル
今晩は様子見か。昨日は週末に関税問題などで新たな悪材料が出なかったことや、自動車を除く2月小売売上高が予想と一致したことで景気後退懸念が和らいだことなどで主要3指数がそろって上昇。ダウ平均が353.44ドル高(+0.85%)、S&P500が0.64%高、ナスダック総合が0.31%高となり、主要3指数がそろって2営業日続伸した。ただ、年初来ではダウ平均が1.65%安、S&P500が3.51%安、ナスダック総合が7.78%安とそろってマイナス圏にとどまった。
今晩の取引では主要3指数が前日までに2日続伸したことや、翌日に米連邦公開市場委員会(FOMC)結果公表を控えていることなどで様子見姿勢が強まりそうだ。今回のFOMCでは政策金利の据え置きが確実視されているが、年内の利下げ見通しを巡り、会合のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の記者会見に注目が集まっている。
今晩の米経済指標・イベントは2月住宅着工件数、2月建設許可件数、2月鉱工業生産、米20年債入札など。主要な企業の決算発表はないが、エヌビディアの年次開発者会議「GTC」が3月17日-21日の日程で開催される。
東海東京インテリジェンス・ラボでは、米国市場の当面の注目材料の一つに18~19日のFOMCを挙げている。今回は政策金利の据え置きが予想されている。東海東京では、(1)政策担当者の今後の利下げ見通し、(2)FRBスタッフの米国経済予測、(3)バランスシートの縮小に関する議論の進展―の3点に注目している。特に(1)に関しては、一時25年内1回程度にまで後退していた市場参加者の利下げ見通しが3回弱程度にまで拡大し、昨年12月のFOMC時点での政策担当者の見通し(中央値は25年内2回)を上回ってきていると指摘。12月以降に政策担当者の利下げ見通しがどのように変化したか、その結果は米株市場に少なからぬ影響を与えると考えている。
米商務省は政府の設備で中国発の大規模言語モデル「DeepSeek」の使用を禁止する旨を職員に通知したようだ。商務省は職員に対し、政府の情報システムの安全性を確保するため、DeepSeekに関連するアプリケーション、ウェブサイトをダウンロード、閲覧、アクセスしないよう電子メールで指示した。『信報』が外電を引用して18日伝えた。
米政府の関係者や議会議員は以前から、DeepSeekがデータのプライバシーや政府の機密情報を脅かす可能性があることを懸念している。複数の州ではすでに政府設備でのDeepSeek使用を禁止しており、21州の検察長が結成した連盟は、議会に対して立法措置を求めている。
日経平均株価は3日続伸。前日終値からマドを開けて上昇し、一時は25日移動平均線(38003円 3/18)まで上昇する場面があった。一方、下値は一目均衡表の基準線(37784円 同)が支えとなり、寄り付きで開けたマドを埋め戻す動きもなかった。
RSI(9日)は前日の51.4%→58.2%(3/18)に上昇。3/7の下落で形成したマドの上限(37580円)を完全に埋め戻す強いリバウンドが続いたことで、底入れ期待が一段と強まる動きとなった。一方、下向きで推移する25日移動平均線が上値抵抗になりやすいほか、2/28の急落で形成したマド埋め(38061円)前に下方向に揺り戻しが生じる可能性が高い。
上値メドは、25日移動平均線、200日移動平均線(38587円 同)、心理的節目の39000円、2/13高値(39581円)などがある。下値メドは、心理的節目の37500円、10日移動平均線(37173円 同)、心理的節目の37000円、3/14安値(36594円)、心理的節目の36000円、9/17安値(35828円)などがある。
SMBC日興証券では、3月の米ミシガン大サーベイはトランプ政権にとって散々な結果であったと指摘している。消費者マインドは明確に悪化し、金融環境や労働市場に対する判断も軒並み落ち込んだ。特に共和党支持者の期待が冷え込みつつある点は、トランプ政権にとって痛手であったとみている。短期・長期の期待インフレ率の上昇が金融政策運営において悩みの種となりかねない点で、Fedも巻き添えを食っていると指摘。もっとも、問題の根本である関税競争が解決すれば、インフレ期待も巻き戻され得るだけに、まずはFedが信頼するNY連銀サーベイの結果を確認したいとSMBC日興ではコメントしている。
米財務省によると、20年債入札(ダッチ方式)の落札結果は最高落札利回りが4.632%、応札倍率(カバー)が2.78倍となった。
(18日終値:19日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=149.25円(18日15時時点比▲0.49円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=163.44円(△0.10円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0950ドル(△0.0042ドル)
FTSE100種総合株価指数:8705.23(前営業日比△24.94)
ドイツ株式指数(DAX):23380.70(△226.13)
10年物英国債利回り:4.643%(△0.005%)
10年物独国債利回り:2.810%(▲0.008%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
3月独ZEW景況感指数
51.6 26.0
3月ユーロ圏ZEW景況感指数
39.8 24.2
1月ユーロ圏貿易収支
(季調済)140億ユーロの黒字 142億ユーロの黒字・改
(季調前)10億ユーロの黒字 155億ユーロの黒字
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ユーロドルは底堅い動き。独財政拡大やウクライナの停戦協議進展への期待からユーロ買い・ドル売りが先行。目先レジスタンスとして意識されていた11日の高値1.0947ドルを上抜けると一時1.0955ドルまで上値を伸ばし、昨年10月10日の高値に面合わせした。
NYの取引時間帯に入ると、2月米住宅着工/建設許可件数や2月米輸入物価指数が予想を上回ったことで、米長期金利の上昇とともにドル買いが進行。一時1.0893ドルと日通し安値を付けた。
ただ、前日の安値1.0869ドルが目先サポートとして意識されると買い戻しが優勢に。「独連邦議会(下院)は財政改革パッケージ案を可決した」と伝わった直後こそ独長期金利の上昇幅縮小の動きに伴って1.0897ドル付近まで下押ししたが、そのあとは徐々に買いが強まり1.0952ドル近辺まで切り返した。米長期金利が低下に転じたこともドル売りを誘った。
なお、格付け会社フィッチは「支出増加が財政再建策や持続的な成長見通しの改善で相殺されない場合、長期的にドイツの『AAA』格付けへの圧力が生じる可能性がある」と警告した。
・ドル円は上値が重かった。米住宅指標の上振れなどを手掛かりに円売り・ドル買いが先行。米長期金利の上昇に伴うドル買いも入り、21時30分過ぎには一時149.93円と日通し高値を付けた。
ただ、節目の150.00円に接近した場面では戻り売りなどが出たため、伸び悩んだ。トランプ米政権による関税政策が貿易戦争や米経済の下押しにつながるとの懸念が根強い中、米国株相場が下落し、米長期金利が低下に転じたことも相場の重し。3時過ぎには149.14円付近まで下押しした。
なお、トランプ米大統領とプーチン露大統領はこの日、ロシアによる侵略が続くウクライナ情勢を巡り、米国が提案する即時停戦案などについて電話会談を行った。米ホワイトハウスは「トランプ氏とプーチン氏は平和と停戦の必要性について協議」「エネルギー施設やインフラへの攻撃停止から和平を開始する」とし、ロシア大統領府は「プーチン大統領はエネルギー施設への攻撃停止を命令した」と伝えた。
・ユーロ円は伸び悩み。ユーロドルの上昇につれた買いが先行すると一時164.19円と1月7日以来の高値を付けたものの、買い一巡後は徐々に上値が重くなった。ドル円の失速や米国株の下落に伴う円買い・ユーロ売りが入り、一時163.02円付近まで下押しした。
・ロンドン株式相場は5日続伸。前日の米国株や本日のアジア株相場が上昇したことを受けて英株にも買いが波及した。ただ、本日の米国株が下落すると英株にも売りが出たため、終盤伸び悩んだ。HSBCやバークレイズなど金融株が買われたほか、BPやシェルなどエネルギー株が値上がりした。
・フランクフルト株式相場は3日続伸。独財政拡大やウクライナの停戦協議進展への期待から買いが優勢となった。個別ではラインメタル(5.67%高)やドイツ銀行(4.26%高)、バイエル(4.08%高)などの上昇が目立った。
・欧州債券相場は英国債が下落した一方、独国債が上昇した。
18日の日経平均は大幅に3日続伸。終値は448円高の37845円。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1287/値下がり297。ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハザウェイの買い増しが判明したことから、三井物産や三菱商事など大手商社株が軒並み大幅高。三菱UFJ、三井住友、東京海上など金融株の動きが良かった。円安進行を好感して、トヨタ、ホンダ、マツダなど自動車株が全般堅調。大口受注獲得を発表したACSLが急騰したことでテラドローンやブルーイノベーションなどドローン関連の物色が盛り上がり、リベラウェアがストップ高となった。
一方、広範囲に買いが入る中、直近で騰勢を強めていた三菱重工やIHIが利益確定売りに押された。東電HDが3%を超える下落。リクルートHDが6日続落となったほか、ソフトバンクGや任天堂が逆行安となった。本決算を材料にTOKYOBASEが急落。1Qの減益着地が嫌気されたギフトHDがストップ安となった。
グロース市場に新規上場したTalentXは、公開価格を大きく上回る初値をつけたが、終値は初値を下回った。
日経平均は大幅高。きのう同様に高く始まった後の上値は限られたが、失速しなかったことで全体の底上げが一段と進んだ。直近3営業日で1000円超上昇しており、この先の日銀金融政策決定会合やFOMCを無難に消化することができれば、ひとまず下値不安は後退しそう。ただ、東京市場は木曜20日が休場だけに、あすは難しい1日となる。
今回の日銀会合では政策金利は据え置かれるとみられている。注目は引け後の植田総裁会見で、内容次第では日本の長期金利やドル円に大きな動きが出てくる可能性がある。19日の米国ではFOMCの結果を消化する。こちらも政策金利の据え置きが濃厚ではあるが、トランプ政策の不確実性が強まっている中、パウエルFRB議長がどのようなコメントを発するかは注目される。東京市場はあすの時点では新たな手がかりが乏しい一方、休場明けの21日には多くの材料を消化する。直近で日経平均が目を見張る上昇となった分、リスク回避の様相が強まった場合には下に値幅が出る展開も想定される。日銀会合がノーサプライズでも指数の動きは荒くなる可能性があるだけに、落ち着いた行動を心掛けたい。
(18日終値)
ドル・円相場:1ドル=149.27円(前営業日比△0.06円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=163.39円(△0.41円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0945ドル(△0.0023ドル)
ダウ工業株30種平均:41581.31ドル(▲260.32ドル)
ナスダック総合株価指数:17504.12(▲304.54)
10年物米国債利回り:4.28%(▲0.02%)
WTI原油先物4月限:1バレル=66.90ドル(▲0.68ドル)
金先物4月限:1トロイオンス=3040.8ドル(△34.7ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
2月米住宅着工件数
150.1万件 135.0万件・改
建設許可件数
145.6万件 147.3万件
2月米輸入物価指数
(前月比) 0.4% 0.4%・改
2月米鉱工業生産
(前月比) 0.7% 0.3%・改
設備稼働率 78.2% 77.7%・改
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は小幅ながら3日続伸。2月米住宅着工/建設許可件数や2月米輸入物価指数が予想を上回ったことが分かると、米長期金利の上昇とともに円売り・ドル買いが先行。21時30分過ぎに一時149.93円と日通し高値を付けた。
ただ、節目の150.00円に接近した場面では戻り売りなどが出たため、上値が重くなった。トランプ米政権による関税政策が貿易戦争や米経済の下押しにつながるとの懸念が根強い中、米国株相場が下落したことも相場の重し。好調な米20年債入札を受けて、米長期金利が低下幅を拡大したこともドル売りを促した。アジア時間の安値149.13円を下抜けると一時149.10円まで値を下げた。
なお、トランプ米大統領とプーチン露大統領はこの日、ウクライナ停戦案を巡り電話協議を行った。プーチン氏はウクライナのエネルギー資産に対するロシアの攻撃を制限することを確約したものの、米国が提案した即時の全面的な停戦には同意しなかった。
・ユーロドルは3日続伸。独財政拡大やウクライナの停戦協議進展への期待から、欧州市場序盤には一時1.0955ドルと昨年10月10日の高値に面合わせする場面があった。
ただ、NY市場に入ると米住宅指標の上振れなどを手掛かりにユーロ売り・ドル買いが進行。21時30分過ぎに一時1.0893ドルと日通し安値を付けた。
もっとも、前日の安値1.0869ドルが目先サポートとして意識されると買い戻しが優勢に。「独連邦議会(下院)は財政改革パッケージ案を可決した」と伝わった直後こそ独長期金利の上昇幅縮小の動きに伴って1.0897ドル付近まで下押ししたが、そのあとは徐々に買いが強まり1.0952ドル近辺まで切り返した。米長期金利が低下に転じたこともドル売りを誘った。
・ユーロ円も3日続伸した。欧州市場では一時164.19円と1月7日以来の高値を付ける場面もあったが、NY市場では上値が重い展開に。ドル円の失速や米国株相場の下落に伴う円買い・ユーロ売りが入り、一時163.02円付近まで下押しした。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は3日ぶりに反落。トランプ米政権による関税政策が貿易戦争や米経済の下押しにつながるとの懸念が根強い中、売りが優勢となった。18-19日の米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に持ち高調整目的の売りも出た。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も3日ぶりに反落。電気自動車(EV)のテスラが5%超下落した。
・米国債券相場で長期ゾーンは続伸。この日発表の米経済指標の上振れを受けて売りが先行したものの、米国株相場が下落すると買い戻しが優勢となり持ち直した。20年債入札が「好調」と受け止められたことも相場の支援材料。
・原油先物相場は3日ぶりに反落。中東の地政学リスクへの警戒感で買いが先行するも、米景気後退への懸念で上値は重く利食い売りに押された。ロシアのプーチン大統領とトランプ米大統領は電話会談を行い、ロシアとウクライナの双方が発電所や石油精製所などエネルギー施設を標的とする攻撃を30日間停止することに合意したことも相場の重しとなった。
・金先物相場は6日続伸。4営業日連続で最高値を更新している。トランプ関税による景気懸念が根強いことが支えとなるなか、中東情勢の不安もリスク回避の動きを強め、安全資産とされる金に買いが入った。
米メディアが報じたところによると、「トランプ・プーチン電話会談は終了した」ようだ。
独連邦議会(下院)は18日、財政改革パッケージ案を可決した。
18日07:38 トランプ米大統領
「18日午前中にプーチン露大統領とウクライナを巡り議論する」
「ウクライナ停戦に向けた最終合意の多くの要素について合意している」
「ウクライナでの戦争を巡り議論すべきことは、まだ多い」
「習中国国家主席はそう遠くない将来に訪米する見通し」
18日08:31 ハンター豪準備銀行(RBA)副総裁
「10-12月期の家計消費の回復は一時的な上昇ではない」
「RBAの予測と理事会の政策決定の関係は機械的ではない」
「中心的な経済予測には常にリスクと不確実性が伴う」
「米国の政策決定がオーストラリアのインフレに与える影響を注視」
「米国の関税政策がインフレに与える影響は不確実」
「2月の金融政策声明は市場の予想よりも慎重な姿勢を反映」
18日09:44 加藤財務相
「金融政策の具体は日銀が自主的に決める」
18日09:46 赤沢経済再生相
「日銀には政府と緊密に連携し、2%目標の持続的実現を目指し、引き続き適切な政策運営を期待している」
18日18:44 レーン・フィンランド銀行(中央銀行)総裁
「中期的に防衛費の増加はGDP成長を支える可能性が高い」
「短期的には米国の関税と不確実性の高まりがすでに経済に悪影響を及ぼしている」
18日23:51 格付け会社フィッチ・レーティングス
「支出が財政再建や成長の持続的な改善によって相殺されなければ、ドイツのAAA格付けに圧力がかかる可能性」
19日00:14 カッツ・イスラエル国防相
「人質が全員解放されるまで戦闘停止はない」
19日00:35 米ホワイトハウス
「トランプ・プーチン電話会談は継続中」
19日02:30
「トランプ氏とプーチン氏は平和と停戦の必要性について協議」
「中東で直ちに交渉開始」
「米ロ関係改善は利点あるとの見解で一致」
「エネルギー施設やインフラへの攻撃停止から和平を開始」
19日02:23 プーチン露大統領
「ロシアはウクライナと捕虜交換を行う」
「ウクライナの平和へのコミットメントを再確認」
「平和への道を探り続ける用意がある」
「エネルギー施設を30日間攻撃しない構想を支持」
19日02:33 ロシア大統領府
「プーチン大統領はエネルギー施設への攻撃停止を命令」
※時間は日本時間
<国内>
○08:50 ◎ 1月機械受注(予想:船舶・電力除く民需 前月比▲0.5%/前年比6.9%)
○08:50 ◎ 2月貿易統計(通関ベース、予想:季節調整前7228億円の黒字、季節調整済4915億円の黒字)
○未定 ☆ 日銀金融政策決定会合、終了後政策金利発表(予想:0.50%で据え置き)
○13:30 ◇ 1月鉱工業生産確報
○13:30 ◇ 1月設備稼働率
○15:30 ☆ 植田和男日銀総裁、定例記者会見
○未定 ◇ 3月月例経済報告
<海外>
○06:45 ◇ 10-12月期ニュージーランド(NZ)経常収支(予想:66.50億NZドルの赤字)
○17:00 ◎ 2月南アフリカ消費者物価指数(CPI、予想:前月比1.0%/前年比3.3%)
○19:00 ☆ 2月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値(予想:前年比2.4%)
○19:00 ☆ 2月ユーロ圏HICPコア改定値(予想:前年比2.6%)
○20:00 ◇ 1月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比4.0%)
○20:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○20:30 ◎ センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演
○21:00 ◎ デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○22:00 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○22:00 ◎ エルダーソンECB専務理事、講演
○23:30 ◇ EIA週間在庫統計
○20日03:00 ☆ 米連邦公開市場委員会(FOMC)、終了後政策金利発表(予想:4.25-4.50%で据え置き)
○20日03:00 ☆ FOMC、経済・金利見通し発表
○20日03:30 ☆ パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見
○20日05:00 ◎ 1月対米証券投資動向
○20日06:30 ☆ ブラジル中銀、政策金利発表(予想:14.25%に引き上げ)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
18日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、2月米住宅着工/建設許可件数や2月米輸入物価指数が予想を上回り、米長期金利の上昇とともに149.93円まで上昇した後、米国株相場が下落し、米長期金利が低下したことで、149.10円まで反落した。ユーロドルは、欧州市場で独財政拡大やウクライナの停戦協議進展への期待から1.0955ドルまで上昇した後、NY市場では米住宅指標の上振れを受けて1.0893ドルまで反落した。その後、米長期金利の低下を受けて1.0952ドル近辺まで切り返した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、日銀金融政策決定会合では現状の金融政策の維持が予想されており、植田日銀総裁の記者会見に注目することになる。
日銀金融政策決定会合では、植田日銀総裁が「こういうご時世なので、海外の経済・物価動向を巡る不確実性については非常に心配している」と述べているように、金融政策の現状維持が見込まれている。
15時30分からの植田日銀総裁の会見では、内憂としての石破降ろしリスクなどの政局不安、外患としてのトランプ関税などの不確実性が高いことを指摘した上で、今後も経済・物価が想定通りに推移していけば、徐々に利上げを進めていくという従来の方針を繰り返すことで、150円台の円安を回避するのではないだろうか。
すなわち、春闘の第1回回答集計結果を受けて、「春闘では良い結果がみられており、見通し実現の確度はさらに高まっている」と述べ、コメ価格などの食料品価格の上昇基調に対して「物価には上振れリスクが少し高まっている」と述べれば、市場が見込んでいる6月、7月の会合での追加利上げが追認されることになる。
もし、植田日銀総裁が内外の不確実性を理由に利上げ時期を先送りするようなハト派的見解を述べ、ドル円は150円台に乗せるような局面になれば、過去最大規模に膨れ上がったIMM通貨先物の投機部門の円のネットの買い持ちポジション(※3/11時点:133902枚)の手仕舞いを誘発する可能性が高まることで、リスクシナリオとして警戒しておきたい。
トランプ米大統領は「あなたの国の通貨を切り下げ、弱体化させ続けてはならないと日本の指導者たちに電話で伝えた」と述べ、ベッセント米財務長官は「他国が自国通貨を弱くすることは望まない。多くの国が対米貿易黒字を抱えるなか、金利抑制による通貨安がその一因となっている可能性がある」と、通貨安(※円安)を牽制している。
そして、4月2日辺りに発動が見込まれている相互関税に関して、ベッセント米財務長官は「トランプ大統領が打ち出した相互関税は、貿易相手国の為替操作の有無を検証し、関税率に反映させる。米国は強いドル政策を取るが、それは他国が通貨安政策を取ることを意味しない」と述べ、「為替レート」が検証の対象となっていることを示唆していた。
大阪6月限ナイトセッション
日経225先物 37520 -100 (-0.26%)
TOPIX先物 2755.0 -6.5 (-0.23%)
シカゴ日経平均先物 37535 -85
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
18日の米国市場はNYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が下落。米連邦準備理事会(FRB)は19日に米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を公表する。政策金利の据え置きがコンセンサスとなっているものの、会合後の金利・政策見通しのほか、パウエルFRB議長の会見内容を確認したいムードのなか、直近の大幅な上昇に対する持ち高調整の売りが優勢だった。また、エヌビディア<NVDA>などハイテク株の下げが目立ったこともセンチメントを冷ます形になった。
また、イスラエル軍がガザへの大規模攻撃を再開したほか、トランプ米大統領とロシアのプーチン大統領による電話会談が行われ、エネルギー施設やインフラへの攻撃を30日間停止する案に合意したが、全面的な停戦には至らなかったと伝わったことで地政学リスクが意識された。
NYダウ構成銘柄では、エヌビディアのほか、IBM<IBM>、ウォルマート<WMT>、シャーウィン・ウィリアムズ<SHW>、トラベラーズ<TRV>が下落した一方で、ベライゾン・コミュニケーションズ<VZ>、シェブロン<CVX>、ユナイテッドヘルス・グループ<UNH>、ジョンソン・エンド・ジョンソン<JNJ>、アムジェン<AMGN>が買われた。
シカゴ日経平均先物(6月限)清算値は、大阪比85円安の3万7535円だった。日経225先物(6月限)のナイトセッションは、日中比20円高の3万7640円で始まり、直後につけた3万7740円を高値にショート優勢となり、3万7580円~3万7680円辺りで保ち合いを継続。米国市場の取引開始後にレンジを下抜け、3万7390円まで下落幅を広げる場面もみられた。終盤にかけて下げ渋る形となったが3万7580円辺りで上値を抑えられ、3万7520円でナイトセッションの取引を終えた。
シカゴ先物にサヤ寄せする形から、やや売り先行で始まりそうだ。前日までの3日間で1110円上昇したこともあり、利益確定に伴うロング解消の動きが入りやすいだろう。また、前日の上昇で25日移動平均線までのリバウンドをみせたことで、目先的には達成感も意識されやすい。ナイトセッションでは同線に上値を抑えられていた。
本日は日銀の金融政策決定会合やFOMCの結果が公表され、日銀の植田和男総裁やパウエルFRB議長の会見が予定されている。前日までの上昇でリバランスは一巡しているとみられ、午前中は日銀会合の結果待ちとなる中で膠着感が強まりそうだ。為替市場でも前日は1ドル=150円台に接近する動きがみられていたが、現在は1ドル=149円前半で推移している。
後場は日銀会合の結果を受けた展開になるが、政策金利は据え置かれるとみられ、コンセンサス通りの内容であればトレンドの出にくい状況になりそうだ。祝日前で積極的にポジションを傾けてくる動きは考えづらく、スキャルピング中心のトレードになろう。ただし、FOMCの結果待ちのなかでショートは仕掛けづらいと考えられ、25日線を捉えてくる局面ではショートカバーを誘う可能性がありそうだ。そのため、オプション権利行使価格の3万7375円から3万7875円のレンジを想定する。
18日の米VIX指数は21.70(17日は20.51)に上昇した。3月11日につけた29.57から低下を継続し、25日線(20.32)に接近してきたことで、いったんはリバウンドが入りやすいところだろう。
昨日のNT倍率は先物中心限月で13.62倍に低下した。ただし、13.62~13.65倍と狭いレンジでの推移であり、スプレッド狙いのトレードは難しい状況だった。東証プライムの値上がり数が8割に迫るなか、日経平均型、TOPIX型ともに買い戻しとみられるリバランスの動きが強まったようだ。本日はエヌビディアなど米ハイテク株が売られた影響もあり、ボトム圏での推移が続きそうだ。
東京市場は軟調か。米国株は下落。ダウ平均は260ドル安の41581ドルで取引を終えた。FOMCの結果発表を翌日に控える中、テスラ、エヌビディア、アルファベットなどグロース株が弱く、全体でもリスク回避の様相が強まった。ドル円は足元149円40銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが大証日中終値と比べて85円安の37535円、ドル建てが30円高の37650円で取引を終えた。
米国株安を受けて売りに押されると予想する。本日は日銀金融政策決定会合の結果発表日だが、今回は政策金利の据え置きが濃厚。東京市場はあす20日が休場となるが、本日引け後には植田総裁会見、米国ではFOMCの結果発表やパウエルFRB議長の会見があり、これらを前に買い手控えムードが強まりやすい。FOMCが米国株高を呼び込む可能性もあるだけに、深押しするようなら下値は拾われるとみる。また、ドル円が円安気味に推移していることは日本株の支えとなる。場中は方向感が定まらず、下げては幾分戻すといった動きを繰り返すだろう。日経平均の予想レンジは37400円-38000円。
昨日の海外市場では、日米の金融政策決定会合を控えていることもあってか、ドル円にしろ、ユーロドルにしろ、結局は行って来いに終わったといったところ。ドル円は2月米輸入物価指数が予想を大幅に上回る強い数字となったことから、米長期金利の上昇とともに149.93円まで値を上げる場面もみられましたが、その後はダウ平均の下落や米長期金利が低下に転じるにつれて149.10円まで値を下げてNY市場を終えています。
そして、本日のアジア市場では、日銀会合を前に本邦実需の買いが断続的に観測されると149.64円まで買戻されたものの、149.30円まで下押しして結果を待つ状況となりました。日銀が市場が予想していた時間帯よりも「かなり早い時間」に結果を公表すると、149.55円まで上昇した後に149.22円まで下落。再び下値を切り上げているといった動きとなっています。
いずれにしても、市場からは「株式市場の前場終了直前に公表するとは、相変わらずのKY」との声も聞こえて来ています。東京では早朝から吹雪となる荒れ模様の天候でしたので、冗談交じりに「鰻の配達が遅れて会合の終了も遅くなるかもしれない」などの話題も出ていたなか、発表時間が定められていないがゆえに、市場参加者が「展望レポートなしの会合では12時少し前」との経験則から公表時間を予想していたわけですが、発表前のトイレ又はランチボックス購入といった時間帯であるはずの、しかも、株式市場が終わってもいない11時20分過ぎに敢えて公表してしまうあたり、市場とのコミュニケーションを改善する意識も工夫も何もないことが分かってしまったのが本日の一番の収穫。市場はいよいよ、今夜のFOMCへと焦点を移すことになります。
日経225先物は11時30分時点、前日比200円高の3万7820円(+0.53%)前後で推移。寄り付きは3万7530円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万7535円)にサヤ寄せする形から、やや売り先行で始まった。ただし、開始直後につけた3万7510円を安値に急速に切り返しており、中盤にかけて3万7800円台を回復。買い一巡後は3万7780円から3万7830円辺りの高値圏での推移を継続し、前引け間際に日銀会合の結果が伝わると3万7870円まで上げ幅を広げた。
日経225先物は売り先行で始まったが、指数インパクトの大きいファーストリテイリング<9983.T>[東証P]や東京エレクトロン<8035.T>[東証P]、リクルートホールディングス<6068>[東証P]が牽引する形でリバウンド基調を強めた。心理的な抵抗線として意識されていた25日移動平均線を突破したことで、ショートカバーを誘う形にもなったようだ。また、日銀の金融政策決定会合の結果が前引け間際に発表された。政策金利は据え置かれ、コンセンサス通りの内容であり、アク抜けを期待する動きもあったとみられる。
NT倍率は先物中心限月で13.58倍に低下し、2023年9月下旬以来の13.60倍を下回ってきた。いったんはボトム形成が意識されてくる可能性はありそうだが、NTロングへの転換には見極めが必要だろう。
バーFRB副議長は、トランプ米大統領との確執により、銀行監督担当副議長の職を退き、FRB理事としての職務を続ける意向を示している。トランプ米大統領は後任に、第1次トランプ米政権の時にFRB理事に指名したバウマン氏を登用する方針を示した。
1. FOMC:「タカ派的利下げ」から「タカ派的据え置き」へ
2024年12月のFOMCでは、第3次利下げが決定され、FF金利誘導目標は4.25-50%に引き下げられた。しかし、ドット・プロット(金利予測分布図)では、2025年の利下げ回数は、9月の4回から2回に減らされ、2025年末のFF金利誘導目標は3.75-4.00%と示されたことで、「タカ派的利下げ」となった。
2025年1月のFOMCでは、「タカ派的据え置き」が決定された。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」が示している今年の利下げ回数は2回、年末のFF金利誘導目標は3.75-4.00%となっている。(▲=マイナス)
・6月FOMC:▲0.25%=4.00-25%
・9月FOMC:▲0.25%=3.75-4.00%
2.2025年のFOMCメンバー
■米連邦準備理事会(FRB)理事(7名)
・パウエルFRB議長(中立派・白人男性)※第1次トランプ米政権で指名
・ジェファーソンFRB副議長(ハト派・黒人男性)
・バウマンFRB副議長(タカ派・白人女性)※第1次トランプ米政権で指名
・バーFRB理事(※前副議長・銀行監督担当・中立派・白人男性)
・ウォラーFRB理事(中立派・白人男性)※第1次トランプ米政権で指名
・クックFRB理事(ハト派・黒人女性)
・クーグラーFRB理事(ハト派・ラテン系女性)
■投票権有(5名)
・ウィリアムズ米NY連銀総裁(中立派・白人男性)
・ムサレム米セントルイス連銀総裁(タカ派・白人男性)
利下げを巡る辛抱強いアプローチを支持し、インフレ沈静化の進展が「停滞、ないし反転し得る」リスクが高まっていることに警戒感を示している。
・シュミッド米カンザスシティ連銀総裁(タカ派・白人男性)
政策金利が最終的にどの水準で落ち着くかは不透明だと強調している。
・コリンズ米ボストン連銀総裁(ハト派・黒人女性)
政策の最終的な行き先は不確かだとしつつ、ある程度の追加緩和は必要だと表明。
・グールズビー米シカゴ連銀総裁(ハト派・白人男性)
政策スタンスは中立金利をはるかに上回っているとの見解を繰り返し表明。
■投票権無し(7名)
・ボスティック米アトランタ連銀総裁(中立派・黒人男性)
・バーキン米リッチモンド連銀総裁(タカ派・白人男性)
・デイリー米サンフランシスコ連銀総裁(中立派・白人女性)
・ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁(中立派・白人男性)
・ローガン米ダラス連銀総裁(タカ派・白人女性)
・カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁(中立派・黒人男性)
・ハマック米クリーブランド連銀総裁(タカ派・白人女性)
本日のロンドン為替市場のユーロドルは、2月のユーロ圏消費者物価指数改定値を確認した後は、独財政拡大政策という買い材料とプーチン露大統領によるウクライナ停戦合意に不同意という売り材料を見極めながら、FOMC声明を待つことになる。
ドイツの財政拡大政策への転換を受けて、欧州中央銀行(ECB)の利下げ打ち止め観測が高まっている。本日のセンテノ・ポルトガル中銀総裁、デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、ビルロワドガロー仏中銀総裁、エルダーソンECB専務理事の講演では、市場で台頭している利下げ打ち止め観測と来年の利上げ観測への見解に注目しておきたい。
昨日のトランプ米大統領とプーチン露大統領の電話協議では、プーチン露大統領はウクライナのエネルギー資産に対するロシアの攻撃を財政拡大政策制限することを確約したが、米国が求めていた広範な30日間の停戦には同意しなかった。
しかし、トランプ米大統領はウクライナ停戦合意に意欲を示しており、関連ヘッドラインには注目しておきたい。
ドイツの財政拡大政策というユーロ買い材料をウクライナ情勢の不透明感という売り材料が打ち消した形だが、FOMCでは現状の金融政策の維持が予想されており、パウエルFRB議長の会見などを見極めて行くことになる。
また、4月2日に発動予定のトランプ相互関税への警戒感なども、ユーロドルの1.1ドル台乗せのハードルを高めているのかもしれない。
さらに、中期的なリスクシナリオとして、欧州の再軍備計画やドイツの財政拡張の財源としての国債増発により、欧州債務危機の再来懸念などが挙げられている。
格付け会社フィッチ・レーティングスは、「支出が財政再建や成長の持続的な改善によって相殺されなければ、ドイツの AAA 格付けに圧力がかかる可能性」と警告している。
想定レンジ上限
・ユーロドル:1.1040ドル(2024/10/4高値)
・ユーロ円:164.19円(3/18高値)
想定レンジ下限
・ユーロドル:1.0868ドル(日足一目均衡表・転換線)
・ユーロ円:161.50円(3/17安値)
ドル円:1ドル=149.77円(前営業日NY終値比△0.50円)
ユーロ円:1ユーロ=163.74円(△0.35円)
ユーロドル:1ユーロ=1.0931ドル(▲0.0014ドル)
日経平均株価:37751.88円(前営業日比▲93.54円)
東証株価指数(TOPIX):2795.96(△12.40)
債券先物6月物:138.11円(▲0.23円)
新発10年物国債利回り:1.515%(△0.015%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
1月機械受注(船舶・電力除く民需)
前月比 ▲3.5% ▲0.8%・改
前年同月比 4.4% 4.3%
2月貿易統計(通関ベース)
季節調整前 5845億円の黒字 2兆7366億円の赤字・改
季節調整済 1823億円の黒字 6013億円の赤字・改
日銀金融政策決定会合(日銀金融市場調節目標)
政策金利 0.50%で据え置き 0.50%
1月鉱工業生産・確報値
前月比 ▲1.1% ▲1.1%
前年同月比 2.2% 2.6%
1月設備稼働率
前月比 4.5% ▲0.2%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は強含み。しばらくは149.40円を挟んだ水準で方向感なく推移していたが、15時過ぎには149.90円まで値を上げた。日銀金融政策発表後の下押しを149.20円台までにとどめ、朝方につけた安値149.20円の手前で下値を確認したことから次第に買い戻しが強まった格好だ。
なお、日銀はこの日、政策金利を0.50%で据え置くことを決定。声明文では「賃金と物価の好循環が引き続き強まる」「各国の通商政策などの動きを受けた海外の経済・物価動向の不確実性は引き続き高い」などの見解を示した。
・ユーロ円も強含み。163.40円を挟んだ水準でのもみ合いから次第に下値を切り上げる展開となり、一時163.79円まで値を上げた。
・ユーロドルは小安い。対円などでドル買いが進んだ影響から1.0923ドルまで弱含んだ。
・日経平均株価は4営業日ぶりに小反落。昨日と同じく海外投資家からの買いが株価指数先物に入り、指数は一時280円超上昇する場面があった。もっとも、その後は前日終値を挟んだ水準まで押し戻されて、次第に方向感が乏しくなった。この後の日銀総裁会見や今晩の米連邦公開市場委員会(FOMC)、明日の祝日休場など控えて全般に様子見ムードが広がった。
・債券先物相場は4営業日ぶりに反落。小幅に上昇して始まったが、すぐに上値が重くなった。日銀の金融政策据え置きは予想通りだったものの、発表後は植田日銀総裁の会見を控えて持ち高調整売りが出た。
政府は19日、3月の月例経済報告を公表。景気の基調判断を「一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復している」と8カ月連続で据え置いた。個別項目では企業収益について判断を上方修正した。
大阪6月限
日経225先物 37500 -120 (-0.31%)
TOPIX先物 2771.0 +9.5 (+0.34%)
日経225先物(6月限)は前日比120円安の3万7500円で取引を終了。寄り付きは3万7530円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万7535円)にサヤ寄せする形から、やや売り先行で始まった。ただし、開始直後につけた3万7510円を安値に急速に切り返し、前場中盤にかけて3万7800円台を回復。買い一巡後は3万7780円から3万7830円辺りの高値圏での推移を継続し、前引け間際に日銀会合の結果が伝わると3万7870円まで上げ幅を広げた。
ただし、午後の取引は一変し持ち高調整によるショート優勢の流れとなった。引け後に植田和男総裁の会見内容の判明が控えていたほか、米国での米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果と委員らの経済・政策金利見通し、パウエル議長の記者会見を確認したいところであり、祝日を挟むこともあってロング解消の流れから、一時3万7470円まで売られる場面もあった。
日経225先物は前引けにかけての上昇で25日移動平均線(3万7730円)を突破したこともあり、ショートカバーを交えての上昇をみせた。ランチタイムでは同線を上回って推移していたが、現物の後場の開始後に割り込むと、急速に上げ幅を縮め、終盤にかけて下落に転じた。3万7500円辺りで下げ渋る動きもみられており、ショートを仕掛けたというよりは、前場の上昇局面で積み上がった短期的なロングの解消だったと考えられる。
東証プライムの騰落銘柄は、値上がり数が全体の6割超を占めていた。ただ、前場堅調だったファーストリテイリング<9983.T>[東証P]や東京エレクトロン<8035.T>[東証P]が下げに転じたほか、アドバンテスト<6857.T>[東証P]、ソフトバンクグループ<9984.T>[東証P]の弱い値動きが日経平均型の重荷となった。
FOMCを受けた米国市場次第では、25日線が抵抗線として意識されるか、反対に突破から節目の3万8000円を捉える動きに向けた転換点になりそうだ。本日の後場からの調整でロングは解消されていると考えられ、祝日明けの仕切り直しに期待したいところだ。
NT倍率は先物中心限月で13.53倍に低下し、2023年9月下旬以来の13.60倍を下回ってきた。いったんはボトム形成が意識されてくる可能性はありそうだが、足もとでのボトム水準を下抜けてきており、NTショートの動きが一段と強まる可能性があるだろう。
手口面(6月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万2526枚、ソシエテジェネラル証券が1万1216枚、サスケハナ・ホンコンが3453枚、バークレイズ証券が2468枚、JPモルガン証券が1836枚、日産証券が1435枚、SBI証券が1429枚、ゴールドマン証券が1293枚、モルガンMUFG証券が1071枚、楽天証券が915枚だった。
TOPIX先物は、ABNクリアリン証券が2万0161枚、ソシエテジェネラル証券が1万6630枚、バークレイズ証券が6596枚、JPモルガン証券が5044枚、ゴールドマン証券が4182枚、モルガンMUFG証券が3210枚、ビーオブエー証券が2638枚、みずほ証券が1916枚、サスケハナ・ホンコンが1745枚、野村証券が1349枚だった。
今晩は金融政策に注目。昨日は主要3指数がそろって下落した。前日までに2日続伸したことや、翌日の米連邦公開市場委員会(FOMC)結果公表を控えた様子見が強まる中、テスラやエヌビディアなどのハイテク・ジャイアントに再び売りが強まった。先週一時高値から10%超下落し、「調整相場」入りした後、2日連続で反発したS&P500は再び高値からの下落率を9%近くに拡大し、先々週に「調整相場」入りしたナスダック総合は高値から13%超の下落となり、引き続き「調整相場」にとどまった。
今晩の取引では先行きの金融政策の見通しを巡り、取引時間午後に結果が公表される米連邦公開市場委員会(FOMC)に注目が集まる。CMEのフェドウォッチ・ツールでは99%の確率で今会合での政策金利の据え置きが予想されているものの、6月FOMCでは54%の確率で0.25%の利下げが予想され、12月時点では0.50%(2回)の確率が77%、0.75%(3回)の確率が44%と、年内2~3回の利下げが予想されている。公表される経済見通しやFOMCメンバーのFF金利見通し(ドットプロット)、会合後のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の定例記者会見から今後の利下げのヒントを探ることになるが、利下げに慎重なタカ派的内容となれば、利下げ期待の後退が相場の重しとなることが警戒される。
今晩の米経済指標・イベントはFOMC結果公表、パウエルFRB議長会見のほか、MBA住宅ローン申請指数、EIA週間原油在庫など。企業決算は寄り前にルルレモン・アスレティカ、ゼネラル・ミルズなどが発表予定。
【訂正:1月中旬に21日移動平均線を「上抜いて」を「下抜いて」に訂正しました】
本日のNY市場では、米連邦公開市場委員会(FOMC)に関心が集まっている。市場では政策金利の据え置きがコンセンサスとなっており、関心は同時に公表される声明や経済・金利見通し(ドットチャート)、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の会見に集まっている。
ドットチャートについては、前回の昨年12月時点では2025年末の中央値が上方修正され、利下げ回数は2回であった。今回、変化があるか確認しておきたい。また、FRB議長会見では次回会合への言質を与えない内容が予想されるものの、米株安やトランプ関税の影響などについてどのような見解を示すか気になるところ。利下げに慎重な姿勢を示すようならば、ドル買いが強まる展開も想定される。いずれにせよ、市場の関心が高いだけに直後は神経質な値動きに注意したい。
ドル円は、チャート上では1月中旬に21日移動平均線を下抜いて以降は同線が上値抵抗となっていたが、18日に同線を上抜いたことで、約2カ月続いた下落トレンドが転換を迎える可能性が出てきた。本日149.07円付近に位置する21日線が下値支持となるようならば戻り余地を確かめる展開となることもあり得るため、この後は同線を意識した展開が見込まれる。IMMポジションで過去最大の円買いポジション(3/11時点で133,902枚のロング)が積みあがっていることもあり、ドル買いを促す材料が出ればドル円は上値を試しやすいと見る。目先は日足・一目均衡表の基準線150.67円や、3日高値151.30円が目処となろう。反対に下押す場合は本日安値149.14円付近を下抜けると、日足・一目均衡表の転換線148.28円に向けた一段安も考えられる。
その他、要人発言について米国からは予定されていないものの、ユーロ圏ではセンテノ・ポルトガル中銀総裁、デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、ビルロワドガロー仏中銀総裁、エルダーソンECB専務理事の発言機会が予定されている。ドイツの財政拡大政策への転換を受けて、ECBの利下げ打ち止め観測が浮上する中、今後の金利見通しなどが伝われば材料視されることも考えられる。
想定レンジ上限
・ドル円は、日足・一目均衡表の基準線150.67円。超えると3日高値151.30円
・ユーロドルは、心理的節目1.1000ドル
想定レンジ下限
・ドル円は、東京時間午後に付けた本日安値149.14円。割り込むと日足・一目均衡表の転換線148.28円
・ユーロドルは、6日安値1.0766ドル
SMBC日興証券では3月の日銀短観に関して、大企業の業況判断DIは製造業が前回12月調査から1ポイント改善の+15を、非製造業については横ばいの+33を予想している。製造業の改善には、円安も影響した収益率の上昇が作用するとみている。米国発の不透明感の高まりを踏まえて、製造業の先行きは+12へ悪化を予想している。非製造業の先行きは+28へ大幅な悪化が示唆されるとしているが、非製造業の悪化見通しは統計の癖でもあるとSMBC日興ではコメント。設備投資計画は強気姿勢が2025年度に向けて維持されると見込んでいる。
大和証券では中国株に関するリポートの中で、全国人民代表大会(全人代)初日の3月5日に行われた政府活動報告において、意欲的な経済成長目標と大規模な財政拡張策が明らかにされたことに注目している。貿易戦争のリスクが台頭する中で、国内消費促進策や先端技術育成に関する施策が打ち出されており、市場関係者の期待を概ね満たす内容になったと捉えている。大和では、政策期待は足元のハイテク株をけん引役とした中国株再評価の流れを継続させることを可能にするとみており、中国株については全人代以前よりも一段と楽観的に見て良さそうとコメントしている。
HSBCグローバル・リサーチは最新リポートで、2025年の中国国内総生産(GDP)成長率予想を0.3ポイント引き上げ、4.8%とした。中国政府が目標とする「5%前後」に近い水準となる。26年予想についても0.1ポイント引き上げ、4.5%とした。『明報』が19日伝えた。
HSBCは、中国政府は内需刺激策を強化しているほか、最近の経済データも予想を上回っており、中国の経済成長に対してより楽観的な見方を示した。一方、米国などの関税に加え、不動産などのリスクもあるとし、下押し圧力は強いと指摘。中央・地方政府は必要に応じて政策を強化する余地があるとした。
日経平均株価は反落。寄り付きから上値を伸ばす展開となり、25日移動平均線(37961円 3/19)を上回る時間が続いたが、後場は上げ幅を縮小してマイナスで終える格好となった。
RSI(9日)は前日の58.2%→50.9%(3/19)に低下。下向きで推移する25日移動平均線が上値抵抗になる動きは想定内である。目先は揺り戻しが続く可能性はあるが、基本的な見方に変化はない。3/7や2/28の急落で形成したマドを埋め戻す強いリバウンドが続いたことで、底入れ期待が一段と強まる動きになっている。
上値メドは、25日移動平均線、200日移動平均線(38583円 同)、心理的節目の39000円、2/13高値(39581円)などがある。下値メドは、5日移動平均線(37367円 同)、10日移動平均線(37206円 同)、心理的節目の37000円、3/14安値(36594円)、心理的節目の36000円、9/17安値(35828円)などがある。
(19日終値:20日2時時点)
ドル・円相場:1ドル=149.93円(19日15時時点比△0.16円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=163.23円(▲0.51円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0885ドル(▲0.0046ドル)
FTSE100種総合株価指数:8706.66(前営業日比△1.43)
ドイツ株式指数(DAX):23288.06(▲92.64)
10年物英国債利回り:4.631%(▲0.012%)
10年物独国債利回り:2.804%(▲0.006%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
2月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値
(前年比) 2.3% 2.4%
2月ユーロ圏HICPコア改定値
(前年比) 2.6% 2.6%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ユーロドルは下落。「エルドアン・トルコ大統領の主要な対立候補とされるイマモール・イスタンブール市長が当局に拘束された」との報道をきっかけに、トルコでの政治リスクが警戒されると、トルコの通貨リラが対ドルなどで急落。つられる形でユーロにも売りが出た。2月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値が予想を下回り、速報値から下方修正されたこともユーロの重しとなり、一時1.0874ドルまで値を下げた。
その後、いったんは1.0918ドル付近まで下げ渋る場面もあったが、買い戻しが一巡すると再び弱含んだ。米長期金利の上昇に伴うユーロ売り・ドル買いが出て2時30分前に一時1.0870ドルと日通し安値を更新した。
・トルコリラは急落。トルコでの政治リスクを警戒して同国の株式や通貨リラに売りが膨らんだ。対円では一時3.61円、対ドルでは41リラ台まで売り込まれ、史上最安値を更新した。
・ドル円は底堅い動き。日銀は今日まで開いた金融政策決定会合で、市場予想通り政策金利の据え置きを決定。植田和男日銀総裁が記者会見で「トランプ米政権の関税政策に対する不確実性」を示すと、市場では「日銀が利上げに慎重な姿勢を見せた」との受け止めが広がり、日本時間夕刻に一時150.02円まで上昇する場面があった。
ただ、150円台で上値の重さを確認すると持ち高調整目的の売りが強まり、149.14円の本日安値まで一転して下落した。
もっとも、NYの取引時間帯に入ると再び強含む展開に。米長期金利の上昇などを手掛かりに円売り・ドル買いが優勢になると、一時150.15円と5日以来の高値を付けた。米国株相場が反発したことを受けて、投資家のリスク回避姿勢が和らいだことも相場の支援材料。
・ユーロ円は下げ渋り。ドル円やユーロドルの下落につれた売りが出ると一時162.20円と日通し安値を付けたものの、売り一巡後は買い戻しが優勢に。23時過ぎには163.66円付近まで持ち直した。
・ロンドン株式相場は小幅ながら6日続伸。足もとで相場上昇が続いたあとだけに、短期的な過熱感から利益確定売りが先行した。ただ、引けにかけては買い戻しが優勢となり、上げに転じた。BPやシェルなどエネルギー株が買われたほか、BAEシステムズやレレックスなど資本財サービス株が値上がりした。
・フランクフルト株式相場は4日ぶりに反落。トルコでの政治リスクを警戒してトルコ株式相場が急落すると独株にも売りが波及した。ただ、下値では押し目買いが入ったため、引けにかけては下げ渋った。個別ではラインメタル(4.53%安)やコメルツ銀行(3.66%安)、ザルトリウス(2.29%安)などの下げが目立った。
・欧州債券相場は上昇。
米連邦公開市場委員会(FOMC)は19日公表のFF金利見通しで、2025年末時点の中央値を3.875%と、前回から据え置いた。
また、26年末時点の見通しを3.375%と、前回から据え置いた。
27年末時点の見通しは3.125%と、前回から据え置いた。
長期金利見通しは3.000%と前回の3.000%から据え置いた。
米連邦公開市場委員会(FOMC)は19日公表の経済見通しで、2025年の実質国内総生産(GDP)を+1.7%と前回の+2.1%から下方修正した。また、2026年を+1.8%、2027年を+1.8%とそれぞれ前回の+2.0%、+1.9%から引き下げられた。
(19日終値)
ドル・円相場:1ドル=148.69円(前営業日比▲0.58円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=162.13円(▲1.26円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0903ドル(▲0.0042ドル)
ダウ工業株30種平均:41964.63ドル(△383.32ドル)
ナスダック総合株価指数:17750.79(△246.67)
10年物米国債利回り:4.24%(▲0.04%)
WTI原油先物4月限:1バレル=67.16ドル(△0.26ドル)
金先物4月限:1トロイオンス=3041.2ドル(△0.4ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
MBA住宅ローン申請指数
(前週比) ▲6.2% 11.2%
米連邦公開市場委員会(FOMC)政策金利
4.25-4.50%で据え置き 4.25-4.50%
1月対米証券投資動向
短期債を含む ▲488億ドル 1032億ドル・改
短期債を除く ▲452億ドル 750億ドル・改
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は4営業日ぶりに反落。米長期金利の上昇などを手掛かりに円売り・ドル買いが先行。米国株相場が反発したことを受けて、投資家のリスク回避姿勢が和らいだことも相場の支援材料となり、23時過ぎに一時150.15円と5日以来の高値を付けた。
ただ、米連邦公開市場委員会(FOMC)結果公表後は米長期金利の低下とドル売りが進んだ。FOMC金利見通しでは、年内の利下げ回数が2回と前回の想定が維持された。米政権による関税政策で物価上昇圧力が強まる中でも利下げが続くとの見方がドル売りを促し、取引終了間際には一時148.61円と日通し安値を更新した。
なお、米連邦準備理事会(FRB)は今日まで開いたFOMCで市場予想通り政策金利を4.25-4.50%で据え置き、4月から保有資産を圧縮する量的引き締め(QT)のペースを緩和することを決めた。また、今年のGDP見通しは大幅に下方修正した一方、インフレ率は上方修正した。声明文には「経済見通しを巡る不確実性は高まっている」との文言を追加し、トランプ政権の高関税政策が景気に及ぼすリスクに警戒感をにじませた。
パウエルFRB議長は定例記者会見で「調査では関税がインフレ期待を押し上げていることが示唆されている」「インフレ期待上昇、かなりの部分が関税に起因」「新たな政策とその影響に関する不確実性は高い」「今年のインフレのさらなる進展が遅れる可能性」と述べたほか、「基本シナリオは関税によるインフレは一時的なものになる」「リセッションの確率は上がったが高くはない」などと話した。
・ユーロドルも4日ぶり反落。トルコでの政治リスクが警戒される中、NY市場に入るとユーロ売り・ドル買いが先行した。米長期金利の上昇に伴うユーロ売り・ドル買いも出て、2時30分過ぎには一時1.0861ドルと日通し安値を更新した。
ただ、FOMCで今年2回の利下げ見通しが維持されると米長期金利の低下とともにドル売りが優勢に。4時前には1.0913ドル付近まで下げ幅を縮めた。
・ユーロ円も4日ぶりに反落。23時過ぎに163.66円付近まで持ち直す場面もあったが、FOMC結果公表後にドル円が急落するとユーロ円にも売りが波及。日本時間夕刻に付けた162.20円を下抜けて一時162.08円まで下げ足を速めた。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は反発。FOMC金利見通しで、年内の利下げ回数が2回と前回の想定が維持されたことが好感された。米長期金利が低下し、株式の相対的な割高感が薄れたことも相場の支援材料となり、指数は一時600ドル近く上昇した。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も反発した。
・米国債券相場で長期ゾーンは3日続伸。FOMC金利見通しで、年内の利下げ回数が2回と前回の想定が維持されると買いが広がった。4月からQTのペースを緩和することも相場の支援材料。
・原油先物相場は反発。米エネルギー情報局(EIA)の在庫統計はまちまちの結果となったが、結果発表後に買いで反応した。ただ、ウクライナがエネルギー施設への攻撃を停止するという提案を承認したことや、FRBが今年のGDP予想を大きく下方修正したことが重しとなり、上値は限られた。
・金先物相場はほぼ横ばい。FOMCを見極めようと積極的な取引は手控えられた。最高値更新の動きが続いていることもあり、イベントを前に持ち高調整の売りも入ったが、トランプ関税や地政学リスク懸念を背景に下値は堅く、中心限月の清算値ベースでわずかながら5営業日連続の史上最高値を更新した。
1.日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針を、以下のとおりとすることを決定した(全員一致)。無担保コールレート(オーバーナイト物)を、0.5%程度で推移するよう促す。
2.わが国の景気は、一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している。海外経済は、総じてみれば緩やかに成長している。輸出や鉱工業生産は横ばい圏内の動きとなっている。企業収益が改善傾向にあるもとで、設備投資は緩やかな増加傾向にある。雇用・所得環境は緩やかに改善している。個人消費は、物価上昇の影響などがみられるものの、緩やかな増加基調にある。住宅投資は弱めの動きとなっている。公共投資は横ばい圏内の動きとなっている。わが国の金融環境は、緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比をみると、既往の輸入物価上昇を起点とする価格転嫁の影響は減衰してきているものの、賃金上昇等を受けたサービス価格の緩やかな上昇が続くもとで、政府によるエネルギー負担緩和策の縮小もあって、足もとは3%台前半となっている。予想物価上昇率は、緩やかに上昇している。
先行きのわが国経済を展望すると、海外経済が緩やかな成長を続けるもとで、緩和的な金融環境などを背景に、所得から支出への前向きの循環メカニズムが徐々に強まることから、潜在成長率を上回る成長を続けると考えられる。消費者物価(除く生鮮食品)については、既往の輸入物価上昇を起点とする価格転嫁の影響が減衰する一方、その基調的な上昇率は、人手不足感が高まるもと、マクロ的な需給ギャップの改善に加え、賃金と物価の好循環が引き続き強まり中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、徐々に高まっていくと予想され、「展望レポート」の見通し期間後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると考えられる。なお、来年度にかけては、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比に対して、米価格が高水準で推移すると見込まれることや政府による施策の反動が生じることが押し上げ方向で作用すると考えられる。
リスク要因をみると、各国の通商政策等の動きやその影響を受けた海外の経済・物価動向、資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動など、わが国経済・物価を巡る不確実性は引き続き高い。そのもとで、金融・為替市場の動向やそのわが国経済・物価への影響を、十分注視する必要がある。とくに、このところ、企業の賃金・価格設定行動が積極化するもとで、過去と比べると、為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている面がある。
19日08:57 トランプ米大統領
「我々にカナダの自動車や木材は必要ない」
「カナダは扱いにくい国の一つだ」
20日00:43
「ゼレンスキー・ウクライナ大統領とちょうど電話会談を終えた」
「ゼレンスキー大統領との電話会談は約1時間続いた」
「プーチン大統領との電話会談について協議した」
「ゼレンスキー氏との電話会談は極めて良好だった」
「我々は非常に順調に進んでいる」
19日09:34 石破首相
「(米国の関税について)日本として適切な措置を強く求めている」
19日10:19 ウィトコフ米中東担当特使
「米当局者がさらなる協議のためサウジアラビアを訪問する予定」
「プーチン露大統領の平和に向けた取り組みを称賛」
「エネルギーとインフラは停戦の一部となる」
「プーチン露大統領との2回の会談は非常に有意義だった」
「完全な停戦までの距離は比較的短い」
19日11:30 日本銀行声明
「一部に弱めの動きも緩やかに回復」
「過去と比べ為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている」
「日本経済・物価を巡る不確実性は引き続き高い」
「各国の通商政策などの動きを受けた海外の経済・物価動向不確実」
19日12:23 米WSJのFEDウォッチャー、ニック・ティミラオス記者
「恐らく今後6カ月間は、FRBは様子見であまり何もしないと予想される」
「中央銀行は良いニュースでも悪いニュースでも利下げを行うことができる」
「新たなインフレリスクにより、良い利下げの窓は閉ざされつつある」
「経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営」
「春闘の初回集計、昨年に続き高水準となった」
「賃上げの動きが広がっている」
「春闘の1次集計は1月会合時点の見通しに概ね沿ったもの」
「基調的物価上昇率が2%を下回っている認識に変わりはない」
「現在の実質金利は極めて低い水準にある」
「経済・物価見通しが実現していくとすれば、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整していく」
「米関税政策は不確定な面が大きい」
「米通商政策がどのような姿になるか見極め、経済見通しを精査する」
「保有ETFの扱い、もう少し時間をかけて検討」
「6月の国債買い入れ計画の中間評価、基本線は昨年7月の計画に沿ったもの」
「米関税政策は4月初めに出てくる、次回会合や展望リポートで消化できる」
「賃金・物価の好循環はオントラック、一部委員から物価上振れに注意との意見も出た」
「国内の物価・賃金と海外の不確実性、両方を見て次回以降の会合で判断」
「中立金利、なかなか絞り切れていない」
「1月会合時点と比べ、世界経済の不確実性が高まっている」
「利上げごとに経済・物価の反応を見ながら、政策運営につなげていければと思う」
「長期金利が急激に上昇するという例外的な状況なら、機動的なオペもあり得る」
「機動的なオペもあり得るとの観点から、市場動向を注視」
「(正常化から1年で)物価2%への確度が高まるなか、適切に緩和度合いを調整できた」
「海外の不確実性、定量的に把握できる段階ではない」
「米関税政策やマインドの変化はある程度わかる、手遅れにならないよう政策をすすめてゆきたい」
「長期金利の上昇傾向、インフレや賃金データ、独金利上昇の影響と理解」
「コメ価格の上昇継続、基調的な物価に影響を与える可能性はゼロではない」
「無理して金利を上げて消費を冷やし、価格を鎮静化させるのはコストが大きい」
「消費は予想されたほど悲観的ではない」
「経済活動に影響があるのは短期から中期の金利、イールドカーブ全体としては経済をサポート」
「長期金利、例外的なケースなら機動的オペもあり得るが、現状はそうした状況にない」
「サービス価格の上昇はそれほど強いものではなく、ビハインドカーブのリスクはそれほど高くない」
「昨年8月の市場動揺は例外的に荒れたとの認識」
「家計の中長期予想インフレに広がりが出れば、耐久消費財の購入が早まる等影響があり得るので注視したい」
「国債買い入れ減額計画の中間評価に向け、今後検討を本格化」
「(国債買い入れ計画の中間評価で)市場の動向や機能度などを踏まえ点検してゆく」
「2%の物価目標、将来的に変更・検討することはなきにしもあらず」
「2%の物価目標の実現は中長期的な日銀のクレディビリティーのために重要」
「次回利上げのタイミング、今後のデータ・情報次第」
「中長期的な観点から、政府・国会は財政の持続性を担保することが重要」
「月間の国債買い入れ額、フローでいくらなら適切か海外も参考にしながら検討」
※時間は日本時間
19日21:24 デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁
「インフレは正しい軌道に乗っている」
「金利の道筋は決まっていない」
20日02:38 ゼレンスキー・ウクライナ大統領
「エネルギー施設への攻撃を停止するという提案を承認」
「トランプ氏と率直で実質的な話し合いを行った」
「ウクライナと米国の代表団がサウジアラビアで会合を開く」
20日02:46 米ホワイトハウス
「今後数日以内にサウジアラビアで停戦交渉を実施」
「ウクライナ防衛のための情報共有は継続する」
20日03:01 米連邦公開市場委員会(FOMC)声明
「最近の指標は経済活動が引き続き堅調なペースで拡大していることを示している」
「失業率はここ数カ月間、低水準で安定しており、労働市場の状況は引き続き堅調だ」
「インフレ率は依然やや高止まりしている」
「委員会は雇用最大化と長期的な2%のインフレ率の達成を目指す」
「経済見通しを巡る不確実性は高まっている」
「経済の見通しは不確実で、委員会は2つの使命の両面に対するリスクを注視している」
「目標を支援するため、委員会はFF金利の目標誘導レンジを4.25-4.50%に維持することを決定した」
「FF金利の目標誘導レンジに対する追加調整の程度と時期を検討するに当たり、委員会は今後もたらされるデータ、変化する見通し、リスクのバランスを慎重に評価する」
「委員会は保有する米国債およびエージェンシーローン担保証券の削減を続ける」
「委員会は4月から月間償還上限を250億ドルから50億ドルに引き下げることで、証券保有の減少ペースを鈍化させる」
「委員会は、米国債と住宅ローン担保証券の月間償還上限を350億ドルに維持する」
「委員会は雇用最大化を支援し、インフレ率を2%の目標に戻すことに強く取り組む」
「金融政策の適切な姿勢を評価するに当たり、委員会は今後もたらされる経済見通しに関する情報の意味を引き続き監視する」
「もしも委員会の目標の達成を妨げる可能性があるリスクが生じた場合、委員会は金融政策の姿勢を適切に調整する準備がある」
「委員会の評価は、労働市場の状況、インフレ圧力、インフレ期待、金融と世界の動向を含む幅広い情報を考慮する」
「反対票を投じたのはウォラー理事で、政策金利の据え置きを支持したが、バランスシートの縮小ペースを継続することを支持した」
「経済は全般に強い」
「労働市場の状況は堅調」
「ンフレは進展しているが、目標を上回っている」
「最近の兆候は消費支出の緩和を示している」
「見通しに関する不確実性の高まりが示されている」
「調査では関税がインフレ期待を押し上げていることが示唆されている」
「全体的に労働市場は概ね均衡」
「インフレは2%目標に対してやや高い水準を維持」
「短期的なインフレ指標の一部が上昇」
「新たな政策とその影響に関する不確実性は高い」
「FRBは政策スタンスの調整を急ぐ必要はない」
「FRBはより明確な説明を待つ態勢が整っている」
「不確実性を考えるとドット・プロットは確かに難しい」
「金融市場に逼迫の兆候がいくつか見られる」
「現在の政策スタンスは適切」
「インフレ期待上昇、かなりの部分が関税に起因」
「関税インフレを無視すべきかどうか言うのは時期尚早」
「一時的なインフレを無視することが適切な場合もある」
「関税に起因するインフレを追跡するのは非常に困難」
「関税に起因するインフレがどの程度かを正確に評価するのは困難」
「基本シナリオは関税インフレは一時的なものになるが、不確実性がある」
「インフレ期待を非常に注意深く監視」
「今年のインフレのさらなる進展が遅れる可能性」
「依然としてかなり堅実なデータを見る」
「リセッションの確率は上がったが高くはない」
※時間は日本時間
<国内>
○春分の日の祝日で休場
<海外>
○06:45 ☆ 10-12月期ニュージーランド(NZ)国内総生産(GDP、予想:前期比0.4%/前年比▲1.4%)
○09:30 ◎ 2月豪雇用統計(予想:失業率4.1%/新規雇用者数3.00万人)
○16:00 ◇ 2月独生産者物価指数(PPI、予想:前月比0.2%)
○16:00 ◎ 2月英雇用統計(失業率/失業保険申請件数推移)
○16:00 ◎ 11-1月英失業率(ILO方式、予想:4.4%)
○17:00 ◎ ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、議会証言
○17:30 ☆ スイス国立銀行(中央銀行、SNB)、政策金利発表(予想:0.25%に引き下げ)
○17:30 ◎ 2月香港消費者物価指数(CPI、予想:前年同月比1.9%)
○17:30 ◎ スウェーデン中銀、政策金利発表(予想:2.25%で据え置き)
○19:00 ◇ 1月ユーロ圏建設支出
○20:00 ◎ センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演
○20:00 ◎ ミュラー・エストニア中銀総裁、講演
○21:00 ☆ 英中銀(BOE)、政策金利発表(予想:4.50%で据え置き)
○21:00 ☆ 英中銀MPC議事要旨
○21:00 ◎ レーンECB専務理事兼主任エコノミスト、講演
○21:00 ◎ クノット・オランダ中銀総裁、講演
○21:30 ◇ 2月カナダ鉱工業製品価格(予想:前月比0.3%)
○21:30 ◇ 2月カナダ原料価格指数(予想:前月比▲0.4%)
○21:30 ◎ 10-12月期米経常収支(予想:3300億ドルの赤字)
○21:30 ◎ 3月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:8.5)
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:22.4万件/188.7万人)
○22:00 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○未定 ☆ 南アフリカ準備銀行(SARB)、政策金利発表(予想:7.50%で据え置き)
○23:00 ◎ 2月米景気先行指標総合指数(予想:前月比▲0.2%)
○23:00 ◎ 2月米中古住宅販売件数(予想:前月比▲3.2%/年率換算395万件)
○21日01:50 ◎ マックレム・カナダ銀行(中央銀行、BOC)総裁、講演
○欧州連合(EU)首脳会議(ブリュッセル、21日まで)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
19日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、23時過ぎに米長期金利の上昇や米国株相場が反発したことを受けて一時150.15円まで上昇したものの、米連邦公開市場委員会(FOMC)結果発表後は米長期金利の低下で148.61円と日通し安値を更新した。ユーロドルは、米長期金利の上昇で1.0861ドルまで下落後、FOMC後の米長期金利の低下で1.0913ドル付近まで下げ幅を縮めた。
本日のアジア外国為替市場のドル円は、東京市場が休場で閑散取引が予想される中、植田日銀総裁のややタカ派的な見解と米連邦公開市場委員会(FOMC)声明で「成長見通し引き下げ、インフレ見通し引き上げ」というスタグフレーションへの警戒感が示されたことで、軟調推移が予想される。
日銀金融政策決定会合では、予想通りに政策金利の無担保コール翌日物金利を0.5%程度で据え置くことを全員一致で決定した。
声明文では、「各国の通商政策」がリスク要因に加えられたことは、ハト派材料だが、植田日銀総裁が記者会見で「4月初めには通商政策の内容がある程度でてくる。次回の決定会合ないし展望リポートの中である程度消化できる」と述べて、「4月」や「次回会合」という時期を示したことがタカ派的と受け止められて、円高材料視された。
タカ派的な見解としては以下の通り。
・現在の金融市場の混乱は利上げの障害ではない
・現在の実質金利は極めて低い水準にある
・今後も日銀の経済・物価見通しが実現していけば政策金利を引き上げて金融緩和度合いを調整していく
・強めの春闘の集計結果を含めて賃金・物価はオントラック(想定通り)
・食料品などの価格上昇が基調的な物価上昇率に波及する可能性
オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)市場での追加利上げの時期は、7月の参議院選挙前の6月16-17日の日銀金融政策決定会合と予想されている。
FOMCでは、予想通りにFF金利誘導目標4.25-50%の据え置きが決定された。
しかし、成長減速とインフレ率上昇、というスタグフレーションへの警戒感が示され、4月からバランスシート縮小ペースの減速を開始する方針が示されたことは、間接的な利下げと受け止められた。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」が示している今年の利下げ回数は2回、6月FOMCで▲0.25%、9月FOMCで▲0.25%、年末のFF金利誘導目標は3.75-4.00%となっている。
一方で、米WSJのFEDウォッチャー、ニック・ティミラオス記者は、昨日、「恐らく今後6カ月間は、FRBは様子見であまり何もしないと予想される」と配信している。
中国の全国銀行間同業折借中心が20日に発表した2025年3月の最優遇貸出金利(LPR、ローンプライムレート)は、1年物を3.10%で据え置き、5年物も3.60%で据え置いた。
新規雇用者数増減
2025/02 -5.28万人
2025/01 +4.40万人 (前月発表値 +4.40万人)
失業率
2025/02 4.1%
2025/01 4.1% (前月発表値 4.1%)
常勤雇用者数
2025/02 -3.57万人
2025/01 +5.41万人 (前月発表値 +5.41万人)
非常勤雇用者数
2025/02 -1.70万人
2025/01 -1.01万人 (前月発表値 -1.01万人)
労働参加率
2025/02 66.8%
2025/01 67.3% (前月発表値 67.3%)
昨日のドル円は日米の金融政策を受けて荒い値動きとなりました。日銀の結果は市場予想通り。植田日銀総裁の会見中には上下に振らされたものの、欧州時間に入ってからは米長期金利の上昇につれて150.15円まで値を上げることに。WSJのニックが利下げ出来る状況が後退している旨をFOMC当日に報じたこともあって、ドル買戻しが強まることになりました。
FOMCでは、こちらも日銀同様に予想通りの金利据え置きとなりましたが、市場は米長期金利の低下で反応。米10年債利回りは4.32%から4.239%まで急低下となるにつれて、ドル円も148.61円まで売り込まれてNY市場を終えています。春分の日で東京勢不在のアジア市場では、朝方から売りが継続。一時148.18円まで値を下げているといったところです。
ところで、昨日のFOMCを巡っては、ニックが伝えていた通り、ドットチャートでは、かなりのタカ派よりの結果だった一方、4月からのQT上限を250億ドルから50億ドルに急減させています。実質的な量的緩和という決定となりました。
ドットチャートは、12月の超ハト派の2人が年3回利下げ水準に引き上げ。3回の3人は全員が2回に変更。2回の10人のうち4人が1回に引き上げ。1回の3人が年内利下げなしに変更という内容。結果的には中央値は2回で変わらずとなっていますが、その内訳はかなりの上方修正となっています。
ニックが伝えた内容に間違いはありませんでしたが、予想以上のQT減額といった、不確実性の増大とスタグフレーション懸念への対処がより意識されることになったといえます。また、市場ではパウエルFRB議長が先週末急激な上昇となって話題となったミシガン大消費者態度指数での期待インフレ率について「異常値である」と、その結果を無視する姿勢を示したことも話題。いずれにしても、ドル円は目先、一目転換線の位置する148.35円を意識した神経質な動きとなっています。
「ゴルフほどプレーヤーの性質が現れるものはない。
しかもゴルフでは、それが最善と最悪の形で現れるのだ」(バーナード・ダーウィン)
1.「Commander in Chief」(最高司令官)
オバマ第44代米大統領は、2期8年の任期中、計333ラウンドのゴルフに興じた。
トランプ氏は大統領選の当選前の2016年、オバマ前大統領のゴルフの時間が多すぎるとして冷笑し、「私はみなさんのために働く。ゴルフをプレーしに行く時間もなくなるだろう」と述べていた。
しかし、第1次トランプ米政権(2017~20年)には、295回ラウンドして、その費用は1億5150万ドル(@120円=182億円)だった。
第2次トランプ米政権(2025~28年)では、13回プレーしており、納税者が負担したゴルフ費用はすでに1800万ドル(@150円=27億円)を超えている。
トランプ米大統領がフロリダへ行く時は、本人と側近は大統領専用機で移動し、車列に必要な車両は軍が大型輸送機C-17で運ぶ。マー・ア・ラゴでプレーする時は、陸との間の沿岸内水路に警察、大西洋側には沿岸警備隊の船を配備し、警察官や爆発物探知犬も動員してトランプ氏の警護にあたる。
実業家イーロン・マスク氏が率いる「政府効率化省(DOGE)」は、政府縮小と支出削減に取り組んでいるが、大統領のゴルフ費用は例外なのだろうか。
2. 『Commander in Cheat』(イカサマ司令官)
米国のベテラン・スポーツ記者リック・レイリー氏が、トランプ米大統領の周辺の100名程度の人物への取材を基に著した『Commander in Cheat』(イカサマ司令官)は、米国大統領を「Commander in Chief」(最高司令官)と定義する米国憲法第2条に由来している。
レイリー氏は、「トランプ米大統領のやるインチキは、最高レベルだ」と批判している。
「トランプは他の人間が見ているときにも見ていないときにも、インチキをする。トランプは人にどう思われるかなど御構いなしでインチキをする。トランプがインチキをするのは、それが彼のゴルフのやり方だからで。トランプと一緒にゴルフをやるなら、彼は必ずインチキをすることを覚悟しなければならない」
しかし、トランプ米大統領は、「私はゴルフでスコアを誤魔化している。なぜなら、他の連中も誤魔化しているからだ」と公言しており、インチキゴルフは周知の事実であり、トランプ米大統領からのクレームはないらしい。
大統領のキャディー達は、大統領をサッカーの「ペレ」と呼んでいるらしい。
すなわち、ボールが池に入ったり、林の中に入ったり、バンカーの中に入った場合、先回りして足でフェアウェイの真ん中に蹴り出しているらしい。
本日のロンドン為替市場のポンドドルは、イングランド銀行金融政策委員会(MPC)では政策金利4.50%の据え置きが予想されており、MPC議事要旨で今後の利下げペースを見極めることになる。
金利市場では、6月と9月の会合で0.25%ずつの合計0.50%の利下げを織り込み、年内3回目は判断が定まっていない。
2月のMPCでは、「インフレ率を目標の2%に戻すにはあと2回の利下げで十分」というタカ派的な声明が出されていた。
スターマー英政権による大型インフラ計画や英国のインフレ率の下げ止まりを受けて、今年の英国の金利は相対的に高い水準に留まるとの見方から、ポンドドルは1.3ドル台で堅調に推移している。
本日は、複数の中央銀行による政策金利の発表が予定されている。スイス国立銀行の予想は0.25%に引き下げ、スウェーデン中銀の予想は2.25%で据え置き、南アフリカ準備銀行の予想は7.50%で据え置きとなっている。
ユーロドルは、2月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値が下方修正されたことで、4月17日の欧州中央銀行(ECB)理事会での追加利下げ観測が高まりつつある。
しかし、欧州やドイツが財政拡張策に踏み出しつつあることで、インフレ上昇への警戒感が台頭している。
本日は、複数のECB高官、センテノ・ポルトガル中銀総裁、ミュラー・エストニア中銀総裁、レーンECB専務理事、クノット・オランダ中銀総裁、ビルロワドガロー仏中銀総裁、の講演が予定されており、今後の金融政策に関する見解に注目しておきたい。
想定レンジ上限
・ユーロドル:1.1040ドル(2024/10/4高値)
・ユーロ円:163.88円(3/19高値)
・ポンドドル:1.3103ドル(2024/10/15高値)
・ポンド円:194.91円(3/18高値)
想定レンジ下限
・ユーロドル:1.0831ドル(3/14安値)
・ユーロ円:161.50円(3/17安値)
・ポンドドル:1.2937ドル(日足一目均衡表・転換線)
・ポンド円:191.85円(日足一目均衡表・転換線)
重要な米金融イベントを昨日通過し、本日のニューヨーク為替市場では米経済指標を確かめながらの取引か。ドル円は、指標結果を受けた米金利の上下に付いて行く展開が続きそうだ。またマックレム・カナダ中銀(BOC)総裁の講演が予定されており、内容次第でカナダドルの動意に繋がるかもしれない。
18-19日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、トランプ関税による不確実性の高まりにより、米成長減速とインフレ上昇が懸念されていることが明らかにされた。そういったなか、まずは本日発表される米国の3月フィラデルフィア連銀製造業景気指数や2月景気先行指標総合指数で直近の景況感を探ることになる。市場予想は、前者が8.5と前回から9ポイント超下回り、後者は-0.2%と低下幅は改善するもののマイナス水準のままだ。
また、予想から上下に振れると相場の動意に繋がることもある「前週分の米新規失業保険申請件数」も気にかけておきたい。予想は22.4万件と若干だが前回から悪化が見込まれている。このところ22万件台で落ち着いているが、23万件や21万件など大台が変わるようだと市場も反応するだろう。
なお昨日公表されたFOMCメンバーによる金利見通しでは、0.25%の利下げは年内2回までと前回見通しと変わらず。一方、CMEがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、市場は年内3回目についても可能性を捨てていない。この辺りの変化も、今後の経済データやトランプ関税の影響で見定めることになる。
マックレムBOC総裁の講演については、トランプ関税を発端とした米国との貿易摩擦の影響をどのように見ているかがポイント。また、今週発表された2月カナダ消費者物価指数(CPI)が想定以上に加速したことへの見解も注目したい。なお一部メディアは、カーニー・カナダ新首相が4月28日の早期総選挙を要求すると報じている。
想定レンジ上限
・ドル円、ピボット・レジスタンス1の149.69円
・ドル/カナダドル(CAD)、13日高値1.4452CAD
想定レンジ下限
・ドル円、14日安値147.75円
・ドル/カナダドル(CAD)、18日安値1.4270CAD
今晩は堅調か。
昨日は米連邦公開市場委員会(FOMC)で年内2回(0.50%)の利下げ見通しが維持されたことでダウ平均が383.32ドル高(+0.92%)、S&P500が1.08%高、ナスダック総合が1.41%高と主要3指数がそろって反発した。センチメントは改善し、投資家の不安心理を示すVIX指数は前日の21.70ポイントから19.90ポイントに低下した。週初来ではナスダック総合が0.02%安とわずかにマイナス圏にとどまったものの、S&P500が0.64%高、ダウ平均が1.15%高となった。
今晩の取引では先行きの利下げ見通し高まりを背景に堅調が持続か。FOMCで公表された金利見通しでは年内2回(0.50%)の利下げ予想が維持されたが、CMEのフェドウォッチ・ツールでは12月時点での0.75%(3回)の利下げ確率が前日の44%から55%に上昇した。今晩の取引でもセンチメントの好転や、年内3回の利下げ期待を背景に株式などのリスク資産への選好が強まることが期待される。
今晩の米経済指標・イベントは新規失業保険申請件数、2月中古住宅販売件数など。企業決算は寄り前にダーデン・レストランツ、アクセンチュア、引け後にナイキ、フェデックスなどなどが発表予定。
(20日終値:21日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=148.76円(20日15時時点比△0.40円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=161.32円(▲0.32円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0844ドル(▲0.0051ドル)
FTSE100種総合株価指数:8701.99(前営業日比▲4.67)
ドイツ株式指数(DAX):22999.15(▲288.91)
10年物英国債利回り:4.646%(△0.015%)
10年物独国債利回り:2.780%(▲0.024%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
スイス国立銀行(SNB、中央銀行)政策金利
0.25%に引き下げ 0.50%
スウェーデン中銀、政策金利
2.25%で据え置き 2.25%
英中銀(BOE)、政策金利
4.50%で据え置き 4.50%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ユーロドルは下落。ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁が欧州議会で「通商を巡る不確実性は高い」「米関税と欧州連合(EU)による対抗措置がユーロ圏経済を下押しする」との見解を示す中、欧州株相場の下落とともにユーロ売りが先行した。2月独生産者物価指数(PPI)が予想に反して低下したことも相場の重しとなった。
NYの取引時間帯に入ってもユーロ安の流れが継続。3月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数や前週分の米新規失業保険申請件数が予想より強い内容となったこともドル買いを促し、一時1.0815ドルと日通し安値を更新した。
・スイスフランは軟調。スイス国立銀行(SNB)はこの日、政策金利を現行の0.50%から0.25%に引き下げることを決めたと発表。市場予想通りの結果となった。ただ、声明では「基調的なインフレ圧力は今後数四半期にわたり徐々に緩和し続けるだろう」「必要に応じて金融政策を調整する」との見解が示され、スイスフラン売りが優勢となった。対ドルでは一時0.8843スイスフラン、対ユーロでは0.9583スイスフランまで下落したほか、対円でも168.13円まで値を下げた。
・ポンドドルは頭が重かった。全般ドル買いが進んだ流れに沿って一時1.2936ドルと日通し安値を付けた。英中銀(BOE)はこの日、市場予想通り政策金利を現行の4.50%に据え置いた。市場では「2人の委員が利下げを支持する」との見方が多かったが、MPC議事要旨では「ディングラ委員のみが0.25%利下げを支持した」ことが明らかに。金融政策の公表後はポンド買いが先行したものの、反応は一時的だった。
・ドル円は底堅い動き。春分の日の祝日で日本が休場となる中、アジア時間には一時148.18円まで下落した。ただ、欧米市場に入ると買い戻しが優勢に。ユーロやスイスフランなど欧州通貨に対してドル高が進んだ影響を受けた。米長期金利が低下幅を縮小したことも相場の支援材料となり、1時前に一時148.96円と日通し高値を更新した。一目均衡表転換線が位置する148.35円がサポートとして意識された面もあった。
・トルコリラ円は一時3.95円まで上昇する場面があった。トルコ中銀はこの日、緊急会合を開き翌日物貸出金利を現行の44%から46%に引き上げることを決定。また、必要なら追加措置を講じると表明した。この結果を受けてリラを買い戻す動きが広がった。
なお、エルドアン大統領の主な政敵の拘束をきっかけに金融市場では混乱が広がり、リラ円は前日に一時3.61円と史上最安値を更新した。
・ユーロ円は下げ渋り。ユーロドルの下落につれた売りが出ると一時160.74円と本日安値を付けたものの、ドル円の上昇につれた買いが入ると161.58円付近まで下げ渋った。
・ロンドン株式相場は7日ぶりに小反落。貿易摩擦が欧州経済に悪影響を及ぼす可能性が改めて意識される中、欧州株全般が下落。英株にも売りが波及した。前日まで6日続伸していただけに、利益確定目的の売りも出たようだ。コンパス・グループやピアソンなど一般消費財サービスが売られたほか、リオ・ティントやアングロ・アメリカンなど素材株が値下がりした。
・フランクフルト株式相場は続落。貿易摩擦が欧州経済に悪影響を及ぼす可能性が改めて意識された。市場では「財政拡大へ向けた基本法改正案が独連邦議会を通過したことで、関心は米関税政策に戻りつつある」との声が聞かれた。個別ではフォルクスワーゲン(4.15%安)やBMW(3.53%安)、ポルシェ(3.40%安)など自動車株の下げが目立った。
・欧州債券相場は英国債が下落した一方、独国債が上昇した。
(20日終値)
ドル・円相場:1ドル=148.78円(前営業日比△0.09円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=161.47円(▲0.66円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0851ドル(▲0.0052ドル)
ダウ工業株30種平均:41953.32ドル(▲11.31ドル)
ナスダック総合株価指数:17691.63(▲59.16)
10年物米国債利回り:4.23%(▲0.01%)
WTI原油先物4月限:1バレル=68.26ドル(△1.10ドル)
金先物4月限:1トロイオンス=3043.8ドル(△2.6ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
10-12月期米経常収支
3039億ドルの赤字 3103億ドルの赤字・改
3月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数
12.5 18.1
前週分の米新規失業保険申請件数
22.3万件 22.0万件
2月米景気先行指標総合指数
(前月比) ▲0.3% ▲0.2%・改
2月米中古住宅販売件数
(前月比) 4.2% ▲4.7%・改
(年率換算件数)426万件 409万件・改
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ユーロドルは続落。欧州の取引時間帯には、ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁が欧州議会で「通商を巡る不確実性は高い」「米関税と欧州連合(EU)による対抗措置がユーロ圏経済を下押しする」などと発言。欧州株相場の下落とともにユーロ売りが進んだ。
NY市場に入ってもこの流れが続いた。米政権の関税政策をきっかけとする貿易摩擦が欧州経済に悪影響を及ぼす可能性が改めて意識されたこともユーロの重しとなり、一時1.0815ドルと日通し安値を更新した。3月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数や前週分の米新規失業保険申請件数が予想より強い内容となったこともユーロ売り・ドル買いを促した。
・ドル円は小反発。春分の日の祝日で日本が休場となる中、アジア時間には一時148.18円まで売り込まれたものの、NY市場では買い戻しが目立った。ユーロやスイスフランなど欧州通貨に対してドル高が進んだ影響を受けたほか、米住宅関連指標が予想を上回り、米長期金利が低下幅を縮小したことも相場の支援材料となった。1時前には一時148.96円と日通し高値を更新した。その後の下押しも148.71円付近にとどまった。
・ユーロ円は続落。ユーロドルの下落につれた売りが出ると一時160.74円と本日安値を付けた。ただ、ドル円の上昇につれた買いが入ると161.58円付近まで下げ渋った。
・トルコリラ円は一時3.95円まで上昇する場面があった。トルコ中銀はこの日、緊急会合を開き翌日物貸出金利を現行の44%から46%に引き上げることを決定。また、必要なら追加措置を講じると表明した。この結果を受けてリラを買い戻す動きが広がった。
なお、エルドアン大統領の主な政敵の拘束をきっかけに金融市場では混乱が広がり、リラ円は前日に3.61円と史上最安値を更新した。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は小反落。トランプ米政権による関税政策が貿易戦争や米経済の下押しにつながるとの懸念が根強い中、売りがやや優勢となった。ただ、前日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を好感した買いも入り、相場は上昇に転じる場面があった。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も反落した。
・米国債券相場で長期ゾーンは4日続伸。買い先行で始まったものの、米フィラデルフィア連銀製造業景気指数や2月米中古住宅販売件数が予想を上回ると一転売りが優勢となり上げ幅を縮めた。
・原油先物相場は続伸。ウクライナ停戦をめぐる不透明感や中東情勢の緊迫化を背景に買いが優勢となった。また、米財務省がイラン産原油を購入している中国の独立系製油所を含む複数の団体の最高経営責任者を制裁対象とした、イラン関連の新たな制裁措置を発表したことも買いを後押した。
・金先物相場は8日続伸。昨日引け後にパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が米経済の不確実性が高まっていると表明し、景気懸念から安全資産とされる金は買いが先行した。中東の地政学リスクが高まっていることも支えに、中心限月の清算値ベースで6営業日連続の史上最高値となった。ただ、為替市場でドルが対ユーロなどで上昇し、ドル建ての金に割高感が生じたことで上値は限られた。
一部通信社が報じたところによると、「イスラエル軍参謀総長はヨルダン川西岸にいるハマスも打倒するとの見解を示した」ようだ。
<国内>
○08:30 ☆ 2月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食品を除く総合、予想:前年比2.9%)
○08:30 ☆ 2月全国CPI(生鮮食料品・エネルギー除く、予想:前年比2.6%)
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
<海外>
○06:45 ◎ 2月ニュージーランド(NZ)貿易収支
○09:01 ◇ 3月英消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:▲20)
○16:45 ◇ 3月仏企業景況感指数(予想:96)
○17:15 ◎ エスクリバ・スペイン中銀総裁、講演
○18:00 ◇ 1月ユーロ圏経常収支(季節調整済)
○19:30 ◎ ロシア中銀、政策金利発表(予想:21.00%で据え置き)
○21:30 ◎ 1月カナダ小売売上高(予想:前月比▲0.4%/自動車を除く前月比▲0.2%)
○22:05 ◎ ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演
○24:00 ◎ 3月ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値、予想:▲13.0)
○南アフリカ(人権の日)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
20日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米住宅関連指標が予想を上回り、米長期金利が低下幅を縮小したことなどで148.96円まで上昇した。ユーロドルは、ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁の欧州議会での発言「通商を巡る不確実性は高い。米関税と欧州連合(EU)による対抗措置がユーロ圏経済を下押しする」や欧米貿易摩擦による欧州経済への悪影響への警戒感などから1.0815ドルまで下落した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、2月全国消費者物価指数(CPI)を見極めた後は、日米金融政策決定会合を受けた日米10年債利回りの動向に沿った展開が予想される。
19日の日米金融政策決定会合を受けて、6月の日銀追加利上げ観測、FOMCの追加利下げ観測が高まっており、ドル売り・円買い基調に拍車がかかりつつある。
8時30分に発表される2月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食品を除く総合)は前年比+2.9%と予想されており、1月の同比+3.2%からの伸び率の鈍化が見込まれている。全国CPI(生鮮食料品・エネルギー除く)は前年比+2.6%と予想されており、1月の同比+2.5%からの上昇が見込まれている。電気・ガス代補助金が1月使用分(2月請求分)から3カ月間、再び復活して、25年2~4月の電気・都市ガス代は再び押し下げられることが背景にある。
しかし、コメや野菜の価格が上昇しているため、3.0%超えのサプライズには警戒しておきたい。
日銀金融政策決定会合の声明文は、「各国の通商政策」がリスク要因に加えられたことは、ハト派材料だった。しかし、植田日銀総裁が記者会見で「4月初めには通商政策の内容がある程度でてくる。次回の決定会合ないし展望リポートの中である程度消化できる」と述べて、「4月初め」や「次回会合(4/30-5/1)」という時期を示したことがタカ派的と受け止められて、円高が優勢となっている。
オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)市場での日銀の追加利上げ次期は6月の日銀金融政策決定会合と予想されている。
さらに、米連邦公開市場委員会(FOMC)では、トランプ関税によるインフレ率上昇と景況感悪化という「スタグフレーション」への警戒感が示され、4月からの米国債のランオフ(償還に伴う保有証券減少)ペースの上限が月間250億ドルから50億ドルに減額、すなわち間接的な利下げが決定されたことで、ドル売りが優勢になっている。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」が示している追加利下げ時期は、6月FOMC(-0.25%=4.00-25%)、そして9月FOMC(-0.25%=3.75-4.00%)となっている。
東京市場は一進一退か。米国株は19日は上昇し、20日は下落した。ダウ平均は19日は383ドル高となり、20日は11ドル安の41953ドルで取引を終えた。FOMCでは大方の予想通り政策金利は据え置かれた。年内2回の利下げ見通しが維持されたことや、パウエルFRB議長の会見が安心感を誘ったことなどから、19日は大きく上昇した。20日は序盤に買われる場面もあったが、失速して小幅安。トランプ大統領がSNSでFRBは利下げした方がはるかに良いと投稿したことで、政策不安が意識された。ドル円は足元148円70銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが大証日中終値と比べて65円安の37435円、ドル建てが30円高の37530円で取引を終えた。
強弱材料が入り交じる中、日本株は方向感に欠ける展開を予想する。FOMCを受けた19日の米国株が大きく上昇したことは安心材料。ただ、利下げ基調に変化なしとの見方から、ドル円は円高(ドル安)に振れている。20日の米国株は小幅安であったが、トランプ大統領がFRBに注文をつけるような投稿を行ったことで、この先も大統領の言動に振り回される状況が続くとの警戒がくすぶる。この先、大統領が利下げを強く要求するようであれば、円安(ドル高)に対する期待が大きく後退する。大型株は手がけづらさが意識されそうで、指数は不安定な動きが続くだろう。日経平均の予想レンジは37500円-37900円。
大阪6月限ナイトセッション
日経225先物 37450 -50 (-0.13%)
TOPIX先物 2761.0 -10.0 (-0.36%)
シカゴ日経平均先物 37435 -65
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
20日の米国市場はNYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が下落。米連邦準備理事会(FRB)が19日まで開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で、予想通り政策金利を据え置くことを決めた。同時に公表したFOMC参加者の政策金利見通しで年2回の利下げ見通しを維持したことを好感した買いが継続し、NYダウは一時200ドル超上昇する場面もみられた。ただし、トランプ米大統領がFRBは利下げすべきだと自身のSNSに投稿したほか、相互関税を導入する予定の4月2日を「米国開放の日」とコメントしたことで、貿易摩擦の激化や世界経済の混乱を引き起こすとの懸念が重荷となった。
NYダウ構成銘柄では、IBM<IBM>、ナイキ<NKE>、ウォルト・ディズニー<DIS>、スリーエム<MMM>、シスコシステムズ<CSCO>が下落した一方で、ユナイテッドヘルス・グループ<UNH>、ハネウェル・インターナショナル<HON>、ゴールドマン・サックス・グループ<GS>、エヌビディア<NVDA>が買われた。
シカゴ日経平均先物(6月限)清算値は、大阪比65円安の3万7435円だった。日経225先物(6月限)のナイトセッションは、日中比90円安の3万7410円で始まり、その後は3万7550円~3万7700円辺りでのレンジ推移を継続。FOMC参加者の政策金利見通しやパウエルFRB議長が長期にわたり量的引き締めを続ける考えを示したことが材料視され、終盤にかけて3万7780円まで買われる場面もみられた。
ただし、祝日取引で3万7600円を挟んだ狭いレンジでの推移が続くなか、夕方辺りから下へのバイアスが強まり、20日の米国市場の取引開始時には3万7160円まで売られた。終盤にかけて持ち直し、3万7450円で取引を終えている。
シカゴ先物にサヤ寄せする形から、やや売り先行で始まることになりそうだ。ナイトセッションで一時3万7780円まで買われ、25日移動平均線(3万7680円)を上回る場面もあったがキープできず、結局は同線が抵抗線として機能した形だった。そのため、ボリンジャーバンドの-1σ(3万6810円)と中心値(25日)でのレンジが意識されやすいだろう。トランプ米大統領による関税政策に対する警戒が根強いなか、25日線突破を狙ったロングは限られそうだ。
また、週末要因から積極的な売買は手控えられやすく、引き続きスキャルピング中心のトレードになろう。もっとも、日米の金融会合が通過したことでアク抜けも意識されやすく、3万7000円接近では押し目待ち狙いのロングが入りやすいと考えられるため、オプション権利行使価格の3万7125円から3万7625円でのレンジを想定する。25日線を明確に上抜けてくるようだと、3万7625円から3万7875円でのレンジに移行しよう。
20日の米VIX指数は19.80(19日は19.90)に低下した。FOMCの結果を受けた米株高のなか、19日に支持線として意識されていた25日線を下抜け、20.00を割り込んだ。20日は一時同線を上回る場面もみられたが、その後の低下により連日で20.00を下回ったことで、リスク選好に向かわせやすい。
19日のNT倍率は先物中心限月で13.53倍に低下し、2023年9月下旬以来の13.60倍を下回ってきた。いったんはボトム形成が意識されてくる可能性はありそうだが、足もとでのボトム水準を下抜けてきており、NTショートの動きが一段と強まる可能性があるだろう。
昨日のドル円は、東京勢が祝日で不在のなか、アジア時間に一時148.18円まで値を下げる場面もみられましたが、その後は下値を切り上げる展開に。欧州時間に入ってからはユーロドルの下落につれて買戻し。NY市場では、3月米フィリー指数や2月米中古住宅販売件数などが予想を大幅に上回る強い数字となると、4.1721%まで低下していた米10年債利回りが急速に低下幅を縮める動きに。一時148.96円まで買戻されました。
そして週末のアジア市場では、朝方に一時148.59円まで下押す場面もみられましたが、売られて始まった日経平均が一転して買戻しとなっているほか、休場明けの本邦実需の買いが断続的に観測されるにつれて昨日高値の148.96円を上抜けて上昇。一時149.19円まで値を上げているといったところです。
いずれにしても、ドル円は日米の金融政策決定会合をこなして、今後の方向性を探ろうとしているわけですが、市場からは「日銀はともなく、FOMCに関してはかなり複雑な事情が重なっており、一方向に判断出来ない」との声も聞かれています。
昨日もお伝えした通り、WSJのニックが当日のアジア時間に予め織り込ませようとしていたように、メンバーのタカ派シフトはかなりのものがあったわけで、FOMCメンバー19人中8人が今年の利下げ回数をゼロまたは1回と予測しているあたり、パウエルFRB議長が定例記者会見において、ミシガン大が公表した消費者の期待インフレ率を「異常値」と敢えて名指しして、異例の対応を取ってバランスを取らざるを得なかった内情が伝わってきます。
ドル円は、公表直前まで150.15円まで買い上げられていたという事情もあって、「恐らくオプション絡みの売り」が大きかったとの声もあるなか、QTの大幅減額といった実質的量的緩和の側面に必要以上に反応してしまったのかもしれません。米債券市場も10年債利回りが4.1721%まで低下したものの、11日の安値4.1505%を前に下げ止まっているわけで、落着きを取り戻しているところ。ドル円も同時にしっかりとした本邦勢の買い需要に支えながら、大きなポジションのアンワインディングへと改めてトライしていくことになりそうです。
日経225先物は11時30分時点、前日比160円高の3万7660円(+0.42%)前後で推移。寄り付きは3万7440円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万7435円)にサヤ寄せする形から、やや売り先行で始まった。ただし、現物の寄り付き時につけた3万7330円を安値に上昇に転じると、終盤にかけて3万7720円まで買われる場面もみられた。
日経225先物は下落して始まったが、売り一巡後はロング優勢の動きをみせており、一時25日移動平均線(3万7690円)を上回った。同線では強弱感が対立する形となり、その後は同線を下回っての推移をみせているが、抵抗線として意識されるようだと後場は持ち高調整の動きが優勢になりそうである。一方で、25日線水準での底堅さがみられるようだと、終盤にかけてショートカバーを誘う形に向かう可能性はあるだろう。
NT倍率は先物中心限月で13.49倍に低下し、2020年4月以来の13.50倍を下回ってきた。節目の13.50倍を下回ったことで、いったんはボトム形成が意識されてくる可能性はありそうだが、NTショートに振れやすい状況が続きそうだ。ソフトバンクグループ<9984.T>[東証P]、東京エレクトロン<8035.T>[東証P]が堅調な半面、アドバンテスト<6857.T>[東証P]が弱い値動きで推移しており、NTロングは入りにくい。
「FRBは利下げした方がはるかに良い」(トランプ米大統領)
3月19日、日銀金融政策決定会合と米連邦公開市場委員会(FOMC)は、予想通りに政策金利の据え置きを決定した。
しかし、植田日銀総裁は、トランプ政権による「金利引き上げによる円高」要請に忖度して、ややタカ派的な見解を示したことで、6月会合での追加利上げ観測が高まった。
パウエルFRB議長も、トランプ政権による「利下げ」要請に忖度して、ややハト派的な見解を示したことで、6月会合での追加利下げ観測が高まった。
1.日銀金融政策決定会合:トランプリスク
日銀金融政策決定会合は、政策金利の無担保コール翌日物金利を0.5%程度で据え置くことを全員一致で決定した。
声明文では、日銀が重視する消費者物価の基調的上昇率について、2024年度から26年度までの経済・物価情勢の展望(展望リポート)の見通し期間後半には2%の物価安定目標とおおむね整合的な水準で推移するとの見方を維持した。
そして、リスク要因として、「トランプ関税政策を踏まえた各国の通商政策」、すなわち、トランプリスクが加えられた。
■植田日銀総裁
「4月初めには通商政策の内容がある程度でてくる。次回の決定会合ないし展望リポートの中である程度消化できる」と述べて、「4月初め」や「次回会合(4/30-5/1)」という時期を示したことがタカ派的と受け止められた。
・現在の金融市場の混乱は利上げの障害ではない
・現在の実質金利は極めて低い水準にある
・今後も日銀の経済・物価見通しが実現していけば政策金利を引き上げて金融緩和度合いを調整していく
・強めの春闘の集計結果を含めて賃金・物価はオントラック(想定通り)
・食料品などの価格上昇が基調的な物価上昇率に波及する可能性
2.米連邦公開市場委員会(FOMC):トランプリスク
FOMCは、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標レンジを4.25-50%で据え置くことを全員一致で決定した。
声明文では、「経済見通しを巡る不確実性は強まった」と記述され、従来の「雇用とインフレの目標達成に対するリスクはほぼ均衡している」との文言は削除された。
■ドット・プロット(金利予測分布図)
金利予測では予測中央値で年内0.5ポイントの利下げが引き続き示された。これは0.25ポイントの利下げを2回実施することを示唆する。
経済予測では、今年の成長率予想が引き下げられた一方、インフレ率の予想は引き上げられた。すなわち、トランプ関税による成長減速とインフレ率上昇という「スタグフレーション」への警戒感が示された。
■パウエルFRB議長
議長はリセッション(景気後退)の確率は上昇したが、高くはないと指摘した。
「センチメントがかなり急激に低下していることは理解しているが、経済活動はまだそうなっておらず、われわれは注意深く見守っている状況だ。経済は健全なようだと人々には伝えたい」と述べた。
■量的金融引締政策(QT:Quantitative tightening)
4月から米国債のランオフ(償還に伴う保有証券減少)ペースの上限を月間250億ドルから50億ドルに減額、すなわち、間接的な利下げを決定した。
次期FRB議長候補のウォラー理事は、証券保有高の減少ペースを現状のまま継続することを望み、反対票を投じた。
本日のロンドン為替市場のユーロドルは、トランプ関税と報復関税、ウクライナ停戦を巡る協議の進展、そしてトルコ政情不安などを見極めていくことになる。
ユーロドルは、欧州やドイツの財政拡大政策への転換を受けて1.09ドル台まで上昇したものの、1.10ドルの大台の手前で伸び悩んでいる。
ポンドドルも、タカ派的なイングランド銀行金融政策委員会(MPC)声明にも関わらず、1.30ドル台では伸び悩む展開となった。
今後は、トランプ関税による欧州や英国の景況感、ウクライナ停戦を巡る米国、ロシア、ウクライナ、北大西洋条約機構(NATO)の関与を見極めていくことになる。
本日は、エスクリバ・スペイン中銀総裁の講演が予定されている。
先日、エスクリバ氏は、「インフレと経済成長に関するECBの想定は、どちらの方向にも大きなリスクに直面している」「このような不確実性により、今後の金利動向を予測することは不可能だ」と述べていた。そして、「政策立案者は米国の関税や欧州の急速な再軍備計画がもたらす波及効果を、まだ評価中であり、4月の政策委員会会合に向けて選択肢を残しておく必要がある」と述べた。
本日は、相互関税の発動に向けた欧米通商摩擦や米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果に対する見解にも注目しておきたい。
また、トルコの政情不安により暴落したトルコリラ防衛のためのトルコ中央銀行による緊急利上げの効果、などトルコ発のリスクシナリオにも警戒しておきたい。
想定レンジ上限
・ユーロドル:1.0955ドル(3/18高値)
・ユーロ円:162.33円(3/20高値)
想定レンジ下限
・ユーロドル:1.0766ドル(3/6安値)
・ユーロ円:160.26円(日足一目均衡表・雲の上限)
ドル円:1ドル=149.55円(前営業日NY終値比△0.77円)
ユーロ円:1ユーロ=161.94円(△0.47円)
ユーロドル:1ユーロ=1.0828ドル(▲0.0023ドル)
日経平均株価:37677.06円(前営業日比▲74.82円)
東証株価指数(TOPIX):2804.16(△8.20)
債券先物6月物:138.03円(▲0.08円)
新発10年物国債利回り:1.520%(△0.005%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
2月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く総合)
前年同月比 3.0% 3.2%
2月全国CPI、生鮮食料品・エネルギー除く
前年同月比 2.6% 2.5%
対外対内証券売買契約等の状況(前週)
対外中長期債
876億円の処分超 3537億円の処分超・改
対内株式
1兆8062億円の処分超 2196億円の処分超・改
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は下値が堅い。2月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く総合)が市場予想を上回ったことに反応して148.59円まで下落したが、その後は次第に下値を切り上げた。下落して始まった日経平均株価が持ち直したほか、東京仲値にかけた買いも重なり、149円台を回復。後場に入ると日本株の上値は重くなったが、円売りの流れが変化することはなく、14時30分過ぎには149.63円まで値を上げた。
・ユーロ円も下値が堅い。本邦CPI発表後に161.30円まで下げたが、その後はドル円と同様に買い戻しが優勢となり、161.98円まで下値を切り上げた。
・ユーロドルは小安い。米長期金利の上昇などが相場の重しとなり、一時1.0820ドルまで値を下げた。
・日経平均株価は小幅続落。安く始まったものの、外国為替市場で円買いが一服したことなどを手掛かりに買い戻しが入り、一巡後はプラス圏に浮上した。もっとも、後場に入ると米株価指数先物が下落したことに伴い、リスク回避の動きから再び下げに転じるなど上値も重くなった。
・債券先物相場は続落。2月全国CPI(生鮮食料品除く総合)が予想を上回る結果となり、日銀の早期利上げ観測を意識した売りが先行した。一時は137円88銭まで下押す場面もあったが、米通商政策を巡る不透明感なども根強いなか、その後は下げ渋った。
大阪6月限
日経225先物 37400 -100 (-0.26%)
TOPIX先物 2777.5 +6.5 (+0.23%)
日経225先物(6月限)は前日比100円安の3万7400円で取引を終了。寄り付きは3万7440円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万7435円)にサヤ寄せする形から、やや売り先行で始まった。ただし、現物の寄り付き時につけた3万7330円を安値に上昇に転じると、前場終盤にかけて3万7720円まで買われる場面もみられた。その後ランチタイムで3万7590円まで上げ幅を縮め、後場は持ち高調整に伴うロング解消の動きが優勢となり、終盤にかけて下落に転じた。
日経225先物は下落して始まったが、売り一巡後はロング優勢の動きをみせており、一時25日移動平均線(3万7690円)を上回った。しかし、同線では強弱感が対立する形となり、その後は同線を下回って推移し、結果的には抵抗線として機能する形だった。25日線はナイトセッションで3万7600円辺りに下がってきていることもあり、早い段階でクリアしておきたい。
週間形状ではボリンジャーバンドの-1σ(3万7300円)を上回ってきたが、今週は13週線と26週線がデッドクロスとなった。13週線は下向きで推移しているため、来週には52週線とのデッドクロスが意識されてくる。3万8200円辺りが抵抗線として機能する可能性があるため、25日線を突破してきても戻り待ち狙いのショートが入りやすいと考えられる。
また、指数インパクトの大きい値がさハイテク株の一角が、不安定な値動きをみせており、終日プラス圏での推移だったソフトバンクグループ<9984.T>[東証P]をみても、足もとでのボトム圏からは脱しておらず、本格的なリバウンドは期待しづらいだろう。日経平均型でのリバウンドが期待しづらい状況であり、引き続きトランプ米大統領の関税政策を警戒しながらの不安定な相場展開が続きそうだ。
NT倍率は先物中心限月で13.46倍に低下し、2020年4月以来の13.50倍を下回ってきた。節目の13.50倍を下回ったことで、いったんはボトム形成が意識されてくる可能性はありそうだが、ハイテク株の一角が不安定な一方で金融株が買われており、相対的にTOPIX型優位の展開であった。期末接近から配当志向の物色も意識されるなか、NTロングは入りにくい。
手口面(6月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万5860枚、ソシエテジェネラル証券が1万3571枚、サスケハナ・ホンコンが4562枚、JPモルガン証券が3743枚、バークレイズ証券が2592枚、SBI証券が2251枚、日産証券が1657枚、野村証券が1244枚、BNPパリバ証券が1211枚、モルガンMUFG証券が1110枚だった。
TOPIX先物は、ABNクリアリン証券が2万2235枚、ソシエテジェネラル証券が1万9659枚、バークレイズ証券が7573枚、JPモルガン証券が5941枚、モルガンMUFG証券が5321枚、ゴールドマン証券が4597枚、ビーオブエー証券が2539枚、サスケハナ・ホンコンが2049枚、野村証券が1447枚、BNPパリバ証券が1220枚だった。
本日のニューヨーク為替市場でドル相場は、まずはウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁の講演内容を確認しながらの取引か。ウィリアムズ総裁は今月初旬に、トランプ関税について「インフレにいくらか影響を与える」と述べながらも、「インフレ率は時間の経過とともに2%まで低下する」との見通しを示した。
トランプ関税による先行き経済の不確実性については、各国の金融当局者が懸念を表明している。ただし、インフレについて上昇圧力は否定しないものの、「一時的」との見方が多いのも確かだ。
本日の講演で、米連邦公開市場委員会(FOMC)内でも影響力が強いNY連銀総裁が、物価上昇についてどの程度の警戒感を示すかが注視される。もしインフレ2%回帰に更に自信を深めているようであれば、現状は市場が迷っている「FOMC年内3回の利下げ」を織り込みに行くかもしれない。
カナダからは、1月小売売上高が発表予定。総合と除く自動車ともに、前月比で前回2%超えからマイナスに沈むとの予想。対象月の前月は12月、クリスマスシーズンの反動ということは十分に考えられるだろう。しかしながらお隣で、米国第一を掲げるトランプ大統領が正式就任した月でもあり、先行き不安感が買い手控えに繋がった面もあるか。マイナス深掘りとなれば、カナダドルの重しとなるだろう。
その他もちろん、トランプ米大統領のカナダ絡みの発言には注意しておきたい。トランプ氏が繰り返す「カナダは米国の51番目の州」の相場インパクトは薄いものの、米加関係の溝は着実に広まるだろう。カーニー新カナダ首相は欧州と急接近しており、米国離れの動きに対する市場の反応に注目したい。
想定レンジ上限
・ドル円、19日高値150.15円
・ドル/カナダドル(CAD)、13日高値1.4452CAD
想定レンジ下限
・ドル円、本日安値148.59円を割り込むようだと昨日安値148.18円
・ドル/カナダドル(CAD)、6日安値1.4242CAD
今晩は底堅い展開か。
昨日は水曜日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で年内2回の利下げ見通しが維持されたことや、経済指標が総じて良好な結果となったことで上昇する場面もあったが、関税を巡る不透明感などが意識され取引終盤にかけて失速した。ダウ平均は285ドル高まで上昇後、11.31ドル安(-0.03%)で終了し、S&P500とナスダック総合もそれぞれ0.22%安、0.33%安と反落して終了した。週初来ではダウ平均が1.12%高と3週ぶりの反発ペースとなり、S&P500も0.42%高と5週ぶりの反発ペースとなった。一方、ナスダック総合は0.35%安と5週続落ペースとなった。
引け後の動きでは予想を上回る決算や見通しが好感されたマイクロンが時間外で約1%高となった一方、利益が予想を下回ったフェデックスが時間外で5%超下落。ナイキも決算が予想を上回り、時間外で一時4%超上昇したが、5%超下落して終了した。
今晩はナイキやフェデックスの下落が見込まれることや、週末の取引で関税問題を巡ってホワイトハウスからのニュースを警戒する展開が予想されるものの、FOMCで年内2回の利下げ見通しが維持されたほか、昨日の経済指標がおおむね良好だったことでセンチメントもやや改善しており、底堅い展開となりそうだ。前週まで4週続落したS&P500のプラス圏での終了が期待される。
今晩は主要な米経済指標の発表はないが、ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁の講演が予定されている。企業決算は寄り前にカーニバルが発表予定。
日経平均株価は続落。寄り付きから上値を伸ばす展開となり、25日移動平均線(37909円 3/21)を上回る場面もあったが、後場は上げ幅を縮小してマイナスで終える格好となった。
RSI(9日)は前日の58.2%→73.8%(3/21)に上昇。下向きで推移する25日移動平均線が上値抵抗になる動きは想定内である。一方、4日ぶりの陽線で終え、5日移動平均線(37544円 同)付近では押し目買いが意識される。目先は下への揺り戻しが続く可能性もあるが、基本的な見方に変化はない。3/7や2/28の急落で形成したマドを埋め戻す強いリバウンドが続いたことで、底入れ期待が一段と強まる動きになっている。来週初は上向きが続く5日移動平均線を支持に反発上昇につながるかが焦点となる。
上値メドは、25日移動平均線、200日移動平均線(38577円 同)、心理的節目の39000円、2/13高値(39581円)などがある。下値メドは、5日移動平均線、10日移動平均線(37204円 同)、心理的節目の37000円、3/14安値(36594円)、心理的節目の36000円、9/17安値(35828円)などがある。
(21日終値:22日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=149.22円(21日15時時点比▲0.33円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=161.50円(▲0.44円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0822ドル(▲0.0006ドル)
FTSE100種総合株価指数:8646.79(前営業日比▲55.20)
ドイツ株式指数(DAX):22891.68(▲107.47)
10年物英国債利回り:4.712%(△0.066%)
10年物独国債利回り:2.765%(▲0.015%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
3月仏企業景況感指数
97 96
1月ユーロ圏経常収支(季調済)
354億ユーロの黒字 384億ユーロの黒字・改
3月ユーロ圏消費者信頼感指数
(速報値) ▲14.5 ▲13.6
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ユーロドルは頭が重かった。米長期金利の低下を手掛かりにユーロ買い・ドル売りが先行。21時過ぎに一時1.0861ドルと日通し高値を更新した。
ただ、貿易摩擦が欧州経済に悪影響を及ぼす可能性が改めて意識される中、欧州株相場が下落するとリスク・オフのユーロ売り・ドル買いが優勢に。1時前には1.0798ドルと日通し安値を付けた。米長期金利が上昇に転じたことも相場の重し。
なお、「フランス政府は欧州連合(EU)に対して、米関税政策に対抗する最も強力な措置の適用を検討するよう求めている」と伝わった。
・ドル円は下値が堅かった。欧州株相場や時間外のダウ先物の下落を背景にリスク回避の円買い・ドル売りが先行。米長期金利の低下に伴う売りも出て22時頃に一時148.61円付近まで値を下げた。
ただ、アジア時間に付けた日通し安値148.59円が目先サポートとして意識されると買い戻しが優勢に。トランプ米大統領が4月2日の相互関税を巡り、免除の可能性はあるかとの質問に「柔軟性はあるだろう」と答えると、投資家の過度なリスク回避姿勢が後退。一時500ドル超下落したダウ平均が上げに転じ、円売り・ドル買いを促した。米長期金利が上昇に転じたことも相場の支援材料となり、2時過ぎには149.31円付近まで持ち直した。
なお、トランプ氏は中国が貿易戦争を阻止するために何かできるかと尋ねられると「話し合いは可能」と発言。さらに、「習近平主席と話し合う予定だ」と話した。
・ユーロ円は下げ渋り。欧米株価の下落に伴うリスク回避の円買い・ユーロ売りが入ると一時160.75円と日通し安値を付けたものの、トランプ米大統領の発言をきっかけに投資家のリスク回避姿勢が和らぐと円売り・ユーロ買いがじわりと強まった。3時前には161.61円付近まで下げ渋った。
・ロンドン株式相場は続落。英中銀(BOE)が今週の英中銀金融政策委員会(MPC)で、今後の利下げに対して慎重な姿勢を示したことから、売りが出やすい地合いとなった。リオ・ティントやアングロ・アメリカン、グレンコアなど素材株の下げが目立った。アストラゼネカなど医薬品株の一角にも売りが出た。
・フランクフルト株式相場は3日続落。貿易摩擦が欧州経済に悪影響を及ぼす可能性が改めて意識される中、欧州株全般に売りが出た。個別ではザランド(3.40%安)やインフィニオン・テクノロジーズ(2.81%安)、バイヤスドルフ(2.79%安)などの下げが目立った。
・欧州債券相場は英国債が下落した一方、独国債が上昇した。
(21日終値)
ドル・円相場:1ドル=149.32円(前営業日比△0.54円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=161.55円(△0.08円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0818ドル(▲0.0033ドル)
ダウ工業株30種平均:41985.35ドル(△32.03ドル)
ナスダック総合株価指数:17784.05(△92.42)
10年物米国債利回り:4.25%(△0.02%)
WTI原油先物5月限:1バレル=68.28ドル(△0.21ドル)
金先物4月限:1トロイオンス=3021.4ドル(▲22.4ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
特になし
(各市場の動き)
・ドル円は続伸。欧州株相場や時間外のダウ先物の下落を背景にリスク回避の円買い・ドル売りが先行。米長期金利の低下に伴う売りも出て22時頃に一時148.61円付近まで値を下げた。
ただ、アジア時間に付けた日通し安値148.59円が目先サポートとして意識されると買い戻しが優勢に。トランプ米大統領が4月2日に導入する予定の相互関税について「柔軟性がある」との認識を示すと、投資家の過度なリスク回避姿勢が後退。一時500ドル超下落したダウ平均が上げに転じ、円売り・ドル買いを促した。米長期金利が上昇に転じたことも相場の支援材料となり、5時30分前には149.37円付近まで値を上げた。
なお、トランプ氏は「中国の習近平国家主席と関税を巡り協議する」とも語ったが、具体的な時期などには言及しなかった。
・ユーロドルは3日続落。米長期金利の低下を手掛かりにユーロ買い・ドル売りが先行すると、21時過ぎに一時1.0861ドルと日通し高値を付けた。
ただ、買い一巡後は徐々に上値が重くなった。貿易摩擦が欧州経済に悪影響を及ぼす可能性が改めて意識される中、欧米株価の下落を背景にリスク・オフのユーロ売り・ドル買いが優勢に。1時前には1.0798ドルと日通し安値を付けた。米長期金利が上昇に転じたことも相場の重し。引けにかけては1.08ドル台前半で下げ渋ったものの、戻りは鈍かった。
・ユーロ円は3日ぶりに小反発。米国株相場が大幅に下落するとリスク回避の円買い・ユーロ売りが先行し、1時前に一時160.75円と日通し安値を付けた。
ただ、トランプ米大統領の発言をきっかけに投資家のリスク回避姿勢が和らぐと、株価の持ち直しとともに円売り・ユーロ買いがじわりと強まった。3時前には161.61円付近まで値を戻した。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は小反発。米政権の関税政策などで米景気減速への懸念が高まる中、この日も売りが先行した。一部企業の業績見通しの悪化も嫌気されて、指数は500ドル超下げる場面があった。ただ、トランプ米大統領が4月2日に導入する予定の相互関税について「柔軟性がある」との認識を示すと、買い戻しが優勢となり上げに転じた。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も反発した。
・米国債券相場で長期ゾーンは5日ぶりに反落。米景気減速への懸念から買いが先行したものの、トランプ米大統領の発言をきっかけに米関税政策への警戒が後退すると一転売りが優勢となった。週末を控えたポジション調整目的の売りも出た。
・原油先物相場は上昇。米国がイランに追加制裁を決定したことや石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなど非加盟産油国で構成する「OPECプラス」が超過生産分を相殺するために7カ国が追加減産を行うと発表したことを支えに底堅い動きとなった。
・金先物相場は9日ぶりに反落。為替市場でドルがユーロなどに対し上昇し、ドル建ての金に割高感が生じたことをきっかけに売りに押された。また、昨日まで6日連続で史上最高値を更新したこともあり、週末のこの日は利益確定の売りが優勢となった。
一部通信社が報じたところによると、「フランス政府は欧州連合(EU)に対して、米国による関税政策に対抗する最も強力な措置の適用を検討するよう求めている」ようだ。
21日05:29 トランプ米大統領
「ウクライナとのレアアース協定に間もなく署名」
21日12:51
「FRBが金利を引き下げれば素晴らしいことだ」
22日01:04
「中国への関税について話し合うことは可能」
「4月2日は解放の日」
「自動車会社にはここで製造してもらいたい」
「関税には柔軟性がある」
「相互だから柔軟性はある」
「関税免除を求める人はたくさんいる」
「1つの国に関税免除をしたら、すべてに免除をしなければならない」
21日21:49 グールズビー米シカゴ連銀総裁
「今後1年から1年半の間に金利は低下するだろうと信じている」
「報復措置が伴わない1回限りの関税の影響は一時的なものになる可能性が高い」
「不確実性がある時は事態が収束するまで待たなければならない」
21日23:16 ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事
「バランスシートの縮小ペースは現状維持が望ましい」
21日23:19 ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁
「現在の緩やかな引き締め政策は完全に適切」
「現在の金利は堅調な雇用市場と目標を上回るインフレ率に合致」
「現在、経済と政策には多くの不確実性がある」
「移民の減少により成長が鈍化すると予想」
「経済データはさまざまなシグナルを発している」
「金融政策の変更を急いではいない」
「経済の下振れリスクとインフレ上昇リスクはともに非常に高い」
「現在の予測経路は妥当に見える」
「関税がインフレにどのような影響を与えるかはまだはっきりしない」
「ミシガン大学のインフレ期待データは外れ値」
「現時点では見通しを予測することが難しくなっている」
※時間は日本時間
25日
○08:50 ☆ 1月23-24日分の日銀金融政策決定会合議事要旨
26日
○08:50 ◇ 2月企業向けサービス価格指数
27日
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
28日
○08:30 ◎ 3月東京都区部消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く総合)
○08:50 ◇ 日銀金融政策決定会合における主な意見(3月18-19日分)
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
24日
○14:00 ◎ 2月シンガポール消費者物価指数(CPI)
○17:15 ◎ 3月仏製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値
○17:15 ◎ 3月仏サービス部門PMI速報値
○17:30 ◎ 3月独製造業PMI速報値
○17:30 ◎ 3月独サービス部門PMI速報値
○18:00 ◎ 3月ユーロ圏製造業PMI速報値
○18:00 ◎ 3月ユーロ圏サービス部門PMI速報値
○18:30 ◎ 3月英製造業PMI速報値
○18:30 ◎ 3月英サービス部門PMI速報値
○22:45 ◎ 3月米製造業PMI速報値
○22:45 ◎ 3月米サービス部門PMI速報値
○22:45 ◎ 3月米総?⑰MI速報値
○25日03:00 ◎ ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
25日
○17:00 ◇ 1-3月期南アフリカ経済研究所(BER)消費者信頼感指数
○18:00 ◎ 3月独Ifo企業景況感指数
○19:00 ◎ ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○19:50 ◎ ブイチッチ・クロアチア中銀総裁、講演
○22:00 ◇ 1月米住宅価格指数
○22:00 ◎ 1月米ケース・シラー住宅価格指数
○22:05 ◎ ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、あいさつ
○23:00 ☆ 2月米新築住宅販売件数
○23:00 ◎ 3月米リッチモンド連銀製造業景気指数
○23:00 ◎ 3月米消費者信頼感指数
○26日02:00 ◎ 米財務省、2年債入札
26日
○09:30 ◎ 2月豪CPI
○16:00 ◎ 2月英CPI
○16:00 ◎ CPIコア指数
◇ 小売物価指数(RPI)
○16:45 ◇ 3月仏消費者信頼感指数
○20:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○21:30 ◎ 2月米耐久財受注額
○23:30 ◇ EIA週間在庫統計
○27日02:00 ◎ 米財務省、5年債入札
○27日02:10 ◎ ムサレム米セントルイス連銀総裁、講演
○27日03:00 ◎ チポローネ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○16:00 ◇ 2月トルコ失業率
○17:30 ◎ ディングラ英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○18:00 ◎ ノルウェー中銀、政策金利発表
○18:30 ◇ 2月南アフリカ卸売物価指数(PPI)
○21:00 ◇ 2月メキシコ貿易収支
○21:30 ☆ 10-12月期米国内総生産(GDP)確定値
◎ 米個人消費/コアPCE確定値
○21:30 ◇ 2月米卸売在庫
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数
○22:00 ◎ デギンドスECB副総裁、講演
○22:00 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○23:00 ◎ 2月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数)
○28日01:15 ◎ ウンシュ・ベルギー中銀総裁、講演
○28日01:45 ◎ エスクリバ・スペイン中銀総裁、講演
○28日02:00 ◎ 米財務省、7年債入札
○28日03:30 ◎ シュナーベルECB専務理事、講演
○28日04:00 ◎ メキシコ中銀、政策金利発表
○28日05:30 ◎ バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
28日
○16:00 ☆ 10-12月期英GDP改定値
○16:00 ◇ 10-12月期英経常収支
○16:00 ◎ 2月英小売売上高
○16:00 ◇ 1月英商品貿易収支/英貿易収支
○16:00 ◇ 2月トルコ貿易収支
○16:45 ◇ 2月仏消費支出
○16:45 ◇ 3月仏CPI速報値
○16:45 ◇ 3月仏PPI
○17:00 ◇ 3月スイスKOF景気先行指数
○17:55 ◎ 3月独雇用統計
○19:00 ◎ 3月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値)
○19:00 ◎ 3月ユーロ圏経済信頼感指数
○21:30 ☆ 1月カナダGDP
○21:30 ◎ 2月米個人消費支出(PCE)
◎ 2月米個人所得
☆ 2月米PCEデフレーター
☆ 2月米PCEコアデフレーター
○23:00 ◎ 3月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値)
○29日04:30 ◎ ボスティック米アトランタ連銀総裁、パネルディスカッションに参加
30日
○欧州・英国が夏時間に移行
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
◆豪ドル、相互関税を巡る交渉に注目
◆豪ドル、雇用減も追加緩和期待は高まらず
◆ZAR、政府内対立などネガティブ材料目立つ
予想レンジ
豪ドル円 91.00-95.00円
南ア・ランド円 7.80-8.30円
3月24日週の展望
豪ドルは神経質な動きが予想される。米政権が相互関税の詳細を発表するとしている4月2日が近づくなか、豪ドルも米関税を巡る報道などに振らされることになりそうだ。トランプ米政権は相互関税率が国によって変わり、4月2日までに交渉が妥結した際には一部関税を施行しなくてもよくなるとの見解を示しているため、豪米政府間交渉の行方に注目しておきたい。なお、トランプ政権が今月決定した25%の鉄鋼・アルミニウム関税については豪州も例外なく適用除外とはならなかった。今回の相互関税について、豪州に対しては2-8%程度と控えめな関税率が予想されているが、適用品目がはるかに多くなるため、豪州経済への影響が懸念されている。
今週発表された2月雇用統計では新規雇用者数が5.28万人減と市場予想(3.00万人増)を大きく下回り、豪ドル売りで反応する場面があった。もっとも、豪統計局は「職場復帰する高齢者の減少が原因」としており、豪雇用環境のひっ迫は依然として続いているとの認識のようだ。市場でも今回の結果によって「豪準備銀行(RBA)の追加緩和の可能性が高まることはない」との見方が優勢だ。失業率は4.1%と統計開始以来の平均(6.3%)を大きく下回っており、雇用のひっ迫が続く中でも賃金とインフレの緩和が続いているか見極めるためには、RBAが重視している四半期消費者物価指数(CPI)を確認する必要がある。しかし、同指標は4月30日に公表が予定されており、その前に開催される次回のRBA理事会(31日-4月1日)では追加緩和に動きにくいとのシナリオが中心となっている。来週は26日に2月CPIの発表が控えているものの、市場予想から大きく乖離しない限りは豪ドル相場への影響も一時的なものにとどまるだろう。
南アフリカ・ランド(ZAR)は伸び悩む展開が予想される。付加価値税(VAT)の引き上げなどを巡って国民統一政府(GNU)内の意見対立が解消されず、依然として予算案が議会で可決されるか不透明となっているほか、南ア国内の土地政策に対して米国と対立が続いていることから相互関税に関しても手厳しい対応を取られる可能性がある。いずれもネガティブな材料であることを考慮するとZAR買いを進めづらい地合いはしばらく続きそうだ。
なお、南アフリカ準備銀行(SARB)は今週開催された金融政策委員会(MPC)で、政策金利を市場予想通り7.50%で据え置いた。6人のメンバーのうち2人が0.25%の金利引き下げを支持したことが明らかになったほか、今年のインフレ・成長率予測については小幅に下方修正された。
3月17日週の回顧
豪ドルは対ドル・対円ともに上値が重かった。対円では週前半に95円台後半まで上値を伸ばす場面もあったが、その後は伸び悩む展開となり、日米金融政策を通過した週後半には93円台前半まで押し戻された。ZARも同様に上値の重さが意識される展開となり、ZAR円は18日に8.32円の高値をつけた後、8.14円まで反落した。
◆ポンド、全般英経済指標を見極めるも、弱い数字に敏感
◆加ドル、トランプ関税によるカナダ経済減速への懸念高まる
◆加ドル、米加関係の悪化受け、新首相は欧州との関係強化に
予想レンジ
ポンド円 190.00-196.00円
加ドル円 102.00-106.00円
3月24日週の展望
来週のポンドは、英国の経済指標を見極めながらの取引となりそうだ。14日発表の1月鉱工業生産や月次国内総生産(GDP)が総じて低調だったこともあり、景気減速が一段と意識される内容なら、ポンドは下向きに敏感な反応を示しそうだ。
週初には3月製造業とサービス部門の購買担当者景気指数(PMI)速報値が発表予定。製造業PMIは2月改定値が46.9と速報値より改善したものの、2023年12月以来の低水準は変わらず。2月の値にも届かないようだと、景気に対する悲観的な見方が強まってしまうだろう。サービス部門PMIは景況判断の境目50を維持できるかがポイントとなる。
週半ばには2月英インフレ指標が発表される。前回1月分の消費者物価指数(CPI)は前年比3.0%上昇と予想よりも0.2ポイント加速し、10カ月ぶりの高い水準を記録した。同コア指数が3.7%、サービス部門のインフレに至っては5.0%と上向き基調だ。トランプ関税による物価上昇への警戒感が今後一層高まることが見込まれるなか、2月時点でもインフレ進行が確認された場合、ベイリー英中銀(BOE)総裁による金融政策の舵取りがより難しくなるだろう。他、週末28日には改定値ながら10-12月期GDPや2月小売売上高が発表予定。
加ドルは、トランプ関税の影響を意識した取引が続く。経済協力開発機構(OECD)が公表した世界経済見通しによれば、カナダの成長率予測は2025年・26年ともに2.0%増から0.7%増へと下方修正された。この予測は、4月から米国がカナダ産のほぼ全輸入品に25%の追加関税を課すことを前提としている。トランプ米大統領は、4月2日に広範な相互関税および追加のセクター別関税を課す方針を発表しており、今のところ貿易環境の改善は期待しにくい。
トランプ米大統領のもと米国は保護主義色を強めている。加えて、カナダを「米国の51番目の州」と挑発し続けており、米加関係の溝は深まるばかりだ。こうした状況を受け、カーニー・新カナダ首相は欧州との関係強化に動きだした。今週前半、初の外遊先として英仏を訪れ、これまで以上に密な関係を築く姿勢を示している。今後は、カナダの対米依存度の低下を市場がどう評価するかを注視する必要があるだろう。なお国内では、対米強硬姿勢を示すカーニー首相率いる与党自由党を支持する声が広がってきた。支持率上昇を追い風に、首相は4月下旬の早期総選挙を求める可能性があると一部メディアが報じている。
3月17日週の回顧
ポンド円は週前半に1月以来の高値圏194.90円台まで強含み。加ドル円も103円前半から一時105円台に乗せた。株式市場の反発を受けたリスク選好の外貨買い・円売りが進んだ。もっとも株式市場が失速すると、ポンド円は192円付近、加ドル円が103円前半まで下押した。
ポンドドルは英金融イベントも動意は高まらず、1.29ドル台を中心に上下した。加ドルは対ドルで、1.42加ドル後半から1.44加ドル付近まで加ドル安に振れる場面もあった。
◆ドル円、日米の金融政策会合通過も手掛かり材料乏しい
◆足元の米経済指標に再度注目が集まる
◆ユーロドル、一段高には新たな材料が必要
予想レンジ
ドル円 146.50-151.50円
ユーロドル 1.0750-1.1000ドル
3月24日週の展望
ドル円は、日米の金融政策決定会合を通過したものの、明確な方向性をつかめておらず神経質な展開が続きそうだ。日銀は予想通り政策金利を据置いた。植田日銀総裁は定例記者会見で従来通り、「経済・物価の動向次第で利上げを検討する方針」を示したが、声明でも追記されていたように米国関税政策の影響をかなり警戒しており、米国の動向を見極める慎重な姿勢が印象付けられた。市場では、次回の利上げは早くても参院選前の6月とみられており、しばらくは日銀の利上げを材料とした為替の動きは限られそうだ。
また、米連邦公開市場委員会(FOMC)では成長見通しが大きく引き下げられ、米国債の縮小ペースが引き下げられるなどハト派寄りの内容だった。一方で、来年以降のインフレ・政策金利見通しが上方修正されるなどタカ派的な部分も見られるなど、全体的にみれば強弱入り混じる内容となった。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は記者会見で米関税政策によるインフレリスクを織り込んだうえで、今後の経済への影響を注視する慎重な姿勢を示した。
結果としては、両中銀による今回の政策発表でドル円の動向を方向付けるには材料に乏しく、米政権の行方を見極めながら、今後発表される経済指標を丁寧に確認する必要があるだろう。来週は24日に3月購買担当者景気指数(PMI)速報値、25日に2月新築住宅販売件数や3月消費者信頼感指数、26日に2月耐久財受注、27日に10-12月期国内総生産(GDP)確定値、28日に2月PCEコアデフレータや3月ミシガン大消費者態度指数確報値の発表が予定されている。
ユーロドルも方向感に欠ける動きが想定される。独債務ブレーキ改憲案が可決し、財政拡張期待は引き続きユーロの支えとなりそうだが、すでに同材料を手掛かりに3月初旬から大きく上昇しただけに一段高には新たな材料が必要だろう。また、2月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値が下方修正されたことで欧州中央銀行(ECB)の利下げ観測が再び燻りだしたことも重しとなりそうだ。
3月17日週の回顧
ドル円は一進一退。週明けは148円台を中心に方向感がなかったが、日経平均株価や米長期金利の上昇をきっかけに18日には買いが強まり150円手前まで値を上げた。米関税政策への警戒感から149円台前半まで押し戻されたが、米株高・金利上昇が支えとなり150.15円まで再び上げた。ただ、FOMC後は米金利が低下したため一転して148円台前半まで失速した。
ユーロドルは上値が重かった。独財政拡大やウクライナの停戦協議進展への期待から一時1.0955ドルと昨年10月10日の高値に面合わせした。しかし、その後はトルコの政情不安やHICPの下方修正などを受けて1.0815ドルまで一転下落している。
21日の日経平均は続落。終値は74円安の37677円。
日経平均は続落。休場前の19日同様、前場は強く後場は失速した。一方、TOPIXはきょうで7日続伸。大型ハイテク株の動きがさえない一方、日本株全体でみると、日々どこかは強く買われている。半導体株の存在感が低下しており、売買代金上位の常連であったレーザーテックは、きょうはトップ20に入るのがやっとだった。今後は米国でエヌビディア株が大きく動いたとしても、日経平均への影響は小さくなってくるかもしれない。目先はグロース株を脇に置いて、バリュー株の中で買える銘柄探しの動きが活発になってくるだろう。
【来週の見通し】
方向感に欠ける展開か。木曜27日が権利付き最終日。日経平均は3月前半に大きく崩れたところから持ち直しており、権利取りの駆け込み買いは入りやすい。また、権利落ち後も配当再投資期待の買いなどが相場を下支えすると思われる。一方、4月が迫ってくることで、トランプ政権の関税に関するニュースフローには神経質となるだろう。米国では経済指標の発表が多く、米国の長期金利やドル円の振れ幅は大きくなる可能性がある。楽観にも悲観にも傾きづらく、押し目買いと戻り売りがせめぎ合う状態が続くと予想する。
【今週を振り返る】
堅調となった。下げ基調が続いていた米国株が切り返してきたことを好感して、日経平均は17日、18日と連日で3桁の上昇。18日には38000円を上回る場面もあり、下値不安が大きく後退した。日銀金融政策決定会合の結果は、大方の予想通り現状維持。結果を消化する19日は、前場では3桁の上昇となっていたが、結果を確認した後場にはマイナス圏に沈んで安値引けとなるなど、不安定な動きとなった。FOMCの結果も大方の予想通り政策金利は据え置き。休場明けの21日は強く買われる場面もあったが、連日で後場に失速して続落した。前半の上昇が貢献して、週間では大きく水準を切り上げた。日経平均は週間では約623円の上昇。週足では2週連続で陽線を形成した。
【来週の予定】
国内では、日銀金融政策決定会合の議事要旨(1/23~24開催分)、2月百貨店売上高(3/25)、2月企業向けサービス価格指数(3/26)、40年国債入札、配当・優待権利付き最終売買日(3/27)、日銀金融政策決定会合の主な意見(3/18~19開催分)、3月東京都区部消費者物価指数(CPI)(3/28)などがある。
海外の経済指標の発表やイベントでは、米3月製造業購買担当者景気指数(PMI)(3/24)、独3月Ifo景況感指数、米2月新築住宅販売件数、米3月消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード)、米2年国債入札(3/25)、米2月耐久財受注、米5年国債入札(3/26)、米10-12月期GDP改定値、米2月NAR仮契約住宅販売指数、米7年国債入札(3/27)、米2月個人所得、米2月個人消費支出(PCE)、米2月個人消費支出(PCEデフレーター)(3/28)などがある。
今週の日経225先物は、トランプ米大統領の関税を巡る発言に振らされやすくなりそうだ。トランプ政権は4月2日にも貿易相手国に同水準の関税を課す「相互関税」を発動する方針だが、トランプ大統領は21日、同関税について「柔軟性がある」との認識を示している。EU(欧州連合)は対抗措置として4月1日から米国製品に関税を課すとしていたが、中旬に先延ばしした。米国と相互に合意できる解決策を見つけるための時間を確保するもので、協議の進展如何によって相場の変動幅は大きくなりそうだ。
また、時期は明らかにしていないものの、トランプ大統領が中国の習近平国家主席と会談し、関税について協議を計画していると報じられている。グリア米通商代表部(USTR)代表が今週、中国側と協議する予定であり、その行方に関心が集まりそうである。
21日の米国市場では、主要な株価指数が上昇した。景気減速や関税への懸念、地政学リスクを巡る不透明感などから、NYダウは500ドルあまり下落する場面もみられた。その後は前述したトランプ大統領の「柔軟性がある」との発言で不安が和らぎ、買い戻しを誘った。
日経225先物はナイトセッションで開始直後に3万7470円まで買われたが、その後は下落に転じ、米国市場の取引開始時には3万7100円まで下げ幅を広げた。ただし、終盤にかけて買い戻され、一時3万7380円まで下落幅を縮める動きをみせている。
3月11日につけた3万5730円(6月限)を安値としたボリンジャーバンドの-3σからのリバウンドにより、-2σを突破。先週は17日に-1σを上抜き、翌18日には中心値(25日)を捉えた。その後は日銀の金融政策決定会合や米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えて、25日移動平均線水準での攻防が続いた。
25日線は下向きで推移しており、ナイトセッションで3万7600円まで下がってきた。同線が抵抗線として機能する状況が続くと、-1σ(3万6780円)辺りが意識されてくる可能性があろう。週足では-1σ(3万7150円)辺りでの攻防になりうそうであり、同水準を割り込む局面では、下へのバイアスが強まりやすいと考えられる。
-1σと25日線によるレンジが意識され、オプション権利行使価格の3万6875円から3万7625円のレンジを想定する。25日線を明確に上抜けてくる局面では、3万8000円が射程に入るだろう。一方で、同線が抵抗として機能するなかでも、節目の3万7000円処では押し目を拾うタイミングになりそうである。
また、21日の米国市場ではマイクロン・テクノロジー<MU>が8%を超える急落となったほか、エヌビディア<NVDA>やアドバンスト・マイクロ・デバイセズ<AMD>などハイテク株の一角が売られ、半導体SOX指数は続落した。アドバンテスト<6857.T>[東証P]や東京エレクトロン<8035.T>[東証P]など、指数インパクトの大きい値がさハイテク株が日経平均型の重荷となる可能性がある。
一方で、今週は3月期末となるため、配当志向の物色が強まりやすい。また、トランプ大統領は、空軍の次世代戦闘機「F47」の製造をボーイング<BA>が行うと発表した。また、「F47」を将来的に同盟国に性能を落としたうえで売却する考えを示した。日本では石破総理大臣が防衛大学校の卒業式で訓示し、防衛力の抜本的強化を着実に進めていく考えを示しており、三菱重工業<7011.T>[東証P]など防衛関連株への資金流入が続くことが見込まれる。
21日の米VIX指数は19.28(20日は19.80)に低下した。10日の29.57をピークに調整しており、週間(3月14日:21.77)でも低下した。19日には心理的な分かれ目となる20.00を割り込み、その後は切り返す場面もみられたが、25日線(20.84)が抵抗線として意識されてきており、連日で20.00を下回って終えている。トランプ関税の影響は不透明ながらも、カバーが強まる可能性はあるだろう。
先週末のNT倍率は先物中心限月で13.46倍に低下し、2020年4月以来の13.50倍を下回ってきた。節目の13.50倍を割り込んだことで、いったんはボトム形成が意識されてくる可能性はあるが、ハイテク株の一角が不安定な一方で、期末要因から配当志向の物色が意識されて、相対的にTOPIX型優位の展開が続く可能性がある。ただし、週足のボリンジャーでは急拡大するバンド形状で-3σに沿って低下を強めており、いつリバランスが入ってもおかしくない状況である。
3月第2週(3月10日-14日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物と先物の合算では4週連続の売り越しであり、売り越し額は5459億円(3月第1週は4141億円の売り越し)だった。なお、現物は8085億円の売り越し(同1015億円の売り越し)と4週連続の売り越しであり、先物は2626億円の買い越し(同3126億円の売り越し)と4週ぶりの買い越し。個人は現物と先物の合算で2778億円の売り越しと2週連続の売り越し。信託銀行は現物と先物の合算で279億円の買い越しとなり、4週連続の買い越し。
主要スケジュールでは、24日に米国3月製造業PMI、米国3月サービス業PMI、25日に日銀金融政策決定会合議事要旨、米国3月コンファレンスボード消費者信頼感指数、米国2月新築住宅販売件数、26日に2月企業向けサービス価格指数、米国2月耐久財受注、27日に権利付き最終売買日、1-2月中国工業企業利益、米国10-12月期実質GDP確報値、28日に日銀金融政策決定会合の主な意見、米国2月個人所得、米国2月個人消費支出などが予定されている。
<国内>
特になし
<海外>
○14:00 ◎ 2月シンガポール消費者物価指数(CPI、予想:前年比0.9%)
○17:15 ◎ 3月仏製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値(予想:46.4)
○17:15 ◎ 3月仏サービス部門PMI速報値(予想:46.3)
○17:30 ◎ 3月独製造業PMI速報値(予想:47.0)
○17:30 ◎ 3月独サービス部門PMI速報値(予想:51.6)
○18:00 ◎ 3月ユーロ圏製造業PMI速報値(予想:48.2)
○18:00 ◎ 3月ユーロ圏サービス部門PMI速報値(予想:51.0)
○18:00 ◎ ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○18:30 ◎ 3月英製造業PMI速報値(予想:46.4)
○18:30 ◎ 3月英サービス部門PMI速報値(予想:50.9)
○22:45 ◎ 3月米製造業PMI速報値(予想:51.8)
○22:45 ◎ 3月米サービス部門PMI速報値(予想:50.8)
○22:45 ◎ 3月米総?⑰MI速報値
○25日03:00 ◎ ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○25日03:30 ◎ エスクリバ・スペイン中銀総裁、講演
○25日04:10 ◎ バー米連邦準備理事会(FRB)副議長(銀行監督担当)、講演
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
大阪6月限ナイトセッション
日経225先物 37310 -90 (-0.24%)
TOPIX先物 2770.5 -7.0 (-0.25%)
シカゴ日経平均先物 37355 -45
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
21日の米国市場はNYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が上昇。貿易戦争や世界経済の混乱が警戒されるなか、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁やシカゴ連銀のグールズビー総裁が講演で、金融政策の変更を急がない姿勢を示し、米連邦準備理事会(FRB)の利下げが想定より先になるとの見方から売られる場面もあった。その後、トランプ米大統領は相互関税を巡り「柔軟性がある」との認識を示したほか、中国の習近平国家主席と会談し、関税について協議を計画していると報じられたことを受けて買いに転じた。
NYダウ構成銘柄では、ボーイング<BA>、アップル<AAPL>、マイクロソフト<MSFT>、JPモルガン・チェース<JPM>、ユナイテッドヘルス・グループ<UNH>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>が上昇。一方で、ナイキ<NKE>、メルク<MRK>、コカ・コーラ<KO>、ホーム・デポ<HD>が売られた。S&P500業種別指数は自動車・同部品、テクノロジー・ハード・機器、メディアが上昇した半面、耐久消費財・アパレル、不動産、素材が下落。
シカゴ日経平均先物(6月限)清算値は、大阪比45円安の3万7355円だった。日経225先物(6月限)のナイトセッションは、日中比20円高の3万7420円で始まり、3万7470円まで買われた後に軟化し、3万7260円~3万7360円辺りでのレンジ推移を継続。米国市場の取引開始時にレンジを下抜けると、3万7100円まで売られる場面もみられた。ただし、中盤以降はショートカバーが優勢となるなか、終盤にかけて3万7380円まで下げ幅を縮める場面もあり、3万7310円でナイトセッションの取引を終えた。
シカゴ先物にサヤ寄せする形から、やや売り先行で始まることになりそうだ。先週の日経225先物はボリンジャーバンドの-1σ突破から25日移動平均線を捉えたが、同線が抵抗線として意識されやすい。トランプ政権は4月2日にも貿易相手国に同水準の関税を課す「相互関税」を発動する方針だが、トランプ大統領の関税を巡る発言が警戒されるなか、積極的なロングは手控えられるだろう。
ただし、相互関税は一部の国・地域は除外される見込みとも報じられており、市場の不安が和らぐ可能性がありそうだ。そのため、ショートも仕掛けづらいなか、押し目狙いのロング対応に向かわせそうである。25日線水準では強弱感が対立すると考えられ、オプション権利行使価格では、3万7000円から3万7625円でのレンジを想定する。
21日の米国市場ではマイクロン・テクノロジー<MU>が8%を超える急落となったほか、エヌビディア<NVDA>やアドバンスト・マイクロ・デバイセズ<AMD>などハイテク株の一角が売られ、半導体SOX指数は続落した。アドバンテスト<6857.T>[東証P]や東京エレクトロン<8035.T>[東証P]など、指数インパクトの大きい値がさハイテク株が日経平均型の重荷となる可能性がある。
また、21日の米VIX指数は19.28(20日は19.80)に低下した。25日線(20.84)が抵抗線として意識されてきており、連日で20.00を下回って終えている。トランプ関税の影響は不透明ながらも、カバーが強まる可能性はあるだろう。
先週末のNT倍率は先物中心限月で13.46倍に低下し、2020年4月以来の13.50倍を下回ってきた。ハイテク株の一角が不安定な一方で、期末要因から配当志向の物色が意識されて、相対的にTOPIX型優位の展開が続く可能性がある。
21日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、欧米株価指数の下落や米長期金利の低下を受けて148.61円付近まで値を下げた後、ダウ平均や米長期金利の上昇に連れて149.37円付近まで反発した。ユーロドルは1.0861ドルから欧州株価の下落を背景に1.0798ドルまで下落した。ユーロ円は160.75円から161.61円付近まで上昇した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、米長期金利が低下基調にあることで上値が重い展開が予想される。
19日の日米金融政策決定会合を受けて、6月の日銀追加利上げ観測、FOMCの追加利下げ観測が高まっており、ドル・円の上値を重くしている。
注目されているIMM通貨先物の投機部門の円のネットの買い持ちポジションは、3月11日時点の過去最大の133902枚から、18日時点では122964枚まで減っていた。ドル円が19日に150.15円まで上昇したことで、さらに縮小しているかもしれない。依然として投機筋が大規模な円の買い持ちポジションを抱えている可能性があるため、ドル高・円安材料が出た場合は、手仕舞う動きには警戒しておきたい。
日銀金融政策決定会合の声明文は、「各国の通商政策」がリスク要因に加えられたことは、ハト派的だった。しかし、植田日銀総裁が「4月初めには通商政策の内容がある程度でてくる。次回の決定会合ないし展望リポートの中である程度消化できる」と述べて、「4月初め」や「次回会合(4/30-5/1)」という時間軸を示したことがタカ派的と受け止められて、円買い要因となっている。
なお、オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)市場での日銀の追加利上げのタイミングは、7月の参議院選挙の前の6月16-17日の日銀金融政策決定会合との見方が優勢だ。
トランプ米大統領は、先週末に4月2日に導入する予定の相互関税について「柔軟性がある」との認識を示しており、植田日銀総裁の発言に現実味を帯びさせている。今後は、4月2日に向けて、トランプ米大統領による関税の発動、延長、緩和などの発言に振らされる展開が予想される。
米連邦公開市場委員会(FOMC)では、トランプ関税によるインフレ率上昇と景況感悪化という「スタグフレーション」への警戒感が示され、4月からの米国債のランオフ(償還に伴う保有証券減少)ペースの上限が月間250億ドルから50億ドルに減額、すなわち間接的な利下げが決定されたことは、ドル売り要因となっている。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」が示している追加利下げ時期は、6月FOMC(-0.25%=4.00-25%)、そして9月FOMC(-0.25%=3.75-4.00%)、12月FOMC(-0.25%=3.50-75%)と、年内3回と予想されている。
東京市場は堅調か。先週末の米国株は上昇。ダウ平均は32ドル高の41985ドルで取引を終えた。一時500ドル超下げたものの早い時間に底打ちして持ち直し、終盤にプラス圏に浮上した。トランプ大統領が4月2日に発動する相互関税について柔軟に対応するとの見方を示したことが押し目買いを誘った。ドル円は足元149円60銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが大証日中終値と比べて45円安の37355円、ドル建てが50円高の37450円で取引を終えた。
米国株は小幅高であったが、引け味が良かったことから日本株も連れ高すると予想する。米国ではエヌビディアは小幅に下落したが、アップルなど大型グロース株の多くには買いが入った。また、テスラやボーイングが大きく上昇している。半導体株は敬遠されるかもしれないが、ハイテク・景気敏感株ともに買える要素がある。ドル円も円安気味で落ち着いている。概ね良好な外部環境を受けて、場中はしっかりとした動きが続くだろう。日経平均の予想レンジは37500円-37950円。
先週末のドル円は、日米の金融政策をこなした後のポジション調整が中心。欧州時間は米長期金利の上昇につれて149.66円まで値を上げる場面もみられましたが、欧米株価の下落や米10年債利回りが一転して4.1984%まで低下するにつれて148.61円まで値を下げました。ただ、アジア時間の安値148.59円が下値の目処として意識されたほか、500ドルを超える下落となっていたダウ平均がプラス圏を回復すると、米10年債利回りも欧州時間の4.2539%まで回復。引けにかけては149.37円まで買戻されて週末の取引を終えました。
週明け早朝のオセアニア市場では、全く流動性のないなかで149.02円まで値を下げたものの、東京勢が参入すると同時に実需勢の買いが先行。日経平均先物が堅調に始まるなか先週末高値を上抜けて一時149.71円まで上昇。その後は株価の失速から149.46円まで下押ししたものの、市場では「期末が近いとあって本邦実需の買いがかなり出ている」との声も聞かれるなか149.95円まで戻り高値を更新しているといったところです。
いずれにしても、先週でメインイベントを終了した市場にとっては、期末要因といった実需のフローが基本。また、これだけ下値を切り上げてきている中にあっても、ドル円の投機筋のショートポジションは、18日時点でまだまだ122964枚(円ロング)も残っている状況が確認されているわけで、淡々とかかる調整の買戻しが進んでいくことになりそうです。
目先は一目基準線の149.47円や本日安値の149.02円、または一目転換線の位置する148.79円がサポートレベル。上値は19日の高値150.15円や5日の高値150.18円がとりあえずの目処となっていますが、週足の一目雲上限である150.77円や3日の高値151.30円、200日MAの151.78円、50日MAの151.80円を意識しながらの展開となっていきそうです。
日経225先物は11時30分時点、前日比20円高の3万7420円(+0.05%)前後で推移。寄り付きは3万7520円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万7355円)を上回り、やや買い先行で始まった。現物の寄り付き直後には3万7590円まで上げ幅を広げた。ただし、下向きで推移する25日移動平均線(3万7600円)が抵抗線として機能するなか、中盤にかけて軟化し3万7380円と下落に転じる場面もみられた。中盤以降は、3万7400円~3万7500円辺りでの保ち合いを継続。
トランプ米大統領が相互関税を巡り「柔軟性がある」との認識を示したほか、一部の国・地域は除外される見込みと報じられるなか、日経225先物はロング優勢で始まった。ただ、足もとで抵抗線として機能している25日線突破を狙ったロングの動きはない。一方で、ショートを仕掛けてくる動きも限られており、狭いレンジでの推移をみせている。オプション権利行使価格では3万7500円を挟んだ上下の権利行使価格の3万7375円と3万7625円で推移。レンジ下限での押し目狙いのロングに対して、レンジ上限での戻り待ち狙いのショートに向かわせよう。
NT倍率は先物中心限月で13.53倍に上昇している。前週末に2020年4月以来の13.50倍を下回ったことで、いったんはボトム形成を意識したリバランスの動きが入ったようだ。ソフトバンクグループ<9984.T>[東証P]、ファーストリテイリング<9983.T>[東証P]が日経平均型を支えている。
「QTの減速は憂慮すべき兆候である」(サマーズ元米財務長官)
1月28-29日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)では、タカ派的な据え置きが決定されたが、政府債務の上限引き上げを巡る問題が解決するまでバランスシート圧縮を一時停止または減速させる可能性も議論された。
3月18-19日のFOMCでは、米国債のランオフ(償還に伴う保有証券減少)ペースの上限を月間250億ドルから50億ドルに減額、すなわち、間接的な利下げを決定した。
反対したウォラーFRB理事は、「準備金が『十分』な水準に近づくのに伴い、保有証券の償還をさらに減速あるいは停止するというのは適切だろう。しかし、私の見解ではまだその段階にはない。準備残高は3兆ドルを超えている。この水準は『潤沢』だ」と述べた。
1.FRBの量的金融引締政策(QT:Quantitative tightening)
FRBのバランスシートは、量的金融緩和政策(QE:Quantitative Easing)により、2020年春の約3兆7600億ドルから、新型コロナウイルスのパンデミック期に約4兆6000億ドルの債券を購入して、2022年夏の8兆9655億ドルまで倍増した。そして、量的金融引締政策(QT:Quantitative tightening)の開始により、毎月950億ドル規模の保有する国債と住宅ローン担保証券の削減が行われており、2025年2月には、6兆8000億ドルまで減少している。しかし、新型コロナウイルス感染症流行前の水準の約4兆ドルを依然として大きく上回っている。
FRBによるインフレ抑制のための利上げは、2023年7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でのFF金利誘導目標5.25-50%への引き上げで終了し、現状は、4.25-50%までの利下げサイクルに入っている。
すなわち、政策金利は緩和政策だが、量的金融政策面では、引締め政策となっていた。
2.債務上限(財務省)対 QT(FRB)
FRBがQTを進める上での最大の難点は、米国政府の借り入れ額を制限する債務上限となる。米財務省はFRBの口座にある資金を支払いに充てており、これによりシステムに流動性が追加されている。しかし債務上限が引き上げられた場合、システムから流動性が再び引き出されることになる。
FRBは債務上限問題に応じて資金市場で金利上昇が起きる危惧に対して、QTを減速または一時停止することで、プロセスをスムーズに最終段階に移行するための余裕が生まれる。
3米国債のランオフ(償還に伴う保有証券減少)のペース
【米国債】【住宅ローン担保証券MBS】
・2025年4月:400億ドル=50億ドル+350億ドル
・2024年6月:600億ドル=250億ドル+350億ドル
・2024年6月:950億ドル=600億ドル+350億ドル
本日のロンドン為替市場では、欧州の3月製造業やサービス部門の購買担当者景気指数(PMI)速報値を確認しながらの取引か。また、先週メルトダウンしたトルコの株や債券市場の動向にも目を向け、トルコ発のリスクにも警戒しておきたい。
仏・独・ユーロ圏の製造業とサービス部門PMI速報値は、総じて前回から改善が市場予想。注目ポイントの1つは、欧州で最大の経済規模をほこるドイツの製造業PMIか。予想47.0に沿った結果となれば3カ月連続の上昇となり、景況判断の境目となる50も視野に入ってくる。
欧州経済の懸念材料は何と言ってもトランプ関税だが、米政権の一方的な圧力はやや弱まりつつある。来月2日に発表される広範な相互関税についてトランプ大統領は先週末、「柔軟性がある」との認識を示した。また一部報道によれば、米政府は輸入自動車への関税強化の正式発表なども2日に行わないもよう。そういったなかで欧州の景気指標が強い場合、ユーロを買い戻す動きが進むかもしれない。
また、ウクライナ停戦を巡る交渉状況もユーロ相場の材料となり得る。23日には米国とウクライナがサウジアラビアで専門家会合を開き、本日は米露協議が行われるもよう。先行き不透明感は拭えないものの、米政府は来月20日までの停戦合意を目指しているとされ、「もし」何らかの進展が見られるようならユーロの支えとなるか。
トルコについて、先週拘束されたイマモール・イスタンブール市長が汚職容疑で正式に逮捕され、裁判所は正式な裁判開始前に刑務所に収監することを決定した。これに対する抗議運動が広がり、国内混乱から週明けの金融市場も荒れることが予想されるなか、規制当局は株式の全銘柄の空売りを禁止した。くわえて、自社株買いルールの緩和もしている。
なおトルコの最大野党・共和人民党(CHP)は23日、次期大統領選に向けた予備選を行い、イマモール氏が正式に党の候補者に選ばれたことを発表した。5年に1度行われる大統領選は、次回2028年が予定されている。ただし、野党側は早期選挙を要求するもよう。いずれにせよ、エルドアン大統領にとって最大の政敵と見られていた人物の逮捕に端を発した混迷は暫く収まりそうになく、トルコ資産の買いづらさは続きそうだ。
想定レンジ上限
・ユーロドル、20日高値1.0917ドル
・リラ円、18日高値4.08円
想定レンジ下限
・ユーロドル、21日安値1.0798ドルを下抜けると200日線1.0726ドル
・リラ円、20日安値3.85円を割り込むと19日につけた過去最安値3.61円
ドル円:1ドル=149.69円(前営業日NY終値比△0.37円)
ユーロ円:1ユーロ=162.09円(△0.54円)
ユーロドル:1ユーロ=1.0828ドル(△0.0010ドル)
日経平均株価:37608.49円(前営業日比▲68.57円)
東証株価指数(TOPIX):2790.88(▲13.28)
債券先物6月物:137.84円(▲0.19円)
新発10年物国債利回り:1.535%(△0.015%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
特になし
(各市場の動き)
・ドル円は下値が堅い。早朝のオセアニア市場では149.02円まで売りが先行したものの、節目の149円を前に下げ止まると、本邦勢参入後は買い戻しが優勢に。時間外の米10年債利回りが上昇したことも支えとなり、11時前には一時149.95円まで買い上げられた。一方で150円を超えるほどの勢いはなく一巡すると149.50円台まで伸び悩んでいる。植田日銀総裁が「今後の金融調節で国債売却を排除しているわけではない」と発言し、本邦金利先高感が意識された面もあったか。
・ユーロ円は買い戻し。早朝取引で161.10円まで下げた後はドル円の反発とともに東京勢参入後はショートカバーが活発化。先週末高値の162.13円を上抜けて162.32円まで上昇した。
・ユーロドルは小高い。ユーロ円が大きく買い戻された場面で一時1.0840ドルまで上げたが、東京市場では大きな方向感が出なかった。
・日経平均株価は3日続落。先週末の米国株高を受けて買いが先行したものの、米関税政策が世界に及ぼす影響が引き続き意識されたため上値は限られた。その後は前週末終値を挟んで方向感がなかった。
・債券先物相場は3日続落。時間外で米国債が売られた影響から日本国債もつれ安となった。
みずほ証券では今後の米国の金融政策に関して、次回5月6日~7日のFOMCで金利据え置きの後、次々回の6月FOMCで追加利下げが行われると予想している。インフレ率の伸び鈍化が続く見通しであることや、2025年央にかけては米関税政策の詳細が発表され、同政策をめぐる不透明感が和らぐとみることなどを考慮している。米長期金利については、目先は4.3%~4.4%程度での高止まりを見込んでいるが、25年末時点では4.1%程度を予想している。
大阪6月限
日経225先物 37350 -50 (-0.13%)
TOPIX先物 2761.5 -16.0 (-0.57%)
日経225先物(6月限)は前日比50円安の3万7350円で取引を終了。寄り付きは3万7520円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万7355円)を上回り、やや買い先行で始まった。現物の寄り付き直後には3万7590円まで上げ幅を広げた。ただし、下向きで推移する25日移動平均線(3万7600円)が抵抗線として機能するなか、前場中盤にかけて軟化し3万7380円と下落に転じる場面もみられた。前場中盤以降は、3万7380円~3万7450円辺りでの保ち合いを継続。後場終盤にかけてレンジを下抜ける形となり、3万7310円まで売られる場面もあった。
トランプ米大統領が相互関税を巡り「柔軟性がある」との認識を示したほか、一部の国・地域は除外される見込みと報じられるなか、日経225先物はロング優勢で始まった。ただ、足もとで抵抗線として機能している25日線突破を狙ったロングの動きはない。一方で、ショートを仕掛けてくる動きも限られており、狭いレンジでの推移となった。
また、日経平均株価は寄り付きを高値にこう着感の強い相場展開となり、本日の安値で取引を終えた。足もとで買われていた金融株や商社株が利食いに押される展開だったこともあり、リバランスの動きが中心だったと考えられる。そのなかで、米ヘッジファンドのエリオット・インベストメント・マネジメントによる株式取得が伝えられた住友不動産<8830.T>[東証P]が10%超の上昇となり、他の不動産株へ買いが波及していた。思惑的な売買で大きく変動する状況であり、先物市場においてはスキャルピング中心のトレードに向かわせそうだ。
日経225先物の25日線は、ナイトセッションで3万7540円辺りまで低下しており、節目の3万7500円水準が抵抗線として意識されてくる可能性はありそうだ。早い段階で同線をクリアできないと、3万7000円とのレンジ推移となり、次第にボリンジャーバンドの-1σ(3万6770円)辺りが射程に入ってくる可能性もある。
トランプ政権は4月2日にも貿易相手国に同水準の関税を課す「相互関税」を発動する方針であるが、一部の国・地域は除外される見込みと報じられるなか、ショートも仕掛けにくい需給状況だ。そのため、25日線接近では戻り待ち狙いのショートでの対応になりそうだが、スタンスとしては押し目待ち狙いのロングを想定しておきたい。
NT倍率は先物中心限月で13.52倍に上昇した。前週末に2020年4月以来の13.50倍を下回ったことで、いったんはボトム形成を意識したリバランスの動きが入ったようだ。ソフトバンクグループ<9984.T>[東証P]が日経平均型を支えた半面、メガバンクの下げがTOPIX型の重荷となった。
手口面(6月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万1107枚、ソシエテジェネラル証券が9297枚、サスケハナ・ホンコンが3455枚、バークレイズ証券が1916枚、日産証券が1433枚、JPモルガン証券が1254枚、ゴールドマン証券が1081枚、SBI証券が884枚、松井証券が791枚、モルガンMUFG証券が791枚だった。
TOPIX先物は、ABNクリアリン証券が1万6949枚、ソシエテジェネラル証券が1万3580枚、バークレイズ証券が5169枚、JPモルガン証券が4388枚、モルガンMUFG証券が3423枚、ゴールドマン証券が3374枚、ビーオブエー証券が2031枚、UBS証券が1219枚、ドイツ証券が1182枚、サスケハナ・ホンコンが1158枚だった。
本日の東京タイムではトランプ関税への過度な警戒感が緩み、ドル円は買いが優勢となった。トランプ米大統領は先週末に相互関税を巡り「柔軟性がある」との認識を示した。トランプ大統領は広範な相互関税を4月2日に発表する予定だが、一部の国・地域は除外すると見込まれている。また一部では、トランプ米政権が検討する輸入自動車への追加関税について2日の正式発表を見送る予定と報じられ、半導体や医薬品など、自動車以外の分野別関税の発表も2日には予定されていないという。
ただ、トランプ大統領の発言は二転三転するだけに、関税の不透明感は払しょくされたわけではない。トランプ政権が引き起こした通商摩擦は、相手国による報復関税も含めて世界経済を減速させる恐れがあり、投資家のリスク選好志向は高まりにくいままである。トランプ米政権の相互関税の発表を控え、中国の李強首相は、同国が「予想を超える衝撃」に備えていると述べた。トランプ米大統領のディール目的の関税政策がこれまで米株の大幅下落や相手国の予想以上の素早い反発を招いただけに、同氏が今後も強気で関税政策を攻めていけるかどうかも不確実だ。
本日のNYタイムでは3月の製造業・サービス業PMI速報値の発表や、バー米連邦準備理事会(FRB)理事の講演が予定されているが、引き続き関税関連のヘッドラインに注目する動きが予想される。関税関連のニュースがなければ、ドル円は米株や米金利の動向を眺めながらの小動きにとどまるか。関税の不確実性で、ドル円に積極的に買い進める余地は少ないと見ている。
・想定レンジ上限
ドル円、本日これまでの高値149.95円や3月5日高値150.18円を上値めど。
・想定レンジ下限
ドル円、本日これまでの安値149.02円や先週末21日の安値148.59円が下値めど。
トランプ米大統領は21日、中国の習近平国家主席と貿易問題について協議する考えを明らかにした。ホワイトハウスの大統領執務室で記者団に対し「習国家主席と話すつもりだ。彼とは素晴らしい関係を築いているが、わが国は1兆ドルの赤字を抱えている」と語った。会談時期については言及していない。ロイター通信が21日伝えた。
また、米国が貿易相手国に同水準の関税を課す「相互関税」などの導入を4月2日に控え、トランプ氏は米通商代表部(USTR)のジェミソン・グリア代表が翌週に中国側の通商担当閣僚と協議する計画を明らかにした。ただ、協議の狙いや、1月に導入した中国からの輸入品に対する20%の追加関税を取り消す可能性については明言しなかった。
今週のNY市場は不安定な展開か。先週はダウ平均が497.16ドル高(+1.20%)と3週ぶりに反発し、S&P500は0.51%高、ナスダック総合も0.17%高とともに5週ぶりに反発した。米連邦公開市場委員会(FOMC)で年内2回(0.50%)の利下げ見通しが維持されたことが安心感につながったほか、関税を巡って新たなニュースが無かったことで買い戻しが優勢となった。ただ、3月月初来ではダウ平均が4.23%安、S&P500が4.82%安、ナスダック総合が5.64%安となり、年初来でも3指数がそろってマイナス圏となった。
今週はトランプ関税を巡る不透明感が重しとなり不安定な展開か。4月2日に発動される自動車関税や相互関税を巡り、トランプ米大統領の発言が二転三転しており、トランプ関税の詳細が判明するまでは警戒感が続きそうだ。また、足もとの物価や景気動向を巡り経済指標にも注目が集まる。物価動向を巡っては金曜日に2月個人消費支出(PCE)価格指数が発表予定で、米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注視するコアPCE価格指数を受けた利下げ見通しが焦点となりそうだ。景気動向を巡っては木曜日に10-12月期国内総生産(GDP)確報値が発表されるほか、月曜日発表の3月S&Pグローバル製造業・サービス業PMI速報値、火曜日の3月消費者信頼感指数、2月新築住宅販売件数、木曜日の新規失業保険申請件数、金曜日の3月ミシガン大消費者信頼感指数確報値などにも要注目となる。
今晩の米経済指標・イベントは2月シカゴ連銀全米活動指数、3月S&Pグローバル製造業・サービス業・総?⑰MI速報値など。主要な企業の決算発表はなし。
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・西?M 徹氏
ロシア中銀、プーチン氏の「クギ」を受けて3会合連続で金利据え置き
利上げの可能性に含みも、停戦協議の行方に加え、政府の「圧力」にも注意を払う必要がある
ロシア中銀は21日の定例会合で政策金利を3会合連続で21.00%に据え置いた。ロシアは戦時経済が丸3年を超えるなかで戦争が一大産業化する状況が続いているが、昨年の経済成長率は+4.5%と加速するなど堅調な推移をみせる。他方、一昨年半ば以降のインフレ高進を受けて中銀は断続利上げに動いたが、昨年12月にプーチン大統領がクギを刺したことを受けて中銀は金利を据え置いてきた。足元のインフレは一段と上振れする展開をみせているにもかかわらず、中銀は金利を据え置く難しい対応を迫られている。
会合後に公表した声明文では、中銀は来年のインフレが目標に収束する前提条件が揃っているとしつつ、利上げに含みを持たせる考えをみせる。他方、足元のルーブル相場は停戦協議への期待を追い風に底入れしており、そのことがインフレ鈍化を促す可能性に言及する一方、中期的な物価リスクは上向きに傾いているとの認識を示している。同行のナビウリナ総裁も停戦協議の行方を注視する考えをみせるが、現時点で過度な期待を抱くことは難しいのが実情であろう。また、今回の定例会合直前にもプーチン氏は中銀にクギを刺す動きをみせており、今後の政策運営を巡って独立性が脅かされる可能性に要注意と捉えられる。
日経平均株価は続落。25日移動平均線(37835円 3/24)に上値を抑えられる展開となり、安値引けの陰線を形成した。
RSI(9日)は前日の73.8%→68.3%(3/24)に低下。下向きで推移する25日移動平均線が上値抵抗になる動きは想定内である。5日移動平均線(37655円 同)を下回る引けとなったが、先週末からの見方に大きな変化はない。目先は下への揺り戻しが続く可能性もあるが、3/7や2/28の急落で形成したマドを埋め戻す強いリバウンドが続いたことで、底入れ期待が一段と強まる動きになっている。あすは再び上向きに転じる転換線(37057円 同)が上値への刺激になるかが注目される。
上値メドは、25日移動平均線、200日移動平均線(38571円 同)、心理的節目の39000円、2/13高値(39581円)などがある。下値メドは、10日移動平均線(37276円 同)、心理的節目の37000円、3/14安値(36594円)、心理的節目の36000円、9/17安値(35828円)などがある。
(24日終値:25日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=150.60円(24日15時時点比△0.91円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=162.46円(△0.37円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0787ドル(▲0.0041ドル)
FTSE100種総合株価指数:8638.01(前営業日比▲8.78)
ドイツ株式指数(DAX):22852.66(▲39.02)
10年物英国債利回り:4.713%(△0.001%)
10年物独国債利回り:2.771%(△0.006%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
3月仏製造業PMI速報値
48.9 45.8
3月仏サービス部門PMI速報値
46.6 45.3
3月独製造業PMI速報値
48.3 46.5
3月独サービス部門PMI速報値
50.2 51.1
3月ユーロ圏製造業PMI速報値
48.7 47.6
3月ユーロ圏サービス部門PMI速報値
50.4 50.6
3月英製造業PMI速報値
44.6 46.9
3月英サービス部門PMI速報値
53.2 51.0
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ユーロドルは頭が重かった。3月仏製造業・サービス部門購買担当者景気指数(PMI)速報値が予想より強い内容だったことを受けて買いが先行。17時30分前に一時1.0858ドルと日通し高値を付けた。
ただ、3月独・ユーロ圏サービス部門PMI速報値が予想より弱い内容だったことが伝わると徐々に上値が重くなった。NY市場に入り、3月米製造業PMI速報値は予想を下回ったものの、サービス部門PMI速報値が予想を上回ったことが分かると全般ドル買いが進行。米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.33%台まで上昇したこともドル買いを促し、一時1.0782ドルと日通し安値を付けた。
なお、主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時104.44まで上昇した。
・ドル円は底堅い動き。19時30分過ぎに一時149.50円付近まで下押しする場面もあったが、売り一巡後は徐々に強含んだ。NY市場に入り、米サービス部門PMI速報値の上振れをきっかけに全般ドル買いが進むと、19日の高値150.15円や5日の高値150.18円を上抜けて上昇に弾みが付いた。1時前には150.76円まで上値を伸ばした。ダウ平均が一時600ドル近く上昇するなど、米国株が堅調に推移したことも円売り・ドル買いを促した。
・ユーロ円はやや強含み。ドル円の上昇につれた買いが入ると一時162.82円と本日高値を付けたものの、ユーロドルの下落につれた売りも出たため、上値は限定的だった。
・ロンドン株式相場は小幅ながら3日続落。時間外のダウ先物の上昇などを受けて買い先行で始まったものの、徐々に売りが優勢になると下げに転じた。アストラゼネカやグラクソスミスクラインなど医薬品株が売られたほか、ボーダフォン・グループなど電気通信サービス株が値下がりした。半面、銅先物相場の上昇を受けてアングロ・アメリカンなど素材株が買われた。
・フランクフルト株式相場は4日続落。米政権が「相互関税」について柔軟な姿勢を示す可能性が意識されると買いが先行して始まったものの、そのあとは次第に売りが優勢となり下げに転じた。個別ではバイエル(6.94%安)やバイヤスドルフ(4.17%安)、ボノビア(3.77%安)などの下げが目立った。
・欧州債券相場は下落。米債安につれた。
24日の日経平均は3日続落。終値は68円安の37608円。前週末の米国株高を受けて、3桁上昇スタート。しかし、寄り付きを高値に急失速し、マイナス圏に沈んだ。いったん盛り返したものの、買いが続かず再びマイナス転換。前場を横ばいで終えると、後場は狭いレンジでプラス圏とマイナス圏を行き来した。一桁の下落でクロージングオークションに突入するも、そこから大きく水準を切り下げ、安値引けとなった。
東証プライムの売買代金は概算で3兆7800億円。業種別では不動産、繊維、非鉄金属などが上昇した一方、銀行、機械、鉄鋼などが下落した。住友不動産<8830.T>が後場急騰。エリオット・インベストメント・マネジメントによる株式取得観測報道が刺激材料になっており、三井不動産<8801.T>や三菱地所<8802.T>など他の不動産株にも買いが波及した。半面、運営する老人ホーム「医心館」における不正観測が報じられたアンビスホールディングス<7071.T>が、場中は値が付かずストップ安比例配分となった。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり476/値下がり1105。主力どころではソフトバンクGやフジクラが大幅上昇。アシックスやミズノなどスポーツ関連の一角に資金が向かった。メタプラネットが商いを伴って7%近い上昇。通期の純利益見通しを引き下げたものの、期末の配当見通しの大幅引き上げが好感された太陽HDが一時ストップ高となるなど急騰した。
一方、三菱UFJや三井住友など銀行株が全般軟調。SCREEN、アドバンテスト、ディスコなど半導体株も下落銘柄が多かった。下方修正を発表した交換できるくんが大幅安。運営する「すき家」において異物混入報道に関するコメントを出したゼンショーHDが5%を超える下落となった。
本日グロース市場に新規上場したミライロは、買いが殺到して初値は持ち越しとなった。
日経平均は3日続落。19日と21日は前場堅調、後場軟調であったが、きょうはスタートだけが堅調であった。19日は安値引けで、21日は大引けが後場の安値。そしてきょうは、寄り付き天井で安値引け。特に後場が弱い日が続いている。トランプ関税の影響が読み切れない上に、3月に権利が確定する銘柄は週末には権利落ちで見た目の水準が大きく切り下がると思われるだけに、このタイミングで敢えてトレードする理由は乏しい。クロージングオークションで一段安となることへの懸念が払しょくされるまでは上値の重い状態が続くだろう。安値引けとはいえ大幅安ではないだけに、底堅く推移できるかは注目される。きょうの終値は37608円。直近で38000円を上回った場面もあっただけに、37500円辺りでは踏みとどまってほしいところだ。
(24日終値)
ドル・円相場:1ドル=150.70円(前営業日比△1.38円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=162.78円(△1.23円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0801ドル(▲0.0017ドル)
ダウ工業株30種平均:42583.32ドル(△597.97ドル)
ナスダック総合株価指数:18188.59(△404.54)
10年物米国債利回り:4.33%(△0.08%)
WTI原油先物5月限:1バレル=69.11ドル(△0.83ドル)
金先物4月限:1トロイオンス=3015.6ドル(▲5.8ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
3月米製造業PMI速報値
49.8 52.7
3月米サービス部門PMI速報値
54.3 51.0
3月米総?⑰MI速報値
53.5 51.6
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は3日続伸。3月米製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値は49.8と予想の51.8を下回ったものの、サービス部門PMI速報値が54.3と予想の50.8を上回ると円売り・ドル買いで反応。19日の高値150.15円や5日の高値150.18円を上抜けると上昇に弾みが付き、1時前に一時150.76円まで上値を伸ばした。米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.33%台まで上昇したことも相場の支援材料。
週足の一目均衡表雲上限が位置する150.77円がレジスタンスとして意識されるといったんは上昇が一服。150.49円付近まで伸び悩む場面もあったが、下押しは限定的だった。
・ユーロドルは小幅ながら4日続落。米サービス部門PMI速報値の上振れをきっかけに米長期金利が上昇すると全般ドル買いが進行。1時30分過ぎに一時1.0782ドルと日通し安値を更新した。主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時104.44まで上昇した。
ただ、トランプ米大統領が「関税で多くの国に猶予を与えるだろう」と発言すると、市場の過度な警戒感が和らぎ1.0813ドル付近まで下げ渋った。
なお、トランプ米大統領は4月2日に導入するとしている相互関税について「柔軟性がある」との認識を前週末21日に示していたほか、複数の米メディアは「相互関税」について「対象国が絞り込まれる可能性がある」と報じていた。
・ユーロ円は続伸。ドル円の上昇につれた買いが優勢となり、5時30分前に一時162.83円と本日高値を付けた。ダウ平均が一時650ドル超上昇するなど、米国株が堅調に推移したことも円売り・ユーロ買いを促した。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は大幅に続伸。「米相互関税の対象を限定」との一部報道が伝わったほか、NY午後にはトランプ米大統領が減免措置を多くの国々に与える可能性について言及。関税を巡る過度な警戒が後退し、主力株に買いが集まった。指数は一時650ドル超上昇する場面があった。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も大幅続伸。
・米国債券相場で長期ゾーンは続落。トランプ米大統領が4月2日にも発動するとしていた「相互関税」について柔軟に対応する可能性を示すと、関税を巡る過度な警戒が後退。米国株相場が大幅に上昇し、相対的に安全資産とされる米国債に売りが出た。3月米サービス部門PMI速報値が予想を上回ったことも相場の重し。
・原油先物相場は続伸。トランプ米大統領が、4月2日にも発動するとしていた「相互関税」について柔軟に対応する可能性を示した。エネルギー需要を圧迫するような世界景気の後退は回避できるとの期待感も浮上し、原油相場の下支え要因となった。しかしトランプ政権の政策についての不透明感は依然として強い。ドル高がドル建て原油相場の割高感にもつながったこともあり、原油相場の上昇力は鈍かった。
・金先物相場は続落。ドル上昇を受けてドル建て金相場に割高感が生じて売り優位に。金利上昇も金利が付かない資産である金の相対的な投資妙味を弱める要因となった。
24日10:52 加藤財務相
「為替、ファンダメンタルズを反映して安定的に推移すること重要」
「為替、行き過ぎた動きに対しては適切に対応」
24日14:08
(FT紙)「日本はまだデフレを克服できていない」
24日10:54 内田日銀副総裁
「経済見通し実現していけば引き続き利上げして金融緩和度合い調整」
「日銀は2%物価目標の持続的・安定的実現の観点から金融政策を行っている」
24日10:54 植田日銀総裁
「長期国債、ただちに市場で売却はできない 少しずつ削減を進めている」
「保有ETFの評価益、24年度上半期で33兆円」
「保有ETFの評価益、日経平均1000円下落なら1.8兆円減少」
「通貨の信認は適切な金融政策で物価安定を図ることを通じて確保されるもの」
「政策目的は物価の安定、財務への配慮で政策の遂行妨げられることはない」
24日15:24
「今後の金融調節で国債売却を排除しているわけではない」
24日16:42 チポローネ欧州中央銀行(ECB)専務理事
「ECBの追加利下げ根拠、3月以降さらに強まった」
「現在の状況では、さらなる金融緩和が考えられる」
「インフレ目標は前回の予測よりも早く達成される可能性」
24日20:01 マクルーフ・アイルランド中銀総裁
「現在、極度の不確実性が見られる」
「金融政策においては慎重かつ用心深くなければならない」
24日23:46 トランプ米大統領
「ベネズエラ産石油の購入国に25%の副次的関税を発動する」
25日01:29
「自動車関税について間もなく発表する」
「医薬品についてはある時点で発表する」
「FRBが金利を下げることを願う」
「エネルギー価格は下がる」
25日04:04
「関税で多くの国に猶予を与えるだろう」
25日02:49 ボスティック米アトランタ連銀総裁
「今年は2回の利下げを予想していたが、今は1回だけ」
「インフレ率は2027年初めまで2%に戻らないだろう」
※時間は日本時間
<国内>
○08:50 ☆ 1月23-24日分の日銀金融政策決定会合議事要旨
<海外>
○17:00 ◇ 1-3月期南アフリカ経済研究所(BER)消費者信頼感指数
○18:00 ◎ カジミール・スロバキア中銀総裁、講演
○18:00 ◎ ミュラー・エストニア中銀総裁、講演
○18:00 ◎ 3月独Ifo企業景況感指数(予想:86.7)
○19:00 ◎ ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○19:50 ◎ ブイチッチ・クロアチア中銀総裁、講演
○21:40 ◎ クーグラー米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○22:00 ◇ 1月米住宅価格指数(予想:前月比0.3%)
○22:00 ◎ 1月米ケース・シラー住宅価格指数(予想:前年比4.8%)
○22:05 ◎ ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、あいさつ
○23:00 ☆ 2月米新築住宅販売件数(予想:前月比3.5%/68.0万件)
○23:00 ◎ 3月米リッチモンド連銀製造業景気指数(予想:2)
○23:00 ◎ 3月米消費者信頼感指数(予想:94.0)
○26日01:00 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演
○26日02:00 ◎ 米財務省、2年債入札
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
24日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、3月米サービス部門PMI速報値が予想を上回り、米10年債利回りが4.33%台まで上昇したことで、150.76円まで上昇した。ユーロドルは米長期金利の上昇で1.0782ドルまで下落した。ユーロ円は、ダウ平均が一時650ドル超上昇したことなどで162.83円まで上昇した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、ニューヨーク株式市場や米10年債利回りの上昇を受けて底堅い展開が予想される。
注目されているIMM通貨先物の投機部門の円のネットの買い持ちポジションは、3月11日時点の過去最大の133902枚から、18日時点では122964枚まで減っていた。ドル円が19日に150.15円、昨日は150.76円まで上昇したことで、さらに減っていると思われるが、この後、ドル高・円安材料が出た場合は、手仕舞いの可能性には警戒しておきたい。
IMMシカゴ筋が、トランプ・トレードのドル買い・円売りから円の買い持ちに転じたのは2月4日(18768枚)で、ドル円は154円付近から155円台で推移していた。すなわち、シカゴ筋が円の買い持ちポジションを全て手仕舞った場合、155円程度までの上昇が見込まれることになる。
当時は、1月29日のベッセント米財務長官と加藤財務相の会談の後、加藤財務相は、為替に関する議論があったと認め、財務省幹部はこの会談で「日本は利上げをしており、やるべきことはやっていくと伝えた」と明かした。そして、ヘッジファンド業界では、日米貿易不均衡是正のための「第2プラザ合意」、「マールアラーゴ合意」への警戒感が高まっていた。その後、2月5日のベッセント米財務長官と植田日銀総裁の電話会談の後、ベッセント米財務長官は「他国が自国通貨を弱くすることは望まない。多くの国が対米貿易黒字を抱えるなか、金利抑制による通貨安がその一因となっている可能性がある」と述べていた。
8時50分に公表される1月23-24日開催の日銀金融政策決定会合議事では、不確実性が非常に高いトランプ政権の関税政策に関する協議に注目しておきたい。植田日銀総裁も、「ある程度規模や影響が見えてきたら政策運営に織り込む」と述べていた。そして、3月18-19日の日銀金融政策決定会合では、声明文に、米国の関税政策による各国の通商政策がリスク要因に追加されていたことで、ハト派材料視されていた。しかし、植田日銀総裁は「4月初めには通商政策の内容がある程度でてくる。次回の決定会合ないし展望リポートの中である程度消化できる」と述べて、「4月初め」や「次回会合(4/30-5/1)」という時間軸を示したことがタカ派的と受け止められている。
また、植田日銀総裁は「昨今のコメ価格上昇が、未だ2%には届かないとする基調的インフレを押し上げる遠因になり得る」と述べており、本日14時に発表される2月の「基調的なインフレ率を捕捉するための指標」にも注目しておきたい。
トランプ関税に関しては、4月2日に発動予定の相互関税は、ダーティー15と呼ばれる『不公正貿易国』に対して、標的型相互関税となる模様である。日本は、米国の7番目の貿易赤字国であるため、非関税障壁を理由に、高い税率が課せられる可能性に警戒しておきたい。また、4月2日に予定通り25%の自動車関税を発動するか不透明、あるいは、規模が縮小される可能性がある、とのことで、引き続き関連ヘッドラインには警戒しておきたい。
大阪6月限ナイトセッション
日経225先物 37720 +370 (+0.99%)
TOPIX先物 2785.0 +23.5 (+0.85%)
シカゴ日経平均先物 37735 +385
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
24日の米国市場はNYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が上昇。トランプ米大統領が4月2日に導入予定の「相互関税」を巡り、対象となる国や品目を限定すると、米メディアが当局者の話として報じた。これを受けて、関税を巡る過度な警戒感が後退する形となった。また、トランプ大統領は軽減措置を多くの国に認めるかもしれないと言及したほか、医薬品や半導体など品目別の関税は「近い将来」と述べたと伝わり、足もとで水準を切り下げていたハイテク株が軒並み買われた。
NYダウ構成銘柄では、ホーム・デポ<HD>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>、エヌビディア<NVDA>、アメリカン・エキスプレス<AXP>、JPモルガン・チェース<JPM>、シャーウィン・ウィリアムズ<SHW>が上昇。半面、ベライゾン・コミュニケーションズ<VZ>、メルク<MRK>、ナイキ<NKE>、プロクター・アンド・ギャンブル<PG>などディフェンシブ株の一角が軟調だった。
シカゴ日経平均先物(6月限)清算値は、大阪比385円高の3万7735円だった。日経225先物(6月限)のナイトセッションは、日中比80円高の3万7430円で始まった後に、3万7340円と下落に転じる場面もあった。ただし、下へのバイアスは強まらず再びロングが優勢となるなか、米国市場の取引開始後に上昇基調が強まり、中盤にかけて3万7740円まで上げ幅を広げた。買い一巡後は3万7610円~3万7740円のレンジで推移し、3万7720円とナイトセッションの高値圏で取引を終えた。
シカゴ先物にサヤ寄せする形から、買い先行で始まりそうだ。トランプ大統領の発言を受けてエヌビディアが3%を超える上昇となったほか、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ<AMD>やパランティア・テクノロジーズ<PLTR>、マイクロン・テクノロジー<MU>などが買われ、半導体SOX指数は3%近く上昇した。アドバンテスト<6857.T>[東証P]など指数インパクトの大きい値がさハイテク株への支援材料になるだろう。
日経225先物は足もとで上値抵抗線として機能していた25日移動平均線(3万7550円)を上回ってきており、同線が支持線として意識されてくるようだと、節目の3万8000円を射程に入れたロングが強まる可能性がある。まずは、買い一巡後に25日線での底堅さを見極める必要があると考えられ、押し目狙いのロング対応とみておきたい。値がさハイテク株への買い戻しが入るとみられるため、アドバンテストなどの戻りの強さも確認したいところだ。
また、トランプ大統領の発言は二転三転するため、リバランスの動きが中心になると考えられ、ポジションをロングに傾けてくる動きは期待しづらい面がある。相互関税について10~15カ国に焦点が当てられる可能性も伝えられているが、その中に日本も入っているとみられるため、結局のところはスキャルピング中心のトレードを余儀なくされる展開も意識しておきたい。
そのため、オプション権利行使価格の3万7375円から3万7875円のレンジを想定。25日線を上回って推移するようだと、3万7500円から3万8000円のレンジとなろう。
24日の米VIX指数は17.48(21日は19.28)に低下した。75日線(17.97)を割り込み、200日線(17.31)に迫る場面もみられた。200日線を割り込んでくると、直近のボトム水準である15.00割れが意識されてくる。トランプ関税の影響は不透明ながらも、カバーが強まる需給状況になりそうだ。
昨日のNT倍率は先物中心限月で13.52倍に上昇した。前週末に2020年4月以来の13.50倍を下回ったことで、いったんはボトム形成を意識したリバランスの動きが入ったようだ。ソフトバンクグループ<9984.T>[東証P]が日経平均型を支えた半面、メガバンクの下げがTOPIX型の重荷となった。本日は米ハイテク株高の流れを受けて、NTショートを巻き戻す動きが入る展開が意識されよう。
東京市場は堅調か。米国株は上昇。ダウ平均は597ドル高の42583ドルで取引を終えた。トランプ大統領が4月2日から発動される関税について、対象を限定する可能性に言及。幅広い銘柄に買いが入った。米10年債利回りが上昇しており、為替市場では円安(ドル高)が進行。ドル円は足元150円70銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが大証日中終値と比べて385円高の37735円、ドル建てが485円高の37835円で取引を終えた。
米国株高や円安を好感した買いが入ると予想する。米国ではテスラが2桁の上昇率となったほか、エヌビディアやアマゾンが大幅高となるなど、主力グロース株に強い動きが見られた。足元さえない半導体株を含めて、全体の底上げが進むだろう。関税に関する過度なリスクが後退して円安が進んだという点では、自動車関連が選好されやすくなると見込まれる。ただ、日経平均はこのところ後場の動きが弱いことから、高くなったところでは戻り売りが上値を抑える可能性がある点には留意したい。日経平均の予想レンジは37600円-38100円。
昨日の海外市場では、欧米のPMI速報値が公表されたわけですが、ドル円は3月米PMI速報値が公表されたのをきっかけに米長期金利の上昇とともに上抜けとなりました。製造業は予想を下回る弱い数字となったものの、サービス部門が予想を上回る強い結果となると、19日の高値150.15円や5日の高値150.18円を上抜けてSLを誘発することになりました。
指標が重要だったというよりは、むしろ、市場に滞留するショートポジション、いわゆるキープするのに連日コストを払わなければならないポジション巻き戻しの都合のよい言い訳に使われた側面が強く、基本的には「大した材料もないなかでの米金利上昇とドルの買い戻し」に繋がっています。
いずれにしても、本日は期末を目前に控えたゴトー日とあって、市場では朝方から本邦実需の買いが断続的に観測されているところ。株価の堅調な動きも相まって底堅い動きが続いています。目先はNY時間高値からの下押しレベルである150.49円や19日の高値150.15円がサポートレベル。あまり抵抗感の感じられない150円台の値固めとなっていくのかもしれません。上値は3日の高値151.30円や50日MAの151.68円、または200日MAの151.75円といったポイントが、再びポジションのアンワインディングを大きく誘う節目となっています。
日経225先物は11時30分時点、前日比280円高の3万7630円(+0.74%)前後で推移。寄り付きは3万7750円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万7735円)にサヤ寄せする形から、買い先行で始まった。ただし、中盤にかけて3万7870円まで買われたものの、買い一巡後はロング解消の動きが優勢となり、終盤にかけて3万7600円まで上げ幅を縮めている。
日経225先物は買い先行で始まり、オプション権利行使価格の3万7875円水準まで上昇したが、積極的なロングは限られており、早い段階でクローズに向かわせたようである。終盤にかけて25日移動平均線(3万7550円)に接近しており、同線が支持線として機能するかを確認することになりそうだ。底堅さがみられるようだと、押し目狙いのロング対応に向かわせる一方で、割り込んでくると短期的にショートを誘う可能性はあるだろう。
NT倍率は先物中心限月で13.56倍に上昇している。米ハイテク株高の流れを引き継ぐ形から指数インパクトの大きい値がさハイテク株が日経平均型を牽引する形となった。ただし、一時13.61倍まで上昇する場面もみられたものの、アドバンテスト<6857.T>[東証P]がマイナスに転じるなか、リバランスの動きが強まりにくい面はある。
「現時点では経済の先行きに不透明感が多いが、われわれは依然として金利が緩やかに低下する道筋にあると考えている。世界経済と国内経済の動向を注意深く見守っていく」
(ベイリーBOE総裁)
1.イングランド銀行金融政策委員会(MPC)
MPCの9名の委員の棲み分けは、タカ派2名、中立派3名、ハト派4名に分類できる。
【MPC】 【2024/8/1】【9/18】【11/7】【12/19】【2025/2/6】【2025/3/20】
■ハト派
・ベイリー総裁:5.00% 5.00% 4.75% 4.75% 4.50% 4.50%
・ラムスデン副総裁:5.00% 5.00% 4.75% 4.50% 4.50% 4.50%
・ディングラ委員:5.00% 4.75% 4.75% 4.50% 4.25% 4.25%
・マン委員:5.25% 5.00% 5.00% 4.75% 4.25% 4.50%
■中立派
・ロンバルデリ副総裁:5.00% 5.00% 4.75% 4.75% 4.50% 4.50%
・ブリーデン副総裁:5.00% 5.00% 4.75% 4.75% 4.50% 4.50%
・テイラー委員: 5.00% 4.75% 4.50% 4.50% 4.50%
■タカ派
・ピル委員: 5.25% 5.00% 4.75% 4.75% 4.50% 4.50%
・グリーン委員: 5.25% 5.00% 4.75% 4.75% 4.50% 4.50%
2.2024年8月1日MPC(5対4):5.25%から5.00%に引き下げ
利下げに賛成した5人「インフレが持続するリスクの緩和に一定の進展があった」
利下げに反対した4人「基調的なインフレが予想より根強く、成長率も予想以上」
3.2024年9月18日MPC(8対1)5.00%に据え置き
ディングラ委員が4.75%への追加利下げを主張した。
4.2024年11月7日MPC(8対1)4.75%に引き下げ
マン委員が5.00%での据え置きを主張した。
声明では、金融緩和の加速を示唆することは控え、政府の予算案(700億ポンド規模の歳出を計画)がインフレ率を最大で0.5ポイント押し上げて、25年7-9月にインフレ率が2.8%に達すると推計した。ベイリーBOE総裁は、予算はBOEの利下げパスに大きな影響を与えないだろう、と述べた。また、「インフレ率はBOEが利下げした際の予想より低い。サービスインフレは依然として目標と一致していない」などとも述べている。
5.2024年12月19日MPC(6対3)4.75%に据え置き
議事要旨では、弱い成長シグナルと根強い国内物価上昇圧力を挙げ、両方向のインフレリスクを指摘した。第4四半期の成長率予測は11月時点の+0.3%成長からゼロ成長に引き下げられ、スタグフレーションへの警戒感が示された。
6.2025年2月6日MPC(7対2)4.50%に引き下げ
2名(マン委員&ディングラ委員)は4.25%への引き下げを主張した。タカ派寄りからハト派寄りへと見解を変えたマン委員は、その理由として、消費者が支出を抑える中で企業は価格引き上げに苦戦すると考えたからだと述べた。
金融政策報告は、経済予測の前提となる金利軌道では向こう3年間に2回の追加利下げしか想定されず、今年についてはあと1回しか想定していないことで、タカ派的だった。
タカ派のグリーン委員は、利下げに慎重な姿勢で臨むべきだと主張した。
7. 2025年3月20日MPC(8対1)4.50%で据え置き
4名のハト派の内、ラムズデン副総裁、テイラー委員、マン委員は据え置きに票を投じた。
最もハト派的なディングラ委員は、0.25ポイント利下げを主張したが、前回とは異なり0.5ポイント利下げは求めなかった。
本日のロンドン為替市場でユーロ相場は、欧州最大の経済規模・ドイツの経済指標を確認し、またトランプ関税に絡んだリスクセンチメントの強弱を測りながらの値動きか。また複数の欧州金融当局者の講演も予定されており、来月16-17日の欧州中央銀行(ECB)理事会に向けたヒントを探ることになる。
昨日発表された3月独サービス部門購買担当者景気指数(PMI)速報値は前回から上振れ予想だったところから弱い結果に。ただ、景況判断の境目となる50は何とか維持し、同月製造業PMI速報値は48.9と予想以上に上昇して2022年半ば以来の50が視野に入ってきた。
本日ドイツからは3月Ifo企業景況感指数が発表され、前回から強い86.7が見込まれている。予想に沿った内容であれば3カ月連続上昇であり、昨年7月以来の水準だ。昨日の3月製造業PMIと同じく、底打ち感が出てきたとも言える。ただ注意すべきは、期待値が高い分だけ「それほどでもない」結果が出た場合。ユーロドルは1.08ドル台では伸び悩んでいることもあり、下値警戒感が高まってしまうかもしれない。
さてトランプ関税だが、昨日もトランプ米大統領が「関税で多くの国に猶予を与えるだろう」と発言し、先週言及した「柔軟性」をまじめに考えていることが示された。関税を巡る過度な警戒感が後退し、欧州株は小幅安で引けたものの、米株は大きく買われて終えている。欧州市場では、リスクセンチメントの改善がこのまま続くかを見定めたい。
当局者講演は、スロバキア、エストニア、オーストリア、クロアチアの中銀総裁が予定されている。短期金融市場は、今年6回を残すECB理事会で2度の0.25%利下げを織り込んでいる。この辺は暫く揺らぎそうにないが、市場の金利低下観測に対して、タカ派として知られるホルツマン・オーストリア中銀総裁がどのような見解を示すか注目したい。
想定レンジ上限
・ユーロドル、日足一目均衡表・転換線1.0869ドル
想定レンジ下限
・ユーロドル、21日移動平均線1.0748ドルを下抜けると200日移動平均線1.0727ドル
ドル円:1ドル=150.43円(前営業日NY終値比▲0.27円)
ユーロ円:1ユーロ=162.51円(▲0.27円)
ユーロドル:1ユーロ=1.0803ドル(△0.0002ドル)
日経平均株価:37780.54円(前営業日比△172.05円)
東証株価指数(TOPIX):2797.52(△6.64)
債券先物6月物:137.48円(▲0.36円)
新発10年物国債利回り:1.575%(△0.040%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
特になし
(各市場の動き)
・ドル円は伸び悩み。前日のNY市場で上昇した流れを引き継ぐと、日経平均が取引開始直後に3万8000円の大台を回復したこともあり、150.94円まで上昇。ただ、節目の151円を前に上値が重く、その後は新発10年債利回りが1.57%台に上昇したほか、時間外の米10年債利回りも小幅に低下したこともあり、150.43円まで下押した。
・ユーロ円は上昇するも一時的。本邦株高を手掛かりに163.03円まで上昇するも一時的となり、その後はドル円の下げにつれる形で162.47円まで売られた。
・ユーロドルは小動き。円主導の動きとなる中、1.0809ドルまで買われるも一時的となり、1.08ドル前後でのもみ合いが続いた。
・日経平均株価は4営業日ぶり反発。前日の米株主要3指数がそろって上昇した流れを引き継ぎ、取引開始直後に3万8000円の大台を回復すると、上げ幅は一時500円を超えた。ただ、大台に乗せた後は上値の重さを意識した売りに押されて、上げ幅を縮小する動きとなった。
・債券先物相場は続落。前日に米長期金利が上昇(債券価格は下落)した影響を受けて安く始まると、午後に入り137円41銭まで下値を広げた。新発10年債利回りは約2週間ぶり高水準となる1.575%まで上昇し、10日に付けた2008年10月以来の高水準に並んだ。
モルガン・スタンレーは最新リポートで、今年1-2月の経済データが予想を上回ったとし、2025年の中国国内総生産(GDP)成長率予想をこれまでの4%から4.5%に引き上げた。消費刺激策の効果などが出始め、景気回復の兆しがあるとした。ただ、米国の関税引き上げによる影響や中国政府の対応に加え、デフレ圧力が続いていることなどを受け、中国の経済成長ペースは4-6月期以降に鈍化するとの見方を維持した。『明報』が25日伝えた。
大和総研では、追加関税措置を契機に米国経済は足元で転換点を迎えていると指摘。2025年1-3月期の実質GDP成長率に関して、アトランタ連銀が公表するGDPナウでは前期比年率でマイナス成長への転落が示された。追加関税実施前の駆け込み輸入の急増が下振れの主因。大和総研では、追加関税実施後の輸入の反動減や民間在庫の増加などから1-3月期も前期比年率+1.3%とプラス成長を維持すると見込んでいるが、個人消費はペースダウンしており、景気の減速感は強いとコメントしている。
大和証券では米国の個人消費に関して、2月に発表されたサービス業PMIの急落以降、マインドや信頼感といった消費関連のソフトデータが急速に悪化する一方で、小売売上高に代表される販売額のデータ、いわゆるハードデータが堅調に推移するというチグハグな状況が継続していることを指摘している。25日にはソフトデータに分類されている3月CB消費者信頼感指数が発表される。大和では、同指数が市場予想を大きく下回るようだと、ハードデータで堅調さが確認されるまで消費の減速懸念が株価の頭を抑える可能性があり、注意が必要とコメントしている。
一部報道が伝えたところによると、本日の参院財政金融委員会に植田日銀総裁が出席するという。午後0時23分からの予定となっている。
大阪6月限
日経225先物 37580 +230 (+0.61%)
TOPIX先物 2775.0 +13.5 (+0.48%)
日経225先物(6月限)は前日比230円高の3万7580円で取引を終了。寄り付きは3万7750円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万7735円)にサヤ寄せする形から買い先行で始まった。前場中盤にかけて3万7870円まで買われたものの、買い一巡後はロングの解消が優勢となり、前場終盤にかけては3万7600円~3万7670円辺りのレンジで推移。
現物の後場の取引開始直後にレンジを下抜くと、支持線として意識されていた25日移動平均線(3万7550円)を割り込み、3万7430円まで上げ幅を縮める場面もみられた。ただし、下へのバイアスは強まらず、スキャルピング中心のトレードのなかでショートカバーが入り、終盤にかけては3万7520円~3万7580円と25日線水準での推移となった。
日経225先物は買い先行で始まり、オプション権利行使価格の3万7875円水準まで上昇したが、積極的なロングは限られ、早い段階でクローズに向かわせたようである。その後は25日線水準で推移をみせていたが、同線割れを狙ったショートが入った形である。ただ、スキャルピング中心のトレードであり、早い段階でカバーをみせていた。その後25日線水準での推移が続き、終値では同線を上回って終えた。
ナイトセッションでは25日線が3万7500円辺りまで下がってきた。支持線として意識されてくると、3万8000円をターゲットとしたロングが強まる可能性はありそうだ。一方でキープできずに割り込んでくるようだと、節目の3万7000円やボリンジャーバンドの-1σ(3万6780円)がターゲットになるだろう。
ただし、米国次第の面はあるが、国内の需給要因としては配当再投資に対する思惑が高まりやすい。パッシブ型ファンドなどは実際に配当を受け取るまで、先物買いで手当てする。これに向かう売り方もあるだろうが、トランプ米政権による4月2日の「相互関税」発動を巡る不透明感から先回り的なポジションは持ちにくいだろう。そのため、需給面での下支えとなりそうであり、25日線水準での底堅さから3万8000円を意識したスタンスが期待される。
また、アドバンテスト<6857.T>[東証P]が3%を超える下落となり、1社で日経平均株価を71円超抑える形だった。ファーストリテイリング<9983.T>[東証P]やテルモ<4543.T>[東証P]、TDK<6762.T>[東証P]、ネクソン<3659.T>[東証P]、コナミグループ<9766.T>[東証P]の上昇インパクトを相殺した。それでも東証プライムの6割超の銘柄が上昇したことで日経平均株価は反発して終えており、上げ幅は縮めたが地合いは悪くない。
NT倍率は先物中心限月で13.54倍に上昇した。米ハイテク株高の流れを引き継ぐ形から指数インパクトの大きい値がさハイテク株が日経平均型を牽引する形となり、一時13.62倍まで上昇する場面もみられた。ただし、アドバンテストがマイナスに転じ、リバランスの動きが強まりにくい状況だった。
手口面(6月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万4695枚、ソシエテジェネラル証券が1万2944枚、サスケハナ・ホンコンが3750枚、モルガンMUFG証券が2611枚、SBI証券が2066枚、JPモルガン証券が2025枚、バークレイズ証券が1865枚、日産証券が1319枚、ビーオブエー証券が1077枚、楽天証券が868枚だった。
TOPIX先物は、ABNクリアリン証券が1万9660枚、ソシエテジェネラル証券が1万8120枚、JPモルガン証券が8852枚、バークレイズ証券が4963枚、モルガンMUFG証券が3639枚、ゴールドマン証券が3041枚、ビーオブエー証券が2183枚、BNPパリバ証券が1707枚、野村証券が1450枚、サスケハナ・ホンコンが1296枚だった。
トランプ関税への過度な警戒感が緩んでいることを背景としたドル円の上昇はいったん一服した。一時150.94円と3日以来の高値を更新したが、151円の大台を前に伸び悩むと150.30円台に押し戻された。
足もとではトランプ関税への過度な警戒感が和らいだだけであって、今後も関税に振り回される相場展開が続く可能性が非常に高く、この材料でドル円の上昇が一段と加速するとは考えたくない。ただ、まだ円のロングはかなり溜まっている。商品先物取引委員会(CFTC)が発表した18日時点の円のネット・ポジションは12万2964枚の買い越しと、買い持ちは前週比で減少したものの引き続き高い水準となっている。円ロングの解消継続によるドル円の一段高には警戒したい。
トランプ米大統領にとって関税はディールであり、同氏にとって朝令暮改は何の驚くことでもない。同氏の発言にいちいち反応し、相場は疲れるだけだが、関税はトランプ政権のメインテーマであって長い付き合いになるかも知れない。
市場ではドル円が150円台まで持ち直したことで、テクニカル的に年初来の下落局面はいったん終了した形となったとの声も聞かれ、大台に定着できるかどうかが注目されているが、足もとで150円はそれほど大きなポイントにはならないだろう。NYタイムでは1月住宅価格指数、2月新築住宅販売件数など住宅データや、3月リッチモンド連銀製造業指数や3月消費者信頼感指数の発表が予定されている。予想は前月に比べて強弱まちまちとなっている。指標結果に睨みつつ、関税関連のヘッドラインに注視するうごきとなるか。
・想定レンジ上限
ドル円、本日これまでの高値150.94円、3日高値151.30円を上値めど。
・想定レンジ下限
ドル円、節目の150.00円、日足一目均衡表・基準線149.43円を下値めど。
今晩は上値の重い展開か。昨日は4月2日に発動される相互関税を巡り、多くの国が免除される可能性が報じられたことで貿易戦争への過度な警戒感が後退し、リスクオンの動きが強まった。ダウ平均が597.97ドル高(+1.42%)、S&P500が1.76%高、ナスダック総合が2.27%高と主要3指数はそろって2営業日続伸した。ただ、月初来ではダウ平均が2.87%安、S&P500が3.14%安、ナスダック総合が3.49%安とそろって大幅に2カ月続落ペースとなった。
今晩はセンチメントの改善を背景に反発継続が期待されるものの、前日までに2営業日続伸したことや、トランプ関税について不透明感が残ることなどで上値の重い展開か。また、3月14日に発表された3月ミシガン大消費者信頼感指数速報値が予想以上に悪化したことで景気後退懸念も強まっており、3月消費者信頼感指数や2月新築住宅販売件数などの経済指標にも要注目となる。
今晩の米経済指標は3月消費者信頼感指数、2月新築住宅販売件数のほか、1月S&Pケースシラー住宅価格指数、3月リッチモンド連銀製造業総合指数、同サービス業売上高指数など。このほか、クーグラー米連邦準備理事会(FRB)理事やウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁の講演なども予定されている。企業決算は寄り前にマコーミックが発表予定。
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・西?M 徹氏
新開発銀行(BRICS銀行)はルセフ総裁の続投を決定
既存システムに代わる越境決済システムなど米ドルを介さない取引が一段と後押しされる可能性も
主要新興国の集まりであるBRICSの枠組による開発金融機関である新開発銀行(BRICS銀行)は、7月に任期満了を迎えるルセフ総裁の続投を決定した。世界経済の分断が進む一方、世界における主要先進国の影響力が低下するなか、新興国の間ではBRICSに対する求心力が高まっている模様である。同行はルセフ氏の下で被支援国通貨建での融資により米ドルなど主要通貨を介さない形での支援に動くなど、デリスキングの手段となる動きをみせてきた。さらに、共通通貨構想や既存システムを回避した新たな越境決済システムの構築を目指しており、ここ数年の米ドル高による苦境に直面する多くの新興国にとっての救いの手を模索してきた。米トランプ政権はこうした動きに関税の脅しを掛ける姿勢をみせるが、ルセフ氏の続投により一段と後押しされる可能性は高まっている。米トランプ政権の動きが世界経済の混乱や新興国の間で反発を招く動きもみられるなか、BRICSや同行の動きにこれまで以上に注意を払う必要性は高い。
日経平均株価は反発。下向きの25日移動平均線(37781円 3/25)を上回る寄り付きとなった。一方、直近の高値を前に失速し、25日移動平均線付近まで押し戻されて終えた。
RSI(9日)は前日の68.3%→82.4%(3/25)に上昇。下向きで推移する25日移動平均線が上値を重くする要因になっているが、日柄面からは想定内の動きである。5日移動平均線(37732円 同)上を維持して終えており、同線をサポートに一段高につながるかが焦点となる。
特に前日からの見方に大きな変化はない。3/7や2/28の急落で形成したマドを埋め戻す強いリバウンドが続いたことで、底入れ期待が一段と強まる動きになっている。
上値メドは、200日移動平均線(38567円 同)、75日移動平均線(38733円 同)、心理的節目の39000円、2/13高値(39581円)、心理的節目の4万円などがある。下値メドは、心理的節目の37500円、10日移動平均線(37351円 同)、心理的節目の37000円、3/14安値(36594円)、心理的節目の36000円、9/17安値(35828円)などがある。
米財務省によると、2年債入札(ダッチ方式)の落札結果は最高落札利回りが3.984%、応札倍率(カバー)が2.66倍となった。
(25日終値:26日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=149.74円(25日15時時点比▲0.69円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=161.86円(▲0.65円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0809ドル(△0.0006ドル)
FTSE100種総合株価指数:8663.80(前営業日比△25.79)
ドイツ株式指数(DAX):23109.79(△257.13)
10年物英国債利回り:4.753%(△0.040%)
10年物独国債利回り:2.798%(△0.027%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
3月独Ifo企業景況感指数
86.7 85.3・改
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は頭が重かった。東京市場では150.94円まで上昇し、3日以来の高値を付けたものの、欧州勢参入後はじり安の展開に。市場では「150円台後半で上値の重さが嫌気されると調整売りが優勢となった」との声が聞かれた。
NYの取引時間帯に入ると、3月米消費者信頼感指数や同月米リッチモンド連銀製造業景気指数、2月米新築住宅販売件数が予想を下回り、米長期金利の低下とともに円買い・ドル売りが進行。月末・期末が近づく中、ロンドン16時(日本時間1時)のフィキシングに向けた円買いのフローも目立ち、一時149.55円と日通し安値を付けた。
もっとも、一目均衡表基準線149.43円や転換線149.09円がサポートとして意識されると下げ渋った。
・ユーロドルは底堅い動き。前日の海外市場でユーロ安の流れを引き継いで、この日もユーロ売り・ドル買いが先行。時間外の米長期金利の上昇も相場の重しとなり、17時30分前に一時1.0777ドルと6日以来の安値を付けた。
ただ、3月独Ifo企業景況感指数が市場予想通りの結果となり、昨年7月以来の高水準を更新したことが分かると買い戻しが優勢に。22時前に一時1.0830ドルと日通し高値を更新した。
前日の高値1.0858ドルが目先レジスタンスとして意識されるといったんは上値が重くなったものの、低調な米経済指標が相次ぐ中、米長期金利が低下に転じたこともあって下押しは限定的だった。
・ユーロ円は弱含み。ドル円の下落につれた売りが出ると、1時前に一時161.62円と本日安値を更新した。ロンドン・フィキシングに向けた円買いも目立った。
ユーロ円以外のクロス円も軟調だった。ポンド円は一時193.64円、豪ドル円は94.36円、NZドル円は85.82円、カナダドル円は104.54円、スイスフラン円は169.71円、メキシコペソ円は7.44円、南アフリカランド円は8.20円まで値を下げた。
・ロンドン株式相場は4日ぶりに反発。トランプ米大統領が「相互関税」について猶予措置をとる可能性を示唆したことで、投資家の過度な警戒感が和らぎ株買いが広がった。銅先物相場の上昇を受けてアングロ・アメリカンやリオ・ティントなど素材株が買われたほか、BPやシェルなどエネルギー株が値上がりした。
・フランクフルト株式相場は5日ぶりに反発。市場の最大の関心事である米政権の関税政策について、投資家の懸念を和らげる報道が相次ぐ中、前日の米国株相場が大幅に上昇。独株にも買いが波及した。個別ではバイエル(5.18%高)やエアバス(3.17%高)、ドイツ銀行(2.17%高)などの上昇が目立った。
・欧州債券相場は下落。株高を受けた。
25日の日経平均は4日ぶり反発。終値は172円高の37780円。米国株の大幅高や円安進行を追い風に、寄り付きから300円を超える上昇。開始早々に節目の38000円を上回ると、上げ幅を500円超に広げて38100円台に乗せた。しかし、買いは続かず10時以降は値を消す流れがしばらく続いた。失速感が強まる中、後場には上げ幅を2桁に縮める場面もあった。TOPIXが下げに転じたところで切り返したことから日経平均も13時台半ば以降はやや持ち直しており、3桁の上昇で取引を終えた。
東証プライムの売買代金は概算で3兆9300億円。業種別では精密機器、不動産、繊維などが上昇した一方、銀行、電気・ガス、水産・農林などが下落した。証券会社の新規カバレッジが入ったタイミー<215A.T>が商いを伴って急騰。リクルートホールディングス<6098.T>がスポットワークサービスの開発中止を決定しており、こちらも同社の事業環境に大きなプラスになると受け止められた。半面、アドバンテスト<6857.T>が3%を超える下落と弱さが目立った。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1008/値下がり562。売買代金上位ではディスコ、DeNA、三菱地所などが大幅上昇。治験開始に関するリリースが好感されたセルシードがストップ高比例配分となったほか、助成金収入の計上を発表したサイフューズが急伸しており、クオリプスやサンバイオなど創薬・バイオ関連が賑わった。増配を発表したミマキエンジニアリングが11.6%高と値を飛ばした。
一方、三菱重工、川崎重工、IHIの防衛大手3社がそろって下落。前日1000円の大台を突破した後に失速したJX金属が大きく売られた。三菱UFJなど銀行株が全般軟調。下方修正や減配を発表した池上通信機が急落した。
本日グロース市場に新規上場したビジュアル・プロセッシング・ジャパンは高い初値をつけたものの、終値は初値を大きく下回り安値引けとなった。初値持ち越しで2日目も買い気配スタートとなったミライロは、高い初値をつけた後も買いが殺到してストップ高となった。
日経平均は一時500円超上昇したものの、引けでは172円高(37780円)と上げ幅を縮小。安値圏からは切り返したが、きょうも大引けにかけてガクッと水準を切り下げた。24日の米国では3指数がそろって上昇しており、中でも半導体株が強かった。為替市場では円安(ドル高)が進行し、ドル円は150円台を回復した。日本株上昇のお膳立てが十分すぎるほど整っていたにもかかわらず、日経平均は伸び悩んで陰線を形成。終値は25日線(37781円、25日時点)に近く、これを明確に上回ることはできなかった。個別をみても3月決算の主力どころに方向感が定まっていない銘柄が多く、権利落ちまでは不安定な動きが続くだろう。
(25日終値)
ドル・円相場:1ドル=149.91円(前営業日比▲0.79円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=161.78円(▲1.00円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0791ドル(▲0.0010ドル)
ダウ工業株30種平均:42587.50ドル(△4.18ドル)
ナスダック総合株価指数:18271.86(△83.27)
10年物米国債利回り:4.31%(▲0.02%)
WTI原油先物5月限:1バレル=69.00ドル(▲0.11ドル)
金先物4月限:1トロイオンス=3025.9ドル(△10.3ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
1月米住宅価格指数
(前月比) 0.2% 0.5%・改
1月米ケース・シラー住宅価格指数
(前年比) 4.7% 4.5%
3月米消費者信頼感指数
92.9 100.1・改
3月米リッチモンド連銀製造業景気指数
▲4 6
2月米新築住宅販売件数
(前月比) 1.8% ▲6.9%・改
(件数) 67.6万件 66.4万件・改
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は4日ぶりに反落。3月米消費者信頼感指数や同月米リッチモンド連銀製造業景気指数、2月米新築住宅販売件数が軒並み予想を下回ると、米長期金利の低下とともに円買い・ドル売りが優勢となった。月末・期末が近づく中、ロンドン16時(日本時間1時)のフィキシングに向けた円買いのフローも目立ち、一時149.55円と日通し安値を付けた。
ただ、売り一巡後は下げ渋る展開に。一目均衡表基準線149.43円や転換線149.18円がサポートとして働くと149.94円付近まで下値を切り上げた。
・ユーロドルは小幅ながら5日続落。日本時間夕刻に一時1.0777ドルと6日以来の安値を付けたものの、3月独Ifo企業景況感指数が市場予想通りの結果となり、昨年7月以来の高水準を更新したことが分かると買い戻しが優勢に。22時前に一時1.0830ドルと日通し高値を更新した。
ただ、前日の高値1.0858ドルが目先レジスタンスとして意識されると上値が重くなった。引けにかけては1.0790ドル付近まで押し戻された。
・ユーロ円は3日ぶりに反落。ドル円の下落につれた売りが出ると、1時前に一時161.62円と本日安値を更新した。ロンドン・フィキシングに向けた円買いも目立った。
ユーロ円以外のクロス円も軟調だった。ポンド円は一時193.64円、豪ドル円は94.34円、NZドル円は85.82円、カナダドル円は104.54円、スイスフラン円は169.71円、メキシコペソ円は7.44円、南アフリカランド円は8.20円まで値を下げた。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は小幅ながら3日続伸。トランプ米大統領が「相互関税」について猶予措置をとる可能性を示唆したことで、投資家の過度な警戒感が和らぎ買いが入った。ただ、米政権の政策を巡る不透明感は根強く、指数は下げに転じる場面もあった。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も3日続伸。米長期金利の低下で高PER(株価収益率)のハイテク株に買いが入った。
・米国債券相場で長期ゾーンは3日ぶりに反発。低調な米経済指標が相次いだことで買いが優勢となった。2年債入札が「堅調」と受け止められたことも相場の支援材料。
・原油先物相場は小幅に反落。石油輸出国機構(OPEC)ほか主要産油国による枠組OPECプラスが4月に続き5月も増産する公算との報道を受けて上値が重かった。時間外取引で上昇した分を吐き出し、小幅ながらマイナスとなった。
・金先物相場は3日ぶりに反発。米金利が低下し、金利が付かない資産である金の相対的な投資妙味の高まりにつながった。ドル軟化も、ドル建て金相場換算値の切り上がりに寄与。米指標が軒並み悪化したことが、安全資産とされる金を買う動きを後押しした面もあった。
25日08:50 1月23-24日分の日銀金融政策決定会合議事要旨
「わが国の景気は、これまで『展望レポート』で示してきた見通しに概ね沿って推移している」
「昨年11月の毎月勤労統計で実質賃金が前年比プラスに転化するなど、前向きな変化が生じている(一人の委員)」
「為替円安に伴う輸入物価上昇や米・生鮮食品の価格上昇が消費者物価を押し上げており、このことが実質所得・個人消費を下押ししている(何人かの委員)」
「物価情勢は、これまで『展望レポート』で示してきた見通しに概ね沿って推移している」
「現時点での焦点は、春季労使交渉で賃金上昇のモメンタムが持続するかという点と、米や生鮮食品の価格上昇や為替円安の継続に伴う物価の上振れの行方」
「委員は、こうした中心的な物価の見通しを、昨年10月の展望レポート時点と比べると、2024年度と2025年度が、米価格の上昇に加え、このところの為替円安等に伴う輸入物価の上振れもあって、上振れているとの認識を共有」
「米国の新政権発足という大きなイベントを無事に通過し、国際金融資本市場が比較的落ち着いている状況は、政策金利の変更を検討するうえで適切な環境である(複数の委員)」
「上下双方向のリスクがかなり大きいことを考えると、利上げのペースや、その到達点を示すターミナル・レートを示唆することにはきわめて慎重であるべき(一人の委員)」
「経済・物価が見通しに沿って推移していくならば、2025年度後半に1%程度という水準を念頭に置き、そこに向けて政策金利を引き上げていくことが望ましい(ある委員)」
25日12:48 植田日銀総裁
「保有ETFの処分は、すぐにとは考えていない」
「保有ETF処分は、具体的な姿を言える段階にはない。もう少し時間をいただき検討したい」
「保有ETF処分は、適正な対価、損失回避、市場影響に配慮」
「国債残高の影響の大きさが金利下げる効果は当面作用」
「GDPギャップ、日銀と内閣府の試算で大きな違いはない」
「保有国債残高の減少ペースは、極めて緩やか」
25日18:40 カジミール・スロバキア中銀総裁
「4月に利下げか、利下げ停止を議論する用意がある」
25日21:45 クーグラー米連邦準備理事会(FRB)理事
「経済活動に関する最近のデータは、若干の軟調さを示している」
「最近の商品インフレが、インフレ期待に影響している」
25日23:56 米ホワイトハウス
「米露はエネルギー施設への攻撃禁止履行で合意」
「ロシアと持続可能かつ永続的な平和に向けて取り組む」
「農業輸出市場へのロシアのアクセスを回復する」
26日01:03 ゼレンスキー・ウクライナ大統領
「部分停戦を即時で履行する」
26日01:08 ロシア大統領府
「黒海の安全な航行での合意を確認」
「米露はエネルギー停戦の履行を協議する」
26日04:20 トランプ米大統領
「ガソリン、卵、食料品の価格は下がっている」
「金利が下がってほしい」
「(4月2日の関税について)設定している」
「関税に関しては私は非常に公平だ」
※時間は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 2月企業向けサービス価格指数(予想:前年比3.1%)
○14:00 ◇ 1月景気動向指数改定値
<海外>
○09:30 ◎ 2月豪消費者物価指数(CPI、予想:前年比2.5%)
○16:00 ◎ 2月英CPI(予想:前月比0.5%/前年比2.9%)
○16:00 ◎ 2月英CPIコア指数(予想:前年比3.6%)
○16:00 ◇ 2月英小売物価指数(RPI、予想:前月比0.8%/前年比3.6%)
○16:45 ◇ 3月仏消費者信頼感指数(予想:94)
○19:00 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○20:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○21:30 ◎ 2月米耐久財受注額(予想:前月比▲1.0%/輸送用機器を除く前月比0.2%)
○23:30 ◇ EIA週間在庫統計
○27日02:00 ◎ 米財務省、5年債入札
○27日02:10 ◎ ムサレム米セントルイス連銀総裁、講演
○27日03:00 ◎ チポローネ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
25日のニューヨーク外国為替市場でドル円は149.55円まで下落した。3月米消費者信頼感指数や同月米リッチモンド連銀製造業景気指数、2月米新築住宅販売件数が軒並み予想を下回り、米長期金利の低下とともにドル売りが優勢となった。ユーロドルは、欧州序盤の安値1.0777ドルから1.0830ドルまで強含みに推移した後、1.0790ドル付近まで押し戻された。
本日の東京外国為替市場のドル円は、2月企業向けサービス価格指数で物価情勢を確認することになる。また豪ドルは、2月豪消費者物価指数(CPI)で動意付くかに注目。
8時50分に発表される2月企業向けサービス価格指数は前年比+3.1%と予想されており、1月の同比+3.1%と変わらずと見込まれている。予想通りに48カ月連続での上昇を記録した場合、日銀の追加利上げ観測をさらに高めることになる。
日本の2月の物価指数は、以下の通りとなっている。
・総合消費者物価指数(CPI):+3.7%(1月+4.0%)
・コアCPI(生鮮食品を除く):+3.0%(1月+3.2%)
・企業物価指数:+4.0%(1月+4.2%)
・基調的なインフレ率を捕捉するための指標
「最頻値」:+1.2%(1月+1.3%)
「刈込平均値」:+2.2%(1月+2.2%)
「加重中央値」:+1.4%(1月+1.4%)
植田日銀総裁は3月19日の記者会見で「昨今のコメ価格上昇が、未だ2%には届かないとする基調的インフレを押し上げる遠因になり得る」と述べていた。コメ価格の上昇や光熱費補助の終了による物価上昇への警戒感が、日銀金融政策決定会合での早期利上げ観測を高めており、ドル円の上値を抑える要因となっている。
3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)のドット・プロット(金利予測分布図)、消費者信頼感指数、ミシガン大学消費者信頼感指数が、トランプ関税によるスタグフレーション(景気停滞下の物価上昇)への警戒感を示したことで、昨日は米長期債利回りがやや低下し、ドル円を149円台まで押し下げた。
アトランタ連銀の予測モデル「GDPナウ」では、第1四半期の米国内総生産(GDP)は、-1.8%とマイナス成長に転落することが予想されている。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」が示している追加利下げ時期は、6月FOMCとなっている。
他方、9時30分に発表される2月豪消費者物価指数(CPI)は前年比+2.5%と予想されており、1月の同比+2.5%と変わらずと見込まれている。コアインフレ率の指標として注目されるCPIの中銀トリム平均値は同比+2.8%と、12月の同比+2.7%から上昇していた。
豪準備銀行(RBA)がインフレ指標として重視している四半期消費者物価指数(CPI)の発表は、4月30日まで待たなければならず、3月31日-4月1日に開催されるRBA理事会での金融政策の変更はないとの見方が優勢となっている。しかしながら、予想を大幅に下回るネガティブサプライズには警戒しておきたい。
大阪6月限ナイトセッション
日経225先物 37820 +240 (+0.63%)
TOPIX先物 2794.0 +19.0 (+0.68%)
シカゴ日経平均先物 37820 +240
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
25日の米国市場はNYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が上昇。トランプ米大統領が4月2日に導入予定の「相互関税」を巡り、多くの国に減免措置を与える可能性に言及するなど柔軟姿勢を示したことが引き続き買いに向かわせた。ただし、3月の米消費者信頼感が92.9と前月(100.1)から低下したほか、今後6カ月の見通しを示す期待指数が12年ぶりの低水準となるなか、トランプ関税によるインフレ再燃への懸念が重荷となった。また、週内に発表を控える2月の米個人消費支出(PCE)物価指数の結果を見極めたいとするムードもあった。
NYダウ構成銘柄では、ウォルト・ディズニー<DIS>、アップル<AAPL>、JPモルガン・チェース<JPM>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>、ゴールドマン・サックス・グループ<GS>が買われた。半面、メルク<MRK>、ウォルマート<WMT>、アムジェン<AMGN>、プロクター・アンド・ギャンブル<PG>、ジョンソン・エンド・ジョンソン<JNJ>の弱さが目立った。
シカゴ日経平均先物(6月限)清算値は、大阪比240円高の3万7820円だった。日経225先物(6月限)のナイトセッションは日中比変わらずの3万7580円で始まった後に、3万7780円まで買われた。米国市場の取引開始後にショート優勢となり、3万7540円と下落に転じる場面もみられた。ただし、下へのバイアスは強まらず、終盤にかけてロング優勢の展開が継続。3万7830円まで買われ、3万7820円とナイトセッションの高値圏で取引を終えた。
シカゴ先物にサヤ寄せする形から、買い先行で始まりそうだ。一時下落に転じる場面もみられたが、25日移動平均線(3万7500円)が支持線として機能する形で切り返しており、同水準が支持線として意識されやすいだろう。下値の堅さがみられるなか、押し目待ち狙いのロングが入りやすくなりそうである。
一方で、上値はオプション権利行使価格の3万7875円水準で強弱感が対立しそうであり、まずは3万7500円~3万7875円のレンジを想定する。トランプ政権による相互関税の導入を来週に控えてロングを強めてくる可能性は限られるが、国内の需給面では3月期末に伴う配当再投資による先物買いへの思惑が高まりやすい。権利行使価格の3万7875円を明確に上抜けてくると、ショートカバーを誘う展開がありそうだ。
そのため、スキャルピング中心のトレードを余儀なくされるものの、短期的には戻り待ち狙いのショートスタンスよりも、押し目狙いのロング対応でのエントリーを想定しておきたい。
25日の米VIX指数は17.15(24日は17.48)に低下した。前日に75日線(17.97)を割り込んでいたが、続落し200日線(17.34)を割り込んできた。直近のボトム水準である15.00割れが意識されてくる可能性もあり、トランプ関税の影響は不透明ながらも、リスク選好に向かわせやすいだろう。
昨日のNT倍率は先物中心限月で13.54倍に上昇した。米ハイテク株高の流れを引き継ぐ形から指数インパクトの大きい値がさハイテク株が日経平均型を牽引する形となり、一時13.62倍まで上昇する場面もみられた。ただし、アドバンテスト<6857.T>[東証P]がマイナスに転じたことで、リバランスの動きは強まりにくい状況だった。同社株が下げ渋る動きをみせれば、NTショートの巻き戻しが意識されてきそうだ。
東京市場はしっかりか。米国株は上昇。ダウ平均は4ドル高の42587ドルで取引を終えた。弱めの経済指標が多く景気減速が意識されたものの、10年債利回りが低下したことから強弱感が交錯。プラス圏とマイナス圏を行き来して終日方向感が定まらなかった。ナスダックは金利低下を好感して概ね堅調に推移した。ドル円は足元149円90銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが大証日中終値と比べて240円高の37820円、ドル建てが325円高の37905円で取引を終えた。
米3指数はいずれも小幅な上昇にとどまったが、ダウ平均やS&P500は終盤にプラス圏に浮上しており、引け味が良かった。現状、米国の関税については過度な警戒が和らいでいる状況であり、下値は堅いとみる。このところの日経平均は高くなっても場中に失速することが多く、あすに権利付き最終日を控えて3月決算銘柄は手がけづらい。そのため上値も重いとみるが、米国株の下値不安が後退しつつある中、プラス圏で落ち着いた動きが続くと予想する。日経平均の予想レンジは37700円-38100円。
昨日のドル円は、欧州時間に米長期金利の上昇につれて150.77円まで買戻されたものの、アジア時間の高値150.94円を上抜けることが出来ずに失速。3月米消費者信頼感指数や3月米リッチモンド連銀製造業景気指数、2月米新築住宅販売件数がいずれも予想を下回る弱い数字となると米10年債利回りが一転して4.2960%まで低下。つれるかたちで149.55円まで値を下げました。ただ、一目基準線の位置する149.43円が目先の目処として意識されたこともあり、引けにかけては149.94円まで買戻されています。市場では「3月米消費者信頼感指数が期待指数も含めて相当悪化していたことが意識された」模様。トランプ関税に対する警戒感の強さが数字に表れていると言えます。
そして、アジア市場。昨日同様に本邦実需の買いが朝方から観測されているほか、日経平均も「HF勢のショートがかなり溜まっている」なかで堅調な推移となるなか一時150.35円まで買戻されているといったところです。
いずれにしても、HF勢がドル円と日経平均先物を売り仕掛けた後の買戻しモードが続いているわけで、米金利動向を見極めながらの神経質な動きとなっていきそうです。目先は欧州時間の高値150.77円や昨日高値の150.94円が戻りの目処となっていますが、引続き3日の高値151.30円や50日MAの151.53円、200日MAの151.71円が意識されています。
日経225先物は11時30分時点、前日比60円高の3万7640円(+0.15%)前後で推移。寄り付きは3万7840円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万7820円)にサヤ寄せする形から買い先行で始まり、直後に3万7900円まで買われた。買い一巡後に3万7730円まで上げ幅を縮めたが、中盤にかけて再び買い優勢の流れとなり、3万7890円まで切り返した。ただし、朝方につけた高値を捉えられず、終盤にかけては3万7620円まで上げ幅を縮めた。
日経225先物はオプション権利行使価格の3万7875円を上回る場面もみられたが、結局は同水準に上値を抑えられる形となった。ただし、25日移動平均線(3万7500円)が支持線として意識されているほか、3月期末に向けて配当再投資に伴う先物買いへの思惑からショートは仕掛けづらく、水準としてはオプション権利行使価格の3万7625円~3万7875円辺りでの推移である。下値の堅さがみられるようだと、再びレンジ上限を狙ったロングが入りそうである。
NT倍率は先物中心限月で13.55倍と小幅に上昇している。ファーストリテイリング<9983.T>[東証P]や東京エレクトロン<8035.T>[東証P]、任天堂<7974.T>[東証P]、ソニーグループ<6758.T>[東証P]が日経平均型を牽引。ただし、反発して始まったアドバンテスト<6857.T>[東証P]がマイナスに転じるなか、リバランスの動きが強まりにくい面はある。
「昨今のコメ価格上昇が、未だ2%には届かないとする基調的インフレを押し上げる遠因になり得る」(植田日銀総裁:2025年3月19日)
3月25日、2%の物価安定目標の実現を目指す日銀が公表した2月の「基調的なインフレ率を捕捉するための指標」は、1月とほぼ変わらずだった。
2月の上昇品目の比率は78.7%と、1月の77.0%を上回り、下落品目は15.7%で、1月の17.2%を下回った。
1. 基調的なインフレ率を捕捉するための指標
物価動向の分析にあたっては、現実に観測される「消費者物価」の動きから、様々な一時的要因の影響を取り除いた、基調的なインフレ率(「コア指標」)が利用されている。
生鮮食品を除いた「コアCPI」や生鮮食品およびエネルギーを除いたコアコアCPIの他に、様々なコア指標を総合的にみていくことによって、基調的な物価変動をより的確に把握できると思われる。
日本銀行調査統計局では、毎月の全国消費者物価指数の公表に合わせて、上昇・下落品目比率、刈込平均値、最頻値、加重中央値を試算し、原則として、全国消費者物価指数の公表日の2営業日後の14時を目途に公表している。
2.2月の「基調的なインフレ率を捕捉するための指標」(※コア3指標)
■刈り込み平均値:前年比+2.2%
・2024年6月以来の2%台を継続(1月+2.2%、12月+1.9%、11月+1.7%、10月+1.5%、9月+1.7%、8月+1.8%、7月+1.8%、6月+2.1%、5月+2.1%、4月+1.8%、3月+2.2%、2月+2.3%)
・価格変動が大きい上下10%の品目を異常値として機械的に除き算出する
■加重中央値:前年比+1.4%
・1月と変わらず(1月+1.4%、12月+1.0%、11月+0.9%、10月+0.8%、9月+0.8%、8月+0.7%、7月+1.1%、6月+1.4%、5月+1.3%、4月+1.1%、3月+1.3%、2月+1.4%)
・価格上昇率の高い順にウエートを累積して50%付近にある価格変化率
■最頻値:前年比+1.2%
・1月から低下(1月+1.3%、12月+1.1、11月+1.1%、10月+1.3%、9月+1.4%、8月+1.3%、7月+1.5%、6月+1.6%、5月+1.5%、4月+1.6%、3月+1.9%、2月+2.0%)
・品目別価格変動分布で最も頻度の高い価格変化率
3.2月の消費者物価指数(CPI)
■消費者物価指数(CPI):+3.7%(1月+4.0%、12月+3.6%、11月+2.9%、10月+2.3%、9月+2.5%、8月+3.0%、7月+2.8%、6月+2.8%、5月+2.8%、4月+2.5%、3月+2.7%、2月+2.8%)
■コアCPI(生鮮食品を除く):+3.0%(1月+3.2%、12月+3.0%、11月+2.7%、10月+2.3%、9月+2.4%、8月+2.8%、7月+2.7%、6月+2.6%、5月+2.5%、4月+2.2%、3月+2.6%)
■コアコアCPI(生鮮食品・エネルギーを除く):+2.6%(1月+2.5%、12月+2.4%、11月+2.4%、10月+2.3%、9月+2.1%、8月+2.0%、7月+1.9%、6月+2.2%、5月+2.1%)
政府による光熱費補助が再開された影響で伸び幅は4カ月ぶりに縮小した。
エネルギー価格は政府による「電気・ガス料金負担軽減支援事業」に伴う価格の押し下げ効果により上昇幅+6.9%に留まった。電気代は前月との比較では7.4%%、ガス代は4.7%%のマイナスとなった。一方で、コメ類全体の価格は前年同月比で80.9%上昇し、比較可能な1971年1月以降で最大の上げ幅となった。
本日のロンドン為替市場では、英国のインフレ指標や春季財政報告の内容を見定めながらポンド中心の値動きとなりそうだ。また月末・四半期末、本邦では年度末が近いこともあり、末に絡んだフローに振らされる場面もあるだろう。
欧州序盤に発表される2月英消費者物価指数(CPI)は前年比2.9%、同コアが3.6%とそれぞれ前回から0.1ポイント下回るとの市場予想。英中銀が注視しているサービス部門のインフレ率も前回の前年比5.0%は下回る見込みだ。
英CPIが予想に沿った結果であればインフレ加速一服ではあるものの、水準としては高いままとも言える。今回の2月インフレ指標だけで英中銀(BOE)の金利見通しに大きな変化はなさそうだが、景気停滞への懸念が燻るなかでも積極的に利下げという訳にも行かないだろう。一方でもし上振れた場合、ベイリーBOE総裁の舵取りは非常に難しくなりそうだ。
リーブス英財務相は本日ロンドン12時30分(日本時間21時30分)頃、春季財政報告を公表する。財務相の声明前には予算責任局(OBR)が英経済の予測を発表し、一部報道によれば、成長見通しが従来予想2%から1%程度まで引き下げられる可能性があるもよう。
昨年10月末にリーブス財務相が発表した予算案では、国民保険料の引き上げなどで400億ポンド規模の増税が明らかになった。一部英メディアによれば、今回は各省庁に対する大規模な予算削減が発表され、先日明らかにされた福祉支出の削減と合わせて2019年以来で最も急激な削減が予想されている。また、労働者層は含まれないものの、所得税の引き上げを検討しているとの憶測もある。
いずれにせよ、「成長の鈍化、財政の悪化、債務コストの上昇により、秋以降の予算策定の余地は狭まっている」との見方が広がっており、報告内容をどのように市場が、特に債券市場が判断するのかに目を向けておきたい。ポンド相場は英長期金利の上下に素直に付いていく展開か。
想定レンジ上限
・ポンドドル、20日高値1.3015ドルを超えると昨年10月15日高値1.3103ドル
・ユーロドル、日足一目均衡表・転換線1.0866ドル
想定レンジ下限
・ポンドドル、10日安値1.2862ドルを下抜けると日足一目均衡表・基準線1.2787ドル
・ユーロドル、200日移動平均線1.0727ドル
ドル円:1ドル=150.47円(前営業日NY終値比△0.56円)
ユーロ円:1ユーロ=162.29円(△0.51円)
ユーロドル:1ユーロ=1.0785ドル(▲0.0006ドル)
日経平均株価:38027.29円(前営業日比△246.75円)
東証株価指数(TOPIX):2812.89(△15.37)
債券先物6月物:137.39円(▲0.09円)
新発10年物国債利回り:1.580%(△0.005%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
2月企業向けサービス価格指数
前年同月比 3.0% 3.2%・改
1月景気動向指数改定値
先行指数 108.3 108.0
一致指数 116.1 116.2
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は強含み。日経平均株価の上昇が買いを促したほか、東京仲値にかけては本邦実需勢の買いも観測された。植田日銀総裁の国会での答弁で「コメ含む食料品価格は上昇率としては落ちついてくる」とハト派寄りの発言をしたことが支えとなった面があったうえ、「月末・期末を前に実需のフローが断続的に出た」との指摘もあり、一時150.62円まで上値を伸ばした。
・ユーロ円も強含み。日本株高や月末要因のフローに伴って対ドル主導で円安が進むと、その他の通貨に対しても円売りが波及した。ユーロ円は一時162.42円まで上げ幅を広げた。
豪ドル円は一転上昇。2月豪消費者物価指数(CPI)が予想より弱かったほか、「トランプ米大統領は数週間以内に銅輸入に関税を課す可能性がある」との報道が伝わると一時94.26円まで急速に値を下げた。ただ、株高などを背景に一巡後は一転して押し目買いが優勢となり95.13円まで買い上げられた。
・ユーロドルは小動き。円絡みの取引が中心となったため1.07ドル台後半でこう着している。
・日経平均株価は続伸。終値で3万8000円台を回復するのは約1カ月ぶり。海外勢から日本株の割安感が意識され値嵩株を中心に買いが広がった。
・債券先物相場は5日続落。前日に米国債が小幅上昇した流れを引き継いで小高く始まるも、その後は下げに転じて午前の取引を終えた。日銀の追加利上げ観測を背景として売りが優勢となった。
米商務省産業安全保障局(BIS)は26日、米国の安全保障と外交政策に反する活動に関与した海外企業80社を「エンティティ-リスト」に加えたと発表した。うち50社超は中国企業で、ほかにアラブ首長国連邦(UAE)、南アフリカ、イラン、台湾などの企業がリストに入った。中国企業では、サーバー大手で2023年にリストに収載された浪潮集団(インスパー)の子会社6社が新たに加わった。
エンティティ-リストに収載された企業は、米企業による輸出が事実上禁止される。商務省は声明で、今回のリスト追加の目的は「中国の人工知能(AI)と先進コンピューティング能力をさらに制限する」ことだと明らかにした。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券では、海外投資家の現物売買の年間需給の特徴について検証している。2013年~2024年の平均値でみると、3月は2番目に売り越しの規模が大きい一方で、4月の資金流入規模は最大であるとのこと。三菱UFJMSでは、日本の新年度入りに伴う、企業や市場の新たな見通しを踏まえたポジション構築の動きなどが背景にあるとみている。また、このアノマリーを参考に、外国人持株比率が高く、足元の株価に調整がみられる銘柄に注目している。
中国の国務院国有資産監督管理委員会(国資委)の関係者は、中央企業の「人工知能(AI)+」に関するメディア向け説明会で、中央企業によるAI分野への資金投入を積極的に促す方針を示した。産業投資と生産の結び付きを強化し、投資による産業促進を進めるとともに、AI関連の長期資本、戦略資本、耐久資本の拡大を図る。さらに、人材の育成・誘致を最適化し、中央企業の需要規模の大きさ、産業の充実度、多様な応用シーンといった強みを生かし、重要分野に焦点を当てる。オープンエコシステムの構築に積極的に関与し、原始的な技術革新の創出を推進するとともに、各方面との協力を深める方針。『AAストックス』が26日伝えた。
関係者によると、中央企業によるAI産業の発展は一段と加速する見通し。「AI+」を引き続き深化させ、応用、コンピューティング能力、データ、モデルなどのAI産業の重点分野で成果を上げることを目指す。国資委は今後、応用分野で先導的役割を果たし、データの活用、インテリジェントコンピューティング基盤の強化を一層重視し、各方面との協力を深める。中国のAI産業の高品質な発展を加速させるため、より大きな貢献を果たすとしている。
大阪6月限
日経225先物 37800 +220 (+0.58%)
TOPIX先物 2790.0 +15.0 (+0.54%)
日経225先物(6月限)は前日比220円高の3万7800円で取引を終了。寄り付きは3万7840円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万7820円)にサヤ寄せする形から買い先行で始まり、直後に3万7900円まで買われた。買い一巡後に3万7730円まで上げ幅を縮めたが、前場中盤にかけて再び買い優勢となり、3万7890円まで切り返した。ただし、朝方につけた高値を捉えられず、前場終盤にかけては3万7620円まで上げ幅を縮めた。
もっとも、25日移動平均線(3万7500円)が支持線として意識されるほか、3月期末に向けて配当再投資に伴う先物買いへの思惑からショートは仕掛けづらく、ランチタイムでは3万7700円辺りでの底堅さがみられた。さらに、現物の後場の取引開始後にはロング優勢の流れとなり、中盤にかけて3万7970円まで上げ幅を広げる場面もみられた。終盤は持ち高調整とみられる動きにより3万7800円を挟んでの攻防となった。
日経225先物はオプション権利行使価格の3万7875円水準に上値を抑えられるなか、後場に入り強含む形となったが、あすの権利付き最終日を前に配当再投資に伴う思惑からロングの動きが強まったようである。配当再投資に伴う需給は27日、28日に入るとみられており、足もとでの下支えとなろう。
米国市場の動向次第ではあるが、オプション権利行使価格の3万7875円を中心とした上下の権利行使価格となる3万7750円から3万8000円のレンジが意識されそうだ。権利行使価格の3万7875円を上回る推移をみせてくるようだと、ボリンジャーバンドの+1σ(3万8100円)および200日移動平均線(3万8170円)が射程に入ってくる。4月2日のトランプ米政権による相互関税を控えロングに傾けにくい状況であるが、期末の需給要因によって底堅さがみられ、これがショートカバーを誘う形になる展開が期待される。
NT倍率は先物中心限月で13.54倍と前日から変わらず。ファーストリテイリング<9983.T>[東証P]や東京エレクトロン<8035.T>[東証P]、ソフトバンクグループ<9984.T>[東証P]、任天堂<7974.T>[東証P]が日経平均型を牽引。不安定な値動きが続いているアドバンテスト<6857.T>[東証P]も後場に入りプラス圏を回復したが、東証プライムの値上がり数が全体の7割を超えるなか、NTショートを巻き戻す動きにはつながらなかった。
手口面(6月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万7697枚、ソシエテジェネラル証券が1万5443枚、サスケハナ・ホンコンが3873枚、バークレイズ証券が2635枚、モルガンMUFG証券が2157枚、JPモルガン証券が1958枚、SBI証券が1678枚、日産証券が1534枚、ゴールドマン証券が1394枚、楽天証券が1216枚だった。
TOPIX先物は、ソシエテジェネラル証券が2万4438枚、ABNクリアリン証券が2万3667枚、バークレイズ証券が6880枚、JPモルガン証券が6055枚、ゴールドマン証券が4180枚、BNPパリバ証券が4179枚、モルガンMUFG証券が3758枚、ビーオブエー証券が3245枚、三菱UFJ証券が1923枚、シティグループ証券が1350枚だった。
先週末にトランプ米大統領の発言を受けてトランプ関税への過度な警戒感が緩み、ドル円は買いが優勢となった。昨日の海外市場では調整の売りに押されるも、本日は再び150円台を回復した。ただ、昨日同様に150円半ば超え水準では売りに押された。もっとも関税の不確実性は払しょくされず、積極的に上値を試す動きにはなりにくいが、円ロングポジションの解消に伴い一時的にドル円の急伸が見られる可能性もあり注意したい。
本日のNYタイムで予定されているのは2月米耐久財受注程度と、目立つ経済指標の発表はない。引き続きトランプ関税関連のヘッドラインに一喜一憂する相場となりそうだ。関税関連で新たな情報が伝わらなければ、ドル円は昨日同様に150円後半で上値の重さを示し、150円を挟んでの動きが見込まれる。もっとも関税への過度な警戒感が和らいだことや、月末・期末需要に伴うドル買いが強いことを支えに、ドル円は底堅さを維持しそうだが、トランプ米大統領の関税をめぐる不規則発言への警戒感で上値も重い。
トランプ米政権が4月2日に導入予定の相互関税について、関係者の話として2段階での実施を検討しており、不公正な貿易慣行への制裁関税に向けた調査を開始するのと同時に緊急措置を発動し、暫定的な追加関税を即時適用する計画であると伝わっている。また、4月2日に輸入自動車への関税を発動し、第1次政権で実施した安全保障上の影響調査を再開する可能性があると報じた。
・想定レンジ上限
ドル円、25日高値150.94円や3日高値151.30円を上値めど。
・想定レンジ下限
ドル円、25日安値149.55円や24日安値149.02円を下値めど。
今晩はもみ合いか。昨日は3月消費者信頼感指数などの経済指標が予想以上に悪化したものの、それを受けて米10年債利回りが低下したことや、トランプ関税への過度な警戒感の後退などを背景に主要3指数がそろって3日続伸。ダウ平均は4.18ドル高(+0.01%)とわずかな上昇にとどまったが、S&P500が0.16%高、ナスダック総合は0.46%高となった。センチメントは引き続き改善し、投資家の不安心理を示すVIX指数は前日の17.48ポイントから17.15ポイントに低下した。
今晩はS&P500が昨日まで3日続伸したことや、木曜日の10-12月期国内総生産(GDP)確報値、金曜日の2月個人消費支出(PCE)価格指数の発表を控えた様子見姿勢が強まることも予想され、上値の重い展開か。足もとでは消費者心理の悪化を示す経済指標の発表が続き、景気後退懸念も意識されてり、寄り前に発表される2月耐久財受注などの経済指標に要注目か。
今晩の米経済指標はMBA住宅ローン申請指数、2月耐久財受注、EIA週間原油在庫など。企業決算は寄り前にペイチェックス、ダラー・ツリー、シンタスなどが発表予定。
日経平均株価は続伸。5日移動平均線(37769円 3/26)をサポートに上昇する展開となり、直近の高値水準を上回る動きをみせた。
RSI(9日)は前日の82.4%→84.7%(3/26)に上昇。日足ローソク足は3日続けて陰線となったが、きょうは後場に前場高値を上回るなど買い優勢の地合い変化がうかがえる。下向きで推移する25日移動平均線(37735円 同)は上値の重荷となるが、特に前日からの見方に大きな変化はない。3/7や2/28の急落で形成したマドを埋め戻す強いリバウンドが続いたことで、底入れ期待が一段と強まる動きになっている。
上値メドは、200日移動平均線(38567円 同)、75日移動平均線(38731円 同)、心理的節目の39000円、2/13高値(39581円)、心理的節目の4万円などがある。下値メドは、25日移動平均線、10日移動平均線(37474円 同)、心理的節目の37000円、3/14安値(36594円)、心理的節目の36000円、9/17安値(35828円)などがある。
米財務省によると、5年債入札(ダッチ方式)の落札結果は最高落札利回りが4.100%、応札倍率(カバー)が2.33倍となった。
(26日終値:27日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=150.42円(26日15時時点比▲0.05円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=161.80円(▲0.49円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0756ドル(▲0.0029ドル)
FTSE100種総合株価指数:8689.59(前営業日比△25.79)
ドイツ株式指数(DAX):22839.03(▲270.76)
10年物英国債利回り:4.728%(▲0.025%)
10年物独国債利回り:2.795%(▲0.003%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
2月英消費者物価指数(CPI)
(前月比) 0.4% ▲0.1%
(前年比) 2.8% 3.0%
CPIコア指数
(前年比) 3.5% 3.7%
2月英小売物価指数(RPI)
(前月比) 0.6% ▲0.1%
(前年比) 3.4% 3.6%
3月仏消費者信頼感指数
92 93
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は底堅い動き。日銀審議委員に本日就任した小枝淳子氏が「実質金利は極めて低い」「基調的なインフレは緩やかに上がっている」などと発言したことをきっかけに円買い・ドル売りが先行。19時30分前に一時150.02円付近まで下押しした。ただ、アジア時間に付けた日通し安値149.84円が目先サポートとして働くと買い戻しが優勢となった。
NYの取引時間帯に入り、2月米耐久財受注額が予想を上回ると円売り・ドル買いが活発化。米長期金利の上昇に伴うドル買いも入ると、アジア時間の高値150.62円を上抜けて一時150.75円まで上値を伸ばした。
もっとも、前日の欧州時間の高値150.77円や同日高値の150.94円が目先レジスタンスとして意識されると伸び悩んだ。
・ポンドドルは軟調。2月英消費者物価指数(CPI)が予想を下回ると全般ポンド売りが先行。米長期金利の上昇に伴うドル買いも入り、22時30分過ぎに一時1.2875ドルと日通し安値を更新した。
なお、英政府は春季予算案を発表し、今年のGDP成長率を従来の2%から1%に下方修正した。また、リーブス英財務相は会見で「米関税発動の場合、目標年度の経常収支の黒字をほぼゼロに減少させる可能性がある」などと述べた。
・ユーロドルは頭が重かった。欧州市場序盤に一時1.0803ドルと日通し高値を付けたものの、前日の高値1.0830ドルがレジスタンスとして意識されると失速した。NY市場に入ると米経済指標の上振れや米長期金利の上昇を受けてユーロ売り・ドル買いが進んだ。
レビット米ホワイトハウス報道官が「トランプ米大統領は午後4時(日本時間5時)に記者会見を開き、輸入自動車への関税措置を発表する」と明らかにすると、米政権の関税政策への懸念からユーロ売り・ドル買いが加速。2時30分過ぎに一時1.0752ドルと日通し安値を更新した。
・ユーロ円は上値が重かった。ドル円の上昇につれた買いが入ると0時30分前に一時162.61円と本日高値を付けたものの、米政権の政策を巡る不透明感は根強い中、ユーロドルの下落につれた売りが出ると161.64円の本日安値まで押し戻された。市場では「米関税政策への警戒感から投資家心理は晴れない」との声が聞かれた。一時は230ドル超上昇したダウ平均は失速し、210ドル超下落した。
・ロンドン株式相場は続伸。2月英CPIが予想を下回ると、英中銀(BOE)が利下げに動きやすくなるとの思惑から英長期金利が低下。投資家心理が改善し、株買いを促した。原油高を背景にBPやシェルなどエネルギー株が買われたほか、ナショナルグリッドやSSEなど公共事業株も値上がりした。
・フランクフルト株式相場は反落。買い先行で始まったものの、米政権の政策を巡る不透明感は根強く、すぐに失速した。本日の米国株が下落すると独株も引けにかけて下げ幅を広げた。個別ではザルトリウス(5.52%安)やインフィニオン・テクノロジーズ(3.45%安)、SAP(3.34%安)などの下げが目立った。
・欧州債券相場は上昇。英インフレ指標の下振れを受けて英国債が買われた。
26日の日経平均は続伸。終値は246円高の38027円。米国株は小幅な上昇にとどまったが、寄り付きから300円を超える上昇。序盤に38100円台に乗せたところで上値が重くなり、しばらく上げ幅を縮める流れが続いた。10時台後半には37800円台に突入し、上げ幅を2桁に縮める場面もあった。一方、後場は前引けから水準を切り上げて始まると、改めて上を試しにいった。400円超上昇して38200円台に乗せたところで買いは一巡し、14時以降は値を消した。それでも200円を超える上昇で取引を終了。2月27日以来、約1カ月ぶりに終値で38000円を上回った。
東証プライムの売買代金は概算で4兆2600億円。業種別ではその他製品、保険、非鉄金属などが上昇した一方、電気・ガス、食料品、水産・農林などが下落した。初値をつけた前日にストップ高となったミライロ<335A.T>が、きょうも買いを集めて連日のストップ高。半面、初値をつけた前日に安値引けとなったビジュアル・プロセッシング・ジャパン<334A.T>が9.8%と急落した。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1212/値下がり361。任天堂が商いを伴って5%を超える上昇。DeNAやソニーGなども強く、ゲーム関連の動きが良かった。日経新聞でCFOのインタビュー記事が報じられた三菱電機が3.5%高。業績修正を材料にゴールドウインや駅探が急伸した。業種では住友鉱山や三井金属など非鉄株に強く買われるものが多かった。
一方、三菱重工が2.7%安と大きめの下落。ほか主力どころでは三菱UFJ、リクルート、ホンダなどが弱かった。ディフェンシブ系のセクターが敬遠されており、東電HDなど電力株が軒並み安。ガス株は上昇銘柄が多かった中、東京ガスは自己株取得や増配が好感されず2%台の下落となった。
日経平均は続伸。寄った後にいったん急失速したが、ここ数日に比べると後場の動きが良く、終値(38027円)では節目の38000円を上回った。ローソク足では陰線を形成しており、高値圏では終えられなかったが、小動きの米国株を受けても大幅高スタートとなったことと併せて、売りづらさが印象づけられた1日となった。
あすは3月の権利付き最終日。落ち分が300円程度あるとみられており、金曜28日は理論的には水準が切り下がることになる。きょうの終値(38027円)のほぼ300円下に25日線(37735円、26日時点)が位置しており、大崩れしなければ権利落ち後も25日線がサポートとして機能しそうな状況になってきた。不安定な地合いはもう少し続きそうではあるが、あすは38000円より上をキープできるかに注目したい。
(26日終値)
ドル・円相場:1ドル=150.57円(前営業日比△0.66円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=161.92円(△0.14円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0754ドル(▲0.0037ドル)
ダウ工業株30種平均:42454.79ドル(▲132.71ドル)
ナスダック総合株価指数:17899.02(▲372.84)
10年物米国債利回り:4.35%(△0.04%)
WTI原油先物5月限:1バレル=69.65ドル(△0.65ドル)
金先物4月限:1トロイオンス=3022.5ドル(▲3.4ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
MBA住宅ローン申請指数
(前週比) ▲2.0% ▲6.2%
2月米耐久財受注額
(前月比) 0.9% 3.3%・改
輸送用機器を除く
(前月比) 0.7% 0.1%・改
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は反発。日銀審議委員に本日就任した小枝淳子氏が「実質金利は極めて低い」「基調的なインフレは緩やかに上がっている」などと発言すると円買い・ドル売りが優勢となり、欧州市場では一時150.02円付近まで下落した。
ただ、NY市場に入ると2月米耐久財受注額が予想を上回り、米長期金利の上昇とともに全般ドル買いが活発化。アジア時間の高値150.62円を上抜けて一時150.75円まで上値を伸ばした。もっとも、前日の欧州時間の高値150.77円や同日高値の150.94円が目先レジスタンスとして意識されると伸び悩んだ。
・ユーロドルは6日続落。欧州市場序盤に一時1.0803ドルと日通し高値を付けたものの、前日の高値1.0830ドルがレジスタンスとして意識されると失速。米経済指標の上振れや米長期金利の上昇に伴うユーロ売り・ドル買いも出た。
レビット米ホワイトハウス報道官が「トランプ米大統領は午後4時(日本時間5時)に記者会見を開き、輸入自動車への関税措置を発表する」と明らかにすると、米政権の関税政策への懸念からユーロ売り・ドル買いが加速。4時30分過ぎに一時1.0744ドルと5日以来の安値を更新した。
・ユーロ円は小反発。ドル円の上昇につれた買いが入ると0時30分前に一時162.61円と本日高値を付けたものの、ユーロドルの下落につれた売りが出ると161.64円の本日安値まで押し戻された。米政権の政策を巡る不透明感が根強い中、一時は230ドル超上昇したダウ平均は失速し、260ドル超下落したことも相場の重し。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は4日ぶりに反落。買い先行で始まり一時230ドル超上昇したものの、中盤以降は売りに押された。「トランプ米大統領が自動車関税の措置を発表する」と伝わると、米関税政策を巡る懸念が高まり一時260ドル超下げた。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も4日ぶりに反落し、同372.84ポイント安の17899.02で取引を終えた。メタ・プラットフォームズやアルファベットなどにも売りが出た。
・米国債券相場で長期ゾーンは反落。2月米耐久財受注額が予想を上回ると売りが優勢となった。5年債入札が「軟調」と受け止められたことも相場の重し。
・原油先物相場は小幅に反発。米関税行使への懸念が高まるなか、原油の供給にも支障が出るとの見方が下支え要因。ただ、米関税の行方や影響についての不透明が強いほか、関税を受けた経済活動鈍化がエネルギー需要を鈍らせるとの観測も交錯しており、明確な方向感が出にくい状態だった。
・金先物相場は反落。米10年債利回りが一時4.36%近辺と、米金利上昇が先行したことが金利のつかない資産である金の相対的な投資妙味低下を意識させた。ドルインデックスが昨日のレンジを上回って5日以来、3週間ぶりの水準へ切り上がるなどドル高が進んだこともドル建て金相場の割高感につながり売りを誘った。ほどなく米金利上昇は一服したものの、ドル高の影響が残るなか金相場の戻りは鈍かった。
トランプ米大統領が「米国外で生産された自動車に25%の関税を課す」と発言したことを受けて、ゼネラルモーターズ(GM)やフォード、ステランティスなど自動車株が時間外取引で急落している。
26日09:06 植田日銀総裁
「過去と比べ、為替変動が物価に影響及ぼしやすくなっている」
「日本の金融システムは全体として安定性を維持」
「現在の実質金利、極めて低い水準にある」
「経済・物価の見通しが実現していけば、引き続き政策金利を引き上げて金融緩和度合いを調整」
「大規模緩和、経済・物価を押し上げデフレでない状況に貢献」
「大規模緩和、一定の副作用はあったが全体としてプラスの影響」
「副作用が遅れて顕在化など、マイナスが大きくなる可能性も」
「基調的な物価上昇率は2%をまだ少し下回っている」
「2%の物価目標が実現しない中で目標の見直しはやってはいけないこと」
「政府・日銀の共同声明へのコメントは差し控える」
26日11:01 加藤日銀理事
「経済・物価への影響の観点から為替動向を注視する必要がある」
26日14:32 グールズビー米シカゴ連銀総裁(FT紙インタビュー)
「今後12-18カ月で金利はかなり下がると予想」
「しかし、景気先行き不透明感から追加利下げには予想以上に時間がかかる可能性がある」
「不確実性に直面している際には、様子見が正しいアプローチになる」
26日17:16 小枝淳子日銀審議委員
「現在通商政策を含め不確実性高く、しっかりみていきたい」
「賃金・物価の好循環のステップは確認されてきている」
「自然利子率の推計には幅がある」
「マクロ経済学的な視点を大切にして任務にあたりたい」
「基調的な物価、2%に向かっているという方向性」
「金利ある世界になってから間もない、経済反応見届ける必要」
26日18:48 ロシア大統領府
「我々は米国との接触を継続している」
「米国との対話の進展に満足している」
「黒海穀物協定はいくつかの条件が満たされた後に再開」
26日21:48 リーブス英財務相
「脱税対策により、さらに10億ポンドの税収を増やす予定」
「この声明には、さらなる増税は含まれていない」
「米関税発動の場合、英国のGDPを最大で1%減少し、目標年度の経常収支の黒字をほぼゼロに減少させる可能性」
「今年のGDP成長率を+2%から+1%へ下方修正」
「インフレ率は2027年以降に2%の目標を達成する見込み」
「設備投資を昨年秋と比較して平均で年間20億ポンド増やす」
「2025年のインフレ率を+3.2%、2026年を+2.1%と予測」
26日23:55 カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁
「関税については不確実性が大きい」
「センチメントの変化の多くは関税に関するものだ」
「良いニュースは貿易の不確実性が解決され、信頼感が回復する可能性があること」
「早ければ本日中の自動車関税発表を準備」
27日02:18 レビット米ホワイトハウス報道官
「トランプ米大統領は午後4時(日本時間5時)に自動車関税を発表」
27日02:41 ムサレム米セントルイス連銀総裁
「労働市場が引き続き堅調で関税の二次的影響が明らかになる場合、あるいは中長期的なインフレ期待が実際のインフレ率またはその持続性を高め始める場合、適度な引き締め政策がより長期間適切となる」
「あるいはより引き締め政策の検討が必要になる可能性がある」
27日04:30 ベッセント米財務長官
「トランプ大統領は交渉で有利になるならロシアに対する制裁強化をためらわない」
「来週ウクライナと経済パートナーシップ締結の可能性」
※時間は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
<海外>
○16:00 ◇ 2月トルコ失業率
○17:30 ◎ ディングラ英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○18:00 ◎ ノルウェー中銀、政策金利発表(予想:4.50%で据え置き)
○18:30 ◇ 2月南アフリカ卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.7%/前年比1.3%)
○18:45 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○21:00 ◇ 2月メキシコ貿易収支(予想:5.27億ドルの赤字)
○21:30 ☆ 10-12月期米国内総生産(GDP)確定値(予想:前期比年率2.3%)
○21:30 ◎ 10-12月期米個人消費(確定値、予想:前期比4.2%)
○21:30 ◎ 10-12月期米コアPCE(確定値、予想:前期比2.7%)
○21:30 ◇ 2月米卸売在庫(予想:前月比0.7%)
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:22.5万件/188.8万人)
○22:00 ◎ デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○23:00 ◎ 2月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比1.0%/前年比なし)
○28日01:15 ◎ ウンシュ・ベルギー中銀総裁、講演
○28日01:45 ◎ エスクリバ・スペイン中銀総裁、講演
○28日02:00 ◎ 米財務省、7年債入札
○28日03:40 ◎ シュナーベルECB専務理事、講演
○28日04:00 ◎ メキシコ中銀、政策金利発表(予想:9.00%に引き下げ)
○28日05:30 ◎ バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○28日05:30 ◎ コリンズ米ボストン連銀総裁、講演
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
26日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、2月米耐久財受注額が予想を上回り、米長期金利の上昇とともに全般ドル買いが活発化すると150.75円まで上昇した。ユーロドルは、米経済指標の上振れや米長期金利の上昇に伴うユーロ売り・ドル買いのほか、米政権の関税政策への懸念も重しとなって5日以来となる1.0744ドルまで下落した。
本日の東京時間では、経済指標の発表は対外対内証券売買契約等の状況くらいと少なめ。ドル円は日銀の早期利上げ観測がくすぶるなか、トランプ関税の影響を見極めつつ、株価や時間外の米長期金利を眺めることになるか。
本日朝方、トランプ米大統領が自動車関税に関する大統領令に署名したことで、来月2日から自動車関税が発動し、3日より徴収される見通し。トランプ米大統領が「米国外で生産された自動車に25%の関税を課す」と発言したことを受けて、ゼネラルモーターズ(GM)やフォード、ステランティスなど自動車株が時間外取引で急落している。東京市場でも自動車株の下げ主導で日経平均が下げ幅を拡大することがあれば、ドル円をはじめクロス円全般の重しとなる事も考えられる。株価動向には注意したい。
また昨日は、良好な米経済指標を受けたほか、米国による関税引き上げが物価高をもたらすとの見方もあり、米長期金利が上昇している。NY市場ではドル高の流れとなったことからも、時間外の米長期金利が上昇する場面では、ドル高が想起されてドル円が買われる展開もあり得る。
他方、昨日の欧州市場では、日銀審議委員に就任した小枝淳子氏の発言に反応して円高が進む場面が見られた。昨日、新発10年債利回りは一時1.585%と2008年10月以来の高水準を付けており、一段と金利が上昇する場面では円が買われる展開もあり得る。本邦金利市場の動きにも警戒しておきたい。
需給面では、本日は期末・年度末のスポット応答日にあたる。仲値公示にかけて需給主導の動きとなる恐れがある点には注意が必要だろう。
大阪6月限ナイトセッション
日経225先物 37440 -360 (-0.95%)
TOPIX先物 2774.5 -15.5 (-0.55%)
シカゴ日経平均先物 37460 -340
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
26日の米国市場はNYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が下落。エヌビディア<NVDA>が5.7%安で終えるなど、半導体株の下げがセンチメントを冷ます形となった。中国が先端半導体の使用を巡るエネルギー効率の規制を強化するとの観測が報じられたほか、米商務省が中国のサーバー大手企業など約80社を禁輸措置の対象にすると発表したことで、中国市場での販売が一段と落ち込むとの懸念が高まった。また、トランプ米大統領が自動車関税について、日本時間3月27日午前5時に発表すると米報道官が明らかにしたと伝わったことで、自動車株も売られた。
NYダウ構成銘柄ではエヌビディアのほかセールスフォース<CRM>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>、ボーイング<BA>、ゴールドマン・サックス・グループ<GS>、マイクロソフト<MSFT>が下落。一方で、プロクター・アンド・ギャンブル<PG>、マクドナルド<MCD>、コカ・コーラ<KO>、ベライゾン・コミュニケーションズ<VZ>、シスコシステムズ<CSCO>が買われた。
シカゴ日経平均先物(6月限)清算値は、大阪比340円安の3万7460円だった。日経225先物(6月限)のナイトセッションは、日中比10円安の3万7790円で始まった。3万7670円~3万7790円辺りで推移を続けるなか、米国市場の取引開始後にショートが優勢となり、終盤にかけて3万7410円まで下げ幅を広げる場面もみられた。終了間際は3万7410円~3万7510円辺りで保ち合い、3万7440円とナイトセッションの安値圏で取引を終えた。
シカゴ先物にサヤ寄せする形から、売り先行で始まりそうだ。米中貿易戦争による影響が警戒されやすく、アドバンテスト<6857.T>[東証P]など指数インパクトの大きい値がさハイテク株の重荷となろう。また、トランプ大統領は、輸入自動車に対して25%の関税をかけると発表した。日本からの輸入車も対象になるため、トヨタ自動車<7203.T>[東証P]など大手自動車メーカーの動向が注目されそうである。
日経225先物は、ナイトセッションで25日移動平均線(3万7440円)水準まで下げてきた。前日は同線を支持線とした動きをみせていたこともあり、再び割り込んでくると短期筋のショートを誘う形になりそうだ。朝方は下へのバイアスが強まりそうだが、売り一巡後の底堅さを見極めることになろう。
本日は3月期決算企業の権利付き最終日になるため、権利取りを狙った資金流入が見込まれるほか、明日にかけては配当再投資による先物買いへの思惑が高まりやすい。需給面での下支えが意識されるなか、押し目待ち狙いのロングでの対応に向かわせよう。25日線水準での底堅さから、オプション権利行使価格の3万7375円から3万7750円のレンジを想定。為替市場で1ドル=150円半ばと円高・ドル安が一服していることも安心感につながりそうだ。
26日の米VIX指数は18.33(25日は17.15)に上昇した。前日までの下げで200日線(17.36)を割り込んでおり、リバウンドが入りやすい水準だったとみられる。75日線(18.09)を上回って終えてきたため、再び20.00を回復してくると、市場心理をやや神経質にさせそうである。
昨日のNT倍率は先物中心限月で13.54倍と前日から変わらず。ファーストリテイリング<9983.T>[東証P]や東京エレクトロン<8035.T>[東証P]、ソフトバンクグループ<9984.T>[東証P]などが日経平均型を牽引。ただし、東証プライムの値上がり数が全体の7割を超えるなか、NTショートを巻き戻す動きにはつながらなかった。本日は半導体株の弱い動きが日経平均型の重荷になる可能性があり、NTショートに振れやすいところである。ただ、自動車株がTOPIX型を抑える形になると考えられ、トレンドは出にくいだろう。
東京市場は軟調か。米国株は下落。ダウ平均は132ドル安の42454ドルで取引を終えた。序盤では買われる場面もあったが、失速してマイナス圏に沈むと下げ幅を広げる展開。トランプ大統領が自動車関税について会見を開くと伝わったことで、警戒感が強まった。ドル円は足元150円40銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが大証日中終値と比べて340円安の37460円、ドル建てが250円安の37550円で取引を終えた。
引け後にトランプ大統領は会見で、全ての国から米国に輸入される自動車に対して25%の関税を課すことを発表した。4月2日から発効するとのこと。米国株が弱かった上に、自動車関税で日本が対象外とならなかったことから、日本株には厳しい展開が想定される。米国ではエヌビディアなど半導体株が弱く、ナスダックの下げが大きかった。これらを受けて自動車や半導体を中心に主力大型株が敬遠されることになると思われる。全体でもリスク回避ムードが強まりやすく、場中は下押し圧力の強い地合いが続くだろう。日経平均の予想レンジは37400円-37800円。
昨日の海外市場では、ユーロドルが主役。欧州時間には一時1.0803ドルまで値を上げる場面もみられましたが、1.08ドル台の戻りの鈍さが意識されると次第に上値を切り下げる展開となりました。NY時間に入って2月米耐久財受注額が予想を遥かに上回る強い数字となると米長期金利が上昇。つれるかたちで戻り売りが強まったほか、レビットWH報道官が「トランプ米大統領が16時から自動車関税を発表する」と表明すると売りが強まる展開に。目先のサポートレベルとして意識されていた6日の安値1.0766ドルを下抜けて一時1.0744ドルまで売り込まれました。
結局、NY市場引け後にトランプ米大統領が「米国外で生産された自動車に25%の関税を賦課」することを発表。再び1.0733ドルまで安値を更新しましたが、アジア時間に入ってからは1.0780ドルまでショートカバーが進んでいるといったところです。目先は200日MAの位置する1.0727ドルがかなり重要なサポートレベルとして意識されています。
いずれにしても、ドル円はこの間、方向感のない動きのなかでも底堅い動き。NY市場では一時150.75円まで値を上げました。アジア時間に入ってからは株価の下落などにつれて150.09円まで下押す場面もみられましたが、目先は欧州時間安値の150.02円を前にして150.09円を2回トライしてダブルボトムを確認したようなかたち。3月期末のスポ末にあたる本日も、相変わらず本邦実需の買いが観測されているといったところです。期末絡みのフローを中心にした米長期金利の動向に左右される動きが続いています。
日経225先物は11時30分時点、前日比390円安の3万7410円(-1.03%)前後で推移。寄り付きは3万7410円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万7460円)にサヤ寄せする形から売り先行で始まり、直後に3万7290円まで下落した。売り一巡後は3万7590円まで下げ幅を縮めたが戻りは鈍く、再び3万7300円を割り込む場面もみられた。ただし、終盤にかけてやや持ち直し、3万7400円辺りでの推移をみせている。
トランプ米大統領は日本を含む輸入自動車に対して25%の関税をかけると発表したことで、この影響から朝方はショートの動きが強まり、日経225先物は現物の寄り付き直後に3万7290円まで下げ幅を広げた。いったん下落幅を縮めた後に再び売られる形となったが、朝方につけた安値を割り込まなかったことで、終盤にかけては25日移動平均線(3万7440円)近辺で下げ渋る動きとなっている。配当再投資に伴う買い需給への思惑からショートを仕掛けてくる動きは限られ、25日線を上回って終えてくるかが注目されるなか、同水準での押し目狙いのロング対応に向かわせそうだ。
NT倍率は先物中心限月で13.48倍に低下している。アドバンテスト<6857.T>[東証P]が1社で日経平均株価を140円ほど押し下げているほか、ソフトバンクグループ<9984.T>[東証P]や東京エレクトロン<8035.T>[東証P]などの弱い値動きが重荷となった。一方で、メガバンクなど金融株が買われており、相対的にTOPIX型が優位になっている。
「私は、パウエルFRB議長は『一過性』という言葉を封印したものと思っていた。この言葉はおそらく彼の輝かしい7年半のFRB議長としての任期の中で最も評判が悪く、不適切に用いられた言葉だ」(サマーズ元米財務長官)
1.コロナ禍の「インフレ高進は一時的」
2020年の新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の後の2021年、欧州や米国の人々が手にした給付金で購買力を高め、原油価格の上昇でインフレ昂進の兆しが見えた頃、パウエルFRB議長とラガルドECB総裁と黒田日銀総裁(当時)は、「インフレ高進は一時的」とみなしていた。
しかし、2022年3月、パウエルFRB議長は、インフレに対する見立ての間違いに気が付き、「後から考えれば、もっと早く引き締め策を講じておけば良かった。」と反省しながら、ゼロ金利政策を撤回して、最終的にはFF金利誘導目標を、2023年7月に11回目の利上げで5.25-50%まで引き上げた。
パウエルFRB議長は、過去半世紀の経験からインフレの力学に関する3つの重要な教訓を学んだと述べた。物価安定に対する中央銀行の絶対的・無条件の責任、インフレ期待の重要性、一貫した断固たる行動の必要性、である。
ラガルドECB総裁も、インフレ見通しの過ちに気が付き、2022年7月にマイナス金利(中銀預金金利▲0.50%)をゼロに引き上げ、2023年9月の4.00%まで、10回の利上げに追い込まれた。
日本銀行は、理解に苦しむのだが、2024年3月までマイナス金利を続けていた。
2.トランプ関税の「一過性」
2025年3月18-19日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)では、1月会合に続いて政策金利の据え置きが決定された。
パウエルFRB議長は、トランプ大統領の関税政策によるインフレへの影響は「一過性」であるとの見解を示した。そして、現在の金融政策は「直面しているリスクや不確実性(uncertainty)に対処するために十分であり、状況がより明確になるまで待つことが適切だ」との見解を示しています。
また、ミシガン大学の期待インフレ率データについても、1年先の期待インフレ率が前月の4.3%から4.9%に、5年先は3.5%から3.9%へと上昇し、1993年以来の高水準となったものの、パウエルFRB議長は、長期的なインフレ期待は引き続き十分に安定しているとの見方を示し、例外であり異常値であると一蹴した。
ドット・プロット(金利予測分布図)での今年のFF金利予想では、メジアンでは前回(12月)から変わらず3.9%と予想されているが、上下3点を除いたレンジで見ると、前回の3.6-4.1%から今回3.9-4.4%へと上昇している。
トランプ関税やインフレによって、経済の循環的弱さが増大したとのスタグフレーション警戒であるにもかかわらず、利下げできるとのFRBの自信の喪失が示されている。
本日のロンドン為替市場では、まずは米国の自動車関税に対する欧州連合(EU)の反応や欧州株式市場への影響を見定めながの値動きか。トランプ米大統領が米国外で生産された自動車に25%の関税発動を発表後、オセアニア市場でユーロドルは約3週間ぶりの安値となる1.0733ドルをつけた。ただし、一巡後は下げ渋っている。
先日トランプ大統領は関税の柔軟性を示唆したものの、今回の自動車関税については「恒久的なもの」と言及。一時はトランプ政権と話し合う姿勢を示したEUだが、再び態度を硬直化させて4月半ばに延期した報復関税も発動が早まるかもしれない。
もっとも、トランプ大統領がまた考えを変えてくる可能性はある。というのも、米自動車メーカーは関税対象のメキシコやカナダでも生産し、国内で販売される自動車の約半分が輸入車だからだ。今回の措置で米国内で自動車価格の上昇が予想され、そうなると買い手控えの動きも広がるだろう。景気減速を懸念する声が高まれば、トランプ氏も無視できないのではないか。
なお本日は欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーの発言が複数予定されているものの、多くは欧州夕刻とやや遅い。そのなかで、ビルロワドガロー仏中銀総裁は欧州前半、デギンドスECB副総裁がニューヨーク勢の参入直後に講演が行われる。基本的には、トランプ関税に絡んだ不確実性の高まりが指摘されることになりそうだ。
他、ディングラ英中銀金融政策委員会(MPC)委員が講演予定。昨日発表された2月英消費者物価指数(CPI)は総じて予想を下回った。こちらについての同MPC委員の見解や、同じく昨日公表された春季財政報告を受けた先行きインフレ見通しなどに注目したい。
想定レンジ上限
・ユーロドル、25日高値1.0830ドル
・ポンドドル、20日高値1.3015ドル
想定レンジ下限
・ユーロドル、200日移動平均線1.0727ドルを下抜けると日足一目均衡表・基準線1.0658ドル
・ポンドドル、200日移動平均線1.2803ドル
ドル円:1ドル=150.24円(前営業日NY終値比▲0.33円)
ユーロ円:1ユーロ=161.79円(▲0.13円)
ユーロドル:1ユーロ=1.0769ドル(△0.0015ドル)
日経平均株価:37799.97円(前営業日比▲227.32円)
東証株価指数(TOPIX):2815.47(△2.58)
債券先物6月物:137.39円(横ばい)
新発10年物国債利回り:1.590%(△0.010%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
対外対内証券売買契約等の状況(前週)
対外中長期債
2071億円の処分超 835億円の処分超・改
対内株式
1兆2060億円の処分超 1兆8056億円の処分超・改
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は方向感がない。本邦勢が買いで参入すると150.62円まで値を上げたが、昨日高値の150.75円が目先のレジスタンスとして意識されると失速。スポット応答日が月末にあたる仲値にかけて売りが強まったほか、日経平均株価が軟調に推移したことも重しとなり、一時150.06円まで売りに押された。一方で、昨日の欧州中盤同様に150円割れを死守すると150.40円台まで反発している。
・ユーロドルは買い戻し。トランプ米大統領が自動車関税に関する大統領令に署名し、4月2日からの関税発動がほぼ確実となったことで世界的な貿易戦争を嫌気した売りが先行。一時1.0733ドルまで下げたが、一巡後は一転してショートカバーが優勢となり1.0787ドルまで切り返した。
・ユーロ円も買い戻し。米自動車関税発表を受けて161.37円まで下げたが、いったん悪材料出尽くしとの見方もあり一巡後は162.15円まで切り返している。
・日経平均株価は3営業日ぶりに反落。昨日の米ハイテク株が下落したことを嫌気して半導体関連株が売られた。米政権による自動車への関税発表を受けてトヨタなど自動車株も軒並み下落した。
・債券先物相場は横ばい。40年債入札が好調だったとの見方から137.58円まで買われる場面があった。もっとも、日銀の早期利上げ観測がくすぶる中で上値は重かった。
トランプ米大統領は26日、中国からの輸入品に課す関税を引き下げる可能性を示唆した。中国企業の北京字節跳動科技(バイトダンス)による動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の米国事業の売却を促進するためだ。『AAストックス』が米『CNBC』の報道を引用して27日伝えた。
トランプ氏は、中国がTikTokの米国事業分離で重要な役割を果たす必要があると述べ、取引成立に向け一部関税の引き下げを排除しない考えを示した。TikTokの重要性を認めつつも、関税の価値はTikTokを上回ると強調した。
TikTokは4月5日の期限までに米国事業を売却する必要があり、売却しない場合は禁止命令に直面する。トランプ氏は、期限前に何らかの合意に達する可能性も排除しないが、合意に至らなければ期限を再延長する可能性もあると述べた。
中国の金融当局が商業銀行に対し、不動産業向け不良債権を優先的に処理するよう指示したもようだ。事情に詳しい関係者によると、中国工商銀行(01398/601398)などの一部の銀行は、各地方の支店が今年処理する債務の割り当てを倍増させた。香港経済紙『信報』が27日、外電を引用する形で伝えた。
報道によれば、景気下支えを図る当局の要請に応じ、中国の大手銀行は不良な不動産関連融資の償却を急ぎ、貸借対照表の整理を進めている。関係者は、背景には不動産不良債権の処理を加速させるという中国指導部の意向があるとの見方を示した。不動産市場の低迷が長引いてバランスシートをさらに圧迫すれば、政府が重視する分野を銀行が金融面から支えることが困難になりかねないという。
銀行管轄当局のデータによると、中国の金融業界における2024年の不良資産処理額は過去最高の3兆8000億元に達した。業種別内訳は公開されていないが、アナリストは不動産開発業者向け融資が大部分を占めるとみている。関係者は、こうした不良債権の処理を加速させれば、銀行が他の分野に資源を振り向ける余地が生まれると指摘した。
大阪6月限
日経225先物 37410 -390 (-1.03%)
TOPIX先物 2782.5 -7.5 (-0.26%)
日経225先物(6月限)は前日比390円安の3万7410円で取引を終了。寄り付きは3万7410円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万7460円)にサヤ寄せする形から売り先行で始まり、直後に3万7290円まで下落した。売り一巡後は3万7590円まで下げ幅を縮めたが戻りは鈍く、前場中盤には再び3万7300円を割り込む場面もみられた。
ただし、前場終盤にかけてやや持ち直し、ランチタイムでは3万7320円~3万7420円辺りでの保ち合いを継続。後場の取引においては3万7320円~3万7520円での推移であり、25日移動平均線(3万7440円)を挟んでの値動きが目立った。
トランプ米大統領は日本を含む輸入自動車に対して25%の関税をかけると発表したことで、この影響から朝方はショートの動きが強まり、日経225先物は現物の寄り付き直後に3万7290円まで下げ幅を広げた。いったん下落幅を縮めた後に再び売られる形となったが、朝方につけた安値を割り込まなかったことで、その後は25日線近辺で下げ渋る動きとなった。
引き続き25日線水準での攻防が意識されやすいと考えられるが、同線はナイトセッションで3万7370円辺りまで下がってきている。また、ボリンジャーバンドは収れんしてきており、+1σは3万7940円と節目の3万8000円を下回ってきた。レンジが徐々に切り下がっているため、戻り待ち狙いのショートが膨らんでくる可能性もありそうだ。25日線を割り込んでくる局面においては、節目の3万7000円および-1σが位置する3万6810円が射程に入ってくるだろう。
あすも配当再投資に伴う買い需給への思惑から底堅さが意識されよう。現物市場ではアドバンテスト<6857.T>[東証P]が1社で日経平均株価を152円ほど押し下げたほか、ソフトバンクグループ<9984.T>[東証P]や東京エレクトロン<8035.T>[東証P]などの弱い値動きが重荷となった。一方で、銀行や保険などの金融セクターの上昇が目立つなか、東証プライムの値上がり数は6割を超えている。TOPIX型優位の展開となったが、あすは配当落ち分を埋めてくる動きをみせてくるかが注目されそうだ。
NT倍率は先物中心限月で13.44倍に低下した。アドバンテストなど指数インパクトの大きい値がさハイテク株の下げが日経平均型の重荷となった反面、金融株などが買われるなかで、NTショートの動きとなった。配当再投資に伴う買いについては、TOPIX型の比率が大きいとみられ、引き続きNTショートに振れやすいだろう。
手口面(6月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が2万3575枚、ソシエテジェネラル証券が1万7336枚、サスケハナ・ホンコンが5354枚、バークレイズ証券が3179枚、モルガンMUFG証券が2953枚、ゴールドマン証券が2454枚、JPモルガン証券が2287枚、SBI証券が1830枚、日産証券が1621枚、ビーオブエー証券が1560枚だった。
TOPIX先物は、ABNクリアリン証券が3万5735枚、ソシエテジェネラル証券が3万2305枚、バークレイズ証券が1万3637枚、JPモルガン証券が1万2191枚、ゴールドマン証券が1万0522枚、モルガンMUFG証券が8858枚、SMBC日興証券が6115枚、ビーオブエー証券が4068枚、みずほ証券が3991枚、野村証券が3620枚だった。
本日のNY時間は、トランプ米大統領が日本時間早朝に、米国外で生産された自動車に25%の関税を課すことを決定したことで、この影響がNY株式・債券市場にどの程度影響を与えるかを見定める必要がある。ただし、自動車関税発表直後はリスク回避的な動きを見せたものの、アジア市場では円買いの勢いが大きくはなく、欧州入り後は円安が進んでいる。本日のスポット応当日が月末・期末・年度末の31日あたることで、新年度になるまでは特殊玉が多く散見され、教科書通りの動きにはならないことを示しているとも言えそうだ。
トランプ大統領の脅し(現地報道もディール=dealではなく、脅し=threatと表現)はエスカレートし、カナダや欧州連合(EU)と協力する場合には、更なる関税の引き上げにも言及している。自動車だけでなく基幹部品に対する関税も含まれ、日本や欧州、韓国などの自動車関連業への影響は避けられず、メキシコや南アフリカなど各国の自動車メーカーの工場が多い国への影響も甚大になる。領の脅しに各国が応じるのは難しく、関税問題は袋小路に陥る可能性もありそうだ。
しかしながら、トランプ大統領の思惑通りに、自動車産業の生産が米国に戻るのは難しいだろう。例えば、米国の自動車産業の街として知られるデトロイトがあるミシガン州の最低賃金は時給12.48ドル(150円換算で約1870円)。一方米国への自動車輸出の拠点が多いメキシコの時給は米国に近い北部地域で46.86ペソ(7.4円換算で347円)、国全体の時給は31.12ペソ(230円)と、人件費だけでも大きな開きがある。高賃金の米国に工場を移転し、建設費等や時間を考えるとコスト面でも容易ではない。しかも、朝令暮改を繰り返すトランプ米大統領の発言で、その都度生産拠点を変更すると無駄な浪費にもなりかねない。しかも、移転を考えている間に中間選挙で共和党が敗北し、一期しかないトランプ政権がレームダック化することの方が早いかもしれない。よって、G7各国の中でカナダや欧州は米国に対抗した関税を課すことや、米国以外の取引先拡大を目指すのはうなずける。その一方で日本は強硬手段に出ない可能性が高く、その場合は政府主導のもので米国の自動車産業を援助するかたちで、円安の流れを変えるような協調姿勢を示し、関税回避策とするリスクがあることには警戒しておきたい。
本日発表される米国の経済指標では、10-12月期米国内総生産(GDP)、個人消費などがあるが、いずれも確定値のため、速報値より余程開きがない限りは市場の反応は限られるだろう。よって、同時に発表される前週分の新規失業保険申請件数及び失業保険継続受給者数への反応が敏感になるかもしれない。ただ、あくまでも市場の中心は米国の関税やウクライナ情勢など政治相場ということもあり、米経済指標への反応は短期的なものにしかならないかもしれない。
・想定レンジ上限
ドル円の上値めどは、3月3日高値151.30円。その上は200日移動平均線151.67円。
・想定レンジ下限
ドル円の下値は、昨日安値149.84円、その下は日足一目均衡表・転換線149.56円。
今晩は上値の重い展開か。昨日はトランプ米大統領が引け後に自動車輸入に対する関税を発表すると、ホワイトハウスが発表したことで、関税問題への警戒感が強まった。ダウ平均が132.71ドル安(-0.31%)、S&P500が1.12%安、ナスダック総合が2.04%安と、主要3指数がそろって4日ぶりに反落した。引け後のトランプ米大統領の記者会見では、全ての国から米国に輸入される自動車に25%の関税を課すとし、4月2日に発効すると発表した。メキシコに大規模な生産拠点を持つゼネラル・モーターズは通常取引で3.12%下落し、時間外取引ではさらに6%超下落した。
今晩の取引ではトランプ米大統領が自動車に対して25%輸入関税を正式に発表したことで、貿易摩擦や景気悪化懸念を背景に上値の重い展開が予想される。ただ、昨日の取引で一定程度織り込まれたことで、下値も限定的なものになりそうだ。経済指標では10-12月期GDP確報値、新規失業保険申請件数が発表予定で、予想比下振れとなった場合は景気後退懸念が強まることが警戒される。
今晩の米経済指標は10-12月期GDP確報値、新規失業保険申請件数のほか、2月卸売在庫速報値、2月中古住宅販売仮契約指数、3月カンザスシティー連銀製造業活動指数など。このほか、バーキン米リッチモンド連銀総裁、コリンズ米ボストン連銀総裁の講演も予定されている。企業決算は引け後にルルレモン・アスレティカが発表予定。
日経平均株価は反落。安く寄り付いた後は下値模索の展開となったが、10日移動平均線(37573円 3/27)付近をサポートに下げ幅を縮小する展開となった。
RSI(9日)は前日の84.7%→76.0%(3/27)に低下。下ヒゲの長い小陽線となり、25日移動平均線(37676円 同)上を維持して終えた。下向きで推移する25日移動平均線は上値の重荷となるが、特に前日からの見方に大きな変化はない。3/7や2/28の急落で形成したマドを埋め戻す強いリバウンドが続いたことで、底入れ期待が一段と強まる動きになっている。
あすは権利落ち日となるが、転換線(37407円 同)の上向きへの変化が株価を押し上げるかが注目ポイントとなる。
上値メドは、3/26高値(38220円)、200日移動平均線(38563円 同)、75日移動平均線(38721円 同)、心理的節目の39000円、2/13高値(39581円)、心理的節目の4万円などがある。下値メドは、25日移動平均線、10日移動平均線、心理的節目の37000円、3/14安値(36594円)、心理的節目の36000円、9/17安値(35828円)などがある。
米財務省によると、7年債入札(ダッチ方式)の落札結果は最高落札利回りが4.233%、応札倍率(カバー)が2.53倍となった。
(27日終値:28日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=151.07円(27日15時時点比△0.83円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=163.00円(△1.21円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0789ドル(△0.0020ドル)
FTSE100種総合株価指数:8666.12(前営業日比▲23.47)
ドイツ株式指数(DAX):22678.74(▲160.29)
10年物英国債利回り:4.783%(△0.055%)
10年物独国債利回り:2.773%(▲0.022%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
ノルウェー中銀、政策金利
4.50%で据え置き 4.50%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は底堅い動き。トランプ米政権が掲げる関税政策がインフレ再燃につながるとの見方から、時間外の米長期金利が上昇。日米金利差の拡大を見込んだ円売り・ドル買いの動きが強まった。21時過ぎには一時151.09円まで上昇した。
その後、3日の高値151.30円がレジスタンスとして意識されるといったんは伸び悩んだ。ダウ平均が一時310ドル超下落したことも相場の重しとなり、150.58円付近まで下押しした。
ただ、米ホワイトハウスが「関税の数字の一部は予想よりも控えめなものになる」との見解を示すと、ダウ平均が持ち直したためドル円にも買い戻しが入った。ロンドン16時(日本時間1時)のフィキシングにかけてはドル売りのフローが目立ったものの、フィキシング通過後は再び強含む展開に。1時30分過ぎには151.15円と日通し高値を更新した。
・ユーロドルは小高い。しばらくはもみ合いの展開が続いていたが、ロンドン・フィキシングに向けてはドル売りのフローが目立った。0時30分過ぎには一時1.0821ドルと日通し高値を更新した。ただ、フィキシング通過後は伸び悩んだ。
この日発表の米経済指標が強弱入り混じる内容となったため、相場は方向感が出にくい面もあった。
・ユーロ円はドル円につれた動き。欧州勢参入後は円安が進み、20時過ぎに162.99円まで値を上げたものの、節目の163.00円を前に買いの勢いは後退。22時30分過ぎに162.41円付近まで下押しした。
ただ、そのあとはドル円の上昇につれた買いが再び入り、2時過ぎに一時163.36円と日通し高値を更新した。
・ロンドン株式相場は3日ぶりに反落。トランプ米政権の関税政策への警戒感から、売りが優勢となった。リオ・ティントやアングロ・アメリカンなど素材株が売られたほか、セグロやランド・セキュリティーズ・グループなど不動産株が値下がりした。半面、コンパス・グループやネクストなど一般消費財サービスが買われた。
・フランクフルト株式相場は続落。貿易摩擦が欧州経済に悪影響を及ぼす可能性が改めて意識される中、欧州株全般に売りが出た。個別ではハイデルベルク・マテリアルズ(5.80%安)やシーメンス・エナジー(4.94%安)、BASF(3.47%安)などの下げが目立った。
・欧州債券相場は英国債が下落した一方、独国債が上昇した。
27日の日経平均は3日ぶり反落。終値は227円安の37799円。寄り付きから200円を超える下落となり、開始直後には下げ幅を400円超に拡大。トランプ大統領の発言や米国動向などから自動車株や半導体株が強烈に売り込まれた。37500円台に入ったところでいったん切り返したが、37800円台まで戻したところでは売り直された。再度下を試したところで序盤の安値を下回らなかったことから、10時以降は下値が固くなった。後場に入ると37600円近辺での小動きが長く続いたが、引けにかけては値を戻しており、大引けが後場の高値となった。TOPIXは引けにかけてプラス圏に浮上しており、高値引けとなった。
東証プライムの売買代金は概算で4兆8400億円。業種別では保険、銀行、食料品などが上昇した一方、非鉄金属、輸送用機器、その他製品などが下落した。株主還元強化を含む中長期的な株主向け施策の方針を発表した岡三証券グループ<8609.T>が急伸。半面、今期の減収減益見通しを提示したセキチュー<9976.T>が急落した。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1051/値下がり523と、最終的には値上がりが値下がりを大きく上回った。ファーストリテイリングが上昇。三井住友、ゆうちょ銀、東京海上など金融株の動きが良かった。地銀株に再編に絡むニュースが出てきており、名前の挙がった中で山梨中央銀行が急伸。横浜市教育委員会が「note pro」を一括導入したことを発表したnoteが一時ストップ高となるなど値を飛ばした。
一方、トヨタ、ホンダ、マツダ、SUBARUなど自動車株の多くが大幅安。アドバンテストやディスコなど半導体株の一角が強く売られた。フジクラ、古河電工、住友電工の電線大手3社がそろって大幅安。米株安や傘下アームの急落が嫌気されたソフトバンクGが4%近い下落となった。前日大幅高となった三井金属や住友鉱山など非鉄株が反動売りに押された。
グロース市場に2社が新規上場。ダイナミックマッププラットフォームは高い初値をつけ、終値も初値を上回った。ZenmuTech(ゼンムテック)は買いが殺到して初値は持ち越しとなった。
日経平均はトランプ関税リスクを嫌気して3桁下落。ただ、安値37556円は9時06分と早い時間につけており、終値(37799円)では寄り付き(37750円)をきっちり上回り陽線を形成した。輸入自動車に一律25%の追加関税を課すというトランプ大統領の発表は26日の米国市場引け後に出ていることから、本日の米国株にはネガティブな影響が想定される。しかし、東京市場では材料を先に消化しているだけに、米国株が常識的な下げにとどまれば、改めての売り材料にはならないと思われる。
あすは外部環境がニュートラルでも日経平均には300円程度の配当落ち影響があり、3月決算銘柄は理論的には配当や優待に手厚い銘柄ほど、見た目の水準は切り下がる。それだけに、寄った後に買われる銘柄が多いかどうかが注目される。週初から3月決算銘柄の動きがパッとしなかったように映るだけに、実質新年度入りで流れが良い方に変わってくる展開に期待したい。
(27日終値)
ドル・円相場:1ドル=151.05円(前営業日比△0.48円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=163.15円(△1.23円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0801ドル(△0.0047ドル)
ダウ工業株30種平均:42299.70ドル(▲155.09ドル)
ナスダック総合株価指数:17804.04(▲94.98)
10年物米国債利回り:4.36%(△0.01%)
WTI原油先物5月限:1バレル=69.92ドル(△0.27ドル)
金先物4月限:1トロイオンス=3061.0ドル(△38.5ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
10-12月期米国内総生産(GDP)確定値
(前期比年率) 2.4% 2.3%
個人消費確定値
(前期比年率) 4.0% 4.2%
コアPCE確定値
(前期比年率) 2.6% 2.7%
2月米卸売在庫
(前月比) 0.3% 0.8%
前週分の米新規失業保険申請件数
22.4万件 22.5万件・改
2月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数)
(前月比) 2.0% ▲4.6%
(前年比) ▲7.2% ▲5.2%
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は続伸。米関税強化が米国内の物価上昇圧力を高めるとの観測から、米長期金利が上昇。日米金利差の拡大を見込んだ円売り・ドル買いが進み、21時過ぎには一時151.09円まで上昇した。その後、3日の高値151.30円がレジスタンスとして意識されると150.58円付近まで伸び悩む場面もあったが、下押しは限定的だった。
米ホワイトハウスが「関税の数字の一部は予想よりも控えめなものになる」との見解を示すと、一時は310ドル超下落したダウ平均がプラス圏を回復。ドル円にも買い戻しが入った。ロンドン16時(日本時間1時)のフィキシングにかけてはドル売りのフローも目立ったが、フィキシング通過後は再び強含み、1時30分過ぎに151.15円と日通し高値を更新した。
・ユーロドルは7日ぶりに反発。この日発表の米経済指標は強弱入り混じる内容となったため、相場への影響は限定的で方向感に乏しい展開が続いた。ロンドン・フィキシングに向けてはドル売りのフローが目立ち、0時30分過ぎに一時1.0821ドルと日通し高値を付けたものの、フィキシング通過後は1.0800ドルを挟んだレンジ取引に終始した。
米商務省は明日28日に2月米個人消費支出(PCE)価格指数(デフレーター)を発表する。当該指標は米連邦準備理事会(FRB)が金融政策を判断するうえで重視しており、市場では「足もとのインフレ動向を確認したいとの思惑が広がっている」との声が聞かれた。
・ユーロ円は続伸。円安が進んだ欧州市場の流れがNY市場でも続いた。22時30分過ぎには162.41円付近まで下押しする場面もあったが、売り一巡後は再び買いが優勢となり、2時過ぎに一時163.36円と日通し高値を更新した。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は続落。トランプ米大統領が輸入自動車への25%の追加関税を発表したことを受け、関税を巡る不透明感や貿易戦争への警戒感が高まった。指数は一時310ドル超下げた。ただ、米ホワイトハウスが「関税の数字の一部は予想よりも控えめなものになる」との見解を示すと、ダウは上げに転じる場面もあった。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も続落。
・米国債券相場で長期ゾーンは小幅続落。トランプ米政権が掲げる関税政策がインフレ再燃につながるとの見方から、売りが優勢となった。7年債入札が「軟調」と受け止められたことも相場の重し。
・原油先物相場は小幅に続伸。米自動車関税が当初憂慮していたよりも限定的な適用にとどまるとの見方もあり、景気圧迫にともなうエネルギー需要の後退は限られるとの観測が下支えになった。ただ、警戒感は依然として拭いきれず、買いも限定的だった。
・金先物相場は反発。米金利の上昇が一服し、金利がつかない資産である金の相対的な投資妙味改善に寄与。米株の重い推移もリスク回避資産である金を買う動きを後押しした。円以外の通貨に対するドルの戻りの鈍さがドル建て金相場の割安感につながった面もあり、中心限月としての史上最高値を3071.3ドルまで更新した。
中国国家統計局が27日に発表した2025年1-2月の工業企業(年間売上高2000万元以上の企業)の売上高は前年同期比2.8%増となり、2024年通年より0.7ポイント加速した。国家統計局工業司の統計専門家、于衛寧氏は1-2月の工業企業統計について「企業の収益改善が継続し、利益回復のための有利な条件が整いつつある」と指摘。以下は、于衛寧氏による統計内容についての説明の全文。
工業企業の利益は小幅な減少にとどまった。1-2月の工業企業の利益は前年同期比0.3%減少し、2024年通年の3.0%減から縮小した。特に製造業の回復が顕著で、同期間の利益は4.8%増加し、全体の利益成長を3.2ポイント押し上げた。また、粗利益の改善もみられ、1-2月の粗利益は前年の0.3%減から2.0%増へと転じた。
装備製造業と原材料製造業の利益も回復に向かった。1-2月の装備製造業の売上高は8.1%増加し、工業全体の平均を5.3ポイント上回った。利益は2024年通年の0.2%減から5.4%増へと転じ、全体の利益成長を1.4ポイント押し上げた。8業種のうち6業種で利益が増加し、特に鉄道・船舶・航空宇宙業界は88.8%増、計測機器業界は26.7%増と大幅な伸びを示した。原材料製造業の利益も15.3%増加し、2024年の22.9%減から大幅に回復した。特に新エネルギー産業の需要増加により、非鉄金属業界の利益は20.5%増となった。
また、中国政府が推進する「設備更新」と「消費財の買い替え」政策の効果も引き続き表れている。1-2月の設備更新政策により、一般機械・専用機械業界の利益はそれぞれ6.0%、5.9%増加。一般部品製造業、採鉱・冶金・建設専用機械製造業、医療機器製造業の利益も19.3%、14.1%、10.6%と高成長を記録した。
消費財の買い替え政策によって、関連製品の市場も活性化した。自動車の買い替え補助政策の影響で、自動車製造業の利益は11.7%増加。電子・家電製品の買い替え促進策が拡充される中、スマート家電製造業は125.5%増、家庭用厨房電化製品製造業は19.9%増、家庭用冷蔵電化製品製造業は19.2%増と大幅に成長した。また、関連部品産業も堅調で、家庭用電力機器部品製造業は18.4%増、自動車部品製造業は15.3%増、光電子部品製造業は9.3%増となった。
全体として、工業企業の利益は改善傾向にあるものの、外部環境の不確実性が増し、一部の企業は依然として厳しい経営状況に直面している。今後は、中央経済工作会議と全国人民代表大会(全人代)の精神を徹底し、国内需要の拡大やイノベーションの強化、高品質な発展の推進により、工業企業の持続的な利益回復を図る必要がある。
27日06:21 トランプ米大統領
「米国外で生産された自動車に25%の関税を課す」
「4月2日の『解放記念日』に記者会見を開く」
「医薬品に対する関税も導入する」
「自動車関税、恒久的なものだ」
27日14:56
「米に対して欧州連合(EU)がカナダと協力するなら、関税引き上げ計画」
27日09:38 石破首相
「(米自動車関税について)適切な対応を考えなければならない、あらゆる選択肢が検討対象」
「対抗措置も選択肢としてある」
「自動車関税を日本に適用しないよう強く要請している」
27日11:09 林官房長官
「(米国の自動車関税措置について)極めて遺憾」
「改めて今回の措置対象から日本を除外するよう申し入れた」
27日15:09 カザークス・ラトビア中銀総裁
「ベースライン通りならば、おそらく利下げ継続が可能」
「地政学リスクを背景に、不確実性は高水準のまま」
27日15:53 スアン中国人民銀行(PBOC)副総裁
「中国は金融政策に十分な余地がある」
「中央銀行は価格ベースの政策手段により重点を置いている」
「中国の金融政策は支援的で比較的緩和的である」
27日16:08 ウンシュ・ベルギー中銀総裁
「関税は経済成長に悪影響を与え、インフレを引き起こす」
「ECBは難しいバランス調整に直面している」
「インフレリスクは上振れする可能性」
「2025年の利上げの可能性は限定的」
「4月の利下げ休止は検討すべき」
「米国の関税に屈しないことを明確にしなければならない」
「米国の自動車関税が世界のサプライチェーンに影響を与える」
「EUからの決定的な対応が求められている」
「追加関税を課すことで繁栄を達成できる国はない」
「我々は交渉を通じて解決策を見出すEUの努力を支持する」
27日16:36 リーブス英財務相
「我々は状況をエスカレートさせる可能性のあることは何もしたくない」
27日16:40 ロンバール仏財務相
「赤字削減に失敗すればフランスはリスクに直面する」
「財政赤字はまだ高すぎる」
27日22:20 デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁
「インフレに関しては楽観的」
「今後数四半期で安定的に目標に向かって収束すると考える」
「政策は極めて慎重になる必要がある」
27日22:53 米ホワイトハウス
「関税の数字の一部は予想よりも控えめなものになる」
27日22:57 マクロン仏大統領
「トランプ米大統領と数時間以内に話す」
28日01:28 ゼレンスキー・ウクライナ大統領
「ウクライナはロシアが停戦違反した証拠を米国に提出する」
「約束通りワシントンからの反応を期待」
28日04:00 メキシコ中銀声明
「今回の決定は全会一致」
「利下げサイクルを継続できると予想」
「理事会は同様の規模で金利調整を検討」
「米国の政策変更により不確実性が増している」
※時間は日本時間
<国内>
○08:30 ◎ 3月東京都区部消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く総合予想:前年比2.2%)
○08:50 ◇ 日銀金融政策決定会合における主な意見(3月18-19日分)
<海外>
○16:00 ◇ 4月独消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:▲22.5)
○16:00 ☆ 10-12月期英国内総生産(GDP)改定値(予想:前期比0.1%/前年比1.4%)
○16:00 ◇ 10-12月期英経常収支(予想:245億ポンドの赤字)
○16:00 ◎ 2月英小売売上高(自動車燃料含む、予想:前月比▲0.4%/前年比0.6%)
○16:00 ◎ 2月英小売売上高(自動車燃料除く、予想:前月比▲0.5%/前年比0.4%)
○16:00 ◇ 1月英商品貿易収支/英貿易収支(予想:167.00億ポンドの赤字/30.00億ポンドの赤字)
○16:45 ◇ 2月仏消費支出(予想:前月比0.2%)
○16:45 ◇ 3月仏消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.3%/前年比0.9%)
○16:45 ◇ 3月仏卸売物価指数(PPI)
○17:00 ◇ 3月スイスKOF景気先行指数(予想:102.5)
○17:55 ◎ 3月独雇用統計(予想:失業率6.2%/失業者数変化1.00万人)
○19:00 ◎ 3月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲14.5)
○19:00 ◎ 3月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:96.7)
○21:00 ◇ 2月メキシコ失業率(季節調整前、予想:2.60%)
○21:30 ☆ 1月カナダGDP(予想:前月比0.3%/前年比2.1%)
○21:30 ◎ 2月米個人消費支出(PCE、予想:前月比0.5%)
◎ 2月米個人所得(予想:前月比0.4%)
☆ 2月米PCEデフレーター(予想:前年比2.5%)
☆ 2月米PCEコアデフレーター(予想:前月比0.3%/前年比2.7%)
○22:00 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演
○23:00 ◎ 3月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値、予想:57.9)
○23:10 ◎ ミュラー・エストニア中銀総裁、講演
○29日01:15 ◎ バー米連邦準備理事会(FRB)理事、発言
○29日04:45 ◎ ボスティック米アトランタ連銀総裁、パネルディスカッションに参加
○30日 欧州・英国が夏時間に移行
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
27日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米関税強化が米国内の物価上昇圧力を高めるとの観測から、米長期金利が上昇して151.15円まで買われた。ユーロドルは1.0821ドルまで、ユーロ円は163.36円まで、それぞれ上昇した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、3月東京都区部消費者物価指数(CPI)や前回の日銀金融政策決定会合の「主な意見」を確認後は、月末や期末、年度末に向けた実需玉の動向を見極めて行くことになる。
トランプ米大統領は、輸入自動車と主要部品に25%の追加関税を課す布告に署名した。東京市場の反応は株売り・円買いだったが、海外市場では米国の物価上昇への警戒感(トランプ・フレーションtrumpflation)からドル円は151円台まで上昇している。
先日の米連邦公開市場委員会(FOMC)声明、消費者信頼感指数、ミシガン大学消費者信頼感指数では、トランプ関税によるもう一つの局面であるスタグフレーション、トランプセッション(trumpcession)への警戒感が示されており、来週の解放の日とされる4月2日以降の展開を見極めることになる。
ドル円の中長期的な攻防の分岐点である200日移動平均線は、本日時点で151.63円に位置している。月末、期末、年度末に向けた実需筋の買いで上抜けた場合、過去最大規模に膨れ上がっていたIMMシカゴ筋の円の買い持ちポジションの手仕舞いを誘発する可能性に警戒しておきたい。
8時30分に発表される3月東京都区部CPI(生鮮食料品除く総合)は前年比+2.2%と予想されており、2月の同比+2.2%と変わらずと見込まれている。3月の全国CPIの先行指標であるものの、3月の電気・都市ガスの使用分までは補助金が適用されるため、0.3%程度の調整を考慮しておきたい。2月の全国コアCPIは、電気・都市ガス代の補助金復活で前年比+3.0%、総?④PIは同比3.7%と伸び率が鈍化していた。総務省に拠ると、電気・ガス料金負担軽減支援事業の開始がなかった場合は、総合が+4.0%、コアが+3.3%とのことで、補助金による下押し効果は0.3%程度となる。
8時50分に発表される日銀金融政策決定会合における主な意見(3月18-19日分)では、記者会見での植田日銀総裁の時間軸の提示が多数派なのか否かを見極めたい。植田日銀総裁は、海外発の不確実性への警戒感を示しながらも「4月初めには通商政策の内容がある程度でてくる。次回の決定会合(4/30-5/1)ないし展望リポートの中である程度消化できる」と述べていた。
トランプ米政権による自動者関税25%は、現在の日本車に対する関税2.5%の10倍であり、国内総生産(GDP)が▲0.2%下振れる要因になるらしい。「主な意見」では、相互関税や自動車関税に対するリスクシナリオとしての言及にも注目しておきたい。
大阪6月限ナイトセッション
日経225先物 37420 +10 (+0.02%)
TOPIX先物 2782.0 -0.5 (-0.01%)
シカゴ日経平均先物 37395 -15
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
27日の米国市場はNYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が下落。トランプ米大統領が輸入自動車への25%の追加関税を発表したことを受けて、関税政策を巡る不透明感や貿易戦争への警戒感が高まった。国際通貨基金(IMF)は、リセッション(景気後退)は想定していないとしつつ、米経済の成長ペースが減速すると予想。米政権が4月2日に発動するとみられる「相互関税」を控え、リスク回避姿勢が強まった。また、欧州連合(EU)やカナダなどによる報復措置よって貿易摩擦が激化する可能性が高まるなか、トランプ大統領は「米国に経済的損害を及ぼすことになれば、さらに大規模な関税を課す」と自身のSNSに投稿したことで、NYダウの下げ幅は一時300ドルを超えた。
NYダウ構成銘柄では、スリーエム<MMM>、ゴールドマン・サックス・グループ<GS>、エヌビディア<NVDA>、IBM<IBM>、アメリカン・エキスプレス<AXP>、JPモルガン・チェース<JPM>が下落。一方で、ベライゾン・コミュニケーションズ<VZ>、ビザ<V>、プロクター・アンド・ギャンブル<PG>、アップル<AAPL>が買われた。
シカゴ日経平均先物(6月限)清算値は、大阪比15円安の3万7395円だった。日経225先物(6月限)のナイトセッションは、日中比20円安の3万7390円で始まった。3万7400円~3万7530円辺りでの推移を続けるなか、米国市場の取引開始後にショート優勢の動きとなり、一時3万7250円まで売られた。ただし、下へのバイアスは強まらず、売り一巡後は終盤にかけて3万7380円~3万7530円での保ち合いを継続。3万7420円でナイトセッションの取引を終えた。
シカゴ先物にサヤ寄せする形から、やや売り先行で始まることになりそうだ。トランプ大統領による輸入自動車への関税については、前日の段階でトヨタ自動車<7203.T>[東証P]など自動車株が売られていたこともあり、下値は限られそうである。日経225先物はナイトセッションで3万7250円~3万7530円での狭いレンジでの推移だった。25日移動平均線(3万7380円)を挟んだ値動きであり、同線での底堅さがみられるかが注目されそうである。
4月2日の米政権による相互関税を控えて積極的にポジションを傾けてくる動きは限られ、スキャルピング中心のトレードを余儀なくされそうだが、本日においても配当再投資に伴う買いが意識されやすく、需給面での下支えになるだろう。週をまたぐオーバーウィークのポジションは取りづらいが、日中においては25日線を下回る局面では押し目狙いのロング対応に向かわせよう。同線での底堅さがみられるようだと、ややロングを強めてくる場面がありそうだ。
そのため、オプション権利行使価格の3万7250円から3万7750円でのレンジを想定する。また、為替市場では、1ドル=151円前半と円安に振れて推移しており、安心感につながりそうである。
27日の米VIX指数は18.69(26日は18.33)に上昇した。3月11日につけた29.57をピークに調整が継続し、25日には一時17.02まで下落して200日線を割り込んでいた。概ね75日線(18.15)を上回っての推移だったが、リバウンドが入りやすい水準であり、来週の相互関税の発動を受けた反応を見極めたいところであろう。
昨日のNT倍率は先物中心限月で13.44倍に低下した。アドバンテスト<6857.T>[東証P]など指数インパクトの大きい値がさハイテク株の下げが日経平均型の重荷となった半面、金融株などが買われるなかで、NTショートの動きとなった。配当再投資に伴う買いについては、TOPIX型の比率が大きいとみられ、NTショートに振れやすいと考えられる。
東京市場は軟調か。米国株は下落。ダウ平均は155ドル安の42299ドルで取引を終えた。トランプ大統領が輸入自動車に25%の追加関税を課すと発表したことが嫌気されて、GMやフォードなど自動車株が大幅安。指数はプラス圏に浮上する場面もあったが、景気減速に対する警戒からマイナス圏で推移する時間が長かった。ドル円は足元151円00銭近辺と円安に振れている。CME225先物は円建てが大証日中終値と比べて15円安の37395円、ドル建てが65円高の37475円で取引を終えた。
配当落ち分が300円程度あり、3月SQ以降発生していたCME225先物とのかい離は、理論上は本日解消されることになる。その影響は割り引く必要があるが、米国株が弱かっただけに、全体的に買い手控えムードが強まるだろう。米国では自動車株のほか、エヌビディアやアドバンスト・マイクロ・デバイセズなど半導体株も弱かった。日本株はきのう先んじて自動車関税を理由に下げている分、実質的には小幅安にとどまるとみるが、円安でも自動車株は買いづらく、半導体株も引き続き嫌われそうで、上値の重い地合いが続くと予想する。日経平均の予想レンジは37250円-37650円。
日経225先物は11時30分時点、前日比370円安の3万7040円(-0.98%)前後で推移。寄り付きは3万7380円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万7395円)にサヤ寄せする形から、やや売り先行で始まった。直後につけた3万7400円を高値に軟化し、いったん3万7250円辺りで保ち合う場面もみられたが、中盤以降は下へのバイアスが強まり、終盤にかけて3万7000円まで下げ幅を広げた。
節目の3万7000円まで下げたことで、売り一巡感が意識される可能性がありそうだが、同水準を割り込むようだと、ボリンジャーバンドの-1σ(3万6790円)辺りが意識されてくる。後場は終盤にかけて配当再投資に伴う買いによって底堅く推移するとみられるが、これを狙ったロングの動きは限られそうである。米政権による4月2日の「相互関税」の内容を確認したいところであり、模様眺めムードが強まろう。
NT倍率は先物中心限月で13.43倍に低下している。東証プライムの値下がり数が1400を超える状況のなか、ファーストリテイリング<9983.T>[東証P] や東京エレクトロン<8035.T>[東証P]、アドバンテスト<6857.T>[東証P]、ソフトバンクグループ<9984.T>[東証P]などの弱い値動きが日経平均型の重荷となった。
昨日のドル円は、アジア時間に150円台前半で下値を確認した後、欧州時間に入ってからは米長期金利の上昇につれて次第に下値を切り上げる展開となりました。25日の高値150.94円を上抜けて一時151.09円まで値を上げました。その後は株価が下落したことから150.58円まで下押ししたものの、下値も限定的。米ホワイトハウスが「関税の数字の一部は予想より控えめになる可能性がある」ことを表明すると株価の回復から151.15円まで買い戻されたといったところです。
週末のアジア市場では、朝方に3月東京都区部CPIが予想を上回る強い数字だったことから150.77円まで下押し。その後は仲値にかけて本邦実需の買いが断続的に観測されると昨日高値を上抜けて一時151.21円まで値を上げました。ただ、仲値後は日経平均が一時37000円を割り込む大幅な下落となるにつれて150.71円まで下押すといった神経質な動きとなっています。
いずれにしても、ドル円は上下を繰り返しながらも、しっかりと上値を更新するとともに、下値も切り上げている状況。期末に絡む実需勢の買いに支えられながら、ファンド勢のショートカバーが続く展開となっています。
日経平均にしても、本日は配当落ち分が307円。埋めるどころか、更に下げ幅を広げる展開となっていますが、市場では「機関投資家の期末期初によく行われるリバランス絡みの売り」との声も聞かれているわけで、「週明けの期末当日後場や、4月新年度入りしてからの逆のフローもまたしかり」なのかもしれず、よくある特殊玉に右往左往させられているところ。
ドル円も今夜のLDN16時(日本時間翌1時)のフィキシングでのフローなどにも注意しながら、目先の方向性を確かなものとしていきたいところです。
「我々が『ダーティー15』と呼ぶ国々があり、彼らは非常に多くの関税を課している」
(ベッセント米財務長官)
トランプ米大統領補佐官の側近筋の話では、4月2日に発動予定の相互関税は、ダーティー15と呼ばれる『不公正貿易国』に対して、標的型相互関税となる模様である。日本は、米国の7番目の貿易赤字国であるため、非関税障壁を理由に、高い税率が課せられる可能性に警戒しておきたい。
米国政府は、米国製自動車の対日輸出が伸びない理由として、車検制度など日本の自動車輸入の「非関税障壁」を挙げてきた。すなわち、相互関税の調査では、米国から日本に輸出される自動車の「非関税障壁」を俎上に挙げて、日本から輸入する自動車への25%程度までの関税引き上げを実施する可能性が出てきたことには警戒しておきたい。
そして、「為替レート」、すなわち、ドル高・円安が日米貿易不均衡の要因と結論付けられた場合は、市場の片隅で囁かれている「プラザ合意II」が現実味を帯びることになる。
トランプ米大統領は、3月27日に、米国への輸入自動車への25%の関税賦課を発表した。
1.対米貿易黒字国(2024年:1兆2117億ドル)
1位:中国 :2954億ドル
2位:メキシコ:1718億ドル
3位:ベトナム:1235億ドル
4位:アイルランド:867億ドル
5位:ドイツ:848億ドル
6位:台湾:739億ドル
7位:日本:685億ドル
8位:韓国:660億ドル
9位:カナダ:633億ドル
2.為替報告書:「2015年貿易円滑化・貿易執行法」
2015年に、外国政府の為替政策に対する監視体制を強化するために成立した通商法である。米国財務省は、2016年から、「2015年貿易円滑化・貿易執行法」に依って、為替操作国認定のための数値基準を設定し、為替操作国に対する報復措置としての行動計画の策定等を義務付けた。為替操作国の認定を行うに当たり、3つの基準を満たした場合は、「為替操作国」と認定し、2つに抵触した場合、「監視対象国リスト」に認定している。
【為替操作国・監視対象国の判断基準】
1)財の対米貿易黒字:150億ドル以上
2)経常黒字額:対国内総生産(GDP)比3%以上
3)過去12カ月の外貨購入(介入):対GDP比2%以上
2024年秋の為替報告書での監視リスト(Monitoring List)には、7カ国・地域(日本、中国、ドイツ、韓国、シンガポール、スイス、ベトナム)が入っている。
本日のロンドン為替市場では、依然としてトランプ関税を意識した動きが続きそうだ。欧州株の動向でリスクセンチメントの強弱を測りながらの取引か。また英経済成長の減速が見込まれるなか、ポンドは2月英小売売上高の結果が注目される。
トランプ米大統領は関税強化策に固執しているが、政権は市場で過度な悲観論が広がるのは避けたいもよう。昨日も米株に売り圧力が強まると、米ホワイトハウス報道官から「関税の数字の一部は予想よりも控えめなものになる」との発言が伝わり、株価指数は下げ幅を縮めた。本日も米国の現物株取引が始まる欧州午後に、何らかのコメントが米国から伝わるかもしれない。
昨日はスポット応当日が月末・四半期末、本邦年度末だったということもあり、通常以上に実需フローが出ていたと思われる。本日も昨日ほどではないにしろ、末に絡んだ売買は想定しておきたい。特にロンドン16時のフィキシングでは荒い値動きになるかもしれず、週末ということもあり持ち高の管理には気を付ける必要があるだろう。
欧州序盤に発表される2月小売売上高は、総じて前回から下振れ予想。特に前月比は総合・自動車除くともにマイナス見込みだ。先日、英国の予算責任局(OBR)が2025年経済成長率見通しを従来2%から1%に引き下げた後でもあり、弱い経済指標にポンドは敏感に反応するのではないか。また同じタイミングで、改定値だが10-12月期国内総生産(GDP)の発表が予定されている。
ほか、ドイツから4月消費者信頼感指数(Gfk調査)や3月雇用統計が発表される。フランスも3月インフレ指標など、スイスから同月KOF景気先行指数、ユーロ圏では同月ユーロ圏経済信頼感指数などが発表予定。
想定レンジ上限
・ユーロドル、21日高値1.0861ドル
・ポンドドル、20日高値1.3015ドル
想定レンジ下限
・ユーロドル、200日移動平均線1.0728ドル
・ポンドドル、27日安値1.2871ドル
ミャンマーでマグニチュード7.7の地震が発生した模様。
ドル円:1ドル=150.77円(前営業日NY終値比▲0.28円)
ユーロ円:1ユーロ=162.68円(▲0.47円)
ユーロドル:1ユーロ=1.0789ドル(▲0.0012ドル)
日経平均株価:37120.33円(前営業日比▲679.64円)
東証株価指数(TOPIX):2757.25(▲58.22)
債券先物6月物:137.77円(△0.38円)
新発10年物国債利回り:1.545%(▲0.040%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
3月東京都区部消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く総合)
前年同月比 2.4% 2.2%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は上値が重い。3月東京都区部消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く総合)が予想を上回ったことを受けて150.77円付近まで売りが先行したが、本邦実需勢から買いが観測されると一転して反発し昨日高値の151.15円を上抜けて151.21円まで値を上げた。
ただ、3日高値の151.30円がレジスタンスとして意識されると失速。日経平均株価が大幅に下落したうえ、時間外の米10年債利回りが低下したことで15時過ぎには150.66円まで値を下げた。
・ユーロ円も頭が重い。ドル円が高値を付けたタイミングで163.17円まで上げたが、その後は日本株安などが嫌気され162.46円まで売りに押された。
・ユーロドルは小動き。東京市場での目立ったフローは見られず、1.07ドル台後半を中心としたもみ合いに終始した。
・日経平均株価は続落。米政権による自動車関税が引き続き投資家心理の悪化につながった。3月期末配当の権利落ち日だったことも下押し要因となった。
・債券先物相場は上昇。日本株の大幅下落を受けて安全資産とされる国債に買いが集まった。週末を前に持ち高調整の動きも重なった模様。
大阪6月限
日経225先物 37010 -400 (-1.06%)
TOPIX先物 2747.0 -35.5 (-1.27%)
日経225先物(6月限)は前日比400円安の3万7010円で取引を終了。寄り付きは3万7380円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万7395円)にサヤ寄せする形から、やや売り先行で始まった。直後につけた3万7400円を高値に軟化し、いったん3万7250円辺りで保ち合う場面もみられたが、前場中盤以降は下へのバイアスが強まり、前場終盤にかけて3万7000円まで下げ幅を広げた。
ランチタイムでは3万7000円~3万7080円辺りでの推移みせていたが、後場中盤にかけてレンジを割り込み、3万6900円まで下げ幅を広げた。ただし、終盤にかけては配当再投資に伴う買いが入り、現物の大引け間際には3万7160円まで下げ幅を縮める場面もあった。
節目の3万7000円まで下げたことで、売り一巡感が意識される動きもあったが、後場に入っての一段安によってボリンジャーバンドの-1σ(3万6790円)辺りが意識されてきた。4月2日に詳細が明らかとなる米政権による「相互関税」の内容を確認したいところであり、押し目狙いのロングは限られていた。
また、配当再投資に伴う買いは昨日と本日で一巡したとみられ、ナイトセッションで3万6760円まで売られる場面もみられた。需給面での下支えが無くなるなかで-1σを下回ってくると、-2σが位置する3万6230円が射程に入ってくる展開が警戒されてきそうだ。まずは、「相互関税」の内容を見極めたいところであろう。
また、週足の一目均衡表では雲上限での推移を継続しており、リバウンドが意識されやすい水準ではある。ただし、雲が薄いところであり、3万6000円を割り込んでくると、雲を下抜ける形でシグナルが悪化する。
NT倍率は先物中心限月で13.47倍に上昇した。一時13.42倍まで低下する場面もみられたが、配当落ちの影響もあって東証プライムの値下がり数が1400を超える状況だった。セクターでも東証33業種すべてが下落し、証券、海運、鉄鋼、銀行の弱さが目立ち、相対的にTOPIX型の弱さにつながったようだ。
手口面(6月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が2万2837枚、ソシエテジェネラル証券が1万7771枚、サスケハナ・ホンコンが5308枚、モルガンMUFG証券が4680枚、バークレイズ証券が4160枚、SBI証券が2509枚、野村証券が2473枚、JPモルガン証券が2259枚、ゴールドマン証券が2144枚、楽天証券が1555枚だった。
TOPIX先物は、ABNクリアリン証券が3万1474枚、ソシエテジェネラル証券が2万8371枚、JPモルガン証券が8540枚、バークレイズ証券が8488枚、ゴールドマン証券が6515枚、モルガンMUFG証券が6331枚、野村証券が3761枚、ビーオブエー証券が3388枚、UBS証券が2355枚、SBI証券が2015枚だった。
本日のNY時間では、まずはNY午前に発表される2月米個人消費支出(PCE)の結果でインフレ動向を確認することになる。
市場の注目度の高いPCEデフレーターは前年比で先月と変わらず+2.5%、コアデフレーターは+2.6%から+2.7%へ上昇するとの予想になっている。PCEデフレーターは米連邦準備理事会(FRB)が重要視しているインフレ指標とされていることで、通常は指標結果次第で為替市場も敏感に反応する。しかし。これまで発表された2月の米消費者物価指数(CPI)、卸売物価指数(PPI)はいずれも市場予想を下回る結果になったが、ドル売り・円買いの反応は限定的だった。市場関係者は「関税引き上げの影響はこれから」と捉えていることで、今回の結果だけでは動きにくいかもしれない。
また、3月の月末・期末・年度末まで来週月曜31日の1日しか残りは営業日がないことで、本邦勢を含めた実需等の売買がロンドンフィキシングを中心に活発化することもあり、特段ニュース等がない場合でも市場が大きく動意づくこともありそうだ。
来週2日にはトランプ米大統領が兼ねてから宣言している「アメリカにとって解放の日」が迫っていることで、関税に関する新たな報道や、トランプ大統領の発言などが市場をかき乱す可能性もあり、本日も振幅の激しい相場展開になりそうだ。
・想定レンジ上限
ドル円の上値めどは、3月3日高値151.30円。
・想定レンジ下限
ドル円の下値は、3月25日安値149.55円。
SMBC日興証券では本日28日に発表された3月の東京都区部CPIに関して、総合とコア、コアコアの伸び率がいずれも拡大しており、サプライズ的な強さであったと捉えている。内訳をみてもコアコア部分が全般に強いと指摘。4月の価格改定期を前にして、値上げの動きが広がったとのこと。SMBC日興では日銀の次の利上げに関して、現時点では2025年7-9月期との見方に変わりはないとしているが、市場の一部では前倒しを予想する向きが出るかもしれないとコメントしている。
今晩はインフレ指標に注目。昨日は前日にトランプ米大統領が自動車に対して25%輸入関税を正式に発表したことでセンチメントが悪化。ゼネラル・モーターズなどの自動車株をはじめ、幅広い銘柄が下落した。ダウ平均が155.09ドル安(-0.37%)、S&P500が0.33%安、ナスダック総合が0.53%安と主要3指数がそろって2日続落した。引け後の動きでは予想を下回る弱い見通しを発表したルルレモン・アスレティカが時間外で10%安と急落した。
今晩の取引では4月2日のトランプ関税発動を控えた不透明感が引き続き上値の重しとなることが予想される中、年内の利下げ見通し巡り、2月個人消費支出(PCE)価格指数に注目が集まる。米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注視する2月PCE価格指数の市場予想は、前月比+0.3%、前年比+2.5%とともに1月分から横ばいが見込まれ、変動の大きい食品、エネルギーを除くコアPCE価格指数は前月比+0.3%と1月分から横ばいが予想されるが、前年比では+2.7%と1月分の+2.6%から上昇が見込まれている。3月米連邦公開市場委員会(FOMC)ではインフレ見通しが上方修正されており、PCE価格指数も上振れとなれば、利下げ期待の後退が相場の重しとなりそうだ。
今晩の米経済指標は2月個人消費支出(PCE)価格指数のほか、3月ミシガン大消費者信頼感指数確報値など。このほかバーFRB理事や、ボスティック米アトランタ連銀総裁の発言も予定されている。主要な企業の決算発表はなし。
日経平均株価は大幅続落。一時は37000円を割り込む展開となり、25日移動平均線(37594円 3/28)を大幅に下回る陰線を形成した。
RSI(9日)は前日の76.0%→51.4%(3/28)に低下。下ヒゲの長い陰線となり、3/17の上昇で形成したマドを埋め戻す格好となった。下向きの25日移動平均線から下方に放れる動きとなったが、3月上旬の安値圏で下げ止まれるかが短期的な焦点。終値ベースで3/13安値(36790円)を割り込むとネガティブな見方にやや傾くことになる。
当面は37000円処を意識しながらの値固めから、25日移動平均線が下げ止まるまで待つ日柄調整が必要との見方もできる。
上値メドは、25日移動平均線、心理的節目の38000円、3/26高値(38220円)、200日移動平均線(38554円 同)、心理的節目の39000円などがある。下値メドは、心理的節目の37000円、3/14安値(36594円)、心理的節目の36000円、9/17安値(35828円)などがある。
(28日終値:29日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=149.98円(28日15時時点比▲0.79円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=162.27円(▲0.41円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0819ドル(△0.0030ドル)
FTSE100種総合株価指数:8658.85(前営業日比▲7.27)
ドイツ株式指数(DAX):22461.52(▲217.22)
10年物英国債利回り:4.694%(▲0.089%)
10年物独国債利回り:2.727%(▲0.046%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
10-12月期英国内総生産(GDP)改定値
(前期比) 0.1% 0.1%
(前年同期比) 1.5% 1.4%
10-12月期英経常収支
210億ポンドの赤字 125億ポンドの赤字・改
3月仏消費者物価指数(CPI)速報値
(前月比) 0.2% 0.0%
(前年比) 0.8% 0.8%
2月仏消費支出
(前月比) ▲0.1% ▲0.6%・改
3月仏卸売物価指数(PPI)
(前月比) ▲0.8% 0.6%・改
3月独雇用統計
失業率 6.3% 6.2%
失業者数変化 2.60万人 0.90万人
3月ユーロ圏消費者信頼感指数
(確定値) ▲14.5 ▲14.5
3月ユーロ圏経済信頼感指数
95.2 96.3
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は頭が重かった。米連邦準備理事会(FRB)が金融政策を判断するうえで重視している2月米個人消費支出(PCE)価格指数(デフレーター)で、変動が激しい食品とエネルギーを除くコアデフレーターが予想を上回ると、インフレが再加速するとの警戒感が高まり円売り・ドル買いが先行。一時150.91円付近まで値を上げた。
ただ、節目の151.00円には届かず、すぐに失速した。その後発表の3月米ミシガン大学消費者態度指数確報値が予想を下回り、1年先・5年先の期待インフレ率が予想を上回ると、ダウ平均が一時760ドル超下落。リスク・オフの円買い・ドル売りが優勢となった。前日の安値150.06円を下抜けて、一時149.86円と日通し安値を更新した。
なお、米アトランタ連銀が発表した米国内総生産(GDP)成長率の現時点予測である1-3月期GDPNowは▲2.8%と前回の▲1.8%から大幅に引き下げられた。市場では「物価高と景気悪化が重なるスタグフレーションのリスクが大きくなるとの懸念が広がった」との声も聞かれた。
・ユーロドルは底堅い動き。3月のフランス・スペイン消費者物価指数(CPI)速報値の下振れを受けてユーロ売り・ドル買いが先行すると一時1.0765ドルと日通し安値を付けたものの、売り一巡後は買い戻しが優勢に。「米政権による関税の一部緩和を目指して欧州連合(EU)は譲歩可能な分野を洗い出す作業を進めている」との一部報道もユーロ買いを促した。
NY時間発表の米経済指標をきっかけに米景気の不透明感が改めて意識されると、米長期金利の大幅低下とともに全般ドル売りが活発化。前日の高値1.0821ドルを上抜けて一時1.0845ドルまで上値を伸ばした。
・ユーロ円は戻りが鈍かった。日本時間夕刻に一時162.07円と日通し安値を付けたものの、0時30分過ぎには162.93円付近まで下げ渋った。ただ、ドル円や米国株の下落につれた売りが出ると162.16円付近まで押し戻された。
・ロンドン株式相場は小幅ながら続落。トランプ米政権の関税政策を巡る先行き不透明感が高まる中、リスク回避の売りが出た。ただ、指数は上げに転じる場面があるなど、下値は限定的だった。リオ・ティントやアングロ・アメリカンなど素材株が売られた半面、ナショナルグリッドやSSEなど公共事業株が買われた。
・フランクフルト株式相場は3日続落。米関税政策をきっかけとする貿易摩擦が激化することへの警戒感からリスク回避の売りが優勢となった。個別ではコメルツ銀行(4.74%安)やシーメンス・エナジー(4.13%安)、インフィニオン・テクノロジーズ(4.04%安)などの下げが目立った。
・欧州債券相場は上昇。フランスとスペインのインフレ指標の下振れを受けて買いが入った。
(28日終値)
ドル・円相場:1ドル=149.84円(前営業日比▲1.21円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=162.25円(▲0.90円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0828ドル(△0.0027ドル)
ダウ工業株30種平均:41583.90ドル(▲715.80ドル)
ナスダック総合株価指数:17322.99(▲481.04)
10年物米国債利回り:4.25%(▲0.11%)
WTI原油先物5月限:1バレル=69.36ドル(▲0.56ドル)
金先物6月限:1トロイオンス=3114.3ドル(△23.4ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
2月米個人所得
(前月比) 0.8% 0.7%・改
2月米個人消費支出(PCE)
(前月比) 0.4% ▲0.3%・改
2月PCEデフレーター
(前年比) 2.5% 2.5%
2月PCEコアデフレーター
(前月比) 0.4% 0.3%
(前年比) 2.8% 2.7%・改
3月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値)
57.0 57.9
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は3日ぶりに反落。米商務省が発表した2月米個人消費支出(PCE)は予想を下回った一方、米連邦準備理事会(FRB)が金融政策を判断するうえで重視しているPCE価格指数(デフレーター)で、変動が激しい食品とエネルギーを除くコアデフレーターは予想を上回った。米経済の3分の2以上を占める個人消費が予想を下回ったうえ、基調的な物価圧力の高まりが示唆された。
また、その後発表された3月米ミシガン大学消費者態度指数確報値は予想を下回った一方、1年先・5年先の期待インフレ率は予想を上回り、速報値から上方修正された。
市場では「貿易摩擦が激化する様相を呈する中、物価高と景気悪化が重なるスタグフレーションのリスクが大きくなるとの懸念が広がった」との声が聞かれた。ダウ平均が一時760ドル超下落するなど、米国株相場が軟調に推移すると、リスク・オフの円買い・ドル売りが優勢となった。米長期金利の大幅低下も相場の重しとなり、5時30分前には一時149.69円まで値を下げた。
・ユーロドルは続伸。「米政権による関税の一部緩和を目指して欧州連合(EU)は譲歩可能な分野を洗い出す作業を進めている」との一部報道をきっかけにユーロ買いが先行。低調な米経済指標をきっかけに米景気の不透明感が改めて意識されると、米長期金利の大幅低下とともにドル売りが活発化した。前日の高値1.0821ドルを上抜けて一時1.0845ドルまで上値を伸ばした。
・ユーロ円は3日ぶりに反落。ユーロドルの上昇につれた買いが入ると162.93円付近まで下げ渋る場面もあったが、ドル円や米国株の下落につれた売りが出ると162.07円と欧州市場序盤に付けた日通し安値に面合わせした。
・米ドルカナダドルは下値が堅かった。トランプ米大統領とカーニー加首相はこの日、初の電話会談を実施。トランプ氏はSNSへの投稿で今回の電話会談について「極めて生産的であり、多くの点で合意した」と説明した。また、「4月下旬のカナダ総選挙後に会談を持つことで合意した」と話した。これを受けてカナダドル買いが先行すると一時1.4277カナダドルまで値を下げた。
ただ、米政権の関税政策を巡る先行き不透明感が根強い中、カナダドル買いの勢いは長続きしなかった。トランプ氏がホワイトハウスで「カナダに対する関税措置は絶対に(absolutely)やり遂げる」と発言したことも意識されて、引けにかけては1.4324カナダドル付近まで持ち直した。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は大幅に3日続落。米商務省が発表した2月米PCEデフレーターはコア指数が予想を上回り、インフレ圧力の根強さが示唆された。ただ、同統計では個人消費支出の鈍さも示され、景気減速懸念が拡大。さらに、ミシガン大学が発表した3月米消費者態度指数確報値は予想を下回った。トランプ米政権の高関税政策に伴う景況感悪化に加えて、米物価上昇につながるとの懸念が投資家心理を冷やした。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も大幅に3日続落した。
・米国債券相場で長期ゾーンは3日ぶりに大幅反発。米インフレ圧力の根強さや貿易摩擦の悪化への懸念から、米国株相場が大幅に下落。相対的に安全資産とされる米国債に買いが集まった。
・原油先物相場は3日ぶりに小幅な反落。米国への輸入自動車ほかトランプ関税による貿易摩擦が世界経済を圧迫して原油などエネルギー需要を弱めるとの観測が重し。ただ、対ユーロなど主要通貨に対するドル安はドル建て原油価格の下落幅拡大を抑える要因となった。
・金先物相場は続伸。米金利の低下が、金利のつかない資産である金の相対的な投資妙味の高まりを意識させる状況。さえない米株の推移や3月米ミシガン大学消費者態度指数・確報値の下方修正もリスク回避資産である金を買う動きを支援した。ユーロほか欧州通貨や円など主要通貨に対するドル安も、ドル建て金相場の換算値を押し上げ。中心限月としての史上最高値を時間外取引で3124.4ドルまで更新し、その後も高値圏で振幅した。
一部通信社が報じたところによると、「トランプ米政権は富裕層への増税を容認することを検討している」ようだ。
アトランタ連銀が発表した米国の国内総生産(GDP)成長率の現時点予測である1-3月期GDPNowは-2.8%と前回の-1.8%から引き下げられた。
中国の習近平国家主席は28日午前、北京の人民大会堂で外国企業トップらと会見した。国営新華社の報道によると、習主席は代表らを歓迎し、長年にわたる中国との協力への貢献を評価。中国共産党の強力な指導と国民の団結により、中国は経済の急速な発展と社会の長期的な安定という「二つの奇跡」を実現してきたと述べた。また、国際社会の支持や在中国の外資企業の貢献も欠かせなかったと強調した。
習主席は、中国は改革開放を通じて急速に世界市場に参入し、外資を積極的に活用してきたとした上で、外資企業の投資は中国の経済成長や雇用創出、技術・管理の進歩、さらには改革開放の推進にも寄与したと指摘。こうした企業は、中国式現代化の重要な参加者であり、相互利益のもとで成長を遂げ、中国との深い友好関係を築いてきたと述べた。
習主席はまた、中国が長年にわたり世界経済の主要な成長貢献者であり、現在は中国式現代化を全面的に推進していると強調。対外開放は中国の基本国策であり、ルールや管理、標準の国際的な調和を進め、開放政策を継続すると明言した。中国は世界第2位の消費市場であり、最大規模の中間所得層を有し、投資・消費の潜在力が大きいとし、外資企業にとって魅力的な市場であり続けるとの見解を示した。
さらに、中国政府は外資企業の市場参入を拡大し、公平な競争環境を維持する方針を改めて表明。外資企業の合法的権益を保護し、貿易・投資の自由化と利便性を推進するとした。また、中国は平和発展の道を堅持し、外資企業に良好な外部環境を提供すると強調した。
習主席は、経済のグローバル化は不可逆的な歴史の流れであり、多国間主義こそが世界の課題を解決する手段であると指摘。中国は真の多国間主義を推進し、包括的な経済グローバル化を目指すとし、外資企業とともに自由貿易体制の維持、グローバルな産業・供給チェーンの安定、開放的な国際環境の維持に努めると述べた。
会見には、40社以上の外資企業の会長やCEO、ビジネス界の代表が参加。米国のフェデックス、ドイツのメルセデス・ベンツ、フランスのサノフィ、英国のHSBC(00005)、日本の日立製作所、韓国のSKハイニックス、サウジアラビアのサウジアラムコなどの代表が発言した。
各代表は、中国が習主席の指導の下で改革を深化させ、高水準の対外開放を推進し、安定した経済成長を実現していることに敬意を表明。「中国の成長は世界経済の原動力であり、中国市場の潜在力は極めて大きい」との認識を示した。また、中国政府の公正で良好なビジネス環境の整備を高く評価し、中国市場への投資と協力を今後も拡大すると表明した。
会見には蔡奇・政治局常務委員、王毅・外交部長、何立峰・副首相らも同席した。
一部通信社が報じたところによると、「欧州連合(EU)は米国の相互関税に対して譲歩案提示を計画している」ようだ。
28日05:37 バーキン米リッチモンド連銀総裁
「現在の金融政策は良い状態」
「状況が変われば、FRBは調整できる」
「現在の環境では、経済が雇用増加に向かうとは考えにくい」
「FRBは不確実性の解消を待ってから行動する」
28日06:15 アルバニージー豪首相
「5月3日に総選挙を実施する」
28日08:43 加藤金融相
「米関税措置は極めて遺憾、 関係省庁と連携し経済影響を十分に精査」
「株式市場の動向にはコメントしない」
「米関税措置、日本除外を強く申し入れた」
28日13:21 習・中国国家主席
「一部の国が貿易問題を政治化している」
「一部の国は経済ルールに反する決定をした」
「我々は世界的なサプライチェーンの安定を維持する必要」
「米中関係は引き続き安定的、健全であるべき」
28日17:46 デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁
「ディスインフレのプロセスは継続しており、目標は今後数カ月で達成される見込み」
「不確実性が高まっている時期にはさらに慎重な姿勢が重要」
「貿易戦争は主に経済成長に影響を与える」
28日23:18 ナーゲル独連銀総裁
「最近のインフレ指標の数値は励みになる」
「最後の1マイルは慎重さが重要」
28日23:26 デイリー米サンフランシスコ連銀総裁
「2025年に2回の利下げは依然として妥当な予測」
29日00:21 トランプ米大統領
「カーニー加首相と非常に生産的な電話会談を行った」
「多くの点で意見が一致した」
「(対カナダ関税)必ずやり遂げる」
「(カーニー加首相について)良い話し合いができた」
「カナダと良好な関係を築く」
「(消費者は今自動車を買うべきかとの質問に)ノー」
※時間は日本時間
31日
○08:50 ◎ 2月鉱工業生産速報
○08:50 ◇ 2月商業販売統計速報(小売業販売額)
○14:00 ◇ 2月新設住宅着工戸数
○19:00 ◇ 外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
4月1日
○08:30 ◎ 2月完全失業率
○08:30 ◎ 2月有効求人倍率
○08:50 ☆ 日銀・企業短期経済観測調査(短観、3月調査)
2日
○08:50 ◇ 3月マネタリーベース
3日
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
4日
○08:30 ◇ 2月家計調査(消費支出)
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
30日
○欧州・英国が夏時間に移行
31日
○09:00 ◇ 3月ANZ企業信頼感
○10:30 ◎ 3月中国製造業購買担当者景気指数(PMI)
○15:00 ◇ 2月独輸入物価指数
○15:00 ◎ 2月独小売売上高
○17:00 ◎ パネッタ伊中銀総裁、講演
○17:00 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○17:30 ◇ 2月英消費者信用残高
○17:30 ◇ 2月英マネーサプライM4
○21:00 ◎ 2月南アフリカ貿易収支
○21:00 ◎ 3月独消費者物価指数(CPI)速報値
○22:45 ◎ 3月米シカゴ購買部協会景気指数
○シンガポール(ハリラヤプアサ)、インド(イスラム教断食明け祭)、トルコ(砂糖祭)、休場
4月1日
○09:30 ◎ 2月豪小売売上高
○10:45 ◎ 3月Caixin中国製造業PMI
○12:30 ☆ 豪準備銀行(RBA)政策金利発表
○15:00 ◇ 3月英ネーションワイド住宅価格指数
○15:30 ◇ 2月スイス小売売上高
○16:30 ◇ 3月スイス製造業PMI
○16:50 ◎ 3月仏製造業PMI改定値
○16:55 ◎ 3月独製造業PMI改定値
○17:00 ◎ 3月ユーロ圏製造業PMI改定値
○17:15 ◎ グリーン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○17:30 ◎ 3月英製造業PMI改定値
○18:00 ☆ 3月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値
○18:00 ☆ 3月ユーロ圏HICPコア速報値
○18:00 ◎ 2月ユーロ圏失業率
○21:30 ◎ ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○22:45 ◎ 3月米製造業PMI改定値
○23:00 ◇ 2月米建設支出
○23:00 ☆ 3月米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景気指数
○23:00 ◎ 2月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数
○24:00 ◇ 3月メキシコ製造業PMI
○2日01:30 ◎ レーンECB専務理事兼主任エコノミスト、講演
○06:45 ◎ 2月ニュージーランド(NZ)住宅建設許可件数
○09:30 ◎ 2月豪住宅建設許可件数
○16:00 ◇ 3月トルコ製造業PMI
○19:30 ◎ シュナーベルECB専務理事、講演
○20:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○未定 ◎ ポーランド中銀、政策金利発表
○21:15 ☆ 3月ADP全米雇用報告
○23:00 ◎ 2月米製造業新規受注
○23:30 ◇ EIA週間在庫統計
○3日01:00 ◎ 2月ロシア失業率
3日
○07:00 ◎ ブロックRBA総裁、議会証言
○09:30 ◇ 2月豪貿易収支
○10:45 ◎ 3月Caixin中国サービス部門PMI
○15:30 ◎ 3月スイスCPI
○16:00 ◎ 3月トルコCPI
○16:50 ◎ 3月仏サービス部門PMI改定値
○16:55 ◎ 3月独サービス部門PMI改定値
○17:00 ◎ 3月ユーロ圏サービス部門PMI改定値
○17:30 ◎ 3月英サービス部門PMI改定値
○18:00 ◎ 2月ユーロ圏卸売物価指数(PPI)
○20:30 ☆ ECB理事会議事要旨(3月6日分)
○20:30 ◇ 3月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○21:30 ◇ 2月カナダ貿易収支
○21:30 ◎ 2月米貿易収支
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数
○22:45 ◎ 3月米サービス部門PMI改定値
○22:45 ◎ 3月米総?⑰MI改定値
○23:00 ☆ 3月米ISM非製造業指数
○4日01:00 ◎ ジェファーソン米連邦準備理事会(FRB)副議長、講演
4日
○14:45 ◇ 3月スイス失業率(季節調整前)
○15:00 ◎ 2月独製造業新規受注
○15:45 ◇ 2月仏鉱工業生産
○15:00 ◎ 3月スウェーデンCPI
○17:30 ◎ 3月英建設業PMI
○21:30 ☆ 3月カナダ雇用統計
○21:30 ☆ 3月米雇用統計
○5日00:25 ☆ パウエルFRB議長、講演
○5日03:00 ◎ 3月ブラジル貿易収支
○中国、香港(清明節)、休場
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
◆豪ドル、RBAの金融政策に注目
◆豪ドル、豪政府はインフレ目標への到達予想を前倒し
◆ZAR、米相互関税が下押しリスクに
予想レンジ
豪ドル円 92.00-97.00円
南ア・ランド円 7.90-8.40円
3月31日週の展望
豪ドルは神経質な動きが予想される。注目は3月31日-4月1日の日程で開催される豪準備銀行(RBA)の金融政策理事会。市場では現行の4.10%で据え置きとの予想が中心で、声明文でインフレ見通しや金融政策に対する見解に変化が見られるかが焦点となりそうだ。
今週に公表された物価関連データはRBAの追加緩和への思惑を高める内容だった。25日には豪政府が物価高対策を含めた予算案を発表。予算案の中でコアインフレ率は今年の7月までにRBAのインフレ目標(2-3%)に到達するとの予測が示され、以前の予測から6カ月ほど目標内への到達時期が前倒しされた。また、2月の豪消費者物価指数・コア指数はいずれも市場予想を下回り、こちらもインフレ鈍化を意識させる結果となった。
もっとも、市場では次回会合でRBAが追加利下げに動くとの予想は少数で、次回の利下げは早くても5月以降の会合になるとの見方が優勢だ。CPIについてはRBAが従来から単月のデータよりも四半期のデータを重要視しており、4月30日に公表が予定されている1-3月期CPIを待つ必要があるだろう。また、インフレ目標への到達についても、ブロックRBA総裁は「再度の利下げを検討する前にインフレ率が目標範囲内に持続的にとどまっている兆候を確認したい」「目標範囲内に復帰するだけでは十分でなく、持続的にそこにいられると思わなければならない」と過去に言及しており、総じてRBAはこれまで追加緩和に対して慎重な姿勢を示してきた経緯がある。
今回の声明文ではこうした中銀の姿勢に変化が生じるかがポイント。RBAの追加利下げ観測が高まると豪ドルにも売り圧力がかかる可能性が高い。その他にも来週は4月2日に米政権の相互関税が発表される予定となっており、豪ドルは重要イベントをにらんで神経質な動きとならざるを得ないだろう。
南アフリカ・ランド(ZAR)は戻りの鈍い動きが予想される。来週は2月貿易収支の発表が控えているが、ZARも基本的には米関税政策に振らされる可能性が高いだろう。市場全般のリスク志向の行方に加えて、国ごとに異なるとされる米相互関税の詳細にも注目しておきたい。もっとも、トランプ米大統領の就任以来、南アに対する米資金拠出の打ち切り、南ア国内の土地政策に関する対立、駐米南ア大使の国外追放と、米国・南ア間の関係は悪化の一途をたどっている。こうした状況下で南アに対する相互関税が穏やかなものになるとは考えにくく、ZARの下押し材料となる可能性が高いだろう。
3月24日週の回顧
豪ドルは対円で強含み。ドル円が151円台まで上値を伸ばしたことに伴い、95円台半ばまで買いが入った。ただ、対ドルでは0.6300ドルを挟んだ水準で方向感を欠いた動きとなった。ZARも対円では8.2円台の限られたレンジ内ではあったが底堅く推移した一方、対ドルでは18ZAR台前半でのもみ合いに終始した。
◆トランプ関税への警戒感は払拭されず、相場全般のリスクオン・オフで変動
◆ポンド、英経済成長見通し引き下げられ先行き不透明感は深まったまま
◆加ドル、米加関係は改善の兆し感じられず
予想レンジ
ポンド円 192.50-198.50円
加ドル円 103.50-107.50円
3月31日週の展望
来週もトランプ関税への警戒感は払拭されず、相場全般のリスクオン・オフでポンドや加ドルは変動する可能性が高い。また週前半は日本の年度末と年度始めを挟むため、本邦実需勢から持ち込まれるフローで上下させられる場面もありそうだ。
英国からは、3月製造業及びサービス部門の購買担当者景気指数(PMI)改定値が発表予定。速報値ではそれぞれ、45割れと53超えだった。今週、予算責任局(OBR)が2025年経済成長率見通しを従来2%から1%に引き下げた後でもあり、速報値で市場予想を下回った製造業PMIを注意したい。一層弱い結果となれば、先行きに対する悲観的な見方がポンドの重しとなるだろう。
OBRは25年インフレ率見通しも公表。平均3.2%とした。この予想は、昨年10月に市場を驚かせた大幅な上方修正(平均1.5%から2.6%)から更に加速した値。今年の見通しで、成長率が下振れた一方でインフレ率が上振れたのは、やはりトランプ関税に起因するもの。不確実性が高いため市場も予測しづらく、今後も経済全体の先行き不透明感は深まったままだろう。
なお、足もとの英インフレは減速していた。今週発表された2月消費者物価指数(CPI)は前年比2.8%、コアCPIが3.5%とそれぞれ前回より0.1ポイントの鈍化予想をさらに下回った。これを受けて、市場では次回5月の英中銀会合で追加利下げを見込む向きが増えている。ただし、英中銀が注視しているサービス部門のインフレ率は高止まりしており、「次の一手」を見通すためには4月半ばに発表される3月英CPIを確認する必要がありそうだ。
加ドルは依然として、米政権の関税強化策がカナダ経済に与える影響を見極めながらの取引となりそうだ。トランプ米大統領は今週、輸入自動車に25%の関税をかける大統領令に署名した。ただ、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に準拠した自動車部品は当面免除される。もっともカナダの自動車輸出は米国向けが主であり、高率な関税による自動産業へのダメージは避けられないだろう。カナダはすでに総額1550億加ドルの報復関税パッケージを発表しているが、カーニーカナダ首相は追加の報復措置を取る意向を示した。
カナダは総選挙を4月28日に控えており、今後、支持率を高めるためにもトランプ大統領との対立度合を強めていくのではないか。改善の兆しが感じられない米加関係を、市場がどのように判断するのかを見定めることになる。
3月24日週の回顧
ポンドや加ドルは対円で買いが先行。前週末にトランプ米大統領が相互関税について「柔軟性がある」との考えを示し、週明けも「多くの国に猶予を与えるだろう」と発言すると、リスク回避の巻き戻しが進んだ。新たな自動車関税発表で緩む場面はあったものの、一巡後はポンド円が196円手前、加ドル円が105円後半まで上昇した。
ポンドドルは1.30ドル手前まで買われる場面があった。2月英CPIの鈍化で下押す場面はあったが、1.28ドル後半では支えられた。加ドルは対ドルで1.4230加ドル台まで加ドル高に振れた後は1.43加ドルを挟み上下した。
◆ドル円、米自動車関税発動による影響見極め
◆週末の米雇用統計をはじめ、米重要指標が目白押し
◆ユーロドル、ECBの追加利下げ観測高まる
予想レンジ
ドル円 148.00-154.00円
ユーロドル 1.0500-1.1000ドル
3月31日週の展望
ドル円は、トランプ政権による関税政策発動による株価への影響を見極めながら、週末の米雇用統計を始めとした米重要指標に一喜一憂する展開が想定される。トランプ米大統領は26日、米国内に輸入される全ての自動車に対して25%の追加関税を課す文書に署名した。これにより、4月2日から発動され、エンジンなど主要部品についても5月3日までに発動される予定だ。米大統領は「敵味方問わず、彼らは我が国から多くのものを奪ってきた。率直に言って、敵よりも友の方がはるかにひどいことも多かった」と述べており、その味方(友)とされるのが日本であり、今後関税が緩和もしくは撤廃される可能性はかなり低そうだ。対米輸出の3割弱を自動車が占める日本経済への打撃は必至であり、日本の景気先行き懸念は一層高まるだろう。そうなれば、日銀の政策決定にも大きく影響を与えるため、植田総裁をはじめ日銀メンバーの見解に注目したい。
また、来週は4月1日に3月ISM製造業景況指数、4月2日に3月ADP雇用統計、4月3日に3月ISM非製造業景況指数、4月4日に3月米雇用統計の発表が予定されている。6月の利下げ確率が5割前後と意見が分かれており、指標の結果次第で織り込んでいく動きになるかどうかを見極めることになりそうだ。なお、来週は週明けが月末・期末最終日となり、ロンドン16時(日本時間24時)のフィキシングに向けた特殊なフローにも警戒しておきたい。また、日本は4月1日から新年度に入るため、本邦実需勢の動きにも注意が必要となるだろう。
ユーロドルは上値が重くなりそうだ。世界的な貿易摩擦がもたらす不確実性から、短期市場では欧州中央銀行(ECB)が4月に6会合連続で利下げを行うとの予想が8割程度まで高まっている。ただ、前回会合でラガルドECB総裁は「利下げの一時停止はあり得る」と述べていたほか、ウンシュ・ベルギー中銀総裁も利下げ休止の検討を訴えているため、メンバー間でも意見が分かれている状況。来週は4月1日に製造業、4月3日にサービス分門の欧州各国購買担当者景気指数(PMI)改定値が予定されており、速報値から下方修正されれば一段と利下げへの思惑が広がり、ユーロは下値リスクが高まるだろう。
3月24日週の回顧
ドル円は底堅い。週明けは3月米サービス部門PMI速報値が予想より強い内容だったことで買いが強まり151円手前まで上昇した。翌日は3月米消費者信頼感指数など弱い指標が相次いだため149円台半ばまで下げたが下値は限定的。米長期金利の上昇も支えに週後半には151円台を回復。一時151.15円まで上値を伸ばしている。
ユーロドルは方向感がない。週明けに1.0858ドルまで上昇も、米関税政策が嫌気され1.0733ドルまで下押しした。一方で200日MAが下値の目処として意識されたほか、月末絡みの買いが観測されるなど下値は限られた。
28日の日経平均は大幅続落。終値は679円安の37120円。米国株安と300円程度の配当落ちの影響で、寄り付きから400円を超える下落。安く始まった後もしばらく下値模索が続いた。前日同様に自動車株や半導体株が弱く、権利落ちで水準が切り下がった多くの銘柄にも買いは入らなかった。37000円を割り込んだところで売り圧力は和らいだものの、戻りは緩慢。後場は37000円をやや下回る水準でもみ合う時間が長かった。安いところでは900円超下げて36800円台に突入したが、終盤にかけては下げ幅を縮めており、大引けが後場の高値となった。グロース250指数は小幅安スタートから早々にプラス圏に浮上し、しばらく堅調に推移した。しかし、終盤に日経平均が持ち直す中で入れ替わるように動きが悪くなり、下げに転じて安値圏で取引を終えた。
東証プライムの売買代金は概算で4兆4700億円。業種別では全業種が下落しており、食料品、小売、精密機器などが相対的に値を保った。一方、証券・商品先物、海運、鉄鋼などの下げが大きかった。大規模な自己株取得・消却を発表したクックパッド<2193.T>が急騰。半面、期末一括配当で配当利回りも高く、かつ、直近まで昨年来の高値圏で推移していたドリームインキュベータ<4310.T>は売りが殺到して値が付かず、ストップ安比例配分となった。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり150/値下がり1435。役員体制の変更を発表したフジメディアが5%近い上昇。DeNAやサンリオが逆行高となった。過去に獲得した大型受注の内容変更を発表したQPS研究所が大幅上昇。企業買収に関するリリースを材料にBTMがストップ高となった。
一方、米国でも関税リスクを警戒してGMやフォードが大きく下げたことから、トヨタやホンダなど自動車株が連日の大幅安。米国ではエヌビディアも弱かったことから、東京エレクトロンやアドバンテストなど半導体株が売りに押された。下方修正を発表したJCRファーマが急落。配当利回りが高かった影響で、東洋証券、丸三証券、東海東京HDなど証券株に大きく水準を切り下げるものが多かった。
本日グロース市場に新規上場したトヨコーとプログレス・テクノロジーズ グループは、ともに初値は公開価格を上回ったものの、地合いの悪い中、終値は初値を下回った。持ち越しとなったゼンムテックは初値が公開価格比3.2倍となり、寄った後はストップ高まで駆け上がった後に急失速するなどかなり値動きが荒くなったが、終値は初値を上回った。
日経平均は大幅安。見た目の水準が切り下がったことで買い意欲が萎えてしまったか、さえない1日となった。1年前の実質新年度初日となる2024年3月28日も、権利落ち分以上の大幅安であった。株主還元を強化する企業が増えている分、落ちの影響も大きくなっており、短期的なチャート形状の悪化を嫌う投資家が増えているのかもしれない。ただ、業績のブレが大きい企業はともかく、安定的に高水準の配当を出している企業の株価は早晩見直される公算が大きい。配当利回りの高い銘柄の押し目は冷静に拾っておきたい。
【来週の見通し】
軟調か。4月相場に突入し、週末の4月4日には米国の3月雇用統計が発表される。その手前では米国で輸入自動車に対する追加関税が発動される見通しとなっており、米国からのニュースに神経質になると思われる。トランプ大統領からマーケットにネガティブな発言が出てきた場合には、米雇用統計の発表を前に見切り売りが加速する展開も想定される。直近の下げに対するリバウンドがあったとしても、高くなれば戻り売りが上値を抑えるだろう。4月4日には安川電機が決算発表を予定しているが、米中対立に対する警戒が強い局面ではリスク要因と受け止められる可能性がある。弱材料の方により敏感となり、上げづらく下げやすい地合いが続くと予想する。
今週の日経225先物は、トランプ米政権の関税政策によって不確実性が高まり、ボラティリティの高い相場展開となりそうだ。トランプ米大統領は4月2日に相互関税を導入するほか、3日にはすべての輸入車に25%の関税を課す。3月28日の米国市場では貿易戦争への警戒に加え、この日発表された経済指標を受けて米国のインフレ懸念が改めて強まった。
2月の米個人消費支出(PCE)統計では、米連邦準備理事会(FRB)が注目する食品とエネルギーを除くPCEコア価格指数は前月比0.4%上昇し、市場予想(0.3%上昇)を上回り約1年ぶりの伸びとなった。また、3月の米ミシガン大学消費者態度指数(確報値)は57.0と速報値(57.9)から下方修正された。1年先のインフレ期待は5.0%に上昇し、2022年以来の高水準となっている。
NYダウ、S&P500、ナスダックの主要な株価指数は大幅に下落。半導体SOX指数は3%近く下げ、終値では昨年1月18日以来となる4300割れとなった。シカゴ日経平均先物は大阪比630円安の3万6380円。日経225先物のナイトセッションは日中比710円安の3万6300円でナイトセッションの安値で終えた。
週明けの東京市場は、米株安の影響を受けてインデックスに絡んだ売りが入りやすく、先物市場ではヘッジ対応のショートが強まる可能性がある。ナイトセッションではボリンジャーバンドの-1σ(3万6710円)を下抜け、-2σ(3万6150円)に接近。調整幅としては下げ止まりが意識されてくるが、-2σを明確に割り込んでくると-3σ(3万5590円)へのバイアスが強まることも想定しておく必要がありそうだ。
一方で、トランプ大統領は関税を巡る交渉についてはオープンと述べている。トランプ政権による関税政策が明らかになり、関税の水準や各国との協議の進展へ関心が移ることになり、いったんはアク抜け感からのリバウンドが意識される局面もあるだろう。まずは4月3日の輸入車への関税発動を受けた各国の対応が注目されることになりそうだ。
ただ、トランプ大統領は米大手自動車メーカーに対して関税を理由とした値上げをしないよう警告していたと報じられている。関税によるコスト増を価格に転嫁できない状況になるため、企業業績に対する警戒感が投資家のセンチメントを冷ますことになるだろう。
日経225先物は3万6000円割れから-3σ水準が射程に入る半面、アク抜け感が強まるようだと先週の下げに対するリバウンドが意識されるため、25日移動平均線(3万7270円)および+1σ(3万7830円)水準が射程に入る。今週は3日に米国3月ISM非製造業景気指数、4日には3月の米雇用統計の発表が予定されているが、市場の関心は関税一択であり、それほど材料視されないだろう。そのため、楽観視はできないものの、関税発動後は押し目狙いのロング対応とし、各国の動向に注目したい。
先週末のNT倍率は先物中心限月で13.47倍(27日は13.44倍)に上昇したが、ボトム圏での推移が続いており、一時13.42倍まで低下する場面もみられた。配当落ちの影響もあって東証プライムの値下がり数が1400を超える状況のなか、相対的にTOPIX型の弱さにつながったようだ。ただし、アドバンテスト<6857.T>[東証P]が一時、昨年10月以来となる7000円割れまで売られるなど、指数インパクトの大きい値がさハイテク株が日経平均型の重荷となっている。アク抜けによるリバランスの可能性はあるものの、リスク回避姿勢から内需系にシフトしやすく、NTショートに振れやすい需給状況が続きそうだ。
3月第3週(3月17日-21日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物と先物の合算では5週ぶりの買い越しであり、買い越し額は6982億円(3月第2週は5459億円の売り越し)だった。なお、現物は2611億円の買い越し(同8085億円の売り越し)と5週ぶりの買い越しであり、先物は4371億円の買い越し(同2626億円の買い越し)と2週連続の買い越し。個人は現物と先物の合算で4982億円の売り越しと3週連続の売り越し。信託銀行は現物と先物の合算で2391億円の売り越しとなり、5週ぶりの売り越し。
主要スケジュールでは、31日に2月鉱工業生産、中国3月製造業PMI、4月1日に2月完全失業率、日銀短観、中国3月財新製造業PMI、米国3月ISM製造業景気指数、2日に米国3月ADP雇用統計、米国2月製造業新規受注、トランプ大統領が相互関税の詳細公表、3日に米国2月貿易収支、米国3月ISM非製造業景気指数、米国が輸入自動車に25%の関税発動、4日に2月全世帯家計調査、米国3月雇用統計、パウエルFRB議長講演などが予定されている。
<国内>
○08:50 ◎ 2月鉱工業生産速報(予想:前月比2.0%/前年比1.2%)
○08:50 ◇ 2月商業販売統計速報(小売業販売額、予想:前年比2.5%)
○14:00 ◇ 2月新設住宅着工戸数(予想:前年比▲2.2%)
○19:00 ◇ 外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
<海外>
○09:00 ◇ 3月ANZ企業信頼感
○10:30 ◎ 3月中国製造業購買担当者景気指数(PMI、予想:50.4)
○15:00 ◇ 2月独輸入物価指数(予想:前月比横ばい/前年比3.3%)
○15:00 ◎ 2月独小売売上高(予想:前月比横ばい/前年比0.5%)
○17:00 ◎ パネッタ伊中銀総裁、講演
○17:00 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○17:30 ◇ 2月英消費者信用残高(予想:12億ポンド)
○17:30 ◇ 2月英マネーサプライM4
○21:00 ◎ 2月南アフリカ貿易収支
○21:00 ◎ 3月独消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.3%/前年比2.2%)
○22:45 ◎ 3月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:45.0)
○シンガポール(ハリラヤプアサ)、インド(イスラム教断食明け祭)、トルコ(砂糖祭)、休場
○欧州・英国は30日から夏時間に移行済み
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
28日のニューヨーク外国為替市場でドル円は149.69円まで下落した。2月米個人消費支出(PCE)のコア指数の上昇によりインフレ圧力の根強さが確認されたほか、3月米ミシガン大学消費者態度指数確報値が予想を下回ったことで米国株相場が下落。米長期金利も大幅に低下したことがドルの重しとなった。ユーロドルは、「米政権による関税の一部緩和を目指して欧州連合(EU)は譲歩可能な分野を洗い出す作業を進めている」との報道や米長期金利の大幅低下などから1.0845ドルまで上昇した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、月末、期末、年度末の実需玉の動向を見極めて行くことになるものの、日米株式市場の下落や米長期債利回りの低下により、上値が重い展開を予想する。
ドル円の年度末要因としては、決済によるドル買いと、レパトリエーション(国外滞留資金の本国環流)などのドル売りなどが想定されるため、本日の仲値に向けた売り買い動向には注目しておきたい。
また、可能性は低いと思われるが、最悪のシナリオとして、2日の相互関税発動前の世界同時株安「ブラックマンデー」の可能性にも警戒しておきたい。
米連邦公開市場委員会(FOMC)でのドット・プロット(金利予測分布図)、米消費者信頼感指数、ミシガン大学消費者態度指数などは、トランプ関税による貿易摩擦の激化懸念により、スタグフレーション(景気停滞下の物価上昇)への警戒感を示している。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」が示している追加利下げ時期は、6月FOMC(-0.25%=4.00-25%)、9月FOMC(-0.25%=3.75-4.00%)、12月FOMC(-0.25%=3.50-75%)となっている。
また、3月11日時点で過去最大規模の133902枚に膨れ上がっていたことで注目されていたIMMシカゴ筋の円の買い持ちポジションも、25日時点では125376枚と高水準のままであり、手仕舞いのタイミングには警戒しておきたい。円の買い持ちポジションは、ネガティブ・キャリートレードとなることで、日々コストを払い続けるため時間との闘いとなっており、おそらく4月2日の相互関税の発動日辺りが期限ではないかと思われる。
なおヘッジファンド勢は、ポジションの転換に移動平均線(50日・200日)を注視していると言われており、現状の水準は151.20-60円付近に位置している。
先週末に発表された3月の日銀金融政策決定会合の「主な意見」では、「経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく。」ことが確認された。一般的に「主な意見」は、総裁、副総裁という執行部の見解、すなわち、委員会のコンセンサスが最初にあり、コンセンサスに応じた委員の見解の順となっている。
市場の話題になっていたのは、8番目の「不確実性は高まっているが、だからといって常に政策対応を慎重にすればいいというわけではなく、今後の状況によっては、『果断』に対応すべき場面もありうる。」というタカ派的な見解だった。今後の日銀当局者の講演、発言などから、果断なタカ派委員を探っていきたい。
大阪6月限ナイトセッション
日経225先物 36300 -710 (-1.91%)
TOPIX先物 2701.5 -45.5 (-1.65%)
シカゴ日経平均先物 36380 -630
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
28日の米国市場はNYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が下落。朝方発表された2月の米個人消費支出(PCE)統計では、米連邦準備理事会(FRB)が注目する食品とエネルギーを除くPCEコア価格指数は前月比0.4%上昇し、市場予想(0.3%上昇)を上回り約1年ぶりの伸びとなった。また、3月の米ミシガン大学消費者態度指数(確報値)は57.0と速報値(57.9)から下方修正された。1年先のインフレ期待は5.0%に上昇し、2022年以来の高水準となったことで、インフレの長期化懸念が強まった。
NYダウ構成銘柄では、アマゾン・ドット・コム<AMZN>、ナイキ<NKE>、ボーイング<BA>、マイクロソフト<MSFT>、セールスフォース<CRM>、アップル<AAPL>が下落。半面、メルク<MRK>、アムジェン<AMGN>、ジョンソン・エンド・ジョンソン<JNJ>、ユナイテッド・ヘルス・グループ<UNH>が買われた。S&P500業種別指数は、耐久消費財・アパレル、メディア、小売、自動車・同部品、ソフトウエア・サービス、消費者サービスが下落した一方で、公共事業、不動産、医薬品・バイオテクノロジーが上昇。
シカゴ日経平均先物(6月限)清算値は、大阪比630円安の3万6380円だった。日経225先物(6月限)のナイトセッションは、日中比130円安の3万6880円で始まった。3万6760円~3万6890円辺りでの推移を続けるなか、米国市場の取引開始後にショート優勢となり、3万6340円まで売られた。売り一巡後はいったん3万6550円まで下げ渋る場面もみられたが買いは続かず、終盤にかけて3万6300~3万6420円で推移し、3万6300円とナイトセッションの安値で取引を終えた。
シカゴ先物にサヤ寄せする形から、売り先行で始まりそうだ。米株安の影響を受けてインデックスに絡んだ売りが入りやすく、ヘッジ対応のショートが強まる可能性がある。ナイトセッションではボリンジャーバンドの-1σ(3万6710円)を下抜け、-2σ(3万6150円)に接近。-2σを明確に割り込んでくると-3σ(3万5590円)へのバイアスが強まることも想定しておく必要がありそうだ。
まずは売り一巡後の底堅さを見極めつつ、-2σが支持線として意識されてくるようであれば、押し目狙いのロング対応に向かわせそうである。そのため、オプション権利行使価格の3万6000円~3万6750円辺りのレンジを想定する。
トランプ米大統領は4月2日に相互関税の詳細を公表するほか、3日にはすべての輸入車に25%の関税を課す。トランプ大統領は関税を巡る交渉についてはオープンと述べている。トランプ政権による関税政策が明らかになり、関税の水準や各国との協議の進展へ関心が移ることで、いったんはアク抜けによるリバウンドが意識される局面もあるだろう。そのため、不安定ながらもここからショートを積み上げてくる動きは限られそうだ。
28日の米VIX指数は21.65(27日は18.69)に上昇し、一気に25日線(21.38)を突破してきた。心理的な分かれ目となる20.00を上回ったことでリスク回避姿勢が強まろう。ただし、同水準までのリバウンドは想定されていたと考えられ、関税発動後の動向に注目しておきたい。
先週末のNT倍率は先物中心限月で13.47倍(27日は13.44倍)に上昇したが、ボトム圏での推移が続いており、一時13.42倍まで低下する場面もみられた。アドバンテスト<6857.T>[東証P]が一時、昨年10月以来となる7000円割れまで売られるなど、指数インパクトの大きい値がさハイテク株が日経平均型の重荷となっている。リスク回避から内需系にシフトしやすく、NTショートに振れやすい需給状況が続きそうだ。
東京市場は軟調か。先週末の米国株は下落。ダウ平均は715ドル安の41583ドルで取引を終えた。発表された経済指標から、景気が減速する中でインフレが続く「スタグフレーション」に対する警戒が高まり、幅広い銘柄が下落した。ドル円は足元149円50銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが大証日中終値と比べて630円安の36380円、ドル建てが545円安の36465円で取引を終えた。
米国株の大幅安を受けて、売りに押される展開を予想する。ナスダックが2.7%安と大きくな下げとなっており、グロース株に対する売り圧力が強くなると思われる。トランプ政権が関税強化に注力する姿勢を変えない以上、インフレに対する警戒はくすぶり続ける。CME225先物からは大幅安スタートが想定される。米国株の下げ止まりに対する期待が大きく後退した中、安く始まった後も下値を探る動きが続くだろう。日経平均の予想レンジは36200円-36800円。
日経225先物は11時30分時点、前日比1270円安の3万5740円(-3.43%)前後で推移。寄り付きは3万6090円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万6380円)を割り込み、ギャップダウンから始まった。直後につけた3万6160円を高値に下へのバイアスが強まり、現物の寄り付き後ほどなくして、3万5610円まで売られた。売り一巡後は中盤にかけて3万5970円まで下落幅を縮めたものの節目の3万6000円を捉えることができず、終盤にかけては3万5750円辺りでの推移となった。
日経225先物はボリンジャーバンドの-2σ(3万6020円)を割り込み、-3σ(3万5410円)に接近してきた。売り一巡後に下げ幅を縮める場面もみられたが、3万6000円には届かず、-2σが抵抗線になりそうだ。そのため、3万5500円から3万6000円辺りのレンジ推移が意識されよう。-3σ接近では売られ過ぎとの見方から、押し目狙いのロングが入りやすいだろうが、積極的な売買は手控えられやすく早めのクローズになろう。
NT倍率は先物中心限月で13.39倍に低下している。東証プライムの値下がり数が1500を超える全面安商状のなか、日経平均株価の構成銘柄はニトリホールディングス<9843.T>[東証P]のみが上昇している。一方で、ファーストリテイリング<9983.T>[東証P] や東京エレクトロン<8035.T>[東証P]、アドバンテスト<6857.T>[東証P]、ソフトバンクグループ<9984.T>[東証P]の4社で日経平均株価を490円超押し下げており、日経平均型の重荷となった。
先週末の海外市場では、NY時間に入って株式市場が大幅な下落。ダウ平均が760ドルを超える下落となったほか、ナスダックにいたっては2.7%の急落となるなど、リスクオフの動きが加速することになりました。米10年債利回りも4.2456%まで10bpを超える急低下と、絵に描いたようなリスクオフとなると、日経平均先物も36300円まで急落。ドル円も149.69円まで売り込まれることになりました。東京時間に151.21円まで買戻されていただけに、月末絡みのフローがないなかで、純粋にリスクオフに反応するかたちとなりました。
きっかけとなったのが、3月米ミシガン大消費者態度指数確報値。90分前に公表されていた2月米PCEコアが予想を上回る強い数字となるなか、速報値で話題となっていた、しかも、FOMC後の定例記者会見でパウエルFRB議長が敢えて「異常値だから」と言って相手にしない旨を表明していた消費者の期待インフレ率が、1年先が4.9%から5.0%、5年先が3.9%から4.1%まで更に上方修正されていたことがわかると、株価が一気に売り込まれることになりました。トランプ関税に対する不確実性の副作用が一気に噴き出したような動き。
週明けのアジア市場でも、日経平均が1500円を超える大幅な下落となるなど、4月2日の「解放の日」を前にした不確実性が最高潮に達しているといったところです。
いずれにしても、ドル円は期末絡みの実需のフローが断続的に出ているからか、早朝から1円の下落とはなっているものの、リスクオフを囃すには消化不良の動き。CMEの最新の投機筋のポジション状況も、再び円ロングが増加して史上最高水準から全く減少していないところをみると、センチメントの不確実性の最高潮を週明けの東京市場で確認した後は、期末絡みのLDNフィキシングのフローなどを見極めていくことになりそうです。
「私は、米政府の債務の状況が引き返せない地点に近づいていると判断している」
(レイ・ダリオ氏)
【米国の格付け】
・ムーディーズ:AAA
・スタンダード・アンド・プアーズ(S&P):AAプラス(2011年)
・フィッチ:AAプラス(2023年)
1. 格付け会社ムーディーズの警告
・米国の財政状況が悪化の一途をたどっている
・実現する確率は低いが非常に明るい経済・財政シナリオの下でさえ、米国の債務余裕度は他のAAA格付けや高格付けの国と比べて格段にぜい弱
・2035年:債務の対GDP比 130%、 利払い費用 30%
・ドルと米国債市場が持つ強みが、財政赤字拡大と債務余裕度低下のマイナスを相殺し続けるという期待感は薄れてきた
・米議会で超党派の合意を必要とする大規模な歳出削減の実行が政治的に困難なことや、関税が長期的には成長を妨げ、歳入増の効果を希薄化してしまう
2. 米議会超党派の議会予算局(CBO):5月末~9月
2025年1月1日に連邦債務の法定上限に達したため、財務省は現在、会計上の「特別措置」を駆使して資金繰りを続けている。CBOはこうした手段が尽きる前に「上限が引き上げられるか、上限の効力が停止されなければ、政府はすべての支払いに応じることができなくなる」と指摘した。
■8月か9月
CBOは、連邦政府の借入限度額である「債務上限」(※36兆1000億ドル)に関し、8月か9月にも財務省の資金繰り手段が尽き、財政資金が枯渇するとの見通しを示した。議会が早急に債務上限を引き上げなければ、米国のデフォルト(債務不履行)リスクが高まる。
■5月末か6月
CBOは、借り入れ需要が予想よりも多ければ、5月末か6月にも前倒しで資金が枯渇する恐れがあると警告した。
3. 米シンクタンクの超党派政策センター(BPC):6月上旬~10月中旬
■6月上旬
四半期ごとの予定納税期限である6月15日以前に税収が予想を下回った場合、6月上旬にXデーを迎える可能性
■7月中旬
議会が連邦債務上限を引き上げなければ、政府は7月中旬から10月上旬の間に債務不履行に陥る可能性
「議員は債務上限問題への対応を遅らせる余裕はない。財務省が一部の支払いができなくなる「Xデー」よりもかなり前に、債務上限に対処することを最優先事項とすべきだ」
本日のロンドン為替市場では、先週末から再び強まったリスク回避ムードが、どの程度まで広がるかを見極めながらの取引か。主なイベントとしては、イタリアとフランスの中銀総裁の講演が欧州午前、独消費者物価指数(CPI)の発表が午後に予定されている。
28日に発表された米国の経済指標では、物価高と景気悪化が重なる「スタグフレーション」のリスクに対して懸念が急速に高まった。トランプ米大統領による関税強化策が、賦課される国だけでなく米経済の先行きでさえも不安にさせているという状況だ。
4月2日にトランプ政権が発表する(貿易相手国に同等の関税を課す)「相互関税」について、米ウォールストリートジャーナル紙が「より広範囲で高い関税が検討されている」と報じた。一時トランプ大統領は「柔軟性」に言及していただけに、市場としては梯子を外された形だ。米国が強硬スタンスを変えないようだと、欧州連合(EU)による早期の報復関税発動もあり得、一気に貿易戦争に突き進む可能性が高まる。
関税合戦により欧州経済の成長減速が懸念されるなか、単純に考えればリスク回避のユーロ売り・円買いが優勢となるか。ただ本日の欧州時間から、本邦勢は新たな年度での取引とするところが多い。そのため、日本の機関投資家からの海外投資に絡んだフローで、クロス円が支えられる場面があるかもしれない。ユーロの対ドルについては、クロス円の動向や米長期金利の方向性に左右されそうだ。
21時に発表される3月独CPI速報値(予想:前月比0.3%/前年比2.2%)は、前回2月分から減速見込み。こちら、欧州午前からドイツ各州のCPIも発表予定。州CPIで全国の上下振れを見通した動きをすることも多く、そちらも注視する必要があるか。
想定レンジ上限
・ユーロ円、200日移動平均線162.52円を超えると27日高値163.36円
・ユーロドル、21日高値1.0861ドルを超えると20日高値1.0917ドル
想定レンジ下限
・ユーロ円、日足一目均衡表・雲の上限160.26円
・ユーロドル、28日安値1.0765ドル
ドル円:1ドル=149.04円(前営業日NY終値比▲0.80円)
ユーロ円:1ユーロ=161.46円(▲0.79円)
ユーロドル:1ユーロ=1.0834ドル(△0.0006ドル)
日経平均株価:35617.56円(前営業日比▲1502.77円)
東証株価指数(TOPIX):2658.73(▲98.52)
債券先物6月物:138.40円(△0.63円)
新発10年物国債利回り:1.485%(▲0.060%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
2月鉱工業生産・速報値
前月比 2.5% ▲1.1%
前年比 0.3% 2.2%
2月商業販売統計速報(小売業販売額)
前年比 1.4% 4.4%・改
2月新設住宅着工戸数
前年比 2.4% ▲4.6%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は下落。前週末の米国で、物価が上昇して景気が減速する「スタグフレーション」への懸念を背景に米国株が大幅下落となった流れを引き継ぎ、日経平均が取引直後に3万6000円の節目を割り込むと、リスク回避の動きが強まりドル円は149.07円まで下落。期末・年度末の仲値公示に絡んでドルが買われるも戻りは149.51円付近に留まると、21日以来となる148.73円まで下値を広げた。時間外の米長期金利が低下したことも重しとなった。売り一巡後に戻すも149.20円台に留まった。
・ユーロ円は軟調。日経平均の大幅下落によるリスク回避の流れの中で下値を広げる動きが続き、一時161.18円まで下落。その後はドル円の下げ渋りもあり161.70円台まで切り返すも上値は重く、15時過ぎに161.13円まで下落して日通し安値を更新した。
・ユーロドルは小動き。ドル円でドル売りが進んだ影響を受けて1.0846ドルまで小幅に上昇するも、円中心の動きであったため、1.08ドル台前半で方向感を模索する展開となった。
・日経平均株価は3営業日続落。前週末の米株主要3指数が大きく下落した流れを引き継ぐと、東京市場でも幅広い銘柄で売りが優勢となり、早々に3万6000円の節目を割り込んで下げ幅を4桁に広げた。後場に入ると下げ幅は一時1570円を超えた。
・債券先物相場は上昇。米景気不安を背景として前週末のNY市場で米株安・債券高となった流れを引き継いで買いが先行した。日経平均の大幅安により相対的に安全資産とされる債券に買いが入ると、138円40銭まで上昇した。本日の2年債入札が無難な内容となったことも、上昇を後押しした。
BNPパリバ証券では、2月の鉱工業生産指数を受けてリポートしている。2月は前月比2.5%と4カ月ぶりに増加した。出荷も前月比3.0%と増加し、在庫は前月比マイナス1.7%と2カ月ぶりに減少、在庫率も前月比マイナス3.5%と比較的大きく低下した。ただしBNPパリバでは、2月の生産・出荷の増加は、中国の旧正月要因やトランプ関税前の駆け込み需要によるところが大きいと考えている。生産予測調査では3月も若干の持ち直しが示唆されてはいるが、トランプ政権は自動車関税の引き上げを決定し、4月2日には相互関税も発表する見通し。輸出環境を巡る下振れリスクは大きく高まっているとBNPパリバでは指摘している。
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・西?M 徹氏
中国1-3月GDPは伸び鈍化も「まずまずの出だし」の模様
前年比+5.0%、前期比年率+4.5%と予想、政府目標実現に向けた動きも不安要素は山積
米トランプ政権は中国への関税賦課による圧力を強めている。中国も対抗措置を取るなど対立は激化しており、米中摩擦は不可逆的に悪化していく可能性が高まっている。こうしたなか、中国は内需喚起による景気下支えに動く考えをみせているが、却って足元の個人消費は政策への依存を強める展開が続いている。
3月の企業マインドを巡っては、製造業PMIは50.5、非製造業PMIも50.8と50を上回るとともに、足元の景気は底入れしている様子がうかがえる。生産活動は活発化しているが、受注動向に不透明感が残るほか、幅広く雇用調整圧力が強まる動きもみられる。足元ではディスインフレ懸念が高まっているが、不動産市況の調整や雇用調整の動きも重なり、先行きについてもディスインフレ圧力が一段と強まる可能性は高い。
1-3月の総?⑰MIは50.9と昨年10-12月、昨年1-3月と比較して低水準に留まるなど、足元の景気は力強さを欠く推移をみせる。生産統計も同様に昨年10-12月や1-3月に比べて低水準に留まるなか、当研究所は1-3月の実質GDP成長率は前年比+5.0%、前期比年率+4.5%に鈍化すると予想する。政府が掲げる成長率目標(5%前後)の実現に向けては「まずまずの出だし」になっていると捉えられる。
大阪6月限
日経225先物 35720 -1290 (-3.48%)
TOPIX先物 2661.0 -86.0 (-3.13%)
日経225先物(6月限)は前日比1290円安の3万5720円で取引を終了。寄り付きは3万6090円とシカゴ日経平均先物清算値(3万6380円)を割り込み、ギャップダウンで始まった。直後につけた3万6160円を高値に下へのバイアスが強まり、現物の寄り付き後ほどなくして3万5610円まで売られた。売り一巡後は前場中盤にかけて3万5970円まで下落幅を縮めたものの節目の3万6000円を捉えることができず、前場終盤に再びショート優勢となり、後場中盤には3万5580円まで下げ幅を広げた。その後は3万5630円~3万5780円辺りでの保ち合いが続いた。
日経225先物はボリンジャーバンドの-2σ(3万6030円)を割り込み、-3σ(3万5420円)に接近してきた。売り一巡後に下げ幅を縮める場面もみられたが、-2σが抵抗線になりそうだ。また、ボリンジャーバンドは3月半ば以降のリバウンドによって、バンドが収斂してきていた。だが、本日の大幅な下げによってバンドは下向きとなり、再び拡大してきた。ナイトセッションで-2σは3万5930円辺りに下がってきており、早い段階で-2σをクリアしたいところだ。
また、パラボリックはSAR値を割り込んだことで、陰転シグナルが発生した。SAR値は3万7870円辺りに発生しており、陽転シグナル点灯のハードルは高そうだ。また、週足の一目均衡表では雲下限を割り込んできた。雲下限は3万6065円辺りで横ばいでの推移が続く。雲下限が抵抗として意識されてくる可能性もあり、調整が長期化しそうだ。テクニカルシグナルが悪化傾向をみせるなかで、まずは3万6000円水準を回復しておきたい。
オプション権利行使価格の3万5375円から3万6000円辺りのレンジを想定。-2σをクリアしてくると、-1σとのレンジによる3万6000円から3万6500円のレンジに移ることになろう。
NT倍率は先物中心限月で13.42倍に低下した。ファーストリテイリング<9983.T>[東証P] や東京エレクトロン<8035.T>[東証P]、アドバンテスト<6857.T>[東証P]、ソフトバンクグループ<9984.T>[東証P]の4社で日経平均株価を500円超押し下げており、一時13.36倍まで下げる場面もあった。ただし、東証プライムの値下がり数が9割超となる全面安商状のなか、NTショートを巻き戻す動きも意識されたようだ。
手口面(6月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が3万9853枚、ソシエテジェネラル証券が2万2074枚、サスケハナ・ホンコンが7905枚、バークレイズ証券が5025枚、モルガンMUFG証券が4305枚、JPモルガン証券が3522枚、ゴールドマン証券が2651枚、野村証券が2322枚、SBI証券が2181枚、日産証券が2104枚だった。
TOPIX先物は、ABNクリアリン証券が4万3451枚、ソシエテジェネラル証券が3万9333枚、バークレイズ証券が1万1393枚、JPモルガン証券が1万0336枚、モルガンMUFG証券が8417枚、ゴールドマン証券が6088枚、ビーオブエー証券が3610枚、サスケハナ・ホンコンが3072枚、みずほ証券が3041枚、UBS証券が2750枚だった。
NYタイム、米経済指標としては3月米シカゴ購買部協会景気指数の発表が予定されており、米景況の先行指標的な数字として注目すべき点ではあるものの、為替の変動に大きな影響を与えないとみる。ドル円は米株の動向を受けたリスクオン・オフの流れをにらんで上下することになりそうだ。
ダウ先物は現時点でマイナス推移となっており、さえないアジア株や欧州株の地合いを引き継ぎ、重い推移で週明けの取引をスタートしそう。ドル円はリスクオフの円買い優位で推移することになりそうだ。
テクニカル面ではいったん割り込んだ日足一目均衡表・基準線148.92円前後の動向を注視したい。再び下抜けてくるようであれば下落が加速し、一段安の様相となりかねない。
・想定レンジ上限
ドル円の上値めどは、27日安値150.06円。
・想定レンジ下限
ドル円の下値めどは、20日安値148.18円
今週のNY市場はトランプ関税や経済指標に注目。先週はダウ平均が0.96%安、S&P500が1.53%安、ナスダック総合が2.59%安とそろって反落。S&P500とナスダック総合は6週間で5週下落となった。3月月初来ではダウ平均が5.15%安、S&P500が6.27%安、ナスダック総合が8.09%安とそろって大幅に2カ月続落ペースとなった。方針が定まらないトランプ関税の行方や景気減速懸念などでリスク回避姿勢が強まったことでS&P500は2月中旬に付けた史上最高値から一時10%超下落し、先週末は最高値から9.17%安の水準で終了した。
今週は4月2日に発動されるトランプ関税の詳細が焦点となりそうだ。関税の内容が明らかになり不透明感が後退することが期待されるが、内容が厳しいものとなれば、物価上昇懸念や景気減速懸念、貿易戦争激化懸念などがリスク回避の動きを強めそうだ。また、今週は重要な経済指標の発表も多い。足もとでは景気減速と物価高の同時進行によるスタグフレーション懸念も高まっており、金曜日に発表される3月雇用統計(非農業部門雇用者数・失業率・平均賃金)のほか、火曜日の3月ISM製造業購買担当者景気指数(PMI)、2月JOLTS求人件数、木曜日の3月ISM非製造業総合指数(PMI)などにも要注目となる。
今晩の米経済指標・イベントは3月シカゴ地区購買部協会景気指数、3月ダラス連銀製造業景況指数など。主要な企業の決算発表はなし。
日経平均株価は大幅続落。マドを開けて下落スタートとなり、さらに一段安の展開となった。ほぼ安値引けとなる長い陰線を形成し、3月前半につけた終値ベース、取引時間ベースの安値をあっさりと下回った。
RSI(9日)は前日の51.4%→24.6%(3/31)に低下。終値ベースで3/13安値(36790円)を割り込んだことで、今年の下落波動は継続との判断となる。
目先的には昨年9月の安値水準を意識して自律反発は予想されるが、5日移動平均線(37269円 3/31)や10日移動平均線(37462円 同)が早々に上値抵抗になるといったイメージになる。
上値メドは、心理的節目の36000円、3/28安値(36864円)、25日移動平均線(37472円 同)、心理的節目の38000円、3/26高値(38220円)、200日移動平均線(38538円 同)などがある。下値メドは、昨年9/9安値(35247円)、心理的節目の35000円や34500円、34000円、昨年8/7安値(33739円)などがある。
(31日終値:1日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=150.01円(31日15時時点比△0.97円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=162.23円(△0.77円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0814ドル(▲0.0020ドル)
FTSE100種総合株価指数:8582.81(前営業日比▲76.04)
ドイツ株式指数(DAX):22163.49(▲298.03)
10年物英国債利回り:4.675%(▲0.019%)
10年物独国債利回り:2.738%(△0.011%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
2月独小売売上高
(前月比) 0.8% 0.7%・改
(前年比) 0.5% 4.0%・改
2月独輸入物価指数
(前月比) 0.3% 1.1%
(前年比) 3.6% 3.1%
2月英消費者信用残高
14億ポンド 17億ポンド
2月英マネーサプライM4
(前月比) 0.2% 1.4%・改
(前年比) 3.8% 4.1%
3月独消費者物価指数(CPI)速報値
(前月比) 0.3% 0.4%
(前年比) 2.2% 2.3%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は底堅い動き。日本時間夕刻に一時148.70円と日通し安値を付けたものの、欧州勢参入後は買い戻しが優勢に。一時は4.18%台まで低下した米10年債利回りが4.24%台まで低下幅を縮めたことなどがドル買いを誘った。
NY市場に入ると、3月米シカゴ購買部協会景気指数が47.6と予想の45.0を上回り、円売り・ドル買いが活発化。一時は430ドル超下落したダウ平均が上げに転じるなど、大幅安で始まった米国株相場が底堅く推移したことも相場を下支えした。2時30分過ぎに一時150.10円と日通し高値を更新した。
・ユーロドルは下げ渋り。米関税政策の不透明感に加えて、欧州経済の先行き懸念がくすぶる中、欧州株相場が軟調に推移するとリスク・オフのユーロ売り・ドル買いが出た。米シカゴPMIの上振れもユーロ売り・ドル買いを促し、24時前に一時1.0784ドルと日通し安値を更新した。
ただ、前週末の安値1.0765ドルが目先サポートとして意識されると下げ渋った。「欧州中央銀行(ECB)内では4月の金利据え置きを受け入れる用意のあるメンバーが増えている」との一部報道も買い戻しを誘い、1.08ドル台前半まで下値を切り上げた。
・ユーロ円は持ち直した。日本時間夕刻に一時161.05円と日通し安値を付けたものの、売り一巡後は買い戻しが優勢に。ドル円の上昇やユーロドルの下げ渋りにつれた円売り・ユーロ買いが出た。アジア時間早朝に付けた162.28円を上抜けて、3時前に一時162.33円と日通し高値を更新した。
・ロンドン株式相場は3日続落。米関税政策への警戒感を背景に本日のアジア株相場が下落すると英株にも売りが波及した。時間外のダウ先物の下落なども相場の重し。リオ・ティントやアングロ・アメリカンなど素材株が売られたほか、HSBCやバークレイズなど金融株が値下がりした。半面、BPやシェルなどエネルギー株は買われた。
・フランクフルト株式相場は4日続落。米関税政策の不透明感に加えて、欧州経済の先行き懸念もくすぶっており、欧州株全般に売りが出た。個別ではポルシェ(4.05%安)やフォルクスワーゲン(3.51%安)、ブレンターク(3.50%安)などの下げが目立ち、シムライズ(0.91%高)などを除く35銘柄が下落した。
・欧州債券相場は英国債が買われた一方、独国債が売られた。「ECB内では4月の金利据え置きを受け入れる用意のあるメンバーが増えている」との一部報道が独国債の売りを誘った。
31日の日経平均は大幅に3日続落。終値は1502円安の35617円。米国株の大幅安を嫌気して、寄り付きから600円を超える下落。全面安かつ主力銘柄が業種問わず大きく売られる中、早々に下げ幅を4桁に広げて36000円の節目を割り込んだ。1500円超下げて35500円台に入ったところで売りは一巡。ただ、かなり下に値幅が出たことで、売り圧力が和らいだ後も戻りは限られた。後場は35600円近辺で動意が乏しくなり、1500円を超える下落で取引を終えた。
東証プライムの売買代金は概算で5兆3700億円。業種別では全業種が下落しており、水産・農林、パルプ・紙、海運などが相対的に値を保った。一方、非鉄金属、その他製品、保険などが大幅な下落となった。自己株取得や増配を発表した富山第一銀行<7184.T>が大幅上昇。半面、今期は最終赤字が拡大する見通しとなったジーネクスト<4179.T>が急落した。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり52/値下がり1575。全面安の中でフジメディアが逆行高。中期経営計画を更新した丸千代山岡家が急伸した。ワークマン、神戸物産、しまむらなど小売の一角が上昇。直近上場のゼンムテックが買いを集めてストップ高となった。
一方、東京エレクトロン、アドバンテスト、ディスコ、コクサイエレ、ソシオネクストなど半導体株が軒並み大幅安。車載向け半導体を手がけるルネサスは2桁の下落率となった。フジクラ、古河電工、住友電工の電線大手3社がそろって5%台の下落。三菱重工、川崎重工、IHIの防衛大手3社も3~4%台の下落と大きな下げとなった。傘下の損保2社の合併に向けた検討開始を正式に発表したMS&ADは8%を超える下落。任天堂やDeNAなどゲーム株も大きく売られるものが多かった。
グロース市場に新規上場したジグザグは高い初値をつけた後は強弱感が交錯したが、終値は初値を小幅に上回った。
日経平均は4桁の下落。米国動向から大幅安は予想されたが、場中に切り返す動きがほとんど見られなかった。全体が不安定な時に選好されることもある防衛株や海運株などにも資金が向かっておらず、お手上げの1日。足元健闘していたTOPIXも、一気に今年の安値圏まで水準を切り下げている。
派手に下げた分、切り返す際には全面高となるかもしれないが、きょうの下げ分(1502円安)を取り戻すハードルは高い。終値は35617円で、まずは36000円台を早期に回復できるかが注目される。昨年8月に1日で4000円下げる日を見ているだけに、ここからの戻りが緩慢だと、そのことが新たな売りを呼び込みやすくなる。あすからは名実ともに新年度入りする。仕切り直しの買いが入る展開に期待したい。
(31日終値)
ドル・円相場:1ドル=149.96円(前営業日比△0.12円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=162.21円(▲0.04円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0816ドル(▲0.0012ドル)
ダウ工業株30種平均:42001.76ドル(△417.86ドル)
ナスダック総合株価指数:17299.29(▲23.70)
10年物米国債利回り:4.20%(▲0.05%)
WTI原油先物5月限:1バレル=71.48ドル(△2.12ドル)
金先物6月限:1トロイオンス=3150.3ドル(△36.0ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
3月米シカゴ購買部協会景気指数
47.6 45.5
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は小反発。日本時間夕刻に一時148.70円と日通し安値を付けたものの、欧米市場では買い戻しが優勢となった。
3月米シカゴ購買部協会景気指数が47.6と予想の45.0を上回ると、4.18%台まで低下した米10年債利回りが4.25%台まで上昇し、全般ドル買い戻しが先行。一時は430ドル超下落したダウ平均が持ち直し、560ドル超上昇したことも相場を下支えした。3時30分前には一時150.27円と日通し高値を更新した。
・ユーロドルは3日ぶりに小反落。米関税政策の不透明感に加えて、欧州経済の先行き懸念がくすぶる中、欧州株相場が軟調に推移するとリスク・オフのユーロ売り・ドル買いが先行。米シカゴPMIの上振れもユーロ売り・ドル買いを促し、24時前に一時1.0784ドルと日通し安値を更新した。
ただ、前週末の安値1.0765ドルが目先サポートとして意識されると下げ渋った。「欧州中央銀行(ECB)内では4月の金利据え置きを受け入れる用意のあるメンバーが増えている」との一部報道も買い戻しを誘い、1.08ドル台前半まで下値を切り上げた。
・ユーロ円は小幅続落。日本時間夕刻に一時161.05円と日通し安値を付けたものの、売り一巡後は買い戻しが優勢に。ドル円の上昇やユーロドルの下げ渋りにつれた円売り・ユーロ買いが出た。大幅安で始まった米国株相場が底堅く推移したことも相場の支援材料となり、アジア時間早朝に付けた162.28円を上抜けると一時162.48円まで上値を伸ばした。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は4日ぶりに反発。トランプ米政権の高関税政策に伴う景況感悪化に加えて、米物価上昇につながるとの懸念が高まる中、売りが先行すると一時430ドル超下落した。ただ、月末・期末の機関投資家による資産配分を調整するための買いが観測されると、指数は急速に持ち直し一時560ドル超上昇した。
一方、ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は小幅ながら4日続落した。
・米国債券相場で長期ゾーンは続伸。3月米シカゴ購買部協会景気指数が予想を上回ると売りが先行したものの、引けにかけては買いが優勢となり上げに転じた。市場では「月末・期末の機関投資家による保有債券の残存年限を長期化するための買いが入った」との声が聞かれた。
・原油先物相場は反発。トランプ米大統領はウクライナ情勢を巡る停戦交渉に関してロシア側に不満を抱いており、ロシア産原油に追加制裁を導入する考えに言及。また、イランに対しても強硬な姿勢を見せており、核開発をめぐる協議で合意に達しない場合はイランに対して爆撃や追加関税を実施する可能性があると警告した。ロシアやイランからの供給懸念が高まったことを手掛かりにした買いが進み、2月21日以来の高値水準となる71ドル台後半まで上値を伸ばした。
・金先物相場は3日続伸し、連日で史上最高値を更新した。米関税政策に対する不透明感から景気減速懸念が高まり、安全資産としての金需要が意識された。
31日08:40 トランプ米大統領
「関税措置の制限については何も聞いていない 」
「プーチン露大統領が約束を破るとは考えていない」
「関税はすべての国から始まる 」
31日10:52 加藤財務相
「為替レートは市場において決定、無秩序な動きが経済に悪影響を与え得るとの認識を日米財務相で共有」
「今後、共通の認識に基づいて日米間の意思疎通を積極的に図っていきたい」
31日15:45 ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁
「不確実性のためインフレが終わったとは言えない」
「インフレは持続的に低下する必要があるため慎重な金利設定が要する」
「トランプ米政権の貿易措置が世界経済成長を損なうだろう」
1日04:15 ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁
「関税の影響を計るまだ初期段階にある」
「関税については依然として多くの不確実性がある」
「関税の影響を測定するにはデータを監視する必要がある」
1日04:16 バーキン米リッチモンド連銀総裁
「金利を引き下げるにはインフレに対する信頼が必要」
「関税により雇用面でリスクが生じる可能性」
※時間は日本時間
<国内>
○08:30 ◎ 2月完全失業率(予想:2.5%)
○08:30 ◎ 2月有効求人倍率(予想:1.26倍)
○08:50 ☆ 日銀・企業短期経済観測調査(短観、3月調査)
☆ 大企業製造業の業況判断指数(DI、予想:12)
◎ 大企業非製造業の業況判断指数(DI、予想:33)
◎ 大企業製造業DI・6月見込み(予想:9)
◎ 大企業非製造業DI・6月見込み(予想:29)
◎ 大企業全産業設備投資計画(前年度比、予想:2.9%)
<海外>
○09:30 ◎ 2月豪小売売上高(予想:前月比0.3%)
○10:45 ◎ 3月Caixin中国製造業購買担当者景気指数(PMI、予想:51.1)
○12:30 ☆ 豪準備銀行(RBA)政策金利発表(予想:4.10%で据え置き)
○15:00 ◇ 3月英ネーションワイド住宅価格指数(予想:前月比0.2%)
○15:30 ◇ 2月スイス小売売上高
○16:30 ◇ 3月スイス製造業PMI(予想:50.5)
○16:50 ◎ 3月仏製造業PMI改定値(予想:48.9)
○16:55 ◎ 3月独製造業PMI改定値(予想:48.3)
○17:00 ◎ 3月ユーロ圏製造業PMI改定値(予想:48.7)
○17:15 ◎ グリーン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○17:15 ◎ ブイチッチ・クロアチア中銀総裁、講演
○17:20 ◎ チポローネ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○17:30 ◎ 3月英製造業PMI改定値(予想:44.6)
○18:00 ☆ 3月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値(予想:前年比2.2%)
○18:00 ☆ 3月ユーロ圏HICPコア速報値(予想:前年比2.5%)
○18:00 ◎ 2月ユーロ圏失業率(予想:6.2%)
○21:30 ◎ ラガルドECB総裁、講演
○22:45 ◎ 3月米製造業PMI改定値(予想:49.9)
○23:00 ◇ 2月米建設支出(予想:前月比0.3%)
○23:00 ☆ 3月米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景気指数(予想:49.5)
○23:00 ◎ 2月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数(予想:761.6万件)
○24:00 ◇ 3月メキシコ製造業PMI
○2日01:30 ◎ レーンECB専務理事兼主任エコノミスト、講演
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
大阪6月限ナイトセッション
日経225先物 36020 +300 (+0.83%)
TOPIX先物 2683.5 +22.5 (+0.84%)
シカゴ日経平均先物 36045 +325
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
3月31日の米国市場はNYダウ、 S&P500が上昇した一方で、ナスダックは下落。トランプ米大統領が4月2日に相互関税の詳細を発表するほか、3日にはすべての輸入車に25%の関税を課す。トランプ政権の関税政策に伴う景況感の悪化に加えて、米物価上昇につながるとの懸念が高まり、売りが先行。NYダウの下落幅は一時400ドルを超えた。売り一巡後は月末・四半期末で機関投資家による資産配分を調整するための買いが観測されるなかで切り返し、ディフェンシブ株を中心に買われれる形で、NYダウの上げ幅は500ドルを超える場面もあった。
NYダウ構成銘柄では、ウォルマート<WMT>、シャーウィン・ウィリアムズ<SHW>、ホーム・デポ<HD>、ビザ<V>、アップル<AAPL>、IBM<IBM>が堅調。半面、ボーイング<BA>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>、エヌビディア<NVDA>、マイクロソフト<MSFT>、セールスフォース<CRM>が売られた。
シカゴ日経平均先物(6月限)清算値は、大阪比325円高の3万6045円だった。日経225先物(6月限)のナイトセッションは、日中比50円高の3万5770円で始まった。3万5560円~3万5760円辺りでの推移を続け、米国市場の取引開始後には3万5480円まで売られた。売り一巡後はショートカバーとみられる動きが優勢となりプラス圏を回復。終盤にかけて上げ幅を広げ3万6140円まで買われる場面もみられ、3万6020円でナイトセッションの取引を終えた。
月末・四半期末の調整買いによりNYダウは4日ぶりに反発したが、トランプ政権の関税発動を控え、荒い値動きだった。日経225先物は、直近の急落に対する持ち高調整に伴うリバランスから自律反発が意識されるだろうが、重要イベントを前にポジションを傾けてくる動きは乏しそうだ。リバランスを狙った動きに対して、スキャルピング中心のトレードになろう。
日経225先物はナイトセッションで一時3万5480円まで売られ、3月11日につけた3万5730円とのダブルボトム形成は期待しづらくなった。ただ、ボリンジャーバンドの-3σ(3万5360円)に接近した後に切り返しており、終値では-2σ(3万5960円)を上回って終えている。-2σ水準で底堅さがみられてくるようだと、前日の大幅な下げに対するリバランスが強まる可能性はあり、-1σ(3万6550円)が意識されてきそうだ。
そのため、3万6000円を挟んだ攻防のなか、-3σと-1σにより、オプション権利行使価格の3万5500円から3万6500円と広めのレンジを想定する。-2σ水準での底固めとなれば、3万6000円~3万6500円での推移になりそうである。
31日の米VIX指数は22.28(28日は21.65)に上昇し、一時24.80まで切り上がる場面もあった。28日の急伸で一気に突破した25日移動平均線(21.51)が支持線として機能する形状をみせており、一段の上昇が警戒されやすいだろう。トランプ関税発動後の動向に注目しておきたい。
昨日のNT倍率は先物中心限月で13.42倍に低下した。指数インパクトの大きいファーストリテイリング<9983.T>[東証P] や東京エレクトロン<8035.T>[東証P]、アドバンテスト<6857.T>[東証P]、ソフトバンクグループ<9984.T>[東証P]の4社で日経平均株価を500円超押し下げており、一時13.36倍まで下げる場面もあった。ただし、東証プライムの値下がり数が9割超となる全面安商状のなか、NTショートを巻き戻す動きも意識されたようだ。リバランスが入る可能性はあるものの、トランプ関税への警戒からNTショートに振れやすい需給状況だろう。
31日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米10年債利回りが4.25%台まで上昇し、ダウ平均が560ドル超高になったことで、欧州市場の安値148.70円から150.27円まで強含んだ。ユーロドルは1.0784ドルまで下落後、「欧州中央銀行(ECB)内では4月の金利据え置きを受け入れる用意のあるメンバーが増えている」との一部報道などで、1.08ドル台前半まで下値を切り上げた。ユーロ円は欧州時間の安値161.05円から162.48円まで上値を伸ばした。
本日の東京外国為替市場のドル円は、明日発動予定のトランプ米政権の相互関税への警戒感が上値を抑える中、3月の日銀短観を見極めることになる。
トランプ米政権の相互関税に関して、先日の日銀金融政策決定会合と米連邦公開市場委員会(FOMC)は「不確実性」として、それぞれ、追加利上げと追加利下げを見送る要因としていた。明日以降、「不確実性」が深まるのか否かは不明だが、ドル円の注目水準は、上値は、50日移動平均線の151.11円や200日移動平均線の151.52円、下値は、一目均衡表・基準線の148.92円を念頭に置き、過去最大規模の円の買い持ちポジションを抱えたシカゴ筋の動向を見極めていくことになるのかもしれない。
8時50分に日銀が公表する3月の企業短期経済観測調査(短観)の大企業製造業の業況判断指数(DI)は、+12と予想されており、昨年12月調査の+14から2ポイント下落が見込まれている。背景には、明日トランプ米政権が発動予定の相互関税への警戒感、中国経済の低迷、そして、コメ価格の高騰に代表される物価上昇への警戒感などが挙げられる。
植田日銀総裁は、先日の日銀金融政策決定会合の後の記者会見で、海外発の不確実性への警戒感を示しながらも、「4月初めには通商政策の内容がある程度でてくる。次回の決定会合(4/30-5/1)ないし展望リポートの中である程度消化できる」と述べていた。
3月日銀短観の悪化、日経平均株価の下落、そして、相互関税の内容などが想定内なのか否か、今後の植田日銀総裁の発言に注目しておきたい。
12時30分に発表される豪準備銀行(RBA)政策金利は、現状の4.10%での据え置きが予想されており、注目ポイントは、声明文でインフレ見通しや金融政策に対する見解に変化が見られるか否かとなる。
2月の豪消費者物価指数はインフレの伸び率鈍化を示していたが、RBAは、単月のデータよりも四半期のデータを重要視しており、4月30日に公表予定の1-3月期CPIを待って、5月19-20日の豪準備銀行(RBA)理事会で追加利下げが決定されるのかもしれない。
オーストラリアでは、5月3日に総選挙が予定されており、政権交代の可能性もあることで、予断を許さない政治・経済状況となっている。
東京市場は堅調か。米国株はまちまち。ダウ平均とS&P500が上昇し、ナスダックが下落した。ダウ平均は417ドル高の42001ドルで取引を終えた。3指数とも下げて始まったが、序盤に安値をつけた後は切り返し、高値圏で終了。ディフェンシブ株が戻りを先導しており、ナスダックはほぼ横ばいながら下落した。ドル円は足元149円90銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが大証日中終値と比べて325円高の36045円、ドル建てが410円高の36130円で取引を終えた。
ダウ平均の大幅高を好感した買いが入ると予想する。米国株が売りをこなした上で値を戻しているだけに、過度な悲観ムードはいったん後退すると思われる。日経平均はきのう1502円安と派手に下げており、きょうはある程度値幅を伴った上昇が見込まれる。トランプ関税に対する警戒がくすぶるだけに全戻しまでは期待しづらいが、CME225からは早い時間に36000円台は回復できそう。寄った後は36000円が下値のメドとして意識され、戻りを試す地合いが続くだろう。日経平均の予想レンジは35900円-36400円。
日経225先物は11時30分時点、前日比150円高の3万5870円(+0.41%)前後で推移。寄り付きは3万6000円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万6045円)にサヤ寄せする形から、買い先行で始まった。直後につけた3万6080円を高値にショート優勢の流れとなり、中盤にかけて3万5750円まで上げ幅を縮める場面もみられた。ただし、下へのバイアスは強まらず、終盤にかけては3万5900円辺りでの推移となった。
日経225先物はボリンジャーバンドの-2σ(3万5930円)を上回って始まったが同水準をキープできず、3万5750円まで上げ幅を縮めた。ただし、指数インパクトの大きいアドバンテスト<6857.T>[東証P]が引き続き日経平均型の重荷となった一方で、東京エレクトロン<8035.T>[東証P]は2023年10月以来の2万円を割り込んだ後に切り返したほか、ファーストリテイリング<9983.T>[東証P]もプラス圏で推移するなか、下へのバイアスは強まらなかった。-2σ水準では上値を抑えられそうだが、オプション権利行使価格の3万5750円から3万6000円辺りでのレンジ推移が意識されよう。
NT倍率は先物中心限月で13.38倍に低下している。一時13.31倍まで低下する場面もみられており、トランプ関税に対するリスクヘッジの動きもあってNTショートに振れやすい需給状況である。
1985年9月のG5財務大臣・中央銀行総裁会議で合意されたドル切り下げ政策「プラザ合意」の布石は、1月のG5会合で打たれていた。
2025年1月のトランプ政権発足で、ベッセント米財務長官とミラン米大統領経済諮問委員会CEA委員長が目論んでいるらしいドル切り下げ政策「マールアラーゴ合意」は、市場を席捲する日が来るのだろうか。
1.プラザ合意(Plaza Accord)(1985年)
1985年9月22日、ニューヨークのプラザホテルで開催された主要5カ国(G-5)財務相・中央銀行総裁会議で、ドルの切り下げが決定された。
主要5カ国とは、米国、英国、ドイツ、フランス、そして日本。
ベーカー米財務長官は、米国の双子の赤字(財政赤字+経常赤字)、とりわけ膨大な貿易赤字を削減するために、ドルの切り下げを目論んだ。
ドル円相場は、1985年2月の高値263.65円からプラザ合意直前の9月20日のニューヨーク市場終値242.00円まで下落していたが、22日のプラザ合意を受けて、23日の東京市場の始値は239.05円、安値225.30円、終値226.10円となり、1988年1月4日の安値120.25円まで下落トレンドを辿って行った。
1985年9月のプラザ合意のドル安誘導は、1985年1月17日にワシントンで開催されたG-5会議の片隅で囁かれていた。当時の米国は、レーガン第一期政権の「強いドル」政策の下、ウォール街の証券会社出身のリーガン米財務長官が「ドル高政策」を標榜していた。すなわち、ドル高政策で米国ウォール街に資金を引き寄せて、ドル高、株高・債券高のトリプル高を展開させていた。この時、ローソン英大蔵大臣はリーガン米財務長官に対して、ドル高の是正を要請したが、聞き入れられなかった。しかし、ホワイトハウスの首席補佐官だったベーカーは、ドル高による米国の輸出産業への悪影響を懸念していた。
1985年2月4日、ベーカー首席補佐官は、米国財務長官に就任し、ドル高政策の副作用である「双子の赤字」(財政赤字+経常赤字)を是正するという旗印を掲げた。
2.マールアラーゴ合意(Mar-a-Lago Accord)(2025年?)
2024年11月、元財務省上級顧問のミラン氏(現在:大統領経済諮問委員会CEA委員長)は、「トリフィンのジレンマ(The Triffin dilemma)」をベースにして、「持続的なドル過大評価」に起因する経済的不均衡の解消と、国際貿易システム改革に向けロードマップを提示した。
「経済的不均衡の原因は持続的なドルへの過大評価にあり、それが国際収支の均衡を妨げている」
2025年1月のトランプ政権で大統領経済諮問委員会CEA委員長に就任したミラン氏は、ベッセント米財務長官と協力して、米国の貿易赤字削減のために、緩和的な財政政策と金融政策というポリシー・ミックスで、ドル安政策を目論んでいるらしい。
さらに、過去の債務に対する負担を軽減するため、債務スワップを目論んでいるらしい。
債務負担を軽減するには、米連邦準備理事会(FRB)の金融政策は、低金利政策となり、財務省の通貨政策は、ドル安政策となる。
市場には、「Don't fight the Fed」(FRBが打ち出す方針に逆らわずに素直に従え)という格言があるが、米財務省にも逆らってはいけないのかもしれない。
昨日のドル円は、週明けのアジア市場といった極めて流動性にかける、しかも、本邦勢としては余計なポジションは一切持つことを許されない期末という特殊要因の間隙を突いて、先週末からのリスクオフの動きが加速。日経平均の1600円近い急落となったわけですが、ドル円は東京時間に148.73円、そして欧州勢参入後に148.70円とダブルボトムを確認。本邦実需勢のビッドが引かないなか、米長期金利が低下幅を縮めるにつれて買戻しへと繋がっていきました。
昨日もお伝えした通り、2日の解放の日を控えて、市場の不確実性に対するボルテージは最高潮に達したような状況。ただ、本丸のNY勢参入後は、一気にリスクオフの巻き戻しの動きとなるなど、終ってみれば、いつも通りに、東京市場だけがそのリスクを一手に引き受けさせられてしまった結果となりました。
いずれにしても、先週末の3月米ミシガン大消費者態度指数確報値での、期待インフレ率の急騰をきっかけとした行き過ぎたリスクオフの動きは一息ついている状況ですが、新年度入りした東京市場は「あまりぱっとしない」展開。まだまだ、日本時間3日4時の解放の日を確かめるまでは神経質な動きが続くのかもしれません。ただ、あくまでも市場センチメントとしては、峠を越しているわけで、その反動への動きの準備をしておくことが必要となってきています。
本日のロンドン為替市場では、複数の経済指標や欧州金融当局者の講演内容を確かめながらの取引か。ユーロドルは1.07ドル台では下値を切り上げつつあるが1.08ドル半ばでは頭を抑えられる展開が続いている。ただし昨日レンジ(1.0784ドル-1.0849ドル)を広げられるようだと、動意が一層高まるか。
欧州序盤には、改定値ではあるが仏・独・ユーロ圏の3月製造業購買担当者景気指数(PMI)が発表予定。それぞれ速報値では市場予想から上振れ、48台と景況判断の境目50に近づいてきた。トランプ関税への警戒感が拭えないなかで一気に上昇というのは難しいだろうが、底堅さを確認できればユーロにとってポジティブと受け取る向きもいそうだ。
PMIの後には3月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値が発表予定。昨日の3月独消費者物価指数(CPI)は前月比0.3%と前年比2.2%とそれぞれ前回から0.1ポイント低下と予想に沿った結果だった。ユーロ圏経済の中心国と同じく、本日のHICPも前年比2.2%と前回から0.1ポイントの減速が予想されている。こちらはサプライズなしか。
注目はその後に予定されているラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁の講演。昨日は「ECB内では、4月の金利据え置きを受け入れる用意のあるメンバーが増えている」との一部報道でユーロ買い戻しに繋がる場面があった。ラガルド総裁のこれまでのスタンスを考えると、こういった報道を素直に認めるとは思わないが、どのような見解を示すかに注目が集まる。
その他、ブイチッチ・クロアチア中銀総裁やチポローネECB専務理事が欧州前半に講演予定。また英国からは、グリーン英中銀金融政策委員会(MPC)委員の講演と3月製造業PMI改定値が発表される。
想定レンジ上限
・ユーロドル、3月21日高値1.0861ドルを超えると3月20日高値1.0917ドル
・ポンドドル、3月20日高値1.3015ドル
想定レンジ下限
・ユーロドル、3月28日安値1.0765ドル
・ポンドドル、200日移動平均線1.2807ドル
ドル円:1ドル=149.82円(前営業日NY終値比▲0.14円)
ユーロ円:1ユーロ=161.90円(▲0.31円)
ユーロドル:1ユーロ=1.0807ドル(▲0.0009ドル)
日経平均株価:35624.48円(前営業日比△6.92円)
東証株価指数(TOPIX):2661.73(△3.00)
債券先物6月物:138.27円(▲0.13円)
新発10年物国債利回り:1.500%(△0.015%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
2月完全失業率
2.4% 2.5%
2月有効求人倍率
1.24 1.26倍
日銀・企業短期経済観測調査(短観、3月調査)
大企業製造業の業況判断指数(DI)
12 14
大企業製造業DI 6月見込み
12 13
大企業非製造業の業況判断指数(DI)
35 33
大企業非製造業DI 6月見込み
28 28
大企業全産業設備投資
前年度比 3.1% 11.3%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は方向感がない。朝方に150.14円まで値を上げたが、150円台での滞空時間は短くすぐに失速。本邦輸出企業から売りが観測されたほか、上昇してスタートした日経平均株価がマイナス圏に沈んだことも重しとなり149.54円まで売りに押された。一方で、株価が再びプラス圏を回復すると149円台後半まで切り返した。
・豪ドル米ドルは底堅い。午前に0.6232米ドルまで下げたが、豪準備銀行(RBA)の政策発表を前に徐々にショートカバーの動きに。RBAは予想通り政策金利を据え置いたが、声明でインフレ見通しに慎重なスタンスを示したほか、ブロックRBA総裁が記者会見で「本日は利下げについて明確に議論はしなかった。労働市場は依然として逼迫。5月理事会での利下げに向けた扉は開いていない」と述べると一時0.6269米ドルまで反発した。
・ユーロ円は上値が重い。ドル円が高値を付けたタイミングで162.38円まで上昇したが、その後は日本株の失速に伴って下落。ユーロドルが下げた影響も受けて161.80円まで値を下げている。
・ユーロドルは頭が重い。時間外の米長期金利が低下したことを受けて1.0830ドルまで小幅に上げたが、早出の欧州勢が参入しだすと次第に売りが強まり1.0799ドルまで反落している。
・日経平均株価は4営業日ぶりに反発。足元で大きく下落していた反動から自動車株を中心に買いが強まり430円超上昇した。ただ、米政権の関税政策への懸念が根深く、一巡後は戻り売りが優勢となりマイナス圏に沈む場面もあった。
・債券先物相場は3営業日ぶりに反落。前日のリスク回避の動きが一服する中で、相対的に安全資産とされる債券は売りが優勢となった。日銀の早期利上げ観測も引き続き重しとなった。
SMBC日興証券では、米国で4月1日に公表される2025年3月のISM製造業指数の予想を行っている。2月のISM製造業指数のヘッドラインは50.3。1月の50.9に続いて2カ月連続で中立超を確保した。3月に関しては、SMBC日興で算出した3つの予測値がそろって前月から低下したとのこと。これらの予測値を総合して、ISM製造業指数は3月に48.7へ急低下し、中立を割り込むと予想している。
ワシントンポスト紙が報じたところによると、ホワイトハウスの補佐官たちは米国への輸入品の大部分に約20%の関税を課す提案を起草したという
大阪6月限
日経225先物 35620 -100 (-0.27%)
TOPIX先物 2660.0 -1.0 (-0.03%)
日経225先物(6月限)は前日比100円安の3万5620円で取引を終了。寄り付きは3万6000円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万6045円)にサヤ寄せする形で買い先行で始まった。直後につけた3万6080円を高値にショートが優勢となり、前場中盤にかけて3万5750円まで上げ幅を縮めたが下へのバイアスは強まらず、前場終盤には3万5900円辺りまで持ち直した。
ランチタイムにおいても、3万5850円~3万5900円辺りでの推移を継続。だが、現物の後場の取引開始直後にショートが強まり下落に転じると、一時3万5580円まで下げ幅を広げた。売り一巡後は後場中盤に3万5790円まで戻す場面もみられたが、終盤にかけては再びショート優勢の流れだった。
日経225先物はボリンジャーバンドの-2σを上回って始まったが同水準をキープできず、その後は上値を抑えられる形だった。バンドは下向きで推移しており、ナイトセッションで-2σは3万5700円、-3σは3万5030円辺りまで下がってきた。バンドに沿った調整が意識されやすく、押し目狙いのロングを慎重にさせよう。
ただし、トランプ米政権による相互関税の詳細公表を控え、積極的な売買は手控えられやすく、引き続きスキャルピング中心のトレードを余儀なくされそうである。短期的なトレードではあるが、3万5500円辺りで底堅さがみられるようだと、-2σ突破から3万6000円を意識させてくる展開はありそうだ。
NT倍率は先物中心限月で13.39倍に低下した。アドバンテスト<6857.T>[東証P]など指数インパクトの大きい値がさ株の一角が不安定ななか、一時13.32倍まで低下する場面もみられた。米著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイ<BRK>が円建て社債の発行を準備していると報じられ、割安な日本株買いへの思惑からTOPIX型が買われたほか、リスクヘッジの動きもあってNTショートに振れやすい需給状況である。
手口面(6月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が2万4669枚、ソシエテジェネラル証券が1万6326枚、サスケハナ・ホンコンが6723枚、バークレイズ証券が2994枚、JPモルガン証券が2940枚、モルガンMUFG証券が2420枚、ゴールドマン証券が2384枚、野村証券が2108枚、日産証券が1857枚、楽天証券が1106枚だった。
TOPIX先物は、ソシエテジェネラル証券が2万9793枚、ABNクリアリン証券が2万7783枚、モルガンMUFG証券が1万0658枚、バークレイズ証券が8378枚、JPモルガン証券が5157枚、ビーオブエー証券が2265枚、サスケハナ・ホンコンが2056枚、大和証券が1346枚、ドイツ証券が1323枚だった。
一部通信社によると、トランプ米大統領は2日に医薬品関税について具体的な内容を示す可能性は低いという。
本日のNYタイムでは3月米製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値、2月雇用動態調査(JOLTS)求人件数や3月ISM製造業景況指数などの発表が予定されています。3月ISM製造業景況指数の予想は49.5となっています。1月は50.9、2月は50.3と2カ月連続で中立水準を超えたが、3月は景気判断の分岐点とされる50を割り込むと予想され、予想以上の低下となれば、米景気懸念の高まりでドル円に売り圧力が強まる可能性があります。
ドル円は米経済指標の結果に一時的な反応は見せた後、徐々に2月導入予定のトランプ米政権の相互関税待ちムードが高まりそうだ。今のところトランプ米大統領は、相互関税の対象は「基本的に全ての国だ。除外はない」との考えを示しており、足もとで投資家のリスクオフムードが高い。市場は関税の詳細やそれを受けた各国の対応に注目している。関税の詳細発表を受けて、米景気減速と物価高が同時に起こるスタグフレーション懸念が一層強まる可能性がある。
関税による物価高が懸念されるが、相互関税の発表を控え最近の米長期金利は低下している。景気後退への懸念で世界の市場に不安が広がり、リスク資産からの逃避が起こっていることが窺える。市場の焦点がリセッション(景気後退)へと移り、安全資産への需要が高まっている。米株とともに米長期金利の動きに注目。
・想定レンジ上限
ドル円、3月31日高値150.27円、3月28日高値151.21円を上値めど。
・想定レンジ下限
ドル円、3月31日安値148.70円、3月14日安値147.75円を下値めど。
今晩は上値の重い展開か。昨日はトランプ関税への警戒感から大きく下落してスタートしたが、月末、四半期末の持ち高調整の買いが支援となり持ち直した。ダウ平均は朝方に435ドル高まで下落したが、417.86ドル高(+1.00%)で終了し、S&P500も一時1.65%安まで下落し、昨年9月以来の安値を付けたが、0.55%高で終了。ハイテク株主体のナスダック総合は2.71%安まで下落後、0.14%安と下落幅を縮小して終了した。3月月間ではダウ平均が4.20%安、S&P500が5.75%安、ナスダック総合が8.21%安とそろって2カ月続落し、四半期ではダウ平均が1.28%安と3四半期ぶりに下落。S&P500は4.59%安、ナスダック総合も10.42%安とともに6四半期ぶりの大幅反落となった。
今晩は翌2日のトランプ関税の詳細発表を控えて、様子見姿勢が強まりそうだ。トランプ米大統領は全ての国を対象に「相互関税」を課すとしており、関税発動により、輸入物価上昇、景気減速、貿易戦争激化などへの懸念が強まりそうだ。また、足もとでは景気減速と物価高が同時に起こるスタグフレーション懸念も強まっており、寄り後に発表される3月ISM製造業PMI、2月JOLTS求人件数などの経済指標にも要注目となる。
今晩の米経済指標は3月ISM製造業PMI、2月JOLTS求人件数のほか、3月S&Pグローバル製造業PMI確定値、2月建設支出など。主要な企業の決算発表はなし。
日経平均株価は小反発。買い戻しが先行したが、3/11安値(35987円)付近を上値抵抗に失速した。前日の長い陰線の下方で並ぶ陰線を形成し、下値不安を残す格好となった。
RSI(9日)は前日の24.6%→13.8%(4/1)に低下。前日に終値ベースで3/13安値(36790円)を割り込んだことで、今年の下落波動は継続との判断となる。目先的には昨年9月の安値水準を意識して自律反発は予想されるが、5日移動平均線(36837円 4/1)や10日移動平均線(37285円 同)が早々に上値抵抗になるといったイメージになる。
上値メドは、心理的節目の36000円、3/28安値(36864円)、25日移動平均線(37346円 同)、心理的節目の38000円、3/26高値(38220円)、200日移動平均線(38524円 同)などがある。下値メドは、昨年9/9安値(35247円)、心理的節目の35000円や34500円、34000円、昨年8/7安値(33739円)などがある。
(1日終値:2日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=149.46円(1日15時時点比▲0.36円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=161.32円(▲0.59円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0793ドル(▲0.0014ドル)
FTSE100種総合株価指数:8634.80(前営業日比△51.99)
ドイツ株式指数(DAX):22539.98(△376.49)
10年物英国債利回り:4.634%(▲0.041%)
10年物独国債利回り:2.687%(▲0.051%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
3月英ネーションワイド住宅価格
前月比 0.0% 0.4%
2月スイス小売売上高 (前年同月比)
1.6% 2.9%・改
3月スイス製造業PMI
48.9 49.6
3月仏製造業PMI改定値
48.5 48.9
3月独製造業PMI改定値
48.3 48.3
3月ユーロ圏製造業PMI改定値
48.6 48.7
3月英製造業PMI改定値
44.9 44.6
3月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値
(前年比) 2.2% 2.3%
3月ユーロ圏HICPコア速報値
(前年比) 2.4% 2.6%
2月ユーロ圏失業率
6.1% 6.2%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ユーロドルは頭が重かった。欧州株相場が反発して始まるとユーロ買い・ドル売りが先行。18時過ぎに一時1.0829ドル付近まで値を上げた。ただ、アジア時間に付けた日通し高値1.0830ドルが目先レジスタンスとして意識されると上値が重くなった。「米ホワイトハウスの補佐官たちは米国への輸入品の大部分に約20%の関税を課す提案を起草」との報道を受けて、貿易摩擦が欧州経済に悪影響を及ぼす可能性が改めて意識されたことも相場の重しとなり、20時30分過ぎに一時1.0778ドルと日通し安値を更新した。
ただ、NYの取引時間帯に入ると、低調な米経済指標をきっかけにユーロ買い・ドル売りが入り1.0812ドル付近まで下げ渋った。米長期金利の指標となる米10年債利回りが一時4.1309%前後と約1カ月ぶりの低水準を付けたことも相場を下支えした。
・ドル円は下値が堅かった。米長期金利の低下などを手掛かりに円買い・ドル売りが先行。NY時間発表の3月米ISM製造業景況指数や2月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数が予想より弱い内容だったことが分かると全般ドル売りが活発化し、23時30分前に一時148.98円と日通し安値を更新した。
ただ、148円台では押し目を拾いたい向きは多く、売り一巡後は下げ渋った。一時は480ドル超下落したダウ平均が持ち直し、130ドル超上昇したことも相場を下支えした。市場では「一目均衡表基準線148.92円がサポートとして意識された」との声も聞かれ、1時30分前に149.74円付近まで下値を切り上げた。
もっとも、レビット米ホワイトハウス報道官が「トランプ大統領が明日2日に発表する関税は発表後直ちに発動される見通し」との見解を示すとダウ平均が再び下落。ドル円にも売りが出た。
・ユーロ円は下げ渋り。21時前に一時160.78円と日通し安値を付けたものの、売り一巡後はじりじりと下値を切り上げた。1時30分前には161.65円付近まで下げ幅を縮めた。
・ロンドン株式相場は4日ぶりに反発。前日に約2週間ぶりの安値を付けたあとだけに、短期的な戻りを期待した買いが入った。前日のダウ平均や本日のアジア株相場が上昇したことも投資家心理の改善につながった。ハルマやセイジ・グループなど情報技術セクターが買われたほか、ロールス・ロイス・ホールディングスやレレックスなど資本財サービス株が値上がりした。
・フランクフルト株式相場は5日ぶりに反発。足もとで相場下落が続いたあとだけに値ごろ感からの買いが優勢となった。前日のダウ平均や本日のアジア株相場が上昇したことも相場の支援材料。個別ではコメルツ銀行(7.39%高)やシーメンス・エナジー(3.71%高)、エアバス(3.13%高)などの上昇が目立った。
・欧州債券相場は上昇した。米債高につれた。
4月に入り1日の日経平均は4日ぶり小幅反発。終値は6円高の35624円。ダウ平均の大幅高を受けて、寄り付きは300円を超える上昇。ただ、上げ幅を400円超に広げた後、節目の36000円を上回ったところで失速した。前場では3桁高の状態はキープした。しかし、後場は一段と水準を切り下げ、13時近辺ではマイナス圏に沈んだ。いったん切り返したが再び下げに転じると、終盤にかけては前日終値近辺で一進一退。クロージングオークションに入った時点では小幅安であったが、大引けの買いでプラスを確保した。
東証プライムの売買代金は概算で4兆0600億円。業種別では医薬品、電気・ガス、鉱業などが上昇した一方、非鉄金属、精密機器、銀行などが下落した。第三者委員会の調査報告書を受領し、人権・コンプライアンスに関する対応強化策を発表したフジ・メディア・ホールディングス<4676.T>が大幅上昇。半面、アドバンテスト<6857.T>がマイナス転換から下げ幅を広げて3%近い下落となった。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり676/値下がり901。主力どころではレーザーテック、リクルート、任天堂などが強めの上昇。第一三共が6%高と目を見張る動きとなった。全体が失速する中でも好材料のあった銘柄には資金が向かっており、HIS、オープンハウスG、しまむらが業績関連のリリースを受けて急騰。メディア記事を手がかりに日本調剤や野村総研が物色された。
一方、三菱重工、川崎重工、IHIの防衛大手3社がそろって下落。フジクラ、住友電工、古河電工の電線大手3社もそろって下落した。三菱UFJなど銀行株が軒並み安。決算を材料にオイシックスや象印マホービンが大きく値を崩した。
日経平均は高く始まったものの場中の動きが案外で、かろうじてプラスを確保した程度にとどまった。高値36052円は9時24分と早い時間につけており、節目の36000円は抵抗となった。前引け時点ではプライムの値上がり銘柄が1000を超えていたが、終わってみれば値下がり銘柄の方が多く、日本株の手がけづらさが強く意識された。
マイナス圏に沈んだところで下げ加速とはなっていないだけに、米国株が大崩れしなければ再度戻りを試す流れにはなるだろう。ただ、トランプ関税の内容を見極めるまでは神経質な展開が想定される。日本経済新聞電子版では、ベッセント米財務長官が相互関税の発表時間について、米東部時間4月2日午後3時(日本時間では3日の午前4時)になるとの見通しを示したと報じている。あすはまだ腰の入った買いが期待しづらい中、35500円レベルで下値を固めることができるかが注目される。
(1日終値)
ドル・円相場:1ドル=149.61円(前営業日比▲0.35円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=161.47円(▲0.74円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0793ドル(▲0.0023ドル)
ダウ工業株30種平均:41989.96ドル(▲11.80ドル)
ナスダック総合株価指数:17449.89(△150.60)
10年物米国債利回り:4.17%(▲0.03%)
WTI原油先物5月限:1バレル=71.20ドル(▲0.28ドル)
金先物6月限:1トロイオンス=3146.0ドル(▲4.3ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
3月米製造業PMI改定値
50.2 49.8
3月米ISM製造業景況指数
49.0 50.3
2月米建設支出
(前月比) 0.7% ▲0.5%・改
2月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数
756.8万件 776.2万件・改
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は反落。3月米ISM製造業景況指数や2月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数が予想より弱い内容だったことが分かると、米長期金利の低下とともに全般ドル売りが先行。23時30分前に一時148.98円と日通し安値を更新した。米長期金利の指標となる米10年債利回りは一時4.1309%前後と約1カ月ぶりの低水準を付けた。
ただ、148円台では押し目を拾いたい向きは多く、売り一巡後は下げ渋った。一時は480ドル超下落したダウ平均が持ち直し、130ドル超上昇したことも相場を下支えした。市場では「一目均衡表基準線148.92円がサポートとして意識された」との声も聞かれ、1時30分前には149.74円付近まで下値を切り上げた。
もっとも、トランプ米大統領が明日2日に発表する関税政策を前に、相場は不安定な動きだった。レビット米ホワイトハウス報道官が「関税は発表後直ちに発動される見通し」との見方を示し、ダウ平均が再び下落すると149.24円付近まで下押しする場面があった。
・ユーロドルは続落。「米ホワイトハウスの補佐官たちは米国への輸入品の大部分に約20%の関税を課す提案を起草」との報道を受けて、貿易摩擦が欧州経済に悪影響を及ぼす可能性が改めて意識されると一時1.0778ドルと日通し安値を更新した。
その後、低調な米経済指標をきっかけにユーロ買い・ドル売りが入ると1.0812ドル付近まで下げ渋ったものの、貿易摩擦が欧州景気に響くとの懸念から戻りは鈍かった。
・ユーロ円は3日続落。21時前に一時160.78円と日通し安値を付けたものの、売り一巡後はじりじりと下値を切り上げた。1時30分前には161.65円付近まで下げ幅を縮めた。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は小反落。低調な米経済指標をきっかけに投資家心理が悪化すると売りが先行し、一時480ドル超下げた。ただ、明日2日にはトランプ米大統領が相互関税について発表する見通しで、一方的な売りは手控えられた。指数は上げに転じる場面もあった。
一方、ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は5日ぶりに反発した。足もとで相場下落が続いたあとだけに、自律反発狙いの買いが入った。
・米国債券相場で長期ゾーンは3日続伸。低調な米経済指標を受けて買いが優勢となった。利回りは一時4.1309%前後と3月4日以来約1カ月ぶりの低水準を付けた。
・原油先物相場は反落。ロシアやイランからの供給懸念を意識してしばらくは底堅く推移していたが、この日発表の米経済指標がさえない結果になると、景気減速が石油需要減退を招くとの思惑から徐々に売りが強まった。
・金先物相場は4日ぶりに反落。時間外取引では3177ドル付近まで上昇する場面があったものの、連日で史上最高値を更新した後とあって次第に持ち高調整目的の売りが強まり、相場は下げに転じた。
米ウォールストリートジャーナル(WSJ)紙は関係者の話として「米通商代表部(USTR)は20%未満の関税オプションを準備中」「関税協議は継続中」と報じた。
アトランタ連銀が発表した米国の国内総生産(GDP)成長率の現時点予測である1-3月期GDPNowは-3.7%と前回の-2.8%から引き下げられた。
1日07:20 トランプ米大統領
「明日の夜、水曜日には関税の詳細がわかるだろう」
「場合によっては大幅に下がる可能性もある」
「我々はほかの国と比較しても、とても親切だ」
1日09:40 日銀
※3月短観について
「自動車の業況感、米国発表の関税の影響は十分に織り込んでいない」
1日12:33 オーストラリア準備銀行(RBA)声明
「引き続き、データとリスク評価の変化に基づいて決定」
「インフレを目標に戻す決意を固めており、その結果を達成するために必要なことを行う」
「インフレを持続的に目標に戻すことが最優先事項」
「世界経済と金融市場の動向、国内需要の動向、インフレと労働市場の見通しに細心の注意を払う」
「金融政策は引き続き引き締め的」
「基調インフレの継続的な低下は歓迎すべきだが、それでも双方にリスクがある」
「長期的なインフレ期待はインフレ目標と一致」
「基調インフレ率は2月の 金融政策声明で発表された最新の予測に沿って引き続き緩和」
「理事会は見通しについては慎重」
1日13:36 ブロックRBA(豪準備銀行)総裁
「現時点では世界経済の見通しには多くの不確実性がある」
「インフレ圧力が依然としてあるため、先走りすぎないように注意する必要がある」
「本日は利下げについて明確に議論しなかった」
「世界的なものを含め、下振れリスクについても少し話した」
「インフレを目標に戻すには政策が制限的だと判断」
「関税がインフレに与える影響は不確実」
「生産性の成長が低下することを懸念している」
「貿易転換は比較的迅速に起こる可能性がある」
「関税は英国にとって全体的にデフレ要因となる」
「賃金の伸びが期待するほど速く減速していない」
1日18:57 エスクリバ・スペイン中銀総裁
「2%のインフレ目標に近づいている」
「最近の物価データはディスインフレのプロセスを裏付ける」
「関税についてかなりの懸念、評価する必要がある」
1日19:49 レーン・フィンランド中銀総裁
「いかなる金利の道筋にも事前にコミットしないことが重要」
「成長の見通しは依然として低調であり、リスクは下振れ方向」
「データが別の示唆をする場合、4月の利下げ一時停止は可能」
「基本シナリオが維持される場合、4月のECB利下げは正しい決定」
1日20:40 ロシア政府高官
「現在の米国によるウクライナに関する提案は受け入れられない。なぜならモスクワが求める危機の根本原因への対応を考慮していないため」
「トランプ米大統領がウクライナに戦争を止めるよう求めたという話は聞いていない」
2日00:43 カーニー加首相
「米国の関税に対して報復措置を取る」
「取る措置については、慎重に検討する」
2日01:30 レビット米ホワイトハウス報道官
「トランプ大統領は市場の変動を深刻に懸念」
「トランプ氏の関税チームは現在、決定を完璧にしている」
「関税は発表後直ちに発動」
「トランプ大統領は台湾海峡の平和の重要性を強調」
「自動車関税は4月3日に発動」
※時間は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 3月マネタリーベース
<海外>
○06:45 ◎ 2月ニュージーランド(NZ)住宅建設許可件数
○09:30 ◎ 2月豪住宅建設許可件数(予想:前月比▲1.3%)
○16:00 ◇ 3月トルコ製造業購買担当者景気指数(PMI)
○19:30 ◎ シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○20:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○未定 ◎ ポーランド中銀、政策金利発表(予想:5.75%で据え置き)
○21:00 ◎ エスクリバ・スペイン中銀総裁、講演
○21:15 ☆ 3月ADP全米雇用報告(予想:12.0万人)
○22:00 ◎ ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○23:00 ◎ 2月米製造業新規受注(予想:前月比0.5%)
○23:05 ◎ レーンECB専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○23:30 ◇ EIA週間在庫統計
○3日01:00 ◎ 2月ロシア失業率(予想:2.4%)
○3日05:00~ ◎ トランプ米大統領、「相互関税」発表
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
大阪6月限ナイトセッション
日経225先物 35720 +100 (+0.28%)
TOPIX先物 2666.5 +6.5 (+0.24%)
シカゴ日経平均先物 35745 +125
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
1日の米国市場はNYダウが下落した一方で、 S&P500、ナスダックは上昇。3月の米ISM製造業景況感指数は49.0と3カ月ぶりに好不況の境目とされる50を割り込んだほか、2月の米雇用動態調査(JOLTS)は求人件数が19万4000件減少し、756万8000件と予想(765万8000件程度)を下回るなど、米景気の減速を示唆する経済指標が投資家心理の重荷となった。2日には米政権が「相互関税」の詳細について発表する見通しで、内容を見極めたいとする様子見姿勢の市場関係者が多かった。
NYダウ構成銘柄では、ナイキ<NKE>やマイクロソフト<MSFT>、エヌビディア<NVDA>、ウォルマート<WMT>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>が買われた。半面、ジョンソン・エンド・ジョンソン<JNJ>が7.5%安と下げが目立ったほか、メルク<MRK>、アムジェン<AMGN>、ボーイング<BA>が下落。
シカゴ日経平均先物(6月限)清算値は、大阪比125円高の3万5745円だった。日経225先物(6月限)のナイトセッションは、日中比70円安の3万5550円で始まった。いったん3万5730円まで買われた後に軟化し、米国市場の取引開始後には3万5130円まで売られた。売り一巡後はショートカバーとみられる動きが優勢となりプラス圏を回復すると、中盤にかけて3万5860円まで買われる場面もみられ、3万5720円でナイトセッションの取引を終えた。
シカゴ先物にサヤ寄せする形から、やや買いが先行して始まりそうだ。もっとも、エヌビディアやマイクロソフトなどは買われたが、前日に年初来安値を更新していることもあり、リバランスによる持ち高調整の買いとみられる。なお、トランプ米大統領は相互関税について日本時間の3日午前5時に記者会見を行う予定であり、発表直後に即時発動される見通しのため、内容を見極めたいとするムードが強まろう。
日経225先物はナイトセッションで、下向きで推移するボリンジャーバンドの-3σ(3万5050円)と-2σ(3万5720円)辺りでの推移だった。関税発動を前にいったんショートポジションをニュートラルに近づける動きもあるとみられ、-2σ水準での攻防が見込まれる。バンドに沿った調整は警戒されるところではあるが、-3σに接近する局面では押し目狙いのロング対応とし、オプション権利行使価格の3万5500円から3万6000円のレンジを想定する。
積極的な売買は手控えられやすく、スキャルピング中心のトレードを余儀なくされるものの、-2σを上回り3万6000円を早い段階で回復してくるようだと、-1σ(3万6380円)辺りが射程に入ってくる可能性はあるだろう。
1日の米VIX指数は21.77(31日は22.28)に低下した。一時23.52まで切り上がる場面もあった。ただ、前日同様、25日移動平均線(21.61)が支持線として機能する形状をみせているため、一段の上昇が警戒されやすい。トランプ関税発動後の動向を注目しておきたい。
昨日のNT倍率は先物中心限月で13.39倍に低下した。アドバンテスト<6857.T>[東証P]など指数インパクトの大きい値がさ株の一角が不安定ななか、一時13.32倍まで低下する場面もみられた。リバランスによりNTショートを巻き戻す動きが入る可能性もあるが、リスクヘッジでNTショートに振れやすい需給状況である。
1日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、低調な3月米ISM製造業景況指数や2月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数を受けて、米10年債利回りが一時4.1309%前後まで低下したことで148.98円まで下落後、149.74円付近まで下値を切り上げた。ユーロドルは1.0778ドルまで下落後、1.0812ドル付近まで戻した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、トランプ米大統領が米国東部時間午後4時(日本時間明朝5時)に発表予定の相互関税への警戒感から上値が重い展開が予想される。
トランプ米大統領は、4月2日を「解放の日(Liberation day)」として、米国企業や国民を不公正貿易国による搾取から解放する、と表明している。相互関税が「標的型」「例外なく全ての国を対象」「無差別普遍関税の復活」ならば悲観的だが、「寛大な内容」「除外の可能性」が示唆されていることは楽観的とも言えるため、発表までは予断を許さない状況が続くことになる。
トランプ米政権の相互関税に関して、先日の日銀金融政策決定会合と米連邦公開市場委員会(FOMC)は「不確実性(uncertainty)」として、それぞれ、追加利上げと追加利下げを見送る理由としていた。相互関税の発表を受けて「不確実性」が強まるのか、あるいは弱まるのかは不明だが、ドル円に関しては、過去最大規模の円の買い持ちポジションを抱えたIMMシカゴ筋の動向を見極めていくことになるのかもしれない。
FOMCのドット・プロット(金利予測分布図)、消費者信頼感指数、ミシガン大学消費者信頼感指数などは、関税スタグフレーションへの警戒感を示しており、不確実性が強まった場合は、スタグフレーション(景気停滞下の物価上昇)の確率が高まることになる。
また、関税の報復合戦となった場合、米国の貿易赤字の削減が想定通りに見込めないことになる。そこで、トランプ米大統領が目論む貿易赤字削減の手段として、関税賦課は第1弾に過ぎず、第2弾として「プラザ合意」のようなドル切り下げ政策の可能性が囁かれている。
トランプ米政権は、トランプ関税発動の後、金融緩和と財政緩和によるドル安誘導策「マールアラーゴ合意」を目論んでいると噂されている。「マールアラーゴ合意」の司令塔らしいミラン米大統領経済諮問委員会CEA委員長やベッセント米財務長官は、共にヘッジファンド業界の出身者である。IMMシカゴ筋が過去最大規模の円買い持ちポジションを構築した背景として、ヘッジファンド出身の二人によるドル安政策の可能性が囁かれている。
東京市場は一進一退か。米国株はまちまち。ダウ平均が下落し、S&P500とナスダックが上昇した。ダウ平均は11ドル安の41989ドルで取引を終えた。トランプ関税の発表を翌日に控えて方向感が定まらず、3指数ともプラス圏とマイナス圏を行き来した。10年債利回りが低下したことから、ナスダックは相対的にしっかりとした動きとなった。ドル円は足元149円80銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが大証日中終値と比べて125円高の35745円、ドル建てが245円高の35865円で取引を終えた。
米国同様に、日本株も方向感に欠ける展開を予想する。ナスダックが上昇したことでハイテク株には好影響が見込まれる。ただ、きのうの日経平均は大幅高スタートから失速しており、全体の買い戻し機運が高まるようなら戻り売りが出やすくなる。逆にリスク回避姿勢が強まって軟調に推移するようなら、下値では打診買いが入ると期待できる。あえてこのタイミングでトレードする理由は乏しく、序盤の売り買いをこなした後は次第にこう着感が強まるだろう。日経平均の予想レンジは35500円-35900円。
日経225先物は11時30分時点、前日比10円高の3万5630円(+0.02%)前後で推移。寄り付きは3万5860円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万5745円)を上回る形で、買い先行から始まった。直後につけた3万5880円を高値に軟化し、中盤にかけて3万5460円と下落に転じる場面もみられた。ただし、積極的にショートを仕掛けてくる流れにならず、売り一巡後は持ち直しており、3万5600円~3万5700円辺りでの推移となった。
日経225先物はボリンジャーバンドの-2σ(3万5710円)を上回って始まったが同水準をキープできず、短期筋のショートを誘う形になった。ただし、指数インパクトの大きいアドバンテスト<6857.T>[東証P]がプラス圏で推移しているほか、ファーストリテイリング<9983.T>[東証P]や東京エレクトロン<8035.T>[東証P]などの上昇が日経平均型を支えている。もっとも、金融や商社株の弱い値動きがみられており、リバランス中心の流れとみられる。
このリバランスにより、NT倍率は先物中心限月で13.47倍に上昇した。トランプ米政権による相互関税の発表を控えるなか、いったんNTショートを巻き戻す形となったようだ。
「基調的な経済は健全であり、米国がリセッション(景気後退)を想定する根拠はない」
(ベッセント米財務長官)
2025年4月2日、トランプ米大統領は、自動車関税に続き、相互関税を発動して、ダーティー15と呼ばれる『不公正貿易国』によって搾取されてきた米国企業・国民を解放する(Liberation day)、と目論んでいる。
しかし、解放される米企業や国民は、内憂として、アメリカ最大の雇用主である連邦政府の予算削減と、外患としてのトランプ関税による景気減速と物価上昇、すなわち、関税スタグフレーションへの警戒感を示している。
1.米連邦公開市場委員会(FOMC)のドット・プロット(金利予測分布図)
■FF金利予想:上昇 3.9-4.4%(前回3.6-4.1%)
メジアンでは前回(12月)から変わらず3.9%と予想されているが、上下3点を除いたレンジで見ると、前回の3.6-4.1%から今回3.9-4.4%へと上昇している。
■2025年経済成長率見通し:低下 1.7%(前回2.1%)
2.ミシガン大学消費者信頼感指数(※500名に対するアンケート調査=ソフトデータ)
■消費者態度指数:57.0
■1年先の期待インフレ率:+5.0%(※パウエルFRB議長「外れ値」)
3.消費者信頼感指数(※5000名に対するアンケート調査=ソフトデータ)
■消費者信頼感指数:92.9
■消費者期待指数:65.2(※80を下回ると景気後退の兆候)
■1年先の期待インフレ率:+6.2%
4.全米独立企業連盟(NFIB)
■不確実性指数:104(※1973年の指数開始以来2番目に高い水準)
■人件費:12%(※2021年12月の13%という記録的水準に迫っている)
5.アトランタ連銀の予測モデル「GDPナウ」
景気後退とは、2四半期連続のマイナス成長に雇用減少が伴う状況を指す。
アトランタ連銀の予測モデル「GDPナウ」は、米国の第1四半期GDPを、▲2.8%(※3月28日時点)と予想している。
米国の第1四半期GDPのマイナス成長は、トランプ政権の不確実性(uncertainty)による一時的なものだと見なされている。
期末期初の特別な2日間をこなした東京市場は、明日早朝5時に発表される予定の相互関税を前に、異様な静けさに包まれています。ドル円は朝方から149.80円を挟んで上下に15銭程度の値動き。仲値にかけての本邦実需の買いや、ベッセント米財務長官の発言をきっかけに少々ドル買いで反応した以外は凪の状況。台風の目の中では全くの無風となるのと同様に、市場はじっと「解放の日」を待っているといったところです。
いずれにしても、相互関税に関しては、昨日からホワイトハウス内での議論の様子が関係筋から流れてきているわけですが、現状では、国別にそれぞれ関税を発表するということではなく、ワシントンポストが報じているように、「一律20%関税を起草」しているなか、WSJが報じたところによれば、「一部の国々や地域に対して、一律20%以下の課税もオプションで議論」している状況。また、今朝方、ベッセント米財務長官がCNBCで語ったように、「関税はCAP(上限)を発表して、各国がそこから引下げを講じる」ことになる模様。
市場は、昨日のWPの20%に反応して一時リスクオフの動きとなったものの、実際にはトランプ米大統領も昨日言及しているように、関税が「nice」(寛容な)ものとなるのであれば、リスクオンでの反応が期待できるのかもしれません。ただ、昨日は4月1日のエイプリルフール。株価の急落などが続いているなか、流石のトランプ米大統領にとっても、ブラックジョークを言っている余裕はないと認識しておきたいところです。
本日の欧州時間でユーロドルは、欧州引け後に発表される米国の相互関税を前に大きくリスクを取りにくいことで、限られたレンジでの取引になるか。
米国東部時間16時(日本時間3日5時)に発表されるトランプ政権の相互関税だが、欧州大陸時間では22時、英国は21時になる。欧州のディーリングルームなどは、英国時間の17時になるとほぼ例外なく全員が退勤することもあり、相互関税の発表前の取引は控えられるだろう。
本日の早朝も観測記事やトランプ政権の要人発言が伝わり、市場は過敏に反応している。トランプ米大統領の発言は一貫性が全く無いことで、発表内容が市場の想定と異なる可能性もあり、結局は蓋を開けるまで分からない。トランプ大統領は欧州を目の敵にしていることで、欧州圏に厳しい関税が賦課されることはユーロの重しにはなる。一方で、他国に対して当初よりも高関税賦課が避けられる道を示すような内容になれば、株式市場の動向次第でリスク選好の動きがユーロ円の買いを誘いユーロドルも底堅さを維持できるかもしれない。
また、本日は欧州各国から市場を動意づけるような経済指標の発表が予定されていないことも、欧州時間での値動きを限定的にさせるだろう。シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事、エスクリバ・スペイン中銀総裁、ホルツマン・オーストリア中銀総裁、レーンECB専務理事兼チーフ・エコノミストなど、多くの要人の講演が予定されているが、ECBも関税の影響を見定めるまでは今後の金融政策の舵を切りにくい状況であり、ここ最近ECB要人の発言で市場が動意づくことはほぼ無い。
なお、ユーロドルは先月27日に1.0733ドルを付けた以後は、1.07ドル半ばから1.08ドル半ばの100Pipsに満たないレンジ内での取引に終始している。レンジの中心に当たる1.0800ドルに本日のNYカットを含め大きめのオプションが多数あることや、上サイドは1.08ドル前半から1.09ドル前半、下サイドは1.0760ドルから1.0700ドルまでの間にもオプションがあることも、値動きを狭めることになりそうだ。
・想定レンジ上限
ユーロドル:3月31日高値1.0849ドル。
・想定レンジ下限
ユーロドル:3月27日安値1.0733ドル。
ドル円:1ドル=149.88円(前営業日NY終値比△0.27円)
ユーロ円:1ユーロ=161.71円(△0.24円)
ユーロドル:1ユーロ=1.0789ドル(▲0.0004ドル)
日経平均株価:35725.87円(前営業日比△101.39円)
東証株価指数(TOPIX):2650.29(▲11.44)
債券先物6月物:138.58円(△0.31円)
新発10年物国債利回り:1.470%(▲0.030%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
3月マネタリーベース
前年同月比 ▲3.1% ▲1.8%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は強含み。ベッセント米財務長官が明日発表される米国の相互関税について、「他国は(米国に対する)関税を引き下げる措置を講じることができる」との発言が伝わると、各国に対する関税が一律にならない可能性が意識されて買いが先行。時間外の米10年債利回りが上昇したことも支えにその後も底堅く推移し、15時過ぎには150.00円まで上値を伸ばした。
・ユーロ円は強含み。米関税政策に対する過度な警戒感後退から買いが強まると一時161.94円まで上昇した。もっとも、その後は次第に様子見ムードが広がり値動きが細った。
・ユーロドルはもみ合い。米財務長官の発言が伝わった直後に1.0808ドルまで上げたが、上値は限定的。東京市場では早朝以外ほとんど目立ったフローは見られなかった。
・日経平均株価は続伸。昨日の米ハイテク株高を受けて半導体関連株に買いが入った。一方で、銀行株などは軟調に推移したため下げに転じる場面も見られるなど上値は限られた。
・債券先物相場は反発。本日NY時間に予定されているトランプ米政権の相互関税の発表に対する警戒感から債券買いが強まった。
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・田中 理氏
ルペン氏有罪で、仏大統領選出馬が困難に 極右政党の若返り加速か党勢失速か?
フランスの極右政党のルペン氏が公金横領の有罪判決を受け、マクロン大統領が三選禁止で退任する次の大統領選挙への出馬が難しくなった。このままルペン氏が政界引退に追い込まれた場合、昨年の欧州議会選挙や国民議会選挙で極右政党を過去最高の支持獲得に導いたバルデラ党首が新たな大統領候補となろう。今回の判決を極右排除に向けた政治色のある決定と受け止める有権者が増えれば、極右の更なる支持拡大につながる可能性もある。判決を受け、ルペン氏の議員資格は剥奪されないが、次の選挙に出馬できなくなるため、早期の解散・総選挙のリスクは後退する。
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・西?M 徹氏
RBAは金利据え置きも、不確実性を意識して「タカ派」姿勢後退
インフレ鈍化を好感、追加利下げへの慎重姿勢も後退、豪ドル相場は上値の重い展開が続くか
オーストラリア準備銀行(RBA)は1日の定例会合で2会合ぶりに政策金利を4.10%に据え置いた。RBAは2月の前回会合でコロナ禍後初の利下げに動いたものの、今回は様子見姿勢をみせた。足元の景気は底打ちが確認される一方、労働市場に変調の兆しがみられるほか、不動産市況の抑制への取り組みも前進しつつある。また、足元のインフレ指標はRBAが定める目標域に収束しているものの、RBAは四半期ベースの物価指標を重視しており、1-3月の物価統計の公表後に追加利下げの可否を判断するとみられる。
会合後に公表した声明文では、物価動向について「基調インフレは緩和している」と評価しつつ、慎重姿勢を維持した。しかし、先行きについて追加利下げに慎重とした文言を削除するなど、タカ派姿勢を後退させた上で、今後のデータ次第で利下げに含みを持たせていると捉えられる。ブロック総裁も「5月の次回会合での利下げの扉は開いていない」との考えを示すも、「データを待つのが賢明」と述べるなど様子見を図ったとみられる。当研究所は5月の次回会合での利下げを予想しており、利下げ観測が重石になっている豪ドル相場は、先行きについても当面は上値の重い展開が続く可能性が高いと見込まれる。
一部通信社によると、中国が企業の米国投資を制限するという。
大阪6月限
日経225先物 35760 +140 (+0.39%)
TOPIX先物 2650.5 -9.5 (-0.35%)
日経225先物(6月限)は前日比140円高の3万5760円で取引を終了。寄り付きは3万5860円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万5745円)を上回る形で、買い先行から始まった。直後につけた3万5880円を高値に軟化し、前場中盤にかけて3万5460円と下落に転じる場面もみられた。ただし、売り一巡後は持ち直し、その後は3万5600円~3万5700円辺りでの推移が継続。後場中盤辺りからレンジを上抜け、3万5810円まで切り返す場面もみられたが、朝方につけた高値を捉えることはできなかった。
日経225先物はボリンジャーバンドの-2σ(3万5720円)を上回って始まったが同水準をキープできず、前場中盤にかけて短期筋のショートを誘う形になったようだ。ただし、下を売り込む流れにはならず、-2σ水準での攻防が続くなか、後場半ば辺りには再び-2σを上回っている。
トランプ米政権による相互関税の発表を控えるなか、リバランス中心の商いであり、特に後場半ば辺りからは、この動きが顕著に表れる形だった。指数インパクトの大きいアドバンテスト<6857.T>[東証P]が終日プラス圏で推移したほか、ファーストリテイリング<9983.T>[東証P]や東京エレクトロン<8035.T>[東証P]などの上昇が日経平均型を支えた。一方で、金融や商社株などは売られ、東証プライムの値下がり数は1200を超えるなど、TOPIX型の弱さが目立った。
日経225先物は-2σ水準での攻防となり、底堅さが意識されていた。ただし、米政権による相互関税の発表を前に、いったん足もとのポジションをニュートラルに近づける形でのリバランスであろう。トランプ米大統領は日本時間の3日午前5時に会見を行う予定であり、即日発効すると述べている。ただし、ベッセント財務長官は、政権の要求を満たせば引き下げられる可能性があるとの見解を示したと伝えられており、発表後はアク抜けへの期待もあるだろう。
ともあれ、トランプ関税の発表を受けた初動は、ナイトセッションの終盤でみられそうだ。この動きが明日の朝方のインデックスに絡んだ商いに集中すると考えられ、イレギュラー的な価格形成になりそうである。アク抜けとなれば-1σ突破から中心値(25日)が位置する3万6950円辺りが射程に入る反面、悪影響が警戒されるようだと、-3σが位置する3万4890円辺りが意識されてくる可能性がありそうだ。
NT倍率は先物中心限月で13.49倍に上昇した。朝方は13.38倍と前日の終値(13.39倍)を下回る場面もみられたが、リバランスの動きから、いったんNTショートを巻き戻す形になったようだ。NT倍率は1月23日につけた14.54倍を直近の高値に、2月以降は下へのトレンドが継続し、4月1日には13.32倍と2020年4月以来の水準まで下げていた。アク抜け感が強まる局面となれば、NTロングでのスプレッド狙いのトレードが強まる展開が意識されよう。
手口面(6月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が2万0253枚、ソシエテジェネラル証券が1万4728枚、サスケハナ・ホンコンが4959枚、バークレイズ証券が2940枚、JPモルガン証券が1959枚、モルガンMUFG証券が1950枚、ゴールドマン証券が1717枚、日産証券が1433枚、楽天証券が1085枚、シティグループ証券が1051枚だった。
TOPIX先物は、ソシエテジェネラル証券が2万6259枚、ABNクリアリン証券が2万4453枚、バークレイズ証券が7469枚、ゴールドマン証券が6447枚、JPモルガン証券が5430枚、モルガンMUFG証券が3250枚、ビーオブエー証券が2368枚、サスケハナ・ホンコンが2128枚、UBS証券が1290枚、野村証券が1257枚だった。
SMBC日興証券のテクニカルリポートでは、世界の株式市場は調整局面入りの様相が一段と鮮明になってきたとコメント。先行して調整に入った日経平均やSOX指数、台湾加権指数SENSEX30指数などの調整は進んでいるが、米国主要株価指数や欧州株価指数は調整に入ってから間もないことから、今後の下落余地は依然として大きいと判断している。ここまでの展開から、世界の株式市場の調整は少なくとも4月半ばか5月半ば頃まで続くとSMBC日興では予想。日経平均は35130~34830円処が当面のサポートになるとみているが、34830円処までで下げ止まらない場合には、33180円処のサポートまで押し戻される可能性も考慮せざるを得なくなるとコメントしている。
本日のNYタイムでは、3月ADP全米雇用報告や2月米製造業新規受注などを確認した後は、トランプ米大統領が米国東部時間午後4時(日本時間明朝5時)に発表予定の相互関税を見極める展開となる。
これまでの関連報道は、相互関税への警戒感をやや後退させる内容となっている。
ベッセント米財務長官は「提示されるのは『最高』税率であって、各国がその上限から税率を引き下げる措置を講じられる」と発言したと報じられており、関税を巡る交渉の余地が示されている。
さらに、「一律20%関税を起草」(ワシントンポスト報道)しているなか、「一部の国々や地域に対して、一律20%以下の課税もオプションで議論」(WSJ報道)しているとのことで、20%を上限にして、交渉次第では引き下げられる可能性を示唆している。
一方で、レビット米大統領報道官は、「私の理解では、関税は即時に発動される」と述べており、交渉の余地がない可能性には警戒しておきたい。
トランプ関税への「不確実性(uncertainty)」が、関税スタグフレーションへの警戒感を高めてきたが、発表を受けて、IMMシカゴ筋などの円の買い持ちポジションの巻き戻しが起こるのか、それとも、さらなるリスク回避の円買いとなるのか、要注目となる。
トランプ関税に対して、フォンデアライエン欧州委員会委員長が「報復するために強力な計画を持っており、実行する」と述べていることで、欧米貿易戦争への警戒感が高まりつつある。
ユーロドルは、停戦交渉が難航しているウクライナ戦争や米国との貿易戦争勃発懸念などから、売り圧力が強まる可能性に警戒しておきたい。
・想定レンジ上限
ドル円:151.21円(3/28高値)
ユーロドル:1.0955ドル(3/18高値)
・想定レンジ下限
ドル円:148.70円(3/31安値)
ユーロドル:1.0729ドル(200日移動平均線)
今晩は様子見か。4月初日の取引だった昨日はトランプ関税の発表を翌日に控えてボラティリティの高い動きが続いた。ダウ平均は上下に600ドル以上振幅し、11.80ドル安(-0.03%)とほぼ横ばいで終了し、S&P500は0.95%安まで下落後、0.69%高まで上昇し、0.38%高で終了。ナスダック総合も0.87%安まで下落後、10.87%高で終了した。引け後のニュースでは、トランプ米大統領が東部時間2日午後4時(日本時間3日午前5時)にホワイトハウスで演説し、「相互関税」の詳細を明らかにすると報じられた。
今晩の取引では引け後のトランプ米大統領の演説を控えて様子見姿勢が強まりそうだ。トランプ米大統領は全ての国を対象に「相互関税」を課すとしているが、一部報道で「一律20%関税」を検討と報じられたほか、ベッセント米財務長官が、発表される関税はCAP(上限)として機能し、各国が個別に引下げ策を講じることになると発言したとも伝えられており、関税の詳細発表待ちの展開となりそうだ。経済指標では金曜日発表の3月雇用統計の前哨戦となる3月ADP民間部門雇用者数が寄り前に発表される。ADP民間部門雇用者数の市場予想は11.5万人と2月分の7.7万人から増加が見込まれている。
今晩の米経済指標は3月ADP民間部門雇用者数のほか、2月製造業新規受注、2月耐久財受注 改定値など。主要な企業の決算発表はなし。
日経平均株価は続伸。前日まで並んだ陰線にさらに陰線が並ぶ格好となったが、長い下ヒゲを形成して終えた。
RSI(9日)は前日の13.8%→17.1%(4/2)に上昇。株価の上昇幅は限定的だったが、1月中旬ごろの底値形成時に似た並びのパターンになっており、あすのイベント通過で幾分不透明感が和らぐかが焦点となる。目先的には昨年9月の安値水準を意識して自律反発は予想されるが、5日移動平均線(36377円 4/2)や10日移動平均線(37073円 同)が早々に上値抵抗になるといったイメージとなる。
直近高値からの下落過程おいて終値ベースの3/13安値(36790円)を割り込んだことで、今年の下落波動は継続との判断となる。
上値メドは、心理的節目の36000円、5日移動平均線、3/28安値(36864円)、10日移動平均線、25日移動平均線(37245円 同)、心理的節目の38000円、3/26高値(38220円)、200日移動平均線(38509円 同)などがある。下値メドは、昨年9/9安値(35247円)、心理的節目の35000円や34500円、34000円、昨年8/7安値(33739円)などがある。
(2日終値:3日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=150.13円(2日15時時点比△0.25円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=162.91円(△1.20円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0851ドル(△0.0062ドル)
FTSE100種総合株価指数:8608.48(前営業日比▲26.32)
ドイツ株式指数(DAX):22390.84(▲149.14)
10年物英国債利回り:4.640%(△0.006%)
10年物独国債利回り:2.721%(△0.034%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
ポーランド中銀、政策金利
5.75%で据え置き 5.75%
2月ロシア失業率
2.4% 2.4%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は底堅い動き。米長期金利の指標となる米10年債利回りが一時4.1080%前後と約1カ月ぶりの低水準を付けると円買い・ドル売りが先行。欧州株相場や日経平均先物の下落を背景にリスク回避の円買いも入った。「中国が企業の米国投資を制限」との一部報道も投資家心理の悪化につながり、21時30分過ぎに一時149.10円と日通し安値を更新した。なお、21時15分発表の3月ADP全米雇用報告は15.5万人増と予想の12.0万人増を上回ったものの、ドル買いでの反応は限定的だった。
ただ、前日の安値148.98円や一目均衡表基準線148.92円がサポートとして意識されると一転買い戻しが優勢に。米10年債利回りが上昇に転じ、4.22%台まで上昇したことも相場の支援材料。大幅安で始まった米国株相場が持ち直したことも相場を下支えし、前日の高値150.14円を上抜けると一時150.25円まで上値を伸ばした。
・ユーロドルはしっかり。トランプ米大統領が「相互関税」の詳細を日本時間3日5時に公表するのを控えて、しばらくは1.0800ドルを挟んだもみ合いの展開が続いた。ただ、NYの取引時間帯に入ると買いが優勢に。ユーロ円の上昇や米国株相場の持ち直しに伴うユーロ買い・ドル売りが入ると前日の高値1.0830ドルを上抜けて一時1.0873ドルまで上値を伸ばした。「欧州連合(EU)はトランプ関税によって最も大きな打撃を受ける可能性のある経済分野を支援するため、緊急措置を準備している」との報道もユーロ買いを促した。
・ユーロ円は一転上昇した。日経平均先物や欧州株相場の下落を背景にリスク・オフの円買い・ユーロ売りが先行すると、19時30分過ぎに一時161.12円と日通し安値を付けたものの、前日の安値160.78円が目先サポートとして働くと下げ渋った。
NY市場に入ると、一時360ドル超下落したダウ平均が持ち直し、390ドル超上昇したため、リスク・オフの巻き戻しが進んだ。前日の高値162.38円を上抜けると上昇に弾みが付き、一時163.05円まで値を上げた。
・ロンドン株式相場は反落。トランプ米政権の相互関税が世界経済を下押しするとの懸念から売りが優勢となった。アストラゼネカやグラクソスミスクラインなど医薬品株が売られたほか、BPやシェルなどエネルギー株が値下がりした。半面、ハルマやセイジ・グループなど情報技術セクターは買われた。
・フランクフルト株式相場は反落。トランプ米大統領が発表予定の「相互関税」が世界経済を下押しするとの懸念から売りが優勢となった。ただ、重要イベントを前に様子見ムードも強く、引けにかけては下げ幅を縮めた。個別ではラインメタル(4.21%安)やバイエル(3.99%安)、エアバス(3.11%安)などの下げが目立った。
・欧州債券相場は下落。米債安につれた。
2日の日経平均は続伸。終値は101円高の35725円。3桁高からのスタートとなったが、場中は不安定な動きが続いた。開始早々に失速してマイナス圏に沈むと、一転して下げ幅を3桁に拡大。35400円台までで売りは一巡し、切り返して10時台半ばから13時辺りまでは、前日終値近辺で一進一退が続いた。13時辺りからは上を試す流れとなり、しばらくじり高基調が続いたが、終盤には急失速。ただ、マイナス転換したところでは切り返し、3桁の上昇で取引を終えた。指数寄与度の大きいファーストリテイリング<9983.T>や東京エレクトロン<8035.T>が強かった一方、プライムでは値下がり銘柄が多く、1日を通して強弱感が定まらなかった。TOPIXは開始早々にマイナス圏に沈んだ後は軟調に推移した。
東証プライムの売買代金は概算で4兆0300億円。業種別ではその他製品、輸送用機器、機械などが上昇した一方、医薬品、電気・ガス、鉱業などが下落した。後場に入って三菱重工業<7011.T>や川崎重工業<7012.T>など防衛関連の動きが良くなっており、中でもIHI<7013.T>が5.7%高と騰勢を強めた。半面、レーザーテック<6920.T>が2.7%安と弱さが目立った。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり383/値下がり1208。ファーストリテイリングが3.7%高となり、1銘柄で日経平均を約132円押し上げた。防衛関連以外にも、アドバンテストやフジクラが後場に入って動きが良くなった。任天堂やリクルートなどグロース株の一角が大幅上昇。防衛産業に特化したコンサル会社を設立すると発表したSHIFTが買いを集めた。
一方、月次を材料に三越伊勢丹、H2Oリテイリング、高島屋など百貨店株が軒並み安。電力株や薬品株などディフェンシブセクターが弱く、東電HDやエーザイが大きく売られた。INPEXや出光興産など市況関連が全般軟調。直近上場のゼンムテックがストップ安まで売り込まれた。
日経平均は続伸。ファーストリテイリングの貢献がかなり大きく値下がり銘柄は多かったが、終盤に失速してもプラスを確保した。大型株に買いが入ったことは、下げ止まりに対する期待を高める。
本日米国ではトランプ大統領が「相互関税」の詳細を明らかにする。大統領は東部時間2日午後4時(日本時間3日午前5時)にホワイトハウスで演説を行うとのこと。日本株は事前に警戒で大きく下げているだけに詳細発表が反転材料となることに期待したいが、相手国の対応次第ではあすの取引時間中にネガティブなニュースが多く入ってくる展開も想定される。指数の値動きは荒くなるとみておいた方が良い。上昇、下落、どちらの場合でも場中の動きが強い方が好ましい。仮に大幅安となってもローソク足で陽線を形成したり長い下ヒゲをつけるようであれば、下値不安は和らぐ。当面の悪材料が出尽くしとなるか、要注目の1日だ。
(2日終値)
ドル・円相場:1ドル=149.28円(前営業日比▲0.33円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=162.04円(△0.57円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0853ドル(△0.0060ドル)
ダウ工業株30種平均:42225.32ドル(△235.36ドル)
ナスダック総合株価指数:17601.05(△151.16)
10年物米国債利回り:4.13%(▲0.04%)
WTI原油先物5月限:1バレル=71.71ドル(△0.51ドル)
金先物6月限:1トロイオンス=3166.2ドル(△20.2ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
MBA住宅ローン申請指数
(前週比) ▲1.6% ▲2.0%
3月ADP全米雇用報告
15.5万人 8.4万人・改
2月米製造業新規受注
(前月比) 0.6% 1.8%・改
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は続落。米長期金利の指標となる米10年債利回りが一時4.1080%前後と約1カ月ぶりの低水準を付けると円買い・ドル売りが先行。時間外のダウ先物や日経平均先物の下落を背景にリスク回避の円買いも入ると、21時30分過ぎに一時149.10円と日通し安値を更新した。なお、21時15分発表の3月ADP全米雇用報告は15.5万人増と予想の12.0万人増を上回ったものの、ドル買いでの反応は限定的だった。
ただ、前日の安値148.98円や一目均衡表基準線148.92円がサポートとして意識されると一転買い戻しが優勢となり、前日の高値150.14円を上抜けて一時150.25円まで値を上げた。米10年債利回りが上昇に転じたうえ、大幅安で始まった米国株相場が持ち直したことも相場の支援材料。
そのあとは米相互関税の詳細発表を前に150.00円を挟んだもみ合いが続いたが、トランプ米大統領による「相互関税」の詳細発表が始まると相場は荒く上下した。関税率の基本設定は10%とされ、当初報じられていた20%前後よりも小さかったことから150.49円の本日高値まで上昇したが、「日本の関税率は24%、中国は34%、EUは20%」と主要国が軒並み高い税率だったことが分かると一転売りが優勢に。5時30分過ぎに149.25円付近まで値を下げた。
・ユーロドルは3日ぶりに反発。米国株相場の持ち直しを受けて、投資家のリスク回避姿勢が後退するとユーロ買い・ドル売りが先行。「欧州連合(EU)はトランプ関税によって最も大きな打撃を受ける可能性のある経済分野を支援するため、緊急措置を準備している」との一部報道もユーロ買いを促した。その後、トランプ米政権の「相互関税」の詳細が伝わると1.0924ドルまで値を上げたものの、1.0811ドル付近まで失速した。
・ユーロ円は4日ぶりに反発。一時360ドル超下落したダウ平均が持ち直し、390ドル超上昇したため、リスク・オフの巻き戻しが進んだ。ただ、トランプ米政権の「相互関税」の詳細が伝わると一時164.18円まで値を上げたものの、すぐに失速。時間外のダウ先物や日経平均先物の下落とともに161.40円付近まで押し戻された。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は反発。米相互関税の詳細発表を前に売りが先行すると一時360ドル超下落したものの、売り一巡後は買い戻しが優勢に。「トランプ米大統領は側近に対し、イーロン・マスク氏が数週間以内に米政府効率化省(DOGE)の政府特別職員を退任すると話した」との報道を受けて、DOGEを巡る混乱への懸念が後退。投資家心理が改善し株買いを誘った。指数は一時390ドル超上昇した。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は続伸し、同151.16ポイント高の17601.05で取引を終えた。
・米国債券相場で長期ゾーンは4日続伸。米国株相場の持ち直しに伴って売りが先行。トランプ米大統領の演説が始まった直後には売りが加速した。ただ、国・地域ごとの相互関税の公表を始めたころから、米株価先物の急落とともに米国債には買いが集まった。米景気悪化や貿易戦争への懸念が高まり、債券が買われたもよう。
・原油先物相場は反発。米関税政策による景気減速が石油需要減退を招くとの思惑から売りに押される場面があったものの、その後は徐々に下げ幅を縮小。安く始まった米国株式相場が持ち直すと、つれて71ドル台後半まで買い戻された。
・金先物相場は反発し、史上最高値を更新した。米国の相互関税の発表を控えて様子見ムードが広がったが、次第に安全資産としての金需要を意識した買いが強まった。
米政府は2日、対カナダ・メキシコ関税でUSMCA免除を継続すると発表した。
米ポリティコが報じたところによると、「トランプ米大統領は側近に対し、イーロン・マスク氏が米政府効率化省(DOGE)を今後数週間で退任する旨を伝えた」ようだ。
一部報道が伝えたところによると、欧州連合(EU)はトランプ関税から経済を守るために緊急措置を計画しているようだ。
イラン政府は2日、「米国との間接的な核協議に応じる用意がある」との見解を発表した。
<国内>
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
<海外>
○09:30 ◇ 2月豪貿易収支(予想:54.00億豪ドルの黒字)
○09:30 ◎ 豪準備銀行(RBA)、半期に一度の金融安定報告
○10:45 ◎ 3月Caixin中国サービス部門購買担当者景気指数(PMI、予想:51.5)
○15:30 ◎ 3月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.1%)
○16:00 ◎ 3月トルコCPI(予想:前月比3.00%/前年比38.90%)
○16:20 ◎ デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○16:50 ◎ 3月仏サービス部門PMI改定値(予想:46.6)
○16:55 ◎ 3月独サービス部門PMI改定値(予想:50.2)
○17:00 ◎ 3月ユーロ圏サービス部門PMI改定値(予想:50.4)
○17:30 ◎ 3月英サービス部門PMI改定値(予想:53.2)
○18:00 ◎ 2月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.1%/前年比3.0%)
○19:00 ◎ シュナーベルECB専務理事、講演
○20:30 ☆ ECB理事会議事要旨(3月6日分)
○20:30 ◇ 3月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○21:30 ◇ 2月カナダ貿易収支(予想:35.5億カナダドルの黒字)
○21:30 ◎ 2月米貿易収支(予想:1235億ドルの赤字)
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:22.5万件/187.0万人)
○22:45 ◎ 3月米サービス部門PMI改定値(予想:54.2)
○22:45 ◎ 3月米総?⑰MI改定値(予想:53.4)
○23:00 ☆ 3月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数(予想:53.0)
○4日01:30 ◎ ジェファーソン米連邦準備理事会(FRB)副議長、講演
○4日03:30 ◎ クックFRB理事、講演
〇米、輸入自動車に25%追加関税発動
〇北大西洋条約機構(NATO)外相会合(ブリュッセル、4日まで)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
2日07:21 ベッセント米財務長官
「明日発表される額は関税が最高額となる」
「(関税発表後)他国は(米国に対する)関税を引き下げる措置を講じることができる」
「各国はキャップから下げるための措置を取ることができる」
2日08:41 ケント豪準備銀行(RBA)総裁補佐
「すべての新規公開市場操作でレポの金利をキャッシュレート目標より5ベーシスポイントから10ベーシスポイント引き上げる」
「4月9日から毎週の公開市場操作で、既存の28日間の期間に加えて7日間の期間を導入する」
「変更はRBAの金融政策の姿勢に影響を及ぼさない」
2日10:24 植田日銀総裁
(トランプ政権の関税政策について)
「規模によって各国の貿易活動に大きな影響が及ぶ可能性」
「長い目で見て不確実性が高い」
2日18:03 安達元日銀審議委員
「5月に利上げの可能性」
2日18:06 レーン・フィンランド中銀総裁
「完全な行動の自由を維持する」
「特定の金利パスに事前にコミットしない」
「ディスインフレは順調に進んでいるが、成長見通しは弱まっている」
2日18:20 ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁
「関税は世界経済にとって良いものではない」
「インフレ率は目標値に非常に近い」
「インフレに関して、まだ少しやるべきことが残っている」
「現時点では予測可能性が非常に乏しい」
「現在、米国への投資に対する熱意はかなり低下しており、より確実性が得られるまで一時停止と様子見の状況である」
3日01:05 ビルロワドガロー仏中銀総裁
「米国の関税はディスインフレの流れにそれほど影響はしない」
「インフレがさらに鈍化すれば、ECBはすぐに追加利下げが可能になる」
※時間は日本時間
2日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米10年債利回りが一時4.1080%前後まで低下したことで149.10円まで下落後、「相互関税」の関税率の基本設定は10%とされたことで150.49円まで上昇した。しかし、日本の関税率は24%、中国は34%、EUは20%と主要国が軒並み高い税率だったことで149.25円付近まで下落した。ユーロドルは1.0924ドルまで上昇後、1.0811ドル付近まで反落した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、トランプ米大統領による「相互関税」の発表を受けて、関税スタグフレーションへの警戒感が高まったことで、下値を探る展開が予想される。
トランプ米大統領は、米国への全輸出国に最低10%の関税を賦課し、対米貿易黒字の大きい約60カ国・地域を対象に一段と高い関税率を適用すると表明した。
中国に対する関税率は34%とされ、20%の関税に加えて54%となる。
そして、欧州連合(EU)は20%、日本は24%、ベトナムは46%となる。
また、先日発表されていた25%の自動車関税は、本日付けで発効することになる。
ドル円は、相互関税の詳細を受けて、148円台まで続落しており、本日の東京市場でも、「暗黒の木曜日」の様相を呈し始めている日米株価指数の下落とともに下値を探る展開が予想される。
植田日銀総裁は、先日の日銀金融政策決定会合の後の記者会見で、海外発の不確実性への警戒感を示しながらも、「4月初めには通商政策の内容がある程度でてくる。次回の決定会合(4/30-5/1)ないし展望リポートの中である程度消化できる」と述べていた。植田日銀総裁にとって、日本に対する関税率24%が想定の範囲内ならば、7月の参議院選挙前の6月の日銀金融政策決定会合での追加利上げの可能性が高まることになり、今後の発言には注目しておきたい。
また、先日の米連邦公開市場委員会(FOMC)声明やパウエルFRB議長の会見では、トランプ関税が「不確実性(uncertainty)」とされていたが、詳細が公表されたことで、利下げ時期が市場の予想通りに6月FOMCになるのか否か、今後のFRB高官の発言に注目することになる。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」が示している追加利下げ時期は、6月FOMC(-0.25%=4.00-25%)、7月FOMC(-0.25%=3.75-4.00%)、10月FOMC(-0.25%=3.50-75%)となっている。
大阪6月限ナイトセッション
日経225先物 34830 -930 (-2.60%)
TOPIX先物 2590.0 -60.5 (-2.28%)
シカゴ日経平均先物 35990 +230
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
2日の米国市場は、NYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が上昇。米政権による相互関税の発表を前に売りが先行し、NYダウは360ドルほど下落する場面もみられた。その後、イーロン・マスク氏が数週間以内にDOGE(政府効率化省)から身を引くと関係者の話として報じられた。米報道官は否定したが、DOGEを巡る過度な警戒感が後退する形で買い戻しに向かわせた。
NYダウ構成銘柄では、ゴールドマン・サックス・グループ<GS>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>、アメリカン・エキスプレス<AXP>、ホーム・デポ<HD>、ジョンソン・エンド・ジョンソン<JNJ>、キャラクター<CAT>が上昇。半面、ベライゾン・コミュニケーションズ<VZ>、シェブロン<CVX>、コカ・コーラ<KO>、マクドナルド<MCD>が売られた。
トランプ米大統領は2日夕、ホワイトハウスで演説し、すべての国や地域を対象に一律で10%の関税を課すことを明らかにした。相互関税として中国が34%、欧州連合(EU)は20%、日本については24%の関税を課すとした。また、輸入される自動車に追加関税を課すと正式に表明し、3日から25%の関税が上乗せされることになる。
シカゴ日経平均先物(6月限)清算値は、大阪比230円高の3万5990円だった。しかし、日経225先物(6月限)のナイトセッションは、波乱の展開となった。日中比60円安の3万5700円で始まり、米国市場の取引開始後に3万5310円まで売られた後はショートカバーが優勢となり、3万6510円まで買われる場面もみられた。しかし、相互関税の発表を受けて一気に3万4820円まで急落し、3万4830円とナイトセッションの安値圏で取引を終えた。
日経225先物はナイトセッションの終盤50分ほどで1690円の急落となった。初動反応としてイレギュラー的な価格形成の面はあるが、先物にサヤ寄せする形から朝方はインデックスに絡んだ売りが集中することで、日経平均株価はギャップダウンから始まりそうだ。前日には後場中盤辺りからリバランスの動きがみられていたこともあり、改めてショートポジションを積み増す動きも入るだろう。
ボリンジャーバンドは拡大傾向をみせており、-3σが3万4630円、-2σは3万5390円辺りまで下がってきた。過剰反応に対するリバウンドを意識しつつも、-2σ水準で戻りの鈍さがみられる局面では、戻り待ち狙いのショートを誘う形になりそうだ。反対に-3σに接近する場面ではイレギュラー修正を想定した押し目狙いのロング対応に向かわせそうである。そのため、オプション権利行使価格の3万4500円から3万5500円と広めのレンジを想定する。なお、-2σを上回ってくるようだと、急速にアク抜けを意識させてくる展開も考えられ、ショートカバーが強まる可能性もありそうだ。
2日の米VIX指数は21.51(1日は21.77)に低下した。一時20.68まで切り下がる場面もあったが、その後は25日移動平均線(21.70)を挟んでの推移をみせていた。トランプ関税発動後のインパクトは入っていないため、3日の動向には注目しておきたい。
昨日のNT倍率は先物中心限月で13.49倍に上昇した。13.38倍と前日の終値(13.39倍)を下回る場面もみられたが、後場中盤以降のリバランスにより、いったんNTショートを巻き戻す形になったようだ。本日はリバランスの反動から再びNTショートを誘う形になりそうだ。
東京市場は波乱含みか。米国株は上昇。ダウ平均は235ドル高の42255ドルで取引を終えた。トランプ関税の発表を前に弱めのスタートとなったが、切り返してプラス圏に浮上した。CME225先物は円建てが大証日中終値と比べて230円高の35990円、ドル建てが325円高の36085円で取引を終えた。
米国引け後にトランプ大統領は「相互関税」の詳細を公表。全ての国に一律10%の関税をかけ、日本には合計で24%の追加関税を課すとした。これを受けて時間外の日経平均先物が急落しており、日中比930円安の34830円で取引を終了。為替市場ではリスクオフの円高が進んでおり、ドル円は足元148円40銭近辺で推移している。
日本も追加関税の対象となることについては織り込みも進んでいたと思われるが、24%というのは日米関係を踏まえればかなり厳しい内容。日経平均はスタートから大きく水準を切り下げることになるだろう。場中も関連ニュースに神経質になると思われる。買い戻しを誘うニュースが出てくれば鋭角的に戻す場面はあるとみるが、基本的には下押し圧力の強い地合いが続くと予想する。直近3月31日に1502円安と4桁の下落をみていること、反転材料が出てこなければリスクオフ加速が想定されることなどから、下のレンジを広めとする。日経平均の予想レンジは33700円-35500円。
米国の解放の日を祝うメインイベントとなったトランプ米大統領の相互関税の発表でしたが、市場では「一律10%」のアナウンスを聞いて一気にリスクオンで反応したものの、その後に出てきた世界各国ごとの関税チャートを確認すると、一転してリスクオフの流れに急変。日経平均先物は36510円まで急伸後に33390円まで3000円の暴落。ドル円は150.49円まで買い上げられた後、東京市場に入って147.55円まで売り込まれることになっています。米10年債利回りも4.2319%まで急上昇した後、アジア市場では一時4.0381%までの急激な低下に見舞われています。
結果的には、トランプ米大統領の「やさしいものになる」との発言がエイプリルフールのブラックジョークだったわけで、日本に対しても24%と、市場では「恐らく対米輸出額と対米貿易黒字額などを単純に計算して出したのでは」との声も聞かれるなか、「かなりのショック」となっていることは否めません。
いずれにしても、何度もお伝えしている通り、米国市場引け後のイベントにおけるリスクの受け皿を一手に引き受けるといった、不可避的な時間軸にある東京市場ですが、逆説的に考えれば、今回の「解放の日」のリスクはこれがマックスだと認識することも出来るわけで、株価の落着き処を探りつつ、ドル円も週足の一目雲下限が位置する147.67円や3月13日の安値147.42円付近を下値の目処とした動きとなってきています。
日経225先物は11時30分時点、前日比1100円安の3万4660円(-3.07%)前後で推移。寄り付きは3万4030円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万5990円)を大きく割り込み、ナイトセッションでつけた安値3万4820円からも下抜け、ギャップダウンから始まった。現物の寄り付き直前には一時3万3390円まで急落する場面もみられた。その後はイレギュラー的な価格形成を修正する流れのなかで3万4880円まで下落幅を縮めており、中盤以降は3万4550円~3万4880円辺りでの保ち合いを継続している。
日経225先物は波乱のスタートとなり、一気に3万3390円まで急落した。中盤辺りからは落ち着きをみせてはいるが、ボリンジャーバンドの-3σ(3万4570円)水準を回復した辺りで一巡感が意識されてしまっている。再び-3σを割り込んでくるようだと、短期筋のショートを誘う形になりそうだ。反対に底堅さがみられてくるようだと、-2σ(3万5350円)が射程に入ってくる可能性はあるものの、グローベックスのNYダウ先物は800ドルほど下落して推移しており、自律反発狙いのロングは入りにくい。
NT倍率は先物中心限月で13.53倍に上昇した。指数インパクトの大きい値がさハイテク株の弱さが目立っているが、東証プライムの9割超の銘柄が下落している状況であり、相対的にTOPIX型の弱さが目立つ形である。
「これはわれわれの独立宣言だ。完全な相互関税ではなく、親切な相互関税だ」
(トランプ米大統領)
1.「解放の日」の「独立宣言」
2025年4月2日、トランプ米大統領は、貿易相手国に対する相互関税を課すと発表した。全ての輸入品に対し一律10%の関税を課した上で、各国の関税および非関税障壁を考慮し、国・地域別に税率を上乗せする。
国・地域別の関税率は、日本が24%、中国が34%、欧州連合(EU)が20%、英国が10%などとなっている。中国は20%の税率に34%が上乗せされるので、54%となる。
トランプ米大統領はホワイトハウスのローズガーデンで行ったイベントで「これはわれわれの独立宣言だ。われわれはついに米国を第一にする。貿易赤字はもはや単なる経済問題ではない。国家緊急事態だ」と宣言した。関税引き上げの法的根拠には、緊急事態の宣言により、関税に関する広範な権限を大統領に与える「国際緊急経済権限法(IEEPA)」を挙げた。また、4月3日には、米国への輸入自動車への25%の関税賦課が発効する。
■国際緊急経済権限法(IEEPA:International Emergency Economic Powers Act)
1977年10月28日より施行された米国の法律であり、国家の非常時において米国大統領に輸入管理の権限を与えている。
・目的:国家安全保障や外交政策に対する異例かつ重大な脅威に対応することである。
・権限:攻撃を企む外国の組織もしくは外国人の資産没収(米国の司法権の対象となる資産)、外国為替取引・通貨及び有価証券の輸出入の規制・禁止。
2.対米貿易黒字国(2024年:1兆2117億ドル)【対米関税】【相互関税】
1位:中国 :2954億ドル 67% 34%+20%=54%
※欧州連合(EU):2357億ドル 39% 20%
2位:メキシコ:1718億ドル ※25%のまま
3位:ベトナム:1235億ドル 90% 46%
4位:アイルランド:867億ドル
5位:ドイツ:848億ドル
6位:台湾:739億ドル 64% 32%
7位:日本:685億ドル 46% 24%
8位:韓国:660億ドル 50% 25%
9位:カナダ:633億ドル ※25%のまま
10位:インド:457億ドル 52% 26%
本日のロンドン為替市場のユーロドルは、トランプ米大統領が欧州連合(EU)に20%の相互関税を発表したことに対するECB高官の金融政策の見解に注目することになる。
トランプ米大統領は、EUに対して20%、英国に対しては10%の相互関税を発表した。
4月17日の欧州中央銀行(ECB)理事会に向けて、ハト派のデギンドスECB副総裁やタカ派のシュナーベルECB専務理事の見解に注目しておきたい。
デギンドスECB副総裁は、先日、トランプ関税に関して、「中期的には、活動や成長の減少が、関税導入による当初のインフレ上昇を相殺する可能性がある。最悪のシナリオは、一種の貿易戦争と、利上げ、報復、追加関税の悪循環」だと指摘していた。
シュナーベルECB専務理事は、先日、「貿易戦争で国際貿易が分断されれば、世界のインフレ率が急上昇する可能性があるほか、経済成長が抑制される可能性が高い」と指摘していた。
ECB理事会メンバーであるビルロワドガロー仏中銀総裁は2日、トランプ米政権による関税措置で、欧州で現在見られているインフレ低下が妨げられることはないとの見方を示した。
先日発表された3月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値は前年比+2.2%と、2月の+2.3%から減速していた。ビルロワドガロー仏中銀総裁は、「トランプ政権の関税措置で、欧州のディスインフレの過程が大きな影響を受けることはない」と述べ、追加利下げに前向きな発言をしていた。
ユーロ短期金融市場が織り込む追加利下げの確率は80%程度だが、トランプ米大統領の通商政策や欧州の軍事支出拡大を巡る不確実性の高まりを背景に、利下げ休止の可能性も高まりつつある。
フォンデアライエン欧州委員会委員長は、トランプ関税に対して、「欧州は多くのカードを持っており、交渉に前向きだ。必ずしも報復を望んでいないが、必要ならば実行する」と述べており、欧米貿易戦争の可能性にも警戒しておきたい。
EUは米国の関税方針を見極めた上で、4月中旬にも、最大260億ユーロ相当の米国からの輸入品に報復関税を課す計画を警告していた。
経済指標では、3月の仏・独・ユーロ圏・英のサービス部門PMI改定値と2月ユーロ圏卸売物価指数(PPI)が発表される。
想定レンジ上限
・ユーロドル:1.0955ドル(3/18高値)
・ユーロ円:162.48円(日足一目均衡表・転換線)
想定レンジ下限
・ユーロドル:1.0733ドル(3/27安値)
・ユーロ円:159.50円(日足一目均衡表・基準線)
ドル円:1ドル=147.01円(前営業日NY終値比▲2.27円)
ユーロ円:1ユーロ=160.89円(▲1.15円)
ユーロドル:1ユーロ=1.0944ドル(△0.0091ドル)
日経平均株価:34735.93円(前営業日比▲989.94円)
東証株価指数(TOPIX):2568.61(▲81.68)
債券先物6月物:139.75円(△1.17円)
新発10年物国債利回り:1.340%(▲0.130%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
対外対内証券売買契約等の状況(前週)
対外中長期債
59億円の処分超 2337億円の処分超・改
対内株式
4504億円の処分超 1兆2006億円の処分超・改
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は大幅下落。昨日のNY引け前にトランプ米大統領が「相互関税」を発表し、全ての輸入品に一律10%の基本関税を課した上で日本が24%、欧州連合(EU)が20%、中国が34%と主要国が軒並み高い税率だったことが分かると売りが優勢となった。日経平均先物が急落し、時間外の米10年債利回りも大幅に低下したため、ドル円は小幅な反発こそあれど、東京午後も売りが継続。一時146.93円まで下げ、3月11日以来の安値を付けた。
・ユーロ円も大幅安。米相互関税の発表により、リスクオフムードが一気に高まり円は独歩高の展開となった。ユーロ円は160.12円まで下落したほか、ポンド円は192.32円、豪ドル円は92.29円、NZドル円は84.27円まで大きく下げている。
・ユーロドルは買い優勢。ドル円の急落や米長期金利の大幅低下を受けてユーロ買い・ドル売りが活発化。一時1.0980ドルまで買い上げられている。
・日経平均株価は3営業日ぶりに反落。米相互関税で経済や企業業績への悪影響を懸念した売りが活発化。指数は一時1600円超暴落し、取引期間中では昨年8月以来の安値を付けた。ただ、一巡後は自律反発狙いの買いが入るなど下げ幅をやや縮めた。
・債券先物相場は大幅に続伸。米関税政策に伴う世界的な景気減速懸念から安全資産とされる債券需要が高まった。
大和証券では、第1四半期(1-3月)の日本株市場を振り返っている。この期間では日経平均が前期末比で-10.7%、TOPIXが-4.5%となった。トランプ大統領就任後、AI投資期待などで日経平均は一時4万円を超えたが、米国における関税強化策やスタグフレーションに対する懸念などが重荷となった。物色面では消費サービス他を除く内需や金融が相対優位となり、外需や資源卸売が軟調であったとのこと。スタイルではバリューが小型、大型ともにアウトパフォームしたとコメントしている。
シティグループは最新リポートで、米国が相互関税と中国からの輸入品に対する少額免税措置の終了を発表したことで、米国の対中実効関税率が約65%に上昇すると指摘した。これは米中貿易にとって耐え難い水準であり、中国が対策を講じなければ、経済成長率が2.4ポイント、輸出額伸び率が15.4ポイントそれぞれ押し下げられると予測した。『AAストックス』が3日伝えた。
シティは、ベッセント米財務長官が中国に対する関税率について、すでに発動している20%と今回の相互関税を合わせて54%に上昇すると明らかにしたが、以前の「301条」に基づく関税も適用される可能性があり、2024年末時点のその実効税率は約11%と指摘。少額輸入貨物の関税免除も5月2日に終了し、これらを合わせると実効税率は65%となり、トランプ大統領が選挙中に主張した60%を超える。シティが懸念していた「ハードデカップリング」のシナリオが現実味を帯びているとした。
一方、米国がアジア諸国への関税率も大幅に引き上げており、貿易転換の大幅な減少につながる可能性に言及。中国とほかの米国の貿易相手国との関税格差が縮小し、コスト優位性を背景に輸出が中国に回帰する可能性もあるとの見方を示した。
中国にとって対外的には米中間の対話はますます重要になると指摘。米中首脳会談が開催されていない場合、両国首脳の会談は早ければ今年11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議になると予想している。国内では、米国の対中関税の影響は4-6月期から顕在化し、これを受けて内需拡大に向けた支援策が一層強化される可能性があると指摘。シティは、4月に開かれる中国共産党中央政治局会議が議論の場となり、政策立案者は米中協議や対策を準備していると見方を示した。
東海東京インテリジェンス・ラボでは米国の雇用統計に関して、4日発表予定の3月分の統計では連邦政府職員の大幅削減の影響は大きく出ないとみているものの、来月以降に発表される雇用統計では、雇用増の鈍化や失業率の上昇といった形で職員を削減した影響が徐々に反映される可能性があると考えている。リスクセンチメントのさらなる悪化には要警戒と指摘。民間部門雇用者数の堅調が維持されれば労働市場は堅調と判断できるだけに、当面は民間部門雇用者数の動向に注目しておきたいとコメントしている。
大阪6月限
日経225先物 34850 -910 (-2.54%)
TOPIX先物 2574.5 -76.0 (-2.86%)
日経225先物(6月限)は前日比910円安の3万4850円で取引を終了。寄り付きは3万4030円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万5990円)を大きく割り込み、ナイトセッションでつけた安値3万4820円も下抜け、ギャップダウンで始まった。パニック的な下げでヘッジ対応のショートが加速し、現物の寄り付き直前には一時3万3390円まで急落する場面もみられた。
その後はイレギュラー的な価格形成を修正する流れとなり、前場終盤には3万4880円まで下落幅を縮め、落ち着きをみせてきた。ただし、自律反発を狙ったロングは入りにくい需給状況であり、後場は3万4410円~3万4720円辺りで保ち合いを継続。終盤にかけてややショートカバーが入り、3万4850円で終えた。
日経225先物は寄り付き直後に一気に3万3390円まで急落したことでヘッジも難しく、パニック的な動きだった。現物の寄り付き後は落ち着きをみせていたが、ヘッジよりもポジション解消を迫られた形だろう。グローベックスでは現在、NYダウ先物は1000ドル、ナスダック100先物は700ポイントほど下落して推移している。3日の米国市場が波乱含みの展開になるようだと、改めてショートが入りやすいだろう。
東京市場はトランプ米政権が公表した「相互関税」を受けた初動反応だったことから、イレギュラー的な価格形成の面があったと考えられる。ドイツDAX指数は1.5%ほど下落して推移しており、欧州が落ち着いた動きをみせてくるようであれば、イレギュラー的な価格の修正を意識した押し目狙いのロングが入りやすくなりそうだ。
また、日経225先物はチャート上では、1460円ほどの下ヒゲを残す形状となった。ボリンジャーバンドの-3σ(3万4640円)を大きく割り込んだ後は、同バンドを上回って推移している。バンドは下向きで拡大傾向であるため、これに沿った調整が警戒されるものの、目先的には-2σ(3万5400円)辺りまでのリバウンドは意識しておきたいところだろう。
そのほか、週足の一目均衡表では雲がねじれる局面で雲を割り込む形状となり、シグナルは悪化した。雲下限は3万6610円辺りで横ばい推移が続くため、今後は同水準が抵抗線として機能しそうだ。
なお、NT倍率は先物中心限月で13.53倍に上昇した。指数インパクトの大きい値がさハイテク株の弱さが目立っていたが、東証プライムの9割近い銘柄が下落している状況であり、相対的にTOPIX型の弱さが目立つ形である。上値を抑えられていた-1σ(13.47倍)を上回ってきており、中心値(25日)が位置する13.62倍辺りが射程に入ってくる。NTロングによるスプレッド狙いのスタンスに向かわせそうだ。
手口面(6月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が4万2332枚、ソシエテジェネラル証券が2万9867枚、サスケハナ・ホンコンが8185枚、バークレイズ証券が5504枚、JPモルガン証券が5212枚、モルガンMUFG証券が4806枚、野村証券が4235枚、ゴールドマン証券が3819枚、SBI証券が3768枚、日産証券が2968枚だった。
TOPIX先物は、ソシエテジェネラル証券が4万3081枚、ABNクリアリン証券が4万0141枚、バークレイズ証券が1万1422枚、JPモルガン証券が8204枚、モルガンMUFG証券が6597枚、ゴールドマン証券が5341枚、サスケハナ・ホンコンが3867枚、ビーオブエー証券が3054枚、野村証券が2320枚、BNPパリバ証券が2172枚だった。
NYタイムも引き続き米相互関税を嫌気した売りの流れが続くかを見定めることになりそう。あわせて米景況の強弱を示す雇用状況を米新規失業保険申請件数などで確認することになる。同指数の事前予想は22.5万件と、前週の22.4万件より増加することが見込まれている。
これらの動向をにらみつつ、米株価に反応したリスクセンチメントがドル円の方向性を決めるだろう。ダウ先物は現在1000ドル以上の下落となっており、米現物株市場は軟調スタートが予想される。ここ最近の株価動向を気にしているといわれるトランプ米大統領から株安に配慮した発言があるかなどにも注意したい。
・想定レンジ上限
ドル円の上値めどは、3月13日安値147.42円。
・想定レンジ下限
ドル円の下値めどは、昨年10月1日高値144.53円
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・田中 理氏
ルペン氏に仏大統領選出馬の望み
ルペン・バルデラの双頭体制で支持層拡大を目指す極右
フランスの次期大統領レースのフロントランナーである極右政党のルペン候補は、公金横領の罪で公職停止の判決が下り、次期大統領選挙への出馬が難しくなったが、控訴裁判所は1日、2026年夏までに不服申し立ての審理を終えることを表明。有罪判決が覆されれば、2027年の大統領選挙への出馬の道が開ける。次の大統領選挙を展望するのは時期尚早だが、中道票を固めるフィリップ元首相と、ルペン氏かバルデラ氏の極右候補による一騎打ちとなる可能性が高い。
今晩は大幅安か。昨日はトランプ関税の発表を引け後に控え、警戒感から下落してスタートしたが、取引終盤に上昇し、ダウ平均が235.36ドル高(+0.56%)、S&P500が0.67%高、ナスダック総合が0.87%高とそろって上昇して終了した。引け後にトランプ米大統領が発表した関税政策は、ほとんどの国に一律10%の関税を課すとしたほか、中国に対しては34%の関税を課すとし、EUに20%、台湾に32%、日本に24%、インドに26%、韓国に25%を課すとした。市場では想定された最悪シナリオより悪い結果だと受け止められた。
今晩の取引では広範な国に対して「相互関税」が発動されたことで、相手国からの報復関税の応酬が予想され貿易戦争激化が懸念されるほか、物価上昇懸念や景気後退懸念が強まることも予想され、売りが強まる展開か。アジア時間ではダウとS&P500の先物が2%超下落し、ナスダック先物は3%超の下落となっており、関税について新たな好材料が無い限り、大幅安の展開となりそうだ。経済指標では新規失業保険申請件数や3月ISM非製造業PMIなどが発表予定で、弱い結果となれば景気後退懸念が一段と高まることが警戒される。
今晩の米経済指標は新規失業保険申請件数、3月ISM非製造業PMIのほか、3月チャレンジャー企業人員削減数、2月貿易収支、製造業新規受注、3月S&Pグローバル総合・サービス業PMI確定値など。企業決算は寄り前にラム・ウェストン、コナグラ・ブランズ、引け後にエクソン・モービルが発表予定。
格付け会社フィッチは3日、中国の格付け「A+」を「A」に引き下げると発表。なお、見通しは「安定的」。
日経平均株価は大幅反落。35000円付近で寄り付いた後に下落幅を拡大する展開となった。一方、34000円処の心理的節目を前に下げ渋り、幾分下落幅を縮小して終えた。
RSI(9日)は前日の17.1%→13.1%(4/3)に低下。ボリンジャーバンド(20日線)ではマイナス3σ付近まで突っ込んで戻る格好となっており、場中の戻りに違和感はない。目先的には自律反発も予想されるが、5日移動平均線(35764円 4/3)や10日移動平均線(36771円 同)が早々に上値抵抗になるといったイメージは続く。短期波動は下落継続との判断となり、押し目処を探る展開が続く公算が大きい。
上値メドは、心理的節目の35000円、4/2安値(35426円)、5日移動平均線、心理的節目の36000円、3/28安値(36864円)、25日移動平均線(37109円 同)などがある。下値メドは、心理的節目の34000円、昨年8/7安値(33739円)、心理的節目の33500円や33000円、32000円、昨年8/5安値(31156円)などがある。
(3日終値:4日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=146.08円(3日15時時点比▲0.93円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=161.04円(△0.15円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1024ドル(△0.0080ドル)
FTSE100種総合株価指数:8474.74(前営業日比▲133.74)
ドイツ株式指数(DAX):21717.39(▲673.45)
10年物英国債利回り:4.520%(▲0.120%)
10年物独国債利回り:2.651%(▲0.070%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
3月スイス消費者物価指数(CPI)
前月比 0.0% 0.6%
3月仏サービス部門購買担当者景気指数(PMI)改定値
47.9 46.6
3月独サービス部門PMI改定値
50.9 50.2
3月ユーロ圏サービス部門PMI改定値
51.0 50.4
3月英サービス部門PMI改定値
52.5 53.2
2月ユーロ圏卸売物価指数(PPI)
(前月比) 0.2% 0.7%・改
(前年比) 3.0% 1.7%・改
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は下落。トランプ米大統領が2日に発表した「相互関税」の影響で世界的に経済が下押しされるとの懸念から、欧米株相場が軟調に推移。投資家がリスク回避姿勢を強め、円買い・ドル売りが優勢となった。NY市場に入ると、3月米ISM非製造業景況指数が50.8と予想の53.0を下回ったことが伝わり、米長期金利の指標となる米10年債利回りが節目の4%を割り込み、一時3.9966%前後と昨年10月以来の低水準を記録。米長期金利の低下とともに全般ドル売りが加速した。23時過ぎには一時145.20円と昨年10月2日以来約半年ぶりの安値を更新した。
ただ、急ピッチで下落した反動でショートカバーが入ると146.43円付近まで下げ渋った。本日の高値149.28円から4円以上下落しただけに短期的な戻りを期待した買いも入ったようだ。
・ユーロドルは伸び悩み。米政権の「相互関税」発動に伴って米景気の減速懸念が一段と高まると、ドルロングを投げる動きが活発化。19時過ぎに一時1.1144ドルと昨年10月1日以来約半年ぶりの高値を更新した。市場では「米相互関税の内容は、総じて市場の想定よりも厳しい内容だった。米国での物価高と景気減速が同時に進行することへの警戒感からドル売りで反応した」との声が聞かれた。
ただ、1.11ドル台では戻りを売りたい向きも多く、買い一巡後は伸び悩んだ。NY市場でもISM非製造業景況指数の下振れや米長期金利の大幅低下に伴うドル売りが出て、1.11ドル台に何度か乗せたものの、上値は限定的だった。2時過ぎには1.1018ドル付近まで下押しした。
・ユーロ円は上値が重かった。ユーロドルの上昇につれた買いが先行すると一時163.04円と日通し高値を付けたものの、ドル円の下落につれた売りが出ると伸び悩んだ。NY市場に入り、ユーロドルの失速に伴う売りが出ると160.99円付近まで押し戻された。
・ロンドン株式相場は続落。トランプ米大統領が2日に発表した「相互関税」が世界経済を下押しするとの懸念から売りが優勢となった。原油先物価格の急落を受けてBPやシェルなどエネルギー株が売られたほか、リオ・ティントやアングロ・アメリカンなど素材株が値下がりした。HSBCやバークレイズなど金融株も軟調だった。
・フランクフルト株式相場は大幅に続落。トランプ米大統領が2日に発表した「相互関税」の影響で世界的に経済が下押しされるとの懸念から、欧州の主要な株式相場は軒並み下落した。フランスの株価指数は3.31%安、イタリアは3.60%安、スペインは1.19%安となった。
・欧州債券相場は上昇。米国の関税強化をきっかけとした貿易摩擦が世界経済を下押しするとの懸念が高まると、相対的に安全資産とされる国債に買いが集まった。
3日の日経平均は3日ぶり大幅反落。終値は989円安の34735円。トランプ大統領が「相互関税」の詳細を発表。日本には合計で24%の追加関税が課されることになった。発表後には夜間の先物が急落して、ドル円は円高に傾斜。強烈なリスクオフが意識される中、600円超下げて始まった。
開始早々に節目の35000円を割り込むと、一気に下げ幅を1600円超に拡大。34100円台に入ったところで鋭角的に切り返したが、下げ幅を3桁に縮めたところでは戻りが一巡した。開始10分程度の振れ幅が大きくなったが、売り買いをこなした後は1000円程度下げた辺りで値動きが落ち着いた。前引けでは4桁の下落となったが、終盤にやや値を戻して終値では4桁下落を回避した。
東証プライムの売買代金は概算で5兆9100億円。派手な動きとなる中で商いも膨らんだ。業種別では陸運と医薬品の2業種のみが上昇しており、小売が小幅な下落にとどまった。一方、銀行、海運、証券・商品先物などの下げが大きかった。円高進行を手がかりに、恩恵が大きいとみられている神戸物産<3038.T>やニトリホールディングス<9843.T>が大幅上昇。反面、米政権による自動車関税が本日発動されたことから、トヨタ<7203.T>が5%を超える下落となった。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり169/値下がり1448。月次を手がかりに買われた銘柄が多く、アダストリア、ユナイテッドアローズ、良品計画が大幅上昇。本決算と併せて自己株取得を発表した西松屋チェーンが地合いの悪い中でも買いを集めた。鉄道株が逆行高。JR4社(東・西・東海・九州)がそろって上昇したほか、東京メトロなども強かった。フジメディアがプラス転換から上げ幅を広げて8.7%高と騰勢を強めた。
一方、米国の関税強化で日銀が利上げをしづらくなったとの見方が強まり、三菱UFJ、三井住友、みずほFGの3メガバンクがそろって7%台の下落。三菱UFJは全市場の売買代金トップとなった。アドバンテストやディスコなど半導体株が軒並み大幅安。フジクラ、古河電工、住友電工の電線大手3社が値幅を伴った下げとなった。世界的な貿易減少に対する警戒から、川崎汽船など海運株が売りに押された。
日経平均は相互関税の詳細発表が悪材料出尽くしとはならず大幅安。終値で35000円を割り込んだ。ローソク足では下に長いヒゲをつけているが、早い時間に下げ止まっただけに、後場はもう少し戻してほしかった。本日の米国株はトランプ関税を嫌気して下落する可能性が高い。日本株はそのことをある程度織り込んでいると思われるが、米国株の下げ方次第ではもう一段売られる展開も想定される。あすは引け後に安川電機<6506.T>が決算発表を予定しており、米国では3月雇用統計の発表がある。気を揉む材料がいくつかあるだけに、値ごろ感だけでは買いを入れづらい局面だ。ここで34000円まで割り込んでしまうと、投資家心理の改善にはかなりの時間を要する。下げてもきょうの安値34102円までで踏みとどまることができるかに注目したい。
(3日終値)
ドル・円相場:1ドル=146.06円(前営業日比▲3.22円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=161.43円(▲0.61円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1052ドル(△0.0199ドル)
ダウ工業株30種平均:40545.93ドル(▲1679.39ドル)
ナスダック総合株価指数:16550.61(▲1050.44)
10年物米国債利回り:4.03%(▲0.10%)
WTI原油先物5月限:1バレル=66.95ドル(▲4.76ドル)
金先物6月限:1トロイオンス=3121.7ドル(▲44.5ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
3月米企業の人員削減数
(前年比) 204.8% 103.2%
2月米貿易収支
1227億ドルの赤字 1307億ドルの赤字・改
前週分の米新規失業保険申請件数
21.9万件 22.5万件・改
3月米サービス部門PMI改定値
54.4 54.3
3月米総?⑰MI改定値
53.5 53.5
3月米ISM非製造業指数
50.8 53.5
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は大幅に3日続落。トランプ米大統領が2日に発表した「相互関税」の影響で世界的に経済が下押しされるとの懸念から、リスク・オフの円買い・ドル売りが優勢となった。3月米ISM非製造業景況指数が50.8と予想の53.0を下回ると、米長期金利の低下とともに全般ドル売りが加速し、23時過ぎに一時145.20円と昨年10月2日以来約半年ぶりの安値を更新した。なお、米長期金利の指標となる米10年債利回りは節目の4%を割り込み、一時3.9966%前後と昨年10月以来の低水準を記録した。
ただ、売り一巡後は徐々に買い戻しが優勢となり、下値を切り上げた。急ピッチで下落した反動でショートカバーが入ったほか、短期的な戻りを期待した買いが入った。米長期金利が低下幅を縮めたことも相場を下支えし、146.52円付近まで下げ渋った。
なお、ラトニック米商務長官は「トランプ大統領が関税で手加減するのはあり得ない」「ドルが安くなれば、その分輸出は容易になる」と述べたほか、ヴァンス米副大統領は「関税を相殺するために減税を行うことはない」「物事を一夜で解決するつもりはない」などと話した。
・ユーロドルは続伸。米政権の「相互関税」発動に伴って米景気の減速懸念が一段と高まると、ドルロングを投げる動きが活発化。欧州市場では一時1.1144ドルと昨年10月1日以来約半年ぶりの高値を付けた。
ただ、NY市場では上値の重さが目立った。米経済指標の下振れや米長期金利の低下に伴うドル売りが出て1.11ドル台に何度か乗せたものの、1.11ドル台では戻りを売りたい向きも多く滞空時間は短かった。5時前には1.1016ドル付近まで下押しした。
・ユーロ円は反落。ユーロドルの上昇につれた買いが入り、欧州市場では163.04円まで上昇する場面があった。ただ、NY市場ではドル円の下落につれた売りが出たほか、ユーロドルの失速に伴う売りが出て160.99円付近まで下押しした。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は大幅反落。トランプ米大統領が2日に発表した相互関税の詳細が「想定よりも厳しい内容だった」と受け止められ、世界経済の悪化や貿易戦争への懸念が一段と高まった。3月米ISM非製造業景況指数が予想を下回ったことも投資家心理の悪化につながり、幅広い銘柄に売りが出た。指数は一時1700ドル超下げた。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は3日ぶりに急反落。
・米国債券相場で長期ゾーンは5日続伸。トランプ米政権による相互関税導入を背景に米国株相場が急落すると、相対的に安全資産とされる米国債が買われた。低調な米経済指標も債券買いを促し、利回りは一時3.9966%前後と昨年10月以来の低水準を付けた。
・原油先物相場は大幅反落。米相互関税によって世界的な景気減速や石油需要低迷への懸念が意識された。また、石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国で構成される「OPECプラス」はこの日、5月から日量41万1000バレルの生産拡大を決定。予想より大幅な増産となったことも売りを促した。
・金先物相場は反落。前日の引け後にトランプ米大統領が相互関税の詳細を明らかにすると、景気減速や貿易摩擦の激化懸念から安全資産としての金需要が高まり、一時は3200ドル台に乗せた。ただ、その後は利益確定売りに押されて伸び悩む展開に。世界的な株安によって金の換金売りを迫られた向きも多く、3070ドル台まで失速する場面も見られた。
3日05:16 トランプ米大統領
「米国はすべての輸入品に10%の関税を課す」
「国外生産の自動車に対する25%の関税は3日午前0時に発効」
「日本の関税率は24%、中国は34%、EUは20%」
「相互関税は3日に発動開始」
「シンガポールの関税率は10%、南アフリカは30%、インドは26%」
「関税は米国の経済成長に寄与する」
4日03:48
「市場は活況を呈するだろう」
「(マーケットの反応について)非常に順調」
3日06:26 米ホワイトハウス
「最低10%の関税率は4月5日から適用される」
「より高い関税率は9日から適用される」
3日06:37 ベッセント米財務長官
「各国はパニックや報復を控えるように」
「現在示されている数字は関税率の上限」
3日11:11 中国商務省
「一方的な関税を撤回するように米国を促す」
「中国の利益を守るために対抗措置を講じる方針」
3日12:25 フォンデアライエン欧州委員長
「我々は、米関税に対応する用意がある」
「米国との交渉が不調に終われば、対抗措置を打ち出すことになる」
「鉄鋼や自動車産業との戦略的な対話を行っている」
3日14:21 石破首相
「米国の関税措置、極めて残念」
「WTO協定や日米貿易協定との整合性について深刻な懸念」
「今後も米国に対して措置の見直し強く求める」
「米大統領に直接話すのが適当なら、最も適切な時期に働きかける」
3日15:39 クキエス独財務相
「米国の関税発表にもかかわらず、議論は継続中であり、米国との貿易交渉において誰も扉を閉ざしていない」
「EUは米国の関税に対して強力な対応が必要」
3日15:40 ナーゲル独連銀総裁
「ECBは状況を再評価する必要がある」
「米国の関税は世界経済の安定を脅かしている」
3日15:42 レイノルズ英ビジネス・貿易相
「10%の関税は英米間の貿易を公正に反映したものではない」
「米国の鉄鋼および相互関税は付加的なものではない」
「自動車セクターへの影響が私たちの主な懸念の一つ」
「私の理解では10%の関税は既に課されている25%の関税に追加されるものではない」
「米国に誤りを正すよう促す」
「WTOの規則を著しく侵害し、ルールに基づく国際貿易体制を損なう」
「相互関税という口実の下、米国は中国やその他の国に追加関税を課してきた」
3日16:13 ストゥルナラス・ギリシャ中銀総裁
「米国の関税は4月の利下げの妨げにはならない」
「米国の関税は成長を阻害するだろうが、インフレ経路は変わらない」
3日16:31 デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁
「金融政策に関して、この不確実性は、適切なスタンスを決定する際に極めて慎重である必要」
「さらなる欧州成長の減速がインフレを押し下げる可能性」
「貿易紛争はユーロ安、物価高につながる可能性」
3日17:47 チュディン・スイス国立銀行(SNB)理事
「スイスに対する関税は驚くほど高い」
「為替レートの反応を予測するのは難しい」
3日20:35 欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨(3月6日分)
「不確実性があるため、政策決定や特にコミュニケーションにおいて慎重である必要」
「不確実性に直面して慎重であることは、必ずしも金利調整を段階的に行うことを意味するわけではない」
「これらの要因は中期的にインフレ目標を下回るリスクを高める可能性」
「貿易摩擦の激化を含む、今後予測される衝撃や一般的な不確実性が成長に大きな影響を与えるリスクがあるとの指摘」
「金融政策が制限的であると自信を持って言うことはもはや不可能であるとの主張」
「米国の関税と報復措置の組み合わせは、インフレに上振れリスクをもたらす可能性」
「インフレの不確実性はどちらの方向にも展開する可能性」
「輸出の見通しが主要な懸念事項」
「4月には利下げと据え置きの両方が検討されている」
「さらなる利下げを示唆することを避けたいと考える者が少数いた」
※時間は日本時間
3日21:24 ラトニック米商務長官
「農産物は他国との交渉において重要な要素」
「世界の主要国すべてと交渉を進めている」
「アジアで製造される医薬品原料は失敗した政策」
「相互関税発表後、多くの国が貿易政策を本格的に見直し始めると予想」
「習主席がフェンタニル削減を提案すれば、中国に対する20%の関税は引き下げられる」
4日00:46
「トランプ大統領が関税で手加減するのはあり得ない」
「中国の関税率は高いがインフレはない」
「ドルが安くなれば、その分輸出は容易になる」
3日21:25 ヴァンス米副大統領
「関税を相殺するために減税を行うことはない」
「物事を一夜で解決するつもりはない」
3日23:19 カジミール・スロバキア中銀総裁
「関税についてはすでに予測に概ね織り込まれている」
「関税によって経済成長は鈍化」
「関税は主に物価に影響を与える」
3日23:38 マクロン仏大統領
「仏企業に対して対米投資を見合わせるよう促す」
4日00:44 カーニー加首相
「USMCAに準拠していない米国からの輸入車すべてに25%の関税を課す」
「米国と同水準の自動車関税を賦課」
「自動車メーカーがカナダ国内での生産と投資を維持する限り、対抗関税を回避するための枠組みを策定」
「関税は自動車部品には影響せず。メキシコからの自動車部品にも影響しない」
4日01:37 ジェファーソン米連邦準備理事会(FRB)副議長
「米経済と労働市場は依然として堅固だが、経済成長には減速の兆しも見られる」
「大半の長期的な期待インフレ関連指標は2%の目標に引き続き一致している」
「さらなる政策調整を急ぐ必要はない」
4日03:59 クック米連邦準備理事会(FRB)理事
「関税により成長が鈍化し、インフレの進展が停滞すると予測」
「インフレ上昇リスクに重点を置く」
「データを見ながら、当面は現行の政策を維持するのが適切」
「FRBの政策は経済の変化に対応する態勢が整っている」
「インフレデータはすでに関税の影響を示している」
「経済は不確実な時期に突入」
※時間は日本時間
<国内>
○08:30 ◇ 2月家計調査(消費支出、予想:前年比▲1.7%)
<海外>
○14:45 ◇ 3月スイス失業率(季節調整前、予想:2.9%)
○15:00 ◎ 2月独製造業新規受注(予想:前月比3.4%/前年同月比1.5%)
○15:00 ◎ 3月スウェーデン消費者物価指数(CPI、予想:前月比▲0.4%/前年比0.8%)
コア指数(予想:前月比▲0.2%/前年比2.6%)
○15:45 ◇ 2月仏鉱工業生産(予想:前月比0.4%)
○17:30 ◎ 3月英建設業購買担当者景気指数(PMI、予想:46.0)
○21:30 ☆ 3月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化1.00万人/失業率6.7%)
○21:30 ☆ 3月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化13.5万人/失業率4.1%/平均時給、前月比0.3%/前年比3.9%)
○5日00:25 ☆ パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、講演
○5日01:00 ◎ バーFRB理事、講演
○5日01:45 ◎ ウォラーFRB理事、討論会に参加
○5日03:00 ◎ 3月ブラジル貿易収支(予想:70.00億ドルの黒字)
○中国、香港(清明節)、休場
○北大西洋条約機構(NATO)外相会合(ブリュッセル、最終日)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
3日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、トランプ米大統領が発表した「相互関税」を受けたリスク・オフの円買い・ドル売りで145.20円まで下落後、146.52円付近まで反発した。ユーロドルは、欧州市場の高値1.1144ドルから1.1016ドル付近まで下押しした。
本日の東京外国為替市場のドル円は、トランプ米政権による「相互関税」や自動車・鉄鋼・アルミニウムなどへの関税発動を受けて、関税スタグフレーションへの警戒感が高まっていることで、下値を探る展開が予想される。
昨日は、トランプ関税が世界的な株安を誘発して「暗黒の木曜日」の様相を呈したが、本日も同様のリスク回避(株安・円高)の地合いが継続すると思われる。
4月1日時点のアトランタ連銀の予測モデル「GDPナウ」では、米国第1四半期GDPの予想が-3.7%となっている。米国を軸にした貿易戦争が激化した場合、2四半期連続のマイナス成長、すなわち、テクニカル・リセッション(景気後退)の可能性が高まるため、米連邦公開市場委員会(FOMC)への利下げ圧力が高まることになる。
3月の日銀金融政策決定会合やFOMCでは、トランプ関税が「不確実性」と警戒されていたが、やや払拭されたことで、6月の日銀会合やFOMCで金融政策の変更があるのか否か、今後の関係筋の発言に警戒しておきたい。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」が示している追加利下げ時期は、6月FOMC(-0.25%=4.00-25%)、7月FOMC(-0.25%=3.75-4.00%)、10月FOMC(-0.25%=3.50-75%)、12月FOMC(-0.25%=3.25-50%)となっている。
今夜発表される米3月雇用統計の非農業部門雇用者数は前月比+13.5万人で2月の同比+15.1万人から増加幅の減少、失業率の予想は2月と変わらずの4.1%が見込まれている。しかしながら、今後は米政府効率化省(DOGE)による連邦政府職員の削減、トランプ関税や報復関税により民間部門の雇用削減が見込まれるため、雇用情勢は悪化していく可能性が高いと思われる。
トランプ米政権は、貿易赤字の削減を標榜してトランプ関税を打ち出した。しかし、貿易相手国が報復関税を打ち出して貿易戦争が勃発した場合、貿易赤字の削減は遅々として進まないかもしれない。そこで、貿易赤字削減の第2弾として、ミラン米大統領経済諮問委員会(CEA)委員長やベッセント米財務長官が目論んでいると噂されているドル安誘導策、財政緩和と金融緩和を背景にした「マールアラーゴ合意」には警戒しておきたい。
トランプ米大統領の執務室の壁には、尊敬するレーガン第40代米大統領の肖像画が飾られているが、貿易赤字削減のための1985年の「プラザ合意」の顰に倣った「プラザ合意II」(=「マールアラーゴ合意」)を打ち出す可能性が、今後のリスクシナリオとなるのかもしれない。
大阪6月限ナイトセッション
日経225先物 33620 -1230 (-3.52%)
TOPIX先物 2491.5 -83.0 (-3.22%)
シカゴ日経平均先物 33895 -955
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
3日の米国市場は、NYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が大幅に下落。トランプ米大統領が2日に発表した「相互関税」の詳細が「想定よりも厳しい内容だった」と受け止められ、世界経済の悪化や貿易戦争への懸念が強まった。また、3月の米ISM非製造業総合景況指数は50.8に低下し、市場予想(52.9程度)を下回ったことも、投資家のセンチメントを冷ます形になった。関税措置がリセッションを引き起こすとの懸念が強まり、NYダウの下落幅は一時1700ドルを超えた。
NYダウ構成銘柄では、ナイキ<NKE>が14%超下げたほか、ボーイング<BA>、アメリカン・エキスプレス<AXP>、アップル<AAPL>、ウォルト・ディズニー<DIS>、ゴールドマン・サックス・グループ<GS>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>、エヌビディア<NVDA>が売られた。一方で、ユナイテッドヘルス・グループ<UNH>、ジョンソン・エンド・ジョンソン<JNJ>、コカ・コーラ<KO>が上昇。
シカゴ日経平均先物(6月限)清算値は、大阪比955円安の3万3895円だった。日経225先物(6月限)のナイトセッションは、日中比70円安の3万4780円で始まり、直後につけた3万4830円を高値に下へのバイアスが強まり、米国市場の取引開始後には3万4000円を割り込んだ。売り一巡後は3万3870円~3万4260円辺りでの推移をみせていたが、終盤にかけてレンジを下抜けており、3万3620円とナイトセッションの安値で取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、売り先行で始まることになる。前日の時点でグローベックスのNYダウ先物は1000ドルほど下落して推移していたことで、3日の米国市場の下落を織り込んでいたと考えられるが、改めて売り直される形になりそうだ。前日には朝方に3万3390円まで急落した後に下げ幅を縮めたことで、チャート上では長い下ヒゲを残していた。この下ヒゲを埋めつつあるが、安値を割り込まなければ売り一巡後は落ち着きをみせてくる可能性はあるだろう。
前日のパニック的な下落でポジション解消に迫られていたと考えられ、まずはボトムを探る動きに向かわせそうだ。ボリンジャーバンドは下向きで拡大傾向になるため、これに沿った調整が警戒されるものの、ナイトセッションでは-3σ(3万3850円)を大きく割り込んでいるため、売られ過ぎが意識されやすい。
週足のボリンジャーバンドの-3σは、3万3060円まで切り下がってきている。同水準を割り込んでくるようだと、昨年8月の急落局面同様、目先のボトム形成になる可能性がありそうだ。そのため、オプション権利行使価格の3万3000円から3万5000円辺りでの広めのレンジを想定する。
3日の米VIX指数は30.02(2日は21.51)に上昇した。3月11日につけた29.57を突破し、昨年8月5日以来の30.00を上回った。リスク回避姿勢が強まる状況になるが、前日のグローベックスでの米株先物の下落から、織り込んでいた面はあるだろう。
なお、昨日のNT倍率は先物中心限月で13.53倍に上昇した。指数インパクトの大きい値がさハイテク株の弱さが目立っていたが、東証プライムの9割近い銘柄が下落している状況であり、相対的にTOPIX型の弱さが目立つ形だった。相場全体の底入れを見極める必要があるだろうが、上値を抑えられていた-1σ(13.47倍)を上回ってきており、中心値(25日)が位置する13.62倍辺りが射程に入ってくる。
東京市場は軟調か。米国株は下落。ダウ平均は1679ドル安の40545ドルと4桁の下落で取引を終えた。発表された「相互関税」の詳細が厳しめの内容となったことで、リスクオフの様相が強まった。ドル円は足元145円60銭近辺と大きく円高に振れている。CME225先物は円建てが大証日中終値と比べて955円安の33895円、ドル建てが850円安の34000円で取引を終えた。
米国株は3指数とも大きく下げて始まり、切り返す動きはほとんど見られなかった。円高も強烈な逆風となるだけに、日本株は大きく売られると予想する。本日、米国では3月雇用統計が発表される。足元で円高に勢いがついているだけに、為替を刺激しやすい重要指標の発表を前にしては買いは手控えられやすい。スタートから大きく下げそうであるだけに寄った後の下値は限られるとみるが、反転材料に乏しい中、戻りは鈍いだろう。日経平均の予想レンジは33800円-34300円。
4日(金)の香港株式市場は清明節につき休場。取引は7日(月)から再開される。
4日(金)の中国株式市場は清明節につき休場。取引は7日(月)から再開される。
「多くの人が私に3期目をやってほしいと言っている。私は基本的に、先は長いと伝えている。この政権はまだ始まったばかりだ」(トランプ米大統領)
■合衆国憲法修正第22条
「いかなる者も、2回を超えて大統領に選出されることはできない」
(No person shall be elected to the office of the President more than twice)
トランプ米大統領(1946年生まれ)は、2期目就任時で既に78歳と歴代の大統領として最高齢だが、2028年の大統領選に勝利して82歳での3期目という記録更新を目論んでいるらしい。
しかし、米国を代表するシンクタンク「ランド研究所」の認知症に関する研究では、「非良心的に生きてきた」という自己認識があれば、認知症にかかる確率が高いことを発見した。すなわち、高齢のトランプ米大統領の野心も、認知症で頓挫する確率が高いのかもしれない。
1.憲法改正
大統領の3選を禁止している合衆国憲法を改正するには、上下両院議員の3分の2の賛成と50州の議会の4分の3の承認が必要となっている。トランプ米大統領には、これほどの集票力はないため、憲法改正の可能性は低いことになる。
2.副大統領:大統領継承順位第1位
2028年の米大統領選挙で、バンス副大統領が大統領選に出馬し、トランプ大統領が副大統領候補として出馬するという可能性が挙げられている。
そして、バンス大統領が誕生した後に辞任して、副大統領のトランプが大統領に昇格するというシナリオである。
憲法修正第12条では、「大統領になる資格のない者はそもそも副大統領になれない」と規定されている。しかし、「不適格」という言葉は、大統領になるための基本的な条件、35歳以上、アメリカ生まれであることを規定しているとの解釈があるらしい。
すなわち、2期大統領を務めたトランプ氏でも、2028年の副大統領選に出馬できることになり、再び大統領になれる可能性が残されている。
3.下院議長:大統領継承順位第2位
憲法上、下院議長は議員である必要はない。議長になるには、下院議員から指名され、下院議員の過半数の承認を得るだけでよい。
下院議長は大統領継承順位第2位であるため、大統領と副大統領がともに辞任した場合、選挙を経ていないトランプ氏が大統領になる可能性がある。
日経225先物は11時30分時点、前日比950円安の3万3900円(-2.72%)前後で推移。寄り付きは3万3960円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万3895円)にサヤ寄せする形から、売りが先行して始まった。直後に3万3780円まで下げ幅を広げる場面もみられたが、ナイトセッションでつけた安値(3万3620円)を割り込まず、現物の寄り付き後ほどなくして3万4360円まで持ち直した。もっとも、明確な底打ちが確認できたわけではなく、中盤にかけて再び3万4000円を割り込むと、3万3800円~3万4000円辺りでの推移を継続している。
日経225先物は売りが先行して始まったが、前日につけた安値(3万3390円)へのバイアスは強まらず、寄り付き後は比較的落ち着いた値動きをみせている。楽観視はできないがボリンジャーバンドの-3σ(3万3960円)近辺での推移であり、同バンドから大きく下抜ける局面では売られ過ぎが意識されやすいだろう。グローベックスのNYダウ先物は130ドル、ナスダック100先物は20ポイントほど下落して推移しているが、落ち着いた値動きである。
NT倍率は先物中心限月で13.63倍に上昇した。25日移動平均線(13.60倍)を上回ってきており、1月23日の14.54倍から4月1日の13.32倍までのトレンドに対するリバウンドが意識されてきそうだ。相場全体の底入れからの反転は見極めにくい状況であるが、今後底入れがみられる局面においてはNTロングによるスプレッド狙いに向かわせよう。
米国の解放の日に対する市場の反応は、株価の急落と米長期金利の急低下。為替市場では、ドル安とリスクオフからの円高といった動きとなりました。東京市場がそのリスクを一手に引き受けたわけですが、それでも足りずに、欧州、NY市場とも、対米貿易黒字分を相互関税の名のもとで埋め合わせさせるといった、かなり乱暴で、そして稚拙な根拠なき数字に、市場自身が拒否反応を示したとも言えます。
ドル円は、3月11日の年初来安値146.54円を下抜けて一時145.20円まで下落。NY時間に限って言えば、ショートカバーから146.52円まで買戻されて、底堅いイメージで終わったといったところ。日経平均については、関税発表直後の急伸から暴落となった33390円までの下落にはならず、何とか下げ止まったものの、本日のアジア市場では再び33500円を割れる動きとなっています。米10年債利回りも、昨日なんとかサポートされていた4%台を再び下抜けてきているわけで、まだまだその余波が残っているのかもしれません。
いずれにしても、本日は月一の一大イベントであるはずの米雇用統計を控えていますが、既にそれ以上のイベントが終わったばかりとあって、通常の市場環境ではないわけですが、ドル円については、昨日安値の145.20円を前に下げ止まりを見せている状況。本日も実質ゴトー日の週末とあって本邦実需の買いが断続的に観測されているほか、新NISA絡みの買いも同様に出ている模様。一方的なリスクオフの動きとはなっていないなかにあって、かなり神経質な動きが繰り返されています。
本日のロンドン為替市場でユーロ相場は昨日同様、トランプ米大統領による想定以上に厳しい相互関税を巡る動向に振らされる展開か。
米国の欧州連合(EU)に対する相互関税が20%に設定されたことに対し、欧州サイドは当然ながら強く反発している。フォンデアライエン欧州委員長は、交渉はするが妥協点を見出せなければ対抗措置を打ち出すと言及。クキエス独財務相も協議を前提としているものの、「EUは米国の関税に対して強力な対応が必要」との考えを示した。マクロン仏大統領に至っては「仏企業に対して対米投資を見合わせるよう促す」と強気だ。
3日の株式市場は、高い関税を課された欧州市場だけでなく、賦課した側の米市場も大きく崩れた。トランプ政権が態度を軟化させないようだと、貿易戦争は避けられないどころか激化するとの懸念から、米株の買い難さは継続してしまうだろう。一方、安全資産とされる国債に資金が向かっており、米・中長期債利回りは大幅に低下している。
ユーロドルは昨日、米金利低下を背景に1.11ドル半ばまで急騰した。しかしながら、株暴落でユーロ円に下落圧力が強まると、つれて1.10ドル前半まで下押し。ここからも同様に「ある時は金利に反応し、別な時は株に影響される展開」が続きそうだ。トランプショックによる乱高下は暫く終わりそうにない。
なお、3日には先月の欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨が公表された。次回会合(今月16-17日)については、入手するデータ次第で利下げと据え置きの両方が検討されていることが明らかにされた。大幅な金利低下の影響もあり、今月のECB理事会に対しては0.25%利下げ予想が優勢。4月から年末までの会合で、合計で3回の利下げを織り込む動きも進んでいる。
想定レンジ上限
・ユーロドル、3日高値1.1144ドル
・ユーロ円、3日高値163.04円
想定レンジ下限
・ユーロドル、日足一目均衡表・転換線1.0939ドル
・ユーロ円、90日移動平均線160.72円
ドル円:1ドル=145.85円(前営業日NY終値比▲0.21円)
ユーロ円:1ユーロ=161.66円(▲0.23円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1084ドル(△0.0032ドル)
日経平均株価:33780.58円(前営業日比▲955.35円)
東証株価指数(TOPIX):2482.06(▲86.55)
債券先物6月物:141.65円(△1.90円)
新発10年物国債利回り:1.160%(▲0.200%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
2月家計調査(消費支出)
前年同月比 ▲0.5% 0.8%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は方向感が定まらない。朝方に145.55円まで下げた後は週末の5・10日(ゴトー日)とあって仲値にかけて146.41円まで反発した。午後に入ると日経平均株価が大きく下落したことで145.30円まで再び下げたが、昨日安値の145.20円がサポートとして意識されると146円台を回復するなど一進一退の動きとなった。
・ユーロ円も方向感がなかった。ドル円の動きにつれる展開となり、160.96-162.00円の間で上下に振れたが、大きなバイアスはかからなかった。
・ユーロドルは小幅高。米長期金利の低下を背景にユーロ買い・ドル売りが強まり、一時1.1108ドルと日通し高値を付けた。もっとも、1.11ドル台での滞空時間は短く1.10ドル台半ばまで伸び悩んだ。
・日経平均株価は続落。昨年8月5日以来、約8カ月ぶりの安値を更新した。引き続き米相互関税を受けて投資家のリスクセンチメントが悪化しており、本日も幅広い銘柄が売られた。
・債券先物相場は3日続伸。米大統領が発表した相互関税を受けてリスクオフムードが一段と高まるなか、安全資産とされる債券需要が急速に高まっている。
東海東京インテリジェンス・ラボではドル円に関して、テクニカル的には3月11日につけた年初来安値の146円50銭台や、心理的な節目の145円が当面の下値ポイントになるとコメント。来週以降のドル円を占ううえで、3月の米雇用統計が発表される4日のドル円終値が重要と指摘している。ドル円が反発地合いで引ければ、来週以降の持ち直しに期待できると考えている。
■各社予想 3月米非農業部門雇用者数
JPモルガン +15.0万人
第一生命経済研究所 +14.8万人
ドイツ証券 +14.0万人
バークレイズ・キャピタル +12.5万人
BNPパリバ +14.5万人
HSBC +14.0万人
モルガン・スタンレー +13.0万人
市場コンセンサス +13.5万人
前回 +15.1万人
■各社予想 3月米失業率
JPモルガン 4.1%
第一生命経済研究所 4.2%
ドイツ証券 4.2%
バークレイズ・キャピタル 4.1%
BNPパリバ 4.1%
HSBC 4.2%
モルガン・スタンレー 4.1%
市場コンセンサス 4.1%
前回 4.1%
■各社予想 3月米平均時給(前月比)
JPモルガン +0.3%
第一生命経済研究所 +0.3%
ドイツ証券 +0.3%
バークレイズ・キャピタル +0.3%
BNPパリバ +0.3%
HSBC +0.3%
モルガン・スタンレー +0.3%
市場コンセンサス +0.3%
前回 +0.3%
共同通信が伝えたところによると、石破首相がトランプ米大統領との電話会談を模索しているようだ。
■各社予想 3月米平均時給(前年比)
JPモルガン +3.9%
第一生命経済研究所 +4.0%
バークレイズ・キャピタル +3.9%
BNPパリバ +3.9%
HSBC +4.0%
モルガン・スタンレー +3.9%
市場コンセンサス +3.9%
前回 +4.0%
ゴールドマン・サックスは最新リポートで、2025年の中国国内総生産(GDP)成長率が4.5%になると予想した。米国は1-3月期に中国からの輸入品に対して20%の関税を課しており、この影響を織り込んだ数字となるが、「相互関税」により成長率が1ポイント下押しされると予想。ただ、1-3月期のGDP成長率が予想を上回った可能性があり、景気対策の強化や一部関税の取り消しの可能性も考慮し、GDP成長率予想を据え置いた。一方、下振れリスクがあるとした。『明報』が4日伝えた。
ゴールドマンは、米国は今回、すべての国に対して関税を課すと発表したが、中国では近年、生産能力をベトナムやタイに移転する動きが続いており、移転先の国の税率は3-4割に上り、世界平均(2割)に比べて高い水準になっていると指摘。第三国を経由した米国への輸出に影響が出る可能性があるとした。
SMBC日興証券では、トランプ大統領の相互関税発表に関して、日本に対する24%の関税率はネガティブサプライズと捉えている。今後の各国の交渉によって関税措置の世界景気への影響は流動的となるものの、今回発表された内容であれば世界景気見通しが切り下がる公算が大きく、それに伴いTOPIXのリビジョン悪化も避けられないと考えている。外部環境の不透明感が続く限り、TOPIXや日経平均も下値を模索するとみており、過去のTOPIXの12カ月先予想PERの下限目安である12倍近辺が意識されれば、TOPIXで2400pt、日経平均で32500円近辺が下値メドと考えられるとコメントしている。
大阪6月限
日経225先物 33760 -1090 (-3.12%)
TOPIX先物 2475.5 -99.0 (-3.84%)
日経225先物(6月限)は前日比1090円安の3万3760円で取引を終了。寄り付きは3万3960円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万3895円)にサヤ寄せする形で売りが先行した。直後に3万3780円まで下げ幅を広げる場面もみられたが、現物の寄り付き後ほどなくして3万4360円まで持ち直した。もっとも、明確な底打ちが確認できたわけではなく、前場中盤にかけて再び3万4000円を割り込むと、3万3800円~3万4000円辺りでの推移を継続。
現物の後場の取引開始直後にレンジを下抜けると、後場中盤にかけて3万3300円まで売られ、前日につけた安値(3万3390円)を割り込んだ。ただし、その後はショートカバーが優勢となり、終了間際には3万3990円まで下落幅を縮める場面もあった。
日経225先物は売りが先行して始まったが、前場の時点では比較的落ち着いた値動きをみせていた。しかし、後場に入り下へのバイアスが強まったことで、チャート上では前日の長い下ヒゲを埋めてしまった。底打ち感が見極めにくい状況のなか、下向きで推移するボリンジャーバンドの-3σに沿った下げが継続する状況である。ただ、同バンドを明確に割り込む場面ではショートカバーが入りやすく、売られ過ぎが意識されやすい局面では短期的な押し目狙いのロングでの対応となりそうだ。
-3σはナイトセッションで3万3200円辺りまで下がってきている。週足では3万1780円辺りまで大きく低下してきたため、昨年8月5日につけた3万0170円が射程に入ってきた。一方で、-3σを大きく割り込むのは稀な状況でもある。バンドが拡大傾向をみせていることで楽観はできないものの、大きく割り込む局面では底入れを意識したスタンスにも向かわせそうである。
東証プライムの売買高は32億株を超えた。30億株を超えるのは昨年10月30日以来であり、日経平均株価が商いを伴って下落したことで、ポジション解消の動きは相当進んだと考えられよう。現在はニュートラルから若干ながらショートに傾いている状況とみられる。当面は関税政策を巡る米国と各国の協議の状況を見極めながらのトレードになろうが、貿易戦争の激化を織り込むような今回の下落を経て、底入れからのリバウンドのタイミングを探るスタンスとなりそうだ。
NT倍率は先物中心限月で13.63倍に上昇した。25日移動平均線(13.60倍)を上回ってきており、1月23日の14.54倍から4月1日の13.32倍までのトレンドに対するリバウンドが意識されてきそうだ。先行き不透明な状況のなかでポジション解消に向かわせる過程で、結果的にNTショートを巻き戻す形である。今後、底入れからリバウンドを強めてくるようなら、NTロングによるスプレッド狙いに向かわせよう。
手口面(6月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が4万7346枚、ソシエテジェネラル証券が3万0666枚、サスケハナ・ホンコンが1万1680枚、バークレイズ証券が5891枚、SBI証券が5095枚、JPモルガン証券が4534枚、モルガンMUFG証券が4246枚、ゴールドマン証券が4155枚、野村証券が2823枚、日産証券が2509枚だった。
TOPIX先物は、ソシエテジェネラル証券が5万5805枚、ABNクリアリン証券が4万6023枚、バークレイズ証券が1万2015枚、ゴールドマン証券が8266枚、JPモルガン証券が7487枚、モルガンMUFG証券が6476枚、サスケハナ・ホンコンが5849枚、ビーオブエー証券が5059枚、野村証券が4142枚、みずほ証券が3903枚だった。
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・西?M 徹氏
「トランプ関税」の新興国経済への影響は?
一部の国で深刻な悪影響も、米国の新興国への影響力低下が加速する「ダメ押し」となる可能性
米トランプ大統領は関税を材料にディール(取引)を持ち掛けてきた。中国にはすでに追加関税を賦課するとともに、メキシコに対しても関税賦課を辞さない姿勢をみせる。さらに、貿易赤字の解消に向け、付加価値税や為替政策、規制など非関税障壁を加味する形で関税率を測定し、相互関税を課す方針を示してきた。
2日にトランプ氏が公表した相互関税では、すべての国に一律で10%の関税を課した上で「最悪の違反者」に関税率を上乗せするとした。なかでも中国には追加関税率を34%とし、すでに賦課されている20%の追加関税と合わせ、追加関税は公約に掲げた60%に近い54%となる。直接的な影響はGDP比1.5pt程度となるなど、中国当局は全人代で今年の成長率目標を5%前後としたが、そのハードルは高まっている。
一方、ベトナムやインドは相互関税の回避に向けて協議を進める動きをみせてきた。しかし、米中摩擦の漁夫の利を最も受けたベトナムには46%、インドにも26%の相互関税を課す方針を示した。ベトナムへの直接的な影響がGDP比12pt弱と極めて高く、高い成長率目標を掲げる同国を巡る環境は極めて厳しい。インドは外需依存度が低く、直接的影響は限定的だが、国内産業保護などは困難になると予想される。
また、米中摩擦や世界経済の分断の背後で対内直接投資の受け入れや対米輸出を拡大させてきたアジア新興国にとっては、軒並み高い相互関税が賦課されている。相互関税の直接的影響は国ごとにまちまちだが、台湾や韓国など地政学リスクを抱える国では米国の関与を含めた地域情勢への悪影響が懸念される。ASEAN主要国にとっても対米輸出の重石となることで景気の足かせとなることは避けられない。
米トランプ政権との関係悪化が懸念される南アに対しても高い相互関税が課され、新興国のなかで劣後する景気の勢いは一段と弱まると見込まれる。一方、ウクライナ戦争を巡って重要な位置を占めるトルコのほか、米国にとって貿易黒字国である南米諸国に対しては軒並み関税率の評価が「甘目」に設定されている。その意味では、相互関税は貿易赤字の解消に加え、米国との関係が大きく影響していると捉えられる。
米トランプ政権が「例外なし」の対応をみせており、新興国にとって対米輸出のハードルが高まるなかで中国との関係深化を目指す動きが活発化すると予想される。また、アジア太平洋地域のRCEPやCPTPPへの参入意欲が高まることも考えられる。トランプ関税は世界、ひいては新興国に対する米国の影響力低下を一段と加速させる「ダメ押し」となっていく可能性に注意が必要になっていると捉えられる。
NYタイムは、一服感が漂っている米相互関税を嫌気したリスク回避のぶり返しが生じないかどうかを見定める展開か。ドル円は東京タイム午後に下押しを145.30円と、昨日安値145.20円を割り込まない水準にとどめた。足もとで昨日安値をつけてからの戻り高値146.52円を上抜け、146.55円まで上昇している。
リスク回避が再燃するきっかけになるとしたら、やはりNY序盤に控えている米雇用統計の結果だろう。昨日は米相互関税を受けたリスク回避に加えて、3月米企業の人員削減数が+204.8%と2020年5月以来の高水準を記録したことも重しとなりドル売りがさらに進む場面もあった。
本日公表の3月米雇用統計では、非農業部門雇用者数の事前予想が+13.5万人と、前回の+15.1万人より弱めな見方。まずは予想比での強弱に反応しそうだ。仮に弱い結果となり、いったん下げ渋った145.30円を下抜けると、下落加速から昨日安値145.20円も下抜け、さらに下落が進む連鎖が生じそうであるため注意が必要か。
・想定レンジ上限
ドル円の上値めどは、3月13日安値147.42円。
・想定レンジ下限
ドル円の下値めどは、昨年10月1日高値144.53円
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・田中 理氏
トランプ相互関税の影響は? マッドマンセオリーが世界を揺るがす
米国のトランプ政権が2日に発表した相互関税は約100年振りの高水準。20%強の実効関税率は金融市場の想定を遥かに上回り、世界経済のリセッション・リスクを高める。今後の報復関税や軽減措置の有無で最終的な関税の着地点は変わってくるが、米国の物価上昇と景気下振れ、米国以外の国・地域の景気と物価の下振れが避けられない。
トランプ米大統領はこのほど、北京字節跳動科技(バイトダンス)による動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の米国事業の売却を中国政府が承認した場合、対中関税率を引き下げる可能性を示唆した。『信報』が4日伝えた。
トランプ氏は2日、貿易相手国に一律最低10%の関税を課す「相互関税」の詳細を発表。中国に対しては34%の相互関税を課し、既に発動している20%の追加関税と合わせて計54%となる。
一方、トランプ氏は、複数の企業などが関わっているTikTokの取引が成立に近づいていると明らかにした。中国が取引を承認すれば、対中関税率の引き下げに同意する可能性があるとした。
TikTokは4月5日の期限までに米国事業を売却する必要があり、売却しない場合は禁止命令に直面する恐れがある。
大和総研では、4月2日に米トランプ大統領が「相互関税」の詳細を発表したことを受けて、日本への影響について考察している。日本に対する相互関税率は24%で、5日から段階的に実施される。日本の実質GDPは短期的には0.6%(2025年)、中期的には1.8%(2029年)程度下押しされると大和総研では試算。また、「トランプ関税」全体では短期で0.7%、中期では2.9%程度、実質GDPが下押しされると試算している。
今晩は上値の重い展開か。昨日はトランプ関税が予想されたより厳しいものとなったことで、ショック安となった。トランプ米大統領は前日引け後、広範な国に対して一律10%の関税を課すとし、中国、日本、韓国、EUなどにそれ以上の高率関税を課すと表明したことで、貿易戦争激化や景気後退懸念が強まった。ダウ平均が1679.39ドル安(-3.98%)S&P500が4.84%安とともに2020年6月以来の大幅安を記録し、ナスダック総合は5.97%安と2020年3月以来の急落となった。S&P500は2月に付けた史上最高値からの下落率が12.17%となり、再び「調整相場」に突入し、ナスダック総合は最高値からの下落率17.96%に拡大した。小型株指数のラッセル2000は高値から21.79%安となり、「弱気相場」入りとなった。週初来ではダウ平均が2.50%安、S&P500が3.30%安となり、ナスダック総合は4.46%安となった。
今晩の取引ではトランプ関税による物価上昇懸念、景気後退懸念、貿易戦争激化懸念などが引き続き重しとなり上値の重い展開か。トランプ大統領は貿易交渉に応じるとし、交渉の余地はないとするホワイトハウス高官と矛盾する発言をしているものの、関税政策を巡る不透明感が引き続き嫌気されそうだ。経済指標では注目の米3月雇用統計が寄り前に発表予定で、非農業部門雇用者数や失業率などが注目される。また、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演も予定されており、景気見通しや利下げを巡る発言に要注目となる。
今晩の米経済指標は3月雇用統計(非農業部門雇用者数・失業率・平均賃金)など。要人発言はパウエルFRB議長のほか、バーFRB理事、ウォラーFRB理事など。主要な企業の決算発表はなし。
韓国の憲法裁で、尹大統領の弾劾訴追は妥当と判断された。これにより、尹大統領は失職し、60日以内に大統領選挙が行われる予定。
中国は、米製品に34%の追加関税賦課の報復を行うもよう。
非農業部門雇用者数増減
2025/03 +22.8万人
2025/02 +11.7万人 (前月発表値 +15.1万人)
失業率
2025/03 4.2%
2025/02 4.1% (前月発表値 4.1%)
時間給(前月比)
2025/03 +0.3%
2025/02 +0.2% (前月発表値 +0.3%)
時間給(前年比)
2025/03 +3.8%
2025/02 +4.0% (前月発表値 +4.0%)
労働参加率
2025/03 62.5%
2025/02 62.4% (前月発表値 62.4%)
日経平均株価は大幅続落。34300円付近で寄り付いた後、1000円程度の値幅で下値模索の展開となった。前日同様に長い下ヒゲを形成したが、34000円を割り込んで取引を終えた。
RSI(9日)は前日の13.1%→10.8%(4/4)に低下。ボリンジャーバンド(20日線)ではマイナス3σ付近まで突っ込んで戻る格好となっており、前日同様に場中の戻りに違和感はない。目先的には自律反発も予想されるが、5日移動平均線(35096円 4/4)や10日移動平均線(36382円 同)が早々に上値抵抗になるといったイメージは続く。短期波動は下落継続との判断となり、押し目処を探る展開が続く公算が大きい。
一方、長期波動では、2020年3月安値(16358円)を起点に昨年8月急落時につけた安値(31156円)を通る上昇トレンドライン付近まで下げたことになる。トレンドラインが当面の下値フシとなる場合、短期的な値固めで底打ちを確認した後は反発基調を強めていく展開が予想される。
上値メドは、心理的節目の34000円、5日移動平均線、4/2安値(35426円)、心理的節目の36000円、10日移動平均線、3/28安値(36864円)などがある。下値メドは、心理的節目の33500円や33000円、昨年3/6安値(32077円)、昨年8/5安値(31156円)などがある。
(4日終値:5日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=147.28円(4日15時時点比△1.43円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=161.23円(▲0.43円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0947ドル(▲0.0137ドル)
FTSE100種総合株価指数:8054.98(前営業日比▲419.76)
ドイツ株式指数(DAX):20641.72(▲1075.67)
10年物英国債利回り:4.448%(▲0.072%)
10年物独国債利回り:2.578%(▲0.073%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
2月独製造業新規受注
(前月比) 0.0% ▲5.5%・改
3月英建設業購買担当者景気指数(PMI)
46.4 44.6
(各市場の動き)
・ドル円は底堅い動き。トランプ米政権の「相互関税」に伴う世界経済の先行き不透明感が高まる中、中国が対抗措置として米国からのすべての輸入品に34%の追加関税を課すと発表。報復の連鎖が世界経済の悪化につながるとの警戒から、欧米株相場が急落するとリスク回避の円買いが優勢となった。米長期金利の指標となる米10年債利回りが3.8564%前後と昨年10月以来の低水準を記録したことも相場の重しとなり、20時過ぎに一時144.56円と昨年10月2日以来約半年ぶりの安値を付けた。
ただ、NYの取引時間帯に入ると買い戻しが優勢に。米労働省が発表した3月米雇用統計で非農業部門雇用者数が22.8万人増と予想の13.5万人増を上回ったことが分かると買い戻しが先行。米株式市場でダウ平均が一時1900ドル超下落すると、リスク・オフのドル買いも活発化し、3時過ぎに一時147.43円と日通し高値を付けた。主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時103.17まで上昇した。
トランプ米大統領はこの日、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長に対し利下げを実施するよう求めたものの、パウエル氏は講演で「トランプ米政権の関税政策が経済に与える影響は予想を上回る可能性が高い」「高インフレと経済成長率の鈍化にリスクが高まっている」と述べ、今後の政策運営については「適切な方向性について結論を出すには時期尚早」と明言を避けた。また、「選挙で選ばれた公職者のコメントに反応したくない」としながらも、「急ぐ必要はないと感じている。時間はある」と話し、利下げを急がない姿勢を改めて示した。この発言もドル買いを誘った要因となった。
・ユーロドルは頭が重かった。中国が米国の相互関税に対抗した報復措置を発表したことで貿易戦争への懸念が高まった。米長期金利の低下に伴うユーロ買い・ドル売りが優勢になると、21時30分前に一時1.1089ドル付近まで値を上げた。
ただ、アジア時間に付けた日通し高値1.1108ドルや前日の高値1.1144ドルが目先レジスタンスとして意識されると上値が重くなった。欧米株価の急落でリスク・オフのドル買いも優勢となり、2時過ぎには一時1.0925ドルと日通し安値を付けた。
なお、欧州を代表する株価指数のひとつユーロ・ストックス50指数は一時5%を超える急落となった。
・ユーロ円は下値が堅かった。貿易摩擦の激化が世界経済を下押しするとの警戒から世界的に株価が下落すると、投資家がリスク回避姿勢を強め円買い・ユーロ売りが優勢に。24時前に一時159.03円と3月11日以来の安値を更新した。ただ、ドル円が急速に持ち直すとユーロ円にも買い戻しが入り、一時161.41円付近まで下値を切り上げた。
・ロンドン株式相場は大幅に3日続落。トランプ米政権の「相互関税」に伴う世界経済の先行き不透明感が高まる中、投資家がリスク回避姿勢を強め株売りが膨らんだ。中国が米相互関税への報復措置を発表したことも投資家心理の悪化につながった。リオ・ティントやアングロ・アメリカンなど素材株が売られたほか、BPやシェルなどエネルギー株が値下がりした。
・フランクフルト株式相場は大幅に3日続落。トランプ米政権の「相互関税」に伴う世界経済の先行き不透明感が高まる中、売りが先行。中国が米相互関税への報復措置を発表すると投資家心理がさらに悪化し、売りが加速した。フランスの株価指数は4.26%安、イタリアは6.53%安、スペインは5.83%安となるなど、欧州の主要な株式相場は軒並み急落した。
・欧州債券相場は上昇。中国が米相互関税に対する報復措置を発表すると、貿易摩擦の激化が世界経済を下押しするとの懸念から投資家がリスク回避姿勢を強め、相対的な安全資産とされる国債に買いが入った。
(4日終値)
ドル・円相場:1ドル=146.93円(前営業日比△0.87円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=160.91円(▲0.52円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0956ドル(▲0.0096ドル)
ダウ工業株30種平均:38314.86ドル(▲2231.07ドル)
ナスダック総合株価指数:15587.79(▲962.82)
10年物米国債利回り:4.00%(▲0.03%)
WTI原油先物5月限:1バレル=61.99ドル(▲4.96ドル)
金先物6月限:1トロイオンス=3035.4ドル(▲86.3ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
3月米雇用統計
失業率 4.2% 4.1%
非農業部門雇用者数変化
22.8万人 11.7万人・改
平均時給
(前月比) 0.3% 0.2%・改
(前年比) 3.8% 4.0%
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は4日ぶりに反発。トランプ米政権の「相互関税」に伴う世界経済の先行き不透明感が高まる中、中国が対抗措置を発表。報復の連鎖が世界経済の悪化につながるとの警戒から、欧米株相場が急落するとリスク回避の円買いが優勢となった。米長期金利の指標となる米10年債利回りが3.8564%前後と昨年10月以来の低水準を記録したことも相場の重しとなり、20時過ぎに一時144.56円と昨年10月2日以来約半年ぶりの安値を付けた。
ただ、売り一巡後は買い戻しが優勢に。米労働省が発表した3月米雇用統計で非農業部門雇用者数が22.8万人増と予想の13.5万人増を上回ったことが分かると全般ドル買いが進行。ダウ平均が2200ドル超下落するなど、米国株相場が急落するとリスク・オフのドル買いも活発化し、3時過ぎに一時147.43円と日通し高値を付けた。
トランプ米大統領はこの日、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長に対し利下げを実施するよう求めたものの、パウエル氏は講演で「トランプ米政権の関税政策が経済に与える影響は予想を上回る可能性が高い」「高インフレと経済成長率の鈍化にリスクが高まっている」と述べ、今後の政策運営については「適切な方向性について結論を出すには時期尚早」と明言を避けた。また、「選挙で選ばれた公職者のコメントに反応したくない」としながらも、「急ぐ必要はないと感じている。時間はある」と話し、利下げを急がない姿勢を改めて示した。この発言もドル買いを誘った要因となった。
・ユーロドルは3日ぶりに反落。中国が米国の相互関税に対抗した報復措置を発表すると、米中の貿易摩擦激化に伴う景気減速懸念が増大。米長期金利の低下に伴うユーロ買い・ドル売りが優勢となり、21時30分前に一時1.1089ドル付近まで値を上げた。
ただ、アジア時間に付けた日通し高値1.1108ドルや前日の高値1.1144ドルが目先レジスタンスとして意識されると失速した。欧米株価の急落でリスク・オフのドル買いも優勢となり、2時過ぎに一時1.0925ドルと日通し安値を更新した。
なお、主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時103.18まで上昇した。
・ユーロ円は続落したものの、下値は堅かった。貿易摩擦の激化が世界経済を下押しするとの警戒から世界的に株価が下落すると、投資家がリスク回避姿勢を強め円買い・ユーロ売りが先行。24時前に一時159.03円と3月11日以来の安値を更新した。ただ、ドル円が急速に持ち直すとユーロ円にも買い戻しが入り、一時161.41円付近まで下げ幅を縮めた。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は大幅続落し、昨年5月30日以来の安値となった。中国が米相互関税への報復措置を発表すると、米中の貿易摩擦激化に伴って世界経済が深刻な打撃を受けるとの懸念が増大。投資家がリスク回避姿勢を強め、株売りが膨らんだ。米株の変動性指数(VIX、恐怖指数)が一時45.56と昨年8月以来の高値まで急伸したことで、「リスク回避の売りが加速した」との声も聞かれた。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も大幅に続落し、昨年4月22日以来約1年ぶりの安値となった。
・米国債券相場で長期ゾーンは6日続伸。2日のトランプ米大統領による「相互関税」の発表をきっかけとした世界同時株安の流れに歯止めがかからず、相対的に安全資産とされる米国債への買いが続いた。利回りは一時3.8564%前後と昨年10月以来の低水準を付けた。
・原油先物相場は大幅続落。中国政府は相互関税に対する報復措置として、米国からの全輸入品に34%の関税を課すと発表。貿易戦争の激化による景気減速で石油需要低迷への懸念が広がった。また、石油輸出国機構(OPEC)加盟・非加盟の産油国で構成される「OPECプラス」が予想以上の大幅増産を決めたことも引き続き相場の重しとなり、一時は60.45ドルと2021年4月以来の安値をつける場面も見られた。
・金先物相場は続落。中国政府は米国の相互関税に対して報復関税を課すと発表。貿易戦争の激化による景気減速懸念が強まり、世界的に株価が急落したため、金は連日で換金目的の売りに押された。
4日05:36 トランプ米大統領
「関税に対するマーケットの反応は予想通り」
「何か素晴らしい提案があれば関税交渉に応じる」
「金利の低下が望ましい」
4日22:33
「中国は間違った対応をした。パニックに陥った」
「それは許されないことだ」
「ベトナムのラム氏との電話会談は有意義だった」
「ベトナムは関税をゼロに引き下げたいと考えている」
「近い将来ラム氏と会談できることを楽しみにしている」
「パウエルFRB議長が利下げするには絶好のタイミング」
5日02:41
「TIKTOKの売却期限を75日延期する」
4日08:49 加藤財務相
「為替についてはコメントしない」
「(米国の関税について)貿易体制などに大きな影響を及ぼしかねない」
「(株価について)上がったり下がったりするもの」
4日09:27 内田日銀副総裁
「見通しが実現するかは毎回の会合で点検する」
「米国の関税措置は物価への影響は上下様々に考えられる」
「経済・物価の見通し実現していけば、政策金利引き上げ、緩和度合い調整していく」
4日10:11 植田日銀総裁
「米関税の影響、世界経済や日本経済に下押し圧力」
「米関税の影響、物価には上下様々なメカニズム考えられ一概に評価できない」
「米関税の影響を十分に注視し、金融政策決定に役立てていきたい」
「外部環境が大きく変化すれば見通しも変化、適切に政策対応」
「コメ価格、前年比でみた上昇率は次第に低下する可能性が高い」
「食品価格の上昇は、天候以外の要因が関係している可能性」
「食品価格の上昇は、消費マインド、予想物価上昇率への影響を留意」
4日17:01 コテキ・ポーランド中銀審議委員
「来月の会合で0.50%利下げは可能」
4日18:12 石破首相
「(米関税対応)なるべく早期に対策本部設置したい」
「トランプ米大統領と直接話すのがいいが、まずは電話会談を模索している」
「関税が経済に与える影響は予想を上回る可能性が高い」
「関税がインフレに及ぼす影響は長期化する可能性がある」
「長期インフレの指標は引き続き安定している」
「見通しは非常に不確実で、失業率の上昇とインフレ上昇のリスクが高まっている」
「金融政策の適切な方向性を話すには時期尚早」
「FRBはインフレ期待の抑制維持の責務を負っている」
「我々の責務は一時的な物価上昇が継続的なインフレ問題とはならないようにすること」
「選挙で選ばれた公職者のコメントに反応したくない」
「急ぐ必要はないと感じている。時間はある」
「政策調整の前に様子を見るつもり」
※時間は日本時間
7日
○08:30 ◇ 2月毎月勤労統計(現金給与総額)
○08:50 ◇ 3月外貨準備高
○14:00 ◇ 2月景気動向指数速報値
○14:00 ◇ 日銀地域経済報告(さくらレポート)
8日
○08:50 ◎ 2月国際収支速報
○14:00 ◇ 3月景気ウオッチャー調査
9日
○14:00 ◇ 3月消費動向調査(消費者態度指数 一般世帯)
○15:15 ◎ 植田和男日銀総裁、あいさつ
10日
○08:50 ◇ 3月企業物価指数
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
11日
○08:50 ◇ 3月マネーストックM2
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
6日
○豪州、NZが冬時間に移行
7日
○15:00 ◎ 2月独鉱工業生産
○15:00 ◇ 2月独貿易収支
○18:00 ◎ 2月ユーロ圏小売売上高
○18:45 ◎ チポローネ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○8日04:00 ◇ 2月米消費者信用残高
8日
○09:30 ◇ 4月豪ウエストパック消費者信頼感指数
○10:30 ◇ 3月豪NAB企業景況感指数
○15:45 ◇ 2月仏貿易収支
○15:45 ◇ 2月仏経常収支
○22:00 ◎ ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○23:00 ◇ 3月カナダIvey購買部協会景気指数
○9日02:00 ◎ 米財務省、3年債入札
9日
○11:00 ☆ ニュージーランド準備銀行(RBNZ)、政策金利発表
○13:30 ☆ インド中銀、金融政策決定会合
○16:35 ◎ クノット・オランダ中銀総裁、講演
○20:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○21:00 ◎ 2月ブラジル小売売上高
○21:00 ◎ 3月メキシコ消費者物価指数(CPI)
○21:30 ◎ チポローネECB専務理事、講演
○23:00 ◇ 2月米卸売売上高
○23:30 ◇ EIA週間在庫統計
○24:00 ◎ バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○10日01:00 ☆ 10-12月期ロシア国内総生産(GDP)速報値
○10日02:00 ◎ 米財務省、10年債入札
○10日03:00 ☆ 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(3月18日-19日分)
○08:01 ◇ 3月英王立公認不動産鑑定士協会(RICS)住宅価格
○10:30 ◎ 3月中国CPI
○10:30 ◎ 3月中国生産者物価指数(PPI)
○15:00 ◎ 3月ノルウェーCPI
○16:00 ◇ 2月トルコ鉱工業生産
○21:30 ◇ 2月カナダ住宅建設許可件数
○21:30 ☆ 3月米CPI
☆ エネルギーと食品を除くコア指数
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数
○22:00 ◎ ブリーデン英中銀(BOE)副総裁、講演
○22:30 ◎ ローガン米ダラス連銀総裁、あいさつ
○11日01:00 ◎ グールズビー米シカゴ連銀総裁、講演
○11日01:30 ◎ ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演
○11日02:00 ◎ 米財務省、30年債入札
○11日03:00 ◎ 3月米月次財政収支
○インド(ジャイナ教マハビラ生誕日)、休場
11日
○15:00 ◎ 3月独CPI改定値
○15:00 ☆ 2月英GDP
○15:00 ◎ 2月英鉱工業生産/製造業生産高
○15:00 ◇ 2月英商品貿易収支/英貿易収支
○16:00 ◇ 3月スイスSECO消費者信頼感指数
○21:00 ◎ 3月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA)
○21:00 ◇ 2月メキシコ鉱工業生産
○21:30 ◎ 3月米卸売物価指数(PPI)
◎ 食品とエネルギーを除くコア指数
○23:00 ◎ ムサレム米セントルイス連銀総裁、講演
○23:00 ◎ 4月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値)
○24:00 ◎ ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演
○12日01:00 ◎ 3月ロシアCPI
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
◆豪ドル、RBA声明文はややハト派な内容に
◆NZドル、RBNZ総裁代行の下での金融政策に注目
◆ZAR、政局不安と米相互関税が重し
予想レンジ
豪ドル円 90.00-95.00円
南ア・ランド円 7.50-8.00円
4月7日週の展望
豪ドルは上値の重い動きとなりそうだ。注目の米相互関税で豪州の関税率は10%となった。相対的には低い関税率となったが、主要国が軒並み想定を上回る関税率となっており、世界的な景気減速や貿易紛争激化への懸念が高まっている。来週も関税絡みの報道に振らされる可能性が高いが、基本的にはリスク回避の流れが継続すると予想され、豪ドル相場の上値を抑制するだろう。
なお、豪準備銀行(RBA)は今週の金融政策理事会で市場予想通りに政策金利を4.10%で据え置いたが、声明文で前回までの「追加利下げに慎重」との文言を削除するなど、ややハト派的な姿勢を示した。同時にRBAは「インフレ率が持続的に目標レンジの中間点に戻ることを確信する必要がある」との見解も示しており、注目は30日公表の1-3月期消費者物価指数(CPI)に移った格好だ。市場では同指数が上振れない限り、5月に追加利下げが実施される可能性が高いとの見方が優勢。金利先物市場でもすでに5月理事会での25bp利下げをほぼ100%織り込んでおり、豪金利の先安観が今後も豪ドルの重しとなる可能性はありそうだ。
隣国のニュージーランド(NZ)では9日にNZ準備銀行(RBNZ)の金融政策が控えている。RBNZでは、オア総裁が3月5日に3年の任期を残して突然の辞任を発表。当初は今月から臨時総裁を置くとしていたが、臨時総裁は結局任命されず、当面はホークスビーRBNZ副総裁が総裁代行として金融政策のかじ取りを担うことになった。現副総裁が代行するため金融政策方針に大きな変更はない見込みで、市場では25bpの追加利下げが実施されるとの予想になっている。オア前総裁は前回(2月19日)の金融政策決定会合時に「4月と5月に25bpの引き下げを想定」「年末までに政策金利は3%程度になると予想」などと言及していたが、ホークスビー総裁代行の下でも見通しが維持されているか確認しておきたい。
南アフリカ・ランド(ZAR)は戻りの鈍い動きが予想される。市場全般に広がるリスク回避の流れがZARの重しになる可能性が高いほか、南アフリカに対する米国の相互関税率が30%と高い水準に設定されたことも懸念材料だ。また、国内の政治情勢にも注意が必要。今年度の予算案を巡って、国民統一政府(GNU)で連立を組むアフリカ民族会議(ANC)と民主同盟(DA)の対立は一向に改善されず、DAはついに付加価値税(VAT)引き上げを阻止する書類を裁判所に提出。DAのGNU離脱への懸念も高まっており、政局不安がZAR相場を押し下げる可能性もあるだろう。
3月31日週の回顧
豪ドルは対ドルで強含んだ一方、対円では上値の重い動きとなった。2日にトランプ米大統領が相互関税の詳細を明らかにすると為替市場ではドル売りが優勢に。豪ドルも対ドルでは買いが入ったが、対円ではリスク回避の流れが強まった影響から売りに押された。
ZARは対ドル・対円でいずれもさえない動き。南アで政情不安が高まっているほか、米相互関税で高関税率が課されたことも重しとなり、ZAR円は昨年8月以来の安値水準となる7.69円まで売りに押された。
◆関税相場の継続で、相場全体に神経質な動き
◆ポンド、過去15年で4月は最高の月間平均リターンを示す
◆加ドル、米・加関税合戦が激化すれば売り圧力に
予想レンジ
ポンド円 188.00-195.00円
加ドル円 102.00-106.00円
4月7日週の展望
今週発表されたトランプ米政権の相互関税は市場の予想以上に攻撃的なものになり、市場は動揺している。米政権の関税強化を受けて各国がどのような対応を示すかが注目される。貿易戦争がエスカレードすることが警戒されるなか、投資家のリスクオフの動きが続く可能性がある。
来週、英国内では2月のGDP・鉱工業生産・製造業生産指数などの発表が予定されている。イングランド銀行(英中銀、BOE)は、引き続き物価の高止まりに警戒感を示しているが、2月の消費者物価指数(CPI)が予想比下振れしたことや米政権の関税強化で、市場の5月会合での利下げ確率は8割弱まで上昇している。BOEは雇用減少のリスクが大きいのか、高水準のインフレが継続するのかとの難しい判断に直面しており、経済指標を丁寧に点検していくことになる。なお、トランプ関税は英経済の先行きに対する不透明感を強めているが、相互関税が欧州連合(EU)は20%になったのに対し、英国は一律の10%にとどまり、比較的貿易関係が良好なことが示された。今のところ、トランプ米政権の関税強化に対し英政府は対抗措置を急がない方針を示している。
ポンドは過去15年で4月は最高の月間平均リターンを示している。今年も4月はトランプ関税を受けて市場がドル売りで反応していることも追い風に、堅調な動きとなるのか見極めたい。
加ドルは、国内では3月Ivey購買部協会指数や2月住宅建設許可件数が予定されている程度で注目度の高い指標発表はなく、引き続き関税をめぐる動きに左右されやすい。カナダは、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)により、現時点では相互関税の対象外となったが、これまで既に「フェンタニル関税」や鉄鋼やアルミへの関税が課されている上、3日からは自動車への関税が発効。貿易で米国と結びつきが強いカナダは大きな影響を受けている。
トランプ関税のあおりを受けて、カナダの鉄鋼・アルミニウム業界で多数の従業員が一時解雇されている。関税次第では、こういった事態が単なる始まりにすぎず、その影響が拡大する可能性が高い。また、トランプ米大統領の「カナダは米国の51番目の州になるべき」との発言やカナダへの関税政策が嫌気され、国産品購入運動が新たな懸念要素として浮上しつつある。今のところ、予想以上のトランプ関税に円買い・ドル売りが目立っているが、カーニー加首相は「対抗策で関税と戦う」としており、関税合戦が激化すれば加ドルは対ドルでも売り圧力が強まることになりそうだ。
3月31日週の回顧
今週の注目材料であったトランプ米政権の相互関税は大方の予想をはるかに上回る関税率となった。「相互関税砲」の発射は世界中の株式市場の急落につながり、リスクオフの円買いが加速。ポンド円は190円後半、加ドル円は103円前半に押し戻された。
米長期金利の大幅低下に伴ったドル売りで、ポンドドルは一時昨年10月以来の1.32ドル台回復を果たし、ドル/加ドルは1.40加ドル前半まで加ドルの買い戻しが進んだ。
◆ドル円、米3月CPIと4月ミシガン大学インフレ見通しに注目
◆植田日銀総裁の発言、3月FOMC議事要旨、米国3月財政収支にも注意
◆ユーロドル、欧米貿易戦争の可能性や利下げ観測から上値は重い
予想レンジ
ドル円 143.00-148.00円
ユーロドル 1.0800-1.1200ドル
4月7日週の展望
ドル円は、トランプ米政権による対日「相互関税」24%と自動車関税25%の発動を受けたリスク回避のドル売り・円買いが続くことが予想される。
9日に公表される米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(3月18‐19日分)では、トランプ関税による物価上昇懸念と景気減速懸念という関税スタグフレーションへの警戒感の背景を見極めることになる。また、米議会での債務上限に関する議論が難航していることで、間接的な利下げとなる米国債のランオフ(償還に伴う保有証券減少)の減額が決定されたが、債務上限が引き上げられるまでの一時的な措置なのか否かにも注目しておきたい。
また、10日に発表される米3月コア消費者物価指数(CPI)は、前年比3.0%と予想されており、2月の3.1%からの伸び率鈍化が見込まれている。予想通りならば、FOMCでの早期利下げ観測が高まることになる。さらに、11日に発表される4月ミシガン大学消費者信頼感指数や1年先のインフレ予想などでは、関税スタグフレーションの可能性を探ることになる。
3月の米財政収支では、過去最大規模を更新している2025会計年度(24年10月-25年9月)の2月までの累計赤字拡大傾向が続いているのか、それとも政府効率化省(DOGE)による連邦政府の人員削減や支出削減への取り組みの効果が表れるのか注目しておきたい。
日本では、9日に植田日銀総裁の挨拶が予定されている。トランプ相互関税の対日税率が24%だったことを受けて、日銀の追加利上げの時期への言及に注意。3月の日銀金融政策決定会合後の記者会見では、「4月初めには通商政策の内容がある程度でてくる。次回の決定会合ないし展望リポートの中である程度消化できる」と述べている。
ユーロドルは、欧州連合(EU)のトランプ相互関税率が20%だったことで、報復関税による欧米貿易戦争となる可能性があるほか、17日に開催される欧州中央銀行(ECB)理事会での6会合連続での利下げ観測の高まりなどから、上値が重い展開を予想する。また、2月のユーロ圏小売売上高や独鉱工業生産などが悪化していた場合は、利下げ観測を高めることになるため、注目しておきたい。
3月31日週の回顧
ドル円は、トランプ米大統領が公表した対日「相互関税」の税率が予想を上回る24%だったことで、150.49円から一時145.20円まで急落した。米10年債利回りは、質への逃避から3.9966%まで低下。世界同時株安の「暗黒の木曜日」の様相を呈した。フェドウオッチによる年内のFOMCでの利下げ回数も4回まで織込む状況となっている。ユーロドルは、米相互関税発表後の米長期金利の急低下を受けて、一時1.1144ドルまで急伸している。
4日の日経平均は大幅続落。終値は955円安の33780円。「相互関税」の詳細発表を受けた米国株が大幅安となり、為替市場では円高が急速に進んだことが嫌気されて、寄り付きから400円を超える下落。売買代金上位銘柄が派手に売られ、前場のうちに下げ幅を900円超に広げた。
後場に入って早々に4桁安になると、下方向に勢いがついて下げ幅を1400円超に拡大。33200円台に入ったところで売りが一巡すると、14時辺りからは値を戻した。節目の34000円近辺では改めての売りに押され、900円を超える下落で取引を終了。新興銘柄が強烈に売られており、グロース250指数が4%を超える下落となった。
東証プライムの売買代金は概算で6兆8400億円と商いは膨らんだ。業種別では陸運、食料品、不動産の3業種のみが上昇。一方、銀行、非鉄金属、石油・石炭などが大幅に下落した。1Qは営業減益ながら、固定資産売却益の計上により大幅な最終増益となったキユーピー<2809.T>が急伸。半面、防衛関連が大きく下げており、中でも川崎重工業<7012.T>が11.8%安と値を崩した。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり140/値下がり1489。米長期金利の急低下を手がかりに、三井不動産や東急不動産など不動産株が上昇。内需でディフェンシブ性があるという点で通信株に資金が向かっており、KDDIが4%を超える上昇となった。JR各社や小田急など鉄道株が前日に続いて全般堅調。ニトリHDや神戸物産が円高メリット銘柄として買いを集めた。福岡証取への重複上場に伴う記念優待の実施が好感されたグッドコムアセットがストップ高となった。
一方、三井住友が8.0%安、三菱UFJが8.5%安、みずほFGが11.2%安とメガバンク3行が急落。日銀の追加利上げが難しくなるとの見方から、見切り売りが加速した。米国でアップルが9%を超える下落となっており、太陽誘電、TDK、村田製作所など電子部品株が軒並み大幅安。円高進行を受けてトヨタ、ホンダ、日産自など自動車株への売りが続いた。半導体株や電線株なども弱く、フジクラはストップ安まで売られる場面があった。
今週、トランプ大統領が発表した「相互関税」の詳細に関する内容は、世界で驚きをもって受け止められた。日本の適用率24%に対する理由付けは乱暴といった見方もあり、これが常態化するようだと日本経済にも大きな打撃となる。当然、日本でも政治問題になっており、各国がどう動くか、それに対してトランプ政権がどう対応するかが注目される。
関税の話は企業業績にダイレクトに響いてくるだけに、この問題を脇に置いて他の理由(例えば米国で減税の話が出てくるなど)で地合いが急改善することは期待しづらい。どこかの国および地域が米国と上手に交渉して、トランプ政権から譲歩を引き出すことができれば、買い戻しを誘う材料になる。ただ、交渉に失敗して報復関税の応酬となった場合には、余計に関税リスクが意識される。巨大な米国にどう立ち向かうか、各国の政治家の手腕が問われる。
【来週の見通し】
不安定な展開か。米国の「相互関税」を受けて世界的に株式市場が崩れたことから、弱材料に敏感となりやすい局面。先行き不透明感が強まる中、直近の下げに対するリバウンドが入ったとしても、戻り売りが上値を抑えるだろう。米国では10日に3月の消費者物価指数(CPI)が発表される。強めの結果となった場合、景気が悪化する中で物価が上昇するスタグフレーションへの懸念が再燃し、一段とリスクオフ色が強まる可能性がある点には注意を要する。押し目買いが入る日もあるとみるが、下に値幅が出やすくなっているだけに、下落日のインパクトが大きくなることで、週間では水準を切り下げると予想する。
【今週を振り返る】
大幅安となった。米国でスタグフレーションに対する警戒が高まったことから、週明け3月31日の日経平均は1502円安と4桁の下落。4月に入り1日と2日は上昇したが、3日は989円安と大幅下落。トランプ大統領が「相互関税」の詳細を発表し、日本には合計で24%の追加関税を課すとしたほか、他地域にも厳しめの関税率を提示したことから、リスクオフの様相が強まった。3日の米国株もこれを嫌気して大幅安。円高進行も逆風となる中、4日は主力株が総崩れとなって955円安と連日の大幅下落となった。日経平均は週間では約3339円の下落となり、下落率は9%。週足では2週連続で陰線を形成した。
今週の日経225先物は、トランプ政権の「相互関税」を巡る各国の対応を見極めながらの神経質な相場展開になりそうだ。中国政府は4日、米国が中国からの輸入品に34%の関税を上乗せしたことへの対抗措置として、米国からの全ての輸入品に34%の追加関税をかけると発表した。さらに、レアアースなどの輸出規制の強化なども決めた。貿易戦争の激化による世界的な景気後退リスクが、投資家のセンチメントを冷ますことになろう。
4日の米国市場では、中国の報復関税による景気・企業業績の悪化が警戒され、主要な株価指数は軒並み5%を超す大幅下落となった。いずれも昨年8月の安値を大きく割り込んでおり、NYダウは4万ドルの大台割れで、昨年5月下旬以来、約10カ月ぶりの安値となった。また、トランプ大統領が3日夕、半導体と医薬品に対する関税引き上げを近く発表する考えを示したことで、半導体SOX指数の下落率は7%を超えた。JPモルガン・チェースでは、米国と世界が景気後退入りする確率を従来の40%から60%へ引き上げている。
トランプ大統領が発表した相互関税の内容は、世界で驚きをもって受け止められた。日本の適用率24%は予想を超える最悪シナリオといった見方もあり、日経225先物は週間で3250円下落した。4日の取引終了後のナイトセッションは日中比1540円安の3万2220円で終えており、一時3万1970円まで売られる場面もあった。今週も週初から波乱の展開が見込まれ、昨年8月5日につけた安値である3万0370円が射程に入ってくるとともに、23年5月以来の3万円割れが意識されてくる可能性がありそうだ。
一方で、今後は各国政府間の協議に関心が集まり、いずれかの国が米国から譲歩を引き出すことができれば、買い戻しが意識されるだろう。国内では石破首相が今週にもトランプ大統領と電話協議を行うとみられており、その結果が注目されよう。もっとも、目先底をつけてくる可能性はあるものの、地合いが急改善することは期待しづらい。
日経225先物はボリンジャーバンドの-3σ(3万2670円)を大きく割り込んでおり、売られ過ぎが意識される状況である。ただし、バンドが拡大傾向にあるなか下向きで推移する-3σに沿った調整を続けていることで、押し目狙いのタイミングが見極めにくい。週足の-3σは3万1010円まで下げており、昨年8月安値の水準に接近してきた。まずは、オプション権利行使価格の3万円から3万4000円辺りの広めのレンジを想定する。
なお、トランプ大統領が2日夕(日本では3日早朝)に発表した相互関税を受けた東京市場の初動反応では、パニック的な売りが集中したが、さらに3日の米国市場の大幅な下げの影響により4日も一段安となった。東証プライムの売買高は昨年10月30日以来となる30億株超に膨れ、ポジション解消が進んだと考えられる。リスク回避によるポジション圧縮は一巡したとの見方が出てきそうだ。
一方で、今後は各国の協議の進展に期待が高まりやすく、ショートを仕掛けづらくさせよう。しばらくはスキャルピング中心のトレードを余儀なくされようが、下へのバイアスが落ち着く局面を狙ったロング対応に向かわせそうだ。
先週末のNT倍率は先物中心限月で13.63倍に上昇した。25日移動平均線(13.60倍)を上回ってきており、1月23日の14.54倍から4月1日の13.32倍までの調整トレンドに対するリバウンドが意識された。米国の相互関税を受けてポジション解消に向かう過程で、結果的には1月下旬から強まっていたNTショートのポジションを巻き戻す形となった。先週の反動をみせてくる展開もありそうだが、今後底入れからリバウンドを強めてくるようなら、NTロングによるスプレッド狙いに向かわせよう。
3月第4週(3月24日-28日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物と先物の合算では2週ぶりの売り越しであり、売り越し額は1兆2821億円(3月第3週は6982億円の買い越し)だった。なお、現物は8416億円の売り越し(同2611億円の買い越し)と2週ぶりの売り越しであり、先物は4404億円の売り越し(同4371億円の買い越し)と3週ぶりの売り越し。個人は現物と先物の合算で5878億円の買い越しと4週ぶりの買い越し。信託銀行は現物と先物の合算で5027億円の買い越しとなり、2週ぶりの買い越し。
主要スケジュールでは、7日に2月景気動向指数、米国2月消費者信用残高、8日に2月国際収支、3月景気ウォッチャー調査、9日に米国2月卸売売上高、FOMC議事要旨(3月18日~19日開催分)、米国による各国・地域別の上乗せ分の相互関税が発効、10日に3月国内企業物価、中国3月消費者物価指数、中国3月生産者物価指数、米国3月消費者物価指数、11日に米国3月生産者物価指数、米国4月ミシガン大学消費者信頼感指数などが予定されている。
<国内>
○08:30 ◇ 2月毎月勤労統計(現金給与総額、予想:前年比3.0%)
○08:50 ◇ 3月外貨準備高
○14:00 ◇ 2月景気動向指数速報値(予想:先行107.8/一致116.7)
○14:00 ◇ 日銀地域経済報告(さくらレポート)
<海外>
○15:00 ◎ 2月独鉱工業生産(予想:前月比▲1.0%/前年同月比▲3.6%)
○15:00 ◇ 2月独貿易収支(予想:185億ユーロの黒字)
○18:00 ◎ 2月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比0.5%/前年比1.9%)
○18:45 ◎ チポローネ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○23:30 ◎ クーグラー米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○8日04:00 ◇ 2月米消費者信用残高(予想:150.0億ドル)
○豪州、NZは6日から冬時間に移行済み
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
ラトニック米商務長官は6日、トランプ政権が予定された関税措置を進めることを確認し、「延期はない」と述べた。また、政策のあらゆる抜け穴を塞ぐ意向を強調した。
ベッセント米財務長官は6日、米NBCテレビで足もとの株価下落について問われ「リセッションを織り込まなければならない理由は見当たらない」と述べたうえ、「新たな関税は必要な措置だ」と強気な姿勢を示した。
中国は預金準備率や政策金利を引き下げる余地があると人民日報が伝えた。
先週末の海外市場でドル円は、一時144.56円と昨年10月2日以来約半年ぶりの安値を付けた。ただ、米雇用統計で非農業部門雇用者数が予想を上回ると147.43円まで反発。もっとも引けにかけては147円を割り込んだ。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が利下げを急がない姿勢を改めて示したこともドル買いを誘った。ユーロドルは一時1.0925ドルまで弱含んだ。
本日の東京時間でドル円は、不安定な動きを繰り返しながらも売り場探しということは変わらないと思われる。すでに早朝に、中国の報復関税などを嫌気し、ドル円は145円台まで下落している。市場流動性が急速に悪化していることで、買い戻しが入ると本日も値幅を伴った動きをみせることもあるだろうが、何十年に1度の転換期で、今後の世界経済の動向が分からない限りはリスク回避的な動きは変わらないだろう。
米国時間2日(日本時間3日)に発表された米国の相互関税発表後に一時上昇した水準(150.49円)からのドル売り・円買いは144.56円までと約6円進んだ。先週4日はこの値幅の概ね半値(147.53円)まで買い戻された。引き続き、本日も先週後半同様に不安定で方向感のない値動きになりそうだが、「半値戻しは全戻し」という格言があることや、米国のリセッションやスタグフレーション懸念、日本の関税の対応次第で、引き続きドル円は上値が重くなるだろう。
米系大手金融機関のJPモルガンは、先週末景気後退(リセッション)の可能性を40%から60%に引き上げた。また、S&Pグローバルは25%から30-35%に、他の欧米金融機関も今後の引き上げを示唆している。米国のリセッション懸念、更にはスタグフレーション懸念もあることがドル円の売り要因になる。先週末はパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が早期の利下げについては否定したものの、追加利下げ予想が急速に上昇している。リセッション懸念やFRBの利下げ圧力がドル円の上値を抑えになるだろう。
また、米国の要因だけではなく、日本国内の要因でもドル売り圧力がある。相互関税でこれまでもトランプ政権が「ダーティ15」と名指しされた、日本、台湾、韓国はそれぞれ24%、32%、26%と高関税賦課となった。これらの3カ国は防衛面で米国依存となっていることで、対抗措置を取ることができないでいる。その3カ国のうち、日本の場合は7月に参議院選挙、韓国は尹大統領が罷免されたことで60日以内の大統領選挙などを控えている。両国とも無策でいることも難しく、アジア各国との間で兼ねてからトランプ米大統領が懸念を表明していたドル高の修正を合意(第2プラザ合意)が行われる可能性も捨てきれない。トランプ大統領は、昨年4月、SNSで34年ぶりのドル高・円安に市場が動いたことについて「アメリカにとって大惨事だ(The yen's recent fall against the dollar is a "total disaster for the United States")」と投稿している。更に、ラトニック米商務長官は3日に「ドルが安くなれば、その分輸出は容易になる」とも発言している。6日夜に石破首相と加藤財務相が会談をしたことも憶測を生んでいる。対抗策が取れず、交渉の切り札がない国がドル売り・自国通貨買いを認め、貿易不均衡を解消することで高関税賦課から逃れようとする可能性もあるだろう。
また、ドル円の売り遅れも上値を抑える要因。これまで、IMMポジションが過去最高となる規模の円ロングを持っていることで、本邦の投資家は円の売り戻し(ドルの買い戻し)を期待する予想を声高にはやし立てていた。しかし、今回の円高で、逆に本邦の投資家や実需のドル円の売り遅れを指摘する声が増えている。先週1日に発表された3月の日銀短観で2025年度の全規模・全産業の想定為替レートは147.06円(上期147.17円、下期146.95円)、大企業製造業は147.35円(上期147.43円、下期147.28円)で、短観が調査されていた時期や、短観発表時は想定レートよりもドル円は上回っていたが、現時点では想定為替レートを下回って推移している。現行水準でのドル円の売りだけではなく、新年度に入ったばかりということもあり、今年度分での輸出予約がままならない企業はスワップポイントを加味したレートでのドル売りをする場合は、147円台半ばから上は絶好の売り場にもなりそうだ。
なお、本日は本邦の2月毎月勤労統計が発表される。これまでは同指標の実質賃金が注目されていたが、日本に対する米国の関税が想定よりも高い設定となったことで、日銀の追加利上げ時期が急速に後退し、実質賃金に対する市場の反応も鈍くなりそうだ。
大阪6月限ナイトセッション
日経225先物 32220 -1540 (-4.56%)
TOPIX先物 2362.5 -113.0 (-4.56%)
シカゴ日経平均先物 32245 -1515
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
4日の米国市場はNYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が大幅に下落。中国政府は4日、米国が中国からの輸入品に34%の関税を上乗せしたことへの対抗措置として、米国からの全ての輸入品に34%の追加関税をかけると発表した。さらに、レアアースなどの輸出規制の強化なども決めた。中国の報復関税による景気・企業業績の悪化が警戒され、NYダウは4万ドルの大台割れで、昨年5月下旬以来、約10カ月ぶりの安値となった。また、トランプ大統領が3日夕、半導体と医薬品に対する関税引き上げを近く発表する考えを示したことで、半導体SOX指数の下落率は7%を超えた。
朝方発表された3月の米雇用統計は、非農業部門の雇用者数が前月比22万8000人増え、市場予想(14万人増程度)を上回った。一方で、失業率は4.2%と前月(4.1%)から上昇し、横ばいを見込んでいた市場予想より高かった。
S&P500業種別指数は、耐久消費財・アパレルのみが上昇し、自動車・同部品、エネルギー、保険、各種金融、半導体・同製造装置の下げが目立った。NYダウ構成銘柄では、ナイキ<NKE>が上昇した半面、ボーイング<BA>、スリーエム<MMM>、シェブロン<CVX>、JPモルガン・チェース<JPM>、トラベラーズ<TRV>、ゴールドマン・サックス・グループ<GS>が大きく売られた。
シカゴ日経平均先物(6月限)清算値は、大阪比1515円安の3万2245円だった。日経225先物(6月限)のナイトセッションは、日中比210円安の3万3550円で始まり、直後につけた3万3660円を高値に下へのバイアスが強まり、米国市場の取引開始後には一時3万1970円まで売られ、3万2000円を割り込んだ。売り一巡後は3万2080円~3万2680円辺りで荒い値動きを継続し、3万2220円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、売り先行で始まることになる。ボリンジャーバンドの-3σ(3万2670円)を大きく割り込んでおり、売られ過ぎが意識される状況である。節目の3万2000円を割り込んだことで、押し目狙いのロングが入りやすい。ただし、昨年8月安値が射程に入ってきたほか、バンドが拡大傾向にあるなか下向きで推移する-3σに沿った調整を続けていることで、スキャルピングが中心となろう。
米政権の関税政策を巡り、今後は各国政府間の協議に関心が集まる。いずれかの国が米国から譲歩を引き出すことができれば、買い戻しが意識されるだろう。国内では石破首相が今週にもトランプ大統領と電話協議を行うとみられており、その結果が注目される。4日の東証プライムの売買高は昨年10月30日以来となる30億株超に膨れ、ポジション解消が進んだと考えられる。ショートも入れづらくなるなか、オプション権利行使価格の3万1875円から3万2875円のレンジを想定する。
4日の米VIX指数は45.31(3日は30.02)に急伸した。3日に3月11日の戻り高値29.57を捉えたが、4日の大幅な上昇によって昨年8月5日の高値38.57を上抜き、2020年4月以来の水準となった。リスク回避姿勢が強まりそうだが、各国の関税対応次第で急速に低下する可能性もあるだろう。
先週末のNT倍率は先物中心限月で13.63倍に上昇した。25日移動平均線(13.60倍)を上回ってきており、1月23日の14.54倍から4月1日の13.32倍までの調整トレンドに対するリバウンドが意識された。米国の相互関税を受けてポジション解消に向かう過程で、結果的には1月下旬から強まっていたNTショートのポジションを巻き戻す形となった。本日も幅広い銘柄が売られるなかで、NTロングによるスプレッド狙いに向かわせそうだ。
東京市場は大幅安か。先週末の米国株は下落。ダウ平均は2231ドル安の38314ドルと連日で値幅を伴った下落となった。中国が米国に対して報復関税を発表。トランプ大統領は自身のSNSで各国への関税強化策を変更しない旨の投稿を行った。パウエルFRBは講演で、関税の引き上げが想定を大幅に上回ったと言及したものの、利下げは急がない姿勢を示した。景気悪化への懸念が強まる中、3指数がそろって5%を超える下落とリスクオフの様相が強まった。ドル円は足元145円10銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが大証日中終値と比べて1515円安の32245円、ドル建てが1415円安の32345円で取引を終えた。
米国株がかなり弱く、「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数も急上昇している。反転材料に乏しい中、日本株も大きく水準を切り下げると予想する。CME225からは序盤から4桁安の展開も想定される。日経平均は先週、週間では3000円を超える下落となった。センチメントが急速に悪化しているため、信用取引の決済も急がれる状況。安く始まった後も下値を探る動きが続くだろう。日経平均の予想レンジは31800円-32600円。
TOPIX先物がサーキットブレーカーを発動した。
聯合ニュースが報じたところによると、韓国の大統領選を暫定的に6月3日に設定したという。
24時間の混乱で収拾がつくと思われた「解放の日」の相互関税を巡る動きは、先週末も株価の暴落という形で継続。週明けのアジア市場でも引き続き株価暴落といったリスクオフから始まりました。日経平均は先週末の1000円安から更に早朝の先物市場でサーキットブレーカー発動となる急落。ただ、現物の株価は先物の安値30400円割れの水準までは下落せず、30800円割れから1000円の買戻しといったところ。
ドル円については、先週末の欧州時間に中国が34%の報復関税を発表したことから144.56円まで売り込まれたものの、3月米雇用統計が予想を上回る強い数字となったほか、パウエルFRB議長が「結論を急ぐ必要はない、時間はある」と、意地でもトランプ米大統領の圧力を受けての利下げを行わない旨の発言となると一気に147.43円まで買戻されて週末の取引を終了。週明けは147.12円を付けてからいきなり146円台まで下落した後、しばらくはもみ合いとなっていましたが、株価指数先物の急落につれて144.82円まで値を下げました。ただ、その後は146.42円まで買戻されるなど、下方硬直性が目立つ動きとなっています。
いずれにしても、トランプ米大統領が公表した相互関税については、クルーグマンが「狂っている」と評しているように、2国間の貿易障壁は2国間の貿易赤字を用いて算出することが出来るという「あり得ない前提」のもとで決定されているわけで、米商務省が公表した関税率の公式は、簡単に言えば、単純に「対象国との貿易赤字」を「対象国からの輸入額」で割った数字が貿易障壁という計算式。そして、トランプ米大統領が「やさしい(nice)ものになる」と言っていたのが、この貿易障壁を半分にしてやったというものだったということ。
流石に、米国内でも週末にはビジネスリーダー達がトランプ米大統領がゴルフを楽しんでいるマールアラーゴリゾートに「常識を説得」するために向かっているほか、全米50州では大規模デモが発生しているといった状況となっています。
ドル円は、市場が先走って既に米国の年4回ないし5回の利下げを織り込んでしまっているなか、これ以上のリスクオフとしての売り仕掛けは難しくなっているような値動きとなっているわけで、その反動もまた、思っている以上の激しいものとなるのかもしれません。
日経225先物は11時30分時点、前日比1960円安の3万1800円(-5.80%)前後で推移。サーキット・ブレーカーが発動するなか、寄り付きは3万1010円とシカゴ日経平均先物清算値(3万2245円)を大きく下回りギャップダウンで始まった。その後も下へのバイアスが強まり、現物の寄り付き後ほどなくして3万0650円と3万1000円を割り込む場面もみられた。売り一巡後は終盤にかけて下落幅を縮めており、3万1990円まで持ち直している。
日経225先物は寄り前の気配値時点で3万1000円割れが意識されており、波乱のスタートとなった。昨年8月以来のサーキット・ブレーカー発動により、目先的なボトム形成も意識されてくるなか、3万1000円割れ後は押し目を拾う動きもみられる。一方で、グローベックスのNYダウ先物は850ドル、ナスダック100先物は600ポイントほど下落して推移している。週明けの米国市場の下げが警戒されやすく、短期的なリバウンド狙いにとどまりそうだ。
NT倍率は先物中心限月で13.62倍に低下した。ただし、東証プライムの値下がり数が1600を超える全面安商状のなか、朝方に一時13.91倍まで上昇し、75日移動平均線(14.04倍)に迫る場面もみられた。その後は下げに転じたものの、25日線(13.59倍)を上回って推移するようだと、再びNTロングに向かわせよう。
本日の欧州タイムでは、ドイツの2月鉱工業生産や貿易収支、ユーロ圏の2月小売売上高などの発表が予定されているが、関税関連のヘッドラインに注目する展開が続くだろう。
トランプ米大統領が発表した欧州連合(EU)加盟国からの輸入品への関税強化に対抗するため、EUが最大で280億ドル相当の米国からの輸入品に対する報復関税の第1弾を数日以内に発表することを目指している。この報復関税について欧州議会で9日に承認を求め、承認された場合には導入を2段階に分けて一部の品目には15日から適用し、残りは1カ月後に実行する予定だが、報復関税の強弱で加盟国間に意見が分かれている。マクロン仏大統領は「事態が明確になるまで」欧州企業が米国への投資を停止すべきと、関税をはるかに超える報復措置を導入すべきだと主張している一方で、輸入先の約3割超が米国となるアイルランドは慎重な対応を求め、イタリアは報復関税に疑問を示している。中国はすでに同水準の報復関税を決定しており、EUの報復関税と「報復関税を決める国にはさらなる関税を課す」としているトランプ米大統領の「次の一手」が注目される。
市場の混乱は当面続きそうで、リスク回避の円買い圧力が続きそうだが、関税関連のヘッドラインに値幅を伴った乱高下に要注意。関税によるユーロ圏の景気への懸念が強まるも、これは米国も同じであり、ユーロドルは方向感が欠ける動きが見込まれる。リスク回避局面では円買いだけではなく、ドル買いに傾く可能性もあるが、世界を相手に関税を強化した米国経済への懸念が一段と高まれば、ドルは再び売りに押されるだろう。
・想定レンジ上限
ユーロドルの上値めどは、先週末4日の高値1.1108ドル、ユーロ円は日足一目均衡表・転換線161.24円。
・想定レンジ下限
ユーロドルの下値めどは、21日移動平均線1.0866ドル、ユーロ円は日足一目・雲の下限158.12円。
日銀は4月の地域経済報告(さくらレポート)を公表。一部に弱めの動きもみられるが、すべての地域で、景気は「緩やかに回復」、「持ち直し」、「緩やかに持ち直し」としている。9地域全てが景気判断を据え置いた。
ドル円:1ドル=145.71円(前営業日NY終値比▲1.22円)
ユーロ円:1ユーロ=160.51円(▲0.40円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1015ドル(△0.0059ドル)
日経平均株価:31136.58円(前営業日比▲2644.00円)
東証株価指数(TOPIX):2288.66(▲193.40)
債券先物6月物:142.27円(△0.62円)
新発10年物国債利回り:1.110%(▲0.050%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
2月毎月勤労統計(現金給与総額)
前年同月比 3.1% 2.8%
3月外貨準備高
1兆2725億ドル 1兆2533億ドル
2月景気動向指数速報値
先行指数 107.9 108.3
一致指数 116.9 116.1
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は荒い値動き。先週末にベッセント米財務長官が「新たな関税は必要な措置だ」と述べたほか、ラトニック米商務長官が「延期はない」と発言するなど、米政権が関税政策に対して強気な姿勢を示したことで週明け早朝から売りが活発化。日米株価指数が急落したうえ、トランプ米大統領が「貿易赤字が解決されない限り中国と取引しない」と発言したことも嫌気され、一時144.82円まで下げ足を速めた。
ただ、先週末安値の144.56円が目先のサポートとして意識されると下げ渋り。株価下落や米長期金利の低下が落ち着いたことをながめて146.85円付近まで買い戻しが入り、週明けの窓を埋めた。一方で、先行き不透明感が根強く株価や米金利が再び下げると145.40円台まで押し戻されている。
・ユーロ円は乱高下。米関税政策に伴う世界経済の景気減速懸念が一段と高まると、株価急落ととも円が急騰。一時158.30円まで売り込まれた後、ドル円の買い戻しにつれて160円台後半まで切り返したが、戻りの鈍い日本株を受けて160円前後まで再び下げている。
・ユーロドルは下値が堅い。ユーロ円の下落につれて朝方には1.0882ドルまで売りが先行するも、対オセアニア通貨でユーロ高が進むと反発。「中国が刺激策の前倒しを検討」との一部報道、米金利低下も支えとなり1.1021ドルまで切り返している。
・日経平均株価は大幅続落。米関税政策を巡る先行き不透明感から売りが活発化。序盤に指数は3000円近く下げ、約1年5カ月ぶりに心理的節目の3万1000円を下抜けた。その後は自律反発を狙った買いが入り3万2000円手前まで持ち直す場面も見られたが、戻りは限られた。
・債券先物相場4日続伸。世界的な景気減速懸念から142.95円まで急速に買いが強まった。一巡後は141円台後半まで失速したが、下値は堅かった。
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・西?M 徹氏
中国がトランプ相殺関税に報復、25年成長率は「4%割れ」も視野に
世界経済は「けん引役不在」の状況に、世界貿易の萎縮が足を引っ張る可能性にも要注意
足元の世界経済や国際金融市場はトランプ米大統領の関税政策に揺さぶられている。トランプ氏は米国の巨額の貿易赤字解消と国内産業保護を目的に、中国を標的に段階的に追加関税を課す動きをみせた。さらに、すべての国を対象とする関税賦課に加え、非関税障壁を考慮した相互関税に動く方針を明らかにし、対中関税はこれにより大統領選での公約(最大60%)に近づくなど、圧力を一段と強める動きをみせている。
一方、中国は追加関税に対して報復措置を講じるも、実体経済への影響に鑑みて抑制的な内容に留めてきた。しかし、トランプ氏の相互関税賦課発表を受けて、米国からのすべての輸入品に34%の関税を上乗せするなど報復措置を強化する方針を示し、貿易戦争とも呼べる状況に発展している。米国の関税賦課による中国経済への直接的な影響は名目GDP比1.5%強に達し、輸入関税の影響も同0.3%強となると試算される。中国当局は成長率目標を据え置き、内需喚起を図る考えを示したが、そのハードルは高まっている。
米中による貿易戦争の激化は両国経済のみならず、世界経済にも深刻な悪影響を与えることが懸念される。アジア新興国では、米トランプ政権の相互関税による対米輸出の下振れに加え、サプライチェーン再々編の影響を受ける可能性がある。中国は一段の内需喚起や貿易圏の構築を強化させると見込まれるが、世界貿易の萎縮が世界経済の重石となることも考えられる。結果として世界経済は成長のけん引役を失うとともに、これまで以上に厳しい状況に陥る可能性が高まっていることに留意する必要がある。
トランプ米大統領「ジェローム、金利を下げろ」
パウエルFRB議長「状況がより明確になるまで様子見できる好位置にある」
2025年3月の米国の失業率は4.2%(※4.15%)となり、2月の4.1%(※4.14%)から上昇し、就業者数は前月比20.1万人増加した。
非農業部門雇用者数は、前月比+22.8万人の増加となり、2月は速報値の+15.1万人から+11.7万人へ下方修正(▲3.4万人)され、1月は改定値の+12.5万人から+11.1万人へ下方修正(▲1.4万人)されたことから、合計で4.8万人の下方修正となった。
政府効率化省(DOGE)が連邦職員の削減計画を進めていることで、連邦政府職員は2022年以降で初めて2カ月連続の減少となった。労働統計局は、有給で仕事を休んでいる職員や退職手当を受け取っている職員については雇用状態にあると見なしている。
再就職斡旋会社チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスによると、計画されている連邦政府の職員・契約職員のレイオフ数は過去2カ月で28万人余りに上った。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」によると、追加利下げ(▲0.25%=4.00-25%)の時期は5月米連邦公開市場委員会(FOMC)(※▲0.50%の利下げ確率も30%台)、6月、7月、9月、12月と5回も追加利下げが示唆されている。
2021年の非農業部門雇用者数は723.3万人の増加となり、年間ベースで過去最大の伸びを記録し、月平均は60.3万人の増加だった。2022年の月平均は+38.0万人、2023年平均は+21.6万人、2024年平均は+16.8万人、2025年平均は+15.2万人となった。
1.家計調査(Household survey):失業率を算出(※6万世帯)
3月の失業率は4.2%(※4.15%)となり、2月の4.1%(※4.14%)から0.01%上昇した。労働参加率(就業者および求職者の合計である労働力人口の生産年齢人口に占める割合)は62.5%となり、2月の62.4%から上昇したため、失業率も上昇した。就業率は2月と変わらずの59.9%のままで、2024年11月以来の60%割れが続いている。
失業者数は708.3万人となり、2月の705.2万人から3.1万人増加し、2020年2月の570万人を依然として上回ったままとなっている。労働力人口(1億7059万人)は、パンデミック(世界的大流行)前の水準(1億6458万人)を約601万人上回っている。
・不完全雇用率(U6):7.9%(2月8.0%、1月7.5%、12月7.5%:2020年5月21.1%)
(フルタイム雇用を望みながらパートタイム職に就いている労働者を含む広義の失業率)
・労働参加率:62.5%(2月62.4%、1月62.6%、12月62.5%:2020年2月:63.4%)
・長期失業者(27週以上):149.5万人(2月145.5万人:2020年2月112.1万人)
・黒人の失業率:6.2%(2月6.0%、1月6.2%、12月6.1%:2020年2月6.0%)
(※黒人の失業率は景気後退(リセッション)が近づく前に先行して上昇する傾向)
2.事業所調査(Establishment survey):非農業部門雇用者数(Non-Farm Payroll)(※12.2万の会社・政府機関)
3月の非農業部門雇用者数は、前月比+22.8万人の増加となり、51カ月連続での雇用拡大となった。平均時給は前月比+0.3%で、2月の+0.2%を上回り、前年同月比は+3.8%となり、2月の+4.0%を下回った。
民間部門の総賃金(雇用者数×週平均労働時間×時給)は前月比+0.4%で、2月の+0.6%を下回り、前年比は+4.4%となり、2021年3月以来の低水準となった。
大阪6月限
日経225先物 30960 -2800 (-8.29%)
TOPIX先物 2267.0 -208.5 (-8.42%)
日経225先物(6月限)は前日比2800円安の3万0960円で取引を終了。サーキット・ブレーカーが発動するなか、寄り付きは3万1010円とシカゴ日経平均先物清算値(3万2245円)を大きく下回りギャップダウンで始まった。その後も下へのバイアスが強まり、現物の寄り付き後ほどなくして3万0650円をつけ3万1000円を割り込んだ。売り一巡後は前場終盤にかけて下落幅を縮め、その後は3万1300円から3万1850円辺りのレンジで推移。後場終盤にこのレンジを下抜け、3万1000円を割り込んで終えた。
日経225先物は寄り前の気配値時点で3万1000円割れが意識されており、波乱のスタートとなった。昨年8月以来のサーキット・ブレーカーの発動により、目先的なボトム形成も意識されて、現物の開始直後につけた3万0650円を安値に押し目を拾う動きもみられた。ただし、グローベックスのNYダウ先物が1600ドル、ナスダック100先物は900ポイントほど下落して推移している。週明けの米国市場の下げが警戒されやすく、終了間際には短期筋のロング解消が入った形であろう。
ボリンジャーバンドの-3σ(3万2080円)を大きく割り込んで終えたが、ナイトセッションでは同バンドは3万0950円水準まで下がってきた。下向きで推移する-3σに沿った調整を継続しており、底入れが見極めにくいところである。昨年8月の安値水準まで下げてきたことで、ダブルボトムの形成が意識されやすいところではあるが、ショートを仕掛けているというよりは、リスク回避からポジションを解消している需給であり、ショートカバーを狙ったトレードは期待しにくい。
また、週足の-3σは3万0330円、-2σが3万2610円辺りで推移している。-3σから上抜ける動きをみせてきたとしても-2σ辺りで達成感が高まるなど、目先底をつけてくる可能性はあるものの地合いが急改善することは期待しづらい。現物市場でも信用取引で買い方が追加保証金の差し入れを迫られており、換金売りに伴う売りが強まりやすい。指数インパクトの大きいアドバンテスト<6857.T>[東証P]は、3月末の時点で買い残高が大きく積み上がっていた。先週の下落局面で買い方の整理が進展せず、さらに買い残が積み上がっているようだと、需給整理には時間を要しそうだ。
日経225先物は朝方のように下へのバイアスが強まる局面では、押し目狙いのロング対応に向かわせそうである。一方で、トレンドが一気に改善する展開はあまり期待せず、積極的な上値追いは慎重にさせよう。
NT倍率は先物中心限月で13.65倍に上昇した。東証プライムの値下がり数が1600を超える全面安商状のなか、朝方に一時13.91倍まで上昇し、75日移動平均線(14.04倍)に迫る場面もみられた。その後下げに転じる場面もあったが、25日線(13.59倍)が支持線として意識される形だった。今後、相場全体の底入れが意識されてくるようだと、インデックスに絡んだ商いが集中するため、NTロングによるスプレッド狙いに向かわせよう。
手口面(6月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が6万0825枚、ソシエテジェネラル証券が4万4072枚、バークレイズ証券が1万0884枚、野村証券が6887枚、ゴールドマン証券が5827枚、日産証券が5302枚、モルガンMUFG証券が4964枚、JPモルガン証券が4863枚、SBI証券が4161枚、シティグループ証券が3047枚だった。
TOPIX先物は、ソシエテジェネラル証券が8万1583枚、ABNクリアリン証券が6万2091枚、バークレイズ証券が1万7881枚、モルガンMUFG証券が1万3007枚、ゴールドマン証券が1万0363枚、JPモルガン証券が1万0149枚、ビーオブエー証券が7491枚、みずほ証券が5615枚、BNPパリバ証券が4792枚、野村証券が4442枚だった。
本日のNY為替市場のドル円は、米株式・債券市場の動向を眺めながら、タカ派のクーグラーFRB理事のトランプ・ショックに対する見解に注目することになる。
ニューヨーク株式市場は、過去にも米国の内外のショックにより暴落を繰り返してきたが、米連邦準備理事会(FRB)による流動性の供給(FRBプット)によって下げ止まってきた。
今回のトランプ関税ショックが、これまでのブラックマンデー(1987年)、ロシア財政危機(1998年)、ドットコムバブル崩壊(2000年)、世界同時多発テロ(2001年)、リーマンショック(2008年)、コロナ・パンデミック(2020年)に匹敵するのか否か、しばらく様子を見ていくことになる。しかし、最終的にはこれまで同様にFRBの大規模な流動性供給による株価下支えで終息すると思われる。
パウエルFRB議長は、先週「われわれは急ぐ必要はないと感じる。金融政策の適切な方向性について結論を出すのは時期尚早だ」と言及。利下げの判断は急がず、今後発表される経済指標などを見極めて、慎重に金融政策を決定していく考えを強調した。
本日講演予定のクーグラーFRB理事は、トランプ米大統領が相互関税を発表する前の2日の講演でパウエルFRB議長と同様の見解を述べていた。内容としては、「経済活動と雇用が安定している中でインフレの上振れリスクが続く限り、現行の政策金利を維持することを支持」「今後は、入手するデータや変化する見通し、リスクのバランス変化を慎重に評価していく」だった。
本日のクーグラー理事の発言から、NY株式市場の大幅下落が「変化する見通し、リスクのバランス変化」に考慮されるのか否か、そして追加利下げ見通しへの見解を見極めることになる。
CMEグループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」が示している今年の追加利下げ時期は、5月FOMCは据え置き(約52%)と追加利下げ(約48%)が拮抗。しかしながら、6月FOMCでは現行金利から0.50%低い水準を織り込む動きがやや高まっている。
・想定レンジ上限
ドル円の上値目処(めど)は、147.43円(4/4高値)
・想定レンジ下限
ドル円の下値目処(めど)は、144.56円(4/4安値
今週のNY市場は神経質な展開か。先週はダウ平均が7.86%安となったほか、S&P500が9.08%安とコロナパンデミックの2020年以来の急落となり、ナスダック総合も10.02%安と2桁の急落となり、主要3指数がそろって大幅に2週続落した。水曜日引け後にトランプ米大統領が広範な国に対して一律10%の関税を課すとし、中国、日本、韓国、EUなどにより高率の「相互関税」を課すと表明したほか、金曜日に中国が米国からの輸入品に同率の34%の報復関税を課すとしたことで週後半に急落した。S&P500は木曜日に4.84%安、金曜日に5.97%安となり、2日連続での4%超の下落は2020年3月のコロナパンデミック時と2008年11月の金融危機以来となった。ナスダック総合は昨年12月の最高値から22.73%安となり、「弱気相場」入りし、S&P500も2月の史上最高値から17.42%安となった。週末の動きでは、ラトニック米商務長官が6日、トランプ関税の延期はないと述べた。
今週はトランプ関税や相手国の報復関税問題が引き続き相場の重しとなりそうだ。S&P500は高値から17%超下落し、昨年8月安値を割り込んだ。ナスダック総合に続いて高値から20%超下落の「弱気相場」入りとなるか、売られ過ぎとの見方から反発となるかに要注目となる。投資家の不安心理を示すVIX指数は45.31ポイントと、センチメントは大幅に悪化しており、引き続き関税問題をにらんだ神経質な展開となりそうだ。経済指標では3月消費者物価指数(CPI)、3月生産者物価指数(PPI)、4月ミシガン大1年先・5年先期待インフレ率速報値が発表予定で、足もとの物価動向や利下げ見通しが焦点となる。企業決算は第1四半期決算発表がスタート。水曜日にデルタ航空、金曜日にはJPモルガン・チェース、ウェルズ・ファーゴ、モルガン・スタンレーなど大手銀行の発表がスタートする。
今晩の米経済指標・イベントは3月雇用傾向指数、2月消費者信用残高など。主要な企業の決算発表はなし。
日経平均株価は大幅続落。大幅安スタートから下落幅を拡大し、昨年8月急落後の安値(31156円)を下回る展開となった。売り一巡感が乏しい状態が続く中で引けにかけても売り圧力が強まり、終値ベースの8/5安値(31458円)も下回った。
RSI(9日)は前日の10.8%→4.8%(4/7)に低下。ボリンジャーバンド(20日線)では終値でマイナス3σ(31525円)を下回った。
目先的には自律反発が予想されるが、5日移動平均線(34200円 4/7)が早々に上値抵抗になるといったイメージは続く。短期波動は下落継続との判断となり、押し目処を探る展開が続く公算が大きい。
長期波動では、2020年3月安値(16358円)を起点に昨年8月急落時につけた安値を通る上昇トレンドラインを下回り、月足では60カ月移動平均線(30614円 同)付近まで下落した。60カ月移動平均線を下回ると、アベノミクス相場が始まる直前の2012年秋ごろの安値を起点に、その後の複数の安値を通る右肩上がりの上昇トレンドラインとなる。4月中にその上昇トレンドラインまで下げる場合は29000円台に入ってくる。
上値メドは、心理的節目の32000円や33000円、5日移動平均線、心理的節目の35000円、4/2安値(35426円)、10日移動平均線(35734円 同)などがある。下値メドは、心理的節目の30000円や29500円、2022年8/16高値(28928円)、2023年3/9高値(28734円)、心理的節目の28500円や28000円などがある。
(7日終値:8日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=147.94円(7日15時時点比△2.23円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=161.83円(△1.32円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0938ドル(▲0.0077ドル)
FTSE100種総合株価指数:7702.08(前営業日比▲352.90)
ドイツ株式指数(DAX):19789.62(▲852.10)
10年物英国債利回り:4.615%(△0.167%)
10年物独国債利回り:2.613%(△0.035%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
2月独鉱工業生産
(前月比) ▲1.3% 2.0%
(前年比) ▲4.0% ▲1.6%
2月独貿易収支
177億ユーロの黒字 162億ユーロの黒字・改
2月ユーロ圏小売売上高
(前月比) 0.3% 0.0%・改
(前年比) 2.3% 1.8%・改
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は底堅い動き。イタリア外相が「欧州連合(EU)の対米報復関税の発動は4月30日まで延期される可能性がある」との見解を示したほか、フォンデアライエン欧州委員長が「米国に工業製品でゼロ対ゼロの関税を提案した」と明らかにすると貿易戦争への過度な警戒感が後退。リスク回避の巻き戻しが進んだ。
NYの取引時間帯に入ると、ハセット米国家経済会議(NEC)委員長が「トランプ米大統領が中国を除くすべての国・地域に対する関税を90日間、一時停止することを検討している」と述べたと伝わった。米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.21%台まで上昇すると円売り・ドル買いが優勢となり、一時148.15円と日通し高値を更新した。
なお、米ホワイトハウスは「90日間の関税停止はフェイクニュース」と当該記事を否定。さらに、トランプ米大統領が「中国が明日8日までに34%の追加関税を撤回しない場合、米国は9日から中国に50%の追加関税を課す」と警告したにもかかわらず、米10年債利回りが高い水準を維持したため、ドル円の下押しは限定的だった。
・ユーロドルは頭が重かった。日本時間夕刻に一時1.1050ドルと日通し高値を付けたものの、買い一巡後は徐々に弱含んだ。米ホワイトハウスは「フェイクニュース」として否定したものの、「米関税を90日間停止」との一部報道をきっかけとした米長期金利の上昇傾向が継続したため、全般ドル買いが優勢に。0時30分過ぎには一時1.0902ドル付近まで値を下げた。主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時103.52まで上昇した。
・ユーロ円はしっかり。EUが米国と交渉する姿勢を示したほか、「米政権が大規模関税を90日間停止する」との報道が伝わると貿易摩擦を巡る投資家の過度な警戒が後退。一時1700ドル超下落したダウ平均が持ち直し、890ドル超上昇したことでユーロ円にも買い戻しが入った。23時過ぎには一時162.37円と日通し高値を更新した。
なお、米ホワイトハウスが「関税停止のニュースはフェイク」と表明したほか、トランプ米大統領が中国に対する関税強化の可能性を示唆するとダウ平均は再び1100ドル超下げたものの、その後再び上昇に転じたことから、ユーロ円の下値は限定的だった。
・ロンドン株式相場は大幅に4日続落し、昨年3月11日以来約1年1カ月ぶりの安値で取引を終えた。米政権による相互関税の影響が懸念されて、英国経済の先行き不透明感から売りが膨らんだ。ハルマやセイジ・グループなど情報技術セクターが売られたほか、アストラゼネカやグラクソスミスクラインなど医薬品株が値下がりした。セグロやランド・セキュリティーズ・グループなど不動産株も軟調だった。
・フランクフルト株式相場は大幅に4日続落し、昨年11月29日以来の安値となった。貿易摩擦の激化で世界景気が後退局面に陥るリスクが高まっているとの懸念から、この日も売りが続いた。フランスの株価指数は4.78%安、イタリアは5.18%安、スペインは5.12%安となるなど、欧州の主要な株式相場は軒並み急落した。
・欧州債券相場は下落。米債安につれた。
7日の日経平均は大幅に3日続落。終値は2644円安の31136円。4日の米国でダウ平均が2000ドルを超える下落となったことを嫌気して、寄り付きから600円を超える下落。多くの銘柄が売り気配スタートとなる中、すぐに4桁の下落となった。
9時台半ばには下げ幅を2900円超に拡大。30700円台に入ったところで売りが一巡し、そこから2000円安程度までは急速に下げ幅を縮めた。しかし、11時辺りまでで戻りは一巡。その後は売り直されては幾分戻すといった動きが続き、後場の安値圏で取引を終えた。グロース250指数は10.5%安と2桁の下落率となった。
東証プライムの売買代金は概算で6兆9800億円。業種別では全業種が下落した。相対的に値を保った食料品、陸運、ゴム製品でも4%台の下落。非鉄金属、保険、証券・商品先物の3業種は10%を超える下落と、業種問わず総売りの1日となった。GMOインターネット<4784.T>が地合いの悪い中でも急騰。半面、今期の最終減益見通しを提示した安川電機<6506.T>がストップ安まで売られる場面もあるなど急落した。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり6/値下がり1628と、値上がり銘柄がほぼ皆無。本決算や株主還元方針の変更などが好感されたメディカル一光グループが逆行高となった。
主力銘柄の多くが売り気配スタートとなったが、三菱UFJ、三井住友、みずほFGのメガバンク3行は、そろって値が付くまで30分近くかかった。ディスコやアドバンテストなど半導体株には2桁の下落率となるものが続出。ソフトバンクG、ソニーG、リクルートHD、日立などグロース系の主力銘柄も、多くが2桁の下落率となった。防衛株や電線株も派手に下げており、古河電工やフジクラはストップ安まで売られる場面があった。
本日、スタンダード市場に新規上場したIACEトラベルは、地合いの悪い中、公開価格割れからのスタートとなり、終値も初値を下回った。
日経平均は2000円を超える下落。先週3日や4日は大幅安となる中でも資金の振り向け先がないわけではなかったが、きょうはどこにも逃げ場がなかった。安値は30792円で、3万円割れもあるかという状況。月足チャートで60カ月線が30614円(7日時点)に位置しており、これをサポートに下げ止まってほしいところだ。
値幅では相当調整が進んでおり、間を置かず一段安となるようなら、政府や日銀から株安をケアする目的でのアナウンスが出てきても良いレベルにはなってきている。主力銘柄は軒並み安ではあったが、関税の影響が大きいとみられるトヨタ<7203.T>やホンダ<7267.T>は他の銘柄に比べると下げがおとなしかった。三菱UFJ<8306.T>、三井住友<8316.T>、みずほFG<8411.T>のメガバンク3行は寄り付きから強烈に売り込まれたが、いずれもローソク足では実体の長い陽線を形成した。これらはPBR1倍割れ銘柄でもあり、戻りの先導役になれるかが注目される。
(7日終値)
ドル・円相場:1ドル=147.84円(前営業日比△0.91円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=161.31円(△0.40円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0912ドル(▲0.0044ドル)
ダウ工業株30種平均:37965.60ドル(▲349.26ドル)
ナスダック総合株価指数:15603.26(△15.47)
10年物米国債利回り:4.18%(△0.18%)
WTI原油先物5月限:1バレル=60.70ドル(▲1.29ドル)
金先物6月限:1トロイオンス=2973.6ドル(▲61.8ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
2月米消費者信用残高
▲8.1億ドル 89.0億ドル・改
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は続伸。ハセット米国家経済会議(NEC)委員長の発言として「トランプ米大統領は中国を除くすべての国・地域に対する関税を90日間、一時停止することを検討している」との報道が伝わると、米長期金利が大幅に上昇。一時1700ドル超下落したダウ平均が持ち直し、890ドル超上昇したことも相場の支援材料となり、一時148.15円と日通し高値を更新した。
米ホワイトハウスが「90日間の関税停止はフェイクニュース」と当該記事を否定したうえ、トランプ氏が「関税の一時停止は考えていない」と発言すると伸び悩む場面もあったが、下押しは限定的だった。米長期金利が高い水準を維持したことなどが相場を下支えし、引けにかけては再び148円台に乗せた。
なお、トランプ氏が自身のSNSに「中国が明日8日までに34%の追加関税を撤回しない場合、米国は9日から中国に50%の追加関税を課す」と警告した。
・ユーロドルは続落。日本時間夕刻に一時1.1050ドルまで上昇する場面もあったが、NY市場では上値の重い展開となった。米長期金利の上昇に伴うユーロ売り・ドル買いが出て、0時30分過ぎに一時1.0902ドル付近まで値を下げた。主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時103.53まで上昇した。
・ユーロ円は3日ぶりに反発。イタリア外相が「欧州連合(EU)の対米報復関税の発動は4月30日まで延期される可能性がある」との見解を示したほか、フォンデアライエン欧州委員長が「米国に工業製品でゼロ対ゼロの関税を提案した」と明らかにすると貿易戦争への過度な警戒感が後退。リスク回避の巻き戻しが進んだ。「トランプ氏は関税一時停止を検討」との一部報道をきっかけに、米国株が持ち直すとユーロ円にも買い戻しが入った。23時過ぎには一時162.37円と日通し高値を更新した。もっとも、米ホワイトハウスが当該記事を否定すると伸び悩んだ。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は3日続落し、昨年5月1日以来の安値となった。貿易摩擦の激化で世界景気が後退局面に陥るリスクが高まっているとの懸念から、この日も売りが先行。一時1700ドル超下落した。
ただ、ハセットNEC委員長の発言として「トランプ米大統領は中国を除くすべての国・地域に対する関税を90日間、一時停止することを検討している」との報道が伝わると、急速に買い戻しが進み、一時890ドル超上昇した。もっとも、ホワイトハウスが当該報道を否定したうえ、トランプ氏が「関税の一時停止は考えていない」との考えを示すと再び下落した。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は3日ぶりに小反発。前週末に約1年ぶりの安値を付けたあとだけに、自律反発狙いの買いが入った。
・米国債券相場で長期ゾーンは7日ぶりに反落。EUの譲歩案などを受けて、関税や報復措置により貿易摩擦が激化するとの過度な懸念が後退すると売りが優勢となった。相場上昇が続いたあとだけにポジション調整目的の売りも出やすかった。
・原油先物相場は3日続落。貿易摩擦の激化で米国の景気が悪化して原油需要が減少するとの観測から売りが優勢となった。
・金先物相場は3日続落。米長期金利が上昇する中、金利のつかない金先物の投資魅力が薄れとの見方から売りが優勢となった。株価の大幅下落を背景とした現金確保のための換金売りの動きもまた、金相場の重しとなった。
トランプ米大統領は7日、「中国に50%の追加関税を課す」と警告した。また、「中国との会談は打ち切られる」「中国は4月8日までに34%の関税引き上げを撤回しなければならない」との考えを示した。
7日08:16 トランプ米大統領
「貿易赤字が解決されない限り中国と取引しない」
7日22:36
「日本の石破首相と電話会談を行った。関税交渉を開始する」
「世界中の国々が我々と話をしている」
「全てが変わらなければならない、特に中国は」
8日04:29
「関税の一時停止は考えていない」
「米国はイランと直接協議を行っている」
「日本との素晴らしい関係を今後も維持する」
7日09:09 石破首相
「米国の関税政策、極めて不本意で極めて遺憾」
「企業の資金繰り・雇用の維持に万全を期す」
7日14:59
「(米国との関税交渉は)1回で話をつけなければいけない」
「(トランプ米大統領との)電話会談は早ければ早いほど良い」
7日22:10
(日米首脳電話会談)
「日本企業の投資力減退に懸念を伝えた」
「日米双方で担当閣僚を指名し、協議を続けることを確認した」
「対米協議を通じ、関税措置の見直しを強く求めていく」
「最も適切な時期に訪米する」
7日11:13 林官房長官
「石破首相とトランプ米大統領の電話会談を調整中」
「米国には引き続き関税措置の見直しを強く求めていく」
7日12:32 チャルマーズ豪財務相
「関税の影響で豪GDPが打撃を受ける見込み」
「豪ドル下落は概ね中国経済の懸念が理由」
「ブロックRBA総裁と見通しについて意見交換した」
7日12:49 加藤財務相
「市場動向、高い緊張感を持って注視していく」
「金融政策は日銀において対応すると理解」
「関税対象からの除外を米国に強く求める」
「EUによる米国に対する報復関税の発動、当初予定の4月15日から4月30日に延期する可能性」
7日21:33 ハセット米国家経済会議(NEC)委員長
「トランプ大統領は貿易相手国が本当に素晴らしい提案をするなら耳を傾けるだろう」
7日23:17
「トランプ大統領は中国以外への関税を90日間停止することを検討」
7日21:52 フォンデアライエン欧州委員長
「米国と関税交渉をする用意がある」
「米国の関税交渉次第では報復の可能性もある」
7日23:42 米ホワイトハウス
「90日間の関税停止はフェイクニュースである」
8日00:52 クーグラー米連邦準備理事会(FRB)理事
「インフレ期待は上昇しているが、そのほとんどが短期」
「今のところ、長期的なインフレ期待は安定している」
「2%のインフレ目標が優先事項」
「不確実性が非常に大きい」
8日03:22 ベッセント米財務長官
「関税について日本との交渉に期待」
「今後数週間で有意義な交渉が行われると予想」
※時間は日本時間
<国内>
○08:50 ◎ 2月国際収支速報
◇ 経常収支(予想:季節調整前3兆8120億円の黒字/季節調整済2兆7395億円の黒字)
◎ 貿易収支(予想:5359億円の黒字)
○14:00 ◇ 3月景気ウオッチャー調査(予想:現状判断指数45.2/先行き判断指数46.1)
<海外>
○09:30 ◇ 4月豪ウエストパック消費者信頼感指数
○10:30 ◇ 3月豪NAB企業景況感指数
○15:45 ◇ 2月仏貿易収支(予想:58.50億ユーロの赤字)
○15:45 ◇ 2月仏経常収支
○18:00 ◎ デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○22:00 ◎ ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○23:00 ◇ 3月カナダIvey購買部協会景気指数
○23:00 ◎ チポローネECB専務理事、講演
○9日01:00 ◎ ロンバルデリ英中銀(BOE)副総裁、講演
○9日02:00 ◎ 米財務省、3年債入札
○9日03:00 ◎ デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、講演
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
昨日の海外市場でドル円は、米長期金利が大幅に上昇。1700ドル超下落していたダウ平均が持ち直し、一時890ドル超上昇したことも相場の支援材料となり148.15円まで上昇した。ユーロドルは一時1.0902ドル付近まで弱含んだ。
本日の東京時間のドル円は、流動性が悪化していることで、ポジション調整の動きも値幅を大きく伴うことが予想され、引き続き乱高下を繰り返すことになりそうだ。ただ、昨日は債券やナスダック総合には調整が入ったが、米国の相互関税導入による大きな流れは変わらないことで上値は限定的か。
市場の注目は関税政策及びその経済的な影響に集まっている。市場関係者の一部では、トランプ政権が関税政策の一時停止や緩和措置を行うことを期待していたが、週末から週明けに伝わった政府関係者(トランプ米大統領、ベッセント米財務長官、ラトニック米商務長官)の発言は、関税に関して延期などをすることを全面的に否定し、強気な対応を継続することを発表している。昨日もハセット米国家経済会議(NEC)委員長の発言として「90日間の関税一時停止」という報道が伝わったが、これもホワイトハウスはフェイクニュースと否定している。更にトランプ大統領は「貿易赤字が解決されない限り中国と取引しない」と述べ、貿易戦争が長期化することも示唆している。また、株式市場については下落を望んでいないとはしたものの「時には薬を飲まなくてはならないときもある(sometimes you have to take medicine)」と発言し、株式市場の大幅安についても許容している。昨日のCME225先物は32225円と7日の大阪取引所比で1265円高で引けたことで、本日の日経平均株価の上昇も期待され、為替市場も揺り戻しが入り、ドル円も買い戻される場面もあるだろう。しかし、リスク回避の動きが終了したとはいえず、基本的なドル円の売りトレンドは継続しそうだ。
ドル円の売り圧力が変わらないと思われるのは、本邦の特殊事情もある。防衛面で米国に依存していることで、日本は対抗措置(米国に対する関税強化)を取ることができない。日本は米国にとって7番目の貿易赤字国となっていることで、貿易不均衡の流れを変えるまではトランプ政権が相互関税の割合を変更するのは難しそうだ。また、平均年収は米国が日本のほぼ倍ということもあり、米国に製造業を移転するのは容易ではない。よって、貿易不均衡解消のために、日米間で40年ぶりとなる円高・ドル安誘導、すなわち第2プラザ合意が行われる可能性も否定できない。不均衡解消の切り札が少ない中で、昨日に石破首相はトランプ大統領と電話会談をしたようだが、どのような交渉を行ったかには注目したい。
更に、先週1日に発表された3月の日銀短観で2025年度の全規模・全産業の想定為替レートは147.06円(上期147.17円、下期146.95円)、大企業製造業は147.35円(上期147.43円、下期147.28円)ということで、ドル円の上昇局面では輸出企業を中心に売り意欲が強まることも重しになるだろう。
なお、本日は本邦の国際収支や景気ウォッチャー調査などが発表される。市場が動意づくことは期待できないが、国際収支の中の貿易収支、特に対米黒字額には目を配りたい。今後、この黒字額が米国の相互関税により、どのように推移するかが注目される。
大阪6月限ナイトセッション
日経225先物 32510 +1550 (+5.00%)
TOPIX先物 2393.0 +126.0 (+5.55%)
シカゴ日経平均先物 32225 +1265
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
7日の米国市場は、NYダウ、 S&P500が下落した一方で、ナスダックは上昇。トランプ米大統領が、中国が米国からの全ての輸入品に34%の追加関税をかける報復関税を撤回しない場合、さらに50%の追加関税を課すと自身のSNSに投降した。米政権の関税政策による世界経済の落ち込みや貿易戦争の激化を警戒した売りが続くき、NYダウの下落幅は一時1700ドルを超えた。その後、トランプ大統領が中国以外の国・地域に対する関税措置を90日間停止することを検討していると伝わり、一時900ドル近く急騰。米政権がフェイクニュースと否定したため再び急落するなど、関税を巡る報道に敏感に反応する地合いだった。
S&P500業種別指数は、半導体・同製造装置、銀行、メディアが上昇。半面、不動産、テクノロジー・ハード・機器、自動車・同部品が下落した。NYダウ構成銘柄では、エヌビディア<NVDA>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>、JPモルガン・チェース<JPM>、ボーイング<BA>、セールスフォース<CRM>が買われた。一方で、アップル<AAPL>、ホーム・デポ<HD>、トラベラーズ<TRV>、ナイキ<NKE>が軟調。
シカゴ日経平均先物(6月限)清算値は、大阪比1265円高の3万2225円だった。日経225先物(6月限)のナイトセッションは、日中比20円安の3万0940円で始まり、3万0790円まで売られた。売り一巡後に切り返し、米国市場の取引開始後には一時3万3430円まで急伸する場面もみられた。中盤以降は3万1790円~3万2750円辺りで推移し、3万2510円でナイトセッションの取引を終えた。ナイトセッションでも2600円を超える変動幅となった。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、買い先行で始まりそうだ。石破首相は7日夜、トランプ大統領と電話会談を行った。今後は二国間で協議が行われるほか、首相は閣僚会議の推移を踏まえて、トランプ大統領と直接会談する考えも明らかにしており、協議の進展が期待されて自律反発を狙ったロングが入りやすくなっただろう。ただし、欧州連合(EU)が一部の米国製品に対して25%の対抗関税を提案していると報じられており、関税を巡る報道には引き続き注意を払う必要がある。
日経225先物はボリンジャーバンドの-3σ(3万1350円)を上抜ける形で、-2σ(3万3000円)を上回る場面もみられた。-2σ水準で強弱感が対立する可能性はあるが、日米による二国間協議への期待からショートカバーを誘う可能性があるため、オプション権利行使価格の3万2000円から3万4000円のレンジを想定する。-2σ水準を上回っての推移が続くようだと、-1σ(3万4650円)水準が射程に入ってくるだろう。
7日の米VIX指数は46.98(4日は45.31)に上昇した。60.13に急伸して始まった後に38.58まで低下するなど、関税を巡る報道を受けた乱高下のなかで荒い値動きだった。2020年3月高値82.69が意識されている状況であり楽観はできないが、各国の関税対応次第で急速に低下する可能性はありそうだ。
昨日のNT倍率は先物中心限月で13.65倍に上昇した。全面安商状のなか、朝方に一時13.91倍まで上昇し、75日移動平均線(14.04倍)に迫る場面もみられた。その後下げに転じる場面もあったが、25日線(13.59倍)が支持線として意識される形だった。自律反発が意識されインデックスに絡んだ商いが集中することで、指数インパクトの大きい値がさ株が日経平均型を牽引する形で、NTロングによるスプレッド狙いに向かわせよう。
東京市場は堅調か。米国株はまちまち。ダウ平均とS&P500が下落し、ナスダックが上昇した。ダウ平均は349ドル安の37965ドルで取引を終えた。序盤に1700ドル近く下げた後、プラス転換して900ドル近く上昇するも再びマイナス圏に沈むなど、関税を警戒した売りと押し目買いがせめぎ合って乱高下した。ナスダックはプラス圏とマイナス圏を行き来したが、エヌビディアなど半導体株が強くプラスを確保した。ドル円は足元148円00銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが大証日中終値と比べて1265円高の32225円、ドル建てが1380円高の32340円で取引を終えた。
ナスダックがプラスで終えたことで、株安の連鎖には歯止めがかかった。円高にも一服感が出てきており、直近で大きく崩れた日本株には押し目買いが入ると予想する。足元では指数の振れ幅が大きくなっており、CME225先物からは4桁高も想定される。ここ数日で売り込まれた銘柄が強く買われるような地合いとなるだろう。ただ、動きが良くなれば戻り売りも出てくると思われる。場中は強弱感が交錯して不安定な動きが続くと予想する。日経平均の予想レンジは31500円-32800円。
一部報道によると、中国は米国との対立を対話による解決を促すも、米国が新たな関税推し進めるなら最後まで闘う方針のもよう。
日経225先物は11時30分時点、前日比2120円高の3万3080円(+6.84%)前後で推移。寄り付きは3万2700円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万2225円)を大きく上回る形で、買い先行で始まった。現物の寄り付き直後に3万2380円まで上げ幅を縮めたが、直近の急落に対する自律反発狙いのロングの動きが強まり、終盤にかけて3万3300円まで上げ幅を広げる場面もみられた。
日経225先物は3万3300円まで買われた後は、ボリンジャーバンドの-2σ(3万3120円)近辺での攻防をみせている。同バンドに上値を抑えられてくるようだと、戻り待ち狙いのショートを誘う可能性はありそうだ。ただし、これまで下げがきつかったとはいえ、フジクラ<5803.T>[東証P]、日本製鋼所<5631.T>[東証P]、川崎重工業<7012.T>[東証P]など大型株の一角においてもストップ高まで買われる銘柄が出てきた。関税を巡る日米の二国間協議に対する進展期待なども高まるなか、3万3000円固めを意識したロングが入りやすくなりそうである。
NT倍率は先物中心限月で13.55倍に低下した。ファーストリテイリング<9983.T>[東証P]、アドバンテスト<6857.T>[東証P]、東京エレクトロン<8035.T>[東証P]などが日経平均株価を牽引。ただし、東証プライムの値上がり数が1600を超える全面高商状のなか、相対的にTOPIX型の強さが目立つ形となった。
昨日の海外市場では、米10年債利回りが3.8693%の安値から一気に4.2218%まで35bpを超える尋常ではない暴騰。米相互関税を発端とした市場のリスクオフの終焉を象徴付ける動きだったと言えます。株価は米株を中心にかなり荒れた動きとはなりましたが、解放の日の最初の洗礼を一手に引き受けさせられる羽目となった日経平均先物は、一時33430円まで急騰。引けにかけては1000円の戻り売りとなったものの、本日のアジア市場では再び33257円まで買戻されています。ドル円については、欧州時間に145.08円まで下押ししたものの、米長期金利の急騰につれて3円以上の大幅な買戻し。一時148.15円まで値を上げました。本日の東京時間では、短期勢の利食い売りが先行しているのか、147.25円まで下押ししているといったところです。
今回のリスクオフの終焉のきっかけとなったのは、「狂っている」と本気で懸念されていた相互関税の算出方法に対して、トランプ米大統領のサポーターでもある著名投資家のビルアックマンが公然と批判したり、これもまた、同じ理由からなのかもしれませんが、米大統領選圧勝の原動力となったイーロンマスクが政権内部と距離を置こうとしていることからもわかるように、
内部でも相当の反対があったにもかかわらず、トランプ米大統領が超過激派であるアドバイザーのピーターナバロや、ハワードラトニック米商務長官の関税案を採用してしまったなか、common sence(常識)を持ち備えているベッセント米財務長官やハセット米NEC委員長が「最大関税」からの「交渉の余地がある」ことを表明したことに他ならないわけで、石破首相なり、フォンデアライエン欧州委員長なり、基本的に関税発動後もしっかりとした交渉が出来ることが分かったという市場センチメントの改善が大きな理由となっています。
トランプ米大統領も、様々なオプションが用意されているなかで最もヤバイ案を選択してしまったことに対する自責の念に駆られているのかもしれません。いずれにしても、ドル円は目先、一目転換線と基準線が合わせて位置する147.89円付近が意識されています。
中国商務部の報道官は8日、米国が対中関税を最大50%に引き上げると威嚇したことに対し、強く反対すると表明した。中国はこうした措置が実行された場合、「断固たる対抗措置を取る」と警告した。
報道官は、米国によるいわゆる「相互関税」は根拠がなく、典型的な一方的な覇権主義だと非難。すでに中国が講じた対抗措置は、中国の主権や安全、発展利益を守り、国際貿易秩序を維持する正当な対応であると述べた。関税の引き上げは誤った行動を積み重ねることであり、「米国の脅迫的な本質を改めて露呈した」と批判した。
その上で、「貿易戦争に勝者はおらず、保護主義にも未来はない」と強調。圧力や威嚇は中国との適切な交渉方法ではないとし、米国に対して、すべての一方的関税措置の即時撤回と経済的な圧力の停止を要求。相互尊重に基づいた平等な対話によって、両国間の対立を適切に解決すべきだと訴えた。
SMBC日興証券では、中国政府が4日に米国からのすべての輸入品に34%の追加関税を課すと発表したことを受けて、その影響についてリポートしている。3月以降の20%関税に加えて、計54%の追加関税になるとみられる。中国の報復関税と米国の相互関税による米国企業への影響は2700億ドル程度の収益減となり、S&P500企業の純利益を13.7%押し下げるとSMBC日興では試算。株価調整はなお予断を許さないが、特に中国よりも米国製品の輸入額が大きいカナダ、メキシコの対応が注目されるとコメントしている。
本日の欧州時間でユーロドルは、引き続き米国の相互関税についての報道で方向感なく上下することになりそうだ。
ユーロドルだけでなく、ほぼすべての通貨の流動性が悪化していることで、些細なニュースやフローでも大きく相場が動いている。ただし、ユーロドルは米国の相互関税がされた日本時間3日につけた安値1.0805ドルから同日高値1.1144ドルのレンジからは抜け出せずにいる。欧州連合(EU)内で報復関税に関しての意見が一致しないこともあり、当面はこのレンジ内での取引になりそうだ。
昨日、EU欧州委員会は追加関税を課す米国からの輸入品のリストを加盟国に提案し、欧州議会で9日に承認を求める。一部の品目には15日から適用との報道もあるが、イタリアのタヤーニ外相は発動を「30日に延期する可能性」とも述べている。通商に関し一枚岩ではいかないEUはトランプ米大統領を交渉のテーブルにつかせたい反面、EU各国の利害関係が一致しないことで前に進めない状況だ。このような政治的に不安定な状況ということもあり、当面、ユーロドルは方向感ない動きを繰り返すことになるだろう。
なお、本日はフランスから貿易収支と経常収支が発表される程度で、経済指標で市場が動意づくことは難しそうだ。
・想定レンジ上限
ユーロドル:4月7日高値1.1050ドル。
・想定レンジ下限
ユーロドル:4月3日安値1.0805ドル。
ドル円:1ドル=147.59円(前営業日NY終値比▲0.25円)
ユーロ円:1ユーロ=161.87円(△0.56円)
ユーロドル:1ユーロ=1.0967ドル(△0.0055ドル)
日経平均株価:33012.58円(前営業日比△1876.00円)
東証株価指数(TOPIX):2432.02(△143.36)
債券先物6月物:141.04円(▲1.23円)
新発10年物国債利回り:1.260%(△0.150%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
2月国際収支速報
経常収支(季節調整前)
4兆607億円の黒字 2481億円の赤字・改
経常収支(季節調整済)
2兆3168億円の黒字 1兆9470億円の黒字・改
貿易収支
7129億円の黒字 2兆9379億円の赤字
3月景気ウオッチャー調査
現状判断指数 45.1 45.6
先行き判断指数 45.2 46.6
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は小安い。朝方から148.00円前後での神経質な動きとなっていたが、148円台の定着に失敗すると、米長期金利の低下や本邦長期金利の上昇などを重しに147.25円まで押し戻された。一方で、日経平均株価の大幅高などが相場を下支えしており、下押しも限られた。
・ユーロ円は強含み。日本株高やユーロドルの上昇を支えにした買いが入り、一時162.20円まで値を上げた。もっとも、ドル円の伸び悩みなどが上値を抑制しており、昨日高値の162.37円手前では買いも一服となった。
・ユーロドルも強含み。アジア市場全般でリスクオフの巻き戻しが進むなか、昨日の引けにかけて売りが進んだ反動から買いが入った。米金利低下も相場を支え、1.0982ドルまで値を上げた。
・日経平均株価は4営業日ぶりに大幅反発。前日のナスダック高や外国為替市場での円高一服を手掛かりに過度なリスクオフムードが和らいだ。半導体や自動車関連など幅広い銘柄に買いが入り、指数は一時2100円超高まで急伸。自律反発狙いの買いも入りやすく、その後も高値圏での底堅い地合いを維持した。
・債券先物相場は5営業日ぶりに大幅反落。世界的な貿易摩擦が激化するとの過度な懸念が後退すると、安全資産とされる債券に売りが出た。この日実施された30年物国債入札が弱い結果となったことも相場の重しに。一時はサーキットブレーカーが発動する場面も見られた。
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・西?M 徹氏
OPECプラス、5月から有志8ヶ国が予想外の増産に動く方針へ
存在感と価格の維持を天秤にかけるも、国際原油相場は当面上値の重い展開が続く可能性
主要産油国の枠組であるOPECプラスは、2月の合同閣僚監視委員会(JMMC)で、有志8ヶ国の自主減産を4月から段階的縮小で合意した。5月以降の減産縮小は定期的に需給動向を確認して決定するとし、5月の生産量は4月5日に開催予定のJMMCで協議される予定であった。しかし、JMMC直前に有志8ヶ国はオンライン会合を開催し、5月の自主減産縮小で合意した。縮小幅は日量41.1万バレルと当初予定を上回り、市場の健全性と前向きな見通しを反映したとした。他方、先行きは市場動向をみつつ一時停止や見直しに含みを持たせた。
国際原油市況は米トランプ政権の貿易政策や世界経済を巡る不透明感が重石となるなか、有志8ヶ国の予想外の増産決定による需給緩和が懸念されている。5日のJMMCでは枠内における生産枠の適合と補償の実現をあらためて求めることで合意した。この背景には、カザフスタンの生産量に対する他国の反発が影響している模様だ。今後は今月15日までに新たな減産計画が提出され、次回のJMMCは5月28日に開催予定である。ただし、米国はカザフスタンに高い相互関税を課すなど他国と状況が異なる。長期的な協調減産でOPECの存在感が低下しており、価格と影響力の維持が今後の課題となる展開が続こう。
「トランプ政権の貿易計算式は経済学にとって、生物学にとっての創造説、天文学にとっての占星術のようなものだ」(サマーズ元財務長官)
1. 2025年4月3日「解放の日」
トランプ米大統領は、4月3日に、世界中の貿易相手国に対する「相互関税(Reciprocal Tariffs)」を公表して、米国が貿易相手国から搾取されてきたことから解放されて、独立する日だと宣言した。
4月4日には、ダウ平均株価は、史上三番目の下落幅(▲2231.07:5.5%)を記録して、3万8314.86ドルまで下落して、2024年8月以来、8か月ぶりに4万ドルを割った。ダウ平均は、3日に4%、4日に5.5%下落して、時価総額6.6兆ドルが消失した。
ニューヨーク株式市場の時価総額は、トランプ大統領が勝利した2024年11月の60.88兆ドルから2025年4月には50.55兆ドルまで、約10.33兆ドル減少している。
マールアラーゴでゴルフをプレーしていたトランプ米大統領は、「パウエル氏はいつも遅れるが、今や彼のイメージをすぐに変えられる。ジェローム(パウエル氏)、金利を下げろ、政策をもてあそぶな」と主張した。
パウエルFRB議長は、「金融政策の適切な方向性について結論を出すには、時期尚早だ」と述べ、トランプ政権の関税政策が物価や雇用にどのような影響を与えるかが明確になるまで、政策金利を当面維持する可能性を示唆した。
2. トランプ流貿易計算式
日本の対米関税率は約3%程度だが、トランプ相互関税率は46%となり、親切心で約半分の24%になっている。
トランプ流関税率の算出方法は、2024年の対日貿易赤字(685億ドル)を日本からの輸入金額(1482億ドル)で割っている。
すなわち、トランプ米大統領にとっての通商取引は、通常の商取引のように、貿易赤字は損失と認識していると思われる。
貿易取引は、米国への輸出と同額の輸入を日本が米国から行って、日米貿易不均衡はゼロになるのが本来の姿であり、日本に対する貿易赤字は、対日関税率が間違っているのか、あるいは非関税障壁の結果である、といったものだろう。
この考え方では、日米貿易不均衡をゼロにするには、関税率を60-70%程度まで引き上げる必要があるらしい。
3.日米貿易不均衡の是正策
トランプ米大統領は、米国の貿易赤字を減らすため、第1弾として「トランプ関税」を打ち出した。
市場は、第2弾として、トランプ米大統領が尊敬しているレーガン第40代米大統領が打ち出したドル安政策「プラザ合意Plaza Accord」のような「マールアラーゴ合意(Mar-a-Lago Accord)」への警戒感を強めている。
ミラン米大統領経済諮問委員会CEA委員長が提唱し、ベッセント米財務長官も同調しているらしいドル安政策は、財政・金融緩和を背景にしたドル安政策である。
大阪6月限
日経225先物 33100 +2140 (+6.91%)
TOPIX先物 2433.5 +166.5 (+7.34%)
日経225先物(6月限)は前日比2140円高の3万3100円で取引を終了。寄り付きは3万2700円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万2225円)を大きく上回る形で買い先行で始まった。現物の寄り付き直後に3万2380円まで上げ幅を縮めたが、直近の急落に対する自律反発を狙ったロングが強まり、前場終盤にかけて3万3300円まで上げ幅を広げた。買い一巡後は戻り待ち狙いのショートにより後場中盤に3万2650円まで伸び悩む場面もあったが、終盤にかけてショートカバーが強まり、3万3000円台を上回って終えた。
日経225先物は3万3300円まで買われた後は、ボリンジャーバンドの-2σ(3万3120円)近辺での攻防をみせた。ランチタイムで同水準から下に放れる形となり、戻り待ち狙いのショートを誘う動きになったようである。ただし、下へのバイアスは強まらず、終盤にかけての切り返しによって-2σ水準まで上げてきた。ナイトセッションで-2σは3万2730円辺りまで下がってくるため、支持線に変わるようだと-1σが位置する3万4450円が次のターゲットとして意識されよう。
また、日経225先物はチャート上で、前日の大陰線を概ね埋める形で大陽線を残した。前日の陰線(3万0650円-3万3660円)を完全に埋めてくるようだと、ショートカバーの流れが一段と強まる可能性はありそうだ。グローベックスのNYダウ先物は700ドル、ナスダック100先物は300ポイントあまり上昇して推移している。欧州市場も反発をみせてくると、世界同時株安による混乱もいったんは落ち着いてくることが期待されそうだ。
引き続き米国の相互関税への各国の対応次第の面はあるが、国内では日米の二国間協議への進展期待からショートを仕掛けづらくさせてくるだろう。日経225先物は引き続きボラティリティの高い状態が続くとみられるが、まずは-2σ水準での押し目待ち狙いのロング対応に向かわせよう。
また、これまで下げがきつかったとはいえ、フジクラ<5803.T>[東証P]、日本製鋼所<5631.T>[東証P]、川崎重工業<7012.T>[東証P]など大型株の一角でストップ高まで買われる銘柄が出てきた。前日の急落分を埋める形であり、自律反発の域は脱していないものの、リバウンドが持続するようだとセンチメントを明るくさせるとともに、相場全体の底入れが意識されてきそうだ。
NT倍率は先物中心限月で13.60倍に低下した。ファーストリテイリング<9983.T>[東証P]、アドバンテスト<6857.T>[東証P]、東京エレクトロン<8035.T>[東証P]など指数インパクトの大きい値がさ株が日経平均株価を牽引。ただし、東証プライムの値上がり数が1600を超える全面高商状のなか、強さが目立ったメガバンクなど金融セクターがTOPIX型を押し上げる形となった。25日移動平均線(13.58倍)が支持線として機能するようだと、再びNTロングに振れやすくなろう。
手口面(6月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が4万0436枚、ソシエテジェネラル証券が3万0609枚、サスケハナ・ホンコンが9342枚、バークレイズ証券が7882枚、野村証券が5799枚、JPモルガン証券が5409枚、モルガンMUFG証券が5163枚、ゴールドマン証券が4082枚、SBI証券が3342枚、日産証券が2804枚だった。
TOPIX先物は、ABNクリアリン証券が5万9145枚、ソシエテジェネラル証券が5万4946枚、バークレイズ証券が1万3691枚、モルガンMUFG証券が1万0317枚、ゴールドマン証券が1万0191枚、JPモルガン証券が7972枚、サスケハナ・ホンコンが5933、みずほ証券が4851枚、ビーオブエー証券が4749枚、UBS証券が4115枚だった。
本日のNY為替市場のドル円は、トランプ関税の関連報道に警戒しながら、米株式・債券市場の動向を見極めながらの取引か。なお、NY午後にはデイリー米サンフランシスコ連銀総裁の講演が予定されている。
ドル円のテクニカル分析では、日足一目均衡表・転換線と基準線が位置する147.89円が攻防の分岐点となっている。4月3日の大陰線に対して2手連続陽線で切り返しており、本日の3手目に3日の始値149.27円を上回って3手連続陽線になれば反転が見込まれる。しかしながら、上回ることが出来ない場合、綾戻しに過ぎないとみなされて「下げ三法」という戻り売りシグナルが点灯するため、注目しておきたい。
トランプ米大統領は、ベッセント米財務長官を対日貿易交渉担当者に任命し、日本の関税政策のほか円ドル相場も議題とする、と言明した。ベッセント財務長官は、「日本の非関税障壁は非常に高い」と述べており、先日の植田日銀総裁との会談での円安是正のための金利引き上げ要請に続き、非関税障壁としての円安是正の要請には警戒しておきたい。
昨日は、ハセット米国家経済会議(NEC)委員長が「トランプ米大統領が中国を除く全ての国に対する関税を90日間停止することを検討している」と述べたとの報道があったものの、ホワイトハウスはこの情報を「フェイク(偽)ニュース」として退けた。また、米連邦準備理事会(FRB)が緊急米連邦公開市場委員会(FOMC)を開催して緊急利下げを決定か、といった憶測も飛び交ったが、月曜日に開催される定例の会合に過ぎなかった。
週明け米市場では10年債利回りが4.20%台まで上昇した。その背景には、7000億ドル強の米国債を保有している中国がトランプ関税への報復措置として売却しているとの憶測があった。今後も同様な動きが続くか、米国債市場を注視する必要があるだろう。
クーグラー米連邦準備理事会(FRB)理事の昨日講演では、「インフレ期待は上昇しているが、そのほとんどが短期。今のところ、長期的なインフレ期待は安定している」と述べた。トランプ関税によるインフレ懸念に言及しつつ、「不確実性が非常に大きい」と言及。本日は、デイリー米サンフランシスコ連銀総裁の講演が予定されており、トランプ関税を受けた追加利下げに関する言及など注目しておきたい。
・想定レンジ上限
ドル円の上値目処(めど)は、149.28円(4/3高値)
・想定レンジ下限
ドル円の下値目処(めど)は、145.20円(4/3安値)
今晩は堅調か。昨日はトランプ関税を巡る情報が錯綜し、値動きの荒い展開となった。ダウ平均は2595ドルの値幅で上下に振幅し、349.26ドル安(-0.91%)で終了。S&P500も上下に8%超振幅し、0.23%安で終了。ともに3営業日続落した。一方、ナスダック総合は5.16%安まで下落後、4.52%高まで上昇し、0.10%高と3営業日ぶりに小幅反発して終了した。投資家の不安心理を示すVIX指数は前日の45.31ポイントから一時60.13ポイントまで上昇したが、46.98ポイントで終了した。
今晩の取引ではトランプ関税問題の先行き不透明感が引き続き重しとなることが予想されるものの、前日までに株価が大きく下落したことや、スコット・べッセント財務長官が日本を含む70カ国と関税を巡る交渉が行われると発言したことで過度な警戒感が和らぐことも期待される。テクニカル面でも売られ過ぎを示す指標が多く、買い戻しが優勢の展開となりそうだ。
今晩の米経済指標は3月NFIB中小企業楽観度指数など。デイリー米サンフランシスコ連銀総裁の講演も予定されている。企業決算は寄り前にウォルグリーン・ブーツ・アライアンスが発表予定。
日経平均株価は大幅反発。買い先行後もだれることなく、33000円の心理的節目を意識してもみ合いが続いた。4/7の大幅安で形成した小さなマド埋め手前で伸び悩んだが、前日の大陰線を逆上がりするような陽線を形成して終えた。
RSI(9日)は前日の4.8%→22.0%(4/8)に上昇。ボリンジャーバンド(20日線)では終値でマイナス2σ(32665円)上を回復した。
目先的には自律反発継続が予想されるが、5日移動平均線(33678円 4/8)が早々に上値抵抗になるといったイメージは続く。短期波動は下落継続との判断となる。
一方、月足では60カ月移動平均線(30645円 同)付近から下げ幅を縮小する格好となっている。60カ月移動平均線を下回ると、アベノミクス相場が始まる直前の2012年秋ごろの安値を起点に、その後の複数の安値を通る右肩上がりの上昇トレンドラインまで下落余地が生じる。4月中にその上昇トレンドラインまで下げる場合は29000円台に入ることになる。
上値メドは、5日移動平均線、心理的節目の34000円、心理的節目の35000円、4/2安値(35426円)、3/11安値(35987円)などがある。下値メドは、心理的節目の32000円、4/7安値(30792円)、心理的節目の30000円や29500円、2022年8/16高値(28928円)、2023年3/9高値(28734円)などがある。
(8日終値:9日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=146.64円(8日15時時点比▲0.95円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=160.33円(▲1.54円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0933ドル(▲0.0034ドル)
FTSE100種総合株価指数:7910.53(前営業日比△208.45)
ドイツ株式指数(DAX):20280.26(△490.64)
10年物英国債利回り:4.605%(▲0.010%)
10年物独国債利回り:2.631%(△0.018%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
2月仏貿易収支
78.74億ユーロの赤字 64.90億ユーロの赤字・改
2月仏経常収支
19億ユーロの赤字 13億ユーロの赤字・改
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は頭が重かった。トランプ米大統領が表明した相互関税を巡り対象国との交渉が進むとの期待から、欧州株相場は大幅に上昇。米株式市場ではダウ平均が一時1400ドル超上昇した。投資家の過度なリスク回避姿勢が和らぎ円売り・ドル買いが優勢になると、23時30分前に一時147.67円付近まで値を上げた。なお、ハセット米国家経済会議(NEC)委員長は「関税交渉では日本と韓国を優先している」などと述べた。
ただ、一目均衡表転換線と基準線が合わせて位置する147.89円付近がレジスタンスとして意識されると上値が重くなった。「トランプ米政権は中国に対する104%の追加関税を明日9日に発動する」と伝わると、米中の貿易摩擦が激化するとの懸念から米国株相場が失速。リスク回避の円買いが優勢となり、2時30分過ぎに一時146.25円と日通し安値を更新した。
・米中の貿易摩擦が激化するとの懸念からオフショア人民元(CNH)は急落。対ドルで一時7.4141元まで下落し、過去最安値を更新した。
なお、トランプ米大統領は緊張緩和のため、中国側に協議を呼びかけたもよう。米ホワイトハウスは「中国が合意すればトランプ氏は寛大になる」との見解を示した。
・ユーロドルは一進一退。欧州勢がユーロ売りで参入すると一時1.0911ドル付近まで値を下げたものの、本日早朝につけた安値1.0905ドル手前で売りは一服。21時30分過ぎには1.0968ドル付近まで持ち直した。なお、シムカス・リトアニア中銀総裁は「4月の理事会では0.25%の利下げが必要」「制限的な政策スタンスをさらに弱める必要がある」と述べたほか、ストゥルナラス・ギリシャ中銀総裁は「インフレ再燃の可能性が金融政策の正常化を遅らせる恐れがある」などと話した。
ただ、NY勢が本格参入する時間帯に入ると再び弱含んだ。米長期金利の上昇に伴うユーロ売り・ドル買いが出て、一時1.0889ドルと日通し安値を更新した。もっとも、米中貿易摩擦激化への懸念から、米長期金利が上昇幅を縮めるとユーロ買い・ドル売りがじわりと強まり、1.0949ドル付近まで下値を切り上げた。
・ユーロ円は軟調。欧州勢がユーロ売りで参入したあとはドル円の失速に伴う円買い・ユーロ売りが入った。一時は1400ドル超上昇したダウ平均が上昇幅をほぼ消したほか、4.5%超上昇したナスダック総合がマイナス圏に沈むとリスク回避の円買いが入り、2時30分過ぎに一時160.03円と日通し安値を更新した。
・ロンドン株式相場は5日ぶりに大幅反発。前日に約1年1カ月ぶりの安値を付けていたため、自律反発狙いの買いが優勢となった。貿易摩擦を巡る投資家の過度な警戒が後退したことも株買いを誘った。ロールス・ロイス・ホールディングスやレレックスなど資本財サービス株が買われたほか、ハルマやセイジ・グループなど情報技術セクターが値上がりした。
・フランクフルト株式相場は5日ぶりに大幅反発。米関税政策を巡って欧州連合(EU)が米国と交渉する姿勢を示したため、貿易摩擦に対する投資家の過度な懸念が和らいだ。足もとで相場下落が続いたあとだけに、短期的な戻りを期待した買いも入った。フランスの株価指数は2.50%高、イタリアは2.44%高、スペインは2.37%高となるなど、欧州の主要な株式相場は軒並み上昇した。
・欧州債券相場は英国債が上昇した一方、独国債が下落した。
(8日終値)
ドル・円相場:1ドル=146.27円(前営業日比▲1.57円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=160.29円(▲1.02円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0958ドル(△0.0046ドル)
ダウ工業株30種平均:37645.59ドル(▲320.01ドル)
ナスダック総合株価指数:15267.91(▲335.35)
10年物米国債利回り:4.29%(△0.11%)
WTI原油先物5月限:1バレル=59.58ドル(▲1.12ドル)
金先物6月限:1トロイオンス=2990.2ドル(△16.6ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
特になし
(各市場の動き)
・ドル円は3日ぶりに反落。トランプ米大統領が表明した相互関税を巡り対象国との交渉が進むとの期待から、ダウ平均が一時1400ドル超上昇すると、投資家の過度なリスク回避姿勢が和らぎ円売り・ドル買いが先行。23時30分前に一時147.67円付近まで値を上げた。
ただ、一目均衡表転換線と基準線が合わせて位置する147.89円付近がレジスタンスとして意識されると失速した。「トランプ米政権は中国に対する104%の追加関税を明日9日に発動する」と伝わると、米中の貿易摩擦が激化するとの懸念からダウ平均が下げに転じ、一時800ドル超下落。リスク回避の円買い・ドル売りが優勢となり、4時30分過ぎに145.97円と日通し安値を付けた。
・米相互関税を巡り米中の貿易戦争が激化するとの警戒感が高まる中、オフショア人民元(CNH)は急落した。対ドルでは一時7.4290元まで下落し、過去最安値を更新した。また、CNH円は19.69円と昨年9月以来の安値を更新した。
・ユーロドルは3日ぶりに反発。米長期金利の上昇に伴うユーロ売り・ドル買いが先行すると、23時30分過ぎに一時1.0889ドルと日通し安値を付けたものの、前日の安値1.0882ドルが目先サポートとして働くと買い戻しが優勢に。対円でドル安が進んだ影響も受けて、4時30分前に1.0978ドル付近まで持ち直した。
なお、米連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を有するグールスビー米シカゴ連銀総裁はこの日、「トランプ大統領が打ち出した関税措置は想定されていたものよりもはるかに大きい」と述べ、「インフレが再燃するリスクへの不安もある」との考えを示した。
・ユーロ円は反落。大幅高で始まった米国株相場が下げに転じるとリスク回避の円買いが優勢となり、2時30分過ぎに一時160.03円と日通し安値を更新した。
ユーロ円以外のクロス円も軟調だった。ポンド円は一時186.55円、豪ドル円は86.88円、NZドル円は80.74円、カナダドル円は102.37円、メキシコペソ円は7.00円まで値を下げたほか、南アフリカランド円は7.39円と2023年6月以来の安値を付けた。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は4日続落し、昨年1月以来約1年3カ月ぶりの安値となった。前日までに大きく売りが続いたあとだけに、主力株中心に自律反発狙いの買いが先行。指数は一時1400ドル超上昇した。ただ、「米政権は中国に対する104%の追加関税を明日9日に発動する」と伝わると、米中の貿易摩擦が激化するとの懸念が高まり、一転売りが優勢に。取引終盤には一時800ドル超下落した。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は反落し、昨年1月以来約1年3カ月ぶりの安値となった。
・米国債券相場で長期ゾーンは大幅続落。米国株相場の失速とともに買いが入ったものの、3年債入札が「低調」と受け止められると一転売りが優勢となった。市場では「中国が保有する米国債を関税問題の報復として売却しているとの観測がある」との声も聞かれた。
・原油先物相場は4日続落。中心限月の清算値ベースでは、2021年4月以来となる60ドルの節目を割り込んだ。米中貿易摩擦の激化懸念など、関税が世界経済に悪影響を及ぼすとの見方から原油は売りが優勢となり、節目の60ドルを割り込んだ。
・金先物相場は4日ぶりに反発。米中貿易摩擦の激化懸念を背景として金に買いが入るも、米長期金利が上昇したため金利の付かない金の投資妙味が薄れたとの見方から上げ幅を縮小した。
米政府は8日、中国に対する104%の追加関税を4月9日12時1分に発動すると発表した。
一部通信社が報じたところによると、「中国が報復関税を撤回していないため、東部時間正午に104%の対中追加関税が発動した」ようだ、なお、追加関税の徴収は明日9日からになるもよう。
8日05:26 ベッセント米財務長官
「日本の非関税障壁はかなり高い」
「トランプ氏は日本の首相と極めて生産的な電話会談実施」
「トランプ米大統領は対日貿易交渉に直接関与するだろう」
「トランプ氏が日本との交渉に直接関与する」
「日本とは非常に生産的な会話をもつだろう」
「日本は迅速に進み出たので優先の対応受ける」
8日20:26
「トランプ米大統領は貿易不均衡是正を確約している」
8日08:33 石破首相
「引き続き率直かつ建設的協議の継続を昨日トランプ米大統領と確認」
「米関税の見直し含め外交面の取り組み進めるよう指示」
「鉄鋼やアルミなどの関税受ける産業は日本経済の屋台骨」
8日08:34 グールズビー米シカゴ連銀総裁
「世界貿易戦争に突入すれば消費行動が変化する可能性が高い」
「関税により供給混乱や高インフレに逆戻りする可能性を懸念」
9日01:21
「FRBは不安定な株式市場とは異なり、長期的な視点で物事を見る必要がある」
「関税引き上げがどれくらいの速さで、どれくらいの規模で消費者に転嫁されるかについては意見の相違がある」
「関税はこれまで想定していたよりもはるかに大きい」
「サプライヤーの倒産につながる可能性」
「FRBが供給ショックにどう対応するかは明らかではない」
「多くの人々が自身の経済的な安全を懸念」
「企業もルールが明確でなければ投資しない」
8日08:50 ウィリスNZ財務相
「NZは不安定な世界での安全な避難所(セイフヘブン)だ」
「アジア地域で低成長のリスクがある」
8日14:54 赤沢再生相
「経済物価動向に応じ、引き続き機動的な政策対応行う」
「(米関税の影響)内外の統計分析し、緊張感持って注視」
「米国の関税措置、幅広い影響がある」
「インフレ再燃の可能性が、金融政策の正常化を遅らせる恐れ」
8日19:49 ナーゲル独連銀総裁
「世界経済の見通しは、著しく悪化している」
「来週の欧州中央銀行(ECB)理事会では、責任ある決定が必要」
「欧州は、トランプ関税に対して結束して対応すべき」
8日22:52 ハセット米国家経済会議(NEC)委員長
「関税交渉では日本と韓国を優先している」
「FRBの金利についてはコメントしない」
「金利についてどうするかはFRBが決める」
9日02:26 米ホワイトハウス
「各国に対してあらゆる選択肢が検討されている」
「約70カ国が米国の関税に関して交渉を開始するために連絡を取ってきた」
「アメリカの労働者に利益をもたらし、貿易赤字に対処できるなら合意は成立するだろう」
「各国と個別に貿易協定を結ぶようチームに指示」
「合意が交渉されるにつれ、相互関税は引き続き発効する」
「中国が合意すればトランプ大統領は寛大になる」
「関税交渉では同盟国やパートナーを優先する」
9日03:32 デイリー米サンフランシスコ連銀総裁
「関税によりインフレが再び上昇する可能性が少し懸念される」
「企業は成長について楽観的」
「堅調な成長や労働市場のデータは誤った解釈ではない」
※時間は日本時間
<国内>
○14:00 ◇ 3月消費動向調査(消費者態度指数 一般世帯、予想:34.8)
○15:15 ◎ 植田和男日銀総裁、あいさつ
<海外>
○11:00 ☆ ニュージーランド準備銀行(RBNZ)、政策金利発表(予想:3.50%に引き下げ)
○13:30 ☆ インド中銀、金融政策決定会合(予想:6.00%に引き下げ)
○16:35 ◎ クノット・オランダ中銀総裁、講演
○18:00 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○20:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○21:00 ◎ 2月ブラジル小売売上高(予想:前年同月比1.6%)
○21:00 ◎ 3月メキシコ消費者物価指数(CPI、予想:前年比3.80%)
○21:30 ◎ チポローネ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○23:00 ◇ 2月米卸売売上高(予想:前月比0.8%)
○23:30 ◇ EIA週間在庫統計
○24:00 ◎ バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○10日01:00 ☆ 10-12月期ロシア国内総生産(GDP)速報値(予想:前年比3.6%)
○10日02:00 ◎ 米財務省、10年債入札
○10日03:00 ☆ 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(3月18日-19日分)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
昨日の海外市場でドル円は、相互関税を巡り対象国との交渉が進むとの期待から、ダウ平均が一時1400ドル超上昇すると147.67円付近まで値を上げた。ただ、「トランプ米政権は中国に対する104%の追加関税を明日9日に発動する」と伝わると、米中の貿易摩擦が激化するとの懸念からダウ平均が下げに転じ145.97円まで弱含んだ。ユーロドルは一時1.0889ドルと日通し安値を付けたものの、対円でドル安が進んだ影響も受けて、1.0978ドル付近まで持ち直した。
本日の東京時間でドル円は、引き続き売り場探しの展開は変わらないか。米国の相互関税発表後、ドル円は4日に144.56円まで下落後、7日に148.15円、昨日は148.12円まで買い戻しが進んだ。米株の大幅下落を嫌気し一貫性が無いトランプ政権が、関税策の一時停止や緩和などを進めるとの期待で、ドル円が底を打ったと予想する声も一部ではある。しかし、トランプ大統領は自らを「関税男(Tariff Man)」と名付けるほど、就任前から第2次トランプ政権は関税を重要視していることもあり、簡単に一時停止や緩和を進めると判断するのは時期尚早だ。
また、昨日にベッセント米財務長官が「日本は迅速に進み出たので優先の対応受ける」と発言した。日本は米国にとって、同盟国というよりも米国の要求を常に承諾する植民地のような扱いをしていることで、交渉は進めやすい国とみなしている。早めに成果が欲しいトランプ大統領にとっては、市場が想像するよりも早く交渉が進む可能性もありそうだ。
一部では、米国からの輸入品増加、特に防衛予算の拡充などを行うとの予想もあるが、これらの米国支援は関税問題の解決や、米国の製造業支援にはほぼ役に立たない。よって、兼ねてからうわさされているドル高・円安修正(第2プラザ合意=マールアラーゴ合意)の可能性も現実味を帯びてきている。本日の日経新聞にも、「関税交渉、為替がカードに」との見出しで、「円高修正 思惑一致か」と大々的に報じている。日本側の関税をめぐる交渉担当として、赤沢経済財政・再生相が指名されたが、為替に関することは財務相の加藤氏が担当している。週末に石破首相と加藤財務相が会談を持ったということは、為替をカードとして使う場合の取り決めなどを話し合ったという可能性もありそうだ。また、日経新聞は政府の意向を徐々に伝えて、実際の発表があった時に市場が急転するのを避ける緩衝材となるための予測記事を掲載することがある。「マールアラーゴ合意」が現実を帯びてきていることで、想定為替レート(日銀が発表した3月の想定為替レートは、全規模・全産業、大規模製造業ともに147円台)に接近した場合には、引き続き売り場探しになりやすそうだ。
なお、本日はニュージーランド準備銀行(RBNZ)の金融政策委員会(MPC)が開催されることで、NZドルの値動きにも目を向けておきたい。市場では政策金利を25ベーシスポイント引き下げ(3.75%から3.50%)予想となっている。RBNZ総裁だったオア氏が3年の任期を残して突然3月上旬に辞任したことで、当面はホークスビーRBNZ副総裁が総裁代行を務めている。オア前総裁は4月と5月にそれぞれ25bpの利下げを示唆していたが、前総裁辞任後にも同様の見解を示すか確認しておきたい。また、米国の相互関税はNZに対しては基本税の10%のみになっているが、この影響について昨日ウィリスNZ財務相は、NZへの影響よりもアジア経済の低成長を懸念する発言をしている。RBNZも同様な見解を示すかも注目したい。
大阪6月限ナイトセッション
日経225先物 32140 -960 (-2.90%)
TOPIX先物 2357.5 -76.0 (-3.12%)
シカゴ日経平均先物 32245 -855
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
8日の米国市場は、NYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が下落。この日も関税を巡る報道に乱高下する展開となった。ベッセント米財務長官が米番組でおよそ70の国・地域が関税引き下げの交渉を持ちかけていると語り、交渉の進展が期待されてNYダウは1400ドルあまり上昇する場面もあった。ただし、米政権は中国が報復措置を撤回しなければ、9日から中国製品に計104%の関税を課すとの報道を受け、終了間際には下げ幅が一時800ドルを超えた。S&P500指数は昨年4月以来約1年ぶりに5000を割り込んだ。
S&P500業種別指数は、自動車・同部品、耐久消費財・アパレル、テクノロジー・ハード・機器、素材、エネルギーが下げた一方で、ヘルスケア機器・サービス、保険の2セクターが小幅に上昇。NYダウ構成銘柄ではアップル<AAPL>、ナイキ<NKE>、アムジェン<AMGN>、シャーウィン・ウィリアムズ<SHW>、メルク<MRK>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>が下落。半面、ユナイテッドヘルス・グループ<UNH>、トラベラーズ<TRV>、JPモルガン・チェース<JPM>が買われた。
シカゴ日経平均先物(6月限)清算値は、大阪比855円安の3万2245円だった。日経225先物(6月限)のナイトセッションは、日中比90円高の3万3190円で始まり、3万2690円まで売られた後に切り返し、米国市場の取引開始後には一時3万3920円まで急伸する場面もみられた。ただし、中盤以降は下へのバイアスが強まる形で下落に転じると、終盤にかけて3万1830円まで下げ幅を広げる場面もみられ、3万2140円でナイトセッションの取引を終えた。ナイトセッションでも、連日で2000円を超える変動幅となった。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、売り先行で始まりそうだ。米国の相互関税が9日に発動されることを踏まえ、貿易摩擦に対する警戒や経済の先行き不透明感が根強く、荒い値動きが続きそうである。日経225先物はナイトセッションでボリンジャーバンドの-2σ(3万2550円)を上回って始まり、その後-1σ(3万4340円)水準を意識する場面もあったが、結局は-2σを割り込んで終えた。
トランプ米大統領は友好国を優先に交渉には応じる姿勢を示している。国内では米国との二国間で協議が今後行われるほか、石破首相は閣僚会議の推移を踏まえて、トランプ大統領と直接会談する考えも明らかにしており、交渉の進展期待からショートを仕掛けづらくさせよう。もっとも、中国との土壇場での合意は期待しづらく、ロングの動きも慎重にさせる。そのため、-2σを挟んでの推移が見込まれ、オプション権利行使価格の3万1500円から3万3500円のレンジを想定する。まずは3万2000円近辺での押し目狙いのロング対応に向かわせよう。
8日の米VIX指数は52.33(7日は46.98)に上昇した。36.48まで低下する場面もあったが、その後に切り返す形となった。関税を巡る報道を受けた乱高下のなかで荒い値動きが続いている。ただし、一時57.52まで切り上がったが、前日の高値(60.13)は超えなかった。
昨日のNT倍率は先物中心限月で13.60倍に低下した。東証プライムの値上がり数が1600を超え全体の99%占めたほか、メガバンクなど金融セクターの強さが目立ち、TOPIX型を押し上げる形となった。1月23日の高値14.54倍から4月1日の安値13.32倍の下げに対するリバランスにより、25日移動平均線(13.58倍)が支持線として機能するようだと、再びNTロングに振れやすいとみておきたい。
東京市場は軟調か。米国株は下落。ダウ平均は320ドル安の37645ドルで取引を終えた。高く始まり1400ドル超上げる場面もあったが、買いが続かず急失速。終盤に下げに転じると一時800ドル超下落するなど乱高下した。ドル円は足元146円00銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが大証日中終値と比べて855円安の32245円、ドル建てが755円安の32345円で取引を終えた。
米国株安を受けて売りに押されると予想する。3指数とも引け味が悪く、ナスダックは2%を超える下落となった。きのうの日本株は全面高となったが、きょうはスタートから大きく下げる銘柄が多くなりそう。本日の日本時間13時01分には、米国が相互関税を発動する予定。グローバル株式市場が不安定となっているだけに、発動実施が一段の株安を呼び込むリスクもある。派手に下げるようなら下値は拾われるとみるが、場中は警戒感の強い地合いが続くだろう。日経平均の予想レンジは31800円-32600円。
昨日の海外市場では、米10年債利回りが前日の爆騰に続き再び10bpを超える急騰。欧州時間の4.1243%からは17bp上昇して4.2929%の高値引けとなりました。アジア時間に入ってからも時間外取引で上昇を続けており、一時4.3704%まで上げ幅をひろげることになっています。米国の相互関税の発動を直前に控え、しかも、中国に対しては20+34+50でトータル104%関税という、全くの冗談のような事態が現実となりつつあります。
米長期金利の暴騰は、一部では「中国が米国債を大量に処分している」との声も聞かれているわけですが、相互関税発動によるインフレに対する大きな懸念がリスクプレミアムの急騰という形となって、相場のリスクオフなどを吹き飛ばすほどの威力となっているのかもしれません。ドル円は、日経平均が昨日の上昇分をほぼ消す動きとなっているほか、ダウ平均も昨日のNY市場から、急騰後の急落。そして、アジア時間にも大幅下落後の買戻しといった極めて不安定な値動きを繰返しているなか、とりあえずリスクオフで反応しているといったところ。ただ、既に先週末に大底を確認しているようなかたちとなっていることもあり、これまでのところ下押しも想定内に収まっています。
いずれにしても、市場が最も懸念していた相互関税の不可逆性は米国が否定。トランプ米政権の中でも極めて常識的な対応が可能なベッセント米財務長官などが、解放の日に公表された関税率に対しcapであると表明しているわけで、今後の交渉が進むなかで、これ以上のリスクオフは、一足早く抜け出した米債券市場にフォローして、為替市場でも次第にフェードアウトしていくのかもしれません。
日経225先物は11時30分時点、前日比900円安の3万2200円(-2.71%)前後で推移。寄り付きは3万1900円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万2245円)を下回る形から、売り先行で始まった。現物の寄り付き時に3万2330円まで下げ幅を縮めた後はショートの動きが強まり、中盤にかけて3万1730円まで売られる場面もあった。ただし、売り一巡後は再び下げ幅を縮めてきており、終盤にかけては3万2200円を挟んでの推移となった。
日経225先物は3万1730円まで売られたが、3万2000円を下回る局面においては押し目狙いのロングの動きもあり、若干ながら下げ幅を縮めてきた。ボリンジャーバンドの-2σ(3万2570円)に接近する流れとなればショートカバーが強まってくると考えられるが、東証プライムの9割近い銘柄が下落するなかでは、リバウンドは期待しづらいだろう。スキャルピング中心のトレードのなかにおいて、3万2000円に接近する局面での押し目狙いのロング対応になりそうだ。
NT倍率は先物中心限月で13.50倍に低下した。前日と変わらずの13.60倍で始まり、13.64倍に上昇する場面もあった。ただし、その後25日移動平均線(13.57倍)を割り込んでくると、NTショートに振れる形となっている。
トランプ米政権は予定通りに広範な関税を発動した。中国に対しては50%の関税を上乗せしたことで、合計104%の関税賦課となった。
本日も欧州時間でユーロドルは、引き続き関税に関する報道で上下することになるだろう。関税に関する報道は、米国対欧州連合(EU)の間だけではなく、対中国をはじめ他国に対する報道でもユーロ相場に影響を与えることで警戒したい。
中国に対する米国の関税強化により、米国は対中関税を104%にまで引き上げることを示唆している。しかしながら、中国もこの関税に対し一歩も引く様相はない。米国がこれまでの同盟国だったEUや日本、韓国などに対しても高関税賦課を決定していることもあり、一部では米国を見限り中国へシフトする国が増加していることも、中国が強気な姿勢を崩さない要因になっている。また、BRICSもこれまでのブラジル・インド・南アと中国だけでなく、イラン、エジプト、アラブ首長国連邦(UAE)、エチオピア、インドネシアが正式加盟、タイやマレーシアを含め9カ国もパートナーとして認められていることも中国の支えになるだろう。
昨日、EUは米・EU間で工業製品の関税を互いに撤廃することを提案したが、これについてトランプ米大統領は「軍事的に守るために金をかけ、彼らは貿易でこちらから搾取している」と論点を変えて返答し、合意に至らなかった。本日はEUが追加関税を課す米国からの輸入品のリストを、欧州議会の承認を求める予定になっている(承認された場合には導入は2段階に分けられ、一部の品目には15日から適用し、残りは1カ月後に採り入れる予定)。予定通り発表された場合は、トランプ米大統領の反応次第でユーロ相場も動意づくことになるだろう。
なお、本日は欧州圏からは主だった経済指標の発表は予定されていない。クノット・オランダ中銀総裁、ビルロワドガロー仏中銀総裁、チポローネ欧州中央銀行(ECB)専務理事の講演は予定されているが、ユーロが動意づくのを期待するのは難しそうだ。
・想定レンジ上限
ユーロドル:4月4日高値1.1108ドル。
・想定レンジ下限
ユーロドル:4月7日安値1.0882ドル。
日銀は財務省と金融庁が3者会合を午後4時から開催する。
ドル円:1ドル=145.11円(前営業日NY終値比▲1.16円)
ユーロ円:1ユーロ=160.52円(△0.23円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1062ドル(△0.0104ドル)
日経平均株価:31714.03円(前営業日比▲1298.55円)
東証株価指数(TOPIX):2349.33(▲82.69)
債券先物6月物:141.34円(△0.30円)
新発10年物国債利回り:1.275%(△0.020%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
3月消費動向調査(消費者態度指数、一般世帯)
34.1 35.0
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は軟調。米国の上乗せ関税発動によって世界的に貿易摩擦が激化するとの思惑から、景気の下押し懸念が広がった。日経平均株価の大幅安も相場の重しとなり、一時144.58円まで下押し。もっとも、4日につけた年初来安値144.56円がサポートとして意識されると、その後は145円台半ばまで下げ渋った。
なお、米国は日本時間13時(現地時間9日0時)に予定通りに相互関税(上乗せ分)を発動。中国に対する関税は合計104%となった。
・ユーロドルは堅調。米国の広範な相互関税が発動されるなか、為替市場全般でドル売りが強まった影響を受けた。一時1.1069ドルまで上昇。なお、時間外の米10年債利回りは4.51%台まで大幅に上昇する場面もあったが、為替相場への影響は限定的だった。米国株先物も下落しており、ドル安・米株安・米債券安のトリプル安となっている。
・ユーロ円は下値が堅い。朝方にはドル円や日本株の下げにつれて159.64円まで下押す場面があったものの、その後はユーロドルの上昇に伴って160.89円まで反発した。
・日経平均株価は大幅反落。米中貿易戦争の激化が世界景気を下押すとの懸念が広がるなか、昨日の米国株式相場が下落した流れを引き継いだ。外国為替市場で円高・ドル安が進行していることも重しとなり、この日の国内株も全面安の展開に。指数は一時1700円超安まで下押す場面もあった。
・債券先物相場は反発。米中貿易戦争に対する懸念が広がり、安全資産とされる債券需要が高まった。ただ、この日実施された日銀の国債買い入れオペで投資家の売り意欲の強さが確認されると、相場も一転して下落。午前につけた高値141円56銭から140円25銭まで失速する場面も見られた。もっとも、引けにかけては再びプラス圏に浮上。日銀・財務省・金融庁の三者会合で国内金利上昇への対応が取られるのではとの思惑が広がり、債券には買い戻しが入った。
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・西?M 徹氏
RBNZは5会合連続利下げも、トランプ関税の影響を見定める構え
後任総裁人事に手間取るなかで緩和継続は不可避、NZドル相場は上値の重い展開が続くか
ニュージーランド準備銀行(RBNZ)は、9日の金融政策委員会で政策金利(OCR)を5会合連続で引き下げた。しかし、利下げ幅を25bpに縮小させており、昨年来の緩和局面での利下げ幅は200bp、OCRも2年半ぶりの水準となる。これは、過去のインフレ高進後の利上げと景気後退を経て、足元では景気に底打ちの兆しがみられるなか、金融緩和を維持しつつそのペースを調整したものと捉えられる。
ただし、足元では米トランプ政権が発表した相互関税が世界経済や同国経済に悪影響を与える懸念があり、RBNZもその影響を注視している。会合後に公表した声明文では、政策運営は中期的な物価動向を注視しているとした上で、現時点ではリスクバランスは取れているとの見方を示している。その一方、関税政策の影響が明確化した後の追加利下げ余地に言及するなど、追加利下げに含みを持たせる考えをみせる。
他方、RBNZを巡っては先月の前総裁辞任後の後任人事が遅れている状況が続いている。その背景には政策運営に対する批判も影響している可能性がある。当面は緩和的な金融政策を継続せざるを得ない展開が続き、NZドルの対米ドル相場や対円相場は上値の重い展開が続く可能性は高いと見込まれる。
「日本は敗者だ。新たな関税政策が日米の外交関係に重大な緊張をもたらす可能性が高い」
(ユーラシア・グループ ボーリング氏)
トランプ米大統領は、日本に対して24%という高率の「相互関税」を課してきた。
日米安全保障条約については、「我々は日本を守らなくてはならないが、日本は我々を守る必要はない。いったい誰がこんな取引を結んだのか」と不満を表明していた。
日本の2024年通年の実質GDPは前年比0.1%増の557兆4064億円と4年連続のプラスを維持し、名目GDPは1.3%増の609兆2887億円と、暦年で初めて600兆円を超えた。
名目GDP609兆円を前提にして、米国の要求を試算していきたい。
1.関税と国内総生産(GDP)
・自動車関税:25%・・・・GDP ▲0.20%(※市場筋の試算)
・相互関税 :24%・・・・GDP ▲0.59%(※市場筋の試算)
トランプ関税による対日関税賦課の試算0.79%は、約4.8兆円のマイナス要因となる。
トランプ米大統領は、「最も厄介なのは日本や韓国などの非金銭的な規制だ」と訴えて、非関税障壁によって米国車の参入が阻まれているとの考えを強調した。
日本の非関税障壁を加味した場合、46%の関税をかけていることになるらしい。算出方法は、2024年の対日貿易赤字(685億ドル)を日本からの輸入金額(1482億ドル)で割っている。
日本が課すコメ関税は「700%」と主張しているが、実際の関税率は200%ほどらしい。
2024年の対米輸出は21兆2947億円で、日本の輸出全体の約2割を占めている。
最大の品目は、25%の関税導入が決まっている自動車で6兆0264億円、自動車部品が1兆2310億円となっている。
2.防衛費とGDP
コルビー米国防次官が、米上院軍事委員会の公聴会で、日本に対し防衛支出をGDP比で3%超に引き上げるように要求した。現在のGDP比2%に対しては、不十分という見解が示された。
2025年度の予算案の一般会計総額は115兆1978億円で、防衛費は過去最高の8兆7005億円で、GDP比にして約1.6%となっている。
現在、GDP比2%を目指すことになっており、2023年度?2027年度の防衛費の総額は43兆円と目論まれている。
GDPを約609兆円と仮定した場合、GDP比3%は約18.3兆円になる。
大阪6月限
日経225先物 31830 -1270 (-3.83%)
TOPIX先物 2350.0 -83.5 (-3.43%)
日経225先物(6月限)は前日比1270円安の3万1830円で取引を終了。寄り付きは3万1900円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万2245円)を下回る形から売り先行で始まった。現物の寄り付き時に3万2330円まで下げ幅を縮めた後はショートが強まり、前場中盤にかけて3万1730円まで売られた。その後、前場終盤にかけて朝方につけた高値水準まで下げ渋る動きもみられたが、ショートカバーの動きは限られた。
ランチタイムで日中の安値水準まで下げるなか、米政権は「相互関税」を課す措置を日本時間の9日午後1時すぎに発動した。これをきっかけにショートが強まり、一時3万1280円まで下げ幅を広げた。ただし、前日の安値を割り込まなかったことで終盤にかけてショートカバーによって下落幅を縮めている。
日経225先物は米国の相互関税発動をきっかけにショートが入ったものの、予定されていたことでもあり、改めてショートを仕掛けてくる動きは限られていた。前日の安値のほか、ボリンジャーバンドの-3σ(3万0660円)を割り込まなかった。また、-2σ(3万2480円)を下回っての推移だったが、バンドは下向きで推移しているため、ナイトセッションで3万2010円水準まで下がってきている。下向きのトレンドではあるものの、-2σと-1σ(3万3960円)によるレンジも意識されてきそうだ。
グローベックスのNYダウ先物は100ドルほど下げているが、ナスダック100先物は小幅ながらプラス圏で推移している。相互関税の発動を受け、今後は各国政府間の協議に関心が集まり、いずれかの国が米国から譲歩を引き出すことができれば、買い戻しが意識されるとみられ、楽観は禁物ではあるが、押し目狙いのロング対応に向かわせよう。
NT倍率は先物中心限月で13.54倍に低下した。前日と変わらずの13.60倍で始まり、13.64倍に上昇する場面もあった。ただし、その後25日移動平均線(13.57倍)を割り込んでくると、一時13.45倍まで低下した。トランプ米大統領が台湾積体電路製造(TSMC)<TSM>に対し、「米国内に工場を建設しない場合は最高100%の税金を支払うことを伝えた」と報じられたことで、半導体株が下げ幅を広げた影響から、NTショートに振れる形となっている。
手口面(6月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が3万7992枚、ソシエテジェネラル証券が2万9793枚、サスケハナ・ホンコンが8180枚、バークレイズ証券が6195枚、ゴールドマン証券が4652枚、日産証券が4595枚、野村証券が4034枚、モルガンMUFG証券が3867枚、JPモルガン証券が3728枚、SBI証券が3679枚だった。
TOPIX先物は、ABNクリアリン証券が5万6127枚、ソシエテジェネラル証券が4万5025枚、バークレイズ証券が9542枚、JPモルガン証券が8930枚、ゴールドマン証券が8873枚、モルガンMUFG証券が7880枚、みずほ証券が4908枚、サスケハナ・ホンコンが4587枚、ビーオブエー証券が3501枚、SMBC日興証券が3059枚だった。
本日のニューヨーク為替市場でも、依然として世界中を混乱させているトランプ関税に絡んだニュースに要注目。株・債券、為替とボラティリティが高まっており、まだ暫くはリスク回避の強度を探りながらの取引となりそうだ。
トランプ米政権は、本日の日本時間13時1分に予定通り広範な関税を発動。今回は米国にとって貿易赤字の大きい国・地域を対象に上乗せ税率が適用された。中国に対しては50%上乗せし、関税賦課は合計104%まで拡大。これを受けて、世界経済の二大国による貿易戦争への警戒感が一層高まった。
もっとも執筆時点では、材料出尽くし感とまでは行かないものの、一旦は様子見ムードが広がっている。急騰した米長期金利も上昇幅を縮小し、時間外の米株先物も大幅安から一時プラス圏に浮上。米国からの関税攻撃に対して、今のところ中国が懸念の表明だけに留まっていることが様子見に繋がっているか。今後は、トランプ関税に対する中国の反撃がどの程度なのかを見定める必要がある。
また今回の関税について、おそらくNY朝にはでると思われるトランプ大統領や米政権高官からの見解も注目。トランプ米大統領が強硬な姿勢を緩めることはないだろうが、高官が何らかの交渉余地を示す可能性はあるかもしれない。
ところで本日の上乗せ関税発動を挟み、時間外の米債券相場が暴落(金利は急騰)した。米10年債利回りは4.33%前後から一時4.51%台まで上昇。同30年債利回りに至っては、5.01%台と2023年11月以来の水準まで急上昇した。欧州時間に入り落ち着いてはいるものの、本日NY午後に控える米10年債の入札の結果次第では債券相場の不安定さがぶり返すかもしれない。そうなると、ドル相場も神経質に上下することになるだろう。
想定レンジ上限
・ドル円、本日高値146.36円
想定レンジ下限
・ドル円、4日安値144.56円
今晩は軟調か。
昨日はトランプ関税への警戒感が和らぎ大幅に上昇してスタートしたものの、米国時間8日深夜に関税が発動されることになったことで急落し、主要3指数がそろって安値圏で終了した。ダウ平均は1461ドル高まで上昇後、320.01ドル安(-0.84%)で終了し、S&P500も4.05%高まで上昇後、1.57%安で終了。ともに4営業日続落した。前日に3日ぶりに小幅に反発したナスダック総合は4.57%高まで上昇後、2.15%安と反落して終了した。
ダウ平均は4日間で4579.73ドル下落し、S&P500とナスダック総合もそれぞれ4日間で12.14%安、13.26%安となった。先週に高値から20%超下落し「弱気相場」入りしたナスダック総合は、高値からの下落率を24%超に拡大し、S&P500は高値から約19%安となり「弱気相場」入りが目前に迫った。
引け後の動きでは日本時間午後1時に予定通り「相互関税」が発動され、中国からの輸入品に合計104%の関税が課されたほか、日本など合計86カ国に対してトランプ関税が発効された。
今晩の取引ではトランプ関税発効で物価上昇懸念、景気後退懸念、貿易戦争激化懸念が強まることで売り優勢の展開か。日本時間午後2時時点でダウ平均、S&P500、ナスダックの先物がそろって2%前後下落しており、関税問題で何らかの好材料が無い限り、リスク回避の動きが強まりそうだ。経済イベントでは3月18-19日開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨が公表され、利下げを巡る議論の内容が注目される。
今晩の米経済指標・イベントはFOMC議事要旨のほか、MBA住宅ローン申請指数、2月卸売在庫、EIA週間原油在庫、米10年債入札など。このほか、バーキン米リッチモンド連銀総裁の講演も予定されている。企業決算は寄り前にデルタ航空、引け後にコンステレーション・ブランズが発表予定。
日経平均株価は大幅反落。売り先行後も下値模索が続き、下落幅は1000円を超す展開となった。終値はやや戻して終えたものの、32000円を割り込んで終えた。
RSI(9日)は前日の22.0%→19.7%(4/9)に低下。下向きの5日移動平均線(32875円 4/9)下で波乱含みの展開が続いている。ボリンジャーバンド(20日線)では終値でマイナス2σ(31908円 同)を下回った。短期波動は下落継続との判断となる。
一方、週初のレンジで上げ下げをしているだけで、下方に水準訂正している印象は小さい。
そういった意味でも目先的には自律反発が予想されるが、5日移動平均線の下方で寄り付く場合には下向きの同線が上値抵抗になりやすい日柄しかまだ経過していない。
上値メドは、5日移動平均線、心理的節目の34000円、心理的節目の35000円、4/2安値(35426円)、25日移動平均線(36273円 同)などがある。下値メドは、4/7安値(30792円)、心理的節目の30000円や29500円、2022年8/16高値(28928円)、2023年3/9高値(28734円)などがある。
1時に発表される予定だった10-12月期ロシア国内総生産(GDP)速報値は発表延期となった。
米財務省によると、10年債入札(ダッチ方式)の落札結果は最高落札利回りが4.435%、応札倍率(カバー)が2.67倍となった。
(9日終値:10日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=147.04円(9日15時時点比△1.93円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=161.39円(△0.87円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0975ドル(▲0.0087ドル)
FTSE100種総合株価指数:7679.48(前営業日比▲231.05)
ドイツ株式指数(DAX):19670.88(▲609.38)
10年物英国債利回り:4.779%(△0.174%)
10年物独国債利回り:2.591%(▲0.040%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
特になし
(各市場の動き)
・ドル円は底堅い動き。トランプ米政権はこの日、予定通り相互関税(上乗せ分)を発動。中国に対する追加関税は累計104%となった。一方、欧州連合(EU)は米政権の関税強化に対する初の報復措置を承認。鉄鋼とアルミニウムへの関税を受けた対抗策で、農産物や鉄鋼、家電などの米国製品に最大25%の追加関税を課すとした。また、中国政府は米国から輸入する製品に対する関税を84%に引き上げると表明した。
米国と貿易相手による関税の応酬が世界景気に悪影響を及ぼすとの懸念から、欧州株相場や時間外のダウ先物が下落するとリスク回避の円買い・ドル売りが先行。ベッセント米財務長官が最近の円高について「自然な流れ」と発言したことも相場の重しとなり、21時30分過ぎに一時144.00円と昨年10月以来の安値を付けた。
ただ、売り一巡後は買い戻しが優勢に。安く始まった米国株相場が底堅く推移したほか、注目されていた米10年債入札が「堅調」だったことで、ドル円はじり高の展開が続いた。
その後、トランプ米大統領が「中国への関税を125%に引き上げる」とした一方、「米国に対して報復措置を取っていない国・地域を対象に関税引き上げを90日間一時停止する」と明らかにすると、ダウ平均が2600ドル超上昇したほか、ナスダック総合が10%超急騰。ドル円にも買いが集まり、3時過ぎには一時148.27円まで急伸した。
・ユーロドルは頭が重かった。対円などでドル安が進んだ流れに沿ってユーロ買い・ドル売りが先行すると、21時30分過ぎに一時1.1095ドルと日通し高値を更新した。ただ、節目の1.1100ドル手前では買いが一服。米政権の「相互関税」に伴う世界経済の先行き不透明感が高まる中、欧州株相場の下落に伴うユーロ売りも出た。
NY午後に入ると、トランプ米大統領が自身のSNSに「相互関税の上乗せ部分を90日間停止する」と記したことが材料視され、全般ドル買いが進行。3時過ぎに一時1.0914ドルと日通し安値を更新した。
・ユーロ円はドル円とユーロドルの値動きの影響を同時に受けたため、しばらくは大きな方向感が出なかったが、NY午後に上昇した。トランプ米大統領がこの日発動した「相互関税」の一部について「90日間の一時停止を許可する」と発表すると、米国株相場が急騰。投資家の過度なリスク回避姿勢が和らぎ円売り・ユーロ買いが進んだ。ドル円の上昇につれた買いも入り、3時過ぎに一時161.98円と日通し高値を付けた。
・ロンドン株式相場は大幅反落し。昨年3月11日以来約1年1カ月ぶりの安値で取引を終えた。中国が米相互関税に対する報復措置を発表すると、関税の応酬が世界景気の悪化につながるとの懸念が高まり売りが広がった。トランプ米大統領が輸入医薬品に対する大規模な追加関税を示唆したことで、アストラゼネカやグラクソスミスクラインなど医薬品が売られた。原油価格の下落を背景にBPやシェルなどエネルギー株も軟調だった。
・フランクフルト株式相場は大幅に反落し、昨年11月29日以来の安値となった。米「相互関税」に伴う世界経済の先行き不透明感が高まる中、売りが先行。中国が米相互関税への報復措置を発表すると投資家心理がさらに悪化し、売りが加速した。フランスの株価指数は3.34%安、イタリアは2.75%安、スペインは2.22%安となるなど、欧州の主要な株式相場は軒並み下落した。
・欧州債券相場は英国債が下落した一方、独国債が上昇した。
9日の日経平均は大幅反落。終値は1298円安の31714円。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり148/値下がり1473。本決算が好感されたパルGHDが大幅高となって上場来高値を更新。円高進行を手がかりに神戸物産やセリアが買いを集めた。JR西日本や相鉄HDなど鉄道株の一角が堅調。心筋細胞シートに関するリリースを材料にクオリプスがストップ高比例配分となっており、連想買いが入ったセルシードやケイファーマもストップ高となった。
半面、ディスコのほか、アドバンテスト、レーザーテック、東京エレクロトンなど半導体株が軒並み大幅安。フジクラ、古河電工、住友電工の電線大手3社も大きめの下げとなった。ほか主力どころでは、ソフトバンクG、川崎重工、日立などが大幅安。車の炭素繊維に関してEUが原則禁止を検討しているとの報道を嫌気して、東レや帝人が急落した。
日経平均は4桁の下落。今週に入って全面安、全面高、全面安と極端な動きが続いている。売買代金上位銘柄の振れ幅が大きくなっていることから、指数も値幅が出やすくなる。あすは引け後にファーストリテイリングが上期決算を発表予定で、この決算を消化する金曜11日はSQ日。マーケットが落ち着きを取り戻すのはもう少し先になりそう。下向きの5日線(32875円、9日時点)を超えられない状態が続く中、きょうの安値は31258円まであった。7日の安値30792円を下回ってしまうとそのことが新たな売りを呼び込む可能性があるだけに、あすは31000円より上をキープすることができるかが注目される。
(9日終値)
ドル・円相場:1ドル=147.76円(前営業日比△1.49円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=161.88円(△1.59円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0949ドル(▲0.0009ドル)
ダウ工業株30種平均:40608.45ドル(△2962.86ドル)
ナスダック総合株価指数:17124.97(△1857.06)
10年物米国債利回り:4.33%(△0.04%)
WTI原油先物5月限:1バレル=62.35ドル(△2.77ドル)
金先物6月限:1トロイオンス=3079.4ドル(△89.2ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
MBA住宅ローン申請指数
(前週比) 20.0% ▲1.6%
2月米卸売売上高
(前月比) 2.4% ▲0.9%・改
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は反発。この日発動された米相互関税(上乗せ分)に対抗する格好で、欧州連合(EU)は農産物や鉄鋼、家電などの米国製品に最大25%の追加関税を課すことを承認。また、中国は米国から輸入する製品に対する関税を84%に引き上げると表明した。
米国と貿易相手による関税の応酬が世界景気に悪影響を及ぼすとの懸念から、欧州株相場や時間外のダウ先物が下落するとリスク回避の円買い・ドル売りが先行。ベッセント米財務長官が最近の円高について「自然な流れ」と発言したことも相場の重しとなり、21時30分過ぎに一時144.00円と昨年10月以来の安値を付けた。
ただ、売り一巡後は買い戻しが優勢に。トランプ米大統領がSNSに「落ち着いて(BE COOL)!すべてうまくいく」「今は買いの好機だ」などと投稿すると、安く始まった米国株相場が上昇。警戒されていた米10年債入札が「堅調」だったこともあり、ドル円はじり高の展開となった。
日本時間2時過ぎにトランプ米大統領が「中国への関税を125%に引き上げる」とした一方、「米国に対して報復措置を取っていない国・地域を対象に関税(上乗せ分)引き上げを90日間一時停止する」と発表すると、ダウ平均が3100ドル超上昇し、ナスダック総合が12%超急騰。貿易戦争への過度な警戒感が後退し、リスク回避の巻き戻しが広がった。3時過ぎには一時148.27円まで急伸した。
・ユーロドルは小反落。対円などでドル安が進んだ流れに沿ってユーロ買い・ドル売りが先行すると、21時30分過ぎに一時1.1095ドルと日通し高値を付けた。
ただ、節目の1.1100ドル手前では買いが一服。米政権の「相互関税」に伴う世界経済の先行き不透明感が高まる中、欧州株相場の下落に伴うユーロ売りも出た。
NY午後に入ると、トランプ米大統領が自身のSNSに「報復措置を取っていない国・地域を対象に関税引き上げを90日間一時停止する」と記したことが材料視されて、ユーロ売り・ドル買いがさらに進んだ。3時過ぎには一時1.0914ドルと日通し安値を更新した。
・ユーロ円は反発。しばらくは160.00円を挟んだもみ合いの展開が続いていたが、トランプ米大統領がこの日発動した「相互関税」の一部について「90日間の一時停止を許可する」と発表すると、米国株相場が急騰。投資家の過度なリスク回避姿勢が和らぎ円売り・ユーロ買いが進んだ。3時30分前には一時162.20円と日通し高値を付けた。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は5日ぶりに大幅反発。関税の応酬が世界景気の悪化につながるとの懸念から売りが先行すると、一時360ドル超下落した。ただ、トランプ米大統領がSNSに「落ち着いて(BE COOL)!すべてうまくいく」「今は買いの好機だ」などと投稿すると、徐々に買い戻しが優勢に。NY午後に入り、トランプ氏がこの日発動した「相互関税」について「報復しない国・地域に90日間の関税一時停止を承認」と発表すると急騰した。指数は一時3100ドル超上昇する場面があった。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も急反発。前日に約1年3カ月ぶりの安値を付けたあとだけに、自律反発狙いの買いも入りやすかった。
・米国債券相場で長期ゾーンは3日続落。アジア時間には関税引き上げによるインフレ懸念の高まりやポジション解消の売りが優勢となり、利回りは一時4.5114%前後まで上昇する場面があった。ただ、NY市場では下げ渋る展開に。警戒されていた10年債入札が「好調」だったことが分かると買い戻しが進み、利回りは4.29%台まで上昇幅を縮めた。
・原油先物相場は5日ぶりに反発。関税の影響で原油需要の落ち込みが懸念されるなか、一時55.12ドルまで下落して期近物としては2021年2月以来の安値を付けた。しかし、トランプ米大統領の「報復しない国・地域に90日間の関税一時停止を承認」との発言が伝わると、リスク回避の動きが後退して原油を買い戻す動きが強まった。
・金先物相場は続伸。EUが報復関税を発表するなど、報復関税の応酬による世界的な景気減速懸念を背景に、相対的に安全資産とされる金に買いが入った。もっとも、トランプ米大統領の「報復しない国・地域に90日間の関税一時停止を承認」との発言が伝わるとリスク回避の動きが後退して金が上げ幅を縮小する場面も見られた。
一部通信社が報じたところによると、「米大手投資銀行ゴールドマン・サックスはトランプ米大統領の関税停止を受けて景気後退予想を撤回した」ようだ。
一部通信社が報じたところによると、「米政府は中国の報復措置による輸出への影響を巡り、農家救済を検討している」ようだ。
9日05:29 トランプ米大統領
「関税は課される」
「70カ国以上と関税交渉を行った」
「関税の状況は良い状況」
「大きな美しい法案を可決することはとても重要」
「日本が交渉のためにここに来ようとしている」
「中国は104%の関税を支払うことになるだろう」
9日09:26
「医薬品に関税を賦課するつもりだ」
「医薬品への主要な関税を近く発表する」
9日22:34
「落ち着いて(BE COOL)!すべてうまくいく」
「米国はかつてないほど大きく、より良くなるだろう」
「今は買いの好機だ」
10日02:21
「中国への関税を125%に引き上げる、即時発効」
「報復しない国・地域に90日間の関税一時停止を承認」
10日04:26
「中国との合意が成立する可能性」
「人々が関税について少し不安を感じ始めていたため、多くの世界的な関税を撤回したが、中国への関税は撤回しなかった」
「90日間の猶予期間は、報復措置を取らなかった人々のためのものだ」
「これは誰にとっても公平な取引となるだろう」
「おそらく私が考えていたよりも早く進展している」
「債券市場を注視していた。最初は難しかったが今は素晴らしい状況だ」
9日09:10 植田日銀総裁
「物価目標の実現の観点から政策を運営している」
「経済・物価改善するなかで低金利継続すると緩和が過大になる」
9日10:19 赤沢再生相
「米国に関税措置見直しを強く求めることに変わりない」
9日10:46 加藤財務相
「米国とは為替について財務相間で協議との認識共有」
「日米関税交渉、為替もテーマになり得ると承知」
※米国の関税措置について
「中国の発展の権利を奪うことはできない」
「中国の合法的な権利と利益を守るため、断固として効果的な措置を取り続ける」
9日16:54 三村財務官
「(相互関税について)一連の措置は極めて遺憾」
「日本経済や市場、産業への影響をきめ細かく把握」
「世界市場の安定維持に万全を期すことを確認」
「市場動向を高い緊張感を持って注視する」
「為替について、投機的な動き含め憂慮してみている」
「為替はファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが重要」
「米財務省とも様々なやり取りはしている」
「米側と今後どう議論するかは予断を持って予想しない」
9日17:28 クノット・オランダ中銀総裁
「ディスインフレは順調に進んでいる」
「政策金利は中立範囲の上限にある」
「貿易戦争が長期的にインフレを引き起こす可能性は低い」
「債券市場の反転を監視する必要がある」
9日18:08 レーン・フィンランド中銀総裁
「3月の会合以来、下振れリスクが顕在化している」
9日20:05 中国財務省
「米国製品に追加で84%の関税を課す」
「追加関税は4月10日に発動」
9日20:39 李強・中国首相
「不確実性に対処する用意がある」
「中国経済は引き続き回復傾向」
「より積極的なマクロ経済政策を実施する必要がある」
※時間は日本時間
9日20:41 ホルツマン・オーストリア中銀総裁
「ユーロ圏の景気後退は考えにくいものの、成長は鈍化する可能性がある」
「今のところ利下げの理由は見当たらない」
「不確実性が高い現状では待つことが最善の戦略」
9日20:50 ベッセント米財務長官
「中国の報復関税は残念」
「貿易戦争の激化は中国にとって損失」
「中国に人民元の切り下げをしないよう促す」
「強い円は正常」
「米国は強いドル政策」
9日21:11 デイリー米サンフランシスコ連銀総裁
「次の行動を検討する時間と余裕がある」
9日22:15 カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁
「関税の影響で利下げのハードルは上昇」
「経済と労働市場が弱体化しても利下げのハードルが上昇」
「関税のインフレへの影響を無視するのはリスクが高すぎる」
「最優先事項は長期的なインフレ期待を安定させること」
10日00:22 ムサレム米セントルイス連銀総裁
「今年の米経済成長率は2%のトレンド予想を大幅に下回る見込み」
「基本シナリオは景気後退ではないが、信頼感の低下、物価上昇、家計資産への打撃は成長の減速を示唆」
「金融環境は引き締まっているが、最近のボラティリティで市場の機能不全は見られない」
「成長鈍化とインフレ上昇のリスクが顕在化し始め、FRBの二つの責務目標の間で緊張が高まっている」
「インフレ期待は依然として安定しており、FRBはそれを維持する必要がある」
「FRBが関税による物価上昇を無視できると想定するのは危険であり、一部の影響が持続する可能性がある」
「インフレ期待が安定している限り、金融政策にはバランスのとれたアプローチを取る」
10日01:40 バーキン米リッチモンド連銀総裁
「経済の最大の構成要素である消費者を最も注視」
「消費者が買い控えを決断する瞬間が近づいているかどうかは懸念すべきだが、今のところそのような事態は起きていない」
「消費者支出に最も影響を与えるのは仕事があるかどうか、2番目は信頼感、3番目は資産効果」
「株式市場の調整は消費者の買い控えにつながるものではない」
※時間は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 3月企業物価指数(予想:前月比0.2%/前年比3.9%)
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
<海外>
○08:01 ◇ 3月英王立公認不動産鑑定士協会(RICS)住宅価格(予想:8)
○10:30 ◎ 3月中国消費者物価指数(CPI、予想:前年比横ばい)
○10:30 ◎ 3月中国生産者物価指数(PPI、予想:前年比▲2.3%)
○15:00 ◎ 3月ノルウェーCPI(予想:前月比▲0.5%/前年比2.9%)
○16:00 ◇ 2月トルコ鉱工業生産
○19:00 ◎ ブロック豪準備銀行(RBA)総裁、講演
○21:30 ◇ 2月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比▲0.5%)
○21:30 ☆ 3月米消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.1%/前年比2.6%)
☆ エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比0.3%/前年比3.0%)
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:22.3万件/188.2万人)
○22:00 ◎ ブリーデン英中銀(BOE)副総裁、講演
○22:30 ◎ ローガン米ダラス連銀総裁、あいさつ
○23:00 ◎ ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事、米上院のFRB副議長指名承認公聴会に出席
○23:00 ◎ シュミッド米カンザスシティー連銀総裁、講演
○11日01:00 ◎ グールズビー米シカゴ連銀総裁、講演
○11日01:00 ◎ ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演
○11日02:00 ◎ 米財務省、30年債入札
○11日03:00 ◎ 3月米月次財政収支(予想:2366億ドルの赤字)
○インド(ジャイナ教マハビラ生誕日)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
昨日の海外市場でドル円は、ベッセント米財務長官が最近の円高について「自然な流れ」と発言したことも相場の重しとなり、一時144.00円と昨年10月以来の安値を付けた。しかし、トランプ米大統領が「中国への関税を125%に引き上げる」とした一方、「米国に対して報復措置を取っていない国・地域を対象に関税(上乗せ分)引き上げを90日間一時停止する」と発表すると、148.27円まで急伸した。ユーロドルは、1.1095ドルから1.0914ドルまで弱含んだ。
本日の東京時間でドル円は、引き続き乱高下を繰り返すことになりそうだ。ベッセント米財務長官は75カ国以上が交渉のテーブルに着いたことで「トランプ米大統領の交渉戦略は成功した」との見解を示したが、政権内部以外では評価する声は少ない。多くはトランプ大統領によるチキンレースは勝者のないまま、世界経済の不安定さだけが残ったと評している。これからも最低90日間は継続されるチキンレースをめぐり、金融市場は方向感のない動きが続くだろう。
昨日トランプ米大統領が報復措置を取っていない国・地域を対象にした「上乗せ分の90日間一時停止」で、ダウ平均が第2次大戦後3番目の上げ幅を記録するなど、米株式市場が大幅に反発した。昨日のCME225先物は34860円と9日の大阪取引所比で3030円高で引けたことで、本日の日経平均も大幅な反発が予想されている。株の買い戻しは一定のドル買い・円売り要因となるだろう。
ただし、一方的にリスク選好の動きになりにくく、ドル円の売り要因も依然として多い。1つ目は上乗せ分が回避されたとはいえ、10%の基本税は継続されること。2つ目は90日間の猶予が与えられただけで、上乗せ分が90日後に再び復活する恐れがあること。3つ目は中国に対しての追加関税が125%まで上昇し、2大経済大国の争いが終わることがないこと、などがあげられる。
また、日本に関してはドル売り・円買い要因が強い。ここ最近はリスク回避の円買いよりも、日米間の円安是正の可能性による円買いという面も徐々にクローズアップされていた。昨日、加藤財務相も米国との関税交渉について、為替もテーマになり得ると認めていると発言。ベッセント財務長官も「強い円は正常」と昨日発言するなど、円安による貿易不均衡是正の声は根強い。ベッセント氏は、日本のほかにベトナムや韓国、インドなどアジアの複数の国との交渉をすることをあげ、各国の関税や非関税障壁の水準に加え、為替操作も協議の対象になる考えを示した。90日間の猶予期間の間に、40年前のプラザ合意のように、ドル高・アジア通貨安(円安)調整で合意された場合は、数円から10円程度の値幅では収まらず、再び100円や2桁のドル円相場も意識する必要もありそうだ。
他のドル円の売り要因としては、本邦勢の売り遅れもある。先週1日に発表された3月の日銀短観で2025年度の全規模・全産業の想定為替レートは147.06円(上期147.17円、下期146.95円)、大企業製造業は147.35円(上期147.43円、下期147.28円)となっている。現行のスポットでは概ね想定為替レートでドル円を売ることができる。また、猶予期間を迎える3カ月物のスワップポイントがおおよそ153ポイントということで、148円半ばから後半にかけては、スワップポイントを加味したレートで想定為替レートの輸出予約ができる。よって、147円台から上は売り意欲が引かないだろう。
なお、本日は本邦から3月企業物価指数、中国からは同月消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)が発表される。両国の指標とも重要指標で、通常は市場を動意づけるものだが、市場の目が関税政策に集まっているため、今回に限れば反応が限られることになりそうだ。
大阪6月限ナイトセッション
日経225先物 35040 +3210 (+10.08%)
TOPIX先物 2566.0 +216.0 (+9.19%)
シカゴ日経平均先物 34860 +3030
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
9日の米国市場は、NYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が大幅に上昇。米中貿易戦争の激化を懸念したリスク回避ムードのなか売り先行で始まったが、トランプ大統領が自身のSNSに「 BE COOL! EVERYTHING GOING TO WORK OUT WELL(落ち着いて!すべてうまくいく)」と投稿したことを受け、徐々に買い戻しに向かわせた。午後に入りトランプ大統領は、この日発動した「相互関税」について「報復しない国・地域に90日間の関税一時停止を承認」と発表すると買いが膨らみ、NYダウは一時3100ドル超上昇する場面があった。
S&P500業種別指数は、すべてのセクターが上昇し、自動車・同部品、半導体・同製造装置、テクノロジー・ハード・機器、メディア、ソフトウエア・サービスの上げが目立った。また、NYダウ構成銘柄も全面高となり、エヌビディア<NVDA>、ボーイング<BA>、アップル<AAPL>、アメリカン・エキスプレス<AXP>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>などが大幅に上昇した。
シカゴ日経平均先物(6月限)清算値は、大阪比3030円高の3万4860円だった。日経225先物(6月限)のナイトセッションは日中比470円高の3万2300円で始まり、その後は軟化し3万1120円まで売られる場面もみられた。ただし、米国市場の取引開始後に急伸し、終盤にかけて3万5140円まで買われ、3万5040円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、ギャップアップで始まりそうだ。トランプ大統領の発言次第で相場が大きく変動する状況が続いており、先行きは依然不透明ながら、日経225先物は一気に節目の3万5000円を回復するなか、ショートカバーの動きが強まりやすいだろう。
ただし、相互関税の一部を90日間停止する一方で、報復措置として84%の追加関税を発動した中国に対しては125%に引き上げるなど、米中の関税の応酬に歯止めがかからず、世界経済への影響が警戒される。
日経225先物は3万5000円近辺では、強弱感が対立するだろう。ボリンジャーバンドの-1σ(3万4210円)を上抜いており、買い一巡後はいったん同バンドが支持線として機能するかを確認する動きがありそうだ。-1σで底堅さがみられるようであれば、中心値(25日)が位置する3万6030円辺りが次のターゲットとして意識されるだろう。そのため、オプション権利行使価格の3万4000円から3万6000円のレンジを想定する。
9日の米VIX指数は33.62(8日は52.33)に低下した。朝方は57.96まで上昇する場面もあったが、トランプ大統領の発言を受けて急低下する形となった。リスク選好へとつながるものだが、25日移動平均線(25.67)を上回っているほか、関税を巡る報道を受けた乱高下のなかで荒い値動きが続いているため、楽観視はできない。
昨日のNT倍率は先物中心限月で13.54倍に低下した。前日と変わらずの13.60倍で始まり、13.64倍に上昇する場面もあった。ただし、その後25日線(13.57倍)を割り込んでくると、一時13.45倍まで低下した。本日は全面高の展開から指数インパクトの大きい値がさ株が日経平均型を押し上げる形になるとみられ、NTロングに振れやすいだろう。
東京市場は大幅高か。米国株は上昇。ダウ平均は2962ドル高の40608ドルと値幅を伴った上げとなった。下落して始まり、しばらくは動意に乏しかった。しかし、トランプ大統領が自身のSNSで、相互関税を90日間、一時停止すると投稿。これを受けて買い戻し機運が高まり、鋭角的に水準を切り上げた。ナスダックは12.2%高と2桁の上昇率となった。ドル円は足元147円30銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが大証日中終値と比べて3030円高の34860円、ドル建てが3170円高の35000円で取引を終えた。
米国株の急騰を受けて、大きく水準を切り上げると予想する。日本株は関税リスクが高まった際に派手に売られていたこともあり、反発の度合いも大きくなると見込まれる。CME225先物からは35000円をうかがう展開も想定される。外需大型株が戻りの先導役となり、売り方の買い戻しを巻き込んで強い基調が続くだろう。日経平均の予想レンジは32800円-36000円。
トランプ米大統領が自身のSNSで中国への125%関税を表明するのと同時に、その他の報復関税を発動していない国々に対する相互関税を90日間一時停止し、ユニバーサル関税である10%に引き下げることを表明。その直後に記者団の前に現れたのが、レビット報道官とベッセント米財務長官でした。この状況がトランプ米政権内でのパワーバランスの変化を示しているわけで、そのきっかけとなったのが、今週に入ってからの米債券市場の制御不能にあったのは容易に想像がつくというものです。
通常のリスクオフとして株価が急落する一方で、債券が急騰していたまではよかったものの、今週に入ってからの米長期債の暴落、つまり、米長期金利の暴騰が引き起こした加速度的スティープニングは、昨日の時間外取引であるアジア市場で最高潮を迎えることになりました。日本でも、昨夕に財務省、日銀、金融庁の3者会合が開催されるなど、当局の対応が必至の事態に陥ったことは明らかだったわけで、極めてコモンセンスを持ち備えているベッセント米財務長官がその緊急事態となっている債券市場を説明。75か国とのまともな交渉を成し遂げるためにも、交渉期間中のポーズが最低限必要だったといったところです。
流石の親分も、自身が最もラディカルなオプションを選択してしまった自責の念があったはずで、ラトニック米商務長官やアドバイザーのピーターナバロに対するプライオリティの低下が今回の決定につながったといえます。偶然のようにみえて、実は必然的な結果となりました。
いずれにしても、今回の決定はあくまでも壊れかけた金融市場、特に債券市場を正常化するためであって、正常化した上での交渉が今後徐々にはじまることになります。トランプ関税の現状は、中国は125%、その他が90日間10%、鉄鋼、アルミ、自動車には25%、カナダとメキシコはUSMCA協定の対象外に25%というもの。市場では、異常な相互関税の修正や交渉がある意味、常識的な状況のもとで行うことが出来るといった、安心感からの巻き戻しが急となっています。日経平均は先物市場で一時35200円台まで急騰。ドル円は7日の高値148.15円を上抜けて一時148.27円と4円以上の急伸となりました。目先は一目転換線が位置する147.24円を意識した動きとなっていきそうです。
政府は中村豊明氏の後任として元三菱商事常務の増一行氏を日銀審議委員候補にすることを明らかにした。
日経225先物は11時30分時点、前日比2590円高の3万4420円(+8.13%)前後で推移。寄り付きは3万5070円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万4860円)を上回る形から、買い先行で始まった。ただし、節目の3万5000円を一気に回復してきたことで利益確定に伴うロング解消の動きもあり、直後につけた3万5080円を高値に、終盤にかけて3万4140円まで上げ幅を縮めた。
日経225先物は3万5000円を回復して始まった後は上げ幅を縮めたが、ボリンジャーバンドの-1σ(3万4170円)水準までの調整を経て、切り返しをみせてきている。3万5000円接近では強弱感が対立しやすいだろうが、-1σが支持線として意識されるなか、押し目狙いのロング対応に向かわせよう。
NT倍率は先物中心限月で13.60倍に上昇した。25日移動平均線(13.57倍)を上回って始まり、その後13.47倍に低下する場面もみられたが、終盤にかけて再びNTロングに振れる形となった。ただし、アドバンテスト<6857.T>[東証P]や東京エレクトロン<8035.T>[東証P]が急伸して始まった後はやや上げ幅を縮めているため、NT倍率の伸びは限られそうだ。
一部通信社が伝えたところによると、中国指導部がトランプ関税ショックを受けて、刺激策を協議する会合を開催するという。
本日の欧州タイムでは、注目の経済指標や要人発言などの予定もなく手がかりに乏しい。トランプ米大統領が相互関税の一時停止を発表したが、引き続き関税がメインテーマである。
トランプ米政権は中国に対しては追加関税を125%に引き上げており、これを受けた中国の反応などにも注目。2大経済大国による貿易戦争の激化懸念が一段と高まれば、リスク回避の動きが再燃しそうだ。エスカレートしている米中の関税合戦は米国経済への悪影響も大きく、ドルの重い動きがユーロドルの下支えとなる。
また、欧州連合(EU)は昨日、米政権が先月に鉄鋼製品とアルミニウムに25%の関税を課す措置を発動したことへの対抗措置としてオートバイや大豆などに最大で25%の追加関税を課すことを決めた。対抗措置の第1弾を15日に発動すると表明し、自動車やより広範な関税についてはなお検討しているとした。トランプ米大統領は昨日、相互関税の一時停止で余裕がなく、EUの対抗措置には触れていなかったが、同氏は先月もEUが報復措置を取ると関税を引き上げると警告している。ただ、足もとでは関税で米中関係が悪化し、中国がEUとの協力強化に力を入れている。トランプ氏はEUに対しても関税を強化し中国に続いての強敵を作るか、それともEUと中国を切り離すために人参をぶら下げるか、同氏の発言に注目。
・想定レンジ上限
ユーロドルの上値めどは、9日の高値1.1095ドル、ユーロ円は8・9日高値162.20円。
・想定レンジ下限
ユーロドルの下値めどは、21日移動平均線1.0872ドル、ユーロ円は日足一目均衡表・雲の上限159.85円。
ドル円:1ドル=146.61円(前営業日NY終値比▲1.15円)
ユーロ円:1ユーロ=161.05円(▲0.83円)
ユーロドル:1ユーロ=1.0985ドル(△0.0036ドル)
日経平均株価:34609.00円(前営業日比△2894.97円)
東証株価指数(TOPIX):2539.40(△190.07)
債券先物6月物:140.28円(▲1.06円)
新発10年物国債利回り:1.370%(△0.100%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
3月企業物価指数
前月比 0.4% 0.2%・改
前年同月比 4.2% 4.1%・改
対外対内証券売買契約等の状況(前週)
対外中長期債
2兆5698億円の処分超 59億円の処分超
対内株式
1兆8084億円の取得超 4498億円の処分超・改
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は軟調。トランプ米大統領が相互関税の一部について90日間の一時停止を発表したことを受けて、昨日に安値から4円超暴騰したこともあり、本日は序盤から戻り売りが先行した。時間外の米10年債利回りが低下したことも売りに繋がり、一時146.45円まで値を下げた。13時過ぎに米国の125%の対中関税と中国の84%の対米関税が予定通り発動したことも先行き不透明感を強め、相場の重しとなった面がある。
・ユーロ円も軟調。昨日の大幅上昇に対する反動からドル円を中心にクロス円も売りが強まり、一時160.88円まで下落した。また、ポンド円は188.23円、カナダドル円は103.97円までそれぞれ下押しした。
・ユーロドルは強含み。ドル円の下落や米長期金利の低下を受けてユーロ買い・ドル売りが進み、一時1.0996ドルまで値を上げた。
・豪ドルはしっかり。対ドルでは昨日高値の0.6176ドルを上抜けて0.6203ドルまで値を上げた。「中国指導部がトランプ関税ショックを受けて、刺激策を協議する会合を開催」との一部報道も支えとなった模様。
・日経平均株価は大幅反発。昨日のダウ平均が歴史的な上昇となったことを受けて、日本株も序盤から買いが活発化した。半導体関連株や自動車株など主力株がほぼ全面高となり、指数は2900円超高まで急伸した。
・債券先物相場は反落。米相互関税の一部が一時停止となったことを受けて、リスクオフを巻き戻す動きが優勢となった。取引時間の序盤には一時139.89円まで大幅に値を下げる場面があった。
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・田中 理氏
ドイツが連立合意、政権発足に近づく
政治空白の長期化回避、5月初旬に大連立政権が発足へ
政権発足を目指すドイツの二大政党は、9日に連立協定で合意した。5月初旬にメルツ新首相が率いる連立政権が誕生する。減税、財政拡張、規制緩和を通じて、ドイツの経済・産業の立て直しを急ぐ。政治空白の長期化を回避できそうな一方で、選挙後の極右の支持拡大が新たな脅威に。最近の一部の世論調査で、極右の支持が保守政党と同率首位で並んだ。次の連邦議会選挙は4年先だが、極右を連立の枠組みから除外し続けることができるかが試されることになる。
米10年債利回りは、4月9日に一時4.51%付近まで上昇したが、背景には中国によるトランプ関税に対する報復措置としての米国債売却ではないかとの憶測が広がっている。
1.OFAC規制
米国財務省外国資産管理室(OFAC:Office of Foreign Assets Control)は、1977年に制定された国際緊急事態経済権限法(International Emergency Economic Power Act)を根拠として、大統領がテロ行為等の「特別かつ異常な脅威」があると判断する場合に、その権限で取引の禁止、資産凍結(※米国債などの凍結)等を命じる。
現時点での対象国は、ロシア、イラン、イラク、北朝鮮、キューバなどとなっている。
2.プーチン露大統領
ロシアは、2017年5月の時点で1087億ドルの米国債を保有していたが、現在はほぼゼロとなっている。
ロシアが米国債の保有高を売り切った背景には、クリミア半島侵攻と併合に対する米国による経済制裁に対する報復措置と米国による資産凍結という伝家の宝刀を回避することなどが挙げられている。
ロシアは、2014年にはクリミア半島に侵攻して併合し、2022年には、ウクライナに侵攻して、2025年4月の時点でもウクライナとの戦争状態にある。
3.習中国国家主席
中国は、2013年11月の時点では、世界最大規模となる1兆3167億ドルの米国債を保有していたが、今年の1月時点では7608億ドルまで減っており、4月にもトランプ関税への報復措置として米国債を売却しているとの噂が流れている。
地政学的な観点からは、中国の米国債保有がゼロに近づいた場合、台湾への侵攻が始まるのかもしれない。
2021年、米インド太平洋軍のデービッドソン司令官は、上院軍事委員会の公聴会で、中国は2027年までの「今後6年以内」に台湾に侵攻する可能性があると証言した。
4.米国の貿易赤字と資本黒字
20世紀の対米貿易黒字大国の日本は、米国への輸出で稼いだ米ドルを、米国債に投資することで、米国債の最大の保有国になった。相互関税率は24%となっている。
21世紀の対米貿易黒字大国の中国は、米国への輸出で稼いだ米ドルを、米国債に投資することで、米国債の最大の保有国になっていた。相互関税率は125%となっている。
すなわち、基軸通貨国である米国は、「米国債本位制」というシステムにより、貿易赤字で米ドルを世界へ供給しているものの、米国債の投資により還流させてきた。
トランプ米大統領が、125カ国に「基礎関税」10%と60カ国に「相互関税」を発動したことで、報復措置として、米国債購入を停止する、あるいは米国債を売却する可能性が警戒されつつある。一方で、トランプ米大統領は、報復措置を打ち出さない国に対しては、90日間の猶予を与えている。
大阪6月限
日経225先物 34640 +2810 (+8.82%)
TOPIX先物 2542.5 +192.5 (+8.19%)
日経225先物(6月限)は前日比2810円高の3万4640円で取引を終了。寄り付きは3万5070円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万4860円)を上回る形から買い先行で始まった。ただし、節目の3万5000円を一気に回復してきたことで利益確定に伴うロングの解消も入り、直後につけた3万5080円を高値に、前場終盤にかけて3万4140円まで上げ幅を縮めた。午後の取引は3万4260円から3万4510円辺りのレンジで推移し、終盤にかけてレンジを上抜ける形で3万4700円をつける場面もあった。
日経225先物は3万5000円を回復して始まった後は上げ幅を縮めたが、ボリンジャーバンドの-1σ(3万4190円)水準までの調整を経て、切り返しをみせてきている。バンドは下向きで推移しているため、これに沿った調整が継続する可能性はあるが、-1σを支持線とした底堅さをみせてくるようだと、センチメントを明るくさせそうだ。-1σはナイトセッションで3万4050円辺りまで下がってきており、まずは3万4000円固めを意識させそうである。
また、日経平均株価は引けにかけて上げ幅を広げる動きとなったが、レバレッジ型ETF(上場投資信託)の調整買いの動きと観測されている。トランプ大統領の発言次第で相場が大きく変動する状況が続いており楽観はできないものの、90日間の関税停止によって各国の政府間協議の進展期待が高まりやすくなるため、ショートは仕掛けづらくなるだろう。
週足のボリンジャーバンドでは、昨年8月の急落局面と同様、-3σ割れから下ヒゲを残す形で-2σ(3万3840円)水準を回復してきた。昨年8月と今回の下落要因は異なるとはいえ、チャート上ではダブルボトム形成が意識されてくる。そのため、3万4000円近辺での押し目狙いのロング対応に向かわせそうだ。
なお、グローベックスのNYダウ先物は500ドル、ナスダック100先物は380ポイントほど下落して推移している。前日の大幅な反発に対する反動安はあっても、NYダウが4万ドルの節目をキープできないと、戻り待ち狙いのショートを誘う可能性はあるだろう。
NT倍率は先物中心限月で13.62倍に上昇した。25日移動平均線(13.57倍)を上回って始まり、その後13.47倍に低下する場面もみられたが、前場終盤にかけて再びNTロングに振れる形となった。同線を上回っての推移を継続するようだと、1月23日の高値14.54倍から4月1日の安値13.32倍までの下げに対するリバランスに向かわせそうだ。
手口面(6月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が3万1161枚、ソシエテジェネラル証券が2万2752枚、バークレイズ証券が8908枚、サスケハナ・ホンコンが7823枚、野村証券が6708枚、ゴールドマン証券が4145枚、モルガンMUFG証券が3989枚、JPモルガン証券が3985枚、SBI証券が3306枚、日産証券が2659枚だった。
TOPIX先物は、ソシエテジェネラル証券が3万8918枚、ABNクリアリン証券が3万7072枚、バークレイズ証券が1万4964枚、モルガンMUFG証券が7292枚、ゴールドマン証券が6554枚、JPモルガン証券が6526枚、サスケハナ・ホンコンが4814枚、ビーオブエー証券が4702枚、BNPパリバ証券が4348枚、みずほ証券が3951枚だった。
本日のニューヨーク為替市場のドル円は、トランプ関税関連の発言や報道に警戒しながら、米株式・債券市場の動向を見極めながらの取引が継続。また、NY序盤に発表の3月米消費者物価指数(CPI)や、NY午後に明らかとなる同月財政収支も注目される。
日本との通商交渉を担当するベッセント財務長官は、昨日、最近の円高について、日本経済の強さと日銀の利上げ方針を理由に「自然な流れだ」と発言していた。通商交渉では、「関税、非関税障壁、そして為替問題(currency issue)」が議論されるとのことで、ドル円相場に関する発言には引き続き警戒しておきたい。
日本時間21時30分に発表される3月米CPIは、前月比+0.1%/前年比+2.6%との予想。見込み通りであれば、それぞれ2月の前月比+0.2%、前年比+2.8%からの伸び率鈍化となる。3月のCPIが予想通りに鈍化していた場合、トランプ米大統領が再び利下げに言及することになるのかもしれない。
なお、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」が示している追加利下げ時期は、6月米連邦公開市場委員会(FOMC)を織り込む動きが優勢。
明朝3時に発表される3月米財政収支は、2366億ドルの赤字と予想されている。2025会計年度(24年10月-25年9月)の2月までの累計では、過去最大規模の財政赤字を更新中であり、3月までの累計財政赤字も拡大傾向を続けていることがほぼ確実視されている。
トランプ米政権は、米政府効率化省(DOGE)による歳出削減やトランプ関税の歳入増大により、財政赤字の削減を目論んでおり、効果が表れるのは4月以降となりそうだ。
・想定レンジ上限
ドル円の上値目処(めど)は、148.27円(4/9高値)
・想定レンジ下限
ドル円の下値目処(めど)は、144.82円(4/7安値)
今晩は上値の重い展開か。昨日はトランプ米大統領が「相互関税」を90日間一時停止すると発表したことでリスク回避の動きが後退し、買い戻しが優勢となった。ダウ平均は2962.86ドル高(+7.87%)の40608.45ドルと2020年3月以来の上昇率を記録し、終値で40000ドルを回復した。S&P500も9.52%高と2008年10月以来の大幅高となり、ナスダック総合は12.16%高と2001年1月以来の大幅高を記録した。投資家の不安心理を示すVIX指数は前日の52.33ポイントから33.62ポイントに低下するなどセンチメントも改善した。
今晩の取引では「相互関税」の一時停止が引き続き支援となることが期待されるが、中国に対しては関税率を104%から125%に引き上げたことで、米中貿易戦争の激化が懸念されるほか、昨日の大幅高の反動安も予想され、上値の重い展開か。経済指標では寄り前に発表される米3月消費者物価指数(CPI)に注目が集まる。足もとではトランプ関税による景気減速懸念が強まり、年内の追加利下げ期待が高まった。CMEのフェドウォッチ・ツールでは12月時点で4回(1.00%9の利下げ確率が約90%に上昇しており、CPIが予想以上に高い伸びとなれば、利下げ期待の後退が相場の重しとなることに要警戒となる。
今晩の米経済指標・イベントは3月CPIのほか、新規失業保険申請件数など。企業決算は寄り前にスマーフィット・キャッパー、カーマックスが発表予定。
日経平均株価は大幅反発。前日終値から大幅高スタートとなり、上値を伸ばす展開となった。5日移動平均線(32850円 4/10)を上回り、終値ベースで10日移動平均線(34307円 同)も上回る大陽線を形成した。
RSI(9日)は前日の19.7%→39.7%(4/10)に上昇。あすも上昇しやすい期間帯が続く。週初の高値と安値のレンジで上げ下げをした後、上放れる格好となった。10日移動平均線が依然として下向きで推移していることで目先の揺り戻しも想定されるが、一気に25日移動平均線(36161円)や3/11安値(35987円)のフシまで上値を拡大できるかが注目される。
上値メドは、心理的節目の35000円、4/2安値(35426円)、25日移動平均線、3/28安値(36864円)、心理的節目の37000円などがある。下値メドは、心理的節目の34000円、4/8高値(33257円)、心理的節目の32000円、4/7安値(30792円)、心理的節目の30000円や29500円、2022年8/16高値(28928円)などがある。
米財務省によると、30年債入札(ダッチ方式)の落札結果は最高落札利回りが4.813%、応札倍率(カバー)が2.43倍となった。
(10日終値:11日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=144.74円(10日15時時点比▲1.87円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=162.26円(△1.21円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1210ドル(△0.0225ドル)
FTSE100種総合株価指数:7913.25(前営業日比△233.77)
ドイツ株式指数(DAX):20562.73(△891.85)
10年物英国債利回り:4.643%(▲0.136%)
10年物独国債利回り:2.580%(▲0.011%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
3月ノルウェー消費者物価指数(CPI)
(前月比) ▲0.7% 1.4%
(前年比) 2.6% 3.6%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は軟調。米政権による関税を巡り中国は米国に譲歩しない姿勢を維持。米中の貿易戦争激化への警戒感が根強い中、時間外のダウ先物や日経平均先物の下落を背景に円買い・ドル売りが先行した。NYの取引時間帯に入ると、ドル安・米株安・米債券安の「トリプル安」の様相が強まった。主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時100.76と昨年10月以来の低水準を付けたほか、ダウ平均は一時2100ドル超下落した。また、米長期金利の指標となる米10年債利回りは4.37%台まで上昇した。ドル円は1時前に一時144.02円と日通し安値を更新した。
なお、米ホワイトハウスは「中国からの輸入品に課す追加関税率が合計で145%になる」と発表。「相互関税」として125%、合成麻薬フェンタニルの流入を理由に課している関税20%で145%になるという。9日時点では発効済み分も合わせて125%と説明していた。
・ユーロドルは大幅高。米中の貿易戦争激化への警戒感が根強い中、安全資産とされるスイスフランや円に対してドル売りが進むと、ユーロに対してもドル売りが先行した。NY市場に入り、3月米消費者物価指数(CPI)が予想を下回ったことが伝わると、発表直後こそドル買いが入ったものの、そのあとは再びドル売りが優勢に。3日の高値1.1144ドルを上抜けると一時1.1229ドルと2023年7月以来約1年9カ月ぶりの高値を更新した。
なお、欧州連合(EU)は対米報復措置の発動保留を決定。米中2国間の貿易戦争に発展した形となっている。市場では「中国は本日、予定通り米国からの全輸入品に84%の追加関税の適用を開始したが、追加の報復措置も検討しているようで、マーケットの動揺は続いている」との声が聞かれた。
・スイスフランは全面高。対ドルでは一時0.8250スイスフラン、対ユーロでは0.9246スイスフラン、対円では175.36円まで値を上げた。トランプ米政権による関税政策が世界景気の悪化を招くとの過度な警戒感は薄れたものの、米中貿易摩擦激化への懸念は根強く、安全資産とされるスイスフランに買いが集まった。
・ユーロ円は堅調。ドル円の下落につれた売りが出た半面、ユーロドルの上昇につれた買いが入ったため、相場はじり高の展開となった。3時過ぎに一時162.35円と日通し高値を付けた。
・ロンドン株式相場は大幅反発。トランプ米大統領が9日に「一部の国・地域に対して相互関税の上乗せ分を90日間一時停止する」と発表すると、世界景気の減速懸念がいったん和らぎ、株買いが広がった。HSBCやバークレイズなど金融株が買われたほか、ロールス・ロイス・ホールディングスやレレックスなど資本財サービス株が値上がりした。
・フランクフルト株式相場は大幅に反発。米相互関税の上乗せ分が90日間一時停止となったことを受けて、前日の米国株相場が急騰。本日の欧州の主要株式相場も軒並み上昇した。フランスの株価指数は3.83%高、イタリアは4.72%高、スペインは4.32%高となった。
・欧州債券相場は上昇。関税を巡る米中対立が続く中、相対的な安全資産とされる国債には買いが入りやすかった。
10日の日経平均は大幅反発。終値は2894円高の34609円。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1623/値下がり8と大半の銘柄が上昇。ナスダックが12%高となったことからグロース株が強かった。レーザーテック、アドバンテスト、東京エレクトロンなど半導体株の多くが2桁の上昇率。キオクシアは22.5%高となり、ストップ高まで買われる場面があった。ソニーG、任天堂、コナミGなどゲーム株も多くが急伸。トヨタ、ホンダ、日産など自動車株が軒並み大幅高となった。証券会社が目標株価を引き上げた川崎重工がストップ高。前期の着地が計画を上振れた古野電気が急騰した。
弱かったのは決算が売り材料となった銘柄で、サイゼリヤ、ABCマート、プログリットが大幅下落。前日に買いを集めたクオリプスやセルシードが売りに押された。
日経平均は4桁の上昇。今週は4桁の下落と上昇を繰り返している。順番的にはあすは下落となるがさてどうか。本日、米国では3月の消費者物価指数(CPI)が発表されるだけに、どちらにしても値幅は出る可能性がある。
CPIが弱めの結果となれば、インフレ沈静化への期待から米国株がもう一段リスクオンに傾くことが期待できる。一方、強めの結果となって米国の長期金利が大きく上昇した場合には、米国株には厳しい展開が想定される。
引け後に上期決算を発表したファーストリテイリングは上方修正と増配を発表しており、米国株が平穏であれば決算は好感されても良さそう。日経平均はきょうの上昇で5日線(32850円、10日時点)を大きく上回っており、CPIが米国株の買い材料となって戻りが加速する展開に期待したいところだ。下に振れた場合は、きょう上回った5日線がサポートになるかどうかが焦点となる。上の場合は25日線(36161円)を上回ることができるかに注目したい。
CNBCが米政府高官の話として報じたところによると、「トランプ米政権による対中関税は145%になる」ようだ。
(10日終値)
ドル・円相場:1ドル=144.45円(前営業日比▲3.31円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=161.80円(▲0.08円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1201ドル(△0.0252ドル)
ダウ工業株30種平均:39593.66ドル(▲1014.79ドル)
ナスダック総合株価指数:16387.31(▲737.66)
10年物米国債利回り:4.42%(△0.09%)
WTI原油先物5月限:1バレル=60.07ドル(▲2.28ドル)
金先物6月限:1トロイオンス=3177.5ドル(△98.1ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
3月米消費者物価指数(CPI)
(前月比) ▲0.1% 0.2%
(前年同月比) 2.4% 2.8%
エネルギーと食品を除くコア指数
(前月比) 0.1% 0.2%
(前年同月比) 2.8% 3.1%
前週分の米新規失業保険申請件数
22.3万件 21.9万件
3月米財政収支
1605億ドルの赤字 3070億ドルの赤字
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は大幅に反落。米政権による関税を巡り中国は米国に譲歩しない姿勢を維持。米中の貿易戦争激化への懸念から、米国株相場が大幅に下落した。米長期債やドルも売られ、「トリプル安(株安・債券安・通貨安)」の様相が強まった。1時前には一時144.02円と日通し安値を更新した。
主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時100.70と昨年10月以来の低水準を付けたほか、ダウ平均は一時2100ドル超下落。また、米長期金利の指標となる米10年債利回りは4.42%台まで上昇した。
ただ、売り一巡後は下げ渋る展開に。前日の安値144.00円が目先サポートとして意識されると買い戻しが進み、4時30分前には145.13円付近まで下値を切り上げた。
なお、前日にはトランプ米大統領が「相互関税」の上乗せ部分を一時停止すると発表し、米国株相場は急騰したものの、市場の不安心理は拭い切れていない。シカゴ・オプション市場(CBOE)でS&P500種株価指数オプションの値動きに基づいて算出される変動性指数(VIX、恐怖指数)は一時54.87まで急上昇した。
・ユーロドルは大幅反発。米中の貿易戦争激化への警戒感が根強い中、安全資産とされるスイスフランや円に対してドル売りが進むと、ユーロに対してもドル売りが先行した。3月米消費者物価指数(CPI)が予想を下回ったことが分かると、発表直後こそドル買いが入ったものの、そのあとは再びドル売りが優勢に。3日の高値1.1144ドルを上抜けると一時1.1241ドルと2023年7月以来約1年9カ月ぶりの高値を更新した。
なお、ドルスイスフランは一時0.8232スイスフランまで下落し、15年1月以来10年3カ月ぶりの安値を付けた。
・ユーロ円は小反落。ドル円の下落につれた売りが出た半面、ユーロドルの上昇につれた買いが入った。21時前に160.96円付近まで下げたものの、3時30分前には162.58円と日通し高値を付けた。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は大幅に反落。米政権による関税を巡り中国は米国に譲歩しない姿勢を維持。米中貿易戦争激化への警戒から売りが優勢となった。前日に急騰した反動も出て、指数は一時2100ドル超下げる場面があった。
なお、米ホワイトハウスは「中国からの輸入品に課す追加関税率が合計で145%になる」と発表。「相互関税」として125%、合成麻薬フェンタニルの流入を理由に課している関税20%で145%になるという。9日時点では発効済み分も合わせて125%と説明していた。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も大幅反落した。
・米国債券相場で長期ゾーンは4日続落。3月米CPIが予想を下回り、30年債入札が「好調」だったにもかかわらず、長期債への買いは限定的。トランプ米政権の「相互関税」によるインフレ懸念から売りが出やすい地合いだった。市場関係者からは「中国が米国債を売却するとの懸念が相場の重しとなっている」との声も聞かれた。
・原油先物相場は反落。米中の貿易戦争激化による世界景気の減速懸念が重しとなり、原油は売りに押された。前日に急伸しており、反動売りも出やすかった。
・金先物相場は3日続伸。中心限月の清算値ベースでは、過去最高値を更新した。米中の貿易戦争の激化懸念を背景に、相対的に安全資産とされる金に買いが入った。ドル安が進んだことにより、ドル建てで取引される金の割安感に注目した買いも入ったもよう。
10日05:56 トランプ米大統領
「対中問題のエスカレートを懸念していない」
「対中関税のさらなる引き上げは想像できない」
「現在の市場は非常に好調だ」
11日02:41
「(株価下落について)見ていない」
「中国と合意できれば嬉しい」
「ロシア、ウクライナとの早期合意を期待」
「人質問題で進展あり」
「関税に関する最初の合意は間近」
「EUを貿易交渉における一つのブロックとして見ている」
「EUは米国を利用している」
「今のところ例外は検討していない」
「メキシコに打撃を与えるつもりはない」
10日05:57 ハマック米クリーブランド連銀総裁
「金利を誤った方向に動かすよりも待つ方が良い」
「金融政策は現在、やや引き締め的」
「市場は緊張しているように見えるが、機能している」
「必要ならマネーマーケットに参入する準備が出来ている」
10日06:42 カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁
「利下げの基準は依然として高い」
「関税はインフレを引き起こす可能性があり、注視が必要」
「不確実性が経済の低迷を招く可能性」
「関税の一時停止が続けば、インフレへの影響は軽減されると予想」
10日06:44 ラトニック米商務長官
「カナダの鉄鋼、アルミニウム、自動車への関税は変更なし」
「トランプ大統領は習近平氏との会談を期待している」
「トランプ大統領が関税に関する貿易交渉を主導する」
10日07:28 カーニー加首相
「トランプ大統領が発表した相互関税の一時停止は世界経済にとって歓迎すべき息吹」
「米国が二国間交渉に応じる姿勢を示したことで、グローバル貿易システムの根本的な再構築が進む可能性」
11日00:23
「米国の関税が撤廃されるまで戦い続ける」
「金曜日に閣僚級会合を招集し、現在の状況について議論する」
10日09:09 中国商務省
「中EU間の貿易・投資・産業協力深化への意欲を表明」
「米国が一方的な相互関税を強行する場合、中国は断固として対抗」
10日10:12 加藤財務相
「米関税政策、日本の金融市場にも影響するため引き続き注視」
「経済対策、米関税政策の影響に万全期す方針で対応」
「米関税の一時停止、前向きに受け止めている」
「最近のトランプ米大統領の政策を受けてドルの信認が低下している」
「トランプ政権の保護主義と予測不可能性は米経済にとって悪い要素」
10日15:52 フォンデアライエン欧州委員長
「関税について、EUは米国との建設的な協議に引き続き尽力」
「トランプ大統領の最新の決定は世界経済の安定に向けた重要な一歩」
「米国とのゼロ対ゼロ関税協定を一貫して主張してきた」
10日19:30
「米国との関税協議が不調に終われば、報復措置を講じる」
10日16:29 中国外務省
※米国関税について
「中国は米国と争いたくはないが、向かってくるならば恐れない」
「米国の主張は支持を得られず、失敗に終わるだろう」
「中国国民の正当な権利と利益が奪われるのを黙って見過ごさない」
10日19:35 ブロックRBA(豪準備銀行、RBA)総裁
「為替レートと米国の貿易相手国の反応を注視する」
「関税の予測不可能性は需要と供給への影響を評価するために、忍耐を要することを意味する」
「金利の道筋に関して決断するのは時期尚早」
※時間は日本時間
10日22:17 ブリーデン英中銀(BOE)副総裁
「国債取引や市場ベースの金融におけるヘッジファンドの役割を注意深く監視」
「国債利回りは変動が激しい」
「債券市場は機能し続けている」
「リスク資産価格のさらなる急激な調整リスクは依然として高いと判断」
「英国の銀行システムは、状況が大幅に悪化したとしても、依然として経済を支える能力がある」
10日22:50 ローガン米ダラス連銀総裁
「関税に関連する価格上昇がインフレの持続を促さないようにすることが重要」
「より高いインフレ期待が定着すれば、物価安定への道は長くなり、経済の傷跡は深くなる」
「今のところ、FRBの政策スタンスは適切」
「予想以上に高い関税は失業とインフレの両方を上昇させる可能性が非常に高い」
「持続的なインフレの急上昇は、インフレ期待の上昇につながる可能性がある」
「インフレの持続性は、企業がコスト増加をどれだけ早く転嫁するか、そして長期的なインフレ期待がしっかりと維持されるかどうかにかかっている」
10日23:08 シュミッド米カンザスシティー連銀総裁
「関税は経済の不確実性を高めている」
「インフレに引き続き注力する意向。ただ、関税がインフレに一時的な影響しか及ぼさないとの見方には疑問」
「関税インフレは一時的なものだとは考えにくい」
「雇用と成長の見通しに対する下振れリスクが高まっている」
11日00:07 ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事
「CPIレポートによると、インフレ率は低下した」
「政策の進展が経済にどのような影響を与えるか注視」
「関税が経済や産業にどのような影響を与えるかは不明」
11日01:15 グールズビー米シカゴ連銀総裁
「FRBのスケジュールは市場のスケジュールではない」
「目標は結論を急ぐことではなく、一貫性を見出すこと」
「経済に関する確かなデータは非常に良好」
11日03:53
「FRBの政策変更のハードルは今やかなり高くなっている」
「FRBはあらゆる選択肢を検討すべき」
「現在の関税は短期的にはインフレを押し上げ、成長を阻害するだろう」
※時間は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 3月マネーストックM2
<海外>
○15:00 ◎ 3月独消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比0.3%/前年比2.2%)
○15:00 ☆ 2月英国内総生産(GDP、予想:前月比0.1%)
○15:00 ◎ 2月英鉱工業生産(予想:前月比横ばい/前年比▲2.3%)
○15:00 ◎ 2月英製造業生産高(予想:前月比0.2%)
○15:00 ◇ 2月英商品貿易収支/英貿易収支(予想:175.50億ポンドの赤字/14.00億ポンドの赤字)
○16:00 ◇ 3月スイスSECO消費者信頼感指数(予想:▲32.0)
○18:45 ◎ ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、会見
○19:30 ◎ 2月インド鉱工業生産(予想:前年同月比4.0%)
○21:00 ◎ 3月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前年同月比5.48%)
○21:00 ◇ 2月メキシコ鉱工業生産(季調済、予想:前月比0.1%)
○21:30 ◎ 3月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.2%/前年比3.3%)
◎ 食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.3%/前年比3.6%)
○23:00 ◎ 4月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値、予想:54.5)
○23:00 ◎ ムサレム米セントルイス連銀総裁、講演
○24:00 ◎ ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演
○12日01:00 ◎ 3月ロシア消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.5%)
○12日01:00 ☆ 10-12月期ロシア国内総生産(GDP)速報値(予想:前年比3.6%)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
昨日の海外市場でドル円は、米中の貿易戦争激化への懸念から、米国株相場が大幅に下落した。米長期債やドルも売られ、「トリプル安(株安・債券安・通貨安)」の様相が強まり、一時144.02円まで弱含んだ。ユーロドルは、1.1241ドルと2023年7月以来約1年9カ月ぶりの高値を更新し、ドルスイスフランは一時0.8232スイスフランまで下落し、15年1月以来10年3カ月ぶりの安値を付けた。
本日の東京時間でドル円は、引き続き上値が限られそうだ。昨日の日本時間13時過ぎに米国は対中関税を125%、中国は対米関税を84%まで引き上げた。2大経済大国の景気悪化が濃厚なことで、リスク回避的な動きにより、ドル円の上値は重いだろう。また、ドル円は、ドル売り要因と、円買い要因が重なることで更に下値を広げる可能性もありそうだ。
この90日間で、ベッセント米財務長官は日本を含めたアジア諸国に対しての交渉を早急に開始すると述べた。アジア諸国の多くは中国やロシアなどの地政学リスクもあり、防衛面でも米国依存となっている。欧州やアフリカと比較した場合、米国にとってはこれらの国は交渉をしやすく、成果を早くあげたいトランプ政権にとっては与しやすいだろう。日本は交渉材料として、農産品の市場拡大、防衛予算増および米国からの防衛装備品購入、米国産品の輸出拡大のための各種基準や規制の見直しなどが予想されている。ただ、トランプ米大統領やラトニック米商務長官が、今回の関税のメイントピックとしているのは「米国の製造業の復活」であり、輸入拡大だけではトランプ政権が満足することはできないだろう。
米国の製造業に関しては、雇用とインフラは1970年代から縮小している。労働統計局のデータによると、米国では数十年前と比較し農場や工場で働く労働者が減り、大半がソフトウェア、金融、医療などのサービス業に従事していることがデータから明らかになっている。1970年代には、米国の労働者の5人に1人が製造業に従事していたが、今日ではその数は12人に1人程度に減少した。また、経済協力開発機構(OECD)の2004年から2020年のデータで、製造業が占める国内総生産(GDP)の割合は高所得国が15.5%から13.1%へ減少している一方で、低所得国は8.1%から11.6%へと上昇している。高所得国の米国の製造業が落ち込むのは理にかない、米国に製造業を復活させるのはかなりの困難を要す。困難な例として人件費を考えると、日本の平均賃金は国税庁の「令和5年分民間給与実態統計調査」によると、1年を通じて勤務した給与所得者1人あたりの平均年収は460万円になっている。一方米国は6万5470ドル(1ドル=147円換算で962万円)となり、倍(以上)の額だ。また、日本を含め多くの自動車製造業があるメキシコの平均年収はおおよそ35万ペソ(1ぺソ=7.1円で換算で249万円)となり、米国の3.8-3.9分の1になる。人件費だけをみても、円安の影響で日本の製造業が米国に工場を移転するのはハードルが高い。しかし、仮にドル円が100円や2桁までドル安・円高が進んだ場合には人件費は下がり、単純ではないものの米国への工場移転ということも現実を帯びてくるだろう。日米両財務相が「為替についても交渉する」ことを認めていることもあり、この90日間の間にプラザ合意のようにドル高・円安の修正の合意を模索する展開になるかもしれない。来週には交渉を担当する赤沢経済財政・再生相が訪米するが、本日は石破首相が対応を指示する予定で、いよいよ日米交渉も大詰めを迎えることになる。
なお、4月2日から昨日までのドル売りの流れだが、対スイスフランでは7%のドル安が進んだのと比較し、対円でのドル安は3.2%程度に過ぎない。ユーロやデンマーククローネも同様に3%台のドル安になっている。この数年間の円安地合いの調整としては、まだ許容できないほどの円高とも言えないだろう。
大阪6月限ナイトセッション
日経225先物 33440 -1200 (-3.46%)
TOPIX先物 2433.0 -109.5 (-4.30%)
シカゴ日経平均先物 33400 -1240
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
10日の米国市場は、NYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が下落。米政権は中国の輸入品に対して125%の追加関税を、合成麻薬フェンタニルの流入を理由に課している20%の関税と合わせて税率が145%になると明らかにした。これに対して中国は関税戦争に最後まで応じるとの見解を示しており、米国に譲歩しない姿勢を維持している。米中貿易摩擦の激化が世界経済に影響を与えるとの警戒感から幅広い銘柄に売りが出て、NYダウの下落幅は2000ドルを超える場面もあった。
S&P500業種別指数は、家庭用品・パーソナル用品、食品・生活必需品小売、電気通信サービスが上昇した一方で、自動車・同部品、半導体・同製造装置、エネルギー、耐久消費財・アパレル、メディアの弱さが目立った。NYダウ構成銘柄では、ユナイテッドヘルス・グループ<UNH>、ベライゾン・コミュニケーションズ<VZ>、コカ・コーラ<KO>、ウォルマート<WMT>が買われた。半面、ナイキ<NKE>、シェブロン<CVX>、ウォルト・ディズニー<DIS>、エヌビディア<NVDA>、アメリカン・エキスプレス<AXP>が下落。
シカゴ日経平均先物(6月限)清算値は、大阪比1240円安の3万3400円だった。日経225先物(6月限)のナイトセッションは、日中比390円安の3万4250円で始まり、直後につけた3万4260円を高値にショート優勢の流れが続き、米国市場の取引開始後には3万2470円まで売られる場面もみられた。売り一巡後は終盤にかけてショートカバーが入り、3万3440円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、売り先行で始まることになりそうだ。前日は2810円高と大幅に上昇したこともあり、反動安はある程度想定されていた面はあるだろう。米中貿易摩擦が警戒されるものの、報復しない国・地域に関税を90日間停止しているため、この間に各国の政府間協議による交渉が進められると考えられ、協議の進展への期待からショートは仕掛けづらくなる。
日経225先物はボリンジャーバンドの-1σ(3万3980円)をキープできなかったが、-2σ(3万2120円)を支持線とした底堅さは意識されてきそうだ。-1σ接近では戻り待ち狙いのショートが入りやすいと考えられるが、3万3000円に接近する局面においては、押し目狙いのロング対応に向かわせよう。そのため、オプション権利行使価格の3万3000円から3万4000円でのレンジを想定する。
また、週足の-2σは3万3600円で推移している。昨年8月の急落局面と同様、-3σ割れから下ヒゲを残す形をみせているため、終値で同水準を上回ってくるようだと、チャート上では目先底が意識されてくる可能性があるとみておきたい。
10日の米VIX指数は40.72(9日は33.62)に上昇した。一時54.87まで上昇する場面もあったが、その後は上げ幅を縮めている。今週は30~60での荒い値動きを続けるなかで楽観視はできないが、4月7日につけた60.13をピークに上値は徐々に切り下がっているため、リスク回避の動きはそれほど強まらないだろう。
昨日のNT倍率は先物中心限月で13.62倍に上昇した。25日移動平均線(13.57倍)を上回って始まり、その後13.47倍に低下する場面もみられたが、前場終盤にかけて再びNTロングに振れる形となった。1月23日の高値14.54倍から4月1日の安値13.32倍までの下げに対するリバランスが意識されやすく、25日線を割り込む局面においては、その後のリバランスを狙ったNTロングに向かわせそうだ。
東京市場は大幅安か。米国株は下落。ダウ平均は1014ドル安の39593ドルと4桁の下落となった。ホワイトハウスが対中関税に関して累積で145%になったと正式に発表。米中対立激化に対する懸念が高まった。3月消費者物価指数(CPI)は市場予想を下回ったが、10年債利回りはいったん低下した後に上昇しており、債券市場を巡る不透明感も株売りにつながった。ドル円は足元144円20銭近辺と円高に振れている。CME225先物は円建てが大証日中終値と比べて1240円安の33400円、ドル建てが1110円安の33530円で取引を終えた。
米国株の大幅安と円高進行を受けて、売りに押されると予想する。今週の日本株は全面高と全面安を繰り返しており、きょうは逆風下で幅広い銘柄が売られることになると思われる。指数に値幅が出ることにはある程度耐性がついてきたと思われるが、落ち着きどころが見えづらい中では押し目買いは期待しづらい。売り一巡後の戻りは限られ、低空飛行が続くだろう。日経平均の予想レンジは33300円-34100円。
日経225先物は11時30分時点、前日比1480円安の3万3160円(-4.27%)前後で推移。寄り付きは3万3380円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万3400円)にサヤ寄せする形から、売り先行で始まった。寄り付き直後につけた3万3400円を高値にショートの動きが強まり、中盤にかけて3万2660円まで下げ幅を広げる場面もみられた。売り一巡後は下げ幅を縮め、3万3000円~3万3200円辺りでのレンジ推移を継続している。
日経225先物は一時3万2660円まで売られたが、ナイトセッションでつけた安値の3万2470円までは下げなかったこともあり、終盤にかけてショートカバーを誘う形になったようだ。ボリンジャーバンドの-1σ(3万3960円)を狙ったロングの動きは期待しづらいものの、3万3000円辺りでの底固めが意識されそうであり、ややロング優勢の展開もありそうだ。
また、4月のSQ値は3万2737.29円だった。日経平均株価は中盤にかけての下落局面でSQを割り込む場面もあったが、その後は同水準を上回っての推移をみせており、ショートは仕掛けにくいところである。
NT倍率は先物中心限月で13.62倍と前日比変わらずの水準。一時13.73倍まで上昇し、その後は13.54まで低下して25日移動平均線(13.57倍)を下回る場面もみられた。ただ、下ヒゲを残す形で同線を上回って推移しているため、NTロングに振れやすいだろう。
9日の東京市場で4.5114%まで暴騰した米10年債利回りは、ベッセント米財務長官の議会証言をすっぽかしてまで説得したかいもあって、トランプ米大統領の90日間の相互関税ポーズ決定を受けて、昨日のアジアでは一時4.2562%まで急低下したわけですが、NY勢参入と同時に再び急騰。ダウ平均の一時2100ドルを超える下落とドル全面安という、いわゆるトリプル安となってNY市場を引けることになりました。
中国は当然のごとく米国に対して強硬姿勢を崩さず、ホワイトハウスは中国への関税が125%にフェンタニル関税の20%が加わるのでトータルで145%になることを表明。為替市場では、ユーロドルの上抜けのほか、ドルスイスフランの急低下といった動きが目立つことになりました。
そして本日のアジア市場では、昨日何とか144.00円手前で下げ止まっていたドル円が、SLを巻き込むかたちで下げ足を速めると一時142.89円まで下落。日経平均は一時2000円近い下落となったほか、米10年債利回りは4.4837%とNY市場で高値引けとなった4.4249%からは6bpの上昇。ユーロドルも2023年7月18日の高値1.1276ドルを上抜けて一時1.1383ドルまで急伸するなど、改めてトリプル安を演じることになったといったところです。いずれにしても、アジア時間早朝のトリプル安はそれぞれが買戻しとなっていることもあって、一旦は落ち着きを取り戻しているわけですが、週末のNY市場まで事態を見守ることになりそうです。
ところで、市場では、米10年債利回りの暴騰劇に対して、HF勢がレバレッジを膨らませていたベーシストレードの存在が指摘されています。価格がわずかに高い先物を売って、現物を買うという、いわゆる裁定取引ですが、実際のオペレーションとしては、保有する米国債を担保に資金調達し、その資金で先物を売っていますから、今回の相互関税のリスクオフで突然調達コストが急上昇すると、その裁定取引を維持出来ずに保有している現物の国債を投げるしかないという状況になってしまっているわけです。
2020年3月にも現在と全く同じような状況となった際、Fedの巨額流動性供給を受けて、何とか金融危機を逃れたといった経験が市場にはあって、このまま、米中が一歩も譲ることがない状況となった場合には、こういった救済措置が取られることになるのかもしれません。ただ、本日はまだ、9日ほどの緊張感はなく、週末のアジア市場という、純粋な流動性の低下が引き起こす、プチトリプル安で終わる可能性も出て来ています。
本日の欧州タイムでは、ドイツの3月消費者物価指数(CPI)の発表が予定されているが、改定値の発表であり、ユーロの動意につながる可能性は低い。ユーロドルは昨日から本日東京タイムで大幅上昇した反動で調整が入る可能性はあるが、堅調地合いを維持すると見込み、ユーロ円は重い動きが続くと想定する。
昨日は、米国の「トリプル安(株安・債券安・通貨安)」でユーロドルは大幅上昇し、本日の東京タイムで一時2022年2月以来の高値となる1.13ドル後半まで急上昇した。トランプ関税の暴走が始まって以来、全般ドル売りが優勢となった。金融市場の不安定な動きで、トランプ米大統領は上乗せ相互関税を一時停止するしかなかったが、米中貿易戦争の激化懸念が高まるなか市場の米国に対する不安は大きい。
米国株への不安は消えず、米国債は中国の手放し思惑が高まるなか投げ売りに伴い金利が急騰しているなど、市場は米国売りに走っている。朝令暮改のトランプ米政策が生む不確実性や信認の低下がマネーの米国離れを誘っている。投資家のリスク警戒感が続くなか、逃避通貨とされるスイスフランの上昇が目立っているほか、ドルに続いて取引が多いユーロも健闘している。
欧州連合(EU)は米政権が先月に発動した鉄鋼とアルミニウム製品への25%関税への報復関税第1弾を15日に発効するとしていたが、発動を90日間遅らせるとした。米政権はEUからの輸出品に20%の相互関税を課す措置を90日間停止するとし、EU製品に対する税率は一律の10%になっている。EUの行政執行機関である欧州委員会のフォンデアライエン委員長は、米国との交渉にチャンスを与えたいとの考えを示している。関税合戦で米中の関係が悪化していることも、交渉で米国から譲歩を引き出すチャンスと見ているようだ。
市場の目線が関税に向けられており、ユーロ独自の材料に注目度が低いが、来週予定されている欧州中央銀行(ECB)理事会での利下げ思惑が後退しているのもユーロの下支えとなる。関税などで不確実性が高まっていることを理由に利下げの一時停止を主張するメンバーが増えているもよう。
・想定レンジ上限
ユーロドルの上値めどは、本日これまでの高値1.1383ドルや2022年2月11日の高値1.1431ドル、ユーロ円は3月27日高値163.36円。
・想定レンジ下限
ユーロドルの下値めどは、本日これまでの安値1.1191ドルや9日高値1.1095ドル、ユーロ円は90日移動平均線160.90円や日足一目均衡表・雲の上限159.85円。
ドル円:1ドル=143.59円(前営業日NY終値比▲0.86円)
ユーロ円:1ユーロ=162.01円(△0.21円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1283ドル(△0.0082ドル)
日経平均株価:33585.58円(前営業日比▲1023.42円)
東証株価指数(TOPIX):2466.91(▲72.49)
債券先物6月物:141.07円(△0.79円)
新発10年物国債利回り:1.345%(▲0.025%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
3月マネーストックM2
前年同月比 0.8% 1.2%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は弱含み。本日のアジア市場でも米中貿易戦争激化への懸念から「米トリプル安(米株安・米債券安・ドル安)」の動きが先行した。日経平均株価の大幅安も相場の重しとなり、9時過ぎには一時142.89円まで下押し。ただ、午後に再び売りが進んだ場面で安値更新に失敗すると、144円台を回復した。その後は米株先物がプラス圏に浮上、米長期金利も低下に転じており(債券高)、米国売りの流れも全般に巻き戻されている。
・ユーロドルは強含み。全般にドル売りが進んだ流れに沿って、2022年2月以来の高値となる1.1383ドルまで上値を伸ばした。もっとも、その後は買いも一服して1.12ドル台半ばまで押し戻された。
・ユーロ円は神経質な動き。ユーロドルが急伸した場面では162.64円まで上昇したものの、総じてドル絡みの取引が中心であったため、162.00円を挟んだ水準で神経質に上下した。
・日経平均株価は大幅反落。米中間の貿易摩擦激化への懸念から前日の米国株式相場が大幅に下落し、この日の東京市場でもリスク回避目的の売りが先行した。外国為替市場で円高が進行していることも相場の重し。株価指数先物主導で下げ幅を拡大し、指数は一時2000円近く下げる場面も見られた。もっとも、引けにかけては週末を前に買い戻しなども入ったことから下げ渋った。
・債券先物相場は反発。米中関税措置を受けた株安を受けて安全資産とされる債券買いが優勢に。一時141円18銭まで上昇する場面があった。
「国債の市場はとても厄介だ。私は注視していた。昨日の夜は少し不安に思う人もいた」
(トランプ米大統領)
4月9日、トランプ米大統領が相互関税(Reciprocal Tariffs)を発動した日、米10年債利回りは4.5%台まで上昇した。米国債下落の背景には、中国による報復措置としての米国債売りやヘッジファンドによる換金売りなどが指摘されている。
しかし、米10年債利回りの低下を目論んでいるトランプ米大統領とベッセント米財務長官に、「相互関税90日間停止」の決断をさせるには十分な債券市場からの警告だった。
1.ベッセント米財務長官の「3本の矢」
ベッセント米財務長官は、借り入れコスト引き下げでトランプ政権が重点を置いているのは米連邦準備理事会(FRB)の短期の政策金利ではなく、米10年債利回りだと語っていた。そして「トランプ米大統領と私は10年債利回りを注視している」と述べた。
「アベノミクス」の「3本の矢」を信奉しているベッセント米財務長官は、米国の財政赤字を国内総生産(GDP)比3%に削減するのに加え、日量300万バレル相当の原油増産と、3%の持続的経済成長を実現するという、「3-3-3」と呼ぶ政策を提唱している。
トランプ米政権は、財政赤字削減に向けて、トランプ関税による歳入増大と米政府効率化省(DOGE)による歳出削減を目論んでいる。
さらに、ベッセント米財務長官とミラン米大統領経済諮問委員会CEA委員長は、財政緩和と金融緩和を背景にしたドル安誘導「マールアラーゴ合意」、すなわち「プラザ合意II」を目論んでいるとの噂が流れている。
2.「相互関税90日間停止」を巡る迷走
4月7日、ハセット米国家経済会議(NEC)委員長が、「トランプ米大統領が中国を除くすべての国・地域に対する関税を90日間、一時停止することを検討しているとの考えを示した」と述べた。
しかし、ホワイトハウスは、この発言に対しフェイクニュースだとの考えを示した。
おそらく、揉消した人物は、関税強硬派のナバロ大統領上級顧問だと思われる。
4月9日、トランプ米大統領は、同日発動したばかりの「相互関税(Reciprocal Tariffs)」の上乗せ部分について、一部の国・地域に90日間の一時停止を許可すると発表した。
・午前9時33分「落ち着いて! すべてうまくいく」
・午前9時37分「今が買い時だ!!! DJT」
そして、関税穏健派のベッセント米財務長官は、トランプ米大統領に対して、相互関税の一時停止が必要だと説得した、と述べた。
中国は、米国産品への追加関税を発表した。
大阪6月限
日経225先物 33520 -1120 (-3.23%)
TOPIX先物 2458.0 -84.5 (-3.32%)
日経225先物(6月限)は前日比1120円安の3万3520円で取引を終了。寄り付きは3万3380円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万3400円)にサヤ寄せする形から売り先行で始まった。寄り付き直後につけた3万3400円を高値にショートが強まり、前場中盤にかけて3万2660円まで下げ幅を広げる場面もみられた。ただし、売り一巡後は下げ幅を縮め、現物市場の後場寄り付き時には3万3400円を回復。後場中盤に3万3090円まで下げたが、終盤にかけて下げ幅を縮め、引け間際には3万3710円まで持ち直す場面もみられた。
日経225先物は一時3万2660円まで売られたが、ナイトセッションでつけた安値の3万2470円までは下げなかったこともあり、前場終盤にかけてショートカバーを誘う形になったようだ。ボリンジャーバンドの-1σ(3万3960円)は捉えることはできなかったが、3万3000円辺りでの底堅さは意識されていたことで、引けにかけてはショートカバーも入ったようだ。
週足では引け間際に-2σ(3万3630円)を上回る場面もあった。来週には同バンドは3万2560円辺りまで下がってくるため、バンドに沿った調整を警戒しつつも、-2σと-1σ(3万4730円)によるレンジ推移が意識されてくる可能性はある。
もっとも、トランプ大統領の発言に大きく振られる状況は変わらないとみられ、積極的にポジションを積み上げる動きは取りにくい。今後の協議進展への期待からショートは仕掛けにくくなると考えられるが、リバウンド狙いもスキャルピングが中心になろう。
なお、トランプ大統領は日米安保条約に再び不満を示しており、関税を巡る協議では防衛費の増額を迫られることになりそうだ。また、グローベックスのNYダウ先物は200ドル、ナスダック100先物は100ポイント安程度で推移している。
NT倍率は先物中心限月で13.63倍に上昇した。一時13.55倍まで低下して25日移動平均線(13.57倍)を下回る場面もみられた。その後は下ヒゲを残す形で同線を上回っての推移となった。引き続き、1月23日の高値14.54倍から4月1日の安値13.32倍までの下げに対するリバランスを想定し、NTロングに振れやすいとみておきたい。
手口面(6月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が2万5321枚、ソシエテジェネラル証券が1万9641枚、バークレイズ証券が7545枚、サスケハナ・ホンコンが4290枚、ゴールドマン証券が4027枚、JPモルガン証券が3965枚、モルガンMUFG証券が3372枚、SBI証券が3013枚、野村証券が2649枚、みずほ証券が2035枚だった。
TOPIX先物は、ABNクリアリン証券が4万7681枚、ソシエテジェネラル証券が3万7169枚、バークレイズ証券が1万0175枚、モルガンMUFG証券が7183枚、ゴールドマン証券が6180枚、JPモルガン証券が6155枚、UBS証券が2957枚、SMBC日興證券が2812枚、サスケハナ・ホンコンが2658枚、BNPパリバ証券が2294枚だった。
本日のニューヨーク為替市場では、引き続きトランプ関税関連の発言や報道に警戒は継続。米株式・債券市場の動向を見極めつつ、米3月米卸売物価指数(PPI)や4月米消費者態度指数の1年先のインフレ期待に注目することになる。
本日は中国が、4月12日から米国製品への追加関税を84%から125%に引き上げる、と表明しており、トランプ米政権の追加引き上げの可能性には警戒しておきたい。
トランプ米政権が相互関税発動の90日間猶予を決定した要因とされる「米10年債利回りの急上昇」に関しては、中国による報復的な米国債売却説、ヘッジファンドや本邦機関投資家による売りなどが指摘されている。今後は、危険水準と見なされている4.5%を巡る動向に注視しておきたい。
3月PPIは、前月比+0.2%/前年比+3.3%と予想されており、それぞれ前回2月の前月比±0.0%/前年比+3.2%からの伸び率上昇見込み。昨日発表された3月米消費者物価指数(CPI)は、予想を下回る前月比-0.1%/前年比+2.4%でドルの重しとなった。本日PPIが予想通りであれば、物価動向の上流と下流での乖離となり、これに市場がどのような反応を示すか興味深い。
4月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値)は54.5予想と、3月確報値の57.0からの悪化が見込まれている。市場が気にかけるのは、1年先のインフレ期待だろう。3月の5.0%からさらに上昇していた場合、関税スタグフレーションへの警戒感が高まることになる。結果次第では相場の波乱要因となるか。
CMEグループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」が示している今年の追加利下げ時期は、6月米連邦公開市場委員会(FOMC)と見立てだ。現状、年内4回の利下げで12月時点のFF金利誘導目標は3.25-50%を織り込む動きが優勢だ。
本日講演が予定されているムサレム米セントルイス連銀総裁やウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁からは、関税スタグフレーションや利下げ時期への言及に注目しておきたい。
・想定レンジ上限
ドル円の上値目処(めど)は、144.00円(4/9安値)
・想定レンジ下限
ドル円の下値目処(めど)は、141.65円(2024/9/30安値)
今晩は大手金融機関の決算発表と米3月生産者物価指数(PPI)などの経済指標に注目。昨日は前日の急反発の反動や、米中貿易戦争の激化懸念などで主要3指数がそろって大幅反落。ダウ平均は一時2180ドル安まで下落後、1014.79ドル安(-2.50%)で終了し、S&P500とナスダック総合もそれぞれ3.46%安、4.31%安で終了した。センチメントは再び悪化し、投資家の不安心理を示すVIX指数は前日の33.62ポイントから40.72ポイントに上昇した。ただ、週初来ではダウ平均が3.34%高、S&P500が3.82%高、ナスダック総合が5.13%高とそろって3週ぶりの反発ペースとなった。
今晩の取引では週末の取引となることで、持ち高調整の動きが予想されるが、発表がスタートする大手金融機関の第1四半期決算発表に注目が集まる。寄り前にJPモルガン・チェース、ウェルズ・ファーゴ、モルガン・スタンレーのほか、バンク・オブ・ニューヨーク・メロン、ブラックロックなどが発表予定で、決算結果並びに関税政策の不透明感が強まる中、各金融機関が発表する経済見通しやガイダンスが焦点となりそうだ。経済指標では米3月生産者物価指数(PPI)が発表されるほか、4月ミシガン大消費者信頼感指数速報値や併せて発表される同1年先・5年先期待インフレ率速報値にも要注目となる。
今晩の米経済指標・イベントは3月PPI、4月ミシガン大消費者信頼感指数速報値、同1年先・5年先期待インフレ率速報値など。このほか、ムサレム米セントルイス連銀総裁、ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁の講演も予定されている。企業決算は寄り前にJPモルガン・チェース、ウェルズ・ファーゴ、モルガン・スタンレーなどが発表予定。
日経平均株価は大幅反落。前日終値から大幅安スタートとなり、下値模索の場面があった。一方、4/9高値(32565円)のフシを意識して下げ幅を縮小。10日移動平均線(33954円 4/11)に上値を抑えられる格好となったが、長い下ヒゲを形成して終えた。
RSI(9日)は前日の39.7%→41.3%(4/11)に上昇。10日移動平均線が依然として下向きで推移していることで目先の揺り戻しが生じたが、想定内の動きといえよう。
短期的には10日移動平均線の下方で値固めのイメージが想定されるが、週初は5日移動平均線(32811円 同)の上向き転換を通じて、反発基調を強められるかが焦点となる。来週は25日移動平均線(35996円 同)や3/11安値(35987円)のフシまで上値を拡大できるかが注目される。
上値メドは、心理的節目の35000円、4/2安値(35426円)、25日移動平均線、3/28安値(36864円)、心理的節目の37000円などがある。下値メドは、4/8高値(33257円)、心理的節目の33000円、心理的節目の32000円、4/7安値(30792円)、心理的節目の30000円や29500円、2022年8/16高値(28928円)などがある。
(11日終値:12日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=144.13円(11日15時時点比△0.54円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=162.65円(△0.64円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1285ドル(△0.0002ドル)
FTSE100種総合株価指数:7964.18(前営業日比△50.93)
ドイツ株式指数(DAX):20374.10(▲188.63)
10年物英国債利回り:4.753%(△0.110%)
10年物独国債利回り:2.570%(▲0.010%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
3月独消費者物価指数(CPI)改定値
(前月比) 0.3% 0.3%
(前年同月比) 2.2% 2.2%
2月英国内総生産(GDP)
(前月比) 0.5% 0.0%・改
2月英鉱工業生産
(前月比) 1.5% ▲0.5%・改
(各市場の動き)
・ドル円は下値が堅かった。米中貿易戦争激化への警戒から、欧州勢がドル売りで参入すると18時前に一時142.07円と昨年9月以来の安値を付けたものの、売り一巡後は徐々に下げ渋った。「赤沢経済再生相は来週17日に訪米して米国側と通商協議を行う」との報道などが相場を下支えしたようだ。
なお、中国政府はこの日、米相互関税への報復措置として、米国からの輸入品に対する追加関税を84%から125%に引き上げると発表した。一方、今後は米国がさらに対中関税を引き上げても「相手にしない」と報復の打ち止めを宣言した。
NYの取引時間帯に入ると、買い戻しが優勢となった。前日の3月米消費者物価指数(CPI)に続き、本日発表の3月米卸売物価指数(PPI)も予想を下回ったが、ドル売りでの反応は一時的。また、4月米ミシガン大学消費者態度指数速報値は予想を下回った半面、期待インフレ率は予想を上回った。景況感が悪化する中、物価が上昇することへの警戒が高まると、米国株や米国債の下落とともにドル円にも売りが出たが、下押しは限られた。
一時4.5864%前後と2月13日以来の高水準を付けた米10年債利回りが4.43%台まで上昇幅を縮め、330ドル超下落したダウ平均が800ドル超上昇したことで、投資家の過度なリスク回避姿勢が和らぎ円売り・ドル買いが進んだ。市場では「投機筋の円ロング(ドル円のショート)ポジションの偏りが警戒される中、週末を控えたポジション調整目的の円売り・ドル買いが出た」との指摘もあり、一時144.20円付近まで持ち直した。
・ユーロドルは上値が重かった。欧州勢がドル売りで参入すると一時1.1473ドルと2022年2月以来の高値を付けたものの、買い一巡後は徐々に上値を切り下げた。NY市場に入ると、今週進んだ米国の「トリプル安(株安・債券安・通貨安)」を巻き戻す動きが広がり、一時1.1277ドル付近まで下押しした。安く始まった米国株は上昇に転じ、米国債は下げ幅を縮小。主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは日本時間夕刻に付けた3年ぶりの低水準である99.01から100.38付近まで戻した。
なお、ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁は「ECBは必要なら、ショックへの対応措置を講じる」「特定の為替水準を目標においてはいない」などと述べた。
・ユーロ円は一進一退。日本時間夕刻に一時163.13円と日通し高値を付けたものの、21時前には161.52円付近まで下落した。ただ、アジア時間に付けた日通し安値161.31円が目先サポートとして働くと買い戻しが優勢となり162.94円付近まで持ち直した。ドル円とユーロドルの値動きの影響を同時に受けたため、相場は大きな方向感が出なかった。
・ロンドン株式相場は続伸。貿易摩擦の激化で世界景気が下振れするとの警戒感は根強いものの、2月英国内総生産(GDP)や2月英鉱工業生産が予想より強い内容だったことが好感されると株買いが優勢となった。リオ・ティントやアングロ・アメリカンなど素材株が買われたほか、セグロやランド・セキュリティーズ・グループなど不動産株が値上がりした。
・フランクフルト株式相場は反落。中国が米国からの輸入品に対する追加関税を84%から125%に引き上げると発表すると売りが強まる場面があった。ただ、引けにかけては値ごろ感からの買いが入り下げ渋った。個別ではMTUエアロ・エンジンズ(5.81%安)やシーメンス(3.35%安)、エアバス(3.33%安)などの下げが目立ったが、下落した銘柄の方が上昇した銘柄よりも少なかった。
・欧州債券相場は英国債が下落した一方、独国債が上昇した。
米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は11日、イタリアの格付けを「BBB」から「BBB+」に引き上げたと発表した。なお、見通しは「安定的」とした。
CNNが報じたところによると、「米国は非公式の協議で中国に報復しないよう警告した」ようだ。また、「中国側に習近平国家主席とトランプ米大統領の電話会談を要請するよう」指示したようだ。
中国は、米国産品への追加関税を発表した。
(11日終値)
ドル・円相場:1ドル=143.54円(前営業日比▲0.91円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=163.03円(△1.23円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1355ドル(△0.0154ドル)
ダウ工業株30種平均:40212.71ドル(△619.05ドル)
ナスダック総合株価指数:16724.46(△337.15)
10年物米国債利回り:4.49%(△0.07%)
WTI原油先物5月限:1バレル=61.50ドル(△1.43ドル)
金先物6月限:1トロイオンス=3244.6ドル(△67.1ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
3月米卸売物価指数(PPI)
(前月比) ▲0.4% 0.1%・改
(前年比) 2.7% 3.2%
食品とエネルギーを除くコア指数
(前月比) ▲0.1% 0.1%・改
(前年比) 3.3% 3.5%・改
4月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値)
50.8 57.0
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は続落。前日の3月米消費者物価指数(CPI)に続き、本日発表の3月米卸売物価指数(PPI)も予想を下回ると円買い・ドル売りが先行。22時過ぎに一時142.22円付近まで下落した。
ただ、日本時間夕刻に付けた昨年9月以来の安値142.07円がサポートとして働くと買い戻しが優勢に。レビット米ホワイトハウス報道官が関税を巡り「トランプ米大統領は中国との取り引きに前向きな姿勢を示している」と強調したほか、米連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を有するコリンズ米ボストン連銀総裁がFTとのインタビューで「米連邦準備理事会(FRB)は金融市場の安定化を支援する準備は万全だ(absolutely)」と発言したことを受けて、マーケットの過度な緊張が緩和。一時4.5864%前後と2月13日以来の高水準を付けた米10年債利回りは4.43%台まで上昇幅を縮め、330ドル超下落したダウ平均は810ドル超上昇した。為替市場でもドルを買い戻す動きが広がり、144.20円付近まで戻す場面があった。
なお、23時発表の4月米ミシガン大学消費者態度指数速報値は50.8と予想の54.5を下回った一方、1年先の期待インフレ率は6.7%、5-10年先は4.4%といずれも予想を上回った。景況感が悪化する中、物価が上昇することへの警戒が高まると米国株の失速とともにドル円にも売りが出て142円台後半まで下押しした。もっとも、調査期間は3月25日から4月8日で米相互関税が一時停止された4月9日以前のものだったことから反応は限定的だった。
・ユーロドルは続伸。欧州市場では一時1.1473ドルと2022年2月以来の高値を付けたものの、NY市場ではじりじりと上値を切り下げる展開となった。週末を控えて、足もとで進んだ米国の「トリプル安(株安・債券安・通貨安)」を巻き戻す動きが広がった。1時30分前には一時1.1277ドル付近まで下押しした。
主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは日本時間夕刻に付けた3年ぶりの低水準である99.01から100.38付近まで下げ幅を縮めた。
・ユーロ円は反発。欧州序盤に一時163.13円と日通し高値を付けたものの、21時前には161.52円付近まで失速した。ただ、アジア時間に付けた日通し安値161.31円が目先サポートとして意識されると買い戻しが優勢となり、取引終了間際に163.07円付近まで持ち直した。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は反発。米中貿易戦争激化への警戒から売りが先行すると一時330ドル超下落したものの、売り一巡後は買い戻しが優勢に。レビット米ホワイトハウス報道官が関税措置を巡り「トランプ米大統領は中国との取り引きに前向きな姿勢を示している」と強調したほか、コリンズ米ボストン連銀総裁が「FRBは金融市場の安定化を支援する準備は万全だ」と発言したことが好感された。指数は一時810ドル超上昇した。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も反発した。
・米国債券相場で長期ゾーンは5日続落。米相互関税によるインフレ懸念や「中国が米国債を売却するのでは」との思惑から売りが出た。利回りは一時4.5864%前後と2月13日以来の高水準を付けた。
ただ、レビット米ホワイトハウス報道官やコリンズ米ボストン連銀総裁の発言をきっかけに金融市場の過度な緊張が和らぐと、債券を買い戻す動きが広がり下げ幅を縮めた。週末を控えたポジション調整目的の買いも入った。
・原油先物相場は反発。米中の貿易戦争激化による世界景気の減速が懸念され、原油需要が減少するとの見方が重しとなって序盤は軟調に推移していたが、その後は米株が上昇する中でリスク資産とされる原油に買いが入った。
・金先物相場は4日続伸。中心限月の清算値ベースでは、前日に続き過去最高値を更新した。米中の貿易戦争の激化懸念や世界的な景気減速懸念を背景に、相対的に安全資産とされる金が買われた。ドル安が進んだことにより、ドル建てで取引される金の割安感に着目した買いも出たもよう。
11日09:27 鍾山・中国商務相
「南アの貿易産業相と会談を持ち、両国間で経済と貿易の協力を強めることで一致した」
「サウジアラビアと米国との相互関税について話し合いをもった」
11日09:38 赤沢経済再生相
「ベッセント米財務長官が為替などを持ち出せば議論することになる」
「訪米時期は現時点では決まったことはない」
11日16:15 習・中国国家主席
「関税戦争に勝者はいない」
11日16:16 クキース・独財務相
「関税に関するEUと米国の交渉について、開かれた姿勢を取る必要がある」
「交渉が上手くいかない場合、対応する準備ができていることを米国側は知る必要」
11日17:14 中国財政省
「中国は、4月12日から、米国製品への追加関税を84%から125%に引き上げる」
「米国の対中関税政策は間違っており、経済原則に反している」
11日17:19 赤沢経済再生相
「米関税協議では、何が我が国の国益にベストか、選択肢のなかで効果的なものあるか、最優先で取り組む」
11日19:41 ラガルドECB総裁
「特定の為替水準を目標においてはいない」
「あらゆる市場動向を注意深く見ている」
「市場は、秩序だって機能している」
「欧州中央銀行(ECB)は、必要ならば、ショックへの対応措置を講じる」
「共通予算制度もショックへの選択肢」
11日21:15 カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁
「長期的なインフレ期待が上昇しているという証拠はまだ見当たらない」
「長期的なインフレ期待が上昇しないようにしなければならない」
「関税の影響はインフレが再び上昇することを示唆しており、我々の仕事はそれが長期的なインフレに転じないようにすること」
「日本と韓国との交渉は、ベッセント米財務長官が担当する」
「豪州、英国、日本、韓国とは協議が続いている」
11日22:28 コリンズ米ボストン連銀総裁
「現時点ではFRBはより長期にわたる政策維持が必要だと予想」
「関税はインフレ圧力を高めるだろう」
「経済見通しは景気後退ではなく、成長の鈍化」
「関税の影響で今年のインフレ率は3%を大きく上回ると予想」
11日23:50 ムサレム米セントルイス連銀総裁
「今年の成長率はトレンドを下回る見込み」
「関税が実施されればインフレ上昇リスクが生じるが、それが数カ月、四半期、あるいは数年になるかは分からない」
「全体として金融情勢は引き締まっている」
「金融引き締め状態が数カ月続けば経済活動に影響を与えるだろう」
12日00:09 ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁
「関税により、今年のインフレ率は3.5-4%に上昇すると予想」
「失業率は今年4.5-5%に上昇すると予想」
「成長率は今年1%に鈍化すると予想」
「インフレ期待を安定させることが非常に重要」
「関税は不確実性の大きな要因である」
12日02:38 ホワイトハウス
「財務長官は債券市場を非常に注視している」
「トランプ大統領は90日が経過する前に合意が成立することを期待」
「90日の期限を迎えた時点で、トランプ大統領は決定を下すだろう」
※時間は日本時間
14日
○13:30 ◇ 2月鉱工業生産確報
○13:30 ◇ 2月設備稼働率
16日
○08:50 ◎ 2月機械受注
17日
○08:50 ◎ 3月貿易統計(通関ベース)
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
○10:30 ◎ 中川順子日銀審議委員、あいさつ
18日
○08:30 ☆ 3月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食品を除く総合)
○08:30 ☆ 3月全国CPI(生鮮食料品・エネルギー除く)
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
14日
○09:00 ◎ 1-3月期シンガポール国内総生産(GDP)速報値
○未定 ◎ 3月中国貿易収支
○15:30 ◇ 3月スイス生産者輸入価格
○16:00 ◇ 2月トルコ経常収支
○21:30 ◇ 2月カナダ卸売売上高
15日
○07:00 ◎ ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演
○08:01 ◇ 3月英小売連合(BRC)小売売上高調査
○08:40 ◎ ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○10:30 ◎ 3月豪準備銀行(RBA)理事会議事要旨
○15:00 ◎ 3月英雇用統計(失業率/失業保険申請件数推移)
○15:00 ◎ 12-2月英失業率(ILO方式)
○15:45 ◇ 3月仏消費者物価指数(CPI)改定値
○18:00 ◎ 4月独ZEW景況感指数
○18:00 ◎ 4月ユーロ圏ZEW景況感指数
○18:00 ◎ 2月ユーロ圏鉱工業生産
○19:30 ◎ 3月インドCPI
○21:15 ◇ 3月カナダ住宅着工件数
○21:30 ◎ 3月カナダCPI
○21:30 ◇ 2月カナダ製造業出荷
○21:30 ◎ 4月米ニューヨーク連銀製造業景気指数
○21:30 ◇ 3月米輸入物価指数
16日
○11:00 ☆ 1-3月期中国GDP
○11:00 ◎ 3月中国鉱工業生産
○11:00 ◎ 3月中国小売売上高
○15:00 ◎ 3月英CPI
○15:00 ◎ CPIコア指数
◇ 小売物価指数(RPI)
○17:00 ◇ 2月ユーロ圏経常収支(季節調整済)
○18:00 ☆ 3月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値
○18:00 ☆ 3月ユーロ圏HICPコア改定値
○20:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○20:00 ◇ 2月南アフリカ小売売上高
○21:30 ☆ 3月米小売売上高
○22:15 ◎ 3月米鉱工業生産
◇ 設備稼働率
○22:45 ☆ カナダ銀行(BOC、中央銀行)、政策金利発表
○23:00 ◇ 2月米企業在庫
○23:00 ◎ 4月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数
○23:30 ◇ EIA週間在庫統計
○17日01:00 ◎ ハマック米クリーブランド連銀総裁、講演
○17日02:30 ☆ パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、講演
○17日05:00 ◎ 2月対米証券投資動向
○07:45 ◎ 1-3月期ニュージーランド(NZ)CPI
○08:00 ◎ シュミッド米カンザスシティー連銀総裁、講演
○未定 ◎ 韓国中銀、政策金利発表
○10:30 ◎ 3月豪雇用統計(失業率/新規雇用者数)
○15:00 ◇ 3月独生産者物価指数(PPI)
○20:00 ◎ トルコ中銀、政策金利発表
○21:15 ☆ 欧州中央銀行(ECB)定例理事会、終了後政策金利発表
○21:30 ◇ 2月対カナダ証券投資
○21:30 ◎ 3月米住宅着工件数
◎ 建設許可件数
○21:30 ◎ 4月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数
○21:45 ☆ ラガルドECB総裁、定例記者会見
○米債券市場は短縮取引(聖金曜日の前営業日)
○ノルウェー、メキシコ(聖木曜日)、休場
18日
○19日24:00 ◎ デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、講演
○聖金曜日の祝日(グッドフライデー)で豪州、NZ、香港、シンガポール、インド、ドイツ、スイス、フランス、スウェーデン、ノルウェー、南アフリカ、英国、カナダ、メキシコ、ブラジルなど休場。米国は株式・債券・商品市場が休場。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
◆豪ドル、米国の90日間関税猶予も米中関税合戦激化が重しに
◆豪ドル、通常は注目度が高い雇用統計も関税相場で値動き限定か
◆ZAR、国内政治不安で米相互関税延期も支えにならず
予想レンジ
豪ドル円 85.00-92.00円
南ア・ランド円 7.00-7.80円
4月14日週の展望
豪ドルは引き続き乱高下する中で上値は限られそうだ。リスク許容度に敏感な通貨ということで今週半ばまでは大幅に下落したが、トランプ米大統領が「米国に対して報復措置を取っていない国・地域を対象に関税(上乗せ分)引き上げを90日間一時停止する」と発表すると、リスク回避の動きが収まり急反発した。来週も、関税がらみの報道で不安定な動きを繰り返すだろうが、リスク回避は簡単には収まりそうもなく、豪ドルの上値は限定的となる可能性が高い。
米国の上乗せ関税は延期されたが、基本税の10%は継続。中止ではなくあくまでも90日間の猶予が与えられた状況。中国への関税は引き続き高賦課であり、市場はリスク選好地合いにはなれない。10日には米国の対中関税は145%、中国の対米関税は84%まで引き上げられた。2大経済大国の貿易戦争の長期化はリスク回避傾向を高め、豪ドルの売り要因になる。また、豪州にとって中国が重要な通商パートナーということもあり、米中間の摩擦も重しだ。
なお、来週豪州からは15日に豪準備銀行(RBA)理事会の議事要旨が公表され、17日には3月の雇用統計が発表される。通常であれば雇用統計に市場は動意づくが、相互関税という大きな波に相場が影響されており、結果への反応も限定的となるだろう。また、ニュージーランドからは16日に3月貿易収支、17日に1-3月消費者物価指数(CPI)が発表される。
南アフリカ・ランド(ZAR)も上値が重そうだ。週前半に一時対ドルでは過去最安値を更新したが、90日間の関税延期が発表されると急反発した。市場が大幅にZARを売り越していたこともあり、買い戻しの反動は大きかったが、引き続き、積極的に買う要素は少ない。来週もZARは売り場探しになりそうだ。
南アへの30%に上る米国の上乗せ関税は一時的に回避されたものの、米国が南アに対して手を緩めることはないだろう。南アは米国と密接な関係のイスラエルに対し国際司法裁判所(ICJ)に訴えを起こした。また、トランプ政権の閣僚が南アをアパルトヘイト時代に戻すような発言を繰り返しているほか、南アの駐米大使が強制送還になるなど、トランプ政権の対応は厳しさを増している。90日後の南アに対する高賦課関税復活の可能性にも留意しておく必要がある。
また、関税だけでなく、国民統一政府(GNU)に加わっている第2党・民主同盟(DA)が連立を離脱する可能性が高まるなど、国内の政治情勢が悪化していることもZAR売り要因。なお、来週の経済指標では、16日に2月小売売上高が発表される。
4月7日週の回顧
豪ドルは乱高下。米国の相互関税を嫌気し下値を広げ、9日には対ドルで2020年以来、対円では2022年以来の水準まで下落した。ただ、米政権が上乗せ関税に90日間の猶予を与えたことで急反発した。ZARは9日には対円では2023年6月以来、対ドルで過去最安値まで弱含んだが、豪ドル同様に関税延期の発表が伝わると一転大きく買い戻された。
◆ポンド、雇用データやインフレ指標に注目
◆加ドル、CPIやBOC声明に注目
◆全般、トランプ関税に振らされる展開は続く
予想レンジ
ポンド円 184.50-190.50円
加ドル円 101.00-105.00円
4月14日週の展望
来週のポンドは、米貿易政策に関するニュースに注意しながら、英雇用データやインフレ指標などが材料視されそうだ。トランプ米大統領による関税強化の影響を受け、金融市場のボラティリティが高まっている。相互関税について大統領令が発表された今月2日から関税上乗せ部分を発動した7日まで、ポンド円のレンジは11円超まで広がった。上乗せ関税の90日間停止が発表されてリスク回避の巻き戻しが一時的に進むも、相場の不安定さが解消されたわけではない。米中貿易戦争への警戒感も残ったままであり、トランプ関税絡みで神経質な動きは続くだろう。
世界経済の先行き不透明感が強まるなかで発表される英雇用データは、高止まる失業率に注目。ILO方式では約1年間も4%超えとなっているなか、過去3回は4.4%が続いている。先日、大手米金融機関が今年の英成長率見通しを従来予測の1.1%から0.6%に引き下げている。労働市場の弱さを示す結果がでるようだと、ポンド相場はより敏感に反応するのではないか。
16日発表の3月英消費者物価指数(CPI)は、来月の英中銀金融政策委員会(MPC)前では最後の重要インフレ指標。前回2月分は、総合/コアともに前年比で予想以上に減速した。次回の英MPCでは、0.25%利下げ予想が優勢であり、その後も夏と年末に追加緩和が織り込まれつつある。CPIの結果次第では、利下げペースが速まるとの見方も出てきそうだ。
加ドルもトンランプ米大統領の保護主義政策に振らされる展開が続くだろう。相場を騒がせた「相互関税」の枠からカナダは外れていたものの、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の対象外製品や加産エネルギー・カリウムに対する追加関税(それぞれ税率25%と10%)は引き続き有効だ。最近は米中の関税合戦が話題となり、貿易を巡る米加の対立は小康状態のように見えるが、何ら解決されたわけではない。28日に総選挙を控えるカーニー加首相は、「選挙後に米大統領と新たな交渉を始める」と述べており、それまでは暫く平行線の状態が続くことになる。
15日には、前回前年比で2.6%と予想以上に加速したCPIの3月分が発表予定。加政府による免税措置が2月半ばに終了した影響を受けたとはいえ、水準としても8カ月ぶりに高い上昇率だった。翌16日のカナダ中銀(BOC)金融政策決定会合では、8会合ぶりに政策金利は据え置きが大方の見立て。3月CPIの結果だけで予想が覆されることはないだろうが、インフレが現行金利の2.75%を上回ってくるようだと、夏頃とされている追加利下げに対する思惑が変わってくるかもしれない。BOC声明で次の一手を探ることになるだろう。
4月7日週の回顧
トランプ関税に右往左往させられ、ポンド円は184.30円台まで下落したその日に189円後半まで切り返した。加ドル円も101.60円台まで下げてから105円台乗せまで反発。ただし、一巡後は再び売りが優勢となった。また、ドル安の流れを受けてポンドドルは1.27ドル前半から1.30ドル半ばまで上昇。加ドルも対ドルで1.39加ドル前半まで加ドル高に振れた
◆ドル円、日本の3月CPIや対米貿易黒字に注目
◆ドル円、17日に予定されている日米通商交渉の行方に注意
◆ユーロドル、ECB理事会での利下げの有無に注目か
予想レンジ
ドル円 141.00-147.00円
ユーロドル 1.0900-1.1500ドル
4月14日週の展望
ドル円は、17日に予定されている日米通商交渉への警戒感が上値を抑える中、3月の消費者物価指数(CPI)や対米貿易黒字を見極めていく展開が予想される。
トランプ米政権による日本に対する24%の相互関税の発動は90日間停止されることになり、17日に予定されている日米通商交渉で、関税、非関税障壁、そして為替問題が注目されることになる。日米通商交渉は、米国側がベッセント米財務長官とグリア通商代表部(USTR)代表、日本側が赤沢経済再生相の間で行われる。為替相場に関する協議にも注目が集まりそうだ。ベッセント米財務長官は就任以来、加藤財務相や植田日銀総裁と会談しているが、「他国が自国通貨を弱くすることは望まない。多くの国が対米貿易黒字を抱えるなか、金利抑制による通貨安がその一因となっている可能性がある」と述べている。9日には、最近の円高について、日本経済の強さと日銀の利上げ方針を理由に「自然な流れだ」とも発言。一部市場では、1985年のプラザ合意のようなドル安誘導策が打ち出される可能性も指摘されている。
来週は日本の指標に注目している。17日発表の3月貿易収支では、対米貿易黒字の金額とトランプ米政権の相互関税の算出式での税率を確認していくことになる。1~2月の対米貿易黒字は1兆3957億円、対米輸出は3兆4440億円だったので、計算式では約40.5%。2024年の対日貿易赤字から算出された46%を下回っている。
また、18日発表の3月コアCPIは、3月分までは電気・都市ガス代の補助金により、+0.3%程度の調整でインフレ動向を見極めることになる。先行指標である3月の東京都区部コアCPIは前年同月比2.4%だった。
ユーロドルは、今週チャート上では上抜けたものの、欧米貿易戦争への警戒感が払拭されない中、欧州中央銀行(ECB)理事会での6会合連続での利下げ観測の高まりなどから、上値は重い展開を予想している。経済指標では、ドイツ4月のZEW景況指数などに注目しておきたい。
4月7日週の回顧
ドル円は、米相互関税への警戒感から144.00円まで下落した後、トランプ米大統領が90日間の猶予を発表したことで148.27円まで急激に買い戻された。ただ、報復措置を取った中国に対する関税は145%まで引き上げ。中国も強硬姿勢を崩さず、米中貿易戦争への警戒感から再び戻り売りが強まった。週末のアジア市場では144.00円を下抜けたことからSLを巻き込んで142.89円まで値を下げている。ユーロドルは、米トリプル安となったことから2024年9月25日の高値1.1214ドルや2023年7月18日の高値1.1276ドルを上抜けて一時1.1383ドルまで急伸した。
11日の日経平均は大幅反落。終値は1023円安の33585円。
今週の日経平均は安値が30792円まであったが、本日の終値は33585円で、安値からは2800円近く水準を切り上げた。週足のローソク足は下に長いヒゲをつけた陽線。個別を見ても、ピークをつけたように見えるメガバンクやピリッとしない半導体株なども含めて、売買代金上位の常連は多くが週足陽線となっている。この先、今週の安値を下回らずに推移する銘柄が多ければ、底打ち期待が高まる。一方、下回る銘柄が多くなるようだと、一段安に対する警戒が高まる。指数は日々の振れ幅がかなり大きくなっているだけに、森よりも木を注意深く観察することで、全体のトレンドを把握したい局面だ。
【来週の見通し】
波乱含みか。国内は材料が乏しい上に、本決算の発表を前に3月決算銘柄の多くが手がけづらくなる時期に入る。主力大型株の値動きは不安定となりやすく、今週同様、もしくは今週以上に指数の値動きは荒くなる可能性がある。米国では決算発表が出始めるが、先行き不透明感が強まっているだけに、決算に対する反応は厳しめになるとみておいた方が良い。16日には米3月小売売上高が発表されるが、小売指標が悪かった場合には米国の景気悪化が強く意識されるだけに注意を要する。世界的に株式市場が不安定となっているだけに政策期待は高まりやすく、下値では買いは入るとみる。ただ、乱高下が続く中では高くなれば戻り売りも出やすく、荒い動きが続くだろう。
【今週を振り返る】
軟調となった。週明け7日の日経平均は前週末のダウ平均が2000ドルを超える下落となったことを嫌気して全面安。8日はナスダック高に好反応を示して全面高となった。9日は米国株安を受けてグロース株が下げを主導して全面安。10日はトランプ大統領が「相互関税」の一時停止を表明したことで2894円高と大きく跳ねたが、11日は米国株安や円高を嫌気して全面安となった。5営業日すべてで4桁の値幅が出た上に、全面安と全面高を交互に繰り返した1週間。日経平均は週間では195円の下落となったが、週初の発射台が低く、週足では3週ぶりに陽線を形成した。
【来週の予定】
国内では、「2025大阪・関西万博」(大阪・夢洲~10/13)(4/13)、20年国債入札(4/15)、2月機械受注(4/16)、3月貿易統計(4/17)、3月消費者物価指数(CPI)(4/18)などがある。
海外の経済指標の発表やイベントでは、中国3月貿易収支(4/14)、独4月ZEW景況感指数、米4月ニューヨーク連銀製造業景気指数、米3月輸出物価指数、米3月輸入物価指数(4/15)、中国1-3月期GDP、中国3月鉱工業生産、中国3月小売売上高、米3月小売売上高、米3月鉱工業生産指数、米3月設備稼働率、米4月NAHB住宅市場指数、パウエルFRB議長発言、米2月対米証券投資、米20年国債入札(4/16)、ECB定例理事会、米3月住宅着工件数、米3月建設許可件数、米4月フィラデルフィア連銀製造業景況感指数(4/17)などがある。
今週の日経225先物は、引き続き米政策を巡る各国の動向のほか、トランプ大統領の発言による混乱を警戒しつつも、押し目狙いのロング対応に向かわせそうだ。中国は米国に対する報復関税を125%に引き上げたが、米側が再度関税を引き上げたとしてもこれ以上対抗しないとの見解を示しており、米中貿易摩擦に対する警戒が和らぐ可能性がある。
「相互関税」に対し報復措置をとらない大半の国は90日間関税が一時停止されたことで、この間に米国と協議を行うとみられる。日本は赤澤経済再生相が訪米し、17日にベッセント財務長官らと交渉を行う見通しである。二国間協議の進展期待によりショートは仕掛けづらく、ロングに傾きやすくなろう。
11日の米国市場では主要な株価指数が反発した。中国がこれ以上の報復関税は講じない考えを示したことが好感された。また、ボストン連銀のコリンズ総裁が、金融市場は持ちこたえており、しっかり機能していると発言。ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁も介入が正当化されるような兆候は見られないと指摘したことで、金融市場全般に対する過度な警戒感が和らいだ。
トランプ大統領は、スマートフォンやコンピューター機器、半導体製造装置を相互関税の対象から除外した。1月高値から半値水準まで下落しているアドバンテスト<6857.T>[東証P]や昨年7月高値から3分の1程度まで売られたディスコ<6146.T>[東証P]といった、指数インパクトの大きい値がさハイテク株の支援材料になる可能性がある。
先週の日経225先物は連日4ケタの変動幅での乱高下を演じ、3万0650円~3万5140円(ナイトセッションを含む)での荒い値動きながら前週比では240円安だった。今後もトランプ大統領のSNS投稿などをきっかけにアルゴリズムが発動することで荒い値動きが目立つだろうが、冷静に押し目を狙いたい。
日経225先物は、11日取引終了後のナイトセッションでは日中比200円高の3万3720円で終えた。売り先行で始まり、ナイトセッションでも1000円超の値幅とはなったが、中盤以降はショートカバーが優勢だった。ボリンジャーバンドでは7日に3万0650円まで急落する局面で-3σを大きく割り込んだが、その後は荒い値動きながら-2σを突破し、-1σを捉える形状をみせている。バンドは下向きで推移しているものの、-2σ(3万1940円)と-1σ(3万3840円)によるレンジを意識しつつ、-1σ突破から中心値である25日移動平均線(3万5740円)を射程に入れたロング優勢の展開が見込まれよう。
週足では-3σ割れから長い下ヒゲを残す形で-2σ水準を回復。ナイトセッションでは-2σ(3万2860円)を上回っての推移になった。-1σ(3万4920円)とのレンジが意識されてくるほか、下落要因は違うものの、形状としては昨年8月の長い下ヒゲを残しての-3σ割れからの切り返しと酷似しており、目先の底打ちも期待されてこよう。そのため、オプション権利行使価格の3万2000円から3万6000円のレンジを想定。
JPモルガン・チェース<JPM>が発表した第1四半期決算は一株利益が市場の予想を上回り、11日の米国市場で4%高だった。今週は14日にゴールドマン・サックス・グループ<GS>、15日にバンク・オブ・アメリカ<BAC>、シティグループ<C>、17日にネットフリックス<NFLX>、ユナイテッドヘルス・グループ<UNH>などの決算発表が予定されており、主要企業の業績動向に関心が集まることになろう。
先週のNT倍率は先物中心限月で13.63倍(10日は13.62倍)に上昇した。一時13.55まで低下して25日線(13.57倍)を下回る場面もみられた。その後は下ヒゲを残す形で同線を上回って推移した。1月23日の高値14.54倍から4月1日の安値13.32倍までの下げに対するリバランスを想定し、75日線(14.00倍)、200日線(14.15倍)辺りを目先のターゲットとしたNTロングに振れやすいとみておきたい。
4月第1週(3月31日-4月4日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物と先物の合算では2週連続の売り越しであり、売り越し額は7730億円(3月第4週は1兆2821億円の売り越し)だった。なお、現物は6011億円の買い越し(同8416億円の売り越し)と2週ぶりの買い越しであり、先物は1兆3741億円の売り越し(同4404億円の売り越し)と2週連続の売り越し。個人は現物と先物の合算で7274億円の買い越しと2週連続の買い越し。信託銀行は現物と先物の合算で1976億円の売り越しとなり、2週ぶりの売り越し。
主要スケジュールでは、14日に中国3月貿易収支、15日に米国4月ニューヨーク連銀製造業景気指数、米国3月輸出入物価指数、16日に2月機械受注、中国1-3月期GDP、中国3月鉱工業生産指数、中国3月小売売上高、米国3月小売売上高、米国3月鉱工業生産指数、パウエルFRB議長講演、17日にECB(欧州中央銀行)政策金利、米国3月住宅着工件数、ラガルドECB総裁記者会見、18日に3月全国消費者物価指数などが予定されている。
11日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、予想を下回った3月米卸売物価指数(PPI)で142.22円付近まで下落後、レビット米ホワイトハウス報道官やコリンズ米ボストン連銀総裁の発言でダウ平均が上昇したことで144.20円付近まで買い戻された。ユーロドルは、欧州市場の高値1.1473ドルから、トリプル安(株安・債券安・通貨安)」を巻き戻す動きが広がり1.1277ドル付近まで下押しした。
本日の東京外国為替市場のドル円は、米中貿易交渉への期待感や電子機器が「半導体関税」に分類されるとの報道などで強含む可能性はありそうだ。しかしながら、17日予定の日米通商協議への警戒感は残り、上値も限定的となるかもしれない。
先週は、世界最大の経済大国で貿易赤字大国である米国が対中関税を145%に引き上げ、世界第2位の経済大国で世界最大の対米貿易黒字国である中国が、対米関税を125%に引き上げた。米中貿易戦争が勃発し、グローバル・リセッションへの警戒感が高まっている。
しかし中国側が関税率125%を上限と示唆し、米国側も「トランプ米大統領は中国との取り引きに前向きな姿勢を示している」こと、電子機器などが「半導体関税」として発動延期との報道などを受けて、米中貿易交渉への期待感がやや高まっている。トランプ米大統領は、本日、「半導体関税」に関する説明をするとのことで要注目となる。
ドル円の上値を抑える要因として、ベッセント米財務長官が17日の赤沢経済再生相との日米通商協議で、非関税障壁、補助金、そして「為替問題」などの協議を示唆していることが挙げられる。
トランプ米政権の貿易赤字削減に向けた取り組みは、ミラン米CEA委員長が昨年秋に公表した「国際貿易システム再構築のためのユーザーガイド」に沿ったもの。第1弾に懲罰的関税を打ち出し、第2弾に貿易相手国が関税引き下げの見返りとしてドル高是正という通貨協定を受け入れる、というシナリオとなっている。
4月8日時点でのIMM通貨先物の投機部門取組の円のネット買い持ちポジションは、147067枚と過去最大を更新した。ドル円が155円付近の時に、円の売り持ちから買い持ちに転換し、152円付近で過去最大規模に拡大し、4月8日の146円付近でも過去最大を更新している。
低金利通貨である円の買い持ちポジションは、ネガティブ・キャリートレードとなるため、日々コストを支払い続けなければならず、短期的な戦術である。ただし、トランプ米政権が日米貿易不均衡を是正するためのドル安・円高誘導策として、第1弾の関税発動後もポジションを堅持している背景には、第2弾としてのドル安誘導策への期待があるのかもしれない。
ミラン米CEA委員長やベッセント米財務長官の二人のヘッジファンド業界出身者が目論んでいると噂されているのは、財政緩和と金融緩和を背景にしたドル安誘導策「マールアラーゴ合意」である。
トランプ米大統領の執務室の壁には、尊敬するレーガン第40代米大統領の肖像画が飾られており、貿易赤字削減のための1985年の「プラザ合意」の顰に倣った「プラザ合意II」(=「マールアラーゴ合意」)を打ち出す可能性が警戒されている。
ベッセント米財務長官が在籍していたソロス・ファンドでの指南役だったスタンレー・ドラッケンミラー氏は、1985年秋のプラザ合意ではドル円、1992年のポンド危機ではポンドを叩き落した人物であり、弟子でもあったベッセント米財務長官も、為替操作に長けている人物である。
大阪6月限ナイトセッション
日経225先物 33720 +200 (+0.59%)
TOPIX先物 2487.5 +29.5 (+1.20%)
シカゴ日経平均先物 33650 +130
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
11日の米国市場は、NYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が上昇。トランプ関税政策を巡る不透明感が重荷となり売り先行で始まったが、中国が米国に対する報復関税を125%に引き上げたものの、米側が再度関税を引き上げてもこれ以上対抗しないとの見解を示したほか、米連邦準備理事会(FRB)高官が必要なら適切な手段をとると発言したことなどで上昇に転じた。JPモルガン・チェース<JPM>の予想を上回る決算も好感され、金融株に買いが広がった。
S&P500業種別指数は、すべてのセクターが上昇し、テクノロジー・ハード・機器、半導体・同製造装置、素材、エネルギー、資本財の上げが目立った。NYダウ構成銘柄では、アップル<AAPL>、JPモルガン・チェース、エヌビディア<NVDA>、ビザ<V>、ハネウェル・インターナショナル<HON>、IBM<IBM>が買われた。一方で、ウォルト・ディズニー<DIS>、セールスフォース<CRM>、ナイキ<NKE>が小幅に下落。
シカゴ日経平均先物(6月限)清算値は、大阪比130円高の3万3650円だった。日経225先物(6月限)のナイトセッションは、日中比350円安の3万3170円で始まり、3万2700円まで下げ幅を広げた。売り一巡後は3万2840円~3万3310円辺りの保ち合いを継続。中盤にレンジを上抜けて上昇に転じ、終盤にかけて3万3740円まで買われ、3万3720円とナイトセッションの高値圏で取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、買い先行で始まりそうだ。トランプ大統領は11日夜、スマートフォンなどを相互関税の対象から除外した。ただし、13日には電子機器に対して引き続き関税を課すと再表明している。トランプ統領は11日の発表について一時的かつ手続き上の措置だと主張しており、楽観的な見方に水を差す形になった。たとえ一時的な措置にとどまるとしてもハイテクセクターに恩恵を与えると考えられ、指数インパクトの大きい値がさハイテク株の動向が注目される。
日経225先物はナイトセッションでボリンジャーバンドの-1σ(3万3840円)に接近しており、-2σ(3万1940円)とのレンジが意識されてきそうだ。アドバンテスト<6857.T>[東証P]や東京エレクトロン<8035.T>[東証P]などが買い先行で始まるようだと、-1σ突破から中心値の25日移動平均線(3万5740円)が射程に入ってくる可能性がありそうだ。
「相互関税」に対し報復措置をとらない大半の国は90日間の関税停止になったことで、この間に各国の当局者は協議を行うとみられ、赤澤亮正経済再生相が4月17日にベッセント米財務長官らと交渉を行う見通しである。二国間協議の進展期待からショートは仕掛けづらく、押し目狙いのロングに向かわせそうだ。
トランプ大統領の発言に大きく振らされやすい需給状況ながら、下値の堅さは意識されてくるとみられ、-1σを挟んだオプション権利行使価格の3万3000円から3万5000円のレンジを想定する。
11日の米VIX指数は37.56(10日は40.72)に低下した。7日に60.13まで急伸した後は荒い値動きながら9日には31.90まで下げる場面もみられた。25日線(26.88)を上回っている状況のため楽観はできないところだが、関税を巡り警戒感が和らぐ可能性があるなかでは落ち着きをみせてきそうだ。
先週のNT倍率は先物中心限月で13.63倍(10日は13.62倍)に上昇した。一時13.55まで低下して25日線(13.57倍)を下回る場面もみられたが、その後は下ヒゲを残す形で同線を上回っての推移となった。値がさハイテク株の動向次第の面はあるものの、NTロングに振れやすいとみておきたい。
<国内>
○13:30 ◇ 2月鉱工業生産確報
○13:30 ◇ 2月設備稼働率
<海外>
○09:00 ◎ 1-3月期シンガポール国内総生産(GDP)速報値(予想:前期比▲0.4%)
○09:00 ◎ シンガポール金融通貨庁(MAS)、金融政策発表
○未定 ◎ 3月中国貿易収支(予想:744.0億ドルの黒字)
○15:30 ◇ 3月スイス生産者輸入価格
○16:00 ◇ 2月トルコ経常収支(予想:44.0億ドルの赤字)
○21:30 ◇ 2月カナダ卸売売上高(予想:前月比0.4%)
○15日02:00 ◎ ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
東京市場は堅調か。先週末の米国株は上昇。ダウ平均は619ドル高の40212ドルで取引を終えた。序盤はプラス圏とマイナス圏を行き来したが、中盤以降は買いが優勢となり、高値圏で終了。アップルやエヌビディアなど主力のグロース株が大きく上昇したほか、JPモルガン・チェースなど決算を発表した金融株の動きが良かった。ドル円は足元143円60銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが大証日中終値と比べて130円高の33650円、ドル建てが295円高の33815円で取引を終えた。
米国株高を好感した買いが入ると予想する。ハイテク株や金融株に追い風が吹いており、主力大型株が上昇の先導役になると見込まれる。米国で決算発表の先陣を切った金融株に強い動きが見られたことは、世界株安に対する過度な警戒を和らげる。先週の日経平均は4桁の上げ下げが続いたが、CME225先物からはきょうは落ち着いたスタートが想定される。不安定な相場を脱するとの期待感から、終日しっかりとした動きが続くだろう。日経平均の予想レンジは33400円-33900円。
日経225先物は11時30分時点、前日比560円高の3万4080円(+1.67%)前後で推移。寄り付きは3万3980円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万3650円)を上回る形から、ギャップアップで始まった。直後に節目の3万4000円を回復すると、現物の寄り付き後ほどなくして3万4350円まで買われた。中盤にかけて3万3910円まで上げ幅を縮める場面もみられたが、終盤にかけては3万4000円を上回っての推移を継続。
日経225先物はボリンジャーバンドの-1σ(3万3870円)を上回って始まり、買い一巡後に上げ幅を縮める局面においても同バンドを割り込まなかったことで、終盤にかけてはショートカバーを誘う形になった。トランプ関税に振り回される状況では積極的なロングは限られるものの、アドバンテスト<6857.T>[東証P]などハイテク株の強さが目立つなかでは、ショートカバーを誘う形であろう。グローベックスのナスダック100先物は200ポイントほど上昇して推移していることも、ショートカバーに向かわせそうだ。
NT倍率は先物中心限月で13.62倍に低下。13.59倍で始まり、一時13.57倍に低下する場面もみられたが、25日移動平均線(13.57倍)が支持線として機能している。その後13.66倍まで上昇する場面もあったが、NTロングでのスプレッド狙いは強まらなかった。
先週の金融市場は、米債券市場の暴落をきっかけとした米トリプル安に見舞われたわけですが、先週末のNY市場では今年のFOMC投票メンバーでもあるコリンズ米ボストン連銀総裁のFTインタビューでの「準備は万全(absolutely)」の一言で一応の収まりを見せることになりました。
何度もお伝えしているように、株価下落と債券上昇といった、通常のリスクオフではなく、米国売りとなるトリプル安という最も避けなければならない事態が続いたことから、元々債券のプロ中のプロであるベッセント米財務長官が、イケイケの状態だったトランプ米大統領を説得。相互関税の90日間一時停止を決定させたなか、日本では3者会合が開催され、米国では週末にFRBが流動性供給などの準備が万全であることを表明したわけで、為替や株といったどちらかというと大衆迎合しやすい市場ではなく、まさに金融市場の土台を形成している債券市場を何とか落ち着かせることが出来たことが全て。
週末にもスマホやPCなどが相互関税の対象からは外れ、既に公表されている鉄鋼、アルミ、車といった個別の半導体としての関税の部類に入ることが判明しましたが、市場は株式の買い戻しといった反応となっています。ドル円は、週明け早朝にNY時間の高値144.20円を上抜けて一時144.31円まで値を上げる場面もみられましたが、その後は戻り売りに押される展開。赤沢経済再生担当相が「ベッセント米財務長官と為替の議論する」とのベタな発言にも反応すると一時142.25円まで値を下げるなど、先週末のレンジ内での動きを繰り返しているといったところです。
いずれにしても、目先は本当の意味での危機を何とか免れたなか、リスクオフで更に積み上がった円ロングポジションは調整を余儀なくされることになりそうな状況。株価の動向などを見極めながら、週末のイースター休暇に向けた調整相場となっていくのかもしれません。
「借り入れコスト引き下げでトランプ政権が重点を置いているのは、米連邦準備理事会(FRB)の政策金利ではなく、米10年債利回りだ」(ベッセント米財務長官)
1. 2025会計年度(24年10月-25年9月)財政赤字:1兆3071.32億ドル
米財務省は、2025会計年度(24年10月~25年9月)の3月の財政収支が、1605.30億ドルの赤字だったと発表した。2024年3月は2365.56億ドルの赤字だったことで、赤字幅は760.26億ドル(32%)減少した。給付金支払いのカレンダー調整が赤字幅縮小の主因となった。歳出は7.1%減の5281.65億ドル、歳入は10.7%増の3676.35億ドルだった。
2025会計年度(24年10月-25年9月)累計の財政赤字は、前年同期比23%増(2420億ドル)の1兆3071.32億ドルとなり、会計年度の最初の6カ月としては、コロナ禍の21年の1兆7062.56億ドルに次ぐ、過去2番目の大きさとなった。
歳入は2兆2602.92億ドル、歳出は3兆5674.25億ドル。
国債利回りの上昇を受けて、政府のコスト負担が大きく膨らんでおり、2024年度の連邦政府の公的債務利子が累計で初めて1兆ドルを超え、1.2兆ドルとなった。
2025年の借り換え債は9.2兆ドル、今後3年間で発行されている国債の50%が満期を迎えるため、現状の米中長期債利回りの高止まりが続いた場合、利払い額は、2倍の2兆ドルに達することが警戒されている。
【財政赤字と対GDP比】
・2020会計年度:3兆1319億ドル(対GDP比15.0%)※過去最大
・2021会計年度:2兆7721.79億ドル(対GDP比12.4%)※過去2番目
・2022会計年度:1兆3754.81億ドル
・2023会計年度:1兆6952.40億ドル(対GDP比6.2%)
・2024会計年度:1兆8328.16億ドル(対GDP比6.4%)
2.2025年3月末債務残高:36兆2143億ドル(※米国債:28兆ドル)
米国の2025年3月末時点での債務残高は36.2143兆ドルで、2024年第4四半期国内総生産(GDP)29.70兆ドルの約123%となっている。
純関税歳入は、1月が73.4億ドル、2月は72.5億ドル、3月は87.5億ドルと、2022年9月以来で最高額となった。トランプ米大統領は、関税によって1日当たり20億ドルの収入を得ていると述べていたが誇張であることも示唆された。
実業家イーロン・マスク氏率いる政府効率化省(DOGE)による連邦政府の人員削減や支出削減への取り組みによる目立った影響も、3月には表れなかった。
格付け会社ムーディーズは「どちらの候補が当選しても米国の財政状況は弱体化する可能性が高い」と指摘して、大統領選後に米国の信用格付けを引き下げることを示唆していた。
格付け会社フィッチは「トランプ次期米大統領の就任で共和党が政権と議会多数派を握る構図となっても、連邦債務上限を巡る議論が早期に解決する可能性は低い」との見方を示した。
第1次トランプ米政権の財政赤字は、約8兆ドル拡大していた。
超党派の米シンクタンク「責任ある連邦予算委員会」は、第2次トランプ米政権では、2026~35年度の10年間で財政赤字が7兆5千億ドル拡大するとのことである。25年末に期限を迎える減税策の恒久化が5兆3500億ドルなどで財政悪化が見込まれている。
週明けロンドン為替市場でもトランプ関税に絡んだリスク許容度合いの強弱に振らされ、ボラティリティは高まったままか。先週末11日のユーロドルは振り返っても、1.12ドル割れから2022年2月以来の高値1.1473ドルまで急伸。その後に200ポイント近く下落するなど激しい動きだった。週明けオセアニアからアジア市場でも1.12ドル後半まで売られたところから1.14ドル超えまで切り返し、依然としてレンジ幅は広いままだ。
欧州連合(EU)は米国からの輸入品の一部に対して先週、15日から発動するとしていた報復関税の「90日間停止」を発表した。トランプ米政権が相互関税の上乗せ賦課を延期したことへの対応とされた。これにより米EUとの貿易摩擦が緩和したように見えるが、フォンデアライエン欧州委員長は「関税交渉が不調に終われば、報復措置を講じる」と述べており、先行き不透明感は払しょくされてはいない。
EUからは既にワイン輸出の一部が停止しているとされ、欧州経済の回復が遅れる可能性が出始めている。トランプ関税でEUが被る経済損失について、一部報道からは、今後4年間で7500億ユーロ規模まで拡大する見通しが示された。EU圏で先行き景気に不安感が広まるなか、今週17日に欧州中央銀行(ECB)が政策金利を公表する。今のところ、0.25%の追加利下げが市場予想。関税問題が解決するまでは、ラガルドECB総裁の舵取りはかなり難しいものとなるだろう。
ほか米国市場の話になるが、欧州前半から時間外取引が開始されるアップルなど半導体関連株の動向には注目しておきたい。前週末にトランプ政権はスマートフォンなどの電子機器を相互関税の対象から除外。しかしながらラトニック米商務長官は、それらは今後予定している半導体関税の対象になると説明した。本日は、トランプ米大統領が半導体への関税措置について詳細を発表するもよう。
想定レンジ上限
・ユーロドル、11日高値1.1473ドル
想定レンジ下限
・ユーロドル、14日オセアニア市場安値1.1280ドル
中国の税関総署が14日発表した2025年3月の米ドル建て貿易統計は、輸出が前年同月比12.4%増となり、市場予想(4.4%増)を大きく上回った。1-2月は2.3%増だった。輸入は4.3%減で、市場予想の2.0%減から下振れした。1-2月は8.4%減。貿易黒字は1026億4000万米ドルと市場予想の770億米ドルを上回った。
人民元建てでは、輸出が13.5%増、輸入が3.5%増。1-2月実績は1.9%減、2.5%増だった。貿易黒字は7367億2000万元。
ドル円:1ドル=142.76円(前営業日NY終値比▲0.78円)
ユーロ円:1ユーロ=162.55円(▲0.48円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1385ドル(△0.0030ドル)
日経平均株価:33982.36円(前営業日比△396.78円)
東証株価指数(TOPIX):2488.51(△21.60)
債券先物6月物:141.12円(△0.05円)
新発10年物国債利回り:1.335%(▲0.010%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
2月鉱工業生産・確報値
前月比 2.3% 2.5%
前年同月比 0.1% 0.3%
2月設備稼働率
前月比 ▲1.1% 4.5%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は上値が重い。早朝取引で144.31円まで上昇するも、前週末高値の144.64円が目先の抵抗として意識されると失速。前週末に米政権はスマートフォンなどの電子機器を相互関税の対象から除外したが、ラトニック米商務長官からは13日に電子機器などは今後予定している半導体関税の対象になると伝わっていた。その後は赤沢経済再生相から「為替については日米財務相の間で緊密に議論していく」などの発言が伝わったことなどが重しとなり、142.25円まで下落幅を拡大。前週末安値142.07円が目先のサポートとして意識されると下げ渋るも、本日に予定されているトランプ米大統領による「半導体関税」の説明への警戒感から、戻りは143.20円台と限られた。
・ユーロ円も上値が重い。早朝取引で163.55円まで上昇したが、買い一巡後は162.10円まで下落。ただ、その後は162.70円台に持ち直す場面も見られるなど、ドル円に連れた動きとなった。
・ユーロドルは強含み。早朝に1.1280ドルまで下落したものの、対円などでドル売りが進んだことに伴い1.1409ドルまで上昇。その後は1.13ドル台後半でのもみ合いが続くも、ドル円でドル売りとなった影響を受けて15時過ぎに再び1.14ドル前後まで持ち直した。
・日経平均株価は反発。前週末に米株が上昇した流れを引き継ぎ、買いが先行。前週の急落に対する自律反発狙いの買いも入ると、上げ幅は一時700円超となった。ただ、米関税政策への警戒感やドル円の下落などが重しとなって伸び悩んだ。
・債券先物相場は底堅い。高く寄り付いた後は下げに転じる場面も見られたが、植田日銀総裁による国会での発言を受けて日銀の早期利上げ観測が後退すると持ち直した。なお、20年債や30年債の利回りは2004年8月以来の高水準で終えた。
東海東京インテリジェンス・ラボでは足元の日本株の下げに関して、過去の下落局面との比較を行っている。24年7月の高値から見た日経平均の下落率は、4月7日時点で26%台。これは2020年のコロナショックや2016年のチャイナショックの領域に近いとのこと。また、日経平均の200日移動平均線かい離率が「-20%」に近づいており、ここまでかい離率が広がったのはコロナショック以来であることを指摘している。
一部報道が伝えたところによると、本日の衆院予算委員会に植田日銀総裁が出席するという。午前11時9分からの予定となっている。
シンガポール金融通貨庁(MAS)は14日、政策バンドの傾斜を引き下げたと発表した。なお、通貨政策バンドの中央値と変動幅は据え置いた。
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・西?M 徹氏
シンガポール通貨庁、景気の急ブレーキ確認で一段の金融緩和
トランプ関税を理由に景気、物価見通しともに下方修正、「ハト派」姿勢を強めている模様
米トランプ政権は「相互関税」として、すべての国に一律で10%の関税を課すとともに、非関税障壁に応じて関税を上乗せする方針に舵を切った。トランプ政権は一旦相互関税の発動に動いたが、直後に一部の国を除いて上乗せ分を90日間延期している。しかし、すでに10%の相互関税が課される上、これにより世界的な貿易摩擦が激化するとともに、世界貿易の萎縮が世界経済に悪影響を与える懸念が高まっている。
シンガポールは米国にとって貿易黒字国であり、相互関税の税率は10%に留まる。しかし、ASEAN周辺国などの相互関税は軒並み高水準で設定されているほか、米中貿易戦争はアジアの貿易ハブである同国経済に深刻な悪影響を与えると懸念される。しかし、1-3月の実質GDP成長率は前期比年率▲3.02%と丸2年ぶりのマイナス成長となるなど、トランプ関税が具現化する前に景気の下振れが確認されている。
こうした実体経済の下振れを受けて、シンガポール通貨庁(MAS)は14日の定例会合で2会合連続の金融緩和を決定した。決定内容は名目実効為替レートの傾きをやや緩やかにすると慎重なものとなったが、景気や物価の見通しを下方修正するとともに、その見方も「ハト派」姿勢を強めている様子がうかがえる。よって、先行きも漸進的な金融緩和を行うとともに、外部環境如何で緩和姿勢を強める可能性は高まっている。
中国商務部は13日、海南省で開かれた第5回中国国際消費品博覧会で「購在中国(中国で購買する)」キャンペーンを開始した。消費喚起と内需拡大を目的に、中国政府が進める「消費振興特別行動」の一環。国家発展改革委員会や工業・情報化部、文化観光部、市場監督管理総局、国家体育総局と共同でキャンペーンを展開し、各地で新製品・新サービスの発掘や多様な地域特性を生かしたイベント開催を推進する。
商務部によると「購在中国」は4つの分野に分けて展開される。ショッピング分野では、主要な歩行者天国や商業圏、百貨店、スーパー、アウトレット、出国時免税店舗などを巻き込み、新商品や優良品の初売りと割引キャンペーンを実施する。
グルメ分野では、各種の美食市や料理交流会、食材博覧会を開催し、グルメランキングやグルメマップ、有名店などを紹介。観光分野では、観光消費ガイドの発表や観光ルートの提案、特色ある観光スポットの紹介などを通じて旅行消費を促す。文化・公演分野では、国内外の質の高い舞台芸術、スポーツイベント、文化財展示などを開催する。
当局は、国際的な影響力を持つ消費拡大ブランドイベントの構築を通じて、質の高い商品・サービス供給の拡大と多様な消費シーンの創出を図り、商業・観光・文化・スポーツの融合を推進するとしている。また、国際的に親しみやすい消費環境の構築と多様化・差別化された消費需要の喚起により、消費の高度化と中国市場の魅力度向上を目指す。
大阪6月限
日経225先物 34170 +650 (+1.93%)
TOPIX先物 2497.5 +39.5 (+1.60%)
日経225先物(6月限)は前日比650円高の3万4170円で取引を終了。寄り付きは3万3980円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万3650円)を上回る形でギャップアップで始まった。直後に節目の3万4000円を回復すると、現物の寄り付き後ほどなくして3万4350円まで買われた。前場中盤にかけて3万3910円まで上げ幅を縮める場面もみられたが、後場は3万4000円を上回って推移し、3万4290円まで買われた。
日経225先物はボリンジャーバンドの-1σ(3万3870円)を上回って始まり、買い一巡後に上げ幅を縮める局面でも同バンドを割り込まなかったことで、ショートカバーを誘う形になった。トランプ関税に振り回される状況では積極的なロングは限られるものの、スマートフォンなどの電子機器への関税を巡っては、大手メーカーなどと協議したうえで内容を発表するとしている。
近く関税率を表明する予定であるが、一部の製品を対象から除外する可能性もあるとして、アドバンテスト<6857.T>[東証P]など売り込まれていたハイテク株の一角に買い戻しが目立ったことで、ショートカバーを誘う形にもなった。
日経225先物は-1σを上回っての推移により、3万4000円固めの動きが意識されてきた。週足では-2σ(3万2990円)を支持線としたリバウンドにより、-1σ(3万5000円)をターゲットとした値動きに向かわせそうだ。そのため、オプション権利行使価格の3万4000円から3万5000円のレンジを想定する。
グローベックスのNYダウ先物は350ドル、ナスダック100先物は350ポイントほど上昇して推移しており、週明けの米国市場でハイテク株の上昇が継続するようだと、リバウンド基調が強まる可能性はありそうだ。その場合には25日移動平均線が位置する3万5650円が射程に入りそうだ。
NT倍率は先物中心限月で13.68倍に上昇。13.59倍で始まり、一時13.57倍に低下する場面もみられたが、25日線(13.57倍)が支持線として機能する形で切り返している。トランプ関税の内容次第で再び波乱が警戒されるものの、目先的にはハイテク株へのリバランスが強まる可能性があり、NTロングでのスプレッド狙いに振れやすくなるとみておきたい。
手口面(6月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万6293枚、ソシエテジェネラル証券が1万3311枚、サスケハナ・ホンコンが4540枚、バークレイズ証券が2714枚、JPモルガン証券が2615枚、野村証券が2140枚、SBI証券が2070枚、モルガンMUFG証券が2058枚、日産証券が1982枚、ゴールドマン証券が1467枚だった。
TOPIX先物は、ABNクリアリン証券が2万6197枚、ソシエテジェネラル証券が2万1138枚、モルガンMUFG証券が6816枚、バークレイズ証券が5721枚、JPモルガン証券が3845枚、ゴールドマン証券が3393枚、みずほ証券が2996枚、サスケハナ・ホンコンが2132枚、ビーオブエー証券が1875枚、野村証券が1196枚だった。
本日のNYタイムでは注目の経済指標発表は予定しておらず、引き続き関税関連のヘッドラインに注目。トランプ関税をめぐる不透明感は続いており、市場のボラティリティは高いままである。ドル円は米株・米金利の動向を眺めながら値幅を伴った神経質な動きが続くと見込まれるが、下方向への警戒感は払しょくされていない。
金融市場全般がトランプ関税に振り回されており、米政権に対する市場の信認も大きく低下している。ドル安が進むのはトランプ米政権が望んだものではあるが、株安・債券安がここまで大きく進んだのは想定外だろう。トランプ氏の関税方針は相変わらず二転三転し、朝令暮改も日常茶飯事になっており、先は読めない。トランプ米大統領は本日に半導体への関税措置について詳細を発表するとし、市場が注目しているが、同氏は先週末に相互関税の対象から電子機器を除外すると発表したが、本日早朝には電子機器への課税は「別の(分野別)関税に移行するだけ」と発言している。
関税をめぐる不確実性で「米国売り」が続くかどうかに注目。トランプ関税が世界経済へ悪影響を与えるとの不安が根強いことや、今週の日米の通商協議で円安是正の議論が行われるとの警戒感で、ドル円の重い動きは続きそうだ。加藤財務相は先週、「為替レートは市場において決定される」としながらも、日米関税交渉で為替もテーマになり得ると承知していると述べている。
・想定レンジ上限
ドル円、本日これまでの高値144.31円や節目の145.00円が上値めど。
・想定レンジ下限
ドル円、11日安値142.07円や昨年9月18日安値140.45円を下値めど。
今週のNY市場は決算発表に注目。先週はダウ平均が1897.85ドル高(+4.95%)、S&P500が5.70%高、ナスダック総合が7.29%高とそろって3週ぶりに大幅反発。S&P500は2023年11月以来の大幅高となり、ナスダック総合は2022年11月以来の大幅高を記録した。トランプ関税で混乱が続く中、前週末に中国が報復関税を発表したことで週初は不安定な展開となったが、トランプ大統領が水曜日に「相互関税」を90日間、一時停止すると発表したことで急速に買い戻しが強まった。しかし、月初来ではダウ平均が4.26%安、S&P500が4.43%安、ナスダック総合が3.32%安とそろって大幅安となった。ボラティリティの高まりを受けて、投資家の不安心理を示すVIX指数は前週末の45.31ポイントから先週末は37.56ポイントに低下したものの、月曜日には一時60.13ポイントまで上昇した。
今週発表が本格化する企業の第1四半期決算に注目が集まる。週末にスマホやPCなどのハイテク製品が「相互関税」の対象から除外されるとの報道があったことで、過度な警戒感が後退することが期待されるが、関税政策を巡る不透明感が引き続き重しとなることが予想され、こうした中で発表される主要企業の決算やガイダンスが焦点となる。関税による先行き不透明感を理由に多くの企業が見通しの取り下げや見通しレンジを下方に拡大した場合は、業績悪化見通しが相場の重しとなりそうだ。今週はゴールドマン・サックス、ジョンソン&ジョンソン、シティグループ、バンク・オブ・アメリカ、ユナイテッド・エアラインズ、D.R.ホートン、ユナイテッドヘルス、アメリカン・エキスプレス、ネットフリックスなどS&P500採用の約30銘柄が第1四半期決算を発表する。経済指標は4月NY連銀製造業業況指数、3月小売売上高、3月住宅着工件数など。
今晩の米経済指標・イベントはウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事の講演など。企業決算は寄り前にゴールドマン・サックス、M&Tバンクが発表予定。
日経平均株価は反発。4/10に形成した大陽線の高値を前に伸び悩む展開となり、小陰線で取引を終了した。終値では34000円を回復できなかった。
RSI(9日)は前日の41.3%→43.2%(4/14)に上昇。10日移動平均線(33790円 4/14)が依然として下向きで推移している影響などから、最終的には下に引き寄せられる格好となった。
一段高に向かうためには、目先的には5日移動平均線(33380円 同)、転換線(33285円 同)、10日移動平均線をサポートにもみ合い(値固め)が必要か。
一方、5日移動平均線の上向き転換などを通じて、今週は25日移動平均線(35880円 同)や3/11安値(35987円)のフシまで上値を拡大できるかも焦点となる。
上値メドは、4/10高値(34639円)、心理的節目の35000円、4/2安値(35426円)、25日移動平均線、3/28安値(36864円)、心理的節目の37000円などがある。下値メドは、5日移動平均線、心理的節目の33000円、心理的節目の32000円、4/9安値(31258円)、4/7安値(30792円)、心理的節目の30000円や29500円などがある。
14日の日経平均は反発。終値は396円高の33982円。米国株高を好感して寄り付きから400円を超える上昇。節目の34000円を上回った。序盤で上げ幅を700円超に広げたところでいったん失速したが、34000円を割り込むと改めての買いが入った。後場に入ると500~600円程度高い水準でもみ合う時間が長かった。しかし、終盤にかけては再び上げ幅を縮小。大幅高ではあったものの大引けが後場の安値となり、34000円を下回って取引を終えた。
東証プライムの売買代金は概算で3兆8700億円。業種別では医薬品、その他製品、化学などが上昇した一方、海運、空運、輸送用機器などが下落した。前期の上振れ着地や今期の大幅営業増益計画が好感されたオキサイド<6521.T>が急騰。半面、今期の見通しが市場の期待に届かなかったIDOM<7599.T>が急落した。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1322/値下がり276。米国でエヌビディアやアップルが大幅高となった流れを受けて、アドバンテスト、ディスコなど半導体株や、TDK、太陽誘電など電子部品株が大幅上昇。任天堂、バンナムHD、コナミGなどゲーム株の一角に資金が向かった。業種では武田や中外製薬など薬品株に強い動きが見られた。業績関連のリリースを材料にジンズHDやローツェが急騰した。
半面、三菱重工、川崎重工、IHIの防衛大手3社がそろって下落。トヨタ、マツダ、SUBARUなど自動車株が弱かった。良品計画は上方修正を発表したものの、期待も相応に高く、目先の材料出尽くしで2%を超える下落。前期が減益着地となったイオンが4%を超える下落となった。業績関連のリリースを材料に寿スピリッツやPR TIMESが急落した。
日経平均は反発。上げ幅を700円超に広げる場面もあったが、大引けが後場の安値と引け味は良くなかった。34000円を下回って終えており、TOPIXは安値引け。きょうの上昇に関しては底打ち期待が高まったというよりも、売る理由が乏しかったという印象が強い。2894円高となった先週10日の高値34639円を超えてくれば、今回のトランプ関税に端を発した株安には一巡感が出てくる。一方、この日の高値を上回るのに日数を要すようだと、7日の安値30792円からのリバウンドに一巡感が出てくる。週初から3桁の上昇となったことは期待の持てる動きではあるだけに、34000円どころでもたつくことなく戻りを強めることができるかが注目される。
(14日終値:15日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=143.06円(14日15時時点比△0.30円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=162.21円(▲0.34円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1338ドル(▲0.0047ドル)
FTSE100種総合株価指数:8134.34(前営業日比△170.16)
ドイツ株式指数(DAX):20954.83(△580.73)
10年物英国債利回り:4.660%(▲0.093%)
10年物独国債利回り:2.512%(▲0.058%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
3月スイス生産者輸入価格
(前月比) 0.1% 0.3%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は下値が堅かった。対欧州通貨中心にドル売りが先行すると、円に対してもドル安が進行。日本時間夕刻に一時142.24円と日通し安値を更新した。
ただ、前週末に付けた昨年9月以来の安値142.07円がサポートとして意識されると買い戻しが優勢に。トランプ米政権が相互関税の対象からスマートフォンなどを除外したことが好感されると、日経平均をはじめアジア株や欧州株相場が上昇。投資家の過度な警戒感が後退し、円売り・ドル買いが優勢となった。22時30分前には一時144.08円付近まで値を上げた。
もっとも、週明け早朝取引で付けた日通し高値144.31円が目先レジスタンスとして意識されると伸び悩んだ。米長期金利の低下も相場の重しとなり、142.78円付近まで下押しした。
・ユーロドルは上値が重かった。欧州勢がユーロ買い・ドル売りで参入すると一時1.1425ドルと日通し高値を付けた。ただ、前週末に付けた2022年2月以来の高値1.1473ドルがレジスタンスとして意識されると上値が重くなった。22時過ぎに一時1.1296ドル付近まで値を下げた。もっとも、本日早朝に付けた日通し安値1.1280ドルが目先サポートとして働くと下げ渋った。
なお、ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事は「関税によるインフレへの影響は一時的なものと予想」「景気後退の脅威があれば、早期利下げを支持する」などと述べたと伝わった。
・ユーロ円は弱含み。欧州株相場の上昇などを手掛かりに円売り・ユーロ買いが先行すると21時前に一時163.17円付近まで上げたものの、買い一巡後は徐々に上値を切り下げた。2時30分過ぎには一時162.08円付近まで下押しした。一時560ドル超上昇したダウ平均が下げに転じたことなどが相場の重し。
もっとも、ダウ平均が再び上昇に転じるとユーロ円も下げ渋った。
・ロンドン株式相場は3日続伸。前週末の米国株相場や本日のアジア株相場が上昇したことを受けて、英株にも買いが波及した。HSBCやバークレイズなど金融株が買われたほか、ハルマやセイジ・グループなど情報技術セクターが値上がりした。アストラゼネカやグラクソスミスクラインなど医薬品株も堅調だった。
・フランクフルト株式相場は大幅反発。前週末の米国株高や本日のアジア株式相場の上昇が好感されて、欧州の主要株式相場も軒並み上昇した。フランスの株価指数は2.37%高、イタリアは2.88%高、スペインは2.64%高となった。
・欧州債券相場は上昇。欧州中央銀行(ECB)の利下げ観測を背景に債券買いが入った。
(14日終値)
ドル・円相場:1ドル=143.06円(前営業日比▲0.48円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=162.35円(▲0.68円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1351ドル(▲0.0004ドル)
ダウ工業株30種平均:40524.79ドル(△312.08ドル)
ナスダック総合株価指数:16831.48(△107.02)
10年物米国債利回り:4.37%(▲0.12%)
WTI原油先物5月限:1バレル=61.53ドル(△0.03ドル)
金先物6月限:1トロイオンス=3226.3ドル(▲18.3ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
特になし
(各市場の動き)
・ドル円は3日続落。トランプ米政権が相互関税の対象からスマートフォンなどを除外したことが好感されると、時間外のダウ先物や欧州株相場が堅調に推移。投資家の過度な警戒感が後退し、円売り・ドル買いが優勢となった。22時30分前には一時144.08円付近まで値を上げた。
ただ、週明け早朝取引で付けた日通し高値144.31円が目先レジスタンスとして意識されると上値が重くなった。米長期金利の大幅低下も相場の重しとなり、1時過ぎには142.78円付近まで下押しした。そのあとは143.00円を挟んだ狭いレンジ取引に終始した。
なお、ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事は講演で「関税によるインフレへの影響は一時的なものと予想」「経済が著しく減速し、景気後退入りの恐れがある場合、自身のこれまでの予想よりも早い時期に、より大きな度合いでの利下げを支持する」との見解を示した。
・ユーロドルは3日ぶりに小反落。欧州市場序盤には一時1.1425ドルまで値を上げたものの、前週末に付けた2022年2月以来の高値1.1473ドルがレジスタンスとして意識されると伸び悩んだ。22時過ぎには1.1296ドル付近まで下押しした。
もっとも、本日早朝に付けた日通し安値1.1280ドルが目先サポートとして働くと下げ渋った。米長期金利の大幅低下も相場を下支えした。
・ユーロ円は反落。欧州株相場の上昇などを手掛かりに円売り・ユーロ買いが先行すると21時前に一時163.17円付近まで上げたものの、買い一巡後は徐々に上値が重くなった。ドル円の失速に伴う売りが出ると162.09円と日通し安値を更新した。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は続伸。トランプ米政権がスマートフォンなど電子関連製品を相互関税の対象から除外する措置を決めたことを受けて、米関税政策を巡る投資家の警戒感が和らいだ。米長期金利が大幅に低下したことも投資家心理の改善につながり、指数は一時560ドル超上昇する場面があった。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も続伸した。
・米国債券相場で長期ゾーンは6日ぶりに大幅反発。足もとで相場下落が続いたあとだけに、短期的な戻りを期待した買いが入った。ウォラーFRB理事が「景気後退の脅威があれば、早期利下げを支持する」と発言したことも相場を下支えした。
・原油先物相場は小幅に続伸。アジアや欧州の株式相場が上昇したことを好感して62ドル台半ばまで上昇する場面があった。ただ、エネルギー需要の先行き不透明感は根強く上値は限られた。
・金先物相場は5日ぶりに反落。米関税政策を巡る過度な警戒感がいったん落ち着いたことで、金相場は利益確定売りが強まった。
米政府は14日、トランプ米大統領が表明した関税を視野に半導体と医薬品への調査を開始した。
ニューヨーク連銀の最新調査によると、1年後のインフレ期待は3月に3.6%と前回の3.1%から上昇した。また、3年後のインフレ期待は3.0%と前回から変わらず。5年後のインフレ期待は2.9%と前回の3.0%から低下した。
14日09:57 赤沢経済再生相
「為替については日米財務相の間で緊密に議論していく」
14日09:59 加藤財務相
「為替レートは市場において決定される」
14日10:42 トランプ米大統領
「半導体への関税率は来週までに発表する予定」
「半導体への関税は遠くない将来に発動」
「(iPhoneへの関税についての問いに)一部企業についてはある程度の柔軟性が必要だ」
15日01:04
「関税政策への適応後、市場は非常に強固になった」
「近い将来に戦争停止に向けた具体的な提案が浮上する」
「ウクライナ大統領は常にミサイル購入を求めている」
「医薬品への大規模関税を近い将来実施する」
「今日の株式市場は上昇している」
「必要なのは関税を課すことだけだ」
「誰も傷つけたくない」
「私は非常に柔軟な人間だ」
「自動車メーカーを支援する。少し時間が必要だ」
「「核兵器の夢を捨てない限りイランには厳しい対応」
14日11:29 植田日銀総裁
「米関税で内外の経済・物価巡る不確実性が大きく高まった」
「経済・物価・金融情勢など予断持たず点検し、2%物価目標実現の観点から適切に政策運営していきたい」
「世界・日本経済下押し、物価には上下双方向の様々な要因」
14日23:46 習・中国国家主席
「一方的な覇権主義と保護主義に反対し、多角的貿易体制を守るべき」
「中国の巨大市場を常にベトナムに開放する」
15日02:00 ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事
「景気後退の脅威があれば、早期利下げを支持する」
「3月PCEインフレ率は2.3%でほぼ横ばいと予測」
「関税が交渉によって引き下げられれば経済の混乱は小さくなると予測
「関税の影響は規模と期間に依存する」
「政策の将来は不透明、FRBは柔軟な姿勢を維持しなければならない」
「景気後退リスクはインフレ上昇リスクを上回る」
「関税によるインフレへの影響は一時的なものと予想」
※時間は日本時間
<国内>
特になし
<海外>
○07:00 ◎ ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演
○08:01 ◇ 3月英小売連合(BRC)小売売上高調査(予想:前年同月比0.6%)
○08:40 ◎ ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○10:30 ◎ 豪準備銀行(RBA)理事会議事要旨(3月31日-4月1日分)
○15:00 ◇ 3月独卸売物価指数(WPI)
○15:00 ◎ 3月英雇用統計(失業率/失業保険申請件数推移)
○15:00 ◎ 12-2月英失業率(ILO方式、予想:4.4%)
○15:45 ◇ 3月仏消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比0.2%/前年比0.8%)
○18:00 ◎ 4月独ZEW景況感指数(予想:9.5)
○18:00 ◎ 4月ユーロ圏ZEW景況感指数
○18:00 ◎ 2月ユーロ圏鉱工業生産(予想:前月比0.3%/前年比▲0.8%)
○19:30 ◎ 3月インド消費者物価指数(CPI、予想:前年比3.60%)
○21:15 ◇ 3月カナダ住宅着工件数(予想:24.25万件)
○21:30 ◎ 3月カナダ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.6%/前年比2.6%)
○21:30 ◇ 2月カナダ製造業出荷(予想:前月比▲0.2%)
○21:30 ◎ 4月米ニューヨーク連銀製造業景気指数(予想:▲14.5)
○21:30 ◇ 3月米輸入物価指数(予想:前月比横ばい)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
14日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、欧米株価指数の上昇を受けて144.08円付近まで上昇した後、米長期金利の大幅低下により142.78円付近まで下押しした。ユーロドルは、欧州市場の高値1.1425ドルから1.1296ドル付近まで下押しした。
本日の東京外国為替市場のドル円は、17日開催予定の日米通商協議への警戒感が上値を抑える中、トランプ関税関連の報道に警戒していくことになる。
トランプ米政権は、スマートフォンなどの電子機器を「相互関税」から除外したものの、ラトニック米商務長官は分野別の「半導体関税」の対象になり、今後1、2カ月で発動されると述べた。分野別関税は、世界各国・地域から米国が輸入する鉄鋼・アルミニウムや自動車において25%の追加関税で導入されており、今後は半導体関税の税率がどの程度になるか見定めることになる。
またトランプ米大統領は、米国の自動車メーカーに対して国内での生産移行に向けた猶予を与えるため、輸入する自動車および部品に対する関税軽減措置の可能性について検討していると明らかにした。本日は、半導体関税や自動車関税に関する続報に警戒しながら相場に臨むことになる。
17日に開催予定の日米通商協議では、ベッセント米財務長官が「関税、非関税障壁、補助金、そして『為替問題』など」の協議を示唆していた。
1985年9月のプラザ合意で当時のベーカー米財務長官は、ドル円相場の20%程度の下落、すなわち日米生産者物価による購買力平価200円程度までの下落を目論んでいた。トランプ米政権は、2024年の対日貿易赤字と日本からの輸入額から対日相互関税率24%を算出しており、24%程度の切り下げを要求される可能性をリスクシナリオとして想定しておくべきかもしれない。
ドル円のテクニカル分析では、2023年1月の安値127.23円と2024年7月の高値161.91円を底辺とする「三角保ち合い」を形成と見れるため、下限は127円程度と想定できる。目先は、161.95円を頭とする「ヘッド・アンド・ショルダー」のネック・ライン(140.25円~139.58円~139.06円)の攻防に警戒しておきたい。
10時30分には豪準備銀行(RBA)が理事会議事要旨(3月31日-4月1日分)を公表予定。理事会後にブロックRBA総裁が「利下げは議論していない」と述べていた。もっとも市場は、今月末に発表される四半期インフレ率がよほど上振れない限り「5月に追加利下げ」の可能性が高いと見ているようだ。本日は、理事会内でインフレ・景気動向がどのように捉えられているかを確認し、次回理事会の可能性を探ることになる。
大阪6月限ナイトセッション
日経225先物 34300 +130 (+0.38%)
TOPIX先物 2512.0 +14.5 (+0.58%)
シカゴ日経平均先物 34295 +125
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
14日の米国市場は、NYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が上昇。 米政権がスマートフォンなど電子関連製品を相互関税の対象から一時的に除外する措置を決めたことを受け、関税政策を巡る警戒感が和らいだ。トランプ米大統領が時間的猶予を与えるため、輸入自動車・部品に対する関税の一時免除を検討していると伝わったことも安心感につながった。米長期金利が低下したほか、米連邦準制事会(FRB)のウォラー理事が関税によるインフレへの影響は一時的との見解を示し、投資家のセンチメント改善につながった。
S&P500業種別指数は、医薬品・バイオテクノロジー、不動産、テクノロジー・ハード・機器、食品・生活必需品小売、公益事業が上昇した。一方で、小売、半導体・同製造装置の2セクターが小幅に下落。NYダウ構成銘柄では、アムジェン<AMGN>、トラベラーズ<TRV>、アップル<AAPL>、ウォルマート<WMT>、マクドナルド<MCD>、ゴールドマンサックス・グループ<GS>が上昇。半面、ユナイテッドヘルス・グループ<UNH>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>、JPモルガン・チェース<JPM>が売られた。
シカゴ日経平均先物(6月限)清算値は、大阪比125円高の3万4295円だった。日経225先物(6月限)のナイトセッションは、日中比30円高の3万4200円で始まり、3万4060円~3万4280円処で保ち合いを継続。米国市場の取引開始後にレンジを上抜け、3万4500円まで上げ幅を広げた。買い一巡後は3万3980円と下落に転じる場面もみられたが、終盤にかけてショートカバーが優勢となり、3万4300円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形で、買い先行で始まりそうだ。米政権によるスマートフォンなど電子機器の一時的な関税対象からの除外は織り込まれているが、自動車企業に対して軽減措置を検討していると伝わったことは材料視されそうだ。トランプ大統領の発言に振られやすい需給状況であり、スキャルピング中心とはなるものの、ロングが入りやすくなるだろう。
日経225先物はナイトセッションでボリンジャーバンドの-1σ(3万3760円)を上回っての推移となった。3万4000円辺りでの底堅さがみられており、節目の3万5000円や25日移動平均線(3万5660円)が射程に入ってくる可能性はありそうだ。そのため、オプション権利行使価格の3万4000円から3万5500円のレンジを想定する。
積極的にロングを積み上げる動きは乏しいだろうが、10日につけた3万5140円に接近する局面となれば、ショートカバーが強まるとみておきたい。まずは買い一巡後の底堅さを見極めつつ、押し目待ち狙いのロング対応に向かわせよう。
14日の米VIX指数は30.89(11日は37.56)に低下した。25日線(27.00)を上回っている状況のため楽観はできないが、一時29.75と30.00を割り込む場面もあった。25日線辺りからの反転の可能性を警戒しつつも、関税を巡り一定の落ち着きを見せてきたことで、ややリスク選好ムードが高まりそうだ。
昨日のNT倍率は先物中心限月で13.68倍に上昇。13.59倍で始まり、一時13.57倍に低下する場面もみられたが、25日線(13.57倍)が支持線として機能する形で切り返した。方向性としてはNTロングでのスプレッド狙いに振れやすくなるとみておきたい。ただし、本日のところは自動車株の上昇が見込まれるため、ややNTショートが優勢になろう。
東京市場は堅調か。米国株は上昇。ダウ平均は312ドル高の40524ドルで取引を終えた。トランプ大統領がスマートフォンや半導体などを相互関税の対象から除外すると発表したこと、自動車企業に対しても配慮した発言が出てきたことなどから概ね堅調に推移した。10年債利回りが大きく低下したことも株買いを後押しした。ドル円は足元143円10銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが大証日中終値と比べて125円高の34295円、ドル建てが240円高の34410円で取引を終えた。
米国で「トランプ関税」に対する警戒が和らぎ、株式市場が落ち着きを取り戻しつつあることから、日本株も米国株の上昇を素直に好感すると予想する。米10年債利回りの低下はハイテク株に追い風となる。米国では不動産株の動きが良く、日本の不動産株にも好影響が見込まれる。きのうの日経平均は終値では34000円を下回ったが、CME225からはスタートから34000円を大きく上回る展開が想定されるだけに、同水準は抵抗にはならなそう。直近で売り込まれた銘柄を中心に、押し目を拾う動きが活発になるだろう。日経平均の予想レンジは33900円-34600円。
「日本でアメリカの車が1台も走ってない」(トランプ米大統領)
1985年9月のG5財務大臣・中央銀行総裁会議で合意されたドル切り下げ政策「プラザ合意」の布石は、1月のG5会合で打たれていた。
2025年1月に発足したトランプ政権の貿易赤字削減に向けた取り組みは、ミラン米CEA委員長が昨年秋に公表した「国際貿易システム再構築のためのユーザーガイド」に沿ったものであり、第1弾に懲罰的関税を打ち出し、第2弾に貿易相手国が関税引き下げの見返りとしてドル高是正という通貨協定(マールアラーゴ合意)を受け入れる、というシナリオとなっている。
4月17日、米国側は、ベッセント米財務長官とグリア通商代表部(USTR)代表、日本側は赤沢経済再生相と加藤財務相との間で、日米通商協議が開催される。
ベッセント米財務長官は、「関税、非関税障壁、為替問題」を協議すると述べている。
1.プラザ合意(Plaza Accord)(1985年)
1985年9月22日、ニューヨークのプラザホテルで開催された主要5カ国(G-5)財務相・中央銀行総裁会議で、「米国の貿易不均衡を是正するには、ドル高、円安・マルク安を是正する必要がある。ドル高是正のために各国は外国為替市場に協調介入する」というドルの切り下げ・非米ドルの切り上げが決定された。
「非米ドル通貨の対米ドルレートの秩序ある上昇が望ましい」
(some further orderly appreciation of the main non-dollar currencies against the dollar is desirable.)
ベーカー米財務長官は、米国の双子の赤字(財政赤字+経常赤字)、とりわけ膨大な貿易赤字を削減するために、ドルの切り下げを目論んだ。
ドル円相場は、1985年2月の高値263.65円からプラザ合意直前の9月20日のニューヨーク市場終値242.00円まで下落していたが、22日のプラザ合意を受けて、23日の東京市場の始値は239.05円、安値225.30円、終値226.10円となり、1988年1月4日の安値120.25円まで下落トレンドを辿って行った。
G-5会合では、10%程度のドル安が目論まれていたが、ベーカー米財務長官は、ドル円での20%程度(※日米生産者物価での購買力平価=200円)の下落を目指していた。
しかし、当時の竹下大蔵大臣は、「円高大臣と呼ばれたい」と述べて、190円を容認した。
2.マールアラーゴ合意(Mar-a-Lago Accord)(2025年?)
2024年11月、元財務省上級顧問のミラン氏(現在:大統領経済諮問委員会CEA委員長)は、「トリフィンのジレンマ(The Triffin dilemma)」をベースにして、「持続的なドル過大評価」に起因する経済的不均衡の解消と、国際貿易システム改革に向けロードマップを提示した。
「経済的不均衡の原因は持続的なドルへの過大評価にあり、それが国際収支の均衡を妨げている」
2025年1月のトランプ政権で大統領経済諮問委員会CEA委員長に就任したミラン氏は、ベッセント米財務長官と協力して、米国の貿易赤字削減のために、緩和的な財政政策と金融政策というポリシー・ミックスで、ドル安政策を目論んでいるらしい。
ベッセント米財務長官は、対日自動車関税が25%引き上げ、相互関税が24%なので、米連邦準備理事会(FRB)の利下げと日本銀行の利上げを前提条件にして、20%程度のドル安・円高を要求するのではないだろうか。
昨日の海外市場では、米10年債利回りが4.3583%まで13bpを超える大幅な低下。先週末のコリンズ米ボストン連銀総裁のabsolutelyの一言で決定的となった米トリプル安の終焉を確認することになりました。
また、昨日は大手ベンダーとのインタビューで、今回の危機を水際で救った立役者であるベッセント米財務長官が「パウエルFRB議長とは毎週朝食を共にして意見交換している」ことが明らかになっており、いざという時の準備が出来上がっていることも確認。更には、「FRBが何もしなかった場合でも、米財務省が債券買い戻しなどを含む大きなtoolkitを持ち備えている」ことにも言及しています。
市場では「米トリプル安の終了を再確認している」といったところ。ドル円は、NY市場午後から本日のアジア市場にかけての143.00円を挟んだレンジでの推移。市場からは「極めて通常の相場に戻った」との声も聞かれるなか、ある種の安堵感に浸っているところです。
いずれにしても、今週末から週明けにかけてはイースター休暇。市場では、トランプ関税に対するリスクオフのその先まで突っ込んでトライしてしまったわけで、最大限まで行くところまでいってしまった、かかるセンチメントの悪化は、これ以上にはなりようもなく、次のアクションとしては、やはり、ポジション調整としての動きがフォーカスされることになりそうです。
日経225先物は11時30分時点、前日比190円高の3万4360円(+0.55%)前後で推移。寄り付きは3万4220円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万4295円)にサヤ寄せをする形から、やや買い先行で始まった。直後に3万4170円と前日比変わらずの水準まで弱含んだが、中盤にかけての切り返しにより3万4490円まで買われた。ただし、ナイトセッションでつけた3万4500円にタッチできず、終盤にかけては3万4300円~3万4400円辺りでの推移を継続。
日経225先物は中盤以降、膠着感が強まっているものの底堅さが意識されるほか、ボリンジャーバンドの-1σ(3万3770円)を上回っての推移により、ショートは仕掛けにくいだろう。積極的にロングを仕掛けてくる動きは限られそうだが、ショートカバーを誘う形での短期的なロングは入りやすいと考えられる。
NT倍率は先物中心限月で13.63倍に低下。13.65倍で始まり、一時13.60倍まで下げる場面もみられたが、25日移動平均線(13.57倍)が支持線として機能している。トランプ米大統領が自動車関税で救済措置を検討していると伝わったことを受け、トヨタ自動車<7203.T>[東証P]やホンダ<7267.T>[東証P]など輸出関連の一角が買われ、相対的にTOPIX型優位になった。
本日のロンドン為替市場では、先週後半に売り込まれたドル相場が底堅さを取り戻しつつある動きに注目か。依然として、金融市場の中心トピックは「トランプ関税」であることに変わりはない。ただし、先週は一時パニック売りが広がった株式や債券市場も落ち着きを取り戻しており、過度な警戒感は後退している。
主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは、執筆時点では100を割り込んだ水準で推移している。昨日は何度か100を超える場面があったものの、一巡後は二桁台に押し戻された。もっとも、11日に約3年ぶりの安値99.01を付けた後は下値を切り上げてはいる。ドルインデックスが99台で底固めするようだと、ドル買いに安心感が広がるだろう。
経済指標の発表は複数あるものの、材料となりそうなのは英雇用データと独4月ZEW景況感指数か。英指標では、高止まる失業率に注目。ILO方式の12-2月失業率は4%超えが確実視され、過去1年の上限4.4%が市場予想だ。先日、大手米金融機関が今年の英成長率見通しを従来予測の1.1%から0.6%に引き下げたこともあり、労働市場の弱さを示す結果に対してポンド相場はより敏感に反応するのではないか。
4月独ZEW景況感指数は9.5と前回51.6から大幅に下振れが見込まれている。足もとでは懸念が薄れたとはいえ、トランプ関税の悪いイメージが払しょくされたわけではない。独経済の成長減速は避けられないとの見方が引かないようだと、今後も景況感の悪化は続いてしまうだろう。
想定レンジ上限
・ポンドドル、2024年10月3日高値1.3274ドル
・ユーロドル、14日高値1.1425ドル
想定レンジ下限
・ポンドドル、14日安値1.3041ドル
・ユーロドル、7-11日レンジの上限から61.8%押し1.1247ドル
ドル円:1ドル=143.05円(前営業日NY終値比▲0.01円)
ユーロ円:1ユーロ=162.38円(△0.03円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1350ドル(▲0.0001ドル)
日経平均株価:34267.54円(前営業日比△285.18円)
東証株価指数(TOPIX):2513.35(△24.84)
債券先物6月物:140.45円(▲0.67円)
新発10年物国債利回り:1.365%(△0.030%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
特になし
(各市場の動き)
・ドル円は上値が重い。5・10日(ゴトー日)の仲値に向けた買いが観測されたほか、日経平均株価が寄り付きから堅調推移となったことも相場の支えとなり、一時143.59円まで値を上げた。もっとも、仲値通過後は伸び悩む展開となり、142.85円まで反落した。
・ユーロドルは下値が堅い。朝方からやや売りに押される展開となり、10時30分過ぎに1.1316ドルまで下落する場面があったが、その後は対円などでドル売りが進んだ影響から1.1368ドルまで反発した。
・ユーロ円はもみ合い。162円台半ばを挟んだ水準でしばらくは方向感を欠いた動きが続いたが、15時過ぎには一時162.08円まで下落して、昨日安値の162.09円を下抜ける場面があった。
・日経平均株価は続伸。米関税政策を巡る過度な懸念が後退したことを受け、幅広い銘柄に買いが入った。トランプ米大統領が自動車関税で救済措置を検討していることを明らかにしたこともあり、自動車や部品銘柄が堅調に推移。指数は一時470円超高まで上値を伸ばした。
・債券先物相場は3営業日ぶりに反落。20年物国債入札が低調な結果になるとの警戒感から売りが先行した。20年債入札は応札倍率が2.96倍と2023年12月以来の低さとなるなど「弱め」の結果となり、入札後には140円34銭まで下押す場面も見られた。
林官房長官は、赤沢再生相が16-18日の日程で訪米し、関税をめぐりベッセント米財務長官とグリア通商代表部(USTR)代表と協議すると発表した。
中国当局は、国内航空会社にボーイング機の受取停止を指示したと報じている。米中の貿易戦争の激化への懸念が高まった。
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・西?M 徹氏
中国の輸出に「トランプ関税」を前にした駆け込みの動きが顕在化
輸入からは米中摩擦の激化による「持久戦」を念頭にした動きがうかがえる
足元の世界経済や国際金融市場は、トランプ米大統領の関税政策に揺さぶられる展開が続いている。関税政策の矛先は中国に向かうなど貿易摩擦が激化している。米国はすべての国に一律で10%の相互関税を課し、非関税障壁を考慮した上乗せ関税を課す方針を示した。上乗せ関税は一旦発動するも、直後に90日延期されたが、対抗措置に動いた中国には計145%の高関税を課し、中国も報復関税で対抗している。
米中貿易戦争は米中双方に深刻な悪影響を与えることが懸念される。中国経済には輸出面だけで名目GDP比4%強、輸入面で同1%強の影響が出ると試算されるなど、景気に不透明感が高まるとともに、スタグフレーションに陥る可能性もある。3月の輸出はトランプ関税を念頭にした「駆け込み」が押し上げに繋がる一方、輸入は対照的に減少している。しかし、ハイテク関連や設備投資関連の輸入に堅調な動きがみられるなど、中国側は米中摩擦の激化による長期戦を念頭にした準備を進めている可能性が考えられる。
中国当局は成長率目標の実現に向け、内需喚起と米国以外向け輸出を強化する必要があり、追加の財政輸出同や金融緩和が見込まれる。しかし、過度な金融緩和は人民元安を通じてインフレを招くリスクがある。米国に譲歩する可能性も低く、過剰生産による「デフレの輸出」が世界経済に影響を及ぼす懸念もある。日本経済もそうした影響に晒される懸念を念頭に、対応策を講じることが急務になっていると捉えられる。
東海東京インテリジェンス・ラボでは、S&P500が4月7日、8日の取引時間中に最高値からの下落率が20%を超えたものの、いずれもその日の引けまでには持ち直していることに注目している。いずれも終値ベースでは「弱気相場」の手前で何とか踏みとどまることができている。2022年10月の安値と今年2月の高値を基準とした「フィボナッチ・リトレースメント」で見ると、半値押しの4819.51ポイントに達する寸前で切り返したことになるとのこと。重要な節目を割り込まなかった点は安心材料と東海東京では捉えており、当分析では次の上値の節目となるのは高値から23.6%押しの5520.65ポイントとコメントしている。
大阪6月限
日経225先物 34360 +190 (+0.55%)
TOPIX先物 2516.5 +19.0 (+0.76%)
日経225先物(6月限)は前日比190円高の3万4360円で取引を終了。寄り付きは3万4220円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万4295円)にサヤ寄せをする形から、やや買い先行で始まった。直後に3万4170円と前日比変わらずの水準まで弱含んだが、前場中盤にかけての切り返しにより3万4490円まで買われた。ただし、ナイトセッションでつけた3万4500円にタッチできず、ランチタイムで3万4270円まで上げ幅を縮め、後場は3万4270円~3万4440円辺りでの推移を継続した。
日経225先物は、膠着感が強まったものの、底堅さは意識された。ボリンジャーバンドの-1σ(3万3770円)を上回っての推移により、ショートは仕掛けにくいだろう。3月26日の戻り高値3万7970円から4月7日の安値3万0650円の下げ幅に対する半値戻し(3万4310円)では、心理的にロングを仕掛けてくる動きは慎重にさせたようだ。
ナイトセッションで-1σは3万3680円まで下がってきており、結果的には同バンドから上放れてきている。不安定ながらも4月7日の安値をボトムにリバウンドをみせているため、節目の3万5000円や25日移動平均線が位置する3万5580円辺りが目先的なターゲットとして意識されてくるだろう。
トランプ米大統領が自動車関税で救済措置を検討していると伝わったことを受け、相互関税の対象から一時的に除外する措置を決めたスマートフォンなど電子関連製品においても、救済措置への思惑が高まる。アップル<AAPL>はグローバルでのサプライチェーンによって製造されており、「iPhone」の生産体制を米国内で構築するのは難しいだろう。
トランプ大統領の発言に振らされやすい状況ながら、このところは柔軟姿勢を見せてきているともあって、押し目狙いのロング対応に向かわせそうだ。テクニカル面では10日の上昇局面でパラボリックのSAR値にタッチし、上方シグナルを発生している。陰転シグナル発生となるSAR値は現時点で3万1000円辺りに位置しているため、シグナル悪化の可能性は低い。
NT倍率は先物中心限月で13.65倍に低下。13.65倍で始まり、一時13.61倍まで下げる場面もみられたが、25日線(13.57倍)が支持線として機能している。自動車関税で救済措置を検討していると伝わったことを受け、トヨタ自動車<7203.T>[東証P]やホンダ<7267.T>[東証P]など輸出関連の一角が買われたが、陸運や電気・ガス、不動産、小売セクターが弱含みだったことで、NTショートは仕掛けにくい状況だった。
本日のNY時間でも、引き続きトランプ政権の関税についての発言や報道で上下することになるだろう。本日は中国当局が「国内航空会社にボーイング機の受取停止を指示した」と報じられるなど、この件に関してのトランプ米大統領の反応も注目される。
今週に入り、米国のトリプル安(米株売り・米債売り・米ドル売り)の流れは落ち着いてきたことで、ややドル売りの勢いも弱まっている。しかしながら、依然としてリスクはドル売りサイドであることは変わらないだろう。米CNBCによる市場調査では、トランプ米大統領が目指すサプライチェーンの国内回帰について、新たな米国内構築費用は回答者の18%が現在のコストの2倍程度、47%は2倍以上になると推定する回答結果が出た。日本の倍以上、北米の主だった製造拠点が集中するメキシコの4倍弱の平均年収となる米国にサプライチェーンを戻すためには、高コスト問題を解決しなくてはならない。その点を考えると、トランプ大統領がドル高時を「大惨事」と発言していたように、ドル高是正によるコスト削減の可能性があることがドルの抑えになりそうだ。
特に日米間に関しては加藤財務相、赤沢経済再生相、ベッセント米財務長官、グリアUSTR代表など日米要人が交渉は為替も議題の対象になると発言していることで、円安調整の可能性は高い。明日16日から18日に赤沢経済再生相と林官房長官が訪米する予定となっていることで、敢えてこの重要な協議を前に円売りを積極的に進めることは難しいだろう。
・想定レンジ上限
ドル円の上値めどは、これまでの日通し高値143.59円、その上は前日の欧米時間高値144.08円。
・想定レンジ下限
ドル円の下値めどは、11日安値142.07円。その下は昨年9月30日安値141.65円。
今晩は上値の重い展開か。昨日はトランプ米大統領がスマートフォンやコンピューター、半導体などを「相互関税」の対象から除外すると発表したことで、トランプ関税への過度な警戒感が和らいだ。ダウ平均は一時565ドル高まで上昇し、312.08ドル高(+0.78%)で終了。S&P500とナスダック総合もそれぞれ0.79%高、0.64%高で終了し、主要3指数がそろって2営業日続伸した。センチメントの改善が続き、投資家の不安心理を示すVIX指数は先週末の37.56ポイントから30.89ポイントに低下した。
今晩の取引では昨日までに2日続伸したことや、トランプ関税の先行き不透明感などで上値の重い展開か。トランプ大統領がスマホなどの関税除外を発表したものの、除外は恒久的なものではないとしており、今後も政策の二転三転が予想される。発表が本格化した第1四半期決算は、寄り前にジョンソン&ジョンソン 、シティ、バンク・オブ・アメリカなどが発表予定。トランプ関税発効前の1-3月期決算のため、おおむね良好な決算が予想されているが、今後の業績見通しについて会社が発表するガイダンスに要注目となる。
今晩の米経済指標・イベントは4月NY連銀製造業業況指数、3月輸入物価など。企業決算は寄り前にジョンソン&ジョンソン 、シティグループ、バンク・オブ・アメリカ、ユナイテッド・エアラインズなどが発表予定。
4月7-13日の中国主要港湾の貨物取扱量が前週比9.7%減少し2.44億トンとなったことが分かった。トランプ大統領の相互関税発表後、米国向け輸出が特に打撃を受け、前週の0.88%減から一段と減速している。
日経平均株価は続伸。買い先行から方向感に欠く展開となり、後場も狭いレンジでもみ合いが続いた。一目均衡表の基準線(34506円 4/15)に上値を抑えられる格好で小陰線となったが、終値で34000円台を回復した。
RSI(9日)は前日の43.2%→44.1%(4/15)に上昇。あすも上昇しやすいタイミングとなり、5日移動平均線(33631円 同)の上昇が株価押し上げ効果につながるかが注目どころとなる。今週は25日移動平均線(35770円 同)や3/11安値(35987円)のフシまで上値を拡大できるかも焦点となる。
一方、ここから一段高に向かうためには、5日移動平均線、転換線(32918円 同)、10日移動平均線(33655円 同)などをサポートに目先のもみ合い(値固め)が必要との見方もできる。
上値メドは、4/10高値(34639円)、心理的節目の35000円、4/2安値(35426円)、25日移動平均線、3/28安値(36864円)などがある。下値メドは、10日移動平均線、心理的節目の33000円、転換線、心理的節目の32000円、4/9安値(31258円)、4/7安値(30792円)、心理的節目の30000円などがある。
(15日終値:16日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=143.12円(15日15時時点比△0.07円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=161.33円(▲1.05円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1272ドル(▲0.0078ドル)
FTSE100種総合株価指数:8249.12(前営業日比△114.78)
ドイツ株式指数(DAX):21253.70(△298.87)
10年物英国債利回り:4.648%(▲0.012%)
10年物独国債利回り:2.534%(△0.022%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
3月独卸売物価指数(WPI)
(前月比) ▲0.2% 0.6%
3月英雇用統計
失業率 4.7% 4.6%・改
失業保険申請件数
1.87万件 1.65万件・改
12-2月英失業率
(ILO方式) 4.4% 4.4%
3月仏消費者物価指数(CPI)改定値
(前月比) 0.2% 0.2%
(前年同月比) 0.8% 0.8%
4月独ZEW景況感指数
▲14.0 51.6
4月ユーロ圏ZEW景況感指数
▲18.5 39.8
2月ユーロ圏鉱工業生産
(前月比) 1.1% 0.6%・改
(前年比) 1.2% ▲0.5%・改
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ユーロドルは頭が重かった。欧州勢参入直後には一時1.1379ドルと日通し高値を付けたものの、その後発表された4月独ZEW景況感指数が▲14.0と予想の9.5を大きく下回ると売りが優勢に。同月のユーロ圏ZEW景況感指数が▲18.5と前月の39.8から大幅に悪化したことも相場の重し。
NYの取引時間帯に入り、「米国と欧州連合(EU)の関税を巡る交渉はほとんど進展していない。米関税は維持されると予想」との一部報道が伝わるとユーロ売り・ドル買いが活発化。前日の安値1.1280ドルを下抜けて一時1.1264ドルまで値を下げた。
・ドル円はもみ合い。対ユーロなどでドル買いが進むと円に対してもドル買いが入った。半面、17日から始まる日米貿易協議を前に戻りを売りたい向きも多く、上値は限定的だった。「中国は国内航空会社にボーイング機の受け取り停止を指示した」との報道で、米中貿易戦争激化への懸念が高まったことも相場の重し。ドル円は143.00円を挟んで一進一退の動きが続いた。
・ユーロ円はさえない。日本時間夕刻に一時162.80円と日通し高値を付けたものの、独・ユーロ圏経済指標が悪化すると一転売りが優勢に。欧米の関税協議が難航しているとの観測報道が伝わるとユーロ売りが加速し、3時過ぎに一時161.30円と日通し安値を更新した。
・ロンドン株式相場は4日続伸。トランプ米大統領が自動車関税を巡る救済措置を検討していると伝わると、投資家心理が改善し英株にも買いが広がった。セグロやランド・セキュリティーズ・グループなど不動産株が買われたほか、HSBCやバークレイズなど金融株が値上がりした。
・フランクフルト株式相場は続伸。「トランプ米大統領は自動車関税について救済措置を検討している」と伝わったことで、投資家心理が上向き買いが広がった。個別ではハイデルベルク・マテリアルズ(4.21%高)やラインメタル(3.75%高)、ボノビア(3.71%高)などの上昇が目立った。
・欧州債券相場は英国債が上昇した一方、独国債が下落した。
15日の日経平均は続伸。終値は285円高の34267円。米国株高を好感して、寄り付きから300円を超える上昇。高く始まった後の動意は乏しく、上げ幅を広げて34400円台に乗せると上値が重くなった一方、萎んで34200円台に入ると改めての買いが入った。後場に入っても狭いレンジでのもみ合いが継続。前引けや大引けの動きがやや弱く、3桁上昇ながら安値圏で取引を終えた。
東証プライムの売買代金は概算で3兆5100億円。業種別では輸送用機器、ゴム製品、銀行などが上昇した一方、電気・ガス、空運、陸運などが下落した。1Qが大幅な増益となったラクト・ジャパン<3139.T>がストップ高。半面、今期の減益計画が嫌気されたヨシムラ・フード・ホールディングス<2884.T>が急落した。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり799/値下がり762。トランプ大統領が自動車業界に配慮した姿勢を示したことから、トヨタ、ホンダ、SUBARUなど自動車株が大幅上昇。デンソー、アイシンなど部品株や、ブリヂストン、住友ゴムなどタイヤ株にも強い買いが入った。川崎重工、三菱重工、IHIの防衛大手3社がそろって大幅上昇。三菱UFJや三井住友など銀行株の動きが良かった。本決算や自己株取得発表などが好感されたドトール日レスが15.1%高と急騰した。
半面、アドバンテスト、ディスコ、レーザーテックなど半導体株の多くが下落。東電HDや中国電力など電力株が軒並み安となった。米国では長期金利の低下を受けて不動産株に資金が向かったが、三井不動産や三菱地所など国内不動産株は全般軟調。今期の減益見通しを提示した松屋や東宝が大きく下落した。
日経平均は続伸。きのうと似た動きで、米国要因で高く始まった後の上値は重かった。先週に4桁の上げ下げを繰り返しただけに株価の急変動に対する懸念が拭いきれない状況ではあるが、場中の動きがさえないと底打ち感が高まってこない。
きょうは自動車関連に買いが入ったが、きのうの上昇をけん引した半導体株は軟調であった。逆にきのう弱かった防衛関連はきょうは強く買われている。物色が日替わりとなっている上に、チャートを見ると、これらのいずれも底値圏を脱したとまでは言えない。何か相場の核となるような銘柄および業種・テーマが出てきてほしいところだ。あすはオランダのASMLホールディング、17日にはディスコと台湾のTSMCが決算を発表予定で、目先は半導体株の刺激材料が多い。半導体株が再び日本株の主役になれるか、この先の動向が注目される。
一部通信社が報じたところによると、「欧州連合(EU)は米関税を巡り交渉がほとんど進展しておらず、米関税が維持されると予想している」ようだ。
(15日終値)
ドル・円相場:1ドル=143.21円(前営業日比△0.15円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=161.57円(▲0.78円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1282ドル(▲0.0069ドル)
ダウ工業株30種平均:40368.96ドル(▲155.83ドル)
ナスダック総合株価指数:16823.17(▲8.31)
10年物米国債利回り:4.33%(▲0.04%)
WTI原油先物5月限:1バレル=61.33ドル(▲0.20ドル)
金先物6月限:1トロイオンス=3240.4ドル(△14.1ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
4月米ニューヨーク連銀製造業景気指数
▲8.1 ▲20.0
3月米輸入物価指数
(前月比) ▲0.1% 0.2%・改
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ユーロドルは続落。欧州時間発表の4月独ZEW景況感指数や同月ユーロ圏ZEW景況感指数が大幅に悪化したことを受けて全般ユーロ売りが先行。NYの取引時間帯に入り、「米国と欧州連合(EU)の関税を巡る交渉はほとんど進展していない。米国が提示した対EU関税の大半は撤廃されないだろう」との報道が伝わるとユーロ売りが加速した。前日の安値1.1280ドルを下抜けて一時1.1264ドルまで値を下げた。
・ドル円は4日ぶりに反発。17日から始まる日米貿易協議を前に戻りを売りたい向きも多く、21時30分前には一時142.60円と日通し安値を付けた。
ただ、対ユーロなどでドル買いが進むと円に対してもドル買いが波及し、取引終了間際には143.28円付近まで持ち直した。4月米ニューヨーク連銀製造業景気指数が予想ほど悪化しなかったことも相場を下支えした。
・ユーロ円は続落。低調な独・ユーロ圏経済指標を受けて売りが先行。欧米の関税協議が難航しているとの観測報道も相場の重しとなり、3時過ぎに一時161.30円と日通し安値を更新した。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は3日ぶりに反落。「中国政府は米ボーイングの航空機を受け取らないよう国内航空各社に命じた」との報道で米中貿易戦争が激化するとの懸念から売りが出た。半面、バンク・オブ・アメリカやシティグループの結果が良好だったことから、金融株が買われ相場を下支えした。ダウ平均は一時260ドル超上昇する場面もあった。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も3日ぶりに反落した。
・米国債券相場で長期ゾーンは続伸。前週急落した反動で、短期的な戻りを期待した買いがこの日も続いた。ベッセント米財務長官が「国家による米国債売却の証拠はない」と述べたほか、「必要に応じて市場の乱調に対処する手段がある」との見解を示したことも相場を下支えした。
・原油先物相場は3日ぶりに反落。国際エネルギー(IEA)が今年の世界石油需要見通しを引き下げたことが重しとなった。
・金先物相場は反発。「中国政府が米ボーイングの航空機を受け取らないよう国内航空各社に命じた」との報道で米中貿易戦争が激化するとの懸念から安全資産とされる金が買われた。
15日08:42 加藤財務相
「為替については米財務長官との間で共通認識を共有している」
「為替は市場において決められるもの」
「為替の無秩序な動きは経済に悪影響」
「金融市場の不安定な状況を注視していく」
15日09:00 ボスティック米アトランタ連銀総裁
「インフレ率は依然として目標を大きく上回っている」
「関税は物価押し上げ圧力として作用するため、インフレ目標達成の時期が延期される可能性がある」
「依然として今年の米成長率は1%を上回ると予想」
15日10:34 豪準備銀行(RBA)理事会議事要旨(3月31-4月1日開催分)
「最近の国内指標は2月の金融政策声明における予測と概ね整合的」
「月次の消費者物価指数(CPI)は四半期ベースで若干の上昇が見込まれるものの、四半期の調整済み平均インフレ率は3%を下回る可能性が高いことを示唆」
「前回の金融政策会合以降のデータの流れはスタッフ予想と概ね一致」
「インフレ率は引き続き緩やかに低下」
「会合までの期間における最も重要な動きは世界貿易政策に関する不確実性の大幅な高まり」
「不確実性が豪州のセンチメントや経済動向に及ぼす影響はまだ明確ではない」
「豪州の経済活動とインフレが予想よりも弱まるリスクと、経済活動とインフレがより顕著に強まるリスクの2つがあるという点で一致」
「5月の会合はインフレや賃金、労働市場、経済活動の動向に関する追加データ、最新の経済予測、そして世界貿易政策の今後の展開に関する追加情報を得た上で、金融政策設定を見直す適切なタイミング」
「入手可能な情報から判断すると順調に進んでいるものの、次回の金利変更時期を確定することはまだ不可能であることで合意」
15日23:08 ゼレンスキー・ウクライナ大統領
「米国との鉱物資源協定交渉について、建設的で前向きな進展があった」
15日23:36 南アフリカ中央銀行(SARB)
「新たなリスクの為、金利決定は今後のデータ次第」
「インフレリスクに対する慎重さを維持」
「政策金利はしばらくの間高いままである可能性」
15日23:53 トランプ米大統領
「米国は農家を守る」
「中国はボーイング契約を反故にした」
「中国は米国農家に残忍だった」
※時間は日本時間
<国内>
○08:50 ◎ 2月機械受注(予想:船舶・電力除く民需 前月比0.8%/前年比▲1.4%)
○赤沢亮正経済再生相が訪米(18日まで)
<海外>
○08:10 ◎ クック米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○11:00 ☆ 1-3月期中国国内総生産(GDP、予想:前期比1.4%/前年同期比5.1%)
○11:00 ◎ 3月中国鉱工業生産(予想:前年比5.8%)
○11:00 ◎ 3月中国小売売上高(予想:前年比4.2%)
○15:00 ◎ 3月英消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.4%/前年比2.7%)
○15:00 ◎ 3月英CPIコア指数(予想:前年比3.4%)
○15:00 ◇ 3月英小売物価指数(RPI、予想:前月比0.4%/前年比3.2%)
○17:00 ◇ 2月ユーロ圏経常収支(季節調整済)
○18:00 ☆ 3月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値(予想:前年比2.2%)
○18:00 ☆ 3月ユーロ圏HICPコア改定値(予想:前年比2.4%)
○20:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○20:00 ◇ 2月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比6.4%)
○21:30 ☆ 3月米小売売上高(予想:前月比1.3%/自動車を除く前月比0.3%)
○22:15 ◎ 3月米鉱工業生産指数(予想:前月比▲0.2%)
◇ 設備稼働率(予想:78.0%)
○22:45 ☆ カナダ銀行(BOC、中央銀行)、政策金利発表(予想:2.75%で据え置き)
○23:00 ◇ 2月米企業在庫(予想:前月比0.2%)
○23:00 ◎ 4月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(予想:37)
○23:30 ◇ EIA週間在庫統計
○17日01:00 ◎ ハマック米クリーブランド連銀総裁、講演
○17日02:00 ◎ 米財務省、20年債入札
○17日02:30 ☆ パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、講演
○17日05:00 ◎ 2月対米証券投資動向
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
大阪6月限ナイトセッション
日経225先物 34480 +120 (+0.34%)
TOPIX先物 2530.0 +13.5 (+0.53%)
シカゴ日経平均先物 34490 +130
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
15日の米国市場は、NYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が下落。 中国政府が国内の航空会社に対しボーイング機の追加納入を受け入れないように命じたほか、航空機関連の機器や部品の購入も停止するよう求めたと海外メディアが報じ、米中貿易摩擦への警戒感が高まった。米商務省が半導体と医薬品の関税導入に向けた調査を始めたと明らかにしたことも重荷となった。そのなかでシティグループ<C>が発表した決算が予想を上回るなど、これまで発表された米金融大手の良好な決算内容が投資家心理を支えた。
S&P500業種別指数は、電気通信サービス、銀行、半導体・同製造装置が上昇した一方で、小売、保険、耐久消費財・アパレルが弱い。NYダウ構成銘柄ではエヌビディア<NVDA>、アメリカン・エキスプレス<AXP>、ゴールドマン・サックス・グループ<GS>、IBM<IBM>、アムジェン<AMGN>が買われた。半面、ボーイング<BA>、キャタピラー<CAT>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>、シャーウィン・ウィリアムズ<SHW>、マクドナルド<MCD>が下落。
シカゴ日経平均先物(6月限)清算値は、大阪比130円高の3万4490円だった。日経225先物(6月限)のナイトセッションは日中比60円高の3万4420円で始まり、3万4350円~3万4400円辺りで保ち合いを継続。その後軟化し3万4220円まで売られる場面もみられたが、米国市場の取引開始後に切り返し、中盤にかけて3万4630円まで買われた。終盤にかけては3万4430円~3万4630円でのレンジ推移が続き、3万4480円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、やや買い先行で始まりそうだ。米中貿易摩擦の激化が警戒され積極的なロングは入りにくい状況だが、赤澤亮正経済再生担当大臣が日本時間の17日、ベッセント米財務長官らとの日米交渉に臨む予定である。90日間停止している各国の相互関税を巡り、米報道官はこれまで15以上の取引について具体的な文面の検討に入っていることを明らかにしたと報じられている。交渉進展への期待感も高まりやすく、ショートカバーを誘う形になろう。
日経225先物は足もとでリバウンド基調を続けており、ボリンジャーバンドの-1σ(3万3680円)から上放れてきた。節目の3万5000円や25日移動平均線が位置する3万5580円が目先的なターゲットとして意識されやすく、押し目狙いのロング対応に向かわせそうだ。週足の-1σは3万5060円辺りに位置し、同水準を捉えてくる局面では、ショートカバーが強まりやすいとみられる。
3月26日の戻り高値3万7970円から4月7日の安値3万0650円の下げ幅に対する半値戻し(3万4310円)水準を上回る場面が目立ってきたことも、ショートカバーを誘うことになりそうだ。そのため、オプション権利行使価格の3万4250円から3万5250円のレンジを想定する。
15日の米VIX指数は30.12(14日は30.89)に低下した。25日線(27.10)を上回っている状況のため楽観はできないが、一時28.29と同線に接近する場面もあった。25日線辺りからの反転の可能性を警戒しつつも、関税を巡り一定の落ち着きを見せてきたことで、ややリスク選好ムードが高まりそうだ。
昨日のNT倍率は先物中心限月で13.65倍に低下。13.65倍で始まり、一時13.61倍まで下げる場面もみられたが、25日線(13.57倍)が支持線として機能している。同線に接近する局面では、その後のリバランスを狙ったNTロングが入りやすいだろう。
15日海外の外国為替市場でドル円は、日米貿易交渉前のポジション調整で142.60円まで下落後、対ユーロでのドル買いで143.28円付近まで持ち直した。ユーロドルは、4月独ZEW景況感指数やユーロ圏ZEW景況感指数の大幅悪化や「米国と欧州連合(EU)の関税を巡る交渉はほとんど進展していない」との報道で1.1264ドルまで値を下げた。ユーロ円も161.30円と日通し安値を更新した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、明日開催予定の日米貿易交渉への警戒感が上値を抑える展開を予想。また引き続き、トランプ関税関連の報道には注意していくことになる。日本時間7時頃には、トランプ米大統領が「重要鉱物を巡る調査を開始する行政措置」に署名したことが報じられた。
トランプ米政権による関税強化はこれまで市場を混乱させてきたが、最近は政権自体の混乱を招いている。米国企業は米国内での生産を「高コスト・低効率」と認識しており、トリプル安(ドル安・株安・債券安)というドル離れの様相を呈し始めた。これを受けて相互関税発動は90日間停止、電子機器などは分野別の「半導体関税」へ分離、自動車関税などの緩和の可能性、などの迷走が続いている。
トランプ米大統領は、「中国などに依存せず米国で製品を作る必要がある」と訴えてきた。しかし、かつてスティーブ・ジョブズ氏がオバマ第44代米大統領に「米国でのアップル製品の製造は不可能であり、中国でしか製造できない」と述べていたように、米国の製造業は、20世紀で時間が止まっているのかもしれない。
明日の日米貿易交渉では、ベッセント米財務長官が「関税、非関税障壁、補助金、そして『為替問題』など」の協議を示唆している。ミランCEA委員長の論文のシナリオに従うと、対日相互関税24%や自動車関税25%を撤回する代わりに、非関税障壁(※車検制度など)や補助金(※輸出還付金など)の撤廃が米側から要求されそうだ。また、防衛費の増額(※安全保障政策を連携させた「保護レント理論」)、ドル安・円高を受け入れるというバーターも想定される。
ただし為替問題を担当する加藤財務相は、来週のG20財務相・中央銀行総裁会議やIMF・世銀総会などで、日米財務相会談に臨む意向を示した。そのため、赤沢経済再生相とベッセント米財務長官やグリアUSTR代表との交渉では、為替問題は米サイドから言及のみで終わるかもしれない。
本日11時には中国の1-3月期国内総生産(GDP、予想:前期比+1.4%/前年同期比+5.1%)、3月鉱工業生産(予想:前年比+5.8%)、同月小売売上高(予想:前年比+4.2%)などが発表予定。もっとも米中貿易戦争が本格化する前の数字なので、ネガティブサプライズの場合にのみ警戒しておきたい。
なおアトランタ連銀の予測モデル「GDPナウ」では、米国の1-3月期GDPはマイナス2.4%(※4月9日時点)と予想されている。米中貿易戦争に向けて明暗が分かれている。
東京市場は上値の重い展開か。米国株は下落。ダウ平均は155ドル安の40368ドルで取引を終えた。金融株の好決算が確認できたことで序盤には買われる場面もあったが、関税に対する警戒感は根強く、失速してマイナス圏に沈んだ。ドル円は足元143円00銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが大証日中終値と比べて130円高の34490円、ドル建てが230円高の34590円で取引を終えた。
CME225先物は高寄りを示唆しており、これを手がかりにスタートは強めとなるかもしれない。ただ、米国株の場中の動きはさえなかっただけに、買いは続かないだろう。日経平均は月曜・火曜と上昇はしたものの、高く始まった後は伸び悩んだ。グローバルで株式市場が落ち着きつつあるだけにマイナス圏に沈んでも売り急ぐ動きは出づらいとみるが、場中は強弱感が交錯して方向感に欠ける動きが続くだろう。日経平均の予想レンジは34000円-34550円。
日経225先物は11時30分時点、前日比290円安の3万4070円(-0.84%)前後で推移。寄り付きは3万4310円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万4490円)にサヤ寄せする動きにならず、やや売り先行で始まった。直後につけた3万4320円を高値にショート優勢の流れとなり、中盤にかけて3万4100円を割り込んだ。売り一巡後に3万4200円辺りまで下げ渋る動きもみられたが、終盤にかけて下へのバイアスが強まり、3万4030円まで下げ幅を広げた。
日経225先物は、エヌビディア<NVDA>の時間外取引での急落がショートに向かわせたようだ。中国向けに設計したAI半導体「H20」が米政府の輸出規制の対象になったとして、第1四半期に最大で55億ドルの費用を計上すると発表。この影響からアドバンテスト<6857.T>[東証P]の下落率は5%を超え、日経平均型の重荷になった。
グローベックスのナスダック100先物が弱い値動きをみせていることもあり、リバウンドを狙ったロングは手控えられそうである。3万4000円処でいったんは調整一巡感が意識されるものの、戻りの鈍さがみられるようだと、短期的にショートを仕掛けてくる動きは続きそうである。
NT倍率は先物中心限月で13.62倍に低下。一時13.57倍まで下げる場面もみられたが、25日移動平均線(13.56倍)が支持線として機能している。エヌビディアの下落の影響から指数インパクトの大きい値がさハイテク株の一角は売られたが、25日線接近ではNTショートを巻き戻す動きも入っているようだ。
「もし輪廻転生というものがあるならば、私は大統領か法王、あるいは4割打者になりたいと昔は思っていた。今は違う。私は債券市場になりたい。債券市場はすべてを威圧できる」
(You can intimidate everybody)」(ジェームズ・カービル氏:1993年WSJ紙)
トランプ米政権は、米ドルや株式市場の下落は黙認しても、債券市場の下落は容認しない、というスタンスを打ち出している。
昨年末時点での外国人投資家がドル建てで保有していた株式と債券の総額は33兆ドル、株式が18.4兆ドル、債券が14.6兆ドル(※米国債:8.5兆ドル)だった。
トランプ米政権の思惑が外れた場合、トリプル安(ドル安・株安・債券安)という市場の反撃「ドル離れ」が待ち構えている。
1.ミラン米大統領経済諮問委員会CEA委員長:100年物割引国債とのスワップ
トランプ米政権の貿易赤字削減に向けた取り組みは、ミラン米CEA委員長が昨年11月に公表した「国際貿易システム再構築のためのユーザーガイド」に沿ったものであり、第1弾に懲罰的関税を打ち出し、第2弾に貿易相手国が関税引き下げの見返りとしてドル高是正という通貨協定を受け入れる、というシナリオとなっている。
ドル安誘導に関しては、外国の通貨当局が保有する外貨準備の売却(※外貨準備への課税?)、米連邦準備理事会(FRB)にドル売り介入、などとなっている。
米国債下落などの金利上昇を抑制するための方策として、米国債の買入、外国の通貨当局が外貨準備として最小限残す短期の米国債を100年物割引国債と交換する、ことが挙げられている。
2. ベッセント米財務長官:既発国債のバイバック(買入消却)プログラム
ベッセント米財務長官は、借り入れコスト引き下げでトランプ政権が重点を置いているのは米連邦準備理事会(FRB)の短期の政策金利ではなく、米10年債利回りだと語っていた。そして「トランプ米大統領と私は10年債利回りを注視している」と述べていた。
4月11日、トランプ米政権による相互関税第2弾を嫌気して4.59%まで上昇し、相互関税の発動を90日間停止させた。
米国債売りの背景として、中国による報復売り、ヘッジファンドや本邦機関投資家によるロスカット、ミラン米CEA委員長による外貨準備への課税示唆、などが指摘された。
しかし、14日には、ベッセント米財務長官は、外国勢が保有する米国債を投げ売りしているとの臆測を否定して、レバレッジ解消によるものだとの見解を示した。
そして、米国債相場下落の深刻度についても否定的な考えを示し、財務省には、必要に応じて債券市場の乱調に対処するツールキット(道具箱)があることを示唆した。
道具箱には、既発国債のバイバック(買入消却)プログラムが含まれており、「われわれがその気になれば買い戻しを増やす事ができる」と説明した。
米財務省は昨年、「オフ・ザ・ラン銘柄」を買入消却し、「オン・ザ・ラン銘柄(カレント銘柄)」と入れ替える流動性の支援のため、定期的な国債バイバックを再開した。
昨日の海外市場では、ドル円は相変わらずのレンジ相場。欧州時間に一時143.51円まで買戻される場面もみられましたが、中国が「国内航空会社に対してボーイング機の受取停止を指示した」ことが報じられると142.60円まで下落。ただ、4月米エンパイア指数が予想を大幅に上回る強い数字となると143.27円まで買戻されました。その後は143.20円を挟んだもみ合いが続くなか、引けにかけては143.28円まで下値を切り上げてNY市場を終えています。ユーロドルは、4月独ZEW景況感指数が極端に悪化していたほか、「米国とEUの関税交渉がほとんど進展がない」ことが伝わったことから1.1264ドルまで値を下げたといったところです。
どちらをとっても、目先のレンジ内での取引。特にドル円については、明日の日米関税交渉を直前に控えていることもあって、本日のアジア市場に入ってからも更にレンジ感を強めています。いずれにしても、目先は昨日安値の142.60円がとりあえずの目処。14日の安値142.24円や11日の安値142.07円がサポートレベル。上値は昨日高値の143.59円や14日の高値144.31円、11日の高値144.64円が戻りの目処として意識されています。
本日のロンドン為替市場では、先週末から底堅い動きを見せているポンドドルの動きに注目か。11日に1.30ドルを回復したポンドドルはそのまま1.31ドル台まで上昇し、週明けには1.32ドル台乗せにも成功。昨日は1.32ドル半ばまで上値を伸ばし、本日も上げ幅を広げている。
「4月のポンドドルは堅調」という季節的な(またはアノマリー的な)こともあるのだろうが、11日に発表された英経済指標が強かったこともポンド上昇のきっかけとなった。2月国内総生産(GDP)は前月比+0.5%と予想を0.4ポイント上回り、同月鉱工業生産は前年比+0.1%と予想マイナス2%超から大きく上振れた。
本日は欧州早朝(日本時間15時)に3月英インフレ指標が発表予定。消費者物価指数(CPI)は前年比総合が+2.7%/コアは+3.4%と、どちらも前回から0.1ポイント減速が予想されている。英中銀が注視するサービス部門CPIも前回の前年比+5.0%から下振れる見込みだ。来月の英中銀金融政策委員会(MPC)前では最後の重要インフレ指標であり、2カ月連続の鈍化となれば、次回MPCに対する「0.25%利下げ織り込み度」を更に高めることになるだろう。CPIの内容次第では、年末にかけての利下げペースへの思惑も変わってきそうだ。
英インフレの減速幅が予想の範囲内に留まった場合、ポンドドルの下押しは限定されるか。足もとでは昨年10月以来の1.33ドル台が視野に入った位置におり、上値余地をどの程度まで確かめにいくかを見極めることになる。
ほか、ユーロ圏からも3月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)が発表されるが、こちらは改定値。速報値の前年比総合+2.2%/コア+2.4%に沿った結果が予想されており、こちらの相場インパクトは小さそうだ。
昨日は「米国と欧州連合(EU)の関税を巡る交渉はほとんど進展なし」との報道でユーロ売りが加速した。ただし本日アジア市場で持ち直しているところを見ると、どの国・地域が対象であっても、米国を巡る貿易摩擦の激化はドル安ということか。トランプ関税の関連報道には気を付けながら、そのあたりを見定めたい。
想定レンジ上限
・ポンドドル、2024年10月2日高値1.3305ドルを超えると同月1日高値1.3389ドル
・ユーロドル、14日高値1.1425ドル
想定レンジ下限
・ポンドドル、15日安値1.3164ドル
・ユーロドル、15日安値1.1264ドル
ドル円:1ドル=142.14円(前営業日NY終値比▲1.07円)
ユーロ円:1ユーロ=161.68円(△0.11円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1379ドル(△0.0097ドル)
日経平均株価:33920.4円(前営業日比▲347.14円)
東証株価指数(TOPIX):2498.03(▲15.32)
債券先物6月物:141.11円(△0.66円)
新発10年物国債利回り:1.290%(▲0.075%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
2月機械受注(船舶・電力除く民需)
前月比 4.3% ▲3.5%
前年同月比 1.5% 4.4%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は軟調。トランプ米大統領が重要鉱物を巡る調査を開始する行政措置に署名したとの報道が伝わると、今後の関税につながる可能性があるとの思惑からリスク回避目的の売りが出た。その後はダウ先物や日経平均の軟調推移も重しとなり、142.11円まで下値を広げて11日安値142.07円に迫った。
・ユーロ円は小高い。ドル円の下げに連れに連れて161.36円まで下押し後、ユーロドルのじり高に連れて161.82円まで値を上げるも伸び悩み。その後は日経平均の下げ幅拡大が重しとなり161.40円前後に再び下押すも、ユーロドルの上昇に連れて15時過ぎに161.93円まで切り返して日通し高値を更新した。
・ユーロドルは堅調。対円でのドル売りが波及してじり高で推移すると、前日高値1.1379ドルを上抜けて1.1385ドルまで上値を伸ばした。
・日経平均株価は反落。前日の米株安を受けて小幅安でスタート後、プラス圏を回復するも買いの勢いは続かず。エヌビディアの時間外の大幅下落を嫌気して半導体株が売りに押されたことが重しとなった。午後に発表されたASMLの決算を受け、市場の減速が意識されて半導体株が一段と売られる中、下げ幅は一時600円超に達した。
・債券先物相場は反発。米国内の金融市場が落ち着きを取り戻しつつあるなか、昨日の米国債券相場が上昇した流れを引き継ぎ、上昇してスタート。与党が今国会での補正予算案の提出を見送る方針と伝わったことを受け、財政拡張に伴う国債増発への懸念が和らいだことや、日経平均の下げ幅拡大も債券買いを誘うと、141円16銭まで上値を広げた。
米ホワイトハウスは15日、「中国からの輸入品にかける関税は最大で245%に達する」と明らかにした。公式サイトに掲出した「ファクトシート」のなかで、トランプ米大統領が2日、各国に一律10%の関税を適用したうえで国別に異なる税率を上乗せする「相互関税」を発表し、75カ国以上がすでに貿易協議の開始を表明したことから相互関税の上乗せ分実施を暫定停止したと指摘。ただ「報復措置をとった中国は例外」だとした。
「相互関税」とトランプ米政権が2-3月に導入していた対中関税計20%を合わせた税率は145%となっていた。中国政府は12日、対抗措置として米国からの輸入品に課す追加関税を84%から125%に引き上げた。
ファクトシートはさらに、「数カ月前、中国はガリウム、ゲルマニウム、アンチモニーなどの軍事利用があり得る重要鉱物の対米輸出を禁じた」、「今週、中国はレアアース6品目とレアアース磁石の輸出を停止し、世界の自動車メーカーや航空宇宙関連製造、半導体企業、軍需関連企業にとって重要な部品の供給を制限しようとした」と批判した。
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・西?M 徹氏
シンガポール国会解散、総選挙は5月3日実施へ
ウォン首相に初めての審判、政権維持の可能性は高いが、政治的安定の行方が注目される
シンガポールでは4月15日に国会が解散され、5月3日に総選挙が実施される。1965年の独立以来、PAP(人民行動党)が政権を維持してきたが、その背景には選挙制度が同党に有利なことも影響している。
一方、近年では最大野党WP(労働党)の存在感が高まり、2020年の前回総選挙ではPAPが得票率を低下させるなど苦戦を強いられた。これを受けて、次期首相候補だったヘン・スキャット副首相(当時)は辞退し、当時のリー・シェンロン首相は2022年にローレンス・ウォン財務相(当時)を後継指名した。ウォン氏は昨年首相に就任し、PAPも世代交代を進めるなど次期総選挙に向けて党勢の立て直しが図られてきた。
今回の総選挙はウォン氏にとって初の総選挙であり、政権に対する信認が問われる場となる。選挙区割の変更で議席数は増えるが、PAPは圧倒的多数を占めるなかで総選挙後も大きく構図が変わる可能性は低く、政権維持の見通しは高い。しかし、「トランプ関税」などの影響で経済の先行き不透明感が高まるなか、リー一族という象徴的なリーダーが不在のなかで政治的安定を如何に維持するかが注目される。
モルガン・スタンレーMUFG証券では、相互関税の実施と米国・欧州・中国の経済見通し引き下げを反映して、日本の成長率予想を引き下げている。2025年の日本の実質GDP成長率予想を4Q/4Q、いわゆるゲタの影響を受けない10-12月期の前年同期比ベースで、従来予想の+0.9%から50bp引き下げて+0.4%としている。同ベースで2026年は+0.7%から+0.5%へ20bp引き下げた。米中で報復関税の応酬が長引いた場合には、短期的な日本経済の見通しをさらに下方修正する必要に迫られるリスクは残るとMSMUFGではコメントしている。
大和証券では為替ストラテジーリポートの中で、シナリオ別にドル円の見通しを掲げている。貿易交渉で協調的なドル安が避けられるメーンシナリオでは、従来通り年末に1ドル=147円を予想している。リスクシナリオで第2プラザ合意のような協調的ドル安を容認した際は、年末に1ドル=132円を想定している。大和では、国債利回りや1株当たりの利益の伸びなどから、米国資産の魅力は継続しうると考えている。市場ボラティリティが高い今のような局面では一般に時間分散も有効に働くだけに、タイミングを分けた投資戦略も有効とコメントしている。
一部報道で、「中国がトランプ米大統領が敬意を示し、担当者を指名した場合は、対話に応じる」と報じた。
一部通信社が、「日銀が本年度の経済成長予測引き下げた」と報じた。
大阪6月限
日経225先物 33920 -440 (-1.28%)
TOPIX先物 2500.0 -16.5 (-0.65%)
日経225先物(6月限)は前日比440円安の3万3920円で取引を終了。寄り付きは3万4310円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万4490円)にサヤ寄せする動きにならず、やや売り先行で始まった。直後につけた3万4320円を高値にショート優勢となり、前場中盤にかけて3万4100円を割り込んだ。
ランチタイムでは3万4030円~3万4100円処で保ち合いを継続。3万4000円近辺での底堅さは意識されていたが、後場に入りレンジを下抜くと、3万3680円まで売られる場面もみられた。終盤にショートカバーにより下げ幅を縮めたものの、3万4000円は回復できなかった。
日経225先物は、朝方はエヌビディア<NVDA>の時間外取引での急落がショートに向かわせた。同社が中国向けに設計したAI半導体「H20」が米政府の輸出規制の対象になったとして、第1四半期に最大で55億ドルの費用を計上すると発表。この影響でアドバンテスト<6857.T>[東証P]やディスコ<6146.T>[東証P]など半導体株の下げが日経平均型の重荷になった。
後場はオランダの半導体製造装置メーカーであるASMLホールディング<ASML>の決算発表を受けて半導体株への売りが一段と強まるなど、悪材料が重なったことが短期的なショートを強めた形である。日経225先物はこの影響により一時3万3680円まで売られ、ボリンジャーバンドの-1σ(3万3640円)水準まで下げている。
同バンドが支持線として意識されるものの、グローベックスのNYダウ先物は300ドル、ナスダック100先物は400ポイント下落している。エヌビディアとASMLホールディングの下げの影響で16日の米国市場が大きく下落するようだと、-1σを割り込んでくる可能性はあるだろう。
ただし、ナイトセッションで同バンドがサポートとして機能するようであれば、ショートカバーを誘う動きに向かわせそうだ。足もとの需給でロングは積み上がっておらず、スキャルピング中心ながらもショートに傾いている状況であろう。-1σをサポートに3万4000円処で底堅さをみせてくる局面ではロングでの対応となりそうだ。
NT倍率は先物中心限月で13.56倍に低下。25日移動平均線(13.56倍)が支持線として機能する形で13.63倍まで戻す場面もあったが、後場のASMLホールディングの決算を受けたハイテク株の一段安の影響から、NTショートが勢いを増したようだ。ただし、25日線辺りでの底堅さがみられるようなら、NTショートの巻き戻しの動きに向かわせよう。
手口面(6月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万7643枚、ソシエテジェネラル証券が1万4049枚、バークレイズ証券が2713枚、サスケハナ・ホンコンが2630枚、SBI証券が2310枚、モルガンMUFG証券が2069枚、JPモルガン証券が1856枚、野村証券が1520枚、日産証券が1453枚、ゴールドマン証券が1399枚だった。
TOPIX先物は、ABNクリアリン証券が2万2420枚、ソシエテジェネラル証券が1万6180枚、バークレイズ証券が8156枚、JPモルガン証券が4443枚、ゴールドマン証券が4029枚、モルガンMUFG証券が3498枚、SMBC証券が1916枚、ビーオブエー証券が1725枚、野村証券が1455枚、BNPパリバ証券が1447枚だった。
ドル円は142円割れこそ回避しているものの、142.05円まで年初来安値を更新した。その後は、中国がトランプ米政権との交渉に前向きとの報道を受けて一時142.90円台まで急伸するなど下げが一服している。
中国は米政権が敬意を示し、交渉担当を指名するなら交渉に応じる用意があると報じられた。中国は今までも関税合戦を避けたいのが本音であり、米国と交渉する方針が変わったわけでもない。中国が嫌っているのはトランプ米政権の上から目線の交渉であり、力でねじ込もうとしている同氏の方針である。ただ、「関税交渉のボールは中国側にある」との米政権の主張に「中国は交渉に応じる用意がある」と回答し、両国の戦闘モードを緩めるきっかけを作ったことにはなるので、トランプ米政権の反応が注目される。
米中の関係改善の期待感でいったんリスクオフの動きが緩む可能性があり、ドル円は買い戻しが進む可能性がある。ただ、明日に日米関税交渉を控え、ドル円の売り圧力は継続し、上値の重い動きを想定する。赤沢再生相は、「日本の国益にとっても米国の国益にとってもウィンウィンな関係になるような良い交渉ができる」と自信を示しているが、そんな甘い話があるわけではない。中国の予想以上の強気な抵抗で、トランプ氏の関税方針は大きな混乱を迎えており、国別での協議で早く成果を上げたい米政権は日本に譲歩を迫り、その成果を世間にアピールしようとしている。協議では米国が為替問題も取り上げる可能性が高く、米国の対日貿易赤字の削減を間接的に支援するために日本は円高・ドル安を容認するとの見方が強い。
NYタイムでは、3月米小売売上高などの指標発表とパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の発言が予定されているが、反応は一時的にとどめ、引き続き関税関連のヘッドラインに注目する展開となる。関税の不透明感による米景気鈍化への懸念は強く、ドルの重い地合いは続きそうだ。
・想定レンジ上限
ドル円、本日これまでの高値143.28円や14日高値144.31円が上値めど。
・想定レンジ下限
ドル円、節目の142.00円や昨年9月30日安値141.65円が下値めど。
今晩は軟調か。昨日は大手金融機関の好決算を受けて上昇してスタートしたものの、前日までに2日続伸したことや、貿易戦争の先行き不透明感などで反落し、主要3指数がそろって3日ぶりに反落した。引け後の動きではエヌビディアが時間外で6%超下落。米政府が性能を落としたAI用グラフィックプロセッサー「H20」の中国向け輸出を禁止したことに関連して55億ドルの費用を計上すると発表したことが嫌気された。
今晩の取引ではエヌビディアの大幅安が見込まれ、ハイテク株を中心に軟調な展開か。昨日は中国が国内航空会社に対して追加のボーイング期の納入禁止を指示するなど、米中貿易戦争の影響が個別企業に及んでおり、引き続き米中貿易戦争激化による企業業績悪化懸念が相場の重しとなりそうだ。経済指標では3月小売売上高、3月鉱工業生産が発表予定で、足もとの消費や景気動向にも要注目となる。
今晩の米経済指標・イベントは3月小売売上高、3月鉱工業生産のほか、MBA住宅ローン申請指数、4月NAHB住宅市場指数、EIA週間原油在庫、米20年債入札など。企業決算は寄り前にトラベラーズ、プロロジス、アボット・ラボラトリーズ、引け後にCSXなどが発表予定。
スイス政府は16日、2025年の実質GDP成長率について「低調だが経済が崩壊することはない」とし、米国の関税政策が成長鈍化するとして、従来の+1.5%から+1.4%へ下方修正した。政府は「米国の関税による国際的な貿易摩擦と不確実性が、輸出や投資、経済活動全体に重しとなっている」と説明している。ただし、スイス経済が急激に悪化することはなく、内需の安定や低インフレが下支え要因となる見通しとのこと。
日経平均株価は反落。前日終値を意識したスタートから下値を模索する展開となった。ただ、後場終盤からは下向きの10日移動平均線(33474円 4/16)付近を下値で意識し、上向きの5日移動平均線(34072円 同)に向けて下げ幅を縮小する動きがみられた。
RSI(9日)は前日の44.1%→46.5%(4/16)に上昇。あすも上昇しやすいタイミングとなり、株価上昇を通じて5日移動平均線の下向きへの変化を阻止できるかが注目される。
引き続き、今週は25日移動平均線(35655円 同)や3/11安値(35987円)のフシまで上値を拡大できるかが焦点となる。
一方、ここから一段高に向かうためには、5日移動平均線、転換線(32716円 同)、10日移動平均線などをサポートに目先のもみ合い(値固め)が必要との見方もできる。
上値メドは、4/10高値(34639円)、心理的節目の35000円、4/2安値(35426円)、25日移動平均線、3/28安値(36864円)、心理的節目の37000円などがある。下値メドは、10日移動平均線、心理的節目の33000円、転換線、心理的節目の32000円、4/9安値(31258円)、4/7安値(30792円)などがある。
米財務省によると、20年債入札(ダッチ方式)の落札結果は最高落札利回りが4.810%、応札倍率(カバー)が2.63倍となった。
(16日終値:17日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=142.35円(16日15時時点比△0.21円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=161.85円(△0.17円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1375ドル(▲0.0004ドル)
FTSE100種総合株価指数:8275.60(前営業日比△26.48)
ドイツ株式指数(DAX):21311.02(△57.32)
10年物英国債利回り:4.603%(▲0.045%)
10年物独国債利回り:2.509%(▲0.025%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
3月英消費者物価指数(CPI)
(前月比) 0.3% 0.4%
(前年比) 2.6% 2.8%
CPIコア指数
(前年比) 3.4% 3.5%
3月英小売物価指数(RPI)
(前月比) 0.3% 0.6%
(前年比) 3.2% 3.4%
2月ユーロ圏経常収支(季調済)
343億ユーロの黒字 403億ユーロの黒字・改
3月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値
(前年比) 2.2% 2.2%
3月ユーロ圏HICPコア改定値
(前年比) 2.4% 2.4%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円はもみ合い。日本株や時間外のダウ先物の下落などを背景にリスク回避の円買い・ドル売りが先行。11日の安値142.07円を下抜けると一時142.05円と昨年9月以来の安値を更新した。
ただ、売り一巡後は買い戻しが優勢に。「中国はトランプ米政権が敬意を示し担当者を指名するのであれば、交渉に応じる用意がある」と伝わると、米中貿易戦争激化への懸念が和らぎ買い戻しを促した。17時30分前には142.92円付近まで持ち直した。
もっとも、そのあとは徐々に値動きが鈍った。日米関税交渉を控える中、大きな方向感が出にくい地合いとなった。なお、日米関税交渉の初会合は日本時間17日朝の予定で、日本からは赤沢亮正経済財政・再生相が参加する。米国側はベッセント米財務長官とグリア米通商代表部(USTR)代表に加えて、トランプ米大統領が自ら出席する。
・ユーロドルは買い先行後、もみ合い。英インフレ指標の下振れをきっかけにユーロポンドが上昇すると、ユーロドルにも買いが波及し一時1.1392ドルと日通し高値を更新した。ただ、1.14ドル手前では戻り売りなどが出たため、伸び悩んだ。
NY市場では1.03ドル台後半でのもみ合いに終始した。明日17日の欧州中央銀行(ECB)定例理事会を前に様子見ムードが強く狭い範囲内での推移にとどまった。
なお、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は「より明確な情報を待つために、慎重に行動する立場にある」「FRBの責務に緊張が生じるシナリオに陥る可能性がある」「関税の経済的影響は予想よりも大きい可能性が高い」などと発言。市場の一部では「ウォラーFRB理事のようなハト派的な発言」を期待していた向きもあっただけに、米国株相場は下げ幅を広げた。もっとも、為替相場への影響は限定的だった。
・ユーロポンドは一時0.8608ポンドまで上昇した。3月英消費者物価指数(CPI)が予想を下回ったことで全般ポンド売りが優勢となった。また、ポンドドルは一時1.3213ドル、ポンド円は187.98円まで値を下げた。
・ユーロ円ももみ合い。米中貿易戦争の激化への過度な警戒感が和らぐと買いが先行したものの、そのあとは徐々に値動きが鈍った。日米通商協議やECB定例理事会を前に方向感が出にくい面もあった。
・ロンドン株式相場は5日続伸。反落して始まったものの、「中国はトランプ米政権が敬意を示し担当者を指名するのであれば、交渉に応じる用意がある」と伝わると、米中貿易戦争激化への懸念が和らぎ買い戻しが優勢となり引けにかけて上げに転じた。原油先物価格の上昇を背景にBPやシェルなどエネルギー株の上昇が目立った。
・フランクフルト株式相場は3日続伸。予想を下回る決算を発表したオランダの半導体製造装置ASMLホールディングが急落すると、半導体関連株に売りが出て反落して始まった。ただ、米中貿易戦争の激化への過度な警戒感が和らぐと徐々に買い戻しが優勢となり、終盤持ち直した。
・欧州債券相場は上昇した。
16日の日経平均は3日ぶり大幅反落。終値は347円安の33920円。米国株安を受けて下落スタート。寄り付きは2桁の下落でプラス圏に浮上する場面もあったが、買いは続かず早々に下げ幅を3桁に広げた。人工知能向け半導体「H20」が米国政府による輸出規制の対象になったと伝わったエヌビディアが米国の時間外で大幅安となっており、アドバンテスト<6857.T>など半導体株が売りに押された。
序盤では半導体株以外には買われるものが多かったが、前引けにかけては値下がりに転じる銘柄が増加。指数は後場に入ると節目の34000円を割り込んだ。オランダの半導体装置大手ASMLの決算を確認した14時辺りでは下げ幅を拡大。受注が市場予想を下回ったことで半導体株に対する売り圧力が一段と強まり、全体にもネガティブな影響が波及した。600円超下げて33600円台に入ったところで売りは一巡し、終盤にかけては値を戻したものの、34000円を下回って取引を終えた。
東証プライムの売買代金は概算で3兆8300億円。業種別では空運、建設、水産・農林などが上昇した一方、海運、非鉄金属、銀行などが下落した。自己株取得を発表したエムビーエス<1401.T>が急伸。半面、序盤では強く買われる場面もあった川崎重工業<7012.T>がマイナス転換から後場に入って下げ幅を拡大。3%を超える下落となった。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり643/値下がり941。しまむらや良品計画など、小売の一角が大幅上昇。清水建設、大成建設、鹿島、大林組のゼネコン大手4社に強い動きが見られた。三井不動産や三菱地所など不動産株が全般堅調。エーザイがリリースを材料に3%超上昇した。
半面、ディスコが8.0%安、アドバンテストが6.5%安、ソシオネクストが6.1%安と半導体株の多くが大幅安。14時までは強かったレーザーテックもASMLの決算を受けてマイナス圏に沈んだ。三菱UFJ、三井住友、みずほのメガバンク3行がそろって大きめの下落。所属VTuberの卒業が失望材料となったカバーが10.1%安と急落した。
日経平均は大幅安。半導体株が下げを主導し、後場はASMLの決算を嫌気して一段安となった。本日の米国ではエヌビディアの下落が予想されるだけに、ASMLの決算で半導体株が下げること自体は仕方ない。ただ、既に半導体株への期待値が大きく低下している中で、派手に売り込まれた銘柄が多くあったことはネガティブ。あすのTSMCやディスコの決算も警戒材料として強く意識される。
本日の米国ではパウエルFRB議長が講演で発言する予定。マーケットの不安心理を和らげるようなメッセージが出てくるかどうかが注目される。また、赤沢経済財政・再生相がベッセント米財務長官らと日本時間17日に交渉を行う予定で、あすの東京市場はニュースのヘッドラインに振り回される可能性がある。エヌビディアが下げるであろうことは織り込みも進んでいるだけに、日米交渉で何らかの進展があれば、一気にリスクオンに傾く展開も期待できる。一方、半導体株が買いづらくなった中、パウエルFRB議長のリップサービスがなく、日米交渉にも進展がなかった場合には、日経平均は再び下を試しにいく展開も想定される。あすの動きが短期的な日本株の方向性に大きな影響を与える可能性がある。
(16日終値)
ドル・円相場:1ドル=141.88円(前営業日比▲1.33円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=161.67円(△0.10円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1399ドル(△0.0117ドル)
ダウ工業株30種平均:39669.39ドル(▲699.57ドル)
ナスダック総合株価指数:16307.16(▲516.01)
10年物米国債利回り:4.27%(▲0.06%)
WTI原油先物5月限:1バレル=62.47ドル(△1.14ドル)
金先物6月限:1トロイオンス=3346.4ドル(△106.0ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
MBA住宅ローン申請指数
(前週比) ▲8.5% 20.0%
3月米小売売上高
(前月比) 1.4% 0.2%
(除く自動車) 0.5% 0.7%・改
3月米鉱工業生産
(前月比) ▲0.3% 0.8%・改
設備稼働率 77.8% 78.2%
2月米企業在庫
(前月比) 0.2% 0.3%
4月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数
40 39
2月対米証券投資動向
短期債を含む 2847億ドル ▲466億ドル・改
短期債を除く 1120億ドル ▲422億ドル・改
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は反落。日米関税交渉を明日17日に控える中、しばらくは大きな方向感が出なかった。ただ、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の発言が伝わると米国株相場の下落とともにリスク回避の円買いが優勢となり、4時30分前に一時141.65円と昨年9月以来の安値を付けた。市場関係者からは「CTA(商品投資顧問)の売りが観測された」との声も聞かれた。
パウエルFRB議長はこの日の講演で「米政権の関税措置による経済への影響は予想を大幅に上回る」と述べた一方、景気の下支えにつながる早期の利下げには慎重な考えを改めて示した。「いざとなればパウエル議長が緩和に動く」という期待感(パウエル・プット)がはく落すると、ダウ平均は970ドル超下落し、ナスダック総合は4%超下げる場面があった。
・ユーロドルは3日ぶりに反発。明日17日の欧州中央銀行(ECB)定例理事会を前に様子見ムードが強く、しばらくは狭い範囲内での推移にとどまった。
ただ、パウエルFRB議長が早期利下げに慎重な姿勢を改めて示すと、米国株相場が大幅に下落したほか、米長期金利が低下幅を拡大。全般ドル売りが優勢となり、4時30分前に一時1.1413ドルと日通し高値を更新した。主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時99.17まで低下した。
・ユーロ円は3日ぶりに小反発。24時過ぎに一時162.28円と日通し高値を付けたものの、引けにかけては伸び悩んだ。パウエルFRB議長の発言をきっかけに米国株が下げ幅を拡大したことなどが相場の重し。4時30分前には161.56円付近まで下押しした。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は続落。対中輸出規制に関連して55億ドルの特別損失計上を発表したエヌビディアが急落すると、投資家心理が悪化し半導体株中心に売りが先行。パウエルFRB議長が講演で早期利下げに慎重な見方を示すと、売りの勢いが強まり一時970ドル超下げた。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も続落。テスラやメタ・プラットフォームズ、アルファベットなどが売られた。
・米国債券相場で長期ゾーンは3日続伸。NY序盤は売りが強まる場面もあったが、中盤以降は買い戻しが優勢となり上げに転じた。米国株相場の下落を受けて相対的に安全資産とされる米国債に買いが集まった。
・原油先物相場は反発。米財務省が中国発のイラン産石油輸入業者を標的にした新たな制裁を発表したことを受けて供給懸念が意識され買いが優勢となった。なお、米エネルギー情報局(EIA)が発表した週間在庫統計は強弱まちまちの結果となった。
・金先物相場は大幅続伸。3営業日ぶりに史上最高値を更新。米関税政策を巡る先行き不透明感が高まり、安全資産とされる金の需要が急速に高まった。
16日07:38 植田日銀総裁(新聞報道・・14日付けのインタビュー記事)
「米高関税政策が国内経済の下押し圧力になった場合、政策的対応が必要になるかもしれないが、情勢の変化に応じて適切に判断」
「企業や家計のコンフィデンスは既に一部反応しているものある」
「トランプリスク巡り、2月以降は悪いシナリオの方に来ている」
「トランプ関税の影響は、予断を持たずに点検する」
16日10:26 赤沢経済再生相
「米国との関税交渉は、準備ができている」
「何が一番国益に資するか効果的か考え抜いて交渉する」
「交渉分野についてのコメントは控える」
16日12:37 トランプ米大統領
「インフレは下がっている」
「あらゆる製品の価格は下がっていく見込み」
16日19:26
「日本との協議、自分が出席する」
「軍事支援の費用と貿易の公平性が協議の一部」
「日本との協議、何かが解決できることを願う」
16日16:33 中国外務省
「米国に脅迫と恐喝をやめるよう強く求める」
「米国が対話を通じて問題を解決したいのであれば、圧力をかけるのをやめるべきだ」
16日22:45 カナダ銀行(BOC、カナダ中央銀行)声明
「米国の貿易政策の大きな転換と関税の予測不可能性は、不確実性を高め、経済成長の見通しを低下させ、インフレ期待を押し上げている」
「不確実性が蔓延しているため、カナダおよび世界のGDP成長率とインフレ率を予測することは非常に困難」
「4月金融政策報告書(MPR)では、米貿易政策の異なる道筋を探る2つのシナリオを提示する」
「最初のシナリオでは、不確実性は高いものの、関税の規模は限定的。カナダの成長率は一時的に鈍化し、インフレ率は目標の2%前後で推移」
「2つ目のシナリオでは、長期にわたる貿易戦争により、カナダ経済は今年景気後退に陥り、来年にはインフレ率が一時的に3%を超えると想定」
「米国の貿易政策の転換の規模とスピードは前例のないほど大きく、どのシナリオにおいても経済的な結果については異例の不確実性が生じている」
「関税導入の発表や不確実性により消費者と企業の信頼感が悪化し、経済は減速している」
「貿易摩擦も労働市場の回復を阻害。3月の雇用は減少し、企業は採用を減速させる計画を報告。賃金上昇率は引き続き鈍化の兆候を示している」
「関税とサプライチェーンの混乱により、一部の物価が上昇すると予想」
「企業と消費者が貿易摩擦と供給混乱によるコスト上昇を予想していることから、短期的なインフレ期待は上昇」
「長期的なインフレ期待はほぼ横ばい」
「理事会は、景気減速によるインフレ下押し圧力と、コスト上昇によるインフレ上昇圧力の双方について、その時期と強さを引き続き評価する」
「我々は世界的な混乱期においても、国民が物価安定への信頼を維持できるよう注力する」
「これはインフレが適切に抑制された状態を維持しながら、経済成長を支援することを意味する」
「理事会はカナダ経済が直面するリスクと不確実性に特に注意を払いながら、慎重に政策を進めていく」
16日23:06 シェインバウム・メキシコ大統領
「米国に対して国境での安全協力に関する外交メモを送った」
16日23:47 マックレム・カナダ銀行(中央銀行、BOC)総裁
「我々は慎重に対応している」
「カナダ経済は好調なスタートを切った」
「我々の目標は物価安定の確保」
「状況は依然として不透明」
※時間は日本時間
17日01:04 ハマック米クリーブランド連銀総裁
「もし成長が鈍化しインフレが和らげば、FRBは利下げを行うこともあり得るし、その際は迅速に対応する可能性もある」
「現在の引き締め的な金融政策はインフレを抑制するために必要だ」
「政策の忍耐がFRBに経済データをさらに集める余裕を与える」
「現時点では政策を据え置くことに強い合理性がある」
「年初は経済が力強く始まったが、最近の指標はまちまちだ」
「インフレ率を2%に戻すには、まだやるべきことが残っている」
「金融環境は引き締まっている」
「最近の市場ストレスはやや特異なものだった」
「FRBは大きな不確実性の中で、データを評価する時間的余裕がある立場にある」
「関税が経済に与える影響を見極めるには時間がかかるだろう」
17日02:33 パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長
「安定した価格と強い労働市場の両立は不可欠である」
「より明確な情報を待つために、慎重に行動する立場にある」
「不確実性と下振れリスクが高まっているにもかかわらず、米経済は堅調」
「関税の経済的影響は予想よりも大きい可能性が高い」
「FRBの責務に緊張が生じるシナリオに陥る可能性がある」
「インフレに及ぼす影響が比較的長期化する可能性もある」
「関税は、我々の予想を上回る水準」
「経済減速に伴い失業率は上昇する可能性が高い」
「貿易政策の影響で目標達成が遠ざかる可能性が高い」
「準備金は依然として潤沢だと考えている」
「ドルを国外に供給する準備は万端」
「市場は多くの不確実性、つまりボラティリティに苦しんでいる」
「市場のボラティリティはおそらく継続するだろう」
「市場は秩序を維持しつつ想定通りの機能果たしている」
※時間は日本時間
<国内>
○08:50 ◎ 3月貿易統計(通関ベース、予想:季節調整前4853億円の黒字、季節調整済2510億円の赤字)
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
○10:30 ◎ 中川順子日銀審議委員、あいさつ
<海外>
○07:45 ◎ 1-3月期ニュージーランド(NZ)消費者物価指数(CPI、予想:前期比0.7%/前年比2.3%)
○08:00 ◎ シュミッド米カンザスシティー連銀総裁、ローガン米ダラス連銀総裁、講演
○未定 ◎ 韓国中銀、政策金利発表(予想:2.75%で据え置き)
○10:30 ◎ 3月豪雇用統計(予想:失業率4.2%/新規雇用者数4.00万人)
○15:00 ◇ 3月独生産者物価指数(PPI、予想:前月比▲0.1%)
○20:00 ◎ トルコ中銀、政策金利発表(予想:42.50%で据え置き)
○21:15 ☆ 欧州中央銀行(ECB)定例理事会、終了後政策金利発表(予想:2.40%に引き下げ)
○21:30 ◇ 2月対カナダ証券投資
○21:30 ◎ 3月米住宅着工件数(予想:142.0万件、前月比▲5.4%)
◎ 建設許可件数(予想:145.0万件、前月比▲0.6%)
○21:30 ◎ 4月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:2.0)
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:22.5万件/187.2万人)
○21:45 ☆ ラガルドECB総裁、定例記者会見
○18日00:45 ◎ バー米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○日米通商協議(米ワシントン)
○米債券市場は短縮取引(聖金曜日の前営業日)
○ノルウェー、メキシコ(聖木曜日)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
16日のニューヨーク外国為替市場でドル円は141.65円まで下落した。パウエルFRB議長が早期の利下げに慎重な考えを示したことで米株が急落した影響を受けた。ユーロドルは米長期金利の低下を受けて1.1413ドルまで上昇した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、本日午前6時から開催されている日米貿易交渉からの報道を見極めていくことになる。また、3月貿易統計で対米貿易黒字幅にも注目したい。
8時50分発表の3月貿易統計(通関ベース)は、季節調整前4853億円の黒字/季節調整済2510億円の赤字が予想されている。対米貿易黒字の数字と、トランプ米政権が相互関税率24%を算出した計算方法で、2024年の46%(÷2=約24%)からの増減を確認しておきたい。なお1-2月の対米貿易黒字は1兆3957億円、米国への輸出金額は3兆4440億円だったので、トランプ方式では40.5%となっている。
ところで先週の米国債の売り手(※4/11:米10年債利回りが4.59%まで急上昇)は、中国や本邦機関投資家ではないかとの噂があった。そのため、本日公表される「対外対内証券売買契約等の状況」で中長期債投資の金額を確認しておきたい。
日米貿易交渉では、日本側が赤沢経済再生相、米国側はベッセント米財務長官やラトニック米商務長官、グリア通商代表部(USTR)代表に加えてトランプ米大統領も出席している。ベッセント財務長官は、「関税、非関税障壁、補助金、そして『為替問題』などの協議」を示唆していた。一方、トランプ米大統領は「関税、軍事支援の費用、貿易の公平性について交渉する」と述べていた。同大統領から既に、「日本の代表との間で大きな進展があった」との発言が伝わっている。
ミラン米大統領経済諮問委員会CEA委員長の論文のシナリオに従うと、対日相互関税24%や自動車関税25%を減免する代わりに、非関税障壁(※車検制度など)や補助金(※輸出還付金など)の撤廃が要求されそうだ。また、防衛費の増額(※安全保障政策を連携させた「保護レント理論」)、ドル安・円高を受け入れるというバーターが想定される。
ドル安・円高への米国側の圧力が確認された場合、161.95円を頭とする「ヘッド・アンド・ショルダー」のネック・ラインが位置する(140.25円~139.58円~139.06円)の攻防に警戒しておきたい。
10時30分発表の3月豪雇用統計(予想:失業率4.2%/新規雇用者数4.00万人)では、5月19-20日の豪準備銀行(RBA)理事会での利下げの可能性を見極めることになる。4月理事会の議事要旨では、「5月の会合はインフレや賃金、労働市場、経済活動の動向に関する追加データ、最新の経済予測、そして世界貿易政策の今後の展開に関する追加情報を得た上で、金融政策設定を見直す適切なタイミング」との見解が示されていた。
大阪6月限ナイトセッション
日経225先物 33800 ?120 (-0.35%)
TOPIX先物 2489.5 -10.5 (-0.42%)
シカゴ日経平均先物 33835 -85
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
16日の米国市場は、NYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が下落。中国向けに設計したAI半導体「H20」が米政府の輸出規制の対象になったとして、第1四半期に最大で55億ドルの費用を計上すると発表したエヌビディア<NVDA>が急落し、ハイテク株を中心に売りが広がった。オランダの半導体製造装置メーカーであるASMLホールディング<ASML>が決算と併せて発表した新規受注額が予想を下回ったことも嫌気され、フィラデルフィア半導体株指数の下落率は4%を超えた。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が16日の講演で早期利下げに慎重な見方を示したことで、NYダウの下げ幅は一時900ドルを超えた。
S&P500業種別指数は、半導体・同製造装置、自動車・同部品、テクノロジー・ハード・機器、ソフトウエア・サービス、小売が下落。一方で、エネルギー、ヘルスケア機器・サービスの2セクターが上昇した。NYダウ構成銘柄では、エヌビディアのほかアムジェン<AMGN>、アップル<AAPL>、マイクロソフト<MSFT>、スリーエム<MMM>、ウォルマート<WMT>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>が売られた。半面、トラベラーズ<TRV>、ボーイング<BA>、シェブロン<CVX>が上昇。
シカゴ日経平均先物(6月限)清算値は、大阪比85円安の3万3835円だった。日経225先物(6月限)のナイトセッションは、日中比140円安の3万3780円で始まり、その後3万4350円まで切り返し、3万4000円~3万4350円処で保ち合いを継続。終盤にかけてレンジを下抜けると、一時3万3600円まで売られ、3万3800円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、やや売り先行で始まりそうだ。エヌビディアやASMLホールディングの下落については前日の時点で織り込まれており、改めてショートを強めてくる動きは限られるだろう。ボリンジャーバンドは下向きで推移しているものの、ナイトセッションで-1σ(3万3510円)を上回っていたことで、同バンドを支持線とした底堅さが意識されよう。
赤沢亮正経済再生担当相は日本時間17日朝、トランプ米大統領と会談した。関税交渉は午前6時からベッセント財務長官らと行われている。トランプ大統領が協議に出席の意向を示したことで、一段と市場の注目度が高まりそうだ。交渉を巡る報道によりアルゴリズムが発動する可能性もあるため、瞬間的な変動には注意しておきたい。
日経225先物は-1σが支持線として意識されるなか、オプション権利行使価格の3万3500円から3万5000円のレンジを想定する。-1σを割り込む局面では押し目狙いのロング対応に向かわせよう。
16日の米VIX指数は32.64(15日は30.12)に上昇した。前日に25日移動平均線(27.46)に接近する場面もみられていたため、いったんは反発が予想されていた。楽観視はできないものの、過度なリスク回避姿勢には向かわないとみておきたい。
昨日のNT倍率は先物中心限月で13.56倍に低下。25日線(13.56倍)が支持線として機能する形で13.63倍まで戻す場面もあったが、エヌビディアの特損計上やASMLホールディングの決算を受けたハイテク株一段安の影響で、NTショートが強まったようだ。本日は25日線が支持線として機能する可能性から、NTショートを巻き戻す動きに向かわせそうだ。
東京市場は軟調か。米国株は下落。ダウ平均は699ドル安の39669ドルで取引を終えた。AI用グラフィックプロセッサー「H20」に関して、米政府が中国向け輸出を禁止したことに伴い費用を計上すると発表したエヌビディアが大幅安。オランダASMLの決算が失望となったこともあり、半導体株が下げを主導した。パウエルFRB議長の講演内容が早期の利下げ期待を高める内容とならなかったことも、失望売りを誘った。米10年債利回りは低下しており、為替市場ではドル安(円高)が進行。ドル円は足元141円90銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが大証日中終値と比べて85円安の33835円、ドル建てが30円高の33950円で取引を終えた。
トランプ大統領の出席がサプライズとなった日米の関税交渉に関して、トランプ大統領は会談後に自身のSNSに「大きな進展があった」と投稿している。ただ、具体的な内容についてはまだ伝わっておらず、何らかのニュースが出てきた際には振れ幅が大きくなる可能性がある点には留意したい。
エヌビディアが大きく下げるであろうことは、東京市場ではきのう先んじて消化している。ただ、パウエルFRB議長の講演が米国株にフレンドリーに作用しなかったことと、円高が進行していることはネガティブ。大幅安にはならないとしても、腰の入った買いは期待しづらく、マイナス圏で推移する時間が長くなると予想する。本日は14時半にTSMCが決算を発表予定。日本株はきのうの後場にASMLの決算に神経質な反応を見せているだけに、これを確認するまでは身構える状態が続くと思われる。引け後にはディスコが決算発表を予定しており、TSMCの決算に対する反応が悪いようだと、終盤にかけて下を試しにいく展開も想定される。場中は弱材料に敏感となり、不安定な動きが続くだろう。日経平均の予想レンジは33500円-34200円。
昨日のNY市場でダウ平均の1000ドル近い急落を誘ったのは、パウエルFRB議長のシカゴエコノミッククラブでの座談会での発言でした。「株価が急落した場合、FRBが介入するという、いわゆるパウエルプットの存在が唱えられていますが、そういったものは存在しているのでしょうか」との問いに対し、会場からは笑い声が聞こえます。パウエル議長も苦笑しながらも、「ないですね、誤解を招かないように説明しなければなりませんが」と返答しました。
ただ、このくだり、実は、市場では「No, with explanation」ではなく、「No, with exclamation」と勘違いした向きが多かったようで、「全くない」というビックリマーク(!)付きの返答だったと認識。一気に株価の急落につながっていきました。SNS上でも本当はどちらが正しかったのかといった議論で盛り上がっていたようで、いずれにしても、市場の不安心理が大きいなかでの動きだったといえます。
ドル円は、株価の急落を受けてリスクオフから141.65円まで下落。アジア時間に入っても、米系短期が売り仕掛けとなると141.62円まで値を下げる場面もみられましたが、断続的に並ぶ本邦実需のビッドをつぶすことが出来ずに買戻しとなっている最中、赤沢経済再生担当相が125分間の日米通商協議を終えて「為替の議論は出なかった」ことを表明すると、一転して142.86円まで買戻されているといったところです。
市場では、「為替誘導が合意される」とのドル円の売り方にとってはこの上もないネタに期待感も高まっていたわけですが、そもそも、「為替操作」を最もきらう基軸通貨である米国が、その基軸通貨安を誘導するはずもなく、ちまたで囃されていた「為替議論」については、「貿易収支を有利にするための通貨安政策をとらない」ことを確認することに他ならないわけで、赤沢担当相も「日本は円買い介入を実施してきており、円安誘導は行っていない」ことを改めて表明したわけで、市場の通商協議に対するセンチメントも、ようやく、空想上の空間から現実的な着地点へと下りてくることになります。
日経225先物は11時30分時点、前日比300円高の3万4220円(+0.88%)前後で推移。寄り付きは3万3970円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万3835円)にサヤ寄せする動きにならず、やや買い先行で始まった。直後に3万3910円と下落に転じる場面もみられたものの、現物の寄り付き時には3万4310円まで上げ幅を広げた。中盤にかけて3万4000円を割り込むもショートの動きは強まらず、終盤にかけて再び切り返す動きとなった。
赤沢亮正経済財政再生相はトランプ米大統領と会談し、日本との協議が最優先だという同大統領の発言があり、日米間で協議を継続していくことを確認したと伝わった。相互関税などをめぐる軽減措置への思惑が高まるなかでショートカバーを誘う形になったようだ。指数インパクトの大きいアドバンテスト<6857.T>[東証P]が反発したこともセンチメントを明るくさせただろう。
ボリンジャーバンドの-1σ(3万3540円)が支持線として意識されるなかでショートを仕掛けづらくさせそうである。ただし、前日の下落に対する自律反発にとどまっており、節目の3万4500円辺りを越えられないと、次第に持ち高調整に伴うロング解消の動きに向かわせそうである。
NT倍率は先物中心限月で13.59倍に上昇。25日移動平均線(13.56倍)が支持線として機能する形で、一時13.63倍まで上昇した。ただし、アドバンテストが買われた一方で、東京エレクトロン<8035.T>[東証P]が下落しているため、NTロングによるスプレッド狙いの動きは強まっていない。
「米中戦争は避けられるか?不可能ではないが、起きる可能性は高い」
(グレアム・アリソン:2025年4月6日ハーバード大学での中国フォーラム)
1. トゥキディデスの罠
古代ギリシャの歴史家トゥキディデスは、紀元前5世紀の新興国アテネと覇権国スパルタとの間のペロポネソス戦争を俯瞰して、「新興大国は、必ず既存大国へ挑戦し、既存大国がそれに応じた結果、戦争がしばしば起こってしまう。戦争を引き起こした究極の原因は、アテネの国力興隆へのスパルタの恐怖心にある」という法則を見出した。
ハーバード大学の政治学者グレアム・アリソン教授は、2015年8月、英国のフィナンシャル・タイムズ紙に寄稿した『太平洋に姿を現したトゥキディデスの罠』で、米中間には相手国の理解を阻む文明的な障壁が存在しており、誤算のリスクが高まることで、「トゥキディデスの罠」が待ち受けている、と警鐘を鳴らした。
過去500年間の覇権国と新興国の対決関係16例の内、75%の12例で「トゥキディデスの罠」に陥って、戦争状態に突入している。
2.第1次米中貿易戦争(トランプ第1次政権)
【米対象金額・関税率】 【中国対象金額・関税率】
・対中関税第1弾(2018年7月6日)340億ドル(25%) 340億ドル(25%)
・対中関税第2弾(2018年8月23日)160億ドル(25%) 160億ドル(25%)
・対中関税第3弾(2018年9月24日)2000億ドル(10%~25%) 600億ドル(25%)
・対中関税第4弾(2019年9月1日)1200億ドル(15%) 750億ドル(10%~30%)
3. 第2次米中貿易戦争(トランプ第2次政権)
・2025年2月4日:対中追加関税10%
中国:報復関税(石炭と液化天然ガス:15%、原油:10%)
・3月4日:対中追加関税10%上乗せ=20%
中国:報復関税(大豆・牛肉・豚肉:10%、小麦・トウモロコシ:15%)
・4月3日:対中相互関税34%上乗せ=54%
中国:報復関税34%
・4月9日:対中相互関税50%上乗せ=104%
中国:報復関税50%上乗せ=84%
・4月10日:対中相互関税=145%(他国分は90日間停止)
中国:報復関税=125%(※これ以上の関税引き上げは意味がないとして行わない)
・4月10日:電子機器20品目を適用除外して「半導体関税」へ
・4月15日:特定品目に245%の課税
本日のロンドン為替市場では、欧州午後の欧州中央銀行(ECB)の政策金利発表やラガルドECB総裁の定例記者会見がメインイベント。昨日の米株急落のきっかけとされた「パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の早期利下げに慎重な考え」に対するラガルド総裁の見解も、注目ポイントの1つだろう。欧州金融イベントまでは、ニューヨーク市場で一気に広がったリスク回避ムードが欧州市場にも引き継がれるかに注視したい。トランプ関税を巡る報道にも依然として注意したい。
パウエルFRB議長は昨日、景気の下支えにつながる早期の利下げには慎重な考えを改めて示した。「相場の下値リスクが高まっても、いざとなればFRBが緩和に動く」という期待感(いわゆる、パウエル・プット)が萎み、ナスダック総合などは一時4%超下げる場面があった。貿易を巡る米中対立で半導体企業の収益悪化が現実味を帯び始めており、リスクセンチメントの改善には時間がかかってしまうか。
ECBが本日まで開催する定例理事会については、「政策金利を現行2.65%から2.40%に引き下げ」が市場では予想されている。足もとのユーロ圏インフレ率が2%台で落ち着いており、金利についてはサプライズなしだろう。声明では、今後の利下げペースに関する文言を探してみたい。
ラガルドECB総裁の会見でも、「次の一手」についてどのような考えが示されるか注目。前述したように、昨日にパウエルFRB議長が示したスタンスに対するコメントも注意して聞きたい。ユーロドルは1.12ドル台では下げ渋ったものの、1.14ドル台では伸び悩む展開。イースター休暇を前に、欧州の市場参加者はリスクを積極的に取りづらいと思われ、直近レンジの中で上下が続いてしまうかもしれない。
なおトルコ中銀も本日、政策金利を公表予定。主要金利は42.50%で据え置きが見込まれているものの、為替で高まっているリラの下値警戒感を和らげるために利上げを予想する声が一部で出てきた。サプライズ利上げであればリラが反発する場面はあるだろうが、先月のリラ急落のきっかけとなったトルコ政治への不信感が何ら取り除かれていないため、上げ幅は限られそうだ。
想定レンジ上限
・ユーロドル、11日高値1.1473ドル
・リラ円、日足一目均衡表・基準線3.85円
想定レンジ下限
・ユーロドル、15日安値1.1264ドル
・リラ円、3月19日安値3.61円
17日の香港市場で本土不動産株が高い。ハンセン指数構成銘柄では龍湖集団(00960)が前日比6.09%高、中国海外発展(00688)が5.29%高、華潤置地(01109)が2.05%高で前場の取引を終えた。
中国国家統計局の盛来運副局長は16日の記者会見で、同日に発表した主要70都市の住宅価格について、一線都市、二・三線都市を問わず、新築住宅、中古住宅ともに価格変動に好転が見られると述べた。この観点から、不動産規制政策の効果が現れているとした。
『格隆匯』によると、ゴールドマン・サックスのチーフ中国株ストラテジスト、劉勁津氏は16日の機関投資家との対話で、不動産市場に安定化の兆しが見られるとの見方を示した。特に一線都市では、住宅価格と土地競売活動の双方で最近は強い動きがあったと指摘。今後数カ月で不動産市場の支援策がさらに強化される可能性があるとした。
ドル円:1ドル=142.73円(前営業日NY終値比△0.85円)
ユーロ円:1ユーロ=162.00円(△0.33円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1352ドル(▲0.0047ドル)
日経平均株価:34377.60円(前営業日比△457.20円)
東証株価指数(TOPIX):2530.23(△32.20)
債券先物6月物:140.84円(▲0.27円)
新発10年物国債利回り:1.310%(△0.020%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
3月貿易統計(通関ベース)
季節調整済 2336億円の赤字 1914億円の黒字・改
季節調整前 5441億円の黒字 5905億円の黒字・改
対外中長期債
5120億円の処分超 2兆5699億円の処分超・改
対内株式
1兆437億円の取得超 1兆7835億円の取得超・改
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は上昇。前日に下落した流れを引き継いで昨年9月以来となる141.62円まで下押すも、昨日安値141.65円を割り込んだ水準で下げが一服。その後、円高・ドル安誘導を求められるとの警戒感があった日米貿易交渉に出席した赤沢経済再生相から「為替については議論が出なかった」などの発言が伝わると円売りが一気に強まり、142.50円台に上昇。「為替は加藤財務相と米財務長官で協議と米国側は理解」と経済再生相が述べると下押す場面もあったが一時的となり、15時過ぎに142.88円まで一段高となった。
・ユーロ円も上昇。日米貿易交渉を受けて円売りが強まる中、162.27円まで上昇。ただ、その後はユーロドルが下押したこともありやや上げ幅を縮小した。
・ユーロドルは上値が重い。ドル円でドル売りが強まった影響を受けて1.1409ドルまで買われたが、昨日高値1.1413ドルには届かず。その後はドル円で急速にドル買いが強まったほか、時間外の米10年債利回りが上昇したこともあり、1.1344ドルまで下押した。
・日経平均株価は反発。小幅高で寄り付き後、日米貿易交渉を受けてドル円が上昇するのをながめ、上値を広げた。その後上げ幅を縮める場面も見られたが一時的となった。台湾TSMCの決算で純利益が予想を上回ったことで東京市場でも主力株の一角に買いが入ったことも追い風となり、上げ幅は400円超となった。
・債券先物相場は反落。前日の米国債券相場が上昇した流れを引き継いで買いが先行するも、日米貿易交渉の進展期待から米関税政策に対する過度な懸念が緩和したほか、日経平均株価の上昇などもあり、安全資産とされる債券には売りが出た。この日行われた流動性供給入札が「弱め」の結果と受け止められたことも債券相場の重しとなり、一時140円57銭まで下値を広げた。
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・西?M 徹氏
韓国中銀、トランプ関税とウォン相場に配慮も、追加利下げに含み
政治的中立性を強調しつつ、米国との金利差、ウォン相場のボラティリティを注視する対応が続く
韓国では、憲法裁判所が尹錫悦前大統領の罷免を認め、次期大統領選は6月3日に実施される。政界は事実上の政治空白状態となっており、関税を巡る米国との交渉の行方は不透明である。一方、トランプ関税は韓国の対米輸出に打撃を与える懸念は高まっており、足元ではすでに鉄鋼やアルミ、自動車などへの追加関税が重石となる動きがみられる。今後は半導体への追加関税の行方も焦点となる可能性がある。
こうしたなか、韓国銀行は17日の定例会合で政策金利を2会合ぶりに2.75%に据え置いた。足元の物価は落ち着いた推移をみせる一方、通貨ウォン相場の不透明感や外貨準備高を巡る懸念が金融政策の制約要因となっている可能性がある。会合後に記者会見に臨んだ中銀の李昌?繿麹ルは、景気減速リスクや米国との金利差に言及しつつ、追加利下げを示唆するなど難しい対応を迫られている。足元のウォン相場は持ち直しの動きをみせているが、当面については不安定な展開をみせる可能性は高い。
大和証券では、想定以上の環境変化を踏まえて、日米株価をともに引き下げ方向で見直しを行っている。日経平均株価については、2024年末に作成した25年末45000円予想を4万円に下方修正している。ただし、今後の米国と各国との相互関税の引き下げ交渉は前向きに進むと予想しているほか、トランプ減税の延長や規制緩和の推進など経済押し上げ策の進展が期待できるとみていることから、過度な悲観視は避けるべきと考えている。
JPモルガンは最新リポートで、米中間の関税を巡る緊張が新たな段階に入り、100%を超える懲罰的な関税が輸出産業と関連する川上・川下産業に大きな圧力をかけると指摘した。ただ、中国本土の不動産市場への影響は間接的であり、程度も穏やかになるとの予想を示した。『AAストックス』が17日伝えた。
JPモルガンは、中国政府が輸出製品の内販支援や買い替え補助金制度など、複数の緩和策を打ち出していると指摘。これらの対策が効果を発揮するまで、関税の影響を受ける輸出事業者は短期的なキャッシュフローの圧力に直面する可能性があり、中古不動産市場での売り出しが増える可能性があると予想。ただ、広範な現象にはならないとみている。
東海東京インテリジェンス・ラボでは、金の堅調な相場展開が続いている点に注目している。トランプ政権による関税政策が米国資産に対する信頼を揺るがす要因となっており、その受け皿として金が選好されているとみている。米国が利下げ再開に慎重になる中、インド、ECBなどが利下げに動いていることも、金価格の上昇を支える要因になっていると東海東京では指摘。「トランプ関税」によるグローバル景気への影響が深刻化すれば各国が利下げの動きを強める可能性があるだけに、金価格の上昇基調は当面続く可能性が高いと考えている。
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・西?M 徹氏
中国の1-3月成長率は+5.4%も、目標(5%前後)のハードルは高い
構造問題に加え、統計に新たな疑念の動き、実態を正しく認識した上での方策が求められる
足元の世界経済と国際金融市場は、米トランプ政権の関税政策の不透明さに揺さぶられる展開が続く。米中間では関税の応酬が激化しており、米国は中国からの輸入に145%、中国も米国からの輸入に125%とともに高関税を課す異常事態となっている。
中国では、コロナ禍を経て内需が低迷したため、政府は財政・金融政策の総動員による内需喚起に舵を切った。さらに、足元の輸出はトランプ関税の発動を前にした駆け込みにより押し上げられている。よって、1-3月の景気は堅調な動きが期待されたが、実質GDP成長率は前年比+5.4%と予想を上回る伸びとなった。
個別の経済指標も、内需喚起策を反映して耐久消費財需要が押し上げられ、小売売上高や鉱工業生産は回復傾向を強めている。また、ハイテク関連を中心とする製造業の設備投資も活発に推移し、当局の政策支援が下支えしている。ただし、設備投資は国有企業が主導するなど「国進民退」が続いている。不動産市場も依然厳しい状況が続く。他方、統計の遡及改訂により信ぴょう性に疑念が生じる懸念もある。
当局は米中貿易摩擦の影響克服や経済成長率目標達成に自信を覗かせる。しかし、米中貿易摩擦による外需の低迷に加え、政策支援が招く人民元安が新たなリスク要因となる可能性はくすぶる。中国経済が抱える構造問題に留意しつつ、課題解決に向けて柔軟に対応していくことが何より求められる局面にある。
一部通信社が報じたところによると、「欧州の金融監督当局は安全資産としての米国債を疑問視している」ようだ。
大阪6月限
日経225先物 34430 +510 (+1.50%)
TOPIX先物 2535.0 +35.0 (+1.40%)
日経225先物(6月限)は前日比510円高の3万4430円で取引を終了。寄り付きは3万3970円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万3835円)にサヤ寄せする動きとはならず、やや買い先行で始まった。直後に3万3910円と下落に転じる場面もみられたが、現物の寄り付き時には3万4310円まで上げ幅を広げた。前場中盤にかけて3万4000円を割り込むも、ショートは強まらず、前場終盤にかけて再び切り返す動きとなった。ランチタイム以降は3万4210円~3万4310円処で保ち合いを継続。後場終盤にレンジを上抜け、3万4430円と本日の高値で終えた。
赤沢亮正経済財政再生相がトランプ米大統領と会談。日本との協議が最優先との同大統領の発言があり、日米間で協議を継続していくことを確認したと伝わった。相互関税などを巡って軽減措置への思惑が高まるなかでショートカバーを誘う形になったようだ。
3月26日につけた戻り高値の3万7970円から4月7日安値の3万0650円までの下落幅(7320円)の半値戻しである3万4310円処では、強弱感が対立する形だった。ただし、台湾積体電路製造(TSMC)<TSM>の予想を上回る決算を手掛かりにロングが強まったことで、終盤にかけて半値戻し水準を上回った。
グローベックスのNYダウ先物は350ドル高、ナスダック100先物は220ポイント高で推移しており、前日のエヌビディア<NVDA>やASMLホールディング<ASML>の下落の影響は落ち着いたようだ。米国でTSMCの決算を評価する形でハイテク株の買い戻しがみられるようだと、日経225先物はナイトセッションでもロング優勢の展開が期待されそうである。
ボリンジャーバンドの-1σは、ナイトセッションで3万3480円辺りに下がってきた。同バンドが引き続き支持線として意識されるものの、カイ離が広がってきたことで支持線は切り上がってくる可能性がある。半値戻し水準を上回っての推移が続くようだと、同水準と25日移動平均線(3万5390円)によるレンジとなりそうだ。トランプ大統領の発言に大きく振らされやすい状況だが、ややロング優勢の展開を想定しておきたい。
NT倍率は先物中心限月で13.58倍に上昇。25日線(13.56倍)が支持線として機能する形で、一時13.63倍まで上昇した。直近では小動きながらも上値を切り下げるチャート形状だが、25日線での底堅さはみられている。トレンドは出にくい状況であるものの、押し目では先行きのリバランスを狙ったNTロングを組成する動きが出てきそうである。
手口面(6月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万6577枚、ソシエテジェネラル証券が1万2485枚、サスケハナ・ホンコンが3880枚、JPモルガン証券が3346枚、モルガンMUFG証券が2219枚、バークレイズ証券が2031枚、野村証券が1376枚、日産証券が1297枚、SBI証券が1277枚、楽天証券が1226枚だった。
TOPIX先物は、ABNクリアリン証券が1万7830枚、ソシエテジェネラル証券が1万4020枚、バークレイズ証券が4569枚、モルガンMUFG証券が3989枚、JPモルガン証券が2866枚、ゴールドマン証券が2626枚、UBS証券が1414枚、サスケハナ・ホンコンが1247枚、ビーオブエー証券が1207枚、大和証券が1028枚だった。
本日のNY時間では、引き続き関税に関する報道で上下することになりそうだ。また、明日18日はオセアニア、アジア、欧州など多くの市場が休場になり、為替市場は主に日本と米国市場のみがオープン、米国も株式・債券市場は休場となることで、3連休を控えてポジション調整の動きには警戒しておきたい。
注目された日米関税交渉は、米国側がトランプ米大統領を含めた米政権中枢の要人が出席した。一方で日本側は、赤沢経済再生相本人自らが述べているように「格下の格下」との交渉では、合意に至るような結果が出るわけがなく、予想通りに結論は持ち越された。
ただ、会談後にトランプ大統領が「大きな進展(Big Progress!)」とSNSで発したように、実際には米国が日本に対して様々な要求をした可能性がある。この要求に対して米政権内では日本が合意すると思っている可能性がある。その反面、日本側は日本人特有な「善処する」という玉虫色の回答で時間を稼ごうとしているのかもしれない。石破政権は「最も適切な時期に訪米しトランプ大統領と直接会談することを当然考えている」と悠長な発言をしているが、次回の協議は今月中に目指すとしていることで、2週間程度で目に見える形で進展を示せるか注目される。
仮に交渉が遅々として進まない場合には、トランプ大統領は豹変し、会談後のように日本に配慮することはないだろう。2月7日に行われたトランプ大統領と石破首相の最初の首脳会談後に、石破首相は「トランプ大統領と胸襟を開いて、率直に意見を交わすことができ、内容も充実した非常に有意義な会談となった」と発言したものの、その後のトランプ大統領は日本を「ダーティ15」の国の一つとし日本を酷評している。政策だけでなく、態度や言動も二転三転するトランプ大統領なので、今月中に交渉に何も進展がない場合は、日本に対する圧力が増すことになりそうだ。
また、今回の会談で「為替について議論が出なかった」と赤沢氏は発言したが、為替の協議担当は加藤財務相であることで、加藤氏不在の中では為替については日米間で公式には声明を出すことはできなかったのは頷ける。ただし、議論はなかったものの、米国の要求の一つに為替についてあった可能性も否定はできない。
関税以外の注目点は、本日行われる欧州中央銀行(ECB)理事会後のラガルドECB総裁の会見にも注目したい。昨日のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長と同様に、関税の影響をこれまで以上に警戒しているのかを確かめたい。なお、本日は米国から住宅関連指標、米新規失業保険申請件数及び失業保険継続受給者数、フィラデルフィア連銀製造業景気指数などの経済指標が発表されるが、ここ最近は経済指標での市場の反応は限られていることで、本日も大きく動意づくのは難しいか。
・想定レンジ上限
ドル円の上値めどは、15日高値143.59円。
・想定レンジ下限
ドル円の下値は、これまでの本日安値141.62円。
今晩はもみ合いか。昨日はエヌビディアが大幅安のなりハイテク株の下落を主導したほか、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が関税による景気やインフレへの影響に懸念を示し、利下げ期待が後退したことでダウ平均が699.57ドル安(-1.73%)、S&P500が2.24%安、ナスダック総合が3.07%安と、主要3指数がそろって大幅続落した。週初来ではダウ平均が1.35%安、S&P500が1.63%安、ナスダック総合が2.50%安となった。
今晩は、翌金曜日がグッドフライデーの祝日で株式市場が休場となることで、3連休前の取引となる。3連休中のトランプ関税や貿易摩擦関係のニュースへの警戒感から積極的な取引は控えられそうだ。3月住宅着工件数などの経済指標やアメリカン・エキスプレス、ユナイテッドヘルスなどの決算をにらんだ神経質な展開となりそうだ。
今晩の米経済指標・イベントは3月住宅着工件数、新規失業保険申請件数など。企業決算は寄り前にアメリカン・エキスプレス、ユナイテッドヘルス、チャールズ・シュワブ、引け後にネットフリックスなどが発表予定。
米下院の対中委員会はバンク・オブ・アメリカとJPモルガンに対し、中国の電池大手CATL(寧徳時代)の上場案件から撤退するよう要請したと一部通信社が伝えた。
世界最大の取引量を誇る暗号資産取引所バイナンスのリチャード・テンCEOがFinancial Times紙のインタビューで「複数の国の政府に対し、戦略的なビットコイン準備金の設立についてアドバイスを行っている」と発言した。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙が伝えたところによると、米国が約100億ドル規模のクリーンエネルギー資金の削減を検討しているという。これは米エネルギー省の内部メモに基づくもので、こうした大幅な予算削減は連邦政府によるクリーンエネルギー関連プロジェクトへの資金提供を停止または縮小させる可能性がある。
ハンガリー政府は17日、2025年の財政赤字を従来の3.7%から約4%に上方修正したことを明らかにした。2026年については、引き続き3.7%の赤字目標を掲げていることも発表した。
日経平均株価は反発。やや買い優勢のスタートから上値を伸ばす展開となった。前場中盤以降は大きくだれることなく堅調に推移し、ほぼ高値引けとなる陽線を形成して終えた。
RSI(9日)は前日の46.5%→52.6%(4/17)に上昇。50%を超えて終えており、あすも上昇しやすいタイミングとなる。
5日移動平均線(34026円 4/17)を上回って終えた。10日移動平均線(33438円 同)も下げ止まる可能性が高く、25日移動平均線(35557円 同)や3/11安値(35987円)のフシまで上値を拡大できるかが焦点となる。
一方、ここから一段高に向かうためには、5日移動平均線、転換線(32716円 同)、10日移動平均線などをサポートに目先のもみ合い(値固め)が必要との見方もできる。
上値メドは、4/10高値(34639円)、心理的節目の35000円、4/2安値(35426円)、25日移動平均線、心理的節目の36000円、3/28安値(36864円)、心理的節目の37000円などがある。下値メドは、10日移動平均線、心理的節目の33000円、転換線、心理的節目の32000円、4/9安値(31258円)、4/7安値(30792円)などがある。
(17日終値:18日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=142.55円(17日15時時点比▲0.18円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=161.78円(▲0.22円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1351ドル(▲0.0001ドル)
FTSE100種総合株価指数:8275.66(前営業日比△0.06)
ドイツ株式指数(DAX):21205.86(▲105.16)
10年物英国債利回り:4.566%(▲0.037%)
10年物独国債利回り:2.472%(▲0.037%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
3月独生産者物価指数(PPI)
(前月比) ▲0.7% ▲0.2%
欧州中央銀行(ECB)、政策金利
2.40%に引き下げ 2.65%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ユーロドルはもみ合い。海外の主要市場が明日からイースター休暇入りするほか、本日は聖金曜日の祝日(グッドフライデー)の前日で米債券市場が短縮取引。流動性が薄く、大きな方向感は出なかった。欧米市場では1.1336-88ドルでのレンジ相場が続いた。
欧州中央銀行(ECB)はこの日、市場予想通り政策金利を0.25%引き下げることを決めたと発表。声明では「インフレ抑制のプロセスは軌道に乗っている」との認識を示し、「景気抑制的」との文言を削除した。また、成長見通しについては通商の緊張により悪化しているとの見解を示した。
また、ラガルドECB総裁は理事会後の会見で「経済成長は下方向へのリスクが増している」「経済見通しは異例の不確実性により不透明になっている」「通商の争いが物価見通しの不透明性を増している」などと話した。
・ドル円は上値が重かった。日米通商協議で「為替については議論が出なかった」ことを背景に、欧州勢参入後も買い戻しが継続。17時30分前に一時143.08円と日通し高値を付けた。
ただ、前日の高値143.28円が目先レジスタンスとして意識されると失速した。トランプ米大統領がSNSへの投稿で「パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長を一刻も早く解任すべきだ」と批判したことも嫌気された。4月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数が▲26.4と予想の2.0を大幅に下回ったこともドル売りを促し、一時141.91円付近まで値を下げた。ダウ平均が一時700ドル超下落したほか、高く始まったナスダック総合がマイナス圏に沈んだことも相場の重し。
もっとも、アジア時間に付けた昨年9月以来の安値141.62円が目先サポートとして働くと買い戻しが入り、142.64円付近まで下げ渋った。
・ユーロ円も上値が重かった。17時30分前に一時162.63円と日通し高値を付けたものの、買い一巡後は徐々に上値を切り下げた。24時前には一時161.25円と日通し安値を更新した。ドル円につれた動きとなった。
・トルコリラは上昇。対ドルでは一時37.9962リラ、対円では3.74円まで値を上げた。トルコ中銀はこの日、市場の据え置き予想に反して政策金利を46.00%に引き上げることを決めたと発表。利上げは2024年3月以来、12会合ぶりとなる。声明では「国内需要が予想を上回っている」とし、「足もとでインフレが今後加速する可能性がある」と説明した。
・ロンドン株式相場は小幅ながら6日続伸。足もとで相場上昇が続いたあとだけに、利益確定目的の売りが先行したものの、終盤持ち直した。セグロやランド・セキュリティーズ・グループなど不動産株が買われ、相場を下支えした。BPやシェルなどエネルギー株も堅調だった。半面、米中貿易摩擦の激化懸念が相場の重しとなり、上値は限定的だった。
・フランクフルト株式相場は4日ぶりに反落。買い先行で始まったものの、米中貿易摩擦の激化懸念が引き続き相場の重しなりすぐに失速した。なお、欧州中銀(ECB)はこの日の定例理事会で政策金利を0.25%引き下げたものの、市場予想通りの結果となったため、反応は限られた。
・欧州債券相場は上昇。景気動向次第でECBが追加の利下げに動くとの見方から、独国債が買われた。
17日の日経平均は大幅反発。終値は457円高の34377円。16日の米国株は大幅安となったが、日本株はネガティブな材料を先んじて消化していたことから、寄り付きは小幅高。開始直後に日米交渉で為替が議論にならなかったと伝わると、ドル円が大きく円安に振れて指数も一気に上げ幅を300円超に広げた。いったん萎んだものの、上げ幅を2桁に縮めたところで盛り返し、前引けは300円近い上昇。後場はTSMCの決算発表を前に14時半までは小動きが続いた。出てきたTSMCの決算は良好な内容で、終盤にかけては一段高。400円を超える上昇となり、高値圏で取引を終えた。
東証プライムの売買代金は概算で3兆7400億円。業種別では石油・石炭、保険、銀行などが大幅上昇。下落は水産・農林と倉庫・運輸の2業種のみで、小売が小幅な上昇にとどまった。住友ファーマ<4506.T>が場中は値が付かずストップ高比例配分。京都大学iPS細胞研究所などがiPS細胞を使ったパーキンソン病の臨床試験で安全性と有効性を示唆する結果を得たと日本経済新聞が報じており、記事内で実用化を目指す協力企業として名前の挙がった同社に買いが殺到した。半面、フジ・メディア・ホールディングス<4676.T>が後場急落。SBIホールディングスの北尾吉孝会長兼社長が13時30分から同社について会見を行っており、株価はいったん買われた後に急失速するなど荒い動きとなった。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1183/値下がり398。日米交渉を通じて日本の防衛負担増が意識されたことから、川崎重工やIHIが人気化。日本アビオニクスや東京計器など中小型の防衛株にも資金が向かった。アドバンテスト、レーザーテック、SCREENなど半導体株の多くが大幅上昇。日立、NEC、ソニーGなど電機株の動きが良かった。シティインデックスイレブンスから株主提案に関する書面を受領したと公表した日本農薬が急騰した。
半面、為替が円安に振れたことから、円高メリット銘柄とみられている神戸物産やニトリHDが象徴的に売りに押された。トヨタや日産自動車は円安を好感できず逆行安。スギHD、マツキヨココカラなどドラッグストア株や、ライフコーポレーション、アークスなど食品スーパー株の弱さが目立った。
日経平均は前日の下げ分(347円安)を取り戻す大幅高。後場にTSMCの決算を受けて上げ幅を広げており、半導体に対する過度な警戒が高まらなかったことはポジティブ。節目の34000円や5日線(34026円、17日時点)を上回って終えており、本日の米国株が大崩れしなければ、あすはこれらがサポートとして機能するだろう。
金曜18日の米国は聖金曜日で休場となるため、あすの日本株は本日の米国株の影響を大きく受けると思われる。大幅安となったエヌビディアが切り返すかどうかが注目される。今週の日経平均はここまで4桁高も4桁安もなく、値動きが落ち着いてきた。きょうの時点(終値:34377円)で先週末の終値33585円(4/11)からは800円近く上昇している。荒れ相場の翌週に強い買いが入ったことは下値不安を和らげる。週間で4桁の上昇が見られるかに注目したい。
米ウォールストリートジャーナル(WSJ)紙が関係者の話として報じたところによると、「トランプ米大統領はケビン・ウォーシュ元FRB理事とパウエルFRB議長の後任について非公式に協議した」ようだ。なお、ウォーシュ氏はパウエル議長を解任しないように助言したもよう。
一部通信社が報じたところによると、「欧州連合(EU)は米国との貿易交渉が決裂した場合、米国への輸出規制を検討する」ようだ。
(17日終値)
ドル・円相場:1ドル=142.43円(前営業日比△0.55円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=161.88円(△0.21円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1365ドル(▲0.0034ドル)
ダウ工業株30種平均:39142.23ドル(▲527.16ドル)
ナスダック総合株価指数:16286.45(▲20.71)
10年物米国債利回り:4.32%(△0.05%)
WTI原油先物5月限:1バレル=64.68ドル(△2.21ドル)
金先物6月限:1トロイオンス=3328.4ドル(▲18.0ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
3月米住宅着工件数
132.4万件 149.4万件・改
建設許可件数
148.2万件 145.9万件
4月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数
▲26.4 12.5
前週分の米新規失業保険申請件数
21.5万件 22.4万件・改
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は反発。トランプ米大統領がSNSに「パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長を一刻も早く解任すべきだ」と投稿したことを受けて売りが先行。4月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数が▲26.4と予想の2.0を大幅に下回ったこともドル売りを促し、一時141.91円付近まで値を下げた。ダウ平均が一時700ドル超下落したほか、高く始まったナスダック総合がマイナス圏に沈んだことも相場の重し。
ただ、アジア時間に付けた昨年9月以来の安値141.62円が目先サポートとして働くと買い戻しが優勢となり、3時過ぎには142.72円付近まで持ち直した。もっとも、「トランプ米大統領はパウエルFRB議長の解任について非公式に協議した」との報道が伝わると、買い戻しの勢いは弱まった。なお、ケビン・ウォーシュ元FRB理事やベッセント米財務長官はパウエル氏の解任に反対したようだ。
・ユーロドルは反落。欧州中央銀行(ECB)はこの日、市場予想通り政策金利を0.25%引き下げることを決めたと発表。声明では「インフレ抑制のプロセスは軌道に乗っている」との認識を示し、「景気抑制的」との文言を削除。成長見通しについては通商の緊張により悪化しているとの見解を示した。
また、ラガルドECB総裁は理事会後の会見で「経済成長は下方向へのリスクが増している」「経済見通しは異例の不確実性により不透明になっている」「通商の争いが物価見通しの不透明性を増している」などと話した。
ただ、相場は大きな方向感が出なかった。海外の主要市場が明日からイースター休暇入りするほか、本日は聖金曜日の祝日(グッドフライデー)の前日で米債券市場が短縮取引。流動性が薄く、方向感に乏しい展開だった。NY市場では1.1336-86ドルでの狭い範囲内での推移にとどまった。
・ユーロ円は続伸。24時前に一時161.25円と日通し安値を付けたものの、売り一巡後は徐々に下値を切り上げた。4時前には162.00円付近まで持ち直した。ドル円につれた動きとなった。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は3日続落。予想を下回る四半期決算を発表したユナイテッドヘルス・グループが22%超急落し、1銘柄でダウ平均を600ドル超押し下げた。米関税政策や米中貿易摩擦への不透明感が根強い中、3連休を前にポジション調整目的の売りも出やすかった。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も3日続落した。
・米国債券相場で長期ゾーンは4日ぶりに反落。前日にパウエルFRB議長が早期利下げに慎重な見方を示したことから、売りが優勢となった。なお、この日は聖金曜日の祝日(グッドフライデー)の前日で短縮取引だった。
・原油先物相場は続伸。米政権がイランや中国に対する圧力を強めていることを受けて供給リスクを意識した買いが優勢となった。
・金先物相場は3日ぶりに反落。昨日大きく買い上げられた反動から売りが優勢となった。米3連休を前にポジション調整目的の売りも出た。
17日06:54 トランプ米大統領
「貿易を巡り日本の代表団と会談」
「日本の代表との間で大きな進展があった」
17日19:17
「パウエルFRB議長は常に遅すぎ、そして間違っている」
「FRBはずっと前に金利を引き下げるべきであった」
「米国は関税で豊かになっている」
18日01:07
「EUとの貿易協定に非常に自信がある」
「米国とイタリアは非常に良好な関係にある」
「誰もが私の優先事項だ」
「我々は公正な協定を結ぶつもりだ」
「貿易合意の発表を急ぐ必要はない」
「鉱物資源取引の合意は24日に署名される」
「パウエルFRB議長は常に後れを取っている」
「パウエルFRB議長が任務をこなしているとは思わない」
「金利をいま引き下げるべきだ」
「欧州は私にとって非常に重要」
17日08:59 シュミッド米カンザスシティー連銀総裁
「米経済は依然として好調」
「農業セクターは関税に対して非常に神経質になっている」
「責務に影響を与える可能性がある混乱には対応する」
17日09:03 赤沢経済再生相
「(米国との協議で)為替については議論が出なかった」
「(米国との協議で)米関税は極めて遺憾と伝え、見直しを求めた」
「次回の協議は今月中を目指す」
「双方が建設的に議論し、首脳間で発表できるよう目指す」
「交渉の具体的な内容についてはコメントを控える」
「米大統領との会談にはベッセント米財務長官とグリア通商代表部(USTR)代表も参加」
「為替はファンダメンタルズを反映して決まる」
「為替は加藤財務相と米財務長官で協議と米国側は理解している」
「円安誘導はやった覚えはない」
※日米貿易交渉について
「率直かつ建設的な議論が行われたと報告受けた」
「次につながる協議であり、評価する」
「今後は閣僚級で協議を継続」
17日10:12 植田日銀総裁
「実質金利は極めて低い水準」
「金融政策は先行きの経済・物価・金融情勢次第」
「これまでの経済・物価は見通しに概ね沿って推移している」
「基調的な物価上昇率は徐々に高まってきている」
「経済・物価見通しが実現していけば利上げで緩和を調整」
「内外経済や物価を丁寧に確認し、見通し実現の確度を点検」
「各国の通商政策を巡る不確実性に十分注意していく」
「米関税政策を巡る不確実性は急速に高まっている」
「米関税政策を含めて内外の経済・物価・市場動向を丁寧に確認」
17日10:37 中川・日銀審議委員
「関税政策の影響含め、不透明感が一層高まっている状況」
「内外の経済・物価・金融市場の動向を予断持たず丁寧に確認、適切に政策判断」
「現在の実質金利踏まえると、経済・物価の見通し実現していくとすれば引き続き緩和度合い調整していくことになる」
※時間は日本時間
17日16:23 中国商務省
「中国は米政権との協議に応じる用意がる」
17日21:22 欧州中央銀行(ECB)声明
「声明では、金利が制限的であるとの言及を省略」
「インフレ率が中期目標である2%で持続的に安定することを目指す」
「インフレ率は予想通りに推移している」
「貿易摩擦に対する市場の非常に不安定な反応は、資金調達条件に引き締めの影響を与えそうだ」
「現在の例外的な不確実性の状況では、データに依存し、会合ごとのアプローチをとる」
「基調的なインフレ率の大半の指標は、インフレ率が中期目標である2%程度に持続的に落ち着くことを示唆している」
「特定の金利パスを事前に確約していない」
「賃金の伸びは緩やかになっている」
17日21:46 ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁
「関税が今年のインフレ率を押し上げ、成長率を低下させるだろう」
「インフレ期待が今注目すべき重要なポイント」
「最近のインフレ率は良いニュースだが、まだ目標を上回っている」
「関税は今年のインフレに間違いなく影響、いつまで続くかは不明」
「今年の成長率は大幅に低下する可能性が高く、失業率は上昇」
「景気後退に関する予測は行わない」
「物価の一時的な変化が長期的に影響しないことを確認する必要がある」
17日21:57 ラガルドECB総裁
「経済成長は下方向へのリスクが増している」
「経済見通しは異例の不確実性により不透明になっている」
「ユーロ圏の競争力、強じん性の強化が課題」
「通商の争いが物価見通しの不透明性を増している」
「関税の影響はいまだに明確でない」
「利下げの決断は全会一致だった」
「0.5%の利下げを主張した者はいなかった」
「金融市場の逆風的な反応は、インフレを低下させる可能性」
「強いユーロはインフレを押し下げる可能性」
「数週間前には、利下げを見送ることを支持する総裁も複数いた」
「我々は2%の目標を達成するために必要なことは何でもやる決意だ」
17日22:17 シェインバウム・メキシコ大統領
「トランプ米大統領との電話会談は生産的だった」
「両国に利益をもたらす合意に向けて対話を継続していく」
17日22:24 中国の習近平国家主席
「貿易戦争は多国間貿易体制を損ない、世界経済秩序を混乱させる」
18日00:14 ゲオルギエバ国際通貨基金(IMF)専務理事
「貿易摩擦は各国に地域貿易への注力を促すことになる」
「世界経済の減速が見られ、企業が計画を立てられるよう不確実性を減らす必要」
「米国の成長促進策の一部が前進しているのは良いこと」
「米国経済が強いことは世界全体の安定要因」
「経済状況が大きく変化していることを認識しており、税制を含む他の分野でも政策転換が見込まれる」
「実体経済は機能しており、労働市場も非常に堅調」
18日01:34 ベッセント米財務長官
「日本との協議は非常に満足のいく方向に進んでいる」
※時間は日本時間
<国内>
○08:30 ☆ 3月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食品を除く総合、予想:前年比3.2%)
○08:30 ☆ 3月全国CPI(生鮮食料品・エネルギー除く、予想:前年比2.9%)
○未定 ◇ 4月月例経済報告
<海外>
○24:00 ◎ デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、講演
○聖金曜日の祝日(グッドフライデー)で豪州、NZ、香港、シンガポール、インド、ドイツ、スイス、フランス、スウェーデン、ノルウェー、南アフリカ、英国、カナダ、メキシコ、ブラジルなど休場。米国は株式・債券・商品市場が休場。
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
17日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、トランプ米大統領による「パウエルFRB議長を一刻も早く解任すべきだ」との投稿やダウ平均の700ドル超下落を受けて141.91円付近まで下落した後、142.72円付近まで持ち直した。ユーロドルは欧州中央銀行(ECB)理事会での政策金利0.25%引き下げにも関わらず、1.1336ドルから1.1386ドルでの狭い範囲内での推移にとどまった。
本日の東京外国為替市場のドル円は、まずは3月の全国消費者物価指数(CPI)を確認。ただしその後は、主要な海外市場がグッドフライデー休場のため動きづらい展開が予想される。
8時30分発表の3月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食品を除く総合)は前年比+3.2%予想と2月同比+3.0%から上昇見込み。3月までは、政府の電気・ガス料金の補助金により0.3%程度ほど低く抑えられている。そのため日本の物価動向の見極めは、来週発表の4月全国CPIの先行指標である同月東京都区部CPIを待つことになる。
植田日銀総裁は昨日、「米関税政策を巡る不確実性は急速に高まっている。内外の経済・物価・市場動向を丁寧に確認していく」と述べていた。不確実性が払拭されない限り追加利上げを先送りする可能性を示唆していた。
昨日の第1回日米貿易交渉は、欧米のメディアが「関税交渉の試金石」「実験用のモルモット」「危険を事前に知らせる炭鉱のカナリア」などと評して注目度が高かった。しかし、警戒されていたような貿易不均衡是正に向けたドル安・円高といった「プラザ合意」的な為替協議はならず。今後は、来週の日米財務相会談や月内に予定されている第2回日米貿易交渉に注目していくことになる。
なお赤沢経済再生相は為替協議はなかったと述べ、「新プラザ合意」的な構想に対しては否定的な見解を示していた。
昨日の赤沢経済再生相とトランプ米大統領との会談では、安全保障面での在日駐留米軍の思いやり予算増額や防衛費増額などが話し合われたもよう。「ミラン論文」のシナリオ通りに、関税と為替、外交安保がリンクされていることが窺える。ミランCEA委員長は先日、「米国の巨額の貿易赤字が製造業の能力を損なっており、相互関税などで貿易不均衡を是正し、国内製造業の強化を図ることは国家安全保障に重要」との認識を示していた。
また昨日は、トランプ米大統領が「パウエルFRB議長を一刻も早く解任すべきだ」と投稿。トランプ大統領は解任について非公式に協議したとの報道が伝えられた。かつてボルカー第12代FRB議長は、(トランプ氏が尊敬している)レーガン第40代米大統領による介入を嫌気して辞表を叩きつけたこともあるため、今後の関連報道には警戒しておきたい。
大阪6月限ナイトセッション
日経225先物 34510 +80 (+0.23%)
TOPIX先物 2546.0 +11.0 (+0.43%)
シカゴ日経平均先物 34465 +35
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
17日の米国市場は、NYダウ、ナスダックが下落した一方で、 S&P500は上昇。予想を下回る決算を発表したユナイテッドヘルス・グループ<UNH>が22%超急落し、NYダウを押し下げた。中国向けのAI半導体が米政府の輸出規制の対象となったと発表し、前日に7%近く下げていたエヌビディア<NVDA>の売りが続いた。その他、トランプ米大統領は米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長を批判し、解任する可能性に言及したことも金融市場の先行き不透明感を強めた。
S&P500業種別指数は、医薬品・バイオテクノロジー、食品・生活必需品小売、家庭用品・パーソナル用品が上昇。半面、ヘルスケア機器・サービス、半導体・同製造装置、保険が下げた。NYダウ構成銘柄では、ユナイテッドヘルス・グループ、エヌビディアのほか、アムジェン<AMGN>、セールスフォース<CRM>、マイクロソフト<MSFT>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>が下落。ナイキ<NKE>、ボーイング<BA>、ホーム・デポ<HD>、プロクター・アンド・ギャンブル<PG>が買われた。
シカゴ日経平均先物(6月限)清算値は、大阪比35円高の3万4465円だった。日経225先物(6月限)のナイトセッションは、日中比変わらずの3万4430円で始まり、3万4270円まで下げた後は利食いを交えながらもロング優勢の展開となった。米国市場の取引開始後に3万4600円に乗せると、中盤にかけて3万4740円まで買われる場面もみられた。終盤にかけて持ち高調整の動きから上げ幅を縮め、3万4510円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、やや買い先行で始まることになりそうだ。NYダウの下げはユナイテッドヘルス・グループの急落によるものであり、東京市場に与える影響は限られそうである。トランプ大統領は日米の関税交渉について自身のSNSに「生産的だった」と投稿しており、今後の交渉に対する期待感からショートを仕掛けづらくさせそうである。
日経225先物はナイトセッションで一時3万4740円まで買われ、16日につけた高値(3万4630円)を上回ったことで、ショートカバーを誘う形になりそうだ。ボリンジャーバンドの-1σ(3万3480円)からのカイ離が広がるなかで、節目の3万5000円及び25日移動平均線(3万5390円)が射程に入ってきている。週末要因もあって積極的な上値追いの動きは期待しづらいものの、押し目待ち狙いのロングについては、エントリーポイントを引き上げてきそうだ。
週足の-1σは3万5070円に位置しており、オプション権利行使価格の3万4250円から3万5000円のレンジを想定する。
17日の米VIX指数は29.65(16日は32.64)に低下した。3日以来、10営業日ぶりに30.00を下回っている。25日線(27.66)が支持線として機能しているため楽観視はできないものの、ややリスク選好に向かわせそうだ。
昨日のNT倍率は先物中心限月で13.58倍に上昇。25日線(13.56倍)が支持線として機能する形で、一時13.63倍まで上昇した。トレンドは出にくい状況であるが、前日の引け後に計画を上回る決算を発表したディスコ<6146.T>[東証P]が評価されるようだと、ややNTロングに振れやすくなるだろう。米国ではエヌビディアが売られたが、フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)の下落率は0.6%程度であり、指数インパクトの大きい値がさハイテク株への売り圧力は強まらないとみておきたい。
東京市場は小動きか。米国株はまちまち。ダウ平均とナスダックが下落した一方、S&P500が上昇した。ダウ平均は527ドル安の39142ドルで取引を終えた。値幅を伴った下げとなったが、これは構成銘柄のユナイテッドヘルス・グループが決算を受けて22.4%安と急落した影響が大きい。S&P500は概ねプラス圏で推移し、ナスダックはプラス圏とマイナス圏を行き来するなど、全体では方向感が定まらなかった。ドル円は足元142円40銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが大証日中終値と比べて35円高の34465円、ドル建てが140円高の34570円で取引を終えた。
本日の米国は聖金曜日で休場。ほかにも休場が多く、市場参加者の減少が予想される。ダウ平均の大幅安は個別要因であるだけに、きょうは上にも下にも動きづらいと予想する。CME225先物からは強めのスタートが想定されるが、買い材料には乏しい中、高く始まったとしても上値は重いだろう。一方、前日に日米交渉を波乱なく消化していることから、マイナス圏に沈むようなら下値は拾われるとみる。場中は大きく値幅が出ればそれを打ち消す動きが出てきて、次第にこう着感が強まると予想する。日経平均の予想レンジは34200円-34600円。
18日の香港株式市場は聖金曜日(グッドフライデー)の祝日につき休場。週明け21日はイースターマンデーの休日で休場となり、取引は22日(火)から再開される。
昨日の海外市場では、ドル円は欧州時間に一時143.08円まで値を上げる場面もみられましたが、その後はトランプ米大統領がパウエルFRB議長への利下げや退任をあからさまに要求したほか、4月米フィリー指数が予想を遥かに下回るネガティブサプライズの数字となると、買われていたダウ平均が一転して720ドルを超える下落。つれるかたちで141.91円まで値を下げることになりました。ただ、アジア時間の安値141.62円が意識されたこともあり、米長期金利の上昇につれて142.72円まで買い戻されるなど、イースター休暇を前に米債券市場が短縮取引となるなか、方向感のない動きとなりました。
クリスマス同様に、日本以外のほぼ全ての市場が休場となっているグッドフライデーの週末は、当然のことながら、本邦勢のフローのみの相場。早朝の安値142.22円から、仲値にかけての実需買いを受けて142.44円まで値を戻しているといったところです。
いずれにしても、ドル円は日米通商協議において、漠然とした「為替議論」への妄想が現実に引き戻されたわけですが、来週、イースター休暇明けにも予定されている日米財務相会合における「為替議論」にもまた、同様の妄想。これまでの財務相会合で何度も議論されている、G20やG7声明における為替合意を改めて確認するという現実に再び引き戻されることになるのであれば、既にかかる売り仕掛けが食傷気味となって一足お先にしっかりとした買いが入り始めている日経平均とコラボして、ポジション調整としてのショートカバーか加速する可能性も出て来ています。
日経225先物は11時30分時点、前日比200円高の3万4630円(+0.58%)前後で推移。寄り付きは3万4450円と、シカゴ日経平均先物(3万4465円)にサヤ寄せする形から、やや買い先行で始まった。現物の寄り付き直後に3万4270円と下落に転じる場面もみられたものの、下へのバイアスは強まらず、ほどなくしてプラス圏を回復。中盤にかけてリバウンド基調を強め、3万4680円まで上げ幅を広げる場面もみられた。
米国市場でエヌビディア<NVDA>の下げが続いていることもあり、アドバンテスト<6857.T>[東証P]や東京エレクトロン<8035.T>[東証P]など指数インパクトの大きい値がさハイテク株の一角が売られ、日経平均型の重荷になった。ただし、トランプ米大統領に続き、ベッセント米財務長官においても、赤沢亮正経済財政再生相との関税交渉を評価したコメントをSNSに投稿しており、今後の交渉進展への期待感からショートを仕掛けづらくさせている。
日経225先物は3月26日の高値3万7970円から4月7日の安値3万0650円までの下落幅の半値戻し(3万4310円)水準を明確に上抜けてきたことで、ショートカバーを誘う形になりやすいだろう。週末要因から後場は膠着感が強まるものの、節目の3万5000円が射程に入っているため、押し目待ち狙いのロング対応に向かわせそうだ。
NT倍率は先物中心限月で13.56倍に低下。一時13.52倍まで下げており、25日移動平均線(13.56倍)を下回る場面もみられた。指数インパクトの大きい半導体株の弱さが目立つなか、NTショートに振れる形となったようだ。
「全会一致で利下げが決まったのは、政策担当者が経済成長に付随するリスクをいかに深刻にとらえているかの表れ」(ラガルドECB総裁)
2025年4月17日に開催された欧州中央銀行(ECB)理事会では、予想通りに中銀預金金利の0.25%の利下げが全会一致で決定された。
ECBはこれまで金利の中立水準を1.75-2.25%としてきており、今回この上限に達したが、政策当局は概念的には重要だが政策決定には重要ではないとしている。
年末までに予想される政策金利引き下げ幅は、0.65%前後まで広がっており、利下げ回数はあと2回ではなく3回になることが想定されている。
1.欧州中央銀行(ECB)の金融政策正常化(※中銀預金金利)
■2025年4月17日: 2.25%(第7次利下げ)▲0.25%
・限界貸出金利 :2.75%(2.90%)
・リファイナンス金利:2.40%(2.65%)
・中銀預金金利 :2.25%(2.50%)
■2025年3月6日: 2.50%(第6次利下げ)▲0.25%
■2025年1月30日: 2.75%(第5次利下げ)▲0.25%
■2024年12月12日: 3.00%(第4次利下げ)▲0.25%
■2024年10月17日: 3.25%(第3次利下げ)▲0.25%
■2024年9月12日: 3.50%(第2次利下げ)▲0.25%
■2024年7月18日: 3.75%(据え置き)
■2024年6月6日:▲0.25%=3.75%(第1次利下げ)
■2024年4月11日~2023年10月26日:4.00%(据え置き)
■2023年9月14日:+0.25%=4.00%(第10次追加利上げ)
■2023年7月27日:+0.25%=3.75%(第9次追加利上げ)
■2023年6月15日:+0.25%=3.50%(第8次追加利上げ)
■2023年5月4日:+0.25%=3.25%(第7次追加利上げ)
■2023年3月16日:+0.50%=3.00%(第6次追加利上げ)
■2023年2月2日:+0.50%=2.50%(第5次追加利上げ)
■2022年12月15日:+0.50%=2.00%(第4次追加利上げ)
■2022年10月27日:+0.75%=1.50%(第3次追加利上げ)
■2022年9月8日:+0.75%=0.75%(第2次追加利上げ)
■2022年7月21日:+0.50%=ゼロ(第1次利上げ)
2.声明文:「景気抑制的」の文言を削除
「ディスインフレのプロセスは順調に進んでいる」
「インフレ抑制のプロセスは軌道に乗っている」
「成長見通しについては通商の緊張により悪化している」
「不確実性の高まりは家計や企業の信頼感を低下させる可能性が高く、貿易面での緊張に対する市場の否定的でボラタイルな反応は資金調達状況に引き締め効果をもたらす可能性が高い。これらの要因はユーロ圏の経済見通しをさらに悪化させる可能性がある」
※削除「金融政策の実質的な制約度が低下」
3.ラガルドECB総裁
「金融引き締め度合いを評価することは意味がない」
「トランプ関税は需要へのマイナスショックであることは承知している。経済成長に一定の影響を与えることは予想できるが、インフレへの純粋な影響は、時間の経過とともに明らかになる」
「世界的な貿易混乱の拡大は、ユーロ圏のインフレ見通しにさらなる不確実性をもたらしている」
「世界的なエネルギー価格の下落とユーロ高は、インフレに更なる下押し圧力をかける可能性がある」
「ユーロ圏経済の生産性、競争力、そして回復力を高めるための財政政策と構造政策が、これまで以上に急務となっている」
本日はドイツやフランス、英国などが聖金曜日(グッドフライデー)の祝日。米国は連邦祝日ではないものの、株式・債券・商品市場は休場だ。為替は取引されるが、市場参加者が少ないなかでは動意は高まりづらいだろう。本邦勢の取引終了後は流動性が一層低下し、スプレッドも広がることが見込まれる。
流動性が極端に悪くなるなかで、注意すべきはやはりトランプ米大統領だろう。昨日はメローニ伊首相がホワイトハウスを訪れた際、トランプ大統領は欧州連合(EU)との貿易合意に自信を示した。「公正な合意になる」と同大統領は発言していたが、これまでの流れを考えると「公正=米国側に優位」という意味に捉えてほうが良いだろう。トランプ氏が「急いでいない」と述べていることからも、EUへの圧力を今後も強めていくのではないか。
中国に対しては、トランプ大統領から「中国と関税巡り協議している」「中国と取引するつもりだ」と両者の溝が埋まりつつあることを強調している。米中は互いに100%以上の高関税をかけあい我慢比べの様相となっているが、両国のリーダーは自らが歩み寄ったという弱腰の姿勢は見せたくないはずだ。ここからは通商担当者のまとめ方が重要となってくるだろう。
ほか気になるのは、一部通信社が伝えた欧州当局トップの「米国債の安全資産としての地位を疑問視」という見解。足もとで債券市場は落ち着きを取り戻したものの、トランプ関税をきっかけとしたパニック売りは記憶に新しい。変わりつつある米国債への見方はドルの信認にも関わるため、債券市場の動向や関連報道には注意しておきたい。
想定レンジ上限
・ユーロドル、14日高値1.1425ドル
想定レンジ
・ユーロドル、16日安値1.1281ドル
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・西?M 徹氏
インフレ加速も追加利下げの可能性残る、NZドル相場の行方は?
NZドルの動意は米ドル相場がカギを握るが、RBNZの利下げ観測が上値を抑える展開も
足元の世界経済と国際金融市場は、米トランプ政権の関税政策の不透明感の影響を受けている。中国をはじめとするアジア新興国への相互関税の行方は、ニュージーランド経済に間接的に悪影響を与えると懸念される。こうしたなか、ニュージーランド準備銀行(RBNZ)は利下げを継続する一方、緩和ペースを鈍化させた。追加利下げに含みを持たせたが、トランプ関税の景気や物価への影響を見定める思惑がうかがえる。
1-3月のインフレ率は生活必需品を中心とする物価上昇を受けて前年比+2.5%に加速したが、引き続き目標域に収まっている。また、コアインフレ率は前年比+2.6%と丸4年ぶりに目標域に収束し、全般的にインフレ圧力が後退している。今後は物価を押し上げたガソリンや教育費などの一時的な影響も一巡が見込まれる。為替市場では、NZドルは景気低迷やRBNZの利下げが重石となってきたが、米ドル安により下げ止まる動きをみせる。今後も米ドル相場の行方が対円相場にも大きく影響を与える展開が続こう。
ドル円:1ドル=142.33円(前営業日NY終値比▲0.10円)
ユーロ円:1ユーロ=161.82円(▲0.06円)
ユーロドル:1ユーロ=1.1370ドル(△0.0005ドル)
日経平均株価:34730.28円(前営業日比△352.68円)
東証株価指数(TOPIX):2559.15(△28.92)
債券先物6月物:141.08円(△0.24円)
新発10年物国債利回り:1.285%(▲0.020%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
3月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く総合)
前年同月比 3.2% 3.0%
3月全国CPI、生鮮食料品・エネルギー除く
前年同月比 2.9% 2.6%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円はもみ合い。グッドフライデーで多くの海外勢の多くが不在のなか、142.22円まで下押し後は仲値に絡んで142.40円台まで切り返すも、いずれも一時的。その後は142.30円を挟んでの往来が続いた。なお、3月全国消費者物価指数(CPI)は、生鮮食料品除く総合(前年比)が+3.2%/生鮮食料品・エネルギー除く(前年比)は+2.9%とそれぞれ予想に沿った結果だった。
・ユーロ円も小動き。ドル円に連れて161.74円まで下落後に162.10円まで切り返すも、いずれも一時的。その後は161円台後半でのもみ合いとなった。
・ユーロドルは様子見。市場参加者が減少する中で動意も高まりづらく、1.13ドル台後半で方向感を模索する展開となった。
・日経平均株価は続伸。前日の米株安を受けて序盤は下押すも、売り一巡後は買戻しが優勢となった。もっとも、イースター休暇で主要な海外市場が休場となる中で盛り上がりに欠けた。
・債券先物相場は反発。持ち高調整の買いが先行するも、イースター休暇で市場参加者が少ないなかでは限定的であった。なお、植田日銀総裁は「為替相場は経済・金融のファンダメンタルズに沿って安定推移が重要」「基調的な物価上昇率が2%に向けて高まっていくとの見通しが実現していくか、予断持たず点検していく」などと発言したが反応は薄かった。
トランプ米大統領は17日、米国が対中関税を145%に引き上げた後、中国が米国に複数回接触し、交渉に応じる意向を示したと発言した。『信報』が18日伝えた。
トランプ氏はホワイトハウスで記者団に対し、米中両政府の関係者が接触しており、最終的には合意に至るとの見通しを示した。また、中国への関税をさらに引き上げる意向はないとした。
動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の問題については、米中の貿易協議が合意した後に処理する考えを示した。
トランプ氏は今週初め、中国が米国に接触するのを待っていると公言。ホワイトハウス報道官も同様に、「ボールは中国側にある」と述べていた。
一方、中国商務省は、米国による度重なる高関税の賦課について「数字遊びに過ぎない」と指摘。米国が関税による数字遊びを続けるならば、中国は相手にしないと表明。しかし、米国が中国の利益を侵害し続けるならば、断固として対抗すると強調した。
一部報道が伝えたところによると、本日の衆院財務金融委員会に植田日銀総裁が出席するという。午前11時56分からの予定となっている。
大和証券では、財務省の「対外及び対内証券売買契約等の状況」において、非居住者による株式・投資ファンド持ち分の買い越し額が3月30日~4月5日に1.78兆円、4月6日~12日に1.04兆円と、2週連続で合計2.83兆円と大幅な買い越しとなっていたことに注目している。外国人投資家は4月7日にTOPIXが底を入れる前から日本株の買い越しに転じ、ボトムフィッシュ(底値買い)を行っていた可能性があるとみている。4月4日から17日にかけてのTOPIX回復局面では非鉄金属、電気機器、機械がアウトパフォームしていたとのこと。TOPIXの回復が続く場合にはこれに近い物色が継続する可能性があると大和では考えている。
モルガン・スタンレーMUFG証券では、5月の本決算ではパンデミックの時のように、ガイダンスを公表しない銘柄が増える可能性があると考えている。2020年のパンデミックでは、外需型製造業でガイダンスの非開示が目立ったとのこと。また、当時の非開示銘柄の株価反応は、決算公表前後にパフォーマンスが改善し、4-6月期決算にかけてパフォーマンスが悪化したと指摘している。MSMUFGでは、外需型製造業でガイダンスが開示されなかった場合、ガイダンス・リスクは4-6月期決算が公表される夏場まで先延ばしされると考えている。
中国工業情報化部は17日、インダストリアルインターネットと人工知能(AI)の融合を進める「百城千園行」活動を全国規模で展開すると発表した。全国100都市以上、1000カ所超の産業パークを対象に、中小企業のデジタル化・スマート化支援や新たな生産力の育成、産業の高度化を図る。
活動の重点は、政策の周知、5Gや工業光ネットワーク、IPv6などのインフラ整備、AIやブロックチェーンなど先端技術の導入、国家標準の普及、新たな産業応用モデルの創出など。さらに、金融・教育機関と連携して人材育成や融資支援も行う。
工業情報化部は、地方政府や通信管理局、産業団体と連携し、企業が最新技術を活用して競争力を高められる環境づくりを進める。活動は4月から開始され、今後1年間をかけて全国の重点産業パークで順次実施される予定。中国政府はこの活動を通じて、工業分野の新質生産力(新しい質の生産力)を育成し、経済の持続的発展を後押ししたい考えだ。
大阪6月限
日経225先物 34830 +400 (+1.16%)
TOPIX先物 2565.5 +30.5 (+1.20%)
日経225先物(6月限)は前日比400円高の3万4830円で取引を終了。寄り付きは3万4450円と、シカゴ日経平均先物(3万4465円)にサヤ寄せする形から、やや買い先行で始まった。現物の寄り付き直後に3万4270円と下落に転じる場面もみられたが、下へのバイアスは強まらず、ほどなくしてプラス圏を回復。前場中盤にかけてリバウンド基調を強め、3万4680円まで上げ幅を広げた。買い一巡後は3万4620円~3万4680円処の狭いレンジで推移。後場中盤以に保ち合いを上抜け、本日の高値で取引を終えた。
米国市場でエヌビディア<NVDA>の下げが続いていることもあり、アドバンテスト<6857.T>[東証P]や東京エレクトロン<8035.T>[東証P]など指数インパクトの大きい値がさハイテク株の一角が終日弱含み、日経平均型の重荷になった。ただし、トランプ大統領に続き、ベッセント財務長官も、赤沢亮正経済財政再生相との関税交渉を評価するコメントをSNSに投稿しており、今後の交渉進展への期待感がショートを仕掛けづらくさせている。
後場は膠着ながら高値圏での推移を継続。そのなかで、来日したグラス新駐日米大使が記者会見を行い、日米交渉協議について「交渉はまとまる」と楽観的な見解を示したと伝わったことが終盤にかけてショートカバーを強める一因になったとみられる。
米中貿易摩擦に対する警戒が根強いほか、本格化する日米企業決算の内容を見極めたいとするムードも強まると考えられ、積極的なロングは手控えられやすい。ただし、今後の日米交渉の進展期待から押し目待ち狙いのロングは入りやすいだろう。日経225先物は節目の3万5000円及び25日移動平均線が位置する3万5320円が射程に入っていることから、断続的にショートカバーが入りそうだ。
NT倍率は先物中心限月で13.57倍に低下。一時13.53倍まで下げており、25日線(13.56倍)を下回る場面もみられた。ただし、指数インパクトの大きい半導体株の弱さが目立つなかであったが、NTショートでのスプレッド狙いの動きは限られた。25日線水準で底堅さがみられる局面では、先行きのリバランスを想定したNTロングの組成のタイミングになりそうである。
手口面(6月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が9577枚、ソシエテジェネラル証券が6608枚、サスケハナ・ホンコンが2262枚、バークレイズ証券が1828枚、野村証券が954枚、ゴールドマン証券が936枚、JPモルガン証券が908枚、SBI証券が901枚、日産証券が831枚、楽天証券が778枚だった。
TOPIX先物は、ABNクリアリン証券が1万4060枚、ソシエテジェネラル証券が1万0802枚、バークレイズ証券が3217枚、ゴールドマン証券が3121枚、JPモルガン証券が2372枚、モルガンMUFG証券が2217枚、野村証券が1628枚、ビーオブエー証券が1301枚、サスケハナ・ホンコンが782枚、みずほ証券が701枚だった。
政府は18日、4月の月例経済報告を公表。景気の基調判断を「緩やかに回復しているが、米国の通商政策等による不透明感がみられる」と2024年8月以来8カ月ぶりに表現を変更した。
個別項目では、業況判断について判断を下方修正した。また、個人消費については「消費者マインドが弱含んでいるものの、雇用・所得環境の改善の動きが続く中で、持ち直しの動きがみられる」と表現を変更している。
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・田中 理氏
トランプ関税でECBはどう動く?
関税協議の行方を見極めつつ、利下げを継続へ
ECBは4月の理事会で25bpの追加利下げを決定した。利下げ後の政策金利は2.25%と、ECBが考える中立金利の水準(1.75~2.25%)に到達した。近い将来の利下げ打ち止めを示唆するタイミングだが、トランプ関税の影響見極めが必要な状況にある。追加利下げの可能性を明言しなかったが、あらゆる状況に準備を怠らず、必要に応じて機敏な対応を行うことを約束した。
今後の交渉を経てもEUに対して10%を上回る高関税が課され、景気への悪影響が避けられないと考える。今後の関税協議や景気・物価への影響を見極めるため、理事会毎に25bp刻みでの慎重な利下げを継続していくと予想する。年内に中立金利を下回る1.5%まで政策金利を引き下げ、その後は財政政策による景気浮揚の効果が顕在化するのを待ちつつ、様子見に転じる展開を想定する。
本日のNY為替市場のドル円は、動意に乏しい展開が予想される。グッドフライデー(聖金曜日)でドイツやフランス、英国などが祝日となるほか、米国では株式・債券市場が休場となるなど、市場参加者が少ない中では積極的な動きは期待しづらい。経済イベントも、サンフランシスコ連銀のデイリー総裁の講演程度と少なめ。今月に入り「関税によりインフレが再び上昇する可能性が少し懸念される」「次の行動を検討する時間と余裕がある」などと話しており、トーンに変化がないか確認しておきたい。
そうした中、連日トランプ米大統領の関税を始めとする発言に一喜一憂する展開が続いており、本日もひとたび発言内容が伝われば神経質な展開となるかもしれない。市場参加者が少なく流動性が低下する中、普段以上の振幅となって相場を動かす恐れがある点は常に意識しておきたい。
昨日の日米貿易交渉後に赤沢経済再生相が「為替の話は出なかった」と発言したとはいえ、来週22日から加藤財務相が訪米してベッセント財務長官と会談する方向で調整中とのこともあり、今回はあえて議題に上らなかったとの見方もある。日米貿易交渉については始まったばかりであり、今後も紆余曲折が予想される。引き続き関連報道にも気を配っておきたい。
想定レンジ上限
・ドル円は、昨日高値143.08円
想定レンジ下限
・ドル円は、昨日安値141.62円
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・西?M 徹氏
トルコ中銀、リラ防衛へ一転利上げも、不透明感は払しょくできず
エルドアン政権の強権姿勢が市場の混乱に拍車を掛けるなか、中銀は独立性を維持できるか
トルコ中銀は、17日の定例会合で政策金利を350bp引き上げ46.00%とする決定を行った。同行は昨年12月から利下げに動いてきたが、先月のイスタンブール市長の身柄拘束をきっかけに金融市場は混乱し、リラ安に加え、株安や金利高に見舞われた。こうした事態を受けて、中銀は政策転換を迫られた格好である。
市場では金利据え置きが予想されていたが、中銀は足元の金融市場の動きや内需の強さでインフレ鈍化の勢いが弱まっているとの見方を示した。その上で、物価動向次第で追加利上げに動く可能性も示唆した。
リラ相場は予想外の利上げを受けて一時的に上昇している。しかし、エルドアン政権の強権姿勢が中銀に金融緩和を迫るとの懸念に加え、市場の混乱長期化も重なり、先行きは不透明な展開が続くと見込まれる。
今晩はグッドフライデーの祝日のためNY株式市場が休場となります。明朝の株式市場に関するニュース等は休信となります。
ウクライナのゼレンスキー大統領はロシアと中国の企業に対する制裁に関する大統領令に署名した。
加藤勝信財務相とベッセント米財務長官が米ワシントンで現地時間24日に会談する方向で調整していることが分かったと共同通信が伝えた。
中国財政省の発表によると、2025年1-3月の中国の財政収入は6兆元(約8215億ドル)と、前年同期比1.1%の減少となり、1-2月の1.6%減から減少ペースが鈍化した。税収は3.5%減少した一方、非税収入は8.8%増加し、財政支出は4.2%増となっている。米国の関税引き上げを背景に、中国は財政赤字目標をGDP比4%前後と過去最高水準に設定し、景気下支えを図っているが、達成は容易ではないとの声が聞かれている。
日経平均株価は続伸。一時はマイナスになる場面もあったが、上昇基調にある5日移動平均線(34255円 4/18)を下値で意識して底堅く推移した。
RSI(9日)は前日の52.6%→70.1%(4/18)に上昇。来週初のRSIは上昇一服の可能性が高い。
一方、4/10の大陽線形成時の高値を上回り、4/7安値(30792円)を起点とした目先波動は上昇継続の見方となる。10日移動平均線(33533円 同)が上昇に転じており、25日移動平均線(35475円 同)や3/11安値(35987円)のフシまで上値を拡大できるかが焦点となる。
上値メドは、心理的節目の35000円、4/2安値(35426円)や25日移動平均線、心理的節目の36000円、3/28安値(36864円)、心理的節目の37000円などがある。下値メドは、10日移動平均線、心理的節目の33000円、心理的節目の32000円、4/9安値(31258円)、4/7安値(30792円)などがある。
米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は18日、ギリシャの格付けを「BBB-」から「BBB」に引き上げたと発表した。なお、見通しは「安定的」とした。
一部通信社が報じたところによると、「米国はウクライナ和平案で対ロシア制裁の緩和を提案する」ようだ。
米調査会社IDCは17日、中国の2025年1-3月期のスマートフォン出荷台数が前年同期比3.3%増の7160万台だったと発表した。
ブランド別の出荷台数は、小米集団(01810)が同39.9%増の1330万台とトップで、シェアは前年同期の13.8%から18.6%に4.8ポイント拡大した。2位は華為技術(ファーウェイ)で10.0%増の1290万台(シェアは18.0%)、3位はOPPOで3.3%増の1120万台(同15.7%)、4位はvivoで2.3%増の1030万台(同14.6%)となり、いずれも出荷台数を増やした。一方、米アップルは9.0%減の980万台と落ち込み、シェアは前年同期の15.6%から13.7%に1.9ポイント縮小した。
18日05:50 ラトニック米商務長官
「中国とうまくやっていける自信がある」
18日05:51 トランプ米大統領
「中国と関税巡り協議している」
「中国と取引するつもりだ」
「中国は145%の関税以来、接触してきた」
19日01:51
「パウエルFRB議長が自分の行動を理解していれば、金利は下がるだろう」
「パウエルFRB議長は金利を引き下げるべき」
「ウクライナとの合意は早急に、迅速に行う必要がある」
「プーチン大統領が時間稼ぎをしていないことを願う」
「中国とは良好な対話が進んでいる」
18日08:56 加藤財務相
「政府は米関税交渉に最優先で対応していく」
「為替はファンダメンタルズを反映するべき」
「為替については米国と協力し続けていく」
「日米間の為替の課題はベッセント米財務長官との間で緊密に協議することを確認」
「(為替について)訪米時に会談機会があれば米財務長官と議論する」
「過度な為替変動、経済・金融にとって悪影響との認識を米国と共有」
18日12:11 植田日銀総裁
「為替相場は経済・金融のファンダメンタルズに沿って安定推移が重要」
「為替相場の水準や評価にはコメントしない」
18日15:51 赤沢再生相
「日米双方の経済が強くなる包括的な合意を要請した」
「何が日本にとって効果的か考え抜いて優先的に取り組む」
18日20:46
「早く合意したいが、早ければよいものではない」
「日米協議のおさまりを見ながら、パッケージの全体を整える」
「関税は企業に打撃を与えるので、早期合意を目指したい」
18日16:00 ビルロワドガロー仏中銀総裁
「データ次第で迅速に行動する用意がある」
「我々は非常に荒い海にいる」
「インフレリスクはむしろ弱い」
「世界経済の分断化が物価上昇につながる可能性」
「短期的な成長見通しはより厳しい」
「ECBの主要指標は正しい方向に向かっている」
「エネルギー価格の下落と関税によって利下げが支持されている」
18日23:38 ハセット米国家経済会議(NEC)委員長
「トランプ大統領はパウエルFRB議長の解任が選択肢か検討中」
19日00:17 デイリー米サンフランシスコ連銀総裁
「米国経済は良い状態にある」
「金融政策は依然として引き締め的であり、インフレに下押し圧力をかけ続けている」
「一部のセクター(例えば運輸など)は減速しているが、不確実性が経済全体の重しにはなっていない」
「企業がレイオフ(人員削減)をしているという話は聞いていない」
「インフレ率の上昇には依然として引き締め政策が必要」
「年内2回の利下げ予想に自信」
19日01:25 スターマー英首相
「トランプ米大統領と本日に電話会談を行い、二国間貿易やイラン、ウクライナ情勢などを協議した」
※時間は日本時間
23日
○13:30 ◇ 2月第三次産業活動指数
24日
○08:50 ◇ 3月企業向けサービス価格指数
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
25日
○08:30 ◎ 4月東京都区部消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く総合)
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
21日
○23:00 ◎ センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演
○23:00 ◎ 3月米景気先行指標総合指数
○国際通貨基金(IMF)・世界銀行の春季会合と関連イベント(ワシントン、26日まで)
○ニュージーランド、オーストラリア、香港、ドイツ、スイス、フランス、英国、スウェーデン、ノルウェー、ポーランド(以上、イースターマンデー)、南アフリカ(ファミリーデー)、ブラジル(チラデンテスの日)休場
22日
○07:45 ◎ 3月ニュージーランド(NZ)貿易収支
○21:30 ◇ 3月カナダ鉱工業製品価格
○21:30 ◇ 3月カナダ原料価格指数
○22:00 ◎ ジェファーソン米連邦準備理事会(FRB)副議長、講演
○22:30 ◎ ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演
○23:00 ◎ 4月ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値)
○23:00 ◎ 4月米リッチモンド連銀製造業景気指数
○23日02:00 ◎ 米財務省、2年債入札
23日
○14:00 ◎ 3月シンガポール消費者物価指数(CPI)
○16:15 ◎ 4月仏製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値
○16:15 ◎ 4月仏サービス部門PMI速報値
○16:30 ◎ 4月独製造業PMI速報値
○16:30 ◎ 4月独サービス部門PMI速報値
○17:00 ◎ 4月ユーロ圏製造業PMI速報値
○17:00 ◎ 4月ユーロ圏サービス部門PMI速報値
○17:00 ◎ 3月南アフリカCPI
○17:30 ◎ 3月香港CPI
○17:30 ◎ 4月英製造業PMI速報値
○17:30 ◎ 4月英サービス部門PMI速報値
○18:00 ◇ 2月ユーロ圏建設支出
○18:00 ◇ 2月ユーロ圏貿易収支
○19:00 ◎ クノット・オランダ中銀総裁、講演
○19:30 ◎ ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員兼チーフエコノミスト、講演
○20:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○22:00 ◎ グールズビー米シカゴ連銀総裁、あいさつ
○22:30 ◎ ムサレム米セントルイス連銀総裁、ウォラーFRB理事、あいさつ
○22:45 ◎ 4月米製造業PMI速報値
○22:45 ◎ 4月米サービス部門PMI速報値
○22:45 ◎ 4月米総?⑰MI速報値
○23:00 ☆ 3月米新築住宅販売件数
○23:30 ◇ EIA週間在庫統計
○24日02:00 ◎ 米財務省、5年債入札
○24日02:15 ◎ ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○24日03:00 ◎ ブリーデンBOE副総裁、講演
○24日03:00 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○24日03:00 ◎ 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
○24日04:15 ◎ レーンECB専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議(ワシントン、24日まで)
○トルコ(子供の日)、休場
○07:30 ◎ ハマック米クリーブランド連銀総裁、講演
○15:45 ◇ 4月仏消費者信頼感指数
○17:00 ◎ 4月独Ifo企業景況感指数
○18:30 ◇ 3月南アフリカ卸売物価指数(PPI)
○21:00 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演
○21:30 ◎ 3月米耐久財受注額
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数
○23:00 ◎ 3月米中古住宅販売件数
○25日02:00 ◎ 米財務省、7年債入札
○日米財務相会談
25日
○08:01 ◇ 4月英消費者信頼感指数(Gfk調査)
○15:00 ◎ 3月英小売売上高
○15:45 ◇ 4月仏企業景況感指数
○19:30 ◎ ロシア中銀、政策金利発表
○21:30 ◎ 2月カナダ小売売上高
○23:00 ◎ 4月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値)
○26日04:15 ◎ グリーン英中銀MPC委員、講演
○オーストラリア、ニュージーランド(アンザックデー)、休場
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
◆豪ドル、米中の関税引上げは落ち着くも別種の報復措置に警戒
◆豪ドル、来月の選挙を前に与野党間の攻防に注目
◆ZAR、中国との更なる通商拡大が今後の焦点に
予想レンジ
豪ドル円 86.00-92.00円
南ア・ランド円 7.00-7.80円
4月21日週の展望
豪ドルはリスク許容度に敏感であり、来週も関税に関する報道で上下を繰り返すことになる。トランプ米政権による関税引き上げ後、多くの国の通貨は米国のリセッション懸念の高まりでドル売りが進行した。ただ、豪ドルはリスク回避の動きで上値が重いほか、中国との通商面での関係性が深く、米中両国の景気低迷懸念が重しとなっている。一方的なドル売りにはなりにくい。
米中間の関税は、米国が対中を145%、中国が対米を125%に引き上げたが、中国は米国が再度関税を引き上げても対抗しないことを示唆した。しかし、今週、中国政府は国内航空会社に「ボーイング機の受取り停止」を指示したように、別の報復措置を講じ始めている。来週も関税以外にも、対象品目などの遷移があれば豪ドルを動意づけることになるだろう。
豪州国内では、5月3日に迫る総選挙に関する報道にも注目。直近の市場調査では与党労働党が辛うじて過半数を獲得する見通し。ただ、豪州もインフレ懸念の高まりや、政権の対米姿勢を「弱腰」と野党・保守党は批判している。米政権の動向次第では情勢が変わる可能性もあることで注意が必要だ。なお、来週、豪州からは主だった経済指標の発表は予定されていない。
南アフリカ・ランド(ZAR)は上値が限定的となりそうだ。今週に入りアフリカ民族会議(ANC)が付加価値税(VAT)の引き上げを断念したとの一部報道が流れ、民主同盟(DA)の国民統一政府(GNU)離脱が回避されるという期待感からZARが買い戻される場面もあった。ただ、VAT引き上げの撤回はまだ正式には決定されておらず、来週もVATをめぐる政治的な動向から目が離せない。
国外要因では、引き続き米政権による関税が注目される。南アと米国の関係が改善される可能性は極めて低く、90日間の延期解除後は南アへの30%の上乗せ関税が科されることになりそうな状況に変わりはない。そのため、南アはこの数週間、更に親中路線を明確に示している。先週11日には、貿易産業相が中国の商務相とオンライン会談を行い、両国間で経済と貿易の協力関係を強めた。
また、今週は「一つの中国」政策にコミットするため、南アは台湾に対し、連絡事務所を行政の首都プレトリアからヨハネスブルクに移転するよう伝えた。対米よりも対中の貿易拡大の道筋が見えた場合にはZARの支えになりそうだ。
なお、来週の経済指標では、23日に3月CPI、24日には3月PPIが発表される予定。
4月14日週の回顧
豪ドルはほぼ横ばい。米国のリセッション懸念でドル売りが豪ドルを支えるものの、米中の関税合戦でリスク回避の動きが豪ドルの抑えになった。対ドル、対円とも神経質に動いたが値幅は限られた。なお、豪準備銀行(RBA)議事録は再利下げを示唆する内容だったが、金利市場ではすでに5月の利下げをほぼ織り込んでおり、豪ドルの反応は限られた。ZARは小高い動き。VAT引き上げが中止されるとの一部報道が流れると買い圧力が強まる場面があった。しかし、中国のボーイング機受取停止指示などを受けて株式市場が軟調に動くと上値を抑えた。
◆経済データへの注目度は低く、関税相場が継続
◆ポンド、3月CPIの伸びが鈍化するも今後のインフレ圧力の高まりに警戒
◆加ドル、米関税の影響を見極め
予想レンジ
ポンド円 186.00-192.00円
加ドル円 101.00-105.00円
4月21日週の展望
米関税が引き続き金融相場全体のメインテーマであることに変わりはない。今週、「株安・債券安・ドル安」といった「米国トリプル売り」はいったん落ち着いたが、関税の不確実性は払しょくされておらず、トランプ米政権の政策や経済の先行きへの不安は残されたまま。関税関連のヘッドラインによる神経質な動きとなる「関税相場」は続きそうだ。
来週、英国内では4月製造業・サービス部門購買担当者景気指数(PMI)速報値や3月小売売上高などの発表が予定されている。今週発表された、3月の雇用者数は7.8万人減となった。4月からの企業に対する大幅な税負担の引き上げを前に、企業の人員削減が進んだことが示された。一方、12-2月の3カ月平均給与(除ボーナス)は5.9%と前回から伸びが加速し、インフレ圧力の兆候を判断する上でイングランド銀行(英銀行、BOE)が注視している民間部門の賃金上昇率も5.9%と高い水準を維持した。また、3月消費者物価指数(CPI)は前年比2.6%と前月から伸びが予想以上に鈍化し3カ月ぶりの低水準となったが、4月以降は公共料金の値上げや雇用主に対する増税でインフレが加速するとの見方が出ている。トランプ関税、保険料・最低賃金の引き上げなどと続くなか市場の過去データへの注目度は低くなっている。
トランプ関税が世界の金融市場に混乱を与えるなか、英政権は米政権との貿易交渉に自信を示している。ヴァンス米副大統領は今週、「英国と貿易協定が成立する可能性は非常に高い」との見解を示した。英政府は、輸入のパスタやジュースなどの食品やプラスチック、園芸用品など計89品目の関税を2027年7月までゼロにし、トランプ米政権の関税措置で影響を受ける輸出企業に対して融資枠を200億ポンド拡大する支援策を講じると発表している。
加ドルは、全般ドルの重い動きが継続するなか対ドルで底堅い動きとなるも、関税の加経済への悪影響や米加関税合戦のエスカレートへの警戒感で買い戻しは限られている。カナダ中銀(BOC)は今週の会合で政策金利を2.75%に据え置いた。据え置きは昨年4月以来と1年ぶり。BOCは、「関税の影響を見極めるために状況が一段と明確になるまで慎重に政策決定を進める」意向を示すも、米関税で「深刻な景気後退の可能性」に言及。「景気が大幅に悪化した場合は積極的な緩和策に踏み切る」ことを示唆した。来週は加国内で加ドルの動意につながりそうな指標発表は予定されておらず、関税関連のヘッドラインやドル、円の動きに左右されそうだ。
4月14日週の回顧
先週の「米国売り」はいったん落ち着くも、ドルの重い動きが継続。ポンドドルは強弱まちまちの英雇用・物価データへの反応は限られ、昨年10月以来の高値となる1.33ドル手前まで上昇するなど底堅い動きとなった。ドル/加ドルは、加3月CPIが予想以上に伸びが鈍化したが、1.38加ドル台を中心にやや加ドルの買い戻しに傾いた。対円ではリスク回避の円買いは一服するも、ポンド円は189円半ば、加ドル円は104円近辺で戻りが抑えられた。
◆ドル円、日米財務相会談に警戒
◆ドル円、米地区連銀経済報告や4月東京都区部CPIに注目
◆ユーロドル、欧米通商協議や4月ユーロ圏製造業・サービス業PMI速報値に注目
予想レンジ
ドル円 139.00-144.00円
ユーロドル 1.1100-1.1500ドル
4月21日週の展望
ドル円は、来週予定されている加藤財務相とベッセント米財務長官による日米財務相会談での為替協議に注目する展開となりそうだ。17日に開催された赤沢経済再生相とベッセント米財務長官、ラトニック米商務長官、グリア通商代表部(USTR)代表との第1回日米貿易交渉では、為替に関する議論はなく、赤沢経済再生相は「日米首脳会談で為替はベッセント米財務長官と加藤財務相で議論すると記者会見で明らかにされており、米側はよく理解していると思う」と述べたほか、月内の第2回貿易交渉の開催を示唆した。加藤財務相は来週のG20財務相・中央銀行総裁会議や、IMF・世銀総会でベッセント米財務長官との日米財務相会談に臨む予定となっている。
来週、米国では23日に米地区連銀経済報告(ベージュブック)が公表される。5月6-7日のFOMCでの追加利下げの可能性を見極めることになる。また、ブラックアウト期間を控えて、複数のFOMCメンバーの講演にも注目しておきたい。パウエルFRB議長は、トランプ米政権の関税措置がスタグフレーションを引き起こす可能性を指摘し、「明確な状況が判明するまで当面は様子を見る」考えを示しているが、一方で、トランプ米大統領はパウエルFRB議長に早期の利下げや退任を迫っており、今後の関連報道には警戒しておきたい。
日本では、25日に4月東京都区部CPIが予定されている。4月全国CPIの先行指標となっているが、政府の電気・ガス料金の補助金が3月で終了したこともあり、注目しておきたい。大幅に上昇していた場合、日銀の早期利上げ観測が高まることから円買い要因となるだろう。植田日銀総裁は、米国の関税政策による不確実性に警戒感を示しつつも、「見通しが実現する確度を点検しながら適切に政策を判断していく」と述べている。
ユーロドルは、難航している欧米通商協議の行方に注目だが、景況感の悪化が懸念される中で、ユーロ圏4月の製造業・サービス業PMI速報値を見極める展開となるだろう。今週の欧州中央銀行(ECB)理事会声明文でも、「成長見通しは通商の緊張により悪化している」と言及された。
4月14日週の回顧
ドル円は、米中の貿易摩擦や日米貿易交渉への警戒感から141.62円まで年初来安値を更新したが、日米貿易交渉で為替に関する議論がなかったことから一時143.08円まで買い戻された。
ユーロドルは、ユーロ圏の景況感悪化懸念などを受けて1.1425ドルから1.1264ドルまで下落した。ただ、その後は米長期金利の低下などにつれて下値を切り上げている。なお、ECB理事会では、市場予想通り6会合連続での0.25%の利下げが決定され、声明文からは「景気抑制的」の文言が削除された。ラガルドECB総裁は、「強いユーロはインフレを押し下げる可能性。2%の目標を達成するために必要なことは何でもやる決意」などと述べた。
18日の日経平均は大幅続伸。終値は352円高の34730円。まちまちの米国株を受けて、序盤ではプラス圏とマイナス圏を行き来した。下げ幅を3桁に広げる場面もあったが、値上がり銘柄が多く、売りは早い時間に一巡。切り返してプラス圏に浮上すると、9時台半ばからは上を試しにいった。34600円台でいったん小休止したが、後場に入ると一段高。34700円台に乗せて高値圏で取引を終えた。
東証プライムの売買代金は概算で3兆3000億円。業種別では全33業種中、32業種が上昇しており、医薬品、海運、鉱業などが大幅上昇。下落はサービス1業種のみで、機械やガラス・土石の上昇が限定的となった。連結ベースでの中期経営計画を公表したチヨダ<8185.T>が後場急騰。半面、前日強く買われた川崎重工<7012.T>やIHI<7013.T>など防衛関連が利益確定売りに押された。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1496/値下がり120。材料のあった中外製薬が17.5%高と急騰。住友ファーマが連日でストップ高比例配分と、薬品株の強さが目立った。テレビ朝日やTBSなどテレビ局株が軒並み大幅高。トランプ政権が中国船舶に入港料を課すとの観測が出てきたことを材料に、川崎汽船など海運株が物色された。
一方、SCREEN、アドバンテスト、東京エレクロトンなど半導体株の多くが下落。TDK、太陽誘電、ロームなど、ハイテク系の銘柄は全体株高の流れに乗れないものが多かった。リクルートが3.6%安と大きめの下落。安川電機やファナックなどFA関連が売りに押された。
日経平均は大幅上昇。17日の米国株はダウ平均の大幅安に関しては個社要因が大きかったとはいえナスダックも下げており、日本株を強く買う理由には乏しかった。そのような中で多くの銘柄が上昇したことは特筆される。しかも、半導体株や防衛株など注目度の高い銘柄は総じて弱かった。一部の主力株に依存した上昇ではないだけに、当面の売り出尽くしに対する期待が高まる。25日線(35475円、18日時点)を早々に上回ることができるかが、来週以降の焦点となる。
【来週の見通し】
堅調か。国内では決算発表がスタートし、米国では決算発表が本格化する。「トランプ・リスク」はくすぶり続けるものの、個別重視の様相が強まる時間帯に入る。日本企業の本決算に関しては、見通しを保守的、もしくは非開示とする企業が多くなる可能性があるが、今の環境ではある程度織り込みも進んでいると思われる。リリースで強く買われる銘柄も多くなるであろうから、ある程度のボラティリティは許容される公算が大きい。日経平均は4月前半に乱高下した後に値を戻してはいるものの、個別ではまだ安値圏で推移している銘柄が多い。値ごろ感があるだけに、好材料により強い反応を示すことで、下げづらく上げやすい地合いが続くと予想する。
【今週を振り返る】
大幅高となった。米国株に持ち直しの動きが見られたことから、日経平均は14日、15日と連日で3桁の上昇。16日は米エヌビディアの時間外の下落やオランダASMLの失望決算などを嫌気して大幅安となった。日米関税交渉ではトランプ大統領が出席するサプライズがあったが会談では大きな波乱はなく、これを消化した17日は400円を超える上昇。18日はやや手がかり難ではあったが「トランプ関税」に対する過度な警戒が後退する中で幅広い銘柄に買いが入り、連日で3桁の上昇となった。日経平均は週間では1144円の上昇となり、週足では2週連続で陽線を形成した。