日銀総裁 植田和男最終更新 2024/11/03 06:061.名無しさんHUnqVがんばれ2024/07/31 04:10:55102コメント欄へ移動すべて|最新の50件53.名無しさんPf5Yiアングル:海外マネーが揺さぶる株式市場、日銀の利上げ戦略に影と専門家[東京 30日 ロイター] - 日銀は想定通り、利上げ戦略を堅持できるのかーーエコノミストの間では、海外投機筋の影響が大きい日本の株式市場の動向次第では利上げ判断の足かせになりかねないとの指摘が出ている。海外勢は一方向に傾きやすい投資行動に出ることが多く、安定しつつあるように見える市場も、きっかけ次第で再び株価急落のリスクがあるという。<利上げ戦略の継続を鮮明化>日銀自体は利上げ戦略の継続を鮮明にしている。植田和男総裁は23日に国会で行われた閉会中審査で、市場動向が経済・物価見通しやリスクに及ぼす影響を見極めた上で「経済・物価見通しがおおむね実現していく姿になっていけば、金融緩和度合いを調整していくという基本的な姿勢には変わりがない」と強調し、氷見野良三副総裁も28日の講演で同調した。7日、内田真一副総裁は「金融資本市場が不安定な状況で、利上げをすることはない」と講演で明言 もっと見る 、市場にハト派的と受け止められたが、日銀内では、内田副総裁の講演は金融市場が不安定な状況下で行われたもので、市場に安心感を与えるのが何より重要だったとの指摘が出ている。日銀が利上げ局面に踏み出した以上、経済・物価見通しの実現度合いが政策を左右するというのは何も変わっていないとの声も出ている。円高に振れたことで輸入物価上昇を通じた物価の上振れリスクは後退したものの、株価が急速に戻していることから経済・物価見通しへの影響は今のところ軽微にとどまるとの見方も、日銀では聞かれる。<日銀の楽観論とは距離>一方、日銀の楽観論とは距離を置く市場関係者は多くいる。5日から6日にかけて歴史的な乱高下を演じた日経平均株価が何らかのきっかけで再び急落するリスクはまだあるとの指摘だ。5日の日本株の下げ幅を増幅したのは商品投資顧問業(CTA)と呼ばれる海外のヘッジファンドだ。JPモルガン証券の高田将成クオンツ・ストラテジストによれば、CTAの8割が順張り戦略を取っており、「ボラティリティが上昇する下げ相場では、機械的な売りを優先するため下げ相場をあおる傾向がある」という。信用買い残は暴落前の段階で4兆8720億円。4兆円台まで膨らんで推移が続くのは2007年以来で、CTAの売りがこうした需給面での潜在的な売りを巻き込む形となった。また高田氏によれば、昨年来、先物だけでなく現物市場でもトレンドフォローの戦略を運用する海外マネーが流入しているという。「企業の本質的価値よりも株価自体をテクニカルに重視するファンドのため、株価が上がれば買い、下がれば売るの繰り返しとなり、ボラティリティの高さと合わさり必要以上の値幅を形成したフローが少なくなかった」と話す。高田氏は、今回の急落の引き金が日銀の金融政策や米国の経済指標だったように、何らかのニュースで再び株価が急落する可能性はあるとみている。「CTAなどもまだ半分近くしか株先ロングの処分を行っておらず、不測のショックに対しては追加売りが要求される可能性が残る」と指摘する。氷見野副総裁は28日の会見で「内外の金融資本市場の動向が、(経済・物価の見通しが実現する)確度に影響を与えていくということも、もちろんある」と述べた。SBI新生銀行の森翔太郎シニアエコノミストは「金融市場の動向を全く考慮せずに金融政策運営を行うことは基本的にはないだろう」と指摘する。森氏は日銀の追加利上げについて、来年1月がメインシナリオ、早ければ12月と想定。一方、「程度にもよるが、金融市場の不安定化が経済・物価の下振れリスクを高め得ると判断した場合は利上げの時期やペースを再考する可能性もある」とみている。2024/08/31 13:50:2854.名無しさんX74Dj利下げ前夜、FRBの苦悩 市場は円急騰に身構え2024/09/01 04:00 日経速報ニュース 8月下旬に開催されたカンザスシティー連銀主催の経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」。ニューヨーク連銀のエコノミストを務めた米ブラウン大学のガウティ・エガートソン教授が発表した論文が注目を集めた。米国の失業率に対する求人率の割合が直近は「1.2」と、失業率の急上昇を招く閾値とされる「1」に近づいていると警鐘を鳴らす内容だった。 冷える雇用を警戒「強力なメッセージ」 「強い労働市場を支えるためにできることは何でもやる」。23日、講演したパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は近く利下げに踏み切る考えを示唆したうえで、労働市場について「以前の過熱状態からかなり冷え込んでいる」と指摘。特に直近の6カ月で失業率が上昇していることを挙げ、さらなる冷え込みは望んでいない考えも示した。 欧州危機の最中にあった2012年、当時の欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が発した「できることはなんでもやる」を彷彿させる発言に市場では驚きが広がった。SBI証券の道家映二チーフ債券ストラテジストは「失業率の急激な悪化などに備えたもので、中銀高官の発言としては非常に強力なメッセージだった」と指摘する。 株式市場はすかさず反応した。ダウ工業株30種平均は26日、4万1240ドルと1カ月半ぶりに最高値を更新。不動産や中小型株など利下げの恩恵が大きい分野にマネーが向かっている。 「政策を調整すべき時が来た。方向性は明確だ」。パウエル氏はインフレの水準がFRBの目標に近づいており、目標を達成する軌道に乗ったと自信を見せた。 ただ、米国経済が景気後退に陥ることなく軟着陸(ソフトランディング)できるかは、まだ予断を許さない。カギとなるのはやはり雇用だ。大和証券の山本賢治チーフエコノミストは「株高と強い労働市場が個人消費を支える循環が今後は逆回転する可能性がある」と警戒感を示す。 市場参加者が警戒するのが利下げ幅とペースだ。米金利先物市場では9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で通常の倍となる0.5%の利下げに踏み切る可能性が一定程度織り込まれている。6日に発表される雇用統計への注目度は一層増している。 パウエル氏は今後の利下げ幅やペースについては「今後発表されるデータや変化の見通し、リスクのバランスによって決まる」として明言しなかった。市場の想定よりも大幅な利下げとなればFRBによる景気認識の悪さを印象づけることになり、かえって市場の波乱要因となる可能性もある。これまで大きな混乱を招くことなくインフレと戦ってきたパウエル氏だが、政策転換の最終局面に来てかじ取りは一段と難しさを増している。2024/09/01 06:12:0255.名無しさんX74Dj 米金利先物の値動きから将来の政策金利予想を映す「フェドウオッチ」では、9月のFOMCで通常の倍の幅となる0.5%の利下げが決まる確率が23日に36%に上昇した。講演前の22日は24%にとどまっていた。 12月までの3回の会合で計1%以上の利下げが起こる確率も、22日の64%から23日には76%まで上昇した。1会合あたり0.5%の利下げ幅に相当する計1.5%の利下げ確率も6%とリスクシナリオとして十分意識されている格好だ。みずほ証券の上家秀裕シニア債券ストラテジストは「米景気の急速な後退を見通す参加者も増えてきた」と語る。 8月雇用統計、失業率「4.4%」が分水嶺 9月会合での利下げ幅は、今後の金融緩和ペースを占う一つの試金石となる。市場が最も注目しているのが、6日に発表される8月の米雇用統計だ。 「焦点は失業率。4.4%を超えるかどうかが判断のカギとなる」。みずほ証券の上家氏はこう指摘する。 7月の米雇用統計で失業率は4.3%を付けていた。直近3カ月間の平均失業率が過去1年間の最低値を0.5ポイント上回れば景気後退が始まった可能性が高いとの経験則を指す「サーム・ルール」の発動も話題を集めた。 パウエル議長は足元の労働市場について「これ以上冷え込むことは望まない」と語っていた。4.4%を明確に上回れば市場の利下げ織り込みがさらに加速する可能性があるという。 非農業部門の就業者数も注目点の一つ。7月データでは、11万4000人増と市場予想(17万?19万人)を大きく下回った。野村証券の小清水直和シニア金利ストラテジストは「7月は南部を襲ったハリケーンが就業者数を減らした側面もあった。そうした変動要因がない8月も15万人を下回れば、0.5%の利下げが現実味を増す」と指摘する。 米労働省は8月21日、この1年間の就業者数の増加が公表していたより28%少なかった可能性があると発表した。労働市場の冷え込みを意識する市場参加者が多い分、弱いデータへの反応は想像以上に大きくなる可能性もある。 9月11日には8月の米消費者物価指数(CPI)、17日には8月の米小売売上高などこれまで注目を集めてきた主要指標の発表も控えるが、「市場のインフレ警戒はすでに薄れている。多少強いデータが出てきたとしても、利下げ予想を後退させるほどの力は持たないだろう」(野村証券の小清水氏)との見方が優勢だ。 急速な利下げが実現すれば、金融市場はどう動くか。7月の米雇用統計で労働市場の冷え込みがあらわになった8月上旬、市場は株価の急落、債券相場の上昇、円相場の急騰などに見舞われた。今回も8月の米雇用統計などによって各資産の値動きが急変動するリスクを念頭に置いておく必要がある。 野村証券の小清水氏は、米長期金利の指標となる10年物国債利回りについて「年内に3.5%程度まで低下する場面もあるのではないか」と見通す。 「メインシナリオは9月会合が0.25%の利下げにとどまり、利下げ期待で会合までに売られたドルが1ドル=145円程度まで買い戻される展開。ただ、経済指標が弱ければ1ドル=141?142円程度まで円高・ドル安が進む可能性がある」。ステート・ストリート銀行東京支店の貝田和重・金融市場部長は目先の円相場についてこう語る。 年内1ドル=130円突破も米経済の減速を示す経済指標が相次ぐ一方、市場予想を上回った7月の米非製造業(サービス業)景況感指数など米経済は依然としてまだら模様の側面もある。貝田氏は「経済指標の悪化トレンドがより鮮明になれば、年末にかけて1ドル=130円台を上回って円高が進むリスクがないとも言えない」と語る。 米株式市場では利下げ観測が投資家心理を支え、ダウ工業株30種平均が最高値を更新。金も、国際指標のニューヨーク先物(中心限月)が最高値圏を推移する。金利低下による利払いコスト軽減効果が大きい不動産上場投資信託(REIT)への資金流入も目立つ。さらなる利下げ織り込みはこうした資産の追い風にもなりうる。 もっとも、「米の雇用や消費は平時に比べるとなお堅調。市場の利下げ織り込みは行き過ぎている面がある」(SMBC日興証券の野地慎チーフ為替・外債ストラテジスト)との見方は根強い。 先行きについても、「10?12月、25年1?3月にはインフレ再燃の懸念が高まり利下げトレンドが一旦収束する場面もあるだろう」(野村証券の小清水氏)との指摘も聞かれる。急速に進む利下げ織り込みとその巻き戻し、各局面における市場の値動きを警戒しておく必要がありそうだ。2024/09/01 06:14:2156.名無しさんGz3Ag日銀の追加利上げ「24年12月」最多 QUICK債券調査2024/09/03 02:00 日経速報ニュース QUICKが2日発表した8月の債券月次調査によると、日銀が追加利上げに踏み切るのは「2024年12月」との予想が最も多かった。8月下旬に日銀の植田和男総裁が利上げ路線を続ける姿勢を示したことで、年内にも金利の引き上げに動くとの観測が高まっている。 調査は8月27?29日に証券会社や生損保、銀行など181人の債券市場関係者を対象に実施し、124人から回答を得た。 日銀は7月の会合で政策金利を0.25%に引き上げた。次に利上げをする時期についての設問では「24年12月」が48%と最も多く、「25年1月」(32%)が続いた。日銀の植田総裁は8月23日に衆参両院の閉会中審査で、想定している経済・物価見通しが実現すれば利上げを続ける考えを改めて明らかにした。 「日本の景気は堅調さを見せている。この間に日銀は利上げをするべきだろう」(投信投資顧問)との声が聞かれた。 今後6カ月程度で最も注目する債券価格の変動要因では「海外金利」が14%と前回の調査から12ポイント増加し、9カ月ぶりの高水準となった。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鶴田啓介シニア債券ストラテジストは「8月上旬に米雇用統計の悪化による米金利の低下が国内金利にも影響したため、海外金利の動向に関心が集まった」と分析する。 9月下旬に予定されている自民党総裁選の結果が及ぼす債券市場への影響は「ほとんどない」(52%)とする見方が最も多かった。一方で「誰が総裁に選ばれると思うか」という設問には「小泉進次郎元環境相」(45%)との回答が最多だった。・日銀、追加利上げへ複雑な判断 年内視野のシナリオ維持・日銀総裁「金融緩和の度合い調整、基本姿勢変わらず」2024/09/03 06:28:0657.名無しさんzLsGs実質賃金は2カ月連続増、基本給32年ぶり伸び-日銀正常化に追い風目賃金3.6%増、実質0.4%増と市場予想に反してプラス共通事業所ベースでは名目4.8%増、所定内給与が過去最高 物価変動を反映させた7月の実質賃金は2カ月連続で前年を上回った。好調な春闘が反映されて基本給が1992年11月以来の高い伸びとなったほか、賞与も大幅に増加し、名目賃金を押し上げた。金融政策の正常化を進める日本銀行にとって好材料となり得る。 厚生労働省が5日発表した毎月勤労統計調査(速報)によると、実質賃金は前年比0.4%増と市場予想(0.6%減)に反して増加した。6月には27カ月ぶりにプラスに転じていた。名目賃金に相当する現金給与総額は3.6%増となった。基本給に当たる所定内給与は2.7%増と前月から伸びが加速。賞与など特別給与は6.2%増だった。 エコノミストが賃金の基調を把握する上で注目するサンプル替えの影響を受けない共通事業所ベースでは、名目賃金は4.8%増。所定内給与は2.9%増と同ベースでの公表が開始された2016年以降で最高となった。 日銀は賃金と物価の好循環が強まり、消費者物価の基調的上昇率は2%目標に向け徐々に高まると予想している。植田和男総裁は3日、経済・物価見通しが実現していけば、政策金利を引き上げていく考えを改めて表明。賃金の伸びが物価上昇率を上回る状況が維持されたことで、追加利上げの時期を探る日銀に追い風となりそうだ。 SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは、実質賃金の増加について「夏季賞与と賃上げ分を遡及して支給した分があり、特別給与が上振れている」ことが主因と説明。日銀政策への影響に関しては、「これをもってすぐ利上げということではないが、ベアが強くてそれが順調に反映されているのが確認されたという意味では、正常化に向かう方向を妨げない」との見方を示した。2024/09/05 10:32:0958.名無しさんotIJS日銀・高田委員、追加利上げ示唆 判断「時間をかけて」2024/09/06 日本経済新聞 朝刊 日銀の高田創審議委員は5日、金沢市で開いた金融経済懇談会で「物価が見通しに沿って推移するもとで、前向きな企業行動の持続性が確認されれば、その都度、もう一段のギアシフトを進める」と語り、今後の追加利上げを示唆した。利上げの判断について「毎回毎回、十分に時間をかけて状況をみながら対応する」との考えも示した。 高田氏は金融経済懇談会で講演し、記者会見した。「経済・物価の見通しがある程度実現していけば、それに応じて(金融緩和の度合いを)段階的に調整していく」という基本姿勢を強調した。 高田氏は「金融・資本市場の動向が前提にはある」とも述べ、株式相場の動きなどを注視する構えをみせた。「8月初旬ほどではないが、ボラティリティー(変動率)が高まりやすい動きが生じている」との認識を示した。 前向きな企業行動の事例としては「ひとつの重要な要素として賃上げが考えられる」と述べた。ただ「単にこの数字をということで判断できるものではない」と加え、幅広いデータを丹念にみていく姿勢を強調した。 物価の上振れリスク要因としては「(企業による)値上げ」を挙げた。10月の価格改定に注目する。 日銀は物価が見通し通りに推移すれば、景気を熱しも冷ましもしない中立金利の水準まで政策金利を引き上げる方針を示している。高田氏は中立金利について「ピンポイントではない」とし、「相当慎重に、もしくは幅をもって考えていかないといけない概念で、なかなか実務的にこれということにはなりづらい」と話した。 9月には日銀の審議委員による発信が相次ぐ。11日に中川順子氏、12日に田村直樹氏が金融経済懇談会を予定しており、その内容が注目される。2024/09/06 06:06:1259.名無しさんZ4ImcFX、再利上げ予想と距離、「日銀、既に終了」見方3割 円相場に波乱の芽(ポジション)2024/09/11 日本経済新聞 朝刊 外国為替証拠金取引(FX)投資家の間で、日銀の追加利上げに関する織り込みがあまり進まない状態が続いている。仮に日銀が利上げを進めていった場合、意外感からFX投資家が売っておいた円を慌てて買い戻し、円高に拍車をかけることもあり得る。 FX投資家の間では、7月30~31日の日銀金融政策決定会合の前から追加利上げの可能性に懐疑的な空気が出ていた。例えば7月中下旬に実施された外為どっとコムの顧客向け調査で、7月に利上げ決定があるとした人は1割に満たなかった。 利上げをあまり想定していなかった様子は、7月中旬以降進んだ円高に対してFXでは逆張りのドル買いがかなり増えた点からも見て取れる。 FX業者4社(GMOクリック証券、外為どっとコム、セントラル短資FX、マネーパートナーズ)合計の週次データでは、7月後半にドル円ポジションに占めるドル買い比率が一時65%を超えた。7月前半に5割を下回っていた水準からの急上昇は、早期日銀利上げがないことを想定した動きと解釈できる。 結果的に日銀は7月末に利上げを決定。その後、予想より弱い米雇用統計を受けて米大幅利下げ観測が広がったこともあり、円高がさらに進んだ。FXの損失確定の円買い戻しが、円高に拍車をかけたとされる。 ただFX投資家は依然ドル買い越し状態を維持。直近(9月4日時点)の4社集計値でドル買い比率が再び6割台に上がった。背景には依然日銀の利上げをあまり織り込んでいない事実がある。 例えば日銀が最終的にどこまで利上げするかを聞いた外為どっとコムの顧客向け調査(8月下旬実施)。現状の0・25%、つまり再利上げはもうないとの見方が約3割あり、0・5%までを合わせると6割弱に達した。 一方、債券市場関係者対象の8月QUICK月次調査〈債券〉では、2025年末の日銀政策金利は0・72%というのが予想の平均値。6月の同調査で、向こう5年の日銀政策金利のピークを聞いた結果は単純平均で1・07%だった。 FX投資家の間で日銀利上げの織り込みがあまり進まない理由は何か。 「生活者としての景況観を持つ個人投資家は、景気がそれほど強くない点を機関投資家より実感しているため、金利上昇予想を持ちにくいかもしれない」(外為どっとコム総合研究所の神田卓也氏)。逆張りを好むFX投資家は、円高のもとでのドル買いを正当化する金融政策予想を持ちやすいとの推測も成り立つ。 問題は、FX投資家の予想に反して日銀の利上げが進み、円相場がさらに上昇した場合だ。慌てて損失確定の円買いを入れるかもしれない。一定の含み損を抱えると自動的に反対売買するFXの機能(ロスカット)の発動もあり得る。円相場上昇に拍車がかかる。 日銀は当面株価などが安定を取り戻すか注視するが、経済・物価情勢が「想定通り」推移するなら再利上げを検討しそうだ。FX投資家には「想定外」となり円相場が混乱しないか。要注意だ。2024/09/11 06:41:2160.名無しさんZ4Imc日銀の中川委員「見通し実現なら緩和度合い調整」秋田県金融懇で挨拶2024/09/11 10:58 日経速報ニュース 日銀の中川順子審議委員は11日、秋田県金融経済懇談会で挨拶した。経済・物価見通しが実現していくようなら、2%の物価安定目標の「持続的・安定的な実現の観点から、金融緩和の度合いを調整していくことになる」との考えを示した。調整を検討するにあたり、金融市場の変化が見通しに及ぼす影響を「これまでと同様に、丁寧に評価を行い、判断をしていく必要がある」とした。 8月上旬の市場の変動については「米国の雇用統計において失業率の上昇などがみられたことがきっかけ」とし「米国の景気減速懸念から世界的に急速なドル安と株価の下落が生じた」との見解を示した。そのうえで、国内企業の収益は高水準で「この間、わが国経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)に大きな変化はない」との考えを述べた。 国内の賃金動向について「上昇率は、物価上昇も反映するかたちで基調的に高まっていく」との見方を示した。経済・物価見通しを巡っては輸入物価が再び上昇に転じることによる企業の価格転嫁の積極化や、労働需給の逼迫による賃金の上振れで「賃金や物価が『物価安定の目標』を超えて上昇するリスクには注意が必要」だとした。注目するリスクとして「海外経済の下振れ」や「実質所得のマイナスが長期化したことが今後の消費者マインドの改善の重しとなる可能性」などにも言及した。2024/09/11 11:14:0661.名無しさんZ4Imc円上昇、一時1ドル141円台半ば 日銀追加利上げ観測で2024/09/11 10:55 日経速報ニュース 11日の東京外国為替市場で対ドルの円相場は一時、1ドル=141円台半ばまで上昇した。円が急騰した8月5日に付けた直近高値(141円68銭)を上回り、およそ8カ月ぶりの円高・ドル安水準を付けた。日銀の中川順子審議委員が11日の講演で追加利上げに前向きな姿勢を示し日米金利差の縮小観測から円買い・ドル売りが進んだ。 中川氏は11日、秋田市で開催された金融経済懇談会で、経済・物価が見通しに沿って推移すれば「金融緩和の度合いを調整していくことになる」などと話した。5日には高田創審議委員が金沢市での金融経済懇談会で講演し「経済・物価の見通しがある程度実現していけば、それに応じて(金融緩和の度合いを)段階的に調整していく」との基本姿勢を強調していた。【関連記事】・日銀・中川委員、実質金利「極めて低い水準にある」・日銀・高田委員、追加利上げを示唆 判断「時間かけて」・日銀利上げ、既に終了の見方3割 FX投資家に誤算の芽2024/09/11 11:22:2262.名無しさんOofUB原油安、ウクライナ侵攻前水準に 貿易赤字・円安に歯止め2024/09/11 18:11 日経速報ニュース 原油の欧州指標が2022年2月に始まったウクライナ戦争前の水準に戻った。世界的な景気減速で供給過剰になるとの見方から下落基調になっている。貿易赤字の拡大と1ドル=150円を超える円安進行を生んだ悪循環にも、歯止めがかかる可能性がある。日本経済全体にとってプラスとなる。ガソリン価格を抑える政府の補助金政策の「出口」もようやくみえてくる。 欧州指標の北海ブレント原油先物は10日、一時前日比4%安い1バレル68.68ドルまで下落し、21年12月以来の安値をつけた。米指標のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物は同日、一時前日比5%安の1バレル65.27ドルまで下げ、こちらもウクライナ戦争前水準への回帰が近づいている。 背景には世界的な景気減速と供給過剰懸念がある。10日に中国税関総署が発表した8月の原油輸入量は、前年同月比で7%減となった。石油輸出国機構(OPEC)は同日に公表した月報で、24年の石油需要見通しを従来に比べて引き下げた。米国と中国の需要が想定より鈍化する見通しだ。 ウクライナ戦争以降、資源輸入大国の日本は円安と原油高の悪循環に苦しんできた。原油価格が上がると、原油購入の代金を支払うためのドルの需要が増す。輸入企業が外為市場で円を売ってドルを買う動きにつながる。円安進行で原油購入の代金がさらに増えて円売りが膨らむスパイラルに陥った。 エネルギー価格が急騰した22?23年にかけて、輸入総額全体に占める原油や液化天然ガス(LNG)など化石燃料の輸入額割合は30%前後で推移し、17?21年の平均(21%)を大きく上回った。22年度の貿易赤字は過去最大に膨らんだ。外国為替市場では22年10月に一時、1ドル=151円90銭台をつけた。 23年版の通商白書によると22年の貿易赤字の増加分のうち、化石燃料など輸入品の価格高騰が7割を占めたという。エネルギー価格が落ち着いてきたことで、貿易赤字は縮小傾向にある。ソニーフィナンシャルグループの尾河真樹チーフアナリストは「原油価格の低下で貿易収支が改善すれば、為替相場の円安圧力が弱まる可能性がある」と話す。 日本総合研究所の後藤俊平研究員は24年度内のWTI価格が今後60ドルで推移した場合、80ドルで推移した場合に比べて、同年度の実質国内総生産(GDP)が0.7%上振れすると試算する。企業収益の改善が見込まれる。大和総研の田村統久エコノミストは「実質賃金が上がり、個人消費の回復を後押しする可能性がある」と話す。 政府は2022年1月以降、新型コロナウイルス禍からの経済回復を支えるため、補助金を支給してレギュラーガソリンの小売価格を抑えてきた。延長を繰り返した結果、これまで充てられてきた予算額は約7兆円に上る。対症療法的な支出の長期化は脱炭素に逆行するだけでなく、市場の価格形成をゆがめてきた。 政府は現在、補助金がなければ190円前後になるガソリン価格を175円程度に抑えている。ニッセイ基礎研究所の上野剛志上席エコノミストの試算ではアジア指標であるドバイ原油が1バレル60ドル(現在は70ドル前後)、円相場が1ドル=140円の場合、ガソリンの小売価格は1リットル170円になる。この水準まで下がれば、補助金政策を続ける意味は薄れる。 政府は年末までガソリン支援を続ける方針を示している。原油価格が現在の水準で安定的に推移するようになれば「段階的な支援縮小など出口戦略は描きやすくなる」(経済産業省幹部)とみている。・原油価格、変動の裏にカナダ産 輸送能力拡大で存在感・原油1年4カ月ぶり安値 かすむ日銀の追加利上げ経路・原油70ドル割れ、年初来安値 米中の景気懸念反映2024/09/12 03:40:4763.名無しさんbdBdt日銀・田村委員「段階的に利上げ」 1%程度をめどに2024/09/13 日本経済新聞 朝刊 日銀の田村直樹審議委員は12日の金融経済懇談会後の記者会見で、今後経済・物価情勢が見通し通りに推移すれば「段階的に金利を引き上げ、経済・物価の反応を確認し適切な短期金利の水準を探っていく必要がある」との見解を示した。 利上げぺースは「ゆっくりとしたペースになる可能性が高い」とも述べた。 田村氏は12日午前の講演で、景気を過熱せず、冷やしもしない中立金利の水準は「最低でも1%程度だろう」との見方を示した。2026年度までの見通し期間の後半に「少なくとも1%程度まで短期金利を引き上げていく」ことが必要と語った。 記者会見で年内に追加利上げすべきと考えるかを問われた田村氏は「今後の経済や物価、金融情勢次第であり予断は持っていない」として明言しなかった。2024/09/13 06:07:4264.名無しさんbdBdt株、「円高で売り」が一段と鮮明に 海外勢は史上最高値後の売越額5兆円2024/09/13 12:52 日経速報ニュース 海外投資家による日本株への売り圧力が強まっている。日経平均株価が7月11日に史上最高値(4万2224円)を付けた翌週にあたる7月第3週(16?19日)以降、海外勢の売越額は現物と先物の合計で5兆1000億円に達した。その主因として円高・ドル安の進行を挙げる声は多い。欧米中銀が利下げを模索しているのに対し、日銀は利上げを継続する方針とあって、円高と株安が同時進行しやすい状況は当面続きそうだ。 13日午前の日経平均は反落し、前日比326円(0.89%)安の3万6507円で終えた。欧州中央銀行(ECB)は12日、2会合ぶりとなる0.25%の利下げを発表した。米連邦準備理事会(FRB)が17?18日に開く米連邦公開市場委員会(FOMC)でも、利下げはほぼ確実視されている。外国為替市場で一時1ドル=140円台後半まで円高が進んだのと歩調をあわせてトヨタ自動車やキヤノンといった輸出関連株に売りが膨らみ日経平均も一段安となった。 東京証券取引所によると海外勢は9月第1週(2?6日)に現物株を8235億円売り越した。1週間の売越額としては今年最大だ。2日の取引時間中に日経平均は一時、3万9000円台に乗せるなど8月急落後の戻りを試していた局面にあたる。個別株の買いと空売りを組み合わせる「ロング・ショート(LS)」戦略の運用担当者は「このタイミングでロングバイアス(買い持ち高を増やす)を強めたLS戦略の投資家は多かった」と話す。 23年4月以降の日経平均の価格帯別に集計した累積売買高では、上方向では3万8000?3万9000円、下方向では3万2000?3万3000円が膨らんでいる。ショート(売り)は貸株料がかかるため、普段からLS戦略は買い持ちの比重が高い。3万9000円を上回れば売り圧力が和らぐとの見方から先高観を強め、さらに買い持ちを増やしたファンドもあったもようだ。だが、その後の日経平均は米株安や円高につられて3日から11日までの7日続落で3000円あまり下げた。 米調査会社ヘッジファンド・リサーチ(HFR)が算出するLS戦略の運用成績を示す「株式ロング・ショート指数」は9月第1週にマイナス1.2%。週間では今年2番目の悪い記録で、LS戦略のパフォーマンスが急激に悪化したことがうかがえる。ヘッジファンドの運用スタイルで多いとされるLS戦略の成績悪化は、今後も尾を引く可能性がある。 海外勢は円高への警戒感を強めている。モルガン・スタンレーMUFG証券の中沢翔ストラテジストは今月に欧州を訪問した。現地投資家とのミーティングでは日銀のタカ派姿勢と米経済の減速懸念で大半の投資家は今後、さらなる円高進行を警戒する声が聞かれたという。日銀の利上げ継続の思惑はしばらく続きそうななか、日米の金融政策の方向性の違いなどに起因するボラティリティー(変動率)の高まりから、日本株は当面、レンジ相場とみる投資家が多かったと指摘した。 みずほ証券は9月第1週に機関投資家向けの日本株セミナーを開催した。同証券の菊地正俊チーフ株式ストラテジストは「想定以上に円高を懸念している海外勢が多かった」と話す。日銀の利上げ継続とFRBの年内数回の利下げは市場に織り込まれているとして、菊地氏は年内の円相場について1ドル=140?150円で推移するとの見解を示したところ、130円台を見込む海外勢がそれなりにいたという。「円買い・株価指数先物売り」によって、短期的には日本株の一段安を見込む向きもあったようだ。 市場では「8月の急落後に割安感が強まった日本株には、長期志向の海外勢が買いを入れた」(外資系証券のストラテジスト)との声も聞かれる。ただ、7月第3週以降に5兆円あまり売り越したというデータをみる限り、海外勢が再び日本株への強気姿勢を強めているような気配は乏しい。 9月相場は後半に警戒――。米国株のSQ(特別清算指数)算出に当たる第3金曜日以降、日米株は過去3年連続で9月は月末にかけ、大幅な下落に見舞われている。決算発表の1カ月前から自社株買いを自粛する米企業が多いことも一因のようだ。今年も9月後半に大幅な調整が入るとすれば、円高加速も重なり海外勢の慎重姿勢は一段と強まりかねない。もちろん、9月末にかけての下押し局面が買い場とみてエントリーしてくる投資家もいるだろう。投資家の運用の巧拙が明暗を大きく分けそうな局面に差し掛かっている。2024/09/13 13:59:1865.名無しさんyUdHEhttps://jp.reuters.com/markets/japan/funds/KK3T6BFPCRMHNBZFULK3WDF6JQ-2024-09-19/バーゼル3見直し案の承認時期は未定=米FRB議長2024/09/20 02:00:1666.名無しさんyUdHE日銀が金融政策維持、消費判断引き上げ-利上げの影響や市場を見極め全員一致で決定、エコノミスト調査では全員が政策据え置きを予想景気の現状と先行きの判断、基調的物価に関する見方は変わらず 日本銀行は20日の金融政策決定会合で、政策金利の無担保コール翌日物金利を0.25%程度で維持することを全員一致で決めた。7月の追加利上げの経済・物価への影響や、8月に不安定化した金融市場動向の見極めが必要との判断が背景にある。 景気は「一部に弱めの動きも見られるが、緩やかに回復している」とし、先行きも「潜在成長率を上回る成長を続ける」との認識を維持。個人消費は「緩やかな増加基調」とし、従来の「底堅く推移」から判断を引き上げた。消費者物価の基調的上昇率は、経済・物価情勢の展望(展望リポート)で示した2024-26年度の見通し期間後半に「物価安定の目標とおおむね整合的な水準で推移する」との見方も据え置いた。 ブルームバーグが6-11日にエコノミスト53人を対象に実施した調査では、全員が金融政策の現状維持を見込んでいた。前回の7月会合での利上げ決定後に、米国経済への後退懸念も重なって金融市場は大きく不安定化したが、今会合の声明文からは日銀の経済・物価の見方や政策運営姿勢に大きな変化は見られていない。 会合結果を受けて外国為替市場では円が対ドルで一時1ドル=141円台まで上昇した。 リスク要因については、7月の展望リポートに続き、金融・為替市場の動向や、その日本経済・物価への影響を十分注視する必要があると指摘。「過去と比べると、為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている面がある」と記した。 大和証券の末広徹チーフエコノミストは、「為替の影響度を注視しているのは重要なポイント」と指摘。来年にかけて円高が進めば物価の下振れリスクとなり、来年には利上げ停止もあり得るとの見方を示した。その上で、年内に一度、さらに来年の早い時期にもう一度利上げをし「着地点は0.75%程度になるとイメージしている」と語った。 総務省が20日発表した8月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は前年比2.8%上昇と、4カ月連続でプラス幅が拡大した。エネルギー価格の高止まりに加え、食料や家庭用耐久財の上昇が全体を押し上げた。生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPIは2.0%上昇と、2カ月ぶりに2%台を回復した。 8月初めの市場急変を受けて内田真一副総裁は同月7日に、市場が不安定な状況で利上げはしない考えを表明した。その後、植田和男総裁ら他の政策委員は、高い緊張感を持って市場を注視するとしつつ、経済・物価が日銀の見通しに沿って推移すれば利上げを進める姿勢に変わりはないとの見解を示していた。2024/09/20 13:23:5867.名無しさん7Q6Sc日銀、金利据え置き 総裁、追加利上げ判断「時間的に余裕」2024/09/21 日本経済新聞 朝刊 日銀は20日開いた金融政策決定会合で、金融政策を現状維持し政策金利を0.25%に据え置いた。会合後の記者会見で植田和男総裁は、今後の追加利上げの判断に「時間的な余裕はある」と述べ、米経済や国内の経済・物価情勢を見極めていく姿勢を示した。(関連記事総合2面、会見要旨総合4面に) 7月末の会合で利上げを決めた後、為替相場が円高方向に動いた。植田総裁は2024年の年初からの円安進行に伴った物価の上振れリスクは「相応に低下した」と指摘した。 金融市場の動きは「引き続き不安定な状況にある」との見解を示し「極めて高い緊張感をもって注視する」と強調した。 会見開始直後に外国為替市場で1ドル=141円台後半を付けた円相場は、早期利上げの可能性は低いとの観測から、一時144円台に下落した。 植田総裁が追加利上げの判断に時間をかける姿勢を見せたのは、海外経済の先行きに「不透明感がある」との背景がある。金融資本市場の不安定な動きにもこうした見方が反映されているとの認識だ。 米連邦準備理事会(FRB)は18日、通常の倍となる0.5%の幅で4年半ぶりの利下げを決めた。植田総裁は、米国経済がソフトランディング(軟着陸)するとの見通しについて「メインシナリオと見ている点に変わりはないが、リスクは少し高まっている」と語った。米国は個人消費が好調な一方、労働市場が弱含んでいることを理由に挙げた。 今後の米経済やFRBの金融政策は「全体像がまだ見えていない。注意してみていきたい」と話した。 植田総裁は海外の不確実性をリスク要因として注視しつつ、これまで示してきた利上げ方針は維持した。経済・物価の見通しが実現していけば「政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになる」との考えを改めて示した。 現状の政策金利である0.25%は、インフレを考慮した実質金利でみて「極めて低い水準にある」とし、複数回の利上げが可能なことを示唆した。 日銀は追加利上げの判断で、一時的な要因を除いた基調的な物価上昇率の動きを重視する。堅調な個人消費などを受け、現状で基調物価の判断を「若干なりとも上げてもいいような材料」があると言及した。 ただ米国経済の動きが先行きについて「若干の不透明性を高め、(国内の好調と)相打ちのような形になっている」との状況認識を示した。 植田総裁は「見通しの確度が高まったからすぐ利上げとはならない」と述べ、決められた利上げのペースやスケジュールがあるわけではないと語った。「ある程度まとまった情報が得られたと判断できたところで、次のステップに移るとならざるを得ない」と述べ、データ次第との姿勢も重ねて強調した。2024/09/21 08:23:1968.名無しさん7Q6ScFRBより弱気? 植田日銀、奇妙な「米景気診断」の内実-編集委員 大塚節雄2024/09/21 09:02 日経速報ニュース 「米国であれば、ソフトランディング(軟着陸)的なシナリオに近い姿が実現していくのか。もう少し厳しめな調整になっていくのか。これを丁寧に見極めていきたい」 不思議な記者会見だった。日銀の植田和男総裁は政策金利を据え置いた20日の金融政策決定会合のあと、米景気のリスクを繰り返し強調し追加の利上げ時期を吟味するうえでの焦点だと言明した。日本の利上げの命運を米景気、もしくは米連邦準備理事会(FRB)に委ねたかのようだ。 そのわずか36時間前、0.5%の大幅な利下げを決めたFRBのパウエル議長は「後手に回らぬ決意」とともに、米景気の軟着陸説を勇ましく唱えた。会見でのトーンを比べる限り、植田氏のほうが米経済に悲観的なのは明らかだ。この奇妙な日米の「ズレ」には何があるのか。植田氏の発言を点検しよう。 「(利上げを決めた7月会合後の)データをみても、われわれの見通し通りに足元、動いてきていると日本経済をみている。これは若干なりとも基調的物価上昇率に対する判断を上げてもいいような材料だ」 今回、個人消費の判断を「底堅く推移」から「緩やかな増加基調」に引き上げたように、日銀は国内経済の底堅さには自信を深めている。利上げの是非を判断する決め手は「基調的な物価上昇率が目標の2%へと上向きつつあるか」「経済・物価見通しが実現する確度が高まっているか」の2点だ。7月末の利上げ決定の一端を担った「オントラック(想定通り)」という発言は主に後者を指すが、エコノミストらから「消費が停滞したままではないか」との反発も招いた。 今回は懸案の消費判断を引き上げ、オントラックの継続を認めたうえで「基調的な物価上昇率に対する判断を上げてもいい」と踏み込んだ。賃金上昇の広がりやサービス価格に波及する兆しも踏まえると、利上げを決めてもおかしくはなかったことになる。だが、上記の発言の直後にはこんな説明が続く。 「他方で海外経済、とくに米国経済の動きが先行きに関して若干、不透明性を高めている。それがなにか相打ちのようなかたちに足元なっていると認識している」 単純に解釈すると、米景気のリスクが足を引っ張り、連続利上げの判断を妨げたことになる。 ここで注目すべきなのが、広くニュースの見出しにも使われた「時間的余裕」発言だ。サプライズを伴った7月末の利上げが、経済・物価のオントラックぶりに加え、それまでの急激な円安が輸入物価の押し上げを通じ、物価の上振れリスクを高めているのに対応したのと強く関係している。 「最近の為替動向も踏まえると、年初以降の為替円安に伴う輸入物価の上昇を受けた物価上振れリスクは、相応に減少しているとみている。したがって政策判断にあたって、先ほど来申し上げてきた点を確認していく時間的な余裕はある」 「先ほど来申し上げてきた点の確認」というのは、次の通りだ。 「政策判断にあたっては内外の金融資本市場の動きそのものだけでなく、その変動の背後にある米国をはじめ海外経済の状況などについて丁寧に確認していくことが重要だ」2024/09/21 12:57:5369.名無しさん7Q6Sc 要は米経済のリスクをよく確認する必要があり、7月末の利上げもあって円安が収束したため、その点を吟味する余裕ができたということだ。 7月末の利上げは円の反転上昇に加えて株価の急落も招いた。日銀が不運だったのは、米景気指標の急激な下振れと重なったことだ。今回の米景気リスクへの警戒は、このときの市場の混乱と深く結びついている。 「米国をはじめ海外経済の先行きを巡る不透明感が昨今の金融資本市場の動きの背後にあると考えている」 市場混乱のさなかの8月7日。内田真一副総裁は講演で「金融資本市場が不安定な状況で、利上げをすることはない」と火消しに回った。逆に言うと「市場が安定しさえすれば、利上げに動ける」という意図があるのは言うまでもない。 むしろ問題は「市場の安定」を何をもって判定するのかの難しさにある。今回の会見で重要なのは、植田日銀が「市場が安定したのかどうか」の判断を、市場の動きの背後にある「米経済の不透明感」の話に置き換え、「軟着陸の成功」を利上げの条件に据えたことだ。 植田氏は「軟着陸をメインシナリオとみている点は変わりない」と語ったうえで労働市場の減速を念頭に「8月初め以降の米経済に関するデータは少し弱いものが続いているのでリスクは少し高まっている」と警戒した。「FRBが減速傾向を食い止めるためにどれくらいの利下げをしていくのか、全体像がまだみえていない」とも語った。 もし米景気の軟着陸を強く信じているのであれば、やがて「市場安定」の判定問題は雲散霧消し、自然に利上げの環境が整うとみているのだろう。逆に、下振れリスクを本気で心配しているのなら、これ以上の利上げを進められないという事態もうすうす覚悟し始めていることになる。 当のFRBはどうか。パウエル氏は今回、0.5%の大幅利下げによって米労働市場、ひいては米景気の下振れリスクに先手を打ったとアピールした。2回目以降の利下げはゆっくりと進める政策金利シナリオも示しつつ、「景気後退の可能性が高まっていることを示すものは何もない」「米経済は良い状態にあり、きょうの決定はそれを維持するためのもの」などと軟着陸をアピールした。 一方で米連邦公開市場委員会(FOMC)内では失業率が悪化方向にぶれるリスクを気にするメンバーが急増しており、パウエル氏の強気発言とは裏腹に、軟着陸シナリオの失敗を懸念している内実も見え隠れする。 日銀内で感触を探ると、米経済について明確に、あるいは意識的にFRBの認識よりも弱気にみているわけではなさそうだ。 一方的な円安が収まった以上、利上げを急ぐ必要はない。日銀にこの思いが強いのは確かだ。ただし「為替を直接の操作対象にしない」とする建前上、円安が収まったから利上げを見送る、との説明では厳しい。経済や物価がオントラックなら利上げに至りうるという説明との整合性を考えると、国内景気の動きを理由にした現状維持も成り立たない。 代わりに「米経済の軟着陸か否か」を前面に押し出せば、見送りの理由にしやすい。「市場が安定したかどうか」の判定の尺度も明確にできる。パウエルFRBの情勢判断や政策手腕を信じるなら、そう遠くないうちに利上げの機は訪れるはずだ――。日銀執行部の心中は、こんなところかもしれない。 外国為替市場は今回の植田氏の説明ぶりを追加利上げに慎重な「ハト派」と受け止め、20日の円相場は一時1ドル=144円台半ばまで円安・ドル高が進んだ。だが植田氏が「経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」と語った通り、日銀は利上げ路線自体を断念したわけではない。 では次の利上げはいつか。米経済の不透明性とそれに伴う市場の変動リスクを考えると、11月の米大統領選前である10月末の次回会合は考えにくい。一方、もし米景気の軟着陸が濃厚となれば、12月会合の利上げの線はまだ消えていないだろう。 「多くの企業が10月を中心にサービス価格の改定時期に当たるので、そこで好調な賃金動向がどれくらい反映されるかには強い関心をもっている」 国内の賃金と物価動向に絡み、最も重要だった植田氏の発言だ。この点が判明するのが11月以降。12月利上げはこの発言とも符合する。米経済とFRBに身を委ねつつも年内の利上げの線が完全になくなったわけではないことには注意が必要だろう。【関連記事】・来春賃上げ「期待できる」 日銀の植田総裁会見要旨・日銀総裁、利上げ判断「時間的に余裕」 金利は据え置き・[社説]日銀は正常化の歩みを周到に・次の利上げはいつか、日銀に難局2024/09/21 12:59:3770.名無しさん7Q6Sc焦点:米利下げ局面入り、07年と異なる経済情勢 日銀は米国動向を注視[東京 20日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が0.5%の利下げに踏み切ったが、日銀が利上げ局面にあるなかで米国が利下げした2007年とは内外の環境が大きく異なる。日銀内では、今回の米利下げは景気を下支えするもので、追加利上げに向けた日銀の動きを崩すものではないとの見方が出ている。一方、米経済減速懸念などを背景に円高が一段と進む場合は賃上げに影響する可能性もあり、その動向を確認する必要があるとの指摘もある。<07年と「大きく異なる」環境>植田和男総裁は20日の金融政策決定会合後の会見で、政策を現状維持とした理由について、経済・物価見通しはオントラックだが、米経済見通しが不透明性を高めていると説明。政策判断に当たって、市場不安定化の背景にある米国経済の状況を丁寧に見ていく「時間的な余裕はある」と話した もっと見る 。その米国経済について、植田総裁は現時点でソフトランディングがメインシナリオだと発言。今回同様、日本と米国の金融政策スタンスが逆となった2007年当時とは、内外経済の状況が大きく異なる。そんな声も日銀では出ている。日銀は06年3月に量的緩和を解除、その後ゼロ金利も脱し、07年2月に政策金利を0.5%に引き上げた。こうした中、07年8月にパリバショックで世界の金融市場が動揺、FRBは翌9月に政策金利を5.25%から4.75%に下げた。その後、米景気は後退局面に入り、リーマンショック後の08年12月にFRBはゼロ金利政策を導入。日銀も07年2月以降、据え置いてきた政策金利を08年10月に引き下げたが、その後、長く円高が続くこととなった。現在の日本は、政策金利こそ0.25%で07年2月時点より低いものの、コアCPIの前年比は2%台後半で推移。30年ぶりの賃上げ率が実現するもとで、賃金と物価がともに上がる好循環が回り始めている。米国経済もサブプライムローン問題が深刻化した当時のようなバランスシートの偏りもなく、金融機関の健全度も維持されている。こうした違いの中で、日銀内では今回の利下げが米景気を下支えするとの見方が出ている。米経済のソフトランディングシナリオを前提とすれば、追加利上げに大きな支障をもたらすことはない。2024/09/21 15:46:2971.名無しさん7Q6Sc第一生命経済研究所の前田和馬・主任エコノミストは、7月米雇用統計が失業率の3カ月移動平均を用いて足元の景気後退を判断する「サーム・ルール」に触れたことについて、「1950年以降、過去11回の景気後退期では全てサーム・ルールが発動しており、その精度は非常に高い」とする一方、雇用は増え続け、減少に転じたわけではないと指摘。米連邦公開市場委員会(FOMC)で示された米経済のソフトランディングシナリオには「妥当性がある」と話している。日銀では、米大統領選の結果にかかわらず、新大統領の就任で財政出動が見込まれるとして、来年の米国のインフレ圧力になりそうだとの見方も出ている。FRBの利下げ幅が小幅にとどまれば、為替円高の動きは限定的となり、日銀の利上げに追い風となる可能性もある。<米経済減速の深まり、円高など注視>日銀内には、米経済やFRBの金融政策を巡って、当面は市場の不安定な状況が続く可能性があるとの声もある。植田総裁も米経済のソフトランディングについて、リスクは少し高まっていると指摘、米経済減速懸念などを背景に円高がどこまで進むかも、今後の日銀の政策を占うカギとなる。FOMC後に公表された金利見通しによれば、年内にさらに0.5%、25年にもう1%の利下げが見込まれている。25年には四半期に1回の利下げという計算になる。グローバルマーケットエコノミストの鈴木敏之氏は「テイラールールを計算すると、25年の利下げ幅は0.6%で、1%は下げ過ぎ」と指摘するが、SMBC日興証券の牧野潤一チーフエコノミストは19日付リポートで「現在、米国・日本市場で織り込まれていない将来の金融政策が今後織り込まれていくとすると、1年後のドル/円レートは1ドル=132.5円程度となっている可能性がある」との分析を示す。6月日銀短観での企業の想定レートは1ドル144.77円。足元の水準であれば影響は軽微とみられるが、円高が一段と進めば日本の企業収益に下押し圧力がかかりかねない。米景気先行き懸念からFRBの大幅利下げ観測が高まり、さらに円高に振れれば、来年の賃上げに影響が及ぶ事態も想定される。植田総裁は20日の会見で、米国はじめ海外経済の先行きをめぐる不透明感が金融市場の背後にあると話し、丁寧に分析し、経済・物価見通しへの影響を確認していく考えを示した。日銀内では、米経済の下振れ警戒が根強い場合には、日本企業の来年の賃上げに向けた動向をしっかり見極めた上で次の利上げに進むべきだとの声が出ている。2024/09/21 15:48:2372.名無しさん6JpgX東京メトロ上場へ、時価総額は今年最大 収益多角化と優待評価が鍵に2024/09/24 08:00 日経速報ニュース 東京証券取引所は20日、東京地下鉄(東京メトロ、9023*J)の新規上場を承認した。10月23日に東証プライム市場へ上場する。首都圏で地下鉄を運営する鉄道会社とあって知名度は高い。想定発行価格(1100円)と上場時の発行済み株式数(5億8100万株)から計算した時価総額は6391億円と今年最大規模になる見通しだ。 売り出し株数は2億9050万株で、売り出しの内訳は国内2億3240万株、海外5810万株。株主である政府(財務大臣)が1億5517万1585株東京都が1億3532万8415株をそれぞれ売り出す。国は復興財源確保法に基づき、東京メトロ株の売却収入を復興債の償還費用に充て、都はインフラ整備に充当する方針だ。主幹事は野村証券で仮条件は10月7日、公開価格は10月15日にそれぞれ決定する。 半導体メモリー大手のキオクシアホールディングス(HD、旧東芝メモリ)が1.5兆円規模で10月にも上場するとの観測がある。キオクシアHDの上場承認は発表されていないため、東京メトロは上場時点で2024年の新規株式公開(IPO)のなかでは最大規模の案件になる見通し。私鉄大手の時価総額との比較では1兆円を超える東急(9005)や阪急阪神ホールディングス(9042)は下回るものの、京成電鉄(9009、7611億円)や近鉄グループホールディングス(9041、6669億円)とちかい規模となる。 /home/member/news/202409/ucljpg_b0d839cfe878bd0929aeb8572a2b55e7.jpg?format=raw 東京メトロの25年3月期(今期)の連結純利益は前期比13%増の523億円を見込む。今期予想ベースのPER(株価収益率)は12.2倍程度。鉄道が主力のJR東海(9022、8倍)や大手私鉄の一角である東武鉄道(9001、11倍)よりは高いが、小田急電鉄(9007、15倍)や東急(18倍)を下回る。 東京メトロは、営業収益に占める旅客運輸収入の割合が約83%(24年3月期)と高い。人口密集地の首都圏での事業が中心なだけに、売上高営業利益率は19.6%(24年3月期)と高く、私鉄で収益力の高さに定評がある東急(9.1%)や阪急阪神(10.6%)も大きく上回る。 鉄道以外に収益源を多角化する余地は大きい。東京メトロは小田急などと共同で新宿駅西口の再開発に着手しており、29年度をめどに新宿駅の上に高層ビルを建設する。3月には国内外の現地ツアー予約サイト運営のベルトラ(グロース、7048)と資本業務提携を結び、東京の観光施設をフリーパスで回れる乗車券付きの新商品の開発などを進めている。機関投資家に需要を聞き取るブックビルディングを通じて、こうした動きが公開価格にどう反映されるかがまずは注目される。 個人投資家の長期保有を促すための株主優待制度への関心も高い。毎年3月末と9月末を基準日として保有株数に応じて全線片道切符を発行する。例えば「200株以上400株未満」の株主は全線片道切符を3枚受け取れる。このほか年1回、3月末時点で「200株以上」を保有する株主には地下鉄博物館(東京・江戸川)の無料招待券5枚や、「そば処めとろ庵」のかき揚げトッピング無料券やゴルフ練習場の入場無料券などがもらえる。優待は上場後の株価の下支え要因となるだけに、個人の動向にも気を配りたい。2024/09/24 08:39:0973.名無しさん7NGEK債券寄り付き 長期金利、0.795%に低下 8月5日以来の低さ 米金利低下で2024/09/25 09:08 日経速報ニュース 25日朝方の国内債券市場で長期金利が低下(価格は上昇)している。指標となる新発10年物国債の利回りは前日を0.020%下回る0.795%をつけた。金融・資本市場が混乱した8月5日以来およそ1カ月半ぶりの低さ。24日発表の米経済指標の下振れを受けて米長期金利が低下し、国内債にも買いが入った。日銀の追加利上げ時期が後ずれしたとの見方も相場の支えとなった。 24日発表の9月の米消費者信頼感指数は98.7と、前回改定値(105.6)から低下したうえ、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(104.0)も下回った。米景気の減速懸念や米利下げ観測から米国債には買いが入り、米長期金利は3.73%に低下した。 日銀の植田和男総裁は24日に大阪市内で開いた講演で「基調的な物価上昇率が見通しに沿って高まっていくならば、政策金利を引き上げ、緩和の度合いを調整していくことが適当」と改めて強調した。一方、為替の円安修正により物価の上振れリスクが減少し、政策判断に「時間的な余裕はある」との見方を20日に続いて示した。日銀が追加利上げを急がないとの見通しが改めて広がったことも相場の押し上げ要因となった。 先物相場は続伸して始まった。中心限月の12月物は前日比8銭高の145円19銭で寄り付いた。短期金融市場では大阪取引所で無担保コール翌日物金利(TONA)先物が上昇し、中心限月である12月物は前日比0.0100高い99.7075をつけた。2024/09/25 09:45:4474.名無しさん7NGEK薄れる日米国債金利の連動性 「日本は日本」、日銀政策に一喜一憂2024/09/25 13:51 日経速報ニュース 日米の長期金利の連動性が薄れてきている。20日の日銀の金融政策決定会合以降、米長期金利が上昇(債券価格が下落)する局面でも日本の長期金利は低下(価格は上昇)基調を保ったままだ。日本と米国との間で政策の方向性の違いが鮮明になっており、これまで米国債に左右されがちだった国内債市場に「日本は日本」との空気が生じている。 24日以降の国内債相場は中期債を中心に利回りが大きく低下した。政策金利の影響を受けやすい2年物国債利回りは前日を0.010%下回る0.330%まで下がり、前週末20日の0.390%から大きく水準を切り下げている。25日は長期金利の指標となる新発10年債利回りが一時0.795%と、金融・資本市場の混乱が起きた8月5日以来、およそ1カ月半ぶりの低水準をつけた。 金利低下の主因は日銀による早期利上げ観測の後退だ。植田和男総裁が政策判断にあたり「時間的余裕がある」との見解を20日と24日にそれぞれ示したからだ。この間、米債利回りの強弱感は明確ではなく、国内債がもっぱら日銀に焦点をあてて動いていることがわかる。 グローバルな資本移動が進む現在は、日米の国債金利は連動しやすいとされる。世界規模で運用する投資家は期間を区切って資産配分の比率を決めている。例えばもし米債の価格が上昇すれば、日本国債の比率があまり下がらないように機械的に買いを入れるケースが出てくる。 だが、どの国も独自の国内要因を抱えている。とりわけ、日本では金融政策の正常化という新たな段階に入り、引き締めからの撤収局面を迎えた米国との対照性が浮き彫りになっている。海外の投資家も日本固有の材料への感応度を高めざるを得なくなり、相場が「米債離れ」をする日が増えているわけだ。 三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鶴田啓介氏も「短期的に」と前置きしたうえで、日米国債利回りのデカップリング(非連動)が続く可能性を指摘する。では国内要因が主導する今後の相場展開はどうなるのか。 日銀の植田和男総裁は24日に大阪市内で開いた講演で「基調的な物価上昇率が見通しに沿って高まっていくならば、政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことが適当」と従来の立場を改めて示した。ただ、足元の為替の円安修正に伴い物価の上振れリスクが相応に減少し、政策判断にあたって「時間的な余裕はある」とも説明した。 三菱モルガンの鶴田氏は「基本的に日銀は利上げ方針を掲げており、先々の金利上昇は意識されやすい。半面、指をくわえてみている投資家は少ない。金利が上昇した局面で債券買いを入れる動きも出てくる」と話す。 国内外の債券を中心に運用するSOMPOアセットマネジメントの前田洋司氏は「(金融・資本市場が一時混乱した)8月以降、国内金利の低下を見込んだ投資戦略をとっている。10月もデュレーション(元利金の平均回収期間)の長期化を中心に考えている」という。 さらに前田氏は「日本の期待インフレ率の低下や為替の円高による景況感の押し下げの可能性、日銀の利上げ観測後退などを踏まえて国内長期金利は0.6%まで下がってもおかしくない」と強気だ。また中期債のうち5年債についても、8月月初の0.6%台から足元で0.4%台へと水準を切り下げるなかで「買う余地はある」という。 27日には自民党総裁選の投開票が控え、その後は衆院解散・総選挙が取り沙汰されている。次期首相になる新総裁の経済政策を見極めたいとして、「国内債には売り手が少ない状態になる」(三菱モルガンの鶴田氏)との声も聞かれる。 日銀の政策正常化のプロセスを織り込むのにはまだ時間がかかるだろう。米国は米国で今後の利下げの余地や景気回復の見通しを織り込む段階になるが、日銀への注目度が簡単には下がりそうにないとすれば、日米国債利回りのデカップリングは来年まで継続するのかもしれない。2024/09/25 13:59:2075.名無しさんNQokYフィンテック規制、総点検へ 金融庁 法制定14年、時代に合わず 利用者保護の不備補う2024/09/26 日本経済新聞 朝刊 金融庁は銀行の代わりに送金・決済・与信サービスを提供するフィンテック事業者に対する規制を総点検する。資金決済法制定から14年を経て、利用者保護に支障が生じる恐れも出ており、時代に合わなくなってきた。 金融審議会の作業部会が25日、資金決済法改正に向けた議論を始めた。2025年の通常国会への改正案提出をめざす。規制の結果、ステーブルコインなど利用が進まないサービスがあり、規制緩和も焦点になりそうだ。 資金決済法は銀行が独占してきた送金・決済・与信業務を開放し、それを担う新しい事業者とそのサービスを規制する法律。施行した2010年当初は、プリペイドカードや電子マネーといった前払い式の支払い手段への規制が柱だったが、暗号資産(仮想通貨)やバーコード決済など新たな決済手段が登場するたびに改正を重ねてきた。 今回議論の中心になるのが、新たな金融サービスやフィンテック事業者への規制のあり方だ。 国境を越えた送金や決済も増え、「クロスボーダー収納代行」と呼ばれるサービスを規制対象にするかが論点の一つだ。 現行法はコンビニでの公共料金の支払いなど国内で完結した収納代行を想定している。国境をまたぐこのサービスは原則適用外とされており、支払い遅延のリスクが生じたり、国内取引に比べ送金経路も複雑だったりする。個人の利用が増えている可能性もある。 金融庁は利用者を保護するため、「資金移動業」の登録範囲を広げたり新たな規制を設けたりすることを検討する。サービス提供者に規制の網をかければ、未払いなどのトラブルに対応しやすくなる。 BPSP(ビジネス・ペイメンツ・ソリューション・プロバイダー)と呼ばれる立て替えサービスも論点だ。サービス事業者が利用者に代わって一定期間、支払いを代行する行為が実質的には「貸金業者」との指摘が出ている。 運転資金の圧縮や銀行振込コストの削減を進めたい企業のニーズを受け広がっている。現行の資金決済法は利用者が事前に代金を支払う前払いを前提とし、立て替えを想定してこなかった。 貸金業法に基づく登録を求めれば、重い規制を課すことになるが、業者はサービスを維持できなくなる恐れがある。25日の作業部会では、委員から「過剰与信の入り口になり得る。防止が必要だ」などの意見が出た。 取引増加が続く暗号資産を巡っても追加のルールを検討する。国内外で暗号資産交換業者からの不正流出が絶えず、破綻に追い込まれる業者も少なくない。2022年には世界2位の暗号資産取引所だった米FTXが破綻し、国内資産の保護が焦点になった。 金融庁は資金決済法の行政処分の規定に「国内資産保有命令」の追加を検討する。FTXの場合、日本法人が金融商品取引法の登録を受けており、同命令を出すことができたものの、資金決済法の登録だけであれば、難しかった。法の落とし穴とも言えた。 金融規制は利用者の利便性を損ねたり、金融機関の使い勝手が悪くなったりする時もある。例えば、法定通貨の価値に連動するステーブルコインは2023年に発行できる制度を創設したが、利用は低調だ。発行額に見合った金額を現預金で用意しなければならない規制で、発行コストをまかなうことができないことが原因だ。 金融庁は現預金に加えて短期国債を認める方向で規制緩和を検討する。英国や米国ニューヨーク州などはすでに国債など安全資産での運用を認めている。このほか利便性を損ねている規制も総点検し、必要な規制緩和も同時に検討する方向だ。2024/09/26 06:09:3476.名無しさんNQokY日銀要旨、複数の委員「『物価安定目標』実現の確度はさらに高まった」2024/09/26 09:59 日経速報ニュース 日銀は26日、7月30?31日に開いた金融政策決定会合の議事要旨を公表した。複数の委員は、2%の「物価安定目標」について「実現していく確度は、さらに高まった」と指摘した。ある委員は、春季労使交渉の結果が賃金に反映されるなど「経済情勢に加えて、物価動向もオントラック(想定通り)と評価できる」と述べた。また、1人の委員は企業による賃金や価格の設定行動が積極化する中で「4月に続き、10月についても相応の『期初の値上げ』がみられる可能性が高い」との見方を示した。 7月会合では政策金利を0.25%に引き上げることを決めた。何人かの委員は経済・物価情勢に応じて「きわめて低い金利水準を、現段階から少しずつ調整していくことが適切だ」との見方を示した。多くの委員は小幅な利上げを実施しても「実質金利は大幅なマイナスが続き、緩和的な金融環境は維持される」として「引き続き経済活動をサポートする」との認識を共有した。 複数の委員は消費者物価指数(CPI)について前年比で2%を超える上昇が続いており、物価の上振れリスクが「政策判断において、より重要な判断要素になる」との見方を示した。2024/09/26 10:13:5077.名無しさんNQokY円下落、一時145円台 米大幅利下げ観測が後退2024/09/26 12:51 日経速報ニュース 26日の東京外国為替市場で対ドルの円相場は一時1ドル=145円台に下落した。4日以来およそ3週間ぶりの円安・ドル高水準。25日に発表された米経済指標が市場予想を上回った。米国経済が底堅いとの見方から米連邦準備理事会(FRB)の大幅追加利下げ観測が後退。日米金利差縮小への意識が和らぎ円売り・ドル買いが広がった。 米商務省が25日発表した8月の新築住宅の販売件数は前月から4.7%減ったものの、市場予想(5.3%減)ほど悪化しなかった。米景気懸念が後退し、米金利が上昇。日米金利差の拡大が意識された。 月末かつ四半期末で、国内の輸入企業など実需による円売り・ドル買いの動きも出ているとの見方がある。2024/09/26 12:53:0578.名無しさんNQokYあす自民総裁選、金融市場が描くシナリオ 金利低下・円安の巻き戻しなるか2024/09/26 14:11 日経速報ニュース 岸田文雄首相の任期満了に伴う自民党総裁選が27日、投開票日を迎える。選ばれた新総裁は近く召集予定の臨時国会での指名選挙を経て次期首相に就く見通しで、金融市場の関心も高い。報道各社の世論調査では乱立する候補のうち3人まで絞られつつあり、市場参加者は各候補ごとに相場がどう動くかのシナリオを描いて臨んでいる。 自民党総裁選は27日13時から議員や党員の開票が始まる。過去最多の9人が立候補するなか、各社の調査によれば石破茂元幹事長と高市早苗経済安全保障相、小泉進次郎元環境相の3人が新総裁に有力視されている。 金融市場で総裁選に関心が向かうのは次期首相が日銀の金融政策運営に影響を及ぼすとみられているためだ。代表的なのが高市氏で、23日公開のインターネット番組では「金利を今、上げるのはあほやと思う」と発言し、日銀の利上げをけん制した。 「高市新首相」を前倒しで織り込むように、25日の国内債券市場では長期金利の指標となる新発10年物国債利回りが一時0.795%と8月5日以来およそ1カ月半ぶりの水準に低下。26日の東京外国為替市場で円相場は約3週ぶりに1ドル=145円の節目を割り込むなど金利低下・円安が進んでいる。 高市氏が勝利すると日本国債相場はどうなるのか。みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは「中期ゾーンが買われ、新発2年債利回りは0.3%割れもあり得る」とみる。一方、市場では日銀の追加利上げが後ろにずれ込むと織り込まれつつあり、SMBC日興証券の奥村任シニア金利ストラテジストは中期ゾーンよりも「(保有し続けることで得られる)キャリー収益を確保する需要でより長い年限の債券を買う動きが広がりやすい」と読む。 外為市場では一段の円安・ドル高が進むとの見方が優勢だ。けん制色を強める高市氏が勝利すれば、日銀は次の利上げすらも難しくなりかねない。さらに高市氏が掲げる「戦略的な財政出動」が財政拡張の思惑を招きやすく、伊藤忠総研の武田淳チーフエコノミストは「長い目でみても円が弱くなるリスクを意識せざるを得ない」と話す。 石破氏や小泉氏が勝利すると、足元で広がる金利低下・円安という「高市トレード」はいったん巻き戻される公算は大きいが、この候補2人でも巻き戻しには濃淡が出そうだ。 石破氏は25日の記者会見で、岸田首相が進めてきた「成長と分配の好循環」について「さらに力強く、確実なものにしていく」と述べたと伝わった。注目された金融所得課税の強化について問われると「いまの貯蓄から投資へという流れは一層加速させていく」とややトーンダウンしている。 安倍晋三元首相の経済政策「アベノミクス」から距離を置き、日銀の利上げも歓迎するとみられていたが、市場からは石破氏が勝利しても「岸田内閣とあまり変わらないかもしれない」(みずほ証の上野氏)との声が漏れ始めている。 むしろ影響が大きそうなのは小泉氏が勝利した場合だ。小泉氏は金融政策について日銀の独立性を尊重するとの立場を表明している。伊藤忠の武田氏は、フリーハンドになった日銀が利上げを進めやすくなるとみて「金利上昇や円高が進むスピードが(3人のなかで)最も速まる可能性があるのは小泉氏ではないか」と予想する。 新総裁選びが最後までもつれ込めば「たとえ高市氏が総裁選に敗れたとしても、組閣で重要なポストに就く展開もあり得る」(みずほ証の上野氏)。新総裁の選出だけでなく、10月以降に明らかになる新内閣の人事案が思わぬ影響を与える可能性は残る。いくつものシナリオを意識しつつ、金融市場は総裁選の行方を固唾をのんで見守っている。2024/09/26 14:40:2479.名無しさんN0AjL日銀、金利を段階的に引き上げるべき インフレデータ正当化なら=IMFBy ロイター編集2024年10月4日午前 2:19 GMT+94時間前更新[ワシントン 3日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)のコザック報道官は3日、日銀は引き続きデータに基づき、インフレ見通しに沿って政策金利を段階的に引き上げていくべきという見解を示した。さらに、日銀がこれまでに金融政策の正常化に向けた重要な措置を講じたとし、2%の物価目標達成に向けた軌道に乗っていると述べた。日本経済は拡大を続けているという認識も示した。2024/10/04 06:43:0280.名無しさんN0AjL債券寄り付き 長期金利、0.87%に上昇 1カ月ぶり高さ2024/10/04 09:11 日経速報ニュース 4日朝方の国内債券市場で、長期金利が上昇(債券価格が下落)している。きょうから新発債となった10年物376回債の利回りは前日を0.010%上回る0.870%に上昇した。新発債としては9月12日以来、約1カ月ぶりの高水準をつけた。3日発表の9月の米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業景況感指数が改善して同日の米長期金利が上昇し、4日の国内債にも売りが及んでいる。 先物中心限月である12月物は前日比17銭安の144円77銭で始まった。バイデン米大統領は3日、イスラエルによるイラン石油施設への攻撃を米国が支援するか「議論している」と述べた。中東情勢の緊迫化は、リスク回避の債券買いにつながる一方、原油高を通じてインフレ圧力を高めるため米国債が売られた面もある。 短期金融市場では大阪取引所で無担保コール翌日物金利(TONA)先物の中心限月である12月物は取引が成立していない。2024/10/04 09:32:4781.名無しさんOfhxmNY債券、長期債続落 10年債利回り4.02% 2カ月ぶり高水準 大幅利下げ観測の後退で売り継続2024/10/08 06:14 日経速報ニュース 【NQNニューヨーク=矢内純一】7日のニューヨーク債券市場で長期債相場は4日続落した。長期金利の指標となる表面利率3.875%の10年物国債利回りは前週末比0.05%高い(価格は安い)4.02%で終えた。一時4.03%と8月上旬以来およそ2カ月ぶりの高水準を付けた。米連邦準備理事会(FRB)による大幅利下げ観測が後退しており、債券に売りが続いた。 前週末発表の9月の米雇用統計は市場予想を上回る内容で、11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で9月と同じ0.5%の利下げを決めるとの観測が後退。7日の取引でも大幅な利下げを見込んだ取引の巻き戻しが続いた。米短期金利先物の値動きからFRBの金融政策を予想する「フェドウオッチ」では11月に政策金利を据え置く確率が前週末4日の2%台から10%台半ばに上昇した。 市場では、米経済が軟着陸(ソフトランディング)に向かうとの観測は根強い。ゴールドマン・サックスは6日付のリポートで米国経済が1年以内に景気後退に陥る確率を20%から15%に引き下げた。 一方、米経済の底堅さがインフレ沈静化のペースを鈍らせるとの見方もある。中東情勢が緊迫するなか、7日の米原油先物相場は前週末に比べ、一時4%上昇した。週内には9月の米消費者物価指数(CPI)と米卸売物価指数(PPI)の発表がある。FRBの金融政策の先行きを見通す上で重要な物価統計を見極めたいとの雰囲気があった。 金融政策の影響を受けやすい2年債の利回りは前週末比0.07%高い3.99%で終えた。一時4.02%と8月下旬以来の高水準を付けた。7日早朝の取引では、10年債の利回りが2年債の利回りを回る「逆イールド」が発生する場面があった。2024/10/08 06:17:0382.名無しさんOfhxm長期金利、0.930%に上昇 2カ月ぶり高さ2024/10/08 09:21 日経速報ニュース 8日午前の国内債券市場で長期金利の指標である新発10年物国債利回りが前日を0.010%上回る0.930%に上昇(価格は下落)した。8月6日以来、約2カ月ぶりの高水準となった。底堅い米労働市場から米国経済のソフトランディング(軟着陸)への期待が高まっている。米連邦準備理事会(FRB)は大幅な利下げを続けないとの見方が広がり、7日の米長期金利が4%台と約2カ月ぶりの高さに上昇した。国内債にも売りが及んでいる。2024/10/08 09:24:2783.名無しさんOfhxm債券11時 長期金利が上昇 一時0.93%、2カ月ぶり高さ2024/10/08 11:14 日経速報ニュース 8日午前の国内債券市場で長期金利の指標となる新発10年物国債利回りが前日を0.005%上回る0.925%に上昇(価格は下落)した。一時は0.930%と8月6日以来およそ2カ月ぶりの高水準をつけた。7日の米長期金利が4%台に上昇し、国内債にも売りが波及した。 底堅い米労働環境を映す経済統計を受け、米国経済のソフトランディング(軟着陸)への期待が高まっている。米連邦準備理事会(FRB)は大幅な利下げを続けないとの見方が広がり、7日の米長期金利は約2カ月ぶりの高さとなる4.02%へと上昇した。 売り一巡後は底堅く推移した。国内金利は足元で急ピッチで上昇していたとあって、持ち高調整を目的とした買いも入った。 財務省は8日、30年物国債(新発84回、表面利率2.100%、発行予定額9000億円程度)の入札を実施する。他の年限と比べた割安感や新発債への一定の需要を背景に、「大きく崩れることはないのではないか」(国内証券の債券調査担当者)との見方があった。 新発30年物国債の利回りは前日を0.025%上回る2.135%と8月8日以来の高水準をつけた。入札を前に持ち高調整の売りが出た。新発20年債利回り前日比0.020%高い1.720%で取引されている。中期債では、新発2年債利回りが一時0.410%と8月2日以来の高さをつけた後、買いが優勢となり0.4%ちょうどへと低下に転じている。 債券先物相場は反発し、中心限月の12月物は前日比2銭高の144円23銭で午前の取引を終えた。朝方は売りが先行して144円11銭まで下げたものの、押し目買いや買い戻しが入り次第に買いが優勢となった。 短期金融市場では、無担保コール翌日物金利(TONA)が横ばい圏で推移し、加重平均金利は前日の日銀公表値(0.227%)とおおむね同水準のもようだ。2024/10/08 11:22:4084.名無しさんTgPhf長期金利、0.945%に上昇 2カ月ぶり高水準2024/10/10 09:29 日経速報ニュース2024/10/10 11:30:0185.名無しさんy37eg債券12時50分 長期金利、0.960%に上昇 2カ月半ぶり高さ2024/10/15 13:19 日経速報ニュース 15日午後の国内債券市場で、長期金利が上昇幅を広げている。指標となる新発10年物国債の利回りは午後に前週末比0.015%高い(価格は安い)0.960%と、8月2日以来およそ2カ月半ぶりの高水準をつけた。米金利の先高観が根強く、国内債にも売りが続いている。円安進行が日銀の早期利上げを後押しするとの思惑も長期金利の上昇を促している。 財務省が15日実施した残存期間「5年超15.5年以下」の利付国債を対象にした流動性供給入札では、応札額を落札額で割った応札倍率が2.52倍だった。応札倍率は前回から低下したものの、落札された利回りなどを踏まえると「無難な結果」(国内証券の債券ストラテジスト)だと受け止められ、債券相場の影響は限られている。 超長期債にも売りがやや優勢だ。新発30年物国債の利回りは前週末比0.005%高い2.165%で推移している。債券先物相場は軟調で、中心限月である12月物は前週末比12銭安の143円87銭で午後の取引を始めた。 短期金融市場では、現金担保付き債券貸借(レポ)金利が低下した。日本証券業協会がまとめた東京レポ・レートで、翌営業日に始まる翌日物(トムネ)金利は前週末比0.005%低い0.240%だった。2024/10/15 13:59:3386.名無しさんJsR4Z日銀の安達委員、金融正常化「段階的な利上げが適当」2024/10/16 10:57 日経速報ニュース 日銀の安達誠司審議委員は16日、香川県の金融経済懇談会で挨拶した。金融政策運営を巡り、消費者物価指数(CPI)を構成する品目別の前年比の上昇率がデフレ期特有の形状でなくなり、CPI水準もデフレ期以前のピークを超えているため、「金融政策が正常化プロセスに入る条件は既に満たしている」と語った。 基調的な物価上昇率が2%近傍に達するまでゼロ金利を維持し、目標実現後に急ピッチで利上げをすると「景気を悪化させ、再度、デフレーションを意識させるようなデフレレジームへの転換となってしまうリスクも無視できない」と指摘した。これを回避するために実体経済にショックを与えない範囲で「段階的に政策金利を引き上げていった方が、よりスムーズな金融政策の正常化が可能になると思われる」として、「段階的な利上げというプロセスを経ることが適当である」との認識を示した。2024/10/16 11:00:3387.名無しさんoHA7R財務官「緊張感持ち注視」 円安・ドル高進行受け2024/10/18 10:12 日経速報ニュース 財務省の三村淳財務官は18日、記者団の取材に応じ、足元の円安・ドル高進行について「投機的な動きも含めて市場の動向を高い緊張感を持って注視していきたい」と述べた。同日午前の東京外国為替市場の円相場は1ドル=150円台前半で取引が始まり、節目とされる150円を突破したことで政府・日銀による為替介入への市場の警戒感が高まりそうだ。 三村氏は「やや一方向に、あるいは急速な動きもみられると認識している」とも語った。 150円台は約2カ月半ぶりの円安水準。政府・日銀は今年、急速に円安が進んだ4月から7月にかけて複数回の介入に踏み切った。〔共同〕【関連記事】・1カ月で10円の円安、気になり始めた日本当局の介入・円下落、一時1ドル150円台 景気堅調で米利下げ観測後退2024/10/18 13:37:1488.名無しさんoHA7R織り込み進む日銀利上げ、「来年3月までに」の確率8割2024/10/18 13:32 日経速報ニュース 日銀が来年3月までの今年度中に追加利上げに動くとの織り込みが進んでいる。米景気の軟着陸(ソフトランディング)期待が高まり、それと同時に円相場に下落圧力がかかっているためだ。翌日物金利スワップ(OIS)市場の参加者が織り込む確率は、2025年3月の金融政策決定会合まで追加利上げに踏み切る確率は8割を超えた。 /home/member/news/202410/ucljpg_fdb73c936d2207720125331aef3773bd.jpg?format=raw 日銀の政策金利である無担保コール翌日物金利(TONA)を変動金利とし、固定金利と交換するOISのなかでも、金利の交換期間を日銀会合間とする「金融政策決定会合間取引」のレートは、市場参加者の利上げ織り込みを映し出す指標のひとつだ。 来年3月からその次までの会合間を交換期間とする取引の金利は18日、一時0.43375%となった。このレートと現在のTONA(0.227%)との差を求め、想定される利上げ幅である0.25%の何割に当たるかが、市場が織り込む利上げ確率となる。月初は4割程度にとどまっていた来年3月会合までに利上げに動く確率は18日時点で83%まで上昇してきた。 来年1月会合までに利上げする確率も上昇している。その確率は18日時点で67%に達した。1月、3月の確率はいずれも右肩上がりで、金融市場では年度内の追加利上げの可能性が徐々に織り込まれている。 日銀の植田和男総裁は9月20日の記者会見で「すぐに利上げだとはならない」ことの理由に、米国経済の「不透明性」を挙げた。これに対し9月の米雇用統計では失業率が低下し、17日発表の9月の米小売売上高は市場予想を上回った。米景気の軟着陸が実現するなら、日銀は追加利上げを悩まず判断できるというわけだ。 さらに円相場は1ドル=150円台前半と、約2カ月半ぶりの安値をつけた。財務省の三村淳財務官は18日に「やや一方的に、あるいは急速な動きもみられると認識している」と語り、金融当局者からは円安進行をけん制する声も出始めている。米経済の楽観的な見通しを手掛かりに円の先安観がさらに強まる可能性もある。これも日銀の追加利上げ観測を高める要因だ。 岡三証券の長谷川直也チーフ債券ストラテジストは「日銀が懸念を示していた米景気の底堅さが確認されるようだと、日銀の追加利上げの思惑は強まりやすい」とみる。来年の賃上げ機運に不透明感が残る12月は動きにくいとしても、米景気の腰折れがない限り、春季労使交渉(春闘)の結果が見通せる年度内には少なくとも1回の追加利上げがあり得るとの見方が定着しそうだ。2024/10/18 13:38:0989.名無しさん7ACBK与党苦戦の総選挙、日銀政策の正常化に逆風か2024/10/23 13:14 日経速報ニュース 27日に迫る総選挙を巡り、与党の苦戦が伝わっている。石破茂首相が「勝敗ライン」とする与党で過半数を維持できなかった場合について金融市場の参加者は身構え始めている。市場には、与党過半数割れは日銀の金融政策の正常化に逆風との見方が広がりつつある。 ■与党過半数割れなら政策読みづらく 市場参加者のメインシナリオはなお「与党で過半数維持」ながら、情勢は不透明感を増している。今週に入り、共同通信社や朝日新聞が与党の過半数確保を「微妙」と報じた。NHKが18日から3日間で実施した世論調査では、石破内閣を「支持する」と答えた人は41%と、1週間前の調査における44%から低下した。 与党で過半数割れとなれば、他党を巻き込んだ連立政権の拡大を目指すか、個別政策ごとに協力を取り付ける部分連合を目指すことになりそうだ。いずれにしても政策の先行きは読みづらくなる。 みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは「不確定な要因が増えて市場の不安定な状況が長引く可能性がある。日銀の金融政策の正常化には逆風になる」と指摘する。 米景気の後退懸念が強まって株価や為替相場が大きく動いた今年8月、日銀の内田真一副総裁は「金融資本市場が不安定な状況で利上げをすることはない」と述べた。当時は国内政治の動きはまだ静かだったが、総選挙後に日本株などが動揺すれば再び「利上げが遠のく」との見方が広がる可能性がある。 マクロ経済政策は金融と財政での協調が基本線であり、上野氏は「財政対策による個人消費などの景気への影響を見極めないまま、日銀が独走するのは望ましいものでもない」とも話す。 国内長期金利は日銀の利上げ観測が高まりにくいことが押し下げ要因、財政拡張の警戒が押し上げ要因となりそうで、身動きがとりづらい事態となることも考えられる。利回り曲線(イールドカーブ)は長い期間の債券ほど上昇しやすい「スティープ化」が進む可能性がある。 ■為替は円安・ドル高の可能性 円の対ドル相場への影響はどうか。自民党が単独で過半数を維持しない限り、円安・ドル高が見込まれている。バークレイズ証券は22日付のリポートで、与党の過半数割れで連立拡大の場合「高市早苗前経済安全保障相の勝利を織り込みにいった自民党総裁選前の相場展開に近いかたち」で円安・ドル高が進む可能性を指摘する。 9月の総裁選前は、日銀の利上げを強くけん制した高市氏の勝利を見込んで、株高と円安・ドル高が進んだ。 与党で過半数を維持しても円安圧力がかかる可能性がある。SMBC日興証券の宮前耕也日本担当シニアエコノミストは「非主流派に配慮する必要があり、高市氏に近い政策をとらざるを得なくなる」とみる。円安の進行次第では、物価の上振れリスクからむしろ日銀が正常化を早めに進める必要が出てくる展開も考えられる。財政政策との不協和音が生じ、市場の不安定さが強まる可能性は十分ありうる。 ■立民、国民、維新の姿勢は 可能性は低そうだが、政権交代が実現したらどうなるか。例えば立憲民主党は政策集2024のなかで「日銀の物価安定目標を『2%』から『0%超』に変更するとともに、政府・日銀の共同目標として『実質賃金の上昇』を掲げる」としている。 物価目標の引き下げは日銀の利上げ余地を広げ、株安・円高が進む公算が大きい。いずれにせよ、想定外の結果は市場のボラティリティー(変動率)拡大を招くのは必至だ。日銀が正常化を進めるタイミングを見極めるのはさらに困難になることが予想される。 国民民主党は財政拡張を主張しており、日本維新の会は金融政策の正常化に慎重だ。キャスチングボートを握る可能性もある、これらの政党の経済政策の姿勢も注意点だろう。2024/10/23 13:36:0390.名無しさんcLBXOインフレ目標の持続的達成には「まだ時間必要」=日銀総裁[ワシントン 23日 ロイター] - 日銀の植田和男総裁は23日、基調的なインフレ率は緩やかに上昇しているとした上で、インフレ目標を持続的に達成するには「まだ時間がかかる」と述べた。訪問先のワシントンでパネルに出席した。植田総裁は、不確実性が大きい時は政策変更を慎重に段階的に進めたいとしながらも、金利が非常に長期間にわたって低水準にとどまるという期待を抱かせると投機的なポジションが大量に蓄積される可能性があるとの問題点を指摘。円キャリートレードの過剰な積み上がりを抑制するため、金融政策の基本戦略を明確にすることが非常に重要だと述べた。他国の金融政策の変更が日本経済やインフレに重大な影響を及ぼすことがあるため、欧米の状況を注意深く見守っているとし、中でもここ数カ月は米国経済に何が起こるのかを懸念してきたと明らかにした。さらに、夜も眠れないほど悩んでいることは何かと問われ、「今後、政策の正常化の規模はどの程度が適切か、合計利上げ幅を時間軸でどのように配分するのが最善かを考えている」と答えた。2024/10/24 06:09:2391.名無しさんcLBXO日銀総裁「金融正常化は始まったばかり」 利上げ継続示唆2024/10/24 05:55 日経速報ニュース 【ワシントン=大島有美子】日銀の植田和男総裁は23日、米ワシントンで「我々の金融正常化への取り組みはまだ始まったばかりだ」と述べた。不確実性が増す世界経済の動向については「過去2?3カ月、米国経済の先行きを懸念し続けてきた」と語り、雇用指標など米国経済の先行きを注視する姿勢を示した。 日本の物価と金融政策の立ち位置をテーマに、国際通貨基金(IMF)アジア・太平洋局長のクリシュナ・スリニバーサン氏と対談した。金融政策の先行きについて具体的な言及は避けたが、今後も利上げを継続する方針を示唆した。 日銀は7月の金融政策決定会合で、政策金利を0.25%に引き上げると決めた。市場では「サプライズ」との受け止めもあり、8月上旬には相場が乱高下した。日銀の市場との対話について改善すべき点があったかについて問われると「7月は政策委員による公の場での発信がない期間があった」と振り返った。6月の発信内容と同じ内容だったとしても、7月にも話す場があれば「よりよかっただろう」と述べた。 日銀は経済・物価情勢が見通し通りに推移すれば、景気を過熱も冷ましもしない中立金利へ政策金利を引き上げる方針だ。植田総裁は現状の金融環境について、インフレを考慮した実質金利の低さから「かなり緩和的」との認識を示した。 日銀は3月に異次元緩和を解除した。7月の決定会合では利上げだけでなく、国債買い入れの減額の具体策も決めた。 これまでの正常化の取り組みについて、2023年7月と10月にまずイールドカーブ・コントロール(YCC)を徐々に柔軟化させ、その後にマイナス金利など他の政策を解除したことは「成功だった」と振り返った。基調的なインフレ率が緩やかなペースで上がっていたため、時間をかけて正常化に着手できたことが「幸運だった」とも語った。【関連記事】・日銀、25年「金利0.5%の壁」突破か 再びベア3%なら・米景気の軟着陸、節約消費が支え 年末商戦へ不安も2024/10/24 06:14:4292.名無しさんcLBXO日銀総裁「金融正常化は始まったばかり」 利上げ継続示唆2024/10/24 05:55 日経速報ニュース 【ワシントン=大島有美子】日銀の植田和男総裁は23日、米ワシントンで「我々の金融正常化への取り組みはまだ始まったばかりだ」と述べた。不確実性が増す世界経済の動向については「過去2?3カ月、米国経済の先行きを懸念し続けてきた」と語り、雇用指標など米国経済の先行きを注視する姿勢を示した。 日本の物価と金融政策の立ち位置をテーマに、国際通貨基金(IMF)アジア・太平洋局長のクリシュナ・スリニバーサン氏と対談した。金融政策の先行きについて具体的な言及は避けたが、今後も利上げを継続する方針を示唆した。 日銀は7月の金融政策決定会合で、政策金利を0.25%に引き上げると決めた。市場では「サプライズ」との受け止めもあり、8月上旬には相場が乱高下した。日銀の市場との対話について改善すべき点があったかについて問われると「7月は政策委員による公の場での発信がない期間があった」と振り返った。6月の発信内容と同じ内容だったとしても、7月にも話す場があれば「よりよかっただろう」と述べた。 日銀は経済・物価情勢が見通し通りに推移すれば、景気を過熱も冷ましもしない中立金利へ政策金利を引き上げる方針だ。植田総裁は現状の金融環境について、インフレを考慮した実質金利の低さから「かなり緩和的」との認識を示した。 日銀は3月に異次元緩和を解除した。7月の決定会合では利上げだけでなく、国債買い入れの減額の具体策も決めた。 これまでの正常化の取り組みについて、2023年7月と10月にまずイールドカーブ・コントロール(YCC)を徐々に柔軟化させ、その後にマイナス金利など他の政策を解除したことは「成功だった」と振り返った。基調的なインフレ率が緩やかなペースで上がっていたため、時間をかけて正常化に着手できたことが「幸運だった」とも語った。【関連記事】・日銀、25年「金利0.5%の壁」突破か 再びベア3%なら・米景気の軟着陸、節約消費が支え 年末商戦へ不安も2024/10/24 06:15:2993.名無しさんcLBXO加藤財務相、円安進行「緊張感をさらに高めて注視」2024/10/24 12:25 日経速報ニュース 【ワシントン=大島有美子】加藤勝信財務相は米東部時間23日夜(日本時間24日午前)、記者団に対し、外国為替市場で円安・ドル高が進行し円相場が一時1ドル=153円台をつけたことについて「足元では一方的な、また急速な動きがみられている」との認識を示した。為替市場の動向を「緊張感をさらに高めて、注視する」と述べた。 米ワシントンで23日に開幕した20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の初日の会合に出席した後に会見した。23日の円相場は日米金利差が広がるとの思惑から、前日比で約2円、円安方向にふれる場面があった。為替介入については「具体的には言及しない」とした。 G20の会合で為替についての議論があったかを問われ、加藤財務相は「きょう議論の場はなかった」と明らかにし、日本からも話題を出していないと述べた。24日の会合でも「そうした議論にはならないのではないか」と指摘した。 加藤財務相は、東京証券取引所職員が証券取引等監視委員会から金融商品取引法違反(インサイダー取引)容疑で強制調査を受けていることについても見解を述べた。 金融庁に出向中の30代の男性裁判官がインサイダー容疑をめぐって監視委から強制調査を受けていたことが分かったことも踏まえ「金融市場の信頼を確保すべき立場にもかかわらず、あってはならないことで、大変遺憾なことだと思っている」と述べた。再発防止策の徹底などを通じ「日本の金融市場の信用確保に尽力していきたい」とも強調した。 加藤氏が財務相に就任してから初の外遊となる。G20では米連邦準備理事会(FRB)をはじめ主要国の中央銀行が利下げ局面に入るなか、高インフレを抑え、世界経済がソフトランディング(軟着陸)に向かえるかなどを話し合う。 G7の枠組みでも会合を開催する。日本経済新聞が報じたG7の最終合意案は、総額500億ドル(約7兆5千億円)の融資を確約するほか、ロシア資産はウクライナとの戦争が終結した後も凍結し続ける方針を明確にする。加藤財務相は日本が担当する額について「金額を含めた詳細について現在調整しているところ。具体的に申し上げる状況にはない」と述べた。【関連記事】・国際開発金融機関の改革議論 G20財務相会議が開幕・G20財務相会議開幕へ 世界経済の軟着陸焦点に2024/10/24 12:50:1494.名無しさんh44ty東京消費者物価は政策要因で伸び縮小、日銀利上げ姿勢変わらずとの声 全国の物価の先行指標となる10月の東京都区部の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は2カ月連続で伸びが縮小した。政府の物価高対策の影響が主因で、日本銀行が目標とする2%を5カ月ぶりに下回ったものの、市場では日銀の利上げ姿勢に影響はないとの見方が出ている。 総務省の25日の発表によると、コアCPIは前年同月比1.8%上昇。市場予想(1.7%上昇)は上回った。前年に電気・ガス料金の補助金が半減され、エネルギー価格が押し上げられた反動などが表れた。一方、米類の価格上昇を主因に生鮮食品を除く食料は3.8%上昇と7カ月ぶりの高い伸びとなった。 生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPIは1.8%上昇と、前月の1.6%上昇から伸びが拡大。市場予想は1.6%上昇だった。 日銀は経済・物価が見通しに沿って推移すれば利上げを続けていく姿勢を堅持している。30、31日の金融政策決定会合では、米中を中心とした海外経済の不透明感の強まりや不安定な金融市場を背景に、金融政策を維持すると見込まれている。もっとも、足元では再び円安が進行する中、今回のCPIも踏まえれば、引き続き早期の利上げ観測は継続することになりそうだ。 第一生命経済研究所の星野卓也主席エコノミストは、今回は全体としてエネルギーのベース効果の部分で鈍化しているとし、「金融政策に対してニュートラルなイメージ」と指摘。その上で、利上げは為替次第であり、円安方向の流れが強まれば政府の要請が高まって、前倒しになる可能性はあるとの見方を示した。2024/10/26 02:12:4095.名無しさん59dVI日銀 きょう2日目の金融政策決定会合 政策金利を据え置くか2024年10月31日 5時11分https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241031/k10014624461000.html日銀は31日、2日目となる金融政策決定会合を開き、当面の政策を決定、公表します。日銀は利上げを検討する上でアメリカ経済の動向を重視するとしていますが、当面は慎重に見極めるべきだという意見が多く、今回は政策金利を据え置くとみられます。日銀は31日、金融政策決定会合の2日目の議論を行い、当面の金融政策を決定、公表します。日銀が利上げを検討する上で最近重視しているアメリカ経済をめぐっては、経済指標が市場の予想を上回るケースが多くなっています。ただ、植田総裁は先週、訪問先のワシントンで「先行きに対して楽観論が少し広がりつつある気がしている」と述べたほか、日銀内でも大統領選挙を控えアメリカの経済は当面、慎重に見極めるべきだという意見が多くなっています。さらに植田総裁は会見などで「時間的な余裕はある」と繰り返し述べていて、日銀は今回政策金利を据え置くとみられます。一方、市場関係者の間では今月行われた衆議院選挙で政治情勢が不透明になっているとして、今後日銀は利上げを進めにくくなるのではないかという観測も出ています。会合のあと行われる会見で、植田総裁がアメリカ経済の分析に加えて、この先の利上げに向けてどのような見通しを示すのかが焦点です。2024/10/31 05:51:0896.名無しさん59dVI日銀据え置き 株、投資尺度面で上昇余地乏しい・山和の志田氏2024/10/31 12:12 日経速報ニュース 志田憲太郎・山和証券調査部部長 日銀は31日まで開いた金融政策決定会合で金融政策の現状維持を決め、追加利上げを見送った。市場の想定通りで、円相場も小動きとなっており、株式市場への影響は限定的だろう。27日の衆院選の投開票後に進んだ株の買い戻しの動きは一服した。31日午後の東京株式市場で日経平均株価は3万9000円を下値メドに小安い水準での一進一退となりそうだ。 東証プライム銘柄の予想利益ベースのPER(株価収益率)は、30日時点で15.6倍に上昇しており、バリュエーション(投資尺度)面からみた日本株の上昇余地は現状乏しい。今後日経平均が4万円を超えて上昇するためには、主要企業の業績の上方修正で1株当たり利益(EPS)が増加することが必要だ。政治面では、国民民主党が掲げるガソリン税の一部減税や「年収の壁」の引き上げなどの政策実現度が高まってくるようであれば、経済活性化を織り込む形でPERの水準の切り上がりにも期待ができる。 11月の米国の大統領選の結果次第では、株価が一時的に大きく振れる公算が大きい。ただ、円相場が1ドル=140?155円程度の範囲で推移するのであれば、日本株への影響は長引かないと考える。2024/10/31 12:40:1097.名無しさん59dVI日銀が政策金利を維持、海外経済・市場動向の影響見極めと明記https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-10-31/SK1OQ6T0AFB400?srnd=cojp-v2【日本市況】円上げ拡大、来年度物価上振れリスクと日銀-株式は下落https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-10-31/SM37CHT1UM0W00?srnd=cojp-v22024/10/31 13:46:4298.名無しさん59dVI見通し実現していけば、金利引き上げ緩和度合い調整=日銀展望リポートBy 和田崇彦, 杉山健太郎, 山崎牧子2024年10月31日午後 1:04 GMT+91時間前更新[東京 31日 ロイター] - 日銀は31日公表した「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)で現在の実質金利が「極めて低い水準にある」との認識を示し、今回示した経済・物価の見通しが実現していくとすれば、「引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになる」との考えを示した。同リポートでは、2025年度の消費者物価指数(生鮮食品除く、コアCPI)の前年度比上昇率の見通しを1.9%とし、前回の2.1%から引き下げた。24年度は2.5%、26年度は1.9%で変更しなかった。物価の基調的な上昇率は徐々に高まっていくと予想。見通し期間後半には物価安定目標とおおむね整合的な水準で推移するとの見方を示した。生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPIの24年度の上昇率見通しは2.0%とし、前回の1.9%から引き上げた。25年度は1.9%、26年度は2.1%でともに据え置いた。農林中金総合研究所の南武志理事研究員は、25年度の物価見通しが1.9%に下方修正され2%に届かないということで「おのずと利上げの余地が小さくなったのではないか」と指摘。そのうえで「日銀は2%を超えているうちに利上げしたいのではないか。12月に1回目の利上げのチャンスを狙い、2回目が来年の4─6月期と予想しているが、この2回目が微妙な状況になりつつある」との見方を示した。 <金融政策運営、海外経済の展開や金融市場の動向「十分注視」>日銀は2%の「物価安定の目標」のもと、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営していく。米国をはじめとする海外経済の今後の展開や金融市場の動向を十分注視し、経済・物価の見通しが実現する確度に及ぼす影響を見極めていく必要があると指摘した。見通しに対するリスク要因として、海外の経済・物価や資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動などを挙げ、不確実性は「引き続き高い」と指摘した。このところ、企業の賃金・価格設定行動が積極化し、過去と比べると為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっているとも指摘した。リスクバランスは、経済の見通しについて「おおむね上下にバランスしている」、物価の見通しについては「25年度は上振れリスクの方が大きい」とした。wぱy2024/10/31 14:32:0599.名無しさん59dVI外為14時 円相場、152円台後半に上げ拡大 日銀総裁会見前に買い続く2024/10/31 14:18 日経速報ニュース 31日午後の東京外国為替市場で、円相場が上げ幅を拡大している。14時時点では1ドル=152円90?92銭と前日17時時点と比べて42銭の円高・ドル安だった。14時前には一時152円83銭近辺まで上昇した。15時半に予定される日銀の植田和男総裁の記者会見を前に「月末というのもあって、リスクを減らすため円売り・ドル買いの持ち高を縮小する動きが続いているようだ」(国内信託銀行)という。 日銀は31日まで開いた金融政策決定会合で政策金利を維持すると決めた。あわせて公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」は前回7月分とおおむね変わらず、経済・物価の見通し実現を条件に「引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになる」と説明。利上げ路線を維持したと受け止められたのも円相場の支えとなった。2024/10/31 14:39:28100.名無しさんD5IVV日銀総裁の会見要旨 金融政策「時間的余裕」使わず/物価上昇、為替変動の影響大きく2024/11/01 日本経済新聞 朝刊 日銀の植田和男総裁は31日開いた金融政策決定会合後に記者会見した。要旨は以下の通り。(1面参照) 問 決定内容について。 答 無担保コール翌日物金利を0.25%程度で推移するよう促す金融市場調節方針を維持することを全員一致で決定した。展望リポートも公表した。先行きの物価は2024年度に2%台半ばとなった後、25年度、26年度はおおむね2%程度で推移すると予想している。多角的レビューの取りまとめに向けた討議をした。12月会合で内容をまとめ、公表する。 問 利上げの環境は整いつつあるか。 答 国内の賃金物価は見通し通りで一応続いている。米国など海外要因は下振れリスクを重視していたが、少し霧が晴れつつある。新しい大統領が打ち出す政策によっては新たなリスクが出てくる。そこは各会合で点検していきたい。 問 追加利上げの判断に向けて時間的余裕はあるか。 答 経済物価の見通しが実現していけば、適宜政策金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整する。毎回の決定会合までに得られたデータ、情報を基に判断したい。 問 今回「時間的余裕がある」という発言を控えた理由は。 答 この表現を使い始めた8月以降の動きをみると、市場も少しずつ安定を取り戻し、過去1カ月に出ている米国の統計はよいものが続いている。リスクの度合いが少しずつ下がってきている。時間的余裕という表現は今後使わない。経済物価見通しの実現の確度が上がれば、適宜政策の調整につなげていく。 問 次回会合での利上げの可能性が高まったのか。 答 将来、米国経済に関するリスクに特に注目する可能性はゼロではないが、一旦やめて、普通の金融政策決定のやり方に戻る。毎回データ、情報を点検して判断する。 問 米国経済の評価は。 答 9月の雇用統計が市場予想を大幅に上回るなど良好な経済指標がみられる。今後をめぐっては、これまでの利上げが経済物価に及ぼす影響など不透明な部分がなお大きい。動向を注視していく必要がある。 問 米国経済が日本経済に及ぼす影響はどれくらいの時間軸で見極めるか。 答 見極めに必要な時間について予断はもっていない。毎回の決定会合の時点で利用可能な各種のデータ、情報から経済物価の現状や見通しをアップデートしながら政策判断をする。 問 円安進行による物価の上振れリスクは。 答 企業の賃金価格設定行動が積極化し、為替の変動が物価に及ぼす影響が大きくなっている。円安の背後にある経済の動きと総合して物価への影響を見ていく。2024/11/01 06:10:46101.名無しさんD5IVV 問 賃上げの動向は。 答 賃金は2%のインフレ目標と整合的な範囲に入ってきている。物価だが、10月の東京都区部の消費者物価指数で、(賃金上昇分の)サービス価格への転嫁の動きがある程度広がっていることは確認できた。全国でも同様か、今後も一段と広がっていくかについて丁寧に見たい。支店長会議のヒアリングでは、中小企業を中心にまだ価格転嫁が容易でないという声も散見された。引き続きモニターしていきたい。 問 利上げ環境が整うために必要な賃上げ水準は。 答 来年の春闘に関して、現時点では大した情報がないので具体的なことは言えない。広い意味で今年と同じ程度の賃上げ率になれば、日銀にとってはよい動きだが、それだけで利上げ判断をするわけではない。 問 個人消費の動向は。 答 非耐久財をみると、物価上昇の影響で弱めの動きが出ている。耐久財は自動車などが下がった後にリバウンドする動きもみられた。全体としてはごくわずかなプラスの成長率だが、緩やかな増加傾向を続けていると判断をしている。 問 政局の不透明感が経済物価動向に与える影響は。 答 政治情勢は物価見通しに直接は影響しない。ただ政策的に大きな動きが打ち出されれば、影響する可能性がある。金融政策としては、経済物価見通しが実現していけば、それに応じて金融緩和度合いを調整していく基本的な姿勢を繰り返し説明し、堅持していくことが大事だ。 問 7月の追加利上げの影響は。 答 7月利上げの影響はおおむね予想通りに近い。金融機関の貸し出し態度や企業からみた資金繰りには強いマイナスの影響が出ているという状態ではない。マインド面も大きな影響は見られていない。8月前半のマーケットの混乱が金融システムにマイナスの波及効果をもたらしているとも確認できていない。 問 日銀が保有する上場投資信託(ETF)の出口戦略は。 答 現状は検討中だ。今後の取り扱いについては時間をもらいたい。2024/11/01 06:11:42102.名無しさんJVAp8円10月急落、一段安に警戒感 日銀「タカ派」効果続かず2024/11/03 04:00 日経速報ニュース 外国為替市場で円安・ドル高が再燃している。10月の円の下げ幅は35年ぶりの大きさとなり、市場では一段安を見込む声が増えている。日銀の植田和男総裁は10月31日の金融政策決定会合後の記者会見で、追加利上げに前向きな「タカ派」姿勢を示したが、市場は1ドル=160円に向けて円が下落する可能性を意識し始めている。 「異次元の円安ですね」。ある邦銀ディーラーは10月の円急落についてため息をつきながら話す。日銀が毎営業日公表する午後5時時点の円相場をみると、10月31日は1ドル=152円24銭だった。9月末の142円37銭から10円近く円安が進み、下げ幅(9.87円)は1989年5月以来35年ぶりの大きさとなった。 10月円安をもたらしたのは複合的な要因だ。米国では底堅い経済指標が相次ぎ、米連邦準備理事会(FRB)が大幅利下げに動くとの観測が後退。日本では自民・公明の与党が衆院選で過半数を確保できず、野党と協力するために財政支出を増やすとの見方が広がった。10月は大半が選挙戦期間中で政府から円安をけん制する発言が強まらなかったことも、円売りを後押しした。 円安進行を受けてか、日銀の植田総裁の発言は変わってきた。10月31日の記者会見では、8月以降使ってきた「時間的余裕」という表現を封印し、12月利上げの可能性さえ否定しなかった。岡三証券の武部力也シニアストラテジストは「政治が混乱していても日銀が利上げできるという姿勢を示し、12月利上げの選択肢も捨てていない印象だ」と受け止める。 植田総裁の「タカ派」発言を受け円相場は一時1ドル=151円台と、発言前から1円ほど円高に振れた。ただその後は153円台を付ける場面もあるなど、円買い一辺倒の動きとはなっていない。 背景にあるのは日米の短期金利差が開いた状態が続いていることだ。米国は利下げ局面にありながら政策金利は4.75?5.00%と高い水準にある、一方、日銀の政策金利は依然として0.25%にとどまる。今後縮小するとしても日米の政策金利逆転は見込みづらい。 みずほ証券の大森翔央輝チーフデスクストラテジストは「米景気が良好で日銀が利上げを進められたとしても、その場合は米金利が高止まりする。日米金利差は開いたままで、キャリートレード需要は簡単にはなくならないだろう」と指摘する。投機筋の円・ドル持ち高は軽く、8月に解消した円キャリートレードを再び構築する動きが円相場を押し下げるとの見方もある。 海外株人気で国内の資産形成マネーが海外に流出する状況も続いている。貿易赤字も続いており、構造的な円売り圧力は根強く残る。 チャート的に160円に向けて大きな抵抗線がない点も、円安進行のリスクを高めている。円相場のチャートは、分析上最も重要なポイントの1つとされる200日移動平均線を円安方向に抜けた。PER(株価収益率)などの投資尺度がない外為市場ではテクニカル分析を重視する市場参加者が多く、200日移動平均線の突破は8月以降の円高局面が一巡したことを示唆するとの見方も多い。 もっとも円急落を受けて政府・日銀による為替介入への警戒感も強まりつつある。加藤勝信財務相は10月29日の記者会見で衆院選後の円安について「(円安の)動きがあることは認識している。投機的な動向も含め為替市場の動向を緊張感をさらに高めて注視していく」と話した。 政府・日銀は円・ドル相場の過度な変動は企業を含めた実体経済への影響が大きいとして許容しない方針を示している。円の下落が今後も続けば口先介入が強まり円安の動きに歯止めをかける可能性もある。 日銀の植田総裁が発言をタカ派に修正したのも円安の影響が大きいとの見方が広がる。米大統領選の結果次第では円が一段安となる展開も市場で想定される。1ドル=160円に近づけば日銀の追加利上げと為替介入への警戒感から相場が大きく振れやすくなる可能性もありそうだ。2024/11/03 06:06:15
[東京 30日 ロイター] - 日銀は想定通り、利上げ戦略を堅持できるのかーーエコノミストの間では、海外投機筋の影響が大きい日本の
株式市場の動向次第では利上げ判断の足かせになりかねないとの指摘が出ている。海外勢は一方向に傾きやすい投資行動に出ること
が多く、安定しつつあるように見える市場も、きっかけ次第で再び株価急落のリスクがあるという。
<利上げ戦略の継続を鮮明化>
日銀自体は利上げ戦略の継続を鮮明にしている。植田和男総裁は23日に国会で行われた閉会中審査で、市場動向が経済・物価見通しや
リスクに及ぼす影響を見極めた上で「経済・物価見通しがおおむね実現していく姿になっていけば、金融緩和度合いを調整していくという基
本的な姿勢には変わりがない」と強調し、氷見野良三副総裁も28日の講演で同調した。
7日、内田真一副総裁は「金融資本市場が不安定な状況で、利上げをすることはない」と講演で明言 もっと見る 、市場にハト派的と受け止
められたが、日銀内では、内田副総裁の講演は金融市場が不安定な状況下で行われたもので、市場に安心感を与えるのが何より重要だ
ったとの指摘が出ている。
日銀が利上げ局面に踏み出した以上、経済・物価見通しの実現度合いが政策を左右するというのは何も変わっていないとの声も出ている。
円高に振れたことで輸入物価上昇を通じた物価の上振れリスクは後退したものの、株価が急速に戻していることから経済・物価見通しへの
影響は今のところ軽微にとどまるとの見方も、日銀では聞かれる。
<日銀の楽観論とは距離>
一方、日銀の楽観論とは距離を置く市場関係者は多くいる。
5日から6日にかけて歴史的な乱高下を演じた日経平均株価が何らかのきっかけで再び急落するリスクはまだあるとの指摘だ。
5日の日本株の下げ幅を増幅したのは商品投資顧問業(CTA)と呼ばれる海外のヘッジファンドだ。JPモルガン証券の高田将成クオンツ
・ストラテジストによれば、CTAの8割が順張り戦略を取っており、「ボラティリティが上昇する下げ相場では、機械的な売りを優先するため
下げ相場をあおる傾向がある」という。
信用買い残は暴落前の段階で4兆8720億円。4兆円台まで膨らんで推移が続くのは2007年以来で、CTAの売りがこうした需給面での
潜在的な売りを巻き込む形となった。
また高田氏によれば、昨年来、先物だけでなく現物市場でもトレンドフォローの戦略を運用する海外マネーが流入しているという。「企業の
本質的価値よりも株価自体をテクニカルに重視するファンドのため、株価が上がれば買い、下がれば売るの繰り返しとなり、ボラティリティ
の高さと合わさり必要以上の値幅を形成したフローが少なくなかった」と話す。
高田氏は、今回の急落の引き金が日銀の金融政策や米国の経済指標だったように、何らかのニュースで再び株価が急落する可能性は
あるとみている。「CTAなどもまだ半分近くしか株先ロングの処分を行っておらず、不測のショックに対しては追加売りが要求される可能性
が残る」と指摘する。
氷見野副総裁は28日の会見で「内外の金融資本市場の動向が、(経済・物価の見通しが実現する)確度に影響を与えていくということも、
もちろんある」と述べた。
SBI新生銀行の森翔太郎シニアエコノミストは「金融市場の動向を全く考慮せずに金融政策運営を行うことは基本的にはないだろう」と指
摘する。
森氏は日銀の追加利上げについて、来年1月がメインシナリオ、早ければ12月と想定。一方、「程度にもよるが、金融市場の不安定化が
経済・物価の下振れリスクを高め得ると判断した場合は利上げの時期やペースを再考する可能性もある」とみている。
2024/09/01 04:00 日経速報ニュース
8月下旬に開催されたカンザスシティー連銀主催の経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」。ニューヨーク連銀のエコノミストを務めた
米ブラウン大学のガウティ・エガートソン教授が発表した論文が注目を集めた。米国の失業率に対する求人率の割合が直近は「1.2」と、
失業率の急上昇を招く閾値とされる「1」に近づいていると警鐘を鳴らす内容だった。
冷える雇用を警戒「強力なメッセージ」
「強い労働市場を支えるためにできることは何でもやる」。23日、講演したパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は近く利下げに踏み
切る考えを示唆したうえで、労働市場について「以前の過熱状態からかなり冷え込んでいる」と指摘。特に直近の6カ月で失業率が上昇し
ていることを挙げ、さらなる冷え込みは望んでいない考えも示した。
欧州危機の最中にあった2012年、当時の欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が発した「できることはなんでもやる」を彷彿させる発言に
市場では驚きが広がった。SBI証券の道家映二チーフ債券ストラテジストは「失業率の急激な悪化などに備えたもので、中銀高官の発言と
しては非常に強力なメッセージだった」と指摘する。
株式市場はすかさず反応した。ダウ工業株30種平均は26日、4万1240ドルと1カ月半ぶりに最高値を更新。不動産や中小型株など利下
げの恩恵が大きい分野にマネーが向かっている。
「政策を調整すべき時が来た。方向性は明確だ」。パウエル氏はインフレの水準がFRBの目標に近づいており、目標を達成する軌道に
乗ったと自信を見せた。
ただ、米国経済が景気後退に陥ることなく軟着陸(ソフトランディング)できるかは、まだ予断を許さない。カギとなるのはやはり雇用だ。
大和証券の山本賢治チーフエコノミストは「株高と強い労働市場が個人消費を支える循環が今後は逆回転する可能性がある」と警戒感
を示す。
市場参加者が警戒するのが利下げ幅とペースだ。米金利先物市場では9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で通常の倍となる0.5
%の利下げに踏み切る可能性が一定程度織り込まれている。6日に発表される雇用統計への注目度は一層増している。
パウエル氏は今後の利下げ幅やペースについては「今後発表されるデータや変化の見通し、リスクのバランスによって決まる」として
明言しなかった。市場の想定よりも大幅な利下げとなればFRBによる景気認識の悪さを印象づけることになり、かえって市場の波乱要因
となる可能性もある。これまで大きな混乱を招くことなくインフレと戦ってきたパウエル氏だが、政策転換の最終局面に来てかじ取りは一段
と難しさを増している。
確率が23日に36%に上昇した。講演前の22日は24%にとどまっていた。
12月までの3回の会合で計1%以上の利下げが起こる確率も、22日の64%から23日には76%まで上昇した。1会合あたり0.5%の利下げ幅
に相当する計1.5%の利下げ確率も6%とリスクシナリオとして十分意識されている格好だ。みずほ証券の上家秀裕シニア債券ストラテジスト
は「米景気の急速な後退を見通す参加者も増えてきた」と語る。
8月雇用統計、失業率「4.4%」が分水嶺
9月会合での利下げ幅は、今後の金融緩和ペースを占う一つの試金石となる。市場が最も注目しているのが、6日に発表される8月の米
雇用統計だ。
「焦点は失業率。4.4%を超えるかどうかが判断のカギとなる」。みずほ証券の上家氏はこう指摘する。
7月の米雇用統計で失業率は4.3%を付けていた。直近3カ月間の平均失業率が過去1年間の最低値を0.5ポイント上回れば景気後退が
始まった可能性が高いとの経験則を指す「サーム・ルール」の発動も話題を集めた。
パウエル議長は足元の労働市場について「これ以上冷え込むことは望まない」と語っていた。4.4%を明確に上回れば市場の利下げ織り
込みがさらに加速する可能性があるという。
非農業部門の就業者数も注目点の一つ。7月データでは、11万4000人増と市場予想(17万?19万人)を大きく下回った。野村証券の
小清水直和シニア金利ストラテジストは「7月は南部を襲ったハリケーンが就業者数を減らした側面もあった。そうした変動要因がない8月も
15万人を下回れば、0.5%の利下げが現実味を増す」と指摘する。
米労働省は8月21日、この1年間の就業者数の増加が公表していたより28%少なかった可能性があると発表した。労働市場の冷え込みを
意識する市場参加者が多い分、弱いデータへの反応は想像以上に大きくなる可能性もある。
9月11日には8月の米消費者物価指数(CPI)、17日には8月の米小売売上高などこれまで注目を集めてきた主要指標の発表も控えるが
、「市場のインフレ警戒はすでに薄れている。多少強いデータが出てきたとしても、利下げ予想を後退させるほどの力は持たないだろう」(
野村証券の小清水氏)との見方が優勢だ。
急速な利下げが実現すれば、金融市場はどう動くか。7月の米雇用統計で労働市場の冷え込みがあらわになった8月上旬、市場は株価
の急落、債券相場の上昇、円相場の急騰などに見舞われた。今回も8月の米雇用統計などによって各資産の値動きが急変動するリスクを
念頭に置いておく必要がある。
野村証券の小清水氏は、米長期金利の指標となる10年物国債利回りについて「年内に3.5%程度まで低下する場面もあるのではないか」と
見通す。
「メインシナリオは9月会合が0.25%の利下げにとどまり、利下げ期待で会合までに売られたドルが1ドル=145円程度まで買い戻される展開。
ただ、経済指標が弱ければ1ドル=141?142円程度まで円高・ドル安が進む可能性がある」。ステート・ストリート銀行東京支店の貝田和重・
金融市場部長は目先の円相場についてこう語る。
年内1ドル=130円突破も
米経済の減速を示す経済指標が相次ぐ一方、市場予想を上回った7月の米非製造業(サービス業)景況感指数など米経済は依然として
まだら模様の側面もある。貝田氏は「経済指標の悪化トレンドがより鮮明になれば、年末にかけて1ドル=130円台を上回って円高が進む
リスクがないとも言えない」と語る。
米株式市場では利下げ観測が投資家心理を支え、ダウ工業株30種平均が最高値を更新。金も、国際指標のニューヨーク先物(中心限月)
が最高値圏を推移する。金利低下による利払いコスト軽減効果が大きい不動産上場投資信託(REIT)への資金流入も目立つ。さらなる利下
げ織り込みはこうした資産の追い風にもなりうる。
もっとも、「米の雇用や消費は平時に比べるとなお堅調。市場の利下げ織り込みは行き過ぎている面がある」(SMBC日興証券の野地慎チ
ーフ為替・外債ストラテジスト)との見方は根強い。
先行きについても、「10?12月、25年1?3月にはインフレ再燃の懸念が高まり利下げトレンドが一旦収束する場面もあるだろう」(野村証券
の小清水氏)との指摘も聞かれる。急速に進む利下げ織り込みとその巻き戻し、各局面における市場の値動きを警戒しておく必要がありそうだ。
2024/09/03 02:00 日経速報ニュース
QUICKが2日発表した8月の債券月次調査によると、日銀が追加利上げに踏み切るのは「2024年12月」との予想が最も多かった。8月下旬に
日銀の植田和男総裁が利上げ路線を続ける姿勢を示したことで、年内にも金利の引き上げに動くとの観測が高まっている。
調査は8月27?29日に証券会社や生損保、銀行など181人の債券市場関係者を対象に実施し、124人から回答を得た。
日銀は7月の会合で政策金利を0.25%に引き上げた。次に利上げをする時期についての設問では「24年12月」が48%と最も多く、「25年1月」
(32%)が続いた。日銀の植田総裁は8月23日に衆参両院の閉会中審査で、想定している経済・物価見通しが実現すれば利上げを続ける考え
を改めて明らかにした。
「日本の景気は堅調さを見せている。この間に日銀は利上げをするべきだろう」(投信投資顧問)との声が聞かれた。
今後6カ月程度で最も注目する債券価格の変動要因では「海外金利」が14%と前回の調査から12ポイント増加し、9カ月ぶりの高水準となった。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鶴田啓介シニア債券ストラテジストは「8月上旬に米雇用統計の悪化による米金利の低下が国内金利に
も影響したため、海外金利の動向に関心が集まった」と分析する。
9月下旬に予定されている自民党総裁選の結果が及ぼす債券市場への影響は「ほとんどない」(52%)とする見方が最も多かった。一方で
「誰が総裁に選ばれると思うか」という設問には「小泉進次郎元環境相」(45%)との回答が最多だった。
・日銀、追加利上げへ複雑な判断 年内視野のシナリオ維持
・日銀総裁「金融緩和の度合い調整、基本姿勢変わらず」
目賃金3.6%増、実質0.4%増と市場予想に反してプラス
共通事業所ベースでは名目4.8%増、所定内給与が過去最高
物価変動を反映させた7月の実質賃金は2カ月連続で前年を上回った。好調な春闘が反映されて基本給が1992年11月以来の高い伸びと
なったほか、賞与も大幅に増加し、名目賃金を押し上げた。金融政策の正常化を進める日本銀行にとって好材料となり得る。
厚生労働省が5日発表した毎月勤労統計調査(速報)によると、実質賃金は前年比0.4%増と市場予想(0.6%減)に反して増加した。6月
には27カ月ぶりにプラスに転じていた。名目賃金に相当する現金給与総額は3.6%増となった。基本給に当たる所定内給与は2.7%増と前月
から伸びが加速。賞与など特別給与は6.2%増だった。
エコノミストが賃金の基調を把握する上で注目するサンプル替えの影響を受けない共通事業所ベースでは、名目賃金は4.8%増。所定内
給与は2.9%増と同ベースでの公表が開始された2016年以降で最高となった。
日銀は賃金と物価の好循環が強まり、消費者物価の基調的上昇率は2%目標に向け徐々に高まると予想している。植田和男総裁は3日、
経済・物価見通しが実現していけば、政策金利を引き上げていく考えを改めて表明。賃金の伸びが物価上昇率を上回る状況が維持された
ことで、追加利上げの時期を探る日銀に追い風となりそうだ。
SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは、実質賃金の増加について「夏季賞与と賃上げ分を遡及して支給した分があり、特別
給与が上振れている」ことが主因と説明。日銀政策への影響に関しては、「これをもってすぐ利上げということではないが、ベアが強くて
それが順調に反映されているのが確認されたという意味では、正常化に向かう方向を妨げない」との見方を示した。
2024/09/06 日本経済新聞 朝刊
日銀の高田創審議委員は5日、金沢市で開いた金融経済懇談会で「物価が見通しに沿って推移するもとで、前向きな企業行動の持続性が
確認されれば、その都度、もう一段のギアシフトを進める」と語り、今後の追加利上げを示唆した。利上げの判断について「毎回毎回、十分に
時間をかけて状況をみながら対応する」との考えも示した。
高田氏は金融経済懇談会で講演し、記者会見した。「経済・物価の見通しがある程度実現していけば、それに応じて(金融緩和の度合いを)
段階的に調整していく」という基本姿勢を強調した。
高田氏は「金融・資本市場の動向が前提にはある」とも述べ、株式相場の動きなどを注視する構えをみせた。「8月初旬ほどではないが、
ボラティリティー(変動率)が高まりやすい動きが生じている」との認識を示した。
前向きな企業行動の事例としては「ひとつの重要な要素として賃上げが考えられる」と述べた。ただ「単にこの数字をということで判断できる
ものではない」と加え、幅広いデータを丹念にみていく姿勢を強調した。
物価の上振れリスク要因としては「(企業による)値上げ」を挙げた。10月の価格改定に注目する。
日銀は物価が見通し通りに推移すれば、景気を熱しも冷ましもしない中立金利の水準まで政策金利を引き上げる方針を示している。高田氏
は中立金利について「ピンポイントではない」とし、「相当慎重に、もしくは幅をもって考えていかないといけない概念で、なかなか実務的にこれ
ということにはなりづらい」と話した。
9月には日銀の審議委員による発信が相次ぐ。11日に中川順子氏、12日に田村直樹氏が金融経済懇談会を予定しており、その内容が
注目される。
2024/09/11 日本経済新聞 朝刊
外国為替証拠金取引(FX)投資家の間で、日銀の追加利上げに関する織り込みがあまり進まない状態が続いている。仮に日銀が利上げを
進めていった場合、意外感からFX投資家が売っておいた円を慌てて買い戻し、円高に拍車をかけることもあり得る。
FX投資家の間では、7月30~31日の日銀金融政策決定会合の前から追加利上げの可能性に懐疑的な空気が出ていた。例えば7月中下
旬に実施された外為どっとコムの顧客向け調査で、7月に利上げ決定があるとした人は1割に満たなかった。
利上げをあまり想定していなかった様子は、7月中旬以降進んだ円高に対してFXでは逆張りのドル買いがかなり増えた点からも見て取れる。
FX業者4社(GMOクリック証券、外為どっとコム、セントラル短資FX、マネーパートナーズ)合計の週次データでは、7月後半にドル円ポジシ
ョンに占めるドル買い比率が一時65%を超えた。7月前半に5割を下回っていた水準からの急上昇は、早期日銀利上げがないことを想定した
動きと解釈できる。
結果的に日銀は7月末に利上げを決定。その後、予想より弱い米雇用統計を受けて米大幅利下げ観測が広がったこともあり、円高がさらに
進んだ。FXの損失確定の円買い戻しが、円高に拍車をかけたとされる。
ただFX投資家は依然ドル買い越し状態を維持。直近(9月4日時点)の4社集計値でドル買い比率が再び6割台に上がった。背景には依然
日銀の利上げをあまり織り込んでいない事実がある。
例えば日銀が最終的にどこまで利上げするかを聞いた外為どっとコムの顧客向け調査(8月下旬実施)。現状の0・25%、つまり再利上げ
はもうないとの見方が約3割あり、0・5%までを合わせると6割弱に達した。
一方、債券市場関係者対象の8月QUICK月次調査〈債券〉では、2025年末の日銀政策金利は0・72%というのが予想の平均値。6月の
同調査で、向こう5年の日銀政策金利のピークを聞いた結果は単純平均で1・07%だった。
FX投資家の間で日銀利上げの織り込みがあまり進まない理由は何か。
「生活者としての景況観を持つ個人投資家は、景気がそれほど強くない点を機関投資家より実感しているため、金利上昇予想を持ちにくい
かもしれない」(外為どっとコム総合研究所の神田卓也氏)。逆張りを好むFX投資家は、円高のもとでのドル買いを正当化する金融政策予想
を持ちやすいとの推測も成り立つ。
問題は、FX投資家の予想に反して日銀の利上げが進み、円相場がさらに上昇した場合だ。慌てて損失確定の円買いを入れるかもしれない。
一定の含み損を抱えると自動的に反対売買するFXの機能(ロスカット)の発動もあり得る。円相場上昇に拍車がかかる。
日銀は当面株価などが安定を取り戻すか注視するが、経済・物価情勢が「想定通り」推移するなら再利上げを検討しそうだ。FX投資家には
「想定外」となり円相場が混乱しないか。要注意だ。
2024/09/11 10:58 日経速報ニュース
日銀の中川順子審議委員は11日、秋田県金融経済懇談会で挨拶した。経済・物価見通しが実現していくようなら、2%の物価安定目標の
「持続的・安定的な実現の観点から、金融緩和の度合いを調整していくことになる」との考えを示した。調整を検討するにあたり、金融市場の
変化が見通しに及ぼす影響を「これまでと同様に、丁寧に評価を行い、判断をしていく必要がある」とした。
8月上旬の市場の変動については「米国の雇用統計において失業率の上昇などがみられたことがきっかけ」とし「米国の景気減速懸念から
世界的に急速なドル安と株価の下落が生じた」との見解を示した。そのうえで、国内企業の収益は高水準で「この間、わが国経済のファンダ
メンタルズ(基礎的条件)に大きな変化はない」との考えを述べた。
国内の賃金動向について「上昇率は、物価上昇も反映するかたちで基調的に高まっていく」との見方を示した。経済・物価見通しを巡っては
輸入物価が再び上昇に転じることによる企業の価格転嫁の積極化や、労働需給の逼迫による賃金の上振れで「賃金や物価が『物価安定の
目標』を超えて上昇するリスクには注意が必要」だとした。注目するリスクとして「海外経済の下振れ」や「実質所得のマイナスが長期化した
ことが今後の消費者マインドの改善の重しとなる可能性」などにも言及した。
2024/09/11 10:55 日経速報ニュース
11日の東京外国為替市場で対ドルの円相場は一時、1ドル=141円台半ばまで上昇した。円が急騰した8月5日に付けた直近高値(141円
68銭)を上回り、およそ8カ月ぶりの円高・ドル安水準を付けた。日銀の中川順子審議委員が11日の講演で追加利上げに前向きな姿勢を示し
日米金利差の縮小観測から円買い・ドル売りが進んだ。
中川氏は11日、秋田市で開催された金融経済懇談会で、経済・物価が見通しに沿って推移すれば「金融緩和の度合いを調整していくことに
なる」などと話した。5日には高田創審議委員が金沢市での金融経済懇談会で講演し「経済・物価の見通しがある程度実現していけば、それ
に応じて(金融緩和の度合いを)段階的に調整していく」との基本姿勢を強調していた。
【関連記事】
・日銀・中川委員、実質金利「極めて低い水準にある」
・日銀・高田委員、追加利上げを示唆 判断「時間かけて」
・日銀利上げ、既に終了の見方3割 FX投資家に誤算の芽
2024/09/11 18:11 日経速報ニュース
原油の欧州指標が2022年2月に始まったウクライナ戦争前の水準に戻った。世界的な景気減速で供給過剰になるとの見方から下落基調
になっている。貿易赤字の拡大と1ドル=150円を超える円安進行を生んだ悪循環にも、歯止めがかかる可能性がある。日本経済全体にと
ってプラスとなる。ガソリン価格を抑える政府の補助金政策の「出口」もようやくみえてくる。
欧州指標の北海ブレント原油先物は10日、一時前日比4%安い1バレル68.68ドルまで下落し、21年12月以来の安値をつけた。米指標の
WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物は同日、一時前日比5%安の1バレル65.27ドルまで下げ、こちらもウクライナ戦争前水準
への回帰が近づいている。
背景には世界的な景気減速と供給過剰懸念がある。10日に中国税関総署が発表した8月の原油輸入量は、前年同月比で7%減となった。
石油輸出国機構(OPEC)は同日に公表した月報で、24年の石油需要見通しを従来に比べて引き下げた。米国と中国の需要が想定より鈍化
する見通しだ。
ウクライナ戦争以降、資源輸入大国の日本は円安と原油高の悪循環に苦しんできた。原油価格が上がると、原油購入の代金を支払うため
のドルの需要が増す。輸入企業が外為市場で円を売ってドルを買う動きにつながる。円安進行で原油購入の代金がさらに増えて円売りが
膨らむスパイラルに陥った。
エネルギー価格が急騰した22?23年にかけて、輸入総額全体に占める原油や液化天然ガス(LNG)など化石燃料の輸入額割合は30%
前後で推移し、17?21年の平均(21%)を大きく上回った。22年度の貿易赤字は過去最大に膨らんだ。外国為替市場では22年10月に一時、
1ドル=151円90銭台をつけた。
23年版の通商白書によると22年の貿易赤字の増加分のうち、化石燃料など輸入品の価格高騰が7割を占めたという。エネルギー価格が
落ち着いてきたことで、貿易赤字は縮小傾向にある。ソニーフィナンシャルグループの尾河真樹チーフアナリストは「原油価格の低下で貿易
収支が改善すれば、為替相場の円安圧力が弱まる可能性がある」と話す。
日本総合研究所の後藤俊平研究員は24年度内のWTI価格が今後60ドルで推移した場合、80ドルで推移した場合に比べて、同年度の
実質国内総生産(GDP)が0.7%上振れすると試算する。企業収益の改善が見込まれる。大和総研の田村統久エコノミストは「実質賃金が
上がり、個人消費の回復を後押しする可能性がある」と話す。
政府は2022年1月以降、新型コロナウイルス禍からの経済回復を支えるため、補助金を支給してレギュラーガソリンの小売価格を抑えて
きた。延長を繰り返した結果、これまで充てられてきた予算額は約7兆円に上る。対症療法的な支出の長期化は脱炭素に逆行するだけ
でなく、市場の価格形成をゆがめてきた。
政府は現在、補助金がなければ190円前後になるガソリン価格を175円程度に抑えている。ニッセイ基礎研究所の上野剛志上席エコノ
ミストの試算ではアジア指標であるドバイ原油が1バレル60ドル(現在は70ドル前後)、円相場が1ドル=140円の場合、ガソリンの小売
価格は1リットル170円になる。この水準まで下がれば、補助金政策を続ける意味は薄れる。
政府は年末までガソリン支援を続ける方針を示している。原油価格が現在の水準で安定的に推移するようになれば「段階的な支援縮小
など出口戦略は描きやすくなる」(経済産業省幹部)とみている。
・原油価格、変動の裏にカナダ産 輸送能力拡大で存在感
・原油1年4カ月ぶり安値 かすむ日銀の追加利上げ経路
・原油70ドル割れ、年初来安値 米中の景気懸念反映
2024/09/13 日本経済新聞 朝刊
日銀の田村直樹審議委員は12日の金融経済懇談会後の記者会見で、今後経済・物価情勢が見通し通りに推移すれば「段階的に金利を引き
上げ、経済・物価の反応を確認し適切な短期金利の水準を探っていく必要がある」との見解を示した。
利上げぺースは「ゆっくりとしたペースになる可能性が高い」とも述べた。
田村氏は12日午前の講演で、景気を過熱せず、冷やしもしない中立金利の水準は「最低でも1%程度だろう」との見方を示した。2026年度ま
での見通し期間の後半に「少なくとも1%程度まで短期金利を引き上げていく」ことが必要と語った。
記者会見で年内に追加利上げすべきと考えるかを問われた田村氏は「今後の経済や物価、金融情勢次第であり予断は持っていない」として明
言しなかった。
2024/09/13 12:52 日経速報ニュース
海外投資家による日本株への売り圧力が強まっている。日経平均株価が7月11日に史上最高値(4万2224円)を付けた翌週にあたる7月
第3週(16?19日)以降、海外勢の売越額は現物と先物の合計で5兆1000億円に達した。その主因として円高・ドル安の進行を挙げる声は
多い。欧米中銀が利下げを模索しているのに対し、日銀は利上げを継続する方針とあって、円高と株安が同時進行しやすい状況は当面続
きそうだ。
13日午前の日経平均は反落し、前日比326円(0.89%)安の3万6507円で終えた。欧州中央銀行(ECB)は12日、2会合ぶりとなる0.25%
の利下げを発表した。米連邦準備理事会(FRB)が17?18日に開く米連邦公開市場委員会(FOMC)でも、利下げはほぼ確実視されている。
外国為替市場で一時1ドル=140円台後半まで円高が進んだのと歩調をあわせてトヨタ自動車やキヤノンといった輸出関連株に売りが膨らみ
日経平均も一段安となった。
東京証券取引所によると海外勢は9月第1週(2?6日)に現物株を8235億円売り越した。1週間の売越額としては今年最大だ。2日の取引
時間中に日経平均は一時、3万9000円台に乗せるなど8月急落後の戻りを試していた局面にあたる。個別株の買いと空売りを組み合わせ
る「ロング・ショート(LS)」戦略の運用担当者は「このタイミングでロングバイアス(買い持ち高を増やす)を強めたLS戦略の投資家は多かっ
た」と話す。
23年4月以降の日経平均の価格帯別に集計した累積売買高では、上方向では3万8000?3万9000円、下方向では3万2000?3万3000円
が膨らんでいる。ショート(売り)は貸株料がかかるため、普段からLS戦略は買い持ちの比重が高い。3万9000円を上回れば売り圧力が和ら
ぐとの見方から先高観を強め、さらに買い持ちを増やしたファンドもあったもようだ。だが、その後の日経平均は米株安や円高につられて3日
から11日までの7日続落で3000円あまり下げた。
米調査会社ヘッジファンド・リサーチ(HFR)が算出するLS戦略の運用成績を示す「株式ロング・ショート指数」は9月第1週にマイナス1.2%。
週間では今年2番目の悪い記録で、LS戦略のパフォーマンスが急激に悪化したことがうかがえる。ヘッジファンドの運用スタイルで多いとされ
るLS戦略の成績悪化は、今後も尾を引く可能性がある。
海外勢は円高への警戒感を強めている。モルガン・スタンレーMUFG証券の中沢翔ストラテジストは今月に欧州を訪問した。現地投資家と
のミーティングでは日銀のタカ派姿勢と米経済の減速懸念で大半の投資家は今後、さらなる円高進行を警戒する声が聞かれたという。日銀
の利上げ継続の思惑はしばらく続きそうななか、日米の金融政策の方向性の違いなどに起因するボラティリティー(変動率)の高まりから、
日本株は当面、レンジ相場とみる投資家が多かったと指摘した。
みずほ証券は9月第1週に機関投資家向けの日本株セミナーを開催した。同証券の菊地正俊チーフ株式ストラテジストは「想定以上に円高
を懸念している海外勢が多かった」と話す。日銀の利上げ継続とFRBの年内数回の利下げは市場に織り込まれているとして、菊地氏は年内
の円相場について1ドル=140?150円で推移するとの見解を示したところ、130円台を見込む海外勢がそれなりにいたという。「円買い・株価
指数先物売り」によって、短期的には日本株の一段安を見込む向きもあったようだ。
市場では「8月の急落後に割安感が強まった日本株には、長期志向の海外勢が買いを入れた」(外資系証券のストラテジスト)との声も聞か
れる。ただ、7月第3週以降に5兆円あまり売り越したというデータをみる限り、海外勢が再び日本株への強気姿勢を強めているような気配は
乏しい。
9月相場は後半に警戒――。米国株のSQ(特別清算指数)算出に当たる第3金曜日以降、日米株は過去3年連続で9月は月末にかけ、
大幅な下落に見舞われている。決算発表の1カ月前から自社株買いを自粛する米企業が多いことも一因のようだ。今年も9月後半に大幅な
調整が入るとすれば、円高加速も重なり海外勢の慎重姿勢は一段と強まりかねない。もちろん、9月末にかけての下押し局面が買い場と
みてエントリーしてくる投資家もいるだろう。投資家の運用の巧拙が明暗を大きく分けそうな局面に差し掛かっている。
バーゼル3見直し案の承認時期は未定=米FRB議長
全員一致で決定、エコノミスト調査では全員が政策据え置きを予想
景気の現状と先行きの判断、基調的物価に関する見方は変わらず
日本銀行は20日の金融政策決定会合で、政策金利の無担保コール翌日物金利を0.25%程度で維持することを全員一致で決めた。7月の
追加利上げの経済・物価への影響や、8月に不安定化した金融市場動向の見極めが必要との判断が背景にある。
景気は「一部に弱めの動きも見られるが、緩やかに回復している」とし、先行きも「潜在成長率を上回る成長を続ける」との認識を維持。個人
消費は「緩やかな増加基調」とし、従来の「底堅く推移」から判断を引き上げた。消費者物価の基調的上昇率は、経済・物価情勢の展望(展
望リポート)で示した2024-26年度の見通し期間後半に「物価安定の目標とおおむね整合的な水準で推移する」との見方も据え置いた。
ブルームバーグが6-11日にエコノミスト53人を対象に実施した調査では、全員が金融政策の現状維持を見込んでいた。前回の7月会合
での利上げ決定後に、米国経済への後退懸念も重なって金融市場は大きく不安定化したが、今会合の声明文からは日銀の経済・物価の
見方や政策運営姿勢に大きな変化は見られていない。
会合結果を受けて外国為替市場では円が対ドルで一時1ドル=141円台まで上昇した。
リスク要因については、7月の展望リポートに続き、金融・為替市場の動向や、その日本経済・物価への影響を十分注視する必要があると
指摘。「過去と比べると、為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている面がある」と記した。
大和証券の末広徹チーフエコノミストは、「為替の影響度を注視しているのは重要なポイント」と指摘。来年にかけて円高が進めば物価の
下振れリスクとなり、来年には利上げ停止もあり得るとの見方を示した。その上で、年内に一度、さらに来年の早い時期にもう一度利上げをし
「着地点は0.75%程度になるとイメージしている」と語った。
総務省が20日発表した8月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は前年比2.8%上昇と、4カ月連続でプラス幅が拡大した。
エネルギー価格の高止まりに加え、食料や家庭用耐久財の上昇が全体を押し上げた。生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPIは2.0%
上昇と、2カ月ぶりに2%台を回復した。
8月初めの市場急変を受けて内田真一副総裁は同月7日に、市場が不安定な状況で利上げはしない考えを表明した。その後、植田和男総裁ら他の政策委員は、高い緊張感を持って市場を注視するとしつつ、経済・物価が日銀の見通しに沿って推移すれば利上げを進める姿勢に変わりはないとの見解を示していた。
2024/09/21 日本経済新聞 朝刊
日銀は20日開いた金融政策決定会合で、金融政策を現状維持し政策金利を0.25%に据え置いた。会合後の記者会見で植田和男総裁
は、今後の追加利上げの判断に「時間的な余裕はある」と述べ、米経済や国内の経済・物価情勢を見極めていく姿勢を示した。(関連記事総
合2面、会見要旨総合4面に)
7月末の会合で利上げを決めた後、為替相場が円高方向に動いた。植田総裁は2024年の年初からの円安進行に伴った物価の上振れリ
スクは「相応に低下した」と指摘した。
金融市場の動きは「引き続き不安定な状況にある」との見解を示し「極めて高い緊張感をもって注視する」と強調した。
会見開始直後に外国為替市場で1ドル=141円台後半を付けた円相場は、早期利上げの可能性は低いとの観測から、一時144円台に
下落した。
植田総裁が追加利上げの判断に時間をかける姿勢を見せたのは、海外経済の先行きに「不透明感がある」との背景がある。金融資本市場
の不安定な動きにもこうした見方が反映されているとの認識だ。
米連邦準備理事会(FRB)は18日、通常の倍となる0.5%の幅で4年半ぶりの利下げを決めた。植田総裁は、米国経済がソフトランディング
(軟着陸)するとの見通しについて「メインシナリオと見ている点に変わりはないが、リスクは少し高まっている」と語った。米国は個人消費が
好調な一方、労働市場が弱含んでいることを理由に挙げた。
今後の米経済やFRBの金融政策は「全体像がまだ見えていない。注意してみていきたい」と話した。
植田総裁は海外の不確実性をリスク要因として注視しつつ、これまで示してきた利上げ方針は維持した。経済・物価の見通しが実現していけ
ば「政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになる」との考えを改めて示した。
現状の政策金利である0.25%は、インフレを考慮した実質金利でみて「極めて低い水準にある」とし、複数回の利上げが可能なことを示唆した。
日銀は追加利上げの判断で、一時的な要因を除いた基調的な物価上昇率の動きを重視する。堅調な個人消費などを受け、現状で基調物価
の判断を「若干なりとも上げてもいいような材料」があると言及した。
ただ米国経済の動きが先行きについて「若干の不透明性を高め、(国内の好調と)相打ちのような形になっている」との状況認識を示した。
植田総裁は「見通しの確度が高まったからすぐ利上げとはならない」と述べ、決められた利上げのペースやスケジュールがあるわけではないと
語った。「ある程度まとまった情報が得られたと判断できたところで、次のステップに移るとならざるを得ない」と述べ、データ次第との姿勢も重ねて強調した。
2024/09/21 09:02 日経速報ニュース
「米国であれば、ソフトランディング(軟着陸)的なシナリオに近い姿が実現していくのか。もう少し厳しめな調整になっていくのか。これを丁寧に
見極めていきたい」
不思議な記者会見だった。日銀の植田和男総裁は政策金利を据え置いた20日の金融政策決定会合のあと、米景気のリスクを繰り返し強調し
追加の利上げ時期を吟味するうえでの焦点だと言明した。日本の利上げの命運を米景気、もしくは米連邦準備理事会(FRB)に委ねたかのようだ。
そのわずか36時間前、0.5%の大幅な利下げを決めたFRBのパウエル議長は「後手に回らぬ決意」とともに、米景気の軟着陸説を勇ましく
唱えた。会見でのトーンを比べる限り、植田氏のほうが米経済に悲観的なのは明らかだ。この奇妙な日米の「ズレ」には何があるのか。植田氏
の発言を点検しよう。
「(利上げを決めた7月会合後の)データをみても、われわれの見通し通りに足元、動いてきていると日本経済をみている。これは若干なりとも
基調的物価上昇率に対する判断を上げてもいいような材料だ」
今回、個人消費の判断を「底堅く推移」から「緩やかな増加基調」に引き上げたように、日銀は国内経済の底堅さには自信を深めている。利上
げの是非を判断する決め手は「基調的な物価上昇率が目標の2%へと上向きつつあるか」「経済・物価見通しが実現する確度が高まっている
か」の2点だ。7月末の利上げ決定の一端を担った「オントラック(想定通り)」という発言は主に後者を指すが、エコノミストらから「消費が停滞し
たままではないか」との反発も招いた。
今回は懸案の消費判断を引き上げ、オントラックの継続を認めたうえで「基調的な物価上昇率に対する判断を上げてもいい」と踏み込んだ。
賃金上昇の広がりやサービス価格に波及する兆しも踏まえると、利上げを決めてもおかしくはなかったことになる。だが、上記の発言の直後に
はこんな説明が続く。
「他方で海外経済、とくに米国経済の動きが先行きに関して若干、不透明性を高めている。それがなにか相打ちのようなかたちに足元なって
いると認識している」
単純に解釈すると、米景気のリスクが足を引っ張り、連続利上げの判断を妨げたことになる。
ここで注目すべきなのが、広くニュースの見出しにも使われた「時間的余裕」発言だ。サプライズを伴った7月末の利上げが、経済・物価の
オントラックぶりに加え、それまでの急激な円安が輸入物価の押し上げを通じ、物価の上振れリスクを高めているのに対応したのと強く関係し
ている。
「最近の為替動向も踏まえると、年初以降の為替円安に伴う輸入物価の上昇を受けた物価上振れリスクは、相応に減少しているとみている。
したがって政策判断にあたって、先ほど来申し上げてきた点を確認していく時間的な余裕はある」
「先ほど来申し上げてきた点の確認」というのは、次の通りだ。
「政策判断にあたっては内外の金融資本市場の動きそのものだけでなく、その変動の背後にある米国をはじめ海外経済の状況などについて
丁寧に確認していくことが重要だ」
7月末の利上げは円の反転上昇に加えて株価の急落も招いた。日銀が不運だったのは、米景気指標の急激な下振れと重なったことだ。
今回の米景気リスクへの警戒は、このときの市場の混乱と深く結びついている。
「米国をはじめ海外経済の先行きを巡る不透明感が昨今の金融資本市場の動きの背後にあると考えている」
市場混乱のさなかの8月7日。内田真一副総裁は講演で「金融資本市場が不安定な状況で、利上げをすることはない」と火消しに回った。
逆に言うと「市場が安定しさえすれば、利上げに動ける」という意図があるのは言うまでもない。
むしろ問題は「市場の安定」を何をもって判定するのかの難しさにある。今回の会見で重要なのは、植田日銀が「市場が安定したのかどうか
」の判断を、市場の動きの背後にある「米経済の不透明感」の話に置き換え、「軟着陸の成功」を利上げの条件に据えたことだ。
植田氏は「軟着陸をメインシナリオとみている点は変わりない」と語ったうえで労働市場の減速を念頭に「8月初め以降の米経済に関するデータ
は少し弱いものが続いているのでリスクは少し高まっている」と警戒した。「FRBが減速傾向を食い止めるためにどれくらいの利下げをしていく
のか、全体像がまだみえていない」とも語った。
もし米景気の軟着陸を強く信じているのであれば、やがて「市場安定」の判定問題は雲散霧消し、自然に利上げの環境が整うとみているの
だろう。逆に、下振れリスクを本気で心配しているのなら、これ以上の利上げを進められないという事態もうすうす覚悟し始めていることになる。
当のFRBはどうか。パウエル氏は今回、0.5%の大幅利下げによって米労働市場、ひいては米景気の下振れリスクに先手を打ったとアピール
した。2回目以降の利下げはゆっくりと進める政策金利シナリオも示しつつ、「景気後退の可能性が高まっていることを示すものは何もない」
「米経済は良い状態にあり、きょうの決定はそれを維持するためのもの」などと軟着陸をアピールした。
一方で米連邦公開市場委員会(FOMC)内では失業率が悪化方向にぶれるリスクを気にするメンバーが急増しており、パウエル氏の強気
発言とは裏腹に、軟着陸シナリオの失敗を懸念している内実も見え隠れする。
日銀内で感触を探ると、米経済について明確に、あるいは意識的にFRBの認識よりも弱気にみているわけではなさそうだ。
一方的な円安が収まった以上、利上げを急ぐ必要はない。日銀にこの思いが強いのは確かだ。ただし「為替を直接の操作対象にしない」と
する建前上、円安が収まったから利上げを見送る、との説明では厳しい。経済や物価がオントラックなら利上げに至りうるという説明との整合
性を考えると、国内景気の動きを理由にした現状維持も成り立たない。
代わりに「米経済の軟着陸か否か」を前面に押し出せば、見送りの理由にしやすい。「市場が安定したかどうか」の判定の尺度も明確に
できる。パウエルFRBの情勢判断や政策手腕を信じるなら、そう遠くないうちに利上げの機は訪れるはずだ――。日銀執行部の心中は、
こんなところかもしれない。
外国為替市場は今回の植田氏の説明ぶりを追加利上げに慎重な「ハト派」と受け止め、20日の円相場は一時1ドル=144円台半ばまで
円安・ドル高が進んだ。だが植田氏が「経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和
の度合いを調整していく」と語った通り、日銀は利上げ路線自体を断念したわけではない。
では次の利上げはいつか。米経済の不透明性とそれに伴う市場の変動リスクを考えると、11月の米大統領選前である10月末の次回会合は
考えにくい。一方、もし米景気の軟着陸が濃厚となれば、12月会合の利上げの線はまだ消えていないだろう。
「多くの企業が10月を中心にサービス価格の改定時期に当たるので、そこで好調な賃金動向がどれくらい反映されるかには強い関心をもっ
ている」
国内の賃金と物価動向に絡み、最も重要だった植田氏の発言だ。この点が判明するのが11月以降。12月利上げはこの発言とも符合する。
米経済とFRBに身を委ねつつも年内の利上げの線が完全になくなったわけではないことには注意が必要だろう。
【関連記事】
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・日銀総裁、利上げ判断「時間的に余裕」 金利は据え置き
・[社説]日銀は正常化の歩みを周到に
・次の利上げはいつか、日銀に難局
[東京 20日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が0.5%の利下げに踏み切ったが、日銀が利上げ局面にあるなかで米国が利下げ
した2007年とは内外の環境が大きく異なる。日銀内では、今回の米利下げは景気を下支えするもので、追加利上げに向けた日銀の動き
を崩すものではないとの見方が出ている。一方、米経済減速懸念などを背景に円高が一段と進む場合は賃上げに影響する可能性もあり、
その動向を確認する必要があるとの指摘もある。
<07年と「大きく異なる」環境>
植田和男総裁は20日の金融政策決定会合後の会見で、政策を現状維持とした理由について、経済・物価見通しはオントラックだが、米経済
見通しが不透明性を高めていると説明。政策判断に当たって、市場不安定化の背景にある米国経済の状況を丁寧に見ていく「時間的な余裕
はある」と話した もっと見る 。
その米国経済について、植田総裁は現時点でソフトランディングがメインシナリオだと発言。今回同様、日本と米国の金融政策スタンスが逆と
なった2007年当時とは、内外経済の状況が大きく異なる。そんな声も日銀では出ている。
日銀は06年3月に量的緩和を解除、その後ゼロ金利も脱し、07年2月に政策金利を0.5%に引き上げた。こうした中、07年8月にパリバ
ショックで世界の金融市場が動揺、FRBは翌9月に政策金利を5.25%から4.75%に下げた。
その後、米景気は後退局面に入り、リーマンショック後の08年12月にFRBはゼロ金利政策を導入。日銀も07年2月以降、据え置いてきた
政策金利を08年10月に引き下げたが、その後、長く円高が続くこととなった。
現在の日本は、政策金利こそ0.25%で07年2月時点より低いものの、コアCPIの前年比は2%台後半で推移。30年ぶりの賃上げ率が
実現するもとで、賃金と物価がともに上がる好循環が回り始めている。米国経済もサブプライムローン問題が深刻化した当時のようなバランス
シートの偏りもなく、金融機関の健全度も維持されている。
こうした違いの中で、日銀内では今回の利下げが米景気を下支えするとの見方が出ている。米経済のソフトランディングシナリオを前提とす
れば、追加利上げに大きな支障をもたらすことはない。
「サーム・ルール」に触れたことについて、「1950年以降、過去11回の景気後退期では全てサーム・ルールが発動しており、その精度は
非常に高い」とする一方、雇用は増え続け、減少に転じたわけではないと指摘。米連邦公開市場委員会(FOMC)で示された米経済の
ソフトランディングシナリオには「妥当性がある」と話している。
日銀では、米大統領選の結果にかかわらず、新大統領の就任で財政出動が見込まれるとして、来年の米国のインフレ圧力になりそうだと
の見方も出ている。FRBの利下げ幅が小幅にとどまれば、為替円高の動きは限定的となり、日銀の利上げに追い風となる可能性もある。
<米経済減速の深まり、円高など注視>
日銀内には、米経済やFRBの金融政策を巡って、当面は市場の不安定な状況が続く可能性があるとの声もある。植田総裁も米経済の
ソフトランディングについて、リスクは少し高まっていると指摘、米経済減速懸念などを背景に円高がどこまで進むかも、今後の日銀の政策
を占うカギとなる。
FOMC後に公表された金利見通しによれば、年内にさらに0.5%、25年にもう1%の利下げが見込まれている。25年には四半期に1回の
利下げという計算になる。
グローバルマーケットエコノミストの鈴木敏之氏は「テイラールールを計算すると、25年の利下げ幅は0.6%で、1%は下げ過ぎ」と指摘
するが、SMBC日興証券の牧野潤一チーフエコノミストは19日付リポートで「現在、米国・日本市場で織り込まれていない将来の金融政策
が今後織り込まれていくとすると、1年後のドル/円レートは1ドル=132.5円程度となっている可能性がある」との分析を示す。
6月日銀短観での企業の想定レートは1ドル144.77円。足元の水準であれば影響は軽微とみられるが、円高が一段と進めば日本の
企業収益に下押し圧力がかかりかねない。米景気先行き懸念からFRBの大幅利下げ観測が高まり、さらに円高に振れれば、来年の賃上げ
に影響が及ぶ事態も想定される。
植田総裁は20日の会見で、米国はじめ海外経済の先行きをめぐる不透明感が金融市場の背後にあると話し、丁寧に分析し、経済・物価
見通しへの影響を確認していく考えを示した。日銀内では、米経済の下振れ警戒が根強い場合には、日本企業の来年の賃上げに向けた
動向をしっかり見極めた上で次の利上げに進むべきだとの声が出ている。
2024/09/24 08:00 日経速報ニュース
東京証券取引所は20日、東京地下鉄(東京メトロ、9023*J)の新規上場を承認した。10月23日に東証プライム市場へ上場する。首都圏で
地下鉄を運営する鉄道会社とあって知名度は高い。想定発行価格(1100円)と上場時の発行済み株式数(5億8100万株)から計算した時価
総額は6391億円と今年最大規模になる見通しだ。
売り出し株数は2億9050万株で、売り出しの内訳は国内2億3240万株、海外5810万株。株主である政府(財務大臣)が1億5517万1585株
東京都が1億3532万8415株をそれぞれ売り出す。国は復興財源確保法に基づき、東京メトロ株の売却収入を復興債の償還費用に充て、
都はインフラ整備に充当する方針だ。主幹事は野村証券で仮条件は10月7日、公開価格は10月15日にそれぞれ決定する。
半導体メモリー大手のキオクシアホールディングス(HD、旧東芝メモリ)が1.5兆円規模で10月にも上場するとの観測がある。キオクシアHD
の上場承認は発表されていないため、東京メトロは上場時点で2024年の新規株式公開(IPO)のなかでは最大規模の案件になる見通し。
私鉄大手の時価総額との比較では1兆円を超える東急(9005)や阪急阪神ホールディングス(9042)は下回るものの、京成電鉄(9009、7611億
円)や近鉄グループホールディングス(9041、6669億円)とちかい規模となる。
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東京メトロの25年3月期(今期)の連結純利益は前期比13%増の523億円を見込む。今期予想ベースのPER(株価収益率)は12.2倍程度。
鉄道が主力のJR東海(9022、8倍)や大手私鉄の一角である東武鉄道(9001、11倍)よりは高いが、小田急電鉄(9007、15倍)や東急(18倍)
を下回る。
東京メトロは、営業収益に占める旅客運輸収入の割合が約83%(24年3月期)と高い。人口密集地の首都圏での事業が中心なだけに、売上
高営業利益率は19.6%(24年3月期)と高く、私鉄で収益力の高さに定評がある東急(9.1%)や阪急阪神(10.6%)も大きく上回る。
鉄道以外に収益源を多角化する余地は大きい。東京メトロは小田急などと共同で新宿駅西口の再開発に着手しており、29年度をめどに新宿
駅の上に高層ビルを建設する。3月には国内外の現地ツアー予約サイト運営のベルトラ(グロース、7048)と資本業務提携を結び、東京の観光
施設をフリーパスで回れる乗車券付きの新商品の開発などを進めている。機関投資家に需要を聞き取るブックビルディングを通じて、こうした
動きが公開価格にどう反映されるかがまずは注目される。
個人投資家の長期保有を促すための株主優待制度への関心も高い。毎年3月末と9月末を基準日として保有株数に応じて全線片道切符を
発行する。例えば「200株以上400株未満」の株主は全線片道切符を3枚受け取れる。このほか年1回、3月末時点で「200株以上」を保有する
株主には地下鉄博物館(東京・江戸川)の無料招待券5枚や、「そば処めとろ庵」のかき揚げトッピング無料券やゴルフ練習場の入場無料券
などがもらえる。優待は上場後の株価の下支え要因となるだけに、個人の動向にも気を配りたい。
2024/09/25 09:08 日経速報ニュース
25日朝方の国内債券市場で長期金利が低下(価格は上昇)している。指標となる新発10年物国債の利回りは前日を0.020%下回る0.795%
をつけた。金融・資本市場が混乱した8月5日以来およそ1カ月半ぶりの低さ。24日発表の米経済指標の下振れを受けて米長期金利が低下し、
国内債にも買いが入った。日銀の追加利上げ時期が後ずれしたとの見方も相場の支えとなった。
24日発表の9月の米消費者信頼感指数は98.7と、前回改定値(105.6)から低下したうえ、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(104.0)
も下回った。米景気の減速懸念や米利下げ観測から米国債には買いが入り、米長期金利は3.73%に低下した。
日銀の植田和男総裁は24日に大阪市内で開いた講演で「基調的な物価上昇率が見通しに沿って高まっていくならば、政策金利を引き上げ、
緩和の度合いを調整していくことが適当」と改めて強調した。一方、為替の円安修正により物価の上振れリスクが減少し、政策判断に「時間的
な余裕はある」との見方を20日に続いて示した。日銀が追加利上げを急がないとの見通しが改めて広がったことも相場の押し上げ要因となった。
先物相場は続伸して始まった。中心限月の12月物は前日比8銭高の145円19銭で寄り付いた。短期金融市場では大阪取引所で無担保コー
ル翌日物金利(TONA)先物が上昇し、中心限月である12月物は前日比0.0100高い99.7075をつけた。
2024/09/25 13:51 日経速報ニュース
日米の長期金利の連動性が薄れてきている。20日の日銀の金融政策決定会合以降、米長期金利が上昇(債券価格が下落)する局面でも
日本の長期金利は低下(価格は上昇)基調を保ったままだ。日本と米国との間で政策の方向性の違いが鮮明になっており、これまで米国債
に左右されがちだった国内債市場に「日本は日本」との空気が生じている。
24日以降の国内債相場は中期債を中心に利回りが大きく低下した。政策金利の影響を受けやすい2年物国債利回りは前日を0.010%下回
る0.330%まで下がり、前週末20日の0.390%から大きく水準を切り下げている。25日は長期金利の指標となる新発10年債利回りが一時0.795
%と、金融・資本市場の混乱が起きた8月5日以来、およそ1カ月半ぶりの低水準をつけた。
金利低下の主因は日銀による早期利上げ観測の後退だ。植田和男総裁が政策判断にあたり「時間的余裕がある」との見解を20日と24日に
それぞれ示したからだ。この間、米債利回りの強弱感は明確ではなく、国内債がもっぱら日銀に焦点をあてて動いていることがわかる。
グローバルな資本移動が進む現在は、日米の国債金利は連動しやすいとされる。世界規模で運用する投資家は期間を区切って資産配分の
比率を決めている。例えばもし米債の価格が上昇すれば、日本国債の比率があまり下がらないように機械的に買いを入れるケースが出てくる。
だが、どの国も独自の国内要因を抱えている。とりわけ、日本では金融政策の正常化という新たな段階に入り、引き締めからの撤収局面を
迎えた米国との対照性が浮き彫りになっている。海外の投資家も日本固有の材料への感応度を高めざるを得なくなり、相場が「米債離れ」を
する日が増えているわけだ。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鶴田啓介氏も「短期的に」と前置きしたうえで、日米国債利回りのデカップリング(非連動)が続く可能性
を指摘する。では国内要因が主導する今後の相場展開はどうなるのか。
日銀の植田和男総裁は24日に大阪市内で開いた講演で「基調的な物価上昇率が見通しに沿って高まっていくならば、政策金利を引き上げ、
金融緩和の度合いを調整していくことが適当」と従来の立場を改めて示した。ただ、足元の為替の円安修正に伴い物価の上振れリスクが相応
に減少し、政策判断にあたって「時間的な余裕はある」とも説明した。
三菱モルガンの鶴田氏は「基本的に日銀は利上げ方針を掲げており、先々の金利上昇は意識されやすい。半面、指をくわえてみている投資
家は少ない。金利が上昇した局面で債券買いを入れる動きも出てくる」と話す。
国内外の債券を中心に運用するSOMPOアセットマネジメントの前田洋司氏は「(金融・資本市場が一時混乱した)8月以降、国内金利の低下
を見込んだ投資戦略をとっている。10月もデュレーション(元利金の平均回収期間)の長期化を中心に考えている」という。
さらに前田氏は「日本の期待インフレ率の低下や為替の円高による景況感の押し下げの可能性、日銀の利上げ観測後退などを踏まえて国内
長期金利は0.6%まで下がってもおかしくない」と強気だ。また中期債のうち5年債についても、8月月初の0.6%台から足元で0.4%台へと水準
を切り下げるなかで「買う余地はある」という。
27日には自民党総裁選の投開票が控え、その後は衆院解散・総選挙が取り沙汰されている。次期首相になる新総裁の経済政策を見極めた
いとして、「国内債には売り手が少ない状態になる」(三菱モルガンの鶴田氏)との声も聞かれる。
日銀の政策正常化のプロセスを織り込むのにはまだ時間がかかるだろう。米国は米国で今後の利下げの余地や景気回復の見通しを織り込
む段階になるが、日銀への注目度が簡単には下がりそうにないとすれば、日米国債利回りのデカップリングは来年まで継続するのかもしれない。
2024/09/26 日本経済新聞 朝刊
金融庁は銀行の代わりに送金・決済・与信サービスを提供するフィンテック事業者に対する規制を総点検する。資金決済法制定から14年を
経て、利用者保護に支障が生じる恐れも出ており、時代に合わなくなってきた。
金融審議会の作業部会が25日、資金決済法改正に向けた議論を始めた。2025年の通常国会への改正案提出をめざす。規制の結果、
ステーブルコインなど利用が進まないサービスがあり、規制緩和も焦点になりそうだ。
資金決済法は銀行が独占してきた送金・決済・与信業務を開放し、それを担う新しい事業者とそのサービスを規制する法律。施行した
2010年当初は、プリペイドカードや電子マネーといった前払い式の支払い手段への規制が柱だったが、暗号資産(仮想通貨)やバーコード
決済など新たな決済手段が登場するたびに改正を重ねてきた。
今回議論の中心になるのが、新たな金融サービスやフィンテック事業者への規制のあり方だ。
国境を越えた送金や決済も増え、「クロスボーダー収納代行」と呼ばれるサービスを規制対象にするかが論点の一つだ。
現行法はコンビニでの公共料金の支払いなど国内で完結した収納代行を想定している。国境をまたぐこのサービスは原則適用外とされて
おり、支払い遅延のリスクが生じたり、国内取引に比べ送金経路も複雑だったりする。個人の利用が増えている可能性もある。
金融庁は利用者を保護するため、「資金移動業」の登録範囲を広げたり新たな規制を設けたりすることを検討する。サービス提供者に規制
の網をかければ、未払いなどのトラブルに対応しやすくなる。
BPSP(ビジネス・ペイメンツ・ソリューション・プロバイダー)と呼ばれる立て替えサービスも論点だ。サービス事業者が利用者に代わって
一定期間、支払いを代行する行為が実質的には「貸金業者」との指摘が出ている。
運転資金の圧縮や銀行振込コストの削減を進めたい企業のニーズを受け広がっている。現行の資金決済法は利用者が事前に代金を支払う
前払いを前提とし、立て替えを想定してこなかった。
貸金業法に基づく登録を求めれば、重い規制を課すことになるが、業者はサービスを維持できなくなる恐れがある。25日の作業部会では、
委員から「過剰与信の入り口になり得る。防止が必要だ」などの意見が出た。
取引増加が続く暗号資産を巡っても追加のルールを検討する。国内外で暗号資産交換業者からの不正流出が絶えず、破綻に追い込まれる
業者も少なくない。2022年には世界2位の暗号資産取引所だった米FTXが破綻し、国内資産の保護が焦点になった。
金融庁は資金決済法の行政処分の規定に「国内資産保有命令」の追加を検討する。FTXの場合、日本法人が金融商品取引法の登録を
受けており、同命令を出すことができたものの、資金決済法の登録だけであれば、難しかった。法の落とし穴とも言えた。
金融規制は利用者の利便性を損ねたり、金融機関の使い勝手が悪くなったりする時もある。例えば、法定通貨の価値に連動するステーブル
コインは2023年に発行できる制度を創設したが、利用は低調だ。発行額に見合った金額を現預金で用意しなければならない規制で、発行
コストをまかなうことができないことが原因だ。
金融庁は現預金に加えて短期国債を認める方向で規制緩和を検討する。英国や米国ニューヨーク州などはすでに国債など安全資産での
運用を認めている。このほか利便性を損ねている規制も総点検し、必要な規制緩和も同時に検討する方向だ。
2024/09/26 09:59 日経速報ニュース
日銀は26日、7月30?31日に開いた金融政策決定会合の議事要旨を公表した。複数の委員は、2%の「物価安定目標」について「実現して
いく確度は、さらに高まった」と指摘した。ある委員は、春季労使交渉の結果が賃金に反映されるなど「経済情勢に加えて、物価動向もオント
ラック(想定通り)と評価できる」と述べた。また、1人の委員は企業による賃金や価格の設定行動が積極化する中で「4月に続き、10月につい
ても相応の『期初の値上げ』がみられる可能性が高い」との見方を示した。
7月会合では政策金利を0.25%に引き上げることを決めた。何人かの委員は経済・物価情勢に応じて「きわめて低い金利水準を、現段階から
少しずつ調整していくことが適切だ」との見方を示した。多くの委員は小幅な利上げを実施しても「実質金利は大幅なマイナスが続き、緩和的な
金融環境は維持される」として「引き続き経済活動をサポートする」との認識を共有した。
複数の委員は消費者物価指数(CPI)について前年比で2%を超える上昇が続いており、物価の上振れリスクが「政策判断において、より
重要な判断要素になる」との見方を示した。
2024/09/26 12:51 日経速報ニュース
26日の東京外国為替市場で対ドルの円相場は一時1ドル=145円台に下落した。4日以来およそ3週間ぶりの円安・ドル高水準。25日に
発表された米経済指標が市場予想を上回った。米国経済が底堅いとの見方から米連邦準備理事会(FRB)の大幅追加利下げ観測が後退。
日米金利差縮小への意識が和らぎ円売り・ドル買いが広がった。
米商務省が25日発表した8月の新築住宅の販売件数は前月から4.7%減ったものの、市場予想(5.3%減)ほど悪化しなかった。米景気懸
念が後退し、米金利が上昇。日米金利差の拡大が意識された。
月末かつ四半期末で、国内の輸入企業など実需による円売り・ドル買いの動きも出ているとの見方がある。
2024/09/26 14:11 日経速報ニュース
岸田文雄首相の任期満了に伴う自民党総裁選が27日、投開票日を迎える。選ばれた新総裁は近く召集予定の臨時国会での指名選挙を
経て次期首相に就く見通しで、金融市場の関心も高い。報道各社の世論調査では乱立する候補のうち3人まで絞られつつあり、市場参加者
は各候補ごとに相場がどう動くかのシナリオを描いて臨んでいる。
自民党総裁選は27日13時から議員や党員の開票が始まる。過去最多の9人が立候補するなか、各社の調査によれば石破茂元幹事長と
高市早苗経済安全保障相、小泉進次郎元環境相の3人が新総裁に有力視されている。
金融市場で総裁選に関心が向かうのは次期首相が日銀の金融政策運営に影響を及ぼすとみられているためだ。代表的なのが高市氏で、
23日公開のインターネット番組では「金利を今、上げるのはあほやと思う」と発言し、日銀の利上げをけん制した。
「高市新首相」を前倒しで織り込むように、25日の国内債券市場では長期金利の指標となる新発10年物国債利回りが一時0.795%と8月
5日以来およそ1カ月半ぶりの水準に低下。26日の東京外国為替市場で円相場は約3週ぶりに1ドル=145円の節目を割り込むなど金利
低下・円安が進んでいる。
高市氏が勝利すると日本国債相場はどうなるのか。みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは「中期ゾーンが買われ、新発2
年債利回りは0.3%割れもあり得る」とみる。一方、市場では日銀の追加利上げが後ろにずれ込むと織り込まれつつあり、SMBC日興証券
の奥村任シニア金利ストラテジストは中期ゾーンよりも「(保有し続けることで得られる)キャリー収益を確保する需要でより長い年限の債券を
買う動きが広がりやすい」と読む。
外為市場では一段の円安・ドル高が進むとの見方が優勢だ。けん制色を強める高市氏が勝利すれば、日銀は次の利上げすらも難しくなり
かねない。さらに高市氏が掲げる「戦略的な財政出動」が財政拡張の思惑を招きやすく、伊藤忠総研の武田淳チーフエコノミストは「長い目
でみても円が弱くなるリスクを意識せざるを得ない」と話す。
石破氏や小泉氏が勝利すると、足元で広がる金利低下・円安という「高市トレード」はいったん巻き戻される公算は大きいが、この候補2人
でも巻き戻しには濃淡が出そうだ。
石破氏は25日の記者会見で、岸田首相が進めてきた「成長と分配の好循環」について「さらに力強く、確実なものにしていく」と述べたと
伝わった。注目された金融所得課税の強化について問われると「いまの貯蓄から投資へという流れは一層加速させていく」とややトーン
ダウンしている。
安倍晋三元首相の経済政策「アベノミクス」から距離を置き、日銀の利上げも歓迎するとみられていたが、市場からは石破氏が勝利して
も「岸田内閣とあまり変わらないかもしれない」(みずほ証の上野氏)との声が漏れ始めている。
むしろ影響が大きそうなのは小泉氏が勝利した場合だ。小泉氏は金融政策について日銀の独立性を尊重するとの立場を表明している。
伊藤忠の武田氏は、フリーハンドになった日銀が利上げを進めやすくなるとみて「金利上昇や円高が進むスピードが(3人のなかで)最も
速まる可能性があるのは小泉氏ではないか」と予想する。
新総裁選びが最後までもつれ込めば「たとえ高市氏が総裁選に敗れたとしても、組閣で重要なポストに就く展開もあり得る」(みずほ証
の上野氏)。新総裁の選出だけでなく、10月以降に明らかになる新内閣の人事案が思わぬ影響を与える可能性は残る。いくつものシナ
リオを意識しつつ、金融市場は総裁選の行方を固唾をのんで見守っている。
By ロイター編集
2024年10月4日午前 2:19 GMT+94時間前更新
[ワシントン 3日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)のコザック報道官は3日、日銀は引き続きデータに基づき、インフレ見通しに沿って
政策金利を段階的に引き上げていくべきという見解を示した。
さらに、日銀がこれまでに金融政策の正常化に向けた重要な措置を講じたとし、2%の物価目標達成に向けた軌道に乗っていると述べた。
日本経済は拡大を続けているという認識も示した。
2024/10/04 09:11 日経速報ニュース
4日朝方の国内債券市場で、長期金利が上昇(債券価格が下落)している。きょうから新発債となった10年物376回債の利回りは前日を
0.010%上回る0.870%に上昇した。新発債としては9月12日以来、約1カ月ぶりの高水準をつけた。3日発表の9月の米サプライマネジメント
協会(ISM)非製造業景況感指数が改善して同日の米長期金利が上昇し、4日の国内債にも売りが及んでいる。
先物中心限月である12月物は前日比17銭安の144円77銭で始まった。バイデン米大統領は3日、イスラエルによるイラン石油施設への
攻撃を米国が支援するか「議論している」と述べた。中東情勢の緊迫化は、リスク回避の債券買いにつながる一方、原油高を通じてインフレ
圧力を高めるため米国債が売られた面もある。
短期金融市場では大阪取引所で無担保コール翌日物金利(TONA)先物の中心限月である12月物は取引が成立していない。
2024/10/08 06:14 日経速報ニュース
【NQNニューヨーク=矢内純一】7日のニューヨーク債券市場で長期債相場は4日続落した。長期金利の指標となる表面利率3.875%の
10年物国債利回りは前週末比0.05%高い(価格は安い)4.02%で終えた。一時4.03%と8月上旬以来およそ2カ月ぶりの高水準を付けた。
米連邦準備理事会(FRB)による大幅利下げ観測が後退しており、債券に売りが続いた。
前週末発表の9月の米雇用統計は市場予想を上回る内容で、11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で9月と同じ0.5%の利下げを
決めるとの観測が後退。7日の取引でも大幅な利下げを見込んだ取引の巻き戻しが続いた。米短期金利先物の値動きからFRBの金融
政策を予想する「フェドウオッチ」では11月に政策金利を据え置く確率が前週末4日の2%台から10%台半ばに上昇した。
市場では、米経済が軟着陸(ソフトランディング)に向かうとの観測は根強い。ゴールドマン・サックスは6日付のリポートで米国経済が
1年以内に景気後退に陥る確率を20%から15%に引き下げた。
一方、米経済の底堅さがインフレ沈静化のペースを鈍らせるとの見方もある。中東情勢が緊迫するなか、7日の米原油先物相場は前週
末に比べ、一時4%上昇した。週内には9月の米消費者物価指数(CPI)と米卸売物価指数(PPI)の発表がある。FRBの金融政策の先
行きを見通す上で重要な物価統計を見極めたいとの雰囲気があった。
金融政策の影響を受けやすい2年債の利回りは前週末比0.07%高い3.99%で終えた。一時4.02%と8月下旬以来の高水準を付けた。
7日早朝の取引では、10年債の利回りが2年債の利回りを回る「逆イールド」が発生する場面があった。
2024/10/08 09:21 日経速報ニュース
8日午前の国内債券市場で長期金利の指標である新発10年物国債利回りが前日を0.010%上回る0.930%に上昇(価格は下落)した。
8月6日以来、約2カ月ぶりの高水準となった。底堅い米労働市場から米国経済のソフトランディング(軟着陸)への期待が高まっている。
米連邦準備理事会(FRB)は大幅な利下げを続けないとの見方が広がり、7日の米長期金利が4%台と約2カ月ぶりの高さに上昇した。
国内債にも売りが及んでいる。
2024/10/08 11:14 日経速報ニュース
8日午前の国内債券市場で長期金利の指標となる新発10年物国債利回りが前日を0.005%上回る0.925%に上昇(価格は下落)した。
一時は0.930%と8月6日以来およそ2カ月ぶりの高水準をつけた。7日の米長期金利が4%台に上昇し、国内債にも売りが波及した。
底堅い米労働環境を映す経済統計を受け、米国経済のソフトランディング(軟着陸)への期待が高まっている。米連邦準備理事会(FRB)
は大幅な利下げを続けないとの見方が広がり、7日の米長期金利は約2カ月ぶりの高さとなる4.02%へと上昇した。
売り一巡後は底堅く推移した。国内金利は足元で急ピッチで上昇していたとあって、持ち高調整を目的とした買いも入った。
財務省は8日、30年物国債(新発84回、表面利率2.100%、発行予定額9000億円程度)の入札を実施する。他の年限と比べた割安感や
新発債への一定の需要を背景に、「大きく崩れることはないのではないか」(国内証券の債券調査担当者)との見方があった。
新発30年物国債の利回りは前日を0.025%上回る2.135%と8月8日以来の高水準をつけた。入札を前に持ち高調整の売りが出た。新発
20年債利回り前日比0.020%高い1.720%で取引されている。中期債では、新発2年債利回りが一時0.410%と8月2日以来の高さをつけた
後、買いが優勢となり0.4%ちょうどへと低下に転じている。
債券先物相場は反発し、中心限月の12月物は前日比2銭高の144円23銭で午前の取引を終えた。朝方は売りが先行して144円11銭まで
下げたものの、押し目買いや買い戻しが入り次第に買いが優勢となった。
短期金融市場では、無担保コール翌日物金利(TONA)が横ばい圏で推移し、加重平均金利は前日の日銀公表値(0.227%)とおおむね
同水準のもようだ。
2024/10/10 09:29 日経速報ニュース
2024/10/15 13:19 日経速報ニュース
15日午後の国内債券市場で、長期金利が上昇幅を広げている。指標となる新発10年物国債の利回りは午後に前週末比0.015%高い
(価格は安い)0.960%と、8月2日以来およそ2カ月半ぶりの高水準をつけた。米金利の先高観が根強く、国内債にも売りが続いている。
円安進行が日銀の早期利上げを後押しするとの思惑も長期金利の上昇を促している。
財務省が15日実施した残存期間「5年超15.5年以下」の利付国債を対象にした流動性供給入札では、応札額を落札額で割った応札
倍率が2.52倍だった。応札倍率は前回から低下したものの、落札された利回りなどを踏まえると「無難な結果」(国内証券の債券ストラ
テジスト)だと受け止められ、債券相場の影響は限られている。
超長期債にも売りがやや優勢だ。新発30年物国債の利回りは前週末比0.005%高い2.165%で推移している。債券先物相場は軟調で、
中心限月である12月物は前週末比12銭安の143円87銭で午後の取引を始めた。
短期金融市場では、現金担保付き債券貸借(レポ)金利が低下した。日本証券業協会がまとめた東京レポ・レートで、翌営業日に
始まる翌日物(トムネ)金利は前週末比0.005%低い0.240%だった。
2024/10/16 10:57 日経速報ニュース
日銀の安達誠司審議委員は16日、香川県の金融経済懇談会で挨拶した。金融政策運営を巡り、消費者物価指数(CPI)を構成する品目別
の前年比の上昇率がデフレ期特有の形状でなくなり、CPI水準もデフレ期以前のピークを超えているため、「金融政策が正常化プロセスに入る
条件は既に満たしている」と語った。
基調的な物価上昇率が2%近傍に達するまでゼロ金利を維持し、目標実現後に急ピッチで利上げをすると「景気を悪化させ、再度、デフレーシ
ョンを意識させるようなデフレレジームへの転換となってしまうリスクも無視できない」と指摘した。これを回避するために実体経済にショックを
与えない範囲で「段階的に政策金利を引き上げていった方が、よりスムーズな金融政策の正常化が可能になると思われる」として、「段階的
な利上げというプロセスを経ることが適当である」との認識を示した。
2024/10/18 10:12 日経速報ニュース
財務省の三村淳財務官は18日、記者団の取材に応じ、足元の円安・ドル高進行について「投機的な動きも含めて市場の動向を高い緊張感
を持って注視していきたい」と述べた。同日午前の東京外国為替市場の円相場は1ドル=150円台前半で取引が始まり、節目とされる150円を
突破したことで政府・日銀による為替介入への市場の警戒感が高まりそうだ。
三村氏は「やや一方向に、あるいは急速な動きもみられると認識している」とも語った。
150円台は約2カ月半ぶりの円安水準。政府・日銀は今年、急速に円安が進んだ4月から7月にかけて複数回の介入に踏み切った。〔共同〕
【関連記事】
・1カ月で10円の円安、気になり始めた日本当局の介入
・円下落、一時1ドル150円台 景気堅調で米利下げ観測後退
2024/10/18 13:32 日経速報ニュース
日銀が来年3月までの今年度中に追加利上げに動くとの織り込みが進んでいる。米景気の軟着陸(ソフトランディング)期待が高まり、それ
と同時に円相場に下落圧力がかかっているためだ。翌日物金利スワップ(OIS)市場の参加者が織り込む確率は、2025年3月の金融政策
決定会合まで追加利上げに踏み切る確率は8割を超えた。
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日銀の政策金利である無担保コール翌日物金利(TONA)を変動金利とし、固定金利と交換するOISのなかでも、金利の交換期間を日銀
会合間とする「金融政策決定会合間取引」のレートは、市場参加者の利上げ織り込みを映し出す指標のひとつだ。
来年3月からその次までの会合間を交換期間とする取引の金利は18日、一時0.43375%となった。このレートと現在のTONA(0.227%)と
の差を求め、想定される利上げ幅である0.25%の何割に当たるかが、市場が織り込む利上げ確率となる。月初は4割程度にとどまっていた
来年3月会合までに利上げに動く確率は18日時点で83%まで上昇してきた。
来年1月会合までに利上げする確率も上昇している。その確率は18日時点で67%に達した。1月、3月の確率はいずれも右肩上がりで、
金融市場では年度内の追加利上げの可能性が徐々に織り込まれている。
日銀の植田和男総裁は9月20日の記者会見で「すぐに利上げだとはならない」ことの理由に、米国経済の「不透明性」を挙げた。これに
対し9月の米雇用統計では失業率が低下し、17日発表の9月の米小売売上高は市場予想を上回った。米景気の軟着陸が実現するなら、
日銀は追加利上げを悩まず判断できるというわけだ。
さらに円相場は1ドル=150円台前半と、約2カ月半ぶりの安値をつけた。財務省の三村淳財務官は18日に「やや一方的に、あるいは
急速な動きもみられると認識している」と語り、金融当局者からは円安進行をけん制する声も出始めている。米経済の楽観的な見通しを
手掛かりに円の先安観がさらに強まる可能性もある。これも日銀の追加利上げ観測を高める要因だ。
岡三証券の長谷川直也チーフ債券ストラテジストは「日銀が懸念を示していた米景気の底堅さが確認されるようだと、日銀の追加利上
げの思惑は強まりやすい」とみる。来年の賃上げ機運に不透明感が残る12月は動きにくいとしても、米景気の腰折れがない限り、春季
労使交渉(春闘)の結果が見通せる年度内には少なくとも1回の追加利上げがあり得るとの見方が定着しそうだ。
2024/10/23 13:14 日経速報ニュース
27日に迫る総選挙を巡り、与党の苦戦が伝わっている。石破茂首相が「勝敗ライン」とする与党で過半数を維持できなかった場合について
金融市場の参加者は身構え始めている。市場には、与党過半数割れは日銀の金融政策の正常化に逆風との見方が広がりつつある。
■与党過半数割れなら政策読みづらく
市場参加者のメインシナリオはなお「与党で過半数維持」ながら、情勢は不透明感を増している。今週に入り、共同通信社や朝日新聞が
与党の過半数確保を「微妙」と報じた。NHKが18日から3日間で実施した世論調査では、石破内閣を「支持する」と答えた人は41%と、1週間
前の調査における44%から低下した。
与党で過半数割れとなれば、他党を巻き込んだ連立政権の拡大を目指すか、個別政策ごとに協力を取り付ける部分連合を目指すことになり
そうだ。いずれにしても政策の先行きは読みづらくなる。
みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは「不確定な要因が増えて市場の不安定な状況が長引く可能性がある。日銀の金融
政策の正常化には逆風になる」と指摘する。
米景気の後退懸念が強まって株価や為替相場が大きく動いた今年8月、日銀の内田真一副総裁は「金融資本市場が不安定な状況で利上
げをすることはない」と述べた。当時は国内政治の動きはまだ静かだったが、総選挙後に日本株などが動揺すれば再び「利上げが遠のく」と
の見方が広がる可能性がある。
マクロ経済政策は金融と財政での協調が基本線であり、上野氏は「財政対策による個人消費などの景気への影響を見極めないまま、日銀
が独走するのは望ましいものでもない」とも話す。
国内長期金利は日銀の利上げ観測が高まりにくいことが押し下げ要因、財政拡張の警戒が押し上げ要因となりそうで、身動きがとりづらい
事態となることも考えられる。利回り曲線(イールドカーブ)は長い期間の債券ほど上昇しやすい「スティープ化」が進む可能性がある。
■為替は円安・ドル高の可能性
円の対ドル相場への影響はどうか。自民党が単独で過半数を維持しない限り、円安・ドル高が見込まれている。バークレイズ証券は22日付
のリポートで、与党の過半数割れで連立拡大の場合「高市早苗前経済安全保障相の勝利を織り込みにいった自民党総裁選前の相場展開に
近いかたち」で円安・ドル高が進む可能性を指摘する。
9月の総裁選前は、日銀の利上げを強くけん制した高市氏の勝利を見込んで、株高と円安・ドル高が進んだ。
与党で過半数を維持しても円安圧力がかかる可能性がある。SMBC日興証券の宮前耕也日本担当シニアエコノミストは「非主流派に配慮
する必要があり、高市氏に近い政策をとらざるを得なくなる」とみる。円安の進行次第では、物価の上振れリスクからむしろ日銀が正常化を
早めに進める必要が出てくる展開も考えられる。財政政策との不協和音が生じ、市場の不安定さが強まる可能性は十分ありうる。
■立民、国民、維新の姿勢は
可能性は低そうだが、政権交代が実現したらどうなるか。例えば立憲民主党は政策集2024のなかで「日銀の物価安定目標を『2%』か
ら『0%超』に変更するとともに、政府・日銀の共同目標として『実質賃金の上昇』を掲げる」としている。
物価目標の引き下げは日銀の利上げ余地を広げ、株安・円高が進む公算が大きい。いずれにせよ、想定外の結果は市場のボラティリティ
ー(変動率)拡大を招くのは必至だ。日銀が正常化を進めるタイミングを見極めるのはさらに困難になることが予想される。
国民民主党は財政拡張を主張しており、日本維新の会は金融政策の正常化に慎重だ。キャスチングボートを握る可能性もある、これらの
政党の経済政策の姿勢も注意点だろう。
[ワシントン 23日 ロイター] - 日銀の植田和男総裁は23日、基調的なインフレ率は緩やかに上昇しているとした上で、インフレ目標を
持続的に達成するには「まだ時間がかかる」と述べた。訪問先のワシントンでパネルに出席した。
植田総裁は、不確実性が大きい時は政策変更を慎重に段階的に進めたいとしながらも、金利が非常に長期間にわたって低水準にとどま
るという期待を抱かせると投機的なポジションが大量に蓄積される可能性があるとの問題点を指摘。円キャリートレードの過剰な積み上が
りを抑制するため、金融政策の基本戦略を明確にすることが非常に重要だと述べた。
他国の金融政策の変更が日本経済やインフレに重大な影響を及ぼすことがあるため、欧米の状況を注意深く見守っているとし、中でも
ここ数カ月は米国経済に何が起こるのかを懸念してきたと明らかにした。
さらに、夜も眠れないほど悩んでいることは何かと問われ、「今後、政策の正常化の規模はどの程度が適切か、合計利上げ幅を時間軸で
どのように配分するのが最善かを考えている」と答えた。
2024/10/24 05:55 日経速報ニュース
【ワシントン=大島有美子】日銀の植田和男総裁は23日、米ワシントンで「我々の金融正常化への取り組みはまだ始まったばかりだ」と述べた。
不確実性が増す世界経済の動向については「過去2?3カ月、米国経済の先行きを懸念し続けてきた」と語り、雇用指標など米国経済の先行きを
注視する姿勢を示した。
日本の物価と金融政策の立ち位置をテーマに、国際通貨基金(IMF)アジア・太平洋局長のクリシュナ・スリニバーサン氏と対談した。金融政策
の先行きについて具体的な言及は避けたが、今後も利上げを継続する方針を示唆した。
日銀は7月の金融政策決定会合で、政策金利を0.25%に引き上げると決めた。市場では「サプライズ」との受け止めもあり、8月上旬には相場
が乱高下した。日銀の市場との対話について改善すべき点があったかについて問われると「7月は政策委員による公の場での発信がない期間
があった」と振り返った。6月の発信内容と同じ内容だったとしても、7月にも話す場があれば「よりよかっただろう」と述べた。
日銀は経済・物価情勢が見通し通りに推移すれば、景気を過熱も冷ましもしない中立金利へ政策金利を引き上げる方針だ。植田総裁は現状の
金融環境について、インフレを考慮した実質金利の低さから「かなり緩和的」との認識を示した。
日銀は3月に異次元緩和を解除した。7月の決定会合では利上げだけでなく、国債買い入れの減額の具体策も決めた。
これまでの正常化の取り組みについて、2023年7月と10月にまずイールドカーブ・コントロール(YCC)を徐々に柔軟化させ、その後にマイナス
金利など他の政策を解除したことは「成功だった」と振り返った。基調的なインフレ率が緩やかなペースで上がっていたため、時間をかけて正常化に着手できたことが「幸運だった」とも語った。
【関連記事】
・日銀、25年「金利0.5%の壁」突破か 再びベア3%なら
・米景気の軟着陸、節約消費が支え 年末商戦へ不安も
2024/10/24 05:55 日経速報ニュース
【ワシントン=大島有美子】日銀の植田和男総裁は23日、米ワシントンで「我々の金融正常化への取り組みはまだ始まったばかりだ」と述べた。
不確実性が増す世界経済の動向については「過去2?3カ月、米国経済の先行きを懸念し続けてきた」と語り、雇用指標など米国経済の先行きを
注視する姿勢を示した。
日本の物価と金融政策の立ち位置をテーマに、国際通貨基金(IMF)アジア・太平洋局長のクリシュナ・スリニバーサン氏と対談した。金融政策
の先行きについて具体的な言及は避けたが、今後も利上げを継続する方針を示唆した。
日銀は7月の金融政策決定会合で、政策金利を0.25%に引き上げると決めた。市場では「サプライズ」との受け止めもあり、8月上旬には相場
が乱高下した。日銀の市場との対話について改善すべき点があったかについて問われると「7月は政策委員による公の場での発信がない期間
があった」と振り返った。6月の発信内容と同じ内容だったとしても、7月にも話す場があれば「よりよかっただろう」と述べた。
日銀は経済・物価情勢が見通し通りに推移すれば、景気を過熱も冷ましもしない中立金利へ政策金利を引き上げる方針だ。植田総裁は現状の
金融環境について、インフレを考慮した実質金利の低さから「かなり緩和的」との認識を示した。
日銀は3月に異次元緩和を解除した。7月の決定会合では利上げだけでなく、国債買い入れの減額の具体策も決めた。
これまでの正常化の取り組みについて、2023年7月と10月にまずイールドカーブ・コントロール(YCC)を徐々に柔軟化させ、その後にマイナス
金利など他の政策を解除したことは「成功だった」と振り返った。基調的なインフレ率が緩やかなペースで上がっていたため、時間をかけて正常
化に着手できたことが「幸運だった」とも語った。
【関連記事】
・日銀、25年「金利0.5%の壁」突破か 再びベア3%なら
・米景気の軟着陸、節約消費が支え 年末商戦へ不安も
2024/10/24 12:25 日経速報ニュース
【ワシントン=大島有美子】加藤勝信財務相は米東部時間23日夜(日本時間24日午前)、記者団に対し、外国為替市場で円安・ドル高が
進行し円相場が一時1ドル=153円台をつけたことについて「足元では一方的な、また急速な動きがみられている」との認識を示した。為替
市場の動向を「緊張感をさらに高めて、注視する」と述べた。
米ワシントンで23日に開幕した20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の初日の会合に出席した後に会見した。23日の円相場は
日米金利差が広がるとの思惑から、前日比で約2円、円安方向にふれる場面があった。為替介入については「具体的には言及しない」とした。
G20の会合で為替についての議論があったかを問われ、加藤財務相は「きょう議論の場はなかった」と明らかにし、日本からも話題を出して
いないと述べた。24日の会合でも「そうした議論にはならないのではないか」と指摘した。
加藤財務相は、東京証券取引所職員が証券取引等監視委員会から金融商品取引法違反(インサイダー取引)容疑で強制調査を受けて
いることについても見解を述べた。
金融庁に出向中の30代の男性裁判官がインサイダー容疑をめぐって監視委から強制調査を受けていたことが分かったことも踏まえ「金融
市場の信頼を確保すべき立場にもかかわらず、あってはならないことで、大変遺憾なことだと思っている」と述べた。再発防止策の徹底など
を通じ「日本の金融市場の信用確保に尽力していきたい」とも強調した。
加藤氏が財務相に就任してから初の外遊となる。G20では米連邦準備理事会(FRB)をはじめ主要国の中央銀行が利下げ局面に入る
なか、高インフレを抑え、世界経済がソフトランディング(軟着陸)に向かえるかなどを話し合う。
G7の枠組みでも会合を開催する。日本経済新聞が報じたG7の最終合意案は、総額500億ドル(約7兆5千億円)の融資を確約するほか、
ロシア資産はウクライナとの戦争が終結した後も凍結し続ける方針を明確にする。加藤財務相は日本が担当する額について「金額を含めた
詳細について現在調整しているところ。具体的に申し上げる状況にはない」と述べた。
【関連記事】
・国際開発金融機関の改革議論 G20財務相会議が開幕
・G20財務相会議開幕へ 世界経済の軟着陸焦点に
全国の物価の先行指標となる10月の東京都区部の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は2カ月連続で伸びが縮小した。
政府の物価高対策の影響が主因で、日本銀行が目標とする2%を5カ月ぶりに下回ったものの、市場では日銀の利上げ姿勢に影響
はないとの見方が出ている。
総務省の25日の発表によると、コアCPIは前年同月比1.8%上昇。市場予想(1.7%上昇)は上回った。前年に電気・ガス料金の
補助金が半減され、エネルギー価格が押し上げられた反動などが表れた。一方、米類の価格上昇を主因に生鮮食品を除く食料は
3.8%上昇と7カ月ぶりの高い伸びとなった。
生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPIは1.8%上昇と、前月の1.6%上昇から伸びが拡大。市場予想は1.6%上昇だった。
日銀は経済・物価が見通しに沿って推移すれば利上げを続けていく姿勢を堅持している。30、31日の金融政策決定会合では、米中
を中心とした海外経済の不透明感の強まりや不安定な金融市場を背景に、金融政策を維持すると見込まれている。もっとも、足元では
再び円安が進行する中、今回のCPIも踏まえれば、引き続き早期の利上げ観測は継続することになりそうだ。
第一生命経済研究所の星野卓也主席エコノミストは、今回は全体としてエネルギーのベース効果の部分で鈍化しているとし、「金融
政策に対してニュートラルなイメージ」と指摘。その上で、利上げは為替次第であり、円安方向の流れが強まれば政府の要請が高まって、
前倒しになる可能性はあるとの見方を示した。
2024年10月31日 5時11分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241031/k10014624461000.html
日銀は31日、2日目となる金融政策決定会合を開き、当面の政策を決定、公表します。日銀は利上げを検討する上でアメリカ経済の動向を
重視するとしていますが、当面は慎重に見極めるべきだという意見が多く、今回は政策金利を据え置くとみられます。
日銀は31日、金融政策決定会合の2日目の議論を行い、当面の金融政策を決定、公表します。
日銀が利上げを検討する上で最近重視しているアメリカ経済をめぐっては、経済指標が市場の予想を上回るケースが多くなっています。
ただ、植田総裁は先週、訪問先のワシントンで「先行きに対して楽観論が少し広がりつつある気がしている」と述べたほか、日銀内でも大統領
選挙を控えアメリカの経済は当面、慎重に見極めるべきだという意見が多くなっています。
さらに植田総裁は会見などで「時間的な余裕はある」と繰り返し述べていて、日銀は今回政策金利を据え置くとみられます。
一方、市場関係者の間では今月行われた衆議院選挙で政治情勢が不透明になっているとして、今後日銀は利上げを進めにくくなるのでは
ないかという観測も出ています。
会合のあと行われる会見で、植田総裁がアメリカ経済の分析に加えて、この先の利上げに向けてどのような見通しを示すのかが焦点です。
2024/10/31 12:12 日経速報ニュース
志田憲太郎・山和証券調査部部長 日銀は31日まで開いた金融政策決定会合で金融政策の現状維持を決め、追加利上げを見送った。
市場の想定通りで、円相場も小動きとなっており、株式市場への影響は限定的だろう。27日の衆院選の投開票後に進んだ株の買い戻しの
動きは一服した。31日午後の東京株式市場で日経平均株価は3万9000円を下値メドに小安い水準での一進一退となりそうだ。
東証プライム銘柄の予想利益ベースのPER(株価収益率)は、30日時点で15.6倍に上昇しており、バリュエーション(投資尺度)面から
みた日本株の上昇余地は現状乏しい。今後日経平均が4万円を超えて上昇するためには、主要企業の業績の上方修正で1株当たり利益
(EPS)が増加することが必要だ。政治面では、国民民主党が掲げるガソリン税の一部減税や「年収の壁」の引き上げなどの政策実現度が
高まってくるようであれば、経済活性化を織り込む形でPERの水準の切り上がりにも期待ができる。
11月の米国の大統領選の結果次第では、株価が一時的に大きく振れる公算が大きい。ただ、円相場が1ドル=140?155円程度の範囲
で推移するのであれば、日本株への影響は長引かないと考える。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-10-31/SK1OQ6T0AFB400?srnd=cojp-v2
【日本市況】円上げ拡大、来年度物価上振れリスクと日銀-株式は下落
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-10-31/SM37CHT1UM0W00?srnd=cojp-v2
By 和田崇彦, 杉山健太郎, 山崎牧子
2024年10月31日午後 1:04 GMT+91時間前更新
[東京 31日 ロイター] - 日銀は31日公表した「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)で現在の実質金利が「極めて低い水準にある」との
認識を示し、今回示した経済・物価の見通しが実現していくとすれば、「引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことに
なる」との考えを示した。
同リポートでは、2025年度の消費者物価指数(生鮮食品除く、コアCPI)の前年度比上昇率の見通しを1.9%とし、前回の2.1%から引き下
げた。24年度は2.5%、26年度は1.9%で変更しなかった。物価の基調的な上昇率は徐々に高まっていくと予想。見通し期間後半には物価
安定目標とおおむね整合的な水準で推移するとの見方を示した。
生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPIの24年度の上昇率見通しは2.0%とし、前回の1.9%から引き上げた。25年度は1.9%、26年度
は2.1%でともに据え置いた。
農林中金総合研究所の南武志理事研究員は、25年度の物価見通しが1.9%に下方修正され2%に届かないということで「おのずと利上げの
余地が小さくなったのではないか」と指摘。そのうえで「日銀は2%を超えているうちに利上げしたいのではないか。12月に1回目の利上げの
チャンスを狙い、2回目が来年の4─6月期と予想しているが、この2回目が微妙な状況になりつつある」との見方を示した。
<金融政策運営、海外経済の展開や金融市場の動向「十分注視」>
日銀は2%の「物価安定の目標」のもと、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営していく。米国をはじめとする海外経済の今後の
展開や金融市場の動向を十分注視し、経済・物価の見通しが実現する確度に及ぼす影響を見極めていく必要があると指摘した。
見通しに対するリスク要因として、海外の経済・物価や資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動などを挙げ、不確実性は「引き続き高い」と
指摘した。このところ、企業の賃金・価格設定行動が積極化し、過去と比べると為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっているとも指摘した。
リスクバランスは、経済の見通しについて「おおむね上下にバランスしている」、物価の見通しについては「25年度は上振れリスクの方が大き
い」とした。wぱy
2024/10/31 14:18 日経速報ニュース
31日午後の東京外国為替市場で、円相場が上げ幅を拡大している。14時時点では1ドル=152円90?92銭と前日17時時点と比べて42銭の
円高・ドル安だった。14時前には一時152円83銭近辺まで上昇した。15時半に予定される日銀の植田和男総裁の記者会見を前に「月末という
のもあって、リスクを減らすため円売り・ドル買いの持ち高を縮小する動きが続いているようだ」(国内信託銀行)という。
日銀は31日まで開いた金融政策決定会合で政策金利を維持すると決めた。あわせて公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」は前回
7月分とおおむね変わらず、経済・物価の見通し実現を条件に「引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになる」と
説明。利上げ路線を維持したと受け止められたのも円相場の支えとなった。
2024/11/01 日本経済新聞 朝刊
日銀の植田和男総裁は31日開いた金融政策決定会合後に記者会見した。要旨は以下の通り。(1面参照)
問 決定内容について。
答 無担保コール翌日物金利を0.25%程度で推移するよう促す金融市場調節方針を維持することを全員一致で決定した。展望リポートも
公表した。先行きの物価は2024年度に2%台半ばとなった後、25年度、26年度はおおむね2%程度で推移すると予想している。多角的
レビューの取りまとめに向けた討議をした。12月会合で内容をまとめ、公表する。
問 利上げの環境は整いつつあるか。
答 国内の賃金物価は見通し通りで一応続いている。米国など海外要因は下振れリスクを重視していたが、少し霧が晴れつつある。新しい
大統領が打ち出す政策によっては新たなリスクが出てくる。そこは各会合で点検していきたい。
問 追加利上げの判断に向けて時間的余裕はあるか。
答 経済物価の見通しが実現していけば、適宜政策金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整する。毎回の決定会合までに得られたデータ、
情報を基に判断したい。
問 今回「時間的余裕がある」という発言を控えた理由は。
答 この表現を使い始めた8月以降の動きをみると、市場も少しずつ安定を取り戻し、過去1カ月に出ている米国の統計はよいものが続いて
いる。リスクの度合いが少しずつ下がってきている。時間的余裕という表現は今後使わない。経済物価見通しの実現の確度が上がれば、適宜
政策の調整につなげていく。
問 次回会合での利上げの可能性が高まったのか。
答 将来、米国経済に関するリスクに特に注目する可能性はゼロではないが、一旦やめて、普通の金融政策決定のやり方に戻る。毎回データ、
情報を点検して判断する。
問 米国経済の評価は。
答 9月の雇用統計が市場予想を大幅に上回るなど良好な経済指標がみられる。今後をめぐっては、これまでの利上げが経済物価に及ぼす
影響など不透明な部分がなお大きい。動向を注視していく必要がある。
問 米国経済が日本経済に及ぼす影響はどれくらいの時間軸で見極めるか。
答 見極めに必要な時間について予断はもっていない。毎回の決定会合の時点で利用可能な各種のデータ、情報から経済物価の現状や
見通しをアップデートしながら政策判断をする。
問 円安進行による物価の上振れリスクは。
答 企業の賃金価格設定行動が積極化し、為替の変動が物価に及ぼす影響が大きくなっている。円安の背後にある経済の動きと総合して
物価への影響を見ていく。
答 賃金は2%のインフレ目標と整合的な範囲に入ってきている。物価だが、10月の東京都区部の消費者物価指数で、(賃金上昇分の)
サービス価格への転嫁の動きがある程度広がっていることは確認できた。全国でも同様か、今後も一段と広がっていくかについて丁寧に
見たい。支店長会議のヒアリングでは、中小企業を中心にまだ価格転嫁が容易でないという声も散見された。引き続きモニターしていきたい。
問 利上げ環境が整うために必要な賃上げ水準は。
答 来年の春闘に関して、現時点では大した情報がないので具体的なことは言えない。広い意味で今年と同じ程度の賃上げ率になれば、
日銀にとってはよい動きだが、それだけで利上げ判断をするわけではない。
問 個人消費の動向は。
答 非耐久財をみると、物価上昇の影響で弱めの動きが出ている。耐久財は自動車などが下がった後にリバウンドする動きもみられた。
全体としてはごくわずかなプラスの成長率だが、緩やかな増加傾向を続けていると判断をしている。
問 政局の不透明感が経済物価動向に与える影響は。
答 政治情勢は物価見通しに直接は影響しない。ただ政策的に大きな動きが打ち出されれば、影響する可能性がある。金融政策としては、
経済物価見通しが実現していけば、それに応じて金融緩和度合いを調整していく基本的な姿勢を繰り返し説明し、堅持していくことが大事だ。
問 7月の追加利上げの影響は。
答 7月利上げの影響はおおむね予想通りに近い。金融機関の貸し出し態度や企業からみた資金繰りには強いマイナスの影響が出ている
という状態ではない。マインド面も大きな影響は見られていない。8月前半のマーケットの混乱が金融システムにマイナスの波及効果をもたらし
ているとも確認できていない。
問 日銀が保有する上場投資信託(ETF)の出口戦略は。
答 現状は検討中だ。今後の取り扱いについては時間をもらいたい。
2024/11/03 04:00 日経速報ニュース
外国為替市場で円安・ドル高が再燃している。10月の円の下げ幅は35年ぶりの大きさとなり、市場では一段安を見込む声が増えている。
日銀の植田和男総裁は10月31日の金融政策決定会合後の記者会見で、追加利上げに前向きな「タカ派」姿勢を示したが、市場は1ドル=
160円に向けて円が下落する可能性を意識し始めている。
「異次元の円安ですね」。ある邦銀ディーラーは10月の円急落についてため息をつきながら話す。日銀が毎営業日公表する午後5時時点
の円相場をみると、10月31日は1ドル=152円24銭だった。9月末の142円37銭から10円近く円安が進み、下げ幅(9.87円)は1989年5月以
来35年ぶりの大きさとなった。
10月円安をもたらしたのは複合的な要因だ。米国では底堅い経済指標が相次ぎ、米連邦準備理事会(FRB)が大幅利下げに動くとの観測
が後退。日本では自民・公明の与党が衆院選で過半数を確保できず、野党と協力するために財政支出を増やすとの見方が広がった。10月は
大半が選挙戦期間中で政府から円安をけん制する発言が強まらなかったことも、円売りを後押しした。
円安進行を受けてか、日銀の植田総裁の発言は変わってきた。10月31日の記者会見では、8月以降使ってきた「時間的余裕」という表現
を封印し、12月利上げの可能性さえ否定しなかった。岡三証券の武部力也シニアストラテジストは「政治が混乱していても日銀が利上げで
きるという姿勢を示し、12月利上げの選択肢も捨てていない印象だ」と受け止める。
植田総裁の「タカ派」発言を受け円相場は一時1ドル=151円台と、発言前から1円ほど円高に振れた。ただその後は153円台を付ける場面も
あるなど、円買い一辺倒の動きとはなっていない。
背景にあるのは日米の短期金利差が開いた状態が続いていることだ。米国は利下げ局面にありながら政策金利は4.75?5.00%と高い水準
にある、一方、日銀の政策金利は依然として0.25%にとどまる。今後縮小するとしても日米の政策金利逆転は見込みづらい。
みずほ証券の大森翔央輝チーフデスクストラテジストは「米景気が良好で日銀が利上げを進められたとしても、その場合は米金利が高止ま
りする。日米金利差は開いたままで、キャリートレード需要は簡単にはなくならないだろう」と指摘する。投機筋の円・ドル持ち高は軽く、8月に
解消した円キャリートレードを再び構築する動きが円相場を押し下げるとの見方もある。
海外株人気で国内の資産形成マネーが海外に流出する状況も続いている。貿易赤字も続いており、構造的な円売り圧力は根強く残る。
チャート的に160円に向けて大きな抵抗線がない点も、円安進行のリスクを高めている。円相場のチャートは、分析上最も重要なポイントの
1つとされる200日移動平均線を円安方向に抜けた。PER(株価収益率)などの投資尺度がない外為市場ではテクニカル分析を重視する市場
参加者が多く、200日移動平均線の突破は8月以降の円高局面が一巡したことを示唆するとの見方も多い。
もっとも円急落を受けて政府・日銀による為替介入への警戒感も強まりつつある。加藤勝信財務相は10月29日の記者会見で衆院選後の
円安について「(円安の)動きがあることは認識している。投機的な動向も含め為替市場の動向を緊張感をさらに高めて注視していく」と話した。
政府・日銀は円・ドル相場の過度な変動は企業を含めた実体経済への影響が大きいとして許容しない方針を示している。円の下落が今後
も続けば口先介入が強まり円安の動きに歯止めをかける可能性もある。
日銀の植田総裁が発言をタカ派に修正したのも円安の影響が大きいとの見方が広がる。米大統領選の結果次第では円が一段安となる展開
も市場で想定される。1ドル=160円に近づけば日銀の追加利上げと為替介入への警戒感から相場が大きく振れやすくなる可能性もありそうだ。