なんとかしてよ最終更新 2024/10/29 09:551.名無しさんSoY9c為替に関する既存のコミットメントを再確認=G20で鈴木財務相[26日 ロイター] - 鈴木俊一財務相は26日(日本時間27日)、G20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で為替に関する既存のコミットメントを再確認したと述べた。G20終了後、訪問先のブラジル・リオデジャネイロで報道陣に語った。鈴木財務相は「為替レートの過度な変動や無秩序な動きは、経済および金融の安定に対する悪影響を与えうるとのG20における既存のコミットメントが再確認された」と述べた。G20に先立つ主要7カ国(G7)財務相・中銀総裁会議を含め、「一連の会合を通じて様々な国際的な課題について日本の立場をしっかり伝えた」ことも明らかにした。2024/07/28 07:29:38143コメント欄へ移動すべて|最新の50件2.名無しさん05EaI老後資産の減少、85歳でも1割台 「長生き」意識、節約志向2024/07/29 日本経済新聞 朝刊 老後に備えてためた金融資産が、80歳を過ぎても平均で1~2割しか減っていないことが内閣府の分析で判明した。長生きする可能性を意識して節約志向が強まっているようだ。国内の消費支出の4割を占める高齢者が財布のひもを固く締めれば国内全体の消費を下押しするリスクがある。 内閣府がまとめる2024年度の経済財政報告(経済財政白書、総合・経済面きょうのことば)の原案が明らかになった。 総務省の全国家計構造調査をもとに内閣府が独自集計した。年齢別でみた世帯あたりの金融資産額は年齢を重ねるにつれ右肩上がりに増え定年時の60~64歳にピークに達する。平均保有資産は1800万円強になる。 65歳以降になると、資産を取り崩す動きが出るものの、そのペースは緩やかだ。85歳以上でも1500万円強と減少率は1割台半ばにとどまる。特に金融資産の大部分を占める預金は年齢が高くなっても残高にほとんど変化はない。 白書案は「公的年金や勤労などで得られる所得の範囲でほとんどの消費活動を賄っており、老後の生活のために蓄積した資産を切り崩す程度は非常に限定的」と指摘。「長寿化によって長生きリスクがより強く意識されている」と分析した。 60歳以上の高齢世帯が国内の消費支出に占めるシェアは4割に達する。高齢層の節約志向は消費全体を下押ししかねない。白書案は存命中に使い切らずに残す場合、資産の多くが効率よく使われないと説く。2024/07/29 06:42:483.名無しさん05EaISMBC日興、4-6月は116億円の黒字-債券引き受け増など寄与 SMBC日興証券は29日、2024年4-6月期(第1四半期)の連結純損益が116億円の黒字(前年同期は59億円の赤字)だったと発表した。債券や株式の引き受け・売り出しを中心に受け入れ手数料が増加した。 発表によると、純営業収益は前年同期比23%増の1331億円だった。受け入れ手数料は同31%増の645億円で、このうち債券の引き受け・売り出しなどの手数料は同88%増の69億円だった。 後藤歩常務は決算会見で、営業部門の堅調に加えて「国内外の発行市場において起債環境が良好で、DCM(債券資本市場)の収益増加が寄与し、増収増益決算となった」と説明した。 第1四半期は、日本銀行によるマイナス金利解除や資本効率改善に向けた企業の動きを背景に、債券や株式の活発な取引が続いた。2月にバブル崩壊後の最高値を更新した日経平均株価は3万8000円台を中心にもみ合う展開だった。 前年同期の純損益は相場操縦事件後の債券引き受けや機関投資家の発注停止などの影響が出ていた。ただ、前期(24年3月期)は通期純損益が162億円の黒字(前の期は398億円の赤字)と2期ぶりの黒字に転換している。 SMBC日興は今期から、証券単体と海外拠点を合算し、より実態に即した新たな数値も公表した。今村新吾財務企画部長によると、決算短信の開示内容では、グループの主要な欧米拠点が連結対象とならないことなどから、ビジネスの実態と乖離(かいり)していたと説明している。 この計算方法による4ー6月期の純利益は前年同期比2.4倍の201億円。営業利益は営業部門が同4.3倍の80億円、投資銀行部門が54億円(前年同期は12億円の赤字)、グローバル・マーケッツ部門は同41%減の123億円だった。関連記事:SMBC日興、1-3月純利益は96億円-相場操縦の影響なくなる2024/07/29 23:23:274.名無しさんKXOeG殻破り進化に挑む(1)三井住友フィナンシャルグループ社長 中島達さん(人間発見)2024/07/29 日本経済新聞 夕刊前社長の魂受け継ぐ 覚悟決め飛躍目指す 2023年12月、3メガバンクの一角である三井住友フィナンシャルグループ(FG)社長への緊急登板を迫られた。その前月、トップ在職中に病に倒れた太田純前社長の後任だ。部下として支え敬愛してきた太田氏の路線をどう引き継ぎ、進化させるのか。挑戦が始まる。 銀行や持ち株会社で、私は太田さんの身近で長く補佐してきました。しかし太田さんは深刻な病気を患っている事実を私には最後まで明かしませんでした。ただ、社長の日々のスケジュール表にアクセスできる立場にはあったので、定期的に病院に通っていることは把握していました。 「大丈夫ですか?」と尋ねると「おう。ちょっと糖尿がな。でも全然や」とはぐらかされ、職責を普段通り全うされていました。がんは昨年の春先には発見されていたとのことですが、私はそんな重い病と知らなかったのです。 いま振り返るといかにも関西人気質の豪放磊落(らいらく)さで弱みを見せない。金融界内外の企業経営者に一目置かれ、愛された太田さんの生きざまです。最高機密のトップの病状を把握していたのは国部毅FG会長ら片手の指に満たない。私はその輪に入っていませんでした。 昨年9月にもラグビーワールドカップ観戦でフランスに一緒に行ったばかりです。中継地のドバイ空港のラウンジで二人きりになることもあったけれど「あの案件どうするかな」などと仕事の話ばかり。だから太田さんが11月に急きょ入院され、そのままお亡くなりになったことに、ただ驚愕(きょうがく)しました。 三井住友FGのような大企業は、あらゆる緊急事態に備えたコンティンジェンシープランを備える。ただちに国部会長から「よろしく」と一言。人事担当役員から社長昇格までの手続きの説明があった。23年11月30日、国部会長とともに東京・丸の内の本店で社長就任会見に臨んだ。 太田前社長はまだ65歳でした。この国の金融をけん引する稀有(けう)なリーダーとしてこれからの時期です。さぞかし無念だったと拝察します。それでも彼の生涯は幸せだった面があったと私は思っています。ご家族が素晴らしいのです。 奥様との間に1男1女。悲嘆のなかで通夜や告別式でのお三方の気丈な対応には深い感銘を受けました。そして、奥様からそっと太田さんからの最後の伝言を受け取りました。「中島には迷惑をかけることになるが、あいつなら大丈夫や」。その言葉をうかがい「絶対に後には引けない」。覚悟を決めました。 トップの後任選びをめぐって混乱する企業もある。だが三井住友FGは移行がスムーズに進んだ。独立社外取締役(指名委員会委員長、筒井義信・日本生命保険会長)らが面接・選定作業を担い「太田さんの次は中島氏」と数年前から内々で固めていたからだ。 就任記者会見の最後に思い切って申し上げました。「太田はきっと天国でみている。『おまえら、いつまで下向いてんだ。さっさと切り替えろ』と言っているはずだ」と。 銀行は通常通り稼働していますが、あれだけのバンカーが突然天に召されたんです。社員に動揺がないはずがない。だからその動揺を私自身の責任で収めなければ。社長就任から1年もたちませんが一番腐心してきたことです。 太田さんは長く閉塞感が漂う日本の金融界にあって「殻を破れ」と社内に大号令をかけ、様々な新規ビジネスに乗り出す道筋を実際に作った。私に課された使命はその路線をさらに進化させること。この銀行は「突き抜けていかなければならない」のです。 略歴 1963年愛知県生まれ。86年東大工卒、住友銀行(現三井住友銀行)入行。米ダートマス大学経営学修士号(MBA)取得。2019年三井住友フィナンシャルグループ取締役執行役専務、副社長を経て23年12月現職。2024/07/30 03:04:235.名無しさんKXOeG東証後場寄り 日経平均は引き続き安い 日銀会合前に持ち高整理2024/07/30 13:04 日経速報ニュース 30日後場寄り付きの東京株式市場で日経平均株価は引き続き安い。前日比240円ほど安い3万8200円台前半で推移している。日米の金融政策決定会合の結果発表を31日に控え、持ち高整理の売りが出ている。ソフトバンクグループ(SBG)やファストリなどの値がさ株に加え、東エレクやアドテスト、ディスコなどの半導体関連株への売りが目立つ。 前引け後の東証の立会外で、国内外の大口投資家が複数の銘柄をまとめて売買する「バスケット取引」は約218億円成立した。12時45分現在の東証プライムの売買代金は概算で1兆9469億円、売買高は8億7273万株だった。 市場では「半導体関連株が下げ止まらないことが警戒を高めている。米ハイテク大手決算や日米金融政策の発表を前に買い方の勢いが弱く、需給面から下押し圧力が強まりやすい」(立花証券の鎌田重俊参与)との声が聞かれた。 INPEXや三井松島HDなどの鉱業株や、三菱UFJや三井住友FGなどの銀行株が売られている。一方、東京海上などの保険株が上昇した。トヨタやホンダが引き続き買われた。2024/07/30 13:13:506.名無しさんOAMQJ長期金利、1%に低下 1カ月ぶり低水準 円相場は一段安2024/07/30 13:44 日経速報ニュース 30日午後の国内債券市場で、長期金利が一段と低下(債券価格が上昇)した。指標となる新発10年債利回りは前日比0.025%低い1.000%と6月26日以来およそ1カ月ぶりの低水準をつけた。日銀は31日、金融政策決定会合の結果を発表する。「7月会合で利上げがない可能性も意識されている」(国内銀行の債券運用担当者)といい、金利上昇を見込んで構築した空売りの持ち高(ショート)を手じまう動きが出ているようだ。 東京外国為替市場では円相場が一段安となっている。一時は1ドル=154円39銭近辺と前日17時時点よりも78銭の円安・ドル高水準をつけた。2024/07/30 15:03:327.名無しさんOAMQJ日本の銀行株、外国人投資家が買い越し 引き締めで恩恵との見方[香港 30日 ロイター] - JPモルガンのクオンツ戦略チームによると、外国人投資家は今年、7月25日までの期間に、日本の銀行の株式を推定4720億円(約31億ドル)買い越した。買い越し額は自動車・部品株の倍以上に達した。銀行と自動車は今年、海外からの投資が純流入となった2セクター。投資家は日銀の金融引き締めの最大の受益者は銀行と見ている。日銀は30─31日に金融政策決定会合を開く。最新の「経済・物価情勢の展望(展望リポート)を発表するほか、今後1─2年の国債買い入れの減額方針を決定、追加利上げの要否についても議論する。ブラックロックの日本アクティブ投資責任者、番場悠氏は「全ての銀行にとって、非常に困難な時代から、はるかに恵まれた環境になりつつある。銀行のアウトパフォームは続く可能性がある。金利が少し上昇するだけでも、ROE(株主資本利益率)の観点からは直接的な恩恵がある」と述べた。UBPのシニアポートフォリオマネジャー、ズヘール・カーン氏は「メガバンクは地方銀行よりも貸し出し機会が多いため、金利上昇の恩恵を受けるだろうが、恩恵は既に株価に織り込まれている」とした。2024/07/30 23:23:248.名無しさんcHteo日銀が追加利上げ検討、0.25%程度への引き上げ議論へ=報道[東京 31日 ロイター] - NHKや時事通信など国内メディアは、日銀が31日に開く2日目の金融政策決定会合で追加利上げを検討し、短期金利を0.25%程度に引き上げる案を議論すると報じた。NHKは、9人の政策委員の多くが物価は見通しに沿って上昇しているという見方を示しているものとみられると伝えた。日銀が追加利上げを決めれば、3月にマイナス金利政策を解除し、政策金利を0─0.1%程度に引き上げて以来。時事通信は、物価高で個人消費が鈍る一方、賃上げや政府の定額減税などの効果で景気の腰折れは回避できると日銀は判断していると報じた。急速な円安で輸入インフレが再燃する恐れもあり、利上げが妥当との見方が広がっているという。日本経済新聞は、会合に参加する財務省と内閣府も議決延期請求権を行使せず容認する構えと伝えている。一方、NHKと時事は、実質賃金はマイナスが続いていることから委員の間で追加利上げに慎重な声もあり、会合で最終判断すると報じている。2024/07/31 02:44:179.名無しさんcHteo日本国債と日経平均の先物に売り 日銀が追加利上げ検討と伝わる2024/07/31 02:51 日経速報ニュース 【NQNニューヨーク=川上純平】日本国債の先物相場が日本時間31日未明の取引で下落している。中心限月の9月物は前日比44銭安い142円93銭を付ける場面があった。日本経済新聞電子版などが同日、日銀が31日まで開く金融政策決定会合で追加利上げを検討すると報じたのをきっかけに売りが広がった。 日経によると、現在は0?0.1%の政策金利を0.25%に引き上げる案が有力という。日銀は、賃金上昇を背景に物価と景気が上向いているとみているようだ。 31日未明の大阪取引所の夜間取引で日経平均先物は下落している。9月物は一時、前日の清算値と比べ600円安い3万7890円を付けた。日銀の利上げが景気を冷やすと懸念された。30日の米株式市場で半導体などハイテク株に売りが出ているのも日経平均先物の重荷となっている。2024/07/31 03:07:3610.名無しさんcHteo日銀、国債買い入れ減額決定へ 市場は半減見込む2024/07/30 18:00 日経速報ニュース 日銀は31日の金融政策決定会合で国債買い入れ減額の詳細を決める。現状は月6兆円程度買い入れているが、市場では今後1?2年程度で月3兆円まで半減する案が有力視されている。事実上の量的引き締めとなり、国債市場の中心的な担い手が日銀から民間に移っていく契機となる。 日銀は前回6月の決定会合で国債買い入れを減らす方針を決め、今回の7月会合で今後1?2年程度の具体的な減額計画を詰めるとしていた。 日銀は7月上旬、減額幅の決定の参考にするために債券市場参加者から意見を聞いた。公表されたこの会合の議事要旨には月2兆?4兆円までの減額が望ましいとの声が多く掲載された。減額のペースを巡っては「当初大きく減額」を求める意見や、「段階的な減額が望ましい」とする声など市場の意見は割れた。 23?25日に聞き取ったQUICK月次調査(債券)によると、市場参加者の予想は中央値で1年後の買い入れ額が4兆円、2年後は3兆円となった。日銀内でも「サプライズにはしたくない」(関係者)との意識があり、金融機関の決算期も考慮して2025年度末をめどに3兆円程度に減らすなどの案が浮上する。 異次元緩和で国債を大量に買い入れてきた結果、日銀が保有している国債は600兆円近くに膨らみ、長期金利の押し下げ効果も1%程度に上るとされている。3月まで実施していた長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)で金利水準も人為的に抑え込んできた。 日銀の植田和男総裁は6月の記者会見で「市場で長期金利がより自由に形成されるように(減額する)」と述べていた。日銀の国債買い入れの減額が進めば金利には上昇圧力となり、さらに金利が動くようになれば市場取引が活性化する効果が見込める。金融機関はビジネスをしやすくなり、国内外の投資家が日本国債の売買や保有を増やす可能性もある。 日銀が保有を減らす分の引き受け手は銀行や保険、海外投資家などが想定されている。資金循環統計によると、日銀が異次元緩和に着手する前の12年末時点で、銀行など預金取扱金融機関は全体の4割近くを占める最大の国債保有者だったが、足元の保有割合は1割程度にとどまっている。 ただ、かつて主要な担い手だった銀行はバーゼル規制によって、自己資本に占める金利リスク量の割合を一定以下に抑えることが求められている。生命保険各社も国債を買い増す余力は大きくないとの見方がある。日銀は買い入れを減らす過程で混乱が起きないかを、入念に検証していくとみられる。【関連記事】・日銀、30日から決定会合 追加利上げの有無焦点・国債の「海外販促役」 野村やJPモルガンなど指定 財務省・神田財務官、31日に退任 介入指揮「令和のミスター円」2024/07/31 03:12:3211.名無しさんcHteo日銀、追加利上げ検討 政策金利0.25%に誘導 量的引き締めも決定へ2024/07/31 日本経済新聞 朝刊 日銀は31日の金融政策決定会合で追加利上げを検討する。現在は0~0.1%の政策金利を0.25%に引き上げる案が有力だ。3月にマイナス金利政策を解除したが、賃金上昇などで物価と景気はなお上向き基調にあると判断した。国債買い入れを減額する量的引き締めの具体策も決め、日本経済は「金利ある世界」へさらに一歩踏み込む。 日銀はマイナス金利の解除後も、短期金利を0%近辺と極めて低めに誘導してきた。政策金利を0.25%に引き上げれば、リーマン・ショック直後の2008年12月(0.3%前後)以来、15年7カ月ぶりの水準に戻る。会合に参加する財務省と内閣府も議決延期請求権は行使せず、容認する構えだ。 日銀が3月に続いて追加利上げに動くのは、インフレ率が目標とする2%を上回ってなお上昇基調にあるからだ。6月の消費者物価指数(CPI、生鮮食品除く)は前年同月比2.6%上昇し、27カ月連続で2%を上回った。政策委員の一部は早期の追加利上げが必要と主張しており、31日の会合で最終判断する。 会合では、保有国債を圧縮する量的引き締めも正式決定する。3月のマイナス金利解除後も国債を月額6兆円程度買い入れてきたが、市場は1年半後の25年度末をめどに購入量を同3兆円程度に半減する案を有力視している。 日銀は13年以降に大規模な量的緩和に踏み込み、24年3月末時点で国債発行残高の53%を保有して長期金利を事実上コントロールしてきた。大規模緩和の解除後も買い入れペースを維持してきたが、金利引き上げとともに保有国債を圧縮する量的引き締めに転換する。日銀が強い影響力を及ぼしてきた債券市場は、民間取引主体の「金利が動く世界」へと段階的に回帰する。 植田和男総裁は6月の決定会合後の記者会見で、日銀の予測通りに物価上昇が続けば「政策金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整していくことになる」と指摘していた。3月のマイナス金利解除後も、日本経済は賃上げなどによる物価押し上げ圧力を保っている。 物価上昇率が2%程度で推移し続ければ、日銀は中期的にさらなる追加利上げも検討していく考えだ。 バブル経済の崩壊後、日銀は1999年にゼロ金利政策に踏み込み、極めて長く超低金利政策を続けてきた。長期緩和の副作用として円安が発生。2024年4月末には対ドルで一時1ドル=160円台と1990年4月以来の円安水準をつけた。歴史的な円安水準も日銀の金融正常化を後押しする材料となっている。 家計にとって金利の引き上げは追い風と逆風の両面がある。マイナス金利解除後、メガバンクや地銀は17年ぶりに普通預金の金利を引き上げた。住宅ローン金利が上がればマイナスの影響が出るが家計全体でみれば預金が借入金を上回り日銀関係者は「(追加利上げは)家計全体では差し引きでプラスになる」とみる。 一方で金利の上昇は巨額の債務を抱える政府部門にとって財政再建の圧力を強めるものになる。2024/07/31 12:01:1812.名無しさんcHteo日銀利上げ、為替・金利どう動く 市場関係者に聞く2024/07/31 20:59 日経速報ニュース 日銀は31日まで開いた金融政策決定会合で追加利上げを決めた。外国為替市場では対ドルの円相場が4カ月ぶりの水準まで上昇し、国内債券市場では新発2年物国債利回りが15年ぶりの高水準を付けた。今後の相場見通しを市場関係者に聞いた。【関連記事】植田総裁、追加利上げ「景気に強いブレーキかからない」 年内に1ドル=141円までの円高進行も 三菱UFJ銀行 井野鉄兵チーフアナリスト 31日の植田和男日銀総裁の記者会見を受けて、対ドルの円相場は一時1ドル=150円近辺まで円高が進んだ。市場参加者が抱えていた円売り・ドル買いのポジションが、日銀会合を経て一定程度巻き戻されたためだ。総裁会見では想定よりもタカ派的なトーンが目立ち、12月会合での次回利上げを見通す向きも強まった。年末に1ドル=141円まで円高が進む可能性もある。 「実質金利は大幅なマイナスが続き、緩和的な金融環境は維持される」との発言を踏まえると、今回はあくまで「調整」的な意味合いが強い。米国で起きたような急な金利上昇を招かないために、現段階で金利を引き上げておきたいという意思も感じた。さらなる利上げのために、経済・物価見通しが上振れする必要もないだろう。 米連邦準備理事会(FRB)の利下げ開始は9月、年内で2回の利下げに動くというのがメインシナリオだ。ただ、3回に増えるリスクも十分考慮している。日米金利差の縮小が想定以上のペースで進む可能性もある。 足元では円売りポジションがある程度解消され、大規模な円買い・ドル売りフローが追加的に生じるとは考えにくい。根強い円売り圧力も消えたわけではない。8?9月で143?158円、10?12月で141?156円の範囲を推移しながら、徐々に円高基調をたどっていくだろう。 1ドル=160円目指す円安は遠のく あおぞら銀行 諸我晃チーフ・マーケット・ストラテジスト 0.25%への追加利上げは予想通りの結果で、特にサプライズはなかったという印象を受けた。会合後の植田総裁の記者会見を受け、1ドル=150円近くまで円高に動いた場面もあったが、おおむね想定通りの値動きだった。次の焦点は年内にいつ頃、どのぐらいの幅で利上げをするかに移るだろう。 植田総裁は会見で、年内の再利上げについて「データ次第」と可能性を残した。実質金利はいまだにマイナスなので、追加利上げの余地は十分にあると思う。市場は利上げサイクルに入ったという判断のもと、10月か12月会合での利上げを見すえて0.5%への織り込みが進んでいくのではないか。 円・ドル相場で円安トレンドを支えていたのは、円キャリー取引の過熱によるものだったとみている。日米の金利差が縮小する見込みが強まったことで、投機筋は新たに円売りポジションを積み増しづらくなった。当面下値が堅い展開が続き、徐々に円高方向に推移していくとみている。 年内の円相場は1ドル=145?157円で推移すると予想する。市場ではFRBが9月に利下げを始めるとの見方が強い。利上げを始めた日銀と利下げしそうなFRBでは、金融政策の方向性が逆を向いている。160円を目指すような円安・ドル高は見込みにくいだろう。2024/07/31 22:44:2113.名無しさんcHteo 10年債の利回りは0.9?1.3%で推移 岡三証券 長谷川直也チーフ債券ストラテジスト 植田総裁の記者会見は金利が跳ねるほどのタカ派感がなかった半面、金融引き締めに慎重すぎる印象もなかった。先々の具体的な金利パス(道筋)は示さなかったものの、政策金利引き上げに際して「0.5%の壁」は意識しないと言及していた。 実際、個人消費に対して弱気ではなく、賃上げ効果の広がりなどにも自信を持っている様子がうかがわれた。0.5%までの利上げはそこまでハードルが高くなさそうだと改めて感じた。 どんどん利上げを進めていくことはないだろう。だが、実質金利は極めて低い水準にあり、中立金利まではまだ距離があるとも述べていた。経済・物価情勢が日銀の見通し通りに推移する限り、およそ半年に1回のペースで1%程度までは政策金利を引き上げていくのではないか。 現時点で日銀が追加利上げに動く時期は早ければ12月だとみている。次回9月の金融政策決定会合で今回の利上げの影響を確認しつつ、次に「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」を出す10月会合で見通しがオントラック(想定通り)かどうかを見極めるのが自然な流れだろう。 国債買い入れ減額が着々と進めば金利上昇圧力はかかりやすい。日米ともに政治イベントを控え不透明感が強まるほか、FRBの利下げペースが速まれば米金利低下の影響が国内にも波及しうる。金利が上下に振れる可能性をにらみつつ、年内は長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りは0.9?1.3%程度で推移するとみている。【関連記事】・「金利ある世界」に本格回帰 日銀、追加利上げ決定・住宅ローン負担増でも家計に恩恵 短プラ・預金金利上げ2024/07/31 22:45:0114.名無しさんcHteo10年債の利回りは0.9?1.3%で推移 岡三証券 長谷川直也チーフ債券ストラテジスト 植田総裁の記者会見は金利が跳ねるほどのタカ派感がなかった半面、金融引き締めに慎重すぎる印象もなかった。先々の具体的な金利パス(道筋)は示さなかったものの、政策金利引き上げに際して「0.5%の壁」は意識しないと言及していた。 実際、個人消費に対して弱気ではなく、賃上げ効果の広がりなどにも自信を持っている様子がうかがわれた。0.5%までの利上げはそこまでハードルが高くなさそうだと改めて感じた。 どんどん利上げを進めていくことはないだろう。だが、実質金利は極めて低い水準にあり、中立金利まではまだ距離があるとも述べていた。経済・物価情勢が日銀の見通し通りに推移する限り、およそ半年に1回のペースで1%程度までは政策金利を引き上げていくのではないか。 現時点で日銀が追加利上げに動く時期は早ければ12月だとみている。次回9月の金融政策決定会合で今回の利上げの影響を確認しつつ、次に「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」を出す10月会合で見通しがオントラック(想定通り)かどうかを見極めるのが自然な流れだろう。 国債買い入れ減額が着々と進めば金利上昇圧力はかかりやすい。日米ともに政治イベントを控え不透明感が強まるほか、FRBの利下げペースが速まれば米金利低下の影響が国内にも波及しうる。金利が上下に振れる可能性をにらみつつ、年内は長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りは0.9?1.3%程度で推移するとみている。【関連記事】・「金利ある世界」に本格回帰 日銀、追加利上げ決定・住宅ローン負担増でも家計に恩恵 短プラ・預金金利上げ2024/07/31 22:46:5915.名無しさん8UDxh海外勢、日本株1.5兆円売り越し 10カ月ぶり規模2024/08/01 21:19 日経速報ニュース 日本取引所グループが1日発表した7月第4週(22?26日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家は日本株を現物と株価指数先物の合計で1兆5616億円売り越した。2023年9月第4週(1兆6220億円)以来、10カ月ぶりの規模。米ハイテク株の大幅な下げや急速な円高進行を背景にリスク回避の売りが広がった。 現物は5659億円、先物は9957億円の売り越しだった。いずれも売り越しは2週連続。 日経平均はこの週に2396円(6%)下げた。米国の対中半導体規制強化への警戒や日銀の利上げ観測による円高進行が、株式相場の重荷となった。予想変動率を示す日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)は週後半に上昇し、節目の20を超えた。 楽天証券経済研究所の香川睦チーフグローバルストラテジストは「(金融資産の変動率に応じて資産配分を決める)リスク・パリティー戦略を採る機関投資家の売りが出た」と指摘する。これを見越したヘッジファンドなど短期筋の先回り売りも膨らんだとみられる。 個人投資家は現先合計で7798億円買い越した。個人の買い越しは3週連続。逆張り志向が強い個人が押し目買いを入れたようだ。2024/08/02 03:21:3316.名無しさん8UDxh殻破り進化に挑む(2)三井住友フィナンシャルグループ社長 中島達さん(人間発見)2024/07/30 日本経済新聞 夕刊下町の社交的な家庭に育つ 自由な精神 高校で学ぶ 名古屋市出身。愛知県立の名門、旭丘高校を卒業し、現役で東大工学部に進む。その素地は社交的な家族と、一歩先に理系を目指した兄の存在があった。 名古屋市の瑞穂区で幼少期から高校卒業までを過ごしました。古くからの町と新しい住宅街が混在している地区です。私の家は下町側にありました。三井住友フィナンシャルグループの私が〝みずほ〟育ちというのはなかなか面白いですよね。名古屋の中心部からは外れていますがとても住みやすいところです。 父親は(愛知県で業界最大手の)東邦ガスの副社長を務めたサラリーマンで、母親とは社内結婚。でも母は寿退社してからも、パートなどちょこちょこと働いていました。完全に家庭に入るわけではなく、社会というか、世の中との関わりを保ち続けるのが好きな社交的な女性です。父親は亡くなりましたが、瑞穂の実家で元気にひとりで暮らしています。 3歳年上の兄がいる2人兄弟。いつも彼にくっついていました。兄が出かけるときはいつも「僕も連れてってよ」。そんな感じです。その兄は私とは正反対で真面目で品行方正。東大大学院で工学系修士課程を修め、日本IBMに勤めました。今も現役の技術者です。私が大学で理科系の道を選んだのも兄の影響です。 とはいえ「理系」というよりも、「体育会系」と表現したほうがふさわしそうな横顔も。子どもの頃から運動は得意だったという。 とにかく、わんぱくな子どもでした。早めに体が大きくなったので、小学校のクラスの中でも大体一番背が高かった。運動もすごくできたんですよ。だからクラスの女子からはかなりもてたし、あのころが自分の人生の一番いい時期だったかもしれませんね。 中学校は地元の公立中学。今はどうなっているか分からないけれど、当時はほかの学校にもおそらくあった、対立している隣の中学の連中が乗り込んでくるような雰囲気もありました。私は不良グループなどには加わらぬ〝無所属〟でしたが、なかなかスリリングな毎日を過ごしました。 母校の旭丘高校は多くの経営者らを輩出し、自由な校風に影響を受けた。他方、エリートらしさばかりが前面に出た青年時代ではなく、高校、大学と所属していたラグビー部では苦戦続きで、挫折感にさいなまれることも多かった。 小中学校時代は夏は野球、冬はサッカーの二刀流でした。学校に遅刻するのは当たり前というやんちゃな仲間もいました。楽しい思い出です。 高校はなんとか、旭丘高校に入ることができました。勤勉・優秀で先生方にも知られていた兄の影響に加え、無理強いされたわけではないのですが、母が近くの図書館に通うことを勧めてくれたことが幸いしました。ジャンルは適当でしたが、本は図書館から借りてきてかなり読みました。これには本当に感謝しています。とにかく本を読むこと。これは受験の秘訣だと今も思います。 旭丘高校への愛情はだれにも負けないかな、と思います。当初はサッカー部に入るつもりだったんですが、合格して偵察にいくとグラウンドでラグビー部が練習していました。「新入生か? サッカーやってたんだったら、ちょっとボール蹴ってみろ」と促され、そのままラグビー部に入ることが決まりました。 細かな校則や制服なんかない。とにかく自由闊達で学生自治を尊重する校風。「その分、責任はおまえらで取れ」と。今につながる私の性格にぴったりの高校でした。 かつて県内で強豪校だった旭丘高校ラグビー部が弱くなっていった時期でした。ポジションはずっとキック力が重視されるスクラムハーフとスタンドオフです。苦しい練習を重ねているのにここぞというときに勝てない。苦い記憶です。しかしそれでも私は懲りない。結局大学でもなかなか勝てないチームでラグビーを続けることになるのです。2024/08/02 06:21:4317.名無しさん8UDxh殻破り進化に挑む(3)三井住友フィナンシャルグループ社長 中島達さん(人間発見)2024/07/31 日本経済新聞 夕刊ラグビーで培った不屈の心 レジェンドの誘いで就職 指導役にOBも加わり厳しい練習が課せられた高校のラグビー部時代。それでも東大進学への熱意を膨らませる。 とにかく愛知県立旭丘高校のラグビー部の練習は厳しかった。かつてはラグビーの強豪校だっただけに、監督だけではなく強い時代を知るOBまで加わって激しい練習が課されるんです。東大でもラグビー部に所属したのですが、今になって思うと高校の練習に比べれば楽でしたね。 一方で、自慢話みたいになってしまうので恥ずかしいのですが、高校の学業の成績もまずまず。得意科目は数学。これまた数学好きの兄の影響が大きかった。数学が理解できると物理や化学も分かる。私が高校に入る時、兄は東大に合格。3つ上の兄に対しては常に「俺にもできるはずだ」とライバル心がありました。 母に勧められた図書館通いで国語も大好きになった。だから受験勉強で主に注力したのは英語だけでした。 苦戦続きの高校時代を経て、東大に入ったらつらいラグビーから離れるつもりだった。だが同級生とはなかなか馬が合わず、友人関係も広がらない。結局、ラグビー部入部を決める。 確かに交友関係はつまらなかった。東大では最初の2年間は駒場キャンパス(東京・目黒)に通うのですが、真面目な学生が多い理系のクラスメートとは新歓コンパなどに同席しても話が盛り上がらない。私の本質は体育会系。入学2週間くらいで自然とラグビー部の練習場へ足が向きました。女性マネジャーに誘われ、先輩部員にうまいカツ丼をごちそうになり、ラグビー部入りが決まりました。 ところが、これが大正解。いざラグビー部に入ったら、面白い先輩や同級生がたくさんいる。今も大切な仲間たちだから言えるのだけど、〝奇人変人〟も少なくない60~70人くらいの集団でした。 あまり詳しくは明かせませんが、練習後、学生なのに新宿区の歌舞伎町に通いつめている先輩だとか。強烈な個性を持つ人がたくさんいた。『東大生はつまらない』なんて言いましたが、自分のほうがよほどつまらない。ラグビー部に入って痛感しました。 東大は3年生から本郷キャンパス(東京・文京)に移ります。ところがラグビー部の練習場はずっと駒場。割合としては工学部の講義やゼミ、実験があるので本郷には週2日通いました。それに対して駒場には週6日いました。 「わざわざ東大でラグビーするやつなんて」と思われていたかもしれません。基本的に頭からいくのがタックルです。頭の細胞がどうなるかという球技ですから。現代ラグビーはチーム一体で動きますが、当時はフォワードとバックスに分かれていた。私は4年生でバックスリーダーに就きました。いよいよ講義に出られない。とりわけ専攻していた精密機械工学のプログラミング実習が難事でした。 卒論作成は本当に大変でした。ラグビー部引退は4年生の年末。そこから年度末までに卒論を仕上げないと卒業できない。大学生活の残り2~3カ月、ほぼ研究室に泊まり込みました。 就職先はすでに住友銀行(現三井住友銀行)に内定。これもラグビーつながりで、当時、同行に勤務していたあるレジェンドに声をかけられた。 東大は関東大学ラグビー対抗戦グループに所属。当時の大学ラグビー対抗戦は1部制だったので早大との試合もありました。試合後、観戦に訪れていた早大出身の宿沢広朗さん(元日本代表監督、故人)に声をかけられたんです。『君、いいね。いい銀行だからうちに来たら?』と。ラガーマンなら分かってくれると思いますが、これは天にも昇る気持ちでした。 理系だから練習の合間の就職活動ではメーカーは回りましたし、商社なども受けました。でも、あの宿沢さんの誘いですからね。特段、金融志望でもなかったけれど住友銀行にあっさり決めました。2024/08/02 06:23:3218.名無しさん8UDxh殻破り進化に挑む(4)三井住友フィナンシャルグループ社長 中島達さん(人間発見)2024/08/01 日本経済新聞 夕刊名物研修経て初任地へ 米国留学で人間力広げる 住友銀行(現三井住友銀行)は入行直後に1カ月、兵庫県西宮市で缶詰めの新人研修を実施。一体感の醸成が目的で銀行界では有名だった。それぞれが初任地へ旅立つ際には、しばしの別れに感極まる人もいた。 私は泣きはしませんでしたけれど、合宿の最後に初任地の内示が出て、東西に分かれます。私は東京組でした。名古屋行きを含めて半分ぐらいは新幹線で東へ向かう。それを新大阪駅の新幹線ホームまで、関西に残る連中が見送りに来てくれるんです。 1カ月の合宿は、土日もべったり寝食をともにして社会人生活の最初に必要なことをたたき込まれる。勉強以外に運動会とか六甲山縦走もある。方々の大学から来ているのですが、一体感が培われる。同期は300人強で、入行が決まったのが男女雇用機会均等法施行の前で男ばかり。確かに別れの時はあちこちで感極まる者がいましたね。 最初、新入行員は支店に配属されます。私は丸の内にある東京営業部に配属されましたが、あくまで一支店の位置づけです。営業課のカウンター窓口に座ってお客様に接しました。入金に訪れた方に預金口座を作成したり、ATM管理の担当をしたり。現金が切れると『ブー』っとブザーが鳴り、慌てて補充したり、はたまた、お客様のもとに集金に回ったり。どの支店とも変わらずバタバタでした。 やがて銀行員人生で最初の大きな節目が到来する。米国留学候補に選ばれた。留学先は米国アイビーリーグの一角の名門、ダートマス大学だ。 入行2年目の秋でした。突然、銀行から「東京・四谷にある日米会話学院に3カ月通え」と言われました。英語は不得意。今のTOEICでいえば500点くらい。英会話などからっきしダメです。 その後しばらく本部の業務総括部という企画部門に配属された後、米国の経営学修士(MBA)留学受験の指示がでました。もともと理系だからいずれシステム部門でも歩むのかな、と想像していたので意外な内示でした。 とにかく7~8校、手当たり次第に願書を出して受験し、何とか半分くらいは入学許可が出ました。ハーバード大学は落ちました。合格したなかで選んだのがアイビーリーグ北端(ニューハンプシャー州)のダートマス大学。負け惜しみではなく、私にとってダートマスはハーバードより上。これは私だけの評価ではありません。 1989年の夏に渡米。ダートマスの特筆すべきところは、学生のロイヤルティー(愛校心)です。ハーバードやエール大学に比べたら規模も小さいし山の中の小さな大学ですが、祖父、父の代からダートマスという仲間もいました。 学生同士助け合う風習があるんです。さっぱりわからないから「ところで今日の授業で先生は何を話してたの?」と尋ねると、仲間が丁寧に教えてくれる。教授陣も東洋の島国から来た英語も話せない若者を辛抱強く指導してくださった。「弱い人間を助けよう」という校風です。 ビジネススクールは2学年で350人ぐらい。そのうち日本人は10人もおらず、ほとんど外国人ばかりの環境の中で〝本物〟の留学を経験することができました。ダートマスへの思いを語り始めたら止まりません。 結婚が早く、米国留学には夫人も同行。慣れない海外生活を夫人が力強く支えてくれた。 東大時代に東京女子大学の学園祭に遊びにいく機会がありました。そこで、ちょっと気になるかわいらしい女性がいたんです。私から気軽に声をかけ、それがなれそめです。 同学年の彼女の大学の卒業式にも乗り込んでツーショット写真を撮ることもありました。一筋でした。子供は男女男の3人。わがままな旦那で恐縮なのですが、彼女は誰にでもやさしい人です。具体的に言葉には出すはずもありませんが、心の中では本当に感謝しています。2024/08/02 06:26:1419.名無しさん8UDxh日経平均株価、終値2216円安 歴代2位の下げ幅-大久保希美2024/08/02 15:19 日経速報ニュース 2日の東京株式市場で日経平均株価が急落し、終値は2216円(5.8%)安の3万5909円になった。引き金となったのが、前日発表された米景気指標の下振れだ。米景気後退の可能性が意識されはじめたほか、世界株高をけん引してきた半導体をはじめとするハイテク株への高い期待もしぼんでいる。さらに、日本株には足元の円高が企業業績の下振れにつながるという固有の悪材料が重なる。突然の「トリプルショック」で投資家心理が冷え込み、下値がみえなくなっている。 終値ベースでの日経平均の下げ幅2216円は、ブラックマンデー翌日である1987年10月20日(3836円)に次ぐ歴代2番目の大きさ。半面、下落率5.8%は歴代29位にとどまる。日経平均の水準が上がったことで、急落時の絶対値が大きくなった面がある。 「まさに、フリーフォール(自由落下)だ」。フィリップ証券の増沢丈彦株式部トレーディング・ヘッドは2日午前の日本株の下げ方をこう表現する。人気株のアドバンテストが2日前の決算発表で好業績をたたき出したが、前日の相場全体の支えにはならなかった。 東証プライム市場で値上がりした銘柄は全体の0.8%の14銘柄にとどまる全面安の展開だった。1日の米金融市場でダウ工業株30種平均は前日比で一時700ドルを超える下げとなった流れを引き継ぎ、寄り付きから内外投資家の売り注文が膨らんだ。東証グロース市場250指数先物では、午後2時半過ぎに下落率が8%に達したことで、一時的に売買を停止する「サーキット・ブレーカー」が発動した。 引き金を引いたのは、7月27日まで1週間の米新規失業保険申請件数だ。24万9000件と前週の23万5000件から増加し、23年8月上旬(25万8000件)以来、1年ぶりの高水準になった。 さらに、米サプライマネジメント協会(ISM)が1日に発表した7月の製造業景況感指数の下振れが追い打ちをかけた。46.8と6月の48.5から低下し、好不況の分かれ目となる50を4カ月連続で下回った。 景気指標の悪化を受け、これまで米経済のソフトランディング(軟着陸)に楽観的だった投資家が景気後退(ハードランディング)を警戒し始めた。市場では「米連邦準備理事会(FRB)が利下げに踏み切るのは、単にインフレが落ち着いたからではなく、景気悪化の可能性があるからではないか」(ニッセイアセットマネジメントの野田健介チーフ・ポートフォリオ・マネジャー)との声が出ている。2024/08/02 15:25:4620.名無しさん8UDxh 半導体などこれまで相場全体をけん引してきたハイテク企業の決算で先行き不安を感じさせる内容が出始めたことも、投資家心理を悪化させている。たとえば、米インテル。1日発表した2024年4?6月期決算は、最終損益が16億1000万ドル(約2400億円)の赤字(前年同期は14億8100万ドルの黒字)に転落。2四半期連続の最終赤字で、従業員の15%にあたる1万5000人の人員削減と配当の停止を発表した。 生成AI(人工知能)向けの需要を取り込めるのか、生成AI向けの需要は果たしてもうかるのか、といった従来の市場の期待にも疑念が生じている。1日は主要な米半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が7%安と急落した。 東京市場でも、東京エレクトロン、アドバンテスト、ソフトバンクグループ、TDK、信越化学工業など値がさの半導体関連銘柄が軒並み急落し日経平均を押し下げた。 こうしたグローバル市場の流れに加わったのが、円高という日本株固有の要因だ。 政府による円買い介入や日銀の利上げを背景に、2日午前は一時1ドル=148円台後半と直近の安値から10円以上円高に進んできた。みずほ証券の三浦豊シニアテクニカルアナリストは「円安による業績の上方修正期待で買った銘柄の手じまい売りが進んでいる」と指摘する。 日本株はこれまで「円安による上方修正期待などいろんな理由で買い上げられてきた。その前提条件が崩れてきている」(フィリップ証券の増沢氏)わけだ。 1日の日経平均も1000円近く下げたが、突き詰めれば主因は日銀の利上げという日本固有の材料だった。これに2日は米国要因まで加わり、いわば「トリプルショック」として日本株にとっては売りのエネルギーが増幅されてしまった。三井住友トラスト・アセットマネジメントの上野裕之チーフストラテジストは「寄り付きからどんどん加速して相当投げ売りが出た印象だ。テクニカル的な下値を突き抜けてしまい、多くの投資家が押し目買いを入れられていない」とみる。 市場では「為替も株も変動が大きすぎて長期の海外投資家は今は入れない。買い遅れていた層は入りたいはずだが、もう少しマーケットが落ち着いてから。今のところ同業から売買の話は聞いていない」(スイスの運用会社UBPインベストメンツのズヘール・カーン シニア・ファンド・マネージャー)との声も上がり始めた。 T&Dアセットマネジメントの酒井祐輔シニア・トレーダーも「今は下値が見当たらない状況だ。好決算など数日前の好材料は忘れられて売られている」と話す。三菱UFJアセットマネジメントの徳岡祥一チーフファンドマネジャーは「一日の振れ幅としてはちょっとやりすぎな感がある」と語った。 目先の焦点は日本時間2日夜9時半に発表される7月の米雇用統計だ。失業率が市場予想以上に軟化することになれば、週明けの日本株も波乱が続く可能性がある。【関連記事】・日米同時の株大幅安、米利下げが不況対策に変貌へ・半導体関連株が急落 米半導体指数の大幅安で・日経平均2000円安「ドテン売り越し」海外勢 持ち高一転・円一時148円台 米指標に「悪いニュース、やはり悪い」2024/08/02 15:27:0921.名無しさん8UDxh殻破り進化に挑む(5)三井住友フィナンシャルグループ社長 中島達さん(人間発見)終2024/08/02 日本経済新聞 夕刊銀行再編の荒波に立つ 「邦銀トップへ」思い強く 1991年に米国への経営学修士(MBA)留学から帰国した。だが、留学前後では、バブル経済の崩壊で銀行や日本経済の状況は一変していた。金融界は銀行再編の渦に巻き込まれる。中島さんは長く経営企画部門を歩み、一連の再編と数々の荒波に立ち向かってきた。 住友銀行(現三井住友銀行)東京本部に帰任して、以前との状況の変化に驚きました。留学前は行内の廊下を歩いていたら怒られた。みんな廊下を走っていました。それくらい仕事はあったし、日本の金融界はすごい熱量をはらんでいた。どんどん収益が増える。邦銀は世界一の時価総額を誇っていたわけですから。 しかしバブル崩壊とともに百八十度変わり、不良債権問題との長く激しい格闘が始まります。それはおのずと日本の大規模かつ多様な金融再編につながっていくんです。 帰国した後は住友銀行の企画部に最年少で配属されました。そこから香港に転勤するまで17年近く、住友銀行の企画部門に在籍しました。経営戦略を立案し、それを実現に結びつける部門です。これまで散々語られていますが、とにかくこの国の金融の90年代は波瀾(はらん)万丈でした。 住友銀行の企画部門はその後を通じて歴代トップを輩出してきたことで知られる。西川善文氏、奥正之氏、国部毅氏はみな頭取に。三井住友フィナンシャルグループ(FG)の太田純前社長も三井住友銀行の企画部門経験者だ。とりわけ、「ラストバンカー」と呼ばれた西川氏との出会いは強烈なものだった。 当たり前ですが、企画部は厳しい部署です。失敗を犯すとすぐ異動になる。『とんでもない所に来ちゃったな』というのが第一印象でした。当時は西川さんが企画担当役員で、その下に奥さんや国部さんがいました。 私は金融再編担当の末席。当時、大和銀行(現りそな銀行)との統合構想があったのですが、交渉は難航。西川さんに報告書を出しにいくわけです。西川さんはとにかく、人にも自分にも厳しいストイックな方でした。報告書を読む西川さんの表情がみるみる厳しくなる。生きた心地がしませんでした。 大和証券(現大和証券グループ本社)との投資銀行共同事業には主体的にかかわりました。あれはすごく良いプロジェクトだったと今でも思います。連携は解消になりましたが、当時の交渉相手だった大和証券の皆さんとは今でも良い仲が続いています。 失敗だけではもちろんありません。まさに今の三井住友FGにつながる99年のさくら銀行(旧三井銀行)との経営統合構想です。旧財閥の枠組みを超えた合併ですが、30歳代半ばだった私のなかで財閥うんぬんは関係ない。トップ交渉を進めていた西川さんから構想が降りてきたときは興奮し、絶対に成就させなければならないと思いました。 昨年、三井住友FGのトップに就任した。グループの三井住友銀行は現在、邦銀3メガバンク中2位だ。だが中島さんは納得していない。いつの日か邦銀トップに立ち、再び国際金融市場の中心に打って出る。そんな日をひそかに思い描いている。 やっぱり、2位じゃだめなんです。なぜなら危ういから。かつて、我々はメガバンク3位でした。それが、全グループ社員の努力で2位の地位を固めました。 逆にいえば我々だってすぐに抜かれる。2位でいいと思ったら成長が止まる。だからメガバンク競争を社員、大切な顧客のみなさんとともに勝っていきたいんです。 確かに、トップの三菱UFJと差が大きいのは事実だし、我々がトップに立てるのは、私が現役の間じゃないかもしれない。だけど時間がかかっても、日本の金融界でトップといわれる座を三井住友銀行グループ一体で目指す。敬愛する太田さんも同じ思いだったと信じています。2024/08/02 15:30:3322.名無しさん8UDxh日本株に突然夏の嵐 米景気懸念、銀行株安が示唆-桝田大暉2024/08/02 17:24 日経速報ニュース 日本株市場に夏の嵐が押し寄せた。2日の東京株式市場は日経平均株価が前日比2216円(6%)安の3万5909円まで下げ、大荒れの展開だった。日銀の利上げを追い風に直近まで力強く上昇してきた銀行株も「狼狽(ろうばい)売り」にさらされる始末。米国景気の後退懸念という暗雲が日本株市場に垂れ込めたことを象徴した。 2日午前の東京株式市場。9時の取引開始から10分ほど、多くの銘柄で値がつかない異様な事態となった。ある証券会社のトレーダーは「マーケット急変で個人投資家の投げ売りが出たのではないか」とみる。 2日は東証プライムで全体の98.7%が下げる全面安の展開で終えた。SMBC日興証券で日々のトレーディングを統括する玉井大介エグゼキューション・サービス共同部長は「良好な決算だった日本ハムなど一部の銘柄に買い向かう動きはあったが、外需系や銀行株は売られ、リスクオフの動きが鮮明だった」と話す。 相場の変調を象徴したといえるのが、銀行株の急落だ。 銀行株は「金利ある世界」の到来で収益拡大期待が強まっており、つい最近まで上昇基調だった。ところが、2日は三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)が前日比12%安、三井住友フィナンシャルグループとみずほフィナンシャルグループが11%安で終えた。 ニッセイアセットマネジメントの松波俊哉チーフ・アナリストは「銀行株は本来売られる必要がない銘柄」と指摘する。7月31日に追加利上げに動いた日銀の植田和男総裁は記者会見で先々の利上げに含みを持たせた。銀行株にとって金利の上昇は貸し出し利ざやの拡大につながり、収益を押し上げる好材料となる。 例えば、三菱UFJFGは日銀の利上げの業績への影響について、資金収益ベースで年間600億?800億円の増加影響があるとの試算を示している。同社は足元の業績も好調だ。1日に発表した2024年4?6月期の連結決算では、本業のもうけを示す連結業務純益が前年同期比22%増の6781億円となった。 野村証券によると、銀行を含む「金融」の2024年度の経常利益予想は直近8月1日時点で前年度比18.0%増だった。7月以降水準を上げており、同じバリュー(割安)株として扱われやすい「商社」や、「自動車」との差を広げた。 銀行株は海外投資家からの注目度も高い。SMBC日興証券の玉井氏は「先週から売り買いが交錯する中、海外のロング(買い持ち)の機関投資家は銀行など金融株に買い向かっていた。金利の上昇で恩恵を受けるという評価だろう」と話す。 英領バミューダのオービス・インベストメンツの時国司日本法人社長は「金利ある世界になり、日本の銀行の実力が正しく評価される」と話す。同社では保有していた商社株を23年に全て売却した一方、三井住友FGなどは保有し続けている。 そのなかでの銀行株の突然の下落は、投資家が別のシナリオを意識し始めたことを示唆する。 2日の日本株急落の引き金となったのは米国の景気後退懸念だ。米景気の後退が現実のものとなれば、日本経済や日本企業の業績にも波及する。日本企業の資金需要が細り、銀行の貸出業務には逆風となる。 野村証券の北岡智哉チーフ・エクイティ・ストラテジストは「銀行株は利ざやの拡大が見込まれるが、グローバルで景気悪化となれば元も子もない」と話す。拡大基調だった日本企業の設備投資が変調すれば、日本株そのものへの期待もしぼむ。 SBI証券の鈴木英之投資情報部長は「米国の経済指標の下振れは一つのデータにすぎない」とした上で、「マーケットの空気感は景気後退懸念に包まれ始めた」と語る。利上げ後の日本株のけん引役とみられていた銀行株の売りは、日本株に吹き始めた嵐の大きさを予見しているのかもしれない。【関連記事】・日経平均2216円安 ブラックマンデー以来2位の下げ幅・米テック株、「AI相場」に陰り 成果求める市場2024/08/02 20:32:1123.名無しさんQ6t4Y利上げニッポン 選別の夏、大荒れ相場で勝ち組探る2024/08/04 04:00 日経速報ニュース【この記事のポイント】・日銀の利上げ、恩恵を受ける銘柄探しが始まった・中長期の成長が大荒れ相場で反発を狙うチャンスに・銀行セクター、消費関連株、不動産株に関心集まる 「マクロ系ヘッジファンドが日本株の売り手に回った」。野村証券の須田吉貴クロスアセット・ストラテジストは1?2日の株価急落の背景を説明する。マクロ系ファンドは円売り・日本株買いをしてきた。日銀の利上げを機に一気に持ち高を反対に傾けたとみられる。「中長期目線の投資家も円高による日本企業の収益悪化を警戒して動きづらくなっている」(須田氏) 1?2日の東京株式市場は大荒れとなった。7月31日に日銀が追加利上げを決めると、さらなる利上げが意識され、円高・ドル安が進行。日経平均株価は8月1日に急落、翌2日は米景気後退の可能性が意識され2216円(6%)安に沈んだ。1?2日の下げ幅は3192円に及ぶ。 過去の壁を突破 乱高下の激しい相場環境のなか、日本株の手掛かりはどこにあるのか。市場が着目するのが日銀の動向だ。日銀の植田和男総裁は7月の追加利上げを決めた金融政策決定会合後の記者会見で、「経済・物価の情勢が見通しに沿って動いていけば、引き続き金利を上げていくことになる」と発言した。 市場は日銀はタカ派姿勢をとっていると受け止めた。市場関係者の多くはこの先も、日銀の政策金利の引き上げ継続を予想している。 これまで日銀が見据える政策金利の水準として、過去30年ほどの上限値である0.5%が意識されてきた。ただ、植田総裁は「0.5%は壁ではない」と発言。「2025年末に1%程度までの利上げもありうる」(東短リサーチの加藤出社長)との見方も浮上している。 始まる銘柄探し 日銀の利上げが続くとすれば恩恵を受けるセクターはどこか。中長期の成長が見込めれば、大荒れ相場の中で反発を狙うチャンスになる。 王道は利ざや改善が予想される銀行セクターだ。3メガバンクのPBR(株価純資産倍率)は1倍を下回り割安感が広がる。ただ今後は期待感だけでなく、具体的に業績の押し上げが見込める銘柄が選別されそうだ。 ゴールドマン・サックス証券の試算によると、三菱UFJフィナンシャル・グループよりゆうちょ銀行やりそなホールディングスが優位になるという。 消費関連株はどうか。春季労使交渉(春闘)の反映が進み、数カ月先には実質賃金がプラスに転じるとの見方が優勢だ。利下げに動く米国との金利差縮小が意識され円高が一段と進めば、輸入物価の上昇が抑えられやすい。「いずれ消費マインドの改善につながる」とSMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミストはみる。 実際、物色の動きが出ている。7月30日から8月2日までの株価騰落率をみると、コスモス薬品が4.4%高、ニトリホールディングスが0.4%高となった。 さらに市場関係者から注目されているのが、値上げをしても販売増を確保している良品計画だ。IT(情報技術)を駆使して効率的な店舗運営をするトライアルホールディングスなどもあがった。 金利上昇が重荷となりかねない不動産株でも、逆風を克服できるかに関心が集まっている。市場が手掛かりとしているのは自己資本利益率(ROE)の改善だ。「含み益をどのように活用できるかがポイントになる」とある国内運用会社のファンドマネジャーは指摘する。保有物件の有効活用や売却など手を打てば、ROE向上につながる。保有する不動産の価値に比べて割安として、オービス・インベストメンツは三菱地所に着目する。 欧州中央銀行(ECB)やイングランド銀行(BOE)が利下げを進め、米連邦準備理事会(FRB)が利下げを模索する中、利上げを決めた日銀の独自のポジションが鮮明となっている。足元の市場は波乱に見舞われ、長年、低金利に慣れた投資家は新たな環境に早く順応する必要がある。逆風をはねのけられる銘柄の選別が重要になっている。2024/08/04 06:58:5924.名無しさんQ6t4Y 銀行株、金利の追い風に強弱 金利上昇を見込んで銀行株は上昇を続けてきた。業種別日経平均株価の「銀行」は2022年末から約6割上昇した。市場では日銀の利上げが続き、銀行株の一段高を見込む声が多い。もっとも、金利上昇による追い風には各行の間で強弱がつきそうだ。 銀行への影響は日銀の利上げによる効果と長期金利上昇に分けられる。 まず市場が注目する日銀の利上げによる影響では、預金金利の上昇で負担が増える半面、銀行が日銀に預けている当座預金への付利金利が上昇する。貸出金利の上昇の恩恵もある。 なかでも注目されるのは、住宅ローンによる収益貢献だ。「短期プライムレート(短プラ)を引き上げる動きが広がる」と大和証券の松田健アナリストは予想する。短プラは銀行が企業に1年未満で融資するレートだ。各行は短プラに基づいて住宅ローンの変動金利を決めている。 日銀が7月31日に追加利上げを決め、三菱UFJフィナンシャル・グループ傘下の三菱UFJ銀行は短プラを引き上げると発表した。三井住友銀行とみずほ銀行も8月2日、短プラの引き上げを決定した。 ネット銀行の住宅ローン最大手の住信SBIネット銀行は10月から0.15%引き上げる。24年3月期の住宅ローンの新規実行額は1.7兆円で大手行を上回る。短プラ上昇の恩恵を受けやすいといえる。 コンコルディア・フィナンシャルグループや千葉銀行といった地銀の貸し出しは短プラ連動の比率が高い。短プラ引き上げが業績を拡大させ、株価の追い風になる可能性もある。 ただ、住宅ローンの基準金利は年2回しか更新されない。業績への寄与にはタイムラグがあることを考慮しなければならない。 投資家による銀行株の選別では、国債投資の巧拙も基準になりそうだ。 長期金利は日銀による国債買い入れ減額などから上昇圧力(価格には下落圧力)がかかりやすい。金利上昇局面では、現金から国債へのシフトによって保有資産全体の利回りを向上できる。低金利下で購入した国債を、より高い利回りの国債へ再投資すれば収益性を改善できる。こうした動きが銀行の間で広がりそうだ。 ゴールドマン・サックス証券は、各行が国債の再投資と現金から国債へシフトした際の影響を試算した。政策金利が0.25%に引き上げられた際の、各行の3年先の純利益への影響を分析した。保有債券の含み損も考慮した。 債券投資による収益押し上げが期待されるのはゆうちょ銀行だ。23年11月に「円金利ポートフォリオの再構築」を公表した。投資可能な待機資金として、約60兆円(23年9月末)を保有する。ゆうちょ銀は利回り1%の10年債に10兆円追加投資すると、年1000億円の増益効果になると予想している。 ゆうちょ銀の株価の昨年末比の上昇率は5%台と出遅れている。ゴールドマン・サックス証券の黒田真琴アナリストは、「日本郵政がゆうちょ株を売却するとの臆測があるため」と背景を分析する。 ただ、ゴールドマンは、こうした悪材料は一定程度織り込まれたとみている。2024/08/04 07:01:2525.名無しさんQ6t4Y国内株式市場見通し:売られ過ぎ感強いが、「落ちるナイフ」に手を出せず■週末は史上2番目の下落幅に今週の日経平均は週間で1757.71円安(-4.67%)の35909.70円と大幅安。日米金融政策に絡んだ売り圧力が強まり歴史的な急落となった。7月30-31日に開催された日本銀行の金融政策決定会合では、「国債買入額を現在の月6兆円から26年1-3月までに月3兆円程度へ減額」「0.25%までの利上げ」をそれぞれ発表。事前に伝わった通りの内容だったことで市場の反応は限定的だったが、15時30分から開始された記者会見にて「経済・物価見通しに沿って動けば、引き続き金利上げていく」といった植田日銀総裁のタカ派な発言を受けて、為替は1ドル=150円台まで円高が加速した。その後、米連邦準備制度理事会(FRB)が連邦公開市場委員会(FOMC)で8会合連続の金利据え置きを発表。記者会見にて、パウエルFRB議長が9月利下げ開始を示唆したことで日米金利差が縮小し、為替は1ドル=148円まで急伸。週末は、弱い米経済指標で景気悪化懸念が強まったことや米ハイテク株のさえない決算などが材料視されて、日本株が急落。前日は「米国が対中半導体輸出規制から日本などを外す」と報じられたことで買われた東京エレクトロン<8035>、アドバンテスト<6857>などの半導体株は一転して売られた。日経平均は2216.63円安の35909.70円と1987年10月20日のブラックマンデーによる暴落以来、史上2番目の下落幅となった。なお、7月第4週の投資主体別売買動向によると、外国人投資家は現物を5525億円売り越したほか、TOPIX先物を2135億円売り越し、225先物は5920億円売り越したことから、合計1兆3580億円の大幅な売り越しとなった。一方、個人投資家は現物を4882億円買い越すなど合計で6485億円買い越し。なお、信託は合計で3590億円買い越した。■25日線との下方乖離率は9.85%に7月の日経平均(終値ベース)は前月末比1.22%安となったが、終値ベースでの上下の値幅は4556円とコロナショックが発生した2020年3月の4792円以来の値幅。日経平均は今年初めて200日移動平均線を割り込んだほか、25日移動平均線との下方乖離率は9.85%と売られ過ぎ感は強いが、日経平均VIが29ポイント台まで急騰するなど投資家心理は急激に悪化。1日と2日のプライム市場の売買代金は6兆円を超えたことから、セリングクライマックスと考えることもできるが、「落ちるナイフ」に手が出せず、反発のきっかけが欲しいところだ。為替市場での円全面高一服や、米国景気悪化懸念の後退、フィラデルフィア半導体株価指数(SOX指数)の下げ止まりなどを確認する必要があろう。ただ、2日の米国株式市場は大幅続落。ダウ平均は前日比610.71ドル安(-1.51%)の39737.26ドル、ナスダックは417.98ポイント安(-2.43%)の16776.16、S&P500は100.12ポイント安(-1.84%)の5346.56で取引を終了した。大証ナイト・セッションの日経225先物は、通常取引終値比1120円安の34800円で取引を終えたことから、週初の東京市場はもう一段安となる公算が大きい。マーケットがいったん壊れたことから8月いっぱいは落ち着きを試す展開となりそうだ。まずは200日移動平均線が位置する36860円水準を回復しておきたいところだ。2024/08/04 07:28:3126.名無しさんQ6t4Y■円全面高にドル売りも加わり1ドル146円台に7月の米雇用統計が市場予想を大きく下振れたことから、為替は1ドル=146円台まで円高ドル安が加速した。ドル・インデックスが103ポイント水準を割り込むなどドル売り圧力も強まっている。足元の円高加速は、投機筋による円売りポジションの巻き戻しが原因と見られ、円全面高の地合いとなったが、米雇用統計発表以降、ドル売りも加わった様子。企業の想定レートは、ドルが140円から145円、ユーロは150円から155円と現在の為替水準よりもまだ円高ではあるが、一気に円高が進行していることから、円安効果による業績上振れ期待は大きく後退。足元の急激な円高進行を受けて、市場は企業業績への影響を見極め切れていないため、ろうばい売りが膨らんでいる。ニトリホールディングス<9843>やニッスイ<1332>など円高メリット銘柄の一角も売られていたことから、市場の混乱度合が垣間見える。為替変動の落着きが進んだ場合、根こそぎ売られた好業績銘柄や、食品、小売など円高メリット銘柄から値を戻すと想定する。■5日に米ISM非製造景気指数発表来週は、国内では、6日に6月毎月勤労統計、7日に6月景気先行指数(速報値)、景気一致指数(速報値)、8日に日銀金融政策決定会合における主な意見(7月30-31日分)公表、6月国際収支(経常収支)、7月景気ウォッチャー調査などが予定されている。海外では、5日に中・7月財新サービス業/総合購買担当者景気指数(PMI)、米・7月サービス業/総合PMI(改定値)、ISM非製造業景気指数、6日に豪・中央銀行が政策金利発表、英・7月建設業PMI、米・6月貿易収支、7日に中・7月貿易収支、NZ・4-6月失業率、米・週次原油在庫、8日にNZ・7-9月2年インフレ予想、米・週次新規失業保険申請件数、6月卸売在庫、9日に中・7月生産者物価指数、消費者物価指数(CPI)、独・7月CPIなどが予定されている。2024/08/04 07:29:1627.名無しさんQ6t4YNISA初心者に試練 株価急落で広がる動揺https://www.jiji.com/jc/article?k=2024080201261&g=eco 東京株式市場で株価が暴落し、1月に始まった新たな少額投資非課税制度(NISA)をきっかけに参入した投資初心者に動揺が広がっている。投資のプロは「長期、積み立て」を訴え、冷静な対応を呼び掛ける。さらなる株安への懸念がくすぶる中、資産形成を継続できるか。新規参入組は試練に立たされている。 東京株、2216円安 米景気懸念で急落、史上2番目の下げ―87年ブラックマンデー以来 2日の日経平均株価の下げ幅は、米国など世界的な株価大暴落「ブラックマンデー」の影響を受けた1987年以来2番目の大きさとなった。インターネット証券大手のコールセンターには同日、問い合わせの電話が殺到。株価急落で損失が膨らみ、「運用内容を変えるべきか」などの質問が相次いだ。別のネット証券でも「相場の回復はいつになるのか」と不安を訴える声が多く寄せられた。 日本証券業協会によると、証券大手10社(対面とネット)のNISA口座は6月末時点で計1520万口座と前年同時期に比べ3割も増えた。新NISAが始まって以降、日経平均は上昇基調を保ち、7月11日には史上最高値の4万2224円を達成した。約3週間で6300円超(約15%)も値下がりしており、投資初心者ならずとも先行きへの不安が募る。 ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは「長期の資産形成では相場悪化局面を乗り越え、運用を続ける覚悟が必要」と指摘する。その上で「老後資金のためにNISAを活用し始めた人なら、日々の相場に気を取られ過ぎる必要はない。数十年先の日経平均は4万円より高いと考え運用を続けてほしい」と助言している。2024/08/04 09:24:2628.名無しさんQ6t4Y日経平均株価、波乱含みの展開か 円は145円試す公算-今週の市場2024/08/04 04:00 日経速報ニュース 日経平均、波乱含みの展開か 今週の日経平均株価は波乱含みの展開となりそうだ。前週末にかけて米国の景気への先行き懸念の高まりや日銀の利上げによる急速な円高を背景に日経平均は急落した。投機的な短期筋の売りが一巡するまでは売られやすい地合いが続くとの見方が少なくない。 2日発表の7月の米雇用統計は市場予想を下回った。米景気下振れリスクが一段と意識され、ダウ工業株30種平均は4万ドルの大台を割り込んだ。東洋証券の清水満昭投資情報部長は「米連邦準備理事会(FRB)の金融緩和が後手に回るとの警戒感が広がった」と話す。市場では、FRBの緊急利下げなど不測の事態に備えるべきだとの見方も出ている。投資家のリスク回避姿勢の強まりから、日米株価には下押し圧力がかかりそうだ。 国内では週内にピークを迎える上場企業の4?6月期決算発表も注目材料だ。6日に三菱重工業、7日にソフトバンクグループが予定している。 米金利、低下続くとの見方 米債券市場で長期金利の指標となる10年物国債利回りは低下傾向が続く公算が大きい。前週は7月の米雇用統計が市場予想を大幅に下回り、一時3.7%台まで低下した。米利下げ観測の強まりに加え、米景気の先行き警戒感から安全資産とされる米国債に買いが集まる展開となりそうだ。 急速に金利が低下したことで、調整売りが出やすいとの見方もある。今週は10年債や3年債などの入札がある。SBI証券の道家映二チーフ債券ストラテジストは「金利水準が低い分、弱い入札結果への警戒感が高まりやすい」と話す。米株が買い戻される場面では債券売りの余地もある。 国内債券市場でも米金利低下の影響が波及しそうだ。半面、日銀の追加利上げ観測を後押しする材料が確認されれば金利には上昇圧力がかかる。7日には内田真一副総裁が講演する。利上げペースや政策金利の最終到達点への示唆があるかが注目点だ。 円、145円を試す展開か 外国為替市場で対ドルの円相場は引き続き上値を試す展開か。市場では心理的節目とされる1ドル=145円前後が目先、円の上値として意識されやすいとの声が多い。 前週は日銀が追加利上げし、米連邦準備理事会(FRB)は9月利下げを示唆した。その後発表の米経済・雇用指標は相次ぎ市場予想を下回った。日米金利差縮小が意識されやすく、円買い・ドル売りが続きそうだ。7月の米雇用統計発表後に円は一時1ドル=146円40銭台をつけた。半面、ドル安が進み、国内輸入企業など実需勢のドル買い需要も高まっている。 今週は6日発表の6月の毎月勤労統計調査(速報)や、8日公表予定の日銀金融政策決定会合の主な意見が注目材料だ。毎勤統計では賃金増が確認できるかが焦点だ。主な意見では「年内の追加利上げに前向きな内容が盛り込まれれば円高が進みやすい」(りそなホールディングスの井口慶一シニアストラテジスト)。 原油は下値探る、金は上値追うか 今週の原油相場は下値を探る展開になりそうだ。ニッセイ基礎研究所の上野剛志上席エコノミストは「米中の景気減速懸念で弱含みそうだが、中東情勢悪化の警戒感が引き続き意識され相場を下支えしそうだ」と指摘する。 前週は市場予想を下回る米経済指標が相次ぎ、米景気の悪化懸念が急速に高まった。米金融市場ではリスク資産を売って安全資産へ資金を移す質への逃避が加速した。原油相場は前週末にかけて急落した。 金(ゴールド)相場は上値を追う展開が予想される。国際指標となるニューヨーク先物(中心限月)は8月初めに初めて1トロイオンス2500ドル台に乗せた。 今週も米利下げ観測の高まりから、投資妙味が増すとみた資金の流入が続きそうだ。世界的な株安を受けて投資家はリスク回避姿勢を強めており、相対的に安全な資産とされる金への買いが集まりそうだ。2024/08/04 15:38:1229.名無しさんM4lCc「売られすぎ」日本株、底値探る ドル円・米景気も注視2024/08/05 02:00 日経速報ニュース【この記事のポイント】・日経平均、過去2週間で10%超下げ・企業業績堅調、売られすぎとの見方・為替の次の節目は1㌦=145円90銭 今週の株式市場は、投資家のリスクを回避する姿勢がさらに強まりそうだ。米景気とドル円相場の行方を見極めつつ、相場の底値を探る展開が続くとみられる。企業業績が腰折れしたとの見方は少なく「売られすぎ感」もある。 前週末2日の東京株式市場で日経平均株価は3万5909円と半年ぶりの安値水準で終えた。3日朝までの先物取引では3万4800円と一段安となり、週明け以降の下落が予想される。 日本株の下げは米株対比で大きい。日経平均は過去2週間で10%超下げた。米株投資の指標となるS&P500種株価指数はこの間3%安にとどまり、ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数ですら5%安だ。 「日米金利差の縮小を勘案しても(日本株は)売られ過ぎの領域に入っていると考える」。フィリップ証券の北野一チーフストラテジストは3日付で米国株対比でみた日本株への短期的な投資判断を「中立」から「買い」に引き上げた。 日本株が売られすぎとの見方は北野氏にとどまらない。 根拠の一つは堅調な企業業績と株価水準を比べた際の「割安感」だ。株価が1株当たり利益(EPS)の何倍まで買われたかを示すPER(株価収益率)がその指標だ。 証券会社の株式アナリストらの2025年3月期(今期)の予想利益をもとにした、日経平均の構成銘柄全体のPERは、2日時点で14.9倍と今年に入って初めて15倍を割れた。 機関投資家が重視する東証株価指数(TOPIX)ベースでは「12カ月先」までの業績予想をもとに算出したPERは13.3倍と、13年の「アベノミクス」後の平均である14倍程度を下回る。 BofA証券の圷正嗣チーフ日本株ストラテジストは「株式相場は業績予想の引き下げが相次ぐことを前提とした水準まで下落した」と指摘。日本の企業業績に悪影響を与える米景気後退が避けられるとしたら「日本株は売られすぎ」と話す。 日経平均はチャート上でも売られすぎの兆候がでている。 短期の相場トレンドを示す25日移動平均線からの下方乖離(かいり)率は2日時点で9%強と、売られすぎとされる5%を大きく上回る。乖離率は「コロナショック」があった20年3月以来の水準だ。反発してもおかしくない。 富国生命保険有価証券部長の野崎誠一氏は、2日に東証33業種指数が「全部売り」となったことと、連日で売買代金が6兆円を超える大商いとなったことを重視する。「セリング・クライマックス(売りのピーク)は近づいている」とみて、日本株買いを検討していた。 もっとも、日本株急落の一因となった米国株が下げきっていない点に不透明さが残る。 かんぽ生命保険の空閑健一・市場運用部長は「S&P500はまだ下げ足りない。日本株は今後2?3週間は大きく変動する相場が続きそうだ」という。2日もS&P500の11あるセクターは公益や生活必需品が上げ、「全部売り」とはなっていない。 円安トレンドの逆回転がどこまで進むかも重要だ。外国為替市場の参加者の間では2月の高値である1ドル=145円90銭、1月高値の140円80銭が次の節目として意識されている。 日経新聞がまとめた主要企業の今期業績見通しの前提となる想定為替レートは平均147円。アナリストは150円程度を予想の前提に置いている。円安の巻き戻しが進めば、輸出企業を中心に業績の下押し要因になりかねない。2024/08/05 06:15:1830.名無しさんM4lCc 大和証券の鈴木政博チーフクオンツアナリストは日経平均の下値メドとして、1ドル=145円に見合う水準という3万4000円程度を想定している。 6月までの円安を主導してきた投機筋の円売りは急速に解消が進んでいる。米商品先物取引委員会(CFTC)によると、7月30日時点で投機筋の円売り持ち高は9100億円と半年ぶり低水準だ。7月9日の2兆2700億円から3週間で6割減少した。 あおぞら銀行の諸我晃チーフ・マーケット・ストラテジストは「7月30日以降も投機筋の巻き戻しが進んだことを考えると、さらに円売りを解消する余地は小さい」と指摘する。円売りの巻き戻しが一巡すれば円高ペースが緩む可能性もある。 円安局面では海外投資家が重視するドル建てでみた日本株の運用成績が押し下げられ、日本株買いを妨げていたとの指摘もあった。 「海外勢の買い意欲は高く、先を見通すと円安が止まったことをきっかけに資金流入が期待できる」(みずほ証券機関投資家営業部の家元勝弘副部長)との見方もある。 米景気やドル円相場に伴う日本企業の業績や海外投資家の動向に注視する相場展開が続くことになりそうだ。・日経平均株価、波乱含みの展開か 円は145円試す公算・「巨鯨・日銀」の空白埋まるか 国債村、消えたプレーヤー2024/08/05 06:16:0231.名無しさんM4lCc日経平均一時2500円安 相場急変動で「全員投げ売り」-桝田大暉2024/08/05 12:05 日経速報ニュース 5日午前の東京株式市場で日経平均株価は連日の急落となった。前週末終値からの下げ幅は一時2500円を超え、2023年末の終値を下回った。海外の機関投資家やヘッジファンド、個人投資家といった市場参加者全員が売りに動き、24年に入ってからの上昇分を全て帳消しにした。なおも下落余地を指摘する声もあり、市場の混乱が続いている。 日経平均の午前終値は1662円(5%)安の3万4247円だった。 満席の劇場で誰かが「火事だ」と叫んだ時のような光景だ。「市場参加者の全てが一気にマーケットから資金を退避させようとして、売りが売りを呼んでいる」。ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは5日午前の急落をみて、こう指摘する。 前週末2日発表の7月の米雇用統計では就業者数の伸びが市場予想を下回った。急速に広がる景気後退懸念から米国株は大きく下落した。 5日の東京市場でも外国為替市場では対ドルの円相場が一時1ドル=144円台に上昇し、約7カ月ぶりの円高・ドル安水準を付けた。井出氏は「日本株にとってダブルパンチだ。これまでと環境が180度変わった」とこぼす。5日は東証プライムの9割超が下げる全面安の展開となった。日経平均の下げ幅は2日からの2営業日で一時4000円を超えた。 東証株価指数(TOPIX)も一時8%安と急落した。大阪取引所はTOPIX先物の取引を一時中断する「サーキットブレーカー」を発動した。相場急変時に投資家に冷静な判断を促すための措置で、同先物で実施されるのは東日本大震災直後の2011年3月15日以来だ。 直近まで上昇基調だった銀行株が2日に続いて大きく下げた。三井住友フィナンシャルグループは一時前週末比1500円(16%)安の8162円と、制限値幅の下限(ストップ安水準)まで下落した。三菱UFJフィナンシャル・グループは一時21%安、みずほフィナンシャルグループは一時15%安となった。国内債券市場で長期金利は急低下(債券価格は急上昇)し、指標となる新発10年物国債利回りは一時は0.785%と4月9日以来、約4カ月ぶりの低水準をつけた。 市場では多様な投資家の全てが売りに動いているとの指摘があがる。auカブコム証券の山田勉マーケットアナリストは「このところの急落で追い証(追加担保の差し入れ義務)が発生し、個人投資家の換金売りが広がっている」と指摘する。松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは「足元の急落前から既に下げていた半導体関連銘柄などには追い証が発生しているようだ」と話す。 東京証券取引所によると、7月26日申し込み時点の信用取引の買い残高(東京・名古屋2市場、制度信用と一般信用の合計)は4兆9808億円と、2006年5月以来、約18年ぶりの高水準となっている。急落前に日本株の先高観から信用買いに動いていた個人投資家の売り戻しが広がる。 日本株の主要な買い手である海外投資家も売りに動いている。東海東京インテリジェンス・ラボの安田秀太郎マーケットアナリストは「先物のほか、現物株も売っているのではないか」と話す。その上で「海外投資家は日銀の金融緩和によってアベノミクス初期に大きく買い越した経緯がある。日銀が利上げに動いたのが大きな転換点となり、その逆の動きになっていそうだ」とみる。 日本株はいつ、下げ止まるのか。証券会社の株式アナリストらの2025年3月期(今期)の予想利益をもとにした、日経平均の構成銘柄全体のPERは、2日時点で14.9倍とアベノミクス以降の長期上げ相場の平均である15倍を下回る水準だ。ニッセイ基礎研の井出氏は「バリュエーション(投資尺度)でみれば割安感があり、下げ止まってもおかしくない。とはいえ、日本株ほど下げていない米国株が一段安になると、それに連れ安となるリスクがある」と話す。 米国市場では米雇用統計の下振れにより米景気悪化懸念が急浮上。米連邦準備理事会(FRB)の緊急利下げなどの不測の事態に備えるべきだとの見方も出ている。ドル安・円高が一段と進めば、日本株の重荷になる。 一日に2000円を上回る下げ幅が続くなかでは年金勢も動きづらい。底の見えない状況では安値を広う動きも出にくく、日本株にとって試練が続きそうだ。【関連記事】・日経平均株価、一時2500円安 米景気懸念・円高で売り・日経平均大幅続落、一時2500円安 米景気減速懸念で2024/08/05 12:16:2232.名無しさんM4lCc東京精密や三菱伊勢丹、4割超える下落 主要500社株価2024/08/05 20:29 日経速報ニュース 5日の東京株式市場は総崩れの様相となった。時価総額が大きい東証株価指数(TOPIX)500構成銘柄を対象に、日経平均株価が過去最高値をつけた7月11日から8月5日までの下落率をみると、65銘柄の下落率が3割を超えた。上昇をけん引してきた半導体やインバウンド(訪日客)関連の下落が目立つ。買い上げてきた投資家が持ち高を削減している。 7月11日以降、日経平均は26%下落した。日経平均を上回る下げが目立つのが半導体関連だ。 下落率が最も大きかったのは半導体製造装置メーカーの東京精密で47%安だった。2023年以降、株価は約3倍に上昇していた。生成人工知能(AI)関連として買われ、外国人株主比率が4割弱に高まっていた。5日は制限値幅の下限(ストップ安水準)まで下落し、海外マネーが逆流している。 東京精密やディスコ、ルネサスエレクトロニクス、東京エレクトロンといった半導体株はPER(株価収益率)が拡大していた。80倍台まで上昇していたディスコのPER(株価収益率)は34倍に低下している。東エレクも50倍台から22倍台となった。 東海東京インテリジェンス・ラボの仙石誠シニアエクイティマーケットアナリストは「投資家のリスク許容度が低下するなか、バリュエーション(投資尺度)面で割高の株価を中心に売りが広がりやすかった」と指摘する。 5日、外国為替市場で対ドルの円相場が一時1ドル=141円台と7カ月ぶりの円高・ドル安水準をつけた。急速な円高進行が嫌気され、円安による利益の押し上げ期待を背景に上昇してきた自動車や機械、商社などの売りが目立った。 SUBARU(スバル)、マツダ、日産自動車、トヨタは全て7月11日からの下落率が3割を超え、年初来安値をつけた。三井物産と丸紅も35%安と大幅に下落し、年初来安値を更新した。 円高方向へのゆり戻しでインバウンド(訪日外国人)需要拡大への期待もしぼみ始めた。円安で訪日外国人による高額消費が増えていた三越伊勢丹ホールディングスは46%安とTOPIX500採用銘柄のうち下落率が3位だった。 UBS SuMi TRUSTウェルス・マネジメントの青木大樹最高投資責任者は「どこまで円高・ドル安が進むかの目途が見えないなか、円安恩恵銘柄のマネー逆回転が起きている」と指摘する。 一方、ニトリホールディングスが7月11日比で5%上昇するなど円高メリット銘柄の一角には買いが集まった。 7月中旬までの日経平均の上昇をけん引してきた銘柄の先行きについては市場の見方は分かれる。和キャピタルの村松一之運用本部部長は「半導体銘柄の業績拡大が続くとの期待は変わっていない」と指摘する。投資家のリスク回避姿勢が一巡すれば、割安感が強まった半導体株などには長期投資家らの資金が流れ込みやすくなるという指摘もある。2024/08/05 20:58:5733.名無しさんM4lCc日経平均株価急落、NTTなど新NISA人気銘柄にも売り2024/08/05 20:15 日経速報ニュース 東京株式市場で5日、日経平均株価が史上最大の下げ幅を記録し、新NISA(少額投資非課税制度)で人気銘柄のNTTやJTが年初来安値を更新するなど高配当利回り株も売られた。足元で円高ドル安が進み、世界株に分散投資する株式投資信託「オルカン」などの基準価格も下がっている。こうした銘柄の今後の見通しはどうか。 同日の日経平均は前週末比4451円(12%)安の3万1458円と大発会(1月4日)の年初来安値を下回った。新NISA人気銘柄もNTTが7円90銭(5%)安の145円、JTが699円(17%)安の3454円と大幅安となった。NTTは1月23日につけた年初来高値からの下落率が25%に達した。 もっとも、これらの銘柄に個別の売り材料が出たわけではなく、売り一巡後は見直し買いが入る可能性がある。株価下落に伴い、予想配当利回りが軒並み上昇し、JTは5.6%、武田薬品工業は5%に達した。 モルガン・スタンレーMUFG証券の津坂徹郎アナリストは5日付のリポートで、NTTの目標株価を180円に据え置いた。UBS証券は同日付のリポートで、JTの目標株価を4800円に据え置き、「買い」の投資判断を継続した。 三菱UFJアセットマネジメントの株式投信「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の5日の基準価格は前週末比1207円(5%)安の2万3268円だった。7月11日に付けた設定来高値2万7282円から15%下げた。 オルカンの日本株の組み入れ比率は約5%にとどまり、値動きは全体の6割を占める米国株と、円相場の影響が大きい。【関連記事】・日経平均株価4451円安 下げ幅ブラックマンデー超え最大・日経平均株価4451円安 相場急変動で「全員投げ売り」2024/08/05 21:00:1634.名無しさんM4lCc悲観は株式投資の友 日経平均が史上最大の下げ幅-市場グループ長 川崎健2024/08/05 19:18 日経速報ニュース 株価が急落するときは、いつも同じ光景が市場で繰り広げられる。 最初は取るに足りないと思われた投資家の疑念が、株価の下げとともに次第に増幅。疑念は不安へ、そして恐怖へと変わっていく。最後は全員が我先にと狭い出口に向かって走り出し、値段にかかわらず持ち株を処分する「パニック売り」が市場を覆う。 日経平均株価が史上最大となる4451円安の下げ幅となった5日もまさにそうだった。今多くの投資家を恐怖が支配している。 恐怖の震源は、過熱していた米国経済が突然、深刻な景気後退に陥る可能性だ。物価や雇用などの景気指標が想定を下回り、確実視される「9月利下げ」ではもう手遅れだと市場は米連邦準備理事会(FRB)に催促しはじめた。 もともと米大統領選の前は投資家がリスクテイクに慎重になり、株価が不安定になりやすいというアノマリー(経験則)もある。 日本株が米国株を超える下げとなっているのは、日米金利差の縮小が影響している。日銀が先週決定した追加利上げに虚を突かれた海外勢が、これまで進めてきた「円売り・日本株買い」のジャパントレードを一斉に手じまっている。 この株安はいつまでつづくのか。 株価のボラティリティー(変動率)がいったん跳ね上がると、リスク管理に厳しい機関投資家が様子見となり、数カ月の間は不安定な相場展開が続きやすい。日本では「天井三日、底百日」という相場格言が古くから伝えられてきた。 そのうえで、株価の最終的な居所を決めるのは、企業業績とバリュエーション(投資尺度)である。 5日の株価急落で東証株価指数(TOPIX)の予想PER(株価収益率、12カ月先予想ベース)は11.6倍まで低下。2013年のアベノミクス相場以降の平均レンジ(12?16倍)を下に突き抜けた。振り返ると、13年以降に何度か訪れた「PER12倍割れ」の状態は長続きせず、格好の買い場になってきた。 深刻な米景気後退や円高加速によって企業業績が下振れしないかには注意が必要だが、今は多くの銘柄がめったにみられない「バーゲンセール」の状態で売り出されているといえる。 「株式投資にとって悲観は友、陶酔は敵だ」。米著名投資家のウォーレン・バフェット氏は、2008年の「株主への手紙」でつづった。この言葉通り、バフェット氏は米国株が最高値圏にあった4?6月に米アップル株など持ち株の一部を売却。今は潤沢な手元資金で優良株の仕込み時を狙っているとみられる。 1990年代前半の急落時に公的マネーが株を買い支えたのは今は昔。アベノミクス相場以降、主要な買い手だった日銀も上場投資信託(ETF)の購入を停止した。新NISA(少額投資非課税制度)で投資を始めた人を含め、個人投資家が魅力的な水準に下がった株を買うのを邪魔する公的主体はもういない。 バフェット流の投資は、投資期間に縛りがない日本の個人投資家にも可能だ。市場を覆う悲観に流されず、株価が下がる一方、企業価値は変わっていない銘柄を冷静に探すときだ。2024/08/05 21:03:0135.名無しさんM4lCcプライム騰落レシオ、9カ月ぶり低水準 売られすぎ示唆2024/08/05 21:00 日経速報ニュース 5日の東京株式市場で相場の過熱感を示す指標である騰落レシオ(東証プライム市場、25日移動平均)が76.76%と前日から5.39ポイント下がり、約9カ月ぶりの低水準となった。景気減速の懸念による米株安や円高を受け急速に売りが広がった。 値上がり銘柄数を値下がり銘柄数で割った騰落レシオは、一般的に120%を上回ると「買われすぎ」、80%を下回ると「売られすぎ」を示す目安とされる。楽天証券経済研究所の香川睦チーフグローバルストラテジストは「海外投資家による先物売りと個人の投げ売りが重なり、急速な需給悪化で売られすぎの域に入っている」と指摘する。 5日の日経平均株価は前週末比4451円(12%)安の3万1458円で終えた。東証プライムの値下がり銘柄数は1625と全体の98%を超え、全面安となった。 内藤証券の田部井美彦投資調査部長は「市場は日銀の年末までの利上げを織り込んだ過度の反応を示しており、円安効果の?落を除けば大幅な企業の収益悪化や金融不安が起きているわけではない」と指摘。「セリングクライマックス(売りの最終局面)に近づき、金利や米経済指標を見極めつつ緩やかに上昇するのではないか」とみる。 一方、東海東京インテリジェンス・ラボの安田秀太郎マーケットアナリストは「(米国時間5日発表の)7月の米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業景況感指数が6月に続いて景気後退の水準とされる50を下回れば、さらなる株安の加速につながる可能性がある」との見方を示す。2024/08/05 21:43:4136.名無しさんEBg9x2024年08月05日19時30分日本株が過去最大の下落幅、マネー逆回転・銀行株ストップ安の波紋 <株探トップ特集>―米景気減速懸念で金利急低下、市場の動揺続き日経平均VIは08年秋以来の高水準― 日経平均株価が下げ止まらない。週明け5日の東京市場で日経平均株価は4451円安となった。1日の下げ幅としては「ブラックマンデー」の影響を受けた1987年10月20日を上回り、史上最大。7月11日につけた史上最高値(終値ベースで4万2224円02銭)から1カ月も経たずして1万円を超す下げとなり、一転して年初来安値に沈むなど歴史的な急落劇をみせている。●「サーム・ルール」でマネー逆回転が加速 8月2日発表の7月の米雇用統計は、非農業部門の雇用者数の伸びが市場予想を下回り、失業率は上昇。直近3カ月の平均失業率が、過去1年間の最低値を0.5ポイント上回ると景気後退に入るという「サーム・ルール」を満たすこととなった。米インテル<INTC>の人員削減を巡るニュースや、緊迫化する中東情勢も投資家心理を一段と悪化させた。同日の米ダウ工業株30種平均は一時980ドルを超す下げとなったほか、ナスダック総合株価指数も連日の大幅安。米長期金利は3.7%台と7カ月ぶりの水準に急低下した。 米国景気の先行き懸念が一段と強まるなか、5日の東京市場は前週末と同様に、プライム市場の値下がり銘柄数が全体の約99%に上る全面安商状が続き、投資家の不安心理を示すとされる日経平均ボラティリティ・インデックス(VI)は一時85.38まで急上昇。リーマン・ショックのあった2008年秋以来の高水準をつけた。東証の業種別指数では保険業が17.6%安で下落率トップ。銀行業が17.3%安と下落率2位となった。三井住友フィナンシャルグループ <8316> [東証P]がストップ安に売られたほか、第一生命ホールディングス <8750> [東証P]や野村ホールディングス <8604> [東証P]もストップ安となった。 日銀が追加利上げに踏み切った7月31日前後では、段階的な利上げサイクル入りへの思惑から、金利上昇による事業への好影響を見込んだ買いが銀行株を下支えしていた。しかしながら同日の米連邦公開市場委員会(FOMC)後に公表された7月のISM製造業景況感指数、そして同月の米雇用統計がいずれも米国の景気後退リスクを意識させる結果となり、7月初旬の「トランプ・ラリー」下で4.5%近辺まで上昇していた米長期金利は急低下している。2024/08/06 00:03:1737.名無しさんEBg9x●サーキットブレーカー発動 日本の長期金利にも強い下押し圧力が掛かり、5日の円債市場では一時0.750%と4カ月ぶりの低水準をつけた。内外金利の低下などを受けた銀行株売りに拍車が掛かるなかで日経平均とともに、東証株価指数(TOPIX)も年初来安値を更新。日経平均とTOPIXなど株価指数先物取引では一時、サーキットブレーカーが発動する事態となった。 振り返ると20年には、新型コロナウイルス感染症の拡大により経済活動の停止を世界が余儀なくされ、日経平均は同年1月高値の2万4100円台から3月に1万6300円台とおよそ7800円の調整をみせた。16年のブレグジット(英国の欧州連合離脱)決定や米大統領選でのトランプ氏勝利の直前、15年8月のチャイナ・ショック、11年3月の東日本大震災、08年秋のリーマン・ショックなど、内外のさまざまな要因によって日本株は数多くのショック安を経験してきた。下げ相場は上げ相場よりもスピードが速い。冷静さを保つ一部の投資家を除いて、上げ相場は熱狂を与え、下げ相場は大きな動揺をもたらす。 直近まで世界の株式市場は、米国のマイルドな景気鈍化と米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げが両立するソフトランディング期待に支えられてきた。その土台が揺らぐなかで、米ハイテク株から資金が流出し、これに連動する形で日本株の買いポジションを積み上げてきた海外勢が一斉に売りに動いている。ショック安ではあるが、リーマン・ショックのような金融システム不安の高まりを契機とするものではない。一部のアセットに集中していたマネーの逆回転によるものである。●FRBの対応注視、日銀9月利上げ観測は後退へ マーケットの一部ではFRBの緊急利下げを期待する向きもある。ただし株安が一時的なものとなり、金融システム不安が高まらないのであれば、実現可能性としては乏しいだろう。「仮にFRBが緊急会合を開くものなら、『そんなに米国経済は悪いのか』という余計な憶測が広がりかねない」(水戸証券投資顧問部シニアファンドマネージャーの酒井一氏)との声もある。今のところは9月のFOMCでの0.50%の大幅利下げがメーンシナリオとなり、米金利もこれを織り込む動きとなっている。CMEフェドウォッチによると、9月のFOMCでFRBが0.50%の利下げに動く確率は90%を上回っている。 そして日銀については、マーケットの急変を受け、9月の金融政策決定会合での追加利上げは困難との思惑が早くも市場に広がっている。追加利上げが見込めないとなれば、ドル円相場にはサポート要因となるが、米国の利下げ観測が一段と強まれば、ドル売りを誘発するかたちで相場に下押し圧力を掛けることとなる。急激なボラティリティの上昇を背景に、円キャリー取引のポジションが巻き戻される形で、一時1ドル=141円台まで円高が進行しているが、それまでの円キャリー引に絡んだポジションの大きさゆえ、円高の流れが早々に収束すると決めてかかるのは難しい。 日銀の追加利上げ観測の後退は、当然のことながら銀行株には逆風となる。5日の三井住友FGは朝方のストップ安局面を経て、一時的に下げ渋ったが、後場に売り直しとなり再びストップ安に張り付いた。金融株のみならず、5日にストップ安をつけた銘柄数は800を超える規模となっている。投げが投げを促す環境下で、個人投資家による追証に絡んだ売りが相場を一段と下押しすることへの警戒感が強まっている。急落局面のなかで冷静さを保ちつつ、底入れのタイミングを探る姿勢が、市場参加者にこれまでになく求められていると言えそうだ。2024/08/06 00:04:5838.名無しさんEBg9xマネフォ、祖業の家計簿「単独では限界」 Oliveに活路2024/08/06 05:00 日経速報ニュース クラウド会計ソフトのマネーフォワードが祖業の家計簿アプリを切り離し、三井住友カードと新会社を立ち上げる。フィンテック業界でマネフォの知名度は群を抜き、家計簿アプリの利用者は1600万人を超える。それでも大手金融機関と組まざるを得なかったところに、日本のフィンテックが抱える課題が浮かび上がる。 「家計や資産管理のサービスを提供するだけで思った以上に時間がかかってしまった。歯がゆい思いだった」。マネフォの辻庸介社長CEO(最高経営責任者)はこう話す。家計簿アプリを中心に客層は広がったが、次のサービスへと発展させていく上で壁に突き当たった。 辻氏は創業以来、「マネフォを使えばそれだけで(家計は)安心」というサービスを目指してきた。家計簿アプリにとどまらず運用商品や保険、ローンを組み合わせて資産形成を支援していく。こうした金融商品を複合的に展開するには「単独では限界があった」という。「規制がありコストもかかる」点が重荷だった。 三井住友フィナンシャルグループの総合金融サービス「Olive(オリーブ)」と組めば、家計収支に合わせて投資信託やクレジットカード、住宅ローンなどさまざまな商品を提案できるようになる。「我々がそろえられないサービスをオリーブは持っている。パートナーとしてベストだ」と辻社長はみる。 独立路線ではなく、メガバンクと次の成長を目指す動きはマネフォだけにとどまらない。ロボアド大手のウェルスナビは三菱UFJ銀行との協業を選んだ。24年2月に三菱UFJが約15%の株を取得して持ち分法適用会社にすると発表した。ウェルスナビの23年12月期の単独税引き利益は前の期比3割増えるなど業績は好調だ。 もっとも24年1月からの新しい少額投資非課税制度(NISA)で運用商品を巡る顧客獲得競争は激しくなっている。ウェルスナビは三菱UFJのブランド力を生かしながら新規顧客を開拓できる点にメリットを見いだした。 後払い決済サービスのカンムも22年12月、三菱UFJ銀行の子会社になることを決めた。カンムは若年層の電子商取引(EC)需要を取り込んできたが「個人向け金融だけでフィンテックが成功するのは難しい」(八巻渉代表取締役)。個人向けは顧客基盤の厚さがカギになるが大手に比べ販促に費用をかけられない。まずは三菱UFJとの協業で客層を広げ、財務を安定させた上で新規株式公開(IPO)を目指す方向へかじを切った。 新興企業と大手銀行との協業が進む背景にはフィンテックの懐事情がある。米調査会社CBインサイツによると、日本のフィンテックの23年の資金調達額は3億4000万ドル(約500億円)と2年連続で減った。直近ピークの21年比では半分以下だ。ある決済関連サービスのフィンテックの代表は「以前のようにフィンテックに資金がまわりにくくなってきた」と話す。 フィンテックの事業環境が厳しさを増すなか、銀行の段階的な規制緩和も協業を後押しした。法改正で銀行の業務範囲が広がり、子会社を通してフィンテック関連サービスの提供が可能になった。銀行本体でもデータ分析やIT(情報技術)システムの販売ができるようになった。大手銀行はデジタル事業を加速させるために新興フィンテックをパートナーとして無視できなくなった。 三菱地所などが設立したフィンテック集積拠点、FINOLAB(東京・千代田)の柴田誠氏は「フィンテックと銀行は『競争』から『共創』の時代に入った」と話す。銀行出身者がフィンテックを立ち上げたり、フィンテックが大手金融機関からの採用を増やしたりするなかで相互理解が進み「一緒にビジネスをやるという空気が広がってきた」という。 補完関係を築くフィンテックと大手銀行だが手放しでは喜べない。あるベンチャーファンド関係者は「フィンテックで最も成功したのはPayPayだ。しかし次が出てこない」と話す。PayPayはソフトバンクグループの孫正義氏の「勝者総取り」の理論で、加盟店手数料の一時的な無料化やポイントの大盤振る舞いでQRコード決済を普及させ、利用者を6000万人超に増やした。 他のフィンテックや大手銀行がPayPayのように大胆な戦略を取れるかどうかは不透明だ。一部のフィンテックには個人向けの収益化が厳しいとみて法人向けにシフトする動きも出ているが、法人分野も競争は激しい。 日本でフィンテックが広がり始めたのは2015年前後。それから10年弱がたち、当初のような熱気はみられない。和製フィンテックの第1世代といわれるマネフォの選択は、業界の縮小均衡の表れなのか、新たな成長への試金石となるのか。予断を許さない。2024/08/06 06:16:2439.名無しさんEBg9x日本株、売り急ぎ拡大 売買代金最大の7.9兆円 先物取引は一時中断2024/08/06 日本経済新聞 朝刊 5日の東京株式市場で日経平均株価の下落幅は前週末比4451円と過去最大になった。米景気の後退懸念と為替相場の急速な円高進行を受け、日本株を売り急ぐ動きが広がり、日経平均は2024年に入ってからの上昇分がすべて帳消しとなった。先物取引が一時中断される「サーキットブレーカー(きょうのことば)」も発動されるなど、市場は売り一色となった。(1面参照) 前週末公表の米雇用統計を発火点とする市場のショックが覚めやらぬ5日の東京株式市場。午前9時の取引開始からしばらく、多くの銘柄で「売り気配」の状態が続いた。大量の売り注文に対して買い注文が少なく、値がつかない状況だ。徐々に値がつくようになると日経平均は下げ幅を広げ、9時14分には2000円超安となった。 「『CTA』による売りを契機に、多くの投資家が損切りの売りに動いている」(CLSA証券の釜井毅生エグゼキューション・サービス統括本部長)。朝方に売りを先導したのは、広範な金融商品の先物を売買する投資家、CTAだ。9時16分。CTAやヘッジファンドなどによる株価指数先物の売りが膨らみ、大阪取引所は東証株価指数(TOPIX)先物の取引を一時中断するサーキットブレーカーを発動した。銀行株軒並み安 株価指数先物だけでなく、個別株にも狼狽(ろうばい)売りが広がった。9時27分、三井住友フィナンシャルグループ株は、前週末比1500円(16%)安の8162円と制限値幅の下限(ストップ安水準)を付けた。みずほフィナンシャルグループや三菱UFJフィナンシャル・グループも2割近く下げた。 東京都在住の20代男性は、人工知能(AI)関連の成長期待で保有していた村田製作所株や芝浦メカトロニクス株に慌ただしく売り注文を出した。「あらかじめ決めていた損切りラインを急速に下回った」という。 11時半。日経平均は1662円安と9時台からやや下げ幅を縮めて午前の取引を終えた。しかし午後に入ると相場のムードが一気に変わった。理由は急激な円高進行だ。 朝方に1ドル=146円台で推移していた円相場は午後1時8分に143円台を付けた。これまで円安に下支えされてきた日本株。「今までの逆流が一気に来た。リスク回避のアンワインド(巻き戻し)が加速した時の恐ろしさを痛感した」(邦銀の外為ディーラー) 円高が一段と進むにつれ、日経平均は下げ幅を広げた。午後1時47分には3000円安、2時24分には4000円安と、下落が止まらない状況に。2時53分には4753円安と5日の取引時間中の最安値を付けた。 機関投資家だけでなく個人投資家も売りを迫られた。先週からの急落で、信用取引をする投資家が追加で支払う「追い証」が発生。保証金を捻出するための換金売りが広がった。SBI証券の川合智樹デジタル営業部次長は「個人投資家から『追い証が発生したがどうしたらいいか』という問い合わせが相次いでいる」と打ち明ける。 東京証券取引所によると、7月26日申し込み時点の信用取引の買い残高は4.9兆円と約18年ぶりの高水準となっていた。急落前に日本株の先高観から信用買いに動いていた個人投資家は売り戻しが必要になった。 ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは「市場参加者の全てが一気にマーケットから資金を退避させようとして、売りが売りを呼んだ」と話す。売り一巡の見方 マネーの逃避先になったのが債券市場だ。長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは一時0.75%まで低下(債券価格は上昇)し、約4カ月ぶりの低水準をつけた。株安で投資家のリスクオフ姿勢が強まり、相対的に安全な資産とされる債券に資金が流れ込んだ。大阪取引所は5日、長期国債先物でサーキットブレーカーを発動した。 5日の東証プライム市場の売買代金は7兆9674億円と過去最高を記録した。信用取引などに絡んだ「投げ売り」が目立つ一方、下値を拾う動きも活発だった。市場関係者の間では、売買代金の大きさが日本株売りの一巡を示唆しているとの受け止めもある。 ピクテ・ジャパンの糸島孝俊ストラテジストは「投げ売りは5日までにかなり広がっているとみられ、短期的にはセリングクライマックス(売りの最終局面)が近づいている」とみる。2024/08/06 06:20:4840.名無しさんPuyVb日経平均、900円超安から一転急騰 「ハト派日銀」に安堵-大久保希美2024/08/07 15:01 日経速報ニュース 7日の東京株式市場で日経平均株価は大幅続伸し、前日比414円高の3万5089円で取引を終えた。値動きは異例の激しさとなり、取引開始直後に900円超下げる場面があったが、急速に持ち直して一時は1174円(3.4%)高の3万5849円まで上昇した。 朝方は冷え込んでいた相場の雰囲気が一転するきっかけとなったのが、午前10時半すぎに伝わった日銀の内田真一副総裁による「ハト派」発言だ。 日経平均は寄り付き直後、前日終値からの下げ幅が一時936円となり3万3700円台をつける場面もあった。過去最大の下落幅を記録した5日に保有銘柄が下落した個人投資家が、信用買いの追い証(追加証拠金)の解消に向けて出した売りが膨らんだ。 マーケットの空気を一変させたのが、北海道函館市で開かれた金融経済懇談会での日銀の内田副総裁の発言だ。内田氏は「金融資本市場が不安定な状況で、利上げをすることはない」と述べた。「当面、 現在の水準で金融緩和をしっかりと続ける必要があると考えている」とも語り、追加利上げに対する株式市場の警戒感が和らいだ。 発言を受け、為替市場では円相場が一時1ドル=147円台半ばをつけ、2円ほど円安方向に振れた。 日銀の金融政策決定会合での植田和男総裁の「タカ派」発言が日本株急落の要因の一つだっただけに、内田氏の「ハト派」発言に株式市場も大きく反応した。りそなアセットマネジメントの黒瀬浩一チーフ・ストラテジストは「市場は株式市場が不安定でも円安対策の方が優先されるのではないかと懸念していた。その懸念が払拭され、発言効果はしばらく続くだろう」と話す。 アセットマネジメントOneの浅岡均シニアストラテジストも「機械的に利上げを進めるのではないというスタンスは、マーケットが望んでいた発言」と分析する。 「地銀といった金融機関を主体に、おっかなびっくりではあるが、買いは入ってきている」。大手証券のトレーダーは話す。内田氏の講演内容が伝わると、東京株式市場では幅広い銘柄に買いが広がり、東証プライム市場では全体の85%にあたる1401銘柄が値上がりした。 ディスコは一時前日比16%高、三井住友フィナンシャルグループも12%高をつけた。前日に最大1000億円の自社株買いを発表したキヤノンも11%高と急騰した。三井住友トラスト・アセットマネジメントの上野裕之チーフストラテジストは「割安で好業績な銘柄には押し目買いが入っている印象」と指摘する。 内田副総裁の発言は市場にとって一つの安心材料にはなったものの、「相場が落ち着いていれば利上げはするという趣旨だろう。毎月勤労統計や物価指標への注目度も高い」(みずほリサーチ&テクノロジーズの坂本明日香主任エコノミスト)との見方もあった。 三井住友信託銀行の瀬良礼子マーケット・ストラテジストは「今の市場参加者は心理的に不安感でいっぱいで、冷静にファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)を見極める力を失っている」と指摘する。投資家が相場の乱高下に振り回される展開はまだしばらく続きそうだ。【関連記事】・日銀・内田副総裁「金融市場が不安定な状況で利上げせず」・日経平均乱高下、一時1100円超高 日銀・内田副総裁発言で2024/08/07 15:07:1141.名無しさんr6lrG「内田プット」でも晴れぬ視界、円下落、輸出株買いは慎重(スクランブル)2024/08/08 日本経済新聞 朝刊 7日の東京株式市場で、日経平均株価は日銀の内田真一副総裁による「ハト派」発言をきっかけに急騰した。前日比900円安から1100円を超えて上げる場面があった。内田氏の発言はひとまず株式市場に買い安心感を与えたが、まだ視界が晴れたとは言いがたい。 国内運用会社のファンドマネジャーは7日午前、急ピッチで上昇する株価を見て一瞬、買い注文の手を止めた。「6日の3000円を超える上昇が頭をよぎった」ためだ。予定通りアニコムホールディングスなどの内需株を買い付けたが、激しい値動きにハラハラしたという。 市場関係者をハラハラさせる展開となったのは、日銀の内田副総裁が「金融資本市場が不安定な状況で利上げをすることはない」と語り、買い安心感が広がったためだ。ピクテ・ジャパンの糸島孝俊ストラテジストは「日銀が早期に政策金利を0・5%に上げることはないと受け止められ投資家に冷静になる時間を与えた」と話す。 8月の歴史的な株安を引き起こしたのは、日銀が7月末に利上げに踏み切ったのがきっかけだ。低金利の円を借りて米ドルなどの高金利通貨に投資する「円キャリー取引」やそれと連動した日本株買いが巻き戻された。 野村証券の北岡智哉チーフ・エクイティ・ストラテジストは、ここまでの株安を日本版「テーパリング・ショック」と呼ぶ。米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長(当時)が2013年5月に量的緩和縮小(テーパリング)に突然言及し、世界的な株安を招いた「バーナンキ・ショック」になぞらえた。 日銀の金融政策に対する警戒感が下落の一因だっただけに、市場では内田氏の発言は「どこまで下がるか分からない疑心暗鬼を緩和する清涼剤になった」(大和証券の林健太郎シニアストラテジスト)との声がある。 7日は株価が乱高下する中でも、日経平均を対象としたオプション価格から算出し、相場の急変動に対する警戒感を表す日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)は12%低下して終えた。下落不安に備えるプットオプションのように「内田プット」が利いたといえる。 ドル円相場と日経平均株価の連動性は8月以降強まっている。相関係数(10日移動平均)は8月5日以降はマイナス0・4~0・6程度で約5カ月ぶりの低水準で推移する。円が下落すると日経平均が上がる傾向が強いことを示す。7日も円相場が円安に進むと株価が上昇した。 一方で7日に買われた個別銘柄をみると、業績への期待が高く、5日までに株価を大きく下げていた銘柄が中心だ。7日は生成AI(人工知能)半導体への期待が大きいディスコが12%高、防衛関連として期待される三菱重工業が10%高となった。本来は円安が業績改善につながるはずの輸出関連株に対しては、投資家はまだ半身の姿勢でトヨタ自動車は1%安で終えた。 朝日ライフアセットマネジメントの武重佳宏資産運用統括部長は「輸出関連株は割安感はあるものの、円相場が1ドル=155~160円の時と比べると、業績の上振れ期待は薄れている」と話す。 バーナンキ・ショックでは以前の水準に株価が戻るのに半年以上かかった。りそなアセットマネジメントの下出衛チーフ・ストラテジストは「日銀が金融引き締めの方向であることは変わらない。日経平均が4万円台を回復するのは25年以降になるだろう」と指摘する。2024/08/08 06:09:1842.名無しさんr6lrG株価乱高下で慌てぬ米投資家、日本への教訓(NY特急便)2024/08/08 06:14 日経速報ニュース 7日の米株式相場は2日ぶりに反落し、ダウ工業株30種平均は前日比234ドル安の3万8763ドルで終わった。一時はプラス圏で推移したものの、引けにかけて売りが優勢となった。アップルなどのテック株は上昇したが、市場では引き続き米景気の悪化懸念を背景にキャタピラーや素材のダウなどの下落に押され、株価は軟調となった。 老後の資金をどう守るか――。先週末からの突然の株式相場の混乱で、米国の個人投資家向けメディアはこうした話題でもちきりだ。確定拠出型年金401kを通じて株式投信に資金を振り向ける年金運用が主流となった米国では、株式相場の急落は退職資金の目減りにつながり、死活問題になりかねないためだ。 日本でも今年初めから導入された新NISA(少額投資非課税制度)で投資デビューした個人は年初から堅調となっていた日本株相場が、経験したこともない急落に見舞われたことは相当なショックになったはずだ。 米国人も今回の市場の混乱に驚いたのには違いないが、比較的諦観の姿勢が目立ったのは、株式投資家として数多くの「危機」を通過した上での教訓が背景にある。 2000年初めのIT(情報技術)バブルの崩壊、01年の米同時テロ、同じ年のエンロン事件、08年のリーマン・ショック、直近では20年の新型コロナのパンデミック。その都度、米国人はこの世の終わりのような株式暴落を経験した。そこで学んだことは、危機の後にはかならず相場は回復するということだ。 リーマン・ショック時にはS&P500種株価指数が1年間に3割超の下落に見舞われた。401kを通じてすべての資金をS&P500のインデックス投信に振り向けていた人はその年に退職金が3割超目減りしたことになる。その後09?10年の2年間でほぼ下落分を回復した。08年に恐怖から保有株式投信を売った人は損失を確定し、我慢して保有し続けた人は2年で含み損を解消した。 こうした数々の危機を通じて、個人投資家も年金制度を監督する米政府も学んだことがある。分散投資と長期投資だ。 「ターゲット・デート・ファンド」がそれだ。若い時には株式などリスクの高い資産を多く組み入れ、退職をする「目標年(ターゲット)」が近づくにつれてリスクの低い債券や短期金融商品などの配分を自動的に増やしていく運用商品だ。米国では90年代前半に誕生し、06年の法改正に伴い401kの初期設定(デフォルト)商品に指定する企業が増え、それをきっかけに運用資産が急拡大した。 いったんこのファンドを年金運用対象として設定したら、退職するまで投資のことを忘れても、長期の分散投資をすることができる。年金制度の運用で米政府が学んだことは、当初の401kで主流だった、素人が投資先を自分で選別するのは無理があるということだ。退職金運用のために自社株だけに投資するのもリスクが高いということは破綻したエンロン事件で学んだ。 投資の神様と個人投資家が信奉するウォーレン・バフェット氏は、素人はS&P500種のインデックス投信に何十年も投資しておけばいい、といつも株主にアドバイスしている。新NISAで初めて株式乱高下の洗礼を受けた日本の個人投資家も、あわてて株を売るのではなく、数十年単位の長い目でゆったりと構えて現在の相場の荒波を乗り越えることが賢明といえるだろう。【関連記事】・米株乱高下、景気耐久力で選別 拭えぬ景気不安・NYダウ反落234ドル安 金利急変動、投資家不安が加速2024/08/08 12:12:2443.名無しさんr6lrG日本株「戻り待ちの売り」、主体の1つは韓国勢 7日の売越額、6年8カ月ぶり大きさ2024/08/08 14:03 日経速報ニュース 【NQN香港=須永太一朗】連日、荒い値動きが続く日本株相場。暴落後の再浮上の勢いを鈍らせている投資主体の1つが韓国勢であることが分かった。7日は3984万ドル(約58億円)の売り越しで、日次の売越額として2017年12月以来、約6年8カ月ぶりの大きさだった。日本株相場は5日に暴落した後、6?7日と戻り歩調にあった。その中で活発に戻り待ちの売りを出したようだ。 韓国で証券預託や決済業務を担う韓国預託決済院(KSD)のデータをもとに調べた。KSDは国内投資家の株式や債券の日々の売買動向を、主要な投資先の国・地域別に公表している。前営業日の動きを翌日には公表し、速報性が高い。 韓国勢は日経平均株価が史上最大の下げ幅となった5日に945万ドルを売り越し、一転して過去最大の上げ幅を記録した6日も658万ドルの売り越しだった。7日には売越額が前日の6倍に急増した。7日は日銀の内田真一副総裁の発言をきっかけに日銀の追加利上げへの懸念が一服し、日経平均は前日比で一時3.38%上げた。それまで様子見姿勢だった韓国勢からも活発に売りが出たようだ。同日の日経平均はその後に伸び悩み、1.19%高で終えた。 韓国投資家の売り越しが前回大きかった2017年12月18日の売越額は7360万ドル。当時は減税などを盛り込んだ米税制改革法案の成立期待から、日経平均は5営業日ぶりに反発。東証株価指数(TOPIX)は26年1カ月ぶりの高値を付けた。相場の上昇局面で売り越しが増えたのは今回も同じだ。 日本株市場での韓国勢の存在感は比較的小さいが、「やれやれの売り」の姿勢は他の多くの投資家もとっているとみられ、日経平均は8日も力強さを欠いている。根強い売り圧力は、引き続き相場の戻りの足かせになりそうだ。2024/08/08 14:08:2944.名無しさんr6lrG東証14時 日経平均が再び軟調 海外勢が戻り待ちの売り2024/08/08 14:26 日経速報ニュース 8日後場中ごろの東京株式市場で日経平均株価は再び軟調な展開になっている。前日比80円ほど安い3万5000円台前半で推移している。午前に節目の3万5000円を上回り、一部の海外投資家が戻り待ちの売りを出しているとの見方があった。午後に300円超下落する場面もあった。ただ、前日に決算を発表したアサヒやニトリHDといった好業績銘柄への買いが続き、指数は再び上昇に転じるなどやや荒い動きとなっている。 このところの相場下落を招いた要因のなかで日銀の追加利上げへの警戒は内田真一副総裁の発言を受けて後退している。市場では「これから発表される米国の経済指標を通じて米景気悪化への懸念も和らげば本格的に戻りを試す」(東洋証券の大塚竜太ストラテジスト)との見方があった。 14時現在の東証プライムの売買代金は概算で3兆8418億円、売買高は17億2145万株だった。レーザーテクは午後に制限値幅の上限(ストップ高水準)で買い気配となっている。ファストリやダイキンなどの値がさ株も上昇している。一方、TDKや太陽誘電などの電子部品株が売られ、資生堂やソフトバンクグループ(SBG)も安い。2024/08/08 14:47:4045.名無しさんVxtrB海外勢、日本株買い「リセット」 短期マネーが下げ主導2024/08/08 16:25 日経速報ニュース 海外投資家が日本株の買い持ち高を一旦「リセット」した。金融市場が揺らいだ7月第5週(7月29日?8月2日)に、株価指数先物を含めて1兆617億円を売り越した。ヘッジファンドなど短期マネーの資金流出が目立ち、2024年初来からの累計で売り越しに転じた。日本株が再び上昇軌道に戻るには長期投資家の定着がカギになりそうだ。 日本取引所グループが8日発表した投資部門別売買動向によると、海外投資家の7月第5週の日本株売越額は先物が5092億円、現物が5524億円だった。現先合計で売りが買いを上回るのは3週連続だ。 海外投資家の買い越しと売り越しの差額を年初から累計すると、7月第2週時点では2.5兆円超の買い越しだった。第3週からの3週間で売越額が3.4兆円となり、全てを吐き出したことになる。 「ヘッジファンドは日銀の政策決定会合前に円売り・日本株買いのポジションを膨らませていた。その逆回転が一気に起きた」。ゴールドマン・サックス証券のアジアパシフィックグローバルエクイティ営業部統括、ジョン・ジョイス氏はこう分析する。 日銀が利上げを決めた7月31日の日経平均株価は上昇して終えた。だが翌日から米景気不安による米利下げの前倒し観測が台頭、円高・株安が急速に進んだ。 ヘッジファンドなどは一般的に手元にある資金に借入資金などを合わせてレバレッジをかけた運用をする。日経平均の日中値幅は7月31日以降、1000円超えが続いている。別の外資系証券の日本株営業責任者は「株価の変動がこれほど大きくなった根本的な理由が分からないため、リスクに敏感な短期筋は離れざるを得なくなった」とみる。 長期運用を前提にした年金基金などを顧客に持つ長期投資家は動じていない。現物株に限った年初からの累計額をみると、ピークの5兆円弱からは減ったものの、なお3兆2681億円の買い越しだ。企業価値を分析する投資家の目には急落局面で個別銘柄が安く映る。 スイスの大手運用会社、ピクテでマルチアセット戦略を担うシャニール・ラムジー氏は日経平均が1987年のブラックマンデーを超える下げ幅となった5日以降に日本株を買い増した。運用資産に占める日本株の比率を7ポイント引き上げ12%にしたと明かす。「日本企業の業績見通しは良好だ。株価が調整しバリュエーション面の魅力が増した」という。 米JPモルガン・アセット・マネジメントも日本株に対する前向きな見方は不変だとして、グローバルの資産運用戦略で日本株の持ち高を変えていない。株式マルチアセット投資戦略室長の国京彬氏は「上場企業による自社株買いの動きは株価を下支えしそう。相場が落ち着けば慎重に買い場を探る」という。 虎視眈々(たんたん)と収益機会を狙う投資家もいる。旧村上ファンド出身者が設立した投資ファンドのエフィッシモ・キャピタル・マネージメントは2日と5日に第一生命ホールディングス株を計150億円超買い増したことが、開示資料で明らかになった。 一方で欧州系運用会社ナティクシス・インベストメント・マネージャーズの戦略責任者、マブルック・シェトゥアン氏は「パニック局面で持ち高を変えることは運用成績の悪化につながりやすい」と静観する。「グローバルな景気サイクルの鈍化を踏まえて日米欧とも株式の持ち高は減らす方針だ」と話す。 世界最大の資産運用会社、米ブラックロックは5日付のリポートで「日銀が政策判断で間違いを起こすリスクが高まるなか(日本株に対する)確信は下がっている」として、日本株への投資判断の見直しに入ったことを明らかにした。検討の上でオーバーウエート(強気姿勢)維持を決めたものの、長期投資家の間でも日本株への警戒はじわりと出ている。 日本株の乱高下は先進国市場では異例の大きさとなった。日経平均が最高値(4万2224円)をつけたのは7月11日。8月5日には3万1458円と1カ月もたたぬうちに2割強も下げた。 ゴールドマンのジョイス氏は「新興国市場かのような動きだった。これまでデフレ脱却や企業のガバナンス改革から日本株を『買いだ』と思ってきた海外投資家が疑いを持つとしたらとても残念だ」と話していた。【関連記事】・日経平均が乱高下、「低金利・低変動・円安」前提の取引裏目・日経平均が歴史的急落、円高と共振 米景気悪化を懸念・日経平均2216円安、脱・緩和頼みの途上 米景気下振れ警戒2024/08/09 01:18:1846.名無しさんVxtrB日本株、国内年金の買いか 7日のTOPIX先物手口で思惑2024/08/08 15:24 日経速報ニュース 過去1カ月続いた急落相場に一服感が出てきた。日経平均株価は7月11日に付けた過去最高値(4万2224円)から8月5日(3万1458円)まで1万766円(25%)下落した後、3万1000円が下値となり、3万5000円前後まで戻している。7日にみられた立会外取引でのTOPIX先物の大口の手口で、国内年金が買い出動したのではとの観測も浮上した。 日銀の内田真一副総裁のハト派発言で、900円あまりの下げから、1200円高まで大きく変動した7日の日経平均。内田氏の挨拶は10時30分からだったが、株式市場では9時30分前後から東証株価指数(TOPIX)が日経平均に先行する形で上昇に転じ、上げ幅を広げる展開となっていた。銀行など金融株を中心にTOPIXとちかい値動きをするTOPIX型銘柄に力強い上昇がみられ、今月に入ってからの株価急落と金利低下(債券相場は上昇)を受け、投資余力が高まったとみられる国内年金の買いが一部市場で観測されていた。 市場では7日の大阪取引所の立会外取引に当たるJ-NET市場で大口のTOPIX先物の約定があったことが話題となっている。同日はゴールドマン・サックスで1万5104枚の手口がみられた。売りと買いの合計枚数のため、ネット(差し引き)はわからない。TOPIXが歴史的な急落を演じ、大商いを演じた5日にはこうした大口の手口はみられなかった。 市場では国内年金は出動する際、ゴールドマンを先物業者として使用することが多いとの見方が以前から聞かれる。立会外取引での同社の大口の手口は当て推量で国内年金が動いたとの見方につながりやすい。 野村証券によると6日時点で年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の国内株式のウエートは22%台半ばと、基本ポートフォリオであるウエート(25%)を3ポイント程度下回る。仮に基本ポートフォリオにウエートを戻す場合、国内債券など他の金融資産の価格が一定であれば、4?5兆円の国内株式の買いが必要になる計算だという。 買い出動と仮定した場合、先行して先物買いで手当てした後、先物を売り資金を現物株に振り向ける「エクスチェンジ・オブ・フューチャー・」フォー・フィジカル(EFP)」の可能性がありそうだ。 日本株全体では約800社がストップ安と異例の展開だった5日。日本株は売られ過ぎとみたあるアクティブ・ファンドの運用者はTOPIX先物に買いを入れた。アクティブ・ファンドのため、通常は先物を売買しない。ただ、5日はストップ安で普段、投資するような銘柄が買えなかったため、先物で下値を拾い、その後、現物に振り替える動きをみせていた。 企業の自社株買いにも投資家の注目は集まる。7日にソフトバンクグループ(SBG)が5000億円を上限に自社株買いを実施すると発表した。クボタは300億円としていた従来の自社株買い計画を500億円に引き上げた。NTTが2000億円、大和ハウスは1000億円など7日だけで1兆円近い自社株買いの設定があった。自社株買いの拡充は経営状況を知る経営者が自社の株価が割安だと市場に知らせるアナウンスメント効果があるとされる。 UBSの守屋のぞみ株式ストラテジストは過去も株価調整後に企業の自社株買いが拡大する傾向があったと指摘し、「今回の日本株の大幅下落は、自社株買い取得の好機となる可能性」との見方を示す。今後3カ月間で自社株買いを発表する可能性がある企業として伊藤忠やスズキ、シマノなどをあげる。今回の株安を受け、日本株市場で最大の買い主体である企業の自社株買いが一段と増加すれば、禍を転じて福と為す可能性がある。 8日午前の日本株相場も売り先行後、大きく下げたところからプラス圏に切り返す場面があった。相場変動率の高い状況が続き、折に触れて急落する場面は今後もありそうだが、日本株の下値を支える投資家の勢いは確実に増している。 【関連記事】・日経平均、900円超安から一転急騰 「ハト派日銀」に安堵・公的年金GPIF、23年度運用45兆円プラス 最高を更新2024/08/09 01:23:2147.名無しさんVxtrB日本、海外資産が稼ぎ頭に 所得収支19兆円黒字 1~6月最大に 貿易赤字、訪日客で補う2024/08/09 日本経済新聞 朝刊 円安の中、日本が貿易ではなく海外への投資で稼ぐ構造が定着している。財務省が8日発表した2024年上半期(1~6月)の国際収支統計(速報値)では、投資の収益を示す第1次所得収支の黒字は19兆1969億円と過去最大を更新した。貿易収支は赤字が続いた。 モノやサービス、投資など海外との取引状況全体を表す経常収支は12兆6817億円の黒字だった。前年同期から59.2%増えた。黒字幅は上期として過去2番目の規模となった。 経常収支は輸出から輸入を差し引いた貿易収支や、外国との投資のやりとりで得られた収益を表す第1次所得収支、旅行収支を含むサービス収支などで構成する。 24年上半期は第1次所得収支の黒字が10.0%伸びた一方、貿易収支とサービス収支はいずれも赤字だった。半期で見れば21年下半期からこの構図が続く。 第1次所得収支で大きいのが海外子会社からの配当などで得られる「直接投資収益」で、黒字額は11兆4022億円と前年同期から4.5%伸びた。国内企業が活発に海外展開した成果が表れており、円安も円換算額を底上げした。 株や債券の投資で得た「証券投資収益」は7兆1219億円の黒字と、前年同期から2割伸びた。米国の金利高で債券利子の受け取りが増えた。 貿易赤字は2兆6118億円となった。資源価格の上昇は止まったものの、輸入額は依然として高い水準にある。輸出額の伸びは限定的で、差し引きの収支は21年下半期から6半期連続で赤字が続く。 上期としての経常収支の黒字が一番大きかった07年は貿易収支が6兆円を超す黒字だった。国内製造業が積極的に輸出を増やし、貿易で一定の稼ぎを得ていた。現在は貿易収支が赤字になる一方、第1次所得収支の黒字が当時の2倍に増えた。 製造拠点の海外移転も進み、ものづくりから投資活動で稼ぐ構造が定着した。歴史的な円安でも輸出が増えにくい背景には日本経済の体質の変化がある。 サービス収支の赤字は1兆7511億円となり、赤字幅は前年同期から15.4%縮んだ。 インバウンド(訪日外国人)需要の高まりによる旅行収支の伸びが下支えした。旅行収支の黒字幅は2兆5939億円と前年同期の1.6倍を超え、半期として過去最高だった。1~6月の訪日客数が1700万人余りと過去最高を更新したことが大きい。 他方、海外IT企業へのデジタルサービスの使用料の支払いといった「デジタル赤字」は拡大が続く。上期は3.1兆円と、赤字幅が前年同期から12.8%拡大した。再保険料の支払いなどで保険関連の赤字幅も広がる。 投資活動による所得黒字は貿易黒字と異なり、国内の雇用を増やす効果は限定的とみられる。海外とのやりとりにおける稼ぎ頭が変わる中、経常黒字が経済全体に与える影響も以前とは異なってくる。2024/08/09 06:47:1548.名無しさんVxtrB日経平均、米株高や円安が追い風(先読み株式相場)2024/08/09 08:01 日経速報ニュース 9日の東京株式市場で日経平均株価は反発か。前日の米株式相場の上昇を受け、東京市場でも幅広い銘柄に買いが先行するだろう。前日終値(3万4831円)を1100円ほど上回る3万6000円前後が上値メドとなりそうだ。 8日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前日比683ドル(1.76%)高の3万9446ドルで終えた。朝発表の米雇用指標が労働市場の底堅さを示し、景気懸念が和らいだ。投資家心理の改善に伴う買いが景気敏感株を中心に入った。 エヌビディアが6%の上昇となるなど主要ハイテク株も軒並み上昇し、ナスダック総合株価指数は2.86%、主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)は6.86%それぞれ上昇した。 S&P500種株価指数の予想変動率を示し「恐怖指数」とも呼ばれる変動性指数(VIX)は前日から大きく低下した23台で終えた。依然、投資家の不安心理の高まりを示すとされる20を上回るが、5日に付けた60台からの低下傾向は鮮明となっている。 前日の米株高を受け、きょうの東京市場では半導体や自動車など幅広い銘柄に買いが先行するだろう。9日早朝の大阪取引所の夜間取引で日経平均先物は上昇し、9月物は前日の清算値に比べ920円高い3万5700円で終えた。 9日早朝の外国為替市場で円相場は1ドル=147円台前半と前日夕時点に比べ1円以上の円安・ドル高で推移している。7月末の日銀の利上げをきっかけに、低金利の円を借りて米ドルなどの高金利通貨に投資する「円キャリー取引」の巻き戻しが発生したが、そうした動きが一服したとの見方が出ている。 8日の日経平均は前の日に比べ258円(0.74%)安の3万4831円だった。下げ幅は一時、800円を超えたが、下値では買いが入り、底堅さを意識させる展開だった。東証プライムの売買代金は5兆3509億円と、7日まで3日連続で7兆円台の大商いが続いていた状況から大きく減少した。きょうは10?12日の3連休を控え、個人投資家などからの戻り待ちの売りが相場の上値を抑える可能性がある。 気象庁は8日、宮崎県で同日発生した地震を受けて、大規模地震が発生する可能性が平時より高まっているとして南海トラフ臨時情報の「巨大地震注意」を初めて発表した。市場ではとりあえずは相場への影響は限定的との見方が多い。 個別では東京エレクトロンへの関心が高い。8日に2025年3月期の連結純利益が前期比31%増の4780億円になりそうだと発表した。従来予想の4450億円から上方修正し、市場予想も上回った。生成AI(人工知能)向けなどで半導体製造装置の販売が伸びる。第1四半期の決算発表時から通期の業績予想を上方修正したことを好感する買いが集まるだろう。 国内では三越伊勢丹や日本郵政、第一生命ホールディングスが4?6月期決算、楽天グループとブリヂストンが1?6月期決算を発表する。社数ベースでは4?6月期決算発表のピーク日となる。寄り付きで株価指数オプション8月物の特別清算指数(SQ)が算出される。2024/08/09 08:06:3449.名無しさんVxtrB円キャリーバブル「320兆円」の正体 邦銀に影(永井洋一)2024/08/09 07:57 日経速報ニュース 世界屈指の超低金利通貨「円」を舞台とした世界的な金融・株式市場の大混乱は、まだ序章にすぎない。円安が新たな円キャリー取引を呼び、円キャリー取引がさらに円安を加速させる「円キャリーバブル」。その崩壊は日本の金融機関にも影を落とす。 円を借りて高利回りの金融商品で運用する円キャリー取引は円安になれば返済額が減るが、円高に転じると返済額が膨らむレバレッジ性の高い取引だ。一般の人には無縁だが、ヘッジファンドやCTA(商品投資顧問)が多用するとされ、その結果、市場が過度に変動するため、にわかに注目を集めている。米著名投資家ウォーレン・バフェット氏が円建て債を発行して商社株を買ったのもその一例だ。 最大の問題は、円キャリー取引の規模が、実はよく分かっていない点にある。 オランダ金融大手のINGは8月2日付のリポートで、国際決済銀行(BIS)のデータを基に「国境を越えた円の借り入れは2021年末から7420億ドル(112.2兆円)増加した」と分析した。 BISによれば世界の銀行による円建て債権の総額は24年3月末時点で328兆円。21年末比で52%増加した。ドルベースでも16%増加した。このうちヘッジファンドや年金などのノンバンク向けは6割を占める。金額にして約200兆円だ。 /home/member/news/202408/ucljpg_718eaf6e6c90b1c4a99b8515eedaa095.jpg?format=raw 日銀によれば、国内銀行海外支店の貸出金は5月末時点で117兆円。21年末比で44%増加した。この間の円の対ドル相場の下落率27%を大きく上回る。 /home/member/news/202408/ucljpg_cac6b18e1596b51e24a129659d37214a.jpg?format=raw 国境を越えた円建て債権には、日本企業が海外事業のために日本国内で調達した円資金なども含まれる。いわば広義の円キャリー取引残高だが、円安が有利に働くのは変わりない。金融市場を揺るがす円キャリーバブルの正体だ。 21年末以降、円キャリーバブルが膨らんだのは日米金融政策の方向性が逆になったからだ。米連邦準備理事会(FRB)は利上げに転じる一方、日銀はマイナス金利政策を続け、金利差が急拡大した。 円キャリーを利用する投資家にとって、日米金利差の拡大は収益機会であると同時に為替ヘッジコストの増加でもある。「金利差=ヘッジコスト」だからだ。INGは「法外なヘッジコストはヘッジ比率が低いままであることを意味する」と指摘する。為替変動リスクを丸抱えで日本株や米ハイテク株で運用していた円キャリー投資家も少なくないとみられる。 その結果、相場の急変で円キャリー投資家は、こぞってポジションの巻き戻し、つまり円買いと投資先商品の売却に走り、市場のボラティリティー(変動率)を跳ね上げた。ボラティリティーの上昇はボラティリティーをリスク管理指標とする投資家や金融機関の新たな円買い・ドル売りやリスク資産売りを誘発し、世界の金融・株式市場は大混乱に陥った。 5日に日本の銀行株が急落したのも、円キャリー取引の解消と無縁ではない。邦銀は異次元緩和で国内がもうからなくなり、13年ごろから海外に収益機会を求め、22年以降は加速した。銀行株が急落したのは、円金利上昇と円高で円キャリー取引の債務不履行が急増することへの懸念からにほかならない。だから、日銀の内田真一副総裁は「ハト」の顔をみせたのだ。投資家が「金利上昇=銀行株高」と思い込んでいるがゆえの死角だ。 円相場は過去に円キャリーバブル崩壊を経験済みだ。1998年8月の1ドル=147円20銭から99年1月の108円96銭まで35%上昇した。「LTCMショック」で円買い・ドル売りが殺到したためだが、背景には日本の金融危機をテーマとした円キャリー取引の拡大があった。 異次元緩和が生んだ未知の破壊力を秘める円キャリー取引。第2、第3のLTCMショックの火種は膨らんでいる。金融緩和を続ければ円キャリーバブルは巨大化する一方だ。日銀の利上げは英断と言えるが、ビハインドザカーブ(後追い)の感は否めない。株式市場の「わがまま」を聞いている場合ではない。2024/08/09 08:09:0250.名無しさんVxtrB日本株、急落相場「第1波」終了へ 戻りのメド2割か2024/08/09 13:10 日経速報ニュース 過去1カ月続いた急落相場に底入れの兆しが出てきた。7月末の日銀の利上げと米景気後退入りへの懸念が誘発したリスクオフは落ち着きつつある。急落相場の「第1波」が終了したとみた場合、当面の戻りのメドとして2割上昇が意識される。 午前の日経平均は前日比549円(1.58%)高の3万5380円で終えた。上げ幅は一時800円を超えたが、戻り待ちの売りなどが出て上値は重かった。8日に2025年3月期の業績予想を上方修正した東京エレクトロンは一時10%高となったが、買い一巡後は売りに押され下落に転じる場面があった。日経平均が過去最大の下げ幅を演じた5日前後に主力株を買った個人やヘッジファンドなどは明日からの3連休を前に、急落後のリバウンドが大きかった銘柄への利益確定売りニーズが強いとの声も聞かれる。 日経平均は7月11日に付けた過去最高値(4万2224円)から8月5日(3万1458円)まで1万766円(25%)下落した後、反転しきょうの午前時点では5日安値から3922円(12%)戻した。東証株価指数(TOPIX)も7月11日に付けた最高値から5日までに23%下落し、午前時点では12%戻した。 野村証券が1987年のブラックマンデーから7月の「日銀ショック」まで過去14回のTOPIXの急落局面について、第1波の底入れまでの下落率を調べたところ、平均は22%だった。一方、底入れから次の高値を付けるまでの戻り局面での平均上昇率は19%だ。 過去の歴史的な急落時におけるTOPIXの直前の高値から一度底入れするまでの平均下落率がおおよそ2割強だったとみれば、今回の急落の第1波はいったん終了したとみられそうだ。底入れ後、2割程度戻すという過去の急落後のパターンを今回に当てはめてみると日経平均は3万7700円台、TOPIXは2600台後半が戻りのメドになる。 市場の見方は分かれる。UBS SuMi TRUSTウェルス・マネジメントの小林千紗・日本株ストラテジストは「日本株は大底を入れたもよう」との見方を示す。TOPIXはPER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)でみたバリュエーション(投資尺度)面で長期投資家にとり魅力的な水準まで低下したと説明。短期的にはレンジ相場となるが、10月の4?9月期決算発表と11月の米大統領選が終わった後で「持続的な回復が始まる」との見方を示す。 半面、第一生命経済研究所の藤代宏一主席エコノミストはブラックマンデーなど過去の急落時で二番底を付けに行く展開となった例をあげ「一度壊れたマーケットは2カ月程度は簡単に戻らないため、今回も二番底を付けに行く可能性がある」と話す。米株の変動性指数(VIX)が急落前の水準にまで低下するなど、投資家にとって安心感が高まる証拠が出るまでは二番底の懸念は残るという。 相場変動率の動きが当面の鍵を握る。変動率の高まりで持ち高の変動リスクを抑えようとするのは価格変動率を元に資産配分を決める「リスク・パリティー戦略」を採る機関投資家だけでない。「商品投資顧問(CTA)からマーケットメークを担う高頻度取引(HFT)業者を含めほとんどの参加者が持ち高を落とす」(フィリップ証券の増沢丈彦株式部トレーディング・ヘッド) そのため、流動性の供給が減り、ビッド(売値)とアスク(買値)の差が広がるため、従来は1ティック(1度の値動き)で1000株買えていたものが、2ティック必要になるなどし、市場の変動率がさらに高まる悪循環になりやすい。 米BofA証券によると、米大統領選の年のVIXは7月から11月にかけ平均で25%上昇する傾向があるという。VIXは8日に大きく低下し、23台で終えた。5日に付けた60台からは大きく低下したが依然、投資家の不安心理の高まりを示す20を上回る。VIXが再び上昇すれば、日本株の相場変動率の上昇にもつながりやすい。ただでさえ市場参加者が少なくなる8月相場。過去のパターンでみればいったんは戻りを試しやすい局面に入ったが、相場変動率の急変に配慮を怠らないことが重要だ。2024/08/09 13:15:3251.名無しさんtlCeW為替変動を躱せ?2024/08/10 08:08:5352.名無しさんska44「壊れた」相場、嵐は去らず 米景気で変動大きく2024/08/11 04:00 日経速報ニュース 「相場が壊れた」。5日、日経平均株価は4451円安と史上最大の下げを演じ、市場のプロからもたじろぐ声が漏れた。「一度壊れた相場は簡単には元に戻らない」。シティグループ証券の松本圭太市場営業本部長はいう。 「植田ショック」「日本版ブラックマンデー」――。様々な呼び名がつく今回の急落のきっかけは、円売り・日本株買いに傾けてきたCTAやグローバルマクロ系ヘッジファンドなど短期勢による持ち高の縮小だ。 投資家は利上げに慎重な日銀と堅調な米景気を前提に、低金利の円を借りリスク資産に投資する「円キャリー取引」も膨らませていた。だが7月末、日銀は利上げを実施。米国では弱い経済指標が相次ぎ景気懸念が台頭した。「日本株を買うマクロ面の前提が崩れた」(UBS証券の守屋のぞみ株式ストラテジスト) 本格反転に時間 日経平均は6日には3217円高を記録し、9日に3万5025円まで戻した。市場では「5日が底だった」との声も上がる。海外投資家に人気のリクルートホールディングスなどには押し目買いが入った。 嵐は去ったのか。日経ヴェリタスは改めて相場見通しを市場関係者に聞いた。11月の米大統領選後に不透明感が払拭され、日経平均は年末に向けて上昇するとの見方が多い。「企業統治改革などミクロ面の好材料はなくなっていない」とUBS証券の守屋氏はいう。 過去の株価急落時を振り返ると本格反転まで1?2カ月かかるケースが目立つ。例えば2013年5月。当時のバーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長の量的緩和縮小発言が円高・株安を招き、6月半ばまで調整が続いた。15年8月のチャイナショックでは変動率が高まった資産を減らすリスクパリティ戦略の売りが株安を増幅させ、底入れまで2カ月かかった。 今回の急落前と後での最大の違いは円相場だ。7月上旬の1ドル=160円台に対し、足元は147円前後で推移する。日本企業の想定為替レート並みで、円安による業績上振れ期待は吹き飛んだ。株価の上値余地は縮小し、UBS証券は日経平均の年末予想を4万2000円から3万9000円に変更した。シティグループ証券やSMBC日興証券も見通しを引き下げた。 怖いのは「4?9月期決算で上方修正期待が?落すること」(ピクテ・ジャパンの松元浩シニア・フェロー)だ。会社予想に対する進捗率が5割を下回るなどすれば「市場は減益リスクを意識し始める」(松元氏)。年末高シナリオは消え、株価の低迷が長引きかねない。2024/08/11 06:08:1453.名無しさんska44 リスク織り込みは半ば JPモルガン証券の高田将成クオンツストラテジストは「米景気後退や地政学リスクの高まりを市場は十分に織り込んでいない」と警鐘を鳴らす。米金利先物の値動きから米政策金利を予想するFedウオッチによると年内に1%以上利下げする確率は約8割。米債市場がリセッションを意識するのに対し株式市場では依然「ソフトランディング(軟着陸)」がコンセンサスだ。景気後退に目が向けばもう一段のリスクオフの可能性もある。 緊迫化する中東情勢への反応も鈍い。7月末、イスラム組織ハマスのハニヤ最高指導者(当時)がイランの首都テヘランで暗殺された。イランはイスラエルによる攻撃だとして報復を示唆する。1バレル76ドル台で推移する米原油先物が今後、急上昇しないかには注意が必要だ。 波乱相場が続く場合、相場全体との連動性が低い銘柄に資金を逃がすのも選択肢になる。過去60カ月ベースで東証株価指数(TOPIX)と連動性が低く配当利回りが2.5%以上と比較的高い銘柄を抽出したところ、明治ホールディングスやツルハホールディングスなどが入った。内需銘柄は一般に円高が進めば輸入コストが低下するメリットもある。 日本株を襲った夏の嵐は一旦収まったかにも見える。だが、日米の金融政策の先行きに市場関係者はこれまで以上に神経をとがらせる。11月の米大統領選も不確実性をもたらす。リスクを再点検し、賢く備えよう。2024/08/11 06:09:1854.名無しさんska44 株、年内の高値見込まず 市場のボラティリティー(変動率)は株価急落前より高い水準が続き、日本株には当面、乱高下への警戒が必要との声が聞かれる。今後の日経平均株価の見通しについては、年末にかけて4万円前後まで上昇するとの予想が多い。企業統治改革や少額投資非課税制度(NISA)経由の個人マネーの流入が続くためだ。ただ為替の前提が変わり、今年の高値(4万2224円)には届かないとの見通しだ。 ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは年末に4万円を試すと予想する。3万5000円程度に戻った後、米大統領選前まではもみ合う。その後、不透明感の払拭で年末高という流れだ。「米株安は買われすぎだったハイテク株の調整にすぎない。米経済のソフトランディング(軟着陸)シナリオは崩れていない」と話す。 野村アセットマネジメントの石黒英之チーフ・ストラテジストは日米の金融政策に注目する。外国為替市場で円高が進んだこともあり「日銀による年内の追加利上げはない」とみる。一方、米国では9月の0.5%利下げが織り込まれている。「米利下げはバリュエーション(投資尺度)を押し上げる」と予想する。日本企業の1株当たり利益(EPS)の拡大も評価され、年末には3万8500円まで戻るという。 9月高値を予想するのは智剣・Oskarグループの大川智宏主席ストラテジストだ。PER(株価収益率)面での割安感などから短期的に3万7000円までは上昇する想定だ。ただ「それ以上は買う材料がない」。特に4?9月期の決算発表に警戒する。円高が止まらなければ企業業績の下方修正ラッシュが起こりうる。仮に米大統領選でトランプ氏が勝利すると地政学リスクも一段と高まりかねない。11月に3万1000円と今回の安値水準まで下がるとみる。2024/08/11 06:10:2355.名無しさんska44 年末高シナリオの最大のリスクは米国が景気後退に陥ることだ。「金融市場の混乱が逆資産効果を通じて米経済を悪化させる可能性もある」(石黒氏)という。米経済統計に左右されやすい相場環境を想定すべきだろう。 今後の物色動向を聞いたところ、内需関連銘柄を挙げる意見が多かった。日米金利差が縮小方向にある中で1ドル=160円台などの円安は見込みづらい。食品や外食では価格転嫁を進めてきた企業も多く、「円高になれば原材料コストが下がり、利ざやが改善する」(大川氏)という。 日銀の追加利上げなしを前提に金利関連銘柄を有望と見る声もある。ピクテ・ジャパンの松元氏は「不動産や電力、鉄道など有利子負債の多い銘柄が買い戻される可能性がある」と指摘する。 円高・ドル安へ、修正相次ぐ 外国為替市場では円高・ドル安方向への予想修正が相次いでいる。日銀による想定外の利上げやFRBの利下げ示唆、米景気後退懸念などの材料が重なり、積み上がっていた円売り・ドル買いの逆回転が加速した。ボラティリティーの急激な上昇で、内外の金利差を口実とした円売りも入りにくくなっている。 みずほ証券は5日、2024年末の円相場の見通しを1ドル=155円から146円に修正し、25年末には130円に向かうとした。山本雅文チーフ為替ストラテジストは「市場で円の買い戻し需要はなお強い」とみる。輸出企業によるドル売りの動きが今後本格化すれば円高進行が加速する可能性がある。 三井住友銀行の鈴木浩史チーフ・為替ストラテジストは「市場参加者は中長期のポジションがとりにくい。経済指標で大きく動く展開が続く」と警戒する。米景気減速が顕在化し、FRBの利下げへの思惑が広がれば一段の円高材料になるとみて、想定レンジを135?152円と置く。 三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作チーフ為替ストラテジストも24年末の円相場見通しを154円から147円に修正した。もっとも輸入企業による円売り・ドル買いや個人の外貨建て資産への投資需要といった円安要因が消えたわけではなく、「140円を超える円高水準では一定のドル買いが入る」と分析する。 日銀の金融政策見通しについて市場の見方は揺れている。植田和男総裁の(利上げに積極的な)タカ派姿勢が急激な円高の一因となっただけに日銀は動きにくくなるとの声があがる。SBI証券の道家映二チーフ債券ストラテジストは「株価の大幅調整が消費や企業の賃上げ意欲を冷やす可能性がある」と指摘。年内に日銀が利上げに動く可能性は後退したとみる。 長期金利については「利上げ観測が後退する中で上昇要因は乏しくなった」(岡三証券の長谷川直也チーフ債券ストラテジスト)。長谷川氏は年内0.7?1.4%で推移すると予想する。 米国の金融政策も円相場を左右する材料だ。年内1%以上の利下げを見込む割合が8割程度と市場は大幅利下げを視野に入れる。東海東京証券の佐野一彦チーフ債券ストラテジストは「遅かれ早かれ米国は景気後退に陥る可能性が高く、景気の落ち込みに応じて利下げ幅は大きくなる」と指摘する。2024/08/11 06:11:4156.名無しさんska44日米株や為替、もうひと波乱も 米CPI次第で値動き荒く-今週の市場2024/08/11 04:00 日経速報ニュース 日経平均、売り買い交錯 今週の日経平均株価は神経質な値動きになりそうだ。歴史的乱高下の余波で売り買いが交錯し、相場の方向感は定まりにくい。外部要因によっては再び波乱が起きかねない。 前週の日経平均は米国景気の後退懸念や急速な円高進行を受けて急落し、その後急反発した。PER(株価収益率)が低下した半導体関連株などには押し目買いが入りやすいが、「株価水準を上げると戻り待ちの売りが出る。上がったら下がるの繰り返しになりそうだ」(りそなアセットマネジメントの下出衛チーフ・ストラテジスト)。 三菱UFJアセットマネジメントの石金淳チーフファンドマネジャーは「日本株相場の上下動は続くものの、変動率自体は徐々に収まっていく」とみる。 14日発表予定の7月の米消費者物価指数(CPI)は米国株を含む相場の変動要因になる。中東情勢への懸念もあり、予断を許さない状況が続く。 米金利、上昇余地探る 米債券市場で長期金利の指標となる10年物国債利回りは上昇余地を探る展開か。7月の米雇用統計の下振れなどを受け、前週には一時3.6%台と1年2カ月ぶりの低水準を付けた。ただその後は米景気に対する過度な悲観が後退し、再び4%を付ける場面もあった。今週もこの流れを引き継ぎ債券売りが続く可能性がある。 岡三証券の鈴木誠シニア債券ストラテジストは「米連邦準備理事会(FRB)が年内に利下げに動くとの観測がある以上、米長期金利が4%という居心地が良い水準から大きく上昇するとは考えにくい」と指摘する。 国内債券市場では長期金利が横ばい圏の推移となりそうだ。14日には財務省が5年物国債の入札を実施する。前週には金利が急低下するなかで10年債入札が歴史的な不調となった。5年債入札でも需要が集まらなければ債券需給の緩みを意識して中期債を中心に売りが強まる可能性もある。 円相場、夏休み・祝日に警戒 外国為替市場で円は上値を試す展開との見方が多い。前週には一時1ドル=141円60銭台まで上昇した後、147円台後半を付ける場面もあるなど値動きが激しい展開となった。低金利の円を調達して高金利のドルで運用する「円キャリー取引」の巻き戻しの動きとみられており、円売り持ち高解消目的の円買いが入りやすい地合いが続きそうだ。 市場では「前週に激しく動いたことに加えて、夏休みの影響で市場の流動性が落ちており、値動きが大きくなりやすい」(みずほ銀行の南英明ディレクター)との指摘がある。12日は日本が祝日となるため取引が一段と細り、想定外の値動きとなる可能性もある。 14日には7月の米消費者物価指数(CPI)が発表される。米連邦準備理事会(FRB)の早期利下げが意識されており、インフレの鈍化が確認されれば急速な利下げを織り込みながらドル安が進む展開となりそうだ。 原油・金は底堅い展開に 原油市場は小幅に上昇する展開か。前週は米国や中国の景気減速懸念が和らぎ、投資家心理が改善した。週内には米国の生産者物価指数(PPI)や消費者物価指数(CPI)などの発表を控える。景気の底堅さが示されれば、原油にも買いが波及しそうだ。 前週は米失業保険申請件数が市場予想を下回ったことや、中国の消費者物価指数が改善したことから米中経済の減速懸念が後退。投資家のリスクオン選好姿勢が強まり原油先物に買いが入った。 みずほ銀行の江口侑希ヴァイスプレジデントは「米経済統計を引き続き注視する必要はあるが、相場全体の悲観的な見方はやや和らいでいるため小幅に上がる可能性がある」とみる。中東情勢悪化への警戒も引き続き相場を下支えしそうだ。 金(ゴールド)相場は中央銀行の買いなどを背景に底堅く推移している。中東の地政学リスク警戒や米利下げ観測が引き続き相場を下支えしそう。2024/08/11 06:14:2757.名無しさんDKFCX日本株に嵐、「避難先」銘柄は 相場低連動・還元策に注目2024/08/12 04:00 日経速報ニュース 日本株のボラティリティー(変動率)が高まり、急激な下げへの警戒は残る。荒れ相場の駆け込み寺となる銘柄は何か。相場全体の値動きに対する感応度や配当利回りなどの指標でスクリーニングしたところ、食品や小売り、住宅関連などの業種が浮かび上がった。 QUICKのデータを使い、東証株価指数(TOPIX)採用で時価総額100億円以上、予想配当利回りが2.5%以上などの条件を満たす銘柄を抽出し、対TOPIXのベータ値(60カ月)が低い順に並べた。新型コロナウイルス禍の影響を考慮し、短期(180日)のベータ値が平均より低いことも条件とした。 ベータは個別株と相場全体の動きの相関を表す値。TOPIXなどの指数と同じ動きなら「1」となる。1より小さくなるほど感応度が小さく、相場の調整局面で下値抵抗力を発揮する。内需中心で業績が安定している企業のほか、財務レバレッジの低い場合などに小さくなりやすい。投資家からの関心を表す指標とも解釈できるため、外国人持ち株比率と一定程度の負の相関があるとされる。「世界が本格的なリセッションに向かうのであれば、低ベータ銘柄への投資が有効になる」(野村アセットマネジメントの石黒英之チーフ・ストラテジスト) リストで目立つのが食品銘柄だ。総菜製造のフジッコや製粉会社のニップンなどはベータ値が0.05程度。市場全体の値動きに対する感応度が極めて小さい銘柄群といえ、日経平均が連日で大幅下落した8月1日からの3営業日も株価下落率は日経平均(20%)より10ポイント以上小さかった。 業績の安定性も注目される。食品メーカーや外食への液卵販売を主力とするイフジ産業は前期(2024年3月期)まで10期連続の営業増益だった。液卵事業は「今年に入って販売数量が前年を上回り回復傾向にある」(同社)といい、25年3月期の営業利益は前期比12%増と過去最高を計画する。 営業地盤を地方に置く銘柄にも注目だ。業績がグローバル景気に左右されにくいため、世界的なリスクオフ局面では有望な投資先になる。茨城県や千葉県などの関東圏で大規模ホームセンターを展開するジョイフル本田はベータ値がマイナスで、市場全体が下落したときにむしろ株価が上昇しやすいという珍しい特徴を持つ。ジョイ本田株は8月5日までの3営業日で6%安にとどまった。 このほか栃木県に本社を置くドラッグストアチェーンのカワチ薬品、北関東を中心にスーパーマーケットを展開するエコスといった小売銘柄もベータ値が低い。 リスクオフ局面では投資家の関心が配当に集まりやすいため、還元実績や財務体質に注目することも重要だ。福岡県などを地盤に住宅建材・設備をてがけるOCHIホールディングスは、24年3月期まで13期連続で増配中だ。今期から「連結配当性向30%以上」との目標を新たに導入し、積極的な還元姿勢を打ち出している。 化粧品のノエビアホールディングスも23年9月期まで12期連続で増配している。株主還元を含めたキャッシュマネジメントに注力し、自己資本利益率(ROE)は過去5期平均で13.2%と、同業他社に比べて高い。足元の配当利回りは4%台と、東証プライム市場の平均(約2.6%)を上回っている。2024/08/12 05:00:1658.名無しさんDKFCX 米国株、公益・ヘルスケアに資金シフト 「ディフェンシブ株をポートフォリオに加えるのは今からでも遅くない」。米モルガン・スタンレーのチーフ米国株ストラテジスト、マイケル・ウィルソン氏は8月初めの相場急変を受けて投資家向けリポートにこう記した。ディフェンシブ株に対する景気敏感株のリターン優位は4月頃にピークをつけたと指摘。過去のリスクオフ局面に照らし合わせれば、ディフェンシブ株への資金シフトはここからある程度時間をかけて進むとみる。 日本株に比べ株価の振幅が小さい米国株市場でも物色はディフェンシブ性の高い銘柄に向かっている。S&P500種株価指数が直近の高値をつけた7月16日からの騰落率をみると、上位にはヘルスケアや公益株が多く並ぶ。業績の変動が小さく、相対的に配当利回りが高いことなどがリスクを回避したい投資家からの関心を集めている。 ヘルスケアでは医療施設運営のHCAヘルスケアやユニバーサル・ヘルス・サービシズ、産業用品大手スリーエムのヘルスケア部門として4月に分離上場したソルベンタムなどに買いが集まっている。英バークレイズが7月下旬、「市場シェア拡大が期待できる」などとしてHCAヘルスケアの目標株価を376ドルから396ドルに引き上げるなど、4?6月期決算発表を経て好業績を再評価する動きも出ている。 公益ではエジソン・インターナショナル、エバーソース・エナジーなど電力会社が高い。予想配当利回りが4%前後、予想PER(株価収益率)が14?16倍台と、割高感のあるテック株などに比べた投資指標面での堅実さに注目が集まっているようだ。 市場全体の値動きに対する感応度であるベータ値が低い銘柄が物色されていることも特徴だ。米国防総省を主要顧客とする防衛企業のノースロップ・グラマン、ニューヨーク市に電気やガスなどのインフラを供給するコンソリデーテッド・エジソンは、対S&P500のベータ値(60カ月)が0.3程度と小さい。 その中で米国では日本と異なり消費株が敬遠されていることには注意が必要だ。「労働市場が軟化し、米国の投資家は消費株をリスク視している」(米ゴールドマン・サックスのチーフ米国株ストラテジスト、デイビッド・コスティン氏)。失業率の上昇や賃金上昇の鈍化によって消費意欲の減退が予想され、スナック食品のケラノバなど一部の銘柄を除けば軟調な消費株が目立つ。ヨガウエアなどスポーツ用品のルルレモン、美容小売りのアルタ・ビューティーの株価は3週間で約2割下落した。2024/08/12 05:01:3359.名無しさんDKFCX円売り越し、ほぼ解消 投機筋、85%減 円安圧力弱まる2024/08/12 日本経済新聞 朝刊 投機筋による円安圧力が弱まっている。米商品先物取引委員会(CFTC)によると、6日時点でヘッジファンドなど非商業部門(投機筋)の円売り越し幅は1万1354枚(1419億円)に減った。年初からの円安局面は転機を迎えた。 前週比で6万2106枚(85%)急減し、2021年3月以来、約3年5カ月ぶりの少なさとなった。ロシアによるウクライナ侵略などを背景にインフレが加速し、米連邦準備理事会(FRB)が22年3月に利上げを開始する前の水準に戻った。 円売り越し幅の推移は、低金利の円を調達してドルなどの高金利通貨で運用して金利差収益を得ようとする「円キャリー取引」の動向の一部を表すとされる。円を売って高金利通貨に両替するため、この取引が活発になるほど円売り圧力が強まる。 7月中旬に1ドル=161円台を付けていた対ドルの円相場は8月5日に一時、1ドル=141円60銭台まで上昇。この過程でCFTCのデータ上は円売り越し幅がゼロに近づいたため「円キャリー取引の一部は解消した可能性がある」(あおぞら銀行の諸我晃チーフ・マーケット・ストラテジスト)。 市場では円キャリー取引の規模感を巡り、論争が続いている。米ゴールドマン・サックスはCFTCデータからは「円キャリー取引は9割程度は巻き戻されたといえる」と指摘。米JPモルガン・チェースは6日時点で5~6割程度、その後も7割台まで巻き戻しが進んだとの見方を示す。スイスの金融大手UBSは巻き戻しの規模を4割程度とみる。 ヘッジファンドなどの投機筋は手元資金に借入資金を合わせてレバレッジ(てこ)をかけた運用を好む。円安が進んできた局面では、これに円キャリーを組み合わせた取引が横行してきたとされる。その動きに逆回転がかかったことで円高・株安が共振し、大幅な株安をもたらしたとの見方も出ている。 今週は14日発表の7月の米消費者物価指数(CPI)などが注目される。りそなホールディングスの井口慶一シニアストラテジストは「円相場は1ドル=145~150円あたりで落ち着きどころを探る展開になりそうだ」と話す。2024/08/12 06:22:4860.名無しさんYQWjX海外転勤でもNISA継続 口座の閉鎖・解約不要に 主要証券・銀行、対応へ2024/08/16 日本経済新聞 朝刊 会社員が海外転勤しても、少額投資非課税制度(NISA)を通じ投資を継続できるようになる。証券・銀行の主要13社を調べると、口座の閉鎖・解約を求めていたみずほ銀行、SBI証券が解約ルールを改定すると明らかにした。すでに手当てしている三菱UFJ銀行などを含めると大半の金融機関が対応し、NISA口座を閉鎖・解約しなくて済むようになる見通しだ。 日本経済新聞はネット・対面の大手証券10社とNISA口座の開設数が多い3メガバンクを対象に海外転勤時のNISA口座の対応を調べた。野村・大和など6つの証券会社と三菱UFJ銀行はすでにNISA口座を維持できるルールを整えているが、残る半数は口座の閉鎖や一般口座へ移管することを求めていた。 SBI証券は2025年1月、みずほ銀は同年までに海外転勤時でもNISA口座を維持できるよう手当てし、三井住友銀もルール改定を検討しているという。NISA口座数が500万を突破したSBI証券を含め、3社合算で対象顧客数は600万人程度にのぼるとみられる。楽天証券は15日、24年秋ごろまでに口座を継続保有できる対象商品を拡充すると明らかにし、auカブコム証券もルール改定を予定しているという。 閉鎖・解約ルールは日本と現地国の税制の違いを意識して設定している。 口座の閉鎖、売却や一般口座への移管などが必要と回答したauカブコム証券は「出国期間中に取引を行った場合、居住地での規制などに抵触する可能性がある」と説明する。NISAは日本の制度で、適用が及ばない現地で税制上のトラブルを懸念する声が根強い。海外にいると、相場急変時の情報をすぐに案内することが難しくなるという理由をあげた社もあった。 NISAは「18歳以上の日本の居住者」が対象で、海外に移住した場合は税法上制度が利用できなくなる。政府は海外転勤者を念頭に19年から書類を届け出れば、新規買い付けなど制約を伴うものの最長5年まで非課税で株式などを保有できる制度を導入している。 NISAのモデルとなった英国のISA(個人貯蓄口座)制度では海外に転勤した場合も口座を維持できるのが一般的だ。ただ、日本の場合は一般的ではなかった。 みずほ銀は新NISAで非課税期間が5年から無期限となり「顧客の資産形成に与える影響が大きくなったため継続保有制度の導入を検討している」と回答した。 そもそも会社員側の意識の問題もある。 「海外に赴任しても制度を知らずにNISAの手続きをしていない事例も多い」。大手企業の従業員らを対象に資産形成の相談に乗るFPコンサルティング(大阪市)の塩見太郎取締役はこう説明する。周知が十分にされていないのが背景にあるとみられる。 塩見氏は海外転勤が長い従業員に対しては外貨建て保険のほか、勤務地である海外金融機関の商品についても助言しているという。海外赴任時の制限を知らずにNISA口座を維持して買い付けを続けた場合、現地の税務当局に摘発されるリスクを抱えることになりかねない。 外務省によると、海外転勤者に代表される3カ月以上海外に居住して将来的に帰国する予定の在留邦人は23年で71万人いる。新型コロナウイルス禍で減少が続いているものの、大手の総合商社や製造業、金融機関にとって駐在員をおくる意義は幹部候補生の育成などを含めなお大きい。 新NISAは制度の恒久化や非課税枠の拡大が柱だ。日本証券業協会によると証券10社のNISA口座数は6月末時点で1520万件と前年同期比で3割増え、ネット5社は全体の8割近くを占めた。新NISAで投資信託を長期で積み立て、運用益を狙う手法が広がる。転勤で解約を余儀なくされれば運用の利点が薄れかねない。 調査を実施した金融機関からは「税務手続き全般が簡素化されれば、継続を前提とする手続きへの変更も可能」といった声も漏れた。税務上のトラブルを回避しながら顧客の長期投資を支援する、金融機関による工夫だけでなく、政府による制度の手直しも重要になってくる。2024/08/16 06:06:0161.名無しさんV6R4I新NISAで人気の配当株 銘柄選びの「傾向と対策」2024/08/17 04:00 日経速報ニュース 新しい少額投資非課税制度(NISA)で「高配当株」を買う人が増えている。定期的に非課税で配当を受け取れることが魅力のようだ。高配当株には相場全体が下げた時にも株価が底堅く推移するといった特徴もある。個人投資家に人気の銘柄や銘柄選びの手掛かりについてまとめた。 人気銘柄は配当利回り高く NTT、三菱UFJフィナンシャル・グループ、日本たばこ産業(JT)――。今年の上半期にNISA口座で買い付け額が大きかった個別株の上位には誰もが名前を知っている大手企業が並ぶ。共通するのが配当利回りの高さだ。 配当利回りは1年間の配当額を株価で割って求める。投資額に対し受け取る配当が何%かを示す。日経平均株価の採用銘柄の単純平均は約2.0%だが、16日時点の上位10社の平均は3.5%、8社が3%を超す。 配当利回りが高ければ単純に魅力的な銘柄とは言い切れない。業績への懸念などにより株価が下落し、配当利回りが高くなるケースもあるためだ。配当は企業の業績などにより変化する。投資した銘柄の株価が下がったうえ、減配となれば「損失」は大きい。投資を検討する際にはまず企業の配当方針を確認したい。 「減配しない」方針も 配当の方針は企業により異なり、方針を決めている場合は決算説明資料や投資家向けサイトなどに記載するのが一般的だ。配当を決める基準となる指標を定め、目安を示すことが多い。複数の基準を組み合わせる例もある。 代表的な指標が配当性向だ。配当性向とは決算の最終的な利益のうち、配当に振り向ける割合を示す。例えば配当性向を40%としている企業の純利益が100億円なら、40億円を株主で分ける。配当は利益に比例するため、原則として増益なら配当が増え、減益なら減る。東証に上場する企業の平均は30%台だ。 最近は「株主資本配当率(DOE)」を掲げる企業も多い。株主から集めたお金と過去に稼いだ利益などから、一定割合を配当に回す。配当性向に比べ配当の水準が安定しやすい。野村不動産ホールディングスは2025年3月期からDOE4%を配当の下限とした。日本特殊陶業もDOE4%程度を配当の下限にするとしている。 原則として減配をしない「累進配当」もある。現在の配当水準を維持または増額する。大手商社5社が採用しているほか、最近ではマツキヨココカラ&カンパニーや三菱地所が導入した。累進配当は将来にわたり安定して利益を稼ぐ自信の表れとみることもできる。 過去の実績を確認 企業側が配当方針を明確にしていないときは、過去の実績が手掛かりになる。業績が振るわないときに減配をしていなければ、安定配当を志向している可能性が高いといったことが読み取れる。配当に着目した投資信託を運用する、野村アセットマネジメントの佐藤智喜シニア・ポートフォリオマネージャーは「決算説明会の資料にヒントが記載されていることがある」と話す。 例えば資料の中に過去10年間の配当が一度も減配せず右肩上がりだと示すページがあれば「明確な方針を打ち出さないまでも、配当を重視している可能性が高い」(佐藤氏)という。こうした企業は業績が堅調なら翌年も増配を期待できるというわけだ。 過去数年といった長い期間での業績や株価の推移についても確認したい。企業によって業績の変動のしやすさや株価の動きには特徴がある。配当が安定していても、株価が下がれば全体としての運用成績は悪化してしまう。 株価や業績、配当の推移は企業の投資家向けサイトや日経電子版で確認できる。日経電子版には過去10年間の株価上昇率に配当を加味した「投資収益率」を調べるサイトもある。特に長期の運用では株価の上昇率と運用成績に大きな差が出る場合がある。 野村アセットの佐藤氏は「値上がり益を狙えないときでも、ほぼ確実に収入を得られるのが配当の魅力」と指摘する。ただ、配当株も特定の銘柄に偏らせず、分散させるのが鉄則だ。少額で投資先を分散させたいなら、高配当銘柄で運用する投資信託も選択肢になる。信託報酬などの手数料はかかるが1万円といった比較的少額で投資ができる。2024/08/17 13:02:5762.名無しさんOzrWx日本株激動、「避難先」銘柄は 相場低連動・還元策に注目2024/08/17 16:00 日経速報ニュース 日本株のボラティリティー(変動率)が高まり、急激な下げへの警戒は残る。荒れ相場の駆け込み寺となる銘柄は何か。相場全体の値動きに対する感応度や配当利回りなどの指標でスクリーニングしたところ、食品や小売り、住宅関連などの業種が浮かび上がった。 QUICKのデータを使い、東証株価指数(TOPIX)採用で時価総額100億円以上、予想配当利回りが2.5%以上などの条件を満たす銘柄を抽出し、対TOPIXのベータ値(60カ月)が低い順に並べた。新型コロナウイルス禍の影響を考慮し、短期(180日)のベータ値が平均より低いことも条件とした。 ベータは個別株と相場全体の動きの相関を表す値。TOPIXなどの指数と同じ動きなら「1」となる。1より小さくなるほど感応度が小さく、相場の調整局面で下値抵抗力を発揮する。内需中心で業績が安定している企業のほか、財務レバレッジの低い場合などに小さくなりやすい。投資家からの関心を表す指標とも解釈できるため、外国人持ち株比率と一定程度の負の相関があるとされる。「世界が本格的なリセッションに向かうのであれば、低ベータ銘柄への投資が有効になる」(野村アセットマネジメントの石黒英之チーフ・ストラテジスト) リストで目立つのが食品銘柄だ。総菜製造のフジッコや製粉会社のニップンなどはベータ値が0.05程度。市場全体の値動きに対する感応度が極めて小さい銘柄群といえ、日経平均が連日で大幅下落した8月1日からの3営業日も株価下落率は日経平均(20%)より10ポイント以上小さかった。 業績の安定性も注目される。食品メーカーや外食への液卵販売を主力とするイフジ産業は前期(2024年3月期)まで10期連続の営業増益だった。液卵事業は「今年に入って販売数量が前年を上回り回復傾向にある」(同社)といい、25年3月期の営業利益は前期比12%増と過去最高を計画する。 営業地盤を地方に置く銘柄にも注目だ。業績がグローバル景気に左右されにくいため、世界的なリスクオフ局面では有望な投資先になる。茨城県や千葉県などの関東圏で大規模ホームセンターを展開するジョイフル本田はベータ値がマイナスで、市場全体が下落したときにむしろ株価が上昇しやすいという珍しい特徴を持つ。ジョイ本田株は8月5日までの3営業日で6%安にとどまった。 このほか栃木県に本社を置くドラッグストアチェーンのカワチ薬品、北関東を中心にスーパーマーケットを展開するエコスといった小売銘柄もベータ値が低い。 リスクオフ局面では投資家の関心が配当に集まりやすいため、還元実績や財務体質に注目することも重要だ。福岡県などを地盤に住宅建材・設備をてがけるOCHIホールディングスは、24年3月期まで13期連続で増配中だ。今期から「連結配当性向30%以上」との目標を新たに導入し、積極的な還元姿勢を打ち出している。 化粧品のノエビアホールディングスも23年9月期まで12期連続で増配している。株主還元を含めたキャッシュマネジメントに注力し、自己資本利益率(ROE)は過去5期平均で13.2%と、同業他社に比べて高い。足元の配当利回りは4%台と、東証プライム市場の平均(約2.6%)を上回っている。2024/08/18 06:34:5963.名無しさんOzrWx 米国株、公益・ヘルスケアに資金シフト 「ディフェンシブ株をポートフォリオに加えるのは今からでも遅くない」。米モルガン・スタンレーのチーフ米国株ストラテジスト、マイケル・ウィルソン氏は8月初めの相場急変を受けて投資家向けリポートにこう記した。ディフェンシブ株に対する景気敏感株のリターン優位は4月頃にピークをつけたと指摘。過去のリスクオフ局面に照らし合わせれば、ディフェンシブ株への資金シフトはここからある程度時間をかけて進むとみる。 日本株に比べ株価の振幅が小さい米国株市場でも物色はディフェンシブ性の高い銘柄に向かっている。S&P500種株価指数が直近の高値をつけた7月16日からの騰落率をみると、上位にはヘルスケアや公益株が多く並ぶ。業績の変動が小さく、相対的に配当利回りが高いことなどがリスクを回避したい投資家からの関心を集めている。 ヘルスケアでは医療施設運営のHCAヘルスケアやユニバーサル・ヘルス・サービシズ、産業用品大手スリーエムのヘルスケア部門として4月に分離上場したソルベンタムなどに買いが集まっている。英バークレイズが7月下旬、「市場シェア拡大が期待できる」などとしてHCAヘルスケアの目標株価を376ドルから396ドルに引き上げるなど、4?6月期決算発表を経て好業績を再評価する動きも出ている。 公益ではエジソン・インターナショナル、エバーソース・エナジーなど電力会社が高い。予想配当利回りが4%前後、予想PER(株価収益率)が14?16倍台と、割高感のあるテック株などに比べた投資指標面での堅実さに注目が集まっているようだ。 市場全体の値動きに対する感応度であるベータ値が低い銘柄が物色されていることも特徴だ。米国防総省を主要顧客とする防衛企業のノースロップ・グラマン、ニューヨーク市に電気やガスなどのインフラを供給するコンソリデーテッド・エジソンは、対S&P500のベータ値(60カ月)が0.3程度と小さい。 その中で米国では日本と異なり消費株が敬遠されていることには注意が必要だ。「労働市場が軟化し、米国の投資家は消費株をリスク視している」(米ゴールドマン・サックスのチーフ米国株ストラテジスト、デイビッド・コスティン氏)。失業率の上昇や賃金上昇の鈍化によって消費意欲の減退が予想され、スナック食品のケラノバなど一部の銘柄を除けば軟調な消費株が目立つ。ヨガウエアなどスポーツ用品のルルレモン、美容小売りのアルタ・ビューティーの株価は3週間で約2割下落した。2024/08/18 06:36:0064.名無しさんaYqnO急回復の日本株、危機は去ったか 「全値戻し」の道険しく2024/08/19 05:00 日経速報ニュース 日経平均株価が歴史的な下落から急回復している。米景気への過度な悲観が後退し、米国株も持ち直した。今後の日米株の戻りの持続力は米景気の先行きによるところが大きい。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が23日、年次経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」で米経済にどのような見解を示すかに注目が集まっている。 「米消費の強さはポジティブ・サプライズ。景気後退懸念が瞬時にかき消された」。ピクテ・ジャパンの糸島孝俊ストラテジストは15日発表の米7月小売売上高の内容に驚く。季節調整済みで前月比1.0%増と市場予想(0.3%増)を大幅に上回り、日米株が回復基調を強める原動力になった。 日経平均は7月11日の最高値(4万2224円)から、8月5日の安値(3万1458円)までに1万0766円下げていた。6日以降、16日までの8営業日で6604円(21%)上昇し、「半値戻し」を達成した。米国株ではS&P500種株価指数が13日に半値戻しとなった。 「半値戻しは全値戻し」。相場格言では下げ幅の半分を埋め戻す反発力があれば、再び高値(全値)を回復すると言われる。今回はどうか。株式市場の様々な指標を見渡すと早期にというわけにはいかなそうだ。 投資家心理を示す指標は改善が著しい。市場関係者が将来の株価の値動きをどうみているかを測り「恐怖指数」とも呼ばれる予想変動率は落ち着いてきた。 米国株の「VIX指数」は8月5日に一時65台と2020年3月のコロナ・ショック以来の水準まで上昇したが、16日に14.8まで急低下した。市場が「今後1年間にS&P500が68%の確率で上下14.8%の範囲で動く」と見込んでいることを示す。 日本株も同様だ。日経平均のボラティリティー・インデックス(VI)が5日の70.7から下がり、16日に26.5となった。ただ、警戒水準とされる20はなお上回り、荒い値動きが当面続く可能性がある。 業績面や株価のバリュエーション(投資尺度)をみると、日本株は売られすぎの局面を脱し、そろそろ上値追いには慎重になりそうにみえる。 業績は上振れ傾向にある。企業の2024年4?6月期決算を経て、業績予想を上方修正するアナリストが多い。野村証券がアナリスト予想の上方修正と下方修正の割合を基に算出する主要企業の「リビジョン・インデックス(RI)」は、16日時点でプラス35.2(25年3月期基準、金融除く)と、21年9月以来の高水準にある。 株価が予想EPS(1株当たり利益)の何倍まで買われているかを示す予想PER(株価収益率)をみると、日経平均採用銘柄では7月の17倍台から一時は13倍台に低下し、16日は15.6倍となっている。2014年初から23年末までの10年間平均(14.9倍)を少し上回る水準だ。 ドル円相場が1ドル=160円を上回る円安水準にあり、企業業績の上方修正期待が高かった7月はPERが17倍まで高まったが、現状では円安修正が進んだ。SBI証券の鈴木英之投資情報部長は当面の上限を16倍台とし、日経平均は3万9000円程度まで上昇余地があるとみる。 一方、米国企業の業績には向かい風が吹く。QUICK・ファクトセットによると、S&P500の24年の予想EPSは16日時点で240.88ドルと5月28日の243.11ドルをピークに減少基調が続く。米景気や世界景気の減速が背景にある。 予想PERは23倍と今年のピークに近く過去10年平均の19倍台を大きく上回る。業績懸念や割高感が米国株の上値を抑え、日本株も上がりにくくなる展開も予想される。 過去の半値戻し後の株価はどうだったか。日経平均の5日の急落は、1987年10月の「ブラックマンデー」時に似ていると指摘される。急落前に広がっていた株式市場の過熱感や高インフレ率などが類似点とされる。当時、日経平均は急落から2日後に半値戻しを達成したものの、1カ月もたたないうちに二番底をつけた。全値戻しには6カ月かかった。2024/08/19 06:04:3265.名無しさんaYqnO 米国景気への懸念はくすぶる。米ゴールドマン・サックスは今後12カ月の景気後退確率を20%とみる。堅調な経済指標を受けて前週の25%から引き下げたものの「今後の道筋はデータ次第」とし、「市場は成長状況や労働市場に関するニュースに対して通常よりも敏感になる」と指摘する。 インベスコ・アセット・マネジメントの木下智夫グローバル・マーケット・ストラテジストも「日米株はつまるところ米経済の先行きが最も重要になる。雇用統計などの経済指標が下振れすれば、後退懸念が再燃し、2番底を迎えるシナリオも生じうる」と話す。 今週は目立った経済指標の発表がない一方、22?24日には主要中央銀行の首脳や経済学者による経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」が開かれる。注目点はパウエルFRB議長の講演だ。 焦点は、米国経済の現状認識をどう示すかと、利下げの進め方についてどう匂わせるかだ。インベスコの木下氏は「ハト派的な話しぶりならマーケットに再び安心感をもたらし、日米株の支えになる」と話す。 9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ幅について、示唆がないかについても関心が高い。7月末のFOMC後の記者会見でパウエル議長は0.5%の利下げを「現時点では考えていない」とした。0.5%幅を予測する市場関係者も多く「パウエル議長が考え方を変えたかどうかみてみたい」(オランダの金融大手ING)との声が聞かれる。 8月2日の「雇用統計ショック」を受けて、投資家は米景気の先行きに慎重になった。株価急落の修正が終われば、ソフトランディング(軟着陸)シナリオを信じていいのか確認しながら、恐る恐る上値を試す展開にシフトしていきそうだ。2024/08/19 06:05:3166.名無しさんQFnww急落日本株、動くか年金マネー リバランス買いに期待-篠崎健太2024/08/19 17:55 日経速報ニュース 日本株が落ち着きを取り戻しつつある。歴史的急落が起きた週には海外勢や個人による買いが判明した。もう一つの注目主体が年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)だ。保有比率が目減りした日本株へのリバランス(再配分)出動の観測に加え、将来の日本株配分拡大の思惑もあり巨大マネーの動向に関心が注がれている。 「GPIFが動いていないとは言えない規模だ」(フィリップ証券の増沢丈彦株式部トレーディング・ヘッド)。東京証券取引所が前週末に発表した8月第1週の投資部門別売買動向によると、主に年金勢の動きを映す「信託銀行」は現物株を2171億円買い越していた。週間買越額は今年最大で前の週の9倍に膨らんだ。 信託銀は株価指数先物では東証株価指数(TOPIX)先物を売り越していた。先物を駆使した力強い買いは見えなかったが、市場参加者は現物の買い急増に公的マネーの初動を嗅ぎ取った。 GPIFは国内株、外国株、国内債、外国債の4資産に25%ずつの配分を目標にしている。野村証券の推計では日本株の保有比率は一時23%程度に急低下し、日経平均株価が3万8000円台まで急伸した16日も24.3%と目標比率をなお下回る。 GPIFは6月末時点で254兆円を運用し、主体的に持ち高調整に動けば1ポイントでも兆円単位の影響が及ぶ。国内株では上下8ポイントの乖離(かいり)を許容しているが機動的に細かく調整しているとの見方が多い。 米連邦準備理事会(FRB)の利下げ開始も日本株への再配分を後押しするとの見方もある。円高の影響は考慮が必要ながら、金利低下は外債の評価額向上につながるため「米金利が下がる局面では日本株にリバランス買いが入りやすい」(東海東京インテリジェンス・ラボの仙石誠シニアエクイティマーケットアナリスト)。 海外投資家はかねてGPIFの動向に関心を寄せてきた。基本ポートフォリオを5年に1度見直す2025年度が近づき、名目の経済成長を見据えた目標利回りの引き上げに伴ってリスク資産の配分を引き上げる期待が出ているためだ。 GPIFは「名目賃金上昇率+1.7%」を長期運用目標としている。モルガン・スタンレーMUFG証券の中沢翔ストラテジストは「期待利回りの上方修正とともに日本株の配分を増やす可能性はある」と話す。14年秋に日本株の配分目標を12%から25%に引き上げた際には海外勢が追随して日本株の買越額が直後に急増した。今回も他の投資家の投資行動に影響する可能性がある。 急落を受けて民間の年金マネーも動き出し始めた。約700事業所が加入する全国ビジネス企業年金基金(岡山市)は日本株が急落した2日と5日、TOPIX連動型ファンドへの買い指図を信託銀に出した。前回の売買時から相場が7%以上動いてリバランスルールに触れたための機械的な発注だ。 木口愛友・運用執行理事は「もともと調整局面とみて6月には株の持ち高を減らしていた」と語る。日次の相場動向でリバランスする仕組みは日本の企業年金基金では珍しいという。木口氏は今回の相場急変に伴う他の企業年金のリバランスフローは「8月末の状況を踏まえて9月に出てくる可能性がある」とみる。 時間がたつにつれ、今回の急落は短期マネーの一時的な混乱が主導した構図が浮かんできた。相場の急変に一喜一憂しない超長期マネーの構えは個人投資家にも参考になる。2024/08/20 00:52:3567.名無しさんauSQv米ファンド、テックに利益確定売り 半導体・銀行は買い2024/08/21 02:00 日経速報ニュース 米国の有力ファンドが割高感のあった大型テック株の一部を6月末までに売却していたことが米当局への届け出から明らかになった。8月上旬以降、株式相場が大きく乱高下する前に一定の利益を確保できたとみられる。一方で半導体や銀行を買い増す動きが目立った。保有状況を見ると、今後の市場を占う手掛かりになりそうだ。 米国では総額1億ドル(約146億円)以上の株式を保有する投資家は、保有状況を米証券取引委員会(SEC)へ四半期ごとに届け出る必要がある。主に米上場銘柄が対象で報告書は「フォーム13F」と呼ばれ、投資行動が垣間見える資料として注目されている。6月末時点分の開示が8月半ばまでに出そろった。 24年3月末時点での保有銘柄と比較すると、グーグルの親会社であるアルファベットやアップルなど「GAFAM」に代表される大型ハイテク株の持ち分を減らす傾向が明らかだった。 売却例が多いのはアルファベットだ。ヘッジファンド大手9社のうち、4?6月期にアルファベットを売却したのはソロス・ファンド・マネジメントなど5社にのぼった。アルファベットの1年先の予想PER(株価収益率)は1?3月に一時、18倍台に切り下がっていたものの、4?6月には20?22倍台で推移し割高感が指摘されていた。 ダニエル・ローブ氏が率いるヘッジファンド、サード・ポイントはアルファベットや1?3月に買い増したメタの保有株式数を減らした。著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いる米投資会社バークシャー・ハザウェイは米アップル株の保有株式数を半減させた。 高値で利益を確定したい有力ファンドが絶好の売り場とみた可能性が高い。実際に7月中旬に直近高値を付けた大型テック株はその後大きく調整している。「生成AI(人工知能)を活用して収益向上につなげられるか懸念が強まっている」(インベスコ・アセット・マネジメントの木下智夫グローバル・マーケット・ストラテジスト) テック株が売られたにもかかわらず、同じく急騰していたエヌビディアなどAI関連の半導体株を買い増す動きが鮮明だった。市場では「生成AIビジネスの収益性に懸念があっても半導体需要が旺盛であることには変わりない」(木下氏)との見方があった。 1?3月に保有株数を減らしたアパルーサ・マネジメントをはじめ、4?6月には4社がエヌビディアを買い増した。台湾積体電路製造(TSMC)はサード・ポイント、タイガー・グローバル・マネジメントなど3社が買い増した。 ただ、6月末以降のフィラデルフィア半導体株指数(SOX)は8月上旬に一時、19%安まで下げ、最大の下落率はGAFAMの時価総額の合計(一時9%減)を上回っている。6月末以降の売買動向次第でファンドの運用成績に大きな影響が出る可能性がある。 商業銀行が主力の大手行の保有を増やす動きも目立つ。クオンツ運用のヘッジファンド、ツーシグマ・インベストメンツはJPモルガン・チェースを買い増しウェルズ・ファーゴに新規投資した。19日時点の米銀行株指数は6月末比7%高だ。 4?6月の米消費者物価指数(CPI)は前月比の上昇率がいずれも市場予想を下回り、年内の米利下げ観測が強まった。ピクテ・ジャパンの田中純平ストラテジストは「米国の長短金利差が(短期金利よりも長期金利が高い)順イールドに戻る可能性を見越し、利ざや改善期待から銀行株が買われた」と分析する。 大手テック以外に保有銘柄の売却が注目を集めたのは中国関連銘柄だ。アパルーサ・マネジメントは1?3月に買い増した電子商取引のアリババ集団、検索大手の百度集団(バイドゥ)の保有株式数を削減した。 みずほリサーチ&テクノロジーズの月岡直樹主任エコノミストは「1?3月に中国政府が打ち出した株価テコ入れ策に持続的な効果がないとの見方が強まった」と指摘する。 逆張りで有名な、著名投資家マイケル・バーリ氏が率いる米サイオン・アセット・マネジメントはアリババと百度を買い増している。香港市場に上場するアリババの19日終値は6月末比16%上昇し、百度はほぼ横ばい。GAFAMの時価総額(2%減)やSOX指数(4%安)を上回り、今のところ逆張り投資に軍配が上がる。 8月上旬の相場変動を受け、有力ファンドが大型テックや半導体の保有株式数を減らしているのか、それとも買い増しているのか。次回の公表ではその後の相場の回復も含めて、各ファンドの目利き力が垣間見えてきそうだ。2024/08/22 02:49:0568.名無しさんauSQv日本株急落後の戻り、企業が主役 自社株買い支え2024/08/22 19:18 日経速報ニュース 企業による自社株買いが、急落後の日本株相場の戻りを支えている。日本取引所グループが22日発表した投資部門別売買動向によれば、事業法人は8月第2週(13日?16日)に現物株を2376億円買い越した。買越額は2週で7000億円を超え、年初からの累計では年間で過去最大だった2022年を大きく上回るペースだ。 短期で資金を移動させるヘッジファンドなどの株価指数先物売りが一服したことで、企業や海外長期投資家による日本株買いが相場を押し上げやすくなっている。 日経平均株価はこの週に3037円(8.7%)上げ、3万8000円を上回った。急落が始まった8月2日前の水準(1日の終値3万8126円)を回復。週間の上昇率は「コロナショック」からの反発局面(20年4月2週、9.4%高)以来の大きさだった。 相場回復の主役は誰か。買いが目立ったのが事業法人だ。買い越しは24年初からの33週中28週。累積額は4兆円を超え、年間で過去最大(5兆1892億円)だった22年を4割強上回るペースだ。 一般的に事業法人による自社株買いは自己資本が減り、自己資本利益率(ROE)を改善する効果がある。実施によって「自社の株価が実力より割安すぎる」というメッセージを市場に送る意味合いもある。 足元で自社株買いをしているのは7月までに自社株買いを公表した企業が多いが、8月に入ってからも表明が続く。7日にはソフトバンクグループが5000億円、NTTが2000億円を上限に取得枠を設けた。 海外勢も相場の戻りに貢献した。海外勢の現物買いは1872億円の買い越し。前週の買越額(4953億円)から減ったものの、企業価値を分析して長期投資する投資家の買いが続いている。 背景にあるのが割安感の醸成だ。株価が1株あたり予想純利益の何倍買われているかを示す予想PER(株価収益率)は急落前は17倍台だったが、急落で一時13倍台に低下。「6月に一旦日本株の保有を大きく落としたが、相場が落ち着きを見せれば追加で買いを入れたい」(米生保系運用会社ニューヨークライフ・インベストメンツのジェイ・ユーン最高投資責任者)との声が増えた。 日経平均を海外勢の視点でドル換算すると7月11日につけた直近ピークを超え、5カ月ぶりの高値水準を回復済みだ。「超円安」に歯止めがかかり為替相場が落ち着けば、長期マネー流入に弾みが付く可能性もある。 見逃せないのが、海外勢による株価指数先物の売り越し額がこの週は1195億円と小幅だった点だ。前の週まで4週間は5千億?1.2兆円と巨額の売り越しが続いた。CTAなど相場の方向に沿って投資するヘッジファンドが7月までに膨らませた日本株先物の買い持ち高の解消売りが一巡したことを示唆する。 JPモルガン証券の高田将成クオンツストラテジストは「CTAは15日前後から日本株先物の買いポジションを増やし始めたようだ」と話す。 日経平均の3万1000?3万8000円は2日間で駆け抜けた需給の真空地帯だ。東海東京インテリジェンス・ラボの鈴木誠一チーフエクイティマーケットアナリストは「先物売りが止まり、少額の現物株買いでも値を戻しやすくなっている」と解説する。 (今堀祥和)【関連記事】・株急落でも動じぬ個人投資家 「割安」判断、3000億円買い・自社株買い銘柄にマネー 不安定相場が買いを後押し・新興国超える日本株変動率「41%」 海外短期マネー席巻2024/08/22 20:46:5669.名無しさんpy6UD構造改革による改善/変化余地」で相対優位、SMBC日興が「2」→「1」、目標株価3800円→5500円SMBC日興証券が足もとの業績や事業環境を踏まえ、業績予想を修正。投資評価を「2」から「1」へ、目標株価を従来の3800円から5500円へと引き上げた。SMBC日興営業利益予想では、24.12期4300億円、25.12期4800億円、26.12期5200億円と、従来予想の同4000億円、3850億円、3650億円で減益トレンドから、構造改革効果や既存事業の収益改善を織り込み、増益トレンドを継続の可能性が高まるとみている。今後は、既存事業でのシェア/収益性拡大での相対優位の顕在化、中計最終年度の25.12期目標実現への収益改善/構造改革加速、次期中計(~30.12期)策定/実行への経営体制/方針変化の可能性などに注目。加えて、中期的にはSMBC日興がこれまで同社の課題として指摘してきたガバナンス体制の強化や金庫株消却、親子上場解消などの検討も次期中計に向けて議題となろう、と指摘している。今2024年12月期連結営業利益を会社計画4650億円(EPS347.1円)に対し、従来予想4000億円(EPS285.2円)から4300億円(EPS318.6円)へ、来2025年12月期同3850億円(EPS282.5円)から4800億円(EPS375.1円)へと修正し、2026年12月期同5200億円(EPS413.2円)と予想している。2024/08/23 04:17:4470.名無しさん5mNc1ドル建て日経平均、5カ月ぶり高値 海外勢買いやすく2024/08/23 20:22 日経速報ニュース 海外投資家が重視するドル建ての日経平均株価が約5カ月ぶりの高値水準で推移している。5日に日本株が急落する前の水準に回復し、7月末比の騰落率は円建ての日経平均や米S&P500種株価指数を上回る。一方的な円安進行に歯止めが掛かった状況が今後も続けば、長期目線の海外投資家が買いに動きやすくなり、日本株の下支えになるとの期待が高まる。 ドル建て日経平均は23日の終値が263ドルと、3月29日以来の高値水準を付けた。週初の19日に急落前の7月31日を上回り、高値で推移している。他の主要指数と比べても堅調で、ドル建て日経平均は7月末比で3%高と日経平均(2%安)や米S&P500(1%高)を上回る。 円高は日本株に投資したい海外投資家には追い風だ。長期の投資家はドル建てのパフォーマンスで米国株などと比較するため、日本株が好調でも円安が進行している局面では日本株を積極的に買えなかった。ゴールドマン・サックス証券の石橋隆行ヴァイス・プレジデントは「長期の海外投資家が、日本株を『持たざるリスク』を意識し始めてもいい水準になった」と話す。 円建ての日経平均株価は週間で1%上昇した。米株式市場の下落が日本の半導体関連株に波及し、19?23日の週間で東京エレクトロンが6%、アドバンテストが4%下げる中、ファーストリテイリングや中外製薬などの値がさ株がけん引した。 23日の衆参両院の閉会中審査では、日銀の植田和男総裁の発言に市場の注目が集まっていたが、外国為替市場と株式市場ともに大きな動揺は無く通過した。りそなアセットマネジメントの戸田浩司シニア・ファンド・マネージャーは「市場との対話がうまくいき始めている。このまま極度の円安リスクが後退して海外の長期投資家が買いに動けば、円高に振れるたびに株価が下がる動きがなくなり下支えに期待できる」と話す。 もっとも、日本株自体の先行き不透明感は完全には拭えていない。経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」が24日まで開かれる予定で、各国中央銀行トップらの発言がカギを握りそうだ。【関連記事】東証大引け 日経平均、続伸 日銀総裁の発言支え2024/08/24 02:10:0171.【7751】キヤノンHwT5M構造改革による改善/変化余地」で相対優位、SMBC日興が「2」→「1」、目標株価3800円→5500円SMBC日興証券が足もとの業績や事業環境を踏まえ、業績予想を修正。投資評価を「2」から「1」へ、目標株価を従来の3800円から5500円へと引き上げた。SMBC日興営業利益予想では、24.12期4300億円、25.12期4800億円、26.12期5200億円と、従来予想の同4000億円、3850億円、3650億円で減益トレンドから、構造改革効果や既存事業の収益改善を織り込み、増益トレンドを継続の可能性が高まるとみている。今後は、既存事業でのシェア/収益性拡大での相対優位の顕在化、中計最終年度の25.12期目標実現への収益改善/構造改革加速、次期中計(~30.12期)策定/実行への経営体制/方針変化の可能性などに注目。加えて、中期的にはSMBC日興がこれまで同社の課題として指摘してきたガバナンス体制の強化や金庫株消却、親子上場解消などの検討も次期中計に向けて議題となろう、と指摘している。今2024年12月期連結営業利益を会社計画4650億円(EPS347.1円)に対し、従来予想4000億円(EPS285.2円)から4300億円(EPS318.6円)へ、来2025年12月期同3850億円(EPS282.5円)から4800億円(EPS375.1円)へと修正し、2026年12月期同5200億円(EPS413.2円)と予想している。2024/08/24 13:16:0172.名無しさんhfwTi8月の「流動性ショック」、新NISA元年の個人に試練2024/08/25 11:00 日経平均株価の下げ幅が5日に過去最大を記録するなど激動に見舞われた8月の東京株式市場。新しい少額投資非課税制度(NISA)元年の夏に突然訪れた試練に、本来は逆張りが得意のはずの個人マネーは凍った。市場流動性と投資家層の薄さという課題が改めて浮かび上がった。 暴落を招いた一因は、信用取引で追加証拠金の差し入れを迫られた個人投資家によるロスカット(損失限定)の売りだ。この週の個人信用の売越額(東証・名証の合計)は3581億円。2007年2月以降で最大だった。 円キャリートレードの手じまいなどに伴う大規模な海外勢の株価指数先物売りで株価が急落し、評価損が膨らんだ人の多くが投げ売りに追い込まれた。右肩上がりの相場が続いた慢心ゆえの苦い経験だ。 個人は現金取引では3027億円買い越したが、規模は前の週を下回った。米国のインフレ懸念をきっかけとした18年2月の「VIXショック」時の5644億円には遠く及ばない。 無理もない面はある。8月の日経平均の値幅(高値と安値の差)を前月末終値で割った「月間変動率」は22日時点で17.3%。20年3月の新型コロナショック以来の大きさで、1949年5月の東証再開以降、歴代22番目の記録だ。 上位にはリーマン・ショックなど歴史的な混乱期が並ぶ。今回は大きな事件があったわけではないにもかかわらず、これほどの変動は異常だ。 実は東京市場の上場企業は政策保有目的など安定株主の保有や自己株が多く、市場流動性が低いため、米国市場よりも値動きが荒れやすいという特徴がある。過去20年の月間変動率の平均値を日米で比較すると、日経平均は7.3%に対しダウ工業株30種平均は5.5%。東証株価指数(TOPIX)とS&P500種株価指数でもほぼ同じ結果だ。海外のヘッジファンドに突かれやすい弱点だ。 QUICK・ファクトセットによれば、金融機関や年金基金などの適格機関投資家及び個人投資家が保有する株式数を発行済み株式総数で割った浮動株比率は、米国の主要50社の平均が90%台半ばに対し、日本は70%台後半。上場投資信託(ETF)を通じた日銀の間接保有分を除くと日本はさらに下がる。真夏の異変は市場参加者が少なく換金性が低下するなかで投げ売りが引き起こした「流動性ショック」だった。 日本人は「投機=ギャンブル(賭博)」という印象を抱くが、海外では「合理性の追求であり、不条理への挑戦」といわれる。売られすぎ、買われすぎは裁定機会でもありうるが、日本は投資家層が薄く、株価変動が大きくなりやすい。乱高下は今後も繰り返される可能性が高い。 だからこそ証券会社には指南役としての役割が求められる。幸い、兜町からは明るい話も聞こえてくる。 ネット証券を利用している投資家の間で対面証券の営業員の話も聞きたいというニーズが増えているという。極東証券では入社して」間もない営業員が新規顧客を開拓し、億円単位の投資信託や債券の注文を取ってくるようになった。「バブル期でもこんなことはなかった。リテールは宝の山だ」。同証券の菊池広之会長は話す。 6月の株主総会でアクティビストから取締役の刷新を求められた東洋証券。アクティビストがうごめく背景に再編観測がある。顧客基盤拡充のために経営権取得を狙う証券会社があるとの見方だ。アクティビストに事実確認を求めたが、回答は得られなかった。だが、市場関係者の一人は「あり得るシナリオ」と強調する。 3月末時点で個人が保有する現金・預金は1118兆円。その大半は60歳代以上の手にある。いざお金を動かそうと考えた時、対面でのアドバイスを求めたいと考える投資家は少なくない。 資産運用立国を掲げた岸田文雄首相は再選の道を断念したが、個人マネーの再生に向けた市場整備と競争は始まったばかりだ。8月の異変は大きな一里塚のはずだ。・「ストップ安800社」恐怖増幅 緩和を過信、投げ売り殺到・株急落でも動じぬ個人投資家 「割安」判断、3000億円買い2024/08/25 11:29:3573.名無しさんniyqD円相場、一時143円台後半に上昇 3週ぶり高値2024/08/26 07:54 日経速報ニュース 日本時間26日早朝の外国為替市場で、円相場が大きく上昇している。7時半すぎには一時1ドル=143円85銭近辺と6日以来およそ3週ぶりの円高・ドル安水準をつけた。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が9月の利下げ開始を事実上明言し、日米の金利差縮小を見込んだ円買い・ドル売りが入った。 25日にはレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラが7月の司令官殺害の報復としてイスラエルを攻撃した。イスラエルがさらなる報復に動く可能性があり、中東情勢が一段と緊迫するとの見方も「低リスク通貨」とされる円の買いを誘っているようだ。V字回復の米国株 FRBは9月利下げ予告、年末高意識も2024/08/26 08:01 日経速報ニュース 米連邦準備理事会(FRB)が9月の利下げ開始を事実上予告し、米株式相場のV字回復につながった。23日の株式市場でダウ工業株30種平均は一時、7月に付けた史上最高値を上回り、S&P500種株価指数は5日に付けた取引時間中の直近安値からの上昇率は10%を超えた。2022年10月から始まった強気相場は衰える兆しをみせない。 パウエルFRB議長は23日、国際経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」の講演で「政策を調整すべき時が来た」と述べ、次回9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げをほぼ明言。株式、債券相場ともにボラティリティー(変動率)の低下を伴って上昇した。 パウエル議長は労働市場の一段の減速を防ぐ考えを示すと同時に、年内に計1%の利下げを織り込む金融市場に対しても、反論する場面をみせなかった。「雇用市場に明確なアンカーを与え、金融政策がより積極的に緩和される可能性を高めた」(オックスフォード・エコノミクス)との見方が、米株式相場の支えとなった。 24年のグローバル・ビューの中心軸に「グレート・ディスインフレーション」を位置付けるゴールドマン・サックス。大半の国でインフレ率の低下と底堅い経済成長、利下げの加速が重なり、リスク資産にとっては極めてポジティブな年になるとの見方だ。春ごろまで上振れした米物価指標の影響で、グレート・ディスインフレーションの到来はやや後ずれしたが、ここから本番を迎える可能性がある。 ゴールドマンのエコノミスト、ヤン・ハチウス氏は25年8月までにニュージーランド中銀の計1.75%、FRBの計1.5%に加え、欧州中央銀行(ECB)やカナダ銀行、イングランド銀行など世界の主要中銀の利下げラッシュが発生すると予想する。FRBは政策金利を現行の5.25?5.50%から最終的には3.25?3.50%まで引き下げるとみる。 世界的な利下げの流れは強まっている。米BofA証券の集計によると、今年に入り世界の中銀はすでに84回の利下げを実施した。年内に43回の追加利下げがあると予想し、今年の利上げ回数から利下げ回数を差し引いた値はリーマン危機翌年の09年、新型コロナウイルス発生の20年に続き、過去3番目の利下げ超過の年になると予想する。 ゴールドマンは今後1年以内に米国が景気後退に陥る確率を20%、JPモルガンは年内に景気後退に陥る確率は35%と見積もる。9月6日に発表される8月の米雇用統計が良好な結果であれば、「景気後退入りの確率は15%まで低下する」(ゴールドマン)。底堅い経済成長が続く中での「予防的」利下げが、早ければ来年の景気の再加速につながる可能性が出てきている。 米国株の底上げ機運は高まっている。時価総額を考慮せずに採用銘柄に等しく投資した場合の「均等加重平均」のS&P500種は23日に史上最高値を更新した。「均等加重平均への投資が利下げとタイトな信用スプレッド(上乗せ金利)の恩恵を受けやすい局面に入る」(BofA)との見方から、上昇銘柄にも広がりがでてきている。 S&P500種は今年に入り、チャート上で長期トレンドを示す200日移動平均を一度も下回らずに、上昇している。年1回の割合で、200日線前後までの調整が入る米株式相場だが、今年はまだその調整をみせていない。11月の米大統領選に向け恒例の調整があってもおかしくはないが、「8月のV字回復をみせられた以上、空売り勢は当面、大規模にベッドしにくい」(メガバンクの売買担当者)の声も聞かれる。 200日線までの調整が一度も入らなかった13年、17年、21年はともに年内いっぱいの右肩上がりの相場展開が続き、12月にそれぞれの年の年間高値を付けた。となれば、24年も同じ年末高の展開になる可能性は十分にあるだろう。2024/08/26 08:09:2374.名無しさんI6ylVeMaxSlimがお安く積立出来そう?2024/08/26 18:44:3675.名無しさんMiRgz三井住友の社内スタートアップ、システム導入支援の新会社 freeeも出資2024/08/27 日本経済新聞 朝刊 三井住友フィナンシャルグループ(FG)子会社の社内スタートアップ、プラリタウン(東京・中央)は26日、システムの導入を支援する新会社を立ち上げたと発表した。会計サービス大手のfreee(フリー)が15%出資し、ネットを通じて利用する会計などのデジタル活用を促す。社内スタートアップによる子会社立ち上げは初めて。 新会社「インクループ」(東京・中央)の資本金は資本準備金を含め1億円。プラリタウンが残る85%を出資し、社長にはプラリタウンでマネージャーを務める高田謙一氏が就き、9月下旬をめどに営業を始める。フリーのクラウドサービスを軸にしたシステム導入や、業務の効率化のコンサルティングや事務受託を手掛ける。 プラリタウンはクラウドサービスの販売仲介を手掛けており、新会社はフリーとも組んで中小企業の導入にあたっての実務を担うことを想定する。地域金融機関からの人材の受け入れやデジタル化支援に向けた提携も視野に入れる。三井住友FGは社内スタートアップの立ち上げに力を入れており、新会社の設立はその一環となる。2024/08/27 06:25:5176.名無しさんMiRgz2024年08月27日19時30分鉄火場の8月相場は異例ずくめ、「高進捗銘柄」の買い安心感高まるか <株探トップ特集>―ジャクソンホール会議で米利下げ予告、円高懸念下での投資戦略を考える― 8月の東京株式市場は近年まれに見る鉄火場となった。乱高下の背景として、日本銀行による予想外の利上げが挙げられる。以前から日米の金融政策は方向が真逆であり、米連邦準備制度理事会(FRB)は、今年6月に利下げを実施した欧州中央銀行(ECB)などに追随するとみられていた。一方で日銀はようやく利上げである。低金利から高金利に流れるマネーの性質を考えると「低金利の円安・高金利のドル高」は期待しにくく、これまでの円安傾向から、むしろ円高が懸念されている状況にある。●日銀の利上げ後にボラティリティ急上昇 日銀による利上げを機に「円キャリートレード」の巻き戻しが起き、ドル安・円高とともに日米株安の圧力が強まった。キャリートレードとは、低金利通貨で資金を調達して高金利通貨などに投資する取引であり、円キャリートレードの投資先には米ハイテク株や日本株も含まれていたようだ。予想外の利上げは市場のボラティリティ(予想変動率)も上昇させた。下降トレンドが明確になると、商品投資顧問(CTA)などのトレンドフォロワーが売りに動くこととなる。ボラティリティが一定水準以上になると、ポジションを閉じるようにプログラムされているクオンツ系ヘッジファンドも存在する。ファンド全体のボラティリティを一定に保つリスクパリティ・ファンドも同様である。ボラティリティの上昇は円キャリートレードの巻き戻しに拍車を掛ける要因にもなる。 キャリートレードで得られる金利差はわずかである。金利差以上に市場が揺さぶられるのであれば、キャリートレードができる環境ではない。米商品先物取引委員会(CFTC)が公表する通貨先物ポジションをみると、7月2日時点では非商業部門(投機筋)の円ポジションは18万4223枚の売り越しと、過去最大級とされる水準まで膨らんでいた。8月13日時点では一転、2万3104枚の買い越しとなっている。同ポジションは円キャリートレードの規模を反映するとされており、ポジション変更に伴う大量の円買いが起きたとみられている。 米国でリセッション(景気後退)懸念が台頭したことも市場心理を揺さぶった。8月2日発表の米7月雇用統計で、失業率が「サーム・ルール」を満たし、景気後退入りを示唆することとなった。1960年以降に米国で起きた全てのリセッションを正確に言い当ててきたルールである。これによりFRBによる利下げ機運が一気に高まり、CMEフェドウォッチによると年末までに0.5%の利下げが行われるとの市場の見立ては一時1.0%へと傾き、米10年債利回りは4%を割り込んだ。米金利の低下は米株にとって朗報である。配当割引モデル(DDM)で理論株価(=予想配当金/期待収益率)を算出する際の期待収益率は、市中金利によって左右されるからだ。しかし、景気後退は配当金の減少を懸念させる要因であるため、米株にとって悲報となる。 米主要株価3指数は急落前の水準に戻し、日本株も半値戻しを達成した。だが一度荒れた市場心理が修復するには時間を要するものだ。コロナショック後の日経平均株価がショック前の高値を上回るまで8カ月以上かかった。しばらくは波乱を癒す地合いとなり、再び市場心理を揺さぶるような事態が起きない限り、上下の振幅を小さくしながら落ち着きどころを探る展開となると予想される。2024/08/27 23:53:5677.名無しさんMiRgz●リスク要因山積のなか好業績銘柄の物色機運高まるか 今後の注目イベントとしては、まず米連邦公開市場委員会(FOMC)と日銀の金融政策決定会合である。FRBのパウエル議長は、23日のジャクソンホール会議の講演で「政策を調整する時が来た」と語った。どのタイミングで、どのくらいのペースの利下げを実施するかはデータ次第としながらも、市場関係者は9月に利下げを開始との確信を強めている。 半面、日銀は7月の金融政策決定会合後、植田和男総裁が更なる利上げに前向きな姿勢を示した。株価暴落後に内田真一副総裁は「金融市場が動揺する場合には利上げをしない」と発言している。国会閉会中審査として開かれた8月23日の参院財政金融委員会で植田総裁は「私と内田副総裁に(考え方に)違いはない」としながらも、金融環境は今も緩和的であるとの認識を改めて示した。FRBと同様に政策調整のタイミングとペースはデータ次第であり、場合によってはマーケット次第ということなのだろう。 米国の経済指標、特にFRBが重要視するPCEコア(価格変動の激しいエネルギーと食品を除く個人消費支出)価格指数などの物価統計や、雇用統計も市場を揺さぶる要因となるだろう。11月5日の米大統領選挙と中東情勢からも目を離すことはできない。前者について、一般的に投開票の1カ月前辺りの状況が結果に反映されやすい、と言われている。後者に関しては、武力衝突が本格化すれば、原油価格の高騰からインフレ懸念が台頭し、米国で利下げが難しくなるシナリオが想定される。 日本株の動向を考える上で最も重要なのは国内上場企業の業績である。日本経済新聞によると、8月13日までに発表された東証プライム市場上場約1060社(親子上場など除く)の25年3月期の純利益は前期比1%減となる見通しだ。3カ月前には2%減益見通しだったことから改善傾向にある。そして4~6月期の純利益は前年同期比10%増と、同期間として2年連続で過去最高を記録し、通期計画に対する進捗率は30%と前年同期より3ポイント高い。 となると、10月下旬から発表が本格化する中間決算では、通期見通しの上方修正が期待されることとなる。日本企業は期初に控えめな業績見通しを発表し、中間決算発表時に上方修正する傾向がある。企業側の見通しに比べて市場側の見通しは強気なものとなっているが、こうしたギャップは中間決算の発表前後で市場側に寄せて修正されることが多い。更に、日銀による6月の全国企業短期経済観測調査(短観)では、今年度の事業計画の前提となっている想定為替レート(全規模・全産業)は1ドル=144円77銭となっている。これ以上の円高にならない限り、10~12月期には業績の上方修正を織り込む相場がありそうだ。加えて、季節アノマリーから年末の株価は「掉尾の一振」になりやすい。2024/08/27 23:55:1578.名無しさんMiRgz●年末に向けて上昇が期待される地合いから探る物色対象 年末に向けた日本株の上昇が期待される地合いから物色対象を考えた場合、まずは日経平均の構成比率が高いファーストリテイリング <9983> [東証P]、KDDI <9433> [東証P]、信越化学工業 <4063> [東証P]、ダイキン工業 <6367> [東証P]が挙げられる。国内金利が上昇基調ということであれば、三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> [東証P]や三井住友フィナンシャルグループ <8316> [東証P]、みずほフィナンシャルグループ <8411> [東証P]などのメガバンクや地銀各行も注目されることとなるだろう。 円高シナリオや年後半に期待される賃上げの効果を踏まえると、外需系のハイテク株よりも内需系や消費系のセクターの好業績ぶりが際立つことが予想される。ニトリホールディングス <9843> [東証P]や、東京電力ホールディングス <9501> [東証P]など電力各社に目を向けたい。 4~6月期の進捗率が過去との比較で高い銘柄も要注目と言えるだろう。過去5年間平均の4~6月期進捗率を上回って着地した銘柄をピックアップすると、内需系ではまず西武ホールディングス <9024> [東証P]が挙げられる。4~6月期の経常利益は前年同期比41.7%増の195億7800万円で、通期の計画に対する進捗率は約56%。ホテル・レジャー事業が好調に推移している。 海外向けの配信権販売が好調な東映アニメーション <4816> [東証S]は4~6月期の経常利益の進捗率が通期計画に対し約35%。市場では「ワンピース」劇場版の新作に関する発表があった際に、株価に上昇ドライバーが掛かるとの期待もあるようだ。リログループ <8876> [東証P]の4~6月期の税引き前利益進捗率は約55%。持ち分法適用会社だった日本ハウズイングに対する米ゴールドマン・サックス・グループ<GS>による株式公開買い付け(TOB)へ応募したことに伴う利益計上の影響もあるが、借上社宅管理事業での管理戸数や福利厚生事業での会員数の増加を背景に、ストック収益は堅調に拡大しており収益性も高めている。 ゼリア新薬工業 <4559> [東証P]も4~6月期の経常利益進捗率が約55%。ユーロや英ポンドに対するスイスフラン安に伴う為替差益が発生するなか、北欧などでの潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」の販売が好調に推移している。不二製油グループ本社 <2607> [東証P]は植物性油脂事業が東南アジア向けの販売数量が増加し、業務用チョコレート事業での販売価格の上昇などの効果もあり、4~6月期経常利益の進捗率は約41%。電線大手の一角であるSWCC <5805> [東証P]は電力インフラ向けの高収益案件の特需を支えに、4~6月期経常利益の通期計画に対する進捗率は約36%となっており、各社とも業績上振れの期待が高まった状況にあると言えるだろう。2024/08/27 23:56:3879.名無しさんVICdQトヨタの自社株TOB、大手金融機関が予定全株を売却できず[東京 27日 ロイター] - トヨタ自動車(7203.T), opens new tabは27日、7月24日から8月26日まで実施した自社株公開買い付け(TOB)の結果を公表した。応募予定の大手金融機関が売却を見込んだ株数を超える応募があり、「残存」が発生した。トヨタは来年4月末までの上限1兆円の自社株買いの枠内で追加取得する可能性も含めて、方針について検討する予定としている。TOBの買い付け予定数2億9012万2345株(買い付け額約8068億円)に対し、3億4382万8098株の応募があった。トヨタは7月23日に自社株TOBを発表した もっと見る 。買い付け価格は1株2781円(23日の終値は3109円)で、特定株主からの買い付けを想定したディスカウントTOBの形をとっていた。ただ、期間中のトヨタ株は8月上旬の全体相場の急落などもあり、TOB価格を下回る局面が多く応募が増えて残存が発生する要因になった可能性がある。 TOBに応募した三菱UFJ銀行、三菱UFJ信託銀行、三井住友銀行、SMBC日興証券、東京海上ホールディングス(8766.T), opens new tab傘下の東京海上日動火災保険、MS&ADインシュアランスグループホールディングス(8725.T), opens new tab傘下の三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険に残存が生じた。2024/08/28 00:15:0280.名無しさんVICdQトヨタ、自社株TOB終了 追加取得の可能性「検討予定」2024/08/27 17:34 日経速報ニュース トヨタ自動車(7203)は27日、7月24日から実施していた自社株TOB(株式公開買い付け)が8月26日で終了したと発表した。買い付け価格は2781円、買い付け数は2億9012万2375株で、買い付け総額は約8068億円となる。買い付け後にも自社株買いに応募した各社に残存株式が生じることから、5月に設定した最大1兆円の自社株取得枠で「追加取得する可能性も含め、方針について検討する予定だが、現時点で決定した事項はない」とした。 トヨタ自動車の自社株買いは政策保有株式の縮減を目的として、MS&ADインシュアランスグループホールディングス(8725)傘下の三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険、東京海上ホールディングス(8766)傘下の東京海上日動火災保険、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)傘下の三菱UFJ銀行と三菱UFJ信託銀行、三井住友フィナンシャルグループ(8316)傘下の三井住友銀行とSMBC日興証券が応募していた。2024/08/28 01:00:4081.名無しさんVICdQトヨタ自動車の株価3.5%高 自社株の追加取得に期待2024/08/28 11:09 日経速報ニュース (10時20分、プライム、コード7203)トヨタが大幅に続伸している。前日比94円50銭(3.57%)高の2738円50銭を付けた。27日、三井住友海上火災保険など金融機関7社が政策保有株の縮減に伴い7月24日から実施していた自社株TOB(株式公開買い付け)が8月26日に終了したと発表した。各社の応募株数が買い付け予定数を上回り残存株式が生じることから、5月に設定した最大1兆円の自社株買い枠で追加取得する可能性を検討する。さらなる自社株取得を期待した買いが優勢となっている。 立花証券の庵原浩樹アナリストは「政策保有株の縮減が進んでいる点が好感されている」との見方を示した。アイザワ証券の横山泰史アナリストは「4?9月期決算の発表時にも自社株の追加取得などの材料が出てくるとの期待が高まっている。8月初旬の急落局面など市場全体が下落した際には自社株買いに期待ができる銘柄が選好されやすい」と話した。トヨタは5月に最大1兆円を上限とする自社株買いの計画を発表したが、7月まで買いの実績は「ゼロ」となっている。2024/08/28 14:55:2982.名無しさんuEaR4ブラックマンデー、令和と昭和の相似形 自社株買い加速-編集委員 藤田和明2024/08/28 18:00 日経速報ニュース 8月上旬に突如起きた株価の急落。1987年10月に米国で起きた「ブラックマンデー(暗黒の月曜日)」と重ね、「令和のブラックマンデー」と呼ぶ声がある。ただそれは急落したという事象にとどまらないかもしれない。急落後の反応も合わせて相似形にみえるところがある。企業の自社株買いだ。 日経平均株価が前営業日比4451円安と過去最大の下落を記録した今年8月5日の翌6日。キヤノンは1000億円を上限とする自社株買いを発表した。その決定は機敏だった。 急落した株価をみて割安な水準だと判断。「このタイミングの自社株買いは当社にとっても、株主にとってもメリットがあると考えて機動的に決定した」と同社はいう。 1月に1000億円の自社株買いを発表していた。1年かけて取得する計画だったが、積極的に買い進めた結果、半年でその枠を使い切っていた。次を考えるタイミングに訪れたのが今回の株価急落だった。 1000億円の自社株買いを決めた大和ハウス工業の発表は7日。発表資料には「資本効率向上を図る」との狙いを明確に盛り込み、規模も前回の約3倍と「インパクトを勘案した」という。 日本パーカライジングは9日、150億円の自社株買いを発表。株価急落は想定していなかったとするが、「株価対応として積み上がった資本を株主に還元する」との説明だ。発行済み株式数の10%弱と大きい。 加速する自社株買いは統計に表れる。第2次安倍晋三政権の「アベノミクス」以降で累積すると、事業法人は32兆円の買い越しと日本株の圧倒的な買い手だ。海外投資家の3倍の規模だ。右肩上がり、かつ今年さらにペースが上がっている。 野村証券の宮島亮エクイティ・プロダクト・ソリューション部長は企業の明らかな変化を感じている。「PBR(株価純資産倍率)1倍といった絶対水準の議論から変わり、経営者の目線が切り上がってきている。株価は将来の価値から決まるとの理解が進み、株価が一定比率で下がれば自社株を買う姿勢になってきた」(宮島氏) 自社株買いの開示資料にも変化がある。キヤノンは1月の決定分から「積極的な成長投資により企業価値の更なる向上を目指すと共に」との文言を盛り込み、キャッシュアロケーションの戦略を明確にしている。 株価急落後に広がる自社株買い。これこそ87年のブラックマンデー後の米国で起きた現象だ。米ダウ工業株30種平均が1日で23%安を記録。そのあとIBM、フォードなど主力企業が相次いで自社株買いに動いた。「米国の企業経営が株主価値重視へ大きく変わった80年代。その転換期に起きた現象が、自社株買いの拡大だった」(日本証券経済研究所の佐賀卓雄名誉研究員) 背景にはM&A(合併・買収)の嵐もあった。当時を象徴するRJRナビスコのLBO(借り入れで資金量を増やした買収)は89年。この買収劇を描いた著作「野蛮な来訪者」でも序盤、ブラックマンデーで急落した株価が戻らず悩むシーンが出てくる。 カネ余りが買収資金を支える。一方で経営者に対する厳しい視線もこの時代の米国の特徴だ。「今の日本にとってデジャブ感がある」(佐賀氏) セブン&アイ・ホールディングスに対するカナダのアリマンタシォン・クシュタールによる買収提案。まさに株価急落のあとだ。 資本を遊ばせず、企業価値を高め続ける経営への要請。昭和の米国で起きた経験が、令和の日本に問いかけている。【関連記事】・市場の嵐が生む好機 88年、バフェット氏はコーラ株買い・自社株買い銘柄にマネー 不安定相場が買いを後押し・急落後の自社株買い相次ぐ ソフトバンクGは5000億円2024/08/29 02:02:2283.名無しさん7oEsQ国内銀行の貸出金利、7カ月連続上昇 都銀のペース速く2024/08/30 日本経済新聞 朝刊 市場金利に連動する変動型を中心に、銀行の貸出金利が上昇している。日銀が29日に発表した統計は、国内銀行の7月の平均金利(ストックベース)が0.830%と7カ月連続上昇した。特に年明け以降の上昇ペースが速い都市銀行の平均金利(7月は0.764%)は、2018年11月(0.772%)以来の高水準だ。 大手銀行の金利決定の手法は、東京銀行間取引金利(TIBOR)など市場金利に一定の利ざや(スプレッド)を上乗せする「スプレッド貸し」が主流だ。日銀が3月にマイナス金利を解除して以降、TIBORは上昇傾向で、大手行の融資の大半を占める変動型の貸出金利は比例して上昇している。 7月末の日銀の利上げ決定を受け、平均金利は一段と上昇しそうだ。「今後の金利の上昇見通しを踏まえると、長期の固定ローンで借り入れるのも選択肢になります」。ある大手行の企業営業の担当者は顧客企業にこう提案する。企業が実際に期間の長い融資に切り替えれば上昇要因になる。 9月以降、各行は競って変動型の住宅ローンや企業向け短期貸し出しの指標となる短期プライムレート(短プラ)を引き上げる方針を打ち出している。東京商工リサーチの8月の調査によると、企業の2割は金融機関から使途のない借入金を持っている。現状より金利が0.5%上昇した場合、その中の6割近くが「借り入れをやめる」と答えた。 銀行借入に依存する不動産業などでは、金利のわずかな上昇でも負担が重くなる。借入期間が長いほど金利負担は増すため、銀行関係者によると、期間を短くすることで負担を抑える動きも出ているという。 とはいえ、インフレ率を加味すると、実質の貸出金利はなお低水準だ。前年同月比で見ると、消費者物価指数(CPI、生鮮食品除く)は28カ月連続、物価安定目標の2%以上で推移しており、平均貸出金利から物価上昇率を差し引くとマイナスのまま。緩和的な金融環境が続いており、企業の資金調達環境はそれほど悪化していないとも言える。2024/08/30 06:04:3384.名無しさん7oEsQ来週は動くか銀行株!!雇用統計次第では..https://www.youtube.com/watch?v=u_kEe51lXM82024/08/30 23:26:4685.名無しさんPf5Yi米Cboe、ジャパンネクストに15%出資 SBIは5割弱維持2024/08/30 17:23 日経速報ニュース 米取引所大手シカゴ・オプション取引所(CBOE)を運営するCboeグローバル・マーケッツは30日、日本で私設取引システム(PTS)を運営するジャパンネクスト証券の株式の14.8%を取得すると発表した。SBIホールディングス以外の既存株主が持つ株式を譲り受ける。筆頭株主であるSBIの保有比率は48.78%で変わらない。 SBIが既存株主からジャパンネクスト証券の株式を買い取り、規制当局の承認を前提にCboeに同株を譲渡する。Cboeは22年10月にSBIと株式やデジタル資産の取引や商品開発で業務提携しており、その一環でジャパンネクスト証券に資本参加する。 日本のPTSは現在、ジャパンネクスト証券と米Cboe傘下のCboeジャパン(旧チャイエックス・ジャパン)、SBIや三井住友フィナンシャルグループが出資する大阪デジタルエクスチェンジ(ODX)の3社がある。 Cboeのフレデリック・トムチク最高経営責任者(CEO)は「今回の投資は当社の日本へのコミットメントを改めて示す。Cboeジャパンは引き続きジャパンネクスト証券から独立して運営する方針だ」とコメントした。2024/08/31 06:12:5886.名無しさんtmUl5日経平均入れ替え、良品計画採用で日本紙除外予想-数が「試金石」に採用としてNRIとパンパシI、除外でDICを証券2社が予想1000億円程度の買い需要が広く薄く出そうだ-大和証の橋本氏 日本株の主要指数である日経平均株価の定期入れ替え時期が近づき、良品計画の採用と日本製紙の除外などを複数の証券会社が予想している。今回は入れ替え銘柄数も次回以降を読む上で焦点になるとの見方が出ている。 SMBC日興証券とみずほ証券のクオンツアナリストは3銘柄、大和証券は2銘柄の入れ替えを予想、良品計画採用と日本紙除外でいずれも一致した。他にNRI、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスの採用、DICの除外をそれぞれ2社が予想した。基本的に採用銘柄に買い需要、除外銘柄に売り需要が発生する。 定期入れ替えは春と秋の年2回で、選定基準改定後の2022年秋以降はいずれも上限の3銘柄だった。セクターバランスをどの程度重視するかで銘柄数は変わる。指数を運営する日本経済新聞社は昨秋分は9月4日に銘柄を公表しており、今秋分は週内の発表を市場は見込んでいる。 SMBC日興証の吉田隼人クオンツアナリストは「セクターで銘柄数が唯一不足している消費から3銘柄が採用されるだろう」と予想した。市場流動性基準から判断した除外候補は1銘柄で、今回の結果でセクターバランス是正に対する考え方が分かると指摘、「来年春以降の入れ替え銘柄数を占う試金石になる」と述べた。 みずほ証券の永吉勇人チーフクオンツアナリストらも、消費セクターが極度の銘柄数不足状態として3銘柄の入れ替えを予想するとリポートに記した。大和証券の橋本純一チーフクオンツアナリストは、入れ替え2銘柄をメインシナリオとして予想した。同時に「3銘柄、1銘柄の可能性もそれぞれあり得る」と語る。確率は2銘柄が6-7割、3銘柄が2-3割、1銘柄が1割程度と想定している。2024/09/02 15:21:0687.名無しさんNp39Y日経平均一時1600円超安 癒えない8月急落のトラウマ-河井優香2024/09/04 14:09 日経速報ニュース 4日の東京株式市場で日経平均株価は続落し、一時は前日比1600円超の下げ幅となった。前日の米株市場でハイテク株を中心に売りが優勢となり、東京市場で東京エレクトロンなどの値がさの半導体関連株が大幅安となった。8月上旬の世界的な相場急落のトラウマが残るなか、その引き金の一つとなった米景気指標の最新版が再び振るわず、米国株安経由で東京市場も揺さぶった。 日経平均の午前終値は1280円(3.3%)安の3万7405円だった。 3日発表の8月の米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数が47.2と市場予想をわずかながら下回り、好不況の節目となる50を5カ月連続で下回った。前回7月(46.8)からは改善しているものの、市場では「今回の上昇は在庫増によるもので、需要の強さを映す新規受注や生産は悪化している良くない上がり方」(野村証券の小高貴久シニア・ストラテジスト)との慎重な見方が多い。 前日の米株式相場では半導体大手エヌビディアが前週末比10%安となり、ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も同3.3%安の大幅下落となった。これを受けた東京市場では、製造装置最大手の東エレクが一時前日比8%安と日経平均が過去最大の下げを記録した8月5日以来となる安値まで下げた。検査装置大手のアドバンテストも同10%安と急落した。 東エレクは4日午前終値時点で日経平均を1銘柄で170円強押し下げ、指数のマイナス寄与度ランキングで首位となった。時価総額は4日午前の取引時間中に一時10.9兆円と、前日から9400億円減った。時価総額9400億円は、積水化学工業(9700億円)や三越伊勢丹ホールディングス(8600億円)といった大手企業の1社分にほぼ匹敵する規模だ。 T&Dアセットマネジメントの浪岡宏チーフ・ストラテジストは「外需系製造業が多く世界の景気敏感株とされる日本株にとって、ISM製造業景況感指数の軟調な結果はネガティブに働きやすい」と指摘する。 投資家のリスク回避姿勢は強まっている。日経平均先物の夜間取引では、4日に売買代金が前日比5倍増と、約1か月ぶりの取引水準に膨らんでいた。米国発の不安材料を受けて、日本時間の朝を待たずに持ち高を調整する動きが鮮明になった。強気になり切れない投資家心理が透ける。 8月上旬の世界的な株価急落は、米景気指標が相次ぎ悪い内容と受け止められ米景気の減速懸念が高まったためだった。その流れの中では、同月1日発表の7月のISM製造業景況感指数が下振れ、「とどめ」を刺したのが7月の雇用統計だった。そして約1カ月たった今、足元では最新版となる8月のISM製造業景況感指数が市場予想に届かず、今週末6日には8月の雇用統計発表を控える。 フィリップ証券の増沢丈彦株式部トレーディング・ヘッドは「8月の相場急落局面から傷の癒えていない投資家が多く、過度な反応となりやすい」と指摘する。8月の米雇用統計の発表を通過すると、17?18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)などの重要イベントも待ち受けている。足場がおぼつかない相場展開が続きそうだ。【関連記事】・日経平均1500円安、エヌビディア急落が影 米景気懸念も再燃・荒れる秋相場入り、日本株にタイタニック・リスク・米株、景気懸念で626ドル安 NVIDIA株は41兆円目減り2024/09/04 14:13:5788.名無しさんzLsGs貿易の銀行決済を即時に 企業の送金、コスト大幅減 3メガ銀、来年実用化2024/09/05 日本経済新聞 朝刊 三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)など3メガ銀行は、銀行間の国際的な決済インフラやブロックチェーン(分散型台帳、総合2面きょうのことば)技術を使って瞬時に国際送金する仕組みをつくる。2025年中の実用化を目指す。1カ月程度を要する場合もある着金までの時間がほぼゼロになり、企業の送金コストも大幅に下がる見通しだ。 三菱UFJFG、みずほFG、三井住友FGは、他の邦銀や欧米の大手行など10以上の主要金融機関と今秋にも、実用化に向けた実証実験を始める。貿易決済を中心とする企業間の国際送金での利用を主に想定する。将来は留学資金の送金など個人間のお金のやり取りでも利用できるようになる可能性がある。 新たな仕組みは国際的な決済インフラ「国際銀行間通信協会(Swift、スイフト)」とブロックチェーン技術を組み合わせるのが特徴だ。現在主流のスイフトを使った国際送金は「コルレス銀行」と呼ばれる複数の銀行を中継するため、円滑に送金できる場合でも数十分程度、マネーロンダリング(資金洗浄)対策に関連する情報の不備などがあると1カ月程度かかることもあった。 今回はスイフトの決済基盤を活用し、ブロックチェーン上に法定通貨の価値に連動するステーブルコインを乗せて銀行間で直接送金するため、着金までの時間は1秒以下になる。既存のインフラであるスイフトを活用するため、金融機関は新たなシステムを構築する必要がなく、投資額を抑えられる。企業にとっても銀行に送金を依頼するという従来通りの手続きで送金が可能となる。 企業や個人が支払うコストは為替手数料とブロックチェーン基盤の利用料のみで済む。日銀によると、従来のスイフトを活用した国際送金では銀行経由で200ドル(約2万9000円)を海外に送金する場合、2013~19年の平均で送金額の17.5%の手数料がかかっていた。手数料が高くなりやすい新興国向けの場合、送金コストは従来の1割以下になる可能性がある。 3メガバンクは出資するProgmat(プログマ、東京・千代田)や、ブロックチェーン開発のデータチェーン(同・港)、スイフトと送金の仕組みを構築した上で、銀行間で利用可能なステーブルコインを発行する。スイフトは日本で電子決済に関する法整備が進んでいることを評価し、日本勢との連携を決めた。 米調査会社アライド・マーケット・リサーチによると、国境をまたいだ決済市場の規模は2022年時点で182兆ドル(約2京6000兆円)にのぼる。20カ国・地域(G20)首脳会議は国際送金のコストや着金スピードなどを改善する必要性を指摘しており、世界的な課題となっている。2024/09/05 06:04:2889.名無しさんzLsGs8月の売買代金の大きさ、半導体関連や銀行が上位に(日本株番付)2024/09/04 日本経済新聞 夕刊 日経平均株価が史上最大の下げ幅を記録するなど8月の株式市場は大荒れとなった。米国の景気減速懸念や円高・ドル安が株価の重荷となった。歴史的な乱高下の中、どのような銘柄が取引されたのか。東証プライム上場銘柄を対象に売買代金の大きい銘柄をランキングした。 上位には半導体関連が目立った。首位のレーザーテックの売買代金は4兆6910億円だった。株価は8月初旬に急落し7月末比の下落率が一時3割に達したが、8月末には7月末を上回る水準まで回復した。もっとも昨年末から8月末までの株価騰落率はマイナス24%となっている。2位のディスコは8月の1カ月間で14%下げた。3位の東京エレクトロンの株価も8月は低調だった。 6位には三菱UFJフィナンシャル・グループ、7位には三井住友フィナンシャルグループが入った。いずれも今年に入り株価はほぼ一貫して上昇していたが、8月の急落以降は戻りが鈍い。5位の三菱重工業は防衛事業の拡大期待から8月に6%高となった。2024/09/05 06:08:3590.名無しさんzLsGs日経平均、米ハイテク株安と円高が重荷(先読み株式相場)2024/09/05 08:01 日経速報ニュース 5日の東京株式市場で日経平均株価は続落か。前日の米ハイテク株安を受け、値がさの半導体関連株に売りが先行しそうだ。外国為替市場の円高・ドル安の進行も重荷となり、主力の輸出関連も軟調に推移する可能性が高い。日経平均は前日の終値(3万7047円)から650円ほど安い3万6400円近辺が下値メドになるだろう。 4日の米株式市場でハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数が続落し、前日比0.3%安で終えた。人工知能(AI)市場拡大の期待を背負ってきたエヌビディアやスーパー・マイクロ・コンピューターが下落し、東京エレクトロンやアドバンテストといった半導体製造装置株の逆風となる。同日発表の7月の米雇用動態調査(JOLTS)で非農業部門の求人件数(季節調整済み、速報値)は767万3000件と市場予想(810万件)を下回り、およそ3年半ぶりの低水準だった。米景気減速への警戒感が改めて強まっている。 5日早朝の外国為替市場で円相場は1ドル=143円台半ばと、前日17時時点と比べて円高・ドル安に傾いている。東京市場では自動車や機械など輸出関連株に採算悪化を警戒した売りが出て日経平均を下押しするだろう。日本時間5日早朝の大阪取引所の夜間取引で日経平均先物は下落し、9月物は前日の清算値と比べて480円安の3万6520円で終えた。 日経平均は前日に1638円安と急落していたため、短期的な自律反発を見込んだ押し目買いは入りやすいだろう。前日の米市場でダウ工業株30種平均は小幅ながら反発したほか、前日の東京市場でも内需・ディフェンシブ株の一角に消去法的な買いがみられた。もっとも、相場全体の先行き不透明感から戻り待ちの売り圧力は強そうで、相場全体の地合いが再び強気に傾くほどの展開は考えにくい。 個別では日本製鉄に注目だ。米鉄鋼大手USスチールの買収計画について、バイデン米大統領が中止命令を出す方向で最終調整に入ったと、米ワシントン・ポストと英フィナンシャル・タイムズが報じた。買収の成立に向けた不透明感が一層強まっている。 きょうは厚生労働省が7月の毎月勤労統計を公表する。日銀の高田創審議委員が石川県金融経済懇談会であいさつする。積水ハウスが2024年2?7月期の決算を発表する。海外では8月の米サプライマネジメント協会(ISM)サービス業景況感指数、8月のADP全米雇用リポート、週間の米新規失業保険申請件数の発表がある。米ブロードコムが5?7月期の決算を発表する。2024/09/05 08:15:5491.名無しさんzLsGs株、午後は下げ拡大か・三井住友銀の宇野氏 ダブルボトム確認へ2024/09/05 12:26 日経速報ニュース 宇野大介・三井住友銀行チーフストラテジスト 5日午後の東京株式市場で日経平均株価は午前終値(3万6917円)と比べ下げ幅拡大か。午前は朝方に比べ為替の円高・ドル安が一服したのにあわせて、日本株にも押し目買いが入った。5日は国内の事業会社の決済が集中しやすい「5・10日(ごとおび)」にあたり、10時前の中値決済に向けてはドル買いが入ったが、ここからいっそう円安に進む材料は乏しい。日経平均も3万7000円から上を試しに行く雰囲気はなく、売りが増えてくるだろう。 4日発表された7月の米雇用動態調査(JOLTS)では非農業部門の求人件数が2021年1月以来の低水準となったが、需給逼迫の状態が緩和しているだけで雇用が大きく崩れているといった印象はない。市場はなるべく米経済指標の悪い面に注目して、米連邦準備理事会(FRB)が大幅利下げに踏み切りやすくしているのではないか。少なくとも、17?18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)までは株安の地合いになりやすい。日経平均では3万1000?3万4000円の範囲で、8月初旬の下落局面とあわせた「ダブルボトム」の形成を確認しにいくとみている。2024/09/05 13:49:0092.名無しさんotIJS波乱必至の米雇用統計、投機筋が待ち望む「円買いの好機」2024/09/06 07:37 日経速報ニュース 今週最大の焦点といえる8月の米雇用統計の発表が日本時間6日夜に迫った。米金融政策の転機を控えるなかで投資家の気分は高揚しており、市場予想を上回るか否かで金融・資本市場が大きく揺さぶられるのは確実だ。外国為替市場も同じだが、実は面白いことにヘッジファンドなどの投機筋の関心は「円買いの好機がどこで訪れるか」で共通しているようにみえる。 5日発表の8月のADP全米雇用リポートで非農業部門の雇用者数が市場予想をかなり下回ったため、市場では米雇用減速への警戒感が再び強まっている。6日の円相場は1カ月ぶりに1ドル=142円台後半まで上昇した。言い換えれば悲観が先行しているだけに、今回の米雇用統計が予想よりも好結果となれば、既に形成された円買い・ドル売りの持ち高解消で円の下値余地は拡大するかもしれない。 ファンドの一部はこの「雇用統計後の円安・ドル高」を待ち望んでいる。市場では「米連邦準備理事会(FRB)の利下げはもし始まればシクリカル(循環的)な金利の低下局面入りを示す」(米系ヘッジファンドの為替ディーラー)との声が多い。金利は為替相場の主要な変動要因の1つだ。政策金利の引き下げや、それに歩調を合わせる中短期国債利回りの低下は教科書的な通貨安を促すとの前提で、できるだけ高い水準でドルを売りたいとのムードがある。 2024年は欧州など他の国の中央銀行も既に利下げに動いている。その影響で「シクリカル・トレード」では複数の通貨に対して円を買い進める「バスケット取引」が少なくない。あるファンドでは対ドルや対ユーロで円を買うと同時に、「低金利国」にもかかわらず7月にかけて大きく上げていたスイスフランに対して円の買い持ち高を積み増している。 米JPモルガン・チェースは金融政策の影響を受けやすい米2年物国債の利回りが年末にかけて大幅に低下すると予想し、「(低金利の通貨を調達してより高い金利の通貨に振り向ける)キャリー取引の中心的な運用対象国となる米国の金利低下により、キャリー戦略のパフォーマンスが下がると確信している」と指摘。そのうえで「ドルのプットオプション(売る権利)を交えてこれまで代表的な調達通貨だった円の通貨バスケットの買いを強化し、対ユーロや対スイスフランでも持ち高を増やす」という取引アイデアを提示した。 海外の市場参加者は日本の輸出企業の動向も注視している。貿易決済に絡む円買いは基本的にアウトライト(買い切り)で反対売買が起こらず、相場の基調形成に重要な役割を果たすからだ。 国内輸出企業は8月の月遅れ盆の前までは円の手当てに前向きだったが、足元では総じて鳴りを潜めている。円相場が8月15日、良好な7月の米小売売上高を受けて149円台まで急落したことから、市場では「輸出の円買いは149?150円を目標に置いているのではないか」との思惑が出ている。 アウトライトの円買いを誘うためにも円はいったんドンと下げたほうが良いだろう――。円に強気な市場参加者の「一時的な円安待望論」はこんなところからも来ている。2024/09/06 07:43:2193.名無しさんy243kさぁ、カッテいこう?2024/09/06 08:36:4894.名無しさんBNsG5アングル:針路失う銀行株、利上げペースに不透明感 回復になお時間[東京 6日 ロイター] - 「金利ある世界」への転換で、強い動きを見せていた銀行株(.IBNKS.T), opens new tabの基調が弱まっている。日銀が利上げフェーズに入ったものの、8月上旬の株価急落を受け、そのペースが推し量りにくくなっているためだ。海外比率の高いメガバンクの一角は、円高がマイナスとなる「輸出株」と類似する株価の動きも観測されるなど、読み筋は複雑化。高利回りで長期的には買いとみる声もあるが、株価の回復には時間がかかるとの見方も根強い。<急落からの戻りで劣後>8月上旬の株安局面で銀行株は、日経平均やTOPIXといった指数よりも売り込まれた。8月5日までの3営業日で業種別の銀行は28%下落。同期間の日経平均の20%安、TOPIXの21%安を上回る下げとなった。国内金利の低下や米景気悪化懸念で、とりわけ銀行株の売り圧力が強まったためだ。日経平均は今月に入り、8月の急落分を一時奪還したが、銀行株は急落前の水準には戻れなかった。マーケットの波乱を受け、日銀の内田真一副総裁が「金融資本市場が不安定な状況で、利上げすることはない」と火消しに回ったことも、銀行株にとっては、むしろ先行きを不透明にさせている。マーケット参加者からは「日銀の利上げペースを読むのが一段と難しくなり、銀行株は居所を探っている状況」(東海東京インテリジェンス・ラボのシニアクレジットアナリスト兼シニアアナリスト・中川隆氏)との意見も聞かれる。<「輸出株」化するメガバンク>特にメガバンクは、金利動向に加えて、為替にも左右される展開が続くとみられている。GCIアセットマネジメントのポートフォリオマネージャー・池田隆政氏は、メガバンクは「輸出関連株化」している面があるとみており「ドル/円に連動した動きが続くのではないか」と話す。三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306.T), opens new tabの経常収益ベースの海外比率は、2014年の40%に対し、2023年は56%に高まった。一方、同社の株価とドル/円を過去半年の20日リターンでみると0.67と一定の相関が認められる。このため「米利下げ観測の高まりなどで急激に円高に振れた場合、メガバンクの方が地銀と比べて売られやすくなるとみられ、注意が必要」(SBI証券のシニアアナリスト・鮫島豊喜氏)という。同じ銀行セクターでも個別企業によってパフォーマンスの差も見受けられ、目先はマクロより、ミクロの材料がより重要との意見もある。SBI証券の鮫島氏は「銀行セクターが一緒くたに買われるというよりは、ROE(自己資本利益率)が高く収益性が見込める企業や、株主還元を強化している銘柄が選好されるのではないか」と話し、選別が進むとみている。年初来の株価の推移をみると、住信SBIネット銀行 (7163.T), opens new tabが97%上昇、楽天銀行(5838.T), opens new tabが52%上昇するなどROEの高い銘柄の上昇が目立つという。楽天銀行のROEは12%、住信SBIネット銀は17%で、三菱UFJ(8%)、みずほフィナンシャルグループ(8411.T), opens new tab(7%)など大手行に比べて高い。<金利にらみ継続>市場では、日銀の金融政策は利上げの方向と意識されており、「中長期的にはさほど(銀行株を)悲観的にみる必要はないのではないか」(三菱UFJアセットマネジメント・チーフファンドマネジャー・石金淳氏)との見方も聞かれる。2024/09/07 01:40:1595.名無しさんBNsG5日銀高官のタカ派寄りの発言などで利上げへの思惑が高まる局面では銀行株が買われる流れは変わらないとして「金利にらみの展開は続きそうだ」(T&Dアセットマネジメントのチーフ・ストラテジスト兼ファンドマネージャー・浪岡宏氏)とみられている。配当利回りに目を向けると、銀行セクターは東証33業種のうち11位につけており、高配当の部類とされる。「個人投資家からの人気も高い業種なので、中長期でみれば買いでいいのではないか」(いちよし証券の投資情報部・銘柄情報課課長、及川敬司氏)との指摘がある。もっとも、市場では「本当に景気が良くなり、インフレ環境が強くなるようなら買い戻しもあり得るが、足元ではそこまで織り込みにくい」(東京海上アセットマネジメントの若山哲志株式運用部シニアファンドマネージャー)との声もある。メガバンクなど一部の銘柄では信用買い残が積み上がり、需給面の懸念も残っている。足元では米景気動向や米大統領選、国内の政局など不透明要因も多い。日銀の利上げパスへの見方も定まりづらく、いちよし証券の及川氏は「これらの先行きがみえてくるまで、積極的な買いは入りづらい」と話している。2024/09/07 01:41:4996.名無しさんrspHj今日の株式 大幅続落、3万5000円割れも 米株安や円高への警戒で2024/09/09 06:51 日経速報ニュース 9日の東京株式市場で日経平均株価は大幅に続落か。労働市場の軟調さを示すデータが相次ぎ、米景気に対する警戒感の強さは投資家心理の重荷となる。前週末の米株式相場の大幅下落を受け、東京市場でも幅広い銘柄に売りが先行しそうだ。過去最大の下げ幅を記録した8月5日を彷彿とさせる相場展開も想定され、二番底のリスクも意識される。日経平均は節目の3万5000円を下回り、前週末の終値(3万6391円)から1500円ほど安い3万4900円程度まで下落する可能性がある。 前週末6日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落し、前日比410ドル(1.00%)安の4万0345ドルで終えた。同日発表の8月の米雇用統計は非農業部門の雇用者数が市場予想を下回った。6月分と7月分も下方修正し、労働市場の軟化が意識され、米景気の下振れリスクへの懸念から株売りが広がった。外国為替市場では円が対ドルで1カ月ぶりに1ドル=141円台に上昇する場面もあった。円高・ドル安への警戒が広がり、東京市場でも自動車や機械など輸出関連株に売りが出そうだ。 主要な米ハイテク株は軒並み売られ、半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)も大幅に下落した。東京市場でも値がさの半導体関連株への売りが出やすく、日経平均を下押しするだろう。日本時間7日早朝の大阪取引所の夜間取引で日経平均先物は下落し、9月物は前日の清算値と比べ1210円安い3万5150円で終えた。 もっとも、日経平均は前週末までの4営業日で2300円あまり下落していた。急ピッチで下落してきた反動もあり、売りが一巡した後の3万5000円近辺では自律反発を見込んだ買いが入る可能性もある。景気変動に左右されにくく、円高の恩恵も受けやすい内需・ディフェンシブ株の一角に物色が向かう場面がありそうだ。 個別ではトヨタ自動車に注目だ。7日付の日本経済新聞朝刊は「トヨタは2026年の電気自動車(EV)の世界生産台数を100万台程度に縮小する」と報じた。EVの世界販売計画として公表していた150万台より3割引き下げる計算となる。足元の円高基調も重荷となり、売りが広がる可能性がある。 国内は4?6月期国内総生産(GDP)改定値の発表がある。海外は8月の中国消費者物価指数(CPI)や中国卸売物価指数(PPI)、7月の米卸売在庫・売上高などが公表される。2024/09/09 07:22:4797.名無しさんrspHj日本株に二番底懸念 過度なAI期待修正、円高も重荷2024/09/09 05:00 日経速報ニュース 週初の日本株相場は不安定な展開が見込まれる。前週末の米株市場で半導体を中心とした人工知能(AI)関連株が崩れ、連動性が高い日経平均株価は大幅下落で始まりそうだ。AIへの過度な期待がはがれつつある。1ドル=140円を超える円高が視野に入ったことも重荷だ。8月上旬の株急落から1カ月、再び安値をつける「二番底」形成への警戒が高まってきた。 「フェーズが変わった」。ピクテ・ジャパンの田中純平ストラテジストは6日の米株式市場の動きを受けて、日本株の先行きに一段と警戒を強めている。注視したのは主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)。この日は5%安となり、8月上旬につけた直近の安値に再び迫っている。 前週末の大阪取引所の夜間取引では、日経平均先物の9月物が3万5150円と前日の清算値と比べて1210円(3%)下落した。日経平均は東京エレクトロンやアドバンテストなど半導体関連株の影響力が大きく、SOX指数との連動性が高い。投資家は週初の日本株相場に身構える。 8月上旬の世界的な株安から約1カ月。日経平均は2日に3万8700円まで上げたものの、急落前の水準を取り戻せずに押し返された。1日1000円前後の値幅も珍しくなくなった。相場変動率の高さから長期マネーの買いが入りにくくなっており、再び安値をつける「二番底」形成が警戒され始めている。 二番底とは大幅安から反発した後に再び形成した安値を指す。1987年のブラックマンデーなど多くのショックが二番底を経験している。二番底が大底(株価下落局面での最安値)となって上昇に転じる場合もあれば、長期下落トレンド入りで三番底をつけるケースもある。 国内大手運用会社アセットマネジメントOneの浅岡均シニアストラテジストは「日経平均は3万5000円を割り込み、3万4000円に向かって大きく下げる展開になってもおかしくない」と予想する。2024/09/09 07:24:4998.名無しさんrspHj エヌビディア株は8月安値接近、日本株に下落圧力 二番底警戒の背景には半導体株に対する市場の見方の変化がある。 6日に半導体株安の震源となった米ブロードコム株。前日に発表した5?7月期決算では売上高が前年同期に比べて47%増えた。ところが8?10月期の見通し(140億ドル、約2兆円)がアナリスト予想をわずかに下回ったことが嫌気され、前日比10%安まで売り込まれた。 ブロードコムはAI関連チップやソフトウエアを手がける。成長期待から一時、年初から上昇率が5割を超えた。投資家の要求ハードルは高くなり、市場予想を大きく上回る実績や見通しを出さないと売られやすくなっている。 エヌビディア株も決算後に下落基調となり、8月の安値に接近している。日経平均をけん引してきた東京エレクトロン株は年初来でマイナス圏だ。 調査会社ガートナーは8月下旬、先端テクノロジーのハイプサイクル2024年版を公表した。過度にもてはやされる期間から幻滅期を経て、市場の理解が深まり、普及するというテック共通のサイクルを先進技術ごとに示したものだ。ガートナーによれば生成AIは過度な期待のピーク期から幻滅期に入りつつある。 この見立て通りであれば、ブロードコム株でみられた株価反応は過剰な期待の修正ともいえる。期待の調整には時間がかかる。米西部時間9日にアップルがiPhone新機種を発表すると見込まれている。AIサービスの搭載が期待されているが、半導体株の反転につながるか不透明だ。 米欧同時利下げの観測、140円超える円高視野 さらに円高進行も日本株安への警戒を高める。 前週は対ドルが146円台前半から142円台前半へ、対ユーロは161円台半ばから157円台後半に、それぞれ4円ほど円高が進んだ。ユーロの対ドル相場はこの間、ほぼ横ばい圏だった。足元はドル安というより円全面高に近い。 欧州中央銀行(ECB)が12日に理事会を控える。第一生命経済研究所の田中理首席エコノミストは「0.25%の利下げを四半期に一度続けるというのがメインシナリオ」と話し、今回の会合で追加利下げを決めると予想する。 米連邦準備理事会(FRB)高官は6日、17?18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%の利下げを決めると示唆しており、9月は「米欧同時利下げ」の公算が大きくなっている。 米国では6日の雇用統計発表後も米景気不安がくすぶり、米金利は低下した。ECBが景気リスクを理由に利下げを実施すれば、欧州金利は下がりやすくなる。一方で日銀は利上げ姿勢を崩していない。金利見通しを巡って米欧と日本の違いが際立ち、円高に振れやすくなる。 みずほ証券の山本雅文チーフ為替ストラテジストは「(11日公表の)米消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回るなどしない限り、FOMCに向けて円高が進みやすい」と指摘した上で「140円割れもあり得る」と予想する。 日銀の6月の全国企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の事業計画の前提となる24年度の想定為替レートは全規模・全産業で1ドル=144円77銭だった。足元の円高進行が続けば、トヨタ自動車など主力輸出企業の業績上方修正期待は?落し、逆に下方修正リスクを意識せざるを得なくなる。 円高の恩恵を受ける一部の内需株はマネーの退避先になっている。1円の円高が経常利益を年20億円押し上げるニトリホールディングス株は7月末比で23%高い。ただし日経平均の構成銘柄は外需株比率が高く、内需株だけでは逃避マネーの「受け皿」になりきれない。二番底懸念が高まるゆえんだ。2024/09/09 07:26:1599.名無しさんrspHj日本の貿易立国復活か 「国内回帰」関連銘柄にマネー2024/09/09 04:00 日経速報ニュース 米中対立を背景としたサプライチェーン(供給網)の再編が、日本の位置付けを変えつつある。欧米企業が中国で供給網を見直し、「日本の安全保障上の価値が20?30年前に比べて格段に高まった」(ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次チーフエコノミスト)。半導体を中心に日本企業の国内回帰や海外企業の対日投資が広がる。日本で生産し輸出して稼ぐ「貿易立国」に返り咲く好機ととらえる声もある。 宮崎県国富町のローム工場で今夏、装置の搬入が本格化した。年末に稼働し電気自動車(EV)の電圧制御などに使う炭化ケイ素(SiC)製パワー半導体を量産する。国内半導体メーカーで初めてウエハーから半導体チップまでを国内で一貫生産する。3000億円を投じ、30年度までにSiCパワー半導体の生産量を21年度比35倍に高める。 パワー半導体は電圧制御に使い、EVや再生可能エネルギー発電所、AI(人工知能)データセンターなどで採用が広がる。世界シェア上位10社のうち4社を日本企業が占める。 経済産業省は21?23年度、半導体支援に3.9兆円を確保した。ロームと東芝のパワー半導体投資に最大1294億円を補助する。ルネサスエレクトロニクスも24年4月、甲府工場(山梨県甲斐市)を再稼働し、25年からパワー半導体を量産する。 米ボストン・コンサルティング・グループによると、世界の半導体生産能力は中国や台湾、東南アジアに偏る。22年時点でウエハーに回路を描く「前工程」では日本を除くアジア地域が6割、半導体チップを最終製品に組み立てる「後工程」では8割を占める。中国は自給率向上に向けパワー半導体などの増産に動いており、日本勢も投資を急ぐ。 台湾積体電路製造(TSMC)による熊本県での新工場建設を好機と捉えた動きも相次ぐ。工場運営会社にはソニーグループやトヨタ自動車などが出資。素材メーカーも投資を加速し、富士フイルムホールディングスは24年1月、熊本県で半導体製造向け研磨剤の新工場を稼働させた。 電子部品では村田製作所が約470億円をかけて島根県出雲市に積層セラミックコンデンサー(MLCC)の新たな生産棟を建設、26年3月に竣工する。EVやスマートフォンなどに使われる部品で、TDKも岩手県の工場にMLCCの新工場棟を設けた。 防衛分野でも国内拠点増強の動きがある。三菱電機は約220億円を投じ、神奈川県鎌倉市など3カ所で防衛装備品の工場を新設する。4月にはフィリピン空軍向けに2基目の対空監視レーダーを納入したと公表。米航空防衛大手RTXと協業し米軍向け装備品の供給を目指すなど海外市場を開拓している。 日本政策投資銀行(DBJ)の24年度の設備投資計画調査では、回答した製造業の半数近くが今後3年程度で国内生産拠点を強化する方針を示した。新型コロナ前の17?19年は4割弱だった。10年先までに国内を強化するとの回答も5割を超えた。 海外大手の進出も目立つ。米インテルは4月に後工程を自動化するための企業連合を設立、オムロンやTDKなど19社が参画した。米アマゾン・ドット・コムはデータセンター(DC)関連で23?27年の5年間で2兆2600億円を投じると発表。マイクロソフトやオラクルなども日本でDCに投資する計画を明らかにしている。テック大手による合計投資額は約4兆円となる。 ただこうした国内回帰や対日投資は「まだマクロの経済データで確認できるほどの規模にはなっていない」(みずほ証券の小林俊介チーフエコノミスト)。政府は30年までに対日直接投資残高を100兆円に引き上げる目標を掲げるが、23年6月時点で47.3兆円にとどまる。 経済安保面から世界各国が企業の誘致合戦を繰り広げる。投資先として企業に選んでもらうには「エネルギーや電力の安定供給の確保が重要」とニッセイ基礎研の矢嶋氏はみる。貿易立国の復活を目指すのであれば「エネルギー問題への早急な対応が欠かせない」と指摘する。2024/09/09 07:40:20100.名無しさんrspHj 「自動化」「物流」テーマに 米中対立を背景に注目される投資テーマが供給網を国内に戻す「リショアリング」、消費地近くに移す「ニアショアリング」、友好国・地域と構築する「フレンドショアリング」だ。インフラや生産設備、物流などの銘柄に恩恵が及ぶとみられている。 通信インフラを手掛ける米イートン株は5月、上場来高値を更新した。夏場に弱含んだものの足元で昨年末比2割近く高い。「米国インフラ・ビルダー株式ファンド」に同社株を組み入れる大和アセットマネジメントの運用チームは「米国への生産回帰の恩恵を受ける」と投資理由を語る。トランプ前大統領の誕生を受けてファンドを設定した2017年1月以来、リターンは3倍を超える。 BNYインベストメンツの「米国製造業株式ファンド」では工場の自動化に貢献する企業に注目。産業用機械の米インガソール・ランドや電気・電子製品の米ハッベルを組み入れる。いずれも株価は昨年末比1割強上昇している。ファンドマネージャーのモンティ・コリ氏は「米国回帰が自動化設備や生産を最適化するソフトウエア、電力供給を支える企業に利益をもたらす」と話す。6月末までの3年間の年率リターンは21.5%だ。 物流関連の銘柄も物色されている。フェデックスや鉄道・トラックなどの手段を組み合わせ輸送を請け負うXPOは昨年末比1?2割高い。三井住友DSアセットマネジメントの青木英之シニアファンドマネジャーは「中国からベトナムやカンボジアを経て米国に輸出する経路に変えたり、米小売り大手が中国からの輸入を減らしたりするケースが増えている」と話す。東南アジアでコンテナ路線を担う海運会社やメキシコで物流センターを手掛ける企業に注目する。 日本企業にも恩恵がある。「中国企業からの低圧インバーターの受注が計画を上回っている」。富士電機の鉄谷裕司インダストリー事業本部長は説明する。モーターの回転速度を制御する装置で工場設備に欠かせない。中国の繊維企業などが米国への輸出を目的に生産拠点を東南アジアへ移していることが背景にあるようだ。 「半導体業界の日米での投資拡大が追い風だ」と説明するのが荏原。室内のクリーン度を高めるドライ真空ポンプや半導体ウエハーの表面を研磨するCMP装置を手掛ける。TSMCが工場を設けた熊本県内で24年中にCMP装置の新たな生産棟を稼働させ、生産能力を5割増やす。 ファナックや安川電機は米国事業強化に動く。ファナックは7月、米子会社を通じミシガン州にロボットの保管や営業・サービスを担う拠点を新設。1億1000万ドル(約150億円)を投じた。安川電機は今後数年で300億円規模を投じ、現地工場の新設を検討している。 もっとも安川電の株価は昨年末比23%安に沈む。「中国事業の息切れ感が株価に反映されている」(みずほリサーチ&テクノロジーズの月岡直樹主任エコノミスト)との指摘がある。2024/09/09 07:41:21101.名無しさんrspHj8月5日とは別の顔 ブラックマンデー呼ぶマネー大移動(永井洋一)2024/09/09 08:11 日経速報ニュース 再び月曜日の株暴落「ブラックマンデー」への警戒が強まっているが、注意が必要だ。米景気の悲観論が支配した8月5日とは相場の顔つきが異なる。 8月の米雇用統計は失業率が低下し、米景気の底堅さを示す内容だったが、前週末の米国市場は株安・債券高(金利低下)が加速した。 市場関係者は先行き不安からの「景気後退トレード」と解説するがやや無理がある。実情は米連邦準備理事会(FRB)に0.5%の大幅利下げを求める市場の圧力、いわゆる「催促相場」だ。 なぜなら、いまの米国のクレジット市場に異変はみられず、金融ショックの火種は膨らんでいない。米国が深刻な景気後退に陥るという新たなシグナルもない。 例えば金利の先安観が強まると売られることから景気後退や金融危機の接近を知らせる「炭鉱のカナリア」とされる「バンクローン(信用力の低い企業向けの有担保の変動金利型銀行融資)」債権が6日の米国市場ではほとんど売られなかった。 8月の米サプライマネジメント協会(ISM)サービス業景況感指数は市場予想を上回った。ISM製造業指数も予想をわずかに下回ったとはいえ、7月からは改善した。企業の景況感はボトムアウトしつつある。 それにもかかわらず株式から債券への資金シフトが進むのだからタチが悪い。米大統領選を控え、不確実性が高まる前に投資家が「運用資金を高い固定金利商品に移し、予定利回りを固めてしまおう」という動機が働いているからだ。 例えば米S&P500種株価指数の予想配当利回りは1.43%に対し、米10年物国債の利回りは低下したとはいえ3.7%もある。 象徴的なのが米著名投資家ウォーレン・バフェット氏の投資判断だ。同氏が率いる米投資会社バークシャー・ハザウェイが保有する米短期国債は2024年6月30日時点で2346億ドル(約33兆円)。23年12月末時点と比べ81%増加した。一方、株式は19%減の2848億ドル。いずれ株式と債券の保有額が逆転する可能性がある。 欧米より利上げが遅れた日銀はグローバルリスクマネーの「供給源」だった。日本株や米エヌビディアを筆頭とする米半導体株、暗号資産(仮想通貨)ビットコインなど様々なリスク資産にお金が流れ込んだが、7月31日の追加利上げ決定以降、「円キャリートレード」は逆回転を起こした。 米国の在庫が減少しているにもかかわらず下げ止まらない原油相場もその一つだ。 米ブルームバーグ通信によれば、高金利を背景にヘッジファンドなどは原油市場から国債などで運用する利回り5%台のMMF(マネー・マーケット・ファンド)に最大1000億ドル相当の資金をシフトした。安全なMMFの利回りに対抗するには原油投資で15%の利回りが必要だという。 当然だが、こうした事例は原油にとどまらない。米投資信託協会(ICI)によればMMFの残高は9月4日時点で6.3兆㌦。1カ月で2%近く増加し過去最高を更新した。いまやMMFは待機資金ではなく滞留資金だ。 米景気の先行きが不透明ななか、米国の固定金利が高いままではリスク資産投資は採算が合わない。金利商品への駆け込み需要が止まり、リスク資産に再びマネーが戻るには大幅な利下げが必要だが、米景気が底堅いうちはFRBも1回に0.5%の利下げには踏み込まないだろう。 もちろん、株安が自己実現的に米国を深刻な景気後退に陥れる可能性はある。 だが、当面起こりうる株価暴落の原因は、確定利回りとリスク資産の投資収益率を天秤にかける投資家心理に内在する。だとすれば、利下げ観測を弱める米国のそこそこ強い経済データこそ、株式投資家には大敵ではないか。2024/09/09 08:17:17102.名無しさんrspHj株、大幅続落し二番底・ケイ・アセットの平野氏 今が買い場か2024/09/09 08:20 日経速報ニュース 平野憲一・ケイ・アセット代表 9日の東京株式市場で日経平均株価は大幅に続落しそうだ。下値のめどは3万5100円を見込む。6日発表の8月の米雇用統計は非農業部門の雇用者数が市場予想を下回った。米景気後退懸念が強まり、日本市場でも売りが膨らみそうだ。前週末には外国為替市場で円相場が1ドル=141円台に上昇する場面もあり、円高・ドル安への警戒も広がっている。輸出関連株への売りも相場を押し下げるだろう。 ただ、8月の米雇用統計の市場の受け止めは悲観的すぎるだろう。雇用者数こそ予想を下回ったものの、失業率は市場予想通りの結果となり、4.2%と7月の4.3%から低下し、5カ月ぶりに改善した。また、平均時給は前月比の上昇率が0.4%と、市場予想(0.3%)以上だった。米ブルームバーグ通信によると、イエレン米財務長官は米経済についてソフトランディング(軟着陸)を達成したとの見方を示したという。市場が警戒するよりも米景気は急減速していないと考えている。きょうの日経平均は大幅に下落し二番底となる可能性が高いが、売り一巡後は買いも入り回復が見込めるとみており、今が絶好の「買い場」になるかもしれない。2024/09/09 08:33:58103.名無しさんrspHj国内投資家の外債買い最大 8月、円高や米利下げ観測で2024/09/09 19:30 日経速報ニュース 財務省が9日発表した対外・対内証券投資で、8月の国内投資家の海外中長期債の買越額は7兆3370億円と過去最大となった。8月に一時1ドル=141円台まで円高が進み、保有資産全体に占める外国債券の比率が低下。年金などのリバランス(資産配分の調整)を目的とした買いが膨らんだ。 投資家別に見ると、中心的な買い手は年金と銀行だった。年金などから受託した資産を運用する信託銀行(信託勘定)が2兆8069億円と、2020年11月以来の買越額となった。銀行等(銀行勘定)の買越額は2兆6574億円だった。一方、生命保険会社は5381億円の売り越しだった。 全体では大幅な買い越しとなり、統計がある05年以降でこれまで最大の買越額だった16年7月の5兆4494億円を上回った。 背景には、外国為替市場で急速に進んだ円高がある。米景気減速に対する警戒感から米連邦準備理事会(FRB)の大幅な利下げ観測が台頭。8月1日に一時1ドル=150円台に下落していた円相場は5日に一時141円台まで上昇した。 JPモルガン証券の山脇貴史債券調査部長は「円急騰を受け、年金などが資産全体に占める保有割合が下がった外国債券を買い増したのではないか」と話す。 信託銀行(信託勘定)は主に年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)など年金基金の動向を映す。GPIFが運用の基準とする外国債券の指数は8月に約1.3%下落した一方、金利が低下(債券価格は上昇)した国内債券は約1.2%上昇した。国内債券から外国債券に資金を移す動きがあったとみられる。 GPIFが投資に回す資金の増加も影響した。財政資金対民間収支によると、主に国庫からGPIFへの資金流入などを反映する「預託金」が8月は約2.7兆円と18年以降で最大となった。野村証券の桑原真樹シニア金利ストラテジストは「ニューマネー増加も大幅な外債への資金流入につながった可能性がある」と指摘する。 米利下げ観測の高まりも外債買いを後押しした。三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは「今後の米利下げで米国債価格が上昇するとの見方が広がり、銀行などが外債買いに動いた可能性がある」とみる。 国内勢の外債買い拡大は、外為市場では円安・ドル高圧力として意識される。8月末には一時1ドル=146円台で推移するなど、141円台から5円程度反落した。「年金などによる外債の大幅買い越しは、円高を抑える要因となった」(バークレイズ証券の門田真一郎為替債券調査部長)との見方が多い。 今後については「年金の外債買いはリバランスが一巡すれば落ち着く。銀行は世界的に景気悪化懸念が高まれば増やすだろうが、8月のような大幅買い越しが続くとは考えにくい」(山脇氏)との声があがっている。 24年初めには、日銀の利上げによって国内金利に上昇圧力がかかり、国内勢が外債投資から円債に回帰するとの観測が一部で出ていた。円債については「金利水準は低いが、買えない状況ではない」(太陽生命保険の清友美貴常務執行役員)との声もあがる。 ただ、日銀の高田創審議委員が5日、追加利上げを示唆するなど、金利先高観は根強い。現時点では「国内投資家は積極的には買いづらい」(SMBC日興証券の田未来シニア金利ストラテジスト)状況だ。【関連記事】・リバランスとは 組み入れ比率を調整、急落時の支えにも・円需給の「綱引き」に変化 企業の資金還流、円高要因に2024/09/09 19:42:06104.名無しさんZ4Imc3メガ系証券、富裕層囲い込みへ 三菱UFJはプロ人材2倍2024/09/11 05:00 日経速報ニュース 3メガバンクグループの証券会社がウェルスマネジメント(富裕層ビジネス)の営業人員の育成や増員を進めている。三菱UFJモルガン・スタンレー証券は社内で「プロ」と認定する社員を3年で2倍にするほか、みずほ証券は資産30億円以上の顧客を専門に担当する社員を今夏に2割増やした。ネット証券が手数料無料化に踏み切るなか、対面サービスで富裕層の囲い込みを図る。 ウェルスマネジメントは各社によって定義が異なるが、顧客に営業員が担当としてつき、取引の受注だけでなく顧客の資産全体を勘案した資産の運用や管理について助言などを行う。最低投資金額の大きいプライベートアセット(未公開資産)など広く一般には販売しない商品を扱う場合もある。 三菱UFJモルガン・スタンレー証券は2026年度までに、現在約400人の「プロ人材」を2倍にする。ファイナンシャルプランナー(CFP)など専門資格の取得や一定の成果などを要件としており、社内教育などを強化する。プロ人材は1人あたり平均年2億円程度の収益を稼いでいるという。 三菱モルガンではおおむね総資産3億円以上の顧客に対面営業の担当者がつく。一人あたり平均100世帯前後を担当している。プロ人材は現段階で全営業員の4分の1程度だが、3年間で比率を半分まで引き上げる。 米モルガン・スタンレーのノウハウなどを生かし、年に顧客に何回会うべきかなどの営業手法を体系化したマニュアルを今年4月に作成した。 みずほ証券は資産30億円以上の超富裕層を担当するプライベートバンキング(PB)の部署の人員を東京の本社と大阪あわせて約10人増やして60人強にした。従来は支店で担当していた首都圏や近畿圏の顧客の担当を24年度中に東阪の拠点に集約する。 支店ではこれまで、一人の営業員が通常の顧客とPBの顧客の両方を担当していたが、東阪の拠点にはPBの専門部署がある。PBは寄付先の提案など通常の顧客とは違うスキルも必要のため、専門部隊に集約することでノウハウを蓄積させる。通常の営業員は一人が200人程度を担当するが、PBは40?50世帯だ。 富裕層は企業の経営者やオーナーである場合が多く、事業承継やM&A(合併・買収)、新規株式公開(IPO)などで投資銀行部門などと連携する場合が多い。本社に担当者を集約させることで、投資銀行部門との連携がとりやすくなる。 三菱モルガンも今春、ウェルスマネジメント部門と投資銀行部門などを結ぶ専門組織を本格稼働させた。同様の組織は米モルガン・スタンレーなどにもある。2024/09/11 06:06:46105.名無しさんZ4Imc SMBC日興証券と三井住友銀行は25年入社の新卒採用から、ウェルスマネジメント関連業務にあたる人材の一括採用を始めた。預金や融資、遺言信託などを取り扱う銀行と、証券会社の両面の視点で人材を育てる。大都市圏にPBの専門部署を置いているほか、22年には横浜や神戸などの支店にも新設。地方を開拓している。 個別株の販売やプライベート資産など富裕層から人気の高い運用商品の販売は証券会社が中心となる。三井住友FGはグループの富裕層ビジネスの中核を証券会社が担うとしており、司令塔となる持ち株会社の統括本部長にもSMBC日興出身者が就いた。 日本証券業協会などによれば、国内の上位1割の世帯が全体の4割程度の金融資産を持つ。米欧ほどではないが、国内でも富裕層が多くの資産を持っており、投資助言などのニーズが高く、金融機関としては収益源になりうる。 スイスのUBSの予測によると、日本のミリオネア(資産100万ドル=約1億4000万円以上の富裕層)は28年に23年比28%増の362万人になる。「ウェルスマネジメントは今後伸びると全員がわかっている市場」(メガバンク首脳)のため、各社が力を入れている。 野村ホールディングス(HD)や大和証券グループ本社は既にウェルスマネジメントを成長戦略の中核に位置づけている。野村証券は全国の個人担当者の大部分を富裕層担当にした。大和証券Gは経常利益に占めるウェルスマネジメントの割合を現在の35%から45%に高める。 野村や大和、SMBC日興は米ブラックストーンなどのプライベートエクイティ(PE)商品の販売にも力を入れる。SMBC日興は投資に関する知見のある顧客向けにローン担保証券(CLO)の公募商品の販売も始めた。 証券各社が富裕層ビジネスに力を入れるのは、一般向けのビジネスでネット証券が手数料無料化に踏み切るなど競争が激しくなっているためだ。 三菱モルガンでウェルスマネジメントの企画を所管する伊藤英十常務執行役員はプロ人材を増やす目的について「商品・サービスはコモディティー化が進むため、手数料だけで考えるとネット証券に流れる。競争力の源泉はアドバイスによる付加価値しかなく、徹底的に強化する」と話す。2024/09/11 06:07:55106.名無しさんZ4Imc円相場、140円台に一段高 株安やトランプ・トレード解消で2024/09/11 13:44 日経速報ニュース 11日午後の外国為替市場で、円相場が上げ幅を拡大した。13時すぎに140円90銭近辺と約8カ月ぶりの高値をつけた。日経平均株価が下げ幅を広げ、投資家がリスクを取りにくくなったのが円買い・ドル売りを誘っている。8月上旬につけた141円台後半の水準を超えたことで損失覚悟(ストップロス)の円買い・ドル売りも入りやすくなっているようだ。 11月の米大統領選でトランプ前大統領が再選されるとの思惑から形成されていた「トランプ・トレード」の持ち高解消が進んだとの見方も出ている。日本時間11日午前に開催された米大統領選候補者のテレビ討論会で、民主党候補のハリス副大統領がトランプ氏より優位にたったとの受け止めが浮上しているためだ。トランプ氏の財政拡張策を見込んだ米債売りやドルの買い持ち高を整理する動きがあるという。 日銀の追加利上げ観測を背景にした円買いも根強い。日銀の中川順子審議委員は11日、秋田県の金融経済懇談会で経済・物価見通しが実現していくようなら「緩和度合いを調整していくことになる」などと発言していた。2024/09/11 13:51:33107.名無しさんbdBdt金融業サービスで海外支払い拡大 国際収支の赤字要因に2024/09/13 02:00 日経速報ニュース 金融業のサービスに関連した国際収支の赤字幅が拡大している。国内の保険会社が海外に支払う再保険料などが膨らみ、2024年上半期(1?6月)の支出額はこの5年で2.7倍に増えた。受取額は1.3倍にとどまり、収支の赤字は1兆円を超えた。 デジタルサービスの海外への支払いによる「デジタル赤字」と同様に、金融分野でも国内事業者の国際競争力をどう高めていくかが課題といえる。 日本と海外との経済的なやりとりを集計する国際収支統計のなかで、モノやサービスのやりとりに関する収支の赤字が続いている。 サービス収支のなかで、「保険・年金サービス」と「金融サービス」を合算して金融業に関するサービス収支をはじき出すと、1?6月は海外に2兆3645億円を支払い、受け取りは1兆1502億円だった。差し引きの収支は1兆2143億円の赤字となった。赤字幅は1年前から6割増えた。 赤字の増加が目立つのが、再保険料や貨物保険料、損害保険料などを計上した「保険・年金サービス」で1?6月は1兆5276億円の赤字だった。海外への支払額が5年で4倍に増えたことで、赤字額は5年前の3008億円からおよそ5倍に増加した。 財務省や日銀によると、日本の保険会社が海外の再保険会社に支払うお金が増えている。再保険は保険会社が顧客との契約で引き受けたリスクの一部を、他の保険会社に肩代わりしてもらうものだ。 投資商品としての性格を持つ個人向けの変額保険の売り上げが国内で伸びていることなどが背景にある。「貯蓄から投資へ」の機運の高まりもあり、資産運用の需要が大きくなっている。 日本の保険会社は海外の再保険会社と契約することで、リスク分散を図るケースが増えているという。 多様な金融商品の売り上げ拡大は国内金融業の成長につながり、消費者にもメリットがある。ただ、海外の金融サービスの依存度の高まりは、国内事業者の競争力の弱さを反映している部分がある。 日銀の分析によると、米国や英国はデジタル分野と共に、金融の分野でも海外から一定の受け取りがあり、サービス収支の黒字につながっている。内閣府が保険・年金分野の国際的な優位性を分析したところ、日本は米英やドイツ、フランスを下回った。 学習院大学の清水順子教授は「日本の金融機関は主に日本の企業や個人を対象に様々なサービスを展開しているが、欧米の金融機関と比較すると海外で通用するサービス展開が少ないのではないか」と指摘する。その上で「それが金融収支のバランスの悪さにつながっている」と話す。金融業の国際競争力における課題が結果的にサービス収支の赤字に現れている可能性がある。 日本と海外との経済的なやりとりを集計する国際収支統計によると、全体の経常収支は1?6月で計12兆6817億円の黒字だった。日本企業の海外展開などで投資による利益を確保した。 モノやサービスのやりとりに関する収支をみると、1?6月は貿易収支が2.6兆円、サービス収支が1.7兆円、それぞれ赤字だった。 サービス収支を詳しく見ると、新型コロナウイルスの流行が落ち着いてきたことでインバウンドが好調に推移し、旅行関連は収支が黒字方向に進んでいる。1?6月の黒字額は2兆5939億円となり、前年同期の1.6倍になった。 他方で、海外のクラウドサービスやネット広告への支払いが膨らみ、デジタル関連は収支が3兆1092億円の赤字と前年同期と比べて1割増えた。【関連記事】・7月サービス収支、2カ月連続赤字 デジタル赤字が拡大・カード業界、訪日客増で赤字1.5倍に 「二重料率」も2024/09/13 03:14:14108.名無しさんbdBdt海外勢の日本株売越額が今年最大 9月1週、8235億円2024/09/12 21:58 日経速報ニュース 東京証券取引所が12日発表した投資部門別売買動向(東京・名古屋2市場)によると、海外投資家は9月第1週(2?6日)に現物株を8235億円売り越した。売却額が購入額を上回るのは3週連続で、売越額は2023年9月以来およそ1年ぶりの大きさだった。 この週の日経平均株価は週間で2256円(6%)下げた。製造業景況感や雇用関連の弱い経済指標を受けて米景気の減速懸念が再び強まった。米国の利下げ幅拡大観測による円高進行で、業績の先行き懸念も広がった。 海外投資家の売買代金差額を4月から累計すると5310億円の売り越しで、24年度に入って初めて売り越しに転じた。野村証券の須田吉貴クロスアセット・ストラテジストは「円高や日銀の利上げなど日本固有のネガティブ要素が懸念され、海外投資家の間で日本株を積極的に買い上げる高揚感はない」と話す。 年金基金など機関投資家は株価の上下で保有比率が変動すると、減った資産を買い増し、増えた資産を売ることで元の比率に戻るよう調整する。「円高進行でドル換算の日本株の資産価値が上がり、機関投資家のリバランス(資産配分の調整)売りが出た」(GCIアセット・マネジメントの池田隆政シニア・ポートフォリオ・マネジャー)との指摘もあった。 個人投資家は現物株を5週ぶりに買い越した。買越額は4672億円だった。相場の流れに逆らう「逆張り」の押し目買いが優勢だった。企業による自社株買いが高水準で続いており、事業法人は3544億円買い越した。年金基金の動向を映すとされる信託銀行は7週連続の買い越しで、買越額は1500億円だった。【関連記事】・日経平均1213円高 「8連敗」阻止したNVIDIA・「海外勢、急落後も日本株期待は不変」 BofA幹部2024/09/13 03:20:10109.名無しさんoTkiA止まらぬ円高・株安スパイラル 「9月株安」これからか-日経QUICKニュース 張間正義2024/09/13 17:05 日経速報ニュース 海外投資家による日本株への売り圧力が強まっている。日経平均株価が7月11日に史上最高値(4万2224円)を付けた翌週にあたる7月第3週(16?19日)以降、海外勢の売越額は現物と株価指数先物の合計で5兆1000億円に達した。その主因として円高・ドル安の進行を挙げる声は多い。欧米中銀が利下げを模索しているのに対し、日銀は利上げを継続する方針とあって、円高と株安が同時進行しやすい状況は当面続きそうだ。 13日の日経平均は反落し、前日比251円安の3万6581円で終えた。 欧州中央銀行(ECB)は12日、2会合ぶりとなる0.25%の利下げを発表した。米連邦準備理事会(FRB)が17?18日に開く米連邦公開市場委員会(FOMC)でも、利下げはほぼ確実視されている。外国為替市場で一時1ドル=140円台半ばまで円高が進み年初来高値を更新したのと歩調をあわせて、トヨタ自動車やキヤノンといった輸出関連株に売りが膨らみ、日経平均も一段安となった。 東京証券取引所によると、海外勢は9月第1週(2?6日)に現物株を8235億円売り越した。1週間の売越額としては今年最大だ。2日の取引時間中に日経平均は一時、3万9000円台に乗せるなど8月急落後の戻りを試していた局面にあたる。 そこで日本株買いに動いた海外勢もいる。個別株の買いと空売りを組み合わせる「ロング・ショート(LS)」戦略の運用担当者は「このタイミングでロングバイアス(買い持ち高を増やす)を強めたLS戦略の投資家は多かった」と話す。 23年4月以降の日経平均の価格帯別に集計した累積売買高では、上方向では3万8000?3万9000円、下方向では3万2000?3万3000円が膨らんでいる。ショート(売り)は貸株料がかかるため、普段からLS戦略は買い持ちの比重が高い。3万9000円を上回れば売り圧力が和らぐとの見方から先高観を強め、さらに買い持ちを増やしたファンドもあったもようだ。 だが、その後の日経平均は米株安や円高につられて3日から11日までの7営業日続落で3000円あまり下げた。 米調査会社ヘッジファンド・リサーチ(HFR)が算出するLS戦略の運用成績を示す「株式ロング・ショート指数」は9月第1週にマイナス1.2%。週間では今年2番目の悪い記録で、LS戦略のパフォーマンスが急激に悪化したことがうかがえる。ヘッジファンドの運用スタイルで多いとされるLS戦略の成績悪化は、今後も尾を引く可能性がある。 海外勢は円高への警戒感を強めている。モルガン・スタンレーMUFG証券の中沢翔ストラテジストは今月に欧州を訪問した。現地投資家とのミーティングでは、日銀のタカ派姿勢と米経済の減速懸念で、さらなる円高進行を警戒する声が多く聞かれたという。 日銀の利上げ継続の思惑がしばらく続きそうななか、日米の金融政策の方向性の違いなどに起因するボラティリティー(変動率)の高まりから、日本株は当面、レンジ相場とみる投資家が多かったと指摘した。 みずほ証券は9月第1週に機関投資家向けの日本株セミナーを開催した。同証券の菊地正俊チーフ株式ストラテジストは「想定以上に円高を懸念している海外勢が多かった」と話す。日銀の利上げ継続とFRBの年内数回の利下げは市場に織り込まれているとして、菊地氏は年内の円相場について1ドル=140?150円で推移するとの見解を示したところ、130円台を見込む海外勢がそれなりにいたという。「円買い・株価指数先物売り」によって、短期的には日本株の一段安を見込む向きもあったようだ。 市場では「8月の急落後に割安感が強まった日本株には、長期志向の海外勢が買いを入れた」(外資系証券のストラテジスト)との声も聞かれる。ただ、7月第3週以降に5兆円あまり売り越したというデータをみる限り、海外勢が再び日本株への強気姿勢を強めているような気配は乏しい。 9月相場は後半に警戒――。米国株の特別清算指数(SQ)算出に当たる第3金曜日以降、日米株は過去3年連続で9月は月末にかけ、大幅な下落に見舞われている。決算発表の1カ月前から自社株買いを自粛する米企業が多いことも一因のようだ。 今年も9月後半に大幅な調整が入るとすれば、円高加速も重なり海外勢の慎重姿勢は一段と強まりかねない。もちろん、9月末にかけての下押し局面が買い場とみてエントリーしてくる投資家もいるだろう。投資家の運用の巧拙が明暗を大きく分けそうな局面に差し掛かっている。【関連記事】・日経平均、米景気・為替が増幅 想定次第で9000円の差・ECB追加利下げ決定、10月は示唆せず 総裁「データ次第」2024/09/14 01:41:53110.名無しさんoTkiA株、「円高で売り」が一段と鮮明に 海外勢は史上最高値後の売越額5兆円2024/09/13 16:28 日経速報ニュース 海外投資家による日本株への売り圧力が強まっている。日経平均株価が7月11日に史上最高値(4万2224円)を付けた翌週にあたる7月第3週(16?19日)以降、海外勢の売越額は現物と株価指数先物の合計で5兆1000億円に達した。その主因として円高・ドル安の進行を挙げる声は多い。欧米中銀が利下げを模索しているのに対し、日銀は利上げを継続する方針とあって、円高と株安が同時進行しやすい状況は当面続きそうだ。 13日午前の日経平均は反落し、前日比326円(0.89%)安の3万6507円で終えた。欧州中央銀行(ECB)は12日、2会合ぶりとなる0.25%の利下げを発表した。米連邦準備理事会(FRB)が17?18日に開く米連邦公開市場委員会(FOMC)でも、利下げはほぼ確実視されている。外国為替市場で一時1ドル=140円台後半まで円高が進んだのと歩調をあわせてトヨタ自動車やキヤノンといった輸出関連株に売りが膨らみ、日経平均も一段安となった。 東京証券取引所によると海外勢は9月第1週(2?6日)に現物株を8235億円売り越した。1週間の売越額としては今年最大だ。2日の取引時間中に日経平均は一時、3万9000円台に乗せるなど8月急落後の戻りを試していた局面にあたる。個別株の買いと空売りを組み合わせる「ロング・ショート(LS)」戦略の運用担当者は「このタイミングでロングバイアス(買い持ち高を増やす)を強めたLS戦略の投資家は多かった」と話す。 23年4月以降の日経平均の価格帯別に集計した累積売買高では、上方向では3万8000?3万9000円、下方向では3万2000?3万3000円が膨らんでいる。ショート(売り)は貸株料がかかるため、普段からLS戦略は買い持ちの比重が高い。3万9000円を上回れば売り圧力が和らぐとの見方から先高観を強め、さらに買い持ちを増やしたファンドもあったもようだ。だが、その後の日経平均は米株安や円高につられて3日から11日までの7日続落で3000円あまり下げた。 米調査会社ヘッジファンド・リサーチ(HFR)が算出するLS戦略の運用成績を示す「株式ロング・ショート指数」は9月第1週にマイナス1.2%。週間では今年2番目の悪い記録で、LS戦略のパフォーマンスが急激に悪化したことがうかがえる。ヘッジファンドの運用スタイルで多いとされるLS戦略の成績悪化は、今後も尾を引く可能性がある。 海外勢は円高への警戒感を強めている。モルガン・スタンレーMUFG証券の中沢翔ストラテジストは今月に欧州を訪問した。現地投資家とのミーティングでは日銀のタカ派姿勢と米経済の減速懸念で大半の投資家は今後、さらなる円高進行を警戒する声が聞かれたという。日銀の利上げ継続の思惑はしばらく続きそうななか、日米の金融政策の方向性の違いなどに起因するボラティリティー(変動率)の高まりから、日本株は当面、レンジ相場とみる投資家が多かったと指摘した。 みずほ証券は9月第1週に機関投資家向けの日本株セミナーを開催した。同証券の菊地正俊チーフ株式ストラテジストは「想定以上に円高を懸念している海外勢が多かった」と話す。日銀の利上げ継続とFRBの年内数回の利下げは市場に織り込まれているとして、菊地氏は年内の円相場について1ドル=140?150円で推移するとの見解を示したところ、130円台を見込む海外勢がそれなりにいたという。「円買い・株価指数先物売り」によって、短期的には日本株の一段安を見込む向きもあったようだ。 市場では「8月の急落後に割安感が強まった日本株には、長期志向の海外勢が買いを入れた」(外資系証券のストラテジスト)との声も聞かれる。ただ、7月第3週以降に5兆円あまり売り越したというデータをみる限り、海外勢が再び日本株への強気姿勢を強めているような気配は乏しい。 9月相場は後半に警戒――。米国株のSQ(特別清算指数)算出に当たる第3金曜日以降、日米株は過去3年連続で9月は月末にかけ、大幅な下落に見舞われている。決算発表の1カ月前から自社株買いを自粛する米企業が多いことも一因のようだ。今年も9月後半に大幅な調整が入るとすれば、円高加速も重なり海外勢の慎重姿勢は一段と強まりかねない。もちろん、9月末にかけての下押し局面が買い場とみてエントリーしてくる投資家もいるだろう。投資家の運用の巧拙が明暗を大きく分けそうな局面に差し掛かっている。2024/09/14 01:48:18111.名無しさんaA0H0銀行株の息切れが映す「迷い」 利上げ恩恵、確信持てず-篠崎健太2024/09/15 17:00 日経速報ニュース 8月上旬の歴史的急落から1カ月あまり、日本株相場の戻りは鈍い。買いの息切れを象徴するのが銀行株だ。日銀が利上げに踏み出すなかその恩恵を享受する本命株の停滞は、日本経済が前向きな経済環境で成長を持続できるのか確信しきれない投資家の迷いを映す。 業種別日経平均株価「銀行」は7月末から9月13日にかけて17%下げた。下落率は原油安が重荷の「鉱業」(18%)に次ぐ全36業種中2位で、日経平均(6%)の3倍近くとさえない。 個別株をみても、ほぼ全社が簿価ベースの「解散価値」を下回る。東証プライム上場の68社のうち、PBR(株価純資産倍率)が1倍を上回るのは楽天銀行とセブン銀行のみ。大手行では三菱UFJフィナンシャル・グループが3月、三井住友フィナンシャルグループが7月にそれぞれ久々に1倍を回復したが、8月の波乱相場を経て0.8倍前後に沈んだ。 「2026年度までの見通し期間の後半には少なくとも1%程度まで短期金利を引き上げておくことが必要だ」。日銀の田村直樹審議委員は9月12日の講演で段階的な利上げが適当との認識を示した。今月は他の2委員も今後の緩和修正を見据えた発言をした。 賃金と物価上昇の好循環のもと金利が上がる好調な経済では、貸出金や利ざやの拡大で銀行の収益も増えていく。みずほリサーチ&テクノロジーズの試算によると、26年10?12月期に政策金利が2.75%まで高まる力強いシナリオでは、30年度の邦銀全体の経常利益は16兆円弱と22年度実績の約4倍になる。 金融緩和策の修正が始まったのに銀行株はなぜさえないのか。大きく3つの懐疑が浮かぶ。まず本当に日本経済の足腰が強くなるなかで政策金利が上がっていくかだ。 ありあけキャピタルの田中克典代表は「0.5%までは上がると思うが、その先も上がると自信を持って言える人は少ないのではないか」とみる。「邦銀の資産の平均残存期間は3?5年ほどで、0.5%であっても長く維持できれば収益は向上していく」と指摘。PBR1倍割れがあふれる状況は、0.5%すら保てる確信が市場にまだ乏しい表れだと解釈する。 ゴールドマン・サックス証券で銀行担当アナリストを長く務めた田中氏は、20年に地銀へ重点投資する同社を設立した。銀行株の将来には前向きだが、期待で買われる局面は一巡し、実際の変革で結果を出す段階に入ったと冷静に見つめる。2024/09/16 06:11:57112.名無しさんaA0H0 第2の懐疑は、仮に日銀の利上げが進んだ場合の収益効果だ。 預金といった短期のお金を長期の投融資で運用する銀行の稼ぎは長短金利差が左右する。長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは今年の最高が1.1%で、5月以降に3回はね返された。最後は日銀が0.25%へ利上げする前週の7月25日につけ、直近は0.8%台まで低下(債券価格は上昇)している。0.3%台で底堅い2年債との金利差は縮んできた。 なぜ長期金利は上がらないのか。米国の金利低下の余波に加え、国内投資家の円債需要の根強さも指摘されている。 例えばゆうちょ銀行。待機資金と位置づける日銀当座預金などの預け金は6月末時点で59兆円積み上がり、国債の44兆円を上回る。金利上昇を好機ととらえて段階的に国債に振り向ける「円金利ポートフォリオの再構築」を進めている。 岡三証券の田村晋一シニアアナリストは「円債で長めの金利が取れればいいという投資家は多く、待機資金は全体で200兆?300兆円規模と推察される。長期金利は今後2年は1.5%に達しないのではないか」と言う。日銀が短期の政策金利を上げても長い年限にはさほど響かず、銀行に期待ほど追い風にならない可能性を挙げる。 第3の懐疑はコストに向く。あるメガバンク幹部は「これからは預金が大事。マイナス金利下で『集めるな』と言われてきた業界にパラダイムシフトが起きている」と吐露する。政策金利が前回0.5%まで上昇した06?07年と違うのはネット銀行の台頭だ。店舗網を持たない低コストを武器に、一部は大手行を上回る預金金利を出している。 黙っていても預金が集まるデフレの時代は終わり、伝統的な銀行にはコスト増の影が忍び寄る。「インフレ下では人件費も賃料も高まり経費率の制御が重要だ。真の意味で競争が始まり経営力が問われる」(ありあけキャピタルの田中氏) 英運用会社ベイリー・ギフォードのベテラン日本株担当者、ドナルド・ファーカソン氏は「利上げは銀行の利益率回復に追い風だがコモディティー化している産業で楽観できない。長期で自己資本利益率(ROE)をどれほど高められるか確信が持てない」と語る。 銀行は23年春以降の日本株高を引っ張ってきた代表業種で、東証株価指数(TOPIX)に占める時価総額比率は21年初めの4%台を底に持ち直してきた。脱デフレ、株主還元強化や持ち合い解消など日本株全体にも通じる手掛かりは「織り込み済み」との見方が広がる。 日銀の利上げは円高や利払い負担の増加を通じて広範な銘柄の逆風になり、数少ない恩恵銘柄として期待されるのが銀行株だ。その銀行株も振るわない現状は日本株の足踏みが長引く可能性を示唆している。【関連記事】・銀行融資の7月平均金利、7カ月連続上昇 変動型中心に・地銀、預金重視で店舗戦略見直し 肥後銀は18年ぶり出店2024/09/16 06:13:23113.名無しさんHd6AC大手銀、会員向け金利優遇 富裕層囲い込み 三菱UFJは外貨預金で2倍 三井住友信託は上乗せ幅20倍2024/09/19 日本経済新聞 朝刊 大手銀行は、スポーツクラブの優待など自行の会員制サービスに加入する顧客の金利優遇を始める。三菱UFJ銀行は10月に外貨の定期預金の優遇サービスを始め、円定期預金の優遇サービスも設ける。三井住友信託銀行は円普通預金の優遇幅を20倍にする。日本が金利ある世界に回帰するなか、預金の金利優遇で顧客の裾野を広げ、資産運用の提案などにつなげる。 大手行は2016年のマイナス金利導入後、一定の金融資産を持つ会員向けサービスを縮小、撤廃してきた。定期預金の金利を優遇していた三菱UFJ銀の「クオリティ・ライフ・クラブ」は17年3月末で提供を終了。他の大手行でもサービスを取りやめた例がある。マイナス金利で預金を獲得すれば損失が生じるリスクがあったためだ。 一足先に金利ある世界になった海外では、金融機関がウェルスマネジメント(富裕層向け資産運用)事業の入り口として、預金残高などをもとに手数料や金利の優遇を実施して顧客を広げている。米シティグループが手数料の優遇などで強みを持つ。日本も金利ある世界で、富裕層の入り口に立つ顧客などを取り込めるかが邦銀の中長期的な競争力を左右する。 三菱UFJ銀行が金利を優遇するのは、富裕層や準富裕層などを対象にする会員制サービス「エクセレント倶楽部(クラブ)」に加入している顧客の預金だ。入会金や年会費は無料で現在約3万人が参加している。百貨店の高島屋での買い物やスポーツクラブの会費などで優待を実施する。金利上昇に伴う顧客の獲得競争を見据え本格的なサービス拡大に転換する。 10月から設定する外貨預金の優遇金利は米ドルの1カ月で20%程度とする。一般の顧客に向けた金利の2倍近くとなる。円預金でも会員限定の金利優遇キャンペーンを実施し、継続も視野に入れる。 参加できる会員の裾野も広げる。これまで投資信託など資産運用残高(預金除く)で1000万円以上だった入会基準を、預金を含む預かり資産が3000万円以上であれば入会を認める。退職金などを受け取った高齢者らが入会資格を満たせるため、有資格者が大きく広がるという。中長期的に足元の10倍に及ぶ30万人規模まで会員数を増やす。 三井住友信託銀行は、取引残高に応じて利用できる「トラストプレミアムサービス」の顧客の金利優遇を拡大する。普通預金でこれまでの0.001%から0.02%に引き上げ、定期預金も2年以上で0.05%とこれまでより2.5~5倍ほど高い水準の上乗せにする。同サービスの金利優遇幅の拡大は12年に三井住友信託銀が発足して以降初めて。 サービスは定期預金を含む取引残高が300万円以上の顧客が利用でき、金利優遇は1000万円以上から提供する。三井住友信託は富裕層の囲い込みを見据え、23年にサービスを刷新し喫茶店「コメダ珈琲店」の飲み物のサイズを大きくできるなど、生活関連サービスの優遇を導入してきた。今後年4回の会員限定イベント開催などを予定する。 三井住友銀行は投信など運用商品と同時に申し込むことで定期預金の金利を優遇するサービスを拡充した。退職金や相続資金などを対象に2%の金利を適用する3カ月物の定期預金の上限額を、保有する運用商品の3倍(従来は同額)に増やした。みずほ銀行も会員制サービスの刷新を予定する。2024/09/19 06:37:05114.名無しさんHd6AC先月の株急落時、NISA利用者「買い」優勢 日証協が調査2024/09/19 日本経済新聞 朝刊 日本証券業協会は18日、8月初旬の株式相場の急落時に少額投資非課税制度(NISA)利用者がとった売買行動に関する調査を発表した。日経平均株価が過去最大の下落幅(4451円安)となった8月5日は、株の買い付け額が売却額のおよそ2倍になった。同2日と同6日を含めた計3営業日でみると、2.3倍だった。 ネットと対面の証券10社に8月2~6日の売買動向を聞き取りし、9社から回答を得た。5日は合計の買い付け額が881億円だったのに対し、売却額は450億円だった。3営業日の合計では買い付け額が1948億円、売却額が862億円だった。 投資信託も買いが優勢だった。3営業日合計では買い付け額が2145億円だった一方、売却額は459億円だった。2024/09/19 06:38:33115.名無しさん7Q6Sc国内株式市場見通し:米国株高と円高一服を材料に75MAを意識した展開か15:30 配信フィスコ ■円高進行一服し3日続伸、38000円台手前まで上昇今週の日経平均は週間で1142.15円高(+3.12%)の37723.91円と上昇。4営業日立ち合いのなか、米連邦公開市場委員会(FOMC)後の米国株が買われたことで、日本株も買い優勢の展開となった。東京市場が祝日の16日に、為替は1ドル139円50銭台と円高ドル安が加速したが、米連邦準備制度理事会(FRB)による大幅利下げ実施観測を市場が織り込み、米10年債利回りの低下が一服。17日こそ円高加速に伴う日本株売りで日経平均は35000円台まで下落したが、円高進行一服に伴い下げ幅をじりじりと縮小。FOMCでは想定通り0.50%の大幅利下げを実施したが、パウエルFRB議長は「(利下げを)急がない」姿勢を記者会見で示したことから、為替は1ドル144円手前まで円安ドル高が加速。FOMC通過後の米国株も強く、NYダウが史上最高値を更新したことなどから、日本株は主力株を中心に買われる展開となり、日経平均は週末にかけて3日続伸。一時38000円台手前まで上昇した。なお、9月第2週の投資主体別売買動向によると、外国人投資家は現物を1兆5337億円売り越し、TOPIX先物を4196億円買い越し、225先物を488億円買い越したことから、合計1兆653億円の売り越しとなった。一方、個人投資家は現物を2152億円買い越すなど合計で2117億円買い越し。なお、自己は現物を8974億円買い越したほか、事業法人も3026億円買い越した。■植田日銀総裁は「年内の追加利上げ」は明言せず週末のランチタイムに発表された日本銀行による金融政策決定会合の結果は市場想定通りの「金融政策の現状維持」となった。そして、15時30分から行われた植田和男日銀総裁による記者会見では、「金融資本市場は、引き続き不安定な状況にある」「円安に伴う輸入物価の上振れリスクは相応に減少」「内外の市場動向だけではなく、海外経済の状況を丁寧に確認」「来年の春闘でもしっかりした賃上げが続くと期待」「追加利上げに、特定のタイムラインやスケジュール感など予断持っていない」などと発言。「データがオントラックであれば利上げということに変わりない」と8月に行われた閉会中審査と同様「タカ派」的な発言は見られたが、「7月利上げに際して、市場とのコミュニケーションに対する批判は認識している」といった話も出るなど、7月会見より丁寧に回答する姿を受けて、市場の緊張感は緩和。年内の追加利上げに関する明言がなかったことなどから、追加の利上げ観測が後退し、記者会見後の為替は一時1ドル144円40銭台まで円安ドル高が進行した。2024/09/21 17:34:13116.名無しさん7Q6Sc■25MA、200MAを上回る展開に20日の米国市場はまちまち。ダウ平均は前日比38.17ドル高(+0.09%)の42063.36ドル、ナスダックは同65.66ポイント安(-0.36%)の17948.32、S&P500は同11.09ポイント安(-0.19%)の5702.55で取引を終了した。大証ナイト・セッションの日経225先物は、通常取引終値比440円高の37970円で取引を終えた。週末の上昇を受けて、日経平均は25日移動平均線(37447円)と200日移動平均線(37621円)を終値ベースで上回った。7月下旬から続いていた日本株の乱高下は徐々に落ち着きを取り戻しつつある。来週末には自民党総裁選の結果が判明し、次の日本の顔が誕生する予定だ。9名の候補者が乱立する異例の総裁選となっているが、政策への期待感などを材料に日本株買いが強まる可能性はあろう。また、26日が配当・優待権利取り最終売買日でもあることから、個人投資家がNISA口座を通じて買いを入れるケースも想定できる。配当落ちに絡んだ225先物、TOPIX先物買い需要が合計1.3兆円ほど予想されていることなどから、翌週の日本株はしっかりの展開が期待できよう。為替も円安に振れていることから、輸出関連株の買いなども受けて、日経平均は75日移動平均線(38298円)水準の突破が意識されそうだ。■27日に米PCEデフレータ発表来週にかけて、国内では、25日に8月企業向けサービス価格指数、27日に9月東京消費者物価指数、7月景気動向指数(確報値)などが予定されている。海外では、23日にNZ・8月貿易収支、仏・9月製造業PMI(速報値)、サービス業PMI(速報値)、独・9月製造業PMI(速報値)、サービス米・9月製造業PMI(速報値)、サービス業PMI(速報値)、コンポジットPMI(速報値)、24日に豪・中銀政策金利、米・7月S&Pケースシラー住宅価格(20都市)、9月コンファレンスボード消費者信頼感指数、リッチモンド連銀製造業指数、25日に豪・8月消費者物価指数、米・8月新築住宅販売件数、週次原油在庫、26日に米・第2四半期実質GDP(確報値)、週次新規失業保険申請件数、8月耐久財受注(速報値)、中古住宅販売成約指数、27日にユーロ・9月景況感指数、米・8月卸売在庫(速報値)、PCEデフレータ、9月ミシガン大学消費者信頼感指数(確報値)などが予定されている。2024/09/21 17:35:30117.名無しさんtqeq5大手銀行4行、住宅ローン変動金利を0・15%引き上げ…17年ぶり・優遇幅拡大の動きもhttps://www.yomiuri.co.jp/economy/20240930-OYT1T50144/ 大手銀行4行は30日、日本銀行の追加利上げに伴い、新規契約者の変動型住宅ローンの基準金利を10月から0・15%引き上げると発表した。大半のローン契約者にとっては負担が増えることになる。ただ、新規契約者の獲得に影響が出ないよう、金利の優遇幅を拡大する動きもある。 変動型金利を上げるのは三菱UFJ、三井住友、三井住友信託、りそなの計4行。いずれも引き上げは17年ぶりとなる。みずほ銀行は据え置いた。 各行とも9月初旬、変動型金利を左右する「短期プライムレート」を、日銀が7月末に決めた政策金利の上げ幅と同じ0・15%分引き上げた。これを基準金利に反映した。既存のローン契約者の変動金利は5行全てで0・15%分上がり、12月以降の返済から順次適用される。 各行は借り手の信用度に応じ、基準金利からの割引にあたる金利の優遇幅を決めており、最終的に負担する金利はこの差で決まる。最も低い金利で借りられるケース(最優遇金利)は三井住友、三井住友信託、りそなの3行で0・15%引き上げる。 一方、三菱UFJは基準金利とともに新規契約者への金利優遇幅も0・15%分拡大する。これに伴い、最優遇金利を0・345%で据え置く。攻勢を強めるインターネット銀行に対抗する狙いがある。基準金利を据え置いたみずほも、最優遇金利は0・375%のままとする。2024/10/01 05:16:22118.名無しさんtqeq5大手5行、住宅ローン変動型基準金利0.15%上げ 17年ぶり 顧客獲得へ「優遇」競う2024/10/01 日本経済新聞 朝刊 大手銀行5行は9月30日、変動型の住宅ローンの基準金利を引き上げると発表した。既存の顧客は支払う返済総額が増える一方、新規で借り入れる住宅購入者に適用する最優遇金利は、三菱UFJ銀行が据え置くなど戦略の違いも出ている。一部のネット銀行も顧客獲得へ低金利を続けており、競争はなお激しい。 三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行、三井住友信託銀行、りそな銀行の大手5行は日銀の追加利上げに伴い短期プライムレート(短プラ)を9月に0.15%上げた。 住宅ローンの基準金利は短プラに連動して設定しており、10月から0.15%高い2.625%にする。基準金利の引き上げは17年ぶりとなる。 ただ、新規で借り入れる人に適用する「優遇金利」では各行で戦略がわかれた。 三菱UFJ銀は基準金利が上がる分を優遇幅で抑える形で、最優遇金利を0.345%に据え置いた。最優遇金利は各行の住宅ローン商品の看板となるもので、競争力のある金利を提供し、新規顧客の獲得につなげる狙いがある。 既存契約の基準金利を引き上げたみずほは、新規で借り入れる顧客の基準金利を25年に見直すため10月の最優遇の金利を変えなかった。 一方で三井住友、三井住友信託、りそなの3行は最優遇金利も基準金利と同じように0.15%引き上げる。ある幹部は「金利は上げるが団体信用生命保険を手厚くするなどして住宅ローンの価値を高めていく」と話す。 住宅ローンへの依存度が高いネット銀行も金利を抑えて新規顧客を減らすのを回避しようとしている。 最優遇金利を0.42%にしているSBI新生銀行は住宅ローン比較診断サービス「モゲチェック」経由での申し込みを対象に業界最低水準となる金利を提示する取り組みを始める。SBI新生銀は「他行との差別化を図る」として金利上昇の機を捉えて契約増を狙う。 auじぶん銀行は基準金利を0.25%上げるが、最優遇金利は上昇幅を0.15%に抑えて0.479%にする。 消費者の間では低い金利のローンを探る動きが活発になっている。「モゲチェック」を運営するMFSによると、9月の借り換えなどの相談は8月に比べて2.3倍に増えた。 「いい条件の銀行を探している」。メガバンクで35年の住宅ローンを変動金利で借りている東京都新宿区の女性会社員(34)は、借り換えを検討している一人だ。 これまでは「手数料がかかる繰り上げ返済はしたことがない。金利の低いネット銀行を候補として考えている」といい、今後の金利上昇をにらんで各銀行のウェブサイトを確認している。 既に借り入れている既存顧客は、一定期間が経過した後の2025年1月などの返済分から改定後の金利になる。ただ大手行などは金利が変動した場合でも返済額が5年間変わらない「5年ルール」を適用している。このため毎月の負担額の増加は限定的とみられる。 月々の返済額が変わらなくても、返済額のうち利息分が増えて元金の減少ペースは落ちる。このため繰り上げ返済や、より低金利の銀行への借り換えなどをしなければ、完済までに支払う総額は増える可能性が高い。 MFSによると、基準金利が0.15%上がることで、元本3500万円を35年ローンで新規で借り入れる場合、毎月の返済額は2300円程度増える。 日銀の統計によると、国内銀行の住宅ローンの新規実行額は4~6月期に4兆1527億円と前年同期に比べ16.6%増えた。6月末の融資残高も148兆円と増加が続く。建築資材の高騰で物件価格も上昇していることが一因とみられる。 住宅ローン金利は変動型と、長期金利に連動する固定型に分かれる。直近では住宅購入者の8割近くが変動型を選ぶとされる。今回、変動型が上がっても固定型との金利差はなお大きい。 変動型の人気は当面続くとみられるが、日銀が今後も追加利上げを続けていけば、変動型で借りている契約者の負担感はさらに増すことになる。2024/10/01 06:42:37119.名無しさんtqeq5海外勢、日本株買い再開の実態 新政権の政策は二の次2024/10/01 11:50 日経速報ニュース 昨日、本欄に「海外勢、そろり日本株買い再開」と書いたが、まずは上々の滑り出しと、彼らはほくそえんでいる。「新内閣の政策も定まらない段階で株価が急落したら、とりあえず安値を拾う」。これが、彼らの定石だ。仮に続落すれば買い増す。反騰すれば買いを加速させる。「高市トレードの巻き戻しのおかげで、株式銘柄のバーゲン会場のごとき様相となった」と語る。総じて新政権の政策には興味を示さない。政治的不透明感が強まる時期こそ、短期投機筋にとっては草刈り場になるからだ。「難しいのは利益確定の時期だ」と語る。「何か政治的異変があれば、深夜でも構わないからたたき起こしてくれ」と頼まれた。新規買いの賞味期限も、1週間から、せいぜい1カ月と割り切っている。 これがいわゆる「短期海外勢による日本株買い」の実態だ。じっくり政策を吟味して動く中長期運用のファンドとは一線を画す。 大手のファンドと並び独立系のファンドの数が多く、売買も多様化していることが、ニューヨーク市場の特徴と言えよう。 結局、説明できない相場は傍観する傾向が強い日本市場で、売買の7割前後を外国勢が占める結果になるのだ。解説者が多く、リスクテイカーが少ない日本市場。結局は、民族のDNAでリスク耐性が決まるようだ。豊島逸夫(としま・いつお)豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)・X(旧ツイッター)@jefftoshima・YouTube豊島逸夫チャンネル・業務窓口は[email protected]【関連記事】海外勢、そろり日本株買い再開2024/10/01 12:26:01120.名無しさんN0AjL円相場、148円台に下落 1カ月半ぶり 米雇用統計が予想上回る2024/10/04 22:11 日経速報ニュース 【NQNロンドン=蔭山道子】4日午後のロンドン外国為替市場で円が対ドルで1ドル=148円台半ばに下落する場面があった。148円台を付けるのは8月中旬以来、約1カ月半ぶりとなる。4日発表の9月の米雇用統計で、非農業部門の雇用者の前月比増加数が25万4000人と市場予想(15万人程度)を大幅に上回った。米長期金利の上昇とともに、円やユーロなどに対してドル買いが強まった。失業率は9月が4.1%と8月の4.2%から小幅に改善した。 4日の米債券市場では長期金利が一時、3.97%と8月上旬以来の高水準を付けた。米連邦準備理事会(FRB)が11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で大幅利下げに動くとの観測が後退し、債券に売りが出た。 米ダウ工業株30種平均の先物は上昇している。「Eミニ・ダウ先物」の12月物は4万2536ドルまで買われ、3日の清算値を219ドル上回る場面があった。2024/10/04 23:06:27121.名無しさんFdRhb資産運用立国、国内大手に重責 運用力・統治底上げ急ぐ2024/10/07 04:00 日経速報ニュース 石破茂首相は岸田文雄前政権が掲げた資産運用立国構想を引き継ぐ方針だ。現金の価値が高まったデフレ時代と異なり、インフレが定着すれば、個人はお金を運用に回さなければ資産が目減りしてしまう。政府の旗振りなどを受けて国内の大手運用会社は運用力やガバナンスの向上を急ぐが、課題も多い。 「資産運用立国の政策を引き継ぎ発展させていく」。石破首相は1日の就任記者会見でこう強調した。岸田政権の下で「資産運用ビジネス高度化」の計画を公表した大手金融グループは、引き続き改革を求められることになる。 最大の焦点は運用能力の向上だ。三菱アセット・ブレインズが集計した運用会社別の運用リターンランキング(10年、8月時点、上場投資信託=ETF=を除く公募株式投信)によると、首位のアライアンス・バーンスタインはじめトップ10には外資や独立系などがならび、大手運用会社は入らなかった。 「ファンドマネジャーの能力は決して海外に劣っていない」と大手運用会社の首脳が色をなすように、個別で見ればパフォーマンスの高い投信もある。ただ、全体として見れば成績の悪いファンドが足を引っ張り、パフォーマンスの悪化につながっているのが現状だ。ファンド数が多ければそれだけ管理コストの増加にもつながる。 日本のファンド本数は22年時点で1万4000本と米国より4割も多い。一方、1ファンドあたりの運用資産は20分の1だ。例えば90年近く続くファンドも抱えるアクティブ特化の米キャピタル・グループは運用本数が40本に過ぎず、少ない投信を大切に育ててきた。一方、日本では大手金融グループ内で「格上」の証券など販売会社が収益を稼ぐために、売りやすい投信を運用会社が次々開発してきた歴史があったという指摘がある。 運用会社や販売会社はこうした「負の歴史」の払拭を急いでいる。野村アセットマネジメントは700本ある投信を30年までに半減させる方針を掲げる。成績や信託報酬水準を勘案し、繰り上げ償還などで絞り込む。大和アセットマネジメントなどほかの運用会社も削減に動いており、8月時点で国内運用中の公募投信は5836本と、15年以来の少なさとなった。 商品がコストに見合うリターンを提供できているか検証する「プロダクトガバナンス」も各社が力を入れている。三菱UFJアセットマネジメントは8月、プロダクトガバナンスに関する社外取締役主体の諮問会議を設けた。大和アセットマネジメントも23年から同様の取り組みを進めている。 販売会社からの独立性を担保するために社外取締役を入れて、上場会社並みのガバナンス体制を構築する流れは大手運用会社全体にある。三井住友トラスト・アセットマネジメントは6月、社外取締役を過半数にした。日興アセットマネジメントも過半数だ。りそなアセットマネジメントは社長のサクセッションプラン(後継者育成計画)を開示している。2024/10/07 06:26:07122.名無しさんFdRhb 国内運用会社は海外資産の運用の多くを海外の運用機関に委託している。海外運用会社に支払う「委託調査費」は、大手7社の合計で24年3月期に前の期比15%増加した。売上高などの伸びを上回っている。自社での運用力を高められなければ、世界的な株高の恩恵は限られる。 野村アセットは海外での運用体制を強化してグローバルで自社運用ができるようにしているほか、23年春からは運用者の人事評価を厳格化。競合との運用パフォーマンスの違いなどで評価するほか、運用者の成果が上がらなければ担当から外れてもらうなど競争を促す仕組みを導入した。 1月に始まった新たな少額投資非課税制度(NISA)の後押しもあって運用会社の資産は一様に増加傾向だが、明暗もある。投資信託協会が公表する運用会社別の公募投信残高で、最も躍進したのは三菱UFJアセットだ。23年末時点では4位だったが、新NISA開始後に日興アセットと大和アセットを抜いて野村アセットに次ぐ2位に躍り出た。 全世界型の「オルカン」など最低コストをうたうインデックスシリーズ「eMAXIS Slim」に人気が集中した。投信協会によれば、ETFを除く公募株式投信の純資産残高に占めるインデックス型の割合は8月時点で33.7%。23年末の29.2%から上昇し、過去10年で初めて30%を超えた。 ただ、三菱UFJアセットの横川直社長が「インデックスはブランド力があるが、もう少しアクティブが強くなっても良い」と話すように、インデックス頼みでは限界がある。新NISAで国内大手が支持されるようになるには、アクティブでパフォーマンスを見せつける必要がある。 「運用業界を銀行・保険・証券と並ぶ第4の柱に」。運用立国構想で金融機関や金融庁が目指す姿だ。実現は一朝一夕には行かず、不断の努力が求められる。2024/10/07 06:26:56123.名無しさんOfhxm石破首相、金融所得課税強化の検討は考えていない-国会で説明https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-10-07/SKZ3FHT0AFB400?srnd=cojp-v22024/10/08 02:47:41124.名無しさんOfhxm金融所得課税の強化、現時点では具体的な検討考えず=石破首相[東京 7日 ロイター] - 石破茂首相は7日の衆院代表質問で、金融所得課税の強化について「現時点で、具体的に検討することは考えていない」と述べた。立憲民主党の吉田晴美議員への答弁。法人税率の引き上げについては、これまで与党税制調査会で検討されてきたとした上で、「何が効果的かとの観点から議論される」と期待感を示した。防衛費を国内総生産(GDP)比2%に引き上げるための財源としての増税を行うかどうかとの質問には、必要な税制措置は今後、与党税調や政府で緊密に連携し適切に判断すると述べた。このほか、立民の野田佳彦代表らの質問に対して、持論のアジア版北大西洋条約機構(NATO)創設は「一朝一夕で実現すると思わない」と述べ、長期的な目標とする考えを示した。 政党から議員個人に渡す政策活動費に関し「将来的な廃止も念頭にあり方の検討や透明性の確保に取り組む」と話した。 「エネルギーコストを含めた物価対策について、状況を丁寧に見極め今後経済対策で議論する」とも述べ、10月末以降順次打ち切り予定のエネルギー補助金について延長の可能性を示唆した。2024/10/08 05:26:06125.名無しさんOfhxm中小の後継者難、大手行が承継支援 取引拡大狙う みずほ、1万6000社に重点 三井住友は専門部隊を増強2024/10/08 日本経済新聞 朝刊 大手銀行が次世代に事業や資産を引き継ぐ「承継ビジネス」を通じて取引の幅を広げようとしている。みずほフィナンシャルグループ(FG)は事業承継のニーズのある約1万6000社を積極支援できるよう体制を整えた。有用な技術を持つ中堅・中小企業が後継者難で倒産するのを防ぐ。 みずほFGは事業承継を重点領域に位置付けている。傘下のみずほ銀行の全取引先のうち事業承継の可能性のある企業が上場・非上場あわせて1万6000社あるとみて、支援に乗り出した。 特に力を入れるのがオーナー企業の経営者らだ。法人と個人の両方からアプローチしやすいことが背景にある。 相続や資産運用、株式の承継、不動産の見直し、M&A(合併・買収)、MBO(経営陣が参加する買収)ファイナンスなど幅広い取引につながる可能性がある。 みずほFGは顧客の同意を前提にグループの信託銀行や証券会社との連携を強め、それぞれの機能を生かした多面的な提案に力を入れる。 銀行と信託は計100人規模のコンサルティング部隊を持ち、財務・法務・会計の豊富なノウハウや知見がある。特にみずほ信託銀行は承継コンサルタントと呼ぶ200人の営業担当者がいる。 三井住友銀行は2023年度から、本部の承継アドバイザリー部で「僕の承継アカデミア(承アカ)」と題した1日研修に取り組んでいる。営業担当者の育成を目的に半期ごとに約100人が参加している。 営業担当者の承継スキルを3ランクで認定する「承継マエストロ」制度も創設し、年150人程度の認定を予定している。24年度中には本部の承継提案専門部隊の人員を1割増やす見込みだ。 三菱UFJFGは、4月にM&A戦略室を新設し、本部の専門人材を30人増員した。営業担当者向けの行内資格制度を設けるなど、質と量ともに高めようとしている。 承継ビジネスにあたる法人・ウェルスマネジメント事業本部によると、1~3年以内に事業承継の意向があるのに対策をしていない企業は約7000社にのぼるという。 こうした層へのアプローチを強め、事業承継関連の融資残高を26年度までの3年間で3000億円増の1兆円にする目標を掲げている。 りそな銀行も23年10月に2つの部署を統合して約200人体制の「承継ソリューション営業部」を新設した。 各社が承継ビジネスに力を入れる背景には超高齢化社会に突入する「2025年問題」がある。国民の5人に1人が75歳以上となり、事業の承継が円滑に進まずに廃業に陥る企業が増えると懸念されている。 特に中小の経営者は全体の約6割にあたる245万人程度が平均的な引退年齢の70歳以上になる。そのおよそ半分の127万人の後継者が未定で、さらにそのうち60万人には黒字廃業の可能性があるとみられている。 みずほFG幹部は「後継者は不在だが有用な技術やサービスを持つ中堅・中小企業は多い。国にとっても存続させていくことが重要だ」と話す。 具体的な需要が見込まれるのはM&Aを使い親族や従業員以外に事業を引き継ぐ第三者承継だ。 調査会社の矢野経済研究所(東京・中野)によると、売上高1億円超の中小企業を対象とした国内M&Aの潜在市場規模は約13兆5000億円に上る。事業承継型のM&Aは22年の8万6174社から35年に9万5234社に増える見通しだ。 金融機関にとってはM&Aによる手数料収入や融資残高の増加だけでなく、相続、不動産の売買など法人・個人両面から幅広い収益機会につながる将来性のあるビジネスと捉えやすい。 足元では後継者不足の課題に対応し切れているとはいえず、帝国データバンクによると後継者不在を理由とする倒産件数は23年に564件と、過去最多を更新した。 雇用や技術の喪失を防ぎ、世代交代を進めて日本全体の成長につなげるためにも、顧客と長期の関係を構築し、様々な選択肢を提示できる金融機関の役割の重要さは増している。2024/10/08 06:20:09126.名無しさんOfhxm三井住友カードの総合金融アプリ、顧客と接点拡大 外部提携で家計簿や旅行予約2024/10/08 日本経済新聞 朝刊 三井住友フィナンシャルグループ(FG)傘下の三井住友カードは、総合金融サービス「Olive(オリーブ)」の外部提携を増やす。マネーフォワードや海外企業と組み、家計簿、旅行予約などにサービスの幅を広げる。オリーブを多彩な機能を搭載するスーパーアプリに進化させ、顧客獲得に弾みを付ける。 三井住友カードの大西幸彦社長が日本経済新聞の取材でオリーブの戦略を語った。オリーブはクレジットカードなどの決済機能を中心に、銀行や証券といった複数のサービスをスマートフォンアプリ上で操作できる。 外部提携の柱がマネーフォワードとの提携だ。マネフォが個人事業を分離して設立する新会社に出資し、12月までに49%の株式を取得する。 サービスの融合を進め、オリーブに家計簿機能を取り入れる。大西氏は「マネフォの資産管理とオリーブを組み合わせればスーパーアプリができる」とみる。 カナダの大手旅行代理店と組んで25年に旅行予約サイトを立ち上げることも決めた。非金融事業との連携はオリーブ初の試みだ。利用者を相互に融通し合う構想を描く。大西氏は「ユニークでデジタルに強い事業者と組み、オリーブをアップデートしていく」と話す。 今後のオリーブのキーワードとして大西氏は、開かれた経済圏を意味する「オープン」を挙げる。自社グループだけで利用者を囲い込むのではなく、利便性の高いサービスとオリーブをつなぐ。 裾野が広がればオリーブを介した金融取引も増えていくとの考え方だ。 これまで本業で競合する他のメガバンクやクレジットカード会社との連携は進んでこなかった。 オリーブの利便性を上げるには「複数の金融機関との接続が課題」といい、銀行やカード、ふるさと納税仲介サイトまで約2500のサービスと連携するマネフォ経由で他の金融機関との連携を強める。 オリーブの機能拡張を狙い、三井住友銀行の口座から他行の口座にワンタッチで送金するサービスなどを想定している。 オリーブの口座数は24年7月に300万件を超えた。23年のサービス開始から5年で1200万件が目標だ。大西氏はさらなる上積みを目指す一方、収益性は「個別事業ではなくオリーブ全体で稼ぐ」と強調する。 カード事業を個別にみると加盟店管理などに莫大な費用がかかる。調達金利や人件費が上昇する中、高いポイントの付与、手数料の引き下げに頼った戦略は難しくなる。 グループを超えたオリーブ経済圏の拡大には提携先の開拓が欠かせない。大西氏は「サービスの中立性とユーザーの利便性のバランスには十分配慮する」と話し、三井住友の枠にとどまらない総合金融サービスに進化させたいとの考えを示した。2024/10/08 06:22:12127.名無しさんOfhxm三井住友銀、CCCとの新型店舗を最大40店に2024/10/08 日本経済新聞 朝刊 三井住友銀行はカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)と連携してつくる新型店舗「オリーブラウンジ」を30~40店舗に増やす方針だ。既存の店舗網の1割に相当する。300万人超の総合金融サービス「オリーブ」の利用者向けに特典を提供するなど、カフェなどを併設した店舗で顧客を開拓する。 オリーブラウンジは店内にカフェや有料の作業スペースを併設する。オリーブの会員は作業スペースを無償で利用できたり、決済代金が共通ポイント「Vポイント」で10%還元されたりといった特典を受けられる。 5月に東京都渋谷区に1号店を開き、10月7日に世田谷区の下高井戸駅前に2号店を開いた。都内の新宿、高円寺と都立大学駅前への出店を決めたほか、2025年3月には大阪市内の船場にも店舗を置く。 下高井戸の店舗ではオリーブ会員向けに駐輪場を無償で開放するなど、独自のサービスも用意する。これまで3店舗まで広げる方針を示していた。渋谷の1号店の来客が堅調だったことなどを背景に拡大を決めた。2024/10/08 06:23:28128.名無しさんOfhxm加藤財務相、金融所得課税強化「現時点で考えていない」 閣議後会見2024/10/08 09:48 日経速報ニュース 加藤勝信財務・金融相は8日午前の閣議後記者会見で、金融所得課税の強化について「現時点で考えていない」と述べた。「貯蓄から投資への流れを引き続き推進する必要があるという認識のなかで、少なくとも現時点ではそれをしっかりやるというのが優先的な順位だ」と説明した。2024/10/08 09:57:59129.名無しさんwmaFPOlive・マネフォ融合でスーパーアプリに 三井住友カード2024/10/08 02:00 日経速報ニュース 三井住友フィナンシャルグループ(FG)傘下の三井住友カードは、総合金融サービス「Olive(オリーブ)」の外部提携を増やす。マネーフォワードや海外企業と組み、家計簿、旅行予約などにサービスの幅を広げる。オリーブを多彩な機能を搭載するスーパーアプリに進化させ、顧客獲得に弾みを付ける。 三井住友カード大西社長「Oliveアップデート」 三井住友カードの大西幸彦社長が日本経済新聞の取材でオリーブの戦略を語った。オリーブはクレジットカードなどの決済機能を中心に、銀行や証券といった複数のサービスをスマートフォンアプリ上で操作できる。 外部提携の柱がマネーフォワードとの提携だ。マネフォが個人事業を分離して設立する新会社に出資し、12月までに49%の株式を取得する。 出資を通じサービスの融合を進め、オリーブに家計簿機能を取り入れる。大西氏は「マネフォの資産管理とオリーブを組み合わせればスーパーアプリができる」とみる。 カナダの大手旅行代理店と組んで25年に旅行予約サイトを立ち上げることも決めた。非金融事業との連携はオリーブ初の試みとなる。 オリーブと予約サイトの利用者を相互に融通し合う構想を描く。大西氏は「ユニークでデジタルに強い事業者と組み、オリーブをアップデートしていく」と話す。 今後のオリーブのキーワードとして大西氏は、開かれた経済圏を意味する「オープン」を挙げる。自社グループだけで利用者を囲い込むのではなく、利便性の高いサービスとオリーブをつなぐ。裾野が広がればオリーブを介した金融取引も増えていくという考え方だ。 これまで本業で競合する他のメガバンクやクレジットカード会社との連携は進んでこなかった。オリーブの利便性を上げるには「複数の金融機関との接続が課題だった」(大西氏)という。 マネフォの家計簿アプリは銀行やカードから、ふるさと納税仲介サイトまで約2500のサービスと連携している。マネフォ経由で他の金融機関との連携を強め、オリーブの機能拡張を狙う。 三井住友銀行の口座から他行の口座にワンタッチで送金するサービスなどを想定している。 目標口座数1200万、さらなる上積み目指す オリーブの口座数は増え続けており、24年7月には300万件を突破した。23年のサービス開始から5年で1200万件を目標に掲げる。 大西氏はさらなる上積みを目指す一方、収益性については「個別事業ではなくオリーブ全体で稼ぐ」と強調する。 カード事業を個別にみると加盟店管理などに莫大な費用がかかる。調達金利や人件費が上昇する中、高いポイントの付与、手数料の引き下げに頼った戦略は難しくなる。 グループを超えたオリーブ経済圏の拡大には提携先の開拓が欠かせない。大西氏は「サービスの中立性とユーザーの利便性のバランスには十分配慮する」と話し、三井住友の枠にとどまらない総合金融サービスに進化させる考えを示した。【関連記事】・マネフォ、三井住友カードと個人向け新会社 Olive連携・マネフォ、祖業の家計簿「単独では限界」 Oliveに活路・コピペで「バフェット投資」 スマホ完結で若者も気軽に2024/10/09 06:08:26130.名無しさんCmJoR自社株買い、23年度の2倍ペース 海外勢の売り吸収2024/10/10 17:20 日経速報ニュース 上場企業の自社株買いが海外投資家の売りを吸収し、日本株相場が上昇している。4月以降に設定された自社株取得枠は10兆円を超え、過去最大だった2023年度を早くも上回った。企業の資本効率改善への意識向上の表れだが、もう一段の株高には成長につながる攻めの投資も欠かせない。 10日の東京株式市場で日経平均株価の終値は前日比102円(0.3%)高の3万9380円と続伸した。日本株相場の押し上げ役になっているのが企業だ。 日本経済新聞社がこれから自社株買いを実施する分も含めた「取得枠」を上場廃止を含めた全上場企業を対象に調べたところ、24年4?9月は10兆6500億円と前年同期(5兆4800億円)の2倍ペースだった。社数ベースでも649社(重複除く)と23年4~9月の499社を上回る。 市場データも企業が有力な買い手になっていることを示す。東京証券取引所が同日発表した投資部門別売買動向によれば、4月第1週から10月第1週までに累計で4兆9600億円の買い越しとなり、年度を通じて過去最大だった22年度の9割超の水準に達した。同期間に個人も7500億円を買い越したが、海外勢は2兆2400億円の売り越しだった。 海外投資家は岸田文雄政権下でピーク時に4兆6000億円強を買い越したが、「政治とカネ」を巡る不透明感や、為替相場に揺さぶられる市場を前に持ち高を落とす動きが優勢だ。その売りを吸収しているのが企業による自社株買いという構図だ。 自社株買いは現状の株価が割安だと投資家に対してメッセージを発する「シグナリング効果」がある。そのため株価が大きく下がったり、PBR(株価純資産倍率)など投資指標が低下した局面で打ち出されることが多かった。 だが、資本効率を改善させる観点からPBRの高い企業にも広がり、日本株の上値を押し上げる主体に変化しつつある。例えばPBRが6倍台のリクルートホールディングス。同社最大となる6000億円の自社株買いを7月に発表した。手元資金から社債や借入金を除いたネットキャッシュが1兆円を超えており、圧縮して資本効率を向上させる。 PBRが1倍を超える三井物産は9月に自社株買い取得枠の上限を4000億円と、5月に発表した水準の2倍に引き上げた。コマツも手元資金が厚くなっており、8月までに約10年ぶりの自社株買いを実施した。 8月末時点で金融を除く東証株価指数(TOPIX)採用銘柄の自己資本比率は35%と5年前より4ポイント上昇した。企業業績は24年度も増益が続くと見込まれており、お金を積極的に設備投資や企業のM&A(合併・買収)などに投資しないと資本効率が悪化しかねない。 企業が株主から預かったお金を使い、どれだけ効率よく稼いだかを示す自己資本利益率(ROE、日経集計)は25年3月期に8.6%と4年ぶりに9%割れと頭うち感がでてきた。米国(20%前後)や欧州(14%前後)にも届かない。ニッセイ基礎研究所の森下千鶴研究員は「投資家の資本効率への目は厳しくなっている。成長に向けた投資をしないのならば還元への圧力が一段と強まる可能性がある」と話す。 シティグループ証券の松本圭太市場営業本部長は「企業経営者の野心的な施策がここに来て減速した感覚を持つ海外投資家は多い。日本株への関心は落ちている」と話す。足元では景気底打ち期待の強まる中国株に資金を移す動きも出ている。日経平均が7月11日につけた最高値(4万2224円)を更新できるかは、企業の成長投資への姿勢を評価する海外勢の買いが戻ってくるかにかかっている。【関連記事】・ブラックマンデー、令和と昭和の相似形 自社株買い加速・急落後の自社株買い相次ぐ ソフトバンクGは5000億円2024/10/11 04:53:02131.名無しさんCmJoR米バークシャーが円債2818億円 日本株追加投資に期待2024/10/11 02:00 日経速報ニュース 著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いる米投資会社、バークシャー・ハザウェイが10日、円建て社債の発行条件を決めた。発行総額は2818億円と2019年の初回債に次ぐ大型債となった。調達資金は日本株投資に振り向ける見通し。相場全体を押し上げる原動力になるとの期待が広がっている。 円建て債の起債は今年4月以来となる。3年債と5年債、7年債、10年債、20年債、28年債、30年債の7本立てで、23日に発行する。3年債が1554億円と最も発行額が多く、利率は1.031%だった。次いで多いのは5年債の580億円で利率は1.265%。当初発行予定だった15年債は取りやめ、28年債に切り替えた。投資家の需要を踏まえたという。 年間の合計発行額は5451億円となり、初めて発行した19年の4300億円を上回り過去最高になる。 バークシャーは今年2月に公表した恒例の「株主への手紙」で日本に言及するなか、「日本のポジションのほとんどを社債で調達してきた」と指摘している。今回の起債も日本株投資に充てるとの読み筋につながっている。 資金の振り向け先として真っ先に連想されるのが、バークシャーが保有している日本の5大商社株だ。 ただ、保有比率を引き上げたことに関する大量保有報告書や変更報告書は23年7月以降は提出されておらず、10日の5大商社株の終値もすべて1%高にとどまった。5大商社株の保有比率は最大で9.9%までと方針を示すなか、すでに約9%を保有しており、買い増しの余地は限定的だ。そのため別の銘柄に投資するとの思惑が目立つ。 バフェット氏が好む銘柄は一般に、自己資本利益率(ROE)が高く、借金がないかあっても低水準で、現金創出力に優れていることなどが条件とされる。 専門家の間で注目度が高いのは金融株だ。10日は三菱UFJフィナンシャル・グループやMS&ADインシュアランスグループホールディングスが2%高となった。業種別東証株価指数(TOPIX)で保険と銀行はともに1%高で、それぞれ上昇率の2位と3位となった。 「今年バンク・オブ・アメリカ株を大量に売ったかわりに、日本のメガバンクや地銀などが物色される可能性が高い」。和キャピタルの村松一之運用本部部長はこう分析する。ビジネスが安定していてキャッシュフローを生み出す点に着目する。マリン・ストラテジーズの香川睦シニアマーケットアナリストは「日銀の追加利上げが意識されるなか、利ざや拡大による収益拡大が見込める銀行株や損保株に買いが入りやすい」とみる。 大和証券の木野内栄治チーフテクニカルアナリストは海運株に関心を寄せる。「市況に影響される事業をしていることや配当利回りが高いことが商社と似ており、バフェット氏が好む可能性がある」と話す。 バークシャーの22年と23年の年間起債額は3000億円以下だったが、24年は5000億円を上回った。楽天証券経済研究所の窪田真之チーフ・ストラテジストは「バークシャーを含め、海外投資家が日本株を買う意欲は高いとの期待が膨らむ可能性がある」と指摘する。 バフェット氏は23年春に来日し、商社株5社の投資増を明らかにしたことが、その後の日本株の最高値を導くきっかけとなった。追加投資が実現するかについて注目度は高い。フィリップ証券の増沢丈彦株式部トレーディング・ヘッドは「商社以外で大量保有報告書が出されれば、買われる銘柄の広がりが意識され、日本株全体での買い材料となるだろう」と期待感を示す。2024/10/11 04:56:53132.名無しさんy37eg株、過去最大級の日本売り・中国買い 景気刺激策で加速も2024/10/15 08:14 日経速報ニュース 中国の株式相場が回復の兆しを見せ始めて3週間がたった。この間、「日本株売り・中国株買い(日本株ロング・中国株ショートの解消)」の動きが過去最大規模で進んでいることを示すデータが相次ぐ。日本から中国への資金シフトが一段と加速した場合、日本株の上値を抑える要因となりそうだ。 9月24日ごろから始まった中国の上海・香港株式相場の上昇。中国人民銀行(中央銀行)の緩和的な政策姿勢や中国当局の不動産市場の支援策などを背景に、上海総合指数は9月13日に付けた直近安値(2704)から今月8日に付けた2年7カ月ぶりの高値(3489)までわずか3週間で3割も上昇した。 米ゴールドマン・サックスが週次でまとめる世界のミューチュアル・ファンド(投資信託)の資金動向では、9日までの1週間で中国本土株には391億ドルの資金が流入した。このうち90億ドル程度が中国外の投資家からで、「流入資金の大半は引き続き中国国内の投資家によるものだが、海外勢も急速に資産配分を増やし始めている」(ゴールドマンのイザベラ・ローゼンバーグ氏)という。9月後半からの3週間では611億ドルの資金流入が発生した。 海外マネーの出所はどこか。1つは日本株市場とみられる。9日までの1週間で日本株からは88億ドルの資金が流出した。中国株が本格的な戻りを見せ始めて以降、ゴールドマンの集計データで日本株からの資金流出が生じたのは初めてだ。フローデータを週次でまとめている米BofAでも結果はほぼ同じで、9日までの1週間では「中国株に過去最大規模の資金が流入した一方、日本株からは史上最大規模の資金流出が発生した」と説明する。 日本が祝日で休場だった14日の上海総合指数は前週末比2%高で終えた。ハンセン指数は0.7%安だったが、上昇に転じる場面もあった。中国の藍仏安財政相が12日の記者会見で「財政赤字の拡大余地はある」と大規模な財政出動を示唆。米メディアの調査では記者会見で約2兆元の財政出動が明らかになるとの予想が多かったのに対し、具体的な金額に言及はなかったが、市場は素直に好感した。 米エバコアISIのネオ・ワン氏はリポートで、「(景気刺激策の規模についての発言がなかったとしても)会見のトーンはかなり前向きで、当局者は何度か次回の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会の開催に触れた」と好意的に受け止めている。 常務委員会は通常は2カ月に1度、偶数月の終わりに近い時期に開催される。10月下旬に開催が見込まれる次回の常務委員会まで、中国当局は国債増発を伴う景気刺激策をとってくるとの期待は残りやすい。このままいけば中国株への資金移動が続いてもおかしくはないだろう。 米モルガン・スタンレーの中国株チームは常務委員会で1?2兆元の補正予算が組まれ、金融緩和策も一段と強化されると予想する。新興国投資で知られる著名投資家マーク・モビアス氏は13日、米ブルームバーグ通信のインタビューで中国の景気刺激策によって新興国市場の株式相場が押し上げられると語った。中国当局は外国資本が戻ってくることを望んでおり、市場をさらに活性化しようとするため、投資家は中国に追加の資金を振り向ける必要があるとの見方を示した。 それでも、中国経済の先行き懸念は簡単には払拭されそうにない。13日発表の9月の消費者物価指数(CPI)は食品とエネルギーを除くコア指数が前年同月比0.1%の上昇と、上昇率は8月から鈍化した。14日発表の9月の貿易統計では輸出、輸入ともに市場予想を大きく下回った。政策期待をどうにかつなぎとめたい中国当局と、株式市場参加者の対話がうまく進まなければ、資金の流れはいつ逆回転してもおかしくはない。 中国経済の回復と株式相場の上昇は、日本経済と機械など中国関連銘柄に一定のプラスの影響となる。外国為替市場での円安進行もあり15日の日経平均株価は節目の4万円を上回る場面もありそうだ。だが、いくらリスクをとりやすい環境とはいっても、欧米などの投資家がアジアに振り向けられる資金の総額には限りがある。中国株の復調が続いた場合、日本株からの資金流出が継続する可能性が高まることになる。2024/10/15 08:24:20133.名無しさんy37eg日経平均、3カ月ぶり4万円台 欧米株高で「海外勢オンリー」の様相2024/10/15 12:39 日経速報ニュース 15日午前の東京株式市場で日経平均株価は前週末と比べ626円高い4万0232円と、取引時間中として約3カ月ぶりに4万円を上回った。各国中央銀行の緩和的な金融政策が景気を支えるとの期待から欧米株の最高値更新が続出するなか、海外投資家の余剰資金の流入が日本株を一方的に押し上げる構図が鮮明になっている。 米連邦準備理事会(FRB)が11月と12月に0.25%ずつ利下げをするという見方から米経済の先行きに改めて楽観的な見方が広がり、ダウ工業株30種平均は連日で最高値を更新。欧州中央銀行(ECB)は今週17日の理事会で2会合連続の利下げを決めると予想され、ドイツ株価指数(DAX)は14日に最高値を更新した。リスク許容度が一段と高まっている海外投資家の買いの勢いは強く、日経平均はさほどの抵抗もなくあっさり4万円台を回復した。 東京証券取引所の投資部門別株式売買動向によると海外投資家は10月第1週(9月30日?10月4日)に日本株を7週ぶりに買い越していた。足元の日経平均の上昇を踏まえると、前週も買いが継続している可能性が高い。 一方、個人投資家は「利益確定売りを先行させている」(松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリスト)。個人の参加が多い新興市場では、東証グロース市場250指数が約1カ月ぶりの安値圏でのもみ合いとなっている。個人の投資余力はさほど高まっておらず、上昇が目立つ銘柄には売りを先行させる姿勢のようだ。東証株価指数(TOPIX)も11日は日経平均と逆に下げるなど相対的に上値が重い。 日経平均の構成銘柄のなかでも、一部の値がさ株に買いが集中して指数を押し上げる展開が目立つ。午前は米ハイテク株高を追い風に、ソフトバンクグループ、東京エレクトロン、アドバンテストの3銘柄で日経平均を合計で300円超押し上げた。海外短期筋とみられる株価指数先物への買いも途切れることなく入っている。 米ハイテク株高の象徴であるエヌビディアは、生成人工知能(AI)向けの半導体需要の拡大を見込んだアナリストの「評価引き上げ合戦」となっており、株価は最高値更新を視野に入れている。17日の台湾積体電路製造(TSMC)の7?9月期決算でAI半導体の需要に強気の見通しが示されれば、海外勢はさらに半導体関連への買いを加速させるかもしれない。 外国為替市場では円相場が1ドル=149円台後半まで下落している。これから発表が本格化する4?9月期の決算では、円高による輸出企業の業績下方修正リスクこそ和らいでいるものの、161円台まで円安が進んだ7月のように円安で輸出企業の収益がさらに積み上がる水準ではない。ここまで発表された3?8月期の小売企業の決算は、コスト高が重荷となって減益に沈む企業も目立つ。消費者の間では値上げ疲れも広がっている。 国内景気が上向いているとは言えない状況のなか、「海外勢オンリー」の買いで4万円台を回復した日経平均。それだけに、今後の上値余地や調整に転じるタイミングなども海外勢のさじ加減次第となりそうだ。2024/10/15 12:58:39134.名無しさんJsR4Z三井住友FG、生成AIを活用したサービス提供および業務効率化に向けOpenAIと契約を締結2024/10/15 17:20 日経速報ニュース【プレスリリース】発表日:2024年10月15日生成AIを活用したサービス提供および業務効率化に向けたOpenAIとの契約締結について 株式会社三井住友フィナンシャルグループ(執行役社長グループ CEO:中島 達、以下グループを総称して「SMBCグループ」)は、OpenAI,Inc(CEO:Sam Altman、以下「OpenAI」)と生成AI分野における契約を締結したことをお知らせします。 SMBCグループは、中長期に目指す姿である「最高の信頼を通じて、お客さま・社会とともに発展するグルーバルソリューションプロバイダー」の実現に向けて、SMBCグループ自身のデジタルトランスフォーメーション(DX)、さらにはデジタルを活用したお客さまへの付加価値提供に積極的に取り組んでまいりましたが、このたび、日本の大手金融機関として初めてOpenAIと契約を締結いたしました。 SMBCグループ内で活用している汎用型AIアシスタントツール「SMBC-GAI」では、2024年9月より「OpenAI API」の利用を既に開始しており、OpenAIの最新モデルの安定したパフォーマンスと高いキャパシティを通じた「SMBC-GAI」の精度向上や利用効果の最大化に取り組んでいます。 今後は生成AIを活用し、既存オペレーションの生産性向上だけでなく、AI活用を前提としたEnd to Endのデジタルビジネス・プロダクトの開発や顧客接点のAI化、さらには従業員の暗黙知や経験値を利活用した収益力の向上を通じて、中長期的なビジネスモデルの変革を推進してまいります。 今回の契約により、SMBCグループは生成AI技術を用いた革新的なサービスの活用を通じて、日本国内およびグローバルな金融業界の変革を推進するとともに、お客さまにこれまでにない付加価値を提供し、グローバルソリューションプロバイダーとしての地位をさらに強化してまいります。以上2024/10/16 07:08:29135.名無しさんJsR4Z話題の銘柄■商船三井<9104.T> 4854円 +80■成長投資から還元強化のフェーズに移行する可能性、東海東京が「Neutral」→「Outperform」、目標株価4700円→6000円 東海東京インテリジェンス・ラボが業績予想を修正。レーティングを「Neutral」から「Outperform」へ、目標株価を従来の4700円から6000円へ引き上げた。 同社の現中計(24年3月期~26年3月期)は株主還元以上に成長投資を重視し、財務体質の強化を図るフェーズ1に相当。フェーズ2(27年3月期~31年3月期)では同社が目指す財務KPIの達成状況を踏まえ、下限配当(現状は150円)を再設定し、株主還元を強化する見込み。当社はROE目標の達成は難しいが、健全な財務体質(ネットD/Eレシオ0.9~1.0倍など)は概ね達成可能で、潤沢な単体利益剰余金(24年3月期末で6772億円)もあるため、還元強化は可能と考える。具体的な還元策は見通しにくいが、当社は少なくとも26年3月期は(市場コンセンサスである)減配ではなく増配をすると予想している。 現状株価には、(1)10月以降の閑散期におけるコンテナ運賃の下落、(2)コンテナ船や自動車船の供給増加と運賃下落などによる26年3月期の大幅な経常減益の可能性が織り込まれている一方、同社が成長投資に重点を置くフェーズから株主還元の強化に重点を置くフェーズに入る可能性があることは十分に株価に織り込まれていないと判断する。 従来の目標株価は25年3月期予想BPS6355.5円に対して、PBR0.74倍を適用して算出していたが、今回の目標株価6000円は当社算出の株主資本コスト9.95%に25年3月期~27年3月期の3カ年平均予想ROE9.0%から導かれる妥当PBR0.90倍を25年3月期予想BPS6620.2円を乗じて算出した、と指摘。 2025年3月期連結経常利益を修正後会社計画3500億円(EPS924.3円)に対し従来予想2290億円(EPS532.6円)から3820億円(EPS954.8円)へと予想し、来2026年3月期同2170億円(EPS510.6円)から2125億円(EPS441.0円)へ修正し、新たに2027年3月期連結経常利益を2142億円(EPS419.7円)と予想している。2024/10/16 13:50:14136.名無しさんFuHdh米国株、ダウ反発し337ドル高 最高値更新 金融に買い ナスダックも反発2024/10/17 05:54 日経速報ニュース 【NQNニューヨーク=矢内純一】16日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発した。前日比337ドル28セント(0.78%)高の4万3077ドル70セントで終え、2日ぶりに最高値を更新した。前日に下げが目立った半導体株の一角が買い直され、投資家心理の支えとなった。市場予想を上回る決算を発表した金融株にも買いが広がった。 ダウ平均の構成銘柄ではないが、モルガン・スタンレーが6.4%高で終えた。朝発表の2024年7?9月期決算で売上高に相当する純営業収益と1株利益が市場予想を上回った。金融株に買いが波及し、ダウ平均の構成銘柄では、ゴールドマン・サックスとJPモルガン・チェースが上昇した。 決算を発表した地銀の一角にも買いが入った。米国のインフレが落ち着く方向にあるなかで、米連邦準備理事会(FRB)の利下げが経済を支えるとの見方は根強い。米経済がソフトランディング(軟着陸)に向かっているとの観測から、一部の景気敏感株が上昇。中小型株にも物色が広がり、株価指数ラッセル2000は1.6%高で終えた。 前日に悪材料が重なって下げたエヌビディアやマイクロン・テクノロジーといった半導体株が上昇した。オランダの半導体製造装置大手、ASMLホールディングが15日に四半期決算の発表と同時に示した収益見通しが慎重だったものの、16日に開いた決算説明会では人工知能(AI)関連の需要に楽観的な見方を示した。市場では「半導体受託生産の台湾積体電路製造(TSMC)が17日に発表する決算で、需要の強さを改めて示すとの期待から買いが入った」(ミラー・タバックのマシュー・マリー氏)との指摘があった。 前日に急落したユナイテッドヘルス・グループが上昇し、ダウ平均を押し上げた。アナリストが投資判断を引き上げたシスコシステムズも高かった。半面、インテルが下落した。中国当局系団体が16日、国家の安全保障を脅かすとして審査を申し立てたと発表し、株価の重荷となった。アムジェンやメルクも売られた。 ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は反発した。前日比51.492ポイント(0.28%)高の1万8367.079で終えた。半導体株の一部が上昇したほか、テスラにも買いが入った。半面、アプライドマテリアルズなどの半導体製造装置株には売りが続いた。2024/10/17 06:03:26137.名無しさんoHA7R米銀大手7~9月決算 投資銀業務が復調 FRB利下げ追い風2024/10/18 日本経済新聞 朝刊 米連邦準備理事会(FRB)の利下げ転換が大手銀行の投資銀行ビジネスに追い風になっている。16日に出そろった米銀大手6社の2024年7~9月期決算では企業の活発な資金調達やM&A(合併・買収)の復調で投資銀の手数料収入が伸びた。 金利低下で融資業務の稼ぐ力には頭打ち感が出るなか、米経済のソフトランディング(軟着陸)期待を支えに米銀の業績は底堅さをみせている。 大手6社の7~9月期の純利益は商業銀行業務の比重が大きいJPモルガン・チェース、バンク・オブ・アメリカ、ウェルズ・ファーゴ、シティグループが前年同期比で減益だった。投資銀行業務が主体のモルガン・スタンレーは32%増益、ゴールドマン・サックスは45%増益だった。 最終減益になった4社も1株当たり利益(EPS)はいずれも市場予想を上回った。想定より好調だったのは企業の資金調達やM&Aなど資本市場を通じた活動を支援する投資銀行業務だ。 相対的に同業務の規模が小さいウェルズを除く大手5社の投資銀行業務の収益は合計で82億ドルと前年同期比30%増えた。モルガン・スタンレーが5割増、シティは4割増、JPモルガンは3割増で、バンカメとゴールドマンは2割増えた。 シティのマーク・メイソン最高財務責任者(CFO)は記者向けの決算説明会で「ここ数四半期、(M&A助言業務の)仕掛かり案件は堅調と説明してきたが、IT(情報技術)や資源、ヘルスケアなどの分野でディールが顕在化しつつある」と述べた。2024/10/18 06:10:50138.名無しさんBLUi6景気堅調、金融株が上昇 資金需要増で収益拡大 MSCI業種別指数、最高値を更新2024/10/25 日本経済新聞 朝刊 世界的な利下げが景気を下支えするとの見方から金融株が上昇している。企業の資金調達需要の拡大を追い風に融資残高や株式・債券の引受手数料が増え、業績が拡大するとの期待が高まっているからだ。中でも運用残高が膨らんでいる資産運用会社の上昇が目立つ。 グローバル株の代表的な運用指標であるMSCI全世界株指数(ACWI)の業種別指数「金融」は18日に196.599まで上昇し、2010年の算出開始以来の最高値をつけた。 23日時点では2023年末比21%高と、世界株全体の上昇率(18%高)を上回る。景気の底堅さが意識された9月ごろから騰勢を強め、世界株との差を広げた。米JPモルガン・チェースは31%高と上場来高値圏だ。 背景には景気の軟着陸期待がある。各国の債券市場では利回り曲線の傾きが急になるスティープ化(急勾配化)が進む。政策金利の引き下げで短期金利は低下しているが、長期金利は上昇傾向にある。 明治安田アセットマネジメントの福川勲シニア・リサーチ・アナリストは「市場の強気な経済見通しを映している」と指摘する。利回り曲線のスティープ化は銀行収益の追い風になる。 福川氏は「堅調な景気を背景に、企業の資金需要は底堅い。貸出金利は上昇するだろう。融資残高の増加も純金利収入を支える」と指摘。業績拡大は中長期的に続くとみる。 米ゴールドマン・サックス(34%高)や米モルガン・スタンレー(27%高)など投資銀行業が主体の金融株も堅調だ。世界的な景気回復・拡大で企業の資金調達やM&A(合併・買収)が増え収益が拡大するとの見方が背景にある。 「利下げサイクルの始まりが経済の軟着陸への楽観論を再び呼び起こし、経済活動の活性化を促すだろう」。ゴールドマンのデービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)は15日の決算発表でこう説明した。債券や株の引受業務など手数料収入が伸び、24年7~9月期の純利益は前年同期比45%増となった。 モルガン・スタンレーのテッド・ピックCEOも16日の決算で「M&Aの復活に強気」と話し、業績拡大に自信を示す。 欧州の金融株にも米金融株高が波及している。欧州主要600社の株価指数であるストックス600が23日時点で23年末比8%高にとどまる中、ストックス600銀行指数は同22%高い。 仏資産運用大手アムンディのバリー・グラビン株式運用部門ヘッドは「欧州景気は来年にかけて回復していく」とみる。「企業の生産性向上に向けた投資加速を背景に、欧州金融大手の融資残高の伸びは続く」と話す。 より高いリターンを求める投資家のマネーを引き寄せているのがプライベートエクイティ(PE=未公開株)ファンドだ。投資運用大手では、米ブラックロックが22%高、米ブラックストーンが27%高、米KKRが67%高となっている。 ブラックストーンは17日の決算で、9月末時点の運用資産が前年同期比10%増の1.1兆ドルと過去最高になったと発表した。プライベートクレジット(ファンドによる融資)など融資実行額は前年同期比の3.1倍に膨らんだ。M&Aなど向けの企業の借り入れ需要が高まっている。 ブラックロックも11日の決算で、運用資産総額が11.5兆ドルと過去最高になったと発表した。上場投資信託(ETF)を中心に新規資金の流入が増え、7~9月期の機関投資家からの資金流入は前年同期の減少から一転、プラスに転じた。 欧州大手投資ファンドのCVCキャピタル・パートナーズの日本共同代表・赤池敦史氏は「運用ファンドの骨組みを支えるのは実体経済の成長だ」と強調する。 年金や大学基金などのファンド出資者がリスク資産への選好を強めるほど、未公開株など流動性の低いプライベート資産にも資金が集まり、資産管理報酬を得る運用会社の収益が拡大する。 米経済は大崩れしないとの前提が支える金融株高。大手が堅調な一方で、地銀株で構成するKBWナスダック地銀株指数は23日時点で23年末比6%高にとどまる。不動産融資比率が高い地銀株には不良債権処理の与信費用の増加などへの警戒感もくすぶる。期待先行で買われている側面もあるだけに、急激な株高の巻き戻しには注意が必要だ。2024/10/25 06:06:37139.名無しさんNnOZF日経平均一時700円高 衆院選「織り込み済み」で買い戻し2024/10/28 09:49 日経速報ニュース 28日の東京株式市場で、日経平均株価は一時前週末と比べ700円超高い3万8600円台半ばまで上昇した。衆院選での自民、公明両党の過半数割れを受け、朝方は続落して始まったものの、為替の円安や米半導体株高を背景に、次第に買い戻しが優勢となった。 27日投開票の衆院選で自民、公明両党は計215議席と過半数を割り込んだ。朝方は政治の不透明感を警戒した売りが先行したものの、その後は上げに転じた。日経平均は先週に週間で1000円超下げており、大和証券の木野内栄治チーフテクニカルアナリストは「先週時点で市場は与党の過半数割れを織り込んでいた」と指摘する。 前週末の米株式市場で、半導体銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が大幅高となった。東京市場でもアドバンテスト、レーザーテックなど半導体関連株が上昇し、日経平均を押し上げている。2024/10/28 10:00:41140.名無しさんNnOZF与党大敗で進む円安・金利上昇 「高圧経済」を織り込み2024/10/28 12:44 日経速報ニュース 衆院選から一夜明けた28日の金融市場では円安が加速し、長期金利が上昇した。自民、公明両党が議席を大きく減らす大敗を喫し、与党で過半数を割り込んだためだ。石破茂首相は政権維持に向けて野党との連携を模索する考えだ。協力を仰ぐとみられる日本維新の会や国民民主党との連携を見込み、市場は財政出動と緩和的な金融政策による「高圧経済」の実現を織り込み始めている。 27日投開票の衆院選での自公両党の獲得議席数が215で、定数465の過半数(233)に届かなかった。石破首相は27日、衆院選の結果を踏まえて職責を全うするのかと問われ「それはそういうことだ」と語り、続投を示唆。政権継続に向けて国民民主や維新といった政策理念が近い野党と閣外協力などを探るとみられている。 国民民主は公約で、名目賃金上昇率が当面4%に達するまで積極財政と金融緩和を講じる「高圧経済」の実現を目指している。維新も積極財政に前向きで、日銀に対しては雇用最大化や経済成長率の持続的な成長を使命に加えることを掲げる。石破政権がこの主張を取り入れれば政策には「選挙前に比べて財政拡張の圧力が増し、金融緩和状態の継続が選好されやすいバイアスが生じる」(SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミスト)。 市場はいち早く高圧経済の実現を織り込み始めている。わかりやすいのが債券市場で、28日は長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りが一時0.965%と前週末から0.020%上昇(価格が下落)した。とりわけ目立ったのが金融政策の影響を受けやすい中期ゾーンよりも、経済動向や債券需給を反映しやすい超長期ゾーンの金利上昇だ。 中期債にあたる新発5年債利回りが0.580%と同0.005%の上昇にとどまるのに対し、超長期債では新発30年債利回りが同0.040%高い2.215%まで上昇。イールドカーブ(利回り曲線)の傾きが急勾配になる「スティープニング」が進んだ。みずほ証券の丹治倫敦チーフ債券ストラテジストは「超長期債利回りの上昇が目立つのは、財政拡張が意識されているため」と分析する。 外国為替市場では高圧経済の実現を見込み、円安・ドル高が加速している。28日には円相場が一時1ドル=153円88銭近辺と7月末以来およそ3カ月ぶりの安値をつけた。「財政支出拡大の観測や政治混乱で日銀追加利上げが遅れる可能性が円売りを促した」(ふくおかフィナンシャルグループの佐々木融チーフ・ストラテジスト)。高まりかねない財政リスクも金利上昇と歩調を合わせるように円安要因となっている。 石破首相の具体的な政権運営の形が定まるまで、市場には不安定さが残る可能性は高い。特に政治情勢が日銀の金融政策運営にどのような影響を及ぼすかは不透明だ。円安加速は物価の上振れリスクとなり国民の支持が離れていく原因にもなりかねず、日銀にとっても「追加利上げを判断する『時間的余裕』がなくなる」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美チーフ債券ストラテジスト)との声がある。 日銀内からは足元の経済・物価情勢が「順調」との声が聞かれる。個人消費は緩やかな増加を続け、10月の東京都区部の消費者物価指数(CPI)では一部サービスで期初の値上げが反映される形で物価に上昇圧力がかかっており、「2%の物価安定の目標」の達成に向けて「総じてオントラック」と評価しているようだ。 日銀は30?31日に開く金融政策決定会合で政策金利を据え置くものの、利上げ路線は崩さないとみられる。しかし、野党が緩和的な金融環境の維持を閣外協力の条件に挙げる可能性も排除できない。「政局次第で日銀を取り巻く環境は一変しうる」(国内証券のエコノミスト)との声もあり、情勢はなお流動的といえそうだ。2024/10/28 13:30:29141.名無しさんxXcu7三井住友カード、鉄道クレカ乗車拡大 私鉄・地下鉄7割に2024/10/29 日本経済新聞 朝刊 三井住友カードは28日、公共交通機関向けのタッチ決済サービス「stera transit(ステラトランジット)」を関西を中心に全国に普及させていく方針を発表した。大手私鉄16社と公営地下鉄8社の駅の半数に導入済みだが、2025年度末までに7割に拡大する。29日から阪急電鉄や近畿日本鉄道などでのサービス開始を契機に、カード決済の認知度を広げる。 大西幸彦社長は28日の記者会見で「国際博覧会(大阪・関西万博)に来場する訪日客だけでなく、地域の人にも日常的に利用してもらえることを目指す」と語った。 ステラトランジットはタッチ決済に対応したクレジットカードやスマートフォンを自動改札機などにかざすことで乗車できるサービスだ。大手私鉄を中心に28日時点で133の事業で採用されている。交通系ICカードを持たない訪日客がスムーズに乗車できるほか、カード利用でポイントがたまることなどから国内の利用者も増えている。2024/10/29 06:38:10142.名無しさんxXcu7野村HD (8604)768.7円 (-4.1)収益安定化が進み、25年3月期は好調の可能性、岡三が新規「強気」、目標株価1150円岡三証券が目標株価を1150円に設定、レーティング「強気」で新規カバレッジを開始した。19年3月期から23年3月期までは、数百億円単位の損失が出る四半期が年度に1~2回発生し、ボトム収益のボラティリティーが高い状態が続いていたが、24年3月期以降は巨額損失の計上もなくなり、収益の安定度が高まった。リテールでのストック収入比率の引き上げや直近数年の経費削減努力により、相場環境が低迷した時でも一定の収益を計上できるようになった点も大きい印象だ。同社は2020年に「パブリックに加え、プライベート領域の拡大・強化」を掲げ、オルタナティブ運用ならびに販売の積極化を進めている。運用資産のボラティリティーが高くなる可能性があるが、24年3月期末では運用資産89兆円の2%にとどまり、80年代から同分野が発達した米国市場に比べると、国内市場ではまだ顧客の理解度を含め浸透していない。当面は業界リーダーとして啓蒙も含めた市場形成が必要な段階で、収益貢献はもう少し先となる印象だ。25年3月期は相場環境が良く、国内外の証券業界全体に、米国債取引や投資銀行部門で好調な利益進捗が期待できよう。国内株式市場も大型のIPO・売出し案件が続き、投信販売も好調な推移が続いており、リテール部門・ホールセール部門ともに堅調な業績が期待できる。同社の25年3月期第1四半期はリテール・ホールセール・資産運用の3事業部門ともに好調で、米大手銀の7~9月期決算でも投資銀行部門(証券部門)の収益が好調だったことも合わせて考えれば、第2四半期並びに通期でも前期比大幅な増益での着地が可能と当社では見ている、と指摘。今2025年3月期連結純利益を2993億円(EPS101.3円)、来2026年3月期3071億円(EPS103.9円)、2027年3月期2826億円(EPS95.7円)と予想している。2024/10/29 08:22:24143.名無しさんxXcu7三井住友銀行が米英勤務を採用時に確約…数人規模、「配属ガチャ」排し優秀な学生確保狙うhttps://www.yomiuri.co.jp/economy/20241028-OYT1T50213/ 三井住友銀行は、2025年4月入行の新入社員を対象に、最短2年目で海外配属を確約する採用コースを新設した。入社後の部署がどこになるか分からない「配属ガチャ」を排することで、英語力がある優秀な学生を確保する狙いがある。入社時に海外配属を確約する採用は国内銀行では初めてだという。 配属先は米ニューヨークか英ロンドンとし、採用数は数人を想定する。査証(ビザ)を取得するために1年間は国内勤務が必要だが、ビザが取れ次第、赴任する。志望する学生には、英語民間試験のTOEFL105点以上などを目安とする高い英語力を求める。 現地の外資系企業や自治体との交渉といった、欧米での金融ビジネスに求められる知識や経験を早くから積んでもらい、将来的には海外戦略の立案や実行をリードする人材に育成したい考えだ。 日本では金利の低い環境が長く続いたことから、国内大手行は金利の高い海外でのビジネスを強化してきた。三井住友銀は収益の約4割を海外事業が占める。かつては現地に進出した日系企業向けビジネスが中心だったが、近年は現地企業向けの強化も進めている。 大手行は海外ビジネスの強化に伴って海外人材の獲得を強化している。三菱UFJ銀行やみずほ銀行も、海外業務を志望する学生向けにコース別の採用枠を設けているが、配属の確約まではしていない。2024/10/29 09:55:07
[26日 ロイター] - 鈴木俊一財務相は26日(日本時間27日)、G20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で為替に関する既存の
コミットメントを再確認したと述べた。G20終了後、訪問先のブラジル・リオデジャネイロで報道陣に語った。
鈴木財務相は「為替レートの過度な変動や無秩序な動きは、経済および金融の安定に対する悪影響を与えうるとのG20における既存のコミッ
トメントが再確認された」と述べた。
G20に先立つ主要7カ国(G7)財務相・中銀総裁会議を含め、「一連の会合を通じて様々な国際的な課題について日本の立場をしっかり伝え
た」ことも明らかにした。
2024/07/29 日本経済新聞 朝刊
老後に備えてためた金融資産が、80歳を過ぎても平均で1~2割しか減っていないことが内閣府の分析で判明した。長生きする可能性を意識
して節約志向が強まっているようだ。国内の消費支出の4割を占める高齢者が財布のひもを固く締めれば国内全体の消費を下押しするリスクが
ある。
内閣府がまとめる2024年度の経済財政報告(経済財政白書、総合・経済面きょうのことば)の原案が明らかになった。
総務省の全国家計構造調査をもとに内閣府が独自集計した。年齢別でみた世帯あたりの金融資産額は年齢を重ねるにつれ右肩上がりに増え
定年時の60~64歳にピークに達する。平均保有資産は1800万円強になる。
65歳以降になると、資産を取り崩す動きが出るものの、そのペースは緩やかだ。85歳以上でも1500万円強と減少率は1割台半ばにとどまる。
特に金融資産の大部分を占める預金は年齢が高くなっても残高にほとんど変化はない。
白書案は「公的年金や勤労などで得られる所得の範囲でほとんどの消費活動を賄っており、老後の生活のために蓄積した資産を切り崩す程度
は非常に限定的」と指摘。「長寿化によって長生きリスクがより強く意識されている」と分析した。
60歳以上の高齢世帯が国内の消費支出に占めるシェアは4割に達する。高齢層の節約志向は消費全体を下押ししかねない。白書案は存命中
に使い切らずに残す場合、資産の多くが効率よく使われないと説く。
SMBC日興証券は29日、2024年4-6月期(第1四半期)の連結純損益が116億円の黒字(前年同期は59億円の赤字)だったと発表した。
債券や株式の引き受け・売り出しを中心に受け入れ手数料が増加した。
発表によると、純営業収益は前年同期比23%増の1331億円だった。受け入れ手数料は同31%増の645億円で、このうち債券の引き受け・
売り出しなどの手数料は同88%増の69億円だった。
後藤歩常務は決算会見で、営業部門の堅調に加えて「国内外の発行市場において起債環境が良好で、DCM(債券資本市場)の収益増加
が寄与し、増収増益決算となった」と説明した。
第1四半期は、日本銀行によるマイナス金利解除や資本効率改善に向けた企業の動きを背景に、債券や株式の活発な取引が続いた。2月
にバブル崩壊後の最高値を更新した日経平均株価は3万8000円台を中心にもみ合う展開だった。
前年同期の純損益は相場操縦事件後の債券引き受けや機関投資家の発注停止などの影響が出ていた。ただ、前期(24年3月期)は通期
純損益が162億円の黒字(前の期は398億円の赤字)と2期ぶりの黒字に転換している。
SMBC日興は今期から、証券単体と海外拠点を合算し、より実態に即した新たな数値も公表した。今村新吾財務企画部長によると、決算
短信の開示内容では、グループの主要な欧米拠点が連結対象とならないことなどから、ビジネスの実態と乖離(かいり)していたと説明している。
この計算方法による4ー6月期の純利益は前年同期比2.4倍の201億円。営業利益は営業部門が同4.3倍の80億円、投資銀行部門が54億
円(前年同期は12億円の赤字)、グローバル・マーケッツ部門は同41%減の123億円だった。
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SMBC日興、1-3月純利益は96億円-相場操縦の影響なくなる
2024/07/29 日本経済新聞 夕刊
前社長の魂受け継ぐ 覚悟決め飛躍目指す
2023年12月、3メガバンクの一角である三井住友フィナンシャルグループ(FG)社長への緊急登板を迫られた。その前月、トップ在職中に
病に倒れた太田純前社長の後任だ。部下として支え敬愛してきた太田氏の路線をどう引き継ぎ、進化させるのか。挑戦が始まる。
銀行や持ち株会社で、私は太田さんの身近で長く補佐してきました。しかし太田さんは深刻な病気を患っている事実を私には最後まで明かし
ませんでした。ただ、社長の日々のスケジュール表にアクセスできる立場にはあったので、定期的に病院に通っていることは把握していました。
「大丈夫ですか?」と尋ねると「おう。ちょっと糖尿がな。でも全然や」とはぐらかされ、職責を普段通り全うされていました。がんは昨年の春先
には発見されていたとのことですが、私はそんな重い病と知らなかったのです。
いま振り返るといかにも関西人気質の豪放磊落(らいらく)さで弱みを見せない。金融界内外の企業経営者に一目置かれ、愛された太田さ
んの生きざまです。最高機密のトップの病状を把握していたのは国部毅FG会長ら片手の指に満たない。私はその輪に入っていませんでした。
昨年9月にもラグビーワールドカップ観戦でフランスに一緒に行ったばかりです。中継地のドバイ空港のラウンジで二人きりになることもあった
けれど「あの案件どうするかな」などと仕事の話ばかり。だから太田さんが11月に急きょ入院され、そのままお亡くなりになったことに、ただ
驚愕(きょうがく)しました。
三井住友FGのような大企業は、あらゆる緊急事態に備えたコンティンジェンシープランを備える。ただちに国部会長から「よろしく」と一言。
人事担当役員から社長昇格までの手続きの説明があった。23年11月30日、国部会長とともに東京・丸の内の本店で社長就任会見に臨んだ。
太田前社長はまだ65歳でした。この国の金融をけん引する稀有(けう)なリーダーとしてこれからの時期です。さぞかし無念だったと拝察しま
す。それでも彼の生涯は幸せだった面があったと私は思っています。ご家族が素晴らしいのです。
奥様との間に1男1女。悲嘆のなかで通夜や告別式でのお三方の気丈な対応には深い感銘を受けました。そして、奥様からそっと太田さん
からの最後の伝言を受け取りました。「中島には迷惑をかけることになるが、あいつなら大丈夫や」。その言葉をうかがい「絶対に後には引け
ない」。覚悟を決めました。
トップの後任選びをめぐって混乱する企業もある。だが三井住友FGは移行がスムーズに進んだ。独立社外取締役(指名委員会委員長、
筒井義信・日本生命保険会長)らが面接・選定作業を担い「太田さんの次は中島氏」と数年前から内々で固めていたからだ。
就任記者会見の最後に思い切って申し上げました。「太田はきっと天国でみている。『おまえら、いつまで下向いてんだ。さっさと切り替えろ』
と言っているはずだ」と。
銀行は通常通り稼働していますが、あれだけのバンカーが突然天に召されたんです。社員に動揺がないはずがない。だからその動揺を
私自身の責任で収めなければ。社長就任から1年もたちませんが一番腐心してきたことです。
太田さんは長く閉塞感が漂う日本の金融界にあって「殻を破れ」と社内に大号令をかけ、様々な新規ビジネスに乗り出す道筋を実際に作っ
た。私に課された使命はその路線をさらに進化させること。この銀行は「突き抜けていかなければならない」のです。
略歴 1963年愛知県生まれ。86年東大工卒、住友銀行(現三井住友銀行)入行。米ダートマス大学経営学修士号(MBA)取得。2019
年三井住友フィナンシャルグループ取締役執行役専務、副社長を経て23年12月現職。
2024/07/30 13:04 日経速報ニュース
30日後場寄り付きの東京株式市場で日経平均株価は引き続き安い。前日比240円ほど安い3万8200円台前半で推移している。日米の金融
政策決定会合の結果発表を31日に控え、持ち高整理の売りが出ている。ソフトバンクグループ(SBG)やファストリなどの値がさ株に加え、東エ
レクやアドテスト、ディスコなどの半導体関連株への売りが目立つ。
前引け後の東証の立会外で、国内外の大口投資家が複数の銘柄をまとめて売買する「バスケット取引」は約218億円成立した。12時45分現
在の東証プライムの売買代金は概算で1兆9469億円、売買高は8億7273万株だった。
市場では「半導体関連株が下げ止まらないことが警戒を高めている。米ハイテク大手決算や日米金融政策の発表を前に買い方の勢いが弱く、
需給面から下押し圧力が強まりやすい」(立花証券の鎌田重俊参与)との声が聞かれた。
INPEXや三井松島HDなどの鉱業株や、三菱UFJや三井住友FGなどの銀行株が売られている。一方、東京海上などの保険株が上昇した。
トヨタやホンダが引き続き買われた。
2024/07/30 13:44 日経速報ニュース
30日午後の国内債券市場で、長期金利が一段と低下(債券価格が上昇)した。指標となる新発10年債利回りは前日比0.025%低い1.000%と
6月26日以来およそ1カ月ぶりの低水準をつけた。日銀は31日、金融政策決定会合の結果を発表する。「7月会合で利上げがない可能性も意識
されている」(国内銀行の債券運用担当者)といい、金利上昇を見込んで構築した空売りの持ち高(ショート)を手じまう動きが出ているようだ。
東京外国為替市場では円相場が一段安となっている。一時は1ドル=154円39銭近辺と前日17時時点よりも78銭の円安・ドル高水準をつけた。
[香港 30日 ロイター] - JPモルガンのクオンツ戦略チームによると、外国人投資家は今年、7月25日までの期間に、日本の銀行の株式を推定
4720億円(約31億ドル)買い越した。買い越し額は自動車・部品株の倍以上に達した。
銀行と自動車は今年、海外からの投資が純流入となった2セクター。投資家は日銀の金融引き締めの最大の受益者は銀行と見ている。
日銀は30─31日に金融政策決定会合を開く。最新の「経済・物価情勢の展望(展望リポート)を発表するほか、今後1─2年の国債買い入れの
減額方針を決定、追加利上げの要否についても議論する。
ブラックロックの日本アクティブ投資責任者、番場悠氏は「全ての銀行にとって、非常に困難な時代から、はるかに恵まれた環境になりつつある。
銀行のアウトパフォームは続く可能性がある。金利が少し上昇するだけでも、ROE(株主資本利益率)の観点からは直接的な恩恵がある」と述
べた。
UBPのシニアポートフォリオマネジャー、ズヘール・カーン氏は「メガバンクは地方銀行よりも貸し出し機会が多いため、金利上昇の恩恵を受ける
だろうが、恩恵は既に株価に織り込まれている」とした。
[東京 31日 ロイター] - NHKや時事通信など国内メディアは、日銀が31日に開く2日目の金融政策決定会合で追加利上げを検討し、
短期金利を0.25%程度に引き上げる案を議論すると報じた。NHKは、9人の政策委員の多くが物価は見通しに沿って上昇していると
いう見方を示しているものとみられると伝えた。
日銀が追加利上げを決めれば、3月にマイナス金利政策を解除し、政策金利を0─0.1%程度に引き上げて以来。
時事通信は、物価高で個人消費が鈍る一方、賃上げや政府の定額減税などの効果で景気の腰折れは回避できると日銀は判断している
と報じた。急速な円安で輸入インフレが再燃する恐れもあり、利上げが妥当との見方が広がっているという。
日本経済新聞は、会合に参加する財務省と内閣府も議決延期請求権を行使せず容認する構えと伝えている。
一方、NHKと時事は、実質賃金はマイナスが続いていることから委員の間で追加利上げに慎重な声もあり、会合で最終判断すると報じて
いる。
2024/07/31 02:51 日経速報ニュース
【NQNニューヨーク=川上純平】日本国債の先物相場が日本時間31日未明の取引で下落している。中心限月の9月物は前日比44銭安い
142円93銭を付ける場面があった。日本経済新聞電子版などが同日、日銀が31日まで開く金融政策決定会合で追加利上げを検討すると
報じたのをきっかけに売りが広がった。
日経によると、現在は0?0.1%の政策金利を0.25%に引き上げる案が有力という。日銀は、賃金上昇を背景に物価と景気が上向いている
とみているようだ。
31日未明の大阪取引所の夜間取引で日経平均先物は下落している。9月物は一時、前日の清算値と比べ600円安い3万7890円を付け
た。日銀の利上げが景気を冷やすと懸念された。30日の米株式市場で半導体などハイテク株に売りが出ているのも日経平均先物の重荷
となっている。
2024/07/30 18:00 日経速報ニュース
日銀は31日の金融政策決定会合で国債買い入れ減額の詳細を決める。現状は月6兆円程度買い入れているが、市場では今後1?2年
程度で月3兆円まで半減する案が有力視されている。事実上の量的引き締めとなり、国債市場の中心的な担い手が日銀から民間に移っ
ていく契機となる。
日銀は前回6月の決定会合で国債買い入れを減らす方針を決め、今回の7月会合で今後1?2年程度の具体的な減額計画を詰めるとして
いた。
日銀は7月上旬、減額幅の決定の参考にするために債券市場参加者から意見を聞いた。公表されたこの会合の議事要旨には月2兆?4
兆円までの減額が望ましいとの声が多く掲載された。減額のペースを巡っては「当初大きく減額」を求める意見や、「段階的な減額が望まし
い」とする声など市場の意見は割れた。
23?25日に聞き取ったQUICK月次調査(債券)によると、市場参加者の予想は中央値で1年後の買い入れ額が4兆円、2年後は3兆円と
なった。日銀内でも「サプライズにはしたくない」(関係者)との意識があり、金融機関の決算期も考慮して2025年度末をめどに3兆円程度に
減らすなどの案が浮上する。
異次元緩和で国債を大量に買い入れてきた結果、日銀が保有している国債は600兆円近くに膨らみ、長期金利の押し下げ効果も1%程度
に上るとされている。3月まで実施していた長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)で金利水準も人為的に抑え込んできた。
日銀の植田和男総裁は6月の記者会見で「市場で長期金利がより自由に形成されるように(減額する)」と述べていた。日銀の国債買い
入れの減額が進めば金利には上昇圧力となり、さらに金利が動くようになれば市場取引が活性化する効果が見込める。金融機関はビジネ
スをしやすくなり、国内外の投資家が日本国債の売買や保有を増やす可能性もある。
日銀が保有を減らす分の引き受け手は銀行や保険、海外投資家などが想定されている。資金循環統計によると、日銀が異次元緩和に着手
する前の12年末時点で、銀行など預金取扱金融機関は全体の4割近くを占める最大の国債保有者だったが、足元の保有割合は1割程度に
とどまっている。
ただ、かつて主要な担い手だった銀行はバーゼル規制によって、自己資本に占める金利リスク量の割合を一定以下に抑えることが求められ
ている。生命保険各社も国債を買い増す余力は大きくないとの見方がある。日銀は買い入れを減らす過程で混乱が起きないかを、入念に検証
していくとみられる。
【関連記事】
・日銀、30日から決定会合 追加利上げの有無焦点
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・神田財務官、31日に退任 介入指揮「令和のミスター円」
2024/07/31 日本経済新聞 朝刊
日銀は31日の金融政策決定会合で追加利上げを検討する。現在は0~0.1%の政策金利を0.25%に引き上げる案が有力だ。3月にマイ
ナス金利政策を解除したが、賃金上昇などで物価と景気はなお上向き基調にあると判断した。国債買い入れを減額する量的引き締めの具体策
も決め、日本経済は「金利ある世界」へさらに一歩踏み込む。
日銀はマイナス金利の解除後も、短期金利を0%近辺と極めて低めに誘導してきた。政策金利を0.25%に引き上げれば、リーマン・ショック
直後の2008年12月(0.3%前後)以来、15年7カ月ぶりの水準に戻る。会合に参加する財務省と内閣府も議決延期請求権は行使せず、容
認する構えだ。
日銀が3月に続いて追加利上げに動くのは、インフレ率が目標とする2%を上回ってなお上昇基調にあるからだ。6月の消費者物価指数(CPI
、生鮮食品除く)は前年同月比2.6%上昇し、27カ月連続で2%を上回った。政策委員の一部は早期の追加利上げが必要と主張しており、31
日の会合で最終判断する。
会合では、保有国債を圧縮する量的引き締めも正式決定する。3月のマイナス金利解除後も国債を月額6兆円程度買い入れてきたが、市場は
1年半後の25年度末をめどに購入量を同3兆円程度に半減する案を有力視している。
日銀は13年以降に大規模な量的緩和に踏み込み、24年3月末時点で国債発行残高の53%を保有して長期金利を事実上コントロールしてき
た。大規模緩和の解除後も買い入れペースを維持してきたが、金利引き上げとともに保有国債を圧縮する量的引き締めに転換する。日銀が強い
影響力を及ぼしてきた債券市場は、民間取引主体の「金利が動く世界」へと段階的に回帰する。
植田和男総裁は6月の決定会合後の記者会見で、日銀の予測通りに物価上昇が続けば「政策金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整してい
くことになる」と指摘していた。3月のマイナス金利解除後も、日本経済は賃上げなどによる物価押し上げ圧力を保っている。
物価上昇率が2%程度で推移し続ければ、日銀は中期的にさらなる追加利上げも検討していく考えだ。
バブル経済の崩壊後、日銀は1999年にゼロ金利政策に踏み込み、極めて長く超低金利政策を続けてきた。長期緩和の副作用として円安が
発生。2024年4月末には対ドルで一時1ドル=160円台と1990年4月以来の円安水準をつけた。歴史的な円安水準も日銀の金融正常化を
後押しする材料となっている。
家計にとって金利の引き上げは追い風と逆風の両面がある。マイナス金利解除後、メガバンクや地銀は17年ぶりに普通預金の金利を引き上
げた。住宅ローン金利が上がればマイナスの影響が出るが家計全体でみれば預金が借入金を上回り日銀関係者は「(追加利上げは)家計全体
では差し引きでプラスになる」とみる。
一方で金利の上昇は巨額の債務を抱える政府部門にとって財政再建の圧力を強めるものになる。
2024/07/31 20:59 日経速報ニュース
日銀は31日まで開いた金融政策決定会合で追加利上げを決めた。外国為替市場では対ドルの円相場が4カ月ぶりの水準まで上昇し、国内
債券市場では新発2年物国債利回りが15年ぶりの高水準を付けた。今後の相場見通しを市場関係者に聞いた。
【関連記事】植田総裁、追加利上げ「景気に強いブレーキかからない」
年内に1ドル=141円までの円高進行も
三菱UFJ銀行 井野鉄兵チーフアナリスト
31日の植田和男日銀総裁の記者会見を受けて、対ドルの円相場は一時1ドル=150円近辺まで円高が進んだ。市場参加者が抱えていた円
売り・ドル買いのポジションが、日銀会合を経て一定程度巻き戻されたためだ。総裁会見では想定よりもタカ派的なトーンが目立ち、12月会合で
の次回利上げを見通す向きも強まった。年末に1ドル=141円まで円高が進む可能性もある。
「実質金利は大幅なマイナスが続き、緩和的な金融環境は維持される」との発言を踏まえると、今回はあくまで「調整」的な意味合いが強い。
米国で起きたような急な金利上昇を招かないために、現段階で金利を引き上げておきたいという意思も感じた。さらなる利上げのために、経済・
物価見通しが上振れする必要もないだろう。
米連邦準備理事会(FRB)の利下げ開始は9月、年内で2回の利下げに動くというのがメインシナリオだ。ただ、3回に増えるリスクも十分考慮
している。日米金利差の縮小が想定以上のペースで進む可能性もある。
足元では円売りポジションがある程度解消され、大規模な円買い・ドル売りフローが追加的に生じるとは考えにくい。根強い円売り圧力も消え
たわけではない。8?9月で143?158円、10?12月で141?156円の範囲を推移しながら、徐々に円高基調をたどっていくだろう。
1ドル=160円目指す円安は遠のく
あおぞら銀行 諸我晃チーフ・マーケット・ストラテジスト
0.25%への追加利上げは予想通りの結果で、特にサプライズはなかったという印象を受けた。会合後の植田総裁の記者会見を受け、1ドル=
150円近くまで円高に動いた場面もあったが、おおむね想定通りの値動きだった。次の焦点は年内にいつ頃、どのぐらいの幅で利上げをするか
に移るだろう。
植田総裁は会見で、年内の再利上げについて「データ次第」と可能性を残した。実質金利はいまだにマイナスなので、追加利上げの余地は十
分にあると思う。市場は利上げサイクルに入ったという判断のもと、10月か12月会合での利上げを見すえて0.5%への織り込みが進んでいくので
はないか。
円・ドル相場で円安トレンドを支えていたのは、円キャリー取引の過熱によるものだったとみている。日米の金利差が縮小する見込みが強ま
ったことで、投機筋は新たに円売りポジションを積み増しづらくなった。当面下値が堅い展開が続き、徐々に円高方向に推移していくとみている。
年内の円相場は1ドル=145?157円で推移すると予想する。市場ではFRBが9月に利下げを始めるとの見方が強い。利上げを始めた日銀と
利下げしそうなFRBでは、金融政策の方向性が逆を向いている。160円を目指すような円安・ドル高は見込みにくいだろう。
岡三証券 長谷川直也チーフ債券ストラテジスト
植田総裁の記者会見は金利が跳ねるほどのタカ派感がなかった半面、金融引き締めに慎重すぎる印象もなかった。先々の具体的な金利
パス(道筋)は示さなかったものの、政策金利引き上げに際して「0.5%の壁」は意識しないと言及していた。
実際、個人消費に対して弱気ではなく、賃上げ効果の広がりなどにも自信を持っている様子がうかがわれた。0.5%までの利上げはそこまで
ハードルが高くなさそうだと改めて感じた。
どんどん利上げを進めていくことはないだろう。だが、実質金利は極めて低い水準にあり、中立金利まではまだ距離があるとも述べていた。
経済・物価情勢が日銀の見通し通りに推移する限り、およそ半年に1回のペースで1%程度までは政策金利を引き上げていくのではないか。
現時点で日銀が追加利上げに動く時期は早ければ12月だとみている。次回9月の金融政策決定会合で今回の利上げの影響を確認しつつ、
次に「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」を出す10月会合で見通しがオントラック(想定通り)かどうかを見極めるのが自然な流れだろう。
国債買い入れ減額が着々と進めば金利上昇圧力はかかりやすい。日米ともに政治イベントを控え不透明感が強まるほか、FRBの利下げペ
ースが速まれば米金利低下の影響が国内にも波及しうる。金利が上下に振れる可能性をにらみつつ、年内は長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りは0.9?1.3%程度で推移するとみている。
【関連記事】
・「金利ある世界」に本格回帰 日銀、追加利上げ決定
・住宅ローン負担増でも家計に恩恵 短プラ・預金金利上げ
岡三証券 長谷川直也チーフ債券ストラテジスト
植田総裁の記者会見は金利が跳ねるほどのタカ派感がなかった半面、金融引き締めに慎重すぎる印象もなかった。先々の具体的な金利
パス(道筋)は示さなかったものの、政策金利引き上げに際して「0.5%の壁」は意識しないと言及していた。
実際、個人消費に対して弱気ではなく、賃上げ効果の広がりなどにも自信を持っている様子がうかがわれた。0.5%までの利上げはそこまで
ハードルが高くなさそうだと改めて感じた。
どんどん利上げを進めていくことはないだろう。だが、実質金利は極めて低い水準にあり、中立金利まではまだ距離があるとも述べていた。
経済・物価情勢が日銀の見通し通りに推移する限り、およそ半年に1回のペースで1%程度までは政策金利を引き上げていくのではないか。
現時点で日銀が追加利上げに動く時期は早ければ12月だとみている。次回9月の金融政策決定会合で今回の利上げの影響を確認しつつ、
次に「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」を出す10月会合で見通しがオントラック(想定通り)かどうかを見極めるのが自然な流れだろう。
国債買い入れ減額が着々と進めば金利上昇圧力はかかりやすい。日米ともに政治イベントを控え不透明感が強まるほか、FRBの利下げペ
ースが速まれば米金利低下の影響が国内にも波及しうる。金利が上下に振れる可能性をにらみつつ、年内は長期金利の指標となる新発10
年物国債の利回りは0.9?1.3%程度で推移するとみている。
【関連記事】
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・住宅ローン負担増でも家計に恩恵 短プラ・預金金利上げ
2024/08/01 21:19 日経速報ニュース
日本取引所グループが1日発表した7月第4週(22?26日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家は日本株を現物と株価指数先物の
合計で1兆5616億円売り越した。2023年9月第4週(1兆6220億円)以来、10カ月ぶりの規模。米ハイテク株の大幅な下げや急速な円高進行を
背景にリスク回避の売りが広がった。
現物は5659億円、先物は9957億円の売り越しだった。いずれも売り越しは2週連続。
日経平均はこの週に2396円(6%)下げた。米国の対中半導体規制強化への警戒や日銀の利上げ観測による円高進行が、株式相場の重荷と
なった。予想変動率を示す日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)は週後半に上昇し、節目の20を超えた。
楽天証券経済研究所の香川睦チーフグローバルストラテジストは「(金融資産の変動率に応じて資産配分を決める)リスク・パリティー戦略を
採る機関投資家の売りが出た」と指摘する。これを見越したヘッジファンドなど短期筋の先回り売りも膨らんだとみられる。
個人投資家は現先合計で7798億円買い越した。個人の買い越しは3週連続。逆張り志向が強い個人が押し目買いを入れたようだ。
2024/07/30 日本経済新聞 夕刊
下町の社交的な家庭に育つ 自由な精神 高校で学ぶ
名古屋市出身。愛知県立の名門、旭丘高校を卒業し、現役で東大工学部に進む。その素地は社交的な家族と、一歩先に理系を目指した
兄の存在があった。
名古屋市の瑞穂区で幼少期から高校卒業までを過ごしました。古くからの町と新しい住宅街が混在している地区です。私の家は下町側に
ありました。三井住友フィナンシャルグループの私が〝みずほ〟育ちというのはなかなか面白いですよね。名古屋の中心部からは外れてい
ますがとても住みやすいところです。
父親は(愛知県で業界最大手の)東邦ガスの副社長を務めたサラリーマンで、母親とは社内結婚。でも母は寿退社してからも、パートなど
ちょこちょこと働いていました。完全に家庭に入るわけではなく、社会というか、世の中との関わりを保ち続けるのが好きな社交的な女性です。
父親は亡くなりましたが、瑞穂の実家で元気にひとりで暮らしています。
3歳年上の兄がいる2人兄弟。いつも彼にくっついていました。兄が出かけるときはいつも「僕も連れてってよ」。そんな感じです。その兄は
私とは正反対で真面目で品行方正。東大大学院で工学系修士課程を修め、日本IBMに勤めました。今も現役の技術者です。私が大学で
理科系の道を選んだのも兄の影響です。
とはいえ「理系」というよりも、「体育会系」と表現したほうがふさわしそうな横顔も。子どもの頃から運動は得意だったという。
とにかく、わんぱくな子どもでした。早めに体が大きくなったので、小学校のクラスの中でも大体一番背が高かった。運動もすごくできたん
ですよ。だからクラスの女子からはかなりもてたし、あのころが自分の人生の一番いい時期だったかもしれませんね。
中学校は地元の公立中学。今はどうなっているか分からないけれど、当時はほかの学校にもおそらくあった、対立している隣の中学の連
中が乗り込んでくるような雰囲気もありました。私は不良グループなどには加わらぬ〝無所属〟でしたが、なかなかスリリングな毎日を過ご
しました。
母校の旭丘高校は多くの経営者らを輩出し、自由な校風に影響を受けた。他方、エリートらしさばかりが前面に出た青年時代ではなく、
高校、大学と所属していたラグビー部では苦戦続きで、挫折感にさいなまれることも多かった。
小中学校時代は夏は野球、冬はサッカーの二刀流でした。学校に遅刻するのは当たり前というやんちゃな仲間もいました。楽しい思い出
です。
高校はなんとか、旭丘高校に入ることができました。勤勉・優秀で先生方にも知られていた兄の影響に加え、無理強いされたわけではない
のですが、母が近くの図書館に通うことを勧めてくれたことが幸いしました。ジャンルは適当でしたが、本は図書館から借りてきてかなり読み
ました。これには本当に感謝しています。とにかく本を読むこと。これは受験の秘訣だと今も思います。
旭丘高校への愛情はだれにも負けないかな、と思います。当初はサッカー部に入るつもりだったんですが、合格して偵察にいくとグラウンドで
ラグビー部が練習していました。「新入生か? サッカーやってたんだったら、ちょっとボール蹴ってみろ」と促され、そのままラグビー部に入る
ことが決まりました。
細かな校則や制服なんかない。とにかく自由闊達で学生自治を尊重する校風。「その分、責任はおまえらで取れ」と。今につながる私の性
格にぴったりの高校でした。
かつて県内で強豪校だった旭丘高校ラグビー部が弱くなっていった時期でした。ポジションはずっとキック力が重視されるスクラムハーフと
スタンドオフです。苦しい練習を重ねているのにここぞというときに勝てない。苦い記憶です。しかしそれでも私は懲りない。結局大学でもなか
なか勝てないチームでラグビーを続けることになるのです。
2024/07/31 日本経済新聞 夕刊
ラグビーで培った不屈の心 レジェンドの誘いで就職
指導役にOBも加わり厳しい練習が課せられた高校のラグビー部時代。それでも東大進学への熱意を膨らませる。
とにかく愛知県立旭丘高校のラグビー部の練習は厳しかった。かつてはラグビーの強豪校だっただけに、監督だけではなく強い時代を知る
OBまで加わって激しい練習が課されるんです。東大でもラグビー部に所属したのですが、今になって思うと高校の練習に比べれば楽でしたね。
一方で、自慢話みたいになってしまうので恥ずかしいのですが、高校の学業の成績もまずまず。得意科目は数学。これまた数学好きの兄の
影響が大きかった。数学が理解できると物理や化学も分かる。私が高校に入る時、兄は東大に合格。3つ上の兄に対しては常に「俺にもできる
はずだ」とライバル心がありました。
母に勧められた図書館通いで国語も大好きになった。だから受験勉強で主に注力したのは英語だけでした。
苦戦続きの高校時代を経て、東大に入ったらつらいラグビーから離れるつもりだった。だが同級生とはなかなか馬が合わず、友人関係も広
がらない。結局、ラグビー部入部を決める。
確かに交友関係はつまらなかった。東大では最初の2年間は駒場キャンパス(東京・目黒)に通うのですが、真面目な学生が多い理系のクラ
スメートとは新歓コンパなどに同席しても話が盛り上がらない。私の本質は体育会系。入学2週間くらいで自然とラグビー部の練習場へ足が向
きました。女性マネジャーに誘われ、先輩部員にうまいカツ丼をごちそうになり、ラグビー部入りが決まりました。
ところが、これが大正解。いざラグビー部に入ったら、面白い先輩や同級生がたくさんいる。今も大切な仲間たちだから言えるのだけど、〝奇人
変人〟も少なくない60~70人くらいの集団でした。
あまり詳しくは明かせませんが、練習後、学生なのに新宿区の歌舞伎町に通いつめている先輩だとか。強烈な個性を持つ人がたくさんいた。
『東大生はつまらない』なんて言いましたが、自分のほうがよほどつまらない。ラグビー部に入って痛感しました。
東大は3年生から本郷キャンパス(東京・文京)に移ります。ところがラグビー部の練習場はずっと駒場。割合としては工学部の講義やゼミ、
実験があるので本郷には週2日通いました。それに対して駒場には週6日いました。
「わざわざ東大でラグビーするやつなんて」と思われていたかもしれません。基本的に頭からいくのがタックルです。頭の細胞がどうなるかという
球技ですから。現代ラグビーはチーム一体で動きますが、当時はフォワードとバックスに分かれていた。私は4年生でバックスリーダーに就き
ました。いよいよ講義に出られない。とりわけ専攻していた精密機械工学のプログラミング実習が難事でした。
卒論作成は本当に大変でした。ラグビー部引退は4年生の年末。そこから年度末までに卒論を仕上げないと卒業できない。大学生活の残り
2~3カ月、ほぼ研究室に泊まり込みました。
就職先はすでに住友銀行(現三井住友銀行)に内定。これもラグビーつながりで、当時、同行に勤務していたあるレジェンドに声をかけられた。
東大は関東大学ラグビー対抗戦グループに所属。当時の大学ラグビー対抗戦は1部制だったので早大との試合もありました。試合後、観戦に
訪れていた早大出身の宿沢広朗さん(元日本代表監督、故人)に声をかけられたんです。『君、いいね。いい銀行だからうちに来たら?』と。ラガ
ーマンなら分かってくれると思いますが、これは天にも昇る気持ちでした。
理系だから練習の合間の就職活動ではメーカーは回りましたし、商社なども受けました。でも、あの宿沢さんの誘いですからね。特段、金融志
望でもなかったけれど住友銀行にあっさり決めました。
2024/08/01 日本経済新聞 夕刊
名物研修経て初任地へ 米国留学で人間力広げる
住友銀行(現三井住友銀行)は入行直後に1カ月、兵庫県西宮市で缶詰めの新人研修を実施。一体感の醸成が目的で銀行界では有名だ
った。それぞれが初任地へ旅立つ際には、しばしの別れに感極まる人もいた。
私は泣きはしませんでしたけれど、合宿の最後に初任地の内示が出て、東西に分かれます。私は東京組でした。名古屋行きを含めて半分
ぐらいは新幹線で東へ向かう。それを新大阪駅の新幹線ホームまで、関西に残る連中が見送りに来てくれるんです。
1カ月の合宿は、土日もべったり寝食をともにして社会人生活の最初に必要なことをたたき込まれる。勉強以外に運動会とか六甲山縦走もあ
る。方々の大学から来ているのですが、一体感が培われる。同期は300人強で、入行が決まったのが男女雇用機会均等法施行の前で男ば
かり。確かに別れの時はあちこちで感極まる者がいましたね。
最初、新入行員は支店に配属されます。私は丸の内にある東京営業部に配属されましたが、あくまで一支店の位置づけです。営業課のカウ
ンター窓口に座ってお客様に接しました。入金に訪れた方に預金口座を作成したり、ATM管理の担当をしたり。現金が切れると『ブー』っとブザ
ーが鳴り、慌てて補充したり、はたまた、お客様のもとに集金に回ったり。どの支店とも変わらずバタバタでした。
やがて銀行員人生で最初の大きな節目が到来する。米国留学候補に選ばれた。留学先は米国アイビーリーグの一角の名門、ダートマス
大学だ。
入行2年目の秋でした。突然、銀行から「東京・四谷にある日米会話学院に3カ月通え」と言われました。英語は不得意。今のTOEICでいえば
500点くらい。英会話などからっきしダメです。
その後しばらく本部の業務総括部という企画部門に配属された後、米国の経営学修士(MBA)留学受験の指示がでました。もともと理系だ
からいずれシステム部門でも歩むのかな、と想像していたので意外な内示でした。
とにかく7~8校、手当たり次第に願書を出して受験し、何とか半分くらいは入学許可が出ました。ハーバード大学は落ちました。合格したな
かで選んだのがアイビーリーグ北端(ニューハンプシャー州)のダートマス大学。負け惜しみではなく、私にとってダートマスはハーバードより上。
これは私だけの評価ではありません。
1989年の夏に渡米。ダートマスの特筆すべきところは、学生のロイヤルティー(愛校心)です。ハーバードやエール大学に比べたら規模も小
さいし山の中の小さな大学ですが、祖父、父の代からダートマスという仲間もいました。
学生同士助け合う風習があるんです。さっぱりわからないから「ところで今日の授業で先生は何を話してたの?」と尋ねると、仲間が丁寧に
教えてくれる。教授陣も東洋の島国から来た英語も話せない若者を辛抱強く指導してくださった。「弱い人間を助けよう」という校風です。
ビジネススクールは2学年で350人ぐらい。そのうち日本人は10人もおらず、ほとんど外国人ばかりの環境の中で〝本物〟の留学を経験す
ることができました。ダートマスへの思いを語り始めたら止まりません。
結婚が早く、米国留学には夫人も同行。慣れない海外生活を夫人が力強く支えてくれた。
東大時代に東京女子大学の学園祭に遊びにいく機会がありました。そこで、ちょっと気になるかわいらしい女性がいたんです。私から気軽に
声をかけ、それがなれそめです。
同学年の彼女の大学の卒業式にも乗り込んでツーショット写真を撮ることもありました。一筋でした。子供は男女男の3人。わがままな旦那で
恐縮なのですが、彼女は誰にでもやさしい人です。具体的に言葉には出すはずもありませんが、心の中では本当に感謝しています。
2024/08/02 15:19 日経速報ニュース
2日の東京株式市場で日経平均株価が急落し、終値は2216円(5.8%)安の3万5909円になった。引き金となったのが、前日発表された米景
気指標の下振れだ。米景気後退の可能性が意識されはじめたほか、世界株高をけん引してきた半導体をはじめとするハイテク株への高い期
待もしぼんでいる。さらに、日本株には足元の円高が企業業績の下振れにつながるという固有の悪材料が重なる。突然の「トリプルショック」で
投資家心理が冷え込み、下値がみえなくなっている。
終値ベースでの日経平均の下げ幅2216円は、ブラックマンデー翌日である1987年10月20日(3836円)に次ぐ歴代2番目の大きさ。半面、下
落率5.8%は歴代29位にとどまる。日経平均の水準が上がったことで、急落時の絶対値が大きくなった面がある。
「まさに、フリーフォール(自由落下)だ」。フィリップ証券の増沢丈彦株式部トレーディング・ヘッドは2日午前の日本株の下げ方をこう表現する。
人気株のアドバンテストが2日前の決算発表で好業績をたたき出したが、前日の相場全体の支えにはならなかった。
東証プライム市場で値上がりした銘柄は全体の0.8%の14銘柄にとどまる全面安の展開だった。1日の米金融市場でダウ工業株30種平均は
前日比で一時700ドルを超える下げとなった流れを引き継ぎ、寄り付きから内外投資家の売り注文が膨らんだ。東証グロース市場250指数先物
では、午後2時半過ぎに下落率が8%に達したことで、一時的に売買を停止する「サーキット・ブレーカー」が発動した。
引き金を引いたのは、7月27日まで1週間の米新規失業保険申請件数だ。24万9000件と前週の23万5000件から増加し、23年8月上旬(25万
8000件)以来、1年ぶりの高水準になった。
さらに、米サプライマネジメント協会(ISM)が1日に発表した7月の製造業景況感指数の下振れが追い打ちをかけた。46.8と6月の48.5から低下
し、好不況の分かれ目となる50を4カ月連続で下回った。
景気指標の悪化を受け、これまで米経済のソフトランディング(軟着陸)に楽観的だった投資家が景気後退(ハードランディング)を警戒し始めた。
市場では「米連邦準備理事会(FRB)が利下げに踏み切るのは、単にインフレが落ち着いたからではなく、景気悪化の可能性があるからでは
ないか」(ニッセイアセットマネジメントの野田健介チーフ・ポートフォリオ・マネジャー)との声が出ている。
ている。たとえば、米インテル。1日発表した2024年4?6月期決算は、最終損益が16億1000万ドル(約2400億円)の赤字(前年同期は14億
8100万ドルの黒字)に転落。2四半期連続の最終赤字で、従業員の15%にあたる1万5000人の人員削減と配当の停止を発表した。
生成AI(人工知能)向けの需要を取り込めるのか、生成AI向けの需要は果たしてもうかるのか、といった従来の市場の期待にも疑念が生じて
いる。1日は主要な米半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が7%安と急落した。
東京市場でも、東京エレクトロン、アドバンテスト、ソフトバンクグループ、TDK、信越化学工業など値がさの半導体関連銘柄が軒並み急落し
日経平均を押し下げた。
こうしたグローバル市場の流れに加わったのが、円高という日本株固有の要因だ。
政府による円買い介入や日銀の利上げを背景に、2日午前は一時1ドル=148円台後半と直近の安値から10円以上円高に進んできた。みず
ほ証券の三浦豊シニアテクニカルアナリストは「円安による業績の上方修正期待で買った銘柄の手じまい売りが進んでいる」と指摘する。
日本株はこれまで「円安による上方修正期待などいろんな理由で買い上げられてきた。その前提条件が崩れてきている」(フィリップ証券の
増沢氏)わけだ。
1日の日経平均も1000円近く下げたが、突き詰めれば主因は日銀の利上げという日本固有の材料だった。これに2日は米国要因まで加わり、
いわば「トリプルショック」として日本株にとっては売りのエネルギーが増幅されてしまった。三井住友トラスト・アセットマネジメントの上野裕之チ
ーフストラテジストは「寄り付きからどんどん加速して相当投げ売りが出た印象だ。テクニカル的な下値を突き抜けてしまい、多くの投資家が押し
目買いを入れられていない」とみる。
市場では「為替も株も変動が大きすぎて長期の海外投資家は今は入れない。買い遅れていた層は入りたいはずだが、もう少しマーケットが
落ち着いてから。今のところ同業から売買の話は聞いていない」(スイスの運用会社UBPインベストメンツのズヘール・カーン シニア・ファンド
・マネージャー)との声も上がり始めた。
T&Dアセットマネジメントの酒井祐輔シニア・トレーダーも「今は下値が見当たらない状況だ。好決算など数日前の好材料は忘れられて売ら
れている」と話す。三菱UFJアセットマネジメントの徳岡祥一チーフファンドマネジャーは「一日の振れ幅としてはちょっとやりすぎな感がある」と
語った。
目先の焦点は日本時間2日夜9時半に発表される7月の米雇用統計だ。失業率が市場予想以上に軟化することになれば、週明けの日本株
も波乱が続く可能性がある。
【関連記事】
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・円一時148円台 米指標に「悪いニュース、やはり悪い」
2024/08/02 日本経済新聞 夕刊
銀行再編の荒波に立つ 「邦銀トップへ」思い強く
1991年に米国への経営学修士(MBA)留学から帰国した。だが、留学前後では、バブル経済の崩壊で銀行や日本経済の状況は一変して
いた。金融界は銀行再編の渦に巻き込まれる。中島さんは長く経営企画部門を歩み、一連の再編と数々の荒波に立ち向かってきた。
住友銀行(現三井住友銀行)東京本部に帰任して、以前との状況の変化に驚きました。留学前は行内の廊下を歩いていたら怒られた。みんな
廊下を走っていました。それくらい仕事はあったし、日本の金融界はすごい熱量をはらんでいた。どんどん収益が増える。邦銀は世界一の時価
総額を誇っていたわけですから。
しかしバブル崩壊とともに百八十度変わり、不良債権問題との長く激しい格闘が始まります。それはおのずと日本の大規模かつ多様な金融
再編につながっていくんです。
帰国した後は住友銀行の企画部に最年少で配属されました。そこから香港に転勤するまで17年近く、住友銀行の企画部門に在籍しました。
経営戦略を立案し、それを実現に結びつける部門です。これまで散々語られていますが、とにかくこの国の金融の90年代は波瀾(はらん)万丈
でした。
住友銀行の企画部門はその後を通じて歴代トップを輩出してきたことで知られる。西川善文氏、奥正之氏、国部毅氏はみな頭取に。三井住
友フィナンシャルグループ(FG)の太田純前社長も三井住友銀行の企画部門経験者だ。とりわけ、「ラストバンカー」と呼ばれた西川氏との出会
いは強烈なものだった。
当たり前ですが、企画部は厳しい部署です。失敗を犯すとすぐ異動になる。『とんでもない所に来ちゃったな』というのが第一印象でした。当時
は西川さんが企画担当役員で、その下に奥さんや国部さんがいました。
私は金融再編担当の末席。当時、大和銀行(現りそな銀行)との統合構想があったのですが、交渉は難航。西川さんに報告書を出しにいくわ
けです。西川さんはとにかく、人にも自分にも厳しいストイックな方でした。報告書を読む西川さんの表情がみるみる厳しくなる。生きた心地がし
ませんでした。
大和証券(現大和証券グループ本社)との投資銀行共同事業には主体的にかかわりました。あれはすごく良いプロジェクトだったと今でも思い
ます。連携は解消になりましたが、当時の交渉相手だった大和証券の皆さんとは今でも良い仲が続いています。
失敗だけではもちろんありません。まさに今の三井住友FGにつながる99年のさくら銀行(旧三井銀行)との経営統合構想です。旧財閥の枠
組みを超えた合併ですが、30歳代半ばだった私のなかで財閥うんぬんは関係ない。トップ交渉を進めていた西川さんから構想が降りてきたと
きは興奮し、絶対に成就させなければならないと思いました。
昨年、三井住友FGのトップに就任した。グループの三井住友銀行は現在、邦銀3メガバンク中2位だ。だが中島さんは納得していない。いつ
の日か邦銀トップに立ち、再び国際金融市場の中心に打って出る。そんな日をひそかに思い描いている。
やっぱり、2位じゃだめなんです。なぜなら危ういから。かつて、我々はメガバンク3位でした。それが、全グループ社員の努力で2位の地位を
固めました。
逆にいえば我々だってすぐに抜かれる。2位でいいと思ったら成長が止まる。だからメガバンク競争を社員、大切な顧客のみなさんとともに勝
っていきたいんです。
確かに、トップの三菱UFJと差が大きいのは事実だし、我々がトップに立てるのは、私が現役の間じゃないかもしれない。だけど時間がかかっ
ても、日本の金融界でトップといわれる座を三井住友銀行グループ一体で目指す。敬愛する太田さんも同じ思いだったと信じています。
2024/08/02 17:24 日経速報ニュース
日本株市場に夏の嵐が押し寄せた。2日の東京株式市場は日経平均株価が前日比2216円(6%)安の3万5909円まで下げ、大荒れの展開
だった。日銀の利上げを追い風に直近まで力強く上昇してきた銀行株も「狼狽(ろうばい)売り」にさらされる始末。米国景気の後退懸念という
暗雲が日本株市場に垂れ込めたことを象徴した。
2日午前の東京株式市場。9時の取引開始から10分ほど、多くの銘柄で値がつかない異様な事態となった。ある証券会社のトレーダーは
「マーケット急変で個人投資家の投げ売りが出たのではないか」とみる。
2日は東証プライムで全体の98.7%が下げる全面安の展開で終えた。SMBC日興証券で日々のトレーディングを統括する玉井大介エグゼキュ
ーション・サービス共同部長は「良好な決算だった日本ハムなど一部の銘柄に買い向かう動きはあったが、外需系や銀行株は売られ、リスク
オフの動きが鮮明だった」と話す。
相場の変調を象徴したといえるのが、銀行株の急落だ。
銀行株は「金利ある世界」の到来で収益拡大期待が強まっており、つい最近まで上昇基調だった。ところが、2日は三菱UFJフィナンシャル
・グループ(FG)が前日比12%安、三井住友フィナンシャルグループとみずほフィナンシャルグループが11%安で終えた。
ニッセイアセットマネジメントの松波俊哉チーフ・アナリストは「銀行株は本来売られる必要がない銘柄」と指摘する。7月31日に追加利上げ
に動いた日銀の植田和男総裁は記者会見で先々の利上げに含みを持たせた。銀行株にとって金利の上昇は貸し出し利ざやの拡大につな
がり、収益を押し上げる好材料となる。
例えば、三菱UFJFGは日銀の利上げの業績への影響について、資金収益ベースで年間600億?800億円の増加影響があるとの試算を示
している。同社は足元の業績も好調だ。1日に発表した2024年4?6月期の連結決算では、本業のもうけを示す連結業務純益が前年同期比
22%増の6781億円となった。
野村証券によると、銀行を含む「金融」の2024年度の経常利益予想は直近8月1日時点で前年度比18.0%増だった。7月以降水準を上げて
おり、同じバリュー(割安)株として扱われやすい「商社」や、「自動車」との差を広げた。
銀行株は海外投資家からの注目度も高い。SMBC日興証券の玉井氏は「先週から売り買いが交錯する中、海外のロング(買い持ち)の機
関投資家は銀行など金融株に買い向かっていた。金利の上昇で恩恵を受けるという評価だろう」と話す。
英領バミューダのオービス・インベストメンツの時国司日本法人社長は「金利ある世界になり、日本の銀行の実力が正しく評価される」と話す。
同社では保有していた商社株を23年に全て売却した一方、三井住友FGなどは保有し続けている。
そのなかでの銀行株の突然の下落は、投資家が別のシナリオを意識し始めたことを示唆する。
2日の日本株急落の引き金となったのは米国の景気後退懸念だ。米景気の後退が現実のものとなれば、日本経済や日本企業の業績にも
波及する。日本企業の資金需要が細り、銀行の貸出業務には逆風となる。
野村証券の北岡智哉チーフ・エクイティ・ストラテジストは「銀行株は利ざやの拡大が見込まれるが、グローバルで景気悪化となれば元も子
もない」と話す。拡大基調だった日本企業の設備投資が変調すれば、日本株そのものへの期待もしぼむ。
SBI証券の鈴木英之投資情報部長は「米国の経済指標の下振れは一つのデータにすぎない」とした上で、「マーケットの空気感は景気後
退懸念に包まれ始めた」と語る。利上げ後の日本株のけん引役とみられていた銀行株の売りは、日本株に吹き始めた嵐の大きさを予見して
いるのかもしれない。
【関連記事】
・日経平均2216円安 ブラックマンデー以来2位の下げ幅
・米テック株、「AI相場」に陰り 成果求める市場
2024/08/04 04:00 日経速報ニュース
【この記事のポイント】
・日銀の利上げ、恩恵を受ける銘柄探しが始まった
・中長期の成長が大荒れ相場で反発を狙うチャンスに
・銀行セクター、消費関連株、不動産株に関心集まる
「マクロ系ヘッジファンドが日本株の売り手に回った」。野村証券の須田吉貴クロスアセット・ストラテジストは1?2日の株価急落の背景を説明
する。マクロ系ファンドは円売り・日本株買いをしてきた。日銀の利上げを機に一気に持ち高を反対に傾けたとみられる。「中長期目線の投資家
も円高による日本企業の収益悪化を警戒して動きづらくなっている」(須田氏)
1?2日の東京株式市場は大荒れとなった。7月31日に日銀が追加利上げを決めると、さらなる利上げが意識され、円高・ドル安が進行。日経
平均株価は8月1日に急落、翌2日は米景気後退の可能性が意識され2216円(6%)安に沈んだ。1?2日の下げ幅は3192円に及ぶ。
過去の壁を突破
乱高下の激しい相場環境のなか、日本株の手掛かりはどこにあるのか。市場が着目するのが日銀の動向だ。日銀の植田和男総裁は7月の
追加利上げを決めた金融政策決定会合後の記者会見で、「経済・物価の情勢が見通しに沿って動いていけば、引き続き金利を上げていくことに
なる」と発言した。
市場は日銀はタカ派姿勢をとっていると受け止めた。市場関係者の多くはこの先も、日銀の政策金利の引き上げ継続を予想している。
これまで日銀が見据える政策金利の水準として、過去30年ほどの上限値である0.5%が意識されてきた。ただ、植田総裁は「0.5%は壁ではな
い」と発言。「2025年末に1%程度までの利上げもありうる」(東短リサーチの加藤出社長)との見方も浮上している。
始まる銘柄探し
日銀の利上げが続くとすれば恩恵を受けるセクターはどこか。中長期の成長が見込めれば、大荒れ相場の中で反発を狙うチャンスになる。
王道は利ざや改善が予想される銀行セクターだ。3メガバンクのPBR(株価純資産倍率)は1倍を下回り割安感が広がる。ただ今後は期待感だ
けでなく、具体的に業績の押し上げが見込める銘柄が選別されそうだ。
ゴールドマン・サックス証券の試算によると、三菱UFJフィナンシャル・グループよりゆうちょ銀行やりそなホールディングスが優位になるという。
消費関連株はどうか。春季労使交渉(春闘)の反映が進み、数カ月先には実質賃金がプラスに転じるとの見方が優勢だ。利下げに動く米国と
の金利差縮小が意識され円高が一段と進めば、輸入物価の上昇が抑えられやすい。「いずれ消費マインドの改善につながる」とSMBC日興証券
の丸山義正チーフマーケットエコノミストはみる。
実際、物色の動きが出ている。7月30日から8月2日までの株価騰落率をみると、コスモス薬品が4.4%高、ニトリホールディングスが0.4%高とな
った。
さらに市場関係者から注目されているのが、値上げをしても販売増を確保している良品計画だ。IT(情報技術)を駆使して効率的な店舗運営を
するトライアルホールディングスなどもあがった。
金利上昇が重荷となりかねない不動産株でも、逆風を克服できるかに関心が集まっている。市場が手掛かりとしているのは自己資本利益率
(ROE)の改善だ。「含み益をどのように活用できるかがポイントになる」とある国内運用会社のファンドマネジャーは指摘する。保有物件の有効
活用や売却など手を打てば、ROE向上につながる。保有する不動産の価値に比べて割安として、オービス・インベストメンツは三菱地所に着目
する。
欧州中央銀行(ECB)やイングランド銀行(BOE)が利下げを進め、米連邦準備理事会(FRB)が利下げを模索する中、利上げを決めた日銀の
独自のポジションが鮮明となっている。足元の市場は波乱に見舞われ、長年、低金利に慣れた投資家は新たな環境に早く順応する必要があ
る。逆風をはねのけられる銘柄の選別が重要になっている。
金利上昇を見込んで銀行株は上昇を続けてきた。業種別日経平均株価の「銀行」は2022年末から約6割上昇した。市場では日銀の利上げが
続き、銀行株の一段高を見込む声が多い。もっとも、金利上昇による追い風には各行の間で強弱がつきそうだ。
銀行への影響は日銀の利上げによる効果と長期金利上昇に分けられる。
まず市場が注目する日銀の利上げによる影響では、預金金利の上昇で負担が増える半面、銀行が日銀に預けている当座預金への付利金利
が上昇する。貸出金利の上昇の恩恵もある。
なかでも注目されるのは、住宅ローンによる収益貢献だ。「短期プライムレート(短プラ)を引き上げる動きが広がる」と大和証券の松田健アナリ
ストは予想する。短プラは銀行が企業に1年未満で融資するレートだ。各行は短プラに基づいて住宅ローンの変動金利を決めている。
日銀が7月31日に追加利上げを決め、三菱UFJフィナンシャル・グループ傘下の三菱UFJ銀行は短プラを引き上げると発表した。三井住友銀行
とみずほ銀行も8月2日、短プラの引き上げを決定した。
ネット銀行の住宅ローン最大手の住信SBIネット銀行は10月から0.15%引き上げる。24年3月期の住宅ローンの新規実行額は1.7兆円で大手行
を上回る。短プラ上昇の恩恵を受けやすいといえる。
コンコルディア・フィナンシャルグループや千葉銀行といった地銀の貸し出しは短プラ連動の比率が高い。短プラ引き上げが業績を拡大させ、株
価の追い風になる可能性もある。
ただ、住宅ローンの基準金利は年2回しか更新されない。業績への寄与にはタイムラグがあることを考慮しなければならない。
投資家による銀行株の選別では、国債投資の巧拙も基準になりそうだ。
長期金利は日銀による国債買い入れ減額などから上昇圧力(価格には下落圧力)がかかりやすい。金利上昇局面では、現金から国債へのシ
フトによって保有資産全体の利回りを向上できる。低金利下で購入した国債を、より高い利回りの国債へ再投資すれば収益性を改善できる。こう
した動きが銀行の間で広がりそうだ。
ゴールドマン・サックス証券は、各行が国債の再投資と現金から国債へシフトした際の影響を試算した。政策金利が0.25%に引き上げられた際
の、各行の3年先の純利益への影響を分析した。保有債券の含み損も考慮した。
債券投資による収益押し上げが期待されるのはゆうちょ銀行だ。23年11月に「円金利ポートフォリオの再構築」を公表した。投資可能な待機資
金として、約60兆円(23年9月末)を保有する。ゆうちょ銀は利回り1%の10年債に10兆円追加投資すると、年1000億円の増益効果になると予想
している。
ゆうちょ銀の株価の昨年末比の上昇率は5%台と出遅れている。ゴールドマン・サックス証券の黒田真琴アナリストは、「日本郵政がゆうちょ株
を売却するとの臆測があるため」と背景を分析する。
ただ、ゴールドマンは、こうした悪材料は一定程度織り込まれたとみている。
■週末は史上2番目の下落幅に
今週の日経平均は週間で1757.71円安(-4.67%)の35909.70円と大幅安。日米金融政策に絡んだ売り圧力が強まり歴史的な急落となった。
7月30-31日に開催された日本銀行の金融政策決定会合では、「国債買入額を現在の月6兆円から26年1-3月までに月3兆円程度へ減額」
「0.25%までの利上げ」をそれぞれ発表。事前に伝わった通りの内容だったことで市場の反応は限定的だったが、15時30分から開始された
記者会見にて「経済・物価見通しに沿って動けば、引き続き金利上げていく」といった植田日銀総裁のタカ派な発言を受けて、為替は1ドル=
150円台まで円高が加速した。
その後、米連邦準備制度理事会(FRB)が連邦公開市場委員会(FOMC)で8会合連続の金利据え置きを発表。記者会見にて、パウエルFRB
議長が9月利下げ開始を示唆したことで日米金利差が縮小し、為替は1ドル=148円まで急伸。週末は、弱い米経済指標で景気悪化懸念が
強まったことや米ハイテク株のさえない決算などが材料視されて、日本株が急落。前日は「米国が対中半導体輸出規制から日本などを外す」
と報じられたことで買われた東京エレクトロン<8035>、アドバンテスト<6857>などの半導体株は一転して売られた。日経平均は2216.63円安
の35909.70円と1987年10月20日のブラックマンデーによる暴落以来、史上2番目の下落幅となった。
なお、7月第4週の投資主体別売買動向によると、外国人投資家は現物を5525億円売り越したほか、TOPIX先物を2135億円売り越し、225先
物は5920億円売り越したことから、合計1兆3580億円の大幅な売り越しとなった。一方、個人投資家は現物を4882億円買い越すなど合計で
6485億円買い越し。なお、信託は合計で3590億円買い越した。
■25日線との下方乖離率は9.85%に
7月の日経平均(終値ベース)は前月末比1.22%安となったが、終値ベースでの上下の値幅は4556円とコロナショックが発生した2020年3月の
4792円以来の値幅。日経平均は今年初めて200日移動平均線を割り込んだほか、25日移動平均線との下方乖離率は9.85%と売られ過ぎ感
は強いが、日経平均VIが29ポイント台まで急騰するなど投資家心理は急激に悪化。1日と2日のプライム市場の売買代金は6兆円を超えたこと
から、セリングクライマックスと考えることもできるが、「落ちるナイフ」に手が出せず、反発のきっかけが欲しいところだ。為替市場での円全面高
一服や、米国景気悪化懸念の後退、フィラデルフィア半導体株価指数(SOX指数)の下げ止まりなどを確認する必要があろう。
ただ、2日の米国株式市場は大幅続落。ダウ平均は前日比610.71ドル安(-1.51%)の39737.26ドル、ナスダックは417.98ポイント安(-2.43
%)の16776.16、S&P500は100.12ポイント安(-1.84%)の5346.56で取引を終了した。大証ナイト・セッションの日経225先物は、通常取引終
値比1120円安の34800円で取引を終えたことから、週初の東京市場はもう一段安となる公算が大きい。マーケットがいったん壊れたことから
8月いっぱいは落ち着きを試す展開となりそうだ。まずは200日移動平均線が位置する36860円水準を回復しておきたいところだ。
7月の米雇用統計が市場予想を大きく下振れたことから、為替は1ドル=146円台まで円高ドル安が加速した。ドル・インデックスが103ポイント
水準を割り込むなどドル売り圧力も強まっている。足元の円高加速は、投機筋による円売りポジションの巻き戻しが原因と見られ、円全面高
の地合いとなったが、米雇用統計発表以降、ドル売りも加わった様子。
企業の想定レートは、ドルが140円から145円、ユーロは150円から155円と現在の為替水準よりもまだ円高ではあるが、一気に円高が進行し
ていることから、円安効果による業績上振れ期待は大きく後退。足元の急激な円高進行を受けて、市場は企業業績への影響を見極め切れて
いないため、ろうばい売りが膨らんでいる。ニトリホールディングス<9843>やニッスイ<1332>など円高メリット銘柄の一角も売られていたことから、
市場の混乱度合が垣間見える。為替変動の落着きが進んだ場合、根こそぎ売られた好業績銘柄や、食品、小売など円高メリット銘柄から値を
戻すと想定する。
■5日に米ISM非製造景気指数発表
来週は、国内では、6日に6月毎月勤労統計、7日に6月景気先行指数(速報値)、景気一致指数(速報値)、8日に日銀金融政策決定会合に
おける主な意見(7月30-31日分)公表、6月国際収支(経常収支)、7月景気ウォッチャー調査などが予定されている。
海外では、5日に中・7月財新サービス業/総合購買担当者景気指数(PMI)、米・7月サービス業/総合PMI(改定値)、ISM非製造業景気指数、
6日に豪・中央銀行が政策金利発表、英・7月建設業PMI、米・6月貿易収支、7日に中・7月貿易収支、NZ・4-6月失業率、米・週次原油在庫、
8日にNZ・7-9月2年インフレ予想、米・週次新規失業保険申請件数、6月卸売在庫、9日に中・7月生産者物価指数、消費者物価指数(CPI)、
独・7月CPIなどが予定されている。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024080201261&g=eco
東京株式市場で株価が暴落し、1月に始まった新たな少額投資非課税制度(NISA)をきっかけに参入した投資初心者に動揺が広がって
いる。投資のプロは「長期、積み立て」を訴え、冷静な対応を呼び掛ける。さらなる株安への懸念がくすぶる中、資産形成を継続できるか。
新規参入組は試練に立たされている。
東京株、2216円安 米景気懸念で急落、史上2番目の下げ―87年ブラックマンデー以来
2日の日経平均株価の下げ幅は、米国など世界的な株価大暴落「ブラックマンデー」の影響を受けた1987年以来2番目の大きさとなった。
インターネット証券大手のコールセンターには同日、問い合わせの電話が殺到。株価急落で損失が膨らみ、「運用内容を変えるべきか」など
の質問が相次いだ。別のネット証券でも「相場の回復はいつになるのか」と不安を訴える声が多く寄せられた。
日本証券業協会によると、証券大手10社(対面とネット)のNISA口座は6月末時点で計1520万口座と前年同時期に比べ3割も増えた。
新NISAが始まって以降、日経平均は上昇基調を保ち、7月11日には史上最高値の4万2224円を達成した。約3週間で6300円超
(約15%)も値下がりしており、投資初心者ならずとも先行きへの不安が募る。
ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは「長期の資産形成では相場悪化局面を乗り越え、運用を続ける覚悟が必要」と
指摘する。その上で「老後資金のためにNISAを活用し始めた人なら、日々の相場に気を取られ過ぎる必要はない。数十年先の日経平均は
4万円より高いと考え運用を続けてほしい」と助言している。
2024/08/04 04:00 日経速報ニュース
日経平均、波乱含みの展開か
今週の日経平均株価は波乱含みの展開となりそうだ。前週末にかけて米国の景気への先行き懸念の高まりや日銀の利上げによる急速な
円高を背景に日経平均は急落した。投機的な短期筋の売りが一巡するまでは売られやすい地合いが続くとの見方が少なくない。
2日発表の7月の米雇用統計は市場予想を下回った。米景気下振れリスクが一段と意識され、ダウ工業株30種平均は4万ドルの大台を割り
込んだ。東洋証券の清水満昭投資情報部長は「米連邦準備理事会(FRB)の金融緩和が後手に回るとの警戒感が広がった」と話す。市場で
は、FRBの緊急利下げなど不測の事態に備えるべきだとの見方も出ている。投資家のリスク回避姿勢の強まりから、日米株価には下押し圧
力がかかりそうだ。
国内では週内にピークを迎える上場企業の4?6月期決算発表も注目材料だ。6日に三菱重工業、7日にソフトバンクグループが予定している。
米金利、低下続くとの見方
米債券市場で長期金利の指標となる10年物国債利回りは低下傾向が続く公算が大きい。前週は7月の米雇用統計が市場予想を大幅に下
回り、一時3.7%台まで低下した。米利下げ観測の強まりに加え、米景気の先行き警戒感から安全資産とされる米国債に買いが集まる展開
となりそうだ。
急速に金利が低下したことで、調整売りが出やすいとの見方もある。今週は10年債や3年債などの入札がある。SBI証券の道家映二チーフ
債券ストラテジストは「金利水準が低い分、弱い入札結果への警戒感が高まりやすい」と話す。米株が買い戻される場面では債券売りの余地
もある。
国内債券市場でも米金利低下の影響が波及しそうだ。半面、日銀の追加利上げ観測を後押しする材料が確認されれば金利には上昇圧力
がかかる。7日には内田真一副総裁が講演する。利上げペースや政策金利の最終到達点への示唆があるかが注目点だ。
円、145円を試す展開か
外国為替市場で対ドルの円相場は引き続き上値を試す展開か。市場では心理的節目とされる1ドル=145円前後が目先、円の上値として意
識されやすいとの声が多い。
前週は日銀が追加利上げし、米連邦準備理事会(FRB)は9月利下げを示唆した。その後発表の米経済・雇用指標は相次ぎ市場予想を下
回った。日米金利差縮小が意識されやすく、円買い・ドル売りが続きそうだ。7月の米雇用統計発表後に円は一時1ドル=146円40銭台をつけ
た。半面、ドル安が進み、国内輸入企業など実需勢のドル買い需要も高まっている。
今週は6日発表の6月の毎月勤労統計調査(速報)や、8日公表予定の日銀金融政策決定会合の主な意見が注目材料だ。毎勤統計では
賃金増が確認できるかが焦点だ。主な意見では「年内の追加利上げに前向きな内容が盛り込まれれば円高が進みやすい」(りそなホールデ
ィングスの井口慶一シニアストラテジスト)。
原油は下値探る、金は上値追うか
今週の原油相場は下値を探る展開になりそうだ。ニッセイ基礎研究所の上野剛志上席エコノミストは「米中の景気減速懸念で弱含みそうだ
が、中東情勢悪化の警戒感が引き続き意識され相場を下支えしそうだ」と指摘する。
前週は市場予想を下回る米経済指標が相次ぎ、米景気の悪化懸念が急速に高まった。米金融市場ではリスク資産を売って安全資産へ資
金を移す質への逃避が加速した。原油相場は前週末にかけて急落した。
金(ゴールド)相場は上値を追う展開が予想される。国際指標となるニューヨーク先物(中心限月)は8月初めに初めて1トロイオンス2500ドル
台に乗せた。
今週も米利下げ観測の高まりから、投資妙味が増すとみた資金の流入が続きそうだ。世界的な株安を受けて投資家はリスク回避姿勢を強
めており、相対的に安全な資産とされる金への買いが集まりそうだ。
2024/08/05 02:00 日経速報ニュース
【この記事のポイント】
・日経平均、過去2週間で10%超下げ
・企業業績堅調、売られすぎとの見方
・為替の次の節目は1㌦=145円90銭
今週の株式市場は、投資家のリスクを回避する姿勢がさらに強まりそうだ。米景気とドル円相場の行方を見極めつつ、相場の底値を探る
展開が続くとみられる。企業業績が腰折れしたとの見方は少なく「売られすぎ感」もある。
前週末2日の東京株式市場で日経平均株価は3万5909円と半年ぶりの安値水準で終えた。3日朝までの先物取引では3万4800円と一
段安となり、週明け以降の下落が予想される。
日本株の下げは米株対比で大きい。日経平均は過去2週間で10%超下げた。米株投資の指標となるS&P500種株価指数はこの間3%安に
とどまり、ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数ですら5%安だ。
「日米金利差の縮小を勘案しても(日本株は)売られ過ぎの領域に入っていると考える」。フィリップ証券の北野一チーフストラテジストは3日
付で米国株対比でみた日本株への短期的な投資判断を「中立」から「買い」に引き上げた。
日本株が売られすぎとの見方は北野氏にとどまらない。
根拠の一つは堅調な企業業績と株価水準を比べた際の「割安感」だ。株価が1株当たり利益(EPS)の何倍まで買われたかを示すPER(株
価収益率)がその指標だ。 証券会社の株式アナリストらの2025年3月期(今期)の予想利益をもとにした、日経平均の構成銘柄全体のPER
は、2日時点で14.9倍と今年に入って初めて15倍を割れた。
機関投資家が重視する東証株価指数(TOPIX)ベースでは「12カ月先」までの業績予想をもとに算出したPERは13.3倍と、13年の「アベノミ
クス」後の平均である14倍程度を下回る。
BofA証券の圷正嗣チーフ日本株ストラテジストは「株式相場は業績予想の引き下げが相次ぐことを前提とした水準まで下落した」と指摘。
日本の企業業績に悪影響を与える米景気後退が避けられるとしたら「日本株は売られすぎ」と話す。
日経平均はチャート上でも売られすぎの兆候がでている。
短期の相場トレンドを示す25日移動平均線からの下方乖離(かいり)率は2日時点で9%強と、売られすぎとされる5%を大きく上回る。乖離率
は「コロナショック」があった20年3月以来の水準だ。反発してもおかしくない。
富国生命保険有価証券部長の野崎誠一氏は、2日に東証33業種指数が「全部売り」となったことと、連日で売買代金が6兆円を超える大
商いとなったことを重視する。「セリング・クライマックス(売りのピーク)は近づいている」とみて、日本株買いを検討していた。
もっとも、日本株急落の一因となった米国株が下げきっていない点に不透明さが残る。
かんぽ生命保険の空閑健一・市場運用部長は「S&P500はまだ下げ足りない。日本株は今後2?3週間は大きく変動する相場が続きそう
だ」という。2日もS&P500の11あるセクターは公益や生活必需品が上げ、「全部売り」とはなっていない。
円安トレンドの逆回転がどこまで進むかも重要だ。外国為替市場の参加者の間では2月の高値である1ドル=145円90銭、1月高値の140円
80銭が次の節目として意識されている。
日経新聞がまとめた主要企業の今期業績見通しの前提となる想定為替レートは平均147円。アナリストは150円程度を予想の前提に置い
ている。円安の巻き戻しが進めば、輸出企業を中心に業績の下押し要因になりかねない。
いる。
6月までの円安を主導してきた投機筋の円売りは急速に解消が進んでいる。米商品先物取引委員会(CFTC)によると、7月30日時点で
投機筋の円売り持ち高は9100億円と半年ぶり低水準だ。7月9日の2兆2700億円から3週間で6割減少した。
あおぞら銀行の諸我晃チーフ・マーケット・ストラテジストは「7月30日以降も投機筋の巻き戻しが進んだことを考えると、さらに円売りを解消
する余地は小さい」と指摘する。円売りの巻き戻しが一巡すれば円高ペースが緩む可能性もある。
円安局面では海外投資家が重視するドル建てでみた日本株の運用成績が押し下げられ、日本株買いを妨げていたとの指摘もあった。
「海外勢の買い意欲は高く、先を見通すと円安が止まったことをきっかけに資金流入が期待できる」(みずほ証券機関投資家営業部の
家元勝弘副部長)との見方もある。
米景気やドル円相場に伴う日本企業の業績や海外投資家の動向に注視する相場展開が続くことになりそうだ。
・日経平均株価、波乱含みの展開か 円は145円試す公算
・「巨鯨・日銀」の空白埋まるか 国債村、消えたプレーヤー
2024/08/05 12:05 日経速報ニュース
5日午前の東京株式市場で日経平均株価は連日の急落となった。前週末終値からの下げ幅は一時2500円を超え、2023年末の終値を下回
った。海外の機関投資家やヘッジファンド、個人投資家といった市場参加者全員が売りに動き、24年に入ってからの上昇分を全て帳消しにした。
なおも下落余地を指摘する声もあり、市場の混乱が続いている。
日経平均の午前終値は1662円(5%)安の3万4247円だった。
満席の劇場で誰かが「火事だ」と叫んだ時のような光景だ。「市場参加者の全てが一気にマーケットから資金を退避させようとして、売りが売り
を呼んでいる」。ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは5日午前の急落をみて、こう指摘する。
前週末2日発表の7月の米雇用統計では就業者数の伸びが市場予想を下回った。急速に広がる景気後退懸念から米国株は大きく下落した。
5日の東京市場でも外国為替市場では対ドルの円相場が一時1ドル=144円台に上昇し、約7カ月ぶりの円高・ドル安水準を付けた。井出氏は
「日本株にとってダブルパンチだ。これまでと環境が180度変わった」とこぼす。5日は東証プライムの9割超が下げる全面安の展開となった。
日経平均の下げ幅は2日からの2営業日で一時4000円を超えた。
東証株価指数(TOPIX)も一時8%安と急落した。大阪取引所はTOPIX先物の取引を一時中断する「サーキットブレーカー」を発動した。相場急
変時に投資家に冷静な判断を促すための措置で、同先物で実施されるのは東日本大震災直後の2011年3月15日以来だ。
直近まで上昇基調だった銀行株が2日に続いて大きく下げた。三井住友フィナンシャルグループは一時前週末比1500円(16%)安の8162円と、
制限値幅の下限(ストップ安水準)まで下落した。三菱UFJフィナンシャル・グループは一時21%安、みずほフィナンシャルグループは一時15%
安となった。国内債券市場で長期金利は急低下(債券価格は急上昇)し、指標となる新発10年物国債利回りは一時は0.785%と4月9日以来、
約4カ月ぶりの低水準をつけた。
市場では多様な投資家の全てが売りに動いているとの指摘があがる。auカブコム証券の山田勉マーケットアナリストは「このところの急落で
追い証(追加担保の差し入れ義務)が発生し、個人投資家の換金売りが広がっている」と指摘する。松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットア
ナリストは「足元の急落前から既に下げていた半導体関連銘柄などには追い証が発生しているようだ」と話す。
東京証券取引所によると、7月26日申し込み時点の信用取引の買い残高(東京・名古屋2市場、制度信用と一般信用の合計)は4兆9808億
円と、2006年5月以来、約18年ぶりの高水準となっている。急落前に日本株の先高観から信用買いに動いていた個人投資家の売り戻しが広
がる。
日本株の主要な買い手である海外投資家も売りに動いている。東海東京インテリジェンス・ラボの安田秀太郎マーケットアナリストは「先物の
ほか、現物株も売っているのではないか」と話す。その上で「海外投資家は日銀の金融緩和によってアベノミクス初期に大きく買い越した経緯
がある。日銀が利上げに動いたのが大きな転換点となり、その逆の動きになっていそうだ」とみる。
日本株はいつ、下げ止まるのか。証券会社の株式アナリストらの2025年3月期(今期)の予想利益をもとにした、日経平均の構成銘柄全体の
PERは、2日時点で14.9倍とアベノミクス以降の長期上げ相場の平均である15倍を下回る水準だ。ニッセイ基礎研の井出氏は「バリュエーション
(投資尺度)でみれば割安感があり、下げ止まってもおかしくない。とはいえ、日本株ほど下げていない米国株が一段安になると、それに連れ
安となるリスクがある」と話す。
米国市場では米雇用統計の下振れにより米景気悪化懸念が急浮上。米連邦準備理事会(FRB)の緊急利下げなどの不測の事態に備える
べきだとの見方も出ている。ドル安・円高が一段と進めば、日本株の重荷になる。
一日に2000円を上回る下げ幅が続くなかでは年金勢も動きづらい。底の見えない状況では安値を広う動きも出にくく、日本株にとって試練が
続きそうだ。
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・日経平均大幅続落、一時2500円安 米景気減速懸念で
2024/08/05 20:29 日経速報ニュース
5日の東京株式市場は総崩れの様相となった。時価総額が大きい東証株価指数(TOPIX)500構成銘柄を対象に、日経平均株価が過去最高
値をつけた7月11日から8月5日までの下落率をみると、65銘柄の下落率が3割を超えた。上昇をけん引してきた半導体やインバウンド(訪日客)
関連の下落が目立つ。買い上げてきた投資家が持ち高を削減している。
7月11日以降、日経平均は26%下落した。日経平均を上回る下げが目立つのが半導体関連だ。
下落率が最も大きかったのは半導体製造装置メーカーの東京精密で47%安だった。2023年以降、株価は約3倍に上昇していた。生成人工知
能(AI)関連として買われ、外国人株主比率が4割弱に高まっていた。5日は制限値幅の下限(ストップ安水準)まで下落し、海外マネーが逆流
している。
東京精密やディスコ、ルネサスエレクトロニクス、東京エレクトロンといった半導体株はPER(株価収益率)が拡大していた。80倍台まで上昇し
ていたディスコのPER(株価収益率)は34倍に低下している。東エレクも50倍台から22倍台となった。
東海東京インテリジェンス・ラボの仙石誠シニアエクイティマーケットアナリストは「投資家のリスク許容度が低下するなか、バリュエーション(投
資尺度)面で割高の株価を中心に売りが広がりやすかった」と指摘する。
5日、外国為替市場で対ドルの円相場が一時1ドル=141円台と7カ月ぶりの円高・ドル安水準をつけた。急速な円高進行が嫌気され、円安によ
る利益の押し上げ期待を背景に上昇してきた自動車や機械、商社などの売りが目立った。
SUBARU(スバル)、マツダ、日産自動車、トヨタは全て7月11日からの下落率が3割を超え、年初来安値をつけた。三井物産と丸紅も35%安と
大幅に下落し、年初来安値を更新した。
円高方向へのゆり戻しでインバウンド(訪日外国人)需要拡大への期待もしぼみ始めた。円安で訪日外国人による高額消費が増えていた三
越伊勢丹ホールディングスは46%安とTOPIX500採用銘柄のうち下落率が3位だった。
UBS SuMi TRUSTウェルス・マネジメントの青木大樹最高投資責任者は「どこまで円高・ドル安が進むかの目途が見えないなか、円安恩恵
銘柄のマネー逆回転が起きている」と指摘する。
一方、ニトリホールディングスが7月11日比で5%上昇するなど円高メリット銘柄の一角には買いが集まった。
7月中旬までの日経平均の上昇をけん引してきた銘柄の先行きについては市場の見方は分かれる。和キャピタルの村松一之運用本部部長
は「半導体銘柄の業績拡大が続くとの期待は変わっていない」と指摘する。投資家のリスク回避姿勢が一巡すれば、割安感が強まった半導体
株などには長期投資家らの資金が流れ込みやすくなるという指摘もある。
2024/08/05 20:15 日経速報ニュース
東京株式市場で5日、日経平均株価が史上最大の下げ幅を記録し、新NISA(少額投資非課税制度)で人気銘柄のNTTやJTが年初来
安値を更新するなど高配当利回り株も売られた。足元で円高ドル安が進み、世界株に分散投資する株式投資信託「オルカン」などの基準
価格も下がっている。こうした銘柄の今後の見通しはどうか。
同日の日経平均は前週末比4451円(12%)安の3万1458円と大発会(1月4日)の年初来安値を下回った。新NISA人気銘柄もNTTが7円
90銭(5%)安の145円、JTが699円(17%)安の3454円と大幅安となった。NTTは1月23日につけた年初来高値からの下落率が25%に達した。
もっとも、これらの銘柄に個別の売り材料が出たわけではなく、売り一巡後は見直し買いが入る可能性がある。株価下落に伴い、予想配
当利回りが軒並み上昇し、JTは5.6%、武田薬品工業は5%に達した。
モルガン・スタンレーMUFG証券の津坂徹郎アナリストは5日付のリポートで、NTTの目標株価を180円に据え置いた。UBS証券は同日
付のリポートで、JTの目標株価を4800円に据え置き、「買い」の投資判断を継続した。
三菱UFJアセットマネジメントの株式投信「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の5日の基準価格は前週末比1207円(5%)安の
2万3268円だった。7月11日に付けた設定来高値2万7282円から15%下げた。
オルカンの日本株の組み入れ比率は約5%にとどまり、値動きは全体の6割を占める米国株と、円相場の影響が大きい。
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2024/08/05 19:18 日経速報ニュース
株価が急落するときは、いつも同じ光景が市場で繰り広げられる。
最初は取るに足りないと思われた投資家の疑念が、株価の下げとともに次第に増幅。疑念は不安へ、そして恐怖へと変わっていく。最後は
全員が我先にと狭い出口に向かって走り出し、値段にかかわらず持ち株を処分する「パニック売り」が市場を覆う。
日経平均株価が史上最大となる4451円安の下げ幅となった5日もまさにそうだった。今多くの投資家を恐怖が支配している。
恐怖の震源は、過熱していた米国経済が突然、深刻な景気後退に陥る可能性だ。物価や雇用などの景気指標が想定を下回り、確実視され
る「9月利下げ」ではもう手遅れだと市場は米連邦準備理事会(FRB)に催促しはじめた。
もともと米大統領選の前は投資家がリスクテイクに慎重になり、株価が不安定になりやすいというアノマリー(経験則)もある。
日本株が米国株を超える下げとなっているのは、日米金利差の縮小が影響している。日銀が先週決定した追加利上げに虚を突かれた海外
勢が、これまで進めてきた「円売り・日本株買い」のジャパントレードを一斉に手じまっている。
この株安はいつまでつづくのか。
株価のボラティリティー(変動率)がいったん跳ね上がると、リスク管理に厳しい機関投資家が様子見となり、数カ月の間は不安定な相場展開
が続きやすい。日本では「天井三日、底百日」という相場格言が古くから伝えられてきた。
そのうえで、株価の最終的な居所を決めるのは、企業業績とバリュエーション(投資尺度)である。
5日の株価急落で東証株価指数(TOPIX)の予想PER(株価収益率、12カ月先予想ベース)は11.6倍まで低下。2013年のアベノミクス相場以
降の平均レンジ(12?16倍)を下に突き抜けた。振り返ると、13年以降に何度か訪れた「PER12倍割れ」の状態は長続きせず、格好の買い場に
なってきた。
深刻な米景気後退や円高加速によって企業業績が下振れしないかには注意が必要だが、今は多くの銘柄がめったにみられない「バーゲンセ
ール」の状態で売り出されているといえる。
「株式投資にとって悲観は友、陶酔は敵だ」。米著名投資家のウォーレン・バフェット氏は、2008年の「株主への手紙」でつづった。この言葉
通り、バフェット氏は米国株が最高値圏にあった4?6月に米アップル株など持ち株の一部を売却。今は潤沢な手元資金で優良株の仕込み時
を狙っているとみられる。
1990年代前半の急落時に公的マネーが株を買い支えたのは今は昔。アベノミクス相場以降、主要な買い手だった日銀も上場投資信託(ETF)
の購入を停止した。新NISA(少額投資非課税制度)で投資を始めた人を含め、個人投資家が魅力的な水準に下がった株を買うのを邪魔する
公的主体はもういない。
バフェット流の投資は、投資期間に縛りがない日本の個人投資家にも可能だ。市場を覆う悲観に流されず、株価が下がる一方、企業価値は
変わっていない銘柄を冷静に探すときだ。
2024/08/05 21:00 日経速報ニュース
5日の東京株式市場で相場の過熱感を示す指標である騰落レシオ(東証プライム市場、25日移動平均)が76.76%と前日から5.39ポイント下が
り、約9カ月ぶりの低水準となった。景気減速の懸念による米株安や円高を受け急速に売りが広がった。
値上がり銘柄数を値下がり銘柄数で割った騰落レシオは、一般的に120%を上回ると「買われすぎ」、80%を下回ると「売られすぎ」を示す目安と
される。楽天証券経済研究所の香川睦チーフグローバルストラテジストは「海外投資家による先物売りと個人の投げ売りが重なり、急速な需給
悪化で売られすぎの域に入っている」と指摘する。
5日の日経平均株価は前週末比4451円(12%)安の3万1458円で終えた。東証プライムの値下がり銘柄数は1625と全体の98%を超え、全面安
となった。
内藤証券の田部井美彦投資調査部長は「市場は日銀の年末までの利上げを織り込んだ過度の反応を示しており、円安効果の?落を除けば
大幅な企業の収益悪化や金融不安が起きているわけではない」と指摘。「セリングクライマックス(売りの最終局面)に近づき、金利や米経済指
標を見極めつつ緩やかに上昇するのではないか」とみる。
一方、東海東京インテリジェンス・ラボの安田秀太郎マーケットアナリストは「(米国時間5日発表の)7月の米サプライマネジメント協会(ISM)
非製造業景況感指数が6月に続いて景気後退の水準とされる50を下回れば、さらなる株安の加速につながる可能性がある」との見方を示す。
日本株が過去最大の下落幅、マネー逆回転・銀行株ストップ安の波紋 <株探トップ特集>
―米景気減速懸念で金利急低下、市場の動揺続き日経平均VIは08年秋以来の高水準―
日経平均株価が下げ止まらない。週明け5日の東京市場で日経平均株価は4451円安となった。1日の下げ幅としては「ブラックマンデー」の
影響を受けた1987年10月20日を上回り、史上最大。7月11日につけた史上最高値(終値ベースで4万2224円02銭)から1カ月も経たずして
1万円を超す下げとなり、一転して年初来安値に沈むなど歴史的な急落劇をみせている。
●「サーム・ルール」でマネー逆回転が加速
8月2日発表の7月の米雇用統計は、非農業部門の雇用者数の伸びが市場予想を下回り、失業率は上昇。直近3カ月の平均失業率が、過去
1年間の最低値を0.5ポイント上回ると景気後退に入るという「サーム・ルール」を満たすこととなった。米インテル<INTC>の人員削減を巡るニュ
ースや、緊迫化する中東情勢も投資家心理を一段と悪化させた。同日の米ダウ工業株30種平均は一時980ドルを超す下げとなったほか、ナス
ダック総合株価指数も連日の大幅安。米長期金利は3.7%台と7カ月ぶりの水準に急低下した。
米国景気の先行き懸念が一段と強まるなか、5日の東京市場は前週末と同様に、プライム市場の値下がり銘柄数が全体の約99%に上る全
面安商状が続き、投資家の不安心理を示すとされる日経平均ボラティリティ・インデックス(VI)は一時85.38まで急上昇。リーマン・ショックのあ
った2008年秋以来の高水準をつけた。東証の業種別指数では保険業が17.6%安で下落率トップ。銀行業が17.3%安と下落率2位となった。
三井住友フィナンシャルグループ <8316> [東証P]がストップ安に売られたほか、第一生命ホールディングス <8750> [東証P]や野村ホールデ
ィングス <8604> [東証P]もストップ安となった。
日銀が追加利上げに踏み切った7月31日前後では、段階的な利上げサイクル入りへの思惑から、金利上昇による事業への好影響を見込ん
だ買いが銀行株を下支えしていた。しかしながら同日の米連邦公開市場委員会(FOMC)後に公表された7月のISM製造業景況感指数、そして
同月の米雇用統計がいずれも米国の景気後退リスクを意識させる結果となり、7月初旬の「トランプ・ラリー」下で4.5%近辺まで上昇していた
米長期金利は急低下している。
日本の長期金利にも強い下押し圧力が掛かり、5日の円債市場では一時0.750%と4カ月ぶりの低水準をつけた。内外金利の低下などを受
けた銀行株売りに拍車が掛かるなかで日経平均とともに、東証株価指数(TOPIX)も年初来安値を更新。日経平均とTOPIXなど株価指数先物
取引では一時、サーキットブレーカーが発動する事態となった。
振り返ると20年には、新型コロナウイルス感染症の拡大により経済活動の停止を世界が余儀なくされ、日経平均は同年1月高値の2万410
0円台から3月に1万6300円台とおよそ7800円の調整をみせた。16年のブレグジット(英国の欧州連合離脱)決定や米大統領選でのトランプ氏
勝利の直前、15年8月のチャイナ・ショック、11年3月の東日本大震災、08年秋のリーマン・ショックなど、内外のさまざまな要因によって日本株
は数多くのショック安を経験してきた。下げ相場は上げ相場よりもスピードが速い。冷静さを保つ一部の投資家を除いて、上げ相場は熱狂を与
え、下げ相場は大きな動揺をもたらす。
直近まで世界の株式市場は、米国のマイルドな景気鈍化と米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げが両立するソフトランディング期待に支え
られてきた。その土台が揺らぐなかで、米ハイテク株から資金が流出し、これに連動する形で日本株の買いポジションを積み上げてきた海外勢
が一斉に売りに動いている。ショック安ではあるが、リーマン・ショックのような金融システム不安の高まりを契機とするものではない。一部の
アセットに集中していたマネーの逆回転によるものである。
●FRBの対応注視、日銀9月利上げ観測は後退へ
マーケットの一部ではFRBの緊急利下げを期待する向きもある。ただし株安が一時的なものとなり、金融システム不安が高まらないのであれ
ば、実現可能性としては乏しいだろう。「仮にFRBが緊急会合を開くものなら、『そんなに米国経済は悪いのか』という余計な憶測が広がりかね
ない」(水戸証券投資顧問部シニアファンドマネージャーの酒井一氏)との声もある。今のところは9月のFOMCでの0.50%の大幅利下げが
メーンシナリオとなり、米金利もこれを織り込む動きとなっている。CMEフェドウォッチによると、9月のFOMCでFRBが0.50%の利下げに動く確率
は90%を上回っている。
そして日銀については、マーケットの急変を受け、9月の金融政策決定会合での追加利上げは困難との思惑が早くも市場に広がっている。
追加利上げが見込めないとなれば、ドル円相場にはサポート要因となるが、米国の利下げ観測が一段と強まれば、ドル売りを誘発するかたち
で相場に下押し圧力を掛けることとなる。急激なボラティリティの上昇を背景に、円キャリー取引のポジションが巻き戻される形で、一時1ドル
=141円台まで円高が進行しているが、それまでの円キャリー引に絡んだポジションの大きさゆえ、円高の流れが早々に収束すると決めて
かかるのは難しい。
日銀の追加利上げ観測の後退は、当然のことながら銀行株には逆風となる。5日の三井住友FGは朝方のストップ安局面を経て、一時的に
下げ渋ったが、後場に売り直しとなり再びストップ安に張り付いた。金融株のみならず、5日にストップ安をつけた銘柄数は800を超える規模と
なっている。投げが投げを促す環境下で、個人投資家による追証に絡んだ売りが相場を一段と下押しすることへの警戒感が強まっている。
急落局面のなかで冷静さを保ちつつ、底入れのタイミングを探る姿勢が、市場参加者にこれまでになく求められていると言えそうだ。
2024/08/06 05:00 日経速報ニュース
クラウド会計ソフトのマネーフォワードが祖業の家計簿アプリを切り離し、三井住友カードと新会社を立ち上げる。フィンテック業界でマネフォの
知名度は群を抜き、家計簿アプリの利用者は1600万人を超える。それでも大手金融機関と組まざるを得なかったところに、日本のフィンテック
が抱える課題が浮かび上がる。
「家計や資産管理のサービスを提供するだけで思った以上に時間がかかってしまった。歯がゆい思いだった」。マネフォの辻庸介社長CEO
(最高経営責任者)はこう話す。家計簿アプリを中心に客層は広がったが、次のサービスへと発展させていく上で壁に突き当たった。
辻氏は創業以来、「マネフォを使えばそれだけで(家計は)安心」というサービスを目指してきた。家計簿アプリにとどまらず運用商品や保険
、ローンを組み合わせて資産形成を支援していく。こうした金融商品を複合的に展開するには「単独では限界があった」という。「規制があり
コストもかかる」点が重荷だった。
三井住友フィナンシャルグループの総合金融サービス「Olive(オリーブ)」と組めば、家計収支に合わせて投資信託やクレジットカード、住宅
ローンなどさまざまな商品を提案できるようになる。「我々がそろえられないサービスをオリーブは持っている。パートナーとしてベストだ」と
辻社長はみる。
独立路線ではなく、メガバンクと次の成長を目指す動きはマネフォだけにとどまらない。ロボアド大手のウェルスナビは三菱UFJ銀行との協業
を選んだ。24年2月に三菱UFJが約15%の株を取得して持ち分法適用会社にすると発表した。ウェルスナビの23年12月期の単独税引き利益は
前の期比3割増えるなど業績は好調だ。
もっとも24年1月からの新しい少額投資非課税制度(NISA)で運用商品を巡る顧客獲得競争は激しくなっている。ウェルスナビは三菱UFJの
ブランド力を生かしながら新規顧客を開拓できる点にメリットを見いだした。
後払い決済サービスのカンムも22年12月、三菱UFJ銀行の子会社になることを決めた。カンムは若年層の電子商取引(EC)需要を取り込ん
できたが「個人向け金融だけでフィンテックが成功するのは難しい」(八巻渉代表取締役)。個人向けは顧客基盤の厚さがカギになるが大手
に比べ販促に費用をかけられない。まずは三菱UFJとの協業で客層を広げ、財務を安定させた上で新規株式公開(IPO)を目指す方向へかじ
を切った。
新興企業と大手銀行との協業が進む背景にはフィンテックの懐事情がある。米調査会社CBインサイツによると、日本のフィンテックの23年の
資金調達額は3億4000万ドル(約500億円)と2年連続で減った。直近ピークの21年比では半分以下だ。ある決済関連サービスのフィンテックの
代表は「以前のようにフィンテックに資金がまわりにくくなってきた」と話す。
フィンテックの事業環境が厳しさを増すなか、銀行の段階的な規制緩和も協業を後押しした。法改正で銀行の業務範囲が広がり、子会社を
通してフィンテック関連サービスの提供が可能になった。銀行本体でもデータ分析やIT(情報技術)システムの販売ができるようになった。大手
銀行はデジタル事業を加速させるために新興フィンテックをパートナーとして無視できなくなった。
三菱地所などが設立したフィンテック集積拠点、FINOLAB(東京・千代田)の柴田誠氏は「フィンテックと銀行は『競争』から『共創』の時代に
入った」と話す。銀行出身者がフィンテックを立ち上げたり、フィンテックが大手金融機関からの採用を増やしたりするなかで相互理解が進み
「一緒にビジネスをやるという空気が広がってきた」という。
補完関係を築くフィンテックと大手銀行だが手放しでは喜べない。あるベンチャーファンド関係者は「フィンテックで最も成功したのはPayPayだ。
しかし次が出てこない」と話す。PayPayはソフトバンクグループの孫正義氏の「勝者総取り」の理論で、加盟店手数料の一時的な無料化や
ポイントの大盤振る舞いでQRコード決済を普及させ、利用者を6000万人超に増やした。
他のフィンテックや大手銀行がPayPayのように大胆な戦略を取れるかどうかは不透明だ。一部のフィンテックには個人向けの収益化が厳し
いとみて法人向けにシフトする動きも出ているが、法人分野も競争は激しい。
日本でフィンテックが広がり始めたのは2015年前後。それから10年弱がたち、当初のような熱気はみられない。和製フィンテックの第1世
代といわれるマネフォの選択は、業界の縮小均衡の表れなのか、新たな成長への試金石となるのか。予断を許さない。
2024/08/06 日本経済新聞 朝刊
5日の東京株式市場で日経平均株価の下落幅は前週末比4451円と過去最大になった。米景気の後退懸念と為替相場の急速な円高進行
を受け、日本株を売り急ぐ動きが広がり、日経平均は2024年に入ってからの上昇分がすべて帳消しとなった。先物取引が一時中断される
「サーキットブレーカー(きょうのことば)」も発動されるなど、市場は売り一色となった。(1面参照)
前週末公表の米雇用統計を発火点とする市場のショックが覚めやらぬ5日の東京株式市場。午前9時の取引開始からしばらく、多くの銘柄
で「売り気配」の状態が続いた。大量の売り注文に対して買い注文が少なく、値がつかない状況だ。徐々に値がつくようになると日経平均は
下げ幅を広げ、9時14分には2000円超安となった。
「『CTA』による売りを契機に、多くの投資家が損切りの売りに動いている」(CLSA証券の釜井毅生エグゼキューション・サービス統括本部長)。
朝方に売りを先導したのは、広範な金融商品の先物を売買する投資家、CTAだ。9時16分。CTAやヘッジファンドなどによる株価指数先物の売りが膨らみ、大阪取引所は東証株価指数(TOPIX)先物の取引を一時中断するサーキットブレーカーを発動した。
銀行株軒並み安
株価指数先物だけでなく、個別株にも狼狽(ろうばい)売りが広がった。9時27分、三井住友フィナンシャルグループ株は、前週末比1500円
(16%)安の8162円と制限値幅の下限(ストップ安水準)を付けた。みずほフィナンシャルグループや三菱UFJフィナンシャル・グループも2割
近く下げた。
東京都在住の20代男性は、人工知能(AI)関連の成長期待で保有していた村田製作所株や芝浦メカトロニクス株に慌ただしく売り注文を出
した。「あらかじめ決めていた損切りラインを急速に下回った」という。
11時半。日経平均は1662円安と9時台からやや下げ幅を縮めて午前の取引を終えた。しかし午後に入ると相場のムードが一気に変わっ
た。理由は急激な円高進行だ。
朝方に1ドル=146円台で推移していた円相場は午後1時8分に143円台を付けた。これまで円安に下支えされてきた日本株。「今までの
逆流が一気に来た。リスク回避のアンワインド(巻き戻し)が加速した時の恐ろしさを痛感した」(邦銀の外為ディーラー)
円高が一段と進むにつれ、日経平均は下げ幅を広げた。午後1時47分には3000円安、2時24分には4000円安と、下落が止まらない
状況に。2時53分には4753円安と5日の取引時間中の最安値を付けた。
機関投資家だけでなく個人投資家も売りを迫られた。先週からの急落で、信用取引をする投資家が追加で支払う「追い証」が発生。保証金
を捻出するための換金売りが広がった。SBI証券の川合智樹デジタル営業部次長は「個人投資家から『追い証が発生したがどうしたらいいか』
という問い合わせが相次いでいる」と打ち明ける。
東京証券取引所によると、7月26日申し込み時点の信用取引の買い残高は4.9兆円と約18年ぶりの高水準となっていた。急落前に日本
株の先高観から信用買いに動いていた個人投資家は売り戻しが必要になった。
ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは「市場参加者の全てが一気にマーケットから資金を退避させようとして、売りが
売りを呼んだ」と話す。
売り一巡の見方
マネーの逃避先になったのが債券市場だ。長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは一時0.75%まで低下(債券価格は上昇)し、
約4カ月ぶりの低水準をつけた。株安で投資家のリスクオフ姿勢が強まり、相対的に安全な資産とされる債券に資金が流れ込んだ。大阪取引
所は5日、長期国債先物でサーキットブレーカーを発動した。
5日の東証プライム市場の売買代金は7兆9674億円と過去最高を記録した。信用取引などに絡んだ「投げ売り」が目立つ一方、下値を拾う
動きも活発だった。市場関係者の間では、売買代金の大きさが日本株売りの一巡を示唆しているとの受け止めもある。
ピクテ・ジャパンの糸島孝俊ストラテジストは「投げ売りは5日までにかなり広がっているとみられ、短期的にはセリングクライマックス(売りの
最終局面)が近づいている」とみる。
2024/08/07 15:01 日経速報ニュース
7日の東京株式市場で日経平均株価は大幅続伸し、前日比414円高の3万5089円で取引を終えた。値動きは異例の激しさとなり、取引開始
直後に900円超下げる場面があったが、急速に持ち直して一時は1174円(3.4%)高の3万5849円まで上昇した。
朝方は冷え込んでいた相場の雰囲気が一転するきっかけとなったのが、午前10時半すぎに伝わった日銀の内田真一副総裁による「ハト派」
発言だ。
日経平均は寄り付き直後、前日終値からの下げ幅が一時936円となり3万3700円台をつける場面もあった。過去最大の下落幅を記録した5日
に保有銘柄が下落した個人投資家が、信用買いの追い証(追加証拠金)の解消に向けて出した売りが膨らんだ。
マーケットの空気を一変させたのが、北海道函館市で開かれた金融経済懇談会での日銀の内田副総裁の発言だ。内田氏は「金融資本市場
が不安定な状況で、利上げをすることはない」と述べた。「当面、 現在の水準で金融緩和をしっかりと続ける必要があると考えている」とも語り、
追加利上げに対する株式市場の警戒感が和らいだ。
発言を受け、為替市場では円相場が一時1ドル=147円台半ばをつけ、2円ほど円安方向に振れた。
日銀の金融政策決定会合での植田和男総裁の「タカ派」発言が日本株急落の要因の一つだっただけに、内田氏の「ハト派」発言に株式市場も
大きく反応した。りそなアセットマネジメントの黒瀬浩一チーフ・ストラテジストは「市場は株式市場が不安定でも円安対策の方が優先されるので
はないかと懸念していた。その懸念が払拭され、発言効果はしばらく続くだろう」と話す。
アセットマネジメントOneの浅岡均シニアストラテジストも「機械的に利上げを進めるのではないというスタンスは、マーケットが望んでいた発言」
と分析する。
「地銀といった金融機関を主体に、おっかなびっくりではあるが、買いは入ってきている」。大手証券のトレーダーは話す。内田氏の講演内容が
伝わると、東京株式市場では幅広い銘柄に買いが広がり、東証プライム市場では全体の85%にあたる1401銘柄が値上がりした。
ディスコは一時前日比16%高、三井住友フィナンシャルグループも12%高をつけた。前日に最大1000億円の自社株買いを発表したキヤノンも11
%高と急騰した。三井住友トラスト・アセットマネジメントの上野裕之チーフストラテジストは「割安で好業績な銘柄には押し目買いが入っている印
象」と指摘する。
内田副総裁の発言は市場にとって一つの安心材料にはなったものの、「相場が落ち着いていれば利上げはするという趣旨だろう。毎月勤労統
計や物価指標への注目度も高い」(みずほリサーチ&テクノロジーズの坂本明日香主任エコノミスト)との見方もあった。
三井住友信託銀行の瀬良礼子マーケット・ストラテジストは「今の市場参加者は心理的に不安感でいっぱいで、冷静にファンダメンタルズ(経済
の基礎的条件)を見極める力を失っている」と指摘する。投資家が相場の乱高下に振り回される展開はまだしばらく続きそうだ。
【関連記事】
・日銀・内田副総裁「金融市場が不安定な状況で利上げせず」
・日経平均乱高下、一時1100円超高 日銀・内田副総裁発言で
2024/08/08 日本経済新聞 朝刊
7日の東京株式市場で、日経平均株価は日銀の内田真一副総裁による「ハト派」発言をきっかけに急騰した。前日比900円安から1100円
を超えて上げる場面があった。内田氏の発言はひとまず株式市場に買い安心感を与えたが、まだ視界が晴れたとは言いがたい。
国内運用会社のファンドマネジャーは7日午前、急ピッチで上昇する株価を見て一瞬、買い注文の手を止めた。「6日の3000円を超える上昇
が頭をよぎった」ためだ。予定通りアニコムホールディングスなどの内需株を買い付けたが、激しい値動きにハラハラしたという。
市場関係者をハラハラさせる展開となったのは、日銀の内田副総裁が「金融資本市場が不安定な状況で利上げをすることはない」と語り、買い
安心感が広がったためだ。ピクテ・ジャパンの糸島孝俊ストラテジストは「日銀が早期に政策金利を0・5%に上げることはないと受け止められ
投資家に冷静になる時間を与えた」と話す。
8月の歴史的な株安を引き起こしたのは、日銀が7月末に利上げに踏み切ったのがきっかけだ。低金利の円を借りて米ドルなどの高金利通
貨に投資する「円キャリー取引」やそれと連動した日本株買いが巻き戻された。
野村証券の北岡智哉チーフ・エクイティ・ストラテジストは、ここまでの株安を日本版「テーパリング・ショック」と呼ぶ。米連邦準備理事会(FR
B)のバーナンキ議長(当時)が2013年5月に量的緩和縮小(テーパリング)に突然言及し、世界的な株安を招いた「バーナンキ・ショック」に
なぞらえた。
日銀の金融政策に対する警戒感が下落の一因だっただけに、市場では内田氏の発言は「どこまで下がるか分からない疑心暗鬼を緩和する
清涼剤になった」(大和証券の林健太郎シニアストラテジスト)との声がある。
7日は株価が乱高下する中でも、日経平均を対象としたオプション価格から算出し、相場の急変動に対する警戒感を表す日経平均ボラティ
リティー・インデックス(VI)は12%低下して終えた。下落不安に備えるプットオプションのように「内田プット」が利いたといえる。
ドル円相場と日経平均株価の連動性は8月以降強まっている。相関係数(10日移動平均)は8月5日以降はマイナス0・4~0・6程度で約
5カ月ぶりの低水準で推移する。円が下落すると日経平均が上がる傾向が強いことを示す。7日も円相場が円安に進むと株価が上昇した。
一方で7日に買われた個別銘柄をみると、業績への期待が高く、5日までに株価を大きく下げていた銘柄が中心だ。7日は生成AI(人工知能
)半導体への期待が大きいディスコが12%高、防衛関連として期待される三菱重工業が10%高となった。本来は円安が業績改善につながる
はずの輸出関連株に対しては、投資家はまだ半身の姿勢でトヨタ自動車は1%安で終えた。
朝日ライフアセットマネジメントの武重佳宏資産運用統括部長は「輸出関連株は割安感はあるものの、円相場が1ドル=155~160円の
時と比べると、業績の上振れ期待は薄れている」と話す。
バーナンキ・ショックでは以前の水準に株価が戻るのに半年以上かかった。りそなアセットマネジメントの下出衛チーフ・ストラテジストは「
日銀が金融引き締めの方向であることは変わらない。日経平均が4万円台を回復するのは25年以降になるだろう」と指摘する。
2024/08/08 06:14 日経速報ニュース
7日の米株式相場は2日ぶりに反落し、ダウ工業株30種平均は前日比234ドル安の3万8763ドルで終わった。一時はプラス圏で推移したもの
の、引けにかけて売りが優勢となった。アップルなどのテック株は上昇したが、市場では引き続き米景気の悪化懸念を背景にキャタピラーや素材
のダウなどの下落に押され、株価は軟調となった。
老後の資金をどう守るか――。先週末からの突然の株式相場の混乱で、米国の個人投資家向けメディアはこうした話題でもちきりだ。確定拠
出型年金401kを通じて株式投信に資金を振り向ける年金運用が主流となった米国では、株式相場の急落は退職資金の目減りにつながり、死活
問題になりかねないためだ。
日本でも今年初めから導入された新NISA(少額投資非課税制度)で投資デビューした個人は年初から堅調となっていた日本株相場が、経験
したこともない急落に見舞われたことは相当なショックになったはずだ。
米国人も今回の市場の混乱に驚いたのには違いないが、比較的諦観の姿勢が目立ったのは、株式投資家として数多くの「危機」を通過した
上での教訓が背景にある。
2000年初めのIT(情報技術)バブルの崩壊、01年の米同時テロ、同じ年のエンロン事件、08年のリーマン・ショック、直近では20年の新型コ
ロナのパンデミック。その都度、米国人はこの世の終わりのような株式暴落を経験した。そこで学んだことは、危機の後にはかならず相場は回復
するということだ。
リーマン・ショック時にはS&P500種株価指数が1年間に3割超の下落に見舞われた。401kを通じてすべての資金をS&P500のインデックス
投信に振り向けていた人はその年に退職金が3割超目減りしたことになる。その後09?10年の2年間でほぼ下落分を回復した。08年に恐怖か
ら保有株式投信を売った人は損失を確定し、我慢して保有し続けた人は2年で含み損を解消した。
こうした数々の危機を通じて、個人投資家も年金制度を監督する米政府も学んだことがある。分散投資と長期投資だ。
「ターゲット・デート・ファンド」がそれだ。若い時には株式などリスクの高い資産を多く組み入れ、退職をする「目標年(ターゲット)」が近づくに
つれてリスクの低い債券や短期金融商品などの配分を自動的に増やしていく運用商品だ。米国では90年代前半に誕生し、06年の法改正に
伴い401kの初期設定(デフォルト)商品に指定する企業が増え、それをきっかけに運用資産が急拡大した。
いったんこのファンドを年金運用対象として設定したら、退職するまで投資のことを忘れても、長期の分散投資をすることができる。年金制度の
運用で米政府が学んだことは、当初の401kで主流だった、素人が投資先を自分で選別するのは無理があるということだ。退職金運用のために
自社株だけに投資するのもリスクが高いということは破綻したエンロン事件で学んだ。
投資の神様と個人投資家が信奉するウォーレン・バフェット氏は、素人はS&P500種のインデックス投信に何十年も投資しておけばいい、
といつも株主にアドバイスしている。新NISAで初めて株式乱高下の洗礼を受けた日本の個人投資家も、あわてて株を売るのではなく、数十年
単位の長い目でゆったりと構えて現在の相場の荒波を乗り越えることが賢明といえるだろう。
【関連記事】
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・NYダウ反落234ドル安 金利急変動、投資家不安が加速
2024/08/08 14:03 日経速報ニュース
【NQN香港=須永太一朗】連日、荒い値動きが続く日本株相場。暴落後の再浮上の勢いを鈍らせている投資主体の1つが韓国勢であること
が分かった。7日は3984万ドル(約58億円)の売り越しで、日次の売越額として2017年12月以来、約6年8カ月ぶりの大きさだった。日本株相
場は5日に暴落した後、6?7日と戻り歩調にあった。その中で活発に戻り待ちの売りを出したようだ。
韓国で証券預託や決済業務を担う韓国預託決済院(KSD)のデータをもとに調べた。KSDは国内投資家の株式や債券の日々の売買動向
を、主要な投資先の国・地域別に公表している。前営業日の動きを翌日には公表し、速報性が高い。
韓国勢は日経平均株価が史上最大の下げ幅となった5日に945万ドルを売り越し、一転して過去最大の上げ幅を記録した6日も658万ドルの
売り越しだった。7日には売越額が前日の6倍に急増した。7日は日銀の内田真一副総裁の発言をきっかけに日銀の追加利上げへの懸念が
一服し、日経平均は前日比で一時3.38%上げた。それまで様子見姿勢だった韓国勢からも活発に売りが出たようだ。同日の日経平均はその
後に伸び悩み、1.19%高で終えた。
韓国投資家の売り越しが前回大きかった2017年12月18日の売越額は7360万ドル。当時は減税などを盛り込んだ米税制改革法案の成立
期待から、日経平均は5営業日ぶりに反発。東証株価指数(TOPIX)は26年1カ月ぶりの高値を付けた。相場の上昇局面で売り越しが増えた
のは今回も同じだ。
日本株市場での韓国勢の存在感は比較的小さいが、「やれやれの売り」の姿勢は他の多くの投資家もとっているとみられ、日経平均は8日
も力強さを欠いている。根強い売り圧力は、引き続き相場の戻りの足かせになりそうだ。
2024/08/08 14:26 日経速報ニュース
8日後場中ごろの東京株式市場で日経平均株価は再び軟調な展開になっている。前日比80円ほど安い3万5000円台前半で推移している。
午前に節目の3万5000円を上回り、一部の海外投資家が戻り待ちの売りを出しているとの見方があった。午後に300円超下落する場面もあ
った。ただ、前日に決算を発表したアサヒやニトリHDといった好業績銘柄への買いが続き、指数は再び上昇に転じるなどやや荒い動きとな
っている。
このところの相場下落を招いた要因のなかで日銀の追加利上げへの警戒は内田真一副総裁の発言を受けて後退している。市場では
「これから発表される米国の経済指標を通じて米景気悪化への懸念も和らげば本格的に戻りを試す」(東洋証券の大塚竜太ストラテジスト)
との見方があった。
14時現在の東証プライムの売買代金は概算で3兆8418億円、売買高は17億2145万株だった。レーザーテクは午後に制限値幅の上限
(ストップ高水準)で買い気配となっている。ファストリやダイキンなどの値がさ株も上昇している。一方、TDKや太陽誘電などの電子部品
株が売られ、資生堂やソフトバンクグループ(SBG)も安い。
2024/08/08 16:25 日経速報ニュース
海外投資家が日本株の買い持ち高を一旦「リセット」した。金融市場が揺らいだ7月第5週(7月29日?8月2日)に、株価指数先物を含めて
1兆617億円を売り越した。ヘッジファンドなど短期マネーの資金流出が目立ち、2024年初来からの累計で売り越しに転じた。日本株が再び
上昇軌道に戻るには長期投資家の定着がカギになりそうだ。
日本取引所グループが8日発表した投資部門別売買動向によると、海外投資家の7月第5週の日本株売越額は先物が5092億円、現物が
5524億円だった。現先合計で売りが買いを上回るのは3週連続だ。
海外投資家の買い越しと売り越しの差額を年初から累計すると、7月第2週時点では2.5兆円超の買い越しだった。第3週からの3週間で売
越額が3.4兆円となり、全てを吐き出したことになる。
「ヘッジファンドは日銀の政策決定会合前に円売り・日本株買いのポジションを膨らませていた。その逆回転が一気に起きた」。ゴールドマン
・サックス証券のアジアパシフィックグローバルエクイティ営業部統括、ジョン・ジョイス氏はこう分析する。
日銀が利上げを決めた7月31日の日経平均株価は上昇して終えた。だが翌日から米景気不安による米利下げの前倒し観測が台頭、円高
・株安が急速に進んだ。
ヘッジファンドなどは一般的に手元にある資金に借入資金などを合わせてレバレッジをかけた運用をする。日経平均の日中値幅は7月31日
以降、1000円超えが続いている。別の外資系証券の日本株営業責任者は「株価の変動がこれほど大きくなった根本的な理由が分からない
ため、リスクに敏感な短期筋は離れざるを得なくなった」とみる。
長期運用を前提にした年金基金などを顧客に持つ長期投資家は動じていない。現物株に限った年初からの累計額をみると、ピークの5兆円
弱からは減ったものの、なお3兆2681億円の買い越しだ。企業価値を分析する投資家の目には急落局面で個別銘柄が安く映る。
スイスの大手運用会社、ピクテでマルチアセット戦略を担うシャニール・ラムジー氏は日経平均が1987年のブラックマンデーを超える下げ幅
となった5日以降に日本株を買い増した。運用資産に占める日本株の比率を7ポイント引き上げ12%にしたと明かす。「日本企業の業績見通し
は良好だ。株価が調整しバリュエーション面の魅力が増した」という。
米JPモルガン・アセット・マネジメントも日本株に対する前向きな見方は不変だとして、グローバルの資産運用戦略で日本株の持ち高を変え
ていない。株式マルチアセット投資戦略室長の国京彬氏は「上場企業による自社株買いの動きは株価を下支えしそう。相場が落ち着けば慎
重に買い場を探る」という。
虎視眈々(たんたん)と収益機会を狙う投資家もいる。旧村上ファンド出身者が設立した投資ファンドのエフィッシモ・キャピタル・マネージメ
ントは2日と5日に第一生命ホールディングス株を計150億円超買い増したことが、開示資料で明らかになった。
一方で欧州系運用会社ナティクシス・インベストメント・マネージャーズの戦略責任者、マブルック・シェトゥアン氏は「パニック局面で持ち高
を変えることは運用成績の悪化につながりやすい」と静観する。「グローバルな景気サイクルの鈍化を踏まえて日米欧とも株式の持ち高は
減らす方針だ」と話す。
世界最大の資産運用会社、米ブラックロックは5日付のリポートで「日銀が政策判断で間違いを起こすリスクが高まるなか(日本株に対する)
確信は下がっている」として、日本株への投資判断の見直しに入ったことを明らかにした。検討の上でオーバーウエート(強気姿勢)維持を決
めたものの、長期投資家の間でも日本株への警戒はじわりと出ている。
日本株の乱高下は先進国市場では異例の大きさとなった。日経平均が最高値(4万2224円)をつけたのは7月11日。8月5日には3万145
8円と1カ月もたたぬうちに2割強も下げた。
ゴールドマンのジョイス氏は「新興国市場かのような動きだった。これまでデフレ脱却や企業のガバナンス改革から日本株を『買いだ』と思
ってきた海外投資家が疑いを持つとしたらとても残念だ」と話していた。
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2024/08/08 15:24 日経速報ニュース
過去1カ月続いた急落相場に一服感が出てきた。日経平均株価は7月11日に付けた過去最高値(4万2224円)から8月5日(3万1458円)
まで1万766円(25%)下落した後、3万1000円が下値となり、3万5000円前後まで戻している。7日にみられた立会外取引でのTOPIX先物
の大口の手口で、国内年金が買い出動したのではとの観測も浮上した。
日銀の内田真一副総裁のハト派発言で、900円あまりの下げから、1200円高まで大きく変動した7日の日経平均。内田氏の挨拶は10時30
分からだったが、株式市場では9時30分前後から東証株価指数(TOPIX)が日経平均に先行する形で上昇に転じ、上げ幅を広げる展開とな
っていた。銀行など金融株を中心にTOPIXとちかい値動きをするTOPIX型銘柄に力強い上昇がみられ、今月に入ってからの株価急落と金利
低下(債券相場は上昇)を受け、投資余力が高まったとみられる国内年金の買いが一部市場で観測されていた。
市場では7日の大阪取引所の立会外取引に当たるJ-NET市場で大口のTOPIX先物の約定があったことが話題となっている。同日はゴー
ルドマン・サックスで1万5104枚の手口がみられた。売りと買いの合計枚数のため、ネット(差し引き)はわからない。TOPIXが歴史的な急落
を演じ、大商いを演じた5日にはこうした大口の手口はみられなかった。
市場では国内年金は出動する際、ゴールドマンを先物業者として使用することが多いとの見方が以前から聞かれる。立会外取引での同社
の大口の手口は当て推量で国内年金が動いたとの見方につながりやすい。
野村証券によると6日時点で年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の国内株式のウエートは22%台半ばと、基本ポートフォリオである
ウエート(25%)を3ポイント程度下回る。仮に基本ポートフォリオにウエートを戻す場合、国内債券など他の金融資産の価格が一定であれば
、4?5兆円の国内株式の買いが必要になる計算だという。
買い出動と仮定した場合、先行して先物買いで手当てした後、先物を売り資金を現物株に振り向ける「エクスチェンジ・オブ・フューチャー・」
フォー・フィジカル(EFP)」の可能性がありそうだ。
日本株全体では約800社がストップ安と異例の展開だった5日。日本株は売られ過ぎとみたあるアクティブ・ファンドの運用者はTOPIX先物
に買いを入れた。アクティブ・ファンドのため、通常は先物を売買しない。ただ、5日はストップ安で普段、投資するような銘柄が買えなかった
ため、先物で下値を拾い、その後、現物に振り替える動きをみせていた。
企業の自社株買いにも投資家の注目は集まる。7日にソフトバンクグループ(SBG)が5000億円を上限に自社株買いを実施すると発表した。
クボタは300億円としていた従来の自社株買い計画を500億円に引き上げた。NTTが2000億円、大和ハウスは1000億円など7日だけで1兆
円近い自社株買いの設定があった。自社株買いの拡充は経営状況を知る経営者が自社の株価が割安だと市場に知らせるアナウンスメント
効果があるとされる。
UBSの守屋のぞみ株式ストラテジストは過去も株価調整後に企業の自社株買いが拡大する傾向があったと指摘し、「今回の日本株の大幅
下落は、自社株買い取得の好機となる可能性」との見方を示す。今後3カ月間で自社株買いを発表する可能性がある企業として伊藤忠や
スズキ、シマノなどをあげる。今回の株安を受け、日本株市場で最大の買い主体である企業の自社株買いが一段と増加すれば、禍を転じて
福と為す可能性がある。
8日午前の日本株相場も売り先行後、大きく下げたところからプラス圏に切り返す場面があった。相場変動率の高い状況が続き、折に触れ
て急落する場面は今後もありそうだが、日本株の下値を支える投資家の勢いは確実に増している。
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2024/08/09 日本経済新聞 朝刊
円安の中、日本が貿易ではなく海外への投資で稼ぐ構造が定着している。財務省が8日発表した2024年上半期(1~6月)の国際収支統計
(速報値)では、投資の収益を示す第1次所得収支の黒字は19兆1969億円と過去最大を更新した。貿易収支は赤字が続いた。
モノやサービス、投資など海外との取引状況全体を表す経常収支は12兆6817億円の黒字だった。前年同期から59.2%増えた。黒字幅は
上期として過去2番目の規模となった。
経常収支は輸出から輸入を差し引いた貿易収支や、外国との投資のやりとりで得られた収益を表す第1次所得収支、旅行収支を含むサービス
収支などで構成する。
24年上半期は第1次所得収支の黒字が10.0%伸びた一方、貿易収支とサービス収支はいずれも赤字だった。半期で見れば21年下半期か
らこの構図が続く。
第1次所得収支で大きいのが海外子会社からの配当などで得られる「直接投資収益」で、黒字額は11兆4022億円と前年同期から4.5%伸
びた。国内企業が活発に海外展開した成果が表れており、円安も円換算額を底上げした。
株や債券の投資で得た「証券投資収益」は7兆1219億円の黒字と、前年同期から2割伸びた。米国の金利高で債券利子の受け取りが増えた。
貿易赤字は2兆6118億円となった。資源価格の上昇は止まったものの、輸入額は依然として高い水準にある。輸出額の伸びは限定的で、差
し引きの収支は21年下半期から6半期連続で赤字が続く。
上期としての経常収支の黒字が一番大きかった07年は貿易収支が6兆円を超す黒字だった。国内製造業が積極的に輸出を増やし、貿易で一
定の稼ぎを得ていた。現在は貿易収支が赤字になる一方、第1次所得収支の黒字が当時の2倍に増えた。
製造拠点の海外移転も進み、ものづくりから投資活動で稼ぐ構造が定着した。歴史的な円安でも輸出が増えにくい背景には日本経済の体質の
変化がある。
サービス収支の赤字は1兆7511億円となり、赤字幅は前年同期から15.4%縮んだ。
インバウンド(訪日外国人)需要の高まりによる旅行収支の伸びが下支えした。旅行収支の黒字幅は2兆5939億円と前年同期の1.6倍を超
え、半期として過去最高だった。1~6月の訪日客数が1700万人余りと過去最高を更新したことが大きい。
他方、海外IT企業へのデジタルサービスの使用料の支払いといった「デジタル赤字」は拡大が続く。上期は3.1兆円と、赤字幅が前年同期から
12.8%拡大した。再保険料の支払いなどで保険関連の赤字幅も広がる。
投資活動による所得黒字は貿易黒字と異なり、国内の雇用を増やす効果は限定的とみられる。海外とのやりとりにおける稼ぎ頭が変わる中、
経常黒字が経済全体に与える影響も以前とは異なってくる。
2024/08/09 08:01 日経速報ニュース
9日の東京株式市場で日経平均株価は反発か。前日の米株式相場の上昇を受け、東京市場でも幅広い銘柄に買いが先行するだろう。前日
終値(3万4831円)を1100円ほど上回る3万6000円前後が上値メドとなりそうだ。
8日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前日比683ドル(1.76%)高の3万9446ドルで終えた。朝発表の米雇用指標が労働市場
の底堅さを示し、景気懸念が和らいだ。投資家心理の改善に伴う買いが景気敏感株を中心に入った。
エヌビディアが6%の上昇となるなど主要ハイテク株も軒並み上昇し、ナスダック総合株価指数は2.86%、主要な半導体関連銘柄で構成する
フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は6.86%それぞれ上昇した。
S&P500種株価指数の予想変動率を示し「恐怖指数」とも呼ばれる変動性指数(VIX)は前日から大きく低下した23台で終えた。依然、投資
家の不安心理の高まりを示すとされる20を上回るが、5日に付けた60台からの低下傾向は鮮明となっている。
前日の米株高を受け、きょうの東京市場では半導体や自動車など幅広い銘柄に買いが先行するだろう。9日早朝の大阪取引所の夜間取引で
日経平均先物は上昇し、9月物は前日の清算値に比べ920円高い3万5700円で終えた。
9日早朝の外国為替市場で円相場は1ドル=147円台前半と前日夕時点に比べ1円以上の円安・ドル高で推移している。7月末の日銀の利上
げをきっかけに、低金利の円を借りて米ドルなどの高金利通貨に投資する「円キャリー取引」の巻き戻しが発生したが、そうした動きが一服したと
の見方が出ている。
8日の日経平均は前の日に比べ258円(0.74%)安の3万4831円だった。下げ幅は一時、800円を超えたが、下値では買いが入り、底堅さを
意識させる展開だった。東証プライムの売買代金は5兆3509億円と、7日まで3日連続で7兆円台の大商いが続いていた状況から大きく減少し
た。きょうは10?12日の3連休を控え、個人投資家などからの戻り待ちの売りが相場の上値を抑える可能性がある。
気象庁は8日、宮崎県で同日発生した地震を受けて、大規模地震が発生する可能性が平時より高まっているとして南海トラフ臨時情報の「
巨大地震注意」を初めて発表した。市場ではとりあえずは相場への影響は限定的との見方が多い。
個別では東京エレクトロンへの関心が高い。8日に2025年3月期の連結純利益が前期比31%増の4780億円になりそうだと発表した。従来予
想の4450億円から上方修正し、市場予想も上回った。生成AI(人工知能)向けなどで半導体製造装置の販売が伸びる。第1四半期の決算発表
時から通期の業績予想を上方修正したことを好感する買いが集まるだろう。
国内では三越伊勢丹や日本郵政、第一生命ホールディングスが4?6月期決算、楽天グループとブリヂストンが1?6月期決算を発表する。
社数ベースでは4?6月期決算発表のピーク日となる。寄り付きで株価指数オプション8月物の特別清算指数(SQ)が算出される。
2024/08/09 07:57 日経速報ニュース
世界屈指の超低金利通貨「円」を舞台とした世界的な金融・株式市場の大混乱は、まだ序章にすぎない。円安が新たな円キャリー取引を
呼び、円キャリー取引がさらに円安を加速させる「円キャリーバブル」。その崩壊は日本の金融機関にも影を落とす。
円を借りて高利回りの金融商品で運用する円キャリー取引は円安になれば返済額が減るが、円高に転じると返済額が膨らむレバレッジ性
の高い取引だ。一般の人には無縁だが、ヘッジファンドやCTA(商品投資顧問)が多用するとされ、その結果、市場が過度に変動するため、
にわかに注目を集めている。米著名投資家ウォーレン・バフェット氏が円建て債を発行して商社株を買ったのもその一例だ。
最大の問題は、円キャリー取引の規模が、実はよく分かっていない点にある。
オランダ金融大手のINGは8月2日付のリポートで、国際決済銀行(BIS)のデータを基に「国境を越えた円の借り入れは2021年末から7420
億ドル(112.2兆円)増加した」と分析した。
BISによれば世界の銀行による円建て債権の総額は24年3月末時点で328兆円。21年末比で52%増加した。ドルベースでも16%増加した。
このうちヘッジファンドや年金などのノンバンク向けは6割を占める。金額にして約200兆円だ。
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日銀によれば、国内銀行海外支店の貸出金は5月末時点で117兆円。21年末比で44%増加した。この間の円の対ドル相場の下落率27%を
大きく上回る。
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国境を越えた円建て債権には、日本企業が海外事業のために日本国内で調達した円資金なども含まれる。いわば広義の円キャリー取引
残高だが、円安が有利に働くのは変わりない。金融市場を揺るがす円キャリーバブルの正体だ。
21年末以降、円キャリーバブルが膨らんだのは日米金融政策の方向性が逆になったからだ。米連邦準備理事会(FRB)は利上げに転じる
一方、日銀はマイナス金利政策を続け、金利差が急拡大した。
円キャリーを利用する投資家にとって、日米金利差の拡大は収益機会であると同時に為替ヘッジコストの増加でもある。「金利差=ヘッジ
コスト」だからだ。INGは「法外なヘッジコストはヘッジ比率が低いままであることを意味する」と指摘する。為替変動リスクを丸抱えで日本株
や米ハイテク株で運用していた円キャリー投資家も少なくないとみられる。
その結果、相場の急変で円キャリー投資家は、こぞってポジションの巻き戻し、つまり円買いと投資先商品の売却に走り、市場のボラティ
リティー(変動率)を跳ね上げた。ボラティリティーの上昇はボラティリティーをリスク管理指標とする投資家や金融機関の新たな円買い・ドル
売りやリスク資産売りを誘発し、世界の金融・株式市場は大混乱に陥った。
5日に日本の銀行株が急落したのも、円キャリー取引の解消と無縁ではない。邦銀は異次元緩和で国内がもうからなくなり、13年ごろから
海外に収益機会を求め、22年以降は加速した。銀行株が急落したのは、円金利上昇と円高で円キャリー取引の債務不履行が急増すること
への懸念からにほかならない。だから、日銀の内田真一副総裁は「ハト」の顔をみせたのだ。投資家が「金利上昇=銀行株高」と思い込ん
でいるがゆえの死角だ。
円相場は過去に円キャリーバブル崩壊を経験済みだ。1998年8月の1ドル=147円20銭から99年1月の108円96銭まで35%上昇した。
「LTCMショック」で円買い・ドル売りが殺到したためだが、背景には日本の金融危機をテーマとした円キャリー取引の拡大があった。
異次元緩和が生んだ未知の破壊力を秘める円キャリー取引。第2、第3のLTCMショックの火種は膨らんでいる。金融緩和を続ければ
円キャリーバブルは巨大化する一方だ。日銀の利上げは英断と言えるが、ビハインドザカーブ(後追い)の感は否めない。株式市場の
「わがまま」を聞いている場合ではない。
2024/08/09 13:10 日経速報ニュース
過去1カ月続いた急落相場に底入れの兆しが出てきた。7月末の日銀の利上げと米景気後退入りへの懸念が誘発したリスクオフは落ち着き
つつある。急落相場の「第1波」が終了したとみた場合、当面の戻りのメドとして2割上昇が意識される。
午前の日経平均は前日比549円(1.58%)高の3万5380円で終えた。上げ幅は一時800円を超えたが、戻り待ちの売りなどが出て上値は重か
った。8日に2025年3月期の業績予想を上方修正した東京エレクトロンは一時10%高となったが、買い一巡後は売りに押され下落に転じる場面
があった。日経平均が過去最大の下げ幅を演じた5日前後に主力株を買った個人やヘッジファンドなどは明日からの3連休を前に、急落後のリ
バウンドが大きかった銘柄への利益確定売りニーズが強いとの声も聞かれる。
日経平均は7月11日に付けた過去最高値(4万2224円)から8月5日(3万1458円)まで1万766円(25%)下落した後、反転しきょうの午前時
点では5日安値から3922円(12%)戻した。東証株価指数(TOPIX)も7月11日に付けた最高値から5日までに23%下落し、午前時点では12%
戻した。
野村証券が1987年のブラックマンデーから7月の「日銀ショック」まで過去14回のTOPIXの急落局面について、第1波の底入れまでの下落率
を調べたところ、平均は22%だった。一方、底入れから次の高値を付けるまでの戻り局面での平均上昇率は19%だ。
過去の歴史的な急落時におけるTOPIXの直前の高値から一度底入れするまでの平均下落率がおおよそ2割強だったとみれば、今回の急落
の第1波はいったん終了したとみられそうだ。底入れ後、2割程度戻すという過去の急落後のパターンを今回に当てはめてみると日経平均は
3万7700円台、TOPIXは2600台後半が戻りのメドになる。
市場の見方は分かれる。UBS SuMi TRUSTウェルス・マネジメントの小林千紗・日本株ストラテジストは「日本株は大底を入れたもよう」と
の見方を示す。TOPIXはPER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)でみたバリュエーション(投資尺度)面で長期投資家にとり魅力的な
水準まで低下したと説明。短期的にはレンジ相場となるが、10月の4?9月期決算発表と11月の米大統領選が終わった後で「持続的な回復が
始まる」との見方を示す。
半面、第一生命経済研究所の藤代宏一主席エコノミストはブラックマンデーなど過去の急落時で二番底を付けに行く展開となった例をあげ
「一度壊れたマーケットは2カ月程度は簡単に戻らないため、今回も二番底を付けに行く可能性がある」と話す。米株の変動性指数(VIX)が
急落前の水準にまで低下するなど、投資家にとって安心感が高まる証拠が出るまでは二番底の懸念は残るという。
相場変動率の動きが当面の鍵を握る。変動率の高まりで持ち高の変動リスクを抑えようとするのは価格変動率を元に資産配分を決める
「リスク・パリティー戦略」を採る機関投資家だけでない。「商品投資顧問(CTA)からマーケットメークを担う高頻度取引(HFT)業者を含め
ほとんどの参加者が持ち高を落とす」(フィリップ証券の増沢丈彦株式部トレーディング・ヘッド)
そのため、流動性の供給が減り、ビッド(売値)とアスク(買値)の差が広がるため、従来は1ティック(1度の値動き)で1000株買えていた
ものが、2ティック必要になるなどし、市場の変動率がさらに高まる悪循環になりやすい。
米BofA証券によると、米大統領選の年のVIXは7月から11月にかけ平均で25%上昇する傾向があるという。VIXは8日に大きく低下し、
23台で終えた。5日に付けた60台からは大きく低下したが依然、投資家の不安心理の高まりを示す20を上回る。VIXが再び上昇すれば、
日本株の相場変動率の上昇にもつながりやすい。ただでさえ市場参加者が少なくなる8月相場。過去のパターンでみればいったんは戻りを
試しやすい局面に入ったが、相場変動率の急変に配慮を怠らないことが重要だ。
2024/08/11 04:00 日経速報ニュース
「相場が壊れた」。5日、日経平均株価は4451円安と史上最大の下げを演じ、市場のプロからもたじろぐ声が漏れた。「一度壊れた相場は
簡単には元に戻らない」。シティグループ証券の松本圭太市場営業本部長はいう。
「植田ショック」「日本版ブラックマンデー」――。様々な呼び名がつく今回の急落のきっかけは、円売り・日本株買いに傾けてきたCTAや
グローバルマクロ系ヘッジファンドなど短期勢による持ち高の縮小だ。
投資家は利上げに慎重な日銀と堅調な米景気を前提に、低金利の円を借りリスク資産に投資する「円キャリー取引」も膨らませていた。
だが7月末、日銀は利上げを実施。米国では弱い経済指標が相次ぎ景気懸念が台頭した。「日本株を買うマクロ面の前提が崩れた」(UBS
証券の守屋のぞみ株式ストラテジスト)
本格反転に時間
日経平均は6日には3217円高を記録し、9日に3万5025円まで戻した。市場では「5日が底だった」との声も上がる。海外投資家に人気の
リクルートホールディングスなどには押し目買いが入った。
嵐は去ったのか。日経ヴェリタスは改めて相場見通しを市場関係者に聞いた。11月の米大統領選後に不透明感が払拭され、日経平均は
年末に向けて上昇するとの見方が多い。「企業統治改革などミクロ面の好材料はなくなっていない」とUBS証券の守屋氏はいう。
過去の株価急落時を振り返ると本格反転まで1?2カ月かかるケースが目立つ。例えば2013年5月。当時のバーナンキ米連邦準備理事会
(FRB)議長の量的緩和縮小発言が円高・株安を招き、6月半ばまで調整が続いた。15年8月のチャイナショックでは変動率が高まった資産
を減らすリスクパリティ戦略の売りが株安を増幅させ、底入れまで2カ月かかった。
今回の急落前と後での最大の違いは円相場だ。7月上旬の1ドル=160円台に対し、足元は147円前後で推移する。日本企業の想定為替
レート並みで、円安による業績上振れ期待は吹き飛んだ。株価の上値余地は縮小し、UBS証券は日経平均の年末予想を4万2000円から3万
9000円に変更した。シティグループ証券やSMBC日興証券も見通しを引き下げた。
怖いのは「4?9月期決算で上方修正期待が?落すること」(ピクテ・ジャパンの松元浩シニア・フェロー)だ。会社予想に対する進捗率が5割
を下回るなどすれば「市場は減益リスクを意識し始める」(松元氏)。年末高シナリオは消え、株価の低迷が長引きかねない。
JPモルガン証券の高田将成クオンツストラテジストは「米景気後退や地政学リスクの高まりを市場は十分に織り込んでいない」と警鐘を
鳴らす。米金利先物の値動きから米政策金利を予想するFedウオッチによると年内に1%以上利下げする確率は約8割。米債市場がリセッ
ションを意識するのに対し株式市場では依然「ソフトランディング(軟着陸)」がコンセンサスだ。景気後退に目が向けばもう一段のリスクオフ
の可能性もある。
緊迫化する中東情勢への反応も鈍い。7月末、イスラム組織ハマスのハニヤ最高指導者(当時)がイランの首都テヘランで暗殺された。
イランはイスラエルによる攻撃だとして報復を示唆する。1バレル76ドル台で推移する米原油先物が今後、急上昇しないかには注意が必要だ。
波乱相場が続く場合、相場全体との連動性が低い銘柄に資金を逃がすのも選択肢になる。過去60カ月ベースで東証株価指数(TOPIX)と
連動性が低く配当利回りが2.5%以上と比較的高い銘柄を抽出したところ、明治ホールディングスやツルハホールディングスなどが入った。
内需銘柄は一般に円高が進めば輸入コストが低下するメリットもある。
日本株を襲った夏の嵐は一旦収まったかにも見える。だが、日米の金融政策の先行きに市場関係者はこれまで以上に神経をとがらせる。
11月の米大統領選も不確実性をもたらす。リスクを再点検し、賢く備えよう。
市場のボラティリティー(変動率)は株価急落前より高い水準が続き、日本株には当面、乱高下への警戒が必要との声が聞かれる。今後
の日経平均株価の見通しについては、年末にかけて4万円前後まで上昇するとの予想が多い。企業統治改革や少額投資非課税制度(NI
SA)経由の個人マネーの流入が続くためだ。ただ為替の前提が変わり、今年の高値(4万2224円)には届かないとの見通しだ。
ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは年末に4万円を試すと予想する。3万5000円程度に戻った後、米大統領選前
まではもみ合う。その後、不透明感の払拭で年末高という流れだ。「米株安は買われすぎだったハイテク株の調整にすぎない。米経済の
ソフトランディング(軟着陸)シナリオは崩れていない」と話す。
野村アセットマネジメントの石黒英之チーフ・ストラテジストは日米の金融政策に注目する。外国為替市場で円高が進んだこともあり「
日銀による年内の追加利上げはない」とみる。一方、米国では9月の0.5%利下げが織り込まれている。「米利下げはバリュエーション(投資
尺度)を押し上げる」と予想する。日本企業の1株当たり利益(EPS)の拡大も評価され、年末には3万8500円まで戻るという。
9月高値を予想するのは智剣・Oskarグループの大川智宏主席ストラテジストだ。PER(株価収益率)面での割安感などから短期的に3万
7000円までは上昇する想定だ。ただ「それ以上は買う材料がない」。特に4?9月期の決算発表に警戒する。円高が止まらなければ企業
業績の下方修正ラッシュが起こりうる。仮に米大統領選でトランプ氏が勝利すると地政学リスクも一段と高まりかねない。11月に3万1000円
と今回の安値水準まで下がるとみる。
ある」(石黒氏)という。米経済統計に左右されやすい相場環境を想定すべきだろう。
今後の物色動向を聞いたところ、内需関連銘柄を挙げる意見が多かった。日米金利差が縮小方向にある中で1ドル=160円台などの円安
は見込みづらい。食品や外食では価格転嫁を進めてきた企業も多く、「円高になれば原材料コストが下がり、利ざやが改善する」(大川氏)と
いう。
日銀の追加利上げなしを前提に金利関連銘柄を有望と見る声もある。ピクテ・ジャパンの松元氏は「不動産や電力、鉄道など有利子負債の
多い銘柄が買い戻される可能性がある」と指摘する。
円高・ドル安へ、修正相次ぐ
外国為替市場では円高・ドル安方向への予想修正が相次いでいる。日銀による想定外の利上げやFRBの利下げ示唆、米景気後退懸念
などの材料が重なり、積み上がっていた円売り・ドル買いの逆回転が加速した。ボラティリティーの急激な上昇で、内外の金利差を口実とし
た円売りも入りにくくなっている。
みずほ証券は5日、2024年末の円相場の見通しを1ドル=155円から146円に修正し、25年末には130円に向かうとした。山本雅文チーフ
為替ストラテジストは「市場で円の買い戻し需要はなお強い」とみる。輸出企業によるドル売りの動きが今後本格化すれば円高進行が加速
する可能性がある。
三井住友銀行の鈴木浩史チーフ・為替ストラテジストは「市場参加者は中長期のポジションがとりにくい。経済指標で大きく動く展開が
続く」と警戒する。米景気減速が顕在化し、FRBの利下げへの思惑が広がれば一段の円高材料になるとみて、想定レンジを135?152円と
置く。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作チーフ為替ストラテジストも24年末の円相場見通しを154円から147円に修正した。もっとも
輸入企業による円売り・ドル買いや個人の外貨建て資産への投資需要といった円安要因が消えたわけではなく、「140円を超える円高水準
では一定のドル買いが入る」と分析する。
日銀の金融政策見通しについて市場の見方は揺れている。植田和男総裁の(利上げに積極的な)タカ派姿勢が急激な円高の一因と
なっただけに日銀は動きにくくなるとの声があがる。SBI証券の道家映二チーフ債券ストラテジストは「株価の大幅調整が消費や企業の
賃上げ意欲を冷やす可能性がある」と指摘。年内に日銀が利上げに動く可能性は後退したとみる。
長期金利については「利上げ観測が後退する中で上昇要因は乏しくなった」(岡三証券の長谷川直也チーフ債券ストラテジスト)。長谷川
氏は年内0.7?1.4%で推移すると予想する。
米国の金融政策も円相場を左右する材料だ。年内1%以上の利下げを見込む割合が8割程度と市場は大幅利下げを視野に入れる。東海
東京証券の佐野一彦チーフ債券ストラテジストは「遅かれ早かれ米国は景気後退に陥る可能性が高く、景気の落ち込みに応じて利下げ幅
は大きくなる」と指摘する。
2024/08/11 04:00 日経速報ニュース
日経平均、売り買い交錯
今週の日経平均株価は神経質な値動きになりそうだ。歴史的乱高下の余波で売り買いが交錯し、相場の方向感は定まりにくい。外部
要因によっては再び波乱が起きかねない。
前週の日経平均は米国景気の後退懸念や急速な円高進行を受けて急落し、その後急反発した。PER(株価収益率)が低下した半導体
関連株などには押し目買いが入りやすいが、「株価水準を上げると戻り待ちの売りが出る。上がったら下がるの繰り返しになりそうだ」(
りそなアセットマネジメントの下出衛チーフ・ストラテジスト)。
三菱UFJアセットマネジメントの石金淳チーフファンドマネジャーは「日本株相場の上下動は続くものの、変動率自体は徐々に収まって
いく」とみる。
14日発表予定の7月の米消費者物価指数(CPI)は米国株を含む相場の変動要因になる。中東情勢への懸念もあり、予断を許さない
状況が続く。
米金利、上昇余地探る
米債券市場で長期金利の指標となる10年物国債利回りは上昇余地を探る展開か。7月の米雇用統計の下振れなどを受け、前週には
一時3.6%台と1年2カ月ぶりの低水準を付けた。ただその後は米景気に対する過度な悲観が後退し、再び4%を付ける場面もあった。
今週もこの流れを引き継ぎ債券売りが続く可能性がある。
岡三証券の鈴木誠シニア債券ストラテジストは「米連邦準備理事会(FRB)が年内に利下げに動くとの観測がある以上、米長期金利が
4%という居心地が良い水準から大きく上昇するとは考えにくい」と指摘する。
国内債券市場では長期金利が横ばい圏の推移となりそうだ。14日には財務省が5年物国債の入札を実施する。前週には金利が急低下
するなかで10年債入札が歴史的な不調となった。5年債入札でも需要が集まらなければ債券需給の緩みを意識して中期債を中心に売りが
強まる可能性もある。
円相場、夏休み・祝日に警戒
外国為替市場で円は上値を試す展開との見方が多い。前週には一時1ドル=141円60銭台まで上昇した後、147円台後半を付ける場面
もあるなど値動きが激しい展開となった。低金利の円を調達して高金利のドルで運用する「円キャリー取引」の巻き戻しの動きとみられており、
円売り持ち高解消目的の円買いが入りやすい地合いが続きそうだ。
市場では「前週に激しく動いたことに加えて、夏休みの影響で市場の流動性が落ちており、値動きが大きくなりやすい」(みずほ銀行の
南英明ディレクター)との指摘がある。12日は日本が祝日となるため取引が一段と細り、想定外の値動きとなる可能性もある。
14日には7月の米消費者物価指数(CPI)が発表される。米連邦準備理事会(FRB)の早期利下げが意識されており、インフレの鈍化が
確認されれば急速な利下げを織り込みながらドル安が進む展開となりそうだ。
原油・金は底堅い展開に
原油市場は小幅に上昇する展開か。前週は米国や中国の景気減速懸念が和らぎ、投資家心理が改善した。週内には米国の生産者物価
指数(PPI)や消費者物価指数(CPI)などの発表を控える。景気の底堅さが示されれば、原油にも買いが波及しそうだ。
前週は米失業保険申請件数が市場予想を下回ったことや、中国の消費者物価指数が改善したことから米中経済の減速懸念が後退。
投資家のリスクオン選好姿勢が強まり原油先物に買いが入った。
みずほ銀行の江口侑希ヴァイスプレジデントは「米経済統計を引き続き注視する必要はあるが、相場全体の悲観的な見方はやや和らい
でいるため小幅に上がる可能性がある」とみる。中東情勢悪化への警戒も引き続き相場を下支えしそうだ。
金(ゴールド)相場は中央銀行の買いなどを背景に底堅く推移している。中東の地政学リスク警戒や米利下げ観測が引き続き相場を
下支えしそう。
2024/08/12 04:00 日経速報ニュース
日本株のボラティリティー(変動率)が高まり、急激な下げへの警戒は残る。荒れ相場の駆け込み寺となる銘柄は何か。相場全体の値動き
に対する感応度や配当利回りなどの指標でスクリーニングしたところ、食品や小売り、住宅関連などの業種が浮かび上がった。
QUICKのデータを使い、東証株価指数(TOPIX)採用で時価総額100億円以上、予想配当利回りが2.5%以上などの条件を満たす銘柄を抽出
し、対TOPIXのベータ値(60カ月)が低い順に並べた。新型コロナウイルス禍の影響を考慮し、短期(180日)のベータ値が平均より低いことも
条件とした。
ベータは個別株と相場全体の動きの相関を表す値。TOPIXなどの指数と同じ動きなら「1」となる。1より小さくなるほど感応度が小さく、相場
の調整局面で下値抵抗力を発揮する。内需中心で業績が安定している企業のほか、財務レバレッジの低い場合などに小さくなりやすい。
投資家からの関心を表す指標とも解釈できるため、外国人持ち株比率と一定程度の負の相関があるとされる。「世界が本格的なリセッション
に向かうのであれば、低ベータ銘柄への投資が有効になる」(野村アセットマネジメントの石黒英之チーフ・ストラテジスト)
リストで目立つのが食品銘柄だ。総菜製造のフジッコや製粉会社のニップンなどはベータ値が0.05程度。市場全体の値動きに対する感応度
が極めて小さい銘柄群といえ、日経平均が連日で大幅下落した8月1日からの3営業日も株価下落率は日経平均(20%)より10ポイント以上
小さかった。
業績の安定性も注目される。食品メーカーや外食への液卵販売を主力とするイフジ産業は前期(2024年3月期)まで10期連続の営業増益
だった。液卵事業は「今年に入って販売数量が前年を上回り回復傾向にある」(同社)といい、25年3月期の営業利益は前期比12%増と過去
最高を計画する。
営業地盤を地方に置く銘柄にも注目だ。業績がグローバル景気に左右されにくいため、世界的なリスクオフ局面では有望な投資先になる。
茨城県や千葉県などの関東圏で大規模ホームセンターを展開するジョイフル本田はベータ値がマイナスで、市場全体が下落したときにむしろ
株価が上昇しやすいという珍しい特徴を持つ。ジョイ本田株は8月5日までの3営業日で6%安にとどまった。
このほか栃木県に本社を置くドラッグストアチェーンのカワチ薬品、北関東を中心にスーパーマーケットを展開するエコスといった小売銘柄も
ベータ値が低い。
リスクオフ局面では投資家の関心が配当に集まりやすいため、還元実績や財務体質に注目することも重要だ。福岡県などを地盤に住宅建
材・設備をてがけるOCHIホールディングスは、24年3月期まで13期連続で増配中だ。今期から「連結配当性向30%以上」との目標を新たに導入
し、積極的な還元姿勢を打ち出している。
化粧品のノエビアホールディングスも23年9月期まで12期連続で増配している。株主還元を含めたキャッシュマネジメントに注力し、自己資本
利益率(ROE)は過去5期平均で13.2%と、同業他社に比べて高い。足元の配当利回りは4%台と、東証プライム市場の平均(約2.6%)を上回って
いる。
「ディフェンシブ株をポートフォリオに加えるのは今からでも遅くない」。米モルガン・スタンレーのチーフ米国株ストラテジスト、マイケル・ウィル
ソン氏は8月初めの相場急変を受けて投資家向けリポートにこう記した。ディフェンシブ株に対する景気敏感株のリターン優位は4月頃にピーク
をつけたと指摘。過去のリスクオフ局面に照らし合わせれば、ディフェンシブ株への資金シフトはここからある程度時間をかけて進むとみる。
日本株に比べ株価の振幅が小さい米国株市場でも物色はディフェンシブ性の高い銘柄に向かっている。S&P500種株価指数が直近の高値
をつけた7月16日からの騰落率をみると、上位にはヘルスケアや公益株が多く並ぶ。業績の変動が小さく、相対的に配当利回りが高いこと
などがリスクを回避したい投資家からの関心を集めている。
ヘルスケアでは医療施設運営のHCAヘルスケアやユニバーサル・ヘルス・サービシズ、産業用品大手スリーエムのヘルスケア部門として
4月に分離上場したソルベンタムなどに買いが集まっている。英バークレイズが7月下旬、「市場シェア拡大が期待できる」などとしてHCAヘル
スケアの目標株価を376ドルから396ドルに引き上げるなど、4?6月期決算発表を経て好業績を再評価する動きも出ている。
公益ではエジソン・インターナショナル、エバーソース・エナジーなど電力会社が高い。予想配当利回りが4%前後、予想PER(株価収益率)
が14?16倍台と、割高感のあるテック株などに比べた投資指標面での堅実さに注目が集まっているようだ。
市場全体の値動きに対する感応度であるベータ値が低い銘柄が物色されていることも特徴だ。米国防総省を主要顧客とする防衛企業の
ノースロップ・グラマン、ニューヨーク市に電気やガスなどのインフラを供給するコンソリデーテッド・エジソンは、対S&P500のベータ値(60カ月
)が0.3程度と小さい。
その中で米国では日本と異なり消費株が敬遠されていることには注意が必要だ。「労働市場が軟化し、米国の投資家は消費株をリスク視
している」(米ゴールドマン・サックスのチーフ米国株ストラテジスト、デイビッド・コスティン氏)。失業率の上昇や賃金上昇の鈍化によって
消費意欲の減退が予想され、スナック食品のケラノバなど一部の銘柄を除けば軟調な消費株が目立つ。ヨガウエアなどスポーツ用品の
ルルレモン、美容小売りのアルタ・ビューティーの株価は3週間で約2割下落した。
2024/08/12 日本経済新聞 朝刊
投機筋による円安圧力が弱まっている。米商品先物取引委員会(CFTC)によると、6日時点でヘッジファンドなど非商業部門(投機筋)の
円売り越し幅は1万1354枚(1419億円)に減った。年初からの円安局面は転機を迎えた。
前週比で6万2106枚(85%)急減し、2021年3月以来、約3年5カ月ぶりの少なさとなった。ロシアによるウクライナ侵略などを背景に
インフレが加速し、米連邦準備理事会(FRB)が22年3月に利上げを開始する前の水準に戻った。
円売り越し幅の推移は、低金利の円を調達してドルなどの高金利通貨で運用して金利差収益を得ようとする「円キャリー取引」の動向の
一部を表すとされる。円を売って高金利通貨に両替するため、この取引が活発になるほど円売り圧力が強まる。
7月中旬に1ドル=161円台を付けていた対ドルの円相場は8月5日に一時、1ドル=141円60銭台まで上昇。この過程でCFTCのデータ
上は円売り越し幅がゼロに近づいたため「円キャリー取引の一部は解消した可能性がある」(あおぞら銀行の諸我晃チーフ・マーケット・スト
ラテジスト)。
市場では円キャリー取引の規模感を巡り、論争が続いている。米ゴールドマン・サックスはCFTCデータからは「円キャリー取引は9割程度
は巻き戻されたといえる」と指摘。米JPモルガン・チェースは6日時点で5~6割程度、その後も7割台まで巻き戻しが進んだとの見方を示す。
スイスの金融大手UBSは巻き戻しの規模を4割程度とみる。
ヘッジファンドなどの投機筋は手元資金に借入資金を合わせてレバレッジ(てこ)をかけた運用を好む。円安が進んできた局面では、これに
円キャリーを組み合わせた取引が横行してきたとされる。その動きに逆回転がかかったことで円高・株安が共振し、大幅な株安をもたらしたと
の見方も出ている。
今週は14日発表の7月の米消費者物価指数(CPI)などが注目される。りそなホールディングスの井口慶一シニアストラテジストは「円相
場は1ドル=145~150円あたりで落ち着きどころを探る展開になりそうだ」と話す。
2024/08/16 日本経済新聞 朝刊
会社員が海外転勤しても、少額投資非課税制度(NISA)を通じ投資を継続できるようになる。証券・銀行の主要13社を調べると、口座の閉鎖
・解約を求めていたみずほ銀行、SBI証券が解約ルールを改定すると明らかにした。すでに手当てしている三菱UFJ銀行などを含めると大半の
金融機関が対応し、NISA口座を閉鎖・解約しなくて済むようになる見通しだ。
日本経済新聞はネット・対面の大手証券10社とNISA口座の開設数が多い3メガバンクを対象に海外転勤時のNISA口座の対応を調べた。
野村・大和など6つの証券会社と三菱UFJ銀行はすでにNISA口座を維持できるルールを整えているが、残る半数は口座の閉鎖や一般口座
へ移管することを求めていた。
SBI証券は2025年1月、みずほ銀は同年までに海外転勤時でもNISA口座を維持できるよう手当てし、三井住友銀もルール改定を検討して
いるという。NISA口座数が500万を突破したSBI証券を含め、3社合算で対象顧客数は600万人程度にのぼるとみられる。楽天証券は15日、
24年秋ごろまでに口座を継続保有できる対象商品を拡充すると明らかにし、auカブコム証券もルール改定を予定しているという。
閉鎖・解約ルールは日本と現地国の税制の違いを意識して設定している。
口座の閉鎖、売却や一般口座への移管などが必要と回答したauカブコム証券は「出国期間中に取引を行った場合、居住地での規制などに
抵触する可能性がある」と説明する。NISAは日本の制度で、適用が及ばない現地で税制上のトラブルを懸念する声が根強い。海外にいると、
相場急変時の情報をすぐに案内することが難しくなるという理由をあげた社もあった。
NISAは「18歳以上の日本の居住者」が対象で、海外に移住した場合は税法上制度が利用できなくなる。政府は海外転勤者を念頭に19年
から書類を届け出れば、新規買い付けなど制約を伴うものの最長5年まで非課税で株式などを保有できる制度を導入している。
NISAのモデルとなった英国のISA(個人貯蓄口座)制度では海外に転勤した場合も口座を維持できるのが一般的だ。ただ、日本の場合は
一般的ではなかった。
みずほ銀は新NISAで非課税期間が5年から無期限となり「顧客の資産形成に与える影響が大きくなったため継続保有制度の導入を検討して
いる」と回答した。
そもそも会社員側の意識の問題もある。
「海外に赴任しても制度を知らずにNISAの手続きをしていない事例も多い」。大手企業の従業員らを対象に資産形成の相談に乗るFPコンサ
ルティング(大阪市)の塩見太郎取締役はこう説明する。周知が十分にされていないのが背景にあるとみられる。
塩見氏は海外転勤が長い従業員に対しては外貨建て保険のほか、勤務地である海外金融機関の商品についても助言しているという。海外
赴任時の制限を知らずにNISA口座を維持して買い付けを続けた場合、現地の税務当局に摘発されるリスクを抱えることになりかねない。
外務省によると、海外転勤者に代表される3カ月以上海外に居住して将来的に帰国する予定の在留邦人は23年で71万人いる。新型コロナ
ウイルス禍で減少が続いているものの、大手の総合商社や製造業、金融機関にとって駐在員をおくる意義は幹部候補生の育成などを含めなお
大きい。
新NISAは制度の恒久化や非課税枠の拡大が柱だ。日本証券業協会によると証券10社のNISA口座数は6月末時点で1520万件と前年
同期比で3割増え、ネット5社は全体の8割近くを占めた。新NISAで投資信託を長期で積み立て、運用益を狙う手法が広がる。転勤で解約を
余儀なくされれば運用の利点が薄れかねない。
調査を実施した金融機関からは「税務手続き全般が簡素化されれば、継続を前提とする手続きへの変更も可能」といった声も漏れた。税務上
のトラブルを回避しながら顧客の長期投資を支援する、金融機関による工夫だけでなく、政府による制度の手直しも重要になってくる。
2024/08/17 04:00 日経速報ニュース
新しい少額投資非課税制度(NISA)で「高配当株」を買う人が増えている。定期的に非課税で配当を受け取れることが魅力のようだ。高配当
株には相場全体が下げた時にも株価が底堅く推移するといった特徴もある。個人投資家に人気の銘柄や銘柄選びの手掛かりについてまとめた。
人気銘柄は配当利回り高く
NTT、三菱UFJフィナンシャル・グループ、日本たばこ産業(JT)――。今年の上半期にNISA口座で買い付け額が大きかった個別株の上位に
は誰もが名前を知っている大手企業が並ぶ。共通するのが配当利回りの高さだ。
配当利回りは1年間の配当額を株価で割って求める。投資額に対し受け取る配当が何%かを示す。日経平均株価の採用銘柄の単純平均は
約2.0%だが、16日時点の上位10社の平均は3.5%、8社が3%を超す。
配当利回りが高ければ単純に魅力的な銘柄とは言い切れない。業績への懸念などにより株価が下落し、配当利回りが高くなるケースもある
ためだ。配当は企業の業績などにより変化する。投資した銘柄の株価が下がったうえ、減配となれば「損失」は大きい。投資を検討する際には
まず企業の配当方針を確認したい。
「減配しない」方針も
配当の方針は企業により異なり、方針を決めている場合は決算説明資料や投資家向けサイトなどに記載するのが一般的だ。配当を決める
基準となる指標を定め、目安を示すことが多い。複数の基準を組み合わせる例もある。
代表的な指標が配当性向だ。配当性向とは決算の最終的な利益のうち、配当に振り向ける割合を示す。例えば配当性向を40%としている
企業の純利益が100億円なら、40億円を株主で分ける。配当は利益に比例するため、原則として増益なら配当が増え、減益なら減る。東証に
上場する企業の平均は30%台だ。
最近は「株主資本配当率(DOE)」を掲げる企業も多い。株主から集めたお金と過去に稼いだ利益などから、一定割合を配当に回す。配当
性向に比べ配当の水準が安定しやすい。野村不動産ホールディングスは2025年3月期からDOE4%を配当の下限とした。日本特殊陶業も
DOE4%程度を配当の下限にするとしている。
原則として減配をしない「累進配当」もある。現在の配当水準を維持または増額する。大手商社5社が採用しているほか、最近ではマツキヨ
ココカラ&カンパニーや三菱地所が導入した。累進配当は将来にわたり安定して利益を稼ぐ自信の表れとみることもできる。
過去の実績を確認
企業側が配当方針を明確にしていないときは、過去の実績が手掛かりになる。業績が振るわないときに減配をしていなければ、安定配当を
志向している可能性が高いといったことが読み取れる。配当に着目した投資信託を運用する、野村アセットマネジメントの佐藤智喜シニア・ポー
トフォリオマネージャーは「決算説明会の資料にヒントが記載されていることがある」と話す。
例えば資料の中に過去10年間の配当が一度も減配せず右肩上がりだと示すページがあれば「明確な方針を打ち出さないまでも、配当を重視
している可能性が高い」(佐藤氏)という。こうした企業は業績が堅調なら翌年も増配を期待できるというわけだ。
過去数年といった長い期間での業績や株価の推移についても確認したい。企業によって業績の変動のしやすさや株価の動きには特徴がある。
配当が安定していても、株価が下がれば全体としての運用成績は悪化してしまう。
株価や業績、配当の推移は企業の投資家向けサイトや日経電子版で確認できる。日経電子版には過去10年間の株価上昇率に配当を加味
した「投資収益率」を調べるサイトもある。特に長期の運用では株価の上昇率と運用成績に大きな差が出る場合がある。
野村アセットの佐藤氏は「値上がり益を狙えないときでも、ほぼ確実に収入を得られるのが配当の魅力」と指摘する。ただ、配当株も特定の
銘柄に偏らせず、分散させるのが鉄則だ。少額で投資先を分散させたいなら、高配当銘柄で運用する投資信託も選択肢になる。信託報酬など
の手数料はかかるが1万円といった比較的少額で投資ができる。
2024/08/17 16:00 日経速報ニュース
日本株のボラティリティー(変動率)が高まり、急激な下げへの警戒は残る。荒れ相場の駆け込み寺となる銘柄は何か。相場全体の値動き
に対する感応度や配当利回りなどの指標でスクリーニングしたところ、食品や小売り、住宅関連などの業種が浮かび上がった。
QUICKのデータを使い、東証株価指数(TOPIX)採用で時価総額100億円以上、予想配当利回りが2.5%以上などの条件を満たす銘柄を抽出
し、対TOPIXのベータ値(60カ月)が低い順に並べた。新型コロナウイルス禍の影響を考慮し、短期(180日)のベータ値が平均より低いことも
条件とした。
ベータは個別株と相場全体の動きの相関を表す値。TOPIXなどの指数と同じ動きなら「1」となる。1より小さくなるほど感応度が小さく、相場
の調整局面で下値抵抗力を発揮する。内需中心で業績が安定している企業のほか、財務レバレッジの低い場合などに小さくなりやすい。
投資家からの関心を表す指標とも解釈できるため、外国人持ち株比率と一定程度の負の相関があるとされる。「世界が本格的なリセッション
に向かうのであれば、低ベータ銘柄への投資が有効になる」(野村アセットマネジメントの石黒英之チーフ・ストラテジスト)
リストで目立つのが食品銘柄だ。総菜製造のフジッコや製粉会社のニップンなどはベータ値が0.05程度。市場全体の値動きに対する感応
度が極めて小さい銘柄群といえ、日経平均が連日で大幅下落した8月1日からの3営業日も株価下落率は日経平均(20%)より10ポイント以上
小さかった。
業績の安定性も注目される。食品メーカーや外食への液卵販売を主力とするイフジ産業は前期(2024年3月期)まで10期連続の営業増益
だった。液卵事業は「今年に入って販売数量が前年を上回り回復傾向にある」(同社)といい、25年3月期の営業利益は前期比12%増と過去
最高を計画する。
営業地盤を地方に置く銘柄にも注目だ。業績がグローバル景気に左右されにくいため、世界的なリスクオフ局面では有望な投資先になる。
茨城県や千葉県などの関東圏で大規模ホームセンターを展開するジョイフル本田はベータ値がマイナスで、市場全体が下落したときにむしろ
株価が上昇しやすいという珍しい特徴を持つ。ジョイ本田株は8月5日までの3営業日で6%安にとどまった。
このほか栃木県に本社を置くドラッグストアチェーンのカワチ薬品、北関東を中心にスーパーマーケットを展開するエコスといった小売銘柄も
ベータ値が低い。
リスクオフ局面では投資家の関心が配当に集まりやすいため、還元実績や財務体質に注目することも重要だ。福岡県などを地盤に住宅建
材・設備をてがけるOCHIホールディングスは、24年3月期まで13期連続で増配中だ。今期から「連結配当性向30%以上」との目標を新たに導入
し、積極的な還元姿勢を打ち出している。
化粧品のノエビアホールディングスも23年9月期まで12期連続で増配している。株主還元を含めたキャッシュマネジメントに注力し、自己資
本利益率(ROE)は過去5期平均で13.2%と、同業他社に比べて高い。足元の配当利回りは4%台と、東証プライム市場の平均(約2.6%)を上回
っている。
「ディフェンシブ株をポートフォリオに加えるのは今からでも遅くない」。米モルガン・スタンレーのチーフ米国株ストラテジスト、マイケル・ウィ
ルソン氏は8月初めの相場急変を受けて投資家向けリポートにこう記した。ディフェンシブ株に対する景気敏感株のリターン優位は4月頃
にピークをつけたと指摘。過去のリスクオフ局面に照らし合わせれば、ディフェンシブ株への資金シフトはここからある程度時間をかけて進む
とみる。
日本株に比べ株価の振幅が小さい米国株市場でも物色はディフェンシブ性の高い銘柄に向かっている。S&P500種株価指数が直近の高値
をつけた7月16日からの騰落率をみると、上位にはヘルスケアや公益株が多く並ぶ。業績の変動が小さく、相対的に配当利回りが高いこと
などがリスクを回避したい投資家からの関心を集めている。
ヘルスケアでは医療施設運営のHCAヘルスケアやユニバーサル・ヘルス・サービシズ、産業用品大手スリーエムのヘルスケア部門として
4月に分離上場したソルベンタムなどに買いが集まっている。英バークレイズが7月下旬、「市場シェア拡大が期待できる」などとしてHCA
ヘルスケアの目標株価を376ドルから396ドルに引き上げるなど、4?6月期決算発表を経て好業績を再評価する動きも出ている。
公益ではエジソン・インターナショナル、エバーソース・エナジーなど電力会社が高い。予想配当利回りが4%前後、予想PER(株価収益率)
が14?16倍台と、割高感のあるテック株などに比べた投資指標面での堅実さに注目が集まっているようだ。
市場全体の値動きに対する感応度であるベータ値が低い銘柄が物色されていることも特徴だ。米国防総省を主要顧客とする防衛企業の
ノースロップ・グラマン、ニューヨーク市に電気やガスなどのインフラを供給するコンソリデーテッド・エジソンは、対S&P500のベータ値(60カ月)
が0.3程度と小さい。
その中で米国では日本と異なり消費株が敬遠されていることには注意が必要だ。「労働市場が軟化し、米国の投資家は消費株をリスク視
している」(米ゴールドマン・サックスのチーフ米国株ストラテジスト、デイビッド・コスティン氏)。失業率の上昇や賃金上昇の鈍化によって
消費意欲の減退が予想され、スナック食品のケラノバなど一部の銘柄を除けば軟調な消費株が目立つ。ヨガウエアなどスポーツ用品の
ルルレモン、美容小売りのアルタ・ビューティーの株価は3週間で約2割下落した。
2024/08/19 05:00 日経速報ニュース
日経平均株価が歴史的な下落から急回復している。米景気への過度な悲観が後退し、米国株も持ち直した。今後の日米株の戻りの持続力
は米景気の先行きによるところが大きい。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が23日、年次経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」で
米経済にどのような見解を示すかに注目が集まっている。
「米消費の強さはポジティブ・サプライズ。景気後退懸念が瞬時にかき消された」。ピクテ・ジャパンの糸島孝俊ストラテジストは15日発表の米
7月小売売上高の内容に驚く。季節調整済みで前月比1.0%増と市場予想(0.3%増)を大幅に上回り、日米株が回復基調を強める原動力になった。
日経平均は7月11日の最高値(4万2224円)から、8月5日の安値(3万1458円)までに1万0766円下げていた。6日以降、16日までの8営業日
で6604円(21%)上昇し、「半値戻し」を達成した。米国株ではS&P500種株価指数が13日に半値戻しとなった。
「半値戻しは全値戻し」。相場格言では下げ幅の半分を埋め戻す反発力があれば、再び高値(全値)を回復すると言われる。今回はどうか。
株式市場の様々な指標を見渡すと早期にというわけにはいかなそうだ。
投資家心理を示す指標は改善が著しい。市場関係者が将来の株価の値動きをどうみているかを測り「恐怖指数」とも呼ばれる予想変動率は
落ち着いてきた。
米国株の「VIX指数」は8月5日に一時65台と2020年3月のコロナ・ショック以来の水準まで上昇したが、16日に14.8まで急低下した。市場が
「今後1年間にS&P500が68%の確率で上下14.8%の範囲で動く」と見込んでいることを示す。
日本株も同様だ。日経平均のボラティリティー・インデックス(VI)が5日の70.7から下がり、16日に26.5となった。ただ、警戒水準とされる20は
なお上回り、荒い値動きが当面続く可能性がある。
業績面や株価のバリュエーション(投資尺度)をみると、日本株は売られすぎの局面を脱し、そろそろ上値追いには慎重になりそうにみえる。
業績は上振れ傾向にある。企業の2024年4?6月期決算を経て、業績予想を上方修正するアナリストが多い。野村証券がアナリスト予想の
上方修正と下方修正の割合を基に算出する主要企業の「リビジョン・インデックス(RI)」は、16日時点でプラス35.2(25年3月期基準、金融除く)
と、21年9月以来の高水準にある。
株価が予想EPS(1株当たり利益)の何倍まで買われているかを示す予想PER(株価収益率)をみると、日経平均採用銘柄では7月の17倍台
から一時は13倍台に低下し、16日は15.6倍となっている。2014年初から23年末までの10年間平均(14.9倍)を少し上回る水準だ。
ドル円相場が1ドル=160円を上回る円安水準にあり、企業業績の上方修正期待が高かった7月はPERが17倍まで高まったが、現状では円安
修正が進んだ。SBI証券の鈴木英之投資情報部長は当面の上限を16倍台とし、日経平均は3万9000円程度まで上昇余地があるとみる。
一方、米国企業の業績には向かい風が吹く。QUICK・ファクトセットによると、S&P500の24年の予想EPSは16日時点で240.88ドルと5月28日
の243.11ドルをピークに減少基調が続く。米景気や世界景気の減速が背景にある。
予想PERは23倍と今年のピークに近く過去10年平均の19倍台を大きく上回る。業績懸念や割高感が米国株の上値を抑え、日本株も上がりに
くくなる展開も予想される。
過去の半値戻し後の株価はどうだったか。日経平均の5日の急落は、1987年10月の「ブラックマンデー」時に似ていると指摘される。急落前に
広がっていた株式市場の過熱感や高インフレ率などが類似点とされる。当時、日経平均は急落から2日後に半値戻しを達成したものの、1カ月
もたたないうちに二番底をつけた。全値戻しには6カ月かかった。
引き下げたものの「今後の道筋はデータ次第」とし、「市場は成長状況や労働市場に関するニュースに対して通常よりも敏感になる」と指摘する。
インベスコ・アセット・マネジメントの木下智夫グローバル・マーケット・ストラテジストも「日米株はつまるところ米経済の先行きが最も重要になる。
雇用統計などの経済指標が下振れすれば、後退懸念が再燃し、2番底を迎えるシナリオも生じうる」と話す。
今週は目立った経済指標の発表がない一方、22?24日には主要中央銀行の首脳や経済学者による経済シンポジウム「ジャクソンホール会
議」が開かれる。注目点はパウエルFRB議長の講演だ。
焦点は、米国経済の現状認識をどう示すかと、利下げの進め方についてどう匂わせるかだ。インベスコの木下氏は「ハト派的な話しぶりなら
マーケットに再び安心感をもたらし、日米株の支えになる」と話す。
9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ幅について、示唆がないかについても関心が高い。7月末のFOMC後の記者会見でパウエル
議長は0.5%の利下げを「現時点では考えていない」とした。0.5%幅を予測する市場関係者も多く「パウエル議長が考え方を変えたかどうかみて
みたい」(オランダの金融大手ING)との声が聞かれる。
8月2日の「雇用統計ショック」を受けて、投資家は米景気の先行きに慎重になった。株価急落の修正が終われば、ソフトランディング(軟着陸)
シナリオを信じていいのか確認しながら、恐る恐る上値を試す展開にシフトしていきそうだ。
2024/08/19 17:55 日経速報ニュース
日本株が落ち着きを取り戻しつつある。歴史的急落が起きた週には海外勢や個人による買いが判明した。もう一つの注目主体が年金積立
金管理運用独立行政法人(GPIF)だ。保有比率が目減りした日本株へのリバランス(再配分)出動の観測に加え、将来の日本株配分拡大の
思惑もあり巨大マネーの動向に関心が注がれている。
「GPIFが動いていないとは言えない規模だ」(フィリップ証券の増沢丈彦株式部トレーディング・ヘッド)。東京証券取引所が前週末に発表し
た8月第1週の投資部門別売買動向によると、主に年金勢の動きを映す「信託銀行」は現物株を2171億円買い越していた。週間買越額は
今年最大で前の週の9倍に膨らんだ。
信託銀は株価指数先物では東証株価指数(TOPIX)先物を売り越していた。先物を駆使した力強い買いは見えなかったが、市場参加者は
現物の買い急増に公的マネーの初動を嗅ぎ取った。
GPIFは国内株、外国株、国内債、外国債の4資産に25%ずつの配分を目標にしている。野村証券の推計では日本株の保有比率は一時
23%程度に急低下し、日経平均株価が3万8000円台まで急伸した16日も24.3%と目標比率をなお下回る。
GPIFは6月末時点で254兆円を運用し、主体的に持ち高調整に動けば1ポイントでも兆円単位の影響が及ぶ。国内株では上下8ポイントの
乖離(かいり)を許容しているが機動的に細かく調整しているとの見方が多い。
米連邦準備理事会(FRB)の利下げ開始も日本株への再配分を後押しするとの見方もある。円高の影響は考慮が必要ながら、金利低下は
外債の評価額向上につながるため「米金利が下がる局面では日本株にリバランス買いが入りやすい」(東海東京インテリジェンス・ラボの
仙石誠シニアエクイティマーケットアナリスト)。
海外投資家はかねてGPIFの動向に関心を寄せてきた。基本ポートフォリオを5年に1度見直す2025年度が近づき、名目の経済成長を見据
えた目標利回りの引き上げに伴ってリスク資産の配分を引き上げる期待が出ているためだ。
GPIFは「名目賃金上昇率+1.7%」を長期運用目標としている。モルガン・スタンレーMUFG証券の中沢翔ストラテジストは「期待利回りの
上方修正とともに日本株の配分を増やす可能性はある」と話す。14年秋に日本株の配分目標を12%から25%に引き上げた際には海外勢が
追随して日本株の買越額が直後に急増した。今回も他の投資家の投資行動に影響する可能性がある。
急落を受けて民間の年金マネーも動き出し始めた。約700事業所が加入する全国ビジネス企業年金基金(岡山市)は日本株が急落した
2日と5日、TOPIX連動型ファンドへの買い指図を信託銀に出した。前回の売買時から相場が7%以上動いてリバランスルールに触れたための
機械的な発注だ。
木口愛友・運用執行理事は「もともと調整局面とみて6月には株の持ち高を減らしていた」と語る。日次の相場動向でリバランスする仕組み
は日本の企業年金基金では珍しいという。木口氏は今回の相場急変に伴う他の企業年金のリバランスフローは「8月末の状況を踏まえて9月
に出てくる可能性がある」とみる。
時間がたつにつれ、今回の急落は短期マネーの一時的な混乱が主導した構図が浮かんできた。相場の急変に一喜一憂しない超長期マネ
ーの構えは個人投資家にも参考になる。
2024/08/21 02:00 日経速報ニュース
米国の有力ファンドが割高感のあった大型テック株の一部を6月末までに売却していたことが米当局への届け出から明らかになった。8月
上旬以降、株式相場が大きく乱高下する前に一定の利益を確保できたとみられる。一方で半導体や銀行を買い増す動きが目立った。保有
状況を見ると、今後の市場を占う手掛かりになりそうだ。
米国では総額1億ドル(約146億円)以上の株式を保有する投資家は、保有状況を米証券取引委員会(SEC)へ四半期ごとに届け出る必
要がある。主に米上場銘柄が対象で報告書は「フォーム13F」と呼ばれ、投資行動が垣間見える資料として注目されている。6月末時点分
の開示が8月半ばまでに出そろった。
24年3月末時点での保有銘柄と比較すると、グーグルの親会社であるアルファベットやアップルなど「GAFAM」に代表される大型ハイテク
株の持ち分を減らす傾向が明らかだった。
売却例が多いのはアルファベットだ。ヘッジファンド大手9社のうち、4?6月期にアルファベットを売却したのはソロス・ファンド・マネジメント
など5社にのぼった。アルファベットの1年先の予想PER(株価収益率)は1?3月に一時、18倍台に切り下がっていたものの、4?6月には20
?22倍台で推移し割高感が指摘されていた。
ダニエル・ローブ氏が率いるヘッジファンド、サード・ポイントはアルファベットや1?3月に買い増したメタの保有株式数を減らした。著名投
資家ウォーレン・バフェット氏率いる米投資会社バークシャー・ハザウェイは米アップル株の保有株式数を半減させた。
高値で利益を確定したい有力ファンドが絶好の売り場とみた可能性が高い。実際に7月中旬に直近高値を付けた大型テック株はその後
大きく調整している。「生成AI(人工知能)を活用して収益向上につなげられるか懸念が強まっている」(インベスコ・アセット・マネジメントの
木下智夫グローバル・マーケット・ストラテジスト)
テック株が売られたにもかかわらず、同じく急騰していたエヌビディアなどAI関連の半導体株を買い増す動きが鮮明だった。市場では「生成
AIビジネスの収益性に懸念があっても半導体需要が旺盛であることには変わりない」(木下氏)との見方があった。
1?3月に保有株数を減らしたアパルーサ・マネジメントをはじめ、4?6月には4社がエヌビディアを買い増した。台湾積体電路製造(TSMC
)はサード・ポイント、タイガー・グローバル・マネジメントなど3社が買い増した。
ただ、6月末以降のフィラデルフィア半導体株指数(SOX)は8月上旬に一時、19%安まで下げ、最大の下落率はGAFAMの時価総額の合計
(一時9%減)を上回っている。6月末以降の売買動向次第でファンドの運用成績に大きな影響が出る可能性がある。
商業銀行が主力の大手行の保有を増やす動きも目立つ。クオンツ運用のヘッジファンド、ツーシグマ・インベストメンツはJPモルガン・チェー
スを買い増しウェルズ・ファーゴに新規投資した。19日時点の米銀行株指数は6月末比7%高だ。
4?6月の米消費者物価指数(CPI)は前月比の上昇率がいずれも市場予想を下回り、年内の米利下げ観測が強まった。ピクテ・ジャパン
の田中純平ストラテジストは「米国の長短金利差が(短期金利よりも長期金利が高い)順イールドに戻る可能性を見越し、利ざや改善期待
から銀行株が買われた」と分析する。
大手テック以外に保有銘柄の売却が注目を集めたのは中国関連銘柄だ。アパルーサ・マネジメントは1?3月に買い増した電子商取引の
アリババ集団、検索大手の百度集団(バイドゥ)の保有株式数を削減した。
みずほリサーチ&テクノロジーズの月岡直樹主任エコノミストは「1?3月に中国政府が打ち出した株価テコ入れ策に持続的な効果がない
との見方が強まった」と指摘する。
逆張りで有名な、著名投資家マイケル・バーリ氏が率いる米サイオン・アセット・マネジメントはアリババと百度を買い増している。香港市
場に上場するアリババの19日終値は6月末比16%上昇し、百度はほぼ横ばい。GAFAMの時価総額(2%減)やSOX指数(4%安)を上回り、
今のところ逆張り投資に軍配が上がる。
8月上旬の相場変動を受け、有力ファンドが大型テックや半導体の保有株式数を減らしているのか、それとも買い増しているのか。次回の
公表ではその後の相場の回復も含めて、各ファンドの目利き力が垣間見えてきそうだ。
2024/08/22 19:18 日経速報ニュース
企業による自社株買いが、急落後の日本株相場の戻りを支えている。日本取引所グループが22日発表した投資部門別売買動向によれば、
事業法人は8月第2週(13日?16日)に現物株を2376億円買い越した。買越額は2週で7000億円を超え、年初からの累計では年間で過去
最大だった2022年を大きく上回るペースだ。
短期で資金を移動させるヘッジファンドなどの株価指数先物売りが一服したことで、企業や海外長期投資家による日本株買いが相場を押し
上げやすくなっている。
日経平均株価はこの週に3037円(8.7%)上げ、3万8000円を上回った。急落が始まった8月2日前の水準(1日の終値3万8126円)を回復。
週間の上昇率は「コロナショック」からの反発局面(20年4月2週、9.4%高)以来の大きさだった。
相場回復の主役は誰か。買いが目立ったのが事業法人だ。買い越しは24年初からの33週中28週。累積額は4兆円を超え、年間で過去
最大(5兆1892億円)だった22年を4割強上回るペースだ。
一般的に事業法人による自社株買いは自己資本が減り、自己資本利益率(ROE)を改善する効果がある。実施によって「自社の株価が
実力より割安すぎる」というメッセージを市場に送る意味合いもある。
足元で自社株買いをしているのは7月までに自社株買いを公表した企業が多いが、8月に入ってからも表明が続く。7日にはソフトバンクグ
ループが5000億円、NTTが2000億円を上限に取得枠を設けた。
海外勢も相場の戻りに貢献した。海外勢の現物買いは1872億円の買い越し。前週の買越額(4953億円)から減ったものの、企業価値を
分析して長期投資する投資家の買いが続いている。
背景にあるのが割安感の醸成だ。株価が1株あたり予想純利益の何倍買われているかを示す予想PER(株価収益率)は急落前は17倍
台だったが、急落で一時13倍台に低下。「6月に一旦日本株の保有を大きく落としたが、相場が落ち着きを見せれば追加で買いを入れたい」
(米生保系運用会社ニューヨークライフ・インベストメンツのジェイ・ユーン最高投資責任者)との声が増えた。
日経平均を海外勢の視点でドル換算すると7月11日につけた直近ピークを超え、5カ月ぶりの高値水準を回復済みだ。「超円安」に歯止め
がかかり為替相場が落ち着けば、長期マネー流入に弾みが付く可能性もある。
見逃せないのが、海外勢による株価指数先物の売り越し額がこの週は1195億円と小幅だった点だ。前の週まで4週間は5千億?1.2兆円
と巨額の売り越しが続いた。CTAなど相場の方向に沿って投資するヘッジファンドが7月までに膨らませた日本株先物の買い持ち高の解消
売りが一巡したことを示唆する。
JPモルガン証券の高田将成クオンツストラテジストは「CTAは15日前後から日本株先物の買いポジションを増やし始めたようだ」と話す。
日経平均の3万1000?3万8000円は2日間で駆け抜けた需給の真空地帯だ。東海東京インテリジェンス・ラボの鈴木誠一チーフエクイテ
ィマーケットアナリストは「先物売りが止まり、少額の現物株買いでも値を戻しやすくなっている」と解説する。
(今堀祥和)
【関連記事】
・株急落でも動じぬ個人投資家 「割安」判断、3000億円買い
・自社株買い銘柄にマネー 不安定相場が買いを後押し
・新興国超える日本株変動率「41%」 海外短期マネー席巻
SMBC日興証券が足もとの業績や事業環境を踏まえ、業績予想を修正。投資評価を「2」から「1」へ、目標株価を従来の3800円から5500円
へと引き上げた。
SMBC日興営業利益予想では、24.12期4300億円、25.12期4800億円、26.12期5200億円と、従来予想の同4000億円、3850億円、3650億
円で減益トレンドから、構造改革効果や既存事業の収益改善を織り込み、増益トレンドを継続の可能性が高まるとみている。
今後は、既存事業でのシェア/収益性拡大での相対優位の顕在化、中計最終年度の25.12期目標実現への収益改善/構造改革加速、次期
中計(~30.12期)策定/実行への経営体制/方針変化の可能性などに注目。加えて、中期的にはSMBC日興がこれまで同社の課題として
指摘してきたガバナンス体制の強化や金庫株消却、親子上場解消などの検討も次期中計に向けて議題となろう、と指摘している。
今2024年12月期連結営業利益を会社計画4650億円(EPS347.1円)に対し、従来予想4000億円(EPS285.2円)から4300億円(EPS318.6円)
へ、来2025年12月期同3850億円(EPS282.5円)から4800億円(EPS375.1円)へと修正し、2026年12月期同5200億円(EPS413.2円)と予想
している。
2024/08/23 20:22 日経速報ニュース
海外投資家が重視するドル建ての日経平均株価が約5カ月ぶりの高値水準で推移している。5日に日本株が急落する前の水準に回復し、
7月末比の騰落率は円建ての日経平均や米S&P500種株価指数を上回る。一方的な円安進行に歯止めが掛かった状況が今後も続けば、
長期目線の海外投資家が買いに動きやすくなり、日本株の下支えになるとの期待が高まる。
ドル建て日経平均は23日の終値が263ドルと、3月29日以来の高値水準を付けた。週初の19日に急落前の7月31日を上回り、高値で
推移している。他の主要指数と比べても堅調で、ドル建て日経平均は7月末比で3%高と日経平均(2%安)や米S&P500(1%高)を上回る。
円高は日本株に投資したい海外投資家には追い風だ。長期の投資家はドル建てのパフォーマンスで米国株などと比較するため、日本
株が好調でも円安が進行している局面では日本株を積極的に買えなかった。ゴールドマン・サックス証券の石橋隆行ヴァイス・プレジデン
トは「長期の海外投資家が、日本株を『持たざるリスク』を意識し始めてもいい水準になった」と話す。
円建ての日経平均株価は週間で1%上昇した。米株式市場の下落が日本の半導体関連株に波及し、19?23日の週間で東京エレクト
ロンが6%、アドバンテストが4%下げる中、ファーストリテイリングや中外製薬などの値がさ株がけん引した。
23日の衆参両院の閉会中審査では、日銀の植田和男総裁の発言に市場の注目が集まっていたが、外国為替市場と株式市場ともに
大きな動揺は無く通過した。りそなアセットマネジメントの戸田浩司シニア・ファンド・マネージャーは「市場との対話がうまくいき始めている。
このまま極度の円安リスクが後退して海外の長期投資家が買いに動けば、円高に振れるたびに株価が下がる動きがなくなり下支えに
期待できる」と話す。
もっとも、日本株自体の先行き不透明感は完全には拭えていない。経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」が24日まで開かれる予定
で、各国中央銀行トップらの発言がカギを握りそうだ。
【関連記事】東証大引け 日経平均、続伸 日銀総裁の発言支え
SMBC日興証券が足もとの業績や事業環境を踏まえ、業績予想を修正。投資評価を「2」から「1」へ、目標株価を従来の3800円から5500円
へと引き上げた。
SMBC日興営業利益予想では、24.12期4300億円、25.12期4800億円、26.12期5200億円と、従来予想の同4000億円、3850億円、3650億
円で減益トレンドから、構造改革効果や既存事業の収益改善を織り込み、増益トレンドを継続の可能性が高まるとみている。
今後は、既存事業でのシェア/収益性拡大での相対優位の顕在化、中計最終年度の25.12期目標実現への収益改善/構造改革加速、次期
中計(~30.12期)策定/実行への経営体制/方針変化の可能性などに注目。加えて、中期的にはSMBC日興がこれまで同社の課題として
指摘してきたガバナンス体制の強化や金庫株消却、親子上場解消などの検討も次期中計に向けて議題となろう、と指摘している。
今2024年12月期連結営業利益を会社計画4650億円(EPS347.1円)に対し、従来予想4000億円(EPS285.2円)から4300億円(EPS318.6円)
へ、来2025年12月期同3850億円(EPS282.5円)から4800億円(EPS375.1円)へと修正し、2026年12月期同5200億円(EPS413.2円)と予想
している。
2024/08/25 11:00
日経平均株価の下げ幅が5日に過去最大を記録するなど激動に見舞われた8月の東京株式市場。新しい少額投資非課税制度(NISA)
元年の夏に突然訪れた試練に、本来は逆張りが得意のはずの個人マネーは凍った。市場流動性と投資家層の薄さという課題が改めて
浮かび上がった。
暴落を招いた一因は、信用取引で追加証拠金の差し入れを迫られた個人投資家によるロスカット(損失限定)の売りだ。この週の個人
信用の売越額(東証・名証の合計)は3581億円。2007年2月以降で最大だった。
円キャリートレードの手じまいなどに伴う大規模な海外勢の株価指数先物売りで株価が急落し、評価損が膨らんだ人の多くが投げ売り
に追い込まれた。右肩上がりの相場が続いた慢心ゆえの苦い経験だ。
個人は現金取引では3027億円買い越したが、規模は前の週を下回った。米国のインフレ懸念をきっかけとした18年2月の「VIXショック
」時の5644億円には遠く及ばない。
無理もない面はある。8月の日経平均の値幅(高値と安値の差)を前月末終値で割った「月間変動率」は22日時点で17.3%。20年3月
の新型コロナショック以来の大きさで、1949年5月の東証再開以降、歴代22番目の記録だ。
上位にはリーマン・ショックなど歴史的な混乱期が並ぶ。今回は大きな事件があったわけではないにもかかわらず、これほどの変動は
異常だ。
実は東京市場の上場企業は政策保有目的など安定株主の保有や自己株が多く、市場流動性が低いため、米国市場よりも値動きが
荒れやすいという特徴がある。過去20年の月間変動率の平均値を日米で比較すると、日経平均は7.3%に対しダウ工業株30種平均は
5.5%。東証株価指数(TOPIX)とS&P500種株価指数でもほぼ同じ結果だ。海外のヘッジファンドに突かれやすい弱点だ。
QUICK・ファクトセットによれば、金融機関や年金基金などの適格機関投資家及び個人投資家が保有する株式数を発行済み株式総数
で割った浮動株比率は、米国の主要50社の平均が90%台半ばに対し、日本は70%台後半。上場投資信託(ETF)を通じた日銀の間接
保有分を除くと日本はさらに下がる。真夏の異変は市場参加者が少なく換金性が低下するなかで投げ売りが引き起こした「流動性ショック
」だった。
日本人は「投機=ギャンブル(賭博)」という印象を抱くが、海外では「合理性の追求であり、不条理への挑戦」といわれる。売られすぎ、
買われすぎは裁定機会でもありうるが、日本は投資家層が薄く、株価変動が大きくなりやすい。乱高下は今後も繰り返される可能性が高い。
だからこそ証券会社には指南役としての役割が求められる。幸い、兜町からは明るい話も聞こえてくる。
ネット証券を利用している投資家の間で対面証券の営業員の話も聞きたいというニーズが増えているという。極東証券では入社して」
間もない営業員が新規顧客を開拓し、億円単位の投資信託や債券の注文を取ってくるようになった。「バブル期でもこんなことはなかった。
リテールは宝の山だ」。同証券の菊池広之会長は話す。
6月の株主総会でアクティビストから取締役の刷新を求められた東洋証券。アクティビストがうごめく背景に再編観測がある。顧客基盤
拡充のために経営権取得を狙う証券会社があるとの見方だ。アクティビストに事実確認を求めたが、回答は得られなかった。だが、市場関
係者の一人は「あり得るシナリオ」と強調する。
3月末時点で個人が保有する現金・預金は1118兆円。その大半は60歳代以上の手にある。いざお金を動かそうと考えた時、対面での
アドバイスを求めたいと考える投資家は少なくない。
資産運用立国を掲げた岸田文雄首相は再選の道を断念したが、個人マネーの再生に向けた市場整備と競争は始まったばかりだ。
8月の異変は大きな一里塚のはずだ。
・「ストップ安800社」恐怖増幅 緩和を過信、投げ売り殺到
・株急落でも動じぬ個人投資家 「割安」判断、3000億円買い
2024/08/26 07:54 日経速報ニュース
日本時間26日早朝の外国為替市場で、円相場が大きく上昇している。7時半すぎには一時1ドル=143円85銭近辺と6日以来およそ3週
ぶりの円高・ドル安水準をつけた。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が9月の利下げ開始を事実上明言し、日米の金利差縮小を
見込んだ円買い・ドル売りが入った。
25日にはレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラが7月の司令官殺害の報復としてイスラエルを攻撃した。イスラエルがさらなる報復
に動く可能性があり、中東情勢が一段と緊迫するとの見方も「低リスク通貨」とされる円の買いを誘っているようだ。
V字回復の米国株 FRBは9月利下げ予告、年末高意識も
2024/08/26 08:01 日経速報ニュース
米連邦準備理事会(FRB)が9月の利下げ開始を事実上予告し、米株式相場のV字回復につながった。23日の株式市場でダウ工業株
30種平均は一時、7月に付けた史上最高値を上回り、S&P500種株価指数は5日に付けた取引時間中の直近安値からの上昇率は10%
を超えた。2022年10月から始まった強気相場は衰える兆しをみせない。
パウエルFRB議長は23日、国際経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」の講演で「政策を調整すべき時が来た」と述べ、次回9月の
米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げをほぼ明言。株式、債券相場ともにボラティリティー(変動率)の低下を伴って上昇した。
パウエル議長は労働市場の一段の減速を防ぐ考えを示すと同時に、年内に計1%の利下げを織り込む金融市場に対しても、反論する場面
をみせなかった。「雇用市場に明確なアンカーを与え、金融政策がより積極的に緩和される可能性を高めた」(オックスフォード・エコノミクス)
との見方が、米株式相場の支えとなった。
24年のグローバル・ビューの中心軸に「グレート・ディスインフレーション」を位置付けるゴールドマン・サックス。大半の国でインフレ率の低下
と底堅い経済成長、利下げの加速が重なり、リスク資産にとっては極めてポジティブな年になるとの見方だ。春ごろまで上振れした米物価
指標の影響で、グレート・ディスインフレーションの到来はやや後ずれしたが、ここから本番を迎える可能性がある。
ゴールドマンのエコノミスト、ヤン・ハチウス氏は25年8月までにニュージーランド中銀の計1.75%、FRBの計1.5%に加え、欧州中央銀行
(ECB)やカナダ銀行、イングランド銀行など世界の主要中銀の利下げラッシュが発生すると予想する。FRBは政策金利を現行の5.25?
5.50%から最終的には3.25?3.50%まで引き下げるとみる。
世界的な利下げの流れは強まっている。米BofA証券の集計によると、今年に入り世界の中銀はすでに84回の利下げを実施した。年内に
43回の追加利下げがあると予想し、今年の利上げ回数から利下げ回数を差し引いた値はリーマン危機翌年の09年、新型コロナウイルス
発生の20年に続き、過去3番目の利下げ超過の年になると予想する。
ゴールドマンは今後1年以内に米国が景気後退に陥る確率を20%、JPモルガンは年内に景気後退に陥る確率は35%と見積もる。9月
6日に発表される8月の米雇用統計が良好な結果であれば、「景気後退入りの確率は15%まで低下する」(ゴールドマン)。底堅い経済
成長が続く中での「予防的」利下げが、早ければ来年の景気の再加速につながる可能性が出てきている。
米国株の底上げ機運は高まっている。時価総額を考慮せずに採用銘柄に等しく投資した場合の「均等加重平均」のS&P500種は23日
に史上最高値を更新した。「均等加重平均への投資が利下げとタイトな信用スプレッド(上乗せ金利)の恩恵を受けやすい局面に入る」
(BofA)との見方から、上昇銘柄にも広がりがでてきている。
S&P500種は今年に入り、チャート上で長期トレンドを示す200日移動平均を一度も下回らずに、上昇している。年1回の割合で、200日
線前後までの調整が入る米株式相場だが、今年はまだその調整をみせていない。11月の米大統領選に向け恒例の調整があってもおかし
くはないが、「8月のV字回復をみせられた以上、空売り勢は当面、大規模にベッドしにくい」(メガバンクの売買担当者)の声も聞かれる。
200日線までの調整が一度も入らなかった13年、17年、21年はともに年内いっぱいの右肩上がりの相場展開が続き、12月にそれぞれ
の年の年間高値を付けた。となれば、24年も同じ年末高の展開になる可能性は十分にあるだろう。
2024/08/27 日本経済新聞 朝刊
三井住友フィナンシャルグループ(FG)子会社の社内スタートアップ、プラリタウン(東京・中央)は26日、システムの導入を支援する新会社
を立ち上げたと発表した。会計サービス大手のfreee(フリー)が15%出資し、ネットを通じて利用する会計などのデジタル活用を促す。社内
スタートアップによる子会社立ち上げは初めて。
新会社「インクループ」(東京・中央)の資本金は資本準備金を含め1億円。プラリタウンが残る85%を出資し、社長にはプラリタウンでマネ
ージャーを務める高田謙一氏が就き、9月下旬をめどに営業を始める。フリーのクラウドサービスを軸にしたシステム導入や、業務の効率化の
コンサルティングや事務受託を手掛ける。
プラリタウンはクラウドサービスの販売仲介を手掛けており、新会社はフリーとも組んで中小企業の導入にあたっての実務を担うことを想定
する。地域金融機関からの人材の受け入れやデジタル化支援に向けた提携も視野に入れる。三井住友FGは社内スタートアップの立ち上げ
に力を入れており、新会社の設立はその一環となる。
鉄火場の8月相場は異例ずくめ、「高進捗銘柄」の買い安心感高まるか <株探トップ特集>
―ジャクソンホール会議で米利下げ予告、円高懸念下での投資戦略を考える―
8月の東京株式市場は近年まれに見る鉄火場となった。乱高下の背景として、日本銀行による予想外の利上げが挙げられる。以前から日米
の金融政策は方向が真逆であり、米連邦準備制度理事会(FRB)は、今年6月に利下げを実施した欧州中央銀行(ECB)などに追随するとみら
れていた。一方で日銀はようやく利上げである。低金利から高金利に流れるマネーの性質を考えると「低金利の円安・高金利のドル高」は期待
しにくく、これまでの円安傾向から、むしろ円高が懸念されている状況にある。
●日銀の利上げ後にボラティリティ急上昇
日銀による利上げを機に「円キャリートレード」の巻き戻しが起き、ドル安・円高とともに日米株安の圧力が強まった。キャリートレードとは、
低金利通貨で資金を調達して高金利通貨などに投資する取引であり、円キャリートレードの投資先には米ハイテク株や日本株も含まれ
ていたようだ。予想外の利上げは市場のボラティリティ(予想変動率)も上昇させた。下降トレンドが明確になると、商品投資顧問(CTA)
などのトレンドフォロワーが売りに動くこととなる。ボラティリティが一定水準以上になると、ポジションを閉じるようにプログラムされている
クオンツ系ヘッジファンドも存在する。ファンド全体のボラティリティを一定に保つリスクパリティ・ファンドも同様である。ボラティリティの
上昇は円キャリートレードの巻き戻しに拍車を掛ける要因にもなる。
キャリートレードで得られる金利差はわずかである。金利差以上に市場が揺さぶられるのであれば、キャリートレードができる環境ではない。
米商品先物取引委員会(CFTC)が公表する通貨先物ポジションをみると、7月2日時点では非商業部門(投機筋)の円ポジションは18万
4223枚の売り越しと、過去最大級とされる水準まで膨らんでいた。8月13日時点では一転、2万3104枚の買い越しとなっている。同ポジシ
ョンは円キャリートレードの規模を反映するとされており、ポジション変更に伴う大量の円買いが起きたとみられている。
米国でリセッション(景気後退)懸念が台頭したことも市場心理を揺さぶった。8月2日発表の米7月雇用統計で、失業率が「サーム・
ルール」を満たし、景気後退入りを示唆することとなった。1960年以降に米国で起きた全てのリセッションを正確に言い当ててきたルール
である。これによりFRBによる利下げ機運が一気に高まり、CMEフェドウォッチによると年末までに0.5%の利下げが行われるとの市場の
見立ては一時1.0%へと傾き、米10年債利回りは4%を割り込んだ。米金利の低下は米株にとって朗報である。配当割引モデル(DDM)
で理論株価(=予想配当金/期待収益率)を算出する際の期待収益率は、市中金利によって左右されるからだ。しかし、景気後退は配
当金の減少を懸念させる要因であるため、米株にとって悲報となる。
米主要株価3指数は急落前の水準に戻し、日本株も半値戻しを達成した。だが一度荒れた市場心理が修復するには時間を要するもの
だ。コロナショック後の日経平均株価がショック前の高値を上回るまで8カ月以上かかった。しばらくは波乱を癒す地合いとなり、再び市場
心理を揺さぶるような事態が起きない限り、上下の振幅を小さくしながら落ち着きどころを探る展開となると予想される。
今後の注目イベントとしては、まず米連邦公開市場委員会(FOMC)と日銀の金融政策決定会合である。FRBのパウエル議長は、23日の
ジャクソンホール会議の講演で「政策を調整する時が来た」と語った。どのタイミングで、どのくらいのペースの利下げを実施するかはデータ
次第としながらも、市場関係者は9月に利下げを開始との確信を強めている。
半面、日銀は7月の金融政策決定会合後、植田和男総裁が更なる利上げに前向きな姿勢を示した。株価暴落後に内田真一副総裁は
「金融市場が動揺する場合には利上げをしない」と発言している。国会閉会中審査として開かれた8月23日の参院財政金融委員会で植田
総裁は「私と内田副総裁に(考え方に)違いはない」としながらも、金融環境は今も緩和的であるとの認識を改めて示した。FRBと同様に
政策調整のタイミングとペースはデータ次第であり、場合によってはマーケット次第ということなのだろう。
米国の経済指標、特にFRBが重要視するPCEコア(価格変動の激しいエネルギーと食品を除く個人消費支出)価格指数などの物価統計
や、雇用統計も市場を揺さぶる要因となるだろう。11月5日の米大統領選挙と中東情勢からも目を離すことはできない。前者について、
一般的に投開票の1カ月前辺りの状況が結果に反映されやすい、と言われている。後者に関しては、武力衝突が本格化すれば、原油価格
の高騰からインフレ懸念が台頭し、米国で利下げが難しくなるシナリオが想定される。
日本株の動向を考える上で最も重要なのは国内上場企業の業績である。日本経済新聞によると、8月13日までに発表された東証プライム
市場上場約1060社(親子上場など除く)の25年3月期の純利益は前期比1%減となる見通しだ。3カ月前には2%減益見通しだったことから
改善傾向にある。そして4~6月期の純利益は前年同期比10%増と、同期間として2年連続で過去最高を記録し、通期計画に対する進捗率
は30%と前年同期より3ポイント高い。
となると、10月下旬から発表が本格化する中間決算では、通期見通しの上方修正が期待されることとなる。日本企業は期初に控えめな
業績見通しを発表し、中間決算発表時に上方修正する傾向がある。企業側の見通しに比べて市場側の見通しは強気なものとなっているが、
こうしたギャップは中間決算の発表前後で市場側に寄せて修正されることが多い。更に、日銀による6月の全国企業短期経済観測調査
(短観)では、今年度の事業計画の前提となっている想定為替レート(全規模・全産業)は1ドル=144円77銭となっている。これ以上の円高
にならない限り、10~12月期には業績の上方修正を織り込む相場がありそうだ。加えて、季節アノマリーから年末の株価は「掉尾の一振」
になりやすい。
年末に向けた日本株の上昇が期待される地合いから物色対象を考えた場合、まずは日経平均の構成比率が高いファーストリテイリング
<9983> [東証P]、KDDI <9433> [東証P]、信越化学工業 <4063> [東証P]、ダイキン工業 <6367> [東証P]が挙げられる。国内金利が
上昇基調ということであれば、三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> [東証P]や三井住友フィナンシャルグループ <8316> [東証P]、
みずほフィナンシャルグループ <8411> [東証P]などのメガバンクや地銀各行も注目されることとなるだろう。
円高シナリオや年後半に期待される賃上げの効果を踏まえると、外需系のハイテク株よりも内需系や消費系のセクターの好業績ぶりが
際立つことが予想される。ニトリホールディングス <9843> [東証P]や、東京電力ホールディングス <9501> [東証P]など電力各社に目を向け
たい。
4~6月期の進捗率が過去との比較で高い銘柄も要注目と言えるだろう。過去5年間平均の4~6月期進捗率を上回って着地した銘柄を
ピックアップすると、内需系ではまず西武ホールディングス <9024> [東証P]が挙げられる。4~6月期の経常利益は前年同期比41.7%増の
195億7800万円で、通期の計画に対する進捗率は約56%。ホテル・レジャー事業が好調に推移している。
海外向けの配信権販売が好調な東映アニメーション <4816> [東証S]は4~6月期の経常利益の進捗率が通期計画に対し約35%。市場
では「ワンピース」劇場版の新作に関する発表があった際に、株価に上昇ドライバーが掛かるとの期待もあるようだ。リログループ <8876>
[東証P]の4~6月期の税引き前利益進捗率は約55%。持ち分法適用会社だった日本ハウズイングに対する米ゴールドマン・サックス・
グループ<GS>による株式公開買い付け(TOB)へ応募したことに伴う利益計上の影響もあるが、借上社宅管理事業での管理戸数や
福利厚生事業での会員数の増加を背景に、ストック収益は堅調に拡大しており収益性も高めている。
ゼリア新薬工業 <4559> [東証P]も4~6月期の経常利益進捗率が約55%。ユーロや英ポンドに対するスイスフラン安に伴う為替差益
が発生するなか、北欧などでの潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」の販売が好調に推移している。不二製油グループ本社 <2607>
[東証P]は植物性油脂事業が東南アジア向けの販売数量が増加し、業務用チョコレート事業での販売価格の上昇などの効果もあり
、4~6月期経常利益の進捗率は約41%。電線大手の一角であるSWCC <5805> [東証P]は電力インフラ向けの高収益案件の特需
を支えに、4~6月期経常利益の通期計画に対する進捗率は約36%となっており、各社とも業績上振れの期待が高まった状況にあると
言えるだろう。
[東京 27日 ロイター] - トヨタ自動車(7203.T), opens new tabは27日、7月24日から8月26日まで実施した自社株公開買い付け(TOB)の
結果を公表した。応募予定の大手金融機関が売却を見込んだ株数を超える応募があり、「残存」が発生した。
トヨタは来年4月末までの上限1兆円の自社株買いの枠内で追加取得する可能性も含めて、方針について検討する予定としている。
TOBの買い付け予定数2億9012万2345株(買い付け額約8068億円)に対し、3億4382万8098株の応募があった。
トヨタは7月23日に自社株TOBを発表した もっと見る 。買い付け価格は1株2781円(23日の終値は3109円)で、特定株主からの買い付け
を想定したディスカウントTOBの形をとっていた。ただ、期間中のトヨタ株は8月上旬の全体相場の急落などもあり、TOB価格を下回る局面が多く
応募が増えて残存が発生する要因になった可能性がある。
TOBに応募した三菱UFJ銀行、三菱UFJ信託銀行、三井住友銀行、SMBC日興証券、東京海上ホールディングス(8766.T), opens new tab
傘下の東京海上日動火災保険、MS&ADインシュアランスグループホールディングス(8725.T), opens new tab傘下の三井住友海上火災保険、
あいおいニッセイ同和損害保険に残存が生じた。
2024/08/27 17:34 日経速報ニュース
トヨタ自動車(7203)は27日、7月24日から実施していた自社株TOB(株式公開買い付け)が8月26日で終了したと発表した。買い付け
価格は2781円、買い付け数は2億9012万2375株で、買い付け総額は約8068億円となる。買い付け後にも自社株買いに応募した各社
に残存株式が生じることから、5月に設定した最大1兆円の自社株取得枠で「追加取得する可能性も含め、方針について検討する予定
だが、現時点で決定した事項はない」とした。
トヨタ自動車の自社株買いは政策保有株式の縮減を目的として、MS&ADインシュアランスグループホールディングス(8725)傘下の
三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険、東京海上ホールディングス(8766)傘下の東京海上日動火災保険、三菱
UFJフィナンシャル・グループ(8306)傘下の三菱UFJ銀行と三菱UFJ信託銀行、三井住友フィナンシャルグループ(8316)傘下の
三井住友銀行とSMBC日興証券が応募していた。
2024/08/28 11:09 日経速報ニュース
(10時20分、プライム、コード7203)トヨタが大幅に続伸している。前日比94円50銭(3.57%)高の2738円50銭を付けた。27日、三井住友海上
火災保険など金融機関7社が政策保有株の縮減に伴い7月24日から実施していた自社株TOB(株式公開買い付け)が8月26日に終了したと
発表した。各社の応募株数が買い付け予定数を上回り残存株式が生じることから、5月に設定した最大1兆円の自社株買い枠で追加取得する
可能性を検討する。さらなる自社株取得を期待した買いが優勢となっている。
立花証券の庵原浩樹アナリストは「政策保有株の縮減が進んでいる点が好感されている」との見方を示した。アイザワ証券の横山泰史ア
ナリストは「4?9月期決算の発表時にも自社株の追加取得などの材料が出てくるとの期待が高まっている。8月初旬の急落局面など市場全
体が下落した際には自社株買いに期待ができる銘柄が選好されやすい」と話した。トヨタは5月に最大1兆円を上限とする自社株買いの計画
を発表したが、7月まで買いの実績は「ゼロ」となっている。
2024/08/28 18:00 日経速報ニュース
8月上旬に突如起きた株価の急落。1987年10月に米国で起きた「ブラックマンデー(暗黒の月曜日)」と重ね、「令和のブラックマンデー」と
呼ぶ声がある。ただそれは急落したという事象にとどまらないかもしれない。急落後の反応も合わせて相似形にみえるところがある。企業の
自社株買いだ。
日経平均株価が前営業日比4451円安と過去最大の下落を記録した今年8月5日の翌6日。キヤノンは1000億円を上限とする自社株買いを
発表した。その決定は機敏だった。
急落した株価をみて割安な水準だと判断。「このタイミングの自社株買いは当社にとっても、株主にとってもメリットがあると考えて機動的に
決定した」と同社はいう。
1月に1000億円の自社株買いを発表していた。1年かけて取得する計画だったが、積極的に買い進めた結果、半年でその枠を使い切って
いた。次を考えるタイミングに訪れたのが今回の株価急落だった。
1000億円の自社株買いを決めた大和ハウス工業の発表は7日。発表資料には「資本効率向上を図る」との狙いを明確に盛り込み、規模も
前回の約3倍と「インパクトを勘案した」という。
日本パーカライジングは9日、150億円の自社株買いを発表。株価急落は想定していなかったとするが、「株価対応として積み上がった資本
を株主に還元する」との説明だ。発行済み株式数の10%弱と大きい。
加速する自社株買いは統計に表れる。第2次安倍晋三政権の「アベノミクス」以降で累積すると、事業法人は32兆円の買い越しと日本株の
圧倒的な買い手だ。海外投資家の3倍の規模だ。右肩上がり、かつ今年さらにペースが上がっている。
野村証券の宮島亮エクイティ・プロダクト・ソリューション部長は企業の明らかな変化を感じている。「PBR(株価純資産倍率)1倍といった絶対
水準の議論から変わり、経営者の目線が切り上がってきている。株価は将来の価値から決まるとの理解が進み、株価が一定比率で下がれ
ば自社株を買う姿勢になってきた」(宮島氏)
自社株買いの開示資料にも変化がある。キヤノンは1月の決定分から「積極的な成長投資により企業価値の更なる向上を目指すと共に」と
の文言を盛り込み、キャッシュアロケーションの戦略を明確にしている。
株価急落後に広がる自社株買い。これこそ87年のブラックマンデー後の米国で起きた現象だ。米ダウ工業株30種平均が1日で23%安を記
録。そのあとIBM、フォードなど主力企業が相次いで自社株買いに動いた。「米国の企業経営が株主価値重視へ大きく変わった80年代。その
転換期に起きた現象が、自社株買いの拡大だった」(日本証券経済研究所の佐賀卓雄名誉研究員)
背景にはM&A(合併・買収)の嵐もあった。当時を象徴するRJRナビスコのLBO(借り入れで資金量を増やした買収)は89年。この買収劇を
描いた著作「野蛮な来訪者」でも序盤、ブラックマンデーで急落した株価が戻らず悩むシーンが出てくる。
カネ余りが買収資金を支える。一方で経営者に対する厳しい視線もこの時代の米国の特徴だ。「今の日本にとってデジャブ感がある」
(佐賀氏)
セブン&アイ・ホールディングスに対するカナダのアリマンタシォン・クシュタールによる買収提案。まさに株価急落のあとだ。
資本を遊ばせず、企業価値を高め続ける経営への要請。昭和の米国で起きた経験が、令和の日本に問いかけている。
【関連記事】
・市場の嵐が生む好機 88年、バフェット氏はコーラ株買い
・自社株買い銘柄にマネー 不安定相場が買いを後押し
・急落後の自社株買い相次ぐ ソフトバンクGは5000億円
2024/08/30 日本経済新聞 朝刊
市場金利に連動する変動型を中心に、銀行の貸出金利が上昇している。日銀が29日に発表した統計は、国内銀行の7月の平均金利
(ストックベース)が0.830%と7カ月連続上昇した。特に年明け以降の上昇ペースが速い都市銀行の平均金利(7月は0.764%)は、
2018年11月(0.772%)以来の高水準だ。
大手銀行の金利決定の手法は、東京銀行間取引金利(TIBOR)など市場金利に一定の利ざや(スプレッド)を上乗せする「スプレッド
貸し」が主流だ。日銀が3月にマイナス金利を解除して以降、TIBORは上昇傾向で、大手行の融資の大半を占める変動型の貸出金利
は比例して上昇している。
7月末の日銀の利上げ決定を受け、平均金利は一段と上昇しそうだ。「今後の金利の上昇見通しを踏まえると、長期の固定ローンで
借り入れるのも選択肢になります」。ある大手行の企業営業の担当者は顧客企業にこう提案する。企業が実際に期間の長い融資に
切り替えれば上昇要因になる。
9月以降、各行は競って変動型の住宅ローンや企業向け短期貸し出しの指標となる短期プライムレート(短プラ)を引き上げる方針を
打ち出している。東京商工リサーチの8月の調査によると、企業の2割は金融機関から使途のない借入金を持っている。現状より金利
が0.5%上昇した場合、その中の6割近くが「借り入れをやめる」と答えた。
銀行借入に依存する不動産業などでは、金利のわずかな上昇でも負担が重くなる。借入期間が長いほど金利負担は増すため、銀行
関係者によると、期間を短くすることで負担を抑える動きも出ているという。
とはいえ、インフレ率を加味すると、実質の貸出金利はなお低水準だ。前年同月比で見ると、消費者物価指数(CPI、生鮮食品除く)
は28カ月連続、物価安定目標の2%以上で推移しており、平均貸出金利から物価上昇率を差し引くとマイナスのまま。緩和的な金融
環境が続いており、企業の資金調達環境はそれほど悪化していないとも言える。
https://www.youtube.com/watch?v=u_kEe51lXM8
2024/08/30 17:23 日経速報ニュース
米取引所大手シカゴ・オプション取引所(CBOE)を運営するCboeグローバル・マーケッツは30日、日本で私設取引システム(PTS)を運営する
ジャパンネクスト証券の株式の14.8%を取得すると発表した。SBIホールディングス以外の既存株主が持つ株式を譲り受ける。筆頭株主である
SBIの保有比率は48.78%で変わらない。
SBIが既存株主からジャパンネクスト証券の株式を買い取り、規制当局の承認を前提にCboeに同株を譲渡する。Cboeは22年10月にSBIと株式
やデジタル資産の取引や商品開発で業務提携しており、その一環でジャパンネクスト証券に資本参加する。
日本のPTSは現在、ジャパンネクスト証券と米Cboe傘下のCboeジャパン(旧チャイエックス・ジャパン)、SBIや三井住友フィナンシャルグループ
が出資する大阪デジタルエクスチェンジ(ODX)の3社がある。
Cboeのフレデリック・トムチク最高経営責任者(CEO)は「今回の投資は当社の日本へのコミットメントを改めて示す。Cboeジャパンは引き続き
ジャパンネクスト証券から独立して運営する方針だ」とコメントした。
採用としてNRIとパンパシI、除外でDICを証券2社が予想
1000億円程度の買い需要が広く薄く出そうだ-大和証の橋本氏
日本株の主要指数である日経平均株価の定期入れ替え時期が近づき、良品計画の採用と日本製紙の除外などを複数の証券会社が予想
している。今回は入れ替え銘柄数も次回以降を読む上で焦点になるとの見方が出ている。
SMBC日興証券とみずほ証券のクオンツアナリストは3銘柄、大和証券は2銘柄の入れ替えを予想、良品計画採用と日本紙除外でいずれ
も一致した。他にNRI、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスの採用、DICの除外をそれぞれ2社が予想した。基本的に採用
銘柄に買い需要、除外銘柄に売り需要が発生する。
定期入れ替えは春と秋の年2回で、選定基準改定後の2022年秋以降はいずれも上限の3銘柄だった。セクターバランスをどの程度重視する
かで銘柄数は変わる。指数を運営する日本経済新聞社は昨秋分は9月4日に銘柄を公表しており、今秋分は週内の発表を市場は見込んでいる。
SMBC日興証の吉田隼人クオンツアナリストは「セクターで銘柄数が唯一不足している消費から3銘柄が採用されるだろう」と予想した。市場
流動性基準から判断した除外候補は1銘柄で、今回の結果でセクターバランス是正に対する考え方が分かると指摘、「来年春以降の入れ替
え銘柄数を占う試金石になる」と述べた。
みずほ証券の永吉勇人チーフクオンツアナリストらも、消費セクターが極度の銘柄数不足状態として3銘柄の入れ替えを予想するとリポートに
記した。
大和証券の橋本純一チーフクオンツアナリストは、入れ替え2銘柄をメインシナリオとして予想した。同時に「3銘柄、1銘柄の可能性もそれぞれ
あり得る」と語る。確率は2銘柄が6-7割、3銘柄が2-3割、1銘柄が1割程度と想定している。
2024/09/04 14:09 日経速報ニュース
4日の東京株式市場で日経平均株価は続落し、一時は前日比1600円超の下げ幅となった。前日の米株市場でハイテク株を中心に売りが
優勢となり、東京市場で東京エレクトロンなどの値がさの半導体関連株が大幅安となった。8月上旬の世界的な相場急落のトラウマが残る
なか、その引き金の一つとなった米景気指標の最新版が再び振るわず、米国株安経由で東京市場も揺さぶった。
日経平均の午前終値は1280円(3.3%)安の3万7405円だった。
3日発表の8月の米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数が47.2と市場予想をわずかながら下回り、好不況の節目となる50を
5カ月連続で下回った。前回7月(46.8)からは改善しているものの、市場では「今回の上昇は在庫増によるもので、需要の強さを映す新規受
注や生産は悪化している良くない上がり方」(野村証券の小高貴久シニア・ストラテジスト)との慎重な見方が多い。
前日の米株式相場では半導体大手エヌビディアが前週末比10%安となり、ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も同3.3%安の
大幅下落となった。これを受けた東京市場では、製造装置最大手の東エレクが一時前日比8%安と日経平均が過去最大の下げを記録した
8月5日以来となる安値まで下げた。検査装置大手のアドバンテストも同10%安と急落した。
東エレクは4日午前終値時点で日経平均を1銘柄で170円強押し下げ、指数のマイナス寄与度ランキングで首位となった。時価総額は4日
午前の取引時間中に一時10.9兆円と、前日から9400億円減った。時価総額9400億円は、積水化学工業(9700億円)や三越伊勢丹ホール
ディングス(8600億円)といった大手企業の1社分にほぼ匹敵する規模だ。
T&Dアセットマネジメントの浪岡宏チーフ・ストラテジストは「外需系製造業が多く世界の景気敏感株とされる日本株にとって、ISM製造業
景況感指数の軟調な結果はネガティブに働きやすい」と指摘する。
投資家のリスク回避姿勢は強まっている。日経平均先物の夜間取引では、4日に売買代金が前日比5倍増と、約1か月ぶりの取引水準に
膨らんでいた。米国発の不安材料を受けて、日本時間の朝を待たずに持ち高を調整する動きが鮮明になった。強気になり切れない投資家
心理が透ける。
8月上旬の世界的な株価急落は、米景気指標が相次ぎ悪い内容と受け止められ米景気の減速懸念が高まったためだった。その流れの
中では、同月1日発表の7月のISM製造業景況感指数が下振れ、「とどめ」を刺したのが7月の雇用統計だった。そして約1カ月たった今、
足元では最新版となる8月のISM製造業景況感指数が市場予想に届かず、今週末6日には8月の雇用統計発表を控える。
フィリップ証券の増沢丈彦株式部トレーディング・ヘッドは「8月の相場急落局面から傷の癒えていない投資家が多く、過度な反応となりや
すい」と指摘する。8月の米雇用統計の発表を通過すると、17?18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)などの重要イベントも待ち受け
ている。足場がおぼつかない相場展開が続きそうだ。
【関連記事】
・日経平均1500円安、エヌビディア急落が影 米景気懸念も再燃
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2024/09/05 日本経済新聞 朝刊
三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)など3メガ銀行は、銀行間の国際的な決済インフラやブロックチェーン(分散型台帳、総合2面きょうの
ことば)技術を使って瞬時に国際送金する仕組みをつくる。2025年中の実用化を目指す。1カ月程度を要する場合もある着金までの時間がほ
ぼゼロになり、企業の送金コストも大幅に下がる見通しだ。
三菱UFJFG、みずほFG、三井住友FGは、他の邦銀や欧米の大手行など10以上の主要金融機関と今秋にも、実用化に向けた実証実験を
始める。貿易決済を中心とする企業間の国際送金での利用を主に想定する。将来は留学資金の送金など個人間のお金のやり取りでも利用で
きるようになる可能性がある。
新たな仕組みは国際的な決済インフラ「国際銀行間通信協会(Swift、スイフト)」とブロックチェーン技術を組み合わせるのが特徴だ。現在主
流のスイフトを使った国際送金は「コルレス銀行」と呼ばれる複数の銀行を中継するため、円滑に送金できる場合でも数十分程度、マネーロン
ダリング(資金洗浄)対策に関連する情報の不備などがあると1カ月程度かかることもあった。
今回はスイフトの決済基盤を活用し、ブロックチェーン上に法定通貨の価値に連動するステーブルコインを乗せて銀行間で直接送金するため、
着金までの時間は1秒以下になる。既存のインフラであるスイフトを活用するため、金融機関は新たなシステムを構築する必要がなく、投資額
を抑えられる。企業にとっても銀行に送金を依頼するという従来通りの手続きで送金が可能となる。
企業や個人が支払うコストは為替手数料とブロックチェーン基盤の利用料のみで済む。日銀によると、従来のスイフトを活用した国際送金で
は銀行経由で200ドル(約2万9000円)を海外に送金する場合、2013~19年の平均で送金額の17.5%の手数料がかかっていた。手数
料が高くなりやすい新興国向けの場合、送金コストは従来の1割以下になる可能性がある。
3メガバンクは出資するProgmat(プログマ、東京・千代田)や、ブロックチェーン開発のデータチェーン(同・港)、スイフトと送金の仕組みを構
築した上で、銀行間で利用可能なステーブルコインを発行する。スイフトは日本で電子決済に関する法整備が進んでいることを評価し、日本勢
との連携を決めた。
米調査会社アライド・マーケット・リサーチによると、国境をまたいだ決済市場の規模は2022年時点で182兆ドル(約2京6000兆円)にのぼ
る。20カ国・地域(G20)首脳会議は国際送金のコストや着金スピードなどを改善する必要性を指摘しており、世界的な課題となっている。
2024/09/04 日本経済新聞 夕刊
日経平均株価が史上最大の下げ幅を記録するなど8月の株式市場は大荒れとなった。米国の景気減速懸念や円高・ドル安が株価の重荷と
なった。歴史的な乱高下の中、どのような銘柄が取引されたのか。東証プライム上場銘柄を対象に売買代金の大きい銘柄をランキングした。
上位には半導体関連が目立った。首位のレーザーテックの売買代金は4兆6910億円だった。株価は8月初旬に急落し7月末比の下落率が
一時3割に達したが、8月末には7月末を上回る水準まで回復した。もっとも昨年末から8月末までの株価騰落率はマイナス24%となっている。
2位のディスコは8月の1カ月間で14%下げた。3位の東京エレクトロンの株価も8月は低調だった。
6位には三菱UFJフィナンシャル・グループ、7位には三井住友フィナンシャルグループが入った。いずれも今年に入り株価はほぼ一貫して
上昇していたが、8月の急落以降は戻りが鈍い。5位の三菱重工業は防衛事業の拡大期待から8月に6%高となった。
2024/09/05 08:01 日経速報ニュース
5日の東京株式市場で日経平均株価は続落か。前日の米ハイテク株安を受け、値がさの半導体関連株に売りが先行しそうだ。外国為替市場
の円高・ドル安の進行も重荷となり、主力の輸出関連も軟調に推移する可能性が高い。日経平均は前日の終値(3万7047円)から650円ほど安
い3万6400円近辺が下値メドになるだろう。
4日の米株式市場でハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数が続落し、前日比0.3%安で終えた。人工知能(AI)市場拡大の期待を背
負ってきたエヌビディアやスーパー・マイクロ・コンピューターが下落し、東京エレクトロンやアドバンテストといった半導体製造装置株の逆風とな
る。同日発表の7月の米雇用動態調査(JOLTS)で非農業部門の求人件数(季節調整済み、速報値)は767万3000件と市場予想(810万件)
を下回り、およそ3年半ぶりの低水準だった。米景気減速への警戒感が改めて強まっている。
5日早朝の外国為替市場で円相場は1ドル=143円台半ばと、前日17時時点と比べて円高・ドル安に傾いている。東京市場では自動車や
機械など輸出関連株に採算悪化を警戒した売りが出て日経平均を下押しするだろう。日本時間5日早朝の大阪取引所の夜間取引で日経平
均先物は下落し、9月物は前日の清算値と比べて480円安の3万6520円で終えた。
日経平均は前日に1638円安と急落していたため、短期的な自律反発を見込んだ押し目買いは入りやすいだろう。前日の米市場でダウ工業
株30種平均は小幅ながら反発したほか、前日の東京市場でも内需・ディフェンシブ株の一角に消去法的な買いがみられた。もっとも、相場全体
の先行き不透明感から戻り待ちの売り圧力は強そうで、相場全体の地合いが再び強気に傾くほどの展開は考えにくい。
個別では日本製鉄に注目だ。米鉄鋼大手USスチールの買収計画について、バイデン米大統領が中止命令を出す方向で最終調整に入っ
たと、米ワシントン・ポストと英フィナンシャル・タイムズが報じた。買収の成立に向けた不透明感が一層強まっている。
きょうは厚生労働省が7月の毎月勤労統計を公表する。日銀の高田創審議委員が石川県金融経済懇談会であいさつする。積水ハウスが
2024年2?7月期の決算を発表する。海外では8月の米サプライマネジメント協会(ISM)サービス業景況感指数、8月のADP全米雇用リポ
ート、週間の米新規失業保険申請件数の発表がある。米ブロードコムが5?7月期の決算を発表する。
2024/09/05 12:26 日経速報ニュース
宇野大介・三井住友銀行チーフストラテジスト 5日午後の東京株式市場で日経平均株価は午前終値(3万6917円)と比べ下げ幅拡大か。
午前は朝方に比べ為替の円高・ドル安が一服したのにあわせて、日本株にも押し目買いが入った。5日は国内の事業会社の決済が集中
しやすい「5・10日(ごとおび)」にあたり、10時前の中値決済に向けてはドル買いが入ったが、ここからいっそう円安に進む材料は乏しい。
日経平均も3万7000円から上を試しに行く雰囲気はなく、売りが増えてくるだろう。
4日発表された7月の米雇用動態調査(JOLTS)では非農業部門の求人件数が2021年1月以来の低水準となったが、需給逼迫の状態が
緩和しているだけで雇用が大きく崩れているといった印象はない。市場はなるべく米経済指標の悪い面に注目して、米連邦準備理事会
(FRB)が大幅利下げに踏み切りやすくしているのではないか。少なくとも、17?18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)までは株安の
地合いになりやすい。日経平均では3万1000?3万4000円の範囲で、8月初旬の下落局面とあわせた「ダブルボトム」の形成を確認しに
いくとみている。
2024/09/06 07:37 日経速報ニュース
今週最大の焦点といえる8月の米雇用統計の発表が日本時間6日夜に迫った。米金融政策の転機を控えるなかで投資家の気分は高揚
しており、市場予想を上回るか否かで金融・資本市場が大きく揺さぶられるのは確実だ。外国為替市場も同じだが、実は面白いことにヘッジ
ファンドなどの投機筋の関心は「円買いの好機がどこで訪れるか」で共通しているようにみえる。
5日発表の8月のADP全米雇用リポートで非農業部門の雇用者数が市場予想をかなり下回ったため、市場では米雇用減速への警戒感
が再び強まっている。6日の円相場は1カ月ぶりに1ドル=142円台後半まで上昇した。言い換えれば悲観が先行しているだけに、今回の
米雇用統計が予想よりも好結果となれば、既に形成された円買い・ドル売りの持ち高解消で円の下値余地は拡大するかもしれない。
ファンドの一部はこの「雇用統計後の円安・ドル高」を待ち望んでいる。市場では「米連邦準備理事会(FRB)の利下げはもし始まればシク
リカル(循環的)な金利の低下局面入りを示す」(米系ヘッジファンドの為替ディーラー)との声が多い。金利は為替相場の主要な変動要因の
1つだ。政策金利の引き下げや、それに歩調を合わせる中短期国債利回りの低下は教科書的な通貨安を促すとの前提で、できるだけ高い
水準でドルを売りたいとのムードがある。
2024年は欧州など他の国の中央銀行も既に利下げに動いている。その影響で「シクリカル・トレード」では複数の通貨に対して円を買い
進める「バスケット取引」が少なくない。あるファンドでは対ドルや対ユーロで円を買うと同時に、「低金利国」にもかかわらず7月にかけて
大きく上げていたスイスフランに対して円の買い持ち高を積み増している。
米JPモルガン・チェースは金融政策の影響を受けやすい米2年物国債の利回りが年末にかけて大幅に低下すると予想し、「(低金利の
通貨を調達してより高い金利の通貨に振り向ける)キャリー取引の中心的な運用対象国となる米国の金利低下により、キャリー戦略の
パフォーマンスが下がると確信している」と指摘。そのうえで「ドルのプットオプション(売る権利)を交えてこれまで代表的な調達通貨だった
円の通貨バスケットの買いを強化し、対ユーロや対スイスフランでも持ち高を増やす」という取引アイデアを提示した。
海外の市場参加者は日本の輸出企業の動向も注視している。貿易決済に絡む円買いは基本的にアウトライト(買い切り)で反対売買
が起こらず、相場の基調形成に重要な役割を果たすからだ。
国内輸出企業は8月の月遅れ盆の前までは円の手当てに前向きだったが、足元では総じて鳴りを潜めている。円相場が8月15日、
良好な7月の米小売売上高を受けて149円台まで急落したことから、市場では「輸出の円買いは149?150円を目標に置いているので
はないか」との思惑が出ている。
アウトライトの円買いを誘うためにも円はいったんドンと下げたほうが良いだろう――。円に強気な市場参加者の「一時的な円安待望論」
はこんなところからも来ている。
[東京 6日 ロイター] - 「金利ある世界」への転換で、強い動きを見せていた銀行株(.IBNKS.T), opens new tabの基調が弱まっている。日銀
が利上げフェーズに入ったものの、8月上旬の株価急落を受け、そのペースが推し量りにくくなっているためだ。海外比率の高いメガバンクの
一角は、円高がマイナスとなる「輸出株」と類似する株価の動きも観測されるなど、読み筋は複雑化。高利回りで長期的には買いとみる声も
あるが、株価の回復には時間がかかるとの見方も根強い。
<急落からの戻りで劣後>
8月上旬の株安局面で銀行株は、日経平均やTOPIXといった指数よりも売り込まれた。8月5日までの3営業日で業種別の銀行は28%下落。
同期間の日経平均の20%安、TOPIXの21%安を上回る下げとなった。国内金利の低下や米景気悪化懸念で、とりわけ銀行株の売り圧力が
強まったためだ。日経平均は今月に入り、8月の急落分を一時奪還したが、銀行株は急落前の水準には戻れなかった。
マーケットの波乱を受け、日銀の内田真一副総裁が「金融資本市場が不安定な状況で、利上げすることはない」と火消しに回ったことも、銀行株
にとっては、むしろ先行きを不透明にさせている。
マーケット参加者からは「日銀の利上げペースを読むのが一段と難しくなり、銀行株は居所を探っている状況」(東海東京インテリジェンス・ラボの
シニアクレジットアナリスト兼シニアアナリスト・中川隆氏)との意見も聞かれる。
<「輸出株」化するメガバンク>
特にメガバンクは、金利動向に加えて、為替にも左右される展開が続くとみられている。GCIアセットマネジメントのポートフォリオマネージャー・
池田隆政氏は、メガバンクは「輸出関連株化」している面があるとみており「ドル/円に連動した動きが続くのではないか」と話す。
三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306.T), opens new tabの経常収益ベースの海外比率は、2014年の40%に対し、2023年は56%に高ま
った。一方、同社の株価とドル/円を過去半年の20日リターンでみると0.67と一定の相関が認められる。
このため「米利下げ観測の高まりなどで急激に円高に振れた場合、メガバンクの方が地銀と比べて売られやすくなるとみられ、注意が必要」
(SBI証券のシニアアナリスト・鮫島豊喜氏)という。
同じ銀行セクターでも個別企業によってパフォーマンスの差も見受けられ、目先はマクロより、ミクロの材料がより重要との意見もある。
SBI証券の鮫島氏は「銀行セクターが一緒くたに買われるというよりは、ROE(自己資本利益率)が高く収益性が見込める企業や、株主還元を
強化している銘柄が選好されるのではないか」と話し、選別が進むとみている。
年初来の株価の推移をみると、住信SBIネット銀行 (7163.T), opens new tabが97%上昇、楽天銀行(5838.T), opens new tabが52%上昇する
などROEの高い銘柄の上昇が目立つという。楽天銀行のROEは12%、住信SBIネット銀は17%で、三菱UFJ(8%)、みずほフィナンシャル
グループ(8411.T), opens new tab(7%)など大手行に比べて高い。
<金利にらみ継続>
市場では、日銀の金融政策は利上げの方向と意識されており、「中長期的にはさほど(銀行株を)悲観的にみる必要はないのではないか」(三菱
UFJアセットマネジメント・チーフファンドマネジャー・石金淳氏)との見方も聞かれる。
そうだ」(T&Dアセットマネジメントのチーフ・ストラテジスト兼ファンドマネージャー・浪岡宏氏)とみられている。
配当利回りに目を向けると、銀行セクターは東証33業種のうち11位につけており、高配当の部類とされる。「個人投資家からの人気も高い
業種なので、中長期でみれば買いでいいのではないか」(いちよし証券の投資情報部・銘柄情報課課長、及川敬司氏)との指摘がある。
もっとも、市場では「本当に景気が良くなり、インフレ環境が強くなるようなら買い戻しもあり得るが、足元ではそこまで織り込みにくい」(東京海
上アセットマネジメントの若山哲志株式運用部シニアファンドマネージャー)との声もある。メガバンクなど一部の銘柄では信用買い残が積み
上がり、需給面の懸念も残っている。
足元では米景気動向や米大統領選、国内の政局など不透明要因も多い。日銀の利上げパスへの見方も定まりづらく、いちよし証券の及川氏
は「これらの先行きがみえてくるまで、積極的な買いは入りづらい」と話している。
2024/09/09 06:51 日経速報ニュース
9日の東京株式市場で日経平均株価は大幅に続落か。労働市場の軟調さを示すデータが相次ぎ、米景気に対する警戒感の強さは投資家
心理の重荷となる。前週末の米株式相場の大幅下落を受け、東京市場でも幅広い銘柄に売りが先行しそうだ。過去最大の下げ幅を記録した
8月5日を彷彿とさせる相場展開も想定され、二番底のリスクも意識される。日経平均は節目の3万5000円を下回り、前週末の終値(3万6391
円)から1500円ほど安い3万4900円程度まで下落する可能性がある。
前週末6日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落し、前日比410ドル(1.00%)安の4万0345ドルで終えた。同日発表の8月の米雇用
統計は非農業部門の雇用者数が市場予想を下回った。6月分と7月分も下方修正し、労働市場の軟化が意識され、米景気の下振れリスクへ
の懸念から株売りが広がった。外国為替市場では円が対ドルで1カ月ぶりに1ドル=141円台に上昇する場面もあった。円高・ドル安への警戒
が広がり、東京市場でも自動車や機械など輸出関連株に売りが出そうだ。
主要な米ハイテク株は軒並み売られ、半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)も大幅に下落した。東京市場でも
値がさの半導体関連株への売りが出やすく、日経平均を下押しするだろう。日本時間7日早朝の大阪取引所の夜間取引で日経平均先物は
下落し、9月物は前日の清算値と比べ1210円安い3万5150円で終えた。
もっとも、日経平均は前週末までの4営業日で2300円あまり下落していた。急ピッチで下落してきた反動もあり、売りが一巡した後の3万
5000円近辺では自律反発を見込んだ買いが入る可能性もある。景気変動に左右されにくく、円高の恩恵も受けやすい内需・ディフェンシブ株
の一角に物色が向かう場面がありそうだ。
個別ではトヨタ自動車に注目だ。7日付の日本経済新聞朝刊は「トヨタは2026年の電気自動車(EV)の世界生産台数を100万台程度に縮小
する」と報じた。EVの世界販売計画として公表していた150万台より3割引き下げる計算となる。足元の円高基調も重荷となり、売りが広がる
可能性がある。
国内は4?6月期国内総生産(GDP)改定値の発表がある。海外は8月の中国消費者物価指数(CPI)や中国卸売物価指数(PPI)、7月の
米卸売在庫・売上高などが公表される。
2024/09/09 05:00 日経速報ニュース
週初の日本株相場は不安定な展開が見込まれる。前週末の米株市場で半導体を中心とした人工知能(AI)関連株が崩れ、連動性が高い
日経平均株価は大幅下落で始まりそうだ。AIへの過度な期待がはがれつつある。1ドル=140円を超える円高が視野に入ったことも重荷だ。
8月上旬の株急落から1カ月、再び安値をつける「二番底」形成への警戒が高まってきた。
「フェーズが変わった」。ピクテ・ジャパンの田中純平ストラテジストは6日の米株式市場の動きを受けて、日本株の先行きに一段と警戒を
強めている。注視したのは主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)。この日は5%安となり、8月上旬につ
けた直近の安値に再び迫っている。
前週末の大阪取引所の夜間取引では、日経平均先物の9月物が3万5150円と前日の清算値と比べて1210円(3%)下落した。日経平均は
東京エレクトロンやアドバンテストなど半導体関連株の影響力が大きく、SOX指数との連動性が高い。投資家は週初の日本株相場に身構える。
8月上旬の世界的な株安から約1カ月。日経平均は2日に3万8700円まで上げたものの、急落前の水準を取り戻せずに押し返された。1日
1000円前後の値幅も珍しくなくなった。相場変動率の高さから長期マネーの買いが入りにくくなっており、再び安値をつける「二番底」形成が
警戒され始めている。
二番底とは大幅安から反発した後に再び形成した安値を指す。1987年のブラックマンデーなど多くのショックが二番底を経験している。二番
底が大底(株価下落局面での最安値)となって上昇に転じる場合もあれば、長期下落トレンド入りで三番底をつけるケースもある。
国内大手運用会社アセットマネジメントOneの浅岡均シニアストラテジストは「日経平均は3万5000円を割り込み、3万4000円に向かって大き
く下げる展開になってもおかしくない」と予想する。
二番底警戒の背景には半導体株に対する市場の見方の変化がある。
6日に半導体株安の震源となった米ブロードコム株。前日に発表した5?7月期決算では売上高が前年同期に比べて47%増えた。ところが
8?10月期の見通し(140億ドル、約2兆円)がアナリスト予想をわずかに下回ったことが嫌気され、前日比10%安まで売り込まれた。
ブロードコムはAI関連チップやソフトウエアを手がける。成長期待から一時、年初から上昇率が5割を超えた。投資家の要求ハードルは高く
なり、市場予想を大きく上回る実績や見通しを出さないと売られやすくなっている。
エヌビディア株も決算後に下落基調となり、8月の安値に接近している。日経平均をけん引してきた東京エレクトロン株は年初来でマイナス
圏だ。
調査会社ガートナーは8月下旬、先端テクノロジーのハイプサイクル2024年版を公表した。過度にもてはやされる期間から幻滅期を経て、市
場の理解が深まり、普及するというテック共通のサイクルを先進技術ごとに示したものだ。ガートナーによれば生成AIは過度な期待のピーク期
から幻滅期に入りつつある。
この見立て通りであれば、ブロードコム株でみられた株価反応は過剰な期待の修正ともいえる。期待の調整には時間がかかる。米西部時
間9日にアップルがiPhone新機種を発表すると見込まれている。AIサービスの搭載が期待されているが、半導体株の反転につながるか不
透明だ。
米欧同時利下げの観測、140円超える円高視野
さらに円高進行も日本株安への警戒を高める。
前週は対ドルが146円台前半から142円台前半へ、対ユーロは161円台半ばから157円台後半に、それぞれ4円ほど円高が進んだ。ユーロ
の対ドル相場はこの間、ほぼ横ばい圏だった。足元はドル安というより円全面高に近い。
欧州中央銀行(ECB)が12日に理事会を控える。第一生命経済研究所の田中理首席エコノミストは「0.25%の利下げを四半期に一度続ける
というのがメインシナリオ」と話し、今回の会合で追加利下げを決めると予想する。
米連邦準備理事会(FRB)高官は6日、17?18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%の利下げを決めると示唆しており、9月は「米
欧同時利下げ」の公算が大きくなっている。
米国では6日の雇用統計発表後も米景気不安がくすぶり、米金利は低下した。ECBが景気リスクを理由に利下げを実施すれば、欧州金利
は下がりやすくなる。一方で日銀は利上げ姿勢を崩していない。金利見通しを巡って米欧と日本の違いが際立ち、円高に振れやすくなる。
みずほ証券の山本雅文チーフ為替ストラテジストは「(11日公表の)米消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回るなどしない限り、FOMC
に向けて円高が進みやすい」と指摘した上で「140円割れもあり得る」と予想する。
日銀の6月の全国企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の事業計画の前提となる24年度の想定為替レートは全規模・全産業で
1ドル=144円77銭だった。足元の円高進行が続けば、トヨタ自動車など主力輸出企業の業績上方修正期待は?落し、逆に下方修正リスクを
意識せざるを得なくなる。
円高の恩恵を受ける一部の内需株はマネーの退避先になっている。1円の円高が経常利益を年20億円押し上げるニトリホールディングス株
は7月末比で23%高い。ただし日経平均の構成銘柄は外需株比率が高く、内需株だけでは逃避マネーの「受け皿」になりきれない。二番底懸
念が高まるゆえんだ。
2024/09/09 04:00 日経速報ニュース
米中対立を背景としたサプライチェーン(供給網)の再編が、日本の位置付けを変えつつある。欧米企業が中国で供給網を見直し、「日本の
安全保障上の価値が20?30年前に比べて格段に高まった」(ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次チーフエコノミスト)。半導体を中心に日本企業
の国内回帰や海外企業の対日投資が広がる。日本で生産し輸出して稼ぐ「貿易立国」に返り咲く好機ととらえる声もある。
宮崎県国富町のローム工場で今夏、装置の搬入が本格化した。年末に稼働し電気自動車(EV)の電圧制御などに使う炭化ケイ素(SiC)製
パワー半導体を量産する。国内半導体メーカーで初めてウエハーから半導体チップまでを国内で一貫生産する。3000億円を投じ、30年度まで
にSiCパワー半導体の生産量を21年度比35倍に高める。
パワー半導体は電圧制御に使い、EVや再生可能エネルギー発電所、AI(人工知能)データセンターなどで採用が広がる。世界シェア上位10
社のうち4社を日本企業が占める。
経済産業省は21?23年度、半導体支援に3.9兆円を確保した。ロームと東芝のパワー半導体投資に最大1294億円を補助する。ルネサスエ
レクトロニクスも24年4月、甲府工場(山梨県甲斐市)を再稼働し、25年からパワー半導体を量産する。
米ボストン・コンサルティング・グループによると、世界の半導体生産能力は中国や台湾、東南アジアに偏る。22年時点でウエハーに回路を
描く「前工程」では日本を除くアジア地域が6割、半導体チップを最終製品に組み立てる「後工程」では8割を占める。中国は自給率向上に向け
パワー半導体などの増産に動いており、日本勢も投資を急ぐ。
台湾積体電路製造(TSMC)による熊本県での新工場建設を好機と捉えた動きも相次ぐ。工場運営会社にはソニーグループやトヨタ自動車
などが出資。素材メーカーも投資を加速し、富士フイルムホールディングスは24年1月、熊本県で半導体製造向け研磨剤の新工場を稼働させた。
電子部品では村田製作所が約470億円をかけて島根県出雲市に積層セラミックコンデンサー(MLCC)の新たな生産棟を建設、26年3月に
竣工する。EVやスマートフォンなどに使われる部品で、TDKも岩手県の工場にMLCCの新工場棟を設けた。
防衛分野でも国内拠点増強の動きがある。三菱電機は約220億円を投じ、神奈川県鎌倉市など3カ所で防衛装備品の工場を新設する。4月
にはフィリピン空軍向けに2基目の対空監視レーダーを納入したと公表。米航空防衛大手RTXと協業し米軍向け装備品の供給を目指すなど海
外市場を開拓している。
日本政策投資銀行(DBJ)の24年度の設備投資計画調査では、回答した製造業の半数近くが今後3年程度で国内生産拠点を強化する方針
を示した。新型コロナ前の17?19年は4割弱だった。10年先までに国内を強化するとの回答も5割を超えた。
海外大手の進出も目立つ。米インテルは4月に後工程を自動化するための企業連合を設立、オムロンやTDKなど19社が参画した。米アマゾ
ン・ドット・コムはデータセンター(DC)関連で23?27年の5年間で2兆2600億円を投じると発表。マイクロソフトやオラクルなども日本でDCに投資
する計画を明らかにしている。テック大手による合計投資額は約4兆円となる。
ただこうした国内回帰や対日投資は「まだマクロの経済データで確認できるほどの規模にはなっていない」(みずほ証券の小林俊介チーフ
エコノミスト)。政府は30年までに対日直接投資残高を100兆円に引き上げる目標を掲げるが、23年6月時点で47.3兆円にとどまる。
経済安保面から世界各国が企業の誘致合戦を繰り広げる。投資先として企業に選んでもらうには「エネルギーや電力の安定供給の確保が
重要」とニッセイ基礎研の矢嶋氏はみる。貿易立国の復活を目指すのであれば「エネルギー問題への早急な対応が欠かせない」と指摘する。
米中対立を背景に注目される投資テーマが供給網を国内に戻す「リショアリング」、消費地近くに移す「ニアショアリング」、友好国・地域と構
築する「フレンドショアリング」だ。インフラや生産設備、物流などの銘柄に恩恵が及ぶとみられている。
通信インフラを手掛ける米イートン株は5月、上場来高値を更新した。夏場に弱含んだものの足元で昨年末比2割近く高い。「米国インフラ・ビ
ルダー株式ファンド」に同社株を組み入れる大和アセットマネジメントの運用チームは「米国への生産回帰の恩恵を受ける」と投資理由を語る。
トランプ前大統領の誕生を受けてファンドを設定した2017年1月以来、リターンは3倍を超える。
BNYインベストメンツの「米国製造業株式ファンド」では工場の自動化に貢献する企業に注目。産業用機械の米インガソール・ランドや電気・
電子製品の米ハッベルを組み入れる。いずれも株価は昨年末比1割強上昇している。ファンドマネージャーのモンティ・コリ氏は「米国回帰が
自動化設備や生産を最適化するソフトウエア、電力供給を支える企業に利益をもたらす」と話す。6月末までの3年間の年率リターンは21.5%だ。
物流関連の銘柄も物色されている。フェデックスや鉄道・トラックなどの手段を組み合わせ輸送を請け負うXPOは昨年末比1?2割高い。三井
住友DSアセットマネジメントの青木英之シニアファンドマネジャーは「中国からベトナムやカンボジアを経て米国に輸出する経路に変えたり、米
小売り大手が中国からの輸入を減らしたりするケースが増えている」と話す。東南アジアでコンテナ路線を担う海運会社やメキシコで物流センタ
ーを手掛ける企業に注目する。
日本企業にも恩恵がある。「中国企業からの低圧インバーターの受注が計画を上回っている」。富士電機の鉄谷裕司インダストリー事業本部
長は説明する。モーターの回転速度を制御する装置で工場設備に欠かせない。中国の繊維企業などが米国への輸出を目的に生産拠点を東南
アジアへ移していることが背景にあるようだ。
「半導体業界の日米での投資拡大が追い風だ」と説明するのが荏原。室内のクリーン度を高めるドライ真空ポンプや半導体ウエハーの表面
を研磨するCMP装置を手掛ける。TSMCが工場を設けた熊本県内で24年中にCMP装置の新たな生産棟を稼働させ、生産能力を5割増やす。
ファナックや安川電機は米国事業強化に動く。ファナックは7月、米子会社を通じミシガン州にロボットの保管や営業・サービスを担う拠点を新
設。1億1000万ドル(約150億円)を投じた。安川電機は今後数年で300億円規模を投じ、現地工場の新設を検討している。
もっとも安川電の株価は昨年末比23%安に沈む。「中国事業の息切れ感が株価に反映されている」(みずほリサーチ&テクノロジーズの月岡
直樹主任エコノミスト)との指摘がある。
2024/09/09 08:11 日経速報ニュース
再び月曜日の株暴落「ブラックマンデー」への警戒が強まっているが、注意が必要だ。米景気の悲観論が支配した8月5日とは相場の顔つき
が異なる。
8月の米雇用統計は失業率が低下し、米景気の底堅さを示す内容だったが、前週末の米国市場は株安・債券高(金利低下)が加速した。
市場関係者は先行き不安からの「景気後退トレード」と解説するがやや無理がある。実情は米連邦準備理事会(FRB)に0.5%の大幅利下げ
を求める市場の圧力、いわゆる「催促相場」だ。
なぜなら、いまの米国のクレジット市場に異変はみられず、金融ショックの火種は膨らんでいない。米国が深刻な景気後退に陥るという新たな
シグナルもない。
例えば金利の先安観が強まると売られることから景気後退や金融危機の接近を知らせる「炭鉱のカナリア」とされる「バンクローン(信用力の
低い企業向けの有担保の変動金利型銀行融資)」債権が6日の米国市場ではほとんど売られなかった。
8月の米サプライマネジメント協会(ISM)サービス業景況感指数は市場予想を上回った。ISM製造業指数も予想をわずかに下回ったとはいえ、
7月からは改善した。企業の景況感はボトムアウトしつつある。
それにもかかわらず株式から債券への資金シフトが進むのだからタチが悪い。米大統領選を控え、不確実性が高まる前に投資家が「運用資
金を高い固定金利商品に移し、予定利回りを固めてしまおう」という動機が働いているからだ。
例えば米S&P500種株価指数の予想配当利回りは1.43%に対し、米10年物国債の利回りは低下したとはいえ3.7%もある。
象徴的なのが米著名投資家ウォーレン・バフェット氏の投資判断だ。同氏が率いる米投資会社バークシャー・ハザウェイが保有する米短期
国債は2024年6月30日時点で2346億ドル(約33兆円)。23年12月末時点と比べ81%増加した。一方、株式は19%減の2848億ドル。いずれ
株式と債券の保有額が逆転する可能性がある。
欧米より利上げが遅れた日銀はグローバルリスクマネーの「供給源」だった。日本株や米エヌビディアを筆頭とする米半導体株、暗号資産
(仮想通貨)ビットコインなど様々なリスク資産にお金が流れ込んだが、7月31日の追加利上げ決定以降、「円キャリートレード」は逆回転を
起こした。
米国の在庫が減少しているにもかかわらず下げ止まらない原油相場もその一つだ。
米ブルームバーグ通信によれば、高金利を背景にヘッジファンドなどは原油市場から国債などで運用する利回り5%台のMMF(マネー・マー
ケット・ファンド)に最大1000億ドル相当の資金をシフトした。安全なMMFの利回りに対抗するには原油投資で15%の利回りが必要だという。
当然だが、こうした事例は原油にとどまらない。米投資信託協会(ICI)によればMMFの残高は9月4日時点で6.3兆㌦。1カ月で2%近く増加し
過去最高を更新した。いまやMMFは待機資金ではなく滞留資金だ。
米景気の先行きが不透明ななか、米国の固定金利が高いままではリスク資産投資は採算が合わない。金利商品への駆け込み需要が止ま
り、リスク資産に再びマネーが戻るには大幅な利下げが必要だが、米景気が底堅いうちはFRBも1回に0.5%の利下げには踏み込まないだろう。
もちろん、株安が自己実現的に米国を深刻な景気後退に陥れる可能性はある。
だが、当面起こりうる株価暴落の原因は、確定利回りとリスク資産の投資収益率を天秤にかける投資家心理に内在する。だとすれば、利下
げ観測を弱める米国のそこそこ強い経済データこそ、株式投資家には大敵ではないか。
2024/09/09 08:20 日経速報ニュース
平野憲一・ケイ・アセット代表 9日の東京株式市場で日経平均株価は大幅に続落しそうだ。下値のめどは3万5100円を見込む。6日発表の
8月の米雇用統計は非農業部門の雇用者数が市場予想を下回った。米景気後退懸念が強まり、日本市場でも売りが膨らみそうだ。前週末
には外国為替市場で円相場が1ドル=141円台に上昇する場面もあり、円高・ドル安への警戒も広がっている。輸出関連株への売りも相場を
押し下げるだろう。
ただ、8月の米雇用統計の市場の受け止めは悲観的すぎるだろう。雇用者数こそ予想を下回ったものの、失業率は市場予想通りの結果と
なり、4.2%と7月の4.3%から低下し、5カ月ぶりに改善した。また、平均時給は前月比の上昇率が0.4%と、市場予想(0.3%)以上だった。
米ブルームバーグ通信によると、イエレン米財務長官は米経済についてソフトランディング(軟着陸)を達成したとの見方を示したという。市場
が警戒するよりも米景気は急減速していないと考えている。きょうの日経平均は大幅に下落し二番底となる可能性が高いが、売り一巡後は
買いも入り回復が見込めるとみており、今が絶好の「買い場」になるかもしれない。
2024/09/09 19:30 日経速報ニュース
財務省が9日発表した対外・対内証券投資で、8月の国内投資家の海外中長期債の買越額は7兆3370億円と過去最大となった。8月に一時
1ドル=141円台まで円高が進み、保有資産全体に占める外国債券の比率が低下。年金などのリバランス(資産配分の調整)を目的とした買い
が膨らんだ。
投資家別に見ると、中心的な買い手は年金と銀行だった。年金などから受託した資産を運用する信託銀行(信託勘定)が2兆8069億円と、20
20年11月以来の買越額となった。銀行等(銀行勘定)の買越額は2兆6574億円だった。一方、生命保険会社は5381億円の売り越しだった。
全体では大幅な買い越しとなり、統計がある05年以降でこれまで最大の買越額だった16年7月の5兆4494億円を上回った。
背景には、外国為替市場で急速に進んだ円高がある。米景気減速に対する警戒感から米連邦準備理事会(FRB)の大幅な利下げ観測が台頭。
8月1日に一時1ドル=150円台に下落していた円相場は5日に一時141円台まで上昇した。
JPモルガン証券の山脇貴史債券調査部長は「円急騰を受け、年金などが資産全体に占める保有割合が下がった外国債券を買い増したので
はないか」と話す。
信託銀行(信託勘定)は主に年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)など年金基金の動向を映す。GPIFが運用の基準とする外国債券の
指数は8月に約1.3%下落した一方、金利が低下(債券価格は上昇)した国内債券は約1.2%上昇した。国内債券から外国債券に資金を移す動き
があったとみられる。
GPIFが投資に回す資金の増加も影響した。財政資金対民間収支によると、主に国庫からGPIFへの資金流入などを反映する「預託金」が8月
は約2.7兆円と18年以降で最大となった。野村証券の桑原真樹シニア金利ストラテジストは「ニューマネー増加も大幅な外債への資金流入に
つながった可能性がある」と指摘する。
米利下げ観測の高まりも外債買いを後押しした。三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは「今後の米利下げ
で米国債価格が上昇するとの見方が広がり、銀行などが外債買いに動いた可能性がある」とみる。
国内勢の外債買い拡大は、外為市場では円安・ドル高圧力として意識される。8月末には一時1ドル=146円台で推移するなど、141円台から
5円程度反落した。「年金などによる外債の大幅買い越しは、円高を抑える要因となった」(バークレイズ証券の門田真一郎為替債券調査部長)
との見方が多い。
今後については「年金の外債買いはリバランスが一巡すれば落ち着く。銀行は世界的に景気悪化懸念が高まれば増やすだろうが、8月の
ような大幅買い越しが続くとは考えにくい」(山脇氏)との声があがっている。
24年初めには、日銀の利上げによって国内金利に上昇圧力がかかり、国内勢が外債投資から円債に回帰するとの観測が一部で出ていた。
円債については「金利水準は低いが、買えない状況ではない」(太陽生命保険の清友美貴常務執行役員)との声もあがる。
ただ、日銀の高田創審議委員が5日、追加利上げを示唆するなど、金利先高観は根強い。現時点では「国内投資家は積極的には買いづら
い」(SMBC日興証券の田未来シニア金利ストラテジスト)状況だ。
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2024/09/11 05:00 日経速報ニュース
3メガバンクグループの証券会社がウェルスマネジメント(富裕層ビジネス)の営業人員の育成や増員を進めている。三菱UFJモルガン・
スタンレー証券は社内で「プロ」と認定する社員を3年で2倍にするほか、みずほ証券は資産30億円以上の顧客を専門に担当する社員を
今夏に2割増やした。ネット証券が手数料無料化に踏み切るなか、対面サービスで富裕層の囲い込みを図る。
ウェルスマネジメントは各社によって定義が異なるが、顧客に営業員が担当としてつき、取引の受注だけでなく顧客の資産全体を勘案
した資産の運用や管理について助言などを行う。最低投資金額の大きいプライベートアセット(未公開資産)など広く一般には販売しない
商品を扱う場合もある。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券は2026年度までに、現在約400人の「プロ人材」を2倍にする。ファイナンシャルプランナー(CFP)など
専門資格の取得や一定の成果などを要件としており、社内教育などを強化する。プロ人材は1人あたり平均年2億円程度の収益を稼いで
いるという。
三菱モルガンではおおむね総資産3億円以上の顧客に対面営業の担当者がつく。一人あたり平均100世帯前後を担当している。プロ
人材は現段階で全営業員の4分の1程度だが、3年間で比率を半分まで引き上げる。
米モルガン・スタンレーのノウハウなどを生かし、年に顧客に何回会うべきかなどの営業手法を体系化したマニュアルを今年4月に作成した。
みずほ証券は資産30億円以上の超富裕層を担当するプライベートバンキング(PB)の部署の人員を東京の本社と大阪あわせて約10人
増やして60人強にした。従来は支店で担当していた首都圏や近畿圏の顧客の担当を24年度中に東阪の拠点に集約する。
支店ではこれまで、一人の営業員が通常の顧客とPBの顧客の両方を担当していたが、東阪の拠点にはPBの専門部署がある。PBは
寄付先の提案など通常の顧客とは違うスキルも必要のため、専門部隊に集約することでノウハウを蓄積させる。通常の営業員は一人が
200人程度を担当するが、PBは40?50世帯だ。
富裕層は企業の経営者やオーナーである場合が多く、事業承継やM&A(合併・買収)、新規株式公開(IPO)などで投資銀行部門など
と連携する場合が多い。本社に担当者を集約させることで、投資銀行部門との連携がとりやすくなる。
三菱モルガンも今春、ウェルスマネジメント部門と投資銀行部門などを結ぶ専門組織を本格稼働させた。同様の組織は米モルガン・スタ
ンレーなどにもある。
や融資、遺言信託などを取り扱う銀行と、証券会社の両面の視点で人材を育てる。大都市圏にPBの専門部署を置いているほか、22年に
は横浜や神戸などの支店にも新設。地方を開拓している。
個別株の販売やプライベート資産など富裕層から人気の高い運用商品の販売は証券会社が中心となる。三井住友FGはグループの富裕
層ビジネスの中核を証券会社が担うとしており、司令塔となる持ち株会社の統括本部長にもSMBC日興出身者が就いた。
日本証券業協会などによれば、国内の上位1割の世帯が全体の4割程度の金融資産を持つ。米欧ほどではないが、国内でも富裕層が多
くの資産を持っており、投資助言などのニーズが高く、金融機関としては収益源になりうる。
スイスのUBSの予測によると、日本のミリオネア(資産100万ドル=約1億4000万円以上の富裕層)は28年に23年比28%増の362
万人になる。「ウェルスマネジメントは今後伸びると全員がわかっている市場」(メガバンク首脳)のため、各社が力を入れている。
野村ホールディングス(HD)や大和証券グループ本社は既にウェルスマネジメントを成長戦略の中核に位置づけている。野村証券は全国
の個人担当者の大部分を富裕層担当にした。大和証券Gは経常利益に占めるウェルスマネジメントの割合を現在の35%から45%に高める。
野村や大和、SMBC日興は米ブラックストーンなどのプライベートエクイティ(PE)商品の販売にも力を入れる。SMBC日興は投資に関する
知見のある顧客向けにローン担保証券(CLO)の公募商品の販売も始めた。
証券各社が富裕層ビジネスに力を入れるのは、一般向けのビジネスでネット証券が手数料無料化に踏み切るなど競争が激しくなっている
ためだ。
三菱モルガンでウェルスマネジメントの企画を所管する伊藤英十常務執行役員はプロ人材を増やす目的について「商品・サービスはコモ
ディティー化が進むため、手数料だけで考えるとネット証券に流れる。競争力の源泉はアドバイスによる付加価値しかなく、徹底的に強化
する」と話す。
2024/09/11 13:44 日経速報ニュース
11日午後の外国為替市場で、円相場が上げ幅を拡大した。13時すぎに140円90銭近辺と約8カ月ぶりの高値をつけた。日経平均株価が
下げ幅を広げ、投資家がリスクを取りにくくなったのが円買い・ドル売りを誘っている。8月上旬につけた141円台後半の水準を超えたことで
損失覚悟(ストップロス)の円買い・ドル売りも入りやすくなっているようだ。
11月の米大統領選でトランプ前大統領が再選されるとの思惑から形成されていた「トランプ・トレード」の持ち高解消が進んだとの見方も
出ている。日本時間11日午前に開催された米大統領選候補者のテレビ討論会で、民主党候補のハリス副大統領がトランプ氏より優位に
たったとの受け止めが浮上しているためだ。トランプ氏の財政拡張策を見込んだ米債売りやドルの買い持ち高を整理する動きがあるという。
日銀の追加利上げ観測を背景にした円買いも根強い。日銀の中川順子審議委員は11日、秋田県の金融経済懇談会で経済・物価見通
しが実現していくようなら「緩和度合いを調整していくことになる」などと発言していた。
2024/09/13 02:00 日経速報ニュース
金融業のサービスに関連した国際収支の赤字幅が拡大している。国内の保険会社が海外に支払う再保険料などが膨らみ、2024年上半期
(1?6月)の支出額はこの5年で2.7倍に増えた。受取額は1.3倍にとどまり、収支の赤字は1兆円を超えた。
デジタルサービスの海外への支払いによる「デジタル赤字」と同様に、金融分野でも国内事業者の国際競争力をどう高めていくかが課題と
いえる。
日本と海外との経済的なやりとりを集計する国際収支統計のなかで、モノやサービスのやりとりに関する収支の赤字が続いている。
サービス収支のなかで、「保険・年金サービス」と「金融サービス」を合算して金融業に関するサービス収支をはじき出すと、1?6月は海外に
2兆3645億円を支払い、受け取りは1兆1502億円だった。差し引きの収支は1兆2143億円の赤字となった。赤字幅は1年前から6割増えた。
赤字の増加が目立つのが、再保険料や貨物保険料、損害保険料などを計上した「保険・年金サービス」で1?6月は1兆5276億円の赤字だ
った。海外への支払額が5年で4倍に増えたことで、赤字額は5年前の3008億円からおよそ5倍に増加した。
財務省や日銀によると、日本の保険会社が海外の再保険会社に支払うお金が増えている。再保険は保険会社が顧客との契約で引き受けた
リスクの一部を、他の保険会社に肩代わりしてもらうものだ。
投資商品としての性格を持つ個人向けの変額保険の売り上げが国内で伸びていることなどが背景にある。「貯蓄から投資へ」の機運の高ま
りもあり、資産運用の需要が大きくなっている。
日本の保険会社は海外の再保険会社と契約することで、リスク分散を図るケースが増えているという。
多様な金融商品の売り上げ拡大は国内金融業の成長につながり、消費者にもメリットがある。ただ、海外の金融サービスの依存度の高ま
りは、国内事業者の競争力の弱さを反映している部分がある。
日銀の分析によると、米国や英国はデジタル分野と共に、金融の分野でも海外から一定の受け取りがあり、サービス収支の黒字につながっ
ている。内閣府が保険・年金分野の国際的な優位性を分析したところ、日本は米英やドイツ、フランスを下回った。
学習院大学の清水順子教授は「日本の金融機関は主に日本の企業や個人を対象に様々なサービスを展開しているが、欧米の金融機関と
比較すると海外で通用するサービス展開が少ないのではないか」と指摘する。その上で「それが金融収支のバランスの悪さにつながっている」
と話す。金融業の国際競争力における課題が結果的にサービス収支の赤字に現れている可能性がある。
日本と海外との経済的なやりとりを集計する国際収支統計によると、全体の経常収支は1?6月で計12兆6817億円の黒字だった。日本企業
の海外展開などで投資による利益を確保した。
モノやサービスのやりとりに関する収支をみると、1?6月は貿易収支が2.6兆円、サービス収支が1.7兆円、それぞれ赤字だった。
サービス収支を詳しく見ると、新型コロナウイルスの流行が落ち着いてきたことでインバウンドが好調に推移し、旅行関連は収支が黒字方向
に進んでいる。1?6月の黒字額は2兆5939億円となり、前年同期の1.6倍になった。
他方で、海外のクラウドサービスやネット広告への支払いが膨らみ、デジタル関連は収支が3兆1092億円の赤字と前年同期と比べて1割増
えた。
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2024/09/12 21:58 日経速報ニュース
東京証券取引所が12日発表した投資部門別売買動向(東京・名古屋2市場)によると、海外投資家は9月第1週(2?6日)に現物株を8235億
円売り越した。売却額が購入額を上回るのは3週連続で、売越額は2023年9月以来およそ1年ぶりの大きさだった。
この週の日経平均株価は週間で2256円(6%)下げた。製造業景況感や雇用関連の弱い経済指標を受けて米景気の減速懸念が再び強まった。
米国の利下げ幅拡大観測による円高進行で、業績の先行き懸念も広がった。
海外投資家の売買代金差額を4月から累計すると5310億円の売り越しで、24年度に入って初めて売り越しに転じた。野村証券の須田吉貴
クロスアセット・ストラテジストは「円高や日銀の利上げなど日本固有のネガティブ要素が懸念され、海外投資家の間で日本株を積極的に買い
上げる高揚感はない」と話す。
年金基金など機関投資家は株価の上下で保有比率が変動すると、減った資産を買い増し、増えた資産を売ることで元の比率に戻るよう調整
する。「円高進行でドル換算の日本株の資産価値が上がり、機関投資家のリバランス(資産配分の調整)売りが出た」(GCIアセット・マネジメン
トの池田隆政シニア・ポートフォリオ・マネジャー)との指摘もあった。
個人投資家は現物株を5週ぶりに買い越した。買越額は4672億円だった。相場の流れに逆らう「逆張り」の押し目買いが優勢だった。企業に
よる自社株買いが高水準で続いており、事業法人は3544億円買い越した。年金基金の動向を映すとされる信託銀行は7週連続の買い越しで、
買越額は1500億円だった。
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・「海外勢、急落後も日本株期待は不変」 BofA幹部
2024/09/13 17:05 日経速報ニュース
海外投資家による日本株への売り圧力が強まっている。日経平均株価が7月11日に史上最高値(4万2224円)を付けた翌週にあたる7月
第3週(16?19日)以降、海外勢の売越額は現物と株価指数先物の合計で5兆1000億円に達した。その主因として円高・ドル安の進行を
挙げる声は多い。欧米中銀が利下げを模索しているのに対し、日銀は利上げを継続する方針とあって、円高と株安が同時進行しやすい状況
は当面続きそうだ。
13日の日経平均は反落し、前日比251円安の3万6581円で終えた。
欧州中央銀行(ECB)は12日、2会合ぶりとなる0.25%の利下げを発表した。米連邦準備理事会(FRB)が17?18日に開く米連邦公開市
場委員会(FOMC)でも、利下げはほぼ確実視されている。外国為替市場で一時1ドル=140円台半ばまで円高が進み年初来高値を更新
したのと歩調をあわせて、トヨタ自動車やキヤノンといった輸出関連株に売りが膨らみ、日経平均も一段安となった。
東京証券取引所によると、海外勢は9月第1週(2?6日)に現物株を8235億円売り越した。1週間の売越額としては今年最大だ。2日の取引
時間中に日経平均は一時、3万9000円台に乗せるなど8月急落後の戻りを試していた局面にあたる。
そこで日本株買いに動いた海外勢もいる。個別株の買いと空売りを組み合わせる「ロング・ショート(LS)」戦略の運用担当者は「このタイミ
ングでロングバイアス(買い持ち高を増やす)を強めたLS戦略の投資家は多かった」と話す。
23年4月以降の日経平均の価格帯別に集計した累積売買高では、上方向では3万8000?3万9000円、下方向では3万2000?3万3000円
が膨らんでいる。ショート(売り)は貸株料がかかるため、普段からLS戦略は買い持ちの比重が高い。3万9000円を上回れば売り圧力が和ら
ぐとの見方から先高観を強め、さらに買い持ちを増やしたファンドもあったもようだ。
だが、その後の日経平均は米株安や円高につられて3日から11日までの7営業日続落で3000円あまり下げた。
米調査会社ヘッジファンド・リサーチ(HFR)が算出するLS戦略の運用成績を示す「株式ロング・ショート指数」は9月第1週にマイナス1.2%。
週間では今年2番目の悪い記録で、LS戦略のパフォーマンスが急激に悪化したことがうかがえる。ヘッジファンドの運用スタイルで多いと
されるLS戦略の成績悪化は、今後も尾を引く可能性がある。
海外勢は円高への警戒感を強めている。モルガン・スタンレーMUFG証券の中沢翔ストラテジストは今月に欧州を訪問した。現地投資家と
のミーティングでは、日銀のタカ派姿勢と米経済の減速懸念で、さらなる円高進行を警戒する声が多く聞かれたという。
日銀の利上げ継続の思惑がしばらく続きそうななか、日米の金融政策の方向性の違いなどに起因するボラティリティー(変動率)の高まり
から、日本株は当面、レンジ相場とみる投資家が多かったと指摘した。
みずほ証券は9月第1週に機関投資家向けの日本株セミナーを開催した。同証券の菊地正俊チーフ株式ストラテジストは「想定以上に円高
を懸念している海外勢が多かった」と話す。日銀の利上げ継続とFRBの年内数回の利下げは市場に織り込まれているとして、菊地氏は年内
の円相場について1ドル=140?150円で推移するとの見解を示したところ、130円台を見込む海外勢がそれなりにいたという。「円買い・株価
指数先物売り」によって、短期的には日本株の一段安を見込む向きもあったようだ。
市場では「8月の急落後に割安感が強まった日本株には、長期志向の海外勢が買いを入れた」(外資系証券のストラテジスト)との声も聞か
れる。ただ、7月第3週以降に5兆円あまり売り越したというデータをみる限り、海外勢が再び日本株への強気姿勢を強めているような気配は
乏しい。
9月相場は後半に警戒――。米国株の特別清算指数(SQ)算出に当たる第3金曜日以降、日米株は過去3年連続で9月は月末にかけ、
大幅な下落に見舞われている。決算発表の1カ月前から自社株買いを自粛する米企業が多いことも一因のようだ。
今年も9月後半に大幅な調整が入るとすれば、円高加速も重なり海外勢の慎重姿勢は一段と強まりかねない。もちろん、9月末にかけての
下押し局面が買い場とみてエントリーしてくる投資家もいるだろう。投資家の運用の巧拙が明暗を大きく分けそうな局面に差し掛かっている。
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2024/09/13 16:28 日経速報ニュース
海外投資家による日本株への売り圧力が強まっている。日経平均株価が7月11日に史上最高値(4万2224円)を付けた翌週にあたる7月
第3週(16?19日)以降、海外勢の売越額は現物と株価指数先物の合計で5兆1000億円に達した。その主因として円高・ドル安の進行を
挙げる声は多い。欧米中銀が利下げを模索しているのに対し、日銀は利上げを継続する方針とあって、円高と株安が同時進行しやすい状況
は当面続きそうだ。
13日午前の日経平均は反落し、前日比326円(0.89%)安の3万6507円で終えた。欧州中央銀行(ECB)は12日、2会合ぶりとなる0.25%
の利下げを発表した。米連邦準備理事会(FRB)が17?18日に開く米連邦公開市場委員会(FOMC)でも、利下げはほぼ確実視されている。
外国為替市場で一時1ドル=140円台後半まで円高が進んだのと歩調をあわせてトヨタ自動車やキヤノンといった輸出関連株に売りが膨らみ、
日経平均も一段安となった。
東京証券取引所によると海外勢は9月第1週(2?6日)に現物株を8235億円売り越した。1週間の売越額としては今年最大だ。2日の取引
時間中に日経平均は一時、3万9000円台に乗せるなど8月急落後の戻りを試していた局面にあたる。個別株の買いと空売りを組み合わせる
「ロング・ショート(LS)」戦略の運用担当者は「このタイミングでロングバイアス(買い持ち高を増やす)を強めたLS戦略の投資家は多かった」
と話す。
23年4月以降の日経平均の価格帯別に集計した累積売買高では、上方向では3万8000?3万9000円、下方向では3万2000?3万3000円
が膨らんでいる。ショート(売り)は貸株料がかかるため、普段からLS戦略は買い持ちの比重が高い。3万9000円を上回れば売り圧力が和ら
ぐとの見方から先高観を強め、さらに買い持ちを増やしたファンドもあったもようだ。だが、その後の日経平均は米株安や円高につられて3日
から11日までの7日続落で3000円あまり下げた。
米調査会社ヘッジファンド・リサーチ(HFR)が算出するLS戦略の運用成績を示す「株式ロング・ショート指数」は9月第1週にマイナス1.2%。
週間では今年2番目の悪い記録で、LS戦略のパフォーマンスが急激に悪化したことがうかがえる。ヘッジファンドの運用スタイルで多いと
されるLS戦略の成績悪化は、今後も尾を引く可能性がある。
海外勢は円高への警戒感を強めている。モルガン・スタンレーMUFG証券の中沢翔ストラテジストは今月に欧州を訪問した。現地投資家
とのミーティングでは日銀のタカ派姿勢と米経済の減速懸念で大半の投資家は今後、さらなる円高進行を警戒する声が聞かれたという。
日銀の利上げ継続の思惑はしばらく続きそうななか、日米の金融政策の方向性の違いなどに起因するボラティリティー(変動率)の高まり
から、日本株は当面、レンジ相場とみる投資家が多かったと指摘した。
みずほ証券は9月第1週に機関投資家向けの日本株セミナーを開催した。同証券の菊地正俊チーフ株式ストラテジストは「想定以上に円高
を懸念している海外勢が多かった」と話す。日銀の利上げ継続とFRBの年内数回の利下げは市場に織り込まれているとして、菊地氏は年内
の円相場について1ドル=140?150円で推移するとの見解を示したところ、130円台を見込む海外勢がそれなりにいたという。「円買い・株価
指数先物売り」によって、短期的には日本株の一段安を見込む向きもあったようだ。
市場では「8月の急落後に割安感が強まった日本株には、長期志向の海外勢が買いを入れた」(外資系証券のストラテジスト)との声も聞か
れる。ただ、7月第3週以降に5兆円あまり売り越したというデータをみる限り、海外勢が再び日本株への強気姿勢を強めているような気配は
乏しい。
9月相場は後半に警戒――。米国株のSQ(特別清算指数)算出に当たる第3金曜日以降、日米株は過去3年連続で9月は月末にかけ、
大幅な下落に見舞われている。決算発表の1カ月前から自社株買いを自粛する米企業が多いことも一因のようだ。今年も9月後半に大幅な
調整が入るとすれば、円高加速も重なり海外勢の慎重姿勢は一段と強まりかねない。もちろん、9月末にかけての下押し局面が買い場と
みてエントリーしてくる投資家もいるだろう。投資家の運用の巧拙が明暗を大きく分けそうな局面に差し掛かっている。
2024/09/15 17:00 日経速報ニュース
8月上旬の歴史的急落から1カ月あまり、日本株相場の戻りは鈍い。買いの息切れを象徴するのが銀行株だ。日銀が利上げに踏み出すなか
その恩恵を享受する本命株の停滞は、日本経済が前向きな経済環境で成長を持続できるのか確信しきれない投資家の迷いを映す。
業種別日経平均株価「銀行」は7月末から9月13日にかけて17%下げた。下落率は原油安が重荷の「鉱業」(18%)に次ぐ全36業種中2位で、
日経平均(6%)の3倍近くとさえない。
個別株をみても、ほぼ全社が簿価ベースの「解散価値」を下回る。東証プライム上場の68社のうち、PBR(株価純資産倍率)が1倍を上回るの
は楽天銀行とセブン銀行のみ。大手行では三菱UFJフィナンシャル・グループが3月、三井住友フィナンシャルグループが7月にそれぞれ久々に
1倍を回復したが、8月の波乱相場を経て0.8倍前後に沈んだ。
「2026年度までの見通し期間の後半には少なくとも1%程度まで短期金利を引き上げておくことが必要だ」。日銀の田村直樹審議委員は9月
12日の講演で段階的な利上げが適当との認識を示した。今月は他の2委員も今後の緩和修正を見据えた発言をした。
賃金と物価上昇の好循環のもと金利が上がる好調な経済では、貸出金や利ざやの拡大で銀行の収益も増えていく。みずほリサーチ&テクノ
ロジーズの試算によると、26年10?12月期に政策金利が2.75%まで高まる力強いシナリオでは、30年度の邦銀全体の経常利益は16兆円弱
と22年度実績の約4倍になる。
金融緩和策の修正が始まったのに銀行株はなぜさえないのか。大きく3つの懐疑が浮かぶ。まず本当に日本経済の足腰が強くなるなかで
政策金利が上がっていくかだ。
ありあけキャピタルの田中克典代表は「0.5%までは上がると思うが、その先も上がると自信を持って言える人は少ないのではないか」とみる
。「邦銀の資産の平均残存期間は3?5年ほどで、0.5%であっても長く維持できれば収益は向上していく」と指摘。PBR1倍割れがあふれる状況
は、0.5%すら保てる確信が市場にまだ乏しい表れだと解釈する。
ゴールドマン・サックス証券で銀行担当アナリストを長く務めた田中氏は、20年に地銀へ重点投資する同社を設立した。銀行株の将来には
前向きだが、期待で買われる局面は一巡し、実際の変革で結果を出す段階に入ったと冷静に見つめる。
預金といった短期のお金を長期の投融資で運用する銀行の稼ぎは長短金利差が左右する。長期金利の指標となる新発10年物国債利回り
は今年の最高が1.1%で、5月以降に3回はね返された。最後は日銀が0.25%へ利上げする前週の7月25日につけ、直近は0.8%台まで低下(債
券価格は上昇)している。0.3%台で底堅い2年債との金利差は縮んできた。
なぜ長期金利は上がらないのか。米国の金利低下の余波に加え、国内投資家の円債需要の根強さも指摘されている。
例えばゆうちょ銀行。待機資金と位置づける日銀当座預金などの預け金は6月末時点で59兆円積み上がり、国債の44兆円を上回る。金利
上昇を好機ととらえて段階的に国債に振り向ける「円金利ポートフォリオの再構築」を進めている。
岡三証券の田村晋一シニアアナリストは「円債で長めの金利が取れればいいという投資家は多く、待機資金は全体で200兆?300兆円規模
と推察される。長期金利は今後2年は1.5%に達しないのではないか」と言う。日銀が短期の政策金利を上げても長い年限にはさほど響かず、
銀行に期待ほど追い風にならない可能性を挙げる。
第3の懐疑はコストに向く。あるメガバンク幹部は「これからは預金が大事。マイナス金利下で『集めるな』と言われてきた業界にパラダイム
シフトが起きている」と吐露する。政策金利が前回0.5%まで上昇した06?07年と違うのはネット銀行の台頭だ。店舗網を持たない低コストを
武器に、一部は大手行を上回る預金金利を出している。
黙っていても預金が集まるデフレの時代は終わり、伝統的な銀行にはコスト増の影が忍び寄る。「インフレ下では人件費も賃料も高まり経費
率の制御が重要だ。真の意味で競争が始まり経営力が問われる」(ありあけキャピタルの田中氏)
英運用会社ベイリー・ギフォードのベテラン日本株担当者、ドナルド・ファーカソン氏は「利上げは銀行の利益率回復に追い風だがコモディテ
ィー化している産業で楽観できない。長期で自己資本利益率(ROE)をどれほど高められるか確信が持てない」と語る。
銀行は23年春以降の日本株高を引っ張ってきた代表業種で、東証株価指数(TOPIX)に占める時価総額比率は21年初めの4%台を底に持ち
直してきた。脱デフレ、株主還元強化や持ち合い解消など日本株全体にも通じる手掛かりは「織り込み済み」との見方が広がる。
日銀の利上げは円高や利払い負担の増加を通じて広範な銘柄の逆風になり、数少ない恩恵銘柄として期待されるのが銀行株だ。その銀行
株も振るわない現状は日本株の足踏みが長引く可能性を示唆している。
【関連記事】
・銀行融資の7月平均金利、7カ月連続上昇 変動型中心に
・地銀、預金重視で店舗戦略見直し 肥後銀は18年ぶり出店
2024/09/19 日本経済新聞 朝刊
大手銀行は、スポーツクラブの優待など自行の会員制サービスに加入する顧客の金利優遇を始める。三菱UFJ銀行は10月に外貨の
定期預金の優遇サービスを始め、円定期預金の優遇サービスも設ける。三井住友信託銀行は円普通預金の優遇幅を20倍にする。日本
が金利ある世界に回帰するなか、預金の金利優遇で顧客の裾野を広げ、資産運用の提案などにつなげる。
大手行は2016年のマイナス金利導入後、一定の金融資産を持つ会員向けサービスを縮小、撤廃してきた。定期預金の金利を優遇して
いた三菱UFJ銀の「クオリティ・ライフ・クラブ」は17年3月末で提供を終了。他の大手行でもサービスを取りやめた例がある。マイナス金利
で預金を獲得すれば損失が生じるリスクがあったためだ。
一足先に金利ある世界になった海外では、金融機関がウェルスマネジメント(富裕層向け資産運用)事業の入り口として、預金残高など
をもとに手数料や金利の優遇を実施して顧客を広げている。米シティグループが手数料の優遇などで強みを持つ。日本も金利ある世界で、
富裕層の入り口に立つ顧客などを取り込めるかが邦銀の中長期的な競争力を左右する。
三菱UFJ銀行が金利を優遇するのは、富裕層や準富裕層などを対象にする会員制サービス「エクセレント倶楽部(クラブ)」に加入して
いる顧客の預金だ。入会金や年会費は無料で現在約3万人が参加している。百貨店の高島屋での買い物やスポーツクラブの会費などで
優待を実施する。金利上昇に伴う顧客の獲得競争を見据え本格的なサービス拡大に転換する。
10月から設定する外貨預金の優遇金利は米ドルの1カ月で20%程度とする。一般の顧客に向けた金利の2倍近くとなる。円預金でも
会員限定の金利優遇キャンペーンを実施し、継続も視野に入れる。
参加できる会員の裾野も広げる。これまで投資信託など資産運用残高(預金除く)で1000万円以上だった入会基準を、預金を含む預
かり資産が3000万円以上であれば入会を認める。退職金などを受け取った高齢者らが入会資格を満たせるため、有資格者が大きく広が
るという。中長期的に足元の10倍に及ぶ30万人規模まで会員数を増やす。
三井住友信託銀行は、取引残高に応じて利用できる「トラストプレミアムサービス」の顧客の金利優遇を拡大する。普通預金でこれまでの
0.001%から0.02%に引き上げ、定期預金も2年以上で0.05%とこれまでより2.5~5倍ほど高い水準の上乗せにする。同サービス
の金利優遇幅の拡大は12年に三井住友信託銀が発足して以降初めて。
サービスは定期預金を含む取引残高が300万円以上の顧客が利用でき、金利優遇は1000万円以上から提供する。三井住友信託は
富裕層の囲い込みを見据え、23年にサービスを刷新し喫茶店「コメダ珈琲店」の飲み物のサイズを大きくできるなど、生活関連サービスの
優遇を導入してきた。今後年4回の会員限定イベント開催などを予定する。
三井住友銀行は投信など運用商品と同時に申し込むことで定期預金の金利を優遇するサービスを拡充した。退職金や相続資金などを
対象に2%の金利を適用する3カ月物の定期預金の上限額を、保有する運用商品の3倍(従来は同額)に増やした。みずほ銀行も会員制
サービスの刷新を予定する。
2024/09/19 日本経済新聞 朝刊
日本証券業協会は18日、8月初旬の株式相場の急落時に少額投資非課税制度(NISA)利用者がとった売買行動に関する調査を発表
した。日経平均株価が過去最大の下落幅(4451円安)となった8月5日は、株の買い付け額が売却額のおよそ2倍になった。同2日と同
6日を含めた計3営業日でみると、2.3倍だった。
ネットと対面の証券10社に8月2~6日の売買動向を聞き取りし、9社から回答を得た。5日は合計の買い付け額が881億円だったのに
対し、売却額は450億円だった。3営業日の合計では買い付け額が1948億円、売却額が862億円だった。
投資信託も買いが優勢だった。3営業日合計では買い付け額が2145億円だった一方、売却額は459億円だった。
15:30 配信
フィスコ
■円高進行一服し3日続伸、38000円台手前まで上昇
今週の日経平均は週間で1142.15円高(+3.12%)の37723.91円と上昇。4営業日立ち合いのなか、米連邦公開市場委員会(FOMC)後の
米国株が買われたことで、日本株も買い優勢の展開となった。東京市場が祝日の16日に、為替は1ドル139円50銭台と円高ドル安が加速し
たが、米連邦準備制度理事会(FRB)による大幅利下げ実施観測を市場が織り込み、米10年債利回りの低下が一服。17日こそ円高加速に
伴う日本株売りで日経平均は35000円台まで下落したが、円高進行一服に伴い下げ幅をじりじりと縮小。FOMCでは想定通り0.50%の大幅
利下げを実施したが、パウエルFRB議長は「(利下げを)急がない」姿勢を記者会見で示したことから、為替は1ドル144円手前まで円安ドル高
が加速。FOMC通過後の米国株も強く、NYダウが史上最高値を更新したことなどから、日本株は主力株を中心に買われる展開となり、日経
平均は週末にかけて3日続伸。一時38000円台手前まで上昇した。
なお、9月第2週の投資主体別売買動向によると、外国人投資家は現物を1兆5337億円売り越し、TOPIX先物を4196億円買い越し、225先物
を488億円買い越したことから、合計1兆653億円の売り越しとなった。一方、個人投資家は現物を2152億円買い越すなど合計で2117億円買
い越し。なお、自己は現物を8974億円買い越したほか、事業法人も3026億円買い越した。
■植田日銀総裁は「年内の追加利上げ」は明言せず
週末のランチタイムに発表された日本銀行による金融政策決定会合の結果は市場想定通りの「金融政策の現状維持」となった。そして、
15時30分から行われた植田和男日銀総裁による記者会見では、「金融資本市場は、引き続き不安定な状況にある」「円安に伴う輸入物
価の上振れリスクは相応に減少」「内外の市場動向だけではなく、海外経済の状況を丁寧に確認」「来年の春闘でもしっかりした賃上げが
続くと期待」「追加利上げに、特定のタイムラインやスケジュール感など予断持っていない」などと発言。「データがオントラックであれば
利上げということに変わりない」と8月に行われた閉会中審査と同様「タカ派」的な発言は見られたが、「7月利上げに際して、市場との
コミュニケーションに対する批判は認識している」といった話も出るなど、7月会見より丁寧に回答する姿を受けて、市場の緊張感は緩和。
年内の追加利上げに関する明言がなかったことなどから、追加の利上げ観測が後退し、記者会見後の為替は一時1ドル144円40銭台まで
円安ドル高が進行した。
20日の米国市場はまちまち。ダウ平均は前日比38.17ドル高(+0.09%)の42063.36ドル、ナスダックは同65.66ポイント安(-0.36%)の
17948.32、S&P500は同11.09ポイント安(-0.19%)の5702.55で取引を終了した。大証ナイト・セッションの日経225先物は、通常取引終
値比440円高の37970円で取引を終えた。
週末の上昇を受けて、日経平均は25日移動平均線(37447円)と200日移動平均線(37621円)を終値ベースで上回った。7月下旬から続い
ていた日本株の乱高下は徐々に落ち着きを取り戻しつつある。来週末には自民党総裁選の結果が判明し、次の日本の顔が誕生する予定
だ。9名の候補者が乱立する異例の総裁選となっているが、政策への期待感などを材料に日本株買いが強まる可能性はあろう。また、26日
が配当・優待権利取り最終売買日でもあることから、個人投資家がNISA口座を通じて買いを入れるケースも想定できる。配当落ちに絡んだ
225先物、TOPIX先物買い需要が合計1.3兆円ほど予想されていることなどから、翌週の日本株はしっかりの展開が期待できよう。為替も
円安に振れていることから、輸出関連株の買いなども受けて、日経平均は75日移動平均線(38298円)水準の突破が意識されそうだ。
■27日に米PCEデフレータ発表
来週にかけて、国内では、25日に8月企業向けサービス価格指数、27日に9月東京消費者物価指数、7月景気動向指数(確報値)などが
予定されている。
海外では、23日にNZ・8月貿易収支、仏・9月製造業PMI(速報値)、サービス業PMI(速報値)、独・9月製造業PMI(速報値)、サービス
米・9月製造業PMI(速報値)、サービス業PMI(速報値)、コンポジットPMI(速報値)、24日に豪・中銀政策金利、米・7月S&Pケースシラー
住宅価格(20都市)、9月コンファレンスボード消費者信頼感指数、リッチモンド連銀製造業指数、25日に豪・8月消費者物価指数、米・8月
新築住宅販売件数、週次原油在庫、26日に米・第2四半期実質GDP(確報値)、週次新規失業保険申請件数、8月耐久財受注(速報値)、
中古住宅販売成約指数、27日にユーロ・9月景況感指数、米・8月卸売在庫(速報値)、PCEデフレータ、9月ミシガン大学消費者信頼感指
数(確報値)などが予定されている。
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20240930-OYT1T50144/
大手銀行4行は30日、日本銀行の追加利上げに伴い、新規契約者の変動型住宅ローンの基準金利を10月から0・15%引き上げると
発表した。大半のローン契約者にとっては負担が増えることになる。ただ、新規契約者の獲得に影響が出ないよう、金利の優遇幅を拡大
する動きもある。
変動型金利を上げるのは三菱UFJ、三井住友、三井住友信託、りそなの計4行。いずれも引き上げは17年ぶりとなる。みずほ銀行は
据え置いた。
各行とも9月初旬、変動型金利を左右する「短期プライムレート」を、日銀が7月末に決めた政策金利の上げ幅と同じ0・15%分引き上げた。
これを基準金利に反映した。既存のローン契約者の変動金利は5行全てで0・15%分上がり、12月以降の返済から順次適用される。
各行は借り手の信用度に応じ、基準金利からの割引にあたる金利の優遇幅を決めており、最終的に負担する金利はこの差で決まる。
最も低い金利で借りられるケース(最優遇金利)は三井住友、三井住友信託、りそなの3行で0・15%引き上げる。
一方、三菱UFJは基準金利とともに新規契約者への金利優遇幅も0・15%分拡大する。これに伴い、最優遇金利を0・345%で据え置く。
攻勢を強めるインターネット銀行に対抗する狙いがある。基準金利を据え置いたみずほも、最優遇金利は0・375%のままとする。
2024/10/01 日本経済新聞 朝刊
大手銀行5行は9月30日、変動型の住宅ローンの基準金利を引き上げると発表した。既存の顧客は支払う返済総額が増える一方、新規で
借り入れる住宅購入者に適用する最優遇金利は、三菱UFJ銀行が据え置くなど戦略の違いも出ている。一部のネット銀行も顧客獲得へ低金
利を続けており、競争はなお激しい。
三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行、三井住友信託銀行、りそな銀行の大手5行は日銀の追加利上げに伴い短期プライムレート
(短プラ)を9月に0.15%上げた。
住宅ローンの基準金利は短プラに連動して設定しており、10月から0.15%高い2.625%にする。基準金利の引き上げは17年ぶりとなる。
ただ、新規で借り入れる人に適用する「優遇金利」では各行で戦略がわかれた。
三菱UFJ銀は基準金利が上がる分を優遇幅で抑える形で、最優遇金利を0.345%に据え置いた。最優遇金利は各行の住宅ローン商品の
看板となるもので、競争力のある金利を提供し、新規顧客の獲得につなげる狙いがある。
既存契約の基準金利を引き上げたみずほは、新規で借り入れる顧客の基準金利を25年に見直すため10月の最優遇の金利を変えなかった。
一方で三井住友、三井住友信託、りそなの3行は最優遇金利も基準金利と同じように0.15%引き上げる。ある幹部は「金利は上げるが団体
信用生命保険を手厚くするなどして住宅ローンの価値を高めていく」と話す。
住宅ローンへの依存度が高いネット銀行も金利を抑えて新規顧客を減らすのを回避しようとしている。
最優遇金利を0.42%にしているSBI新生銀行は住宅ローン比較診断サービス「モゲチェック」経由での申し込みを対象に業界最低水準と
なる金利を提示する取り組みを始める。SBI新生銀は「他行との差別化を図る」として金利上昇の機を捉えて契約増を狙う。
auじぶん銀行は基準金利を0.25%上げるが、最優遇金利は上昇幅を0.15%に抑えて0.479%にする。
消費者の間では低い金利のローンを探る動きが活発になっている。「モゲチェック」を運営するMFSによると、9月の借り換えなどの相談は
8月に比べて2.3倍に増えた。
「いい条件の銀行を探している」。メガバンクで35年の住宅ローンを変動金利で借りている東京都新宿区の女性会社員(34)は、借り換えを
検討している一人だ。
これまでは「手数料がかかる繰り上げ返済はしたことがない。金利の低いネット銀行を候補として考えている」といい、今後の金利上昇をにら
んで各銀行のウェブサイトを確認している。
既に借り入れている既存顧客は、一定期間が経過した後の2025年1月などの返済分から改定後の金利になる。ただ大手行などは金利が
変動した場合でも返済額が5年間変わらない「5年ルール」を適用している。このため毎月の負担額の増加は限定的とみられる。
月々の返済額が変わらなくても、返済額のうち利息分が増えて元金の減少ペースは落ちる。このため繰り上げ返済や、より低金利の銀行へ
の借り換えなどをしなければ、完済までに支払う総額は増える可能性が高い。
MFSによると、基準金利が0.15%上がることで、元本3500万円を35年ローンで新規で借り入れる場合、毎月の返済額は2300円程度
増える。
日銀の統計によると、国内銀行の住宅ローンの新規実行額は4~6月期に4兆1527億円と前年同期に比べ16.6%増えた。6月末の融資
残高も148兆円と増加が続く。建築資材の高騰で物件価格も上昇していることが一因とみられる。
住宅ローン金利は変動型と、長期金利に連動する固定型に分かれる。直近では住宅購入者の8割近くが変動型を選ぶとされる。今回、変動
型が上がっても固定型との金利差はなお大きい。
変動型の人気は当面続くとみられるが、日銀が今後も追加利上げを続けていけば、変動型で借りている契約者の負担感はさらに増すことに
なる。
2024/10/01 11:50 日経速報ニュース
昨日、本欄に「海外勢、そろり日本株買い再開」と書いたが、まずは上々の滑り出しと、彼らはほくそえんでいる。「新内閣の政策も定まらない
段階で株価が急落したら、とりあえず安値を拾う」。これが、彼らの定石だ。仮に続落すれば買い増す。反騰すれば買いを加速させる。「高市トレ
ードの巻き戻しのおかげで、株式銘柄のバーゲン会場のごとき様相となった」と語る。総じて新政権の政策には興味を示さない。政治的不透明
感が強まる時期こそ、短期投機筋にとっては草刈り場になるからだ。「難しいのは利益確定の時期だ」と語る。「何か政治的異変があれば、深夜
でも構わないからたたき起こしてくれ」と頼まれた。新規買いの賞味期限も、1週間から、せいぜい1カ月と割り切っている。
これがいわゆる「短期海外勢による日本株買い」の実態だ。じっくり政策を吟味して動く中長期運用のファンドとは一線を画す。
大手のファンドと並び独立系のファンドの数が多く、売買も多様化していることが、ニューヨーク市場の特徴と言えよう。
結局、説明できない相場は傍観する傾向が強い日本市場で、売買の7割前後を外国勢が占める結果になるのだ。解説者が多く、リスクテイカ
ーが少ない日本市場。結局は、民族のDNAでリスク耐性が決まるようだ。
豊島逸夫(としま・いつお)
豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属
され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の
立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」
を連載。
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・X(旧ツイッター)@jefftoshima
・YouTube豊島逸夫チャンネル
・業務窓口は[email protected]
【関連記事】海外勢、そろり日本株買い再開
2024/10/04 22:11 日経速報ニュース
【NQNロンドン=蔭山道子】4日午後のロンドン外国為替市場で円が対ドルで1ドル=148円台半ばに下落する場面があった。148円台を
付けるのは8月中旬以来、約1カ月半ぶりとなる。4日発表の9月の米雇用統計で、非農業部門の雇用者の前月比増加数が25万4000人と
市場予想(15万人程度)を大幅に上回った。米長期金利の上昇とともに、円やユーロなどに対してドル買いが強まった。失業率は9月が4.1%
と8月の4.2%から小幅に改善した。
4日の米債券市場では長期金利が一時、3.97%と8月上旬以来の高水準を付けた。米連邦準備理事会(FRB)が11月の米連邦公開市場
委員会(FOMC)で大幅利下げに動くとの観測が後退し、債券に売りが出た。
米ダウ工業株30種平均の先物は上昇している。「Eミニ・ダウ先物」の12月物は4万2536ドルまで買われ、3日の清算値を219ドル上回る
場面があった。
2024/10/07 04:00 日経速報ニュース
石破茂首相は岸田文雄前政権が掲げた資産運用立国構想を引き継ぐ方針だ。現金の価値が高まったデフレ時代と異なり、インフレが定着
すれば、個人はお金を運用に回さなければ資産が目減りしてしまう。政府の旗振りなどを受けて国内の大手運用会社は運用力やガバナンス
の向上を急ぐが、課題も多い。
「資産運用立国の政策を引き継ぎ発展させていく」。石破首相は1日の就任記者会見でこう強調した。岸田政権の下で「資産運用ビジネス高
度化」の計画を公表した大手金融グループは、引き続き改革を求められることになる。
最大の焦点は運用能力の向上だ。三菱アセット・ブレインズが集計した運用会社別の運用リターンランキング(10年、8月時点、上場投資信
託=ETF=を除く公募株式投信)によると、首位のアライアンス・バーンスタインはじめトップ10には外資や独立系などがならび、大手運用会社
は入らなかった。
「ファンドマネジャーの能力は決して海外に劣っていない」と大手運用会社の首脳が色をなすように、個別で見ればパフォーマンスの高い投信
もある。ただ、全体として見れば成績の悪いファンドが足を引っ張り、パフォーマンスの悪化につながっているのが現状だ。ファンド数が多ければ
それだけ管理コストの増加にもつながる。
日本のファンド本数は22年時点で1万4000本と米国より4割も多い。一方、1ファンドあたりの運用資産は20分の1だ。例えば90年近く続くファ
ンドも抱えるアクティブ特化の米キャピタル・グループは運用本数が40本に過ぎず、少ない投信を大切に育ててきた。一方、日本では大手金融
グループ内で「格上」の証券など販売会社が収益を稼ぐために、売りやすい投信を運用会社が次々開発してきた歴史があったという指摘がある。
運用会社や販売会社はこうした「負の歴史」の払拭を急いでいる。野村アセットマネジメントは700本ある投信を30年までに半減させる方針を
掲げる。成績や信託報酬水準を勘案し、繰り上げ償還などで絞り込む。大和アセットマネジメントなどほかの運用会社も削減に動いており、8月
時点で国内運用中の公募投信は5836本と、15年以来の少なさとなった。
商品がコストに見合うリターンを提供できているか検証する「プロダクトガバナンス」も各社が力を入れている。三菱UFJアセットマネジメントは
8月、プロダクトガバナンスに関する社外取締役主体の諮問会議を設けた。大和アセットマネジメントも23年から同様の取り組みを進めている。
販売会社からの独立性を担保するために社外取締役を入れて、上場会社並みのガバナンス体制を構築する流れは大手運用会社全体にあ
る。三井住友トラスト・アセットマネジメントは6月、社外取締役を過半数にした。日興アセットマネジメントも過半数だ。りそなアセットマネジメント
は社長のサクセッションプラン(後継者育成計画)を開示している。
3月期に前の期比15%増加した。売上高などの伸びを上回っている。自社での運用力を高められなければ、世界的な株高の恩恵は限られる。
野村アセットは海外での運用体制を強化してグローバルで自社運用ができるようにしているほか、23年春からは運用者の人事評価を厳格化。
競合との運用パフォーマンスの違いなどで評価するほか、運用者の成果が上がらなければ担当から外れてもらうなど競争を促す仕組みを導入
した。
1月に始まった新たな少額投資非課税制度(NISA)の後押しもあって運用会社の資産は一様に増加傾向だが、明暗もある。投資信託協会が
公表する運用会社別の公募投信残高で、最も躍進したのは三菱UFJアセットだ。23年末時点では4位だったが、新NISA開始後に日興アセット
と大和アセットを抜いて野村アセットに次ぐ2位に躍り出た。
全世界型の「オルカン」など最低コストをうたうインデックスシリーズ「eMAXIS Slim」に人気が集中した。投信協会によれば、ETFを除く公募株
式投信の純資産残高に占めるインデックス型の割合は8月時点で33.7%。23年末の29.2%から上昇し、過去10年で初めて30%を超えた。
ただ、三菱UFJアセットの横川直社長が「インデックスはブランド力があるが、もう少しアクティブが強くなっても良い」と話すように、インデックス
頼みでは限界がある。新NISAで国内大手が支持されるようになるには、アクティブでパフォーマンスを見せつける必要がある。
「運用業界を銀行・保険・証券と並ぶ第4の柱に」。運用立国構想で金融機関や金融庁が目指す姿だ。実現は一朝一夕には行かず、不断の
努力が求められる。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-10-07/SKZ3FHT0AFB400?srnd=cojp-v2
[東京 7日 ロイター] - 石破茂首相は7日の衆院代表質問で、金融所得課税の強化について「現時点で、具体的に検討することは考えて
いない」と述べた。立憲民主党の吉田晴美議員への答弁。
法人税率の引き上げについては、これまで与党税制調査会で検討されてきたとした上で、「何が効果的かとの観点から議論される」と期待感
を示した。
防衛費を国内総生産(GDP)比2%に引き上げるための財源としての増税を行うかどうかとの質問には、必要な税制措置は今後、与党税調や
政府で緊密に連携し適切に判断すると述べた。
このほか、立民の野田佳彦代表らの質問に対して、持論のアジア版北大西洋条約機構(NATO)創設は「一朝一夕で実現すると思わない」
と述べ、長期的な目標とする考えを示した。
政党から議員個人に渡す政策活動費に関し「将来的な廃止も念頭にあり方の検討や透明性の確保に取り組む」と話した。
「エネルギーコストを含めた物価対策について、状況を丁寧に見極め今後経済対策で議論する」とも述べ、10月末以降順次打ち切り予定の
エネルギー補助金について延長の可能性を示唆した。
2024/10/08 日本経済新聞 朝刊
大手銀行が次世代に事業や資産を引き継ぐ「承継ビジネス」を通じて取引の幅を広げようとしている。みずほフィナンシャルグループ(FG)は
事業承継のニーズのある約1万6000社を積極支援できるよう体制を整えた。有用な技術を持つ中堅・中小企業が後継者難で倒産するのを
防ぐ。
みずほFGは事業承継を重点領域に位置付けている。傘下のみずほ銀行の全取引先のうち事業承継の可能性のある企業が上場・非上場
あわせて1万6000社あるとみて、支援に乗り出した。
特に力を入れるのがオーナー企業の経営者らだ。法人と個人の両方からアプローチしやすいことが背景にある。
相続や資産運用、株式の承継、不動産の見直し、M&A(合併・買収)、MBO(経営陣が参加する買収)ファイナンスなど幅広い取引につな
がる可能性がある。
みずほFGは顧客の同意を前提にグループの信託銀行や証券会社との連携を強め、それぞれの機能を生かした多面的な提案に力を入れる。
銀行と信託は計100人規模のコンサルティング部隊を持ち、財務・法務・会計の豊富なノウハウや知見がある。特にみずほ信託銀行は承継
コンサルタントと呼ぶ200人の営業担当者がいる。
三井住友銀行は2023年度から、本部の承継アドバイザリー部で「僕の承継アカデミア(承アカ)」と題した1日研修に取り組んでいる。営業
担当者の育成を目的に半期ごとに約100人が参加している。
営業担当者の承継スキルを3ランクで認定する「承継マエストロ」制度も創設し、年150人程度の認定を予定している。24年度中には本部の
承継提案専門部隊の人員を1割増やす見込みだ。
三菱UFJFGは、4月にM&A戦略室を新設し、本部の専門人材を30人増員した。営業担当者向けの行内資格制度を設けるなど、質と量とも
に高めようとしている。
承継ビジネスにあたる法人・ウェルスマネジメント事業本部によると、1~3年以内に事業承継の意向があるのに対策をしていない企業は約
7000社にのぼるという。
こうした層へのアプローチを強め、事業承継関連の融資残高を26年度までの3年間で3000億円増の1兆円にする目標を掲げている。
りそな銀行も23年10月に2つの部署を統合して約200人体制の「承継ソリューション営業部」を新設した。
各社が承継ビジネスに力を入れる背景には超高齢化社会に突入する「2025年問題」がある。国民の5人に1人が75歳以上となり、事業の
承継が円滑に進まずに廃業に陥る企業が増えると懸念されている。
特に中小の経営者は全体の約6割にあたる245万人程度が平均的な引退年齢の70歳以上になる。そのおよそ半分の127万人の後継者
が未定で、さらにそのうち60万人には黒字廃業の可能性があるとみられている。
みずほFG幹部は「後継者は不在だが有用な技術やサービスを持つ中堅・中小企業は多い。国にとっても存続させていくことが重要だ」と話す。
具体的な需要が見込まれるのはM&Aを使い親族や従業員以外に事業を引き継ぐ第三者承継だ。
調査会社の矢野経済研究所(東京・中野)によると、売上高1億円超の中小企業を対象とした国内M&Aの潜在市場規模は約13兆5000
億円に上る。事業承継型のM&Aは22年の8万6174社から35年に9万5234社に増える見通しだ。
金融機関にとってはM&Aによる手数料収入や融資残高の増加だけでなく、相続、不動産の売買など法人・個人両面から幅広い収益機会に
つながる将来性のあるビジネスと捉えやすい。
足元では後継者不足の課題に対応し切れているとはいえず、帝国データバンクによると後継者不在を理由とする倒産件数は23年に564件
と、過去最多を更新した。
雇用や技術の喪失を防ぎ、世代交代を進めて日本全体の成長につなげるためにも、顧客と長期の関係を構築し、様々な選択肢を提示できる
金融機関の役割の重要さは増している。
2024/10/08 日本経済新聞 朝刊
三井住友フィナンシャルグループ(FG)傘下の三井住友カードは、総合金融サービス「Olive(オリーブ)」の外部提携を増やす。マネーフォワード
や海外企業と組み、家計簿、旅行予約などにサービスの幅を広げる。オリーブを多彩な機能を搭載するスーパーアプリに進化させ、顧客獲得に
弾みを付ける。
三井住友カードの大西幸彦社長が日本経済新聞の取材でオリーブの戦略を語った。オリーブはクレジットカードなどの決済機能を中心に、銀行
や証券といった複数のサービスをスマートフォンアプリ上で操作できる。
外部提携の柱がマネーフォワードとの提携だ。マネフォが個人事業を分離して設立する新会社に出資し、12月までに49%の株式を取得する。
サービスの融合を進め、オリーブに家計簿機能を取り入れる。大西氏は「マネフォの資産管理とオリーブを組み合わせればスーパーアプリが
できる」とみる。
カナダの大手旅行代理店と組んで25年に旅行予約サイトを立ち上げることも決めた。非金融事業との連携はオリーブ初の試みだ。利用者を
相互に融通し合う構想を描く。大西氏は「ユニークでデジタルに強い事業者と組み、オリーブをアップデートしていく」と話す。
今後のオリーブのキーワードとして大西氏は、開かれた経済圏を意味する「オープン」を挙げる。自社グループだけで利用者を囲い込むのでは
なく、利便性の高いサービスとオリーブをつなぐ。
裾野が広がればオリーブを介した金融取引も増えていくとの考え方だ。
これまで本業で競合する他のメガバンクやクレジットカード会社との連携は進んでこなかった。
オリーブの利便性を上げるには「複数の金融機関との接続が課題」といい、銀行やカード、ふるさと納税仲介サイトまで約2500のサービスと
連携するマネフォ経由で他の金融機関との連携を強める。
オリーブの機能拡張を狙い、三井住友銀行の口座から他行の口座にワンタッチで送金するサービスなどを想定している。
オリーブの口座数は24年7月に300万件を超えた。23年のサービス開始から5年で1200万件が目標だ。大西氏はさらなる上積みを目指す
一方、収益性は「個別事業ではなくオリーブ全体で稼ぐ」と強調する。
カード事業を個別にみると加盟店管理などに莫大な費用がかかる。調達金利や人件費が上昇する中、高いポイントの付与、手数料の引き下げ
に頼った戦略は難しくなる。
グループを超えたオリーブ経済圏の拡大には提携先の開拓が欠かせない。大西氏は「サービスの中立性とユーザーの利便性のバランスには
十分配慮する」と話し、三井住友の枠にとどまらない総合金融サービスに進化させたいとの考えを示した。
2024/10/08 日本経済新聞 朝刊
三井住友銀行はカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)と連携してつくる新型店舗「オリーブラウンジ」を30~40店舗に増やす方針だ。
既存の店舗網の1割に相当する。300万人超の総合金融サービス「オリーブ」の利用者向けに特典を提供するなど、カフェなどを併設した
店舗で顧客を開拓する。
オリーブラウンジは店内にカフェや有料の作業スペースを併設する。オリーブの会員は作業スペースを無償で利用できたり、決済代金が
共通ポイント「Vポイント」で10%還元されたりといった特典を受けられる。
5月に東京都渋谷区に1号店を開き、10月7日に世田谷区の下高井戸駅前に2号店を開いた。都内の新宿、高円寺と都立大学駅前への
出店を決めたほか、2025年3月には大阪市内の船場にも店舗を置く。
下高井戸の店舗ではオリーブ会員向けに駐輪場を無償で開放するなど、独自のサービスも用意する。これまで3店舗まで広げる方針を示し
ていた。渋谷の1号店の来客が堅調だったことなどを背景に拡大を決めた。
2024/10/08 09:48 日経速報ニュース
加藤勝信財務・金融相は8日午前の閣議後記者会見で、金融所得課税の強化について「現時点で考えていない」と述べた。
「貯蓄から投資への流れを引き続き推進する必要があるという認識のなかで、少なくとも現時点ではそれをしっかりやるという
のが優先的な順位だ」と説明した。
2024/10/08 02:00 日経速報ニュース
三井住友フィナンシャルグループ(FG)傘下の三井住友カードは、総合金融サービス「Olive(オリーブ)」の外部提携を増やす。マネーフォワード
や海外企業と組み、家計簿、旅行予約などにサービスの幅を広げる。オリーブを多彩な機能を搭載するスーパーアプリに進化させ、顧客獲得に
弾みを付ける。
三井住友カード大西社長「Oliveアップデート」
三井住友カードの大西幸彦社長が日本経済新聞の取材でオリーブの戦略を語った。オリーブはクレジットカードなどの決済機能を中心に、銀行
や証券といった複数のサービスをスマートフォンアプリ上で操作できる。
外部提携の柱がマネーフォワードとの提携だ。マネフォが個人事業を分離して設立する新会社に出資し、12月までに49%の株式を取得する。
出資を通じサービスの融合を進め、オリーブに家計簿機能を取り入れる。大西氏は「マネフォの資産管理とオリーブを組み合わせればスーパー
アプリができる」とみる。
カナダの大手旅行代理店と組んで25年に旅行予約サイトを立ち上げることも決めた。非金融事業との連携はオリーブ初の試みとなる。
オリーブと予約サイトの利用者を相互に融通し合う構想を描く。大西氏は「ユニークでデジタルに強い事業者と組み、オリーブをアップデートして
いく」と話す。
今後のオリーブのキーワードとして大西氏は、開かれた経済圏を意味する「オープン」を挙げる。自社グループだけで利用者を囲い込むのでは
なく、利便性の高いサービスとオリーブをつなぐ。裾野が広がればオリーブを介した金融取引も増えていくという考え方だ。
これまで本業で競合する他のメガバンクやクレジットカード会社との連携は進んでこなかった。オリーブの利便性を上げるには「複数の金融機
関との接続が課題だった」(大西氏)という。
マネフォの家計簿アプリは銀行やカードから、ふるさと納税仲介サイトまで約2500のサービスと連携している。マネフォ経由で他の金融機関と
の連携を強め、オリーブの機能拡張を狙う。
三井住友銀行の口座から他行の口座にワンタッチで送金するサービスなどを想定している。
目標口座数1200万、さらなる上積み目指す
オリーブの口座数は増え続けており、24年7月には300万件を突破した。23年のサービス開始から5年で1200万件を目標に掲げる。
大西氏はさらなる上積みを目指す一方、収益性については「個別事業ではなくオリーブ全体で稼ぐ」と強調する。
カード事業を個別にみると加盟店管理などに莫大な費用がかかる。調達金利や人件費が上昇する中、高いポイントの付与、手数料の引き下げ
に頼った戦略は難しくなる。
グループを超えたオリーブ経済圏の拡大には提携先の開拓が欠かせない。大西氏は「サービスの中立性とユーザーの利便性のバランスには
十分配慮する」と話し、三井住友の枠にとどまらない総合金融サービスに進化させる考えを示した。
【関連記事】
・マネフォ、三井住友カードと個人向け新会社 Olive連携
・マネフォ、祖業の家計簿「単独では限界」 Oliveに活路
・コピペで「バフェット投資」 スマホ完結で若者も気軽に
2024/10/10 17:20 日経速報ニュース
上場企業の自社株買いが海外投資家の売りを吸収し、日本株相場が上昇している。4月以降に設定された自社株取得枠は10兆円を超え、
過去最大だった2023年度を早くも上回った。企業の資本効率改善への意識向上の表れだが、もう一段の株高には成長につながる攻めの投資
も欠かせない。
10日の東京株式市場で日経平均株価の終値は前日比102円(0.3%)高の3万9380円と続伸した。日本株相場の押し上げ役になっているのが
企業だ。
日本経済新聞社がこれから自社株買いを実施する分も含めた「取得枠」を上場廃止を含めた全上場企業を対象に調べたところ、24年4?9月
は10兆6500億円と前年同期(5兆4800億円)の2倍ペースだった。社数ベースでも649社(重複除く)と23年4~9月の499社を上回る。
市場データも企業が有力な買い手になっていることを示す。東京証券取引所が同日発表した投資部門別売買動向によれば、4月第1週から
10月第1週までに累計で4兆9600億円の買い越しとなり、年度を通じて過去最大だった22年度の9割超の水準に達した。同期間に個人も
7500億円を買い越したが、海外勢は2兆2400億円の売り越しだった。
海外投資家は岸田文雄政権下でピーク時に4兆6000億円強を買い越したが、「政治とカネ」を巡る不透明感や、為替相場に揺さぶられる市場
を前に持ち高を落とす動きが優勢だ。その売りを吸収しているのが企業による自社株買いという構図だ。
自社株買いは現状の株価が割安だと投資家に対してメッセージを発する「シグナリング効果」がある。そのため株価が大きく下がったり、PBR
(株価純資産倍率)など投資指標が低下した局面で打ち出されることが多かった。
だが、資本効率を改善させる観点からPBRの高い企業にも広がり、日本株の上値を押し上げる主体に変化しつつある。例えばPBRが6倍台
のリクルートホールディングス。同社最大となる6000億円の自社株買いを7月に発表した。手元資金から社債や借入金を除いたネットキャッシ
ュが1兆円を超えており、圧縮して資本効率を向上させる。
PBRが1倍を超える三井物産は9月に自社株買い取得枠の上限を4000億円と、5月に発表した水準の2倍に引き上げた。コマツも手元資金が
厚くなっており、8月までに約10年ぶりの自社株買いを実施した。
8月末時点で金融を除く東証株価指数(TOPIX)採用銘柄の自己資本比率は35%と5年前より4ポイント上昇した。企業業績は24年度も増益が
続くと見込まれており、お金を積極的に設備投資や企業のM&A(合併・買収)などに投資しないと資本効率が悪化しかねない。
企業が株主から預かったお金を使い、どれだけ効率よく稼いだかを示す自己資本利益率(ROE、日経集計)は25年3月期に8.6%と4年ぶりに
9%割れと頭うち感がでてきた。米国(20%前後)や欧州(14%前後)にも届かない。ニッセイ基礎研究所の森下千鶴研究員は「投資家の資本
効率への目は厳しくなっている。成長に向けた投資をしないのならば還元への圧力が一段と強まる可能性がある」と話す。
シティグループ証券の松本圭太市場営業本部長は「企業経営者の野心的な施策がここに来て減速した感覚を持つ海外投資家は多い。日本
株への関心は落ちている」と話す。足元では景気底打ち期待の強まる中国株に資金を移す動きも出ている。日経平均が7月11日につけた最高
値(4万2224円)を更新できるかは、企業の成長投資への姿勢を評価する海外勢の買いが戻ってくるかにかかっている。
【関連記事】
・ブラックマンデー、令和と昭和の相似形 自社株買い加速
・急落後の自社株買い相次ぐ ソフトバンクGは5000億円
2024/10/11 02:00 日経速報ニュース
著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いる米投資会社、バークシャー・ハザウェイが10日、円建て社債の発行条件を決めた。発行総額は
2818億円と2019年の初回債に次ぐ大型債となった。調達資金は日本株投資に振り向ける見通し。相場全体を押し上げる原動力になるとの
期待が広がっている。
円建て債の起債は今年4月以来となる。3年債と5年債、7年債、10年債、20年債、28年債、30年債の7本立てで、23日に発行する。3年債
が1554億円と最も発行額が多く、利率は1.031%だった。次いで多いのは5年債の580億円で利率は1.265%。当初発行予定だった15年債は
取りやめ、28年債に切り替えた。投資家の需要を踏まえたという。
年間の合計発行額は5451億円となり、初めて発行した19年の4300億円を上回り過去最高になる。
バークシャーは今年2月に公表した恒例の「株主への手紙」で日本に言及するなか、「日本のポジションのほとんどを社債で調達してきた」
と指摘している。今回の起債も日本株投資に充てるとの読み筋につながっている。
資金の振り向け先として真っ先に連想されるのが、バークシャーが保有している日本の5大商社株だ。
ただ、保有比率を引き上げたことに関する大量保有報告書や変更報告書は23年7月以降は提出されておらず、10日の5大商社株の終値
もすべて1%高にとどまった。5大商社株の保有比率は最大で9.9%までと方針を示すなか、すでに約9%を保有しており、買い増しの余地は
限定的だ。そのため別の銘柄に投資するとの思惑が目立つ。
バフェット氏が好む銘柄は一般に、自己資本利益率(ROE)が高く、借金がないかあっても低水準で、現金創出力に優れていることなどが
条件とされる。
専門家の間で注目度が高いのは金融株だ。10日は三菱UFJフィナンシャル・グループやMS&ADインシュアランスグループホールディングス
が2%高となった。業種別東証株価指数(TOPIX)で保険と銀行はともに1%高で、それぞれ上昇率の2位と3位となった。
「今年バンク・オブ・アメリカ株を大量に売ったかわりに、日本のメガバンクや地銀などが物色される可能性が高い」。和キャピタルの村松一
之運用本部部長はこう分析する。ビジネスが安定していてキャッシュフローを生み出す点に着目する。マリン・ストラテジーズの香川睦シニア
マーケットアナリストは「日銀の追加利上げが意識されるなか、利ざや拡大による収益拡大が見込める銀行株や損保株に買いが入りやすい」
とみる。
大和証券の木野内栄治チーフテクニカルアナリストは海運株に関心を寄せる。「市況に影響される事業をしていることや配当利回りが高いこと
が商社と似ており、バフェット氏が好む可能性がある」と話す。
バークシャーの22年と23年の年間起債額は3000億円以下だったが、24年は5000億円を上回った。楽天証券経済研究所の窪田真之チーフ
・ストラテジストは「バークシャーを含め、海外投資家が日本株を買う意欲は高いとの期待が膨らむ可能性がある」と指摘する。
バフェット氏は23年春に来日し、商社株5社の投資増を明らかにしたことが、その後の日本株の最高値を導くきっかけとなった。追加投資が
実現するかについて注目度は高い。フィリップ証券の増沢丈彦株式部トレーディング・ヘッドは「商社以外で大量保有報告書が出されれば、
買われる銘柄の広がりが意識され、日本株全体での買い材料となるだろう」と期待感を示す。
2024/10/15 08:14 日経速報ニュース
中国の株式相場が回復の兆しを見せ始めて3週間がたった。この間、「日本株売り・中国株買い(日本株ロング・中国株ショートの解消)」の
動きが過去最大規模で進んでいることを示すデータが相次ぐ。日本から中国への資金シフトが一段と加速した場合、日本株の上値を抑える
要因となりそうだ。
9月24日ごろから始まった中国の上海・香港株式相場の上昇。中国人民銀行(中央銀行)の緩和的な政策姿勢や中国当局の不動産市場
の支援策などを背景に、上海総合指数は9月13日に付けた直近安値(2704)から今月8日に付けた2年7カ月ぶりの高値(3489)までわずか
3週間で3割も上昇した。
米ゴールドマン・サックスが週次でまとめる世界のミューチュアル・ファンド(投資信託)の資金動向では、9日までの1週間で中国本土株に
は391億ドルの資金が流入した。このうち90億ドル程度が中国外の投資家からで、「流入資金の大半は引き続き中国国内の投資家によるも
のだが、海外勢も急速に資産配分を増やし始めている」(ゴールドマンのイザベラ・ローゼンバーグ氏)という。9月後半からの3週間では611億
ドルの資金流入が発生した。
海外マネーの出所はどこか。1つは日本株市場とみられる。9日までの1週間で日本株からは88億ドルの資金が流出した。中国株が本格
的な戻りを見せ始めて以降、ゴールドマンの集計データで日本株からの資金流出が生じたのは初めてだ。フローデータを週次でまとめている
米BofAでも結果はほぼ同じで、9日までの1週間では「中国株に過去最大規模の資金が流入した一方、日本株からは史上最大規模の資金
流出が発生した」と説明する。
日本が祝日で休場だった14日の上海総合指数は前週末比2%高で終えた。ハンセン指数は0.7%安だったが、上昇に転じる場面もあった。
中国の藍仏安財政相が12日の記者会見で「財政赤字の拡大余地はある」と大規模な財政出動を示唆。米メディアの調査では記者会見で
約2兆元の財政出動が明らかになるとの予想が多かったのに対し、具体的な金額に言及はなかったが、市場は素直に好感した。
米エバコアISIのネオ・ワン氏はリポートで、「(景気刺激策の規模についての発言がなかったとしても)会見のトーンはかなり前向きで、当局
者は何度か次回の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会の開催に触れた」と好意的に受け止めている。
常務委員会は通常は2カ月に1度、偶数月の終わりに近い時期に開催される。10月下旬に開催が見込まれる次回の常務委員会まで、中国
当局は国債増発を伴う景気刺激策をとってくるとの期待は残りやすい。このままいけば中国株への資金移動が続いてもおかしくはないだろう。
米モルガン・スタンレーの中国株チームは常務委員会で1?2兆元の補正予算が組まれ、金融緩和策も一段と強化されると予想する。新興
国投資で知られる著名投資家マーク・モビアス氏は13日、米ブルームバーグ通信のインタビューで中国の景気刺激策によって新興国市場の
株式相場が押し上げられると語った。中国当局は外国資本が戻ってくることを望んでおり、市場をさらに活性化しようとするため、投資家は中国
に追加の資金を振り向ける必要があるとの見方を示した。
それでも、中国経済の先行き懸念は簡単には払拭されそうにない。13日発表の9月の消費者物価指数(CPI)は食品とエネルギーを除く
コア指数が前年同月比0.1%の上昇と、上昇率は8月から鈍化した。14日発表の9月の貿易統計では輸出、輸入ともに市場予想を大きく下回
った。政策期待をどうにかつなぎとめたい中国当局と、株式市場参加者の対話がうまく進まなければ、資金の流れはいつ逆回転してもおかしく
はない。
中国経済の回復と株式相場の上昇は、日本経済と機械など中国関連銘柄に一定のプラスの影響となる。外国為替市場での円安進行もあり
15日の日経平均株価は節目の4万円を上回る場面もありそうだ。だが、いくらリスクをとりやすい環境とはいっても、欧米などの投資家がアジア
に振り向けられる資金の総額には限りがある。中国株の復調が続いた場合、日本株からの資金流出が継続する可能性が高まることになる。
2024/10/15 12:39 日経速報ニュース
15日午前の東京株式市場で日経平均株価は前週末と比べ626円高い4万0232円と、取引時間中として約3カ月ぶりに4万円を上回った。
各国中央銀行の緩和的な金融政策が景気を支えるとの期待から欧米株の最高値更新が続出するなか、海外投資家の余剰資金の流入が
日本株を一方的に押し上げる構図が鮮明になっている。
米連邦準備理事会(FRB)が11月と12月に0.25%ずつ利下げをするという見方から米経済の先行きに改めて楽観的な見方が広がり、ダウ
工業株30種平均は連日で最高値を更新。欧州中央銀行(ECB)は今週17日の理事会で2会合連続の利下げを決めると予想され、ドイツ株
価指数(DAX)は14日に最高値を更新した。リスク許容度が一段と高まっている海外投資家の買いの勢いは強く、日経平均はさほどの抵抗
もなくあっさり4万円台を回復した。
東京証券取引所の投資部門別株式売買動向によると海外投資家は10月第1週(9月30日?10月4日)に日本株を7週ぶりに買い越していた。
足元の日経平均の上昇を踏まえると、前週も買いが継続している可能性が高い。
一方、個人投資家は「利益確定売りを先行させている」(松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリスト)。個人の参加が多い新興市場
では、東証グロース市場250指数が約1カ月ぶりの安値圏でのもみ合いとなっている。個人の投資余力はさほど高まっておらず、上昇が目立つ
銘柄には売りを先行させる姿勢のようだ。東証株価指数(TOPIX)も11日は日経平均と逆に下げるなど相対的に上値が重い。
日経平均の構成銘柄のなかでも、一部の値がさ株に買いが集中して指数を押し上げる展開が目立つ。午前は米ハイテク株高を追い風に、
ソフトバンクグループ、東京エレクトロン、アドバンテストの3銘柄で日経平均を合計で300円超押し上げた。海外短期筋とみられる株価指数先物
への買いも途切れることなく入っている。
米ハイテク株高の象徴であるエヌビディアは、生成人工知能(AI)向けの半導体需要の拡大を見込んだアナリストの「評価引き上げ合戦」と
なっており、株価は最高値更新を視野に入れている。17日の台湾積体電路製造(TSMC)の7?9月期決算でAI半導体の需要に強気の見通し
が示されれば、海外勢はさらに半導体関連への買いを加速させるかもしれない。
外国為替市場では円相場が1ドル=149円台後半まで下落している。これから発表が本格化する4?9月期の決算では、円高による輸出企業
の業績下方修正リスクこそ和らいでいるものの、161円台まで円安が進んだ7月のように円安で輸出企業の収益がさらに積み上がる水準では
ない。ここまで発表された3?8月期の小売企業の決算は、コスト高が重荷となって減益に沈む企業も目立つ。消費者の間では値上げ疲れも
広がっている。
国内景気が上向いているとは言えない状況のなか、「海外勢オンリー」の買いで4万円台を回復した日経平均。それだけに、今後の上値余地
や調整に転じるタイミングなども海外勢のさじ加減次第となりそうだ。
2024/10/15 17:20 日経速報ニュース
【プレスリリース】発表日:2024年10月15日
生成AIを活用したサービス提供および業務効率化に向けたOpenAIとの契約締結について
株式会社三井住友フィナンシャルグループ(執行役社長グループ CEO:中島 達、以下グループを総称して「SMBCグループ」)は、OpenAI,Inc
(CEO:Sam Altman、以下「OpenAI」)と生成AI分野における契約を締結したことをお知らせします。
SMBCグループは、中長期に目指す姿である「最高の信頼を通じて、お客さま・社会とともに発展するグルーバルソリューションプロバイダー」
の実現に向けて、SMBCグループ自身のデジタルトランスフォーメーション(DX)、さらにはデジタルを活用したお客さまへの付加価値提供に
積極的に取り組んでまいりましたが、このたび、日本の大手金融機関として初めてOpenAIと契約を締結いたしました。
SMBCグループ内で活用している汎用型AIアシスタントツール「SMBC-GAI」では、2024年9月より「OpenAI API」の利用を既に開始しており、
OpenAIの最新モデルの安定したパフォーマンスと高いキャパシティを通じた「SMBC-GAI」の精度向上や利用効果の最大化に取り組んでいます。
今後は生成AIを活用し、既存オペレーションの生産性向上だけでなく、AI活用を前提としたEnd to Endのデジタルビジネス・プロダクトの開発や
顧客接点のAI化、さらには従業員の暗黙知や経験値を利活用した収益力の向上を通じて、中長期的なビジネスモデルの変革を推進してまいり
ます。
今回の契約により、SMBCグループは生成AI技術を用いた革新的なサービスの活用を通じて、日本国内およびグローバルな金融業界の変革
を推進するとともに、お客さまにこれまでにない付加価値を提供し、グローバルソリューションプロバイダーとしての地位をさらに強化してまいり
ます。
以上
■商船三井<9104.T> 4854円 +80
■成長投資から還元強化のフェーズに移行する可能性、東海東京が「Neutral」→「Outperform」、目標株価4700円→6000円
東海東京インテリジェンス・ラボが業績予想を修正。レーティングを「Neutral」から「Outperform」へ、目標株価を従来の4700円から6000円へ
引き上げた。
同社の現中計(24年3月期~26年3月期)は株主還元以上に成長投資を重視し、財務体質の強化を図るフェーズ1に相当。フェーズ2(27年
3月期~31年3月期)では同社が目指す財務KPIの達成状況を踏まえ、下限配当(現状は150円)を再設定し、株主還元を強化する見込み。
当社はROE目標の達成は難しいが、健全な財務体質(ネットD/Eレシオ0.9~1.0倍など)は概ね達成可能で、潤沢な単体利益剰余金(24年
3月期末で6772億円)もあるため、還元強化は可能と考える。具体的な還元策は見通しにくいが、当社は少なくとも26年3月期は(市場コンセ
ンサスである)減配ではなく増配をすると予想している。
現状株価には、(1)10月以降の閑散期におけるコンテナ運賃の下落、(2)コンテナ船や自動車船の供給増加と運賃下落などによる26年3月
期の大幅な経常減益の可能性が織り込まれている一方、同社が成長投資に重点を置くフェーズから株主還元の強化に重点を置くフェーズに
入る可能性があることは十分に株価に織り込まれていないと判断する。
従来の目標株価は25年3月期予想BPS6355.5円に対して、PBR0.74倍を適用して算出していたが、今回の目標株価6000円は当社算出の
株主資本コスト9.95%に25年3月期~27年3月期の3カ年平均予想ROE9.0%から導かれる妥当PBR0.90倍を25年3月期予想BPS6620.2円を
乗じて算出した、と指摘。
2025年3月期連結経常利益を修正後会社計画3500億円(EPS924.3円)に対し従来予想2290億円(EPS532.6円)から3820億円(EPS954.8
円)へと予想し、来2026年3月期同2170億円(EPS510.6円)から2125億円(EPS441.0円)へ修正し、新たに2027年3月期連結経常利益を
2142億円(EPS419.7円)と予想している。
2024/10/17 05:54 日経速報ニュース
【NQNニューヨーク=矢内純一】16日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発した。前日比337ドル28セント(0.78%)高の4万3077ドル
70セントで終え、2日ぶりに最高値を更新した。前日に下げが目立った半導体株の一角が買い直され、投資家心理の支えとなった。市場予想
を上回る決算を発表した金融株にも買いが広がった。
ダウ平均の構成銘柄ではないが、モルガン・スタンレーが6.4%高で終えた。朝発表の2024年7?9月期決算で売上高に相当する純営業収
益と1株利益が市場予想を上回った。金融株に買いが波及し、ダウ平均の構成銘柄では、ゴールドマン・サックスとJPモルガン・チェースが
上昇した。
決算を発表した地銀の一角にも買いが入った。米国のインフレが落ち着く方向にあるなかで、米連邦準備理事会(FRB)の利下げが経済を
支えるとの見方は根強い。米経済がソフトランディング(軟着陸)に向かっているとの観測から、一部の景気敏感株が上昇。中小型株にも物色
が広がり、株価指数ラッセル2000は1.6%高で終えた。
前日に悪材料が重なって下げたエヌビディアやマイクロン・テクノロジーといった半導体株が上昇した。オランダの半導体製造装置大手、
ASMLホールディングが15日に四半期決算の発表と同時に示した収益見通しが慎重だったものの、16日に開いた決算説明会では人工知能
(AI)関連の需要に楽観的な見方を示した。市場では「半導体受託生産の台湾積体電路製造(TSMC)が17日に発表する決算で、需要の強さ
を改めて示すとの期待から買いが入った」(ミラー・タバックのマシュー・マリー氏)との指摘があった。
前日に急落したユナイテッドヘルス・グループが上昇し、ダウ平均を押し上げた。アナリストが投資判断を引き上げたシスコシステムズも高か
った。半面、インテルが下落した。中国当局系団体が16日、国家の安全保障を脅かすとして審査を申し立てたと発表し、株価の重荷となった。
アムジェンやメルクも売られた。
ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は反発した。前日比51.492ポイント(0.28%)高の1万8367.079で終えた。半導体株の一部
が上昇したほか、テスラにも買いが入った。半面、アプライドマテリアルズなどの半導体製造装置株には売りが続いた。
2024/10/18 日本経済新聞 朝刊
米連邦準備理事会(FRB)の利下げ転換が大手銀行の投資銀行ビジネスに追い風になっている。16日に出そろった米銀大手6社の2024
年7~9月期決算では企業の活発な資金調達やM&A(合併・買収)の復調で投資銀の手数料収入が伸びた。
金利低下で融資業務の稼ぐ力には頭打ち感が出るなか、米経済のソフトランディング(軟着陸)期待を支えに米銀の業績は底堅さをみせている。
大手6社の7~9月期の純利益は商業銀行業務の比重が大きいJPモルガン・チェース、バンク・オブ・アメリカ、ウェルズ・ファーゴ、シティグル
ープが前年同期比で減益だった。投資銀行業務が主体のモルガン・スタンレーは32%増益、ゴールドマン・サックスは45%増益だった。
最終減益になった4社も1株当たり利益(EPS)はいずれも市場予想を上回った。想定より好調だったのは企業の資金調達やM&Aなど資本
市場を通じた活動を支援する投資銀行業務だ。
相対的に同業務の規模が小さいウェルズを除く大手5社の投資銀行業務の収益は合計で82億ドルと前年同期比30%増えた。モルガン・
スタンレーが5割増、シティは4割増、JPモルガンは3割増で、バンカメとゴールドマンは2割増えた。
シティのマーク・メイソン最高財務責任者(CFO)は記者向けの決算説明会で「ここ数四半期、(M&A助言業務の)仕掛かり案件は堅調と説明
してきたが、IT(情報技術)や資源、ヘルスケアなどの分野でディールが顕在化しつつある」と述べた。
2024/10/25 日本経済新聞 朝刊
世界的な利下げが景気を下支えするとの見方から金融株が上昇している。企業の資金調達需要の拡大を追い風に融資残高や株式・債券の
引受手数料が増え、業績が拡大するとの期待が高まっているからだ。中でも運用残高が膨らんでいる資産運用会社の上昇が目立つ。
グローバル株の代表的な運用指標であるMSCI全世界株指数(ACWI)の業種別指数「金融」は18日に196.599まで上昇し、2010年の
算出開始以来の最高値をつけた。
23日時点では2023年末比21%高と、世界株全体の上昇率(18%高)を上回る。景気の底堅さが意識された9月ごろから騰勢を強め、世界
株との差を広げた。米JPモルガン・チェースは31%高と上場来高値圏だ。
背景には景気の軟着陸期待がある。各国の債券市場では利回り曲線の傾きが急になるスティープ化(急勾配化)が進む。政策金利の引き下げ
で短期金利は低下しているが、長期金利は上昇傾向にある。
明治安田アセットマネジメントの福川勲シニア・リサーチ・アナリストは「市場の強気な経済見通しを映している」と指摘する。利回り曲線のステ
ィープ化は銀行収益の追い風になる。
福川氏は「堅調な景気を背景に、企業の資金需要は底堅い。貸出金利は上昇するだろう。融資残高の増加も純金利収入を支える」と指摘。
業績拡大は中長期的に続くとみる。
米ゴールドマン・サックス(34%高)や米モルガン・スタンレー(27%高)など投資銀行業が主体の金融株も堅調だ。世界的な景気回復・拡大
で企業の資金調達やM&A(合併・買収)が増え収益が拡大するとの見方が背景にある。
「利下げサイクルの始まりが経済の軟着陸への楽観論を再び呼び起こし、経済活動の活性化を促すだろう」。ゴールドマンのデービッド・ソロ
モン最高経営責任者(CEO)は15日の決算発表でこう説明した。債券や株の引受業務など手数料収入が伸び、24年7~9月期の純利益は
前年同期比45%増となった。
モルガン・スタンレーのテッド・ピックCEOも16日の決算で「M&Aの復活に強気」と話し、業績拡大に自信を示す。
欧州の金融株にも米金融株高が波及している。欧州主要600社の株価指数であるストックス600が23日時点で23年末比8%高にとどまる
中、ストックス600銀行指数は同22%高い。
仏資産運用大手アムンディのバリー・グラビン株式運用部門ヘッドは「欧州景気は来年にかけて回復していく」とみる。「企業の生産性向上に
向けた投資加速を背景に、欧州金融大手の融資残高の伸びは続く」と話す。
より高いリターンを求める投資家のマネーを引き寄せているのがプライベートエクイティ(PE=未公開株)ファンドだ。投資運用大手では、米ブラ
ックロックが22%高、米ブラックストーンが27%高、米KKRが67%高となっている。
ブラックストーンは17日の決算で、9月末時点の運用資産が前年同期比10%増の1.1兆ドルと過去最高になったと発表した。プライベート
クレジット(ファンドによる融資)など融資実行額は前年同期比の3.1倍に膨らんだ。M&Aなど向けの企業の借り入れ需要が高まっている。
ブラックロックも11日の決算で、運用資産総額が11.5兆ドルと過去最高になったと発表した。上場投資信託(ETF)を中心に新規資金の流入
が増え、7~9月期の機関投資家からの資金流入は前年同期の減少から一転、プラスに転じた。
欧州大手投資ファンドのCVCキャピタル・パートナーズの日本共同代表・赤池敦史氏は「運用ファンドの骨組みを支えるのは実体経済の成長だ
」と強調する。
年金や大学基金などのファンド出資者がリスク資産への選好を強めるほど、未公開株など流動性の低いプライベート資産にも資金が集まり、
資産管理報酬を得る運用会社の収益が拡大する。
米経済は大崩れしないとの前提が支える金融株高。大手が堅調な一方で、地銀株で構成するKBWナスダック地銀株指数は23日時点で23
年末比6%高にとどまる。不動産融資比率が高い地銀株には不良債権処理の与信費用の増加などへの警戒感もくすぶる。期待先行で買われて
いる側面もあるだけに、急激な株高の巻き戻しには注意が必要だ。
2024/10/28 09:49 日経速報ニュース
28日の東京株式市場で、日経平均株価は一時前週末と比べ700円超高い3万8600円台半ばまで上昇した。衆院選での自民、公明両党の
過半数割れを受け、朝方は続落して始まったものの、為替の円安や米半導体株高を背景に、次第に買い戻しが優勢となった。
27日投開票の衆院選で自民、公明両党は計215議席と過半数を割り込んだ。朝方は政治の不透明感を警戒した売りが先行したものの、
その後は上げに転じた。日経平均は先週に週間で1000円超下げており、大和証券の木野内栄治チーフテクニカルアナリストは「先週時点で
市場は与党の過半数割れを織り込んでいた」と指摘する。
前週末の米株式市場で、半導体銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が大幅高となった。東京市場でもアドバンテスト
、レーザーテックなど半導体関連株が上昇し、日経平均を押し上げている。
2024/10/28 12:44 日経速報ニュース
衆院選から一夜明けた28日の金融市場では円安が加速し、長期金利が上昇した。自民、公明両党が議席を大きく減らす大敗を喫し、与党で
過半数を割り込んだためだ。石破茂首相は政権維持に向けて野党との連携を模索する考えだ。協力を仰ぐとみられる日本維新の会や国民民主
党との連携を見込み、市場は財政出動と緩和的な金融政策による「高圧経済」の実現を織り込み始めている。
27日投開票の衆院選での自公両党の獲得議席数が215で、定数465の過半数(233)に届かなかった。石破首相は27日、衆院選の結果を踏ま
えて職責を全うするのかと問われ「それはそういうことだ」と語り、続投を示唆。政権継続に向けて国民民主や維新といった政策理念が近い野党
と閣外協力などを探るとみられている。
国民民主は公約で、名目賃金上昇率が当面4%に達するまで積極財政と金融緩和を講じる「高圧経済」の実現を目指している。維新も積極
財政に前向きで、日銀に対しては雇用最大化や経済成長率の持続的な成長を使命に加えることを掲げる。石破政権がこの主張を取り入れれば
政策には「選挙前に比べて財政拡張の圧力が増し、金融緩和状態の継続が選好されやすいバイアスが生じる」(SMBC日興証券の丸山義正
チーフマーケットエコノミスト)。
市場はいち早く高圧経済の実現を織り込み始めている。わかりやすいのが債券市場で、28日は長期金利の指標となる新発10年物国債の
利回りが一時0.965%と前週末から0.020%上昇(価格が下落)した。とりわけ目立ったのが金融政策の影響を受けやすい中期ゾーンよりも、
経済動向や債券需給を反映しやすい超長期ゾーンの金利上昇だ。
中期債にあたる新発5年債利回りが0.580%と同0.005%の上昇にとどまるのに対し、超長期債では新発30年債利回りが同0.040%高い
2.215%まで上昇。イールドカーブ(利回り曲線)の傾きが急勾配になる「スティープニング」が進んだ。みずほ証券の丹治倫敦チーフ債券
ストラテジストは「超長期債利回りの上昇が目立つのは、財政拡張が意識されているため」と分析する。
外国為替市場では高圧経済の実現を見込み、円安・ドル高が加速している。28日には円相場が一時1ドル=153円88銭近辺と7月末以来
およそ3カ月ぶりの安値をつけた。「財政支出拡大の観測や政治混乱で日銀追加利上げが遅れる可能性が円売りを促した」(ふくおかフィナ
ンシャルグループの佐々木融チーフ・ストラテジスト)。高まりかねない財政リスクも金利上昇と歩調を合わせるように円安要因となっている。
石破首相の具体的な政権運営の形が定まるまで、市場には不安定さが残る可能性は高い。特に政治情勢が日銀の金融政策運営にどの
ような影響を及ぼすかは不透明だ。円安加速は物価の上振れリスクとなり国民の支持が離れていく原因にもなりかねず、日銀にとっても「追加
利上げを判断する『時間的余裕』がなくなる」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美チーフ債券ストラテジスト)との声がある。
日銀内からは足元の経済・物価情勢が「順調」との声が聞かれる。個人消費は緩やかな増加を続け、10月の東京都区部の消費者物価
指数(CPI)では一部サービスで期初の値上げが反映される形で物価に上昇圧力がかかっており、「2%の物価安定の目標」の達成に向け
て「総じてオントラック」と評価しているようだ。
日銀は30?31日に開く金融政策決定会合で政策金利を据え置くものの、利上げ路線は崩さないとみられる。しかし、野党が緩和的な金融
環境の維持を閣外協力の条件に挙げる可能性も排除できない。「政局次第で日銀を取り巻く環境は一変しうる」(国内証券のエコノミスト)と
の声もあり、情勢はなお流動的といえそうだ。
2024/10/29 日本経済新聞 朝刊
三井住友カードは28日、公共交通機関向けのタッチ決済サービス「stera transit(ステラトランジット)」を関西を中心に全国に普及させて
いく方針を発表した。大手私鉄16社と公営地下鉄8社の駅の半数に導入済みだが、2025年度末までに7割に拡大する。29日から阪急
電鉄や近畿日本鉄道などでのサービス開始を契機に、カード決済の認知度を広げる。
大西幸彦社長は28日の記者会見で「国際博覧会(大阪・関西万博)に来場する訪日客だけでなく、地域の人にも日常的に利用してもら
えることを目指す」と語った。
ステラトランジットはタッチ決済に対応したクレジットカードやスマートフォンを自動改札機などにかざすことで乗車できるサービスだ。大手
私鉄を中心に28日時点で133の事業で採用されている。交通系ICカードを持たない訪日客がスムーズに乗車できるほか、カード利用で
ポイントがたまることなどから国内の利用者も増えている。
768.7円 (-4.1)
収益安定化が進み、25年3月期は好調の可能性、岡三が新規「強気」、目標株価1150円
岡三証券が目標株価を1150円に設定、レーティング「強気」で新規カバレッジを開始した。
19年3月期から23年3月期までは、数百億円単位の損失が出る四半期が年度に1~2回発生し、ボトム収益のボラティリティーが高い状態が
続いていたが、24年3月期以降は巨額損失の計上もなくなり、収益の安定度が高まった。リテールでのストック収入比率の引き上げや直近
数年の経費削減努力により、相場環境が低迷した時でも一定の収益を計上できるようになった点も大きい印象だ。同社は2020年に「パブリ
ックに加え、プライベート領域の拡大・強化」を掲げ、オルタナティブ運用ならびに販売の積極化を進めている。運用資産のボラティリティーが
高くなる可能性があるが、24年3月期末では運用資産89兆円の2%にとどまり、80年代から同分野が発達した米国市場に比べると、国内市
場ではまだ顧客の理解度を含め浸透していない。当面は業界リーダーとして啓蒙も含めた市場形成が必要な段階で、収益貢献はもう少し先
となる印象だ。
25年3月期は相場環境が良く、国内外の証券業界全体に、米国債取引や投資銀行部門で好調な利益進捗が期待できよう。国内株式市場
も大型のIPO・売出し案件が続き、投信販売も好調な推移が続いており、リテール部門・ホールセール部門ともに堅調な業績が期待できる。
同社の25年3月期第1四半期はリテール・ホールセール・資産運用の3事業部門ともに好調で、米大手銀の7~9月期決算でも投資銀行部門
(証券部門)の収益が好調だったことも合わせて考えれば、第2四半期並びに通期でも前期比大幅な増益での着地が可能と当社では見てい
る、と指摘。
今2025年3月期連結純利益を2993億円(EPS101.3円)、来2026年3月期3071億円(EPS103.9円)、2027年3月期2826億円(EPS95.7円)と
予想している。
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20241028-OYT1T50213/
三井住友銀行は、2025年4月入行の新入社員を対象に、最短2年目で海外配属を確約する採用コースを新設した。入社後の部署がどこに
なるか分からない「配属ガチャ」を排することで、英語力がある優秀な学生を確保する狙いがある。入社時に海外配属を確約する採用は国内銀行
では初めてだという。
配属先は米ニューヨークか英ロンドンとし、採用数は数人を想定する。査証(ビザ)を取得するために1年間は国内勤務が必要だが、ビザが取
れ次第、赴任する。志望する学生には、英語民間試験のTOEFL105点以上などを目安とする高い英語力を求める。
現地の外資系企業や自治体との交渉といった、欧米での金融ビジネスに求められる知識や経験を早くから積んでもらい、将来的には海外戦略
の立案や実行をリードする人材に育成したい考えだ。
日本では金利の低い環境が長く続いたことから、国内大手行は金利の高い海外でのビジネスを強化してきた。三井住友銀は収益の約4割を
海外事業が占める。かつては現地に進出した日系企業向けビジネスが中心だったが、近年は現地企業向けの強化も進めている。
大手行は海外ビジネスの強化に伴って海外人材の獲得を強化している。三菱UFJ銀行やみずほ銀行も、海外業務を志望する学生向けにコース
別の採用枠を設けているが、配属の確約まではしていない。