バイデン米政権が、ウクライナによるロシア領内への攻撃を巡り、米国製の長距離兵器の使用を許可した、と報じられている。 ウクライナは米国が供給した長射程の戦術弾道ミサイルシステム「ATACMS」で、ロシア西部ブリャンスク州の軍事施設を攻撃した。 ロシア大統領府は、「核ドクトリン」の修正案を正式に決定する、と米国に警告し、プーチン露大統領は核ドクトリンの改定を承認して、核兵器の使用基準を緩和した。 ※追加「the use of Western non-nuclear rockets by the Armed Forces of Ukraine against Russia can prompt a nuclear response」「ウクライナ軍が欧米製の通常ミサイルでロシア領を攻撃した場合、核兵器での反撃が可能」 ラブロフ露外相は「核戦争が起きないというのがロシアの立場だ」と発言している。
大阪12月限ナイトセッション
日経225先物 38310 +50 (+0.13%)
TOPIX先物 2705.5 +11.5 (+0.42%)
シカゴ日経平均先物 38340 +80
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
18日の米国市場は、NYダウが下落した一方で、 S&P500、ナスダックは上昇。このところ市場予想を上回る米経済指標の発表が相次ぎ、米連邦準備理事会(FRB)が12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げを見送るとの観測が高まっており、米長期金利の高止まりが警戒された。また、次世代の人工知能(AI)向け半導体「ブラックウェル」に過熱問題が生じたと伝わり、投入遅延が懸念されたエヌビディア<NVDA>が売られた。一方、トランプ次期政権が自動運転の規制緩和を模索しているとの報道を受けてテスラ<TSLA>が買われており、S&P500指数、ナスダック指数を押し上げる形になった。
シカゴ日経平均先物(12月限)清算値は、大阪比80円高の3万8340円だった。日経225先物(12月限)のナイトセッションは、日中比70円安の3万8190円で始まり、その後は緩やかな調整トレンドを描き、3万8140円まで売られた。ただし、米国市場の取引開始後に上昇に転じると、一時3万8530円まで買われた。買い一巡後は終盤にかけて持ち高調整により軟化したが、3万8310円とプラス圏をキープしてナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、やや買い先行で始まりそうだ。ナイトセッションでは200日移動平均線(3万8290円)を下回って始まったが、その後は同線を挟んでの推移となった。200日線水準での底堅さがみられるようだと、ややロング優勢のなかで前日の下落分を埋めに行く動きが期待されそうだ。また、ボリンジャーバンドの-1σが3万8330円辺りで推移しているため、同水準を明確に上回ってくると、25日線(3万8870円)辺りが次第にターゲットとして意識されよう。
もっとも、S&P500指数、ナスダック指数の上昇はテスラのインパクトが大きく、アップル<AAPL>やマイクロソフト<MSFT>など大型テック株の一角も買われているものの、エヌビディアの弱い値動きが指数インパクトの大きい値がさハイテク株の重荷になる。20日のエヌビディアの決算を通過するまでは積極的なロングは手控えられよう。
そのため、200日線を挟んだ3万8000円から3万8500円のレンジを想定し、まずは200日線、+1σ水準での底堅さを見極めたい。支持線として意識されるようだと、オプション権利行使価格の3万8375円から3万8875円のレンジになりそうだ。
また、トランプ氏のメディア企業であるトランプ・メディア&テクノロジー<DJT>は、暗号通貨取引企業のバックト<BKKT>の買収に向けて最終段階の交渉を行っていると伝わった。トランプ・メディアの株価は16%を超える上昇だった。テスラの上昇もトランプ次期政権の政策に絡んだ要因であり、引き続き閣僚人事や政策など次期政権の政策に関連する動きに振られやすい需給状況であろう。
18日の米VIX指数は15.58(前日は16.14)に低下した。不安心理が高まった状態を示す20.00を下回っている状況であるほか、再び200日線(15.85)を割り込んできたことで、リスク選好に傾きやすいと考えられる。
昨日のNT倍率は先物中心限月で14.20倍に低下した。一時14.16倍まで下げており、75日・200日線(14.29倍)を明確に下放れてきた。ナスダック指数の上昇によりハイテク株の一角には買いが先行するとみられ、若干ながらNTショートを巻き戻す動きが入りそうだ。ただし、75日・200日線が抵抗線として機能する可能性もあるため、戻りの場面では新たなNTショートの動きもありそうだ。
18日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、トランプ次期政権の政策によりインフレ再燃が懸念され、FRBによる早期利下げ観測が後退していることで155.36円まで上昇。しかしながらその後、米長期金利の低下を受けて154.57円付近まで下押しした。ユーロドルは米10年債利回りが4.40%台まで低下したことで1.0607ドルまで上昇した。ユーロ円は163.98円まで上昇した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、米長期金利の低下で上値が重い展開が予想される。もっとも、FRBの早期利下げ観測が後退したことや日銀の追加利上げ時期が不透明になったことで、下値は限定的だと思われる。注目水準としては、攻防の分岐点である一目均衡表・転換線の154.45円、一目均衡表・基準線の152.80円や200日移動平均線の151.88円などが挙げられる。
今後は、パウエルFRB議長が「経済が弱まれば利下げの余地は大きい」とも述べていたことから、12月17-18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)に向けて、12月6日に発表される米11月雇用統計に要注目となる。また、植田日銀総裁も「12月会合では追加のデータなどを基に適切に政策判断」とも述べていたことから、12月18-19日の日銀金融政策決定会合に向けて、22日に発表される10月の全国消費者物価指数(CPI)などに注目することになる。
植田日銀総裁は、昨日の講演で金融緩和の度合いを少しずつ調整していくことは、「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現していくことに資するとの見解を示した。さらに、「金融緩和の度合いの調整を実際にどのようなタイミングで進めていくかは、あくまで、先行きの経済・物価・金融情勢次第だ」と述べた。
記者会見で12月会合での利上げの可能性を問われたが、「その時点で適切な判断をする」と述べるに留まり、追加利上げ時期については具体的な言及はなかった。
タカ派的な見解としては、実質金利が低水準にある中で、見通しに応じて緩和調整をしなければ「どこかでインフレ率が急に加速し、急速な金利の引き上げを迫られるという可能性もゼロではない」との指摘が挙げられる。さらに、利上げした7月会合以降の経済・物価は想定通りであり、時期が遅れて後手に回る「ビハインド・ザ・カーブに陥らないように適切に政策判断する」との指摘も挙げられる。
また、円安の影響に関しては、その背後にある経済要因を含めて見通しやリスクへの影響を分析して「各会合で判断していく」と語った。現状のドル円の155円付近の水準は、「輸入物価は再び上昇に転じており、先行き、物価が上振れするリスクには注意する必要がある」と指摘した7月31日の利上げ時の水準(※高値153.88円)を上回っている。植田日銀総裁が「第1の力」として注視している輸入物価指数の10月分は、前月比3.0%上昇と、22年9月(5.3%上昇)以来の高い伸びを記録していた。
9時30分に発表される11月豪準備銀行(RBA)理事会議事要旨では、声明文でのタカ派的な見解「基調インフレは依然として高すぎる」を確認しながら、金融緩和に転じる時期を見極めることになる。
日経225先物は11時30分時点、前日比170円高の3万8430円(+0.44%)前後で推移。寄り付きは3万8330円と、シカゴ先物清算値(3万8340円)にサヤ寄せする形で、買いが先行して始まった。開始直後に3万8240円と下落に転じる場面もみられたが、その後はロング優勢のなか、現物の寄り付き後ほどなくして3万8520円まで上げ幅を広げた。ナイトセッションで付けた高値(3万8530円)は超えられず、中盤にかけては前日比変わらずの水準まで軟化したものの、200日移動平均線(3万8290円)近辺での底堅さが意識された。終盤にかけて買い戻されており、3万8400円辺りで推移している。
日経225先物は寄り付き直後にショートの動きはあったが、200日線を下回る局面では押し目待ち狙いのロングも入りやすいようだ。節目の3万8500円水準ではショートが入りやすいだろうが、ボリンジャーバンドの-1σ(3万8340円)を上回っての推移が続くようだと、ショートカバーを誘う動きに向かわせる可能性はありそうだ。指数インパクトの大きいアドバンテスト <6857.T> [東証P]が日経平均型を牽引する一方で、東京エレクトロン <8035.T> [東証P]は辛うじてプラス圏で推移している状況であり、手掛けづらさはある。
NT倍率は先物中心限月で14.20倍と横ばいで推移している。一時14.15倍まで下げており、戻りの局面においては、NTショート組成に向かわせそうだ。
モルガン・スタンレーは最新リポートで、中国の2025年の実質国内総生産(GDP)成長率が4%にとどまり、26年には3.9%まで減速する可能性があるとの予測を明らかにした。消費刺激策が不十分な上に米国の関税が脅威となり、中国は根深いデフレーションに直面するとみている。『信報』が18日伝えた。
モルスタは、仮に米国が中国製品に対する実効関税を25年に15%引き上げ、26年にさらに10%引き上げた場合、輸出と製造業資本的支出が成長の主力エンジンから足かせに変わるとした。その影響は中国政府の規制緩和によって一部相殺され、インフラ設備投資や公共消費の力強い成長につながるとした。一方、民間消費は減速する見通し。投資中心の政策パッケージの下で、政策支援を受ける消費分野がより高い成長を実現する半面、他の支出を圧迫する可能性があるとの見方を示した。
モルスタは、米国が早ければ25年4-6月期に全面関税計画を前倒しで発表し、25年から26年にかけて段階的に実施する可能性があるとみている。こうした動きが市場センチメントに影響を与え、今後1-2四半期の間に人民元相場が先行して下落しかねないとした。2018-19年と比べ、中国人民銀行(中央銀行)は関税の影響を緩和するため積極的に人民元安を誘導しないとみられ、25年末には1米ドル=7.6元、26年末には7.75元に落ち込むとの予想を明らかにした。
先週までのトランプトレードに対する盛り上がりは収束し、ドル円は一旦は様子見となっているところですが、週明けの海外市場では目立った材料もないなか、米長期金利の動向に左右される方向感のない動きに終始することになりました。ドル円は欧州時間に154.30円まで下押した後、米10年債利回りが4.4888%まで上昇するにつれて155.36円まで買戻されたものの、NY時間に入ってからは米10年債利回りが4.4060%まで一転して低下すると154.57円まで下押しして取引を終えました。
アジア時間に入ってからはクロス円中心に戻り売りが持ち込まれると153.98円まで下落。その後は154.24円まで買戻されたものの、再び153.96円まで値を下げるなど、引き続き「何もないなかでのあまり意志の感じられない相場」展開となっているといったところです。目先は先週末から3日続けて153円台後半でトリプルボトムとなるのかどうかを見極めることになりますが、市場では「一目転換線の位置する154.45円付近が終値ベースで意識されている」なか、米長期金利の動向に左右される動きとなっていきそうです。
いずれにしても、日米の金融政策の現状を鑑みれば、米国はパウエルFRB議長の講演からもわかるように、「急いで利下げする必要性がない」状況となっている一方、日本でも昨日の植田日銀総裁の挨拶からは「差し迫って年内に追加利上げするような環境でもない」こともまた明らか。金融政策の方向性や時間軸、またはそのスピード感といったものを感じながらの展開となっています。
「インフレ率を目標値付近で確実に維持する必要があるため、あまりに急激な、あるいは大幅な利下げはできない。しかし、経済がわれわれの予想通りに推移すれば、金利はここから緩やかに低下し続ける公算が大きい」(ベイリーBOE総裁)
1.イングランド銀行金融政策委員会(MPC)
MPCの9名の委員の棲み分けは、タカ派3名、中立派3名、ハト派3名に分類できると思われる。
【MPC】 【8月1日】【9月18日】【11月7日】
■ハト派
・ベイリーBOE総裁: 5.00% 5.00% 4.75%
・ラムスデンBOE副総裁: 5.00% 5.00% 4.75%
・ディングラMPC委員: 5.00% 4.75% 4.75%
■中立派
・ロンバルデリBOE副総裁: 5.00% 5.00% 4.75%
・ブリーデンBOE副総裁: 5.00% 5.00% 4.75%
・テイラーMPC委員: 5.00% 4.75%
■タカ派
・マンMPC委員: 5.25% 5.00% 5.00%
・ピルMPC委員: 5.25% 5.00% 4.75%
・グリーンMPC委員: 5.25% 5.00% 4.75%
2.8月1日MPC(5対4)
イングランド銀行は、政策金利を5.25%から5.00%に引き下げた。
利下げに賛成した5人は「インフレが持続するリスクの緩和に一定の進展があった」との考えだった。ただ、このうちの一部委員にとってインフレの根強さは「まだ決定的には解消されていない」ため、今回の決定は「微妙なバランス」に基づくものだったという。
利下げに反対した4人は、基調的なインフレが予想より根強く、成長率も予想以上であることを理由に挙げた。
3.9月18日MPC(8対1)
政策金利を5.00%に据え置いた。ディングラMPC委員が4.75%への追加利下げを主張した。
■3つのシナリオ
1)インフレ率を上昇させた世界的なショックの解消と、その結果としてヘッドラインインフレ率が賃金や価格設定の動きを弱めるよう波及しつづける
2)賃金や価格設定の動きが完全に正常化するため、GDPが潜在量を下回り、労働市場がさらに緩和する経済が弛む(slack)の期間が必要となる
3)ここ数年で経験した主要な供給ショックの後に、経済が賃金や価格設定といった構造的な変化の影響を受けている可能性がある
4.11月7日MPC(8対1)
政策金利を4.75%に引き下げた。マンMPC委員が5.00%での据え置きを主張した。
声明では、金融緩和の加速を示唆することは控え、政府の予算案(700億ポンド規模の歳出を計画)がインフレ率を最大で0.5ポイント押し上げて、25年7-9月にインフレ率が2.8%に達すると推計した。ベイリーBOE総裁は、予算はBOEの利下げパスに大きな影響を与えないだろう、と述べた。
本日のロンドン為替市場でユーロドルは、欧州金融政策に対する思惑で上下する展開は変わらず。本日も複数の欧州金融当局者の講演が予定されている。経済指標は10月ユーロ圏のインフレ指標が発表されるが、こちらは改定値。またポンドは、ベイリー英中銀(BOE)総裁を始めとする英中銀金融政策委員会(MPC)委員の議会証言が注目される。
昨日のユーロドルは一時1.06ドル台まで反発した。1.05ドル前半で下げ渋ったことで持ち高調整が出やすかったところに、米長期金利が低下したことに後押しされた。欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーたちの講演も特段のサプライズは無かった。
本日は欧州序盤に、エルダーソンECB専務理事とミュラー・エストニア中銀総裁が発言する。引き続き12月会合における追加利下げの可能性や、来年以降の緩和ペースについてのヒントを探ることになる。昨日の値動きを見る限り、ハト派的な見解であっても極端でなければユーロ売り圧力は強まり難いかもしれない。
本日発表される10月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)は改定値。同月速報値は前年比2.0%と、9月分からの加速予想を更に0.1ポイント上回った。ただし、前回の改定値では速報値から鈍化していたこともあり、今回も結果は気にかけておきたい。ECBインフレ目標値2.0%からの上下振れに沿った動きを、ユーロ相場は一先ず見せるのではないか。
日本時間19時から予定されている英議会証言は、BOEのベイリー総裁とロンバルデリ副総裁、またマンMPC委員やテイラー同委員らが行う予定。やはり、英金融政策を引っ張るベイリー総裁の発言内容が最も注目される。今後の金利動向について、どの程度まで突っ込んだ内容となるかがポイント。また、利下げを決定した前回MPCで唯一「据え置き」を主張したマン委員と他委員との乖離度合いも注視したい。
想定レンジ上限
・ユーロドル、日足一目均衡表・転換線1.0661ドル
・ポンドドル、日足一目均衡表・転換線1.2803ドル
想定レンジ下限
・ユーロドル、14日安値1.0497ドル
・ポンドドル、15日安値1.2597ドル
ドル円:1ドル=154.42円(前営業日NY終値比▲0.24円)
ユーロ円:1ユーロ=163.44円(▲0.49円)
ユーロドル:1ユーロ=1.0583ドル(▲0.0015ドル)
日経平均株価:38414.43円(前営業日比△193.58円)
東証株価指数(TOPIX):2710.03(△18.27)
債券先物12月物:142.89円(△0.04円)
新発10年物国債利回り:1.060%(▲0.010%)
ユーロ円TIBOR3カ月物:0.31600%(△0.02700%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
特になし
(各市場の動き)
・ドル円は下げ渋り。前日のNY時間からの流れを引き継いで売りが先行した。加藤財務相が「為替動向、行き過ぎた動きには適切な対応を取る」「非常に緊迫感を持って為替の動きを見守っている」などの見解を示したことも相場の重しとなり、一時153.96円まで下押し。もっとも、昨日安値の153.84円が目先のサポートとして意識されると下げ渋り、その後は154.50円台まで下値を切り上げた。
・ユーロ円も下げ渋り。ドル円と同様に売りに押される展開となって一時163.12円まで下落する場面があったものの、その後はいったん下げ止まった。
・ユーロドルは小安い。1.0590ドル台を中心とする狭いレンジ内でのもみ合いとなったが、昨日高値の1.0607ドル手前で上値の重さを確認すると1.0583ドルまでやや値を下げた。
・日経平均株価は反発。昨日の米国株式市場でハイテク株が上昇したことを受け、この日の東京市場でも半導体関連株に買いが入った。いったんは利益確定売りに押されて上げ幅を縮める場面もあったが、指数は後場に入って340円近く上昇するなど総じて底堅く推移した。
・債券先物相場は小幅続伸。昨日の米国債券相場が上昇した流れと引き継いで142円97銭まで買いが入ったが、日銀の追加利上げ観測が相場の重しとなり、上値も限られた。
国際通貨基金(IMF)は報復的な関税が特にアジア地域の経済見通しを損なう可能性があると警告した。トランプ次期大統領の中国製品への60%関税案や、EUの中国製電気自動車への関税引き上げなどが世界貿易を妨げ、輸出国の成長を阻害しインフレを引き起こす恐れがあるとのこと。IMFは世界経済の成長率を2024年と2025年ともに3.2%と予測しているが、アジアはそれを上回る4.6%と4.4%の成長が見込まれている。しかし、貿易摩擦の激化や先進国の金融政策の不確実性がアジアの経済に影響を与える可能性があると指摘している。
大阪12月限
日経225先物 38420 +160 (+0.41%)
TOPIX先物 2712.0 +18.0 (+0.66%)
日経225先物(12月限)は前日比160円高の3万8420円で取引を終了。寄り付きは3万8330円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万8340円)にサヤ寄せする形で、買いが先行した。開始直後に3万8240円と下落に転じる場面もみられたが、その後はロング優勢となり、現物の寄り付き後ほどなくして3万8520円まで上げ幅を広げた。ナイトセッションで付けた高値(3万8530円)は超えられず、前場中盤にかけて前日比変わらずの水準まで軟化したものの、200日移動平均線(3万8290円)近辺での底堅さが意識された。
ランチタイムで再び3万8500円を回復し、後場中盤には3万8580円まで買われる場面もあった。ただし、前日の高値水準に接近する局面では利益確定でロング解消も入りやすく、終盤にかけては3万8350円~3万8450円処の狭いレンジでの推移が続いた。
日経225先物は寄り付き直後にショートの動きはあったが、200日線を下回る局面では押し目待ち狙いのロングも入りやすいようだ。節目の3万8500円水準では上値の重さがみられたが、一方で下値はボリンジャーバンドの-1σ(3万8340円)、200日線水準での底堅さが意識された。後場は-1σを上回っての推移が続いたこともあり、短期的なショートも仕掛けづらかっただろう。
米国の時間外取引では、スーパー・マイクロ・コンピューター<SMCI>が40%近く上昇していた。会計不正を巡る不透明感が払拭されるとの期待から買われたようだが、同社の上昇がハイテク株の一角に対する支援材料になったようだ。しかし、20日にエヌビディア<NVDA>の決算を控えて、積極的な売買は手控えられた形だろう。
また、本日は指数インパクトの大きいアドバンテスト <6857.T> [東証P]が日経平均型を牽引した半面、東京エレクトロン <8035.T> [東証P]は小幅な上昇だったほか、ソフトバンクグループ <9984.T> [東証P]、レーザーテック <6920.T> [東証P]が軟調だったこともあり、方向感をつかみづらくさせていた。
日経225先物は200日線が支持線として意識されるなか、オプション権利行使価格の3万8250円から3万8500円辺りのレンジ推移が期待されそうである。米国市場がエヌビディアの決算期待からショートカバーの動きをみせてくるようだと、節目の3万8500円を上回ってくる可能性はあるだろう。低迷する半導体株などはいったん持ち高調整によるカバーが入るようだと、日経平均型の底堅さにつながりそうだ。一方で、ショートの動きが強まる局面では、日経225先物は再び75日線(3万7790円)辺りが射程に入ってくる。
NT倍率は先物中心限月で14.16倍に低下した。一時14.23倍と上昇に転じる場面もみられたが、その後は14.13倍に低下する動きもあった。エヌビディアの決算前にリバランスが入る可能性はあるものの、トランプ次期政権による対中関税の引き上げや規制強化が警戒されて、NTロングに転換しづらいところであろう。NTショートに振れやすい需給のなか、9月に付けた13.93倍辺りが意識されてきそうである。
手口面(12月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万1752枚、ソシエテジェネラル証券が8378枚、サスケハナ・ホンコンが3300枚、バークレイズ証券が1706枚、JPモルガン証券が1611枚、SBI証券が1604枚、楽天証券が1198枚、ゴールドマン証券が1009枚、auカブコム証券が760枚、みずほ証券が632枚だった。
TOPIX先物は、ABNクリアリン証券が1万6152枚、ソシエテジェネラル証券が1万4291枚、バークレイズ証券が3816枚、ビーオブエー証券が3542枚、モルガンMUFG証券が3469枚、JPモルガン証券が3242枚、サスケハナ・ホンコンが2444枚、みずほ証券が2330枚、ゴールドマン証券が1722枚、野村証券が1469枚だった。
本日の欧州時間は欧米長期金利が急低下し、市場流動性が悪いこともありドル円は153.29円まで急落した。ウクライナが射程の長いミサイルATACMSを使用してロシア領内を攻撃したこと、これに対する報復措置としてロシアが核攻撃を示唆していることで、安全資産とされる債券に買いが集まっている。
ただ、NY時間のドル円は引き続き神経質な値動きとなるだろうが、このままドル売りトレンドが継続するかの判断は難しそうだ。ウクライナとロシアの緊張感が大幅に増していることで、リスク回避の動きは円買いに動きやすい。しかしながら、両国の緊張がこれ以上高まらなければ、トランプトレードやパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長がこれまでよりも利下げに対する消極的なスタンスを先週見せて以来の「ドル買いトレンド」が再開する可能性もある。円買い・ドル買いの両面でのリスクが大きいことで、他通貨と比較し円がらみの取引はNY時間も激しくなることが予想される。
なお、本日は米国からは住宅指標が発表される程度で、週後半21日には雇用指標(前週分の米新規失業保険申請件数と失業保険継続受給者数)、22日には11月の各種購買担当者景気指数(PMI)速報値が発表されるなど、市場の注目度が高い経済指標が週後半に集中している(なお、20日には半導体大手エヌビディアの決算も発表予定)。今回のドル売りで積極的にリスク回避の動きになるか、ポジション調整の域に収まるかは、これらの週後半の米経済指標などを含めて判断する必要がありそうだ。
また、この数日は米メディアが取り上げられている話題の中心は、第2次トランプ政権の次期財務長官に誰が指名されるかになっている。カンター・フィッツジェラルドのCEOハワード・ラトニック氏、投資家のスコット・ベセント氏、元FRB理事のケビン・ウォーシュ氏、資産家のマーク・ローワン氏、テネシー州選出の共和党上院議員ビル・ハガティ氏などの名前が挙がっている。ラトニック氏やベセント氏は兼ねてから高関税の導入を支持していることもあり、両氏のいずれかが指名された場合は再びトランプトレードに戻る可能性もありそうだ。
米国の経済指標は注目度の高いものは発表されないが、本日はカナダから10月の消費者物価指数(CPI)が発表されることで、カナダドルの値動きには要注目。9月分のCPIは1.6%増まで鈍化し、2021年2月以来の低い伸び率を記録した。この影響もあり、カナダ中銀は先月50ベーシスポイント(bp)の利下げを決定した。今回発表されるCPIは、12月の中銀会合を前にした最後のインフレ指標発表になることで、先月同様に弱い結果となった場合は2会合連続で50bpの利下げに傾く可能性もありそうだ。なお、市場予想は前年比1.9%増、トリム値は2.4%増となり、現時点では25bpの利下げが織り込まれている。
・想定レンジ上限
ドル円の上値めどは、これまでの本日高値154.67円。その上は18日高値155.36円。
カナダドル円の上値めどは、本日高値で日足一目均衡表・転換線も位置する110.39円。
・想定レンジ下限
ドル円の下値は、これまでの本日安値153.29円。その下は日足一目均衡表・基準線152.80円。
カナダドル円の下値めどは、15日安値109.26円。その下は90日移動平均線108.32円。
今晩は小売株の決算発表に注目。昨日は新型人工知能(AI)半導体「ブラックウェル」のオーバーヒート問題でエヌビディアが下落し、ダウ平均が55.39ドル安(-0.13%)と小幅に3営業日続落した一方、先週に2.08%安となったS&P500が0.39%高と3営業日ぶりに反発し、先週3.15%下落したナスダック総合も0.60%高と5営業日ぶりに反発した。投資家の不安心理を示すVIX指数は先週末の16.14ポイントから15.58ポイントに低下と、センチメントはやや改善した。
今晩の取引では足もとの消費動向を巡り小売株の決算発表に注目する展開か。今週は水曜日引け後のエヌビディアの8-10月期決算や新型AI半導体の受注見通しなどのガイダンスが最大の注目点となるが、今晩は寄り前に総合小売りのウォルマートやホームセンターのロウズが決算を発表する。足もとでは米国経済のソフトランディング期待が高まっており、小売株の決算やガイダンスから景気動向を探る展開となりそうだ。経済指標では10月住宅着工件数、10月建設許可件数が発表され、住宅関連指標にも要注目か。
今晩の米経済指標・イベントは10月住宅着工件数、10月建設許可件数のほか、シュミッド米カンザスシティー連銀総裁の講演など。企業決算は寄り前にウォルマート、ロウズ、メドトロニック、引け後にキーサイト・テクノロジーズなどが発表予定。
日経平均株価は反発。6日ぶりに陽線を形成して終えた。終日狭いレンジの取引となり、下向きの5日移動平均線(38507円 11/19)や200日移動平均線(38550円 同)に上値を抑えられる展開となった。
RSI(9日)は前日の45.4%→22.9%(11/19)に低下。一目均衡表の雲上限を前に踏みとどまった格好だが、TOPIXに続いてあすは5日移動平均線上を回復できるかどうか。11/1安値(37946円)を前に反発に転じることができれば値崩れ感は生じないが、5日移動平均線に加え、25日移動平均線(38828円 同)などが目先の抵抗となりやすく、調整が長引く要因となる。
依然として10月からのもみ合いの範ちゅうであり、当面は10/16の下げで開けたマド埋め(39910円)を通過点に4万円突破へ勢いづくかが焦点となる。8月安値(31156円)を起点とした上昇局面では高値圏を保っており、一段高となる前の揺り戻しが続いていると判断したい。
上値メドは、25日移動平均線や心理的節目の39500円、11/7高値(39884円)、10/15高値(40257円)、心理的節目の40500円などがある。下値メドは、心理的節目の38000円や75日移動平均線(37909円 同)、10/2安値(37651円)、9/12高値(36902円)、9/17安値(35828円)などがある。
第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・西?M 徹氏
米トランプ次期政権に対峙するメキシコを格付機関はどうみてる?
シェインバウム政権が現実路線を維持し、米国との通商問題を穏便に収束できるかに掛かっている
メキシコ中銀は14日の定例会合で3会合連続の利下げを決定し、3月以降に累計100bpの利下げに動いている。先行きについても追加利下げを示唆しており、中銀は「ハト派」に傾いていると捉えられる。他方、実質金利のプラス幅の大きさなど投資妙味は依然高いが、米大統領選でのトランプ氏勝利を受けてペソ相場は調整の動きを強めている。司法改革による三権分立の形骸化も財政運営を巡るリスクになるとの懸念が高まっている。こうしたなか、主要格付機関のうちムーディーズは財政運営を警戒して将来的な格下げの可能性に言及する一方、S&Pグローバルは格上げも格下げもあり得ると中立的な見方を示す。なお、政府が議会に上程した来年度予算案では財政赤字幅の縮小を見込むが、その前提は楽観に過ぎるなど実現のハードルは高いのが実情と捉えられる。シェインバウム政権が現実的な政策運営を堅持し、米トランプ次期政権と通商問題を穏便に収束させられるか、現時点でメキシコ経済と政治を見定めることは難しい。
(19日終値:20日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=154.73円(19日15時時点比△0.31円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=163.70円(△0.26円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0579ドル(▲0.0004ドル)
FTSE100種総合株価指数:8099.02(前営業日比▲10.30)
ドイツ株式指数(DAX):19060.31(▲128.88)
10年物英国債利回り:4.442%(▲0.023%)
10年物独国債利回り:2.338%(▲0.035%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
9月ユーロ圏経常収支
季調済 370億ユーロの黒字 354億ユーロの黒字・改
10月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値
(前年比) 2.0% 2.0%
10月ユーロ圏HICPコア改定値
(前年比) 2.7% 2.7%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は下値が堅かった。ロシアのプーチン大統領が核ドクトリンの改定を承認し、核兵器の使用基準を緩和したと伝わると、リスク・オフの円買い・ドル売りが先行。日本時間夕刻に一時153.29円と日通し安値を付けた。
ただ、一目均衡表基準線が位置する152.80円付近が目先サポートとして働くと買い戻しが優勢に。ラブロフ露外相が「ロシアの核ドクトリンは米国のものと変わらない」「核戦争を起こさないことがロシアの立場」と述べたことも相場を下支えした。なお、「米政府はロシアの核ドクトリン改定に反応しない方針を示唆した」との報道も伝わった。
その後、国際原子力機関(IAEA)が「イランは核兵器級に近いウランの生産停止に合意」「イランと核施設への査察官受け入れについて合意」と発表すると、さらに買い戻しが進み154.80円の日通し高値まで持ち直した。
・ユーロドルは底堅い動き。ロシアとウクライナを巡る地政学リスクへの警戒感が高まるとリスク・オフのユーロ売り・ドル買いが先行。18時30分前に一時1.0524ドルと日通し安値を付けた。
ただ、売り一巡後は買い戻しが優勢となり、0時30分過ぎには1.0601ドルとアジア時間に付けた日通し高値に面合わせした。米長期金利の低下に伴うユーロ買い・ドル売りも入った。
・ユーロ円は持ち直した。ウクライナとロシアを巡る地政学リスクの高まりから、日本時間夕刻に一時161.50円と10月4日以来の安値を付けたものの、売り一巡後はじりじりと下値を切り上げる展開に。一時は450ドル超下落したダウ平均が80ドル安程度まで下落幅を縮小したほか、ナスダック総合が上昇へ転じるなど、米国株相場が底堅く推移したことも買い戻しを誘った。3時前には163.75円付近まで値を上げた。
・ロンドン株式相場は小反落。続伸して始まったものの、ロシアとウクライナを巡る地政学リスクへの警戒感が高まるとリスク回避の売りが優勢となり下げに転じた。BPやシェルなどエネルギー株が売られたほか、HSBCやバークレイズなど金融株が値下がりした。
・フランクフルト株式相場は3日続落。ロシアが核兵器の使用条件を示した核ドクトリン(核抑止力の国家政策方針)を改定したと伝わると、投資家が運用リスクを避ける動きを強め、欧州株全般に売りが広がった。個別ではシーメンス(3.35%安)やインフィニオン・テクノロジーズ(2.15%安)、ポルシェ(2.08%安)などの下げが目立った。
・欧州債券相場は上昇。ロシアとウクライナを巡る地政学リスクへの警戒感から、相対的に安全資産とされる独国債が買われた。
19日の日経平均は反発。終値は193円高の38414円。まちまちの米国株を受けても3桁上昇スタート。場中はプラス圏をキープし続けたものの、方向感に欠ける動きが続いた。開始早々に上げ幅を200円超に広げるも、節目の38500円を上回ると上値が重くなって失速。上げ幅を2桁に縮めて10時過ぎには前日終値に接近したが、そこではマイナス圏入りを回避して持ち直した。後場は前引けから水準を切り上げて始まり、13時台半ばには上げ幅を300円超に拡大。ただ、38500円より上は定着せず、14時台に入ると値を消した。結局、寄り付き(38396円)をやや上回る程度で取引を終了。新興銘柄の動きが良く、グロース250指数が1.9%高と相対的に強い動きを見せた。
東証プライムの売買代金は概算で3兆8000億円。業種別では非鉄金属、銀行、保険などが上昇した一方、サービス、電気・ガス、パルプ・紙などが下落した。一部メディアでソニーグループ<6758.T>が買収に向けて協議しているとの観測が報じられたKADOKAWA<9468.T>が、後場に買いを集めてストップ高。半面、KADOKAWA傘下企業と人気ゲームを共同開発しているバンダイナムコホールディングス<7832.T>が、後場に入って大きく崩れた。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1080/値下がり502。アドバンテストが全市場の売買代金トップとなって3.7%高。フジクラが7.2%高と人気化した。三井住友やみずほなど銀行株の動きが良く、円安に一服感が出てくる中でもトヨタやホンダなど自動車株に資金が向かった。中期経営計画の財務指標目標を上方修正したアシックスが大幅上昇。「すき家」の一部商品値上げ発表や証券会社による目標株価引き上げが好感されたゼンショーHDが急伸した。
一方、レーザーテック、ソフトバンクG、リクルートなどグロース株の一角が軟調。日立、NEC、富士通など電機株が売りに押された。原油価格上昇が重荷となり、関西電力や北海道電力など電力株の多くが下落。独禁法違反疑いで公正取引委員会が警告を出す方針と伝わったイトーキが大幅安となった。
日経平均は反発。ローソク足では6日ぶりに陽線を形成した。実体部分は短く、引けまでどちらに転ぶか微妙ではあったが、それだけに価値のある陽線と言える。とはいえ、きのう18日に422円下げていることを踏まえると、反発力は鈍かった。節目の38500円付近には5日線(38507円、19日時点)が位置しているが、これらを超えてくると上値が抑えられた。
エヌビディアの決算を消化するのは木曜21日で、あすも基本的には様子見ムードの強い地合いが想定される。米国では本日、ウォルマートが決算を発表予定。決算反応が良ければ、米国の年末商戦に対する期待が高まる。その場合、米国株は下がりづらくなるであろうから、日本株にもプラスの影響が見込まれる。失望決算ならその逆となるが、どちらにしても小売株には大きな動きが出てくる可能性がある。
一部通信社が報じたところによると、「米政府はロシアの核ドクトリン改定に反応しない方針を示唆した」ようだ。
中国の国家発展改革委員会が19日午前に開いた月例記者会見で、政策研究室副主任を務める李超報道官は、消費財買い替え促進と大規模設備更新の「両新」政策の増強方針を明らかにした。政策を推し進めた効果を検証し、良好な経験やノウハウを総括した上で継続実施していくとした。さらに、今後の継続的な支援増強と支援範囲拡大の政策を検討し、関連手続きを経て適切な時期に公表すると述べた。『証券時報網』が同日伝えた。
「両新」政策は国務院(内閣に相当)が今年3月、「行動方案」として各部局や地方政府に通知した。李報道官は消費財買い替えについて「自動車、家電、家具を3大主要製品カテゴリーとして、1500億元規模の超長期特別国債で調達した資金の各地方での活用を推し進め、より高品質、よりスマート、より環境に優しい製品に対する消費者の需要を支援しいる」と説明した。具体的には、家電には最大20%の補助、自動車には最大2万元の補助を提供する。家具では多くの地域で高齢者向け改造を支援している。
設備更新政策については「工業、農業、建築、教育、交通、文化・観光、医療の7つを重点分野として1500億元の超長期特別国債資金を直接プロジェクトに割り当てる。同時にエネルギー消費や汚染物質排出に関する112項目の基準を発表し、企業の技術更新、デジタル化、グリーン転換を支援する」と述べた。
国際原子力機関(IAEA)は19日、「イランは核兵器級に近いウランの生産停止に合意した」と発表した。また、イランと核施設への査察官受け入れについて合意したと明らかにした。
(19日終値)
ドル・円相場:1ドル=154.66円(前営業日比横ばい)
ユーロ・円相場:1ユーロ=163.86円(▲0.07円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0596ドル(▲0.0002ドル)
ダウ工業株30種平均:43268.94ドル(▲120.66ドル)
ナスダック総合株価指数:18987.47(△195.66)
10年物米国債利回り:4.40%(▲0.01%)
WTI原油先物12月限:1バレル=69.39ドル(△0.23ドル)
金先物12月限:1トロイオンス=2631.0ドル(△16.4ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
10月米住宅着工件数
131.1万件 135.3万件・改
建設許可件数
141.6万件 142.5万件・改
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は横ばい。ロシアが核兵器を使用するための条件を示した「核抑止力の国家政策指針」(核ドクトリン)を改定したと伝わったほか、ウクライナは米国から供与された長距離地対地ミサイルを使ってロシアの軍事施設を攻撃したと報じられた。ロシアとウクライナを巡る地政学リスクへの警戒感が高まるとリスク回避の円買いが強まり、日本時間夕刻に一時153.29円と日通し安値を付けた。
ただ、NY市場に入ると買い戻しが優勢となった。ラブロフ露外相が「核戦争が起きないというのがロシアの立場だ」と発言したのを受けて、投資家の過度なリスク回避姿勢が後退した。
その後、国際原子力機関(IAEA)が「イランは核兵器級に近いウランの生産停止に合意」「イランと核施設への査察官受け入れについて合意」と発表すると、さらに買い戻しが強まり、3時過ぎには154.80円と日通し高値を更新した。
・ユーロドルは3日ぶりに小反落。ロシアとウクライナを巡る一連の報道をきっかけにリスク・オフのユーロ売り・ドル買いが強まると、日本時間夕刻に一時1.0524ドルと日通し安値を付けた。ただ、売り一巡後は買い戻しが優勢となり、0時30分過ぎには1.0601ドルとアジア時間に付けた日通し高値に面合わせした。
・ユーロ円も小反落。ウクライナとロシアを巡る地政学リスクの高まりから、日本時間夕刻に一時161.50円と10月4日以来の安値を付けたものの、NYの取引時間帯に入ると一転上昇した。一時は450ドル超下落したダウ平均が8ドル安程度まで下落幅を縮小したほか、ナスダック総合が上昇へ転じるなど、米国株相場が底堅く推移したことが買い戻しを誘った。6時前には一時163.93円付近まで持ち直した。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は4日続落。ウクライナとロシアを巡る地政学リスクの高まりを背景に売りが先行すると一時450ドル超下げた。ただ、ラブロフ露外相が「核戦争が起きないというのがロシアの立場だ」と発言したことから、リスク回避の動きは続かず下げ渋った。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は続伸した。
・米国債券相場で長期ゾーンは続伸。ロシアとウクライナを巡る情勢の緊張感から相対的に安全資産とされる米国債が買われたものの、ラブロフ露外相が「核戦争が起きないというのがロシアの立場だ」と発言したことから、リスク回避の動きは続かなかった。
・原油先物相場は小幅に続伸。ロシアのプーチン大統領が核ドクトリンの改定を承認し、核兵器の使用基準を緩和したと伝わると地政学リスクの高まりによる原油供給の停滞を見越した買いが先行。しかしラブロフ露外相が「ロシアの核ドクトリンは米国のものと変わらない」「核戦争を起こさないことがロシアの立場」と述べたほか、IAEAが「イランは核兵器級に近いウランの生産停止に合意」「イランと核施設への査察官受け入れについて合意」との発表も続き、買いの動きは落ち着いた。
・金先物相場は続伸。ドルは対ユーロなどで重い動きが続き、ドルインデックスの戻りも鈍いなどさえない推移。ドル建て金相場の割安感が意識されやすく、11日以来の水準2643ドル台まで一時上昇した
19日05:51 ブイチッチ・クロアチア中銀総裁
「インフレが下振れするリスクが高まっている」
19日11:09 加藤財務相
「急激な為替変動には適切に対応」
「為替動向、行き過ぎた動きには適切な対応を取る」
「非常に緊迫感を持って為替の動きを見守っている」
「為替は9月末以降急激な動きがみられる」
「為替に対するスタンスは従来から全く変化はない」
19日16:57 農林中金理事長
「今期の損失は1.5兆円から2兆円」
19日19:16 パネッタ伊中銀総裁
「ユーロ圏の経済活動は依然として弱く、苦境に立たされている」
「国内需要が弱いままならインフレ率は2%を大きく下回る可能性」
「ECBは中立的な金融政策スタンスに移行すべき、あるいは必要であれば拡張的政策もとるべき」
「おそらく中立金利にはまだまだ遠い」
「金融政策スタンスの公式説明における引き締めバイアスはもはや必要ない」
「ECBは『会合ごとの』データ依存アプローチではなく、より将来を見据えたコミュニケーションが必要」
19日19:29 ベイリー英中銀(BOE)総裁
「インフレ率はBOEが利下げした際の予想より低い」
「サービスインフレは依然として目標と一致していない」
19日19:33 テイラー英中銀金融政策委員会(MPC)委員
「段階的なペースでの利下げを継続しても問題ない」
「より正常なシナリオに移行している」
「段階的とは来年にかけて100ベーシスポイントを意味する」
19日19:37 マン英中銀金融政策委員会(MPC)委員
「物価と賃金の将来指標は4カ月間横ばいで目標を上回っており、インフレ持続のリスクが高まっている」
「金融市場のインフレ予想は、BOEが予測期間内に持続的な2%のインフレ率を達成できないことを示唆」
「金利を据え置くことが重要であり、段階的な利下げ戦略を追求する必要はない」
「私は利下げについて段階的な表現は使わない」
「金融政策では積極的な戦略を希望」
「現在の金融政策の姿勢は特に制限的ではない」
「漸進主義はインフレの持続を長期化させる」
19日20:10 ミューラー・エストニア中銀総裁
「12月は25ベーシスポイントの利下げの可能性」
「今は大きなステップで動く理由はない」
19日22:49 ラブロフ露外相
「プーチン大統領はすでに警告を発している」
「ロシアの核ドクトリンは米国のものと変わらない」
「核戦争を起こさないことがロシアの立場」
20日04:13 シュミッド米カンザスシティー連銀総裁
「金利は依然としてやや制限的だが、過度ではない」
「インフレとの戦いはまだ終わっていない」
※時間は日本時間
<国内>
○08:50 ◎ 10月貿易統計(通関ベース、予想:季節調整前3604億円の赤字、季節調整済1467億円の赤字)
<海外>
○16:00 ◇ 10月独生産者物価指数(PPI、予想:前月比0.2%)
○16:00 ◎ 10月英消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.5%/前年比2.2%)
○16:00 ◎ 10月英CPIコア指数(予想:前年比3.1%)
○16:00 ◇ 10月英小売物価指数(RPI、予想:前月比0.5%/前年比3.4%)
○17:00 ◎ 10月南アフリカCPI(予想:前月比0.2%/前年比3.1%)
○19:00 ◇ 10-12月期南アフリカ経済研究所(BER)企業信頼感指数
○19:00 ◇ 9月ユーロ圏建設支出
○20:00 ◇ 9月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比2.7%)
○21:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○24:00 ◎ バー米連邦準備理事会(FRB)副議長、議会証言
○21日00:30 ◇ EIA週間在庫統計
○21日01:00 ◎ ラムスデン英中銀(BOE)副総裁、講演
○21日01:00 ◎ クックFRB理事、講演
○21日02:15 ◎ ボウマンFRB理事、講演
○21日03:00 ◎ デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○21日03:30 ◎ ストゥルナラス・ギリシャ中銀総裁、講演
○21日04:00 ◎ マクルーフ・アイルランド中銀総裁、講演
○21日06:00 ◎ コリンズ米ボストン連銀総裁、講演
○ブラジル(黒人意識の日)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
19日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、ロンドン市場でロシアとウクライナを巡る地政学リスク回避の円買いで153.29円まで下落。もっともその後、ラブロフ露外相発言「核戦争が起きないというのがロシアの立場だ」を受けて154.80円まで反発した。ユーロドルは1.0524ドルから1.0601ドルまで上昇した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、米長期金利の低下が上値を抑える中、ウクライナ情勢を巡る関連ヘッドラインに警戒していく展開が予想される。
ドル円は、プーチン露大統領が核ドクトリンの改定を承認し、核兵器の使用基準を緩和した、との報道で153.29円まで急落。しかしながら、ラブロフ露外相が「核戦争が起きないというのがロシアの立場だ」と発言したことで154円台後半まで反発している。17日にバイデン米政権が、ウクライナによるロシア領内への攻撃を巡り「米国製の長距離兵器の使用を許可した」と報じられたが、19日にはプーチン露大統領が核ドクトリンの改定を承認して、「核兵器の使用基準を緩和した」と報じられた。
ロシア与党「統一ロシア」のマリア・ブティナ議員は、「バイデン米大統領がウクライナに米国製兵器を使用してロシア領内を攻撃することを容認すれば、第3次世界大戦を引き起こすリスクがある」と警告していた。ロシアの「核抑止力の国家政策指針」(核ドクトリン)は、核兵器使用の条件として、通常兵器によってロシアが侵略され国家の存立が危機的になった時、としており、使用基準の緩和によりウクライナ戦争で戦術核が使用される可能性が高まりつつある。
今後もウクライナやロシア関連のヘッドラインには警戒しておきたい。
8時50分に発表される10月貿易統計(通関ベース、予想:季節調整前3604億円の赤字、季節調整済1467億円の赤字)では、日本の実需筋の円売り圧力を見極めることになる。
第2次トランプ米政権では、米国の製造業保護のために、輸入関税が引き上げられ(公約:中国60%、その他10-20%)、ドル安志向が警戒されているため、対米貿易黒字にも注視しておきたい。日本の1-9月の貿易赤字は4兆8738億円だが、対米貿易黒字は6兆1701億円となっており、米為替報告書で監視対象国に入っている要因となっている。
参考までに、新NISA稼働に伴う「家計の円売り」である投信の買い越し額は、1-10月で10兆1045億円に達しており、貿易赤字とともに、ドル円の下値を支える要因となっている。
なお、今年4月にトランプ氏は、ドル円が34年ぶりの高値圏となる154円台に上昇してきた時に、「米国の製造業にとって大惨事だ」とSNSに投稿していた。これまでの所、トランプ氏は、第1次トランプ米政権の時のようなSNSへの投稿は控え気味だが、4月の時のように、ドル高・円安への牽制発言が発せられた場合、トランプ・トレード(米国債売り・ドル買い)の巻き戻しを誘発することになる。
大阪12月限ナイトセッション
日経225先物 38290 -130 (-0.33%)
TOPIX先物 2701.5 -10.5 (-0.38%)
シカゴ日経平均先物 38275 -145
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
19日の米国市場は、NYダウ が下落した一方で、 S&P500、ナスダックは上昇。ウクライナとロシアを巡る地政学リスクの高まりが重荷となった。ウクライナ軍は米国が供与した長距離ミサイルでロシア西部の軍事施設を攻撃。これに対しロシアのプーチン大統領は核抑止力の国家政策指針(核ドクトリン)の改定を承認し、核兵器の使用基準を緩和した。リスク回避姿勢が高まり、NYダウは一時450ドル下げ、4万3000ドルを割り込む場面もみられた。ただし、25日移動平均線が支持線として機能する形で売り一巡後は下げ渋る動きだった。
ナスダック指数は続伸。20日に決算発表を控えるエヌビディア<NVDA>が5%近く上昇したほか、テスラ<TSLA>やアルファベット<GOOG>、ネットフリックス<NFLX>が買われた。S&P500業種別指数は半導体・同製造装置、自動車・同部品、食品・生活必需品小売が上昇した半面、保険、電気通信サービス、ヘルスケア機器・サービスが下落。
シカゴ日経平均先物(12月限)清算値は、大阪比145円安の3万8275円だった。日経225先物(12月限)のナイトセッションは、日中比変わらずの3万8420円で始まり、直後に付けた3万8460円を高値に下へのバイアスが強まり、米国市場の取引開始直前には一時3万7710円まで売られた。その後は米国市場が下げ渋るなか、終盤にかけてショートカバーとみられる動きが強まり、3万8390円まで下落幅を縮めた。ただ、プラスに転じることはできず、3万8290円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、やや売り先行で始まりそうだ。地政学リスクが警戒されてナイトセッションで一気に75日線(3万7790円)まで売られたが、その後はカバーの動きによって下落幅を縮めており、200日線(3万8310円)水準まで戻している。ロシアの核ドクトリン改定の一報を受けてアルゴリズムが発動し、ナイトセッションの開始直後には下落幅が一時500円を超えていた。その後はショートカバーにより持ち直しているが、引き続きウクライナ情勢が警戒される。
一方で、決算を前にエヌビディアが買われたことで、指数インパクトの大きい値がさハイテク株にも持ち高調整の動きからカバーが入りやすいだろう。エヌビディアについては決算内容のほか、懸念されている次世代の人工知能(AI)向け半導体「ブラックウェル」の動向を見極めたいところであり、東京市場でも積極的なロングは限られるものの、ショートも仕掛けづらくさせそうだ。
そのため、日経225先物は200日線水準での攻防から、若干ながらリバウンドを意識したスタンスに向かわせる可能性はあろう。また、200日線水準にはボリンジャーバンドの-1σ(3万8310円)も位置しているため、同水準での底堅さがみられてくるようだと、心理的な抵抗線となる3万8500円を捉えてくることが見込まれる。スキャルピング中心のトレードを余儀なくされるが、オプション権利行使価格の3万8000円から3万8750円のレンジを想定する。
18日の米VIX指数は16.35(前日は15.58)に上昇した。地政学的リスクの高まりが意識され、一時は17.93まで切り上がり、25日線(18.05)、75日線(18.17)に迫る場面もみられた。その後は相場の落ち着きとともに、上げ幅を縮める形だった。不安心理が高まった状態を示す20.00を下回っている状況であり、リスク回避姿勢はそれほど強まらないと考えられる。
昨日のNT倍率は先物中心限月で14.16倍に低下した。一時14.23倍と上昇に転じる場面もみられたが、その後は14.13倍に低下する動きもあった。本日はエヌビディアが決算前に買われたこともあり、NTショートを巻き戻す動きが入る可能性はありそうだ。ただし、トランプ次期政権による対中関税引き上げや規制強化を警戒し、NTロングに転換しづらいところでもある。そのため、リバランス中心となり大きなトレンドは出にくいだろう。
日経225先物は11時30分時点、前日比150円安の3万8270円(-0.39%)前後で推移。寄り付きは3万8360円と、シカゴ日経平均先物(3万8275円)にサヤ寄せする形で、売りが先行して始まった。米国でハイテク株が上昇した流れから指数インパクトの大きい値がさハイテク株が買い先行で始まったことで、日経225先物は現物の寄り付き後には一時3万8540円まで買われ、プラス圏を回復した。ただし、節目の3万8500円水準では上値の重さが意識されたほか、値がさハイテク株が弱含みとなるなか、中盤にかけて下げに転じた。終盤にかけてロング解消の動きから下げ幅を広げており、一時3万8210円まで売られた。
日経225先物は200日移動平均線とボリンジャーバンドの-1σが位置する3万8300円水準を上回って始まったこともあり、寄り付き後はロングに向かわせたようだ。ただし、前日同様、3万8500円を超えてくると上値の重さが意識されて、中盤にかけてロング解消の動きのほか、短期的なショートも入ったと考えられる。終盤にかけて3万8210円まで売られたが、その後は200日線近辺で下げ渋る動きをみせており、同水準での底堅さを見極めたいところだろう。
NT倍率は先物中心限月で14.18倍に上昇した。ただし、前日の値幅内での推移であり、値がさハイテク株が買い先行で始まった局面においても、NTショートを巻き戻す動きは限られていた。下向きのトレンドは継続するなか、9月上旬以来の14.00倍割れが意識されやすい。
オーストラリア統計局(ABS)は過去1年間の消費者物価指数(CPI)において児童保育費を過大評価していたことを明らかにした。2023年7月に導入された政府補助金の影響を正確に反映していなかったことが原因。9月期のCPIでは児童保育指数が実際より5.8%高く公表されていたとのことだが、児童保育費はCPIバスケットの0.9%しか占めていないため、全体のCPIへの影響は0.04%にとどまった。ABSは27日発表の10月CPIで修正を行うが、既に公表された四半期インフレ率には変更はないことも発表した。
中国の全国銀行間同業折借中心が20日に発表した2024年11月の最優遇貸出金利(LPR、ローンプライムレート)は、1年物を3.10%で据え置き、5年物も3.60%で据え置いた。
昨日のロシアネタしかり、中国ネタでも同様に、最近のリスクオフの動きは時間的な制約が付いているといったところ。つまり、長続きしない現象となっています。特に、ドル円に対しては、リスクオフ時のターゲットとはなるものの、需給関係やマクロ的ファンダメンタルズからは、買いが出ることに整合性があるわけで、昨日のように、核戦争を煽ってみたところで、結局は行って来いどころから、ショートの踏み上げに繋がる動きとなってしまっています。
ウクライナが米国が許可した射程の長いミサイルでロシア領内へ攻撃したことを受けて、早速、ロシアのプーチン大統領が核ドクトリン改定を承認。ヘッドライン的には当然リスクオフとなったものの、流石にラブロフ露外相が冷や水を浴びせると、市場もようやく落ち着きを取り戻すことになりました。
市場では「ドクトリンは改訂されているが、最も重要な核の使用条件である『自国とベラルーシの主権と領土保全に対する重大な脅威が発生した場合』が拡大されておらず、単なる対抗措置に過ぎない」との声も聞かれています。
いずれにしても、ドル円は目先の下値を確認したなか、終値ベースではしっかりと一目転換線を維持して引けているわけで、18日の高値155.36円や15日の高値156.75円を上値の目処に買戻しが強まる動きとなっています。
「バイデン米大統領がウクライナに米国製兵器を使用してロシア領内を攻撃することを容認すれば、第3次世界大戦を引き起こすリスクがある」
(ロシア与党「統一ロシア」のマリア・ブティナ議員)
バイデン米政権が、ウクライナによるロシア領内への攻撃を巡り、米国製の長距離兵器の使用を許可した、と報じられている。
ウクライナは米国が供給した長射程の戦術弾道ミサイルシステム「ATACMS」で、ロシア西部ブリャンスク州の軍事施設を攻撃した。
ロシア大統領府は、「核ドクトリン」の修正案を正式に決定する、と米国に警告し、プーチン露大統領は核ドクトリンの改定を承認して、核兵器の使用基準を緩和した。
※追加「the use of Western non-nuclear rockets by the Armed Forces of Ukraine against Russia can prompt a nuclear response」「ウクライナ軍が欧米製の通常ミサイルでロシア領を攻撃した場合、核兵器での反撃が可能」
ラブロフ露外相は「核戦争が起きないというのがロシアの立場だ」と発言している。
1. ロシアの「核抑止力の国家政策指針」(核ドクトリン)=国家存亡の危機
ロシアが核兵器を使用する条件として挙げられているのは、以下の4つである。
1)ロシアと同盟国への弾道ミサイル発射に関する信頼できる情報を入手したとき
2)ロシアと同盟国に対して敵が核兵器や大量破壊兵器を使用したとき
3)死活的に重要な政府や軍の施設※に対して敵が干渉を行ったとき
※機能不全に陥ると核戦力での報復に支障をきたすような施設
4)通常兵器によってロシアが侵略され国家の存立が危機的になったとき
スウェーデンのストックホルム国際平和研究所の分析によると、2022年の時点で、保有する核弾頭の総数は5977発。世界で最も多く、アメリカの5428発を上回っている。
そして、戦闘部隊への攻撃など局地的に使用される可能性がある核兵器「戦術核」は、約1900発保有しているらしい。
9月4日、ロシアのペスコフ大統領報道官は、「集団的西側諸国」の行動により、核使用条件を定めた同国の軍事ドクトリンの変更が必要になった、との見解を示した。そして、「いわゆる集団的西側諸国がもたらした課題と脅威がドクトリン変更の背景にある。ウクライナが米国から供与された長距離兵器を使用してロシア領土の奥深くまで攻撃する可能性も考慮している」と述べた。
9月25日、プーチン大統領は、ロシアが通常兵器による攻撃を受けた場合、核兵器を使用する可能性があるし、核保有国の支援を受けた攻撃を共同攻撃と見なすと述べた。
2.ロシアの反応
ロシア外務省は、ウクライナが米国などから供与された長距離兵器でロシア領を攻撃すれば、米国とその「衛星国」がロシアに対する敵対行為に直接関与したことを意味するとし、ロシアは「適切かつ実質的」に対応すると表明した。
ロシア大統領府のペスコフ報道官は、ウクライナが米国製兵器を使用してロシア領内を攻撃することを米政府が許可すれば、ロシアは「無謀な」決定に対応すると警告した。米国は紛争に直接関与することになると指摘し、バイデン米政権は退陣を前にウクライナ紛争をエスカレートさせていると批判した。
3.ドイツの反応
ショルツ独首相は、ウクライナによるロシア領内への攻撃を巡り米国製の長距離兵器の使用をバイデン政権が許可したとされる報道について、ドイツは米国の決定に追随せず、ウクライナに長距離巡航ミサイル「タウルス」を供与しないという方針を堅持する、と述べた。
ベーアボック独外相は、ウクライナの米国製の長距離兵器使用を容認する米国の決定について、重要との認識を示しつつも、西側の戦略転換ではないと強調した。
本日のロンドン為替市場では、まずは序盤に発表される10月英インフレ指標を受けたポンドの動きが注目される。南アフリカからも同月インフレデータが発表され、こちらも南ア・ランドの動意に繋がりそうだ。また、昨日相場の波乱要因となったウクライナ・ロシア戦争を巡る動向にも、依然として注意が必要だろう。
日本時間16時発表の10月英消費者物価指数(CPI)は、前年比2.2%上昇と前回から0.5ポイント加速が予想されている。前回は市場予想を下回り、英中銀(BOE)インフレ目標2%の下で鈍化基調を強めた。しかしながら今日の結果次第では、再びインフレ圧力の高まりが意識されそうだ。
昨日の英金融当局者による議会証言では、ベイリーBOE総裁が政府予算案の税制変更の影響を見定めたいとし、追加利下げは慎重に進める必要があると言及。その他の複数当局者も、新たな税負担増がインフレに影響を及ぼす可能性を指摘した。ベイリー総裁はまた「サービスインフレは依然として目標と一致していない」と述べており、9月分では2022年春以来の5%割れを実現したCPIサービス部門(前年比)の結果にも目を向けておきたい。
10月南アCPIは、前年比3.1%上昇と前回から0.7ポイント鈍化見込みだ。市場予想に沿った結果であれば2021年前半以来の3%割れも視野に入ってくる。明日には南ア中銀(SARB)が政策金利を公表するため、予想(現行8.00%から7.75%に引き下げ)に影響を与える結果となるか市場の目が集まる。
ウクライナ・ロシア戦争の関連報道にも気を付けておく必要がある。昨日序盤に強まった地政学リスクへの警戒感は、NY時間に入ると急速に後退した。ロシアとしても、北朝鮮の支援さえも受け始めており、北大西洋条約機構(NATO)と本気で事を構えることも思えない。ウクライナを支援する米国も、核攻撃をちらつかせ始めたロシアを必要以上に刺激したくないだろう。
しかしながら、戦争の早期終結を声高に叫ぶトランプ氏が米大統領に就任する前に、ウクライナができるだけ勢力を回復したいと考えていてもおかしくはない。昨日のように米国や西側が供与した兵器でロシア領内への攻撃が続くようだと、プーチン露大統領が核使用基準の更なる緩和に動く懸念は残る。
想定レンジ上限
・ポンドドル、200日移動平均線1.2820ドル
・ランド円、11日高値8.74円
・ユーロドル、日足一目均衡表・基準線1.0717ドル
想定レンジ下限
・ポンドドル、15日安値1.2597ドル
・ランド円、昨日安値8.45円
・ユーロドル、14日安値1.0497ドル
ドル円:1ドル=155.18円(前営業日NY終値比△0.52円)
ユーロ円:1ユーロ=164.29円(△0.43円)
ユーロドル:1ユーロ=1.0587ドル(▲0.0009ドル)
日経平均株価:38352.34円(前営業日比▲62.09円)
東証株価指数(TOPIX):2698.29(▲11.74)
債券先物12月物:142.89円(横ばい)
新発10年物国債利回り:1.065%(横ばい)
ユーロ円TIBOR3カ月物:0.31600%(横ばい)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
10月貿易統計(通関ベース)
季節調整前 4612億円の赤字 2941億円の赤字・改
季節調整済 3577億円の赤字 2746億円の赤字・改
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は強含み。ウクライナを巡る過度な警戒感がいったん後退するなか、昨日NY時間からの買い戻しの流れを引き継いだ。5・10日(ゴトー日)の仲値に向けた買いも観測されると、昨日高値の154.80円を上抜けて上げ幅を拡大。15時30分過ぎには155.40円まで上値を伸ばした。
・ユーロ円も強含み。ドル円と同じく昨日の引けにかけて進んだ買い戻しの流れを引き継ぐ格好となった。日経平均株価の失速などで上値が重くなる場面もあったが、15時30分過ぎに164.57円まで本日高値を更新した。
・ユーロドルは小安い。朝方に1.0610ドルまで上昇する場面もあったが、今週は連日1.06ドル台で上値の重さが意識されており、この日も次第に上値を切り下げた。ドル円などでドル買いが進んだ影響もあり、一時1.0583ドルまで下押しした。
・日経平均株価は小幅反落。ウクライナ情勢を巡る地政学リスクが投資家心理を冷やした。株価指数先物主導で売りに押される展開となり、指数は一時230円超安まで下押し。ただ、海外投資家からの先物売りが一服すると下げ渋るなど、一方的に値を下げる展開にもならなかった。本日に米半導体大手エヌビディアの決算発表を控えており、積極的な売買が手控えられた面もある。
・債券先物相場は横ばい。ロシアとウクライナを巡る地政学リスクの高まりから安全資産とされる債券需要が意識されて、一時143円02銭まで上昇。もっとも、日銀の追加利上げ観測がくすぶる中で上値も限られ、その後は徐々に上げ幅を縮小した。
大阪12月限
日経225先物 38440 +20 (+0.05%)
TOPIX先物 2706.0 -6.0 (-0.22%)
日経225先物(12月限)は前日比20円高の3万8440円で取引を終了。寄り付きは3万8360円と、シカゴ日経平均先物(3万8275円)にサヤ寄せする形で売りが先行した。米国でハイテク株が上昇した流れを受け指数インパクトの大きい値がさハイテク株が買い先行で始まったことで、日経225先物は現物の寄り付き後には一時3万8540円まで買われ、プラス圏を回復した。ただし、節目の3万8500円水準では上値の重さが意識されて値がさハイテク株が弱含み、前場中盤にかけて下げに転じた。
ランチタイムで下げ渋りもみられたが、後場の取引開始後ほどなくして3万8190円まで下落した。ただし、下へのバイアスが強まる流れにはならず、終盤にかけてはショートカバーが入る形で200日移動平均線とボリンジャーバンドの-1σが位置する3万8300円水準を回復しプラスに転じて終えている。
日経225先物は前日同様、3万8500円を超えてくると上値の重さが意識されて、前場中盤にかけてロング解消の動きのほか、短期的なショートも入ったと考えられる。もっとも、エヌビディア<NVDA>の決算を控えてオーバーナイトのポジションはリスクがあるため、後場終盤にかけては持ち高調整に伴うショートカバーに向かわせた形だろう。
日経225先物は3万8000円に接近する局面では押し目待ち狙いのロングが観測され、200日線での底堅さが意識されてくるようであれば、直近で上値を抑えられている3万8500円突破を狙ったロングの動きが入りやすいだろう。エヌビディアの決算を無難に通過することができれば、アク抜けの動きが期待されてくる。
次世代の人工知能(AI)向け半導体「ブラックウェル」については、サーバーの過熱問題などで投入遅延の懸念が生じているとの報道もあり、多くの投資家が注目している。一部報道のように投入遅延となればショック安となる可能性もあるが、アドバンテスト <6857.T> [東証P]においては、検査装置の需要拡大への思惑が高まりやすい。
また、東京エレクトロン <8035.T> [東証P]など軟調な推移が続いている半導体関連株などは期待が高まっていない分、需給面ではロングに傾いていないと考えられる。そのため、急落となれば押し目狙いの好機になる可能性はあるだろう。楽観視は禁物とはいえ、スタンスとしては日経平均型の押し目狙いのロング対応を想定しておきたい。
NT倍率は先物中心限月で14.20倍に上昇した。ただし、前日の値幅内での推移であり、値がさハイテク株が買い先行で始まった局面では、NTショートを巻き戻す動きは限られていた。一時14.14倍まで低下する場面もみられたが、後場中盤以降にNTショートを巻き戻す動きがみられており、下げ渋る展開となった。
手口面(12月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万2278枚、ソシエテジェネラル証券が7027枚、サスケハナ・ホンコンが3276枚、バークレイズ証券が1597枚、JPモルガン証券が1363枚、SBI証券が1118枚、楽天証券が889枚、モルガンMUFG証券が724枚、ゴールドマン証券が711枚、ビーオブエー証券が699枚だった。
TOPIX先物は、ABNクリアリン証券が1万5949枚、ソシエテジェネラル証券が1万2075枚、JPモルガン証券が4608枚、みずほ証券が3339枚、バークレイズ証券が3274枚、ビーオブエー証券が3105枚、サスケハナ・ホンコンが2468枚、モルガンMUFG証券が2398枚、ゴールドマン証券が2150枚、野村証券が876枚だった。
本日のNY市場でのドル円は、米国では経済指標の発表こそ予定されていないものの、複数の米連邦準備制度理事会(FRB)高官の発言が予定されており、その内容に注目することになるか。
まずは、NY時間午後にクック・ボウマン両FRB理事の発言機会が予定されている。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」を見ると、足元での12月17-18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25%の利下げ確率が59%弱と、1カ月前の76%強と比べて低下している。前週のパウエルFRB議長の発言で米年内利下げ観測がやや後退している中、金利や労働市場などへの言及があれば注目されるか。また、NY時間終盤にはボストン連銀のコリンズ総裁の発言も予定されている。
また、ウクライナ情勢についても引き続き注意が必要だろう。昨日はウクライナが米国から供与された武器でロシア領土を攻撃したほか、プーチン露大統領が核ドクトリンの改定を承認して「核兵器の使用基準を緩和した」と報じられたことで、地政学的リスクが高まって相場の重しとなる場面が見られた。その後、ラブロフ露外相が「核戦争が起きないというのがロシアの立場だ」と発言したことで一旦落ち着いたとはいえ、戦争自体は継続している点を踏まえると、情勢が一段と緊迫化する場面ではリスク回避の動きが強まりやすい。その場合は米長期金利の低下と共にドル安での反応も想定される。
そのほか、米株市場引け後に半導体大手エヌビディアの決算が予定されている。決算発表を前に株式市場で売買が手控えられるようだと、為替市場に様子見ムードが波及することもあり得る。
想定レンジ上限
・ドル円は15日高値156.75円
想定レンジ下限
・ドル円は日足・一目均衡表の転換線154.45円
今晩は小売株の決算と金融当局者の発言に注目。昨日はウクライナ・ロシアを巡る地政学リスクが意識され軟調にスタートしたものの、決算発表を控えたエヌビディアの大幅高などでナスダック総合とS&P500が上昇して終了し、ダウ平均も450ドル安まで下落後、120.66ドル安と下落幅を縮小して終了した。好決算や強い見通しを発表したウォルマートの上昇も相場を支えた。投資家の不安心理を示すVIX指数は前日の15.58ポイントから一時17.93ポイントまで上昇したが、16.35ポイントで終了し、引き続き不安心理が高まったとされる20ポイントを大きく下回って推移した。
今晩の取引では引け後に発表されるエヌビディアの決算を控えた様子見姿勢の強まりが予想されるが、寄り前には小売りのターゲット、TJXの決算が発表され、足もとの消費動向に注目が集まる。また、バー米連邦準備理事会(FRB)副議長の議会証言やボウマンFRB理事の講演などFRB高官の発言も多数予定され、利下げを巡る当局者の発言にも要注目となる。引け後のエヌビディアの8-10月期決算は前年同期比2倍以上の増収増益決算が予想されているが、新型AIチップの受注・出荷見通しを巡りジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)の発言に注目が集まる。
今晩の米経済指標・イベントはMBA住宅ローン申請指数、週間原油在庫、米20年債入札など。要人発言はバー副議長、ボウマンFRB理事、クックFRB理事、コリンズ米ボストン連銀総裁など。企業決算は寄り前にターゲット、TJXカンパニー、引け後にエヌビディア、パロ・アルト・ネットワークスなどが発表予定。
日経平均株価は反落。200日移動平均線(38562円 11/20)の下でさえない展開となった。下値は限定的だったが、上値も限定的となり、概ね今週に入ってからのレンジを意識した動きとなった。
RSI(9日)は前日の22.9%→23.4%(11/20)に上昇。前日から大きな変化はない。一目均衡表の雲上限(38353円 同)で踏みとどまった格好だが、5日移動平均線(38433円 同)上を終値で回復できなかった。11/1安値(37946円)を前に反発に転じることができれば値崩れ感は生じないが、下向きの10日移動平均線(38867円 同)や25日移動平均線(38766円 同)などが目先の上値抵抗となりやすく、調整が長引く要因となる。
依然として10月からのもみ合いの範ちゅうであり、当面は10/16の下げで開けたマド埋め(39910円)を通過点に4万円突破へ勢いづくかが焦点となる。8月安値(31156円)を起点とした上昇局面では高値圏を保っており、一段高となる前の揺り戻しが続いていると判断したい。
上値メドは、25日移動平均線や心理的節目の39500円、11/7高値(39884円)、10/15高値(40257円)、心理的節目の40500円などがある。下値メドは、心理的節目の38000円や75日移動平均線(37899円 同)、10/2安値(37651円)、9/12高値(36902円)、9/17安値(35828円)などがある。
米財務省によると、20年債入札(ダッチ方式)の落札結果は最高落札利回りが4.680%、応札倍率(カバー)が2.34倍となった。
(20日終値:21日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=155.21円(20日15時時点比△0.03円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=163.47円(▲0.82円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0532ドル(▲0.0055ドル)
FTSE100種総合株価指数:8085.07(前営業日比▲13.95)
ドイツ株式指数(DAX):19004.78(▲55.53)
10年物英国債利回り:4.469%(△0.027%)
10年物独国債利回り:2.351%(△0.013%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
10月独生産者物価指数(PPI)
(前月比) 0.2% ▲0.5%
10月英消費者物価指数(CPI)
(前月比) 0.6% 0.0%
(前年比) 2.3% 1.7%
CPIコア指数
(前年比) 3.3% 3.2%
10月英小売物価指数(RPI)
(前月比) 0.5% ▲0.3%
(前年比) 3.4% 2.7%
9月ユーロ圏建設支出
(前月比) ▲0.1% 0.0%・改
(前年比) ▲1.6% ▲2.5%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ユーロドルは軟調。米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.43%台まで上昇するとユーロ売り・ドル買いが先行。市場では「ユーロ圏経済の先行き懸念から欧州中央銀行(ECB)が12月に追加利下げを決めるとの見方が根強く、ユーロ売りが出やすい地合いだ」との声も聞かれた。
NYの取引時間帯に入ると、「ウクライナ軍はロシア領内の軍事目標に対し、英国製の長距離ミサイル『ストームシャドウ』を初めて発射した」との一部報道をきっかけにリスク・オフのユーロ売り・ドル買いが活発化。前日の安値1.0524ドルを下抜けて一時1.0507ドルまで値を下げた。
ただ、14日に付けた年初来安値1.0497ドルがサポートとして意識されると下げ渋った。米10年債利回りが4.38%台まで低下したことも相場を下支えした。
・ドル円は頭が重かった。しばらくは155円台後半でのもみ合いが続いていたが、NY市場に入ると弱含んだ。ロシアとウクライナを巡る一連の報道をきっかけにリスク・オフの円買い・ドル売りが入り、0時30分前に一時155.06円付近まで値を下げた。
ただ、対ユーロなどでドル買いが進んだ影響を受けたため、下押しは限定的だった。アジア時間に付けた日通し安値154.53円や一目均衡表転換線が位置する154.45円がサポートとして意識された面もあった。
なお、クック米連邦準備理事会(FRB)理事はこの日の講演で「インフレは引き続き緩和しており、利下げ継続が適切となる可能性が高い」と述べた一方、「利下げの規模とタイミングは経済指標次第。事前に決まっていない」と指摘した。また、「インフレ鎮静化が停滞し、雇用市場が依然として堅調であれば、利下げを一時停止するシナリオも考えられる」と語った。
・ユーロ円はさえない展開だった。日本時間夕刻に一時164.76円と日通し高値を付けたものの、NY市場に入ると一転下落した。ロシアとウクライナを巡る地政学リスクへの警戒からリスク回避の円買い・ユーロ売りが優勢となった。米国株相場や日経平均先物の下落も相場の重しとなり、1時30分過ぎに一時163.17円と日通し安値を更新した。
・ロンドン株式相場は続落。10月英消費者物価指数(CPI)が予想を上回ると、英中銀(BOE)が利下げを進めにくくなるとの見方から売りが出た。ロシアとウクライナを巡る地政学リスクへの懸念も相場の重し。セグロやランド・セキュリティーズ・グループなど不動産株が売られたほか、BPやシェルなどエネルギー株が軟調だった。
・フランクフルト株式相場は4日続落。しばらくはもみ合いの展開が続いていたが、ロシアとウクライナの情勢を巡る市場の不安は根強く、終盤失速した。個別ではポルシェ(4.52%安)やバイエル(3.03%安)、メルセデス・ベンツグループ(1.85%安)などの下げが目立った。
・欧州債券相場は下落。英CPIの上振れをきっかけに英国債に売りが出た。
20日の日経平均は反落。終値は62円安の38352円。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり600/値下がり997。上方修正、増配、大規模な自己株取得が好感されたSOMPOが11.4%高。上場来高値を更新した。KADOKAWAは前日からの買収観測を材料とした買いが続き、ストップ高となる場面もあった。エリオット・マネジメントの大株主浮上が判明した東京ガスが急騰。三井E&SやIHIなど重厚長大型の銘柄に資金が向かった。
一方、東京海上とMS&ADが決算を材料に大幅安。ウクライナとロシアの地政学リスクの高まりを受けて米長期金利が低下しており、三菱UFJや三井住友など銀行株が弱かった。米金利低下で円安(ドル高)が一服することへの警戒から、トヨタやホンダなど自動車株が全般軟調。売り出しを発表した東テクが急落した。
日経平均は反落。ただ、後場には下げ幅を縮めており、引け味は悪くなかった。前引け時点では下げていたアドバンテスト<6857.T>がプラス転換して高値引けとなっており、エヌビディアの決算に対する期待買いが入ったと考えられる。あすはエヌビディアの時間外の反応の影響を大きく受けることになるだろう。半導体株はアドバンテストの動きは良いが、全体としては足元の基調は強くない。東京エレクトロン<8035.T>は下値模索が続いており、レーザーテック<6920.T>は直近で年初来安値を更新している。これら弱い部類に入る半導体株の動きが変わってくるかどうかに注目しておきたい。売買代金上位の常連銘柄でもあるだけに、どちらかに底打ち感が出てくるだけでも日本株全体にプラスの影響が期待できる。
(20日終値)
ドル・円相場:1ドル=155.44円(前営業日比△0.78円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=163.88円(△0.02円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0544ドル(▲0.0052ドル)
ダウ工業株30種平均:43408.47ドル(△139.53ドル)
ナスダック総合株価指数:18966.14(▲21.33)
10年物米国債利回り:4.41%(△0.01%)
WTI原油先物12月限:1バレル=68.87ドル(▲0.52ドル)
金先物12月限:1トロイオンス=2651.7ドル(△20.7ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
MBA住宅ローン申請指数
(前週比) 1.7% 0.5%
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ユーロドルは続落。米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.43%台まで上昇するとユーロ売り・ドル買いが先行。「ウクライナ軍はロシア領内の軍事目標に対し、英国製の長距離ミサイル『ストームシャドウ』を初めて発射した」との一部報道をきっかけにリスク・オフのユーロ売り・ドル買いが活発化すると、前日の安値1.0524ドルを下抜けて一時1.0507ドルまで値を下げた。
ただ、14日に付けた年初来安値1.0497ドルがサポートとして意識されると下げ渋った。米10年債利回りが4.38%台まで低下したことも相場を下支えした。もっとも、米10年債利回りが再び上昇に転じるとユーロドルの戻りも鈍くなった。
なお、クック米連邦準備理事会(FRB)理事はこの日、「インフレは引き続き緩和しており、利下げ継続が適切となる可能性が高い」と述べた一方、「利下げの規模とタイミングは経済指標次第。事前に決まっていない」と発言。また、「インフレ鎮静化が停滞し、雇用市場が依然として堅調であれば、利下げを一時停止するシナリオも考えられる」と語った。
米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバー内で最もタカ派的とされるボウマンFRB理事は「インフレ抑制の進展は停滞しているようだ」「さらなる利下げには慎重なアプローチを取るべきだ」などと話した。
・ドル円は上昇。ロシアとウクライナを巡る一連の報道をきっかけにリスク・オフの円買い・ドル売りが先行すると、0時30分前に一時155.06円付近まで値を下げた。ただ、対ユーロなどでドル買いが進んだ影響を受けたため、下押しは限定的だった。アジア時間に付けた日通し安値154.53円や一目均衡表転換線が位置する154.45円がサポートとして意識された面もあった。
・ユーロ円はほぼ横ばい。ロシアとウクライナを巡る地政学リスクへの警戒からリスク回避の円買い・ユーロ売りが優勢となった。ナイト・セッションの日経平均先物の下落も相場の重しとなり、1時30分過ぎに一時163.17円と日通し安値を更新した。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は5日ぶりに反発。「ウクライナ軍が英国製の巡航ミサイルをロシア領内に向け発射した」と伝わると、ウクライナとロシアを巡る緊張が高まり売りが先行した。ただ、ユナイテッドヘルス・グループやアムジェンなどディフェンシブ株の一角に買いが入ると持ち直した。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は3日ぶりに反落した。
・米国債券相場で長期ゾーンは3日ぶりに反落。ロシアとウクライナを巡る地政学リスクへの警戒感から相対的に安全資産とされる米国債に買いが先行したものの、20年債入札が低調だったことが分かると失速した。
・原油先物相場は3日ぶりに反落。中東やウクライナの地政学リスクがくすぶるなか底堅く推移していたが、米週間原油在庫の積み増し継続が発表され戻りが鈍くなりマイナス圏へ沈んだ。
・金先物相場は大幅に3日続伸。「ウクライナはロシア領内に向けて英国製巡航ミサイル『ストームシャドウ』を発射」との報道をきっかけに地政学リスクが高まった。リスク回避資産である金に買いが集まり、2659.0ドルまで高値を更新した。
一部報道によると、ウクライナ首都のキーウにある米大使館が空襲の恐れがあるとして閉鎖されているようだ。
SMBC日興証券では、7-9月期GDPの1次速報を受けて経済見通しを改定。実質GDP成長率は、24年度を前年比+0.5%、25年度を同+1.3%とした。前回予想からはそれぞれ0.2ppt下方修正している。1-3月期から7-9月期までの実質GDP成長率を均してみると、前期比年率+0.2%程度と低成長。実質GDPと名目GDPに大きなかい離があり、インフレが景気を抑制しているとのこと。インフレ率の上昇は、原材料価格上昇を企業が国内価格へ過剰転嫁しているためと考えられ、企業収益は原材料高にあっても過去最高となっている。しかし、今後、国際コモディティ価格の下落やドル円レートの円高への転換によってインフレは徐々に沈静化していくとみられることから、購買力が改善して景気は持ち直していくとSMBC日興では予想している。
一部通信社が報じたところによると、「ウクライナはロシアに向けて英国製巡航ミサイル『ストームシャドウ』を発射した」ようだ。
20日05:55 石破首相
「米次期政権とも緊密に意思疎通していきたい」
21日00:30 バー米連邦準備理事会(FRB)副議長
「銀行システムは健全かつ堅固な状態を維持」
「銀行は引き続き資本および流動性比率が最低規制水準を上回っていると報告」
「システム全体としては回復力があるものの、FRBは特定の商業用不動産ローンの延滞率が引き続き上昇していることを注視」
「特定の消費者ローンの延滞率は上昇している」
21日01:08 クック米連邦準備理事会(FRB)理事
「労働市場とインフレが予想通りに推移すれば、政策金利を中立に向けて引き続き引き下げることが適切」
「インフレの進行が鈍化し、雇用市場が依然として堅調な場合は、利下げ一時停止のシナリオが考えられる」
「利下げの規模とタイミングは、今後のデータ、見通し、リスクバランスによって決まる。政策は事前に決まっていない」
「現在のリスクはほぼ均衡」
「経済は良好な状態にあるが、コアインフレは依然としてやや高い」
「雇用リスクは下振れ傾向にあるが、ここ数カ月で減少している」
21日01:19 ラムスデン英中銀(BOE)副総裁
「経済は引き続き正常化し、低水準で比較的安定した最近のインフレ傾向は継続へ」
「不確実性が減少し、さらなるデフレ圧力を示唆する証拠が明確になれば、利下げにそれほど緩やかなアプローチを取らないことを検討する」
21日03:12 ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事
「現在、FRB当局者が考えているよりも中立政策に近い可能性がある」
「FRBは金融政策に関して慎重なアプローチを取るべきだ」
「インフレは依然として懸念事項である」
「11月の利下げは金利を徐々に引き下げるという自身の考えと一致。これを支持した」
「インフレ抑制の進展は停滞しているようだ」
「経済は好調で、労働市場は完全雇用に近く、インフレは高い」
「インフレ目標を達成せずに政策を再調整していることは懸念される」
「FRBは柔軟になる必要がある」
※時間は日本時間
米半導体大手エヌビディアは20日、第3四半期決算を発表した。調整後の1株利益は0.81ドルとなり予想の0.74ドルを上回った。純利益は193.1億ドルとなった。
なお、第4四半期の売上高は375億ドル(プラスマイナス2%)になると予想した。
第3四半期決算を発表した米半導体大手エヌビディアは時間外取引で急落。一時6%超下げる場面があった。
なお、同社の決算では調整後の1株利益が0.81ドルとなり予想の0.74ドルを上回ったほか、純利益が193.1億ドルとなった。また、第4四半期の売上高見通しは375億ドル(プラスマイナス2%)となった。
<国内>
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
○14:10頃 ◎ 植田和男日銀総裁、講演(パリ・ユーロプラス ファイナンシャル・フォーラム2024)
<海外>
○14:25 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○16:00 ◎ 7-9月期ノルウェー国内総生産(GDP)
○16:45 ◇ 11月仏企業景況感指数(予想:97)
○17:00 ◎ ブロック豪準備銀行(RBA)総裁、講演
○17:00 ◎ クノット・オランダ中銀総裁、講演
○17:30 ◎ 10月香港消費者物価指数(CPI、予想:前年同月比1.7%)
○17:30 ◎ ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○17:30 ◎ チポローネ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○18:00 ◎ エスクリバ・スペイン中銀総裁、議会証言
○20:00 ◎ トルコ中銀、政策金利発表(予想:50.00%で据え置き)
○20:25 ◎ パツァリデス・キプロス中銀総裁、エルダーソンECB専務理事、講演
○未定 ☆ 南アフリカ準備銀行(SARB)、政策金利発表(予想:7.75%に引き下げ)
○22:30 ◇ 10月カナダ鉱工業製品価格(予想:前月比0.9%)
○22:30 ◇ 10月カナダ原料価格指数(予想:前月比2.5%)
○22:30 ◎ 11月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:8.0)
○22:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:22.0万件/187.3万人)
○22:45 ◎ ハマック米クリーブランド連銀総裁、あいさつ
○23:00 ◎ マン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○24:00 ◎ 11月ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値、予想:▲12.4)
○24:00 ◎ 10月米景気先行指標総合指数(予想:前月比▲0.3%)
○24:00 ◎ 10月米中古住宅販売件数(予想:前月比2.9%/年率換算395万件)
○21日00:30 ◎ レーンECB専務理事兼チーフ・エコノミスト、パネルディスカッションに参加
○21日01:00 ◎ カジミール・スロバキア中銀総裁、ブイチッチ・クロアチア中銀総裁、講演
○21日02:25 ◎ グールズビー米シカゴ連銀総裁、質疑応答
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
20日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、「ウクライナ軍はロシア領内の軍事目標に対し、英国製の長距離ミサイルを初めて発射した」という報道を受けて155.89円から一時155.06円付近まで失速した。ユーロドルは、米10年債利回りが4.43%台まで上昇し、ウクライナの地政学リスク警戒から1.0507ドルまで値を下げた。ユーロ円は一時163.17円まで下落するも、ドル円の上昇を支えに前日とほぼ同水準の163円後半で引けた。
本日の東京外国為替市場のドル円は、ウクライナ情勢を巡る関連ヘッドラインに警戒しながら、植田日銀総裁の講演に注目する展開が予想される。
ウクライナ軍は19日に米国製地対地ミサイル「ATACMS」でロシア領を攻撃したが、昨日は英国製長距離ミサイル「ストームシャドー」でロシア領内の軍事施設を攻撃したと報じられている。プーチン露大統領が「核ドクトリン」を修正して、戦術核使用のハードルを下げているため、本日も関連ヘッドラインに警戒しておきたい。これまでは、核兵器を保有する国から攻撃された場合にのみ核兵器で対抗するとしていたが、ウクライナが核保有国である欧米諸国から供与されたミサイルをロシアに対して使用した場合、共同攻撃と見なして核攻撃の引き金となる可能性があると警告している。
本日は14時過ぎから植田日銀総裁が、パリ・ユーロプラス「ファイナンシャル・フォーラム」で講演することが予定されており、内容や質疑応答に注目することになる。18日の金融経済懇談会での講演や記者会見では、12月18-19日の日銀金融政策決定会合での追加利上げに関する明確な言及はなく「各会合で適切な判断をする」という曖昧な表現に留まった。本日の講演や質疑応答では18日と同様の曖昧な内容をメインシナリオにして、過去の植田ショックの再現をリスクシナリオとして警戒しておきたい。
植田総裁によるこれまでの相場変動要因となった発言は以下の通りとなる。
・2023年12月7日「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる」※円高
・2024年4月26日「足元の円安が物価に与える影響は従来ほどには大きくない」※円安
・2024年7月31日「0.5%が壁になるとは認識していない」※円高
・2024年10月2日「時間は十分ある」※円安
・2024年10月31日「『時間的な余裕がある』は今後使わない」※円高
12月会合での利上げには言及していないが、可能性を示唆する見解は以下の通りとなる。植田総裁は「経済・物価が足元で見通し通りに進捗して見通しが実現する確度がある程度高まるという自信が得られれば次のステップに移る」と述べていた。そして、段階的な利上げが長期的な経済成長を支え、物価安定目標を持続的かつ安定的に実現していくうえで有効と述べ、実質金利水準のマイナス幅に言及し、ビハインド・ザ・カーブに陥らないように判断するとも述べていた。
植田総裁が判断材料に挙げている「経済・物価・金融情勢」も確認しておきたい。現在のドル円の水準(※155円台)は、7月31日の利上げの時の高値153.88円を上回っている。植田総裁が「第1の力」と注視する10月輸入物価指数は前月比+3.0%で、22年9月(+5.3%)以来の高い伸びを記録していた。国内総生産(GDP)は2四半期連続でプラス成長を記録している。
スワップ市場のOIS(オーバーナイト・インデックス・スワップ)市場における追加利上げの確率は50%程度になっている。
大阪12月限ナイトセッション
日経225先物 38280 -160(-0.41%)
TOPIX先物 2694.5 -11.5(-0.42%)
シカゴ日経平均先物 38280 -160
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
20日の米国市場は、NYダウ、 S&P500が上昇した一方で、ナスダックは下落。NYダウは5日ぶりに反発した。ウクライナ軍は前日に米国が供与した長距離ミサイルでロシア西部の軍事施設を攻撃。この日は英国製の巡航ミサイルをロシア領内に向け発射したと伝わったほか、ウクライナの首都キーウにある米大使館は大規模な空爆に備え、閉館した。ウクライナとロシアを巡る緊張が高まるなか、NYダウは一時200ドル近く下落する場面もみられた。
ただし、ユナイテッドヘルス・グループ<UNH>やアムジェン<AMGN>などディフェンシブ株の一角が買われ、終盤にかけて切り返す形となった。
また、エヌビディア<NVDA>の決算を控えていたことが、他の半導体株への持ち高調整の売りや様子見姿勢に向かわせたことで、ナスダック指数は3日ぶりに反落。なお、四半期決算を発表したエヌビディアは、第3四半期(2024年8~10月)実績、第4四半期(24年11月~25年1月)見通しとも市場の予想を上回ったが、時間外取引で売られており、下落率は一時6%を超えた。
S&P500業種別指数は医薬品・バイオテクノロジー、ヘルスケア機器・サービス、エネルギーが上昇した半面、食品・生活必需品小売、自動車・同部品、半導体・同製造装置が下落。
シカゴ日経平均先物(12月限)清算値は、大阪比160円安の3万8280円だった。日経225先物(12月限)のナイトセッションは、日中比50円高の3万8490円で始まり、直後に付けた3万8520円を高値に軟化し下落に転じると、3万8310円~3万8420円辺りでの保ち合いを継続。米国市場の取引開始直後から下へのバイアスが強まり、一時3万7860円まで下落幅を広げる場面もみられた。売り一巡後は下げ渋る動きとなり、3万8000円辺りでの推移を継続。終盤にかけてショートカバーが入る形で下げ幅を縮め、3万8280円でナイトセッションの取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、やや売り先行で始まることになりそうだ。地政学リスクへの警戒からナイトセッションで一時3万7860円まで売られたが、前日同様、75日移動平均線(3万7800円)が支持線として機能する形となり、その後は200日線(3万8320円)水準まで回復している。200日線を挟んだもみ合いが続きそうであるほか、3万8000円を下回る局面においては、押し目狙いのロング対応に向かわせよう。
また、エヌビディアは決算発表直後に時間外で大きく売られたが、決算説明会が開催された東部時間17時(日本時間7時)以降は下落幅を縮めている。懸念されている次世代の人工知能(AI)向け半導体「ブラックウェル」の動向が明らかになるとみられ、過度な警戒感は後退しそうだ。決算内容自体はポジティブであることから、指数インパクトの大きい値がさハイテク株への影響は限られそうである。
もっとも、地政学リスクへの警戒からロングポジションは積み上がりにくいだろう。日経225先物は3万8500円辺りでは戻り待ち狙いのショートが入りやすいほか、スキャルピング中心のトレードのなか、ロングにおいても早めの利食いに向かわせそうだ。そのため、オプション権利行使価格の3万8000円から3万8500円でのレンジを想定する。
下へのバイアスが強まる局面では、上向きで推移する52週線(3万7470円)が支持線として意識される。現在は13週(3万8320円)、26週線(3万8340円)辺りで推移しており、日足、週足いずれも3万8300円近辺での底堅さを見極めたいところである。
20日の米VIX指数は17.16(前日は16.35)に上昇した。地政学的リスクの高まりが意識されるなか、一時18.79まで切り上がり、25日線(17.96)、75日線(18.03)を上回る場面もみられた。不安心理が高まった状態を示すとされる20.00を下回っている状況であるが、25日、75日線を一時上回ってきたこともあり、やや慎重姿勢に向かわせると考えられる。
昨日のNT倍率は先物中心限月で14.20倍に上昇した。ただし、前日の値幅内での推移であり、一時14.14倍まで低下する場面もみられた。エヌビディアの決算を受けた値がさハイテク株の動向次第の面はあるが、地政学リスクへの警戒からNTショートを巻き戻す動きは強まりにくいだろう。
昨日の海外市場では、ドル円は底堅い動きとなりました。欧州時間は米長期金利の上昇につれて買戻しが先行。週明け18日の高値155.36円を上抜けると一時155.89円まで値を上げました。NY時間に入ると、前日に引き続きリスクオフの動きに。「ウクライナが英国製の長距離ミサイルを初めて発射した」ことが報じられると一時155.06円まで下押ししたものの、その後はすぐにも155.60円まで買戻されるなど、ロシアの核ドクトリンネタによる行き過ぎたリスクオフからは、結局のところショートの踏み上げ相場の下地を作ってしまったという市場自身の反省からか、かかる反応は一時的に終わると、155.40円を挟んだもみ合いとなってNY市場を終えることになりました。
アジア市場に入ってからは、小高く寄付いた日経平均が一転して下落に転じたことから戻り売り。一時154.89円まで値を下げているといったところです。目先は一目転換線の位置する154.70円や昨日安値の154.53円付近がサポートレベルとして意識されています。
いずれにしても、本日は、目先材料不足のなかにあって「目立ったドル円のフローが全く出ていない」状況が続いていますが、市場としては唯一のネタとして14時05分頃から始まる予定の植田日銀総裁の講演を待っているといったところ。あまり緊張感の感じられない相場展開となっています。
日経225先物は11時30分時点、前日比390円安の3万8050円(-1.01%)前後で推移。寄り付きは3万8250円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万8280円)にサヤ寄せする形で、売りが先行して始まった。その後は押し目狙いのロングとみられる動きにより、現物の寄り付き時には3万8380円まで下げ幅を縮めた。ただし、積極的なロングは限られるなかでショート優勢の流れとなり、中盤にかけて一時3万8000円まで売られた。売り一巡後は3万8150円辺りまで持ち直す場面もみられたが戻りは鈍く、3万8000円近辺での推移となった。
日経平均株価は小動きで始まった後に下へのバイアスが強まり、一時節目の3万8000円を割り込む場面もみられた。ファーストリテイリング <9983.T> [東証P]、アドバンテスト <6857.T> [東証P]、ソフトバンクグループ <9984.T> [東証P]の3社で日経平均株価を200円超押し下げており、日経平均型のインデックス売りが入ったようである。地政学リスクへの警戒から米国市場ではディフェンシブ株の一角が買われていたこともあり、東京市場においても相対的にTOPIX型優位の形である。ランチタイムで3万8000円を下回ってきたが、75日移動平均線に接近する局面では、その後のカバー狙いのスタンスになろう。
NT倍率は先物中心限月で14.14倍に低下した。朝方は一時14.21倍と上昇に転じる場面もみられたが、その後は指数インパクトの大きい値がさ株の一角が弱い値動きとなるなかで、NTショートに振れる形だった。下向きのトレンドが継続するなか、地政学リスクへの警戒から9月上旬以来の14.00倍割れが意識されやすい。