この街には、「5月40日から夏になる」という古くからの言い伝えがあります。 これはスペイン語の「Hasta el cuarenta de mayo no te quites el sayo」という格言に由来しており、直訳すると「5月40日までは上着を脱がないでください」という意味になります。 つまり、「6月10日まではまだ寒い日があるかもしれないので、油断せずに暖かい服を着ておくべきだ」という、季節の変わり目に風邪などをひかないよう注意を促す、古き良き教えがいまも伝えられているのです。
時を同じく8weeks.aiがサービスを発表した今年5月、全米最大の高級フィットネスジム「Equinox」は、栄養計画から睡眠指導まで、あらゆることを網羅したパーソナライズされた健康プログラム「オプティマイズ・バイ・エクイノックス(Optimize by Equinox)」を開始すると発表しました。 このプログラムは、筋力や可動域などの測定も行い、血液検査を含む100項目に渡るバイオマーカーの結果とデータを基に、専任の「コンシェルジュ」が会員の総合的な健康を向上させるためのカスタマイズされたプランを設計するというサービスで、全米で大きな話題となりました。
自律神経系は、交感神経と副交感神経のバランスによって制御されており、ストレスがかかると交感神経が優位に働き、HRVが低下します。 このメカニズムは、体が「闘争・逃走反応(fight or flight)」を起こし、自覚なくとも強いストレスを持つ人々は自律神経系を常に緊張状態にさせ、慢性期的リラックスできない状態を引き起こします。
http://www.takashiro.com/
monoMAXにて連載中
※前スレ
【日本】高城剛5【脱出中】
https://mao.5ch.net/test/read.cgi/subcal/1291142884/
猛暑が続く北半球を後にして南半球へと移動し、心地よい日が続きます。
実は先週、人類史上でもっとも暑い1日が訪れました。
国立環境予測センターのデータによりますと、北半球南半球すべてあわせた世界の平均気温は、先週月曜日に17度に達し、猛暑で多くの人たちがお亡くなりになった2016年8月の16.9度を上回りましたが、翌日火曜日には平均気温が17.2°Cという史上最高記録を早くも上回り、さらに木曜日には世界の平均気温が新記録に達しました。
この最高気温の更新は、2023年の北半球の夏の極端さを示しており、確かに僕自身が数週間前に滞在したセビリアでも日中40度を遥かに超え、中国や英国でも記録的な暑さが続いています。
世界気象機関(WMO)によりますと、エルニーニョ現象が太平洋熱帯域で7年ぶりに発生し、ペッテリ・タアラス事務総長は先週の声明で、「エルニーニョの発生は、気温の記録更新の可能性を大きく高めるだろう」と述べています。
暑くなるのは、まだまだこれからです。
一方、サンパウロは通年でもっとも快適なシーズンで、最低気温が16度、最高気温でも27度程度と、過ごしやすい日が続きます。
サンパウロは南半球最大の都市で、位置的にもっとも暑いのは2月ですが、気候変動に悩まされるも北半球ほどではありません。
そう考えると、気候変動の煽りを大きく受けているのは、長年人類を育んだ北半球の温帯地域ですが、かつて気候変動により民族大移動が起きたことを考えると、今後、北半球の温帯で人類史上初とも言える何か大きな変化が起きるだろうと推察します。
また、いまから15年ほど前に出した自著「南国日本」にも記載したように、シエスタ導入とはいかないまでも、猛暑の日々を過ごす「夏の働き方改革」を実施しなければ、ただでさえオーバーワーク気味な日本式システム下で働く人たちは、真夏を越せなくなってしまいます。
現在、ブラジルでは、管理職も含めて、1年のうちに連続30日のバケーション休暇(しかも有給)を与えなければいけないという決まりがあります。
また、1週間の労働時間は44時間までと厳しく制限されていて、残業は1日2時間まで。
その際の残業代は、50%割り増しの給料を企業は支払わなければなりません。
毎年酷暑だったブラジルや東南アジアの人たちは、エアコンが効いたビルの中で過ごす仕事に憧れるのが原動力になって成長を遂げました。
熱帯と北極圏の両方で暮らすことができる大型動物は、地球上で人間だけしかいませんが、その鍵は、生活スタイルを大きく変えることで生き延びてきた歴史もあります。
ポストコロナ時代の働き方とは、利便性というより気候変動に適応したリモートワークと、日本では考えられなかった(許されなかった)ロングバケーションなのかもしれないな、と感じる今週です。
どうか皆様、ミネラル補給をお忘れなく。
セレンゲッティは、タンザニア北部のマラ州・アルーシャ州・シニャンガ州にまたがる大サバンナ地帯にある国立公園で、大きさがほぼ日本の四国と同じ広域な生物圏保護区です。
セレンゲティとはマサイ語で「果てしなく広がる平原」の意。
ここにライオンやヌーなど様々な動物が約300万頭が、原始からの姿のままで生息してまいます。
一方、悠々と暮らす動物たちとは逆に、ここもオーバーツーリズム状態にあります。
国立公園内のホテル数に制限があるため、他国のようなオーバーツーリズムならぬ「観光パニック」状態にはありませんが、1匹のライオンが昼寝していると、観光客をパンパンに乗せた数十台のサファリカーが黒煙を上げて取り囲むため、自然環境が保たれているとはとても言い難い状況です。
今後、タンザニア政府としても、どこかで策を講じると思われます。
さて、夏の旅行シーズン本格突入したこともありまして、持ち物やパッキングに関して、多くのお問い合わせを頂戴いたしております。
・一ヶ月分の着替えを、どうやって9Lのバックパックに詰めているのでしょうか?
・食事に気を使っていらっしゃると思いますが、渡航先では何を食べていらっしゃるのでしょうか?
・機内食はお召し上がりになりますか?
・サプリメントは、どのようなものをお持ちになり、いつどのようなタイミングで飲んでいらっしゃいますか?
・今年の夏、お使いになっているカメラは、なんでしょうか?
などなどです。
まず、基本パッキングですが、一ヶ月分にあたる30枚の下着と靴下、そしてTシャツやシャツ等を、多くの方々が驚かれる9Lのバックパックどころか以前発売しました「GLAMPING TOTE」ひとつに全部詰めています!
どのようにパッキングしているかとお尋ねされても、ただ詰めているだけでして、格段「魔法」のようなテクニックはございません。
言い方を変えれば、先に「入れ物」を決めて、それにあわせるようにモノを選んでいるのですが、多分、多くの方々は先にお持ちになっているものやお持ちになりたいものを選んで、同じくお持ちの鞄に入れたり出したりしているのではないか、と思われます。
僕の場合は、今週のように短期間で何都市もまわることが多々ありまして、それゆえ、自分が体力を失わない大きさや重さを先に決めて、そのサイズのカバンに入れることを第一に考えます。
つまり、一ヶ月分の衣類は、トートバッグひとつに収まるだけと先に決めてしまいます。
言うまでもありませんが、そうして制限しないと快適に旅が出来ない&良い仕事ができないからです。
次に仕事道具の選定がありまして、現在使用しているのは、Macbook Pro14(M2)とiPad mini、そしてカメラはLeica Q3をこの夏は使用しています。
今回の旅路でLeica Q3を選んだ理由は、砂塵吹き荒れる中東各地で撮影したり、ブラジルのコーヒー工場で粉砕される豆をマクロで撮影したりと、いつも以上の堅牢さが必要になるだろうと考えました。
また、Q3が少し前に発売されたばかりなこともあってテストを兼ねて持ち出しましたが、実際に使用した結果は、前作に引き続きセンサーや操作性に癖があり、正直、動画を必要としなければ「Q2」で十分だと思いました。
この仕事道具(コンピュータとカメラ)の次に大切なのは、僕にとって良質なサプリメントです。
服はいざとなったらその地で購入したり洗ったりしながら、なんとか上手く着回したりできますが、良質なサプリメントを旅先で探すのは大変です。
中東の砂漠で砂塵から身を守る服は入手できても、熱波に対抗するサプリメントは購入できません(滋養強壮のスパニッシュ・フライなどはありますが)。
そこで、各種サプリメントを旅路にあわせて持ち込む必要があるのです。
次週、真夏を乗り切るサプリメント編に続きます!
近年、ケニアでは携帯電話で使つかえる電子マネー「M─PESA(エムペサ)」が事実上の標準通貨となっていましたが、実は仮想通貨取引がある154カ国中トップに立つ「仮想通貨立国」でもありまして、現在、ケニアの16歳~64歳のインターネットユーザーのおよそ15%が仮想通貨を保有していることが明らかになっています。
その理由は、中間層や富裕層の財政不安と通貨安に対抗する資産防衛が主ですが、高齢化が進む日本(中央値は48歳)とは対照的にケニアの年齢中央値は20歳であり、スマートフォンとデジタルウォレットを使いこなし、米ドルに連動するステーブルコインやビットコインなどの暗号資産を利用しようとするZ世代の売買も急増しています。
事実、暗号資産の発行や取引、宣伝を全面的に禁止するエジプトなどとは異なり、ナイロビ市内を歩くと仮想通貨の看板が大きく目立つようになりました。
そんな中、ケニア政府は暗号資産とNFTを含むデジタル資産の売買に対して3%の税金を課す施策を発表。
さらには「クリプト法案」とも呼ばれる法律を作り、把握しやすい電子マネー「M─PESA」と一元化する動きに出ました。
このような世界最先端に躍り出た電子通貨大国を、先進国の起業家たちが見逃すはずはありません。
「ChatGPT」を提供するOpenAIのCEOサム・アルトマンは、デジタルIDと引き換えに虹彩スキャンを提供すれば、ユーザーは暗号資産「Worldcoin(WLD)」を無料で入手できるサービスをはじめたところ、わずか1週間で全国民の2%以上のケニア人が「Worldcoin」に登録。この勢いだと、中央銀行による金融政策が意味をなさなくなるのではないかと焦った政府は、今週「Worldcoin」のケニア国内でのサービスに対し業務停止命令を出しました。
今後、法定通貨や電子通貨から暗号資産への交換=分散型オンランプが、ケニアでどのようになるのか、動向に注目が集まるところです。
さて、今週はみなさまからのご要望が多い、真夏を乗り切る各種サプリメントをご紹介したいと思います。
以前も一度お伝えしたことがございますが、英語で給与のことを「サラリー」(salary)と言うのは、古代ローマ時代、国に雇われていた軍団兵に給与として与えられていた「塩」を表すラテン語サラリウム(Salarium)が語源です。
このサラリウム(Salarium)が、やがて英語のソルト(Salt)になるほど「塩」は全人類に絶対に欠かせないミネラルで、炎天下の中、このミネラルが不足した状態で陥るのが、他ならない熱中症や夏バテなのです。
熱中症とは、夏の暑さによって急激に体温が上昇したことで「体内の水分や塩分バランスが崩れる」のと、「体温調節機能が働かなくなる」ことによって発症します。
つまり、ミネラルをしっかり摂っておけば、まず熱中症になりませんし、夏バテも防止できます。
毎年、相当暑い屋外で長時間撮影している経験からお話し申し上げれば(この夏は45度のイランが最高値!)、小型扇風機等のグッズを駆使しても効果は一時的なだけばかりか、肝心のミネラル補給に役立ちません。
普段からミネラルバランスに気を配り、自分にあったミネラルを見つけ、暑い夏は欠かさないようにすることが大切です。
そこで、試し舐めできる塩屋に出向き、自分が美味しいと感じる塩を見つけて、事あるごとに振りかけたり、水分に溶かして飲むようにしましょう。
僕は毎朝、Jigsaw社の「Electrolyte Supreme」に塩をひとつまみ入れ、食事が不安定だと思ったらThorne社の「Amino Complex 」に、少量の食用重曹を混ぜて飲んでいます。
どうか皆様、世界的な猛暑の夏ですが、自己メンテナンスを怠らず楽しい日々をお過ごしくださいませ!
先月バルセロナに滞在した際、オーバーツーリズムの問題をお伝えしましたが、夏休みピークの今週、その実態を街中で垣間見て驚いています。
いまからおよそ15年前、バルセロナに移って早々足繁く通っていた鄙びたカフェは、いつも客がまばらで、僕にとっては最適な執筆場所のひとつでした。
ところが誰かのソーシャルに、古くから店で出している手作りチーズケーキが、なぜか「バスク風チーズケーキ」として投稿されて以降、次々とお客が来店してオーダー。
日に10個ほど売れていたチーズケーキは、いまや日に100個以上オーダーがあり、ほぼ全員がメニューにはない「バスク風チーズケーキ」を頼むということです。
当初は、イチイチ説明していたそうですが、いまでは事実を話すこともなくなり、それでなにか言われることも皆無だそうで、皆、写真だけ撮ってロクに味わってないと嘆きます。
あわせて地域住民の足は遠のき、店主は寂しそうでした。
バルセロナトップ3に入る観光地ボケリア市場に出向けば、ピーク時には団体ツアー客の立ち入りを禁じる等の入場制限が行われており、消防法の関係からも市場内の大混雑が市議会で大きな問題になっています。
もともと地域住民のための良質な食材を扱っていた市場でしたが、入り口付近の店先には、どう考えても観光客向けの観光客値段の商品が立ち並びます。
事実、写真や動画ばかり撮っている人ばかりでは、落ち着いて買い物もままなりません。
また、キャビア、高級ワイン、燻製肉、少量生産のチーズなどを扱う老舗高級乾物屋は、1898年創業当時の流行だったカタルーニャのアールヌーボーとして知られる芸術様式「モデルニスモ建築」でも有名な一店ですが、来店してもスマートフォンに向かってポーズをとるばかりで何も見ないし買わない客が増えすぎたため、「店内見学のみの場合、1人5ユーロいただきます」と書かれた看板を掲載するようになりました。
実際、集金することはないそうですが、あまりに悪質だと思われる客からは集金することもあるそうで、一方、この5ユーロ支払って撮影だけして帰る客もいるそうです。
このような現状を鑑み、バルセロナ市当局は市観光税の「段階的引き上げ」を発表。
これまで1.75ユーロだった観光税は、今年の4月1日から2.75ユーロに上がり、来年4月1日には3.25ユーロまで引き上げられますが、これでも観光客が減らない場合は、その後も大幅な増税を続けるとのことです。
さらにホテル等短期賃貸物件に宿泊する場合の税額も4月から1泊当たり5ユーロに引き上げられており、来年度には五つ星ホテルなら1泊につき6.75ユーロを支払わなければならなくなります。
こちらも段階的に税金を上げ、それでも観光客が減らない場合は、その後も増税を続け、社会福祉にまわすと発表しています。
なぜなら、緊急を要する医療リソースの多くを、観光客が奪ってしまっている現実があるからです。
今後、コロナ禍の反動が収まり世界的に景気が悪くなれば、観光熱はひきはじめるのでしょうか?
それとも、安価なLCCやAir B&Bを利用するローコスト・ツーリストは、家にいながらなんでもできるこの時代、オンラインでは不可能な観光地を追い求め続けるのでしょうか?
グローバリゼーションと共に成長した大観光時代からコロナ禍を経て、業界大再編が求められる世界有数の観光都市バルセロナ。
今後、溝ができてしまった地域住民との再統合が鍵となるのは間違いありません。
そうしなければ、地域行政が破綻するだろうな、と考える真夏のバルセロナです。
それにしても大混雑です!
久しぶりに東京に戻ると暑さにも驚きますが、いまだ新型コロナ関連の報道とマスクして通勤する人たちが多さに、なにより驚いています。
現在、世界で唯一新型コロナの感染拡大が起きているのは日本だけで、報道によりますと「第9波」である現在の患者数(1週間平均)は約1万人に上り、第8波の入り口だった11月上旬と同じ規模であると報じています。
この状況は、通常より多くの患者が一定期間に急に増える「エンデミック」と呼ばれ、地域や国、大陸を超えて広範囲で同時期に発生すると「パンデミック」(世界的大流行)と異なり、感染症の患者が一定の地域で一定の季節に繰り返し発生することを意味します。
今回の「第9波」では、オミクロン株の亜系統であるXBBシリーズが感染拡大しているとのことです。
特に都心を少し離れると、通勤時間にマスクをしている人の多さにタイムスリップ感があるほどですが、単にXBBシリーズの予防という点だけではなく、一度決めたことはなかなか変えない日本独自の文化のように思えてなりません。
調査結果を見ますと、コロナ感染対策以外の理由でマスクをしている人が大半で、着用している理由は、「習慣化」「マナー」「同調圧力」などの回答が50%を超えています。
また、これは私見に過ぎませんが、米国や欧州では口元を隠すことは表情を隠していると思われる一方、日本では目に表情の基本があると考えられている違いがあるように思います。
例えば、日本だけで通じる顔文字「(^^)」のように、目の変化で感情を表しますが、同じ「笑顔」を意味する英語圏の顔文字は「: )」(時計回りに90度回転させて見ると笑っているように見える)など、口元で感情を表すのが一般的です。
このような表情の重きを目に置くか口元に置くかの違いも、日本のマスク着用率や欧州や米国のサングラスの着用率に大きく関係しているよう思えます。
いまから約100年ほど前、スペインかぜが流行した際、欧米では定着しなかったのに、日本だけは定着したマスク文化。
ポストコロナ時代と言われる現在、一番変わったのは真夏のマスク着用率かもしれないな、と考える今週です。
どちらにしろ、残暑厳しいとはいえど、念の為ビタミンDの摂取は忘れないようにしましょう。
台風による曇り空や雨模様が多い今週ですが、自著「いままで起きたこと、これから起きること。~「周期」で読み解く世界の未来~ 」にも記載しましたように、地球を含む宇宙には人智を超えたサイクルがありまして、古くから日本でも二十四節気・五節句などのほかに、「二百十日」と呼ばれる暦日があります。
「二百十日」は、季節の移り変りをより適確に掴むために設けられた雑節のひとつで、立春を起算日として210日目の9月1日ごろは、昔から台風の多い日、もしくは風の強い日だと言われてきました。
阿蘇山で嵐に遭遇した夏目漱石の実体験に基づく小説『二百十日』や風の神様の子を描いた宮沢賢治『風の又三郎』は、どれも9月1日前後の出来事であり、そのため全国各地の神社で「風鎮祭」や富山の「おわら風の盆」など、いまも毎年9月頭に風鎮めの祭りが催されています。
江戸時代前期の天文暦学者で神道家だった渋川春海による、初めて日本人の手で編纂された和暦「貞享暦」にも「二百十日」の記載があります。
また、大正12年9月1日に起きた関東大震災は、木造住宅が密集していた当時の東京に強風が吹き込んだため、火災が3日間続き、一般的に地震災害の第一死因となる圧死ではなく、焼死によって多くの人たちがお亡くなりになりました。
一方、気象には「特異日」というものもありまして、その理由は解明されていませんが、なぜかその日には特定の気象現象が起きやすくなる事実があります。
日本で大型台風が来襲しやすい特異日は、9月17日頃と26日頃だと言われおり、枕崎台風や伊勢湾台風など気象観測データが残る巨大台風が上陸した日も、この両日にあたります。
つまり、9月こそ気候の変化にもっとも注意しなければなりません。
「特異日」のことを英語では「シンギュラリティ」と呼び、ドイツの気象学者アウグスト・シュマウスによって研究が行われたことから、元来は気象に用いられていた言葉でしたが、近年は転じて何らかの社会的・政治的事件が集中して起こる日を指すようになりました。
発明家にして思想家のレイ・カーツワイルによれば、2045年に技術的特異点が訪れ、この年、技術的「成長」が指数関数的に続く中で人工知能が「人間の知能を大幅に凌駕する」と予測し、ここから「われわれが超越性(スピリチュアリティ)と呼ばれるものに遭遇する」時でもあり、「特異点に到達すれば、われわれの生物的な身体と脳が抱える限界を超えることが可能になって、運命を超えた力を手にすることになる」と述べています。
大きな出来事が起き、世界や各人の命運が分かれる「特異月」とも言える9月。
日々の装備も含めて、変化のための準備を怠らないことが個々の命運を大きく分けるのだろうな、と歴史的考察から考える今週です。
2024年3月16日に北陸新幹線の金沢~敦賀間が延伸され、おおむね毎時1本東京から直行便(3時間8分)が出るため、今後、北陸観光のあたらしい拠点として急浮上中の敦賀は、現在、インバウンドを想定したプロモーションに余念がありません。
歴史的に見れば、明治以前のグローバルだった街は、古代から海(日本海海路)を渡ってきた渡来人がはじめにたどり着く山陰から若狭湾の海岸線沿いに点在する地域であり、ここを通過して渡来人たちは大和をなど、時の中心地だった内陸部へと向かいました。
畿内に至る水運を利用した物流・人流ルートには、古代から敦賀と舞鶴間の若狭湾で陸揚げして、琵琶湖を経由して淀川水系で難波津に至る内陸水運ルートが主流でした。
この内陸水運ルートには、日本海側の若狭湾以北からの物流の他に、若狭湾以西から対馬海流に乗って来る物流も接続しており、結果、幹線内陸水運ルート沿いの京都に室町幕府が開かれ、畿内が経済だけでなく政治的にも日本の中心地となった経緯があります。
戦国時代には、敦賀は物資の結節点として重宝され、信長の越前一向一揆や秀吉の賤が岳の戦いの舞台にもなります。
近世では、商都大阪から荷を船で運ぶ北前船の発着地として港が栄えますが、このようなモノと人が集まる地域ゆえ、情報拠点でもありました。
例えば、新潟や東北で謀反や一揆が起きても、早馬より海路のほうが圧倒的に早く、敦賀に集められた情報は南下し、京都へ届けられます。
こうして、敦賀は情報拠点としての側面も持ち合わせていました。
ところが、明治維新によって今日まで続く薩長が日本をあたらしくデザインしなおしたため、敦賀は裏日本として追いやられ、今では関西圏の電力を賄うため若狭湾に原発を次々と建設。
いまでは「原発銀座」と呼ばれています。
実は県内で関西電力の原発4基も動かしていますが、この地域の人たちが使っている電力は北陸電力からのものであり、今年に入って平均で50%近くの値上げが行われています。
原子力最大立地の福井県における電気代の高騰というおかしな状況への政府の対応は皆無に等しく、北陸新幹線の延伸でお茶を濁そうとしているのが伺え、地元も各種補助金に甘んじているのが正直なところです。
ちなみに長年放置されていたこともあって、観光インフラはまったく整っておりません。
国内最多14基の原発が集中する「原発銀座」と言うより補助金銀座。
「銀座」と呼ばれても観光地になることは絶対ないのだろうな、と見どころなき街を歩きながら思う今週です。
ただの通りすがりの者です(と、長年答えています)。
9月は天候が変わりやすいので注意しましょう、と先日もお伝えしましたように、日本全国不安定な気候が続きます。
なにも不安定なのは気候に限らず、想像以上に人の心身は天候の影響を受けており、悪化すると「天気痛」や「気象病」などとも言われ、時には痛みが伴います。
特に自律神経は気圧と密接な関係があり、1気圧(1013ヘクトパスカル)より高気圧だと交感神経が上昇してやる気に満ちることがわかっていますが、反対に気圧が低いと副交感神経優位になり、1日中「ダル」く感じます。
今週、皆さんの調子はいかがでしょうか?
また、大きな低気圧や台風が近づくと頭痛がしたり、不調を感じる、気分が落ち込むのは、ヘルペスウィルスの影響も多大です。
特に人間が気圧を感じるのは内耳と呼ばれる耳の中の器官で、気圧が急に下がって不調を感じそうだったら、応急処置として耳を温めるだけでも症状が和らぐのはそのためです。
実は自律神経にはパターンがあり、週の頭、つまり月曜日より週中の水曜や木曜のほうが乱れやすいことが統計的にわかっています。
自覚ない方が大半だと思いますので、天気とご自身の気分を客観的に見るためにも、季節がわりにメモを取ると「知らなかった自分」の理解が深まるでしょう。
一方、季節でみれば、冬の終わりから春かけて自律神経は乱れやすく、一般的に五月病などとも言われますが、東洋医学的には冬の間に眠っていた疾病が目を覚ます時期だと考えられています。
この時期は単に季節が変わるだけでなく、桜が咲いたと思ったら突然寒くなったり、気象の変化に体がついていきません。
同じく、9月に体調を崩す人たちも多く、夏から冬に向けて体も心も準備が整いません。
このような激しい気候の変化による「寒暖差疲労」は、気温で言えば前日と7度以上差があると自律神経が過剰に働いてしまいますので、十分な注意が必要です。
では、どうしたら乱れてしまった自律神経を整えられるのでしょうか?
フロリダ州立大学のアダム・ハンリー博士の実験によれば、無心に単純作業を繰り返すと自律神経が整うことが判明しています。
編み物でも軽い散歩でも、皿洗いでも階段をひたすら上がり下りするのでも構いません。
この際の注意点は、呼吸を意識すること。
日頃からゲームなどに熱中してドーパミンが出る癖がついていると、ついついなにかに没頭する時、息を止めてしまっています。
ゆっくり呼吸し、同じ作業を繰り返してみる。
情報過多の現在、このような同じ動作の繰り返しが少しでも厳しいと感じたら、それはなにかの注意信号に他なりません。
「なんでも過剰な日本」(オーバースペック・ジャパン!)では、毎次毎秒なにかの選択に迫られます。
かくいう僕も他ではありません。
なにも選ばず、ひたすら同じ作業を無心で繰り返す。
荒れる気候は横に置き、日々の仕事や私事もハウスやテクノのように「楽しく心地よいループ」こそが、いまの日本を生き抜く秘訣なのではないか、と気候(と呼吸)が乱れるなか、改めて考える今週です。
どうか、いつも以上にご注意を。
日本ではドバイを「国」だと思ってる方が相当数いらっしゃいますが、ドバイがあるのはアラブ首長国連邦(UAE)という「国」で、首都はアブダビにあり、ドバイは所詮一都市に過ぎません。
ドバイの王族にはそこまで力がなく、というのも豊富な石油が出るアブダビと違って油田がありません。
あまり語られることはありませんが、ドバイ実態は英国によって作られた金融オフショアとして成り立っている「仮想都市」なのが実態です。
それゆえ、2008年のリーマンショックにより大打撃を受けた英国経済の煽りを受け、当時建設中だった世界一高い高層ビル「ブルジュ・カリファ」の建設が止まってしまった際にも、ドバイからわずか車で1時間強の産油国であるアブダビが資金を提供して難を逃れた経緯があります。
つまり、ドバイは財政的にはアブダビが支え、金融政策では英国が支えているのです。
一方、アブダビの王族は、UAEで圧倒的な力を誇ります。
産油を背景にUAE政治の実権を握り、アブダビの首長はUAEの大統領を兼務しています。
ドバイの首長は次席である副大統領をお飾り的に与えられており、この上下関係は、建国以来変わっていません。
ドバイの歴史を振り返っても、アブダビの首長家と仲違いしたナヒヤーン家が800人ほど引き連れ、200年ほど前にはなにもなかった河口の漁村に移住。
ここから現代に至るドバイの歴史が始まりますが、すぐに立ち行かなくなったことからイギリスの保護国となります。
統治を担ったイギリスは、この地を東インド会社が経営する英領インドなど植民地と結ぶ貴重な中継地とし、20世紀になると中継貿易港としての色合いを濃くしました。
このような動きがそのまま金融政策に移され、英国のオフショア色を強めて租税回避地となっているのが近年の姿です。
事実、ドバイには、国内外への資金の流出入に制限がなく、所得税、贈与税、相続税といった税金も一切ありません。
英国は、単なる漁村を一大都市に成長させた「上海モデル」をドバイに転化し、再び河口に広がる「21世紀の上海」としてブランディングすることに成功しました。
経済成長率は15%以上と高い成長率を長年続け、2007年当時、英国で仕事をしていた僕も幾度となくこのブランディングを手伝いをしましたが、前述したように、2008年後半に起きたアメリカのサブプライムローン問題に端を発した世界経済の低迷(リーマン・ショック)により、これまで急激な勢いで伸び続けてきたドバイにも影が落ちます。
外国企業からの投資引き上げや地元企業の資金繰り悪化、それに伴う多数の建築工事や計画の中断が起きたため、これ以降、長期滞在者の居住ハードルを大きく引き下げたことが要因で、滞在するが厳しくなったシンガポールなどからグレーな人たちを呼び込むようになってしまいました。
こうして、00年代のドバイと2010年代以降のドバイでは、「客層」が大きく変わってしまいます。
真夏には気温が50℃近くに達することもあり、雨が全く降らないにもかかわらず、しばしば100%の湿度を観測する日々がやっと終わりましたが、10月に近くなった今週でも40度を超えています。
このような厳しい環境かつ茨城県とほぼ同じ経済規模であるにも関わらず、「金持ちの国」と錯覚させることに成功しているのは、英国流の見事なブランディングの賜物です。
ですが、全人口のうち約75%をインド人を主とする南アジアからの労働者が占め、いまでは「世界で最も美しいインド人の町」と呼ばれるほど、「英国領インド」なのです。
かつてアジア貿易を独占した「イギリス東インド会社」を都市化したドバイ。
もはや住民すら実態を知らない仮想都市には、寒いほど強烈なエアコンが吹き曝すエリアから一歩も外へ出ない(出られない)人たちで、今日もモールが溢れかえっています。
それにしても、外は暑い!
パリはファッション・ウィークということもあって煌びやかのように見えますが、フランスの実情は穏やかではありません。
この夏、フランス全土で暴動が起きたのも記憶に新しく、きっかけはパリ郊外で警官による17歳の黒人少年射殺事件でしたが、ショッピングセンターや商店で略奪が公然と行われ、終いには市長の自宅襲撃まで過激化。
最終的に5千人を超える逮捕者が出るほどの大惨事になりました。
この背景には、1級市民と2級市民の根深い格差があります。
フランスでは、デモは日常的に行われており、なにも変わらないどころか日々悪化する社会情勢に多くの人々が業を煮やし、ついにはちょっとしたきっかけから暴動へと発展します。
特に法的根拠なき「2級市民」扱いされるフランス生まれの移民2世3世たちは、一度、暴動になるときっかけはどうでもよくなって、まるで結託するようフランス中で火の手が上がります。
明確な目的を持った意思表示があるデモとは異なって単なる犯罪にも見えますが、実はその行いには政治的メッセージが多分に含まれています。
現在、金融緩和とウクライナ戦争によるインフレが直撃し、主に値上げをしたスーパーやガソリンスタンドなどが暴動で狙われたことからも、略奪の背景には生活苦の解消を政府に求めている「声なき主張」が見てとれます。
いまは、暴動が沈静化しているように見えますが、実態は休火山のように、いつ大爆発してもおかしくない状態が続いています。
また、デモでは社会が変わらないことを実感した若年層を中心に、SNS上で政府を転覆させるほどの暴力革命を呼びかける声が各地で狼煙を上げています。
確かに犯罪行為は大きな問題ですが、(エリート優遇)社会が良くなる他の方法が具体的にあるのかと言われると、非常に難しいフランスの現実もあります。
今回、暴動が起きたパリ周辺都市をまわって様々なお話しをお聞きしましたが、略奪された店舗や飲食店で働いて人たちまで、移民ではなく政府の問題を指摘しているのに驚きました。
先月の世論調査では、昨年と同じくフランス大統領選が決選投票になった場合、得票率は移民排斥を主張し極右と呼ばれるマリーヌ・ルペンが55%、現職マクロンが45%となることが示されました。
昨年の決選投票ではルペンが41.5%に対し、マクロンが得票率58.5%獲得して再選。
現職大統領の再選は20年ぶりでしたが、いま、再投票すると結果が覆る事になります。
また、年金制度改革に抗議するデモやストライキを支持してきた急進左派のジャンリュック・メランションの支持率も急低下。
2級市民との差別の解消が秩序の維持になると主張をし、それこそ夢物語だと多くの人たちに一蹴されています。
この一年でフランスの世相は大きく変わりました、モチロン悪い方向に。
パリの一部はパーティモードが続きますが、周辺都市に蔓延する貧困、犯罪、人種差別、教育水準の低さは年々悪化しており、1級市民と2級市民の格差は広がるばかり。
いま、フランスの政治力学、いや、国体そのものに大きな変化が起きはじめていると、パリ周辺をまわって感じる今週です。
とても穏やかではありません。
オーバーツーリズムの現状と観光業の未来を見通すため、現在、観光大国スペインで開催されている「TOURISM INNOVATION SUMMIT 2023」に参加しています。
テクノロジーと持続的観光業を主題とするこの旅行サミットは、
・トラベルテック(スマートフォンからVRまで)
・観光イノベーション(AIによる定量分析)
・観光の持続可能性(環境インパクトの数値化)
・旅行者へのアプローチ(広告よりバイラルシフト)
・観光ビジネスとデスティネーションの競争力(観光地および客層の二極化)
などについて、多くの成功例や議論が交わされました。
なかでもサミット最大の関心は、オーバーツーリズムです。
毎年、行くべき旅行先「Go」リストを掲載している旅行雑誌『Fodor’s』は、今年観光客が避けるべき10の旅行先を特集した「No」リストもあわせて発表しました。
このリストによりますと、
1.浸食が進むフランスの海岸線(ノルマンディーのエトルタ周辺やマルセイユのカランク国立公園など)
2.カリフォルニア州タホ湖
3.南極大陸
4.バルセロナ、パリ、ドブロブニクのホットスポット
5.ヴェネツィアとアマルフィ海岸
6.コーンウォール(イギリス)
7.アムステルダム(オランダ)
8.マヤベイ、タオ島(タイ)
9.マウイ島(ハワイ)
10.アメリカ西部(パウエル湖とミード湖、アリゾナ州、ネバダ州、カリフォルニア州、ユタ州の一部)
は、夏のピーク時には絶対に避けたほうがいい「訪れることを再考すべき目的地」で、「控えめに言っても、ピークシーズンに地元の人々の生活を不愉快なものにしている観光客の数を支えるだけのインフラは存在しない」と編集者は語っています。
だからと言って、一切の観光客をお断りにするわけにもいきません。
観光業は、島嶼国や発展途上国の大部分において主要な経済的原動力であるのは間違いなく、地域社会にさまざまな利益をもたらしますが、同時に適切な資源管理や良心的な旅行者を上手く招き入れることができなければ、地域の苦境を増幅させ、社会的課題を大きくもたらします。
そこで、どうやって「良い客」を獲得するのか、識者や各都市がトライ&エラーを続けているのが現状です。
観光税をあげて総数を減らす施策や、いままで魅力的に映らなかった地域をブランディングして観光客を分散させることなど、様々な取り組みが世界各地で実験中です。
理想は、観光客数が減って(セグメントされて)、客単価が上がることに他なりません。
果たして、どの戦略が功を奏するのか?
それとも、反グローバリゼーションと迫り来る不況が、観光客を自然淘汰するのでしょうか。
ちなみに、京都の金閣寺の入場料が今年の値上げされて500円になったのに対し、現在、バルセロナのサグラダファミリアは最低4000円以上(コースによる)、同じガウディ建築のカサ・バトリョは 6500円します。
いま、日本の観光地は、誰に何を言われようが驚くほどの値上げをする英断を迫られているのではないか、と考えざるを得ません。
このトピックは、どこかで一冊にまとめる予定です。
気がつくと、南欧もすっかり秋になりました。
数ヶ月前に訪れた時には40度を超えていたセビリアは、観光シーズンも終わり、古き良きスペインを取り戻したように見える今週です。
すっかり秋模様になった地中海沿岸部は、夏の観光シーズンも終わって「日常」を取り戻したように思えますが、実際はオーバーツーリズム状態が続いています。
一番人気の観光地であるサグラダファミリアは、当日は言わずもが、たとえ平日でも数日先まで入場券が購入できず、二番人気の観光地ボケリア市場は観光客で溢れかえり、歩くのもままなりません。
単なる混雑ならまだしも、旧市街の不動産価格が驚くほど高騰し、多くの賃貸がAirbnbなど民泊に転用され、住民が追い出される事態に発展しています。
街には「ツーリスト・ゴーホーム」と書かれた落書きが増え、アパートを所有している大家は、地元の人たちへ貸し出すより観光客に貸し出したほうが遥かに儲かるので、地域住民が住む場所がなくなっているのが現状です。
不動産、商品、資産の評価会社「ソシエダ・デ・タサシオン」によると、一部では2008年のバブル期よりもすでに新築価格が上昇しています。
このような状況はバルセロナに限らず、ベネチアやアムステルダムなど、欧州主要観光地はどこも大問題に発展し、住民との軋轢が絶えません。
現在、観光産業は世界全体のGDPと雇用の少なくとも10%を占め、バルセロナのような人気渡航先では観光GDPが15%を超え、これが国際収支と経常収支の赤字を相殺する役割を果たしており、まだコロナ禍だった2022年のスペイン経済の成長率に対する観光産業の寄与率は、60.8%まで高まっています。
バルセロナの旧市街のような観光客が特に多い地域では、3~4人に1人が観光産業に従事し、口では「オーバーツーリズム」の問題を話しますが、安易に儲かるこの産業を手放す様子は見受けられません。
旅行者の大半が、「地元の人たちしか知らない穴場のバル」を求めるため、数年前には地元の人しかいなかったバルは、現在、殺到した観光客に占拠されてしまいました。
こうして「観光のモノカルチャー」化がスペイン全体で進んでいます。
そこでバルセロナ市は、オーバーツーリズム対策として、7割を超える違法民泊の取り締まりや新規ホテル建設の制限、ボケリア市場の団体入場制限等を実施し、「サステイナブルな観光地」の実現を目指しています。
しかし、これでも、増え続ける観光客の速度に追いつきません。
しかも、中国人やロシア人はコロナ以前のように戻ってきておらず、それでも「観光パニック」状態に陥っています。
このまま世界経済が健全さを保ち、戦争が終わってロシア人や中国人が以前同様バルセロナに大挙すると、パニックになることは想像に難くありません。
今週、バルセロナ市政府観光局長や環境学者、観光を専門にする大学教授にお話しを伺い、データを参考にしながら正しい現状と今後の展望、そして各種対策をお聞きしています。
オーバーツーリズムは、単にコロナ禍の反動なのか、「プラットフォーム経済」がもたらす新しい労働形態や「シェア」の行き過ぎた結果なのでしょうか?
成功事例も含む「オーバーツーリズム」に関して来年一冊にまとめる予定で、観光業を入り口にして欧州の未来を見通したいと考えています。
問題の本質と解決の糸口含め、ご期待くださいませ!
何度かお伝えしましたように、春から秋の渡航シーズンは、ほぼ運動らしい運動をしていません。
それもそのはず、毎日のように小さくても重い機材を持って、足早で移動していたら、それ自体がトレーニング同然だからです。
現代のハブ空港はどこも大きく、取材や撮影およびロケハンと称して旅先であちこち回る日々を送り、Apple Watchが「ワークアウト中ですね。
屋外ウォーキングを記録しますか?」と、勝手に聞いてくるほど早足で動きます。
健常人の歩行速度が歩行バイオメカニクスに及ぼす影響をメタ分析した調査によれば、ある一定以上の心拍をキープしたまま、連続して20分以上歩き続ければ、関節運動学をはじめとするあらゆるパラメータから、健康上優位なだけでなく、負荷による酸化も少ないため、「第一に推奨されるべき運動」と米国医師会が提唱しています。
ウォーキングに限りませんが、あらゆる運動には、必ず「量」と「質」の2つの観点があり、ウォーキングだと「歩数」と「運動強度」がこれにあたります。
強度とはいわゆる刺激のことで、実はこの「運動強度」の視点が、これまでのウォーキングではほとんど見逃されてきましたが、近年、多くの研究から重力に逆らって上下運動する際に起こる刺激が、骨密度の維持や筋肉量の維持、なにより脳へ大きな影響を与えることがわかってきました。
人間の大きな筋肉は下半身に集中しており、成長ホルモンの分泌のためにも下半身のトレーニングは欠かせませんが、ある一定以上の心拍をキープしたまま連続して20分以上の歩行は、成長ホルモンの分泌の面からも優位な運動だと判明しています。
また、頭への刺激も強いことから、ウェイト・トレーニングでは得られない脳の活性化も見込めます。
さらに、心肺能力を測定するためのウォーキングもあります。
日本で見かけることがあまりないのですが、インフルエンザやコロナ等の重症度を測る世界的な指標に「6分間ウォーキングテスト」(6MWT)という簡易試験があります。
簡単に言えば、肺と心臓がどれだけ健康であるかを測定するテストで、主にコロナ陽性者の治療判断に用いられています。
まず、パルスオキシメータをつけて安静時の酸素濃度を測定。
その後、パルスオキシメーターを指につけたまま、部屋の中を6分間歩き、歩行テスト中とテスト後の酸素濃度を記録します。
この結果、例えば酸素飽和度が93%を下回ったり、3%以上低下などの数値の変化から心肺能力を測定する簡易検査で、コストがかからないこともあって世界的に用いられています。
米国や欧州の医師は、コロナやインフルエンザ感染と診断された患者は、少なくともこの検査を1日2回受ける(セルフチェックする)べきだとアドバイスしており、コロナに感染していなくても、肺の健康状態を評価するのに役立つので、適宜調べることオススメしています。
また、トレーニングとしてのウォーキングは、心拍数も重要です。
「220ー年齢」の数式でおおよその最大心拍数を求め、この60~80%が目標心拍数ですので、20分間下回らないよう注意します。
歩き方としては、自分に合った靴と正しいインソールを用い、腸腰筋を意識しながらできるだけ大股で歩き、この際にハムストリングスやふくらはぎに「伸び」を感じることが大切です。
できれば、気分転換も含め30分程度走りたいところですが、日々移動していると、着替えや準備なども含め、なかなか時間が確保できません。
春から秋は、心拍数を高めることだけ意識して歩行(移動)し、他の運動をほぼやっていませんが、なにより、人は歩くように出来ているので、移動したい!
そんな欲望に突き動かされ、気候の良い時は移動を続けています。
本来、人間は過度なトレーニングなどせず、毒が入ってないか食物を慎重に選び、陽があるうちに水を汲んだり、木の実を拾ったり、狩りをして体を動かす=歩いていただけでした。
時速4.8km/hしか移動できなかった最強の捕食者と形容されるティラノサウルスより早いホモサピエンスの歩行。
捕食されないためにも、時速5km/h以上で歩きましょう!
いよいよ明日から「ケト・サピエンスは牧草牛の夢をみるか」の劇場公開がはじまります。
いまから4年近く前、このメールマガジンで監督や撮影スタッフを募集し、なかにはカメラすら触ったことがない読者もいらっしゃいましたが、いままでにない撮影方法を編み出し、チーム一丸となって沖縄ロケからスタートしました。
完成順序的には、昨年公開しました「ガヨとカルマンテスの日々」が先になりましたが、実は先にクランクインしたのは本作で、長引くパンデミックの影響から撮影が進まず、当初の公開予定から一年押しで(昨日まで作っていたのですが、、、)、この度、無事完成となりました。
ご協力をいただいた皆々様に、この場を借りて感謝申し上げます。
誠にありがとうございました。
前述しました「いままでにない撮影方法」とは、それまで「業界」では当たり前だったシネマカメラではなく、ヨドバシカメラなどの家電量販店で誰でも購入できるカメラとレンズを使い、大作映画と同等、いや、それ以上の画作りを行うことや、一度に複数台(最大10台)のカメラをまわす手法など、通常の映画やドキュメンタリーはもとより、ハリウッドでも用いられない「いままでにない撮影方法」を駆使し果敢に挑みました。
また、編集やカラーグレーディングやコンポジティング、音楽制作も一切のスタジオに入らず、どこでも作業ができるMacbook Proだけで行い、特権職人以外は触れることができなかった映画撮影システムの民主化を目指しました。
この背景には、時代は急速に「個人動画の時代」を迎えたからに他なりません。
数年前まで映像制作といえば、大型なシネマカメラに何人もの技術者がついて運用するのが常でしたが、Youtubeなどの勃興と共に、カメラメーカーや家電メーカーが、カメラの動画機能の開発に尽力します。
その結果、それまで数百万円から1000万円以上したシネマカメラと遜色がない安価な「ゲームチェンジャーともいうべきカメラ」が続々と登場。
事実、極北から南米奥地まで持って歩いたARRI、RED、SONYなどの僕のシネマカメラは、次々と売却もしくは倉庫行きとなりました。
こうして、誰でも家電量販店で購入できるミラーレスカメラとMacbook Proだけで映画を作る「NEXTRAVELER FILMS」が本格的にスタートし、はじめて読者の皆さんと撮影現場にご一緒したのが、本作「ケト・サピエンスは牧草牛の夢をみるか」なのです。
また、楽曲制作からサウンドデザイン、サラウンドに至るまで、音響全般も読者の方々と作り上げた、僕にとって大変思い入れのある一作となりました。
知っているようで知らない和牛のルーツを追いかけ、読者の方々と日本全国を巡る旅路に出ました。
美味しく健康的な牛肉とは、どんなものだろうか?
現代人に不足しているタンパク質と良質な脂を含んだ牛肉を求め、日本全国、こだわりのある和牛生産者を三年かけて訪問し、ついにひとつの回答へと行き着きます。
この時代、映画は配信で十分かとお考えの方々も多いと存じますが、映画館で大きなスクリーンで楽しむのは格別で、実は配信版と若干カットが異なります!
なにより、写真は「プロ」しか撮れない時代がありましたが、テクノロジーが写真撮影を民主化したのと同様、もはや映画は誰でも作れる時代なんです。
ぜひ、その息吹を感じてください。
果たして、美味しく健康的な黒毛和牛は存在するのでしょうか?
世界に誇る日本の和牛はどの産地が最良なのか?
本当に美味しい和牛の秘密をいま解き明かします!
どうかご期待くださいませ。
そろそろ冬の忘年会シーズンに備えたメンテナンス週間に突入したいところですが、まずは時差ぼけ&季節ボケを完全に解消しなければなりません。
実は季節によって飲むサプリメントを変える必要がありまして、例えば日差しが強い地中海にいる時にはビタミンDを接収する必要はありませんが、今週の東京のように、短期間に気温が10度も下がり、日照時間も少なくなれば、冬の準備のためにもビタミンDは必須です。
大昔の先祖たちの生活環境では、日光を体に浴びることで十分に生成されいたため、当時の人々の体内のビタミンDレベルは50~110 mg/dLの範囲にあったと推察されており、食物や現代人のようにサプリメントからビタミンDを得る必要はありませんでした。
もし、古い遺伝子が多い人であれば(もしくはSNPsのVDRに変異がある人であれば)、100 mg/dLを目指した方が良いとお話しするのはこのためで、実際、僕自身は130 mg/dLを割り込むと不調を感じるほどビタミンDの血中濃度を高めています。
事実、コロナはもとより、最後に風邪をひいたのも覚えていません。
また、お住まいの地域によって異なる日照時間も十分に懸案する必要があります。
米国の調査によれば、アトランタとロサンゼルスの間を結ぶ線より北側に住んでいる67~93%の人々は、30mg / dL以下のビタミンD欠乏症状態にあるという事が判明しています。
10月1日から4月15日の間のこの地域の日照量だけでは十分な活性型ビタミンDを生成できず、米国の南部に住む人たちでさえ、半数以上のビタミンDレベルは30mg / dL以下で、日本の大多数の地域に住む人たちも他ではありません。
血中のビタミンDが50mg / dLあれば、動脈硬化を防ぎやすいほか、認知症の発生率やインフルエンザ罹患率の低下に関連していることが明確に示されており、40歳を過ぎるとビタミンDの吸収は不規則になるため、40歳以上の人は冬季に(準備のため秋から)、出来る限り血中ビタミンD濃度を高めたほうがいいでしょう。
一方、ビタミンDのほか、太陽を浴びることで体内時計調節に大きく寄与する「クロノバイオティクス」として知られるのはメラトニンです。
化学的に「N-アセチル-5-メトキシトリプタミン」と呼ばれ、動物、植物、微生物にも存在するメラトニンは、人間では松果体から分泌され、覚醒と睡眠を切り替え自然な眠りを誘う内因性ホルモンです。
メラトニンは、体内時計に働きかける他、強力な抗酸化剤、免疫活性剤、ミトコンドリア調節因子としても作用し、がん、アルツハイマー病、多発性硬化症、不妊症、さらにはコロナやインフルエンザにまで効果があります。
前述したようにビタミンD不足は「日光欠乏症」として懸念されているのと同様、人工的なブルーライトの浴びすぎによる「暗闇欠乏症」の結果としてメラトニン分泌が低下します。
現在、日本では医薬品医療機器等法に違反するとしてメラトニを販売することは禁じられていますが、米国では2017-20年のわずか3年間だけでもメラトニンの販売量は倍増しており、この背景にはスマートフォンの普及などがありますが、副作用もほとんど見られないことから人気が急上昇。
最近は、「次のビタミンD 」であるとサプリメント業界で話されるようになりました。
つまり、10月後半から4月後半までの間で、特に曇天だと思われる日の朝や夜には「ビタミンD」を摂取し、コンピュータやスマートフォンを長く見た日の寝る前には「メラトニン」を補充して、体内クロック・マネージメントを整える必要があります。
時差ぼけ解消にも、このふたつは欠かせません。
また、体内クロック調整のためにデジタルディバイスも愛用しています。
最近は、「PEGASI」というジョンズ・ホプキンス大学医学部との共同開発したライトセラピー・ゴーグルを使って、体内のマスタークロックをリセットするのに大いに役立てています。
このディバイスは、どこの国にいてどのような天気でも、朝7時から9時の間にゴーグルを装着してUVカットされたLEDを浴び、体内クロック・マネージメントを行います。
アプリを使えば、フライト先との時差を考え、渡航前から徐々に調整を行うことも可能で、もはや手放せなくなっています。
タイムゾーンをまたがなくても、ちょっとした生活環境の変化でも体内時計は狂うもので、特に季節の変わり目は、注意が必要です。
現代社会における本当のタイムマネージメント。
誰も語らないタイムパフォーマンスの本質は、体内時計を正すことにあるのだろうな、と考える今週です。
どうか皆様、季節の変わり目の体調管理にご注意を。
上田市は新幹線も止まる人口約15万人強の県内中堅都市で、「信州上田」として知られる観光地でもあり、上田城址や真田丸、安楽寺、北向観音などの歴史的建造物がありますが、どこもインバウンドを呼び込むことに成功しておらず、正直閑散としています。
現在、長野には「2040年問題」が存在します。
年々県内人口が著しく減少する中、85歳以上人口が現在の約1.5倍と大きく増加する高齢者人口のピークが2040年と推定されており、世界に類を見ない「超々高齢化社会」になることが判明しています。
また、団塊ジュニア世代が65歳以上となる2040年に、長野は全国で3番目に企業などで働く人手不足率が高くなる予測も明らかになっています(1番目は京都、二番目は新潟)。
特に農業セクターの働き手減少は顕著で、すでに長野県の農業生産額は平成2年をピークに減少を続けており、当時の約60%まで低下しているのが現状です。
このような明確な見通しがあるゆえ、早急な社会構造の見直しが求められているのは明らかですが、県政に対策する様相は見られません。
厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が公表した2045年までの地域別将来推計人口によると、長野県の人口は2045年には15年比23%減の161万人となる見通しで、17市町村で人口が15年の半分以下になり、1000人未満の村は倍増すると発表されています。
もはや長野県の豊かな自然同様、人口動態は「神のみぞ知る」ように見えますが、現実的にはもう少し集まって暮らさなければ、どこかでインフラが維持できなると思われます。
これは、長野だけの問題ではありません。
さて、日中が4度まで落ちる上田市から30分ほど離れた山中におりますが、この気温だと体脂肪10%前後だと一段と寒さが身に染みます。
例年、この時期から徐々にmTOR遺伝子をスイッチングし、飢餓モードから蓄積モードへとゆっくりと変えていると、このメールマガジンでも自著でも何度もお伝えしてきました。
移動が多い春から秋口は、生物の細胞質にあるmTORというタンパク質にラパマイシンが結合し、mTORの働きを抑えて細胞修復モード(飢餓モード)を維持し、オートファジーが起こりやすくなる状態にします。
一方、この時期は徐々にインスリン様成長因子1(IGF-1)を増やしてmTORを活性化し、蓄積モードへスイッチします。
IGF-1は、成長ホルモンが肝臓の受容体に働いて生成される物質で、インスリンと同様、糖質やタンパク質を食べると分泌されます。
つまり、移動が多い時期は脂中心の食事を心がけ、冬が近づくに連れ、徐々に糖質やタンパク質を増やし、FCPのバランスを見ながら適度に体脂肪を増やして真冬を乗り切っているのがこの数年です。
長い間、人類は衣替えをするように季節によって食事を変え、冬季には冬眠する動物同様体脂肪を増やして、寒く食事にありつけない冬を乗り越えてきました、と忘年会シーズンに突入する言い訳をもっともらしく語っていますが、実際、季節にあわせて食生活を変化させるのが、もっとも体調がよろしい。
先日お伝えした日照時間が短くなる時期からのビタミンD3接種もそうですが、四季折々食事からサプリメント、さらには生活習慣そのものを変えることを心がける。
これこそ本当の「オーガニック」なのではないか、と道の駅などで「有機」と書かれた多くの札を見ながら考える今週です。
もうじき冬がやってきます。
インフルエンザが猛威を震い、学級閉鎖も増えてきました。
ケト・サピエンスの皆様におかれまして、そろそろ蓄積モードに変えて衣替えを進めましょう。
どうかご準備を。
長年にわたる金融緩和の影響と円安政策が続き、現在の日本は良くも悪くも世界有数の生活物価が安い国となりました。
世界各都市の生活費を鑑みれば、ニューヨークを100と規定した場合、シンガポール=86 、ロンドン=83、ソウル=76、香港=73、東京=42となり、もはやマニラ=39と大差ないほどに安価な街になってしまっています。
このままでは今後、輸入品や輸入サービスは徐々に手が届かなくなっていくでしょう。
また、東京は清潔ではあるものの文化的に先進的であるかと言われれば、決してそうとは言い難いのが実情です。
よくインバウンドが日本は安くて美味しい物ばかりと言ったお話しを耳にする一方、ビーガンやグルテンフリーの食事が他国に比べて圧倒的に少なく、お困りの海外ゲストが多数いらっしゃいます。
首都圏では、イスラム圏からの来訪者が求めるハラル以上にどこかで先進国の潮流にキャッチアップせざるを得ないと思われますが、残念ながらその様子はほとんど見られません。
カリフォルニアやカナダから日本へ遊びに来た友人たちは、世界一の大都市なのにビーガンレストランの少なさに驚き、それなりのレストランでもグルテンフリー対応のなさに嘆きます(あっても美味しくありません)。
もう10年以上お話ししていますように、飲食店の稼ぎ頭だった飲酒が世界的にトレンドアウトし、時代を代表する飲料は朝シフトとともにコーヒーやハーブティー、水などへ移り変わっています。
いわゆる「ソバーキュリアス」(Sober=しらふ&Curious=好奇心からなる英造語)が急増しており、こちらの波は日本でも若年層を中心に徐々に浸透してきているように思われます。
地域で見れば、飲酒することがが大前提にある港区ビジネスが終焉を迎えつつあり、ジェントリフィケーションの影響もあって清澄白川や神宮前2丁目など港区以外から話題店が出るようになったのが、この5年の傾向です。
また、飲食業界のロビー活動も大変弱い印象です。
日本は、戦後自動車産業が強いロビー力を誇り、この影響もあって長年路上駐車や飲酒運転が黙認されてきた時代が続きました。
港区が持て囃されたのは、銀座などと違って路上駐車がしやすかったことが大きな要因で、西麻布周辺(材木町や霞町、笄町など)のなにもないところに、いま飲食店が林立しているのは、当時の名残に他なりません。
さらに東京の飲食店は、インバウンドも含め「ご新規さん」がほとんどで、売り上げピークの期間が1~2年程度しか続きません。
それゆえ、次々と店が入れ替わる焼畑農業のような業態になってしまい、3年で70%以上が閉店しています。
不動産関連業社におもねって、政府は出店規制しないことからロンドンの4倍も飲食店数が東京に存在し、結果、大資本のチェーン店ばかりになってしまっているのが現状です。
なにより、世界のトップレストランで何年も予約が取れない「ノーマ」が、閉店する時代です。
これは地代の高騰と労働集約型産業の行き詰まりを物語っており、事実、コロナの補助がなくなった日本の飲食店は、今年史上最大閉店数になることが確実視されています。
政府は「日本式システム」を維持するために、当面円安政策を続けると思われますが、もし、米国発の大きな経済的ショックが起きれば、相対的に円高に振れ、インバウンド数も株価も大暴落することが予測されます。
現在、米国経済は株値がいまだ堅調でGDPの数字が強いにも関わらず、税収が前年度比で大幅に減少していることから、バブルが崩壊した後のソフトランディング中だと見て間違いありません。
今後、FRBによる利下げが発表されれば、日本の株価も大きく動くことになると思われ、インバウンドの先行きも相当怪しくなると思われます。
もはや飲食業界に限った話ではありませんが、あらゆる業界が自身で舵を切ることができず、風や潮に流されて進むしかない大型船団に思えてなりません。
一見活況に見えますが、時代に取り残されてしまった感がある東京の飲食業。
5年後に生き残る店は何軒あるのだろうか、と開いたばかりの大規模商業施設で考える今週です。
もう12月に入りましたが、東京の夜の街は盛況とは言えません。
寒い冬のビル風が一層身に沁みます。
紅葉が始まるこの時期には、さぞかし観光客が多いのだろうと覚悟していましたが、そこまでの人出はありません。
確かに駅前ではそれなりに観光客が目立ちましたが、田の字地区内では数年前に多くいたインバウンドの姿を見る事はほとんどありませんでした。
これには、幾つもの理由があります。
まず、中国本土からの観光客が激減しています。
報道等では、実質的にいまだゼロコロナ政策が続いているためだと言われますが、実際は中国バブルが弾けた事により、急速に景気が悪化している様が見受けられます。
日本も1990年にバブル経済が弾けた後の数年間は、海外旅行に行く人たちが大幅に減り、しかし、時の政府が航空旅行業界をはじめとする経済界から泣きつかれ、230兆円もの公的資金を注入した上、膨大な補助金を何年も発行して一時凌ぎを続けました。
そのツケがいまだに続いており、中国政府は同じ過ちを行わないよう、日本を反面教師として国民に厳しい態度で接しています。
そもそも中国では土地はすべて国有で、国民は土地を所有することはできません。
国民は土地の「使用権」を買うのですが、一括払いが必要なため、個人が銀行やシャドウバンキングなどからお金を借りて次々と投資を行いました。
合わせて、金融緩和の影響もあって投資熱が過度に高まり、中国中央政府が規制に乗り出しました。
その結果、不動産ディベロッパー、銀行やシャドウバンクなどの金融機関、認可を続けた地方政府、借入金が多い個人とドミノ倒し状態になってきたのが現在です。
先月も中国のシャドーバンク「中志企業集団」が、約5兆3千億円の負債で実質的に破綻したばかりです。
このような影響から、中国本土から日本へ訪れる人が激減しているのです。
また、ゼロコロナ政策を続けていた中国政府は、今年8月から中国人観光客の日本への団体旅行を約3年半ぶりに解禁しましたが、原発汚染水の問題を大々的に報じていることもあって、様子を伺う人たちがいまだ大勢います。
一方、台湾や香港、韓国からの訪日客は戻ってきており、彼らは京都の流儀を数年間でソーシャルメディアから多く学んだため、ペラペラで派手な化繊の着物を着て街を闊歩するような事はありません。
あの「なんちゃって和装」は、観光客用のコスプレだと理解しており、街中で軒を連なっていたレンタル着物屋は、コロナ禍もあってほぼ全滅しました。
オーバーツーリズムの一端となっていた民家に間違えて入る輩もいなくなり、うるさかったキャリーケースをガラガラ引き、バスや地下鉄二人分占拠していた人たちも、事前に次のデスティネーションへ荷物を送る事を覚えたため大幅に減っています。
さらには、星付きと言われる和食店も「どこも似たような味」であることから、より京都人が日常的に通う庶民的な店へと飲食トレンドは移っており、この数年で明らかに京都へ訪れるインバウンドは成熟している事がよくわかります。
おそらく来年いっぱいでコロナ禍と中国バブルの反動も治り、再来年あたりに観光地としての真価が問われることになるだろう京都。
実際は、為替や世界の景気動向、そして日本ではまだまだ高騰を続ける不動産価格次第だろうな、と思う今週です。
いま、京都の紅葉は見頃です!
北陸新幹線が金沢まで開通してから8年しか経っていませんが、この間に宿泊施設はおよそ4倍になり、人口45万人程度の都市に毎年1000万人超の観光客が訪れる「観光バブル」が巻き起こりました。
パンデミック前の2019年宿泊客データを見ますと、金沢に訪れる5人に1人は外国人で、国・地域の傾向では欧州・米国・オーストラリアからの海外ゲストが他地域の二倍以上の35%と多いのが特徴です。
また、滞在先で消費する金額は国内客より海外ゲストの方が遥かに大きく、この8年間の金沢は、いわゆるアジアの「爆買い客」ではなく、成熟した先進国から来た「文化にコストを支う客」によって支えられてきました。
個人的にいつも感じるのは、飛び交うイタリア語が日本の他地域より目立ち、両国とも古い文化と美味しい食事(とムラ社会)などがあるから、文化的社会的に通じるものが多いのだろうと推察していました。
金沢の人気観光地を見ますとダントツの一位が兼六園で、その半数程度が訪れるのが近江町市場と21世紀美術館、さらにその半数がひがし茶屋街を訪れており、決して見どころが多い街とは言えません。
しかも、これらすべては徒歩圏内なため主要観光地巡りは一日で終わってしまいます。
その後、海外ゲストは高速バスで片道1時間半~2時間で行ける白川郷や飛騨高山へ早々に移動するか、京都へ向かう人たちが多く、平均金沢滞在日数は1.5日~2日程度と短い滞在が問題でした。
そのため、オーバーツーリズムが起きる場所も限られており、いかに分散させ、新しい場所を提案して内外ゲストに長居していただくのかが、北陸新幹線金沢駅開業当初から課題として上がっていました。
そのための場所作りが、鼓門とは反対側の金沢駅西口再開発地域ではじまりした。
金沢に鉄道駅ができたのは明治後期で、他の城下町と同様、街の中心に鉄道を敷設できなかったため、なにもなかった現在の場所に建設します。
当時、裏玄関と言われていた金沢駅西口は、その後も100年近く放置同然の場所でしたが、新幹線開通にあわせて大開発が行われ、全国的に注目を集めることになりました。
事実、2014年基準地価上昇率が全国トップとなったのは金沢駅西口(広岡1丁目)であり、日本銀行金沢支店や北國銀行などのオフィスが次々に建設され、あっという間に金沢副都心が出来上がったのです。
そして、この地域の目玉のひとつとして日本最先端の予防医療クリニックが誕生します。
僕自身、このクリニックに足繁く通い、懇意になった理事長にお話しを伺うと、実は開業当初から理事長自身が難病を抱え、自分と同じ道をクライアントに歩ませないために、人生を賭してこの施設の開業に踏み切った経緯がありました。
そのクリニックの理事長がお亡くなりになってから、ちょうど一年が経ちます。
今回、一周忌かねてお墓参りにお邪魔しまして、久しぶりに金沢の街へ訪れました。
僕が来年に予定しているヘルスケア・サービスをはじめようと思った理由は、いまや行き場をなくした僕やこの施設で散々お世話になった読者の方々のために、「もっと自身の健康の大切さと人生の素晴らしさに気がついてほしい」という長年理事長の薫陶を受けてきた想いからはじまりました。
どんな苦境でもいつも楽しそうにしていた理事長や、金沢の街でたっぷり楽しんでいるイタリア人を例に出すまでもなく、人生は誰もが目一杯楽しむために生まれ、そのためには健康でいることが何よりも大切だと日々実感します。
そのメソッドを探し求め、内外多くの地へ旅を共にした故人に思いを馳せ、いままでにないヘルスケア・サービスを目指そうと、古都を歩きながら夢想する今週です。
数日前まで金沢では日々20度まで気温があがり、小春日和とは言い難いほど強い日差しが差し込みましたが、朝晩は驚くほどに冷え込みました。
皆様、冬をたっぷり楽しむために、どうかご自愛を(必ずビタミンD3摂取を多めに)。
1956年に策定された「首都圏整備法」によれば、東京都およびその周辺地域である茨城県・栃木県・群馬県・埼玉県・千葉県・神奈川県・山梨県の1都7県は「首都圏」であり、東京駅から高崎駅まで新幹線で最速50分弱、小田原まで35分で着くことを考えれば、両都市とも通勤圏で、事実、高崎からの朝7時台上り新幹線は7本もあります。
現在、首都圏人口はおよそ4500万人まで増え、東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県の1都3県を指す「東京都市圏」でも3800万人を有する世界最大の都市圏人口を誇ります。
この数は、ニューヨーク、上海、デリー都市圏人口のおよそ二倍もあり、世界最大のメガシティといえば聞こえはいいですが、実際は先進都市とは思えない狭い土地に驚くほどの人間が引き締め合って暮らしている現状があります。
巨大化する首都圏人口を分散するため、1950年代には「都心」に集中していた首都機能を「渋谷」「新宿」「池袋」の3地区を「副都心」として位置づけましたが、それでも分散は追いつかず、東京都の隣県に「新都心」を設置。
「さいたま新都心」「幕張新都心」「横浜みなとみらい21」などが生まれました。
一方、世界経済都市ランキングでみると、森ビル系シンクタンクの調査でも東京は10位まで後退していますが、直近の「エコノミスト」誌による1人あたりGDPの名目値、物価での補正値、物価と労働時間での補正値から鑑みると、もはや日本はランクに入らず、東京の実体経済も他ではありません。
ワーク・ライフ・バランスがわかる物価と労働時間での補正値を見れば、いまやポーランドやエストニア、リトアニアより下に位置し、狭い場所にスシ詰めになって長時間労働しても稼げない実態が浮かびあがります。
こうした世界最大の都市形成の裏側にある問題は、日本特有の中央集権化に他なりません。
一般的に中央集権とは、政治の権限が1か所に集中している体制を指しますが、その実、税金を含むすべての利権を一旦中央に集め(吸い上げ)、再分配する古きシステムそのものです。
この税金を取り合うのが代議士であり、「現代の打ち出の小槌」とも呼ばれるに国会で審議する必要のない予備費は、本来3%だったのに10%近くまで膨らんでいます。
また、中央集権システムではピラミッド型の階級構造が形成されることが多く、上層が財源や決定権を持ち、下層になるほど機能が細分化されたり、財源や決定権が小さく制限され、上下方向の統制がより強化される傾向が顕著にあります。
上意下達と情報収集の機関として本来必要ない中間組織も多数形成され、そのための出先機関が多く設置されるのも特徴で、「見えない身分」が出来上がります。
この中央に集められた資金を再分配する力が、儒教的社会背景を持った「日本式システム」を堅牢にしているのです。
日本で「政府」といえば、事実上「東京の霞ヶ関や永田町」を示す言葉になっており、地方の県庁や市庁を指しません。
まさに「お上」。
東京を跨ぎ、高崎から上って小田原へ新幹線で移動すれば1時間半。
かつて中央集権そのものだった国鉄を分割し、旧国鉄の「職員局」がJR東海の利権を手中に収める一方、旧国鉄「経営計画室」がJR東日本の利権を得て、その争いは今日まで続きます。
かくありまして、JR東海が推し進めるリニア中央新幹線の東京側発着駅は、地下空間に余裕がないなどの難癖をつけて、JR東日本の拠点である東京駅ではなく、品川駅に決まった経緯があります。
今週、高崎から小田原への移動は、東京駅でJR東日本とJR東海を難なく乗り継げますが、今後、東北・上越・北陸新幹線新幹線からリニア中央新幹線乗りつごうとすると、重い荷物を持ったまま、山手線や京浜東北線を使わねばなりません。
品川駅近辺は、首都圏を一気に広げる門戸となるのか、それとも利権を分ける「見えない関所」同然となるのでしょうか?
たぶん、古いシステムを変えられずに後者になるのだろうな、と感じる今週です。
現在、マレーシア全土で巨大ショッピングモールの開店ラッシュが相次ぎます。
つい先日もKLの中心地ブキビンタンに「ザ・エクスチェンジTRX」がオープン。
同時期に日本で鳴り物入りではじまった麻布台ヒルズの店舗数およそ150店舗に対して、「ザ・エクスチェンジTRX」は400店舗超。
シャネルをはじめとするメガブランドや屋上公演などを有し、すでに落ち着いた感がある麻布台ヒルズとの熱気の差に、正直驚いています。
巨大モール「ザ・エクスチェンジTRX」のTRXとは、トゥン・ラザック取引所(Tun Razak Exchange)の頭文字をとったもので、マレーシア財務省がクアラルンプール中心部に開発した70エーカーのあたらしい金融街の略称です。
当初から同じ時期に開業予定の麻布台ヒルズを意識し、日本一の高層ビル「森JPタワー」が地上64階建て高さ330メートルなのに対し、TRX地区の最高層ビルは地上90階建て高さ453.6メートルと遥かに凌駕し(実はマレーシアで二番目)、近隣にも200メートル超えのビルが6本も立っています。
まさにマレーシアの高度経済成長を実感できる開発地域ですが、建築そのものの出来は日本より遅れをとっているのは否めません。
新しくオープンしたにも関わらず、タイルのひび割れや未完成の天井、エスカレーターやエレベーターの故障に至るまで、建物の粗雑な出来栄えは拭えません。
オープン2日目には、数時間の停電に見舞われました。
実はこのTRX地域は、このメールマガジンでも何度かお伝えしたことがあるマレーシア政府系ファンド「1MDB」が、当初立案していました。
「1MDB」は、国内産業の振興・多角化を建前とするエネルギー・不動産・観光・農業のための巨大ファンドでしたが、当時のナジブ・ラザク首相の個人口座に1000億円近い金額が振り込まれていたことなどがパナマ文書から発覚し、巨大マネーロンダリングの温床として知られていました。
この資金洗浄の一部として作られたのが、レオナルド・ディカプリオ主演の映画「ウルフ・オブ・ウォールストリート」でした。
マーティン・スコセッシ監督による傑作映画「ウルフ・オブ・ウォールストリート」は、実在する株式ブローカー、ジョーダン・ベルフォートの回想録「ウォール街狂乱日記」を原作に大ヒットしますが、プロデューサーはナジブ前首相の義理の息子ナジブ・ラザクと友人のリザ・アジズだったのです。
彼ら二人は、マネーロンダリングのために映画製作会社「レッド・グラナイト・ピクチャーズ」を設立し、マレーシア政府系ファンド「1MDB」から1年間で300億円を超える資金を横流しして映画制作のほか、ヨットや高額美術品などを購入し、放蕩の限りを尽くします。
また、「1MDB」ではビットコインを用いた資金洗浄も活発に行っていました。
当時の財務大臣がビットコインや仮想通貨について規制はまったく考えていないと述べていたことから、一時マレーシアは仮想通貨天国とまで言われて、フィンテックを表看板にブロックチェーン技術会議を開催しますが、実態は他でもなく、自分たちのマネーロンダリングが目的だったのです。
しかし、この世の春を謳歌したのも束の間、睨みがきく国内メディアではなく、外圧同然だった英語圏メディアが次々と不正を追及し、ナジブ首相は逮捕されるに至ります。
この「1MDB」の中核プロジェクトがTRXであり、シグネチャー・タワーは、新しく透明性があるマレーシア金融システムの象徴そのものとして再設計されます。
その後、パンデミックを乗り越えて、この度やっとオープンに漕ぎ着けました。
昨年2022年の経済成長率は8.7%と東南アジア主要国のなかで最高だったマレーシア。
「ザ・エクスチェンジTRX」は、果たして汚職に塗れたバブルの塔なのか?
それとも、あたらしいマレーシア金融システムの象徴となるのでしょうか?
「荒削り」感は否めませんが、勢いと熱が止まることは当面ないだろうと感じる今週です。
今週は、南インドのケララにいます。
もう15年以上、一年から一年半おきにアーユルヴェーダのトリートメントを受けるようにしてまして、今回、コロナ禍が明けて久しぶりに訪れました。
例年ならスリランカの施設に訪れるのですが、もう十年以上前に出した自著「サバイバル時代の健康術 ~アーユルヴェーダで頭と体のバランスを整える 」の続編を書こうと思い、また、現在手掛けているヘルスケア・プログラムの次世代バージョンの可能性を探りに、南インドのケララにあるアーユルヴェーダ大学病院に宿泊、というか入院しながらレクチャーを受けています。
アーユルヴェーダは約5000年前にインドで発祥し、WHOが認める世界最古の医療として知られています。
「アーユルヴェーダ」という言葉はサンスクリット語で「生命の科学」または「寿命に関する知識」を意味し、健康と病気の予防・治療において、身体、心、精神、および環境のバランスを重視しますが、「幸せに生きるための知恵」と言い換えても過言ではありません。
それほど、人々にハッピー感をもたらします。
アーユルヴェーダの主な特徴は
・人間を単なる身体ではなく、身体、心、魂が統合した存在として捉えるため、治療は全体的な健康とバランス、そして幸福感を目指す。
・人々は「ヴァータ」(風)、「ピッタ」(火)、「カパ」(水)の三つの基本的なエネルギー(ドーシャ)の組み合わせで構成され、これらのドーシャのバランスが健康状態を決定する。
・施術と治療は、個人の体質、ドーシャのバランス、環境要因を考慮し、個別にカスタマイズする。
・植物ベースの薬(と少量の動物と鉱物ベースの薬)、マッサージ、デトックス(浄化療法)、適切な食事と生活習慣の指導などが治療に含まれる。
・なかでも病気の治療だけでなく、健康維持と予防、そして精神鍛錬と食事を含む生活改善に重点を置く。
などがあります。
こうして、アーユルヴェーダはインドのみならず細分化かつ専門家された現代医療が取りこぼした疾病や不定愁訴に悩む世界中の人々から人気を博しているのが現在です。
事実、この時期のアーユルヴェーダ施設は、どこも欧州からの人々で満員です。
近年、「健康寿命」という言葉が頻繁に使われるようになりましたが、アーユルヴェーダの健康の定義によりますと、単なる健康でなく、幸福感に満たされていることがとても重要です。
単なる寿命の長さや「病気をしないで長く生きればよい」というものでなく、幸福な人生を寿命いっぱい生きてまっとうすることが大切だと考えられ、それを追求します。
アーユルヴェーダが教える幸福とは「なる」ものでなく「(幸福であることに)気づく」ものだというのも、アーユルヴェーダの考え方です。
幸福とは、外部から何かを加える(たとえば、物質を得たり治療を施したりする)ことによって到達するのではなく、すでに持っているものに気づき、整えるだけだと考えられているのです。
世界中のリゾートホテルを廻ってきたと自負しますが、アーユルヴェーダ施設で過ごす時ほど、快適な(至福な)体験はありません。
格段、どこが悪いわけではありませんが、これから半月ほど入院し、この数年でノイズまみれになった心身を整えながら、幸福のあり方を自分なりに追求しようと考えています。
皆様、本年も何卒よろしくお願いいたします。
引き続きケララにあるアーユルヴェーダ大学病院に宿泊、というか入院しておりまして、日々トリートメントと講義を受けています。
先週お伝えしましたように、人にはドーシャと呼ばれる風、火、水が組み合わさった体質があり、このバランスを整えることで、疾病を未然に防ぎ、また自己免疫力を高めることで病を克服できると考えます。
アーユルヴェーダでは、エネルギーのバランスがとれた健康な状態から、病気が進展し慢性化するまでの過程を7段階に分類しており、1.健康→2.蓄積→3.増悪→4.播種→5.局在化→6.発症→7.慢性化の順番に症状が悪化しますが、現代医学で「病気」として捉えられるのは、6段階目の「発症」以降のことで、それまでに医療機関に出向いても、「問題ない」と追い返されてしまうのが一般的です。
しかし、その前段階にあるすべての人が、けっして健康的だとは言えません。
検査をすれば正常値の範囲内であったとしても、どこか不調を感じていたり、不定愁訴を訴える方が後を断たないのが現状です。
事故でもない限り、病気は前触れもなく突発的に出現するものではありません。
問題が徐々に蓄積し、いつか芽を吹くように表面化するものです。
そこで日頃からドーシャのバランスを整えるため、個々によって異なる食べ物から生き方まで、各人に適してライフスタイルを探らねばなりません。
このアプローチは、いわば5000年前の遺伝子検査とも言うべきなの概念なのです。
アーユルヴェーダでは、通常3つのドーシャとその組み合わせによって人の体質は7種類に大別していますが、単一のドーシャが優勢であることはほとんどなく、大半の人は複合体質だと言われています。
まず、「風」を表すヴァータ体質の特徴は、機敏で活発かつ気まぐれで、風のように軽やかに行動する力や型にはまらない柔軟さを持ち合わせている人です。
体格はやせ気味で、一旦ヴァータのバランスが崩れると、手足が冷たくなったり、お腹にガスがたまりやすくなったりします。
頭痛や腰痛などの体の痛みも起こり、不眠にも陥りやすくなります。
メンタル面では、ヴァータのバランスがとれているときには活発さが際立ち、新しい物や変化を好み順応性が高く、また早口な人が多く、想像力が豊かで理解力が高く、記憶力にも優れています。
しかし、バランスが崩れると不安感が強くなり、気分が変動します。衝動的になる、集中力が落ちる、緊張しやすくなる、忘れっぽくなるなどで、恐れの気持ちが出やすくなって心配症になってしまいます。
率先して行動することが多いものの、信念が変わりやすくて長続きしなかったり、住所や仕事をすぐに変えたり浪費をしたりする傾向もあります。
次に「火」を表すピッタ体質は、知的で情熱的ですが、ときに怒りっぽくなるのが特徴です。
体は中肉中背で日焼けしやすく、体内に熱のエネルギーを多く持っているため、寒さに強いものの暑さには弱く、汗をかきやすい体質で、下痢をすることも多々あります。
ピッタのバランスが崩れると汗っかきになり、目が充血しやすく、口臭や体臭、若はげ、白髪が目立ちやすい傾向がみられます。
メンタル面では、ピッタのバランスがとれているときは知的で情熱的で、勇敢で機転がきいています。チャレンジ精神が旺盛で、集中力も高く、行動や話に無駄がありません。
ところが、ピッタがバランスを崩すと、短気で怒りっぽい性格になり、見栄や嫉妬が強くなることもあります。
なにかと批判的になったり、完璧主義がいきすぎて敵をつくりやすいという傾向が見られます。
最後にカパ体質は、穏やかで寛大、ときに大雑把です。
カパの心身の特徴は、安定と重さ、滑らかさにあり、大地のようにどっしりと構えた安定感が見られます。
体格はがっしりとしており、体力や持久力に優れていますが、カパのバランスを崩すと、だるさや眠気が起こります。
太りやすくなるのも特徴的です。湿気に弱く、アレルギー性鼻炎や鼻水・鼻づまりに悩まされ、気管支炎や喘息など気管支疾患にかかりやすくなります。
心がゆったりと落ち着いており、辛抱強く着実に物事をやり遂げることができます。
物覚えがよくはないもののいったん覚えると忘れにくく、何事も最後までやり通すタイプです。
また、蓄積する性質を備えていますので、お金などを貯めるのが上手ですが、整理が苦手です。
ただし、カパがアンバランスになると、物事へのこだわりが強くなり、執念深くなります。
思考が鈍くなって大雑把になり、活動する意欲がなくなってしまいます。
愛欲に溺れたり、独善的な面や保守的な面が出てしまうこともあります。
通常、これらみっつのドーシャが組み合わさった複合体質を多くの人は持ちますが、それゆえ、複雑かつアンバランスになりやすくなるものです。
そこで、あわせもったドーシャのうち、優勢になりやすい季節や時間帯、年齢などの法則を知り、食事や生活スタイルを変えることが大切なのです。
よく各体質を表すたとえで、怒りっぽい上司を「火」のピッタだと捉え、それを聞いてすぐに転職を考える部下を「風」のヴァータ、萎縮しながらもどうにか踏ん張る別の部下を「水」のカパの体質だと考えるのですが、実は日本人は「水」体質が多いと言われています。
それゆえ、なかなか社会変化が起きづらく、一方、ヴァータやピッタが優勢の人は、日本社会はどこか窮屈だと感じることでしょう。
アーユルヴェーダに限りませんが、いつもお伝えしておりますように、心身や人生の不調は、まずは自分を知ること=自分の現在地を割り出すことからはじまります。
もし、ご興味あれば、一度アーユルヴェーダ的ご自分の体質を探り出してみてはいかがでしょうか。
ちなみに僕は「ヴァータ・ピッタ」体質です!
この時期の南インドと東京の気温差は30度以上ありまして、3時間半のビミョーな時差ボケも堪えますが、気温ボケはなかなか解消されません。
人間は、前日と10度以上の気温差があると即座に対応できず、心身に多大な影響が出ることがわかっており、気温差が30度もあれば三倍の負担がかかります。
幸い、この時期は蓄積モードゆえ12%程度まで体脂肪を増やしておりますが、夏季飢餓モードの「シングル体脂肪」時に、北半球の真夏から南半球の真冬へ移動する際には相当堪えます。
昨年7月にブラジル渡航時には日中気温が4度まで落ち、東京34度からの落差は、かなり厳しい体感でした。
体質的に寒いのが苦手な僕は(ヴァータが高まると不調になる僕は)、北半球の暑い夏から真冬の南半球へ移動する時こそ、気をつけなければいけないと実感した旅路でした。
さて、先週お伝えしました各人によって異なるアーユルヴェーダの体質が、想像以上のご反響をいただきましたので、今週も引き続き詳細をお伝えしたいと思います。
人にはドーシャと呼ばれる風、火、水が組み合わさった体質があり、このバランスを整え病を未然に防ぎ、また自己免疫力を高めることであらゆる疾病を克服できると考えます。
そこで日頃からドーシャのバランスを整えるため、個々によって異なる食べ物から仕事、さらには生き方まで、各人に適したライフスタイルを探らねなりません。
これは、驚くべき5000年前の遺伝子検査とも言うべきなの概念なのです。
ところが人は、単一のドーシャが優勢であることはほとんどなく、大半は複合体質ゆえ、バランスを崩しやすくなってしまっています。
そこで、今週は複合ドーシャにつきまして、もう少しお伝えしたいと思います。
まず「ヴァータ・ピッタ体質 」は、ヴァータとピッタに共通する「軽さ」が強調された性質です。
冷え性にもかかわらず暑いのも苦手で、ヴァータ体質の特徴であるスリムな体と、敏捷さ、友好的な性格を備え、食欲が旺盛で大食する傾向にあり、ストレスに対する不安と怒りが交互にやってきます。
続いて「ピッタ・カパ体質 」は、ピッタとカパに共通する「油性」や「湿性」が強くあらわれます。
カパの特徴である安定感とピッタの特徴である抜かりなさが発揮され、カパの影響による頑強な肉体にピッタの特徴である代謝のよさが加わるため、寒さにも暑さにも強くタフ。
精神的には、カパの注意深さによってピッタの怒りっぽさが中和されています。
ただし、自信過剰と自己満足に陥りやすく、ストレスがある状況では恐怖や怒りによって自らを緊張させ、厳しく追い詰める傾向もあります。
次に「ヴァータ・カパ体質 」は、ヴァータとカパの双方に共通する「冷性」が際立つため、体も心も冷たさに弱いという傾向がみられます。
体格は、背が高いか低身長で細めです。
冷え症や便秘、鼻炎、気管支炎などに悩まされ、カパの特質である頑強さや慈愛深さを備えていますが、カパとヴァータの質が相反するため、分裂した精神状態になりやすいのも特徴です。
ものごとを十分に調べたり検討したりせず、いきなり結論を出しがちです。
そして最後がみっつのドーシャが同じ割合になっている体質「ヴァータ・ピッタ・カパ体質 」です。
稀に見られるこのタイプには、各ドーシャの良い面があらわれています。
ある時はヴァータのもつ軽やかさと発想の豊かさ、ある時はピッタの柔軟性と知性の鋭さ、また、ある時はカパの持久力の強さと慈愛深さが現れ、免疫力が高く、健康で長命な傾向があります。
ただし、どのドーシャも乱れやすく、一旦崩れるとなかなか元に戻りづらいというマイナス面もあります。
また、これらの体質は、特定の健康状態や病気に対する感受性にも影響を与えます。
たとえば、ヴァータ体質の人は関節炎や神経、睡眠障害などのヴァータ由来の不調が起きやすく、ピッタ体質の人は胃炎や胃酸過多などの症状が出やすいとされており、カパ体質の人は、消化不良や肥満などの症状が起こりやすい傾向が見られます。
ドーシャは季節によってそれぞれの特徴が強まる傾向にあり、カパは春、ピッタは夏、ヴァータは秋・冬に影響を受けやすくなります。
また、年齢にも影響があり、生まれた時~30歳までカパが優勢の時期、30歳~60歳をピッタ期、60歳を超えるとヴァータ期と分類され、個々によって異なる体質と季節や世代を重ね合わせて、バランスが崩れるのを防がなくてはなりません。
僕は年齢的にもヴァータ期にさしかかっており、また日々35度ある南インドのピッタ優勢環境から、ヴァータ優勢である真冬の東京へ数時間で移動すると、突然ヴァータが増加して調子を崩します。
そこで、徹底的にヴァータを抑える食事をとって、リバランスするしかありません。
現在、高まるヴァータを抑える「生姜湯」を一日中飲んで、体調を整えている最中です。
飛行機などがなかった5000年前に生まれた自然と共に生きるアーユルヴェーダ。
この時代、自然なき大都会でどうやってリカバリーするのが良いのか、いまだ暗中模索する今週です。
毎回アーユルヴェーダの施設に2~3週間ほど滞在したあと、大都会に戻って感じるのは、現代医療に「時間」という概念がないことです。
同じカロリーの食事であれば、朝食でも夕食でも同じように体内で消化吸収されると多くの人は考えているかもしれません。
分子栄養療法でも「時間」の概念が語られることはあまりなく、血液やバイオロジカルデータを基に、数値を補うことを第一としています。
しかし、体の機能は時間帯や季節によって変化します。
消化力は、朝や昼に高まって夕方には低下する傾向があるため、同じものを食べても体への反応は異なり、体温も朝は低くて午後から夕方にかけて高くなっていくのが一般的です。
精神も1日や季節、1年といった一定のサイクルで変動します。
思考力は午前10時頃をピークに達し、午後2時頃から著しく低下するため、仕事を片付けるには朝がもっとも効率いいのですが、よく言われる「タイムパフォーマンス」でも、この基本的な人間や自然のリズムは無視されているのは不思議で、多くの人たちは「数字」だけに捉われていると言わざるを得ません。
五感は午後4~8時頃に鋭さを増し、時間感覚については、早朝や夜遅くには速く感じることが多く、午後から夕方にかけては遅く感じます。
当然、運動効率も違い、例えばウェイトトレーニングするのでも、人によって午前10時までに行うとの午後18時以降に行うのでは、効果がまったく異なるのです。
それゆえ、アーユルヴェーダの施設では、提供される食事や薬が、各人の体質だけでなく時間によっても考慮されています。
近年、米国の先端医学会でも「時間栄養学」が注目を集めるようになってきました。
「時間栄養学」とは、体内時計の働きに合わせて食事のタイミングや内容を調整する栄養学のことで、体内時計は消化、吸収、代謝などの生理機能に影響を与え、朝食は体内時計を整える役割を持ちますが、逆に夜の食事は体内時計を乱し、肥満や糖尿病などの病気のリスクを高めることがわかっています。
しかし、実際には夕食に重い食事を摂る人が大半です。
いったい、なぜ現代人はこのような食生活になってしまったのでしょうか?
この背景には「お酒マーケティング」が潜みます。
昭和のテレビ最盛期にCMを支えたビールなどの「お酒マーケティング」は、朝から飲酒を即すわけにはいきませんので、仕事が終わったあとに美味しい一杯を飲むことが「いかにも常識」と国民を教化しつづけました。
「はじめにビール!」は、日本以外では聞くことがない習慣で、これも「お酒マーケティング」が積み上げてきた「昭和の常識」に他なりません。
また、大半の外食産業も利幅の高い酒を売らなければ成立せず(特に家賃が高い高級店)、欧州では各地域で出店数が制限されている酒類販売が、事実上無制限になっているのが日本の現状です。
それゆえ、飲酒習慣を止め、あわせて夜の外食を減らすことが出来れば、消化力が高い午前中や早い午後にしっかり食べ、人間本来の自然に沿った生活サイクルに戻すことができるようになるのです。
英語では「飲み会」にあたる明確な表現がありません。
夕食を意味する「Dinner」や誕生会などの「Party」が近しい表現となりますが、英語圏の様相は日本の「飲み会」とは明らかに異なります。
健康のために、本来の時間を取り戻すこと。
自然豊かな南インドにあるアーユルヴェーダ施設から東京に戻って考えさせられる今週です。
まず、アーユルヴェーダの生活法では、日の出96分前の「ブラフミムフールタ」(コスミックインテリジェンス)の時間に起きることを推奨しています。
ドーシャを24時間にあてはめますと、深夜2時から6時がヴァータ(風)の時間で、1日24時間のうち一番神聖な時間帯と考えられているため、この時間に起きるのが望ましく、窓を開けてもまだ真っ暗ななか起床します。
早朝のこの時間帯は「風」のヴァータから連想されるように空気が澄んでいて、体もとても軽いため、本来はこの時間帯にヨガや瞑想をするのが理想的です。
僕は白湯か気分で選んだハーブティーを飲んだ後、日々20分程度の瞑想を行なっています。
その後、朝6時になるとカパ(水)の時間帯になり、シャワーを浴びて、ここから4時間ほど執筆する時間が始まります。
そして朝10時から午後2時までのピッタ(火)は、1日のうちで一番消化力が高まっている時間帯です。
このタイミングでこの日一番重い食事をするのが望ましく、いまは11時から11時半ごろ、一日一回だけそれなりに食べるようになりました。
内容は決まっていませんが、夏季には食べない玄米から肉まで、幅広く食しています。
一般的にアーユルヴェーダでは、この時間帯、つまりランチにに食べる量を「3」だと定義すると、朝は「2」、夜は「1」程度食するのが良いと考えられていますが、僕はケトン値を参照しながら1日一回しか食べなくとも「2」程度に抑え、しかもアーユルヴェーダ施設では出ることもない肉も相当量食べていますが、いまのところ問題はありません。
というより、自然環境が豊かな南インドの食材と東京で手に入る食材は大きく違い、お米もまったく異なるもので、よく言われるインディカ米やバスマティライスは、南インドで売られている数十種類あるお米のひとつにしか過ぎず、東京で良質な南インド料理を再現するのはとても難しいのが実情です。
続く午後2時~6時のヴァータの時間に再び移ると感覚が鋭くなってきますので、ロジカルな作業はあまり行わず、直感赴くままにアイデアを次々出したり、音楽を作ったり、写真現像や動画編集する時間にあてています。
場合によっては、論理的に朝書いた原稿を直感に従って斜め読みしたり、湧き出たアイデアでも即座に時間軸などに落とし込まず、翌朝に再考するようにして、自分自身の能力を時間帯によって使い分けるようになってきました。
使い古された表現ですが、午前中は左脳的に生き、午後は右脳的に生きていると言い換えられるかもしれません。
しかし、ヴァータ体質の人はこの時間帯ではヴァータがさらに高まり、とても疲れる時でもあります。
そこでコーヒーなど飲まずに、ヴァータを抑える生姜湯などを飲むようにして過ごすようになりました。
その後午後6時から10時まで再びカパ(水)の時間帯が訪れ、友人たちとの会食があれば、軽くつまむ程度のことはあっても重いものは食べず、飲酒習慣も変わらずありません。
そして、ピッタが始まる午後10時ごろまでに夕飯が消化された状態で眠りに就くのが理想的ですが、僕の場合は読書をしながら23時前後に就寝しています。
この1日のサイクルが、睡眠トラッカーを見る限り、もっとも深く寝られます!
オックスフォード大学で睡眠と概日リズムの研究をする神経科学者ラッセル・フォスター教授は、生活サイクルが体内時計と同期できている人について、比較的疲れにくく、機嫌が良く、健康的な体重を維持することができ、薬物治療してもより多くの効果が得られ、思考もはっきりし、長期的な健康も改善すると述べています。
ただし、心電図、脳波などの生理的検査や、血液、尿、組織などの病理、化学、生化学検査をどんなに行っても睡眠の秘密はいまだわかりませんが、自然に沿わない生き方(時間)を正すだけで、こうも快適な朝を迎えることができるのかと、自ら実感しています。
日の出や日没時刻等、人間は数百万年もの間、一定のパターンで光にさらされてきました。
つまり、私たちの遺伝子は、日中は活発に動き、日が暮れると休むように生まれながら「ごきげんタイマー」が仕組まれているのです。
快適な日々を送るために、光とどう付き合うのか? と強く考える今週です。
渡航による時差(と伴う不調)は、最大の悩みです。
暦上で春が始まる「立春」は、二十四節気の最初の節気で、新しい始まりを告げるタイミングです。
「冬至」を天空の新年だとしたら「立春」は地上の新年だと古くから考えられており、新しい年が始まる日の前日、その「節」分けをするための日を「節分」と呼んできました。
二十四節気は、季節によって移り変わる地上の「気」の変化を見抜くことを目的に、時代を生き抜くため紀元前4世紀ごろの中国の戦国時代に発明されます。
なかでも重要な中気である夏至・冬至の二至、春分・秋分の二分、そして、節気である立春・立夏・立秋・立冬の四立を八節と呼びました。
これらの「節」は、季節というより気節(節気)と考えられ、地のエネルギーが大きく変わる転換点として、それまでの日々を一新させる自然のタイミングなのです。
僕自身、この時期=「立春」から自分の体を変える、つまり食事を変える時期に入ります。
それまで暴飲暴食とは言いませんが、毎年冬に入る11月初旬の「立冬」あたりから春、夏、秋には滅多に口にしない玄米などを食し、三ヶ月程度体脂肪を増やして冬を越します。
そして、「節分」あたりに冬の最後の晩餐を楽しんで、「立春」を境に5月上旬の「立夏」まで徐々に食事を変えて体脂肪を減らし、夏に向けた動ける体づくりを行います。
というのも、この時期から身体を変え始めなければ、春に芽が出る疾病対策に間に合いません。
中医学では病は冬の間に眠って春になると目覚めると考えられており、それゆえ21世紀の国民病となった花粉症から五月病まで、春先ならではの問題が噴出します。
これも「気節」を忘れ、時期関係なく通年同じような食物が店頭に並び、年間通じて同じような食生活を送っていれば、季節と身体は乖離して問題が生じるのは当然の結果です。
日々暮らす土地の気が変わっているのに(ゲームチェンジしてルールが変わったのに)、同じような食事や同じような生活をしているのであれば、誰もが免疫力が落ち、冬には眠っていたウィルス等が目を覚まして不調を感じます。
また、春になって自然に汗ばむ機会が増えれば、デトックス・シーズンがはじまります。
現代社会では、どんなに気をつけていても日々食べている食物に少なからず毒が入っており、遺伝子的に解毒機能が弱い僕は渡航シーズンがはじまる春先に必ずデトックスをするようにしています。
方法はその年によって異なりまして、ファスティングをすることもあれば、八重山クロレラやデトックス用のクレイを用いることもあり、体調を見ながら時にはEDTAやDMSAなども使います。
節を分け、土地の気が変わる「節分」と「立春」。
雪に見舞われた東京を歩きながら、ひと足先に夏モードに向け、徐々に身体を変えようと思う今週です。
ヘルスケアサービスの立ち上げも佳境になってきたことから、毎日、国内外医師をはじめとする医療関係者にオンライン・オフラインでお目にかかり、最後の詰めに余念がない日々を送っています。
一昨年はキューバで映画を撮っていたため、一年のうち数ヶ月をキューバで過ごしましたが、今年は東京でヘルスケアサービスの立ち上げに本腰をいれ、多くの時間を東京で過ごしています。
新しいプロジェクトを立ち上げるのはそれなりに骨が折れるものですが、僕は最低二つの「今までにないことを同時に行う」組み合わせの妙を常に楽しんでいまして、ヘルスケアサービスに関しましては「8つの新しい試み」を同時に立ち上げようとしているため、複雑な上に全体を理解しているのが僕しかおらず、ご存知の通り企画書もスケジュール表も予算案も作らないため、すべてに目を配る必要があります。
なかでも力を入れているのが、新設した「NEXTRAVELERバイオラボ」による次世代シーケンサーやリアルタイムPCRなどを用いた「精密腸内検査」です。
近年、日本でも腸内環境の改善が身体および精神に多大な影響を与えると大きな話題になり、実態は不透明なまま「腸活」などの言葉だけが先行しています。
その理由は、腸内環境を精密に可視化するには驚くほどのコストがかかるため、ワードばかりが先行して肝心の腸内の実態がつかめません。
そこで自分でバイオラボを作り、精密腸内検査システムを構築しています。
もうひとつ、腸を痛めつけている(自身の心身を痛めつけている)大きな問題は、現代社会における過剰かつ劣化してしまった「食事」です。
人間の遺伝子は10万年で0.5%も変化していませんが、人を取り巻く環境は大きく変わりました。
なかでも食事の変化は大きく、炎症を誘発する糖や悪い脂ばかりが増え、栄養も足りていません。
この結果、生活習慣病やがんが人類史上あり得ないほど急増しているのです。
江戸時代の観相学者だった水野南北は、長年の研究から「節食開運説」に行きつきました。
要点をまとめると、
一、 食事の量が少ない者は人相が不吉な相であっても、それなりに恵まれた人生を送り、早死にしない。
特に晩年は吉となる。
二、 食事が常に適量を超えている者は、人相が吉相でも調いにくい。
手がもつれたり、生涯心労が絶えず、晩年は凶となる。
三、 常に大食、暴食の者は、たとえ人相がよくても運勢は一定しない。
もしその人が貧しければますます困窮し、財産家でも家を傾ける。
大食、暴食して人相が凶であれば、死後に入るべき棺もないほど落ちぶれる。
四、 常に身のほど以上の美食をしている者は、たとえ人相が吉でも運勢は凶になる。
美食を慎まなければ家を没落させ、出世もおぼつかない。
まして貧しくても美食する者は、働いても働いても楽にならず、一生苦労する。
五、常に自分の生活水準より低い程度の粗食をしている者は、人相が貧相でもいずれは財産をなし、長寿を得、晩年は楽になる。
六、食事時間が不規則な者は、吉相でも凶となる。
七、小食の者には死病の苦しみがなく、長患いもしない。
八、怠け者でずるく、酒肉を楽しんで精進しない者は成功しない。
成功、発展しようと思うならば、自分が望むところの一業を極め、毎日の食事を厳重に節制し、大願成就まで美食を慎み、自分の仕事を楽しみに変えるように努めれば、自然に成功するだろう。
九、人格は飲食の慎みによって決まる。
十、酒肉を多く食べて太っている者は、生涯出世栄達はない。
と、何万人と言う観相を見てきた水野南北は述べています。
不調の原因は食にあることは間違いなく、逆に好調や開運も食に起因します。
そこで、手掛けているヘルスケアサービスでは、各人の食事やストレス、睡眠を徹底的に管理すべく、こちらも新しいシステムを構築中です。
利便性は高まれど、この時代の毒まみれな環境を生き抜くには、自分にとって最適な運動を提供してくれるパーソナル・トレーナーのように、自分にとって最適な食事と各人によって異なるバイオロジカル・データが読み解ける「パーソナル・ヘルスケア・トレーナー」がいまこそ必要なのだろうな、と深く考える今週です。
実は僕とて他ではありません。
なにしろ今年は例年に比べて冬季の食事が乱れたため、花粉症の兆しがあるからです、、、。
国内最大級の健康業界エキスポ「健康博覧会」から日本最大のカメラおよび関連機器展示会「CP+」など、今週は数多くの展示会が各所で開催されていますが、以前を知る者としてはどこも活況だとは言えません。
パンデミックもあって数年間開催できなかった影響もあるのでしょうが、なにより「展示会」と呼ばれるプラットフォームが過去のものになってしまったと痛切に感じています。
この話は昨年アナハイムの世界最大の楽器展示会「NAMM」やラスベガスで開催された世界最大の放送機器展「NAB」へ訪れた際にもお伝えしましたように、展示会によく使われる「世界最大」や「日本最大」といった枕詞が、インターネット(特に高速通信網)の普及によってオンライン開催こそが「世界最大」に変わった時代の趨勢があります。
この動きはパンデミック前から顕著であり、まだインターネットがなかった時代に情報を効率よく世界中に配信するには記者が一堂に会する展示会で新製品を発表するのが最良の手立てでしたが、先進国(G7)で5Gの普及が一般化した2014年前後を境にして、国際展示会への出展数は徐々に減っていきました。
1990年代には世界最大のコンピュータ関連の展示会「COMDEX」を日本のソフトバンクが買収し、誰より早くコンピュータ関連の情報を手中に収めることで投資精度を高めます。
一方、「COMDEX」をソフトバンクへ売却したシェルドン・アデルソンは、その資金を種銭としてラスベガスに「ザ・ヴェネチアン」ホテルを建造しました。
その後、アジアの橋頭堡となる「マリーナベイ・サンズ」を開業します。
アデルソンは2021年に他界しますが、2010年度版フォーブスの発表による世界長者番付では世界で6番目のビリオネアであり、彼の資金で誕生したのがドナルド・トランプ大統領でした。
展示会としてのCOMDEXは2007年ごろには消滅しますが、「COMDEX virtual」と名付けられたオンライン・イベントはその後も小規模ながら開催を続けます。
こうして現在の米国では「すべてがオンライン」へと向かうと考えられ、展示会や学会の参加者は「リモート参加」するのが一般的になって、あわせて日々の勤務体系も大きく変わってきました。
実は来年2025年末までに、米国の商業用不動産関連の貸し付け約1兆5000億ドル(約209兆円!)が返済期限を迎えます。
リーマンショック(前回の不動産バブル)前の2006年当時から見ても、現在、商業用不動産ローンに関する連邦預金保険公社(FDIC)の基準を超える金融機関が米国だけでも700行以上あり、今後どこか世界中の金融機関で大きな焦げ付きが発生し、突然信用収縮する可能性が日に日に高まります。
米国で起きたことは数年後に日本でも起こると言われるよう、展示会に限りませんが日本でもあらゆるロケーションに根差したビジネスは、どこかで大きな危機に直面することが予測されます。
ただし、高齢者が増え全般的にDXが遅れていることや、都心部の治安が悪くないことなどもあって、現実的に日本は「ハイブリッド出社」パターンが一定層に定着する程度になると思われますが、それだけでも都心部のオフィスの価値は下落します。
春のようだった気候から一転して真冬に戻ったのと同様、変わる時は一夜にして変わるものだと、改めて考えさせられる今週です。
それにしても、もはや展示会に目ぼしいモノはありませんね。
東京圏(Greater Tokyo)は、メキシコシティを遥かに上回る世界最大の首都圏です。
日本は島国でそこまで国土が広い訳ではなく、また、国土の8割ちかくが山地ということもあって、わずかな平野に多数の人たちが暮らし、その狭い範囲の中で日々慌ただしく移動を続けています。
都市別の歩行速度を見ると、英国ハートフォードシャー大学の心理学者であるリチャード・ワイズマン教授と国際文化交流機関ブリティッシュ・カウンシルが協力した調査によれば、足早で歩く世界最速はシンガポールで、2位はデンマークのコペンハーゲン、3位はスペインのマドリード、4位は中国の広東省広州と続き、東京は意外にも19位で、世界的に見ればそこまで慌ただしくはありません。
現在、世界中で10年前に比べ歩行速度が10%以上早くなっており、ワイズマン教授によれば世界中の歩行速度が速くなっているのは「テクノロジーの進歩がもたらした結果だ」と指摘。
オンタイムで世界中の誰とでも連絡を取り合えるほど便利になりましたが、人類が時間に追われて慌ただしくなる、つまり「歩く速度」も速くなる傾向が見られると論じます。
逆に東京は歩行速度が年々遅くなっています。
この背景には高齢化社会もあると思いますが、世界的なテクノロジーの進歩スピードに東京は追いつけていない証だと見ることもできます。
1990年代には、世界一足早な都市トップは大阪、二位が東京だったことを考えると、豊かさを示す指標である国民一人当たりのGDPと都市の歩行速度に相関関係が見られなくもありません。
1990年代には日本の国民一人当たりのGDPは世界5位でしたが、2022年の時点で経済協力開発機構(OECD)加盟国中21位まで落ち込み、合わせるように都市の歩行速度も年々遅くなっているのです。
また、歩行速度と寿命や健康状態にも相関関係があることがわかっており、がんや糖尿病、心臓疾患や脳疾患、そして認知障害まで含んだ広範囲の予防に関して、歩行速度が時速3.2km未満のゆっくり歩きの人を「1」とした場合、時速3.2~4.8kmの普通のスピードで歩く人は1.9倍、時速4.8km以上のやや早歩きで歩くことができる人に至っては2.68倍予防効果が高まった研究結果があります。
歩くことで大腸がんを予防する効果があることも明らかになっており、あまり歩かないグループの大腸がんのリスクは、平均運動量のグループと比べると2倍以上、積極的に運動をするグループと比べるとリスクが約4倍以上もあることが判明しています。
では、早歩きとはどれくらいの速度を指すのでしょうか?
一般的には220-年齢で最大心拍数を割り出し、その60%ー80%まで心拍数を高める程度の「運動強度」が早歩きと定義されています。
例えば50歳の場合、最大心拍数(回/分)は220-50の「170回/分」で、早歩きの目標心拍数はその60~80%の「102~136回/分」となります。
この中程度の日々の負荷が、前述した様々な疾病の予防から健康促進に役立つ秘訣なのです。
翻って、日本経済もしくは日本がなにかの病に侵され不健康状態にあるとするならば、街を歩く人々の速度が遅くなればなるほど重症化に向かっていると考えることも出来ます。
一方、今後もし足早の人が増えれば、経済も社会も人々も健康になるのではないかと推察する今週です。
日を追うごとに少しづつ春めいてきました。
花粉症の対策は、まだ間に合います。
良質なビタミンD3をしっかり摂り、足早に街を闊歩しましょう。
https://youtu.be/KsZbtMMGhv8?si=mz438FlljX4beBZB
今年の元旦に発生した能登半島地震によって、この冬の金沢観光は壊滅的状態に陥りましたが、現在ではインバウンドを中心に観光客も徐々に戻りつつあります。
一方、京都はコロナ禍を経て、落ち着いていたオーバーツーリズム状態が少しづつ再燃しており、先月行われた京都市長選の争点のひとつだったこともあって、ホテルや旅館の宿泊客から徴収する宿泊税を2年後をめどに引き上げると発表されました。
宿泊税は京都市のほか、東京、大阪、福岡の3都府県と5市町で導入されており、徴収した税金は景観保全やトイレの整備などに使われています。
京都市では2018年10月から、1人当たり1泊2万円未満で200円、2万円以上5万円未満で500円、5万円以上で1000円を課税。
上限額の1000円は全国で最も高い税となりますが、実はいくら宿泊税を値上げしてもオーバーツーリズム対策に功を奏しません。
現在、オーバーツーリズムに関する書籍を執筆中でして、昨夏から秋の観光シーズンを通じて何度か世界一の観光都市バルセロナを中心にスペイン各地を回り、いまや「観光公害」とまで言われるようになったオーバーツーリズムの現状と対策、そして未来について取材を行いました。
スペインは世界有数の観光大国で、海外からの観光客数はフランスに次ぐ世界第二位ですが、都市別の人口一人当たりの観光客の数はバルセロナが世界一です。
ですが、バルセロナは京都のように古い歴史や建物を持つ街ではなく、有名なサグラダファミリアも1882年着工ですので、わずか140年前、日本ではいえば明治中期の建造物で、現在も建築中です!
バルセロナは1992年のスペイン初のオリンピック開催後に観光都市へと急成長し、さらには僕が住んでいた2009年にエル・プラット空港の新しい新ターミナルが完成。
ここに次々とLCCと呼ばれる格安航空会社が就航し、観光バブルが本格的にはじまります。
実は世界的な観光都市として台頭したのは、この15年のことなのです。
オリンピック前には年間170万人ほどしかいなかったバルセロナを訪れる観光客(ビジネスマン含む)は、現在、日帰り客などを入れると年間観光客数は約3200万人を上回り、あっという間に地域住民160万人の約20倍にものぼる観光客が訪れるようになりました。
また、バルセロナの目抜通りランブラス通りには一年間に延べ一億人が通行しており、現在、その大半が観光客です。
これは明らかにキャパオーバーであり、地域住民がオーバーツーリズムに悩まされている現状が理解できる数字です。
こうして観光大国としてもオーバーツーリズムとしても先進するバルセロナでは、これから京都が行おうとしている宿泊税の値上げを、早い段階からオーバーツーリズム対策として取り入れ、緩和しようとしてきました。
2012年にバルセロナ市はヨーロッパの中でも有数の高い水準の宿泊税を導入し、パリやローマなどの歴史都市かつ首都よりは低いものの、多くのヨーロッパの都市よりも高い宿泊税を徴収しました。
この結果、オーバーツーリズムは解消せず、単に市政府の税収が潤うだけに過ぎませんでした。
なぜなら、宿泊しない観光客に課税できないからに他なりません。
一昨年の京都市における観光客動向等の調査結果によりますと、年間観光客数4361万人に対して宿泊客は969万人に過ぎず、そのうちのおよそ10%が修学旅行生です。
この数字を見る限り、先行するバルセロナ同様宿泊税を導入しても、オーバーツーリズム対策は功を奏しないのは明らかです。
では、なぜバルセロナも京都も宿泊税を導入しようとするのでしょうか?
その理由は明らか。
政治家のパフォーマンスとより多くの税金を獲得するのが目的です。
先週、「脱キーボード」や「脱Mac」のため、テキスト入力の大半をiPhoneを使った音声入力に変えたとお伝えしましたが、想像以上に多くのご質問を頂戴しました。
なかでも「どのようなアプリケーションをお使いですか?」と多くの方々からお尋ねされまして、メールの返信にはメールアプリの音声入力機能を使用し、執筆にはPagesやメモを使用するなど、普段使い慣れているアプリケーションをそのまま音声入力に切り替えただけに過ぎません。
ここ1~2年でAppleの音声認識技術が飛躍的に向上しただけでなく、iOS16以降ではキーボードと並列して使用できるようになったため、音声入力で判断が難しい熟語や固有名詞などはオンスクリーン・キーボードと併用するのがコツだと感じています。
格段、特別な高性能マイクを使用しているわけではなく、AirPods Proなどを使うこともありますが、地下鉄車内でアナウンスが流れている時などは音声入力が上手くいませんので、iPhoneを口元に近づけてボソボソと話すようにしています。こうして、地下鉄の車内で隅に立ちながら、こっそり執筆?している最近です。
現在、3冊の本を並行して執筆しており、もう四年もかかっている和牛本の他、オーバーツーリズム本、そしてコーヒーに関する本を日々書き綴っていますが、従来の執筆スタイルを続けていたのでは、到底時間が足りません。
他にもヘルスケアサービスの立ち上げ、読者感謝祭やその翌日から始まる夏の撮影のための準備など、やるべきことが山積みです。
さらに、今月オープンした屋久島初のノースフェイス店舗のオープニング冊子のための紀行文や来年クランクイン予定の脚本など、非常に多くの作業を並行して行っています。
しかし、音声入力に切り替えたおかげで、かなり効率的に執筆できるようになりました。
歩いている時も、立っている時も、入浴中でさえも、ついでに横に寝転がっている時も、今まで執筆できなかった場面で作業ができるようになったのは、僕にとって大きな「執筆革命」です。
その上、書く速度も相当数上がっています。
通常、400字の原稿用紙1枚を書くのに最低でも15分は必要だと言われていますが、今では同じ文字数のテキストを2、3分で書き上げることができるようになりました。
単純計算しても5倍から7倍程度の生産量が見込めるようになったため、以前よりも時間効率も大幅に向上。
ただし、音声入力の完成度は70%程度ですので、やはりキーボードを使った誤字脱字等の修正は必要不可欠です。
とはいえ、わざわざMacBook Proを持ち出す必要はなく、iPhoneやiPadのオンスクリーン・キーボードで修正するだけで十分ですが、この修正作業も徐々に音声入力で行うようになりつつあります。
こうして出来上がった原稿を、時々の最新AIに流し込んで校閲後に最後の筆を入れるようになりました。
いま現在では、GPT4やGeminiを遥かに上回るIQ101を叩き出した「claude.ai」(Claude3)が校閲作業では秀逸です。
もはやこうなると執筆というよりリミックスする感じですが、生産性が高くなったため、年間で書けるというよりリミックスされた総量は10年前の5倍や10倍に当たるだろうと推察します。
これが10年後に100倍になるか分かりませんが、どちらにしろ大切なのは、実際の現場で何をどのように見るかと言う、実体験や目線に他なりません。
それをスタート地点として独自のゴールを設定できれば、後は音声入力やAIといったテクノロジーによって、まるで協業するように作り上げていくのが現代のクリエイティビティーだと実感します。
かつて、400字詰め原稿用紙にシャーペンで文字を書いていた時代から、ワープロ、コンピューターとキーボードを叩いて執筆するようになったのがこの40年間。
つまり、音声入力とAIによる「執筆革命」は、僕にとっておよそ半世紀ぶりとなる革新的な出来事なのです。
春を感じるようになったいま、毎朝1時間「早歩き執筆トレーニング」しながら「移動距離とアイデアは比例する」を実感する今週です。
その理由は、執筆スタイルが完全に変わったことにあります。
iOS16が落ち着いて以降、文字入力の8割以上を音声入力にしましたので、以前は考えられなかった「執筆を歩きながら行う」ようになりました。
少し前まで、トレーニング中は音楽を聴く程度しか同時に何かを行うことが物理的にできませんでしたが、テクノロジーの進化とともに自分の創作スタイルも進化し、今では適宜ランジを取り入れた独自のファストウォーキングしながらと、執筆するように変わりました。
よく「旅行先でも運動なされますか?」と聞かれることが多く、以前は「トラベル&ラン」と名打って、あちこちの街に行くたびに観光兼ねて走っていました。
しかし、今は走るのではなく、ファストウォーキングしながら、街を見たままま&感じたまま書くようになりまして、いわば「ライブ・ライティング&トレーニング」が日課です。
他ならぬこの原稿も東京の街をファストウォーキングしながら執筆しており(いま、北千住です!)、こうして歩きながら書いた原稿を最終的にはiPhoneやiPadなどで修正して1つの原稿に仕上げるのですが、音声入力は僕の執筆スタイルを大きく変え、場合によっては、脱キーボードどころか脱Macに至るかもしれないほど大きな端末革命ではないかと感じています。
かつて作家の村上春樹がランと執筆作業は、コインの表裏のような関係であると述べていましたが、この時代的にはコインの表裏は同時に存在する、ある意味、量子力学的執筆スタイルと言えるかもしれません。
かつてビート世代の作家たちが、タイプライターの登場と共に旅に出て、気の向くままに執筆してあたらしい文体を生み出したように、
歩いていると脳がリフレッシュされ続け、文体も変われば、書く内容も大きく異なります。
その上、執筆速度も相当速くなり、僕はキーボードを叩くのがそれなりに早い方だと自負しますが、まるでAIが容赦ない速度でテキストを生成するかのごとく、キーボードの数倍の速度で次々と原稿が生成されていきます。
世の中、プレゼンテーションやYouTubeなど自分が出てしゃべることがとても大切な時代になったと思いますが、全く違う形で話すことがそのまま換金できる時代になったと頓に感じています。
本来「執筆」とは、筆を執ること=手に筆を持って運用することですが、筆を使わないばかりか、「書く」ワケでもキーボードを叩くワケでもなく、ひたすら話して「iPhoneが書いている」現状は、果たして「執筆」と言えるのか、いまだわかりません。
書く=writeとは、もともと木や樹皮を傷つけて文字を彫るというラテン語が語源で、それゆえに日本でも「書く」という言葉は「掻く」に通じ、ハードディスクにも「書き込む」といいますので、正確には「iPhoneのRAMに書き込んでいる」とも言えます。
近年、新しいデバイスが登場すると、スペックがどうの、速度がどうのといった議論が散見される中、本来は新しいディバイスに合わせてライフスタイルや仕事の仕方も変えなければなりませんが、多くのユーザーたちは単に効率だけを追い求め、自分を変える様子が伺えません。
通りがかりに入ったカフェで、コンピュータを広げ、慌ただしくキーボードを叩く人を見ると、どこか懐かしい感じを覚えます。
確かにiOS16以前の僕もそうでした。
人はアップデートするものだと、早歩きしながら実感する今週です。
そろそろ春を感じます。
東京と二度ほど気温が違う館林は、乾いた風が吹くと体感で五度ほど低く感じます。
群馬の冬といえば「からっ風」が有名で、これは気流が山を越える時に温度と気圧が下がることで、空気中の水分が雪や雨となって降り、そのため山を越えた風は乾燥して強く吹きます。
群馬のからっ風は別名「赤城おろし」と呼ばれ、これが実に寒いというか痛い!
この冷たい風の中、館林を闊歩して執筆するのは、それこそ身が引き締まる想いです。
普段だったら3冊も同時に執筆するなら、どこかの街に出向き、いわゆる「カンヅメ」になって一歩も出ずホテルでずっと執筆しなければなりませんが、先日お伝えしたように執筆スタイルが歩きながら書くスタイルに変わったことによって、今ではすっかり「カンヅメ」のまったく逆。
つまり、部屋にこもらず、どの街にいてもどんな天候でも、ひたすら歩きながら書くようになりました。
ここ数年、東京は丸の内や銀座界隈を根城にしておりまして、晴れてる日には人形町あたりまで歩き、雨の日でも地下道を通り歌舞伎座あたりから日比谷を回って、丸の内を抜けて東京駅まで行く数キロ程度の地下道は全天候仕様で快適ですが、館林はそうもいきません。
執筆もいよいよロケの時代になったように感じるほどで、撮影同様、執筆のためのアウトドアウェアを事前準備する必要がありあす。
また、毎年冬はトレーニングも行っていまして、今年は単に歩くだけでなく、ウェイトの代わりに両手に水を持って歩くようになり、これを「縄文式トレーニング」と名付けました。
今から約8000年前、家を持たなかった縄文人は地面に浅い穴を掘り、柱を立ててススキやカヤで屋根を葺いた竪穴住居で暮らしはじめました。
土器を作り、それで炊事をするようになったため、日々の生活には良い水が必要不可欠でした。
そこで清流の近くに住居を作り、水汲みには竹、アシ、フジ、アケビなどの植物のつるで編んだかごの上からウルシを塗り固めた容器を使用します。
こうして、川から水を運ぶことが縄文人の日課となり、最大の労働だったのです。
確かに、木の実を拾ったり猪を捕まえたりもしましたが、それは日課ではありません。
人間にとって、空気の次に大切な水の確保こそが彼ら最重要事項であり、毎日、川から集落まで水を汲み上げて運んでいたため、館林を流れる鶴生田川周辺に縄文集落が点在しました。
また、日々の水汲み重労働が彼らの僧帽筋が極端に発達していたことも近年の科学的分析から明らかになっています。
この縄文人の日課から着想を得て「縄文式トレーニング」と名付け、日々コンビニで水を買って早歩きするようにしていますが、それなりに重いとプラスティックバッグが手に食い込むため、ちょっとしたカバーも持ち歩くようになりました。
おそらく運動不足と言われる現代人でも、縄文人同様、水を持って早歩きする程度で健康維持は十分だと実感してしており、それより大股で深く歩き、ハムストリングスや梨状筋に効かせるフォームが重要です。
そこでコアに筋力を取り戻したら、縄文時代から江戸時代まで引き継がれていた、疲れず、背中や肩が固まらない「飛脚走り」を場面で取り入れます。
江戸日本橋から京都まで三日間で走り切った飛脚は、ケトン体質だったことと「靴」が日本に入る前の歩き方や走り方だったフォームに秘密がありました。
近年、「ナンバ走り」などとも呼ばれていますが、「気」をまわしながら走る特有のフォーム(と考え方)で、確かに疲れません。
フォームを整えた「執筆ウォーキング」と「縄文式トレーニング」。
この組み合わせを用いれば、作家特有、いや現代人特有の肩こりや腱鞘炎に悩まされなくなってきて、スタンドデスク以上の効果を実感しています。
冬から春に移り変わるいま、最新のテクノロジーと太古に戻ったような身体性の融合は一種の「MR」(Mixed Reality)なのではないか、都会と山間部の間にある街で考える今週です。
しかし「赤城おろし」は、寒いですね・・・.
現在、全国各地域特性を出すために特産品を際立てようとしていまして、館林では「小麦」をブランディングに活用しています。
もともと江戸時代には館林藩が置かれ城下町として栄えたこの街は、当時から小麦の生産地として有名でしたが、特に明治時代以降に品種改良が進み、小麦の生産量が増加したことから小麦生産の一大拠点となりました。
1984年になると、日清製粉が館林市に製粉工場を建設。この工場は関東地方で消費される小麦粉の主要な生産拠点のひとつまで成長し、いまや市の雇用や税収に大きく寄与する欠かせない存在となりました。
こうした歴史的背景のもと、館林市では小麦を地域の特産品として活用し、地域振興に役立てています。
駅前から「小麦のまち」と書かれたノボリが立ち並び、小麦を使った商品開発や小麦関連のツーリズムなどが行われ、町中うどん屋や和菓子屋ばかり。
正直、なかなか食べるものが見つかりません、、、。
カナダでは全土をあげてグルテンフリーに取り組んでいると言っても過言ではなく、欧州でもその傾向が顕著です。
世界的な潮流を無視した町おこしは、果たして功を奏すのか見届けたいところです。
さて、ここ数週間お伝えしている音声入力による執筆に関するお問い合わせが止まりません。
こればかりは、実際に体験して頂くしか無いのですが、今週はもう一歩進んで、音声入力を使った英語原書の新しい読書方法についてお話ししたいと思います。
近年、Kindleは米国発売と同時に原書が購入できるようになりましたが、読みたくてもなかなか読み進めることができず、邦訳を待つしかないとお考えの方がかなりいらっしゃると思います。
特に医学関連の書籍は特別なワードが多く、都度辞書を引くのも大変で、その上、大半の書籍はいつまで経っても邦訳されることはありません。
また、KIndleはコピー制限機能がついているため、一冊丸ごとDeepLのような翻訳アプリに貼り付けることもできません。
そこで、KIndle購入後、Amazon Alexaに音読してもらい、それをそのまま音声入力して一冊丸ごと書き写します。
そのテキスト原稿を翻訳したり、場合によってはAIに要約してもらって概要を理解し、必要だったらじっくり冒頭から読みはじめればいいのです。
この方法だと1日に何冊もの原書や論文に目を通すことができ、いつまで経っても出るか出ないかわからない邦訳を待つ必要がありません。
ただし、Amazon Alexaの一冊まるまるの音読は、リアルタイムの物理時間を要します。
そこで、日中の不在時に自室でその作業をマシンーマシン間で行なえば、帰宅後、最新書籍の翻訳が毎晩出来上がっています!
実はKindleアプリの音読みは稚拙で、音声入力が上手くいきません。
その点、Alexaは流暢に読み上げますので、完璧ではありませんがそれなりに音声入力が上手くいき、その後、ClaudeなどのAIに要約&翻訳して貰えば概要が理解できます。
もちろん、オーディブルで出版されていれば、それでも可能です。
これは無駄に寝ていた少し前の機種を有効活用する方法でもあります。
この様相は、誰もいない無人の部屋にてデジタルディバイス同士が会話するようなシュールな近未来的光景に思えてなりません。
そのうち、原書を読みながらAIが自分の意見も織り交ぜて話すようになるんでしょうね、「個人的には」などと宣いながら。
機会ありましたら、お試しを。
10年前にはそれなりに繁華街だった場所も、シャッターが目立つようになりました。
これにはいくつもの理由があると思いますが、ひとつは2000年の「大規模小売店舗法」廃止によって小売店の商業活動が守られなくなり、大型ショッピングセンターが全国各地に林立したことによって、駅周辺が必ずしも繁華街の機能を持ち合わせなくなったことです。
この点が欧州と日本の決定的なまちづくりの違いであり、欧州では1970年代に大型店などの郊外出店の加速によって街が空洞化した反省に立ち、いまでは大型店の進出にたいする規制を強化して街に活気が戻りました。
また、人々が夜の街へ戻って来ていません。
データを見るとコロナ以前の人出の60%前後まで回復したと言われていますが、20時を前後するとインバウンドばかりが目立ち、体感では30%前後しか戻ってないのだろうなと感じます。
在宅勤務が常態化した企業も多く、いまだ会食を禁止している団体もあるようで、世界に類を見ないマスク着用率の高さを見ても、日本はいまだコロナ禍にあるとも言え、もはやこれが「ニューノーマル」なのかもしれません。
今週移動を続ける太平洋沿岸部は、かつてどの街も海や川を起点にした水上交通を中心に街づくりが行われていましたが、都市交通網が発展して「郊外」という概念が生まれました。
郊外とは「都市の外側にある地区、その中でも特に住宅地区」という英国オックスフォード辞典の定義のように、川から離れ、鉄道に導かれるよう「沿線」へと人口移動が起き、あたらしい街(ニュータウン)が誕生します。
近かった「住」「職」も分離され、誰でも車を持てるようになり、飲食からスーツまで、全国各地のロードサイドに店が立ち並ぶようになりました。
ところが、少し前まで車を持っていなければ不便だった場所が、ライドシェアなどのオンラインサービスによって車を所有する必要もなくなり、そうするとわざわざロードサイド店に行かず、可能な限りオンラインで生活するようになります。
半年ほど前、岡山県内に初のAmazon独自配送拠点が設置されたことで、このエリアも多くの商品が夜9時の注文で翌日配達されるようになりました。
こうなると中心地にあるターミナル駅はおろか、沿線駅前やロードサイドにすら出向かなくなっていきます。
現在、米国主要都市では、金融緩和の影響で都心だけではなく郊外の地価も著しく上がっているため、「郊外のさらに外側にある地区」へと移住する人たちが急増しています。
日本のマンション価格相場を見ますと、東京の郊外と言われていた立川などの沿線都市の住宅価格が、この二年で平均で1億円近くまで跳ね上がり、これから住居を購入するのは現実的ではありません。
こうした現状を鑑みても、いままでの生活が破綻に向かっていると言わざるを得ません。
米国で起きたように、住む場所にたいする考え方を抜本的に変える人たちが急増し、仕事を二つ以上持つ時代に突入しています。
高齢化により、通いやすいなどの「働くため」より「快適に住むこと」に重きが置かれ、Amazonが早く届くなら、もはやそこは「あたらしい郊外」です。
海や川を中心とした街づくりから、ターミナル駅がハブになっていた時代に移り、それがいま終わろうとしているんだな、と、太平洋沿岸都市をまわって感じます。
どの街も小さな公園に咲く桜がとても綺麗ですが、駅前同様、「街」という概念は、これから10年で大きく変わるでしょう。
すっかり気候も春めいてきて、 例年ならいち早く海外に出る時期ですが、今年はヘルスケアサービスの立ち上げもあって東京で多くの時間を過ごしています。
ただし、理由はこれだけではありません。
過去20年にわたって、僕は物価が安く面白い街に移り住んできました。
今からちょうど15年前にバルセロナへ移住したときには、体感で物価が東京の半分から三分の一程度で、銀座のような一等地にあるホテルで朝食をとっても500円もしませんでしたが、現在は3000円をはるかに超えています。
同じように、この1年で世界中の友人たちが安価な東京に訪れるようになりました。
実際、僕も毎週のように海外から来た友人たちと東京で会い、彼らは口々になぜ東京はこれほど安いのか!と話します。
実際に東京へ移住しようと考えている人たちも少なくなく、すでに数ヶ月デジタルノマドとして短期移住してる人たちもそれなりにいます。
特に荒廃しつつある米国西海岸や英国から数ヶ月滞在する人たちが多く、生活費や家賃が高騰したサンフランシスコやロンドンで暮らすより、同じ質を担保しながら日本で暮らす方がはるかに安いのは事実です。
今月から日本政府も約50カ国・地域の年収1000万円以上を対象に滞在期間を6ヶ月以内に限定した「デジタルノマド」ビザ制度を開始しました。
僕の友人たちも応募しようと目論んでいる人たちが相当数います。
世界最大の旅行プラットフォーム「トリップアドバイザー」が今年1月に発表した「2024 トラベラーズチョイス ベスト・オブ・ザ・ベスト 観光地」では、東京が「注目の観光地」世界1位。
街を歩くとパンデミック前のアジア人ばかりの状況とは明らかに異なり、いわゆる欧米人が増えています。
ある意味、東京が本当のグローバル都市になったと感慨深く思うと同時に、確かに為替安と物価安はこの国の価値を毀損し、明らかに価格と内容が不釣り合いであり、また、世界的な成長からは完全に外れてしまったことを考えると、少し複雑な気持ちです。
現在、旅行者から見るとバンコクやジャカルタより安く、マニラより東京は安価なのです。
また、世界最大の飲食軒数を誇ることもあって食のコストパフォーマンスも高く、一方、ヴィーガンの店やグルテンフリーの店は、東京ではほとんど見られないと友人たちは悲しそうに話します。
そこで、本当にグローバル化したかどうかをみる指標として世界の金融都市ランキングを参考にすると、残念ながら東京の価値は圏外だとわかります。
労働時間は世界一長く、効率性は他国同様ながら労働者が従順なため、いつまで経っても給与が上がりません。
つまり、日本は遊んだり住むには最高だけど、働くのは割りに合わない街だということがよくわかります。
海外から東京へ遊びに来た友人たちと、少し散りはじめた花見をしながら変わりゆく東京を感じます。
この街は、良くも悪くも5年前とは違うのです。
昨年3月、タイム誌の「世界の最も素晴らしい場所50選」に日本では京都と並んで名古屋が選ばれ、市長や知事が歓喜の声をあげるほど地元では大騒ぎになりました。
なぜなら、日本の代表的都市の中でもっとも魅力に乏しい都市として2回連続選ばれた負の歴史があり、東京、横浜、大阪に次ぐ日本第四の都市ながらも、文化都市とも経済都市ともいえない中途半端な位置付けでした。
今週、名古屋市の都心部・栄で新たなランドマークとして期待されている「中日ビル」が開業。グランドオープンは長蛇の列で、日々大盛況です。
ただし、テナント・リーシングを見ると「リトルトーキョー」に思えてなりません。
中日ドラゴンズのキャラクター「ドアラ」がウロウロしている以外、床に自虐的とも思えるエビフライ模様がありましたが、ローカルらしさはほとんど見当たらず、正直「あたらしいのに内向き」な印象が否めません。
事実、インバウンドは東京、京都、大阪のゴールデンルート上にありながら、名古屋に魅力を感じて宿泊する人たちが極端に少なく、街を歩いても銀座や原宿のようなインバウンドばかりの場所は見当たりません。
その上、リニア中央新幹線が開業すると品川─名古屋間は約40分で移動できるため、10年も経たないうちに首都圏に組み込まれていくのは間違いなく、品川から見ると「横浜の少し先」あたりに体感上の名古屋が存在する印象になるように思えます。
そうなると、中部地方の意識的消滅を意味します。
中日、つまり中部日本は、日本列島の中央に位置することから東西のいいとこどりできる地の利によって、モノづくりとビジネスのバランスに長けていました。
名古屋の既得権は、長い間「五摂家」=松坂屋、中部電力、東邦ガス、名鉄、東海銀行でしたが、いまは見る影もなく、トヨタは三河ゆえ「五摂家」には入れません。
ところがバブル経済が崩壊し、銀行再編や自由化によって電力とガスが対立するようになって、「五摂家」は事実上崩壊します。
この間、国鉄分割民営化により東海道新幹線を引き継いだJR東海や、尾張に出てこないゆえ「三河モンロー主義」と呼ばれたトヨタが名古屋駅前に大進出。
現在は「新御三家」と呼ばれるトヨタ自動車、JR東海、中部電力が中心となって名古屋駅を中心に開発を進めてきましたが、栄の利権の多くはいまも「五摂家」が握っており、旧勢力と新興勢力(外様)の溝、もしくは尾張と三河の溝が埋まらず、「名古屋」という街を自ら定義できていないように見受けられます。
それゆえ、観光戦略含めたブランディングが大きく欠如しているのです。
今週、栄にオープンした中日ビルのオーナーは中日新聞社であり、江戸時代には尾張藩(名古屋藩)の家老を務めた白川家が強い権限を持っていました。
旧中日ビルは1966年に中部地方最大級のビルとして誕生。
中日劇場など文化の発信拠点となり、半世紀にわたり栄のランドマークとして親しまれましたが、名古屋駅周辺では2000年ごろからJRセントラルタワーズやミッドランドスクエアなど高層ビルが続々と誕生して一大商業地へと変貌。
岐阜県や三重県からのアクセスも良く、18年には名駅地区の百貨店売上高が栄地区をついに抜きます。
つまり、新しく開業した尾張旧勢力による中日ビルが競い合っているのは、三河勢を中心とした新興勢力による名古屋駅前の開発ゆえ、外に目を向ける気配がありません。
果たして、栄も名駅周辺も含む「大名古屋」の未来は「ジャイアント・トーキョー」の一端になるのか?
それとも尾張と三河が一致団結し、「新名古屋」を形成するのか?
もしくは、域内の力関係をいつまでも争うのか?
答えが出るまでに十年もかからないだろうな、と名古屋の街並みを歩き考える今週です。
どうもこの街の内向き加減と村社会は、日本の未来を暗示しているように思えてなりません。
毎年春になって太陽光が降り注ぎ始めた頃、今年の撮影で使うカメラテストを行なっています。
ラージセンサーと呼ばれるハッセルブラッドなどの中判カメラから、ここ数年、動画機として愛用しているソニーのα1、そしてライカQ3やリコーのGRlllなど、センサーの大きさに限らず、あらゆるカメラをテストして今年使う機材をを選びます。
まるで古い友人と再会するかのように、カメラたちと対話しながら今年の旅相棒を選ぶ、そんな特別な時間なのですが、
今回は例年とは違う新しい仲間がこのカメラテストに参加することになりました。
それが、初めて加わったスマートフォンです。
朝から日が沈むまで、1日かけてあらゆるシーンを撮影するのですが、その結果は驚くべきものでした。
静止画のクオリティーでは、圧倒的にラージセンサーと呼ばれるハッセルブラッドとライカレンズ(アポ50mm)の組み合わせが優れており、動画撮影ではSONYのα1と純正のGマスターレンズの組み合わせが卓越していました。
この結果は、この二年ほど変わることなく、揺るぎないものとなっています。
堅牢性では、ライカQシリーズに及ぶものはありません。
しかし、コンパクト機部門では、これまで王者の座にあったリコーGRlllやSONYのRXシリーズを押さえて、なんと「Xiaomi14 Ultra」が最も美しい絵を描き出したのです。
これは、まさに驚きの結果でした!
ラージセンサーによる静止画の優位性やオートフォーカスを含めた動画性能は、それなりに事前からハッセルブラッドやソニーが有利だろうと予測していましたが、近年のスマートフォン、特に中国製のスマートフォンには目を見張るべき機能が搭載されています。
センサーもiPhone等より大きな1インチセンサーを積んでいることから明らかに画質が良くなって、ついにスマートフォンの小さなレンズに物理的な可変絞りが搭載されるようになりました。
これもSONYが新しく開発した1型センサー「LYT-900」ならではです。
長年バックアップ用のコンパクトカメラとして、ソニーのRX100シリーズやリコーのGRシリーズを使ってきましたが、一年半ほど前に画素が増えてRAWも撮れるようになったことから、広角に関してはiPhoneで充分ではないかと考えるようになり、実際、自著でも多用しています。
ところが広角のみならず、1インチセンサーを積んだことによってスマートフォンでもセンサーの真ん中部分を切り出した35ミリや50ミリなどの写真でもかなりの絵を描くようになりました。
また近年、「ポートレートモード」と言われる人工的にボケをつける機能が各スマートフォンに搭載されてきましたが、実際それが使えるかと言うとまだまだ怪しいところがありました。
しかし、「Xiaomi14 Ultra」ではかなり自然にボケを人工的に作れるように進化しています。
これはLiDARセンサーの大きな進歩と画像エンジンのマッチングがうまくいっている証拠であり、ここ数年お話ししておりますように、あと4~5年もすれば静止画も動画も一部のプロはスマートフォンをメインにするのではないかと予測しています
ただし、「Xiaomi14Ultra」に搭載されている「プロモード」設定で、露出やシャッタースピードなどを手動で切り替えなければ良い絵になりません。
この辺は一般的なコンデジと同じで、単にオートで撮るのも構わないのですが、もう少し追い込んで自分でマニュアル設定した方が良い絵が取れるのは明らかです。
また、「Xiaomi14Ultra」はライカが監修しているだけあって、カラーレンダリングが極めて秀逸ですが、またまだ処理速度が追いつかずに小さい画素じゃなければ記録できません。
ところが、この数年でAIアプリケーションが急速に進化したことによって、多少画素が小さくてもAIが拡大し、最終的なアガリが見分けがつかない綺麗な仕上がりになります。
どこかで、いままでのスマートフォンで一番いい写真を描いたZeissのアポレンズを搭載した「VIVO x100v」と「Xiaomi14Ultra」を対決させたいと思っています。
正直、スマートフォンの動画性能はまだまだですが、静止画に関してはかなり「カメラ」を凌駕するようになってきたと感じています。
今回、テスト撮影に立ち会ったカメラマンも驚愕すると同時に、僕も含め、各々自分の身の振り方を考える1日になりました。
単にスマートフォンの進化だけでなく中国の開発能力に驚嘆し、韓国の先行きさえ考えてしまった今年のテスト撮影。
カメラに限らず、価値観含め5年すればいまの世界はまったく違う世界に変わるんだろうな、と強く実感する今週です。
Sweetest day of May!
春の陽気に誘われて、5月に入ってからも世界中から友人たちが続々と日本を訪れています。
彼らにとって、ゴールデンウィークという日本独特の長期休暇の概念は馴染みがなく、友人たちは日本各地の観光地を巡りながら「なぜ日本はどこもこんなに人で溢れているんだ!」と驚きを隠せません。
実は、ゴールデンウィークという言葉はもともとマーケティング用語として生まれたもので、戦後、国民の祝日に関する法律(祝日法)の施行により、映画会社が「ゴールデンウィーク」というキャンペーンを展開しました。
これが正月映画やお盆映画を上回る興行成績を記録したため、宣伝用語としての活用が本格的にはじまります。
その後、日本旅行協会が5月の大型連休を「ゴールデンウィーク」と銘打ったキャンペーンを大々的に行い、この名称が広く定着していきました。
このような謂れから、NHKでは宣伝用語を避ける方針のため、放送時には原則として「(春の)大型連休」という表現で統一しています。
そんな中、海外の友人たちから都心部でどこかガイドブックに載っていないかつソーシャルにもあまり上がってない日本らしいところへ連れてってほしいと懇願されまして、6年ぶりに本社大神輿が渡御した烏森神社例大祭にお連れしました。これが、大好評!
その夜、御礼もかねて招かれた都内有名レストランに行くと、両脇のテーブルはいわゆる「パパ活」だと思われる人たちで、友人たちから説明を求められました。
そこで僕は、「君たちと同じ一種のノマド」だと話しました。
なぜなら「自分の技能を活かして場所に縛られずに仕事をする人々」だからです。
その夜目撃したのは、たぶん以前なら店や組織に属していた人たちなのでしょうが、いまではフリーランサーとして、中には僕の友人たち同様海外まで出張って「世界中を旅しながら働く」というライフスタイルを送っている人もいるかもしれません。
現在、世界にはデジタルノマドが5000万人近くおり、さらに今後3~4年で倍増すると予測されています。
A Brother Abroad社が2021年に実施した調査によると、デジタルノマドの経済効果は全世界で約116兆円に達しており、いまや「デジタルノマド経済圏」と言っても過言ではありません。
この突如として生まれた「デジタルノマド経済圏」を狙って、彼らを自国に誘致する動きが世界で急増しています。
デジタルノマドビザ発給国は、2021年2月時点では21カ国でしたが、わずか二年で58カ国と3倍近くに増え、さらに手厚くする動きが顕著です。
日本も他ではありません。
スペインでは、若い世代のデジタルノマド誘致に1世帯あたり3,000ユーロを支援する取り組みや、出産1人につき、さらに3,000ユーロを支給。
スイスでは田舎移住者に約300万円が支給されるなど、高齢化、過疎化に悩む地域課題解決への一助として、デジタルノマド誘致に力を入れています。
もしかしたら、日本の過疎化した地域の救世主になる可能性もあります。
年代別では30歳代のデジタルネイティブが半数を占め、20歳代と40歳代がそれぞれ約2割で、男女比はほぼ半数。
全体の31.5%がフルタイムで企業に雇用されていますが、およそ7割はフリーランスです。
僕の友人たちを見ていると、みなさんリモートワークで朝4時間ほど集中して働き(午前5時から9時ごろまで)、その後1日を楽しく過ごすようなライフスタイルを送っています。
職種は、ライター、プログラマー、デザイナー、DJ、ミュージシャン、ビデオエディター、コンサルタント、専門性の高い弁護士、アナリスト、栄養トレーナーなどですが、二つ以上の職種を掛け合わせている人も少なくありません。
先日、ドイツからきた友人は、金融業界で働きながらミュージシャンとしてもそれなりに活躍しています。
Decentralizedは、意思決定や制御、権限などが中央の単一の主体に集中せず、ネットワーク上の多くの参加者やノードに分散している状態や構造を表す言葉で、僕がよく言う「分散」です。
現在、社会が不均衡なのは既得権による中央集権化の制度疲労に大きな問題があります。
インターネットが単一の中央サーバーに依存するのではなく、多数のノードが対等に接続され、データや処理が分散されているネットワーク構造で構築されているように、社会システムも単一の中央管理者が存在するのではなく、多数の参加者が協調して動作するシステムに移りかわらねばなりません。
これらを鑑みると、二つ以上の場所に住み二つ以上の仕事をするのは、これからの時代の必然になり、そうなるとゴールデンウィークのような皆で同じ時に休むこもとなくなり、行楽地や都心部が大混雑することもなくなります。
新時代のノマドの台頭は、固定された場所で決められた時間に働くという常識が覆され、より多くの人たちが個人の自由と自己実現が重視される時代へと移行しつつあることを予測します。
しかも、この変化は単なるライフスタイルの多様化にとどまりません。
およそ50年前にヒッピーが唱えた環境問題などが、現在世界的なトピックとなったように、Decentralizedの概念は、政治や経済、文化など、社会のあらゆる意思決定プロセスの分散化や多様な価値観の共存など、十年後には世界中で当たり前になっているかもしれません。
果たしてヒッピー以来、最大の対抗文化であるデジタルノマドは社会や経済のあり方そのものを問い直す契機となるのでしょうか?
それにしても不思議な気候です。
3月のような日と7月のような日が同じ週に繰り返されています。
何事も乗り換え時は、混乱するものです。
最近、食事について多くの質問をいただいておりまして、また、以前お伝えした夏と冬とで体重を変えている件につきましてもご関心をお持ちの方が多くいらっしゃいます。
確かに、夏が近づくと体重やスタイルが気になりますよね。
でも、それだけではありません。
夏と冬では、人間が本来持っている遺伝子の発現によっても体型を変化させなければなりません。
簡単に言えば、冬は脂肪がないと寒くて耐えられず風邪などをひいてしまいますが、逆に夏はその脂肪が邪魔になり、体内に熱がこもってしまい、熱中症の原因になりかねません。
冬に体脂肪が増えるのは、体温を保持するための生理的な適応反応です。寒冷環境下では、体温を維持するためにエネルギー消費量が増加し、そのエネルギー源として体脂肪が蓄積されていきます。
また、寒冷ストレスは交感神経系を活性化させ、脂肪分解を抑制し、脂肪蓄積を促進します。
一方、夏は暑熱環境下で体温が上昇しやすいため、体脂肪を減らすことで熱放散を促し、体温上昇を防がなければなりません。
また、暑熱ストレスは副交感神経系を優位にし、脂肪分解を促進します。これらの生理的変化により、夏は体脂肪が減少しやすくなるのです。
そこで、僕の具体的な数値は、夏の体重が49キロ前後、冬は52キロ前後で、体脂肪率は夏が9%、冬は12%程度を維持しています。
また年中、血糖値(グルコース)は80-90mg/dl、ケトン値は6-8mmo/lの間をキープするようにしており、基本的には血糖値を落としすぎず、ケトン値を高めるように心がけています。
これは、脳や体に安定したエネルギー供給を行うためで、血糖値が低すぎると脳のエネルギー不足から集中力の低下や気分の変調を招きかねません。
一方、ケトン体は脳のエネルギー源として有効であり、ケトン値を適度に高めることで、脳の機能をフル活用することができ、直感力が冴え渡るのです。
また、僕が考える「夏」の定義ですが、芒種(ぼうしゅ)をひとつのはじまりの目安にしており、現在多くの人たちが使用しているグレゴリオ暦だと6月5日から6日前後にあたり、これはバルセロナで言われる「5月40日までは春」(6月10日から夏)の例えとも通じるものがあり、このあたりから北半球各地で夏が本格的にはじまります!
芒種の「芒」は、イネ科植物の穂先のとがった部分を指し、「種」は種まきを意味します。
つまり、稲などの穀物の芒が育ち、種まきの時期を示すことから、この時期は稲の栽培に適した気温と湿度になって、田植えも本格的に始まるタイミングなのです。
古くから日本でも6月1日を衣替えとしており、古代中国では陰陽五行説に基づいて、季節ごとに衣服の色や素材を変える「更衣」の習慣がありました。
この習慣は、エアコンがない時代の季節の変化に適応し、健康を維持するのが目的でした。
ちなみに、夏の風物詩と言われるウナギですが、実は天然のウナギがもっとも美味しいのもこの時期です。
よく、物の本には冬のウナギは脂が乗ってて美味い!と書かれていますが、冬のウナギは寒いこともあって身が硬くなってしまい、天然なら5月から6月が圧倒的に美味しい!
こうして衣替えや天然の産物から夏を実感し、再び昼と夜の長さが等しくなる9月23日頃の秋分までを「夏」と考え、そのあたりから食生活を少しづつ変えて冬支度(=体脂肪を増やすの)をはじめます。
当然、摂取するサプリメントも異なります。
春先からビタミンDは飲まなくなり、かわりにミネラルを多く摂取するなど、季節と自分の体質(SNPs)にあわせることも大切です。
自分では自覚なくとも季節性情動障害(SAD)に陥り、気分のムラや集中力低下、エネルギー不足、過眠含む睡眠障害などが起き、これらの大半の問題は一つ前の季節と同じような服を着ていたり、同じような食べ物を食べていたりすることで発症します。
季節性情動障害は、特定の季節に症状が現れる気分障害の一種で、主な症状は、抑うつ気分、興味や喜びの喪失、エネルギー不足、過眠、体重増加などが見られます。
SADの原因は十分に解明されていませんが、セロトニンやメラトニンなどの神経伝達物質の不均衡が関与していると考えられているため、この時期は少しだけ強くなった太陽光を浴びることで、季節が変わったことを脳と体に教えなければなりません。
紫外線を避け、エアコンのなかで暮らしていると、脳と体は季節変わりを理解できなくなってしまうものです。
つまり、いつも以上に外へ出るのが正しい!(できれば、カメラなどを持って)。
季節の変化に適応することは、健康を維持する上で非常に重要です。
夏と冬では体組成や代謝、ホルモンバランスなどが変化し、それに合わせて生活習慣を調整する必要があります。
特に、食事、サプリメント、運動、睡眠、ストレス管理などは、季節に応じて適切に変えることが求められるのです。
今年ももうじき本格的な夏がやってきます。
なにかを変えるなら、今ですよ!
いよいよ五年ぶりの開催となる読者感謝祭も近づいて参りました。
残念ながら当選に漏れてしまった方々から多数のご質問を頂戴しておりまして、なかでも多くお問い合わせいただいているのが、当日限定商品だけでも購入できないかというお尋ねです。
そこで、ポップアップショップ・オープンは16:00~し、どなたでもご購入いただけるようにいたしました。
(完全キャッシュレス対応となります!)
当日は、恒例のNEXTRAVELER TOOLSショップが1日限りオープンし、大ヒット商品「DAILY COIN AND CARD HOLDER」の進化版「MULTIWAY WALLET」先行発売や、先日発売してご好評いただいた「MULTIWAY TRAVEL BLIEF No.1~No.8」を当日限定で受注します。
僕は5リットルのNo.3で世界一周の旅路に出るようになりましたが、サイズ感を確認したいというお問い合わせを多数頂戴しまして、この機に全サイズ展示することにしました。
他にも好評を博したメリノウールのロンTや折りたためるトラベルキャップなど、旅行シーズン前の準備に欠かせない逸品をご用意いたしました。
NEXTRAVELER BOOKSからは、6月に発売予定の『観光大国スペインに見る、オーバーツーリズムの現在と未来』、『和牛3.0 -人と牛の共生が拓く、自然と文明の新しい関係-』、2冊の書籍をどこよりも早くお届けいたします!
また、今回はじめてサプリメントを販売いたします。
同じサプリメントばかり飲んでいると耐性がついてしまうことから、米国製のサプリメントのオルタナティブとなる製品を五年がかりで開発しました。
スコール金沢の故浦田理事長の設計と意思を引き継ぎ、日本人の体質にあったマルチビタミンやお子様の口でもお召し上がりいただきやすいサイズのフィッシュオイル、亜鉛やビタミンD3などを揃えました。
さらに、いままでにない高含有量のクロロフィルだけを使用した「超八重山クロレラ」や酸化を抑制するための不純物が一切ない国産の「クエン酸」、良質なスリランカ産MCTオイルから、消化吸収が早く喉が痛くなりにくいカプリル酸(C8)を抽出した「C8オイル」(小分け5ml)なども販売いたします。
また、僕自身が世界中の農場をまわって見つけたシングルオリジンのアーモンドを、この日限り先行発売します。
実はアーモンドにはいくつもの種類があるのですが、この世の99.9%のナッツは、ごちゃ混ぜにして販売されています。
そこで、南イタリアの天日干し製法で作られたアーモンドの中でもっとも油分が高いジェンコ種だけを抽出した「ケトジェニック・ブースター・アーモンド」を初披露します。
味は、沖縄屋我地島の塩を使った「ソルト」「ペッパー」、グアテマラ・インヘルト農園のシングルオリジンを使った「コーヒー」の3種です。
そして、長年のリサーチと研究の末に行き着いた医師が監修するメディカルグレードの濃厚「CBD」も販売いたします。
一般的に販売されているCBDは、サティバ種やインディカ種などのストレインをわけることなく、雑多なままで製品化しています。
そこで、過緊張が続き、呼吸が浅い人のための「DAY SATIVA」(集中力爆あがりです!)と、睡眠効果抜群の「NIGHT INDICA」(睡眠力爆あがりです!)を先行発売します。
また、当日は8weeks.ai提携クリニックの医師や看護師などの医療関係者スタッフも皆さまをお待ちしています。
特に「がん」は、時間との戦いです。
そこで、「超早期がん検査」を準備をいたしました。
受診したい方は、当日直接ご相談くださいませ。
この検査に限り、8weeks.aiサービス開始前に先行で受付いたします。
およそ5年ぶりとなる本イベントですが、実にこの間、社会の様子は大きく変わりました。
しかし、今後10から15年で世界はもっと大きく変わると予測します。
思い起こせばスマートフォンが登場してからわずか15年。
この間世界は大きく変わりましたが、パンデミックあれど、 各国の大量のマネープリンティングにより、問題を先送りにして難を逃れてきました。
ただし、大きな反動とも思われる副作用はこれからやってきます。
また、数字教と僕が言う株価至上主義経済の中で、日々我々が口にする食品の品質が著しく落ちています。
当然それらの「毒」は、徐々に我々の体を蝕み、病気とは言わないまでも、不調が続きます。
個人でもお仕事でも悩みの99.9%を占めるヒト、カネ、健康。
コミュニケーションの変容と、マネープリンティングの行く末、そして自分自身で自分の健康を守らねば、生きていけなくなる社会。
このような世の中でこれからどのように生きていくのが良いのか?
昨年30カ国以上、世界を巡った実体験を合わせて皆様にお話ししたいと思っております。
来週火曜日、久しぶりに皆さまとお目にかかれるのを、楽しみにしております!
(問題は、これから作る当日の資料が間に合うかどうかなのですが、、、)
今週はラスベガスにいます。
昨年も春に訪れましたが、この一年で明らかにホームレスの数が増加しています。
改めて数字を見ますと、2年前に対して40%もホームレスが増えており、警察が路上で物乞いしているのを撤去する姿を頻繁に見かけるようになりました。
ここまでホームレスが増えたのは、30年以上にわたってラスベガスを見てきた僕から見ても異様に思える光景です。
2023年1月に実施された南ネバダのホームレス人口調査(ポイント・イン・タイムカウント)では、ラスベガスで約一万人のホームレスが確認され、今年に入っても驚くべきスピードで急増していると報告されています。
現在、ホームレス人口の約60%が屋外や車両、砂漠、テントなどの非住宅環境に住んでおり、支援施設満員で収容できるキャパはもうありません。
また、女性や高齢者のホームレスが増加し、55歳以上の成人が全体の約33%を占めていますが、若年層ホームレスも急増中です。
この背景には、金融緩和の影響で家賃が急騰し、経済的困難に陥った人々が次々と路上に放り出されたことが挙げられます。
特にパンデミック中の家賃の平均増加額は安価なネバダ州でも500ドルに達し、支払い困難による退去者が続出しました。
果たして、これはラスベガスの影なのか、それとも米国の未来なのでしょうか?
さて、今週は昨年も参加した機能性医学総会に出席しています。
機能性医学(Functional Medicine)とは、身体全体のシステムのバランスと機能に着目し、個々の患者の健康問題の根本原因を特定して治療する先進的医療アプローチで、いまも毎年アップデートが続いています。
本年の主なトピックは、以下の通り。
1. 遺伝子情報の活用
遺伝子解析を用いて、各個人の遺伝的特徴に基づいた治療計画を策定し、特定の疾患に対するリスク評価や最適な治療法の選定を可能にします。
また、遺伝子の発現を制御するエピジェネティクスの研究が進むことで、環境やライフスタイルが遺伝子に与える影響を理解し、個別の治療アプローチをさらに精密化しています。
2. マイクロバイオームの徹底研究
腸内フローラ(マイクロバイオーム)が全身の健康に与える影響をあらゆる角度から研究し、そのバランスを改善することで、消化器疾患だけでなく、精神的健康や免疫機能の向上も目指します。
3. デジタルヘルスとテレメディスン
ウェアラブルデバイスやスマートフォンアプリを使用して、患者の健康データをリアルタイムでモニタリングし、治療効果の最適化を図ります。
4. ライフスタイル医学
食事、運動、睡眠、ストレス管理など、生活習慣全般の改善を通じて、慢性疾患の予防と治療を目指します。ここには最新の時間栄養学も含まれます。
5. 再生医療と細胞療法
幹細胞やその他の再生医療技術を用いて、損傷した組織や臓器の修復を目指します。
6. 環境医学
住環境や職場環境、日常的に接触する化学物質が健康に与える影響を評価し、環境改善を通じて健康を最適化します。
これらのアプローチは、より効果的で個別化された治療を提供するための重要な要素で、いよいよ高度医療はパーソナルの時代に本格的に入ったと実感するところです。
今回発表された最新の知見は、先日発表した8weeks.aiにも取り入れたいと思います。
しかし、それにしても暑い。
日々37度を超えています・・・。(シアトルは9度だったのですが)
この街には、「5月40日から夏になる」という古くからの言い伝えがあります。
これはスペイン語の「Hasta el cuarenta de mayo no te quites el sayo」という格言に由来しており、直訳すると「5月40日までは上着を脱がないでください」という意味になります。
つまり、「6月10日まではまだ寒い日があるかもしれないので、油断せずに暖かい服を着ておくべきだ」という、季節の変わり目に風邪などをひかないよう注意を促す、古き良き教えがいまも伝えられているのです。
確かに今週のバルセロナの気候は、完全な夏というより季節の移り変わりの時期という言葉がふさわしく、日々、太陽光も強く20度前後と過ごしやすいのですが、夜になると突然肌寒くなり、日中は上着の必要がなくても朝晩Tシャツだけでは寒さ募ります。
しかし、そのような事情を知らない観光客は、夕方の寒空に目抜き通りを軽装で闊歩しており、一方、地元の人たちは決まって上着を手に持ったり羽織ったりする人たちばかりですので、面白いようにローカルかどうか服装でわかります。
ちなみに、つい先日まで滞在していたラスベガスの気温は日中42度を超えていましたので、この気温差は時差ボケ以上に堪えています・・・。
先日の読者感謝祭でもお伝えしましたように、人はサイクルの中で生きていると言うよりも、サイクルに縛られて生きていると行った方が正確かもしれません。
毎年訪れる季節もそうですが、人間の体には1日のリズム(概日リズム)、月のリズム、ホルモンのリズムなど様々な生物学的リズムが存在し、これらのリズムは、食事や運動、ホルモンの分泌など、私たちの生理機能に大きな影響を与えています。
中でも重要なのが、概日リズム(サーカディアンリズム)です。
地球上のほとんどの生物は、24時間周期の明暗サイクルに適応しながら進化してきました。
光は目から入り、脳を介して体内時計をリセットし、リズムが狂わないように調整して健康状態を保っています。
概日リズムが乱れると、心身の不調につながり、例えばシフトワークや時差ボケによる体内時計の乱れは、肥満やがん、うつ病のリスクを高め、夜型の生活習慣は、精神疾患、糖尿病、心血管疾患との関連が指摘されています。
今週のように季節の変化も見逃せません。
季節によって日照時間や気温が変化することで人間の体は大きな影響を受け、冬の間は、体を温めるためにエネルギー消費量が増加しますが、逆に夏は暑さのストレスによって食欲が減退することがあり、こうした季節変動はホルモンバランスや代謝にも意識せずとも大きな影響を及ぼします。
また、月のリズムと聞くと、どこか神秘的な印象を持つ方も多いかもしれませんが、月の満ち欠けが生物の行動や生理機能に影響を与えることは、科学的にも証明されています。
特に、女性の月経周期と月のサイクルの関係は興味深いテーマで、排卵日が満月の頃に集中することや、月経痛の程度が月の満ち欠けによって変化することが報告されており、僕が今まで何十人と見て着床率100%に至った不妊治療も、まず第一に人間らしいリズムを取り戻すことから始めています。
さらに、ホルモンのリズムも心身の状態を大きく左右します。
コルチゾールは朝高く夜低いリズムを刻み、成長ホルモンは夜間に分泌のピークを迎え、女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンは、月経周期に合わせて変動します。
このようなホルモンのリズムが乱れると、ストレス耐性の低下や免疫力の低下、不眠など、様々な不調につながるのです。
こうした生物学的リズムは、互いに影響し合いながら社会の巧妙なネットワークを形成しており、いわゆる人間関係の不和も各人のリズムが狂ってしまってコミュニケーションが取れなくなる場合がほとんどです。
つまり、意識しようがしまいが人間は文字通り「サイクルやリズムに縛られた存在」なのは間違いありません。
それゆえ、各人も社会も健康で充実した日々を送るためには、これらのサイクルやリズムを理解し、できる限り自然に沿った生活を心がけることが大切です。
そのためには、どこの国にいても同じ時間に起き、朝日を浴びて体内時計をリセットし、夜に作られたメラトニンを抑制してセロトニンを促進してビタミンDの合成をはじめることを心がける必要があるはずです。
それゆえ、例えどんなに眠くとも、バルセロナ滞在時には自分をリセットするために朝5時半に誰もいないランブラス通りを歩くようにしています。
今年も暑い夏がやってきます!
どうか、その前に衣服に限らず心身のリセットを。
今週は、沖縄本島中部にいます。
早くも梅雨入りし、グズついた天気が続く沖縄ですが、観光客はそれなりに戻ってきており、どのホテルも他国の観光地同様混雑しています。
ただし、沖縄は他の地域では見られない現象が起きています。
それは、新型コロナ感染拡大を防ぐため、各地でマスク着用のアナウンスが頻繁に聞こえることです!
確かに新型コロナは夏になると感染者が増えますが、それは日本だけの傾向ではなく世界どの地域でも同じです。
特に観光地は春先から多くの人がやってきて、その影響もあって新型コロナウィルスが感染拡大する傾向が見て取れます。
沖縄も他ではありません。
ここ数年、沖縄県の新型コロナウィルス感染拡大ピークは6月前半、つまり今の時期であり、今回お話を伺った県内の医師によれば、ゴールデンウィークに他県や海外から多くの観光客が沖縄に訪れ、それによって感染拡大するので、感染ピークが毎年この時期になると言うことでした。
だからといって、マスク着用をパブリックアナウンスすることが正しいとは限りません。
いまや、コロナと共に生きる事は世界中の常識となっており、また、オミクロン波の第一波以降、マスクが効果がないことは科学的にも明らかです。
しかし、ここ沖縄ではローカルテレビでも公共交通機関に乗る場合は、マスクをつけるようにと頻繁に注意が促されています。
まるで数年前に逆戻りしたようなタイムスリップ感を得るほどですが、県内各地でマスク着用を多言語で公共的にアナウンスしており、それを聞いた海外ゲストは混乱している様子が見受けられます。
いったい、この状況はいつまで続くのでしょうか?
どこか時制が狂ったように感じるほどです。
さて、今回はもともと長寿県だったのに、あっという間に転落した沖縄の光と影について調査に参りました。
1975年の統計以来、沖縄の平均寿命は女性が全国第1位とトップを維持し、男性も85年には1位と、一貫して上位を守り続けてきました。
1995年になると大田昌秀知事(当時)が「世界長寿地域宣言」を出し、メディアはこぞって伝統的な食事、温暖な気候、おおらかな県民性など、「沖縄の長寿の秘訣」を探りました。
ところが21世紀に入ると状況は一変します。
男性が26位と大幅に後退し、後を追うように女性はトップを長野県に譲って3位となってしまいました。
さらには65歳未満(30~64歳)、いわゆる働き盛り世代の死亡率は男性でワースト5位、女性も同じくワースト4位と、現在の健康状態が非常に厳しい状況にあることが伺い知れます。
なぜこのような事態に陥ってしまったのでしょうか?
一般的には食生活の欧米化と言われていますが、実は沖縄は日本で初めてファーストフードができた地域でもあります。
一般的に日本初のファーストフード店は1971年にできた銀座のマクドナルドだと言われていますが、その10年ほど前、米国の占領下にあった沖縄ではファストフード店が誕生しています。
それとともに肥満が増え、健診の数値も悪化していったことが明らかになっており、つまり沖縄は日本人の健康の先行きを占う「炭鉱のカナリア」とも言える存在なのです。
かつて沖縄は、世界に五つある長寿地域のブルーゾーンだと言われてきました。
ブルーゾーンとは、世界で特に長寿な人々が多く住んでいる地域のことを指し、イタリアのサルデーニャ島、日本の沖縄、ギリシャのイカリア島、コスタリカのニコヤ半島、アメリカのロマリンダなどが知られていますが、沖縄は既に過去の話になりつつあります。
ただし、ブルーゾーンの実態は、世界遺産同様な認証ビジネスの側面も強く、全てを鵜呑みにできるものではありません。
一般的に長寿の秘密を追った研究や書籍は多数存在しますが、もともと長寿だった場所があっという間に短命地域へと陥落する様を描いた書籍はほぼ見当たりません。
それゆえ、今回調査に訪れたわけですが、沖縄県民の健康状態が著しく悪化する様を改めて実感しています。
こうなると絶滅危惧種同様、ブルーゾーンではなくレッドゾーンではないのでしょうか?
どちらにしろ問題ですね、沖縄県だけに限らず日本人の食生活は。
マスク着用をいまだにアナウンスするのと同様、食品スポンサーが多数を占めるマスメディアの功罪は、とても大きいと心底思う今週の沖縄です。
ここ1~2年で急速に進化した音声入力とApple Vision Proによる空間コンピューティングによって、僕の「執筆」や「クリエイティブ」スタイルは全く違う次元へと昇華しつつあります。
このメールマガジンも、音声入力とApple Vision Proを使って書いておりまして、当初はカフェなどでApple Vision Proを装着するのに抵抗ありましたが、いまではすっかり周囲の奇異な目にも慣れ、歩行時にはiPhoneで音声入力。
その後、店などに入ってApple Vision Proを装着するか、iPadで仕上げるようになりました。
そして来週6月28日、いよいよ日本でもApple Vision Proが発売になりますが、売れている様子はまったくありません。
価格の問題も大変大きいのでしょうが、それ以上にこのデバイスをどのように使っていいのかわからない人たちが大半だからだと思われます。
以前も何度かお話し申し上げましたが、この数ヶ月、Apple Vision Proを徹底的に使って感じたのは、なによりPro Display XDRの代わりになることでした。
いままで写真の現像を行ったり、動画の編集をする上で、大型ディスプレイは印刷クオリティーの確認や劇場の仕上がりを見る上で絶対的に必要でしたが、実はこの大型ディスプレイこそ、僕が所有しているすべてのモノの中で最も大きい製品でした(自転車を除く)。
32インチのPro Display XDRは重さ7キロ程度あり、それ以前のマスターモニターと呼ばれる20kg超、数百万円の業務モニターを代替する製品として愛用してきましたが、持ち歩くのが不便だったので専用ケースを自分で作ったり、海外ロケなどに持ち出したりして五年ほど愛用してきました。
ところがAppleVision Proが登場したことにより、32インチのPro Display XDRを持ち出す必要がなくなったのです!
この視覚革命とも言うべき空間コンピューティングによって、いつでもどこでも大きなビジョンを見ながら映画の試写や印刷解像度に耐えうる写真現像をすることができるようになったのは、僕にとって「脱大型モニター」を意味します。
価格から考えても五年落ちのPro Display XDR売却した価格に少し足せば、Apple Vision Proは購入可能です。
ただし、視力に与える影響は不明ですが。
また、VR空間でのゲームなども面白いのですが、個人的に遊戯具として最もApple Vision Pro活用しているのは、こちらも以前から使用しているDJソフト「DJay」です。
Vision OSは、基本的にiPadOSと極めて近いため、そのまま移植するアプリケーションがほとんどですが、「DJay」は全く違います。
VR空間上にDJブースが再現され、またダンスフロアも現れます。
これが実に面白い!
パンデミック以降、大きな空間でDJする機会もめっきり少なくなりましたが、この空間コンピューティングDJは実に新しい感覚で、つい先日もオールでプレイしてしまいました・・・。
正直、アプリケーションとしてはまだまだで、現場で使えるほどではないと思いますが、今後発売されるであろうVision OS対応コントローラー含め、この先に何か新しいカルチャーがあると感じています。
現段階では、数人の宇宙人がダンスフロアで踊る程度ですが、そのうち多くのクラウドがVR空間の中に登場し、良いDJだったら盛り上がる、イマイチなDJだったら盛り下がる評価機能がどこかで搭載されると思われます。
おそらくDJだけではなく、一般的な音楽ソフトもしくはAIで作られた楽曲をVR空間内のクラウドの前で流すことによって、その曲が実際にどれくらいウケるのか、事前にシミュレーションすることもできるようになるでしょう。
映画も同じです。
もうすでに実装されているVR空間の中の映画館に観客を入れて試写を行い、この映画のどこのシーンが問題かクラウドが判定し(実際はAIが判定し)、それによって編集精度を高めて完成するような映画の作り方に変わると思われます。
こう考えると、現段階のApple Vision Proは、いわゆるVRゴーグルではなく、ヘッドマウンド型ディスプレイに過ぎません。
正直、大型ディスプレイの代替以外に、どうしても「これだ!」と唸る使い方もアプリケーションも見つかりませんが、思い起こせば初代Macintoshも当初は多くの人たちから同様に見られていました。
1980年代中盤、Apple Computer社がリリースしたパーソナル・コンピュータ「Macintosh」は、「なんでも出来る」と言われるても、多くの人たちにとってどのように使っていいものかわからない、「幸せな混乱」を投じた逸品でした。
ロクに表計算もできなければ、パワーポイントのようなスライドも作れず、ちょっとしたカード型データベースがある程度で、現在のApple Vision Proが大型モニター代わりなのと同じように、当時はタイプライター代わりぐらいしか使えないと揶揄されていました。
その上、価格も驚くほど高額でした。
その後、20年以上かかって「ポケットに入るMacintosh」と呼ばれたiPhoneへとつながるのです。
果たして、20年後のApple Vision Proは、どのような製品になっているのでしょうか?
iPhone(とのちのAirPods)が「耳」にもっとも近かった電話や音楽プレイヤーを飲み込んだように、Apple Vision Proが「目」にもっとも近いあらゆるモニターからメガネまで凌駕する世界。
もし、普及すればテレビはさらに斜陽になると考えます。
ちなみに、次は「口」でしょうね。
その布石が、音声入力とOpen AIとの提携でしょうから。
どちらにしろ、「脱物理キーボード」です!
先日出版した近著「観光大国スペインに見る、オーバーツーリズムの現在と未来 」でもお伝えしましたように、オーバーツーリズムの問題は、地元の一部既得権者と行政の歪み(時には癒着)が生み出したと言っても過言ではなく、同様の問題が京都でも起きています。
今週、世界遺産・仁和寺(京都市右京区)の門前で、ホテル建設を市が特例で許可したのは景観や住環境を害しており、建築基準法に違反しているとして、周辺住民らが市などを相手取り、許可などの取り消しを求めて京都地裁に提訴しました。
本件に限りませんが、多くの観光都市ではさらなる観光客を入れたいと考える一部の既得権益を持つ者(建設業者から役人まで)と、逆に観光によって生活が脅かされている地域住民の戦いが勃発。
仁和寺隣接ホテル予定地は世界遺産の周辺環境保護のために設ける「バッファゾーン」(緩衝地帯)内にあり、建設計画は地域の魅力を生かしたホテルの開業を促す市の「上質宿泊施設誘致制度」に選ばれたとされていますが、そもそもこの選択基準が出来レースではないかと地元では騒がれています。
テーマパークの門前にホテルが立つのと同様、観光地は次々とテーマパーク化され、世界中の歴史ある場所に高級ホテルが林立し、徐々に様相が変わっています。
果たして京都もますますテーマパークへと向かうのでしょうか?
さて、今週は京都で開催されている「日米癌合同会議」に急遽参加しています。
と申しますのも、友人知人たちの超早期がん検査の結果を聞くと、驚くほど陽性率が高く、中には擬陽性を疑うものもありますが、状況は数年前と明らかに異なりハイスピードで癌のステージが進行している様子が見受けられます。
この結果に僕も医療関係者も大変驚いており、最新の知見と治療法を日本と米国の関係者からお話を伺っておりますが、ほとんどの専門家は癌になった後の研究に従事しており、一体なぜこれほどまで癌が増えているのかに言及する人たちは、滅多にいらっしゃいません。
正直真偽は不明なところはありますが、先進国、いわゆる欧米の食生活が東アジア人に合ってない事は諸々の調査でも明らかになっており、このミスマッチが癌を始めとする多くの疾病を呼び起こしていると理解ある医療従事者たちは見ています。
一般的に糖質は癌の餌になると言われますが、何より糖質は体を冷やします。
冷静に考えればわかると思いますが、さとうきびは暑い地方の産物です。
南国の果物も同じく、大半の暑い地方の産物や夏野菜は体を冷やすのに適しており、また東アジア人は体質(遺伝子)的に過度な糖質に向いていません。
ところが街中のあらゆる食品には糖質が過度に含まれており、これが体を冷やして、癌から不妊まで多くの疾病の温床になっているのです。
例えば、夏バテや熱中症対策として街中でよく見る経口補水液は、癌罹患者の健康状態を悪化させる「不都合な真実」を持ち合わせています(内緒ですけど)。
また、トランス脂肪酸と小麦の組み合わせも見逃せません。
米国や欧州の大半の地域で発売禁止となっているトランス脂肪酸は、発癌のリスクを高め、免疫機能の低下やアレルギー疾患の増加、心筋梗塞などの冠動脈疾患が増加することが判明していますが、日本では様々な理由をつけて野放し同然です。
そこで、癌を倒すのに効果的な、βヒドロキシ酪酸を各人が高めなければなりません。
抗がん作用が極めて有用と、Nature誌をはじめ、βヒドロキシ酪酸の抗がん効果がインパクトファクター値(学術論文誌としての信頼度)の高い論文が多数出ていますが、なぜか、先進国で唯一癌が増え続ける日本では標準治療(golden standard therapy)に組み込まれていません。
βヒドロキシ酪酸は、何度もお伝えしますようにケトン体質に変えることによって体内で生成されますが、これを阻むのも糖質です。
しかし、個別に食事指導する手間暇や日本では医師で栄養を習わないこと、国民皆保険の対象外などもあって、食事療法が日本の医療機関では提供されていません。
京都でふらりと入った和食屋で煮物を頼むと甘さ(とフリースタイルリブレのスパイク!)に驚きますが、よくよくお聞きすれば大量の砂糖をぶちこんで煮出しているとのこと。
出汁を丁寧にとって、砂糖や塩をほとんどつかわずに素材の風味を活かして作られる料理は、手間がかかるうえに味のインパクトが弱いので、京都では高級料亭でも同じく砂糖たっぷりなんですよ、とのお話しでした。
オーバーツーリズムで変わってしまった京都同様、オーバー糖質で変わりゆく日本の和食。
欧米諸国では、和食が健康であるという認識はすでに過去の話で、いまや地中海料理にその座を奪われています。
観光客には制限をかけられても、和食の糖化には制限がかけられないだろうな、と思う今週です。
正直、京都の和食は年々甘く感じます。
この時期の北海道は、梅雨の悪天候に悩まされることもなく、また猛暑に苦しむこともない、大変過ごしやすい季節です。
現在、札幌はニセコや美瑛などの北海道観光の玄関口として多くの観光客が訪れ、心地よい夏休みも雪を楽しめる冬休みも、交通機関や宿泊施設が大混雑するオーバーツーリズム状態にあります。
そこで先週、札幌市は2026年4月の導入を目指す「宿泊税」の概要案を公開しました。
これによりますと、宿泊費が5万円未満に200円、5万円以上に500円の宿泊税を課すとしていて、税収は年間およそ27.5億円を見込み、これを原資に宿泊施設や公共交通のバリアフリー化や、オーバーツーリズム対策に使うことを想定しています。
しかし、近著「観光大国スペインに見る、オーバーツーリズムの現在と未来」でもお伝えしましたように、宿泊税や観光税の導入は問題の解決に至りません。
観光税や宿泊税はその名のとおり観光客から徴収する税金であり、税収は観光地のインフラ整備などに使われる建前になっていますので、オーバーツーリズム対策のひとつの答えであることは確かです。
しかし、バルセロナは2012年にヨーロッパの中でも高い水準の観光税や宿泊税を導入しましたが、結局は観光プロモーションに使われたため、かえって観光客を増やす結果になりました。
本来、観光税や宿泊税を徴収するのであれば、市民の生活レベルの向上に使うべきなのでしょうが、そうはなってはいない現実があり、単に地域政府が増税で潤うだけになるのは先駆地域の教えです。
しかもホテル代に加算される観光税や宿泊税には致命的な問題があります。
それは、「宿泊しない観光客に課税できない」点です。
ホテルに宿泊した日数に応じて宿泊税や観光税がかかるわけですから、たとえばクルーズ船でやってきて四時間程度で港を出て行く観光客には税金をかけられませんし、ニセコなどに向かうために札幌市内に宿泊しない観光客も大多数います。
その上、新しい税システムを導入することで、むしろ観光業者に手間やコストが増えて、必ず中間業者が跋扈し、新たな観光利権が生まれます。
ここ数週間「世界の俯瞰図」や自著でお伝えしているように、オーバーツーリズムと移民問題は同梱です。
いま、世界一の観光大国フランスで起きていることを見ればわかると思いますが、オーバーツーリズムが行き着く馴れの果ては、新しい保守主義や極右政権を生み出すのが歴史の教えです。
もはや観光客依存に陥りつつある日本各地の地方都市。
その行き着く先は、気がつくとフランス同様になるのだろうなと考える今週です。
どちらにしろ2周遅れです。
今週は東京にいます。
夏の早朝のランはこの上なく爽快で、さわやかな1日の好スタートに最適です、と言いたいところですが、朝5時過ぎに走り出しても驚くほど湿度が高く、とても快適とは言えません。
東京は気候変動真っ只中にあると感じますが、実はいまだにCO2が温暖化を促進しているという科学的根拠は極めて希薄です。
国連気候変動パネル(IPCC)が行っているシミュレーションを見ると、パラメーターを変えることでいくらでも実測値に合わせられますので、「シミュレーションと一致するから問題は二酸化炭素」など言い切れるわけがありません。
果たして、これを科学やエビデンスがあるというには無理があります。
当然、二酸化炭素を削減できたところで温暖化が止まるのかどうかも不明で、各国が掲げる2050年の目標値は、都合の良い「シミュレーション」上でも温暖化が止まりません。
以前より自著でも何度も申し上げておりますように、現在の気候変動は宇宙サイクルに基づく気候変動であり、過去1000年間に3度繰り返された温暖化と同じで、太陽活動の変化による影響が多大です。
地球は周期的に温度変化するサイクルがあり、ここ数年地球全体で見る限りは、むしろ寒冷化しており、南極大陸の氷も増加しています。
ではいったい、この茹だるような暑さは単なる宇宙サイクルの影響だけなのでしょうか?
この一ヶ月、沖縄や北海道に訪れた体感からも理解できるところですが、東京より赤道に近い沖縄のほうが涼しい現状や、北海道でも札幌周辺の気温が爆上がりしているのを鑑みますと、温暖化と言うより不快な夏の主犯は、高層化したビルが海風を遮り、水蒸気によってヒートアイランド効果の影響が大きいと考えます。
ヒートアイランド現象(都市熱島現象、Heat Island Effect)とは、都市部の気温が周辺の郊外や農村部よりも高くなる現象を指し、変わりゆく街の風景を見ればわかりますが、高層ビルが密集することで風の通り道が遮られ、熱がこもりやすくなります。
また、ビルの表面や道路のアスファルトやコンクリートは太陽の熱を吸収しやすく、夜間にその熱を放出するため、必然的に気温が高くなります。
それゆえ、夜間も暑い日々が続くのです。
さらに、車両の排気ガス、工場の稼働、冷暖房設備など、都市では多くの人工熱源が存在し、一方、緑地や森林が減少して自然の冷却効果も失われます。
こうして、蒸発散作用(植物の蒸散と土壌や水面からの蒸発)が減少し、熱源が昼夜問わず二重三重に都心部を襲っています。
数値を見ても人口1000人以下の気温観測点はCO2と連動しておらず、都市化していない観測点では、気温の変化が無いか下降気味です。
つまり、気候変動を本気で止めるなら、都会化や開発、そして交通量そのものを制限して人口を分散させるしかないのでしょうが、そのような為政者にとって「不都合な真実」が取り上げられることはありません。
世界でヒートアイランドによって気温が急速にあがっているニューヨーク、上海、ムンバイなどを抑え、トップに君臨する東京。
NASAは、東京温暖化の理由を高密度な建物とアスファルトの道路が多く、緑地が限られているため蒸発散作用が不足し、人口密度が非常に高く、自動車や工場からの熱排出が多いのが原因と宇宙観測の観点から発表しています。
風をまったく感じなくなった夏の東京都心部。
変わりゆくのは気候ではなく、海風の防護壁のように聳え立つ摩天楼だと都内各地の工事を見て思う今週です。
パーソナルヘルスケアサービス「8weeks.ai」を立ち上げたこともありまして、今年は東京で多くの時間を過ごして読者の皆様にお会いしておりますが、この機会に自分の健康状態もさらなるバージョンアップしようと思い、年初から様々な人体実験を半年ほど続けております。
今週、眼科へ定期検診に訪れましたが、視力を検査したところ、もともと1.0と0.8だったのが両眼とも1.2まで上げることに成功しました!
この要因には様々な取り組みが効いたと思われますが、この半年で大きく取り入れたのはサイトカイン治療や幹細胞上清点滴を適宜行うことでした。
それ以前にも抗酸化や食事を徹底したり、Pro Display XDRを始めに目を悪くしない取り組みは続けておりましたが、この1年で大きく視力が回復したのは間違いなく再生医療だと思われます。
特に功を奏したのが、幹細胞上清点滴です。
この治療(別名「復活の呪文」)は、幹細胞が分泌する様々な成長因子やサイトカインを含む上清液を点滴で体内に投与する方法で、細胞の再生や修復を促進して全身の健康状態を改善することを目的とした、いわゆる「再生医療」です。
これを点滴以外にも点鼻、点眼、直接頭部などに注射することで、細胞の活性化、免疫機能の向上、抗炎症作用、組織修復の促進、老化抑制などに効果的です(数十万円かかりましたが)。
また、一般的に老化は見た目、つまり顔などのシワやシミを気にする方がほとんどですが、実は1番初めに老化するのは目であることは、あまり知られていません。
既にAI技術により目を検査するだけで多くの病気を発見することが可能な時代になりつつあり、逆に言えば目をしっかり保つことが病気にならない、もしくは老化しない鍵になるのも間違いありません(https://www.youtube.com/watch?v=ll5LY7wI_Xc&t=603s)。
心臓病専門医のエリック・トポルは、AIが目の状態を見ることで医師が気づかない病気を発見するのに役立つ素晴らしいツールになる可能性があると考え、網膜疾患に限らず、糖尿病管理、さらにはパーキンソン病の診断に成功した例をいくつか挙げています。
今後、AIは画像、医療記録、遺伝データなど、膨大な量の医療データを分析して人間の医師が見逃してしまう可能性のあるパターンを特定することができると、未来の医療の可能性を述べています。
こう考えると、再生医療とAIの組み合わせは、この時代の医療として無視できない存在どころか、絶対的なファーストチョイスになりつつあります。
保険診療で既得権を守る日本の医療システムではなかなか理解や浸透するのは難しいかもしれませんが、事実、僕の年齢相応とも言える緑内障も、大幅に眼圧が下がり、正常範囲に戻すことが出来ました。
同時に動体視力も大幅にアップ!
ただし、再生医療をはじめるには機序があります。
GLP-1もそうですが、まずは偏った栄養を整え、酸化を防止し、SIBOなどの問題をフィックスした後に行ったほうが、遥かに効果が高いことがわかっています(価格を抑えられます)。
その上、幹細胞上清点滴と言ってもピンキリで、僕自身が国内で多くのラボを回った結果、良い製品は2~3程度しかないと断言できます。
さらに、脂肪由来、歯髄由来、臍帯由来など多岐に渡り、症状やその人にあわせてミックスすることで効果が倍増するのも確かです。
AIと再生医療による検査と治療。
今後十年、医療は大きく二極化するのだろうな、と眼科検診を通じて身を以て実感する今週です。
まるでガラケーとスマホが似て非なるように。
今年もロンドンで「CanJam」が開催され、オーディオ愛好家や業界の専門家たちが集結しました。
毎年パークプラザ・ウェストミンスター・ブリッジで行われるこのイベントは、主にヘッドフォンの最新技術を一堂に集めた展示会で、未完成のプロトタイプの数多く出品されています。
「CanJam」は世界中で開催されているヘッドホンマニア垂線のイベントですが、日本はアニメなどの特殊事情もあって独自のヘッドフォン祭りが開催されており、少し世界のトレンドとは異なります。
年齢層に限らず世界中の高音質を求めるオーディオフィル・ヘッドフォンユーザーたちは、クラシックやジャズを聴く人たちが大半ですが、日本だとアニメソングを聴く人たちが高額なヘッドフォンのメインマーケットなため、明らかに相違があるのです。
そこで、定期的に海外のオーディオフェアに伺って、時代の潮流を掴むようにしています。
今回の「CanJam」には、日本でもお馴染みのSennheiser、STAX、Meze Audioなど、世界中のトップブランドが出展していましたが、同じメーカーでも明らかに出品ラインナップが異なります。
また、特殊事情の日本をパスしている見たことがないヘッドフォン、イヤホン、アンプ、デジタルオーディオプレーヤーも多数陳列されており、今年はイタリアのViva audio Egoistaのプロトタイプに注目が集まっていました。
合わせて最新の音響知識をベースにしたセミナーも開催。
その中でも話題になりましたが、聴く音楽ジャンルだけでなく、人種や言語によってもヘッドホンの好みが大きく分かれていると様々な研究データをもとに発表されていました。
例えば、日本語と英語では可聴範囲が異なるため、同じ音楽を聴いていても全員が同じように脳が聴こえているとは限りません。
可聴範囲は、人間が聞くことのできる音の周波数範囲を指し、一般的には20 Hzから20,000 Hzとされますが、個々の聴覚感度は年齢、遺伝、環境要因などによっても異なります。
また、言語の音韻構造の違いが、特定の周波数帯域に対する聴覚感度や音の認識に影響を与えることが分かっています。
英語と日本語はそれぞれ異なる音韻構造を持っているため、このあたりでも大きな乖離が見られます。
英語は複雑な母音システムと多くの子音クラスタを特徴とし、高周波成分(例:摩擦音)の使用が顕著ですが、一方、日本語は五つの基本母音と比較的シンプルな子音音素を持ち、中低周波成分が中心です。
今回発表された研究結果によれば、特定の周波数帯域に対する感度には明らかな違いが認められ、英語話者は高周波音に対して敏感であり、特に摩擦音(例:s音、f音)に対する感度が高く、一方、日本語話者は中低周波音(例:母音音素)に対する感度が高いため、これが音楽の聞こえ方に多大な影響を与えていることが示唆されました。
言語の音韻構造が聴覚感度に与える影響は、脳の聴覚処理における適応的変化に起因する可能性があり、特定の言語に日常的に接することで、その言語に特有の音韻パターンを識別する能力が発達します。
このため、英語話者は高周波成分に、日本語話者は中低周波成分に対する感度が高まると考えられ、ここに各国の音楽性の違いやヘッドホンに対する嗜好の違いが明確に現れます。
同じく音楽の聞こえ方に関する主観的評価では、英語話者は高音域の明瞭さを、日本語話者は中音域の豊かさを重視する傾向が見られ、この違いは、各国のミキシングやマスタリングのプロセスにも影響を与えているのです。
簡単に言い換えれば、中域あたりのまとまりを気にする日本人と、高域と低域が明確に感じられるドンシャリ・サウンドを好む英語圏の人たち。
この差を埋めて成功したのが、LAのコリアンタウンで醸造されたK-POPです。
半導体をはじめ、世界の工場を取り合うようなハートパワーによる競争的なグローバリゼーションではなく、ソフトパワーとも言うべきべ感性のグローバリゼーションが日本で起きるのは、まだまだ先になるだろうな、と最新のヘッドホンを聴きながら考える今週です。
何しろロサンゼルスのリトルトーキョーの人口3500人に対し、コリアンタウンは人口は10万人以上もいるのですから。
夏休みとも言うこともありまして、海外から多くの友人たちが東京を訪れ各地を案内していますが、皆さん日本の神道をなかなか理解できないんだと、毎夜のように痛感しています。
一般的に日本は世界から無宗教国だと思われていますが、多くの日本人の根底に流れるのは神道であり、これは全国初詣の参拝者数4000万人超を見ても紛れもない事実です。
初詣以外にも赤ん坊が生まれればお宮参りに神社へ出向き、地鎮祭や七五三、そして政治的にも一定の影響力を及ぼす存在で、広告キャンペーンによって定着したクリスマスと結婚式、墓地利権を握る仏教葬儀を除けば、神道の信仰は日本人の生活のなかに深く溶け込む民族宗教に他なりません。
日本で尋ねられる事は滅多にありませんが、海外では日常会話の中で「信仰する宗教は何か?」と聞かれることは頻繁にあります。
キリスト教やイスラム教、仏教のような世界宗教と違って、神道には開祖、もしくは教祖にあたるような人物がおらず、教義や偶像も教会もないので分かりづらく、また、他の宗教のように救いを与えるものも救済に結びつくこともありません。
その上、悟りのような目指すべきゴールもありませんので、来日しなければなかなか感じることができない、これこそ本当の日本「観光」なのです。
仏教なら普遍性があり、海外の仏教徒以外の人たちもそれがどういう宗教なのかある程度の理解できますが、形がない神道についてはほとんど理解されることはなく、日本に来たことのある海外ゲストで伊勢神宮や厳島神社などに訪れたことがあっても、神社と寺院の区別もついていない人たちが大半どころか9割以上なのが現実です。
神道では、八百万の神々がいると考えられ、この数から言っても神々はあらゆる自然の中に宿り、また死者の霊を尊ぶ文化とも深く関わります。
こうした多神教的な、あるいはアニミズム的な祭祀はかつては世界各地にありましたが、社会の近代化とともに宗教はグローバル化し、自然崇拝やそれに基づく神々は消え去りました。
一部、南北アメリカやアフリカの地域、またオセアニアのアボリジナル居住区などでは、ブードゥー教はじめアニミズムは「未開文明」と断罪され、現代社会から排除されてきました。
ところが、日本ではそのようなアニミズムや古代の神々の祭祀が、神道というかたちをとることによって生きのび、科学によって社会が近代化した現在も日本に深く根付いているのです。
これは、実に不思議な現象であり、真の日本の魅力です。
個人的には神仏融合のようなハイブリット宗教感こそ日本特有だと考えており、古代日本における自然崇拝や祖先崇拝を基盤とした神道に、仏教が6世紀頃に中国や朝鮮半島を経由して日本に伝来した際、対立よりも共存を選び習合したことに源流があると思われます。
これが「和」であり、日本の神々は仏教の守護神としても認識されるようになっていきました。
ところが、時の為政者が仏教を利用して既得権としたため、大化の改新から幕末まで神道は長い間封印されてきました。
その後、仏教から神道へと移り変わった宗教戦争としての側面もあった明治維新を経て、時の明治政府は神仏分離政策を実施し、多くの日本人のなかでは、自然崇拝も神道も仏教も「すべてミックスする独自の感覚」を覚えるようになるのです。
こうして、一神教の「超越するもの」とは違った、日本特有の「調和するもの」が、いまも根付きます。
日本でもっとも信者数を誇る浄土真宗より多い、自覚なき「ステルス神道信者」たち。
自意識なくとも、全てを飲み込む神仏習合こそ、日本の本質であり秘密なのだろうな、と考える今週です。
しかし、暑いですね。
シンガポール29度で東京40度は、もはや「暑い」を超えて、生活スタイルを改善しなければいけない注意報のように感じています。
マグネシウムをしっかり飲むのを、どうかお忘れなく。
先週41度と史上最高気温を叩き出したこの地域一帯は、内陸性気候、フェーン現象、都市化などの影響から、この5~6年は年々気温が高まり、毎年8月になると近隣の熊谷や桐生などと共に最高値を更新しています。
これからどこまで暑くなるか分かりませんが、ここまで暑いと個人的には米国のデスバレーを思い出さずにはいられません。
カリフォルニア州内陸部にあるデスバレーは、世界最高気温の場所として知られ、過去に56.7度という驚異的な気温が記録されています。
夏は日々50度超が常態化し、行くまで冗談だと思っていたのですが、本当に車のボンネットで目玉焼きを作ることができるので驚きました。
昨年訪れ、暑すぎて真夏のロケを諦めたイランも日々36度を超え、暑さ厳しいと言われる南インドも、この時期38度近くまで上がります。
また、海抜マイナス433メートルのイスラエルにある死海もあまりの暑さで倒れそうになったことがありますが、改めて調べると最高気温は40度ということで、こうなると佐野や熊谷と大差ありません。
つまり、いまの関東内陸部は「死海」と同じ気温であり、イランや南インドよりも気温が高いと認識を改める必要があります。
このままではデスバレー同様、人が住むのに適さない地域になりかねません。
一般的に人間にとって最も快適で健康に良い気温は18~24度とされており、この範囲では体温調節が容易で心臓や循環器系への負担が少なく、睡眠が快適になって生産性や生活の質が向上すると医学的見地から判明しています。
また、呼吸器系への負担が軽減され、肌や粘膜が乾燥しにくくなるのも、18~24度前後です。
この人にとって健康的であり快適な気温を保つのが、長年僕を魅了する「地中海性気候」です。
ドイツの気候学者ウラジミール・ペーター・ケッペンが、植生分布に注目して考案した「ケッペンの気候区分」による地中海性気候(Mediterranean climate)は、温帯気候の一種で、主に地中海沿岸地域で見られる気候パターンです。
乾燥した暑い夏と湿潤で温暖な冬が特徴で、この気候が数千年かけて人類と文明を育んできた揺るがない事実があります。
近年、健康効果が広く認知されてきた「地中海食」も、イタリア、ギリシャ、スペイン、南フランスなど地中海沿岸地域の伝統的な食事スタイルで、地域で獲れる新鮮な魚や野菜、果物がたっぷりと含まれ、パンやパスタには全粒穀物を使い、バターやラードの代わりにオリーブオイルが使用されるのが特徴です。
さらには、単なる食事法を超えて、ライフスタイルそのものも評価されていますが、ここには気候も含まれます。
つまり、地中海性気候とは、農業作物に限らずあらゆる生命にとって「健康的で発育が良い」気温を持つ地域なのです。
今から15年以上前に出版した自著「南国日本」でも指摘したように、気候が著しく変化すると、ライフスタイルも必然的に変革を迫られます。
例えば、夏の猛暑が日常となった地域では、スペインやイタリア南部で伝統的に行われているシエスタの導入が不可欠になるかもしれません。
日中の最も暑い時間帯に活動を控え、涼しい室内で休息を取ることで熱中症のリスクを軽減し、身体への負担を和らげることができるのは先人の知恵であり、今後、日本でもこうした対策なしでは、極端な暑さの中で健康的に生活を送ることは極めて困難になっていくと思われます。
また、自著で何度か言及しましたが、シンガポールの経済発展の裏には、エアコンの普及という重要な要因がありました。
年中高温多湿の気候下で、エアコンは単なる贅沢品ではなく、生命や生産性を維持するための必需品です。
しかし、その結果としてシンガポールの1人当たりのエネルギー消費量は世界第3位(カタール、ドバイに次ぐ)という驚異的な水準に達しています。
これは明らかにエアコンの過剰使用を示唆しており、環境への負荷という新たな問題を提起しています。
こうした状況を踏まえと、気候が明らかに「不自然」になってしまった地域に対して、人類はどのように向き合うべきでしょうか。
単にこれを「ニューノーマル」として受け入れ、エアコンに依存していくしかないのか。
それとも、南インドやイランのように、極端な暑さや豪雨による洪水といった厳しい環境条件に立ち向かっていくべきなのか。
あるいは、ライフスタイルを大幅に見直したり、各人が居住地そのものを再考する必要があるのでしょうか。
いま、お住まいの地域によっては、なにかを決断しなければならない大きな分岐点に差し掛かっているのではないか、と考える今週です。
日々デスバレー化する関東内陸部。
最近は、世界に類を見ない日傘をさす男性も増えてきました。
これももしかしたら「ニューノーマル」なのかもしれません。
去る8月18日に60歳になりました。
冷静に考えてもいままでかなり無茶苦茶な日々を送ってきたと思いますが、この歳まで大きな事故も逮捕されることもなく生きてこられたのは、なぜだろうかと、ふと考えることがあります。
こうして毎週お付き合いくださる多くの方々のご支援も多々あると存じますが、同時に60年も生きていると、世の中、どうにもならない場面に出くわします。
その時、どんなに周囲の支援があっても、また自分なりに目一杯抵抗しても思い通りにはならず、しかし、運命を受け入れるように「潮目」が変わるまで待っていると、必ず光の道が現れるのは実に不思議な経験です。
同時に、似たような境遇の人たちが「潮目」が変わるのを待てず、もしくは試練を受け入れられずに抵抗しながら潮に巻き込まれるか、流されてしまう場面を幾度となく見てきました。
人生は長い旅路で、その道のりは決して平坦ではなく、先が見えない上に地図がない山道を何度も大きく迂回しながら螺旋状に登っていくようなものです。
再び目の前に同じような光景が見えたとしても、そこは以前より少しだけ高度が上がった違う場所で、しかし、全貌や山頂が見えるまでには至りません。
日は暮れてくるし、食料も尽き、頂上までの距離どころか、自分の現在地もわかりません。
いや、頂上そのものがあるのか、どうかもわからないのです。
そんな時、自分を信じて前へ前へ進めるのか。
これを孔子は「道」と呼び、この「道」に従えるかどうかが、幾度となくやってくる人生の分岐点なのだろうと、いまだからこそ実感します。
60歳という年齢を孔子は「耳順」と称し、近年では「六十歳にして、人の言うことに逆らわず素直に聴けるようになる」と解釈されてきました。
しかし、この「耳順」の真の意味は、単に他者の意見に従順になることではなく、自分自身の内なる声に耳を傾け、深い理解を得ることにあると考えます。
人生という旅の本質は、外的な成功や物質的な豊かさを追求するのでなく、内的探求の旅にあり、自身の内なる声だけが唯一の羅針盤です。
生まれながらに決められている「どこか」へ到達するためには、それを手に入れられるかどうかにかかっていると言っても過言ではありません。
しかし、そう簡単に自分の内なる声を聞くことはできないものです。
40歳を迎えた時にも痛感しましたが、「不惑」になると自分の意思や価値観が確立されると言われでも、実際はなかなか実感できません。
僕自身の経験からも、また周囲を見渡しても「お金」や様々な「欲望」、そして「他者の情報」に囚われてしまい、自ら内的探求を妨げ、正しい未来への「道」を見失います。
その上、人によっては「俺」を自分勝手に高値付けし、自己中心的な欲求を増幅させ、真の自己理解や他者への共感を大きく妨げてしまうのです。
そこで、迷いを断つためにも、40歳になったら自分の時間や仕事の40%を誰かのためになることに使うと決意することを「不惑」と考え、実際にそのようにしてきました。
そして60歳のなったいま、自分の時間や仕事の60%を、誰かのためになる勉強や行動に移し、その道標としてさらなる「内なる声」に耳を傾けるようになりました。
この結果、顕在意識の数千倍大きいと言われる潜在意識をそれなりに活用できるようになってきたように感じています。
人には、誰しも生まれながらに正しい「道」を判断する能力「良知」があると言われます。
「良知」とは、人間が生まれながらにして持つ道徳的な直観、つまり善悪を直感的に判断できる生得的な知恵や本能であり、これは外部からの情報や学習を必要としません。
すべての人間が内的に備えているとされ、時には「理」とも呼ばれます。
また、古くから「知行合一」と言われ、正しい情報や知識は、それ自体が行動に直結し、知識を持ちながら行動しないのは真の知識ではないと考えられてきました。
60年の経験からお話ししても、道徳的な行動を伴わない情報や知識は不完全であり、正しい情報や知識は自然と道徳的な行動につながるものだと確信します。
つまるところ、自分の内なる声を聞き、そしてそれに従って毎日行動すること。
二十年前は日本にはない巨大クラブやフェス、レイブなど世界中を彷徨ってましたが(時には出演してましたが)、いまは日本で得ることができない知見と対話を求め、世界の医学会を巡るようになりました。
山は登ると気温の関係から途中で植物や環境が大きく変わりますが、まさに僕が今目の前に見える風景も、そのように大きく変化してきました。
果たして、この先にある風景、そして旅路はどのように変わっていくのでしょうか?
Life is a journey, not a destination.
まだまだ山頂は見えないのですが、どうかこれからも長きに渡って懲りずにお付き合いいただけましたら幸いです。
共に死なない程度に迷って、助け合いながら。
いよいよ9月2日(月)午前10時から、8weeks.ai第2次募集がはじまるため、準備に余念がない日々を過ごしています。
8weeks.aiは、血液検査や便検査を含む100項目に渡る個々のバイオマーカーを基にし、パーソナライズされた医療プログラムを提供するサービスで、血管年齢や副腎疲労と相関関係が高い握力などの測定も行い、専任の「医師やスペシャリスト」が、すべてのテスト結果とデータを基に、食事や環境の悪化で不調をきたす現代人が短期間で効果的に健康を改善できるように設計しました。
時を同じく8weeks.aiがサービスを発表した今年5月、全米最大の高級フィットネスジム「Equinox」は、栄養計画から睡眠指導まで、あらゆることを網羅したパーソナライズされた健康プログラム「オプティマイズ・バイ・エクイノックス(Optimize by Equinox)」を開始すると発表しました。
このプログラムは、筋力や可動域などの測定も行い、血液検査を含む100項目に渡るバイオマーカーの結果とデータを基に、専任の「コンシェルジュ」が会員の総合的な健康を向上させるためのカスタマイズされたプランを設計するというサービスで、全米で大きな話題となりました。
Equinox社長ジュリア・クライムは、「このプロジェクトは、フィットネスからより幅広いヘルスケアおよびウェルネス事業への拡大を目指すEquinoxの継続的な取り組みの大きな挑戦であり、データとコーチングプログラムを組み合わせた画期的なサービスです」と語っています。
この「オプティマイズ・バイ・エクイノックス」プログラムに参加する価格は最低6か月間、月額3000ドル(日本円でおよそ月額45万円)という高額な費用がかかりますが、8weeks.aiは、これと同等のサービスをおよそ20分の1の価格で提供することを目指しており、そのコストパフォーマンスの高さが最大の利点だと自負します。
この価格破壊の背景には、日本から米国へ検体を送る高額な検査を一蹴し、自社バイオラボを設立して、米国ラボより日本人にあった精度の高い検査を提供できるようにしたことや、良質なサプリメント製造まで一貫して自分たちで構築した賜物に他なりません。
冷静に考えれば理解できるところですが、価格だけに限らず、空輸で米国ラボに送られた検体は、保存状態から適切な結果が得ることができません。
これは僕自身が同じバイオロジカル検査を日本と米国で受診した際にも実感したところでもあります。
また、日本の栄養療法で跋扈する短時間で診察してしまう現状を憂い、8weeks.aiでは、必要なら他院の過去データもあわせみて、その人ひとりひとりに適切な指導をしっかりと行うのも特徴です。
各種データを分析するのにかなりの時間を要し、また、その結果を説明するのでも10分や15分でお伝えできるものではありません。このため、8weeks.aiではひとりひとりの解析とご説明に多くの時間を費やしている次第です。
現在、次世代の医療として「個別化医療」が叫ばれていますが、ビジネス的に見ればマニュアルに従って診断するコンベンショナル医療のほうが儲かるのは事実で、これだと多くの人がお悩みの不定愁訴は良くなりませんし、心身のバージョンアップには程遠い。
また、平均点ではない閾値の外れにいるような人たちは、いつまで経っても不調が続き、著名な大学病院へ何度も訪れても快調になることはないのが現状です。
僕は長年ご愛好頂いている読者の方々にお元気で活躍して欲しいと願ってやみません。
資産の多寡はさておいても、誰しも自分の通帳を自分で管理するように、自分の健康は自分でしっかりマネージメントしなければならない時代。
その一助となればと想いを馳せて8weeks.aiをはじめました。
第二シーズン、いよいよ開始です!
ご期待下さいませ。
日本全国不安定な天気が続きますが、先週もお伝えしましたように、日本の農業暦や伝統的な生活文化において「二百十日」(本年は8月31日)や「二百二十日」(本年は9月11日)は、特別な意味を持つ日として古くから知られています。
二百十日と二百二十日は、いずれも立春から数えてそれぞれ210日目と220日目に当たる日を指し、これらの日は古来から台風や災害がおきやすい特異日(実際は厄日)だと考えられてきました。
1923年9月1日に起こった関東大震災も「二百十日」の出来事です。
二百十日は、この日が台風襲来の時期と重なることから「風祭り」や「風鎮祭」といった風の神を鎮める祭りや、「八朔祭」などが各地で行われてきました。
農民たちは、「厄」が「大厄」にならないよう神に祈りを捧げ、この日を特別な日として過ごしてきたのです。
続く二百二十日は、二百十日からさらに10日後、つまり立春から220日目に当たります。
この日も台風や災害が多く発生する時期と考えられ、二百十日を起点に彼岸(本年は9月19日から9月25日)までは、災害に重々注意し、極力移動なども避けねばなりません。
また、台風や震災だけでなく、四方を海に囲まれた日本では潮も見極める必要があり、台風が発生すると強風や低気圧の影響で海水が陸地に押し寄せる「高潮」になります。
台風の勢力が強いほど(hPaが低いほど)高潮の規模も大きくなり、新月や満月の時期に発生する「大潮」だと月と太陽の引力が強まるため、海面が通常よりも高くなります。
つまり、台風と大潮が重なると高潮がさらに増し、沿岸部での浸水被害が深刻になるのです。
古来より、人類は「自然のリズム」に従い、生活のリズムを作り上げてきました。自然現象、季節の変化、月の満ち欠けなどは、人類が地球上で生きていくための「OS」とも言えるものです。
しかし、現代社会では、この自然のリズムを無視し、利便性や効率性を追求するあまり、多くの人たちが大切な自然のルールを忘れ去ってしまっているように見受けられます。
Googleカレンダーなどのデジタルツールは、人々の生活を効率化する一方で、自然とのつながりを切り離してしまい、これにより季節や自然現象に対する感受性が鈍くなって、自然災害への対応や準備も遅れてしまっています。
また、自然のリズムを無視した結果、精神的なバランスを崩し、多くの人たちがストレスや不安を感じやすくなるという側面が年々強くなっているのも否めません。
8weeks.aiを始めて、全員のデータを拝見し、実際に多くの方々ともお会いしましたが、不調を起こすスタート地点は、大半の方がバイオリズムを崩してしまうことにあると感じています。
その鍵を握るのが、交感神経と副交感神経のスイッチングです。
交感神経は、ストレスや緊急時に身体を「戦うか逃げるか」状態=昼に活発なのに対し、副交感神経はリラックスや休息を促進する「休息と消化」の状態=夜に優勢になります。
ところが、自然のサイクルを無視した結果、過緊張や生活の乱れ、慢性的なストレスや消化器系の障害、心血管系の問題、日光を避けて室内ばかりにいるなどにより、交感神経と副交感神経のスイッチングが崩れ、免疫機能が低下したり食いしばりや睡眠障害が引き起こされています。
こうして、「人間が持つ自然のリズム」も狂いはじめ、不定愁訴がはじまるのです。
現代社会において、健康を取り戻すためには、まずは自然のリズムを再認識することが重要です。
そのためには、農業暦や季節の節目を意識した生活を取り戻すことが求められます。
けっしてオーガニック食品を食べることではありません。
人類は、もし気候変動や環境の悪化を問題とするなら、二酸化炭素排出量ではなく、地球の「OS」としての自然を尊重し、抗うのではなくサイクルに従うことからはじめなければならないのだろうな、と考える今週です。
夜風も涼しく、暑さが随分と和らいできました。
どうか体調管理と「厄日」にご注意を。
今までになかったパーソナル・ヘルスケアサービス「8weeks.ai」をスタートしてから、もうじき三ヶ月が経とうとしています。
この間、多くの方々が採血等のためクリニックへお越しになり、その後、カウンセリングをお受けになられて、食事写真やヘルスケアデータなどもお送りいただきました。
現在、このお一人づつのデータを僕とスペシャリストたちが多角的に解析しておりまして、多くのクリニックでは見つかることがない問題をお伝えするようレポートに落とし込んでいます。
一般的に言われる不定愁訴には、疲労感、頭痛やめまい、食欲不振、胃腸の不快感、不安感、イライラ、睡眠障害などが挙げられますが、どんなに有名な大学病院に行っても保険診療の中では問題を見つけること、つまり病名をつけられないのが現状です。
なぜなら、多くの医療機関が見ているのは人ではなく疾病(保険診療に見合った病名)だからです。
実は、これら不調のスタートは、自律神経の乱れから生じています。
そこで、皆さんに送っていただきましたヘルスケアデータに基づき、僕なりの見方で自律神経、ひいてはストレスレベルに注視しています。
特に心拍数と心拍変動に注目し、例えばストレスフルな出来事(過度な仕事や人前に出るプレゼンテーション、そして良好とは言えない人間関係まで)に直面すると、心拍数は高まって心拍変動(HRV)は低くなります。
低いHRVは、慢性疾患や心理的問題のリスクを高め、心血管疾患、不安障害、うつ病などのリスクは、低HRVと明白な相関関係があると報告され、ストレスが持続すると交感神経の過剰な活動が心血管系に負担をかけるため、心疾患リスクが増加することも明らかになっています。
この病に至る過程で、疲労感、頭痛やめまい、食欲不振、胃腸の不快感、不安感、イライラ、睡眠障害などがはじまるのです。
これらの症状、いわばご自身の体の訴えを見逃してはいけません。
自律神経系は、交感神経と副交感神経のバランスによって制御されており、ストレスがかかると交感神経が優位に働き、HRVが低下します。
このメカニズムは、体が「闘争・逃走反応(fight or flight)」を起こし、自覚なくとも強いストレスを持つ人々は自律神経系を常に緊張状態にさせ、慢性期的リラックスできない状態を引き起こします。
事実、先週もお伝えしたように、大半の方々が本来の人間的生活と徐々にかけ離れてしまった結果、交感神経と副交感神経のスイッチングが上手くいっておりません。
こうして、1日のバイオリズムに狂いが生じ、あらゆる疾病のスタート地点となる不定愁訴が起きるのです。
アーユルヴェーダでは、自律神経を整えるため「ディナチャリヤ」と呼ばれる自然のリズムに従った生活習慣を実践するように諭されることからはじまります。
例えば、日の出の96分前に起床し、舌掃除やオイルプリングなどを行うことで体内を浄化し、交感神経と副交感神経のスイッチングを促します。
また、各人によって違うヴァータ、ピッタ、カパという3つのドーシャに合わせた時間の過ごし方が重要とされ、「リトゥチャリヤ」と呼ばれる季節ごとのリズムに調和させた生活を送ることがバイオリズムを整える鍵だと考えられ、季節に応じた食べ物や運動、活動量を変えることで、ドーシャのバランスを保ち、体内のリズムを最適化していきます。
8weeks.aiでは、各人によって異なる体質を血液を始め、バイオロジカルデータから読み解き、またApple Watch等のヘルスケアデータから人間的生活の乱れを確認します。
現在、第一次メンバーの方々に送る個別レポートを作成中ですが、どうやらご自覚なきストレスをお抱えの方が大変多く、その方々には僕なりの心拍変動を高めるコツを伝授するようにしました。
既に各種データをご提出いただいた方は、月内にレポートをお届けできると思いますので、良くも悪くも現在の「本当の自分」を見つける足掛かりにしてください。
この時代、ストレスを可視化し、マネージメントすることが快適に生き抜く秘訣のひとつなのですから。
もうじき季節が変わります。
あわせて、この機会にご自身も大きくスイッチしましょう!
まるで昨日までの自分と決別するように。
福岡県南西部に位置する柳川市は、「水の都」としてその名を知られてきました。
町を縦横に巡る掘割は、江戸時代に治水と交通のために整備されたもので、総延長は約470キロメートルにも及び、今もなお人々の生活と文化を支え、独特の風情を醸し出しています。
なによりこの街は、何度もオススメした「うなぎの街」でもあります。
柳川は掘割が網の目のように張り巡らされた水郷地帯ゆえ、古くからうなぎが豊富に生息していました。
江戸時代後期になると、料理人の大谷良平が考案したとされる「うなぎのせいろ蒸し」が生まれます。
蒲焼きにしたうなぎをご飯の上に乗せ、特製のタレをかけて蒸籠(せいろ)で蒸し上げる「うなぎのせいろ蒸し」は、蒸すことで味が染み込み、ふっくらとした他に類を見ない食感を生み出しました。
当時、うなぎは庶民の貴重なタンパク源であり、また滋養強壮の食材としても重宝されていました。
明治になると、柳川の「うなぎのせいろ蒸し」は全国にその名を広め、多くの旅人がこの地を訪れるようになります。
江戸時代から続く伝統の味を守り続ける老舗のうなぎ店が川沿いに軒を連ね、観光客は川下りを楽しんだ後、せいろ蒸しを食べながら、旅の疲れを癒します。
1950年代以降、交通網の発達とともに観光地としての柳川の名が広まるにつれ、堀割とうなぎは街の顔となり、全国から多くの人たちが訪れるようになりました。
川下りとうなぎの食事は、柳川観光の定番コースとして多くの人々を魅了してきましたが、その人気は皮肉にも資源の枯渇を招く結果となってします。
かつて掘割に豊富に生息していたうなぎは姿を消し、今では養殖に頼らざるを得ませんが、「うなぎのせいろ蒸し」の人気はそれこそ「うなぎ登り」となって衰えを見せません。
近年は「柳川うなぎ」としてのブランド確立に力を入れ、品質管理やPR活動を積極的に行い、2017年には「柳川うなぎ」が地理的表示(GI)保護制度に登録されました。
また、堀割は豪雨の際は、雨水を受け入れ「平地ダム」として冠水被害を食い止める役割も担います。
もともと柳川一体は、海に近い低くじめじめした湿地帯や干拓地が多く、掘っても海水しか出ず真水の確保が難しいエリアでした。
河川から水を引いたり雨水を貯めるために掘られたのが掘割ですが、気候変動によって豪雨が激しい九州北部の中で、柳川は堀割を利用し氾濫を避けることに成功しています。
レーダーなど最新テクノロジーを駆使して雨量を予測し、豪雨になりそうな場合に掘割の水を有明海の潮の満ち引きに合わせて満潮になる前にできる限り抜いておく「先行排水」が行われ、リスクマネージメントを行っているのです。
自然排水ができる仕組みとして、掘割には水門がなんと1100箇所!
不便な土地柄とうまく付き合い、上水道の普及や生活排水による水質悪化により埋め立てられそうになったこともありましたが、「自然の大きな循環の中に人間もいる」ということを忘れなかった先人の知恵と努力の結晶が掘割です。
現在、小さな地域に30件近いうなぎ屋があり、人口一人当たりの鰻屋の店舗数日本一!
中秋の名月も終わり、9月も後半になりましたが、まだまだ暑いうなぎの季節です。
日中、37度まで上がってます!
例年地球を7~8周回るような生活を続けていますが、今年は新しいヘルスケアサービスを立ち上げたこともありまして、年の前半は東京中心に多くの時間を日本で過ごしました。
その反動もありまして、残り3ヶ月で地球3周を高速で廻らねばなりません。
このような生活を送る上で最大の問題は、やはり時差ぼけです。
時差ぼけ(ジェットラグ)とは、異なるタイムゾーンを移動することにより体内の概日リズム=サーカディアンリズムが乱れる状態を指します。
概日リズムは、約24~25時間の周期で体内時計が調節する生理的なリズムで、睡眠や覚醒、ホルモン分泌、体温調節、食事の消化などに影響を与えます。
体内時計は、主に脳の視交叉上核(SCN)によって制御されており、光の刺激に基づいて調整されますが、急速なタイムゾーンの移動によって、朝日を浴びた程度では体内のリズムが新しい環境の昼夜サイクルに適応できなくなってしいます。
特に東向きの飛行(日本からアメリカへの移動など)では、体内時計が大きく遅れるため、強い時差ぼけが生じ、今回のような短い滞在が続く渡航では、僕も出来る限り西回りを心がけるようにしています。
こうして概日リズムが長期的または頻繁にリズムが崩れると、脳内の神経伝達物質のバランスが乱れ、感情の調整が困難になり、つまりイライラが続くのです。
また概日リズムの乱れは、高血圧心血管疾患のリスク増加に関連し、睡眠不足やホルモンの異常分泌が心血管系に負担をかけ、長期的には心臓病や脳卒中のリスクも高まります。
その上、代謝にも悪影響を与えます。
特にインスリン感受性の低下や血糖値の乱れが起こりやすく、個人的には、SIBOに陥ってしまうことも少なくありません。
では一体、どうしたら時差ぼけを軽減、もしくは早めに解消できるのでしょうか?
一般的に時差ぼけを軽減するためには、現地の昼間にできるだけ自然光を浴びると、体内時計が新しいタイムゾーンに同調するのを助けますが、これだけ高速に移動しているととても体内時計のリセットが追いつかず、また、夜も簡単に寝付けません。
そこで、僕が最も効果的だと思えるのは、良質なCBGとCBNを現地の時間に合わせて飲むことです。
大麻に含まれるカンナビノイドには、THC(テトラヒドロカンナビノール)やCBD(カンナビジオール)がよく知られていますが、CBG(カンナビゲロール)とCBN(カンナビノール)も重要な成分として、近年注目されています。
まず、CBGは、カンナビノイドの「母」とも呼ばれる化合物です。
これは、ほとんどのカンナビノイド(THCやCBD含む)が、植物の成長過程でCBGから作られるため「母」と呼ばれており、効果は強い抗炎症作用があるため、時差ぼけで体内中が「炎症まつり」の際にはもってこいの逸品です!
また、CBGには神経保護作用があり、特に集中力が増すと個人的に実感しています。
一般的には神経変性疾患(パーキンソン病やアルツハイマー病等)に対する潜在的な治療法として期待され、CBGが眼圧を下げることも示されいることから、緑内障の治療にも有望な成分として注目を集めます。
一方、CBN(カンナビノール)は、THCが酸化して分解することで生成されるカンナビノイドです。
これは、大麻が長期間保管されたり、光や酸素にさらされたときに生成されるため、「古い大麻」に多く含まれます。
CBNはTHCほど強い精神作用を持っていませんが、穏やかな鎮静効果があるため、不眠症の改善や睡眠促進に役立ち、時差ぼけで眠れないときには、抜群の効果を発揮します!
こうして日中CBG、就寝前にCBNを飲むことによって、バイオリズムを整え、時差ぼけをどうにか乗り切る日々を送っています。
もはやこの2つがなければ、遠方に渡航するのは困難になってきました。
いや、渡航そのものはできますが、行った先で楽しく過ごし、十分なパフォーマンスを発揮するには欠かせません!と言ったほうが正確です。
最近、渡航先でCBDを探すのも楽しみの1つになってきました。
言葉に少し語弊ありますが、もはや戻れない大麻なき世界。
時差ぼけ解消に限らず、中途覚醒にお悩みの方や心拍変動がなかなか高まらない方も、是非一度お試しください。
いまひとつ効果がないとお感じでしたら、大抵の場合は量が足りません。
Viva! Green Rush!!
Green Rushに続き、ここ数年取材を続けている「サイケデリック・ルネッサンス」最前線を追いかけ、ジャマイカへやってきました。
サイケデリック・ルネッサンス(Psychedelic Renaissance)とは、邪悪な薬物として追いやられていたサイケデリック物質に対する関心と研究が、21世紀に入り再び大きく復興している現象を指します。
特に、1960年代の「サイケデリック革命」以来、社会的・文化的に抑圧されていたサイケデリック物質(例えば、LSDやシロシビンなど)が、現在、医療や精神医学において有望な治療法として再評価され始めました。
1960年代、LSDやシロシビン(マジックマッシュルームに含まれる成分)などのサイケデリック物質は、意識拡張や精神的な探求、カウンターカルチャーの象徴として広く使用されていましたが、1970年代に入ると、これらの物質は多くの国で違法化され、医学的な研究もほぼ停止してしまいました。
しかし近年、特に娯楽大麻が米国やカナダで解禁されて以降、サイケデリック物質に対する科学的・医学的関心が再び高まっています。
サイケデリック物質は、うつ病、PTSD(心的外傷後ストレス障害)、不安症、薬物依存症などの治療に対して有望な結果を示し、特に従来の薬物治療が効果を示さない患者に対して、サイケデリック物質を用いた治療法が大変効果的であると言う論文や研究結果が、今世紀に入りいくつも出されるようになりました。
また、脳の機能や神経回路の理解が進んだことにより、サイケデリック物質が脳にどのように作用するかがより深く理解され、より安全かつ効果的な使用方法を探るための臨床試験が行われています。
なかでも注目を集めるサイケデリック物質がシロシビンです。
マジックマッシュルームの幻覚物質シロシビンは、うつ病や不安障害の治療に有望であるとされており、また、末期がん患者の精神的苦痛の軽減にも大きな効果を示しています。
近年、ジャマイカでは世界初とも言えるサプリメントショップなどの棚に合法的なシロシビン注入製品が導入され、サイケデリックなウェルネス製品として、マイクロドージング用の微量摂取カプセル、手作り微量摂取ハチミツ、チョコレートバー、ビーガン用シロシビン・グミ等のラインナップが、所狭しと陳列されるようになりました。
同時に、ジャマイカでマジックマッシュルームを使用し、治療を目的としたリトリートが急増中です。医療精神ツーリズムを目的としたこれらのリトリートは、サイケデリック体験を通じて自己の内面を探求し、精神的な癒しや成長を促すことを目的としたプログラムを提供し、各施設で経験豊富なファシリテーターと呼ばれるガイドが参加者を徹底的にサポートします。
ただし、金額的に安いものではありません。
1週間の滞在で7000USドルから10,000USドル程度のコストを要するため、国内のジャマイカ人向けではなく、米国や欧州からの精神的成長を求める人や心理的トラウマを解消したい人たちに人気です。
1960年代のサイケデリック革命がカウンターカルチャーや意識の拡張を求める運動として捉えられていたのに対し、現代のサイケデリック・ルネッサンスは、臨床試験や科学的な研究に基づいているのが大きな違いです。
2018年に出版した自著「50mm」の中でも触れましたが、医療用マジックマッシュルームや医療用MDMAの可能性が効果的であると、年々に注目が集まってきました。
米国でも一部地域では医療用マッシュルームの合法化が進み、10年前の大麻と同じように、今後サイケデリック医療は世界のあちこちで規制緩和されていくものと思われます。
昨年、ジャマイカ政府産業投資省は巨大な輸出産業へと育てるべく、サイケデリックなに関する研究開発を積極的に推進すると発表。政府上院議員のサファイア・ロングモア博士は、「ジャマイカは医療・スピリチュアル目的で新興のシロシビン(マジックマッシュルーム)産業を活用する大きな可能性を秘めている」と述べています。
世界的なGreen Rushに乗り遅れ、今度こそリーディング・カントリーになろうとするジャマイカ。
そう遠くないうちにサイケデリック・レゲエ・ムーブメントも始まるかもしれないな、と考える今週です。
カリブは台風シーズンも落ち着き、海風が涼しくなり、少しずつ良い季節になってきました。
シーズンは、これからです!
先週まで滞在していたジャマイカとこれらの地域では、場所によっては気温が30度近く違います。
特にコロラドは朝晩の冷え込みが相当厳しく、人間は前日との気温差が20度以上になると体に大きな負担がかかり、体温調節機能や循環器系、呼吸器系に影響を与え、健康上の問題を引き起こします。
まず、急激な気温差に対応するため、体は通常より多くのエネルギーを使って体温を調整しようとします。
気温が20度以上変わるとこの調整がうまくいかず、自律神経系に負担がかかって寒暖差疲労や倦怠感、体温が安定しないといった症状が現れます。
次に気温差によって血管が急激に収縮または拡張するため、血糖値のグリップ力が弱まり、いつも以上に食事に気をつけていないと血糖値スパイクが起き、疲労度が大きく増してしまいます。
また、体の体温調節機能が追いつかなくなり、例えば前日が非常に暑く、翌日が急激に冷え込む場合、体は適切に体温を保つことが難しくなります。
その上、急激な気温変化により体がストレスを受けると免疫力が著しく低下するため、気温差が大きい頃になると風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなるのです。
さらに、急激な気温変化は、肉体的な影響だけでなく、精神的ストレスも引き起こします。
寒暖差が大きいとストレスホルモン(コルチゾールなど)が増加し、不安感やイライラが募るため、温度差が激しい地域の移動はいつも以上に注意が必要だと、長年の旅路の経験から心得ているつもりです。
具体的には、重ね着などで細かく調整し、また糖質が多い食事は極力に避けながらも、体温を頻繁に測って自分の代謝を客観的に把握するようにしています。
多分日本も季節の変わり目な頃でしょうから、どうか皆様ご自愛下さいませ。
さて、いよいよ米国大統領選が近づき、全米各地を回ってお話をお聞きしていますが、まだまだ結果はわからないのが正直なところです。
というのも、米国マスコミは基本的に民主党寄りであり、正しい情報がもたらされていません。
ただし、各地で人々がこぞって「民主党になってから明らかに治安が悪くなった」と口々に話します。
僕自身もホテルで全く英語が話せないサービスマンが増えていることに驚愕しており、思わずスペイン語で会話することが増えました。
このような事態は10年前には考えられず、明らかに別の国になったと実感しています。
また、何度かお伝えしておりますように、パンデミック以降、都市構造が大きく変わりつつあります。
デンバーなどの中心地主要オフィスビルの空室率は40%を超え、都市型及び郊外型モールともに人がまったくおりません。
モールに出向いても駐車場はガラガラで、大作映画が封切られた週末の映画館も閑古鳥が鳴いています。
企業は株主対策のために社員を会社へ呼び戻すポーズをとりますが、実際はハイブリットワークかフルリモートのままの企業がほとんどです。
コロラド州内第3の都市オーロラは、完全にベネズエラギャングの巣窟となり、毎日死人が出ている有様です。
これは明らかに民主党が集票のため、犯罪歴を持つ者も関係なし無作為に大量の移民を入れたツケだと、多くの民主党贔屓の人たちも感じているところです。
2018年に出版した雑誌「50mm」にもポートランドの惨状と今日の米国の荒廃ぶりを予兆する記事を書きましたが、当時より中心地にはホームレスが増え、とどまる様子を見せません。
今週オレゴン州南部のアシュランドから北部まで縦走しましたが、民主党贔屓の地域にもトランプの看板が目立つようになりました。
パンデミック収束以降、新しい時代のトップを決める大統領選まで1ヵ月。
どちらにしろ、次の世代へ引き継がれる2028年まで(おそらく、その後8年程度まで)、米国は相当荒れるでしょう。
多くの時間をクリニックで過ごしておりまして、そこでお目にかかる読者の方々からよくあるお話しに、年間でどれくらい健康に投資すればいいのかと言うご質問を頂戴します。
これは各人の状態や目指すべきゴールによっても大きく変わるところですが、正直、この時代を生き抜くためには年収の10%程度を最低でも投資しなければ、心身ともに「正気」でいられないと考えています。
なぜなら、我々を取り巻く環境があまりに悪化してしまったからです。
例えば、耳に関して。
東京に戻って痛切に感じるのは、街中の音があまりにうるさいことです。
週末の渋谷や新宿の人混みは言わずもがな、高収入を謳った広告トラックの大音量や、あちこちから聞こえる音楽や鳴り物など、日本は騒音規制が緩いため、実にノイジーな中で暮らしています。
その上、害虫対策として可聴範囲外の音(いわゆるモスキート音)が街中で相当流れていますが、聞こえなくても脳はしっかり感知しています。
いまや、耳栓がわりのブルートゥースイヤホンをしなければ街を歩くのがストレスになってしまうほどですが、こちらはこちらで電磁波の問題が発生し、同じく街中にも各種電波が飛び交います。
一般的にあまりメンテナンスする必要がない耳ですらこの有様ですので、食事をはじめとする口から入れるものの変容は、耳どころではありません。
こうして、五感を含めた全身が日々「毒」に暴露され、それが人々の心身の健康を蝕んでいるのが現在です。
新型コロナによるパンデミックは、その根底に人間と自然や生態系との間にある種の根本的な不協和が生じていることを示唆しました。
特に都市部の状況は、人間の行う経済活動の規模が自然環境や地球の許容度を超え出るまでに至ろうとしており、その結果として新型コロナをはじめとする野生動物等と人間に共通の感染症「人獣共通感染症(zoonosis)」が年々増加しています。
国連の関連機関である国連環境計画(UNEP)は、「人獣共通感染症が発生する原動力となるのは、たいていの場合人間活動の結果として生まれる、環境の変化である」と現状を指摘。
この問題を克服していくためには、人間の経済活動のあり方や環境との関わりを何らかの形で根底から見直し、その発展の方向を変えていく必要があるのは間違いありませんが、そのような様子は政権が変わろうともまったく見受けられません。
そこで年収500万円程度あるならば、健康維持やメンテナンス、いや自分を劣悪な環境から守るためのに、年間で年収の10%程度=50万円程度の投資に取り組まなければ、どこか必ず環境の悪化に暴露し、「バグ」が生じていまいます。
これが、不調です。
そこで定期的な血液解析や腸内検査、ときには遺伝子検査や認知症検査、各種点滴やサプリメンテーションなどを行いながら日々メンテナンスに励まねばなりません。
なぜなら、周囲の40代から60代の、つい気を許したために陥ってしまったがん患者を見ていると、NK免疫細胞療法やオプジーボなど高額医療や保険診療外の手立てのために、毎月100万円前後支払わねばならないからです。
この金額は、実際に罹患しないとわからないことも多く、しかも日本は二人に一人ががんにかかり、罹患年齢が年々早まっているうえに、原発不明がんが急増しています。
製薬会社に「命の値段」を一方的に値付けられてしまう前に、自分で自分の人生をしっかりハンドルする必要が、誰にもあるはずです。
そこで、第一に自分のゴール、例えば「パフォーマンスを上げたい」「睡眠を改善したい」「疲れやすい体を改善したい」などの目的や具体的な疾病の克服までを設定し、第二に信頼できる医師を見つけ、第三にそこへ到達するまでの金額をはじめに決断し、医療機関と共有することが大切です。
しかし、多くの方々の健康への投資を拝見しますと、少しづつ取り組んでいらっしゃる方が大半で、これだとなかなか功を奏しません。
健康投資は、はじめに大きく行って、少しでも改善した体感を得たら、そこから徐々に減らしていくのがコツなのです。
そうしなければ、同じように良くなったり悪くなったりする状況が永遠と続きます。
おそらくこれは健康への投資に限らず、チョロチョロ細かく色々なことに、時間もお金も散財してきたパターンに陥っている「永遠に大きな決断ができない」ことが原因だと考えます。
就職の面接にしてもクライアントから仕事を得るためにも、先方は意図してか、もしくは知らずのうちに、こちらの健康状態を確認しようとするのが通例です。
また、幸せも買えるとしたら、何より健康への投資が第一です。
言うまでもなく、真剣な交際相手を選ぶ場合も、お相手の健康状態は必ず見るもので、どんなに素敵な洋服やブランドバックを持っても、また美容クリニックで高額な施術を受けたとしても、外見だけで形付けられた人間のエネルギーは長く持ちません。
仕事も恋愛も進化論に基づいており、人間の恋愛行動やパートナー選びは、主に生存と繁殖の成功を高めるための戦略として捉えられています。
進化心理学的には、強い免疫系を持つパートナーを選ぶことが子孫の生存率を高めるために有利とされ、特に遺伝的に異なる免疫システムを持つパートナーを選ぶことで、将来の子供が多様な免疫系を受け継ぎ、病気に対する耐性が強くなると考えられています。
そのため、男女ともに健康状態の良い相手を選ぶのです。
これらの選好は、繁殖の成功や子孫の生存率を向上させるために進化したことが各種研究から明らかになっています。
だからといって、借金してまで健康(特に美容)に投資するのは、一種の病です。
だからこそ、年収の10%を投資する決意を信頼できる医師へはじめにお伝えし、「健康の運用」をしばらく一任する。
その後、運用実績が悪ければ、三ヶ月後に途中で辞めればいいだけです。
この当初の決断ができるかどうかが、誰にも訪れる健康寿命を大きく左右するのだろう、と読者の皆さまとお目にかかりながら考える今週です。
現在、8weeks.aiの皆様のデータを拝見しながら、第一回目のレポートを様々な角度からチームで検証を進めております。
想定以上に時間を要している状況ですが、順次送付しておりますので、いましばらくお待ちくださいませ。
日に日に寒くなり、季節が大きく変わりました。
味覚の秋ゆえ、どうか食事の見直しを!
日本有数の温泉地として知られる群馬県の草津町。
その名を聞けば、湯けむり立ち上る温泉街の情景を思い浮かべる方も多いでしょうが、近代になって開発された温泉と異なり、奈良時代の文献にもその名が記されているほど長い歴史を誇ります。
江戸時代には湯治場として栄え、特に徳川将軍家からも厚い信頼を受けるほど名声が高まり、多くの人々が病を癒すために訪れました。
草津温泉は強酸性の硫黄泉が特徴です。
その効能は「万病に効く」と称され、長年「天下の名湯」と呼ばれてきました。
古くからの伝統は今も受け継がれ、温泉街には歴史的な建造物や風情ある街並みが残ります。
このような歴史的かつ保守的な地域で、2019年にある事件が勃発します。
地域行政が江戸時代から続くとされる独自の入浴法「時間湯」の指導役「湯長」を廃止する方針を発表。
湯治客に症状や体調を尋ねることなどが医療行為との疑いを招き、医師法違反の懸念があると判断した結果でしたが、一方で湯治文化の伝統を踏まえ、「歴史あるものを簡単に変えていいのか」と保守派との対立が激化しました。
同時期、古き悪き町の慣習を打破しようとする「草津町はじまって以来の異色」と呼ばれ、「旅館業以外からの初の町長」が、女性町議会議員から性的関係を強要されたと告発されました。
当時、世相はMe too運動真っ只中だったことから注目を集めましたが、町長は一貫してこの告発を否定した上に、草津町議会は女性議員に対して除名処分を可決し失職させます。
こうして草津町は「セカンドレイプの町」などと不名誉極まりないレッテルを貼られ、全国的に批判されるようになったのです。
ところが、裁判でこの女性議員の告発が虚偽であることが判明します。
マスコミはその後も明確に報道することはありませんでしたが、利権だった「湯長」の廃止に腹を立てた保守派の陰謀であることが、公然の事実として浮き彫りになりました。
しかし、悪評は簡単には拭いされません。
そこで、草津町は汚名を挽回するため、PRの活路を台湾に見出し、在留台湾人モニターツアーを通したリアル体験をベースに大SNSプロモーションを開始しました。
これが功を奏して、現在草津に訪れるインバウンドの60%が台湾客となるまで復活を果たしました。
なかでも「湯畑」に人気が集中しています。
草津のシンボルとも言える「湯畑」は、温泉の成分である湯の花の採取や湯温を調節する施設で、一日に約4000リットルもの温泉が湧き出す壮大な光景が広がります。
温泉成分が白く結晶化した湯畑は、まるで異世界に迷い込んだかのような雰囲気があり、夜にはライトアップされ、幻想的な風景を楽しむことができ、多くのインバウンドを惹きつけています。
近年、冬季日本観光の「温泉」が海外ゲストにも定着したことで、現在、草津の観光客数はパンデミック以前の過去最高だった(セクハラ問題が社会化する以前の)2019年度を上回るペースで伸びており、ニセコに続く人気となった白馬から立ち寄る人たちも相当数います。
こうして草津の人口14万人ほどの小さな街に、年間およそ400万人の観光客が押し寄せ、渋谷とおなじく日中人口の2.5%までインバウンド率が高まっています。
スクランブル交差点同様、「湯畑」を取り囲む海外ゲストが年々増え続けており、温泉街のあらゆるものが観光客価格に値上がりし、もはやオーバーツーリズム状態にあるのは間違いありません。
日々住民たち、特に観光業に従事しない人たちの不満が高まりつつありますが、こちらは保守派の陰謀ではありません。
果たして、地域行政はいかにして舵を取るのか。
草津は、日本の縮図なのでしょうか?
徐々にニセコ化し、地域一帯がインフレ化する草津。
本格的シーズンがはじまるのは、これからです。
この数日、米国の友人たちから「日本にしばらく移住したいんだけど、どうするのがいい?」と相談を受けます。
他ならぬ米国でドナルド・トランプが大統領選に勝ったことに嫌気がさした人たちが、米国から脱出するのを目論み、移住先を探しているのです。
近年、日本でもデジタルノマドビザを発給しはじめたことから、職種にもよりますが、長期間滞在が容易になってきました。
世界的にパンデミック以降は移住や長期滞在のハードルがグンと下がり、実際、僕の友人たちもデジタルノマドビザを申請もしくは申請中で、東京を中心に欧米からの中長期滞在者が日に日に増えています。
日本では、今年4月1日から「デジタルノマドビザ」として知られる在留資格「特定活動(告示53号)」が施行されました。
このビザは、外国の法人や団体との雇用契約に基づき、日本で情報通信技術を用いて業務に従事する外国人に付与され、具体例として、リモートワークを行うIT/ソフトウェア開発者、デジタルデザイナー、オンライン秘書、外国企業の事業経営を行う個人事業主など多岐に渡り、特に「オンライン秘書」を設けているところを見ると、かなり間口を広くとっていることがわかります。
一般的にオンライン秘書とは、海外の企業や個人に対してリモートで秘書業務を提供する職種を指し、スケジュール管理、アポイント調整、メール対応、資料作成、データ入力、経理・財務関連業務、マーケティング支援、SNS運用、Webサイト更新、広告運用などですが、エンジニアリングではありませんので定義は相当曖昧であり、僕はエンジニアやクリエイターではない友人たちに、この可能性をお伝えしています。
さて、肝心の日本の「デジタルノマドビザ」発給に関する条件は、査証免除国かつ租税条約締結国・地域の国籍であることで、英米、大半のEU加盟国、韓国、台湾、香港、さらにはメキシコやインドネシアなどの中進国までと、こちらも日本政府にしては珍しく門戸が広く開かれています。
年収の目安は1000万円以上必要で、円安だと言われる現在、欧米のIT企業やメディア等で働く30代以上の一般職なら、ほぼクリアできる条件です。
デジタルノマドの外国人は法的区分では「中長期滞在者」には該当しないため、日本国内の国民健康保険に加入することができず、民間の医療保険に加入することになりますが、クレジットカードの保険があれば医療保険に入る必要はありませんので、こちらも大半の人たちは問題ありません。
また、在留カードは交付されませんが、在留資格短期滞在や公用と同じようにパスポートに証印が貼付され、一時出国も可能です。
あわせて扶養する配偶者や子供たちにもビザが発給されるため、「オンライン共働き」であれば、さらにハードルが下がります。
ただし、日本のデジタルノマドビザには問題があります。
それは、在留許可された期間がわずか六ヶ月と大変短い点です。
しかも延長することができず、ドイツの3年やノルウェーの4年に比べると圧倒的な短さであり、今後、延長されることが待ち望まれています。
なぜなら、世界的に高度外国人材の流入は喫緊の課題であり、日本も他ではありません。
ただし、この短い期間にも抜け道がありまして、出国後6か月経過すれば再度、デジタルノマドビザを取得して滞在が可能ですので、季節の良い時期にタイなどと日本を往復しながら暮らそうと考えている人たちが相当数います。
通常の観光客同様に一度日本へ入国し、その後デジタルノマドビザを申請するのが一般的で、業務は行政書士などにすべておまかせできますが、英語が達者な行政書士が極めて少なく、このあたりも日本の課題だと思われます。
欧州一の頭脳と言われるフランスのジャック・アタリが20年近く前に予測した未来の3階層は、
1.ハイパーノマド(世界中どこでも働ける人)
2.バーチャルノマド(TVやインターネットでバーチャル空間を楽しんでいる人達)
3.下層ノマド(非常に貧しい人達)
に分かれると述べていましたが、パンデミック以降、そのハードルも大きく下がり(企業が譲歩し)、今後10年でハイパーノマド人口は二億人まで急増すると最新の予測を発表していますが、おそらくある時を境に、この階層間の移動はできなくなるでしょう。
個人がグローバル企業になる時代のいま、僕が20年近く前の自著でお話ししたように、動ける「外組」と動けなくなった「内組」に、今後ますます二極化するのだろうと考えます。
世界が動けば、人も動く。
鍵は、間違いなく短期間に高度技能人材へ自らを変化させることにあるのだろうと、友人たちのためにデジタルノマドビザを調べながら実感する今週です。
温暖だった東京も、日に日に寒くなってきました。
そろそろビタミンD3の量を増やすのをどうかお忘れなく。
定期的にスリランカや南インドのアーユルヴェーダ施設に通うようになって、もう15年以上経ちます。
当初は、アーユルヴェーダなどどいう言葉すら聞いたことがない人たちが大半でしたが、現在は日本でもそれなりの市民権を得たようで、いまから十年以上前に出した自著「サバイバル時代の健康術 ~アーユルヴェーダで頭と体のバランスを整える」も、認知を広めるのに少しは貢献できたのではないかと自負しています。
この間スリランカでは、とても大きな社会変革がありました。
と申しますのも、2022年4月に対外債務不履行(デフォルト)となり、国家財政破綻したからです。
メディアが報じる表向きの理由では、スリランカは長年にわたり、大規模なインフラ整備を推進してきたことに原因があると言われています。
特に中国の「一帯一路」構想の下で多額の借款を受け入れ、港湾や高速道路、空港などの建設を急ピッチで進めました。
しかし、これらのプロジェクトは収益性が低く、対外債務が急増。
高金利の借款は返済負担を増大させ、国家財政を圧迫しました。
また、観光業はスリランカの主要な外貨獲得源でしたが、2019年のイースター爆破事件により観光客数が激減しました。
その後、新型コロナウイルスのパンデミックが追い打ちをかけ、観光業は壊滅的な打撃を受けました。
観光収入の減少は外貨準備高の低下を招き、輸入品の支払いが困難になります。
そして2021年、政府は突如として化学肥料と農薬の輸入を全面禁止し、有機農業への全面転換を宣言しました。
この政策は環境保護と健康増進を目的としていましたが、準備不足のまま実施されたため、農業生産量が急減。
特に主食である米や主要輸出品の紅茶の生産減少は、食料不足と輸出収入の減少を招きます。
しかし、実態は少し異なります。
スリランカに訪れる観光客上位には、インド人やドイツ人に続くのは中国人であり、日本同様、お金をバンバン使い、観光売上に最も貢献していたのは、他国同様圧倒的に中国人でした。
彼らは単なる観光客ではなく、間接的に不動産投資やビジネス投資にも積極的でしたが、中国国内で不動産バブルが崩壊した煽りを受け、スリランカに中国マネーが流れ込まなくなります。
つまり、中国バブル崩壊に連鎖するようスリランカバブル(と親中政権)も崩壊したのです。
また、米国の金利が上がった影響も多大にあります。
それまで新興国に行き場をなくしてばら撒かれていた資金は、金利上昇とともに米国へ還流したため、脆弱なスリランカ経済をさらに追い詰めました。
つまり、大国の動向が変わってしまったため、新興国ともてはやされたスリランカ経済はあっという間に吹き飛んでしまったのです。
さらに世界的な原油価格の高騰や供給網の混乱は、輸入コストを増大しました。
しかも政府内の汚職や不透明な資金管理、政権内での権力集中は、国民の不満を高めます。
事実上、一部の為政者による長期支配は、民主主義の機能不全を招き、毎週のように大規模な抗議デモや暴動が発生して、政治的混乱が経済危機を深刻化させました。
そこで本年9月、スリランカで総選挙が行われました。
国家財政破綻後の舵取りに世界から注目を集めたこの選挙は、左派勢力「国民の力/人民解放戦線」が制しましたが、新大統領就任翌日に議会を解散。
今週、再び選挙が行われることになりました。
正確な結果はまだ分かりませんが、今後10年の大きな分水嶺となるスリランカにしばらく滞在し、南アジア全体の未来への行方を見届けたいと考えています。
日々混迷を極めるスリランカ。
この国の動向は、世界経済の炭鉱のカナリアに思えてなりません。