この街には、「5月40日から夏になる」という古くからの言い伝えがあります。 これはスペイン語の「Hasta el cuarenta de mayo no te quites el sayo」という格言に由来しており、直訳すると「5月40日までは上着を脱がないでください」という意味になります。 つまり、「6月10日まではまだ寒い日があるかもしれないので、油断せずに暖かい服を着ておくべきだ」という、季節の変わり目に風邪などをひかないよう注意を促す、古き良き教えがいまも伝えられているのです。
時を同じく8weeks.aiがサービスを発表した今年5月、全米最大の高級フィットネスジム「Equinox」は、栄養計画から睡眠指導まで、あらゆることを網羅したパーソナライズされた健康プログラム「オプティマイズ・バイ・エクイノックス(Optimize by Equinox)」を開始すると発表しました。 このプログラムは、筋力や可動域などの測定も行い、血液検査を含む100項目に渡るバイオマーカーの結果とデータを基に、専任の「コンシェルジュ」が会員の総合的な健康を向上させるためのカスタマイズされたプランを設計するというサービスで、全米で大きな話題となりました。
自律神経系は、交感神経と副交感神経のバランスによって制御されており、ストレスがかかると交感神経が優位に働き、HRVが低下します。 このメカニズムは、体が「闘争・逃走反応(fight or flight)」を起こし、自覚なくとも強いストレスを持つ人々は自律神経系を常に緊張状態にさせ、慢性期的リラックスできない状態を引き起こします。
http://www.takashiro.com/
monoMAXにて連載中
※前スレ
【日本】高城剛5【脱出中】
https://mao.5ch.net/test/read.cgi/subcal/1291142884/
https://youtu.be/KsZbtMMGhv8?si=mz438FlljX4beBZB
今年の元旦に発生した能登半島地震によって、この冬の金沢観光は壊滅的状態に陥りましたが、現在ではインバウンドを中心に観光客も徐々に戻りつつあります。
一方、京都はコロナ禍を経て、落ち着いていたオーバーツーリズム状態が少しづつ再燃しており、先月行われた京都市長選の争点のひとつだったこともあって、ホテルや旅館の宿泊客から徴収する宿泊税を2年後をめどに引き上げると発表されました。
宿泊税は京都市のほか、東京、大阪、福岡の3都府県と5市町で導入されており、徴収した税金は景観保全やトイレの整備などに使われています。
京都市では2018年10月から、1人当たり1泊2万円未満で200円、2万円以上5万円未満で500円、5万円以上で1000円を課税。
上限額の1000円は全国で最も高い税となりますが、実はいくら宿泊税を値上げしてもオーバーツーリズム対策に功を奏しません。
現在、オーバーツーリズムに関する書籍を執筆中でして、昨夏から秋の観光シーズンを通じて何度か世界一の観光都市バルセロナを中心にスペイン各地を回り、いまや「観光公害」とまで言われるようになったオーバーツーリズムの現状と対策、そして未来について取材を行いました。
スペインは世界有数の観光大国で、海外からの観光客数はフランスに次ぐ世界第二位ですが、都市別の人口一人当たりの観光客の数はバルセロナが世界一です。
ですが、バルセロナは京都のように古い歴史や建物を持つ街ではなく、有名なサグラダファミリアも1882年着工ですので、わずか140年前、日本ではいえば明治中期の建造物で、現在も建築中です!
バルセロナは1992年のスペイン初のオリンピック開催後に観光都市へと急成長し、さらには僕が住んでいた2009年にエル・プラット空港の新しい新ターミナルが完成。
ここに次々とLCCと呼ばれる格安航空会社が就航し、観光バブルが本格的にはじまります。
実は世界的な観光都市として台頭したのは、この15年のことなのです。
オリンピック前には年間170万人ほどしかいなかったバルセロナを訪れる観光客(ビジネスマン含む)は、現在、日帰り客などを入れると年間観光客数は約3200万人を上回り、あっという間に地域住民160万人の約20倍にものぼる観光客が訪れるようになりました。
また、バルセロナの目抜通りランブラス通りには一年間に延べ一億人が通行しており、現在、その大半が観光客です。
これは明らかにキャパオーバーであり、地域住民がオーバーツーリズムに悩まされている現状が理解できる数字です。
こうして観光大国としてもオーバーツーリズムとしても先進するバルセロナでは、これから京都が行おうとしている宿泊税の値上げを、早い段階からオーバーツーリズム対策として取り入れ、緩和しようとしてきました。
2012年にバルセロナ市はヨーロッパの中でも有数の高い水準の宿泊税を導入し、パリやローマなどの歴史都市かつ首都よりは低いものの、多くのヨーロッパの都市よりも高い宿泊税を徴収しました。
この結果、オーバーツーリズムは解消せず、単に市政府の税収が潤うだけに過ぎませんでした。
なぜなら、宿泊しない観光客に課税できないからに他なりません。
一昨年の京都市における観光客動向等の調査結果によりますと、年間観光客数4361万人に対して宿泊客は969万人に過ぎず、そのうちのおよそ10%が修学旅行生です。
この数字を見る限り、先行するバルセロナ同様宿泊税を導入しても、オーバーツーリズム対策は功を奏しないのは明らかです。
では、なぜバルセロナも京都も宿泊税を導入しようとするのでしょうか?
その理由は明らか。
政治家のパフォーマンスとより多くの税金を獲得するのが目的です。
先週、「脱キーボード」や「脱Mac」のため、テキスト入力の大半をiPhoneを使った音声入力に変えたとお伝えしましたが、想像以上に多くのご質問を頂戴しました。
なかでも「どのようなアプリケーションをお使いですか?」と多くの方々からお尋ねされまして、メールの返信にはメールアプリの音声入力機能を使用し、執筆にはPagesやメモを使用するなど、普段使い慣れているアプリケーションをそのまま音声入力に切り替えただけに過ぎません。
ここ1~2年でAppleの音声認識技術が飛躍的に向上しただけでなく、iOS16以降ではキーボードと並列して使用できるようになったため、音声入力で判断が難しい熟語や固有名詞などはオンスクリーン・キーボードと併用するのがコツだと感じています。
格段、特別な高性能マイクを使用しているわけではなく、AirPods Proなどを使うこともありますが、地下鉄車内でアナウンスが流れている時などは音声入力が上手くいませんので、iPhoneを口元に近づけてボソボソと話すようにしています。こうして、地下鉄の車内で隅に立ちながら、こっそり執筆?している最近です。
現在、3冊の本を並行して執筆しており、もう四年もかかっている和牛本の他、オーバーツーリズム本、そしてコーヒーに関する本を日々書き綴っていますが、従来の執筆スタイルを続けていたのでは、到底時間が足りません。
他にもヘルスケアサービスの立ち上げ、読者感謝祭やその翌日から始まる夏の撮影のための準備など、やるべきことが山積みです。
さらに、今月オープンした屋久島初のノースフェイス店舗のオープニング冊子のための紀行文や来年クランクイン予定の脚本など、非常に多くの作業を並行して行っています。
しかし、音声入力に切り替えたおかげで、かなり効率的に執筆できるようになりました。
歩いている時も、立っている時も、入浴中でさえも、ついでに横に寝転がっている時も、今まで執筆できなかった場面で作業ができるようになったのは、僕にとって大きな「執筆革命」です。
その上、書く速度も相当数上がっています。
通常、400字の原稿用紙1枚を書くのに最低でも15分は必要だと言われていますが、今では同じ文字数のテキストを2、3分で書き上げることができるようになりました。
単純計算しても5倍から7倍程度の生産量が見込めるようになったため、以前よりも時間効率も大幅に向上。
ただし、音声入力の完成度は70%程度ですので、やはりキーボードを使った誤字脱字等の修正は必要不可欠です。
とはいえ、わざわざMacBook Proを持ち出す必要はなく、iPhoneやiPadのオンスクリーン・キーボードで修正するだけで十分ですが、この修正作業も徐々に音声入力で行うようになりつつあります。
こうして出来上がった原稿を、時々の最新AIに流し込んで校閲後に最後の筆を入れるようになりました。
いま現在では、GPT4やGeminiを遥かに上回るIQ101を叩き出した「claude.ai」(Claude3)が校閲作業では秀逸です。
もはやこうなると執筆というよりリミックスする感じですが、生産性が高くなったため、年間で書けるというよりリミックスされた総量は10年前の5倍や10倍に当たるだろうと推察します。
これが10年後に100倍になるか分かりませんが、どちらにしろ大切なのは、実際の現場で何をどのように見るかと言う、実体験や目線に他なりません。
それをスタート地点として独自のゴールを設定できれば、後は音声入力やAIといったテクノロジーによって、まるで協業するように作り上げていくのが現代のクリエイティビティーだと実感します。
かつて、400字詰め原稿用紙にシャーペンで文字を書いていた時代から、ワープロ、コンピューターとキーボードを叩いて執筆するようになったのがこの40年間。
つまり、音声入力とAIによる「執筆革命」は、僕にとっておよそ半世紀ぶりとなる革新的な出来事なのです。
春を感じるようになったいま、毎朝1時間「早歩き執筆トレーニング」しながら「移動距離とアイデアは比例する」を実感する今週です。
その理由は、執筆スタイルが完全に変わったことにあります。
iOS16が落ち着いて以降、文字入力の8割以上を音声入力にしましたので、以前は考えられなかった「執筆を歩きながら行う」ようになりました。
少し前まで、トレーニング中は音楽を聴く程度しか同時に何かを行うことが物理的にできませんでしたが、テクノロジーの進化とともに自分の創作スタイルも進化し、今では適宜ランジを取り入れた独自のファストウォーキングしながらと、執筆するように変わりました。
よく「旅行先でも運動なされますか?」と聞かれることが多く、以前は「トラベル&ラン」と名打って、あちこちの街に行くたびに観光兼ねて走っていました。
しかし、今は走るのではなく、ファストウォーキングしながら、街を見たままま&感じたまま書くようになりまして、いわば「ライブ・ライティング&トレーニング」が日課です。
他ならぬこの原稿も東京の街をファストウォーキングしながら執筆しており(いま、北千住です!)、こうして歩きながら書いた原稿を最終的にはiPhoneやiPadなどで修正して1つの原稿に仕上げるのですが、音声入力は僕の執筆スタイルを大きく変え、場合によっては、脱キーボードどころか脱Macに至るかもしれないほど大きな端末革命ではないかと感じています。
かつて作家の村上春樹がランと執筆作業は、コインの表裏のような関係であると述べていましたが、この時代的にはコインの表裏は同時に存在する、ある意味、量子力学的執筆スタイルと言えるかもしれません。
かつてビート世代の作家たちが、タイプライターの登場と共に旅に出て、気の向くままに執筆してあたらしい文体を生み出したように、
歩いていると脳がリフレッシュされ続け、文体も変われば、書く内容も大きく異なります。
その上、執筆速度も相当速くなり、僕はキーボードを叩くのがそれなりに早い方だと自負しますが、まるでAIが容赦ない速度でテキストを生成するかのごとく、キーボードの数倍の速度で次々と原稿が生成されていきます。
世の中、プレゼンテーションやYouTubeなど自分が出てしゃべることがとても大切な時代になったと思いますが、全く違う形で話すことがそのまま換金できる時代になったと頓に感じています。
本来「執筆」とは、筆を執ること=手に筆を持って運用することですが、筆を使わないばかりか、「書く」ワケでもキーボードを叩くワケでもなく、ひたすら話して「iPhoneが書いている」現状は、果たして「執筆」と言えるのか、いまだわかりません。
書く=writeとは、もともと木や樹皮を傷つけて文字を彫るというラテン語が語源で、それゆえに日本でも「書く」という言葉は「掻く」に通じ、ハードディスクにも「書き込む」といいますので、正確には「iPhoneのRAMに書き込んでいる」とも言えます。
近年、新しいデバイスが登場すると、スペックがどうの、速度がどうのといった議論が散見される中、本来は新しいディバイスに合わせてライフスタイルや仕事の仕方も変えなければなりませんが、多くのユーザーたちは単に効率だけを追い求め、自分を変える様子が伺えません。
通りがかりに入ったカフェで、コンピュータを広げ、慌ただしくキーボードを叩く人を見ると、どこか懐かしい感じを覚えます。
確かにiOS16以前の僕もそうでした。
人はアップデートするものだと、早歩きしながら実感する今週です。
そろそろ春を感じます。
東京と二度ほど気温が違う館林は、乾いた風が吹くと体感で五度ほど低く感じます。
群馬の冬といえば「からっ風」が有名で、これは気流が山を越える時に温度と気圧が下がることで、空気中の水分が雪や雨となって降り、そのため山を越えた風は乾燥して強く吹きます。
群馬のからっ風は別名「赤城おろし」と呼ばれ、これが実に寒いというか痛い!
この冷たい風の中、館林を闊歩して執筆するのは、それこそ身が引き締まる想いです。
普段だったら3冊も同時に執筆するなら、どこかの街に出向き、いわゆる「カンヅメ」になって一歩も出ずホテルでずっと執筆しなければなりませんが、先日お伝えしたように執筆スタイルが歩きながら書くスタイルに変わったことによって、今ではすっかり「カンヅメ」のまったく逆。
つまり、部屋にこもらず、どの街にいてもどんな天候でも、ひたすら歩きながら書くようになりました。
ここ数年、東京は丸の内や銀座界隈を根城にしておりまして、晴れてる日には人形町あたりまで歩き、雨の日でも地下道を通り歌舞伎座あたりから日比谷を回って、丸の内を抜けて東京駅まで行く数キロ程度の地下道は全天候仕様で快適ですが、館林はそうもいきません。
執筆もいよいよロケの時代になったように感じるほどで、撮影同様、執筆のためのアウトドアウェアを事前準備する必要がありあす。
また、毎年冬はトレーニングも行っていまして、今年は単に歩くだけでなく、ウェイトの代わりに両手に水を持って歩くようになり、これを「縄文式トレーニング」と名付けました。
今から約8000年前、家を持たなかった縄文人は地面に浅い穴を掘り、柱を立ててススキやカヤで屋根を葺いた竪穴住居で暮らしはじめました。
土器を作り、それで炊事をするようになったため、日々の生活には良い水が必要不可欠でした。
そこで清流の近くに住居を作り、水汲みには竹、アシ、フジ、アケビなどの植物のつるで編んだかごの上からウルシを塗り固めた容器を使用します。
こうして、川から水を運ぶことが縄文人の日課となり、最大の労働だったのです。
確かに、木の実を拾ったり猪を捕まえたりもしましたが、それは日課ではありません。
人間にとって、空気の次に大切な水の確保こそが彼ら最重要事項であり、毎日、川から集落まで水を汲み上げて運んでいたため、館林を流れる鶴生田川周辺に縄文集落が点在しました。
また、日々の水汲み重労働が彼らの僧帽筋が極端に発達していたことも近年の科学的分析から明らかになっています。
この縄文人の日課から着想を得て「縄文式トレーニング」と名付け、日々コンビニで水を買って早歩きするようにしていますが、それなりに重いとプラスティックバッグが手に食い込むため、ちょっとしたカバーも持ち歩くようになりました。
おそらく運動不足と言われる現代人でも、縄文人同様、水を持って早歩きする程度で健康維持は十分だと実感してしており、それより大股で深く歩き、ハムストリングスや梨状筋に効かせるフォームが重要です。
そこでコアに筋力を取り戻したら、縄文時代から江戸時代まで引き継がれていた、疲れず、背中や肩が固まらない「飛脚走り」を場面で取り入れます。
江戸日本橋から京都まで三日間で走り切った飛脚は、ケトン体質だったことと「靴」が日本に入る前の歩き方や走り方だったフォームに秘密がありました。
近年、「ナンバ走り」などとも呼ばれていますが、「気」をまわしながら走る特有のフォーム(と考え方)で、確かに疲れません。
フォームを整えた「執筆ウォーキング」と「縄文式トレーニング」。
この組み合わせを用いれば、作家特有、いや現代人特有の肩こりや腱鞘炎に悩まされなくなってきて、スタンドデスク以上の効果を実感しています。
冬から春に移り変わるいま、最新のテクノロジーと太古に戻ったような身体性の融合は一種の「MR」(Mixed Reality)なのではないか、都会と山間部の間にある街で考える今週です。
しかし「赤城おろし」は、寒いですね・・・.
現在、全国各地域特性を出すために特産品を際立てようとしていまして、館林では「小麦」をブランディングに活用しています。
もともと江戸時代には館林藩が置かれ城下町として栄えたこの街は、当時から小麦の生産地として有名でしたが、特に明治時代以降に品種改良が進み、小麦の生産量が増加したことから小麦生産の一大拠点となりました。
1984年になると、日清製粉が館林市に製粉工場を建設。この工場は関東地方で消費される小麦粉の主要な生産拠点のひとつまで成長し、いまや市の雇用や税収に大きく寄与する欠かせない存在となりました。
こうした歴史的背景のもと、館林市では小麦を地域の特産品として活用し、地域振興に役立てています。
駅前から「小麦のまち」と書かれたノボリが立ち並び、小麦を使った商品開発や小麦関連のツーリズムなどが行われ、町中うどん屋や和菓子屋ばかり。
正直、なかなか食べるものが見つかりません、、、。
カナダでは全土をあげてグルテンフリーに取り組んでいると言っても過言ではなく、欧州でもその傾向が顕著です。
世界的な潮流を無視した町おこしは、果たして功を奏すのか見届けたいところです。
さて、ここ数週間お伝えしている音声入力による執筆に関するお問い合わせが止まりません。
こればかりは、実際に体験して頂くしか無いのですが、今週はもう一歩進んで、音声入力を使った英語原書の新しい読書方法についてお話ししたいと思います。
近年、Kindleは米国発売と同時に原書が購入できるようになりましたが、読みたくてもなかなか読み進めることができず、邦訳を待つしかないとお考えの方がかなりいらっしゃると思います。
特に医学関連の書籍は特別なワードが多く、都度辞書を引くのも大変で、その上、大半の書籍はいつまで経っても邦訳されることはありません。
また、KIndleはコピー制限機能がついているため、一冊丸ごとDeepLのような翻訳アプリに貼り付けることもできません。
そこで、KIndle購入後、Amazon Alexaに音読してもらい、それをそのまま音声入力して一冊丸ごと書き写します。
そのテキスト原稿を翻訳したり、場合によってはAIに要約してもらって概要を理解し、必要だったらじっくり冒頭から読みはじめればいいのです。
この方法だと1日に何冊もの原書や論文に目を通すことができ、いつまで経っても出るか出ないかわからない邦訳を待つ必要がありません。
ただし、Amazon Alexaの一冊まるまるの音読は、リアルタイムの物理時間を要します。
そこで、日中の不在時に自室でその作業をマシンーマシン間で行なえば、帰宅後、最新書籍の翻訳が毎晩出来上がっています!
実はKindleアプリの音読みは稚拙で、音声入力が上手くいきません。
その点、Alexaは流暢に読み上げますので、完璧ではありませんがそれなりに音声入力が上手くいき、その後、ClaudeなどのAIに要約&翻訳して貰えば概要が理解できます。
もちろん、オーディブルで出版されていれば、それでも可能です。
これは無駄に寝ていた少し前の機種を有効活用する方法でもあります。
この様相は、誰もいない無人の部屋にてデジタルディバイス同士が会話するようなシュールな近未来的光景に思えてなりません。
そのうち、原書を読みながらAIが自分の意見も織り交ぜて話すようになるんでしょうね、「個人的には」などと宣いながら。
機会ありましたら、お試しを。
10年前にはそれなりに繁華街だった場所も、シャッターが目立つようになりました。
これにはいくつもの理由があると思いますが、ひとつは2000年の「大規模小売店舗法」廃止によって小売店の商業活動が守られなくなり、大型ショッピングセンターが全国各地に林立したことによって、駅周辺が必ずしも繁華街の機能を持ち合わせなくなったことです。
この点が欧州と日本の決定的なまちづくりの違いであり、欧州では1970年代に大型店などの郊外出店の加速によって街が空洞化した反省に立ち、いまでは大型店の進出にたいする規制を強化して街に活気が戻りました。
また、人々が夜の街へ戻って来ていません。
データを見るとコロナ以前の人出の60%前後まで回復したと言われていますが、20時を前後するとインバウンドばかりが目立ち、体感では30%前後しか戻ってないのだろうなと感じます。
在宅勤務が常態化した企業も多く、いまだ会食を禁止している団体もあるようで、世界に類を見ないマスク着用率の高さを見ても、日本はいまだコロナ禍にあるとも言え、もはやこれが「ニューノーマル」なのかもしれません。
今週移動を続ける太平洋沿岸部は、かつてどの街も海や川を起点にした水上交通を中心に街づくりが行われていましたが、都市交通網が発展して「郊外」という概念が生まれました。
郊外とは「都市の外側にある地区、その中でも特に住宅地区」という英国オックスフォード辞典の定義のように、川から離れ、鉄道に導かれるよう「沿線」へと人口移動が起き、あたらしい街(ニュータウン)が誕生します。
近かった「住」「職」も分離され、誰でも車を持てるようになり、飲食からスーツまで、全国各地のロードサイドに店が立ち並ぶようになりました。
ところが、少し前まで車を持っていなければ不便だった場所が、ライドシェアなどのオンラインサービスによって車を所有する必要もなくなり、そうするとわざわざロードサイド店に行かず、可能な限りオンラインで生活するようになります。
半年ほど前、岡山県内に初のAmazon独自配送拠点が設置されたことで、このエリアも多くの商品が夜9時の注文で翌日配達されるようになりました。
こうなると中心地にあるターミナル駅はおろか、沿線駅前やロードサイドにすら出向かなくなっていきます。
現在、米国主要都市では、金融緩和の影響で都心だけではなく郊外の地価も著しく上がっているため、「郊外のさらに外側にある地区」へと移住する人たちが急増しています。
日本のマンション価格相場を見ますと、東京の郊外と言われていた立川などの沿線都市の住宅価格が、この二年で平均で1億円近くまで跳ね上がり、これから住居を購入するのは現実的ではありません。
こうした現状を鑑みても、いままでの生活が破綻に向かっていると言わざるを得ません。
米国で起きたように、住む場所にたいする考え方を抜本的に変える人たちが急増し、仕事を二つ以上持つ時代に突入しています。
高齢化により、通いやすいなどの「働くため」より「快適に住むこと」に重きが置かれ、Amazonが早く届くなら、もはやそこは「あたらしい郊外」です。
海や川を中心とした街づくりから、ターミナル駅がハブになっていた時代に移り、それがいま終わろうとしているんだな、と、太平洋沿岸都市をまわって感じます。
どの街も小さな公園に咲く桜がとても綺麗ですが、駅前同様、「街」という概念は、これから10年で大きく変わるでしょう。
すっかり気候も春めいてきて、 例年ならいち早く海外に出る時期ですが、今年はヘルスケアサービスの立ち上げもあって東京で多くの時間を過ごしています。
ただし、理由はこれだけではありません。
過去20年にわたって、僕は物価が安く面白い街に移り住んできました。
今からちょうど15年前にバルセロナへ移住したときには、体感で物価が東京の半分から三分の一程度で、銀座のような一等地にあるホテルで朝食をとっても500円もしませんでしたが、現在は3000円をはるかに超えています。
同じように、この1年で世界中の友人たちが安価な東京に訪れるようになりました。
実際、僕も毎週のように海外から来た友人たちと東京で会い、彼らは口々になぜ東京はこれほど安いのか!と話します。
実際に東京へ移住しようと考えている人たちも少なくなく、すでに数ヶ月デジタルノマドとして短期移住してる人たちもそれなりにいます。
特に荒廃しつつある米国西海岸や英国から数ヶ月滞在する人たちが多く、生活費や家賃が高騰したサンフランシスコやロンドンで暮らすより、同じ質を担保しながら日本で暮らす方がはるかに安いのは事実です。
今月から日本政府も約50カ国・地域の年収1000万円以上を対象に滞在期間を6ヶ月以内に限定した「デジタルノマド」ビザ制度を開始しました。
僕の友人たちも応募しようと目論んでいる人たちが相当数います。
世界最大の旅行プラットフォーム「トリップアドバイザー」が今年1月に発表した「2024 トラベラーズチョイス ベスト・オブ・ザ・ベスト 観光地」では、東京が「注目の観光地」世界1位。
街を歩くとパンデミック前のアジア人ばかりの状況とは明らかに異なり、いわゆる欧米人が増えています。
ある意味、東京が本当のグローバル都市になったと感慨深く思うと同時に、確かに為替安と物価安はこの国の価値を毀損し、明らかに価格と内容が不釣り合いであり、また、世界的な成長からは完全に外れてしまったことを考えると、少し複雑な気持ちです。
現在、旅行者から見るとバンコクやジャカルタより安く、マニラより東京は安価なのです。
また、世界最大の飲食軒数を誇ることもあって食のコストパフォーマンスも高く、一方、ヴィーガンの店やグルテンフリーの店は、東京ではほとんど見られないと友人たちは悲しそうに話します。
そこで、本当にグローバル化したかどうかをみる指標として世界の金融都市ランキングを参考にすると、残念ながら東京の価値は圏外だとわかります。
労働時間は世界一長く、効率性は他国同様ながら労働者が従順なため、いつまで経っても給与が上がりません。
つまり、日本は遊んだり住むには最高だけど、働くのは割りに合わない街だということがよくわかります。
海外から東京へ遊びに来た友人たちと、少し散りはじめた花見をしながら変わりゆく東京を感じます。
この街は、良くも悪くも5年前とは違うのです。
昨年3月、タイム誌の「世界の最も素晴らしい場所50選」に日本では京都と並んで名古屋が選ばれ、市長や知事が歓喜の声をあげるほど地元では大騒ぎになりました。
なぜなら、日本の代表的都市の中でもっとも魅力に乏しい都市として2回連続選ばれた負の歴史があり、東京、横浜、大阪に次ぐ日本第四の都市ながらも、文化都市とも経済都市ともいえない中途半端な位置付けでした。
今週、名古屋市の都心部・栄で新たなランドマークとして期待されている「中日ビル」が開業。グランドオープンは長蛇の列で、日々大盛況です。
ただし、テナント・リーシングを見ると「リトルトーキョー」に思えてなりません。
中日ドラゴンズのキャラクター「ドアラ」がウロウロしている以外、床に自虐的とも思えるエビフライ模様がありましたが、ローカルらしさはほとんど見当たらず、正直「あたらしいのに内向き」な印象が否めません。
事実、インバウンドは東京、京都、大阪のゴールデンルート上にありながら、名古屋に魅力を感じて宿泊する人たちが極端に少なく、街を歩いても銀座や原宿のようなインバウンドばかりの場所は見当たりません。
その上、リニア中央新幹線が開業すると品川─名古屋間は約40分で移動できるため、10年も経たないうちに首都圏に組み込まれていくのは間違いなく、品川から見ると「横浜の少し先」あたりに体感上の名古屋が存在する印象になるように思えます。
そうなると、中部地方の意識的消滅を意味します。
中日、つまり中部日本は、日本列島の中央に位置することから東西のいいとこどりできる地の利によって、モノづくりとビジネスのバランスに長けていました。
名古屋の既得権は、長い間「五摂家」=松坂屋、中部電力、東邦ガス、名鉄、東海銀行でしたが、いまは見る影もなく、トヨタは三河ゆえ「五摂家」には入れません。
ところがバブル経済が崩壊し、銀行再編や自由化によって電力とガスが対立するようになって、「五摂家」は事実上崩壊します。
この間、国鉄分割民営化により東海道新幹線を引き継いだJR東海や、尾張に出てこないゆえ「三河モンロー主義」と呼ばれたトヨタが名古屋駅前に大進出。
現在は「新御三家」と呼ばれるトヨタ自動車、JR東海、中部電力が中心となって名古屋駅を中心に開発を進めてきましたが、栄の利権の多くはいまも「五摂家」が握っており、旧勢力と新興勢力(外様)の溝、もしくは尾張と三河の溝が埋まらず、「名古屋」という街を自ら定義できていないように見受けられます。
それゆえ、観光戦略含めたブランディングが大きく欠如しているのです。
今週、栄にオープンした中日ビルのオーナーは中日新聞社であり、江戸時代には尾張藩(名古屋藩)の家老を務めた白川家が強い権限を持っていました。
旧中日ビルは1966年に中部地方最大級のビルとして誕生。
中日劇場など文化の発信拠点となり、半世紀にわたり栄のランドマークとして親しまれましたが、名古屋駅周辺では2000年ごろからJRセントラルタワーズやミッドランドスクエアなど高層ビルが続々と誕生して一大商業地へと変貌。
岐阜県や三重県からのアクセスも良く、18年には名駅地区の百貨店売上高が栄地区をついに抜きます。
つまり、新しく開業した尾張旧勢力による中日ビルが競い合っているのは、三河勢を中心とした新興勢力による名古屋駅前の開発ゆえ、外に目を向ける気配がありません。
果たして、栄も名駅周辺も含む「大名古屋」の未来は「ジャイアント・トーキョー」の一端になるのか?
それとも尾張と三河が一致団結し、「新名古屋」を形成するのか?
もしくは、域内の力関係をいつまでも争うのか?
答えが出るまでに十年もかからないだろうな、と名古屋の街並みを歩き考える今週です。
どうもこの街の内向き加減と村社会は、日本の未来を暗示しているように思えてなりません。
毎年春になって太陽光が降り注ぎ始めた頃、今年の撮影で使うカメラテストを行なっています。
ラージセンサーと呼ばれるハッセルブラッドなどの中判カメラから、ここ数年、動画機として愛用しているソニーのα1、そしてライカQ3やリコーのGRlllなど、センサーの大きさに限らず、あらゆるカメラをテストして今年使う機材をを選びます。
まるで古い友人と再会するかのように、カメラたちと対話しながら今年の旅相棒を選ぶ、そんな特別な時間なのですが、
今回は例年とは違う新しい仲間がこのカメラテストに参加することになりました。
それが、初めて加わったスマートフォンです。
朝から日が沈むまで、1日かけてあらゆるシーンを撮影するのですが、その結果は驚くべきものでした。
静止画のクオリティーでは、圧倒的にラージセンサーと呼ばれるハッセルブラッドとライカレンズ(アポ50mm)の組み合わせが優れており、動画撮影ではSONYのα1と純正のGマスターレンズの組み合わせが卓越していました。
この結果は、この二年ほど変わることなく、揺るぎないものとなっています。
堅牢性では、ライカQシリーズに及ぶものはありません。
しかし、コンパクト機部門では、これまで王者の座にあったリコーGRlllやSONYのRXシリーズを押さえて、なんと「Xiaomi14 Ultra」が最も美しい絵を描き出したのです。
これは、まさに驚きの結果でした!
ラージセンサーによる静止画の優位性やオートフォーカスを含めた動画性能は、それなりに事前からハッセルブラッドやソニーが有利だろうと予測していましたが、近年のスマートフォン、特に中国製のスマートフォンには目を見張るべき機能が搭載されています。
センサーもiPhone等より大きな1インチセンサーを積んでいることから明らかに画質が良くなって、ついにスマートフォンの小さなレンズに物理的な可変絞りが搭載されるようになりました。
これもSONYが新しく開発した1型センサー「LYT-900」ならではです。
長年バックアップ用のコンパクトカメラとして、ソニーのRX100シリーズやリコーのGRシリーズを使ってきましたが、一年半ほど前に画素が増えてRAWも撮れるようになったことから、広角に関してはiPhoneで充分ではないかと考えるようになり、実際、自著でも多用しています。
ところが広角のみならず、1インチセンサーを積んだことによってスマートフォンでもセンサーの真ん中部分を切り出した35ミリや50ミリなどの写真でもかなりの絵を描くようになりました。
また近年、「ポートレートモード」と言われる人工的にボケをつける機能が各スマートフォンに搭載されてきましたが、実際それが使えるかと言うとまだまだ怪しいところがありました。
しかし、「Xiaomi14 Ultra」ではかなり自然にボケを人工的に作れるように進化しています。
これはLiDARセンサーの大きな進歩と画像エンジンのマッチングがうまくいっている証拠であり、ここ数年お話ししておりますように、あと4~5年もすれば静止画も動画も一部のプロはスマートフォンをメインにするのではないかと予測しています
ただし、「Xiaomi14Ultra」に搭載されている「プロモード」設定で、露出やシャッタースピードなどを手動で切り替えなければ良い絵になりません。
この辺は一般的なコンデジと同じで、単にオートで撮るのも構わないのですが、もう少し追い込んで自分でマニュアル設定した方が良い絵が取れるのは明らかです。
また、「Xiaomi14Ultra」はライカが監修しているだけあって、カラーレンダリングが極めて秀逸ですが、またまだ処理速度が追いつかずに小さい画素じゃなければ記録できません。
ところが、この数年でAIアプリケーションが急速に進化したことによって、多少画素が小さくてもAIが拡大し、最終的なアガリが見分けがつかない綺麗な仕上がりになります。
どこかで、いままでのスマートフォンで一番いい写真を描いたZeissのアポレンズを搭載した「VIVO x100v」と「Xiaomi14Ultra」を対決させたいと思っています。
正直、スマートフォンの動画性能はまだまだですが、静止画に関してはかなり「カメラ」を凌駕するようになってきたと感じています。
今回、テスト撮影に立ち会ったカメラマンも驚愕すると同時に、僕も含め、各々自分の身の振り方を考える1日になりました。
単にスマートフォンの進化だけでなく中国の開発能力に驚嘆し、韓国の先行きさえ考えてしまった今年のテスト撮影。
カメラに限らず、価値観含め5年すればいまの世界はまったく違う世界に変わるんだろうな、と強く実感する今週です。
Sweetest day of May!
春の陽気に誘われて、5月に入ってからも世界中から友人たちが続々と日本を訪れています。
彼らにとって、ゴールデンウィークという日本独特の長期休暇の概念は馴染みがなく、友人たちは日本各地の観光地を巡りながら「なぜ日本はどこもこんなに人で溢れているんだ!」と驚きを隠せません。
実は、ゴールデンウィークという言葉はもともとマーケティング用語として生まれたもので、戦後、国民の祝日に関する法律(祝日法)の施行により、映画会社が「ゴールデンウィーク」というキャンペーンを展開しました。
これが正月映画やお盆映画を上回る興行成績を記録したため、宣伝用語としての活用が本格的にはじまります。
その後、日本旅行協会が5月の大型連休を「ゴールデンウィーク」と銘打ったキャンペーンを大々的に行い、この名称が広く定着していきました。
このような謂れから、NHKでは宣伝用語を避ける方針のため、放送時には原則として「(春の)大型連休」という表現で統一しています。
そんな中、海外の友人たちから都心部でどこかガイドブックに載っていないかつソーシャルにもあまり上がってない日本らしいところへ連れてってほしいと懇願されまして、6年ぶりに本社大神輿が渡御した烏森神社例大祭にお連れしました。これが、大好評!
その夜、御礼もかねて招かれた都内有名レストランに行くと、両脇のテーブルはいわゆる「パパ活」だと思われる人たちで、友人たちから説明を求められました。
そこで僕は、「君たちと同じ一種のノマド」だと話しました。
なぜなら「自分の技能を活かして場所に縛られずに仕事をする人々」だからです。
その夜目撃したのは、たぶん以前なら店や組織に属していた人たちなのでしょうが、いまではフリーランサーとして、中には僕の友人たち同様海外まで出張って「世界中を旅しながら働く」というライフスタイルを送っている人もいるかもしれません。
現在、世界にはデジタルノマドが5000万人近くおり、さらに今後3~4年で倍増すると予測されています。
A Brother Abroad社が2021年に実施した調査によると、デジタルノマドの経済効果は全世界で約116兆円に達しており、いまや「デジタルノマド経済圏」と言っても過言ではありません。
この突如として生まれた「デジタルノマド経済圏」を狙って、彼らを自国に誘致する動きが世界で急増しています。
デジタルノマドビザ発給国は、2021年2月時点では21カ国でしたが、わずか二年で58カ国と3倍近くに増え、さらに手厚くする動きが顕著です。
日本も他ではありません。
スペインでは、若い世代のデジタルノマド誘致に1世帯あたり3,000ユーロを支援する取り組みや、出産1人につき、さらに3,000ユーロを支給。
スイスでは田舎移住者に約300万円が支給されるなど、高齢化、過疎化に悩む地域課題解決への一助として、デジタルノマド誘致に力を入れています。
もしかしたら、日本の過疎化した地域の救世主になる可能性もあります。
年代別では30歳代のデジタルネイティブが半数を占め、20歳代と40歳代がそれぞれ約2割で、男女比はほぼ半数。
全体の31.5%がフルタイムで企業に雇用されていますが、およそ7割はフリーランスです。
僕の友人たちを見ていると、みなさんリモートワークで朝4時間ほど集中して働き(午前5時から9時ごろまで)、その後1日を楽しく過ごすようなライフスタイルを送っています。
職種は、ライター、プログラマー、デザイナー、DJ、ミュージシャン、ビデオエディター、コンサルタント、専門性の高い弁護士、アナリスト、栄養トレーナーなどですが、二つ以上の職種を掛け合わせている人も少なくありません。
先日、ドイツからきた友人は、金融業界で働きながらミュージシャンとしてもそれなりに活躍しています。
Decentralizedは、意思決定や制御、権限などが中央の単一の主体に集中せず、ネットワーク上の多くの参加者やノードに分散している状態や構造を表す言葉で、僕がよく言う「分散」です。
現在、社会が不均衡なのは既得権による中央集権化の制度疲労に大きな問題があります。
インターネットが単一の中央サーバーに依存するのではなく、多数のノードが対等に接続され、データや処理が分散されているネットワーク構造で構築されているように、社会システムも単一の中央管理者が存在するのではなく、多数の参加者が協調して動作するシステムに移りかわらねばなりません。
これらを鑑みると、二つ以上の場所に住み二つ以上の仕事をするのは、これからの時代の必然になり、そうなるとゴールデンウィークのような皆で同じ時に休むこもとなくなり、行楽地や都心部が大混雑することもなくなります。
新時代のノマドの台頭は、固定された場所で決められた時間に働くという常識が覆され、より多くの人たちが個人の自由と自己実現が重視される時代へと移行しつつあることを予測します。
しかも、この変化は単なるライフスタイルの多様化にとどまりません。
およそ50年前にヒッピーが唱えた環境問題などが、現在世界的なトピックとなったように、Decentralizedの概念は、政治や経済、文化など、社会のあらゆる意思決定プロセスの分散化や多様な価値観の共存など、十年後には世界中で当たり前になっているかもしれません。
果たしてヒッピー以来、最大の対抗文化であるデジタルノマドは社会や経済のあり方そのものを問い直す契機となるのでしょうか?
それにしても不思議な気候です。
3月のような日と7月のような日が同じ週に繰り返されています。
何事も乗り換え時は、混乱するものです。
最近、食事について多くの質問をいただいておりまして、また、以前お伝えした夏と冬とで体重を変えている件につきましてもご関心をお持ちの方が多くいらっしゃいます。
確かに、夏が近づくと体重やスタイルが気になりますよね。
でも、それだけではありません。
夏と冬では、人間が本来持っている遺伝子の発現によっても体型を変化させなければなりません。
簡単に言えば、冬は脂肪がないと寒くて耐えられず風邪などをひいてしまいますが、逆に夏はその脂肪が邪魔になり、体内に熱がこもってしまい、熱中症の原因になりかねません。
冬に体脂肪が増えるのは、体温を保持するための生理的な適応反応です。寒冷環境下では、体温を維持するためにエネルギー消費量が増加し、そのエネルギー源として体脂肪が蓄積されていきます。
また、寒冷ストレスは交感神経系を活性化させ、脂肪分解を抑制し、脂肪蓄積を促進します。
一方、夏は暑熱環境下で体温が上昇しやすいため、体脂肪を減らすことで熱放散を促し、体温上昇を防がなければなりません。
また、暑熱ストレスは副交感神経系を優位にし、脂肪分解を促進します。これらの生理的変化により、夏は体脂肪が減少しやすくなるのです。
そこで、僕の具体的な数値は、夏の体重が49キロ前後、冬は52キロ前後で、体脂肪率は夏が9%、冬は12%程度を維持しています。
また年中、血糖値(グルコース)は80-90mg/dl、ケトン値は6-8mmo/lの間をキープするようにしており、基本的には血糖値を落としすぎず、ケトン値を高めるように心がけています。
これは、脳や体に安定したエネルギー供給を行うためで、血糖値が低すぎると脳のエネルギー不足から集中力の低下や気分の変調を招きかねません。
一方、ケトン体は脳のエネルギー源として有効であり、ケトン値を適度に高めることで、脳の機能をフル活用することができ、直感力が冴え渡るのです。
また、僕が考える「夏」の定義ですが、芒種(ぼうしゅ)をひとつのはじまりの目安にしており、現在多くの人たちが使用しているグレゴリオ暦だと6月5日から6日前後にあたり、これはバルセロナで言われる「5月40日までは春」(6月10日から夏)の例えとも通じるものがあり、このあたりから北半球各地で夏が本格的にはじまります!
芒種の「芒」は、イネ科植物の穂先のとがった部分を指し、「種」は種まきを意味します。
つまり、稲などの穀物の芒が育ち、種まきの時期を示すことから、この時期は稲の栽培に適した気温と湿度になって、田植えも本格的に始まるタイミングなのです。
古くから日本でも6月1日を衣替えとしており、古代中国では陰陽五行説に基づいて、季節ごとに衣服の色や素材を変える「更衣」の習慣がありました。
この習慣は、エアコンがない時代の季節の変化に適応し、健康を維持するのが目的でした。
ちなみに、夏の風物詩と言われるウナギですが、実は天然のウナギがもっとも美味しいのもこの時期です。
よく、物の本には冬のウナギは脂が乗ってて美味い!と書かれていますが、冬のウナギは寒いこともあって身が硬くなってしまい、天然なら5月から6月が圧倒的に美味しい!
こうして衣替えや天然の産物から夏を実感し、再び昼と夜の長さが等しくなる9月23日頃の秋分までを「夏」と考え、そのあたりから食生活を少しづつ変えて冬支度(=体脂肪を増やすの)をはじめます。
当然、摂取するサプリメントも異なります。
春先からビタミンDは飲まなくなり、かわりにミネラルを多く摂取するなど、季節と自分の体質(SNPs)にあわせることも大切です。
自分では自覚なくとも季節性情動障害(SAD)に陥り、気分のムラや集中力低下、エネルギー不足、過眠含む睡眠障害などが起き、これらの大半の問題は一つ前の季節と同じような服を着ていたり、同じような食べ物を食べていたりすることで発症します。
季節性情動障害は、特定の季節に症状が現れる気分障害の一種で、主な症状は、抑うつ気分、興味や喜びの喪失、エネルギー不足、過眠、体重増加などが見られます。
SADの原因は十分に解明されていませんが、セロトニンやメラトニンなどの神経伝達物質の不均衡が関与していると考えられているため、この時期は少しだけ強くなった太陽光を浴びることで、季節が変わったことを脳と体に教えなければなりません。
紫外線を避け、エアコンのなかで暮らしていると、脳と体は季節変わりを理解できなくなってしまうものです。
つまり、いつも以上に外へ出るのが正しい!(できれば、カメラなどを持って)。
季節の変化に適応することは、健康を維持する上で非常に重要です。
夏と冬では体組成や代謝、ホルモンバランスなどが変化し、それに合わせて生活習慣を調整する必要があります。
特に、食事、サプリメント、運動、睡眠、ストレス管理などは、季節に応じて適切に変えることが求められるのです。
今年ももうじき本格的な夏がやってきます。
なにかを変えるなら、今ですよ!
いよいよ五年ぶりの開催となる読者感謝祭も近づいて参りました。
残念ながら当選に漏れてしまった方々から多数のご質問を頂戴しておりまして、なかでも多くお問い合わせいただいているのが、当日限定商品だけでも購入できないかというお尋ねです。
そこで、ポップアップショップ・オープンは16:00~し、どなたでもご購入いただけるようにいたしました。
(完全キャッシュレス対応となります!)
当日は、恒例のNEXTRAVELER TOOLSショップが1日限りオープンし、大ヒット商品「DAILY COIN AND CARD HOLDER」の進化版「MULTIWAY WALLET」先行発売や、先日発売してご好評いただいた「MULTIWAY TRAVEL BLIEF No.1~No.8」を当日限定で受注します。
僕は5リットルのNo.3で世界一周の旅路に出るようになりましたが、サイズ感を確認したいというお問い合わせを多数頂戴しまして、この機に全サイズ展示することにしました。
他にも好評を博したメリノウールのロンTや折りたためるトラベルキャップなど、旅行シーズン前の準備に欠かせない逸品をご用意いたしました。
NEXTRAVELER BOOKSからは、6月に発売予定の『観光大国スペインに見る、オーバーツーリズムの現在と未来』、『和牛3.0 -人と牛の共生が拓く、自然と文明の新しい関係-』、2冊の書籍をどこよりも早くお届けいたします!
また、今回はじめてサプリメントを販売いたします。
同じサプリメントばかり飲んでいると耐性がついてしまうことから、米国製のサプリメントのオルタナティブとなる製品を五年がかりで開発しました。
スコール金沢の故浦田理事長の設計と意思を引き継ぎ、日本人の体質にあったマルチビタミンやお子様の口でもお召し上がりいただきやすいサイズのフィッシュオイル、亜鉛やビタミンD3などを揃えました。
さらに、いままでにない高含有量のクロロフィルだけを使用した「超八重山クロレラ」や酸化を抑制するための不純物が一切ない国産の「クエン酸」、良質なスリランカ産MCTオイルから、消化吸収が早く喉が痛くなりにくいカプリル酸(C8)を抽出した「C8オイル」(小分け5ml)なども販売いたします。
また、僕自身が世界中の農場をまわって見つけたシングルオリジンのアーモンドを、この日限り先行発売します。
実はアーモンドにはいくつもの種類があるのですが、この世の99.9%のナッツは、ごちゃ混ぜにして販売されています。
そこで、南イタリアの天日干し製法で作られたアーモンドの中でもっとも油分が高いジェンコ種だけを抽出した「ケトジェニック・ブースター・アーモンド」を初披露します。
味は、沖縄屋我地島の塩を使った「ソルト」「ペッパー」、グアテマラ・インヘルト農園のシングルオリジンを使った「コーヒー」の3種です。
そして、長年のリサーチと研究の末に行き着いた医師が監修するメディカルグレードの濃厚「CBD」も販売いたします。
一般的に販売されているCBDは、サティバ種やインディカ種などのストレインをわけることなく、雑多なままで製品化しています。
そこで、過緊張が続き、呼吸が浅い人のための「DAY SATIVA」(集中力爆あがりです!)と、睡眠効果抜群の「NIGHT INDICA」(睡眠力爆あがりです!)を先行発売します。
また、当日は8weeks.ai提携クリニックの医師や看護師などの医療関係者スタッフも皆さまをお待ちしています。
特に「がん」は、時間との戦いです。
そこで、「超早期がん検査」を準備をいたしました。
受診したい方は、当日直接ご相談くださいませ。
この検査に限り、8weeks.aiサービス開始前に先行で受付いたします。
およそ5年ぶりとなる本イベントですが、実にこの間、社会の様子は大きく変わりました。
しかし、今後10から15年で世界はもっと大きく変わると予測します。
思い起こせばスマートフォンが登場してからわずか15年。
この間世界は大きく変わりましたが、パンデミックあれど、 各国の大量のマネープリンティングにより、問題を先送りにして難を逃れてきました。
ただし、大きな反動とも思われる副作用はこれからやってきます。
また、数字教と僕が言う株価至上主義経済の中で、日々我々が口にする食品の品質が著しく落ちています。
当然それらの「毒」は、徐々に我々の体を蝕み、病気とは言わないまでも、不調が続きます。
個人でもお仕事でも悩みの99.9%を占めるヒト、カネ、健康。
コミュニケーションの変容と、マネープリンティングの行く末、そして自分自身で自分の健康を守らねば、生きていけなくなる社会。
このような世の中でこれからどのように生きていくのが良いのか?
昨年30カ国以上、世界を巡った実体験を合わせて皆様にお話ししたいと思っております。
来週火曜日、久しぶりに皆さまとお目にかかれるのを、楽しみにしております!
(問題は、これから作る当日の資料が間に合うかどうかなのですが、、、)
今週はラスベガスにいます。
昨年も春に訪れましたが、この一年で明らかにホームレスの数が増加しています。
改めて数字を見ますと、2年前に対して40%もホームレスが増えており、警察が路上で物乞いしているのを撤去する姿を頻繁に見かけるようになりました。
ここまでホームレスが増えたのは、30年以上にわたってラスベガスを見てきた僕から見ても異様に思える光景です。
2023年1月に実施された南ネバダのホームレス人口調査(ポイント・イン・タイムカウント)では、ラスベガスで約一万人のホームレスが確認され、今年に入っても驚くべきスピードで急増していると報告されています。
現在、ホームレス人口の約60%が屋外や車両、砂漠、テントなどの非住宅環境に住んでおり、支援施設満員で収容できるキャパはもうありません。
また、女性や高齢者のホームレスが増加し、55歳以上の成人が全体の約33%を占めていますが、若年層ホームレスも急増中です。
この背景には、金融緩和の影響で家賃が急騰し、経済的困難に陥った人々が次々と路上に放り出されたことが挙げられます。
特にパンデミック中の家賃の平均増加額は安価なネバダ州でも500ドルに達し、支払い困難による退去者が続出しました。
果たして、これはラスベガスの影なのか、それとも米国の未来なのでしょうか?
さて、今週は昨年も参加した機能性医学総会に出席しています。
機能性医学(Functional Medicine)とは、身体全体のシステムのバランスと機能に着目し、個々の患者の健康問題の根本原因を特定して治療する先進的医療アプローチで、いまも毎年アップデートが続いています。
本年の主なトピックは、以下の通り。
1. 遺伝子情報の活用
遺伝子解析を用いて、各個人の遺伝的特徴に基づいた治療計画を策定し、特定の疾患に対するリスク評価や最適な治療法の選定を可能にします。
また、遺伝子の発現を制御するエピジェネティクスの研究が進むことで、環境やライフスタイルが遺伝子に与える影響を理解し、個別の治療アプローチをさらに精密化しています。
2. マイクロバイオームの徹底研究
腸内フローラ(マイクロバイオーム)が全身の健康に与える影響をあらゆる角度から研究し、そのバランスを改善することで、消化器疾患だけでなく、精神的健康や免疫機能の向上も目指します。
3. デジタルヘルスとテレメディスン
ウェアラブルデバイスやスマートフォンアプリを使用して、患者の健康データをリアルタイムでモニタリングし、治療効果の最適化を図ります。
4. ライフスタイル医学
食事、運動、睡眠、ストレス管理など、生活習慣全般の改善を通じて、慢性疾患の予防と治療を目指します。ここには最新の時間栄養学も含まれます。
5. 再生医療と細胞療法
幹細胞やその他の再生医療技術を用いて、損傷した組織や臓器の修復を目指します。
6. 環境医学
住環境や職場環境、日常的に接触する化学物質が健康に与える影響を評価し、環境改善を通じて健康を最適化します。
これらのアプローチは、より効果的で個別化された治療を提供するための重要な要素で、いよいよ高度医療はパーソナルの時代に本格的に入ったと実感するところです。
今回発表された最新の知見は、先日発表した8weeks.aiにも取り入れたいと思います。
しかし、それにしても暑い。
日々37度を超えています・・・。(シアトルは9度だったのですが)
この街には、「5月40日から夏になる」という古くからの言い伝えがあります。
これはスペイン語の「Hasta el cuarenta de mayo no te quites el sayo」という格言に由来しており、直訳すると「5月40日までは上着を脱がないでください」という意味になります。
つまり、「6月10日まではまだ寒い日があるかもしれないので、油断せずに暖かい服を着ておくべきだ」という、季節の変わり目に風邪などをひかないよう注意を促す、古き良き教えがいまも伝えられているのです。
確かに今週のバルセロナの気候は、完全な夏というより季節の移り変わりの時期という言葉がふさわしく、日々、太陽光も強く20度前後と過ごしやすいのですが、夜になると突然肌寒くなり、日中は上着の必要がなくても朝晩Tシャツだけでは寒さ募ります。
しかし、そのような事情を知らない観光客は、夕方の寒空に目抜き通りを軽装で闊歩しており、一方、地元の人たちは決まって上着を手に持ったり羽織ったりする人たちばかりですので、面白いようにローカルかどうか服装でわかります。
ちなみに、つい先日まで滞在していたラスベガスの気温は日中42度を超えていましたので、この気温差は時差ボケ以上に堪えています・・・。
先日の読者感謝祭でもお伝えしましたように、人はサイクルの中で生きていると言うよりも、サイクルに縛られて生きていると行った方が正確かもしれません。
毎年訪れる季節もそうですが、人間の体には1日のリズム(概日リズム)、月のリズム、ホルモンのリズムなど様々な生物学的リズムが存在し、これらのリズムは、食事や運動、ホルモンの分泌など、私たちの生理機能に大きな影響を与えています。
中でも重要なのが、概日リズム(サーカディアンリズム)です。
地球上のほとんどの生物は、24時間周期の明暗サイクルに適応しながら進化してきました。
光は目から入り、脳を介して体内時計をリセットし、リズムが狂わないように調整して健康状態を保っています。
概日リズムが乱れると、心身の不調につながり、例えばシフトワークや時差ボケによる体内時計の乱れは、肥満やがん、うつ病のリスクを高め、夜型の生活習慣は、精神疾患、糖尿病、心血管疾患との関連が指摘されています。
今週のように季節の変化も見逃せません。
季節によって日照時間や気温が変化することで人間の体は大きな影響を受け、冬の間は、体を温めるためにエネルギー消費量が増加しますが、逆に夏は暑さのストレスによって食欲が減退することがあり、こうした季節変動はホルモンバランスや代謝にも意識せずとも大きな影響を及ぼします。
また、月のリズムと聞くと、どこか神秘的な印象を持つ方も多いかもしれませんが、月の満ち欠けが生物の行動や生理機能に影響を与えることは、科学的にも証明されています。
特に、女性の月経周期と月のサイクルの関係は興味深いテーマで、排卵日が満月の頃に集中することや、月経痛の程度が月の満ち欠けによって変化することが報告されており、僕が今まで何十人と見て着床率100%に至った不妊治療も、まず第一に人間らしいリズムを取り戻すことから始めています。
さらに、ホルモンのリズムも心身の状態を大きく左右します。
コルチゾールは朝高く夜低いリズムを刻み、成長ホルモンは夜間に分泌のピークを迎え、女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンは、月経周期に合わせて変動します。
このようなホルモンのリズムが乱れると、ストレス耐性の低下や免疫力の低下、不眠など、様々な不調につながるのです。
こうした生物学的リズムは、互いに影響し合いながら社会の巧妙なネットワークを形成しており、いわゆる人間関係の不和も各人のリズムが狂ってしまってコミュニケーションが取れなくなる場合がほとんどです。
つまり、意識しようがしまいが人間は文字通り「サイクルやリズムに縛られた存在」なのは間違いありません。
それゆえ、各人も社会も健康で充実した日々を送るためには、これらのサイクルやリズムを理解し、できる限り自然に沿った生活を心がけることが大切です。
そのためには、どこの国にいても同じ時間に起き、朝日を浴びて体内時計をリセットし、夜に作られたメラトニンを抑制してセロトニンを促進してビタミンDの合成をはじめることを心がける必要があるはずです。
それゆえ、例えどんなに眠くとも、バルセロナ滞在時には自分をリセットするために朝5時半に誰もいないランブラス通りを歩くようにしています。
今年も暑い夏がやってきます!
どうか、その前に衣服に限らず心身のリセットを。
今週は、沖縄本島中部にいます。
早くも梅雨入りし、グズついた天気が続く沖縄ですが、観光客はそれなりに戻ってきており、どのホテルも他国の観光地同様混雑しています。
ただし、沖縄は他の地域では見られない現象が起きています。
それは、新型コロナ感染拡大を防ぐため、各地でマスク着用のアナウンスが頻繁に聞こえることです!
確かに新型コロナは夏になると感染者が増えますが、それは日本だけの傾向ではなく世界どの地域でも同じです。
特に観光地は春先から多くの人がやってきて、その影響もあって新型コロナウィルスが感染拡大する傾向が見て取れます。
沖縄も他ではありません。
ここ数年、沖縄県の新型コロナウィルス感染拡大ピークは6月前半、つまり今の時期であり、今回お話を伺った県内の医師によれば、ゴールデンウィークに他県や海外から多くの観光客が沖縄に訪れ、それによって感染拡大するので、感染ピークが毎年この時期になると言うことでした。
だからといって、マスク着用をパブリックアナウンスすることが正しいとは限りません。
いまや、コロナと共に生きる事は世界中の常識となっており、また、オミクロン波の第一波以降、マスクが効果がないことは科学的にも明らかです。
しかし、ここ沖縄ではローカルテレビでも公共交通機関に乗る場合は、マスクをつけるようにと頻繁に注意が促されています。
まるで数年前に逆戻りしたようなタイムスリップ感を得るほどですが、県内各地でマスク着用を多言語で公共的にアナウンスしており、それを聞いた海外ゲストは混乱している様子が見受けられます。
いったい、この状況はいつまで続くのでしょうか?
どこか時制が狂ったように感じるほどです。
さて、今回はもともと長寿県だったのに、あっという間に転落した沖縄の光と影について調査に参りました。
1975年の統計以来、沖縄の平均寿命は女性が全国第1位とトップを維持し、男性も85年には1位と、一貫して上位を守り続けてきました。
1995年になると大田昌秀知事(当時)が「世界長寿地域宣言」を出し、メディアはこぞって伝統的な食事、温暖な気候、おおらかな県民性など、「沖縄の長寿の秘訣」を探りました。
ところが21世紀に入ると状況は一変します。
男性が26位と大幅に後退し、後を追うように女性はトップを長野県に譲って3位となってしまいました。
さらには65歳未満(30~64歳)、いわゆる働き盛り世代の死亡率は男性でワースト5位、女性も同じくワースト4位と、現在の健康状態が非常に厳しい状況にあることが伺い知れます。
なぜこのような事態に陥ってしまったのでしょうか?
一般的には食生活の欧米化と言われていますが、実は沖縄は日本で初めてファーストフードができた地域でもあります。
一般的に日本初のファーストフード店は1971年にできた銀座のマクドナルドだと言われていますが、その10年ほど前、米国の占領下にあった沖縄ではファストフード店が誕生しています。
それとともに肥満が増え、健診の数値も悪化していったことが明らかになっており、つまり沖縄は日本人の健康の先行きを占う「炭鉱のカナリア」とも言える存在なのです。
かつて沖縄は、世界に五つある長寿地域のブルーゾーンだと言われてきました。
ブルーゾーンとは、世界で特に長寿な人々が多く住んでいる地域のことを指し、イタリアのサルデーニャ島、日本の沖縄、ギリシャのイカリア島、コスタリカのニコヤ半島、アメリカのロマリンダなどが知られていますが、沖縄は既に過去の話になりつつあります。
ただし、ブルーゾーンの実態は、世界遺産同様な認証ビジネスの側面も強く、全てを鵜呑みにできるものではありません。
一般的に長寿の秘密を追った研究や書籍は多数存在しますが、もともと長寿だった場所があっという間に短命地域へと陥落する様を描いた書籍はほぼ見当たりません。
それゆえ、今回調査に訪れたわけですが、沖縄県民の健康状態が著しく悪化する様を改めて実感しています。
こうなると絶滅危惧種同様、ブルーゾーンではなくレッドゾーンではないのでしょうか?
どちらにしろ問題ですね、沖縄県だけに限らず日本人の食生活は。
マスク着用をいまだにアナウンスするのと同様、食品スポンサーが多数を占めるマスメディアの功罪は、とても大きいと心底思う今週の沖縄です。
ここ1~2年で急速に進化した音声入力とApple Vision Proによる空間コンピューティングによって、僕の「執筆」や「クリエイティブ」スタイルは全く違う次元へと昇華しつつあります。
このメールマガジンも、音声入力とApple Vision Proを使って書いておりまして、当初はカフェなどでApple Vision Proを装着するのに抵抗ありましたが、いまではすっかり周囲の奇異な目にも慣れ、歩行時にはiPhoneで音声入力。
その後、店などに入ってApple Vision Proを装着するか、iPadで仕上げるようになりました。
そして来週6月28日、いよいよ日本でもApple Vision Proが発売になりますが、売れている様子はまったくありません。
価格の問題も大変大きいのでしょうが、それ以上にこのデバイスをどのように使っていいのかわからない人たちが大半だからだと思われます。
以前も何度かお話し申し上げましたが、この数ヶ月、Apple Vision Proを徹底的に使って感じたのは、なによりPro Display XDRの代わりになることでした。
いままで写真の現像を行ったり、動画の編集をする上で、大型ディスプレイは印刷クオリティーの確認や劇場の仕上がりを見る上で絶対的に必要でしたが、実はこの大型ディスプレイこそ、僕が所有しているすべてのモノの中で最も大きい製品でした(自転車を除く)。
32インチのPro Display XDRは重さ7キロ程度あり、それ以前のマスターモニターと呼ばれる20kg超、数百万円の業務モニターを代替する製品として愛用してきましたが、持ち歩くのが不便だったので専用ケースを自分で作ったり、海外ロケなどに持ち出したりして五年ほど愛用してきました。
ところがAppleVision Proが登場したことにより、32インチのPro Display XDRを持ち出す必要がなくなったのです!
この視覚革命とも言うべき空間コンピューティングによって、いつでもどこでも大きなビジョンを見ながら映画の試写や印刷解像度に耐えうる写真現像をすることができるようになったのは、僕にとって「脱大型モニター」を意味します。
価格から考えても五年落ちのPro Display XDR売却した価格に少し足せば、Apple Vision Proは購入可能です。
ただし、視力に与える影響は不明ですが。
また、VR空間でのゲームなども面白いのですが、個人的に遊戯具として最もApple Vision Pro活用しているのは、こちらも以前から使用しているDJソフト「DJay」です。
Vision OSは、基本的にiPadOSと極めて近いため、そのまま移植するアプリケーションがほとんどですが、「DJay」は全く違います。
VR空間上にDJブースが再現され、またダンスフロアも現れます。
これが実に面白い!
パンデミック以降、大きな空間でDJする機会もめっきり少なくなりましたが、この空間コンピューティングDJは実に新しい感覚で、つい先日もオールでプレイしてしまいました・・・。
正直、アプリケーションとしてはまだまだで、現場で使えるほどではないと思いますが、今後発売されるであろうVision OS対応コントローラー含め、この先に何か新しいカルチャーがあると感じています。
現段階では、数人の宇宙人がダンスフロアで踊る程度ですが、そのうち多くのクラウドがVR空間の中に登場し、良いDJだったら盛り上がる、イマイチなDJだったら盛り下がる評価機能がどこかで搭載されると思われます。
おそらくDJだけではなく、一般的な音楽ソフトもしくはAIで作られた楽曲をVR空間内のクラウドの前で流すことによって、その曲が実際にどれくらいウケるのか、事前にシミュレーションすることもできるようになるでしょう。
映画も同じです。
もうすでに実装されているVR空間の中の映画館に観客を入れて試写を行い、この映画のどこのシーンが問題かクラウドが判定し(実際はAIが判定し)、それによって編集精度を高めて完成するような映画の作り方に変わると思われます。
こう考えると、現段階のApple Vision Proは、いわゆるVRゴーグルではなく、ヘッドマウンド型ディスプレイに過ぎません。
正直、大型ディスプレイの代替以外に、どうしても「これだ!」と唸る使い方もアプリケーションも見つかりませんが、思い起こせば初代Macintoshも当初は多くの人たちから同様に見られていました。
1980年代中盤、Apple Computer社がリリースしたパーソナル・コンピュータ「Macintosh」は、「なんでも出来る」と言われるても、多くの人たちにとってどのように使っていいものかわからない、「幸せな混乱」を投じた逸品でした。
ロクに表計算もできなければ、パワーポイントのようなスライドも作れず、ちょっとしたカード型データベースがある程度で、現在のApple Vision Proが大型モニター代わりなのと同じように、当時はタイプライター代わりぐらいしか使えないと揶揄されていました。
その上、価格も驚くほど高額でした。
その後、20年以上かかって「ポケットに入るMacintosh」と呼ばれたiPhoneへとつながるのです。
果たして、20年後のApple Vision Proは、どのような製品になっているのでしょうか?
iPhone(とのちのAirPods)が「耳」にもっとも近かった電話や音楽プレイヤーを飲み込んだように、Apple Vision Proが「目」にもっとも近いあらゆるモニターからメガネまで凌駕する世界。
もし、普及すればテレビはさらに斜陽になると考えます。
ちなみに、次は「口」でしょうね。
その布石が、音声入力とOpen AIとの提携でしょうから。
どちらにしろ、「脱物理キーボード」です!
先日出版した近著「観光大国スペインに見る、オーバーツーリズムの現在と未来 」でもお伝えしましたように、オーバーツーリズムの問題は、地元の一部既得権者と行政の歪み(時には癒着)が生み出したと言っても過言ではなく、同様の問題が京都でも起きています。
今週、世界遺産・仁和寺(京都市右京区)の門前で、ホテル建設を市が特例で許可したのは景観や住環境を害しており、建築基準法に違反しているとして、周辺住民らが市などを相手取り、許可などの取り消しを求めて京都地裁に提訴しました。
本件に限りませんが、多くの観光都市ではさらなる観光客を入れたいと考える一部の既得権益を持つ者(建設業者から役人まで)と、逆に観光によって生活が脅かされている地域住民の戦いが勃発。
仁和寺隣接ホテル予定地は世界遺産の周辺環境保護のために設ける「バッファゾーン」(緩衝地帯)内にあり、建設計画は地域の魅力を生かしたホテルの開業を促す市の「上質宿泊施設誘致制度」に選ばれたとされていますが、そもそもこの選択基準が出来レースではないかと地元では騒がれています。
テーマパークの門前にホテルが立つのと同様、観光地は次々とテーマパーク化され、世界中の歴史ある場所に高級ホテルが林立し、徐々に様相が変わっています。
果たして京都もますますテーマパークへと向かうのでしょうか?
さて、今週は京都で開催されている「日米癌合同会議」に急遽参加しています。
と申しますのも、友人知人たちの超早期がん検査の結果を聞くと、驚くほど陽性率が高く、中には擬陽性を疑うものもありますが、状況は数年前と明らかに異なりハイスピードで癌のステージが進行している様子が見受けられます。
この結果に僕も医療関係者も大変驚いており、最新の知見と治療法を日本と米国の関係者からお話を伺っておりますが、ほとんどの専門家は癌になった後の研究に従事しており、一体なぜこれほどまで癌が増えているのかに言及する人たちは、滅多にいらっしゃいません。
正直真偽は不明なところはありますが、先進国、いわゆる欧米の食生活が東アジア人に合ってない事は諸々の調査でも明らかになっており、このミスマッチが癌を始めとする多くの疾病を呼び起こしていると理解ある医療従事者たちは見ています。
一般的に糖質は癌の餌になると言われますが、何より糖質は体を冷やします。
冷静に考えればわかると思いますが、さとうきびは暑い地方の産物です。
南国の果物も同じく、大半の暑い地方の産物や夏野菜は体を冷やすのに適しており、また東アジア人は体質(遺伝子)的に過度な糖質に向いていません。
ところが街中のあらゆる食品には糖質が過度に含まれており、これが体を冷やして、癌から不妊まで多くの疾病の温床になっているのです。
例えば、夏バテや熱中症対策として街中でよく見る経口補水液は、癌罹患者の健康状態を悪化させる「不都合な真実」を持ち合わせています(内緒ですけど)。
また、トランス脂肪酸と小麦の組み合わせも見逃せません。
米国や欧州の大半の地域で発売禁止となっているトランス脂肪酸は、発癌のリスクを高め、免疫機能の低下やアレルギー疾患の増加、心筋梗塞などの冠動脈疾患が増加することが判明していますが、日本では様々な理由をつけて野放し同然です。
そこで、癌を倒すのに効果的な、βヒドロキシ酪酸を各人が高めなければなりません。
抗がん作用が極めて有用と、Nature誌をはじめ、βヒドロキシ酪酸の抗がん効果がインパクトファクター値(学術論文誌としての信頼度)の高い論文が多数出ていますが、なぜか、先進国で唯一癌が増え続ける日本では標準治療(golden standard therapy)に組み込まれていません。
βヒドロキシ酪酸は、何度もお伝えしますようにケトン体質に変えることによって体内で生成されますが、これを阻むのも糖質です。
しかし、個別に食事指導する手間暇や日本では医師で栄養を習わないこと、国民皆保険の対象外などもあって、食事療法が日本の医療機関では提供されていません。
京都でふらりと入った和食屋で煮物を頼むと甘さ(とフリースタイルリブレのスパイク!)に驚きますが、よくよくお聞きすれば大量の砂糖をぶちこんで煮出しているとのこと。
出汁を丁寧にとって、砂糖や塩をほとんどつかわずに素材の風味を活かして作られる料理は、手間がかかるうえに味のインパクトが弱いので、京都では高級料亭でも同じく砂糖たっぷりなんですよ、とのお話しでした。
オーバーツーリズムで変わってしまった京都同様、オーバー糖質で変わりゆく日本の和食。
欧米諸国では、和食が健康であるという認識はすでに過去の話で、いまや地中海料理にその座を奪われています。
観光客には制限をかけられても、和食の糖化には制限がかけられないだろうな、と思う今週です。
正直、京都の和食は年々甘く感じます。
この時期の北海道は、梅雨の悪天候に悩まされることもなく、また猛暑に苦しむこともない、大変過ごしやすい季節です。
現在、札幌はニセコや美瑛などの北海道観光の玄関口として多くの観光客が訪れ、心地よい夏休みも雪を楽しめる冬休みも、交通機関や宿泊施設が大混雑するオーバーツーリズム状態にあります。
そこで先週、札幌市は2026年4月の導入を目指す「宿泊税」の概要案を公開しました。
これによりますと、宿泊費が5万円未満に200円、5万円以上に500円の宿泊税を課すとしていて、税収は年間およそ27.5億円を見込み、これを原資に宿泊施設や公共交通のバリアフリー化や、オーバーツーリズム対策に使うことを想定しています。
しかし、近著「観光大国スペインに見る、オーバーツーリズムの現在と未来」でもお伝えしましたように、宿泊税や観光税の導入は問題の解決に至りません。
観光税や宿泊税はその名のとおり観光客から徴収する税金であり、税収は観光地のインフラ整備などに使われる建前になっていますので、オーバーツーリズム対策のひとつの答えであることは確かです。
しかし、バルセロナは2012年にヨーロッパの中でも高い水準の観光税や宿泊税を導入しましたが、結局は観光プロモーションに使われたため、かえって観光客を増やす結果になりました。
本来、観光税や宿泊税を徴収するのであれば、市民の生活レベルの向上に使うべきなのでしょうが、そうはなってはいない現実があり、単に地域政府が増税で潤うだけになるのは先駆地域の教えです。
しかもホテル代に加算される観光税や宿泊税には致命的な問題があります。
それは、「宿泊しない観光客に課税できない」点です。
ホテルに宿泊した日数に応じて宿泊税や観光税がかかるわけですから、たとえばクルーズ船でやってきて四時間程度で港を出て行く観光客には税金をかけられませんし、ニセコなどに向かうために札幌市内に宿泊しない観光客も大多数います。
その上、新しい税システムを導入することで、むしろ観光業者に手間やコストが増えて、必ず中間業者が跋扈し、新たな観光利権が生まれます。
ここ数週間「世界の俯瞰図」や自著でお伝えしているように、オーバーツーリズムと移民問題は同梱です。
いま、世界一の観光大国フランスで起きていることを見ればわかると思いますが、オーバーツーリズムが行き着く馴れの果ては、新しい保守主義や極右政権を生み出すのが歴史の教えです。
もはや観光客依存に陥りつつある日本各地の地方都市。
その行き着く先は、気がつくとフランス同様になるのだろうなと考える今週です。
どちらにしろ2周遅れです。
今週は東京にいます。
夏の早朝のランはこの上なく爽快で、さわやかな1日の好スタートに最適です、と言いたいところですが、朝5時過ぎに走り出しても驚くほど湿度が高く、とても快適とは言えません。
東京は気候変動真っ只中にあると感じますが、実はいまだにCO2が温暖化を促進しているという科学的根拠は極めて希薄です。
国連気候変動パネル(IPCC)が行っているシミュレーションを見ると、パラメーターを変えることでいくらでも実測値に合わせられますので、「シミュレーションと一致するから問題は二酸化炭素」など言い切れるわけがありません。
果たして、これを科学やエビデンスがあるというには無理があります。
当然、二酸化炭素を削減できたところで温暖化が止まるのかどうかも不明で、各国が掲げる2050年の目標値は、都合の良い「シミュレーション」上でも温暖化が止まりません。
以前より自著でも何度も申し上げておりますように、現在の気候変動は宇宙サイクルに基づく気候変動であり、過去1000年間に3度繰り返された温暖化と同じで、太陽活動の変化による影響が多大です。
地球は周期的に温度変化するサイクルがあり、ここ数年地球全体で見る限りは、むしろ寒冷化しており、南極大陸の氷も増加しています。
ではいったい、この茹だるような暑さは単なる宇宙サイクルの影響だけなのでしょうか?
この一ヶ月、沖縄や北海道に訪れた体感からも理解できるところですが、東京より赤道に近い沖縄のほうが涼しい現状や、北海道でも札幌周辺の気温が爆上がりしているのを鑑みますと、温暖化と言うより不快な夏の主犯は、高層化したビルが海風を遮り、水蒸気によってヒートアイランド効果の影響が大きいと考えます。
ヒートアイランド現象(都市熱島現象、Heat Island Effect)とは、都市部の気温が周辺の郊外や農村部よりも高くなる現象を指し、変わりゆく街の風景を見ればわかりますが、高層ビルが密集することで風の通り道が遮られ、熱がこもりやすくなります。
また、ビルの表面や道路のアスファルトやコンクリートは太陽の熱を吸収しやすく、夜間にその熱を放出するため、必然的に気温が高くなります。
それゆえ、夜間も暑い日々が続くのです。
さらに、車両の排気ガス、工場の稼働、冷暖房設備など、都市では多くの人工熱源が存在し、一方、緑地や森林が減少して自然の冷却効果も失われます。
こうして、蒸発散作用(植物の蒸散と土壌や水面からの蒸発)が減少し、熱源が昼夜問わず二重三重に都心部を襲っています。
数値を見ても人口1000人以下の気温観測点はCO2と連動しておらず、都市化していない観測点では、気温の変化が無いか下降気味です。
つまり、気候変動を本気で止めるなら、都会化や開発、そして交通量そのものを制限して人口を分散させるしかないのでしょうが、そのような為政者にとって「不都合な真実」が取り上げられることはありません。
世界でヒートアイランドによって気温が急速にあがっているニューヨーク、上海、ムンバイなどを抑え、トップに君臨する東京。
NASAは、東京温暖化の理由を高密度な建物とアスファルトの道路が多く、緑地が限られているため蒸発散作用が不足し、人口密度が非常に高く、自動車や工場からの熱排出が多いのが原因と宇宙観測の観点から発表しています。
風をまったく感じなくなった夏の東京都心部。
変わりゆくのは気候ではなく、海風の防護壁のように聳え立つ摩天楼だと都内各地の工事を見て思う今週です。
パーソナルヘルスケアサービス「8weeks.ai」を立ち上げたこともありまして、今年は東京で多くの時間を過ごして読者の皆様にお会いしておりますが、この機会に自分の健康状態もさらなるバージョンアップしようと思い、年初から様々な人体実験を半年ほど続けております。
今週、眼科へ定期検診に訪れましたが、視力を検査したところ、もともと1.0と0.8だったのが両眼とも1.2まで上げることに成功しました!
この要因には様々な取り組みが効いたと思われますが、この半年で大きく取り入れたのはサイトカイン治療や幹細胞上清点滴を適宜行うことでした。
それ以前にも抗酸化や食事を徹底したり、Pro Display XDRを始めに目を悪くしない取り組みは続けておりましたが、この1年で大きく視力が回復したのは間違いなく再生医療だと思われます。
特に功を奏したのが、幹細胞上清点滴です。
この治療(別名「復活の呪文」)は、幹細胞が分泌する様々な成長因子やサイトカインを含む上清液を点滴で体内に投与する方法で、細胞の再生や修復を促進して全身の健康状態を改善することを目的とした、いわゆる「再生医療」です。
これを点滴以外にも点鼻、点眼、直接頭部などに注射することで、細胞の活性化、免疫機能の向上、抗炎症作用、組織修復の促進、老化抑制などに効果的です(数十万円かかりましたが)。
また、一般的に老化は見た目、つまり顔などのシワやシミを気にする方がほとんどですが、実は1番初めに老化するのは目であることは、あまり知られていません。
既にAI技術により目を検査するだけで多くの病気を発見することが可能な時代になりつつあり、逆に言えば目をしっかり保つことが病気にならない、もしくは老化しない鍵になるのも間違いありません(https://www.youtube.com/watch?v=ll5LY7wI_Xc&t=603s)。
心臓病専門医のエリック・トポルは、AIが目の状態を見ることで医師が気づかない病気を発見するのに役立つ素晴らしいツールになる可能性があると考え、網膜疾患に限らず、糖尿病管理、さらにはパーキンソン病の診断に成功した例をいくつか挙げています。
今後、AIは画像、医療記録、遺伝データなど、膨大な量の医療データを分析して人間の医師が見逃してしまう可能性のあるパターンを特定することができると、未来の医療の可能性を述べています。
こう考えると、再生医療とAIの組み合わせは、この時代の医療として無視できない存在どころか、絶対的なファーストチョイスになりつつあります。
保険診療で既得権を守る日本の医療システムではなかなか理解や浸透するのは難しいかもしれませんが、事実、僕の年齢相応とも言える緑内障も、大幅に眼圧が下がり、正常範囲に戻すことが出来ました。
同時に動体視力も大幅にアップ!
ただし、再生医療をはじめるには機序があります。
GLP-1もそうですが、まずは偏った栄養を整え、酸化を防止し、SIBOなどの問題をフィックスした後に行ったほうが、遥かに効果が高いことがわかっています(価格を抑えられます)。
その上、幹細胞上清点滴と言ってもピンキリで、僕自身が国内で多くのラボを回った結果、良い製品は2~3程度しかないと断言できます。
さらに、脂肪由来、歯髄由来、臍帯由来など多岐に渡り、症状やその人にあわせてミックスすることで効果が倍増するのも確かです。
AIと再生医療による検査と治療。
今後十年、医療は大きく二極化するのだろうな、と眼科検診を通じて身を以て実感する今週です。
まるでガラケーとスマホが似て非なるように。
今年もロンドンで「CanJam」が開催され、オーディオ愛好家や業界の専門家たちが集結しました。
毎年パークプラザ・ウェストミンスター・ブリッジで行われるこのイベントは、主にヘッドフォンの最新技術を一堂に集めた展示会で、未完成のプロトタイプの数多く出品されています。
「CanJam」は世界中で開催されているヘッドホンマニア垂線のイベントですが、日本はアニメなどの特殊事情もあって独自のヘッドフォン祭りが開催されており、少し世界のトレンドとは異なります。
年齢層に限らず世界中の高音質を求めるオーディオフィル・ヘッドフォンユーザーたちは、クラシックやジャズを聴く人たちが大半ですが、日本だとアニメソングを聴く人たちが高額なヘッドフォンのメインマーケットなため、明らかに相違があるのです。
そこで、定期的に海外のオーディオフェアに伺って、時代の潮流を掴むようにしています。
今回の「CanJam」には、日本でもお馴染みのSennheiser、STAX、Meze Audioなど、世界中のトップブランドが出展していましたが、同じメーカーでも明らかに出品ラインナップが異なります。
また、特殊事情の日本をパスしている見たことがないヘッドフォン、イヤホン、アンプ、デジタルオーディオプレーヤーも多数陳列されており、今年はイタリアのViva audio Egoistaのプロトタイプに注目が集まっていました。
合わせて最新の音響知識をベースにしたセミナーも開催。
その中でも話題になりましたが、聴く音楽ジャンルだけでなく、人種や言語によってもヘッドホンの好みが大きく分かれていると様々な研究データをもとに発表されていました。
例えば、日本語と英語では可聴範囲が異なるため、同じ音楽を聴いていても全員が同じように脳が聴こえているとは限りません。
可聴範囲は、人間が聞くことのできる音の周波数範囲を指し、一般的には20 Hzから20,000 Hzとされますが、個々の聴覚感度は年齢、遺伝、環境要因などによっても異なります。
また、言語の音韻構造の違いが、特定の周波数帯域に対する聴覚感度や音の認識に影響を与えることが分かっています。
英語と日本語はそれぞれ異なる音韻構造を持っているため、このあたりでも大きな乖離が見られます。
英語は複雑な母音システムと多くの子音クラスタを特徴とし、高周波成分(例:摩擦音)の使用が顕著ですが、一方、日本語は五つの基本母音と比較的シンプルな子音音素を持ち、中低周波成分が中心です。
今回発表された研究結果によれば、特定の周波数帯域に対する感度には明らかな違いが認められ、英語話者は高周波音に対して敏感であり、特に摩擦音(例:s音、f音)に対する感度が高く、一方、日本語話者は中低周波音(例:母音音素)に対する感度が高いため、これが音楽の聞こえ方に多大な影響を与えていることが示唆されました。
言語の音韻構造が聴覚感度に与える影響は、脳の聴覚処理における適応的変化に起因する可能性があり、特定の言語に日常的に接することで、その言語に特有の音韻パターンを識別する能力が発達します。
このため、英語話者は高周波成分に、日本語話者は中低周波成分に対する感度が高まると考えられ、ここに各国の音楽性の違いやヘッドホンに対する嗜好の違いが明確に現れます。
同じく音楽の聞こえ方に関する主観的評価では、英語話者は高音域の明瞭さを、日本語話者は中音域の豊かさを重視する傾向が見られ、この違いは、各国のミキシングやマスタリングのプロセスにも影響を与えているのです。
簡単に言い換えれば、中域あたりのまとまりを気にする日本人と、高域と低域が明確に感じられるドンシャリ・サウンドを好む英語圏の人たち。
この差を埋めて成功したのが、LAのコリアンタウンで醸造されたK-POPです。
半導体をはじめ、世界の工場を取り合うようなハートパワーによる競争的なグローバリゼーションではなく、ソフトパワーとも言うべきべ感性のグローバリゼーションが日本で起きるのは、まだまだ先になるだろうな、と最新のヘッドホンを聴きながら考える今週です。
何しろロサンゼルスのリトルトーキョーの人口3500人に対し、コリアンタウンは人口は10万人以上もいるのですから。
夏休みとも言うこともありまして、海外から多くの友人たちが東京を訪れ各地を案内していますが、皆さん日本の神道をなかなか理解できないんだと、毎夜のように痛感しています。
一般的に日本は世界から無宗教国だと思われていますが、多くの日本人の根底に流れるのは神道であり、これは全国初詣の参拝者数4000万人超を見ても紛れもない事実です。
初詣以外にも赤ん坊が生まれればお宮参りに神社へ出向き、地鎮祭や七五三、そして政治的にも一定の影響力を及ぼす存在で、広告キャンペーンによって定着したクリスマスと結婚式、墓地利権を握る仏教葬儀を除けば、神道の信仰は日本人の生活のなかに深く溶け込む民族宗教に他なりません。
日本で尋ねられる事は滅多にありませんが、海外では日常会話の中で「信仰する宗教は何か?」と聞かれることは頻繁にあります。
キリスト教やイスラム教、仏教のような世界宗教と違って、神道には開祖、もしくは教祖にあたるような人物がおらず、教義や偶像も教会もないので分かりづらく、また、他の宗教のように救いを与えるものも救済に結びつくこともありません。
その上、悟りのような目指すべきゴールもありませんので、来日しなければなかなか感じることができない、これこそ本当の日本「観光」なのです。
仏教なら普遍性があり、海外の仏教徒以外の人たちもそれがどういう宗教なのかある程度の理解できますが、形がない神道についてはほとんど理解されることはなく、日本に来たことのある海外ゲストで伊勢神宮や厳島神社などに訪れたことがあっても、神社と寺院の区別もついていない人たちが大半どころか9割以上なのが現実です。
神道では、八百万の神々がいると考えられ、この数から言っても神々はあらゆる自然の中に宿り、また死者の霊を尊ぶ文化とも深く関わります。
こうした多神教的な、あるいはアニミズム的な祭祀はかつては世界各地にありましたが、社会の近代化とともに宗教はグローバル化し、自然崇拝やそれに基づく神々は消え去りました。
一部、南北アメリカやアフリカの地域、またオセアニアのアボリジナル居住区などでは、ブードゥー教はじめアニミズムは「未開文明」と断罪され、現代社会から排除されてきました。
ところが、日本ではそのようなアニミズムや古代の神々の祭祀が、神道というかたちをとることによって生きのび、科学によって社会が近代化した現在も日本に深く根付いているのです。
これは、実に不思議な現象であり、真の日本の魅力です。
個人的には神仏融合のようなハイブリット宗教感こそ日本特有だと考えており、古代日本における自然崇拝や祖先崇拝を基盤とした神道に、仏教が6世紀頃に中国や朝鮮半島を経由して日本に伝来した際、対立よりも共存を選び習合したことに源流があると思われます。
これが「和」であり、日本の神々は仏教の守護神としても認識されるようになっていきました。
ところが、時の為政者が仏教を利用して既得権としたため、大化の改新から幕末まで神道は長い間封印されてきました。
その後、仏教から神道へと移り変わった宗教戦争としての側面もあった明治維新を経て、時の明治政府は神仏分離政策を実施し、多くの日本人のなかでは、自然崇拝も神道も仏教も「すべてミックスする独自の感覚」を覚えるようになるのです。
こうして、一神教の「超越するもの」とは違った、日本特有の「調和するもの」が、いまも根付きます。
日本でもっとも信者数を誇る浄土真宗より多い、自覚なき「ステルス神道信者」たち。
自意識なくとも、全てを飲み込む神仏習合こそ、日本の本質であり秘密なのだろうな、と考える今週です。
しかし、暑いですね。
シンガポール29度で東京40度は、もはや「暑い」を超えて、生活スタイルを改善しなければいけない注意報のように感じています。
マグネシウムをしっかり飲むのを、どうかお忘れなく。
先週41度と史上最高気温を叩き出したこの地域一帯は、内陸性気候、フェーン現象、都市化などの影響から、この5~6年は年々気温が高まり、毎年8月になると近隣の熊谷や桐生などと共に最高値を更新しています。
これからどこまで暑くなるか分かりませんが、ここまで暑いと個人的には米国のデスバレーを思い出さずにはいられません。
カリフォルニア州内陸部にあるデスバレーは、世界最高気温の場所として知られ、過去に56.7度という驚異的な気温が記録されています。
夏は日々50度超が常態化し、行くまで冗談だと思っていたのですが、本当に車のボンネットで目玉焼きを作ることができるので驚きました。
昨年訪れ、暑すぎて真夏のロケを諦めたイランも日々36度を超え、暑さ厳しいと言われる南インドも、この時期38度近くまで上がります。
また、海抜マイナス433メートルのイスラエルにある死海もあまりの暑さで倒れそうになったことがありますが、改めて調べると最高気温は40度ということで、こうなると佐野や熊谷と大差ありません。
つまり、いまの関東内陸部は「死海」と同じ気温であり、イランや南インドよりも気温が高いと認識を改める必要があります。
このままではデスバレー同様、人が住むのに適さない地域になりかねません。
一般的に人間にとって最も快適で健康に良い気温は18~24度とされており、この範囲では体温調節が容易で心臓や循環器系への負担が少なく、睡眠が快適になって生産性や生活の質が向上すると医学的見地から判明しています。
また、呼吸器系への負担が軽減され、肌や粘膜が乾燥しにくくなるのも、18~24度前後です。
この人にとって健康的であり快適な気温を保つのが、長年僕を魅了する「地中海性気候」です。
ドイツの気候学者ウラジミール・ペーター・ケッペンが、植生分布に注目して考案した「ケッペンの気候区分」による地中海性気候(Mediterranean climate)は、温帯気候の一種で、主に地中海沿岸地域で見られる気候パターンです。
乾燥した暑い夏と湿潤で温暖な冬が特徴で、この気候が数千年かけて人類と文明を育んできた揺るがない事実があります。
近年、健康効果が広く認知されてきた「地中海食」も、イタリア、ギリシャ、スペイン、南フランスなど地中海沿岸地域の伝統的な食事スタイルで、地域で獲れる新鮮な魚や野菜、果物がたっぷりと含まれ、パンやパスタには全粒穀物を使い、バターやラードの代わりにオリーブオイルが使用されるのが特徴です。
さらには、単なる食事法を超えて、ライフスタイルそのものも評価されていますが、ここには気候も含まれます。
つまり、地中海性気候とは、農業作物に限らずあらゆる生命にとって「健康的で発育が良い」気温を持つ地域なのです。
今から15年以上前に出版した自著「南国日本」でも指摘したように、気候が著しく変化すると、ライフスタイルも必然的に変革を迫られます。
例えば、夏の猛暑が日常となった地域では、スペインやイタリア南部で伝統的に行われているシエスタの導入が不可欠になるかもしれません。
日中の最も暑い時間帯に活動を控え、涼しい室内で休息を取ることで熱中症のリスクを軽減し、身体への負担を和らげることができるのは先人の知恵であり、今後、日本でもこうした対策なしでは、極端な暑さの中で健康的に生活を送ることは極めて困難になっていくと思われます。
また、自著で何度か言及しましたが、シンガポールの経済発展の裏には、エアコンの普及という重要な要因がありました。
年中高温多湿の気候下で、エアコンは単なる贅沢品ではなく、生命や生産性を維持するための必需品です。
しかし、その結果としてシンガポールの1人当たりのエネルギー消費量は世界第3位(カタール、ドバイに次ぐ)という驚異的な水準に達しています。
これは明らかにエアコンの過剰使用を示唆しており、環境への負荷という新たな問題を提起しています。
こうした状況を踏まえと、気候が明らかに「不自然」になってしまった地域に対して、人類はどのように向き合うべきでしょうか。
単にこれを「ニューノーマル」として受け入れ、エアコンに依存していくしかないのか。
それとも、南インドやイランのように、極端な暑さや豪雨による洪水といった厳しい環境条件に立ち向かっていくべきなのか。
あるいは、ライフスタイルを大幅に見直したり、各人が居住地そのものを再考する必要があるのでしょうか。
いま、お住まいの地域によっては、なにかを決断しなければならない大きな分岐点に差し掛かっているのではないか、と考える今週です。
日々デスバレー化する関東内陸部。
最近は、世界に類を見ない日傘をさす男性も増えてきました。
これももしかしたら「ニューノーマル」なのかもしれません。
去る8月18日に60歳になりました。
冷静に考えてもいままでかなり無茶苦茶な日々を送ってきたと思いますが、この歳まで大きな事故も逮捕されることもなく生きてこられたのは、なぜだろうかと、ふと考えることがあります。
こうして毎週お付き合いくださる多くの方々のご支援も多々あると存じますが、同時に60年も生きていると、世の中、どうにもならない場面に出くわします。
その時、どんなに周囲の支援があっても、また自分なりに目一杯抵抗しても思い通りにはならず、しかし、運命を受け入れるように「潮目」が変わるまで待っていると、必ず光の道が現れるのは実に不思議な経験です。
同時に、似たような境遇の人たちが「潮目」が変わるのを待てず、もしくは試練を受け入れられずに抵抗しながら潮に巻き込まれるか、流されてしまう場面を幾度となく見てきました。
人生は長い旅路で、その道のりは決して平坦ではなく、先が見えない上に地図がない山道を何度も大きく迂回しながら螺旋状に登っていくようなものです。
再び目の前に同じような光景が見えたとしても、そこは以前より少しだけ高度が上がった違う場所で、しかし、全貌や山頂が見えるまでには至りません。
日は暮れてくるし、食料も尽き、頂上までの距離どころか、自分の現在地もわかりません。
いや、頂上そのものがあるのか、どうかもわからないのです。
そんな時、自分を信じて前へ前へ進めるのか。
これを孔子は「道」と呼び、この「道」に従えるかどうかが、幾度となくやってくる人生の分岐点なのだろうと、いまだからこそ実感します。
60歳という年齢を孔子は「耳順」と称し、近年では「六十歳にして、人の言うことに逆らわず素直に聴けるようになる」と解釈されてきました。
しかし、この「耳順」の真の意味は、単に他者の意見に従順になることではなく、自分自身の内なる声に耳を傾け、深い理解を得ることにあると考えます。
人生という旅の本質は、外的な成功や物質的な豊かさを追求するのでなく、内的探求の旅にあり、自身の内なる声だけが唯一の羅針盤です。
生まれながらに決められている「どこか」へ到達するためには、それを手に入れられるかどうかにかかっていると言っても過言ではありません。
しかし、そう簡単に自分の内なる声を聞くことはできないものです。
40歳を迎えた時にも痛感しましたが、「不惑」になると自分の意思や価値観が確立されると言われでも、実際はなかなか実感できません。
僕自身の経験からも、また周囲を見渡しても「お金」や様々な「欲望」、そして「他者の情報」に囚われてしまい、自ら内的探求を妨げ、正しい未来への「道」を見失います。
その上、人によっては「俺」を自分勝手に高値付けし、自己中心的な欲求を増幅させ、真の自己理解や他者への共感を大きく妨げてしまうのです。
そこで、迷いを断つためにも、40歳になったら自分の時間や仕事の40%を誰かのためになることに使うと決意することを「不惑」と考え、実際にそのようにしてきました。
そして60歳のなったいま、自分の時間や仕事の60%を、誰かのためになる勉強や行動に移し、その道標としてさらなる「内なる声」に耳を傾けるようになりました。
この結果、顕在意識の数千倍大きいと言われる潜在意識をそれなりに活用できるようになってきたように感じています。
人には、誰しも生まれながらに正しい「道」を判断する能力「良知」があると言われます。
「良知」とは、人間が生まれながらにして持つ道徳的な直観、つまり善悪を直感的に判断できる生得的な知恵や本能であり、これは外部からの情報や学習を必要としません。
すべての人間が内的に備えているとされ、時には「理」とも呼ばれます。
また、古くから「知行合一」と言われ、正しい情報や知識は、それ自体が行動に直結し、知識を持ちながら行動しないのは真の知識ではないと考えられてきました。
60年の経験からお話ししても、道徳的な行動を伴わない情報や知識は不完全であり、正しい情報や知識は自然と道徳的な行動につながるものだと確信します。
つまるところ、自分の内なる声を聞き、そしてそれに従って毎日行動すること。
二十年前は日本にはない巨大クラブやフェス、レイブなど世界中を彷徨ってましたが(時には出演してましたが)、いまは日本で得ることができない知見と対話を求め、世界の医学会を巡るようになりました。
山は登ると気温の関係から途中で植物や環境が大きく変わりますが、まさに僕が今目の前に見える風景も、そのように大きく変化してきました。
果たして、この先にある風景、そして旅路はどのように変わっていくのでしょうか?
Life is a journey, not a destination.
まだまだ山頂は見えないのですが、どうかこれからも長きに渡って懲りずにお付き合いいただけましたら幸いです。
共に死なない程度に迷って、助け合いながら。
いよいよ9月2日(月)午前10時から、8weeks.ai第2次募集がはじまるため、準備に余念がない日々を過ごしています。
8weeks.aiは、血液検査や便検査を含む100項目に渡る個々のバイオマーカーを基にし、パーソナライズされた医療プログラムを提供するサービスで、血管年齢や副腎疲労と相関関係が高い握力などの測定も行い、専任の「医師やスペシャリスト」が、すべてのテスト結果とデータを基に、食事や環境の悪化で不調をきたす現代人が短期間で効果的に健康を改善できるように設計しました。
時を同じく8weeks.aiがサービスを発表した今年5月、全米最大の高級フィットネスジム「Equinox」は、栄養計画から睡眠指導まで、あらゆることを網羅したパーソナライズされた健康プログラム「オプティマイズ・バイ・エクイノックス(Optimize by Equinox)」を開始すると発表しました。
このプログラムは、筋力や可動域などの測定も行い、血液検査を含む100項目に渡るバイオマーカーの結果とデータを基に、専任の「コンシェルジュ」が会員の総合的な健康を向上させるためのカスタマイズされたプランを設計するというサービスで、全米で大きな話題となりました。
Equinox社長ジュリア・クライムは、「このプロジェクトは、フィットネスからより幅広いヘルスケアおよびウェルネス事業への拡大を目指すEquinoxの継続的な取り組みの大きな挑戦であり、データとコーチングプログラムを組み合わせた画期的なサービスです」と語っています。
この「オプティマイズ・バイ・エクイノックス」プログラムに参加する価格は最低6か月間、月額3000ドル(日本円でおよそ月額45万円)という高額な費用がかかりますが、8weeks.aiは、これと同等のサービスをおよそ20分の1の価格で提供することを目指しており、そのコストパフォーマンスの高さが最大の利点だと自負します。
この価格破壊の背景には、日本から米国へ検体を送る高額な検査を一蹴し、自社バイオラボを設立して、米国ラボより日本人にあった精度の高い検査を提供できるようにしたことや、良質なサプリメント製造まで一貫して自分たちで構築した賜物に他なりません。
冷静に考えれば理解できるところですが、価格だけに限らず、空輸で米国ラボに送られた検体は、保存状態から適切な結果が得ることができません。
これは僕自身が同じバイオロジカル検査を日本と米国で受診した際にも実感したところでもあります。
また、日本の栄養療法で跋扈する短時間で診察してしまう現状を憂い、8weeks.aiでは、必要なら他院の過去データもあわせみて、その人ひとりひとりに適切な指導をしっかりと行うのも特徴です。
各種データを分析するのにかなりの時間を要し、また、その結果を説明するのでも10分や15分でお伝えできるものではありません。このため、8weeks.aiではひとりひとりの解析とご説明に多くの時間を費やしている次第です。
現在、次世代の医療として「個別化医療」が叫ばれていますが、ビジネス的に見ればマニュアルに従って診断するコンベンショナル医療のほうが儲かるのは事実で、これだと多くの人がお悩みの不定愁訴は良くなりませんし、心身のバージョンアップには程遠い。
また、平均点ではない閾値の外れにいるような人たちは、いつまで経っても不調が続き、著名な大学病院へ何度も訪れても快調になることはないのが現状です。
僕は長年ご愛好頂いている読者の方々にお元気で活躍して欲しいと願ってやみません。
資産の多寡はさておいても、誰しも自分の通帳を自分で管理するように、自分の健康は自分でしっかりマネージメントしなければならない時代。
その一助となればと想いを馳せて8weeks.aiをはじめました。
第二シーズン、いよいよ開始です!
ご期待下さいませ。
日本全国不安定な天気が続きますが、先週もお伝えしましたように、日本の農業暦や伝統的な生活文化において「二百十日」(本年は8月31日)や「二百二十日」(本年は9月11日)は、特別な意味を持つ日として古くから知られています。
二百十日と二百二十日は、いずれも立春から数えてそれぞれ210日目と220日目に当たる日を指し、これらの日は古来から台風や災害がおきやすい特異日(実際は厄日)だと考えられてきました。
1923年9月1日に起こった関東大震災も「二百十日」の出来事です。
二百十日は、この日が台風襲来の時期と重なることから「風祭り」や「風鎮祭」といった風の神を鎮める祭りや、「八朔祭」などが各地で行われてきました。
農民たちは、「厄」が「大厄」にならないよう神に祈りを捧げ、この日を特別な日として過ごしてきたのです。
続く二百二十日は、二百十日からさらに10日後、つまり立春から220日目に当たります。
この日も台風や災害が多く発生する時期と考えられ、二百十日を起点に彼岸(本年は9月19日から9月25日)までは、災害に重々注意し、極力移動なども避けねばなりません。
また、台風や震災だけでなく、四方を海に囲まれた日本では潮も見極める必要があり、台風が発生すると強風や低気圧の影響で海水が陸地に押し寄せる「高潮」になります。
台風の勢力が強いほど(hPaが低いほど)高潮の規模も大きくなり、新月や満月の時期に発生する「大潮」だと月と太陽の引力が強まるため、海面が通常よりも高くなります。
つまり、台風と大潮が重なると高潮がさらに増し、沿岸部での浸水被害が深刻になるのです。
古来より、人類は「自然のリズム」に従い、生活のリズムを作り上げてきました。自然現象、季節の変化、月の満ち欠けなどは、人類が地球上で生きていくための「OS」とも言えるものです。
しかし、現代社会では、この自然のリズムを無視し、利便性や効率性を追求するあまり、多くの人たちが大切な自然のルールを忘れ去ってしまっているように見受けられます。
Googleカレンダーなどのデジタルツールは、人々の生活を効率化する一方で、自然とのつながりを切り離してしまい、これにより季節や自然現象に対する感受性が鈍くなって、自然災害への対応や準備も遅れてしまっています。
また、自然のリズムを無視した結果、精神的なバランスを崩し、多くの人たちがストレスや不安を感じやすくなるという側面が年々強くなっているのも否めません。
8weeks.aiを始めて、全員のデータを拝見し、実際に多くの方々ともお会いしましたが、不調を起こすスタート地点は、大半の方がバイオリズムを崩してしまうことにあると感じています。
その鍵を握るのが、交感神経と副交感神経のスイッチングです。
交感神経は、ストレスや緊急時に身体を「戦うか逃げるか」状態=昼に活発なのに対し、副交感神経はリラックスや休息を促進する「休息と消化」の状態=夜に優勢になります。
ところが、自然のサイクルを無視した結果、過緊張や生活の乱れ、慢性的なストレスや消化器系の障害、心血管系の問題、日光を避けて室内ばかりにいるなどにより、交感神経と副交感神経のスイッチングが崩れ、免疫機能が低下したり食いしばりや睡眠障害が引き起こされています。
こうして、「人間が持つ自然のリズム」も狂いはじめ、不定愁訴がはじまるのです。
現代社会において、健康を取り戻すためには、まずは自然のリズムを再認識することが重要です。
そのためには、農業暦や季節の節目を意識した生活を取り戻すことが求められます。
けっしてオーガニック食品を食べることではありません。
人類は、もし気候変動や環境の悪化を問題とするなら、二酸化炭素排出量ではなく、地球の「OS」としての自然を尊重し、抗うのではなくサイクルに従うことからはじめなければならないのだろうな、と考える今週です。
夜風も涼しく、暑さが随分と和らいできました。
どうか体調管理と「厄日」にご注意を。
今までになかったパーソナル・ヘルスケアサービス「8weeks.ai」をスタートしてから、もうじき三ヶ月が経とうとしています。
この間、多くの方々が採血等のためクリニックへお越しになり、その後、カウンセリングをお受けになられて、食事写真やヘルスケアデータなどもお送りいただきました。
現在、このお一人づつのデータを僕とスペシャリストたちが多角的に解析しておりまして、多くのクリニックでは見つかることがない問題をお伝えするようレポートに落とし込んでいます。
一般的に言われる不定愁訴には、疲労感、頭痛やめまい、食欲不振、胃腸の不快感、不安感、イライラ、睡眠障害などが挙げられますが、どんなに有名な大学病院に行っても保険診療の中では問題を見つけること、つまり病名をつけられないのが現状です。
なぜなら、多くの医療機関が見ているのは人ではなく疾病(保険診療に見合った病名)だからです。
実は、これら不調のスタートは、自律神経の乱れから生じています。
そこで、皆さんに送っていただきましたヘルスケアデータに基づき、僕なりの見方で自律神経、ひいてはストレスレベルに注視しています。
特に心拍数と心拍変動に注目し、例えばストレスフルな出来事(過度な仕事や人前に出るプレゼンテーション、そして良好とは言えない人間関係まで)に直面すると、心拍数は高まって心拍変動(HRV)は低くなります。
低いHRVは、慢性疾患や心理的問題のリスクを高め、心血管疾患、不安障害、うつ病などのリスクは、低HRVと明白な相関関係があると報告され、ストレスが持続すると交感神経の過剰な活動が心血管系に負担をかけるため、心疾患リスクが増加することも明らかになっています。
この病に至る過程で、疲労感、頭痛やめまい、食欲不振、胃腸の不快感、不安感、イライラ、睡眠障害などがはじまるのです。
これらの症状、いわばご自身の体の訴えを見逃してはいけません。
自律神経系は、交感神経と副交感神経のバランスによって制御されており、ストレスがかかると交感神経が優位に働き、HRVが低下します。
このメカニズムは、体が「闘争・逃走反応(fight or flight)」を起こし、自覚なくとも強いストレスを持つ人々は自律神経系を常に緊張状態にさせ、慢性期的リラックスできない状態を引き起こします。
事実、先週もお伝えしたように、大半の方々が本来の人間的生活と徐々にかけ離れてしまった結果、交感神経と副交感神経のスイッチングが上手くいっておりません。
こうして、1日のバイオリズムに狂いが生じ、あらゆる疾病のスタート地点となる不定愁訴が起きるのです。
アーユルヴェーダでは、自律神経を整えるため「ディナチャリヤ」と呼ばれる自然のリズムに従った生活習慣を実践するように諭されることからはじまります。
例えば、日の出の96分前に起床し、舌掃除やオイルプリングなどを行うことで体内を浄化し、交感神経と副交感神経のスイッチングを促します。
また、各人によって違うヴァータ、ピッタ、カパという3つのドーシャに合わせた時間の過ごし方が重要とされ、「リトゥチャリヤ」と呼ばれる季節ごとのリズムに調和させた生活を送ることがバイオリズムを整える鍵だと考えられ、季節に応じた食べ物や運動、活動量を変えることで、ドーシャのバランスを保ち、体内のリズムを最適化していきます。
8weeks.aiでは、各人によって異なる体質を血液を始め、バイオロジカルデータから読み解き、またApple Watch等のヘルスケアデータから人間的生活の乱れを確認します。
現在、第一次メンバーの方々に送る個別レポートを作成中ですが、どうやらご自覚なきストレスをお抱えの方が大変多く、その方々には僕なりの心拍変動を高めるコツを伝授するようにしました。
既に各種データをご提出いただいた方は、月内にレポートをお届けできると思いますので、良くも悪くも現在の「本当の自分」を見つける足掛かりにしてください。
この時代、ストレスを可視化し、マネージメントすることが快適に生き抜く秘訣のひとつなのですから。
もうじき季節が変わります。
あわせて、この機会にご自身も大きくスイッチしましょう!
まるで昨日までの自分と決別するように。
福岡県南西部に位置する柳川市は、「水の都」としてその名を知られてきました。
町を縦横に巡る掘割は、江戸時代に治水と交通のために整備されたもので、総延長は約470キロメートルにも及び、今もなお人々の生活と文化を支え、独特の風情を醸し出しています。
なによりこの街は、何度もオススメした「うなぎの街」でもあります。
柳川は掘割が網の目のように張り巡らされた水郷地帯ゆえ、古くからうなぎが豊富に生息していました。
江戸時代後期になると、料理人の大谷良平が考案したとされる「うなぎのせいろ蒸し」が生まれます。
蒲焼きにしたうなぎをご飯の上に乗せ、特製のタレをかけて蒸籠(せいろ)で蒸し上げる「うなぎのせいろ蒸し」は、蒸すことで味が染み込み、ふっくらとした他に類を見ない食感を生み出しました。
当時、うなぎは庶民の貴重なタンパク源であり、また滋養強壮の食材としても重宝されていました。
明治になると、柳川の「うなぎのせいろ蒸し」は全国にその名を広め、多くの旅人がこの地を訪れるようになります。
江戸時代から続く伝統の味を守り続ける老舗のうなぎ店が川沿いに軒を連ね、観光客は川下りを楽しんだ後、せいろ蒸しを食べながら、旅の疲れを癒します。
1950年代以降、交通網の発達とともに観光地としての柳川の名が広まるにつれ、堀割とうなぎは街の顔となり、全国から多くの人たちが訪れるようになりました。
川下りとうなぎの食事は、柳川観光の定番コースとして多くの人々を魅了してきましたが、その人気は皮肉にも資源の枯渇を招く結果となってします。
かつて掘割に豊富に生息していたうなぎは姿を消し、今では養殖に頼らざるを得ませんが、「うなぎのせいろ蒸し」の人気はそれこそ「うなぎ登り」となって衰えを見せません。
近年は「柳川うなぎ」としてのブランド確立に力を入れ、品質管理やPR活動を積極的に行い、2017年には「柳川うなぎ」が地理的表示(GI)保護制度に登録されました。
また、堀割は豪雨の際は、雨水を受け入れ「平地ダム」として冠水被害を食い止める役割も担います。
もともと柳川一体は、海に近い低くじめじめした湿地帯や干拓地が多く、掘っても海水しか出ず真水の確保が難しいエリアでした。
河川から水を引いたり雨水を貯めるために掘られたのが掘割ですが、気候変動によって豪雨が激しい九州北部の中で、柳川は堀割を利用し氾濫を避けることに成功しています。
レーダーなど最新テクノロジーを駆使して雨量を予測し、豪雨になりそうな場合に掘割の水を有明海の潮の満ち引きに合わせて満潮になる前にできる限り抜いておく「先行排水」が行われ、リスクマネージメントを行っているのです。
自然排水ができる仕組みとして、掘割には水門がなんと1100箇所!
不便な土地柄とうまく付き合い、上水道の普及や生活排水による水質悪化により埋め立てられそうになったこともありましたが、「自然の大きな循環の中に人間もいる」ということを忘れなかった先人の知恵と努力の結晶が掘割です。
現在、小さな地域に30件近いうなぎ屋があり、人口一人当たりの鰻屋の店舗数日本一!
中秋の名月も終わり、9月も後半になりましたが、まだまだ暑いうなぎの季節です。
日中、37度まで上がってます!
例年地球を7~8周回るような生活を続けていますが、今年は新しいヘルスケアサービスを立ち上げたこともありまして、年の前半は東京中心に多くの時間を日本で過ごしました。
その反動もありまして、残り3ヶ月で地球3周を高速で廻らねばなりません。
このような生活を送る上で最大の問題は、やはり時差ぼけです。
時差ぼけ(ジェットラグ)とは、異なるタイムゾーンを移動することにより体内の概日リズム=サーカディアンリズムが乱れる状態を指します。
概日リズムは、約24~25時間の周期で体内時計が調節する生理的なリズムで、睡眠や覚醒、ホルモン分泌、体温調節、食事の消化などに影響を与えます。
体内時計は、主に脳の視交叉上核(SCN)によって制御されており、光の刺激に基づいて調整されますが、急速なタイムゾーンの移動によって、朝日を浴びた程度では体内のリズムが新しい環境の昼夜サイクルに適応できなくなってしいます。
特に東向きの飛行(日本からアメリカへの移動など)では、体内時計が大きく遅れるため、強い時差ぼけが生じ、今回のような短い滞在が続く渡航では、僕も出来る限り西回りを心がけるようにしています。
こうして概日リズムが長期的または頻繁にリズムが崩れると、脳内の神経伝達物質のバランスが乱れ、感情の調整が困難になり、つまりイライラが続くのです。
また概日リズムの乱れは、高血圧心血管疾患のリスク増加に関連し、睡眠不足やホルモンの異常分泌が心血管系に負担をかけ、長期的には心臓病や脳卒中のリスクも高まります。
その上、代謝にも悪影響を与えます。
特にインスリン感受性の低下や血糖値の乱れが起こりやすく、個人的には、SIBOに陥ってしまうことも少なくありません。
では一体、どうしたら時差ぼけを軽減、もしくは早めに解消できるのでしょうか?
一般的に時差ぼけを軽減するためには、現地の昼間にできるだけ自然光を浴びると、体内時計が新しいタイムゾーンに同調するのを助けますが、これだけ高速に移動しているととても体内時計のリセットが追いつかず、また、夜も簡単に寝付けません。
そこで、僕が最も効果的だと思えるのは、良質なCBGとCBNを現地の時間に合わせて飲むことです。
大麻に含まれるカンナビノイドには、THC(テトラヒドロカンナビノール)やCBD(カンナビジオール)がよく知られていますが、CBG(カンナビゲロール)とCBN(カンナビノール)も重要な成分として、近年注目されています。
まず、CBGは、カンナビノイドの「母」とも呼ばれる化合物です。
これは、ほとんどのカンナビノイド(THCやCBD含む)が、植物の成長過程でCBGから作られるため「母」と呼ばれており、効果は強い抗炎症作用があるため、時差ぼけで体内中が「炎症まつり」の際にはもってこいの逸品です!
また、CBGには神経保護作用があり、特に集中力が増すと個人的に実感しています。
一般的には神経変性疾患(パーキンソン病やアルツハイマー病等)に対する潜在的な治療法として期待され、CBGが眼圧を下げることも示されいることから、緑内障の治療にも有望な成分として注目を集めます。
一方、CBN(カンナビノール)は、THCが酸化して分解することで生成されるカンナビノイドです。
これは、大麻が長期間保管されたり、光や酸素にさらされたときに生成されるため、「古い大麻」に多く含まれます。
CBNはTHCほど強い精神作用を持っていませんが、穏やかな鎮静効果があるため、不眠症の改善や睡眠促進に役立ち、時差ぼけで眠れないときには、抜群の効果を発揮します!
こうして日中CBG、就寝前にCBNを飲むことによって、バイオリズムを整え、時差ぼけをどうにか乗り切る日々を送っています。
もはやこの2つがなければ、遠方に渡航するのは困難になってきました。
いや、渡航そのものはできますが、行った先で楽しく過ごし、十分なパフォーマンスを発揮するには欠かせません!と言ったほうが正確です。
最近、渡航先でCBDを探すのも楽しみの1つになってきました。
言葉に少し語弊ありますが、もはや戻れない大麻なき世界。
時差ぼけ解消に限らず、中途覚醒にお悩みの方や心拍変動がなかなか高まらない方も、是非一度お試しください。
いまひとつ効果がないとお感じでしたら、大抵の場合は量が足りません。
Viva! Green Rush!!
Green Rushに続き、ここ数年取材を続けている「サイケデリック・ルネッサンス」最前線を追いかけ、ジャマイカへやってきました。
サイケデリック・ルネッサンス(Psychedelic Renaissance)とは、邪悪な薬物として追いやられていたサイケデリック物質に対する関心と研究が、21世紀に入り再び大きく復興している現象を指します。
特に、1960年代の「サイケデリック革命」以来、社会的・文化的に抑圧されていたサイケデリック物質(例えば、LSDやシロシビンなど)が、現在、医療や精神医学において有望な治療法として再評価され始めました。
1960年代、LSDやシロシビン(マジックマッシュルームに含まれる成分)などのサイケデリック物質は、意識拡張や精神的な探求、カウンターカルチャーの象徴として広く使用されていましたが、1970年代に入ると、これらの物質は多くの国で違法化され、医学的な研究もほぼ停止してしまいました。
しかし近年、特に娯楽大麻が米国やカナダで解禁されて以降、サイケデリック物質に対する科学的・医学的関心が再び高まっています。
サイケデリック物質は、うつ病、PTSD(心的外傷後ストレス障害)、不安症、薬物依存症などの治療に対して有望な結果を示し、特に従来の薬物治療が効果を示さない患者に対して、サイケデリック物質を用いた治療法が大変効果的であると言う論文や研究結果が、今世紀に入りいくつも出されるようになりました。
また、脳の機能や神経回路の理解が進んだことにより、サイケデリック物質が脳にどのように作用するかがより深く理解され、より安全かつ効果的な使用方法を探るための臨床試験が行われています。
なかでも注目を集めるサイケデリック物質がシロシビンです。
マジックマッシュルームの幻覚物質シロシビンは、うつ病や不安障害の治療に有望であるとされており、また、末期がん患者の精神的苦痛の軽減にも大きな効果を示しています。
近年、ジャマイカでは世界初とも言えるサプリメントショップなどの棚に合法的なシロシビン注入製品が導入され、サイケデリックなウェルネス製品として、マイクロドージング用の微量摂取カプセル、手作り微量摂取ハチミツ、チョコレートバー、ビーガン用シロシビン・グミ等のラインナップが、所狭しと陳列されるようになりました。
同時に、ジャマイカでマジックマッシュルームを使用し、治療を目的としたリトリートが急増中です。医療精神ツーリズムを目的としたこれらのリトリートは、サイケデリック体験を通じて自己の内面を探求し、精神的な癒しや成長を促すことを目的としたプログラムを提供し、各施設で経験豊富なファシリテーターと呼ばれるガイドが参加者を徹底的にサポートします。
ただし、金額的に安いものではありません。
1週間の滞在で7000USドルから10,000USドル程度のコストを要するため、国内のジャマイカ人向けではなく、米国や欧州からの精神的成長を求める人や心理的トラウマを解消したい人たちに人気です。
1960年代のサイケデリック革命がカウンターカルチャーや意識の拡張を求める運動として捉えられていたのに対し、現代のサイケデリック・ルネッサンスは、臨床試験や科学的な研究に基づいているのが大きな違いです。
2018年に出版した自著「50mm」の中でも触れましたが、医療用マジックマッシュルームや医療用MDMAの可能性が効果的であると、年々に注目が集まってきました。
米国でも一部地域では医療用マッシュルームの合法化が進み、10年前の大麻と同じように、今後サイケデリック医療は世界のあちこちで規制緩和されていくものと思われます。
昨年、ジャマイカ政府産業投資省は巨大な輸出産業へと育てるべく、サイケデリックなに関する研究開発を積極的に推進すると発表。政府上院議員のサファイア・ロングモア博士は、「ジャマイカは医療・スピリチュアル目的で新興のシロシビン(マジックマッシュルーム)産業を活用する大きな可能性を秘めている」と述べています。
世界的なGreen Rushに乗り遅れ、今度こそリーディング・カントリーになろうとするジャマイカ。
そう遠くないうちにサイケデリック・レゲエ・ムーブメントも始まるかもしれないな、と考える今週です。
カリブは台風シーズンも落ち着き、海風が涼しくなり、少しずつ良い季節になってきました。
シーズンは、これからです!
先週まで滞在していたジャマイカとこれらの地域では、場所によっては気温が30度近く違います。
特にコロラドは朝晩の冷え込みが相当厳しく、人間は前日との気温差が20度以上になると体に大きな負担がかかり、体温調節機能や循環器系、呼吸器系に影響を与え、健康上の問題を引き起こします。
まず、急激な気温差に対応するため、体は通常より多くのエネルギーを使って体温を調整しようとします。
気温が20度以上変わるとこの調整がうまくいかず、自律神経系に負担がかかって寒暖差疲労や倦怠感、体温が安定しないといった症状が現れます。
次に気温差によって血管が急激に収縮または拡張するため、血糖値のグリップ力が弱まり、いつも以上に食事に気をつけていないと血糖値スパイクが起き、疲労度が大きく増してしまいます。
また、体の体温調節機能が追いつかなくなり、例えば前日が非常に暑く、翌日が急激に冷え込む場合、体は適切に体温を保つことが難しくなります。
その上、急激な気温変化により体がストレスを受けると免疫力が著しく低下するため、気温差が大きい頃になると風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなるのです。
さらに、急激な気温変化は、肉体的な影響だけでなく、精神的ストレスも引き起こします。
寒暖差が大きいとストレスホルモン(コルチゾールなど)が増加し、不安感やイライラが募るため、温度差が激しい地域の移動はいつも以上に注意が必要だと、長年の旅路の経験から心得ているつもりです。
具体的には、重ね着などで細かく調整し、また糖質が多い食事は極力に避けながらも、体温を頻繁に測って自分の代謝を客観的に把握するようにしています。
多分日本も季節の変わり目な頃でしょうから、どうか皆様ご自愛下さいませ。
さて、いよいよ米国大統領選が近づき、全米各地を回ってお話をお聞きしていますが、まだまだ結果はわからないのが正直なところです。
というのも、米国マスコミは基本的に民主党寄りであり、正しい情報がもたらされていません。
ただし、各地で人々がこぞって「民主党になってから明らかに治安が悪くなった」と口々に話します。
僕自身もホテルで全く英語が話せないサービスマンが増えていることに驚愕しており、思わずスペイン語で会話することが増えました。
このような事態は10年前には考えられず、明らかに別の国になったと実感しています。
また、何度かお伝えしておりますように、パンデミック以降、都市構造が大きく変わりつつあります。
デンバーなどの中心地主要オフィスビルの空室率は40%を超え、都市型及び郊外型モールともに人がまったくおりません。
モールに出向いても駐車場はガラガラで、大作映画が封切られた週末の映画館も閑古鳥が鳴いています。
企業は株主対策のために社員を会社へ呼び戻すポーズをとりますが、実際はハイブリットワークかフルリモートのままの企業がほとんどです。
コロラド州内第3の都市オーロラは、完全にベネズエラギャングの巣窟となり、毎日死人が出ている有様です。
これは明らかに民主党が集票のため、犯罪歴を持つ者も関係なし無作為に大量の移民を入れたツケだと、多くの民主党贔屓の人たちも感じているところです。
2018年に出版した雑誌「50mm」にもポートランドの惨状と今日の米国の荒廃ぶりを予兆する記事を書きましたが、当時より中心地にはホームレスが増え、とどまる様子を見せません。
今週オレゴン州南部のアシュランドから北部まで縦走しましたが、民主党贔屓の地域にもトランプの看板が目立つようになりました。
パンデミック収束以降、新しい時代のトップを決める大統領選まで1ヵ月。
どちらにしろ、次の世代へ引き継がれる2028年まで(おそらく、その後8年程度まで)、米国は相当荒れるでしょう。
多くの時間をクリニックで過ごしておりまして、そこでお目にかかる読者の方々からよくあるお話しに、年間でどれくらい健康に投資すればいいのかと言うご質問を頂戴します。
これは各人の状態や目指すべきゴールによっても大きく変わるところですが、正直、この時代を生き抜くためには年収の10%程度を最低でも投資しなければ、心身ともに「正気」でいられないと考えています。
なぜなら、我々を取り巻く環境があまりに悪化してしまったからです。
例えば、耳に関して。
東京に戻って痛切に感じるのは、街中の音があまりにうるさいことです。
週末の渋谷や新宿の人混みは言わずもがな、高収入を謳った広告トラックの大音量や、あちこちから聞こえる音楽や鳴り物など、日本は騒音規制が緩いため、実にノイジーな中で暮らしています。
その上、害虫対策として可聴範囲外の音(いわゆるモスキート音)が街中で相当流れていますが、聞こえなくても脳はしっかり感知しています。
いまや、耳栓がわりのブルートゥースイヤホンをしなければ街を歩くのがストレスになってしまうほどですが、こちらはこちらで電磁波の問題が発生し、同じく街中にも各種電波が飛び交います。
一般的にあまりメンテナンスする必要がない耳ですらこの有様ですので、食事をはじめとする口から入れるものの変容は、耳どころではありません。
こうして、五感を含めた全身が日々「毒」に暴露され、それが人々の心身の健康を蝕んでいるのが現在です。
新型コロナによるパンデミックは、その根底に人間と自然や生態系との間にある種の根本的な不協和が生じていることを示唆しました。
特に都市部の状況は、人間の行う経済活動の規模が自然環境や地球の許容度を超え出るまでに至ろうとしており、その結果として新型コロナをはじめとする野生動物等と人間に共通の感染症「人獣共通感染症(zoonosis)」が年々増加しています。
国連の関連機関である国連環境計画(UNEP)は、「人獣共通感染症が発生する原動力となるのは、たいていの場合人間活動の結果として生まれる、環境の変化である」と現状を指摘。
この問題を克服していくためには、人間の経済活動のあり方や環境との関わりを何らかの形で根底から見直し、その発展の方向を変えていく必要があるのは間違いありませんが、そのような様子は政権が変わろうともまったく見受けられません。
そこで年収500万円程度あるならば、健康維持やメンテナンス、いや自分を劣悪な環境から守るためのに、年間で年収の10%程度=50万円程度の投資に取り組まなければ、どこか必ず環境の悪化に暴露し、「バグ」が生じていまいます。
これが、不調です。
そこで定期的な血液解析や腸内検査、ときには遺伝子検査や認知症検査、各種点滴やサプリメンテーションなどを行いながら日々メンテナンスに励まねばなりません。
なぜなら、周囲の40代から60代の、つい気を許したために陥ってしまったがん患者を見ていると、NK免疫細胞療法やオプジーボなど高額医療や保険診療外の手立てのために、毎月100万円前後支払わねばならないからです。
この金額は、実際に罹患しないとわからないことも多く、しかも日本は二人に一人ががんにかかり、罹患年齢が年々早まっているうえに、原発不明がんが急増しています。
製薬会社に「命の値段」を一方的に値付けられてしまう前に、自分で自分の人生をしっかりハンドルする必要が、誰にもあるはずです。
そこで、第一に自分のゴール、例えば「パフォーマンスを上げたい」「睡眠を改善したい」「疲れやすい体を改善したい」などの目的や具体的な疾病の克服までを設定し、第二に信頼できる医師を見つけ、第三にそこへ到達するまでの金額をはじめに決断し、医療機関と共有することが大切です。
しかし、多くの方々の健康への投資を拝見しますと、少しづつ取り組んでいらっしゃる方が大半で、これだとなかなか功を奏しません。
健康投資は、はじめに大きく行って、少しでも改善した体感を得たら、そこから徐々に減らしていくのがコツなのです。
そうしなければ、同じように良くなったり悪くなったりする状況が永遠と続きます。
おそらくこれは健康への投資に限らず、チョロチョロ細かく色々なことに、時間もお金も散財してきたパターンに陥っている「永遠に大きな決断ができない」ことが原因だと考えます。
就職の面接にしてもクライアントから仕事を得るためにも、先方は意図してか、もしくは知らずのうちに、こちらの健康状態を確認しようとするのが通例です。
また、幸せも買えるとしたら、何より健康への投資が第一です。
言うまでもなく、真剣な交際相手を選ぶ場合も、お相手の健康状態は必ず見るもので、どんなに素敵な洋服やブランドバックを持っても、また美容クリニックで高額な施術を受けたとしても、外見だけで形付けられた人間のエネルギーは長く持ちません。
仕事も恋愛も進化論に基づいており、人間の恋愛行動やパートナー選びは、主に生存と繁殖の成功を高めるための戦略として捉えられています。
進化心理学的には、強い免疫系を持つパートナーを選ぶことが子孫の生存率を高めるために有利とされ、特に遺伝的に異なる免疫システムを持つパートナーを選ぶことで、将来の子供が多様な免疫系を受け継ぎ、病気に対する耐性が強くなると考えられています。
そのため、男女ともに健康状態の良い相手を選ぶのです。
これらの選好は、繁殖の成功や子孫の生存率を向上させるために進化したことが各種研究から明らかになっています。
だからといって、借金してまで健康(特に美容)に投資するのは、一種の病です。
だからこそ、年収の10%を投資する決意を信頼できる医師へはじめにお伝えし、「健康の運用」をしばらく一任する。
その後、運用実績が悪ければ、三ヶ月後に途中で辞めればいいだけです。
この当初の決断ができるかどうかが、誰にも訪れる健康寿命を大きく左右するのだろう、と読者の皆さまとお目にかかりながら考える今週です。
現在、8weeks.aiの皆様のデータを拝見しながら、第一回目のレポートを様々な角度からチームで検証を進めております。
想定以上に時間を要している状況ですが、順次送付しておりますので、いましばらくお待ちくださいませ。
日に日に寒くなり、季節が大きく変わりました。
味覚の秋ゆえ、どうか食事の見直しを!
日本有数の温泉地として知られる群馬県の草津町。
その名を聞けば、湯けむり立ち上る温泉街の情景を思い浮かべる方も多いでしょうが、近代になって開発された温泉と異なり、奈良時代の文献にもその名が記されているほど長い歴史を誇ります。
江戸時代には湯治場として栄え、特に徳川将軍家からも厚い信頼を受けるほど名声が高まり、多くの人々が病を癒すために訪れました。
草津温泉は強酸性の硫黄泉が特徴です。
その効能は「万病に効く」と称され、長年「天下の名湯」と呼ばれてきました。
古くからの伝統は今も受け継がれ、温泉街には歴史的な建造物や風情ある街並みが残ります。
このような歴史的かつ保守的な地域で、2019年にある事件が勃発します。
地域行政が江戸時代から続くとされる独自の入浴法「時間湯」の指導役「湯長」を廃止する方針を発表。
湯治客に症状や体調を尋ねることなどが医療行為との疑いを招き、医師法違反の懸念があると判断した結果でしたが、一方で湯治文化の伝統を踏まえ、「歴史あるものを簡単に変えていいのか」と保守派との対立が激化しました。
同時期、古き悪き町の慣習を打破しようとする「草津町はじまって以来の異色」と呼ばれ、「旅館業以外からの初の町長」が、女性町議会議員から性的関係を強要されたと告発されました。
当時、世相はMe too運動真っ只中だったことから注目を集めましたが、町長は一貫してこの告発を否定した上に、草津町議会は女性議員に対して除名処分を可決し失職させます。
こうして草津町は「セカンドレイプの町」などと不名誉極まりないレッテルを貼られ、全国的に批判されるようになったのです。
ところが、裁判でこの女性議員の告発が虚偽であることが判明します。
マスコミはその後も明確に報道することはありませんでしたが、利権だった「湯長」の廃止に腹を立てた保守派の陰謀であることが、公然の事実として浮き彫りになりました。
しかし、悪評は簡単には拭いされません。
そこで、草津町は汚名を挽回するため、PRの活路を台湾に見出し、在留台湾人モニターツアーを通したリアル体験をベースに大SNSプロモーションを開始しました。
これが功を奏して、現在草津に訪れるインバウンドの60%が台湾客となるまで復活を果たしました。
なかでも「湯畑」に人気が集中しています。
草津のシンボルとも言える「湯畑」は、温泉の成分である湯の花の採取や湯温を調節する施設で、一日に約4000リットルもの温泉が湧き出す壮大な光景が広がります。
温泉成分が白く結晶化した湯畑は、まるで異世界に迷い込んだかのような雰囲気があり、夜にはライトアップされ、幻想的な風景を楽しむことができ、多くのインバウンドを惹きつけています。
近年、冬季日本観光の「温泉」が海外ゲストにも定着したことで、現在、草津の観光客数はパンデミック以前の過去最高だった(セクハラ問題が社会化する以前の)2019年度を上回るペースで伸びており、ニセコに続く人気となった白馬から立ち寄る人たちも相当数います。
こうして草津の人口14万人ほどの小さな街に、年間およそ400万人の観光客が押し寄せ、渋谷とおなじく日中人口の2.5%までインバウンド率が高まっています。
スクランブル交差点同様、「湯畑」を取り囲む海外ゲストが年々増え続けており、温泉街のあらゆるものが観光客価格に値上がりし、もはやオーバーツーリズム状態にあるのは間違いありません。
日々住民たち、特に観光業に従事しない人たちの不満が高まりつつありますが、こちらは保守派の陰謀ではありません。
果たして、地域行政はいかにして舵を取るのか。
草津は、日本の縮図なのでしょうか?
徐々にニセコ化し、地域一帯がインフレ化する草津。
本格的シーズンがはじまるのは、これからです。
この数日、米国の友人たちから「日本にしばらく移住したいんだけど、どうするのがいい?」と相談を受けます。
他ならぬ米国でドナルド・トランプが大統領選に勝ったことに嫌気がさした人たちが、米国から脱出するのを目論み、移住先を探しているのです。
近年、日本でもデジタルノマドビザを発給しはじめたことから、職種にもよりますが、長期間滞在が容易になってきました。
世界的にパンデミック以降は移住や長期滞在のハードルがグンと下がり、実際、僕の友人たちもデジタルノマドビザを申請もしくは申請中で、東京を中心に欧米からの中長期滞在者が日に日に増えています。
日本では、今年4月1日から「デジタルノマドビザ」として知られる在留資格「特定活動(告示53号)」が施行されました。
このビザは、外国の法人や団体との雇用契約に基づき、日本で情報通信技術を用いて業務に従事する外国人に付与され、具体例として、リモートワークを行うIT/ソフトウェア開発者、デジタルデザイナー、オンライン秘書、外国企業の事業経営を行う個人事業主など多岐に渡り、特に「オンライン秘書」を設けているところを見ると、かなり間口を広くとっていることがわかります。
一般的にオンライン秘書とは、海外の企業や個人に対してリモートで秘書業務を提供する職種を指し、スケジュール管理、アポイント調整、メール対応、資料作成、データ入力、経理・財務関連業務、マーケティング支援、SNS運用、Webサイト更新、広告運用などですが、エンジニアリングではありませんので定義は相当曖昧であり、僕はエンジニアやクリエイターではない友人たちに、この可能性をお伝えしています。
さて、肝心の日本の「デジタルノマドビザ」発給に関する条件は、査証免除国かつ租税条約締結国・地域の国籍であることで、英米、大半のEU加盟国、韓国、台湾、香港、さらにはメキシコやインドネシアなどの中進国までと、こちらも日本政府にしては珍しく門戸が広く開かれています。
年収の目安は1000万円以上必要で、円安だと言われる現在、欧米のIT企業やメディア等で働く30代以上の一般職なら、ほぼクリアできる条件です。
デジタルノマドの外国人は法的区分では「中長期滞在者」には該当しないため、日本国内の国民健康保険に加入することができず、民間の医療保険に加入することになりますが、クレジットカードの保険があれば医療保険に入る必要はありませんので、こちらも大半の人たちは問題ありません。
また、在留カードは交付されませんが、在留資格短期滞在や公用と同じようにパスポートに証印が貼付され、一時出国も可能です。
あわせて扶養する配偶者や子供たちにもビザが発給されるため、「オンライン共働き」であれば、さらにハードルが下がります。
ただし、日本のデジタルノマドビザには問題があります。
それは、在留許可された期間がわずか六ヶ月と大変短い点です。
しかも延長することができず、ドイツの3年やノルウェーの4年に比べると圧倒的な短さであり、今後、延長されることが待ち望まれています。
なぜなら、世界的に高度外国人材の流入は喫緊の課題であり、日本も他ではありません。
ただし、この短い期間にも抜け道がありまして、出国後6か月経過すれば再度、デジタルノマドビザを取得して滞在が可能ですので、季節の良い時期にタイなどと日本を往復しながら暮らそうと考えている人たちが相当数います。
通常の観光客同様に一度日本へ入国し、その後デジタルノマドビザを申請するのが一般的で、業務は行政書士などにすべておまかせできますが、英語が達者な行政書士が極めて少なく、このあたりも日本の課題だと思われます。
欧州一の頭脳と言われるフランスのジャック・アタリが20年近く前に予測した未来の3階層は、
1.ハイパーノマド(世界中どこでも働ける人)
2.バーチャルノマド(TVやインターネットでバーチャル空間を楽しんでいる人達)
3.下層ノマド(非常に貧しい人達)
に分かれると述べていましたが、パンデミック以降、そのハードルも大きく下がり(企業が譲歩し)、今後10年でハイパーノマド人口は二億人まで急増すると最新の予測を発表していますが、おそらくある時を境に、この階層間の移動はできなくなるでしょう。
個人がグローバル企業になる時代のいま、僕が20年近く前の自著でお話ししたように、動ける「外組」と動けなくなった「内組」に、今後ますます二極化するのだろうと考えます。
世界が動けば、人も動く。
鍵は、間違いなく短期間に高度技能人材へ自らを変化させることにあるのだろうと、友人たちのためにデジタルノマドビザを調べながら実感する今週です。
温暖だった東京も、日に日に寒くなってきました。
そろそろビタミンD3の量を増やすのをどうかお忘れなく。
定期的にスリランカや南インドのアーユルヴェーダ施設に通うようになって、もう15年以上経ちます。
当初は、アーユルヴェーダなどどいう言葉すら聞いたことがない人たちが大半でしたが、現在は日本でもそれなりの市民権を得たようで、いまから十年以上前に出した自著「サバイバル時代の健康術 ~アーユルヴェーダで頭と体のバランスを整える」も、認知を広めるのに少しは貢献できたのではないかと自負しています。
この間スリランカでは、とても大きな社会変革がありました。
と申しますのも、2022年4月に対外債務不履行(デフォルト)となり、国家財政破綻したからです。
メディアが報じる表向きの理由では、スリランカは長年にわたり、大規模なインフラ整備を推進してきたことに原因があると言われています。
特に中国の「一帯一路」構想の下で多額の借款を受け入れ、港湾や高速道路、空港などの建設を急ピッチで進めました。
しかし、これらのプロジェクトは収益性が低く、対外債務が急増。
高金利の借款は返済負担を増大させ、国家財政を圧迫しました。
また、観光業はスリランカの主要な外貨獲得源でしたが、2019年のイースター爆破事件により観光客数が激減しました。
その後、新型コロナウイルスのパンデミックが追い打ちをかけ、観光業は壊滅的な打撃を受けました。
観光収入の減少は外貨準備高の低下を招き、輸入品の支払いが困難になります。
そして2021年、政府は突如として化学肥料と農薬の輸入を全面禁止し、有機農業への全面転換を宣言しました。
この政策は環境保護と健康増進を目的としていましたが、準備不足のまま実施されたため、農業生産量が急減。
特に主食である米や主要輸出品の紅茶の生産減少は、食料不足と輸出収入の減少を招きます。
しかし、実態は少し異なります。
スリランカに訪れる観光客上位には、インド人やドイツ人に続くのは中国人であり、日本同様、お金をバンバン使い、観光売上に最も貢献していたのは、他国同様圧倒的に中国人でした。
彼らは単なる観光客ではなく、間接的に不動産投資やビジネス投資にも積極的でしたが、中国国内で不動産バブルが崩壊した煽りを受け、スリランカに中国マネーが流れ込まなくなります。
つまり、中国バブル崩壊に連鎖するようスリランカバブル(と親中政権)も崩壊したのです。
また、米国の金利が上がった影響も多大にあります。
それまで新興国に行き場をなくしてばら撒かれていた資金は、金利上昇とともに米国へ還流したため、脆弱なスリランカ経済をさらに追い詰めました。
つまり、大国の動向が変わってしまったため、新興国ともてはやされたスリランカ経済はあっという間に吹き飛んでしまったのです。
さらに世界的な原油価格の高騰や供給網の混乱は、輸入コストを増大しました。
しかも政府内の汚職や不透明な資金管理、政権内での権力集中は、国民の不満を高めます。
事実上、一部の為政者による長期支配は、民主主義の機能不全を招き、毎週のように大規模な抗議デモや暴動が発生して、政治的混乱が経済危機を深刻化させました。
そこで本年9月、スリランカで総選挙が行われました。
国家財政破綻後の舵取りに世界から注目を集めたこの選挙は、左派勢力「国民の力/人民解放戦線」が制しましたが、新大統領就任翌日に議会を解散。
今週、再び選挙が行われることになりました。
正確な結果はまだ分かりませんが、今後10年の大きな分水嶺となるスリランカにしばらく滞在し、南アジア全体の未来への行方を見届けたいと考えています。
日々混迷を極めるスリランカ。
この国の動向は、世界経済の炭鉱のカナリアに思えてなりません。