ポキポキ折れる「オルファ」のカッター なぜ刃先の角度が“中途半端”なのか 2023/06/11 [朝一から閉店までφ★]アーカイブ最終更新 2023/06/11 20:161.名刺は切らしておりましてGpXlH/Na週末に「へえ」な話2023年06月11日 08時00分 公開[土肥義則,ITmedia] 「外資系でしょ」と思っていたのに、実は日本に本社を構えている会社がある。洋菓子で有名な「モロゾフ」は兵庫県で生まれたし、ベッドメーカーの「フランスベッド」は東京に本社を置く。このほかにもたくさんある中で、個人的に気になっている会社がある。刃物やカッターなどを製造している「オルファ」だ。商品を見ると「OLFA」と書かれているので、海外の会社と思いきや、本社はコテコテの大阪である。 「オルファ? 知らないよ、そんな会社」といった人もいるかもしれないが、同社の製品を一度は使ったことがあるはず。刃先をポキポキと折って、最後まで使うことができる黄色のカッター。……と、たった一行説明するだけで「あ~アレね。会社でも使っているし、子どものころ筆箱の中に入っていたような」といった声が聞こえてきそうである。 同社の人気商品の一つに「タッチナイフ」がある。半円形のカタチをしていて、ちょっと切るのに便利なアイテムとして支持されている。スライダーを押しているときだけ刃が出て、ストッパーまで押し込むと、刃を出した状態で固定できる。小学生のころは工作をするときに、大人になってからは段ボールに貼られたテープを切るときなどに、使っている人が多いかもしれない。 ところで、タッチナイフはいつ生まれたのか。気になったので、ちょっと調べたところ1979年である。当時、手のひらに収まるカッターがなかったので、同社は「コンパクトなモノをつくれば、売れるのではないか」と仮説を立てたところ、すぐに注目が集まったようである。 どのくらい売れたのか気になったので、オルファの担当者に聞いたところ「古い話になりますので、記録が残っていなくて。ちなみに、昨年(2022年)は55万個ほど売れました」とのこと。持ち運びが便利なこと、操作が簡単なこと、価格が100円ほどだったこと(現在はタッチナイフRを販売、価格はオープン)。この3つがウケて、子どもから大人まで幅広い層で広がったようである。オルファのカッターが世界標準に オルファの人気商品といえば、先ほど紹介した「タッチナイフ」もあるが、代表的なアイテムといえば、刃をポキポキ折って使うカッターである。商品を開発したのは、1956年のこと。創業者の岡田良男氏は印刷会社で働いているときに、紙を切ることが多かった。カミソリの刃をつまんで切っていたわけだが、刃の両端しか使えない。危ないだけでなく、もったいない話でもある。 ちょっと話は変わるが、当時、路上にいた靴職人は靴底を削るのにガラスの破片を使っていた。切れ味が鈍ってくると、それを割って再び使う。その姿を見た岡田氏は、進駐軍の米兵がかじっていたチョコレートを思い出したという。「板チョコのように刃に折り筋を入れておき、切れなくなったら、ポキポキと折っていくと1枚の刃で何回も新しい刃を使えるぞ」と。 刃の長さ、大きさ、厚さ、角度、折り線の深さやピッチなど、試行錯誤の末に完成させたものの、資金も経験もない。大手メーカーに製造を依頼したところ、こんな答えが返ってきた。「刃物は折れたらダメ」「こんなもの、つくっても売れないよ」と。どこも相手にしてくれないのであれば、「自分たちでつくろう」となって、カッターをつくり続けたのだ。 その後、国内でじわじわ売れていき、商品は海を渡ることに。欧米を中心に広がっていったが、その一方でニセモノに悩まされる。「大阪で生まれた小さなカッターが売れている」という話を聞けば、ウチもウチもといった感じで、コピー商品が相次いで出てきたのだ。 「特許を取得していれば、そんな問題は解決するのでは?」などと思われたかもしれない。同社は国内のモノについては取得していたが(商品によって違う)、輸出品については手を打っていなかったのだ。 よく似た商品が出てくるし、大手メーカーも参入してくるし。となれば「大変だ、大変だ」となってもおかしくはないが、同社の考え方はちょっと違っていたようである。他社が参入するということは、自社の技術が認められたこと。「市場はもっと大きなる」と見込んで、生産量を増やしていったのだ。https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2306/11/news029_2.html会社の信念は「ポキポキ」折れずにhttps://www.itmedia.co.jp/business/articles/2306/11/news029_3.html出典 https://egg.5ch.net/test/read.cgi/bizplus/16864821852023/06/11 20:16:251すべて|最新の50件
2023年06月11日 08時00分 公開
[土肥義則,ITmedia]
「外資系でしょ」と思っていたのに、実は日本に本社を構えている会社がある。洋菓子で有名な「モロゾフ」は兵庫県で生まれたし、ベッドメーカーの「フランスベッド」は東京に本社を置く。
このほかにもたくさんある中で、個人的に気になっている会社がある。刃物やカッターなどを製造している「オルファ」だ。商品を見ると「OLFA」と書かれているので、海外の会社と思いきや、本社はコテコテの大阪である。
「オルファ? 知らないよ、そんな会社」といった人もいるかもしれないが、同社の製品を一度は使ったことがあるはず。刃先をポキポキと折って、最後まで使うことができる黄色のカッター。
……と、たった一行説明するだけで「あ~アレね。会社でも使っているし、子どものころ筆箱の中に入っていたような」といった声が聞こえてきそうである。
同社の人気商品の一つに「タッチナイフ」がある。半円形のカタチをしていて、ちょっと切るのに便利なアイテムとして支持されている。スライダーを押しているときだけ刃が出て、ストッパーまで押し込むと、刃を出した状態で固定できる。
小学生のころは工作をするときに、大人になってからは段ボールに貼られたテープを切るときなどに、使っている人が多いかもしれない。
ところで、タッチナイフはいつ生まれたのか。気になったので、ちょっと調べたところ1979年である。当時、手のひらに収まるカッターがなかったので、同社は「コンパクトなモノをつくれば、売れるのではないか」と仮説を立てたところ、すぐに注目が集まったようである。
どのくらい売れたのか気になったので、オルファの担当者に聞いたところ「古い話になりますので、記録が残っていなくて。ちなみに、昨年(2022年)は55万個ほど売れました」とのこと。
持ち運びが便利なこと、操作が簡単なこと、価格が100円ほどだったこと(現在はタッチナイフRを販売、価格はオープン)。この3つがウケて、子どもから大人まで幅広い層で広がったようである。
オルファのカッターが世界標準に
オルファの人気商品といえば、先ほど紹介した「タッチナイフ」もあるが、代表的なアイテムといえば、刃をポキポキ折って使うカッターである。商品を開発したのは、1956年のこと。
創業者の岡田良男氏は印刷会社で働いているときに、紙を切ることが多かった。カミソリの刃をつまんで切っていたわけだが、刃の両端しか使えない。危ないだけでなく、もったいない話でもある。
ちょっと話は変わるが、当時、路上にいた靴職人は靴底を削るのにガラスの破片を使っていた。切れ味が鈍ってくると、それを割って再び使う。
その姿を見た岡田氏は、進駐軍の米兵がかじっていたチョコレートを思い出したという。「板チョコのように刃に折り筋を入れておき、切れなくなったら、ポキポキと折っていくと1枚の刃で何回も新しい刃を使えるぞ」と。
刃の長さ、大きさ、厚さ、角度、折り線の深さやピッチなど、試行錯誤の末に完成させたものの、資金も経験もない。大手メーカーに製造を依頼したところ、こんな答えが返ってきた。
「刃物は折れたらダメ」「こんなもの、つくっても売れないよ」と。どこも相手にしてくれないのであれば、「自分たちでつくろう」となって、カッターをつくり続けたのだ。
その後、国内でじわじわ売れていき、商品は海を渡ることに。欧米を中心に広がっていったが、その一方でニセモノに悩まされる。
「大阪で生まれた小さなカッターが売れている」という話を聞けば、ウチもウチもといった感じで、コピー商品が相次いで出てきたのだ。
「特許を取得していれば、そんな問題は解決するのでは?」などと思われたかもしれない。同社は国内のモノについては取得していたが(商品によって違う)、輸出品については手を打っていなかったのだ。
よく似た商品が出てくるし、大手メーカーも参入してくるし。となれば「大変だ、大変だ」となってもおかしくはないが、同社の考え方はちょっと違っていたようである。
他社が参入するということは、自社の技術が認められたこと。「市場はもっと大きなる」と見込んで、生産量を増やしていったのだ。
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2306/11/news029_2.html
会社の信念は「ポキポキ」折れずに
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2306/11/news029_3.html