徒然なるままにコピペ日記 第8章最終更新 2024/06/19 06:051.名無しさんmgfQOaEw前スレ徒然なるままにコピペ日記 第7章 https://egg.5ch.net/test/read.cgi/cafe60/1538643191/出典 https://egg.5ch.net/test/read.cgi/cafe60/16021391422020/10/08 15:39:02303コメント欄へ移動すべて|最新の50件254.名無しさんxw7I0 波乱なく日銀の大規模緩和を「普通の金融政策」に戻した植田総裁には、11年続いた異次元緩和が残した遺産処理が待つ。保有する600兆円近い国債は金融正常化を進める過程で財務の悪化要因になり、70兆円規模に膨らんだ上場投資信託(ETF)の処分のメドは立っていない。 「インフレ率が2%近傍で推移することが、ゼロより良いこととは何でしょうか」。23年12月、日銀が主催した非公開の会合で参加者が驚く場面があった。植田総裁自ら、政府・日銀が掲げる「物価2%目標」の妥当性を問う問題設定をしたと受け止められたためだが、「純粋に学者としての問いだった」(参加者)。 前提を根本から覆すような問いを投げかけつつ、議論を呼び起こして解決策を探るのが植田流だ。「反対なのか賛成なのか分からないことがある」。数十年来の知人は語る。限界まで考え続ける植田総裁は今後、金融正常化への道を探ることになる。【図・写真】植田総裁は歴代まれにみる「決断した総裁」となった2024/04/10 06:26:38255.名無しさんxw7I0植田日銀1年金融正常化へ歩み(中)利上げ「次は甘くない」――日銀総裁「緩和の度合い縮小も」 物価の基調で判断2024/04/10 日本経済新聞 朝刊 日銀の植田和男総裁は9日、参院財政金融委員会で半年間の金融政策の概要を報告した。今後について「(物価上昇率から一時的な変動要因を除いた)基調的な物価の上昇率が上がる中で緩和の度合いの縮小も考えないといけない」と述べた。データ次第での追加利上げに含みをもたせた。 植田氏はマイナス金利政策を解除した後の金融政策について「基調的な物価の上昇率はまだ2%を下回っていて、緩和的な金融状態を維持することが大切だ」と話した。「見通しどおりに2%に向けて上がっていけば、金融緩和を少し弱める判断も可能だ」と言及した。 基調的な物価上昇率については「向こう1年半~2年の間に向けて上昇していくと考えている」と語った。「インフレ率が我々の見通しに対し大幅に下振れするリスクはだいぶ低くなってきたとみている」と明かした。 日銀が保有する上場投資信託(ETF)の縮小策について問われ「様々な検討はしているが、具体的なコメントは控える」と答えた。「すぐに処分するとは考えていない。今後、処分するのかしないのか、する場合どういうやり方を取るか、少し時間をかけて検討したい」と説明した。2024/04/10 06:28:00256.名無しさんcRfi234年ぶり円安 152円割れで下値模索・主な節目一覧2024/04/11 07:05 日経速報ニュース 外国為替市場で円安・ドル高が加速している。10日のニューヨーク市場で円相場は一時1ドル=153円24銭と1990年6月以来およそ34年ぶりの安値をつけた。3月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想を超えて伸び、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ開始が先送りされるとの見方から円売り・ドル買いが活発になっている。 日本政府・日銀は円買いの為替介入を示唆することでけん制姿勢を強めてきたため、市場では152円が「防衛ライン」としてみられてきた。だが、この水準を割り込んでも今のところ円買い介入が実施された様子はなく、円相場は節目らしい節目が見当たらず下値を模索する展開となっている。円相場の主な節目は以下の通り。 【対ドル相場の主な節目】 ・160円35銭 1990年の安値(90年4月2日) ・159円60銭 90年5月の安値 ・155円77銭 90年6月の安値 ・154円82銭近辺 ボリンジャーバンド(21日移動平均基準、3σ=シグマ)の円の下限 ・153円53銭近辺 ボリンジャーバンド(21日移動平均基準、2σ=シグマ)の円の下限 ★153円24銭 10日のニューヨーク市場でつけた安値 ・152円02銭近辺 一目均衡表(日足)の転換線 ・151円94銭 政府・日銀が円買い介入を実施した22年10月21日の安値(22年の安値) ・150円97銭近辺 21日移動平均線 ・150円 心理的節目 ・149円86銭近辺 一目均衡表(日足)の基準線 ・149円70銭 政府・日銀が円買い介入を実施した22年10月24日の安値 ・147円14銭近辺 200日移動平均線 ・145円90銭 政府・日銀が円買い介入を実施した22年9月22日の安値 ・145円 心理的節目 ・144円10銭 日米が円買いの協調介入をした98年6月17日の安値 ・140円40銭 大企業・製造業の24年度通期の想定為替レート(24年3月短観) ・135円20銭 日銀の黒田東彦前総裁が財務官だった02年1月31日につけた安値 ・133円台後半 98年4月9?10日に円買い・ドル売り介入を実施した際の水準 ・127円22銭 23年の高値(1月16日) ・121円70銭 日銀がマイナス金利の導入を決めた後につけた安値(16年1月29日) ・118円66銭 16年11月の米大統領選後につけた円の安値(12月15日) ・113円47銭 22年の高値(1月24日) ・101円18銭 コロナショック後の高値(20年3月9日) (注)チャート上の節目は11日早朝時点。一部データ元はLSEG。2024/04/11 08:39:15257.名無しさんcRfi2長期金利が0.8%超に上昇、昨年11月以来の水準-日銀追加利上げ観測https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-04-11/SAD0ALT0G1KW00 長期金利が昨年11月以来となる0.8%超えの水準に上昇した。日本銀行の追加利上げ観測が高まっている上、米国の長期金利が消費者物価指数(CPI)の上振れを受けて大幅に上昇したため売りが優勢となっている。 11日の債券市場で長期金利の指標となる新発10年国債利回りは0.83%と、2023年11月14日以来の高さになった。 日銀が3月に17年ぶりの利上げに踏み切った後も金融緩和環境を継続していることから長期金利の上昇は鈍かったが、ここにきて追加利上げを織り込む形で水準を切り上げてきた。世界が日銀の一挙手一投足を注視しており、長期金利上昇は投資マネーの国内回帰を促す大きな転換になる可能性がある。 日銀の植田和男総裁は先週の朝日新聞とのインタビューで、2%の物価目標達成に向けた「確度」がさらに高まれば、追加利上げを検討する考えを表明した。植田総裁は10日の国会では、円安進行で輸入物価が大幅に上昇し基調的物価が2%を超えて上昇するリスクが高まる場合、「金融政策の変更も考えないといけない」との見解を示した。 外国為替市場の円相場は、10日に発表された3月の米CPIを受けて一時1ドル=153円台に下落し、約34年ぶりの安値を更新。日米の金利差を意識した円売りドル買いが止まらず、トレーダーが警戒する為替介入レベルに突入した。日銀は好調な賃上げなどを受け、今月の金融政策決定会合で24年度の消費者物価(生鮮食品を除くコアCPI)見通しの上方修正を議論する公算が大きいという。2024/04/11 09:18:45258.名無しさんcRfi2債券寄り付き 長期金利、0.830%に上昇 5カ月ぶり高さ2024/04/11 09:13 日経速報ニュース 11日朝方の国内債券市場で、長期金利が大きく上昇(債券価格が下落)した。指標となる新発10年物国債の利回りは前日比0.035%高い0.830%と、2023年11月上旬以来5カ月ぶりの高水準をつけた。3月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回る伸びとなり、米利下げ観測が一段と後退。外国為替市場での急速な円安進行が日銀に追加利上げを促すとの見方も国内債の売りを促した。 10日発表された米CPIの上昇率は前年同月比3.5%と市場予想を上回った。変動の大きいエネルギーと食品を除いたコア指数の上昇率も市場予想を超え、インフレが長期化するとの見方が強まった。米連邦準備理事会(FRB)の6月利下げは難しいとの見方から米長期金利は一時4.56%と23年11月中旬以来の高水準をつけ、国内金利の上昇圧力となった。 10日のニューヨーク外為市場では円相場が一時1ドル=153円台前半まで下落し、1990年6月以来およそ34年ぶりの円安・ドル高水準をつけた。円安に伴う輸入物価の上昇が国内のインフレ率を押し上げる可能性がある。日銀が2%の物価目標実現の確信を深め、円安進行を阻止する意味でも追加利上げに動くとの思惑が高まりやすいのも国内債の売りにつながった。 債券先物相場が大きく下落した。中心限月の6月物は前日比37銭安の144円75銭で寄り付いた。その後は一時144円65銭まで売られ、中心限月としては23年12月以来の安値をつけた。短期金融市場では大阪取引所で無担保コール翌日物金利(TONA)先物の中心限月である6月物は取引が成立していない。2024/04/11 10:29:13259.名無しさん9ULsV企業の関心「金利より円安」 日銀マイナス金利解除1カ月 ドル高「想定外」の154円台 住宅ローン繰り上げ返済は限定的2024/04/19 日本経済新聞 朝刊 日銀がマイナス金利政策を解除し、17年ぶりの利上げに踏み切ってから19日で1カ月になる。預金などの金利上昇は小幅で「金利ある世界」に対し、企業や個人は冷静にそろり対応している。ただ外為市場では、日銀の利上げにもかかわらず円安・ドル高が進行する「想定外」の展開となっている。 日銀のマイナス金利解除後、金融機関は相次いで預金金利を引き上げた。三菱UFJ銀行などが先んじて普通預金金利を0.001%から0.02%に引き上げた。地銀は17日時点で全99行が追随し、普通預金金利を引き上げた。 明治安田生命保険が企業年金の予定利率を2025年4月に年1.25%から1.30%へ実質的に引き上げるなど、銀行以外にも影響が広がりつつある。 多くの銀行が支店を評価する項目に預金の増量を加えるなど、あまり力を入れてこなかった預金の獲得に乗り出している。ただ現段階では「普通預金の金利を上げても預金量が大きく伸びているわけではない」との声が多い。 金利が上がると返済の負担が重くなる住宅ローン。みずほ銀行の担当者は「繰り上げ返済など金利上昇を見越した動きは現時点で限定的」と話す。マイナス金利の解除が決まっても「今後の金利負担を心配するコールセンターへの入電は数十件程度にとどまった」という。 金利上昇を懸念する企業は、変動金利の借り入れを足元の金利水準で固定化する金利スワップを活用する。それでも大手行の営業担当者は「目立って利用が増えているわけではない」と明かす。 この担当者は「金利の見通しを尋ねられると思っていたら、むしろ為替を懸念する声が多くて驚いた」と語る。とりわけ卸売業など海外からの輸入に頼る企業は、金利上昇より円安がいつまで続くのかに神経をとがらせる。 マイナス金利解除前日の3月18日には1ドル=149円台だった。マイナス金利の解除で為替市場は円高に動くとの見方が強かったが、1カ月間強で約5円も円安が進み、15日には154円台まで下落し、34年ぶりの安値を更新した。 日銀が「当面緩和的な金融環境が続く」(植田和男総裁)という姿勢を強調しているのに対し、米景気が底堅くインフレの鈍化も緩やかなため、米連邦準備理事会(FRB)による早期利下げ観測が後退している。このため、日銀のマイナス金利解除でも日米の金利差が縮まらないとの見方が円安進行につながっている。2024/04/19 06:37:14260.名無しさん9ULsV 日銀からも「米国が利下げ局面にならないと円安・ドル高の構図は変わらない」(関係者)との声がもれる。 財務省・日銀による為替介入観測も強まっているが、抜本的な解決策にはならない可能性がある。円安が経済物価情勢に無視できない影響を与える状況になれば「金融政策の対応をもちろん考える」(植田総裁)。 為替政策は日銀の所管ではないが、動向を注視している。植田総裁は9日の国会答弁で一般論としながらも「金融政策は為替レートを決めるファンダメンタルズ(基礎的条件)の一つだと認識している」と説明した。 大幅な円安で、輸入物価の上昇が加速する可能性もある。中東の地政学リスクの高まりから原油価格にも上昇圧力がかかる。「先行きの物価見通しを引き上げ、追加利上げを後押しすることになる」(野村総合研究所の木内登英氏) 日銀がマイナス金利を解除して以降、金融政策の影響を受けやすい2年債金利は足元で0.28%台に上昇し、09年10月以来の高さとなった。足元の翌日物金利スワップ(OIS)市場では、7割程度の確率で7月に日銀が追加利上げに動くと予想している。 住信SBIネット銀行は17日、短期融資の基準となる短期プライムレート(短プラ)を0.1%引き上げて1.775%にすると発表した。 日銀が追加利上げに動けば、大手銀行(現在1.475%)も短プラを引き上げる可能性が高い。個人の住宅ローンの変動金利や中小企業向けの融資金利の基準となっており、「国民の生活に影響が出てくる」(財務省幹部)。このため、次の利上げはマイナス金利解除とは別の難しさがある。 金利の先高観を受け、新株予約権付社債(転換社債=CB)の発行に動く企業が増えている。CBは一定の条件で株式に転換できる権利が付いた社債だ。このオプションがあるため、一般的に利率は普通社債より低くなる。英LSEGによると、今年1~3月の発行額は約4500億円と04年以来の高水準だった。大和ハウス工業は1月に2000億円の発行を決めた。 日銀は追加利上げを急がない方針だ。「利上げの工程表があるわけではない。データを確認しながら、景気の基調を見極めていく」(関係者)。為替は注視しているが「円安が進んだから利上げに動くわけではない」(同)。円安が物価上昇をもたらしたとしても、日銀が重視する基調的な物価を押し上げているとはいえないとの見方だ。 FRBの利下げ観測が後退し、長期金利が約5カ月ぶりの高水準に上昇している。為替動向次第では市場が追加利上げを催促するように長期金利が上昇する可能性もある。2024/04/19 06:38:18261.名無しさん9ULsV日本でも予想インフレ率が上昇 日銀政策修正に追い風?-Up&Down2024/04/19 20:35 日経速報ニュース 国債の値動きを分析すると、市場関係者が見込んでいる物価予想をはじくことができる。今後10年間の物価上昇率の予想が15?16日には年1.499%まで上昇してきた。過去10年間ではみられなかった水準だ。円安や賃上げが物価の先高観を生んでいる。 国債には物価が上がると元本と利息が増える物価連動債がある。償還日など条件が同じ一般の国債と物価連動債の利回りの差には、売買する投資家の物価予想が反映されており、「ブレークイーブン・インフレ率(BEI)」と呼ばれる。 BEIは23年末には1.1%台で推移していた。3月末には1.3%台まで上昇したのち、4月に入って1.5%近くまで急速に上げ幅を広げている。 理論的には予想インフレ率は実際のインフレ率に影響を及ぼす。米連邦準備理事会(FRB)などの中央銀行が金融政策を決める際の参考情報となる。日本でも、海外市場のようにBEIが中銀の政策を読み解くうえでの重要指標になる局面が来たようにみえる。 もっとも、そう言い切れない面がある。日本の物価連動債は投資家層が限られているため流通市場での売買が低調なことだ。財務省の会合では証券会社から「一部の海外勢からは新規投資が見られるものの、裾野拡大とは言いがたい状況だ」との指摘もあった。 日本でもインフレが定着すればインフレをヘッジ(回避)する手段として物価連動債の需要が高まり、市場拡大につながる可能性もある。BEIが指標として成長するかどうか注目される。2024/04/19 23:39:27262.名無しさんZbOSW植田日銀総裁、物価上昇続けば「利上げ可能性高く」2024/04/21 日本経済新聞 朝刊 【ワシントン=新井惇太郎】日銀の植田和男総裁は米ワシントンで19日、「基調的な物価の上昇が続けば、金利を引き上げる可能性が非常に高くなる」と述べた。長期国債の買い入れ減額については「どのようなタイミングで、どのようなスピードで減らすかは時間をかけて検討し判断したい」と語った。 マイナス金利政策を含む大規模緩和の解除など日銀による最近の金融政策の変更をテーマに、米ピーターソン国際経済研究所のアダム・ポーゼン所長と対談した。同研究所は定期的に政策立案者や有識者を呼び対談イベントを開催している。 日銀は3月にマイナス金利を含む異次元緩和策を解除した。今後の金融政策運営では、賃金上昇を通じて物価が基調的に上昇するかを見極めようとしている。最近の円安が輸入品価格の上昇を通じ、国内の物価に与える影響も分析する方針だ。 植田氏は日本のこれまでの金融政策の教訓について「物価が上がらないという期待が定着すると、経済はその均衡から抜け出すのが難しくなる。そのような状態に陥らないようにするのが最善だ」と語った。2024/04/21 06:09:22263.名無しさん17sJJ債券寄り付き 長期金利、0.860%に上昇 中東の緊迫緩和や日銀利上げを意識2024/04/22 09:13 日経速報ニュース 22日朝方の国内債券市場で長期金利が上昇(債券価格が下落)した。指標となる新発10年物国債の利回りは前週末比0.015%高い0.860%をつけた。中東情勢の緊迫感がいったん和らいだのに加え、日銀による早期の追加利上げ観測が意識されて長期債には売りが優勢となった。 21日にはイラン最高指導者のハメネイ師が19日のイスラエルによるとみられる攻撃への報復などは言及しなかったと伝わった。イラン側が再び報復し、中東情勢が一段と緊張感を増すとの警戒が後退した。前週末に日経平均株価が急落するなか、相対的に安全な資産として買われていた債券には売りが出た。 日銀による追加利上げ観測も金利の上昇圧力となった。19日には日銀の植田和男総裁が米ピーターソン国際経済研究所のアダム・ポーゼン所長との対談で「基調的な物価の上昇が続けば、金利を引き上げる可能性が非常に高くなる」と語った。25?26日に開く金融政策決定会合で物価見通しを上方修正するとみられるなか、早期の追加利上げが意識されて国内債相場の重荷となった。 超長期債にも売りが優勢で、新発30年物国債の利回りは前週末比0.015%高い1.900%をつけた。債券先物相場は大幅に反落し、中心限月の6月物は前週末比35銭安の144円32銭で寄り付いた。 短期金融市場では大阪取引所で無担保コール翌日物金利(TONA)先物の中心限月である6月物は取引が成立していない。2024/04/22 09:16:11264.名無しさんA1EUR日銀は金融政策維持との見方、タカ派的発信あるか注視-根強い円安でhttps://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-04-22/SCBSUWT0G1KW00?srnd=cojp-v2市場は利上げ前倒し意識、展望リポートの物価見通しとリスクに関心国債買い入れ減額にも関心、「円安けん制の次の一手に」-野村証 日本銀行は今週の金融政策決定会合で、金融政策の現状維持を決めるとみられている。34年ぶりの水準まで円安が進行する中植田和男総裁の記者会見などで追加利上げに向けたタカ派的な発信があるかが市場の関心事の一つになっている。 ブルームバーグが12-17日に実施したエコノミスト調査では、日銀が25、26日に開く会合について、ほぼ全員が金融政策の据え置きを予想した。次回の利上げ予想は10月会合が最多の41%となっているが、リスクシナリオでは最も早いタイミングとして52%が7月と回答した。 日銀は3月会合で17年ぶりの利上げなどを決め、大規模緩和から転換。当面は緩和的な金融環境が継続するとしたが、利上げ後も根強い円安圧力を背景に、市場では追加利上げの前倒しリスクが意識されている。円安が物価の基調に影響すれば政策変更の理由になり得るとする植田総裁の発言もあり、今回は総裁会見や声明文、新たな物価見通しとリスク動向から今後の政策展開の手掛かりを探る会合となりそうだ。2024/04/23 09:29:35265.名無しさんVsmri日銀会合注目点:新たな物価見通しと総裁会見、円安けん制の有無https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-04-24/SCDR34T1UM0W00?srnd=cojp-v2政策は現状維持の公算大、展望リポート基準に追加利上げの時期探る円は対ドルで34年ぶり155円台、円安対応で国債購入減額との見方も 日本銀行が26日に結果を発表する金融政策決定会合では、金融政策の現状維持が見込まれている。34年ぶりの水準にある円安の影響を含めてインフレ圧力が意識される中、新たな経済・物価見通しと植田和男総裁の記者会見から追加利上げや国債買い入れなどの政策展開のヒントを探ることになる。2024/04/26 04:48:13266.名無しさんVsmriコラム:円安の背景に日米金利差、違和感覚える国力低下論=尾河眞樹氏https://jp.reuters.com/opinion/forex-forum/VZK6SLY3QJJDXPSLXLPKT4NHNU-2024-04-25/2024/04/26 04:50:58267.名無しさんVsmri日銀、国債購入縮小の方法検討 事実上の量的引き締めへ移行時事通信 経済部2024年04月26日07時58分配信 日銀が26日に開く金融政策決定会合の2日目の議論で、国債買い入れ縮小の方法を検討することが25日、明らかになった。3月にマイナス金利政策の解除など大規模緩和の正常化に踏みだしたが、国債買い入れについては減額を見送っていた。縮小すれば、日銀が保有する国債の償還ペースは、新規買い入れを上回ることになりそうで、国債保有残高を減らしていく事実上の量的引き締め局面へ移行することになる。大手生保、国債投資で判断割れる 日銀利上げ見極め―24年度運用計画 日銀は3月に17年ぶりに利上げに踏み切った。しかし、国債の大量購入を続けて潤沢にマネーを供給する金融緩和環境を維持しているため外国為替市場で円安が進む一因となっている。 3月に政策変更を決めた際の声明文で、日銀は国債について「これまでとおおむね同程度の金額(月間6兆円程度)で買い入れを継続する」と明記。実際の買い入れは、市場の動向や国債の需給を踏まえて実施していく方針を示していた。 25日に始まった今回の会合では、3月に決めた国債買い入れ方針の下で、実際に購入額を縮小していく方策を議論。日銀が公表している月間の国債購入予定額(約5兆~7兆円)についても、引き下げを含め見直す可能性がある。 長期金利は、3月の政策変更後も比較的安定的に推移している。4月から国債入札が減額されたこともあり、日銀は今後買い入れを多少減らしても金利の急騰は避けられると判断しているもようだ。3月に長期金利を0%程度に誘導する長短金利操作を撤廃したことを踏まえ、金利の形成をより市場に委ねる狙いもある。2024/04/26 08:45:59268.名無しさんVsmri34年ぶり156円台 円安是正、介入に委ねた日銀2024/04/26 14:39 日経速報ニュース 外国為替市場で円安・ドル高が加速している。26日には円相場が約34年ぶりに1ドル=156円台に下落した。この日まで開かれた金融政策決定会合を受け、歴史的な円安を是正するために日銀が「タカ派」に傾くとの思惑が肩透かしに終わり円売り・ドル買いに拍車がかかった。日銀は円安対策を円買いの為替介入に委ねた格好だ。 /home/member/news/202404/ucljpg_36b7d31552f4676aaaa0aae966035f78.jpg?format=raw 26日午後の東京市場で円は一時156円21銭近辺まで売られ、1990年5月以来の円安・ドル高水準をつけた。円安は対ドルだけにとどまらない。対ユーロでは1ユーロ=167円48銭近辺と08年8月以来の安値を更新。対オーストラリア(豪)ドルでも1豪ドル=102円台と14年以来の安値圏で推移するなど円は全面安の様相を呈している。 歴史的な円安に歯止めをかけるため日銀が一段の正常化に動くのではないか――。今回の決定会合ではこんな思惑が実現することはなかった。日銀は政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を0?0.1%で維持。減額が噂された国債買い入れについては「3月に決定された方針に沿って実施する」と説明した。 あわせて公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では「当面、緩和的な金融環境が継続する」とも説明。日米金利差がドライバーとなっている円安・ドル高を止めるため、日銀が政策正常化の歩みを進めるとの市場の見方に反し、「追加利上げに対する明確なヒントはなかった」(三菱UFJ銀行の井野鉄兵氏)といえる。 2%の物価安定目標の実現にまい進する日銀が対応を見送ったことで円安に歯止めを掛けるのは財務省など日本政府側に責任が委ねられた形になる。しかし、市場では円買い介入で円安・ドル高が止められるかどうかに懐疑的な声はなお多い。 ふくおかフィナンシャルグループの佐々木融氏は「足元の円安・ドル高は、米連邦準備理事会(FRB)による利下げが後退するなかでの『ドル高』の面が強い」と指摘する。たとえ介入で一時的に円相場を押し上げたとしても、大きく開いた金利差を頼りにした円売り・ドル買いが根強く「介入は効かないと露呈しかねない」と懸念する。 イエレン米財務長官は25日、ロイター通信のインタビューで足元のドル高について「米経済の強さと金利の高さ」を反映したものだと説明。為替介入は「極めてまれで例外的な場合に限る」とクギを刺しつつ、米政府としては積極的にドル高を是正しない考えだ。 ドルの買い意欲の高さはあちこちで聞かれる。BofA証券の山田修輔氏は最近の面談を踏まえ、ヘッジファンドなど海外投資家が「ほぼドルに強気の姿勢だが、まだ買ってはいない」と話す。東京市場では「中小企業を中心に輸入企業は開店休業状態」(国内銀行の為替担当者)だといい、ドル資金の手当てが追いついていない国内の実需筋も一定数いるとみられる。 26日午後には日銀の植田和男総裁が記者会見に臨む。さらなる円安進行を受けて追加利上げの思惑を強めるような発言をすれば円買い・ドル売りが活発となる可能性は残り、もちろん日本の通貨当局が日銀総裁の会見が終わるとともに円買い介入を実施する22年9月の再来を見込む声はある。しかし、ドル高という要因が変わらないなかでは円相場が上昇したとしても短命に終わりそうな気配だ。2024/04/26 14:45:06269.名無しさん76wpH日銀総裁、円安「政策の判断材料に」 物価影響を見極め 追加利上げ見送り2024/04/27 日本経済新聞 朝刊 日銀は26日の金融政策決定会合で、金融政策の現状維持を決めた。植田和男総裁は会合後の記者会見で、最近の円安進行について基調的な物価動向に大きな影響が生じれば「政策の判断材料になる」と語った。物価への影響を見極める姿勢も示したが、外国為替市場では早期利上げにつながるような発言がなかったとの見方から一時、円売り圧力が強まった。(関連記事総合2、総合4面に) 日銀は政策金利を0~0.1%程度(無担保コール翌日物レート)に据え置き、追加利上げを見送った。 同日公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート=総合2面きょうのことば)」では、消費者物価指数(CPI)の前年度比上昇率は変動の大きい生鮮食品を除いて24年度は2.4%から2.8%、25年度も1.8%から1.9%に引き上げた。初めて示した26年度は1.9%と見通した。 金融政策の現状維持が予想されていたことから、市場参加者は植田総裁による記者会見での発言に注目していた。記者会見では、円安進行やその影響に関する質問が集中した。 植田総裁は「金融政策は為替レートを対象にしていない」との立場を明確にしたうえで「円安で(一時的な変動要因を取り除いた)基調的な物価上昇率に無視できない影響が発生すれば政策の判断材料になる」と述べた。 一方で最近の円安について「基調的な物価上昇率への大きな影響はないと判断した」と話した。影響は無視できる範囲だったかと問われ「はい」と答えた。そのうえで今回利上げを見送った理由を「基調的な物価上昇率は2%を下回っている。3月から4月にかけてはっきり高まったとは考えていない」と説明した。 日銀は追加利上げの時期について、基調的な物価上昇率が2%に達する可能性が高まっていくか見極めたうえで判断する方針だ。 今後の金融政策を巡っては「賃上げがサービス価格にどう反映されるか。円安や原油高に伴う輸入価格の上昇が広い物価の水準にどう影響していくか。今後の賃上げの展開を見つつ、基調的な物価上昇率の動きを判断する」との考えを示した。 植田総裁は「基調的な物価の上昇率が見通しに沿って上昇すれば政策金利を引き上げる」とも話した。 ただ市場では、植田総裁が「当面は緩和的な金融環境が続く」と発言したことなどから日米金利差が開いた状態が長期化するとの観測が強まり、記者会見中に円売りの勢いが増した。 国債の買い入れについては、声明文で「3月会合で決定された方針に沿って実施する」と明記し、現状維持となった。 日銀は3月会合でマイナス金利政策を含む大規模緩和を解除し、17年ぶりの利上げとなった。2024/04/27 06:42:00270.名無しさんX70iM植田日銀、円安騒動の陰で研ぐタカの爪 利上げ4?9回?-編集委員 大塚節雄2024/04/27 07:49 日経速報ニュース 植田日銀が26日の金融政策決定会合で政策金利を据え置き、国債の購入方針も変えなかった。何らかの円安への対応に期待していた市場は「ゼロ回答」を吹聴し、一段の円売りに走った。だが、円安騒ぎの陰で日銀は連続利上げに向けた布石を着実に打っている。向こう2?3年をメドに1?2%の利上げすら示唆してみせた。 円安騒ぎがなかったら、市場はむしろ植田日銀の「タカ派ぶり」に驚いていたかもしれない。仮に円安で追い込まれたふりをしながら金融政策の正常化への舞台を整えているのだとしたら、かなりの高等戦術と言えまいか。 「基調的」を巡るすれ違い機に158円台 「基調的な物価上昇率」という言葉の分かりにくさが、すれ違いと混乱を呼び込んだのかもしれない。26日のニューヨーク外国為替市場で円相場は1ドル=158円台前半まで下落した。 植田和男総裁は18日のワシントンでの記者会見で、円安について「基調的な物価上昇率に影響を与えるという可能性はありうる」と前置きしたうえで、「無視できない大きさの影響が発生した場合は、場合によっては金融政策の変更もありうる」と語った。「基調的」という言葉に注意を払わなかった市場関係者は、円安に対応した利上げを視野に入れていると解釈した。 そして今回の決定会合。 「仮に基調的な物価上昇率に無視し得ない影響が発生するということであれば、金融政策上の考慮、あるいは判断材料になる」 「基調的な物価上昇率に、ここまでの円安が今のところ大きな影響を与えているということではない」 植田氏は会見で、ワシントンでの発言の意味するところを詳しく解説した。ところが説明をすればするほど、「円安に金融政策で直接対応するつもりはない」という日銀にとっての「正論」がクローズアップされ、円売り勢を勇気づける結果となった。 植田氏が会見で何度も言及した「基調的」という言葉は、一時的な要因を除いた、長い目で見た「物価の実力」のこと。表面上の物価上昇率は目標の2%を超える期間が続くが、基調はまだ2%を下回るとみている。 円安は、まずは輸入物価を押し上げ、国内で価格転嫁が進むにつれ、消費者物価に上昇圧力をかける。日銀が「第1の力」と呼ぶものだ。次に、この物価高の圧力が賃金上昇に波及すれば、国内需要に根ざす「第2の力」が働き始める。やがて賃上げが今度は物価を押し上げ、賃金上昇を伴う緩やかな物価上昇が自己回転する「好循環」につながる。このメカニズムによって動くのが、基調的な物価上昇率だ。 つまり円安という要素は、最終的に好循環のさらなる進展をもたらし、基調的な2%の物価上昇の定着に向けて寄与していると確信できて初めて、利上げの判断に関わってくる。円安が金融政策を動かすとすれば、そんな回りくどい道のりになる。「円安が進んでいるせいで消費者の生活が大変だから、物価高を止めるために利上げをする」と言っているわけではない。 利上げシナリオの「本丸」は円安にあらず 気をつけたいのは、日銀が実際に見据える「本丸」の利上げシナリオは、必ずしも円安とは直接の関係がないことだ。円安の影響に配慮する姿勢をみせつつも、日銀が金融政策の「次の一手」の機を探るうえで決定的に重要だとみているのは、今回の円安よりも前からすでに進み始めている好循環の見極めだ。 今年の春季労使交渉では大企業を中心に歴史的な賃上げがまとまりつつある。中小企業への波及がしっかりとみえ、人件費増が適正に販売価格へと転嫁される流れが確認できれば、好循環が続く確度が高まる。追加の利上げは十分に正当化される。 ここに円安の影響が加わると、好循環の起点である第1の力に、もう一回、上向きの力が加わる。うまくいけば賃金上昇に「プラスアルファ」の効果があるかもしれないが、本丸である好循環の見極め作業のなかでは、主役ではない。2024/04/28 06:22:28271.名無しさんX70iM 植田日銀は今回の一連の説明で、為替や円安というキーワードをちりばめつつ、ウソのない範囲で円安のけん制を試みたのか。あるいは、円安に背中を押された構図を演出しながら、本丸の利上げに向けた布石を打とうとしたのか。考えられる経路を客観的に語ったまでだと日銀関係者は深読みを制するが、ひょっとしたら両方を狙ったのかもしれない。 それよりも注目すべきなのは、日銀が円安は関係なく、基調的な物価上昇率が2%に上向いていく可能性に自信を示したことだ。 今回から2026年度まで予測期間を延ばした「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では、基調的な物価上昇率が「見通し期間後半には『物価安定の目標』とおおむね整合的な水準で推移する」と判断を進めた。 植田氏は会見で、その意味するところを踏み込んで語った。 「基調的な物価上昇率が見通しに沿って2%に向けて上昇していけば、政策金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整していくことになると考えている」 そのうえで、利上げの終着点に関して重要な示唆を示した。 「とくに見通し期間後半について、この(見通し)通りの姿になっていくということであれば、政策金利は、ほぼ中立金利の近辺にあるという状態にあるんだろうなという展望は持っている」 中立金利とは、現在の日本経済にとってちょうどよい、「景気をふかしも冷ましもしない政策金利」のことだ。植田氏は「中立金利の水準についてかなりの不確定性がある」としつつ、「なるべく早い期間にもう少し絞るという作業を続けたい」と語った。しかも「少しずつ金利が上がっていく際に、それに対して経済がどういう反応を示すかということに関する情報が非常に重要になる」とも言及し、連続的な利上げのなかで中立金利を探っていこうとする姿勢をみせた。 中立金利は「1.1?2.4%」を想定? 植田氏の頭にある数字を類推しよう。日銀の企画局が昨年12月の多角的レビューのワークショップで示した内外5つの推計によると、実質値でみた中立金利は「マイナス1.0%からプラス0.5%」の範囲内にある。 日銀内からは、もう少し狭く「マイナス0.4?プラス0.4%」という相場観も聞かれる。この推計は23年1?3月期が最新値。現時点で改めて推計すれば、もっと高まっている可能性もあるようだが、保守的にみて「0%」と置いてもおかしくはないだろう。 名目の中立金利を導くには、ここに予想インフレ率を加える必要がある。予想インフレ率は今回、植田氏がヒントを出している。家計や市場、企業のデータを加重平均した値は「少しずつ上昇を続けてきていて、まあ1%台半ばくらいにあるのかな」という。 だとすれば、現時点では1.5%前後。予測期間の後半にかけては2%程度で固定(アンカー)されるとみられるので、「1.5?2.0%」の間ということだろう。 この結果、名目の中立金利(実質金利+予想インフレ率)は、広くとれば「1.1?2.4%」ということになる。もちろん日銀の公式見解ではないが、植田氏がこの範囲から「もう少し絞る」意向を持っているという推論は一応成り立つ。 26年度までの見通し期間の後半に政策金利が中立金利に到達するとみているとすれば、向こう2?3年に4?9回ほどの利上げを実施する計算になる。いくら今回の円安がインフレ圧力の強い米国発のものだとはいえ、市場がこのシナリオを完全に織り込めば、日米金利差もさすがに縮小しそうだ。今回もっと強調していれば、円安けん制の材料として、明確な「タカ派パワー」を持ったかもしれない。 もちろん計画がこの通りに進む保証はないが、円安に追い込まれたように見える構図のなかで植田日銀が着々と練る利上げ計画にも注意を払ったほうがよいだろう。【関連記事】・円安加速、34年ぶり158円台 米「3高」に歯止め利かず・日銀、くすぶる早期利上げ観測 米との金利差縮まらず2024/04/28 06:23:24272.名無しさん5WwCq円買い介入観測、29日に5兆円規模か 市場推計2024/04/30 19:40 日経速報ニュース 市場参加者の間で30日、政府・日銀が29日に5兆円規模の円買い介入を実施したとの観測が広がった。日銀が30日発表した5月1日の当座預金残高の見通しによると、29日の為替介入を反映する「財政等要因」による減少額が7兆5600億円で、為替介入を反映していない市場の当初予想とずれが生じたためだ。 為替介入は財務省が判断し、日銀が実行する。円買い介入を実施すると、民間金融機関が日銀に預ける当座預金から円が国庫に移動し、当座預金が減少する。決済は一般に2営業日後になるため、29日の介入が5月1日の残高に反映される。銀行間の資金のやりとりを仲介する短資会社の予想(2兆500億?2兆3000億円減少)との差額が介入の実施額と推測できる。 29日は円相場が一時1ドル=160円まで急落した後、154円台まで円高が進んだ。断続的な円買いが続いたことで、市場では為替介入との観測が強まった。財務省の神田真人財務官は30日、介入の有無について「私から申し上げることはない」と語った。 日銀が公表する当座預金残高の見通しを使う推計には誤差もありうる。財務省は1カ月ごとに為替介入の実績を公表している。介入を実施したかどうかは、5月31日に公表される、4月26日から5月29日分の合計介入額で正式に明らかになる予定だ。【関連記事】・円取引量、22年介入に匹敵か 「激しい値動きに声失った」・円急落で遠のく実質賃金プラス 1ドル170円なら暗雲・神田財務官「国際ルールに則し対応」 介入有無は話さず・「為替介入騒ぎ」でしたり顔 円乱高下を乗り切るFX投資家2024/04/30 21:05:16273.名無しさんkyxQz日銀、国債「変動幅もち柔軟に」 3月会合議事要旨2024/05/03 日本経済新聞 朝刊 日銀が2日公表した3月の金融政策決定会合の議事要旨で、今後の国債の買い入れ額について複数の政策委員が「上下に多少の変動幅をもつ形で柔軟に決めていくべきだ」と指摘していたことが明らかになった。このうち一人は「例えば上下に1兆~2兆円程度の幅が適当」との見解を示した。 日銀は3月会合で長期金利を低く抑える長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)を撤廃し、国債買い入れは「これまでとおおむね同程度の金額」で続けると決めた。声明文の脚注で「足もとの月間買い入れ額は、6兆円程度」とも示したが、既にこの3月会合で委員の間で将来の減額を見据えた議論が起きていた。 複数の委員が「将来的にはどこかのタイミングで国債の買い入れを減額し、保有残高も償還に伴い縮小させていくことが望ましい」と指摘した。異次元緩和下での買い入れで国債保有割合(国庫短期証券を除く時価ベース)は発行残高の過半に達する。市場流動性の低下といった副作用の懸念から減額を求める声が出ているようだ。 その一方、複数の委員が「流動性の回復過程で、経済・物価情勢の変化を受けて長期金利のボラティリティー(変動率)が高まりやすくなる」とし、国債買い入れを当面続けて金利急騰に備える重要性を強調した。 「急激な市場変動を避ける観点から時間をかけて対応することが適当だ。その間に債券市場の参加者が拡大することを期待する」との意見もあった。 日銀によると、3月の買い入れ実績は5.9兆円、4月は5.8兆円だった。3月会合後に公表した買い入れ計画では4~6月は月あたり計4.8兆~7兆円の範囲内で購入するとしている。市場からは下限の規模の購入額が続けば、宣言なく緩和を縮小する「ステルステーパリング」になるとの見方がでている。2024/05/03 06:37:38274.名無しさんlSsk0「日銀は対話できない」 円急落で変わる政府との距離感-竹内宏介2024/05/20 05:00 日経速報ニュース 「日銀は円安圧力を緩和してほしい」「円安による過度な物価上昇も懸念されるなか、政府・日銀は適度な物価上昇の実現を」――。岸田文雄首相と植田和男日銀総裁がそろって出席した10日の経済財政諮問会議。民間議員から日銀に為替に絡めた注文が相次いだ。 発端は植田氏による4月26日の金融政策決定会合後の記者会見だ。いまの円安について、基調的な物価上昇率への影響を無視できる範囲だとの見解を示した。これが円安容認発言ととられて円相場は1ドル=160円まで急落し、数兆円規模の為替介入を引き起こしたとみられている。 安倍・菅政権で官邸官僚と呼ばれた人物は「日銀に独立性があるとはいえ擦り合わせなくあの発言をしたとすれば、普通は責任問題だ」と断言する。諮問会議に参加している経済官庁のトップも「日銀は対話ができていない」と評した。 3月までは日銀のやり方に公然と文句をつける動きはなかった。「国会議員の大半が『日銀でうまくやってくれ』という思いだった」(財務省幹部)。緩和的環境の維持を求めながら金融政策の正常化は黙認した。 その後しばらく市場が安定したことで「日銀は万能」との期待度を高めてしまったのかもしれない。4月中旬、ある閣僚経験者は日銀幹部から「米国がここまで利下げできない環境になると思っていなかった」との説明を受け、周囲に「日銀が利上げして円安・物価高に対応するのだろう」と漏らした。 その後、日銀発ともいえる円急落で経済再生を売りにする政権のスタンスは変わった。3泊6日の海外訪問を終えた直後に首相が公邸に呼んだのは政治資金規正法の改正作業を手掛ける自民党議員だったが、翌日の7日には植田氏と向き合った。 植田氏は首相との面会後、記者団に「円安については日銀の政策運営上、十分注視をしていくことを確認した」と述べた。政府内では「官邸が呼び出して発言を修正させた」「日銀に弁明の機会を与えた」と様々な解釈が飛び交う。 見方が一致するのは、いまこの瞬間は政治とカネに並び「円安」が官邸の関心事項であるということだ。円安は原材料価格の上昇を通じて国民負担を増やすものと受け止められている。 ただ円安是正のための利上げはハードルが高い。内閣府副大臣として日銀の政策決定会合に出たこともある越智隆雄衆院議員は「歴史的に日銀は為替と絡んで動いたとみられるのを嫌がる」と話す。 しかも利上げとなれば住宅ローンや中小企業の資金繰りへの影響を不安視する声が高まる。政治情勢は少なくとも9月の党総裁選まで落ち着かない公算が大きく、首相官邸や政治家が利上げに表立って賛成すると考えにくい。 政権幹部は「当面は利上げはできない。大事なのは日本が成長する可能性を示して、いつか利上げが起きると思わせることだ」と本音を語る。 「円安是正」と「利上げの回避」を同時に求める政権と与党の姿勢は身勝手ともいえる。霞が関では「いまの官邸が骨を拾ってくれるとは思えない」との見方も広がる。日銀が市場と政府との対話をより求められるようになったことで、金融政策の行く末は見通しにくくなった。【関連記事】・植田日銀総裁、為替変動「過去より物価に影響しやすく」・日銀総裁、円安「政策の判断材料に」 物価影響見極め・「歴史的円安」解消、なお時間 金利差より厚い需給の壁2024/05/20 06:12:42275.名無しさんlSsk0長期金利、11年ぶり高さ 日銀利上げよりQTに身構え2024/05/20 12:06 日経速報ニュース 国内債券市場は、日銀の次の一手を巡って利上げよりも先に量的引き締め(QT)に身構えている。それを示唆するのが2年物と10年物の国債利回り差の拡大傾向だ。長期金利の指標となる新発10年債利回りは20日午前、前週末を0.025%上回る0.975%に上昇(価格は下落)し2013年5月以来、11年ぶりの高水準をつけた。政策金利の影響を受けやすい2年債利回りより、資産残高を縮小するQTが響く10年債利回りの上昇ペースが速くなっている。 /home/member/news/202405/ucljpg_4e948a751d26885c3be9364db330ceda.jpg?format=raw 2年債利回りも前週末を0.005%上回る0.335%に上昇したが、2年と10年の利回り差は複利で0.632%に広がった。利回り差は3月末時点の0.546%から拡大傾向が強まっている。 岡三証券のチーフ債券ストラテジスト、長谷川直也氏は「日銀の国債購入減額がどのようなペースでどこまで減額されるかの不確実性の高まりが金利上昇を招いている」と指摘する。そのうえで2?10年債利回り差の拡大について「購入減額の影響が効きやすい10年債利回りの上昇ペースが速いのは『利上げより国債購入減額が先』という市場の見方を映している」とみていた。 日銀が今月9日に公表した4月の金融政策決定会合の「主な意見」では、追加利上げに向けた意見があったのと同時に国債買い入れの減額を支持する見解も相次いだ。国債購入に関しては「どこかで削減の方向性を示すのが良い」「バランスシートの圧縮を進めていく必要がある」などといった声があった。 日銀はさっそく地ならし的な動きをみせている。13日の国債買い入れオペ(公開市場操作)では「5年超10年以下」の1回あたりの通知額を4250億円と前の回の4750億円から500億円減らした。17日のオペも5?10年はこの額を維持した。月内に予定する23、31日のオペでも同額なら5?10年に限ると5月の月間購入額は1兆7000億円程度と4月の1兆9022億円(落札ベース)から2000億円減る。 みずほ証券のチーフエコノミスト、小林俊介氏は「量的縮小政策は準備万端」とみる一方、「代わりに追加利上げは遠ざかった公算が大きい」と話す。仮に6月13?14日の決定会合でQTを決めた場合「日銀はひとまず経過観察する誘因に駆られ、(次の)7月会合で連続的に政策修正(利上げ)する可能性は低下する」という。2024/05/20 13:11:08276.名無しさんFp0Z3長期金利、0.985%に上昇 2013年5月以来の高水準2024/05/22 09:57 日経速報ニュース2024/05/22 10:03:13277.名無しさんtn4Co金利上昇 試される耐性 企業・家計、借り入れコスト増 金融正常化織り込む2024/05/23 日本経済新聞 朝刊 国内債券市場で長期金利は2013年以来11年ぶりに1%台に上昇した。この間、日銀の金融緩和を通じた低金利や円安の恩恵を受けて企業は稼ぐ力を高めてきた。30年あまり続いた経済停滞から脱却しつつある局面で、日本経済は金利上昇に対する耐性が試される。(1面参照) 長期金利が最後に1%台をつけた13年当時と比べると日経平均株価は1万6200円(13年末)だったのに対し、23年末は3万3400円まで上昇した。今年に入って史上最高値を記録している。 堅調な上場企業の業績が株高をけん引する。24年3月期の純利益(金融など除く)は前の期比16%増の約39兆円と3年連続で過去最高となった。 雇用環境も軒並み改善している。完全失業率は23年平均で2.6%と13年平均(4.0%)より低下した。1倍を割り込んでいた有効求人倍率は1.3倍に上昇した。24年春季労使交渉(春闘)では賃上げ率が33年ぶりに5%を超えた。 企業は金利上昇を前提とした行動に動きつつある。上場企業の有利子負債は23年3月末で263兆円と14年3月末から4割増えたものの資産全体や自己資本の伸びに比べれば緩やかだ。自己資本に対する有利子負債の比率は低下傾向にある。手元資金も23年3月末で約105兆円と積み上がっており、財務基盤は強固だ。 設備投資意欲はなお強い。日銀の3月の全国企業短期経済観測調査(短観)によると、大企業製造業の24年度の設備投資額は前年度比8.5%増とバブル期だった1989年以来の高い伸び率を見込む。 経団連の十倉雅和会長は21日の記者会見で「企業は多かれ少なかれ有利子負債を抱えているので損益にインパクトはある」と語った。一方で「金利のある世界によって、むしろ事業の優先順位付けや規律ある投資が進む」とも述べた。 長期金利の上昇は、金融機関による資金運用の改善につながるため、銀行の定期預金金利や生命保険の一部商品の利回りなどが上がる要因になる。一方で銀行が提供している固定型の住宅ローン金利の引き上げにつながる。大手銀行は5月にそろって10年固定型の金利を引き上げた。 みずほリサーチ&テクノロジーズによると、家計では長期金利が仮に3.3%まで上昇した場合、26年度に全世帯平均で年間7.7万円のプラス効果があると見込む。 世帯や世代によっては住宅ローンにかかる金利の上昇でマイナス効果になる場合もある。それでも金利のある世界は「現預金が1000兆円あるのに対し、住宅ローンのような借り入れは400兆円に満たない」(三井住友銀行の福留朗裕頭取)ため、家計に追い風とみる向きが多い。 家計はインフレ圧力も見越して行動している。家計資産の株式・投資信託比率は13年末の13.8%から23年末に17.8%まで上昇した。現預金の資産価値が目減りすることへの対応ととれる。 今後、重要になるのは物価上昇が賃上げにつながり、その分をさらにモノの価格に転嫁する「賃金と物価の好循環」を続けられるかどうかだ。 賃金から物価の影響を除いた実質賃金は3月まで24カ月連続のマイナスを記録した。今秋ごろにプラス転換を見込む声が多いが、円安や原油高によるコストプッシュ型の物価高の再来が懸念材料だ。 政府部門には逆風となる。国債残高は22年度末で約1000兆円と13年度比で300兆円ほど増えた。国債は60年かけて償還するルールがあり、低金利で発行した国債を借り換える際に高い金利の国債に置き換わる。当面はインフレに伴う名目経済成長による税収増が先行するものの、財政健全化への対応はいっそう重要になる。 日銀は3月に長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)を撤廃し、長期金利の水準について「金融市場において形成されることが基本」(植田和男総裁)との姿勢をとる。当面は異次元緩和下と同程度の額での長期国債の買い入れを続ける方針を示しているが、日銀として目指す長期金利の水準はなくなった。 金利先高観があるなかで銀行などは国債保有の積み増しには慎重だ。あるメガバンクの運用責任者は「10年物は1.2~1.5%にならないと買わない」と語る。日銀が追加の金融政策修正に動くという市場の思惑も長期金利の押し上げ圧力になっている。2024/05/23 06:24:47278.名無しさんtn4Co円相場、無視できぬ国内金利の上昇 「逆相関」終了も2024/05/23 09:51 日経速報ニュース 外国為替市場で円相場がじりじりと下値を切り下げている。日銀の利上げ観測や国内債利回りの上昇にもかかわらず、金融引き締めが長引きそうな米国との金利格差が縮まらないためだ。円を元手にドル建て資産などで運用する円キャリー取引も継続しているが、これまで数年にわたり続いた円と国内金利の「逆相関」が終わる局面に備える市場参加者もじわりと広がってきた。 23日朝方の東京市場で円は1ドル=156円70銭台で推移している。米連邦準備理事会(FRB)が22日に明らかにした4月30日?5月1日開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨を受けて米長期金利が上昇し、円売り・ドル買いにつながった。 一方、22日に日本の長期金利が節目の1%に達したことは海外でも多数の報道があった。円相場の反応は今のところ鈍いものの、投機筋を中心に日本の金利上昇への認識は広がっている。 あるヘッジファンドでは先日、日本の新発30年物国債利回りとドルの対円相場の日足チャートを並べ、今後の運用方針を協議した。2022年以降の2つのチャートは極めて似た形をしており、主に米国側の要因で円安・ドル高が進んだのを象徴する。このファンドでは「日銀の追加利上げや米国の利下げ開始が視野に入り、(主に短期金利差の影響を受ける)円キャリー取引をこれまでのようには積み増せないだろう」との考えに傾きつつある。 市場では「日銀が円安対応として利上げを急ぐ」との予想も多い。日銀の政策正常化が進むとの警戒感が強まれば、国内株式相場がダメージを受ける公算が大きい。今週は米ゴールドマン・サックスが「日銀は持続的な利上げサイクルに入った」「26年末に国内長期金利は2%まで上がる」との見通しを示し、話題になった。株安で海外勢を含む投資家の体力が奪われると、円キャリー取引の圧縮を伴う日本への資金還流が加速しかねないというのが外為市場の「常識」だ。 日銀利上げや国内債利回りの上昇を日本国債と円の信認低下に結びつける声もあるが、日本経済の弱さが意識される事態になれば日本株にはマイナスだ。これもめぐりめぐって円高要因になる。 日本株安と円高の同時進行は今のところリスクシナリオの1つに過ぎない。ただ、投機筋などが取引に用いるコンピューターにはこうしたリスクシナリオが常にインプットされ、市場に流れてくる材料と結びつけて人工知能(AI)などが投資判断をする。タイミング次第では国内金利の上昇が突然、教科書的な円高要因として復権するかもしれない――。円の弱気派の緊張感は徐々に高まっている。2024/05/23 10:12:46279.名無しさんO758M日銀国債オペ、驚きの「札割れ」 減額後押しか2024/05/23 16:04 日経速報ニュース 日銀が23日に実施した国債買い入れオペ(公開市場操作)で、残存期間「1年超3年以下」の応札額が通知額に届かない「札割れ」となった。日銀が異次元緩和を導入した2013年4月以降で初めてとなる。日銀に急いで国債を売りたいという投資家が乏しかったのを示す。需給の引き締まりは日銀による国債購入減額を後押しすることになりそうだ。 /home/member/news/202405/ucljpg_10bb5d495bc15997a6f8891f2e9e286d.jpg?format=raw 日銀が23日に実施した定例の国債買い入れオペ3本のうち1?3年については、3750億円の購入予定の通知額に対し、応札額は3564億円にとどまった。応札額すべてを落札した。市場関係者からは札割れという結果は「想定外だった」との声があがった。 23年以降の1?3年のオペを振り返ると、同1月は1回あたり5000億円で月4回だった。当時は長短金利操作(YCC)のもとで金利上昇圧力が高まったため、日銀は定例オペ以外にも臨時オペを打って金利上昇を抑えた。同2月からは1回あたり4250億円(月4回)となり、同11月の後半からは3750億円(同)として現在に至る。 三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊氏はきょうの札割れについて「投資家が2年債を手放したくないという需給の引き締まりを意識させる結果だった」と話す。 短期の政策金利の影響を受けやすい2年債利回りは今年に入り、ほぼ一本調子で上昇(価格は下落)してきた。日銀のマイナス金利解除を経た4月以降も追加利上げ観測が2年債利回りを押し上げた。4月初めには0.2%を下回っていた2年債利回りは22日に0.35%と09年6月以来、約15年ぶりの高水準に上昇した。 ここまで利回り上昇の結果、日銀の追加利上げの織り込みが進んだとの見方は増えている。このため「金利の先高観が和らぎ、2年債は(日銀に売却せず)保有していた方がいいと考える投資家がいた可能性が高い」(稲留氏)という。 札割れをきっかけに需給の引き締まりが意識され、23日の流通市場で新発2年債利回りは前日を0.010%下回る0.340%に低下した。 2年債の需給を巡っては別の見方もある。SMBC日興証券の奥村任氏は「5年債や10年債などと比べデュレーション(期間)リスクを低く抑えることができるため、保有したいという投資家の需要は高い」と分析する。 デュレーションは保有する債券の元本と利息を回収するまでにかかる年限を示し、それが短いほど保有債券の含み損が膨らむリスクを抑えられる。2年債利回りではだいぶ織り込んだといっても日銀による追加利上げや国債買い入れ減額への思惑はくすぶり続けている。22日に11年ぶりに1%ちょうどへ上昇した長期金利などをみると、国内債全般の価格下落リスクは小さくない。それが期間の短い2年債への需要を増やしている側面があるというわけだ。 2年債を中心とするこの残存期間の債券需給の引き締まりは、少なくとも1?3年のオペでは、長期的な方向としては明らかにしている国債買い入れの減額へ日銀が動きやすくなったとの見方がある。SMBC日興証券の奥村氏はきょうの札割れに関し「日銀の買い入れが過剰で減額すべきだ、というサインとも受け取ることができる」と指摘する。 日銀は13日に「5?10年」については1回あたりの国債購入額を500億円減らしたが、その他の期間は購入額を据え置いている。1?3年の4月の購入額は約1.5兆円で5?10年(約1.9兆円)、3?5年(約1.7兆円)に次いで多い。日銀は国債発行額に対する日銀の購入比率が高い期間で減額を進めるとの予想も市場にはある。2024/05/24 08:23:02280.名無しさんO758M今日の債券 長期金利、1%超えか 米金利上昇、日銀正常化も意識2024/05/24 08:01 日経速報ニュース 24日の国内債券市場で、長期金利は上昇(債券価格は下落)しそうだ。指標となる新発10年物国債の利回りは節目の1%を超え、2012年4月以来の高水準をつける可能性がある。米景気の底堅さを受けて前日に米長期金利が上昇したほか、日銀による追加利上げや国債購入の減額といった政策正常化が根強く意識されているのも長期金利の上昇圧力となるだろう。 23日のニューヨーク債券市場で、長期金利の指標となる米10年物国債利回りは前日比0.06%高い4.48%で終えた。この日発表された週間の米新規失業保険申請件数が21万5000件と市場予想よりも減った。米S&Pグローバルが公表した5月の米購買担当者景気指数(PMI)速報値は総合が54.4と約2年ぶりの高さとなり、米連邦準備理事会(FRB)が利下げに慎重になるとの見方が米金利上昇につながった。 大阪取引所の夜間取引では債券先物が下落している。5営業日ぶりに反発していた中心限月の6月物は夜間取引では143円57銭で終え、23日の清算値を16銭下回った。米金利上昇を受け、24日の国内市場では相場が底堅く推移していた中長期債にも改めて売りが広がるとみられ、長期金利の上昇圧力となるだろう。 日銀が政策正常化のペースを速めるとの思惑が日本国債の買いづらさにつながっている。日銀が23日実施した定例の国債買い入れオペ(公開市場操作)では残存期間「1年超3年以下」で、13年4月の「異次元緩和」の導入後で初めて購入予定額を応札額が下回る「札割れ」となった。中期債の需給逼迫を映す結果と言え、市場では日銀が国債購入額を減らしやすくなるとの観測が高まっている。 総務省は24日8時半に4月の全国消費者物価指数(CPI)を発表する。QUICKがまとめた市場予想によると生鮮食品を除いた総合は前年同期比2.2%上昇し、上昇率は3月(2.6%)を下回る見込みだ。生鮮食品とエネルギーを除く指数(日銀版コア)の伸び率も2.4%と、3月(2.9%)から鈍化するとみられており、物価の騰勢一服は国内債相場の支えとなる可能性がある。 24日は国内では財務省が3カ月物の国庫短期証券(TB)の入札を実施する。日銀の追加利上げを巡る警戒感が残る中で、期間の短いTBは相対的に金利リスクが低いうえ「(銀行勢の)担保需要も強い」(国内金融機関)という。海外では4月の米耐久財受注額や5月の米消費者態度指数(ミシガン大学調べ)確報値が発表されるほか、FRBのウォラー理事が講演する。2024/05/24 08:25:02281.名無しさんvPyID長期金利、1.01%に上昇 12年4月以来の高水準2024/05/27 12:41 日経速報ニュース 27日午後の国内債券市場で長期金利の指標となる新発10年物国債利回りが前週末を0.005%上回る1.010%へ上昇(債券価格は下落)した。2012年4月以来およそ12年ぶりの高さをつけた。日銀による国債買い入れの減額や追加利上げなど早期の政策正常化が意識され、国内長期債に売りが優勢となっている。 政策金利の影響を受けやすい新発2年債利回りも午後の取引では前週末比0.005%高い0.34%に上昇した。2024/05/27 12:51:14282.名無しさんvPyID債券12時50分 長期金利、1.02%に上昇 12年4月以来の高さ2024/05/27 13:26 日経速報ニュース 27日午後の国内債券市場で、長期金利が上昇(債券価格は下落)している。指標となる新発10年物国債の利回りは前週末比0.015%高い1.020%をつけた。2012年4月以来およそ12年ぶりとなる高水準。日銀の内田真一副総裁が27日の講演で「デフレとゼロ金利制約との闘いの終焉(しゅうえん)は視野に入った」などと述べ、日銀の政策正常化が意識されて国内債への売りを促した。 28日に財務省が実施する10年物クライメート・トランジション(CT)利付国債入札に一定の警戒感があるとの見方があった。10年物CT国債(発行予定額3500億円程度)の入札について、市場では「(金利水準が)1%を超えてもはっきりとした買いがみられない状況で、CT債は通常の国債と比べ流動性に難がある」(国内証券ストラテジスト)として、需要動向を不安視する声がある。 日銀の内田副総裁の講演を巡っては、長期的な視点に基づくもので短期的な政策運営への示唆は限られるとの受け止めもあった。先物中心限月である6月物は143円52銭と午前終値を7銭下回って午後の取引が始まり、その後先週末比15銭安の143円44銭まで売られる場面もあった。 短期金融市場では、現金担保付き債券貸借(レポ)金利が低下した。日本証券業協会がまとめた東京レポ・レートで、翌営業日に始まる翌日物(トムネ)金利は前週末比0.031%低い0.048%だった。2024/05/27 14:15:51283.名無しさんKtiNu三菱UFJ市場本部長「国債、持ち高復元検討」 7月にも利上げ、念頭に2024/05/29 日本経済新聞 朝刊 三菱UFJフィナンシャル・グループの関浩之市場事業本部長が日本経済新聞の取材に応じ、日本国債について「金利上昇が本格的に進めば利回りの最高水準を見極めながらポジション(持ち高)を復元していく方針だ」と運用の見通しを明らかにした。日銀が「早ければ7月にも政策金利を0.25%程度へ引き上げる可能性がある」とも述べた。 関氏は今後の運用について、金利の上昇に応じ、国債と比べ利回りが相対的に高い「円金利スワップ取引」での固定金利の受けと呼ばれる、国債の購入に類似した取引をしていくとした。その後は粘着性の高い預金の水準をみながら「(償還まで持ちきることを前提とした)満期保有目的」勘定で債券を購入する方針を明らかにした。 さらに金利水準が相応に上がれば「(期中での売買が可能な)その他有価証券」勘定での債券購入で対応するという。 関氏は「まだ金利上昇余地は相応にある」と述べた。本格的な復元開始時期は「10年の円金利スワップの固定金利の利回りが1.20%以上に上がってくるなど、もう少し金利が上がるまで先送りせざるを得ない」との認識を示した。 三菱UFJが徐々に国債の持ち高復元を検討する背景には、日銀が段階的に利上げするとみていることがある。関氏は2025年3月までに「(政策金利を)0.5%以上に引き上げる可能性がある」とも述べた。 日銀は3月にマイナス金利を含む異次元緩和政策を解除した。三菱UFJ銀行は政策変更の翌営業日から円の普通預金金利を0.001%から0.02%へと引き上げた。関氏は日銀が追加利上げした場合は「預金金利の引き上げを検討する」と明らかにした。 次の利上げ後には、変動金利型住宅ローンなどの指標となる短期プライムレート(短プラ)も引き上げる銀行が多いとみられている。関氏は短プラの引き上げは「(日銀の)利上げ幅次第では検討することになるだろう」とし、明言しなかった。 対ドルで1ドル=150円台半ばで推移する円相場について関氏は「過度な円安の状態にある」との認識を示した。輸入物価の上昇を通じたコスト増が物価上昇率全体を押し上げ「家計の実質所得の低下による消費マインドの悪化や、中堅・中小企業をはじめとする輸入企業の収益悪化による設備投資の手控えなど、負の側面が相対的に大きい」と指摘した。 関氏は、円安などによる基調的な物価上昇率の上振れリスクを「日銀はこれまで以上に強く懸念し始めている」とみる。日銀が利上げの家計や企業への影響を考慮しつつ「一段の円安の影響を少しでも回避するため、利上げや国債買い入れ減額などの政策修正を徐々に進めることを優先するだろう」と強調した。2024/05/29 06:25:03284.名無しさんKtiNu長期金利、12年半ぶり高さ あすの2年債入札も警戒2024/05/29 11:30 日経速報ニュース 日銀の政策修正に身構えるような国債売りが止まらない。29日は長期金利の指標となる新発10年物国債利回りが一時、前日を0.030%上回る1.065%へ上昇(価格は下落)して2011年12月以来、12年半ぶりの高さとなった。あす30日に財務省による入札がある2年物国債は10年債と比べた価格の割高さが目立つ。入札で需要がどの程度集まるかには警戒感がくすぶる。 /home/member/news/202405/ucljpg_fb01ca82cf7334c9eab846927b3f412a.jpg?format=raw 過去1年の2年債入札前日の2年と10年の利回り差と入札における応札倍率を振り返ると、利回り差の拡大(縮小)と応札倍率の低下(上昇)の連動がみてとれる。2年債の利回り上昇(価格の下落)が10年債より限定的なら利回り差は拡大し、2年債の価格は割高となる。割高だと入札における応札が弱まり、応札額を落札額で割った応札倍率は低下するという関係にある。 現時点で新発である2年物460回債の利回りは29日、前日を0.015%上回る0.365%に上昇した。こちらは09年6月以来、ほぼ15年ぶりの高さながら、10年債との利回り差は1カ月前と比べ大きく広がって価格は割高になっている。29日時点の複利の利回り差は0.689%と前回4月の2年債入札前の0.596%から拡大し、入札前としては昨年10月の入札前以来、7カ月ぶりの大きさとなっている。 日銀の政策修正観測を巡っては、利上げより国債購入減額が先との見方が市場には多い。それが減額の影響をより受けやすい10年債の利回りが、政策金利の予想に左右されやすい2年債に先行して上昇している背景の1つになっている。 日銀の政策修正観測は利回り曲線(イールドカーブ)全体を押し上げており、こうした局面では「デュレーション(保有債券の平均残存期間)を短くしたい投資家の需要が中長期債から2年債に移動する」(SMBC日興証券のシニア金利ストラテジスト、田未来氏)というのも大きい。長い年限の債券ほど利回り上昇に伴う価格下落が大きくなるので、リスク回避のため保有債券を短期化しようとするからだ。 「仮に日銀が6月の金融政策決定会合で国債減額方針を決めると、債券市場では次は利上げ時期を探っていくだろう」(岡三証券のチーフ債券ストラテジスト、長谷川直也氏)との声もある。日銀の利上げ観測が利回りをより押し上げる2年債について、長谷川氏は「いったん待機資金を集めているが、需要が強いというのはあくまでも他の年限の債券に比べて『相対的に』ということ」と指摘する。 日銀の内田真一副総裁は今月27日、「デフレとゼロ金利制約との闘いの終焉(しゅうえん)は視野に入った」としたうえで「今回こそはこれまでと違う」と金融政策の正常化への意欲を示した。岡三の長谷川氏は「(内田氏が)ここまで自信を示している以上、債券市場の警戒感は高まる」と話す。 国債の「短期化需要」で2年債入札が大崩れすることはないとの見方も少なくないが、日銀をにらんだ債券市場の動揺は強まっている。2024/05/29 11:47:52285.名無しさんKtiNu債券12時50分 長期金利、1.070%に一段と上昇 12年5カ月ぶり高さ2024/05/29 13:15 日経速報ニュース 29日午後の国内債券市場で、長期金利が一段と上昇している。指標となる新発10年債利回りは前日比0.035%高い(価格は安い)1.070%と2011年12月以来、約12年5カ月ぶりの高水準をつけた。日本時間29日の取引で米長期金利が上昇し、国内債利回りの上昇圧力が強まっている。 中期ゾーンの国債利回りも上昇している。新発2年債利回りは前日比0.020%高い0.370%、新発5年債利回りは0.035%高い0.625%とそれぞれ上昇幅を広げた。先物相場は一段安となり、中心限月である6月物は前日比41銭安の143円09銭まで下落する場面があった。 短期金融市場では、現金担保付き債券貸借(レポ)金利が上昇した。日本証券業協会がまとめた東京レポ・レートで、翌営業日に始まる翌日物(トムネ)金利は前日比0.010%高い0.051%だった。2024/05/29 13:21:51286.名無しさんKtiNu長期金利上昇、メガバンク幹部発言で債券売りに拍車2024/05/29 14:19 日経速報ニュース 債券市場で幅広い年限の国債利回りが上昇ペースを速めている。長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは29日午後に一時1.070%と2011年12月以来、約12年5カ月ぶりの高水準をつけた。日銀による国債買い入れの減額観測が根強く、将来の需給不安が重くのしかかる。「金利変動リスクを急いで取る必要はない」。そんな腰の引けた姿勢を代弁するかのようなメガバンク幹部の発言が伝わったのも債券売りの背中を押した。 市場できょう注目されたのは、29日付の日本経済新聞朝刊が掲載した三菱UFJフィナンシャル・グループの関浩之市場事業本部長のインタビューだ。傘下2行合算の国債保有残高は24年3月末時点で約36兆円にのぼる。債券市場における存在感は大きく、発言から投資行動を推し量ろうとする参加者は多い。【関連記事】金利上昇で「国債保有の復元検討」 三菱UFJ市場本部長2024/05/29 14:35:27287.名無しさんgpwYx長期金利、13年ぶり1.1%台 日銀正常化に思惑2024/05/30 10:11 日経速報ニュース 30日午前の国内債券市場で長期金利が一段と上昇(債券価格は下落)した。指標となる新発10年物国債利回りは前日比0.025%高い1.100%をつける場面があった。長期金利が1.1%台に乗せるのは2011年7月以来およそ13年ぶりとなる。日銀が近く追加利上げや国債買い入れの減額など政策正常化に動くとの思惑から金利の先高観が強く、長期金利の上昇を促している。 日銀は31日に国債買い入れオペ(公開市場操作)の運営方針を更新し、6月のオペ実施日程を公表する予定だ。さらに6月4日には財務省が10年物国債入札を予定している。市場では「日銀の国債買いオペの不透明感に加え、10年債入札への警戒感もあって売りが出やすくなっている」(国内証券ストラテジスト)との指摘があった。 さらに足元では欧米で長期金利が上昇基調となっているのも国内金利の上昇圧力となった。米国では底堅い景気が米連邦準備理事会(FRB)の利下げ転換を遅らせるとの観測がくすぶり、29日には米長期金利が4.6%台に上昇。根強いインフレで欧州中央銀行(ECB)が利下げに慎重になるとの見方も広がり、欧州ではドイツの長期金利も上昇している。2024/05/30 10:40:52288.名無しさんVzczq「金利ある世界」、広がる裾野 長期金利一時1.1% 生保の予定利率上げ、住宅ローンには上昇圧力2024/05/31 日本経済新聞 朝刊 金融商品の金利引き上げの裾野が広がってきた。長期金利が一時、13年ぶりに1.1%に上昇した30日、住友生命保険は契約者に約束する利回りを約11年ぶりの高水準に上げると発表した。6月適用分の固定型住宅ローンの金利も13年ぶりの高水準をうかがう。実生活に「金利ある世界」の恩恵と負担増双方の波が押し寄せている。 住友生命は30日、契約時に保険料をまとめて払い込む一時払い終身保険の予定利率を6月から引き上げると発表した。国内の長期金利の上昇を踏まえ、契約者に約束する利回りを現行の1.0%から1.1%に改める。 同保険では予定利率の引き上げが相次ぐ。明治安田生命保険が5月に1.1%に、日本生命保険も1月に1.0%に引き上げた。各社は金利環境に応じて予定利率を見直しており、金利上昇が続けばさらに引き上げる可能性がある。 預金金利にも上昇圧力がかかっている。東京スター銀行は7月から普通預金の金利を条件に応じて最大年0.3%に引き上げる。現在は給与振り込みか年金の受け取りを条件に年0.25%としているが、預金獲得の競争が始まるなかネット銀行などに対抗する。 日銀がマイナス金利政策を解除した3月以降、メガバンクが先陣を切って普通預金の金利を上げた。普通預金の金利はそれまでの20倍の0.02%とし、一部は定期預金の金利も引き上げた。 長期金利の上昇で社債に投資妙味を感じる個人も増えそうだ。機関投資家は利回り上昇(価格の下落)による評価損を警戒して社債に積極的に投資しづらいが、個人は償還まで持ちきるのが前提で評価損を気にせずに済むためだ。 ソフトバンクグループは6月14日に5500億円規模の個人向け普通社債を発行する。2031年償還の7年債で、利率は年2.65~3.25%を仮条件とし、5月31日に決める。3月に発行した同じく5500億円の個人向け社債は7年債で年3.04%だった。金利水準に注目が集まる。 金利上昇は恩恵をもたらす半面、借り入れがある個人や企業にとっては負担増につながる。代表格は住宅ローンだ。固定金利型の住宅ローンは長期金利と連動する。足元の長期金利の上昇で、比較可能な10年固定型の基準金利は5月の大手銀行5行の平均で3.85%と直近で最も高かった23年11月の3.87%に近い水準だ。 大手行が31日に公表する6月の住宅ローン金利は5月に比べて上昇が優勢になるとの見方が強く、11年以来、13年ぶりの高い水準になる可能性がある。 住宅ローン市場は短期金利に連動する変動型が約7割を占めている。ネット銀などが低金利を提示しているのも変動型が多く、大手行は変動型の基準金利は据え置いている。当面は住宅の購入者の大きな負担増にはつながらないとの見方が多いが、足元ではじわり固定型への関心も高まっているという。 短期金利に連動しやすい日本円東京銀行間取引金利(TIBOR)も30日、3カ月物が前日比0.01%高い0.28%台後半と約11年ぶりの高水準に上昇した。3月のマイナス金利解除前後で急騰し、いったん落ち着いていたが5月に入り再び上昇している。 TIBORは銀行が融資する際の基準になる金利の一つ。楽天銀行は住宅ローンの変動金利の指標にしており、同行は変動基準金利を6月に1.333%と、5月に比べて0.02%高い水準に設定する予定だ。 企業の金利負担も増え始めている。日銀がまとめた国内銀行の新規貸し出しの平均金利は3月に0.803%と、2月から0.1ポイント以上、上がった。最後に1%を超えたのは2014年4月で、長年貸出金利は低くとどまってきた。適用する変動金利は数カ月ごとに見直す例が多く、金利上昇の波は少しずつ広がりそうだ。 メガバンクは融資残高の大半が変動金利型とみられ、指標の一つであるTIBORの上昇が貸出金利上昇の一因になっている。 東京商工リサーチが4月に実施したアンケート調査では、借入金利が前年と比べて「すでに上昇」と答えた企業が17.7%だった。メインバンクから金利の引き上げ意向を伝えられるなど「引き上げ」の説明を受けたという企業は30.8%と2月調査の25.6%から増えた。2024/05/31 06:13:22289.名無しさんVzczq東京消費者物価は3カ月ぶり伸び拡大、2カ月連続で2%下回る2024年5月31日 8:32 JST 更新日時 2024年5月31日 8:39 JSTコアCPIは1.9%上昇、市場予想と同じ-コアコア1.7%上昇電気代を含むエネルギーが上昇けん引、食料品は伸び横ばい全国の物価の先行指標となる5月の東京都区部の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は3カ月ぶりにプラス幅が拡大した。食料品価格の伸びが引き続き鈍化した一方、電気代を中心にエネルギーが上昇し、全体を押し上げた。 総務省の31日の発表によると、コアCPIは前年同月比1.9%上昇と伸び率は前月の1.6%から拡大した。市場予想と同じだった。再生可能エネルギー発電促進賦課金の引き上げに伴う電気代の上昇などがけん引した。一方、生鮮食品を除く食料は3.2%上昇と横ばいだった。日本銀行が目標とする2%は2カ月連続で下回った。 生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPIは1.7%上昇と前月の1.8%上昇から伸びが縮小した。市場予想は1.8%上昇だった。 日銀が3月に17年ぶりの利上げに踏み切り、イールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)を廃止した後も、円安傾向に歯止めがかかっていない。国債買い入れ減額の思惑も加わって長期金利は1%台で13年ぶりの高水準に達している。追加利上げのタイミングに市場の注目が集まる中、足元の物価上昇の鈍さから慎重に経済・物価情勢を見極めていく展開が続きそうだ。 賃金動向を反映しやすいサービス価格は0.7%上昇となり、大きく鈍化した前月の0.8%上昇から縮小した。今年の春闘で平均賃上げ率が33年ぶりに5%を超える中、賃上げ分を価格に転嫁する動きの広がりが注目されている。関連記事長期金利は一時1.1%に上昇、日銀政策修正を警戒-2年債入札は無難企業向けサービス価格が32年半ぶり高水準、賃金転嫁に広がり-日銀低価格志向や低インフレ予想に変化の兆し-日銀が第2回レビュー利上げペース早める必要も、円安で物価再上昇なら-安達日銀委員2024/05/31 08:45:10290.名無しさんFTgpX日銀総裁「見通しに沿って基調的物価上昇率が高まれば金融度合い調整」2024/06/04 12:00 日経速報ニュース 日銀の植田和男総裁は4日、参院財政金融委員会に出席した。金融政策運営を巡り「先行き見通しに沿って基調的物価上昇率が高まれば金融度合いを調整する」と述べた。また「経済・物価見通しのリスクが変化しても金利を動かす理由になる」との認識を示した。 日本維新の会の藤巻健史氏の質問に答えた。植田総裁は、長期金利について「金融市場で形成されることが基本だ」と話した。その上で「長期金利が急激に上昇する場合には市場における安定的な金利形成を促す観点から機動的にオペを実施する」との考えを示した。2024/06/04 13:02:53291.名無しさんNufpS日銀修正に不安と楽観 債券市場、日銀の情報発信に疑念解けず2024/06/05 13:59 日経速報ニュース 5日の国内債券市場で、長期金利は低下した。低調な米経済指標を受けた米利下げ観測の再燃と米長期金利の低下が国内債の買いにつながっている。さらに日銀がかねて示している国債の減額方針について、緩やかなペースで進めるとの見方がやや勢いを取り戻したのも相場の支援材料となった。とはいえ市場参加者は日銀の政策修正がどうなるかについて依然として確信をもてていない。不安と楽観とが複雑に絡み合う構図になっている。 5日の長期金利は一時0.990%と1%の節目を下回り、5月23日以来ほぼ2週間ぶりの低水準をつけた。4日発表の米雇用指標が労働需給の緩和を示し、年内の米利下げ観測を改めて強めた。5月下旬に4.6%台まで上昇していた米長期金利は4.3%台まで低下。外国為替市場では前週に1ドル=157円台後半まで下落していた円相場が154円台まで持ち直した。外部環境は日本の金利低下に追い風だ。 問題は国内要因をどうみるかだ。市場では日銀が円安を抑制するために、量的な金融引き締めをイメージさせる国債買い入れの減額を速いペースで大幅に進めるのではないかとの思惑が根強い。それだけに、円安一服が減額への警戒感を抑えている面は大きい。4日夕にはブルームバーグ通信が、日銀は早ければ来週の金融政策決定会合で国債購入の減額について「より具体的な方針を示すことの是非を含めて議論する可能性が大きい」などと伝えた。みずほ証券の松尾勇佑シニアマーケットエコノミストは「報道が正しいとすれば、減額は(段階を踏みながら)極めて慎重に進められていくとの印象を受ける」と話す。 折しも日銀の氷見野良三副総裁が4日夕、国債購入の減額について「非連続的な変化や不測のことを起こすのは避けなければならない」と述べていた。日銀は債券市場からの緩やかな退出を望んでいる――。岡三証券の長谷川直也チーフ債券ストラテジストは「オペ(公開市場操作)を巡る不透明感は残りつつも、債券需給の悪化度合いは限られそうで、金利上昇が一方的に続くことはなさそうだ」と幾分安堵したように語った。 だが、過去に複雑に張り巡らされた金融緩和の糸をほどくのは容易ではない。しかも為替が絡むと複雑さは格段に増す。市場には「日銀自体もどんな出口に向かうのか試行錯誤しているところで、その過程で出てくる情報発信をうのみにするのは危険だ」との疑念が根強い。岡三の長谷川氏も「最終的に月間の買い入れ額がどこまで引き下げられるのか、日銀のバランスシート(資産規模)を最終的にどうしていくかといった不透明感は残り続ける」と指摘する。 短期金融市場の関係者は、あくまで例えとしつつ「2年後に、資産残高を新型コロナウイルス感染拡大前の水準にすることを目指す、といった緩やかなバランスシートの着地点を示すのも1つ」と提言する。一方、日銀内部からは、先々の経済情勢が不確実であることを考えると、中長期的な残高見通しを示すことにはやや消極的な声が聞かれる。 日銀は、長期国債の買い入れは「これまでとおおむね同程度の金額」で継続するとしており、足元の長期国債の月間買い入れ額は6兆円程度と示している。5月月間の買い入れ額は5.7兆円だった。ブルームバーグ通信によれば「例えば月間5兆円などが次の買い入れの目安として考慮される可能性がある」と伝えており、このことが「想定を上回るような減額規模ではなく、1つの具体的な数字が出てきたことも債券市場に安心感をもたらした」(国内証券のストラテジスト)という。それでも債券投資家は半身の姿勢を崩せていない。 イールドカーブ・コントロール(YCC)を撤廃し、金融政策の調節手段を翌日物の無担保コールレートにした後も、市場の国債買い入れへの関心は続いたままだ。日銀が国債買い入れ運営の柔軟性を重視するのであれば、減額方針を具体化しても、内容はふわっとしたものにとどめたい。これに対し、いままで大量の買い入れに直面していた市場関係者は「発行に対してどのくらいの吸収があるのか」といった踏み込んだ情報が欲しい。 振り返ると日銀が3月にマイナス金利政策の解除を決めて以降、市場では日銀の情報発信に振り回される傾向が続いている。調節手段ではなくなった国債買い入れの「次の一手」を巡って関心をそらしたい日銀と、それに疑心暗鬼を募らせる市場。両者の溝が埋まるにはまだだいぶ時間がかかりそうだ。2024/06/05 14:23:55292.名無しさんxJijh長期金利、一段と低下 一時0.970% 30年債入札受け2024/06/06 12:462024/06/06 13:16:40293.名無しさんJs4uH国債買い入れ、出口進める中で減額が適当と考えている-植田日銀総裁https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-06-06/SD6X8AT1UM0W00?srnd=cojp-v23月の金融政策の枠組み変更後の金融市場の状況を確認している4月会合では3月会合で決まった月間6兆円程度の買い入れ継続確認 日本銀行の植田和男総裁は6日、金融政策の正常化を進めていく際には国債買い入れの減額が適当との認識を改めて示した。参院財政金融委員会で答弁した。 植田総裁は3月の金融政策の枠組み変更後の金融市場の状況を確認しているとした上で、「今後大規模な金融緩和からの出口を進めていく中で、減額することが適当であるというふうに考えている」と述べた。 複数の関係者によると、日銀は早ければ来週の金融政策決定会合で、長期国債の買い入れの減額についてより具体的な方針を示すことの是非を含めて議論する可能性が大きい。月間6兆円程度の買い入れを継続するとしている現在の長期国債の買い入れについて、減額が適切な市場環境かどうかを慎重に見極める。 4月会合では、国債購入も含めて3月会合で決めた方針の継続を確認。同会合の声明文では、「これまでとおおむね同程度の金額を継続する」とし、注記では足元の購入額は「6兆円程度」としていた。 中村豊明審議委員は同日、国債買い入れについて「経済の回復状況に応じて出口に向けて時間をかけて減額を進めていくことが適当だ」と指摘。日本経済が強い状況にはない中で、「どのように経済が改善していくかを見ながら決めていく。私自身はニュートラルだ」と述べた。来週の日銀会合、利上げの話題出ると思うが「まだ早い」-中村委員2%目標達成には少し距離 植田総裁は日銀が掲げる2%の物価目標の実現に向けて「インフレ予想も2%近辺のところで安定的に推移するということがまず必要」と指摘。その上で、さまざまなインフレ予想の関連指標が最近になって少し上昇してきているが、「まだ2%には達していないと、少し距離があるという動きになっている」と語った。 植田総裁の発言を受け、為替相場は上下に振れる動きとなっている。2%目標の達成を巡る発言が利上げに慎重と受け取られ、一時1ドル=155円90銭台まで円は売り戻されたが、国債買い入れ減額についての発言で円売り戻しは一服。その後、再び円売りが進み、156円台前半で推移している。関連記事円は上下に振れる展開、植田日銀総裁発言で1ドル=155円台後半日銀、早ければ今月会合で国債購入減額を具体的に検討も-関係者国債減額、政策意図持って行ったわけではない-安達日銀審議委員日銀総裁、円安が基調物価に影響なら判断材料に-金融政策は維持2024/06/07 05:28:31294.名無しさんWUf4c日銀会合にじわり円高備え 米雇用統計が変えた景色2024/06/10 14:24 日経速報ニュース 今週に相次ぐ重要イベントを前に外国為替市場ではじわりと円高進行への備えが進んでいる。通貨オプション市場の動向をみると、米金利を左右する米連邦公開市場委員会(FOMC)よりも日銀の金融政策決定会合への注目度が高まりつつある。5月の米雇用統計が円買い・ドル売りを誘うきっかけとならず、オプション市場からみえる景色も少し様子が変わっている。 今週は12日に5月の米消費者物価指数(CPI)の発表とFOMCの結果公表が重なり、14日には日銀が金融政策決定会合の結果を公表する。通貨オプション市場でドルの対円相場の予想変動率(インプライド・ボラティリティー)は1週間物が10%前後と、日本政府・日銀の為替介入観測で大幅な円高・ドル安が進んでいた5月初旬以来の高さだ。 ドルに対する円のプット(売る権利)からコール(買う権利)の需要を差し引いた「リスクリバーサル」をみると、市場参加者が円高と円安のどちらに備えているかが分かりやすい。この指標はマイナス幅が大きいと円買い・ドル売りの需要が強いのを示し、1週間物は足元でマイナス2%台と4月下旬以来の低さだ。 オプション市場の参加者はどのイベントに焦点を当てているのか。SBIリクイディティ・マーケット(SBILM)の鈴木亮常務取締役によると、予想変動率に基づいて上乗せされるオプション料から試算した「イベントプレミアム」は日銀決定会合は通常の日の3.5日分となっている。5月の米CPI(1.1日分)やFOMC(1.5日分)よりも大きく、日銀会合を週内で最大のイベントとして捉えている。 通常であれば絶対水準の高い米金利の方が日本の金利よりも大きく動きやすく、外為市場では円相場を方向付ける材料として米国発のイベントが注目されやすい。にもかかわらず、足元で日銀の決定会合への関心が高まっているのは5月の米雇用統計がきっかけだ。 このところ発表された米経済指標は市場予想よりも下振れする結果が目立っていたが、7日発表の5月の米雇用統計では雇用者数や平均時給の伸びが市場予想を上回った。米連邦準備理事会(FRB)が早期に利下げ転換するのは難しいとの見方が改めて広がり、市場では年内の利下げ回数が1?2回にとどまるとの予想が大勢を占めるようになった。 FRBが12日に結果を公表するFOMCでは参加者らの政策金利見通し(ドットチャート)が焦点となり、年内の利下げ回数の予測は前回3月時点(3回)から減らされるとみる市場参加者は多い。5月の米雇用統計を踏まえて大幅利下げの思惑がついえたことで「FRBの『ハト派』を見込んだ円高・ドル安観測は後退した」(あおぞら銀行の諸我晃チーフ・マーケット・ストラテジスト)という。 SBILMの鈴木氏の分析では、米CPIやFOMCを意識したオプション取引に偏りがない半面、日銀会合ではやや円コール・ドルプットに傾いているという。日銀は今回の会合で国債買い入れの減額方針を具体的に議論するとみられ、日本の金利上昇が円高につながるリスクをはらむ。しかし、鈴木氏は「従来の会合と比べると円コール・ドルプットの偏りは小さい」とも話す。 10日の東京外為市場で円相場は一時1ドル=157円19銭近辺と3日以来1週間ぶりの安値をつけた。前週末の17時時点と比べると一気に1円70銭あまりの円安・ドル高が進んだ格好だ。前週には154円台に上昇する場面もあり、市場では「国内輸入企業などのドル買い意欲がみられ、円の上値は重そう」(市場関係者)との声も聞かれる。備えは進んでいるとはいえ、円高・ドル安の警戒感が一層高まる様子は今のところ乏しい。2024/06/10 14:46:43295.名無しさん2EpSVあすから日銀会合 国債買い入れの減額議論が焦点2024/06/12 12:01 日経速報ニュース 日銀は13?14日に金融政策決定会合を開く。春季労使交渉(春闘)結果の給与への反映が十分に確認されておらず、個人消費の動向などにも懸念が残るとあって利上げは見送られるとの予想が多い。一方、国債買い入れは長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)撤廃に伴って役割が変わった。植田和男総裁は「金融政策の能動的な手段としては使いたくない」と述べ、いずれかの時点で金額を減らすとの姿勢を明確にしている。今回会合では新たな減額方針が示されるかが焦点だ。 ■日銀6月会合のポイント ・国債買い入れ減額方針の決定の有無とその示し方 ・先行きの利上げ方針や円安を巡る植田総裁の見解 ・国内の景気認識は維持されるか 前回会合から変更の可能性が意識されるのは、国債買い入れの方針だ。植田総裁は6日にも、大規模緩和からの出口を進めていく中で「減額することが適当」との考えを改めて示した。日銀内では相場環境が不安定な状況下での決定には慎重な見方が根強く、米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を受けた債券市場の反応なども勘案したうえで判断を下すと考えられる。政策運営の不連続性を避けるため、減額を決めた場合でもその程度は緩やかなものとなる可能性が高い。 市場では、3月会合時に「6兆円程度」としていた月間購入額を「5兆円程度」とするなどの予想が出ている。長期金利の急騰時に「機動的に」対応するとの文言を含めて日々のオペ(公開市場操作)運営に関する金融市場局の裁量を残すか、先行きのさらなる減額について予見性を高めるための措置を取るか、といった点も債券需給を占ううえでポイントになる。 日銀ウオッチャーの間でも予想は様々だ。額ではなく定性的な表現にとどまる可能性も残るなど、想定されるケースは多岐にわたる。 明治安田総合研究所の小玉祐一氏は、円安基調が続くもとで「最低でも減額方針は示すだろう」と予測する。購入額を単純に減らす方法もあるとしたうえで、メインの政策手段である短期金利以上に市場の関心を集めている状況を変えるために「(当面の)月間購入額を4?7兆円と広めのレンジで示すなど、思い切って柔軟化する可能性も捨てきれない」と話していた。 一方、伊藤忠総研の武田淳氏は、今会合では利上げ判断と減額方針の決定のいずれも見送られると予想する。現時点では「ホームメード(国内要因)のインフレ圧力が加速する気配は全く見られていない」と指摘。こうした中で長期金利の上昇圧力が強まれば「景気の腰折れリスクを高めかねない」として、日銀は政策修正の判断を急がないとみる。 短期政策金利について、市場では「無担保コールレート(オーバーナイト物)を、0?0.1%程度で推移するよう促す」方針を据え置くとの声が支配的だ。厚生労働省が5日に発表した4月の毎月勤労統計調査(速報)では、共通事業所ベースでの名目賃金の伸び率が前年同月比1.7%増と、3月確報(1.9%増)からむしろ縮小した。現時点で春闘の結果が十分に反映されているとはいえず、日銀は賃金や消費など物価動向につながるデータの確認を続けるとの観測が多い。 会合後の記者会見で植田総裁が先行きの利上げについてヒントを示すかも重要だ。7月にかけては「賞与支給後の消費動向について、民間のオルタナティブ(代替)データも確認できる」(明治安田総研の小玉氏)など、ひと月とはいえ判断材料が増える。7月会合は6月と打って変わって利上げを予想する市場関係者が少なくない。 円安を巡る認識も引き続き注目される。4月会合後の記者会見では、円安による基調的な物価への影響は無視できる範囲だったか、との問いに「はい」と回答し、円安容認ではないかとの思惑を呼んだ。対して8日に「過去の局面と比べ為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっているリスクは意識する必要がある」と述べるなど、5月以降は発言内容を変えてきている。 6月は「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」の発表はないが、今後の政策運営を見通すうえで国内の景気判断に変化がみられるかもポイントだ。行内では物価や経済の基調について、4月会合時の想定から大きな変化は生じていないとの評価が多い。「一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している」との総合的な判断を維持した場合も、消費者心理の改善一服や自動車の認証不正などを背景に個別項目は表現が修正される可能性もある。2024/06/12 15:01:51296.名無しさんZUIor日銀、緩和転換第2段階へ 国債買い入れ減額検討 金利・円相場両にらみ2024/06/13 日本経済新聞 朝刊 日銀による金融正常化が第2段階に入る。長期国債の買い入れ額を減らす検討に入るのは、追加利上げよりもハードルが低い上に円安抑止に一定の効果が期待できるとみているためだ。マイナス金利政策を解除して「金利ある世界」の入り口に立った日銀は、円安もにらみながら「量」の面でも正常化に踏み出すことになる。(1面参照) 日銀の保有資産は2001年の量的緩和開始以降、増加傾向が続き、13年の異次元緩和の開始に伴って増加ペースが加速した。国債買い入れを減額すれば、中央銀行が国債発行残高の過半を抱える異常な状態は少しずつ正常化に向かうことになる。 日銀は3月にマイナス金利政策を解除した。政策金利をそれまでの当座預金の一部に適用していたマイナス0.1%から、無担保コール翌日物金利の誘導目標に修正したうえで0~0.1%程度へ引き上げた。 同時に長期金利を低く抑え込むためのイールドカーブ・コントロール(長短金利操作、YCC)も撤廃したが、金利の急変動を避けるために長期国債は3月以前と同程度の量の買い入れを続けてきた。 世界の中銀は利上げ局面で保有資産の圧縮も同時に進めてきた。米連邦準備理事会(FRB)は22年3月に利上げを開始し、同年6月から保有資産を圧縮する量的引き締め(QT)も並行して進めてきた。同年7月に利上げを始めた欧州中央銀行(ECB)も23年3月からQTを開始。日銀はECBより早い段階で保有資産の減額に踏み出すことになる。 背景にあるのは異常に膨らんでいる国債保有残高だ。日銀は23年末時点で581兆円の国債を保有しており、市場における保有比率は過半に達している。FRBは2割弱、欧州の主要中銀でも2~3割程度にとどまっているのと対照的だ。 3月の異次元緩和解除後に、外国為替市場で円安・ドル高が進んだことも日銀の判断に影響を与えているとみられる。異次元緩和解除前は1ドル=140円台後半で推移していたが、4月末には一時160円台まで円安が進んだ。 植田和男総裁は5月7日に岸田文雄首相と面会し、円安について「政策運営上、十分注視をしていく」と発言。市場で円安軽視とも受け止められたそれまでの発言を軌道修正した。 市場では過度な円安を防ぐために日銀が早期の政策修正に動くとの見方が強まっていた。日銀の主要な政策手段は短期金利の調節だが、追加利上げは変動型の住宅ローン金利の上昇などにつながる可能性があり、家計への影響が大きい。 一方、長期国債の減額は「家計への影響はほぼなく円安に歯止めをかけられる可能性がある」(関係者)とみる。 5月にQUICKが実施した市場参加者への調査によると、65%が6月の金融政策決定会合で減額方針を決定すると見込んでいた。こうした市場観測を受けて、長期金利は上昇基調にあった。5月末には一時1.1%と約13年ぶりの水準をつける場面があった。2024/06/13 06:08:24297.名無しさんZUIor日銀会合注目点:追加利上げ巡る植田総裁発言、国債購入減額の具体策https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-06-12/SEY1LLT1UM0W00金融政策は現状維持の見方、自動車メーカーの認証不正も不透明感総裁会見は円安の影響や利上げペースなどに関心、長期金利動向も 日本銀行が14日に結果を発表する金融政策決定会合では、金融政策の現状維持が見込まれており、植田和男総裁の発言などから追加利上げのタイミングを探ることになる。国債買い入れ減額の有無と具体策も焦点だ。 植田総裁は、日銀の見通しに沿って消費者物価が上昇していけば、金融緩和の度合いを調整していく方針を表明している。前回4月会合以降の経済・物価は日銀の想定内の動きとみられるが、個人消費が力強さを欠く中、トヨタ自動車などで新たに発覚した認証不正の影響といった不透明感もあり、現在の金融緩和策を維持して賃金上昇の広がりや物価への反映などを見極めていく局面とみられる。 ブルームバーグがエコノミスト51人を対象に実施した調査では、50人が日銀は今会合で政策金利を0-0.1%に据え置くと予想した。一方で最多の33%が10月会合と並んで7月会合での追加利上げを見込んでおり、植田総裁の記者会見でヒントが得られるかを固唾(かたず)を飲んで見守ることになる。 為替相場に関する総裁の評価も引き続きポイントとなる。4月会合後の会見では、円安の影響は大きくないとの認識を示したことを受けて円安が進行し、日本の大型連休中に財務省は大規模な円買いの市場介入を迫られた。総裁は円安が基調的な物価上昇率に影響すれば政策対応すると発言しており、改めて見解を問われそうだ。 注目された12日の米国市場は乱高下。朝方に発表された5月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回ったことを受けて米金利が低下し、円相場は一時1ドル=155円台に上昇。その後の米連邦公開市場委員会(FOMC)で今年の利下げ回数が1回に減少するとの予想が示されたことで、円は上げ幅を縮めた。13日朝は156円台後半で取引されている。 総裁は4月の会見で、日銀の物価見通しが実現していけば、経済・物価情勢の展望(展望リポート)で示した2026年度までの見通し期間の後半に、政策金利は「中立金利の近辺にある」と言及。中立金利の水準自体は示されていないが、市場が想定するターミナルレート(利上げの最終到達点)が着実に切り上がる中、利上げペースを示唆するような発言があるかも注目される。国債減額 国債買い入れを巡っては、植田総裁が「今後大規模な金融緩和からの出口を進めていく中で、減額することが適当だ」と繰り返しており、焦点は減額のタイミングと手法に絞られている。減額すれば、政策金利に続いてバランスシートも正常化に向けた一歩を踏み出すことになる。 複数の関係者によると、日銀は国債買い入れの減額について、今会合で具体的な方針を示すことの是非を含めて議論する。市場動向などを会合直前まで見極めた上で、新たな方針を示すことが適切かを判断するという。 買い入れを縮小する場合でも、市場の大きな変動を回避する観点から、緩やかで段階的な減額の方向性が示されるとみられる。長期金利が急激に上昇する場合には機動的なオペ運営で抑制する方針は維持される可能性が大きいという。 日銀の国債保有額は600兆円に迫り、国内総生産(GDP)を上回る規模だ。市場での存在感の大きさを踏まえると、減額が市場の不安定化を招く恐れもあり、予見可能性と柔軟性のバランスに配慮することが不可欠となる。米連邦準備制度理事会(FRB)などと同様に、バランスシートの最終的な規模なども示さないとみられる。2024/06/13 08:42:07298.名無しさんt5C1j実現した「日銀会合は円安」の経験則 国債減額に慎重さ消えず2024/06/14 14:06 日経速報ニュース 日銀は14日まで開いた金融政策決定会合で、国債買い入れの減額方針を決めた。だが、具体的な減額の計画は市場参加者の意見を踏まえて次回7月の会合で決める。金融政策の正常化はあくまで慎重に進める姿勢を強く印象づける内容で、外国為替市場では「会合結果発表後は円安」とのアノマリー(経験則)が再び実現することとなった。 14日午後の東京市場で円相場は一時1ドル=157円98銭近辺と5月1日以来1カ月半ぶりの安値をつけた。決定会合後に円売り・ドル買いが膨らんだのは日銀が国債減額の具体策を先送りしたためだ。「日銀内で減額を巡る議論が煮詰まっていないのではないか」(ステート・ストリート銀行東京支店の貝田和重金融市場部長)といい、しばらく低金利環境が続くとして円相場は157円台前半から下げが加速した。 日銀が国債買い入れの減額方針を決めたのは「金融市場において長期金利がより自由な形で形成される」のを目指すためだ。債券市場参加者会合などを踏まえ、次回7月30?31日に開く決定会合で今後1?2年程度の具体的な計画を決める。すぐに減額するとみていた市場の観測は肩透かしに終わった格好だ。 2013年の量的・質的金融緩和の導入以降、日銀にとって国債買い入れは金融緩和策の主軸だった。それが量的引き締め(QT)に向かうとなれば大きな節目となるのは確か。だが、減額を急がない姿勢は「正常化はあくまで慎重に」といったイメージを生む。そう捉えた市場参加者が一気に円売りに傾いたと考えられる。 会合結果が明らかになる前から、外為市場では「追加利上げなどさらなる金融引き締めに前向きな考えを示さないと、材料出尽くしで円売りが優勢になる」(みずほ証券の山本雅文チーフ為替ストラテジスト)との声は多かった。 /home/member/news/202406/ucljpg_3bbd8c76593fe8e71623db09a19809ca.jpg?format=raw 植田総裁が就任して以降、決定会合の結果公表日の東京市場における円相場をみると、今年1月を除いて円安・ドル高が進行していた。今回も経験則が当てはまりそうで「日銀会合は円安イベント」との印象を強める可能性がある。 目先の焦点は植田総裁の記者会見に移る。4月会合後の会見では、円安による物価への影響は無視できるかとの記者の問いに植田総裁が「はい」と答えたことで円安が加速していた。その流れも踏まえて「『円安が基調的物価に与える影響を注視する』などと多少なりとも配慮した発言があれば、いったん円売りの勢いは止まる」(ステート・ストリート銀の貝田氏)との声もある。 しかし、14日午後の国内債券市場では長期金利が1カ月ぶりの低水準をつけるなど日米で大きく開いた金利差は縮小する気配に乏しく、円売り・ドル買いの口実は残り続ける。日本政府・日銀の円買いの為替介入について「160円が接近するまで警戒感は強まらない」(国内銀行の為替ディーラー)との観測もあるなか、円相場の軟調な動きがしばらく続くかもしれない。2024/06/14 14:12:14299.名無しさん64B6d日銀が国債購入を減額へ、相応の規模と植田総裁-7月利上げ排除せずhttps://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-06-14/SEYGD1T0AFB400?srnd=cojp-v22024/06/15 05:03:25300.名無しさんf8yAX日銀版「量的引き締め」の効能 円安癒やす漢方薬になるか-編集委員 大塚節雄2024/06/15 09:21 日経速報ニュース 「時間稼ぎ」「先送り」「引き延ばし」「肩すかし」――。さまざまな悪評が寄せられた。日銀が14日の金融政策決定会合で国債購入の減額方針を決めた半面、具体的な計画は7月末の次回会合で固めると表明したことに対しての市場関係者らの反応だ。 それでも日銀の植田和男総裁や執行部の事務方が一安心したのは間違いない。総裁の記者会見中、円安がどんどん進む事態は避けられたからだ。 要所にちりばめたタカ派発言 4月の前回会合後は植田氏の会見でのやり取りが円安の影響を軽視するかのような印象を持たれ、円安が加速した。一時1ドル=160円台まで下落し、財務省が円買い介入に動くきっかけとなった。 今回はこの轍(てつ)を踏まなかった。植田氏はとくに円相場の問題で揚げ足をとられぬよう、ひと言ひと言に細心の注意を払った。事務方も相当、神経を使って会見を準備したようだ。 意識的にタカ派的な発言も要所要所にちりばめた。 国債買い入れについては「減額する以上、相応の規模になると考えている」と語り、大規模な減額になることをにおわせた。 次回7月会合での利上げは減額計画の決定と重なるため見送り観測が強まったが、「当然ありうる話」と踏み込んでみせた。 決定内容の発表後、市場は「具体的な内容がなかった」とみて円相場は一時158円台まで下落した。だが会見中には円売りの勢いが鈍り、夜にかけて156円台後半まで円が買われる場面もあった。 重要なのはファイティングポーズ 一時、政府との協調のあり方すら問われた今の日銀にとって重要なのは、円安に対して明確なファイティングポーズをとり続けることだ。 もちろんポーズだけではすぐに行き詰まる。そこで、3月に異次元緩和を解除した際に金融政策の本筋から外した「長期国債の買い入れ」について、少しずつ減らしていく量的引き締め(QT)が俎上(そじょう)に上がった。 日銀もQTに動いたところで円売り勢に「勝てる」とは思っていない。それでも、せっかく何かをするのであれば、ある程度の耐久力のある枠組みをつくる必要があると考えたようだ。 2013年から11年続いた量的緩和の末に、日銀が持つ長期国債は590兆円と発行残高の5割超に及ぶ規模に膨らんだ。財政と金融政策の事実上の一体化は、黒田東彦前総裁が率いていた時代の日銀が残した負の遺産だ。この異常事態が続く限り、日銀による債券市場の支配は変わらないし、本当の意味での金融政策の正常化も訪れない。市場を大混乱に陥れることなく少しずつ残高を落としていく作業は、いつかは始めなければならないものだった。 ただし、いま急いで着手する必要があったかどうかは微妙なところだ。いみじくも総裁自身が会見で語ったように、「望ましい国債保有残高とか(それに対応する)超過準備の水準に到達するまでにはかなりの時間がかかるので、(方針決定が)短期的に1カ月、2カ月後先になること自体のコストはそれほどない」からだ。 日銀はむしろ円安対応を迫られた事態を奇貨として、早いうちからQTの本格的な枠組みを整える道を選んだともいえる。2024/06/16 06:20:34301.名無しさんf8yAX 金融政策の予見性高める 異次元緩和を解除した際、日銀は国債買い入れの規模をひとまず解除直前と同じくらいの月6兆円規模に据えた。ならしてみると償還とほぼ同じ規模のため、保有国債の残高はおおむね保たれる。 ここから月間の購入額を減らしていくと、購入が償還をはっきりと下回り、保有残高が徐々に減っていくことになる。これが日銀版QTだ。会合に先立ち、市場では月間の購入額を6兆円から5兆円に減らす案がささやかれたが、市場との対話を経てじっくり仕組みをつくる以上、もっと複雑なものになる可能性もある。 「具体的な減額の幅やペース、減額の枠組みなどについて市場参加者の意見も確認しながら、しっかりとした減額計画をつくっていきたい」。植田氏もこう語った。 たとえば、数カ月に1度の頻度で削減幅を段階的に広げていき、月間購入額を1年ほどかけて2?3兆円規模まで縮小させるといった案もありうる。 7月に固まる減額計画の期間は1?2年程度。本当に重要なのはそのあとだ。「長期的に望ましい状態にまで1?2年で到達できるとは思っていない」と植田氏。日銀には、その後継としてもっと期間の長い計画をつくり、望ましい資産規模の最終形を探るアイデアもある。 正常化への工程表が定まれば、市場にとって日銀の金融政策の予見可能性が高まる。円安が収まらない日本側の要因の一つは、海外の投資家に「日銀はインフレ下でも超緩和状態を放置したまま、何もしようとしない」という見方が広まったこともあった。 日銀の政策を巡る投資家の予想が安定すれば、やがては円相場の落ち着きにもつながりうる。円安圧力への無力ぶりをさらけ出しつつ船出する日銀版QT。もっと長い時間軸でみれば、意外にも漢方薬のようにじわじわと円安を癒やす効果が出てくるかもしれない。2024/06/16 06:21:23302.名無しさんw8vvz「動けぬ日銀」160円試す市場 円安圧力なお、視線は7月2024/06/17 02:00 日経速報ニュース 金融市場では週明け以降も円安圧力が残るとの見方が広がっている。国内景気の弱さから日銀は追加利上げに踏み切りづらく、日米金利差が開いた状況が続くとの思惑があるためだ。7月末の金融政策決定会合へ向け、1ドル=160円を試す展開となりそうだ。 日銀は14日の決定会合で長期国債の買い入れを減らしていく方針を決めた。具体的な減額計画は次の会合で決めることになった。市場では「日銀はかなり慎重な姿勢だ。米連邦準備理事会(FRB)が利下げを始めるまでは円安・ドル高基調が続く」(りそなホールディングスの井口慶一シニアストラテジスト)との受け止めが広がった。 低金利の円を調達してドルなど高金利の外貨で運用する「円キャリー取引」が円安をけん引してきた。日本とは対照的に、FRBは2023年7月まで利上げを続け、政策金利は5.25?5.5%と高水準で維持する。複数の主要通貨に対するドルの強さを示すドル指数は14日、一時105台と5月上旬以来、約1カ月半ぶりの高水準をつけた。 主要な米経済指標の多くが足元で弱含み、市場では年内2回の米利下げ予想が最多だ。ただ12日の米連邦公開市場委員会(FOMC)でFRBは利下げに慎重なタカ派姿勢を示した。利下げ時期が後にずれれば、ドル高圧力が残ることになる。 日銀の追加利上げも焦点だが、市場では「今回慎重な運営をとった日銀が、次回会合で減額の具体策と利上げを同時に決めるような大胆な運営はとらないのではないか」(三井住友銀行の鈴木浩史チーフ・為替ストラテジスト)との見方が少なくない。 「日米の政策金利差が開いた状態のままでは、円キャリー取引も続きやすい」(あおぞら銀行の諸我晃チーフ・マーケット・ストラテジスト)。円安基調がすぐに反転する状況は見込みづらい。 厚生労働省が5日発表した4月の毎月勤労統計調査(速報)では、物価変動の影響を除いた実質賃金が25カ月連続でマイナスとなった。内閣府が10日発表した1?3月の国内総生産(GDP)改定値も年率換算で1.8%減と低迷する。 岡三証券の武部力也シニアストラテジストは「景気停滞とインフレが共存するスタグフレーションに陥る可能性がある」と指摘。「政府がデフレ脱却を宣言していない状況で日銀が利上げに打って出るとは考えにくい」とみる。 日本経済の停滞感は日本株の足も引っ張っている。「海外投資家の日本のマクロ経済への期待感はかなり落ちた。消費の弱さへの懸念は強い」。UBSが香港で5月下旬に開いた投資カンファレンスに参加した同社の足立正道チーフエコノミストは指摘する。 東京証券取引所が公表する投資部門別売買動向によると、海外投資家は6月第1週(3?7日)までの3週連続で日本株を売り越した。トヨタ自動車株は14日、4カ月ぶりの安値に沈んだ。3月の最高値比で2割安い。円安はトヨタのような輸出企業にとって為替換算による収益押し上げ要因となるが、株価には追い風となっていない。 大和証券の阿部健児チーフストラテジストは「米国ではインフレ鈍化を示す指標が相次ぎ、金利は低下傾向だ。バリュー(割安)株の色彩が強い日本株よりも、金利低下の恩恵を受けやすいグロース(成長)株がけん引する米国株の方が優位になりやすい環境が続く」とみる。 BofA証券の圷正嗣チーフ日本株ストラテジストは「日本株への買いは手控えられ、次の日銀会合までに日経平均株価が4万円の大台を回復することはない」とみる。 市場では4月29日に政府・日銀による為替介入とみられる円急騰が起きる前の1ドル=160円前後の水準が当面の節目とみる向きが多い。ふくおかフィナンシャルグループの佐々木融チーフ・ストラテジストは「エネルギー関連の輸入に伴う円売りなど、実需の円安要因も大きい」と指摘する。 日銀の植田和男総裁は14日の記者会見で「経済・物価情勢に関するデータや情報次第で短期金利を引き上げて、緩和の度合いを調整することは当然あり得る」と7月会合での追加利上げに含みを持たせた。 日米ともに次回の金融政策決定会合は7月30?31日に開く。「日銀としては過度な円安も、急激な金利上昇も避けたいというのが本音だろう」(邦銀ディーラー)。景気の腰折れを防ぎつつ段階を踏んで量的引き締め(QT)を進める日銀の足元を市場は見透かしている。【関連記事】・米国株は堅調、日経平均株価はボックス圏で推移の公算・市場は「タカ派FRBよりCPI減速」 米利下げ2回見透かす・日銀、買い入れ減額で国債市場どう変わる?・日銀総裁、国債購入減額「相応の規模」 保有額は減少へ2024/06/17 06:09:55303.名無しさんXib3O「隠れ円安」進行、英ポンド200円突破 及ばぬ介入神通力-神山美輝、生田弦己2024/06/19 05:00 日経速報ニュース 外国為替市場で円が幅広い通貨に対して下落している。対ドルでは1ドル=158円台まで下落した。スイスフランや英ポンドなどに対しては4?5月に政府・日銀が為替介入に踏み切る前の安値をすでに突破している。対ドルでは介入への警戒感が円安進行のスピードを抑えているものの、介入の神通力が及ばないその他の通貨では「隠れ円安」が着々と進む構図だ。 「日銀が(先週末の金融政策決定会合で)『何もやらなかった』という市場の評価が、円売り圧力になっている」。三井住友銀行為替トレーディンググループの納谷巧グループ長はこう話す。 18日の外為市場では円が一時1ドル=158円台に再び下落した。14日の決定会合で日銀は国債買い入れの減額開始を7月以降に先送りした。すでに5%超の水準まで金利を引き上げている米国との差が改めて意識された。 円売りがなかなか止まらない。6月上旬に付けた1ドル=154円台半ばからじりじりと円安が進む。今後の焦点は4月29日につけた160円を探る展開になるかどうかだ。同日に今年に入って1回目の為替介入が入ったとみられている。 4?5月に政府・日銀が9.7兆円と過去最大規模の円買い為替介入に動いたと判明した。160円に向けて円安が進めば再介入により円が押し上げられかねない――。そんな警戒感から下値では買い戻しが入りやすくなっている。為替介入の効果により円が2円ほど円高の水準にとどまっているともいえる。 ただドル以外の通貨に対しては、既に介入効果を喪失しつつある。米ドル以外の通貨に対する「隠れ円安」が進み始めたからだ。基軸通貨のドル以外に対しては、円安が進んでも政府が円買い為替介入に動く可能性は低いとの見方から、円売りの安心感がより大きい。 18日には対スイスフランで一時1スイスフラン=178円台と、英LSEGで遡れる1982年以来の最安値を更新した。対英ポンドでも1ポンド=200円台と約16年ぶりの安値圏に沈んだ。 対ニュージーランド(NZ)ドルでは14日に一時1NZドル=97円台と、2007年7月以来およそ17年ぶりの円安・NZドル高水準を付けた。オーストラリア(豪)ドルに対しても1豪ドル=105円台と約11年ぶりの安値圏で推移している。 フランスの右派台頭で政治的リスクが意識される対ユーロでは1ユーロ=169円台と介入前に付けた171円台半ばよりは円高水準にある。もっとも14日に付けた167円台からは円安に振れるなど、円安圧力は根強い。 新興国通貨に対しても円安進行が鮮明だ。南アフリカランドに対しては1ランド=8円台後半と2年ぶり円安水準を付けた。中国人民元やタイバーツなどに対しても2024年の最安値圏で推移する。 「隠れ円安」の背景には低金利の円を借りて高金利通貨で運用し、金利差で収益を得る「円キャリー取引」を継続しやすい環境になっていることがある。 あおぞら銀行の諸我晃チーフ・マーケット・ストラテジストは「日銀が次回7月の会合までは減額や利上げなど金融引き締めに動かないことが安心材料となり、少なくとも1カ月程度は円キャリー取引をしやすい環境が整った」と話す。 キャリー取引は相場の変動率が下がるほど魅力度が増す。仮に円高が急激に進むと金利収益以上に相場変動で損失を出しかねないからだ。 米連邦準備理事会(FRB)による利下げも秋以降との見方が大勢だ。日米の金融政策を巡っては円相場を大きく動かすイベントがしばらくないとの見立てから、キャリー取引を手がけやすい環境との認識が広がる。 日米の3カ月金利差を予想為替変動率で割った「キャリー・リスク比率」をみると、17日には0.61と3週間ぶり高水準で推移する。対ドルでのキャリー取引の魅力度上昇は、基軸通貨のドルを介して取引することが多い他通貨にも広がりやすい。 直近では想定外の政治イベントで巻き戻しの動きもあった。ここ数年の円安局面でキャリー取引の相手通貨として人気となってきた対メキシコペソでは、与党連合の大勝を受けた財政懸念の強まりを受けて5月末比で一時10%超も円高・ペソ安に振れる場面もあった。 11月には米大統領選を控えるなど政治リスクが一段と強まる。とはいえ現時点でキャリー取引の巻き戻しはメキシコペソなど一部の通貨にとどまる。幅広い通貨で円が安値を更新する「隠れ円安」の継続は、市場参加者に低金利を背景とした円安圧力が根強いことを強く印象づけている。2024/06/19 06:05:18
【埼玉栄高校】涙ぐむ人…高2死亡、窓から身を乗り出して車が横転 深夜グラウンドで 高校が説明会、保護者「ずさんであり得ない」 頭を下げてあいさつし、真面目な生徒が多い学校「いたたまれない」ニュース速報+6231266.22024/11/21 22:20:26
【国民民主党】玉木代表 加熱する不倫報道に「家族の心理的負担は極めて大きい」「テレビや週刊誌やネットも見てしまって、その都度傷ついている」ニュース速報+162982.22024/11/21 22:29:58
徒然なるままにコピペ日記 第7章
https://egg.5ch.net/test/read.cgi/cafe60/1538643191/
兆円近い国債は金融正常化を進める過程で財務の悪化要因になり、70兆円規模に膨らんだ上場投資信託(ETF)の処分のメドは立っていない。
「インフレ率が2%近傍で推移することが、ゼロより良いこととは何でしょうか」。23年12月、日銀が主催した非公開の会合で参加者が驚く場
面があった。植田総裁自ら、政府・日銀が掲げる「物価2%目標」の妥当性を問う問題設定をしたと受け止められたためだが、「純粋に学者として
の問いだった」(参加者)。
前提を根本から覆すような問いを投げかけつつ、議論を呼び起こして解決策を探るのが植田流だ。「反対なのか賛成なのか分からないことが
ある」。数十年来の知人は語る。限界まで考え続ける植田総裁は今後、金融正常化への道を探ることになる。
【図・写真】植田総裁は歴代まれにみる「決断した総裁」となった
2024/04/10 日本経済新聞 朝刊
日銀の植田和男総裁は9日、参院財政金融委員会で半年間の金融政策の概要を報告した。今後について「(物価上昇率から一時的な変動
要因を除いた)基調的な物価の上昇率が上がる中で緩和の度合いの縮小も考えないといけない」と述べた。データ次第での追加利上げに含み
をもたせた。
植田氏はマイナス金利政策を解除した後の金融政策について「基調的な物価の上昇率はまだ2%を下回っていて、緩和的な金融状態を維持
することが大切だ」と話した。「見通しどおりに2%に向けて上がっていけば、金融緩和を少し弱める判断も可能だ」と言及した。
基調的な物価上昇率については「向こう1年半~2年の間に向けて上昇していくと考えている」と語った。「インフレ率が我々の見通しに対し大
幅に下振れするリスクはだいぶ低くなってきたとみている」と明かした。
日銀が保有する上場投資信託(ETF)の縮小策について問われ「様々な検討はしているが、具体的なコメントは控える」と答えた。「すぐに処分
するとは考えていない。今後、処分するのかしないのか、する場合どういうやり方を取るか、少し時間をかけて検討したい」と説明した。
2024/04/11 07:05 日経速報ニュース
外国為替市場で円安・ドル高が加速している。10日のニューヨーク市場で円相場は一時1ドル=153円24銭と1990年6月以来およそ34年
ぶりの安値をつけた。3月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想を超えて伸び、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ開始が先送りされる
との見方から円売り・ドル買いが活発になっている。
日本政府・日銀は円買いの為替介入を示唆することでけん制姿勢を強めてきたため、市場では152円が「防衛ライン」としてみられてきた。
だが、この水準を割り込んでも今のところ円買い介入が実施された様子はなく、円相場は節目らしい節目が見当たらず下値を模索する展開
となっている。円相場の主な節目は以下の通り。
【対ドル相場の主な節目】
・160円35銭 1990年の安値(90年4月2日)
・159円60銭 90年5月の安値
・155円77銭 90年6月の安値
・154円82銭近辺 ボリンジャーバンド(21日移動平均基準、3σ=シグマ)の円の下限
・153円53銭近辺 ボリンジャーバンド(21日移動平均基準、2σ=シグマ)の円の下限
★153円24銭 10日のニューヨーク市場でつけた安値
・152円02銭近辺 一目均衡表(日足)の転換線
・151円94銭 政府・日銀が円買い介入を実施した22年10月21日の安値(22年の安値)
・150円97銭近辺 21日移動平均線
・150円 心理的節目
・149円86銭近辺 一目均衡表(日足)の基準線
・149円70銭 政府・日銀が円買い介入を実施した22年10月24日の安値
・147円14銭近辺 200日移動平均線
・145円90銭 政府・日銀が円買い介入を実施した22年9月22日の安値
・145円 心理的節目
・144円10銭 日米が円買いの協調介入をした98年6月17日の安値
・140円40銭 大企業・製造業の24年度通期の想定為替レート(24年3月短観)
・135円20銭 日銀の黒田東彦前総裁が財務官だった02年1月31日につけた安値
・133円台後半 98年4月9?10日に円買い・ドル売り介入を実施した際の水準
・127円22銭 23年の高値(1月16日)
・121円70銭 日銀がマイナス金利の導入を決めた後につけた安値(16年1月29日)
・118円66銭 16年11月の米大統領選後につけた円の安値(12月15日)
・113円47銭 22年の高値(1月24日)
・101円18銭 コロナショック後の高値(20年3月9日)
(注)チャート上の節目は11日早朝時点。一部データ元はLSEG。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-04-11/SAD0ALT0G1KW00
長期金利が昨年11月以来となる0.8%超えの水準に上昇した。日本銀行の追加利上げ観測が高まっている上、米国の長期金利が消費者
物価指数(CPI)の上振れを受けて大幅に上昇したため売りが優勢となっている。
11日の債券市場で長期金利の指標となる新発10年国債利回りは0.83%と、2023年11月14日以来の高さになった。
日銀が3月に17年ぶりの利上げに踏み切った後も金融緩和環境を継続していることから長期金利の上昇は鈍かったが、ここにきて追加利
上げを織り込む形で水準を切り上げてきた。世界が日銀の一挙手一投足を注視しており、長期金利上昇は投資マネーの国内回帰を促す大
きな転換になる可能性がある。
日銀の植田和男総裁は先週の朝日新聞とのインタビューで、2%の物価目標達成に向けた「確度」がさらに高まれば、追加利上げを検討
する考えを表明した。植田総裁は10日の国会では、円安進行で輸入物価が大幅に上昇し基調的物価が2%を超えて上昇するリスクが高ま
る場合、「金融政策の変更も考えないといけない」との見解を示した。
外国為替市場の円相場は、10日に発表された3月の米CPIを受けて一時1ドル=153円台に下落し、約34年ぶりの安値を更新。日米の
金利差を意識した円売りドル買いが止まらず、トレーダーが警戒する為替介入レベルに突入した。日銀は好調な賃上げなどを受け、今月の
金融政策決定会合で24年度の消費者物価(生鮮食品を除くコアCPI)見通しの上方修正を議論する公算が大きいという。
2024/04/11 09:13 日経速報ニュース
11日朝方の国内債券市場で、長期金利が大きく上昇(債券価格が下落)した。指標となる新発10年物国債の利回りは前日比0.035%高い
0.830%と、2023年11月上旬以来5カ月ぶりの高水準をつけた。3月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回る伸びとなり、米利下げ
観測が一段と後退。外国為替市場での急速な円安進行が日銀に追加利上げを促すとの見方も国内債の売りを促した。
10日発表された米CPIの上昇率は前年同月比3.5%と市場予想を上回った。変動の大きいエネルギーと食品を除いたコア指数の上昇率も
市場予想を超え、インフレが長期化するとの見方が強まった。米連邦準備理事会(FRB)の6月利下げは難しいとの見方から米長期金利は
一時4.56%と23年11月中旬以来の高水準をつけ、国内金利の上昇圧力となった。
10日のニューヨーク外為市場では円相場が一時1ドル=153円台前半まで下落し、1990年6月以来およそ34年ぶりの円安・ドル高水準を
つけた。円安に伴う輸入物価の上昇が国内のインフレ率を押し上げる可能性がある。日銀が2%の物価目標実現の確信を深め、円安進行
を阻止する意味でも追加利上げに動くとの思惑が高まりやすいのも国内債の売りにつながった。
債券先物相場が大きく下落した。中心限月の6月物は前日比37銭安の144円75銭で寄り付いた。その後は一時144円65銭まで売られ、
中心限月としては23年12月以来の安値をつけた。短期金融市場では大阪取引所で無担保コール翌日物金利(TONA)先物の中心限月
である6月物は取引が成立していない。
2024/04/19 日本経済新聞 朝刊
日銀がマイナス金利政策を解除し、17年ぶりの利上げに踏み切ってから19日で1カ月になる。預金などの金利上昇は小幅で「金利ある世界」
に対し、企業や個人は冷静にそろり対応している。ただ外為市場では、日銀の利上げにもかかわらず円安・ドル高が進行する「想定外」の展開と
なっている。
日銀のマイナス金利解除後、金融機関は相次いで預金金利を引き上げた。三菱UFJ銀行などが先んじて普通預金金利を0.001%から0.0
2%に引き上げた。地銀は17日時点で全99行が追随し、普通預金金利を引き上げた。
明治安田生命保険が企業年金の予定利率を2025年4月に年1.25%から1.30%へ実質的に引き上げるなど、銀行以外にも影響が広がり
つつある。
多くの銀行が支店を評価する項目に預金の増量を加えるなど、あまり力を入れてこなかった預金の獲得に乗り出している。ただ現段階では「普
通預金の金利を上げても預金量が大きく伸びているわけではない」との声が多い。
金利が上がると返済の負担が重くなる住宅ローン。みずほ銀行の担当者は「繰り上げ返済など金利上昇を見越した動きは現時点で限定的」と
話す。マイナス金利の解除が決まっても「今後の金利負担を心配するコールセンターへの入電は数十件程度にとどまった」という。
金利上昇を懸念する企業は、変動金利の借り入れを足元の金利水準で固定化する金利スワップを活用する。それでも大手行の営業担当者は
「目立って利用が増えているわけではない」と明かす。
この担当者は「金利の見通しを尋ねられると思っていたら、むしろ為替を懸念する声が多くて驚いた」と語る。とりわけ卸売業など海外からの輸
入に頼る企業は、金利上昇より円安がいつまで続くのかに神経をとがらせる。
マイナス金利解除前日の3月18日には1ドル=149円台だった。マイナス金利の解除で為替市場は円高に動くとの見方が強かったが、1カ月
間強で約5円も円安が進み、15日には154円台まで下落し、34年ぶりの安値を更新した。
日銀が「当面緩和的な金融環境が続く」(植田和男総裁)という姿勢を強調しているのに対し、米景気が底堅くインフレの鈍化も緩やかなため、
米連邦準備理事会(FRB)による早期利下げ観測が後退している。このため、日銀のマイナス金利解除でも日米の金利差が縮まらないとの見方
が円安進行につながっている。
財務省・日銀による為替介入観測も強まっているが、抜本的な解決策にはならない可能性がある。円安が経済物価情勢に無視できない影響
を与える状況になれば「金融政策の対応をもちろん考える」(植田総裁)。
為替政策は日銀の所管ではないが、動向を注視している。植田総裁は9日の国会答弁で一般論としながらも「金融政策は為替レートを決める
ファンダメンタルズ(基礎的条件)の一つだと認識している」と説明した。
大幅な円安で、輸入物価の上昇が加速する可能性もある。中東の地政学リスクの高まりから原油価格にも上昇圧力がかかる。「先行きの物価
見通しを引き上げ、追加利上げを後押しすることになる」(野村総合研究所の木内登英氏)
日銀がマイナス金利を解除して以降、金融政策の影響を受けやすい2年債金利は足元で0.28%台に上昇し、09年10月以来の高さとなった。
足元の翌日物金利スワップ(OIS)市場では、7割程度の確率で7月に日銀が追加利上げに動くと予想している。
住信SBIネット銀行は17日、短期融資の基準となる短期プライムレート(短プラ)を0.1%引き上げて1.775%にすると発表した。
日銀が追加利上げに動けば、大手銀行(現在1.475%)も短プラを引き上げる可能性が高い。個人の住宅ローンの変動金利や中小企業向け
の融資金利の基準となっており、「国民の生活に影響が出てくる」(財務省幹部)。このため、次の利上げはマイナス金利解除とは別の難しさが
ある。
金利の先高観を受け、新株予約権付社債(転換社債=CB)の発行に動く企業が増えている。CBは一定の条件で株式に転換できる権利が付
いた社債だ。このオプションがあるため、一般的に利率は普通社債より低くなる。英LSEGによると、今年1~3月の発行額は約4500億円と04
年以来の高水準だった。大和ハウス工業は1月に2000億円の発行を決めた。
日銀は追加利上げを急がない方針だ。「利上げの工程表があるわけではない。データを確認しながら、景気の基調を見極めていく」(関係者)。
為替は注視しているが「円安が進んだから利上げに動くわけではない」(同)。円安が物価上昇をもたらしたとしても、日銀が重視する基調的な
物価を押し上げているとはいえないとの見方だ。
FRBの利下げ観測が後退し、長期金利が約5カ月ぶりの高水準に上昇している。為替動向次第では市場が追加利上げを催促するように長期
金利が上昇する可能性もある。
2024/04/19 20:35 日経速報ニュース
国債の値動きを分析すると、市場関係者が見込んでいる物価予想をはじくことができる。今後10年間の物価上昇率の予想が15?16日には
年1.499%まで上昇してきた。過去10年間ではみられなかった水準だ。円安や賃上げが物価の先高観を生んでいる。
国債には物価が上がると元本と利息が増える物価連動債がある。償還日など条件が同じ一般の国債と物価連動債の利回りの差には、売
買する投資家の物価予想が反映されており、「ブレークイーブン・インフレ率(BEI)」と呼ばれる。
BEIは23年末には1.1%台で推移していた。3月末には1.3%台まで上昇したのち、4月に入って1.5%近くまで急速に上げ幅を広げている。
理論的には予想インフレ率は実際のインフレ率に影響を及ぼす。米連邦準備理事会(FRB)などの中央銀行が金融政策を決める際の参考
情報となる。日本でも、海外市場のようにBEIが中銀の政策を読み解くうえでの重要指標になる局面が来たようにみえる。
もっとも、そう言い切れない面がある。日本の物価連動債は投資家層が限られているため流通市場での売買が低調なことだ。財務省の会
合では証券会社から「一部の海外勢からは新規投資が見られるものの、裾野拡大とは言いがたい状況だ」との指摘もあった。
日本でもインフレが定着すればインフレをヘッジ(回避)する手段として物価連動債の需要が高まり、市場拡大につながる可能性もある。BEI
が指標として成長するかどうか注目される。
2024/04/21 日本経済新聞 朝刊
【ワシントン=新井惇太郎】日銀の植田和男総裁は米ワシントンで19日、「基調的な物価の上昇が続けば、金利を引き上げる可能性が非常に
高くなる」と述べた。長期国債の買い入れ減額については「どのようなタイミングで、どのようなスピードで減らすかは時間をかけて検討し判断し
たい」と語った。
マイナス金利政策を含む大規模緩和の解除など日銀による最近の金融政策の変更をテーマに、米ピーターソン国際経済研究所のアダム・ポ
ーゼン所長と対談した。同研究所は定期的に政策立案者や有識者を呼び対談イベントを開催している。
日銀は3月にマイナス金利を含む異次元緩和策を解除した。今後の金融政策運営では、賃金上昇を通じて物価が基調的に上昇するかを見極
めようとしている。最近の円安が輸入品価格の上昇を通じ、国内の物価に与える影響も分析する方針だ。
植田氏は日本のこれまでの金融政策の教訓について「物価が上がらないという期待が定着すると、経済はその均衡から抜け出すのが難しく
なる。そのような状態に陥らないようにするのが最善だ」と語った。
2024/04/22 09:13 日経速報ニュース
22日朝方の国内債券市場で長期金利が上昇(債券価格が下落)した。指標となる新発10年物国債の利回りは前週末比0.015%高い0.860%
をつけた。中東情勢の緊迫感がいったん和らいだのに加え、日銀による早期の追加利上げ観測が意識されて長期債には売りが優勢となった。
21日にはイラン最高指導者のハメネイ師が19日のイスラエルによるとみられる攻撃への報復などは言及しなかったと伝わった。イラン側が再び
報復し、中東情勢が一段と緊張感を増すとの警戒が後退した。前週末に日経平均株価が急落するなか、相対的に安全な資産として買われてい
た債券には売りが出た。
日銀による追加利上げ観測も金利の上昇圧力となった。19日には日銀の植田和男総裁が米ピーターソン国際経済研究所のアダム・ポーゼン
所長との対談で「基調的な物価の上昇が続けば、金利を引き上げる可能性が非常に高くなる」と語った。25?26日に開く金融政策決定会合で
物価見通しを上方修正するとみられるなか、早期の追加利上げが意識されて国内債相場の重荷となった。
超長期債にも売りが優勢で、新発30年物国債の利回りは前週末比0.015%高い1.900%をつけた。債券先物相場は大幅に反落し、中心限月
の6月物は前週末比35銭安の144円32銭で寄り付いた。
短期金融市場では大阪取引所で無担保コール翌日物金利(TONA)先物の中心限月である6月物は取引が成立していない。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-04-22/SCBSUWT0G1KW00?srnd=cojp-v2
市場は利上げ前倒し意識、展望リポートの物価見通しとリスクに関心
国債買い入れ減額にも関心、「円安けん制の次の一手に」-野村証
日本銀行は今週の金融政策決定会合で、金融政策の現状維持を決めるとみられている。34年ぶりの水準まで円安が進行する中
植田和男総裁の記者会見などで追加利上げに向けたタカ派的な発信があるかが市場の関心事の一つになっている。
ブルームバーグが12-17日に実施したエコノミスト調査では、日銀が25、26日に開く会合について、ほぼ全員が金融政策の据え
置きを予想した。次回の利上げ予想は10月会合が最多の41%となっているが、リスクシナリオでは最も早いタイミングとして52%が
7月と回答した。
日銀は3月会合で17年ぶりの利上げなどを決め、大規模緩和から転換。当面は緩和的な金融環境が継続するとしたが、利上げ後
も根強い円安圧力を背景に、市場では追加利上げの前倒しリスクが意識されている。円安が物価の基調に影響すれば政策変更の
理由になり得るとする植田総裁の発言もあり、今回は総裁会見や声明文、新たな物価見通しとリスク動向から今後の政策展開の
手掛かりを探る会合となりそうだ。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-04-24/SCDR34T1UM0W00?srnd=cojp-v2
政策は現状維持の公算大、展望リポート基準に追加利上げの時期探る
円は対ドルで34年ぶり155円台、円安対応で国債購入減額との見方も
日本銀行が26日に結果を発表する金融政策決定会合では、金融政策の現状維持が見込まれている。34年ぶりの水準にある円安の影響を
含めてインフレ圧力が意識される中、新たな経済・物価見通しと植田和男総裁の記者会見から追加利上げや国債買い入れなどの政策展開の
ヒントを探ることになる。
https://jp.reuters.com/opinion/forex-forum/VZK6SLY3QJJDXPSLXLPKT4NHNU-2024-04-25/
時事通信 経済部2024年04月26日07時58分配信
日銀が26日に開く金融政策決定会合の2日目の議論で、国債買い入れ縮小の方法を検討することが25日、明らかになった。3月にマイナス
金利政策の解除など大規模緩和の正常化に踏みだしたが、国債買い入れについては減額を見送っていた。縮小すれば、日銀が保有する国債
の償還ペースは、新規買い入れを上回ることになりそうで、国債保有残高を減らしていく事実上の量的引き締め局面へ移行することになる。
大手生保、国債投資で判断割れる 日銀利上げ見極め―24年度運用計画
日銀は3月に17年ぶりに利上げに踏み切った。しかし、国債の大量購入を続けて潤沢にマネーを供給する金融緩和環境を維持しているため
外国為替市場で円安が進む一因となっている。
3月に政策変更を決めた際の声明文で、日銀は国債について「これまでとおおむね同程度の金額(月間6兆円程度)で買い入れを継続する」と
明記。実際の買い入れは、市場の動向や国債の需給を踏まえて実施していく方針を示していた。
25日に始まった今回の会合では、3月に決めた国債買い入れ方針の下で、実際に購入額を縮小していく方策を議論。日銀が公表している月
間の国債購入予定額(約5兆~7兆円)についても、引き下げを含め見直す可能性がある。
長期金利は、3月の政策変更後も比較的安定的に推移している。4月から国債入札が減額されたこともあり、日銀は今後買い入れを多少減ら
しても金利の急騰は避けられると判断しているもようだ。3月に長期金利を0%程度に誘導する長短金利操作を撤廃したことを踏まえ、金利の形
成をより市場に委ねる狙いもある。
2024/04/26 14:39 日経速報ニュース
外国為替市場で円安・ドル高が加速している。26日には円相場が約34年ぶりに1ドル=156円台に下落した。この日まで開かれた金融政策
決定会合を受け、歴史的な円安を是正するために日銀が「タカ派」に傾くとの思惑が肩透かしに終わり円売り・ドル買いに拍車がかかった。日
銀は円安対策を円買いの為替介入に委ねた格好だ。
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26日午後の東京市場で円は一時156円21銭近辺まで売られ、1990年5月以来の円安・ドル高水準をつけた。円安は対ドルだけにとどまらな
い。対ユーロでは1ユーロ=167円48銭近辺と08年8月以来の安値を更新。対オーストラリア(豪)ドルでも1豪ドル=102円台と14年以来の安
値圏で推移するなど円は全面安の様相を呈している。
歴史的な円安に歯止めをかけるため日銀が一段の正常化に動くのではないか――。今回の決定会合ではこんな思惑が実現することはなか
った。日銀は政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を0?0.1%で維持。減額が噂された国債買い入れについては「3月に決定
された方針に沿って実施する」と説明した。
あわせて公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では「当面、緩和的な金融環境が継続する」とも説明。日米金利差がドライバーと
なっている円安・ドル高を止めるため、日銀が政策正常化の歩みを進めるとの市場の見方に反し、「追加利上げに対する明確なヒントはなかっ
た」(三菱UFJ銀行の井野鉄兵氏)といえる。
2%の物価安定目標の実現にまい進する日銀が対応を見送ったことで円安に歯止めを掛けるのは財務省など日本政府側に責任が委ねられ
た形になる。しかし、市場では円買い介入で円安・ドル高が止められるかどうかに懐疑的な声はなお多い。
ふくおかフィナンシャルグループの佐々木融氏は「足元の円安・ドル高は、米連邦準備理事会(FRB)による利下げが後退するなかでの『ドル
高』の面が強い」と指摘する。たとえ介入で一時的に円相場を押し上げたとしても、大きく開いた金利差を頼りにした円売り・ドル買いが根強く
「介入は効かないと露呈しかねない」と懸念する。
イエレン米財務長官は25日、ロイター通信のインタビューで足元のドル高について「米経済の強さと金利の高さ」を反映したものだと説明。為
替介入は「極めてまれで例外的な場合に限る」とクギを刺しつつ、米政府としては積極的にドル高を是正しない考えだ。
ドルの買い意欲の高さはあちこちで聞かれる。BofA証券の山田修輔氏は最近の面談を踏まえ、ヘッジファンドなど海外投資家が「ほぼドルに
強気の姿勢だが、まだ買ってはいない」と話す。東京市場では「中小企業を中心に輸入企業は開店休業状態」(国内銀行の為替担当者)だと
いい、ドル資金の手当てが追いついていない国内の実需筋も一定数いるとみられる。
26日午後には日銀の植田和男総裁が記者会見に臨む。さらなる円安進行を受けて追加利上げの思惑を強めるような発言をすれば円買い
・ドル売りが活発となる可能性は残り、もちろん日本の通貨当局が日銀総裁の会見が終わるとともに円買い介入を実施する22年9月の再来を
見込む声はある。しかし、ドル高という要因が変わらないなかでは円相場が上昇したとしても短命に終わりそうな気配だ。
2024/04/27 日本経済新聞 朝刊
日銀は26日の金融政策決定会合で、金融政策の現状維持を決めた。植田和男総裁は会合後の記者会見で、最近の円安進行について基調
的な物価動向に大きな影響が生じれば「政策の判断材料になる」と語った。物価への影響を見極める姿勢も示したが、外国為替市場では早期
利上げにつながるような発言がなかったとの見方から一時、円売り圧力が強まった。(関連記事総合2、総合4面に)
日銀は政策金利を0~0.1%程度(無担保コール翌日物レート)に据え置き、追加利上げを見送った。
同日公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート=総合2面きょうのことば)」では、消費者物価指数(CPI)の前年度比上昇率は変動の大
きい生鮮食品を除いて24年度は2.4%から2.8%、25年度も1.8%から1.9%に引き上げた。初めて示した26年度は1.9%と見通した。
金融政策の現状維持が予想されていたことから、市場参加者は植田総裁による記者会見での発言に注目していた。記者会見では、円安進行
やその影響に関する質問が集中した。
植田総裁は「金融政策は為替レートを対象にしていない」との立場を明確にしたうえで「円安で(一時的な変動要因を取り除いた)基調的な物価
上昇率に無視できない影響が発生すれば政策の判断材料になる」と述べた。
一方で最近の円安について「基調的な物価上昇率への大きな影響はないと判断した」と話した。影響は無視できる範囲だったかと問われ「は
い」と答えた。そのうえで今回利上げを見送った理由を「基調的な物価上昇率は2%を下回っている。3月から4月にかけてはっきり高まったとは
考えていない」と説明した。
日銀は追加利上げの時期について、基調的な物価上昇率が2%に達する可能性が高まっていくか見極めたうえで判断する方針だ。
今後の金融政策を巡っては「賃上げがサービス価格にどう反映されるか。円安や原油高に伴う輸入価格の上昇が広い物価の水準にどう影響
していくか。今後の賃上げの展開を見つつ、基調的な物価上昇率の動きを判断する」との考えを示した。
植田総裁は「基調的な物価の上昇率が見通しに沿って上昇すれば政策金利を引き上げる」とも話した。
ただ市場では、植田総裁が「当面は緩和的な金融環境が続く」と発言したことなどから日米金利差が開いた状態が長期化するとの観測が強
まり、記者会見中に円売りの勢いが増した。
国債の買い入れについては、声明文で「3月会合で決定された方針に沿って実施する」と明記し、現状維持となった。
日銀は3月会合でマイナス金利政策を含む大規模緩和を解除し、17年ぶりの利上げとなった。
2024/04/27 07:49 日経速報ニュース
植田日銀が26日の金融政策決定会合で政策金利を据え置き、国債の購入方針も変えなかった。何らかの円安への対応に期待していた市場
は「ゼロ回答」を吹聴し、一段の円売りに走った。だが、円安騒ぎの陰で日銀は連続利上げに向けた布石を着実に打っている。向こう2?3年を
メドに1?2%の利上げすら示唆してみせた。
円安騒ぎがなかったら、市場はむしろ植田日銀の「タカ派ぶり」に驚いていたかもしれない。仮に円安で追い込まれたふりをしながら金融政策
の正常化への舞台を整えているのだとしたら、かなりの高等戦術と言えまいか。
「基調的」を巡るすれ違い機に158円台
「基調的な物価上昇率」という言葉の分かりにくさが、すれ違いと混乱を呼び込んだのかもしれない。26日のニューヨーク外国為替市場で円相
場は1ドル=158円台前半まで下落した。
植田和男総裁は18日のワシントンでの記者会見で、円安について「基調的な物価上昇率に影響を与えるという可能性はありうる」と前置きした
うえで、「無視できない大きさの影響が発生した場合は、場合によっては金融政策の変更もありうる」と語った。「基調的」という言葉に注意を払わ
なかった市場関係者は、円安に対応した利上げを視野に入れていると解釈した。
そして今回の決定会合。
「仮に基調的な物価上昇率に無視し得ない影響が発生するということであれば、金融政策上の考慮、あるいは判断材料になる」
「基調的な物価上昇率に、ここまでの円安が今のところ大きな影響を与えているということではない」
植田氏は会見で、ワシントンでの発言の意味するところを詳しく解説した。ところが説明をすればするほど、「円安に金融政策で直接対応するつ
もりはない」という日銀にとっての「正論」がクローズアップされ、円売り勢を勇気づける結果となった。
植田氏が会見で何度も言及した「基調的」という言葉は、一時的な要因を除いた、長い目で見た「物価の実力」のこと。表面上の物価上昇率は
目標の2%を超える期間が続くが、基調はまだ2%を下回るとみている。
円安は、まずは輸入物価を押し上げ、国内で価格転嫁が進むにつれ、消費者物価に上昇圧力をかける。日銀が「第1の力」と呼ぶものだ。次に
、この物価高の圧力が賃金上昇に波及すれば、国内需要に根ざす「第2の力」が働き始める。やがて賃上げが今度は物価を押し上げ、賃金上昇
を伴う緩やかな物価上昇が自己回転する「好循環」につながる。このメカニズムによって動くのが、基調的な物価上昇率だ。
つまり円安という要素は、最終的に好循環のさらなる進展をもたらし、基調的な2%の物価上昇の定着に向けて寄与していると確信できて初め
て、利上げの判断に関わってくる。円安が金融政策を動かすとすれば、そんな回りくどい道のりになる。「円安が進んでいるせいで消費者の生活
が大変だから、物価高を止めるために利上げをする」と言っているわけではない。
利上げシナリオの「本丸」は円安にあらず
気をつけたいのは、日銀が実際に見据える「本丸」の利上げシナリオは、必ずしも円安とは直接の関係がないことだ。円安の影響に配慮する
姿勢をみせつつも、日銀が金融政策の「次の一手」の機を探るうえで決定的に重要だとみているのは、今回の円安よりも前からすでに進み始め
ている好循環の見極めだ。
今年の春季労使交渉では大企業を中心に歴史的な賃上げがまとまりつつある。中小企業への波及がしっかりとみえ、人件費増が適正に販売
価格へと転嫁される流れが確認できれば、好循環が続く確度が高まる。追加の利上げは十分に正当化される。
ここに円安の影響が加わると、好循環の起点である第1の力に、もう一回、上向きの力が加わる。うまくいけば賃金上昇に「プラスアルファ」の
効果があるかもしれないが、本丸である好循環の見極め作業のなかでは、主役ではない。
安に背中を押された構図を演出しながら、本丸の利上げに向けた布石を打とうとしたのか。考えられる経路を客観的に語ったまでだと日銀関係
者は深読みを制するが、ひょっとしたら両方を狙ったのかもしれない。
それよりも注目すべきなのは、日銀が円安は関係なく、基調的な物価上昇率が2%に上向いていく可能性に自信を示したことだ。
今回から2026年度まで予測期間を延ばした「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では、基調的な物価上昇率が「見通し期間後半には『物
価安定の目標』とおおむね整合的な水準で推移する」と判断を進めた。
植田氏は会見で、その意味するところを踏み込んで語った。
「基調的な物価上昇率が見通しに沿って2%に向けて上昇していけば、政策金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整していくことになると考え
ている」
そのうえで、利上げの終着点に関して重要な示唆を示した。
「とくに見通し期間後半について、この(見通し)通りの姿になっていくということであれば、政策金利は、ほぼ中立金利の近辺にあるという状態
にあるんだろうなという展望は持っている」
中立金利とは、現在の日本経済にとってちょうどよい、「景気をふかしも冷ましもしない政策金利」のことだ。植田氏は「中立金利の水準につい
てかなりの不確定性がある」としつつ、「なるべく早い期間にもう少し絞るという作業を続けたい」と語った。しかも「少しずつ金利が上がっていく際
に、それに対して経済がどういう反応を示すかということに関する情報が非常に重要になる」とも言及し、連続的な利上げのなかで中立金利を探
っていこうとする姿勢をみせた。
中立金利は「1.1?2.4%」を想定?
植田氏の頭にある数字を類推しよう。日銀の企画局が昨年12月の多角的レビューのワークショップで示した内外5つの推計によると、実質値
でみた中立金利は「マイナス1.0%からプラス0.5%」の範囲内にある。
日銀内からは、もう少し狭く「マイナス0.4?プラス0.4%」という相場観も聞かれる。この推計は23年1?3月期が最新値。現時点で改めて推計
すれば、もっと高まっている可能性もあるようだが、保守的にみて「0%」と置いてもおかしくはないだろう。
名目の中立金利を導くには、ここに予想インフレ率を加える必要がある。予想インフレ率は今回、植田氏がヒントを出している。家計や市場、企
業のデータを加重平均した値は「少しずつ上昇を続けてきていて、まあ1%台半ばくらいにあるのかな」という。
だとすれば、現時点では1.5%前後。予測期間の後半にかけては2%程度で固定(アンカー)されるとみられるので、「1.5?2.0%」の間ということ
だろう。
この結果、名目の中立金利(実質金利+予想インフレ率)は、広くとれば「1.1?2.4%」ということになる。もちろん日銀の公式見解ではないが、
植田氏がこの範囲から「もう少し絞る」意向を持っているという推論は一応成り立つ。
26年度までの見通し期間の後半に政策金利が中立金利に到達するとみているとすれば、向こう2?3年に4?9回ほどの利上げを実施する計
算になる。いくら今回の円安がインフレ圧力の強い米国発のものだとはいえ、市場がこのシナリオを完全に織り込めば、日米金利差もさすがに
縮小しそうだ。今回もっと強調していれば、円安けん制の材料として、明確な「タカ派パワー」を持ったかもしれない。
もちろん計画がこの通りに進む保証はないが、円安に追い込まれたように見える構図のなかで植田日銀が着々と練る利上げ計画にも注意を
払ったほうがよいだろう。
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2024/04/30 19:40 日経速報ニュース
市場参加者の間で30日、政府・日銀が29日に5兆円規模の円買い介入を実施したとの観測が広がった。日銀が30日発表した5月1日の当座
預金残高の見通しによると、29日の為替介入を反映する「財政等要因」による減少額が7兆5600億円で、為替介入を反映していない市場の当
初予想とずれが生じたためだ。
為替介入は財務省が判断し、日銀が実行する。円買い介入を実施すると、民間金融機関が日銀に預ける当座預金から円が国庫に移動し、
当座預金が減少する。決済は一般に2営業日後になるため、29日の介入が5月1日の残高に反映される。銀行間の資金のやりとりを仲介する
短資会社の予想(2兆500億?2兆3000億円減少)との差額が介入の実施額と推測できる。
29日は円相場が一時1ドル=160円まで急落した後、154円台まで円高が進んだ。断続的な円買いが続いたことで、市場では為替介入との
観測が強まった。財務省の神田真人財務官は30日、介入の有無について「私から申し上げることはない」と語った。
日銀が公表する当座預金残高の見通しを使う推計には誤差もありうる。財務省は1カ月ごとに為替介入の実績を公表している。介入を実施
したかどうかは、5月31日に公表される、4月26日から5月29日分の合計介入額で正式に明らかになる予定だ。
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2024/05/03 日本経済新聞 朝刊
日銀が2日公表した3月の金融政策決定会合の議事要旨で、今後の国債の買い入れ額について複数の政策委員が「上下に多少の変動幅を
もつ形で柔軟に決めていくべきだ」と指摘していたことが明らかになった。このうち一人は「例えば上下に1兆~2兆円程度の幅が適当」との見解
を示した。
日銀は3月会合で長期金利を低く抑える長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)を撤廃し、国債買い入れは「これまでとおおむね
同程度の金額」で続けると決めた。声明文の脚注で「足もとの月間買い入れ額は、6兆円程度」とも示したが、既にこの3月会合で委員の間で
将来の減額を見据えた議論が起きていた。
複数の委員が「将来的にはどこかのタイミングで国債の買い入れを減額し、保有残高も償還に伴い縮小させていくことが望ましい」と指摘した。
異次元緩和下での買い入れで国債保有割合(国庫短期証券を除く時価ベース)は発行残高の過半に達する。市場流動性の低下といった副作
用の懸念から減額を求める声が出ているようだ。
その一方、複数の委員が「流動性の回復過程で、経済・物価情勢の変化を受けて長期金利のボラティリティー(変動率)が高まりやすくなる」
とし、国債買い入れを当面続けて金利急騰に備える重要性を強調した。
「急激な市場変動を避ける観点から時間をかけて対応することが適当だ。その間に債券市場の参加者が拡大することを期待する」との意見も
あった。
日銀によると、3月の買い入れ実績は5.9兆円、4月は5.8兆円だった。3月会合後に公表した買い入れ計画では4~6月は月あたり計4.8
兆~7兆円の範囲内で購入するとしている。市場からは下限の規模の購入額が続けば、宣言なく緩和を縮小する「ステルステーパリング」になる
との見方がでている。
2024/05/20 05:00 日経速報ニュース
「日銀は円安圧力を緩和してほしい」「円安による過度な物価上昇も懸念されるなか、政府・日銀は適度な物価上昇の実現を」――。岸田文雄
首相と植田和男日銀総裁がそろって出席した10日の経済財政諮問会議。民間議員から日銀に為替に絡めた注文が相次いだ。
発端は植田氏による4月26日の金融政策決定会合後の記者会見だ。いまの円安について、基調的な物価上昇率への影響を無視できる範囲
だとの見解を示した。これが円安容認発言ととられて円相場は1ドル=160円まで急落し、数兆円規模の為替介入を引き起こしたとみられている。
安倍・菅政権で官邸官僚と呼ばれた人物は「日銀に独立性があるとはいえ擦り合わせなくあの発言をしたとすれば、普通は責任問題だ」と断
言する。諮問会議に参加している経済官庁のトップも「日銀は対話ができていない」と評した。
3月までは日銀のやり方に公然と文句をつける動きはなかった。「国会議員の大半が『日銀でうまくやってくれ』という思いだった」(財務省幹部)。
緩和的環境の維持を求めながら金融政策の正常化は黙認した。
その後しばらく市場が安定したことで「日銀は万能」との期待度を高めてしまったのかもしれない。4月中旬、ある閣僚経験者は日銀幹部から
「米国がここまで利下げできない環境になると思っていなかった」との説明を受け、周囲に「日銀が利上げして円安・物価高に対応するのだろう」
と漏らした。
その後、日銀発ともいえる円急落で経済再生を売りにする政権のスタンスは変わった。3泊6日の海外訪問を終えた直後に首相が公邸に呼ん
だのは政治資金規正法の改正作業を手掛ける自民党議員だったが、翌日の7日には植田氏と向き合った。
植田氏は首相との面会後、記者団に「円安については日銀の政策運営上、十分注視をしていくことを確認した」と述べた。政府内では「官邸が
呼び出して発言を修正させた」「日銀に弁明の機会を与えた」と様々な解釈が飛び交う。
見方が一致するのは、いまこの瞬間は政治とカネに並び「円安」が官邸の関心事項であるということだ。円安は原材料価格の上昇を通じて国
民負担を増やすものと受け止められている。
ただ円安是正のための利上げはハードルが高い。内閣府副大臣として日銀の政策決定会合に出たこともある越智隆雄衆院議員は「歴史的に
日銀は為替と絡んで動いたとみられるのを嫌がる」と話す。
しかも利上げとなれば住宅ローンや中小企業の資金繰りへの影響を不安視する声が高まる。政治情勢は少なくとも9月の党総裁選まで落ち
着かない公算が大きく、首相官邸や政治家が利上げに表立って賛成すると考えにくい。
政権幹部は「当面は利上げはできない。大事なのは日本が成長する可能性を示して、いつか利上げが起きると思わせることだ」と本音を語る。
「円安是正」と「利上げの回避」を同時に求める政権と与党の姿勢は身勝手ともいえる。霞が関では「いまの官邸が骨を拾ってくれるとは思え
ない」との見方も広がる。日銀が市場と政府との対話をより求められるようになったことで、金融政策の行く末は見通しにくくなった。
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・日銀総裁、円安「政策の判断材料に」 物価影響見極め
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2024/05/20 12:06 日経速報ニュース
国内債券市場は、日銀の次の一手を巡って利上げよりも先に量的引き締め(QT)に身構えている。それを示唆するのが2年物と10年物の国債
利回り差の拡大傾向だ。長期金利の指標となる新発10年債利回りは20日午前、前週末を0.025%上回る0.975%に上昇(価格は下落)し2013年
5月以来、11年ぶりの高水準をつけた。政策金利の影響を受けやすい2年債利回りより、資産残高を縮小するQTが響く10年債利回りの上昇ペー
スが速くなっている。
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2年債利回りも前週末を0.005%上回る0.335%に上昇したが、2年と10年の利回り差は複利で0.632%に広がった。利回り差は3月末時点の0
.546%から拡大傾向が強まっている。
岡三証券のチーフ債券ストラテジスト、長谷川直也氏は「日銀の国債購入減額がどのようなペースでどこまで減額されるかの不確実性の高ま
りが金利上昇を招いている」と指摘する。そのうえで2?10年債利回り差の拡大について「購入減額の影響が効きやすい10年債利回りの上昇ペ
ースが速いのは『利上げより国債購入減額が先』という市場の見方を映している」とみていた。
日銀が今月9日に公表した4月の金融政策決定会合の「主な意見」では、追加利上げに向けた意見があったのと同時に国債買い入れの減額
を支持する見解も相次いだ。国債購入に関しては「どこかで削減の方向性を示すのが良い」「バランスシートの圧縮を進めていく必要がある」など
といった声があった。
日銀はさっそく地ならし的な動きをみせている。13日の国債買い入れオペ(公開市場操作)では「5年超10年以下」の1回あたりの通知額を42
50億円と前の回の4750億円から500億円減らした。17日のオペも5?10年はこの額を維持した。月内に予定する23、31日のオペでも同額なら
5?10年に限ると5月の月間購入額は1兆7000億円程度と4月の1兆9022億円(落札ベース)から2000億円減る。
みずほ証券のチーフエコノミスト、小林俊介氏は「量的縮小政策は準備万端」とみる一方、「代わりに追加利上げは遠ざかった公算が大きい」
と話す。仮に6月13?14日の決定会合でQTを決めた場合「日銀はひとまず経過観察する誘因に駆られ、(次の)7月会合で連続的に政策修
正(利上げ)する可能性は低下する」という。
2024/05/22 09:57 日経速報ニュース
2024/05/23 日本経済新聞 朝刊
国内債券市場で長期金利は2013年以来11年ぶりに1%台に上昇した。この間、日銀の金融緩和を通じた低金利や円安の恩恵を受けて
企業は稼ぐ力を高めてきた。30年あまり続いた経済停滞から脱却しつつある局面で、日本経済は金利上昇に対する耐性が試される。
(1面参照)
長期金利が最後に1%台をつけた13年当時と比べると日経平均株価は1万6200円(13年末)だったのに対し、23年末は3万3400円ま
で上昇した。今年に入って史上最高値を記録している。
堅調な上場企業の業績が株高をけん引する。24年3月期の純利益(金融など除く)は前の期比16%増の約39兆円と3年連続で過去最高
となった。
雇用環境も軒並み改善している。完全失業率は23年平均で2.6%と13年平均(4.0%)より低下した。1倍を割り込んでいた有効求人倍
率は1.3倍に上昇した。24年春季労使交渉(春闘)では賃上げ率が33年ぶりに5%を超えた。
企業は金利上昇を前提とした行動に動きつつある。上場企業の有利子負債は23年3月末で263兆円と14年3月末から4割増えたものの
資産全体や自己資本の伸びに比べれば緩やかだ。自己資本に対する有利子負債の比率は低下傾向にある。手元資金も23年3月末で約105
兆円と積み上がっており、財務基盤は強固だ。
設備投資意欲はなお強い。日銀の3月の全国企業短期経済観測調査(短観)によると、大企業製造業の24年度の設備投資額は前年度比
8.5%増とバブル期だった1989年以来の高い伸び率を見込む。
経団連の十倉雅和会長は21日の記者会見で「企業は多かれ少なかれ有利子負債を抱えているので損益にインパクトはある」と語った。一方
で「金利のある世界によって、むしろ事業の優先順位付けや規律ある投資が進む」とも述べた。
長期金利の上昇は、金融機関による資金運用の改善につながるため、銀行の定期預金金利や生命保険の一部商品の利回りなどが上がる
要因になる。一方で銀行が提供している固定型の住宅ローン金利の引き上げにつながる。大手銀行は5月にそろって10年固定型の金利を引き
上げた。
みずほリサーチ&テクノロジーズによると、家計では長期金利が仮に3.3%まで上昇した場合、26年度に全世帯平均で年間7.7万円のプ
ラス効果があると見込む。
世帯や世代によっては住宅ローンにかかる金利の上昇でマイナス効果になる場合もある。それでも金利のある世界は「現預金が1000兆
円あるのに対し、住宅ローンのような借り入れは400兆円に満たない」(三井住友銀行の福留朗裕頭取)ため、家計に追い風とみる向きが多い。
家計はインフレ圧力も見越して行動している。家計資産の株式・投資信託比率は13年末の13.8%から23年末に17.8%まで上昇した。
現預金の資産価値が目減りすることへの対応ととれる。
今後、重要になるのは物価上昇が賃上げにつながり、その分をさらにモノの価格に転嫁する「賃金と物価の好循環」を続けられるかどうかだ。
賃金から物価の影響を除いた実質賃金は3月まで24カ月連続のマイナスを記録した。今秋ごろにプラス転換を見込む声が多いが、円安や
原油高によるコストプッシュ型の物価高の再来が懸念材料だ。
政府部門には逆風となる。国債残高は22年度末で約1000兆円と13年度比で300兆円ほど増えた。国債は60年かけて償還するルール
があり、低金利で発行した国債を借り換える際に高い金利の国債に置き換わる。当面はインフレに伴う名目経済成長による税収増が先行する
ものの、財政健全化への対応はいっそう重要になる。
日銀は3月に長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)を撤廃し、長期金利の水準について「金融市場において形成されることが
基本」(植田和男総裁)との姿勢をとる。当面は異次元緩和下と同程度の額での長期国債の買い入れを続ける方針を示しているが、日銀とし
て目指す長期金利の水準はなくなった。
金利先高観があるなかで銀行などは国債保有の積み増しには慎重だ。あるメガバンクの運用責任者は「10年物は1.2~1.5%にならない
と買わない」と語る。日銀が追加の金融政策修正に動くという市場の思惑も長期金利の押し上げ圧力になっている。
2024/05/23 09:51 日経速報ニュース
外国為替市場で円相場がじりじりと下値を切り下げている。日銀の利上げ観測や国内債利回りの上昇にもかかわらず、金融引き締めが長引
きそうな米国との金利格差が縮まらないためだ。円を元手にドル建て資産などで運用する円キャリー取引も継続しているが、これまで数年にわ
たり続いた円と国内金利の「逆相関」が終わる局面に備える市場参加者もじわりと広がってきた。
23日朝方の東京市場で円は1ドル=156円70銭台で推移している。米連邦準備理事会(FRB)が22日に明らかにした4月30日?5月1日開
催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨を受けて米長期金利が上昇し、円売り・ドル買いにつながった。
一方、22日に日本の長期金利が節目の1%に達したことは海外でも多数の報道があった。円相場の反応は今のところ鈍いものの、投機筋を
中心に日本の金利上昇への認識は広がっている。
あるヘッジファンドでは先日、日本の新発30年物国債利回りとドルの対円相場の日足チャートを並べ、今後の運用方針を協議した。2022年以
降の2つのチャートは極めて似た形をしており、主に米国側の要因で円安・ドル高が進んだのを象徴する。このファンドでは「日銀の追加利上げ
や米国の利下げ開始が視野に入り、(主に短期金利差の影響を受ける)円キャリー取引をこれまでのようには積み増せないだろう」との考えに
傾きつつある。
市場では「日銀が円安対応として利上げを急ぐ」との予想も多い。日銀の政策正常化が進むとの警戒感が強まれば、国内株式相場がダメー
ジを受ける公算が大きい。今週は米ゴールドマン・サックスが「日銀は持続的な利上げサイクルに入った」「26年末に国内長期金利は2%まで
上がる」との見通しを示し、話題になった。株安で海外勢を含む投資家の体力が奪われると、円キャリー取引の圧縮を伴う日本への資金還流
が加速しかねないというのが外為市場の「常識」だ。
日銀利上げや国内債利回りの上昇を日本国債と円の信認低下に結びつける声もあるが、日本経済の弱さが意識される事態になれば日本株
にはマイナスだ。これもめぐりめぐって円高要因になる。
日本株安と円高の同時進行は今のところリスクシナリオの1つに過ぎない。ただ、投機筋などが取引に用いるコンピューターにはこうしたリス
クシナリオが常にインプットされ、市場に流れてくる材料と結びつけて人工知能(AI)などが投資判断をする。タイミング次第では国内金利の上昇
が突然、教科書的な円高要因として復権するかもしれない――。円の弱気派の緊張感は徐々に高まっている。
2024/05/23 16:04 日経速報ニュース
日銀が23日に実施した国債買い入れオペ(公開市場操作)で、残存期間「1年超3年以下」の応札額が通知額に届かない「札割れ」となった。
日銀が異次元緩和を導入した2013年4月以降で初めてとなる。日銀に急いで国債を売りたいという投資家が乏しかったのを示す。需給の引き
締まりは日銀による国債購入減額を後押しすることになりそうだ。
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日銀が23日に実施した定例の国債買い入れオペ3本のうち1?3年については、3750億円の購入予定の通知額に対し、応札額は3564億円
にとどまった。応札額すべてを落札した。市場関係者からは札割れという結果は「想定外だった」との声があがった。
23年以降の1?3年のオペを振り返ると、同1月は1回あたり5000億円で月4回だった。当時は長短金利操作(YCC)のもとで金利上昇圧力
が高まったため、日銀は定例オペ以外にも臨時オペを打って金利上昇を抑えた。同2月からは1回あたり4250億円(月4回)となり、同11月の
後半からは3750億円(同)として現在に至る。
三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊氏はきょうの札割れについて「投資家が2年債を手放したくないという需給の引き締まりを
意識させる結果だった」と話す。
短期の政策金利の影響を受けやすい2年債利回りは今年に入り、ほぼ一本調子で上昇(価格は下落)してきた。日銀のマイナス金利解除を
経た4月以降も追加利上げ観測が2年債利回りを押し上げた。4月初めには0.2%を下回っていた2年債利回りは22日に0.35%と09年6月以来
、約15年ぶりの高水準に上昇した。
ここまで利回り上昇の結果、日銀の追加利上げの織り込みが進んだとの見方は増えている。このため「金利の先高観が和らぎ、2年債は(日
銀に売却せず)保有していた方がいいと考える投資家がいた可能性が高い」(稲留氏)という。
札割れをきっかけに需給の引き締まりが意識され、23日の流通市場で新発2年債利回りは前日を0.010%下回る0.340%に低下した。
2年債の需給を巡っては別の見方もある。SMBC日興証券の奥村任氏は「5年債や10年債などと比べデュレーション(期間)リスクを低く抑え
ることができるため、保有したいという投資家の需要は高い」と分析する。
デュレーションは保有する債券の元本と利息を回収するまでにかかる年限を示し、それが短いほど保有債券の含み損が膨らむリスクを抑えら
れる。2年債利回りではだいぶ織り込んだといっても日銀による追加利上げや国債買い入れ減額への思惑はくすぶり続けている。22日に11年
ぶりに1%ちょうどへ上昇した長期金利などをみると、国内債全般の価格下落リスクは小さくない。それが期間の短い2年債への需要を増やし
ている側面があるというわけだ。
2年債を中心とするこの残存期間の債券需給の引き締まりは、少なくとも1?3年のオペでは、長期的な方向としては明らかにしている国債
買い入れの減額へ日銀が動きやすくなったとの見方がある。SMBC日興証券の奥村氏はきょうの札割れに関し「日銀の買い入れが過剰で減
額すべきだ、というサインとも受け取ることができる」と指摘する。
日銀は13日に「5?10年」については1回あたりの国債購入額を500億円減らしたが、その他の期間は購入額を据え置いている。1?3年の
4月の購入額は約1.5兆円で5?10年(約1.9兆円)、3?5年(約1.7兆円)に次いで多い。日銀は国債発行額に対する日銀の購入比率が高い
期間で減額を進めるとの予想も市場にはある。
2024/05/24 08:01 日経速報ニュース
24日の国内債券市場で、長期金利は上昇(債券価格は下落)しそうだ。指標となる新発10年物国債の利回りは節目の1%を超え、2012年
4月以来の高水準をつける可能性がある。米景気の底堅さを受けて前日に米長期金利が上昇したほか、日銀による追加利上げや国債購入の
減額といった政策正常化が根強く意識されているのも長期金利の上昇圧力となるだろう。
23日のニューヨーク債券市場で、長期金利の指標となる米10年物国債利回りは前日比0.06%高い4.48%で終えた。この日発表された週間
の米新規失業保険申請件数が21万5000件と市場予想よりも減った。米S&Pグローバルが公表した5月の米購買担当者景気指数(PMI)速
報値は総合が54.4と約2年ぶりの高さとなり、米連邦準備理事会(FRB)が利下げに慎重になるとの見方が米金利上昇につながった。
大阪取引所の夜間取引では債券先物が下落している。5営業日ぶりに反発していた中心限月の6月物は夜間取引では143円57銭で終え、
23日の清算値を16銭下回った。米金利上昇を受け、24日の国内市場では相場が底堅く推移していた中長期債にも改めて売りが広がるとみら
れ、長期金利の上昇圧力となるだろう。
日銀が政策正常化のペースを速めるとの思惑が日本国債の買いづらさにつながっている。日銀が23日実施した定例の国債買い入れオペ(公
開市場操作)では残存期間「1年超3年以下」で、13年4月の「異次元緩和」の導入後で初めて購入予定額を応札額が下回る「札割れ」となった。
中期債の需給逼迫を映す結果と言え、市場では日銀が国債購入額を減らしやすくなるとの観測が高まっている。
総務省は24日8時半に4月の全国消費者物価指数(CPI)を発表する。QUICKがまとめた市場予想によると生鮮食品を除いた総合は前年
同期比2.2%上昇し、上昇率は3月(2.6%)を下回る見込みだ。生鮮食品とエネルギーを除く指数(日銀版コア)の伸び率も2.4%と、3月(2.9%)
から鈍化するとみられており、物価の騰勢一服は国内債相場の支えとなる可能性がある。
24日は国内では財務省が3カ月物の国庫短期証券(TB)の入札を実施する。日銀の追加利上げを巡る警戒感が残る中で、期間の短いTBは
相対的に金利リスクが低いうえ「(銀行勢の)担保需要も強い」(国内金融機関)という。海外では4月の米耐久財受注額や5月の米消費者態度
指数(ミシガン大学調べ)確報値が発表されるほか、FRBのウォラー理事が講演する。
2024/05/27 12:41 日経速報ニュース
27日午後の国内債券市場で長期金利の指標となる新発10年物国債利回りが前週末を0.005%上回る1.010%へ上昇(債券価格は下落)した。
2012年4月以来およそ12年ぶりの高さをつけた。日銀による国債買い入れの減額や追加利上げなど早期の政策正常化が意識され、国内長期
債に売りが優勢となっている。
政策金利の影響を受けやすい新発2年債利回りも午後の取引では前週末比0.005%高い0.34%に上昇した。
2024/05/27 13:26 日経速報ニュース
27日午後の国内債券市場で、長期金利が上昇(債券価格は下落)している。指標となる新発10年物国債の利回りは前週末比0.015%高い
1.020%をつけた。2012年4月以来およそ12年ぶりとなる高水準。日銀の内田真一副総裁が27日の講演で「デフレとゼロ金利制約との闘いの
終焉(しゅうえん)は視野に入った」などと述べ、日銀の政策正常化が意識されて国内債への売りを促した。
28日に財務省が実施する10年物クライメート・トランジション(CT)利付国債入札に一定の警戒感があるとの見方があった。10年物CT国債
(発行予定額3500億円程度)の入札について、市場では「(金利水準が)1%を超えてもはっきりとした買いがみられない状況で、CT債は通
常の国債と比べ流動性に難がある」(国内証券ストラテジスト)として、需要動向を不安視する声がある。
日銀の内田副総裁の講演を巡っては、長期的な視点に基づくもので短期的な政策運営への示唆は限られるとの受け止めもあった。先物中
心限月である6月物は143円52銭と午前終値を7銭下回って午後の取引が始まり、その後先週末比15銭安の143円44銭まで売られる場面
もあった。
短期金融市場では、現金担保付き債券貸借(レポ)金利が低下した。日本証券業協会がまとめた東京レポ・レートで、翌営業日に始まる
翌日物(トムネ)金利は前週末比0.031%低い0.048%だった。
2024/05/29 日本経済新聞 朝刊
三菱UFJフィナンシャル・グループの関浩之市場事業本部長が日本経済新聞の取材に応じ、日本国債について「金利上昇が本格的に進めば
利回りの最高水準を見極めながらポジション(持ち高)を復元していく方針だ」と運用の見通しを明らかにした。日銀が「早ければ7月にも政策金
利を0.25%程度へ引き上げる可能性がある」とも述べた。
関氏は今後の運用について、金利の上昇に応じ、国債と比べ利回りが相対的に高い「円金利スワップ取引」での固定金利の受けと呼ばれる、
国債の購入に類似した取引をしていくとした。その後は粘着性の高い預金の水準をみながら「(償還まで持ちきることを前提とした)満期保有目
的」勘定で債券を購入する方針を明らかにした。
さらに金利水準が相応に上がれば「(期中での売買が可能な)その他有価証券」勘定での債券購入で対応するという。
関氏は「まだ金利上昇余地は相応にある」と述べた。本格的な復元開始時期は「10年の円金利スワップの固定金利の利回りが1.20%以上
に上がってくるなど、もう少し金利が上がるまで先送りせざるを得ない」との認識を示した。
三菱UFJが徐々に国債の持ち高復元を検討する背景には、日銀が段階的に利上げするとみていることがある。関氏は2025年3月までに
「(政策金利を)0.5%以上に引き上げる可能性がある」とも述べた。
日銀は3月にマイナス金利を含む異次元緩和政策を解除した。三菱UFJ銀行は政策変更の翌営業日から円の普通預金金利を0.001%から
0.02%へと引き上げた。関氏は日銀が追加利上げした場合は「預金金利の引き上げを検討する」と明らかにした。
次の利上げ後には、変動金利型住宅ローンなどの指標となる短期プライムレート(短プラ)も引き上げる銀行が多いとみられている。関氏は短
プラの引き上げは「(日銀の)利上げ幅次第では検討することになるだろう」とし、明言しなかった。
対ドルで1ドル=150円台半ばで推移する円相場について関氏は「過度な円安の状態にある」との認識を示した。輸入物価の上昇を通じた
コスト増が物価上昇率全体を押し上げ「家計の実質所得の低下による消費マインドの悪化や、中堅・中小企業をはじめとする輸入企業の収益
悪化による設備投資の手控えなど、負の側面が相対的に大きい」と指摘した。
関氏は、円安などによる基調的な物価上昇率の上振れリスクを「日銀はこれまで以上に強く懸念し始めている」とみる。日銀が利上げの家計
や企業への影響を考慮しつつ「一段の円安の影響を少しでも回避するため、利上げや国債買い入れ減額などの政策修正を徐々に進めることを
優先するだろう」と強調した。
2024/05/29 11:30 日経速報ニュース
日銀の政策修正に身構えるような国債売りが止まらない。29日は長期金利の指標となる新発10年物国債利回りが一時、前日を0.030%
上回る1.065%へ上昇(価格は下落)して2011年12月以来、12年半ぶりの高さとなった。あす30日に財務省による入札がある2年物国債は
10年債と比べた価格の割高さが目立つ。入札で需要がどの程度集まるかには警戒感がくすぶる。
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過去1年の2年債入札前日の2年と10年の利回り差と入札における応札倍率を振り返ると、利回り差の拡大(縮小)と応札倍率の低下(上
昇)の連動がみてとれる。2年債の利回り上昇(価格の下落)が10年債より限定的なら利回り差は拡大し、2年債の価格は割高となる。割高
だと入札における応札が弱まり、応札額を落札額で割った応札倍率は低下するという関係にある。
現時点で新発である2年物460回債の利回りは29日、前日を0.015%上回る0.365%に上昇した。こちらは09年6月以来、ほぼ15年ぶりの
高さながら、10年債との利回り差は1カ月前と比べ大きく広がって価格は割高になっている。29日時点の複利の利回り差は0.689%と前回
4月の2年債入札前の0.596%から拡大し、入札前としては昨年10月の入札前以来、7カ月ぶりの大きさとなっている。
日銀の政策修正観測を巡っては、利上げより国債購入減額が先との見方が市場には多い。それが減額の影響をより受けやすい10年債の
利回りが、政策金利の予想に左右されやすい2年債に先行して上昇している背景の1つになっている。
日銀の政策修正観測は利回り曲線(イールドカーブ)全体を押し上げており、こうした局面では「デュレーション(保有債券の平均残存期間
)を短くしたい投資家の需要が中長期債から2年債に移動する」(SMBC日興証券のシニア金利ストラテジスト、田未来氏)というのも大きい。
長い年限の債券ほど利回り上昇に伴う価格下落が大きくなるので、リスク回避のため保有債券を短期化しようとするからだ。
「仮に日銀が6月の金融政策決定会合で国債減額方針を決めると、債券市場では次は利上げ時期を探っていくだろう」(岡三証券のチーフ
債券ストラテジスト、長谷川直也氏)との声もある。日銀の利上げ観測が利回りをより押し上げる2年債について、長谷川氏は「いったん待機
資金を集めているが、需要が強いというのはあくまでも他の年限の債券に比べて『相対的に』ということ」と指摘する。
日銀の内田真一副総裁は今月27日、「デフレとゼロ金利制約との闘いの終焉(しゅうえん)は視野に入った」としたうえで「今回こそはこれま
でと違う」と金融政策の正常化への意欲を示した。岡三の長谷川氏は「(内田氏が)ここまで自信を示している以上、債券市場の警戒感は高
まる」と話す。
国債の「短期化需要」で2年債入札が大崩れすることはないとの見方も少なくないが、日銀をにらんだ債券市場の動揺は強まっている。
2024/05/29 13:15 日経速報ニュース
29日午後の国内債券市場で、長期金利が一段と上昇している。指標となる新発10年債利回りは前日比0.035%高い(価格は安い)1.070%と
2011年12月以来、約12年5カ月ぶりの高水準をつけた。日本時間29日の取引で米長期金利が上昇し、国内債利回りの上昇圧力が強まってい
る。
中期ゾーンの国債利回りも上昇している。新発2年債利回りは前日比0.020%高い0.370%、新発5年債利回りは0.035%高い0.625%とそれぞ
れ上昇幅を広げた。先物相場は一段安となり、中心限月である6月物は前日比41銭安の143円09銭まで下落する場面があった。
短期金融市場では、現金担保付き債券貸借(レポ)金利が上昇した。日本証券業協会がまとめた東京レポ・レートで、翌営業日に始まる翌日
物(トムネ)金利は前日比0.010%高い0.051%だった。
2024/05/29 14:19 日経速報ニュース
債券市場で幅広い年限の国債利回りが上昇ペースを速めている。長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは29日午後に一時1.070%
と2011年12月以来、約12年5カ月ぶりの高水準をつけた。日銀による国債買い入れの減額観測が根強く、将来の需給不安が重くのしかかる。
「金利変動リスクを急いで取る必要はない」。そんな腰の引けた姿勢を代弁するかのようなメガバンク幹部の発言が伝わったのも債券売りの背中
を押した。
市場できょう注目されたのは、29日付の日本経済新聞朝刊が掲載した三菱UFJフィナンシャル・グループの関浩之市場事業本部長のインタビ
ューだ。傘下2行合算の国債保有残高は24年3月末時点で約36兆円にのぼる。債券市場における存在感は大きく、発言から投資行動を推し量
ろうとする参加者は多い。
【関連記事】金利上昇で「国債保有の復元検討」 三菱UFJ市場本部長
2024/05/30 10:11 日経速報ニュース
30日午前の国内債券市場で長期金利が一段と上昇(債券価格は下落)した。指標となる新発10年物国債利回りは前日比0.025%高い1.100%
をつける場面があった。長期金利が1.1%台に乗せるのは2011年7月以来およそ13年ぶりとなる。日銀が近く追加利上げや国債買い入れの減額
など政策正常化に動くとの思惑から金利の先高観が強く、長期金利の上昇を促している。
日銀は31日に国債買い入れオペ(公開市場操作)の運営方針を更新し、6月のオペ実施日程を公表する予定だ。さらに6月4日には財務省が10
年物国債入札を予定している。市場では「日銀の国債買いオペの不透明感に加え、10年債入札への警戒感もあって売りが出やすくなっている」
(国内証券ストラテジスト)との指摘があった。
さらに足元では欧米で長期金利が上昇基調となっているのも国内金利の上昇圧力となった。米国では底堅い景気が米連邦準備理事会(FRB)
の利下げ転換を遅らせるとの観測がくすぶり、29日には米長期金利が4.6%台に上昇。根強いインフレで欧州中央銀行(ECB)が利下げに慎重に
なるとの見方も広がり、欧州ではドイツの長期金利も上昇している。
2024/05/31 日本経済新聞 朝刊
金融商品の金利引き上げの裾野が広がってきた。長期金利が一時、13年ぶりに1.1%に上昇した30日、住友生命保険は契約者に約束
する利回りを約11年ぶりの高水準に上げると発表した。6月適用分の固定型住宅ローンの金利も13年ぶりの高水準をうかがう。実生活に
「金利ある世界」の恩恵と負担増双方の波が押し寄せている。
住友生命は30日、契約時に保険料をまとめて払い込む一時払い終身保険の予定利率を6月から引き上げると発表した。国内の長期金利の
上昇を踏まえ、契約者に約束する利回りを現行の1.0%から1.1%に改める。
同保険では予定利率の引き上げが相次ぐ。明治安田生命保険が5月に1.1%に、日本生命保険も1月に1.0%に引き上げた。各社は金利
環境に応じて予定利率を見直しており、金利上昇が続けばさらに引き上げる可能性がある。
預金金利にも上昇圧力がかかっている。東京スター銀行は7月から普通預金の金利を条件に応じて最大年0.3%に引き上げる。現在は給
与振り込みか年金の受け取りを条件に年0.25%としているが、預金獲得の競争が始まるなかネット銀行などに対抗する。
日銀がマイナス金利政策を解除した3月以降、メガバンクが先陣を切って普通預金の金利を上げた。普通預金の金利はそれまでの20倍の
0.02%とし、一部は定期預金の金利も引き上げた。
長期金利の上昇で社債に投資妙味を感じる個人も増えそうだ。機関投資家は利回り上昇(価格の下落)による評価損を警戒して社債に積極
的に投資しづらいが、個人は償還まで持ちきるのが前提で評価損を気にせずに済むためだ。
ソフトバンクグループは6月14日に5500億円規模の個人向け普通社債を発行する。2031年償還の7年債で、利率は年2.65~3.25%
を仮条件とし、5月31日に決める。3月に発行した同じく5500億円の個人向け社債は7年債で年3.04%だった。金利水準に注目が集まる。
金利上昇は恩恵をもたらす半面、借り入れがある個人や企業にとっては負担増につながる。代表格は住宅ローンだ。固定金利型の住宅ロー
ンは長期金利と連動する。足元の長期金利の上昇で、比較可能な10年固定型の基準金利は5月の大手銀行5行の平均で3.85%と直近で
最も高かった23年11月の3.87%に近い水準だ。
大手行が31日に公表する6月の住宅ローン金利は5月に比べて上昇が優勢になるとの見方が強く、11年以来、13年ぶりの高い水準になる
可能性がある。
住宅ローン市場は短期金利に連動する変動型が約7割を占めている。ネット銀などが低金利を提示しているのも変動型が多く、大手行は変動
型の基準金利は据え置いている。当面は住宅の購入者の大きな負担増にはつながらないとの見方が多いが、足元ではじわり固定型への関心
も高まっているという。
短期金利に連動しやすい日本円東京銀行間取引金利(TIBOR)も30日、3カ月物が前日比0.01%高い0.28%台後半と約11年ぶりの高
水準に上昇した。3月のマイナス金利解除前後で急騰し、いったん落ち着いていたが5月に入り再び上昇している。
TIBORは銀行が融資する際の基準になる金利の一つ。楽天銀行は住宅ローンの変動金利の指標にしており、同行は変動基準金利を6月に
1.333%と、5月に比べて0.02%高い水準に設定する予定だ。
企業の金利負担も増え始めている。日銀がまとめた国内銀行の新規貸し出しの平均金利は3月に0.803%と、2月から0.1ポイント以上、
上がった。最後に1%を超えたのは2014年4月で、長年貸出金利は低くとどまってきた。適用する変動金利は数カ月ごとに見直す例が多く、
金利上昇の波は少しずつ広がりそうだ。
メガバンクは融資残高の大半が変動金利型とみられ、指標の一つであるTIBORの上昇が貸出金利上昇の一因になっている。
東京商工リサーチが4月に実施したアンケート調査では、借入金利が前年と比べて「すでに上昇」と答えた企業が17.7%だった。メインバンク
から金利の引き上げ意向を伝えられるなど「引き上げ」の説明を受けたという企業は30.8%と2月調査の25.6%から増えた。
2024年5月31日 8:32 JST 更新日時 2024年5月31日 8:39 JST
コアCPIは1.9%上昇、市場予想と同じ-コアコア1.7%上昇
電気代を含むエネルギーが上昇けん引、食料品は伸び横ばい
全国の物価の先行指標となる5月の東京都区部の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は3カ月ぶりにプラス幅が拡大した。食料品
価格の伸びが引き続き鈍化した一方、電気代を中心にエネルギーが上昇し、全体を押し上げた。
総務省の31日の発表によると、コアCPIは前年同月比1.9%上昇と伸び率は前月の1.6%から拡大した。市場予想と同じだった。再生可
能エネルギー発電促進賦課金の引き上げに伴う電気代の上昇などがけん引した。一方、生鮮食品を除く食料は3.2%上昇と横ばいだった。
日本銀行が目標とする2%は2カ月連続で下回った。
生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPIは1.7%上昇と前月の1.8%上昇から伸びが縮小した。市場予想は1.8%上昇だった。
日銀が3月に17年ぶりの利上げに踏み切り、イールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)を廃止した後も、円安傾向に歯止めがかか
っていない。国債買い入れ減額の思惑も加わって長期金利は1%台で13年ぶりの高水準に達している。追加利上げのタイミングに市場の注
目が集まる中、足元の物価上昇の鈍さから慎重に経済・物価情勢を見極めていく展開が続きそうだ。
賃金動向を反映しやすいサービス価格は0.7%上昇となり、大きく鈍化した前月の0.8%上昇から縮小した。今年の春闘で平均賃上げ率
が33年ぶりに5%を超える中、賃上げ分を価格に転嫁する動きの広がりが注目されている。
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低価格志向や低インフレ予想に変化の兆し-日銀が第2回レビュー
利上げペース早める必要も、円安で物価再上昇なら-安達日銀委員
2024/06/04 12:00 日経速報ニュース
日銀の植田和男総裁は4日、参院財政金融委員会に出席した。金融政策運営を巡り「先行き見通しに沿って基調的物価上昇率が高まれば
金融度合いを調整する」と述べた。また「経済・物価見通しのリスクが変化しても金利を動かす理由になる」との認識を示した。
日本維新の会の藤巻健史氏の質問に答えた。植田総裁は、長期金利について「金融市場で形成されることが基本だ」と話した。その上で
「長期金利が急激に上昇する場合には市場における安定的な金利形成を促す観点から機動的にオペを実施する」との考えを示した。
2024/06/05 13:59 日経速報ニュース
5日の国内債券市場で、長期金利は低下した。低調な米経済指標を受けた米利下げ観測の再燃と米長期金利の低下が国内債の買いに
つながっている。さらに日銀がかねて示している国債の減額方針について、緩やかなペースで進めるとの見方がやや勢いを取り戻したのも
相場の支援材料となった。とはいえ市場参加者は日銀の政策修正がどうなるかについて依然として確信をもてていない。不安と楽観とが複
雑に絡み合う構図になっている。
5日の長期金利は一時0.990%と1%の節目を下回り、5月23日以来ほぼ2週間ぶりの低水準をつけた。4日発表の米雇用指標が労働需
給の緩和を示し、年内の米利下げ観測を改めて強めた。5月下旬に4.6%台まで上昇していた米長期金利は4.3%台まで低下。外国為替市
場では前週に1ドル=157円台後半まで下落していた円相場が154円台まで持ち直した。外部環境は日本の金利低下に追い風だ。
問題は国内要因をどうみるかだ。市場では日銀が円安を抑制するために、量的な金融引き締めをイメージさせる国債買い入れの減額を速い
ペースで大幅に進めるのではないかとの思惑が根強い。それだけに、円安一服が減額への警戒感を抑えている面は大きい。4日夕にはブル
ームバーグ通信が、日銀は早ければ来週の金融政策決定会合で国債購入の減額について「より具体的な方針を示すことの是非を含めて議
論する可能性が大きい」などと伝えた。みずほ証券の松尾勇佑シニアマーケットエコノミストは「報道が正しいとすれば、減額は(段階を踏み
ながら)極めて慎重に進められていくとの印象を受ける」と話す。
折しも日銀の氷見野良三副総裁が4日夕、国債購入の減額について「非連続的な変化や不測のことを起こすのは避けなければならない」と
述べていた。日銀は債券市場からの緩やかな退出を望んでいる――。岡三証券の長谷川直也チーフ債券ストラテジストは「オペ(公開市場
操作)を巡る不透明感は残りつつも、債券需給の悪化度合いは限られそうで、金利上昇が一方的に続くことはなさそうだ」と幾分安堵したよう
に語った。
だが、過去に複雑に張り巡らされた金融緩和の糸をほどくのは容易ではない。しかも為替が絡むと複雑さは格段に増す。市場には「日銀自
体もどんな出口に向かうのか試行錯誤しているところで、その過程で出てくる情報発信をうのみにするのは危険だ」との疑念が根強い。岡三
の長谷川氏も「最終的に月間の買い入れ額がどこまで引き下げられるのか、日銀のバランスシート(資産規模)を最終的にどうしていくかとい
った不透明感は残り続ける」と指摘する。
短期金融市場の関係者は、あくまで例えとしつつ「2年後に、資産残高を新型コロナウイルス感染拡大前の水準にすることを目指す、といっ
た緩やかなバランスシートの着地点を示すのも1つ」と提言する。一方、日銀内部からは、先々の経済情勢が不確実であることを考えると、
中長期的な残高見通しを示すことにはやや消極的な声が聞かれる。
日銀は、長期国債の買い入れは「これまでとおおむね同程度の金額」で継続するとしており、足元の長期国債の月間買い入れ額は6兆円
程度と示している。5月月間の買い入れ額は5.7兆円だった。ブルームバーグ通信によれば「例えば月間5兆円などが次の買い入れの目安と
して考慮される可能性がある」と伝えており、このことが「想定を上回るような減額規模ではなく、1つの具体的な数字が出てきたことも債券
市場に安心感をもたらした」(国内証券のストラテジスト)という。それでも債券投資家は半身の姿勢を崩せていない。
イールドカーブ・コントロール(YCC)を撤廃し、金融政策の調節手段を翌日物の無担保コールレートにした後も、市場の国債買い入れへの
関心は続いたままだ。日銀が国債買い入れ運営の柔軟性を重視するのであれば、減額方針を具体化しても、内容はふわっとしたものにとど
めたい。これに対し、いままで大量の買い入れに直面していた市場関係者は「発行に対してどのくらいの吸収があるのか」といった踏み込ん
だ情報が欲しい。
振り返ると日銀が3月にマイナス金利政策の解除を決めて以降、市場では日銀の情報発信に振り回される傾向が続いている。調節手段で
はなくなった国債買い入れの「次の一手」を巡って関心をそらしたい日銀と、それに疑心暗鬼を募らせる市場。両者の溝が埋まるにはまだだい
ぶ時間がかかりそうだ。
2024/06/06 12:46
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-06-06/SD6X8AT1UM0W00?srnd=cojp-v2
3月の金融政策の枠組み変更後の金融市場の状況を確認している
4月会合では3月会合で決まった月間6兆円程度の買い入れ継続確認
日本銀行の植田和男総裁は6日、金融政策の正常化を進めていく際には国債買い入れの減額が適当との認識を改めて示した。参院財政
金融委員会で答弁した。
植田総裁は3月の金融政策の枠組み変更後の金融市場の状況を確認しているとした上で、「今後大規模な金融緩和からの出口を進めて
いく中で、減額することが適当であるというふうに考えている」と述べた。
複数の関係者によると、日銀は早ければ来週の金融政策決定会合で、長期国債の買い入れの減額についてより具体的な方針を示すこと
の是非を含めて議論する可能性が大きい。月間6兆円程度の買い入れを継続するとしている現在の長期国債の買い入れについて、減額が
適切な市場環境かどうかを慎重に見極める。
4月会合では、国債購入も含めて3月会合で決めた方針の継続を確認。同会合の声明文では、「これまでとおおむね同程度の金額を継続
する」とし、注記では足元の購入額は「6兆円程度」としていた。
中村豊明審議委員は同日、国債買い入れについて「経済の回復状況に応じて出口に向けて時間をかけて減額を進めていくことが適当だ」
と指摘。日本経済が強い状況にはない中で、「どのように経済が改善していくかを見ながら決めていく。私自身はニュートラルだ」と述べた。
来週の日銀会合、利上げの話題出ると思うが「まだ早い」-中村委員
2%目標達成には少し距離
植田総裁は日銀が掲げる2%の物価目標の実現に向けて「インフレ予想も2%近辺のところで安定的に推移するということがまず必要」と
指摘。その上で、さまざまなインフレ予想の関連指標が最近になって少し上昇してきているが、「まだ2%には達していないと、少し距離があ
るという動きになっている」と語った。
植田総裁の発言を受け、為替相場は上下に振れる動きとなっている。2%目標の達成を巡る発言が利上げに慎重と受け取られ、一時1ドル
=155円90銭台まで円は売り戻されたが、国債買い入れ減額についての発言で円売り戻しは一服。その後、再び円売りが進み、156円台前
半で推移している。
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2024/06/10 14:24 日経速報ニュース
今週に相次ぐ重要イベントを前に外国為替市場ではじわりと円高進行への備えが進んでいる。通貨オプション市場の動向をみると、米金利を
左右する米連邦公開市場委員会(FOMC)よりも日銀の金融政策決定会合への注目度が高まりつつある。5月の米雇用統計が円買い・ドル売
りを誘うきっかけとならず、オプション市場からみえる景色も少し様子が変わっている。
今週は12日に5月の米消費者物価指数(CPI)の発表とFOMCの結果公表が重なり、14日には日銀が金融政策決定会合の結果を公表する。
通貨オプション市場でドルの対円相場の予想変動率(インプライド・ボラティリティー)は1週間物が10%前後と、日本政府・日銀の為替介入観測
で大幅な円高・ドル安が進んでいた5月初旬以来の高さだ。
ドルに対する円のプット(売る権利)からコール(買う権利)の需要を差し引いた「リスクリバーサル」をみると、市場参加者が円高と円安のどちら
に備えているかが分かりやすい。この指標はマイナス幅が大きいと円買い・ドル売りの需要が強いのを示し、1週間物は足元でマイナス2%台と
4月下旬以来の低さだ。
オプション市場の参加者はどのイベントに焦点を当てているのか。SBIリクイディティ・マーケット(SBILM)の鈴木亮常務取締役によると、予想
変動率に基づいて上乗せされるオプション料から試算した「イベントプレミアム」は日銀決定会合は通常の日の3.5日分となっている。5月の米
CPI(1.1日分)やFOMC(1.5日分)よりも大きく、日銀会合を週内で最大のイベントとして捉えている。
通常であれば絶対水準の高い米金利の方が日本の金利よりも大きく動きやすく、外為市場では円相場を方向付ける材料として米国発のイベ
ントが注目されやすい。にもかかわらず、足元で日銀の決定会合への関心が高まっているのは5月の米雇用統計がきっかけだ。
このところ発表された米経済指標は市場予想よりも下振れする結果が目立っていたが、7日発表の5月の米雇用統計では雇用者数や平均時
給の伸びが市場予想を上回った。米連邦準備理事会(FRB)が早期に利下げ転換するのは難しいとの見方が改めて広がり、市場では年内の
利下げ回数が1?2回にとどまるとの予想が大勢を占めるようになった。
FRBが12日に結果を公表するFOMCでは参加者らの政策金利見通し(ドットチャート)が焦点となり、年内の利下げ回数の予測は前回3月時
点(3回)から減らされるとみる市場参加者は多い。5月の米雇用統計を踏まえて大幅利下げの思惑がついえたことで「FRBの『ハト派』を見込
んだ円高・ドル安観測は後退した」(あおぞら銀行の諸我晃チーフ・マーケット・ストラテジスト)という。
SBILMの鈴木氏の分析では、米CPIやFOMCを意識したオプション取引に偏りがない半面、日銀会合ではやや円コール・ドルプットに傾いて
いるという。日銀は今回の会合で国債買い入れの減額方針を具体的に議論するとみられ、日本の金利上昇が円高につながるリスクをはらむ。
しかし、鈴木氏は「従来の会合と比べると円コール・ドルプットの偏りは小さい」とも話す。
10日の東京外為市場で円相場は一時1ドル=157円19銭近辺と3日以来1週間ぶりの安値をつけた。前週末の17時時点と比べると一気に
1円70銭あまりの円安・ドル高が進んだ格好だ。前週には154円台に上昇する場面もあり、市場では「国内輸入企業などのドル買い意欲がみ
られ、円の上値は重そう」(市場関係者)との声も聞かれる。備えは進んでいるとはいえ、円高・ドル安の警戒感が一層高まる様子は今のところ
乏しい。
2024/06/12 12:01 日経速報ニュース
日銀は13?14日に金融政策決定会合を開く。春季労使交渉(春闘)結果の給与への反映が十分に確認されておらず、個人消費の動向など
にも懸念が残るとあって利上げは見送られるとの予想が多い。一方、国債買い入れは長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)撤廃
に伴って役割が変わった。植田和男総裁は「金融政策の能動的な手段としては使いたくない」と述べ、いずれかの時点で金額を減らすとの姿勢
を明確にしている。今回会合では新たな減額方針が示されるかが焦点だ。
■日銀6月会合のポイント
・国債買い入れ減額方針の決定の有無とその示し方
・先行きの利上げ方針や円安を巡る植田総裁の見解
・国内の景気認識は維持されるか
前回会合から変更の可能性が意識されるのは、国債買い入れの方針だ。植田総裁は6日にも、大規模緩和からの出口を進めていく中で「減
額することが適当」との考えを改めて示した。日銀内では相場環境が不安定な状況下での決定には慎重な見方が根強く、米連邦公開市場委
員会(FOMC)の結果を受けた債券市場の反応なども勘案したうえで判断を下すと考えられる。政策運営の不連続性を避けるため、減額を決め
た場合でもその程度は緩やかなものとなる可能性が高い。
市場では、3月会合時に「6兆円程度」としていた月間購入額を「5兆円程度」とするなどの予想が出ている。長期金利の急騰時に「機動的に」
対応するとの文言を含めて日々のオペ(公開市場操作)運営に関する金融市場局の裁量を残すか、先行きのさらなる減額について予見性を高
めるための措置を取るか、といった点も債券需給を占ううえでポイントになる。
日銀ウオッチャーの間でも予想は様々だ。額ではなく定性的な表現にとどまる可能性も残るなど、想定されるケースは多岐にわたる。
明治安田総合研究所の小玉祐一氏は、円安基調が続くもとで「最低でも減額方針は示すだろう」と予測する。購入額を単純に減らす方法も
あるとしたうえで、メインの政策手段である短期金利以上に市場の関心を集めている状況を変えるために「(当面の)月間購入額を4?7兆円と
広めのレンジで示すなど、思い切って柔軟化する可能性も捨てきれない」と話していた。
一方、伊藤忠総研の武田淳氏は、今会合では利上げ判断と減額方針の決定のいずれも見送られると予想する。現時点では「ホームメード(国
内要因)のインフレ圧力が加速する気配は全く見られていない」と指摘。こうした中で長期金利の上昇圧力が強まれば「景気の腰折れリスクを高
めかねない」として、日銀は政策修正の判断を急がないとみる。
短期政策金利について、市場では「無担保コールレート(オーバーナイト物)を、0?0.1%程度で推移するよう促す」方針を据え置くとの声が
支配的だ。厚生労働省が5日に発表した4月の毎月勤労統計調査(速報)では、共通事業所ベースでの名目賃金の伸び率が前年同月比
1.7%増と、3月確報(1.9%増)からむしろ縮小した。現時点で春闘の結果が十分に反映されているとはいえず、日銀は賃金や消費など物価
動向につながるデータの確認を続けるとの観測が多い。
会合後の記者会見で植田総裁が先行きの利上げについてヒントを示すかも重要だ。7月にかけては「賞与支給後の消費動向について、民間
のオルタナティブ(代替)データも確認できる」(明治安田総研の小玉氏)など、ひと月とはいえ判断材料が増える。7月会合は6月と打って変わ
って利上げを予想する市場関係者が少なくない。
円安を巡る認識も引き続き注目される。4月会合後の記者会見では、円安による基調的な物価への影響は無視できる範囲だったか、との問
いに「はい」と回答し、円安容認ではないかとの思惑を呼んだ。対して8日に「過去の局面と比べ為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなって
いるリスクは意識する必要がある」と述べるなど、5月以降は発言内容を変えてきている。
6月は「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」の発表はないが、今後の政策運営を見通すうえで国内の景気判断に変化がみられるかもポ
イントだ。行内では物価や経済の基調について、4月会合時の想定から大きな変化は生じていないとの評価が多い。「一部に弱めの動きもみ
られるが、緩やかに回復している」との総合的な判断を維持した場合も、消費者心理の改善一服や自動車の認証不正などを背景に個別項目
は表現が修正される可能性もある。
2024/06/13 日本経済新聞 朝刊
日銀による金融正常化が第2段階に入る。長期国債の買い入れ額を減らす検討に入るのは、追加利上げよりもハードルが低い上に円安抑止
に一定の効果が期待できるとみているためだ。マイナス金利政策を解除して「金利ある世界」の入り口に立った日銀は、円安もにらみながら「量」
の面でも正常化に踏み出すことになる。(1面参照)
日銀の保有資産は2001年の量的緩和開始以降、増加傾向が続き、13年の異次元緩和の開始に伴って増加ペースが加速した。国債買い
入れを減額すれば、中央銀行が国債発行残高の過半を抱える異常な状態は少しずつ正常化に向かうことになる。
日銀は3月にマイナス金利政策を解除した。政策金利をそれまでの当座預金の一部に適用していたマイナス0.1%から、無担保コール翌日
物金利の誘導目標に修正したうえで0~0.1%程度へ引き上げた。
同時に長期金利を低く抑え込むためのイールドカーブ・コントロール(長短金利操作、YCC)も撤廃したが、金利の急変動を避けるために長期
国債は3月以前と同程度の量の買い入れを続けてきた。
世界の中銀は利上げ局面で保有資産の圧縮も同時に進めてきた。米連邦準備理事会(FRB)は22年3月に利上げを開始し、同年6月から
保有資産を圧縮する量的引き締め(QT)も並行して進めてきた。同年7月に利上げを始めた欧州中央銀行(ECB)も23年3月からQTを開始。
日銀はECBより早い段階で保有資産の減額に踏み出すことになる。
背景にあるのは異常に膨らんでいる国債保有残高だ。日銀は23年末時点で581兆円の国債を保有しており、市場における保有比率は過
半に達している。FRBは2割弱、欧州の主要中銀でも2~3割程度にとどまっているのと対照的だ。
3月の異次元緩和解除後に、外国為替市場で円安・ドル高が進んだことも日銀の判断に影響を与えているとみられる。異次元緩和解除前は
1ドル=140円台後半で推移していたが、4月末には一時160円台まで円安が進んだ。
植田和男総裁は5月7日に岸田文雄首相と面会し、円安について「政策運営上、十分注視をしていく」と発言。市場で円安軽視とも受け止め
られたそれまでの発言を軌道修正した。
市場では過度な円安を防ぐために日銀が早期の政策修正に動くとの見方が強まっていた。日銀の主要な政策手段は短期金利の調節だが、
追加利上げは変動型の住宅ローン金利の上昇などにつながる可能性があり、家計への影響が大きい。
一方、長期国債の減額は「家計への影響はほぼなく円安に歯止めをかけられる可能性がある」(関係者)とみる。
5月にQUICKが実施した市場参加者への調査によると、65%が6月の金融政策決定会合で減額方針を決定すると見込んでいた。こうした
市場観測を受けて、長期金利は上昇基調にあった。5月末には一時1.1%と約13年ぶりの水準をつける場面があった。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-06-12/SEY1LLT1UM0W00
金融政策は現状維持の見方、自動車メーカーの認証不正も不透明感
総裁会見は円安の影響や利上げペースなどに関心、長期金利動向も
日本銀行が14日に結果を発表する金融政策決定会合では、金融政策の現状維持が見込まれており、植田和男総裁の発言などから追加
利上げのタイミングを探ることになる。国債買い入れ減額の有無と具体策も焦点だ。
植田総裁は、日銀の見通しに沿って消費者物価が上昇していけば、金融緩和の度合いを調整していく方針を表明している。前回4月会合
以降の経済・物価は日銀の想定内の動きとみられるが、個人消費が力強さを欠く中、トヨタ自動車などで新たに発覚した認証不正の影響と
いった不透明感もあり、現在の金融緩和策を維持して賃金上昇の広がりや物価への反映などを見極めていく局面とみられる。
ブルームバーグがエコノミスト51人を対象に実施した調査では、50人が日銀は今会合で政策金利を0-0.1%に据え置くと予想した。一方
で最多の33%が10月会合と並んで7月会合での追加利上げを見込んでおり、植田総裁の記者会見でヒントが得られるかを固唾(かたず)を
飲んで見守ることになる。
為替相場に関する総裁の評価も引き続きポイントとなる。4月会合後の会見では、円安の影響は大きくないとの認識を示したことを受けて
円安が進行し、日本の大型連休中に財務省は大規模な円買いの市場介入を迫られた。総裁は円安が基調的な物価上昇率に影響すれば
政策対応すると発言しており、改めて見解を問われそうだ。
注目された12日の米国市場は乱高下。朝方に発表された5月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回ったことを受けて米金利が
低下し、円相場は一時1ドル=155円台に上昇。その後の米連邦公開市場委員会(FOMC)で今年の利下げ回数が1回に減少するとの予
想が示されたことで、円は上げ幅を縮めた。13日朝は156円台後半で取引されている。
総裁は4月の会見で、日銀の物価見通しが実現していけば、経済・物価情勢の展望(展望リポート)で示した2026年度までの見通し期間
の後半に、政策金利は「中立金利の近辺にある」と言及。中立金利の水準自体は示されていないが、市場が想定するターミナルレート(利
上げの最終到達点)が着実に切り上がる中、利上げペースを示唆するような発言があるかも注目される。
国債減額
国債買い入れを巡っては、植田総裁が「今後大規模な金融緩和からの出口を進めていく中で、減額することが適当だ」と繰り返しており、
焦点は減額のタイミングと手法に絞られている。減額すれば、政策金利に続いてバランスシートも正常化に向けた一歩を踏み出すことになる。
複数の関係者によると、日銀は国債買い入れの減額について、今会合で具体的な方針を示すことの是非を含めて議論する。市場動向
などを会合直前まで見極めた上で、新たな方針を示すことが適切かを判断するという。
買い入れを縮小する場合でも、市場の大きな変動を回避する観点から、緩やかで段階的な減額の方向性が示されるとみられる。長期金利
が急激に上昇する場合には機動的なオペ運営で抑制する方針は維持される可能性が大きいという。
日銀の国債保有額は600兆円に迫り、国内総生産(GDP)を上回る規模だ。市場での存在感の大きさを踏まえると、減額が市場の不安定
化を招く恐れもあり、予見可能性と柔軟性のバランスに配慮することが不可欠となる。米連邦準備制度理事会(FRB)などと同様に、バランス
シートの最終的な規模なども示さないとみられる。
2024/06/14 14:06 日経速報ニュース
日銀は14日まで開いた金融政策決定会合で、国債買い入れの減額方針を決めた。だが、具体的な減額の計画は市場参加者の意見を踏ま
えて次回7月の会合で決める。金融政策の正常化はあくまで慎重に進める姿勢を強く印象づける内容で、外国為替市場では「会合結果発表
後は円安」とのアノマリー(経験則)が再び実現することとなった。
14日午後の東京市場で円相場は一時1ドル=157円98銭近辺と5月1日以来1カ月半ぶりの安値をつけた。決定会合後に円売り・ドル買い
が膨らんだのは日銀が国債減額の具体策を先送りしたためだ。「日銀内で減額を巡る議論が煮詰まっていないのではないか」(ステート・ス
トリート銀行東京支店の貝田和重金融市場部長)といい、しばらく低金利環境が続くとして円相場は157円台前半から下げが加速した。
日銀が国債買い入れの減額方針を決めたのは「金融市場において長期金利がより自由な形で形成される」のを目指すためだ。債券市場
参加者会合などを踏まえ、次回7月30?31日に開く決定会合で今後1?2年程度の具体的な計画を決める。すぐに減額するとみていた市場
の観測は肩透かしに終わった格好だ。
2013年の量的・質的金融緩和の導入以降、日銀にとって国債買い入れは金融緩和策の主軸だった。それが量的引き締め(QT)に向かうと
なれば大きな節目となるのは確か。だが、減額を急がない姿勢は「正常化はあくまで慎重に」といったイメージを生む。そう捉えた市場参加者
が一気に円売りに傾いたと考えられる。
会合結果が明らかになる前から、外為市場では「追加利上げなどさらなる金融引き締めに前向きな考えを示さないと、材料出尽くしで円売り
が優勢になる」(みずほ証券の山本雅文チーフ為替ストラテジスト)との声は多かった。
/home/member/news/202406/ucljpg_3bbd8c76593fe8e71623db09a19809ca.jpg?format=raw
植田総裁が就任して以降、決定会合の結果公表日の東京市場における円相場をみると、今年1月を除いて円安・ドル高が進行していた。今
回も経験則が当てはまりそうで「日銀会合は円安イベント」との印象を強める可能性がある。
目先の焦点は植田総裁の記者会見に移る。4月会合後の会見では、円安による物価への影響は無視できるかとの記者の問いに植田総裁
が「はい」と答えたことで円安が加速していた。その流れも踏まえて「『円安が基調的物価に与える影響を注視する』などと多少なりとも配慮し
た発言があれば、いったん円売りの勢いは止まる」(ステート・ストリート銀の貝田氏)との声もある。
しかし、14日午後の国内債券市場では長期金利が1カ月ぶりの低水準をつけるなど日米で大きく開いた金利差は縮小する気配に乏しく、円
売り・ドル買いの口実は残り続ける。日本政府・日銀の円買いの為替介入について「160円が接近するまで警戒感は強まらない」(国内銀行の
為替ディーラー)との観測もあるなか、円相場の軟調な動きがしばらく続くかもしれない。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-06-14/SEYGD1T0AFB400?srnd=cojp-v2
2024/06/15 09:21 日経速報ニュース
「時間稼ぎ」「先送り」「引き延ばし」「肩すかし」――。さまざまな悪評が寄せられた。日銀が14日の金融政策決定会合で国債購入の減額
方針を決めた半面、具体的な計画は7月末の次回会合で固めると表明したことに対しての市場関係者らの反応だ。
それでも日銀の植田和男総裁や執行部の事務方が一安心したのは間違いない。総裁の記者会見中、円安がどんどん進む事態は避けら
れたからだ。
要所にちりばめたタカ派発言
4月の前回会合後は植田氏の会見でのやり取りが円安の影響を軽視するかのような印象を持たれ、円安が加速した。一時1ドル=160円台
まで下落し、財務省が円買い介入に動くきっかけとなった。
今回はこの轍(てつ)を踏まなかった。植田氏はとくに円相場の問題で揚げ足をとられぬよう、ひと言ひと言に細心の注意を払った。事務方も
相当、神経を使って会見を準備したようだ。
意識的にタカ派的な発言も要所要所にちりばめた。
国債買い入れについては「減額する以上、相応の規模になると考えている」と語り、大規模な減額になることをにおわせた。
次回7月会合での利上げは減額計画の決定と重なるため見送り観測が強まったが、「当然ありうる話」と踏み込んでみせた。
決定内容の発表後、市場は「具体的な内容がなかった」とみて円相場は一時158円台まで下落した。だが会見中には円売りの勢いが鈍り、
夜にかけて156円台後半まで円が買われる場面もあった。
重要なのはファイティングポーズ
一時、政府との協調のあり方すら問われた今の日銀にとって重要なのは、円安に対して明確なファイティングポーズをとり続けることだ。
もちろんポーズだけではすぐに行き詰まる。そこで、3月に異次元緩和を解除した際に金融政策の本筋から外した「長期国債の買い入れ」に
ついて、少しずつ減らしていく量的引き締め(QT)が俎上(そじょう)に上がった。
日銀もQTに動いたところで円売り勢に「勝てる」とは思っていない。それでも、せっかく何かをするのであれば、ある程度の耐久力のある枠組
みをつくる必要があると考えたようだ。
2013年から11年続いた量的緩和の末に、日銀が持つ長期国債は590兆円と発行残高の5割超に及ぶ規模に膨らんだ。財政と金融政策の
事実上の一体化は、黒田東彦前総裁が率いていた時代の日銀が残した負の遺産だ。この異常事態が続く限り、日銀による債券市場の支配
は変わらないし、本当の意味での金融政策の正常化も訪れない。市場を大混乱に陥れることなく少しずつ残高を落としていく作業は、いつか
は始めなければならないものだった。
ただし、いま急いで着手する必要があったかどうかは微妙なところだ。いみじくも総裁自身が会見で語ったように、「望ましい国債保有残高と
か(それに対応する)超過準備の水準に到達するまでにはかなりの時間がかかるので、(方針決定が)短期的に1カ月、2カ月後先になること
自体のコストはそれほどない」からだ。
日銀はむしろ円安対応を迫られた事態を奇貨として、早いうちからQTの本格的な枠組みを整える道を選んだともいえる。
異次元緩和を解除した際、日銀は国債買い入れの規模をひとまず解除直前と同じくらいの月6兆円規模に据えた。ならしてみると償還とほぼ
同じ規模のため、保有国債の残高はおおむね保たれる。
ここから月間の購入額を減らしていくと、購入が償還をはっきりと下回り、保有残高が徐々に減っていくことになる。これが日銀版QTだ。会合
に先立ち、市場では月間の購入額を6兆円から5兆円に減らす案がささやかれたが、市場との対話を経てじっくり仕組みをつくる以上、もっと
複雑なものになる可能性もある。
「具体的な減額の幅やペース、減額の枠組みなどについて市場参加者の意見も確認しながら、しっかりとした減額計画をつくっていきたい」。
植田氏もこう語った。
たとえば、数カ月に1度の頻度で削減幅を段階的に広げていき、月間購入額を1年ほどかけて2?3兆円規模まで縮小させるといった案もあ
りうる。
7月に固まる減額計画の期間は1?2年程度。本当に重要なのはそのあとだ。「長期的に望ましい状態にまで1?2年で到達できるとは思っ
ていない」と植田氏。日銀には、その後継としてもっと期間の長い計画をつくり、望ましい資産規模の最終形を探るアイデアもある。
正常化への工程表が定まれば、市場にとって日銀の金融政策の予見可能性が高まる。円安が収まらない日本側の要因の一つは、海外の
投資家に「日銀はインフレ下でも超緩和状態を放置したまま、何もしようとしない」という見方が広まったこともあった。
日銀の政策を巡る投資家の予想が安定すれば、やがては円相場の落ち着きにもつながりうる。円安圧力への無力ぶりをさらけ出しつつ船出
する日銀版QT。もっと長い時間軸でみれば、意外にも漢方薬のようにじわじわと円安を癒やす効果が出てくるかもしれない。
2024/06/17 02:00 日経速報ニュース
金融市場では週明け以降も円安圧力が残るとの見方が広がっている。国内景気の弱さから日銀は追加利上げに踏み切りづらく、日米金利
差が開いた状況が続くとの思惑があるためだ。7月末の金融政策決定会合へ向け、1ドル=160円を試す展開となりそうだ。
日銀は14日の決定会合で長期国債の買い入れを減らしていく方針を決めた。具体的な減額計画は次の会合で決めることになった。市場では
「日銀はかなり慎重な姿勢だ。米連邦準備理事会(FRB)が利下げを始めるまでは円安・ドル高基調が続く」(りそなホールディングスの井口慶
一シニアストラテジスト)との受け止めが広がった。
低金利の円を調達してドルなど高金利の外貨で運用する「円キャリー取引」が円安をけん引してきた。日本とは対照的に、FRBは2023年7月
まで利上げを続け、政策金利は5.25?5.5%と高水準で維持する。複数の主要通貨に対するドルの強さを示すドル指数は14日、一時105台と5
月上旬以来、約1カ月半ぶりの高水準をつけた。
主要な米経済指標の多くが足元で弱含み、市場では年内2回の米利下げ予想が最多だ。ただ12日の米連邦公開市場委員会(FOMC)でFR
Bは利下げに慎重なタカ派姿勢を示した。利下げ時期が後にずれれば、ドル高圧力が残ることになる。
日銀の追加利上げも焦点だが、市場では「今回慎重な運営をとった日銀が、次回会合で減額の具体策と利上げを同時に決めるような大胆
な運営はとらないのではないか」(三井住友銀行の鈴木浩史チーフ・為替ストラテジスト)との見方が少なくない。
「日米の政策金利差が開いた状態のままでは、円キャリー取引も続きやすい」(あおぞら銀行の諸我晃チーフ・マーケット・ストラテジスト)。
円安基調がすぐに反転する状況は見込みづらい。
厚生労働省が5日発表した4月の毎月勤労統計調査(速報)では、物価変動の影響を除いた実質賃金が25カ月連続でマイナスとなった。内
閣府が10日発表した1?3月の国内総生産(GDP)改定値も年率換算で1.8%減と低迷する。
岡三証券の武部力也シニアストラテジストは「景気停滞とインフレが共存するスタグフレーションに陥る可能性がある」と指摘。「政府がデフレ
脱却を宣言していない状況で日銀が利上げに打って出るとは考えにくい」とみる。
日本経済の停滞感は日本株の足も引っ張っている。「海外投資家の日本のマクロ経済への期待感はかなり落ちた。消費の弱さへの懸念
は強い」。UBSが香港で5月下旬に開いた投資カンファレンスに参加した同社の足立正道チーフエコノミストは指摘する。
東京証券取引所が公表する投資部門別売買動向によると、海外投資家は6月第1週(3?7日)までの3週連続で日本株を売り越した。トヨタ
自動車株は14日、4カ月ぶりの安値に沈んだ。3月の最高値比で2割安い。円安はトヨタのような輸出企業にとって為替換算による収益押し上
げ要因となるが、株価には追い風となっていない。
大和証券の阿部健児チーフストラテジストは「米国ではインフレ鈍化を示す指標が相次ぎ、金利は低下傾向だ。バリュー(割安)株の色彩が
強い日本株よりも、金利低下の恩恵を受けやすいグロース(成長)株がけん引する米国株の方が優位になりやすい環境が続く」とみる。
BofA証券の圷正嗣チーフ日本株ストラテジストは「日本株への買いは手控えられ、次の日銀会合までに日経平均株価が4万円の大台を回
復することはない」とみる。
市場では4月29日に政府・日銀による為替介入とみられる円急騰が起きる前の1ドル=160円前後の水準が当面の節目とみる向きが多い。
ふくおかフィナンシャルグループの佐々木融チーフ・ストラテジストは「エネルギー関連の輸入に伴う円売りなど、実需の円安要因も大きい」と
指摘する。
日銀の植田和男総裁は14日の記者会見で「経済・物価情勢に関するデータや情報次第で短期金利を引き上げて、緩和の度合いを調整する
ことは当然あり得る」と7月会合での追加利上げに含みを持たせた。
日米ともに次回の金融政策決定会合は7月30?31日に開く。「日銀としては過度な円安も、急激な金利上昇も避けたいというのが本音だろう
」(邦銀ディーラー)。景気の腰折れを防ぎつつ段階を踏んで量的引き締め(QT)を進める日銀の足元を市場は見透かしている。
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2024/06/19 05:00 日経速報ニュース
外国為替市場で円が幅広い通貨に対して下落している。対ドルでは1ドル=158円台まで下落した。スイスフランや英ポンドなどに対しては
4?5月に政府・日銀が為替介入に踏み切る前の安値をすでに突破している。対ドルでは介入への警戒感が円安進行のスピードを抑えてい
るものの、介入の神通力が及ばないその他の通貨では「隠れ円安」が着々と進む構図だ。
「日銀が(先週末の金融政策決定会合で)『何もやらなかった』という市場の評価が、円売り圧力になっている」。三井住友銀行為替トレーデ
ィンググループの納谷巧グループ長はこう話す。
18日の外為市場では円が一時1ドル=158円台に再び下落した。14日の決定会合で日銀は国債買い入れの減額開始を7月以降に先送り
した。すでに5%超の水準まで金利を引き上げている米国との差が改めて意識された。
円売りがなかなか止まらない。6月上旬に付けた1ドル=154円台半ばからじりじりと円安が進む。今後の焦点は4月29日につけた160円を
探る展開になるかどうかだ。同日に今年に入って1回目の為替介入が入ったとみられている。
4?5月に政府・日銀が9.7兆円と過去最大規模の円買い為替介入に動いたと判明した。160円に向けて円安が進めば再介入により円が押
し上げられかねない――。そんな警戒感から下値では買い戻しが入りやすくなっている。為替介入の効果により円が2円ほど円高の水準にと
どまっているともいえる。
ただドル以外の通貨に対しては、既に介入効果を喪失しつつある。米ドル以外の通貨に対する「隠れ円安」が進み始めたからだ。基軸通貨
のドル以外に対しては、円安が進んでも政府が円買い為替介入に動く可能性は低いとの見方から、円売りの安心感がより大きい。
18日には対スイスフランで一時1スイスフラン=178円台と、英LSEGで遡れる1982年以来の最安値を更新した。対英ポンドでも1ポンド=200
円台と約16年ぶりの安値圏に沈んだ。
対ニュージーランド(NZ)ドルでは14日に一時1NZドル=97円台と、2007年7月以来およそ17年ぶりの円安・NZドル高水準を付けた。オースト
ラリア(豪)ドルに対しても1豪ドル=105円台と約11年ぶりの安値圏で推移している。
フランスの右派台頭で政治的リスクが意識される対ユーロでは1ユーロ=169円台と介入前に付けた171円台半ばよりは円高水準にある。
もっとも14日に付けた167円台からは円安に振れるなど、円安圧力は根強い。
新興国通貨に対しても円安進行が鮮明だ。南アフリカランドに対しては1ランド=8円台後半と2年ぶり円安水準を付けた。中国人民元やタイ
バーツなどに対しても2024年の最安値圏で推移する。
「隠れ円安」の背景には低金利の円を借りて高金利通貨で運用し、金利差で収益を得る「円キャリー取引」を継続しやすい環境になっている
ことがある。
あおぞら銀行の諸我晃チーフ・マーケット・ストラテジストは「日銀が次回7月の会合までは減額や利上げなど金融引き締めに動かないことが
安心材料となり、少なくとも1カ月程度は円キャリー取引をしやすい環境が整った」と話す。
キャリー取引は相場の変動率が下がるほど魅力度が増す。仮に円高が急激に進むと金利収益以上に相場変動で損失を出しかねないからだ。
米連邦準備理事会(FRB)による利下げも秋以降との見方が大勢だ。日米の金融政策を巡っては円相場を大きく動かすイベントがしばらくない
との見立てから、キャリー取引を手がけやすい環境との認識が広がる。
日米の3カ月金利差を予想為替変動率で割った「キャリー・リスク比率」をみると、17日には0.61と3週間ぶり高水準で推移する。対ドルでの
キャリー取引の魅力度上昇は、基軸通貨のドルを介して取引することが多い他通貨にも広がりやすい。
直近では想定外の政治イベントで巻き戻しの動きもあった。ここ数年の円安局面でキャリー取引の相手通貨として人気となってきた対メキシコ
ペソでは、与党連合の大勝を受けた財政懸念の強まりを受けて5月末比で一時10%超も円高・ペソ安に振れる場面もあった。
11月には米大統領選を控えるなど政治リスクが一段と強まる。とはいえ現時点でキャリー取引の巻き戻しはメキシコペソなど一部の通貨に
とどまる。幅広い通貨で円が安値を更新する「隠れ円安」の継続は、市場参加者に低金利を背景とした円安圧力が根強いことを強く印象づけ
ている。