徒然なるままにコピペ日記 第8章最終更新 2023/12/06 14:571.名無しさんmgfQOaEwコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼前スレ徒然なるままにコピペ日記 第7章 https://egg.5ch.net/test/read.cgi/cafe60/1538643191/出典 https://egg.5ch.net/test/read.cgi/cafe60/16021391422020/10/08 15:39:02168コメント欄へ移動すべて|最新の50件2.名無しさん5k8xeコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼「夏枯れ」の目玉は中小型株――先行きの安定感を評価(スクランブル)2023/07/27 日本経済新聞 朝刊 株式相場の方向感が乏しいなかで、投資家の目線が中小型株に移りはじめた。にわかに注目されるのが割安株としては利益成長率が高いものの、注目度が低いため埋もれている銘柄、いわば「ゆる成長株」だ。春先からの株高を主導した海外勢が休暇に入り「夏枯れ相場」の様相が強まるなか、中小型株シフトは当分の間続きそうだ。 26日の東京株式市場では米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えて売買を手控えるムードが広がるなかで、好決算を発表した銘柄の上昇が目立った。前日の取引終了後に23年1~6月期が大幅増益になったと発表した大塚ホールディングスは、一時前日比6%高まで買われた。 この日は中小型株の一角が相次ぎ年初来高値をつけた。代表例は16年ぶりの高値をつけたタムロンだ。14日付でSMBC日興証券が新規に調査を開始したことが手がかりとなり、株価は14日比で1割高となっている。高い価格決定力があるカメラ向け交換用レンズで得た収益を株主還元や成長事業への投資に活用することが期待されている。 「タムロンはブランド力を確立していながら必需品ではなく、成長イメージも描きにくい点から割安だった」。三井住友DSアセットマネジメントの苦瓜達郎チーフファンドマネージャーはこう話す。運用する「ニッポン中小型株ファンド」に6月末時点でタムロンを組み入れていた。 同ファンドの組み入れ銘柄では製鉄所向けの耐火物を手がける黒崎播磨も、26日に33年ぶりの高値を更新した。両社は「高成長すぎない中途半端な立ち位置の銘柄」(苦瓜氏)で、いわば「ゆる成長株」だ。春先からの株高の波に乗れず割安に放置されていたが直近の決算は好調で、業績の先行きに安定感がある点が評価され始めている。 市場全体の目線も割安な中小型株に向かっている。6月末と比べて東証株価指数(TOPIX)が0・2%安となる一方で、小型バリュー株で構成する指数は2%高となり、25日には算出来の高値をつけた。インバウンドや半導体関連といったテーマから、個別の企業業績へと関心が変化していることがうかがえる。 目線の先には4~6月期の決算発表がある。夏枯れが強まり、海外マネーの流入が一層細るなかでは、サプライズ決算を示した銘柄が一躍脚光を浴びる可能性は高い。 「稼ぐ力を高めているのに割安に放置されている中小型株は多い。流動性に配慮しながら時間を分散して買う」。明治安田アセットマネジメントの永田芳樹シニア・ポートフォリオ・マネジャーは暑さの増す7月も企業訪問を続ける。 こうして見つけた企業の1つが切断機などを手がける小池酸素工業だ。5月の決算発表時点でPBR(株価純資産倍率)は0・3倍台だったが、23年3月期の連結純利益が前期比で2倍に成長したことを受け、株価は4割高になった。 ファンドマネジャーだけでなく、個人も「ゆる成長株」の発掘に動く。ある60代の個人投資家は「自己資本利益率(ROE)や個別企業の稼ぐ力に着目して銘柄選別を進める」と話す。 今週の「中銀ウィーク」を通過した後も、日本企業の4~6月期決算発表は続く。中小型株を主戦場とし、株高に乗れなかった個人には外国人不在の夏枯れ相場はむしろ好都合。銘柄選別の暑い夏は、これから本格化していきそうだ。2023/07/27 06:54:593.名無しさん5k8xeコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼植田日銀に身備える市場 オプションが映す円高警戒-マーケットα2023/07/27 13:30 日経速報ニュース 米連邦公開市場委員会(FOMC)が終わり、市場の視線は日銀の動向に移った。通貨オプション市場では円高への警戒を示す指標が4カ月ぶりの水準となった。日銀が28日に長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の修正に動くことに備える動きが広がっている。 27日の東京外国為替市場で円相場は一時、1ドル=139円台前半と1週間ぶりの円高・ドル安水準をつけた。FOMCを通過し、日銀が28日まで開く金融政策決定会合でYCCを修正することを警戒した円買いが進んだ。 米連邦準備理事会(FRB)は26日のFOMCで0.25%の利上げを決めた。市場予想通りで、先行きも「9月に利上げをする可能性もあるし、ないかもしれない。会合ごとに決める」(パウエル議長)とデータ次第という従来通りの立場を強調した。 このため、国内外の市場ではFOMCは「無難な結果で、むしろ日銀会合への相対的な注目度を高めることになった」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作チーフ為替ストラテジスト)との受け止めが広がった。 特にYCC修正への警戒の高まりを映しているのは、通貨オプション市場だ。円の対ドル取引で「プット(売る権利)」と「コール(買う権利)」の需要の偏りを示すリスクリバーサルをみると、1週間物はマイナス4.4%台と3月以来およそ4カ月ぶりの水準をつけた。 マイナス幅が大きいほど円買い・ドル売りの需要が強いことを示し、市場の円高警戒の強さを映す。3月は米シリコンバレーバンク(SVB)の経営破綻で急速な円高・ドル安が進んだ局面だ。4月に植田和男氏が日銀総裁に就いてからは最も円高への警戒が高まっているといえる。 SBIリクイディティ・マーケットの鈴木亮常務は「1ドル=137円を行使価格とする円コール・ドルプットの大口買いが入っている」と明かす。137円を超えて円高・ドル安が進むと、利益を得られる取引だ。 こうした動きの背景にあるのは、金融政策の正常化に必要な材料がそろいつつあるとの見方だ。厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、直近5月の基本給にあたる所定内給与は前年同月比1.7%増(確報値)と約26年ぶりの伸びだった。6月の消費者物価指数(生鮮食品を除く=コアCPI)は同3.3%の上昇と政府・日銀が目標とする2%を1年以上にわたり上回る。 日銀は28日、経済・物価情勢の展望(展望リポート)を公表する。23年度だけでなく、24年度以降の物価見通しも引き上げる観測もある。24年度以降も2%を超えて推移するとなれば、目指す「2%の物価安定目標」の達成に近づく。 日銀は2022年12月、長期金利の変動許容幅を従来の0.25%程度から0.5%程度に拡大した。突然の政策修正に、日銀が金融正常化にカジを切ったとの見方を強めた市場では23年1月、一時1ドル=127円台まで円高が進んだ。 今回は22年末と比べても円買いのエネルギーが大きくなる可能性がある。米商品先物取引委員会(CFTC)によると、投機筋による円のドルに対する売り越しは約9万枚と22年末比でおよそ2.4倍の高水準に達する。YCC修正があれば、円安に賭けた持ち高の解消が急速な円高を生みやすい。 日銀は28日昼ごろに金融政策決定会合の結果を公表する見通しだ。鈴木氏によると、オプション市場では28日に円相場が最大4円程度変動することを織り込んでいる。YCC修正の有無にかかわらず、28日の相場急変動には備える必要がある。2023/07/27 13:49:144.名無しさん0wdFZコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼割安日本株の逆襲はまだ続く-人生100年こわくない・地球株の歩き方(藤田勉)2023/07/28 04:00 日経速報ニュース 海外投資家の買いを背景に日本株の上昇率が高い。筆者は日経ヴェリタス2月26日号の本欄「割安日本株の逆襲が始まる」において世界の中で日本株が著しく割安であり、とりわけ低PBR(株価純資産倍率)株の投資妙味が強いことを指摘した。ここまでは想定通りとして、問題は株価上昇の持続性である。5?10年に1度、日本株は大きく上がることがあるものの、上昇は長続きせず、その度に「今度こそは」と期待した投資家を落胆させてきた。 しかし、今回の株価上昇は過去とは大きく異なると考えられる。以下、日本株の歴史を振り返りつつ、今回の株価上昇の持続性を分析する。 海外投資家が株高をけん引 バブル崩壊後、日本株上昇は常に海外投資家の買いによって起きた。1999年のITバブル時は海外投資家の買い越しが東証株価指数(TOPIX)を58.4%押し上げた。2005年に小泉純一郎首相(当時)が「郵政解散」を断行して圧勝すると、これを好感した海外投資家が10.3兆円買い越して、TOPIXは43.5%上昇した。2013年はアベノミクスや「黒田バズーカ(日銀による異次元の金融緩和)」を好感して、海外投資家は15.1兆円(史上最高)買い越し、TOPIXは51.5%上昇した。 しかし、これらの株価上昇は持続しなかった。いずれも海外投資家が「いよいよ日本が構造的に変わる」と勘違いして大量に日本株を買ったものの、「さっぱり変わらないではないか」と気が付いて売りに回った、という見方がある。たとえば、2012?14年に海外投資家は18.8兆円買い越したが、15?22年に15.0兆円売り越した。 過去10年間の投資収益率は米国の199.3%、欧州の89.1%と比較すると、日本は69.7%と劣る(現地通貨ベース、出所はQUICK・ファクトセット、7月14日現在)。自己資本利益率(ROE、6月末時点)は米国15.5%、欧州13.1%だが、日本は8.3%と低水準だ。社外取締役が増えたものの、東京五輪・パラリンピックをめぐる汚職事件、電力会社談合などに見られるように、コーポレートガバナンス(企業統治)は問題が多い。 このように日本株は不振が長く続いただけに、株価純資産倍率(PBR)が米国の3.8倍、欧州の1.8倍に対して1.3倍と圧倒的に低い。 今年4?6月期に海外投資家は6.1兆円買い越してTOPIXは14.2%上がった。今回、海外投資家には「いよいよ日本が変わる」などという勘違いはなく、日本株が世界の中で著しく割安であるからこそ大量に買い付けているものと思われる。2023/07/28 06:20:035.名無しさん0wdFZコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼 割安是正に3つの要因 日本株の割安是正相場を引き起こした要因、あるいはきっかけは、以下の通りである。 第1に、ウォーレン・バフェット氏率いる米投資会社バークシャー・ハザウェイによる商社株の買いである。バリュー投資家で知られるバフェット氏の投資は、世界の投資家に対して日本株が著しく割安であるというシグナルとなった。 21年にバフェット氏は総合商社大手5社の株式取得を開始し、現在、これらの発行済み株式の7.5?8.3%を保有している。今後、最大9.9%まで購入するという。過去1年間の株価上昇率は三井物産が80.4%、三菱商事が76.6%、伊藤忠商事が43.2%と、TOPIXの18.3%を大きく上回る(7月14日時点)。それでも大手商社のPBRは1.2?1.7倍と高くはない。 第2に、東京証券取引所が上場企業に対して、資本コストや資本収益性(例えばROE)を意識した経営を要請したことがある。また、東証プライム市場の上場基準を満たさない企業の経過措置を2025年までとして、市場の規律を強化した。こうした取り組みによって、PBR1倍を目指す企業が増加した。 第3に、アクティビスト(物言う投資家)の活躍である。スチュワードシップ・コード導入などによって機関投資家の圧力が高まり、株式持ち合いが減りつつある。加えて機関投資家の議決権行使基準が厳格化された。これにより、アクティビストの提案であっても合理的なものであれば、機関投資家が賛成するようになった。 東洋建設はアクティビストの取締役選任議案が可決承認され、事実上の敵対的買収が成立した。世界最大級のアクティビストファンドである米エリオット・マネジメントが株式を取得した大日本印刷の株価は、今年の安値から高値まで66.6%上昇し、PBRは0.6倍から1倍近くに上昇した。バリューアクト・キャピタルが株式を取得したセブン&アイ・ホールディングスの株価は21年1月安値から23年3月高値まで84.5%上昇した。 自動車への波及が焦点 日本株の割安修正の相場はまだまだ続くものと思われる。東証上場企業のPBRの分布を分析すると、0.6倍台が最も多く、次いで0.7倍台、0.8倍台の順である(0.1倍刻み、6月末時点)。データ取得可能な企業3767社のうち46%が1倍未満である(マイナス含む)。 商社に続く割安株は銀行である。過去1年間の株価上昇率は三菱UFJフィナンシャル・グループが51.0%、三井住友フィナンシャルグループが57.2%、みずほフィナンシャルグループが43.9%と高い(7月14日時点)。ところが、それでもPBRは0.6?0.7倍と低い。まだ上値の余地があるとも考えられる。 これに続くのが不動産である。東急不動産ホールディングスの株価は3月末から7月14日までに25.4%上昇し、TOPIXの11.8%を大きく上回る。住友不動産は同18.7%、野村不動産ホールディングスも同15.6%上昇するなど、オフィスビル事業の依存度が低い不動産会社の株価が上昇しつつある。オリエンタルランド(同23.3%)、日本航空(同16.4%)、と、インバウンド関連も好調である。 以上を総合すると、日本株が年内上昇を続ける可能性は高い。ただし、来年以降も上昇相場が持続するためには、最後に残った割安株である自動車の持続的上昇が不可欠であると思われる。自動車は時価総額が大きく、かつ産業の裾野が広い。 電気自動車(EV)の開発で先行するテスラ(米国)のPBRは20.6倍、ポルシェAG(ドイツ)は6.1倍と高い。一方、日本ではトヨタ自動車こそPBRが1倍を超えたが、ホンダは0.6倍、日産自動車は0.4倍と低い。トヨタ自動車の佐藤恒治社長はEVに大きくシフトする方針を明確にしている。日本の自動車業界がEVに思い切ってシフトできれば、バリュエーションの上昇が期待できる。結論として、割安日本株の逆襲はまだまだ続くと考えられる。2023/07/28 06:22:176.名無しさん0wdFZコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼歴史に刻まれる「YCCショック」、市場と日銀に3つのリスク(永井洋一)2023/07/28 13:30 日経速報ニュース 日銀による長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の柔軟化報道をきっかけに、27日の米金融・資本市場から始まった株安・円高・金利上昇は、28日の東京市場へと引き継がれた。「YCCショック」の様相を呈するなか、日銀は動じずに28日まで開かれた金融政策決定会合で柔軟化を決定した。日銀は金融主権を守ったと同時に、3つの代償を抱え込んだかもしれない。 第1の代償は国際金融資本市場の不安定化リスクだ。柔軟化に伴う市場調節運営の変更で、10年物国債の利回りは現在の0.5%程度から理論上は約2倍の1%まで上昇する可能性がある。 日米欧で中央銀行の資金供給量が過去最高水準に近いのは日銀だけだ。いまや日本は世界のリスクマネーの一大供給源だが、その日本の大幅な金利変動は米国から日本へ、株式から債券へ、ドルやユーロから円へというようにマネーの逆流を引き起こしかねない。日本の長期金利が上がり、日本の機関投資家が米国債から日本国債に資金シフトすれば、米国の長期金利も上がる。 心配なのは割高感が強い米国株だ。債券との比較で割高・割安を判断する株式リスクプレミアムは、米S&P500種株価指数が1%程度と過去20年で最低。米ナスダック総合株価指数に至ってはマイナス0.4%と株式益回り(3.6%)が10年物国債の利回り(4%)を大幅に下回る「超割高状態」だ。 S&P500種の予想EPS(1株利益)は切り上がっているが、実績EPSは低位で底ばいが続き、ワニの口のように広がっている。株式市場の期待が先走っている証拠だが、こうした現象はリーマン・ショック前や新型コロナショック前にもみられた。 世界の株式市場を取り巻く環境は株式の割高化や実質政策金利の高さという点で、1987年10月のブラックマンデー(世界同時株価暴落)前に似ている。YCCショックが世界に広がった場合、それがトラウマとなって逆に日銀の金融政策正常化が遅れる可能性もある。これが第2の代償だ。 類例は87年8月。日銀は資産価格の高騰対策で短期金利の高め誘導を開始したが、その直後の10月、ブラックマンデー(世界同時株価暴落)が発生。超低金利が長期化し、バブルとその崩壊を招いた。 第3の代償は政治の圧力で金融政策の手足が縛られるリスクだ。防衛費の増額や子育て支援の財源捻出で自民党は「埋蔵金」活用に傾いている。その柱は時価で4.7兆円にのぼる政府保有のNTT株の売却だ。日銀保有の上場投資信託(ETF)の含み益は20兆円をゆうに上回るとみられ、少子化対策の財源として政府が簿価で買い取る可能性を探っているともいわれる。株安は政府・自民党にとって望ましい話ではない。 いずれにしても、2023年7月28日は経済・金融史に大きく刻まれる一日になる可能性がある。2023/07/28 13:34:507.名無しさん0wdFZコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼YCC運用柔軟化で長期金利の上昇加速、円高・株安の「玉突き」も[東京 28日 ロイター] - 28日の東京市場で大幅な債券安、株安が進行している。日銀が長短金利操作(イールドカーブ・コントロールYCC)の運用柔軟化を決めたことで、債券売りが強まり、為替市場での円高と株安がそれぞれ深まる「玉突き」が生じた。国債先物は、日銀会合の結果発表後に下げ幅を拡大。中心限月9月限は一時前営業日比1円62銭安の146円79銭に下落した。新発10年国債利回り(長期金利)は同14.0ベーシスポイント(bp)上昇の0.575%と、2014年9月以来の水準まで上昇した。日銀が長期金利の変動幅について上下0.5%を「目途」としたことに加え、連続指し値を1%に引き上げたことを背景に、売り圧力が強まった。市場では「0.5%は目途という日銀が得意とする曖昧な表現にして残し、事実上は上限を1.0%まで拡大したことになる」(三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジスト)との見方が聞かれる。同様の観点から「YCC自体を形骸化させつつあるのだろう」(ニッセイ基礎研究所の上野剛志上席エコノミスト)との声が聞かれた。為替や株式市場では、結果発表の直後こそ、事前の観測報道の範囲を出ないとの受け止めから、出尽くしが意識された。ドル/円はいったん上昇し、日経平均は下げ幅を縮小した。ただ、長期金利の上昇が勢いづく中で、流れが一変し、それぞれ再び下げを強めた。日経平均は先物が主導する形で一時800円超安に下落。会合結果を消化する中で、目先は不安定な値動きが続く可能性がある。もっとも、しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹シニアファンド・マネージャーは、日本株は割高とまではみられておらず、米株のようには金利上昇を受けた株安の余地は大きくないと指摘、「押し目を買いたいニーズは根強く、日米の中銀会合の通過を待ってエントリーするにはいいタイミングとの判断があってもおかしくない」と話す。金利の上昇が一服すると、株価は500円安程度に下げ幅を縮めた。目先の焦点は、植田和男総裁の記者会見に移る。仮にタカ派姿勢が明確に確認されれば、さらなる円高進行の可能性もあると、トレイダーズ証券の井口喜雄市場部長は話す。「植田総裁がどのようなスタンスをみせるかで、今後のドル/円の方向性が決まりそうだ」(トレイダーズ証券の井口氏)として、関心が寄せられている。2023/07/28 15:27:108.名無しさんeaIKWコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼日本総合研究所翁理事長「銀行はおじさん文化を脱せよ」-銀行150年 新たな挑戦 私はこう考える⑤2023/07/29 05:00 日経速報ニュース フィンテックの台頭などで金融サービスを巡る競争が激しくなり、銀行はより高い付加価値を求められるようになった。そんな時代を勝ち抜くためには、働きやすく成長を実感できる職場を整え、専門性と提案力をもった人材を引き付けることが不可欠だ。日本総合研究所の翁百合理事長は「おじさん文化」と決別せよと訴える。 ――150年の歴史を振り返って、銀行の役割はどう変わりましたか。 「決済と資金仲介という主要な銀行の機能はまったく変わらない。戦後から高度経済成長期にかけて間接金融は日本経済の成長を支えた。設備投資需要が高まった資金不足の時代で、銀行は旺盛な資金需要に応えていれば十分な収益を上げられた。その後低成長になって資金需要は減退し、大企業は社債や(株式などの)エクイティでの調達も増えたが、引き続き銀行融資が大きい中小企業にとっては特に、銀行は重要な役割を担う。中小企業をいかに成長させられるかが問われている」 ――中小企業、スタートアップに銀行は何ができますか。 「銀行は顧客の預金を預かっていることからあまりリスクの高いものに投資してこなかったが、できる範囲でリスクをとっていくことが求められている。人材も(融資中心の)デットカルチャーの銀行員が多いので、エクイティの人材を獲得し、利益相反などのリスクはコントロールしつつ成長に寄与する支援をしていくことが必要だ」 ――ネット専業銀行やフィンテックとの競争も激しくなっています。伝統的な大手銀行は生き残れるでしょうか。 「決済などは銀行が唯一の担い手ではなくなっている。確実で安全な取引を提供することをコアのサービスとしつつ、付加価値の高いサービスがより求められている。身軽なネット企業に比べて巨大なシステムや支店網を抱えるため、固定費が高く不利な面はある。デジタル専業銀行、みんなの銀行を始めたふくおかフィナンシャルグループのように、新ブランドでZ世代に訴求するような工夫が必要になってきている」 「(フィンテックのような)新業態の企業とは、競争と協働の両方が必要だ。銀行が金融商品を製造して販売まですべてを担うのではなくフィンテックなどの第三者と協業して新サービスを生み出すオープンバンキングも可能になっている。そういう時代には銀行は(金融機能の基盤を提供する)プラットフォーマーの役割を果たしながら自らもサービスを提供するという両面を求められる。海外から(銀行が黒子として金融機能を提供する)バンキング・アズ・ア・サービス(BaaS)の提供を目的とした銀行も出てきている」おきな・ゆり 1984年(昭59年)慶大院修了、2011年京大博士。84年日銀へ。92年日本総研副主任研究員、主席研究員などを経て18年から現職。金融システムが専門で、03年に産業再生機構の非常勤取締役を務めたほか、金融審議会、新しい資本主義実現会議など政府の有識者会議にも参加。63歳。2023/07/29 06:53:109.名無しさんeaIKWコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼 ――地銀はどのように成長していけばよいでしょうか。再編はまだ進みますか。 「人口が減り、資金需要も減るため、経営環境が厳しいことに変わりはない。低金利で利ざやも稼げない。規模の経済の観点から、一定規模以上の地域金融機関にとっては統合や合併は有力な選択肢になると思う。前向きに広いエリアで連携することで資金需要を取り込んでいくという考え方もあっていい」 「地銀には預貸率がかなり低いところもある。そのため少しでも利益を出すため外債や長期の日本国債を保有している。金利上昇に対してすごく脆弱になっている地銀があることは否めない」 ――将来性のある企業を発掘する目利き力が落ちていませんか。 「不動産担保や経営者保証に依存する融資姿勢が目立つ金融機関もある。中には経営者保証をあまりとらないようにするなど変化も出てきているが、道半ばだ。銀行は単に資金繰りをつけるだけではなく、企業の事業内容をみて、デジタル化やグリーントランスフォーメーション(GX)などの観点でビジネスモデルをどうしていくべきか一緒に考えていく姿勢が求められる時代が来ている」 ――これからの銀行に求められる人材像は。 「専門分野で力を発揮できるような人材が必要。これからはよりクリエーティブな提案力や、地域や異業種とネットワークを構築して新しいことに取り組む力のある人が求められる。こうした優秀な人材をひきつけるため、働きやすく成長実感のある職場にしていかないといけない」 「女性活躍はひとつの鍵になる。昭和時代の年功序列や性別役割分担の発想から来る『おじさん文化』から抜け出さないといけない。若い世代や女性の視点が死角になっていないか点検してほしい。ダイバーシティーの確保は当然のことで、ダイバーシティーこそ価値だ。特に地方の優秀な女性は東京に出てきてしまう面があるので、地銀が魅力ある環境を提供することは大切だ。育児や介護などがあっても無理なく続けられる働きやすさも重要になる。メガバンクでは女性役員も少しずつ出てきて、高知銀行の副頭取に元日銀の河合祐子氏が就くなど変化もある」 ――長く続いた大規模な金融緩和からの転換も意識されています。米欧では金融不安もありました。金融当局に課題はありますか。 「金利動向が変わってくれば、体力が低い金融機関はじわじわ影響を受ける。万が一の破綻処理が早期かつ迅速にできる監督体制かどうかは気にしている。日本では検査マニュアルが廃止され、自己判断で引当金を積むことになった方向はよかったと思っている。ただ、銀行経営が悪化した場合、実質債務超過の状態になる前に破綻処理を準備できなければ大きな損失になりかねない」2023/07/29 06:54:3610.名無しさんeaIKWコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼円安・物価高、日銀動かす 植田総裁「後手なら副作用拡大」2023/07/29 02:00 日経速報ニュース 米欧の利上げが終盤に入るなか、日銀は28日、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の修正を決めた。長期金利を強引に抑え込まず、緩やかな上昇を容認する。粘り強く緩和を続ける姿勢を貫いてきた日銀の背中を押したのは、国民生活を圧迫している物価高と円安だった。 「為替市場も含めて考えた」 「ボラティリティ―(変動率)をなるべく抑えるというところに為替市場も含めて考えた」。28日の金融政策決定会合後の記者会見で植田和男総裁はYCCが為替相場の変動を助長していることへの懸念をにじませた。 政府が神経をとがらせたのも円安だ。27日まで円相場は1㌦=140円台で推移し、日銀が2022年12月に長期金利の上限を引き上げる前の1㌦=137円台より円安に振れていた。円安は輸入物価の上昇を通じ、物価高を長引かせる要因になる。政府内では「140円台の円安は明らかに行き過ぎ」との声も出ていた。 国内のインフレ率の勢いは弱まっているものの、上昇率は22年4月以降、政府・日銀が目標とする2%を上回り続けている。「物価高は日銀の予想より明らかに上振れているが、大丈夫なのか」。政府内からは日銀の金融政策運営に疑念を呈す声も聞かれていた。 植田総裁を選んだ岸田文雄政権の支持率が下落局面にあることも今回の修正の背景にありそうだ。日本経済新聞の世論調査によると岸田内閣の支持率は4月の52%から2カ月連続で低下。6月は39%となった。政府関係者は「今の物価高が続けば政権には打撃。いま日銀が何もしなければ物価高に無策と映るだろう」と話す。 これまで金利上昇につながる政策修正は家計・中小企業への打撃となり、政権への逆風になると考えられていた。ところが、日銀が動かないことが米欧との金利差を広げ、円安や物価高に拍車をかける構図が強まると状況は一変する。岸田首相が6月に閉幕した通常国会での衆院解散を見送り、早期の総選挙の可能性が遠のいたことも日銀が動きやすい下地となった。 松野博一官房長官は28日の記者会見で、日銀がYCC修正を決めたことについて「金融緩和の持続性を高める」と歓迎した。 金利操作に伴う副作用への懸念もある。日銀は28日に公表した経済・物価情勢の展望(展望リポート)で23年度の消費者物価の前年度比上昇率の見通しを4月時点の1.8%から2.5%に上方修正した。物価上昇はYCCの副作用を増幅する面がある。 本来、長期金利の水準は実質経済成長率や物価上昇率などを反映して決まるとされ、「経済の体温計」と言われる。物価が上昇する局面では、理論的には金利も上昇する関係だ。 日銀のアンケートでは、個人が予想する1年後の物価上昇率の平均値は10.5%。高めに出る傾向があるとはいえ、家計や企業の物価高に対する懸念が日銀へのプレッシャーになったとみられる。植田総裁は「上振れリスクが顕在化してから何か対応することでは後手に回って副作用が大きくなる」と語った上で、YCCの修正は「前もってリスク対応を考えておく措置」と位置づけた。 国際通貨基金(IMF)のピエール・オリビエ・グランシャ・チーフエコノミストは25日、日銀のYCCについて「金融引き締め開始を準備するためにもう少し柔軟になり、距離を置くことを勧める」と語った。市場で決まる長期金利の水準を中央銀行が完全にコントロールするYCCは海外からは異様に映る。 「植田さん自身、市場原理に反する政策には否定的な見方を持っている」。植田総裁に近い関係者はこう証言する。植田総裁も記者会見で「長期金利の形成を市場にゆだねるという意図があるかだが、それはイエスだ」と市場機能に配慮する姿勢を示した。 YCCの修正は出口に向けた第一歩となるのか。植田総裁は「政策の正常化へ歩みだすということではない」と語り、物価目標達成へまだ距離があると認めた。それでも内田真一副総裁が7月上旬のインタビューで語ったように、「結果として出口に向かうのであれば、あそこが第一歩だったと振り返って言うことはできるかもしれない」。2023/07/29 16:08:3411.名無しさんDRArkコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼日銀政策修正、世界揺さぶる 動きだした市場のアンカー2023/07/30 05:00 日経速報ニュース 【この記事のポイント】・日銀の政策修正受け海外の国債金利に上昇圧力・500兆円の緩和マネーが日本に還流するとの臆測・金融システムの新たな火種になる懸念くすぶる 主要中央銀行で唯一、金融緩和を続けてきた日銀の政策修正に米欧が警戒を強めている。低金利環境下で海外に流出している500兆円の緩和マネーが日本に戻るきっかけになりかねないためだ。緩和継続で金融市場安定の「アンカー」となってきた日銀の動向は世界市場を揺さぶる波乱要因になる。 「世界的に影響を及ぼす大きな変化だ」。米連邦準備理事会(FRB)ウオッチャーとして知られる米紙ウォール・ストリート・ジャーナルのニック・ティミラオス記者はツイッターで、かつてニューヨーク連銀幹部を務めたクリシュナ・グーハ氏の発言を引用しながら、日銀の政策修正をこう表現した。 実際、28日の世界の債券市場は大きく揺れた。オーストラリアの10年物国債利回りは一時0.55%、フィリピンは同0.1%、マレーシアは同0.035%上昇(価格は下落)した。 日本の政策修正が海を隔てた国々に波及したのはなぜか。財務省の本邦対外資産負債残高によると、国内の投資家による海外の証券投資額は2022年末に531兆円に達する。異次元緩和で国内の低金利環境が常態化した結果、資金流出が加速し、海外投資は10年間で約7割増えた。 日銀が長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の運用を柔軟化したことで、長期金利が13年以来、一度も超えることのなかった1%に到達する可能性が出てきた。 投資に伴う為替リスクもない日本国債の利回りが上昇すれば、海外資産の魅力は相対的に低下する。YCCの柔軟化で日本マネーの「里帰り」が進むとの思惑から世界の金利にも上昇圧力がかかったというわけだ。 世界の金融当局はすでにこうしたリスクに警鐘を鳴らしていた。欧州中央銀行(ECB)は5月に公表した金融システムの安定に関する報告で、日本が金融正常化にかじを切れば、「投資のリパトリエーション(資金回帰)を促進する可能性」があると論じた。 具体的には①金利差収益を狙う「キャリートレード」が減少②国内債券の利回り上昇で、欧米債の魅力が相対的に低下③国内債券が値下がりし、投資家のリスクセンチメントが悪化――することを通じ、日本の投資家が海外の債券に投資していた資金が本国に回帰する可能性があるとした。 国際通貨基金(IMF)も4月にまとめた国際金融安定性報告書で、「日銀による10年来の金融緩和は、日本の投資家を海外投資に駆り立てた」と分析した。オーストラリアやユーロ圏、米国、インドネシアやマレーシアなどを例示し、日銀が金融緩和を見直せば「資金流出に直面する可能性がある」と指摘する。 SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミストの集計では、世界の主要84中銀のうち87%が22年に利上げした。一方、日銀は2%の物価目標を持続的・安定的に達成していないとして、主要国の中銀で唯一、金融緩和を続けている。 日銀の政策判断が金融システムに大きな影響を及ぼすのは、日銀がリスクマネーの最後の供給源となっていることと無縁ではない。 ある日銀関係者は「政策を見直す際には、海外にどのように影響が波及するか目配りする」と強調する。一方、「自国の物価の動向をみて金融政策を運営するのが基本」とも話し、日銀の政策修正が金融システムの新たな火種になる懸念は残る。 日銀の植田和男総裁は28日の金融政策決定会合後の記者会見で「政策の正常化へ歩みだすということではない」と語り、今回のYCC柔軟化が金融緩和策の出口につながるとの見方を否定した。とはいえ、国内の長期金利が10年ぶりの水準まで上昇すれば、世界の金融当局が描くシナリオが現実味を帯びてくる。2023/07/30 06:08:2712.名無しさん6MFUAコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼預金神話、崩すのは誰か 37年前の警鐘生かすとき-銀行150年 新たな挑戦 残された論点㊤2023/07/31 05:00 日経速報ニュース 「運用のプロ」として日本に資産運用業の道が本格的に開かれたのは1986年、投資顧問業法の施行だ。米国に遅れること半世紀。当時、三菱銀行は米フィデリティ、住友銀行が米バンカース・トラストと組んでノウハウを得ようとした。 邦銀幹部は米運用会社に当時こう言われた。「銀行とは文化が違う。銀行員を送り込むのではなく、切り離して早く生え抜きを社長にすべきだ」 それから37年。銀行からみた「貯蓄から投資」は未完のままだ。警鐘は当たったと認めざるをえない。運用会社は子会社扱いで、親銀行の経営が苦しいと人員も予算も一律で絞る繰り返し。市場の危機は実は運用の好機になるが、そうしたノウハウ蓄積の場も限られた。 それは株価が如実に示す。33年ぶり高値を回復した日経平均株価に対し、業種別株価でみた「銀行」の指数は停滞したまま。バブルのピークだった89年末の5分の1の水準にとどまる。 これは家計の利子所得の減り方とそのまま重なる。94年に26兆円強あった利子所得は21年に6兆円にまで減少した。超低金利時代に突入するなか、銀行が預金に代わる金融商品を十分提供できなかった結果、家計の資産所得は大きく損なわれ、銀行への市場の評価も厳しいものになったといえる。 銀行は運用や提案力を携え、長期に顧客の資産形成に資する存在となれるか。預金こそ安心安全という預金神話を自ら崩す覚悟が問われる。 三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)が突破口として狙う一つはグローバルな運用力だ。3月、英アルバコア・キャピタル・グループの買収を発表した。非伝統的なオルタナティブ投資の会社だ。 従来のような東京主導ではない。19年に約3000億円で買収した豪ファースト・センティア・インベスターズ(FSI)がアルバコアを傘下に入れる。「運用力を磨き、世界の優れた人材を雇う文化や仕組みのプラットフォームをFSIが担う」(安田敬之執行役専務)。運用の最前線での報酬のあり方も実績主義へとシフトしつつある。 国内では24年春から三菱UFJ国際投信を持ち株会社のもとに置く。親会社や販売の論理に縛られない運用会社へ向けた見直しの一歩になる。 個人への向き合い方にも前進がみえる。三井住友フィナンシャルグループでは銀行顧客の投資信託の保有期間が22年度は平均8.4年。4年前より4年近く延びた。「長期に分散して市場に居続けることの重要さを説く姿勢が受け入れられてきた」(三井住友銀行の加藤聡彦執行役員) 預金と異なるリスク資産に顧客も銀行員も不慣れで、市場の変動があればすぐ売買して資産を減らすという時代から徐々に脱しつつある。 スマホで金融サービスを一括管理する「Olive(オリーブ)」は3月のスタートから6月時点で60万口座を獲得。銀行口座と同時に証券口座をつくり、クレジットカードで積み立て投資まで一気に踏み出す顧客の多さに手応えがあるという。2023/07/31 06:22:0513.名無しさん6MFUAコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼 みずほフィナンシャルグループは対面を軸に顧客の資産形成ニーズに応える。全国に600人いるライフプランアドバイザー職をさらに増員する構えだ。職域での助言、ネットでの対応も合わせて計200人増やす。プロ向けのノウハウも生かし、グループとして「確定拠出年金などを入り口に、能動的に将来の資産形成に動く層への支援を厚くする」(佐藤紀行執行役)。 しかし米金融大手の背中は遠い。JPモルガン・チェースの4?6月期決算ではアセット・ウェルスマネジメント部門の純利益は前年同期比22%増の12億ドルと全体の利益の1割を稼ぎ、部門の自己資本利益率(ROE)は29%を記録した。 ジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は4月に公表した「株主への手紙」で、資産形成など長期に顧客との関係を築いて収益を上げる重要性を説いた。「金利や単純な信用リスクをとるだけなら1人の人間とコンピューター1台で十分。(社員)29万人が地球を回る必要はない」 米国をみれば金融環境が変わるときに主役も変わってきた。80年代に市場金利の優位性を生かしたMMF(マネー・マーケット・ファンド)で証券会社が躍進。その後の米産業の新陳代謝と株高が好循環に入ると、資産運用業が成長分野になった。 米国トップの資産運用会社ブラックロックが生まれたのは88年。37年前には存在していなかった。それが今や時価総額で16兆円という存在になり、14兆円の三菱UFJFGをしのぐ。資金不足時代の発想と組織に縛られ、「貯蓄から投資」のうねりをつくり出せてこなかった日本の銀行。顧客資産の拡大に軸を合わせた経営に今度こそ転じられるか、銀行自身の未来図のカギになる。2023/07/31 06:22:5814.名無しさん6MFUAコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼植田日銀はなぜ豹変したか 政策修正に3つの理由-金融PLUS 金融グループ次長 石川潤2023/07/31 05:00 日経速報ニュース 「待つことのコストは大きくない」。そう繰り返してきた日銀の植田和男総裁が28日、政策修正に動いた。長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)を柔軟化し、これまで上限としてきた0.5%を超えて長期金利が上昇することを認める。植田氏は前言をあっさり翻し、記者会見で「(政策が後手に回れば)大変なことになる」と語った。何が植田氏を豹変(ひょうへん)させたのか。 ①物価上昇を「過小評価」 日銀が今回、政策修正に動いた理由をひと言で言えば「YCCの効果と副作用が両方とも、ものすごく大きくなる事態」(植田氏)を避けるためだ。 この1年強の間に「物価はどうせ上がらない」というデフレ時代の常識は揺らぎ、日本中で値上げや賃上げの動きが広がった。そうした基調的な物価、いわば経済の体温が上がってきたときに、長期金利を0.5%にむりやり抑え込むという従来通りの緩和策を続けていては、経済や物価を過度に刺激しかねない。 基調的な物価が上昇したのであれば、ある程度はそれにあわせて金利上限も高めていくのが自然――。植田氏が今回明らかにしたこの考え方は、日銀が昨年12月に長期金利の上限を0.25%から0.5%に引き上げた際、当時の黒田東彦総裁が記者会見で説明した理屈とも重なる。 足元のインフレについて、植田氏は「(日銀が4月時点では)不確実性を過小評価していた」と率直に認めた。物価は日銀が思っていた以上に上がっているし、これからも想定外の上昇となる可能性がある。「将来の不確実性を今回改めて認識した」ことが豹変の理由のひとつになった。 ②後手に回れば「大変なことに」 もうひとつの理由は、効果と裏表の副作用への警戒だ。経済の体温が上がっている時に無理に金利を低く抑えれば、実態よりも低い金利(高い価格)となった債券を売る動きが広がり、日銀の債券購入額が際限なく増えてしまう。日銀のバランスシートが膨らむだけでなく、金利がゆがんで企業の社債発行などにも影響を与える。 「YCCは昨年来の経験もみると(物価の)上振れリスクが顕在化したあとで対応しようとするとなかなか大変なことになる。副作用をすごく大きくしてしまう」。日銀が昨年12月の政策変更の前後に経験したように、金融政策が後手に回れば、将来の政策変更を見込んだ投機筋の攻勢で市場は大混乱に陥る。債券市場が落ち着いているこのタイミングで、先手を打って動く必要があるというのが植田氏の説明だ。 事実上の長期金利の上限を1%としたのは、次の政策修正を市場から催促されないように「のりしろ」を確保するためだ。日銀の国債買い入れの影響を受けにくい翌日物金利スワップ(OIS)市場では、10年物は0.6%台後半まで上昇した。日銀も長期金利の実力はそのあたりと踏んでいるのではないか。 仮に0.75%のような手の届きやすい水準に上限を設定すると、投機筋の格好の標的となってしまう。日銀はそうした「根拠のない投機的な債券売り」(植田氏)には機動的に対応すると表明。植田氏は長期金利が1%に近づく可能性は低いとし、1%とした国債の無制限買い取りのラインは「念のための上限キャップ」と表現した。2023/07/31 06:26:4115.名無しさん6MFUAコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼 ③円安の悪夢を繰り返さない 3番目の理由は、再び進み始めた円安だ。植田氏は「金融市場のボラティリティーをなるべく抑えるというところのなかに為替市場のボラティリティーも含めて考えた」と述べた。日銀が金利を低く抑え続ければ、日米金利差が広がって、円安が進みやすくなる。昨年12月は円安で政府・与党の日銀批判が強まった後、政策変更に追い込まれた。その悪夢を繰り返すわけにはいかない。 日銀は金融政策の独立性を強調するが、人事や予算を握る政府・与党の意向から完全に自由ではいられない。為替相場に敏感な政府・与党から批判を受ければ、日銀の信認が傷つき、政策効果にも影響が出てしまう。政府・与党から介入を受けていると市場に見透かされる前に、先んじて動こうとする習性のようなものが日銀にはある。 今回の政策修正では①値上げや賃上げが広がり、緩和効果が想定外に拡大②金利を抑え続けることで、副作用が今後強まるリスクが浮上③円安が進むなか、政府・与党も政策修正を支持――という3つの条件がそろった。物価の基調がこの先さらに高まれば、追加的な修正が視野に入る。その際には、マイナス金利の廃止も含めた政策全体の見直しが焦点になる。 もっとも、金利上昇は実体経済には大きなマイナスだ。今回の柔軟化について、日銀の9人の政策委員のうち、日立製作所出身の中村豊明委員が「企業の稼ぐ力が高まったことを確認したうえで行う方が望ましい」とただ1人反対票を投じたのは示唆に富む。経済や物価の先行きは見通しがたく、マーケットや政治の動向も不透明だ。大規模緩和の出口へ前進したのは間違いないが、先の霧が晴れたわけではない。2023/07/31 06:27:4316.名無しさん6MFUAコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼日銀、企画局長に「エース」正木氏 渦巻く正常化の思惑2023/07/31 14:48 日経速報ニュース 日銀は31日、金融政策の企画・立案を担う企画局長に正木一博・金融機構局長を充てる人事を発表した。正木氏はマイナス金利政策の導入に関わるなど、日銀の「エース」と評される人物だ。長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の運用を柔軟にする政策修正を決めた直後の人事とあって、市場参加者の間で話題を集めている。 正木氏は量的・質的金融緩和の導入直後の2013年から17年まで、企画局の政策企画課長を務めた。その後高松支店長、金融機構局長などを経て、6年ぶりに企画に戻る。 14年の追加緩和や16年のマイナス金利政策とYCCの導入など、黒田東彦前総裁のもとで繰り出され今も続く重要な政策に深く関与。元副総裁の雨宮正佳氏と現副総裁の内田真一氏とともに、金融政策の立案を主導する「企画ライン」の一角として黒田日銀を支えてきた。ある国内証券の債券ストラテジストは「重要政策に関わってきた正木氏は、遅かれ早かれ必ず企画局長に就くと思っていた」と話す。 大和証券の岩下真理チーフマーケットエコノミストは「いばらの道が予想されるなか、かじ取りは正木氏に託された」としたうえで、「エースの起用で、市場では金融緩和の正常化への思惑が膨らみそうだ」と語る。正木氏は金融政策の考案だけでなく、金融市場局で国債買い入れといったオペ(公開市場操作)を担う市場調節課長も経験してきた。市場調節にも精通する正木氏の登用で「マイナス金利の解除に向けて万全の体制となった」(岩下氏)と評価されている。 日銀は28日まで開いた金融政策決定会合でYCCの運用を柔軟化し、許容する長期金利の変動幅の上限を事実上1%に引き上げた。31日の国内債券市場では長期金利が約9年ぶりに0.6%台に上昇。新発2年物国債の利回りが半年ぶりにプラスとなるなど、マイナス金利解除への思惑が意識されている。 28日の日銀の決定は、将来、出口が近づいた時に柔軟な政策運営ができるようにと備えた対応との見方がある。こうしたなかで正木氏を企画ラインに再登板させたのは、「日銀は出口に向けた準備を着実に進めている」という見方の裏付けとなるのではないか――。市場では早くも正常化に向けた思惑が広がっている。2023/07/31 15:10:0217.名無しさんA04k2コメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼スマホ決済、銀行が黒子 三井住友カードがアプリ機能提供 ネット銀先行、参入企業囲い込み2023/08/01 日本経済新聞 朝刊 大手銀行グループや地方銀行が黒子となり、金融事業に参入する企業へ必要な機能を提供する動きが広がってきた。三井住友フィナンシャルグループ(FG)傘下の三井住友カードが企業向けにスマートフォン決済のアプリを開発できるサービスを開発したほか、十六銀行などの地域金融機関も自治体向けに金融機能を提供する。「黒子型金融」はネット銀行が先行しており、銀行間の取り込み競争が一段と激しくなっている。 三井住友カードがシステム構築のTISと提携して企業に提供するのは、決済やポイントの付与、送金、アプリ開発の機能を包含したスマートフォン決済の基盤だ。この基盤を使って開発した決済アプリは、QRコードやクレジットカードのタッチ決済にも対応できる。顧客企業の利用者はクレジットカードや銀行口座からチャージ(入金)し、買い物時に使える利点がある。 必要に応じて、アプリ間の送金や顔認証などの機能を盛り込めるほか、三井住友カードが提携する米ビザの加盟店で使えるため、企業が自ら加盟店を開拓する手間も省ける。基盤を使えば企業が個別にアプリをつくるより開発費を7割減らせ、期間も4割短くできるという。開発資金の捻出が難しい地場の食品スーパーやキャッシュレス化が進まない地方の交通事業者などの利用を想定し、売り込む方針だ。 実用化に先立ち、ANAホールディングスの「ANA Pay(ペイ)」には提供しており、そこで蓄積した技術やノウハウを基に、提供先を一段と広げる。提供側の三井住友カードはシステムの導入料に加え、決済ごとに手数料を受け取ることで収益を確保する。 十六銀行を含む地域金融機関はNTTデータなどと組み、自治体向けに同様のサービスを始める。個人の銀行口座から特定の地域で使える地域通貨に入金したり、地域商品券をアプリで受け取ったりすることができるようになる。 大手銀行では、三菱UFJ銀行もパートやアルバイトが給与の計算やシフトの管理をできるリクルートのアプリで銀行口座を開設できるようにしている。NTTドコモは三菱UFJの機能を使い、昨年12月に「dスマートバンク」を始めた。 銀行やカード会社が持つ金融機能を小売業やサービス業に提供し、スマホのアプリなどで使えるようにするのは、「エンベデッドファイナンス(組み込み型金融)」の一類型だ。ネット取引が一般化し、商品やサービスの売買と同時に決済も完結させる必要性が高まっているため、組み込み型金融への需要も高まっている。システムを裏側で構築する黒子の金融機関にとっては、新たな収益源となる。 フィンテックなど新たな決済プレーヤーの参入が相次ぐ中で、一方的にシェアを切り崩されるのを防ぐ防衛的な側面もある。決済手段の多様化で、自社のクレジットカードの利用が先細りしたとしても、外販によってプラットフォームの提供事業者としてのシェアを確保すれば、決済分野での主導権を維持できるとの考え方だ。 黒子型金融で先行するのはネット銀行だ。GMOあおぞらネット銀行では、サービスの提供先が2023年6月末時点で累計500件超と3年前の8倍以上になった。動画配信や家計管理のアプリで振り込みなどの金融機能を使えるようにしている。住信SBIネット銀行は「ネオバンク」の提供先が高島屋や第一生命保険など10社を超えた。 航空や通信、小売りなど独自の顧客基盤を抱える企業は、金融サービスを顧客との接点を増やし、関係を強化する一環として捉えている。大手金融機関や地方銀行の参入によって、安いコストで自前の決済基盤が持てることになれば、金融サービスに参入する企業が一段と増える見通しだ。 ただ、ブランド力のある企業の決済アプリが浸透し、シェアが高まれば、銀行やカード会社の伝統的な決済基盤が侵食される恐れもある。金融機関側は「組み込み型金融」によって、企業とウィンウィンの関係を築きたい考えだが、今後の技術の発展によって企業側が自らノウハウを蓄積し、金融機関を頼らなくても済むようになる可能性もある。金融機関は同業間の激しい競争に対応するとともに、技術革新に応じて絶えずサービスを刷新していく必要がある。 2023/08/01 06:36:2918.名無しさん0xj7nコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼野村株が急落 「出資先の損失がサプライズ」「海外が足を引っ張る」 アナリストの見方2023/08/02 13:20 日経速報ニュース 2日午前の東京株式市場で野村ホールディングス(8604)株が急落し、前日比8.5%安となる場面があった。きっかけは1日に発表した2023年4~6月期決算(米国会計基準)。連結純利益は前年同期の14倍の233億円だったものの、ホールセール部門での収益低下などが足かせとなり、市場予想(366億円)を下回った。アナリストの見方をまとめた。■三菱UFJモルガン・スタンレー証券の辻野菜摘シニアアナリスト「出資先の損失はサプライズ」・レーティング=「ニュートラル」(据え置き)・目標株価=590円(据え置き) 営業部門の税引き前利益は229億円と三菱モルガン予想を80億円上回った一方、ホールセール部門は21億円にとどまり、三菱モルガン予想(151億円)を下回った。特に欧州の(金利やクレジット関連を取り扱う)フィクストインカムなどの収益回復が想定ほど出なかったうえ、人件費が高止まりした。7月28日の日銀の長短金利操作(イールドカーブ・コントロール=YCC)の変更は顧客フローにはポジティブと見ている。 サプライズは出資先の米アメリカン・センチュリー・インベストメンツ(ACI)の損失が130億円を上回ったことだ(三菱モルガン試算)。4~6月期純利益は野村全体で233億円と三菱モルガン予想(435億円)を下回った。主因はACIの評価損約137億円(試算値。従来の三菱モルガンの想定は評価益30億円)による。■大和証券の渡辺和樹氏「決算の印象はややネガティブ」・レーティング=「3(中立)」(据え置き)・目標株価=450円(据え置き) 決算の印象はややネガティブだ。4~6月期の純利益は233億円となり、大和想定(500億円)を下回って着地した。大手米銀との比較では、円安効果を踏まえるとフィクストインカムが軟調に見える。一過性ではあるが、米国株指数が上昇するなか、ヘッジ策を講じるACI関連の多額の評価損(大和試算は130億円)は想定外であった。■SMBC日興証券の村木正雄氏「海外が足を引っ張る構図」・レーティング=「2(中立)」(据え置き)・目標株価=531円(据え置き) 株高でリテールが回復したが、他社と異なり海外が足を引っ張る構図だ。インベストメント・マネジメント部門で7月の収益は4~6月平均を上回ると見られるが、海外の自己資本利益率(ROE)は引き続き課題となるだろう。2023/08/02 14:01:2219.名無しさんfsYGxコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼金利上昇でも円安進行――日銀の政策修正「緩和継続目的」 内田副総裁2023/08/03 日本経済新聞 朝刊 日銀の内田真一副総裁は2日午後に開いた千葉市内での記者会見で、7月28日の金融政策決定会合で長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)を見直した狙いを「緩和をうまく、粘り強く続けていくため」と説明した。為替市場は「経済物価に対して大きな影響を及ぼす重要なファクター」とし、政府と連携して動向を注視する意向も示した。 内田副総裁は2日午前の千葉県内の経済界関係者らが参加する金融経済懇談会での講演で、政策修正は「混乱なく緩和を続けていくための『備え』」とし、「当然、出口を意識したものではない」と話していた。内田副総裁が金融経済懇談会に出席するのは3月の就任後、初めて。 日銀は7月の決定会合で、長期金利の上限の0.5%程度を「めど」とし事実上1%に引き上げる政策修正に踏み切っている。内田副総裁は会見で1%は「念のための上限キャップ」とし、「金利が大きく上昇することは想定していない。経済を抑えるようなものになるとは考えていない」との考えを示した。住宅ローンについても、多くの人が選択している変動金利型には影響がないとした。2023/08/03 06:06:4220.名無しさんfsYGxコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼金利上昇でも円安進行 10年債利回り9年ぶり水準、急変嫌う日銀を市場見透かす2023/08/03 日本経済新聞 朝刊 金融市場で金利上昇と為替相場の円安・ドル高が同時に進行している。日銀は政策修正に踏み切ったものの、急激な金利上昇を容認しない姿勢が示され、緩和政策自体の撤回には当面踏み切らないと市場が見透かしたためだ。政策修正を通じ、円安抑止を狙ったとされる日銀の思惑とは異なる方向に進んでいる。 長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは2日、一時0.625%まで上昇(債券価格は下落)し、2014年4月以来、9年4カ月ぶりとなる高水準を付けた。 日銀が7月28日に長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の柔軟化を決めて以降、じりじりと金利は上昇している。 さらに、日銀は8月2日、定例の国債買い入れオペ(公開市場操作)を実施した。オペの中心となる国債の買い入れ額は前回と同額だった。市場では日銀が一定程度の金利上昇を容認した、と受け止められたことも影響した。 一方、外国為替市場で対ドルの円相場は1㌦=143円台前半と、円安・ドル高の傾向が続いている。日銀がYCCの修正を決めた7月28日以降、ほぼ1週間で5円ほど円安・ドル高が進んでいる。 本来、為替市場では金利が高い国の通貨が買われやすい。これまでは長期金利が0.5%以下に抑えられている日本の円に比べ、金利が4%程度の米ドルにお金が流れやすかった。日銀の政策修正で金利が上昇すれば日米の金利差は縮まり、円高・ドル安が進んでもおかしくない状況だ。 金利上昇と円安・ドル高が並走する要因の一つが、日銀は穏やかな金利上昇は容認するものの、急激な動きは許容しない姿勢を示したためだ。 日銀は7月31日、臨時の国債買い入れオペを実施した。YCCの対象となる残存期間「5年超10年以下」の国債を対象に3000億円を買い入れた。当日は10年債利回りが一時前日比0.065%上がるなど、急上昇する場面があった。 日銀の植田和男総裁は7月28日、「根拠のない投機的な債券売りがあまり広がらないよう、コントロールしていく」と市場をけん制していた。 もう一つは日銀の緩和維持のスタンスが変わらないことだ。植田総裁は7月28日、「YCC柔軟化は(金融)政策の正常化へ歩み出すという動きではない」と述べ、YCC修正はあくまで金融緩和を維持するための施策であると強調した。 日銀は最新の経済・物価情勢の展望(展望リポート)で消費者物価指数(生鮮食品を除く=コアCPI)の前年度比上昇率を24年度で1.9%に引き下げ、25年度で1.6%に据え置いた。目標の2%にはとどかず、市場では「マイナス金利の撤廃はまだ先」との見方が強まった。 金利上昇ペースが鈍いと円安傾向が続き、輸入物価高が再加速する恐れも出てくる。第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは「日銀が金利の急上昇を許容しない限り、当面の間円安は進んでいくだろう」とみる。 ただ、今後も円安傾向が続くかは不透明だ。「今後は日銀のインフレ見通しの上方修正とともに、長期金利が1%に向けて上昇していく可能性が高く、円高圧力がかかる」(みずほ証券の山本雅文チーフ為替ストラテジスト)との見方もある。 物価高に目を配りつつ、金利の急上昇をどう回避していくか。日銀に課された課題は大きい。2023/08/03 06:08:2521.名無しさんfsYGxコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼日銀には低金利政策の説明責任がある 門間一夫氏-みずほリサーチ&テクノロジーズエグゼクティブエコノミスト2023/08/03 10:30 日経速報ニュース 日銀は現在、これまでの金融政策に関する多角的レビューに取り組んでいる。まとまるのは2024年夏以降になりそうだ。ここでは、過去25年の日銀の政策が金融市場や金融システムに及ぼした副作用も分析される。長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)が債券市場の機能に与えた影響や、マイナス金利が金融システムに与えた影響は、間違いなく分析の対象になる。 しかし、ほかにも長期にわたる低金利政策が深刻な問題をもたらした、という批判が少なくない。例えば「低金利が財政規律を弱めた」というのは最も多い批判である。また、「非効率な企業を温存してきた」「過度な円安を招いた」「資産価格にバブルを起こした」「緩和の出口で日銀が債務超過になる」等々、日銀はそれこそ多角的に批判されている。 仮に、こうした批判が正しいとすれば事態は深刻である。日銀が続けてきた政策の副作用は、債券市場や金融機関への影響など限られた範囲にとどまらず、資源配分をゆがめて日本経済にダメージを与えた、あるいはこれから与える、ということになるからだ。ただ、筆者はこれらの批判には誤解や言い過ぎの部分もあると考えている。 例えば、「低金利が非効率な企業を温存し経済の成長力を弱める」という批判は、金利を上げれば非効率な企業が退出し、資金や労働者が生産性の高い企業に移動するという前提に基づく。 しかし、金利の影響は非効率な企業だけでなく成長企業にも及ぶ。新しい技術やビジネスモデルを持った企業が、成長していく過程で地域経済や産業構造に化学反応を引き起こし、それが新陳代謝の原動力となる。そうした元気な企業こそ多額の資金を必要とするのだから、低金利は本来、経済を活性化する方向に働くはずである。日本でそれがはっきり見えないのは、他に問題があるからだ。 また、低金利の時の方が国債を発行しやすいのは当たり前の話だ。高金利で発行するより利払い費も軽減されるのだから、低金利のもとでの国債増発を一概に否定はできない。大事なのは、その国債発行やそれに基づく財政支出が、何らかの基準に照らして過大なのかどうかである。 残念ながら、その評価基準には明確なコンセンサスがなく、実際問題として、経済政策を貫く基本精神の影響から逃れることはできない。デフレ脱却や2%物価目標を重視すべきだという思想の前では、低インフレである限り、国債増発にはブレーキがかかりにくくなる。財政規律を左右するのは金利ではなく、政策思想である。 このあと仮に2%物価目標が達成されない場合でも、日銀は多角的レビューを踏まえて、いずれYCCとマイナス金利を撤廃するだろう。それはひとつの前進だが、その後も金融緩和自体は続けなければならないかもしれない。本稿で論じた「非効率の温存」「財政規律の低下」など、もし本当ならきわめて深刻な問題について、日銀自身の考え方を整理し、説明することもまた重要である。 2023/08/03 10:40:0022.名無しさんu6Oy6コメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼共通ポイント複数広がる――街中の店舗でためやすく(ポイント賢者)2023/08/05 日経プラスワン 2024年に控える三井住友フィナンシャルグループ(FG)のVポイントとカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)のTポイントの統合に向けて、街中での共通ポイントのため方に変化が出そうです。 ドトールグループのドトールコーヒーショップやエクセルシオールカフェなど約1200店で23年8月、Tポイント、イオングループのWAON(ワオン)ポイント、ロイヤリティマーケティング(東京・渋谷)が運営するPonta(ポンタ)ポイントを導入しました。7月まで共通ポイントはNTTドコモのdポイントのみでしたが、4種類から選べます。 同グループの店舗は19年に、共通ポイントをTポイントからdポイントに切り替えました。Tポイント復活の背景には共通ポイントと加盟店の関係の変化があります。以前、共通ポイントは加盟店が1業種1社に限定されたり、加盟店がほかの共通ポイントを導入できない契約を結ぶ例があったりしました。しかし最近は加盟店側が共通ポイントを選び、入れ替えや複数導入する例が増えています。 共通ポイントは消費者が店に行く動機につながります。会員数が数千万人の共通ポイントは加盟店独自のポイントサービスより集客効果が高いです。統合後の新Vポイントの使い勝手で客が集まる効果への期待が加盟店側にありそうです。 店舗で複数の共通ポイントを選べれば、消費者には便利になります。共通ポイントの競争の中で、TポイントとVポイント以外にも気になる動きがあります。ワオンポイントはイオングループ外へのポイントサービス提供を広げています。JR東日本のJREポイントやJR西日本のWESTERポイントなど自社グループで運営する共通ポイントの動向にも注目したいところです。2023/08/05 06:37:2723.名無しさんu6Oy6コメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼海外勢手じまい売り重荷――企業の緩慢な変化に嫌気(スクランブル)2023/08/05 日本経済新聞 朝刊 海外勢の手じまい売りが相場の重荷になっている。日銀の政策修正や米国債の格下げなどをきっかけに海外ヘッジファンドはポジション調整を進めている。本格化した2023年4~6月期決算発表では好業績が多いものの、相場を押し上げるには至っていない。個人の押し目買いだけでは株高相場の「第2幕」は見通せない。 「日銀イベントの通過で、しばらくは新しい買い材料は来ないとみて今週ポジションを落とした」。ある香港のヘッジファンドの運用担当者は話す。脱デフレなどを材料に買い進めてきた海外勢が日本株の持ち高を減らす動きが目立つ。 JPモルガンの試算によると、ヘッジファンドの日本株の持ち高は減少している。中でも世界で4000億ドル超を運用するとされる、ポートフォリオのリスクを一定にするように売買する「リスクパリティー」系の日本株持ち高は7月に理論上の保有最大値の約30%まで上昇した後、24%に下落した。 米インタラクティブ・ブローカーズ証券のダニエル・ケリガン最高経営責任者(CEO)は「日本企業は変化に緩慢でヘッジファンドなどがまた様子見の姿勢になっている」と指摘する。 日経平均株価は6月中旬からもち合い相場が続いてきた。だが3日までの2日間で日経平均は1317円下落。「もち合い放れにつけ」との相場格言がある通り「海外ヘッジファンドが買いポジションを減らす動きにほかの市場参加者が追随し、実際の売りの大きさ以上の値動きになった」(T&Dアセットマネジメントの酒井祐輔シニア・トレーダー)。 4日の日経平均は33円(0・1%)高と小動きで終わり、個人の押し目買いの勢いは限定的だった。松井証券の午前の売買代金データでは買いが56%と売りを上回ったものの、午後に売り買いはほぼ同水準となった。 4~6月期決算についても「新たな買いを呼ぶような材料が見当たらない」(SOMPOアセットマネジメントの田中英太郎シニア・インベストメントマネージャー)。業績上振れ要因は値上げ、インバウンド消費や自動車生産の回復など既に織り込まれた材料が大半と同氏は指摘する。 4日に公表された大量保有報告書では英運用会社ベイリー・ギフォードがトプコンの保有比率を引き下げた。リオープン(経済再開)銘柄の一部にも利益確定の売りが出ている。 海外勢の買いが途絶えたわけではない。3日にブラックロックが大成建設などの買い増しを報告した。半導体工場の新設など国内の設備投資の増加も追い風になる。 構造改革を進める銘柄も買われた。花王が3日に中国での紙おむつ生産終了を発表すると、4日の株価は6%上昇した。ただ、しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹シニアファンドマネージャーは花王を評価しつつも「改革の動きは大企業のほんの一部に限られている」と話す。 上値を追う勢いにかけるのは、これまでの株高のテーマの次が見いだせていないためだ。より多くの企業で新たな成長に向けた動きが見えることが株高相場の再始動に必要となる。2023/08/05 06:47:0124.名無しさんhYfPkコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼日本株買い「第2幕」の胎動 海外勢、割安銘柄を選別2023/08/06 04:00 日経速報ニュース 6月、シティグループ証券はジャパン101ミーティングを始めた。「101」とは入門の意味。同社アナリストが推奨する日本株の1つを取り上げ、オンラインで世界の投資家に向けて事業内容や強みなどを基本から解説する。これまで12回開催し、アジアの投資家を中心に毎回20?30人が参加した。 シティには海外投資家から「円安以外に日本株に強気になる材料を教えて欲しい」「東証の低PBR(株価純資産倍率)改革の詳細を知りたい」といった問い合わせが相次ぐ。武田理奈エクイティ営業部共同部長は「日本株を見ていなかった香港やシンガポールの投資家が関心を持ち始めた」と話す。【関連記事】割安日本株の逆襲はまだ続く 日経平均株価が33年ぶりの高値圏にある。その原動力は海外投資家だ。日本取引所グループによると、4月以降の17週間で海外投資家は現物と先物合計で8兆円超の日本株を買い越した。アベノミクスが始まった2012年11月以降の17週間の買越額は6兆円超であり、今回は勢いで勝る。 それでは海外マネーはどんな銘柄に向かったのか。QUICK・ファクトセットのデータを使い、22年末から7月末までに海外投資家(日本以外に本社がある法人)の保有金額が増えた銘柄を抽出したところ、上位には東京エレクトロンやソニーグループなど主力の大型株が並んだ。 その背景には買い手が「指数プレーヤー」だったことがある。4月以降、世界株の中でも日本株の上昇が目立ち始めると、ベンチマーク(運用目標)より少なくしていた日本株の持ち高を増やそうと、株価指数先物や指数連動型ファンドに資金が入った。投資家別で見ても同期間に日本株の保有額が増えたのは米バンガードやブラックロックなど指数連動型運用に強みを持つ運用会社だった。 指数プレーヤー主導の上昇が海外勢の買いの「第1幕」だとすれば、足元では個別株を物色する「第2幕」の兆しが出てきた。 海外投資家の保有比率が上昇した銘柄をみると、上位にはそーせいグループやセントラル硝子など中小型株が目立つ。保有比率が約6ポイント上昇したウシオ電機は英M&Gインベストメンツの日本株ファンドに組み入れられている。日本株のアクティブファンドにも資金が流入し、個別株買いを後押ししている。【関連記事】外国人買い第2波呼ぶのは「高くなるニッポン」 グローバルな投資家による日本株の投資判断の引き上げも相次いでいる。ブラックロックが6月に「弱気」から「中立」に引き上げたほか、英シュローダーや仏アムンディなども「中立」に変更した。こうした投資家の日本株買いが広がれば「個別銘柄の選別が強まる」とシティの武田氏は見る。 「今後10年保有したい」。1250億カナダドル(約13兆円)を運用するカナダのオンタリオ州地方公務員年金基金は6月、高い技術力を持つ日本企業に投資していることを明かした。「日本には優れた事業を展開し、企業統治に注意を払い、高い配当金を出す企業がある」と話す。 日本株に世界のマネーが流入したのは03年からの小泉相場、12年からのアベノミクス相場に続き3回目だ。スパークス・グループの阿部修平社長は過去2回の相場との違いについて、「今回は海外投資家が日本が長いデフレから脱却しつつあることに気づいている」と指摘する。 7月28日には日銀が長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の柔軟化を発表した。市場は「金融緩和継続」と受け止め、外国為替市場では円安が進行。輸出銘柄に追い風が吹く。最低賃金の引き上げが決まり、実質賃金がプラスに転じれば、内需銘柄にも期待が高まる。2023/08/06 10:11:2225.名無しさんhYfPkコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼 足元では海外投資家の日本買いに一服感が出ている。再び買いに動く第2幕はいつ来るのか。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の古川真チーフ・ポートフォリオストラテジストは「早ければ秋にも本格上昇が始まる」とみる。 「インデックス買い」から個別株の物色へ 割安・好業績・中小型株に触手 今回の株高で海外投資家に買われた銘柄は何か。QUICK・ファクトセットのデータを使い、7月末時点の海外投資家(日本以外に本社がある法人)の株式保有比率が2022年末比で上昇した銘柄をランキングしたところ、中小型株や割安株が上位に入った。大型株買いが目立つなかでも、個別銘柄を物色する動きが広がり始めている。 5位のセントラル硝子や9位のイエローハットなど、PBR(株価純資産倍率)が1倍を割る銘柄に買いが入った。オービス・インベストメンツ日本法人の時国司社長は「東証の是正要請を受け、今度こそ日本企業の資本政策が変わると期待している」と話す。 低PBR改善に向けて動き出している企業もある。7位のウシオ電機は5月、発行済み株式(自己株式を除く)の17%に相当する300億円を上限とする大規模な自社株買いを実施すると発表した。当時0.8倍台だったPBRを引き上げる狙い。英M&Gインベストメンツは7月、同社株を5.2%まで買い増したと大量保有報告書で公表した。 株価が下落し相対的に割安になったタイミングでの買いもある。4位の創薬スタートアップのそーせいグループは6月27日、提携先の米ファイザーが糖尿病薬の開発を中止すると発表したことを受け、株価がストップ安の前日比22%安を付けた。株価下落後の7月、米運用大手キャピタル・リサーチ・アンド・マネージメントは保有割合を5.9%から7.3%(共同保有を含む)に引き上げたことを明らかにした。 そーせいは海外投資家に向けたIR(投資家向け広報活動)に力を入れている。3月に東証グロースからプライムに移行したことをきっかけに、「欧州と米国で対面でのIRを増やしている」(クリストファー・カーギル社長)。足元ではスイス製薬の日本事業の買収が好感され、株価は回復傾向にある。 円安・ドル高を受けて中小型の輸出銘柄にも買いが入った。14位の小型建機メーカーの竹内製作所は24年2月期の連結純利益が172億円と過去最高を更新する見通し。同社は海外売上高比率が9割超の輸出銘柄として海外投資家にも知られている。米フィデリティ・マネジメント&リサーチは22年から徐々に買い増している。 個別株の物色は地方の中小型株にも及ぶ。三重県菰野町に本社を置くジャパンマテリアルが11位に入った。半導体工場向け特殊ガスを手掛ける予想PER(株価収益率)が52倍台の中型グロース(成長)株だ。22年11月には台湾積体電路製造(TSMC)などが建設を進める熊本県の工場にガスを供給する拠点を設けた。 一方で外国人保有株の金額ベースの増加額のランキングでは、別の景色が見えてくる。1位の東京エレクトロンや4位のキーエンスなど、「海外投資家が好むわかりやすい大型株」(国内証券のストラテジスト)が並ぶ。上位でPBR1倍割れの割安株は三菱UFJフィナンシャル・グループなどの銀行と日本製鉄だけだ。 4月以降、日本株の注目が集まると、株価指数先物や指数連動型のファンドに資金が入り、大型株が買われた。例えば東京エレクトロンは米ブラックロックの「iシェアーズMSCIジャパンETF」に組み入れられている。 足元で海外勢による日本株買いは一服しているが、BofA証券の圷正嗣チーフ日本株ストラテジストは「脱デフレによる賃金上昇や業績の上方修正への期待から、海外勢の買いはじわじわ増えていくだろう」とみる。「第2幕」の主役は個別株になる可能性が高く、各企業の動向に目を凝らすことが重要だ。2023/08/06 10:12:5726.名無しさんhYfPkコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼銀行は成長を切り開けるか 記者はこう考える-銀行150年 新たな挑戦 記者座談会2023/08/06 05:00 日経速報ニュース 日本初の銀行、第一国立銀行(現みずほ銀行)の設立から150年の7月、日本経済新聞は連載企画「銀行150年 新たな挑戦」をスタートした。テクノロジーの進化で金融の境界線が揺らぎ、銀行は成長か衰退かの岐路に立つ。成長を切り開いていくために何が必要か。メガバンクの戦略から人材獲得、金融規制まで6つの論点を取り上げた。 連載を終え、執筆した6人の記者と担当デスクで記者座談会を開いた。取材の現場で記者は何を見聞きし、記事にどんなメッセージを込めたのか。銀行や金融当局への厳しい注文も飛び出した。 みずほ、幻の社名変更 石川潤デスク「150年目の銀行はどう変わろうとしているのか。日本の金融をリードするメガバンクはどうか」 渡辺淳記者(金融機関キャップ)「名は体を表すというが、象徴的なのが、みずほフィナンシャルグループ(FG)が新しい中期経営計画をつくるにあたって、会社名から『フィナンシャル』を削除することを議論していたことだ。企業の課題が高度化し、金融だけではソリューションを提示できなくなっている。結局は法律の縛りもあってお蔵入りとなったが、考えさせられた。三井住友FGの太田純社長も金融だけでは顧客のニーズに応えられないと語っていた。金融グループの中で銀行の位置づけが落ちていると感じた」 玉木淳金融エディター「メガバンクの進む方向の羅針盤として、トップの発言はシャープだ。ただ、思いは伝わるが、重要なのは行動にどう移すか。メガバンクはずっと前から脱銀行と言っているが、スピードが足りない。銀行法の改正を自分たちで働きかけるというところまでやっていないのではないか」 五艘志織記者(日銀担当)「メガバンクの地位低下は若者世代の友人と話していても感じる。取材で東洋大学の野崎浩成教授は(顧客の購買行動の入り口である)カスタマージャーニーが始まるところで負けていると言っていた。私自身は『楽天経済圏』に入り込んでいるが、そこで使える銀行、カードという視点で金融サービスが選ばれていく。銀行はそうした経済圏を持つ企業の裏方に回るのか、戦うのか、岐路に立たされている」 石川「三菱UFJFGの亀澤宏規社長は黒子になると宣言していた。一方で、自分たちで経済圏をつくろうとしている銀行もあるね」 渡辺「メガバンク幹部が注目しているのはJPモルガン・チェースだ。旅行会社を買収し、チェースカードを自分たちのポータルで使ってもらい、利用者を循環させるビジネスモデルだ。練りあがったビジネスだが、難易度は高い。三菱UFJのような割り切りもありだろう。旅行、買い物、ストリーミングとネット上のあらゆるサービスに決済は必要で、金融のフロンティアが広がっている。その裏側を引き受けて、ボリュームをとって稼ぐという道も戦略としてありだ」2023/08/06 19:43:5027.名無しさんhYfPkコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼【記事はこちら】①メガバンク、成長か衰退か 揺らぐ金融の境界線 テクノロジーは武器か、脅威か 石川「銀行はテクノロジーを使いこなせているのだろうか」 北川開記者(大手銀・ネット銀担当)「住信SBIネット銀行は人工知能(AI)を使った自動審査で融資を拡大している。上限3000万円なのでメガバンクにとって脅威ではないが、これまで銀行の手が届いていなかったスタートアップへのファイナンスという意味で社会的に意義がある。数十分かかっていた与信判断が1秒でできる。面白いのは住信SBIがこのシステムを愛媛銀行などの地銀にも提供していることだ」 湯浅兼輔記者(金融庁キャップ)「金融の分野にはフィンテックも入ってきている。銀行も最新のテクノロジーを使わないと対抗していけない。金融庁は銀行法を段階的に改正し、銀行の業務範囲を広げている。武器は提供してやるから、稼げないなら稼げる分野に入っていけというメッセージを常日ごろから出している」 渡辺「QRコード決済大手のPayPayの特許出願数は、メガバンク3つをあわせた数より大きいというデータもある。自分たちで新しいサービスをイノベーティブに作っていく気概を(銀行から)感じられるだろうか。バンク・オブ・アメリカなどの海外大手との差はさらに大きい。日本の銀行はこれでいいのか」 石川「テクノロジーには倫理面の問題もある」 北川「中国のアリババグループのゴマ信用では、資産、収入、属性だけでなく、交友関係や購買履歴などをあわせて個人の信用スコアを算出している。これまでお金を貸せなかった人に貸せるようになる半面、お金を借りられず、なぜ借りられないのかさえ分からない人も出てくるだろう。使う情報が遺伝情報などに広がれば、事態はより深刻になる。人権的にどうなのか。法整備も必要になるだろう」【記事はこちら】②銀行の優勝劣敗、AIが決める 審査1秒で切り開く成長 地域再生、銀行は担えるか 石川「メガバンクだけでなく、地銀がどう成長していくのか。地域活性化の軸になれるかというのも重いテーマだ」 玉木「銀行の原点は地域だ。銀行は1927年に制定された銀行法で兼業が禁じられ、銀行しかやっちゃダメと言われてきた。だが、規制緩和で銀行が人材ビジネスとか、地域商社、発電所を自分でつくるようになっている。地域のインフラを全部背負って、担い手になろうとしている。地銀はもしかしたら『かつて地銀だったね』といわれるような存在になるかもしれない」 渡辺「日本の個人金融資産のうち、現預金が5割以上、1000兆円ある。銀行にお金が集まるのは信用信頼の証といえるが、いつまで続くのか。メガバンクはまだいいが、これから若い世代への資産承継が進んでいけば、地銀から都市部の銀行へとお金が抜けていくことになる。20、30年のスパンで考えたとき、そのうち預金の確保が苦しくなる銀行も出てくるのではないか」 玉木「同感だ。預金は勝手に来るものと思っているが、人口が大幅に減少し、人口の分布が変わってくるなか、地銀は優勝劣敗の敗の方に入る可能性がある。どうやって稼いでいくのか、ビジネスを転換しないと生き残りすら危ぶまれる。そこまでの危機感を持っている銀行は少ない」 湯浅「銀行はストックビジネスで、突然死しないと思っている」 玉木「日本では経営が悪化しても公的資金や他行への吸収などで、潰されることなく温存されている。最後は救ってくれるという感覚ができてしまった。これが銀行の危機感を奪い、進化を止めているのではないか」【記事はこちら】③銀行が主役の地域再生 「5%ルール」例外拡大の光と影2023/08/06 19:45:2828.名無しさんhYfPkコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼 文系エリートの憂鬱 石川「こうした変化に対応できる人材が銀行にはそろっているのか」 五艘「どう人材のポートフォリオを見直していくかがポイントだ。経営陣は東大卒、企画・人事畑、いわゆる文系エリートのような人たちが占めてきた。この人たちがどこまでテックの人材を受け入れながら変わっていけるか。みずほ銀行が21年にシステム障害を起こした際、人材配置のミスマッチが指摘された。みずほではこの反省から、積極的に異色の人材を採ろうとしている。米IT(情報技術)大手のGAFAにいた人、日本マクドナルドでネットマーケティングした人、いろいろな人を受け入れている。一方で中途入社した人からは、銀行はリスクマネジメントの感度が高いこともあって意思決定が遅いので、新しいことにチャレンジするハードルが高いという戸惑いも聞かれる。まさに銀行の覚悟が問われている」 北川「JPモルガンでは全社員の5人の1人がエンジニア。住信SBIは正社員の約半数がITや技術系の業務に携わり、かなり先を行っている。ただ、メガバンクも変わろうとしている。純血主義といわれてきたが、採用数をみると、中途と新卒が半々ぐらいになりそうな銀行もある。かつては銀行を辞めたら裏切り者みたいな扱いを受けたが、いまでは辞めた人材を再び受け入れている。変わる力はあると思う」 玉木「三井住友信託銀行は国際的に活動する環境NGO(非政府組織)の日本代表を雇った。変わらなければいけないという危機感が強まっているのではないか」 石川「理系出身者がメガバンクのトップになる時代になったが、女性や海外出身者のトップも生まれるだろうか」 玉木「(若手行員に占める女性の割合などを考えれば)女性はあるでしょう。海外出身者はどうだろう」 渡辺「海外出身者は、収益の海外比率が高い損害保険会社ではあり得るのではないか。銀行ではそういった気配は感じない」 玉木「みずほの不祥事の時、海外の人をトップにしたらいいという意見が金融庁にあった」 五艘「外からの風を取り込むのは大事だが、専門人材ばかり優遇されているとプロパーが感じ始めたら内部から崩壊しかねない。処遇は丁寧にやっていくべきだ」【記事はこちら】④異才が変える銀行の常識 「人材の宝庫」は輝くか 37年越しの「貯蓄から投資」 石川「これからの成長を考えるときに、資産運用は大きな軸になる」 藤田和明編集委員「印象的なのは37年前のエピソード。投資顧問業法ができたとき、三菱銀行は米フィデリティ、住友銀行は米バンカース・トラストに力を貸してくれという話になった。そのとき受けた警鐘は『銀行員がやるんじゃない。できるだけ早くプロパーを。カルチャーが違うのだから』というものだった。それから37年、金融庁が4月末に公表したプログレスリポートで指摘したように、資産運用会社はガバナンスに課題がある。資産運用で骨をうずめるんだという人が、トップをやっていない」 石川「変わろうとしているのか」 藤田「もちろん変化もあって、三井住友に聞くと、投信の保有期間が8年に延びている。変動するモノを長期で分散して果実を長期的に得られるようにと、徐々に変化は起きている。資産運用部門は財務的にはあまり資本を使わずに収益を上げられる部門だ。ここのボリュームが出てくると銀行の収益性が高まる。JPモルガンのダイモン最高経営責任者(CEO)が4月の株主への手紙で『金利や単純な信用リスクをとるだけなら1人の人間とコンピューター1台で十分。(社員)29万人が地球を回る必要はない』と顧客との関係構築の重要性を強調していた」 渡辺「金融庁のリポートを受けて、金融機関は改善策を検討しているが、当局の要請にどう応えるかというところに終始している印象がある。形格好だけでなく、本質的な変化をどう生み出すかが重要だ」2023/08/06 19:48:1629.名無しさんhYfPkコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼【記事はこちら】⑤預金神話、崩すのは誰か 37年前の警鐘生かすとき 銀行法の縛りは必要か 湯浅「金融と非金融の垣根が低くなってきたときに、業法で縛りをかけているのが適切なのかという問題もある。金融庁もかつて、業法ではなく、金融サービスの機能によって規制をしていくべきだと主張していたことがある。たとえば決済では、国内為替も含めてすべての決済を統一的に監督するようにすれば、PayPayも管轄できる。資産運用も同じだ。金融庁も問題意識はあるが、業法を少しずつ変えることで対応してきた。ただ、それは弥縫(びほう)策だと思う。業法に縛られない企業が急成長して、縛られている企業が付いていけなくなっている。同じサービスなら同じ土俵で戦うべきで、いまから本格的に議論すべきだ」 渡辺「金融庁は銀行に何を期待しているのか。世界有数の金融機関に成長してほしいのか。日々のオペレーションをしっかりやってほしいのか」 玉木「金融庁は以前にも国際金融都市構想を打ち出したことがある。今回の資産運用立国プランもベースの思想は一緒だが、資産用にシフトして銀行が中心でないというところに時代の転機を感じる。主役が銀行ではないと暗喩されている。規制に関していえば、金融庁には二面性のようなものがある。(成長を唱える一方で)安定を求めたがるのが当局者。ノンバンクが増えるのは困るので、バンクの世界で制御したいのが本音。銀行はある意味、被害者という面もある」 藤田「資産運用を本気でやるなら、金融庁に資産運用課をつくればいい」 湯浅「(肥大化を避けるため)課は増やせない。どこかを潰さなくちゃいけない」 玉木「金融庁自身が銀行を頂点に置くヒエラルキーを壊さないといけない。金融庁で資産運用は大事という人が多いが、結局は歴代本の金融が大きな曲がり角に差し掛かっていることだけは間違いない。我々はよりいっそう取材に力を入れる必要があるということを確認して、本日はお開きとしましょう」【記事はこちら】PayPayは個人送金2億回超え 縦割り規制、誰のため?記者座談会の参加者渡辺淳 金融機関取材を統括するキャップ。日々の取材で念頭に置いている言葉は「神は乗り越えられる試練しか与えない」。北川開 大手銀・ネット銀担当。取材対象の商品・サービスはなるべく試すようにしており、銀行口座は6つ、クレジットカードは10枚以上保有。玉木淳 銀行取材歴20年の金融エディター。毎年、一晩かけて80キロメートルを歩く強歩大会に参加。銀行の生き残りレースの難しさは強歩大会と重なる。五艘志織 大手行担当を経て日銀担当。趣味で所属するオーケストラが人手不足。人材をひきつけるにはまず対話とミスマッチ防止だと実感。藤田和明 編集委員。東京証券部、ニューヨーク駐在などで一貫してマーケットを取材。資産運用分野のカバーは1990年代後半の金融ビッグバンの前から。湯浅兼輔 金融庁キャップ。現勤務地の虎ノ門周辺の再開発は桁違い。日本経済の地力を感じつつ、雑多な街並みがなくなっていくことに一抹の寂しさも。石川潤 今回の企画の担当デスク。日銀、財務省、金融機関などを取材し、2022年までベルリン支局長。モットーは「誠実に、しかし大胆に」。【ビジュアルで振り返る銀行150年】源流は新1万円札の顔・渋沢栄一 銀行150年の栄枯盛衰2023/08/06 19:49:1330.名無しさんTLXqVコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼「超割安株」仕込みの夏――相次ぐ低PBR対策、還元強化が誘う長期株高(スクランブル)2023/08/08 日本経済新聞 朝刊 株式相場が方向感を欠くなか、PBR(株価純資産倍率)が極端に低い「超割安株」が注目され始めている。小泉相場やアベノミクス相場と比べると市場全体に占める超割安株の割合はまだ高く、資金流入の余地が大きいためだ。足元の決算発表では株主還元の強化など企業の低PBR対策が相次ぎ、投資家の期待感が高まっている。 「期待していた内容が出てきた」。三菱UFJ国際投信の友利啓明氏はいう。運用するファンドで保有する日本郵船が3日昼に上限2000億円の自社株買いを発表したためだ。自社株買いの方針は3月に発表した中期経営計画に盛り込まれていたが、市場は「有言実行」を好感。株価は発表から約1割上昇した。 4~6月期決算にあわせた還元強化の発表が目立つ。運輸事業などを手掛けるニッコンホールディングスは4日、毎年の配当を増額または維持し、減配しない「累進配当」の方針を発表。三菱商事系の日本食品化工は7月31日に中間配当を導入するとした。 還元強化の発表は通常、中間期(4~9月期)か通期決算時が多い。しかし、今年は前倒しの発表が相次ぐ。東京証券取引所の低PBR是正要請を受け、対応策は出せるものから出そう、という企業の姿勢が垣間見える。対応策の発表は「これからもっと増え、盛り上がる」(友利氏)。 ゴールドマン・サックス証券のブルース・カーク氏も「市場の注目は再び低PBR対策に移る」と予想する。6月までの日本株ラリーに乗り損ねた海外投資家に推奨するのが、PBRが0・5倍を下回る「超割安株」だ。 背景には過去の大相場の経験がある。2003年からの小泉相場を振り返ると、東証1部全体に占める超割安株の比率は02年末時点で21%だったが、04年3月には5%を下回り、05年9月にはほぼゼロになった。 アベノミクス相場も同様だ。超割安株の比率は12年10月時点で22%だったが14年末には5%まで低下した。株高が続くなかで、出遅れた銘柄に買いが向かったことがうかがえる。 今回はどうか。超割安株の比率は22年末時点の15%からは低下したが、7月下旬でなお9%と高止まる。長期株高を想定するなら「まだ買える銘柄はある」というのがカーク氏の見立てだ。 農林中金全共連アセットマネジメントの山本健豪氏は西日本フィナンシャルホールディングスや七十七銀行など銀行株に注目する。運用するファンドの一つではおよそ1割を銀行株が占める。銀行株は大半がPBR0・5倍未満だが、低PBRでも流動性の乏しい銘柄は避けて選別しているという。 超割安株は主力の大型株に比べ、そもそも保有している機関投資家が少ないため、先物売り主導で相場全体が下げる局面でも影響を受けにくい面がある。7日も日本郵政(PBR0・35倍)や日本製紙(同0・4倍)、日本電気硝子(同0・45倍)などは上昇した。 もっとも、超割安株にまでマネーが浸透するには海外勢の日本株への関心が続く必要がある。企業も低PBRを脱するためには投資家の買いを待つだけでなく、収益改善など実効性のある改革を打ち出す必要がある。還元強化はいわば、その第1段階だ。投資家の期待に応える回答が相次げば、いよいよ長期株高への道筋が開けてくる。2023/08/08 06:38:5831.名無しさんTLXqVコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼日銀のYCC修正後も円安続く、植田総裁が為替相場に異例の言及でもhttps://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-08-07/RYUW9MT0G1KW01?srnd=cojp-v22023/08/08 09:26:1332.名無しさんbRiR0コメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼ウェルズFや邦銀系に制裁金、通信記録保持に不備-SECとCFTCSECの制裁金総額は2.89億ドル、CFTCも4行に合計2.6億ドル一連の調査決着のための制裁金は21年12月以降で計25億ドルを超えるウォール街の大手金融機関の通信記録管理に対し、米証券取引委員会(SEC)などが監視を強める中で、米銀ウェルズ・ファーゴやフランスの銀行BNPパリバは、「ワッツアップ」など非公式の通信手段を使うビジネスメッセージのやりとりを巡り、多額の制裁金を支払うことに同意した。 SECと米商品先物取引委員会(CFTC)が8日公表した一連の処分を合わせると、ビジネス関連のメッセージ保全に関係する調査を決着させるための制裁金は、2021年12月以降で総額25億ドル(約3580億円)を上回る。 SECの発表によれば、この問題の決着に向け、ウェルズ・ファーゴの複数の部門が合計1億2500万ドル、BNPパリバは3500万ドルの支払いに応じる。 両行以外の支払額は、BMOキャピタル・マーケッツと米国みずほ証券がそれぞれ2500万ドル、SMBC日興セキュリティーズ・アメリカが900万ドルなど。11社で合計2億8900万ドルをSECに支払う。 これとは別にウェルズ・ファーゴとBNPは、デリバティブ(金融派生商品)ブローカレッジ部門での同様の違反を決着させるため、CFTCへの7500万ドルの支払いにそれぞれ同意した。ソシエテ・ジェネラルとモントリオール銀行を含む4行の支払総額は2億6600万ドルとなる。 無許可の通信アプリや個人の電子メールをビジネスのやりとりに使用することで、監視の目が届かないことにSECとCFTCは不満を募らせ、行員や社員の通信記録保持の不備に対し、取り締まりを強化している。 ウェルズ・ファーゴの広報担当ローリー・カイト氏とBMOの広報担当者は、調査の決着をうれしく思うと回答した。BNPとみずほ、ソシエテ・ジェネラル、SMBC日興はコメントを控えている。2023/08/09 14:26:2433.名無しさんzyzhMコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼長期金利0.565%に低下 日銀政策修正後の上昇一服2023/08/09 19:53 日経速報ニュース 9日の国内債券市場で長期金利が低下(債券価格は上昇)し、0.565%と2週間ぶりの低水準を付けた。30年物国債入札で投資家の需要が確認できたことに加え、海外市場の金利低下が日本にも波及し、日銀が長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)を修正して以来の長期金利上昇が一服した。 長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは前日比0.04%低い0.565%と、日銀が政策修正に動いた7月28日以来の低水準を付けた。 財務省が8日実施した30年物国債入札では、応札額を落札額で割った応札倍率が1年7カ月ぶり高水準となった。投資家の需要が強いことが示され、幅広い年限の国債買いにつながった。 厚生労働省が8日発表した6月の毎月勤労統計速報で現金給与総額が市場予想を下回った。日銀は今後の物価動向を見極めるために賃上げ動向を重視する方針を示している。賃金の下振れで日銀の政策修正が遠のいたとの見方も国債買いを誘った。 また、日本時間8日から9日にかけて、一部の大手格付け会社による米銀の格下げを受けたリスク回避の動きで米長期金利が一時4%を下回った。米債利回りの上昇一服を受けて日本の国債に買いが波及した面もある。 東海東京証券の佐野一彦チーフ債券ストラテジストは「日銀の国債買い入れも金利低下に効いている」と指摘する。 日銀は9日、政策修正後では2回目となる通常の国債買い入れオペ(公開市場操作)を実施した。買い入れ額は全ての年限で政策修正前から据え置いており、残存5?10年の国債は1回あたり6750億円を買い入れている。1カ月あたりの買い入れ額は10年債の発行額(2兆7000億円)に匹敵するため、需給が引き締まりやすい状況となっている。 もっとも、金利低下がこのまま続くかは不透明だ。岡三証券の鈴木誠債券シニア・ストラテジストは「日本でも物価上昇が続き、さらなる政策修正観測もくすぶるなか、0.55%を下回る水準でも国債買いに動く投資家は限られるだろう」と指摘する。2023/08/10 04:24:4434.名無しさんY9006コメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼日本株、金融不安に動じず――景気堅調、株主還元も支え(スクランブル)2023/08/10 日本経済新聞 朝刊 欧米発の金融不安が悪材料となるなかで、日本株が底堅さを保っている。9日はイタリアの追加課税に端を発した欧州の銀行株安が波及し、メガバンクなど金融株が下げたものの日経平均株価の下げ幅は限られた。日米の景気回復や日本企業による過去最高の株主還元が材料視され、株価を下支えしている。 9日の日経平均は前日比172円安の3万2204円で取引を終えた。下げが目立ったのが三菱UFJフィナンシャル・グループや第一生命ホールディングスといった金融株だ。 背景にあるのは欧米で浮上した金融不安だ。イタリア政府は7日、欧州中央銀行(ECB)の利上げで金利収入が膨らんでいるのに目を付け、銀行への追加課税を発表。伊銀行大手インテーザ・サンパオロは9%安、ウニクレディトも6%下落した。米国でも銀行株が売られた。米格付け会社が一部の米地方銀行を格下げしたためだ。 日本の銀行株は、欧米の銀行株が大きく下げれば連動した売りに押される。ポートフォリオに占める邦銀株の比率が相対的に上がり「比率上昇を抑えるために機械的に邦銀株を売る動きが出る」(外資系証券のトレーダー)ためだ。 金融株は総じて下落したものの、日経平均の下げ幅は小幅にとどまった。3月の米シリコンバレーバンク(SVB)破綻時は日経平均は一時1600円安、先週の米格付け会社フィッチ・レーティングスによる米国債の格下げでは1300円安と急落した。3月のSVB破綻時はショック安から短期間で相場が反転したため「今回も短期で終わる」と投資家に慣れが出てきている面がありそうだ。 日米景気の堅調さも株価の支えとなっている。野村アセットマネジメントの石黒英之シニア・ストラテジストは先行きの世界景気の動向を示す経済協力開発機構(OECD)の景気先行指数に着目する。4日発表の7月分では日本は好不況の境目となる100を6カ月連続で上回る。米国も4カ月連続で改善し、底入れからの反転が鮮明だ。 さらに、S&P500種株価指数の構成銘柄の1年先予想の1株利益が回復基調にあり「24~25年には過去最高益の更新が見込まれる」(野村アセットの石黒氏)。米景気回復と企業業績の改善という前提が崩れなければ、米株式相場はじり高傾向が続くとみる。日本株も調整が長引くとは想定しづらい。 日本独自の株高要因も健在だ。9日は神戸製鋼所が一時15%高となった。前日に24年3月期の純利益が過去最高となる見通しを示すと同時に、配当性向を従来の15~25%から30%程度に引き上げたのが好感された。 米モルガン・スタンレーのダニエル・ブレイク氏は23年に日本企業は配当と自社株買いで過去最高の30兆円を支出すると試算する。株主還元の拡充というテーマが相場を下支えする。 日経平均は7月3日に年初来高値(3万3753円)を付けて以降、1カ月以上更新が止まっている。一方、東証株価指数(TOPIX)は8月に年初来高値を更新した。市場では「8月後半にかけどちらの指数の力が強いのかが注目される」(みずほ証券の三浦豊シニアテクニカルアナリスト)との声が出ている。2023/08/11 06:23:4135.名無しさんMQ8OTコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼年金世帯が脱デフレ左右 消費の4割、資産循環重要に-チャートは語る2023/08/12 05:30 日経速報ニュース【この記事のポイント】・国内の消費支出は65歳以上の世帯が4割・年金暮らし世帯がGDPの15%を左右・高齢者の消費活性化がデフレ脱却と連動 賃上げが30年ぶりの高水準となり、消費の押し上げ効果への期待が高まるなか、高齢化社会ならではの課題が浮かび上がってきた。国内の消費支出は65歳以上世帯が4割を占め、年金暮らしの世帯が国内総生産(GDP)の15%に影響する。物価高で賃上げが進んでも年金世帯は恩恵を受けにくい。高齢者の消費活性化がデフレ脱却を左右する。 「将来を考えるとなかなか思い切ってお金を使えない」。横浜市の70代の男性はこう話す。孫へのプレゼントなどには財布のひもは緩むが、大きな買い物は控えがちだ。 高齢者の消費支出に占める存在感は高まっている。世帯主が65歳以上の世帯の2022年の1カ月平均の支出は21万1780円だった。全体に占める割合は約39%になる。少子高齢化に伴い、20年前の約23%からほぼ倍になった。団塊世代の高齢者入りが一巡したことなどから、10年代後半から頭打ち傾向にあるものの、団塊ジュニア世代が高齢者になる30年代からは伸びが再加速する可能性がある。 持ち家を借家とみなした場合に想定される家賃を除いた消費額をもとに第一生命経済研究所の星野卓也氏が試算したところ、年金暮らしと考えられる平均年齢74.5歳の無職世帯の消費額は22年に33%を占めた。 日本の22年の名目GDPの実額は556兆円で、5割を個人消費が占める。GDP全体の15%程度を年金世帯の消費が担っていることになる。 消費者物価指数は生鮮食品を除く総合が6月まで10カ月連続で3%を超えた。今年の春季労使交渉の賃上げ率は連合の最終集計で3.58%と30年ぶりの水準だ。ただ賃上げの恩恵は年金世帯には及ばず、物価高で年金支給額は実質的に減る。 22年の物価上昇などを受け、既に年金を受け取っている68歳以上の人は23年度の支給額が前年度比1.9%増と、3年ぶりに増える。物価の伸び以上に年金額が増えない仕組みになっており、2.5%の物価上昇率を加味すると実質的にマイナス圏に沈む。 日本総合研究所の西岡慎一氏は今後、物価が2%伸びても給付を抑制する「マクロ経済スライド」の発動で受給済みの人の年金の伸びは1%程度にとどまると試算する。この場合、60歳以上で無職の世帯の消費は0.2ポイント押し下げられるという。 一方で高齢世帯は金融資産が多い。日銀の資金循環統計によると23年3月末の家計の金融資産は2043兆円と、過去最高だった。19年の全国家計構造調査では、65歳以上の無職世帯の夫婦の金融資産は1915万円で、全世帯平均より636万円も多い。 65歳以上世帯の金融資産の7割弱は現預金だ。物価高では現預金の価値が目減りする。今年は日経平均株価がバブル崩壊後最高値となるなど株高で「貯蓄から投資」の機運がある中、多くの人が一定の知識を持って適切に資産形成できれば支えになりうる。 問題は将来の不安からお金を使おうとする意欲がそがれていることだ。生きている間に必要になる生活費や医療費が見通しにくいと手元の資産を使って積極的に消費しようという気持ちになりにくい。 人口に占める65歳以上の比率は20年時点で日本が28.6%と突出する。ドイツが21.7%、米国16.6%、韓国15.8%だ。そもそも米国に比べ日本は消費意欲が弱い。 適切に資産形成したり、ライフスタイルにあわせながら可能な範囲で働き続けたりと解はいくつもある。消費のボリュームゾーンとなった高齢者が過度に不安にならずに消費できる前向きな社会観をつくれるか。需要不足を脱しきれない日本がデフレに後戻りしないためのポイントの一つになる。2023/08/12 06:40:0536.名無しさんScucZコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼海外勢変調、円安でも株安――TOPIX型に売り 「日本優位」吟味始まる(スクランブル)2023/08/15 日本経済新聞 朝刊 東京市場で円安・株高の構図が変化してきた。14日は円相場が対ドルで今年の最安値を付けるなか日経平均株価は413円安となった。背景に海外投資家の変調がある。 「ここまで円安が進むとドル建てのパフォーマンス悪化など悪い面が注目されやすい」。CLSA証券の釜井毅生エグゼキューション・サービス統括本部長は14日の円安・株安をこう解説した。 7月上旬までの日本株の上昇は円安と並行して進んだ。ところが、下旬以降は円安でも株価の上値は重い。14日はトヨタ自動車が1%安と下げた。過度の円安はガソリン高を通じ個人の購買意欲を下げかねない。 別の外資系証券のトレーダーは海外勢の株価指数先物の売買に、上値の重さの原因を嗅ぎ取る。 大阪取引所によると、海外勢は8月第1週に先物を約4000億円売り越した。このトレーダーが「変質」とみるのは売りの内訳。東証株価指数(TOPIX)型が約2800億円で日経平均型の2倍超と大きい。TOPIX型の売越額の方が大きいのは2週連続だ。 TOPIX型主導の売りは何を意味するのか。 「流動性の高い日経平均型はヘッジファンドなど短期勢が主に値幅取りや裁定取引に使う一方、TOPIX型は中長期目線の投資家が使うことが多い」。JPモルガン証券の高田将成クオンツストラテジストは両者の違いをこう説明する。 海外勢の日本株買いが本格化した4月第2週以降、短期的な過熱感から先物が売られる局面では日経平均先物への売りが大きく、TOPIX型は少額の売りか、むしろ逆行して買われてきた。足元での変化は、中長期の海外マネーが日本株から離れていることを示唆している可能性がある。 8月にTOPIX型の売り越し幅が大きいのはJPモルガン証券やBofA証券など中長期の顧客が多い米系だ。 個別株でも海外勢好みの銘柄は売られやすくなっている。日経500種平均株価の構成銘柄を対象に、外国人持ち株比率の上位100銘柄群と下位100銘柄群の日々の値動きの差を3月末から累積すると足元でマイナスが深まっている。外国人持ち株比率が高いほど下げていることを示す。 代表例が国際競争力が最も高い分野のひとつとされるロボット分野だ。ファナック株は6月に付けた年初来高値から23%下落。ナブテスコはほぼ1年半ぶりの安値に沈む。ともに中国で設備投資需要が予想以上に落ち込んでいることが売りにつながっている。 日本株買いの理由のひとつには経済安全保障などを背景にした中国株から日本株への資金シフトがあった。ただ、中国経済不振は日本株にもはね返ることが4~6月期決算で認識されてきた。 日本株の優位論は全体には揺らいでいない。物価上昇を背景とした名目国内総生産(GDP)の拡大は、企業業績を予想以上に押し上げ、円安はインバウンド(訪日外国人)にはプラスとなる。 ただ、海外勢は優位点のひとつひとつを吟味し始めている。TOPIX先物の売りが膨らんだ7月第4週は、日銀が政策修正したタイミングに重なる。「『緩和姿勢の後退』と受け止められ海外勢の売りにつながっている可能性がある」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の古川真チーフ・ポートフォリオストラテジスト) 資本効率の引き上げなど改革の動きが鈍いとの声も聞かれはじめた。株高持続には「変わる日本」の実績を積み上げる必要がある。2023/08/15 06:05:3337.名無しさんScucZコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼GDP上振れ インフレ伴う経済成長に・みずほ証の小林氏2023/08/15 09:50 日経速報ニュース 小林俊介・みずほ証券チーフエコノミスト 4~6月期の実質国内総生産(GDP)速報値はかなり強い内容だった。自動車生産やインバウンド(訪日外国人)の回復で輸出が伸びたほか、経済再開で設備投資も改善が続いている。自動車の生産台数はピーク時を下回ったままで増加余地があるうえ、今年の春季労使交渉(春闘)で確認できた賃上げが反映されるにつれて実質賃金もプラスとなり、個人消費も力強さを取り戻す可能性が高い。 輸入が落ち込み、内需の弱さが目立ったことで市場ではあまり良い内容ではないとの声が出るかもしれない。しかし、賃金上昇を背景に内需は個人消費を中心に伸びていくと考えている。総じてみると日本経済は良好といえる。特に名目成長率が非常に高く、日本は数十年ぶりにインフレを伴う経済成長を実現している。株式市場では景気敏感のバリュー(割安)株に加えて、販売単価の引き上げが可能な(競争力の高い)内需銘柄に対しても物色が向かうだろう。 4~6月期の景気回復で需給ギャップはプラスに転換したとみられ、物価や賃金の上昇圧力がかかっていくとみている。7月の「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で物価見通しの上振れリスクが大きいとした日銀の見方を裏付けるGDPだった。マイナス金利政策や長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)の解除といった早期の金融引き締めには引き続き慎重だろうが、物価・賃金が強含むなかで金融政策の自由度は増すと予想している。2023/08/15 09:58:1138.名無しさんDkAIXコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼NYダウ反落、361ドル安 中国景気懸念や銀行株安が響く2023/08/16 05:51 日経速報ニュース 【NQNニューヨーク=戸部実華】15日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに反落し、前日比361ドル24セント(1.0%)安の3万4946ドル39セントで終えた。中国景気の減速懸念が強まったうえ、米金融セクターを取り巻く不透明感が米株相場全体の重荷となった。米長期金利の上昇も株式の相対的な割高感につながり、幅広い銘柄に売りが出た。 15日発表の中国の7月の工業生産高などの経済指標が軒並み市場予想を下回った。同日には中国人民銀行(中央銀行)が期間1年の中期貸出制度(MLF)金利を引き下げた。中国の不動産大手の経営不安も浮上しており、同国経済の先行き不透明感が高まった。 中国など海外の売上高比率が高い銘柄が売られやすく、ダウ平均の構成銘柄では化学のダウが3%安、工業製品・事務用品のスリーエム(3M)が2%安となった。中国の原油需要が伸び悩むとの観測から米原油先物相場が下落。原油安が業績の逆風になるとみて、石油のシェブロンと建機のキャタピラーも下げが目立った。 米金融株が軒並み売られたことも、投資家心理を悪化させた。格付け会社フィッチ・レーティングスが大手米銀を含む70行以上を格下げする可能性があると米CNBCが15日に報じた。銀行の経営環境の厳しさが改めて意識され、JPモルガン・チェースとゴールドマン・サックスが安かった。ダウ平均の構成銘柄ではないが、バンク・オブ・アメリカやシティグループなどが売られた。地銀も下げ、地銀株で構成する上場投資信託(ETF)「SPDR S&P地銀ETF」は3%安となった。 米長期金利の指標である10年債利回りが一時前日比0.08%高い(債券価格は安い)4.27%と昨年10月以来の高水準を付けた。朝方発表の7月の米小売売上高は前月比0.7%増とダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(0.4%増)を上回った。市場では「良いニュースは(米追加利上げ観測を強める)悪いニュースとして受け止められる局面だ」(LPLファイナンシャルのクインシー・クロスビー氏)との声も聞かれた。 ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は15日、インフレは依然として高水準との認識を示し「(利上げが)終わったとはまだ言えない」と話したと伝わった。金融引き締めの長期化観測も株売りにつながった。 一方、朝方発表した5?7月期決算が市場予想を上回ったホームセンターのホーム・デポは買われた。 ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は反落し、前日比157.284ポイント(1.1%)安の1万3631.047で終えた。電気自動車のテスラは3%、ネット通販のアマゾン・ドット・コムは2%下げた。交流サイトのメタプラットフォームズやネット検索のアルファベットも安い。半面、複数のアナリストが目標株価を引き上げた画像処理半導体のエヌビディアは上昇した。2023/08/16 06:04:1739.名無しさんDkAIXコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼株、下値メドは75日移動平均か・東海東京の中村氏 米銀行株安の影響警戒2023/08/16 08:03 日経速報ニュース 中村貴司・東海東京調査センターシニアストラテジスト 16日の東京株式市場で日経平均株価は反落しそうだ。下値メドは前日終値から400円程度安い水準に位置する75日移動平均(3万1830円、15日時点)近辺を想定している。前日の米株式相場の下落が投資家心理の重荷となる。格付け会社フィッチ・レーティングスが大手米銀を格下げする可能性を示唆したことで米銀行株が下落しており、他業種への影響が出ないか気がかりだ。 足元では売買が細る「夏枯れ」シーズンだが、秋からは投資家も増えてボラティリティー(変動率)が高まる可能性が高い。中国景気減速への警戒感が高まってきているうえ、米国景気に対する楽観的な見方が続くかも不透明感は強い。期待先行で世界の株式相場の上昇が続いてきたが、過度な期待が修正される局面に入れば、国内株式市場でも幅広い銘柄に利益確定売りが出る可能性がある。2023/08/16 08:18:4240.名無しさんDkAIXコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼海外勢の米国債保有額、6月は増加 首位日本が保有拡大https://jp.reuters.com/article/usa-treasury-securities-idJPKBN2ZQ1Q42023/08/16 08:27:0941.名無しさんhc3RBコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼東芝TOB融資1.4兆円、条件厳しく 銀行監視、出資企業に不満(金融取材メモ)2023/08/17 日本経済新聞 朝刊 年内の非公開化をめざす東芝へのTOB(株式公開買い付け)が始まった。投資ファンドを中軸とする企業連合の総額2兆円にのぼる買収資金のうち、大手銀行の融資額は全体の過半を占める。巨額の融資に伴うリスクを拭いきれない銀行団は厳格な条件を盛り込み、出資を決めた企業には不満もくすぶっている。 東芝の資金繰りを支える2000億円のコミットメントライン(融資枠)を含め、融資の総額は1兆4000億円。三井住友銀行が5150億円、みずほ銀行が4600億円を引き受ける。三井住友信託銀行と三菱UFJ銀行、あおぞら銀行を加えた5行で融資団を構成する。相手先の企業が抱える資産を担保に融資を実行するLBOファイナンスとしては国内で最大級だ。 融資が固まるまでには曲折があった。調整が大詰めを迎えた昨年12月。ある大手行の幹部は「非上場化してからの成長戦略がみえない」と融資額の上積みに強い難色を示した。東芝が4割出資する半導体メモリーのキオクシアホールディングス(HD)の業績悪化も鮮明になり、上場廃止後の経営を懸念する声は銀行団に根強くあった。 同じ年の夏に破綻したマレリホールディングス(旧カルソニックカンセイ)で債権放棄を含め、4500億円の金融支援を迫られた記憶も生々しい。巨額の融資に伴うリスクをどこまで引き受けられるか、参加行の協議は難航した。 「オールジャパンで支える構成にしたい。協力をお願いできないだろうか」。事態の打開に動いたのは、協調融資を取りまとめる三井住友銀行の高島誠頭取(当時、現会長)だった。みずから大手行の首脳に協力を要請し、負担額の引き上げを求めて回ったという。 参加行の理解を得るため、最高財務責任者(CFO)など重要な経営判断に携わる役員を銀行団から送ることで東芝側と合意。業績不振が顕在化すれば、東芝が保有するキオクシアHD株を売却したり、非上場企業の株式を第三者へ譲渡したりすることを条件に付けた。経営の進捗状況を点検する会議も3カ月に1度開く。 東芝の業績が銀行側と定めた条件に届かない場合、期限前に一括の返済を求めることができる財務制限条項(コベナンツ)にも厳しい内容を盛り込んだ。一般的な純資産や純利益の維持に加え、負債額をEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)で割った値が一定の水準に収まるよう要請。こうした条件に抵触すると、業務改善計画の作成と実行に向けた検討を東芝に義務付ける。 確実な返済を担保したい銀行団にとっては必須の条件だが、銀行の監視が強まれば東芝の大胆な事業展開を縛ることにもなりかねない。リスクを引き受けて東芝に投資する企業が反発を強める可能性がある。実際にオリックスは優先株と普通株で3000億円を拠出する予定だったが、最終的に劣後ローンと普通株の組み合わせで2000億円にとどめるなど不満をあらわにした。 それぞれの思惑を秘めて出資した企業はロームや中部電力、スズキ、パロマ、鹿島、JR東海など幅広い業種の計26社。化学繊維を手掛ける韓国企業も名を連ねる。東芝の再出発と成長という共通の目標に向け、足並みをそろえることができるのか。早くも伝わる不協和音からは多難な船出を予感させる。2023/08/17 06:21:2242.名無しさんyrdxSコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼不動産含み益、眠る23兆円――企業のPBR対策に期待(スクランブル)2023/08/17 日本経済新聞 朝刊 上場企業の保有不動産に対する投資家の関心が高まっている。資本効率改善への要請が強まるなか、含み益を抱える不動産を売却し資金を株主還元や成長投資に回すことへの期待が背景にある。主要企業の不動産含み益は過去最高の約23兆円にのぼる。眠れる資産を有効活用し、企業価値を高める経営への転換が株価を左右する。 「これまでは実現性に欠ける銘柄リストだったが、東証の要請を経て現実味が出てきた」。野村アセットマネジメントの宮崎義弘チーフ・ポートフォリオマネージャーが指し示すのは、企業のPBR(株価純資産倍率)に不動産などの含み益を加味した「実質PBR」を示す一覧表だ。 実質PBRは、PBRの分母の純資産に不動産などの含み益(税引き後)を足して算出する。含み益が大きいほど値が小さくなり、割安感は強まる。ただ、企業が不動産などの資産を売却しない限り、含み益は実際の利益とはならない。 これまで日本企業は資産売却に消極的で、実現益には期待しづらかった。典型的だったのが不動産大手だが、変化の兆しも見える。宮崎氏は「資産を売却して株主還元を強化したり、資本効率を高めたりといった戦略が出始めてきた」と話す。実際、オフィス市況の改善なども材料に不動産株を買い付けたという。 含み益が2500億円強ある野村不動産ホールディングスは「保有ビルの売却に聖域はない。含み益のある物件を一部売却し、株主還元や資本効率向上につなげる」(芳賀真副社長)との姿勢を明確にした。約3・2兆円を抱える三井不動産も「適時売却による含み益実現」を経営方針の一つに掲げる。 企業の不動産含み益は拡大が続いてきた。継続比較できる主要企業の賃貸等不動産の含み益は2022年度末で22兆8203億円にのぼり、10年前比で2・6倍になった。純資産に対する比率も3割弱と10年前の2割弱から拡大した。 直近年度で不動産含み益の比率が高く、実質PBRが1倍を割っている約100社の7月以降の株価騰落率は中央値で2・2%高と、割安株(同0・3%高)や主要企業全体(同0・4%安)を上回る。東証のPBR改善要請を受けた自社株買いや増配が一巡し、「次の一手」として資産売却に動く企業が増えるとの見方がうかがえる。 期待は不動産セクターにとどまらない。三菱UFJ国際投信の末永壮視シニアファンドマネジャーは「倉庫や鉄道などの資産活用にも注目できる」と指摘する。例えば、約1・6兆円の不動産含み益をもつJR東日本は3月に私募REIT(不動産投資信託)を組成。自社の物件を売却して得た資金を、高輪エリアなど成長案件に投じる。 もっとも、含み益の実現可能性には企業によって濃淡があり、過剰な期待は禁物だ。1980年代のバブル期には企業の持つ土地などを時価評価して算出する「Qレシオ」が異常な株価を正当化する指標として注目された例もあった。 それでも、日本企業のPBR改善は息の長いテーマになるとの見方が多い。不動産価格の上昇も続くなか、中期的には含み益を実現益に転換する動きが続くとみられる。「眠れる資産」を持つ銘柄を探る動きは活発になりそうだ。2023/08/18 06:09:3043.名無しさんyrdxSコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼インフレ下の老後をどう生きるか-人生100年こわくない・マネー賢者を目指そう(熊野英生)2023/08/18 04:00 日経速報ニュース 世の中には明らかに弊害が起きているのに、ほとんど誰もが正面切って問題視しないことがある。猛暑の背後に地球温暖化が加速していること。住宅購入費用がコロナ禍で高騰していること。そして、本稿で取り上げる老後の生活費がインフレで増加し、その一方で準備資金が実質的に目減りしていることだ。 日経ヴェリタスの読者には、このインフレリスクのことは説明すれば十分にわかってもらえると思い、少し踏み込んで議論してみる。 「インフレ課税」で割り負け まず日銀は7月の金融政策決定会合で、長期金利が0.50?1.00%へと上昇することを事実上容認した。もう1つ、「展望リポート」を改定して、2023年度の消費者物価(除く生鮮食品)の前年比見通しを2.5%に上方修正した(前回4月の見通しは1.8%)。 長期金利はその利回りがたとえ1.00%であっても、物価2.5%に割り負けている。つまり、老後資産を日本国債で運用しても、生活費をまかなうだけの収益が得られないことを示している。それどころか、老後資産の元本価値は年間2.5%ほど減価していることになる。物価2.5%と言っても、食料品(含む外食)は10%近く高騰している。厳密に言えば、生活物価は除く帰属家賃でみる必要があるので、消費者物価(除く生鮮食品、帰属家賃)は2.9%へと上がる。目減りを防ぐために老後資産の運用利回りは、税引き前で3.6%はほしいということになる。 もう少し先の期間までみると、23年度2.5%の後は、24年度1.9%、25年度1.6%になっている。3年間平均の消費者物価(除く生鮮食品、帰属家賃)の伸び率は2.3%となる。元本価値を目減りさせないための税引き前運用利回りは、2.9%という計算になる。 筆者は、円資産の価値が運用利回りを含めて考えても、物価上昇率に割り負けていくことを「インフレ課税」と呼んでいる。元々は、経済学者J.M.ケインズがInflation Taxと言っていた言葉だ。Taxと呼んでいるのは、まるで課税されているようだという意味だ。実際、日本の政府債務残高は、長期金利がインフレ率よりも低いことで減価しているから、私たちは「見えない税金」を支払っているのと同じことになる。 君たちは年金をどうするか 私たちが直面している老後のリスクには、年金リスクがある。23年度の年金収入は前年比1.9%と増えた(68歳以上のケース)。しかし、これは22年の物価上昇率2.5%に対して割り負けている。マクロ経済スライドの仕組みによって、年金収入の実質的な伸び率はマイナスになるように運命づけられている。04年の年金改革によってこのルールは決定され、今後の年金は目減りしていくことが避けられない。年金の目減りは明白なリスクである。 これに対して、私たちは就労によって老後の生活を支えることが半ば強制されている。就労しなければ食べていけない。しかし、年金の在職老齢年金システムでは、年金収入+就労収入が48万円を超えると、超過した金額の半分が年金収入からカットされる。シニアは高い給与で働くと何かペナルティーを課されるように感じる。年金をカットされるのを恐れて、自分の能力に比べて低い就労収入しか受け取らない人も少なくない。年金の中には、自分で積み立てている部分が多いのに、自分が稼ぐほどにそれがカットされるのは矛盾していると思う。 非常に良くないのは、企業側はシニアになると年金収入があるからという理由で、能力のある人であっても給与水準を極端に低くすることが多いという点だ。これだけシニアの就労が増えているのに、自由な就労を妨げる仕組みが制度の中にビルトインされている。 この年金カットを避けるためには、支給開始年齢を65歳から例えば70歳あるいは75歳に繰り下げるしかない。70歳を選択すれば、年金収入は42%増、75歳ならば84%増にすることができる(年齢によって増加率は変わる)。その半面、繰り下げをすると生涯の受取期間は短くなる。長生きリスクに備えて繰り下げを検討せよという仕組みは、国が国民に厳しい選択を迫っているのと同じだと感じる。年金支給条件を人質にして、「君たちはどうするのか?」と選択を求めている。2023/08/18 06:14:0444.名無しさんyrdxSコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼 配当・利息収入の第3の道 就労収入に頼ろうとすると在職老齢年金の壁がある。だから、それ以外の選択を考える必要がある。それは配当・利息収入を大きくする余地を考えることだ。配当収入を増やすためには、株価が低いときに高配当銘柄に投資するのが良い。現在のようなタイミングはあまり良くない。利息収入は海外の長期国債に高利回りで投資することで得られる。米国の長期国債は8月に一時4.2%台まで上昇した(図表)。為替リスクはあるが、インカムゲインは十分に得られる。 ここで検討すべきは、①米長期金利(海外金利)がいつ頃ピークをつけるか②今後10年間の為替リスクをどう評価するか、という主に2点であろう。米経済は今のところ堅調で、まだ米連邦準備理事会(FRB)が利下げに転じるタイミングが読めない。米長期金利は利下げ予想具体的に語られ始めるときにピークアウトするだろう。 米消費者物価は6月に前年比3.0%まで低下してきた。その中身はまだ強いインフレトレンドを感じさせるので、利下げは少し先だと思える。23年9月?24年6月のどこかでいったんピークは来るだろう。ピークがわからないときは、時間分散という手法がある。 次に為替リスクをどうみるか。すでに円安が相当進み、先々は円高とみる人はいると思う。しかし、筆者は長期的にもっと円安は進むと予想する。ドル円レートは12年以降、円安トレンドをたどっている。今後10年間の日本の長期金利は、たとえ日銀がマイナス金利を解除したとしても低位の状態が続くとみる。日本の政府債務は長期のインフレでじわじわと減価していき、同時に家計金融資産も減価するというシナリオだ。 ドル資産を持たないリスク では、米国側にドル価値が急落するリスクはないか。33年までには3回の大統領選挙がある。ちょうど33年は、その前年秋に新大統領が就任する年に当たる。そこまで見通すことは屋上屋を架すことに似て、あまり信頼性のあることは言えない。 むしろ、今後はドルを資産として保有していないことの方が、円安リスクや円資産のインフレリスクを負うことになるのではあるまいか。 最後に日本株はどうか。実は日本で外貨を多く保有するのはグローバル化した製造業である。正確に言えば、外貨保有ではなく、外貨を稼ぐ力を有している。21年度の日本の製造業は、総売上高に占める現地法人売上高が25.8%となっている。製造業の株価には、円安メリットが反映されやすい構造である。2023/08/18 06:15:2345.名無しさんyrdxSコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼東証寄り付き 続落 一時300円超安 安川電など中国関連株が下落2023/08/18 09:22 日経速報ニュース 18日前場寄り付きの東京株式市場で日経平均株価は続落し、前日に比べ200円ほど安い3万1400円前半で推移している。下げ幅は300円を超える場面もあった。米金融引き締めの長期化懸念から米長期金利が上昇し、前日の米株式相場は下落した。その流れを引き継ぎ、日本株にも売りが先行している。中国景気の先行き不安も相場の重荷となっている。 17日の米株式市場ではダウ工業株30種平均など主要3指数が下落した。米CNNなど複数のメディアが「経営再建中の中国不動産大手、中国恒大集団が17日、ニューヨークで破産を申請した」と報じた。中国の不動産市況および景気全般の先行きへの警戒が高まっている。東京市場では安川電などの中国関連とされる銘柄のほか、三越伊勢丹や資生堂などのインバウンド(訪日外国人)関連の一角も下げている。 東証株価指数(TOPIX)は続落している。フジクラや住友大阪、ZHDが安い。半面、三菱重やJFE、アドテストが高い。2023/08/18 09:24:1746.名無しさんyrdxSコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼株、「中国恒大ショック」恐るるに足らずか 落ちるナイフを拾うか見定め2023/08/18 12:26 日経速報ニュース 18日の東京株式市場で日経平均株価は続落し、前引けは前日比60円安の3万1565円だった。中国不動産大手の中国恒大集団の破産報道を受けて、リスクオフの動きが先行し、日経平均の下げ幅は300円を超える場面があった。売り一巡後は18日の中国・上海株式相場が続伸して始まり、日本の株価指数先物に買い戻しの動きが入ったことから、日経平均は上げに転じる場面もあった。「中国恒大ショック」恐るるに足らずかーー。 18日早朝の日本市場で「経営再建中の中国不動産大手、中国恒大集団が17日、ニューヨークで破産を申請した」と伝わり、多くの市場参加者は身構えた。三菱UFJ国際投信の石金淳チーフファンドマネジャーは「破産は中国政府が不動産会社を救済しない姿勢を示したとも受け止められる」と説明する。「共同富裕(共に豊かになる)」の方針を掲げる習近平(シー・ジンピン)国家主席が特定の不動産会社が信用不安に陥ったからといって支援することはないとの見方が一段と強まった。中国不動産最大手で資金繰り難が表面化している碧桂園控股(カントリー・ガーデン・ホールディングス)などが連鎖的に破産し、中国不動産発の大きなショックが広がるとの警戒が広がった。 中国リスクがリーマン・ショック級の混乱につながる警戒が漂う。東京市場では朝方には安川電機(6506)や三越伊勢丹ホールディングス(3099)など中国関連銘柄が一時、大幅安となった。 もっとも、その後の反応は冷静だ。中国恒大は2年ほど前から実質的な経営破綻状態であることが顕在化していた。「碧桂園控股の信用不安についても足元までにある程度織り込まれているのでは」(三菱UFJ国際投信の石金氏)。18日の中国・上海株式相場が上昇して始まると過度な警戒が和らぎ、日本株にも買いの勢いが強まった。中国リスクは当面、折に触れて市場を揺るがす場面もありそうだが、きょうの午前の動きをみる限り、それなりに耐性も強いとみられる。 8月に入り調整色を強める日経平均だが、前日も一時450円超下げてから急速に下げ渋るなど、底堅さもみせている。JPモルガン証券の高田将成クオンツストラテジストは16日付リポートで商品投資顧問(CTA)の持ち高なども加味し、当面の日本株は「重要局面」に向かうと指摘する。 例年8月は相場が下がりやすい傾向にあることで知られる。今月に入ってからの相場下落が通常通り、一時的な要因であれば、持ち高調整の売り一巡後に日経平均は3万2700円までの自律反発の動きが期待できるという。一方、季節的な事象の許容領域を超えて3万0800円割れとなるような展開になれば、株価指数先物へのロスカット(損失覚悟)の売りが大きく膨らみ、調整が長引くとみる。 日経平均は8月末に向けて調整をこなしながら、3万0800円を下回らずに踏みとどまれるか。「落ちるナイフ」を拾いに行くかどうか、悩ましい局面にきている。2023/08/18 13:03:1847.名無しさん48puGコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼鳴り潜める日本株強気論――下落サイン、チャートに点灯(スクランブル)2023/08/19 日本経済新聞 朝刊 日経平均株価の移動平均線が18日、中期トレンドを示すラインを下回った。下落サインとされ、相場の流れに追従する戦略のヘッジファンドから機械的な売りが出やすくなる。株安に勢いがつき3万円の大台割れを警戒する声も出てきた。 18日の日経平均は3日続落し、前日比175円安の3万1450円と約2カ月半ぶりの安値となった。下げ幅は一時は350円を超えた一方、上昇に転じた場面もあった。不動産問題に揺れる中国市場をにらみながらの荒い値動きとなった。 「日本株の組み入れ比率は下げてきた。8月中は調整リスクが高く、あと1000円くらい下げないと積極的な押し目買いを入れにくい」。国内外の株・債券を組み合わせたファンドを運用する三菱UFJ国際投信の石金淳チーフファンドマネジャーは語る。 チャート上に複数点灯した不吉なサインが投資家の不安心理をかき立てる。「中期のモメンタムが崩れてきた」と指摘するのは東海東京調査センターの中村貴司シニアストラテジストだ。14~18日の週の日経平均は13週移動平均線を下回る値動きに終始した。1月下旬以降、初めてだ。 13週線は過去13週(3カ月)に市場参加者が取引した平均コストを示す。株価が上回っていれば下値のメドとなる一方で「明確に割り込むと上値を抑える水準として意識されやすい」(楽天証券経済研究所の土信田雅之シニアマーケットアナリスト)。3カ月前は株高局面だった。13週線自体は当面じりじり上がる。 株価の下放れを示唆する兆候も出た。短期の5週線が、13週線を上から下に突き抜ける「ミニデッドクロス」の発生だ。大和証券の木野内栄治チーフテクニカルアナリストは「過去には大幅な株安の前兆となったこともある」と警戒する。 春からの日本株高を演出した海外投資家の目線に立つと地合いはより悪い。ドル換算の日経平均(18日時点、QUICK算出の参考値)は216ドルと6月に付けた今年の高値(239ドル)から23ドル低い。1月の安値(193ドル)からの上昇幅(46ドル)の半分を失った。 円相場が対ドルで3週間で8円下落し、ドル建てでみた日経平均を押し下げている。1年間の長期トレンドを示す200日線(213ドル)に迫る。下回れば海外勢がいったん日本株を手放す動きが強まるとの見方もある。 「日経平均は今後3カ月で3万円を割れる場面もある」とみずほ証券の中村克彦マーケットストラテジストはみる。注視するのは日経平均より現状堅調な東証株価指数(TOPIX)だ。2221ポイントを下回り「ダブルトップ」と呼ばれる軌跡が完成すれば、日本株への売りに弾みが付くという。 チャート分析は単なる経験則ではない。自動取引の存在感が増すなか、CTAといった順張りファンドもトレンドの見極めにテクニカル指標を使う。野村証券の須田吉貴クロスアセット・ストラテジストは「CTA勢は1兆円を超える先物のロング(買い持ち)ポジションを淡々と縮小している」と指摘する。 株価に逆風となりうる米長期金利の上昇が止まぬなか、25日のジャクソンホール会議で米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は何を語るのか。中国の不動産問題は「チャイナ・ショック」に発展するのか。市場の懸念は多い。長期的な日本株優位は崩れていないとの見方は多いが、日経平均3万円割れへの備えは杞憂(きゆう)とは言い切れない。2023/08/19 06:31:0248.名無しさん6lks1コメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼植田日銀は「禁断の為替」をかじったのか 金利安定に試練-金融PLUS 編集委員 大塚節雄2023/08/21 05:00 日経速報ニュース 日銀は「円安抑止」を政策目的に据えた――。7月の長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の修正を機に市場でこんな思惑が広がり、植田日銀を苦しい立場に追い込んでいる。円安が進むなか、金利上昇の容認や利上げに動かざるを得ないとの見方が広がり、日銀に「金利安定か円安抑止か」という選択を迫りかねない構図にある。 「日銀は円安対応で長期国債買いオペ(公開市場操作)の減額に動くのではないか」。野村証券の松沢中チーフ・ストラテジストには最近、海外勢を中心にこんな声が寄せられる。円安が日銀を金融政策の正常化の方向に追い込む。そんなストーリーのもと「投資家から具体的なアクションの話まで出るようになった」と松沢氏は驚く。 将来の政策金利予想が織り込まれている翌日物金利スワップ(OIS)市場で3年後の政策金利の予想をみると、YCCの修正を決めた7月の金融政策決定会合以降、0.5%台まで高まっている。 日銀は今回のYCC柔軟化を「金融緩和の出口に直結するものではない」と強調し、0.5%の変動上限を据え置きつつ「メド」と呼んで0.5%超の金利上昇を許容するという複雑な仕組みにした。新たな厳格な上限である1.0%は万が一の安全網と位置づけた。 円相場と長期金利のグラフをみると、長期金利が0.5%超に上がった動きとは裏腹に、円安が加速するという一見、奇妙な構図にある。 当初は「出口は遠い」との説明が効き、日銀が新上限の1.0%のかなり手前で金利上昇を抑制する姿勢もみせたことから、日本発で円安が進展した。だが、ここにきて円安の主導権は米国側に移っている。国債増発や強い景気指標で米長期金利の上昇が勢いづいた。足元では「出口が遠い」との神通力が、米国主導の円安で薄れているといったほうが正確だろう。 「出口が近づく」に2つの要因 ではなぜ「円安が進むと出口が近づく」という見方が市場で広がったのか。今回の措置が円安対応だったと受け止められ、「円安が進めば日銀が動く」との思惑を生んだからだ。 大きな原因の1つは、決定のタイミングだ。債券相場が安定するなか、市場では現状維持の予想も強かった。予想外の決定で「円安進行を警戒する政府に配慮した」との思惑が一気に広がった。 2つ目は、会合後の声明文の書きぶりだ。 「今後も(物価などの)上振れ方向の動きが続く場合には、実質金利の低下によって金融緩和効果が強まる一方、長期金利の上限を厳格に抑えることで、債券市場の機能やその他の金融市場におけるボラティリティーに影響が生じるおそれがある」 そのうえで「その他市場」との表記に関し、植田和男総裁は記者会見で「今回は為替市場のボラティリティーも含めて考えている」と語った。これで「日銀が円安対応の柔軟化だったと認めた」との見立てが勢いづいた。2023/08/21 06:22:3849.名無しさん6lks1コメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼 市場は日銀を「誤解」? これら2つの反応には、たぶんに「誤解」が含まれている。日銀は円安抑止を直接の目的に動いたわけではない。 まず決定のタイミング。たしかに財務省から円安進行を警戒する声は聞かれてはいた。だが、それに反応して動いたとか、足元の円安を止めようとした、といった見方は皮相的だろう。日銀は植田氏が就任した4月から、「粘り強い金融緩和」をうたいつつも、もはや副作用を放置できないYCCの骨抜きへ準備を進めてきた可能性が高い。 7月に決めたのは、物価や賃金の明るい兆しを受けて2024年度の物価見通しは「上振れリスクの方が大きい」と認識し、事前の対応が必要と判断したためだ。上振れリスクの現実味が増せば、悲願の正常化が近づく半面、その段になってYCCを変更すると金利の急伸などにつながりかねない。黒田日銀時代の末期だった昨年12月のYCCの修正は、出口に直結する措置との思惑を招き、市場が混乱した。これは日銀のトラウマになった。 次に、声明文で間接的ながら「為替市場のボラティリティー」への配慮に触れた点も、現時点の円安に対応する意図ではない。素直に読めば、YCCを柔軟に運営することで、出口がうかがえる状況になった段階で起きるかもしれない円相場の急変動を防ぎたい、という狙いが理解できる。 もちろん今回、円安や政治への配慮がゼロだったと断言するつもりはない。ただし配慮があったとしても、正常化に向かう際、円相場の安定を巡って当局間の足並みが乱れるのを回避したい、という狙いが大きいだろう。 昨年の円急落局面では、黒田東彦総裁(当時)が緩和継続を強調すればするほど円安が進み、財務省が円買い介入によってその尻拭いをする羽目になった。黒田氏はYCCの硬直的な運営が円安を加速させてしまう事実をかたくなに認めようとはしなかった。 今回、声明文で「その他市場のボラティリティー」とわざわざ書いたのは、前体制が否定した「YCC維持による円安促進」の副作用を明確に認めた点に意義がある。野村の松沢氏も「コミュニケーションの正常化」という側面に着目する。 「誤解」生んだ移行期の齟齬 市場に広がった「誤解」は、10年に及んだ黒田体制からの移行期ゆえの市場との対話の齟齬(そご)だといえるだろう。間接的にせよ「為替」に言及したことで結局、円安に絡みやっかいなかたちで出口の思惑を呼び寄せてしまった。 植田日銀は深刻なジレンマに直面する。出口戦略を円滑に進める際に最も重要なのは長期金利の安定だ。目先の円安抑止のために金利上昇を容認してしまうと、金融や経済が耐えられないような水準に急伸し、賃上げ機運を途絶えさせかねない。機が熟さない段階での短期金利の引き上げなど、もってのほかだ。 だが、金利を抑え込もうとすると、今度は市場に「日銀は為替の安定を放棄した」との思惑が広がり、円売りを誘うことになる。日銀発の急激な円安も望ましくない。人々の生活を脅かす輸入インフレを再発させ、賃上げの効果を減らすほか、円安加速を警戒する政治との対立を招く。 長期金利はいま0.6%台でそれなりに落ち着いているようにもみえるが、急激な上昇圧力がかかった場合、日銀は「金利安定か円安阻止か」という難しい判断を迫られる。試されるのは植田氏の対話力だ。その巧拙は今後の出口に向けた歩み、そして植田日銀の5年間そのものを左右する。2023/08/21 06:24:2250.名無しさんyFuI5コメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼資産運用立国に挑む(1)2000兆円の機会損失 「ふやす文化」成長の起点に2023/08/21 日本経済新聞 朝刊 日本の個人、政府、金融業界がいっせいに資産運用に力を入れている。お金を「ふやす文化」を日本経済の推進力にする運用立国への挑戦が始まった。年内に改革案 「実現性のある対策を持ってきてくれ」。岸田文雄政権が目指す資産運用立国の実現に向けて、金融庁幹部は運用会社や年金基金、証券会社などに連日のように呼びかけてアイデアを募っている。 栗田照久長官は「年内にプログラムを作る」と語る。どうすれば良い投資信託を運用会社は個人に提供できるのか。年金基金は十分に資金を活用できているか。大きな改革の絵を描く。 改革が本格的に動き出したのは2022年9月、首相がニューヨーク証券取引所での講演に向かう政府専用機内の出来事だった。少額投資非課税制度(NISA)の時限的な仕組みを再考する程度の内容だった草案に、首相が「恒久化が必須」との文言を入れた。側近が出発直前に与党に根回しして首相に提案した。 24年開始が決まった新NISAの枠上限は1800万円。対象となる18歳以上の総枠は約1900兆円と家計金融資産に匹敵する。普及の後押し役と目される「職場つみたてNISA」も各地で広がりをみせる。 「このままでは老後資金が足りない」。徳島市の西精工でナットなどの計量・梱包・出荷を担当する田中一生さん(43)は社内勉強会で将来に備える必要性に気づいた。4月から給与天引きで毎月2万円ずつ外国株投信の積み立てを開始。「定期預金の積み立てを投資に変えた。20年はほったらかしで続ける」 西精工では4月の制度導入から4カ月あまりで社員・パートの244人中26人が加入した。「若手に触発され年配にも広がってきた」(西泰宏社長)と浸透を見込む。説明会では過去10年、毎月1万円を日本株投信に積み立てたら元本120万円が214万円になった試算が示された。 西精工に導入を持ちかけた阿波銀行は野村証券と包括提携して取引先に働きかけている。徳島県など586社、約2100人に成果が広がる。 デフレ下では預貯金が正解とされたが、偏重による「機会損失」は大きい。 02年度から預貯金増加分の半分を日米株に均等に投資した場合の家計金融資産の伸びを試算すると、22年度末で2430兆円と実際より390兆円多い。さらに01年度の株・投信の保有比率が米国並みだった想定にすると3990兆円に膨らむ。2000兆円近い機会損失だったことになる。金の流れ変える 運用立国の狙いは個人の所得増にとどまらない。リスクマネーを増やし経済の成長力を取り戻すことがある。キャッチアップ型の経済では重点産業に資金を集める銀行融資主体の間接金融が効果的だった。成熟経済には試行錯誤や新陳代謝を促す直接金融が合う。 米国も1980年前後まで株・投信の家計金融資産に占める比率は約15%と現在の日本並みだった。年金制度改革などが中流階級を預金者から投資家にし、現在の比率は約5割になった。投資マネーが企業を伸ばし、株高や配当が家計を潤す好循環を築いた。 直接金融にシフトした米国の投信残高は、銀行融資の源泉となる預金の1.8倍の約30兆ドルと巨大だ。日本の投信残高は私募を含めて約310兆円と預金の3分の1ほどにとどまる。 7月8日、個人投資家の集い「インデックス投資ナイト2023」が東京・渋谷で開かれた。「インフレに見合う賃金上昇がないと感じるか」との問いに会場の約6割が挙手した。3%の物価上昇が20年続けば現預金の実質価値は半分近く減る。日本の英知を集めた改革が求められる。2023/08/22 00:48:0351.名無しさんyFuI5コメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼物価上昇の基調、衰えず? 日銀の政策判断に影響も2023/08/22 05:00 日経速報ニュース 日銀は22日、7月の基調的なインフレ率の指標を発表する。一時的な変動を除いたより基調に近い物価指標を独自に算出しており、過去最高を更新するとの見方もある。日銀は物価の上振れなどを理由に、7月の金融政策決定会合で長短金利操作の修正に動いた。物価の基調が今後も高止まれば、この先の政策判断にも影響を与えうる。 日銀は物価の基調を正確につかむために「刈り込み平均値」「加重中央値」「最頻値」という3つの指標を算出している。刈り込み平均値は、上昇率と下落率の上位10%の品目を除いて算出するもので、一部の品目の大きな値動きに左右されず、基調をつかみやすいとされる。6月は前年同月比3.0%の上昇と、統計を遡れる2001年1月以降の過去最高(3.1%上昇)に迫る水準だった。 第一生命経済研究所の星野卓也氏は7月の刈り込み平均値が3.2%上昇と過去最高を更新すると予想する。「価格転嫁の継続もあり、変動の大きい品目を除いた全体でみても物価の上昇圧力はまだ根強く残っている」という。 加重中央値は上昇率の高い品目の順に並べ、上から品目のウエートを足していったときに50%近辺に位置する値を示す。最頻値は品目数が最も多い上昇率を示す指標だ。どちらも6月は過去最高に並ぶ水準だった。 7月の消費者物価指数(CPI)の上昇率は生鮮食品を除くベースで前年同月比3.1%となった。4%を超えていた年初と比べれば、表面上は上昇にブレーキがかかっているようにみえる。だが、物価の基調がまだ下げに転じていないとすれば、日銀が目指す2%を超える物価上昇が当面続く可能性がある。 足元の円安で物価の基調が下がりにくくなる面もある。外国為替市場で円相場は1ドル=145円台で推移し、一時146円台半ばまで下落した。「今の円安水準が続けば、物価の高止まりを長引かせる要因になる」(星野氏) 日銀は7月会合で「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」をまとめ、23?25年度の物価見通しを更新した。23年度の見通しは2.5%と、4月から0.7ポイントの大幅な上方修正に踏み切った。植田和男総裁は記者会見で「 4 月時点の見通しはかなり過小であった」と語った。 7月会合の主な意見では、ある政策委員から「『2%の持続的・安定的な物価上昇』の実現が、はっきりと視界に捉えられる状況」との声が上がった。このまま日銀の想定を上回る物価上昇が続き、継続的な賃金の上昇が実現するならば「金融緩和を手じまう方向に動いてもおかしくない」(日銀関係者)との声も出始めている。2023/08/22 06:39:3252.名無しさんyFuI5コメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼海外勢、日本国債の売越額1.3兆円――日銀買いオペ、減額観測 政策修正で投資家需要増 円安けん制との思惑も2023/08/22 日本経済新聞 朝刊 債券市場の一部で日銀が国債買い入れオペ(公開市場操作)を減額するとの思惑が浮上している。日銀の政策修正を受けた利回り上昇で投資家需要が強まるなか、日銀への売却が細っているためだ。円安をけん制する目的でも国債の買い入れ減額を見込む声もあり、日銀のオペを巡り神経質な展開となりそうだ。 日銀は現在、1%の利回りで無制限に買い入れる「指し値オペ」と、市場参加者が提示した価格が割安な順に買い入れる従来型の国債買い入れオペを実施している。減額観測が浮上しているのは従来型のオペで、残存5~10年の国債は現在1回あたり6750億円買い入れている。 背景にあるのは日銀への売却意欲の弱まりだ。月間ベースで全年限の応札額の合計を落札額の合計で割った応札倍率を見ると、8月は足元までで2.0倍と日銀が異次元緩和を始めた2013年以降で最も低い。「日銀がイールドカーブ・コントロール(長短金利操作、YCC)で抑え込む残存5~10年の国債で流動性低下が顕著だ」(東海東京証券の佐野一彦チーフ債券ストラテジスト)との声もある。 日銀の臨時オペを受けて外国為替市場で円安に振れる場面があるなど、日銀が金利を抑え込む姿勢を強めれば円安に振れやすくなる。一方、オペが実際に減額されれば円高が進む可能性も市場で意識されている。2023/08/22 08:23:5153.名無しさんyFuI5コメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼今日の債券 下落か、米長期金利が一時07年以来の高水準2023/08/22 08:08 日経速報ニュース 22日の国内債券相場は下落(利回りは上昇)しそうだ。前日の米長期金利は、足元の米経済が想定以上に底堅いとの見方などから一時4.35%と15年9月ぶりの高水準をつけた、米長期金利の上昇を受けて22日の国内長期債にも売りが及ぶとみられる。長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りは0.65%程度で推移しそうだ。 21日のニューヨーク債券市場で米10年物国債利回りは前週末比0.09%高い4.43%で終えた。前週発表の7月の米小売売上高などが市場予想を上回ったほか、雇用関連でも労働需給が引き締まった状態にあることを示す指標が多い。米連邦準備理事会(FRB)が年内に追加利上げに踏み切る可能性や、政策金利を長期にわたって高く維持するとの見方が意識され、米国債相場の重荷となった。 今週は米国で24~26日に国際経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」が開かれる。25日にはFRBのパウエル議長が講演する予定で、その中で同氏が金融政策についてどのような姿勢を示すか、見極めようとする市場参加者が多い。ただ、夏季休暇中の市場参加者もいるなかで、国内債も商いが薄くなる可能性がある。売りが一巡すれば、方向感の出にくい展開も予想される。 22日は国内で債券相場に影響しそうなイベントが少ない。財務省による流動性供給入札は残存期間「5年超15.5年以下」が対象で、発行予定額は5000億円程度。市場では「無難に通過する」(国内証券の債券ストラテジスト)との声が聞かれる。日銀による定例の国債買い入れオペ(公開市場操作)は予定されておらず、需給を左右する材料に乏しい。日本時間22日の取引で米長期金利が一段と上昇すれば、国内債にも売りが広がる公算が多い。 21日の米長期金利の上昇を受けて国内長期金利も急ピッチで上昇すれば、日銀が臨時でオペを通知し、金利上昇を抑制する姿勢を示す可能性がある。長期金利が上昇すれば相場の割安感に注目した買いも入りやすくなるとみられ、長期金利が中心限月として14年1月(0.685%)につけた水準を試す展開とはなりにくそうだ。 国内では日銀が基調的なインフレ率を捕捉するための指標を公表する。日本スーパーマーケット協会などは7月の食品スーパー売上高を発表する。海外では7月の米中古住宅販売件数が発表される。2023/08/22 08:35:5854.名無しさんyFuI5コメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼国債利払い、想定金利1.5% 概算要求 財務省、金利上昇反映2023/08/22 日本経済新聞 朝刊 財務省は2024年度予算案の概算要求で、国債の元利払いの想定金利を1.5%とする調整に入った。23年度予算から0.4ポイント引き上げる。日銀の政策修正を受けて長期金利が上昇しているのを踏まえた。概算要求の総額は110兆円を超える見通しだ。 国債の元利払いに充てる国債費は28兆円規模になる見込みだ。23年度予算では25兆円程度だった。社会保障費や防衛費も増え概算要求の総額は3年連続で110兆円を超える見通しになった。 想定金利は年末の予算案編成で最終的に決める。予算案では17年度から23年度まで7年続けて1.1%に据え置いてきた。23年度予算は夏の概算要求段階では1.3%と見積もっていたが金利動向を踏まえて、年末の予算案編成時に1.1%を維持した。 想定金利は通常、直近1年の10年債の平均利回りに、過去の金利急騰時に経験した1.1%の上昇を加味してはじき出す。 日銀が7月下旬に長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)を修正して以来の長期金利は0.5%を上回る水準にある。 こうした状況を踏まえて想定金利を引き上げる。2023/08/22 14:30:0455.名無しさんPgPUXコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼「マイナス金利解除、選択肢」日銀・田村審議委員2023/08/31 日本経済新聞 朝刊 日銀の田村直樹審議委員は30日の記者会見で、物価2%目標の持続的・安定的な実現が見通せる状況になれば「マイナス金利の解除も選択肢の一つに入る」と述べた。政策修正の判断時期については、賃上げや2023年後半の物価動向などのデータが集まる「来年1~3月ごろ」を目安として示した。 北海道釧路市で開いた金融経済懇談会後に記者会見した。田村氏は政府・日銀が掲げる物価2%目標について「実現がはっきりと視界にとらえられる状況になった」とした。 マイナス金利を解除しても金利を低く抑えていれば「金融緩和の継続と理解している」とも話した。 物価2%目標の達成の見極めについて「来年1~3月ごろに(見通しの)解像度が一段と上がる」とした。2023/08/31 06:08:4756.名無しさん8gOQCコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼今週の円 買い先行、日銀の政策修正観測で 米金利先高観で上値重い2023/09/11 07:49 日経速報ニュース 今週(11~15日)の外国為替市場で円相場は上値の重い展開となりそうだ。日銀の植田和男総裁がマイナス金利の解除のタイミングなどに言及したことを受け、金融緩和の修正観測から円買い・ドル売りが先行しそうだ。一方で米連邦準備理事会(FRB)が政策金利を高い水準で維持するとの観測は根強く、円売り・ドル買いも出やすい。欧州中央銀行(ECB)の追加利上げ観測が強まれば、対ユーロでの円売りが対ドルの取引に波及し、円の上値を抑えそうだ。 前週末のニューヨーク市場で円相場は1ドル=147円70~80銭と東京市場の同日17時時点(147円38~41銭)よりも安く終えたが、日本時間11日早朝には一気に146円台後半まで水準を切り上げた。日銀の植田和男総裁が読売新聞とのインタビューで、マイナス金利の解除時期などに言及。「経済・物価情勢が上振れした場合、いろいろな手段について選択肢はある」とし、「マイナス金利の解除後も物価目標の達成が可能と判断すれば、(解除を)やる」と述べた。年内にも判断できる材料が出そろう可能性があるとも示唆し、政策修正が早まるとの思惑から円買い・ドル売りが入った。 政府関係者からの円安けん制も強まっている。鈴木俊一財務相は8日、足元の円安進行について「高い緊張感を持って注視し、過度な動に対してはあらゆる選択肢を排除せず適切な対応を取りたい」と述べた。神田真人財務官も「ファンダメンタルズでは説明できない動きがみられる」と指摘するなど発言トーンを強めており、政府・日銀による円買いの為替介入への警戒感から円買い・ドル売りが入る場面もありそうだ。 それでも、市場心理が円買いに大きく傾く可能性は低い。FRBが政策金利を長期にわたって高い水準で維持するとの見方が強まれば円売り・ドル買いを促しやすい。今週は13日に8月の米消費者物価指数(CPI)、14日には8月の米卸売物価指数(PPI)や米小売売上高など、米経済指標の発表が続く。 19~20日に開催される9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に、FRB関係者は金融政策について発言を控えるブラックアウト期間に入っている。9月会合では利上げを見送るとの予想が多いが、今週発表のデータ次第では11月のFOMCで利上げが実施されるとの思惑が高まってもおかしくない。 14日に控えるECB理事会では、政策金利を現行の3.75%に据え置くとの予想が優勢となっている。ただユーロ圏のインフレの高止まりから「ECBの追加利上げ観測が残った場合、ユーロに対する円売りが対ドルの取引にも波及しやすい」(岡三証券の武部力也氏)との指摘も聞かれる。 海外では12日には8月の英失業率や9月の欧州経済研究センター(ZEW)の独景気予測調査が発表される。15日には中国で8月の工業生産高や小売売上高などの経済指標が、米国では8月の米消費者態度指数(速報値、ミシガン大学調べ)が発表になる。2023/09/11 08:06:3557.名無しさんuzKOvコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼長期金利、上昇圧力なお 10年債が一時0.72% 市場、政策修正予想前倒し2023/09/13 日本経済新聞 朝刊 国内金利への上昇圧力が続いている。長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは12日、0.72%と2014年1月以来の高水準を付けた。市場関係者が日銀による政策修正の予想時期を前倒しする動きが背景にある。デリバティブ(金融派生商品)市場では、23年末にもマイナス金利政策を解除するとの織り込みが進む。 12日の債券市場では長期金利の上昇が続き、前日の0.705%から一段と水準が高まった。日銀の植田和男総裁は、9日付の読売新聞のインタビューでマイナス金利を解除する選択肢に言及。長期金利についても基本的に上昇(債券価格は下落)を容認する姿勢を示し、市場では債券売りが優勢となっている。 幅広い年限で利回りが上昇した。20年債利回りは一時1.47%と9年4カ月ぶり、30年債利回りは1.725%と9年2カ月ぶりの高水準に達した。日銀の政策修正をうけてマイナス金利解除観測が高まった23年1月の水準を上回った。 政策金利の見通しを反映しやすい新発2年物国債利回りも、1月以来の高水準となる0.05%まで上昇する場面があった。1月に付けた0.055%を超えれば2015年2月以来、8年7カ月ぶりの水準となる。 市場参加者の間では見通し修正が相次ぐ。大和証券の岩下真理チーフマーケットエコノミストは、マイナス金利解除予想を「25年半ば以降」から「24年4月」に早めた。「原油高と円安の長期化は日銀にとって想定外だった。年度後半には物価が上振れ、賃上げ機運も継続する」と語る。 ドイツ証券もマイナス金利の解除予想を「24年12月」から「24年1月」に前倒しした。小山賢太郎チーフ・エコノミストは「日銀は10月の展望リポート公表時に物価見通しを上方修正する」とみる。 短期金融市場では、マイナス金利の早期解除を織り込んだ取引も成立し始めた。 金融機関が日々、資金をやりとりする際に使う金利に、無担保コール翌日物金利(TONA)がある。この金利の3カ月物が将来どうなっているかを予測しながら取引する先物では、23年12月限の価格が足元で99.97程度と100を下回る。24年初め時点の3カ月物の金利は年0.03%程度になるとの予想が反映されている。市場は日銀が今冬にマイナス金利を解除するとみていると解釈できる。 固定金利と変動金利を交換する翌日物金利スワップ(OIS)市場でも同様の動きが見られる。 野村証券の中島武信チーフ金利ストラテジストは「市場はマイナス金利解除に加え、1年以内に政策金利が0.1%まで引き上げられることも非常に高い確率で織り込んでいる」と指摘する。 もっとも12日午後には長期金利が前日に比べ横ばいの0.705%まで低下した。2年債利回りは同0.005%低い0.035%、5年債利回りが同0.015%低い0.27%まで下がる場面もあった。5年債入札で小さいほど好調とされる平均落札価格と最低落札価格の差(テール)が前回から縮小した結果、需要の強さに安心した投資家の買いが広がった。 「市場の政策修正観測はやや過度な印象を受ける」(みずほ証券の丹治倫敦チーフ債券ストラテジスト)との見方も根強い。一方、21~22日の金融政策決定会合でも何らかの動きがあるのではとの思惑も市場に広がる。政策修正を巡って相場が揺れる展開は続きそうだ。2023/09/13 06:22:2158.名無しさんcg9aCコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼企業物価、30カ月連続上昇 8月は3.2% 価格転嫁、政策修正後押しか2023/09/14 日本経済新聞 朝刊 日銀が13日発表した8月の企業物価指数は前年同月比3.2%上昇し、30カ月連続で前年同月を上回った。伸び率は鈍化しているが、日銀内では物価目標の達成確度が高まってきたとの見方もある。長引く企業の価格転嫁は政策修正の後押しになる可能性もある。 企業物価指数は企業間で取引するモノの価格動向を示す。企業は仕入れ価格を販売価格に転嫁するため、消費者物価指数(CPI)の先行指標としても注目される。 企業物価指数の前年同月比上昇率は2022年12月の10.6%をピークに8カ月連続で鈍化した。輸入物価の下落を背景に急ピッチで伸び率は下がってきたが、8月の上昇率は7月(3.4%)から0.2ポイントと小幅な縮小にとどまった。 高水準が続く背景にあるのは原油価格の再上昇だ。8月は石油・石炭製品が前年同月比7.5%と大きく上昇した。政府の補助金縮小の影響も出た。 円ベースの輸入物価は11.8%下落と7月(14.4%下落)よりマイナス幅が縮まった。先行きについても「年末にかけてマイナス幅は縮小方向だろう」(SMBC日興証券の宮前耕也氏)との声が聞かれた。 飲食料品などで価格転嫁の動きは長引いている。チョコレートや米菓といった飲食料品や、パルプ・紙・同製品などで原材料コストを販売価格に転嫁する動きがみられた。 SMBC日興の宮前氏は「企業物価はもうマイナスでもおかしくないが、輸入物価の上昇が非常に大きかったことから価格転嫁が複数回続き、長引いている」と指摘する。日銀も「(消費者に近い)川下ではペースを落としながらもゆるやかな上昇が続いている」とみる。 価格転嫁の力強さは日銀の物価観にも反映されている。日銀の7月の「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で23年度のCPIの見通しについて「価格転嫁が想定を上回って進んでいることなどから、大幅に上振れている」と指摘した。 日銀の田村直樹審議委員は8月の講演で「(物価目標の)実現がはっきりと視界にとらえられる状況になった」と自信を見せた。植田和男総裁も読売新聞のインタビューで将来的なマイナス金利解除の可能性に含みを持たせている。2023/09/14 06:11:1759.名無しさん9MzSQコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼日米中銀、「次の一手」への距離焦点に 今週相次ぎ会合-FOMCと日銀決定会合のポイント2023/09/19 05:00 日経速報ニュース 【この記事のポイント】・日米の中央銀行が今週、金融政策決定会合・市場はFRBの利上げ見送りを確実視・日銀はマイナス金利解除に向けた総裁発言に注目 日米の中央銀行が今週、相次ぎ金融政策を決める会合を開く。市場は米連邦準備理事会(FRB)の利上げ見送りを確実視しており、先行きの政策金利見通しを変えるかが最大の焦点だ。7月に政策修正した日銀はマイナス金利政策の解除に向けた植田和男総裁の発言に注目が集まる。日米とも「次の一手」への距離を探る会合となる。 利上げ「あと1回」変わるか FRBは19?20日に米連邦公開市場委員会(FOMC)を開く。FOMC前の最後の重要経済指標となった8月の米消費者物価指数(CPI)の前年同月比上昇率は2カ月連続で加速した。米CPIはエネルギー価格の下落を背景に昨年6月の9%台をピークに順調に下がってきていたが、足元ではインフレ再燃の兆しも出ている。 米国市場で14日、国際原油指標のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物が一時1バレル90ドル台と約10カ月ぶりの水準に上昇した。サウジアラビアとロシアが12月まで自主減産を続けることで需給の逼迫懸念が台頭したためだ。原油価格の上昇はガソリン価格の高騰を通じてインフレを長引かせる要因になる。 もっとも、現時点で金利先物市場は98%の確率でFRBは利上げを見送るとみている。CPIから極端な値動きの品目を取り除いて物価の基調をみるクリーブランド連銀の「刈り込み指数」は4.5%、動きの遅い品目のみを集めたアトランタ連銀の「粘着インフレ指数」は5.3%といずれも6カ月連続で鈍化しているためだ。 むしろ関心は、同時に公表されるFOMC参加者の先行きの政策金利見通しに向いている。前回6月会合では2023年末の政策金利が中央値で5.1%から5.6%に引き上げられた。現在の政策金利は5.25?5.5%のため、この予想が変わらなければ年内の利上げはあと1回分となる。 24年末の政策金利見通しも注目だ。すでに01年以来の高水準に達している政策金利をいつまで維持するのか、利下げをどの程度進める構えなのかを探る重要な目安になる。6月時点では24年に計1%の利下げをする予測を示していたが、市場では利下げ幅を縮めるとの観測もある。 ただし、高インフレの沈静化への道筋がはっきりしない以上、FOMC参加者も利上げの終結を宣言するような見通しは出しづらいと読む市場関係者が多い。パウエル議長は今後の金融政策について「データ次第だ」と繰り返しており、利上げの選択肢を残しながら時間をかけて終着点を探ることになりそうだ。2023/09/19 06:33:5360.名無しさん9MzSQコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼 マイナス金利の解除いつ? 一方、日銀はFOMC後の21?22日に金融政策決定会合を開く。日銀は7月に長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の運用を柔軟化し、長期金利の上限を事実上1%に引き上げたばかりだ。足元で長期金利は9年8カ月ぶりの高水準となる0.7%台に上昇しているものの、上限には距離があり、再び修正を迫られる局面ではない。 むしろ、市場の関心はマイナス金利政策をいつ解除するかに向いている。植田和男総裁が読売新聞のインタビューでマイナス金利政策を解除する選択肢に言及したためだ。しかもカギを握る賃金動向について年末までに判断材料がそろう可能性にも触れたため、市場は遠くない時期に日銀が金融正常化に向かう可能性を意識し始めた。 田村直樹審議委員も8月末の講演で、物価目標の実現が見通せれば「マイナス金利の解除も選択肢の一つに入る」と述べ、判断時期の目安として「24年1?3月ごろ」をあげた。高田創審議委員も9月に、特定の時期という議論ではないとした上で「この半年間はよく見ないといけない時期ではないか」と述べていた。 インタビューでの植田総裁の発言は審議委員より踏み込んだことになる。QUICKの外国為替市場の月次調査(8月)の結果によると、次の政策修正時期は2024年4月以降(31%)が最も多いが、「23年12月」と年内の修正を見込む予想も29%あった。会合では金融正常化への道筋も議論する可能性がある。 もっとも、市場では植田総裁の発言は1ドル=147円台後半に下落している円安に歯止めをかけるための「口先介入」との見方もある。末までにそろう可能性に言及した賃金動向も、24年の春季労使交渉前に具体的にどのような材料で判断するのか。植田総裁が記者会見で真意をどう語るかが最大のポイントになる。 会合では7月のYCC修正後の市場動向も点検する。金利上昇を受けて日銀は11日、幅広い担保を裏付けに資金供給する「共通担保資金供給オペ(公開市場操作)」の実施を発表した。ただ、直接的に長期金利を下げる効果がある国債買い入れに踏み込まなかったことで市場では「日銀が為替市場の動向に配慮している」との見方が広がった。 7月のYCC修正は「市場の見方がもう少し長期金利に反映される余地を広げようという措置」(植田総裁)だった。日銀内からは「ある程度の上昇は覚悟の上だった」との声が聞こえるが、足元の金利上昇に植田総裁がどのような見方を示すかも注目だ。 日銀の物価見通しに変化がないかも先行きの政策変更を占う上で重要だ。日銀は23年度後半にCPIの前年同月比上昇率は2%を下回るとしてきたが、植田総裁は鈍化のスピードが日銀の想定よりも遅いことを認めている。 8月の東京都区部の消費者物価指数(CPI、生鮮食品除く)は前年同月比2.8%の上昇だった。上昇率は11カ月ぶりに2%台に下がったものの、約8割の品目が前年同月比で上昇した。足元の情勢を踏まえて植田総裁がどのような認識を示すか。物価目標達成への自信度をはかる目安になる。 利上げの終着点を探るFRBと少しずつ金融正常化に向けた歩を進めようとしている日銀の今回の判断や情報発信は、金融市場の前提条件が変わる転機になり得る。2023/09/19 06:39:4061.名無しさんMbjG5コメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼弱まる解散風、日銀に好機 市場は脱マイナス金利観測-田村峻久2023/09/19 19:38 日経速報ニュース 債券市場で、日銀によるマイナス金利政策の解除の見方が浮上している。岸田文雄内閣の支持率が伸び悩み、衆院解散・総選挙への警戒感が市場で弱まっているのが要因だ。日銀が選挙日程に配慮する必要性は薄れ、政策修正に踏み切りやすくなるとみる市場参加者は少なくない。 固定金利と変動金利を交換する翌日物金利スワップ(OIS)市場で13日、異変が生じた。先々の政策金利の市場見通しを反映する金融政策決定会合間取引。2023年12月18?19日会合から24年1月22?23日の会合までの期間を対象とした取引レートが、23年7月下旬の会合後初めて0.01%付近まで上昇した。23年9?10月、10?12月の会合間取引の金利はなおマイナス圏だ。市場が今冬のマイナス金利解除観測を織り込み始めた。 今回の金利上昇の背景には、政治的な要因がある。第1に、第2次岸田再改造内閣の発足だ。 岸田首相は13日、新内閣の顔ぶれを発表。過去最多となる5人の女性が入るなど閣僚19人のうち13人を入れ替えたが、サプライズ感は弱く支持率浮揚に対する市場の期待は高まらなかった。日本経済新聞社とテレビ東京が13?14日に実施した緊急世論調査では内閣支持率が42%と前回調査(8月)から横ばいだった。 支持率が上がらなければ、解散・総選挙は難しいとの見方は多い。「次の解散想定時期は24年6月の通常国会会期末が濃厚」(SMBC日興証券の森田長太郎シニアフェロー)など、選挙の実施時期が遠のいたとの声が強まり、マイナス金利の解除の観測を誘発した。 日銀は国政選挙前に金融政策の修正に踏み切りづらいとされる。政策修正が時の政権に利害を生む可能性を排し、政治的な中立性を保つためだ。10月にも召集する臨時国会や24年初めの通常国会で解散・総選挙が実施される可能性が下がれば、今冬にかけ日銀が政治日程に配慮して政策修正を見送る必要性は薄れる。 市場では「日銀は一定期間の『フリーハンド』を得て、マイナス金利解除に踏み切りやすくなった」(SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミスト)、「解散が遠のき海外投機筋がマイナス金利解除を織り込む度合いは強まった」(東海東京証券の佐野一彦チーフ債券ストラテジスト)との声がある。 第2に、これまで大規模な金融緩和を推進してきたとみられている最大派閥・安倍派の動向だ。植田和男総裁がマイナス金利解除の選択肢に言及したという9日付読売新聞インタビューに関し、安倍派幹部の世耕弘成参院幹事長は12日、「金融緩和の継続が趣旨だと理解している」と記者会見で述べた。 日銀が7月会合で長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)を修正した際、「2%の物価安定目標の達成までは緩和姿勢は変えないというコミットメントが守られるか注視したい」(世耕氏)と述べ早期の引き締めをけん制していた。当時と比べると引き締め警戒のトーンが弱まり、日銀がマイナス金利解除に踏み切る余地を生んでいるという。 野村総合研究所の井上哲也シニアチーフリサーチャーは「円安が消費者に打撃を与えている足元の状況を考えると、リフレ派も一方的な緩和継続を訴えづらい」との見解を示す。今回の内閣改造でも安倍派の入閣は増減なしの4人にとどまった。 当面は、今秋の臨時国会の行く末が焦点だ。大方の予想通り解散・総選挙が見送られれば、脱マイナス金利観測は強まり金利上昇(債券価格は下落)や円高への圧力が生じうる。仮に解散・総選挙が実施されれば、「経験則や経済対策による景気刺激効果から日本株に買いが集まる」(みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミスト)可能性がある。 選挙の有無や時期を巡る見通しが金融市場の波乱要因となってきた。2023/09/20 00:11:4262.名無しさんqbXipコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼家計の金融資産、株高が押し上げ 2115兆円で最高 6月末2023/09/21 日本経済新聞 朝刊 家計の金融資産が拡大している。日銀が20日発表した2023年4~6月期の資金循環統計によると、23年6月末時点の家計の金融資産は前年同期比4.6%増の2115兆円だった。今春以降の株価上昇が資産を押し上げた。 家計の金融資産は初めて2100兆円を超え、過去最高を更新した。個人の金融資産を最も押し上げたのは株式だ。6月末時点の残高は268兆円と1年前より26%増えた。日経平均株価は4~6月に5147円(18%)上昇して保有時価が膨らんだ。日本株の資本効率改善や割安感に着目した海外投資家の買いが広がった。 ただ4~6月期の個人株式は取引ベースでは2.9兆円の純流出となった。純流出に転じるのは3期ぶり。個人投資家は相場の流れに逆らう「逆張り」傾向が強い。日本株相場が33年ぶりの高値水準に浮上するなか「長く保有して評価益が出た銘柄の利益確定売りが膨らんだ」(みずほ証券の倉持靖彦マーケットストラテジスト)。米国株などを含む対外証券投資も1.4兆円の純流出だった。 投資信託の残高は株高を主因に15.9%増加した。フローでは1.5兆円の純流入となり、株式と対照的に13期連続の流入超だった。インデックス型投信などへの積み立て投資が堅調とみられる。投資信託協会のまとめでも、上場投資信託(ETF)を除く公募株式投信の残高は8月に7カ月連続で過去最高を更新した。 ただ、足元では物価上昇率が高止まりしており、実質で見た金融資産の価値はそれほど増えていないとの見方もできる。 ニッセイ基礎研究所の上野剛志上席エコノミストの試算では、1年間の物価上昇を考慮した実質ベースでは個人の金融資産残高は前年同期比0.6%増にとどまるという。上野氏は「資産運用を検討する重要性が高まっている」と指摘した。2023/09/21 06:40:4863.名無しさんqbXipコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼「新NISA普及進める」 官房長官(短信)2023/09/21 日本経済新聞 朝刊 松野博一官房長官は20日の記者会見で、日銀の統計で家計の金融資産が過去最高の2115兆円となったのを受け、新しい少額投資非課税制度(NISA)の普及を訴えた。貯蓄を投資につなげるため「新しいNISAの普及促進、金融経済教育の充実などを進める」と強調した。2023/09/21 06:41:5864.名無しさんqbXipコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼オイルマネー、日本株照準――拠点開設か、脱デフレ・統治改善に期待(スクランブル)2023/09/21 日本経済新聞 朝刊 海外投資家の多くは9月上旬に夏休みを終えたというのに、日本株は方向感の乏しい展開が続く。日経平均株価は3カ月以上も約2000円の狭い値幅で上下する。ただ、日本株の勢いはこれまでかというと、必ずしもそうではなさそうだ。ベールに包まれ外部からは実態が見えにくい中東のオイルマネーが、日本株の本格買いに向けて準備を進めている。 「日本拠点の開設を検討している」。ある証券関係者は最近、中東の政府系ファンド(SWF)からこう告げられた。既に日本人を採用した中東SWFも複数知る。「彼らは情報管理に厳しく、なかなか詳細な手の内を明かさない。しかし日本拠点の開設や日本人採用は隠しようがない事実で、日本株への関心の高まりを示している」 調査会社のグローバルSWFが公表した2023年版のリポートによると、中東SWFの運用残高は計4・8兆ドル(約710兆円)。東証プライム市場の20日時点の時価総額(約870兆円)の8割の規模だ。足元の原油価格の上昇で運用規模は膨らんでいる可能性がある。日本株に向かう資金は一部でも、母数が大きいだけに、多少の売買でも影響は大きい。 なぜいま日本株に関心があるのか。同関係者によると、デフレ脱却とコーポレートガバナンス(企業統治)の劇的な改善の2点への期待が大きいという。 「他の国にはない日本独自の買い材料だ」。大和証券の阿部健児チーフストラテジストもこの2点を評価する。9月に訪日した中東SWFの担当者と会い日本株への関心の高まりを直接感じ「買い増し余地はあるのでは」と話す。10月下旬に複数の中東SWFを出張訪問する予定だ。 世界各国の公的運用機関を顧客に持つシュローダー・インベストメント・マネジメントは8月、日本株の見通しを世界各国の株式のなかで唯一、「強気」に引きあげた。福沢基哉執行役員は「他の国・地域が失速するなか、日本株はライジングスター(新星)として海外投資家の目に留まるようになってきた」と話す。 中東SWFの運用スタイルは5~10年後などのリターンをみる長期運用がほとんどだ。買うときは「短期の値動きやバリュエーション(投資尺度)はあまり気にせず大胆に買ってくることも多い」(大手証券)とされる。直近では2023年春にも買い観測が出たほか、過去を遡ると1980年代や2000年代などにも大きく買う場面があったとされ、いずれも相場を押し上げる原動力となった。 たとえばサウジアラビアのSWFのパブリック・インベストメント・ファンド(PIF)。関東財務局に提出した大量保有報告書をみると、23年春にかけてネクソンや任天堂などの株を買い増している。世界的に脱石油の動きが続くと予想されるなか、同国は石油依存の脱却に動いている。PIFを直轄する同国の実力者、ムハンマド皇太子は日本のアニメやゲームへの造詣が深いとされ、その意向が銘柄選択に表れている可能性がある。 前出の証券関係者によると、複数の中東SWFが年内に訪日を予定しているという。なかには日本のアニメ好きの子どもを連れて、親子で訪日する人もいるようだ。「非常にどっしり構えていて、本格的に日本株を買うとしたらこれから。パッシブ投資も相当程度ある」という。 実際にどれだけのお金が日本株に振り向けられるかは未知数だが、日本株買いをもくろむオイルマネーの胎動は、少なくとも日本のプレゼンスが高まってきた証左であることは読みとれる。膠着が続く相場の転換点は遠くないかもしれない。2023/09/21 06:54:2665.名無しさんKMhvEコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼<東証>東芝が小高い TOB成立は織り込み済み、上場廃止へ2023/09/21 09:36 日経速報ニュース(9時35分、プライム、コード6502)東芝が前日終値(4597円)をやや上回る水準での小動きとなっている。21日朝方、日本産業パートナーズ(JIP)など国内連合によるTOB(株式公開買い付け)が成立したと発表した。TOBは1株4620円で8月8日から9月20日まで実施し、成立に必要だった3分の2を上回る応募があった。最近の株価はTOB価格に近い水準での推移が続いており、成立は織り込み済みとの見方から株価の反応は限られている。 株主総会などの手続きを経て、東芝株は年内にも上場廃止となる見通し。証券ジャパンの大谷正之調査情報部部長は「TOB成立は既定路線」と指摘。東芝傘下のキオクシアの人員削減なども一部で報じられているが、TOB成立や上場廃止が既に織り込まれているとあって新たな売買材料と受け止める雰囲気は乏しく、大谷氏は「上場廃止まではTOB価格近辺の水準で推移するだろう」とみていた。2023/09/21 19:52:5566.名無しさんCgKc9コメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼外為8時30分 円、上昇し147円台半ば 全国CPI上振れは支え2023/09/22 08:45 日経速報ニュース 22日早朝の東京外国為替市場で、円相場は上昇している。8時30分時点は1ドル=147円53~54銭と前日17時時点と比べて71銭の円高・ドル安だった。日銀がきょうまで開く金融政策決定会合の結果公表や植田和男総裁の記者会見を控え、持ち高調整目的の円買い・ドル売りが優勢となっている。 総務省が8時30分に公表した8月の全国消費者物価指数(CPI)は前年同月比3.1%上昇と、QUICKがまとめた市場予想の中央値(3.0%)を上回った。早期の緩和修正への思惑から円は8時30分ごろに一時147円51銭近辺まで買われた。 円は対ユーロでも上昇している。8時30分時点は1ユーロ=157円25~30銭と、同71銭の円高・ユーロ安だった。 ユーロの対ドル相場は横ばい圏で推移している。8時30分時点は1ユーロ=1.0660ドル近辺と同0.0005ドルのユーロ高・ドル安だった。2023/09/22 08:51:2467.名無しさんCgKc9コメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼日銀が大規模な金融緩和策の現状維持を決定-円が売られるhttps://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-09-22/S1BDG0T0AFB401?srnd=cojp-v2日本銀行は22日の金融政策決定会合で、長短金利を操作するイールドカーブコントロール(YCC)政策を軸とした現行の大規模な金融緩和政策の維持を全員一致で決めた。YCCについては短期政策金利をマイナス0.1%とし、長期金利(10年物国債金利)はゼロ%程度に誘導する方針を維持。長期金利の許容変動幅は上下0.5%程度をめどとし、1.0%の水準で10年物国債を無制限に買い入れる指し値オペを毎営業日実施するなどのオペの運用も据え置いた。先行きの政策指針であるフォワードガイダンスの表現にも変化はなかった。ブルームバーグがエコノミスト46人を対象に6-12日に実施した調査では、全員が今回会合での政策維持を予想していた。今週に入り一時昨年11月以来の1ドル=148円台まで円安が進んだ中で、市場の一部には政策修正の思惑もくすぶっていたが、経済・物価認識に大きな変化はなく、緩和継続姿勢を改めて示した形だ。 植田和男総裁は9日付の読売新聞のインタビューで、賃金と物価の好循環を見極めるのに十分な情報やデータが年末までにそろう可能性はゼロではないと指摘。賃金上昇を伴う持続的な物価上昇に確信が持てた段階になれば、マイナス金利政策の解除を含めていろいろなオプションがあるとした。市場では早期の政策正常化観測が浮上しており、午後3時半からの記者会見での総裁の発言が注目される。日銀会合結果の発表を受けて、東京外国為替市場では円が売られる展開となっている。発表前のドル・円相場は147円70銭台で推移していた。米連邦公開市場委員会(FOMC)は20日、主要政策金利の据え置きを決めた。一方で、年内あと1回追加で金利を引き上げ、その後は高水準の金利をより長期にわたって維持する公算が大きいことを示唆した。FOMCのタカ派的スタンスを受けた米金利上昇を背景に、外為市場では日米金利差を意識した円売り・ドル買い圧力がかかりやすくなっている。現在の政策運営方針日銀当座預金のうち政策金利残高にマイナス0.1%の金利を適用長期金利がゼロ%程度で推移するよう、上限を設けず必要な金額の長期国債を買い入れ長期金利の変動幅は上下0.5%程度をめどとし、長短金利操作についてより柔軟に運用する。10年物国債金利について1.0%での指し値オペを明らかに応札が見込まれない場合を除き、毎営業日実施する金融市場調節方針と整合的なイールドカーブの形成を促すため、大規模な国債買い入れを継続するとともに、各年限で機動的に買い入れ額の増額や指し値オペ、共通担保資金供給オペなどを実施するETFとJ-REITはそれぞれ年間約12兆円、約1800億円に相当する残高増加ペースを上限に必要に応じて買い入れCPは約2兆円の残高維持。社債は感染症拡大前と同程度のペースで買い入れ、残高を感染症拡大前の水準(約3兆円)へ徐々に戻していく。ただし、社債の買い入れ残高の調整は発行環境に十分配慮して進める2023/09/22 12:12:3268.名無しさんCgKc9コメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼植田日銀総裁、政策修正時期「決め打ちは到底できない」2023/09/22 16:52 日経速報ニュース 日銀は22日に開いた金融政策決定会合で金融緩和策の現状維持を全会一致で決めた。長期金利の事実上の上限を1%とする長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)や、マイナス金利政策、上場投資信託(ETF)の買い入れなどの現行の緩和策を続ける。記者会見した植田和男総裁は「政策修正時期の決め打ちは到底できない」と述べた。 植田総裁は「物価目標の実現が見通せる状況にはない。粘り強く金融緩和を続けていく」と強調した。日銀は7月会合でYCCを修正し、長期金利の上限を事実上1%に引き上げた。植田総裁は「効果があらわれているのか、あらわれていないのかをみるには時期尚早だ」と指摘した。 円は一時148円台に 大規模緩和を続ける日銀と金融引き締め局面にある欧米中銀との違いが改めて意識され、外国為替市場では記者会見中に円安が進んだ。日銀の発表直前には147円台後半で推移していた円は、一時1ドル=148円台を付けた。植田総裁は「市場の動向だけでなく経済、物価見通しに影響を及ぼすという観点から注視している」と語った。 植田総裁は「賃金上昇を伴う2%の物価上昇は見通せない」と強調し、市場の早期修正観測をけん制。一方で、今後の政策変更について問われ「物価目標の実現が見通せる状況になれば、YCCの撤廃やマイナス金利の修正を検討することになる」と述べた。さらに「どれをどういう順序で変更していくかは、さまざまなオプション(選択肢)がある」と話した。 賃金は「最重要な要素」 総務省が同日発表した8月の消費者物価指数(CPI、生鮮食品除く)は前年同月比で3.1%の上昇だった。物価上昇の継続性を判断するうえで、賃金の上昇が「最重要な要素の1つ」(植田総裁)となる。日銀は上昇率が一時的に縮小した後、企業の賃金・価格設定行動の変化などを背景に「再びプラス幅を緩やかに拡大していく」とみている。 日銀は国内景気については、企業収益が全体として高水準で推移するもとで、設備投資や個人消費が増加しているとの見方を示した。先行きは海外経済の回復ペースの鈍化で下押し圧力を受ける一方、ペントアップ(先送り)需要の顕在化などに支えられ、緩やかに回復していくとみる。 今後のリスク要因については「海外の経済・物価動向、資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動など、わが国経済・物価を巡る不確実性はきわめて高い」とした。【関連記事】・日銀、追加の緩和修正見送り 金融政策の現状維持を決定・円安対応へ資金拡大方針の撤廃案 日銀の次の一手に思惑・消費者物価、8月3.1%上昇 伸び横ばいで高止まり2023/09/22 22:41:0769.名無しさんvlpJYコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼積極賃上げ銘柄、株上げる――日本株買い・日銀政策を左右(スクランブル)2023/09/23 日本経済新聞 朝刊 日銀がいつ長短金利操作撤廃やマイナス金利解除に踏み切るか。22日の金融政策決定会合では動かなかったが、国内では賃上げが進み本格的なデフレ脱却の芽が出ている。積極的な賃上げに動ける銘柄には業績上振れ期待もあり、買いが集まる。株高の持続力が高まるかは賃上げの裾野の広がりがカギを握る。 「企業の賃金、価格設定行動の一部に従来よりも積極的な動きが見られ始めているが、物価目標の持続的・安定的な実現を見通せる状況には至ってない」。植田和男総裁は会合後の記者会見で指摘した。 第一生命経済研究所の永浜利広首席エコノミストは「地に足がついた慎重な判断だ。名目賃金が上がっていることもあり、実質賃金がプラス圏に持ち直すまでもう少しの辛抱という考えだろう」と受け止めた。植田氏は賃金動向を政策判断のための最重要要素の一つとしている。 日本労働組合総連合会がまとめた2023年春闘での賃上げ率は3・58%と、30年ぶりの高い伸び率だった。基本給を引き上げるベースアップ(ベア)だけでも2・12%伸びた。日経平均株価は7月3日に3万3753円と33年ぶりの高値をつけ、ともに「失われた30年」からの脱却を印象づけた。ある外資系運用会社幹部は「日銀が政策修正を考慮できるほど日本経済が回復し、外国人投資家のジャパン・パッシングが払拭されつつある」と話す。 賃上げ率と日経平均の年末値の推移をみると、軌道はおおむね重なる。最高値をつけた1989年12月29日から間もない90年春闘での賃上げ率は5・95%と、この35年で最も高い。2000年代に入り賃上げ率が2%を割り込むと、日経平均も低迷した。 足元の賃上げ拡大の背景には、企業が原資となるキャッシュを稼ぐ力を高めたことが大きい。野村証券の清水康弘シニア・クオンツ・アナリストは「業績見通しが良い企業が積極的な賃上げに動く傾向がある」と分析。「積極的に賃上げする企業は経営陣が利益成長を見込んでいると考えられ、業績予想を上方修正する可能性も高い」(清水氏) そんな積極賃上げで買いを集めるのが日東紡だ。23年春闘での賃上げ率はベア部分で3・00%だった。22日時点での株価は3月末比で63%高と日経平均(16%高)を大きく上回る。8月には24年3月期の連結純利益を前期比62%増の45億円に上方修正した。今期に入り、生成AI(人工知能)関連のデータセンター向けに低誘電ガラスの需要が伸びているという。 ほかにも黒崎播磨は3月末比48%高い。主力の耐火物製品でコストアップ分の価格転嫁が進んだことなどから、7月に24年3月期の業績予想を上方修正した。 市場では賃上げの広がりはまだ不十分との見方が大半だ。中小組合の23年春闘での賃上げ率は3・23%と全体より0・35ポイント低い。ニッセイアセットマネジメントの吉野貴晶投資工学開発センター長は「日本株の一段高には出遅れている中小企業でも賃上げが進み、全体が底上げされる必要がある」と話す。 岸田文雄首相は日本時間22日未明、米ニューヨークで投資家向けに講演し「構造的な賃上げ」と「持続可能性強化のための官民投資」に重きを置いた経済対策をまとめると説明。投資家に「日本への投資を強く求めたい」と呼びかけた。賃上げの継続は日本株の行く末を占う重要な要素だ。2023/09/23 06:49:4870.名無しさん3hKmtコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼止まらぬ円安、介入警戒増す 日米金利差10カ月ぶり水準2023/09/24 15:00 日経速報ニュース 日米中央銀行の政策決定会合を終え、今週は円安圧力が高まりそうだ。米金利高を受けて日米金利差が10カ月ぶりの水準まで拡大しており、ドルに資金が流れやすい。1ドル=150円の大台が迫るなか、市場は円買い介入に対する警戒を強めている。株式市場も金利の動きに神経質になっている。 先週までに開かれた一連の中銀会合で、市場に最も大きな驚きを与えたのは米連邦準備理事会(FRB)だった。米連邦公開市場委員会(FOMC)参加者による2024年末の政策金利の見通しが、中央値で5.1%と前回から0.5%も引き上げられたからだ。米政策金利が当面高止まりするとの見方が広がり、市場参加者の「利下げシナリオ」に狂いが生じた。 米ゴールドマン・サックスは24年4?6月から10?12月に利下げ開始時期の見通しを変更した。米長期金利は22日、16年ぶりに節目となる4.5%まで上昇した。投資家は高金利長期化への備えを急いでいる。 一方、日銀は金融緩和政策の現状維持を決めた。植田和男総裁は次の政策修正の時期について「到底決め打ちできない」とし、市場で浮上していた早期のマイナス金利政策解除の思惑を打ち消した。これを受け、翌日物金利スワップ(OIS)市場が織り込むマイナス金利政策解除の時期は来年の1月から3月にずれ込んでいる。【関連記事】緩和修正「到底決め打ちできぬ」 日銀、賃上げ見極めへ 日米中銀の姿勢の差を映し、日米の長期金利の差は3.7%と昨年11月以来10カ月ぶりの水準まで拡大した。これが円安圧力となり、円相場は1ドル=148円40銭前後と10カ月ぶりの円安・ドル高水準をつけた。 日本は仮にマイナス金利を脱却しても、潜在成長率の低さなどから利上げの幅は小さくならざるを得ないとの見方が多い。FRBが24年以降も政策金利を高く保つ姿勢を鮮明にするなか、市場参加者の間で円の「売りやすさ」が意識されている。野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジストは「米景気の強さもあり、当面は円安・ドル高が進みやすい」とみる。 ここからさらに円安が進むとすると、1ドル=150円の大台が間近に迫ることになる。150円台は、政府・日銀が2営業日にわたり6.3兆円の円買い介入を実施した昨年10月後半以降は一度も付けていない。 政府は口先介入に動いている。財務省の神田真人財務官は20日、「海外の当局とりわけ米当局とは日ごろから極めて緊密に意思疎通を図っており、過度な変動が好ましくないとの認識を共有している」と述べた。 岸田文雄首相も21日、米国の投資家向け講演で為替の動きに言及した。「引き続き高い緊張感を持ち、過度な変動に対してあらゆる選択肢を排除せず、適切な対応を取る」と強いトーンで円売りをけん制した。 こうした動きを受け、市場でも「円相場が150円まで下落するか、1日の相場変動が1%を超えると、政府が為替介入に踏み切る」(りそなホールディングスの石田武為替ストラテジスト)との見方がある。 米商品先物取引委員会(CFTC)によると、投機筋は対ドルで円を1兆2700億円程度売り越している。一時は1兆円を下回っていた売り越し幅が足元では拡大基調にある。介入があると、この円売りポジションが巻き戻されて急激な円高が進む公算が大きい。 今週は岸田首相が25日にも経済対策の柱を表明する。対策規模によっては「国内のインフレ圧力になる」(みずほ証券の小林俊介チーフエコノミスト)。インフレの高止まりが日銀のマイナス金利脱却の思惑を呼ぶと、円高の要因となりそうだ。 株式市場でもFOMCの結果を受けて、米金利の高止まりが警戒されている。米ダウ工業株30種平均は22日、2カ月半ぶりの安値をつけた。ピクテ・ジャパンの田中純平ストラテジストは「世界の株式相場のけん引役だった米主要ハイテク株の調整が今後も続く」と予想する。 日経平均株価への影響度が大きい半導体関連株は、米ハイテク株との連動性が高い。米国の株式市場が金利動向に敏感な間は、日本でも上値を狙う動きは限定的とみられる。一方、為替の円安は輸出企業の業績にプラスで、相場を売り崩す展開になりにくい。指数は膠着感を強める可能性がある。2023/09/25 06:26:0571.名無しさん3hKmtコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼2%目標へ自信深める日銀 早期出口へ残る変数3つ-金融PLUS 金融部長 河浪武史2023/09/25 05:00 日経速報ニュース 日銀の植田和男総裁は金融緩和の早期縮小観測をひとまず打ち消したが、行内はインフレ目標の安定達成に自信を深めつつある。構造的な人手不足による賃上げが長く続くとみており、年内の追加の緩和縮小も選択肢となる。米連邦準備理事会(FRB)の動向など、3つの変数を見極めながら最終判断することになる。 「現時点では経済・物価を巡る不確実性は極めて高く、政策修正の時期や具体的な対応は到底決め打ちできない」。22日の記者会見で植田総裁は早期の緩和縮小観測を火消しした。 日銀は7月の前回会合で長短金利操作(イールドカーブ・コントロール=YCC)を見直し、長期金利の上限を事実上1%に引き上げたばかりだ。この上限をなくすYCCの撤廃観測が強まると、国債売りが殺到して長期金利も一気に上限の1%に達してしまう。 YCCという繊細な政策を抱える日銀は、市場に追い込まれることだけは避けなければならない。植田氏が自らの発言で広がった緩和縮小観測を強く火消しした背景には、こうした事情がある。 ただ、それでも日銀は金融緩和の出口に向けて自信を深めつつある。日銀関係者が注目したのは、植田氏の記者会見があった22日朝に発表された8月の消費者物価指数統計だった。サービス価格の上昇率が2カ月連続で2%を上回り、賃金上昇が物価を安定的に押し上げる構図がみえ始めている。サービス物価の上昇率が2カ月続けて2%を超えるのは、消費増税の時期を除くと29年10カ月ぶりのことになる。 日銀は10月末に次回の金融政策決定会合を開き、そこで「展望リポート」を公表する。焦点は24年度と25年度の物価見通しで、いずれもインフレ率が2%を超える予測となれば、市場は改めて早期のYCC撤廃とマイナス金利解除を織り込むようになるだろう。植田氏の22日の慎重な物言いは、次回会合まで市場を落ち着かせる時間稼ぎにすぎない。 それでも日銀の緩和縮小を左右する変数が3つある。 一つはFRBだ。米国は原油価格の再上昇でインフレが思うように収まってこない。FRBの金融引き締めが長引きそうで、世界的にも長期金利に上昇圧力がかかっている。こうした局面で日銀がYCCを撤廃してしまうと日本の長期金利も想定外に上昇しかねない。日銀は22年12月23年7月とこれまで2回、緩和縮小に踏み切ってきたが、いずれもFRBが利上げペースを緩めた局面だった。日銀の次の判断も、米国の金融政策が左右することになる。 もう一つは円相場だろう。1ドル=148円台という足元の円安水準は、岸田文雄首相が為替介入の可能性をそれとなくほのめかすほど、ギリギリの攻防ラインにある。一段の円安が進むようなら日銀の動きも前倒しとなり、逆に円安が落ち着けば日銀にとっては様子見できる時間が確保できることになる。 見逃せない3つ目の変数は国内政治情勢にある。解散総選挙の機運が出てくれば、日銀は緩和縮小に動けない。それでなくても安倍派はいまなお早期の緩和縮小に反対しており、24年度予算編成を控えて財務省も日銀の動向に神経をとがらせている。日銀は00年のゼロ金利解除、06年の量的緩和解除で政治の反発を招き、安倍晋三氏ら痛烈な日銀批判論者のその後の台頭につながったトラウマもある。 世界の中央銀行は非伝統的な金利や為替のコントロール策を仕掛けたが、その出口で少なからず失敗をおかしている。直近では21年、オーストラリア中銀がYCCの出口で金利制御に失敗して市場が大混乱した。スイス中銀も15年、通貨コントロール策の解除に失敗し、為替レートが急上昇して経済に打撃をもたらした。いずれも市場の攻撃で中央銀行が追い込まれ、金利や通貨のコントロール策を放棄せざるをえなくなったのが実際だ。 日銀は今のところ市場の混乱を招かずにYCCの出口に緩やかに向かっている。それは豪中銀やスイス中銀と異なり、市場に追い込まれる前に動いているからだ。22年12月も23年7月も、いずれも緩和縮小観測が極めて小さいタイミングを見計らって政策変更を決断した。追い込まれる前に動くのがYCCという政策を抱える今の日銀の鉄則だとしたら、市場は次も虚を突かれることになる。2023/09/25 06:31:4172.名無しさん3hKmtコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼今週の債券 弱含み 日銀の政策修正観測は消えず2023/09/25 07:31 日経速報ニュース 今週(25~29日)の債券相場は弱含みそうだ。日銀は21~22日に開いた金融政策決定会合で現行の金融政策を維持した。だが政策修正観測は根強く、引き続き国内金利には上昇圧力がかかりやすいだろう。市場では長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りは0.76%程度まで上昇余地があるとの予想が出ていた。 日銀は21~22日の金融政策決定会合で現行の金融緩和政策の維持を決めた。植田和男総裁は会合後の記者会見で、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の撤廃やマイナス金利政策の修正については「物価目標の実現が見通せるようになったら考える」と述べた。10月以降の政策修正の思惑は根強く、今週も金利の先高観は残りそうだ。 前週の長期金利は前の週に比べて0.045%高い(債券価格は安い)0.745%で終えた。米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めが長期化するとの見方から米長期金利が上昇し、国内債にも売り圧力がかかった。日銀の金融政策決定会合の結果発表を控え、国内債には持ち高調整の売りが出やすかった。 財務省は26日に40年債(発行予定額7000億円)、28日に2年債(同2兆9000億円)の入札を実施する。日銀が早期に緩和を修正するとの観測がくすぶり、投資家のリスク許容度は高いとはいいがたい。こうした状況から市場では40年債について、「デュレーション(元利金の平均回収期間)が長いため、需要が集まるか一定の不安がある」(国内銀行の債券担当者)との声があった。29日には3カ月物国庫短期証券(TB)入札が予定されている。 週内は米国でも入札が複数予定されている。26日には2年債、27日には5年債、28日には7年債入札が実施される。米国で債券需給の緩みが意識されやすいのも、国内金利の上昇を促しそうだ。 日銀による国債買い入れオペ(公開市場操作)は27日に予定されており、対象は「3年超5年以下」「5年超10年以下」「10年超25年以下」「25年超」となっている。29日夕には10~12月分の国債買い入れオペの運営方針(オペ紙)を公表する。オペでの買い入れ額を維持すれば、需給の引き締まりが意識されて債券相場の支えとなるだろう。 週内は25日に日銀の植田総裁が大阪経済4団体共催懇談会に出席して記者会見するほか、内田副総裁が全国証券大会であいさつする。総務省は29日に9月の都区部消費者物価指数(CPI)を発表する。海外では29日に9月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値や8月の米個人所得・個人消費支出(PCE)が発表になる。 米国でも要人の発言機会が相次ぐ。26日にはボウマンFRB理事、28日にはクックFRB理事がそれぞれ講演する。28日はパウエルFRB議長が討論会に参加し、29日にはウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁があいさつする。2023/09/25 09:11:2773.名無しさん3hKmtコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼長期金利、0.735%に低下 米金利低下と日銀政策維持で2023/09/25 10:24 日経速報ニュース 25日午前の国内債券市場で長期金利は低下(価格は上昇)した。指標となる新発10年物国債の利回りは前週末比0.010%低い0.735%をつけた。米国では22日発表の9月の米購買担当者景気指数(PMI)速報値を受けて景気減速が意識された。その後に米金利が低下し、国内債にも買いが及んでいる。日銀が21~22日に開いた金融政策決定会合で現行の金融政策を維持したのを受け、債券に買いが入りやすい面もある。2023/09/25 10:35:1274.名無しさん3hKmtコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼株、日銀緩和維持でバリュー物色に転機か 銀行や海運が逆行安2023/09/25 12:23 日経速報ニュース 25日午前の東京株式市場で日経平均株価は反発し、前引けは前週末比187円(0.58%)高の3万2590円だった。日銀による早期の金融政策修正の観測が後退し、海外短期筋などによる買いが優勢になった。値がさの半導体株などの上昇が日経平均を押し上げたが、市場ではこれまで強含んでいた銀行などバリュー(割安)株の下落を不安視する声も聞かれる。 前週末の米株式相場が下落したにもかかわらず、午前は東証プライムの7割強にあたる1360銘柄が上昇した。日銀の緩和維持自体は市場予想通りだったが、植田和男総裁は会見で政策修正の時期について「到底決め打ちできない」と述べた。緩和の継続という日本の独自要因が相場全体を押し上げた格好だ。東海東京調査センターの仙石誠シニアエクイティマーケットアナリストは「政策修正を見込む関係者は少なかったが、短期的な持ち高の巻き戻しが出た」と話す。 市場では「日本株の上昇基調は崩れない」との見方が再び広がりつつある。目先は3月期決算企業の中間配当の権利付き最終売買日である27日までは配当狙いの買いが支えとなりそうだ。ただ、その後は権利落ちに伴う需給悪化が意識されやすい。 気掛かりなのはバリュー株の先行きだ。今年は特に顕著な上昇を演じてきただけに反動が懸念される。午前は日銀による政策修正の後退も売りに拍車がかかり、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)や三井住友フィナンシャルグループ(8316)など銀行株は全面安となった。配当利回りの高さなども追い風に売り方の買い戻しによる「踏み上げ相場」を演じてきた日本郵船(9101)や川崎汽船(9107)、上場来高値圏のトヨタ自動車(7203)も軟調だった。市場では「高配当銘柄は株価が強含んでいただけに、配当を受け取る前に手じまい売りを出す投資家も多そうだ」(国内証券)との声が聞かれた。 東証株価指数(TOPIX)が33年ぶりの高値圏に浮上してきたけん引役は、時価総額の大きいバリュー株だった。ただ「PER(株価収益率)でみると、バリュー株の一段高を正当化するのが難しくなってきた」(岡三証券の松本史雄チーフストラテジスト)との指摘もある。需給面では月末にかけて配当の再投資といった支援材料もあるが、今後は「配当ラリー」の一巡も含め、物色の転機が訪れるかどうかを見極める局面となりそうだ。2023/09/25 13:11:3675.名無しさんAZAFHコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼ドル独歩高にブレーキ――日銀総裁、円安の影響「非常に注意」 会見で言及 「政府と連携し分析」2023/09/26 日本経済新聞 朝刊 日銀の植田和男総裁は25日午後に開いた大阪市内での記者会見で、為替動向について「(日銀の)経済、物価見通しにどういう影響を及ぼしていくかは常に非常に注意して見ている」と述べた。25日の東京外国為替市場で円相場は対ドルで年初来安値をつけている。「政府とも緊密に連絡をとって(影響を)調査、分析する」とした。 日銀は22日の金融政策決定会合で大規模な金融緩和策の維持を決めた。市場が金融引き締め局面が続く米国との違いを改めて意識したことが円売り・ドル買いにつながっている。円安は国民負担となる物価高を後押しする側面もあり、政府内の警戒は根強い。 植田総裁は「為替についてはファンダメンタルズ(経済の基礎的要件)に沿って安定的に推移するのが望ましい」とする一方、「直接為替相場を左右するような金融政策運営はしない」との考えも示した。 岸田文雄首相は25日、円安が進む為替市場について「引き続き高い緊張感を持って注視したい」と語った。首相官邸で記者団の質問に答えた。 「為替相場はファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが重要だ。過度な変動は望ましくない」とも指摘した。2023/09/26 06:41:1576.名無しさん4aUwHコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼コラム:日米逆転した個人のインフレ予想、「新しいノルム」誕生か=大槻奈那氏[東京 27日] - 昨年、インフレに対する初動が遅れた米連邦準備理事会(FRB)の誤算の一つが、人々のインフレ期待の高まりだった。2021年にニューヨーク連銀のラッド氏が「人々のインフレ期待が実際のインフレ率に影響を及ぼすという説は、根拠が弱い」という論文を発表し、話題となった。しかし、現実には期待インフレ率の上昇が自己実現してしまった。人々がインフレを予想することで、企業は値上げしやすくなった。また、インフレへの不安が大幅な賃上げ要求につながり、これを吸収するべく企業は商品やサービスの価格を引き上げた。現在、進行中の全米自動車労組(UAW)が 提示している4年間で36%という賃上げ要求も、人々の将来のインフレ懸念が背景にあると思われる。<日本のインフレ期待計測、データ不足の問題>だが、現在インフレ期待でより大きな問題を抱えるのは、日本かもしれない。まずはデータ不足の問題である。日本には、米ミシガン大学の消費者サーベイのような、詳細で長期にわたる個人のインフレ予想のデータはない。市場のインフレ予想自体は、民間エコノミスト経済予測ESPフォーキャストや、物価連動国債と普通国債の利回り差から求めるブレークイーブン・インフレ(BEI)率がある。しかし、ESPフォーキャストは、専門家であるエコノミストの予想であり、BEIも機関投資家らが売買する国債を用いて計測される。いずれもプロの予想を表すものであり、BEIでは債券の需給も影響する。一般の消費者のインフレの体感の把握には不十分である。消費者向けの物価関連のサーベイ・データとしては、内閣府の「消費動向調査」や日本銀行の「生活意識に関するアンケート調査」がある。だが、米ミシガン大のサーベイが1978年まで遡れるのに対し、これらのデータは歴史が浅い。しかも、「消費動向調査」の物価上昇率は「2%以上5%未満上昇」などレンジでの回答になっている。日銀の調査は具体的な数字での回答を求めているが、この形式になったのは2004年からと蓄積データが少ない。さらに、各解答について年齢・学歴・性別等の属性ごとの内訳開示もない。個人の予想はプロほど適格ではないことが多いことから、予想を詳しく聞いても仕方がないという考え方もあるだろう。しかし、消費を行う主体は個人であり、その予想は、数字が当たるかどうかではなくその変動そのものに意味がある。<1年後の物価予想、日本は10%>そして、足元のデータを見ると、日本のインフレ期待には不安な点がある。直近(7月発表分)の日銀の「生活意識アンケート調査」の1年後の物価予想は、上昇の勢いこそ一服したものの、10%と極めて高い。米ミシガン大学サーベイの中央値3.4%(7月)をはるかに上回っている。米国では、物価が高騰した過去2年近く、人々のインフレ予想はその時点のインフレ率の実績値を若干下回って推移してきた。つまり、極端なインフレは早晩収まると予想されていた。一方、現在の日本の消費者は、足元のインフレ率よりもかなり高い数字を予想している。卵や生鮮食品など、日々目にしている品目の極端な価格上昇に色濃く影響を受け、直観で答えているということだろうか。しかし、それは米国でも多かれ少なかれ見られる現象と言える。あるいは、日本の消費者は、長年、物価下落の基調は変わりにくいとメディア等で見聞きしてきたため、物価上昇も粘着性が高いはずだと推定しているのかもしれない。これに関連して、興味深いデータがある。直近の日銀の「生活意識アンケート調査」では、物価が上昇すると回答した人に対して、そう考える理由も聞いている。最も多い回答は「最近物価が上がっているから」というものだ。やはり、多くの人々が足元の物価上昇が来年もそのまま続くと考えていることになる。問題は、その次に多い回答である。35%の人が「物価は上がるものだから」と回答しているのである。どのような属性の人がこのように回答しているのか、過去デフレ時代はどうだったのか等がわからないため、数字の解釈はまだ難しい。しかし、今後この回答が増えると厄介だ。かつて日本では、物価は下がるものだという「デフレ・ノルム」が生まれてしまったが、今度は、物価は上昇するものだ、という「新しいノルム」が生まれつつあるという可能性も排除できない。仮にそうであるならば、行き過ぎたインフレ予想が定着する前に、日銀は早期の利上げに踏み切るべきかもしれない。2023/09/27 10:25:4377.名無しさんE8yXKコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼物価高巡り、日銀割れる 7月議事要旨 「2%実現、はっきり視界に」「マイナス金利修正に距離」2023/09/28 日本経済新聞 朝刊 物価高や賃金動向を巡って日銀内で見方が割れている。日銀が公表した7月の金融政策決定会合の議事要旨では、2%の物価安定目標の達成について「実現がはっきりと視界に捉えられる」とみる委員がいた一方、「実現は見通せず、マイナス金利政策の修正にはなお大きな距離がある」との声も上がった。 7月の会合では長短金利操作(イールドカーブ・コントロール=YCC)を見直し、長期金利の上限を1%に事実上引き上げた。 会合直後に公表した「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)では2023年度の物価見通しを大幅に上方修正した。今後は「輸入物価の下落に伴う下押しにより、次第に縮小していく」とみる委員がいた。「時間をかけてコスト上昇を価格に転嫁する動きは続く」と述べる委員もいた。 焦点の賃金動向について委員の一人からは「来年度以降の賃上げを検討する企業も増えており、賃上げとサービス価格の上昇が続く新たな局面が見込まれる」との意見が出た。一方で中小企業について「6割が赤字法人で収益力が弱く、賃金上昇の広がりを確認する必要がある」と指摘する委員がいた。2023/09/28 06:09:3078.名無しさんE8yXKコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼海外勢、日本株3週連続売り越し 日銀政策巡り警戒感2023/09/28 20:48 日経速報ニュース 日本取引所グループが28日発表した投資部門別売買動向(東京・名古屋2市場)によると、海外投資家は9月第3週(19?22日)に現物株を9131億円売り越した。売り越しは3週連続で、売越額は3月第2週(1兆1275億円)以来の大きさだった。日銀の金融政策決定会合を控えて政策変更への警戒から持ち高を減らす動きが広がった。 19?22日は米連邦公開市場委員会(FOMC)や日銀の金融政策決定会合が開かれた。米金利の高止まり懸念もあり日経平均株価は週間で1100円超下げ、今年に入り最大の下げ幅だった。週初から4日連続で下落し、1日で450円超下げる場面もみられた。 しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹シニアファンドマネージャーは「日銀の発表内容によっては円高進行や景気回復の減速が懸念されたことから、リスク回避の動きが広がった」と分析する。FOMCでも金融引き締め長期化を示唆する内容がみられたことから、ハイテク関連などグロース株を中心に売りが広がった。 国内の個人投資家は現物株を6613億円買い越した。買い越しは2週ぶりとなる。株価の急落を受けた逆張りの買いが入ったとみられる。年金基金の売買動向を映すとされる信託銀行は3週連続で売り越した。売越額は3401億円で、約3カ月ぶりの高水準となった。2023/09/28 20:50:3879.名無しさんPywFEコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼日銀の自縄自縛で進む円安-人生100年こわくない・マネー賢者を目指そう(熊野英生)2023/09/29 04:00 日経速報ニュース 9月22日の日銀金融政策決定会合後の記者会見で、植田和男総裁は年内利上げの可能性について否定的であった。それに先だって、「物価・賃金データがそろえば、年内利上げもゼロではない」と新聞取材で発言したとされていただけに、手のひらを返したようだった。 ならば、為替は円安に向かうだろう。円相場は1ドル=150円に接近している(図表)。9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、2024年末の政策金利見通しが5.1%と前回(4.6%)よりも引き上げられた。米連邦準備理事会(FRB)がそう簡単に利下げをしない構えを鮮明にしたために、米長期金利は4.5%近くまで上がり、ドル高・円安が進んでいるのだ。 政府は行き過ぎた円安望まず 思い出すのは22年10月の円安だ。為替市場では1ドル=151円90銭台まで円安が進行。政府は3度の為替介入に踏み切り、それによって円高に押し戻された。円安は輸入物価を高騰させる。国民は物価上昇の痛みを嫌うから、政府も円安に歯止めをかけるべく、為替介入を実施した。しかし現在、日本は米国から為替操作国の監視対象国から外されている。だからこそ、日本は再び監視対象になることを恐れ、今回は前回ほどの大規模な介入には動けないのだろう。 政府には物価を巡って頭の痛い問題がある。9月末にガソリンなどに対して実施していた補助金の支援策が期限切れになる。ひとまずは12月末まで支援策を延長する。電気・ガス代についても、9月末で終了するはずだった補助金を延長する方針を決めている。 政府の立場は、①これ以上の円安を望まない②物価対策を講じて10月以降のガソリン、電気・ガス代の抑制を行いたい、というものだ。ならば筋を通して考えると、日銀に早急に金融緩和の修正を求めるべきだとなる。日銀に対し安定的に2%の物価上昇を望むとしてきたコミットメントを達成したことにして、マイナス金利の解除へ動くことを要請するのだ。 日銀は政府との間で共同声明を結び、2%のインフレ目標達成を目指してきた。この約束が日銀を過剰に慎重にさせてきたことは明白である。だからこそ、政府が「もう良いです」とお墨付きを与えて、日銀の自縄自縛を解いてやらなくてはいけない。仮に岸田文雄首相が共同声明を結び直すと言えば、それだけで為替レートは円高方向に向かうはずだ。 少し前の経緯を話すと、植田総裁が就任したときに共同声明を結び直すチャンスがあったが、岸田首相はそれを見送った。安倍晋三首相時代のリフレ政策に執着する人々におもねった可能性もある。 これが、岸田政権が政策的矛盾を抱える火種になった。まず、金融緩和によって生じた輸入物価高騰を財政資金で穴埋めしている点が矛盾だ。国民が腹を立てているのは、エネルギーよりも食料品の方だ。こちらは円安である限り価格高騰が続く。 さらにガソリン補助金にも矛盾がある。高騰した輸入コストを補助金で引き下げると、ガソリン消費量は減らなくなる。貿易赤字は拡大して、それが円安を招く。ガソリン価格がまた上昇して、余計に補助金を必要とする。岸田首相が日銀の金融緩和解除を縛る共同声明を見直さない限り、根本的な物価対策にはならない。2023/09/29 06:14:4980.名無しさんPywFEコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼 マイナス金利解除の限界 年内利上げは早すぎるとしても、マーケットの投資家たちはそう遠くない将来に、日銀のマイナス金利解除があるとみている(筆者も24年4月末だとみる)。 そのためにはインフレ率が「安定的に2%を上回る」という縛りを解く必要がある。この「安定的に」という日本語は曖昧な言葉である。「2%を上回る」ではなく、「安定的に2%を上回る」とするだけで意味が全く違ってくる。「安定的に」が入ると、今後2%を割ってはいけないという意味に変わる。すでに消費者物価は3?4%もの上昇率でとっくの昔に2%を上回っている。日銀が3?4%ものインフレを無視しているのは、いずれ上昇率が反落する可能性を否定できないからだ。 2%を割り込まないようにするためには、下方硬直的なサービス価格が底上げされ、かつ春闘のベースアップが毎年2%以上の上昇率に高まることが必要になると、筆者は考える。 ただし、マイナス金利解除=円高になるかは不確定だと思われる。それを理解するには議論をもっと深く掘り下げる必要があり、具体的にマイナス金利解除の先の話をすればわかる。もし日銀が安定的に2%の物価上昇を展望できたならば、短期金利をマイナス0.1%から0.1%、その次に0.25%へと引き上げられるだろうか。さらに欧米のように、そこから0.50%、1.00%へと段階的利上げに進めるだろうか。 筆者の見方は、先々の利上げもまた苦難の道というものだ。マイナス0.1%の短期金利を引き上げるとすれば、日銀にとって当座預金の保有者である民間金融機関への利払い費負担はどのくらい生じるだろうか。仮に0.10%までの短期金利の引き上げであれば、0.20ポイントの利上げ幅になる。 短期金利が0.10%になると、今まで水面下にあり意識されなかった問題が浮上してくる。例えば、日銀当座預金への付利を行い0.10%分の利息を金融機関に支払うことになる。500兆円以上もある当座預金のうち、準備預金適用残高(7月末473兆円)に対して0.10%の付利を行うと年間利払費は約5000億円になる。これくらいならば問題はないが、付利を0.50%にすると年間2.4兆円もの負担増になる。22年度の日銀の当期剰余金は2.0兆円なので、計算上、赤字に転落する。 マイナス金利をすぐに解除しても、長期国債を市場で売却しない限り、当座預金の付利による負担増が収益を圧迫するという問題が生じる。だから、日銀の利上げはそれほど大胆にはできない。 また、よく話題にされるのは、長期金利上昇に伴う長期国債の含み損の問題である。もちろん、日銀は保有国債をすべて時価評価する訳ではない。それでも含み損を計算したときに、日銀の自己資本がマイナスになると、バランスシートに穴が開いたように見える。そうすると、円の信用を担保する中央銀行の資産内容が劣化して円安を助長することになりかねない。 もしも日銀がマイナス金利を解除すると、隠れた問題が浮上し、利上げに伴う弊害が意識されて、なかなかそれ以上の利上げは難しいという見方が出てくる。すると、日米金利差が縮小するとしても、その幅は限られるという思惑から、円高よりも円安の方に傾くと筆者は見ている。 おそらく、現在はそうした隠れた問題の存在を、マーケットは十分に気付いていない。まだ「マイナス金利の解除は円高要因だ」という先入観にとらわれている。もしも日銀が本気になって趨勢的な円安を止めようとするなら、欧米ほどではないにせよ、いずれ段階的利上げに動かざるを得ないと思える。2023/09/29 06:16:3681.名無しさんPywFEコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼東証前引け 続落、期末売りへの警戒続く 米株高は支え2023/09/29 11:44 日経速報ニュース 29日午前の東京株式市場で日経平均株価は続落し、前日比36円28銭(0.11%)安の3万1836円24銭で前場を終えた。四半期末に伴う機関投資家によるリバランス(資産配分の調整)に伴う売りや、米政府機関の閉鎖への警戒が投資家心理の重荷だった。ただ前日の米株式相場の上昇は相場全体を下支えし、日経平均は上昇する場面もあった。 きょうの東京市場ではバリュー(割安)株への売りが目立ち、東証株価指数(TOPIX)バリュー指数は前引け時点で1.27%安となった。このところ上昇基調が顕著だったバリュー株にリバランスの売りが出ているとの見方があった。29日午前に国内長期金利の指標となる新発10年物国債利回りが一時0.770%と約10年ぶりの高水準まで上昇したことも株式相場の逆風との受け止めがあった。 寄り付き直後は前日の米株式相場が上昇した流れを受けて日本株にも買いが先行し、日経平均は節目の3万2000円を超える場面があった。前日の米株式市場では金利上昇への過度な警戒感の後退からハイテク株を中心に上昇。東京市場ではアドテストや東エレクなど半導体関連銘柄への買いが目立った。 東証株価指数(TOPIX)は続落した。JPXプライム150指数も続落し、前引け時点で4.06ポイント(0.40%)安の1012.85だった。 前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で1兆7668億円、売買高は7億2727万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は1185と、全体の6割強を占めた。値上がりは587銘柄、横ばいは59銘柄だった。 デンソーやセコムが安い。豊田通商や東京海上の下げも目立った。一方、TDKやソフトバンクグループ(SBG)が高い。ネクソンやリクルートが堅調に推移した。2023/09/29 12:05:1182.名無しさんjA9EKコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼日銀総裁、赤字でも政策能力に支障なし 緩和「出口」局面https://www.jiji.com/jc/article?k=2023093000363&g=eco&utm_source=top&utm_medium=topics&utm_campaign=edit2023年09月30日16時36分 植田和男日銀総裁は30日、福岡市で講演し、大規模金融緩和の「出口」局面における日銀の財務悪化懸念について、中央銀行は自ら紙幣を発行できることなどから「一時的に赤字や債務超過になっても政策運営能力は損なわれない」との認識を示した。東京株、半年で3816円上昇 改革への期待でバブル後高値 緩和の出口では、金融機関が日銀に預け入れる当座預金の適用金利を引き上げる。このため、日銀の支払利息が増えて、収益が減少する。2023/09/30 18:11:4983.名無しさん3sQLUコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼異次元緩和、3つの柱に同時終了説 日銀正常化一気に?-編集委員 清水功哉2023/10/01 04:00 日経速報ニュース 「(今回決まった政策修正は)出口への一歩ではない」。日銀が9月27日に公表した7月金融政策決定会合の議事要旨にそんな発言が記されていた。同会合では長期金利の上向きの動きをより自由にする政策修正を決めたが、これはあくまで金融緩和政策を円滑に継続するための対応というわけだ。 とはいえ「将来振り返ったとき、あれは出口への動きだったと解釈されるのではないか」という声が日銀関係者にある。今後一段と政策が修正されるなら、そう受け止められる可能性が増すのは事実だ。 物価の基調も「2%」に接近 実際、物価上昇圧力は強く、緩和正常化に追い風が吹く。消費者物価(生鮮食品を除く)の前年同月比上昇率は既に約1年半にわたり日銀目標の2%を超え、物価の基調を示す加重中央値(価格上昇率の高い順に品目を並べた時にウエートベースで上から50%近辺に位置する値)も8月は1.8%と2%に一段と接近した。 そこで関心を集めるのが、異次元緩和の3つの柱が今後どんな手順で解体されるかだ。 3つの柱とは、①具体的な目標を設けて長期金利(10年物国債利回り)を操作する長短金利操作政策②日銀当座預金の一部金利をマイナスにするマイナス金利政策③2%超の物価上昇率の安定的実現まで継続するマネタリーベース(資金供給量)の拡大方針(オーバーシュート型コミットメント)だ。そして従来は①→②→③の順に終わるとの見方が多かった。理由は以下の通りだ。 まず①の撤廃は2%物価目標の持続的・安定的実現が見通せれば可能なのに対して、②の解除があり得るのは「引き締めが遅れて、2%を超えるインフレ率が持続してしまうリスクの方を、より心配する状況」(8月上旬の内田真一副総裁講演)とされ、終了の条件がより厳しい印象を与えてきた。さらに③の撤廃が可能になるのは「消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超える状況」(日銀が掲げてきた政策指針)だから、ハードルが最も高いと受け止められてきた。 3つの出口条件に大差はないとの解釈 ところが、最近では3つの出口条件に大差はないという解釈が出てきた。結果として3つが同時に終了するシナリオが取り沙汰され始めた。 背景にあるのは、9月下旬の植田和男総裁の記者会見だ。長短金利操作の撤廃もマイナス金利の修正も「(2%物価)目標の実現が見通せれば検討する」と説明された。両者の解除条件にあまり違いはないとの見方が出た。2023/10/01 08:58:1084.名無しさん3sQLUコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼 マネタリーベースの拡大方針はどうか。上述した通り、消費者物価上昇率の実績値は既に約1年半、2%を超え続けており、「(他の2つに先行して撤廃することも)ロジカルには考えられるかもしれない」(植田総裁)という従来の想定と逆の状況になっている。ただし、総裁は「それ(マネタリーベースの拡大方針の先行的な撤廃)が持つアナウンスメント効果とか、全体をパッケージとして考えてきたというようなことの中で慎重に考え、まず物価目標達成の見通しが持てるようになるかどうかというところを先に考えたい」と述べた。 マネタリーベース拡大方針の撤廃も、2%目標達成の見通しが立ったタイミングで検討するとの示唆に聞こえた。とすると出口の条件は3つとも似たものであり、同時終了もあり得るとの見方につながるのだ。 元日銀理事の門間一夫みずほリサーチ&テクノロジーズ・エグゼクティブエコノミストも「3つとも異例の政策であり、2%物価目標の達成が見通せるようになればまとめてやめるのが論理的」と語る。その時期として、現時点で可能性が相対的に高いのは2024年4月と門間氏はみる。 BNPパリバ証券の河野龍太郎氏も「24年の春季労使交渉で大幅な賃上げが実現したことを確認した上で同年4月に長短金利操作とマイナス金利の撤廃が決まると見ており、同時にオーバーシュート型コミットメントも解除すると予想する」としている。 もちろん、経済・物価情勢や為替相場の動向次第で3つの柱が同時に終了になる時期が1月などになったり、3つの柱が別々に出口を迎えたりする展開もあり得る。植田総裁も「様々なオプションがある」とする。ただ、仮に3つの要素が一気に消えるなら、日銀の金融政策は短期の政策金利のゼロ%への誘導を中心とする比較的シンプルなものになるかもしれない。印象はかなり変わる。 「異次元」の要素は残るものの もっとも日銀は長期金利への関与を完全にはやめないはずだ。高水準の国債買い入れを続けるなどして、金利の跳ね上がりを抑えるだろう。 ちなみに、異次元緩和にはもうひとつ質的緩和という要素がある。その中心が上場投資信託(ETF)の購入であるが、購入額は21年春の政策修正で激減した。ただし巨額の保有残高をどうするかという課題は残る。 このように「異次元」の要素はなお残りそうだが、今の政策の3つの柱が一挙に姿を消すなら、7月の政策修正は「出口への一歩」だったと振り返られるだろう。2023/10/01 08:59:3885.名無しさん3sQLUコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼物価高 追いつけぬ統計 2020年基準はや古く 「体感」との差10ポイント超え(チャートは語る)2023/10/01 日本経済新聞 朝刊 物価高に統計が追いつけていない可能性がある。代表的な消費者物価指数は様々な商品の値段を過去の平均的な買い物の割合に応じて足し上げる仕組み。今のエネルギー高のように消費の比重まで変わるほど急激な動きは反映しにくい。足元の支出実態に基づく別の計算法にすると、日本の直近8月のインフレ率は0.5ポイントも上振れする。異例のズレは景気の把握や政策判断の難しさを映す。 「国民生活や全国の中小企業の事業を守る」。8月末、岸田文雄首相はガソリンの高騰を抑える補助金の延長と拡充を表明した。店頭のレギュラー価格が全国平均で185円を超えて過去最高値を更新した2日後のことだった。 3年前の2020年はコロナ禍で需要が減り、120~130円台で推移していた。その後の原油高にウクライナ危機が拍車をかけ、足元は円安も重なって状況がまるで違う。こうした大きな浮き沈みが物価の統計に収まりきっていないとの見方がある。 総務省の消費者物価指数はモノやサービスの価格を家計の支出の多寡で重みづけして算出する。その比重が今は昔の20年のままだ。5年に一度の改定を前に急変した暮らしの実態とかけ離れつつある。 20年の基準はコロナの特殊要因を相殺するために19年のデータと平均している。全体を1万とした支出のうちガソリンや電気代などを合わせた比重は712だ。エネルギー高の22年は803まで高まった。外食、宿泊料などコロナ禍からの回復が進むジャンルも比重の拡大が鮮明だ。 8月の物価上昇率は20年基準だと生鮮食品を除き3.1%だった。比重を毎年更新して前年に合わせる別手法では3.6%になる。指数のリセットを繰り返す計算法ならではの影響もあり、平時にはない裂け目が23年以降広がる。 かねて統計上の物価と消費者の肌感覚には溝がある。ましてこの1~2年は身の回りで食品などの大幅な値上げが続く。日銀の調査で、一般個人の体感インフレ率は6月に平均14.7%に達した。足元で総務省の統計値との開きは2桁に拡大している。 物価は経済の体温計と呼ばれる。上がりすぎるなら生活に悪影響を及ぼすため、冷ます必要がある。22年以降、米欧などが利上げを急いできたのは年率2桁前後の高インフレに直面したためだ。 日銀は先進国で唯一、物価を押し上げるための金融緩和を続ける。目下のインフレは海外発のコスト高が主因で、長続きしないとの見立てがある。経済が縮小均衡に陥るデフレに戻るのを避けたい思いも強い。緩和策を修正するか悩ましい局面が続き、物価の動向には神経をとがらせる。 「連鎖指数を本系列に格上げする対応も一案」。20年基準を決める過程ではこんな意見も出した。連鎖は基準を毎年更新する方式を指す。総務省は参考値にとどめている。生活の変化を反映しやすいのが長所で英国やフランスが採用している。短所は作業負担の重さやブレの出やすさだ。 経済政策も企業経営もインフレの基調を見極めてこそ成り立つ。成長のカギを握る賃上げの目安も物価次第だ。計算法による違いをどうとらえるべきか。総務省の担当者は「『どちらが良い悪い』ではない」と説明する。日銀関係者も「それぞれバイアスがある。両方みることが大切」と話す。 物価の算定や解釈は一筋縄ではいかない。未曽有の感染症や戦争などのショックを経た後ではなおさらだ。日本経済研究センターが集計する有力エコノミストの予想も20年頃から大きく外れだした。誰しもがインフレの実像をつかみあぐねる難局で、統計の精度が改めて問われている。2023/10/01 09:02:2086.名無しさん3llCWコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼「円キャリー天国」条件整う 政府・日銀に打つ手あるか-編集委員 大塚節雄2023/10/01 17:00 日経速報ニュース 外国為替市場で1ドル=150円という円安の節目を前に攻防が続く。米国は利上げ終結がみえ、日本は金融緩和の出口も意識され始めた。昨年の円安を支えた構図は一変したはずだ。だが、その構図の変化こそが今度は日米金利差からの収益を狙う「円キャリー取引」に理想的な環境をつくり円売りを促し始めた。 9月の円相場は昨年10月の1990年以来の安値(151円94銭)にあと2円あまりに迫る場面があった。昨年をしのぐ円安が意識され始めた。 昨年は米連邦準備理事会(FRB)がインフレ対応に追われ、急激な利上げに突き進んだ。金融政策の影響を強く受ける3カ月物の日米金利差(米国マイナス日本)は勢いよく広がり、円安・ドル高も進んだ。 その後は米利上げ幅の縮小を受けて円安は一服したが、米インフレはしつこく続き、利上げの打ち止めは逃げ水のようにずれ込んだ。今年に入って日米金利差は拡大の勢いこそ鈍くなったものの、足元では5%台半ばと2000年以来の大きさになった。 米利上げの勢いや日米金融政策の方向の違いで円を売る流れは終わった。残ったのは巨大な金利差。まだマイナス金利の円でお金を借り、もはや高金利通貨と化したドルを買う。そんな円キャリー取引にとって天国のような環境にもみえる。 だが、キャリー取引はかなりの危険を伴う。いくら金利差が大きくても、それを打ち消すほどドルが値を下げてしまっては元も子もない。もうけを出し続けるには相場の安定が絶対条件だ。 カギは変動率にある。通貨オプション市場に先行き1カ月の円相場の変動がどのくらい織り込まれているかを示す「予想変動率(ボラティリティー)」は昨年、振れを伴いつつ上昇軌道を描いたが、今年に入り明確に低下に転じた。 米利上げの終わりが鮮明にみえ始めたことが大きい。FRBは丁寧に来年も当分は利下げをしないと予告までして、不透明感を取り除いた。 金利差と変動率。この2つを合成すれば、今が円キャリー取引にどのくらい適した状況かを推し量ることができる。 代表的なのが、金利差を予想変動率で割って指数にしたものだ。分子の金利差が広がるほど、金利収入は増える。分母の変動率が小さいほど、相場変動で金利収入が吹き飛ぶリスクが小さい。つまり値が大きいほど、キャリー取引に有利だ。 ニッセイアセットマネジメントの松波俊哉チーフ・アナリストは「円キャリー取引指数が0.6を超えて上昇すると、経験則として円安に弾みがつく」と語る。 8月以降、指数は0.6超が定着した。信用バブルのなか円キャリー取引が世界に広がったリーマン危機以前以来だ。松波氏は「歴史的に米利上げの停止は変動率の低下につながりやすい」として、今後は円キャリー取引が盛り上がるとみる。 米バンク・オブ・アメリカが世界の機関投資家に聞く為替・金利分野の9月の調査では、「今年最良の日本に関するトレード」に「円キャリー取引」と答えた割合は20%となり、8月の11%から上昇した。ただし為替関連では「米景気後退リスクをヘッジする円買い・ドル売り」(14%)を上回ったばかりだ。 同社の主席日本為替金利ストラテジスト、山田修輔氏は「円キャリーの環境が整っているのは確かだが、投資家の動きは鈍い」と指摘する。 リーマン危機前、円安の勢い自体はゆっくりだった。今回は貿易赤字や高水準の対外直接投資など実需面でも円売り要因がそろうなか、すでに円安はかなり進んでいる。このことが円キャリーの急増を抑えている可能性があるとみる。 もっとも、リーマン危機後は円キャリー取引の巻き戻しが強烈な円買い圧力を生み、市場の波乱要因となった。今回、取引が野放図に膨らまないとすれば、かえって緩やかな円安が長持ちすることにもつながりうる。【関連記事】・円安、既に「2022年の安値下回る」 日経通貨インデックスが過去最低に・日銀の自縄自縛で進む円安2023/10/02 02:40:3087.名無しさん3llCWコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼 では日本政府・日銀に打つ手はあるのか。 変動率の低さは財務省にとって円買い介入に動きにくいということを意味する。表向き、為替介入は相場の急変動に対抗する狙いがあるからだ。 日銀の植田和男総裁は金融政策の正常化への歩みも視野に、柔軟な政策運営を強調する。だが、仮に早期にマイナス金利の解除に動いても、短期の政策金利がゼロ%になるだけ。米国との金利差を縮めるような急激な利上げは想定しにくい。 結局、米国側にインフレ収束のメドが立つか景気が急減速するなどして利下げの道筋が明確になる以外、円売りの機運をしぼませることは難しいかもしれない。日本側は昨年以上の厳しい戦いを強いられそうだ。2023/10/02 02:40:4088.名無しさん3llCWコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼下がらない物価予想、日銀の先を行く企業や市場2023/10/02 14:51 日経速報ニュース 国内企業や金融市場参加者の物価予想が下がらない。日銀が2日公表した9月の全国企業短期経済観測調査(短観)における企業の物価見通しは、より長期の予想ほど高止まりしている。債券市場参加者のインフレ予想は徐々に水準が切り上がっている。日銀が2%の物価安定目標の実現に「距離がある」(植田和男総裁)との姿勢を崩さないのに対し、企業や市場の受け止め方は先行して変わりつつある。 「今年度後半は来年に向けた賃上げ動向も含め、見極めの重要な局面となる」。日銀が2日公表した9月21~22日開催分の金融政策決定会合での「主な意見」では政策委員からこんな声があった。この委員が重要局面とみるのは「予想物価上昇率に上昇の動きがみられ、やや距離はあるが、『物価安定の目標』の達成に近づきつつある」と考えているためだ。/home/member/news/202310/ucljpg_5f6039515871dd14ff315af9cce1e691.jpg?format=raw その背景の1つは、9月の日銀短観で明らかになった企業による消費者物価指数(CPI)上昇率予想だ。全規模・全産業の見通しでは前年比での上昇率が1年後は平均で2.5%と前回6月調査(2.6%)をやや下回った。だが、3年後の上昇率予想は2.2%、もっと先の5年後は2.1%と前回調査と同水準だ。日銀が目標とする「安定的、持続的な」2%の達成を見込んでいる。 日本経済の先行きを慎重にみる傾向が強いはずの債券市場の参加者も物価予想を切り上げている。QUICKが2日に公表した9月の債券月次調査によると、生鮮食品を除くCPIの年平均の上昇率は今後1年が2.58%(回答の単純平均ベース)だった。今後2年でみると2.10%と8月(2.01%)を上回り、2014年7月以来の高さとなった。10年間でみても1.50%と前回(1.42%)を上回り、14年11月以来の高水準だ。 予想インフレ率の切り上がりを映し、債券市場では日銀による早期の政策正常化への警戒感が高まっている。QUICKの同調査では日銀が次に政策修正もしくは柔軟化する時期について「24年1~3月」との回答が42%と最も多かった。8月調査(26%)から増え、回答が最も多かった時期は「24年4~6月」から前倒しされた。/home/member/news/202310/ucljpg_4b90c2b64f9a1a7a579d56debf7fd8c0.jpg?format=raw QUICKの調査では「『安定的に2%』を主張し続けることはさすがに難しい状況にあり、早期の長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)解除は時間の問題」(投信投資顧問)とのコメントもあった。「まだ安定的ではないから緩和を続けている」という日銀の説明にはもはや無理があるとの見方だ。 2日の国内債券市場で長期金利は一時0.775%と2013年9月以来の高さをつけた。長期金利は日を追うごとに水準を切り上げている。日銀の大規模緩和の正常化に備えた動きはまだ続きそうだ。2023/10/02 15:23:5889.名無しさんKqs0fコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼長期金利、気づけば一足先に正常化(チャートでズバリ!)2023/10/03 06:27 日経速報ニュース/home/member/news/202310/ucljpg_fe65dfa591ccd171df5033b7ec131e00.jpg?format=raw 国内長期金利に上昇圧力がかかっている。指標である新発10年物国債利回りは2日、0.775%まで上昇し2013年9月以来の高さとなった。13年といえば黒田東彦氏が日銀総裁に就任し、異次元緩和に踏み切った年。同年4月に日銀が異次元緩和を決めると長期金利はいったん急上昇し、その後低下に向かった。このため見落としそうだが、気づけば現時点の長期金利はすでに異次元緩和前の水準を上回っている。水準だけみれば、日銀が政策の本格修正に動くより一足先に、長期金利は正常化しているといえるかもしれない。 日銀が異次元緩和を決断したのは黒田氏就任後、初めての金融政策決定会合である13年4月4日だ。決定直前である4月3日の長期金利は0.55%だった。12年末の安倍晋三政権の発足で日銀の追加緩和観測が先行し、長期金利は年初から低下していた。異次元緩和は予想を上回る規模の大きさとなり、金融・資本市場には衝撃が走った。円安と株高が加速して景気回復期待が高まったことなどから、日銀の動きは緩和方向だったにもかかわらず長期金利は急上昇して5月下旬には節目の1%に達した。そこで反転し、その後長期間にわたる低下へ向かった。2023/10/03 06:41:3190.名無しさんKqs0fコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼需給不安を覆す銀行株――設備投資堅調、日本株に上昇期待(スクランブル)2023/10/03 日本経済新聞 朝刊 日本株相場は不安定さが続く。期末前後に特有の売りが上値を抑えているが、10月後半以降にかけて先高期待は根強い。日銀が2日発表した9月の全国企業短期経済観測調査(短観)でも大企業の景況感は改善が続く。銀行株など好景気の影響を受ける銘柄で下支えができれば、中間決算発表後の上昇期待は高まっていく。 2日の東京株式市場では、米議会が政府機関の閉鎖をひとまず回避したことなどを受けた買い戻しで日経平均株価は前週末比一時544円高となったものの、売りに押されて97円安で引けた。荒い値動きに「期末に絡んで、売らなければいけない分を売るというシステマティックな売りが出て先物だけで動いている」とT&Dアセットマネジメントの酒井祐輔シニア・トレーダーは話す。 9~10月の需給悪化は「5月に売って9月に買え」や「ハロウィーンに買え」といった相場の格言にあるほどだ。日本株は9月末に向け、年金リバランスや指数の銘柄入れ替えに関する売買や配当の再投資を狙った売りが出やすい。グローバルマクロ系のヘッジファンドなども売りやすい。 ある欧州系のヘッジファンドの運用担当者は「日本株はしばらく売りポジションのまま行く予定だ」と話す。先進国株は売りでポジションを取る。一方で「米金利上昇のヘッジにもなるので日本の銀行株のコールオプション(買う権利)を買い上がっている」という。 業種別日経平均の銀行は前週末比1・6%高と逆行高だった。日経平均が大きく下げた午後もさほど下落しなかった。 銀行株は日銀の政策変更によって金利が上昇すれば業績が改善するという期待から上げている。米金利上昇の負の影響を受けにくく、世界でも米長期金利上昇でメリットが大きい数少ない銘柄だ。日銀短観で示された国内の景況感が改善していることも追い風になる。 2日は千葉興業銀行(6%高)、筑波銀行(5%高)、滋賀銀行(4%高)など地銀株が株価上昇率上位となった。千葉興銀は9月29日に4~9月期業績を上方修正しており、地銀の業績回復期待が波及した可能性がある。 中小企業の先行きも改善の兆しがある。「中小企業でも投資意欲が旺盛で地方の経済状況も良好なことで、地銀にも業績改善期待がある」(国内証券アナリスト)。地方経済回復に伴う融資拡大期待も出始めている。 短観で景況感が改善した自動車のトヨタ自動車やホンダなども逆行高。円安と生産回復を受けて業績期待が高い。日経平均は22年までの10年間で年初を100として指数化、平均すると、中間決算発表が本格的に始まる10月半ば以降に上がる傾向がある。特に今年の上方修正期待は高い。 こうした楽観論を支えたのが、短観の設備投資だ。23年度のソフトウエア・研究開発を含む設備投資額(除く土地投資額)で、大企業は全業種で13・1%増と前回調査から0・7ポイント改善した。 「設備投資が減らずに続いているのは企業が株主還元だけでなく収益力改善の段階に企業改革を進める意思がある証拠」と三井住友DSアセットマネジメントの石山仁チーフストラテジスト。低PBR(株価純資産倍率)の修正など業績以外にも影響していくとみる。 ただ、決算発表までは売りが優勢となる可能性がある。大和証券の木野内栄治チーフテクニカルアナリストは「米国株では投資信託の決算などの関係で10月は損失確定の売りが出やすい」として日本株への影響を懸念する。2023/10/03 07:21:3591.名無しさんKqs0fコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼日本株にソロスの警告 政府・日銀が陥ったトリレンマ(永井洋一)2023/10/03 07:30 日経速報ニュース 2日の日本株の急変は異様だった。本格的な「日本売り(株式、国債、円の同時売り)」の兆しなのだろうか。 株価と円と金利の安定は3つ同時に成り立たない。トリレンマだ。市場関係者が、それに気が付いたのは、日銀が国債の買い入れオペを追加実施すると伝わった2日午後だ。1ドル=150円をうかがうような円売り圧力が強いなか、日銀は長期金利の上昇抑制姿勢を強化した。朝方に500円以上、上げていた日経平均株価はその後、しばらくして下げに転じた。「金融緩和=株売り」の構図だ。 鈴木俊一財務相が円安けん制発言を繰り返す傍らで、必死に金利上昇を抑えようとする日銀。アクセルとブレーキを同時に踏み込む日本。金利と円の相場形成が政府・日銀に縛られるなか、自由な株式市場に財政破綻リスクが転嫁されても不思議はない。 ヘッジファンドは、経済合理性に反した金融・財政政策がもたらす価格のゆがみをいち早く発見し、それがマーケットメカニズムで修正されるポジションに賭けるのが本分だ。代表的なのは1992年の英ポンド危機だ。自由な金融政策の下で為替相場を固定化するという矛盾に気が付いた著名投資家のジョージ・ソロス氏がポンド売りを仕掛け、英通貨当局を相手に大もうけした。経済史に残る事件だ。 政府・日銀は当時の英当局と同じく、崖っぷちに立たされていると真摯に受け止めるべきだ。市場参加者はすでに政府・日銀のやることの矛盾に気が付いている。 日米金利差の拡大が円安の原因である以上、円安を抑えるには、日銀の利上げが必要だが、日銀は異次元緩和にこだわる。したがって、円安と株高は両立しても、金利形成はゆがむ。 日銀が異次元緩和を撤回し、金利が上がって円が上昇すれば、株式は下落する。 ついには財政不安で金利が上昇すれば、インフレヘッジで株式が買われても、日銀の信認は失墜し、円安に歯止めがかからなくなる。やがて株式も売られる。 2日の日本株の急失速は、「日銀の異次元緩和の解体が予想以上に早い」とシナリオを修正した投資家による売りが原因の可能性もある。事実、「金利上昇=買い」というプログラムがなお健在な銀行株は上昇した。 いずれにしても、異次元緩和を金科玉条としたアベノミクス放任のツケは遠からず回ってくる。2023/10/03 07:48:4892.名無しさんDdchZコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼NYダウ続落、一時500ドル超安 長期金利上昇に警戒拡大2023/10/04 04:27 日経速報ニュース 【NQNニューヨーク=戸部実華】3日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続落して始まり、一時前日比517ドル安の3万2916ドルまで下落した。米長期金利が連日でおよそ16年ぶりの高水準を付け、株式の相対的な割高感が相場の重荷となっている。 米長期金利は前日比で約0.1%高い(債券価格は安い)4.8%台まで上昇した。このところ高水準の政策金利をより長く維持する必要性に言及する米連邦準備理事会(FRB)高官が増えている。米経済の底堅さを示す経済指標の発表も目立ち、金融引き締めが長期化するとの観測が根強い。 3日午前には8月の米雇用動態調査(JOLTS)が発表された。非農業部門の求人件数が市場予測を上回るなど、労働市場の逼迫感が改めて確認されたことも、金利上昇につながった。 個別では金融のゴールドマン・サックスやホームセンターのホーム・デポ、バイオ製薬のアムジェンが安い。スマートフォンのアップルやソフトウエアのマイクロソフトなどハイテク株も売りが先行した。半面、航空機のボーイングや半導体のインテルは買われている。 ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は5営業日ぶりに反落している。2023/10/04 04:56:5193.名無しさんDdchZコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼植田日銀半年、近づく出口(上)物価2%へ揺るがぬ信念 デフレとの戦い総仕上げ 達成確信なら「一気に動く」2023/10/04 日本経済新聞 朝刊 日銀の総裁に植田和男氏が就任して9日で半年となる。7月には長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の運用を柔軟化し、黒田東彦前総裁が口をつぐんできた金融緩和の出口にも言及し始めた。持続的・安定的に物価が2%目標を上回る状況を目指す日銀が、四半世紀続いたデフレとの戦いの総仕上げをどう進めるのか。半年の軌跡から読み解く。 「経済物価情勢の動きは半年前に予想していたものとはやや違った動きをしているが、それを捉えたうえで、ある程度適切に金融政策対応ができた」。9月22日、金融政策決定会合後の記者会見で、植田氏は就任からの半年を振り返った。官邸からけん制 日銀は7月の会合でYCCを修正し、長期金利の上限をこれまでの0.5%から事実上1%に引き上げた。長期金利は自由度をある程度取り戻し、2016年から続いたYCCは形骸化が進んだ。 国債の大量購入で長期金利を抑え込んできた日銀にとって、YCCを柔軟化し「金利のある世界」に足を踏み入れたのは大きな変化だ。ある日銀関係者は「YCC修正を市場の混乱を招かずに成功させた中央銀行はほかにない」と力を込める。ただ、マイナス金利の撤廃などの金融政策の正常化はこれからが本番であることも確かだ。 道のりがいかに険しいか、植田氏は4月の就任直後にある洗礼を受けたとされる。関係者によると首相官邸を訪れた植田氏に岸田文雄首相はこんな趣旨のけん制を繰り出した。当面は金融政策の転換と受け止められる動きは避けるように――。 植田氏に総裁が代わり、金融市場では政策転換への期待が高まっていた。だが実際に政策が大きく変われば、黒田氏の後ろ盾だった故安倍晋三元首相に近い議員と官邸とで溝が生じかねない。 2000年のゼロ金利解除の失敗を日銀審議委員として経験した植田氏も、日銀が早く動きすぎるリスクは理解していた。就任当初は慎重な発言に終始し、物価の基調の強さを確かめつつ、世論や政治の変化を待っていた節がある。 実際、円安が長引き、日銀の金融緩和が物価高を招いているとの声が強まった。岸田首相が6月に通常国会中の解散総選挙の見送りを決めたこともあって、7月の政策修正への道は整えられていった。 のろしを上げたのは、日銀の生え抜きトップの内田真一副総裁だった。日本経済新聞との7月上旬のインタビューで「(YCCが)市場機能に影響を与えていることは強く認識している」と発言。「強く」という言葉をわざわざ差し挟むことで、政策修正近しとの観測を高めた。 日銀関係者は「慎重姿勢を強調してきた内田氏の発言だったからこそ、政策修正がありうるとの地ならしにつながった」と明かす。学者出身の植田氏の政策運営には懸念の声もあったが、内田氏が実務を押さえて時には露払いの役割を果たし、植田氏が幅広い意見に目配りしながら総合判断するという二人三脚が機能している。 財務省幹部は「これまでの金融政策運営はうまくいっている。日銀も自信を深めているのではないか」と植田体制のスタートを評価する。一方で、今後想定されるマイナス金利解除などの金融緩和の出口については「これまでとレベルの違う政策の変更だ」とし、真価が問われるのはこれからとの考えをにじませる。 課題もある。強い言葉で政策の方向性を示す黒田氏と違い、協調型のリーダーである植田氏の発言は慎重で時にぶれているような印象を与える。 7月会合の前には「全体のストーリーは不変」と発言し、一部の市場参加者が「修正見送り」と受け止めた。9月9日の読売新聞のインタビューでは「年末までに十分な情報やデータがそろう可能性はゼロではない」と述べ、市場でマイナス金利の年内解除の織り込みが進んだ。 日銀内では「どちらともとれる発言をしているだけ。政策への考えは一貫している」との声がある。この先の政策を縛るような発言は極力抑えているため、発言は総花的になりがちで、ワンフレーズにだけ注目すると真意を捉え損ねてしまう。2023/10/04 06:13:2294.名無しさんDdchZコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼残すは賃上げ 信念に欠けるわけではない。ある日銀関係者は「優柔不断ではない。過去に政策変更で経済を冷やした経緯もあり、判断に時間をかけているだけだ」と説明。「目標達成を確信すれば一気に動く」という。 「確信」は得られるのか。日本経済の供給力と需要の差を表す「需給ギャップ」は足元プラス圏に浮上し、政府が掲げるデフレ脱却の条件は形式上、満たされた。最後のピースになるのが、企業の賃上げだ。 植田氏は「賃金と物価が好循環を続けるという姿が確認できることが必要」との発言を繰り返してきた。植田氏の東大時代の教え子である金融関係者は「賃上げが物価上昇に追いつく前に金融引き締めに転ずるのは問題だと(就任前に)吐露していた」と話す。 賃金は持続的に上がっていくのか。焦点は来年の春季労使交渉だ。さらなる政策修正の判断時期を「来年1~3月頃」(田村直樹審議委員)とする意見がある。 異例の金融緩和を延々と続けることは望ましくないが、日本経済がデフレに逆戻りするリスクは冒せない。確信を持てれば前進し、そうでなければ踏みとどまる。「到底、決め打ちできない」という言葉にこそ、植田氏の信念がにじむ。2023/10/04 06:14:1195.名無しさんDdchZコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼株、700円安接近 異次元緩和「依存症」抜け出す苦しみ(永井洋一)2023/10/04 13:46 日経速報ニュース 日経平均株価の下げ幅が後場に一時700円に接近した。日銀の異次元緩和は続き、「実質マイナス金利天国」を謳歌できる数少ない国の株との評価で春から買われてきたが、新たな段階を迎えた。株安・円安・債券安(金利上昇)のトリプル安だ。10年以上に及ぶ「異次元緩和依存症」から東京株式市場が抜け出すためには避けては通れない苦難の局面だ。 日銀が金利を低く抑えたまま、景気が回復し、インフレ期待が上がれば、お金を借りる人は増え銀行はもうかる。投資家も、比較的簡単に投資収益が資金調達コストを上回る。これが「実質マイナス金利天国」だ。 ところが予想に反して、米国の長期金利の上昇が止まらず、副作用が大きくなってきた。日米金利差が拡大し、輸入物価の上昇をもたらす「悪い円安」だ。政府は口先介入や実弾の円買い・ドル売り介入で、過度な円安を阻止するというが、その足を引っ張るように日銀が金融緩和を続ければ、市場参加者や国民は混乱する。 ゼロ金利のままでは、家計の貯蓄が海外に大挙して逃げ出す恐れもある。そうなれば、日本の財政運営は将来、極めて厳しくなる。政治的にも政策協調の観点でも、もはや異次元緩和を続けるのは困難と市場参加者は考え、「モルヒネ停止後」の一時的混乱に備えて日本株を手放している。 日本相互証券のデータによれば、名目金利から期待インフレ率を差し引いた実質長期金利は、3月31日のマイナス0.28%から6月9日にはマイナス0.91%まで低下したが、それをボトムにマイナス幅は縮小に転じ、10月3日はマイナス0.47%だった。この間、日経平均は2万8041円から3万2265円まで上昇し、10月4日は一時3万0500円台に下落した。 いまの実質金利の水準から日経平均の水準を割り出せば、3万0500円前後となり、時価とおおむね一致する。 QUICK・ファクトセットによれば、東証株価指数(TOPIX)のアナリスト予想ベースのPER(株価収益率)は直近で約14倍。20年の新型コロナショック期を除くと、過去10年の上限に近い。 世界の時価総額に対する日本株の割合は9月末時点で5.9%。3月末比でも0.2ポイントしか上昇していない。06年には12%を超えていたが、その後低迷し、22年4月には5.4%まで低下した。ドルベースのため円安だとシェアが下がるという点を割り引いても、世界の資本市場における「ジャパン・パッシング(日本素通り)」はなお鮮明だ。 日銀が国債を買い占めたり、上場投資信託(ETF)を通じて株式市場に介入したりするため、価格形成機能がゆがみ、海外投資家が敬遠しているためだ。 だが、いまはいい機会だ。異次元緩和を一刻も早く解体し、マーケットメカニズムが正常に機能する市場に戻す。そうすれば、当面は生みの苦しみは続くだろうが、日本株に投資しようと考える投資家が国内外で増えるだろう。2023/10/04 14:51:2096.名無しさんDdchZコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼債券15時 長期金利、0.805%に上昇 10年2カ月ぶり高水準 超長期債にも売り2023/10/04 15:42 日経速報ニュース 4日の国内債券市場で長期金利は上昇(債券価格は下落)した。きょうから新発債となった10年372回債の利回りは前日比0.045%高い0.805%で推移している。新発債として2013年8月以来およそ10年2カ月ぶりの水準に上昇した。米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めの長期化観測を背景に日本時間4日の取引でも米長期金利の上昇が続き、国内長期債にも売りが出た。 日銀が4日に実施した定例の国債買い入れオペ(公開市場操作)は、残存期間「10年超25年以下」で応札額を落札額で割った応札倍率が3.88倍と前回(9月27日、3.22倍)から上昇した。超長期債の需給がやや緩んでいることを示す結果だったとの受け止めから超長期債が売られ、長期債に売りが波及した面もあるようだ。 幅広い年限に売りが出た。超長期債では新発30年物国債利回りが一時、前日比0.050%高い1.820%と13年9月以来となる水準に上昇した。新発20年債利回りは同0.055%高の1.580%と13年12月以来の高水準で推移している。新発40年債利回りは同0.045%高の1.960%と、業者間の売買を仲介する日本相互証券によると13年7月以来の高水準をつけた。 中期債は新発2年債利回りが前日比0.015%高の0.060%と15年2月以来、新発5年債利回りは同0.020%高の0.340%と13年7月以来の高水準で推移している。 国内債の先物中心限月の12月物は反落し、前日比54銭安の144円42銭で安値引けした。中心限月として23年1月以来となる安値を更新した。 短期金融市場では東京金融取引所で無担保コール翌日物金利(TONA)先物の中心限月である12月物が前日から0.006安い99.980をつけた。大阪取引所のTONA先物は中心限月の12月物が前日から0.0050高い99.9900で終えた。全銀協TIBOR運営機関が発表した海外円の東京銀行間取引金利(TIBOR)3カ月物は横ばいで、前日と同じ0.02400%だった。2023/10/04 16:09:2997.名無しさんDdchZコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼株急落、逆張り個人も惑う 金利高で揺らぐ「買い場」-篠崎健太2023/10/04 20:30 日経速報ニュース 4日の日経平均株価は前日比711円安と急落し、約4カ月ぶりに終値で3万1000円を下回った。9月半ばの直近高値からの下げ幅は3000円に達し、相場の流れに逆らう「逆張り」個人の買いは健在ながら戸惑いもみられる。節目の3万円への急接近で、短期の調整で済むのか正念場を迎えている。 この日は東証プライム市場の9割超の銘柄が下げるほぼ全面安の展開だった。「米長期金利が4.8%台まで駆け上がり、(ドル建ての運用収益が目減りする)円安も進むなか海外勢が売っている」(外国証券トレーダー)との声が聞かれた。 そんな下げ相場に買い向かうのが個人だ。ネット証券最大手のSBI証券では4日、レーザーテック(買越額63億円)、三菱UFJフィナンシャル・グループ(同46億円)など大商い上位に買い優勢の銘柄が目立った。 横浜市在住の女性投資家は今週、配当や優待目当てで中国塗料株や霞ヶ関キャピタル株を買った。「(日々の)相場は分からないが長期的には日本株は上がると思っている」。欲しかったが買い遅れていた銘柄を狙っているという。 個人の買いは、投資信託の資金流出入からも明らかだ。 三菱アセット・ブレインズによると、国内株式を中心に運用する公募投信(ETFなどを除く)は9月第4週(25?29日)に1470億円の資金流入超を記録した。純流入額は前週の3.2倍に膨らみ、先進国株投信(1412億円)を上回った。国内株式型は10月2?3日も計約400億円の流入超で、流入傾向に変調はうかがえない。 日経平均の3万?3万1000円は、5月後半にわずか約2週間で駆け抜けた価格帯だ。この程度まで落ちれば買いたいという声は多かった。だが米金利急上昇でリスク回避姿勢が広がり、4日には下げが加速した。一段と下げるようだと、逆張り勢の退潮につながるとの懸念が浮上している。 「同じ3万円でも一度3万3000円を見てからでは景色が違う」。個人の動向に詳しい松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストはこう語り、ここにきて押し目買いの勢いの弱まりが感じられると指摘する。 逆風の一つに挙げるのが、バリュー(割安)株として人気だった顔ぶれの大幅安だ。例えば4日は三菱重工業株が6%安、日本製鉄株は5%安で引け、どちらも9月末から下げ止まらない。「普段は値動きが比較的小さい大型株が急落すると動きにくくなる」(窪田氏)。松井証券店内では4日時点の信用買い残の評価損益率がマイナス12.4%と、2022年10月13日以来約1年ぶりの水準に悪化した。 株安を主導しているのは短期筋のファンドなどとみられ、長期目線の海外勢による日本株への姿勢が変質したとの読みは現時点で乏しい。ゴールドマン・サックス証券の建部和礼・日本株ストラテジストは「ストーリーを変えるような日本固有の要因はない。なぜ日本株が下がっているのかという質問が多い」という。 野村証券の池田雄之輔チーフ・エクイティ・ストラテジストは「あまりに急だったので投資家が動けていない。市場が落ち着けば買いは出てくる」とみる。国内勢では金融機関の期初の益出し売りも株安の一因に指摘されており、個人もしぼめば買い手不在の様相が強まる。日経平均が心理的節目の3万円を維持できるかは大きな意味を持つ。 【関連記事】・株、円安が招く海外投資家の売り ドル建て日経平均下落・円安150円でも買われぬ自動車株 追い風よりリスク回避2023/10/04 22:30:4498.名無しさんcRR83コメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼日経平均が今年2度目の売られ過ぎゾーンに、RSIは30を割り込むhttps://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-10-04/S1ZV1KT0AFB401?srnd=cojp-v2テクニカル指標で見た日経平均株価は売られ過ぎの領域に突入し、過去の歴史に照らすと今後反発する可能性がある。オシレーター(振り子)系分析の一種で、過去一定期間の上げ幅と下げ幅の動向から相場の売られ過ぎ、買われ過ぎを図る株価相対力指数(RSI)を見ると、日経平均のRSI(14日間)が売られ過ぎを示す30を下回ったのは今年2度目。1月のケースでは30を下回った後、6月までに日経平均は30%以上上げた。ブルームバーグが集計したデータによると、過去5年間にRSIが同様のシグナルを点灯させたケースは7度あり、日経平均は点灯後の20営業日でいずれも上昇、平均上昇率は4.2%だった。ただし、足元の米国金利の上昇基調は引き続き日経平均の重しになる可能性がある。その場合は節目の3万円大台のすぐ下方にあり投資家の長期売買コストを示す200日移動平均線(2万9920円83銭)の攻防が一つの目安になる。2023/10/05 03:13:2699.名無しさんcRR83コメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼植田日銀半年、近づく出口(中)国債は落ちるナイフか 日銀と市場が再び攻防戦へ 迫る1%、「脱緩和」姿勢試す2023/10/05 日本経済新聞 朝刊 日銀はどこまで長期金利の上昇(国債価格の下落)を容認するのか。債券市場で日銀の植田和男総裁の姿勢を試す動きが目立ち始めた。長期金利は4日に一時、0.8%台と2013年8月以来およそ10年ぶりの水準をつけ、日銀の事実上の上限(1%)にじわり近づいた。緩和の出口を織り込み始めた市場との攻防戦が植田氏を待ち受ける。債券は買えない 「ようやく思い描いてきたように長期金利が上がってきた。日銀が金利の形成を市場に委ねる以上、日銀以外の買い手が少ない10年債の利回りは0.9%程度までは上昇しうる」。ある大手運用会社で債券運用を担うファンドマネジャーはさらなる金利上昇を予想する。10年債の保有比率を抑え、運用リターンを上げる戦略をとるという。 市場には「落ちてくるナイフはつかむな」という急落時の投資を戒める格言がある。目先、長期金利が上がる可能性が高いとすれば、国債は落ちるナイフのようなもの。ある地銀担当者は「次はマイナス金利の解除が視野に入っているはず。当行ではその後の利上げもリスクシナリオに入っており、債券を必要以上に買うことはできない」と話す。 別の地銀の担当者も「マイナス金利解除を控え、まだ(長期金利が)上がるのではと警戒している。今の水準では手を出しづらい」と語る。 債券市場では昨年から今年初めにかけて、投機筋が日銀の政策変更を見込んで国債を空売りする場面が続いた。英ブルーベイ・フィクスト・インカムのマーク・ダウディング最高投資責任者(CIO)は今でも「ショートスタンス(空売り姿勢)に変更はない」と明かす。7月の長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)修正で金利上昇を予想する参加者は増え、国債を買い控える動きが広がる。 日銀はどう動くのか。「ベースとして、市場の見方が長期金利に反映される余地を広げる」(植田氏)というのが公式見解だ。長期国債の買い入れ額は7月の政策修正後も高水準が続くが、金利上昇の速度調整はしつつも、特定の水準の防衛に動くことはなかった。1%が近づくにつれ、この姿勢がどう変わるかが焦点となる。 日銀関係者は「できることなら金利の形成を市場に委ねたいが、一足飛びにはいかない。0.5%で単純に抑え込んでいたときより、いろんな要素を考えないといけない」と複雑な胸中を打ち明ける。長期金利が一気に0.9%に到達するなど、1%に迫る動きが出てきた場合には何らかの対応が必要との声が日銀内にある。 そもそも日銀が長期金利の「念のためのキャップ」(植田氏)を1%としているのは、そこまでが合理的に説明できる金利水準と考えているためだ。ある日銀関係者は、自然利子率と期待インフレ率の合計が名目金利の適当な水準だとする「フィッシャー方程式」を使って、1%上限の正当性を説明する。 自然利子率は景気に対して中立な金利水準のことで、日本の場合、0%程度との見方が多い。長期的な期待インフレ率は政府・日銀が目標とする2%にはまだ達していない。このため両者の合計である名目金利は2%以下が妥当ということになる。さらに日銀の国債大量保有による長期金利の押し下げ効果が1%程度あるため、その分を差し引くと1%以下という水準になる。思惑どう抑える もっとも、日銀がこれからマイナス金利解除などの本格的な出口に進む場合、市場参加者は1%を超えた金利上昇を織り込み始める可能性がある。三井住友銀行の鈴木浩史チーフ・為替ストラテジストは「(YCC、マイナス金利解除後の)金利上限のめどは政策金利が0.5%程度、長期金利が1.5%程度とみている」。リーマン・ショック前の07年ごろの水準で、一定の目安になるという。 植田日銀は7月、市場に先んじて動くことによって、混乱を引き起こすことなくYCC修正を乗り切った。追い込まれた末に政策を修正して大混乱に陥ったオーストラリア準備銀行などと比べて、植田氏の手法を評価する声は多い。 ただ、日銀はマイナス金利解除については慎重に判断する構えだ。その場合、市場の思惑が先行して相場が揺れ動く展開もあり得る。市場の期待をどう収斂(しゅうれん)させていくのか。金融政策の先行き指針(フォワードガイダンス)などを含めた新たな枠組みづくりも課題となる。2023/10/05 06:10:00100.名無しさんsbJszコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼植田日銀半年、近づく出口(下)学者総裁 政治口説けるか 鬼門のマイナス金利解除 国債費膨張に厳しい目2023/10/06 日本経済新聞 朝刊 「日本にとって大きな弊害が出ている。日銀が今回も動かなければ確実に(真意が正しく市場に伝わらない)ミスコミュニケーションになる」。日銀が長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の修正を決めた7月会合の直前、財務省幹部は厳しい表情で話した。あうんの呼吸 消費者物価指数の前年比上昇率は7月時点ですでに、政府・日銀が掲げる2%の目標を1年以上上回っていた。日米の金融政策の違いが意識され、円安が急速に進展。日銀が動かなければ市場は円安容認と受け取り、円安と物価高がさらに進むことは目に見えていた。 日銀はこうした懸念にこたえるかのように7月会合で政策修正を決定。植田和男総裁は記者会見で「4月時点の(物価)見通しはやや過小、あるいはかなり過小だった」と従来の見通しが甘かったことを率直に認めた。 3日に円相場が1ドル=150円台まで下落するなど、金融緩和の弊害が目立つなか、政策修正を探る日銀と政府・与党の足並みは今のところそろっている。だが、日銀が本格的に緩和の出口に向かえば、市場や経済を巡って不協和音が生じかねない。そのとき、学者出身の植田氏が官邸や与党、財務省を説得できるかが大きな焦点となる。 「さすがにここまで(需要が)弱いとは思わなかった」。8月17日の20年物国債の入札。大きいほど不調な入札とされる、落札価格の平均と最低の差(テール)は96銭と1987年以来の水準に悪化。財務省幹部は驚きを隠せなかった。 異次元緩和が始まった2013年以降、日銀は国債の保有残高を大幅に増やしてきた。13年3月に128兆円だった保有額(短期国債含む)は23年6月には583兆円と455兆円増え、発行済み国債の半分以上を抱える。日銀が動けば、国債の需給はたちまち不安定化する。 財務省幹部の脳裏には約20年前、2002年9月の10年国債入札での「未達」の記憶がよみがえったという。未達とは、国債入札の応募額が募集額に達しないこと。国債のいわば売れ残りを意味し、市場参加者の財政の持続性への不安を高めかねない。 当時の入札は、日銀が民間銀行が保有する株式を買い取るとの異例の政策を公表した直後に実施された。政策の不透明感が金融機関の応札の手控えにつながったとの見方が多い。 財務省幹部は当時、未達について「事故みたいなもの」だと語った。確かにその後、未達が繰り返されることはなかったが、財務省の国債管理政策が投資家の心理という不確かなものに依存していることが改めて浮き彫りになった。 国債の安定消化の難易度はさらに高まっている。日本の政府債務の国内総生産(GDP)比は2002年に150%程度だったが、足元では250%を上回っている。安倍派は警戒も 浮かび上がるのは、日銀が金融政策の正常化にカジを切った場合、誰が国債の引き受け手になるのかという問題だ。この10年間で保有残高は83兆円から181兆円へと倍増させた海外勢が存在感を高める可能性がある。 金融政策の正常化で金利が上がれば、国の利払い費は膨らむ。財務省の試算によると、2024年度以降の金利が想定よりも1%上振れした場合、24年度の国債費が7000億円増えると見込む。25年度は2兆円、26年度は3.6兆円の増加になる。経済対策などに回せる財源が失われれば、政府・与党の日銀への不満も高まりかねない。 「日銀はこれまでのところよくやっているが、マイナス金利解除はまだできる状況じゃない」。自民党安倍派のある議員は植田日銀に厳しい目を向ける。中小企業の厳しい現状を踏まえれば、緩和継続こそ必要との考えは揺るがない。 歴代日銀総裁は政権との関係に苦しんできた。賃上げなどの政策修正の条件がそろったとき、政治にはどんな風が吹いているのか。金融緩和の出口は近づいているが、その道のりはなお深い霧に覆われている。2023/10/06 06:08:22101.名無しさんsbJszコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼株、3万1000円挟み一進一退か・大和の木野内氏 地銀株に注目2023/10/06 08:18 日経速報ニュース 木野内栄治・大和証券チーフテクニカルアナリスト 6日の東京株式市場で、日経平均株価は3万1000円を挟んでの展開か。3万0800~3万1200円での推移を見込む。6日に9月の米雇用統計の発表を控えているほか、米下院議長の解任を巡る米政治の不透明感も強い。米長期金利の上昇には一服感もみられるものの、積極的な売買は見送られるだろう。 足元では地銀株に注目している。米金利上昇が一服するなか、国内金利はゆるやかな上昇が続きやすいとみている。日本株のリバウンドを見越してポートフォリオを入れ替える局面では、都市銀行に比べて出遅れ感のある地銀株に買いが入りやすいとみている。2023/10/06 08:35:37102.名無しさんttBskコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼米金利上昇、日本株をどう見る 中国依存低い銘柄に注目(Foresight)2023/10/07 日本経済新聞 朝刊 米モルガン・スタンレー日本株担当ストラテジスト ダニエル・ブレイク氏 米長期金利の上昇に伴って世界の証券市場の先行きに懸念が浮上する中、海外勢は日本株をどうみているのか。米モルガン・スタンレー日本株担当ストラテジストのダニエル・ブレイク氏は日本の国内景気は底堅く、東京証券取引所の市場改革など日本独自の投資テーマが続いていると指摘。注目する業種に建設・不動産を挙げ、「日本の国内市場に強く、中国依存が低い銘柄を投資家に勧めている」と話した。 ――海外投資家は日本市場をどうみていますか。 「東証の市場改革や日銀の政策修正、日本経済のデフレ脱却など以前からの投資テーマが引き続き注目を集めている。ロングオンリー(買い持ち専門)の投資家は状況を見ながら日本株の比率を高めてきた。一部のヘッジファンドも日本企業の業績の堅調さなどを評価してきた。これまでは期待で株価が上がっていた。これからは個別企業の業績やガバナンス体制の改善具合をより深く分析して投資する段階にある」 ――中国経済の失速が懸念されています。日本企業への影響はどうですか。 「中国経済との関連性を他国と比較すると、実は日本はリスクの低い投資先だ。当社が調査対象としてカバーする企業の中国売上高比率では日本は5%程度にとどまる。米国(16%)や欧州(7%)よりも低い。中国株との相関をみてもオーストラリアや韓国などに比べて低い」 ――日本株のどの業種に注目していますか。 「建設と不動産だ。建材価格や金利上昇への対応を進めてきたほか、足元で割安な水準にある。配当や自社株買いも積極的だ。当社の担当アナリストも日本の建設と不動産の投資判断を最上位の『アトラクティブ』とした」 「個別銘柄では住友不動産や鹿島、三菱重工業など国内市場に強く、中国依存度が低い企業を投資家に勧めている。投資家の注目もファナックやキーエンス、ソニーグループ、任天堂など世界的に影響力がある会社から日本の内需に強い企業にシフトしつつある。投資家と話す際に『for Japan(日本のため)』『in Japan(日本における)』が銘柄選択のキーワードになっている」 ――足元で円安が進んでいます。海外投資家に影響はありませんか。 「今後も円安が進んでしまうと、株価がそれ以上に上昇しなければ含み損になる。円安の進行を上回るパフォーマンスの企業を見つけて投資する必要がある。もっとも、日銀の政策変更などにより円高に転じる可能性が高い。円高期待が高まれば、海外投資家は日本株を買いやすくなる」 「円高は日本企業には大きなリスクではない。来年の年央(6月末)にかけて円の水準は1ドル=133円程度になるとみている。企業の想定為替レートも135円前後が多く、130円前後までの円高であれば業績をそれほど悪化させない。世界的に予想以上の不況に陥り、円高が110円前後まで一気に進んでしまった場合のみ悪影響がある」 ――日本市場で今後注目するポイントは。 「2024年1月に始まる少額投資非課税制度(NISA)の新制度だ。投資に消極的だった日本の個人が積極的になると期待している。個人資産の株式への投資比率は米国で40%、欧州で20%に対し日本は10%程度。この比率が欧州に近づくだけでも株価の大きな上昇につながる。個人の市場参加が広がれば、日本株は次の段階に上がるだろう」2023/10/07 06:45:42103.名無しさんcpSVRコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼2023年10月07日19時30分黒船マネーが日本に襲来!「資産運用特区」関連株は今が仕込み場 <株探トップ特集>―2000兆円超の家計金融資産に外資系が食指、外国金融人材増加で関連サービスも成長へ― 岸田政権が掲げる「資産運用立国」の政策プランに注目が集まっている。国内の大手金融グループの運用力を強化するための支援策に加え、海外の資産運用会社の国内誘致を視野に、外国人金融人材の働き方や生活に配慮した「資産運用特区」の創設に向けた準備が今後、加速する見通しだ。株式市場において特区創設はどの銘柄に恩恵をもたらすことになるのか、掘り下げていく。●競争力強化へ年内に政策プラン 岸田文雄首相は9月21日(日本時間22日未明)、国連総会の出席のために訪問したニューヨークで、米国の経済人らを前に講演し、 資産運用立国に向けた政策の一環として、資産運用特区を創設すると表明した。英語のみで行政対応が完結できるための規制改革を進めるとともに、来日する外国人に対してビジネスや生活環境の整備を進める構想を明らかにした。 これまでも国内では東京都による「国際金融都市・東京」構想など、海外の金融機関に日本市場への参入を働きかける取り組みが進められてきたが、今回は政府の「新しい資本主義実現会議」が昨年11月に決定した「資産所得倍増プラン」が土台となっている。今年6月に閣議決定された経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)では、2000兆円の家計金融資産を開放することで持続的な成長につなげる資産運用立国の実現に向け、同プランを実行する方針が示され、更に資産運用会社の運用力の強化などを目的とする政策プランを年内に立案することが明記された。 当然ながら、資産運用会社や年金基金などの運用パフォーマンスの向上は、家計の金融資産所得の増加に直結する。資産運用業界への新規参入を後押ししつつ、プレーヤー間の競争を促し、個々の企業の運用能力を高めることができれば、投資資金のリターン拡大を伴って、金融市場に更なるマネーを呼び込むことが可能になる。●銀行・証券セクターだけではない収益拡大シナリオ こうした資産運用業界への支援策は、中期的な観点では野村ホールディングス <8604> [東証P]や大和証券グループ本社 <8601> [東証P]などの証券各社や、三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> [東証P]、三井住友フィナンシャルグループ <8316> [東証P]、みずほフィナンシャルグループ <8411> [東証P]といった金融機関の収益力を高めると期待されている。資産運用ビジネスの拡大とともに、新たに日本市場に参入する海外の金融機関が増え、その運用資金が東京市場に流入すれば、日本取引所グループ <8697> [東証P]の収益に大きく貢献することになるだろう。 もっとも、国策の恩恵を享受するのは銀行・証券セクターばかりではなさそうだ。資産運用業界の競争促進策の一つとして検討されているのが資産運用特区だが、その候補として、政府は東京都や大阪府、福岡県と札幌市の4自治体を軸に検討していると報じられている。いずれも訪日外国人に人気の高い都市ではあるものの、実際にその土地で生活するとなれば、東京都であっても、生活面でのさまざまな困難を克服する必要に迫られることとなる。 特区創設を機に、外国人材にとって魅力的なビジネス環境の整備に向けて既存のオフィスの建て替えなどを促す再開発構想が今後、浮上する可能性もあるだろう。海外のIT機器の導入支援を得意とする企業にも、受注の拡大の思惑が広がりそうだ。こうした観点をもとに、資産運用特区の関連銘柄をピックアップしていく。 2023/10/08 05:47:08104.名無しさんcpSVRコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼●「東証の大家」の平和不やITシステム関連に注目 平和不動産 <8803> [東証P]は、東証と大阪取引所、名証、福証が入居するビルの賃貸収入を収益源とし、主要都市でオフィスビル・商業施設事業を展開する。兜町の再開発を推進し、都の国際金融都市構想にも深く関与してきた。特区創設にあわせて、大阪・北浜を含め各都市でオフィス地区の再開発構想が浮上した場合、平和不は大きな役割を担うこととなる公算が大きい。 オフィスの新設という側面では、金融機関向けのシステム構築を展開するシンプレクス・ホールディングス <4373> [東証P]をマークしたい。メガバンクや大手証券など国内の主要金融機関との取引を通じて安定的な成長を果たしており、24年3月期の売上高と利益は再上場後の過去最高を更新する見通し。今年1月にはSBIホールディングス <8473> [東証P]と傘下のSBI証券との資本・業務提携を発表した。そのSBIは欧州大手資産運用会社の英マン・グループとの合弁会社設立を7月に、米KKR<KKR>との日本での資産運用会社の設立を9月に公表するなど、海外金融機関との協業を加速している。SBIの「攻めの姿勢」による需要拡大の思惑にとどまらず、海外運用機関が日本オフィスを新設・増強する流れが本格化すれば、事業にプラス効果をもたらしそうだ。 JTP <2488> [東証S]は外資系IT企業の製品の保守・点検業務を手掛けている。システムの導入から運用までを、バイリンガルでかつワンストップで対応する強みを持つ同社は、27年3月期に売上高92億~100億円(23年3月期73億8100万円)、営業利益7億1000万~10億円(同4億6400万円)に伸ばす目標を掲げている。特区創設による特需が発生した際には、中期計画の上振れに寄与することとなりそうだ。 エックスネット <4762> [東証S]は生損保や投信会社、信託銀行など機関投資家を中心に約180社の顧客に対し、資産運用管理専門のシステム提供と業務サポートを展開。株式の流動性は高くはないが、海外運用会社との取引拡大により事業を成長させられるか注視されそうだ。NTTデータグループ <9613> [東証P]が過半を出資する親子上場銘柄としても押さえておきたい。2023/10/08 05:48:24105.名無しさんcpSVRコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼●広報・PR関連や人材サービスにも追い風か 海外の資産運用会社であっても、顧客の投資資金のリターンの拡大を追求する責任を負うことには変わりがない。企業価値の向上策を巡り投資先との意見の相違が埋まらない場合、株主総会において企業側が提案した議案に反対を余儀なくされ、その理由について、日本のメディアに情報発信をする必要に迫られるケースも出てくる。日本での事業を拡大するうえでは、日本語によるPR戦略の立案も欠かせない視点となるだろう。 プラップジャパン <2449> [東証S]は、外資系企業の日本での広報・PRの支援で確固たるポジショニングを確立する。世界的な資産運用会社やヘッジファンドの広報業務での実績を持ち合わせており、日本に進出する外資企業の増加は、同社の業績に直結してプラス効果をもたらしそうだ。 同業のベクトル <6058> [東証P]もアジア最大級のPR会社として、海外では香港やシンガポールなどで業務を展開する。アジア系の資産運用会社が日本に進出する際には、国内でのPR案件の増加に寄与することが見込まれる。 海外の運用会社が日本拠点を設立する動きが相次げば、高度人材の獲得競争が一段と激しくなるだろう。ハウテレビジョン <7064> [東証G]は、グローバル企業への就職を目指す中途採用プラットフォーム「Liiga」を展開。登録会員のうち金融プロフェッショナルは全体の15%を占める。新卒者向けプラットフォーム「外資就活ドットコム」では、外資系投資銀行の内定を目指すトップクラスの人材が登録する。24年1月期の単体業績予想は、経常利益が前期比12.5%増の4億4500万円と最高益を計画。マーケティング施策が奏功し、取引社数と会員数は順調に拡大している。●外国人への生活サポートも需要拡大へ 生活サポート面では、リログループ <8876> [東証P]に注目したい。同社は借り上げ社宅の管理や日本企業に勤める会社員の海外赴任支援事業とともに、外国籍社員の受け入れ支援サービスを展開。ビザや短期宿泊先、住居の手配のほか、携帯電話の契約などあらゆる支援をワンストップで英語により提供する。現状で2400億円弱の時価総額を45年3月期に10兆円とする野心的なビジョンを掲げる同社にとって、海外からのハイレベル人材の増加は成長加速の重要なドライバーとなるだろう。 子どもの教育面ではAoba-BBT <2464> [東証P]が、オンライン経営大学院「ビジネス・ブレークスルー大学大学院」とともに、インターナショナルスクール事業を展開する。生徒数は1500人弱と、2013年の新規参入時のおよそ6倍の規模にまで増加。金融プロフェッショナル人材の来日に伴って、特区で生活する外国人児童・生徒が増加すれば、同事業の更なる成長に寄与しそうだ。外国人ITエンジニア紹介のビズメイツ <9345> [東証G]は、ビジネス向けのオンライン日本語会話プログラム「Zipan」を提供。外国人による日本語学習の需要拡大による恩恵が期待できる。2023/10/08 05:49:26106.名無しさんcpSVRコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼長短金利操作に早くも再修正観測 市場で浮上、日銀警戒2023/10/08 05:00 日経速報ニュース 市場関係者から日銀が10月の金融政策決定会合で長短金利操作(イールドカーブ・コントロール=YCC)の再修正に動くのではないかとの声が出ている。米金利の上昇などで国内の長期金利が上昇し、日銀が7月のYCC修正で定めた1%という事実上の上限に近づきつつあるためだ。 「市場環境次第だが、10月会合で10年金利の上限を1.5%まで引き上げる可能性は高まっている」。有力な日銀ウオッチャーのひとり、BNPパリバ証券の河野龍太郎氏はこう指摘する。マイナス金利解除などの緩和の出口を市場が意識すれば、金利上昇は一段と加速しかねない。実際にマイナス金利政策を解除する前に、YCC再修正が必要になりかねないというわけだ。 確かに金利上昇の勢いは強い。海外金利上昇のあおりを受け、6日には長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りが一時0.805%まで上昇。日銀からも「0.5%程度という水準からはかけ離れている」と、想定外の急上昇を懸念する声が出始めている。 7月のYCC柔軟化は「市場の見方がもう少し長期金利に反映される余地を広げようという措置」(植田和男総裁)だった。だが、日銀は4日の定例の国債買い入れオペ(公開市場操作)で、当初の予定では対象になかった残存期間「5年超10年以下」を追加。6日には5年物の共通担保資金供給オペも実施し、金利上昇をけん制する姿勢を示した。 日銀にとって悩ましいのは、足元で円安の勢いが強いことだ。米国の長期金利が上昇するなか、YCCを続ける日銀が長期金利を抑え続ければ、日米金利差が広がって円安がさらに進む可能性がある。3日には円相場が一時、1年ぶりに1ドル=150円台を付けた。長期金利の上昇を止めれば円安が加速し、円安を止めようとすれば金利上昇を容認せざるを得ないというジレンマがある。 にわかに浮上したYCCの再修正論について、日銀はどう考えているのか。ある日銀関係者からは「いつも通り、会合までの経済・物価・金融情勢を見極めて決めていくしかない」というやや歯切れの悪い言葉が返ってきた。否定でも肯定でもない、どちらとも取れる言葉だが、全否定できないほどに日銀が金利上昇を重く受け止めているようにも聞こえる。 一方でこの関係者は「(現状の長期金利は)1%にすぐにタッチする水準ではない」とも話した。今後、金利がさらに上昇して上限の1%を試すような局面になれば何らかの対応が必要になるが、まだ若干距離はあるとみている可能性がある。米国発の金利上昇が持続的なものなのかどうか、見極める必要があるのは確かだろう。 金融政策を決める政策委員会のメンバーのYCCに対する考え方も、一枚岩とはいえない。9月会合の「主な意見」では「運用を柔軟化した現行のYCCのもとで、物価動向を見極めることが重要」との意見がある一方で、「柔軟化を経ても副作用は残存している。多くの役割を果たした段階だと考えられる」と撤廃の示唆ともとれる発言もあった。 英ブルーベイ・フィクスト・インカムのマーク・ダウディング最高投資責任者(CIO)は「日銀が2%に達したと認める瞬間が近い」とし「(国債の)ショートスタンス(空売り姿勢)に変更はない」と明かす。日銀は10月会合で新しい物価見通しを示す。物価見通しがさらに上振れ、金利上昇が一段と進む展開になれば、YCCの再修正や早期撤廃がより現実味を増すことになる。2023/10/08 07:06:53107.名無しさんXfEAhコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼「人の話聞く」総裁、日銀は静かに変化 記者が見た素顔-植田日銀半年 近づく出口 番外編2023/10/09 05:00 日経速報ニュース 日銀総裁に植田和男氏が就任して9日でちょうど半年。就任当初は緩和縮小に慎重なハト派発言が目立ったが、7月の金融政策決定会合では市場の思惑に先手を打つかたちで長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の修正に動いた。賃上げと安定的な物価上昇の好循環を見極めつつ、金融緩和の出口をどう探っていくかに市場の関心は集中する。 日本経済新聞は連載企画「植田日銀半年 近づく出口」で、初の学者出身の日銀総裁の半年を描いた。政策運営の手法、マーケットとの対話、官邸や財務省、与党との距離感という3つの切り口から、植田日銀とは何かという問いに対する現時点での答えを示すことが狙いだった。【植田日銀半年 近づく出口】㊤植田日銀、2%へ揺るがぬ信念 確信なら「一気に動く」㊥国債は落ちるナイフか 日銀と市場、再び攻防戦へ㊦学者総裁、政治を口説けるか 緩和出口に最大の関門 政策の方向性を大胆に示した前任の黒田東彦氏と比べ、植田氏は何を考えているのか分かりにくい、どこか捉えどころのない存在でもある。植田氏をこの半年、ウオッチし続けてきた日銀取材総括の小野沢健一キャップと三島大地記者に、企画の「あとがき」として植田日銀論を改めて用意してもらった。 企画では描ききれなかった植田日銀の別の側面に光を当てたい。 (金融グループ次長、石川潤) 「冷静な頭脳と温かい心」 総裁就任後、初めて植田和男総裁に接したのは、今年4月、主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議に参加するため訪れた米ワシントンでのことだった。会議の開幕にあたり、植田氏は手短に、記者団の取材に応じた。 「海外中銀の方たちと密接な関係を築いていく、そういう第一歩にしていきたい」 抱負を問われた植田氏は、後列にいた記者が聞き取れないほどの小さな声でこう答えた。毀誉褒貶(ほうへん)は激しいがぶれずに信念を貫き通す黒田氏を直前まで取材してきた身からすると、少し頼りない印象も受けた。 しかし、同時に記憶に刻まれたのは、植田氏が記者一人ひとりの目をみて自らの言葉で質問に答えていたことだった。官僚出身の黒田氏は手元の想定問答に目を落としながら、日銀の公式見解を読み上げることが少なくなかった。 一つ一つの質問に、丁寧に答えようとすればするほど、発言の細部には微妙なブレも生じる。植田氏のこうした姿勢はときに「発言に一貫性がない」として批判されたり、市場に混乱を招いたりしてきた。 だが、日銀が金融政策の独立性を維持しているのは、政策に対する説明責任と表裏一体。新日銀法成立後の最初の審議委員を務めた植田氏が、立て板に水のような官僚答弁ではなく、相手に合わせて自らの言葉で「わかりやすく伝えること」(植田氏)を意識してきたと考えれば納得がいく。2023/10/09 10:31:19108.名無しさんXfEAhコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼 植田氏の東大教授時代の教え子によると、植田氏は学者時代から様々な人の話をよく聞き、自分の考えを周囲に伝え、議論していたという。 植田氏の信念の固さを象徴するエピソードがある。「皆さんと一緒に物価安定の達成というミッションの総仕上げを行いたい」。総裁就任後初の出勤日となった4月10日、職員を前に植田氏はこう挨拶した。 5年の任期の間に果たすべき自らの役割は異次元緩和からの正常化であり、そこに至るまでのタイミングを慎重に見極めているに過ぎない――。そうした見方を踏まえて植田氏の半年間を振り返ると「頼りない」という印象はもはや持てない。 経済学の大家であるアルフレッド・マーシャルは、経済学者が持つべき資質に「冷静な頭脳と温かい心」があると述べている。日銀初の経済学者出身の総裁として、冷静な頭脳と温かい心を持って政策運営にあたる。そうした決意が植田氏からはにじみ出ていると感じられてならない。 (三島大地) 静かなゲームチェンジ 「金融政策の出口は当然意識していますよ」。ある日銀関係者との会話の中で、ふと違和感を覚えた瞬間があった。「限界はきていない」として異次元緩和継続を強調し続けた黒田前総裁が日銀を去って半年、話題にするのも控えるような雰囲気があった金融正常化に対する空気はいつの間にか変わっていた。 その変化を如実に伝えるのが、今年9月の金融政策決定会合での政策委員の発言を紹介する日銀の「主な意見」だ。 政府・日銀が掲げる物価2%目標の達成状況は「見通せる状況には至っていない」との見方が多いものの、「はっきりと視界に捉えられる状況」との主張が紹介された。マイナス金利政策や長短金利操作の解除・撤廃を意識した発言や上場投資信託(ETF)といった国債購入以外の日銀の市場操作についても「要否について検討すべき」だとの声が上がった。 意見は匿名で紹介され、実際はごく少数の主張である可能性もゼロではないだろう。ただ、人数はどうあれ、こうした意見をきちんとすくい上げて紹介する日銀の姿勢からは、出口を意識する意見を重視し始めたことがうかがえる。 外的環境の要因はもちろん大きい。物価高は日銀の当初想定を超えて長期化し、植田総裁は過去の物価見通しを「やや過小、あるいはかなり過小だった」と認めざるをえなくなった。円相場は対ドルで再び150円台を一時付け、物価高とあいまって国民生活の負担が懸念される。長引く物価高、そして円安が日銀の金融政策運営にじりじりと圧力をかける構図が常態化する。 「異次元緩和は行き詰まっている」。以前に比べ、日銀内である意味タブーともいえる批判的な意見を聞くことが少し増えた印象もある。「きちんと人の話を聞く」(日銀関係者)という植田総裁のもとで、職員がより自由に発言しやすくなったのかもしれない。 緩和継続一辺倒の印象さえあった日銀内の空気が静かに、だが確実に出口を見据えたものに変わりつつある。とはいえ実際に正常化に踏み出すのは困難を伴うだろう。 カギを握る賃上げは大企業を中心に広がる気配を見せるものの、中小への浸透は未知数。総選挙といった政治サイドの動きがあれば、金融政策が影響を受ける可能性もある。 パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスによる大規模攻撃を受け、イスラエルは戦争状態を宣言した。中東情勢の不安定化で世界経済の先行きは再び混沌としつつある。目まぐるしく変わる国内外の動きにどう目配りしていくか、金融正常化へのハードルがまた一段高くなったことは間違いない。2023/10/09 10:33:13109.名無しさんMAjVeコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼NYダウ小反発、39ドル高 金融株高が支えも上値重く2023/10/14 06:13 日経速報ニュース 【NQNニューヨーク=稲場三奈】13日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅に反発し、前日比39ドル15セント(0.11%)高の3万3670ドル29セントで終えた。朝発表の四半期決算が好感された金融株などを中心に買いが入った。一方、中東情勢を巡る緊張が一段と高まっており、株式相場全体の重荷となった。 金融のJPモルガン・チェースは前日比2%弱上昇した。朝に発表した2023年7?9月期決算では1株利益などが市場予想を上回り、買いを誘った。ダウ平均の構成銘柄ではないが、同業のシティグループとウェルズ・ファーゴも同日に決算を発表し、市場の想定を上回る内容が評価され、買いが入った。 医療保険のユナイテッドヘルス・グループも3%弱高で終え、指数全体を91ドル押し上げた。朝発表した7?9月期決算は増収増益となり、売上高と1株利益がいずれも市場予想を上回った。ダウ平均は上げ幅が300ドル超となる場面があった。 半面、中東情勢の緊迫化は株式相場の重荷となった。イスラエルとイスラム組織ハマスの軍事衝突が激化することへの懸念は根強い。積極的な運用するリスクを回避しようと、相対的に安全資産とされる米国債や金に資金を移す動きもみられた。 原油価格の大幅な上昇で、インフレが再燃するとの懸念も株売りを誘った。ミシガン大が13日発表した10月の消費者態度指数(速報値)は63.0と前月(68.1)から悪化。1年先の予想インフレ率は3.8%と前月(3.2%)から上昇し、5カ月ぶりの高水準となった。「様々な不安が市場を取り巻いている」(ミラー・タバックのマシュー・マリー氏)との声が聞かれた。ハイテク株を中心に売りが出やすく、ダウ平均は下落に転じる場面があった。 JPモルガンのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は13日の決算資料内で、インフレ高止まりのリスクや米金融引き締めの影響、ロシアのウクライナ侵攻の長期化やイスラム組織ハマスのイスラエル攻撃といった地政学リスクに言及。「世界は過去数十年で最も危険な時期にあるかもしれない」との見解を示し、投資家心理が悪化した面もあった。 個別では、外食のマクドナルドや日用品のプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)などが買われた。石油のシェブロンも高かった。半面、映画・娯楽のウォルト・ディズニーと航空機のボーイングは下落。顧客情報管理のセールスフォースやスマートフォンのアップルといったハイテク株も安かった。 ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は続落した。前日比166.985ポイント(1.23%)安の1万3407.234で終えた。電気自動車(EV)のテスラや画像処理半導体のエヌビディアが下落。アナリストの投資判断引き下げが伝わった動画配信のネットフリックスも売られた。2023/10/14 07:37:50110.名無しさんg5QUDコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼マイナス金利解除はゴールじゃない 利上げどこまで?-金融PLUS 金融グループ次長 石川潤2023/10/16 05:00 日経速報ニュース 日銀が2007年以来となる利上げ局面に足を踏み入れようとしている。マイナス金利解除の時期は、賃上げの動向を見極めながら慎重に判断する構えだが、市場では「時間の問題」との捉え方が多い。むしろ焦点となるのは、その後どれくらいのペースで、どこまで利上げを進めていくかだろう。日銀はどう考えているのか。 「意図的なビハインド・ザ・カーブ」 「当然、その先も考えている」。日銀関係者にマイナス金利解除後の利上げについて尋ねると、こんな答えが返ってきた。マイナス金利政策の解除は、これまで四半世紀にわたって続いたデフレとの戦いの総仕上げ。だが、それは日銀にとってゴールではなく、物価を2%近辺で安定させるために最適な政策金利を探るスタートになる。 物価上昇が続くなか、日銀はこれまで粘り強くマイナス金利政策を続けてきた。元日銀理事で東京財団政策研究所主席研究員の早川英男氏はこうした日銀の手法を「意図的なビハインド・ザ・カーブ」と呼ぶ。経済や物価の情勢と比べて金融政策をあえて後手に回らせることで、日本経済がデフレに逆戻りしないように万全を期してきたというわけだ。 問題は、辛抱の結果として物価2%目標の達成がようやく確認された場合にどうするのか。早川氏は「好循環を確認できれば(これまで遅らせていた分だけ)少し速いペースで利上げを進めなければならないだろう」と指摘する。日銀内にも、物価上昇への政策対応が遅れすぎてしまうことへの警戒がある。 政策金利の目安は2%? では、どこまで利上げを進めるのか。参考になるのが、景気を刺激もしなければ冷やしもしない中立金利だ。日本の中立金利はゼロ%程度か小幅なマイナスとの見方が多い。これは物価上昇の影響を除いた実質ベースなので、物価分を加えたものが政策金利のあり得べき水準となる。日銀が物価の基調が2%程度まで高まったと判断するならば、政策金利の目安は2%近くとなるはずだ。 もちろん、そこまで一気に政策金利を引き上げようという考え方は、日銀内には見当たらない。実際には「物価上昇率2%という北極星」(日銀関係者)を目印に、インフレ圧力の強さを確かめながら段階的に利上げを進め、どこまで政策金利を引き上げられるか見定めていくことになる。 日銀が前回利上げを進めたのは、06年3月の量的緩和政策の解除後だ。同年7月に政策金利をゼロから0.25%に引き上げ、07年2月には0.5%へと2回目の利上げに踏み切った。当時と比べれば物価上昇の勢いが強いため、より早いペースで利上げを進める可能性はある。市場参加者からは半年に1回程度の利上げを見込む声が聞かれる。2023/10/16 06:19:10111.名無しさんg5QUDコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼 日本版ドットチャートには及び腰 米国では米連邦準備理事会(FRB)が米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーの政策金利見通し(ドットチャート)を公表し、利上げのペースや到達点の目安を明らかにしている。だが、日銀は日本版ドットチャートの作成には今のところ及び腰だ。当たりもしない見通しを示したところで、かえって市場を混乱させるだけとの冷めた見方がある。 長く金利のない世界になれきった日本では、限定的な利上げであっても、経済に思わぬショックを引き起こす恐れがある。さらに、マイナス金利解除はともかく、その先の利上げをあからさまに示唆すれば、政治と無用のあつれきが生じかねない。一歩ずつ着実に、というのが日銀のスタンスといえる。 市場参加者のマイナス金利解除時期の予想は来年4月に集中する。解除が近づけば、その先の利上げが意識されていくことは間違いない。現時点で利上げが十分織り込まれていないとすれば、市場に影響が広がる可能性がある。焦点になるのが、これまで日米金利差の拡大を背景に進んできた円安にブレーキがかかるのかどうか。さらには長期金利の行方だろう。 「米国は九回裏、日本は一回表」 三井住友銀行の専務執行役員で市場営業部門を統括する小池正道氏は「利上げという意味では米国はすでに九回裏だが、日本は一回表。円安はこれ以上続かない」と語る。イエレン米財務長官が日本の円買い介入に理解を示したと報じられており「米国もさらなる円安・ドル高は望んでいないのではないか」とみる。 日本の長期金利は今月、一時0.8%台まで上昇した。日銀の利上げを市場がどんどん織り込んでいく展開になれば、日銀が事実上の上限とする1%で抑え続けることは難しくなる。長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)は7月に修正したばかりだが、再修正が視野に入ってきてもおかしくはない。好循環の確度が高まることで長期金利が上がるのであれば、日銀としても抑える理屈は見つけにくくなる。2023/10/16 06:20:52112.名無しさんUPdgzコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼マイナス金利の解除時期、「来年4月」予想過半 エコノミスト調査 不透明な世界情勢、指摘も2023/10/18 日本経済新聞 朝刊 日銀はいつ追加の政策修正に動くのか。日本経済新聞がエコノミスト16人に聞き取り調査を実施したところ、9人が2024年4月のマイナス金利解除を予想した。その前に長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の再修正があるとの意見もあった。中東情勢の緊迫化で原油高が進むなど、不透明な世界情勢をリスクとして指摘する声もあがった。 10月13日時点でエコノミストの回答をまとめた。日銀の植田和男総裁は9月の記者会見で「政策修正の時期や具体的な対応について到底決め打ちできない」と語り、マイナス金利の早期解除観測をけん制した。今回の聞き取り調査では、解除予想は来年4月に集中。「12月に前倒し(で解除)の可能性もある」(モルガン・スタンレーMUFG証券の山口毅氏)との声もあるが、年内解除論は大きく後退した。 マイナス金利解除の時期を考える上で注目されるのが、物価と賃金の好循環につながるかどうかを占う春季労使交渉(春闘)の動向だ。みずほリサーチ&テクノロジーズの門間一夫氏は「3月ごろから少しずつ(労使交渉の結果が)分かってくる」として、4月にマイナス金利の解除を予想した。 日銀は毎年1、4、7、10月の会合で、数年分の消費者物価上昇率の見通しを示す。四半期に1回の新たな見通しを示すタイミングで、日銀が動くとの見方は多い。来年4月のマイナス金利解除を予想するUBS証券の足立正道氏は「4月会合で日銀は26年度の物価見通しを初めて出す。ここで2%と置き、マイナス金利をやめるのではないか」とみる。 マイナス金利政策を解除する前に、再びYCCを修正するとの見方もある。日本の10年物国債の利回りは米国の金利上昇につれて今月、一時0.8%台まで上昇した。日銀が事実上の上限とする1%とはまだ距離があるが、UBS証券の足立氏は「10月会合で長期金利の誘導目標を(現在のゼロから)0.5%に引き上げ、上限は1.5%まで拡大するのではないか」と予想する。 今回の調査では、マイナス金利の解除とYCC撤廃の順序で見方が分かれた。第一生命経済研究所の藤代宏一氏は「市場が利上げを織り込むと日銀の想定以上に金利が上昇する可能性があるため『保険』としてYCCを残すのではないか」と指摘。JPモルガン証券の藤田亜矢子氏は「総裁、副総裁の発信ではマイナス金利解除の条件はYCC撤廃より高いのではないか」と述べた。 出口に向けて動き始めた日銀だが、世界経済の先行きがリスク要因となる。ウクライナ情勢や米欧の景気動向に加え、パレスチナのイスラム組織ハマスとイスラエルの衝突も起きた。「(中東情勢は)現時点では金融政策への影響は限定的」(みずほ証券の上野泰也氏)との声が多いが、「植田総裁は下振れリスクを重視するので、海外景気の見極めが難しいうちは判断を先延ばしにする可能性がある」(SMBC日興証券の丸山義正氏)との見方もある。2023/10/18 06:23:52113.名無しさんUPdgzコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼債券寄り付き 長期金利0.810%に上昇 2013年8月以来の高さ2023/10/18 09:08 日経速報ニュース 18日朝方の国内債券市場で長期金利は上昇(債券価格は下落)した。指標となる新発10年物国債の利回りは前日比0.030%高い0.810%をつけた。2013年8月以来、10年2カ月ぶりの高水準となる。市場予想を上回る米小売統計で17日の米国債相場が下落し、国内債にも売りが及んでいる。 17日のニューヨーク市場で米長期金利の指標となる米10年物国債利回りは前日比0.13%高い4.83%で終えた。同日発表の9月の米小売売上高が前月比0.7%増と、市場予想(0.3%増)を上回った。米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めが長期化するとの見方が改めて強まり、米長期金利の上昇を促した。 米ブルームバーグ通信は17日、日銀が30~31日に開く金融政策決定会合で議論する「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」について、2024年度の消費者物価指数(CPI、生鮮食品除く)上昇率の見通しが「従来の1.9%から2%以上への引き上げが視野に入る」と報じた。市場では「原油価格の影響など既に判明していることが多く、政策正常化の思惑を大幅に高める内容ではないが、ひとまずニュースのヘッドラインに反応しているようだ」(国内証券の債券アナリスト)との声が聞かれた。 18日朝方の国内債券市場で先物相場は続落した。中心限月の12月物は前日比33銭安の144円93銭で寄り付いた。大阪取引所と東京金融取引所の無担保コール翌日物金利(TONA)先物の中心限月である12月物の取引は成立していない。2023/10/18 09:30:43114.名無しさんUPdgzコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼長期金利が10年2カ月ぶり高水準、政策修正警戒ー日銀は臨時オペ通知https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-10-17/S2NVJVT0G1KW01?srnd=cojp-v22023/10/18 12:17:57115.名無しさんUPdgzコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼長期金利、10年2カ月ぶり高さ 揺るがぬ金利先高観 日銀オペは「受け流し」2023/10/18 16:41 日経速報ニュース 国内債券市場で幅広い年限の利回りが再び上昇基調を強めている。長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは一時0.815%と2013年8月以来、10年2カ月ぶりの高水準をつけた。国内外の金利先高観に揺らぎはなく、日銀が18日に実施した2本の臨時の国債買い入れオペ(公開市場操作)も金利低下を促す要因とはみなされなかった。 中期ゾーンの新発2年債利回りは0.065%と15年2月以来、新発5年債利回りは0.350%と13年6月以来の高水準をつけた。超長期の40年債は一時2.045%と、業者間の売買を仲介する日本相互証券によると13年2月以来の高水準をつけた。 これまで国内債の利回り上昇を促してきた「2つのエンジン」は健在だ。1つは米金利上昇。米長期金利の指標となる米10年物国債利回りは17日に一時4.86%と、6日までにつけた今年の最高水準(4.88%)に迫っている。17日発表の9月の米小売売上高が前月比0.7%増と市場予想(0.3%増)を上回り、米景気の強さを示すとともに米連邦準備理事会(FRB)の追加利上げ観測を再燃させた。米長期金利は5%の大台乗せが改めて視界に入っている。 もう一つのエンジンは言わずと知れた日銀の政策修正観測だ。18日は米ブルームバーグ通信による17日の報道が関心を集めた。日銀が30~31日に開く金融政策決定会合で議論する「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」について、2024年度の消費者物価指数(生鮮食品除くコアCPI)上昇率の見通しが「従来の1.9%から2%以上への引き上げが視野に入る」というのだ。 日銀の7月時点の見通しでは、23年度のコアCPIは2.5%と「物価安定の目標」である2%を超えていた。24年度も上方修正されれば連続となり、目標の持続的・安定的な達成を連想させる。岡三証券の鈴木誠氏は「物価見通しが24年度も2%以上とのニュースは日銀による金融政策修正の思惑をより強めたのではないか」と指摘する。 日銀はすかさず金利抑制に動いた。18日午前に残存期間「5年超10年以下」と「10年超25年以下」を対象とする臨時の国債買いオペを実施した。とりわけ「10年超25年以下」は今年の2月以来8カ月ぶりで、「ふだんより強めに金利の上昇を抑えようとするメッセージ」(三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊氏)との声がある。 一方、もう1本の「5年超10年以下」の予定額は3000億円と、前回の臨時オペ(9月29日)と同額だった。「10年超25年以下」の予定額は1000億円で、規模の面では日銀が金利上昇へのけん制姿勢を強めているとは受け止めにくい。稲留氏は「規模がそれほど大きくないため、あくまで急激な金利上昇に対するスピード調整を狙ったものとして軽く受け流された印象だ」と話す。 こうしたなかで国債保有に慎重なムードが広がりやすくなっている。直近の入札は超長期債を中心に弱い結果が続く。例えば財務省が17日に実施した20年物国債入札は、今月末の日銀会合への警戒や構造的な需給不安などから「不調」に終わった。「国内金利はもうしばらく上振れを覚悟する必要がありそう」(国内証券の債券ストラテジスト)との声は多い。2023/10/18 21:30:48116.名無しさんIt5xNコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼政策保有株に環境リスク――投資先の排出量開示、企業評価揺るがす(スクランブル)2023/10/19 日本経済新聞 朝刊 気候変動の情報開示が企業評価をさらに揺らす。温暖化ガス(GHG)の多排出企業は株価のディスカウントが鮮明だが、今後は供給網上での排出「スコープ3」の開示も広がる。日本企業にとっては事業関連の排出だけでなく、政策保有株式など出資先の排出も大きな火種になりかねず、個別銘柄の株価にも影響しそうだ。 「温暖化ガスがコストとして意識されるなか、座礁資産化の観点でリスクの高い政策保有株式を抱える企業にはより明確な説明を求めたい」。シュローダー・インベストメント・マネジメントの豊田一弘日本株式運用総責任者はこう語る。 かつてCSR(企業の社会的責任)部の管掌だった温暖化ガスは経営の最重要課題に変貌。投資評価にも直結する。野村証券によると、エネルギーや素材などの多排出産業で自社拠点からの排出「スコープ1」と使用エネルギー由来の排出「スコープ2」が多いほど、PER(株価収益率)が低くなる傾向が鮮明だ。 今後は供給網分の排出「スコープ3」が注目を集めそうだ。原材料調達先の排出が多ければ環境規制強化で調達コストが増し、排出が多い製品は消費者に敬遠されやすくなる。シュローダーはスコープ3を含めて企業の環境対応を評価。適正株価算出に使うPERの値を調整する。 「スコープ3も開示を検討してください」。三井住友DSアセットマネジメントの坂口淳一責任投資オフィサーは最近、投資先に対しこうした働きかけを強めている。同社は開示の充実度やアナリストによる気候変動の財務影響評価などを通じて同業種内で偏差値をつける。一部のファンドマネジャーは銘柄選びの判断材料にし始めた。 現状で「3」の企業開示は少なく情報ベンダーが提供する推定値にも差があるが、グローバル開示ルールを策定する国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が6月に公表した気候変動基準で、「3」を義務にした。日本でもISSBベースの開示制度が検討され、数年後に義務化される見通しだ。 開示範囲は企業の判断による。気候変動リスクに敏感な投資家は開示の拡充を訴える。「日本企業は政策保有分の気候変動リスクも開示する責任がある」と強調するのがフィデリティ投信の井川智洋ヘッド・オブ・エンゲージメントだ。 井川氏が根拠とするのがスコープ3の一要素の投資先の排出量だ。ISSBの基準では同開示を明確に求める先は商業銀行や運用会社だが、有価証券の価値変動が自社の企業価値を揺らすのは事業会社も一緒だ。 株式保有の規模が大きく、投資先の排出が多いほど抱え込むリスクも大きい。たとえば豊田自動織機の現状のスコープ1~3は4000万トン超だが、政策保有株の排出分を出資比率に応じて足しあわせると全体の排出は2倍。住友不動産は2・6倍だ。 日本企業特有である政策保有関連のリスクが伏せられていれば、日本企業全体のディスカウントにもつながりかねない。 岸田文雄首相は10月初旬、7つの公的年金基金(資産90兆円規模)が新たに国連の責任投資原則(PRI)の署名に向け作業を進めると表明。サステナビリティーに注目する投資マネーは増える。排出量をどこまで開示するか、保有を正当化しにくい資産をどうするか。企業は大きな宿題を抱える。2023/10/19 06:32:26117.名無しさんIt5xNコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼年内のマイナス金利解除も、YCC再修正より前に-桜井元日銀委員https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-10-18/S2M65NT0G1KW01?srnd=cojp-v22023/10/19 09:40:19118.名無しさんIt5xNコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼コラム:中東発の原油高長期化へ、物価押し上げ 注目される日銀の判断https://jp.reuters.com/opinion/forex-forum/F4QMCSZSRRJZXMCI7NJNGPI2ZM-2023-10-18/2023/10/19 09:52:16119.名無しさんIt5xNコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼債券11時 長期金利、0.825%に上昇 10年2カ月ぶり高さ2023/10/19 11:46 日経速報ニュース 19日午前の国内債券市場で、長期金利は上昇(債券価格は下落)した。指標となる新発10年物国債の利回りは前日比0.020%高い0.825%と、2013年8月以来10年2カ月ぶりの高水準をつけた。米金利の先高観が強まるなか、インフレ率の高止まりで日銀が早期に政策修正に動くとの思惑もくすぶり、幅広い年限で国内債には売りが出た。 18日発表された9月の米住宅着工件数が市場予想を上回って増えるなど米景気の底堅さを映す経済指標の発表が続いている。米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを長引かせるとの見方から米長期金利は約16年ぶりの水準に上昇し、国内金利の上昇を促した。 日銀は10月30~31日開催の金融政策決定会合にあわせて公表する「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で物価見通しの引き上げを検討しているとの報道が相次いでいる。2%の物価目標の実現が近づけば大規模な金融緩和の正常化に動きやすくなるとの見方が強いのも債券相場の重荷となった。 財務省は19日、残存期間「5年超15.5年以下」の利付国債を対象にした流動性供給入札(発行予定額5000億円程度)を実施する。国内でも金利の先高観が強まっているものの、流動性供給入札では「需給が逼迫している銘柄を発行するので、相場にかかわらず需要が集まりやすい傾向がある」(国内証券)として「無難」な結果を見込む声があった。 中期債では新発5年物国債の利回りが前日比0.015%高い0.360%と13年6月以来の水準に上昇した。新発2年債利回りは同0.010%高い0.075%と14年9月以来の高水準をつけた。超長期債にも売りが優勢で、新発20年債利回りは同0.025%高い1.600%、新発30年債利回りは同0.015%高い1.775%で推移している。 債券先物相場は続落し、中心限月の12月物は前日比28銭安の144円69銭で午前の取引を終えた。 短期金融市場では無担保コール翌日物金利(TONA)が小動きとなっている。マイナス0.015~マイナス0.005%を中心に取引され、加重平均金利は前日の日銀公表値(マイナス0.011%)とほぼ同水準となっているもよう。2023/10/19 12:37:40120.名無しさんIt5xNコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼債券15時 長期金利、0.84%に上昇 13年7月以来の高さ 日銀動かず2023/10/19 15:48 日経速報ニュース 19日の国内債券市場で長期金利の指標である新発10年物国債の利回りは前日を0.035%上回る0.840%に上昇(価格は下落)した。日銀が異次元緩和に踏み出した3カ月後の2013年7月以来、10年3カ月ぶりの高さとなった。18日の米長期金利が4.9%台に上昇し、国内債にも売りが出た。このままなら国内長期金利の前日からの上昇幅は今月4日以来の大きさとなる。 日銀はきょうここまで、臨時の国債買い入れオペ(公開市場操作)などを通知していない。金利上昇を抑える日銀のアクションがみられないことで、午後の取引で利回りは一段と上昇した。午前の長期金利は0.825%だった。 日銀が今月末の金融政策決定会合でまとめる「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では、物価見通しを上方修正するとの観測報道が相次いでいる。市場では「金融政策を修正するとの思惑は根強く、債券の買い手は少ない」(国内証券の債券ストラテジスト)との見方があった。 19日の財務省による残存期間「5年超15.5年以下」の国債を対象とした流動性供給入札は、応札額を落札額で割った応札倍率が3.58倍だった。前回(3.29倍)を上回ったが、今年度の平均などと比べれば低く「弱めの結果だった」(三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジスト)という。1年物TB入札も平均落札利回りが上昇し弱い結果と受け止められた。これも午後の債券相場の重荷になった。 新発40年物国債の利回りが前日比0.030%高い2.060%と13年2月以来の高さとなり、5年債は一時、0.025%高い0.370%と13年5月末以来の高さをつけた。新発2年債利回りは0.010%高い0.075%に上昇した。先物中心限月である12月物の終値は前日比36銭安の144円61銭と3日続落した。一時は144円55銭まで売られた。 短期金融市場では東京金融取引所と大阪取引所で無担保コール翌日物金利(TONA)先物の中心限月である12月物は売買が成立していない。全銀協TIBOR運営機関が発表した海外円の東京銀行間取引金利(TIBOR)3カ月物は横ばいで、前日と同じ0.02400%だった。2023/10/19 15:56:04121.名無しさん2XM4qコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼株、米金利高で高まる「恐怖」――市場、日銀政策修正も警戒(スクランブル)2023/10/21 日本経済新聞 朝刊 米金利上昇に歯止めがかからず、相対的な割高感が強まる株式を売る流れが続いている。米長期金利は19日夕の米債券市場で16年ぶりに「ターミナル5」と呼ばれる5%台に上昇する場面があった。円安対策を含め金融緩和政策の修正を目指しているとされる日銀の動き次第では、世界の株式は一段と厳しい状況に置かれる可能性がある。 20日の日経平均株価は続落し、171円(1%)安の3万1259円で終えた。今回の上昇相場が始まった4月以降の日経平均の価格帯別売買高をみると、3万2000~3万2500円が最も膨らんでいる。「日経平均の3万2000円から上は重い」のイメージが強まりそうだ。 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は19日、経済次第で「さらなる金融引き締めが正当化される可能性がある」との考えを示し、12月以降の米追加利上げの可能性が残された。 これまでの金利上昇で債券投資家は懐を痛めている。デュレーション(元利金の平均回収期間)が長い長期国債に連動する上場投資信託(ETF)の「iシェアーズ 米国国債 20年超」は19日までに年初来で約2割安に沈む。9月後半以降、1日の出来高が増加しながら価格が下落しており、損失覚悟の投げ売りが断続的に出ているとみられている。 債券市場の変調は株式市場にも波及している。19日、「恐怖指数」と呼ばれる米国株の予想変動率を示すVIX指数は前日に比べ11・3%高い21・40と、地銀破綻で金融不安が高まった3月以来、7カ月ぶりの水準まで上昇した。「株式相場の一段の調整を想定したオプションのプット(売る権利)を買う動きが活発化している証左」(フィリップ証券の増沢丈彦株式部トレーディング・ヘッド)。 20日の日本市場でも、日経平均の予想変動率を示す日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)が23・20と6月につけた年初来高値を上回った。 市場は金融の引き締め過ぎによるオーバーキル(景気の冷やしすぎ)を警戒する。19日は内需の中小型株で構成するラッセル2000株価指数は5カ月ぶりに年初来安値を更新。米ニューバーガー・バーマンでマルチアセット運用部門の最高投資責任者であるエリック・クヌーゼン氏は「中小型株指数の低迷は米経済が見かけほど強くないことを示唆している」と警鐘を鳴らす。 米追加利上げの可能性が高まる局面で、市場は日銀の動きにも警戒を強める。連合は19日、24年の春季労使交渉で、基本給を一律にあげるベースアップ(ベア)と定期昇給(定昇)を合わせて「5%以上」の賃上げを求める方針を発表した。物価と賃金上昇の好循環につながり、日銀のマイナス金利政策の早期解除観測が強まる。 30~31日に開かれる日銀の金融政策決定会合では長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)を再修正するとの予想も出ている。 野村証券の松沢中チーフ・ストラテジストはあらゆる金融商品のベースとなる米金利が不安定化している環境下で、「日銀の政策修正は火に油を注ぐことになる」と指摘。同時に「日銀が一段の政策修正に向けて歩を進めるには、米利上げの休止と米金利環境の安定が不可欠」とも説明した。 日銀の政策修正を世界のリスク回避と関連付けてみる米投資家も多い。日銀会合の結果次第ではリスク回避の震源が米国から日本にシフトする可能性に警戒が必要だ。2023/10/21 06:54:25122.名無しさんcCN0jコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼日銀、金利操作の再修正論 米引き締め長期化で 10年債、「上限」1%早くも接近 賃上げ注視の声なお2023/10/22 日本経済新聞 朝刊 日銀で長短金利操作(イールドカーブ・コントロール=YCC)の再修正論が浮上してきた。米金利上昇に伴い国内の長期金利も上がり、7月の修正で決めた1%という事実上の上限に近づいているためだ。今月末の金融政策決定会合で議論する見通しだが、日銀内には賃上げ動向を見極めたいとの慎重論もある。 日銀は7月の決定会合で長短金利操作の運用を柔軟化し、それまで上限としていた0.5%を「めど」に変えた。さらに大量の国債購入で金利を強制的におさえ込む事実上の上限を1%に引き上げた。市場実勢に応じて金利の変動余地を広げ、ひずみの緩和を狙った。 長期金利は7月の政策修正以降、日銀の想定を上回るペースで上昇している。指標である新発10年物国債の利回りは20日に一時0.845%と2013年以来、約10年ぶりの高水準まで上昇。「念のための上限キャップ」(植田和男総裁)だった1%に迫る。背景にあるのが米金利の動向だ。 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は19日の講演で、経済の高成長や雇用の逼迫が続けば「さらなる金融引き締めが正当化される」と述べた。 引き締めの長期化観測で米長期金利は19日に一時5%台と16年ぶりの水準まで上昇。国内金利にも波及している。 このため今月の決定会合前に日銀内で浮上しているのが、長短金利操作の再修正論だ。現在1%の金利上限をさらに引き上げたり、運用上の位置づけを変えたりする可能性がある。0.5%の「めど」を撤廃する案なども取り沙汰されている。 7月の政策修正から3カ月で再び修正論が浮上する背景には、日銀が動きやすい環境が整っていることもある。FRBは10月31日~11月1日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で22年3月の利上げ開始以降、初めて2会合連続で利上げを見送る公算が大きい。 米国が利上げを休止している環境で政策変更した方が「国内経済へのリスクが少ない」(日銀関係者)との見方がある。22年6月や同10月の決定会合前のように投機筋が債券を売り浴びせる状況でもなく「追い込まれる前に先手を打てる」(市場関係者)。次の決定会合は12月中旬までない。 日銀は月末の決定会合で、23年度は2.5%、24年度は1.9%としている消費者物価指数(生鮮食品を除く=コアCPI)の前年度比上昇率の見通しを上方修正するか検討する。 24年度も2%台の見通しを示せば、3年連続で2%を超えることになり、「持続的・安定的」に2%を上回るという目標達成が近づく。賃金と物価の好循環が続くか確認するため、賃上げの動向を見極める考えだ。 ただ、金利操作の再修正に対する慎重論は強い。野口旭審議委員は12日の記者会見で「(足元の長期金利は)上限よりは少し余裕はある。何かを慌ててやる必要は今のところない」と述べ、修正は不要との考えを強調した。 米金利の上昇やその余波の持続性を見極め、拙速に修正に動くべきではないとの声も日銀内にある。金利操作の再修正自体が過度な金利上昇を招くリスクもはらむ。 20日の外国為替市場で円は対ドルで下落し、今月3日以来の円安水準となる一時1ドル=150円台を付けた。日銀が長期金利の上昇をおさえ込めば高金利通貨のドルに資金が流れ、円安による物価高を助長する。円安を止めようと金利上昇を容認し緩和姿勢の後退と受け止められれば、政治との関係は難しくなる。 仮に現在の上限である1%を超える金利上昇を容認すれば「粘り強く緩和を続ける」という日銀の従来の主張との整合性も問われる。 日銀内には10月会合時点で「持続的・安定的な物価安定の達成を判断できない」との見方が強い。市場ではマイナス金利政策の解除といった金融政策の出口につながる政策変更は24年以降との見立てに傾く。日銀は正常化のタイミングを慎重に探ることになりそうだ。2023/10/22 06:20:29123.名無しさんn8X6zコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼日銀マイナス金利「解除後」に関心強める市場、金利到達点で議論百出ブルームバーグ 日高正裕2023年10月23日 12:12 JST「中立金利」予想は0.5-2%と幅広い、元日銀マンは2%到達派真実は0.5%と2%の中間ではないか-SMBC日興の奥村氏早期のマイナス金利解除を既に織り込んだ金融市場は、日本銀行がその後どこまで金利を上げるのか長期金利はどこまで上がるのかに関心を向け始めている。2023/10/23 14:50:32124.名無しさんn8X6zコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼日銀のマイナス金利解除時、米国債に最大の痛手か-MLIV調査https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-10-23/S2YGHMDWX2PS01?srnd=cojp-v22023/10/23 15:20:25125.名無しさんn8X6zコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼日銀会合を前に強まる政策修正観測、円安進み植田総裁は厳しい状況にhttps://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-10-23/S2YUUWT1UM0W012023/10/23 23:05:40126.名無しさんQAV4sコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼大阪万博の電子マネー、愛称「ミャクペ!」 ポイントは「ミャクポ!」2023/10/24 日本経済新聞 朝刊 2025年国際博覧会(大阪・関西万博)の運営主体の日本国際博覧会協会は23日、全面導入するキャッシュレス決済について具体的な計画を発表した。公募した独自の電子マネーの愛称は「ミャクペ!」に決めた。会期前の23年11月から順次、関連サービスを始める。 協会の石毛博行事務総長は23日の発表会で、デジタルウォレットを通じて「万博を身近に感じてもらい、オールジャパンで機運を醸成していく」と話した。三井住友フィナンシャルグループがキャッシュレス決済端末を1000台提供するなど官民で連携して進める。 ブロックチェーン(分散型台帳)技術を使った独自の決済アプリは誰でも使え、電子マネー「ミャクペ!」や利用に応じてたまる「ミャクポ!」といった金融サービスが一覧で見られる。NFT(非代替性トークン)をアプリ同士で送ることも可能だ。電子マネーは銀行口座やクレジットカードから入金する。会場内で現金は使えず、ミャクペ!のほかクレジットカードや交通系ICカード、QRコードなど60種類の支払い方法に対応する。2023/10/24 06:45:27127.名無しさんQAV4sコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼日本株、上昇基調への復帰は近い(石金淳)-〈プロの羅針盤〉三菱UFJアセットマネジメント チーフファンドマネジャー2023/10/24 04:00 日経速報ニュース 8月20日付の前稿では日本株の上昇基調は揺るがないものの、数カ月程度の期間を要する調整局面に差し掛かった可能性があると言及しました。5?6月の急上昇に伴う過熱感を解消するための需給調整や、日銀のイールドカーブ・コントロール(YCC)柔軟化による国内の長期金利上昇、それに付随した外国為替市場での円相場の反発などが理由です。 その後、円高には歯止めがかかり、日経平均株価は8月中旬から1カ月ほど反発して年初来高値に接近しました。ただ9月中旬以降は再び反落するなど、調整局面はなお続いていると見受けられます。 短期的な株価圧迫要因 昨今の日本株反落は、米国株の下げに少なからず影響を受けていると考えます。米国株を圧迫する大きな要因としては、米長期金利の上昇が8月以降、次第に顕著となったことがあるでしょう。米長期金利を10年国債利回りでみると、9月下旬に約16年ぶりに4.5%を上回りました。 その背景には9月19?20日の米連邦公開市場委員会(FOMC)があります。米連邦準備理事会(FRB)は年内の追加利上げの可能性や、来年の利下げ幅の縮小見込みなどを示唆し、改めてタカ派姿勢を堅持しました。 しかしながら、日米株の圧迫要因である米国の長期金利上昇は、インフレ率の動きなどからまもなく歯止めがかかるとみています。そうなれば米国株とともに、日本株は反騰に向かうでしょう。 米国の消費者物価指数(CPI、食品とエネルギーを除くコア指数)は昨年、1980年代初期以来、約40年ぶりの上昇率を記録しました。40年前はイラン革命を発端とした第2次石油危機、直近はロシアのウクライナ侵攻などによる1次産品価格高騰がインフレ圧力を強め、FRBの大規模な利上げを招きました。地政学リスクの顕在化によるコモディティー価格の高騰という共通点があるわけです。 インフレと金利のズレ ここで80年代初期のケースをみると、米国のCPIコア指数上昇率の前年同月比(本稿では、この数値をインフレ率と呼びます)は80年6月に13.6%でピークをつけました。一方10年国債利回り(月末値)が15.8%でピークを打ったのは81年9月で、その後は低下基調に転換しましたが、1年強の時間差があります。 このタイムラグの背景には、FRBがインフレ退治を最優先し、インフレ率のピークアウト後も利上げを進めていたことなどがあるでしょう。 直近のケースでも、インフレ率が昨年9月にピークをつけた後、FRBはインフレ退治のため利上げを継続しました。しかし、今では追加利上げはあっても限定的で、利上げは最終局面であると推察されます。 そしてインフレ率はピークからすでに1年経過し、低下が鮮明化する方向であることも考慮すると、米国の長期金利はまもなくピークアウトすると考えます。それに伴って米国株の波乱は収まり、日本株は反発の契機をつかむことができると思われます。 なお、7月以降、原油高が再発しましたが、昨年前半の勢いに遠く及びません。そして天然ガスや石炭、金属鉱物資源、食料品などの価格は落ち着いています。資源価格を発端とするインフレ再燃の可能性は低いと考えます。2023/10/24 06:48:34128.名無しさんQAV4sコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼 日本企業の底力 ここまでで申し上げてきたことは、比較的短期の視点です。中長期的にも、日本株は一時的な調整を交えながらも、大きな上昇トレンドをたどると考えます。 その要因として、第一に日本企業の収益力の強まりがあると考えます。少し遡りますが、9月の月初に発表された今年4?6月期の法人企業統計によると、金融・保険を除く全産業ベース(季節調整済み)の営業利益は18.5兆円と、19年1?3月期の過去最高(18.8兆円)に迫りました。 経常利益は26.9兆円と2期前続で過去最高を更新しています。増加の勢いは強く、利益水準はバブル期のピーク(1989年1?3月期、10.7兆円)の2.5倍以上に達しています。昨春以降進行した円安により、日本企業の海外資産や売り上げの増価が効いてきたことなどが寄与しています。 また、利益水準だけでなく、収益構造も強化されています。1990年代以前は経常利益が営業利益を下回っていましたが、2010年代以降は営業外の黒字が拡大し、経常利益が営業利益をはっきり上回るようになりました。営業・営業外の双方で経常利益を押し上げる「収益源の複線化」が定着したといえましょう。 第二に、コスト面での改善がみられることです。昨年12月の企業物価指数(企業仕入れ価格の代替データ)の上昇率は前年同月比10%台と約42年ぶりの高さとなる一方、同月の消費者物価指数(企業販売価格の代替データ)の上昇率は同4.0%にとどまりました。一方、今年8月は前者・後者がともに3.2%で並びました(9月は前者が2.0%に低下)。値上げできてもコストがそれ以上にかさむ状態から、企業の負担が相当軽減されてきたことを示唆しています。 生産基地としての復権 第三に、国際的視点から、生産基地としての日本が見直され始めていることがあると考えます。米国では2018年、輸出管理改革法(ECRA)が成立しました。かつての対共産圏輸出統制委員会(COCOM)に匹敵する内容で、対中国を念頭に置いたと見受けられ、「新COCOM」とも呼ばれます。ECRAの導入以降、米中対立・経済デカップリングの動きは顕著になり始めました。 それに伴って、米国のアジア政策の重心は中国から日本に移動しました。サプライチェーン(供給網)の再構築などに絡んで、日本を生産基地として見直すことが次第に明らかとなりつつあります。こうした動きは米国だけにみられるものではなく、日本への投資拡大が期待できます。 このほかに東京証券取引所による資本効率改善要請や、労働力不足に対する合理化・デジタル化などの動きも勘案すると、日本株の大きな上昇基調は容易に揺るがないと考えます。2023/10/24 06:50:07129.名無しさんQAV4sコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼債券11時 長期金利、0.855%に低下 日銀が臨時オペ通知2023/10/24 11:33 日経速報ニュース 24日午前の国内債券市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りは前日を0.005%下回る0.855%に低下(価格は上昇)した。日銀が同日午前に臨時の国債買い入れオペ(公開市場操作)を通知し、長期債に買いが入った。オペ通知前は前日から横ばいの0.860%をつけていた。 日銀は残存期間「5年超10年以下」3000億円、「10年超25年以下」1000億円の臨時オペを通知した。日銀は24日午後には幅広い担保を裏付けに資金を供給する「共通担保資金供給オペ」(公開市場操作)の通知も予定している。先物中心限月である12月物の午前終値は前日比17銭高の144円63銭と反発した。日銀の臨時オペ通知などが支えになった。 23日の米長期金利は低下したが、日銀の政策修正観測は根強く、国内債には売りも出ていた。30年債利回りは朝方に前日を0.010%上回る1.890%と13年7月以来の水準に上昇した。日銀の通知後には買いが入り、0.005%低い1.875%と低下に転じた。20年債も0.015%低い1.665%と買われた。 40年債は前日比0.005%高い2.150%と13年2月以来の水準まで上昇した。2年債は横ばいの0.080%で取引された。 短期金融市場では、無担保コール翌日物金利が横ばい圏となっている。マイナス0.04~マイナス0.005%で、加重平均金利はマイナス0.01%台前半と前日の日銀公表値(マイナス0.012%)とほぼ同水準となっているもようだ。2023/10/24 11:55:51130.名無しさんB2ys2コメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼岸田政権下の「トリプル安」、財政拡張・市場関与に警鐘 日経QUICKニュース編集委員 永井洋一2023/10/26 日本経済新聞 朝刊 「現代貨幣理論(MMT)を支持する気には全くなれない」。米著名投資家のウォーレン・バフェット氏はかつて、海外メディアにこう語った。岸田文雄政権の政策「キシダノミクス」には政府による経済への強い介入に伴うリスクが潜む。 岸田政権の経済運営の背景に、大盤振る舞いをいとわない積極的な財政金融政策で名目GDP(国内総生産)を引き上げ、税収を増やす「高圧経済論」があるのは疑いない。事実、一般会計税収は2021年度、22年度と大幅に増えた。株式市場との親和性も高い。 岸田政権は恒久財源を手当てする前に経常支出を増やし賃上げまでも主導する。国が前面に立ち雇用や投資を動かすやり方はインフレが加速しない限り自国通貨建て国債はいくらでも発行できると主張する異端の経済理論、MMTに通じる面がある。キシダノミクスに潜む1つ目のリスクだ。 問題は持続性だ。岸田政権が21年10月に発足して以降、22年10月までに閣議決定した経済対策は3回、国費は累計100兆円に及ぶ。新型コロナウイルス対策が含まれるにしても、短期間での支出額は歴代政権で突出している。 財政支出を膨らませても、長期金利より経済成長率を高めれば、税収よりも政府の利払い費は少なくて済む。基礎的財政収支が大きな赤字でなければ、政府債務残高のGDP比率はいずれ収束し、財政運営は安定する。成長率が長期金利よりも高ければ高いほど財政の持続可能性は高まる。 だが、そこにはワナがある。日本は潜在成長率が低いため、実質金利との差が小さく、税収と利払い費の差額を確保しにくい。 BNPパリバ証券の河野龍太郎氏によれば、「長期金利が成長率を下回っていても、潜在成長率がゼロ近く、実質金利がマイナス0.5%程度であるため、例えば基礎的財政収支がGDP比2%の赤字なら、政府債務残高のGDP比が400%程度まで膨らむ」。 市場はその危うさを織り込み始めている。株式と国債、円のいずれも売られるトリプル安が増えている。岸田首相就任から23年10月13日までに前の週末比でトリプル安となった週の割合は18%。在任中の割合としては菅義偉氏の13%や安倍晋三氏の6%と比較してはるかに大きい。 岸田政権は資産運用体制を強化し、海外マネーが投資しやすい環境整備を急ぐ。東京証券取引所は企業にPBR(株価純資産倍率)1倍割れを是正するよう強く求めるようになった。ただ、キシダノミクスの一翼をなす資産運用立国論には課題が残る。それはアベノミクスで始まった市場をゆがめる政策を温存している点だ。 QUICKによれば、日銀が上場投資信託(ETF)を通じ保有する割合が発行済み株式数の5%以上の企業数は460を超え、東証プライムの4分の1強に上る。日銀が持つETFの時価総額は9月末時点で60兆円と試算され、東証プライムの7%強に当たる。 政府の介入が見え隠れする市場には、長期の海外マネーは入りにくい。これが第2のリスクだ。アベノミクス開始時の海外勢の買いも結局は売り越しに転じた。今年4月以降の海外投資家の買いも短期筋が中心だ。まずなすべきは日銀が量的・質的金融緩和を見直し、市場を正常化することではないか。 みずほ証券の上野泰也氏は「クライマックスを伴いにくい、じわじわ進行する『スローな危機』がそこにあることを常に忘れてはいけない」と話す。スローな危機は本格的なトリプル安という急性期症状をいつ何時、発症するかわからない。2023/10/26 06:28:23131.名無しさんB2ys2コメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼日銀会合、止まらぬ金利上昇にどう対応 上限「1%」の扱い議論か2023/10/26 13:20 日経速報ニュース 日銀は30~31日に金融政策決定会合を開く。長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)で1%としている長期金利の事実上の上限を見直すかどうかが焦点だ。2%の「物価安定の目標」の持続的・安定的な達成にはまだ距離があるとの認識は不変とみられる一方、長期金利が1%に近づくなかでYCC再修正の必要性が論点となりそうだ。 日銀は7月会合でYCCの運用を柔軟化した。長期金利の変動幅は「プラスマイナス0.5%程度」をめどとし、長期債を対象に毎営業日実施する「連続指し値オペ(公開市場操作)」で指定する利回りを1%とした。当時の長期金利は1%から遠く、日銀も連続指し値オペへの「応札は見込まれない」前提だった。 だが米長期金利が一時5%台と急速に上昇するなか、国内金利も大幅に水準を切り上げている。長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りは26日に一時0.880%と2013年7月以来の高さとなり、1%乗せが現実味を帯びる。野口旭審議委員が12日の新潟県金融経済懇談会で「(YCCは)『先手を打って柔軟化していかないと維持が困難になる』という性質を持つ」と説明していただけに、市場はYCCの再修正を意識せざるをえない。 10月会合では1%の扱いを巡って議論するとみられる。日銀内では「厳格な上限の1%にはまだ距離があり、切迫感は強くない」との見方がある。臨時の国債買い入れや共通担保資金供給オペで金利上昇ペースを調整することにより1%には到達せず、現時点では指し値オペで大量に国債を買い入れる事態に至っていない。1%の上限の存在そのものが金利抑制効果をもたらしており「上限を引き上げればかえって市場金利の上昇を招き、金利の先高観を高めてしまう」リスクを考慮すべきだと慎重な向きもある。 一方、米金利次第で国内金利の上昇圧力が一段と強まる可能性があるのは気がかりだ。米景気は減速する兆しがみられないうえ、米国の財政不安もくすぶり、米長期金利のピークが5%だったとの確信は持てない。日銀の次回の決定会合は12月18~19日と2カ月近く先で、行内では「その間に1%に達する可能性を踏まえた政策判断が必要になる」との見方もある。直前の市場動向を見極めた上で判断することとなりそうだ。 市場の一部では修正観測が根強い。BofA証券は25日付リポートで、望まない国債買い入れの再拡大と円安リスク回避のために「日銀が今会合で再び予防的なYCC修正を余儀なくされる」と見込む。さらなる世界的な金利上昇や、早期の政策正常化への市場期待が一段と高まった場合の対応を考えると、米金利上昇がいったんピークをつけたとして政策を据え置くのは「リスキーな戦略」だと指摘する。 もっとも、日銀は賃金上昇を伴う形で物価目標を持続的・安定的に達成するとの判断には至らない公算が大きい。日銀が19日に開いた支店長会議では、来年の春季労使交渉(春闘)について賃上げの継続を見込むものの、賃上げ幅は「競合他社の動向や物価の推移などを見極めていく姿勢の企業が多い」と報告された。期待インフレ率は緩やかな上昇を続けているが目標達成に十分な賃上げ率を確保できるかは、なお不透明といえる。 会合後に公表する「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では、生鮮食品を除く消費者物価指数(コアCPI)の見通しに注目が集まる。価格転嫁の流れが長期化しており、23年度については前回のプラス2.5%から上方修正する可能性が高い。ただ日銀が目標達成に向けて注視するのは、企業が将来の価格上昇を見越したフォワードルッキングな賃金・価格設定が定着するかどうかだ。YCCの再修正があったとしても、「粘り強く金融緩和を継続する」との基本姿勢は保たれるとみられる。2023/10/26 13:50:58132.名無しさんLmYjLコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼2023年10月27日17時57分来週の株式相場に向けて=金融政策決定会合で日銀は動くか 今週の日経平均株価は26日に終値で3万601円まで下落し、3万円ラインに接近した。しかし、27日は前日比389円高と急反発した。「3万円に接近する水準では先物などの買い戻しも流入したようだ」(市場関係者)という。チャート的には、来週に反発基調を強めれば今月4日安値(3万526円)とのダブル底の形成期待も出てくる。それだけに、相場は大きなポイントに差し掛かっている。 とりわけ、来週はビッグイベントが目白押しだ。なかでも、日米の金融政策決定会合に視線が集中している。30~31日に日銀金融政策決定会合、31日~11月1日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。FOMCに関しては、政策金利は据え置かれる見通しだ。となると、関心が高まるのは日銀金融政策決定会合だ。7月の日銀会合では長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)は修正され、長期金利1%が事実上のメドとされた。 今回の会合では「上限1.25%あるいは1.5%への再修正はあり得るのではないか」(アナリスト)との声も出ている。日本の消費者物価指数(CPI)は3%前後の水準が続き、長期金利も0.87%前後に上昇している。それだけに、上限金利のメドの引き上げは考えられる。更に「より注視すべきは展望レポートで、24年度のCPI見通しが前回の1.9%から2%以上に修正されるかが焦点だ」(同)とも指摘されている。来年度のCPI見通しが2%を超えてくれば、マイナス金利政策の根拠が薄れ、マイナス金利解除への思惑が急浮上する。 日銀会合の結果次第では長期金利が上昇し、三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>など銀行株は買われるが、全体相場は下落するかもしれない。ただ、それは長期的には正常化に向けた一歩。日経平均株価は今週の下げで、すでに売られ過ぎの水準まで下げたともみられている。米国絡みでは11月3日の米10月雇用統計も注目されている。 上記以外のイベントでは、1日に米10月ISM製造業景況指数、同ADP雇用統計、米9月JOLTS求人件数、3日に米10月ISM非製造業景況指数が発表される。31日にキャタピラー<CAT>、1日にクアルコム<QCOM>、2日にアップル<AAPL>の決算が発表される。 日本では30日にオリエンタルランド<4661>、NEC<6701>、31日にアドバンテスト<6857>、レーザーテック<6920>、デンソー<6902>、1日にトヨタ自動車<7203>、日本製鉄<5401>、2日に三菱商事<8058>、川崎汽船<9107>の決算発表が予定されている。3日は文化の日の祝日で休場となる。来週の日経平均株価の予想レンジは3万600~3万1500円前後。(岡里英幸)出所:MINKABU PRESS2023/10/27 22:42:49133.名無しさんY53c3コメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼地銀株にマネー、山梨中央銀など年初来高値 日銀会合控え2023/10/27 19:05 日経速報ニュース 27日の東京株式市場では地方銀行株の上昇が目立った。日銀が週明けに開く会合で、超低金利政策の修正に動くとの観測が強まっている。割安に放置されている地銀株も多く、収益環境の改善期待から物色が広がった。 日経平均株価は反発し、前日比389円(1%)高の3万0991円だった。山梨中央銀行株は5%高となり5年ぶり高値を付けた。同じく5%高の名古屋銀行株や4%高のめぶきフィナンシャルグループなど、地銀6銘柄が27日に年初来の高値を更新した。 9月末比でみても4?9月期の業績見通しを上方修正した九州フィナンシャルグループ株が17%高となるなど、1%安の三菱UFJフィナンシャル・グループなどメガバンク株よりも騰勢が強い地銀株が多い。 地銀は預金と貸し出しの金利差や市場運用で稼ぐ。金利上昇は業績改善につながりやすい。米金利高が波及し、日本の長期金利(新発10年債の利回り)は0.8%台後半と、日銀が「念のための上限キャップ」(植田和男総裁)と位置付ける1%が迫る。 市場では日銀が31日までの会合で政策修正に動くとの見方が出ている。翌日物金利スワップ(OIS)市場では10年物金利が1%を上回って推移する。BofA証券は「国債買い入れの再拡大と円安リスクを回避するため、日銀は今会合で再び予防的な政策修正を余儀なくされる」と予想し、長期金利の実質的な上限を1.5%に上げるとみる。 グローバルに事業展開するメガバンク株は海外金利高を受けて資金流入が先行していた。地銀株は九州FGでもPBR(株価純資産倍率)が0.5倍台と割安感が強い銘柄が多い。大和証券の木野内栄治チーフテクニカルアナリストは「融資先に乏しい地方基盤の銀行の方が、国内金利上昇が収益環境改善に与える影響は大きい」と指摘する。2023/10/28 00:55:40134.名無しさんY53c3コメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼長期金利上昇、10年ぶり高水準 海外勢の国債売り膨張 日銀政策修正を警戒2023/10/28 日本経済新聞 朝刊 国内金利の上昇(債券価格は下落)が止まらない。長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは一時0.885%まで上昇し、およそ10年ぶりの高水準に達した。日銀が30~31日に開く金融政策決定会合で金融政策の再修正に踏み切るとの観測から、海外投資家を中心に債券売りの動きが広がっている。 26日の国内債券市場で新発10年物国債利回りは一時0.885%と、2013年7月以来10年3カ月ぶりの水準を付けた。日銀の植田和男総裁が「念のためのキャップ」とした1%に一段と迫っている。2年債利回りは約9年ぶり、20年債利回りも約10年ぶりの高水準を付けるなど、幅広い年限で国債利回りが上昇傾向にある。 けん引するのは海外勢だ。財務省が26日に発表した対外・対内証券売買契約などの状況によると、海外投資家は10月15~21日に国債など国内の中長期債を9042億円売り越した。前週は9478億円の買い越しだったが、2週ぶりに売り越しに転じた。売り越し幅は4週ぶりの高水準となる。 背景には日銀が今回の決定会合で長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の再修正に動くとの観測がある。 市場では「長期金利の変動許容上限を1.5%に広げる可能性がある」(SMBC日興証券の奥村任シニア金利ストラテジスト)といった予想がにわかに浮上し始めた。BofA証券やUBS証券など、いくつかの外資系証券会社も今回会合でのYCC再修正を予想する。 金利上昇リスクが高まる中、金融派生商品(デリバティブ)の一種である翌日物金利スワップ(OIS)市場は活況だ。同商品は変動金利と固定金利を一定期間交換する取引で、金利が上昇した際に損失を回避する手段となりうる。 日本証券クリアリング機構のデータによると、9月の取引高は171兆円と3月(199兆円)以来の高水準となった。特に短い年限の取引が増えており、「それだけ日銀のマイナス金利解除への警戒感が高まったことを反映している」(JPモルガン証券の山脇貴史債券調査部長) マイナス金利の解除を見据え、短期金利の水準を予想して売買する短期金利先物市場も盛況だ。短期金利の上昇局面で事前に先物を売っておけば、実際に金利が上がったタイミングで買い戻すことで利益をあげられる。 東京金融取引所と大阪取引所に上場している無担保コール翌日物金利(TONA)を対象にした3カ月物金利先物の取引高は10月、1日平均で約2600枚に達し8月以来の高水準となった。 東京金融取引所に限れば、10月は同1700枚弱と3月の上場以来で過去最高だった。「アジアに拠点を置くような欧米系の中小ファンドを中心に取引が増えており、徐々に国内金融機関の関心も高まりつつある」(同社の瀬尾亮介ホールセール事業部長) 今回会合で日銀が政策修正を見送ったとしても、金利上昇をにらんだ投資家の動きが債券市場を揺らす展開は当面の間続きそうだ。2023/10/28 06:36:10135.名無しさんb8Pb0コメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼「金利1%」低温経済に変化 預金で利子収入、家購入にハードル 不採算事業の再編契機に2023/11/02 日本経済新聞 朝刊 日銀が金融政策を再修正したことで、長らくゼロ%台だった金利の常識が変わる兆しが出てきた。デフレが染みついた「低温経済」の構造が変わり、幅広く金利が上がれば家計は利子収入が増える。お金を借りる企業には重荷だが、採算が合わない事業を再編する契機になる。 日銀は10月31日、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)を再修正した。長期金利は1%を一定程度超えることを容認する。物価上昇や米金利上昇を背景に、長らくゼロ%台だった日本の長期金利は債券市場で1%弱に上昇する。10年ぶりの高さだ。 金利上昇が続けば家計にはプラス効果の期待がある。預金金利の上昇で利子所得が増えるからだ。国内総生産(GDP)統計によると家計の利子受取額は1991年に38兆円に達したが、2021年は6兆円弱と5分の1以下に縮んだ。当時の定期預金金利は3.8%だったが、足元は0.003%程度にとどまる。 家計の金融資産は2000兆円を超え、うち半分を現預金が占める。リスクのある資産を持たずとも一定の所得が確保できれば、株式投資などに消極的な世帯で消費意欲の下支えにつながる可能性がある。 住宅ローンを抱えていたり、今後不動産購入を予定したりする現役世代には懸念もある。3メガバンクは11月適用の住宅ローン金利で、固定型を10月比でそろって引き上げた。金利の上昇が続けば住宅購入のハードルが上がり、不動産市況を冷やす恐れもある。 借り入れが多い企業には負担だ。みずほ銀行は貸出金利の指標となる長期プライムレートを10月11日から0.05%引き上げ、年1.5%とした。日本総研の後藤俊平氏の試算によると、企業の平均的な借り入れコストが1%増えると、設備投資を0.5%減少させる。 金利上昇は運用環境の改善を通じ、企業年金の財政状態を改善させる効果もある。支払いに備えて用意すべき負担額は2022年度時点で前の年度から約6兆円減った。各年金が運用目標である予定利率も上げ始めれば、従業員の生涯収入の上昇につながる。 金利上昇で採算の悪い事業を見直す機運が高まり、生産性上昇につながる期待もある。逆に資金調達が難しくなることで起業が停滞する面もある。22年における世界のスタートアップの資金調達総額は35%減った。欧米の急ピッチな政策金利の引き上げが背景だ。 日本にインフレが定着すれば、日銀の政策金利の引き上げも視野に入る。内閣府の短期日本経済マクロ計量モデルによると、短期金利が1%上がると個人消費は1年目に0.2%増加する。一方で設備投資などの減少で全体のGDPは0.3%落ち込む。2023/11/02 06:58:14136.名無しさん2RUxkコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼異次元緩和、薄れる輪郭 正常化へしたたかに布石2023/11/03 05:00 日経速報ニュース 日銀の植田和男総裁は4月の就任以来、2度目となる長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)の修正に踏み切った。度重なる修正で「異次元」を掲げた大規模な金融緩和策の輪郭は薄まりつつある。想定外の米金利上昇に振り回された感もある日銀だが、したたかに将来に向けた布石を打った。 日銀は10月の金融政策決定会合で、長期金利の事実上の上限としていた1%を「めど」に変えた。1%以下に厳格に抑え込まず、市場の情勢に応じて一定程度は上振れることを認める仕組みだ。 修正の予兆はあった。「1(%)に非常に近づいていく可能性は低い」(植田総裁の7月会合後記者会見での発言)「(長期金利上昇は)それほど心配する動きではない」(同9月)としてきた日銀の空気が変わったのは10月初めだ。 4日の国内債券市場で、長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りが一時0.8%とおよそ10年ぶりの高水準をつけた。3日の米債券市場で2007年以来となる4.8%台に上昇した米長期金利の影響だった。「米金利の上昇が論理的に説明できない」という日銀関係者の困惑をよそに、国内長期金利も後を追うように上昇した。次第に日銀内から「(国内長期金利が事実上の上限である)1%に届かないと言い切れなくなった」との声が漏れるようになった。 円安も圧力となった。日銀が金利を強く抑え込もうとすればするほど、市場が米国との金利差を意識し、さらなる円安につながるジレンマがある。 10月中旬には、複数の関係者から「再修正は(10月会合で)議論せざるを得ない」との声が聞かれた。上限の1%から1.5%への引き上げや、上限の撤廃といった案が議論された形跡もうかがえた。 ただ政策が大きく変わったと受け止められれば、金融市場に波乱を起こしたり、経済に思わぬ悪影響をもたらしたりするリスクもあった。「長期金利の状況はファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)から距離がある。米金利はいずれ下落し国内も落ち着く」との見方も根強かった。 最終的には1%を「めど」に変える柔軟化案に落ち着いた。積極的な金融緩和や財政政策を求めるリフレ派からも「現行政策とほぼ変わらない。大きな問題はない」と容認する声が聞こえる。ただ中核ツールである金利操作の修正が重なったことで異次元緩和の輪郭はぼやけ、市場には「形骸化した」との見方が広がる。 10月会合では「次」を見据えた布石も打たれた。 7月会合で設定した事実上の1%の上限には、日銀内からも「むしろ投機を誘う。(上限を)見せる必要はない」との声が当初からあった。植田総裁は10月31日の記者会見で、日銀が国債を無制限に買い取る「指し値オペ」を発動する金利水準への明言は避けた。見直しを契機に上限を隠した、との見方もできる。 上限は隠したが、相場の過度な変動などで「必要性あり」と判断すればいつでもオペを実施し、金利を抑え込める仕組みにした。金利を厳格にコントロールするわけではないが、不測の事態にはしっかり備えておくという長短金利操作の撤廃後の金融市場調節を見据えた決定のようにも映る。 経済・物価情勢の展望(展望リポート)では、24年度の消費者物価指数(生鮮食品除くコアCPI)の前年度上昇率の見通しを2.8%と7月時点(1.9%)から大きく引き上げた。さらに、25年度も0.1ポイント引き上げて1.7%とした。 25年度は日銀が示す見通し期間の最終年度にあたる。足元の為替やエネルギー価格の影響が小さくなる半面、下落しづらい人件費といった要素が見通しの上でより大きなウエイトを占める。25年度見通しの上昇は、政府・日銀が目指す持続的・安定的な「物価2%目標」達成に近づきつつあることを意味する。 生鮮食品とエネルギーを除く「コアコアCPI」は24年度、25年度とも1.9%とした。いずれも一時的な物価動向に左右されにくく、物価2%目標の達成状況をはかる目安になりうる。 「前回に比べれば少し前進している」「ある程度来年の賃金について期待できる」。慎重に表現を選びつつも、10月31日の記者会見で植田総裁は賃金と物価の好循環実現への期待感をにじませた。市場では早ければ来年1月の決定会合でのマイナス金利解除を見込む声も出ている。10年の時を経た異次元緩和の輪郭が薄らぐ中、「金利ある世界」へのカウントダウンが始まっている。2023/11/03 06:25:48137.名無しさんuog66コメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼PayPay 崩すかポイント岩盤 外販に参入、ウエルシアとサイバー獲得 スマホ決済王者 第2幕へ2023/11/03 日経MJ(流通新聞) 共通ポイント業界にPayPayが本格参入した。スマートフォン決済で約7割のシェアを握る王者が次の成長の柱と位置づけるのがポイント事業だ。営業部隊を発足させ、提携先の開拓に本腰を入れる。ただ、共通ポイントは先行陣営が有力企業の大半を囲い込んでいる「岩盤業界」。各陣営はグループの通信や金融などを巻き込んだ総力戦でシェア拡大を狙う。 「Tポイントと関係の深いウエルシアがPayPayと組むとは思わなかった」。8月末、PayPayがドラッグストア大手のウエルシアホールディングス(HD)と提携したことに驚きの声が上がった。ウエルシアはTポイントを活用して積極的な販促策を展開してきたからだ。その蜜月関係にPayPayが割って入った形になる。 こうしたなか、Tポイントは三井住友フィナンシャルグループ(FG)のVポイントと来春統合する。Tポイントを手がけるカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が狙うのは決済サービスの強化だ。これまで電子マネー「Tマネー」やクレジット機能付きTカードを展開してきたものの、認知度は高くなかったとみられる。 三井住友FGは「三井住友カード」や対応する「Visaタッチ」など有力な決済サービスを持つ。世界に1億店以上あるVisa加盟店でもポイントが使えるようにして巻き返しを狙う。 野村総合研究所(NRI)の冨田勝己グループマネジャーは今後の共通ポイント業界について「これまでのような会員規模やポイント流通規模といった『量』から、『質』へと争点が変わっていく」と強調する。スマホ決済のように毎日使われるアプリで顧客との接点を増やしたり、加盟店の利益につながる販促を提案したりできるかが問われることになる。2023/11/05 06:17:12138.名無しさんpLszgコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼日銀総裁、物価目標「見通し実現の確度、少しずつ高まる」2023/11/06 10:29 日経速報ニュース 日銀の植田和男総裁は6日、名古屋での金融経済懇談会であいさつした。今年の春季労使交渉における高い賃上げ実現や、人件費の継続的な上昇を前提とする値上げ実施など「最近では、企業の賃金・価格設定行動の一部に従来よりも積極的な動きがみられ始めている」と話した。2%の「物価安定の目標」に向けて「見通し実現の確度が少しずつ高まってきている」と指摘した。もっとも賃金と物価の好循環がどの程度強まるか不確実性が高く、現時点では物価目標の持続的・安定的な実現を十分な確度をもって見通せる状況には「至っていない」とも語った。2023/11/06 10:31:16139.名無しさんCjkjvコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼みずほ、楽天証券に追加出資を発表 上場申請は取り下げ2023/11/09 15:56 日経速報ニュース みずほフィナンシャルグループは9日、傘下のみずほ証券を通じて楽天証券に追加出資すると発表した。金額は約870億円で、出資比率を現在の20%から49%まで高める。楽天証券の持ち株会社は年内にも東京証券取引所へ上場する計画だったが、10月に始めた日本株売買手数料の無料化で収益構造の変化は避けられない。提携強化を契機にひとたび上場の申請を取り下げた。 みずほは2022年に楽天証券の株式20%程度を約800億円で取得した。関係当局の承認を前提に、今年12月半ばに追加で29%分の株式を取得する。みずほにとって持ち分法適用会社の位置付けは変わらない。 今回の追加出資を機に、みずほ銀行の預金口座と楽天証券の口座を連携させるなど提携関係を強化する。9日に記者会見した楽天グループの三木谷浩史会長兼社長は「対面とリアルで非常に強いみずほグループとさらに強いパートナーシップをつくっていく」と話した。 楽天グループは携帯電話事業の設備投資で財務内容が悪化し、22年12月期まで4期連続で最終赤字を計上した。9日に公表した23年1?9月期も2084億円の最終赤字で、5期連続の赤字となる可能性が強まっている。 24?25年にかけ、8000億円規模の社債償還も控える。楽天証券ホールディングスの上場で1000億円規模の資金調達をめざしていたが、新たな調達策としてみずほの追加出資を仰ぐことになった。みずほは今回の追加出資で約870億円を拠出する。上場の方針そのものは今後も維持し、再申請の時機を探るという。【関連記事】・みずほ、楽天証券に900億円追加出資へ 年内上場困難で・楽天G、迫る8000億円社債償還 綱渡りの証券株追加売却・みずほ、楽天証券と24年春に新会社 ネット顧客取り込み2023/11/09 16:08:00140.名無しさんhUoiyコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼★https://twitter.com/Keiichi_Kuwa/status/1715696417065591086■https://whitecomet973687962.wordpress.com/■https://www.facebook.com/profile.php?id=100013899733447■https://twitter.com/Keiichi_Kuwa■https://www.instagram.com/keiichi_kuwahara/?hl=ja2023/11/12 17:19:52141.名無しさんpTBPkコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼<東証>資生堂が売り気配 今期純利益47%減に下振れ2023/11/13 09:01 日経速報ニュース(9時、プライム、コード4911)【材料】10日に2023年12月期の連結純利益(国際会計基準)が前期比47%減の180億円になる見通しだと発表した。従来予想を100億円下回る。主力市場の中国での日本製品の買い控えなどが響く。【株価】売り気配で始まる。2023/11/13 13:54:23142.名無しさんpTBPkコメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼債券15時 長期金利が上昇、一時0.9%に迫る 米債売りで2023/11/13 15:27 日経速報ニュース 13日の国内債券市場で長期金利の指標である新発10年物国債の利回りが一時、前週末を0.045%上回る0.895%に上昇(価格は下落)した。今月2日以来の高さで、節目の0.9%に迫った。格付け会社による米国の信用格付け見通し引き下げなどをきっかけに米国債が売られ、国内債にも売りが波及した。 15時前の時点では前週末比0.025%高い0.875%で取引された。米国では与野党が9月30日に合意したつなぎ予算が今月17日に期限を迎える。再延長などが決まらず米政府閉鎖が意識されて金利に上昇圧力がかかっている。 長期金利は9日に0.830%と、日銀が10月末の金融政策決定会合で長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の再柔軟化を決める前の水準まで低下(価格が上昇)していた。このため、目先の利益を確定する売りが膨らんだ面もある。 13日発表の10月の企業物価指数は前年同月比0.8%上昇と市場予想(1.1%上昇)を下回った。日銀が年明けにもマイナス金利解除など政策再修正に動くとの見方は根強いが、物価の弱さはその後の日銀による政策正常化の歩みはゆっくりとの見方にもつながった。 30年債利回りは0.035%高い1.765%、20年債は0.025%高い1.585%にそれぞれ上昇した。5年債は0.010%高い0.430%で、期間の長い債券の利回り上昇幅がより大きくなり、利回り曲線は右肩上がりの傾きが急になるスティープ化した。先物中心限月である12月物の終値は前週末比16銭安の144円38銭と続落した。 短期金融市場では東京金融取引所と大阪取引所では無担保コール翌日物金利(TONA)先物の中心限月である12月物の取引は未成立となっている。全銀協TIBOR運営機関が発表した海外円の東京銀行間取引金利(TIBOR)3カ月物は横ばいで、前週末と同じマイナス0.01200%だった。2023/11/13 15:30:49143.名無しさんIO3u7コメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼日銀の次の一手「マイナス金利解除」53% QUICK調査2023/11/13 16:05 日経速報ニュース QUICKは13日、外国為替市場の月次調査の結果を発表した。日銀の金融政策修正・変更の次の一手については「短期金利の政策目標水準を現行のマイナス0.1%から引き上げる(マイナス金利政策の解除)」との回答が53%と最も多かった。解除の時期については「2024年4月」が最多で、「24年後半以降」がこれに続いた。 日銀は10月31日の金融政策決定会合で長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)を再修正し、長期金利の1%を超える上昇を一定程度容認した。次の一手としては、マイナス金利解除のほか「長期金利の政策目標を撤廃する」(25%)や「長期金利の上限のめどをさらに引き上げる」(17%)といった回答があがった。 「上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(REIT)などのリスク資産の購入をやめる」との回答は1%に留まった。 マイナス金利政策の解除時期については「2024年4月」との回答が32%と最も多く、「24年後半以降」が27%で続いた。「24年1月」も20%で、合計で7割の回答者が24年前半でのマイナス金利政策の解除を予想した。 円相場は13日に1ドル=151円台後半と22年10月以来の円安・ドル高水準を付けた。今後の見通しについて、回答者の24年4月時点の予想値は平均で1ドル=144円10銭、中央値で1ドル=145円と、来年春にかけて緩やかに円高・ドル安が進むとの見方が目立った。 調査は6?8日に金融機関や事業会社の外為市場関係者176人を対象に実施し、78人から回答を得た。2023/11/14 00:28:38144.名無しさんIO3u7コメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼マイナス金利解除は来年4月、来夏から段階的な利上げへ=早川元日銀理事[東京 14日 ロイター] - 早川英男元日銀理事(東京財団政策研究所主席研究員)は14日、ロイターのインタビューに応じ、日銀は来年4月にマイナス金利を解除したのち、3カ月に1回程度のペースで段階的な利上げ局面に入ると予想した。賃金・物価の好循環はすでに生じており、来年の春闘で賃上げの確証が得られれば、ビハインド・ザ・カーブになっている政策が市場の予想以上に早いペースで修正されていくとの見通しを示した。植田和男日銀総裁は、物価上昇の要因を輸入物価上昇の転嫁に由来する「第1の力」と賃金・物価の好循環による「第2の力」に分類。第2の力が「まだ少し弱い」ことが金融緩和継続の理由だと説明している もっと見る 。これに対して早川氏は、日銀の展望リポートで2023年度の生鮮食品・エネルギーを除く消費者物価指数(コアコアCPI)の見通しが段階的に引き上げられ、10月時点で前年度比プラス3.8%と、1月の同プラス1.8%から2%ポイントも引き上げられたことに注目。「足元で物価を押し上げているのは第1の力ではなく第2の力なのが明白だ」と話した。コストに占める人件費の比率が大きいサービス価格は「ここ1年くらいで猛烈に上がっている」とも述べた。早川氏は、賃金上昇を伴う物価目標の実現を掲げる日銀にとって、来年の春闘での賃上げという「物証」だけが必要な状況だと指摘。春闘の集中回答などを踏まえた上で、展望リポートを改訂する4月に、マイナス金利を解除する可能性が高いとの見通しを示した。「経済界から出てくる発言を見ていれば、来年の春闘での賃上げ率が今年より低いという感じではない」と述べた。来年4月にマイナス金利を解除した後は再度「来年の半ばくらいに、市場が思っているより早めの(政策金利)引き上げが必要だと思う」と語った。日銀は「今は意図的にビハインド・ザ・カーブになっている」とし、来年の春闘で賃上げの持続が確認できれば、そこからの利上げペースは早く、3カ月に1回程度の利上げを予想している。市場ではマイナス金利解除後はゼロ金利が続くとの予想が多い。早川氏は日銀と市場のコミュニケーションが重要になり、今年終わりぐらいから、マイナス金利解除やその後の利上げ局面入りに向けた地ならしを進めていくべきだと述べた。10月のイールドカーブ・コントロール(YCC)の運用再柔軟化については、YCCの「事実上の撤廃」だとした。来年4月にマイナス金利を解除した場合でも、YCCはそのまま維持されるとの見方を示した。連続指し値オペで厳格に10年金利の上限を規定する手法をやめたことで、政府の為替介入のように、急激な上昇が起きれば国債買い入れで金利上昇を抑えに行く仕組みになったと話した。日銀が金融正常化を進めるに当たっての「障害」になりうる事項としては、今年3月に起きた米国の金融不安が再び起きるリスクを挙げた。2023/11/14 14:07:07145.名無しさんWe2v7コメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼MSCI、標準指数からサイバーなど10銘柄を除外 新規採用はなし2023/11/15 08:51 日経速報ニュース 株価指数を開発・算出するMSCIは14日(日本時間15日朝)、定例の指数構成銘柄の見直しを発表した。国際分散投資する機関投資家の多くが採用するベンチマーク(運用指標)のうち、大型・中型株からなる「標準指数」で、日本株ではサイバー(4751)やGMO―PG(3769)など10銘柄を除外する。新規採用はゼロだった。2022年5月の22銘柄除外以来の大規模な減少となるもようだ。30日の大引け後に変更する。・除外(10銘柄)サイバー(4751)GMO―PG(3769)博報堂DY(2433)京王(9008)小林製薬(4967)栗田工(6370)LIXIL(5938)ガイシ(5333)パーソルHD(2181)ウエルシア(3141)2023/11/15 09:36:26146.名無しさんdrLY8コメントのURLをコピーこの ID を非表示コメントを通報コメントの削除依頼開国の障壁(1)投資不足の日本企業 海外マネー、脱炭素で誘う(資産運用立国に挑む)2023/11/14 日本経済新聞 朝刊 政府は海外運用会社を招く「運用開国」に乗り出した。家計金融資産2100兆円が外に出ていくばかりでは日本の成長に寄与しない。国内に投資機会をどう生むかが最大の課題だ。 10月6日、首相官邸。米運用会社ブラックロックの呼びかけで中東の政府系ファンドや欧米年金など世界の機関投資家・運用会社の代表約20人が集まった。保有・運用額は計3300兆円に上る。関係者は海外勢が来日した目的を「『具体的な投資案件を見せてくれ』ということだ」と語る。10年で150兆円 政府が掲げるのが、化石燃料からクリーンエネルギーへの産業構造の転換を目指す「グリーントランスフォーメーション(GX)」だ。欧州のような一足飛びの脱炭素でなく段階的に移行(トランジション)する戦略で、官民合わせて10年で150兆円が必要とはじく。シンガポールの政府系ファンドGICは7月、現地を訪れた自民党の片山さつき金融調査会長に「日本のGX投資の定義に関心がある」と語った。 海外マネーを呼び込もうと企業も動き始めた。9月に増資などで約2040億円を調達したJFEホールディングス。「構造改革をやり遂げ量から質へ転換する」。調達先を海外に絞り欧米などの投資家約100人にオンラインで訴えた。 利益の見込みやすい電気自動車向け高級鋼板の投資に公募増資、中長期の脱炭素投資に新株予約権付社債(転換社債=CB)で得た資金を充てる。川崎市の高炉を止める一方、2030年度までに脱炭素に約1兆円投じる計画だ。増資で外国人株主比率は3割と3月末の24%から高まった。なお半信半疑 日本企業のGX関連の資金調達は増えている。資金使途を環境事業に限る環境債の発行は23年1~10月に1兆6000億円超と、年間で最高だった21年をすでに約2割上回った。温暖化ガス排出量の多い企業による移行債も21年からの累計で約6000億円に上る。 アジアではトランジションへの関心が高く、50年までに40兆ドルの脱炭素投資の資金需要があるとみられる。日本に脱炭素マネーを集め、アジアのGX投融資の資金が行き交うハブへと育てる余地はある。 ただ、投資家は日本企業がどこまで積極姿勢に転じたのか、なお半信半疑だ。 「日本は脱炭素にどのくらい真剣なのか」。ENEOSホールディングスのもとには政府のGX戦略に確信を持てない海外投資家から多くの質問が寄せられる。同社は再生可能エネルギー開発や水素の供給網構築などに取り組むが「技術のブレークスルーの時期など不透明で、30年度以降の具体的な計画を示すのは困難」とする。 日本企業はバブル崩壊以降、設備投資や研究開発を抑えて借入金返済を優先してきた。日銀の資金循環統計によると民間企業部門(金融除く)は戦後、資金不足だったが、1998年から資金余剰の局面に転じた。海外マネーが注目する今こそ、日本が積極投資に打って出る好機となる。 GXだけでなく、省人化や農業など日本経済の課題は多い。投資機会をどれだけ増やせるか。運用立国実現のハードルは高い。
徒然なるままにコピペ日記 第7章
https://egg.5ch.net/test/read.cgi/cafe60/1538643191/
2023/07/27 日本経済新聞 朝刊
株式相場の方向感が乏しいなかで、投資家の目線が中小型株に移りはじめた。にわかに注目されるのが割安株としては利益成長率が
高いものの、注目度が低いため埋もれている銘柄、いわば「ゆる成長株」だ。春先からの株高を主導した海外勢が休暇に入り「夏枯れ相場
」の様相が強まるなか、中小型株シフトは当分の間続きそうだ。
26日の東京株式市場では米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えて売買を手控えるムードが広がるなかで、好決算を発表した銘柄の
上昇が目立った。前日の取引終了後に23年1~6月期が大幅増益になったと発表した大塚ホールディングスは、一時前日比6%高まで
買われた。
この日は中小型株の一角が相次ぎ年初来高値をつけた。代表例は16年ぶりの高値をつけたタムロンだ。14日付でSMBC日興証券が
新規に調査を開始したことが手がかりとなり、株価は14日比で1割高となっている。高い価格決定力があるカメラ向け交換用レンズで得た
収益を株主還元や成長事業への投資に活用することが期待されている。
「タムロンはブランド力を確立していながら必需品ではなく、成長イメージも描きにくい点から割安だった」。三井住友DSアセットマネジメン
トの苦瓜達郎チーフファンドマネージャーはこう話す。運用する「ニッポン中小型株ファンド」に6月末時点でタムロンを組み入れていた。
同ファンドの組み入れ銘柄では製鉄所向けの耐火物を手がける黒崎播磨も、26日に33年ぶりの高値を更新した。両社は「高成長すぎ
ない中途半端な立ち位置の銘柄」(苦瓜氏)で、いわば「ゆる成長株」だ。春先からの株高の波に乗れず割安に放置されていたが直近の
決算は好調で、業績の先行きに安定感がある点が評価され始めている。
市場全体の目線も割安な中小型株に向かっている。6月末と比べて東証株価指数(TOPIX)が0・2%安となる一方で、小型バリュー株で
構成する指数は2%高となり、25日には算出来の高値をつけた。インバウンドや半導体関連といったテーマから、個別の企業業績へと関心
が変化していることがうかがえる。
目線の先には4~6月期の決算発表がある。夏枯れが強まり、海外マネーの流入が一層細るなかでは、サプライズ決算を示した銘柄が
一躍脚光を浴びる可能性は高い。
「稼ぐ力を高めているのに割安に放置されている中小型株は多い。流動性に配慮しながら時間を分散して買う」。明治安田アセットマネジ
メントの永田芳樹シニア・ポートフォリオ・マネジャーは暑さの増す7月も企業訪問を続ける。
こうして見つけた企業の1つが切断機などを手がける小池酸素工業だ。5月の決算発表時点でPBR(株価純資産倍率)は0・3倍台だっ
たが、23年3月期の連結純利益が前期比で2倍に成長したことを受け、株価は4割高になった。
ファンドマネジャーだけでなく、個人も「ゆる成長株」の発掘に動く。ある60代の個人投資家は「自己資本利益率(ROE)や個別企業の稼
ぐ力に着目して銘柄選別を進める」と話す。
今週の「中銀ウィーク」を通過した後も、日本企業の4~6月期決算発表は続く。中小型株を主戦場とし、株高に乗れなかった個人には外
国人不在の夏枯れ相場はむしろ好都合。銘柄選別の暑い夏は、これから本格化していきそうだ。
2023/07/27 13:30 日経速報ニュース
米連邦公開市場委員会(FOMC)が終わり、市場の視線は日銀の動向に移った。通貨オプション市場では円高への警戒を示す指標が
4カ月ぶりの水準となった。日銀が28日に長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の修正に動くことに備える動きが広がっている。
27日の東京外国為替市場で円相場は一時、1ドル=139円台前半と1週間ぶりの円高・ドル安水準をつけた。FOMCを通過し、日銀が
28日まで開く金融政策決定会合でYCCを修正することを警戒した円買いが進んだ。
米連邦準備理事会(FRB)は26日のFOMCで0.25%の利上げを決めた。市場予想通りで、先行きも「9月に利上げをする可能性もあるし、
ないかもしれない。会合ごとに決める」(パウエル議長)とデータ次第という従来通りの立場を強調した。
このため、国内外の市場ではFOMCは「無難な結果で、むしろ日銀会合への相対的な注目度を高めることになった」(三菱UFJモルガン・
スタンレー証券の植野大作チーフ為替ストラテジスト)との受け止めが広がった。
特にYCC修正への警戒の高まりを映しているのは、通貨オプション市場だ。円の対ドル取引で「プット(売る権利)」と「コール(買う権利)」
の需要の偏りを示すリスクリバーサルをみると、1週間物はマイナス4.4%台と3月以来およそ4カ月ぶりの水準をつけた。
マイナス幅が大きいほど円買い・ドル売りの需要が強いことを示し、市場の円高警戒の強さを映す。3月は米シリコンバレーバンク(SVB)
の経営破綻で急速な円高・ドル安が進んだ局面だ。4月に植田和男氏が日銀総裁に就いてからは最も円高への警戒が高まっているといえる。
SBIリクイディティ・マーケットの鈴木亮常務は「1ドル=137円を行使価格とする円コール・ドルプットの大口買いが入っている」と明かす。
137円を超えて円高・ドル安が進むと、利益を得られる取引だ。
こうした動きの背景にあるのは、金融政策の正常化に必要な材料がそろいつつあるとの見方だ。厚生労働省の毎月勤労統計調査による
と、直近5月の基本給にあたる所定内給与は前年同月比1.7%増(確報値)と約26年ぶりの伸びだった。6月の消費者物価指数(生鮮食品
を除く=コアCPI)は同3.3%の上昇と政府・日銀が目標とする2%を1年以上にわたり上回る。
日銀は28日、経済・物価情勢の展望(展望リポート)を公表する。23年度だけでなく、24年度以降の物価見通しも引き上げる観測もある。
24年度以降も2%を超えて推移するとなれば、目指す「2%の物価安定目標」の達成に近づく。
日銀は2022年12月、長期金利の変動許容幅を従来の0.25%程度から0.5%程度に拡大した。突然の政策修正に、日銀が金融正常化にカ
ジを切ったとの見方を強めた市場では23年1月、一時1ドル=127円台まで円高が進んだ。
今回は22年末と比べても円買いのエネルギーが大きくなる可能性がある。米商品先物取引委員会(CFTC)によると、投機筋による円の
ドルに対する売り越しは約9万枚と22年末比でおよそ2.4倍の高水準に達する。YCC修正があれば、円安に賭けた持ち高の解消が急速な
円高を生みやすい。
日銀は28日昼ごろに金融政策決定会合の結果を公表する見通しだ。鈴木氏によると、オプション市場では28日に円相場が最大4円程度
変動することを織り込んでいる。YCC修正の有無にかかわらず、28日の相場急変動には備える必要がある。
2023/07/28 04:00 日経速報ニュース
海外投資家の買いを背景に日本株の上昇率が高い。筆者は日経ヴェリタス2月26日号の本欄「割安日本株の逆襲が始まる」において
世界の中で日本株が著しく割安であり、とりわけ低PBR(株価純資産倍率)株の投資妙味が強いことを指摘した。ここまでは想定通りとし
て、問題は株価上昇の持続性である。5?10年に1度、日本株は大きく上がることがあるものの、上昇は長続きせず、その度に「今度こそ
は」と期待した投資家を落胆させてきた。
しかし、今回の株価上昇は過去とは大きく異なると考えられる。以下、日本株の歴史を振り返りつつ、今回の株価上昇の持続性を分析
する。
海外投資家が株高をけん引
バブル崩壊後、日本株上昇は常に海外投資家の買いによって起きた。1999年のITバブル時は海外投資家の買い越しが東証株価指数
(TOPIX)を58.4%押し上げた。2005年に小泉純一郎首相(当時)が「郵政解散」を断行して圧勝すると、これを好感した海外投資家が10.3
兆円買い越して、TOPIXは43.5%上昇した。2013年はアベノミクスや「黒田バズーカ(日銀による異次元の金融緩和)」を好感して、海外
投資家は15.1兆円(史上最高)買い越し、TOPIXは51.5%上昇した。
しかし、これらの株価上昇は持続しなかった。いずれも海外投資家が「いよいよ日本が構造的に変わる」と勘違いして大量に日本株を
買ったものの、「さっぱり変わらないではないか」と気が付いて売りに回った、という見方がある。たとえば、2012?14年に海外投資家は
18.8兆円買い越したが、15?22年に15.0兆円売り越した。
過去10年間の投資収益率は米国の199.3%、欧州の89.1%と比較すると、日本は69.7%と劣る(現地通貨ベース、出所はQUICK・ファク
トセット、7月14日現在)。自己資本利益率(ROE、6月末時点)は米国15.5%、欧州13.1%だが、日本は8.3%と低水準だ。社外取締役が
増えたものの、東京五輪・パラリンピックをめぐる汚職事件、電力会社談合などに見られるように、コーポレートガバナンス(企業統治)は
問題が多い。
このように日本株は不振が長く続いただけに、株価純資産倍率(PBR)が米国の3.8倍、欧州の1.8倍に対して1.3倍と圧倒的に低い。
今年4?6月期に海外投資家は6.1兆円買い越してTOPIXは14.2%上がった。今回、海外投資家には「いよいよ日本が変わる」などとい
う勘違いはなく、日本株が世界の中で著しく割安であるからこそ大量に買い付けているものと思われる。
日本株の割安是正相場を引き起こした要因、あるいはきっかけは、以下の通りである。
第1に、ウォーレン・バフェット氏率いる米投資会社バークシャー・ハザウェイによる商社株の買いである。バリュー投資家で知られるバフ
ェット氏の投資は、世界の投資家に対して日本株が著しく割安であるというシグナルとなった。
21年にバフェット氏は総合商社大手5社の株式取得を開始し、現在、これらの発行済み株式の7.5?8.3%を保有している。今後、最大
9.9%まで購入するという。過去1年間の株価上昇率は三井物産が80.4%、三菱商事が76.6%、伊藤忠商事が43.2%と、TOPIXの18.3%を大
きく上回る(7月14日時点)。それでも大手商社のPBRは1.2?1.7倍と高くはない。
第2に、東京証券取引所が上場企業に対して、資本コストや資本収益性(例えばROE)を意識した経営を要請したことがある。また、東証
プライム市場の上場基準を満たさない企業の経過措置を2025年までとして、市場の規律を強化した。こうした取り組みによって、PBR1倍
を目指す企業が増加した。
第3に、アクティビスト(物言う投資家)の活躍である。スチュワードシップ・コード導入などによって機関投資家の圧力が高まり、株式持ち
合いが減りつつある。加えて機関投資家の議決権行使基準が厳格化された。これにより、アクティビストの提案であっても合理的なもので
あれば、機関投資家が賛成するようになった。
東洋建設はアクティビストの取締役選任議案が可決承認され、事実上の敵対的買収が成立した。世界最大級のアクティビストファンドで
ある米エリオット・マネジメントが株式を取得した大日本印刷の株価は、今年の安値から高値まで66.6%上昇し、PBRは0.6倍から1倍近くに
上昇した。バリューアクト・キャピタルが株式を取得したセブン&アイ・ホールディングスの株価は21年1月安値から23年3月高値まで84.5%
上昇した。
自動車への波及が焦点
日本株の割安修正の相場はまだまだ続くものと思われる。東証上場企業のPBRの分布を分析すると、0.6倍台が最も多く、次いで0.7倍
台、0.8倍台の順である(0.1倍刻み、6月末時点)。データ取得可能な企業3767社のうち46%が1倍未満である(マイナス含む)。
商社に続く割安株は銀行である。過去1年間の株価上昇率は三菱UFJフィナンシャル・グループが51.0%、三井住友フィナンシャルグルー
プが57.2%、みずほフィナンシャルグループが43.9%と高い(7月14日時点)。ところが、それでもPBRは0.6?0.7倍と低い。まだ上値の余地
があるとも考えられる。
これに続くのが不動産である。東急不動産ホールディングスの株価は3月末から7月14日までに25.4%上昇し、TOPIXの11.8%を大きく上
回る。住友不動産は同18.7%、野村不動産ホールディングスも同15.6%上昇するなど、オフィスビル事業の依存度が低い不動産会社の株
価が上昇しつつある。オリエンタルランド(同23.3%)、日本航空(同16.4%)、と、インバウンド関連も好調である。
以上を総合すると、日本株が年内上昇を続ける可能性は高い。ただし、来年以降も上昇相場が持続するためには、最後に残った割安株
である自動車の持続的上昇が不可欠であると思われる。自動車は時価総額が大きく、かつ産業の裾野が広い。
電気自動車(EV)の開発で先行するテスラ(米国)のPBRは20.6倍、ポルシェAG(ドイツ)は6.1倍と高い。一方、日本ではトヨタ自動車こ
そPBRが1倍を超えたが、ホンダは0.6倍、日産自動車は0.4倍と低い。トヨタ自動車の佐藤恒治社長はEVに大きくシフトする方針を明確に
している。日本の自動車業界がEVに思い切ってシフトできれば、バリュエーションの上昇が期待できる。結論として、割安日本株の逆襲は
まだまだ続くと考えられる。
2023/07/28 13:30 日経速報ニュース
日銀による長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の柔軟化報道をきっかけに、27日の米金融・資本市場から始まった
株安・円高・金利上昇は、28日の東京市場へと引き継がれた。「YCCショック」の様相を呈するなか、日銀は動じずに28日まで開かれ
た金融政策決定会合で柔軟化を決定した。日銀は金融主権を守ったと同時に、3つの代償を抱え込んだかもしれない。
第1の代償は国際金融資本市場の不安定化リスクだ。柔軟化に伴う市場調節運営の変更で、10年物国債の利回りは現在の0.5%
程度から理論上は約2倍の1%まで上昇する可能性がある。
日米欧で中央銀行の資金供給量が過去最高水準に近いのは日銀だけだ。いまや日本は世界のリスクマネーの一大供給源だが、
その日本の大幅な金利変動は米国から日本へ、株式から債券へ、ドルやユーロから円へというようにマネーの逆流を引き起こしかね
ない。日本の長期金利が上がり、日本の機関投資家が米国債から日本国債に資金シフトすれば、米国の長期金利も上がる。
心配なのは割高感が強い米国株だ。債券との比較で割高・割安を判断する株式リスクプレミアムは、米S&P500種株価指数が1%
程度と過去20年で最低。米ナスダック総合株価指数に至ってはマイナス0.4%と株式益回り(3.6%)が10年物国債の利回り(4%)を
大幅に下回る「超割高状態」だ。
S&P500種の予想EPS(1株利益)は切り上がっているが、実績EPSは低位で底ばいが続き、ワニの口のように広がっている。株
式市場の期待が先走っている証拠だが、こうした現象はリーマン・ショック前や新型コロナショック前にもみられた。
世界の株式市場を取り巻く環境は株式の割高化や実質政策金利の高さという点で、1987年10月のブラックマンデー(世界同時株
価暴落)前に似ている。YCCショックが世界に広がった場合、それがトラウマとなって逆に日銀の金融政策正常化が遅れる可能性も
ある。これが第2の代償だ。
類例は87年8月。日銀は資産価格の高騰対策で短期金利の高め誘導を開始したが、その直後の10月、ブラックマンデー(世界同
時株価暴落)が発生。超低金利が長期化し、バブルとその崩壊を招いた。
第3の代償は政治の圧力で金融政策の手足が縛られるリスクだ。防衛費の増額や子育て支援の財源捻出で自民党は「埋蔵金」
活用に傾いている。その柱は時価で4.7兆円にのぼる政府保有のNTT株の売却だ。日銀保有の上場投資信託(ETF)の含み益は
20兆円をゆうに上回るとみられ、少子化対策の財源として政府が簿価で買い取る可能性を探っているともいわれる。株安は政府・
自民党にとって望ましい話ではない。
いずれにしても、2023年7月28日は経済・金融史に大きく刻まれる一日になる可能性がある。
[東京 28日 ロイター] - 28日の東京市場で大幅な債券安、株安が進行している。日銀が長短金利操作(イールドカーブ・コントロール
YCC)の運用柔軟化を決めたことで、債券売りが強まり、為替市場での円高と株安がそれぞれ深まる「玉突き」が生じた。
国債先物は、日銀会合の結果発表後に下げ幅を拡大。中心限月9月限は一時前営業日比1円62銭安の146円79銭に下落した。新発
10年国債利回り(長期金利)は同14.0ベーシスポイント(bp)上昇の0.575%と、2014年9月以来の水準まで上昇した。
日銀が長期金利の変動幅について上下0.5%を「目途」としたことに加え、連続指し値を1%に引き上げたことを背景に、売り圧力が強ま
った。市場では「0.5%は目途という日銀が得意とする曖昧な表現にして残し、事実上は上限を1.0%まで拡大したことになる」(三井住
友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジスト)との見方が聞かれる。同様の観点から「YCC自体を形骸化させつつある
のだろう」(ニッセイ基礎研究所の上野剛志上席エコノミスト)との声が聞かれた。
為替や株式市場では、結果発表の直後こそ、事前の観測報道の範囲を出ないとの受け止めから、出尽くしが意識された。ドル/円はいっ
たん上昇し、日経平均は下げ幅を縮小した。ただ、長期金利の上昇が勢いづく中で、流れが一変し、それぞれ再び下げを強めた。日経平
均は先物が主導する形で一時800円超安に下落。会合結果を消化する中で、目先は不安定な値動きが続く可能性がある。
もっとも、しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹シニアファンド・マネージャーは、日本株は割高とまではみられておらず、米株のよう
には金利上昇を受けた株安の余地は大きくないと指摘、「押し目を買いたいニーズは根強く、日米の中銀会合の通過を待ってエントリーす
るにはいいタイミングとの判断があってもおかしくない」と話す。金利の上昇が一服すると、株価は500円安程度に下げ幅を縮めた。
目先の焦点は、植田和男総裁の記者会見に移る。仮にタカ派姿勢が明確に確認されれば、さらなる円高進行の可能性もあると、トレイダ
ーズ証券の井口喜雄市場部長は話す。「植田総裁がどのようなスタンスをみせるかで、今後のドル/円の方向性が決まりそうだ」(トレイダ
ーズ証券の井口氏)として、関心が寄せられている。
2023/07/29 05:00 日経速報ニュース
フィンテックの台頭などで金融サービスを巡る競争が激しくなり、銀行はより高い付加価値を求められるようになった。そんな時代を勝ち
抜くためには、働きやすく成長を実感できる職場を整え、専門性と提案力をもった人材を引き付けることが不可欠だ。日本総合研究所の
翁百合理事長は「おじさん文化」と決別せよと訴える。
――150年の歴史を振り返って、銀行の役割はどう変わりましたか。
「決済と資金仲介という主要な銀行の機能はまったく変わらない。戦後から高度経済成長期にかけて間接金融は日本経済の成長を支
えた。設備投資需要が高まった資金不足の時代で、銀行は旺盛な資金需要に応えていれば十分な収益を上げられた。その後低成長に
なって資金需要は減退し、大企業は社債や(株式などの)エクイティでの調達も増えたが、引き続き銀行融資が大きい中小企業にとって
は特に、銀行は重要な役割を担う。中小企業をいかに成長させられるかが問われている」
――中小企業、スタートアップに銀行は何ができますか。
「銀行は顧客の預金を預かっていることからあまりリスクの高いものに投資してこなかったが、できる範囲でリスクをとっていくことが求め
られている。人材も(融資中心の)デットカルチャーの銀行員が多いので、エクイティの人材を獲得し、利益相反などのリスクはコントロール
しつつ成長に寄与する支援をしていくことが必要だ」
――ネット専業銀行やフィンテックとの競争も激しくなっています。伝統的な大手銀行は生き残れるでしょうか。
「決済などは銀行が唯一の担い手ではなくなっている。確実で安全な取引を提供することをコアのサービスとしつつ、付加価値の高いサ
ービスがより求められている。身軽なネット企業に比べて巨大なシステムや支店網を抱えるため、固定費が高く不利な面はある。デジタル
専業銀行、みんなの銀行を始めたふくおかフィナンシャルグループのように、新ブランドでZ世代に訴求するような工夫が必要になってきて
いる」
「(フィンテックのような)新業態の企業とは、競争と協働の両方が必要だ。銀行が金融商品を製造して販売まですべてを担うのではなく
フィンテックなどの第三者と協業して新サービスを生み出すオープンバンキングも可能になっている。そういう時代には銀行は(金融機能の
基盤を提供する)プラットフォーマーの役割を果たしながら自らもサービスを提供するという両面を求められる。海外から(銀行が黒子として
金融機能を提供する)バンキング・アズ・ア・サービス(BaaS)の提供を目的とした銀行も出てきている」
おきな・ゆり 1984年(昭59年)慶大院修了、2011年京大博士。84年日銀へ。92年日本総研副主任研究員、主席研究員などを経て18年
から現職。金融システムが専門で、03年に産業再生機構の非常勤取締役を務めたほか、金融審議会、新しい資本主義実現会議など政
府の有識者会議にも参加。63歳。
「人口が減り、資金需要も減るため、経営環境が厳しいことに変わりはない。低金利で利ざやも稼げない。規模の経済の観点から、一
定規模以上の地域金融機関にとっては統合や合併は有力な選択肢になると思う。前向きに広いエリアで連携することで資金需要を取り
込んでいくという考え方もあっていい」
「地銀には預貸率がかなり低いところもある。そのため少しでも利益を出すため外債や長期の日本国債を保有している。金利上昇に対
してすごく脆弱になっている地銀があることは否めない」
――将来性のある企業を発掘する目利き力が落ちていませんか。
「不動産担保や経営者保証に依存する融資姿勢が目立つ金融機関もある。中には経営者保証をあまりとらないようにするなど変化も出
てきているが、道半ばだ。銀行は単に資金繰りをつけるだけではなく、企業の事業内容をみて、デジタル化やグリーントランスフォーメーシ
ョン(GX)などの観点でビジネスモデルをどうしていくべきか一緒に考えていく姿勢が求められる時代が来ている」
――これからの銀行に求められる人材像は。
「専門分野で力を発揮できるような人材が必要。これからはよりクリエーティブな提案力や、地域や異業種とネットワークを構築して新しい
ことに取り組む力のある人が求められる。こうした優秀な人材をひきつけるため、働きやすく成長実感のある職場にしていかないといけない」
「女性活躍はひとつの鍵になる。昭和時代の年功序列や性別役割分担の発想から来る『おじさん文化』から抜け出さないといけない。
若い世代や女性の視点が死角になっていないか点検してほしい。ダイバーシティーの確保は当然のことで、ダイバーシティーこそ価値だ。
特に地方の優秀な女性は東京に出てきてしまう面があるので、地銀が魅力ある環境を提供することは大切だ。育児や介護などがあっても
無理なく続けられる働きやすさも重要になる。メガバンクでは女性役員も少しずつ出てきて、高知銀行の副頭取に元日銀の河合祐子氏が
就くなど変化もある」
――長く続いた大規模な金融緩和からの転換も意識されています。米欧では金融不安もありました。金融当局に課題はありますか。
「金利動向が変わってくれば、体力が低い金融機関はじわじわ影響を受ける。万が一の破綻処理が早期かつ迅速にできる監督体制か
どうかは気にしている。日本では検査マニュアルが廃止され、自己判断で引当金を積むことになった方向はよかったと思っている。ただ、
銀行経営が悪化した場合、実質債務超過の状態になる前に破綻処理を準備できなければ大きな損失になりかねない」
2023/07/29 02:00 日経速報ニュース
米欧の利上げが終盤に入るなか、日銀は28日、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の修正を決めた。長期金利を強引
に抑え込まず、緩やかな上昇を容認する。粘り強く緩和を続ける姿勢を貫いてきた日銀の背中を押したのは、国民生活を圧迫している物
価高と円安だった。
「為替市場も含めて考えた」
「ボラティリティ―(変動率)をなるべく抑えるというところに為替市場も含めて考えた」。28日の金融政策決定会合後の記者会見で植田
和男総裁はYCCが為替相場の変動を助長していることへの懸念をにじませた。
政府が神経をとがらせたのも円安だ。27日まで円相場は1㌦=140円台で推移し、日銀が2022年12月に長期金利の上限を引き上げる
前の1㌦=137円台より円安に振れていた。円安は輸入物価の上昇を通じ、物価高を長引かせる要因になる。政府内では「140円台の
円安は明らかに行き過ぎ」との声も出ていた。
国内のインフレ率の勢いは弱まっているものの、上昇率は22年4月以降、政府・日銀が目標とする2%を上回り続けている。「物価高は日
銀の予想より明らかに上振れているが、大丈夫なのか」。政府内からは日銀の金融政策運営に疑念を呈す声も聞かれていた。
植田総裁を選んだ岸田文雄政権の支持率が下落局面にあることも今回の修正の背景にありそうだ。日本経済新聞の世論調査によると
岸田内閣の支持率は4月の52%から2カ月連続で低下。6月は39%となった。政府関係者は「今の物価高が続けば政権には打撃。いま日
銀が何もしなければ物価高に無策と映るだろう」と話す。
これまで金利上昇につながる政策修正は家計・中小企業への打撃となり、政権への逆風になると考えられていた。ところが、日銀が動
かないことが米欧との金利差を広げ、円安や物価高に拍車をかける構図が強まると状況は一変する。岸田首相が6月に閉幕した通常国
会での衆院解散を見送り、早期の総選挙の可能性が遠のいたことも日銀が動きやすい下地となった。
松野博一官房長官は28日の記者会見で、日銀がYCC修正を決めたことについて「金融緩和の持続性を高める」と歓迎した。
金利操作に伴う副作用への懸念もある。日銀は28日に公表した経済・物価情勢の展望(展望リポート)で23年度の消費者物価の前年
度比上昇率の見通しを4月時点の1.8%から2.5%に上方修正した。物価上昇はYCCの副作用を増幅する面がある。
本来、長期金利の水準は実質経済成長率や物価上昇率などを反映して決まるとされ、「経済の体温計」と言われる。物価が上昇する
局面では、理論的には金利も上昇する関係だ。
日銀のアンケートでは、個人が予想する1年後の物価上昇率の平均値は10.5%。高めに出る傾向があるとはいえ、家計や企業の物価
高に対する懸念が日銀へのプレッシャーになったとみられる。植田総裁は「上振れリスクが顕在化してから何か対応することでは後手に
回って副作用が大きくなる」と語った上で、YCCの修正は「前もってリスク対応を考えておく措置」と位置づけた。
国際通貨基金(IMF)のピエール・オリビエ・グランシャ・チーフエコノミストは25日、日銀のYCCについて「金融引き締め開始を準備する
ためにもう少し柔軟になり、距離を置くことを勧める」と語った。市場で決まる長期金利の水準を中央銀行が完全にコントロールするYCC
は海外からは異様に映る。
「植田さん自身、市場原理に反する政策には否定的な見方を持っている」。植田総裁に近い関係者はこう証言する。植田総裁も記者会
見で「長期金利の形成を市場にゆだねるという意図があるかだが、それはイエスだ」と市場機能に配慮する姿勢を示した。
YCCの修正は出口に向けた第一歩となるのか。植田総裁は「政策の正常化へ歩みだすということではない」と語り、物価目標達成へ
まだ距離があると認めた。それでも内田真一副総裁が7月上旬のインタビューで語ったように、「結果として出口に向かうのであれば、あ
そこが第一歩だったと振り返って言うことはできるかもしれない」。
2023/07/30 05:00 日経速報ニュース
【この記事のポイント】
・日銀の政策修正受け海外の国債金利に上昇圧力
・500兆円の緩和マネーが日本に還流するとの臆測
・金融システムの新たな火種になる懸念くすぶる
主要中央銀行で唯一、金融緩和を続けてきた日銀の政策修正に米欧が警戒を強めている。低金利環境下で海外に流出している500兆円
の緩和マネーが日本に戻るきっかけになりかねないためだ。緩和継続で金融市場安定の「アンカー」となってきた日銀の動向は世界市場を
揺さぶる波乱要因になる。
「世界的に影響を及ぼす大きな変化だ」。米連邦準備理事会(FRB)ウオッチャーとして知られる米紙ウォール・ストリート・ジャーナルのニッ
ク・ティミラオス記者はツイッターで、かつてニューヨーク連銀幹部を務めたクリシュナ・グーハ氏の発言を引用しながら、日銀の政策修正をこ
う表現した。
実際、28日の世界の債券市場は大きく揺れた。オーストラリアの10年物国債利回りは一時0.55%、フィリピンは同0.1%、マレーシアは同
0.035%上昇(価格は下落)した。
日本の政策修正が海を隔てた国々に波及したのはなぜか。財務省の本邦対外資産負債残高によると、国内の投資家による海外の証券
投資額は2022年末に531兆円に達する。異次元緩和で国内の低金利環境が常態化した結果、資金流出が加速し、海外投資は10年間で
約7割増えた。
日銀が長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の運用を柔軟化したことで、長期金利が13年以来、一度も超えることのなか
った1%に到達する可能性が出てきた。
投資に伴う為替リスクもない日本国債の利回りが上昇すれば、海外資産の魅力は相対的に低下する。YCCの柔軟化で日本マネーの
「里帰り」が進むとの思惑から世界の金利にも上昇圧力がかかったというわけだ。
世界の金融当局はすでにこうしたリスクに警鐘を鳴らしていた。欧州中央銀行(ECB)は5月に公表した金融システムの安定に関する報
告で、日本が金融正常化にかじを切れば、「投資のリパトリエーション(資金回帰)を促進する可能性」があると論じた。
具体的には①金利差収益を狙う「キャリートレード」が減少②国内債券の利回り上昇で、欧米債の魅力が相対的に低下③国内債券が値
下がりし、投資家のリスクセンチメントが悪化――することを通じ、日本の投資家が海外の債券に投資していた資金が本国に回帰する可能
性があるとした。
国際通貨基金(IMF)も4月にまとめた国際金融安定性報告書で、「日銀による10年来の金融緩和は、日本の投資家を海外投資に駆り立
てた」と分析した。オーストラリアやユーロ圏、米国、インドネシアやマレーシアなどを例示し、日銀が金融緩和を見直せば「資金流出に直面
する可能性がある」と指摘する。
SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミストの集計では、世界の主要84中銀のうち87%が22年に利上げした。一方、日銀
は2%の物価目標を持続的・安定的に達成していないとして、主要国の中銀で唯一、金融緩和を続けている。
日銀の政策判断が金融システムに大きな影響を及ぼすのは、日銀がリスクマネーの最後の供給源となっていることと無縁ではない。
ある日銀関係者は「政策を見直す際には、海外にどのように影響が波及するか目配りする」と強調する。一方、「自国の物価の動向をみ
て金融政策を運営するのが基本」とも話し、日銀の政策修正が金融システムの新たな火種になる懸念は残る。
日銀の植田和男総裁は28日の金融政策決定会合後の記者会見で「政策の正常化へ歩みだすということではない」と語り、今回のYCC
柔軟化が金融緩和策の出口につながるとの見方を否定した。とはいえ、国内の長期金利が10年ぶりの水準まで上昇すれば、世界の金
融当局が描くシナリオが現実味を帯びてくる。
2023/07/31 05:00 日経速報ニュース
「運用のプロ」として日本に資産運用業の道が本格的に開かれたのは1986年、投資顧問業法の施行だ。米国に遅れること半世紀。
当時、三菱銀行は米フィデリティ、住友銀行が米バンカース・トラストと組んでノウハウを得ようとした。
邦銀幹部は米運用会社に当時こう言われた。「銀行とは文化が違う。銀行員を送り込むのではなく、切り離して早く生え抜きを社長
にすべきだ」
それから37年。銀行からみた「貯蓄から投資」は未完のままだ。警鐘は当たったと認めざるをえない。運用会社は子会社扱いで、
親銀行の経営が苦しいと人員も予算も一律で絞る繰り返し。市場の危機は実は運用の好機になるが、そうしたノウハウ蓄積の場も
限られた。
それは株価が如実に示す。33年ぶり高値を回復した日経平均株価に対し、業種別株価でみた「銀行」の指数は停滞したまま。バブ
ルのピークだった89年末の5分の1の水準にとどまる。
これは家計の利子所得の減り方とそのまま重なる。94年に26兆円強あった利子所得は21年に6兆円にまで減少した。超低金利
時代に突入するなか、銀行が預金に代わる金融商品を十分提供できなかった結果、家計の資産所得は大きく損なわれ、銀行への
市場の評価も厳しいものになったといえる。
銀行は運用や提案力を携え、長期に顧客の資産形成に資する存在となれるか。預金こそ安心安全という預金神話を自ら崩す覚悟
が問われる。
三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)が突破口として狙う一つはグローバルな運用力だ。3月、英アルバコア・キャピタル・グループ
の買収を発表した。非伝統的なオルタナティブ投資の会社だ。
従来のような東京主導ではない。19年に約3000億円で買収した豪ファースト・センティア・インベスターズ(FSI)がアルバコアを傘下
に入れる。「運用力を磨き、世界の優れた人材を雇う文化や仕組みのプラットフォームをFSIが担う」(安田敬之執行役専務)。運用の
最前線での報酬のあり方も実績主義へとシフトしつつある。
国内では24年春から三菱UFJ国際投信を持ち株会社のもとに置く。親会社や販売の論理に縛られない運用会社へ向けた見直しの
一歩になる。
個人への向き合い方にも前進がみえる。三井住友フィナンシャルグループでは銀行顧客の投資信託の保有期間が22年度は平均
8.4年。4年前より4年近く延びた。「長期に分散して市場に居続けることの重要さを説く姿勢が受け入れられてきた」(三井住友銀行
の加藤聡彦執行役員)
預金と異なるリスク資産に顧客も銀行員も不慣れで、市場の変動があればすぐ売買して資産を減らすという時代から徐々に脱しつ
つある。
スマホで金融サービスを一括管理する「Olive(オリーブ)」は3月のスタートから6月時点で60万口座を獲得。銀行口座と同時に証券
口座をつくり、クレジットカードで積み立て投資まで一気に踏み出す顧客の多さに手応えがあるという。
増員する構えだ。職域での助言、ネットでの対応も合わせて計200人増やす。プロ向けのノウハウも生かし、グループとして「確定拠出
年金などを入り口に、能動的に将来の資産形成に動く層への支援を厚くする」(佐藤紀行執行役)。
しかし米金融大手の背中は遠い。JPモルガン・チェースの4?6月期決算ではアセット・ウェルスマネジメント部門の純利益は前年同
期比22%増の12億ドルと全体の利益の1割を稼ぎ、部門の自己資本利益率(ROE)は29%を記録した。
ジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は4月に公表した「株主への手紙」で、資産形成など長期に顧客との関係を築いて収益を
上げる重要性を説いた。「金利や単純な信用リスクをとるだけなら1人の人間とコンピューター1台で十分。(社員)29万人が地球を回る
必要はない」
米国をみれば金融環境が変わるときに主役も変わってきた。80年代に市場金利の優位性を生かしたMMF(マネー・マーケット・ファン
ド)で証券会社が躍進。その後の米産業の新陳代謝と株高が好循環に入ると、資産運用業が成長分野になった。
米国トップの資産運用会社ブラックロックが生まれたのは88年。37年前には存在していなかった。それが今や時価総額で16兆円と
いう存在になり、14兆円の三菱UFJFGをしのぐ。資金不足時代の発想と組織に縛られ、「貯蓄から投資」のうねりをつくり出せてこなか
った日本の銀行。顧客資産の拡大に軸を合わせた経営に今度こそ転じられるか、銀行自身の未来図のカギになる。
2023/07/31 05:00 日経速報ニュース
「待つことのコストは大きくない」。そう繰り返してきた日銀の植田和男総裁が28日、政策修正に動いた。長短金利操作(イールドカーブ・
コントロール、YCC)を柔軟化し、これまで上限としてきた0.5%を超えて長期金利が上昇することを認める。植田氏は前言をあっさり翻し、
記者会見で「(政策が後手に回れば)大変なことになる」と語った。何が植田氏を豹変(ひょうへん)させたのか。
①物価上昇を「過小評価」
日銀が今回、政策修正に動いた理由をひと言で言えば「YCCの効果と副作用が両方とも、ものすごく大きくなる事態」(植田氏)を避け
るためだ。
この1年強の間に「物価はどうせ上がらない」というデフレ時代の常識は揺らぎ、日本中で値上げや賃上げの動きが広がった。そうした
基調的な物価、いわば経済の体温が上がってきたときに、長期金利を0.5%にむりやり抑え込むという従来通りの緩和策を続けていては
、経済や物価を過度に刺激しかねない。
基調的な物価が上昇したのであれば、ある程度はそれにあわせて金利上限も高めていくのが自然――。植田氏が今回明らかにし
たこの考え方は、日銀が昨年12月に長期金利の上限を0.25%から0.5%に引き上げた際、当時の黒田東彦総裁が記者会見で説明
した理屈とも重なる。
足元のインフレについて、植田氏は「(日銀が4月時点では)不確実性を過小評価していた」と率直に認めた。物価は日銀が思って
いた以上に上がっているし、これからも想定外の上昇となる可能性がある。「将来の不確実性を今回改めて認識した」ことが豹変の
理由のひとつになった。
②後手に回れば「大変なことに」
もうひとつの理由は、効果と裏表の副作用への警戒だ。経済の体温が上がっている時に無理に金利を低く抑えれば、実態よりも低
い金利(高い価格)となった債券を売る動きが広がり、日銀の債券購入額が際限なく増えてしまう。日銀のバランスシートが膨らむだけ
でなく、金利がゆがんで企業の社債発行などにも影響を与える。
「YCCは昨年来の経験もみると(物価の)上振れリスクが顕在化したあとで対応しようとするとなかなか大変なことになる。副作用を
すごく大きくしてしまう」。日銀が昨年12月の政策変更の前後に経験したように、金融政策が後手に回れば、将来の政策変更を見込ん
だ投機筋の攻勢で市場は大混乱に陥る。債券市場が落ち着いているこのタイミングで、先手を打って動く必要があるというのが植田
氏の説明だ。
事実上の長期金利の上限を1%としたのは、次の政策修正を市場から催促されないように「のりしろ」を確保するためだ。日銀の国債
買い入れの影響を受けにくい翌日物金利スワップ(OIS)市場では、10年物は0.6%台後半まで上昇した。日銀も長期金利の実力は
そのあたりと踏んでいるのではないか。
仮に0.75%のような手の届きやすい水準に上限を設定すると、投機筋の格好の標的となってしまう。日銀はそうした「根拠のない
投機的な債券売り」(植田氏)には機動的に対応すると表明。植田氏は長期金利が1%に近づく可能性は低いとし、1%とした国債
の無制限買い取りのラインは「念のための上限キャップ」と表現した。
3番目の理由は、再び進み始めた円安だ。植田氏は「金融市場のボラティリティーをなるべく抑えるというところのなかに為替市場の
ボラティリティーも含めて考えた」と述べた。日銀が金利を低く抑え続ければ、日米金利差が広がって、円安が進みやすくなる。昨年12
月は円安で政府・与党の日銀批判が強まった後、政策変更に追い込まれた。その悪夢を繰り返すわけにはいかない。
日銀は金融政策の独立性を強調するが、人事や予算を握る政府・与党の意向から完全に自由ではいられない。為替相場に敏感な
政府・与党から批判を受ければ、日銀の信認が傷つき、政策効果にも影響が出てしまう。政府・与党から介入を受けていると市場に
見透かされる前に、先んじて動こうとする習性のようなものが日銀にはある。
今回の政策修正では①値上げや賃上げが広がり、緩和効果が想定外に拡大②金利を抑え続けることで、副作用が今後強まるリ
スクが浮上③円安が進むなか、政府・与党も政策修正を支持――という3つの条件がそろった。物価の基調がこの先さらに高まれば
、追加的な修正が視野に入る。その際には、マイナス金利の廃止も含めた政策全体の見直しが焦点になる。
もっとも、金利上昇は実体経済には大きなマイナスだ。今回の柔軟化について、日銀の9人の政策委員のうち、日立製作所出身の
中村豊明委員が「企業の稼ぐ力が高まったことを確認したうえで行う方が望ましい」とただ1人反対票を投じたのは示唆に富む。経済
や物価の先行きは見通しがたく、マーケットや政治の動向も不透明だ。大規模緩和の出口へ前進したのは間違いないが、先の霧が
晴れたわけではない。
2023/07/31 14:48 日経速報ニュース
日銀は31日、金融政策の企画・立案を担う企画局長に正木一博・金融機構局長を充てる人事を発表した。正木氏はマイナス金利政策
の導入に関わるなど、日銀の「エース」と評される人物だ。長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の運用を柔軟にする政策
修正を決めた直後の人事とあって、市場参加者の間で話題を集めている。
正木氏は量的・質的金融緩和の導入直後の2013年から17年まで、企画局の政策企画課長を務めた。その後高松支店長、金融機構
局長などを経て、6年ぶりに企画に戻る。
14年の追加緩和や16年のマイナス金利政策とYCCの導入など、黒田東彦前総裁のもとで繰り出され今も続く重要な政策に深く関与。
元副総裁の雨宮正佳氏と現副総裁の内田真一氏とともに、金融政策の立案を主導する「企画ライン」の一角として黒田日銀を支えてきた。
ある国内証券の債券ストラテジストは「重要政策に関わってきた正木氏は、遅かれ早かれ必ず企画局長に就くと思っていた」と話す。
大和証券の岩下真理チーフマーケットエコノミストは「いばらの道が予想されるなか、かじ取りは正木氏に託された」としたうえで、「エー
スの起用で、市場では金融緩和の正常化への思惑が膨らみそうだ」と語る。正木氏は金融政策の考案だけでなく、金融市場局で国債
買い入れといったオペ(公開市場操作)を担う市場調節課長も経験してきた。市場調節にも精通する正木氏の登用で「マイナス金利の
解除に向けて万全の体制となった」(岩下氏)と評価されている。
日銀は28日まで開いた金融政策決定会合でYCCの運用を柔軟化し、許容する長期金利の変動幅の上限を事実上1%に引き上げた。
31日の国内債券市場では長期金利が約9年ぶりに0.6%台に上昇。新発2年物国債の利回りが半年ぶりにプラスとなるなど、マイナス
金利解除への思惑が意識されている。
28日の日銀の決定は、将来、出口が近づいた時に柔軟な政策運営ができるようにと備えた対応との見方がある。こうしたなかで正木
氏を企画ラインに再登板させたのは、「日銀は出口に向けた準備を着実に進めている」という見方の裏付けとなるのではないか――。
市場では早くも正常化に向けた思惑が広がっている。
2023/08/01 日本経済新聞 朝刊
大手銀行グループや地方銀行が黒子となり、金融事業に参入する企業へ必要な機能を提供する動きが広がってきた。三井住友フィナン
シャルグループ(FG)傘下の三井住友カードが企業向けにスマートフォン決済のアプリを開発できるサービスを開発したほか、十六銀行な
どの地域金融機関も自治体向けに金融機能を提供する。「黒子型金融」はネット銀行が先行しており、銀行間の取り込み競争が一段と激
しくなっている。
三井住友カードがシステム構築のTISと提携して企業に提供するのは、決済やポイントの付与、送金、アプリ開発の機能を包含したスマ
ートフォン決済の基盤だ。この基盤を使って開発した決済アプリは、QRコードやクレジットカードのタッチ決済にも対応できる。顧客企業の
利用者はクレジットカードや銀行口座からチャージ(入金)し、買い物時に使える利点がある。
必要に応じて、アプリ間の送金や顔認証などの機能を盛り込めるほか、三井住友カードが提携する米ビザの加盟店で使えるため、企業
が自ら加盟店を開拓する手間も省ける。基盤を使えば企業が個別にアプリをつくるより開発費を7割減らせ、期間も4割短くできるという。
開発資金の捻出が難しい地場の食品スーパーやキャッシュレス化が進まない地方の交通事業者などの利用を想定し、売り込む方針だ。
実用化に先立ち、ANAホールディングスの「ANA Pay(ペイ)」には提供しており、そこで蓄積した技術やノウハウを基に、提供先を一段
と広げる。提供側の三井住友カードはシステムの導入料に加え、決済ごとに手数料を受け取ることで収益を確保する。
十六銀行を含む地域金融機関はNTTデータなどと組み、自治体向けに同様のサービスを始める。個人の銀行口座から特定の地域で使
える地域通貨に入金したり、地域商品券をアプリで受け取ったりすることができるようになる。
大手銀行では、三菱UFJ銀行もパートやアルバイトが給与の計算やシフトの管理をできるリクルートのアプリで銀行口座を開設できるよう
にしている。NTTドコモは三菱UFJの機能を使い、昨年12月に「dスマートバンク」を始めた。
銀行やカード会社が持つ金融機能を小売業やサービス業に提供し、スマホのアプリなどで使えるようにするのは、「エンベデッドファイナ
ンス(組み込み型金融)」の一類型だ。ネット取引が一般化し、商品やサービスの売買と同時に決済も完結させる必要性が高まっている
ため、組み込み型金融への需要も高まっている。システムを裏側で構築する黒子の金融機関にとっては、新たな収益源となる。
フィンテックなど新たな決済プレーヤーの参入が相次ぐ中で、一方的にシェアを切り崩されるのを防ぐ防衛的な側面もある。決済手段の
多様化で、自社のクレジットカードの利用が先細りしたとしても、外販によってプラットフォームの提供事業者としてのシェアを確保すれば
、決済分野での主導権を維持できるとの考え方だ。
黒子型金融で先行するのはネット銀行だ。GMOあおぞらネット銀行では、サービスの提供先が2023年6月末時点で累計500件超と
3年前の8倍以上になった。動画配信や家計管理のアプリで振り込みなどの金融機能を使えるようにしている。住信SBIネット銀行は
「ネオバンク」の提供先が高島屋や第一生命保険など10社を超えた。
航空や通信、小売りなど独自の顧客基盤を抱える企業は、金融サービスを顧客との接点を増やし、関係を強化する一環として捉えて
いる。大手金融機関や地方銀行の参入によって、安いコストで自前の決済基盤が持てることになれば、金融サービスに参入する企業が
一段と増える見通しだ。
ただ、ブランド力のある企業の決済アプリが浸透し、シェアが高まれば、銀行やカード会社の伝統的な決済基盤が侵食される恐れもあ
る。金融機関側は「組み込み型金融」によって、企業とウィンウィンの関係を築きたい考えだが、今後の技術の発展によって企業側が自ら
ノウハウを蓄積し、金融機関を頼らなくても済むようになる可能性もある。金融機関は同業間の激しい競争に対応するとともに、技術革新
に応じて絶えずサービスを刷新していく必要がある。
2023/08/02 13:20 日経速報ニュース
2日午前の東京株式市場で野村ホールディングス(8604)株が急落し、前日比8.5%安となる場面があった。きっかけは1日に発表
した2023年4~6月期決算(米国会計基準)。連結純利益は前年同期の14倍の233億円だったものの、ホールセール部門での収益
低下などが足かせとなり、市場予想(366億円)を下回った。アナリストの見方をまとめた。
■三菱UFJモルガン・スタンレー証券の辻野菜摘シニアアナリスト「出資先の損失はサプライズ」
・レーティング=「ニュートラル」(据え置き)
・目標株価=590円(据え置き)
営業部門の税引き前利益は229億円と三菱モルガン予想を80億円上回った一方、ホールセール部門は21億円にとどまり、三菱モル
ガン予想(151億円)を下回った。特に欧州の(金利やクレジット関連を取り扱う)フィクストインカムなどの収益回復が想定ほど出なかっ
たうえ、人件費が高止まりした。7月28日の日銀の長短金利操作(イールドカーブ・コントロール=YCC)の変更は顧客フローにはポジ
ティブと見ている。
サプライズは出資先の米アメリカン・センチュリー・インベストメンツ(ACI)の損失が130億円を上回ったことだ(三菱モルガン試算)。
4~6月期純利益は野村全体で233億円と三菱モルガン予想(435億円)を下回った。主因はACIの評価損約137億円(試算値。従来
の三菱モルガンの想定は評価益30億円)による。
■大和証券の渡辺和樹氏「決算の印象はややネガティブ」
・レーティング=「3(中立)」(据え置き)
・目標株価=450円(据え置き)
決算の印象はややネガティブだ。4~6月期の純利益は233億円となり、大和想定(500億円)を下回って着地した。大手米銀との
比較では、円安効果を踏まえるとフィクストインカムが軟調に見える。一過性ではあるが、米国株指数が上昇するなか、ヘッジ策を講
じるACI関連の多額の評価損(大和試算は130億円)は想定外であった。
■SMBC日興証券の村木正雄氏「海外が足を引っ張る構図」
・レーティング=「2(中立)」(据え置き)
・目標株価=531円(据え置き)
株高でリテールが回復したが、他社と異なり海外が足を引っ張る構図だ。インベストメント・マネジメント部門で7月の収益は4~6月
平均を上回ると見られるが、海外の自己資本利益率(ROE)は引き続き課題となるだろう。
2023/08/03 日本経済新聞 朝刊
日銀の内田真一副総裁は2日午後に開いた千葉市内での記者会見で、7月28日の金融政策決定会合で長短金利操作(イールドカーブ
・コントロール、YCC)を見直した狙いを「緩和をうまく、粘り強く続けていくため」と説明した。為替市場は「経済物価に対して大きな影響を及
ぼす重要なファクター」とし、政府と連携して動向を注視する意向も示した。
内田副総裁は2日午前の千葉県内の経済界関係者らが参加する金融経済懇談会での講演で、政策修正は「混乱なく緩和を続けていく
ための『備え』」とし、「当然、出口を意識したものではない」と話していた。内田副総裁が金融経済懇談会に出席するのは3月の就任後、
初めて。
日銀は7月の決定会合で、長期金利の上限の0.5%程度を「めど」とし事実上1%に引き上げる政策修正に踏み切っている。内田副総
裁は会見で1%は「念のための上限キャップ」とし、「金利が大きく上昇することは想定していない。経済を抑えるようなものになるとは考え
ていない」との考えを示した。住宅ローンについても、多くの人が選択している変動金利型には影響がないとした。
2023/08/03 日本経済新聞 朝刊
金融市場で金利上昇と為替相場の円安・ドル高が同時に進行している。日銀は政策修正に踏み切ったものの、急激な金利上昇を容認
しない姿勢が示され、緩和政策自体の撤回には当面踏み切らないと市場が見透かしたためだ。政策修正を通じ、円安抑止を狙ったとされ
る日銀の思惑とは異なる方向に進んでいる。
長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは2日、一時0.625%まで上昇(債券価格は下落)し、2014年4月以来、9年4カ月
ぶりとなる高水準を付けた。
日銀が7月28日に長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の柔軟化を決めて以降、じりじりと金利は上昇している。
さらに、日銀は8月2日、定例の国債買い入れオペ(公開市場操作)を実施した。オペの中心となる国債の買い入れ額は前回と同額だ
った。市場では日銀が一定程度の金利上昇を容認した、と受け止められたことも影響した。
一方、外国為替市場で対ドルの円相場は1㌦=143円台前半と、円安・ドル高の傾向が続いている。日銀がYCCの修正を決めた7月
28日以降、ほぼ1週間で5円ほど円安・ドル高が進んでいる。
本来、為替市場では金利が高い国の通貨が買われやすい。これまでは長期金利が0.5%以下に抑えられている日本の円に比べ、
金利が4%程度の米ドルにお金が流れやすかった。日銀の政策修正で金利が上昇すれば日米の金利差は縮まり、円高・ドル安が進ん
でもおかしくない状況だ。
金利上昇と円安・ドル高が並走する要因の一つが、日銀は穏やかな金利上昇は容認するものの、急激な動きは許容しない姿勢を示し
たためだ。
日銀は7月31日、臨時の国債買い入れオペを実施した。YCCの対象となる残存期間「5年超10年以下」の国債を対象に3000億
円を買い入れた。当日は10年債利回りが一時前日比0.065%上がるなど、急上昇する場面があった。
日銀の植田和男総裁は7月28日、「根拠のない投機的な債券売りがあまり広がらないよう、コントロールしていく」と市場をけん制し
ていた。
もう一つは日銀の緩和維持のスタンスが変わらないことだ。植田総裁は7月28日、「YCC柔軟化は(金融)政策の正常化へ歩み出す
という動きではない」と述べ、YCC修正はあくまで金融緩和を維持するための施策であると強調した。
日銀は最新の経済・物価情勢の展望(展望リポート)で消費者物価指数(生鮮食品を除く=コアCPI)の前年度比上昇率を24年度で
1.9%に引き下げ、25年度で1.6%に据え置いた。目標の2%にはとどかず、市場では「マイナス金利の撤廃はまだ先」との見方が
強まった。
金利上昇ペースが鈍いと円安傾向が続き、輸入物価高が再加速する恐れも出てくる。第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミ
ストは「日銀が金利の急上昇を許容しない限り、当面の間円安は進んでいくだろう」とみる。
ただ、今後も円安傾向が続くかは不透明だ。「今後は日銀のインフレ見通しの上方修正とともに、長期金利が1%に向けて上昇して
いく可能性が高く、円高圧力がかかる」(みずほ証券の山本雅文チーフ為替ストラテジスト)との見方もある。
物価高に目を配りつつ、金利の急上昇をどう回避していくか。日銀に課された課題は大きい。
2023/08/03 10:30 日経速報ニュース
日銀は現在、これまでの金融政策に関する多角的レビューに取り組んでいる。まとまるのは2024年夏以降になりそうだ。ここでは、過去
25年の日銀の政策が金融市場や金融システムに及ぼした副作用も分析される。長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)が
債券市場の機能に与えた影響や、マイナス金利が金融システムに与えた影響は、間違いなく分析の対象になる。
しかし、ほかにも長期にわたる低金利政策が深刻な問題をもたらした、という批判が少なくない。例えば「低金利が財政規律を弱めた」と
いうのは最も多い批判である。また、「非効率な企業を温存してきた」「過度な円安を招いた」「資産価格にバブルを起こした」「緩和の出口
で日銀が債務超過になる」等々、日銀はそれこそ多角的に批判されている。
仮に、こうした批判が正しいとすれば事態は深刻である。日銀が続けてきた政策の副作用は、債券市場や金融機関への影響など限ら
れた範囲にとどまらず、資源配分をゆがめて日本経済にダメージを与えた、あるいはこれから与える、ということになるからだ。ただ、筆者
はこれらの批判には誤解や言い過ぎの部分もあると考えている。
例えば、「低金利が非効率な企業を温存し経済の成長力を弱める」という批判は、金利を上げれば非効率な企業が退出し、資金や労働
者が生産性の高い企業に移動するという前提に基づく。
しかし、金利の影響は非効率な企業だけでなく成長企業にも及ぶ。新しい技術やビジネスモデルを持った企業が、成長していく過程で
地域経済や産業構造に化学反応を引き起こし、それが新陳代謝の原動力となる。そうした元気な企業こそ多額の資金を必要とするのだ
から、低金利は本来、経済を活性化する方向に働くはずである。日本でそれがはっきり見えないのは、他に問題があるからだ。
また、低金利の時の方が国債を発行しやすいのは当たり前の話だ。高金利で発行するより利払い費も軽減されるのだから、低金利の
もとでの国債増発を一概に否定はできない。大事なのは、その国債発行やそれに基づく財政支出が、何らかの基準に照らして過大なの
かどうかである。
残念ながら、その評価基準には明確なコンセンサスがなく、実際問題として、経済政策を貫く基本精神の影響から逃れることはできない。
デフレ脱却や2%物価目標を重視すべきだという思想の前では、低インフレである限り、国債増発にはブレーキがかかりにくくなる。財政規
律を左右するのは金利ではなく、政策思想である。
このあと仮に2%物価目標が達成されない場合でも、日銀は多角的レビューを踏まえて、いずれYCCとマイナス金利を撤廃するだろう。
それはひとつの前進だが、その後も金融緩和自体は続けなければならないかもしれない。本稿で論じた「非効率の温存」「財政規律の低
下」など、もし本当ならきわめて深刻な問題について、日銀自身の考え方を整理し、説明することもまた重要である。
2023/08/05 日経プラスワン
2024年に控える三井住友フィナンシャルグループ(FG)のVポイントとカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)のTポイントの統合に
向けて、街中での共通ポイントのため方に変化が出そうです。
ドトールグループのドトールコーヒーショップやエクセルシオールカフェなど約1200店で23年8月、Tポイント、イオングループのWAO
N(ワオン)ポイント、ロイヤリティマーケティング(東京・渋谷)が運営するPonta(ポンタ)ポイントを導入しました。7月まで共通ポイント
はNTTドコモのdポイントのみでしたが、4種類から選べます。
同グループの店舗は19年に、共通ポイントをTポイントからdポイントに切り替えました。Tポイント復活の背景には共通ポイントと加盟
店の関係の変化があります。以前、共通ポイントは加盟店が1業種1社に限定されたり、加盟店がほかの共通ポイントを導入できない
契約を結ぶ例があったりしました。しかし最近は加盟店側が共通ポイントを選び、入れ替えや複数導入する例が増えています。
共通ポイントは消費者が店に行く動機につながります。会員数が数千万人の共通ポイントは加盟店独自のポイントサービスより集客
効果が高いです。統合後の新Vポイントの使い勝手で客が集まる効果への期待が加盟店側にありそうです。
店舗で複数の共通ポイントを選べれば、消費者には便利になります。共通ポイントの競争の中で、TポイントとVポイント以外にも気に
なる動きがあります。ワオンポイントはイオングループ外へのポイントサービス提供を広げています。JR東日本のJREポイントやJR西
日本のWESTERポイントなど自社グループで運営する共通ポイントの動向にも注目したいところです。
2023/08/05 日本経済新聞 朝刊
海外勢の手じまい売りが相場の重荷になっている。日銀の政策修正や米国債の格下げなどをきっかけに海外ヘッジファンドはポジション
調整を進めている。本格化した2023年4~6月期決算発表では好業績が多いものの、相場を押し上げるには至っていない。個人の押し
目買いだけでは株高相場の「第2幕」は見通せない。
「日銀イベントの通過で、しばらくは新しい買い材料は来ないとみて今週ポジションを落とした」。ある香港のヘッジファンドの運用担当者
は話す。脱デフレなどを材料に買い進めてきた海外勢が日本株の持ち高を減らす動きが目立つ。
JPモルガンの試算によると、ヘッジファンドの日本株の持ち高は減少している。中でも世界で4000億ドル超を運用するとされる、ポート
フォリオのリスクを一定にするように売買する「リスクパリティー」系の日本株持ち高は7月に理論上の保有最大値の約30%まで上昇した
後、24%に下落した。
米インタラクティブ・ブローカーズ証券のダニエル・ケリガン最高経営責任者(CEO)は「日本企業は変化に緩慢でヘッジファンドなどが
また様子見の姿勢になっている」と指摘する。
日経平均株価は6月中旬からもち合い相場が続いてきた。だが3日までの2日間で日経平均は1317円下落。「もち合い放れにつけ」
との相場格言がある通り「海外ヘッジファンドが買いポジションを減らす動きにほかの市場参加者が追随し、実際の売りの大きさ以上の
値動きになった」(T&Dアセットマネジメントの酒井祐輔シニア・トレーダー)。
4日の日経平均は33円(0・1%)高と小動きで終わり、個人の押し目買いの勢いは限定的だった。松井証券の午前の売買代金データ
では買いが56%と売りを上回ったものの、午後に売り買いはほぼ同水準となった。
4~6月期決算についても「新たな買いを呼ぶような材料が見当たらない」(SOMPOアセットマネジメントの田中英太郎シニア・インベ
ストメントマネージャー)。業績上振れ要因は値上げ、インバウンド消費や自動車生産の回復など既に織り込まれた材料が大半と同氏は
指摘する。
4日に公表された大量保有報告書では英運用会社ベイリー・ギフォードがトプコンの保有比率を引き下げた。リオープン(経済再開)銘
柄の一部にも利益確定の売りが出ている。
海外勢の買いが途絶えたわけではない。3日にブラックロックが大成建設などの買い増しを報告した。半導体工場の新設など国内の
設備投資の増加も追い風になる。
構造改革を進める銘柄も買われた。花王が3日に中国での紙おむつ生産終了を発表すると、4日の株価は6%上昇した。ただ、しんき
んアセットマネジメント投信の藤原直樹シニアファンドマネージャーは花王を評価しつつも「改革の動きは大企業のほんの一部に限られ
ている」と話す。
上値を追う勢いにかけるのは、これまでの株高のテーマの次が見いだせていないためだ。より多くの企業で新たな成長に向けた動き
が見えることが株高相場の再始動に必要となる。
2023/08/06 04:00 日経速報ニュース
6月、シティグループ証券はジャパン101ミーティングを始めた。「101」とは入門の意味。同社アナリストが推奨する日本株の1つを取り上
げ、オンラインで世界の投資家に向けて事業内容や強みなどを基本から解説する。これまで12回開催し、アジアの投資家を中心に毎回
20?30人が参加した。
シティには海外投資家から「円安以外に日本株に強気になる材料を教えて欲しい」「東証の低PBR(株価純資産倍率)改革の詳細を知り
たい」といった問い合わせが相次ぐ。武田理奈エクイティ営業部共同部長は「日本株を見ていなかった香港やシンガポールの投資家が関
心を持ち始めた」と話す。
【関連記事】割安日本株の逆襲はまだ続く
日経平均株価が33年ぶりの高値圏にある。その原動力は海外投資家だ。日本取引所グループによると、4月以降の17週間で海外投資
家は現物と先物合計で8兆円超の日本株を買い越した。アベノミクスが始まった2012年11月以降の17週間の買越額は6兆円超であり、今
回は勢いで勝る。
それでは海外マネーはどんな銘柄に向かったのか。QUICK・ファクトセットのデータを使い、22年末から7月末までに海外投資家(日本以
外に本社がある法人)の保有金額が増えた銘柄を抽出したところ、上位には東京エレクトロンやソニーグループなど主力の大型株が並んだ。
その背景には買い手が「指数プレーヤー」だったことがある。4月以降、世界株の中でも日本株の上昇が目立ち始めると、ベンチマーク
(運用目標)より少なくしていた日本株の持ち高を増やそうと、株価指数先物や指数連動型ファンドに資金が入った。投資家別で見ても同
期間に日本株の保有額が増えたのは米バンガードやブラックロックなど指数連動型運用に強みを持つ運用会社だった。
指数プレーヤー主導の上昇が海外勢の買いの「第1幕」だとすれば、足元では個別株を物色する「第2幕」の兆しが出てきた。
海外投資家の保有比率が上昇した銘柄をみると、上位にはそーせいグループやセントラル硝子など中小型株が目立つ。保有比率が約
6ポイント上昇したウシオ電機は英M&Gインベストメンツの日本株ファンドに組み入れられている。日本株のアクティブファンドにも資金が流
入し、個別株買いを後押ししている。
【関連記事】外国人買い第2波呼ぶのは「高くなるニッポン」
グローバルな投資家による日本株の投資判断の引き上げも相次いでいる。ブラックロックが6月に「弱気」から「中立」に引き上げたほか
、英シュローダーや仏アムンディなども「中立」に変更した。こうした投資家の日本株買いが広がれば「個別銘柄の選別が強まる」とシテ
ィの武田氏は見る。
「今後10年保有したい」。1250億カナダドル(約13兆円)を運用するカナダのオンタリオ州地方公務員年金基金は6月、高い技術力を持
つ日本企業に投資していることを明かした。「日本には優れた事業を展開し、企業統治に注意を払い、高い配当金を出す企業がある」と話す。
日本株に世界のマネーが流入したのは03年からの小泉相場、12年からのアベノミクス相場に続き3回目だ。スパークス・グループの阿
部修平社長は過去2回の相場との違いについて、「今回は海外投資家が日本が長いデフレから脱却しつつあることに気づいている」と指摘
する。
7月28日には日銀が長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の柔軟化を発表した。市場は「金融緩和継続」と受け止め、外国
為替市場では円安が進行。輸出銘柄に追い風が吹く。最低賃金の引き上げが決まり、実質賃金がプラスに転じれば、内需銘柄にも期待
が高まる。
川真チーフ・ポートフォリオストラテジストは「早ければ秋にも本格上昇が始まる」とみる。
「インデックス買い」から個別株の物色へ 割安・好業績・中小型株に触手
今回の株高で海外投資家に買われた銘柄は何か。QUICK・ファクトセットのデータを使い、7月末時点の海外投資家(日本以外に本社が
ある法人)の株式保有比率が2022年末比で上昇した銘柄をランキングしたところ、中小型株や割安株が上位に入った。大型株買いが目立
つなかでも、個別銘柄を物色する動きが広がり始めている。
5位のセントラル硝子や9位のイエローハットなど、PBR(株価純資産倍率)が1倍を割る銘柄に買いが入った。オービス・インベストメンツ
日本法人の時国司社長は「東証の是正要請を受け、今度こそ日本企業の資本政策が変わると期待している」と話す。
低PBR改善に向けて動き出している企業もある。7位のウシオ電機は5月、発行済み株式(自己株式を除く)の17%に相当する300億円を
上限とする大規模な自社株買いを実施すると発表した。当時0.8倍台だったPBRを引き上げる狙い。英M&Gインベストメンツは7月、同社株
を5.2%まで買い増したと大量保有報告書で公表した。
株価が下落し相対的に割安になったタイミングでの買いもある。4位の創薬スタートアップのそーせいグループは6月27日、提携先の米
ファイザーが糖尿病薬の開発を中止すると発表したことを受け、株価がストップ安の前日比22%安を付けた。株価下落後の7月、米運用大
手キャピタル・リサーチ・アンド・マネージメントは保有割合を5.9%から7.3%(共同保有を含む)に引き上げたことを明らかにした。
そーせいは海外投資家に向けたIR(投資家向け広報活動)に力を入れている。3月に東証グロースからプライムに移行したことをきっか
けに、「欧州と米国で対面でのIRを増やしている」(クリストファー・カーギル社長)。足元ではスイス製薬の日本事業の買収が好感され、
株価は回復傾向にある。
円安・ドル高を受けて中小型の輸出銘柄にも買いが入った。14位の小型建機メーカーの竹内製作所は24年2月期の連結純利益が
172億円と過去最高を更新する見通し。同社は海外売上高比率が9割超の輸出銘柄として海外投資家にも知られている。米フィデリティ
・マネジメント&リサーチは22年から徐々に買い増している。
個別株の物色は地方の中小型株にも及ぶ。三重県菰野町に本社を置くジャパンマテリアルが11位に入った。半導体工場向け特殊ガス
を手掛ける予想PER(株価収益率)が52倍台の中型グロース(成長)株だ。22年11月には台湾積体電路製造(TSMC)などが建設を進める
熊本県の工場にガスを供給する拠点を設けた。
一方で外国人保有株の金額ベースの増加額のランキングでは、別の景色が見えてくる。1位の東京エレクトロンや4位のキーエンスな
ど、「海外投資家が好むわかりやすい大型株」(国内証券のストラテジスト)が並ぶ。上位でPBR1倍割れの割安株は三菱UFJフィナンシャ
ル・グループなどの銀行と日本製鉄だけだ。
4月以降、日本株の注目が集まると、株価指数先物や指数連動型のファンドに資金が入り、大型株が買われた。例えば東京エレクト
ロンは米ブラックロックの「iシェアーズMSCIジャパンETF」に組み入れられている。
足元で海外勢による日本株買いは一服しているが、BofA証券の圷正嗣チーフ日本株ストラテジストは「脱デフレによる賃金上昇や業績
の上方修正への期待から、海外勢の買いはじわじわ増えていくだろう」とみる。「第2幕」の主役は個別株になる可能性が高く、各企業の
動向に目を凝らすことが重要だ。
2023/08/06 05:00 日経速報ニュース
日本初の銀行、第一国立銀行(現みずほ銀行)の設立から150年の7月、日本経済新聞は連載企画「銀行150年 新たな挑戦」を
スタートした。テクノロジーの進化で金融の境界線が揺らぎ、銀行は成長か衰退かの岐路に立つ。成長を切り開いていくために何が
必要か。メガバンクの戦略から人材獲得、金融規制まで6つの論点を取り上げた。
連載を終え、執筆した6人の記者と担当デスクで記者座談会を開いた。取材の現場で記者は何を見聞きし、記事にどんなメッセージ
を込めたのか。銀行や金融当局への厳しい注文も飛び出した。
みずほ、幻の社名変更
石川潤デスク「150年目の銀行はどう変わろうとしているのか。日本の金融をリードするメガバンクはどうか」
渡辺淳記者(金融機関キャップ)「名は体を表すというが、象徴的なのが、みずほフィナンシャルグループ(FG)が新しい中期経営計画
をつくるにあたって、会社名から『フィナンシャル』を削除することを議論していたことだ。企業の課題が高度化し、金融だけではソリュー
ションを提示できなくなっている。結局は法律の縛りもあってお蔵入りとなったが、考えさせられた。三井住友FGの太田純社長も金融だ
けでは顧客のニーズに応えられないと語っていた。金融グループの中で銀行の位置づけが落ちていると感じた」
玉木淳金融エディター「メガバンクの進む方向の羅針盤として、トップの発言はシャープだ。ただ、思いは伝わるが、重要なのは行動に
どう移すか。メガバンクはずっと前から脱銀行と言っているが、スピードが足りない。銀行法の改正を自分たちで働きかけるというところま
でやっていないのではないか」
五艘志織記者(日銀担当)「メガバンクの地位低下は若者世代の友人と話していても感じる。取材で東洋大学の野崎浩成教授は(顧
客の購買行動の入り口である)カスタマージャーニーが始まるところで負けていると言っていた。私自身は『楽天経済圏』に入り込んで
いるが、そこで使える銀行、カードという視点で金融サービスが選ばれていく。銀行はそうした経済圏を持つ企業の裏方に回るのか、戦
うのか、岐路に立たされている」
石川「三菱UFJFGの亀澤宏規社長は黒子になると宣言していた。一方で、自分たちで経済圏をつくろうとしている銀行もあるね」
渡辺「メガバンク幹部が注目しているのはJPモルガン・チェースだ。旅行会社を買収し、チェースカードを自分たちのポータルで使って
もらい、利用者を循環させるビジネスモデルだ。練りあがったビジネスだが、難易度は高い。三菱UFJのような割り切りもありだろう。旅
行、買い物、ストリーミングとネット上のあらゆるサービスに決済は必要で、金融のフロンティアが広がっている。その裏側を引き受けて、
ボリュームをとって稼ぐという道も戦略としてありだ」
テクノロジーは武器か、脅威か
石川「銀行はテクノロジーを使いこなせているのだろうか」
北川開記者(大手銀・ネット銀担当)「住信SBIネット銀行は人工知能(AI)を使った自動審査で融資を拡大している。上限3000万円
なのでメガバンクにとって脅威ではないが、これまで銀行の手が届いていなかったスタートアップへのファイナンスという意味で社会的
に意義がある。数十分かかっていた与信判断が1秒でできる。面白いのは住信SBIがこのシステムを愛媛銀行などの地銀にも提供し
ていることだ」
湯浅兼輔記者(金融庁キャップ)「金融の分野にはフィンテックも入ってきている。銀行も最新のテクノロジーを使わないと対抗してい
けない。金融庁は銀行法を段階的に改正し、銀行の業務範囲を広げている。武器は提供してやるから、稼げないなら稼げる分野に
入っていけというメッセージを常日ごろから出している」
渡辺「QRコード決済大手のPayPayの特許出願数は、メガバンク3つをあわせた数より大きいというデータもある。自分たちで新しい
サービスをイノベーティブに作っていく気概を(銀行から)感じられるだろうか。バンク・オブ・アメリカなどの海外大手との差はさらに大きい。
日本の銀行はこれでいいのか」
石川「テクノロジーには倫理面の問題もある」
北川「中国のアリババグループのゴマ信用では、資産、収入、属性だけでなく、交友関係や購買履歴などをあわせて個人の信用
スコアを算出している。これまでお金を貸せなかった人に貸せるようになる半面、お金を借りられず、なぜ借りられないのかさえ分から
ない人も出てくるだろう。使う情報が遺伝情報などに広がれば、事態はより深刻になる。人権的にどうなのか。法整備も必要になるだろう」
【記事はこちら】②銀行の優勝劣敗、AIが決める 審査1秒で切り開く成長
地域再生、銀行は担えるか
石川「メガバンクだけでなく、地銀がどう成長していくのか。地域活性化の軸になれるかというのも重いテーマだ」
玉木「銀行の原点は地域だ。銀行は1927年に制定された銀行法で兼業が禁じられ、銀行しかやっちゃダメと言われてきた。だが、
規制緩和で銀行が人材ビジネスとか、地域商社、発電所を自分でつくるようになっている。地域のインフラを全部背負って、担い手
になろうとしている。地銀はもしかしたら『かつて地銀だったね』といわれるような存在になるかもしれない」
渡辺「日本の個人金融資産のうち、現預金が5割以上、1000兆円ある。銀行にお金が集まるのは信用信頼の証といえるが、いつ
まで続くのか。メガバンクはまだいいが、これから若い世代への資産承継が進んでいけば、地銀から都市部の銀行へとお金が抜けて
いくことになる。20、30年のスパンで考えたとき、そのうち預金の確保が苦しくなる銀行も出てくるのではないか」
玉木「同感だ。預金は勝手に来るものと思っているが、人口が大幅に減少し、人口の分布が変わってくるなか、地銀は優勝劣敗の
敗の方に入る可能性がある。どうやって稼いでいくのか、ビジネスを転換しないと生き残りすら危ぶまれる。そこまでの危機感を持って
いる銀行は少ない」
湯浅「銀行はストックビジネスで、突然死しないと思っている」
玉木「日本では経営が悪化しても公的資金や他行への吸収などで、潰されることなく温存されている。最後は救ってくれるという感覚
ができてしまった。これが銀行の危機感を奪い、進化を止めているのではないか」
【記事はこちら】③銀行が主役の地域再生 「5%ルール」例外拡大の光と影
石川「こうした変化に対応できる人材が銀行にはそろっているのか」
五艘「どう人材のポートフォリオを見直していくかがポイントだ。経営陣は東大卒、企画・人事畑、いわゆる文系エリートのような人たち
が占めてきた。この人たちがどこまでテックの人材を受け入れながら変わっていけるか。みずほ銀行が21年にシステム障害を起こした
際、人材配置のミスマッチが指摘された。みずほではこの反省から、積極的に異色の人材を採ろうとしている。米IT(情報技術)大手の
GAFAにいた人、日本マクドナルドでネットマーケティングした人、いろいろな人を受け入れている。一方で中途入社した人からは、銀行
はリスクマネジメントの感度が高いこともあって意思決定が遅いので、新しいことにチャレンジするハードルが高いという戸惑いも聞かれ
る。まさに銀行の覚悟が問われている」
北川「JPモルガンでは全社員の5人の1人がエンジニア。住信SBIは正社員の約半数がITや技術系の業務に携わり、かなり先を行
っている。ただ、メガバンクも変わろうとしている。純血主義といわれてきたが、採用数をみると、中途と新卒が半々ぐらいになりそうな
銀行もある。かつては銀行を辞めたら裏切り者みたいな扱いを受けたが、いまでは辞めた人材を再び受け入れている。変わる力はある
と思う」
玉木「三井住友信託銀行は国際的に活動する環境NGO(非政府組織)の日本代表を雇った。変わらなければいけないという危機感
が強まっているのではないか」
石川「理系出身者がメガバンクのトップになる時代になったが、女性や海外出身者のトップも生まれるだろうか」
玉木「(若手行員に占める女性の割合などを考えれば)女性はあるでしょう。海外出身者はどうだろう」
渡辺「海外出身者は、収益の海外比率が高い損害保険会社ではあり得るのではないか。銀行ではそういった気配は感じない」
玉木「みずほの不祥事の時、海外の人をトップにしたらいいという意見が金融庁にあった」
五艘「外からの風を取り込むのは大事だが、専門人材ばかり優遇されているとプロパーが感じ始めたら内部から崩壊しかねない。処
遇は丁寧にやっていくべきだ」
【記事はこちら】④異才が変える銀行の常識 「人材の宝庫」は輝くか
37年越しの「貯蓄から投資」
石川「これからの成長を考えるときに、資産運用は大きな軸になる」
藤田和明編集委員「印象的なのは37年前のエピソード。投資顧問業法ができたとき、三菱銀行は米フィデリティ、住友銀行は米バ
ンカース・トラストに力を貸してくれという話になった。そのとき受けた警鐘は『銀行員がやるんじゃない。できるだけ早くプロパーを。
カルチャーが違うのだから』というものだった。それから37年、金融庁が4月末に公表したプログレスリポートで指摘したように、資産
運用会社はガバナンスに課題がある。資産運用で骨をうずめるんだという人が、トップをやっていない」
石川「変わろうとしているのか」
藤田「もちろん変化もあって、三井住友に聞くと、投信の保有期間が8年に延びている。変動するモノを長期で分散して果実を長期
的に得られるようにと、徐々に変化は起きている。資産運用部門は財務的にはあまり資本を使わずに収益を上げられる部門だ。ここ
のボリュームが出てくると銀行の収益性が高まる。JPモルガンのダイモン最高経営責任者(CEO)が4月の株主への手紙で『金利や
単純な信用リスクをとるだけなら1人の人間とコンピューター1台で十分。(社員)29万人が地球を回る必要はない』と顧客との関係構
築の重要性を強調していた」
渡辺「金融庁のリポートを受けて、金融機関は改善策を検討しているが、当局の要請にどう応えるかというところに終始している印
象がある。形格好だけでなく、本質的な変化をどう生み出すかが重要だ」
銀行法の縛りは必要か
湯浅「金融と非金融の垣根が低くなってきたときに、業法で縛りをかけているのが適切なのかという問題もある。金融庁もかつて、業
法ではなく、金融サービスの機能によって規制をしていくべきだと主張していたことがある。たとえば決済では、国内為替も含めてすべ
ての決済を統一的に監督するようにすれば、PayPayも管轄できる。資産運用も同じだ。金融庁も問題意識はあるが、業法を少しずつ変
えることで対応してきた。ただ、それは弥縫(びほう)策だと思う。業法に縛られない企業が急成長して、縛られている企業が付いていけ
なくなっている。同じサービスなら同じ土俵で戦うべきで、いまから本格的に議論すべきだ」
渡辺「金融庁は銀行に何を期待しているのか。世界有数の金融機関に成長してほしいのか。日々のオペレーションをしっかりやって
ほしいのか」
玉木「金融庁は以前にも国際金融都市構想を打ち出したことがある。今回の資産運用立国プランもベースの思想は一緒だが、資産
用にシフトして銀行が中心でないというところに時代の転機を感じる。主役が銀行ではないと暗喩されている。規制に関していえば、金
融庁には二面性のようなものがある。(成長を唱える一方で)安定を求めたがるのが当局者。ノンバンクが増えるのは困るので、バンクの
世界で制御したいのが本音。銀行はある意味、被害者という面もある」
藤田「資産運用を本気でやるなら、金融庁に資産運用課をつくればいい」
湯浅「(肥大化を避けるため)課は増やせない。どこかを潰さなくちゃいけない」
玉木「金融庁自身が銀行を頂点に置くヒエラルキーを壊さないといけない。金融庁で資産運用は大事という人が多いが、結局は歴代
本の金融が大きな曲がり角に差し掛かっていることだけは間違いない。我々はよりいっそう取材に力を入れる必要があるということを
確認して、本日はお開きとしましょう」
【記事はこちら】PayPayは個人送金2億回超え 縦割り規制、誰のため?
記者座談会の参加者
渡辺淳 金融機関取材を統括するキャップ。日々の取材で念頭に置いている言葉は「神は乗り越えられる試練しか与えない」。
北川開 大手銀・ネット銀担当。取材対象の商品・サービスはなるべく試すようにしており、銀行口座は6つ、クレジットカードは10枚
以上保有。
玉木淳 銀行取材歴20年の金融エディター。毎年、一晩かけて80キロメートルを歩く強歩大会に参加。銀行の生き残りレースの難し
さは強歩大会と重なる。
五艘志織 大手行担当を経て日銀担当。趣味で所属するオーケストラが人手不足。人材をひきつけるにはまず対話とミスマッチ防止
だと実感。
藤田和明 編集委員。東京証券部、ニューヨーク駐在などで一貫してマーケットを取材。資産運用分野のカバーは1990年代後半の
金融ビッグバンの前から。
湯浅兼輔 金融庁キャップ。現勤務地の虎ノ門周辺の再開発は桁違い。日本経済の地力を感じつつ、雑多な街並みがなくなってい
くことに一抹の寂しさも。
石川潤 今回の企画の担当デスク。日銀、財務省、金融機関などを取材し、2022年までベルリン支局長。モットーは「誠実に、しかし
大胆に」。
【ビジュアルで振り返る銀行150年】
源流は新1万円札の顔・渋沢栄一 銀行150年の栄枯盛衰
2023/08/08 日本経済新聞 朝刊
株式相場が方向感を欠くなか、PBR(株価純資産倍率)が極端に低い「超割安株」が注目され始めている。小泉相場やアベノミクス相場
と比べると市場全体に占める超割安株の割合はまだ高く、資金流入の余地が大きいためだ。足元の決算発表では株主還元の強化など企
業の低PBR対策が相次ぎ、投資家の期待感が高まっている。
「期待していた内容が出てきた」。三菱UFJ国際投信の友利啓明氏はいう。運用するファンドで保有する日本郵船が3日昼に上限2000
億円の自社株買いを発表したためだ。自社株買いの方針は3月に発表した中期経営計画に盛り込まれていたが、市場は「有言実行」を好
感。株価は発表から約1割上昇した。
4~6月期決算にあわせた還元強化の発表が目立つ。運輸事業などを手掛けるニッコンホールディングスは4日、毎年の配当を増額ま
たは維持し、減配しない「累進配当」の方針を発表。三菱商事系の日本食品化工は7月31日に中間配当を導入するとした。
還元強化の発表は通常、中間期(4~9月期)か通期決算時が多い。しかし、今年は前倒しの発表が相次ぐ。東京証券取引所の低PBR
是正要請を受け、対応策は出せるものから出そう、という企業の姿勢が垣間見える。対応策の発表は「これからもっと増え、盛り上がる」(
友利氏)。
ゴールドマン・サックス証券のブルース・カーク氏も「市場の注目は再び低PBR対策に移る」と予想する。6月までの日本株ラリーに乗り
損ねた海外投資家に推奨するのが、PBRが0・5倍を下回る「超割安株」だ。
背景には過去の大相場の経験がある。2003年からの小泉相場を振り返ると、東証1部全体に占める超割安株の比率は02年末時点
で21%だったが、04年3月には5%を下回り、05年9月にはほぼゼロになった。
アベノミクス相場も同様だ。超割安株の比率は12年10月時点で22%だったが14年末には5%まで低下した。株高が続くなかで、出
遅れた銘柄に買いが向かったことがうかがえる。
今回はどうか。超割安株の比率は22年末時点の15%からは低下したが、7月下旬でなお9%と高止まる。長期株高を想定するなら
「まだ買える銘柄はある」というのがカーク氏の見立てだ。
農林中金全共連アセットマネジメントの山本健豪氏は西日本フィナンシャルホールディングスや七十七銀行など銀行株に注目する。運用
するファンドの一つではおよそ1割を銀行株が占める。銀行株は大半がPBR0・5倍未満だが、低PBRでも流動性の乏しい銘柄は避けて
選別しているという。
超割安株は主力の大型株に比べ、そもそも保有している機関投資家が少ないため、先物売り主導で相場全体が下げる局面でも影響を
受けにくい面がある。7日も日本郵政(PBR0・35倍)や日本製紙(同0・4倍)、日本電気硝子(同0・45倍)などは上昇した。
もっとも、超割安株にまでマネーが浸透するには海外勢の日本株への関心が続く必要がある。企業も低PBRを脱するためには投資家の
買いを待つだけでなく、収益改善など実効性のある改革を打ち出す必要がある。還元強化はいわば、その第1段階だ。投資家の期待に応
える回答が相次げば、いよいよ長期株高への道筋が開けてくる。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-08-07/RYUW9MT0G1KW01?srnd=cojp-v2
SECの制裁金総額は2.89億ドル、CFTCも4行に合計2.6億ドル
一連の調査決着のための制裁金は21年12月以降で計25億ドルを超える
ウォール街の大手金融機関の通信記録管理に対し、米証券取引委員会(SEC)などが監視を強める中で、米銀ウェルズ・ファーゴや
フランスの銀行BNPパリバは、「ワッツアップ」など非公式の通信手段を使うビジネスメッセージのやりとりを巡り、多額の制裁金を支
払うことに同意した。
SECと米商品先物取引委員会(CFTC)が8日公表した一連の処分を合わせると、ビジネス関連のメッセージ保全に関係する調査
を決着させるための制裁金は、2021年12月以降で総額25億ドル(約3580億円)を上回る。
SECの発表によれば、この問題の決着に向け、ウェルズ・ファーゴの複数の部門が合計1億2500万ドル、BNPパリバは3500万ドル
の支払いに応じる。
両行以外の支払額は、BMOキャピタル・マーケッツと米国みずほ証券がそれぞれ2500万ドル、SMBC日興セキュリティーズ・アメ
リカが900万ドルなど。11社で合計2億8900万ドルをSECに支払う。
これとは別にウェルズ・ファーゴとBNPは、デリバティブ(金融派生商品)ブローカレッジ部門での同様の違反を決着させるため、CF
TCへの7500万ドルの支払いにそれぞれ同意した。ソシエテ・ジェネラルとモントリオール銀行を含む4行の支払総額は2億6600万ドル
となる。
無許可の通信アプリや個人の電子メールをビジネスのやりとりに使用することで、監視の目が届かないことにSECとCFTCは不満
を募らせ、行員や社員の通信記録保持の不備に対し、取り締まりを強化している。
ウェルズ・ファーゴの広報担当ローリー・カイト氏とBMOの広報担当者は、調査の決着をうれしく思うと回答した。BNPとみずほ、
ソシエテ・ジェネラル、SMBC日興はコメントを控えている。
2023/08/09 19:53 日経速報ニュース
9日の国内債券市場で長期金利が低下(債券価格は上昇)し、0.565%と2週間ぶりの低水準を付けた。30年物国債入札で投資家の
需要が確認できたことに加え、海外市場の金利低下が日本にも波及し、日銀が長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)を
修正して以来の長期金利上昇が一服した。
長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは前日比0.04%低い0.565%と、日銀が政策修正に動いた7月28日以来の低水準を付
けた。
財務省が8日実施した30年物国債入札では、応札額を落札額で割った応札倍率が1年7カ月ぶり高水準となった。投資家の需要が強
いことが示され、幅広い年限の国債買いにつながった。
厚生労働省が8日発表した6月の毎月勤労統計速報で現金給与総額が市場予想を下回った。日銀は今後の物価動向を見極めるため
に賃上げ動向を重視する方針を示している。賃金の下振れで日銀の政策修正が遠のいたとの見方も国債買いを誘った。
また、日本時間8日から9日にかけて、一部の大手格付け会社による米銀の格下げを受けたリスク回避の動きで米長期金利が一時4%
を下回った。米債利回りの上昇一服を受けて日本の国債に買いが波及した面もある。
東海東京証券の佐野一彦チーフ債券ストラテジストは「日銀の国債買い入れも金利低下に効いている」と指摘する。
日銀は9日、政策修正後では2回目となる通常の国債買い入れオペ(公開市場操作)を実施した。買い入れ額は全ての年限で政策修正
前から据え置いており、残存5?10年の国債は1回あたり6750億円を買い入れている。1カ月あたりの買い入れ額は10年債の発行額(2
兆7000億円)に匹敵するため、需給が引き締まりやすい状況となっている。
もっとも、金利低下がこのまま続くかは不透明だ。岡三証券の鈴木誠債券シニア・ストラテジストは「日本でも物価上昇が続き、さらなる
政策修正観測もくすぶるなか、0.55%を下回る水準でも国債買いに動く投資家は限られるだろう」と指摘する。
2023/08/10 日本経済新聞 朝刊
欧米発の金融不安が悪材料となるなかで、日本株が底堅さを保っている。9日はイタリアの追加課税に端を発した欧州の銀行株安が
波及し、メガバンクなど金融株が下げたものの日経平均株価の下げ幅は限られた。日米の景気回復や日本企業による過去最高の株主
還元が材料視され、株価を下支えしている。
9日の日経平均は前日比172円安の3万2204円で取引を終えた。下げが目立ったのが三菱UFJフィナンシャル・グループや第一生命
ホールディングスといった金融株だ。
背景にあるのは欧米で浮上した金融不安だ。イタリア政府は7日、欧州中央銀行(ECB)の利上げで金利収入が膨らんでいるのに目を
付け、銀行への追加課税を発表。伊銀行大手インテーザ・サンパオロは9%安、ウニクレディトも6%下落した。米国でも銀行株が売られた。
米格付け会社が一部の米地方銀行を格下げしたためだ。
日本の銀行株は、欧米の銀行株が大きく下げれば連動した売りに押される。ポートフォリオに占める邦銀株の比率が相対的に上がり
「比率上昇を抑えるために機械的に邦銀株を売る動きが出る」(外資系証券のトレーダー)ためだ。
金融株は総じて下落したものの、日経平均の下げ幅は小幅にとどまった。3月の米シリコンバレーバンク(SVB)破綻時は日経平均は
一時1600円安、先週の米格付け会社フィッチ・レーティングスによる米国債の格下げでは1300円安と急落した。3月のSVB破綻時は
ショック安から短期間で相場が反転したため「今回も短期で終わる」と投資家に慣れが出てきている面がありそうだ。
日米景気の堅調さも株価の支えとなっている。野村アセットマネジメントの石黒英之シニア・ストラテジストは先行きの世界景気の動向を
示す経済協力開発機構(OECD)の景気先行指数に着目する。4日発表の7月分では日本は好不況の境目となる100を6カ月連続で上
回る。米国も4カ月連続で改善し、底入れからの反転が鮮明だ。
さらに、S&P500種株価指数の構成銘柄の1年先予想の1株利益が回復基調にあり「24~25年には過去最高益の更新が見込まれる
」(野村アセットの石黒氏)。米景気回復と企業業績の改善という前提が崩れなければ、米株式相場はじり高傾向が続くとみる。日本株も
調整が長引くとは想定しづらい。
日本独自の株高要因も健在だ。9日は神戸製鋼所が一時15%高となった。前日に24年3月期の純利益が過去最高となる見通しを示す
と同時に、配当性向を従来の15~25%から30%程度に引き上げたのが好感された。
米モルガン・スタンレーのダニエル・ブレイク氏は23年に日本企業は配当と自社株買いで過去最高の30兆円を支出すると試算する。株
主還元の拡充というテーマが相場を下支えする。
日経平均は7月3日に年初来高値(3万3753円)を付けて以降、1カ月以上更新が止まっている。一方、東証株価指数(TOPIX)は8月
に年初来高値を更新した。市場では「8月後半にかけどちらの指数の力が強いのかが注目される」(みずほ証券の三浦豊シニアテクニカル
アナリスト)との声が出ている。
2023/08/12 05:30 日経速報ニュース
【この記事のポイント】
・国内の消費支出は65歳以上の世帯が4割
・年金暮らし世帯がGDPの15%を左右
・高齢者の消費活性化がデフレ脱却と連動
賃上げが30年ぶりの高水準となり、消費の押し上げ効果への期待が高まるなか、高齢化社会ならではの課題が浮かび上がってきた。
国内の消費支出は65歳以上世帯が4割を占め、年金暮らしの世帯が国内総生産(GDP)の15%に影響する。物価高で賃上げが進んでも
年金世帯は恩恵を受けにくい。高齢者の消費活性化がデフレ脱却を左右する。
「将来を考えるとなかなか思い切ってお金を使えない」。横浜市の70代の男性はこう話す。孫へのプレゼントなどには財布のひもは緩む
が、大きな買い物は控えがちだ。
高齢者の消費支出に占める存在感は高まっている。世帯主が65歳以上の世帯の2022年の1カ月平均の支出は21万1780円だった。
全体に占める割合は約39%になる。少子高齢化に伴い、20年前の約23%からほぼ倍になった。団塊世代の高齢者入りが一巡したことな
どから、10年代後半から頭打ち傾向にあるものの、団塊ジュニア世代が高齢者になる30年代からは伸びが再加速する可能性がある。
持ち家を借家とみなした場合に想定される家賃を除いた消費額をもとに第一生命経済研究所の星野卓也氏が試算したところ、年金暮
らしと考えられる平均年齢74.5歳の無職世帯の消費額は22年に33%を占めた。
日本の22年の名目GDPの実額は556兆円で、5割を個人消費が占める。GDP全体の15%程度を年金世帯の消費が担っていることになる。
消費者物価指数は生鮮食品を除く総合が6月まで10カ月連続で3%を超えた。今年の春季労使交渉の賃上げ率は連合の最終集計で
3.58%と30年ぶりの水準だ。ただ賃上げの恩恵は年金世帯には及ばず、物価高で年金支給額は実質的に減る。
22年の物価上昇などを受け、既に年金を受け取っている68歳以上の人は23年度の支給額が前年度比1.9%増と、3年ぶりに増える。
物価の伸び以上に年金額が増えない仕組みになっており、2.5%の物価上昇率を加味すると実質的にマイナス圏に沈む。
日本総合研究所の西岡慎一氏は今後、物価が2%伸びても給付を抑制する「マクロ経済スライド」の発動で受給済みの人の年金の伸
びは1%程度にとどまると試算する。この場合、60歳以上で無職の世帯の消費は0.2ポイント押し下げられるという。
一方で高齢世帯は金融資産が多い。日銀の資金循環統計によると23年3月末の家計の金融資産は2043兆円と、過去最高だった。
19年の全国家計構造調査では、65歳以上の無職世帯の夫婦の金融資産は1915万円で、全世帯平均より636万円も多い。
65歳以上世帯の金融資産の7割弱は現預金だ。物価高では現預金の価値が目減りする。今年は日経平均株価がバブル崩壊後最高
値となるなど株高で「貯蓄から投資」の機運がある中、多くの人が一定の知識を持って適切に資産形成できれば支えになりうる。
問題は将来の不安からお金を使おうとする意欲がそがれていることだ。生きている間に必要になる生活費や医療費が見通しにくいと
手元の資産を使って積極的に消費しようという気持ちになりにくい。
人口に占める65歳以上の比率は20年時点で日本が28.6%と突出する。ドイツが21.7%、米国16.6%、韓国15.8%だ。そもそも米国に比べ
日本は消費意欲が弱い。
適切に資産形成したり、ライフスタイルにあわせながら可能な範囲で働き続けたりと解はいくつもある。消費のボリュームゾーンとなった
高齢者が過度に不安にならずに消費できる前向きな社会観をつくれるか。需要不足を脱しきれない日本がデフレに後戻りしないための
ポイントの一つになる。
2023/08/15 日本経済新聞 朝刊
東京市場で円安・株高の構図が変化してきた。14日は円相場が対ドルで今年の最安値を付けるなか日経平均株価は413円安となっ
た。背景に海外投資家の変調がある。
「ここまで円安が進むとドル建てのパフォーマンス悪化など悪い面が注目されやすい」。CLSA証券の釜井毅生エグゼキューション・サー
ビス統括本部長は14日の円安・株安をこう解説した。
7月上旬までの日本株の上昇は円安と並行して進んだ。ところが、下旬以降は円安でも株価の上値は重い。14日はトヨタ自動車が1%
安と下げた。過度の円安はガソリン高を通じ個人の購買意欲を下げかねない。
別の外資系証券のトレーダーは海外勢の株価指数先物の売買に、上値の重さの原因を嗅ぎ取る。
大阪取引所によると、海外勢は8月第1週に先物を約4000億円売り越した。このトレーダーが「変質」とみるのは売りの内訳。東証株
価指数(TOPIX)型が約2800億円で日経平均型の2倍超と大きい。TOPIX型の売越額の方が大きいのは2週連続だ。
TOPIX型主導の売りは何を意味するのか。
「流動性の高い日経平均型はヘッジファンドなど短期勢が主に値幅取りや裁定取引に使う一方、TOPIX型は中長期目線の投資家が使
うことが多い」。JPモルガン証券の高田将成クオンツストラテジストは両者の違いをこう説明する。
海外勢の日本株買いが本格化した4月第2週以降、短期的な過熱感から先物が売られる局面では日経平均先物への売りが大きく、
TOPIX型は少額の売りか、むしろ逆行して買われてきた。足元での変化は、中長期の海外マネーが日本株から離れていることを示唆し
ている可能性がある。
8月にTOPIX型の売り越し幅が大きいのはJPモルガン証券やBofA証券など中長期の顧客が多い米系だ。
個別株でも海外勢好みの銘柄は売られやすくなっている。日経500種平均株価の構成銘柄を対象に、外国人持ち株比率の上位100
銘柄群と下位100銘柄群の日々の値動きの差を3月末から累積すると足元でマイナスが深まっている。外国人持ち株比率が高いほど
下げていることを示す。
代表例が国際競争力が最も高い分野のひとつとされるロボット分野だ。ファナック株は6月に付けた年初来高値から23%下落。ナブテ
スコはほぼ1年半ぶりの安値に沈む。ともに中国で設備投資需要が予想以上に落ち込んでいることが売りにつながっている。
日本株買いの理由のひとつには経済安全保障などを背景にした中国株から日本株への資金シフトがあった。ただ、中国経済不振は日
本株にもはね返ることが4~6月期決算で認識されてきた。
日本株の優位論は全体には揺らいでいない。物価上昇を背景とした名目国内総生産(GDP)の拡大は、企業業績を予想以上に押し
上げ、円安はインバウンド(訪日外国人)にはプラスとなる。
ただ、海外勢は優位点のひとつひとつを吟味し始めている。TOPIX先物の売りが膨らんだ7月第4週は、日銀が政策修正したタイミン
グに重なる。「『緩和姿勢の後退』と受け止められ海外勢の売りにつながっている可能性がある」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の
古川真チーフ・ポートフォリオストラテジスト)
資本効率の引き上げなど改革の動きが鈍いとの声も聞かれはじめた。株高持続には「変わる日本」の実績を積み上げる必要がある。
2023/08/15 09:50 日経速報ニュース
小林俊介・みずほ証券チーフエコノミスト 4~6月期の実質国内総生産(GDP)速報値はかなり強い内容だった。自動車生産やインバ
ウンド(訪日外国人)の回復で輸出が伸びたほか、経済再開で設備投資も改善が続いている。自動車の生産台数はピーク時を下回った
ままで増加余地があるうえ、今年の春季労使交渉(春闘)で確認できた賃上げが反映されるにつれて実質賃金もプラスとなり、個人消費
も力強さを取り戻す可能性が高い。
輸入が落ち込み、内需の弱さが目立ったことで市場ではあまり良い内容ではないとの声が出るかもしれない。しかし、賃金上昇を背景
に内需は個人消費を中心に伸びていくと考えている。総じてみると日本経済は良好といえる。特に名目成長率が非常に高く、日本は数十
年ぶりにインフレを伴う経済成長を実現している。株式市場では景気敏感のバリュー(割安)株に加えて、販売単価の引き上げが可能な
(競争力の高い)内需銘柄に対しても物色が向かうだろう。
4~6月期の景気回復で需給ギャップはプラスに転換したとみられ、物価や賃金の上昇圧力がかかっていくとみている。7月の「経済
・物価情勢の展望(展望リポート)」で物価見通しの上振れリスクが大きいとした日銀の見方を裏付けるGDPだった。マイナス金利政策
や長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)の解除といった早期の金融引き締めには引き続き慎重だろうが、物価・賃金が強含む
なかで金融政策の自由度は増すと予想している。
2023/08/16 05:51 日経速報ニュース
【NQNニューヨーク=戸部実華】15日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに反落し、前日比361ドル24セント(1.0%)安の
3万4946ドル39セントで終えた。中国景気の減速懸念が強まったうえ、米金融セクターを取り巻く不透明感が米株相場全体の重荷となっ
た。米長期金利の上昇も株式の相対的な割高感につながり、幅広い銘柄に売りが出た。
15日発表の中国の7月の工業生産高などの経済指標が軒並み市場予想を下回った。同日には中国人民銀行(中央銀行)が期間1年の
中期貸出制度(MLF)金利を引き下げた。中国の不動産大手の経営不安も浮上しており、同国経済の先行き不透明感が高まった。
中国など海外の売上高比率が高い銘柄が売られやすく、ダウ平均の構成銘柄では化学のダウが3%安、工業製品・事務用品のスリー
エム(3M)が2%安となった。中国の原油需要が伸び悩むとの観測から米原油先物相場が下落。原油安が業績の逆風になるとみて、石油
のシェブロンと建機のキャタピラーも下げが目立った。
米金融株が軒並み売られたことも、投資家心理を悪化させた。格付け会社フィッチ・レーティングスが大手米銀を含む70行以上を格下げ
する可能性があると米CNBCが15日に報じた。銀行の経営環境の厳しさが改めて意識され、JPモルガン・チェースとゴールドマン・サック
スが安かった。ダウ平均の構成銘柄ではないが、バンク・オブ・アメリカやシティグループなどが売られた。地銀も下げ、地銀株で構成する
上場投資信託(ETF)「SPDR S&P地銀ETF」は3%安となった。
米長期金利の指標である10年債利回りが一時前日比0.08%高い(債券価格は安い)4.27%と昨年10月以来の高水準を付けた。朝方発
表の7月の米小売売上高は前月比0.7%増とダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(0.4%増)を上回った。市場では「良いニュースは(
米追加利上げ観測を強める)悪いニュースとして受け止められる局面だ」(LPLファイナンシャルのクインシー・クロスビー氏)との声も聞か
れた。
ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は15日、インフレは依然として高水準との認識を示し「(利上げが)終わったとはまだ言えない」と話し
たと伝わった。金融引き締めの長期化観測も株売りにつながった。
一方、朝方発表した5?7月期決算が市場予想を上回ったホームセンターのホーム・デポは買われた。
ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は反落し、前日比157.284ポイント(1.1%)安の1万3631.047で終えた。電気自動車の
テスラは3%、ネット通販のアマゾン・ドット・コムは2%下げた。交流サイトのメタプラットフォームズやネット検索のアルファベットも安い。
半面、複数のアナリストが目標株価を引き上げた画像処理半導体のエヌビディアは上昇した。
2023/08/16 08:03 日経速報ニュース
中村貴司・東海東京調査センターシニアストラテジスト 16日の東京株式市場で日経平均株価は反落しそうだ。下値メドは前日終値
から400円程度安い水準に位置する75日移動平均(3万1830円、15日時点)近辺を想定している。前日の米株式相場の下落が投資
家心理の重荷となる。格付け会社フィッチ・レーティングスが大手米銀を格下げする可能性を示唆したことで米銀行株が下落しており、
他業種への影響が出ないか気がかりだ。
足元では売買が細る「夏枯れ」シーズンだが、秋からは投資家も増えてボラティリティー(変動率)が高まる可能性が高い。中国景気
減速への警戒感が高まってきているうえ、米国景気に対する楽観的な見方が続くかも不透明感は強い。期待先行で世界の株式相場
の上昇が続いてきたが、過度な期待が修正される局面に入れば、国内株式市場でも幅広い銘柄に利益確定売りが出る可能性がある。
https://jp.reuters.com/article/usa-treasury-securities-idJPKBN2ZQ1Q4
2023/08/17 日本経済新聞 朝刊
年内の非公開化をめざす東芝へのTOB(株式公開買い付け)が始まった。投資ファンドを中軸とする企業連合の総額2兆円にのぼる
買収資金のうち、大手銀行の融資額は全体の過半を占める。巨額の融資に伴うリスクを拭いきれない銀行団は厳格な条件を盛り込み、
出資を決めた企業には不満もくすぶっている。
東芝の資金繰りを支える2000億円のコミットメントライン(融資枠)を含め、融資の総額は1兆4000億円。三井住友銀行が5150億
円、みずほ銀行が4600億円を引き受ける。三井住友信託銀行と三菱UFJ銀行、あおぞら銀行を加えた5行で融資団を構成する。相手
先の企業が抱える資産を担保に融資を実行するLBOファイナンスとしては国内で最大級だ。
融資が固まるまでには曲折があった。調整が大詰めを迎えた昨年12月。ある大手行の幹部は「非上場化してからの成長戦略がみえ
ない」と融資額の上積みに強い難色を示した。東芝が4割出資する半導体メモリーのキオクシアホールディングス(HD)の業績悪化も鮮
明になり、上場廃止後の経営を懸念する声は銀行団に根強くあった。
同じ年の夏に破綻したマレリホールディングス(旧カルソニックカンセイ)で債権放棄を含め、4500億円の金融支援を迫られた記憶も
生々しい。巨額の融資に伴うリスクをどこまで引き受けられるか、参加行の協議は難航した。
「オールジャパンで支える構成にしたい。協力をお願いできないだろうか」。事態の打開に動いたのは、協調融資を取りまとめる三井住
友銀行の高島誠頭取(当時、現会長)だった。みずから大手行の首脳に協力を要請し、負担額の引き上げを求めて回ったという。
参加行の理解を得るため、最高財務責任者(CFO)など重要な経営判断に携わる役員を銀行団から送ることで東芝側と合意。業績不
振が顕在化すれば、東芝が保有するキオクシアHD株を売却したり、非上場企業の株式を第三者へ譲渡したりすることを条件に付けた。
経営の進捗状況を点検する会議も3カ月に1度開く。
東芝の業績が銀行側と定めた条件に届かない場合、期限前に一括の返済を求めることができる財務制限条項(コベナンツ)にも厳しい
内容を盛り込んだ。一般的な純資産や純利益の維持に加え、負債額をEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)で割った値が一定の水
準に収まるよう要請。こうした条件に抵触すると、業務改善計画の作成と実行に向けた検討を東芝に義務付ける。
確実な返済を担保したい銀行団にとっては必須の条件だが、銀行の監視が強まれば東芝の大胆な事業展開を縛ることにもなりかねな
い。リスクを引き受けて東芝に投資する企業が反発を強める可能性がある。実際にオリックスは優先株と普通株で3000億円を拠出する
予定だったが、最終的に劣後ローンと普通株の組み合わせで2000億円にとどめるなど不満をあらわにした。
それぞれの思惑を秘めて出資した企業はロームや中部電力、スズキ、パロマ、鹿島、JR東海など幅広い業種の計26社。化学繊維を
手掛ける韓国企業も名を連ねる。東芝の再出発と成長という共通の目標に向け、足並みをそろえることができるのか。早くも伝わる不協和
音からは多難な船出を予感させる。
2023/08/17 日本経済新聞 朝刊
上場企業の保有不動産に対する投資家の関心が高まっている。資本効率改善への要請が強まるなか、含み益を抱える不動産を売却し
資金を株主還元や成長投資に回すことへの期待が背景にある。主要企業の不動産含み益は過去最高の約23兆円にのぼる。眠れる資産
を有効活用し、企業価値を高める経営への転換が株価を左右する。
「これまでは実現性に欠ける銘柄リストだったが、東証の要請を経て現実味が出てきた」。野村アセットマネジメントの宮崎義弘チーフ・ポ
ートフォリオマネージャーが指し示すのは、企業のPBR(株価純資産倍率)に不動産などの含み益を加味した「実質PBR」を示す一覧表だ。
実質PBRは、PBRの分母の純資産に不動産などの含み益(税引き後)を足して算出する。含み益が大きいほど値が小さくなり、割安感
は強まる。ただ、企業が不動産などの資産を売却しない限り、含み益は実際の利益とはならない。
これまで日本企業は資産売却に消極的で、実現益には期待しづらかった。典型的だったのが不動産大手だが、変化の兆しも見える。宮
崎氏は「資産を売却して株主還元を強化したり、資本効率を高めたりといった戦略が出始めてきた」と話す。実際、オフィス市況の改善など
も材料に不動産株を買い付けたという。
含み益が2500億円強ある野村不動産ホールディングスは「保有ビルの売却に聖域はない。含み益のある物件を一部売却し、株主還元
や資本効率向上につなげる」(芳賀真副社長)との姿勢を明確にした。約3・2兆円を抱える三井不動産も「適時売却による含み益実現」を
経営方針の一つに掲げる。
企業の不動産含み益は拡大が続いてきた。継続比較できる主要企業の賃貸等不動産の含み益は2022年度末で22兆8203億円にの
ぼり、10年前比で2・6倍になった。純資産に対する比率も3割弱と10年前の2割弱から拡大した。
直近年度で不動産含み益の比率が高く、実質PBRが1倍を割っている約100社の7月以降の株価騰落率は中央値で2・2%高と、割安
株(同0・3%高)や主要企業全体(同0・4%安)を上回る。東証のPBR改善要請を受けた自社株買いや増配が一巡し、「次の一手」として
資産売却に動く企業が増えるとの見方がうかがえる。
期待は不動産セクターにとどまらない。三菱UFJ国際投信の末永壮視シニアファンドマネジャーは「倉庫や鉄道などの資産活用にも注目
できる」と指摘する。例えば、約1・6兆円の不動産含み益をもつJR東日本は3月に私募REIT(不動産投資信託)を組成。自社の物件を売
却して得た資金を、高輪エリアなど成長案件に投じる。
もっとも、含み益の実現可能性には企業によって濃淡があり、過剰な期待は禁物だ。1980年代のバブル期には企業の持つ土地などを
時価評価して算出する「Qレシオ」が異常な株価を正当化する指標として注目された例もあった。
それでも、日本企業のPBR改善は息の長いテーマになるとの見方が多い。不動産価格の上昇も続くなか、中期的には含み益を実現益に
転換する動きが続くとみられる。「眠れる資産」を持つ銘柄を探る動きは活発になりそうだ。
2023/08/18 04:00 日経速報ニュース
世の中には明らかに弊害が起きているのに、ほとんど誰もが正面切って問題視しないことがある。猛暑の背後に地球温暖化が加速して
いること。住宅購入費用がコロナ禍で高騰していること。そして、本稿で取り上げる老後の生活費がインフレで増加し、その一方で準備資
金が実質的に目減りしていることだ。
日経ヴェリタスの読者には、このインフレリスクのことは説明すれば十分にわかってもらえると思い、少し踏み込んで議論してみる。
「インフレ課税」で割り負け
まず日銀は7月の金融政策決定会合で、長期金利が0.50?1.00%へと上昇することを事実上容認した。もう1つ、「展望リポート」を改定し
て、2023年度の消費者物価(除く生鮮食品)の前年比見通しを2.5%に上方修正した(前回4月の見通しは1.8%)。
長期金利はその利回りがたとえ1.00%であっても、物価2.5%に割り負けている。つまり、老後資産を日本国債で運用しても、生活費をまか
なうだけの収益が得られないことを示している。それどころか、老後資産の元本価値は年間2.5%ほど減価していることになる。物価2.5%と
言っても、食料品(含む外食)は10%近く高騰している。厳密に言えば、生活物価は除く帰属家賃でみる必要があるので、消費者物価(除
く生鮮食品、帰属家賃)は2.9%へと上がる。目減りを防ぐために老後資産の運用利回りは、税引き前で3.6%はほしいということになる。
もう少し先の期間までみると、23年度2.5%の後は、24年度1.9%、25年度1.6%になっている。3年間平均の消費者物価(除く生鮮食品、帰
属家賃)の伸び率は2.3%となる。元本価値を目減りさせないための税引き前運用利回りは、2.9%という計算になる。
筆者は、円資産の価値が運用利回りを含めて考えても、物価上昇率に割り負けていくことを「インフレ課税」と呼んでいる。元々は、経済
学者J.M.ケインズがInflation Taxと言っていた言葉だ。Taxと呼んでいるのは、まるで課税されているようだという意味だ。実際、日本の政
府債務残高は、長期金利がインフレ率よりも低いことで減価しているから、私たちは「見えない税金」を支払っているのと同じことになる。
君たちは年金をどうするか
私たちが直面している老後のリスクには、年金リスクがある。23年度の年金収入は前年比1.9%と増えた(68歳以上のケース)。しかし、
これは22年の物価上昇率2.5%に対して割り負けている。マクロ経済スライドの仕組みによって、年金収入の実質的な伸び率はマイナスに
なるように運命づけられている。04年の年金改革によってこのルールは決定され、今後の年金は目減りしていくことが避けられない。年金
の目減りは明白なリスクである。
これに対して、私たちは就労によって老後の生活を支えることが半ば強制されている。就労しなければ食べていけない。しかし、年金の
在職老齢年金システムでは、年金収入+就労収入が48万円を超えると、超過した金額の半分が年金収入からカットされる。シニアは高
い給与で働くと何かペナルティーを課されるように感じる。年金をカットされるのを恐れて、自分の能力に比べて低い就労収入しか受け取ら
ない人も少なくない。年金の中には、自分で積み立てている部分が多いのに、自分が稼ぐほどにそれがカットされるのは矛盾していると思う。
非常に良くないのは、企業側はシニアになると年金収入があるからという理由で、能力のある人であっても給与水準を極端に低くすること
が多いという点だ。これだけシニアの就労が増えているのに、自由な就労を妨げる仕組みが制度の中にビルトインされている。
この年金カットを避けるためには、支給開始年齢を65歳から例えば70歳あるいは75歳に繰り下げるしかない。70歳を選択すれば、年金収
入は42%増、75歳ならば84%増にすることができる(年齢によって増加率は変わる)。その半面、繰り下げをすると生涯の受取期間は短くなる。
長生きリスクに備えて繰り下げを検討せよという仕組みは、国が国民に厳しい選択を迫っているのと同じだと感じる。年金支給条件を人質
にして、「君たちはどうするのか?」と選択を求めている。
就労収入に頼ろうとすると在職老齢年金の壁がある。だから、それ以外の選択を考える必要がある。それは配当・利息収入を大きくする
余地を考えることだ。配当収入を増やすためには、株価が低いときに高配当銘柄に投資するのが良い。現在のようなタイミングはあまり良
くない。利息収入は海外の長期国債に高利回りで投資することで得られる。米国の長期国債は8月に一時4.2%台まで上昇した(図表)。為
替リスクはあるが、インカムゲインは十分に得られる。
ここで検討すべきは、①米長期金利(海外金利)がいつ頃ピークをつけるか②今後10年間の為替リスクをどう評価するか、という主に2点
であろう。米経済は今のところ堅調で、まだ米連邦準備理事会(FRB)が利下げに転じるタイミングが読めない。米長期金利は利下げ予想
具体的に語られ始めるときにピークアウトするだろう。
米消費者物価は6月に前年比3.0%まで低下してきた。その中身はまだ強いインフレトレンドを感じさせるので、利下げは少し先だと思える。
23年9月?24年6月のどこかでいったんピークは来るだろう。ピークがわからないときは、時間分散という手法がある。
次に為替リスクをどうみるか。すでに円安が相当進み、先々は円高とみる人はいると思う。しかし、筆者は長期的にもっと円安は進むと予
想する。ドル円レートは12年以降、円安トレンドをたどっている。今後10年間の日本の長期金利は、たとえ日銀がマイナス金利を解除したと
しても低位の状態が続くとみる。日本の政府債務は長期のインフレでじわじわと減価していき、同時に家計金融資産も減価するというシナ
リオだ。
ドル資産を持たないリスク
では、米国側にドル価値が急落するリスクはないか。33年までには3回の大統領選挙がある。ちょうど33年は、その前年秋に新大統領
が就任する年に当たる。そこまで見通すことは屋上屋を架すことに似て、あまり信頼性のあることは言えない。
むしろ、今後はドルを資産として保有していないことの方が、円安リスクや円資産のインフレリスクを負うことになるのではあるまいか。
最後に日本株はどうか。実は日本で外貨を多く保有するのはグローバル化した製造業である。正確に言えば、外貨保有ではなく、外貨
を稼ぐ力を有している。21年度の日本の製造業は、総売上高に占める現地法人売上高が25.8%となっている。製造業の株価には、円安メリ
ットが反映されやすい構造である。
2023/08/18 09:22 日経速報ニュース
18日前場寄り付きの東京株式市場で日経平均株価は続落し、前日に比べ200円ほど安い3万1400円前半で推移している。下げ幅は
300円を超える場面もあった。米金融引き締めの長期化懸念から米長期金利が上昇し、前日の米株式相場は下落した。その流れを引
き継ぎ、日本株にも売りが先行している。中国景気の先行き不安も相場の重荷となっている。
17日の米株式市場ではダウ工業株30種平均など主要3指数が下落した。米CNNなど複数のメディアが「経営再建中の中国不動産
大手、中国恒大集団が17日、ニューヨークで破産を申請した」と報じた。中国の不動産市況および景気全般の先行きへの警戒が高まっ
ている。東京市場では安川電などの中国関連とされる銘柄のほか、三越伊勢丹や資生堂などのインバウンド(訪日外国人)関連の一角
も下げている。
東証株価指数(TOPIX)は続落している。フジクラや住友大阪、ZHDが安い。半面、三菱重やJFE、アドテストが高い。
2023/08/18 12:26 日経速報ニュース
18日の東京株式市場で日経平均株価は続落し、前引けは前日比60円安の3万1565円だった。中国不動産大手の中国恒大集団の
破産報道を受けて、リスクオフの動きが先行し、日経平均の下げ幅は300円を超える場面があった。売り一巡後は18日の中国・上海株
式相場が続伸して始まり、日本の株価指数先物に買い戻しの動きが入ったことから、日経平均は上げに転じる場面もあった。「中国恒
大ショック」恐るるに足らずかーー。
18日早朝の日本市場で「経営再建中の中国不動産大手、中国恒大集団が17日、ニューヨークで破産を申請した」と伝わり、多くの市
場参加者は身構えた。三菱UFJ国際投信の石金淳チーフファンドマネジャーは「破産は中国政府が不動産会社を救済しない姿勢を示
したとも受け止められる」と説明する。「共同富裕(共に豊かになる)」の方針を掲げる習近平(シー・ジンピン)国家主席が特定の不動産
会社が信用不安に陥ったからといって支援することはないとの見方が一段と強まった。中国不動産最大手で資金繰り難が表面化して
いる碧桂園控股(カントリー・ガーデン・ホールディングス)などが連鎖的に破産し、中国不動産発の大きなショックが広がるとの警戒が
広がった。
中国リスクがリーマン・ショック級の混乱につながる警戒が漂う。東京市場では朝方には安川電機(6506)や三越伊勢丹ホールディン
グス(3099)など中国関連銘柄が一時、大幅安となった。
もっとも、その後の反応は冷静だ。中国恒大は2年ほど前から実質的な経営破綻状態であることが顕在化していた。「碧桂園控股の
信用不安についても足元までにある程度織り込まれているのでは」(三菱UFJ国際投信の石金氏)。18日の中国・上海株式相場が上
昇して始まると過度な警戒が和らぎ、日本株にも買いの勢いが強まった。中国リスクは当面、折に触れて市場を揺るがす場面もありそ
うだが、きょうの午前の動きをみる限り、それなりに耐性も強いとみられる。
8月に入り調整色を強める日経平均だが、前日も一時450円超下げてから急速に下げ渋るなど、底堅さもみせている。JPモルガン証
券の高田将成クオンツストラテジストは16日付リポートで商品投資顧問(CTA)の持ち高なども加味し、当面の日本株は「重要局面」に
向かうと指摘する。
例年8月は相場が下がりやすい傾向にあることで知られる。今月に入ってからの相場下落が通常通り、一時的な要因であれば、持ち
高調整の売り一巡後に日経平均は3万2700円までの自律反発の動きが期待できるという。一方、季節的な事象の許容領域を超えて
3万0800円割れとなるような展開になれば、株価指数先物へのロスカット(損失覚悟)の売りが大きく膨らみ、調整が長引くとみる。
日経平均は8月末に向けて調整をこなしながら、3万0800円を下回らずに踏みとどまれるか。「落ちるナイフ」を拾いに行くかどうか、悩
ましい局面にきている。
2023/08/19 日本経済新聞 朝刊
日経平均株価の移動平均線が18日、中期トレンドを示すラインを下回った。下落サインとされ、相場の流れに追従する戦略のヘッジファン
ドから機械的な売りが出やすくなる。株安に勢いがつき3万円の大台割れを警戒する声も出てきた。
18日の日経平均は3日続落し、前日比175円安の3万1450円と約2カ月半ぶりの安値となった。下げ幅は一時は350円を超えた一方
、上昇に転じた場面もあった。不動産問題に揺れる中国市場をにらみながらの荒い値動きとなった。
「日本株の組み入れ比率は下げてきた。8月中は調整リスクが高く、あと1000円くらい下げないと積極的な押し目買いを入れにくい」。
国内外の株・債券を組み合わせたファンドを運用する三菱UFJ国際投信の石金淳チーフファンドマネジャーは語る。
チャート上に複数点灯した不吉なサインが投資家の不安心理をかき立てる。「中期のモメンタムが崩れてきた」と指摘するのは東海東京
調査センターの中村貴司シニアストラテジストだ。14~18日の週の日経平均は13週移動平均線を下回る値動きに終始した。1月下旬
以降、初めてだ。
13週線は過去13週(3カ月)に市場参加者が取引した平均コストを示す。株価が上回っていれば下値のメドとなる一方で「明確に割り込
むと上値を抑える水準として意識されやすい」(楽天証券経済研究所の土信田雅之シニアマーケットアナリスト)。3カ月前は株高局面だった。
13週線自体は当面じりじり上がる。
株価の下放れを示唆する兆候も出た。短期の5週線が、13週線を上から下に突き抜ける「ミニデッドクロス」の発生だ。大和証券の木野
内栄治チーフテクニカルアナリストは「過去には大幅な株安の前兆となったこともある」と警戒する。
春からの日本株高を演出した海外投資家の目線に立つと地合いはより悪い。ドル換算の日経平均(18日時点、QUICK算出の参考値
)は216ドルと6月に付けた今年の高値(239ドル)から23ドル低い。1月の安値(193ドル)からの上昇幅(46ドル)の半分を失った。
円相場が対ドルで3週間で8円下落し、ドル建てでみた日経平均を押し下げている。1年間の長期トレンドを示す200日線(213ドル)に
迫る。下回れば海外勢がいったん日本株を手放す動きが強まるとの見方もある。
「日経平均は今後3カ月で3万円を割れる場面もある」とみずほ証券の中村克彦マーケットストラテジストはみる。注視するのは日経平
均より現状堅調な東証株価指数(TOPIX)だ。2221ポイントを下回り「ダブルトップ」と呼ばれる軌跡が完成すれば、日本株への売りに
弾みが付くという。
チャート分析は単なる経験則ではない。自動取引の存在感が増すなか、CTAといった順張りファンドもトレンドの見極めにテクニカル指
標を使う。野村証券の須田吉貴クロスアセット・ストラテジストは「CTA勢は1兆円を超える先物のロング(買い持ち)ポジションを淡々と
縮小している」と指摘する。
株価に逆風となりうる米長期金利の上昇が止まぬなか、25日のジャクソンホール会議で米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長
は何を語るのか。中国の不動産問題は「チャイナ・ショック」に発展するのか。市場の懸念は多い。長期的な日本株優位は崩れていない
との見方は多いが、日経平均3万円割れへの備えは杞憂(きゆう)とは言い切れない。
2023/08/21 05:00 日経速報ニュース
日銀は「円安抑止」を政策目的に据えた――。7月の長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の修正を機に市場でこんな思惑
が広がり、植田日銀を苦しい立場に追い込んでいる。円安が進むなか、金利上昇の容認や利上げに動かざるを得ないとの見方が広がり、
日銀に「金利安定か円安抑止か」という選択を迫りかねない構図にある。
「日銀は円安対応で長期国債買いオペ(公開市場操作)の減額に動くのではないか」。野村証券の松沢中チーフ・ストラテジストには最近
、海外勢を中心にこんな声が寄せられる。円安が日銀を金融政策の正常化の方向に追い込む。そんなストーリーのもと「投資家から具体的
なアクションの話まで出るようになった」と松沢氏は驚く。
将来の政策金利予想が織り込まれている翌日物金利スワップ(OIS)市場で3年後の政策金利の予想をみると、YCCの修正を決めた7月
の金融政策決定会合以降、0.5%台まで高まっている。
日銀は今回のYCC柔軟化を「金融緩和の出口に直結するものではない」と強調し、0.5%の変動上限を据え置きつつ「メド」と呼んで0.5%
超の金利上昇を許容するという複雑な仕組みにした。新たな厳格な上限である1.0%は万が一の安全網と位置づけた。
円相場と長期金利のグラフをみると、長期金利が0.5%超に上がった動きとは裏腹に、円安が加速するという一見、奇妙な構図にある。
当初は「出口は遠い」との説明が効き、日銀が新上限の1.0%のかなり手前で金利上昇を抑制する姿勢もみせたことから、日本発で円安
が進展した。だが、ここにきて円安の主導権は米国側に移っている。国債増発や強い景気指標で米長期金利の上昇が勢いづいた。足元で
は「出口が遠い」との神通力が、米国主導の円安で薄れているといったほうが正確だろう。
「出口が近づく」に2つの要因
ではなぜ「円安が進むと出口が近づく」という見方が市場で広がったのか。今回の措置が円安対応だったと受け止められ、「円安が進めば
日銀が動く」との思惑を生んだからだ。
大きな原因の1つは、決定のタイミングだ。債券相場が安定するなか、市場では現状維持の予想も強かった。予想外の決定で「円安進行
を警戒する政府に配慮した」との思惑が一気に広がった。
2つ目は、会合後の声明文の書きぶりだ。
「今後も(物価などの)上振れ方向の動きが続く場合には、実質金利の低下によって金融緩和効果が強まる一方、長期金利の上限を厳格
に抑えることで、債券市場の機能やその他の金融市場におけるボラティリティーに影響が生じるおそれがある」
そのうえで「その他市場」との表記に関し、植田和男総裁は記者会見で「今回は為替市場のボラティリティーも含めて考えている」と語った。
これで「日銀が円安対応の柔軟化だったと認めた」との見立てが勢いづいた。
これら2つの反応には、たぶんに「誤解」が含まれている。日銀は円安抑止を直接の目的に動いたわけではない。
まず決定のタイミング。たしかに財務省から円安進行を警戒する声は聞かれてはいた。だが、それに反応して動いたとか、足元の円安を
止めようとした、といった見方は皮相的だろう。日銀は植田氏が就任した4月から、「粘り強い金融緩和」をうたいつつも、もはや副作用を放
置できないYCCの骨抜きへ準備を進めてきた可能性が高い。
7月に決めたのは、物価や賃金の明るい兆しを受けて2024年度の物価見通しは「上振れリスクの方が大きい」と認識し、事前の対応が
必要と判断したためだ。上振れリスクの現実味が増せば、悲願の正常化が近づく半面、その段になってYCCを変更すると金利の急伸など
につながりかねない。黒田日銀時代の末期だった昨年12月のYCCの修正は、出口に直結する措置との思惑を招き、市場が混乱した。これ
は日銀のトラウマになった。
次に、声明文で間接的ながら「為替市場のボラティリティー」への配慮に触れた点も、現時点の円安に対応する意図ではない。素直に読
めば、YCCを柔軟に運営することで、出口がうかがえる状況になった段階で起きるかもしれない円相場の急変動を防ぎたい、という狙いが
理解できる。
もちろん今回、円安や政治への配慮がゼロだったと断言するつもりはない。ただし配慮があったとしても、正常化に向かう際、円相場の安
定を巡って当局間の足並みが乱れるのを回避したい、という狙いが大きいだろう。
昨年の円急落局面では、黒田東彦総裁(当時)が緩和継続を強調すればするほど円安が進み、財務省が円買い介入によってその尻拭
いをする羽目になった。黒田氏はYCCの硬直的な運営が円安を加速させてしまう事実をかたくなに認めようとはしなかった。
今回、声明文で「その他市場のボラティリティー」とわざわざ書いたのは、前体制が否定した「YCC維持による円安促進」の副作用を明確
に認めた点に意義がある。野村の松沢氏も「コミュニケーションの正常化」という側面に着目する。
「誤解」生んだ移行期の齟齬
市場に広がった「誤解」は、10年に及んだ黒田体制からの移行期ゆえの市場との対話の齟齬(そご)だといえるだろう。間接的にせよ
「為替」に言及したことで結局、円安に絡みやっかいなかたちで出口の思惑を呼び寄せてしまった。
植田日銀は深刻なジレンマに直面する。出口戦略を円滑に進める際に最も重要なのは長期金利の安定だ。目先の円安抑止のために
金利上昇を容認してしまうと、金融や経済が耐えられないような水準に急伸し、賃上げ機運を途絶えさせかねない。機が熟さない段階で
の短期金利の引き上げなど、もってのほかだ。
だが、金利を抑え込もうとすると、今度は市場に「日銀は為替の安定を放棄した」との思惑が広がり、円売りを誘うことになる。日銀発の
急激な円安も望ましくない。人々の生活を脅かす輸入インフレを再発させ、賃上げの効果を減らすほか、円安加速を警戒する政治との対
立を招く。
長期金利はいま0.6%台でそれなりに落ち着いているようにもみえるが、急激な上昇圧力がかかった場合、日銀は「金利安定か円安阻
止か」という難しい判断を迫られる。試されるのは植田氏の対話力だ。その巧拙は今後の出口に向けた歩み、そして植田日銀の5年間
そのものを左右する。
2023/08/21 日本経済新聞 朝刊
日本の個人、政府、金融業界がいっせいに資産運用に力を入れている。お金を「ふやす文化」を日本経済の推進力にする運用立国へ
の挑戦が始まった。
年内に改革案
「実現性のある対策を持ってきてくれ」。岸田文雄政権が目指す資産運用立国の実現に向けて、金融庁幹部は運用会社や年金基金、
証券会社などに連日のように呼びかけてアイデアを募っている。
栗田照久長官は「年内にプログラムを作る」と語る。どうすれば良い投資信託を運用会社は個人に提供できるのか。年金基金は十分に
資金を活用できているか。大きな改革の絵を描く。
改革が本格的に動き出したのは2022年9月、首相がニューヨーク証券取引所での講演に向かう政府専用機内の出来事だった。少額
投資非課税制度(NISA)の時限的な仕組みを再考する程度の内容だった草案に、首相が「恒久化が必須」との文言を入れた。側近が出
発直前に与党に根回しして首相に提案した。
24年開始が決まった新NISAの枠上限は1800万円。対象となる18歳以上の総枠は約1900兆円と家計金融資産に匹敵する。普及
の後押し役と目される「職場つみたてNISA」も各地で広がりをみせる。
「このままでは老後資金が足りない」。徳島市の西精工でナットなどの計量・梱包・出荷を担当する田中一生さん(43)は社内勉強会で
将来に備える必要性に気づいた。4月から給与天引きで毎月2万円ずつ外国株投信の積み立てを開始。「定期預金の積み立てを投資に
変えた。20年はほったらかしで続ける」
西精工では4月の制度導入から4カ月あまりで社員・パートの244人中26人が加入した。「若手に触発され年配にも広がってきた」(西
泰宏社長)と浸透を見込む。説明会では過去10年、毎月1万円を日本株投信に積み立てたら元本120万円が214万円になった試算が
示された。
西精工に導入を持ちかけた阿波銀行は野村証券と包括提携して取引先に働きかけている。徳島県など586社、約2100人に成果が広
がる。
デフレ下では預貯金が正解とされたが、偏重による「機会損失」は大きい。
02年度から預貯金増加分の半分を日米株に均等に投資した場合の家計金融資産の伸びを試算すると、22年度末で2430兆円と実際
より390兆円多い。さらに01年度の株・投信の保有比率が米国並みだった想定にすると3990兆円に膨らむ。2000兆円近い機会損失
だったことになる。
金の流れ変える
運用立国の狙いは個人の所得増にとどまらない。リスクマネーを増やし経済の成長力を取り戻すことがある。キャッチアップ型の経済で
は重点産業に資金を集める銀行融資主体の間接金融が効果的だった。成熟経済には試行錯誤や新陳代謝を促す直接金融が合う。
米国も1980年前後まで株・投信の家計金融資産に占める比率は約15%と現在の日本並みだった。年金制度改革などが中流階級を
預金者から投資家にし、現在の比率は約5割になった。投資マネーが企業を伸ばし、株高や配当が家計を潤す好循環を築いた。
直接金融にシフトした米国の投信残高は、銀行融資の源泉となる預金の1.8倍の約30兆ドルと巨大だ。日本の投信残高は私募を含
めて約310兆円と預金の3分の1ほどにとどまる。
7月8日、個人投資家の集い「インデックス投資ナイト2023」が東京・渋谷で開かれた。「インフレに見合う賃金上昇がないと感じるか」
との問いに会場の約6割が挙手した。3%の物価上昇が20年続けば現預金の実質価値は半分近く減る。日本の英知を集めた改革が
求められる。
2023/08/22 05:00 日経速報ニュース
日銀は22日、7月の基調的なインフレ率の指標を発表する。一時的な変動を除いたより基調に近い物価指標を独自に算出しており、過去
最高を更新するとの見方もある。日銀は物価の上振れなどを理由に、7月の金融政策決定会合で長短金利操作の修正に動いた。物価の
基調が今後も高止まれば、この先の政策判断にも影響を与えうる。
日銀は物価の基調を正確につかむために「刈り込み平均値」「加重中央値」「最頻値」という3つの指標を算出している。刈り込み平均値は
、上昇率と下落率の上位10%の品目を除いて算出するもので、一部の品目の大きな値動きに左右されず、基調をつかみやすいとされる。
6月は前年同月比3.0%の上昇と、統計を遡れる2001年1月以降の過去最高(3.1%上昇)に迫る水準だった。
第一生命経済研究所の星野卓也氏は7月の刈り込み平均値が3.2%上昇と過去最高を更新すると予想する。「価格転嫁の継続もあり、変
動の大きい品目を除いた全体でみても物価の上昇圧力はまだ根強く残っている」という。
加重中央値は上昇率の高い品目の順に並べ、上から品目のウエートを足していったときに50%近辺に位置する値を示す。最頻値は品目数
が最も多い上昇率を示す指標だ。どちらも6月は過去最高に並ぶ水準だった。
7月の消費者物価指数(CPI)の上昇率は生鮮食品を除くベースで前年同月比3.1%となった。4%を超えていた年初と比べれば、表面
上は上昇にブレーキがかかっているようにみえる。だが、物価の基調がまだ下げに転じていないとすれば、日銀が目指す2%を超える物
価上昇が当面続く可能性がある。
足元の円安で物価の基調が下がりにくくなる面もある。外国為替市場で円相場は1ドル=145円台で推移し、一時146円台半ばまで下
落した。「今の円安水準が続けば、物価の高止まりを長引かせる要因になる」(星野氏)
日銀は7月会合で「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」をまとめ、23?25年度の物価見通しを更新した。23年度の見通しは2.5%と、
4月から0.7ポイントの大幅な上方修正に踏み切った。植田和男総裁は記者会見で「 4 月時点の見通しはかなり過小であった」と語った。
7月会合の主な意見では、ある政策委員から「『2%の持続的・安定的な物価上昇』の実現が、はっきりと視界に捉えられる状況」との
声が上がった。このまま日銀の想定を上回る物価上昇が続き、継続的な賃金の上昇が実現するならば「金融緩和を手じまう方向に動い
てもおかしくない」(日銀関係者)との声も出始めている。
2023/08/22 日本経済新聞 朝刊
債券市場の一部で日銀が国債買い入れオペ(公開市場操作)を減額するとの思惑が浮上している。日銀の政策修正を受けた利回り
上昇で投資家需要が強まるなか、日銀への売却が細っているためだ。円安をけん制する目的でも国債の買い入れ減額を見込む声もあ
り、日銀のオペを巡り神経質な展開となりそうだ。
日銀は現在、1%の利回りで無制限に買い入れる「指し値オペ」と、市場参加者が提示した価格が割安な順に買い入れる従来型の
国債買い入れオペを実施している。減額観測が浮上しているのは従来型のオペで、残存5~10年の国債は現在1回あたり6750億円
買い入れている。
背景にあるのは日銀への売却意欲の弱まりだ。月間ベースで全年限の応札額の合計を落札額の合計で割った応札倍率を見ると、
8月は足元までで2.0倍と日銀が異次元緩和を始めた2013年以降で最も低い。「日銀がイールドカーブ・コントロール(長短金利操作、
YCC)で抑え込む残存5~10年の国債で流動性低下が顕著だ」(東海東京証券の佐野一彦チーフ債券ストラテジスト)との声もある。
日銀の臨時オペを受けて外国為替市場で円安に振れる場面があるなど、日銀が金利を抑え込む姿勢を強めれば円安に振れやすく
なる。一方、オペが実際に減額されれば円高が進む可能性も市場で意識されている。
2023/08/22 08:08 日経速報ニュース
22日の国内債券相場は下落(利回りは上昇)しそうだ。前日の米長期金利は、足元の米経済が想定以上に底堅いとの見方などから
一時4.35%と15年9月ぶりの高水準をつけた、米長期金利の上昇を受けて22日の国内長期債にも売りが及ぶとみられる。長期金利の
指標となる新発10年物国債の利回りは0.65%程度で推移しそうだ。
21日のニューヨーク債券市場で米10年物国債利回りは前週末比0.09%高い4.43%で終えた。前週発表の7月の米小売売上高など
が市場予想を上回ったほか、雇用関連でも労働需給が引き締まった状態にあることを示す指標が多い。米連邦準備理事会(FRB)が
年内に追加利上げに踏み切る可能性や、政策金利を長期にわたって高く維持するとの見方が意識され、米国債相場の重荷となった。
今週は米国で24~26日に国際経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」が開かれる。25日にはFRBのパウエル議長が講演する
予定で、その中で同氏が金融政策についてどのような姿勢を示すか、見極めようとする市場参加者が多い。ただ、夏季休暇中の市場
参加者もいるなかで、国内債も商いが薄くなる可能性がある。売りが一巡すれば、方向感の出にくい展開も予想される。
22日は国内で債券相場に影響しそうなイベントが少ない。財務省による流動性供給入札は残存期間「5年超15.5年以下」が対象で、
発行予定額は5000億円程度。市場では「無難に通過する」(国内証券の債券ストラテジスト)との声が聞かれる。日銀による定例の
国債買い入れオペ(公開市場操作)は予定されておらず、需給を左右する材料に乏しい。日本時間22日の取引で米長期金利が一段
と上昇すれば、国内債にも売りが広がる公算が多い。
21日の米長期金利の上昇を受けて国内長期金利も急ピッチで上昇すれば、日銀が臨時でオペを通知し、金利上昇を抑制する姿勢
を示す可能性がある。長期金利が上昇すれば相場の割安感に注目した買いも入りやすくなるとみられ、長期金利が中心限月として
14年1月(0.685%)につけた水準を試す展開とはなりにくそうだ。
国内では日銀が基調的なインフレ率を捕捉するための指標を公表する。日本スーパーマーケット協会などは7月の食品スーパー売
上高を発表する。海外では7月の米中古住宅販売件数が発表される。
2023/08/22 日本経済新聞 朝刊
財務省は2024年度予算案の概算要求で、国債の元利払いの想定金利を1.5%とする調整に入った。23年度予算から0.4ポイント
引き上げる。日銀の政策修正を受けて長期金利が上昇しているのを踏まえた。概算要求の総額は110兆円を超える見通しだ。
国債の元利払いに充てる国債費は28兆円規模になる見込みだ。23年度予算では25兆円程度だった。社会保障費や防衛費も増え
概算要求の総額は3年連続で110兆円を超える見通しになった。
想定金利は年末の予算案編成で最終的に決める。予算案では17年度から23年度まで7年続けて1.1%に据え置いてきた。23年度
予算は夏の概算要求段階では1.3%と見積もっていたが金利動向を踏まえて、年末の予算案編成時に1.1%を維持した。
想定金利は通常、直近1年の10年債の平均利回りに、過去の金利急騰時に経験した1.1%の上昇を加味してはじき出す。
日銀が7月下旬に長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)を修正して以来の長期金利は0.5%を上回る水準にある。
こうした状況を踏まえて想定金利を引き上げる。
2023/08/31 日本経済新聞 朝刊
日銀の田村直樹審議委員は30日の記者会見で、物価2%目標の持続的・安定的な実現が見通せる状況になれば「マイナス金利の
解除も選択肢の一つに入る」と述べた。政策修正の判断時期については、賃上げや2023年後半の物価動向などのデータが集まる
「来年1~3月ごろ」を目安として示した。
北海道釧路市で開いた金融経済懇談会後に記者会見した。田村氏は政府・日銀が掲げる物価2%目標について「実現がはっきりと
視界にとらえられる状況になった」とした。
マイナス金利を解除しても金利を低く抑えていれば「金融緩和の継続と理解している」とも話した。
物価2%目標の達成の見極めについて「来年1~3月ごろに(見通しの)解像度が一段と上がる」とした。
2023/09/11 07:49 日経速報ニュース
今週(11~15日)の外国為替市場で円相場は上値の重い展開となりそうだ。日銀の植田和男総裁がマイナス金利の解除のタイミング
などに言及したことを受け、金融緩和の修正観測から円買い・ドル売りが先行しそうだ。一方で米連邦準備理事会(FRB)が政策金利を
高い水準で維持するとの観測は根強く、円売り・ドル買いも出やすい。欧州中央銀行(ECB)の追加利上げ観測が強まれば、対ユーロで
の円売りが対ドルの取引に波及し、円の上値を抑えそうだ。
前週末のニューヨーク市場で円相場は1ドル=147円70~80銭と東京市場の同日17時時点(147円38~41銭)よりも安く終えたが、日本
時間11日早朝には一気に146円台後半まで水準を切り上げた。日銀の植田和男総裁が読売新聞とのインタビューで、マイナス金利の解除
時期などに言及。「経済・物価情勢が上振れした場合、いろいろな手段について選択肢はある」とし、「マイナス金利の解除後も物価目標の
達成が可能と判断すれば、(解除を)やる」と述べた。年内にも判断できる材料が出そろう可能性があるとも示唆し、政策修正が早まるとの
思惑から円買い・ドル売りが入った。
政府関係者からの円安けん制も強まっている。鈴木俊一財務相は8日、足元の円安進行について「高い緊張感を持って注視し、過度な
動に対してはあらゆる選択肢を排除せず適切な対応を取りたい」と述べた。神田真人財務官も「ファンダメンタルズでは説明できない動きが
みられる」と指摘するなど発言トーンを強めており、政府・日銀による円買いの為替介入への警戒感から円買い・ドル売りが入る場面もあり
そうだ。
それでも、市場心理が円買いに大きく傾く可能性は低い。FRBが政策金利を長期にわたって高い水準で維持するとの見方が強まれば
円売り・ドル買いを促しやすい。今週は13日に8月の米消費者物価指数(CPI)、14日には8月の米卸売物価指数(PPI)や米小売売上高
など、米経済指標の発表が続く。
19~20日に開催される9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に、FRB関係者は金融政策について発言を控えるブラックアウト期間
に入っている。9月会合では利上げを見送るとの予想が多いが、今週発表のデータ次第では11月のFOMCで利上げが実施されるとの思惑
が高まってもおかしくない。
14日に控えるECB理事会では、政策金利を現行の3.75%に据え置くとの予想が優勢となっている。ただユーロ圏のインフレの高止まりか
ら「ECBの追加利上げ観測が残った場合、ユーロに対する円売りが対ドルの取引にも波及しやすい」(岡三証券の武部力也氏)との指摘も
聞かれる。
海外では12日には8月の英失業率や9月の欧州経済研究センター(ZEW)の独景気予測調査が発表される。15日には中国で8月の工業生産高や小売売上高などの経済指標が、米国では8月の米消費者態度指数(速報値、ミシガン大学調べ)が発表になる。
2023/09/13 日本経済新聞 朝刊
国内金利への上昇圧力が続いている。長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは12日、0.72%と2014年1月以来の高水準を
付けた。市場関係者が日銀による政策修正の予想時期を前倒しする動きが背景にある。デリバティブ(金融派生商品)市場では、23年末に
もマイナス金利政策を解除するとの織り込みが進む。
12日の債券市場では長期金利の上昇が続き、前日の0.705%から一段と水準が高まった。日銀の植田和男総裁は、9日付の読売新
聞のインタビューでマイナス金利を解除する選択肢に言及。長期金利についても基本的に上昇(債券価格は下落)を容認する姿勢を示し、
市場では債券売りが優勢となっている。
幅広い年限で利回りが上昇した。20年債利回りは一時1.47%と9年4カ月ぶり、30年債利回りは1.725%と9年2カ月ぶりの高水準
に達した。日銀の政策修正をうけてマイナス金利解除観測が高まった23年1月の水準を上回った。
政策金利の見通しを反映しやすい新発2年物国債利回りも、1月以来の高水準となる0.05%まで上昇する場面があった。1月に付けた
0.055%を超えれば2015年2月以来、8年7カ月ぶりの水準となる。
市場参加者の間では見通し修正が相次ぐ。大和証券の岩下真理チーフマーケットエコノミストは、マイナス金利解除予想を「25年半ば以
降」から「24年4月」に早めた。「原油高と円安の長期化は日銀にとって想定外だった。年度後半には物価が上振れ、賃上げ機運も継続す
る」と語る。
ドイツ証券もマイナス金利の解除予想を「24年12月」から「24年1月」に前倒しした。小山賢太郎チーフ・エコノミストは「日銀は10月の
展望リポート公表時に物価見通しを上方修正する」とみる。
短期金融市場では、マイナス金利の早期解除を織り込んだ取引も成立し始めた。
金融機関が日々、資金をやりとりする際に使う金利に、無担保コール翌日物金利(TONA)がある。この金利の3カ月物が将来どうなって
いるかを予測しながら取引する先物では、23年12月限の価格が足元で99.97程度と100を下回る。24年初め時点の3カ月物の金利は
年0.03%程度になるとの予想が反映されている。市場は日銀が今冬にマイナス金利を解除するとみていると解釈できる。
固定金利と変動金利を交換する翌日物金利スワップ(OIS)市場でも同様の動きが見られる。
野村証券の中島武信チーフ金利ストラテジストは「市場はマイナス金利解除に加え、1年以内に政策金利が0.1%まで引き上げられる
ことも非常に高い確率で織り込んでいる」と指摘する。
もっとも12日午後には長期金利が前日に比べ横ばいの0.705%まで低下した。2年債利回りは同0.005%低い0.035%、5年債
利回りが同0.015%低い0.27%まで下がる場面もあった。5年債入札で小さいほど好調とされる平均落札価格と最低落札価格の差(
テール)が前回から縮小した結果、需要の強さに安心した投資家の買いが広がった。
「市場の政策修正観測はやや過度な印象を受ける」(みずほ証券の丹治倫敦チーフ債券ストラテジスト)との見方も根強い。一方、21~
22日の金融政策決定会合でも何らかの動きがあるのではとの思惑も市場に広がる。政策修正を巡って相場が揺れる展開は続きそうだ。
2023/09/14 日本経済新聞 朝刊
日銀が13日発表した8月の企業物価指数は前年同月比3.2%上昇し、30カ月連続で前年同月を上回った。伸び率は鈍化しているが、
日銀内では物価目標の達成確度が高まってきたとの見方もある。長引く企業の価格転嫁は政策修正の後押しになる可能性もある。
企業物価指数は企業間で取引するモノの価格動向を示す。企業は仕入れ価格を販売価格に転嫁するため、消費者物価指数(CPI)の先
行指標としても注目される。
企業物価指数の前年同月比上昇率は2022年12月の10.6%をピークに8カ月連続で鈍化した。輸入物価の下落を背景に急ピッチで
伸び率は下がってきたが、8月の上昇率は7月(3.4%)から0.2ポイントと小幅な縮小にとどまった。
高水準が続く背景にあるのは原油価格の再上昇だ。8月は石油・石炭製品が前年同月比7.5%と大きく上昇した。政府の補助金縮小
の影響も出た。
円ベースの輸入物価は11.8%下落と7月(14.4%下落)よりマイナス幅が縮まった。先行きについても「年末にかけてマイナス幅は
縮小方向だろう」(SMBC日興証券の宮前耕也氏)との声が聞かれた。
飲食料品などで価格転嫁の動きは長引いている。チョコレートや米菓といった飲食料品や、パルプ・紙・同製品などで原材料コストを販
売価格に転嫁する動きがみられた。
SMBC日興の宮前氏は「企業物価はもうマイナスでもおかしくないが、輸入物価の上昇が非常に大きかったことから価格転嫁が複数
回続き、長引いている」と指摘する。日銀も「(消費者に近い)川下ではペースを落としながらもゆるやかな上昇が続いている」とみる。
価格転嫁の力強さは日銀の物価観にも反映されている。日銀の7月の「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で23年度のCPIの見
通しについて「価格転嫁が想定を上回って進んでいることなどから、大幅に上振れている」と指摘した。
日銀の田村直樹審議委員は8月の講演で「(物価目標の)実現がはっきりと視界にとらえられる状況になった」と自信を見せた。植田
和男総裁も読売新聞のインタビューで将来的なマイナス金利解除の可能性に含みを持たせている。
2023/09/19 05:00 日経速報ニュース
【この記事のポイント】
・日米の中央銀行が今週、金融政策決定会合
・市場はFRBの利上げ見送りを確実視
・日銀はマイナス金利解除に向けた総裁発言に注目
日米の中央銀行が今週、相次ぎ金融政策を決める会合を開く。市場は米連邦準備理事会(FRB)の利上げ見送りを確実視しており、
先行きの政策金利見通しを変えるかが最大の焦点だ。7月に政策修正した日銀はマイナス金利政策の解除に向けた植田和男総裁の
発言に注目が集まる。日米とも「次の一手」への距離を探る会合となる。
利上げ「あと1回」変わるか
FRBは19?20日に米連邦公開市場委員会(FOMC)を開く。FOMC前の最後の重要経済指標となった8月の米消費者物価指数
(CPI)の前年同月比上昇率は2カ月連続で加速した。米CPIはエネルギー価格の下落を背景に昨年6月の9%台をピークに順調に下
がってきていたが、足元ではインフレ再燃の兆しも出ている。
米国市場で14日、国際原油指標のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物が一時1バレル90ドル台と約10カ月ぶりの水準
に上昇した。サウジアラビアとロシアが12月まで自主減産を続けることで需給の逼迫懸念が台頭したためだ。原油価格の上昇はガソリ
ン価格の高騰を通じてインフレを長引かせる要因になる。
もっとも、現時点で金利先物市場は98%の確率でFRBは利上げを見送るとみている。CPIから極端な値動きの品目を取り除いて物価
の基調をみるクリーブランド連銀の「刈り込み指数」は4.5%、動きの遅い品目のみを集めたアトランタ連銀の「粘着インフレ指数」は5.3%と
いずれも6カ月連続で鈍化しているためだ。
むしろ関心は、同時に公表されるFOMC参加者の先行きの政策金利見通しに向いている。前回6月会合では2023年末の政策金利が
中央値で5.1%から5.6%に引き上げられた。現在の政策金利は5.25?5.5%のため、この予想が変わらなければ年内の利上げはあと1回
分となる。
24年末の政策金利見通しも注目だ。すでに01年以来の高水準に達している政策金利をいつまで維持するのか、利下げをどの程度進
める構えなのかを探る重要な目安になる。6月時点では24年に計1%の利下げをする予測を示していたが、市場では利下げ幅を縮める
との観測もある。
ただし、高インフレの沈静化への道筋がはっきりしない以上、FOMC参加者も利上げの終結を宣言するような見通しは出しづらいと読む
市場関係者が多い。パウエル議長は今後の金融政策について「データ次第だ」と繰り返しており、利上げの選択肢を残しながら時間をか
けて終着点を探ることになりそうだ。
一方、日銀はFOMC後の21?22日に金融政策決定会合を開く。日銀は7月に長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の
運用を柔軟化し、長期金利の上限を事実上1%に引き上げたばかりだ。足元で長期金利は9年8カ月ぶりの高水準となる0.7%台に上昇
しているものの、上限には距離があり、再び修正を迫られる局面ではない。
むしろ、市場の関心はマイナス金利政策をいつ解除するかに向いている。植田和男総裁が読売新聞のインタビューでマイナス金利政
策を解除する選択肢に言及したためだ。しかもカギを握る賃金動向について年末までに判断材料がそろう可能性にも触れたため、市場
は遠くない時期に日銀が金融正常化に向かう可能性を意識し始めた。
田村直樹審議委員も8月末の講演で、物価目標の実現が見通せれば「マイナス金利の解除も選択肢の一つに入る」と述べ、判断時
期の目安として「24年1?3月ごろ」をあげた。高田創審議委員も9月に、特定の時期という議論ではないとした上で「この半年間はよく
見ないといけない時期ではないか」と述べていた。
インタビューでの植田総裁の発言は審議委員より踏み込んだことになる。QUICKの外国為替市場の月次調査(8月)の結果によると、
次の政策修正時期は2024年4月以降(31%)が最も多いが、「23年12月」と年内の修正を見込む予想も29%あった。会合では金融正常化
への道筋も議論する可能性がある。
もっとも、市場では植田総裁の発言は1ドル=147円台後半に下落している円安に歯止めをかけるための「口先介入」との見方もある。
末までにそろう可能性に言及した賃金動向も、24年の春季労使交渉前に具体的にどのような材料で判断するのか。植田総裁が記者会
見で真意をどう語るかが最大のポイントになる。
会合では7月のYCC修正後の市場動向も点検する。金利上昇を受けて日銀は11日、幅広い担保を裏付けに資金供給する「共通担保
資金供給オペ(公開市場操作)」の実施を発表した。ただ、直接的に長期金利を下げる効果がある国債買い入れに踏み込まなかったこと
で市場では「日銀が為替市場の動向に配慮している」との見方が広がった。
7月のYCC修正は「市場の見方がもう少し長期金利に反映される余地を広げようという措置」(植田総裁)だった。日銀内からは「ある
程度の上昇は覚悟の上だった」との声が聞こえるが、足元の金利上昇に植田総裁がどのような見方を示すかも注目だ。
日銀の物価見通しに変化がないかも先行きの政策変更を占う上で重要だ。日銀は23年度後半にCPIの前年同月比上昇率は2%を
下回るとしてきたが、植田総裁は鈍化のスピードが日銀の想定よりも遅いことを認めている。
8月の東京都区部の消費者物価指数(CPI、生鮮食品除く)は前年同月比2.8%の上昇だった。上昇率は11カ月ぶりに2%台に下がった
ものの、約8割の品目が前年同月比で上昇した。足元の情勢を踏まえて植田総裁がどのような認識を示すか。物価目標達成への自信
度をはかる目安になる。
利上げの終着点を探るFRBと少しずつ金融正常化に向けた歩を進めようとしている日銀の今回の判断や情報発信は、金融市場の前
提条件が変わる転機になり得る。
2023/09/19 19:38 日経速報ニュース
債券市場で、日銀によるマイナス金利政策の解除の見方が浮上している。岸田文雄内閣の支持率が伸び悩み、衆院解散・総選挙への
警戒感が市場で弱まっているのが要因だ。日銀が選挙日程に配慮する必要性は薄れ、政策修正に踏み切りやすくなるとみる市場参加者
は少なくない。
固定金利と変動金利を交換する翌日物金利スワップ(OIS)市場で13日、異変が生じた。先々の政策金利の市場見通しを反映する金融
政策決定会合間取引。2023年12月18?19日会合から24年1月22?23日の会合までの期間を対象とした取引レートが、23年7月下旬の
会合後初めて0.01%付近まで上昇した。23年9?10月、10?12月の会合間取引の金利はなおマイナス圏だ。市場が今冬のマイナス金利
解除観測を織り込み始めた。
今回の金利上昇の背景には、政治的な要因がある。第1に、第2次岸田再改造内閣の発足だ。
岸田首相は13日、新内閣の顔ぶれを発表。過去最多となる5人の女性が入るなど閣僚19人のうち13人を入れ替えたが、サプライズ感は
弱く支持率浮揚に対する市場の期待は高まらなかった。日本経済新聞社とテレビ東京が13?14日に実施した緊急世論調査では内閣支
持率が42%と前回調査(8月)から横ばいだった。
支持率が上がらなければ、解散・総選挙は難しいとの見方は多い。「次の解散想定時期は24年6月の通常国会会期末が濃厚」(SMBC
日興証券の森田長太郎シニアフェロー)など、選挙の実施時期が遠のいたとの声が強まり、マイナス金利の解除の観測を誘発した。
日銀は国政選挙前に金融政策の修正に踏み切りづらいとされる。政策修正が時の政権に利害を生む可能性を排し、政治的な中立性を
保つためだ。10月にも召集する臨時国会や24年初めの通常国会で解散・総選挙が実施される可能性が下がれば、今冬にかけ日銀が政
治日程に配慮して政策修正を見送る必要性は薄れる。
市場では「日銀は一定期間の『フリーハンド』を得て、マイナス金利解除に踏み切りやすくなった」(SMBC日興証券の丸山義正チーフマー
ケットエコノミスト)、「解散が遠のき海外投機筋がマイナス金利解除を織り込む度合いは強まった」(東海東京証券の佐野一彦チーフ債券
ストラテジスト)との声がある。
第2に、これまで大規模な金融緩和を推進してきたとみられている最大派閥・安倍派の動向だ。植田和男総裁がマイナス金利解除の選
択肢に言及したという9日付読売新聞インタビューに関し、安倍派幹部の世耕弘成参院幹事長は12日、「金融緩和の継続が趣旨だと理解
している」と記者会見で述べた。
日銀が7月会合で長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)を修正した際、「2%の物価安定目標の達成までは緩和姿勢は変え
ないというコミットメントが守られるか注視したい」(世耕氏)と述べ早期の引き締めをけん制していた。当時と比べると引き締め警戒のトーン
が弱まり、日銀がマイナス金利解除に踏み切る余地を生んでいるという。
野村総合研究所の井上哲也シニアチーフリサーチャーは「円安が消費者に打撃を与えている足元の状況を考えると、リフレ派も一方的な
緩和継続を訴えづらい」との見解を示す。今回の内閣改造でも安倍派の入閣は増減なしの4人にとどまった。
当面は、今秋の臨時国会の行く末が焦点だ。大方の予想通り解散・総選挙が見送られれば、脱マイナス金利観測は強まり金利上昇(債
券価格は下落)や円高への圧力が生じうる。仮に解散・総選挙が実施されれば、「経験則や経済対策による景気刺激効果から日本株に買
いが集まる」(みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミスト)可能性がある。
選挙の有無や時期を巡る見通しが金融市場の波乱要因となってきた。
2023/09/21 日本経済新聞 朝刊
家計の金融資産が拡大している。日銀が20日発表した2023年4~6月期の資金循環統計によると、23年6月末時点の家計の金融
資産は前年同期比4.6%増の2115兆円だった。今春以降の株価上昇が資産を押し上げた。
家計の金融資産は初めて2100兆円を超え、過去最高を更新した。個人の金融資産を最も押し上げたのは株式だ。6月末時点の残高
は268兆円と1年前より26%増えた。日経平均株価は4~6月に5147円(18%)上昇して保有時価が膨らんだ。日本株の資本効率改
善や割安感に着目した海外投資家の買いが広がった。
ただ4~6月期の個人株式は取引ベースでは2.9兆円の純流出となった。純流出に転じるのは3期ぶり。個人投資家は相場の流れに
逆らう「逆張り」傾向が強い。日本株相場が33年ぶりの高値水準に浮上するなか「長く保有して評価益が出た銘柄の利益確定売りが膨
らんだ」(みずほ証券の倉持靖彦マーケットストラテジスト)。米国株などを含む対外証券投資も1.4兆円の純流出だった。
投資信託の残高は株高を主因に15.9%増加した。フローでは1.5兆円の純流入となり、株式と対照的に13期連続の流入超だった。
インデックス型投信などへの積み立て投資が堅調とみられる。投資信託協会のまとめでも、上場投資信託(ETF)を除く公募株式投信の
残高は8月に7カ月連続で過去最高を更新した。
ただ、足元では物価上昇率が高止まりしており、実質で見た金融資産の価値はそれほど増えていないとの見方もできる。
ニッセイ基礎研究所の上野剛志上席エコノミストの試算では、1年間の物価上昇を考慮した実質ベースでは個人の金融資産残高は前年
同期比0.6%増にとどまるという。上野氏は「資産運用を検討する重要性が高まっている」と指摘した。
2023/09/21 日本経済新聞 朝刊
松野博一官房長官は20日の記者会見で、日銀の統計で家計の金融資産が過去最高の2115兆円となったのを受け、新しい少額
投資非課税制度(NISA)の普及を訴えた。貯蓄を投資につなげるため「新しいNISAの普及促進、金融経済教育の充実などを進める」
と強調した。
2023/09/21 日本経済新聞 朝刊
海外投資家の多くは9月上旬に夏休みを終えたというのに、日本株は方向感の乏しい展開が続く。日経平均株価は3カ月以上も約2000円
の狭い値幅で上下する。ただ、日本株の勢いはこれまでかというと、必ずしもそうではなさそうだ。ベールに包まれ外部からは実態が見えにくい
中東のオイルマネーが、日本株の本格買いに向けて準備を進めている。
「日本拠点の開設を検討している」。ある証券関係者は最近、中東の政府系ファンド(SWF)からこう告げられた。既に日本人を採用した中東
SWFも複数知る。「彼らは情報管理に厳しく、なかなか詳細な手の内を明かさない。しかし日本拠点の開設や日本人採用は隠しようがない事
実で、日本株への関心の高まりを示している」
調査会社のグローバルSWFが公表した2023年版のリポートによると、中東SWFの運用残高は計4・8兆ドル(約710兆円)。東証プライム
市場の20日時点の時価総額(約870兆円)の8割の規模だ。足元の原油価格の上昇で運用規模は膨らんでいる可能性がある。日本株に向
かう資金は一部でも、母数が大きいだけに、多少の売買でも影響は大きい。
なぜいま日本株に関心があるのか。同関係者によると、デフレ脱却とコーポレートガバナンス(企業統治)の劇的な改善の2点への期待が大
きいという。
「他の国にはない日本独自の買い材料だ」。大和証券の阿部健児チーフストラテジストもこの2点を評価する。9月に訪日した中東SWFの担
当者と会い日本株への関心の高まりを直接感じ「買い増し余地はあるのでは」と話す。10月下旬に複数の中東SWFを出張訪問する予定だ。
世界各国の公的運用機関を顧客に持つシュローダー・インベストメント・マネジメントは8月、日本株の見通しを世界各国の株式のなかで唯一
、「強気」に引きあげた。福沢基哉執行役員は「他の国・地域が失速するなか、日本株はライジングスター(新星)として海外投資家の目に留ま
るようになってきた」と話す。
中東SWFの運用スタイルは5~10年後などのリターンをみる長期運用がほとんどだ。買うときは「短期の値動きやバリュエーション(投資尺
度)はあまり気にせず大胆に買ってくることも多い」(大手証券)とされる。直近では2023年春にも買い観測が出たほか、過去を遡ると1980
年代や2000年代などにも大きく買う場面があったとされ、いずれも相場を押し上げる原動力となった。
たとえばサウジアラビアのSWFのパブリック・インベストメント・ファンド(PIF)。関東財務局に提出した大量保有報告書をみると、23年春にか
けてネクソンや任天堂などの株を買い増している。世界的に脱石油の動きが続くと予想されるなか、同国は石油依存の脱却に動いている。PIF
を直轄する同国の実力者、ムハンマド皇太子は日本のアニメやゲームへの造詣が深いとされ、その意向が銘柄選択に表れている可能性がある。
前出の証券関係者によると、複数の中東SWFが年内に訪日を予定しているという。なかには日本のアニメ好きの子どもを連れて、親子で訪日
する人もいるようだ。「非常にどっしり構えていて、本格的に日本株を買うとしたらこれから。パッシブ投資も相当程度ある」という。
実際にどれだけのお金が日本株に振り向けられるかは未知数だが、日本株買いをもくろむオイルマネーの胎動は、少なくとも日本のプレゼンス
が高まってきた証左であることは読みとれる。膠着が続く相場の転換点は遠くないかもしれない。
2023/09/21 09:36 日経速報ニュース
(9時35分、プライム、コード6502)東芝が前日終値(4597円)をやや上回る水準での小動きとなっている。21日朝方、日本産業パートナーズ
(JIP)など国内連合によるTOB(株式公開買い付け)が成立したと発表した。TOBは1株4620円で8月8日から9月20日まで実施し、成立
に必要だった3分の2を上回る応募があった。最近の株価はTOB価格に近い水準での推移が続いており、成立は織り込み済みとの見方
から株価の反応は限られている。
株主総会などの手続きを経て、東芝株は年内にも上場廃止となる見通し。証券ジャパンの大谷正之調査情報部部長は「TOB成立は既定
路線」と指摘。東芝傘下のキオクシアの人員削減なども一部で報じられているが、TOB成立や上場廃止が既に織り込まれているとあって新
たな売買材料と受け止める雰囲気は乏しく、大谷氏は「上場廃止まではTOB価格近辺の水準で推移するだろう」とみていた。
2023/09/22 08:45 日経速報ニュース
22日早朝の東京外国為替市場で、円相場は上昇している。8時30分時点は1ドル=147円53~54銭と前日17時時点と比べて71銭の
円高・ドル安だった。日銀がきょうまで開く金融政策決定会合の結果公表や植田和男総裁の記者会見を控え、持ち高調整目的の円買い
・ドル売りが優勢となっている。
総務省が8時30分に公表した8月の全国消費者物価指数(CPI)は前年同月比3.1%上昇と、QUICKがまとめた市場予想の中央値
(3.0%)を上回った。早期の緩和修正への思惑から円は8時30分ごろに一時147円51銭近辺まで買われた。
円は対ユーロでも上昇している。8時30分時点は1ユーロ=157円25~30銭と、同71銭の円高・ユーロ安だった。
ユーロの対ドル相場は横ばい圏で推移している。8時30分時点は1ユーロ=1.0660ドル近辺と同0.0005ドルのユーロ高・ドル安だった。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-09-22/S1BDG0T0AFB401?srnd=cojp-v2
日本銀行は22日の金融政策決定会合で、長短金利を操作するイールドカーブコントロール(YCC)政策を軸とした現行の大規模な金融緩和
政策の維持を全員一致で決めた。
YCCについては短期政策金利をマイナス0.1%とし、長期金利(10年物国債金利)はゼロ%程度に誘導する方針を維持。長期金利の許容変
動幅は上下0.5%程度をめどとし、1.0%の水準で10年物国債を無制限に買い入れる指し値オペを毎営業日実施するなどのオペの運用も据
え置いた。先行きの政策指針であるフォワードガイダンスの表現にも変化はなかった。
ブルームバーグがエコノミスト46人を対象に6-12日に実施した調査では、全員が今回会合での政策維持を予想していた。今週に入り一時
昨年11月以来の1ドル=148円台まで円安が進んだ中で、市場の一部には政策修正の思惑もくすぶっていたが、経済・物価認識に大きな
変化はなく、緩和継続姿勢を改めて示した形だ。
植田和男総裁は9日付の読売新聞のインタビューで、賃金と物価の好循環を見極めるのに十分な情報やデータが年末までにそろう可能性
はゼロではないと指摘。賃金上昇を伴う持続的な物価上昇に確信が持てた段階になれば、マイナス金利政策の解除を含めていろいろな
オプションがあるとした。市場では早期の政策正常化観測が浮上しており、午後3時半からの記者会見での総裁の発言が注目される。
日銀会合結果の発表を受けて、東京外国為替市場では円が売られる展開となっている。発表前のドル・円相場は147円70銭台で推移し
ていた。
米連邦公開市場委員会(FOMC)は20日、主要政策金利の据え置きを決めた。一方で、年内あと1回追加で金利を引き上げ、その後は
高水準の金利をより長期にわたって維持する公算が大きいことを示唆した。FOMCのタカ派的スタンスを受けた米金利上昇を背景に、外
為市場では日米金利差を意識した円売り・ドル買い圧力がかかりやすくなっている。
現在の政策運営方針
日銀当座預金のうち政策金利残高にマイナス0.1%の金利を適用
長期金利がゼロ%程度で推移するよう、上限を設けず必要な金額の長期国債を買い入れ
長期金利の変動幅は上下0.5%程度をめどとし、長短金利操作についてより柔軟に運用する。10年物国債金利について1.0%での指し値
オペを明らかに応札が見込まれない場合を除き、毎営業日実施する
金融市場調節方針と整合的なイールドカーブの形成を促すため、大規模な国債買い入れを継続するとともに、各年限で機動的に買い入れ
額の増額や指し値オペ、共通担保資金供給オペなどを実施する
ETFとJ-REITはそれぞれ年間約12兆円、約1800億円に相当する残高増加ペースを上限に必要に応じて買い入れ
CPは約2兆円の残高維持。社債は感染症拡大前と同程度のペースで買い入れ、残高を感染症拡大前の水準(約3兆円)へ徐々に戻して
いく。ただし、社債の買い入れ残高の調整は発行環境に十分配慮して進める
2023/09/22 16:52 日経速報ニュース
日銀は22日に開いた金融政策決定会合で金融緩和策の現状維持を全会一致で決めた。長期金利の事実上の上限を1%とする長短金利
操作(イールドカーブ・コントロール)や、マイナス金利政策、上場投資信託(ETF)の買い入れなどの現行の緩和策を続ける。記者会見した
植田和男総裁は「政策修正時期の決め打ちは到底できない」と述べた。
植田総裁は「物価目標の実現が見通せる状況にはない。粘り強く金融緩和を続けていく」と強調した。日銀は7月会合でYCCを修正し、
長期金利の上限を事実上1%に引き上げた。植田総裁は「効果があらわれているのか、あらわれていないのかをみるには時期尚早だ」と指
摘した。
円は一時148円台に
大規模緩和を続ける日銀と金融引き締め局面にある欧米中銀との違いが改めて意識され、外国為替市場では記者会見中に円安が進ん
だ。日銀の発表直前には147円台後半で推移していた円は、一時1ドル=148円台を付けた。植田総裁は「市場の動向だけでなく経済、物価
見通しに影響を及ぼすという観点から注視している」と語った。
植田総裁は「賃金上昇を伴う2%の物価上昇は見通せない」と強調し、市場の早期修正観測をけん制。一方で、今後の政策変更につい
て問われ「物価目標の実現が見通せる状況になれば、YCCの撤廃やマイナス金利の修正を検討することになる」と述べた。さらに「どれを
どういう順序で変更していくかは、さまざまなオプション(選択肢)がある」と話した。
賃金は「最重要な要素」
総務省が同日発表した8月の消費者物価指数(CPI、生鮮食品除く)は前年同月比で3.1%の上昇だった。物価上昇の継続性を判断するう
えで、賃金の上昇が「最重要な要素の1つ」(植田総裁)となる。日銀は上昇率が一時的に縮小した後、企業の賃金・価格設定行動の変化
などを背景に「再びプラス幅を緩やかに拡大していく」とみている。
日銀は国内景気については、企業収益が全体として高水準で推移するもとで、設備投資や個人消費が増加しているとの見方を示した。
先行きは海外経済の回復ペースの鈍化で下押し圧力を受ける一方、ペントアップ(先送り)需要の顕在化などに支えられ、緩やかに回復し
ていくとみる。
今後のリスク要因については「海外の経済・物価動向、資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動など、わが国経済・物価を巡る不確
実性はきわめて高い」とした。
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2023/09/23 日本経済新聞 朝刊
日銀がいつ長短金利操作撤廃やマイナス金利解除に踏み切るか。22日の金融政策決定会合では動かなかったが、国内では賃上げが進み
本格的なデフレ脱却の芽が出ている。積極的な賃上げに動ける銘柄には業績上振れ期待もあり、買いが集まる。株高の持続力が高まるかは
賃上げの裾野の広がりがカギを握る。
「企業の賃金、価格設定行動の一部に従来よりも積極的な動きが見られ始めているが、物価目標の持続的・安定的な実現を見通せる状況に
は至ってない」。植田和男総裁は会合後の記者会見で指摘した。
第一生命経済研究所の永浜利広首席エコノミストは「地に足がついた慎重な判断だ。名目賃金が上がっていることもあり、実質賃金がプラス
圏に持ち直すまでもう少しの辛抱という考えだろう」と受け止めた。植田氏は賃金動向を政策判断のための最重要要素の一つとしている。
日本労働組合総連合会がまとめた2023年春闘での賃上げ率は3・58%と、30年ぶりの高い伸び率だった。基本給を引き上げるベースアッ
プ(ベア)だけでも2・12%伸びた。日経平均株価は7月3日に3万3753円と33年ぶりの高値をつけ、ともに「失われた30年」からの脱却を印
象づけた。ある外資系運用会社幹部は「日銀が政策修正を考慮できるほど日本経済が回復し、外国人投資家のジャパン・パッシングが払拭さ
れつつある」と話す。
賃上げ率と日経平均の年末値の推移をみると、軌道はおおむね重なる。最高値をつけた1989年12月29日から間もない90年春闘での賃
上げ率は5・95%と、この35年で最も高い。2000年代に入り賃上げ率が2%を割り込むと、日経平均も低迷した。
足元の賃上げ拡大の背景には、企業が原資となるキャッシュを稼ぐ力を高めたことが大きい。野村証券の清水康弘シニア・クオンツ・アナリス
トは「業績見通しが良い企業が積極的な賃上げに動く傾向がある」と分析。「積極的に賃上げする企業は経営陣が利益成長を見込んでいると考
えられ、業績予想を上方修正する可能性も高い」(清水氏)
そんな積極賃上げで買いを集めるのが日東紡だ。23年春闘での賃上げ率はベア部分で3・00%だった。22日時点での株価は3月末比で6
3%高と日経平均(16%高)を大きく上回る。8月には24年3月期の連結純利益を前期比62%増の45億円に上方修正した。今期に入り、生
成AI(人工知能)関連のデータセンター向けに低誘電ガラスの需要が伸びているという。
ほかにも黒崎播磨は3月末比48%高い。主力の耐火物製品でコストアップ分の価格転嫁が進んだことなどから、7月に24年3月期の業績予
想を上方修正した。
市場では賃上げの広がりはまだ不十分との見方が大半だ。中小組合の23年春闘での賃上げ率は3・23%と全体より0・35ポイント低い。ニ
ッセイアセットマネジメントの吉野貴晶投資工学開発センター長は「日本株の一段高には出遅れている中小企業でも賃上げが進み、全体が底
上げされる必要がある」と話す。
岸田文雄首相は日本時間22日未明、米ニューヨークで投資家向けに講演し「構造的な賃上げ」と「持続可能性強化のための官民投資」に重
きを置いた経済対策をまとめると説明。投資家に「日本への投資を強く求めたい」と呼びかけた。賃上げの継続は日本株の行く末を占う重要な
要素だ。
2023/09/24 15:00 日経速報ニュース
日米中央銀行の政策決定会合を終え、今週は円安圧力が高まりそうだ。米金利高を受けて日米金利差が10カ月ぶりの水準まで拡大して
おり、ドルに資金が流れやすい。1ドル=150円の大台が迫るなか、市場は円買い介入に対する警戒を強めている。株式市場も金利の動きに
神経質になっている。
先週までに開かれた一連の中銀会合で、市場に最も大きな驚きを与えたのは米連邦準備理事会(FRB)だった。米連邦公開市場委員会(F
OMC)参加者による2024年末の政策金利の見通しが、中央値で5.1%と前回から0.5%も引き上げられたからだ。米政策金利が当面高止まり
するとの見方が広がり、市場参加者の「利下げシナリオ」に狂いが生じた。
米ゴールドマン・サックスは24年4?6月から10?12月に利下げ開始時期の見通しを変更した。米長期金利は22日、16年ぶりに節目となる
4.5%まで上昇した。投資家は高金利長期化への備えを急いでいる。
一方、日銀は金融緩和政策の現状維持を決めた。植田和男総裁は次の政策修正の時期について「到底決め打ちできない」とし、市場で浮
上していた早期のマイナス金利政策解除の思惑を打ち消した。これを受け、翌日物金利スワップ(OIS)市場が織り込むマイナス金利政策解
除の時期は来年の1月から3月にずれ込んでいる。
【関連記事】緩和修正「到底決め打ちできぬ」 日銀、賃上げ見極めへ
日米中銀の姿勢の差を映し、日米の長期金利の差は3.7%と昨年11月以来10カ月ぶりの水準まで拡大した。これが円安圧力となり、円相
場は1ドル=148円40銭前後と10カ月ぶりの円安・ドル高水準をつけた。
日本は仮にマイナス金利を脱却しても、潜在成長率の低さなどから利上げの幅は小さくならざるを得ないとの見方が多い。FRBが24年以降
も政策金利を高く保つ姿勢を鮮明にするなか、市場参加者の間で円の「売りやすさ」が意識されている。野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ス
トラテジストは「米景気の強さもあり、当面は円安・ドル高が進みやすい」とみる。
ここからさらに円安が進むとすると、1ドル=150円の大台が間近に迫ることになる。150円台は、政府・日銀が2営業日にわたり6.3兆円の円
買い介入を実施した昨年10月後半以降は一度も付けていない。
政府は口先介入に動いている。財務省の神田真人財務官は20日、「海外の当局とりわけ米当局とは日ごろから極めて緊密に意思疎通を
図っており、過度な変動が好ましくないとの認識を共有している」と述べた。
岸田文雄首相も21日、米国の投資家向け講演で為替の動きに言及した。「引き続き高い緊張感を持ち、過度な変動に対してあらゆる選択
肢を排除せず、適切な対応を取る」と強いトーンで円売りをけん制した。
こうした動きを受け、市場でも「円相場が150円まで下落するか、1日の相場変動が1%を超えると、政府が為替介入に踏み切る」(りそなホ
ールディングスの石田武為替ストラテジスト)との見方がある。
米商品先物取引委員会(CFTC)によると、投機筋は対ドルで円を1兆2700億円程度売り越している。一時は1兆円を下回っていた売り越し
幅が足元では拡大基調にある。介入があると、この円売りポジションが巻き戻されて急激な円高が進む公算が大きい。
今週は岸田首相が25日にも経済対策の柱を表明する。対策規模によっては「国内のインフレ圧力になる」(みずほ証券の小林俊介チーフ
エコノミスト)。インフレの高止まりが日銀のマイナス金利脱却の思惑を呼ぶと、円高の要因となりそうだ。
株式市場でもFOMCの結果を受けて、米金利の高止まりが警戒されている。米ダウ工業株30種平均は22日、2カ月半ぶりの安値をつけた。
ピクテ・ジャパンの田中純平ストラテジストは「世界の株式相場のけん引役だった米主要ハイテク株の調整が今後も続く」と予想する。
日経平均株価への影響度が大きい半導体関連株は、米ハイテク株との連動性が高い。米国の株式市場が金利動向に敏感な間は、日本
でも上値を狙う動きは限定的とみられる。一方、為替の円安は輸出企業の業績にプラスで、相場を売り崩す展開になりにくい。指数は膠着
感を強める可能性がある。
2023/09/25 05:00 日経速報ニュース
日銀の植田和男総裁は金融緩和の早期縮小観測をひとまず打ち消したが、行内はインフレ目標の安定達成に自信を深めつつある。構造
的な人手不足による賃上げが長く続くとみており、年内の追加の緩和縮小も選択肢となる。米連邦準備理事会(FRB)の動向など、3つの
変数を見極めながら最終判断することになる。
「現時点では経済・物価を巡る不確実性は極めて高く、政策修正の時期や具体的な対応は到底決め打ちできない」。22日の記者会見で
植田総裁は早期の緩和縮小観測を火消しした。
日銀は7月の前回会合で長短金利操作(イールドカーブ・コントロール=YCC)を見直し、長期金利の上限を事実上1%に引き上げたばか
りだ。この上限をなくすYCCの撤廃観測が強まると、国債売りが殺到して長期金利も一気に上限の1%に達してしまう。
YCCという繊細な政策を抱える日銀は、市場に追い込まれることだけは避けなければならない。植田氏が自らの発言で広がった緩和縮小
観測を強く火消しした背景には、こうした事情がある。
ただ、それでも日銀は金融緩和の出口に向けて自信を深めつつある。日銀関係者が注目したのは、植田氏の記者会見があった22日朝に
発表された8月の消費者物価指数統計だった。サービス価格の上昇率が2カ月連続で2%を上回り、賃金上昇が物価を安定的に押し上げる
構図がみえ始めている。サービス物価の上昇率が2カ月続けて2%を超えるのは、消費増税の時期を除くと29年10カ月ぶりのことになる。
日銀は10月末に次回の金融政策決定会合を開き、そこで「展望リポート」を公表する。焦点は24年度と25年度の物価見通しで、いずれも
インフレ率が2%を超える予測となれば、市場は改めて早期のYCC撤廃とマイナス金利解除を織り込むようになるだろう。植田氏の22日の
慎重な物言いは、次回会合まで市場を落ち着かせる時間稼ぎにすぎない。
それでも日銀の緩和縮小を左右する変数が3つある。
一つはFRBだ。米国は原油価格の再上昇でインフレが思うように収まってこない。FRBの金融引き締めが長引きそうで、世界的にも長期金
利に上昇圧力がかかっている。こうした局面で日銀がYCCを撤廃してしまうと日本の長期金利も想定外に上昇しかねない。日銀は22年12月
23年7月とこれまで2回、緩和縮小に踏み切ってきたが、いずれもFRBが利上げペースを緩めた局面だった。日銀の次の判断も、米国の金融
政策が左右することになる。
もう一つは円相場だろう。1ドル=148円台という足元の円安水準は、岸田文雄首相が為替介入の可能性をそれとなくほのめかすほど、ギリ
ギリの攻防ラインにある。一段の円安が進むようなら日銀の動きも前倒しとなり、逆に円安が落ち着けば日銀にとっては様子見できる時間が
確保できることになる。
見逃せない3つ目の変数は国内政治情勢にある。解散総選挙の機運が出てくれば、日銀は緩和縮小に動けない。それでなくても安倍派は
いまなお早期の緩和縮小に反対しており、24年度予算編成を控えて財務省も日銀の動向に神経をとがらせている。日銀は00年のゼロ金利
解除、06年の量的緩和解除で政治の反発を招き、安倍晋三氏ら痛烈な日銀批判論者のその後の台頭につながったトラウマもある。
世界の中央銀行は非伝統的な金利や為替のコントロール策を仕掛けたが、その出口で少なからず失敗をおかしている。直近では21年、オ
ーストラリア中銀がYCCの出口で金利制御に失敗して市場が大混乱した。スイス中銀も15年、通貨コントロール策の解除に失敗し、為替レー
トが急上昇して経済に打撃をもたらした。いずれも市場の攻撃で中央銀行が追い込まれ、金利や通貨のコントロール策を放棄せざるをえなくな
ったのが実際だ。
日銀は今のところ市場の混乱を招かずにYCCの出口に緩やかに向かっている。それは豪中銀やスイス中銀と異なり、市場に追い込まれる
前に動いているからだ。22年12月も23年7月も、いずれも緩和縮小観測が極めて小さいタイミングを見計らって政策変更を決断した。追い込
まれる前に動くのがYCCという政策を抱える今の日銀の鉄則だとしたら、市場は次も虚を突かれることになる。
2023/09/25 07:31 日経速報ニュース
今週(25~29日)の債券相場は弱含みそうだ。日銀は21~22日に開いた金融政策決定会合で現行の金融政策を維持した。だが政策修正
観測は根強く、引き続き国内金利には上昇圧力がかかりやすいだろう。市場では長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りは0.76%
程度まで上昇余地があるとの予想が出ていた。
日銀は21~22日の金融政策決定会合で現行の金融緩和政策の維持を決めた。植田和男総裁は会合後の記者会見で、長短金利操作(イ
ールドカーブ・コントロール、YCC)の撤廃やマイナス金利政策の修正については「物価目標の実現が見通せるようになったら考える」と述べ
た。10月以降の政策修正の思惑は根強く、今週も金利の先高観は残りそうだ。
前週の長期金利は前の週に比べて0.045%高い(債券価格は安い)0.745%で終えた。米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めが長期
化するとの見方から米長期金利が上昇し、国内債にも売り圧力がかかった。日銀の金融政策決定会合の結果発表を控え、国内債には持ち
高調整の売りが出やすかった。
財務省は26日に40年債(発行予定額7000億円)、28日に2年債(同2兆9000億円)の入札を実施する。日銀が早期に緩和を修正するとの
観測がくすぶり、投資家のリスク許容度は高いとはいいがたい。こうした状況から市場では40年債について、「デュレーション(元利金の平均
回収期間)が長いため、需要が集まるか一定の不安がある」(国内銀行の債券担当者)との声があった。29日には3カ月物国庫短期証券(T
B)入札が予定されている。
週内は米国でも入札が複数予定されている。26日には2年債、27日には5年債、28日には7年債入札が実施される。米国で債券需給の
緩みが意識されやすいのも、国内金利の上昇を促しそうだ。
日銀による国債買い入れオペ(公開市場操作)は27日に予定されており、対象は「3年超5年以下」「5年超10年以下」「10年超25年以下」
「25年超」となっている。29日夕には10~12月分の国債買い入れオペの運営方針(オペ紙)を公表する。オペでの買い入れ額を維持すれば、
需給の引き締まりが意識されて債券相場の支えとなるだろう。
週内は25日に日銀の植田総裁が大阪経済4団体共催懇談会に出席して記者会見するほか、内田副総裁が全国証券大会であいさつする。
総務省は29日に9月の都区部消費者物価指数(CPI)を発表する。海外では29日に9月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値や8月の
米個人所得・個人消費支出(PCE)が発表になる。
米国でも要人の発言機会が相次ぐ。26日にはボウマンFRB理事、28日にはクックFRB理事がそれぞれ講演する。28日はパウエルFRB
議長が討論会に参加し、29日にはウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁があいさつする。
2023/09/25 10:24 日経速報ニュース
25日午前の国内債券市場で長期金利は低下(価格は上昇)した。指標となる新発10年物国債の利回りは前週末比0.010%低い0.735%を
つけた。米国では22日発表の9月の米購買担当者景気指数(PMI)速報値を受けて景気減速が意識された。その後に米金利が低下し、国内
債にも買いが及んでいる。日銀が21~22日に開いた金融政策決定会合で現行の金融政策を維持したのを受け、債券に買いが入りやすい面
もある。
2023/09/25 12:23 日経速報ニュース
25日午前の東京株式市場で日経平均株価は反発し、前引けは前週末比187円(0.58%)高の3万2590円だった。日銀による早期の金融
政策修正の観測が後退し、海外短期筋などによる買いが優勢になった。値がさの半導体株などの上昇が日経平均を押し上げたが、市場で
はこれまで強含んでいた銀行などバリュー(割安)株の下落を不安視する声も聞かれる。
前週末の米株式相場が下落したにもかかわらず、午前は東証プライムの7割強にあたる1360銘柄が上昇した。日銀の緩和維持自体は市
場予想通りだったが、植田和男総裁は会見で政策修正の時期について「到底決め打ちできない」と述べた。緩和の継続という日本の独自要
因が相場全体を押し上げた格好だ。東海東京調査センターの仙石誠シニアエクイティマーケットアナリストは「政策修正を見込む関係者は少
なかったが、短期的な持ち高の巻き戻しが出た」と話す。
市場では「日本株の上昇基調は崩れない」との見方が再び広がりつつある。目先は3月期決算企業の中間配当の権利付き最終売買日で
ある27日までは配当狙いの買いが支えとなりそうだ。ただ、その後は権利落ちに伴う需給悪化が意識されやすい。
気掛かりなのはバリュー株の先行きだ。今年は特に顕著な上昇を演じてきただけに反動が懸念される。午前は日銀による政策修正の後退
も売りに拍車がかかり、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)や三井住友フィナンシャルグループ(8316)など銀行株は全面安となった。
配当利回りの高さなども追い風に売り方の買い戻しによる「踏み上げ相場」を演じてきた日本郵船(9101)や川崎汽船(9107)、上場来高値圏
のトヨタ自動車(7203)も軟調だった。市場では「高配当銘柄は株価が強含んでいただけに、配当を受け取る前に手じまい売りを出す投資家も
多そうだ」(国内証券)との声が聞かれた。
東証株価指数(TOPIX)が33年ぶりの高値圏に浮上してきたけん引役は、時価総額の大きいバリュー株だった。ただ「PER(株価収益率)で
みると、バリュー株の一段高を正当化するのが難しくなってきた」(岡三証券の松本史雄チーフストラテジスト)との指摘もある。需給面では月末
にかけて配当の再投資といった支援材料もあるが、今後は「配当ラリー」の一巡も含め、物色の転機が訪れるかどうかを見極める局面となりそ
うだ。
2023/09/26 日本経済新聞 朝刊
日銀の植田和男総裁は25日午後に開いた大阪市内での記者会見で、為替動向について「(日銀の)経済、物価見通しにどういう影響を
及ぼしていくかは常に非常に注意して見ている」と述べた。25日の東京外国為替市場で円相場は対ドルで年初来安値をつけている。「政
府とも緊密に連絡をとって(影響を)調査、分析する」とした。
日銀は22日の金融政策決定会合で大規模な金融緩和策の維持を決めた。市場が金融引き締め局面が続く米国との違いを改めて意識
したことが円売り・ドル買いにつながっている。円安は国民負担となる物価高を後押しする側面もあり、政府内の警戒は根強い。
植田総裁は「為替についてはファンダメンタルズ(経済の基礎的要件)に沿って安定的に推移するのが望ましい」とする一方、「直接為替
相場を左右するような金融政策運営はしない」との考えも示した。
岸田文雄首相は25日、円安が進む為替市場について「引き続き高い緊張感を持って注視したい」と語った。首相官邸で記者団の質問
に答えた。
「為替相場はファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが重要だ。過度な変動は望ましくない」とも指摘した。
[東京 27日] - 昨年、インフレに対する初動が遅れた米連邦準備理事会(FRB)の誤算の一つが、人々のインフレ期待の高まりだった。
2021年にニューヨーク連銀のラッド氏が「人々のインフレ期待が実際のインフレ率に影響を及ぼすという説は、根拠が弱い」という論文を
発表し、話題となった。
しかし、現実には期待インフレ率の上昇が自己実現してしまった。人々がインフレを予想することで、企業は値上げしやすくなった。また、
インフレへの不安が大幅な賃上げ要求につながり、これを吸収するべく企業は商品やサービスの価格を引き上げた。現在、進行中の全米
自動車労組(UAW)が 提示している4年間で36%という賃上げ要求も、人々の将来のインフレ懸念が背景にあると思われる。
<日本のインフレ期待計測、データ不足の問題>
だが、現在インフレ期待でより大きな問題を抱えるのは、日本かもしれない。まずはデータ不足の問題である。日本には、米ミシガン大学
の消費者サーベイのような、詳細で長期にわたる個人のインフレ予想のデータはない。
市場のインフレ予想自体は、民間エコノミスト経済予測ESPフォーキャストや、物価連動国債と普通国債の利回り差から求めるブレークイ
ーブン・インフレ(BEI)率がある。しかし、ESPフォーキャストは、専門家であるエコノミストの予想であり、BEIも機関投資家らが売買する
国債を用いて計測される。いずれもプロの予想を表すものであり、BEIでは債券の需給も影響する。一般の消費者のインフレの体感の把
握には不十分である。
消費者向けの物価関連のサーベイ・データとしては、内閣府の「消費動向調査」や日本銀行の「生活意識に関するアンケート調査」がある。
だが、米ミシガン大のサーベイが1978年まで遡れるのに対し、これらのデータは歴史が浅い。
しかも、「消費動向調査」の物価上昇率は「2%以上5%未満上昇」などレンジでの回答になっている。日銀の調査は具体的な数字での
回答を求めているが、この形式になったのは2004年からと蓄積データが少ない。
さらに、各解答について年齢・学歴・性別等の属性ごとの内訳開示もない。個人の予想はプロほど適格ではないことが多いことから、予想
を詳しく聞いても仕方がないという考え方もあるだろう。しかし、消費を行う主体は個人であり、その予想は、数字が当たるかどうかではなく
その変動そのものに意味がある。
<1年後の物価予想、日本は10%>
そして、足元のデータを見ると、日本のインフレ期待には不安な点がある。直近(7月発表分)の日銀の「生活意識アンケート調査」の1年後
の物価予想は、上昇の勢いこそ一服したものの、10%と極めて高い。米ミシガン大学サーベイの中央値3.4%(7月)をはるかに上回って
いる。
米国では、物価が高騰した過去2年近く、人々のインフレ予想はその時点のインフレ率の実績値を若干下回って推移してきた。つまり、極端
なインフレは早晩収まると予想されていた。
一方、現在の日本の消費者は、足元のインフレ率よりもかなり高い数字を予想している。卵や生鮮食品など、日々目にしている品目の極端
な価格上昇に色濃く影響を受け、直観で答えているということだろうか。
しかし、それは米国でも多かれ少なかれ見られる現象と言える。あるいは、日本の消費者は、長年、物価下落の基調は変わりにくいとメディ
ア等で見聞きしてきたため、物価上昇も粘着性が高いはずだと推定しているのかもしれない。
これに関連して、興味深いデータがある。直近の日銀の「生活意識アンケート調査」では、物価が上昇すると回答した人に対して、そう考
える理由も聞いている。
最も多い回答は「最近物価が上がっているから」というものだ。やはり、多くの人々が足元の物価上昇が来年もそのまま続くと考えている
ことになる。
問題は、その次に多い回答である。35%の人が「物価は上がるものだから」と回答しているのである。どのような属性の人がこのように回
答しているのか、過去デフレ時代はどうだったのか等がわからないため、数字の解釈はまだ難しい。
しかし、今後この回答が増えると厄介だ。かつて日本では、物価は下がるものだという「デフレ・ノルム」が生まれてしまったが、今度は、物
価は上昇するものだ、という「新しいノルム」が生まれつつあるという可能性も排除できない。
仮にそうであるならば、行き過ぎたインフレ予想が定着する前に、日銀は早期の利上げに踏み切るべきかもしれない。
2023/09/28 日本経済新聞 朝刊
物価高や賃金動向を巡って日銀内で見方が割れている。日銀が公表した7月の金融政策決定会合の議事要旨では、2%の物価安定目標
の達成について「実現がはっきりと視界に捉えられる」とみる委員がいた一方、「実現は見通せず、マイナス金利政策の修正にはなお大きな
距離がある」との声も上がった。
7月の会合では長短金利操作(イールドカーブ・コントロール=YCC)を見直し、長期金利の上限を1%に事実上引き上げた。
会合直後に公表した「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)では2023年度の物価見通しを大幅に上方修正した。今後は「輸入物価の下
落に伴う下押しにより、次第に縮小していく」とみる委員がいた。「時間をかけてコスト上昇を価格に転嫁する動きは続く」と述べる委員もいた。
焦点の賃金動向について委員の一人からは「来年度以降の賃上げを検討する企業も増えており、賃上げとサービス価格の上昇が続く新た
な局面が見込まれる」との意見が出た。一方で中小企業について「6割が赤字法人で収益力が弱く、賃金上昇の広がりを確認する必要があ
る」と指摘する委員がいた。
2023/09/28 20:48 日経速報ニュース
日本取引所グループが28日発表した投資部門別売買動向(東京・名古屋2市場)によると、海外投資家は9月第3週(19?22日)に現物
株を9131億円売り越した。売り越しは3週連続で、売越額は3月第2週(1兆1275億円)以来の大きさだった。日銀の金融政策決定会合を
控えて政策変更への警戒から持ち高を減らす動きが広がった。
19?22日は米連邦公開市場委員会(FOMC)や日銀の金融政策決定会合が開かれた。米金利の高止まり懸念もあり日経平均株価は
週間で1100円超下げ、今年に入り最大の下げ幅だった。週初から4日連続で下落し、1日で450円超下げる場面もみられた。
しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹シニアファンドマネージャーは「日銀の発表内容によっては円高進行や景気回復の減速が懸
念されたことから、リスク回避の動きが広がった」と分析する。FOMCでも金融引き締め長期化を示唆する内容がみられたことから、ハイテク
関連などグロース株を中心に売りが広がった。
国内の個人投資家は現物株を6613億円買い越した。買い越しは2週ぶりとなる。株価の急落を受けた逆張りの買いが入ったとみられる。
年金基金の売買動向を映すとされる信託銀行は3週連続で売り越した。売越額は3401億円で、約3カ月ぶりの高水準となった。
2023/09/29 04:00 日経速報ニュース
9月22日の日銀金融政策決定会合後の記者会見で、植田和男総裁は年内利上げの可能性について否定的であった。それに先だって
、「物価・賃金データがそろえば、年内利上げもゼロではない」と新聞取材で発言したとされていただけに、手のひらを返したようだった。
ならば、為替は円安に向かうだろう。円相場は1ドル=150円に接近している(図表)。9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、2024
年末の政策金利見通しが5.1%と前回(4.6%)よりも引き上げられた。米連邦準備理事会(FRB)がそう簡単に利下げをしない構えを鮮明に
したために、米長期金利は4.5%近くまで上がり、ドル高・円安が進んでいるのだ。
政府は行き過ぎた円安望まず
思い出すのは22年10月の円安だ。為替市場では1ドル=151円90銭台まで円安が進行。政府は3度の為替介入に踏み切り、それによっ
て円高に押し戻された。円安は輸入物価を高騰させる。国民は物価上昇の痛みを嫌うから、政府も円安に歯止めをかけるべく、為替介入
を実施した。しかし現在、日本は米国から為替操作国の監視対象国から外されている。だからこそ、日本は再び監視対象になることを恐れ
、今回は前回ほどの大規模な介入には動けないのだろう。
政府には物価を巡って頭の痛い問題がある。9月末にガソリンなどに対して実施していた補助金の支援策が期限切れになる。ひとまずは
12月末まで支援策を延長する。電気・ガス代についても、9月末で終了するはずだった補助金を延長する方針を決めている。
政府の立場は、①これ以上の円安を望まない②物価対策を講じて10月以降のガソリン、電気・ガス代の抑制を行いたい、というものだ。
ならば筋を通して考えると、日銀に早急に金融緩和の修正を求めるべきだとなる。日銀に対し安定的に2%の物価上昇を望むとしてきたコミ
ットメントを達成したことにして、マイナス金利の解除へ動くことを要請するのだ。
日銀は政府との間で共同声明を結び、2%のインフレ目標達成を目指してきた。この約束が日銀を過剰に慎重にさせてきたことは明白で
ある。だからこそ、政府が「もう良いです」とお墨付きを与えて、日銀の自縄自縛を解いてやらなくてはいけない。仮に岸田文雄首相が共同
声明を結び直すと言えば、それだけで為替レートは円高方向に向かうはずだ。
少し前の経緯を話すと、植田総裁が就任したときに共同声明を結び直すチャンスがあったが、岸田首相はそれを見送った。安倍晋三首相
時代のリフレ政策に執着する人々におもねった可能性もある。
これが、岸田政権が政策的矛盾を抱える火種になった。まず、金融緩和によって生じた輸入物価高騰を財政資金で穴埋めしている点が
矛盾だ。国民が腹を立てているのは、エネルギーよりも食料品の方だ。こちらは円安である限り価格高騰が続く。
さらにガソリン補助金にも矛盾がある。高騰した輸入コストを補助金で引き下げると、ガソリン消費量は減らなくなる。貿易赤字は拡大して
、それが円安を招く。ガソリン価格がまた上昇して、余計に補助金を必要とする。岸田首相が日銀の金融緩和解除を縛る共同声明を見直さ
ない限り、根本的な物価対策にはならない。
年内利上げは早すぎるとしても、マーケットの投資家たちはそう遠くない将来に、日銀のマイナス金利解除があるとみている(筆者も24年
4月末だとみる)。
そのためにはインフレ率が「安定的に2%を上回る」という縛りを解く必要がある。この「安定的に」という日本語は曖昧な言葉である。「2%を
上回る」ではなく、「安定的に2%を上回る」とするだけで意味が全く違ってくる。「安定的に」が入ると、今後2%を割ってはいけないという意味
に変わる。すでに消費者物価は3?4%もの上昇率でとっくの昔に2%を上回っている。日銀が3?4%ものインフレを無視しているのは、いず
れ上昇率が反落する可能性を否定できないからだ。
2%を割り込まないようにするためには、下方硬直的なサービス価格が底上げされ、かつ春闘のベースアップが毎年2%以上の上昇率に高
まることが必要になると、筆者は考える。
ただし、マイナス金利解除=円高になるかは不確定だと思われる。それを理解するには議論をもっと深く掘り下げる必要があり、具体的に
マイナス金利解除の先の話をすればわかる。もし日銀が安定的に2%の物価上昇を展望できたならば、短期金利をマイナス0.1%から0.1%、
その次に0.25%へと引き上げられるだろうか。さらに欧米のように、そこから0.50%、1.00%へと段階的利上げに進めるだろうか。
筆者の見方は、先々の利上げもまた苦難の道というものだ。マイナス0.1%の短期金利を引き上げるとすれば、日銀にとって当座預金の
保有者である民間金融機関への利払い費負担はどのくらい生じるだろうか。仮に0.10%までの短期金利の引き上げであれば、0.20ポイント
の利上げ幅になる。
短期金利が0.10%になると、今まで水面下にあり意識されなかった問題が浮上してくる。例えば、日銀当座預金への付利を行い0.10%分
の利息を金融機関に支払うことになる。500兆円以上もある当座預金のうち、準備預金適用残高(7月末473兆円)に対して0.10%の付利を
行うと年間利払費は約5000億円になる。これくらいならば問題はないが、付利を0.50%にすると年間2.4兆円もの負担増になる。22年度の
日銀の当期剰余金は2.0兆円なので、計算上、赤字に転落する。
マイナス金利をすぐに解除しても、長期国債を市場で売却しない限り、当座預金の付利による負担増が収益を圧迫するという問題が生
じる。だから、日銀の利上げはそれほど大胆にはできない。
また、よく話題にされるのは、長期金利上昇に伴う長期国債の含み損の問題である。もちろん、日銀は保有国債をすべて時価評価する
訳ではない。それでも含み損を計算したときに、日銀の自己資本がマイナスになると、バランスシートに穴が開いたように見える。そうする
と、円の信用を担保する中央銀行の資産内容が劣化して円安を助長することになりかねない。
もしも日銀がマイナス金利を解除すると、隠れた問題が浮上し、利上げに伴う弊害が意識されて、なかなかそれ以上の利上げは難しいと
いう見方が出てくる。すると、日米金利差が縮小するとしても、その幅は限られるという思惑から、円高よりも円安の方に傾くと筆者は見て
いる。
おそらく、現在はそうした隠れた問題の存在を、マーケットは十分に気付いていない。まだ「マイナス金利の解除は円高要因だ」という先入
観にとらわれている。もしも日銀が本気になって趨勢的な円安を止めようとするなら、欧米ほどではないにせよ、いずれ段階的利上げに動
かざるを得ないと思える。
2023/09/29 11:44 日経速報ニュース
29日午前の東京株式市場で日経平均株価は続落し、前日比36円28銭(0.11%)安の3万1836円24銭で前場を終えた。四半期末に伴う
機関投資家によるリバランス(資産配分の調整)に伴う売りや、米政府機関の閉鎖への警戒が投資家心理の重荷だった。ただ前日の米株
式相場の上昇は相場全体を下支えし、日経平均は上昇する場面もあった。
きょうの東京市場ではバリュー(割安)株への売りが目立ち、東証株価指数(TOPIX)バリュー指数は前引け時点で1.27%安となった。こ
のところ上昇基調が顕著だったバリュー株にリバランスの売りが出ているとの見方があった。29日午前に国内長期金利の指標となる新発
10年物国債利回りが一時0.770%と約10年ぶりの高水準まで上昇したことも株式相場の逆風との受け止めがあった。
寄り付き直後は前日の米株式相場が上昇した流れを受けて日本株にも買いが先行し、日経平均は節目の3万2000円を超える場面があ
った。前日の米株式市場では金利上昇への過度な警戒感の後退からハイテク株を中心に上昇。東京市場ではアドテストや東エレクなど半
導体関連銘柄への買いが目立った。
東証株価指数(TOPIX)は続落した。JPXプライム150指数も続落し、前引け時点で4.06ポイント(0.40%)安の1012.85だった。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で1兆7668億円、売買高は7億2727万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は1185と
、全体の6割強を占めた。値上がりは587銘柄、横ばいは59銘柄だった。
デンソーやセコムが安い。豊田通商や東京海上の下げも目立った。一方、TDKやソフトバンクグループ(SBG)が高い。ネクソンやリクルー
トが堅調に推移した。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023093000363&g=eco&utm_source=top&utm_medium=topics&utm_campaign=edit
2023年09月30日16時36分
植田和男日銀総裁は30日、福岡市で講演し、大規模金融緩和の「出口」局面における日銀の財務悪化懸念について、中央銀行は自ら
紙幣を発行できることなどから「一時的に赤字や債務超過になっても政策運営能力は損なわれない」との認識を示した。
東京株、半年で3816円上昇 改革への期待でバブル後高値
緩和の出口では、金融機関が日銀に預け入れる当座預金の適用金利を引き上げる。このため、日銀の支払利息が増えて、収益が減少
する。
2023/10/01 04:00 日経速報ニュース
「(今回決まった政策修正は)出口への一歩ではない」。日銀が9月27日に公表した7月金融政策決定会合の議事要旨にそんな発言が
記されていた。同会合では長期金利の上向きの動きをより自由にする政策修正を決めたが、これはあくまで金融緩和政策を円滑に継続す
るための対応というわけだ。
とはいえ「将来振り返ったとき、あれは出口への動きだったと解釈されるのではないか」という声が日銀関係者にある。今後一段と政策が
修正されるなら、そう受け止められる可能性が増すのは事実だ。
物価の基調も「2%」に接近
実際、物価上昇圧力は強く、緩和正常化に追い風が吹く。消費者物価(生鮮食品を除く)の前年同月比上昇率は既に約1年半にわたり
日銀目標の2%を超え、物価の基調を示す加重中央値(価格上昇率の高い順に品目を並べた時にウエートベースで上から50%近辺に位置
する値)も8月は1.8%と2%に一段と接近した。
そこで関心を集めるのが、異次元緩和の3つの柱が今後どんな手順で解体されるかだ。
3つの柱とは、①具体的な目標を設けて長期金利(10年物国債利回り)を操作する長短金利操作政策②日銀当座預金の一部金利をマイ
ナスにするマイナス金利政策③2%超の物価上昇率の安定的実現まで継続するマネタリーベース(資金供給量)の拡大方針(オーバーシュ
ート型コミットメント)だ。そして従来は①→②→③の順に終わるとの見方が多かった。理由は以下の通りだ。
まず①の撤廃は2%物価目標の持続的・安定的実現が見通せれば可能なのに対して、②の解除があり得るのは「引き締めが遅れて、2%
を超えるインフレ率が持続してしまうリスクの方を、より心配する状況」(8月上旬の内田真一副総裁講演)とされ、終了の条件がより厳しい印
象を与えてきた。さらに③の撤廃が可能になるのは「消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超える状
況」(日銀が掲げてきた政策指針)だから、ハードルが最も高いと受け止められてきた。
3つの出口条件に大差はないとの解釈
ところが、最近では3つの出口条件に大差はないという解釈が出てきた。結果として3つが同時に終了するシナリオが取り沙汰され始めた。
背景にあるのは、9月下旬の植田和男総裁の記者会見だ。長短金利操作の撤廃もマイナス金利の修正も「(2%物価)目標の実現が見通
せれば検討する」と説明された。両者の解除条件にあまり違いはないとの見方が出た。
先行して撤廃することも)ロジカルには考えられるかもしれない」(植田総裁)という従来の想定と逆の状況になっている。ただし、総裁は「そ
れ(マネタリーベースの拡大方針の先行的な撤廃)が持つアナウンスメント効果とか、全体をパッケージとして考えてきたというようなことの
中で慎重に考え、まず物価目標達成の見通しが持てるようになるかどうかというところを先に考えたい」と述べた。
マネタリーベース拡大方針の撤廃も、2%目標達成の見通しが立ったタイミングで検討するとの示唆に聞こえた。とすると出口の条件は
3つとも似たものであり、同時終了もあり得るとの見方につながるのだ。
元日銀理事の門間一夫みずほリサーチ&テクノロジーズ・エグゼクティブエコノミストも「3つとも異例の政策であり、2%物価目標の達成
が見通せるようになればまとめてやめるのが論理的」と語る。その時期として、現時点で可能性が相対的に高いのは2024年4月と門間氏
はみる。
BNPパリバ証券の河野龍太郎氏も「24年の春季労使交渉で大幅な賃上げが実現したことを確認した上で同年4月に長短金利操作とマイ
ナス金利の撤廃が決まると見ており、同時にオーバーシュート型コミットメントも解除すると予想する」としている。
もちろん、経済・物価情勢や為替相場の動向次第で3つの柱が同時に終了になる時期が1月などになったり、3つの柱が別々に出口を
迎えたりする展開もあり得る。植田総裁も「様々なオプションがある」とする。ただ、仮に3つの要素が一気に消えるなら、日銀の金融政策は
短期の政策金利のゼロ%への誘導を中心とする比較的シンプルなものになるかもしれない。印象はかなり変わる。
「異次元」の要素は残るものの
もっとも日銀は長期金利への関与を完全にはやめないはずだ。高水準の国債買い入れを続けるなどして、金利の跳ね上がりを抑えるだろ
う。
ちなみに、異次元緩和にはもうひとつ質的緩和という要素がある。その中心が上場投資信託(ETF)の購入であるが、購入額は21年春の
政策修正で激減した。ただし巨額の保有残高をどうするかという課題は残る。
このように「異次元」の要素はなお残りそうだが、今の政策の3つの柱が一挙に姿を消すなら、7月の政策修正は「出口への一歩」だったと
振り返られるだろう。
2023/10/01 日本経済新聞 朝刊
物価高に統計が追いつけていない可能性がある。代表的な消費者物価指数は様々な商品の値段を過去の平均的な買い物の割合に応じ
て足し上げる仕組み。今のエネルギー高のように消費の比重まで変わるほど急激な動きは反映しにくい。足元の支出実態に基づく別の計
算法にすると、日本の直近8月のインフレ率は0.5ポイントも上振れする。異例のズレは景気の把握や政策判断の難しさを映す。
「国民生活や全国の中小企業の事業を守る」。8月末、岸田文雄首相はガソリンの高騰を抑える補助金の延長と拡充を表明した。店頭の
レギュラー価格が全国平均で185円を超えて過去最高値を更新した2日後のことだった。
3年前の2020年はコロナ禍で需要が減り、120~130円台で推移していた。その後の原油高にウクライナ危機が拍車をかけ、足元は
円安も重なって状況がまるで違う。こうした大きな浮き沈みが物価の統計に収まりきっていないとの見方がある。
総務省の消費者物価指数はモノやサービスの価格を家計の支出の多寡で重みづけして算出する。その比重が今は昔の20年のままだ。
5年に一度の改定を前に急変した暮らしの実態とかけ離れつつある。
20年の基準はコロナの特殊要因を相殺するために19年のデータと平均している。全体を1万とした支出のうちガソリンや電気代などを合
わせた比重は712だ。エネルギー高の22年は803まで高まった。外食、宿泊料などコロナ禍からの回復が進むジャンルも比重の拡大が
鮮明だ。
8月の物価上昇率は20年基準だと生鮮食品を除き3.1%だった。比重を毎年更新して前年に合わせる別手法では3.6%になる。指数の
リセットを繰り返す計算法ならではの影響もあり、平時にはない裂け目が23年以降広がる。
かねて統計上の物価と消費者の肌感覚には溝がある。ましてこの1~2年は身の回りで食品などの大幅な値上げが続く。日銀の調査で、
一般個人の体感インフレ率は6月に平均14.7%に達した。足元で総務省の統計値との開きは2桁に拡大している。
物価は経済の体温計と呼ばれる。上がりすぎるなら生活に悪影響を及ぼすため、冷ます必要がある。22年以降、米欧などが利上げを急
いできたのは年率2桁前後の高インフレに直面したためだ。
日銀は先進国で唯一、物価を押し上げるための金融緩和を続ける。目下のインフレは海外発のコスト高が主因で、長続きしないとの見立て
がある。経済が縮小均衡に陥るデフレに戻るのを避けたい思いも強い。緩和策を修正するか悩ましい局面が続き、物価の動向には神経をと
がらせる。
「連鎖指数を本系列に格上げする対応も一案」。20年基準を決める過程ではこんな意見も出した。連鎖は基準を毎年更新する方式を指す。
総務省は参考値にとどめている。生活の変化を反映しやすいのが長所で英国やフランスが採用している。短所は作業負担の重さやブレの出
やすさだ。
経済政策も企業経営もインフレの基調を見極めてこそ成り立つ。成長のカギを握る賃上げの目安も物価次第だ。計算法による違いをどうと
らえるべきか。総務省の担当者は「『どちらが良い悪い』ではない」と説明する。日銀関係者も「それぞれバイアスがある。両方みることが大
切」と話す。
物価の算定や解釈は一筋縄ではいかない。未曽有の感染症や戦争などのショックを経た後ではなおさらだ。日本経済研究センターが集計
する有力エコノミストの予想も20年頃から大きく外れだした。誰しもがインフレの実像をつかみあぐねる難局で、統計の精度が改めて問われ
ている。
2023/10/01 17:00 日経速報ニュース
外国為替市場で1ドル=150円という円安の節目を前に攻防が続く。米国は利上げ終結がみえ、日本は金融緩和の出口も意識され始めた。
昨年の円安を支えた構図は一変したはずだ。だが、その構図の変化こそが今度は日米金利差からの収益を狙う「円キャリー取引」に理想
的な環境をつくり円売りを促し始めた。
9月の円相場は昨年10月の1990年以来の安値(151円94銭)にあと2円あまりに迫る場面があった。昨年をしのぐ円安が意識され始めた。
昨年は米連邦準備理事会(FRB)がインフレ対応に追われ、急激な利上げに突き進んだ。金融政策の影響を強く受ける3カ月物の日米金
利差(米国マイナス日本)は勢いよく広がり、円安・ドル高も進んだ。
その後は米利上げ幅の縮小を受けて円安は一服したが、米インフレはしつこく続き、利上げの打ち止めは逃げ水のようにずれ込んだ。今年
に入って日米金利差は拡大の勢いこそ鈍くなったものの、足元では5%台半ばと2000年以来の大きさになった。
米利上げの勢いや日米金融政策の方向の違いで円を売る流れは終わった。残ったのは巨大な金利差。まだマイナス金利の円でお金を借り
、もはや高金利通貨と化したドルを買う。そんな円キャリー取引にとって天国のような環境にもみえる。
だが、キャリー取引はかなりの危険を伴う。いくら金利差が大きくても、それを打ち消すほどドルが値を下げてしまっては元も子もない。もう
けを出し続けるには相場の安定が絶対条件だ。
カギは変動率にある。通貨オプション市場に先行き1カ月の円相場の変動がどのくらい織り込まれているかを示す「予想変動率(ボラティリ
ティー)」は昨年、振れを伴いつつ上昇軌道を描いたが、今年に入り明確に低下に転じた。
米利上げの終わりが鮮明にみえ始めたことが大きい。FRBは丁寧に来年も当分は利下げをしないと予告までして、不透明感を取り除いた。
金利差と変動率。この2つを合成すれば、今が円キャリー取引にどのくらい適した状況かを推し量ることができる。
代表的なのが、金利差を予想変動率で割って指数にしたものだ。分子の金利差が広がるほど、金利収入は増える。分母の変動率が小さ
いほど、相場変動で金利収入が吹き飛ぶリスクが小さい。つまり値が大きいほど、キャリー取引に有利だ。
ニッセイアセットマネジメントの松波俊哉チーフ・アナリストは「円キャリー取引指数が0.6を超えて上昇すると、経験則として円安に弾みがつ
く」と語る。
8月以降、指数は0.6超が定着した。信用バブルのなか円キャリー取引が世界に広がったリーマン危機以前以来だ。松波氏は「歴史的に
米利上げの停止は変動率の低下につながりやすい」として、今後は円キャリー取引が盛り上がるとみる。
米バンク・オブ・アメリカが世界の機関投資家に聞く為替・金利分野の9月の調査では、「今年最良の日本に関するトレード」に「円キャリー
取引」と答えた割合は20%となり、8月の11%から上昇した。ただし為替関連では「米景気後退リスクをヘッジする円買い・ドル売り」(14%)を上
回ったばかりだ。
同社の主席日本為替金利ストラテジスト、山田修輔氏は「円キャリーの環境が整っているのは確かだが、投資家の動きは鈍い」と指摘する。
リーマン危機前、円安の勢い自体はゆっくりだった。今回は貿易赤字や高水準の対外直接投資など実需面でも円売り要因がそろうなか、
すでに円安はかなり進んでいる。このことが円キャリーの急増を抑えている可能性があるとみる。
もっとも、リーマン危機後は円キャリー取引の巻き戻しが強烈な円買い圧力を生み、市場の波乱要因となった。今回、取引が野放図に膨ら
まないとすれば、かえって緩やかな円安が長持ちすることにもつながりうる。
【関連記事】
・円安、既に「2022年の安値下回る」 日経通貨インデックスが過去最低に
・日銀の自縄自縛で進む円安
変動率の低さは財務省にとって円買い介入に動きにくいということを意味する。表向き、為替介入は相場の急変動に対抗する狙いがある
からだ。
日銀の植田和男総裁は金融政策の正常化への歩みも視野に、柔軟な政策運営を強調する。だが、仮に早期にマイナス金利の解除に動
いても、短期の政策金利がゼロ%になるだけ。米国との金利差を縮めるような急激な利上げは想定しにくい。
結局、米国側にインフレ収束のメドが立つか景気が急減速するなどして利下げの道筋が明確になる以外、円売りの機運をしぼませること
は難しいかもしれない。日本側は昨年以上の厳しい戦いを強いられそうだ。
2023/10/02 14:51 日経速報ニュース
国内企業や金融市場参加者の物価予想が下がらない。日銀が2日公表した9月の全国企業短期経済観測調査(短観)における企業の
物価見通しは、より長期の予想ほど高止まりしている。債券市場参加者のインフレ予想は徐々に水準が切り上がっている。日銀が2%の
物価安定目標の実現に「距離がある」(植田和男総裁)との姿勢を崩さないのに対し、企業や市場の受け止め方は先行して変わりつつある。
「今年度後半は来年に向けた賃上げ動向も含め、見極めの重要な局面となる」。日銀が2日公表した9月21~22日開催分の金融政策
決定会合での「主な意見」では政策委員からこんな声があった。この委員が重要局面とみるのは「予想物価上昇率に上昇の動きがみら
れ、やや距離はあるが、『物価安定の目標』の達成に近づきつつある」と考えているためだ。
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その背景の1つは、9月の日銀短観で明らかになった企業による消費者物価指数(CPI)上昇率予想だ。全規模・全産業の見通しでは
前年比での上昇率が1年後は平均で2.5%と前回6月調査(2.6%)をやや下回った。だが、3年後の上昇率予想は2.2%、もっと先の5年
後は2.1%と前回調査と同水準だ。日銀が目標とする「安定的、持続的な」2%の達成を見込んでいる。
日本経済の先行きを慎重にみる傾向が強いはずの債券市場の参加者も物価予想を切り上げている。QUICKが2日に公表した9月の
債券月次調査によると、生鮮食品を除くCPIの年平均の上昇率は今後1年が2.58%(回答の単純平均ベース)だった。今後2年でみると
2.10%と8月(2.01%)を上回り、2014年7月以来の高さとなった。10年間でみても1.50%と前回(1.42%)を上回り、14年11月以来の高
水準だ。
予想インフレ率の切り上がりを映し、債券市場では日銀による早期の政策正常化への警戒感が高まっている。QUICKの同調査では
日銀が次に政策修正もしくは柔軟化する時期について「24年1~3月」との回答が42%と最も多かった。8月調査(26%)から増え、回答
が最も多かった時期は「24年4~6月」から前倒しされた。
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QUICKの調査では「『安定的に2%』を主張し続けることはさすがに難しい状況にあり、早期の長短金利操作(イールドカーブ・コントロ
ール、YCC)解除は時間の問題」(投信投資顧問)とのコメントもあった。「まだ安定的ではないから緩和を続けている」という日銀の説明
にはもはや無理があるとの見方だ。
2日の国内債券市場で長期金利は一時0.775%と2013年9月以来の高さをつけた。長期金利は日を追うごとに水準を切り上げている。
日銀の大規模緩和の正常化に備えた動きはまだ続きそうだ。
2023/10/03 06:27 日経速報ニュース
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国内長期金利に上昇圧力がかかっている。指標である新発10年物国債利回りは2日、0.775%まで上昇し2013年9月以来の高さとなった。
13年といえば黒田東彦氏が日銀総裁に就任し、異次元緩和に踏み切った年。同年4月に日銀が異次元緩和を決めると長期金利はいったん
急上昇し、その後低下に向かった。このため見落としそうだが、気づけば現時点の長期金利はすでに異次元緩和前の水準を上回っている。
水準だけみれば、日銀が政策の本格修正に動くより一足先に、長期金利は正常化しているといえるかもしれない。
日銀が異次元緩和を決断したのは黒田氏就任後、初めての金融政策決定会合である13年4月4日だ。決定直前である4月3日の長期
金利は0.55%だった。12年末の安倍晋三政権の発足で日銀の追加緩和観測が先行し、長期金利は年初から低下していた。異次元緩和
は予想を上回る規模の大きさとなり、金融・資本市場には衝撃が走った。円安と株高が加速して景気回復期待が高まったことなどから、
日銀の動きは緩和方向だったにもかかわらず長期金利は急上昇して5月下旬には節目の1%に達した。そこで反転し、その後長期間に
わたる低下へ向かった。
2023/10/03 日本経済新聞 朝刊
日本株相場は不安定さが続く。期末前後に特有の売りが上値を抑えているが、10月後半以降にかけて先高期待は根強い。日銀が2日
発表した9月の全国企業短期経済観測調査(短観)でも大企業の景況感は改善が続く。銀行株など好景気の影響を受ける銘柄で下支え
ができれば、中間決算発表後の上昇期待は高まっていく。
2日の東京株式市場では、米議会が政府機関の閉鎖をひとまず回避したことなどを受けた買い戻しで日経平均株価は前週末比一時
544円高となったものの、売りに押されて97円安で引けた。荒い値動きに「期末に絡んで、売らなければいけない分を売るというシステマ
ティックな売りが出て先物だけで動いている」とT&Dアセットマネジメントの酒井祐輔シニア・トレーダーは話す。
9~10月の需給悪化は「5月に売って9月に買え」や「ハロウィーンに買え」といった相場の格言にあるほどだ。日本株は9月末に向け、
年金リバランスや指数の銘柄入れ替えに関する売買や配当の再投資を狙った売りが出やすい。グローバルマクロ系のヘッジファンドなども
売りやすい。
ある欧州系のヘッジファンドの運用担当者は「日本株はしばらく売りポジションのまま行く予定だ」と話す。先進国株は売りでポジションを
取る。一方で「米金利上昇のヘッジにもなるので日本の銀行株のコールオプション(買う権利)を買い上がっている」という。
業種別日経平均の銀行は前週末比1・6%高と逆行高だった。日経平均が大きく下げた午後もさほど下落しなかった。
銀行株は日銀の政策変更によって金利が上昇すれば業績が改善するという期待から上げている。米金利上昇の負の影響を受けにくく、
世界でも米長期金利上昇でメリットが大きい数少ない銘柄だ。日銀短観で示された国内の景況感が改善していることも追い風になる。
2日は千葉興業銀行(6%高)、筑波銀行(5%高)、滋賀銀行(4%高)など地銀株が株価上昇率上位となった。千葉興銀は9月29日に
4~9月期業績を上方修正しており、地銀の業績回復期待が波及した可能性がある。
中小企業の先行きも改善の兆しがある。「中小企業でも投資意欲が旺盛で地方の経済状況も良好なことで、地銀にも業績改善期待があ
る」(国内証券アナリスト)。地方経済回復に伴う融資拡大期待も出始めている。
短観で景況感が改善した自動車のトヨタ自動車やホンダなども逆行高。円安と生産回復を受けて業績期待が高い。日経平均は22年まで
の10年間で年初を100として指数化、平均すると、中間決算発表が本格的に始まる10月半ば以降に上がる傾向がある。特に今年の上方
修正期待は高い。
こうした楽観論を支えたのが、短観の設備投資だ。23年度のソフトウエア・研究開発を含む設備投資額(除く土地投資額)で、大企業は全
業種で13・1%増と前回調査から0・7ポイント改善した。
「設備投資が減らずに続いているのは企業が株主還元だけでなく収益力改善の段階に企業改革を進める意思がある証拠」と三井住友DS
アセットマネジメントの石山仁チーフストラテジスト。低PBR(株価純資産倍率)の修正など業績以外にも影響していくとみる。
ただ、決算発表までは売りが優勢となる可能性がある。大和証券の木野内栄治チーフテクニカルアナリストは「米国株では投資信託の決
算などの関係で10月は損失確定の売りが出やすい」として日本株への影響を懸念する。
2023/10/03 07:30 日経速報ニュース
2日の日本株の急変は異様だった。本格的な「日本売り(株式、国債、円の同時売り)」の兆しなのだろうか。
株価と円と金利の安定は3つ同時に成り立たない。トリレンマだ。市場関係者が、それに気が付いたのは、日銀が国債の買い入れオペを
追加実施すると伝わった2日午後だ。1ドル=150円をうかがうような円売り圧力が強いなか、日銀は長期金利の上昇抑制姿勢を強化した。
朝方に500円以上、上げていた日経平均株価はその後、しばらくして下げに転じた。「金融緩和=株売り」の構図だ。
鈴木俊一財務相が円安けん制発言を繰り返す傍らで、必死に金利上昇を抑えようとする日銀。アクセルとブレーキを同時に踏み込む日本。
金利と円の相場形成が政府・日銀に縛られるなか、自由な株式市場に財政破綻リスクが転嫁されても不思議はない。
ヘッジファンドは、経済合理性に反した金融・財政政策がもたらす価格のゆがみをいち早く発見し、それがマーケットメカニズムで修正され
るポジションに賭けるのが本分だ。代表的なのは1992年の英ポンド危機だ。自由な金融政策の下で為替相場を固定化するという矛盾に
気が付いた著名投資家のジョージ・ソロス氏がポンド売りを仕掛け、英通貨当局を相手に大もうけした。経済史に残る事件だ。
政府・日銀は当時の英当局と同じく、崖っぷちに立たされていると真摯に受け止めるべきだ。市場参加者はすでに政府・日銀のやることの
矛盾に気が付いている。
日米金利差の拡大が円安の原因である以上、円安を抑えるには、日銀の利上げが必要だが、日銀は異次元緩和にこだわる。したがって、
円安と株高は両立しても、金利形成はゆがむ。
日銀が異次元緩和を撤回し、金利が上がって円が上昇すれば、株式は下落する。
ついには財政不安で金利が上昇すれば、インフレヘッジで株式が買われても、日銀の信認は失墜し、円安に歯止めがかからなくなる。や
がて株式も売られる。
2日の日本株の急失速は、「日銀の異次元緩和の解体が予想以上に早い」とシナリオを修正した投資家による売りが原因の可能性もある。
事実、「金利上昇=買い」というプログラムがなお健在な銀行株は上昇した。
いずれにしても、異次元緩和を金科玉条としたアベノミクス放任のツケは遠からず回ってくる。
2023/10/04 04:27 日経速報ニュース
【NQNニューヨーク=戸部実華】3日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続落して始まり、一時前日比517ドル安の3万2916ドルまで
下落した。米長期金利が連日でおよそ16年ぶりの高水準を付け、株式の相対的な割高感が相場の重荷となっている。
米長期金利は前日比で約0.1%高い(債券価格は安い)4.8%台まで上昇した。このところ高水準の政策金利をより長く維持する必要性に言及
する米連邦準備理事会(FRB)高官が増えている。米経済の底堅さを示す経済指標の発表も目立ち、金融引き締めが長期化するとの観測が
根強い。
3日午前には8月の米雇用動態調査(JOLTS)が発表された。非農業部門の求人件数が市場予測を上回るなど、労働市場の逼迫感が改め
て確認されたことも、金利上昇につながった。
個別では金融のゴールドマン・サックスやホームセンターのホーム・デポ、バイオ製薬のアムジェンが安い。スマートフォンのアップルやソフ
トウエアのマイクロソフトなどハイテク株も売りが先行した。半面、航空機のボーイングや半導体のインテルは買われている。
ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は5営業日ぶりに反落している。
2023/10/04 日本経済新聞 朝刊
日銀の総裁に植田和男氏が就任して9日で半年となる。7月には長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の運用を柔軟化し、
黒田東彦前総裁が口をつぐんできた金融緩和の出口にも言及し始めた。持続的・安定的に物価が2%目標を上回る状況を目指す日銀が、
四半世紀続いたデフレとの戦いの総仕上げをどう進めるのか。半年の軌跡から読み解く。
「経済物価情勢の動きは半年前に予想していたものとはやや違った動きをしているが、それを捉えたうえで、ある程度適切に金融政策対
応ができた」。9月22日、金融政策決定会合後の記者会見で、植田氏は就任からの半年を振り返った。
官邸からけん制
日銀は7月の会合でYCCを修正し、長期金利の上限をこれまでの0.5%から事実上1%に引き上げた。長期金利は自由度をある程度
取り戻し、2016年から続いたYCCは形骸化が進んだ。
国債の大量購入で長期金利を抑え込んできた日銀にとって、YCCを柔軟化し「金利のある世界」に足を踏み入れたのは大きな変化だ。
ある日銀関係者は「YCC修正を市場の混乱を招かずに成功させた中央銀行はほかにない」と力を込める。ただ、マイナス金利の撤廃など
の金融政策の正常化はこれからが本番であることも確かだ。
道のりがいかに険しいか、植田氏は4月の就任直後にある洗礼を受けたとされる。関係者によると首相官邸を訪れた植田氏に岸田文雄
首相はこんな趣旨のけん制を繰り出した。当面は金融政策の転換と受け止められる動きは避けるように――。
植田氏に総裁が代わり、金融市場では政策転換への期待が高まっていた。だが実際に政策が大きく変われば、黒田氏の後ろ盾だった
故安倍晋三元首相に近い議員と官邸とで溝が生じかねない。
2000年のゼロ金利解除の失敗を日銀審議委員として経験した植田氏も、日銀が早く動きすぎるリスクは理解していた。就任当初は慎重
な発言に終始し、物価の基調の強さを確かめつつ、世論や政治の変化を待っていた節がある。
実際、円安が長引き、日銀の金融緩和が物価高を招いているとの声が強まった。岸田首相が6月に通常国会中の解散総選挙の見送り
を決めたこともあって、7月の政策修正への道は整えられていった。
のろしを上げたのは、日銀の生え抜きトップの内田真一副総裁だった。日本経済新聞との7月上旬のインタビューで「(YCCが)市場機能
に影響を与えていることは強く認識している」と発言。「強く」という言葉をわざわざ差し挟むことで、政策修正近しとの観測を高めた。
日銀関係者は「慎重姿勢を強調してきた内田氏の発言だったからこそ、政策修正がありうるとの地ならしにつながった」と明かす。学者出
身の植田氏の政策運営には懸念の声もあったが、内田氏が実務を押さえて時には露払いの役割を果たし、植田氏が幅広い意見に目配り
しながら総合判断するという二人三脚が機能している。
財務省幹部は「これまでの金融政策運営はうまくいっている。日銀も自信を深めているのではないか」と植田体制のスタートを評価する。
一方で、今後想定されるマイナス金利解除などの金融緩和の出口については「これまでとレベルの違う政策の変更だ」とし、真価が問われ
るのはこれからとの考えをにじませる。
課題もある。強い言葉で政策の方向性を示す黒田氏と違い、協調型のリーダーである植田氏の発言は慎重で時にぶれているような印象
を与える。
7月会合の前には「全体のストーリーは不変」と発言し、一部の市場参加者が「修正見送り」と受け止めた。9月9日の読売新聞のインタ
ビューでは「年末までに十分な情報やデータがそろう可能性はゼロではない」と述べ、市場でマイナス金利の年内解除の織り込みが進んだ。
日銀内では「どちらともとれる発言をしているだけ。政策への考えは一貫している」との声がある。この先の政策を縛るような発言は極力
抑えているため、発言は総花的になりがちで、ワンフレーズにだけ注目すると真意を捉え損ねてしまう。
信念に欠けるわけではない。ある日銀関係者は「優柔不断ではない。過去に政策変更で経済を冷やした経緯もあり、判断に時間をかけ
ているだけだ」と説明。「目標達成を確信すれば一気に動く」という。
「確信」は得られるのか。日本経済の供給力と需要の差を表す「需給ギャップ」は足元プラス圏に浮上し、政府が掲げるデフレ脱却の条
件は形式上、満たされた。最後のピースになるのが、企業の賃上げだ。
植田氏は「賃金と物価が好循環を続けるという姿が確認できることが必要」との発言を繰り返してきた。植田氏の東大時代の教え子で
ある金融関係者は「賃上げが物価上昇に追いつく前に金融引き締めに転ずるのは問題だと(就任前に)吐露していた」と話す。
賃金は持続的に上がっていくのか。焦点は来年の春季労使交渉だ。さらなる政策修正の判断時期を「来年1~3月頃」(田村直樹審議
委員)とする意見がある。
異例の金融緩和を延々と続けることは望ましくないが、日本経済がデフレに逆戻りするリスクは冒せない。確信を持てれば前進し、そう
でなければ踏みとどまる。「到底、決め打ちできない」という言葉にこそ、植田氏の信念がにじむ。
2023/10/04 13:46 日経速報ニュース
日経平均株価の下げ幅が後場に一時700円に接近した。日銀の異次元緩和は続き、「実質マイナス金利天国」を謳歌できる数少ない国
の株との評価で春から買われてきたが、新たな段階を迎えた。株安・円安・債券安(金利上昇)のトリプル安だ。10年以上に及ぶ「異次元
緩和依存症」から東京株式市場が抜け出すためには避けては通れない苦難の局面だ。
日銀が金利を低く抑えたまま、景気が回復し、インフレ期待が上がれば、お金を借りる人は増え銀行はもうかる。投資家も、比較的簡単に
投資収益が資金調達コストを上回る。これが「実質マイナス金利天国」だ。
ところが予想に反して、米国の長期金利の上昇が止まらず、副作用が大きくなってきた。日米金利差が拡大し、輸入物価の上昇をもたら
す「悪い円安」だ。政府は口先介入や実弾の円買い・ドル売り介入で、過度な円安を阻止するというが、その足を引っ張るように日銀が金
融緩和を続ければ、市場参加者や国民は混乱する。
ゼロ金利のままでは、家計の貯蓄が海外に大挙して逃げ出す恐れもある。そうなれば、日本の財政運営は将来、極めて厳しくなる。政
治的にも政策協調の観点でも、もはや異次元緩和を続けるのは困難と市場参加者は考え、「モルヒネ停止後」の一時的混乱に備えて日
本株を手放している。
日本相互証券のデータによれば、名目金利から期待インフレ率を差し引いた実質長期金利は、3月31日のマイナス0.28%から6月9日
にはマイナス0.91%まで低下したが、それをボトムにマイナス幅は縮小に転じ、10月3日はマイナス0.47%だった。この間、日経平均は2
万8041円から3万2265円まで上昇し、10月4日は一時3万0500円台に下落した。
いまの実質金利の水準から日経平均の水準を割り出せば、3万0500円前後となり、時価とおおむね一致する。
QUICK・ファクトセットによれば、東証株価指数(TOPIX)のアナリスト予想ベースのPER(株価収益率)は直近で約14倍。20年の新型
コロナショック期を除くと、過去10年の上限に近い。
世界の時価総額に対する日本株の割合は9月末時点で5.9%。3月末比でも0.2ポイントしか上昇していない。06年には12%を超えてい
たが、その後低迷し、22年4月には5.4%まで低下した。ドルベースのため円安だとシェアが下がるという点を割り引いても、世界の資本
市場における「ジャパン・パッシング(日本素通り)」はなお鮮明だ。
日銀が国債を買い占めたり、上場投資信託(ETF)を通じて株式市場に介入したりするため、価格形成機能がゆがみ、海外投資家が敬
遠しているためだ。
だが、いまはいい機会だ。異次元緩和を一刻も早く解体し、マーケットメカニズムが正常に機能する市場に戻す。そうすれば、当面は生
みの苦しみは続くだろうが、日本株に投資しようと考える投資家が国内外で増えるだろう。
2023/10/04 15:42 日経速報ニュース
4日の国内債券市場で長期金利は上昇(債券価格は下落)した。きょうから新発債となった10年372回債の利回りは前日比0.045%高い
0.805%で推移している。新発債として2013年8月以来およそ10年2カ月ぶりの水準に上昇した。米連邦準備理事会(FRB)による金融
引き締めの長期化観測を背景に日本時間4日の取引でも米長期金利の上昇が続き、国内長期債にも売りが出た。
日銀が4日に実施した定例の国債買い入れオペ(公開市場操作)は、残存期間「10年超25年以下」で応札額を落札額で割った応札倍
率が3.88倍と前回(9月27日、3.22倍)から上昇した。超長期債の需給がやや緩んでいることを示す結果だったとの受け止めから超長期
債が売られ、長期債に売りが波及した面もあるようだ。
幅広い年限に売りが出た。超長期債では新発30年物国債利回りが一時、前日比0.050%高い1.820%と13年9月以来となる水準に上
昇した。新発20年債利回りは同0.055%高の1.580%と13年12月以来の高水準で推移している。新発40年債利回りは同0.045%高の
1.960%と、業者間の売買を仲介する日本相互証券によると13年7月以来の高水準をつけた。
中期債は新発2年債利回りが前日比0.015%高の0.060%と15年2月以来、新発5年債利回りは同0.020%高の0.340%と13年7月以
来の高水準で推移している。
国内債の先物中心限月の12月物は反落し、前日比54銭安の144円42銭で安値引けした。中心限月として23年1月以来となる安値
を更新した。
短期金融市場では東京金融取引所で無担保コール翌日物金利(TONA)先物の中心限月である12月物が前日から0.006安い99.980
をつけた。大阪取引所のTONA先物は中心限月の12月物が前日から0.0050高い99.9900で終えた。全銀協TIBOR運営機関が発表
した海外円の東京銀行間取引金利(TIBOR)3カ月物は横ばいで、前日と同じ0.02400%だった。
2023/10/04 20:30 日経速報ニュース
4日の日経平均株価は前日比711円安と急落し、約4カ月ぶりに終値で3万1000円を下回った。9月半ばの直近高値からの下げ幅は
3000円に達し、相場の流れに逆らう「逆張り」個人の買いは健在ながら戸惑いもみられる。節目の3万円への急接近で、短期の調整で
済むのか正念場を迎えている。
この日は東証プライム市場の9割超の銘柄が下げるほぼ全面安の展開だった。「米長期金利が4.8%台まで駆け上がり、(ドル建ての
運用収益が目減りする)円安も進むなか海外勢が売っている」(外国証券トレーダー)との声が聞かれた。
そんな下げ相場に買い向かうのが個人だ。ネット証券最大手のSBI証券では4日、レーザーテック(買越額63億円)、三菱UFJフィナン
シャル・グループ(同46億円)など大商い上位に買い優勢の銘柄が目立った。
横浜市在住の女性投資家は今週、配当や優待目当てで中国塗料株や霞ヶ関キャピタル株を買った。「(日々の)相場は分からないが
長期的には日本株は上がると思っている」。欲しかったが買い遅れていた銘柄を狙っているという。
個人の買いは、投資信託の資金流出入からも明らかだ。
三菱アセット・ブレインズによると、国内株式を中心に運用する公募投信(ETFなどを除く)は9月第4週(25?29日)に1470億円の資金
流入超を記録した。純流入額は前週の3.2倍に膨らみ、先進国株投信(1412億円)を上回った。国内株式型は10月2?3日も計約400億
円の流入超で、流入傾向に変調はうかがえない。
日経平均の3万?3万1000円は、5月後半にわずか約2週間で駆け抜けた価格帯だ。この程度まで落ちれば買いたいという声は多かっ
た。だが米金利急上昇でリスク回避姿勢が広がり、4日には下げが加速した。一段と下げるようだと、逆張り勢の退潮につながるとの懸
念が浮上している。
「同じ3万円でも一度3万3000円を見てからでは景色が違う」。個人の動向に詳しい松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリスト
はこう語り、ここにきて押し目買いの勢いの弱まりが感じられると指摘する。
逆風の一つに挙げるのが、バリュー(割安)株として人気だった顔ぶれの大幅安だ。例えば4日は三菱重工業株が6%安、日本製鉄株
は5%安で引け、どちらも9月末から下げ止まらない。「普段は値動きが比較的小さい大型株が急落すると動きにくくなる」(窪田氏)。松井
証券店内では4日時点の信用買い残の評価損益率がマイナス12.4%と、2022年10月13日以来約1年ぶりの水準に悪化した。
株安を主導しているのは短期筋のファンドなどとみられ、長期目線の海外勢による日本株への姿勢が変質したとの読みは現時点で
乏しい。ゴールドマン・サックス証券の建部和礼・日本株ストラテジストは「ストーリーを変えるような日本固有の要因はない。なぜ日本株
が下がっているのかという質問が多い」という。
野村証券の池田雄之輔チーフ・エクイティ・ストラテジストは「あまりに急だったので投資家が動けていない。市場が落ち着けば買いは
出てくる」とみる。国内勢では金融機関の期初の益出し売りも株安の一因に指摘されており、個人もしぼめば買い手不在の様相が強ま
る。日経平均が心理的節目の3万円を維持できるかは大きな意味を持つ。
【関連記事】
・株、円安が招く海外投資家の売り ドル建て日経平均下落
・円安150円でも買われぬ自動車株 追い風よりリスク回避
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-10-04/S1ZV1KT0AFB401?srnd=cojp-v2
テクニカル指標で見た日経平均株価は売られ過ぎの領域に突入し、過去の歴史に照らすと今後反発する可能性がある。
オシレーター(振り子)系分析の一種で、過去一定期間の上げ幅と下げ幅の動向から相場の売られ過ぎ、買われ過ぎを図る株価相対力
指数(RSI)を見ると、日経平均のRSI(14日間)が売られ過ぎを示す30を下回ったのは今年2度目。1月のケースでは30を下回った後、
6月までに日経平均は30%以上上げた。
ブルームバーグが集計したデータによると、過去5年間にRSIが同様のシグナルを点灯させたケースは7度あり、日経平均は点灯後の
20営業日でいずれも上昇、平均上昇率は4.2%だった。
ただし、足元の米国金利の上昇基調は引き続き日経平均の重しになる可能性がある。その場合は節目の3万円大台のすぐ下方にあり
投資家の長期売買コストを示す200日移動平均線(2万9920円83銭)の攻防が一つの目安になる。
2023/10/05 日本経済新聞 朝刊
日銀はどこまで長期金利の上昇(国債価格の下落)を容認するのか。債券市場で日銀の植田和男総裁の姿勢を試す動きが目立ち始めた。
長期金利は4日に一時、0.8%台と2013年8月以来およそ10年ぶりの水準をつけ、日銀の事実上の上限(1%)にじわり近づいた。緩和
の出口を織り込み始めた市場との攻防戦が植田氏を待ち受ける。
債券は買えない
「ようやく思い描いてきたように長期金利が上がってきた。日銀が金利の形成を市場に委ねる以上、日銀以外の買い手が少ない10年債
の利回りは0.9%程度までは上昇しうる」。ある大手運用会社で債券運用を担うファンドマネジャーはさらなる金利上昇を予想する。10年
債の保有比率を抑え、運用リターンを上げる戦略をとるという。
市場には「落ちてくるナイフはつかむな」という急落時の投資を戒める格言がある。目先、長期金利が上がる可能性が高いとすれば、国債
は落ちるナイフのようなもの。ある地銀担当者は「次はマイナス金利の解除が視野に入っているはず。当行ではその後の利上げもリスクシ
ナリオに入っており、債券を必要以上に買うことはできない」と話す。
別の地銀の担当者も「マイナス金利解除を控え、まだ(長期金利が)上がるのではと警戒している。今の水準では手を出しづらい」と語る。
債券市場では昨年から今年初めにかけて、投機筋が日銀の政策変更を見込んで国債を空売りする場面が続いた。英ブルーベイ・フィクス
ト・インカムのマーク・ダウディング最高投資責任者(CIO)は今でも「ショートスタンス(空売り姿勢)に変更はない」と明かす。7月の長短金
利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)修正で金利上昇を予想する参加者は増え、国債を買い控える動きが広がる。
日銀はどう動くのか。「ベースとして、市場の見方が長期金利に反映される余地を広げる」(植田氏)というのが公式見解だ。長期国債の
買い入れ額は7月の政策修正後も高水準が続くが、金利上昇の速度調整はしつつも、特定の水準の防衛に動くことはなかった。1%が
近づくにつれ、この姿勢がどう変わるかが焦点となる。
日銀関係者は「できることなら金利の形成を市場に委ねたいが、一足飛びにはいかない。0.5%で単純に抑え込んでいたときより、いろ
んな要素を考えないといけない」と複雑な胸中を打ち明ける。長期金利が一気に0.9%に到達するなど、1%に迫る動きが出てきた場合
には何らかの対応が必要との声が日銀内にある。
そもそも日銀が長期金利の「念のためのキャップ」(植田氏)を1%としているのは、そこまでが合理的に説明できる金利水準と考えている
ためだ。ある日銀関係者は、自然利子率と期待インフレ率の合計が名目金利の適当な水準だとする「フィッシャー方程式」を使って、1%
上限の正当性を説明する。
自然利子率は景気に対して中立な金利水準のことで、日本の場合、0%程度との見方が多い。長期的な期待インフレ率は政府・日銀
が目標とする2%にはまだ達していない。このため両者の合計である名目金利は2%以下が妥当ということになる。さらに日銀の国債大
量保有による長期金利の押し下げ効果が1%程度あるため、その分を差し引くと1%以下という水準になる。
思惑どう抑える
もっとも、日銀がこれからマイナス金利解除などの本格的な出口に進む場合、市場参加者は1%を超えた金利上昇を織り込み始める可
能性がある。三井住友銀行の鈴木浩史チーフ・為替ストラテジストは「(YCC、マイナス金利解除後の)金利上限のめどは政策金利が0.5
%程度、長期金利が1.5%程度とみている」。リーマン・ショック前の07年ごろの水準で、一定の目安になるという。
植田日銀は7月、市場に先んじて動くことによって、混乱を引き起こすことなくYCC修正を乗り切った。追い込まれた末に政策を修正して
大混乱に陥ったオーストラリア準備銀行などと比べて、植田氏の手法を評価する声は多い。
ただ、日銀はマイナス金利解除については慎重に判断する構えだ。その場合、市場の思惑が先行して相場が揺れ動く展開もあり得る。
市場の期待をどう収斂(しゅうれん)させていくのか。金融政策の先行き指針(フォワードガイダンス)などを含めた新たな枠組みづくりも課
題となる。
2023/10/06 日本経済新聞 朝刊
「日本にとって大きな弊害が出ている。日銀が今回も動かなければ確実に(真意が正しく市場に伝わらない)ミスコミュニケーションになる」。
日銀が長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の修正を決めた7月会合の直前、財務省幹部は厳しい表情で話した。
あうんの呼吸
消費者物価指数の前年比上昇率は7月時点ですでに、政府・日銀が掲げる2%の目標を1年以上上回っていた。日米の金融政策の違い
が意識され、円安が急速に進展。日銀が動かなければ市場は円安容認と受け取り、円安と物価高がさらに進むことは目に見えていた。
日銀はこうした懸念にこたえるかのように7月会合で政策修正を決定。植田和男総裁は記者会見で「4月時点の(物価)見通しはやや過
小、あるいはかなり過小だった」と従来の見通しが甘かったことを率直に認めた。
3日に円相場が1ドル=150円台まで下落するなど、金融緩和の弊害が目立つなか、政策修正を探る日銀と政府・与党の足並みは今の
ところそろっている。だが、日銀が本格的に緩和の出口に向かえば、市場や経済を巡って不協和音が生じかねない。そのとき、学者出身の
植田氏が官邸や与党、財務省を説得できるかが大きな焦点となる。
「さすがにここまで(需要が)弱いとは思わなかった」。8月17日の20年物国債の入札。大きいほど不調な入札とされる、落札価格の平
均と最低の差(テール)は96銭と1987年以来の水準に悪化。財務省幹部は驚きを隠せなかった。
異次元緩和が始まった2013年以降、日銀は国債の保有残高を大幅に増やしてきた。13年3月に128兆円だった保有額(短期国債含
む)は23年6月には583兆円と455兆円増え、発行済み国債の半分以上を抱える。日銀が動けば、国債の需給はたちまち不安定化する。
財務省幹部の脳裏には約20年前、2002年9月の10年国債入札での「未達」の記憶がよみがえったという。未達とは、国債入札の応
募額が募集額に達しないこと。国債のいわば売れ残りを意味し、市場参加者の財政の持続性への不安を高めかねない。
当時の入札は、日銀が民間銀行が保有する株式を買い取るとの異例の政策を公表した直後に実施された。政策の不透明感が金融機関
の応札の手控えにつながったとの見方が多い。
財務省幹部は当時、未達について「事故みたいなもの」だと語った。確かにその後、未達が繰り返されることはなかったが、財務省の国債
管理政策が投資家の心理という不確かなものに依存していることが改めて浮き彫りになった。
国債の安定消化の難易度はさらに高まっている。日本の政府債務の国内総生産(GDP)比は2002年に150%程度だったが、足元では
250%を上回っている。
安倍派は警戒も
浮かび上がるのは、日銀が金融政策の正常化にカジを切った場合、誰が国債の引き受け手になるのかという問題だ。この10年間で保有
残高は83兆円から181兆円へと倍増させた海外勢が存在感を高める可能性がある。
金融政策の正常化で金利が上がれば、国の利払い費は膨らむ。財務省の試算によると、2024年度以降の金利が想定よりも1%上振れ
した場合、24年度の国債費が7000億円増えると見込む。25年度は2兆円、26年度は3.6兆円の増加になる。経済対策などに回せる
財源が失われれば、政府・与党の日銀への不満も高まりかねない。
「日銀はこれまでのところよくやっているが、マイナス金利解除はまだできる状況じゃない」。自民党安倍派のある議員は植田日銀に厳し
い目を向ける。中小企業の厳しい現状を踏まえれば、緩和継続こそ必要との考えは揺るがない。
歴代日銀総裁は政権との関係に苦しんできた。賃上げなどの政策修正の条件がそろったとき、政治にはどんな風が吹いているのか。金融
緩和の出口は近づいているが、その道のりはなお深い霧に覆われている。
2023/10/06 08:18 日経速報ニュース
木野内栄治・大和証券チーフテクニカルアナリスト 6日の東京株式市場で、日経平均株価は3万1000円を挟んでの展開か。3万0800
~3万1200円での推移を見込む。6日に9月の米雇用統計の発表を控えているほか、米下院議長の解任を巡る米政治の不透明感も強い。
米長期金利の上昇には一服感もみられるものの、積極的な売買は見送られるだろう。
足元では地銀株に注目している。米金利上昇が一服するなか、国内金利はゆるやかな上昇が続きやすいとみている。日本株のリバウ
ンドを見越してポートフォリオを入れ替える局面では、都市銀行に比べて出遅れ感のある地銀株に買いが入りやすいとみている。
2023/10/07 日本経済新聞 朝刊
米モルガン・スタンレー日本株担当ストラテジスト ダニエル・ブレイク氏
米長期金利の上昇に伴って世界の証券市場の先行きに懸念が浮上する中、海外勢は日本株をどうみているのか。米モルガン・スタンレー
日本株担当ストラテジストのダニエル・ブレイク氏は日本の国内景気は底堅く、東京証券取引所の市場改革など日本独自の投資テーマが続
いていると指摘。注目する業種に建設・不動産を挙げ、「日本の国内市場に強く、中国依存が低い銘柄を投資家に勧めている」と話した。
――海外投資家は日本市場をどうみていますか。
「東証の市場改革や日銀の政策修正、日本経済のデフレ脱却など以前からの投資テーマが引き続き注目を集めている。ロングオンリー(
買い持ち専門)の投資家は状況を見ながら日本株の比率を高めてきた。一部のヘッジファンドも日本企業の業績の堅調さなどを評価してき
た。これまでは期待で株価が上がっていた。これからは個別企業の業績やガバナンス体制の改善具合をより深く分析して投資する段階に
ある」
――中国経済の失速が懸念されています。日本企業への影響はどうですか。
「中国経済との関連性を他国と比較すると、実は日本はリスクの低い投資先だ。当社が調査対象としてカバーする企業の中国売上高比
率では日本は5%程度にとどまる。米国(16%)や欧州(7%)よりも低い。中国株との相関をみてもオーストラリアや韓国などに比べて低い」
――日本株のどの業種に注目していますか。
「建設と不動産だ。建材価格や金利上昇への対応を進めてきたほか、足元で割安な水準にある。配当や自社株買いも積極的だ。当社の
担当アナリストも日本の建設と不動産の投資判断を最上位の『アトラクティブ』とした」
「個別銘柄では住友不動産や鹿島、三菱重工業など国内市場に強く、中国依存度が低い企業を投資家に勧めている。投資家の注目もフ
ァナックやキーエンス、ソニーグループ、任天堂など世界的に影響力がある会社から日本の内需に強い企業にシフトしつつある。投資家と
話す際に『for Japan(日本のため)』『in Japan(日本における)』が銘柄選択のキーワードになっている」
――足元で円安が進んでいます。海外投資家に影響はありませんか。
「今後も円安が進んでしまうと、株価がそれ以上に上昇しなければ含み損になる。円安の進行を上回るパフォーマンスの企業を見つけて
投資する必要がある。もっとも、日銀の政策変更などにより円高に転じる可能性が高い。円高期待が高まれば、海外投資家は日本株を買い
やすくなる」
「円高は日本企業には大きなリスクではない。来年の年央(6月末)にかけて円の水準は1ドル=133円程度になるとみている。企業の
想定為替レートも135円前後が多く、130円前後までの円高であれば業績をそれほど悪化させない。世界的に予想以上の不況に陥り、
円高が110円前後まで一気に進んでしまった場合のみ悪影響がある」
――日本市場で今後注目するポイントは。
「2024年1月に始まる少額投資非課税制度(NISA)の新制度だ。投資に消極的だった日本の個人が積極的になると期待している。個
人資産の株式への投資比率は米国で40%、欧州で20%に対し日本は10%程度。この比率が欧州に近づくだけでも株価の大きな上昇に
つながる。個人の市場参加が広がれば、日本株は次の段階に上がるだろう」
黒船マネーが日本に襲来!「資産運用特区」関連株は今が仕込み場 <株探トップ特集>
―2000兆円超の家計金融資産に外資系が食指、外国金融人材増加で関連サービスも成長へ―
岸田政権が掲げる「資産運用立国」の政策プランに注目が集まっている。国内の大手金融グループの運用力を強化するための支援策に
加え、海外の資産運用会社の国内誘致を視野に、外国人金融人材の働き方や生活に配慮した「資産運用特区」の創設に向けた準備が
今後、加速する見通しだ。株式市場において特区創設はどの銘柄に恩恵をもたらすことになるのか、掘り下げていく。
●競争力強化へ年内に政策プラン
岸田文雄首相は9月21日(日本時間22日未明)、国連総会の出席のために訪問したニューヨークで、米国の経済人らを前に講演し、 資産
運用立国に向けた政策の一環として、資産運用特区を創設すると表明した。英語のみで行政対応が完結できるための規制改革を進めると
ともに、来日する外国人に対してビジネスや生活環境の整備を進める構想を明らかにした。
これまでも国内では東京都による「国際金融都市・東京」構想など、海外の金融機関に日本市場への参入を働きかける取り組みが進めら
れてきたが、今回は政府の「新しい資本主義実現会議」が昨年11月に決定した「資産所得倍増プラン」が土台となっている。今年6月に閣議
決定された経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)では、2000兆円の家計金融資産を開放することで持続的な成長につなげる資産
運用立国の実現に向け、同プランを実行する方針が示され、更に資産運用会社の運用力の強化などを目的とする政策プランを年内に立案
することが明記された。
当然ながら、資産運用会社や年金基金などの運用パフォーマンスの向上は、家計の金融資産所得の増加に直結する。資産運用業界へ
の新規参入を後押ししつつ、プレーヤー間の競争を促し、個々の企業の運用能力を高めることができれば、投資資金のリターン拡大を伴っ
て、金融市場に更なるマネーを呼び込むことが可能になる。
●銀行・証券セクターだけではない収益拡大シナリオ
こうした資産運用業界への支援策は、中期的な観点では野村ホールディングス <8604> [東証P]や大和証券グループ本社 <8601> [東証
P]などの証券各社や、三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> [東証P]、三井住友フィナンシャルグループ <8316> [東証P]、みずほフィ
ナンシャルグループ <8411> [東証P]といった金融機関の収益力を高めると期待されている。資産運用ビジネスの拡大とともに、新たに日本
市場に参入する海外の金融機関が増え、その運用資金が東京市場に流入すれば、日本取引所グループ <8697> [東証P]の収益に大きく
貢献することになるだろう。
もっとも、国策の恩恵を享受するのは銀行・証券セクターばかりではなさそうだ。資産運用業界の競争促進策の一つとして検討されている
のが資産運用特区だが、その候補として、政府は東京都や大阪府、福岡県と札幌市の4自治体を軸に検討していると報じられている。いず
れも訪日外国人に人気の高い都市ではあるものの、実際にその土地で生活するとなれば、東京都であっても、生活面でのさまざまな困難を
克服する必要に迫られることとなる。
特区創設を機に、外国人材にとって魅力的なビジネス環境の整備に向けて既存のオフィスの建て替えなどを促す再開発構想が今後、浮上
する可能性もあるだろう。海外のIT機器の導入支援を得意とする企業にも、受注の拡大の思惑が広がりそうだ。こうした観点をもとに、資産
運用特区の関連銘柄をピックアップしていく。
平和不動産 <8803> [東証P]は、東証と大阪取引所、名証、福証が入居するビルの賃貸収入を収益源とし、主要都市でオフィスビル・商
業施設事業を展開する。兜町の再開発を推進し、都の国際金融都市構想にも深く関与してきた。特区創設にあわせて、大阪・北浜を含め
各都市でオフィス地区の再開発構想が浮上した場合、平和不は大きな役割を担うこととなる公算が大きい。
オフィスの新設という側面では、金融機関向けのシステム構築を展開するシンプレクス・ホールディングス <4373> [東証P]をマークしたい。
メガバンクや大手証券など国内の主要金融機関との取引を通じて安定的な成長を果たしており、24年3月期の売上高と利益は再上場後の
過去最高を更新する見通し。今年1月にはSBIホールディングス <8473> [東証P]と傘下のSBI証券との資本・業務提携を発表した。その
SBIは欧州大手資産運用会社の英マン・グループとの合弁会社設立を7月に、米KKR<KKR>との日本での資産運用会社の設立を9月に
公表するなど、海外金融機関との協業を加速している。SBIの「攻めの姿勢」による需要拡大の思惑にとどまらず、海外運用機関が日本オフ
ィスを新設・増強する流れが本格化すれば、事業にプラス効果をもたらしそうだ。
JTP <2488> [東証S]は外資系IT企業の製品の保守・点検業務を手掛けている。システムの導入から運用までを、バイリンガルでかつワ
ンストップで対応する強みを持つ同社は、27年3月期に売上高92億~100億円(23年3月期73億8100万円)、営業利益7億1000万~10億円
(同4億6400万円)に伸ばす目標を掲げている。特区創設による特需が発生した際には、中期計画の上振れに寄与することとなりそうだ。
エックスネット <4762> [東証S]は生損保や投信会社、信託銀行など機関投資家を中心に約180社の顧客に対し、資産運用管理専門のシ
ステム提供と業務サポートを展開。株式の流動性は高くはないが、海外運用会社との取引拡大により事業を成長させられるか注視されそう
だ。NTTデータグループ <9613> [東証P]が過半を出資する親子上場銘柄としても押さえておきたい。
海外の資産運用会社であっても、顧客の投資資金のリターンの拡大を追求する責任を負うことには変わりがない。企業価値の向上策を
巡り投資先との意見の相違が埋まらない場合、株主総会において企業側が提案した議案に反対を余儀なくされ、その理由について、日本
のメディアに情報発信をする必要に迫られるケースも出てくる。日本での事業を拡大するうえでは、日本語によるPR戦略の立案も欠かせな
い視点となるだろう。
プラップジャパン <2449> [東証S]は、外資系企業の日本での広報・PRの支援で確固たるポジショニングを確立する。世界的な資産運用
会社やヘッジファンドの広報業務での実績を持ち合わせており、日本に進出する外資企業の増加は、同社の業績に直結してプラス効果を
もたらしそうだ。
同業のベクトル <6058> [東証P]もアジア最大級のPR会社として、海外では香港やシンガポールなどで業務を展開する。アジア系の資産
運用会社が日本に進出する際には、国内でのPR案件の増加に寄与することが見込まれる。
海外の運用会社が日本拠点を設立する動きが相次げば、高度人材の獲得競争が一段と激しくなるだろう。ハウテレビジョン <7064> [東
証G]は、グローバル企業への就職を目指す中途採用プラットフォーム「Liiga」を展開。登録会員のうち金融プロフェッショナルは全体の15%
を占める。新卒者向けプラットフォーム「外資就活ドットコム」では、外資系投資銀行の内定を目指すトップクラスの人材が登録する。24年1月
期の単体業績予想は、経常利益が前期比12.5%増の4億4500万円と最高益を計画。マーケティング施策が奏功し、取引社数と会員数は
順調に拡大している。
●外国人への生活サポートも需要拡大へ
生活サポート面では、リログループ <8876> [東証P]に注目したい。同社は借り上げ社宅の管理や日本企業に勤める会社員の海外赴任
支援事業とともに、外国籍社員の受け入れ支援サービスを展開。ビザや短期宿泊先、住居の手配のほか、携帯電話の契約などあらゆる支
援をワンストップで英語により提供する。現状で2400億円弱の時価総額を45年3月期に10兆円とする野心的なビジョンを掲げる同社にとって
、海外からのハイレベル人材の増加は成長加速の重要なドライバーとなるだろう。
子どもの教育面ではAoba-BBT <2464> [東証P]が、オンライン経営大学院「ビジネス・ブレークスルー大学大学院」とともに、インターナ
ショナルスクール事業を展開する。生徒数は1500人弱と、2013年の新規参入時のおよそ6倍の規模にまで増加。金融プロフェッショナル人
材の来日に伴って、特区で生活する外国人児童・生徒が増加すれば、同事業の更なる成長に寄与しそうだ。外国人ITエンジニア紹介のビ
ズメイツ <9345> [東証G]は、ビジネス向けのオンライン日本語会話プログラム「Zipan」を提供。外国人による日本語学習の需要拡大による
恩恵が期待できる。
2023/10/08 05:00 日経速報ニュース
市場関係者から日銀が10月の金融政策決定会合で長短金利操作(イールドカーブ・コントロール=YCC)の再修正に動くのではないかと
の声が出ている。米金利の上昇などで国内の長期金利が上昇し、日銀が7月のYCC修正で定めた1%という事実上の上限に近づきつつ
あるためだ。
「市場環境次第だが、10月会合で10年金利の上限を1.5%まで引き上げる可能性は高まっている」。有力な日銀ウオッチャーのひとり、
BNPパリバ証券の河野龍太郎氏はこう指摘する。マイナス金利解除などの緩和の出口を市場が意識すれば、金利上昇は一段と加速しか
ねない。実際にマイナス金利政策を解除する前に、YCC再修正が必要になりかねないというわけだ。
確かに金利上昇の勢いは強い。海外金利上昇のあおりを受け、6日には長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りが一時0.805%
まで上昇。日銀からも「0.5%程度という水準からはかけ離れている」と、想定外の急上昇を懸念する声が出始めている。
7月のYCC柔軟化は「市場の見方がもう少し長期金利に反映される余地を広げようという措置」(植田和男総裁)だった。だが、日銀は4日
の定例の国債買い入れオペ(公開市場操作)で、当初の予定では対象になかった残存期間「5年超10年以下」を追加。6日には5年物の共
通担保資金供給オペも実施し、金利上昇をけん制する姿勢を示した。
日銀にとって悩ましいのは、足元で円安の勢いが強いことだ。米国の長期金利が上昇するなか、YCCを続ける日銀が長期金利を抑え続
ければ、日米金利差が広がって円安がさらに進む可能性がある。3日には円相場が一時、1年ぶりに1ドル=150円台を付けた。長期金利の
上昇を止めれば円安が加速し、円安を止めようとすれば金利上昇を容認せざるを得ないというジレンマがある。
にわかに浮上したYCCの再修正論について、日銀はどう考えているのか。ある日銀関係者からは「いつも通り、会合までの経済・物価・
金融情勢を見極めて決めていくしかない」というやや歯切れの悪い言葉が返ってきた。否定でも肯定でもない、どちらとも取れる言葉だが、
全否定できないほどに日銀が金利上昇を重く受け止めているようにも聞こえる。
一方でこの関係者は「(現状の長期金利は)1%にすぐにタッチする水準ではない」とも話した。今後、金利がさらに上昇して上限の1%を
試すような局面になれば何らかの対応が必要になるが、まだ若干距離はあるとみている可能性がある。米国発の金利上昇が持続的なもの
なのかどうか、見極める必要があるのは確かだろう。
金融政策を決める政策委員会のメンバーのYCCに対する考え方も、一枚岩とはいえない。9月会合の「主な意見」では「運用を柔軟化した
現行のYCCのもとで、物価動向を見極めることが重要」との意見がある一方で、「柔軟化を経ても副作用は残存している。多くの役割を果た
した段階だと考えられる」と撤廃の示唆ともとれる発言もあった。
英ブルーベイ・フィクスト・インカムのマーク・ダウディング最高投資責任者(CIO)は「日銀が2%に達したと認める瞬間が近い」とし「(国債の
)ショートスタンス(空売り姿勢)に変更はない」と明かす。日銀は10月会合で新しい物価見通しを示す。物価見通しがさらに上振れ、金利上
昇が一段と進む展開になれば、YCCの再修正や早期撤廃がより現実味を増すことになる。
2023/10/09 05:00 日経速報ニュース
日銀総裁に植田和男氏が就任して9日でちょうど半年。就任当初は緩和縮小に慎重なハト派発言が目立ったが、7月の金融政策決定会合
では市場の思惑に先手を打つかたちで長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の修正に動いた。賃上げと安定的な物価上昇の
好循環を見極めつつ、金融緩和の出口をどう探っていくかに市場の関心は集中する。
日本経済新聞は連載企画「植田日銀半年 近づく出口」で、初の学者出身の日銀総裁の半年を描いた。政策運営の手法、マーケットとの対
話、官邸や財務省、与党との距離感という3つの切り口から、植田日銀とは何かという問いに対する現時点での答えを示すことが狙いだった。
【植田日銀半年 近づく出口】
㊤植田日銀、2%へ揺るがぬ信念 確信なら「一気に動く」
㊥国債は落ちるナイフか 日銀と市場、再び攻防戦へ
㊦学者総裁、政治を口説けるか 緩和出口に最大の関門
政策の方向性を大胆に示した前任の黒田東彦氏と比べ、植田氏は何を考えているのか分かりにくい、どこか捉えどころのない存在でもある。
植田氏をこの半年、ウオッチし続けてきた日銀取材総括の小野沢健一キャップと三島大地記者に、企画の「あとがき」として植田日銀論を改め
て用意してもらった。
企画では描ききれなかった植田日銀の別の側面に光を当てたい。
(金融グループ次長、石川潤)
「冷静な頭脳と温かい心」
総裁就任後、初めて植田和男総裁に接したのは、今年4月、主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議に参加するため訪れた米ワシント
ンでのことだった。会議の開幕にあたり、植田氏は手短に、記者団の取材に応じた。
「海外中銀の方たちと密接な関係を築いていく、そういう第一歩にしていきたい」
抱負を問われた植田氏は、後列にいた記者が聞き取れないほどの小さな声でこう答えた。毀誉褒貶(ほうへん)は激しいがぶれずに信念を
貫き通す黒田氏を直前まで取材してきた身からすると、少し頼りない印象も受けた。
しかし、同時に記憶に刻まれたのは、植田氏が記者一人ひとりの目をみて自らの言葉で質問に答えていたことだった。官僚出身の黒田氏は
手元の想定問答に目を落としながら、日銀の公式見解を読み上げることが少なくなかった。
一つ一つの質問に、丁寧に答えようとすればするほど、発言の細部には微妙なブレも生じる。植田氏のこうした姿勢はときに「発言に一貫性
がない」として批判されたり、市場に混乱を招いたりしてきた。
だが、日銀が金融政策の独立性を維持しているのは、政策に対する説明責任と表裏一体。新日銀法成立後の最初の審議委員を務めた植
田氏が、立て板に水のような官僚答弁ではなく、相手に合わせて自らの言葉で「わかりやすく伝えること」(植田氏)を意識してきたと考えれば
納得がいく。
植田氏の信念の固さを象徴するエピソードがある。「皆さんと一緒に物価安定の達成というミッションの総仕上げを行いたい」。総裁就任後初
の出勤日となった4月10日、職員を前に植田氏はこう挨拶した。
5年の任期の間に果たすべき自らの役割は異次元緩和からの正常化であり、そこに至るまでのタイミングを慎重に見極めているに過ぎない
――。そうした見方を踏まえて植田氏の半年間を振り返ると「頼りない」という印象はもはや持てない。
経済学の大家であるアルフレッド・マーシャルは、経済学者が持つべき資質に「冷静な頭脳と温かい心」があると述べている。日銀初の経済
学者出身の総裁として、冷静な頭脳と温かい心を持って政策運営にあたる。そうした決意が植田氏からはにじみ出ていると感じられてならない。
(三島大地)
静かなゲームチェンジ
「金融政策の出口は当然意識していますよ」。ある日銀関係者との会話の中で、ふと違和感を覚えた瞬間があった。「限界はきていない」と
して異次元緩和継続を強調し続けた黒田前総裁が日銀を去って半年、話題にするのも控えるような雰囲気があった金融正常化に対する空気
はいつの間にか変わっていた。
その変化を如実に伝えるのが、今年9月の金融政策決定会合での政策委員の発言を紹介する日銀の「主な意見」だ。
政府・日銀が掲げる物価2%目標の達成状況は「見通せる状況には至っていない」との見方が多いものの、「はっきりと視界に捉えられる状
況」との主張が紹介された。マイナス金利政策や長短金利操作の解除・撤廃を意識した発言や上場投資信託(ETF)といった国債購入以外
の日銀の市場操作についても「要否について検討すべき」だとの声が上がった。
意見は匿名で紹介され、実際はごく少数の主張である可能性もゼロではないだろう。ただ、人数はどうあれ、こうした意見をきちんとすくい
上げて紹介する日銀の姿勢からは、出口を意識する意見を重視し始めたことがうかがえる。
外的環境の要因はもちろん大きい。物価高は日銀の当初想定を超えて長期化し、植田総裁は過去の物価見通しを「やや過小、あるいはか
なり過小だった」と認めざるをえなくなった。円相場は対ドルで再び150円台を一時付け、物価高とあいまって国民生活の負担が懸念される。
長引く物価高、そして円安が日銀の金融政策運営にじりじりと圧力をかける構図が常態化する。
「異次元緩和は行き詰まっている」。以前に比べ、日銀内である意味タブーともいえる批判的な意見を聞くことが少し増えた印象もある。「き
ちんと人の話を聞く」(日銀関係者)という植田総裁のもとで、職員がより自由に発言しやすくなったのかもしれない。
緩和継続一辺倒の印象さえあった日銀内の空気が静かに、だが確実に出口を見据えたものに変わりつつある。とはいえ実際に正常化に
踏み出すのは困難を伴うだろう。
カギを握る賃上げは大企業を中心に広がる気配を見せるものの、中小への浸透は未知数。総選挙といった政治サイドの動きがあれば、金
融政策が影響を受ける可能性もある。
パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスによる大規模攻撃を受け、イスラエルは戦争状態を宣言した。中東情勢の不安
定化で世界経済の先行きは再び混沌としつつある。目まぐるしく変わる国内外の動きにどう目配りしていくか、金融正常化へのハードルが
また一段高くなったことは間違いない。
2023/10/14 06:13 日経速報ニュース
【NQNニューヨーク=稲場三奈】13日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅に反発し、前日比39ドル15セント(0.11%)高の3万3670ドル
29セントで終えた。朝発表の四半期決算が好感された金融株などを中心に買いが入った。一方、中東情勢を巡る緊張が一段と高まっており、
株式相場全体の重荷となった。
金融のJPモルガン・チェースは前日比2%弱上昇した。朝に発表した2023年7?9月期決算では1株利益などが市場予想を上回り、買いを誘っ
た。ダウ平均の構成銘柄ではないが、同業のシティグループとウェルズ・ファーゴも同日に決算を発表し、市場の想定を上回る内容が評価され
、買いが入った。
医療保険のユナイテッドヘルス・グループも3%弱高で終え、指数全体を91ドル押し上げた。朝発表した7?9月期決算は増収増益となり、売上
高と1株利益がいずれも市場予想を上回った。ダウ平均は上げ幅が300ドル超となる場面があった。
半面、中東情勢の緊迫化は株式相場の重荷となった。イスラエルとイスラム組織ハマスの軍事衝突が激化することへの懸念は根強い。積極
的な運用するリスクを回避しようと、相対的に安全資産とされる米国債や金に資金を移す動きもみられた。
原油価格の大幅な上昇で、インフレが再燃するとの懸念も株売りを誘った。ミシガン大が13日発表した10月の消費者態度指数(速報値)は6
3.0と前月(68.1)から悪化。1年先の予想インフレ率は3.8%と前月(3.2%)から上昇し、5カ月ぶりの高水準となった。「様々な不安が市場を取り
巻いている」(ミラー・タバックのマシュー・マリー氏)との声が聞かれた。ハイテク株を中心に売りが出やすく、ダウ平均は下落に転じる場面が
あった。
JPモルガンのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は13日の決算資料内で、インフレ高止まりのリスクや米金融引き締めの影響、ロ
シアのウクライナ侵攻の長期化やイスラム組織ハマスのイスラエル攻撃といった地政学リスクに言及。「世界は過去数十年で最も危険な時
期にあるかもしれない」との見解を示し、投資家心理が悪化した面もあった。
個別では、外食のマクドナルドや日用品のプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)などが買われた。石油のシェブロンも高かった。半面、映画
・娯楽のウォルト・ディズニーと航空機のボーイングは下落。顧客情報管理のセールスフォースやスマートフォンのアップルといったハイテク株
も安かった。
ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は続落した。前日比166.985ポイント(1.23%)安の1万3407.234で終えた。電気自動車(EV)
のテスラや画像処理半導体のエヌビディアが下落。アナリストの投資判断引き下げが伝わった動画配信のネットフリックスも売られた。
2023/10/16 05:00 日経速報ニュース
日銀が2007年以来となる利上げ局面に足を踏み入れようとしている。マイナス金利解除の時期は、賃上げの動向を見極めながら慎重に判断
する構えだが、市場では「時間の問題」との捉え方が多い。むしろ焦点となるのは、その後どれくらいのペースで、どこまで利上げを進めていく
かだろう。日銀はどう考えているのか。
「意図的なビハインド・ザ・カーブ」
「当然、その先も考えている」。日銀関係者にマイナス金利解除後の利上げについて尋ねると、こんな答えが返ってきた。マイナス金利政策の
解除は、これまで四半世紀にわたって続いたデフレとの戦いの総仕上げ。だが、それは日銀にとってゴールではなく、物価を2%近辺で安定さ
せるために最適な政策金利を探るスタートになる。
物価上昇が続くなか、日銀はこれまで粘り強くマイナス金利政策を続けてきた。元日銀理事で東京財団政策研究所主席研究員の早川英男氏
はこうした日銀の手法を「意図的なビハインド・ザ・カーブ」と呼ぶ。経済や物価の情勢と比べて金融政策をあえて後手に回らせることで、日本経
済がデフレに逆戻りしないように万全を期してきたというわけだ。
問題は、辛抱の結果として物価2%目標の達成がようやく確認された場合にどうするのか。早川氏は「好循環を確認できれば(これまで遅らせ
ていた分だけ)少し速いペースで利上げを進めなければならないだろう」と指摘する。日銀内にも、物価上昇への政策対応が遅れすぎてしまうこ
とへの警戒がある。
政策金利の目安は2%?
では、どこまで利上げを進めるのか。参考になるのが、景気を刺激もしなければ冷やしもしない中立金利だ。日本の中立金利はゼロ%程度か
小幅なマイナスとの見方が多い。これは物価上昇の影響を除いた実質ベースなので、物価分を加えたものが政策金利のあり得べき水準となる。
日銀が物価の基調が2%程度まで高まったと判断するならば、政策金利の目安は2%近くとなるはずだ。
もちろん、そこまで一気に政策金利を引き上げようという考え方は、日銀内には見当たらない。実際には「物価上昇率2%という北極星」(日銀
関係者)を目印に、インフレ圧力の強さを確かめながら段階的に利上げを進め、どこまで政策金利を引き上げられるか見定めていくことになる。
日銀が前回利上げを進めたのは、06年3月の量的緩和政策の解除後だ。同年7月に政策金利をゼロから0.25%に引き上げ、07年2月には0.5
%へと2回目の利上げに踏み切った。当時と比べれば物価上昇の勢いが強いため、より早いペースで利上げを進める可能性はある。市場参加
者からは半年に1回程度の利上げを見込む声が聞かれる。
米国では米連邦準備理事会(FRB)が米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーの政策金利見通し(ドットチャート)を公表し、利上げのペー
スや到達点の目安を明らかにしている。だが、日銀は日本版ドットチャートの作成には今のところ及び腰だ。当たりもしない見通しを示したとこ
ろで、かえって市場を混乱させるだけとの冷めた見方がある。
長く金利のない世界になれきった日本では、限定的な利上げであっても、経済に思わぬショックを引き起こす恐れがある。さらに、マイナス金
利解除はともかく、その先の利上げをあからさまに示唆すれば、政治と無用のあつれきが生じかねない。一歩ずつ着実に、というのが日銀のス
タンスといえる。
市場参加者のマイナス金利解除時期の予想は来年4月に集中する。解除が近づけば、その先の利上げが意識されていくことは間違いない。
現時点で利上げが十分織り込まれていないとすれば、市場に影響が広がる可能性がある。焦点になるのが、これまで日米金利差の拡大を背
景に進んできた円安にブレーキがかかるのかどうか。さらには長期金利の行方だろう。
「米国は九回裏、日本は一回表」
三井住友銀行の専務執行役員で市場営業部門を統括する小池正道氏は「利上げという意味では米国はすでに九回裏だが、日本は一回表。
円安はこれ以上続かない」と語る。イエレン米財務長官が日本の円買い介入に理解を示したと報じられており「米国もさらなる円安・ドル高は
望んでいないのではないか」とみる。
日本の長期金利は今月、一時0.8%台まで上昇した。日銀の利上げを市場がどんどん織り込んでいく展開になれば、日銀が事実上の上限と
する1%で抑え続けることは難しくなる。長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)は7月に修正したばかりだが、再修正が視野に入ってきて
もおかしくはない。好循環の確度が高まることで長期金利が上がるのであれば、日銀としても抑える理屈は見つけにくくなる。
2023/10/18 日本経済新聞 朝刊
日銀はいつ追加の政策修正に動くのか。日本経済新聞がエコノミスト16人に聞き取り調査を実施したところ、9人が2024年4月のマイナス
金利解除を予想した。その前に長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の再修正があるとの意見もあった。中東情勢の緊迫化で
原油高が進むなど、不透明な世界情勢をリスクとして指摘する声もあがった。
10月13日時点でエコノミストの回答をまとめた。日銀の植田和男総裁は9月の記者会見で「政策修正の時期や具体的な対応について到底
決め打ちできない」と語り、マイナス金利の早期解除観測をけん制した。今回の聞き取り調査では、解除予想は来年4月に集中。「12月に前
倒し(で解除)の可能性もある」(モルガン・スタンレーMUFG証券の山口毅氏)との声もあるが、年内解除論は大きく後退した。
マイナス金利解除の時期を考える上で注目されるのが、物価と賃金の好循環につながるかどうかを占う春季労使交渉(春闘)の動向だ。みず
ほリサーチ&テクノロジーズの門間一夫氏は「3月ごろから少しずつ(労使交渉の結果が)分かってくる」として、4月にマイナス金利の解除を
予想した。
日銀は毎年1、4、7、10月の会合で、数年分の消費者物価上昇率の見通しを示す。四半期に1回の新たな見通しを示すタイミングで、日銀
が動くとの見方は多い。来年4月のマイナス金利解除を予想するUBS証券の足立正道氏は「4月会合で日銀は26年度の物価見通しを初めて
出す。ここで2%と置き、マイナス金利をやめるのではないか」とみる。
マイナス金利政策を解除する前に、再びYCCを修正するとの見方もある。日本の10年物国債の利回りは米国の金利上昇につれて今月、一時
0.8%台まで上昇した。日銀が事実上の上限とする1%とはまだ距離があるが、UBS証券の足立氏は「10月会合で長期金利の誘導目標を
(現在のゼロから)0.5%に引き上げ、上限は1.5%まで拡大するのではないか」と予想する。
今回の調査では、マイナス金利の解除とYCC撤廃の順序で見方が分かれた。第一生命経済研究所の藤代宏一氏は「市場が利上げを織り
込むと日銀の想定以上に金利が上昇する可能性があるため『保険』としてYCCを残すのではないか」と指摘。JPモルガン証券の藤田亜矢子
氏は「総裁、副総裁の発信ではマイナス金利解除の条件はYCC撤廃より高いのではないか」と述べた。
出口に向けて動き始めた日銀だが、世界経済の先行きがリスク要因となる。ウクライナ情勢や米欧の景気動向に加え、パレスチナのイスラム
組織ハマスとイスラエルの衝突も起きた。「(中東情勢は)現時点では金融政策への影響は限定的」(みずほ証券の上野泰也氏)との声が多い
が、「植田総裁は下振れリスクを重視するので、海外景気の見極めが難しいうちは判断を先延ばしにする可能性がある」(SMBC日興証券の
丸山義正氏)との見方もある。
2023/10/18 09:08 日経速報ニュース
18日朝方の国内債券市場で長期金利は上昇(債券価格は下落)した。指標となる新発10年物国債の利回りは前日比0.030%高い0.810%
をつけた。2013年8月以来、10年2カ月ぶりの高水準となる。市場予想を上回る米小売統計で17日の米国債相場が下落し、国内債にも売り
が及んでいる。
17日のニューヨーク市場で米長期金利の指標となる米10年物国債利回りは前日比0.13%高い4.83%で終えた。同日発表の9月の米小売
売上高が前月比0.7%増と、市場予想(0.3%増)を上回った。米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めが長期化するとの見方が改めて
強まり、米長期金利の上昇を促した。
米ブルームバーグ通信は17日、日銀が30~31日に開く金融政策決定会合で議論する「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」について、
2024年度の消費者物価指数(CPI、生鮮食品除く)上昇率の見通しが「従来の1.9%から2%以上への引き上げが視野に入る」と報じた。
市場では「原油価格の影響など既に判明していることが多く、政策正常化の思惑を大幅に高める内容ではないが、ひとまずニュースのヘッド
ラインに反応しているようだ」(国内証券の債券アナリスト)との声が聞かれた。
18日朝方の国内債券市場で先物相場は続落した。中心限月の12月物は前日比33銭安の144円93銭で寄り付いた。大阪取引所と東京
金融取引所の無担保コール翌日物金利(TONA)先物の中心限月である12月物の取引は成立していない。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-10-17/S2NVJVT0G1KW01?srnd=cojp-v2
2023/10/18 16:41 日経速報ニュース
国内債券市場で幅広い年限の利回りが再び上昇基調を強めている。長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは一時0.815%と
2013年8月以来、10年2カ月ぶりの高水準をつけた。国内外の金利先高観に揺らぎはなく、日銀が18日に実施した2本の臨時の国債買
い入れオペ(公開市場操作)も金利低下を促す要因とはみなされなかった。
中期ゾーンの新発2年債利回りは0.065%と15年2月以来、新発5年債利回りは0.350%と13年6月以来の高水準をつけた。超長期の
40年債は一時2.045%と、業者間の売買を仲介する日本相互証券によると13年2月以来の高水準をつけた。
これまで国内債の利回り上昇を促してきた「2つのエンジン」は健在だ。1つは米金利上昇。米長期金利の指標となる米10年物国債利
回りは17日に一時4.86%と、6日までにつけた今年の最高水準(4.88%)に迫っている。17日発表の9月の米小売売上高が前月比0.7%
増と市場予想(0.3%増)を上回り、米景気の強さを示すとともに米連邦準備理事会(FRB)の追加利上げ観測を再燃させた。米長期金利
は5%の大台乗せが改めて視界に入っている。
もう一つのエンジンは言わずと知れた日銀の政策修正観測だ。18日は米ブルームバーグ通信による17日の報道が関心を集めた。日銀が
30~31日に開く金融政策決定会合で議論する「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」について、2024年度の消費者物価指数(生鮮食品
除くコアCPI)上昇率の見通しが「従来の1.9%から2%以上への引き上げが視野に入る」というのだ。
日銀の7月時点の見通しでは、23年度のコアCPIは2.5%と「物価安定の目標」である2%を超えていた。24年度も上方修正されれば連続
となり、目標の持続的・安定的な達成を連想させる。岡三証券の鈴木誠氏は「物価見通しが24年度も2%以上とのニュースは日銀による金
融政策修正の思惑をより強めたのではないか」と指摘する。
日銀はすかさず金利抑制に動いた。18日午前に残存期間「5年超10年以下」と「10年超25年以下」を対象とする臨時の国債買いオペを実
施した。とりわけ「10年超25年以下」は今年の2月以来8カ月ぶりで、「ふだんより強めに金利の上昇を抑えようとするメッセージ」(三井住友
トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊氏)との声がある。
一方、もう1本の「5年超10年以下」の予定額は3000億円と、前回の臨時オペ(9月29日)と同額だった。「10年超25年以下」の予定額は
1000億円で、規模の面では日銀が金利上昇へのけん制姿勢を強めているとは受け止めにくい。稲留氏は「規模がそれほど大きくないため、
あくまで急激な金利上昇に対するスピード調整を狙ったものとして軽く受け流された印象だ」と話す。
こうしたなかで国債保有に慎重なムードが広がりやすくなっている。直近の入札は超長期債を中心に弱い結果が続く。例えば財務省が17
日に実施した20年物国債入札は、今月末の日銀会合への警戒や構造的な需給不安などから「不調」に終わった。「国内金利はもうしばらく
上振れを覚悟する必要がありそう」(国内証券の債券ストラテジスト)との声は多い。
2023/10/19 日本経済新聞 朝刊
気候変動の情報開示が企業評価をさらに揺らす。温暖化ガス(GHG)の多排出企業は株価のディスカウントが鮮明だが、今後は供給網
上での排出「スコープ3」の開示も広がる。日本企業にとっては事業関連の排出だけでなく、政策保有株式など出資先の排出も大きな火種
になりかねず、個別銘柄の株価にも影響しそうだ。
「温暖化ガスがコストとして意識されるなか、座礁資産化の観点でリスクの高い政策保有株式を抱える企業にはより明確な説明を求めた
い」。シュローダー・インベストメント・マネジメントの豊田一弘日本株式運用総責任者はこう語る。
かつてCSR(企業の社会的責任)部の管掌だった温暖化ガスは経営の最重要課題に変貌。投資評価にも直結する。野村証券によると
、エネルギーや素材などの多排出産業で自社拠点からの排出「スコープ1」と使用エネルギー由来の排出「スコープ2」が多いほど、PER(
株価収益率)が低くなる傾向が鮮明だ。
今後は供給網分の排出「スコープ3」が注目を集めそうだ。原材料調達先の排出が多ければ環境規制強化で調達コストが増し、排出が多
い製品は消費者に敬遠されやすくなる。シュローダーはスコープ3を含めて企業の環境対応を評価。適正株価算出に使うPERの値を調整する。
「スコープ3も開示を検討してください」。三井住友DSアセットマネジメントの坂口淳一責任投資オフィサーは最近、投資先に対しこうした働
きかけを強めている。同社は開示の充実度やアナリストによる気候変動の財務影響評価などを通じて同業種内で偏差値をつける。一部のフ
ァンドマネジャーは銘柄選びの判断材料にし始めた。
現状で「3」の企業開示は少なく情報ベンダーが提供する推定値にも差があるが、グローバル開示ルールを策定する国際サステナビリティ
基準審議会(ISSB)が6月に公表した気候変動基準で、「3」を義務にした。日本でもISSBベースの開示制度が検討され、数年後に義務化
される見通しだ。
開示範囲は企業の判断による。気候変動リスクに敏感な投資家は開示の拡充を訴える。「日本企業は政策保有分の気候変動リスクも開
示する責任がある」と強調するのがフィデリティ投信の井川智洋ヘッド・オブ・エンゲージメントだ。
井川氏が根拠とするのがスコープ3の一要素の投資先の排出量だ。ISSBの基準では同開示を明確に求める先は商業銀行や運用会社だ
が、有価証券の価値変動が自社の企業価値を揺らすのは事業会社も一緒だ。
株式保有の規模が大きく、投資先の排出が多いほど抱え込むリスクも大きい。たとえば豊田自動織機の現状のスコープ1~3は4000万ト
ン超だが、政策保有株の排出分を出資比率に応じて足しあわせると全体の排出は2倍。住友不動産は2・6倍だ。
日本企業特有である政策保有関連のリスクが伏せられていれば、日本企業全体のディスカウントにもつながりかねない。
岸田文雄首相は10月初旬、7つの公的年金基金(資産90兆円規模)が新たに国連の責任投資原則(PRI)の署名に向け作業を進めると
表明。サステナビリティーに注目する投資マネーは増える。排出量をどこまで開示するか、保有を正当化しにくい資産をどうするか。企業は大
きな宿題を抱える。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-10-18/S2M65NT0G1KW01?srnd=cojp-v2
https://jp.reuters.com/opinion/forex-forum/F4QMCSZSRRJZXMCI7NJNGPI2ZM-2023-10-18/
2023/10/19 11:46 日経速報ニュース
19日午前の国内債券市場で、長期金利は上昇(債券価格は下落)した。指標となる新発10年物国債の利回りは前日比0.020%高い0.825%
と、2013年8月以来10年2カ月ぶりの高水準をつけた。米金利の先高観が強まるなか、インフレ率の高止まりで日銀が早期に政策修正に動く
との思惑もくすぶり、幅広い年限で国内債には売りが出た。
18日発表された9月の米住宅着工件数が市場予想を上回って増えるなど米景気の底堅さを映す経済指標の発表が続いている。米連邦準備
理事会(FRB)が金融引き締めを長引かせるとの見方から米長期金利は約16年ぶりの水準に上昇し、国内金利の上昇を促した。
日銀は10月30~31日開催の金融政策決定会合にあわせて公表する「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で物価見通しの引き上げを検
討しているとの報道が相次いでいる。2%の物価目標の実現が近づけば大規模な金融緩和の正常化に動きやすくなるとの見方が強いのも債
券相場の重荷となった。
財務省は19日、残存期間「5年超15.5年以下」の利付国債を対象にした流動性供給入札(発行予定額5000億円程度)を実施する。国内でも
金利の先高観が強まっているものの、流動性供給入札では「需給が逼迫している銘柄を発行するので、相場にかかわらず需要が集まりやすい
傾向がある」(国内証券)として「無難」な結果を見込む声があった。
中期債では新発5年物国債の利回りが前日比0.015%高い0.360%と13年6月以来の水準に上昇した。新発2年債利回りは同0.010%高い
0.075%と14年9月以来の高水準をつけた。超長期債にも売りが優勢で、新発20年債利回りは同0.025%高い1.600%、新発30年債利回りは
同0.015%高い1.775%で推移している。
債券先物相場は続落し、中心限月の12月物は前日比28銭安の144円69銭で午前の取引を終えた。
短期金融市場では無担保コール翌日物金利(TONA)が小動きとなっている。マイナス0.015~マイナス0.005%を中心に取引され、加重平均
金利は前日の日銀公表値(マイナス0.011%)とほぼ同水準となっているもよう。
2023/10/19 15:48 日経速報ニュース
19日の国内債券市場で長期金利の指標である新発10年物国債の利回りは前日を0.035%上回る0.840%に上昇(価格は下落)した。日銀
が異次元緩和に踏み出した3カ月後の2013年7月以来、10年3カ月ぶりの高さとなった。18日の米長期金利が4.9%台に上昇し、国内債に
も売りが出た。このままなら国内長期金利の前日からの上昇幅は今月4日以来の大きさとなる。
日銀はきょうここまで、臨時の国債買い入れオペ(公開市場操作)などを通知していない。金利上昇を抑える日銀のアクションがみられない
ことで、午後の取引で利回りは一段と上昇した。午前の長期金利は0.825%だった。
日銀が今月末の金融政策決定会合でまとめる「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では、物価見通しを上方修正するとの観測報道が
相次いでいる。市場では「金融政策を修正するとの思惑は根強く、債券の買い手は少ない」(国内証券の債券ストラテジスト)との見方があった。
19日の財務省による残存期間「5年超15.5年以下」の国債を対象とした流動性供給入札は、応札額を落札額で割った応札倍率が3.58倍だ
った。前回(3.29倍)を上回ったが、今年度の平均などと比べれば低く「弱めの結果だった」(三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊
シニアストラテジスト)という。1年物TB入札も平均落札利回りが上昇し弱い結果と受け止められた。これも午後の債券相場の重荷になった。
新発40年物国債の利回りが前日比0.030%高い2.060%と13年2月以来の高さとなり、5年債は一時、0.025%高い0.370%と13年5月末以
来の高さをつけた。新発2年債利回りは0.010%高い0.075%に上昇した。先物中心限月である12月物の終値は前日比36銭安の144円61銭
と3日続落した。一時は144円55銭まで売られた。
短期金融市場では東京金融取引所と大阪取引所で無担保コール翌日物金利(TONA)先物の中心限月である12月物は売買が成立してい
ない。全銀協TIBOR運営機関が発表した海外円の東京銀行間取引金利(TIBOR)3カ月物は横ばいで、前日と同じ0.02400%だった。
2023/10/21 日本経済新聞 朝刊
米金利上昇に歯止めがかからず、相対的な割高感が強まる株式を売る流れが続いている。米長期金利は19日夕の米債券市場で16年ぶり
に「ターミナル5」と呼ばれる5%台に上昇する場面があった。円安対策を含め金融緩和政策の修正を目指しているとされる日銀の動き次第では
、世界の株式は一段と厳しい状況に置かれる可能性がある。
20日の日経平均株価は続落し、171円(1%)安の3万1259円で終えた。今回の上昇相場が始まった4月以降の日経平均の価格帯別売
買高をみると、3万2000~3万2500円が最も膨らんでいる。「日経平均の3万2000円から上は重い」のイメージが強まりそうだ。
米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は19日、経済次第で「さらなる金融引き締めが正当化される可能性がある」との考えを示し、12
月以降の米追加利上げの可能性が残された。
これまでの金利上昇で債券投資家は懐を痛めている。デュレーション(元利金の平均回収期間)が長い長期国債に連動する上場投資信託
(ETF)の「iシェアーズ 米国国債 20年超」は19日までに年初来で約2割安に沈む。9月後半以降、1日の出来高が増加しながら価格が
下落しており、損失覚悟の投げ売りが断続的に出ているとみられている。
債券市場の変調は株式市場にも波及している。19日、「恐怖指数」と呼ばれる米国株の予想変動率を示すVIX指数は前日に比べ11・3
%高い21・40と、地銀破綻で金融不安が高まった3月以来、7カ月ぶりの水準まで上昇した。「株式相場の一段の調整を想定したオプショ
ンのプット(売る権利)を買う動きが活発化している証左」(フィリップ証券の増沢丈彦株式部トレーディング・ヘッド)。
20日の日本市場でも、日経平均の予想変動率を示す日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)が23・20と6月につけた年初来高値を
上回った。
市場は金融の引き締め過ぎによるオーバーキル(景気の冷やしすぎ)を警戒する。19日は内需の中小型株で構成するラッセル2000株価
指数は5カ月ぶりに年初来安値を更新。米ニューバーガー・バーマンでマルチアセット運用部門の最高投資責任者であるエリック・クヌーゼン
氏は「中小型株指数の低迷は米経済が見かけほど強くないことを示唆している」と警鐘を鳴らす。
米追加利上げの可能性が高まる局面で、市場は日銀の動きにも警戒を強める。連合は19日、24年の春季労使交渉で、基本給を一律に
あげるベースアップ(ベア)と定期昇給(定昇)を合わせて「5%以上」の賃上げを求める方針を発表した。物価と賃金上昇の好循環につなが
り、日銀のマイナス金利政策の早期解除観測が強まる。
30~31日に開かれる日銀の金融政策決定会合では長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)を再修正するとの予想も出ている。
野村証券の松沢中チーフ・ストラテジストはあらゆる金融商品のベースとなる米金利が不安定化している環境下で、「日銀の政策修正は
火に油を注ぐことになる」と指摘。同時に「日銀が一段の政策修正に向けて歩を進めるには、米利上げの休止と米金利環境の安定が不可
欠」とも説明した。
日銀の政策修正を世界のリスク回避と関連付けてみる米投資家も多い。日銀会合の結果次第ではリスク回避の震源が米国から日本に
シフトする可能性に警戒が必要だ。
2023/10/22 日本経済新聞 朝刊
日銀で長短金利操作(イールドカーブ・コントロール=YCC)の再修正論が浮上してきた。米金利上昇に伴い国内の長期金利も上がり、7月の
修正で決めた1%という事実上の上限に近づいているためだ。今月末の金融政策決定会合で議論する見通しだが、日銀内には賃上げ動向を見
極めたいとの慎重論もある。
日銀は7月の決定会合で長短金利操作の運用を柔軟化し、それまで上限としていた0.5%を「めど」に変えた。さらに大量の国債購入で金利
を強制的におさえ込む事実上の上限を1%に引き上げた。市場実勢に応じて金利の変動余地を広げ、ひずみの緩和を狙った。
長期金利は7月の政策修正以降、日銀の想定を上回るペースで上昇している。指標である新発10年物国債の利回りは20日に一時0.845
%と2013年以来、約10年ぶりの高水準まで上昇。「念のための上限キャップ」(植田和男総裁)だった1%に迫る。背景にあるのが米金利の動
向だ。
米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は19日の講演で、経済の高成長や雇用の逼迫が続けば「さらなる金融引き締めが正当化される」
と述べた。
引き締めの長期化観測で米長期金利は19日に一時5%台と16年ぶりの水準まで上昇。国内金利にも波及している。
このため今月の決定会合前に日銀内で浮上しているのが、長短金利操作の再修正論だ。現在1%の金利上限をさらに引き上げたり、運用上の
位置づけを変えたりする可能性がある。0.5%の「めど」を撤廃する案なども取り沙汰されている。
7月の政策修正から3カ月で再び修正論が浮上する背景には、日銀が動きやすい環境が整っていることもある。FRBは10月31日~11月1日
の米連邦公開市場委員会(FOMC)で22年3月の利上げ開始以降、初めて2会合連続で利上げを見送る公算が大きい。
米国が利上げを休止している環境で政策変更した方が「国内経済へのリスクが少ない」(日銀関係者)との見方がある。22年6月や同10月の
決定会合前のように投機筋が債券を売り浴びせる状況でもなく「追い込まれる前に先手を打てる」(市場関係者)。次の決定会合は12月中旬ま
でない。
日銀は月末の決定会合で、23年度は2.5%、24年度は1.9%としている消費者物価指数(生鮮食品を除く=コアCPI)の前年度比上昇率
の見通しを上方修正するか検討する。
24年度も2%台の見通しを示せば、3年連続で2%を超えることになり、「持続的・安定的」に2%を上回るという目標達成が近づく。賃金と物価
の好循環が続くか確認するため、賃上げの動向を見極める考えだ。
ただ、金利操作の再修正に対する慎重論は強い。野口旭審議委員は12日の記者会見で「(足元の長期金利は)上限よりは少し余裕はある。
何かを慌ててやる必要は今のところない」と述べ、修正は不要との考えを強調した。
米金利の上昇やその余波の持続性を見極め、拙速に修正に動くべきではないとの声も日銀内にある。金利操作の再修正自体が過度な金利上
昇を招くリスクもはらむ。
20日の外国為替市場で円は対ドルで下落し、今月3日以来の円安水準となる一時1ドル=150円台を付けた。日銀が長期金利の上昇をおさ
え込めば高金利通貨のドルに資金が流れ、円安による物価高を助長する。円安を止めようと金利上昇を容認し緩和姿勢の後退と受け止められれ
ば、政治との関係は難しくなる。
仮に現在の上限である1%を超える金利上昇を容認すれば「粘り強く緩和を続ける」という日銀の従来の主張との整合性も問われる。
日銀内には10月会合時点で「持続的・安定的な物価安定の達成を判断できない」との見方が強い。市場ではマイナス金利政策の解除といった
金融政策の出口につながる政策変更は24年以降との見立てに傾く。日銀は正常化のタイミングを慎重に探ることになりそうだ。
ブルームバーグ 日高正裕
2023年10月23日 12:12 JST
「中立金利」予想は0.5-2%と幅広い、元日銀マンは2%到達派
真実は0.5%と2%の中間ではないか-SMBC日興の奥村氏
早期のマイナス金利解除を既に織り込んだ金融市場は、日本銀行がその後どこまで金利を上げるのか
長期金利はどこまで上がるのかに関心を向け始めている。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-10-23/S2YGHMDWX2PS01?srnd=cojp-v2
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-10-23/S2YUUWT1UM0W01
2023/10/24 日本経済新聞 朝刊
2025年国際博覧会(大阪・関西万博)の運営主体の日本国際博覧会協会は23日、全面導入するキャッシュレス決済について具体的な
計画を発表した。公募した独自の電子マネーの愛称は「ミャクペ!」に決めた。会期前の23年11月から順次、関連サービスを始める。
協会の石毛博行事務総長は23日の発表会で、デジタルウォレットを通じて「万博を身近に感じてもらい、オールジャパンで機運を醸成して
いく」と話した。三井住友フィナンシャルグループがキャッシュレス決済端末を1000台提供するなど官民で連携して進める。
ブロックチェーン(分散型台帳)技術を使った独自の決済アプリは誰でも使え、電子マネー「ミャクペ!」や利用に応じてたまる「ミャクポ!」
といった金融サービスが一覧で見られる。NFT(非代替性トークン)をアプリ同士で送ることも可能だ。電子マネーは銀行口座やクレジットカ
ードから入金する。会場内で現金は使えず、ミャクペ!のほかクレジットカードや交通系ICカード、QRコードなど60種類の支払い方法に対応
する。
2023/10/24 04:00 日経速報ニュース
8月20日付の前稿では日本株の上昇基調は揺るがないものの、数カ月程度の期間を要する調整局面に差し掛かった可能性があると言及しま
した。5?6月の急上昇に伴う過熱感を解消するための需給調整や、日銀のイールドカーブ・コントロール(YCC)柔軟化による国内の長期金利上
昇、それに付随した外国為替市場での円相場の反発などが理由です。
その後、円高には歯止めがかかり、日経平均株価は8月中旬から1カ月ほど反発して年初来高値に接近しました。ただ9月中旬以降は再び反
落するなど、調整局面はなお続いていると見受けられます。
短期的な株価圧迫要因
昨今の日本株反落は、米国株の下げに少なからず影響を受けていると考えます。米国株を圧迫する大きな要因としては、米長期金利の上昇
が8月以降、次第に顕著となったことがあるでしょう。米長期金利を10年国債利回りでみると、9月下旬に約16年ぶりに4.5%を上回りました。
その背景には9月19?20日の米連邦公開市場委員会(FOMC)があります。米連邦準備理事会(FRB)は年内の追加利上げの可能性や、来
年の利下げ幅の縮小見込みなどを示唆し、改めてタカ派姿勢を堅持しました。
しかしながら、日米株の圧迫要因である米国の長期金利上昇は、インフレ率の動きなどからまもなく歯止めがかかるとみています。そうなれば
米国株とともに、日本株は反騰に向かうでしょう。
米国の消費者物価指数(CPI、食品とエネルギーを除くコア指数)は昨年、1980年代初期以来、約40年ぶりの上昇率を記録しました。40年前はイラン革命を発端とした第2次石油危機、直近はロシアのウクライナ侵攻などによる1次産品価格高騰がインフレ圧力を強め、FRBの大規模な利上げを招きました。地政学リスクの顕在化によるコモディティー価格の高騰という共通点があるわけです。
インフレと金利のズレ
ここで80年代初期のケースをみると、米国のCPIコア指数上昇率の前年同月比(本稿では、この数値をインフレ率と呼びます)は80年6月に13
.6%でピークをつけました。一方10年国債利回り(月末値)が15.8%でピークを打ったのは81年9月で、その後は低下基調に転換しましたが、1年
強の時間差があります。
このタイムラグの背景には、FRBがインフレ退治を最優先し、インフレ率のピークアウト後も利上げを進めていたことなどがあるでしょう。
直近のケースでも、インフレ率が昨年9月にピークをつけた後、FRBはインフレ退治のため利上げを継続しました。しかし、今では追加利上げは
あっても限定的で、利上げは最終局面であると推察されます。
そしてインフレ率はピークからすでに1年経過し、低下が鮮明化する方向であることも考慮すると、米国の長期金利はまもなくピークアウトする
と考えます。それに伴って米国株の波乱は収まり、日本株は反発の契機をつかむことができると思われます。
なお、7月以降、原油高が再発しましたが、昨年前半の勢いに遠く及びません。そして天然ガスや石炭、金属鉱物資源、食料品などの価格は
落ち着いています。資源価格を発端とするインフレ再燃の可能性は低いと考えます。
ここまでで申し上げてきたことは、比較的短期の視点です。中長期的にも、日本株は一時的な調整を交えながらも、大きな上昇トレンドをたど
ると考えます。
その要因として、第一に日本企業の収益力の強まりがあると考えます。少し遡りますが、9月の月初に発表された今年4?6月期の法人企業
統計によると、金融・保険を除く全産業ベース(季節調整済み)の営業利益は18.5兆円と、19年1?3月期の過去最高(18.8兆円)に迫りました。
経常利益は26.9兆円と2期前続で過去最高を更新しています。増加の勢いは強く、利益水準はバブル期のピーク(1989年1?3月期、10.7兆
円)の2.5倍以上に達しています。昨春以降進行した円安により、日本企業の海外資産や売り上げの増価が効いてきたことなどが寄与していま
す。
また、利益水準だけでなく、収益構造も強化されています。1990年代以前は経常利益が営業利益を下回っていましたが、2010年代以降は
営業外の黒字が拡大し、経常利益が営業利益をはっきり上回るようになりました。営業・営業外の双方で経常利益を押し上げる「収益源の複
線化」が定着したといえましょう。
第二に、コスト面での改善がみられることです。昨年12月の企業物価指数(企業仕入れ価格の代替データ)の上昇率は前年同月比10%台と
約42年ぶりの高さとなる一方、同月の消費者物価指数(企業販売価格の代替データ)の上昇率は同4.0%にとどまりました。一方、今年8月は
前者・後者がともに3.2%で並びました(9月は前者が2.0%に低下)。値上げできてもコストがそれ以上にかさむ状態から、企業の負担が相当軽
減されてきたことを示唆しています。
生産基地としての復権
第三に、国際的視点から、生産基地としての日本が見直され始めていることがあると考えます。米国では2018年、輸出管理改革法(ECRA)
が成立しました。かつての対共産圏輸出統制委員会(COCOM)に匹敵する内容で、対中国を念頭に置いたと見受けられ、「新COCOM」とも
呼ばれます。ECRAの導入以降、米中対立・経済デカップリングの動きは顕著になり始めました。
それに伴って、米国のアジア政策の重心は中国から日本に移動しました。サプライチェーン(供給網)の再構築などに絡んで、日本を生産基
地として見直すことが次第に明らかとなりつつあります。こうした動きは米国だけにみられるものではなく、日本への投資拡大が期待できます。
このほかに東京証券取引所による資本効率改善要請や、労働力不足に対する合理化・デジタル化などの動きも勘案すると、日本株の大き
な上昇基調は容易に揺るがないと考えます。
2023/10/24 11:33 日経速報ニュース
24日午前の国内債券市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りは前日を0.005%下回る0.855%に低下(価格は上昇)した。
日銀が同日午前に臨時の国債買い入れオペ(公開市場操作)を通知し、長期債に買いが入った。オペ通知前は前日から横ばいの0.860%を
つけていた。
日銀は残存期間「5年超10年以下」3000億円、「10年超25年以下」1000億円の臨時オペを通知した。日銀は24日午後には幅広い担保を
裏付けに資金を供給する「共通担保資金供給オペ」(公開市場操作)の通知も予定している。先物中心限月である12月物の午前終値は前日
比17銭高の144円63銭と反発した。日銀の臨時オペ通知などが支えになった。
23日の米長期金利は低下したが、日銀の政策修正観測は根強く、国内債には売りも出ていた。30年債利回りは朝方に前日を0.010%上回
る1.890%と13年7月以来の水準に上昇した。日銀の通知後には買いが入り、0.005%低い1.875%と低下に転じた。20年債も0.015%低い
1.665%と買われた。
40年債は前日比0.005%高い2.150%と13年2月以来の水準まで上昇した。2年債は横ばいの0.080%で取引された。
短期金融市場では、無担保コール翌日物金利が横ばい圏となっている。マイナス0.04~マイナス0.005%で、加重平均金利はマイナス0.01
%台前半と前日の日銀公表値(マイナス0.012%)とほぼ同水準となっているもようだ。
2023/10/26 日本経済新聞 朝刊
「現代貨幣理論(MMT)を支持する気には全くなれない」。米著名投資家のウォーレン・バフェット氏はかつて、海外メディアにこう語った。岸田
文雄政権の政策「キシダノミクス」には政府による経済への強い介入に伴うリスクが潜む。
岸田政権の経済運営の背景に、大盤振る舞いをいとわない積極的な財政金融政策で名目GDP(国内総生産)を引き上げ、税収を増やす「高
圧経済論」があるのは疑いない。事実、一般会計税収は2021年度、22年度と大幅に増えた。株式市場との親和性も高い。
岸田政権は恒久財源を手当てする前に経常支出を増やし賃上げまでも主導する。国が前面に立ち雇用や投資を動かすやり方はインフレが加
速しない限り自国通貨建て国債はいくらでも発行できると主張する異端の経済理論、MMTに通じる面がある。キシダノミクスに潜む1つ目のリ
スクだ。
問題は持続性だ。岸田政権が21年10月に発足して以降、22年10月までに閣議決定した経済対策は3回、国費は累計100兆円に及ぶ。
新型コロナウイルス対策が含まれるにしても、短期間での支出額は歴代政権で突出している。
財政支出を膨らませても、長期金利より経済成長率を高めれば、税収よりも政府の利払い費は少なくて済む。基礎的財政収支が大きな赤字
でなければ、政府債務残高のGDP比率はいずれ収束し、財政運営は安定する。成長率が長期金利よりも高ければ高いほど財政の持続可能
性は高まる。
だが、そこにはワナがある。日本は潜在成長率が低いため、実質金利との差が小さく、税収と利払い費の差額を確保しにくい。
BNPパリバ証券の河野龍太郎氏によれば、「長期金利が成長率を下回っていても、潜在成長率がゼロ近く、実質金利がマイナス0.5%程
度であるため、例えば基礎的財政収支がGDP比2%の赤字なら、政府債務残高のGDP比が400%程度まで膨らむ」。
市場はその危うさを織り込み始めている。株式と国債、円のいずれも売られるトリプル安が増えている。岸田首相就任から23年10月13日
までに前の週末比でトリプル安となった週の割合は18%。在任中の割合としては菅義偉氏の13%や安倍晋三氏の6%と比較してはるかに
大きい。
岸田政権は資産運用体制を強化し、海外マネーが投資しやすい環境整備を急ぐ。東京証券取引所は企業にPBR(株価純資産倍率)1倍
割れを是正するよう強く求めるようになった。ただ、キシダノミクスの一翼をなす資産運用立国論には課題が残る。それはアベノミクスで始ま
った市場をゆがめる政策を温存している点だ。
QUICKによれば、日銀が上場投資信託(ETF)を通じ保有する割合が発行済み株式数の5%以上の企業数は460を超え、東証プライム
の4分の1強に上る。日銀が持つETFの時価総額は9月末時点で60兆円と試算され、東証プライムの7%強に当たる。
政府の介入が見え隠れする市場には、長期の海外マネーは入りにくい。これが第2のリスクだ。アベノミクス開始時の海外勢の買いも結局
は売り越しに転じた。今年4月以降の海外投資家の買いも短期筋が中心だ。まずなすべきは日銀が量的・質的金融緩和を見直し、市場を正
常化することではないか。
みずほ証券の上野泰也氏は「クライマックスを伴いにくい、じわじわ進行する『スローな危機』がそこにあることを常に忘れてはいけない」と
話す。スローな危機は本格的なトリプル安という急性期症状をいつ何時、発症するかわからない。
2023/10/26 13:20 日経速報ニュース
日銀は30~31日に金融政策決定会合を開く。長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)で1%としている長期金利の事実上の上限
を見直すかどうかが焦点だ。2%の「物価安定の目標」の持続的・安定的な達成にはまだ距離があるとの認識は不変とみられる一方、長期金利
が1%に近づくなかでYCC再修正の必要性が論点となりそうだ。
日銀は7月会合でYCCの運用を柔軟化した。長期金利の変動幅は「プラスマイナス0.5%程度」をめどとし、長期債を対象に毎営業日実施する
「連続指し値オペ(公開市場操作)」で指定する利回りを1%とした。当時の長期金利は1%から遠く、日銀も連続指し値オペへの「応札は見込
まれない」前提だった。
だが米長期金利が一時5%台と急速に上昇するなか、国内金利も大幅に水準を切り上げている。長期金利の指標となる新発10年物国債の利
回りは26日に一時0.880%と2013年7月以来の高さとなり、1%乗せが現実味を帯びる。野口旭審議委員が12日の新潟県金融経済懇談会で
「(YCCは)『先手を打って柔軟化していかないと維持が困難になる』という性質を持つ」と説明していただけに、市場はYCCの再修正を意識せざ
るをえない。
10月会合では1%の扱いを巡って議論するとみられる。日銀内では「厳格な上限の1%にはまだ距離があり、切迫感は強くない」との見方があ
る。臨時の国債買い入れや共通担保資金供給オペで金利上昇ペースを調整することにより1%には到達せず、現時点では指し値オペで大量に
国債を買い入れる事態に至っていない。1%の上限の存在そのものが金利抑制効果をもたらしており「上限を引き上げればかえって市場金利の
上昇を招き、金利の先高観を高めてしまう」リスクを考慮すべきだと慎重な向きもある。
一方、米金利次第で国内金利の上昇圧力が一段と強まる可能性があるのは気がかりだ。米景気は減速する兆しがみられないうえ、米国の財
政不安もくすぶり、米長期金利のピークが5%だったとの確信は持てない。日銀の次回の決定会合は12月18~19日と2カ月近く先で、行内では
「その間に1%に達する可能性を踏まえた政策判断が必要になる」との見方もある。直前の市場動向を見極めた上で判断することとなりそうだ。
市場の一部では修正観測が根強い。BofA証券は25日付リポートで、望まない国債買い入れの再拡大と円安リスク回避のために「日銀が今会
合で再び予防的なYCC修正を余儀なくされる」と見込む。さらなる世界的な金利上昇や、早期の政策正常化への市場期待が一段と高まった場合
の対応を考えると、米金利上昇がいったんピークをつけたとして政策を据え置くのは「リスキーな戦略」だと指摘する。
もっとも、日銀は賃金上昇を伴う形で物価目標を持続的・安定的に達成するとの判断には至らない公算が大きい。日銀が19日に開いた支店長
会議では、来年の春季労使交渉(春闘)について賃上げの継続を見込むものの、賃上げ幅は「競合他社の動向や物価の推移などを見極めていく
姿勢の企業が多い」と報告された。期待インフレ率は緩やかな上昇を続けているが目標達成に十分な賃上げ率を確保できるかは、なお不透明と
いえる。
会合後に公表する「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では、生鮮食品を除く消費者物価指数(コアCPI)の見通しに注目が集まる。価格転
嫁の流れが長期化しており、23年度については前回のプラス2.5%から上方修正する可能性が高い。ただ日銀が目標達成に向けて注視するのは
、企業が将来の価格上昇を見越したフォワードルッキングな賃金・価格設定が定着するかどうかだ。YCCの再修正があったとしても、「粘り強く金
融緩和を継続する」との基本姿勢は保たれるとみられる。
来週の株式相場に向けて=金融政策決定会合で日銀は動くか
今週の日経平均株価は26日に終値で3万601円まで下落し、3万円ラインに接近した。しかし、27日は前日比389円高と急反発した。
「3万円に接近する水準では先物などの買い戻しも流入したようだ」(市場関係者)という。チャート的には、来週に反発基調を強めれば今月
4日安値(3万526円)とのダブル底の形成期待も出てくる。それだけに、相場は大きなポイントに差し掛かっている。
とりわけ、来週はビッグイベントが目白押しだ。なかでも、日米の金融政策決定会合に視線が集中している。30~31日に日銀金融政策
決定会合、31日~11月1日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。FOMCに関しては、政策金利は据え置かれる見通しだ。
となると、関心が高まるのは日銀金融政策決定会合だ。7月の日銀会合では長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)は修正
され、長期金利1%が事実上のメドとされた。
今回の会合では「上限1.25%あるいは1.5%への再修正はあり得るのではないか」(アナリスト)との声も出ている。日本の消費者物
価指数(CPI)は3%前後の水準が続き、長期金利も0.87%前後に上昇している。それだけに、上限金利のメドの引き上げは考えられる。
更に「より注視すべきは展望レポートで、24年度のCPI見通しが前回の1.9%から2%以上に修正されるかが焦点だ」(同)とも指摘され
ている。来年度のCPI見通しが2%を超えてくれば、マイナス金利政策の根拠が薄れ、マイナス金利解除への思惑が急浮上する。
日銀会合の結果次第では長期金利が上昇し、三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>など銀行株は買われるが、全体相場は下落す
るかもしれない。ただ、それは長期的には正常化に向けた一歩。日経平均株価は今週の下げで、すでに売られ過ぎの水準まで下げたと
もみられている。米国絡みでは11月3日の米10月雇用統計も注目されている。
上記以外のイベントでは、1日に米10月ISM製造業景況指数、同ADP雇用統計、米9月JOLTS求人件数、3日に米10月ISM非製造
業景況指数が発表される。31日にキャタピラー<CAT>、1日にクアルコム<QCOM>、2日にアップル<AAPL>の決算が発表される。
日本では30日にオリエンタルランド<4661>、NEC<6701>、31日にアドバンテスト<6857>、レーザーテック<6920>、デンソー<6902>、
1日にトヨタ自動車<7203>、日本製鉄<5401>、2日に三菱商事<8058>、川崎汽船<9107>の決算発表が予定されている。3日は文化の
日の祝日で休場となる。来週の日経平均株価の予想レンジは3万600~3万1500円前後。(岡里英幸)
出所:MINKABU PRESS
2023/10/27 19:05 日経速報ニュース
27日の東京株式市場では地方銀行株の上昇が目立った。日銀が週明けに開く会合で、超低金利政策の修正に動くとの観測が強まって
いる。割安に放置されている地銀株も多く、収益環境の改善期待から物色が広がった。
日経平均株価は反発し、前日比389円(1%)高の3万0991円だった。山梨中央銀行株は5%高となり5年ぶり高値を付けた。同じく5%高の
名古屋銀行株や4%高のめぶきフィナンシャルグループなど、地銀6銘柄が27日に年初来の高値を更新した。
9月末比でみても4?9月期の業績見通しを上方修正した九州フィナンシャルグループ株が17%高となるなど、1%安の三菱UFJフィナンシャ
ル・グループなどメガバンク株よりも騰勢が強い地銀株が多い。
地銀は預金と貸し出しの金利差や市場運用で稼ぐ。金利上昇は業績改善につながりやすい。米金利高が波及し、日本の長期金利(新発
10年債の利回り)は0.8%台後半と、日銀が「念のための上限キャップ」(植田和男総裁)と位置付ける1%が迫る。
市場では日銀が31日までの会合で政策修正に動くとの見方が出ている。翌日物金利スワップ(OIS)市場では10年物金利が1%を上回って
推移する。BofA証券は「国債買い入れの再拡大と円安リスクを回避するため、日銀は今会合で再び予防的な政策修正を余儀なくされる」と
予想し、長期金利の実質的な上限を1.5%に上げるとみる。
グローバルに事業展開するメガバンク株は海外金利高を受けて資金流入が先行していた。地銀株は九州FGでもPBR(株価純資産倍率)が
0.5倍台と割安感が強い銘柄が多い。大和証券の木野内栄治チーフテクニカルアナリストは「融資先に乏しい地方基盤の銀行の方が、国内
金利上昇が収益環境改善に与える影響は大きい」と指摘する。
2023/10/28 日本経済新聞 朝刊
国内金利の上昇(債券価格は下落)が止まらない。長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは一時0.885%まで上昇し、およそ10年
ぶりの高水準に達した。日銀が30~31日に開く金融政策決定会合で金融政策の再修正に踏み切るとの観測から、海外投資家を中心に債券
売りの動きが広がっている。
26日の国内債券市場で新発10年物国債利回りは一時0.885%と、2013年7月以来10年3カ月ぶりの水準を付けた。日銀の植田和男
総裁が「念のためのキャップ」とした1%に一段と迫っている。2年債利回りは約9年ぶり、20年債利回りも約10年ぶりの高水準を付けるなど、
幅広い年限で国債利回りが上昇傾向にある。
けん引するのは海外勢だ。財務省が26日に発表した対外・対内証券売買契約などの状況によると、海外投資家は10月15~21日に国債
など国内の中長期債を9042億円売り越した。前週は9478億円の買い越しだったが、2週ぶりに売り越しに転じた。売り越し幅は4週ぶりの
高水準となる。
背景には日銀が今回の決定会合で長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の再修正に動くとの観測がある。
市場では「長期金利の変動許容上限を1.5%に広げる可能性がある」(SMBC日興証券の奥村任シニア金利ストラテジスト)といった予想
がにわかに浮上し始めた。BofA証券やUBS証券など、いくつかの外資系証券会社も今回会合でのYCC再修正を予想する。
金利上昇リスクが高まる中、金融派生商品(デリバティブ)の一種である翌日物金利スワップ(OIS)市場は活況だ。同商品は変動金利と固
定金利を一定期間交換する取引で、金利が上昇した際に損失を回避する手段となりうる。
日本証券クリアリング機構のデータによると、9月の取引高は171兆円と3月(199兆円)以来の高水準となった。特に短い年限の取引が増
えており、「それだけ日銀のマイナス金利解除への警戒感が高まったことを反映している」(JPモルガン証券の山脇貴史債券調査部長)
マイナス金利の解除を見据え、短期金利の水準を予想して売買する短期金利先物市場も盛況だ。短期金利の上昇局面で事前に先物を売っ
ておけば、実際に金利が上がったタイミングで買い戻すことで利益をあげられる。
東京金融取引所と大阪取引所に上場している無担保コール翌日物金利(TONA)を対象にした3カ月物金利先物の取引高は10月、1日平
均で約2600枚に達し8月以来の高水準となった。
東京金融取引所に限れば、10月は同1700枚弱と3月の上場以来で過去最高だった。「アジアに拠点を置くような欧米系の中小ファンドを
中心に取引が増えており、徐々に国内金融機関の関心も高まりつつある」(同社の瀬尾亮介ホールセール事業部長)
今回会合で日銀が政策修正を見送ったとしても、金利上昇をにらんだ投資家の動きが債券市場を揺らす展開は当面の間続きそうだ。
2023/11/02 日本経済新聞 朝刊
日銀が金融政策を再修正したことで、長らくゼロ%台だった金利の常識が変わる兆しが出てきた。デフレが染みついた「低温経済」の構造
が変わり、幅広く金利が上がれば家計は利子収入が増える。お金を借りる企業には重荷だが、採算が合わない事業を再編する契機になる。
日銀は10月31日、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)を再修正した。長期金利は1%を一定程度超えることを容認する。物価上
昇や米金利上昇を背景に、長らくゼロ%台だった日本の長期金利は債券市場で1%弱に上昇する。10年ぶりの高さだ。
金利上昇が続けば家計にはプラス効果の期待がある。預金金利の上昇で利子所得が増えるからだ。国内総生産(GDP)統計によると家
計の利子受取額は1991年に38兆円に達したが、2021年は6兆円弱と5分の1以下に縮んだ。当時の定期預金金利は3.8%だったが、
足元は0.003%程度にとどまる。
家計の金融資産は2000兆円を超え、うち半分を現預金が占める。リスクのある資産を持たずとも一定の所得が確保できれば、株式投資
などに消極的な世帯で消費意欲の下支えにつながる可能性がある。
住宅ローンを抱えていたり、今後不動産購入を予定したりする現役世代には懸念もある。3メガバンクは11月適用の住宅ローン金利で、固
定型を10月比でそろって引き上げた。金利の上昇が続けば住宅購入のハードルが上がり、不動産市況を冷やす恐れもある。
借り入れが多い企業には負担だ。みずほ銀行は貸出金利の指標となる長期プライムレートを10月11日から0.05%引き上げ、年1.5%
とした。日本総研の後藤俊平氏の試算によると、企業の平均的な借り入れコストが1%増えると、設備投資を0.5%減少させる。
金利上昇は運用環境の改善を通じ、企業年金の財政状態を改善させる効果もある。支払いに備えて用意すべき負担額は2022年度時点
で前の年度から約6兆円減った。各年金が運用目標である予定利率も上げ始めれば、従業員の生涯収入の上昇につながる。
金利上昇で採算の悪い事業を見直す機運が高まり、生産性上昇につながる期待もある。逆に資金調達が難しくなることで起業が停滞する
面もある。22年における世界のスタートアップの資金調達総額は35%減った。欧米の急ピッチな政策金利の引き上げが背景だ。
日本にインフレが定着すれば、日銀の政策金利の引き上げも視野に入る。内閣府の短期日本経済マクロ計量モデルによると、短期金利が
1%上がると個人消費は1年目に0.2%増加する。一方で設備投資などの減少で全体のGDPは0.3%落ち込む。
2023/11/03 05:00 日経速報ニュース
日銀の植田和男総裁は4月の就任以来、2度目となる長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)の修正に踏み切った。度重なる修正で
「異次元」を掲げた大規模な金融緩和策の輪郭は薄まりつつある。想定外の米金利上昇に振り回された感もある日銀だが、したたかに将来
に向けた布石を打った。
日銀は10月の金融政策決定会合で、長期金利の事実上の上限としていた1%を「めど」に変えた。1%以下に厳格に抑え込まず、市場の
情勢に応じて一定程度は上振れることを認める仕組みだ。
修正の予兆はあった。「1(%)に非常に近づいていく可能性は低い」(植田総裁の7月会合後記者会見での発言)「(長期金利上昇は)それ
ほど心配する動きではない」(同9月)としてきた日銀の空気が変わったのは10月初めだ。
4日の国内債券市場で、長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りが一時0.8%とおよそ10年ぶりの高水準をつけた。3日の米債券
市場で2007年以来となる4.8%台に上昇した米長期金利の影響だった。「米金利の上昇が論理的に説明できない」という日銀関係者の困惑
をよそに、国内長期金利も後を追うように上昇した。次第に日銀内から「(国内長期金利が事実上の上限である)1%に届かないと言い切れ
なくなった」との声が漏れるようになった。
円安も圧力となった。日銀が金利を強く抑え込もうとすればするほど、市場が米国との金利差を意識し、さらなる円安につながるジレンマが
ある。
10月中旬には、複数の関係者から「再修正は(10月会合で)議論せざるを得ない」との声が聞かれた。上限の1%から1.5%への引き上げや
、上限の撤廃といった案が議論された形跡もうかがえた。
ただ政策が大きく変わったと受け止められれば、金融市場に波乱を起こしたり、経済に思わぬ悪影響をもたらしたりするリスクもあった。「長
期金利の状況はファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)から距離がある。米金利はいずれ下落し国内も落ち着く」との見方も根強かった。
最終的には1%を「めど」に変える柔軟化案に落ち着いた。積極的な金融緩和や財政政策を求めるリフレ派からも「現行政策とほぼ変わら
ない。大きな問題はない」と容認する声が聞こえる。ただ中核ツールである金利操作の修正が重なったことで異次元緩和の輪郭はぼやけ、市
場には「形骸化した」との見方が広がる。
10月会合では「次」を見据えた布石も打たれた。
7月会合で設定した事実上の1%の上限には、日銀内からも「むしろ投機を誘う。(上限を)見せる必要はない」との声が当初からあった。
植田総裁は10月31日の記者会見で、日銀が国債を無制限に買い取る「指し値オペ」を発動する金利水準への明言は避けた。見直しを契機
に上限を隠した、との見方もできる。
上限は隠したが、相場の過度な変動などで「必要性あり」と判断すればいつでもオペを実施し、金利を抑え込める仕組みにした。金利を厳
格にコントロールするわけではないが、不測の事態にはしっかり備えておくという長短金利操作の撤廃後の金融市場調節を見据えた決定の
ようにも映る。
経済・物価情勢の展望(展望リポート)では、24年度の消費者物価指数(生鮮食品除くコアCPI)の前年度上昇率の見通しを2.8%と7月時
点(1.9%)から大きく引き上げた。さらに、25年度も0.1ポイント引き上げて1.7%とした。
25年度は日銀が示す見通し期間の最終年度にあたる。足元の為替やエネルギー価格の影響が小さくなる半面、下落しづらい人件費といっ
た要素が見通しの上でより大きなウエイトを占める。25年度見通しの上昇は、政府・日銀が目指す持続的・安定的な「物価2%目標」達成に
近づきつつあることを意味する。
生鮮食品とエネルギーを除く「コアコアCPI」は24年度、25年度とも1.9%とした。いずれも一時的な物価動向に左右されにくく、物価2%目標
の達成状況をはかる目安になりうる。
「前回に比べれば少し前進している」「ある程度来年の賃金について期待できる」。慎重に表現を選びつつも、10月31日の記者会見で植田
総裁は賃金と物価の好循環実現への期待感をにじませた。市場では早ければ来年1月の決定会合でのマイナス金利解除を見込む声も出て
いる。10年の時を経た異次元緩和の輪郭が薄らぐ中、「金利ある世界」へのカウントダウンが始まっている。
2023/11/03 日経MJ(流通新聞)
共通ポイント業界にPayPayが本格参入した。スマートフォン決済で約7割のシェアを握る王者が次の成長の柱と位置づけるのがポイント事業
だ。営業部隊を発足させ、提携先の開拓に本腰を入れる。ただ、共通ポイントは先行陣営が有力企業の大半を囲い込んでいる「岩盤業界」。各
陣営はグループの通信や金融などを巻き込んだ総力戦でシェア拡大を狙う。
「Tポイントと関係の深いウエルシアがPayPayと組むとは思わなかった」。8月末、PayPayがドラッグストア大手のウエルシアホールディングス
(HD)と提携したことに驚きの声が上がった。ウエルシアはTポイントを活用して積極的な販促策を展開してきたからだ。その蜜月関係にPayPa
yが割って入った形になる。
こうしたなか、Tポイントは三井住友フィナンシャルグループ(FG)のVポイントと来春統合する。Tポイントを手がけるカルチュア・コンビニエンス・
クラブ(CCC)が狙うのは決済サービスの強化だ。これまで電子マネー「Tマネー」やクレジット機能付きTカードを展開してきたものの、認知度は
高くなかったとみられる。
三井住友FGは「三井住友カード」や対応する「Visaタッチ」など有力な決済サービスを持つ。世界に1億店以上あるVisa加盟店でもポイントが
使えるようにして巻き返しを狙う。
野村総合研究所(NRI)の冨田勝己グループマネジャーは今後の共通ポイント業界について「これまでのような会員規模やポイント流通規模
といった『量』から、『質』へと争点が変わっていく」と強調する。スマホ決済のように毎日使われるアプリで顧客との接点を増やしたり、加盟店の
利益につながる販促を提案したりできるかが問われることになる。
2023/11/06 10:29 日経速報ニュース
日銀の植田和男総裁は6日、名古屋での金融経済懇談会であいさつした。今年の春季労使交渉における高い賃上げ実現や、人件費の継続
的な上昇を前提とする値上げ実施など「最近では、企業の賃金・価格設定行動の一部に従来よりも積極的な動きがみられ始めている」と話した。
2%の「物価安定の目標」に向けて「見通し実現の確度が少しずつ高まってきている」と指摘した。もっとも賃金と物価の好循環がどの程度強ま
るか不確実性が高く、現時点では物価目標の持続的・安定的な実現を十分な確度をもって見通せる状況には「至っていない」とも語った。
2023/11/09 15:56 日経速報ニュース
みずほフィナンシャルグループは9日、傘下のみずほ証券を通じて楽天証券に追加出資すると発表した。金額は約870億円で、出資比率を現在
の20%から49%まで高める。楽天証券の持ち株会社は年内にも東京証券取引所へ上場する計画だったが、10月に始めた日本株売買手数料の
無料化で収益構造の変化は避けられない。提携強化を契機にひとたび上場の申請を取り下げた。
みずほは2022年に楽天証券の株式20%程度を約800億円で取得した。関係当局の承認を前提に、今年12月半ばに追加で29%分の株式を取得
する。みずほにとって持ち分法適用会社の位置付けは変わらない。
今回の追加出資を機に、みずほ銀行の預金口座と楽天証券の口座を連携させるなど提携関係を強化する。9日に記者会見した楽天グループの
三木谷浩史会長兼社長は「対面とリアルで非常に強いみずほグループとさらに強いパートナーシップをつくっていく」と話した。
楽天グループは携帯電話事業の設備投資で財務内容が悪化し、22年12月期まで4期連続で最終赤字を計上した。9日に公表した23年1?9月
期も2084億円の最終赤字で、5期連続の赤字となる可能性が強まっている。
24?25年にかけ、8000億円規模の社債償還も控える。楽天証券ホールディングスの上場で1000億円規模の資金調達をめざしていたが、新た
な調達策としてみずほの追加出資を仰ぐことになった。みずほは今回の追加出資で約870億円を拠出する。上場の方針そのものは今後も維持し
、再申請の時機を探るという。
【関連記事】
・みずほ、楽天証券に900億円追加出資へ 年内上場困難で
・楽天G、迫る8000億円社債償還 綱渡りの証券株追加売却
・みずほ、楽天証券と24年春に新会社 ネット顧客取り込み
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2023/11/13 09:01 日経速報ニュース
(9時、プライム、コード4911)
【材料】10日に2023年12月期の連結純利益(国際会計基準)が前期比47%減の180億円になる見通しだと発表した。従来予想を100億円下回る。
主力市場の中国での日本製品の買い控えなどが響く。
【株価】売り気配で始まる。
2023/11/13 15:27 日経速報ニュース
13日の国内債券市場で長期金利の指標である新発10年物国債の利回りが一時、前週末を0.045%上回る0.895%に上昇(価格は下落)した。
今月2日以来の高さで、節目の0.9%に迫った。格付け会社による米国の信用格付け見通し引き下げなどをきっかけに米国債が売られ、国内債
にも売りが波及した。
15時前の時点では前週末比0.025%高い0.875%で取引された。米国では与野党が9月30日に合意したつなぎ予算が今月17日に期限を迎え
る。再延長などが決まらず米政府閉鎖が意識されて金利に上昇圧力がかかっている。
長期金利は9日に0.830%と、日銀が10月末の金融政策決定会合で長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の再柔軟化を決める
前の水準まで低下(価格が上昇)していた。このため、目先の利益を確定する売りが膨らんだ面もある。
13日発表の10月の企業物価指数は前年同月比0.8%上昇と市場予想(1.1%上昇)を下回った。日銀が年明けにもマイナス金利解除など政策
再修正に動くとの見方は根強いが、物価の弱さはその後の日銀による政策正常化の歩みはゆっくりとの見方にもつながった。
30年債利回りは0.035%高い1.765%、20年債は0.025%高い1.585%にそれぞれ上昇した。5年債は0.010%高い0.430%で、期間の長い債
券の利回り上昇幅がより大きくなり、利回り曲線は右肩上がりの傾きが急になるスティープ化した。先物中心限月である12月物の終値は前週
末比16銭安の144円38銭と続落した。
短期金融市場では東京金融取引所と大阪取引所では無担保コール翌日物金利(TONA)先物の中心限月である12月物の取引は未成立と
なっている。全銀協TIBOR運営機関が発表した海外円の東京銀行間取引金利(TIBOR)3カ月物は横ばいで、前週末と同じマイナス0.01200
%だった。
2023/11/13 16:05 日経速報ニュース
QUICKは13日、外国為替市場の月次調査の結果を発表した。日銀の金融政策修正・変更の次の一手については「短期金利の政策目標水
準を現行のマイナス0.1%から引き上げる(マイナス金利政策の解除)」との回答が53%と最も多かった。解除の時期については「2024年4月」
が最多で、「24年後半以降」がこれに続いた。
日銀は10月31日の金融政策決定会合で長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)を再修正し、長期金利の1%を超える上昇を一定
程度容認した。次の一手としては、マイナス金利解除のほか「長期金利の政策目標を撤廃する」(25%)や「長期金利の上限のめどをさらに引
き上げる」(17%)といった回答があがった。
「上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(REIT)などのリスク資産の購入をやめる」との回答は1%に留まった。
マイナス金利政策の解除時期については「2024年4月」との回答が32%と最も多く、「24年後半以降」が27%で続いた。「24年1月」も20%で、
合計で7割の回答者が24年前半でのマイナス金利政策の解除を予想した。
円相場は13日に1ドル=151円台後半と22年10月以来の円安・ドル高水準を付けた。今後の見通しについて、回答者の24年4月時点の予
想値は平均で1ドル=144円10銭、中央値で1ドル=145円と、来年春にかけて緩やかに円高・ドル安が進むとの見方が目立った。
調査は6?8日に金融機関や事業会社の外為市場関係者176人を対象に実施し、78人から回答を得た。
[東京 14日 ロイター] - 早川英男元日銀理事(東京財団政策研究所主席研究員)は14日、ロイターのインタビューに応じ、日銀は来年4月に
マイナス金利を解除したのち、3カ月に1回程度のペースで段階的な利上げ局面に入ると予想した。
賃金・物価の好循環はすでに生じており、来年の春闘で賃上げの確証が得られれば、ビハインド・ザ・カーブになっている政策が市場の予想以上
に早いペースで修正されていくとの見通しを示した。
植田和男日銀総裁は、物価上昇の要因を輸入物価上昇の転嫁に由来する「第1の力」と賃金・物価の好循環による「第2の力」に分類。第2の力
が「まだ少し弱い」ことが金融緩和継続の理由だと説明している もっと見る 。
これに対して早川氏は、日銀の展望リポートで2023年度の生鮮食品・エネルギーを除く消費者物価指数(コアコアCPI)の見通しが段階的に引
き上げられ、10月時点で前年度比プラス3.8%と、1月の同プラス1.8%から2%ポイントも引き上げられたことに注目。「足元で物価を押し上げ
ているのは第1の力ではなく第2の力なのが明白だ」と話した。コストに占める人件費の比率が大きいサービス価格は「ここ1年くらいで猛烈に上
がっている」とも述べた。
早川氏は、賃金上昇を伴う物価目標の実現を掲げる日銀にとって、来年の春闘での賃上げという「物証」だけが必要な状況だと指摘。春闘の集中
回答などを踏まえた上で、展望リポートを改訂する4月に、マイナス金利を解除する可能性が高いとの見通しを示した。「経済界から出てくる発言を
見ていれば、来年の春闘での賃上げ率が今年より低いという感じではない」と述べた。
来年4月にマイナス金利を解除した後は再度「来年の半ばくらいに、市場が思っているより早めの(政策金利)引き上げが必要だと思う」と語った。
日銀は「今は意図的にビハインド・ザ・カーブになっている」とし、来年の春闘で賃上げの持続が確認できれば、そこからの利上げペースは早く、3
カ月に1回程度の利上げを予想している。
市場ではマイナス金利解除後はゼロ金利が続くとの予想が多い。早川氏は日銀と市場のコミュニケーションが重要になり、今年終わりぐらいから
、マイナス金利解除やその後の利上げ局面入りに向けた地ならしを進めていくべきだと述べた。
10月のイールドカーブ・コントロール(YCC)の運用再柔軟化については、YCCの「事実上の撤廃」だとした。来年4月にマイナス金利を解除した
場合でも、YCCはそのまま維持されるとの見方を示した。
連続指し値オペで厳格に10年金利の上限を規定する手法をやめたことで、政府の為替介入のように、急激な上昇が起きれば国債買い入れで金
利上昇を抑えに行く仕組みになったと話した。
日銀が金融正常化を進めるに当たっての「障害」になりうる事項としては、今年3月に起きた米国の金融不安が再び起きるリスクを挙げた。
2023/11/15 08:51 日経速報ニュース
株価指数を開発・算出するMSCIは14日(日本時間15日朝)、定例の指数構成銘柄の見直しを発表した。国際分散投資する機関投資家の
多くが採用するベンチマーク(運用指標)のうち、大型・中型株からなる「標準指数」で、日本株ではサイバー(4751)やGMO―PG(3769)など
10銘柄を除外する。新規採用はゼロだった。2022年5月の22銘柄除外以来の大規模な減少となるもようだ。30日の大引け後に変更する。
・除外(10銘柄)
サイバー(4751)
GMO―PG(3769)
博報堂DY(2433)
京王(9008)
小林製薬(4967)
栗田工(6370)
LIXIL(5938)
ガイシ(5333)
パーソルHD(2181)
ウエルシア(3141)
2023/11/14 日本経済新聞 朝刊
政府は海外運用会社を招く「運用開国」に乗り出した。家計金融資産2100兆円が外に出ていくばかりでは日本の成長に寄与しない。国内に
投資機会をどう生むかが最大の課題だ。
10月6日、首相官邸。米運用会社ブラックロックの呼びかけで中東の政府系ファンドや欧米年金など世界の機関投資家・運用会社の代表約2
0人が集まった。保有・運用額は計3300兆円に上る。関係者は海外勢が来日した目的を「『具体的な投資案件を見せてくれ』ということだ」と語る。
10年で150兆円
政府が掲げるのが、化石燃料からクリーンエネルギーへの産業構造の転換を目指す「グリーントランスフォーメーション(GX)」だ。欧州のような
一足飛びの脱炭素でなく段階的に移行(トランジション)する戦略で、官民合わせて10年で150兆円が必要とはじく。シンガポールの政府系ファ
ンドGICは7月、現地を訪れた自民党の片山さつき金融調査会長に「日本のGX投資の定義に関心がある」と語った。
海外マネーを呼び込もうと企業も動き始めた。9月に増資などで約2040億円を調達したJFEホールディングス。「構造改革をやり遂げ量から質
へ転換する」。調達先を海外に絞り欧米などの投資家約100人にオンラインで訴えた。
利益の見込みやすい電気自動車向け高級鋼板の投資に公募増資、中長期の脱炭素投資に新株予約権付社債(転換社債=CB)で得た資金
を充てる。川崎市の高炉を止める一方、2030年度までに脱炭素に約1兆円投じる計画だ。増資で外国人株主比率は3割と3月末の24%から高
まった。
なお半信半疑
日本企業のGX関連の資金調達は増えている。資金使途を環境事業に限る環境債の発行は23年1~10月に1兆6000億円超と、年間で最
高だった21年をすでに約2割上回った。温暖化ガス排出量の多い企業による移行債も21年からの累計で約6000億円に上る。
アジアではトランジションへの関心が高く、50年までに40兆ドルの脱炭素投資の資金需要があるとみられる。日本に脱炭素マネーを集め、ア
ジアのGX投融資の資金が行き交うハブへと育てる余地はある。
ただ、投資家は日本企業がどこまで積極姿勢に転じたのか、なお半信半疑だ。
「日本は脱炭素にどのくらい真剣なのか」。ENEOSホールディングスのもとには政府のGX戦略に確信を持てない海外投資家から多くの質問が
寄せられる。同社は再生可能エネルギー開発や水素の供給網構築などに取り組むが「技術のブレークスルーの時期など不透明で、30年度以降
の具体的な計画を示すのは困難」とする。
日本企業はバブル崩壊以降、設備投資や研究開発を抑えて借入金返済を優先してきた。日銀の資金循環統計によると民間企業部門(金融除
く)は戦後、資金不足だったが、1998年から資金余剰の局面に転じた。海外マネーが注目する今こそ、日本が積極投資に打って出る好機となる。
GXだけでなく、省人化や農業など日本経済の課題は多い。投資機会をどれだけ増やせるか。運用立国実現のハードルは高い。