結局俺は結婚ができないで終わったな。IDなし最終更新 2024/10/12 21:251.夢見る名無しさん寂しかったな。あの時親に可愛がって貰えなかった時。2024/09/20 10:04:018コメント欄へ移動すべて|最新の50件2.夢見る名無しさん知識の量を測ること娘 パパって、どのくらい知ってるの?父 どのくらい知ってるのかって? そう、1ポンドくらいかな。娘 1ポンドって、お金の1ポンド? 重さの1ポンド? あたしは真面目に聞いてるの。パパの知識の量はどのくらいあるの?父 脳みその重さが2ポンドとして、そのうち4分の1を使ってるとして---4分の1の効率で使っているというか。そう、半ポンドくらいだな。娘 もう! ジョニーのパパより多く知ってるの? あたしより多く知ってるの?父 パパの知っているイギリス人の子がね、お父さんに聞いたんだとさ。 親と子では必ず親の方が多くのことを知っているのかって。 お父さんが「そうだ」と答えると、その子は「蒸気機関を発明したのは誰?」と聞いた。 お父さんが「ジェイムズ・ワット」と答えると、 その子は言った---「変だな。どうしてジェイムズ・ワットのお父さんが発明しなかったのかな」って。娘 あたし知ってるわ。その子より、あたしの方が知ってる量が多いわよ。 ジェイムズ・ワットのお父さんが発明できなかった理由を、あたし知ってるもの。 誰かが蒸気機関を作る前に、別の人が他の事を考え出しておかなくちゃならなかったから、でしょう? その「他のこと」って何なのかは知らないけど…… でも、オイルが発見されていなかったら、誰もエンジンは作れないわ。2024/10/12 21:11:273.夢見る名無しさん父 そうだね。それまでに何が知られているかということで違ってくるわけだ。 つまり、知識の量というのは互いに織り合わさっている。布みたいに。 一つの知識は、他の知識に練りこまれていて、初めて意味を持つんだ。娘 じゃ、ヤードで測ればいいと思う?父 そうはいかん。娘 布はヤードで測るでしょ?父 知識は布じゃない。布みたいなものさ。布のように平らじゃないし。三次元……いや、四次元かな。娘 えっ、四次元? 知識って四次元なの?父 いや、どう考えたらいいのかと思ってさ。父 今日の会話は、あまり上手くいってないな。低調だ。別な入り方をしてみよう。 問題は、一つ一つの知識がどんな具合に織り合わさっているかということだね。お互いにどう支え合っているのか。娘 教えて。父 一つのことと、もう一つのことを合わせた時に、二つのことにしかならない時もあるが、 それが足し算のようにではなく、掛け算みたいに組み合わさって、四つのことになることもある。娘 1と1をかけると4? パパの掛け算、おかしいわよ。父 そうかな。父 いや、4でいいんだ。掛け合わせるものが、「もの」じゃなくて、一個の知識である時は、 1掛ける1が4になる。というのは、一つが二重の何かになっているからだ。娘 二重の何か……?父 少なくとも二重の、何かだ。娘 パパったら……父 それじゃ全然分からんか。そう……「二重の扉」を考えてごらん。 お前が心の中で思うものを、パパが質問しながら当てていくわけだね。 「明日」というのが答えだとするよ。パパは最初に「それは抽象的なものですか?」と聞く。 お前は「イエス」と答えるね。その答えで、パパには二重の情報が手に入る。 抽象的なものだということと、具象的なものではないということの二つがいっぺんに分かるわけだよ。 こう言ってもいい---お前の「イエス」で、答えになるかもしれないものの数が半分に絞られる。それは、2分の1を掛ける掛け算だろう?2024/10/12 21:13:124.夢見る名無しさん娘 割り算じゃなくて?父 割り算といえば割り算だが、2分の1を掛けると言っても同じだよ。肝心なのは、それが足し算や引き算じゃないということだ。娘 そうじゃないって、どうして分かるの?父 どうしてかって? いいか、二つ目の質問をするとどうなるだろう。 今度は「抽象的なもの」のまとまりから、候補が半分に絞られることになる。 次にまた質問すれば、答えを含んでいるまとまりの大きさは、初めの8分の1になる。2掛ける2掛ける2で、8。娘 2たす2たす2だと、6か。父 その通り。娘 でもそのことと「二重の扉」というゲームと、どう結びついてくるの?父 つまりだね、もし質問が完璧に進んでいったとすると、20の質問をすることで、 2を20回掛け合わせた数のものの中から一つの答えを選び取ることが出来るんだ。 2を20回掛け合わせれば、これは百万以上だよ。そんなに多くのものの中から答えを当てることが出来るんだ。 1つの質問で、2つのうちから答えが選べる。2つの質問で、4つのうちから答えが選べる。知識の世界は掛け算で進んでいくのさ。娘 あたし、算数嫌いなの。父 そりゃ計算問題を解くだけならつまらんだろう。でも、算数の中には、面白いものだってあるんだぞ。 知識の量を測るのだって、算数の問題さ。量を測る、ということをやりだすと、必ず算数が始まることになる。娘 まだ全然測ってないわ、知識の量。父 それは知ってる。しかし、知識を測る測り方が、どんな種類の測り方かということは、少しだけ分かってきただろう? それは、知識とは何か、ということの知識が少々ついてきたというのと同じだ。娘 それ、おもしろい。知識についての知識っていうの。そのへんてこな知識も、同じようにして測れるのかしら。2024/10/12 21:18:095.夢見る名無しさん父 待ちなさい。今のは、お前、最高難度の問題だよ。今日の「64ドルの問題」だ。 「二重の扉」のことで、大事なポイントが残っていた。質問は、正しい順番でしていかないといけないんだな。 必ず大きな質問が先に来て、細かな質問は後に来る。大きな質問の答えを知って、 それではじめて、次に何を聞いたらいいか分かるわけだよ。 だったら、どうだろう、初めの質問と後の質問を同じ一つの質問として数えるのはおかしいとパパは思うんだ。 知識についての知識と、ただの知識を同じに測ったら変なことになる。 初めの方で聞く質問は、後でどんな質問をしたらいいか知るための質問なんだから、 それは、一種の「知識についての知識」だろう。つまり「二重の扉」というのは、知り方の知り方を知るゲームなのさ。娘 今まで誰か知識を測った人っているの?父 毎日どこかでやってるよ。学校でやってるテストがそうだろう。 でもああいう測定で出てきた数字が何を意味するのか、パパには分からんね。 あれは要するに、石を投げて紙の大きさを知ろうとするやり方だ。娘 ……?父 つまり、二枚の紙を、同じ距離のところで吊るしておいて、同じ数だけ石を投げるとする。 そうすると、石が多く当たった紙の方が多分大きいという想像がつくわけだ。 学校のテストも、それと同じさ。生徒に向かって質問を投げる。 その質問が生徒の知識に当たる数が多ければ、その生徒はたくさん知っているということになる。娘 でも、その測り方で、本当に紙の大きさが分かるのかしら……父 ところが、分かるんだよ。実はこれ、かなり信頼できる測り方なんだ。 普段気がついてないけれども、こういう測り方をしてることって結構多いんだ。 例えばコーヒーの濃さを知るには、色を見るね? 黒ければ黒いほど濃いって。 それは、光をどれだけ遮られるかで濃さを見てることになる。 石の代わりに光の波を投げるわけで、考え方としては同じなのさ。娘 ふーん。娘 だったら、その測り方で知識を測ってもいいんじゃない?2024/10/12 21:20:176.夢見る名無しさん父 テストでか? そはいかん。とんでもない話だ。さっき、知識の中にはいろいろ違った種類があるって言ったろう? 知識についての知識もあるんだって。そういう肝心かなめのポイントを、ペーパー・テストは全く無視して点数を出してるじゃないか。 大きい問題というか広い問題が出来た生徒と、小さい細かな問題が出来た生徒と、同じように点をつけていいのかな。 種類の違う問題には種類の違う点数を与えないといけないんじゃないかな。娘 そしてそのいろんな種類の点数を最後に足していけばいいのね。父 足したら駄目さ。掛けるとか割るとかなら、意味があるかもしれんが、足すのは絶対駄目だ。娘 どうして?父 どうしてって、足せないんだよ。分からないか? ふむ。これじゃ算数も嫌いになるだろう。 そういう一番大事な所を教わってないんだったら。学校では何を教えてるんだ? 何が算数だと思ってるんだろう。娘 それ教えて。何が算数かって。父 いや、その前に、知識の測り方の方が問題だ。算数っていうのは、一点の曇りもなく考えを進めていくために作り上げた一種のトリックなんだ。 そこが算数のいい所さ。全てがスキッとうまくいく所が。 それをだね、違った種類のものとごっちゃにしてしまったら、何のための算数か分からなくなってしまう。 スキッと物事を考えるために何よりも大事なのは、違った種類のものはきちんと区別するということだ。 いいかい、「オレンジ2つ」と「2マイル」では、同じ「2」でも違うだろう? 頭の中で「2」という観念が出来る所は同じだが、その種類が違うんだ。 種類の違うものは足せないよ。オレンジ2個と2マイルを足してできるのは、頭の中のもやもやだけだ。娘 でもパパ、頭の中で考えることって、つながってしまうでしょう? いつも別々にしておかなくてはいけないの?2024/10/12 21:22:037.夢見る名無しさん父 いや、一緒にする時は、組み合わせる。足しては駄目だということだよ。 頭の中に違った種類の数があって、それを組み合わせる時には、掛けるか割るかするんだ。 そうすると、全然別の観念が出来る。新しい種類の量がね。 例えば「何マイル」という観念と「何時間」という観念を組み合わせたければ、マイルを時間で割ってみる。 そうすると「一時間に何マイル」となるね。これはスピードの観念だ。娘 掛けたらどうなるのかしら?父 どうだろう。「マイル時」というのになるわけだが……ん、パパ知ってるぞ、それ。 タクシーの料金は、「マイル時」で払うんだ。タクシーのメーターには時計も一緒に組み込まれていて、 距離と時間が掛け合わされるようになっている。それにまたある数を掛けて、「何ドル」という金額にするわけだ。娘 あたし、前に、面白い実験をやったわ。父 ほう。娘 一度に二つのことが考えられるかどうかやってみたの。「今は夏だ」っていうのと「今は冬だ」っていうのを一緒に思ってみたのよ。父 そうしたら?娘 でもね、それ、二つのことを考えることじゃなくて、「二つのことを考える」っていう一つのことを考えることだったの。それが分かったんだ。父 そう、そこだよ。二つの考えは混ざりはしない。組み合わさるしかない。 ということは結局、「考え」というものを、幾つあるとか数えることは出来ないということじゃないかな。 だって、数えるって、足していくことだからね。足し算じゃ駄目なんだ。ほとんどの場合。娘 ふーん。組み合わさっていくのか。じゃあ、パパ、本当は大きな考えが一つだけあって、 それがいっぱい枝みたいに分かれてるのかしら。とてもとても細かい所まで……父 パパはそう思っている。知らないけれども。そう考えた方がスキッといくことは確かだ。 知識が幾つとか言って数えてみるよりは、ずっとクリアな考え方だと思うね。2024/10/12 21:24:238.夢見る名無しさん娘 パパ、脳の4分の1しか使ってないって言ったけど、どうしてなの? 後の4分の3は?父 実はパパもね、昔学校へ行って勉強したんだが、そのおかげで脳の4分の1がもやもやに曇ってしまった。 それからは新聞を読んだり、他の人に話を聞いたりしているうちに、また4分の1曇ってしまった。娘 後の4分の1は?父 後の4分の1は、自分でいろいろ考えをめぐらせているうちに曇ってきてしまったのさ。2024/10/12 21:25:18
娘 パパって、どのくらい知ってるの?
父 どのくらい知ってるのかって? そう、1ポンドくらいかな。
娘 1ポンドって、お金の1ポンド? 重さの1ポンド? あたしは真面目に聞いてるの。パパの知識の量はどのくらいあるの?
父 脳みその重さが2ポンドとして、そのうち4分の1を使ってるとして---4分の1の効率で使っているというか。そう、半ポンドくらいだな。
娘 もう! ジョニーのパパより多く知ってるの? あたしより多く知ってるの?
父 パパの知っているイギリス人の子がね、お父さんに聞いたんだとさ。
親と子では必ず親の方が多くのことを知っているのかって。
お父さんが「そうだ」と答えると、その子は「蒸気機関を発明したのは誰?」と聞いた。
お父さんが「ジェイムズ・ワット」と答えると、
その子は言った---「変だな。どうしてジェイムズ・ワットのお父さんが発明しなかったのかな」って。
娘 あたし知ってるわ。その子より、あたしの方が知ってる量が多いわよ。
ジェイムズ・ワットのお父さんが発明できなかった理由を、あたし知ってるもの。
誰かが蒸気機関を作る前に、別の人が他の事を考え出しておかなくちゃならなかったから、でしょう?
その「他のこと」って何なのかは知らないけど…… でも、オイルが発見されていなかったら、誰もエンジンは作れないわ。
つまり、知識の量というのは互いに織り合わさっている。布みたいに。
一つの知識は、他の知識に練りこまれていて、初めて意味を持つんだ。
娘 じゃ、ヤードで測ればいいと思う?
父 そうはいかん。
娘 布はヤードで測るでしょ?
父 知識は布じゃない。布みたいなものさ。布のように平らじゃないし。三次元……いや、四次元かな。
娘 えっ、四次元? 知識って四次元なの?
父 いや、どう考えたらいいのかと思ってさ。
父 今日の会話は、あまり上手くいってないな。低調だ。別な入り方をしてみよう。
問題は、一つ一つの知識がどんな具合に織り合わさっているかということだね。お互いにどう支え合っているのか。
娘 教えて。
父 一つのことと、もう一つのことを合わせた時に、二つのことにしかならない時もあるが、
それが足し算のようにではなく、掛け算みたいに組み合わさって、四つのことになることもある。
娘 1と1をかけると4? パパの掛け算、おかしいわよ。
父 そうかな。
父 いや、4でいいんだ。掛け合わせるものが、「もの」じゃなくて、一個の知識である時は、
1掛ける1が4になる。というのは、一つが二重の何かになっているからだ。
娘 二重の何か……?
父 少なくとも二重の、何かだ。
娘 パパったら……
父 それじゃ全然分からんか。そう……「二重の扉」を考えてごらん。
お前が心の中で思うものを、パパが質問しながら当てていくわけだね。
「明日」というのが答えだとするよ。パパは最初に「それは抽象的なものですか?」と聞く。
お前は「イエス」と答えるね。その答えで、パパには二重の情報が手に入る。
抽象的なものだということと、具象的なものではないということの二つがいっぺんに分かるわけだよ。
こう言ってもいい---お前の「イエス」で、答えになるかもしれないものの数が半分に絞られる。それは、2分の1を掛ける掛け算だろう?
父 割り算といえば割り算だが、2分の1を掛けると言っても同じだよ。肝心なのは、それが足し算や引き算じゃないということだ。
娘 そうじゃないって、どうして分かるの?
父 どうしてかって? いいか、二つ目の質問をするとどうなるだろう。
今度は「抽象的なもの」のまとまりから、候補が半分に絞られることになる。
次にまた質問すれば、答えを含んでいるまとまりの大きさは、初めの8分の1になる。2掛ける2掛ける2で、8。
娘 2たす2たす2だと、6か。
父 その通り。
娘 でもそのことと「二重の扉」というゲームと、どう結びついてくるの?
父 つまりだね、もし質問が完璧に進んでいったとすると、20の質問をすることで、
2を20回掛け合わせた数のものの中から一つの答えを選び取ることが出来るんだ。
2を20回掛け合わせれば、これは百万以上だよ。そんなに多くのものの中から答えを当てることが出来るんだ。
1つの質問で、2つのうちから答えが選べる。2つの質問で、4つのうちから答えが選べる。知識の世界は掛け算で進んでいくのさ。
娘 あたし、算数嫌いなの。
父 そりゃ計算問題を解くだけならつまらんだろう。でも、算数の中には、面白いものだってあるんだぞ。
知識の量を測るのだって、算数の問題さ。量を測る、ということをやりだすと、必ず算数が始まることになる。
娘 まだ全然測ってないわ、知識の量。
父 それは知ってる。しかし、知識を測る測り方が、どんな種類の測り方かということは、少しだけ分かってきただろう?
それは、知識とは何か、ということの知識が少々ついてきたというのと同じだ。
娘 それ、おもしろい。知識についての知識っていうの。そのへんてこな知識も、同じようにして測れるのかしら。
「二重の扉」のことで、大事なポイントが残っていた。質問は、正しい順番でしていかないといけないんだな。
必ず大きな質問が先に来て、細かな質問は後に来る。大きな質問の答えを知って、
それではじめて、次に何を聞いたらいいか分かるわけだよ。
だったら、どうだろう、初めの質問と後の質問を同じ一つの質問として数えるのはおかしいとパパは思うんだ。
知識についての知識と、ただの知識を同じに測ったら変なことになる。
初めの方で聞く質問は、後でどんな質問をしたらいいか知るための質問なんだから、
それは、一種の「知識についての知識」だろう。つまり「二重の扉」というのは、知り方の知り方を知るゲームなのさ。
娘 今まで誰か知識を測った人っているの?
父 毎日どこかでやってるよ。学校でやってるテストがそうだろう。
でもああいう測定で出てきた数字が何を意味するのか、パパには分からんね。
あれは要するに、石を投げて紙の大きさを知ろうとするやり方だ。
娘 ……?
父 つまり、二枚の紙を、同じ距離のところで吊るしておいて、同じ数だけ石を投げるとする。
そうすると、石が多く当たった紙の方が多分大きいという想像がつくわけだ。
学校のテストも、それと同じさ。生徒に向かって質問を投げる。
その質問が生徒の知識に当たる数が多ければ、その生徒はたくさん知っているということになる。
娘 でも、その測り方で、本当に紙の大きさが分かるのかしら……
父 ところが、分かるんだよ。実はこれ、かなり信頼できる測り方なんだ。
普段気がついてないけれども、こういう測り方をしてることって結構多いんだ。
例えばコーヒーの濃さを知るには、色を見るね? 黒ければ黒いほど濃いって。
それは、光をどれだけ遮られるかで濃さを見てることになる。
石の代わりに光の波を投げるわけで、考え方としては同じなのさ。
娘 ふーん。
娘 だったら、その測り方で知識を測ってもいいんじゃない?
知識についての知識もあるんだって。そういう肝心かなめのポイントを、ペーパー・テストは全く無視して点数を出してるじゃないか。
大きい問題というか広い問題が出来た生徒と、小さい細かな問題が出来た生徒と、同じように点をつけていいのかな。
種類の違う問題には種類の違う点数を与えないといけないんじゃないかな。
娘 そしてそのいろんな種類の点数を最後に足していけばいいのね。
父 足したら駄目さ。掛けるとか割るとかなら、意味があるかもしれんが、足すのは絶対駄目だ。
娘 どうして?
父 どうしてって、足せないんだよ。分からないか? ふむ。これじゃ算数も嫌いになるだろう。
そういう一番大事な所を教わってないんだったら。学校では何を教えてるんだ? 何が算数だと思ってるんだろう。
娘 それ教えて。何が算数かって。
父 いや、その前に、知識の測り方の方が問題だ。算数っていうのは、一点の曇りもなく考えを進めていくために作り上げた一種のトリックなんだ。
そこが算数のいい所さ。全てがスキッとうまくいく所が。
それをだね、違った種類のものとごっちゃにしてしまったら、何のための算数か分からなくなってしまう。
スキッと物事を考えるために何よりも大事なのは、違った種類のものはきちんと区別するということだ。
いいかい、「オレンジ2つ」と「2マイル」では、同じ「2」でも違うだろう?
頭の中で「2」という観念が出来る所は同じだが、その種類が違うんだ。
種類の違うものは足せないよ。オレンジ2個と2マイルを足してできるのは、頭の中のもやもやだけだ。
娘 でもパパ、頭の中で考えることって、つながってしまうでしょう? いつも別々にしておかなくてはいけないの?
頭の中に違った種類の数があって、それを組み合わせる時には、掛けるか割るかするんだ。
そうすると、全然別の観念が出来る。新しい種類の量がね。
例えば「何マイル」という観念と「何時間」という観念を組み合わせたければ、マイルを時間で割ってみる。
そうすると「一時間に何マイル」となるね。これはスピードの観念だ。
娘 掛けたらどうなるのかしら?
父 どうだろう。「マイル時」というのになるわけだが……ん、パパ知ってるぞ、それ。
タクシーの料金は、「マイル時」で払うんだ。タクシーのメーターには時計も一緒に組み込まれていて、
距離と時間が掛け合わされるようになっている。それにまたある数を掛けて、「何ドル」という金額にするわけだ。
娘 あたし、前に、面白い実験をやったわ。
父 ほう。
娘 一度に二つのことが考えられるかどうかやってみたの。「今は夏だ」っていうのと「今は冬だ」っていうのを一緒に思ってみたのよ。
父 そうしたら?
娘 でもね、それ、二つのことを考えることじゃなくて、「二つのことを考える」っていう一つのことを考えることだったの。それが分かったんだ。
父 そう、そこだよ。二つの考えは混ざりはしない。組み合わさるしかない。
ということは結局、「考え」というものを、幾つあるとか数えることは出来ないということじゃないかな。
だって、数えるって、足していくことだからね。足し算じゃ駄目なんだ。ほとんどの場合。
娘 ふーん。組み合わさっていくのか。じゃあ、パパ、本当は大きな考えが一つだけあって、
それがいっぱい枝みたいに分かれてるのかしら。とてもとても細かい所まで……
父 パパはそう思っている。知らないけれども。そう考えた方がスキッといくことは確かだ。
知識が幾つとか言って数えてみるよりは、ずっとクリアな考え方だと思うね。
父 実はパパもね、昔学校へ行って勉強したんだが、そのおかげで脳の4分の1がもやもやに曇ってしまった。
それからは新聞を読んだり、他の人に話を聞いたりしているうちに、また4分の1曇ってしまった。
娘 後の4分の1は?
父 後の4分の1は、自分でいろいろ考えをめぐらせているうちに曇ってきてしまったのさ。