【猪木は最強】621文字の掌編小説
1.
お前名無しだろ
pKj2n
昼下がりの公園のベンチに1人腰掛ける男の老人が居ました。その老人は暫くは大人しい仕草で片手に持ったワンカップ酒を一口ずつ飲み込んでいたのですが、全部飲み終わると唐突に立ち上がり、「猪木は最強、猪木は最強、猪木は最強」と狂ったかの様に大声で連呼し始めました。公園で遊んでいた6人の小学生たちはその老人に恐怖を覚えて蜘蛛の子を散らす様に逃げて行きました。しかし、1人の女児だけは勇敢にも公園に踏み留まり叫び続ける老人を睨み付けながら、ズボンのポケットから北朝鮮製のスマホを取り出すと、どこかしらに電話を掛け始めました。数分後、3人の警官が公園に駆け付け、その警官たちは各々「確保、確保」と連呼しながら、情け容赦なく老人を全力のリンチに掛けました。すると、老人は脱糞しつつも号泣しながら「本当は猪木は弱いです。本当は猪木は八百長です。本当にすみませんでした」とか細い声で謝罪を始めました。しかし、警官たちの攻撃はヒートアップするばかりで、収まる気配は一向にありません。こうして、哀れなる老人は殴られ蹴られ踏み付けられて、死んでしまう事になりました。少し離れた場所からその様子を眺めていた先程の女児は満面の笑みで何度も何度も飛び跳ねながら、何度も何度もガッツポーズを繰り出しました。警官たちの正義の鉄槌によって公園には平和が戻り、子供たちの歓声も戻って来ました。因みにその公園は馬場公園という極限にまで崇高で極限にまで強靭な名前であったという事です。
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